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堂本暁子君
保育所の問題も大事ではありますけれ
ども、これは子供が生まれた後の問題です。
少子化の対策というのは、数だけの問題ではなくて、本当に望まれる子供が生まれてくるということが大事で、十
年度の厚生白書「少子社会を
考える」、この厚生白書はこの種のものとしては非常に評価されましたし、非常に鋭い分析と、それから結論もすべて私はよく書かれていると思っています。結論もここに書かれているんですね。ただ問題は、この白書に書かれていることが政策化されていない、例えば予算の面でもそれから行政機構の問題でも政策化されていないということです。
この厚生白書の一ページ目なんですが、その一番下のところに「二十一世紀の日本に、「男女が共に暮らし、子
どもを産み育てることに夢を持てる社会」をどのようにつくっていくか、」、「安心して老いることのできる社会」が基本的な条件だろうと。これは
当たり前のようなことですけれ
ども、その
当たり前のようなことが政策化される段階になるとずれてきてしまっているのが残念ながら我が国だろうと思っています。
保育所も大事かもしれない。しかし、やはり子供を産むということは、私たちはリプロダクティブヘルス・ライツと言っておりますけれ
ども、性と生殖に関する健康と権利、これは九四年に国際
人口・開発
会議において提唱されたものであるということもこの白書の中にはっきり書いてあります。
これは二つの面から言えることです。
一つは、国内政策としてぜひ対応しなければならないことであると同時に、もう五年前に、正確に言えば四年半前ですが、日本国としてはそういった国際的な約束事の中でそういう政策をとりますということを約束しているわけですね。それじゃ、この五年間の間に日本国がその国際的に約束したような
内容の政策をとってきたかどうかということになると、非常に大きな疑問を持たざるを得ない。
それで、きのう「わが国の母子
保健」、
平成十
年度のものですが、いただきました。これを見ますと、リプロダクティブヘルスというのは、生涯にわたって、生まれたときから死ぬときまでの子供を産む女性の性に関して健康であることを大事にしている物の言い方ですけれ
ども、
厚生省の政策、まさに今
保育所の問題を大臣はおっしゃいました。しかし、この母子
保健の予算を見ますと、例えば未熟児の対策については十五億使われている、それから小児性特定疾患の治療、研究、これにも一億近いお金がついている。
しかし、子供が生まれてからのそういう未熟児の対策も大事ですけれ
ども、健康に子供が生まれるような
状況をつくるための政策を果たしてとっていらっしゃるかどうか。それはもうカイロで日本は約束したことなんですが、国内的にも国際的にもその約束は私は果たされていないというふうに思っているんです。
例えば思春期の問題なんかも、ここにカイロ文書がございますけれ
ども、その中にたくさん書いてあります。しかし、今援助交際というようなこともはやっている。そういう中で、望まない妊娠をしてしまって、そのために健康に子供が産めない体になることもある。あるいは、きのうでしたかの
朝日新聞は、三十キロの体重にするために小学校からダイエットをしていると。こういうようなことでは、本当に子供を産むというような
状況が社会的にできない。それは、女性の本当の意味でのありようをきちっと支えるようなそういった対策が少ない。
そうすると、
厚生省は、いや、やっておりますというふうに多分おっしゃると思いますが、これはあくまでも母子
保健の中ですから、妊娠して母子手帳をいただいたようなときだけしか残念ながら日本の
厚生行政は対応していない。子供を産む、男でも女でもいいんですけれ
ども、その前の時期があるわけですね。そういった時期に対しての健康に関しての対策がない。そして、妊娠しないときでも女性が健康であるということが大変大事なんですが、それに対しての対策も非常に少ないというふうに思っています。
リプロダクティブヘルスを
厚生省は生涯を通じた女性の健康支援事業というふうに呼んでいらっしゃいますが、それは四千九百万。これは、母子
保健全体の中で見ますとどれだけかといえば〇・二四%です。ほとんどないに等しいと言っていいわけです。ですから、そこのところが大きくずれている。本当に今やるべきことは大手術であり、体質改善なんです。ところが、そうじゃなくて応急処置を積み重ねている。これじゃどうにもならない。これでは国際的にも約束事が果たせないというふうに思っています。
大手術として申し上げたいのは、母子だけではなくて、きちっと生涯にわたって、男性も女性もですが、そういった妊娠、出産にかかわる健康というのをとらえていけるような行政体制をとることが大事なのに母子
保健課しかない。これではできません。いわゆる担当するところがないんですから、
厚生省の中に。
それから、体質改善と申し上げたときには、やはり五十年前の社会と今の社会、中学生のときからテレクラだ何だといって望まない妊娠をしてしまう。望まない妊娠をするということは虐待にもつながり、妊娠できない体になっていくというようなことにもつながっていく。そういったことに対して行政が転換していない。行政を変えていないわけです。これでは本当に日本は少子化から脱却できないんです。これではもう国が滅びていくということに近いことだと思います。
そういう意味では、大臣は今大変な責任のあるところにいらっしゃると思うので、そのことに気づいていただきたいというのがきょうのお願いでございます。
きょうは赤阪
審議官にもおいでいただいたので同時に伺いたいのですけれ
ども、来年はハーグでICPDの国際フォーラムが開かれます。三月にはニューヨークで国連
人口・開発
委員会が開かれますし、六月には国連の特別総会でこの問題が出ます。日本は今までナショナルレポートも出してきませんでしたし、インクワイアリーにも答えていないという
状況の中で、大臣もおられることなので、大臣、きちんと聞いておいていただきたいんですが、日本はこの問題についてまだ責任を果たしていないと思います。よそのアジアの国はこの間バンコクでも結構ナショナルレポートを出した。だけれ
ども日本は出していないんです。参加もしなかった、その
会議にですよ。ですから、こういった問題について国際的にも非常に無責任。
そのことについて、厚生大臣にもお願いしたいし、外務省としてもきちっとこのことに対応して、レポートの問題、それから政府代表の中にも例えば有馬真喜子さんのような方が婦人の地位
委員会に出ていらっしゃいますが、そういった女性がきちんと入ること、そして女性のNGOの代表も入れるということを確約していただきたい。さもないと、日本は国内的に少子化が進むだけではなくて、国際的にもこの面では非常に信用を失うということになります。よろしくお願いいたします。