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1998-12-07 第144回国会 衆議院 地方行政委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十年十二月七日(月曜日)     午後六時五分開議  出席委員    委員長 坂井 隆憲君    理事 谷  洋一君 理事 平林 鴻三君    理事 宮路 和明君 理事 山本 公一君    理事 古賀 一成君 理事 葉山  峻君    理事 桝屋 敬悟君 理事 鰐淵 俊之君       岸本 光造君    河本 三郎君       滝   実君    中野 正志君       西川 公也君    平沢 勝栄君       藤井 孝男君    御法川英文君       宮島 大典君    持永 和見君       保岡 興治君    川端 達夫君       桑原  豊君    田中  甲君       松崎 公昭君    白保 台一君       富田 茂之君    西村 章三君       穀田 恵二君    春名 直章君       畠山健治郎君  出席国務大臣         自 治 大 臣 西田  司君  出席政府委員         経済企画庁調整         局長      河出 英治君         大蔵政務次官  谷垣 禎一君         大蔵省主計局次         長       藤井 秀人君         大蔵省理財局長 中川 雅治君         自治大臣官房長 嶋津  昭君         自治大臣官房総         務審議官    香山 充弘君         自治省行政局長 鈴木 正明君         自治省財政局長 二橋 正弘君         自治省税務局長 成瀬 宣孝君  委員外出席者         地方行政委員会         専門員     蓼沼 朗寿君     ————————————— 委員の異動 十二月七日  辞任         補欠選任   石橋 一弥君     御法川英文君   木部 佳昭君     岸本 光造君   藤本 孝雄君     河本 三郎君 同日  辞任         補欠選任   岸本 光造君     木部 佳昭君   河本 三郎君     藤本 孝雄君   御法川英文君     石橋 一弥君     ————————————— 本日の会議に付した案件  地方交付税法等の一部を改正する法律案内閣  提出第五号)      ————◇—————
  2. 坂井隆憲

    坂井委員長 これより会議を開きます。  内閣提出地方交付税法等の一部を改正する法律案議題といたします。  これより趣旨説明を聴取いたします。西田自治大臣。     —————————————  地方交付税法等の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  3. 西田司

    西田国務大臣 ただいま議題となりました地方交付税法等の一部を改正する法律案提案理由とその要旨について御説明申し上げます。  今回の補正予算により平成年度分地方交付税が一兆九千六百五十五億七千万円減少することとなりますが、地方財政状況等にかんがみ、第一次補正予算に計上された地方交付税総額を確保する必要があります。このため、平成年度分地方交付税総額特例として、二千七百億円を一般会計から交付税特別会計に繰り入れて、地方交付税総額に加算し、これに伴い、平成十一年度分交付税総額に加算する額を変更するとともに、交付税総額を同特別会計借入金により一兆六千九百五十五億七千万円増額し、この額については、平成十三年度から平成二十五年度までの各年度において償還することとし、あわせて、当該借入金のうち七千百二十七億八千五百万円については、その償還金に相当する額を、平成十三年度から平成二十二年度までの各年度分交付税総額に加算することとし、当該加算額一般会計から同特別会計に繰り入れることとしております。  次に、緊急経済対策により追加されることとなる事業の円滑な実施に必要な経費措置する必要があります。このため、平成年度分地方交付税総額特例として、千三百億円を一般会計から交付税特別会計に繰り入れて、地方交付税総額に加算し、これに伴い、平成十三年度から平成二十年度までの各年度において当該年度分交付税総額に加算する額を変更することとしております。  以上が、地方交付税法等の一部を改正する法律案提案理由及びその要旨であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
  4. 坂井隆憲

    坂井委員長 これにて趣旨説明は終わりました。     —————————————
  5. 坂井隆憲

    坂井委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。古賀一成君。
  6. 古賀一成

    古賀(一)委員 民主党古賀一成でございます。  きょうは地方交付税法改正ということで、今国会、大変時間的に迫っておるということで、理事会民主党として一時間と申し上げましたけれども、本当にこの問題、きょうの質問へ向けて、過去をさかのぼって、調べれば調べるほど大変な問題でございまして、今国会、この改正はきょうで審議は終わると思うのですが、冒頭でありますけれども、次期通常国会におきまして、これは地方財政の根本問題ということで、あるいは参考人を招致して、あるいは地方に赴いてやはり徹底して議論しないと、このような惰性でいった場合は大変なことになる、私はこういう思いでこの席に立っております。  きょうは、民主党から私と桑原委員二人でやりますけれども、私は前段ということで総論的なことを中心に、それから、地方交付税制度のいろいろ隠された重要問題がございますので、桑原委員の方から。二人コンビでやろうと思います。  それでは質問でございますが、ただいま大臣の方から説明がございました。総額に追加というさらっとした言葉で御説明があったわけでございますが、まず、今回の第三次補正によりまして、実は平成年度末の地方の総債務といいますか地方借入総額が今の段階で見込めるわけですね。これが、十二月三日でございましたけれども、国、地方合わせての長期債務総額ということで新聞にでかでかと載っておりました。  平成年度からわずか一年で、地方借入総額は十七兆円ふえたわけでございます。その地方借り入れといいますと、地方債残高公営企業債務残高、あるいは後ほど申し上げますが交付税特会借り入れ、こういうものから成るわけでございますが、たった一年で十七兆円増加をいたしました。隘路に立っておるとか、あるいは地方財政が悪化したという言葉では済まない、糸の切れたたこのようだな、もっと言うなら、地方財政基盤は、後ほどるる申し上げますけれども、連続崩落現象、地盤が連続してどんどん落ちていくような、連続崩落現象同然と言ってもいい状況だろう、私はかように思います。  ひとつ、その十七兆円というものの数の重みを申し上げますと、平成年度の当初の地方財政計画で見込まれた都道府県税都道府県の一番の主要な財源でございます都道府県税総額が十七兆四千四百五十四億円。つまり、一年でふえた地方借金都道府県税総額に匹敵する。あるいは、平成十年の地方交付税総額、これが十七兆五千億ぐらいだったと思うのですが、これに匹敵する。そして、一般行政経費地財計画で見込まれましたこの一年の一般行政経費は、全自治体足しまして十八兆五千六十二億でございますから、これにもほぼ匹敵する。  実は、こういう大きな地方債務増嵩でございまして、私は、財政基盤連続崩落現象とも言っていいこういう状況に、大臣がどういう基本的な危機感をお持ちか。そして、これは対国との財政の絡みでこういうシナリオもできているわけでありますけれども、一方の責任もあろうと思いますが、私は、大蔵省主計当局の御感想、まじめな、真摯な御感想をいただきたいと思います。
  7. 西田司

    西田国務大臣 地方財政、ただいま委員指摘のとおり、私は、大変厳しい状況にある、こういう認識をいたしております。  一つは、地方税低迷、こういうこと、それから伸び悩みなどがございます。そういうことが全体的に財源不足を引き起こしております。一方において、経済再生あるいは経済対策、特に当面の景気、そういうものに対する特別減税公共事業というものが数次にわたって行われるものでございますから、借入金残高平成年度末には百六十六兆円と大変大きなものに見込まれていくわけでございます。こういう状況というのは、地方団体の個別の財政状況にも、公債費の割合というのがだんだん高まってきております。  そのことは、私は体験上からも十分身にしみておるわけでございまして、極めて厳しいこの容易ならざる事態というものに、自治省といたしましてもどのような取り組み方をしていくかということがこれからの課題だ、こういう考えを強く持っておるわけでございます。     〔委員長退席山本(公)委員長代理着席
  8. 藤井秀人

    藤井(秀)政府委員 ただいまの自治大臣のお答えとあるいは重複するかと思いますけれども、大蔵省としての考えを申し述べさせていただきます。  今大臣もおっしゃいましたように、十年度末の借り入れ、約百六十六兆円ということが見込まれております。他方、国の財政状況で申し上げますと、今般御審議をお願いしております三次補正予算におきまして、十二兆三千億にも上ります公債発行をいたす予定にいたしております。その結果、十年度末の公債残高、これが二百九十九兆円、あるいは全体の長期債務残高、これが四百十二兆円に上るというような、国もまた極めて厳しい財政状況ということが言えるわけでございます。  このうち、地方財政について申し上げますと、やはり我が国経済の厳しい状況、そして、それを反映いたします地方税、あるいは交付税の原資となります国税収入低迷、あるいはまた数次にわたります景気対策に伴う地方債の増発というような要因があったのではないだろうかというように思っております。  こういう中におきまして、まことに憂慮すべき状況でございますが、私どもといたしましては、今大臣のお言葉ございましたように、地方財政の円滑な運営に支障が生ずることのないよう、国、地方ともども厳しい財政状況ではございますが、各種検討、協議を今後引き続き行っていきたいというように考えております。
  9. 古賀一成

    古賀(一)委員 ただいま最後に、各種検討を行うということでございますが、私は毎年毎年そういう言葉を聞いておるように思うのですが、何年何月までにこういうスキームで成案を得るという方針ぐらいはもう出さなければ、とても間に合うような話ではないと私は思います。  私も、地方行政委員会に入りましてもう二、三年たちますけれども、当時は、国債残高が二百兆だ、二百二十兆だ、こう言っておりました。今度で二百九十九兆ですね。それでGDPを超えるかもしれぬなんて言っておりましたら、今度の第三次補正で、何とGDPの一一三%、あっという間に一三%もGDPを上回った。もちろん、GDPそのものがダウンしていますから。私は、財政の恐るべき加速度的ないわゆる崩壊現象、国、地方とも、もうそう言えると思うのです。  だから、今のような、今後そういう方策検討する、大臣の方も、容易ならざる事態という認識はわかりましたけれども、どう取り組むかを今後検討するということでございましたけれども、私は、そういう検討をやっておるというのでは間に合わないのじゃないか、かように思います。  それで、私は、これはちょっと質問通告しておりませんでしたが、いろいろ調べてみますと、長期債務残高GDPを上回ったのは、日本の場合戦後直後の大混乱のときだけだった。まあ、焼け野原になって、戦争でやられて、戦争借金も山ほど残っておったああいう大混乱期に、GDP長期債務が上回ったんですね。今は戦争があるわけではない。この時期に、何で戦後の大混乱期にしかなかったような現象が起こっているかというのは、もう私は政治の空白あるいは根本的な何かが間違っているとしか言えないと思うんですね。  それからもう一つの例えで言いますと、これはある新聞に書いてあったんですが、本当は調べたかったんですけれども、調べ損ないましたので今後ちょっと大蔵当局に、宿題といいますか教えてもらいたいんですけれども、世界的な比較でいいますと、いわゆる国と地方合わせた各年度財政赤字、それのGDP比、今回の補正日本は九・八%、これももちろん最高だということでございますが、金融財政危機が喧伝されておりますブラジルが七・七%、あのロシアでも七・五%というのがどこかの新聞に載っておりましたけれども、この対GDP比財政赤字、国、地方合わせて、これの国際比較というものを、もし今おわかりでしたらお答えいただきたいと思うんです。
  10. 藤井秀人

    藤井(秀)政府委員 お答え申し上げます。  今先生おっしゃったような数字かと思われますけれども、ちょっと今手元にございませんので、後ほど調べて御報告させていただきます。  ただ、いずれにいたしましても、今おっしゃいましたように、特にEU諸国、これにつきましては、EU統合のための条件ということもございますので、各国とも極めて強力な財政構造改革を進めているということが言えようかと思います。
  11. 古賀一成

