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1998-12-04 第144回国会 衆議院 商工委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    国会召集日平成十年十一月二十七日)(金曜 日)(午前零時現在)における本委員は、次のと おりである。    委員長 古賀 正浩君    理事 伊藤 達也君 理事 遠藤 武彦君    理事 小野 晋也君 理事 岸田 文雄君    理事 大畠 章宏君 理事 松本  龍君    理事 太田 昭宏君 理事 西川太一郎君       小此木八郎君    岡部 英男君       奥田 幹生君    奥谷  通君       木村 隆秀君    河本 三郎君       新藤 義孝君    竹本 直一君       武部  勤君    中山 太郎君       林  義郎君    牧野 隆守君       村田敬次郎君    茂木 敏充君       山口 泰明君    山本 幸三君       奥田  建君    川内 博史君       島   聡君    島津 尚純君       渡辺  周君    坂口  力君       中野  清君    宮地 正介君       青山  丘君    小池百合子君       大森  猛君    吉井 英勝君       横光 克彦君    河村たかし君       中島洋次郎―――――――――――――――――――――― 平成十年十二月四日(金曜日)     午前九時四十七分開議  出席委員    委員長 古賀 正浩君    理事 伊藤 達也君 理事 遠藤 武彦君    理事 小此木八郎君 理事 小野 晋也君    理事 岸田 文雄君 理事 大畠 章宏君    理事 松本  龍君 理事 太田 昭宏君    理事 西川太一郎君       小野寺五典君    奥田 幹生君       奥谷  通君    木村 隆秀君       小林 多門君    河本 三郎君       新藤 義孝君    田中 和德君       竹本 直一君    武部  勤君       中山 太郎君    林  義郎君       牧野 隆守君    宮腰 光寛君       村田敬次郎君    茂木 敏充君       山口 泰明君    山本 幸三君       吉川 貴盛君    奥田  建君       川内 博史君    島   聡君       島津 尚純君    坂口  力君       中野  清君    宮地 正介君       青山  丘君    小池百合子君       大森  猛君    吉井 英勝君       横光 克彦君    河村たかし君  出席国務大臣         通商産業大臣  与謝野 馨君  出席政府委員         通商産業大臣官         房商務流通審議         官       岩田 満泰君         通商産業大臣官         房審議官    岡本  巖君         通商産業省産業         政策局長    江崎  格君         通商産業省環境         立地局長    太田信一郎君         通商産業省機械         情報産業局長  広瀬 勝貞君         中小企業庁長官 鴇田 勝彦君         中小企業庁次長 殿岡 茂樹君  委員外出席者         商工委員会専門         員       野田浩一郎君     ――――――――――――― 委員の異動 十二月四日  辞任         補欠選任   岡部 英男君     小野寺五典君   奥田 幹生君     宮腰 光寛君   木村 隆秀君     吉川 貴盛君   牧野 隆守君     田中 和德君   山本 幸三君     小林 多門君 同日  辞任         補欠選任   小野寺五典君     岡部 英男君   小林 多門君     山本 幸三君   田中 和德君     牧野 隆守君   宮腰 光寛君     奥田 幹生君   吉川 貴盛君     木村 隆秀君 同日  理事遠藤武彦君同日理事辞任につき、その補欠  として小此木八郎君が理事に当選した。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  理事辞任及び補欠選任  国政調査承認要求に関する件  新事業創出促進法案内閣提出第二号)  小規模企業共済法及び中小企業事業団法の一部  を改正する法律案内閣提出第三号)  破綻金融機関等融資先である中堅事業者に係  る信用保険特例に関する臨時措置法案起草の  件      ――――◇―――――
  2. 古賀正浩

    古賀委員長 これより会議を開きます。  理事辞任の件についてお諮りいたします。  理事遠藤武彦君から、理事辞任申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 古賀正浩

    古賀委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  引き続き、理事補欠選任の件についてお諮りいたします。  ただいまの理事辞任に伴う補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 古賀正浩

    古賀委員長 御異議なしと認めます。  それでは、理事小此木八郎君を指名いたします。      ――――◇―――――
  5. 古賀正浩

    古賀委員長 次に、国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。  通商産業基本施策に関する事項  中小企業に関する事項  資源エネルギーに関する事項  特許及び工業技術に関する事項  経済計画及び総合調整に関する事項  私的独占の禁止及び公正取引に関する事項  鉱業と一般公益との調整等に関する事項 以上の各事項につきまして、議長に対し、国政調査承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 古賀正浩

    古賀委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。      ――――◇―――――
  7. 古賀正浩

    古賀委員長 通商産業基本施策に関する件及び中小企業に関する件について調査を進めます。  破綻金融機関等融資先である中堅事業者に係る信用保険特例に関する臨時措置法案起草の件について議事を進めます。  本件につきましては、理事会等において協議してまいったところでありますが、本日、お手元に配付いたしましたとおりの起草案を得ましたので、委員長より、本起草案趣旨及び内容を御説明申し上げます。  現下の我が国経済においては、景気低迷長期化金融機関の貸し渋り等により、企業資金調達は難渋をきわめております。とりわけ破綻金融機関取引していた企業資金繰りは大変厳しい状況に置かれており、その事業資金融通円滑化を図ることが強く求められております。  こうした事態に対して、商工委員会では、先国会におきまして、中小企業信用保険法改正案提案し、中小企業に対する信用補完制度の拡充を図ったところでありますが、中堅事業者に対しても、そうした信用補完制度の活用による資金融通円滑化を図る観点から、今般、破綻金融機関等融資先である中堅事業者に係る信用保険特例に関する臨時措置法案提案した次第であります。  次に、本案要旨を御説明申し上げます。  本案は、破綻金融機関等融資先である中堅事業者に対する資金融通円滑化を図るため、破綻金融機関等との金融取引を行っていたことにより銀行その他の金融機関との取引に支障が生じている資本金五億円未満の中堅事業者について、中小企業信用保険公庫がその借入債務に係る公的な信用保証について保険を行うことができるものとしております。  そして、その付保限度額は、破綻金融機関等関連特別保険にあっては五億円、破綻金融機関等関連特別無担保保険にあっては一億円とし、いずれの保険についても中小企業信用保険公庫の再保険率を九〇%としております。  なお、本案に盛り込まれた保険制度につきましては、平成十三年三月三十一日までの間に、その施行状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な見直しを行うものとしております。  以上が、本案提案趣旨及び内容であります。  よろしく御賛同くださいますようお願い申し上げます。     ―――――――――――――  破綻金融機関等融資先である中堅事業者に係   る信用保険特例に関する臨時措置法案     〔本号末尾掲載〕     ―――――――――――――
  8. 古賀正浩

    古賀委員長 この際、本起草案につきまして、衆議院規則第四十八条の二の規定により、内閣の意見を聴取いたします。与謝野通商産業大臣
  9. 与謝野馨

    与謝野国務大臣 商工委員長より御提案の、破綻金融機関等融資先である中堅事業者に係る信用保険特例に関する臨時措置法案につきましては、政府としては異議はございません。
  10. 古賀正浩

    古賀委員長 お諮りいたします。  お手元に配付しております破綻金融機関等融資先である中堅事業者に係る信用保険特例に関する臨時措置法案の草案を本委員会の成案と決定し、これを委員会提出法律案といたしたいと存じますが、これに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立
  11. 古賀正浩

    古賀委員長 起立総員。よって、本案委員会提出法律案とすることに決しました。  なお、ただいま決定いたしました本案提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  12. 古賀正浩

    古賀委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。      ――――◇―――――
  13. 古賀正浩

    古賀委員長 内閣提出、新事業創出促進法案及び小規模企業共済法及び中小企業事業団法の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。  これより両案について順次趣旨説明を聴取いたします。与謝野通商産業大臣。     ―――――――――――――  新事業創出促進法案  小規模企業共済法及び中小企業事業団法の一部   を改正する法律案     〔本号末尾掲載〕     ―――――――――――――
  14. 与謝野馨

    与謝野国務大臣 新事業創出促進法案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  我が国経済につきましては、その新陳代謝の速さを示す開業率が総じて低く、特に近年、廃業率開業率を上回るなど、事態深刻化しております。また、国内事業活動の不振による景気低迷深刻化が一層進む中で、失業率は戦後最悪を記録するに至っております。  このような問題は、技術人材その他の我が国に蓄積された産業資源が、必ずしも十分に活用されず、結果として、新たな事業創出に向けた取り組みの活性化につながらないという、我が国経済社会の有する構造的な課題を原因とするものであります。  こうした課題を克服するためには、我が国産業資源が新たな事業に向けて有効に活用されるよう、それに必要となる資金情報等を適時適切に提供するための政策措置支援体制整備することで新たな事業創出を促していくことが必要であり、そのことが、ひいては活力ある経済社会を構築していくことへとつながっていくものと期待されるところであります。  以上のような観点から、個人による創業及び新たに企業を設立して行う事業を直接支援するとともに、中小企業者の新技術を利用した事業活動促進するための措置を講じ、あわせて地域産業資源を有効に活用して地域産業自律的発展を促す事業環境整備する措置を講ずるため、今般、本法案提案した次第であります。  次に、本法案要旨を御説明申し上げます。  第一に、新たな事業創出促進するため、主務大臣基本方針を定めることとしております。  第二に、個人による創業及び新たに企業を設立して行う事業の開始に対する支援であります。具体的には、中小企業事業団からの助成資金出資中小企業信用保険法に基づく債務保証に係る保険特例特定事業者事業革新円滑化に関する臨時措置法対象業種拡大等特例、新株の引受権の付与の特例及び産業基盤整備基金からの債務保証資金出資等措置を講ずることとしております。  第三に、中小企業者の新技術を利用した事業活動支援であります。国は、中小企業者等に対する特定補助金等の支出の機会の増大を図るため、中小企業者等に対する新技術に関する研究開発のための補助金等の交付の方針を作成することにより、中小企業者等研究開発支援するとともに、その補助金等を交付された中小企業者等に対して、中小企業投資育成会社の株式の引き受け等特例等措置を講ずることにより、その研究開発の成果を利用した事業活動支援することとしております。  第四に、技術人材その他の地域に存在する産業資源を活用した事業環境整備であります。都道府県等は、みずからが主導的な立場で地域産業資源を有効に活用した新たな事業創出に関する基本構想を作成するとともに、都道府県等における新事業創出支援体制の中心となる機関中核的支援機関として認定することができることとしております。また、情報処理振興事業協会は、新事業創出支援体制を構成する新事業支援機関に対し、情報関連人材育成事業に必要な教材の開発提供等を行うこととしております。さらに、都道府県等は、基本構想に従って高度な産業技術を有する企業集積の機能の維持及び強化に関する高度技術産業集積活性化計画を作成することができることとし、当該計画を国が同意した場合、地域振興整備公団による工場や事業場整備や賃貸、新事業支援施設整備に必要な資金出資の実施のほか、産業基盤整備基金からの債務保証措置等を講ずることとしております。  なお、このような新たな制度が施行されることにあわせて、現行の高度技術工業集積地域開発促進法地域産業高度化に寄与する特定事業集積促進に関する法律及び地域ソフトウェア供給力開発事業推進臨時措置法を廃止することとし、所要の経過措置を講ずるものとしております。  以上が、本法案提案理由及びその要旨であります。  何とぞ、慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。  次に、小規模企業共済法及び中小企業事業団法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  小規模企業共済制度は、小規模企業個人事業主役員相互扶助の精神に基づいて掛金を積み立て、事業の廃止、役員退任等事態に備えるための共済制度であり、中小企業事業団がこれを運営しております。経営基盤が脆弱で経営環境変化に影響を受けやすい小規模企業者にとって、廃業時、退任時に生活安定資金事業再建資金支給する本制度の果たす役割は大きく、昭和四十年の制度創設以来普及も進み、今日では在籍者数は約百五十万人に上っております。  本制度については、制度創設後約三十年の間に、高齢化の進行、金融自由化の進展など制度を取り巻く社会経済環境に大きな変化が見られるに至っており、また、小規模企業自体においても、経済の構造的な変化による経済の活力の低下などが懸念される中にあって事業所数の減少など深刻な問題に直面している状況にあります。  このような状況を踏まえまして、小規模企業経営を支える基盤的制度である本共済制度安定的運営の確保と充実を図るために、この法律案を提出した次第であります。  次に、本法律案要旨を御説明申し上げます。  第一に、分割支給制度の改善であります。共済金受給方法について、一時金払い分割払いを併用して、共済金の一部を分割払いにより、残金を一時金により支給を受けることができるものとすることとしております。  第二に、基本共済金の額の改定であります。金融情勢変化に対応して制度の安定を図るため、掛金月額及び掛金納付月数に応じて定まる基本共済金の額を改定することとしております。  第三に、共済契約者向け貸付制度充実であります。共済契約者については、中小企業事業団法に基づいて貸付制度を実施しており、多くの共済契約者が利用しているところであります。今回、共済契約者の実情や要望を踏まえ、共済契約者の福祉の増進に必要な資金を追加することとしております。  以上が、この法律案提案理由及びその要旨であります。  何とぞ、慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  15. 古賀正浩

    古賀委員長 これにて両案の趣旨説明は終わりました。     ―――――――――――――
  16. 古賀正浩

    古賀委員長 これより質疑に入ります。  質疑申し出がありますので、順次これを許します。小野晋也君
  17. 小野晋也

    小野委員 本日は、先ほど大臣が御説明をいただきました二法案についての審議でございますが、私どものいただきました時間が二十分という短い時間でございますから、将来の日本の産業育成観点から、新事業創出考え方についての御質問をさせていただきたいと思っております。第一の点は、私自身の若いころから胸に残っている逸話に関連する話でございますけれども、それはイギリスの化学者だったマイケルファラデーの話であります。  マイケルファラデーというと、皆さん御存じのとおり、電磁誘導原理を発見したことで有名な方でありますが、このファラデー最初電磁誘導のことを発見したときに周りの化学者皆さん方が何を言ったかといえば、そんな電磁誘導のような原理を発見したからといって、そんなものが世の中にどう役に立つんだ、こんなことを言って批判をしたということであります。そのときにファラデーが答えた言葉というのが、それじゃ皆さん、この世に生まれたばかりの赤ちゃんがいたとして、その生まれたばかりの赤ちゃんが一体すぐに何の役に立つというんですか、こういうふうに反論をしたんだと言われているわけであります。  この言葉のとおり、全く新しい発想だとか全く新しい事業というようなものは、すぐにそれが利益を生むというよりも、ある一定期間それを育成をしてこそ利益を生む産業になってくる、そういう技術に育ってくる。こういう教訓がこの中に含まれていると私は思っているのであります。  ですから、産業政策という観点でいろいろな施策通産省がとっていただいているわけでありますが、やはり一定期間最初から厳しい競争の中にさらしてしまうのではなくて、温かくはぐくんでいくという期間必要性について、私たちは十分にこれを認識しなくてはならないと思うわけであります。そして、ある一定のところまでその技術が育つ、または事業が育つ、こういう状況の中で競争の中にそれを投じて、そしてさらにたくましさをつけていくということが必要だと思う次第であります。  しかしながら、そういうことを論じていきながら、現代の経営環境経済環境はいかなるものであるかという方面に目を移してみるならば、逆に年々年々、目先の利益を追うということにきゅうきゅうとするような経済環境が生まれてきているわけでありまして、将来に大きな利益を生むからじっくりと育てようというよりも、もうすぐに利益を出せということにせき立てられているような状況であります。  通産省施策についても、私ども検討させていただきますと、グローバルな自由競争というものが大前提の原理として存在するということがありますがゆえに、先ほどの例で申し上げますならば、生まれたばかりの幼子であっても、すぐにその自由競争の波の中に投じてしまいかねないというようなことが非常に多いのではないかということを危倶するわけであります。  最近、私、よく例え話で申し上げるのですけれども人間でも、暑い熱帯地域の方に置かれた人間が、次の瞬間に北極海の寒いところへ投じられて、その次には砂漠の四十度を超えるところへ投げ込まれ、そして次はエベレスト山の上に行かされる、こういうことを一時間置きに仮にやらされるとすれば、いかなる元気な人であっても病気になってしまうでしょう。人間には人間適応能力適応スピードというのがあって、その適応スピードよりも速い速度で過激な変化の中に置かれれば健康な人でも病気になるということを考えてまいりました場合に、企業というものもその適応速度というものを十分に考えなくちゃならないのではないだろうか。特に、生まれたばかりの技術、生まれたばかりの事業、こういうふうな非常に弱さを持ったものについては、その適応のために十分な時間的な配慮が必要ではないのだろうか、こういうことを私どもは今痛感をしているわけであります。  今回、新事業創出促進法案ということで、通産省の側でおまとめをいただいたわけでございますが、この法案の中で、今申し上げました新しいものをはぐくむという観点の中で、時間的な要素というものをどういうふうに御考慮なされたんだろう、そしてまた企業事業をはぐくむための環境という面についてどのような配慮を行ってこられたのかという点について、基本的な考え方について、まずお尋ねをさせていただきたいと思います。
  18. 与謝野馨

    与謝野国務大臣 先生指摘のように、新しい事業が立ち上がるときというのは、立ち上がりまでが大変なわけでございまして、それをどう支援していくのかということは国の大事な政策であろうと思っております。  通産省は今までも、事業を起こしたいというその事業を起こす前の段階、またそれを実際事業化していくという中で、一貫した支援策というものが必要だろうと考えまして、例えば技術の指導あるいは人材育成、異業種の交流というようなことにつきまして、いろいろな支援策を講じてきたわけでございます。  今回は、今申し上げましたようなことに加えまして、この新しい法律においては幾つか特徴的なことがございます。  それを申し上げますと、一つは、創業者などが行う試作品開発等に対する中小企業事業団による助成制度創設いたしました。第二には、新たに事業を始める創業者対象とした債務保証制度創設もいたしました。第三には、中小企業に対して、重点的に研究開発予算を投下する制度を導入いたしました。第四は、地域におけるインキュベーター施設整備や、テクノポリス財団等の新事業支援機関の統合・ネットワーク化等による研究開発から事業化までの一貫した支援策提供。  これらのことを行い、新しい事業をつくり出す、これを促進するために、事業を起こす前から事業化段階に至るまでの総合的な支援策を講じようとしているわけでございます。  先生が御指摘のように、事業が立ち上がるときというのは大変なんだ、その御指摘はそのとおりでございまして、どんないいアイデア、どんないい技術をもってしても、これを事業化企業化するためにはある一定促進策刺激策、こういうものも必要であろう。それに対して国としてできるだけの支援策を講じようとするのが、今回の法律趣旨でございます。
  19. 小野晋也

    小野委員 産業政策に関連しまして、今大臣がお話しいただいた御答弁、非常に心強く思いました。  今、世界じゅうを見ておりまして、自由競争ということについて非常に誤解があると私が感じておりますのは、自由に競争する中で、先ほどの例えで言うならば、弱き者病気になって脱落をして、そして本当に強い者だけが生き残れば、それで人類社会は進歩するんだというような大きな誤解があるような気持ちが私はいたしております。  弱き者をより強くはぐくみつつ、その強くなった者が相互競争し合いながらより人類社会を発展させていくというようなところに産業政策の原点を持っていただきますように、これは要望をさせていただきたいと思っております。  第二点目の質問に移らせていただきたいと思いますけれども、先日、実はこの新事業創出促進法案について、我が党の中においても議論をいたしました。そんな中で、私から御指摘をさせていただきましたのは、新しいものを生み育てていくということを考えていった場合に、これは究極のところ一体何かといえば、やはり人の問題に行き着かざるを得ないということでございます。  真に創造的なものというのは、一万人、十万人、百万人の人が集まるということよりも、たった一人の人間の本当にクリエーティブな頭脳の働き、推進作用、こういうことの中から生み出されてくるものであるということを考えてまいりましたときに、恐らく、今回の新事業創出促進法案の形の中で魂を入れるものは何かというと、人の問題に行き着かざるを得ない、こう思うわけでございます。いかに新しいものを創造することに対する能力を持っていて、そしてさらに、苦難に立ち向かいながらもそれにくじけず情熱を注ぎ続けていけるという人材、こういう人たちがいかに新しい分野に飛び込んでくる社会になってくるかということが眼目になると考えているわけであります。  若い人材育成、そして企業や研究所からスピンオフをしていくような人材輩出等の問題について、これからいかになしていくことによってこの新事業を日本の国において育成できるのか。この点について、文部大臣も経験された与謝野大臣個人的な御見解をお聞かせいただきたいと思います。
  20. 与謝野馨

