○志位和夫君 私は、
日本共産党を代表して、
小渕総理に
質問いたします。
まず初めにただしたいのは、
小渕内閣が発足以来の四カ月間に一体何をやってきたのかということです。
この四カ月間に実体
経済の悪化はいよいよ深刻となりました。
経済の六割を占める
個人消費は十一カ月連続で昨年を割り込み、統計史上最悪の連続マイナス記録を更新しつつあります。完全
失業者数は二百九十万人、
失業率は四・三%を記録し、これも統計史上最悪となりました。
企業倒産も、ことしの
倒産件数は既に十月で一万六千五百二十七件に及び、戦後最悪の負債総額を記録した昨年の年間
倒産件数を既に上回りました。どの指標をとっても最悪記録の更新が続いているではありませんか。
日本列島が
不況の苦しみにあえいでいるときに、
総理がやってきたことは何か。大銀行の支援のために六十兆円もの公的資金投入の枠組みをつくることに熱中する、これがすべてではありませんか。六十兆円といえば、
消費税による年間税収約十二兆円を丸々五年分ものみ込む額であります。そんな途方もない巨額の資金を、バブルに踊った大銀行の不始末の穴埋めや、大銀行が国際舞台に乗り出す上での体力増強のために使うなど、到底
国民の理解を得られるものではありません。(
拍手)
小渕総理は、七月に
自民党総裁選に立候補する際の政見で次のように述べていました。
経済再建に当たって決して間違ってはならないのは、不良債権を処理したからといって実体
経済がよくなるわけではないことであります、私はこのことを肝に銘じ、実体
経済をよくするために全知全能を傾けてまいります。
それから既に四カ月余りが経過しました。
総理に伺いますが、あなたはこの間、実体
経済をよくするためにどういう全知全能を傾けてきたのですか。特に、戦後最悪にまで落ち込んでいる家計
消費を温めるために何をやってきたのですか、まずはっきりとお答え願いたい。
それでは、
小渕内閣が今進めようとしている
緊急経済対策は
景気回復に役立つものでしょうか。どの
世論調査でも、
国民の多くは、この
対策が
景気回復に役立つとは考えていません。最近の朝日新聞の
調査でも、
緊急経済対策に期待が持てると答えたのはわずか一一%、期待が持てないと答えたのが七六%に達しました。それは、この
対策が、規模こそ二十四兆円と巨額ながら、冷え込んでいる家計
消費を直接温めるための施策が全く盛り込まれていないからであります。
第一に、この
対策の
中心は、またもや従来型の
公共投資の積み増しです。しかし、
景気対策として
公共投資を積み増すやり方は、当初は一定の
効果があっても、中長期的には膨大な
財政赤字をつくり、
経済にマイナスに働くとして
政府も一度はみずから否定した、いわば禁じ手の
対策のはずです。そのことは、九五年、九六年の
財政制度
審議会の報告でも明記されていることではありませんか。
実際、宮澤
内閣から橋本
内閣までの七年間に、七回にわたって、
減税を除いた事業規模で総額七十兆円もの
景気対策が行われ、そのうち、実に八割の五十六兆円が
公共投資に使われましたが、
景気回復にはつながりませんでした。ことし四月に行われた十六兆円を超える総合
経済対策も
公共投資中心でしたが、これで
経済成長率を二%押し上げるという当初の
政府の宣伝とは裏腹に、今年度の
経済成長見通しはマイナス一・八%と修正されました。
総理、
政府みずからが一たんは禁じ手とし、
景気回復に役立たないことが現実でも証明されている愚策をどうして繰り返すのですか。ゼネコンへの救済策としか説明がつかないではありませんか。
しかも、重大なことは、
公共投資積み増し
政策に地方自治体を動員してきたことが、自治体
財政の危機を加速させていることです。この七年間で、
全国の自治体の借金は七十兆から百六十兆円へと二倍以上に膨らみました。
全国至るところで、借金の急増を理由に福祉、
教育など住民サービス切り捨てが進められ、ここでも
景気を冷え込ませる悪循環をつくっています。
総理は、公共事業
中心の
景気対策が地方自治体の借金急増の大きな要因になったという事実をお認めになりますか。
政府の
責任をどう
認識していますか。これ以上の自治体への借金の押しつけは中止すべきだと考えますが、いかがですか。
第二に、緊急
対策に盛り込まれている六兆三千億円の
減税はどうでしょうか。
政府は
所得税、住民税で四兆円の
減税を行うとしていますが、この