    古賀(一)委員 EU統合の話が出ましたけれども、たしかGDP比は、債務累計の比率はたしか六〇%だったと思うんですが、日本はとてもじゃない、一一三%でありますから、基準の二倍近いということで、とんでもない、EUどころじゃない状況であるということでございます。  では二問目に入ります。  同じく自治大臣大蔵省の方にお聞きしたいんですが、私はここまで立ち至った国、地方財政のいわゆるやりくりというのを一言で言うなら、これは小手先、その場しのぎ、もうこの一言に尽きると思うんですね。もっと悪く言えば、マクロの国民経済財政の全体システムというものを見るよりも、自治省大蔵省の両省の財政プロがいわゆる財政テクニックを駆使した無責任先送り財政だと、一言で言えばそう言わざるを得ないと思います。  何度も何度も地方交付税改正あるいは地方財政計画を見せていただきましたけれども、地方財政についてはもうパターンが決まっているんですね。もう毎度おなじみやりくりですよ。通常収支が大幅に不足しております。平成年度でいいますと、当初でたしか四兆六千五百億円だったと思うんですね。これが足りません。それでまずやるのは、財源対策債負担を次の世代先送りします。これが当初で一兆八千九百億円ございました。残りどうするかということで、地方交付税増額で手当てしますと言うんですね。言葉はいいんです。しかし、その地方交付税増額とは何かといえば、まずは交付税特会、今回やったのは償還繰り延べですよ。払わなきゃならぬところを三年待ってちょうだいよ、いわゆる借金の不払いというか先延ばしでまず六千五百億円を先送りした。それでもまだ地方交付税増額すべき二兆七千六百億にはほど遠いということで、残った二兆一千億円を国と地方で折半しましょうと、こう言ってきたんですね。そして、じゃ国が折半したその一兆何がしのお金をどうしたかというと、一般会計加算措置を行います。加算措置というのはどこから金が出てきたんだといえば、これも赤字国債であることは間違いない。これも次の世代の人たち負担してよという金なんです。  そして、国のもう一つの金の出しどころは交付税特会借り入れ。つまり、金利つきの金を大蔵が、いわゆる国が借金して地方交付税加算措置という名前で持ってくるんです。そして、地方負担も折半ですから同額あるわけでありますけれども、これも交付税特会借り入れ。もう行き着く先は、兆、何千億というオーダーで全部先送りされておって、今の世代とか今の政治あるいは行政の知恵で少なくも先送りせずにここまでは何かやったというものは、この数年本当に見られないんですね。私は、そういう先送りして当たり前というこの雰囲気といいますか、これがこの恐るべき借り入れ増嵩になっておると思います。  私はこの額の大きさだけを問題にしません。今ここまで来て何ら抜本的改革具体的スキームとか、何年までに国、地方あるいは自治省大蔵挙げてこれをこういう方向で解決していこうという案がまだ出ていないというそこに、私はこの危機最大のものがあると思うんです。  大臣、いかがでございましょうか。今後この方式、毎度おなじみになっておりますこれを次の平成十一年度予算でも、あるいは、あるかもしれない、私はあると思うんですが、第四次減額補正のときもやるのか、今後こういう基本方式を踏襲されていくのかどうか、その点、御決意をお聞きしたいと思います。
  12. 西田司

    西田国務大臣 大変根幹にかかわる御質問でございますので、私も、ペーパーには書いてございませんが、ちょっと私の考え方を話したいと思います。  確かに、小手先細工とか先送りという言葉がよいか悪いかは別問題といたしまして、これは中長期的に将来を考えていくと、その場を過ぎさえしたらよいということだけでは私は到底いけないと考えております。しかし、お互い考えてみたいことは、二つの面から私は考えたい。一つ財政構造あり方、それからもう一つは、その背景になる経済構造あり方、そういうものが長い間に今日をつくり上げてきたことは間違いがないと私は思っておるんです。  しかし、そのことをきょうあすすぐやり変えていくというようなことは、これはなかなか容易なことではない。今御指摘になったようなことをお互いが真剣に取り組んで、そのことに一つ一つ取り組んでいく必要はありますが、まず当面の問題、例えば交付税財源の問題にいたしましても地方債の問題にいたしましても、そういう当面のことを一つ一つやりながら、お話にあったようなことをやはりこれは国、政府を挙げて取り組んでいくということが必要なんではなかろうか、このように考えております。  ですから、一方だけのことを考えていくのでなくて、両面でやっていかないとこの難局は乗り切っていけないだろう、このように考えております。
  13. 古賀一成

    古賀(一)委員 今大臣から先送りという言葉がいいかどうかという話がありましたけれども、加算措置というような問題点が全然見えない言葉よりは、ツケ回し先送りと、はっきりと国民に言った方が本質をついていると思います。  それで、今確かにおっしゃいますように、じゃこういう大問題、一朝一夕にできるかといえば、私はできないと思うんです。だからこそ、今直ちにこの当面の措置をどうするか。三次補正をこうした、第四次補正だって私はあるんじゃないかと思います、減額補正、どうするか。十一年度どうするかという問題とともに、まさに今その根本問題について、内閣を挙げて政府を挙げて論議をしなきゃならぬと私は思います。  ところで、私は本件について、国家の、景気とか経済構造もそうですけれども、これは統治構造まで考え直さなきゃならぬような大問題だと思います。今、日本経済あるいは社会、行政が抱える最大の問題はこれだと思うんですね。これだけとは言いませんけれども、最大の問題の一つであることは間違いない。  これについて、内閣のトップは総理大臣でありますけれども、総理大臣がこの件についてみずからリーダーシップを発揮されたとか言葉を発されたというのは、余り私は、寡聞にして知りませんが、総理大臣からこの地方財政破綻状況、あるいはこれを解決していく方策検討について何か指示をいただかれたことがあるのか。あるいはもっと言うなら、総理はこの問題について本当に理解をしておられるのか。あるいは、大臣として、内閣の長である総理に、この地方財政破綻、窮状、大問題について進言をされたのか。そこら辺のところ、いわゆる総理に絡んだ点についてお聞きしたいと思います。
  14. 西田司

    西田国務大臣 地方財政の極めて厳しい状況につきましては、私から直接総理に強く申し上げて御理解をいただきました。たびたびいろいろな場所で、総理のごあいさつ等の中でも、地方財政の厳しさの中からと、こういうような言葉が出るということは、そのことを物語っておる、私はそのように考えております。  特に今回の恒久的な減税に際しては、総理も、御承知のように所信表明の中でも、地方財政の円滑な運営十分配慮をしていかなければいけない、こういうことを述べられておりますし、地方税減税に伴う減収については、これは大蔵省と我々の方とのやりとりの中から生まれたことでございますけれども、たばこ税の一部を地方へ移譲する、こういう問題、交付税率の引き上げ、それから地方特例交付金、これは仮の名前ですけれども、そういうものをつくって、そして地方財政混乱をしないように何とか当面のことをやっていこう、こういうことに取り組んでおります。
  15. 古賀一成

    古賀(一)委員 本会議場で、所信表明で読まれはいたしました。しかし、この大問題について総理が本当に問題を認識されて、何とかしなければ日本財政も、とりわけ地方自治体そのものも危ない、そこまで思い詰めた、あるいは理解したリーダーシップというものはいまだないと言わざるを得ないと私は思います。  それで、前総理橋本総理の件について私はちょっとここで申し上げたいのです。  今回の第三次補正、あるいは債務のこれだけの増嵩というのは、私は本当の意味で失政だったと思います。それをちょっと振り返ってみますと、大蔵省もお見えでございますが、まず、この十年、二十年の日本を振り返ってみて、簡単に出来事を申し上げますと、日本は世界第二の経済大国と言われ、パーキャピタでも一時期アメリカを追い越した。このジャパンマネーをこれだけ日本経済が蓄積したときに、日本は、将来どう、例えばアジアに円経済圏をつくっていくかとかいう、その戦略を議論しなかったと私は思うんですね。  そして、ジャパンマネーのいわゆる戦略なき流出米国債もそうでありますし、いろいろなところに流出をしていき、そして我々は、資産価値がたくさんあるから、株価も高い、土地も高いというようなシナリオに乗って、ジャパンマネーを持って、アメリカのビルあるいは債券を買いまくって、まんまと価値の下落を食らった。これも失政ですよ。私はそう思います。そして、その後に、巨大なるストック価値日本の富から消えたんですね。太平洋戦争よりも多い被害とも言うわけであります。八九年から九二年の三カ年で八百兆の資産、いわゆるストックが消えた、こう言われています。  その後に実は不景気が訪れ、バブルが崩壊し、そして去年のいわゆる消費税値上げプラス医療費値上げプラス特別減税廃止というトリプル国民負担をかましたのです。そして、今回の国会で問題になっておる、デフレマインド凝血剤みたいな法律だと私は言ったんですが、財政構造改革法案ですよね。これで決定的にいわばデフレマインドを固定してしまった。そして、住専という大問題の放置も大問題でありましたけれども、その後の国税導入と、そしてそれを監督するための金融監督庁のあのスキャンダル。  私は本当にこれは、経済的な、手順の間違い、あるいはやるべきことをやらなかったこと、手順も間違った、タイミングも全部おくれた、そういうツケが今度のこの膨大なる借金だと思います。  これについて、日本の富が何百兆というオーダーで、あるいは千何百兆というオーダーで消え、そして何百兆というオーダー長期債務が累積した、この点から見て、政治家内閣責任というものをどうとらえられるのか、ちょっと大臣に御意見をお聞きしたいと思います。
  16. 西田司

    西田国務大臣 大変手厳しい御指摘でございますので、お答えが当たるか当たらないかわかりませんけれども、確かに私は、過去一年とか二年とか三年とかということだけでなくて、過去を振り返ってみると、反省をしていかなければいけないことはあると思います。あると思いますが、今その問題のことに触れるよりも、当面のことをどうやるか、このことに私は一番、これは我々にとっても内閣にとってもまた国会にとっても、そのことをやっていかなきゃいけないのじゃないか。  特に小渕内閣小渕総理は経済再生内閣だ、こういう位置づけをして、そういう方向で進んでおります。私も内閣の一員として、その基本路線に沿って、我々がやるべきこと、果たすべきこと、こういうことに懸命に取り組んでいこうと思っております。
  17. 古賀一成

    古賀(一)委員 最後に、たくさんの質問を予告しておりましたけれども、三分の一もできていないような感じなんですが、一点だけ大臣にお聞きしたいと思います。  地方財政には中長期の財政見通しというものがないと思うのですね。大蔵省は中期財政試算、Aパターン、Bパターンと、要調整額は何ぼだ、さあどうしますか、政治家考えろ、国会で議論しろ、マスコミはどうですかと、こういう問いかけをしておりますが、地方財政はいわばそれがない。中期的に、長期的に、地方財政がこういうパターンでいけばこうなるよという数字すら出さずして、戦略も政策もあり得ないと私は思うのですね。  だから、抜本的な地方財政の構造改革スキームを出してくれとは言いませんが、それはもちろんやるべきなんですが、その前提として、まず中長期の地方財政見通しあるいは試算あるいは中長期地方財政改革構想というか、そういうものをこの平成十一年度予算へ向けて早急に構築されるべきだと思いますが、大臣、いかがでございますか。
  18. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 大臣のお答えの前に、若干、過去の経緯がございますので、そこだけ申し述べたいと思います。  過去、地方財政の中期的な見通しということは、実は昭和五十年代から何回か私どもも作成して、国会にもお出ししたことがございます。ただ、その後、国の方の中期見通しのつくり方が大分変わってまいりまして、いわゆる後年度負担推計ということになりましたものですから、地方財政はそういうことがなかなかできにくくなりました。そういうことがございまして、前にお出ししたときも、どうもかえって誤解を生むな、それから三千三百の地方団体財政と遊離してしまうなというようなこともございまして、以後、そういう技術的な難点があって来ているというのが実情でございます。  先般の構造改革を進めますときには、国と地方は共通して中期的な財政再建目標をつくりましたので、GDP三%以下と。それから、その過程で、私どもも、先ほど委員が申し述べられましたような特例的ないわゆる財源対策債でありますとか、交付税特別会計借り入れでありますとかを計画的にその間に縮減をしていって、何とか財政再建の目標を達成するという、一たんそういう構想をつくり、そういう意味では中期的な見通しを地方団体にもお話しできるような状況になったわけでございますが、その後、御案内のように若干そこのところが、経済状況の急変で一たんいわば停止といいますか、凍結状態になっている、そういう事情でございます。
  19. 古賀一成