    与謝野国務大臣 私、先生の御意見に全く賛成でございます。  これは、新しい事業を起こすというのはしょせん人でございまして、その担い手となる人に創造性があるか、強いクリエーティブな頭脳を持っているかどうかということ、それから、そういう難しいことに立ち向かっていくという挑戦意欲があるかどうか、それから、事業を起こそうという計画性とか企画性とか、そういうものがあるかどうかということであって、すぐれてどういう人材を日本の社会が持てるかということにかかってくるのだろうと私は思っております。  そういう意味では、日本の教育というものが本当に今のままでいいのかという根本問題がございます。それは、日本の教育は、確かに世界的に見ますと水準は高い、しかし一方では、非常に画一的であって、詰め込み教育でもあって、個人個人が持っているいい芽を摘んでしまうのではないかというおそれが実はあります。そういう意味で、創造性豊かな子供が、本当に自分の持っている、天から与えられた才能というものを花開かせることができるかどうかという点では私はかねがね疑問を持っておりまして、文部省もそういうことに気がついて、今、教育の全体の流れを変えようとしているわけでございます。  通産省としても、文部省に対してはこれらの意見を申し上げ、そして、文部省と連携を図った上で、例えば企業家精神を涵養するための教材の開発等を行う必要があるということを申し上げ、そういうことを検討してまいりたいと思っております。  今回の新事業創出促進法案には幾つかの点がございますが、一つは、開業間もない中小企業人材確保を円滑化するためのストックオプション制度特例創設、それから第二には、将来の創業者育成するインターンシッププログラムの導入等の規定が盛り込まれております。  さらに、先生指摘あったスピンオフの問題ですが、スピンオフ等の人材移動の円滑化を図る観点から、確定拠出型年金の導入等につきましては関係省庁と検討を進めているところでございます。要するに、年金をポータブルにするという点を考えなければならないわけでございます。  今後とも、通産省としては、関係省庁とも連携しつつ、創造性豊かな人材が多数輩出されるよう、環境整備に努めてまいる所存であります。  これはもう先生が御指摘のとおり、人によって事業は開始される、その人をいかに育てていくかというのが日本の社会のこれからの大事な課題であるというのは、先生の御指摘のとおりであろうと思っております。
  21. 小野晋也

    小野委員 まことに当を得た御答弁をいただいて、心から感謝申し上げます。  人の問題ということにまた関連してくるわけでありますが、通産省自身の人の問題、または通産省自身の当事者意識というようなことについて、この新事業育成ということに関連して質問をさせていただきたいと思います。  振り返ってみますと、私ども、若きころ、通産省というのは非常に輝く省でございました。というと非常に失礼な話になるのかもしれませんが、高度成長のあの波の中で、積極果敢に新しいプランを打ち出し、そしてみずからがその産業育成のために全力投球をし、しかも、みずから、退官をした後もその産業の中に身を投じながら育成に当たっていかれるというふうに、本当に全身全霊を傾けられる通産省の官僚の姿が、非常に大きな希望を私たちに与えていただいていたと思うわけであります。  その点から考えました場合に、現在のベンチャー企業育成の問題ということになるわけでありますが、これはもう既に私ども通産省のレポートをいろいろと拝見させていただく中で、十数年以前から、日本の国は新産業育成が必要であり、ベンチャー企業育成をしながら新しい時代の産業の発展を目指していかねばならないというレポートが次々と出されていたということを記憶しているわけであります。  しかしながら、その中にあって、私どもが非常に疑問に思ってまいりましたことは、ベンチャー企業が新しい時代を切り開く日本の夢であり、そしてそのベンチャー企業の中に大きな可能性があり、その育成できる環境というものを通産省が次々と整備をしているということを言われながらも、通産省OBの方で、ではみずからそのベンチャー制度を利用しながらベンチャー企業を起こしたという事例を余り聞いていないという問題があるわけであります。  みずからがベンチャー企業育成する、またベンチャー企業の中へ投じてその発展のために尽力される、こういうことでありますならば、官僚天下り批判ということにもさらされることがないわけでありまして、また、通産官僚が本気でベンチャー育成に取り組み始めてきたというふうな印象も与えて、多くの企業家に勇気を与えることにもなるでありましょう。  そんなことを考えてまいりましたときに、現状としてどういうふうに通産官僚OBの方々がベンチャーとかかわっておられるのか、そしてまた、通産官僚自身がベンチャー企業の現場に当事者の立場で飛び込んでいこうということになった場合に、どんな問題認識を皆さん方がお持ちになられるのかという点をお尋ねしたいと思います。  加えてもう一点、質問時間の都合がありますから、もう一緒にやってしまいたいと思うわけでありますが、二〇〇一年に、世界じゅうのロボットに関心のある人たちに日本に集まっていただいて、ロボットの祭典、ロボリンピックを開こうということを提唱させていただいて、現在推進をさせていただいております。  現在のロボット、工場の中で使われるロボットがほとんどでございますが、家庭の中にこれから恐らく入ってくるだろう。福祉介護機器として入ってくる場合もあれば、情報端末として入ってくる場面もあるでしょう、子供の遊び相手として入ってくるのかもしれません、お手伝いさんになるのかもしれません。いろいろな形で家庭の中にロボットが展開してくるということを夢見ました場合に、ちょうどビル・ゲイツのような今のパソコン業界のヒーローと言われる人たちが、趣味半分にパソコン、マイコンを扱い始めた段階と、今の家庭用のロボットというものが、段階的によく似ているというふうな印象を私自身は持っているわけであります。  これから新しい技術を生み出して、そしてその新しい利用法というようなものが発見されてくるに伴って、この家庭用ロボットというものが急成長する可能性を持つ分野であるという点、それから、マニアックにいろいろな人たちが、自分の領分でロボットというものに非常に強い関心を持って新しいものを生み育てようとしておられるという点を考えました場合に、新産業育成をより具体的イメージにする上に、通産省が二十一世紀のビル・ゲイツを日本の国において育てるんだという観点で、このロボットの問題についてもっと深く検討してみられたらどうだろう、そういうふうに思うわけでありますが、この御見解もお尋ねを申し上げたいと思います。
  22. 江崎格

    ○江崎政府委員 お答えいたします。  通産省としまして、退職者によります起業の有無をすべて把握しているわけではございませんけれども、退職して事業を起こしたという事例としましては、比較的若い世代で退職いたしましてコンサルティング会社を起こしているとか、あるいはベンチャービジネスのアドバイザーになっているというような例は聞いております。  通産省を退職しました者が離職後に会社を設立いたしまして事業を開始するという場合に、制度的な制約があるかどうかという点でございますけれども、これは、その会社の業務が通産省と密接な関係がある場合には人事院あるいは通産省承認が必要だということに国家公務員法上なっているわけでございますけれども、こうした要件に該当しない場合には人事制度上の制約がないというふうに理解しております。  いずれにしましても、通産省の職員も含めまして、広く国民の方々全体が創業に挑むことに魅力を感じまして新しい企業起こしに挑戦する、そういった環境整備することが大事だというふうに私どもは認識しておりまして、今御審議をいただいております法案を含めまして総合的な施策充実に努めてまいりたい、このように考えております。
  23. 広瀬勝貞

    ○広瀬(勝)政府委員 もう一つ、ロボットに関する御質問がございましたけれども先生指摘のとおり、ロボットは経済活動ばかりではなくて、これからきっと日常生活の中でもいろいろな用途に使えるものだと期待されるわけでございます。そういう意味でまことに有望な新規産業分野ではないかというふうに思っております。  私どももこの点には昔から着目をしておりまして、最初は極限作業ロボットの開発ということでいろいろ研究開発支援してまいりました。また、マイクロマシンの分野でも支援をしてまいりましたけれども、本年度から、まさに生活支援機能に着目をいたしまして、人間協調・共存型のロボットシステムの技術開発といったようなことを進めているわけでございます。  こういうことで技術開発等を通じて支援をすると同時に、先生が中心になって進めておられますロボリンピックみたいなことを通じまして、若い科学者たちにこの分野における興味と関心を引き出していくということが非常に大事なことではないかというふうに考えております。
  24. 小野晋也

    小野委員 大きな期待を込めまして、質問を終了したいと思います。ありがとうございました。
  25. 古賀正浩

    古賀委員長 次に、島聡君。
  26. 島聡

    ○島委員 民主党の島聡です。新事業創出促進法案及び小規模企業共済法及び中小企業事業団法の一部を改正する法律案について、質問を申し上げます。  今、極めて雇用情勢が悪いということは、だれもが党派を超えて認識をしている。景気対策が必要であることも当然認識をしているわけでありますが、今回の法律、非常に盛りだくさんの法律を、もちろん景気対策が必要であるということは我々も認識しておりますけれども、日本の経済構造を変えていくような法律、あるいは今までのいわゆる工場の再配置等のいろいろな法律を新たにするというような法律が、極めて審議時間の短いこの臨時国会で出され、全体の今の政策を流れることでございますが、景気対策はもちろん必要でありますが、そのときに、きちんとした審議もすることなくどんどん景気対策ということですべてが通っていってしまう。政府提案でありますが、提出の前に本当に細かいところまできちんと審議されているのかどうか。  さらには、下手をすると、景気対策といえば何でもありの状況で、本当にひょっとしたらモラルハザードを生んでしまうような状況もあるのではないか、そんなおそれを私どもは持っているわけであります。  この法案審議経過の中にはかなり厳しい意見が出まして、今までの施策の継ぎはぎのようなものだ、あるいは過去の施策の効果の検証もなく新しい施策をぽんぽん盛っているのはどうか、本当に景気対策なのか、構造改革をきちんとするとするならばもう少しきちんとした審議が必要なのではないかというような、さまざまな意見が出たわけであります。  この委員会は本当に限られた時間でありますが、その観点から質問をさせていただきたいと思います。  まず、最初小規模企業共済法の問題について取り上げるわけでございますが、平成十年十一月二十日に中小企業政策審議会の共済制度委員会の中間報告が出ています。現下の金利情勢は平成六年度の法改正時には想定できなかった。そういうのを想定するのがこういうものを運用する者、プロの腕だと私は思うわけでありますが、想定できなかった。予定利率である四%を引き下げるということはいい。ただ、共済金の見直しを行うべきだけれども、予定利率の水準というのは、今後の金利情勢の見通し、共済資産運用の見通し、他制度の動向を見きわめつつするべきだという答申がなされているということであります。  とするならば、今回最低保証利回りを四%から二・五%に引き下げるということでありますが、今申し上げたように、将来の金利情勢をどう見通してそうしたのか、あるいは共済資産運用をどう見通してしたのか。他制度の動向を、こうこうこういう、例えばほかの共済制度はこれぐらいだからこういうふうにしたんだ、ほかはこれぐらい下げるんだからこういうふうにしたんだと、この二・五%にしたというきちんとした説明をまずお願いします。
  27. 鴇田勝彦

    ○鴇田政府委員 お答えいたします。  委員も御承知のように、小規模共済法の中には、五年ごとに、今委員の申されたような諸要件を勘案して、共済制度の見直しをする義務づけ規定がございます。  今回も、私どもも、平成六年度の改正以降、低金利情勢というものは大変進展をいたしましたものですから、ことしの春以来、中政審、中小企業政策審議会の共済小委員会でこういった点について御議論をいただきました。その場合に、今後の金利見通し、運用見通しについてでございますが、平成十年度から平成十六年度まで、例えば二つのケースに分けて議論をいたしたわけでございます。  ケース一の方は、直近の金利、これは、国債とか預金とか金銭信託とか各金融資産がございます。これらにつきまして予想利回りというのを、現時点でできるだけ可能な限り専門家の意見も聞いて数字をとりまして、平成十六年度までの動きを試算いたしました。  もう一点は、財政法二十八条でいろいろな金利を使っておりますが、この場合、平成八年の二月から九年の十一月までの債券の平均金利とか、御承知のように生保、信託の九年度実績、こういった金利で見通す方法もございます。  財政法二十八条の第二のケースでいいますと、比較的第一のケースよりは、金利予想というのは、あるいは運用利回りというのは、高くなってくるわけでございますが、私どもは、こういった二つのケースを前提にいたしまして、予定利率の水準を現行の四・〇%から、最低で申し上げますと二・二五%ぐらいまで、四通り、五通りのケースを想定いたしまして試算をいたしました。  その場合に、実際に各期の純利益はどういうことになるか、あるいは積立金、繰越欠損金がどういう流れになるかというのを比較いたしまして、予定利率四%でやりますと、第一のケースでもあるいは第二のケースでも、非常に単純に申し上げますと平成十六年度には累積の欠損金が第一のケースで八千億弱、第二の財政法二十八条のより有利な運用のケースでも七千億弱ということで、これは五、六年先を見ますととても現行の四・〇では無理であるという結論に達したわけであります。  また、最低の金利水準といいますか、予定利回り二・二五でまいりますと、これは当然共済契約者にとって非常に不利益といいますか、魅力のない制度になってしまいますので、ぎりぎり、今回御提案をさせていただいております予定利率二・五%のケースで、最近の直近金利のケースワン、財政法二十八条に基づくケースツーでやらせていただきますと、直近金利ベースで申し上げて、平成十六年度にマイナス千六百億、いずれにしても繰越欠損金がございます。その場合でも、それは大変なだらかな状況で、急激にこの欠損金が七千億、八千億と落ちていくケースではございませんので、業務運営上問題がないだろうということで、ぎりぎりこの予定利率二・五%というのを選択させていただいたわけでございます。  第二の他制度との比較でございますが、これについても審議会も含めていろいろ御議論をいただきました。  国民年金から始まって我々のやっております小規模企業共済までいろいろ何種類か類似の制度がございますが、例えば、さきの通常国会で御審議をいただいております労働省の所管の中小企業者みずからの退職金共済制度、これは勤労者退職金共済機構というのが運用いたしておりますが、これにつきましても、やはり我々と同じような議論を前提に、従来四・五%で運用利率を定めておりましたのを一・五下げて、三・〇%に下げております。それから約一年私ども検討期間がずれておりますので、現下も同じ方法で考えますと、やはり、四・〇%を二・五%まで下げないと運用できないというのは他制度も同じような実態にあると思います。  さらに、民間で、生命保険で、個人年金についての運用利率がございます。これは、ある意味では、我が方のやっている制度と似ておる制度でありますが、これも従来二・七五%で運用しておったようでありますが、現在二・〇%ぐらいに引き下げざるを得ないということで議論が進んでいると承知をいたしております。
  28. 島聡

    ○島委員 今後の共済資産運用のあり方というのが同じその共済制度委員会の中で議論されておりまして、いわゆる金融ビッグバンが進展する中、新たな金融商品、運用手段が現出しつつあるが、各運用手段のリスクとリターンをバランスよく組み合わせ総合的に管理しながら、運用実績を安定的に極大化することが必要であるという話になっておるわけであります。中小企業庁においては、事業団の資産運用体制の充実等に応じて、資産運用に関する規制の緩和等を検討すべきであるということであります。  六兆五千億円程度ですか、共済資産残高があると承っておりますが、今議論しておりますのは、今後日本に新事業、いわゆるベンチャーも含めたいろいろな新事業を創造していこうという話であります。いわゆるベンチャーを育成していくということに際しましては、例えば九七年には年金の運用の規制緩和がありました。または、さきの国会で成立した投資事業有限責任組合等の施行もありました。今、通産省としてそういうものを、大臣もこれをやっていくんだという御議論をされたわけでございます。  この小規模共済の資産残高が六兆五千億もある。そして、もちろん共済の制度上きちんと安定したものが必要であるということはよく存じ上げておりますけれども、今後の日本経済において、そういう新事業を創造していくということであるならば、この資産運用の中において、ポートフォリオの中で、やはり今後日本が伸びていく、いわゆるベンチャー、我々が投資事業有限責任組合の法律をつくったり、年金運用の規制緩和をしておるわけですから、そちらの方にこの運用というものを考えていくべきだと私は思うのですが、どうお考えになりますか。
  29. 与謝野馨

    与謝野国務大臣 普通のポートフォリオですと、いろいろな面でややリスクの高いものにもお金を投じていくということがございますが、小規模企業共済制度というのは小規模企業者相互扶助という精神に基づいて、その掛金により事業が運営されております。したがいまして、先生のお気持ちはわかりますが、資産運用については将来の共済金等の支給が確実になされるよう安全面に十分配慮をすることが必要であるわけでございます。  もちろん、安全面に配慮をしますと、受け取るべき果実というものも少なくなるという関係にあるわけでございます。ですから、リスクをとれるのかどうかということになりますと、やはり安全確実な方法をとっていかざるを得ないと私どもは思っております。しかし、金融ビッグバンも進展しておりますし、今後の資産運用のあり方については、先生のような御意見もございますし、いろいろな角度からやはり検討していくことは必要であろう。ただ、その場合にも、共済金等の支給における安全面ということもやはり十分考えてまいりませんといけないと思います。  ただ、これは中立的なところで御議論をいただきたいと思っておりまして、中小企業政策審議会においてこれは検討課題となっておりますので、検討をさせていただきたい、そのように思っております。
  30. 島聡

    ○島委員 そういう意味では、日本はまだまだリスク管理、リスクコントロールの技術が進んでいないということは重々わかりますが、そういうことをきちんと整備していきませんと、これは通産省自身がそういうことをきちんと整備して、国民が安心して例えば投資事業有限責任組合にも行けるようにしていかないといけないと思いますので、前向きに検討のほどをよろしくお願い申し上げます。  次に、新事業創出法案についてお尋ねをするわけでありますが、いわゆるテクノポリス法とか頭脳立地法とか、地域ソフトウエア法は来年八月で法の期限が来るそうでありますが、これは新法に発展的に移行していく。これは、一つ一つとると本当にきちんと議論しなくてはいけない問題だと思うのですが、今回ぽんと出てきている。  委員長のところにも多分、テクノポリスの指定地域、久留米にもあったと思いますけれども、例えばテクノポリス法、昭和五十八年。目的は、我が国産業技術先端化の促進技術立国としてのさらなる発展、全国的な地域開発促進。もともとは、地域技術先端産業立地の基盤整備をして、地域経済活性化をするという目的でありました。  頭脳立地法。東京圏にいわゆる第三次産業の比重が増大したり、二次産業高度化、ソフト化が言われたときに、これは東京圏ばかりに集中している、だからこれを地域にもするというのがもともとの頭脳立地法の目的であった。  果たしてそれはきちんと目標が達成されたから発展的に移行するものなのか、これの評価をどのようにお考えなのか。それをお聞きしたいと思います。
  31. 与謝野馨

    与謝野国務大臣 先生の御質問は、多分、テクノポリス法及び頭脳立地法が今回新法に移行するのであるから、この段階で全体として大体の総括はできないのかという御質問であると思います。  テクノポリス法及び頭脳立地法、こういう法律に基づいて地方自治体が主体的に企業を誘致しましたり、地域産業の発展に取り組んでまいりました。その結果、各地域の特色を生かした産業集積や研究機能の集積が形成されてきたわけでございます。  これを例示的に申し上げますと、例えば、テクノ二十六地域全体の工業出荷額の伸び率が、全国平均値五九%に比べまして八四%という高い数字を出しておりますから、一定の成果が上がったということはこの数字から私は言えるのだろうと思います。また、頭脳二十六地域に立地する研究所の全国でのシェアを見てみますと、一〇%から二〇%近くまでいわば倍増しているわけでございますから、この頭脳立地についても私は一定の成果が上げられたというふうに考えていいのではないかと思っております。  今度の新しい法律においては、現在の厳しい経済状況に対処するために、今申し上げました二つの法律の成果である産業集積あるいは研究集積を、新たな事業創出するいわば苗床として最大限に活用していこうというものでございます。  加えまして、この新しい法律においては、新しく事業を起こされる起業家が求めておられる支援施策を適時適切に提供するための総合的な支援体制整備を、既存の地域産業資源の活用を図りながらあわせて行うものでございます。  したがいまして、二つの法律の成果を踏まえた上で施策充実を図っていくというところに最大のねらいがあるというふうに御理解をいただければと思います。
  32. 島聡

