○西村(眞)
委員 ありがとうございました。
国家の原型は都市国家とするならば、市民が兵士であり兵士が市民であるという、この前提が都市国家、国家の要件。兵士でない者は市民でない、ということは奴隷であるというのが、ローマであれギリシャであれ、大勢でございます。
また、黒沢明監督の「七人の侍」というあの名画は、村が国家の
機能を整えていくという物語なんですね。つまり、みずからでは守れない、したがって、侍を雇う、防衛
機能ができ始めた、しかし、それだけでは足りない、侍とともにみずからが軍事
訓練をして、みずからの家族と村を守る。あの物語です。
したがって、
我が国が志願兵
制度をとる以上、市民、国民と兵隊というものは同じだ。だから、予備
自衛官の対象も、一般のそこら辺にいる若者、何をやっていいかわからないけれども、おまえ、一年のうち数週間来いというシステムは必要だなと思っておりますので、御
提案申し上げました。
お答えありがとうございます。
それで、あと八分ぐらいは、防衛駐在官
制度はもうぼつぼつ改善しなければならないということをちょっとお願い申し上げます。
というのは、今の防衛駐在官
制度は、昭和三十年八月八日、門脇外務事務次官と増原
防衛庁次長の覚書というところから出ているわけですね。
この覚書の四カ条はどういう四カ条であるか。
第一条は、「
自衛官の身分を併せ保有する場合は、
自衛官の階級を呼称し、その制服を着用することができる。」これは駐在武官ですから当然のことです。第二項めは、「右外務事務官」、
防衛庁出身の外務事務官は、「
防衛庁設置法、
自衛隊法等の規定にかかわらず、」
法律の規定にかかわらず、「身分上及び職務上、もつぱら外務大臣及び在外公館長の指揮監督に服する。」これは、事務次官クラスの覚書で
法律の規定にかかわらずという覚書があるということはひとつ御記憶にとどめておいてください。第三条は、「右外務事務官は
防衛庁との直接通信を行わず、且つ、独自の暗号を使用しない。」第四条は、「右外務事務官のため
防衛庁は、独自の
予算を配布しない。」こういうことです。
これは、何の経験から生まれたかと言えば、軍人出身の駐独武官がドイツの大使になる、そして、日独伊軍事同盟のときには、陸軍とその大使の通信は密で、外務省がつんぼ桟敷に置かれたという歯ぎしりをする経験があって、戦後十年目の昭和三十年にこの事務次官の覚書ができておる。この覚書の精神は、
自衛官、つまり軍人というものは、がんじがらめに押さえ込んで、
予算も配賦せず独自の通信もさせずに在外公館におらすことがいいんだという発想でございまして、到底今現在の我が
自衛官が耐え得る体制ではございません。
このようにして、現在の防衛駐在官
制度が続いておりますが、例えば、四十五歳で防衛駐在官として外に出る。同じ四十五歳の外交官は参事官で外におるわけです。四十五歳の一佐、大佐ですね、
自衛官は、一等書記官で
大使館に赴任するわけです。同期任官、一方は外務省、一方は
防衛庁。同期任官組が五年ぐらいの落差を在外公館でつけられる。これは屈辱も甚だしいのじゃないか。したがって、これだけの身分の落差がありますから、給料も全く違うということになってくるわけです。
私、人事のことで、座布団とか伝馬船というような言葉があるようですが、これは余りよくわかりませんが、
防衛庁長官、もうぼつぼつ駐在武官
制度を立派な普通の民主主義国家の駐在武官
制度に変えるべき時期ではないでしょうか。
私も、
外国に行きましたら、我が
自衛隊の武官の方たちと接触します。そして、軍人というものは、ともに国家を背負っておりますけれども、ともに戦うために国家を背負っているという連帯が
各国ともあるのですね。だから、軍人同士は意外に信頼し合うわけです。そして、
情報の交換も密になるわけですね。
そしてまた、駐在武官は軍事専門家ですから、外交官という方たちの歩く、視察する場所と違う、
各国の
部隊、そして国境地帯を、私の知っている駐在官も、いろいろ独自にかの国との信頼関係のもとに見させてもらうわけですね。そのときに、独自の旅費がなければならない。国防の観点から旅費がなければならない。
今は旅費もない、そして通信もさせない。こういうことで、不都合な事例が
一つあるのですが、まあこれは申しませんが、エジプトの大統領が死亡したのか死亡していないのか。
各国の駐在武官同士の信頼関係で、彼は確実にあのとき死んだという
情報が
我が国の駐在武官に入る。しかし、
我が国の外務省の駐在外交官は、武官との信頼関係がないので、
外国の武官からその
情報を得ていない、したがって、エジプトのあの大統領が死んでいるのか死んでいないのかまだわからない、しかし、
我が国の駐在武官は独自に通信できないから、それを通信できない、こういう
事態も聞いておりますから、どうか駐在武官
制度は、
防衛庁挙げて、外務省とも話をして、そして、
法律の規定にかかわらず次官同士の覚書でやるんだというふうな体制を打破して、この部分からも戦後の精神的な桎梏から脱却していただきたいと思いますが、
防衛庁長官、いかがでございましょうか。御
答弁いただきます。