    古賀(一)委員 まだ言いたいことは山ほどあるのですが、時間が参りましたので、残念ながらでございますが、終わります。後は桑原委員に譲ります。
  20. 山本公一

    山本(公)委員長代理 次に、桑原豊君。
  21. 桑原豊

    桑原委員 民主党桑原でございます。  ただいまは民主党古賀委員から、現下の大変厳しい地方財政状況と、また、そのよって来る制度的なさまざまな問題点を歴史的にあるいはいろいろな広い視野に立って指摘があったわけでございますけれども、私の方からは、地方交付税制度そのものについて幾つかお伺いをいたしたいと思います。  まず、今度の地方交付税法改正というのは、第一次補正で計上されました地方交付税総額をどう確保していくのか、こういうことでございますけれども、お聞きをしたいのは、その総額を確保する責任というのは一体どこにあるのか、どこがその責任を負うべきなのかということでございます。  今回の地方交付税影響額一兆九千六百億円について、国と地方が二分の一ずつ負担をするということでございますけれども、そもそも地方交付税において地方負担という概念が存在をするのかどうか。私は、地方負担というのは国の責任放棄額というような言いかえができるのではないかというふうに思います。  地方交付税制度の目的というのは、法にもありますように、地方行政の計画的な運営を保障する、そして、その制度運営の基本は、財政需要額が財政収入額を超える地方団体に対し、公平にその超過額を補てんすること、すなわち、地方交付税の制度というのは地方財政不足額を国が補てんをする、こういう制度でありまして、地方財政不足額の補てんを地方負担というような言い方で説明をするということはできないはずだというふうに私は思うのですけれども、この点につきまして、きょうは、自治大臣にお聞きすると同時に、大蔵政務次官にもお越しをいただきましたので、大蔵省の方からも基本的なところをお聞きしたい、このように思います。     〔山本(公)委員長代理退席、委員長着席〕
  22. 西田司

    西田国務大臣 お答えをいたします。  地方財源不足を補てんするために、今需要額と収入額のお話がございましたが、交付税総額をどのように確保するかという問題については、地方にとっても非常に大事な問題でありますが、国もそのことは重大な責任があると思っております。こういう状況等を踏まえて今回の問題については対処していきたい、このように私は考えております。  平成年度においては、平成年度以来三年続けて地方交付税法の六条の三第二項の規定に該当する状況になったことから、地方財政の極めて厳しい状況を踏まえ、平成年度から十二年度までの三年間は財源不足については国と地方が折半し負担することとし、この間における地方交付税額の中期的な確保を図る観点から制度改正を行ったところであります。  なかなか桑原議員、御理解いただきにくい答弁だったかもしれぬのですけれども、ひとつ御理解をいただきたい、このように思います。
  23. 谷垣禎一

    ○谷垣政府委員 今、西田自治大臣から御答弁がございましたが、私どもも共通、同様の認識を持っているわけでございます。御承知のように、今国も地方も大変税収も厳しくなっておりまして、何らかの形でその財源のロスと申しますか、それを補うために、借入と申しますか、そういうものに頼らざるを得ない状況でございます。  こういう財政事情の中で、公経済の車の両輪をなします地方と国というものが、両方でそこを担い合いながら進んでいかなければならないんだろう、こう思っております。今は国の財政事情も、国だけでその負担を負うというような事情ではございません。そこで、今西田自治大臣からお話がございましたように、今年度の制度改正におきましては両方が等分でいくというような形で出させていただいているわけでありますけれども、今回の補正もその延長線上にあるものというようなことで御理解をいただきたい、このように思っております。
  24. 桑原豊

    桑原委員 交付税制度の基本的な部分の認識がどうもすれ違いのような感じがいたしますが、私は、交付税地方財政に重大な影響を及ぼす、このことはもちろん否定をするはずがないわけでございますけれども、問題は、影響があるということと、一体この制度の責任というのはどこが負うべきなのか、不足額はどこが補てんをする責任があるのかということを問うたつもりなんです。  地方交付税法では、国税五税の一定率を地方交付税とし、普通交付税総額が余ったときは特別交付税に加算して交付をする、あるいは交付税総額が不足をしたときは普通交付税をカットする、こういうことを基本としつつも、過不足が引き続き著しい場合には地方財政制度そのものの改正または交付税率の変更をやる、こういうようなことといたしておりまして、これは交付税総額の引き続きの不足は国が補てんすることを定めたものでございまして、地方の将来負担で現在の財政不足を補てんするというような制度ではないはずだというふうに理解をいたしております。繰り返しになりますけれども、地方交付税制度には地方負担という考え方はないというふうに思うわけでございます。  したがって、現在、累計で十八兆円の地方負担があるというふうに言われておりますけれども、これは地方財政が好転をしたときに当然に交付されるべき額からカットされるというようなやり方をするか、あるいは、基準財政需要額を過少に算出してその分を捻出するか、そういった方法でしかこれを返していく方法はないわけですけれども、これは地方分権というものを踏まえた地方財政の確立という基本からいたしますと極めて問題があり、これから我々が構想している地方分権の国の形というものを損なうものだというふうに思うわけです。  そういう意味では、今回の地方負担と言われる二分の一の九千八百億円、そしてまた累積の十八兆円、このようなものは国の責任負担すべきというふうに思うのですけれども、改めてその点について、大臣と政務次官にお尋ねを申し上げたいと思います。
  25. 西田司

    西田国務大臣 お答えをいたします。  御承知のように、ちょうど年度途中の国税の減収に伴う交付税の減収分をどのように補てんするかという問題でございまして、ちょっと言いわけのようになりますけれども、その時々の国と地方財政状況というものを踏まえた処理の仕方でないといけないのではないかな、私はそう思っておるのです。  最近においては、国税の減収に伴う交付税の減収分については交付税特別会計の借入金で補てんし、先ほど御指摘があったように、その元金については地方が、利子については国が負担するというような基本を持っております。今回の第三次補正に伴う交付税の減収分については、現在の極めて厳しい地方財政状況年度当初の通常収支の不足分について、国、地方と折半をしていることを踏まえて処理をする、こういう御理解をぜひお願いをしたいと思います。
  26. 谷垣禎一

    ○谷垣政府委員 地方財政地方行政に大変御造詣の深い桑原先生の今の御議論は、国も地方財政が割合ゆとりのありましたときには余り起こらなかった議論でございますけれども、どちらも少し財布が苦しくなってまいりまして、今先生のおっしゃったような議論がずっとあるということは私どもも承知をしているところでございます。  しかし他方、今西田自治大臣もおっしゃいましたように、やはり現下の国あるいは地方財政事情、税制収入の事情を見ますと、ではどちらがやるかというようなことでなかなか簡単に結論が出せない、そのときそのときの事情に応じて折半をするという形でやってきているとお答えをせざるを得ない状況でございまして、何とぞ御理解を賜りたい、このように思っております。
  27. 桑原豊

    桑原委員 そのときそのときのお互いの財布の事情に応じて助け合っていく、そういう考え方というふうに言えば大変聞こえがいいわけですけれども、結局、そういった形でもたれ合いのような状態を生じて、結局は、地方責任や国の責任というものをいつまでたってもはっきりさせることができない。  私は、その関連を否定するものではございませんけれども、これから先、地方が自立をしていく、あるいは分権で責任のある体制をつくっていく、そういう時代を目指すときの財政あり方としては、今までのやり方というのは極めて問題があるということで、抜本的にこの制度を考えていかないと、結局は、従来のような問題をいつまでも引きずって、お互いに大変な財政難に陥っていくということにならざるを得ないのではないかというふうに思いますので、今のこの危機をひとつてこにして、基本的な改革というものを強力にやはり進めていく、そういう立場にぜひ立っていただきたいということを申し上げておきたいと思います。  次に、今回の改正で、国負担のうちの二千七百億円が一般会計による加算措置というふうにされておりまして、これは、国が自分の懐を痛めて地方のために何かお金を出したように、国の負担分の中に入っておりますからそういうふうに見えるわけですけれども、これは将来の法定加算の前倒しの支払いということでございまして、過年度の国負担先送りしたものにすぎないわけでございます。  言いかえれば、国の地方からの借金のようなものでございまして、この借金を繰り上げ返済をしたからといって国が新たな負担をしたということにはならないわけでございます。折半といいますと、いかにもすっきりとお互いに折半したように見えますけれども、実はこれは折半ではなくて、この説明は非常に私は虚偽というか、だましに近いやり方ではないか。将来的には、地方に過重な負担を強いるものではないかというふうに思いますし、この点について、改めてまた大臣と次官にお伺いしたいと思います。
  28. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 若干技術的なこともございますのでお許しいただきたいと思いますが、先ほど来委員が御指摘になっておりますような、今交付税総額が著しい不足という状態が続いておりまして、それを補てんするために、十年度から、中期的な財政制度として、国と地方が折半をして交付税の足りない分を補てんし合う、こういう制度が今スタートしておるわけでございます。その際に、折半をする場合に、折半をする国の負担分につきましては交付税特別会計借り入れをすることと同時に、あわせて、後年度の法定加算分について、その時々の国と地方財政状況も踏まえて、これは一般会計において赤字国債を発行して歳出予算化する必要があるものでございまして、そういう形で法定加算の一部を前倒して対応することもあるということで御理解いただきたいと思います。
  29. 桑原豊

    桑原委員 大変滑らかに御説明をされましたけれども、実際、この二千七百億円というのは、本来国が地方に対して支払うべきものの前倒しだというその性格は、それはそのとおりだということでよろしいわけですか。
  30. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 後年度において国が加算をするということが法律で定められていたものを前倒しするということでございます。
  31. 桑原豊

    桑原委員 そういう説明だとすれば、まさに折半ではなくて、地方に過重な負担を押しつける、そういう中身ではなかろうかというふうに私は思います。折半などという言葉は今後使うのはやめてもらわなければならない、そんなふうに思います。  将来の法定加算の額というのはもう既に累計五兆円にも達しているというふうに思いますが、今申し上げましたように、これは過年度の国の当然の負担であるわけでして、国がある意味では地方から借りている額であるわけですから、地方財政の逼迫を考慮すればするほど、直ちに返済されてしかるべき額ではないか、私はそういうふうにも思っております。その点も含めて、ごまかしのない対応をこれからしかとやっていただきたいというふうに思いますが、自治大臣、いかがでしょうか。
  32. 西田司

    西田国務大臣 先ほど地方分権の問題に少しお触れになりましたが、今議論になっております地方税財源の問題も、これは分権と大きくかかわりがある。それからもう一つ、やはり中長期的な地方財政構造のあり方をきちっとしなきゃいけないのじゃないか、こういう御指摘もございました。私も同感であります。  しかし、それは、地方分権というものの中で、国と地方の役割であるとか税財源の持ち方であるとか地方の行革の問題であるとか、こういうものが総合的な中で生まれてくるものじゃないでしょうか。私はそういうことを考えて、お話しの点については私どもも厳しく受けとめながら今後対処していきたい、このように考えております。
  33. 桑原豊

    桑原委員 次に、地方交付税の使途制限の問題についてお伺いをしたいと思います。  今度の緊急経済対策に伴う非公共事業に係る一千三百億円についてでございますが、これも一般会計による加算措置というふうにされております。実際は、これも将来の法定加算の前倒し実施であるわけでございます。とはいえ、これは、地方公共団体の事業費を本来の地方財源である将来の法定加算で充当するわけですから、この点では問題がないというふうに思います。  しかし、地方交付税の使い道というのは自治体の自由でございまして、国は、交付税の交付に当たっては、地方自治の本旨を尊重して、条件をつけたり、またはその使途を制限してはならないというふうに法で定められておるわけですけれども、地方自治体の将来の交付税を今次の経済対策に限定して使わせるというのは、法の趣旨に反するのではないかというふうに思うのですけれども、この点について、大臣、いかがでしょうか。
  34. 西田司

    西田国務大臣 千三百億円の交付税増額分につきましては、これは緊急経済対策にかかわる地方債の対象とならない事業地方負担額等を勘案して配分するものでございまして、地方負担額は、あくまでも配分に際して基準として用いたものでございます。  そういうことでございますから、配分された交付税というのは、当然、法の趣旨に基づきまして、使途を制限したりしようとは考えておりません。
  35. 桑原豊