    ○島委員 今大臣が全体的な総括どおっしゃったので、全体的な総括はそうだと思いますが、各地域あるわけでありまして、非常に進んでいるところも、ある意味で成果が上がっているところもあるし、それこそ先ほどの話のように、成長的にはまだ中途段階のところもある。そういうことも考えながら、今後の施策を展開していっていただきたいと思います。  八月に、夏でありますが、北海道へこういう地域産業振興関係のシンポジウムに招かれて行ってまいりました。北海道の若手経済人が言っておったのですけれども、北海道自身は、戦後は石炭産業、石炭産業といって、一生懸命やったらだめになった。石炭産業の後は、リゾートだ、リゾートだと言われてやって、今まただめになっている。完全に国に振り回されているという意見が多い。しかし、若手の経済人が言っていたのは、国に振り回された自分たちも悪いという意識は持っているようであります。  この振り回されたという表現がいいかどうかはわかりませんが、そこまで、いろいろな意味で、それぞれの地域地域で、いろいろな経済人が考えるようになってきました。そういうものの芽があるわけでありますから、テクノポリス法、頭脳立地法から今回の法律にかわるに当たりまして、いろいろなそれぞれの地域の特性ももう一度考慮していただきながら、新法の施策展開をしていっていただきたいと思う次第でございます。  次に、この新法全体についてまずお尋ねします。  第一条、目的。先ほど大臣言われましたけれども、この法律は、いわゆる創業等、新商品の生産もしくは新役務の提供事業の方式の改善その他の新たな事業創出促進するため、個人による創業及び新たに企業を設立して行う事業を直接支援するという目的が第一条にある。第十二条に、国等は、特定補助金等を交付するに当たっては、予算の適正な使用に留意しつつ、特定補助金等中小企業者等に対する支出の機会を増大するとあります。  これだけを読みますと、いろいろな分野にたくさん支援ができるわけですね。創業者全般を支援する。中小企業事業団による助成金の交付なんかもありますし、中小企業信用保険特別枠の創設なんかもある。ともすれば、これはある意味で先ほど言いましたばらまきにつながる可能性がある。このような、ばらまきにつながらず、きちんとした新事業創出という政策意図を実現化するために、どのような対処、どのような方法をお考えなのかお聞きします。
  33. 鴇田勝彦

    ○鴇田政府委員 この日本版SBIR制度につきまして、補助金のばらまきにならないような仕組みという御指摘でございます。  本制度につきましては、まず第一に、中小企業者に対しまして、新技術に関するすぐれた研究開発を行わせる。ただ、それだけではなくて、その事業化も頭に置きながら、事業化段階支援もしようということで、まさに先生指摘のとおり、ベンチャー企業による新事業創出というのを目的にしたものでございます。  法律の建前といたしましては、通産大臣が関係大臣と協議をいたしまして基本方針を定め、その中でこの制度対象になる特定補助金等というのを決めさせていただきます。その上で、交付の方針というのを閣議決定いたしまして、具体的に実額でどれだけの支出をするのか、そういった目標を定めさせていただいて、事後的にその実績を公表するという一つのソフトな仕組みで、中小企業向けの、特に新技術、ベンチャー創出のための技術資金の流れをより高めようということであります。  したがいまして、運用の段階では、米国のSBIRもそうですが、各省が既にお持ちのもの、あるいはこれから予算等で獲得されるようなそういった補助金等につきまして、具体的に各省レベルで、まず第一に、アメリカの制度で申し上げますと、各省の持っておる、例えばNASAとかあるいは国防総省、厚生省、環境省の持っておる、例えば二十一世紀において技術課題として緊要性のある、つまりそれだけニーズの高いもの、これをまず公募をしていただいて、それに中小企業者が応ずるということを基本方針でもうたいたいと思っております。  したがいまして、単純に各種の補助金について中小企業者にいわゆるばらまきで配るということではなくて、特定補助金等というところで、この趣旨に従ったようなものを選ばせていただいて、それにつきまして、各省庁の持っておられるノウハウをもとに将来のニーズを指定、公表していただくという仕組みにできるのではないかと思っております。  そういった点では、ばらまきの補助金にはならないように、我々基本方針を含めて勉強していきたいと思います。
  34. 島聡

    ○島委員 今、アメリカのSBIRの話をされたので、それと比較をしながらちょっと質問をしていきたいと思っております。  アメリカは、第一次クリントン政権でも、中小企業をアメリカ経済の根幹的存在であり、かつ経済成長の牽引役と位置づけた。これは我々民主党も同じでございます。  アメリカの場合、もちろん中小企業経済の牽引役であると言えると同時に、中小企業のSBIR政策が国家戦略的な目標を達成するためにも十分考えられている。現実に見ますと、もちろん中小企業育成策ではありますが、国家戦略、いわゆる航空宇宙の分野とかエネルギーの分野においては、アメリカが今後とも、二十一世紀においても比較優位を維持していきたいというのがあって、そして、それに対して中小企業の創意工夫を活用したいということを考えてやっておる。  それで、日本自身、このSBIR制度を戦略的に考えていく必要があると私は思っております。  日本でも、御存じのように、経済構造の変革と創造のための行動計画には、十五分野の戦略産業といいますか、そういうものを特定はしておりますけれども、特に、例えば情報通信とか環境、特にこれからの新しい経済では環境経済成長を鈍化させるというのではなくて、きれいな空気を維持する、水を維持するためにはどんどん投資をしなくてはいけない、そのためにどういうような産業が必要か、あるいはどのような技術が必要かということを、育成することが重要であると私などは思っておるわけでございます。  そういう意味で、このSBIR制度において、戦略分野を選定してやっていくお考えがあるかどうか、私はあるべきだと思うのですが、どうでしょうか。
  35. 鴇田勝彦

    ○鴇田政府委員 お答えいたします。  本制度におきましては、制度の性格として、幅広い産業分野における中小企業技術革新を促進するという観点から、分野の限定については特に行わない予定であります。  しかしながら、本制度対象になります特定補助金等の予算につきましては、それぞれ所管する各省庁、これからいろいろ協議をいたしますが、重要と考える分野の技術開発、それも事業化を頭に置いた、そういった技術開発に向けられたものでありますので、各省の持っておられるいろいろなノウハウ、ポテンシャルあるいは政策志向をかみ合わせますと、結果的に戦略的な配分が行われると思っております。  私どもとしましても、当然、経済構造改革行動計画の中で十五分野といういわゆる成長戦略分野を考えておりますので、こういった点との整合性についても、今後基本方針の策定、運用の段階で努力をしていきたいと思っております。
  36. 島聡

    ○島委員 アメリカのSBIRの場合には、特定補助金の支出に対しまして、法律によって、連邦政府機関が外部に発注する研究開発予算一定割合を中小企業に配分するように義務づけている。中小企業に配分する割合は、法律に明記されて、九七年からは二・五%に引き上げられていると聞いています。今何か予定調和的なことを言われて、各省庁がそれぞれやっていけば結果としてそうなるとおっしゃいましたが、本当にそうだろうかという疑問を私は持つわけであります。  さらに言うと、今アメリカのSBIRということをいろいろと例に出されましたので、どうして日本版SBIRにはアメリカのように一定比率を目標に設定するという方法をとらないのか。私はとった方がいいと思うんです。  やはり国家戦略として、中小企業の力というのを今後日本経済として生かしていく、それを法律にしておけば、いろいろな縦割り行政なんかを超えて、いわゆる民意を代表する国会あるいは政治が中小企業政策にこれから取り組んでいくんだということの意思をきちんとできるわけでありますし、そういう形式にすべきだと私は思うわけでありますが、結果として今回のように毎年度国全体の目標金額を閣議決定するというようなことにして、アメリカ版SBIRを参考にしながら今回はそういう方途をとらなかったことについて説明を求めます。
  37. 鴇田勝彦

    ○鴇田政府委員 お答えいたします。  御指摘のとおり、米国におきましては中小企業への支出の目標を現在では二・五%という比率で示しているわけでありますが、私ども制度では、一応次のような理由から、金額を目標にしようということで考えております。  第一には、比率よりも金額を掲げる方が、実際に実額ベースで毎年度毎年度中小企業者向けのこの種の補助金がどういった形で伸びていくか、これが一般にわかりやすい、目に見えやすいという点がございます。  あと第二には、これから特定補助金として指定される、委託費等々ありますが、その内容によりましては、大半が中小企業にそもそも向けられておる。私ども持っておる中小企業庁の補助金のようなものから、大企業に支出される比率の非常に高いもの等々、いろいろなもの、多様なものを含んでおりますので、比率を目標設定することについては、それぞれ補助金の特定の運用につきまして少し障害になるおそれがあるんではないかという点がございます。  もちろん、先生おっしゃるように、比率という形で縛り上げて進めていく方法も当然あろうかと思います。私ども、実際、本制度をつくるに当たりまして、後ほどいろいろ御質問があろうかと思いますけれども、共同で特定補助金について指定をするとか、つまり各省に任せるわけではなくて政府全体でこの補助金はかくあるべしというのを定めるとか、あるいは実際にその実額が伸びていかないようなケースについては、通産大臣及び事業所管大臣から、まさに予算を所管しておられる各省に対して要請ができるとか、そういった仕組みも考えておりますので、全体合わせますと米国の制度と同じような効果が期待できると期待しております。
  38. 島聡

    ○島委員 期待をしておられるということですが、これは特に運用が大事でありましょうから、今後ともきちんと私もフォローをしていきたいと思うわけであります。  アメリカのSBIRは、大体、スリーステップに分けられると言われます。第一ステップが、いわゆる事業の実現可能性を調査するために助成されるもの。次に第二ステップが、試作品の製造など具体的な研究開発であるもの。第三ステップは商業化である。ここでは資金的な助成はないけれども、成功すれば政府機関と納入契約もできるというようなことがある。つまり、ニーズ、シーズにプラスして、さらにマーケットもあるんだということであります。  日本では、官公需についての中小企業者の受注に関する法律というのが一九六六年からあるということは存じておりますし、全政府額の三七・九%はこれで中小企業の受注だということも存じております。問題は、これがともすれば、特に対象というところに不備があるんじゃないかと私は思っているんですが、アメリカは補給品と機械、建設、サービスそして特に研究開発というのが対象にある。日本の場合は物品買い入れ、工事の請け負い、役務の提供、その三つだと思います。  私は、今回の法律において、政府調達ということに対して余り考えられていない、特に今の状況では研究開発というものが考えられていないというところがありますので、今後政府のマーケットも積極的にベンチャー企業に対して行う考えがあるのか、そしてさらに、この新事業法をより実効性の高いものにする考えがあるのかどうかについてお尋ねします。
  39. 鴇田勝彦

    ○鴇田政府委員 御指摘にありましたようにアメリカの場合には、関係各省、たしか十省庁以上になっておりました。その中で、DOD、国防総省の占める割合が、二分の一くらいを占めております。防衛調達ということも一つございまして、先生がおっしゃるように実際にSBIRに基づいて中小企業事業化をした場合には、それが調達に結びつく比率は非常に高いものがあろうかと思います。  ただ、一般論で申しますと、私ども政府調達は、もう既に先生御承知のように調達の段階で公平な審査をして、随契ですべて調達するというわけにはまいりません。ただ、本制度の中では、仕組みといたしまして、各省庁がみずからの行政ニーズのあるものについて研究課題を提示しまして補助金を提示するというケースが望ましいわけですが、そういった形態の場合には、当然のことながら、研究開発段階を終え事業化されますとその調達の方にも、各省の持っておられる調達制度の中で、それにかなったすぐれたものであるという前提でありますが、結果的にこれも調達につながっていく点があろうかと思います。  ただ、この法律制度の中ではそういうことでございますが、私ども、別途本法案の中で御提案をさせていただいております事業団法の改正によりまして、需要開拓に必要な小口の助成制度というものも今回補正予算に載せさせていただいておりますので、そういったいろいろな制度、需要開拓予算も活用させていただいて、このSBIR制度を実のあるものにしていきたいと思っています。
  40. 島聡

    ○島委員 この十五条で、SBIR、いろいろな意味で各省の取り組みが不十分な場合には、通産大臣及び中小企業者の行う事業主務大臣は、各省各庁の長などに対し、中小企業者等への支出の機会の増大を図るため措置をとるべきことを要請することができるとなっておりますが、要請だけで、今いろいろな意味で各省各庁がやればそれで予定調和的にうまくいくんだというようなお話がありましたけれども、本当にそれでうまくいくのかどうかということに対して、いろいろな意味で私は日本の縦割り行政その他複雑な状態を見ておりますので、できるのかどうかについて極めて不安に思っておる次第でございます。  今後どのように取り組んでいかれるかについて、通産大臣にお聞きいたします。
  41. 与謝野馨

    与謝野国務大臣 要請できると法律に書いてあることは、大変画期的なことだと私は思っております。この法律においては、各省庁はSBIR用の特定補助金等中小企業に支出する機会をふやすように努力する義務を負うことから、各省庁の取り組みが的確に行われるよう、通産大臣などによる各省大臣に対する要請の規定を設けたものでございます。  これはやはり、閣議の場もございますし、また、法律にこれだけはっきりと要請ができると書いてあるということは、要請をしたことについての世論の背景というものもあるわけでございますから、法的拘束力はないことは先生指摘のとおりでございますが、そういうことを要請できるということ自体は大変なことだろうと思いますし、また、要請を受けますれば、その要請を受けた各省の大臣も、自主的な判断ではありますけれども、閣議での議論あるいはそういう要請がなされた社会的背景等々を考えまして、きちんとした対応をとられるというふうに思います。  また、もちろんその前提としてはこの法律の精神に基づいた御判断をしてくださると思っておりますし、いずれにしても、縦割り行政の弊害を避けて各省が連携していく、そういう精神に基づいて法律というものは運用されなければならないと私は思っております。  いずれにいたしましても、中小企業等の分野において新しい事業が出てくるとか新しい技術が出てくるとかということは、これはもう一省のみの話ではなくて、政府全体、あるいは国民の将来の生活にかかわることでございますから、政府全体として努力をしていく。それから、毎年度、政府の目標及び姿勢についても公表してまいりたい。そして、国民の御理解と御支援の上にこの法律を的確に運用していくというのが、やはり政府に課せられた責任であろうと私は思っております。
  42. 島聡

    ○島委員 今言われたように、要請ができることは画期的なことでありますから、つまりこれは、極めて、通産大臣の姿勢あるいは通産大臣の政治的指導力というのがきちんと出ることになるわけであります。  そして今、閣議の場と言われた。本当にそれできちんと議論されて、そしてそれが実行できるような状況になっているのかどうかをきちんと検証できるということでございますから、そういう意味で、すばらしい答弁をいただきましたので、今後とも、中小企業が新規事業創出できるかどうか、私もフォローをしていきたいと思いますので、しっかり頑張ってください。  終わります。
  43. 古賀正浩

  44. 川内博史

    川内委員 川内でございます。  大臣、きょうは夜まで大変だそうで、早目に終わらせていただきたいと思いますが。  まず、けさの新聞を見ましたら、四期連続で経済がマイナス成長だというふうに出ております。この間、私たちの政府は、景気対策と銘打って、百兆円になろうかというぐらいのいろいろな施策を講じてこられたわけでありますが、新聞の論評などによりますと、政府景気対策というのは、結局のところ、景気を下支えする対策ではあっても、景気を上向かせるだけの効果はないんだというような論評が出ておりまして、私も、新聞を朝読みながら、なるほどなというふうに思ったわけであります。  一般的には、景気対策という言葉がつくと、何となく、その対策によって景気が上向くのではないかという思いを国民は抱くわけであります。しかし、経済の構造というか経済全体の構成を見ますと、個人消費なりあるいは民間の需要というものが経済全体の中では大変大きな割合を占めているわけですから、政府が行う景気対策というのは、全くそのとおり、下支えの効果しかないということをはっきり打ち出すべきだろう。したがって、政府はこれから、景気対策と言わずに、景気下支え対策ということであらゆる対策を打ち出して、根本的には個人消費なり民間の需要というものが景気を上向かせるには大変重要なファクターだということを、国民に対してもあるいは民間の企業に対してもしっかりと明示をする必要があるのではないかというふうに考えているのです。  大臣は、この臨時国会の前あたりの記者会見で、補正予算については十兆円を超えるような財政出動が必要であるという旨の発言を繰り返しされていらっしゃって、私も景気下支え対策としては全くそのとおりだというふうに思っていたのです。しかし、金額だけが一人歩きをしまして、何兆円だとか、あるいは何十兆円だとか、金額の大きさによって景気が下支えされるということも、またこれはないだろうと思うのです。どこにどういうお金を使うかということが大変重要なことであろうかと思うのです。  今回、この二法案も予算関連の法案として提出をされているわけであります。この二法案で大体二百七十億円ぐらいの予算が組まれているということでありますが、この二法案を含めて、大臣が当初、補正予算編成前に繰り返し発言をしていらっしゃった、十兆円を超える規模の財政出動が必要であるということと、実際に組まれた補正予算は、大臣が思ったとおりの、景気を下支えするために使うべきところにしっかりと使われているのかどうかという御評価を、まずお聞きをしたいと思います。
  45. 与謝野馨

    与謝野国務大臣 日本の経済の現状はどういうことなのかということから始めなければならないのですが、昨年マイナス成長を記録し、また、昨日発表された七―九の数字もマイナスでございまして、このままほっておきますと、ことしのマイナス成長というのは、マイナス一・七とか八よりははるかに大きくなる可能性も秘めているわけでございます。  数字的に見ますと、やはり昨年の十月、十一月に起きました北海道拓殖銀行の破綻あるいは山一証券の破綻等は、実は、実体経済面での影響も大きかったんですが、国民の心理に与えた影響は大変大きかったんだろうと私は思っております。  現在、需要と供給のギャップは、通産省の試算で大体二十兆前後の需給ギャップがあるだろう。それから、民間のシンクタンクの計算は、三十兆を超えているものもありますし、三十五兆も超えております。そういうことで、非常に大きな需給ギャップがあって、どうも我々の社会はデフレスパイラルの入口に立っているのではないかというおそれを抱いていたわけでございます。  そこで、どういうことが起きているかと申しますと、GDPの中に占めます個人消費、これは先生が御指摘になられたように、日本の経済に最も影響を与える部分でございまして、この六割、約三百兆が個人消費でございますから、個人消費の動向というのが日本の経済の命運を決するという部分はあるわけでございます。しかし、個人消費も、可処分所得が実は減っております。  これは、失業者数がふえたことにより可処分所得が減ったということのほかに、実際は、奥様方がパートに出ようといったときにパートの機会が例えば減った、あるいは会社におりましても、今までは会社が忙しくて残業があった、それで手取りがふえていた、これもなくなったということで、可処分所得の減少というのが相当あった。  それから、住宅を着工する人たちも、こういうような経済状況で、住宅を着工していいのかどうか、つくっていいのかどうか、もうちょっと待とうではないかという、住宅着工のおくれもあります。それから、大変金融システムが不安で設備投資資金がなかなか確保できない、したがいまして設備投資については落ち込みがある。こういう状況が大ざっぱな日本の経済状況でございます。  そういう中で通産省が主張いたしましたのは、日本の経済を自然的な治癒力に任せておいていいのか。やはりこういう非常事態においては、財政を積極的に出動させて、先生が言われたような景気の下支えと言ってもよろしいですし、景気回復への呼び水と言ってもいいですし、需給ギャップを財政出動によって埋めると言ってもいいわけですが、そういう財政の果たす役割の重要性ということを我々説いていたわけでございます。  あわせまして、法人税とか所得税とか、日本の基本的な税制についての改正も必要だということも主張してまいりまして、また金融システムも、口だけで金融システムの安定ということを言うだけではなくて、いわゆる中小企業を中心とした融資体制の強化等もやらなければなりませんし、この国会に出てまいります日本開発銀行の役割の強化というものも、中堅、大企業等の金融に対して大きな役割を持つと思います。  補正予算のでき上がりをどう評価するかということは各省によって違うと思います。それから、通産省の各課各局に聞けばもうちょっと予算が欲しかったと言うに違いないと思いますけれども、やはり政府全体としてのできばえはなかなかきちんとしたものになったというふうに思っておりますし、公共事業ばかりでなく非公共分野にも相当踏み込んだ予算配分になっておりますから、日本の経済に対しては大変有効ないい影響を持つ補正予算であるというふうに私は考えております。
  46. 川内博史

