○石川弘君 そういう
説明をしていただきますと、私もこれからの質問がしやすいものでございますから。
先ほど
平成五年の
補正のときのお話をいたしました、質問いたしましたけれ
ども、私も、この表をつくってもらって見ていますと、あれから五年で大変いろんなことがあったんだなということを実は実感しております。
平成五年は六月八日に
補正。これは、本予算が三月三十一日に通っておりますから比較的早い時期ですが、事業規模で十三兆、予算規模で二兆三千億でございます。このときは、経済指標を見ますと、対前四半期、状態が悪い方へ行っているかどうかという意味で前の期と比べてみましても、まだ
プラスなんです。〇・四という大変低いけれ
ども、
プラスの
数字なんです。株価を見ましても一万九千六百円台、為替も百七円、
失業率二・五。これでも何かやらなきゃいかぬという意味でなさった時期。このころは御承知のように経済の話よりも政治改革の話が朝から晩まで、こればかりみたいな時代でございました。
それから、
内閣がかわります。二次が細川
内閣のときで、それからわずか六カ月後、十二月十五日。このときのうたい文句は、生活者、消費者の視点に立った社会資本整備。これはどちらかというと、
公共投資の話を名前を変えてというか、向きを変えるというような
感じですが、このときは指標で言うと既に
マイナスが出て
マイナス〇・一。それでも株価一万七千円台、円百九円、しかし
失業率は二・八と上がってきております。
それから三次の
補正。細川
内閣でございますが、その次の年の二月二十三日に行われておりますけれ
ども、これは事業規模で十五兆三千億、予算規模で二兆二千億、それからそのほかに減税がこのときにありまして、五兆九千億の減税があります。
〔
委員長退席、理事鴻池
祥肇君着席〕
このときも経済指標は対前四半期別で言うと
マイナス〇・二。これは、
マイナスが出てきてこういうことをしなきゃいかぬと。それでも株価は一万九千円台、それから為替が百六円で、しかしこれから先ずっと
失業率だけは上がってくるんですが、二・九。
それから六年は、御承知のように予算が通ったのが六月ごろでございます。これは三月に通らずに六月ごろにやっと通った。だから、このときは要するに
補正はございませんけれ
ども、株価も二万円台とか、円も百七円。
このあたりから少しずつ変わってくるんです。私、この
数字を見て実はびっくりしたんですが、その次の年、村山
内閣の一次
補正は五月にやっておりますけれ
ども、円高不況が吹き荒れたときです。これでも指標的に見ると、円高対策でむしろ経済的には一・七ぐらいGDPが上がっているんですけれ
ども、株価は実は一万五千円台になりまして、円は八十五円。今になってみますと、そんな八十五円なんというのがついこの間あったのかなと思うんですが、八十五円。それでまた、
失業率だけはさっき申しましたようにずっと上がってきて三・一。
それから二次。村山
内閣のときは十月十八日にその年はやっておりますが、
景気回復を確実にするため思い切った内需拡大ということでやっていただいた。
そういうことから、実は
平成八年、
橋本内閣が始まったときは、むしろ経済指標も
プラスだし、株価も二万二千円近く、円高もおさまって百六円ぐらいまで回復してきている。それでも
失業率だけは三・四と上がっている。それで御承知のような九年、十年と、こう来るわけでございます。
私は、先ほど
長官のお話の中で、あるいは新聞の記事でいろんな書き方をするときに、非常に短期的に今どうだこうだという話がある。これは間違いないことなので、それをどう見るかということについていろいろ御批判、見解があるんだけれ
ども、非常に短期的な視野でそれを見ることもなぜ大切かというと、九年とか十年のターニングポイントを間違ったんじゃないかという議論が大変多うございましたから、短期的な経済変動をどう見るかということも大事なんだけれ
ども、これをずっと見ておりますと、実は株価を見たって為替を見たって物すごい変動をしている。しかし、
一つ失業率だけはずっと上がってきている。その後ろ側に何があったかというと、例のバブルとかそういうもので経済構造がだんだん痛めつけられてきていたんだなと思うわけです。
そこで、これは企画庁
長官に伺った後、
総理にもお答えいただきたいんですが、
総理は今度の
小渕内閣の性格を、こうやってきた日本の国の経済構造を転換させて今度は上向きに転ずるようなそういう方向へ持っていくんだということでいろいろお考えになって、その線上で今回のこの
補正をお考えになった。
今度の
補正は、先ほど
長官もおっしゃったように、公共事業をどう継ぎ足したとか、需要創出でございますね、そういうことじゃなくて、今度の
補正の第一は
金融システムの安定化・信用収縮対策というところに大きな柱が実はある。その次に、二十一世紀型社会の構築に資する
景気回復策という柱の中に社会資本の重点的な整備、それから例の地域振興券も実はここへ入っている。それから
住宅投資の促進、それに雇用対策というのがまたこの中の大きな柱になる。そしてもう
一つ、これは特に今回のいろんな不況がアジアの問題にも絡むということで、世界経済リスクへの対応というようなことでアジア対策と。そういう意味では、長いことこういうことをやっていましても、この
補正の姿としては大変いろんな角度の予算になっている。
このことは私は大変すぐれていることだと思っておりまして、
長官は先ほ
どもそういう意味のお答えをなさったけれ
ども、今回の予算はそういう
趣旨で私は大いに、中身がいいとか悪いとかというような言い方じゃなしに、そういう今回の経済事態に対応したものだとお考えになっていると思うんですが、いかがでございましょうか。