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1998-12-08 第144回国会 衆議院 財政構造改革に関する特別委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十年十二月八日(火曜日)     午後五時二十一分開議  出席委員    委員長 麻生 太郎君    理事 衛藤 晟一君 理事 大島 理森君    理事 小坂 憲次君 理事 茂木 敏充君    理事 上田 清司君 理事 日野 市朗君    理事 赤松 正雄君 理事 中井  洽君       安倍 晋三君    浅野 勝人君       飯島 忠義君    江渡 聡徳君       嘉数 知賢君    木村 隆秀君       佐藤  勉君    阪上 善秀君       桜井 郁三君    下村 博文君       菅  義偉君    園田 修光君       田中 和德君    田村 憲久君       谷畑  孝君    西川 公也君       宮腰 光寛君    目片  信君       山口 泰明君    渡辺 博道君       池田 元久君    生方 幸夫君       海江田万里君    北脇 保之君       中川 正春君    原口 一博君       石垣 一夫君    田端 正広君       並木 正芳君    佐々木洋平君       西川太一郎君    松浪健四郎君       児玉 健次君    春名 直章君       伊藤  茂君    中田  宏君  出席国務大臣         内閣総理大臣  小渕 恵三君         法 務 大 臣 中村正三郎君         大 蔵 大 臣 宮澤 喜一君         通商産業大臣  与謝野 馨君         自 治 大 臣 西田  司君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      堺屋 太一君         国 務 大 臣 柳沢 伯夫君  出席政府委員         国際平和協力本         部事務局長   茂田  宏君         防衛庁長官官房         長       守屋 武昌君         経済企画庁調整         局長      河出 英治君         経済企画庁調査         局長      新保 生二君         金融監督庁長官 日野 正晴君         金融監督庁検査         部長      五味 廣文君         金融監督庁監督         部長      乾  文男君         法務省刑事局長 松尾 邦弘君         外務省経済協力         局長      大島 賢三君         大蔵省主計局長 涌井 洋治君         大蔵省金融企画         局長      伏屋 和彦君         文部省体育局長 遠藤 昭雄君         通商産業省産業         政策局長    江崎  格君         中小企業庁長官 鴇田 勝彦君         自治省財政局長 二橋 正弘君  委員外出席者         衆議院調査局財         政構造改革に関         する特別調査室         長       中谷 俊明君     ――――――――――――― 委員の異動 十二月八日  辞任         補欠選任   下村 博文君     嘉数 知賢君   田中 和德君     渡辺 博道君   谷畑  孝君     安倍 晋三君   西川太一郎君     佐々木洋平君 同日  辞任         補欠選任   安倍 晋三君     谷畑  孝君   嘉数 知賢君     下村 博文君   渡辺 博道君     木村 隆秀君   佐々木洋平君     西川太一郎君 同日  辞任         補欠選任   木村 隆秀君     田中 和德君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  財政構造改革推進に関する特別措置法停止  に関する法律案内閣提出第一号)  財政構造改革推進に関する特別措置法停止  に関する法律案伊藤英成君外八名提出衆法  第四号)      ――――◇―――――
  2. 麻生太郎

    麻生委員長 これより会議を開きます。  内閣提出財政構造改革推進に関する特別措置法停止に関する法律案及び伊藤英成君外八名提出財政構造改革推進に関する特別措置法停止に関する法律案を一括して議題といたします。  まず、伊藤英成君外八名提出財政構造改革推進に関する特別措置法停止に関する法律案について議事を進めます。  提出者から趣旨説明を求めます。池田元久君。     ―――――――――――――  財政構造改革推進に関する特別措置法停止   に関する法律案     〔本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――
  3. 池田元久

    池田(元)議員 私は、提案者を代表し、ただいま議題となりました民主党提案財政構造改革推進に関する特別措置法停止に関する法律案につきまして、その提案理由及び概要を御説明申し上げます。  つい一年前、我が国経済が戦後最悪とも言える危機に陥っていくさなか、野党の反対を押し切って、時の橋本内閣財政構造改革法の成立を強行いたしました。財政構造改革法施行によるデフレ財政政策個人消費企業設備投資を一層冷え込ませ、過去最高の企業倒産失業率をもたらしたことは、周知の事実です。しかし、この責任を回避するため、政府は、財政構造改革法凍結すべきだという野党の意見を無視し、財政構造改革法に基づく平成年度当初予算をそのまま成立させました。その予算が成立したまさに翌日、政府は、総額十六兆円規模総合経済対策財政構造改革法の改正を打ち出しました。  ことし五月、わずか半年で財政構造改革法は改正されましたが、そもそも、構造改革の名に値しない一律歳出削減法であるという本質を変えるものではありませんでした。十六兆円規模という過去最大の総合経済対策にもかかわらず、実体経済は一向に改善の兆しを見せることはありませんでした。このような無責任かつ一貫性のない経済政策を続けた自民党政権に対し、参議院選挙において国民の厳しい審判が下ったことは当然の帰結でした。  こうした経緯を経て、ようやく小渕内閣財政構造改革法凍結を打ち出したわけですが、橋本内閣重要閣僚であり、財政構造改革法凍結に反対してきた小渕総理は、厳しく責任を問われなければならないと思います。  本法律案は、ことし五月、民主党、平和・改革及び自由党の三会派が提出した財政構造改革推進に関する特別措置法停止に関する法律案を改めて提出するものです。政府案と異なる点は、単にその施行停止するだけでなく、現行法問題点について抜本的見直しを行うことを定めているというところです。  以下、本法律案内容につきまして御説明申し上げます。  第一条では、現行財政構造改革法について、その施行を二年間停止することにしております。  第二条第一項では、現行財政構造改革法について、財政及び経済状況変化を踏まえ、財政健全化目標及びその達成期限その他財政構造改革のあり方について見直しを行い、必要な法整備を行うことにしております。  第二条第二項では、前項の見直しの方針として、財政健全化目標については、目標最終年度までに、単年度の国及び地方の公債発行額及び借入金の総額を対GDP比三%以内に抑えるようにすること、経済活動が著しく停滞した場合は目標達成期限を延長できるようにすることの二点を掲げております。  以上が、この法律案提案理由及びその内容です。  この法律案は、半年前に、当時の平和・改革自由党民主党とともに作成し、共同提案したものであり、構造改革を踏まえた財政構造改革法凍結必要性が増している今、当然のことながら賛成していただけるものと思います。  その他、この問題に理解のある多くの皆様方の御賛同をお願い申し上げまして、提案理由説明を終わらせていただきます。
  4. 麻生太郎

    麻生委員長 これにて趣旨説明は終わりました。     ―――――――――――――
  5. 麻生太郎

    麻生委員長 次に、ただいま議題となっております両案について議事を進めます。  これより質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。上田清司君。
  6. 上田清司

    上田(清)委員 民主党上田清司でございます。総理を初め、大変長時間にわたりまして予算委員会お疲れさまでございます。いましばらくお時間をいただきたいと思います。  早速ですが、自自連立の合意事項の中に、政府委員制度の廃止、大変いいことだなというふうに思っております。ある新聞のコラムを読んでおりましたら、議員の奥の方に座っていて、明らかに議員よりもインテリ風と思われながら、そして黒を白と言い含める能力を持った人たち政府委員だということをそのコラムに書いてありました。  そこで、政府委員人たちと話をしているとなかなか先に進まないということでございますので、きょうは、総理を初め全閣僚皆様方に、極力政府委員皆様にお願いをしないで答弁をお願いしたいというふうに思っております。  早速ですが、総理、今池田委員が御提案しましたように、余りにも景気動き経済動きが急激であったという一つ理由はともかく、いかにも政府姿勢というものが、この財革法に関しては、大変変化があるというよりも余りにも変節的ではなかろうか、こんな思いがありますが、正直言って、宮澤大蔵大臣も、この間の議論の中で、そのことを言われればかぶとを脱ぎますというような御発言もございます。言われればそのとおりでございます、批判は甘んじて受けますというような御回答をいただいておりますが、総理は率直にどのようにお考えか、お伺いしたいと思います。
  7. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 この内閣になりまして、特に経済につきましては政策的な大転換をいたさなければならない現下日本経済状況かと考えております。そのために、今般の補正予算提案等もさせていただいております。  こうしたことをなし遂げるためには、従前の財革法によってそうした措置が行えないということであってはならない、こう考えまして、今般その凍結をお願いした、こういうことであります。
  8. 上田清司

    上田(清)委員 我々は、縛りがあるので弾力的な機動的な財政経済運営はできないのではないかということをしばしば御提言してきた経緯がございますが、その点について、なぜそのことを今まで無視されたのか、改めて伺いたいと思います。
  9. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 財政改革法につきましては、改めて、現下の厳しい情勢にかんがみまして、財政構造改革推進するという基本的な考え方はこれを守りつつも、まずは景気回復に全力を尽くすため、これを凍結することといたしたわけでございます。  このような観点から、法律効果を一たんは働かないようにいたしておくものの、将来におきましてはその効力が復活し得る法律停止という形をとることが適当であると判断したものであります。  具体的には、財政構造改革法効力を当分の間停止いたしまして、我が国経済回復軌道に入った後、経済財政状況等を踏まえた判断の上で再施行することができることといたした次第でございます。
  10. 上田清司

    上田(清)委員 総理、基本的な方向は守りつつもと、その基本的な方向の具体的な中身は何でしょうか。
  11. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 基本的な方向とは、財政構造改革によりまして日本財政を健全化するという方向でございます。
  12. 上田清司

    上田(清)委員 ここから先は少し進まないと思いますので、先を進めさせてもらいます。  貸し渋り問題がこのところ問題になっております。さきにもテレビ報道などでもございました。  総理、この三月の資本注入のときに、貸し渋りを解消するということが大義の一つになっておりました。この間、貸し渋りは減ったのでしょうか、ふえたのでしょうか。
  13. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 今年の三月の資本注入は、我が国における金融機能に対する内外の信頼が大きく低下するという危機的な状況に対応するため、緊急措置として、金融機能安定化を図るとともに、貸し渋りの解消、緩和など、取引先企業に対する円滑な資金供給に資するものと期待して行われたものであります。  しかしながら、最近の民間金融機関融資動向を見ますと、貸し出しは依然として低迷をいたしておる。また、借入先企業から見ますと、民間金融機関貸し出し姿勢が厳しくなったとする中小企業の割合が依然として高い水準にあるなど、厳しいものとなっております。  政府といたしまして、金融機関融資動向につきまして、金融機関融資態度を必要以上に萎縮させ、健全な取引先に対し必要な資金供給が円滑に行われない事態が生ずることのないよう、ヒアリング等を通じまして引き続き注視するとともに、政府系金融機関を通じた貸し渋り対策に万全を期してまいりたいと思っております。  最後に、御質問の趣旨に的確にお答えすれば、まことに厳しい貸し渋りの状況が依然として継続しておるということは残念なことであり、政府としてはこれに対して徹底的に対応していくということであると思っております。
  14. 上田清司