    川内委員 言葉の使い方というのは大変に重要な問題であると私は思うのです。  私は車を持っていないものですから、地元で電車に乗ったりバスに乗ったりタクシーに乗ったりするのですが、景気を何とかしてくださいよと皆さんおっしゃるのですね。私は野党の議員ですから、いや、私が総理大臣だったらすぐにでも景気がよくなるかもしれないですけれども、私、野党ですから、なかなか難しいと思いますというふうにお答えをするのです。とにかく、国民一人一人がしっかりとしなければこの国の経済を立て直すなんということはできないわけですから、政府を頼りにする、あるいは政治を頼りにするという気持ちが、今デフレスパイラルの入り口に立っているというふうに大臣もおっしゃったわけですが、こういう状況であればあるほどだれかを頼りにしたくなる、何かにすがりたくなるという国民の皆さん方の気持ちはよくわかるのです。  しかし、政府ができること、政治ができることというのはごく一部だろう。あくまでも景気の下支えなんだ、本当に景気を回復させるのは皆さん方お一人お一人ですよ、あるいは会社一社一社が努力をするしかないですよということを明らかにするためにも、景気対策という言い方をやめて景気下支え対策というふうに改めることを政府部内で検討されることをぜひお勧めしたいというふうに思います。  次の質問に移らせていただきます。  またこれも言葉の使い方の問題なんですが、先ほど小野委員は、クリエーティブなアイデアとかすぐれた頭脳とか強い意志を持った人を育てるというふうにおっしゃって、大臣もそのとおりだというふうに御答弁をされたわけでありますが、全くその逆ではないか。クリエーティブなアイデアを持っているとか、あるいはすぐれた頭脳だとか、あるいは強い意志を持っているという人は世の中になかなかいないわけでございまして、大体は私のように、それほどクリエーティブなことも考えていなければ、すぐれた頭脳も持っていないし、めちゃくちゃ意志は弱いという人が世の中にはあふれているわけであります。  しかし、そういう人であっても、この法案に予定をされているように、何かちょっとしたアイデアで事業を起こせますよ、政府がそれをサポートしますよ、行政もそれをサポートしますよというふうにしていくことが、起業家、アントレプレナーを日本の国内にたくさんつくっていく、マインドを醸成していくことになると思うのですね。  開業率廃業率を下回る、廃業率の方が開業率よりも現状上回っているというのが大変な問題なんだということを趣旨説明の中でも大臣おっしゃっていらっしゃいましたけれども、要するに、失敗を恐れる、失敗できないと思うからかたくかたくいく、かたくいこうとすると結局何もできなくなる、シュリンクするという悪循環になると思うのですね。だから、失敗してもいいんだ、どんどん失敗しなさいというぐらいの気持ちでやっていただければいいのではないか。  それはモラルハザードと逆の面では言われるかもしれないんですけれども、しかし、すぐれたアイデアというのは、千あるいは万のうちから一つ出てくるのがすぐれたアイデアでしょうし、しかもすぐれたアイデアというのは、アイデアそのものがすぐれているのではなくて、大衆に受け入れられるから結果としてすぐれたアイデアだと後で言われることだと思うのですね。  例えば、たまごっちという世界じゅうで二千万台も三千万台も売れたと言われるゲームがあります。あれなども、私はあれをつくった女性に会ったんですけれども、ごく普通の女性で、こんなものが売れると思っていなかったと開発したその人がおっしゃっていらっしゃるわけでございます。あるいは携帯電話についている、今みんなつけていますけれども、このストラップですね。こういうものも、一生懸命こうやって考えたものじゃなくて、こんなものがあればいいなぐらいのもので恐らく考えられたものだろうと思うし、あるいは今大変にはやっている百円ショップなどもちょっとしたアイデアの中から生まれてきたものだろうと思うのです。  そういうちょっとしたアイデアを行政がサポートしていくというためには、皆さんいろいろなアイデアを持っていたらそれをどんどん提案してください、それを応援しますよというような仕組みが必要だと思うし、その仕組みがまさしく今回出されたこの法律だと思うんです。  新事業創出促進法という大変に難しい名前に法律の名称がなっていまして、そういうちょっとしたアイデアを、では行政の機関に相談して応援してもらおうかというためには、ちょっとわかりにくい法律の名称なんじゃないかなというふうに思うわけでございます。もっとわかりやすい名前にしてアピールをしていただきたいなというふうに考えているんですが、そのあたりについて、例えば新事業創出促進法案を別な名前、仮称で結構ですから、考えていただいて、世の中に広めていただくというようなことはお考えになっていらっしゃらないかどうか、御答弁をいただきたいと思います。
  47. 与謝野馨

    与謝野国務大臣 多分お気づきだと思いますが、政府が出します法律の名称というのは、えてして長ったらしくて何を言っているのかよくわからないようなものも多いわけでございます。そういう中で、今回の法律は、通産省の中でも相当検討しまして、なるべく短くわかりやすくということは考えたわけでございますが、新事業創出なんという割にこなれていない日本語なものですから、先生のような御意見も多分あるんだろうと思います。  ただ、この法案の中に含まれております考え方は、やはり先生指摘のように、新しいアイデアを持った人、新しい技術を持った人が、立ち上がりのときに全く何もない状況から始めるわけですから、そういう立ち上がりのときを支援するという意味では私は大変いい法律であろうと思っております。  ただ、こういう法律をつくりましても、数多くの国民の皆様方にこの法律の存在を広く知っていただくということが必要でございますので、それは、法律に愛称がつくかもしれませんし、どういう呼び方をされるかわかりませんけれども、少なくともその内容については、広く政府公報あるいは地方自治体の商工部等々を通じまして、なるべく多くの方々に理解をしていただく、知っていただくという努力は今後していかなければなりませんし、せっかくつくった制度が利用されないということは、それはあってはならないことでございますから、先生指摘のように、中身については私ども十分PRをしてまいりたい、そのように思っております。
  48. 川内博史

    川内委員 今の大臣の御答弁に関係をするわけでございますが、いろいろな面でPRをしてまいりたいという御答弁をいただいたわけですけれども、では、実際にこの法律が成立をいたしますと、私は大臣と同じようにこの法律のことを画期的な法律であるというふうに評価をしておりまして、個人の方でも、たった一人ででも支援を受けられるという意味では大変にすばらしい法律であるというふうに思っているんですが、具体的に、実際にどんなふうにこの制度を広く利用していただくためにPRをするおつもりなのか。  その辺の具体的なことについて、当局の方から御答弁をいただきたいと思います。
  49. 江崎格

    ○江崎政府委員 ただいま大臣からも申し上げましたように、この法案のPRというのは大変重要だというふうに私どもも認識をしております。  いろいろな広報活動の仕方を考えておりますけれども、例えば、中小企業事業団ですとか、あるいは各地にあります商工会議所、商工会、それから中央会、中小企業の団体がございますけれども、こういったところを通じまして、創業者向けの研修とかセミナーというのをいろいろ計画しておりますが、そういった場で、創業者に対しまして直接施策説明をしたいというふうにまず思っております。  それから、この法律が施行されました場合には、私どもが直接担当者を各地に派遣をいたしまして、地元の自治体の協力を得ながら法案説明をしたいというふうに思っております。  いずれにしましても、この法律の運用に当たりましては、関係の各省の御協力を得なければいけないと思っておりますし、また自治体それから関係機関の御協力を得なければいけないと思っておりますけれども、こうした各機関と連携をとりながら、創業者に対しまして直接法案施策説明したいというふうに思っております。
  50. 川内博史

    川内委員 PRするのに、画期的なPRの方法などというのもなかなかないわけでありますけれども、本当に、たくさんの人に、ほんのちょっとしたアイデアを持って、これを何とか事業化しようというふうに思っているような人が気軽に利用できるような制度にしていただければありがたいなというふうに思っております。  それで、ちょっと質問の通告には入れていなかったんですけれども、この個人というのは、日本に住んでいる外国人も含まれるのですか。ちょっとその点だけ。
  51. 江崎格

    ○江崎政府委員 特に国籍は問わないことにしておりまして、日本に住んでいる居住者であれば対象になり得ると思います。
  52. 川内博史

    川内委員 それは日本に居住している外国人の方にも大変朗報だと思いますし、そういう日本に住んでいる外国人の方こそ、何か小さな事業を起こしたいと思っている人がいっぱいいらっしゃるでしょうから、そういう意味でもこの制度は大変、運用面で余りがちがちにされると、かたくかたくいかれてしまうと困りますから、やわらか目に、何でもウエルカムだというぐらいの気持ちでやっていただければいいのではないかというふうに思います。  法律の中身について、一点だけ。  私自身は、この法律の第二十二条にございます情報処理振興事業協会の業務に関する規定の部分に大変興味を覚えまして、情報関連の人材育成事業ということを行うというふうに書いてあるわけですけれども、その事業内容に関して具体的に、イメージというか、こういうものですよということを御説明いただきたいと思います。
  53. 広瀬勝貞

    ○広瀬(勝)政府委員 情報関連ビジネスは、私ども、それ自体、今後の経済発展を牽引する非常に重要な分野だ、こう思っております。また、一般的に、企業経営をやっていくときにも、非常に効率的な企業経営という意味で戦略的な武器になっていくものだというふうに考えておりまして、今後の新規事業創出の中では非常に戦略的な位置づけをすべきではないかというふうに思っているわけでございます。  そのために、今度の法律の中では、これまで地域ソフト法というのがございまして、これは平成元年に労働省と共同でつくらせていただいたわけでございますけれども、これを拡充して、ここの中に位置づけようということにしておりまして、二点の拡充を図ったわけでございます。  一つは、これまでの研修対象というのは、どちらかといいますと高度な能力を有するプログラマーを育成するんだということになっていたわけでございますけれども、そういうふうに限定せずに、システムアナリストなりシステムエンジニアなり情報処理システム管理者なり、いろいろな人を対象に協力ができるようにしようというふうに拡充いたしました。  もう一つは、これまでは十年間かかりましたけれども、二十センターぐらいできておったわけでございますけれども、今度は、都道府県が作成する基本構想の中で位置づけられれば、そこに対して雇用促進事業団なりあるいは情報処理振興事業協会なりから支援ができるようにするということで、この場所も全国により展開しやすいようにするというようなことで拡充をいたしました。  いずれにしましても、情報の分野というのがこれからの新規産業創出に非常に戦略的な位置づけを占めるという観点からやったものでございます。
  54. 川内博史

    川内委員 これはぜひどんどん推し進めていただきたい分野であるというふうに私も思っておりますので、ぜひ頑張ってやっていただきたいというふうに思います。  次に、小規模企業共済法及び中小企業事業団法の一部を改正する法律案というものに関して、お伺いをさせていただきたいと思います。  時間がもう余りありませんので、小規模企業共済の加入、脱退、在籍の状況のグラフを拝見しておりますと、平成三年からは加入者が減少の傾向になっておりまして、平成六年度からは、加入者と脱退者が逆転をして、脱退者の方が多くなっているわけでございます。この状況に関しては、大変な経済的な低迷が続いている中で、加入者が減り脱退者がふえていくというのは、それはそういうことなのかなというふうに思うわけでございますが、景気が悪い中で、ほっておけばどんどん加入者は減っていくわけで、脱退者はふえていく。しかし、景気が調子が悪い中だからこそ、こういう共済などに加入をしていただいて、万一の場合に備えをしていただくということも必要なことじゃないかというふうに思うわけでございます。  そのインセンティブの一つとして、共済貸付制度というものの拡充を今回おやりになっていらっしゃるわけでございまして、それ自身は大変すばらしいことであるというふうに評価をいたしますが、融資の限度が掛金の七割から九割、そして限度額が五百万円ということでは、例えば自分で銀行に定期積み金を毎月五万円ずつしていて、お金が足りないときにその定期預金を担保にお金を借りるというのと余り変わらないわけでございます。  返済条件の緩和等はこの法律の中で、今回の改正の中でおやりになっていらっしゃるわけでございますが、インセンティブとしては、共済にどんどん加入をしていただくためにも、一定の事故率の低いグループに対しては掛金の倍額を借りられるようにする、五年以上掛金を掛けている人には倍額借りられますよとか、あるいは限度額が多くなりますよとか、そういう工夫というのがもっともっと必要なのではないかというふうに思うわけでございます。  この点に関してはどのようにお考えでいらっしゃるかをお聞かせいただきたいと思います。
  55. 鴇田勝彦

    ○鴇田政府委員 御指摘のように、実際に共済制度在籍者数というのは、委員指摘のように、非常にわずかではありますが低減傾向を示しております。このために、本制度のいろいろな特色がございます。掛金について所得控除があるとか、還元融資制度、これは今委員がおっしゃられた定期預金についての総合口座での融資、これは金利が逆転しておりますが、私どものこの制度では、特定の貸し付けについては掛金の利回りよりもはるかに低い金利でお貸ししているのもございます。そういったことで、いろいろな制度の魅力というのをいろいろな形で、今も第七次の加入促進運動を開いておりまして、鋭意進めております。  ただ、具体的に御指摘のありました制度内容についての御提言、我々もいろいろ知恵を出したいところだと思っておりますが、例示されました掛金総額の倍の金額の貸付限度ということになりますと、この貸し付けは無担保、無保証、即日になっておりますので、焦げついた場合には本来の相互扶助の運用資産である掛金が欠落をしてしまうことになりますので、法律上も、事業団法の二十一条というところに、ともかく共済資産の安全で効率的な運用を害しない範囲内で貸付業務は行えという定めもございます。したがいまして、この倍額というのはなかなか難しいかなと。  ただ、御指摘をいただいたようないろいろな形での知恵出しは、我々、まだ審議会自身は残しておりまして動かしておりますので、今後とも検討課題とさせていただきたいと思います。
  56. 川内博史

    川内委員 何か具体的に、さらにこういうことを考えているんだということはございませんか。
  57. 鴇田勝彦

    ○鴇田政府委員 審議会を春からずっと動かしてまいりまして、その成果物で現時点で最善のものを提案しておりますので、とりあえず我々の頭の中にはございませんが、今後模索をしていきたいと思います。
  58. 川内博史

    川内委員 融資限度額の引き上げとかは考えていらっしゃるというようなことをお聞きしておりましたけれども
  59. 鴇田勝彦

    ○鴇田政府委員 失礼いたしました。  私が若干誤解をしたおそれがありますが、現在持っております還元融資制度について、それぞれ今引き上げの案を持っております。財政当局と折衝中でございまして、これは私先ほど答弁した現時点での最善の案に入っておりますので、今折衝中で、限度額の引き上げあるいは金利の引き下げについても、運用金利が変わってまいりますので、検討、折衝中であります。
  60. 川内博史

    川内委員 その検討、折衝中というのは、どういった具体的な案をもって検討、折衝中でいらっしゃるのかということをお聞きしたいのですけれども
  61. 鴇田勝彦

    ○鴇田政府委員 いろいろ諸般の情勢を勘案しながら財政当局とまさにやっている最中でございまして、この場では控えさせていただければありがたいと思います。
  62. 川内博史

    川内委員 それはないしょということですから、では、また一生懸命頑張って大蔵省と折衝していただければと。融資限度額もさらに引き上げられ、また融資条件についても、いろいろと最善のものをただいま検討、交渉中であるということで理解をしたいというふうに思います。  多少時間は早いのですが、私は、日本の将来を背負う通産大臣の御身を考えて、この辺で質問を打ち切らせていただきます。ありがとうございます。
  63. 古賀正浩

    古賀委員長 この際、休憩いたします。     午前十一時三十六分休憩      ――――◇―――――     午後五時四十六分開議
  64. 古賀正浩

    古賀委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。太田昭宏君。
  65. 太田昭宏

    太田(昭)委員 小規模企業共済法及び中小企業事業団法について、初めに質問をしたいと思います。  改正の内容といたしましては、共済制度の利率改定や共済貸付制度の拡充が挙げられておりまして、共済制度の利率の改定が四%から二・五%ということ、また、共済貸付制度の拡充ということで、福祉対応貸付あるいは新事業展開等の貸し付けが追加をされ、さらに、共済金支給方法の多様化ということで、一部を一時金、残りを分割払い支給可能とすると、さまざまな改正点になっておりますが、根本論議として、小規模企業対策として今後の共済制度をどうしていくかという、制度自体の問題があると思います。  そこで、中小企業事業団の小規模共済事業のこれまでの運営の推移について、加入者の実態がどうであるのか、あるいは運用実績がどういう状況にあるのか、事業規模がどうであるのか、共済事由別の支給額がどうであるのか等々について、まずお聞きをしたいと思います。
  66. 鴇田勝彦

    ○鴇田政府委員 お答えいたします。  小規模共済事業のこれまでの運営状況についての御質問でございました。  本制度は、御承知のように昭和四十年に発足をいたしまして、平成十年、ことしの三月までですが、約二百六十万人の加入者がおられました。現在、小規模企業者の約三割に当たる約百四十八万人の方が在籍をしているというのが加入者の実態でございます。  第二に事業規模ですが、共済資産の残高規模でお話をいたしますと、六兆五千億円を超えております。これは、約二年に一兆円ぐらいのベースで金額がふえております。  それから共済事由別の支給額、共済金支給の実情でございますが、共済金等の支給額は、平成九年度におきましては、本来的な事業の廃止などのいわゆるA共済事由によるものが三万人、金額で千七百五十三億円、一件当たりの平均支給額では六百万円弱の五百八十八万円でございます。また、B共済と言っております疾病による退職、老齢給付などにつきましては、支給対象が約一万一千人で、総額七百十三億円、一件当たりの平均支給額は六百三十九万円となっております。  次に共済の資産でございますが、共済契約者掛金を原資として、将来の給付を十分賄い得るように安全かつ効率的運用に努めてきたところでございますが、資産運用の状況につきましては、債券の投資が全体の五五%、金銭信託で二三%、生命保険運用が一四%などとなっております。  このように、本制度小規模企業者廃業の場合に備えた生活安定資金事業再建資金支給する共済制度として、小規模企業経営の安定と振興に寄与してきたところであると考えております。
  67. 太田昭宏

    太田(昭)委員 共済制度自体について、利回りを下げるであるとか、あるいは、下げない以前の問題として、中小企業経営者の高齢化あるいはまた後継ぎの問題とか、特に小規模の経営者が抱える問題によって今後加入者が減少して、制度自体の維持存続が難しくなるのではないかというように思うわけでございますけれども、そうした構造的問題について、どのような状況にあるでしょうか。
  68. 鴇田勝彦

    ○鴇田政府委員 中小企業経営者の高齢化あるいは後継者難のもとで、今後加入者が減少していって、この制度自体の継続、存続が大変難しくなるのではないかというような構造的問題について御指摘をいただいたわけでございます。  ただ、本制度は、年金制度と違いまして、世代間扶養の考え方に基づくものとは異なりまして、共済制度として相互扶助の精神に基づいて、共済契約者掛金を運用することによって、収支相等の原則のもとで事業が運営をされているわけでございます。したがいまして、一概に、高齢化の進行等のみによって本制度の加入者が減少する、それによって運営が難しくなるということではないように認識しております。  ただ、現下の経済状況等を反映いたしまして、ここ数年、共済契約者の数が横ばいといいますか、微減をしております。こういった点からは、加入促進事業について、今第七次加入促進運動等をやっておりますが、そういったこととともに、今回の改正等を契機に、還元融資制度充実とか、既存の融資制度の改善とか、あるいは分割払いと一時金払いの併用制等、本制度に魅力を与える、そういった点での対応をしていきたいと考えております。
  69. 太田昭宏

    太田(昭)委員 小規模企業にとりまして共済制度経営上有効な事業であるかどうかという点についてもちょっと疑念があるわけですが、ほかの中小企業に比べて、小規模企業の加入者が受けられるメリットというのは一体どういうものであるのか。また、貸付事業におけるメリットということについて、答弁をお願いしたいと思います。
  70. 鴇田勝彦

    ○鴇田政府委員 小規模企業共済制度というのは、いわば小規模企業者の退職金共済制度というべきものでございます。実際にメリットはどういう点があるかと申しますと、御承知のように、掛金の支払い時あるいは共済金の受け取り時におきまして税制面で優遇措置がとられておりまして、これは大変大きなものになっていると思います。  また、加入者貸付制度につきましては、無担保無保証、原則即日に融資されるということで、急な資金需要が生じた際に、掛金一定範囲内ではありますが、迅速な貸し付けが受けられるというメリットもあるかと思います。  このため、近年、貸付件数、貸付金額につきましては大変伸びてきておりまして、九年度の実績で申し上げますと、貸付件数で約十二万件、貸付金額では約二千二百六十億円となってきております。  加えまして、今般、小規模企業の新分野展開、開業、あるいは高齢化対応等、高い資金ニーズが見込まれる分野につきましても貸付対象を拡大させていただくこととしております。金利につきましても、財投金利や政府関係機関の金利のレベルを考慮して、一層の金利引き下げをしたいと考えております。
  71. 太田昭宏

    太田(昭)委員 四%から二・五%になるわけですが、二・五%という数字の根拠。また、引き下げに当たりまして、中小企業事業団の管理の改善とか管理費の節約、そうしたことが必要ではないかというふうに思うわけですが、この点についていかがでしょうか。
  72. 鴇田勝彦