    桑原委員 どうもその説明もよくわからないのですけれども、公共事業ではない、非公共という部分に逆に限定して目的が定められているので、触れるのではないかというふうに私は思うわけです。  さらに、補正予算で追加される一般公共事業費等の裏負担につきましては、地方債の充当率を一〇〇%とし、その元利償還金の全額を後年度交付税の基準財政需要額に算入する、こういうふうになっております。  いつのときも、こういったやり方が地方交付税にどういう影響を与えるのかというのが非常に気になるところでもございますし、地方にとってはまた、そのことが交付税を圧迫するような要因にはならないのかということを大変気にするところであるわけですけれども、後年度交付税の基準財政需要額の算定に当たって、他の算定項目が圧縮されることはないのか。交付税総額は変わらずに、基準財政需要額の算定技術で元利償還金が生み出されるとすれば、自治体としては実質的に交付税額が減る、このようなことにもなりかねないわけですし、そういうことがないのか、またそうした保障はちゃんとあるのかというところを、自治体の側からすれば信用するしかないということになるわけですけれども、その点は自治省としてしかとそういう保障があるんだということを言い切れるのかどうか、お伺いをしたいと思います。
  36. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 補正予算の場合には、これまでも、近年の場合、年度中途でございますので、補正予算債を出して、元利償還費を基準財政需要額に算入する、こういうやり方をいたしておりまして、そういうことで、基準財政需要額全体が窮屈にならないかという向きのお尋ねと思います。  交付税の算定をいたします前に、まず、毎年度地方財政対策におきまして、過去出しました地方債の元利償還金全部を見込んだ上で、全体の地方財政計画の歳出がどうなるだろうか、それに対して歳入がどうなるだろうかということを考えまして、それをもとにして、ことしの地方交付税総額が五税で計算したものに対してどのぐらいが不足するかといったような検討をいたしますので、まずその段階で、元利償還費を含めて、全体の必要額をもとにして交付税総額を確保いたしておりますので、そのことでほかの需要項目を圧迫するといいますか、窮屈にするということは、そういう点からはないわけでございます。  ただ、具体の基準財政需要額を算入いたします場合に、時々やはり、そういう過去の累積がかなりになってきていて、そういうことのウエートが相当高くなっているのではないかというふうな御指摘を受けることがございます。  私ども、そこのところは十分留意しながらやっておるつもりでございますが、一番直近の状況で申しますと、基準財政需要額全体の中で、これは補正予算債に限らず、例えば過疎でありますとかいろいろなダムとか港湾とかといったような実際の事業費を交付税に元利償還ベースで算入しておるものはございまして、そういうものを全部ひっくるめまして、今のところ全体の基準財政需要額の中に占める割合が約一割という状況になっておりまして、そういう点では、全般を非常に窮屈にしているということには必ずしもなっていないということでございます。
  37. 桑原豊

    桑原委員 既に一割をそういった経費が占めているということでございますし、こういう厳しい財政事情のときになればなるほど、そのことが本来的に地方事業に直結する経費として必要なものを圧迫することがないように、十分自治省として、地方のためにひとつ監視の目をしっかりと光らせていただきたい、このことを強く求めておきたいと思います。  最後に、特別会計借り入れ制度というものがいろいろな問題点を醸し出しているのではないかというふうに私は思います。  どうも、大蔵自治省との共管になっているわけですけれども、国の負担すべきものをある意味ではあいまいにして、ごまかしていくというような先ほどのやり方とか、地方の側からすれば、本来交付されるべきものが、ある意味では何かどんぶり勘定のような形で、いつの間にやらそれがちゃんとした形で交付されることがないというようなことだとか、国と地方責任の所在や区分、区分けというものを非常に不分明にしている、この特別会計の制度はそういう制度ではないか、そんなふうに私は思うわけでございます。  特別会計を残すとしても、大蔵自治省国民不在あるいは地方不在というようなところで、一方は国の財政考える、一方は地方財政考えると言いながらも、そういったことの中でどんぶり勘定や取引が行われていく、そのような印象をぬぐえないわけです。  この点について、私は、この会計を残すとしても、共管ではなしに自治省地方の立場に立ってこれを主管していく、単独で専管していくというような、そんなあり方考えていく必要があるのではないかというふうに思うのですけれども、この点について最後に大臣にお伺いをして、私の質問を終わります。
  38. 西田司

    西田国務大臣 交付税特別会計につきましての御質問でございます。  御承知のように、これは申し上げるまでもありませんけれども、国税五税の三二%、今まではこれを交付税財源としてきておったことは御存じのとおりでございます。  そこで、共管はおかしいじゃないか、こう言われるわけでございますけれども、そういうことのあり方、また地方団体を背景にしておる自治省とともにお互いに助け合ってやっていくということも一つの方法である、私はこう考えております。ただ、運用、運営を厳格にやっていかなきゃいかぬことは御指摘のとおりでございます。そういう考え方でございます。
  39. 桑原豊

    桑原委員 以上で終わりますけれども、例えば国が地方のために負担すべきものは、私は、やはりちゃんとした国の借金の形をとって、赤字公債なりあるいは赤字国債なり国の負債という形をとって、見えるようなやり方で国の負担だということを明確にすべきだと思いますし、それを特別会計の中に先送りをしながら、何か送りつけていくというようなやり方で地方財政の問題というのは解決すべきものではないということをもう一度申し添えて、私の質問を終わりたいと思います。
  40. 坂井隆憲

    坂井委員長 次に、桝屋敬悟君。
  41. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 公明党・改革クラブ、桝屋敬悟でございます。  引き続き、大蔵の次官帰られましたけれども、一緒にやりたいと思います。  先ほどからの同僚委員質疑をずっと聞きながら、本当に今回の地方交付税改正、大きな問題を抱えた議論だというふうに私も痛感をいたしております。私も地方の職員をしていたものでありまして、地元の地方状況を聞きますと、本当にことしをどう乗り越えるか、来年のことまでは考えられないというような悲惨な状況がありまして、まだ比較的私の地元はいい方なんでありますけれども、そうした厳しい状況がございます。  そうした実感を持ちながら、今までありました大所高所に立った議論もさることながら、とりあえずことしのこの状況を何とか乗り越えなければならぬというふうに思うわけでありまして、そういう意味では、今回の地方交付税措置についてはやむを得ない方向かなと思いつつも、何点か議論をさせていただきたいと思うわけであります。  まず最初に、今回、国税の落ち込みに対する地方交付税影響額一兆九千六百億、これに対する措置ということは理解をいたしますけれども、もう一つ心配しておりますのは、前回の委員会でもお尋ねをしましたけれども、地方税そのものも大変に減っておるという実態があるわけであります。  当然ながら、地方税の落ち込みに対してもきちっとした対応をしなければ、国税の減収の影響額だけでなくて、地方は大変に苦しんでいる。特に、前回もお尋ねをしましたけれども、始まりました地方消費税の落ち込みあたりは大変に大きな影響を受けているわけでありまして、そうした財政措置は大丈夫なのか。減収補てん債ということになるんだろうと思いますが、今の地方消費税の対応も含めて、きちっと措置をされるのか。  特に、基準財政収入額の精算制度におきまして、今の減収補てん債の対応も含めて、漏れのない対応がとりあえず行われるのかどうか、まず最初にそのことを確認させていただきたいと思います。
  42. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 十年度地方税収入でございますが、今この段階で、地財計画で見込んでおります地方税収三十八兆四千億ぐらいございますが、三兆円程度それを下回るのではないかという見込みでございます。  この減収分につきましては、法人関係税のような、いわゆる精算制度があるものにつきましては後年度精算するわけでございますが、当該年度、そうはいっても非常に税収が落ち込んで資金的に不足するという場合には、減収補てん債を出して、そのかわり、その元利償還でいわば精算をしていくということにするわけでございます。  今年度の場合に、もちろん精算対象税目というのは法人関係税ということになっておりますので、そこのところは原則はそれで動かすわけにいきませんが、今委員がお挙げになりました地方消費税のような、ことし、これはなべて全国的に各県で減収が生じておるというようなことがございまして、そういう場合には特例的に減収補てん債を出していくということにし、ただし、これは精算対象税目ではございませんで、後年度の精算はないけれども、資金的な手当てを減収補てん債でするということにするつもりでございます。
  43. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 よくわかりました。ことしをどうするか、大臣、本当にそういう現状でございまして、何とぞよろしくお願いを申し上げたいと思います。  先ほど桑原委員の議論を聞いておりまして大分理解ができたんですが、今回の一般会計による加算措置二千七百億、これと、先ほど桑原委員はもう一つ、非公共、非適債事業について千三百億、これは比較的易しいお話をされておられましたけれども、合わせてこの二つの四千億、どう考えても私にはよくわからぬのですね。  これは、今回の地方交付税法等の一部を改正する法律案の中で、国税がへこむ部分をまずは対応しましょうということで、二千七百億は国の対応部分として法定加算分を前倒しで出す、こういうことですよね。それからもう一つ地方交付税増額について千三百億は、非適債事業について、今回の緊急経済対策、きちっと地方ができるようにということで、これもよく聞きますと、法定加算分を前倒しでということですね。合わせて四千億。  この四千億というのは、僕は桑原委員の話を聞いて理解できたつもりですが、まだわかりません。一般会計による加算措置だ、こういうふうにおっしゃるから余計迷うわけでありまして、加算されたから、やれやれこれで何とかなるなと思ったところ、どうも、もともとおまえさんのところに返す金をまとめて返すんだ、おまえさんのところも大変だから、一気に大変なときにまとめて返すからうれしいだろうと言われているような……。それは確かにまとめて返していただければうれしいことではありまして、特に十一年度当初、交付税は確かに大きい金額がいただけるわけでありますから、地方はそれはそれで何とかなるかもしれませんが、どう考えても将来の先食いでしかない。  結局、地方が損をしているという言い方まではしたくありませんけれども、端的に言って、本当の支援ではないじゃないか。二分の一ずつ、みんなで、さっきの議論を聞いておりまして思ったのですが、本当に支援をしていただいている、国に半分応援してもらっているということにはどう考えてもならぬのではないか。一般会計加算措置なんということを書いてもらいたくないなと思うわけでありますが、これについては、私は、本当にことしが大変であれば純粋にその分加算をしてもらいたい。  結構です。二千七百億あるいはことしの一千三百億も、確かに地方単独事業までは、今回の三次補正では広げられておりませんけれども、緊急経済対策で大変な地方負担があるわけでありますから、その分を措置するということは大賛成であります。ぜひやっていただきたい。まさに純増部分で純粋に積み上げていただきたい、このように私は素直に思うのでありますが、大蔵省、これはどうでしょうか。地方はそういう声ではないかと私は思うのでありますが、御見解を伺いたいと思います。
  44. 藤井秀人