    上田(清)委員 さすが総理であります。私は、今総理が、前半で述べられたことは政府委員の言葉をそのまま語っておられるというふうに思っておりましたけれども、最後総理の生の声を聞きまして、少し安心いたしました。  そこに、「金融機関貸出動向」、日銀の「貸出資金吸収動向」を資料として提出しております。このとおり、九八年の三月以降、前年比でずっとマイナスでございますし、額に直していきますと、九八年の三月にはマイナス八・九兆、六月にはマイナス十二・一兆、九月にはマイナス十四・四兆、十月にはマイナス十七・二兆、こういう資料も私の方では持っておりますが、いずれにしても全く貸し渋りに効果はなかったということは、大蔵大臣さき国会で言われたとおりであります。  そこで、大変残念なのは、そうした動向を踏まえながら、国会の中でも各党の賛成の中でつくられましたいわゆる二十兆の枠でございます。  大変テレビ報道でもなされましたが、私も一つ資料を出させていただいております。ファクスで届いたものを拡大しておりますので、ちょっとミミズみたいな字になって見えにくいとは思いますが、ある信用金庫内部文書で出した文書であります。要するに、千載一遇のチャンスだ、信用保証協会保証部分を利用して、他行に先駆けてしっかり債権を回収せいと。こういうことをしっかり各行がやっているということであります。  それが端的に出たのが横浜銀行であります。地方銀行の会長でもありますし、元大蔵省の大幹部であります。いかにも不届き千万ということでありますが、こういうことをやって商法違反にならないのか。  このことについて、前大蔵政務次官でもう本当にベテラン中のベテラン法務大臣にもわざわざおいでいただいておりますが、例えば、金融機関保証協会との保証契約第三条、「旧債振替制限」ということがきちっと書いてありますし、それから、一部肩がわり債務者に承認させる書類をあらかじめ準備して印鑑を押させていくことなどは明らかに違反行為ではなかろうか、私はこんなことを思っております。法務省としてこういうやり方というのは商法に違反するような行為にならないのかということを思っております。  事務方に聞いたら、ならないんだということも聞いておりますが、何か法律で処罰することはできないのかという強い思いを持っておりますので、法務大臣に一言御答弁いただきたいと思います。
  15. 中村正三郎

    中村国務大臣 今委員がおっしゃられましたように、現下法制度においては、これが直ちに刑事事件になるということは考えられないようなことだと思います。  ただ、どういった事実が犯罪になり、刑事事件として立件されるかということは、そのときの事実関係に基づいて証拠と法に照らして立件していくわけですから、断定的なことはお答えできませんが、現下法制度では刑事事件にはならぬように思います。
  16. 上田清司

    上田(清)委員 日野長官にお伺いします。  昨日、大手十八行が肩がわりした金額は十九億というような具体的な数字を出されましたが、どのように、いつ調べてそういう数字が出てきたのか、御教示いただきたいと思います。
  17. 日野市朗

    日野政府委員 お答えいたします。  この大手十八行に対しましては、とりあえず、まず十月分の振りかえ事例がどのくらいあるかということで調べさせていただきましたところ、今御指摘がありましたように十九億円ということでございました。
  18. 上田清司

    上田(清)委員 全然答えになっていないんですよ。こんなばかなことはないんですよ。各行一億、判で押したように出ていますね。冗談じゃないんですよ。金融監督庁、何を見ているんですか。ふざけんじゃないと言いたいですよ。  いいですか。私の手元に名前も全部出ているんですよ。出しても構わないと言われている企業がここに一、二、三、四、五、六、七、八。全部出しても構わないと。あさひ銀行相手に五千万申請して二千万、肩がわりで取られちゃった。旧債権の方を取られてしまった。同じく二千七百万、あさひ銀行から借入して七百万取られた。ある企業は、朝日信金で五千万申請して三千五百万取られた。ある信金からやはり五千万借入して三千万取られた。こういう事例が私のところだけで一、二、三、四、五、六、七、八とあって、総額で一億超えていますよ。  いいですか。もう二兆円貸し出していますよ。大手銀行だけで一兆円だったら、大体お話の中で、もうここにいらっしゃる議員の方々には毎日みたいにそういう話ばかり来ているんですよ。五千万融資したけれども二千万抜かれた。三千万お願いしたけれども一千五百万抜かれた。大体二〇%から七〇%の枠ですよ、抜かれる話が。交渉しているうちに五〇になったり三〇になったりするんですよ。だったら、一兆だったらどうなるんですか。すぐ二千億、三千億になっちゃうじゃないですか。二けた間違っているんじゃないですか。  長官、御答弁願いたい。根拠を述べてくれよ。
  19. 日野市朗

    日野政府委員 この主要十八行に対しましては、十一月に、銀行法二十四条に基づく報告徴求を行って得た結果でございます。  確かに私も印象としては、最初見たときには、率直に申し上げますと、きのうの予算委員会での御答弁でも、保証協会保証つき貸し出しにつきましては、実はちょっと最初読み間違えました。といいますのは、その数字が、五兆というふうな読み方をしましたけれども、実際は五千億という数字だったのですが、実は私も、十九億円というのではやはりちょっと少ないなという感じは率直にしております、率直に言って少ないなという印象は持っております。それは間違いございません。  それは、確かに十月分ということだけを限定したこともありますし、それからもう一つ保証協会の同意があるものというふうに限定したこともございますし、それから十八行だけということに限定したこともございます。ですから、ただいま御指摘がありました、例えば信用金庫のようなものについては調査対象外でございました。  私といたしましては、確かに十九億円ではいかにも数字がちょっと低いんじゃないかな、何か十九で割るとちょうど一になるような感じでございますので。それで、昨日早速、いろいろ報道の件もございましたので、地方銀行、第二地方銀行も含めまして二十四条に基づいて報告徴求を求めております。これはいずれ回答が参りますから、それを総合して見たところで、果たしてこの十九億円が正しいかどうかということがまたわかってくるのではないかと思いますので、もうしばらくそこは時間をおかしいただければありがたいと思います。
  20. 上田清司

    上田(清)委員 大変とんでもないお話であります。今申し上げましたように、私が企業名を出しても構わないと言われた人たちだけでも肩がわり部分が一億を軽く超えています。そういうことを考えれば、とてもそういう一行一億というような感覚にはなり切れないのです。  そこで、通産大臣お忙しいところ済みません。実は、中小企業金融安定化特別保証制度要綱の中で、事務取扱要領というのがあります。その中の最後のところに、「旧債肩代り添付書類 今回の特別保証制度で既往の直接貸付金を肩代る場合は、別紙の「金融安定化特別保証制度に係る借入条件改善理由書」を申込書類に添付するものとする。」という形で、旧債肩がわり添付書類を用意したらどうだというものをわざわざ出しているんですね。もちろん、同時に、この「約定書例」の中に、第三条で「旧債振替制限」ということで、特別な事情だけですよと言ってはおられます。しかし、事務取扱要領の中の最後のところに旧債肩がわりをしなさいと言わんばかりの事務取扱文書を入れることで、全国の金融機関に悪い意味での影響を与えているんですよ。  それで、早速これを取り消すような通達を出されることはいかがかなということを直接お訴えしたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
  21. 与謝野馨

    与謝野国務大臣 まず、理屈の話だけいたしますと、保証協会に今度特別枠保証をしてもらう場合にも、旧債振りかえというのは当然あるわけでございます。それが許される場合は、やはり借り入れの期間が従来のものより長くなるとかあるいは借入金利が下がるとかという、借り入れ側に有利になるような場合には旧債振りかえであっても保証協会保証をする、こういうことになっているわけです。  ですから、その事務取扱もそのように例外的に、借り手側が有利になるような場合も旧債振りかえは全部禁止されているのかといえば、そうではなくて、借り入れ側条件が有利になった場合には例外的に旧債振りかえができますよということを実は書いてあるわけです。  そこで、専ら金融機関旧債振りかえのために保証協会保証を利用したという場合には一体どうなるのかといいますと、実は保証協会金融機関との間の保証約款の中に、保証をしていても、約款の上で、専ら旧債振りかえのためにやったという場合には代位弁済はしない場合があるということが書いてありますから、それは、保証協会保証旧債振りかえにみだりに使うと、実は保証は実行されない、代位弁済は実行されないというケースがあるということは、金融機関にもよく知っていただかないといけないと思っております。
  22. 上田清司

    上田(清)委員 大変丁寧な御説明でありますが、事務取扱要領の中に、今申し上げた「旧債肩代り添付書類」という項目を起こしてまで御説明があります。これが誤解のもとになっていく。このことをぜひ検討していただいて、あすにでも取り消すぐらいの通達を出していただきたいと思います。もう既に違う形での通達は出ていると思いますけれども、この中を省くようなことをお願いしたいというふうに思います。  どうぞ法務大臣、済みません、わずかの時間のためにお越しいただきましてありがとうございます。  それは通産大臣、ぜひお願いしたいと思いますが、お約束いただけますでしょうか。
  23. 与謝野馨

    与謝野国務大臣 事務取扱は既に出ておりますから、それを生の形で取り消すことがいいのか、あるいは、こういうものが相手にあるいは関係者誤解を与えないような、さらに追加的な解釈をきちんとお知らせするかは別にいたしまして、こういうものが実際に旧債振りかえに利用されないように私どもとしては努めてまいります。
  24. 上田清司

    上田(清)委員 総理、この間の議論を聞いていただいたと思いますが、ぜひ総理の方からも、親切で出されたのかもしれませんが、かえってそれが悪用されているような嫌いがございます。  そして、先ほど御提出しましたさる信用金庫内部文書を見てもわかりますように、千載一遇機会で、この機会他行におくれをとらないように債権の保全、回収を図るべきだというようなとんでもない事態が起こっておることも、ぜひ担当閣僚皆様方にも御指示を賜りたいというふうに思います。  通産大臣、済みません、ありがとうございました。  それでは、次の問題に移らせていただきます。  これは柳沢金融担当大臣にお伺いしたいと思います。日経新聞で、十一月三十日付でございますが、今度資本注入をする場合、優先株の配当を、三月のときは一%から約三%、最高三%だと思いますが、今度は高くとも一%台にというような議論だとか、返済十年を二十年、三十年に延ばすというような記事が出ておりましたけれども、この辺は、内部でそのような議論になってきているのかどうかをお伺いしたいと思います。
  25. 柳沢伯夫