    ○鴇田政府委員 お答えいたします。  予定利率につきましては、金利の情勢とか資産運用の見通し、類似他制度の動向などを踏まえまして、最近の大変低い金利情勢のもとでも、法律上、制度の見直しは五年に一回義務づけられておりますが、その五年後までは再度の見直しをできるだけ避けられるようなレベルでの見直しをするということが考え方でございます。  具体的には、共済制度の財政収支の将来推計をいたしまして、将来にわたって適正な準備金の水準が維持されまして、かつ、他の類似制度に比しましても魅力が失われない水準であるものとして、審議会の議論等を経まして二・五%としたものでございます。  また、本事業を運営いたします事業団の管理コストといいますか、業務の合理化につきましては、従来からもやってきてございますが、一つには、先ほども申し上げましたように、資産運用規模が二年で一兆円ベースでふえてきております。また、資産運用について、ある程度の専門家の導入等を図るという体制整備面もございます。そういった中で、国からいただく補助金について、当然財政当局の査定は受けておりますが、できるだけ合理化をする方向で指導してまいりたいと思っております。  それから、予定利率四%時代に共済契約を結ばれている方々についてでありますが、これは、制度の公平性、健全性の観点から見まして、前回、六年度改正のときも採用いたしましたが、同様に経過措置を設けております。制度改正時点における現行制度下での共済金の額、つまり四%ベースの額をまず確定いたしまして、制度改正後は二・五%ベースの新規加入者と同様の内容を適用し、それを加算して支給申し上げるというような形で対応したいと思っております。
  73. 太田昭宏

    太田(昭)委員 新事業創出ということで、法案自体は私はいいと思いますが、今回のこの不況というのは、よく見ますと、中小企業が先に落ちていく、そこに金融が非常にリンクしている。貸し渋りということが実は二年前の秋ぐらいから始まってきているということがデータ的にも出ております。  新事業創出と同時に、きのうの経企庁の分析によりましても、結局のところは、八割を占める民需というものをどう拡大していくか、そこの崩落というものが非常に大きな要素であるということで、特に中小企業が元気になり、また働いている人たちが、今は賃金が非常に下落をしているという状況にあるわけですが、そうしたバックアップ体制をとっていくということが非常に必要だというふうに私は思っております。  そういう意味では、設備投資が非常に下落をしている、そして中小企業の従業員、四千五百万人いるわけですが、それらの人が賃金の下落等で大変困っている。こうしたことに対してのバックアップの体制を、中小企業庁としては徹底的に、また通産省としてもとっていただきたい。この辺についての御答弁をお願いします。
  74. 江崎格

    ○江崎政府委員 御指摘のように、短期的な雇用情勢あるいは景気対策に対応する対策と、それから全体としての構造対策、こうしたものを総合的にやる必要があるという認識を私ども持っております。  具体的に申し上げますと、この法案そのものは、現下の厳しい雇用情勢に対処いたしまして、雇用機会の増大を図るとともに、開業率の低下などの我が国経済の構造的な課題を解決するための新しい事業創出に向けた取り組みを支援しようとするものでございます。  同時に、政府は、一刻も早くマイナス成長から脱却するための、国と地方を合わせた財政負担の規模が十兆円を超える規模の緊急経済対策を取りまとめまして、そのための補正予算を本日提出いたしたところでございます。  新事業創出による良質な雇用の確保と、生産性の向上のための投資の拡大は、この緊急経済対策の重要な柱の一つでございまして、この法案は、そのような施策を実施する上での法律上の手当てを要する事項をまとめたものでございます。  それから、この法案のほかにも、分社化等によります新事業の展開、あるいは事業の効率化を促すための連結納税制度の導入の実現に向けまして現在最大限の努力をしておりますし、また株式交換制度の導入ですとか、あるいは民間の研究開発投資を促すための試験研究費の税額控除制度の改善を図っていく考えでございまして、さきに取りまとめました緊急経済対策、さらには昨年の五月に閣議決定されました経済構造の変革と創造のための行動計画に掲げられました規制緩和などの施策も強力に推進することによりまして、平成十一年度には我が国経済をはっきりとしたプラスの成長に転換をさせたい、また十二年度までには経済の再生を図るということで、全力を挙げてまいりたい、このように考えております。
  75. 太田昭宏

    太田(昭)委員 私の質問したことと全然関係ないことをお答えになっているようですが。質問通告しておりません。私が先ほど申し上げたようなことに対して、中小企業庁としてしっかりやっているのかどうか。中小企業の置かれている状況、貸し渋りの問題、設備投資ができていないというような問題、賃金が下落しているがゆえにそこのところの手当てをしないとならないというような問題、これについてどういう認識をしているかということを聞いているわけです。
  76. 鴇田勝彦

    ○鴇田政府委員 先生指摘のように、中小企業をめぐる環境というのは大変厳しい状況になっております。  具体的には、貸し渋り問題につきましても、去る八月の末に貸し渋り大綱を策定いたしまして、それに基づきまして各種の金融対策あるいは特別保証対策を設けております。具体的に、それ以外にも、私どもでいろいろ運用しております中小企業対策の制度、倒産防止対策につきましてもしかりでありますし、あるいは指導行政、そういった面での対応もさせていただいております。  今回、第三次補正予算につきましても、中小企業対策として十分な金額が確保できるように要求もさせていただきまして、政府原案には一応乗せていただいているということで、いっときも気を緩めることなく中小企業対策について万全を期していきたいと思います。
  77. 太田昭宏

    太田(昭)委員 今回の緊急経済対策で百万人雇用創出、こう言っているわけですが、昨年の十二月に閣議決定されました、いわゆる行動計画、ここで新産業とかさまざまなことについて十五分野があるわけですが、この十五分野のもの、そこで新規雇用ができるようなこと等について、新事業創出促進法と十五分野のそれとの関連性というのがどうなっていて、それが結果的に百万人なら百万人の創出ということに具体的にどうつながっているのかということをお聞きしたいと思います。
  78. 江崎格

    ○江崎政府委員 今御指摘の十五分野の問題と、今回の法案でお願いをしております新事業創出との関係でございますけれども、さきに決定されました経済構造の変革と創造のための行動計画に基づきまして実施をしておりますこの十五の産業分野の問題でございますけれども、これは、医療とか福祉とかあるいは環境といった今後の成長が期待されます新分野、こうした問題につきまして、規制緩和ですとか技術開発とか人材育成といったような施策を推進しておりまして、予算などの重点的な配分等を図りまして、それらの産業の成長を促そうということでございます。  今回御提案をしておりますこの新事業創出促進法案でございますが、これは、特定の業種ということではなくて、むしろ業種横断的に新しい事業に挑戦しよう、こういう人たちにつきまして、創業者などに対しまして資金面とかあるいは人材面の支援をしよう、こういったものでございます。こうした創業段階における支援策というものが十五分野における新規産業創出にももちろん貢献するということを期待しておりまして、通産省としましては、これらの施策を総合的に講ずることによりまして、引き続き経済構造改革の推進に努めていきたいと思っております。  緊急経済対策で百万人の雇用の創出、維持ということを言っておりますけれども、そのうち七十万人近く、六十数万人は、雇用の維持安定という対策で雇用の維持を図るということでございまして、三十数万人につきまして雇用の創出で押していこうということでございまして、今回提案をしておりますこの新事業創出法案、これは三十七万人の雇用の創出の非常に大きな柱になるものというふうに私ども期待をしております。
  79. 太田昭宏

    太田(昭)委員 最後に大臣に一問だけお聞きします。  とにかく、今の日本全体、新事業創出というのは非常に大事なことなんですが、それにはリスクをとってチャレンジするという精神というのは非常に大事なことだし、社会全体にそういう気風がなくてはならないと私は思います。文部大臣もおやりになった大臣ですから、その辺の、日本社会全体の新産業育成ということに頑張るということのバックアップ体制、教育も含めて。  それから、物づくり国家というものが、どうしても最近の論調では金融とかさまざまなことで言っておりますから、そういう意味では物づくり国家ということについての柱をしっかり立てていくということが非常に大事だと思いますが、それについて、ここは、こういう法案を出すというということで、通常国会でもベンチャーキャピタルについての法案を通したりいろいろしましたけれども、骨太の形でそうした新しいものが育っていくような体制について、ぜひとも強力な指導性をお願いしたいと思います。
  80. 与謝野馨

    与謝野国務大臣 新しい事業ができ上がる場合は、大ざっぱな分け方をいたしますけれども、アイデアで事業がスタートする場合もあります、あるいは複数のアイデアを組み合わせて事業を開始するという場合もあります。その一方では、先生今言われたような物づくりというようなことになりますと、アイデアというよりは、しっかりとした新しい技術というものも必要になってくるわけです。  したがいまして、我々は、やはり新しい技術を見出していく、そういう大事な、また地道な研究開発投資というものを国家も民間もやっていく。こういう姿勢は、やはり二十一世紀を目指す我々の社会としてはいつまでも持っていなければならない考え方であろうと私は思っております。  そこで、アメリカとよく比較されて、アメリカでは挑戦意欲があって、チャレンジ精神があって、新しい事業を行う人がどんどん出てくる、こういうことでございますが、ここには二つ実は事情がありまして、一つは、現在のような教育、大変画一的な詰め込み教育の中で、みんながみんな非常に平均的な仕上がりの子供たちになってしまう。そういう中で、創造性を大事にするとか、あるいは挑戦意欲を大事にするとか、そういう部分もやはり教育の中で多少考えていかなければならないと私は思っております。  一方では、どちらかといいますと、一流中学に入って、高校に行って、一流企業に行って、無事社会に出るというような平凡な道を割合社会の母親たちは好きだというところもございます。ですから、そういう意味では、学校での教育のほかに親たちの教育観というものも実はここにはかかわってくるわけだろうと私は思っております。  それと同時に、アメリカですと、一度二度失敗しても、もう一度挑戦する、そういう雰囲気があるというふうに私は伺っておりまして、これは難しく言えば倒産法制にかかわることでございますが、もう一方では、そういうものを温かく許すというような社会的なバックアップと申しますか、社会の雰囲気と申しますか、そういうものが必要なんだろうと思っております。  しかし、いずれにしても、既存産業で雇用を吸収するということのほかに、長い目で見ましたら、やはり新規の産業で雇用を吸収するということが大変大事なわけでございますから、今回の法律を通して、国がそういう新しい事業を始めようとされる方々に、事業を始める前から、また始めた後もいろいろな支援を用意する、そういう中でチャレンジ精神を持った方に頑張っていただく、そういうことだろうと私は認識をしております。
  81. 太田昭宏

    太田(昭)委員 終わります。
  82. 古賀正浩

    古賀委員長 中野清君。
  83. 中野清

    中野(清)委員 改革クラブの中野清でございます。公明党・改革クラブを代表しまして、新事業創出促進法案につきましてお伺いをいたします。  長期不況の中で、雇用不安が日を追って増しております。とりわけ公共事業に依存してきた地域経済の落ち込みというものは激しいものがありまして、そうした状況から脱却するために、地域活性化するためにも、本法案として、ベンチャー企業支援や新規産業創出を目指した施策というものを積極的に打ち出そうとする姿勢については評価をするものであります。しかし、これまでも新規産業創出に多くの施策が展開されてきましたが、なかなかこれが成功してこなかった。そういう意味でもって本案を考えなければならないと思っております。  まず第一に、第三次ベンチャービジネスブームが去りまして、その成功と失敗というものを考えるときにおきまして、意気込みと手厚い政策に比べまして、その評価というものは必ずしも高いとは言えません。過日もベンチャーの旗手と言われましたK社が倒産いたしましたけれども、なぜ我が国にベンチャービジネスが育たないか、また失敗の要因は何なのか、通産当局はどのように認識しているか、お伺いをしたいと思います。また、成功というか、ベンチャーの育成のためのあるべき要因というものについてもどう考えているか、あわせてお伺いします。
  84. 江崎格

    ○江崎政府委員 ベンチャーが育ちにくい要因でございますけれども委員御承知のように、ベンチャービジネスというのは通常の企業に比べましてリスクの多い事業を行っているわけでございますけれども、そういった関係から、リスクマネーの供給が十分ではないという資金面のことが言えると思います。それから、人材の獲得という点におきましても、事業の安定性を求める志向がございますので獲得が難しいという問題がございます。それから、技術の問題におきましても、今申し上げましたような資金の問題とか人材の問題あるいは情報の不足、こういった点から技術開発が容易でないというようなことかと思います。  そういった意味で、資金の問題、人材の問題、それから技術開発の問題、こういった点でなかなかベンチャービジネスの育成という点では困難を伴うということかと思います。  通産省としましては、こうした課題を克服するために、それぞれ資金人材技術の分野におきまして総合的な支援策を講じております。  資金面におきましては、例えば年金基金とかあるいは個人投資家などからベンチャー企業への資金供給が円滑にできるようにということで、年金の運用規制の緩和ですとか、あるいはエンゼル税制の導入といったようなことに努めております。また、人材面におきましては、大企業の退職者などによりまして、経営とか市場開拓に関するアドバイザーの制度を強化するとか、あるいはストックオプション制度を導入するとか、インターンシップ制度の導入といったようなことに努めております。また、技術面におきましては、大学などの研究成果を民間へ移転するといったようなことに努めております。それから、もちろん公的資金などによる技術開発にも努めております。  また、本年に入りましてから、四月に総合経済対策がまとめられたわけでございますけれども、その中におきまして、ベンチャー企業に対する債務保証制度の拡充ですとか、その他もろもろの施策を講じておりますし、また今般の緊急経済対策におきましても、新規開業及びその成長支援を柱とする産業再生・雇用対策を盛り込みまして、新しい事業創出に重点的に取り組んでいるところでございます。
  85. 中野清

    中野(清)委員 今の御答弁でございますけれども、いろいろと問題があるような気が私はしております。  もう一つ、ベンチャービジネスの問題としましては人の問題があります。今、企業家精神等を持って、どんな会社をつくりたい、そういう起業家と呼ばれる人はどのぐらいいるのだろうか。ちょっと私も疑問に思いまして、お伺いしたいと思うのです。人材育成とか起業家の養成、創出をどう考えているかということもあわせてお伺いいたします。  今日、先ほど太田委員質問に対して通産大臣がお答えになりましたけれども、日本の偏差値教育とかいわゆる金太郎あめ的な教育ではなかなか起業家は出にくいと私は思っております。例えば稲盛さんの盛和塾とか松下政経塾というようなものを含めて、やはり本当にそういう実のある教育とか環境の中からしか出てこないのだろうと私は思うのですよ。  例えばケンブリッジ大学のアントレプレナーサーベイ、いわゆるベンチャー経営者についての調査の資料をこの間いただきましたら、会社を起こそうとする動機と経営者としての人格形成、これは十八歳というものが初期の教育で重要だと言われているそうでありますけれども大臣として、二十一世紀型の企業育成、特に中小企業のベンチャー育成を目指すという立場から、今までの通産省のやり方ではできないのじゃないだろうか、ましていわんや文部省の今までの教育ではだめだと考えますときに、どのような人材育成を図ろうとしているか、まずお伺いをしたい。  それから、あわせまして、今回の中小企業への新技術を利用した事業活動への支援については、保証枠の拡大がありましたね。それから、担保とか第三者保証が不要な特別枠二千万の新設、これはまずまずと思いますけれども、この資金をここにやる以外にこの事業支援については何かネックがあったのだろうか、その点についてもお伺いしたい。私は、これは政策としてはいいと思いますけれども、果たしてお金だけ出して起業家が生まれるのだろうかという点については非常に疑問を持っておりますので、お伺いをしたいと思います。  もう一つは、こういう新規の事業創設というものも大事ですけれども、今までの企業に対するそういう問題に対して、むしろそっちの方がより重要であり効果があるんじゃないだろうかというふうに思いますけれども、その点についてもあわせてお伺いします。時間がありませんので、簡単に。
  86. 与謝野馨

    与謝野国務大臣 第一の質問は人の問題だろうと思いますけれども先生御承知のように、日本の教育というのはどちらかというと横並びでございまして、なかなか例外を許さない。教育上の例外措置ということを随分文部省も考えておりますけれども、なかなかそれがいろいろな意味でできない。昨年ようやく千葉大学で十七歳入学というのを理科系で一部実現をいたしましたが、それでも三人しか学生がいないということでございます。ことしあたりからそういう制度上の例外を認めるという雰囲気がどんどん出てくると思います。  やはり、みんながみんな企業家精神を持ちますとばらばらになりますが、何人かに一人はそういう元気のいい人が出てくる。また、そういう元気を出す人に対しては、例外であってもそういう例外的なしかるべき措置が適用できるというような教育制度、教育の柔軟性、フレキシビリティーというものを教育制度の中に入れる必要があると思っております。  それから第二の点でございますが、ある研究開発がありまして、その成果を利用して事業を起こそうという場合、やはり何といっても人材、それから資金、情報、こういうあらゆるものを持っておりませんと事業化というものはできないわけでございます。  そういうことでございますから、やはり研究開発段階では、具体的にまだ何もできていませんけれども研究開発には常にリスクが伴いますので、ベンチャーキャピタルから研究開発資金、海のものとも山のものともわからないようなものにお金を出してくださいといってもなかなかそうは出してくださらないわけでございまして、これは非常に大きな課題でございます。  今回のこの法律が用意してあります制度というのは、国などの研究開発資金中小企業に重点的に配分する、こういうことが盛られているわけでございます。その結果、事業化以前の初期の段階において資金を獲得することが可能になる。また、政府研究開発資金の交付を受けることにより、当該中小企業の信用力が向上し、事業活動円滑化する。要するに、国も出しているのですからもう少し出していただけないでしょうかという、例を挙げますとそういうことで信用力が高まる。そういうこともございまして、今回のこの制度では研究開発段階から事業化まで一貫して支援をするということを目指しているわけでございます。  ただ、資金面以外にも、経営力とか技術力強化のためのアドバイザー派遣制度とか研修制度とか、各種の支援を積極的に講じまして、新しい事業を起こすための手助けになるように国としてもいろいろやろう、これが今回の制度趣旨でございます。
  87. 中野清

    中野(清)委員 それと関連しまして、新事業創出の苗床となりますところの高度技術産業集積活性化についてお伺いしたいと思います。  この間、かながわサイエンスパークの方ともお会いしました。京都リサーチパークなどは比較的順調にいっていると思いますけれども、全体としては必ずしも成功していないと私は思うのです。  これについては、一つは、今まで施設としては比較的安くやっている、それはよくわかるのですけれども、それでも初期投資として負担が重いのではないだろうか。ですから、なるべく、いわゆる施設設備に対する償却とかなんとかというのではなしに、もっと育成という機能で、コスト主義というものではない全面的な支援が必要ではないだろうか。  それから、もう一つは、起業家インキュベーターを育成指導するところの指導者、コンサルタントの、いわゆるインキュベーターマネジャー、この養成についてはどう考えているか。また、インキュベーターマネジャーについて言いますと、この人たちの人件費とか運営費というものが非常に重荷になっているというのは事実のようであります。ですから、器はできたけれども、システムはできたけれども大変だ。この育成の視点からの対策は立たないか、お伺いしたいと思います。
  88. 太田信一郎

    太田(信)政府委員 インキュベーターの件についての御質問にお答えいたします。  先生指摘のとおり、新しい事業を立ち上げる時期におきましては、なるべく事業スペースを安く低廉に確保する必要があると私どもは考えております。  先生は、かながわサイエンスパークの例を言われましたけれども、今、民間事業者あるいは地方自治体が整備してきましたいわゆるインキュベーター、大体五十から百平米ぐらいございますが、通常、毎月平米あたり四、五千円かかると聞いております。かながわサイエンスパークの場合、私どもが聞きますと、五千円をちょっと超えるということで、そうなりますと年間数百万円に達するということで、かなりの負担になるわけでございますが、各地方自治体は、商工行政の一環、商工業の振興ということで、賃料補助をしている例もかなりあるところでございます。  今回私ども提案させていただいております法案では、国際的な技術水準にある研究機関が存在するとか、あるいは企業と連携する研究機関が多数存在する地域において、新事業支援施設、いわゆるインキュベーターを促進することが非常に重要だと思っておりまして、こういうようなインキュベーターを整備する第三セクターに地域振興整備公団出資を行えるような措置を、内容として含めさせていただいております。  公団の出資を受けることにより、当然、通常のインキュベーターよりも低廉な賃料の施設を提供することが可能になりますし、あわせて、先ほど申しましたように地方自治体が賃料補助をしておりますので、それを合わせればかなりの低廉な設備がサービスとして提供できるのではないかと思っております。  また、そういう施設とあわせて、おっしゃるとおり、インキュベーターを管理するというか、そこに入っている入居企業にいろいろな意味でアドバイスするという人材が必要であるということはおっしゃるとおりでございます。そういうことで、私どもとしては、入居企業の例えば事業計画を評価するとか、あるいは経営面でいろいろなアドバイスをするというような体制を今回の法案でも確立すべく、必要な措置について検討しているところでございます。
  89. 中野清

