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1998-12-02 第144回国会 衆議院 決算行政監視委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十年十二月二日(水曜日)     午前九時開議  出席委員    委員長 原田昇左右君    理事 鴨下 一郎君 理事 栗本慎一郎君    理事 佐藤 静雄君 理事 村田 吉隆君    理事 田中 慶秋君 理事 田中  甲君    理事 大口 善徳君 理事 佐々木洋平君       相沢 英之君    赤城 徳彦君       岩永 峯一君    粕谷  茂君       熊谷 市雄君    倉成 正和君       桜田 義孝君    下村 博文君       園田 修光君    田中眞紀子君       田邉 國男君    滝   実君       東家 嘉幸君    萩山 教嚴君       堀之内久男君    矢上 雅義君       山口 泰明君    石井 紘基君       島津 尚純君    末松 義規君       古川 元久君    山本 譲司君       石垣 一夫君    田端 正広君       山中 燁子君    若松 謙維君       西田  猛君    米津 等史君       中林よし子君    東中 光雄君       辻本 清美君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 野呂田芳成君  出席政府委員         総務庁行政管理         局長      瀧上 信光君         防衛政務次官  浜田 靖一君         防衛庁参事官  小林 誠一君         防衛庁長官官房         長       守屋 武昌君         防衛庁防衛局長 佐藤  謙君         防衛庁人事教育         局長      坂野  興君         防衛庁装備局長 及川 耕造君         法務省刑事局長 松尾 邦弘君  委員外出席者         総務庁行政監察         局企画調整課長 関  有一君         大蔵省主計局司         計課長     児島 俊明君         会計検査院長  疋田 周朗君         会計検査院事務         総局次長    深田 烝治君         会計検査院事務         総長官房総務課         長       船渡 享向君         会計検査院事務         総局第二局長  諸田 敏朗君         決算行政監視委         員会専門員   酒井 喜隆君     ――――――――――――― 委員の異動 十二月二日  辞任         補欠選任   三塚  博君     下村 博文君   森  喜朗君     岩永 峯一君   山口 泰明君     園田 修光君   米津 等史君     西田  猛君   東中 光雄君     佐々木憲昭君   村山 富市君     辻元 清美君 同日  辞任         補欠選任   岩永 峯一君     森  喜朗君   下村 博文君     三塚  博君   園田 修光君     山口 泰明君   西田  猛君     米津 等史君   辻元 清美君     村山 富市君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  歳入歳出実況に関する件及び行政監視に関す  る件(防衛庁装備品調達問題)      ――――◇―――――
  2. 原田昇左右

    原田委員長 これより会議を開きます。  歳入歳出実況に関する件及び行政監視に関する件、特に防衛庁装備品調達問題について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。岩永峯一君。
  3. 岩永峯一