減税は最高税率の引き下げと定率
減税を組み合わせ、ことしの特別
減税を打ち切るかわりに行われるために、
減税となるのは一握りの高額所得者だけで、納税者の八割、九割はことしに比べて来年は増税になってしまいます。
さきの国会の予算委員会で、私がこのことを事実を示してただしたのに対して、
総理はそれを否定できませんでした。
最近になって、
政府税制
調査会の加藤会長は、年収七百万円以下の人が特別
減税時より増税になると明言しました。
総理も同じ
認識でしょうか。違うというのなら、一体
国民のどれだけの
部分が増税になるのですか。
国民の多数が増税になるとしたら、
不況にさらに逆風を吹きつけるだけではありませんか。
答弁を求めるものであります。
二兆三千億円の法人税の引き下げも大きな問題です。
中小企業への軽
減税率の拡充は必要と考えますが、一律の法人税の引き下げを行っても、
消費大
不況のもとで
設備投資には向かわず、
景気対策としての
効果は期待できません。
政府は国際水準並みに引き下げると言いますが、これにも根拠はありません。
確かに
日本の法人税は、表面税率では欧米諸国に比べて高いが、欧米にはない引当金や準備金などの税逃れの制度によって課税ベースが著しく狭いために、実質の法人
税負担率では
日本が高いという根拠はないことは、
政府も認めたことです。それならば、一体何のための
法人税減税か。どさくさ紛れの不公正きわまる大
企業優遇策としか、これも説明がつかないではありませんか。
第三は、地域振興券と銘打った商品券ですが、実施前からこんなに評判の悪い
対策はありません。どの
世論調査でも、
国民の六、七割が反対の声を上げています。
総理は、この構想が
国民のかくも大きな反発を招いているのはどうしてだとお考えになりますか。
この構想は、公明が
提案した初めの案でも、
景気対策としての
効果が期待できないことは広く指摘されていました。商品券が
消費に使われたとしても、それによって浮いた現金から貯蓄に回るだけだからであります。それを配付対象を限定したために、いよいよ
景気対策としての
効果は意味がなくなりました。
それでは、一体、何のための商品券か。
総理は、
個人消費の喚起と地域
経済の活性化のためと言いますが、この目的が後から取ってつけたものであることは、商品券構想を決めたときに、宮澤蔵相がこれから意義づけを考えると正直に述べていることでも明らかではありませんか。
政策を決めてからその目的を考えるというのは、本末転倒だとお考えになりませんか。これでは、この構想が、まじめな
景気対策でなく、
党利党略の産物だというそしりは免れないと思いますが、いかがですか。
総理の
見解を問うものであります。
景気回復のためには、このような方向違いの
対策では役に立ちません。
景気回復のためには、国内総生産の六割を占める家計
消費を温め、
日本経済の土台を支えている
中小企業を助ける
対策に本気になって取り組む必要があります。
日本共産党は、先日、次の六つの柱から成る
国民生活防衛の緊急要求を
提案しました。
第一に、
消費税を直ちに三%に戻し、二兆円規模の庶民に手厚い所得
減税とあわせて、七兆円規模の
減税を実行すること。第二に、医療と
年金で当面四兆円の
国民負担の軽減を図るとともに、公共事業や高過ぎる薬価の浪費構造にメスを入れて
財源をつくり出し、
国民が安心できる
社会保障制度をつくること。第三に、
中小企業への貸し渋りをやめさせるための実効ある行政
指導を行うとともに、
中小企業向け官公需をふやすなど仕事を保障すること。第四に、
雇用不安を解消するために、一方的解雇の規制、労働時間の短縮による
雇用の拡大、失業保険の拡充を図ること。第五に、農家
経営を守るために、暴落した米価の補てん、強制減反の中止を行い、災害被害
対策を強化すること。第六に、地方
財政の危機を打開し、住民の暮らしを守るために、地方交付税の引き上げなどの緊急措置を行うことであります。
この中でも、私がここで
総理に特にただしたいことは、
消費税減税についてであります。我が党は、ことしの
通常国会でも、
さきの
臨時国会でも、橋本
内閣が九七年に行った
消費税増税など九兆円の
国民負担増こそ今日の
景気悪化の最大の
原因であることを明らかにし、
消費税の廃止を大目標として掲げつつ、緊急の
景気対策として
消費税を三%に戻すことを強く求めてきました。
そして、国会論戦の中で、