    中野(清)委員 今日まで、テクノ法とか頭脳法を使いまして産業集積というものの活用が行われました。これが今回、新事業創出プラットフォームということで整備しようとしておりますけれども、それならば、今までのテクノ法、頭脳法での反省点は何か。特に、地方に偏り過ぎだと私は思っておりますけれども、その点をお伺いしたい。  それから、もう一点は、これまでのハードから、ソフト面を重視した支援活動が特徴と言っておりますが、この推進に、今までのテクノポリス財団などの既存の機関が当然ありませんから、中核的な存在となって実施されるというのは当然だと思うのです。しかし、それだけでいいのだろうかと私は思うのです。むしろ、これまでの発想の積み重ねだけでは二十一世紀型の新産業創出のプラットフォームはできない。ですから、新しいコンセプトをつくる必要があると私は思いますけれども、そういう意味で、新進気鋭の大臣ですから、どうお考えになっていらっしゃるか、お伺いしたいと思います。
  90. 与謝野馨

    与謝野国務大臣 これまでのテクノポリス法、頭脳立地法の施行によりまして、各地域に特色のある産業集積や研究機能の集積が形成されつつあります。両方の指定地域においては、工業出荷額が全国平均を上回る伸びを示しておりますし、バブル崩壊後も他地域に比べて堅調な成長を示しております。総じて見れば、初期の施策目的は達成されてきたものと考えております。  しかしながら、これまでの成功の主たる要因が、魅力的な産業インフラの整備など立地条件の改善による国内外からの企業立地の促進による面が大きく、工場立地件数の低迷が続く現状では、新規立地よりも地域におけるベンチャー企業創出などによる内発的発展という観点から、今後一層の成果を上げていく必要があるものと認識しております。  こういう認識のもとで、今回の新法では、ベンチャー企業創出に必要となるソフト面の支援策充実し、総合的な支援体制を整えた上で、地域の資源を活用した地域産業自律的発展促進するという新しい考え方のもと、テクノ法、頭脳法で形成されてきた産業集積や研究集積を新事業創出の苗床として活用するべく、従来のテクノ、頭脳地域を継承する高度技術産業集積地域の設定とこれに対する支援措置のほか、新たに新事業創出支援体制整備などを図ることとしているわけでございます。     〔委員長退席、岸田委員長代理着席〕
  91. 中野清

    中野(清)委員 一九八九年では工場立地が四千百五十七件だった、ところが一九九七年には千五百二十件と極端に減っているわけですね。ですから、大臣が今おっしゃるように、従来型の活性化ではだめだということは事実ですから、新しい発想法でやってもらうし、その中でぜひ新しい施策というものをもっと充実してもらいたい。いわゆるばらまきではなくて、一点豪華といいますか、集中的にやってもらいたいということをお願いしたいと思います。  それから、ちょっと時間をいただきまして、実は大店立地法の指針についてお伺いをしたいと思うのです。  ちょうど、あと一年半後でございますか、大店立地法の施行を控えまして、指針策定のための合同会議が十一月には行われ、十二月一日にはいわゆるヒアリングが行われたと聞いております。恐らく来年の五月には中間答申も出ると思いますけれども、この大店立地法指針の基本方向に意見を募集するに当たって、通産省が、指針作成に当たっての基本認識というものを出していらっしゃいますね。私もインターネットでもってこれをいただきました。私は、そういう意味で、国会での審議とか附帯決議の趣旨というものを十分に生かしてもらいたいということを心から願うものなんです。  そういう意味でお伺いいたしますと、まず第一に、いろいろ細かいことは、理念は時間がありませんから申し上げませんけれども、町づくりの視点から例えばどのようなことを指針に盛り込んでいこうかと考えますと、現在いわゆる基本認識の中で言われているのは、例えば、出入り口の設定次第で回遊性を損なう場合にはどうしようとか、従来通り抜けが可能だった経路を閉ざした場合には歩行者の迂回というものについて確保するとか、その店舗ができることによってアーケードの連続性を損なうときにそれをさせないとかというような、いわゆる市街地の商店街における大型店というか、そういう問題についてはあるんですね。ところが、それじゃ郊外立地はどうなんだ、この点についての例示がありませんが、これはどうか。そういう点について、まず御説明願いたい。  同じように、そういうことからいいますと、例えば身近な買い物機会の確保ということについて言いますと、これはいろんな問題があるけれども、必要な場合にはゾーニング的な手法によって一定地域に望ましい商業集積というものを立地誘導することが適当であると説明しておりますけれども、前々から我々が指摘しましたように、ゾーニングとかこういう問題、特に特別用途地域等は都市計画の区域の中でやる話でありまして、しかも市街化区域だけだということになっております。それで、適用されない場所についてはどう考えるのか。  さらに言い方をかえてみますと、さっきもちょっと申し上げましたけれども、一番問題なのは郊外に出店する大型店の場合でございますから、その場合に中心市街地活性化の影響という点についても、この基本認識等の説明については、このままそうですかと言うわけにはなかなかいかないということを含めまして、御意見をいただきたいと思います。
  92. 岩田満泰

    ○岩田政府委員 お答えを申し上げます。  ただいま先生から御指摘の点は、既に法案審議の過程においても何度か御議論をさせていただいた点でございました。町づくりという概念は極めて広範なものでございますので、当時町づくり三法というような名前も国会からいただいたところでございましたけれども、そうした都市計画法を改正したり、あるいは中心市街地法をつくったり、あるいは大店立地法をつくったりというようなことを同時にお願いをいたしました。そうした三法の分担によりまして対応する、したがって、大店立地法もその一翼といいましょうか一部を分担するというようなことで御説明を申し上げたわけです。  現在、郊外立地等の関係でただいま御質問がございました。当時も、立地の適否、郊外立地が適当かどうかというような話については、改正都市計画法を初めとするゾーニング的な手法で対応するのが適切であるし、その上で、立地が可能であるということが確認をされた段階で大店立地法によって周辺環境との調整を図る、そういったものが大店立地法の位置づけであるということを申し上げたわけでございます。  ただいま御指摘ございましたように、既に産構審、中政審の合同会議を設置し、二回ほど会議を行ったところでございまして、大店立地法がまさに町づくりの一翼を担う、一端を分担するという意味合いにおきまして、かつまた需給調整とならない範囲内で具体的にどのような配慮を求めることが適切であるかという御審議を進めていただいておるわけでございます。  なお、身近な買い物機会の確保というようなことにもお触れいただいたわけでございますが、私ども、この点についても、法案審議のプロセスにおきましてゾーニング的手法の活用というようなことを申し上げさせていただきました。  ここで、ゾーニング的手法と呼ばれるものについて一言だけ御説明をさせていただきたいと思いますが、まさに都市計画法による用途規制でございますとか開発許可のほかに、例えば農地につきましては農振法というような規制があるわけでございます。都市計画の区域の内外を問わず土地利用規制が農振法によって行われておるということ、これもゾーニング的手法かと存じます。  それからさらに、都市の計画区域外あるいはいわゆる未線引きの白地地域というようなこと、この点は先生御自身からも御質疑があったように記憶をいたしておりますけれども、そうしたものについて条例の対応というものは可能なのかどうか、こういった論点もあったかと存じます。  この点につきましては、たしか建設省の方の御答弁によりまして、固有の観点からする条例による対応というのは可能である、このような答弁があったわけでございまして、そうしたものによって郊外立地等々の規制が必要な場合については適用をしていくということが適当なのではないかと考えております。
  93. 中野清

    中野(清)委員 今、農地法云々とかございましたけれども、もともと農地法は目的が違っていまして、それでできるというのは制度の目的外使用のはずなんですよ。条例は国の法律をめぐる論議には当然なじんでいませんし、これを持ち出したら、大店立地法の規制というものを含むいかなる問題も全部条例でやればいいじゃないかということになってしまうのです、はっきり申し上げて。それだけ言っておきます。だから、そういう点は慎重にやってもらいたい。  大臣、もう時間もありませんから、最後にちょっと申し上げます。  御答弁お願いしたいのは、例えば十三条の問題があります。それについて、自治体の裁量については、大型店に生活環境上の配慮を求める事項については、指針に定めるものをもってその外縁とすることが求められているとされておりますけれども、これはそうだと思います。しかし、地域ごとの実情に即した町づくりを推進するには、この外縁というものをできるだけ広くとっていく必要があるのではないかと思うのですよ。  この法律のスキームで想定する手続、内容を上乗せによって逸脱すべきじゃない、それを基本認識には書いてありますね、明記されています。ところが、附帯決議では、大店立地法十三条との関係で、改正都市計画法等を活用して諸外国でも行われている中心市街地の活性化のための郊外開発の規制等は行われ得ることを明らかにし、その旨を周知徹底することとしている。その点は全く載っかっていないのです。ですから、これではバランスを欠いていると言われてもしようがないのじゃないか。周知徹底しているけれどもなかなか難しい、私は疑問だと思うのです。  あえてこれを申し上げましたのは、今回の指針策定に当たって、基本認識なんかについて言いますと、どうも通産省は、この国会に出した原案に少しこだわり過ぎているのではないか。議論があった、あったと言うかもしれないけれども、少なくとも二十何時間もここで審議をして、しかも附帯決議までやった、その内容について書かないで、片っ方だけ出すというのは何事ですか。私はおかしいと思うのですよ。それが基本認識に出たならば、国会の議論なんか要らない。そういうことでもって、ぜひこの点はお伺いしたいと思います。
  94. 与謝野馨

    与謝野国務大臣 現在指針を作成しておりますが、やはり指針の作成に当たっては、客観的にその指針が、各地方自治体が使えるという指針でなければなりませんし、そういう指針をつくることによって外国からいろいろなことを言われないということもまた大事であるわけでございます。  もちろん、国会での附帯決議というのはあらゆる面で、行政を進めていく上で大変大事なことでございます。これは、その精神を生かすというのは国会議員の責任でもあり、またそれを伺う行政側の責任でもあろうと思います。こういう決議がなされたという事実はやはり広くいろいろな方に知っていただくということは大変大事なことで、その点は先生の仰せのとおりだろうと思っております。
  95. 中野清

    中野(清)委員 そういう意味で、今大臣からそうおっしゃっていただきましたから、私は、この問題についてはきょうは関連でございますからやめますけれども、おっしゃるとおり、これから指針というものをつくり、それから省令もありますし、具体的運用というような、具体的なものがあるわけです。この間もヒアリングがあったわけでございますし、私はそれについては当局は公平にやっていると思います。しかしどうも、さっき言ったように、そういう意味での原案を出されたという立場はよくわかりますけれども、国会で審議されたことについての重さというものを、今大臣おっしゃったように、よく理解していただかなければ、これはやはり困ると思うのです。  ですから、少なくとも基本認識なんかについてももう一回見直してくださいよ。それできちっとやらなければ、少なくとも地方自治体の人たちとかそういう人たちは、この基本認識とか皆さんのつくった指針とかそういういろいろなものを、これからのすべてを認めるわけでございますから、そういう意味で私はお願いしたいと思うわけでございます。  簡単で結構でございますが、もう一回、大臣の先ほどの御意見で大体わかっておりますけれども、もし御決意があったらばお願いしたいと思います。
  96. 与謝野馨

    与謝野国務大臣 指針というのは、ただぼやっとしたものが指針かといえばそうではなくて、各地方自治体が物事を判断するときの一種のクライテリアでございますから、ある意味で、その指針を見ればある物事を決める方向性はわかるというぐらいのところまで踏み込んだものが指針であろうと思っております。  一方では、やはり法律というのは、条文に書いてあることだけではなくて、立法者の意思というものを加味して常に判断されるべきものであると思っております。そういう意味では、国会での論議の過程でいろいろ明らかにされたこと、あるいは法律が例えば衆議院を通るときに委員会でなされた附帯決議、こういうものをすべて立法者の意思として、法律上には書かれておりませんけれども法律を解釈したり運用したりしますときにはこのような法律の立法者の意思というものは当然尊重されるべきものであるということは、多分当たり前のことだろうと思っております。
  97. 中野清

    中野(清)委員 ありがとうございました。大臣、よろしくお願いします。
  98. 岸田文雄

  99. 西川太一郎

    ○西川(太)委員 自由党の西川太一郎でございます。  大臣初め委員長、議員の皆様、大変御苦労さまでございます。私は二十分間でございますが、できるだけ議事進行に御協力を申し上げたいと思っております。答弁いかんによってはということでございますが。  まず第一に、今国会には新事業創出促進法案、また第三次補正予算案のうち中堅企業のための貸し渋り対策法案、またもう一つは、小規模企業共済法の改正法案、こうしたものが提出をされているわけでございます。  経済学の教科書を見ますと、景気循環というのがありまして、コンドラチェフの波というのが、これは一番長い。それから、ジュグラーとかキチンとか余り聞いたことのない経済学者の名前がついているのですが、そういう中で割と有名なのは、スタンレー・ジェボンズという人がいまして、この人はイギリスのアダム・スミスとマーシャルの間ぐらいの人であると思っておりますけれども、この人が太陽の黒点と景気の変動について論考したことがある。それはもう言うまでもなく、農業社会、農本主義の時代にはそういう論理も当てはまった。  ところが最近は、景気循環論も、アメリカのペンシルバニア大学のウォートンスクールのスパコンを使ってもなかなか当たらない。それはなぜかというと、余りにもたくさんの業種がある。そして、技術の陳腐化が早い。国によってそれを吸収するマーケットや、また供給するサプライサイドの能力が違うとかいろいろなことがあって、そう簡単に、景気がよくなる、悪くなるというのは言えない。堺屋長官ともここでやりましたけれども、堺屋さんはそのときにも、実は私の勘によるとともう既に言っているのですが、勘で景気を判断してはいけないと同僚閣僚からしかられたようなことがきょうの夕刊紙に載っております。  それはこっちへ置くとして、つまり何が言いたいかというと、今の日本。かつて、テレビが欲しいね、自動車買いたいね、たらいで洗濯しているおふくろ、気の毒に、洗濯機買ってやりたいな。さらにその前には、ステータスシンボルと言われて、パーカーの万年筆を持って、ロンソンのライターを持つ。それが今度はダンヒルになったりいろいろして、そんなことがずっと日本を支えてきて、今、テレビやクーラーや冷蔵庫は、内外価格差はほとんどないというより、むしろ日本が安い。欲しいものがだんだんなくなってくる。  みんなが、砂地が水を吸い込むように、もう無理しても、借金してもいろいろなものを買おうという時代に、日本は月賦屋というのができた。若い官僚の方々はそういうことを知らないだろうから、中年であります私から少しお話をするのですが、月賦屋というのを知っていますか、月賦屋。今はクレジットとか気取ったことを言うけれども、信用創造を起こすようなものだけではなくて、いかにして物を、物流をよくするかという仕組みが社会全体にあった。その根底には非常に旺盛な消費、そして生活改善、生活の水準を上げようというものがあった。  さあそこで、今の時代にそういうものがあるだろうか。確かにアントレプレナーシップというもの、これは教育によってできるものじゃない。ビジネススクールに通ったって、そんなものできるものじゃない。松下幸之助さんみたいに学校なんか行かなくたって大実業家になれる。これは一つのその人の持ったセンスの問題だと思うのですが、そういうものを一生懸命生み出そうという、生み出しても、苦労してもやりがいがあるな、そういう社会のいろいろな支援環境や土壌が用意されないと、新規事業、幾ら技術技術を組み合わせたからといって、それが欲しいもの、必要なものという区別の中で必要でないものになった場合には、そういうものは空振りするわけでございますね。  しかし、自由主義経済で市場経済ですから、一山当てれば大成功、こういうような、何か山師的発想みたいに思われるといけませんけれども、ともかく社会に貢献することによって経済的な成果を上げたい、こういう人たちを育てるということが必要だということを私は毎回言ってきたわけでございますが、やっとこのたびこういう法律ができるようになりました。  そこで大臣にお伺いするわけでございますけれども、けさからのいろいろな御論議で、なぜ今こういうことをしようとしているのかということはもう十分承知していますから、これを今さらお尋ねするのもやぼですからこれはもう割愛して、もう少し具体的に提案も含めて申し上げたいのですけれども、公的な支援をいろいろやるということは、今までも通産も努力されて、それから都道府県なんかも一生懸命やって、そういうものは結構あるんです、その機関は。しかし、何か縦割りで、それからばらばらで、そんなことを言ってはなんですが、私のようにそういうものに興味を持っている人間でもなかなかそれを簡単に説明できない。  多岐にわたっているといいますか、ばらばらだというか、これを統合していく必要があるんじゃないか。こういうことと今度の法律はどういう関連性があるのか。まず、その点から伺いたいと存じます。     〔岸田委員長代理退席、委員長着席〕
  100. 太田信一郎

    太田(信)政府委員 お答えいたします。  先生指摘のとおり、各都道府県にはテクノポリス財団とかあるいは中小企業振興公社とか、非常に多様な、多彩な産業支援機関整備されております。各機関はそれぞれの設立目的が当然あるわけでございますが、その目的に沿って中小、中堅企業への支援活動を行っているものと理解しているわけでございますが、今御指摘のように支援機関相互の連携が十分かということになりますと、必ずしもそうも言えない点もございます。やはり研究開発から事業化まで、起業家に対して一貫して総合的にサービスする体制が必ずしも十分できていないのではないかというふうに我々は考えているところでございます。  また、自治体からも、支援機関相互の連携強化のための施策、自治体みずからもいろいろ試みられておりますが、国に対してもそういうものに対してのニーズというか要請が強く寄せられているところでございます。  今回御提案させていただいています新法案では、多くある支援機関の連携強化によって、新事業創出支援体制、私どもプラットフォームという言葉を使っていますが、研究開発から販路開拓、事業化まで一貫してサービスできる体制をやはり整える必要があるということで、これまで難しかった中小企業振興公社とその他の支援機関の統合を容易にするための措置も含まさせていただいているところでございます。  こういう形で支援体制ができれば、中核的な支援機関を中心に人材面とか技術面とか情報面とかいろいろな御相談を受けるわけでございますが、そういうものをたらい回しにすることなく、ある一カ所に行けばいろいろな形でサービスが受けられるという体制を、私どもとしてはぜひともこの法案の制定を機会に整備していきたいというふうに考えているところでございます。
  101. 西川太一郎

    ○西川(太)委員 技術的に支援をする、またはシーズを、大学などからそれを分け与えるとか、工業技術院の研究成果を分け与えるとか、供給源としてはいろいろな方法があるでしょう。しかしそれはできるだけ簡素にしてわかりやすく、国の姿勢を、新規事業を起こすことに対して民間の方々のやる気を引き起こすような環境づくりをやるためにも、余りにもわかりにくい、また多岐にわたっているようなことはできるだけ早く整理をした方がいいということを、これは要望しておきたいと思います。  特に、資金の問題なんですけれども、今どこへ行けばそういう創業資金は借りられるのか。これはなかなかあるようでなかったり、ないようであったりいろいろするわけですけれども、私は、この際思い切って、行革の時代だから新しいものをつくることはいけないんだという風潮があるけれども、サンセット方式で、もう既に時代の役割を終えた行政組織についてはそれを見直すことは必要だと思うし、またこれからの時代に備えるという意味では、新規事業とか新規産業創出金融公庫とか、そういうようなものをつくるぐらいの決意で臨まなきゃいけないというふうに思います。これは通告してありますので、大臣大臣には通告していないかな、お話ししてあると思うのですけれども
  102. 与謝野馨