    藤井(秀)政府委員 お答え申し上げます。  今先生おっしゃいました今回の二千七百億円の一般会計からの加算措置でございますが、これにつきましては、国税の減収に伴います交付税の減少が生じることのないよう、国、地方折半で負担をするということでございます。これはある意味では十年度当初予算と同様の措置でございます。  そういう中で、国の負担分の一部につきまして、今これも先生おっしゃいましたけれども、平成十一年度の法定加算、この一部の前倒しにより一般会計加算を行うということでございます。地方に決して新たなる負担を生み出すものではないというように考えております。当然のことながら、この分につきましては、国は赤字公債発行でもって充当するということでございます。  今先生おっしゃいました御意見もあろうかと思いますけれども、これも種々自治大臣からもお話がございましたけれども、国、地方ともども財政事情が極めて厳しい状況でございます。そういう中でぎりぎりの調整の措置であるということで御理解をいただきたいと思います。
  45. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 今の御説明、私はこの措置が、私も地方行政は前のお二人の委員に比べて比較的経験が浅いものですから、うちの事務所でも理解できなかったのですね。うちの秘書と議論する中で、一体これはどういうことなんだと。端的に言うと、うちの秘書と私の関係で、収入が少ないから秘書の給料を払わない、向こう十カ月で払うからこらえてくれと。たまたまうちの秘書が交通事故を起こして、金が大変だからというので、では一遍でまとめて出してやるよというようなものでありまして、そこまで話してやっとうちの秘書も、ああ、そういうことですかと理解をしたわけでありまして、本当に国民にとってはなかなか理解されない話でありまして、少なくとも、今大蔵省おっしゃったように、国と地方が折半で負担をするんだという言い方は、私は軽々にできないんじゃないかという気がいたします。  本当に自治省はこれで納得されたのか。これはもう純粋に、これほど厳しいことしの状況なんだから将来の財政に影響を与えない形で積ませてくれ、こういうふうに大蔵省に御要望されたんですか。私はそのように要望されてしかるべきだろう、このように思うのですが、いかがでしょうか。
  46. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 大蔵省とはいろいろなやりとりは当然いたしますけれども、今回、四千億のうちの二千七百億は、先ほど来お話が出ておりますように、交付税総額が、年度の途中で国税が落ちたことによって足りなくなった、その分をどうやって補てんするかということでございまして、今、六条の三第二項に基づきます折半ルールが設けられている、そういう時期でございますので、仮に年度の当初からこういう状態が発生していれば、それぞれ折半をするということになったであろうということが議論のスタートでございます。  その場合に、補てんをするやり方として、国が責任を持つ半分につきまして交付税特会で借りるということと同時に、後年度の法定加算がある場合に、それを前倒しをして対応する。これはもちろん今の国と地方財政状況を踏まえての話でございますが、そういうこともあり得るというふうに私どもとして最終的に考えたものでございます。  それから、千三百億の方は、やや事情は違いますが、三次補正補正予算債で対応できないものについて、何とかその地方負担考えないとなかなか事業がやりにくいのじゃないかという声が、地方の方からも、それから各省の方からも、私どもの方にいろいろな角度から寄せられまして、そういうことから考えまして、これは平成十三年度から二十年度まで、ずっと後ろの方で法定加算する予定になっておりましたものを前倒しをして、この際に活用して、この千三百億円の加算をしようということにいたしたものでございます。御理解いただきたいと思います。
  47. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 加算は結構なんですよ。ぜひやっていただきたいんですが、将来に影響を与えるということを私も心配しているわけでありまして、本当に地方は、中長期的な視点に立って財政運営の確保を何とかしなければいかぬということで、苦労しながら地方はやっているわけでありまして、そうした中を、一般会計で加算とはいいつつ、後年度に影響が出てくるということでありますから、十一年度当初しっかりいただいたものについては、これは確かに、法定加算ということで加算されたものは、当然ながら将来減額されるわけですね、来年の当初についたものは。へこむのだろうと思うんです。  時間もありませんから全部確認しませんが、間違いなく具体的に影響額が出てくるわけでありまして、法定加算は、法で、附則でうたわれて、その分を当て込んで地方というのは中長期の財政計画を立てているわけでありますから、そこに影響を与えるのはいかがなものかな、私はこう思うわけであります。ともかく経済が活性化してくれれば何とかなりますよ、こういう説明になるのかもしれませんけれども、私は、将来の地方財政の計画に、先ほどから中長期的な視点という話がありましたけれども、大きな混乱を与える結果になるのではないかということを心配しております。  将来の財政計画に混乱を与えるようなことをするぐらいであれば、もっとやってもらいたいことがあるのであります。私は、ぜひ将来の地方財政負担についても、こんなことをやるぐらいだったら考えていただきたい。  ということで、次の話題に移りたいと思うんですが、政府資金の繰り上げ償還の問題であります。  これが今現場で一番大変でありまして、詳しい数字はまた後でお聞きしますけれども、政府資金の繰り上げ償還あるいはその低金利への借りかえということについては、私の地元でも、私は中国五県、平林先生もきょういらっしゃいますが、比例でありますから、五県をずっと回ってみると、必ずこういう話も出るわけであります。  地方自治体は本当に、先ほどから申し上げておりますように、厳しい財政状況の中で必死で財政改革や行政改革に努力をしながら、しかも中長期的な視点に立って何とかやりくりをされている。そうした中にありまして、やはり政府資金の繰り上げ償還をぜひやってもらいたいという声があるわけでありまして、これは一つや二つではないわけであります。もう自治体共通の願いではないかというように私は思うわけでありまして、何で政府資金だけが認められぬのか、どうして政府資金は繰り上げ償還あるいはその低金利への借りかえということが認められないのか、私は素人でありますから、まず大蔵省にお伺いをしたいと思います。
  48. 中川雅治

    ○中川(雅)政府委員 資金運用部は、これは郵便貯金や年金の資金を預託していただきまして、それを地方公共団体を初め各特殊法人等に貸し付けをしているわけでございますが、できるだけ低利の資金を供給するために、資金運用部におきましては、貸付金利と預託金利を同一といたしておりまして、利ざやをとらずに長期固定の貸し付けを行っているところでございます。したがいまして、預託期間と貸付期間のミスマッチによりまして、年度ごとに見れば、資金運用部特別会計に利益あるいは損失が発生することはあるわけでございますが、基本的には預託金利と貸付金利を同一として、利ざやをとらないで収支相償うように運営をされているということでございます。  御指摘のように、以前高金利のときに貸し付けをしたものにつきましては、これは長期固定という地方公共団体側からの要請に基づいてそういった貸し付けをしているわけですが、過去の金利が高い、今低くなった、したがって高い金利の分を低利に借りかえる、あるいは繰り上げ償還をしてください、こういう要請が非常に強いことは承知しているわけでございますが、資金運用部の場合には長期固定で貸しておりますから、現在のように低い金利で貸し付けたものも、今後金利が上がったからといって高い金利に直してもらうということはしないわけですね。  したがいまして、高い金利の分だけ金利が低くなったら繰り上げ償還をしてください、低い金利の分は金利が上がっても高い金利にしてもらえないということでは、資金運用部は成り立ち得ない。これは、利ざやを取ってその利益をためていく、そういう仕組みではないわけですから、長期的に見れば、そこは利ざやを取らないで収支相償う仕組みですから、片面的な不利益だけを資金運用部がこうむる場合には要するに運営が成り立たない、こういう仕組みになっているということを御理解いただきたいと思います。
  49. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 いっぱい御説明をいただいて、私は頭が悪いものですからよくわかりませんが。  もうちょっと具体的に聞きたいと思うのですが、どうなんですか、私も本当にどこへ行ってもこの話は聞くんですよ。実態としてはどのぐらい、私の理解では、政府資金について、地方債残高全体の状況の中で四割あるいは五割、半分前後だと思うんですけれども、そうした政府資金の中で、本当に高くて困っているんですと、私は市民相談でよく受けるんですよ。自己破産寸前の方に、どうしましょうかといって本当にいろいろな市民相談を受けます。いろいろな公庫や金融機関と相談をするんですけれども、今大蔵省の御説明を聞いて、そのときの金融機関が目の前におられるような印象を受けまして、余り温かい心を感じないのであります。  どうですか。高い金利、六パー以上、中には八パーというところもあるんでしょう。どのぐらいの率になっているのか、政府資金と民間の資金の中で六パー以上超えているのはどのぐらいあるのか、ちょっと比較を教えていただけますか。今のような説明で本当に地方が納得できるかどうかというのは、私はちょっと自分に自信がないものですから、教えていただけますか。
  50. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 地方債全体の中で政府資金の比率というのは四五%ぐらい、民間資金が四八・四%、約五割弱という状況でございまして、このうちの、どうやって切るかというのはありますけれども、例えば六%以上ということでいきますと、政府資金の場合には四十六兆のうち十一兆強が六%超でございますし、民間の場合には約五十兆のうち二兆八千億ぐらいが六%超ということになっております。  ただ、ぜひ御理解いただきたいのは、民間の場合にはおおむね期間が短うございまして、借りている期間が短いものですから、十年とか十五年とかということでありまして、政府資金の場合は長いものですから、どうしてもこういう状態は出てくるということでございます。
  51. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 期間が長いとか短いとかという問題ではなくて、どうも私が地方を回ってみた実感は、この高い金利を何とかしてもらいたい、こういう声でありまして、今の御説明では、政府資金四五パーの中で、十一兆ぐらい、ですから四分の一ぐらいは六パーを超える高い金利になっている。中には八パー以上のものもある。それに比べて民間の場合は、期間は短いけれども、二兆八千億ぐらいですから、五%ぐらいじゃないか。私は、やはりこの声というのは切実なものがあるだろうという気がするわけであります。  さっきから私言っていますように、大蔵省は単なる金貸しではないわけでありますから、こういう厳しいとき、本当に地方公債費の軽減を何とかしなきゃいかぬ、こういう非常事態、先ほどから出ている議論はまさに戦時みたいな話でありますから、こういう厳しい地方財政の中で、この要請にこたえていく責務が国にはあるんじゃないか、私はこのように思うわけであります。  このような状態になったのは、やはり地方だけの責任でもない。国が数次のたび重なる景気対策をやってきた、そして地方にもお願いをした、何とか御協力をお願いしてやってきた結果がこうなっているわけでありまして、この原因、これは地方も国も同じ原因があるわけでありますから、あとは知らないというのでは、さっきのような御説明では、私は、地方は納得できないだろう。少なくとも私自身は十分理解できないわけでありまして、金貸しではない大蔵省として、何とかこうした事態考えていただきたい。再度、私はもう一回お願いしたいんですけれども、いかがでしょうか。
  52. 中川雅治

    ○中川(雅)政府委員 資金運用部は、先ほど申しましたように、郵貯や年金の資金をお預かりしてそれを運用するという責務を負っているわけでございまして、独立採算制ということで運営しているわけでございます。  したがいまして、高い金利の分だけ繰り上げ償還を受ける、低い金利の分は市場金利が上昇したといっても上げられない、こういうことになりますと、資金運用部の独立採算で運営しているそういう運営が立ち行かなくなるということで、資金運用部といたしましては、結局、金利の低下を理由とする繰り上げ償還というのは、借り手が負担の軽減を受けるかわりに資金運用部にそのコストを転嫁するということになるんだろうと思います。  したがいまして、そういった運営は資金運用部の基本的な原則からいってとり得ないというふうに考えております。
  53. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 何度聞いても、これは恐らく、こういう政府資金というのは、どうも話を聞きますと自治省は余り関係なくて、直に大蔵省、理財局ですか、そこへ地方は皆行くわけですな。いろいろな、今私が申し上げたようなお願いをされているんだろうと思うんですが、今のような答弁が繰り返されているのかなと思うわけであります。  どうでしょうか。自治省地方自治体の立場に立ってもっと強く大蔵省に申し入れをする、さっきの数字じゃないですけれども、公債費が急増したのは本当に自治省にも責任があるわけでありますから、私はぜひ地方自治体の立場に立って強く大蔵省に言ってもらいたいな、こう思うわけでありますが、いかがですか。
  54. 西田司

    西田国務大臣 お答えいたします。  いろいろ私も双方の議論を聞いておりまして、難しいなと感じたところであります。  しかし、現在の極めて厳しい地方財政状況の中で、今御指摘の、特に公債費負担が非常に高いとか、あるいは緊急的な処理をしなきゃいけないとかいうような問題については、これは今ここで、はい、わかりました、こういうことは申し上げられませんけれども、前向きでいろいろな当局に話をしたい、このように思います。
  55. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 今大臣おっしゃった、まさに緊急的な、今のときに手を打たなければならぬことだろう、私はこう思っているわけであります。  大蔵省に再度お伺いしますが、繰り上げ償還は、先ほどからるる言われたように、できないという御説明は、説明理解いたしましたけれども、これまで地方自治体に対して、どういう条件であっても、どういう状況の中でも認められないのか。本当に認めた事例はないのか、何とか救ってあげた事例はないのか。全くないというふうに言えますか、どうでしょうか。
  56. 中川雅治

    ○中川(雅)政府委員 今申し上げましたのは金利の低下を理由とした繰り上げ償還、これは認めたことはございませんが、例えば、資金運用部資金の借入金により取得した財産の処分がありまして、その貸し付けを継続する必要性がないというような場合、あるいは先行取得していた公共用地が事業化に伴い売却されたというような場合、あるいは資金運用部資金の借り入れまたはその使用に不備不当があった場合というように、資金運用部といたしましても貸し付けを継続する必要性がないと判断した場合には、繰り上げ償還を認める場合がございます。  こうした繰り上げ償還は、金利の低下を理由とする繰り上げ償還とは趣旨、目的を異にするものであることを御理解いただきたいと思います。
  57. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 私は本当に頭が悪いので今の説明はよくわからなかったのですが、金利ということを理由に繰り上げ償還を認めたことはないということですか。本当にありませんね。
  58. 中川雅治