消費税の
減税が、
消費拡大に直結した
減税であること、すべての所得階層に
減税効果が及び、特に
消費の落ち込みの激しい低所得者層を潤す
減税であること、価格に転嫁できず身銭を切って税金を納めている
中小企業の苦境を救うこと、落ち込みの激しい民間
住宅建設を活発化することなどを明らかにし、この
政策が実行に移されるなら、冷え込んだ家計
消費を温める衝撃的な
経済効果を生むことを示してきました。
これに対する
政府側の
答弁の特徴は、
消費税の
減税が
景気対策として役に立たないという正面からの反論はなかった、できなかったということであります。
そこで、
総理に改めて伺いたい。
消費税の
減税が緊急の
景気対策として、特に冷え切った
個人消費を活発化させる
対策として、それ自体として
効果を持つということをお認めになりますか。それを否定しないというのであれば、この
対策をタブー視せず、真剣な検討の俎上にのせるべきだと考えますが、いかがですか。(
拍手)
ここで、私は、これまで
政府・
自民党が
消費税減税に反対する際に、その理由としてきたことに対して吟味を加えてみたいと思います。
その一つは、
消費税の
減税は将来の税制のあり方に反する、一たん下げたら、上げることが難しいという理由です。しかし、将来の税制のあり方として
消費税の税率をさらに引き上げていくということは、
自民党の方針かもしれないが、そんなことに
国民は一度も
賛成した覚えはないのであります。
大体、
消費税率を五%に引き上げることに対しても、
国民は一度も信任を与えていません。九六年の総
選挙では、当選した衆議院
議員のうち三分の二は、
消費税増税に反対、
凍結、
条件つきの公約を掲げました。この公約に忠実なら、そもそも増税はできませんでした。ことしの参議院
選挙では
自民党は
歴史的な敗北を喫しましたが、これは、
不況のさなかに
消費税増税を押しつけた
経済失政への不信任の結果ではありませんか。
そこで、
総理に伺いますが、五%への
消費税増税に、
国民は一体どの
選挙で信任の意思表示をしましたか。ましてや、将来五%以上に
消費税を増税していくなどという方向に対して、
国民がいつ
賛成の意思表示をしましたか。
政府・
自民党が
消費税増税という方針を勝手に持っているからといって、それを理由に、
国民多数が切望し、最も
効果のある
景気対策である
消費税減税を拒否するというのは、みずからの党略的立場を
国民の利益の上に置くものと言わなければなりません。
いま一つ、
政府・
自民党は、
消費税減税に反対する理由として、
消費税は
少子・
高齢化社会の進展という構造変化に税制面から対応するものという議論を呪文のように繰り返しています。しかし、なぜ
高齢化社会を支える税制の
中心に
消費税を据える必要があるのか。
国民に納得のいく説明は何らされていないのであります。
私は
総理に、三つの問題について、ここで端的にただしたいと思います。
第一に、
政府の推計でも、
日本の総人口に占める労働力人口の割合は、一九九七年が五三・八%であるのに対して、
高齢化社会のピークになる二〇二五年が五一・八%とほとんど変化はありません。
高齢者人口はふえますが、
子供の人口が減ること、
高齢者や
女性の職場進出が進むことなどにより、
社会全体で見ますと、一人の働き手が一人の働いていない人を支えるという姿は、現在も将来も変わらないのであります。労働力人口の割合が変わらないのに、税制だけを
消費税中心に変える必要がどこにあるのですか。直接税
中心、総合累進、生計費非課税という戦後税制の三つの民主的原則を投げ捨てる理由はどこにもないし、この原則に立った
税制改革こそ必要だと考えますが、いかがですか、
答弁を求めます。
第二に、
政府はよく、
高齢化社会をみんなで支えなければならない、それが
消費税だと言いますが、
消費税を
負担しているのはだれか。価格に転嫁できず身銭を切って税金を納めている中小業者の方々、そして転嫁しようのない最終
消費者であります。重要なことは、価格にすべて転嫁できる力を持つ大
企業は
消費税を一円も
負担していないということであります。
高齢化社会をみんなで支えると言いますが、大
企業だけはそのみんなに入らないということを不公正だと考えませんか。みんなで支えると言うのなら、大
企業優遇の不公平税制こそ正し、もうけ相応の
負担を求めるべきではありませんか。(