    柳沢国務大臣 資本増強につきましては、先生方のお骨折りで、金融機能早期健全化法という形で公的資金によってこれを行うことが可能になりました。  そして、先月の大体二十日ごろを中心として行われた各行の、大手行ですけれども、中間決算の機会にこの資本増強を受け入れるということについての前向きの発言が、一、二の例外を除いて等し並みに行われたということで、私ども、その前向きの姿勢については、大変これを多としたというふうに申し上げてよろしいかと思います。  そこで、条件面のことについて新聞の報道がなされたということでございますけれども、当然のことながら、今、条件を含めての申請額、これは釈迦に説法ですが、ちょっとお時間をいただいて御説明いたしますと、ローンにしても、あるいは優先株というような形にしても、これは金利なりあるいは配当なりというコスト面での負担というものが生じます。加えまして、いつまでもローンを借りている、あるいはいつまでも政府のお金を資本金として自分が抱えているということは、純粋民間の金融機関としては、必ずしもいつまでもこれを続けられるということではありませんから、これはいずれにしても元本の償還負担ということがあるわけでございます。  私どもといたしましては、今度の資本増強の制度を使って、でき得べくんば自己資本比率というものを欧米並みの高い率のものにしていただいて、今問題になっている貸し渋りであるとか、あるいはもともと今回の問題であるところの不良債権の処理といったようなものを、もうゆとりを持って行えるというようなものにしてもらいたい。その意味では、大きな資本の注入を思い切ってしてもらいたいという気持ちが片方でありながら、先ほど言ったように、ローンをベースで物を言わせていただきますれば、要するに元利の償還という支払い負担が現にあるわけですから、そんなにこれをまた青天井でできるというようなものではない、こういうことなのでございます。  そこで、それではできるだけ多く資本の増強をしてもらいながら、かつ民間銀行として元利の償還というものがきちっと行えるという見通しが持てるというのは一体どういうことであるかということで、私どもはいろいろ検討をさせていただいているわけですが、その答えの一つとしてあるのは、やはりリストラ。  リストラに二つございます。従来型の、自分たちのコストをできるだけ切り下げるということでリストラをしてもらうということと同時に、もっと前向きに、収益を上げて償還財源を稼いでもらう、こういうようなものをしてもらうということが一番大事だというふうに思っております。そうなればまた、今度は投資する側からするとリスクがそれだけ低くなって条件が緩和できるということでありまして、そのあたりのことについて今いろいろと検討している段階でありまして、具体的な数字が今話題になっているというようなことではありません。
  26. 上田清司

    上田(清)委員 丁寧な御説明をありがとうございます。  ところで、これは監督庁長官になるのか柳沢担当大臣なのかわかりませんが、原価法を採用している大手行が九行ございますが、もし低価法に切りかえたら、私の試算だと七行が評価損になっていくのではなかろうかというふうに思っているのですが、そうした試算というのはなされたことはございますか。
  27. 日野市朗

    日野政府委員 個別銀行の財務状況についてお答えすることは差し控えたいと思いますが、先般各行から発表されました本年九月期の中間決算によりますと、この主要十八行のうち、原価法を採用しているのは十七行になっております。といいますのは、従来低価法でありました興銀など、個別行幾つかが原価法に変更したということでございまして、一行だけが低価法の採用行として残っております。  この九月期の中間決算によりますと、主要十八行の有価証券の含み損は合わせて約二兆五千四百億円になります。他方、資本勘定、十八行全部合わせますと十四兆二千億円となりますので、全体としては御指摘のような状況にはなっていないものというふうに考えているところでございます。
  28. 上田清司

    上田(清)委員 低価法に変えたときはどうなりますかということを聞いたのですよ。
  29. 日野市朗

    日野政府委員 含み損は原価法でありましても開示されておりますので、これでディスクローズされているということで理解していただければと思います。
  30. 上田清司

    上田(清)委員 そこが結局日本の銀行の体質を、先ほど柳沢大臣が言われたような収益性のある強い銀行にならないと思うのですね。一番楽なところでの試算をさせる、そして引き当て率についても甘く甘くやっていく。もし第二分類なんかの債権の引き当て率を一五あるいは二〇にしたときはどうなるかということを、さき国会でも民主党の中でも出しましたけれども、そういうところからむしろきちっと出して指導監督していくべきではないかということを改めて私は申し上げておきます。  大体答えがわかっておりますので、むだな時間を過ごしたくないと思います。  そこで、金融監督庁長官に聞きますが、十一月の二十五日の読売新聞のトップ、一面に、長銀、不良債権の移しかえ一兆千五百億、それから飛ばしが一千二百億という形で、どうもこれは、多分いわば捜査筋からの情報ではなかろうかと思いますが、なぜ金融監督庁は何カ月にわたって調査をしながらなかなかそういう話ができなくて、何度お尋ねしても、もちろん野党だけが尋ねたわけじゃありません、与党の方も、倉成議員もお尋ねされました。そういう結果が、これが事実かどうかわかりませんが、かなり具体的な形で出ております。監督庁はどうして出ないのでしょう。
  31. 日野市朗

    日野政府委員 検査結果の詳細につきましては、これは、現在公的管理下にある金融機関と申しましても、やはり引き続き営業を継続しております。きょうも安齋頭取が参考人として予算委員会にも出ていろいろお話ししておられましたが、やはり現在、破綻はいたしましたけれども、まだ完全に死んだ銀行じゃなくて、将来その出口を求めて、今生きてその営業を継続している銀行でございますので、取引先等がございますから、個別の詳細についてはお答えは控えさせていただきたいと思います。  ただ、これは一般論になりますが、当然、その検査におきましては、いろいろな業務上の、健全かつ適切な運営が行われているかどうかといった観点から、私どもはその的確な実態把握に努めておりますので、問題点があった場合には、きちんとそれを指摘した上で適正に対処しているというところでございます。
  32. 上田清司

    上田(清)委員 捜査筋が極めてスピーディーに問題の核心を出してくるのに比べて、私どもが何度もお尋ねしても金融監督庁は具体的な中身をお答えされない。これは個別のことを聞いているわけではありませんので、そういう意味で大変残念に思います。  時間が来ましたが、最後に、景気対策経済対策について堺屋長官にお尋ねをしたいと思います。  四月に十六兆の景気対策を打ち、今回約二十四兆の景気対策を打っておられるんですが、四月に打ちました十六兆の景気対策は、具体的にはどのような形で効果が出てきたのか。一言で言えばどうなりますか。
  33. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 一言で申しますと、この九月ぐらいになりましてようやくその効果が出てまいりました。七月―九月のQEで見ますと、公的固定資本形成が前期に比べまして三・六%伸びておりますが、そのほとんどが九月に伸びたというようなことでございまして、ようやくそのころになって効果があらわれてきているということでございます。
  34. 上田清司

    上田(清)委員 具体的に、例えばGDP比でどのくらい効果をもたらしたのかというのは出るんでしょうか。
  35. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 現在のところまだ一期でございまして、固定資本形成で三・六%でございますから、全期通じると恐らく一・九ぐらいの効果があるんじゃないかと予測しておりますが、まだ全部出ておるわけではございません。
  36. 上田清司

    上田(清)委員 堺屋長官の勘を大事にされるというのは、私は非常にいいことだというふうに基本的には思っております。  ただ、OECDが出しました部分で、日本の関連でアウトルックがかなり低目の数字を出してきております。既に御見解があるかと思いますが、この見解についてはどのように御判断されておられるか、ちょっとお伺いしたいと思います。
  37. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 OECD、世界銀行、IMF等、いろいろな国際機関が来年の見通しについて述べておりまして、余りいい数字では出ておりませんが、これは暦年でございますから、ちょっと我々の出しております年度と違いがございます。暦年で見ましたら、やはりかなり厳しい、こういう見方があるのかなと私たちも参考にしておりまして、今度、間もなく来年度の見通しが出ますので、その際にはきちんとしたお答えができると思います。
  38. 上田清司

    上田(清)委員 確かに、通年、暦年でやっておりますが、九八年度はOECDではマイナス二・六、九九年にいってプラス〇・二と、総理が限りなくプラス成長、はっきり見えるプラス成長と言う部分にはやや遠いかなというふうに思っております。  明るい材料も、堺屋長官は今までにいろいろな形で申されました。私は、すごく気になっている部分がございます。  この図は、このところがあのバブルの頂点の部分であります。ピンク色の線が資本・耐久財型製造業の株価の動きであります。資料をお手元に出しておると思いますが。それで、この黄色い線が資産デフレ関連業種で、金融、建設、不動産関係であります。限りなく下方に進んでいる。  実は、九五、九六、このあたりは、多分尾身長官も失敗されたのは、この部分の強さが多分にあって、経済企画庁の楽観的な判断あるいは橋本総理の楽観的な判断もあったのではなかろうか。資本・耐久財型製造業、いわゆる輸出型産業と言われる部分が非常に頑張っている。株価は、八九年の十二月を一〇〇としたときもそんなに遜色のない、九〇%ぐらい、あるいは八〇%ぐらい頑張っていた。この部分がここに来て急速に落ちてきている。この辺がいろいろな意味で日本経済の先行きの不透明さ、心配さというのがありまして、私も実はそんなふうに感じております。  この点について、本当に明るい感というものを出せるのかどうかということについて、最後に、御感想だけでも結構でございます。
  39. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 お示しの図のとおりでございまして、九六年にかなり景気がよくなったという判断で、九七年、財革法を定めまして、かなり引き締め型の財政をとりました。その結果、去年の終わりからことしの初めについてかなりマイナスの影響が出たんだろうと思います。  これからでございますけれども、この平成十一年度予算あるいは税制等も含めて考えなければなりませんが、現在の三次補正を含める緊急経済対策としては精いっぱいのことをやっている、これからやはり次の手も十分打っていく必要があると考えております。
  40. 上田清司