    ○中川(雅)政府委員 過去の高い金利の負担を引き下げるという、金利負担の軽減を理由とする繰り上げ償還を認めたことはございませんが、今申しましたような幾つかのケース、貸し付けの継続が適当でないと認められるような場合、貸し付け対象事業に係る財産の売却等特別な事情があるような場合、そういった場合には繰り上げ償還を認めております。  その結果として金利負担が軽減されたケースというものも、これはケースによってあるかもしれません。ただ、これは、金利の高低によって繰り上げ償還を判断したわけではございません。
  59. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 結果的に高い金利が繰り上げ償還になったということはあるという御説明ですか。結果的にはあるということですな。どのぐらい事例がありますか。
  60. 中川雅治

    ○中川(雅)政府委員 個々に繰り上げ償還を今まで認めた事例というのは、今申しましたように、既にその借入金によって取得した財産を処分した場合、あるいは先行取得していた公共用地が事業化されまして売却されたというようなことで、もう貸し付けを継続する必要がないという場合に認めていますので、したがいまして、どういう金利のものを繰り上げ償還をしたかという統計をとっておりませんので、具体的にはわかりかねるところでございます。
  61. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 時間が参りましたのでこれで終わりますが、私は、今のような説明ではまだ自分自身も納得できないところもあります。今いただいた御説明も十分勉強いたしまして、さらにこの問題を取り上げていきたい、このように思っております。  以上で終わります。ありがとうございました。
  62. 坂井隆憲

    坂井委員長 次に、鰐淵俊之君。
  63. 鰐淵俊之

    ○鰐淵委員 自由党の鰐淵です。  ただいま多くの委員質疑を聞いておりますと、やはり日本経済が悪くなり、このデフレ不況というものは大変なものだなということを今つくづく感じ取っているわけでございます。かつてバブル当時はこんな議論は全くなかったろう、むしろ自治省は各地方に配るのに大変で汗をかいておったのではないか、こう思いますが、今や全く逆の現象であります。  したがって、今回の交付税特別会計改正法律案につきましては、私は種々考えてみましても、これはやむを得ない措置だな、大臣大蔵省と折衝しながらこういう考え方をいろいろと組み合わせてやったんだろうと。せつないことは私もよく見えるわけであります。  そこで、私は思うんですが、そもそも地方と国と考えた場合には、地方分権推進委員会でも言われておりますが、やはり国というものは基本的な骨幹にかかわる仕事をする、国がやらなければならない本来の仕事は国が専管してやる。ほとんど住民に近い仕事はやはり地方責任を持ってやるという、いわゆる地方分権型の自治体にしていかなければならない、そのためには税財源の配分というものは厳格にしていかなければならない、こう思うわけであります。  今、恐らく税の収入というのは、地方税が大体三五、六%ですか、四割弱、国が六割強、そういうことで一つの歳入になっておると思いますが、そのうち交付税地方に行きますので、それで大体二分の一、二分の一ということになるのではないかな。さらに歳出規模で言うと、国の国庫補助金あるいは国庫交付金、こういったものを入れますと、今度は六〇%強、地方の歳出になる、こういう構造に私はあると思うわけであります。  その中で、今回の措置にいたしましても、これから、恐らく国自体も大変な未曾有の財政危機に見舞われております、したがって、地方もまた連動して同じだろうと思うわけでございます。  そこで、一つこれは端的にお聞きしたいのは、交付税特別会計の借入金が、平成八年、九年、十年、この三カ年でそれぞれ金額と累計がどのくらいになっておるのか。あるいは、地方債の累積債務は先ほどお話がありましたからわかりましたが、この八、九、十の金額をちょっと例示していただきたいと思うのです。
  64. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 交付税特別会計の借入金でございますが、近年の景気低迷に伴います地方交付税の減収あるいは財源不足の補てん、それから減税による減収の補てんといったようなことで急増いたしておりまして、平成年度に約三兆七千億円、平成年度には約一兆八千億円、平成年度には、今回の三次補正に伴う借り入れも含めますと約四兆円という借り入れになっておりまして、累計額は約二十一兆二千億に達しております。  そのうち地方負担分は約十七兆八千億円という状況でございます。
  65. 鰐淵俊之

    ○鰐淵委員 言ってみますと、三カ年いずれも特会から借り入れなければつじつまが合わない、こういうことになっているわけであります。  それで、あわせて、平成年度で結構でございますが、都道府県、市町村の税収入の減収見込み額、これは大体トータルでいかばかりになるでしょうか。
  66. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 今の段階で見込んでおりますのは、今年度地方財政計画上の地方税の収入見込み額が三十八兆四千億でございまして、それを三兆円程度下回るというふうに見込んでおります。
  67. 鰐淵俊之

    ○鰐淵委員 いずれにいたしましても、地方自治体の税収入が非常に大幅に減少を見ている、こういうことでございます。もちろん国税も減収を見ておるもので、今のような交付税地方に回す分、特別会計から借り入れなければ、ちょうど帳じりを合わすことができない、こういうことになるのだろうと思います。  そこで、先ほどなぜ三カ年を伺ったかというと、これは連続して大幅な地方財源が不足する、三カ年継続して不足する、それから、そのために地方が健全な財政運営を確保することが非常に難しくなる、こういった場合は、地方交付税、先ほど言った第六条の三の第二項ですか、これに、地方財政の制度を変えるか、もしくは交付税率を引き上げる、こうなっているのですね。いまだかつて交付税率は引き上げないけれども、この地方税の制度を変えるわけなんですね。  ですから、皆さんがいろいろとどうもわかりにくいと言うのはこの辺にあるのですね。制度を一時変える、また違って変える、こういうことですから、なかなか普通の方は、私どももそうですが、見当がつかない場合もあるということです。  やはり交付税地方の税源と私ども考えておるわけですが、これを安定的に確保するということは、これは地方六団体の共通した要望であり願いであるわけです。  したがって、そのことが自治省にとっても、大蔵省の折衝の中で非常に安定した財源として持つためには、やはりあちらから借りこちらから特会を加算する、あるいはどうするというよりは、基本的にこの税率を、長い不況のとき、税率を上げるということが必要ではないか、そう思うわけでございますので、この辺の考え方につきまして、自治大臣並びに大蔵省の方に、大蔵省、いませんか。それでは、大臣にお願いしたいと思います。
  68. 西田司

    西田国務大臣 来年度地方財政対策については、今もお話がございましたが、地方税地方交付税の原資となる国税五税が落ち込むことはわかっておるわけでございまして、そういうことから考えてみますと、公債費の増加等の状況の中で、当面の最大の課題である経済対策景気対策というものに取り組んでいっておることは間違っておらない、私はこう思っております。そして、国のそのような効果が出てくることを一日も早くつくっていかないと、これはいろいろ議論をしても始まらないことになってしまう、こう考えております。それで、十兆円を超える巨額の財源不足が見込まれるかもしれません、かつてない極めて厳しいものだと私は考えております。  そういうことを考えながら、平成年度地方財政対策において、御指摘がございました地方交付税の関係でございますけれども、平成年度から十二年度までの三年間、財源不足のうち交付税対応分について、国と地方が折半して、先ほど御議論がありましたように、補てんをする等の税制改正を講じるところでありますが、自治省としては、三千三百の地方自治体を持っております、そういうことから考えますと、この極めて厳しい地方財政というものをどう乗り切っていくか、私は、このことが平成十一年度の最も重大な地方財政対策になってくる、こういうことで、総力を挙げて取り組んでいきたい、このように考えております。
  69. 鰐淵俊之

    ○鰐淵委員 一つは、今回の減税措置による交付税総額確保、それから、公共事業をするための地方負担をすべてカバーしていただくということで、地方は仕事をしやすくなった。それでなければなかなか経済も上げるということになりませんので、これは必要な事項であったろう、この努力は非常に多としなければならないと思っております。  そこで、やはり基本的にはこの交付税の税額、交付税のいわゆる税率の引き上げというのは、地方自治体の皆さんは一つ大きな悲願として持っておられるということを十分ひとつ大臣知っていただきたいと思っておるわけでございます。  それと同時に、先ほど来借りかえの議論がございました。  理財局から言わせますと、当然これは法律上なかなか認めがたい問題ですから、借りかえというのは容易にできないと思います。しかし、余りにも金利が安い時期が続いておりまして、金利の高いときというのは、もうついこれまでは余りないわけですね。私が市長をやっておったころは非常に金利が高くて、基金がちょっと持っているとその基金で相当なことができたのですが、今、どの基金を持ったってほとんど何もできないというような状況ですから、そういう状況の中で、例えば公債費率が二〇%近い、あるいは経常収支率も一〇〇%に近いという自治体も出ているわけですね、現実に。  そうすると、何が一番プレッシャーになっているかというと、やはり財政投融資のお金を持っていても高い金利を払う、この金利が少しでも軽減されれば少しは行政経費に回るということで、非常に苦しんでいる首長がいるわけなんです。そういった自治体に対して、自治省としては少しやはり知恵を出さなければならないのではないか、こう思うのですが、その辺についていかがでしょうか。
  70. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 ただいまの問題、先ほどからも繰り返し議論になっておるわけでございますが、私どもも、この政府資金の問題は、毎年どのくらいの政府資金の量を全体の地方債資金の中で確保するかとか、あるいはその償還期限をどういう期間で設けるかとかいうふうなことについては、当然私どもと大蔵省の方と毎年相談をしてやっておるところでございまして、我々も、この問題に非常にいろいろな形で関与いたしておるわけでございます。  この政府資金の金利の高いものについて繰り上げ償還という要望があるということは、私ども十分承知いたしております。ただ、先ほど理財局の方から繰り返し答弁がございましたように、財投は財投で利ざやなしにやっておるものですから、高いのだけ返して安いのは返さないということでは成り立たないという、これももっともな理屈がございます。  そういう中で、この問題について、地方の強い要望に何とか幾らかでもこたえていく方法はないかということで、先ほど大臣からお答えがございましたように、今の厳しい地方財政状況の中で、公債費負担が非常に重い団体などで繰り上げ償還の必要性が極めて高い事情にあるような場合、緊急的な措置として何か弾力的な対応がとり得ないかということを、国庫当局と私どもとして今相談をいたしておるところでございます。
  71. 鰐淵俊之

    ○鰐淵委員 今局長の答弁のように、何とかそういう自治体に対しましてはぜひひとつ力をかしてやっていただきたい。やはり自治省が頼りだ、このように私は思うのでございます。  そこで、時間が余りございませんので、これは質問というよりはちょっとお話をさせていただいて、最後の質問に移りたいと思いますが、地方分権推進委員会でも、五次にわたって勧告が出されております。その中で、先ほどからも議論がありますが、地方税源につきまして、地方の歳出と地方税の収入が非常に乖離する場合は抜本的な税制の改革を考えるべきだ、こういうように提言しているのですね。ですから、この辺については、いわゆる地方の税源の制度をちょっと改正したりまた戻したり、そういうのではなくて、抜本的に税制改革といいましょうか、そういったものを求めておりますので、先ほど来言った交付税率引き上げ等も含めて、十分ひとつ地方自治体の財源が確保されるように、ぜひこれはお願いしたいと思っております。  さてそこで、最後になりますが、もう一つは、こういう時期ですから、大変な財政危機の時期には、やはりこれは国、地方問わず、思い切った行政改革をしていかなければならないと私は思います。やはりむだを省き、本当に国民のために、今こそ抜本的な行政改革、これを断行していかなければならない、こう私は思うわけであります。  その中で、最も私どもこれからやっていかなければならないのは、やはり三千三百の自治体というものがあるわけですが、それぞれの自治体が自主的に、いかにして合理的な自治体を編成し、お金を効率的に、そしてサービスを大きく住民に提供するか。いわゆるスモールガバメントという考え方に従って積極的な自主的合併を促進させる、そういうインセンティブというのを思い切って自治省として出すべきではないか、こう思うわけですが、この点について、大臣、いかがでしょうか。
  72. 西田司

    西田国務大臣 先ほど来お答えの中でも触れましたけれども、私は、地方分権ということ、これはもう申し上げるまでもありませんけれども、長い間中央集権が続いてきた、そのことはよいこともあった。しかし、今はもうそのことは分権していかなきゃ成り立っていかぬと思っております。  そこで、お互いの役割分担、それから御議論のある税財源の問題、それからもう一つ、やはり今御質問がございました地方の役割というものを全うしていくためには、今の状態ではだめだと私は思っております。  だから、市町村合併というのは、いや好きだとか嫌いだとか、いや得をするとか損をするとかではなくて、もう時代の趨勢の中でそのことは避けて通れないよ、そして、国、県それから市町村、そういうものが対等の立場で自主的な地方の時代をつくっていくべきだというのが私の基本的な考え方でございます。努力をしていきたいと思っております。
  73. 鰐淵俊之