拍手)
第三に、
政府は、
高齢化社会のためと言いながら、孫子の
世代に莫大な借金を残す放漫
財政を続けているではないかということであります。六十兆円もの公的資金を大銀行に用意した国は
世界にありません。年間五十兆円もの税金を公共事業につぎ込み、これから先も十三年間で合計六百三十兆円もの税金を公共事業につぎ込む計画を立てている国も
世界にありません。年間五兆円の軍事費は、汚職による水増し分も含め、アメリカに次ぐ
世界第二の規模にまで膨れ上がり、
アジアでは、
日本に次ぐ韓国、台湾、インド、中国の四つの国と地域の軍事費を合計した額に匹敵しています。二十一
世紀に向けて、本当に
高齢化社会を支える
財政について心配するなら、これらの国政上の浪費構造にこそ大胆なメスを入れるべきではありませんか。
しかも、重大なことは、こうした浪費構造は政官財癒着の構造と一体だということです。ゼネコンや大
企業をめぐる腐敗の根には、
自民党への
政治献金がありました。防衛庁を舞台とした汚職
事件の根にも、
自民党中島洋次郎
議員への贈収賄疑惑、軍事
産業からの
自民党への
政治献金があったことが明るみに出されています。真相の徹底究明とともに、
企業献金禁止など腐敗の根を断つための抜本的措置をとるべきではありませんか。
自民党と自由党の
政権連立の合意の中で、
消費税の福祉目的税化の方向が合意されたことも重大です。これは、福祉のためだといって果てしのない
消費税増税を選ぶのか、それとも福祉水準の切り下げを選ぶのかという、選択しようのない二者択一に
国民を追い込み、結局は
消費税率の自動的引き上げのレールを引くことになります。将来的に税率を一層引き上げていくのが首相の考えですか。有害無益なこの構想をきっぱり撤回することを私は強く求めるものであります。
幾つかの角度から吟味してまいりましたが、私は、
政府・
自民党が
消費税減税に反対する際に持ち出してきた理由には一かけらの道理と根拠もないと考えます。同時に、将来どういう税制、
財政を目指すかは、政党間にもさまざまな立場があり、
国民の間にもさまざまな
意見があることも事実であります。
今、何より大切なことは、戦後最悪の大
不況という緊急事態のもとで、将来の税制像、
財政像に違いがあっても、それを
消費税減税を拒否する理由にしてはならないということではないでしょうか。
不況打開のために
消費税減税が最も
効果のある措置ならば、まずそれに大胆に
取り組み、二十一
世紀の税制と
財政のあり方については、
国民的討論を尽くし、
選挙による審判を経て決定していくというのが最も道理のある道筋ではないでしょうか。
日本世論調査会の
調査では、
消費税の引き下げないし廃止を望む声は七九%を占めました。この声に正面からこたえた
政策を実行することこそ、国の
経済政策への
信頼を回復する最も確かな道であり、そうしてこそ
景気回復への道が開かれます。首相がそうした立場からこの問題を真剣に検討することを、重ねて求めるものであります。(
拍手)
日本共産党は、志を同じくする他会派の
議員とともに、この国会の冒頭に
消費税減税法案を提出しました。各党、各
議員の皆さんの御賛同を心から訴えるものであります。
安保、外交の問題に進みます。
首相は、
さきの日米首脳会談で、ガイドライン関連立法の早期成立をアメリカに約束しました。ガイドラインとは、米軍が
日本を拠点にして
世界に出撃するときに、その戦争に自動的に参戦していく仕組みです。しかし
総理、そもそも、今日の
世界の中で、平和のための共同でなく、軍事行動のための新たな共同の仕組みをつくろうとしている国がほかにありますか。軍事行動での共同が日米関係の
中心になるのは異常きわまることだと考えませんか。
ガイドラインの構想は、
日本と
アジアの平和に逆行する、解決しがたい矛盾をはらんでいます。
一つは、ガイドラインの発動の範囲が事実上無制限、無限定であるということです。この矛盾が集中的にあらわれるのは台湾問題です。
さきの日中両国
政府の首脳会談で合意された日中共同宣言では、
日本側が一つの中国の立場を尊重することを改めて
表明しました。一つの中国という立場に立つならば、台湾をガイドラインの発動対象から除外しないことが中国に対する内政干渉となるという
認識が
総理にはありますか。安保条約の対象範囲からも、ガイドラインの発動範囲からも台湾を除外するという立場を、この