    上田(清)委員 時間になりましたので、残念ですが終わります。ありがとうございました。
  41. 麻生太郎

    麻生委員長 これにて上田君の質疑は終了いたしました。  次に、赤松正雄君。
  42. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 公明党の赤松正雄でございます。  先週、宮澤大蔵大臣を初めとする三閣僚の皆さんにお聞きしましたので、きょうは、総理大臣に、この財政構造改革法について、これからの財政構造改革をどう進められるのかということについて絞って、それから後半で、ちょっと角度の違う問題ですけれども、凍結関係する問題でございますので、もう一点お聞きをしたいと思っております。  まず、総理に総括的な観点からのお話を聞かせていただきたいのです。  先ほど池田委員の方からも、民主党提案趣旨説明の中にも厳しいくだりがいろいろありましたけれども、私も、この財政構造改革法というのは、まさに政治への信頼というものを裏切った本当に大変な法案であったというふうに思います。  一年前、我々野党が大反対したのを押し切って成立させた。当時の経済状態は多少上向きであったということは認めますけれども、そういう十分上向きになり切らない状況の中で、消費税アップあるいは医療費値上げ、それから特別減税の打ち切りといった形で九兆円ものデフレ予算を組まれたということ。そうして、あげくの果てが、財政構造改革法という単なる一律の予算カット法で財政を縛る。こういった財政再建の理念のない、いわば不況深刻化への追い打ち法案ともいうべきものを出されたわけであります。  さらに半年後、ことしの五月、抜本的な見直し凍結の声をよそに、中途半端な弾力条項の創設、あるいは財政の健全化目標の二年延長、社会保障費のキャップを外すといったいわばびほう策的なことで改正が行われた。結局、政策転換の追及の声を恐れて中途半端な対応に終わってしまったということを指摘せざるを得ないわけであります。一貫して後手後手の対策に終わってしまった。そして、今日のいわば無期限の凍結という形の事態を迎えたわけであります。  まず総理大臣、橋本内閣のときの外務大臣でもあられ、重要な閣僚であられたわけでありますけれども、日本のトップの立場におられて、財政再建という道が今日こういう形を迎えざるを得なくなったということに関しまして、国民に対して反省の弁というものを明確にここで述べていただきたい、そんなふうに思う次第でございます。
  43. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 財政構造改革法が成立いたしました前後から、大きな経済変動に対しまして政府として必ずしも十全な対応ができなかったという御批判は、御批判として受けとめなければならないと考えております。  ただ、その都度精いっぱいの対応をしてきたことは御理解いただきたいと思いますが、今さら事由を申し上げるつもりはありませんけれども、何といっても金融機関に対するシステムが大変厳しく問われる、こういう事態の中で、しかも、諸外国、特にアジアから発した通貨・金融の危機というようなものが起こってまいりました。そうしたことを十分に読み切れずしてこのような財革法が成立し、その改正もいたしたわけでございますが、日本経済の若干の上向きの時点というものを十分とらえ得なかったということについては、これを反省し、でありまするがゆえに、今回、この内閣といたしましては、こうした徹底的な財政その他税制の改正を行うことによってこの事態を乗り越えよう、こういうことで努力しておりますことも、これまた御理解いただきたいと思っておる次第でございます。
  44. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 余り反省されていないような印象で聞かざるを得ません。  あの五月の時点の直前、むしろ自民党の中には、小渕総理総理の座を争われた、総裁の座を争われた方の中に、もっと直裁に現状というものを認識されて、その時点の橋本内閣の政策というものを厳しく反省する発言があったわけです。そういった発言に対して、小渕総理はそれを押し切る形で総理になられたという経緯があるわけで、今のお話も、本当に反省しておられるのか、あるいはいいかげんな形でこの場面を過ごそうとしておられるのじゃないかという気がいたします。  この法案では、先週も宮澤大蔵大臣にいろいろお聞きしたわけでありますけれども、大蔵大臣は、これからの日本財政再建に向けて――私たちも民主党と同じように半年前に二年凍結という案を出したわけでありますけれども、現在の経済情勢から見て、二年という期間を区切ることはやはり非常に難しかろう、こんなふうな判断をします。しかし、かといって、この法案にあるように、期限を区切らない、無制限に、いつ財政再建に手をつけるのかということがはっきりしないということに対しても非常な不満を持つわけでございます。  宮澤大蔵大臣は、先般、いついつという形で具体的に期限を区切るということに対しては自信がない、こういうふうにおっしゃっておりましたけれども、総理は、おれは自信がある、二年は無理でも五年あるいは十年で形をつけられるんだ、こういうふうに思われないんでしょうか。二年ではなくて、期間を区切らないという形にしたその理由総理の口から述べていただきたいと思います。
  45. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 財政構造改革法停止の解除の時期につきましては、例えば経済指標等が一定水準を上回り、景気回復軌道に乗ったとされたことから機械的に停止を解除するというものではありませんで、経済財政状況、その他諸情勢を総合的に、財政構造改革推進するために再施行することが適当であるか否かを見きわめることが必要であると考えております。  要は、今般、こうして補正予算その他お世話になりまして緊急経済対策を実行し、前の緊急対策と相まちまして日本経済が回復するという軌道の中で、将来にわたりましてこの構造改革法の凍結が解除される時期につきましては、希望を申し上げれば早い時期を期待しておる、こういうことでございます。
  46. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 早い時期を期待したい、それはそうだろうと思いますが、ただ期待をしているというだけではならないというふうに私は思うのですね。  それで、総理は、当面の緊急の課題としての景気浮揚ということに対して全力を挙げたいということで、明年一年かけ、平成十二年には安定した形に持っていきたい、内閣の命運をかけてそれに取り組むんだというふうな決意をおっしゃっているわけですけれども、内閣の命運をかけて取り組まれ、安定軌道に入ると仮定して、その後、いわば体力が回復してから何年ぐらいで、財政再建への糸口、手をつけるということについてはどれぐらいの期間が必要だというふうに考えるでしょうか、改めてお聞きしたいと思います。
  47. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 この点につきましては、私自身も、しかと何年ということを申し上げる自信は率直に言ってありません。  ありませんが、経済というものは大変な生き物でございまして、ほかの国の例をとるまでもありませんが、現下のアメリカの状況などを考えますと、かつては双子の赤字でにっちもさっちもいかなかったアメリカが、今日はいかに黒字を使うかということが国会の論議の中心になっていることを考えますと、ぜひ我々としては、来年度にプラスと言える状況をつくり、そして再来年にはさらに上昇させていかなければならない。決意決意と申し上げますが、そのための諸施策をあらゆる手段を講じてやってまいるという決意を改めて申し述べさせていただきたいと思います。
  48. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 今、決意を述べられたわけですが、この間宮澤大蔵大臣は、この財政構造改革法をそれだったらもう廃止したらどうかという意見に対しまして、思想、精神を残しておきたいんだというお話がございました。思想というものが思想だけに終わるのじゃなくて、今の総理の決意が決意だけで終わらないためにも、何らかの形、具体的な具現化するための手だてというものがやはり必要だろうと思います。  この内閣の中にあって、これから財政再建への意欲、意図、決意というものを具体化させるために、どういうふうな具体的な手だてを考えておられるのかということをお聞きしたいと思います。
  49. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 繰り返しになりますけれども、やはり日本経済を再生させていくということに尽きるような気がいたしておりまして、そのためにあらゆる施策を講じていくということだろうと思います。  そこで、財革法の精神、すなわち、財政というものは均衡していかなきゃならないというようなことはファンダメンタルなことだろうと思います。しかし、現在の状況におきましては、経済が余りにも厳しい環境にあり、この困難を乗り越えるためには、どうしてもこの際、赤字公債をもってしても財政を出動させていかなきゃならぬという状況だろうと考えておりまして、したがいまして、あらゆる経済政策を駆使していくということがこの状況を乗り越えるゆえんではないか、こう考えておる次第でございます。
  50. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 私は、総理のお口から、総理がおっしゃっているバーチャルエージェンシーという考え方の中に、こうした財政構造改革についてずっと一貫して考えていく、そういった機構というものもこういう物の考え方の中に取り込んでいくんだというふうなお話が聞けるんじゃないかと思いましたけれども、そういう形がなかったということは非常に残念に思います。  残った時間、後半、私は凍結ということで連想するPKFの凍結という問題についてお話をお伺いしたいと思います。PKFの本体業務の凍結というものがPKO法の中にあるわけですけれども、この問題につきましてまずお伺いしたいと思います。  私がことしの四月三十日に本会議でPKO法の改正の質問をしましたときに、当時の総理大臣、橋本総理大臣、また当時の外務大臣小渕総理にお答えいただいたわけですが、その当時、私は、PKFの凍結解除という問題について御質問をいたしました。  そのときのお答えでは、全く国際連合の方からそういう話も来ていないし、現状のままで別に問題はないというふうなニュアンスの答弁がありました。先般、参議院の代表質問に答えられる形で、総理がPKFの凍結解除についての御答弁をされて、同時に、このPKO法の中にあるPKFの本体業務の凍結解除について事務方に慎重な指示をなさったというふうな報道に接しておりますけれども、一体どういう経緯を経てこういうふうなことになったんでしょうか。それについて総理にお伺いしたいと思います。
  51. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 事実関係といたしまして、私は、PKFのことに関しまして、事務的に解除につきまして指示したという事実はありません。ありませんが、実はこのPKO並びにPKFの本体業務につきまして、自由党とのいろいろな話し合いの過程におきましても、この問題についての御議論をいろいろお聞きいたしております。  したがいまして、今後におきましては、自民党、自由党との間におきまして、この本体業務の凍結問題などにつきまして、これから協議、話し合っていってもいいのではないか、こういうことを私自身が感じとして述べたことが、あるいは今委員が御指摘のようなことに伝わっておるのではないか、こう考えておりますが、極めてこれは重要な問題ではありまするけれども、この凍結をいたしておる問題につきましても、今後両党間で話し合っていくべき課題であると私は思っております。
  52. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 小渕総理はもう十分御承知のことだろうと思いますけれども、私はここで確認をしておきたいのは、PKO法には五原則がビルトインされている。PKO法の第六条の「実施計画」の中の第七項に、法の全体の中にちりばめてある五つの原則というものが規定をされているわけですけれども、このことが非常に私は重要なポイントだと思います。  したがって、PKFそのもの、「国際平和協力業務」という三条の中の三号に、いわゆるPKFの本体業務の中身が詳しく書いてあります。これを今凍結しているわけですが、この凍結を仮に解除するといった場合に、私は四月三十日の本会議でも申し上げましたけれども、やはり五原則というものがこの法全体にかかっているわけですから、この五原則をそのままにした形でPKFの本体業務の凍結を解除しますと、それはまた違う問題を引き起こすという指摘があります。そういったことから、この際、五原則も外すべきだというふうな議論が一部であるやに聞いておりますけれども、この五原則というものがPKO法の大きなおもしの役割、重要な役割を果たしている。  したがって、今総理はこれから議論を両党間でやるというふうにおっしゃっておりましたけれども、今私が申し上げた――私は別にPKFの凍結解除をしてはいけないと言っているわけじゃないのです。私の立場は、PKO法の大事な問題は五原則、なかんずく武力行使につながるような形の武器使用はいけないという観点でお話を申し上げているわけで、この五原則をいいかげんな形にしますと、先般、宮澤大蔵大臣ともお話をこの場でいたしましたけれども、結局、多国籍軍を含むところの国連軍に対する参加の問題と同じ問題がそこで惹起されるということでありますので、五原則を温存した形でPKFの凍結解除をするのか、それともPKF凍結解除と五原則を一緒にやるのかということは非常に重要な差がありますので、この辺の差について、もうわかっておられると思いますけれども、重々御認識をいただきたい、こんなふうに思う次第でございます。  総理の御答弁をお願いします。
  53. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 誤解をいただかないためにも改めて申し上げますが、いわゆる平和維持隊、PKFの本体業務につきましては、憲法上の問題はありませんが、内外の一層の理解と支持を得るため、国際平和協力法附則第二条により、別に法律に定める日まではこれを実施しないこととされていることは承知をいたしております。  いわゆるPKF本体業務の凍結解除の問題につきましては、先般の国際平和協力法の一部改正法案の審議におきましても、さまざまな立場からの御意見が示されておることも承知をいたしております。  政府としては、国連を中心とした国際平和のための努力に積極的に寄与するため、これからも憲法の理念に基づき、本法のあり方について検討することはあり得るものと考えておりますが、自由党といいますか、小沢党首と私との合意書の中にも、国連に対する平和協力についてともに検討していくということがございますので、先ほど御答弁申し上げたように、この問題については両党ともこれからの協議もいたしていきたい、こういうことを先ほど申し上げた次第でございます。
  54. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 私は、日本の国際安全保障に対する立場というのは、PKOといわゆる集団的安全保障という二つの柱で日本の国際安全保障というものはあると思うのですけれども、その中で、国連平和維持活動、PKOについて、やはりしっかりと五原則を生かす形での貢献というものが非常に重要だろう、また、集団的安全保障の問題については、海外での武力行使というものをしない、後方の支援に限定する形でやっていくということがあくまで大事だろう、こんなふうに思う次第でございます。  総理が、小沢自由党党首との間で合意をされた、これから進めていく、協議はこれからやるんだ、こうおっしゃっているわけですけれども、そのあたりをしっかりと踏まえてやっていただくことを希望いたしまして、私の質問を終わります。
  55. 麻生太郎