    ○鰐淵委員 それでは最後になりましたが、私は、積極的なインセンティブを、これは自治省ないしまた各省庁が協議して、大いに出して、自主的に合併が促進されるように私ども期待をしたいと思っています。  と申しますのは、私はあす、予算委員会で介護保険の問題について質問するのですが、介護保険は御案内のとおり、三千三百の自治体が個々でやっておっては絶対できません。私は絶対をつけていいと思います。  と申しますのは、お医者さんもいない、看護婦さんもいないようなところでどうして介護ができるか。いわゆるケースワーカーだってなかなか見つからない。それから、福祉的な基盤の整備もない。ですから、こういった問題は、今せっかく自治省で進めておる広域連合あるいは一部事務組合、こういうものがあります。  これは、今は介護ですが、もう一つ大きな問題はごみ処理場ですよ。ごみ処理場が、小さな村や町では、千二百度を超すような流動床のボイラーをつくってごみなんかを焼くような、そんな財政力はありません。そうしますと、ほとんどがダイオキシンを出してしまうのですね。ですから、そういうことはやはり広域連合、一部事務組合からやって、ダイオキシンも出さない、そういうごみ焼却炉をつくらないと、これはもう環境問題に大変な汚点を残すことになるわけです。  ですから、私どもは、そういう意味も含めて今後自治省に期待するのは、広域連合、一部事務組合、市町村合併、こういったものについて、大臣、大いに積極的に先頭に立たれて頑張っていただきたいとお願いを申し上げまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
  74. 坂井隆憲

    坂井委員長 次に、春名真章君。
  75. 春名直章

    ○春名委員 さきの十二月三日に財政構造改革特別委員会で、自治大臣初め質問させていただきました。五月の一兆五千億円の地方単独事業の追加という問題について、経済対策の面から議論をいたしました。  五月のときに、緊急経済対策に関する特別委員会で、同じく上杉前自治大臣とも議論したのですけれども、そのときに前自治大臣は、地方六団体の皆さんと会って実情を聞いてきた、押しつけたものではない、このように答弁をされておられました。  それで、十二月の三日、西田自治大臣はこの一兆五千億円について、景気対策を何とか前へ進めていかなければいけない、こういうことですから、一次補正の問題についてはそれでよかったのではないか、このように御答弁をされました。  そこで、伺っていきたいと思います。  六月の補正と九月の補正で各地方団体予算を計上したということになっています。この予算が実際に実行される保証は既になかったわけであります。当時、九六年度の決算がもう出ていました。その結果は、四年連続して地方単独事業の計画額が未達成になるという事態になっていたのでありました。九三年、九四年、九五年、九六年もマイナスであります。  各年度地方税収の落ち込みを一方で見てみました。九四年は四百十八億円の落ち込み、九五年は八百八十九億円の落ち込み、こういう事態となりました。九六年度は、地方税収の計画を一兆三千百二十二億円上回る税収がありましたが、それでも年度当初の計画額に地方単独事業が達しなかったのであります。翻って見てみると、今年度は、地方税収は三兆円以上という巨額な落ち込みであります。事態はこれまでの比ではございません。それはもう自治大臣が御答弁されているとおりです。  こういう状態で一兆五千億円の単独事業の追加が無理やり実施をさせられた。私ははっきりこれを指摘したいのですけれども、政策判断の間違いであった、財政政策の面から見てもこれは誤りだった、私はそこの反省が必要だと思います。その点についての自治大臣の率直な御意見を聞かせてください。
  76. 西田司

    西田国務大臣 お答えをします。  総合経済対策にかかわりまして、一兆五千億、今御質問の中で説明があったとおりでございます。財政状況が非常に厳しい中ではあるが、地方団体においても、実は九月補正までに一兆五千五百億円の補正予算を計上しておるところでございます。  これは一体どういうことかということでございますが、現下の我が国の一番大きな問題は、これは経済問題でしょう。小渕総理は経済再生という言葉を使っておられますけれども、これは地方においても同様なことが言えるのではないかと私は思っております。  ですから、現在の非常に厳しい地方財政の中でも、何とかして地方、地域に経済活力というものをよみがえらせていこうというようなことが、今御指摘があった地方単独事業なども当初の見込みを約五百億上回るようなことで、みんなが努力をしてきておるのではないだろうか。これは、必ずその効果は出てくるものだ、私はこのように理解をいたしております。     〔委員長退席山本(公)委員長代理着席
  77. 春名直章

    ○春名委員 自治大臣は、地方財政は容易ならない事態である、ひしひしと感じております、このことを繰り返し御答弁をされて、先ほどの答弁もそういうふうに言われていました。  経済対策の面から見れば、積み増しをしてもそれが執行できない事態が四年間も続いていて、その上にさらに押しつけるということをやれば、効果も薄いということも私は話をしました。そして、財政政策の面から見ても、こういうやり方を続けてきて、そのことが百六十六兆円という大変な借金の積み増しに今さいなまれる事態に落ち込んできているのではないのですか。  だから、そういうところへの真剣な分析や反省がないところでひしひしと、大変だと感じていると言っても絵にかいたもちになりかねない、このことを私は指摘しているのであります。  昨年末の認識でも、地方財政は、皆さんが御質問されましたけれども、交付税法の六条の三、二項、これに該当する事態でありました。三年連続して財源不足が出れば、制度の改正あるいは交付税率の引き上げ、これをやらなければならない、これが法律です。現在はそれよりも一段と財政が悪化している状況です。来年度は恐らく財源不足が八兆八千億円ですか、それぐらいになるだろうという、大体そうですね、それぐらいの規模だということが見込まれる状況になっているのです。  私は、これらを見てみると、段々の議員も、同僚の議員も御質問されましたけれども、昨年の末に決めた、糊塗的なと言ったら言葉が過ぎるかもしれませんけれども、小手先的なああいう地方財政対策ではもうやりくりできない事態になった、新たな抜本的な対策がどうしても必要な時期に来ている、それが今だという認識をお持ちなのかどうか。先ほどの議論を聞いていてもその辺の認識が、中長期にはやらなければならないという議論はされますけれども、私は、今その認識が求められていると思いますし、そういう対応が必要だと思うのですね。その認識がおありかどうか、このことについて続いて自治大臣にお聞きしたいと思います。
  78. 西田司

    西田国務大臣 先ほど私が中長期と言ったのは、中長期的な地方財政計画というものを言ったことと、当面のことと仕分けをして申し上げたので、一緒にして中長期という気の長いことを言ったってだめよという御理解はひとつ修正をしていただきたい、このように思うわけであります。  何だかんだ言っても、これは今、単独事業のお話の中ですけれども、やはりこれは委員、いろいろな見方や考え方がありますけれども、日本経済というものがよみがえってこないと、元気を出してこないと、これはいろいろなことを言っても始まらないのじゃないのか、私はそういう考え方を持っております。だから、一日も早くこれを回復軌道に乗せていこうというのが今当面の重要なことだ、このように思っております。  ただし、よく私どもが注意をしてやらなければいけないことは、地方財政が非常に厳しいですから、そういうことに対する国あるいは我々も最大の配慮をして、景気回復の問題にしても、いろいろな事業消化の問題にしても、住民サービスの問題にしても、怠りないようにやっていくことが大切ではないか、このように考えております。     〔山本(公)委員長代理退席、委員長着席〕
  79. 春名直章

    ○春名委員 私の質問にちょっと全然違うお答えだったのであれですけれども。  大蔵大臣も、こういう無理な積み増しをしたことに対して、いろいろ反省をしておりますということまで答弁しているんですよ、大蔵大臣自身が、地方に御迷惑をかけましたと。およそ自治大臣の答弁とは思えません、私は。そのことを指摘したい。  それから、当面の対策ということを言われましたけれども、当面の対策が糊塗的になってしまっている、今もそうなっているじゃないかということを私は言っているんです。そのことは古賀委員やさまざまな議員が質問されました。その典型が、今度の補正予算のきょう審議している交付税法の一部改正そのものに出ているじゃありませんか。一段の厳しさがある、財政の厳しさを招来させた要因は、今度のような対策が積み重なってきて起こってきていると私は思いますよ。従来型の財源補てん策だと私は思います。  四千億円の交付税増額といいますけれども、これは法定加算の一部を充てるということが議論されました。自治省は、これは地方財源として約束されたものだ、国の隠れ借金だ、こういうふうに言われています。しかし、私、こういう対策を見ていると、実態としては国の隠れ借金どころか隠れ預金みたいなものだというように思わざるを得ないんです。  今回のように、財源に途中で穴があきますね。そうすると、必ずと言っていいほど法定加算額の一部が使われてきました。そのやり方ですけれども、年末の地方財政対策で当該年度交付税特別会計に繰り入れなければならない額の圧倒的な部分を将来の法定加算として先送りをすることがやられてきた。そして、年度途中に交付税の減額が生じた場合には、不足分の充当のためにその一部に充てるということになってきた。九七年度交付税の減額分二千二百二十一億円について法定加算分が使われてきました。しかも、これは何を埋めるために使われるかといいますと、今回のように、財源不足額を国と地方で二分して、国の負担分にこれを充てていく、国が負担すべき分にこれを充てていくということに使われてきた。  だから、自治省はしきりにこの法定加算分は地方財源だとおっしゃるわけだけれども、配られたら確かに地方財源ということができると思うんです。しかし、実際の姿を見ますと、この間の姿を見ますと、法定加算という状態のまま棚上げされて、使うときには国が負担する分の財源としてそれが出されていく、使われていく。この実態を見れば、まさにその使われ方からして、隠れ借金じゃなくて国の預金みたいなものだ、そういうものになっているんですよ。そういうやり方を今回も踏襲されて先送りをする。地方に結局は負担が押しつけられていくということになっているんじゃないでしょうか。  こういうやり方が本当にいいのかどうか。この法定加算分は国の預金と言えるようなものじゃないですか。自治大臣、どう思いますか。
  80. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 平成年度以来いわゆる交付税法の六条の三第二項の事態になっておるわけでございまして、当委員会でも何回も議論になっておりますように、抜本的な対策ではないじゃないかということは、私どもも率直にそれは認めております。十年度の場合には、三年間という形の制度改正をいたしましたけれども、これも抜本的ではないじゃないか、そのとおり私どもも認めております。  今、国、地方全体を通じまして絶対的な財源不足でございます。絶対的な財源不足でございまして、しかも国と地方は共通した歳出をお互いに分担し合っておるわけでございます。その中で、抜本的、恒久的な制度改正が非常に難しいという判断から、今申し上げましたような、そういういわば応急的な制度改正を行っております。  ただ、この六条の三第二項という規定は、そういう幅の広いいろいろな制度改正を許しておるというのが法制局の見解でもございまして、過去五十二年、五十三年とこういうふうに制度改正をやってきましたけれども、いずれもその二分の一折半で持つというやり方をしてまいりました。  そういう仕組みの中で、今回のように国税の減収に伴います交付税の減が出てきたときにどうするかということでございまして、そういう今の制度改正を持っておる中で、この折半というルールをあるいは当初であればそれを当てはめるわけでございますから、それを当てはめて今回処理する。その過程の中で後年度の法定加算を前倒しをして使う。これも国の方にいたしますと、赤字国債を出して歳出予算化する必要があるわけでございますから、そういう意味ではまさに国の負担としてこういうものを行っているということで御理解をいただきたいと思います。
  81. 春名直章