    与謝野国務大臣 実は、技術を持っている方は経営のノウハウを持っていない、両方持っているんだけれどもお金がないとか、そういういろいろなことが起きるわけです。  今から二月ほど前に、ある大学の研究所の教授が三人訪ねてこられて、我々はこれは事業化できるような技術だと思うんだけれども、どうやって会社にするかとか事業化するかということが全くわからない、これは一体どうしたらいいんだろうかと。これは私の学生時代からの友人で、理科系の大変優秀な人だったんですが。それで通産省で一応御相談に乗って、どこに行ってどうすればいいかということは一応お話をしたわけです。  西川先生おっしゃるように、まず、技術を持っている人に経営のノウハウというものを付与しなきゃいけないということも一つあります。それから、資金もないと事業はスタートできないということで、今回の法律に流れている思想といえば、その事業化以前のところから応援をしよう、それで事業化して、その事業化する過程でもずっと応援をしていって、それでその立ち上がりのところまで何とか、人あるいはノウハウ、資金の面で応援をしようという思想でこの法律はできていると私は思います。  そこで、どこに行って物を聞けばいいのかというのは実はなかなか一般の方はわからないという意味では、やはりこういう制度をつくる以上は、多くの方々にこういう制度がありますということを知っていただく必要があります。それは通産省本体でもやらなきゃいけない仕事ですし、政府広報全体の中でやらなければならないことですし、都道府県の段階あるいは中小企業事業団とか、もろもろの中小企業関係の団体もそういうことを宣伝していただく。そういうことで、この種の情報により多くの方に触れていただく、そういうことを心がけていかなければならない。  それで、そういうことを考えている方が、あっ、資金はこうすれば入手する可能性があるんだということで問題が解決していく場合もあるわけですから、その一般の技術を入手するということも一つ。あるいは経営のノウハウを入手するということも一つ。資金を入手するということも一つ。あらゆる意味でそういうチャンスがあります、そういう機会がありますということを広く一般の方々にわかっていただく。  これはもう西川先生おっしゃるとおり、せっかく制度が用意されていても、それが死蔵されているのでは困るということで、先生の御指摘はまさにそのとおりだと私は思います。
  103. 西川太一郎

    ○西川(太)委員 そういうすぐれた事業を発見して育てていくというのが本来の銀行、金融機関の責務なんですね。何でもお上に頼るというのじゃ、これは自由主義、資本主義経済じゃなくなってくるんですが、今こういう時期に銀行にそれを期待しても無理だし、さりとて新規産業は起こさなきゃいけないし、その新規産業も、中長期の日本のリーディング産業になるようなものについては今すぐどうこうということじゃなくて、このたびの法律案の付録でついてきた説明書のイメージのケースによれば、これはみんな、ちょっとしたこと、または人的資源の組み合わせを変えて、切り口を変えることによって新規産業に参入できるような、比較的大がかりなことをしなくても新たな創造ができるということを中心にやるということでございます。  根本思想は、やはり制度疲労を起こして、そして新たな時代に突入をしていくという日本経済を長期的にも新規産業をしっかり育てていくということが必要でありますから、今度のことは、単に一千万円を上限に手持ち資金の見合いで貸すとか、またもう一つの法律は、いわゆる掛金をしていれば五百万を共済法の改正によって貸すとか、そういうような単純な問題ではないわけでございまして、こう薬を張って肩の凝りをほぐす、しかし、その凝りがどこから来ている凝りなのかという内科的検診も原因究明もして、そして手術が必要ならする、こういうことも大事ではないかというふうに思います。  与謝野大臣のやる気満々のお答えを伺いましたから、以上のことを要望いたしまして、質問を終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
  104. 古賀正浩

  105. 吉井英勝

    吉井委員 私は、新事業創出促進法案について、まず伺っていきたいと思うのです。  この法律というのは、地域産業資源を有効に活用して地域産業自律的発展を促す、その仕掛けをつくっていくというところに一つの大きな目的を持っているものというふうに説明も伺いましたし、理解もしているつもりです。  そこで、この立場から、テクノポリス法とか頭脳立地法、地域ソフトウェア法などを廃止して新法に発展的に移行するとしているわけですが、そうすると、これまでの法律が、まずテクノポリス法ならテクノポリス法について見たときに、どのように機能してきたのか、そしてどんな課題にぶつかっているのか、それを解明していくことが今非常に大事なときだというふうに思うわけです。  そこで、テクノポリス法のことに関連して伺っていきたいのですが、これは、八〇年三月の産業構造審議会の八〇年代通産政策のあり方に関する答申、いわゆるビジョンですね、これを受けて、そして、この法律の第一条の目的にも掲げられているハイテク工業開発促進というところから、一つは先端技術産業の誘致、もう一つは内発的産業開発、これは地域産業企業への技術移転であったり、それから技術高度化、先端産業化を図るということをかなりねらいとして始まっていたというふうに思うわけです。そのことを非常に期待した誘致型の開発だったというふうに思うわけです。  もちろん産学住の住はありますが、これはちょっと置いておくとして、そういうねらいを持って、あるいはそういうことを期待して始めたのがテクノポリス法であったというふうに思うのですが、こういう理解でよろしいでしょうか。
  106. 太田信一郎

    太田(信)政府委員 先生今御指摘のとおり、テクノポリス法は昭和五十八年に制定されまして、産学住の環境整備を整えることによって高度技術開発というか高度技術企業を誘致する一方で、地場の企業高度化を図っていくことを通じて集積促進して、その地域の発展を促すということが目的だったというふうに考えております。
  107. 吉井英勝

    吉井委員 それで、全国の二十六のすべてを順番に見ておりますととても四十分という時間におさまりませんので、当初優等生というふうに見られておりました熊本テクノポリスについて、私も実際に調べてもみたのですが、せんだって宇都宮のテクノポリスも見てまいりましたが、テクノポリス承認前と承認してから、そして現在の状況というものについて、少し整理して、最初に雇用という角度から見ておきたいのです。  このテクノポリスというのは、ハイテク産業の誘致、生産性の高い工場を張りつけたところから始まっておりますから、工業出荷額はうんと伸びたわけですね。これは事実問題としてはっきりしているわけで、ですから、テクノポリスを始める前の八〇年と比べてみますと、九五年で、熊本でいいますと、工業出荷額は二・八倍になっている。  一方、雇用の方は一・二倍。これは、こういうハイテク産業などという特性もあって、大きな雇用創出にはなってこなかった。ですから、テクノポリスという性格からすると、全国各地を見ても、必ずしも大きな雇用創出にはつながらなかったということが一つ言えるのじゃないかと思うのですが、この点はどうですか。
  108. 太田信一郎

    太田(信)政府委員 昭和五十八年に制定されて以降、二十六カ所がテクノ地域として指定されたわけでございますが、工業出荷額におきましては、昭和五十五年から平成七年までの全国平均の伸び率が約六〇%、それに対してテクノの二十六地域でございますが、これが大体八四%ということで、大幅に上回っております。  今先生質問の工業従業者数でございますが、全国の平均で昭和五十五年から平成七年までが伸び率が〇・三でございますが、テクノの二十六地域は四・五%伸びている。ですから、工業出荷額の伸びほどではございませんけれども、従業者においても、地域によってばらつきはあるかと思いますけれども、相当の伸びを示しておる。ただ、平成二年から七年までを見ますと、全国平均がマイナス七・六%というものに対してテクノはマイナス四・九。これも、両方とも落ち込んでいるわけですけれども、落ち込み度は低いというふうに考えておるところでございます。
  109. 吉井英勝

    吉井委員 実は、熊本だったら余りにも特殊になりますから、この間宇都宮も見てまいりました。そうすると、今おっしゃったように、宇都宮にしても、八〇年と九五年で比べると工業出荷額は二・九倍、大体熊本と同じように伸びているわけですね。それに対して雇用の伸びは一・二三倍ですから、大体同じようなものなんですが、やはりハイテク産業、非常に生産性の高いという特性がありますから、雇用の伸びという点ではなかなか当初期待されたほどにはいかないというのが実態だったなということを特に感じました。  なお、宇都宮では、八五年、九〇年、九五年というふうに見ていきますと、雇用が減ってきているのですね。これは、ハイテク産業でさらに生産性を高めるという中で、リストラということもありますが、あるいは企業の海外移転ということもあって、伸びる方を期待しているのですがむしろ減っている、そういう現実もあるということを私も認識してまいりました。  それから、全国的に見ますと工業従業者数というのは、達成率の方で見ますと、全国二十六カ所の目標数値に対する達成率では四〇・九%。ですから、やはりなかなかこれはいろいろな問題を抱えているなと認識したというのが実態です。  次に、誘致企業がハイテク分野であるということから、例えば電子機器の使用とか高い工作精度を求めるという特性を持っていますから、もとからあった地元の中小企業が下請に入って、そこで技術移転が行われて力をつけていく、そこで地元の中小企業が発展するということになかなかつながりにくい、こういう難しさを持っているなということも実は認識した次第です。地元中小企業が下請として製造の一角に入ることが困難だ、これも一つの事実だと思うのですが、これはどうですか。
  110. 太田信一郎

    太田(信)政府委員 テクノポリス二十六地域、本当にいろいろな、多彩な発展をしていると思います。光技術に非常に志向した地域、あるいはバイオとか、これは今先生が言われましたような電子機器、電気機器ということでございますが、それぞれの地域において、当然のことながら、大企業あるいは中堅企業が誘致されてもう十五年たちますので、いろいろな活動をしております。  今御指摘のように、下請の中小企業なりそういうところに十分意が払われているかという御質問かと思いますが、例えば鹿児島地域を見ますと、ここは国分隼人にテクノがございますが、石播とかあるいは日本電気とか京セラとか、そういう重立った誘致された企業とそれから地元企業、これは二百五十社ぐらいあると聞いておりますが、交流会とか勉強会をやっておりまして、その過程において技術移転等が行われ、当然部品の購入等も含めて行われているということで、一体的に発展している地域も多々あるというふうに我々は認識しているところでございます。
  111. 吉井英勝

    吉井委員 私もそのおっしゃった鹿児島のところへ行きまして、ソニーの工場を、社長さんとお会いしてまいりましたが、例えば熊本のテクノのところでいいますと、本田がありますね。千分の五とか、千分台の精度を要求されるとなかなかそこに及ばない、だから、それが東京とか大阪とか各地からどうしてもやってきてしまう、部品がやってくるんだというお話もあります。  それから、同じ自動車ということで、これはテクノの地域とはちょっと外れますが、九州トヨタヘ行ったときも、地元企業で入れたのは佐賀鉄工一社ぐらい、まともに入っているのは。あとは結局、広島なり愛知県から部品を持ってこないと自動車はでき上がらない。  そういうふうに、ハイテク産業とか生産性の高い企業、そういうものになるほど地元への波及効果がなかなか難しいというのが現実問題としてあるということを、これは鹿児島でも熊本でも聞かされたわけです。別な角度から見ますと、地元中小企業がふえたのかという点ですね、あるいはテクノポリスの圏域外への波及効果があったのか、こういう角度から見たときに、これはどういうふうに把握していらっしゃるでしょうか。
  112. 太田信一郎

    太田(信)政府委員 一つの例をまた述べさせていただきますと、仙台にテクノポリスがございますが、この地域は宮城県のリーダーシップもありまして、東北六県にわたって、まだ十分成果が上がっているとは聞いておりませんけれども、いろいろな形でネットワークを組んで、自分たちの人材だとか技術だとか情報を外に出すとともに、あるいはほかの県からそういう情報をもらって、お互い切磋琢磨しつつ、あるいは協力しつつ発展していこうという動きも見られまして、私どもとしてはこういう動きをぜひとも支援していきたいというふうに考えておるところでございます。
  113. 吉井英勝

    吉井委員 私は、その仙台も見てまいりましたが、こういう御時世ですから、波及効果がうまくいく間に企業がつぶれてしまっては大変なので、そこを心配しているんです。  実は、熊本県のテクノポリス第三期開発構想というのを熊本県庁が出しておりますが、テクノ地域への立地件数は、バブル経済期であった九一年の二十六件をピークに減少し、九五年には十三件とピーク時の半分に減少するなど、景気低迷とともに海外への生産移管の問題、非常にこれは頭が痛いのだということを指摘しております。  「産業立地」九七年三月号で、新設・廃業事業所の地域特性というのを挙げておりますが、これは熊本地域のテクノポリスもそうですが、全国二十六のテクノポリスでの新設が七千百五十八、廃業事業所が九千五百四十と、廃業事業所数の方が多いというデータを出しております。  圏域外への波及効果という点では、これは工業出荷額で見ますと、実は熊本の例でまた見ますと、テクノ地域で県全体に占める割合が、一九八〇年に三一・二%であったのが、九〇年には四〇・六%、九五年には四九・一%と、大体半分をテクノ地域が占めるようになったのですね。  私は別に、テクノ地域が伸びて悪いということを、けちをつけて言っているのじゃないですよ。ただ、本当に波及効果があるならば、その下請などに入って圏域外でも実はもっと伸びなきゃいけないのですね。非常に大きな格差がついてしまっているというのが現実の問題としてありますので、やはりここは、さっきも言っておられたような、当初の法のねらいからすると非常に大きな問題といいますか、解決をしていかなきゃいけないことじゃないかと思います。  次に、研究開発支援の方がうまくいっているのかという点で、地場中小企業への技術移転が成功しているのかどうか、この辺も少し伺っておきたいと思います。
  114. 太田信一郎

    太田(信)政府委員 先ほどもお答えいたしましたように、各地域で大企業中小企業それから地元のテクノポリス財団等が集まって、研究会、交流会あるいは異業種交流会等をやっておりまして、その過程において、私ども、一〇〇%十分とは言えないまでも、いろいろな形で技術移転が行われると考えております。  それから、私ども、今回新しい法案の中で、従来からやっていることでございますが、そういう総合支援体制をプラットホームというふうに言わせていただいておりますが、そういう中で、地場に眠っている、大企業等に眠っている、そういう特許なんかをきちんと地場の中小企業に移転するとか、あるいは、これも従来から私ども工業技術院が中心となってやっていることでございますが、地域コンソーシアム研究交流事業ということで、産学官、地元の国研あるいは公設試それから大企業中小企業等が組んで、三年間ぐらいにわたって、地場の資源を活用しながら技術の涵養というか発展を促すようなこともやっております。  そういうことが相まちまして、全体として地域中小企業技術力の向上に今後ともつながっていく、そのための努力を引き続きしていくつもりでございます。
  115. 吉井英勝

    吉井委員 その点につきまして、十数年やってきた熊本県が昨年九月に出した文書を読んでおりまして、県外からの先端技術企業の導入と地域企業技術力向上には必要な基盤整備は順調に進展したものの、地域企業技術力の高度化については十分な成果を上げるに至らなかった、財団法人熊本テクノポリス附属電子応用技術研究所から生まれた技術シーズをもとに地域企業が大きく成長、発展した事例は少ない、こういうことを熊本県自身が指摘をしております。  ですから私は、この技術移転の問題でも、どこをどうしなきゃいけないかということの解明を、やはりもっと現地に即して、ここを解明していく必要があるのじゃないかというふうに思います。  あわせて、進出してきた企業が、今期待していらっしゃる技術移転をやるどころか、今日の経済情勢がありますから、企業が国を選ぶ時代だ、こういうことで、最適生産条件の国なり地域を求めてさっさと出ていくんですね。この間宇都宮へ行ったときも、実はそれが心配なんですよと県の方は言っていらっしゃいました。  進出企業に、海外移転を少なくともやめるとか、かなり長期にわたって延ばすとかして、テクノポリス圏域と周辺の地場中小企業への技術移転と地域経済の発展に尽くすということを義務的に求めるということについて、かなり工夫をしていくことはできないものかということについて、通産省として何かお考えを持っていらっしゃるのならお聞きをしておきたいと思います。
  116. 太田信一郎

    太田(信)政府委員 先ほど前段で委員が御指摘の熊本の場合、おっしゃるとおり、テクノポリス財団の附属機関の電子応用機械技術研究所が中心となって、マイコンの制御技術を利用したいろいろな新製品を開発して、それも事業化に成功していると聞いております。そういうものがまだ足りないか足りるかという御議論はあるかと思いますが、そういう方向で各地域で努力をしていることは間違いないと思います。  それから、そういうことについて、何か大企業に強制的にそういうことをやらせるということは、いかがかと思います。実際は、先ほども申しました交流会とか異業種交流会とかそういうことで、大企業はまさにその地域に根づくためにいろいろな努力をみずから自発的にやっているわけでございまして、そういう努力を、私どもとしても環境整備することによって、さらに発展させていきたいというふうに考えているところでございます。
  117. 吉井英勝

    吉井委員 そこで私は少し、研究開発を進める上での環境整備といいますか条件整備といいますか、その辺についても伺っておきたいと思うんですが、大体、テクノポリスをやっていく場合に、かつての県の工業試験場とかそういうもの、名前は県立工業技術センターとかネーミングを変えたりということもよくやられていますが、そういうものが、中小企業の分析試験を引き受けたり、あるいは研究開発支援ということをやっていく上で、十分役割を果たしてきたのかな、あるいは役割を果たす上でどんな問題があったのかなということを少し見てみたいと思うのです。  地場の中小企業の分析依頼にこたえることから研究開発支援などを行っていく公設試験研究機関が、ですからそういう点でもっと充実されなきゃいけなかったと私は思うんですが、実は八〇年代に入ってからは、地方行革、リストラで縮小してしまって十分機能を果たし得なくなってきている。そういう問題もあったのではないかと思うのですが、この点はどういうふうに見ていらっしゃいますか。
  118. 鴇田勝彦

    ○鴇田政府委員 お答えいたします。  地場の中小企業技術力向上を図るための公設試験研究機関の活動でございますが、私どもでいろいろな支援措置について補助金制度等も盛ってございます。  もう今さら先生に申し上げるまでもなく、優秀な技術者を雇い入れることがなかなか難しい中小企業ですから、新たな技術を取り入れるということも当然時代の要請でありますけれども、現在おります技術者の方の能力アップをするということで、技術指導とか資質向上策もやっております。  それに加えまして、今御指摘の、地場の中小企業者の方々がいろいろな試験施設とかといったものを活用できるような点についての支援といたしましては、技術指導支援設備費の補助金というのを設けてございます。これは、技術指導とか技術研修に必要な設備を整備したり、あるいは、外部の中小企業がいろいろな試験をしたい、テストをしたいという場合の試験機器を、開放試験室の形で整備をさせる補助金でございます。  これは、十一年度におきましても約二億円ぐらいの補助金を用意してございますが、実績的には、平成九年度でもこの開放試験室の利用実績というのは約三万六千件から七千件ございます。また、この施設を利用した技術相談数の実績も四十万件くらいございまして、我々は、このニーズに応じた対応なり支援というものも引き続きやっていきたいと思っております。
  119. 吉井英勝

    吉井委員 中小企業庁としてそういうふうにやっていくというお考えのところはお考えのところとして、実績を見てみますと、これは科学技術庁の科学技術研究所が出している資料ですが、八〇年代に工業系公設試験研究機関の設立十二が、九〇年代に入って三と減少してしまった。だから、期待されているときに余りふえていないということが一つある。  もう一つ、総務庁統計局のデータですが、科学技術研究調査報告の中では、公設研究機関というのは、ちょうどテクノの始まる直前の八〇年と今日の九七年と比較しますと、公設研究機関で全国で七十九減っているのですね。研究者の数で八百三十七名減り、研究本務者の数で七百九十九名減り、サポーティングスタッフ、研究補助者の数で二百六十二名が減ってきている。  ですから私は、テクノだといって中小企業に力をつけさせるように支援するということになれば、本来もっとこういうところに力を入れなきゃいけないのに、そこが実はこの間後退していった。そういう問題があったということを、これは事実の問題として指摘しておきたいと思うのです。  それで、このテクノの中での役割というのは、公設試もそうですが、研究機関の役割をうんと果たしていくということが大事なわけで、この点では、先ほど熊本の応用機械技術研究所のお話を太田局長おっしゃったと思うのですが、実際にこの研究機関が期待される役割を果たしたのかどうかという点については、通産省としてはどういうふうに見ていらっしゃいますか。
  120. 太田信一郎

    太田(信)政府委員 研究機関として、今先生指摘の公設試の場合、それからテクノポリス財団に附属して設置された研究機関。それで、テクノポリス財団に附属して設置された研究機関の例を、熊本の件を申し上げましたけれども、もう一つ申し上げたい。  例えば山形県に、生命工学の研究所が山形テクノポリス財団に附属してできておりまして、これは山形大学とか関係の企業と一緒になって生命工学というかフリーラジカル、酵素の勉強をしておりまして、その関係でいろいろな医薬品とかそういうものの開発に非常に大きな成果を上げている。  当然のことながら、すべてのところが目を見張るような成果を上げているかというと、そういうことも言えないかと思いますが、大きな流れとしては、まさに地場の企業とそれから関係の地域の大学等と協力しながらいろいろな努力をしておる、それがひいては地場の中小企業などにも及んでいくというふうに私どもは考えておるところでございます。
  121. 吉井英勝