    麻生委員長 これにて赤松正雄君の質疑は終了いたしました。  次に、松浪健四郎君。
  56. 松浪健四郎

    ○松浪委員 自由党松浪健四郎でございます。  総理及び各大臣におかれましては、朝早くから大変にお疲れのことと存じますが、いましばらくおつき合い賜りたいと思います。  私は、内閣提出第一号、財政構造改革推進に関する特別措置法停止に関する法律案に賛成させていただく立場から質問をさせていただきます。  ちょうど総裁選のさなかでありましたか、ある代議士は、変人、軍人、凡人と言われました。言われた方はキ人だな。どういう字を書くかは記者の皆さんの自由でありますが、好奇心の奇ととうとい貴がありますから、どちらのキ人であるかわかりませんが……。ちなみに私は野人ですが。  総理、多分、凡人というのは総理のことを指していると思うのですが、そう表現されたときにどういうふうな印象を持たれたか、まずお尋ねしたいと思います。
  57. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 私自身、ある意味では、指摘された点が当たっておる点もあったのではないか、こういうふうに思っております。ただ、坂本竜馬のことではありませんが、大愚は大賢に似たりということも言われますので、平凡でありながらもひとつこれから精いっぱい努力をしていくということも必要ではないか、このように考える次第でございます。
  58. 松浪健四郎

    ○松浪委員 凡人と言われた、そしてその方が内閣総理大臣の座につかれた。つまり国民に大きな夢を与えた。つまり、だれでも総理になれる可能性があるという、教育に一番大切な動機づけをしてくれた、私はそう思っております。  総理は、私自身、個人的には二十数年前から総理のことをずっとウオッチングしてきたことは総理も御存じのとおりでありますけれども、余りにも実直で、生まじめ過ぎておもしろみに欠ける。このおもしろみに欠けるということと景気と、えらい関係があると私は思っておるのです。  きょうの朝、堺屋太一経済企画庁長官は、月例経済報告閣僚会議に十二月の月例経済報告を提出されました。「低迷状態が長引き、極めて厳しい状況にある」としながらも、「変化の胎動も感じられる。」と明記されました。政府が月例報告で景況判断を上方修正するのは九七年七月以来、実に一年五カ月ぶりであります。  景気変化の胎動が見られるということは、一国の指導者たる者は、景気がよくなるようなパフォーマンスがあったりユーモアがなければ、私は、国民というのは、そうか、買い物しても大丈夫かというふうな安心感を得ることができないのじゃないのか。景気財政の問題である、いろいろ言われておりますけれども、私は、字のごとく心の問題である、こういうふうに思っております。  総理に対しては、何もなさらない総理、このように言われてまいりました。この法律凍結する、あれだけ橋本総理が必死になってつくった法律凍結するということは、いわば政策の転換をやるということを天下に知らしめたわけであります。また、いろいろなやじが飛び交っておりましたけれども、自自連合、これもやろうとされております。  思い切ったことをやられる、私はそのように評価をさせていただいておる者でございますが、総理にあられましては、凡人が何が悪い、私はこういうことをやるのだ、もっともっと思い切り大声でアピールしていただきたい、こういうふうに思います。  そこで、財革法ができたときに総理は外務大臣でいらっしゃいました。キャップをかぶせる、一番大きくかぶせたのはODAの予算でありました。私は、そのときにショックを受けました。なぜならば、日本景気がこんなに悪いから外国に援助をしなくていいんだ、途上国はそのままでもいいんだというような印象を国民に与えたのではないのか。  我が国は、申すまでもなく貿易立国であります。諸外国と経済的にもいろいろな面で助け合うという姿勢がなければうまくいかない。一〇%カットする、そういう内容でありましたが、当時外務大臣として、ODA予算を減らすということに対してどういうふうに思われたか、その感想を聞かせていただきたいと思います。
  59. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 財革法が成立をいたしまして、それぞれの予算につきまして、橋本総理として、非常に、この法律に準拠して予算カットを考えられました。その中で、今委員指摘のように、ODAにつきましての一〇%カットの問題がありました。  確かに、ODAそのものは、日本としての国際貢献として果たしてきた役割はまことに大きいわけであります。しかし、私も政府の一員として、実は率直に考えましたのは、ODAそのものにつきましては、年来、防衛費とともにここ数年間は、この予算につきましては聖域扱いであったことは事実なんであります。  したがいまして、そういう中で、真にこのODAとして、すべての内容にわたりまして予算額を増加させていくということの中で、反省をいたすべき点はないのかどうか率直に考えました。私自身も、自由民主党におきまして対外経済協力の委員長もさせていただいてまいりまして、今まで予算はふやせふやせと言ってきたのでありますが、たまたま政府としては、この財革法におきまして、財政再建のために取り組まなければならない課題としてODAも取り上げられました。  私は率直に、外務大臣のときに、あるいは委員の御指摘があったかもしれませんが、この機会にODAをきっちりと見直して、その中でやはり国民的な理解を求められないものにつきましてはこれを削除して、そしてこれをいずれ将来においてはふやしていかなければならない。そのためには、伸びんと考えれば屈しよということもございますし、この際、政府の方針として予算を減少させるということは、ある意味では一種のゴールデンチャンスではないか。毎年毎年予算がふえていく過程の中では、なかなかプライオリティーについて本当に検討する機会というのはないのじゃないか。そういう意味で、私としては、この機会にODAをしっかり見詰め直し、ためにこの財革法に基づく予算カットにつきましては、率直に言ってこれに従いました。  ですから、私は、そういう意味で言わせていただけば、確かに外務大臣としての行為としては期待されるものではなかったかもしれませんが、そういった意味で、ODAにつきましては、そのカットを認めると同時に、ODAの改革懇談会というのを外務省の中にもつくりまして、十分精査をいたしまして、将来にわたってはこれが増加できるような形のものをつくり上げていかなければならぬというのが、率直に申し上げれば、その当時、私がこの政策に同調し、担当大臣としても対処した私の対応の姿でございました。御理解いただきたいと思います。
  60. 松浪健四郎

    ○松浪委員 当初のODAの予算を見たときに、実は、青年海外協力隊の隊員の派遣数が減らされたり、国際交流基金の人物交流の予算が減らされたり、あるいは国際協力事業団の専門家の数が減らされたりしておりました。ところが、予算を見たときに、一〇%抑えられているにもかかわらず、これらの派遣数は減ることはなかったのであります。つまり、我が国の顔の見える援助として何をやっていくのかという姿勢があの予算からうかがうことができたことに対して私は敬意を表したい、こういうふうに思っております。今後とも、ODA、特に顔の見える援助に対しては手厚い予算の配分をお願いしたい、こういうふうにお願いをしておきたいと思います。  最後にお尋ねしたいのは、大阪で二〇〇八年にオリンピックをやろうとしておりますけれども、新たなファクターが加わりました。それは、先月の二十五日、中国・北京が立候補をするということになりました。そこで、論調を見ておりますと、既に日本では三回もオリンピックを経験しているのだからもう大阪でやる必要がないではないか、こういうふうにささやかれております。  そこでお尋ねしたいのは、第一点は、閣議了解がおくれておるのは中国に遠慮をしているからなのか。第二点は、さきの江沢民中国国家主席がお見えになられた際、オリンピックの話題が総理との対談の中であったのか。そして、あるマスコミは、その席上、江主席と小渕総理の間で日本は中国に協力していくというような密約があったという報道がございます。そのことについてお尋ねをしたいと思います。  なぜならば、閣議了解をするということは財政出動が伴います。政府が本気でオリンピックをやろうとしているのか。我々は、この平和の祭典、若人の祭典、これをどうしても大阪でやっていきたいという強い思いがございますので、お尋ねをさせていただきます。
  61. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 まず第一の点でありますが、申すまでもなく、我が国におきまして、昨年八月、日本オリンピック委員会が大阪市を国内立候補地として決定をいたしております。したがいまして、いろいろ経緯はございましたが、政府といたしましては、この十一日にも招致に関する閣議了解を行うなど、必要な支援をいたすことを決定いたしてまいりたいと思っております。  第二点につきまして、江沢民国家主席との対談時点におきまして密約ありやなしやということですが、結論は、そういうものは一切ございませんが、たまたま江沢民国家主席が訪日されておりますときに中国側も立候補の意思があるという報に接しました。私は、その報がなければ私の方からこの大阪のことをお願いしようと思いましたが、相手の方も立候補されたということでございますので、今後はフェアプレーでひとつやっていこう、こういう気持ちを持ちまして、お互いこの問題には触れませんでございましたけれども、おっしゃるような密約、そういうものはありませんで、堂々とひとつ開催地を目指して、私はフェアプレーでやっていったらよろしいのではないかと思いますし、我々としてはぜひ、せっかくの立候補でございますから、大阪をしてオリンピックに、二〇〇八年、招致できますように最善を尽くしてまいることが必要かと存じております。
  62. 松浪健四郎