    ○春名委員 これでは地方の今の自治体の危機、これを乗り切ることはできません。これからも応急的なやり方を続けるんでしょうか、八兆八千億円来年は財源不足が出るのに。どういう事態になっているかという自覚をされて、そして今、抜本対策をやるときに来ているんですよ。そのことが私は理解できませんね。  先ほど桝屋委員質問されていましたけれども、その中で、私先ほど聞いていて、地方債の借りかえのことで、非常に大事な問題ですから、時間がなくなってきたので私も御質問させていただきたいのだけれども、大蔵省の答弁では、全然できるような見通しがないような答弁なのです。しかし、自治大臣はこういうふうに言われているんですね。団体によっては低利のものへの借りかえの必要性が極めて高い事情にある場合もあり得ることですから、その事情に応じて弾力的に対応することができるかどうか検討してまいりたい、こう言われております。ことしの九月の二十二日、参議院の地行委員会で答弁されています。  それから、私が昨年一月に質問したときにも、これは西田自治大臣ではございませんけれども、個別に対応はしていきたい、事情があるものには対応していきたい、こういう御答弁を繰り返しされているんですね。  自治省としては、個別に対応されたことがまずあるのかどうか。そしてその対応した中身で、大蔵省とどういう折衝をしたのか。全然ないのであればないと答えてもらって結構ですけれども、まずその事実を教えてください。
  82. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 先ほど来大臣からも御答弁があり、私も先ほど申し上げましたけれども、現在の非常に厳しい地方財政状況のもとで、公債費負担が非常に重い団体など、繰り上げ償還の必要性が極めて高い事情にあるような場合には、緊急的な措置として弾力的な対応はとり得ないかということを国庫当局とも相談をしておるところでございます。個別に対応いたしたいという意味は、やはり個別の団体の事情に着目して弾力的な措置がとれないかということを検討いたしたいという意味合いでございます。
  83. 春名直章

    ○春名委員 検討していきたいということですか、今まで一度ぐらい俎上に上ったことはないのですか。
  84. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 国庫当局の方とはこれまでもいろいろ申し入れ、相談いたしておりますが、結論を得るには至っていないということでございまして、そのときに、一般的に、例えば率でどうするとかこうするとかということではなくて、やはりもともとの双方の立場といいますか、それは先ほど来繰り返しお聞きいただいたとおりでございまして、そういう中で、この問題、幾らかでも弾力的な対応をとっていこうということになりますと、個別団体の事情に着目した何か対応策がないかという視点から相談をしておるということでございます。
  85. 春名直章

    ○春名委員 公営企業債は借換債の制度をたしか議員立法でつくったと思うのですね。公営企業の実態の深刻さにかんがみて、そういう対策をとるというようなこともやられたことはあるのですね。私は再三言っている、皆さんも言っているけれども、異常事態なんですよ、今は。  その中の第一の要望、例えば政令指定都市の要望を毎年出しますけれども、初めてですよ、今度地方債の借りかえをやってください、政府資金の。出ているでしょう、最後の要望に。それまで深刻な事態に来ているときに、できるかどうか検討してみたいという一年前と同じ答弁をされている。本当に深刻な事態だという認識はあるのでしょうか。資金運用部の事態というのはわかります。しかし、そういう事態はそうですかということでのみ込むのじゃなくて、地方自治体の立場に立って、財源が足らなければどこかから持ってくるというところまで含めて、国民の目の前で議論していただきたい、大蔵省に対して。そういうときに来ているのじゃないですか。その点が一つ。  そして、六条の三第二項に沿って交付税率の引き上げ、これを今やるべきときじゃないですか。法律どおりやってください。その二点、私は自治大臣の決意をもう一度お聞きしておきたいと思います。
  86. 西田司

    西田国務大臣 財政局長からもお答えいたしましたように、現在、国庫当局といろいろ第一の問題については努力を払っておるところでございます。  それから、交付税率の引き上げの問題でございますけれども、既にこの問題についてはいろいろな角度から、別に大蔵を援護するわけではありませんけれども、当面の問題として配慮をしていただいた、こう思っております。  しかし、これは、地方財政、今後の問題を考えていく場合には、あなたのおっしゃることは理解ができます。できますが、私が今ここで、それじゃ春名委員わかりました、引き受けましたというお答えはできないということも御理解をいただきたいと思います。
  87. 春名直章

    ○春名委員 今までの制度改正の範囲ではもう対応できない深刻な事態が来ているということの認識の上にきょうは議論しました。その議論の上に立って真剣な検討を重ねていっていただきたいと要望いたしまして、質問を終わらせていただきます。
  88. 坂井隆憲

    坂井委員長 次に、畠山健治郎君。
  89. 畠山健治郎

    ○畠山委員 時間がございませんから前置きは抜きにいたしまして、直にお尋ねをいたしたいというふうに思います。  先般行われました所信表明において、総理は、九九年度においてはっきりプラス成長に転換すると明言をされております。しかし、現実の経済状況といえば、九七年度はマイナス〇・九%、九八年度は、ただいまのところマイナス一・八%と見込まれております。この結果、現時点のGDPがほぼ九六年度実績に近い状況にあると言ってよいのではないかと思います。  そこで、お尋ねいたしますが、九九年度にははっきりとプラス成長に転換するという総理の言明は一体何年度を起点としておるのか、また、その場合の成長率とは一体何%を指しているのか。この点をはっきりさせなければ、いたずらに成長幻想を振りまき、国民をごまかすことになりはしないのかと思うからであります。  いま一つは、財政構造改革法を一年もたたない今、凍結をするということになりますが、それ自体内閣政治責任に直結する問題であろうかと思います。  そこで、お尋ねをいたしますが、九九年度にははっきりとしたプラス成長に転換をさせるし、二〇〇〇年度までには経済再生を図る、こう総理は明言しておるわけでありますから、当然、凍結期間も二〇〇〇年度をもって終わると解釈するのが妥当と考えますが、いかがでしょうか。もし、そうでないとするならば、経済成長が何%達成されるようになれば解除されるということになるのか、凍結解除の数値条件を具体的に示していただきたいというふうに思うのです。
  90. 河出英治

    ○河出政府委員 前段のお話に対して私どもからお答えをさせていただきます。  来年度のプラス成長でございますけれども、どの年度比較してということでございますが、これは今年度比較してでございます。  それから、具体的にどのくらいの成長になるかということでございますけれども、これにつきましては、現在、来年度経済見通しの策定作業をしているところでございまして、年末に予算編成方針などとともにあわせて明らかにしたいというふうに考えております。  以上でございます。
  91. 藤井秀人

    藤井(秀)政府委員 お答え申し上げます。  財政構造改革法につきましては、財政構造改革を推進するという基本的な考え方は守りつつ、まずは景気回復に全力を尽くすため、その施行を停止することとして、現在、停止法案を御審議をいただいているところでございます。  そこで、停止の解除をする時期についてのお尋ねでございますけれども、例えば経済指標等が一定の水準を上回り、景気が回復軌道に乗ったといいましても、それだけをもって機械的に判断するのは適当ではないというように考えております。やはり、経済財政状況、これらあたりを総合的に勘案して、再施行することが適当か否かというような判断、見きわめをしていく必要があろうというように考えております。  先般、大蔵大臣の方も、これに対しまして、我が国の経済が今日のような状況を脱却いたしまして、正常な歩みに入って、そして将来の展望ができる、また、その他の国内、国外の社会情勢もそれを可能にするといったようなときにおいてこの再施行について法律を起こしたいという旨を述べられているのも同様の趣旨からのものということで理解をいたしております。
  92. 畠山健治郎

    ○畠山委員 政府はこれまでもそうですし、きょうも、中央、地方財政は公経済の車の両輪とされておるというようなことをしきりに言われております。私もあえて否定するつもりはございません。  ところが、現在の地方財政状況を見れば、大都府県や大都市の財政悪化が目立ちまして、これまでの財政危機と極めて様相を異にしております。それだけに、中央政府と違って自由に財源調整のできない自治体にとっては、期間をはっきりさせないままに財政構造改革法を凍結するということは、地方財政の自主的な立て直しを促進するどころか阻害することにもなりかねないと言わざるを得ないと思います。  地方財政を公経済の両輪というならば、凍結期間について自治体が展望を持ち得る条件を明示することは中央政府の義務ではないかと考えますが、いかがでしょうか。
  93. 藤井秀人

    藤井(秀)政府委員 お答え申し上げます。  今先生がおっしゃいましたように、具体的にこの停止期間につきまして何らかの具体的な期間を定めるということも確かに一つのお考えであろうというようには思います。  ただ、具体的に今後の経済状況等々をいろいろ考えますと、なかなか具体的に、今直ちに何らかの定量的な期間というのを設けるということは現実問題として困難でございますし、また、実際問題として適当ではないというように考えております。今おっしゃいましたように、地方のそれぞれの団体におきまして今後の財政展望の上で何らかの具体的な停止期間というものが必要であるというお考え、これはある程度理解はできるわけですが、なかなか現実問題としてこの財政構造改革法の停止期間について定量的な判断ができないということはぜひ御理解を賜りたいと思います。
  94. 畠山健治郎

    ○畠山委員 今回の交付税改正で目立つ点は二点だというふうに思っています。  その一つは、特別交付税一千三百億円の増額であります。不交付団体も含めて非適債事業財源として配分する今回の措置はあくまでも今年度限りの臨時異例の措置であって、仮にもこれが特別交付税の補助金化を促すものではないというふうに受けとめたいと存じますが、そのように受けとめてよろしいんでしょうか。大臣に御所見をお伺いいたしたいというふうに思います。  また、第二点は、地方交付税の減収分一兆九千六百億円に対する中央、地方負担についてであります。一応これまでの折半方式が踏襲されておりますが、一般会計加算分の二千七百億円を後年度負担分から減額するとされておるために、中央政府の実際の負担分というのは三六%にすぎません。これでは、制度としての折半方式が空洞化されたと言われても仕方がないというふうに思います。後年度繰り入れにかかわる法定化を今回の改正によっていとも簡単に変更することは、これまでの国会審議を無意味なものにするばかりか、地方交付税制度の根幹を否定することにもなりかねないと考えます。いかがでしょうか。
  95. 西田司

    西田国務大臣 お答えをいたします。  今年度地方財政年度途中において約三兆円規模の地方税の減収が見込まれるわけであります。地方団体年度途中の財政需要の増加に対応するには非常に困難な事情にあると見ておるわけでございます。そのため、今、第三次補正予算に計上された事業のうち、地方債財源とすることができない事業を円滑に実施するための臨時異例の措置として、その地方負担額に相当する一千三百億円について特別交付税増額をして対応しようとしておるところでございます。  そこで御質問のポイントですが、特別交付税分の配分に際して補正予算地方負担額等を勘案して行うということとしているが、あくまでも年度途中の厳しい財政状況に配慮した臨時異例の措置であり、御指摘の補助金化というようなことにはならないと考えております。
  96. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 他の二点についてお答えを申し上げます。  最初に、交付税の減収分の補てんについての一般会計加算二千七百億についてでございます。  先ほど来何回か話が出ておりますが、現在、交付税の足りない分につきましては国と地方で折半をするという仕組みがスタートしておりまして、そういう中で、この地方交付税の減収分を国が半分負担するに当たって、交付税特別会計で新たに借り入れをするということのみならず、後年度に法定加算がある場合に、国と地方との財政状況も踏まえてその法定加算分を赤字国債を発行して今回加算をするということで、実質的に国の負担といいますか、国の責任を履行しているということで御理解をいただきたいというふうに思う次第でございます。  それからもう一つ、法定加算、せっかく法律で決めて変えるんじゃ、余りその法定加算は意味がないじゃないかという御指摘がございまして、委員から何回かこの御指摘をいただいておりまして、私どもとしては、基本的に、交付税の所要額を確保するために一般会計からの加算年度とそれから年度ごとの加算額を定めるということは、非常に重いものというふうに考えております。基本は、法律の規定どおりに加算されるべきものと私ども考えております。  しかしながら、今回の加算におきまして見られますように、後年度加算すればいいものを前倒しをして加算する、しかもそれは、一般会計において国が赤字国債を発行して行わなくてはいけないというようなものでございまして、今年度交付税の所要額を確保するためのものとして御理解をいただきたいというふうに思う次第でございます。
  97. 畠山健治郎

    ○畠山委員 時間になってしまいましたのでこれで終わらせていただきますが、きょう、どの委員も、挙げて地方自治体の財政危機的な現状にあるという強い指摘がございました。大蔵、自治それぞれこのことに深い思いを込めていただきながら具体的、抜本的な改革を求めて努力していただきますことを強く求めて、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  98. 坂井隆憲

    坂井委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。  次回は、明八日火曜日午後五時三十分理事会、午後六時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後八時三十七分散会      ————◇—————