    吉井委員 私もテクノの優等生と言われた熊本について少し調べてみたんですが、今の熊本の電子応用機械技術研究所の実態を調べてみますと、八五年四月から九四年度までのデータしか私の手元にありませんが、受託研究四十四件中、熊本県の二十一件とか国と県の共同で三件、中小企業事業団五件、科学技術庁三件、建設業福祉事業団二件、NTTやオムロン等県外企業六件などで、ほとんど地場の企業の受託研究というのはない。受託調査の面でも、熊本県、九州電力、県内産学官による共同によって行われたものが中心で、ほとんど見当たらないわけですね。それから、開発技術の移転が四件この間ありましたが、県内の地場大手企業一件、テクノ進出企業一件で、県外の大企業系列が二件。  ですから、地場の中小企業皆さんが本当にここで力をつけてベンチャー企業として発展していくとか、それで雇用が進むとか、なかなかそういうふうになっていないのが実態だなというのがモデル地域でも見られる実例だと思います。  そういう点では、実は熊本県の出しているものでも、中小企業者の共同利用の研究所としての役割を果たしていないという指摘もしているぐらいです。熊本大学の地域共同研究センターというのもあそこにありますが、これも八八年五月から九四年度までのデータでいいますと、民間企業との共同研究は七十七件あるのですが、県外大企業や団体とのものが五十件、県内進出大企業とやったのが十五件で、六十五件。県内地場企業との共同研究は十二件しかない。  ですからやはり、どうすればもっと活用できるようになるのかとか、なぜそこがうまくいかないのかとか、その辺のところの解明がさらに必要なんじゃないかというふうに思うわけです。  それで、この研究所については、目指してきたのは国際的な技術水準を目指す研究所にしていくということで、IC、メカトロに特化した研究所という性格と、県内地場企業技術高度化ということを上げていたわけですが、NECとか三菱電機などの大企業の方は、出捐金を出さないだけじゃなくて、もともと高水準の研究機能を自前で持っているわけですから、独立採算性の地方の共同利用の中小研究所に委託する必要は全然ない。  それから、地場の中小企業になると電応研というのは高ねの花になってしまって、他業種の製造業や中小零細企業には、メカトロ利用の合理化というのはあり得るわけです、しかし、メカトロそのものの開発研究の依頼というのは非常に考えがたいという問題を持っていて、結局よく活用しているのはどこかというと、多分さっきおっしゃったのはそこだろうと思うのですが、立石電機ですね。オムロンがたしか三億ぐらい出資していたと思うのですが、オムロンの取締役をここの研究所の所長に送り込んで、社員も派遣研究員で出ている。ここは、MSI回路の設計からフォトマスクづくりを行って、今のメカトロ機器生産から中規模集積回路の製造に進出していこうと。  ですから、この進出したかなり大手の企業には確かにここは役立っているわけですが、なかなか地場の企業がそこを使って本当に伸びていくというには、大臣、かなり時間をかけてくどいように申し上げてきましたのも、やはりもともとの期待というのは、技術集積なり、あるいは大学その他の知的な集積などを活用して、地場の中小企業が力をつけて内発的な発展を進めていく。大手企業は、企業は国を選びませんから、工業用地を造成し、安ければ行くけれども、人件費も安ければ行くけれども、条件が変わればさっさと出ていく。しかし、地場の企業というのはやはりそこで頑張ってくれるわけですから、そういう企業を育ててこそ日本経済の安定的な発展はあるというところに、本来こういう産業立地を考えるときには大事な視点があったと私は思うのですが、現実にはなかなかそうはいっていない。  ここのところを踏まえた上で、もう少し、次に地方財政の面も見ておきたいのですが、実は、地方自治体財政がどうなったかといいますと、このテクノポリスをつくるということで道路その他土木費を随分使いましたから、八五年から九五年にかけての間に土木費は一八・二二%から二二・四六%へ急増しているのです。一方それは、教育費が二八%から二二・八九に落ち込んだり、民生費が七・七三から五・九〇に落ち込んだりとか、だから、そちらが圧迫されている。  県の財政を見るとそういうことなんですが、県の借金の方、県債の方、これは八七年の四千二百七十三億円から、八千九百八十一億円、九五年ですが、借金の方は二倍に膨らんじゃった。だから、地場中小企業、雇用、自治体財政、すべてがうまくいくことを本来期待して始まっていたと思うわけですが、現実はなかなかそうはいっていない。  私は、やはり新しい法律を考えるというときには、本当はもっと早い時期から出してもらってよく議論できる必要があったと思うのですが、かなりどたばた劇で、一週間前にこの法律もらって私も大慌てで勉強中なんですが、やはり、今こういう現実を踏まえて、何が必要なのか、何を解決しなければいけないのかという根本を問うというところが大事になってきていると思うのです。  この点だけは、ひとつ大臣の方にも、今こういう状況の中で、政府としてもどこをどう切り込んでいかなきゃいけないというふうにお考えになっていらっしゃるか、その辺だけ、簡単で結構ですから伺っておきたいと思うのです。
  122. 与謝野馨

    与謝野国務大臣 まず、先生おわかりいただけると思うのですが、例えば東京という場所をとりましてみても、これは江戸時代からずっといろいろな意味でのインフラが積み重ねられておりまして、突然町ができたわけでもありませんし、突然例えば大田区のいろいろな中小企業ができたわけではなくて、やはり長い歴史が、時間が必要だったわけです。そういう意味では、人工的にそういう工業集積をつくろうというのはそう簡単な試みであったとは思えない。しかし、ある一定の成果は上げたろうと私は思っております。  地場の中小企業というものが、先ほど言われましたように、余り雇用創出もなかったじゃないかということもありましたし、余りハイテクであって地元の中小企業がついていけないという場面もあるんだよ、突然やめられてみんなが困っちゃうという場面もあるとか、いろいろなことがあるのだろうと思いますが、地域経済も、そういうマクロの経済からも影響を受けますし、あるいは技術変化というものからも影響を受けますし、また製造拠点が日本から海外に移るということによっても影響を受けるのだろうと思っております。  政府としては、補正予算を何回もつくりまして事業を追加的に実施をしまして、需要を喚起する一方で、新たなマーケットを形成する力のある事業創出することが必要だ、そういう観点に立っているわけでございます。  この新しい法律においては、いろいろな支援機関がございますけれども、そういう支援機関相互に連携をするという必要性を説いております。これは、ばらばらにやっていたのではなかなか使い勝手も悪いし、効果もないだろう。また、地場の中小企業への円滑な技術移転等を可能にするやはり総合的な支援体制というものが必要だろうというふうに考えております。  それで、地域技術あるいは研究成果の事業化促進するために、基本構想において定められた高度研究機能集積地区において、ベンチャー企業事業活動を行うためのインキュベーター等の整備を新たに講じることとしておりまして、これらの支援策によりまして、地域における新事業創出、ひいては地域経済の内発的な発展が促進されるものと考えております。この内発的な発展というところが、先生指摘のとおり、大事なところだろうと私も考えております。
  123. 吉井英勝

    吉井委員 あと五分ほどなので、締めくくりの方に入っていきたいと思いますが、九六年時点で、全国の工場適地における立地未決定面積というのを調べてみますと、何と四万七百六十八ヘクタールあるわけです。九六年の工場立地面積が千七百二十九ヘクタールですから、つまり、今二十三・五年分の未決定地が広大にあるわけです。テクノ地域の遊休地というのを調べてみましたが、九四年時点で、分譲済みが七千五百九十七ヘクタールで、分譲中や造成中等が七千百七ヘクタールと、大体同じぐらいあるのですね。  それで、八四年のテクノポリスの計画承認以来九〇年度まで、二十六地域で調べてみますと、その間に投資された累積額は三兆六千億円と、物すごい金が投じられた。土地は随分余っている。しかし、その間に、さっきも少し触れました例えば公設試験研究機関が数が減ったり、研究者が減ったりとか、本当はやはり人が研究するわけですから、力を入れるべきところがおろそかにされてきた。今、大もとのところで、根本的なところで考えていかないと、そして誘致型のやり方で頼っているだけじゃうまくいかない、そこのところに来ているということを私は申し上げておきたいと思います。  最後に、この法律のもう一つ別な面では、一遍に話は飛びますが、創業者支援の問題があります。  この法案創業者についての定義の一と二は十分理解できるのですが、三のところで、会社がみずからの事業の全部または一部を継続して実施しつつ、新たに会社を設立し、事業を開始すること、これも「創業等」に含まれるということになっています。これは、ある企業が単に既存事業部門を分社化、子会社化することではないのかという問題があるわけです。そうした分社化した親会社も創業者になり、一定の要件を満たせば事業革新法の適用を受けるということになると思うのですが、これはこのとおりでよろしいか。
  124. 江崎格

    ○江崎政府委員 そのとおりでございます。  創業者の類型として三つございまして、その最後の類型の中に今おっしゃったようなのが入っております。
  125. 吉井英勝

    吉井委員 それで、新設される会社の事業の見込みが要件に含まれるわけですが、分社化について考えてみると、例えば、日経十一月二十七日付に出ましたが、日立製作所は家電事業のリストラ策を先月二十六日に発表して、日立の洗濯機、掃除機、プリンター事業部門を日立多賀エレクトロニクス株式会社という新会社として分社化する、蛍光ランプ、電球などの事業部門を日立ライティング機器という新会社として分社化するなどの中身です。これは全部創業に当たるというようになるわけですが、そうすると、現会長が改めて、新しく起こした日立の初代創業者になるという妙なことにもなるわけです。生産の減少、落ち込みの激しい家電業種なら、事業革新法の適用も受けられます。  ここで少し、事業革新法の運用の実情を確認したいというのでこの間伺ったのですが、事業革新法による事業革新計画承認企業のリストをもらうと、日産自動車、帝人、三菱化学など、名立たる企業がずらりと並んでいました。  先日、通産省にこの企業の従業員の増減データを求めたのですが、なかなか出てこない。しかし、この間、これらの承認企業が猛烈な人減らしをやったということは周知の事実であります。マスコミ等でも紹介されました。実はこれは、事業革新法の審議のときに私が指摘をしたことなのですが、そのとおりになっちゃったわけです。事業革新といっても、実際はリストラや人減らしを支援する法律として役立ったにすぎなかったのではないかという問題があると思うのです。  ですから、今度の法律を考えるときに、この問題についてどう考えていくのか、それを本当に食いとめようとするためには何をしようとお考えなのか、この点だけ最後に伺って、時間が参りましたので質問を終わりにしたいと思います。
  126. 江崎格

    ○江崎政府委員 先ほど委員指摘のように、分社化をするという場合に、創業者の定義には当たりますけれども、それを事業革新法の特例の適用対象にするかどうかという点につきましては、幾つかの要件が法律で決められておりまして、この要件に適合するかどうかということでございますが、具体的なケースに基づいてそれぞれ判断することになると思いますけれども、一般論として申し上げまして、今の御指摘の雇用の点でございますが、子会社をつくる機会をとらえまして、親企業でこれまで働いてきた従業員を有効に活用していく、つまり安易に解雇されない、働く意思があるのに解雇されないというようなことが適用を受けるための原則だというふうに考えております。  ただこれも、親会社で現に働いている従業員が意思に反して解雇されずに親会社とかあるいは子会社で働いていけるということでございますが、創業後、ある期間が過ぎまして、例えば新規採用など一切しないという場合に全体として従業員が減少するということはないわけではないというように思います。  ただ、本来期待しておりますのは、分社化によりまして親会社も子会社も事業がさらに発展をいたしまして、そこで雇用もふえてということをもちろん期待しておりますが、全体として雇用が減る場合が一切ないかというと、それは全く否定はできないというふうには思っております。
  127. 吉井英勝

    吉井委員 時間が参りましたので、終わりたいと思います。ただ一言、この法律が人減らしに利用されないように、それは厳しくやっていただきたいと思います。  終わります。
  128. 古賀正浩

  129. 横光克彦

    横光委員 社民党の横光克彦でございます。きょうは、大臣初め政府委員皆さん、本当に長時間にわたり御苦労さまでございます。もうちょっとお時間をいただきたいと思います。  今回提出されておりますこの二法案、各党いろいろな形から、さまざまな角度から質問をされまして、ほとんど重複するところばかりですが、確認の意味を込めまして、二、三質問させていただきたいと思います。  まず、新事業創出促進法案ですが、これは、新たな事業創出促進するために主務大臣基本方針を定めるとあります。国が定めるこの基本方針に基づいて、当該都道府県等地域産業資源を有効に活用した新たな事業創出促進に関する基本構想を策定することになっております。  この基本構想は、従来の計画行政のスタイルとは異なって、構想自体に対し国の承認あるいは認可等が行われるものではなく、都道府県等が主体性を持って策定するものである。これは、国の関与をできるだけ少なくしようという地方分権推進の観点から非常に評価ができるものである、私はまずこのように思うわけでございます。  高度技術産業集積地域は、これまで施行されておりますテクノポリス法やあるいは頭脳立地法、これらによる集積地域を受け継ぐ形となるわけですが、これまで、これら集積地域が国からの承認を受けるために、申請に当たって膨大な作業を経て計画を作成した、そして都道府県により調整が進められてきたわけですね。これは大分県のテクノポリス基本構想ですが、それは大変な膨大な形でこれがつくられたわけです。  今回こういったテクノポリス法やあるいは頭脳立地法は廃止されることになるわけですが、これまでに形成されてきた蓄積をいかに有効に活用して、そしてまた引き続き国からの財政的支援を受けるために、つまり税の優遇性等を伴うわけですから国の同意が必要なわけです。そうした支援を受けるために、都道府県等においては高度技術産業集積活性化計画を策定することになるわけでございます。  まず、この計画に定めなければならない事項とはどのようなものなのか、そしてまた、これは従来のテクノポリス法や頭脳立地法におけるものとどのように異なるのか、そこのところを具体的に御説明いただきたいと思います。
  130. 太田信一郎

    太田(信)政府委員 お答えいたします。  高度技術産業集積活性化計画というものを都道府県知事につくっていただくわけですが、記載事項としては、大きく分けて三つございます。一つは集積地域の区域を記載していただく、もう一つは当該地域における新しい事業創出の目標、三つ目が必要な施設設備に関する事項ということでございますが、従来のテクノ法等におきましては、それ以外に、企業に対する資金の問題とか、あるいはその他工業開発に必要な事項、特に包括事項みたいなものを記載させることになっておりまして、かなり自治体に負担を与えたということがございます。  今回の新しい法案では、そこを極めてスリムにして、自治体への負担を極力軽くする方向で全体の枠組みを考えているところでございます。
  131. 横光克彦

    横光委員 先ほどからいろいろ、これまでのテクノポリス法あるいは頭脳立地法にかかわった計画策定が大変だったというお話がございました。できるだけ負担を軽くお願いしたいと思います。  先般、事業規模が十七兆円、減税枠を含めると総額で二十兆円を大きく上回る史上最大規模の緊急経済対策が決定されたわけですね。きょうの本会議でも、宮澤大蔵大臣から財政演説で御説明がございました。  今審議されております新事業創出促進法案は、これらの緊急経済対策の具体的な実施に向けて、新規事業創出と雇用確保を図る上での一つの手段である、このように位置づけられていると思います。緊急経済対策によりますと、百万人規模の雇用創出を目指すものとされておりますが、本案においてどの程度の雇用創出が期待できるとお考えなのか、想定されておるのか、お伺いいたしたいと思います。
  132. 江崎格

    ○江崎政府委員 今委員指摘になりましたように、緊急経済対策におきまして百万人規模の雇用の創出、安定を目指しているということでございますが、一定の前提を置きまして、対策実施後一年間ぐらいの間にどのぐらいの雇用が創出されるのかという試算がございまして、約三十七万人ぐらいの雇用の創出効果があるというふうに言われております。  一方、この緊急経済対策に盛り込まれております雇用活性化総合プランというのがございまして、これによりまして雇用の維持の安定が図られるというので期待されておりますのが大体六十四万人ぐらいということで、その合計で百万人ぐらいということになっているわけでございますけれども、今御審議をいただいております新事業創出促進法案、この法律によってどのぐらい雇用が生まれるのかというのは、実はなかなか正確に推定するのは難しいのでございますけれども、先ほどの新しい雇用が三十七万人生まれるというものの有力な手段にはなっているというふうに私ども考えております。
  133. 横光克彦

    横光委員 この法案が大いにそういった分野で効果を発揮していただきたいと思っております。  先ほど計画策定についてお伺いしたんですが、これは都道府県が策定するわけですが、先ほどからお話ございますように地方財政が今非常に厳しいわけですね。地方債の発行ももう限界に来ているわけです。ところが、この法案には、地方に資金の確保、これは三十六条ですが、そしてまた施設の整備、二十九条ですが、こういったことが求められております。これは、正直申しまして、地方にとりましては非常に厳しいわけです。都道府県等においても行政のスリム化あるいは効率化が求められているところであり、先ほどのお話では、余り地方には今回は負担はかからないんだ、スリムな形でいくんだというお話でございましたが、本当に、地方の負担が極力重くならないようにお願い申し上げたいと思います。  いま一つの小規模企業共済法及び中小企業事業団法の一部を改正する法律案についてもちょっとお聞きいたしますが、今回のこの法律改正案、正直申しまして、小規模企業者を取り巻く状況が悪化している中で、本制度の契約者の不利益になるような改正ではないかと私は思うんですね。もちろん、貸付制度等の充実、拡充も盛り込まれておりますが、非常に厳しい改正である。  低金利が理由とはいえ、六・六%が四%に、これは九五年ですが、そして今回二・五%に、この三年間で四%以上も予定利率が引き下がったわけですね。私から言うとこれは異常な事態であるというふうに思うわけです。加入者も現在で三割程度である。これが今度一気に二・五%まで引き下げられるということは、ますます魅力のない制度となってしまうんじゃないか、加入意欲が減退するんじゃないか。そういう懸念もあるわけですね。  前回の改正時に、従来の共済金基本共済金として、これに毎年度の運用収入等をもとに付加支給、プラスアルファを行うという二階建て方式が導入されました。しかしその後、この付加支給は一度も実施されたことがないわけです。今回の改正によってこういった予定利率を下げることになれば、私は逆に付加支給の重要性が増すと考えるのですね。そしてまた、加入者はこのことを非常に期待しておるし、求めていると言ってもいいんじゃないかと思うんです。  しかし、付加支給を行うには資金運用を最大限に努力していかなければならない。そのためには、今後中小企業事業団が行う共済資産の運用体制の整備、これも私は必要となってくるのじゃなかろうか。具体的に言えば、資産運用実績の向上を図るために、資産運用にかかわる専門家の養成を行ったり、あるいは資産運用の配分等については外部の専門家の意見を反映させたり、いろいろなことをこれから試みる必要があるんじゃないかという気がいたします。  こういった厳しい状況の中での資産運用をこれからどのような方策で行おうとされているのか、大臣に最後にお聞きしたいと思います。
  134. 与謝野馨

    与謝野国務大臣 金利水準というのは、今は国内だけでは決まりませんで、世界的な金利水準とも連動しているわけでございます。特に日本国の通貨に関する利回りというのは、例えば、ようやく国債の金利が一%を超えたという程度でございまして、実際にお金をお預かりして運用しろと言われても、恐らく、二・五と気張ってみたんですが、二・五%できちんと回すということも実際は難しい。  それで、確かに専門家を養成するということは大事なことなんですが、専門家であるはずの投資顧問会社とか信託銀行も、やはりこういう低金利の時代にそんなうまい商品があるわけではない。  ただ、こういう場合、どういうふうに物を考えていくのかといいますと、やはり共済の掛金というのは大事なお客様のお金でございますから、安全有利に回さなければならないんですが、やはりどちらかといえば安全に回すということの方が大事なわけでして、元本までロスが生じるような運用の仕方というのは共済のお金としては不適当だろうと私は思います。  いずれにしても、今の低金利の状況というのは大変日本の金融の歴史の中では異常な事態でございまして、いずれマクロの経済がよくなれば金利水準も上がってまいりましょうし、こういう長期金利が一%を切るというようなことは、世界的に見ても異常な状況でございますから、いずれ是正をされると思います。  これは何も中小企業の共済ばかりの話ではなくて、厚生年金もあるいは生命保険もみんなこういう低金利の時代で運用に苦しんでいるわけでございまして、特別、中小企業の共済だけが何かうまい利口な方法があるかといえば、それはそうではなくて、全体の日本の金利水準の状態によって影響を受ける。その中で安全に運用をしていく、そういうことが大切なんだろう。  ただ、運用するに当たっては、事業団の中にきちんとした金融知識を持った人を養成していくということは、今後大変大事なことだろうと思っております。
  135. 横光克彦

    横光委員 終わります。どうもありがとうございました。
  136. 古賀正浩

    古賀委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。  次回は、来る八日火曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後七時五十七分散会      ――――◇―――――