    ○松浪委員 巷間ボキャ貧と言われている総理から、非常に心温まる真摯な御答弁を賜りました。たくさんの失礼な言があったかもしれませんが、お許しをいただいて、私の質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
  63. 麻生太郎

    麻生委員長 これにて松浪健四郎君の質疑は終了いたしました。  次に、児玉健次君。
  64. 児玉健次

    ○児玉委員 日本共産党の児玉健次です。  私たちは、国民の暮らし、営業をしっかりと擁護する方向日本経済を再建するために全力を尽くそうと決意し、その方向で努力もしております。そういった立場で、きょうは小渕総理に御質問いたします。  総理は、先日の所信表明で「まずは景気回復に全力を尽くすため財政構造改革法を当分の間凍結することとし、」と表明されました。  総理は、宮澤内閣から橋本内閣に至るまで累次に及ぶ経済対策がその都度景気回復のためとして打ち出されてきたことを御存じだと思います。この間の経過を見て、三和総合研究所主任研究員片山泰輔氏は次のように述べています。政府が幾ら景気対策規模を口にしたところで、国民が政策に対する信頼感を失っていれば効果は薄い、まさにそのとおりだと思います。  政府は、財革法で、国民の暮らし、命に密着する予算、考えてもみていただきたい、総理。例えば難病患者の医療費に対する国の負担の無残な改悪削減、雇用保険制度の改悪、児童扶養手当の受給対象の削減、こういったものを国民に押しつけている、そのことが国民の将来に対する不安を募らせ、家計消費を冷え込ませました。  政府は、財革法で行った国民生活に密着する予算の抑制、縮減、これはこの際取り払うべきではないか、そのことで国民の信頼を得るところ、その努力から始めてはいかがですか。答弁を求めます。
  65. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 あるいは御質問の趣旨を十分受けとめなかったかもしれませんが、財革法凍結いたしまして経済を再生させる、そのことが社会保障あるいは年金その他の問題につきましても最終的な解決のできるその前提である、こう考えまして今回このような措置を講じさせていただいたということでございます。
  66. 児玉健次

    ○児玉委員 例えば、財革法が提起している年金制度の改悪、そしてこの後連続的に予定している医療制度の改悪、去年の四月の消費税の引き上げ、そして去年の九月の医療費の引き上げ、それらが国民の家計消費を冷え込ませたことについては、これまでの国会の論議の中で皆さんもある部分については率直に認めている。その誤りを今度繰り返そうとしている。  一方では、九八年度の第三次補正、公共投資関係予算について言えば、九七年度当初に比べて実に一五〇%を超すという野方図な状態になっているじゃありませんか。そうしておいて、社会保障その他の分野だけを抑えつける。どうしてこれで日本経済が立ち直りますか。お答えをいただきます。
  67. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 社会保障制度あるいは医療改革あるいは年金等の問題につきまして、抑えつけておるから経済が伸長しないんだというお尋ねのようでございますけれども、それはそれ、消費税の増徴の問題にいたしましても、そうした医療制度を改革していくために、そして社会保障の制度を守っていくためにいたしておることでございまして、そうしたことであるがゆえに経済が落ち込んでおるという考え方は、私はいたしておりません。
  68. 児玉健次

    ○児玉委員 総理、この問題は、小渕内閣の国民生活に対する責任が根本から問われている問題ですね。しかも、将来に対する不安を取り除くということが家計消費を伸ばしていくかぎであるという点で、今は見事に世論が形成されている。そのことを無視している小渕内閣責任は極めて重大であり、この誤った方向については是正を求める、まずそのことを私は厳しく指摘しておきます。  そこで、次の問題です。  景気対策として大型の補正予算を何回も編成することについて、あなたの前任者である橋本首相は、昨年六月三日、記者会見で次のように述べた。公債残高は非常にふえて、財政状況は本当に危機的状況にあります。そしてその言葉に続けて、財政制度審議会からも、こういう財政の刺激策ばかりをいつも使っているとか、体質が結果として活力がなくなってしまうとか、そういった御指摘も既にいただいています、なかなか率直な反省です。  政府が一度はみずからに対して禁じた手法をあなたは繰り返すんですか。その点について明確なお答えをいただきましょう。
  69. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 財政は健全化しなければならないというのは、これは政治の要諦だろうと思っております。入るをはかって出るを制するということが基本だと思いますが、これを単年度で行うといたしますればいろいろな問題が惹起する、こういうことだろうと思います。  したがって、橋本内閣としての財政再建、財政構造改革をいたしていこうというその基本的考え方に何ら非の打ちどころはなかったと思いますが、その後の経済の大きな変化の中で、このことを現在続けていくということになりますれば、さらに現在の景気に対してこれを上向きにいたすことはできないということでございまして、私も、内閣をお預かりいたしました今日におきましては、その考え方をしばらくわきに置いて、そして経済の再生をまずやっていかなければならないという政策の転換をいたし、その延長線で、当然のことですが、今回の凍結法案をお願いしておる、こういうことでございます。
  70. 児玉健次

    ○児玉委員 日本経済責任を負うという立場で、私はかみ合った答えをお願いしたいのです。  私が伺っているのは、橋本前首相の言葉です。こういう財政の刺激策ばかりをいつも使っているとか、そして体質、これは日本経済の体質ですね、日本経済の体質が結果として活力がなくなってしまうとか、そういう御指摘があった、だから道を正すんだという趣旨の反省を述べられた。あなたは、そのことを拡大して今繰り返しをしようとしているじゃありませんか。同じ過ちをなぜ二度繰り返すのか、答えてください。
  71. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 ですから、橋本内閣におきまして、六大改革のうち特に財政構造改革というものを取り上げて、法律まで制定してこれを実行しようといたしましたその精神とするところ、方向性に私は誤りがあると申し上げておりません。  しかし、現在の状況におきましては、これを凍結いたしましても、財政を、厳しい中でありながら、あらゆる手法を講じてこの経済を活性化することが現下の最大の政府としての責務である、こう考えて対処いたしておるわけでございまして、御理解いただきたいと思います。
  72. 児玉健次

    ○児玉委員 財革法がすべての野党の反対を押し切って成立したのは昨年の十一月です。私はそのとき、衆議院本会議における反対討論で、この法律財政構造改革の名に全く値せず、国民生活破壊、財政破綻という最悪の道を進むことになるのは明白であります、こう指摘しました。残念ながらそのとおりになった。  この法律は、一つ内閣が命運をかけて提出した重大な法律です。その破綻が全面的に明らかになって、今あなたたちは停止と言っているけれども、これは廃止以外にないじゃありませんか。もし廃止しないというのであれば、日本経済のかじ取りを誤った、決定的に誤った責任をとって解散・総選挙で国民に信を問うべきです。あなたの答えを求めます。
  73. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 繰り返しますが、今なすべきことは、日本経済を再生し、現下の不況を克服していくということが課せられた最大の課題だ、こう心得ております。そのために財革法凍結させていただきたい、こうお願いいたしておるところでございます。
  74. 児玉健次