機会に明瞭にすべきではありませんか。
答弁を求めます。
二つは、米軍に自衛隊が
協力する際、その
協力の
内容が戦争行為そのものであるということです。
政府は、輸送、補給、通信などの
活動は武力行使と一体でないから問題ないとしていますが、これらの兵たん
活動は、国際司法裁判所でも武力の行使とみなされているものではありませんか。相手国から敵対行為として攻撃対象とされないという保証はどこにあるのですか。
答弁を求めます。
三つは、自衛隊の出動が、国会の承認すら経ずに、自動的に行われる仕組みとなっていることです。現行法では自衛隊の防衛出動でさえ国会の承認を必要としているのに、
日本が武力攻撃を受けてもいないもとでの米軍への参戦を、国会の承認すら求めないで、
政府の独断で行うことがどうして許されるでしょうか。こうしたやり方は、
国民主権と議会制
民主主義を正面から否定するものではありませんか。
日本共産党は、矛盾に満ち、破綻が明瞭になっているガイドライン関連法案を直ちに撤回することを強く要求するものであります。(
拍手)
憲法問題にかかわって、
自民党と自由党との
政権合意の中で、国連総会または安全保障理事会で国連平和
活動に関する決議が行われた場合には、国連の要請に従いその
活動に
参加すると述べられているのは重大であります。これは、国連が決定すれば、武力行使を伴う
活動であっても
日本が
参加することを意味しているのですか。そうだとすれば、武力行使を伴う国連軍への
参加は憲法上許されないとした従来の
政府見解をも覆すものとなります。憲法の平和原則をそこまで崩すつもりですか。
総理の
答弁を求めるものであります。(
拍手)
自民党と自由党の
政権合意の中で、衆院、参院とも、当面、
議員定数を五十ずつ削減することを目標にすることが明記されたことは、
我が国の
民主主義の前途にとって看過できない重大な問題であります。
大体、
我が国の
国会議員の定数を削らなければならないという根拠はどこにあるのですか。
国民百万人当たりの各国の
国会議員の数を、
日本は衆議院、他国は下院で比べてみますと、イギリス十一人、フランス十人、ドイツ八人、イタリア十一人、
日本は四人です。
日本が多過ぎるということは根拠がありません。
国会議員は
国民の声を国政に届けるパイプであって、そのパイプが細ければ細いほどいいという主張は、議会制
民主主義を否定することにつながるものではありませんか。
しかも、
議員定数を減らすならまず比例代表を削れという声が
自民党首脳の中から起こっていることは、極めて重大であります。現行の小
選挙区比例代表並立制は、大政党有利に民意をゆがめる反民主的制度です。
さきの総
選挙では、
自民党は、小
選挙区制
部分では三八%の得票率しかないのに五六%もの議席占有率を得ました。比例代表を削減することは、小
選挙区制のそうした害悪を一層拡大し、
国民の少数の支持しかないのに、
自民党とそれに連合する政党の絶対多数の
政権が続くことを制度化するものではありませんか。
日本共産党は、
民主主義に逆行する
議員定数削減の動きに強く反対するものです。(
拍手)
政治がまず身を削るというのなら、政党助成金の制度こそ撤廃すべきであります。仮に衆院と参院で五十人ずつ
議員を削減しても、年間予算の削減額はわずか七十二億円です。一方、政党助成金は年間三百十四億円にも上ります。憲法に保障された
国民の思想、信条の自由を踏みにじり、
自民党中島洋次郎
議員の
事件が示すように、今や
政治腐敗の一つの元凶となりつつある政党助成金こそ撤廃すべきであります。(
拍手)
総理の
見解を求めます。
最後に、私は、
総理に解散・総
選挙への決断を求めるものであります。
そもそも小渕
政権は、参議院
選挙で
自民党が
国民の四人に一人の支持しか得られなかった
状況のもとで、民意に逆らって成立した
政権です。その後のどの
世論調査を見ても、支持率は一、二割台、不支持率は過半数を超えています。
国民的な存立基盤がもともとない
自民党政権が、当面の国会内の数合わせで自由党との連立を組んだことは、
国民の
政治への
信頼をさらに大きく傷つけています。
こういう無原則、無節操な延命の道をずるずる続けるのではなく、二十一
世紀を前にして、
日本が進むべき道を
国民に問うために、速やかに国会解散・総
選挙を行うことを強く要求して、私の
質問を終わります。(
拍手)
〔
内閣総理大臣小渕恵三君
登壇〕