    岩永委員 皆さん、おはようございます。  野呂田芳成長官におかれましては、創設以来の危機に瀕している防衛庁の再建と信頼回復、そしてさらなる発展をもたらすために御奮闘いただいておりますことと存じておるわけでございます。  そうした御苦労をお察し申し上げますものの、一方、私は、今般の防衛庁を取り巻く一連疑惑と、それに対する防衛庁対応を見ておりますと、正直言って大きな不満と激しい不安を覚えざるを得ないわけでございます。朝鮮民主主義人民共和国によるいわゆるテポドン発射事件日米安保ガイドラインの見直しなど、我が国国防政策において重大な国民的意思決定を行うべきそのときに、議論をリードする立場にあるべき防衛庁がこのていたらくとは、国家にとって何と不幸なことか、残念でなりません。  また、政治の世界でも、中島洋次郎防衛政務次官が、機器の調達において不正を働き、ありがとうと私利を図っているという疑惑に関しましても、同僚議員であると思えば大変心苦しい限りでありますが、疑惑が事実だとすれば、国家の基盤たる国防を食い物にしたということであり、国会議員として、自由民主党の議員として、大変残念であると同時に、怒りにたえないというのが正直なところでございます。  太平洋戦争での敗戦経験やその後の憲法解釈、戦後平和教育での影響で、我が国には、国防不信とでもいうべき国防そのものに対する反感、不信感が長期にわたって醸成されてまいりました。近年は、保守政治家を初めとする方々が勇気ある議論国民的に起こすことによって、この状況はかなり改善されてきたとは言えますものの、その動きに水を差すかのような今回の防衛庁動きであります。  正直言って、私は不安であります。こんなことでは、我が国においていつになったら国防必要性不可欠性国民的に認識され、国防議論が色眼鏡で見られることがなくなるのか、心配のきわみであります。  防衛庁がそのためにこれからどのような働きをしていかなければならないのか。例えば、防衛庁という名の政策立案官庁というあいまいな立場でよいのか。国防政策であると同時に一つ行動でもあるのでございますから、国防省という立場に立たなければならないものではないかとさえ考えるものであります。  行革委筆頭理事として見せていただいた野呂田長官のその情熱と力量を、私も見習わねばと尊敬申し上げてまいりました。そのとき見せていただいた、小手先の空虚な技術論を振り回すのではなく具体的な行動で本質から切り込むのだという大臣持ち前の強い姿勢を、今回も見せていただけるものと期待をいたしております。  ぜひ、新長官就任に当たりまして、国防中興の祖となるためにいかなる改革ビジョンをお持ちか、この場で御披露いただきたいと思うものであります。
  4. 野呂田芳成

    野呂田国務大臣 最初に、国家危機管理をつかさどっている防衛庁が、自分の役所の危機管理が不十分であったということは、これは何とも申しわけの立たないことでございまして、そのことにつきましては、心からおわびを申し上げたいと思います。  前長官本部長といたしまして、防衛調達改革本部というものをつくりまして、これからの改革基本方向というものを示していただきました。昨日お目通しをいただいたとおり、調達制度改革調達機構改革、それから隊員の再就職の問題等、幅広くこれからの改革方向を示しておると思います。  また、いわゆる証拠隠し疑惑につきましても、前長官の大変厳しい指導のもと、徹底した調査を行いまして、その結果を取りまとめて公表しておるわけでありますが、この中でも、やはり残念ながら組織的に証拠隠しをしたと受け取られてもやむを得ない事例も判明しております。私は、その社会的、道義的な責任は大変重いものがあると思っております。防衛庁は、これらの調査結果を踏まえまして、その監督面責任を含め、関係者の厳しい処分人事の刷新を行ったところであります。  詳しくは昨日の報告書にあるので、重複を避けまして簡単に御説明させていただきます。  まず、私どもは、一番大きい問題は、調達実施本部を廃止したい。そして、契約部門原価計算部門をこれまでは一人の本部長のもとでやっておったわけですから、これは大変大きな疑惑を生むもとになりました。そこで、これを完全分離、独立させたい、こういうふうに思っております。  それからまた、内局のチェック体制もしっかりしていなかったという反省もありますので、この際経理局装備局を合体させまして、そういった内部部局責任体制チェック体制を明確に確立させていきたい、こういうふうに思っておる次第でございます。  何といってもこういう不祥事の後でございますから、隊員の意識をきちっとまとめまして、本当に一丸になって真剣に、示された方向を四月までに速やかに、完全に実施することが当面の改革の私の仕事である、こう思って頑張ってまいりたいと思っておりますので、ひとつよろしく御指導のほどをお願い申し上げたいと思います。
  5. 岩永峯一