    ○児玉委員 そのような答えでは国民は許さない、そのことを述べて終わります。
  75. 麻生太郎

    麻生委員長 これにて児玉君の質疑は終了いたしました。  次に、伊藤茂君。
  76. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 短い時間でございますが、総理にお伺いをさせていただきます。  この法律につきましては、私も、私どもの党もさまざまな思いがございます。これをつくるとき、去年半年間、与党の一員として官邸で大変な精力的な議論をいたしました。そして、その後の審議がございました。と同時に、当時は与党として参加しましたが、今は野党であります。与野党の違いはございますが、こんなに短命に終わった法律もまた例がないんじゃないだろうかというふうに思います。この間にさまざまな大きな変化がございました。そして、今回停止ということになっております。  これは一人の政治家としても、やはり真剣にこの経過を思い、自分たちのやってきたことを振り返り、今後どうすべきかということを考えたいということを前提にいたしまして、以下三点ございますが、党の議員総会でみんなで議論をいたしまして、次の三つの問題につきまして総理の見解を求める、それを前提にいたしまして賛成ということにしていきたいということでございます。  時間があれですから、三つまとめて申し上げて、御答弁をいただきたいと思います。  第一は、停止に至った経過についてどう振り返るのかという問題でございます。  宮澤大蔵大臣は、二兎を追うというのは間違いだったという趣旨のことを先般おっしゃいました。私は、五つの反省、さまざま勉強が足りなかったということを申し上げました。総理も反省の気持ちを先ほども表明をされました。私は、気持ちだけではなくて、やはり政府、政治の責任でございますから、今後誤りを起こさない努力を真剣にやっていくという意味での反省でなければならないというふうに思います。  具体論までは申しません。やはりそういう責任、反省という気持ちを総理から伺いたいというふうに思います。私どもとしては非常にいろいろと、自分で振り返ってみて思うことがございますから、率直に述べていただきたいと思います。  第二点は、「当分の間」に関する問題であります。先ほど来この審議の中では随分御議論がございました。  いずれにいたしましても、今日の危機的な経済、戦後最悪の状況を緊急に安定軌道に乗せなければならない、これは私どもの共同の目標でございます。と同時に、やはり財政構造改革はやめていいわけではありませんし、大変なことですから、それらをどうさらにうまく推進をするのかということをやらなければなりません。  総理は、平成十一年度にプラス経済にするように命運をかけるというふうに再三おっしゃっておりますが、それでは平成十一年度末にそれが区切りなのかと言えば、私もそこは断定できるかどうかと思います。また、一年たったらどうかとかいろいろな議論もございます。  いずれにいたしましても、五年、十年とかいう話ではもちろんございませんから、今やらなければならないことの進展が一日も早くあるように、そういう心構えで真剣な努力をしていくということが必要ではないかというふうに思いますが、その気持ちを率直にお答えをいただきたいというふうに思います。  第三点。これは附則二条に関することでございますけれども、やはりできれば早い時期にこの財政構造改革財政改革ということに取り組まなければならないということは言うまでもありません。  この前、大蔵大臣に申し上げたのですが、冷凍したお魚を解凍してすぐまた食べるというものじゃありませんと。恐らくこれから、平成十一年度末、その先を考えますと、財政構造の姿としては戦後最悪なんというよりは極限状態に近いような姿になるだろう、どうするのか。  そのためには、橋本五原則を初め、前の方程式でやるというわけにはまいらぬと思います。やり直し、新たな決意で新たなシナリオをつくってやる、そういう決意が必要ではないだろうか。そのためのさまざまな勉強とか努力とかいうものは、政府におかれましても、また議会でも、みんな考えながら、経済活性化と財政の将来像、当然次の社会目的に合った形にしなくてはなりませんから、そういう意味ではやり直すんだという気持ちが必要ではないかというふうに思います。  その三点につきまして、まとめて恐縮ですが、総理の気持ちを伺いたいと思います。
  77. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 改めまして、財政構造改革法、自社さ政権の中でこれを制定してまいられました。その過程で、伊藤先生、大変御苦心をいただきましたことについては、心から敬意を表したいと思っております。  ただ、問題は、これを継続して施行していくということはできかねる現在の経済情勢に相なりました。よって来る原因は多々あるかと思いますけれども、何といっても日本金融システムが崩壊の極に達しておる、何といっても経済の中心であるこの不良債権を解消しなきゃならぬということから発して、日本経済がぐらついてきたということでありますし、加えて、アジアその他からの経済金融、通貨の不安が万波を呼んで、これまたアジア経済がおかしくなった、こういう中で、日本もそれとの影響の中で極めて難しい状況になってまいりました。  したがって、今般、私、内閣をお預かりいたしまして、従前の段々の御苦労、また財革法をつくられた精神そのものは、これは依然として継続していかなければなりませんけれども、この際いっときはお許し願って、そしてこの日本経済を活性化する。そして、いずれ将来はこの財革法が解除され、かつまた最終的には、五百六十兆という国、地方のこうした大きな赤字財政というものを解消していく、そのための第一歩にさせていただきたいということでございまして、もとより私も閣員の一人でございましたから反省はいたしておりますが、改めて、こうした立場になりました以上は、その反省の上に立って、これからの経済運営に誤りなきを期していきたいというのが第一点に対するお答えでございます。  第二は、いずれどの機会に解除するかということでありますが、先ほど来も御答弁いたしましたが、なかなかこの問題も何年以内とかということを明言することは困難でございまして、これも一にかかわることですが、依然として、日本経済をまれに見るような体質の強いものにしていくということでありまして、そして国民経済が活性化いたしますれば、必ずやこうしたものに対しても、こうした財政状況を克服できるような国民の結実した努力によってこれが解消される時期の一日も早いことを祈念して努力していくことだと思います。  そして第三については、この問題につきまして、必ずしもなかなか、回復軌道にいつのっとってどうするかということは、先生御指摘のように、なかなかすぐ、プラス成長になったから直ちにまたこの法律を生かしていけ、こう言われましても、現実の経済状況というものはそう易しいものではないと理解をいたしておりますので、その状況というものは慎重に見きわめながら、しかし、当初この法律を制定いたしましたその精神はきちんと踏まえながら、そうした時期に参りましたら慎重に対処していくことではなかろうか、このように考えさせていただいている次第でございます。
  78. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 終わります。
  79. 麻生太郎

    麻生委員長 これにて伊藤君の質疑は終了いたしました。  次に、中田宏君。
  80. 中田宏

    ○中田委員 採決の前に一言だけ申し上げて、一言だけいただいて、それで終わりにしたい、こう思います。  三日の日のこの委員会で、大蔵大臣にも、私は、二年前に総選挙で私たちが言った政策の正当性というものを主張させていただいて、ある意味ではそれを率直にお認めをいただいたのだろう、こういうふうに思っています。  そういう意味では、景気を優先するのは当たり前ですから、総理にぜひ率直なる、財政構造改革法のこの凍結をよしとして、ぜひその転換についての明言をいただこうと思ったのですが、既に明確にそこの転換については言っていただいているようであります。  これは、平成九年十一月五日、この財政構造改革法ができる際の採決直前の討論の中で、当時野田聖子委員が、今郵政大臣でありますが、賛成討論をいたしています。自民党の皆さんにもぜひお聞きをいただきたいわけですが、その中で、本法案は、「我が国財政の危機的な状況を踏まえ、安心で豊かな福祉社会や健全で活力のある経済を実現するという課題に対応できる財政構造を実現するために提出されたものであり、まことに時宜にかなった措置であります。」こう言っているわけですね。  私は、その方針が転換されることは国にとってよしというふうに思い、基本的に賛成の立場であります。しかし、当時私たち新進党並びに民主党が言っていたことは、簡単に言えば、当時の経済状況の中において、デフレ予算を強いて、そしてさらには財政の機動性を失わせるということは現下経済状況ではやるべきじゃない、タイミングが間違っているよということを再三再四指摘をしたわけでしたよね。ですから、総理の口から、私は別に謝れとか責任を今とってくれとか、これはもう橋本総理が参院選後に辞任したことで、財政構造改革法についての責任は私はある意味じゃとられたのだと思いますが、総理の口から、当時野党の言っていたことが当たっていたわなあと、その一言ぐらいは私はいただいてから本法案に自分自身は賛成をしたい、こう思っているわけです。  だって、どう考えたってそうでしょう。ぜひ率直にそれをお認めいただくことが、総理、これが景気回復の第一歩です。ぜひ最後に一言、まあ当たっていたわなあと一言いただきたいと思います。お願い申し上げます。
  81. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 いろいろの経過がありましたが、財革法について賛成を私自身も、賛成というよりむしろ内閣の一員としての責任を負っておりましたが、今日この改革法を凍結せざるを得なくなったということにつきましては、十分その経過について諸所の責任感じておる次第でございます。
  82. 中田宏

    ○中田委員 終わります。
  83. 麻生太郎

    麻生委員長 これにて中田君の質疑は終了いたしました。  以上で両案に対する質疑は終局いたしました。     ―――――――――――――
  84. 麻生太郎

    麻生委員長 この際、内閣提出財政構造改革推進に関する特別措置法停止に関する法律案に対し、児玉健次君外一名から、日本共産党の提案による修正案が提出されております。  提出者から趣旨説明を求めます。児玉健次君。     ―――――――――――――  財政構造改革推進に関する特別措置法停止   に関する法律案に対する修正案     〔本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――
  85. 児玉健次

    ○児玉委員 私は、日本共産党を代表して、財政構造改革推進に関する特別措置法停止に関する法律案の修正案について、提案理由を述べます。  政府提出財政構造改革停止法案は、現行財政構造改革法を、別に法律で定める日まで施行停止するとし、停止の解除は、経済財政状況を踏まえて必要な措置をとることとしています。  政府案は、財政構造改革法制限を取り払って、ゼネコン、銀行支援中心の従来型の景気対策を一層推進しようとするものであり、停止といっても、国民生活関連分野で既に改悪された制度や計画はそのまま維持され、医療、年金等は財政構造改革法に沿って改悪を推進しようとしています。  財政構造改革法の名目であった聖域なき歳出削減は、銀行への六十兆円の公的資金の投入、公共事業の野放しの積み増し等で完全に崩れ去りました。  財政構造改革法は、消費税引き上げと相まって、国民生活破壊、日本経済の深刻な破綻をもたらすものであったことは明白であり、停止ではなく、きっぱりと廃止すべきです。  日本共産党が提出する修正案は、財政構造改革法を廃止することとし、名称も停止法案から廃止法案といたします。また、政府の講ずべき措置として、附則第三条において、この法律施行によって国民生活に生じた不利益、すなわち難病の医療費国庫負担の改悪、児童扶養手当支給対象の削減、教職員定数改善計画の延期等、これを回復させるため、政府は必要な措置を講ずるものとするとしております。  御審議の上、御賛同くださるよう要請して、提案理由説明といたします。(拍手)
  86. 麻生太郎

    麻生委員長 これにて趣旨説明は終わりました。     ―――――――――――――
  87. 麻生太郎

    麻生委員長 これより両案及び修正案を一括して討論に入ります。  討論の申し出がありますので、順次これを許します。小坂憲次君。
  88. 小坂憲次

    ○小坂委員 私は、自由民主党を代表いたしまして、ただいま議題となっております財政構造改革推進に関する特別措置法停止に関する法律案に賛成、民主党提出案及び共産党提出修正案に反対の立場から討論を行うものであります。  我が国経済は、依然としてバブルの後遺症から抜け切れておらず、金融機関の経営悪化や雇用不安などを背景として、消費、設備投資等、家計や企業のマインドが冷え込み、民需が低迷する状況にあります。これが、バブル崩壊以降の地価や株価の低迷と相まって、企業金融機関の経営環境を困難なものとし、貸し渋りや貸しはがしを招くという悪循環に陥っており、我が国経済は極めて厳しい状況にあります。  政府・自由民主党は、こうした状況に対処するため、これまでも総合経済対策を策定し、その着実な実施に努めるとともに、さき国会においては、金融システムの信認を回復するため、金融再生法、金融早期健全化法等の新たな枠組みの確立を図るなど、経済運営に万全を期してまいりました。  さらに今般、総事業規模にして十七兆円超、恒久的な減税まで含めれば二十兆円を大きく上回る過去最大規模の緊急経済対策を決定したところであります。  こうした状況にあって、この法律案は、景気回復に全力を尽くすという姿勢を力強く内外に明らかにするものであり、まことに時宜を得たものと考えます。  以下、本法律案に賛成する主な理由を順次申し述べます。  賛成の理由の第一は、本法律案景気回復に全力を尽くすという姿勢を明確にしている点であります。当分の間財政構造改革法施行停止することにより、経済回復に資する予算の編成が可能となり、また、経済回復に向けての断固たる決意が内外に明らかになると考えます。  賛成の理由の第二は、本法律案財政構造改革推進するという基本的考え方を堅持している点であります。財政構造改革を進め、将来に向けて安心で豊かな福祉社会、活力ある経済を実現することは、我々に課せられた責務であります。  本法律案においては、景気回復に全力を尽くす姿勢を明らかにしつつ、財政構造改革推進するという基本的考え方を堅持し、将来において財政構造改革を進めるため、廃止ではなく停止という形をとっております。これにより、我が国経済回復軌道に入った後において、財政構造改革に本格的に取り組むことが可能になるものと考えております。  本法律案が成立することにより、国を挙げて景気回復に取り組むことがより明確となり、先般決定された二十兆円を大きく超える過去最大規模の緊急経済対策とともに、第三次補正予算や今後の予算編成を通じ我が国経済の再生が必ずや図られるものと考えます。本法律案を一日も早く成立させることがぜひとも必要と考える次第であります。  以上申し上げましたとおり、財政構造改革推進に関する特別措置法停止法案は、財政構造改革の基本的考え方を守りつつ、景気回復に万全を期すためのものであり、現状で考えられる最善のものであると考えております。  委員各位の御賛同をお願いし、以上で賛成の討論を終わります。(拍手)
  89. 麻生太郎