    岩永委員 先ほど申し上げましたとおり、中島洋次郎議員が、防衛庁政務次官当時、飛行機調達において不正を働き私利を図っていたという疑惑は、ちまたをにぎわしております。この疑惑が事実でありますならば、大変残念であり、同じ党に籍を置く者として責任も感じております。  また、現在は、政治主導という言葉にあらわされるように、各行政分野においても政治家が深くかかわり、政策決定についても政治家責任を持って行う必要性が強く叫ばれているところであります。このような時代であるにもかかわらず、国政を担う国会議員である中島洋次郎氏が、このような正義感責任感も感じられない無思慮な国民に対する裏切り行為を行ったことに対し、激しい怒りを覚える次第であります。  飛行機の不正調達問題においても、一部では、防衛政務次官権限は事実上なかったのであるから収賄罪には該当しないと言い、中島議員責任をあいまいにするような意見が存在することも事実であります。  私は、政務次官という立場は、法的に広範な権限を持っているだけの盲腸ではないと思うのであります。現実においても多くのことを実現できる権限と同時に、我が国国政をよりよいものにするべきであるという結果責任を持っているものと思うのであります。  法務省お尋ねをいたします。果たして、政務次官権限は、受託収賄罪の適用はあるのかどうかという点の確認に関して一点。  そして、この機会でございますので、総務庁には、政務次官権限はその主務官庁意思決定にどのように及ぶものであるのかについて、わかりやすく御説明をいただきたいと思うのであります。
  6. 原田昇左右

    原田委員長 時間が来ていますので、簡単に。
  7. 松尾邦弘

    松尾政府委員 具体的事案に即して申し上げますのは差しさわりがございますので、一般論として申し上げます。  国家行政組織法の十七条三項は、政務次官職務を「その機関の長たる大臣を助け、政策及び企画に参画し、政務を処理し、並びにあらかじめその機関の長たる大臣の命を受けて大臣不在の場合その職務を代行する。」と規定しております。政務次官がこのような職務に関し、請託を受け、わいろを収受した場合には、刑法百九十七条一項の受託収賄の罪が成立することがあり得ることになります。  なお、加えて申し上げますと、政務次官受託収賄罪の成立を認めた裁判例といたしましては、ロッキード事件全日空ルートにおける元運輸政務次官に関する東京地方裁判所、昭和五十七年六月八日の判決がございます。  以上でございます。
  8. 瀧上信光

    ○瀧上政府委員 政務次官主要官庁の個々の意思決定にどのように及ぶものかどうかという点でございますが、ただいま御紹介ありました国家行政組織法第十七条三項の規定の趣旨にかんがみれば、政務次官は、それぞれの各省庁主要政策事項意思決定過程に参画して、大臣を補佐する職務を遂行するものと考えております。
  9. 原田昇左右

    原田委員長 次に、石井紘基君。
  10. 石井紘基

    石井(紘)委員 防衛庁長官がかわられましたので、前額賀長官は、前国会の最後の、私の安全保障委員会における辞任要求というものを受けて辞任をされましたので、新たな野呂田長官に、まず防衛庁背任事件について見解を伺ってまいります。  ここに、四社事案関連文書管理実態に関する報告というものが昨日なされたわけでありますが、管理実態というようなこともおかしいわけでありますが、防衛庁長官として、この事件というものは防衛庁組織的な犯罪であったというふうに御認識かどうか。  つまり、ここで述べられておりますように、証拠隠滅等は明らかに、この処分実態を見ても、組織的に展開をされております。また、私の一年余りにわたるところのたび重なる質問に対しましても、防衛庁は、背任事件あるいは贈収賄事件についての防御一点張りでありました。そんなに組織を挙げて防衛をしますとこれは防衛庁組織ぐるみ犯罪というふうになりますよと、再三私は申し上げながらやってきたわけでありますが、それにもかかわらず、防衛庁としては組織を挙げてこの事実を隠ぺいしてきた。あげくの果てには、東京地検に対して文書を出されて、そして、るる弁明、防御に努めてきたわけであります。さらにそれに加えて、その文書に補足というものを後からまた追加もしている。  こういうようなこと等を総体として見ますと、明らかにこれは防衛庁組織的に行われた背任事件である、このように思うわけでありますが、大臣見解を伺います。
  11. 野呂田芳成