    麻生委員長 次に、原口一博君。
  90. 原口一博

    ○原口委員 私は、民主党を代表し、内閣提出財政構造改革推進に関する特別措置法停止に関する法律案及び共産党提出の修正案につきまして反対、民主党提出財政構造改革推進に関する特別措置法停止に関する法律案につきまして、賛成の立場から討論を行います。  二十一世紀を目前にして、我が国財政経済はともに危機的な状況にあります。政府が過去何度も大型の景気対策を打ってきたにもかかわらず、景気は低迷、借金はふえ続ける一方です。九八年度末の国の長期債務は、第三次補正予算が成立すると四百十二兆円、国と地方を合わせた長期債務残高は五百六十兆円になる見込みでございます。五百六十兆円という数字を夫婦子供二人のいわゆる標準世帯に換算すれば、一世帯当たり千七百九十万円という途方もない金額です。  財政構造改革法は、橋本総理が掲げた六大改革一つとして華々しく打ち出されたものの、時既に我が国は深刻な不況に沈んでいくさなかでありました。危機のシグナルが幾つも出ていたのに、経済再建なくして財政再建なしという我々の声をあえて無視して成立を強行したのです。この結果、過去最大の企業倒産、失業、貸し渋り、国民生活の不安、そして財政赤字のさらなる拡大を招きました。この事態を招いたことを政府は率直に反省し、国民に謝罪すべきであります。  以下、内閣提出財政構造改革推進に関する特別措置法停止に関する法律案について、具体的に反対する理由を申し上げます。  内閣の法案は、そもそもが構造改革の名に値しない財政構造改革法を、期限を定めずにそのままの状態で凍結するものであります。財政構造改革で目指すべきものは、納税者の利益とかけ離れた歳出の抜本的改革であり、不透明な政府歳出の排除であります。政府財政構造改革法は、社会保障費等の重要な歳出を一律に削減する一方、特別会計、財投については抜け穴で、歳入面の改革については何も触れておりません。当初予算で削られた社会保障費が顧みられていないのも、財政構造改革法が本質的に欠陥を抱えていることのあかしであります。  なお、共産党提出の修正案は、財政構造改革法そのものを廃止するという内容ですが、財政構造改革必要性は変わるものではないことから、我々としては廃止ではなく凍結を主張しており、賛成できかねます。  これに対し、民主党提出財政構造改革推進に関する特別措置法停止に関する法律案は、政府案と異なり、単にその施行停止するだけでなく、現行法問題点に大きく抜本的見直しを行うことを定めています。当面は景気回復に全力を挙げるとともに、停止期間中、財政構造改革のあり方について議論を深め、景気回復後はしっかりとしたビジョンを持って財政の健全化を進める、それが責任ある政治家としての責務であると考えます。そして、民主党の主張どおり改正することが、真の構造改革につながる唯一の道だと信じます。  なお、本法案は、ことし五月、民主党、平和・改革及び自由党の三会派が提出した法案を改めて提出するものでありますことを付言し、私の討論を終わります。(拍手)
  91. 麻生太郎

    麻生委員長 次に、石垣一夫君。
  92. 石垣一夫

    ○石垣委員 私は、公明党・改革クラブを代表して、政府提出財政構造改革推進に関する特別措置法停止に関する法律案に賛成し、民主党提出の同法律案及び日本共産党提出の修正案にそれぞれ反対する立場から討論を行います。  政府案に賛成する最大の理由は、遅きに失したとはいえ、財政構造改革法凍結することにより、橋本内閣がこれまでとってきた緊縮財政路線を転換し、財政面における我が国経済立て直しの体制がつくられることであります。  御案内のとおり、我が国経済は、平成年度七―九月期の実質GDPを見ても、前期比マイナス〇・七%、年率換算マイナス二・六%となり、平成年度政府経済見通しのマイナス一・八%も、今後の二半期を平均してプラス〇・七%ずつ成長しなければ達成できないほどその実情は深刻さを増しております。  今後、国、地方が総力を挙げて、減税を初めとしたあらゆる財政政策を総動員して、早急に我が国経済回復軌道に乗せ、財政再建の道筋を一刻も早くつける必要があります。  しかし、今後、平成十一年度、十二年度の各種の経済予測を見ても、なお我が国経済の先行きは不透明であり、いつまでに財政再建に向けた体力を回復させるかという時期を明示することは極めて困難な情勢であります。  政府案では、その停止の期間を「別に法律で定める日までの間」としておりますが、厳しい経済の実情からすれば、再施行の時期を弾力化しておくことはやむを得ないものと考えます。ただし、この条文を逆手にとって、ずるずると財政再建を先延ばしするようなことはあってはならないことは言うまでもありません。  他方、我々が五月の時点で提出し、今般民主党が再提出している二年間法律の執行を停止する趣旨停止法案では、さきに申し上げたような、その後の経済状況等の変化などから見て十分に対応ができないものと考えます。民主党案の二年間という期限つきの凍結では、平成十三年度から財政構造改革法が再施行されるということになると考えますが、このようにあらかじめ再施行の時期を確定させておくことは、逆に経済立て直しへの足かせとなりかねず、実態にそぐわなくなってきているものと認識しております。  我々は、財政構造改革必要性については決して否定するものでなく、むしろその逆であります。その意味において、財政構造改革法の中身はともかく、財政構造改革趣旨、精神を法律の形で残すべきであり、廃止するべきではないと考えております。政府案は廃止ではなく停止としており、この点は評価できます。これが政府案に賛成する第二の理由であります。  もちろん、現在の財政構造改革法は、単に予算を縛るだけで構造改革には値しない条文が数多くあることも事実であり、法律施行停止することによって、事実上、全くその意味を持たない法文もあります。再施行の際には、新法に匹敵するくらい抜本的に見直さざるを得ないと認識しております。  しかし、仮に廃止するとなれば、立法府として財政構造改革必要性についての認識を放棄することにもなりかねず、我々としては、その財政構造改革の精神については、法律の形で明確に意思表示しておく必要があると考えております。  こうした理由から、共産党提出の修正案には同調できません。  以上、政府案に賛成、民主党案、共産党修正案に反対する理由をそれぞれ申し述べました。  停止法案が成立すれば、ようやく緊縮財政の束縛から抜け出せるわけであります。小渕内閣においては、速やかに恒久減税を初めとした政策を国会提出するとともに、来年度予算編成においては、日本の元気を取り戻すことができるような大胆な施策を講じることを期待し、私の討論を終わります。(拍手)
  93. 麻生太郎

    麻生委員長 次に、春名真章君。
  94. 春名直章

    ○春名委員 私は、日本共産党を代表して、政府提出財政構造改革特別措置法停止法案に対して反対の討論を行います。  反対の第一の理由は、ゼネコン、銀行支援を中心とした従来型の景気対策のための財政支出を公然と行うものだからであります。財革法は、財政危機の根源である公共事業、軍事費などは、一切の聖域なしという看板とは裏腹に、その浪費構造には手をつけず、わずかばかりの削減で事実上聖域化したものでありました。停止法案は、そのわずかばかりの削減さえ取り払い、さらなるむだと浪費を大手を振って行うことを可能にするのであります。  九八年度の第三次補正後の公共投資関係予算は十七兆円を上回り、九七年度当初予算比七%縮減どころか、五〇%を超える大幅増となります。停止法案は、景気対策としては政府みずから禁じ手とした公共投資の積み増しをさらに加速させるものであります。公共事業中心の国の景気対策が地方財政を深刻な事態に追い込んできたことも、大蔵大臣自身が認めていることであります。今全国の自治体では、この財政赤字を理由に、福祉、教育など住民サービス切り捨てが進められていることも重大であります。  反対の第二の理由は、国民生活にかかわる社会保障、教育の予算は引き続き圧迫されることになっているからであります。  財革法凍結を言いながら、公立学校の教員定数改善計画の二年延長、医療・年金保険制度の改悪など、国民生活の切り捨て政策はあくまで貫こうというのは全く道理がありません。これらは景気をさらに冷え込ませることになり、景気回復にも逆行するものであります。  九八年度第三次補正後の国債発行額は三十四兆円、国債依存度は、七九年度の三四・七%を上回る三八・六%に達するなど、財政事情は極めて深刻であります。財革法が大義名分とした財政健全化目標も、ゼネコン、銀行支援の大盤振る舞いなど、政府みずからの手で棚上げされ、今やその破綻ぶりはだれの目にも明らかであります。  国民生活関連予算を切り捨てて国民の将来不安をあおり、深刻な消費大不況に拍車をかける元凶となってきた財革法は、停止ではなくきっぱりと廃止すべきであります。  以上の立場から、我が党は政府案に対する修正案を提出しており、民主党提出財政構造改革特別措置法停止法案には同意いたしかねることを申し上げ、私の討論を終わります。(拍手)
  95. 麻生太郎

    麻生委員長 これにて討論は終局いたしました。     ―――――――――――――
  96. 麻生太郎

    麻生委員長 これより採決に入ります。  まず、伊藤英成君外八名提出財政構造改革推進に関する特別措置法停止に関する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  97. 麻生太郎

    麻生委員長 起立少数。よって、本案は否決すべきものと決しました。  次に、内閣提出財政構造改革推進に関する特別措置法停止に関する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。  まず、児玉健次君外一名提出の修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  98. 麻生太郎

    麻生委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。  次に、原案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  99. 麻生太郎

    麻生委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  100. 麻生太郎

    麻生委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――     〔報告書は附録に掲載〕     ―――――――――――――
  101. 麻生太郎

    麻生委員長 本日は、これにて散会いたします。     午後七時二十三分散会      ――――◇―――――