    野呂田国務大臣 このたび報告しました最終報告書にも書いてありますが、調査の結果は組織ぐるみ証拠隠しと受け取られてもやむを得ない事例があった、こう最終的に反省をしているわけでございます。  強制調査権がないとはいえ当庁の調査が十分でなかったこと、及びそのような状況の中で当庁としての見解さまざま先生に対する御答弁のように申し上げていたことは、今から考えれば大変配慮に欠けた点で、遺憾であったと心からおわびを申し上げます。
  12. 石井紘基

    石井(紘)委員 この証拠隠しは、もちろん明らかに組織的な行動であった。しかし、私がもう一つ今聞きましたのは、背任事件そのもの、あるいは贈収賄も出てきておる、こういったものも、これはもう防衛庁組織的にこれまで隠ぺい工作をしてきたわけでありますから、これもすべて組織的に行われたものだというふうになってしまうと思うわけであります。  そこで、今、この一年間の国会答弁というものがことごとくうそになっているわけですね。この国会答弁を専ら矢面に立ってやられてきたのは、前々久間防衛庁長官、それからまた前装備局長鴇田さん、こういう方々であったわけでありますけれども、この中には、それらの人々に対する処分というものがほとんど触れられていない。名前も出ていない。これは一体どういうわけですか。国会を通して国民に対して責任を負うわけでありますから、国会答弁に対して、これをうそで言い抜けてきたということは大変な大きな責任があるわけでありまして、これらの責任を明確にする必要があると思いますが、いかがですか。
  13. 野呂田芳成

    野呂田国務大臣 先ほども答弁しましたとおり、一連のことについては、大変配慮に欠けておって遺憾であったと思っております。  久間防衛庁長官責任につきましては、防衛庁長官自衛隊員身分を有しているわけでもないし、また、同長官が既に離任されておることもありまして、今、当庁においてお答えするのは必ずしも妥当じゃないのじゃないかと考えております。  また、鴇田装備局長の問題につきましても先生からお触れいただいたようでありますが、防衛庁装備品調達行政を担当する局長として、この解明に取り組む立場にありながらこれが不十分であって、結果として防衛庁調達行政に対する国民信頼を大きく欠くことになった、傷つけたという責任があると思います。当庁では、関係者処分を行う時点で既に同氏は通産省に出向しておりまして自衛隊員身分を有しておらず、当庁において自衛隊法処分を行うことができないために、四社事案に係る責任については、通産大臣に対しつぶさに通知をした次第であります。
  14. 石井紘基

    石井(紘)委員 ポストを離れればどんな悪いことをやってもいいんだということはないわけでありますので、これはまた別の機会追及をさせていただきます。  それから、私が再三申し上げてきた生産管理協会とかあるいは防衛装備協会というような防衛庁天下り財団法人、これがいろいろ悪いことをやる温床に、舞台になっておるわけなんで、この非常に不明朗な二つの財団法人を解散すべきであるということを申し上げてきているわけでありますが、これについても何ら触れられておりませんが、いかがですか。
  15. 野呂田芳成

    野呂田国務大臣 御指摘のありました両法人につきましては、私どももこれを重大視しておりまして、十一月中旬より、両協会の業務の実態調査に、民法第六十七条の規定に基づきまして立入検査を行っておるところであります。この検査につきましては、本部事務所だけではなく、地方の事務所関連企業事業所についても対象としておりますので、なお当分の間調査を続ける必要があると思っております。  その検査が終了した次第で、検査結果を踏まえまして、両協会のあり方に、今御指摘いただいた委員意見も十分勘案しながら、最終判断をしてまいりたいと思っております。
  16. 原田昇左右

    原田委員長 石井さん、時間です。
  17. 石井紘基

    石井(紘)委員 あとまだ一分あります、二十一分まで。  空自の次期初等練習機選定問題でもって、スイスのピラタス社から抗議が盛んに出されているわけであります。つまり、最終的には富士重工が契約をとった、この入札契約のやり方が、選定の方法が極めておかしいということでございますが、当初の半分ぐらいの値段に、入札後、価格を下げたのではないかという疑惑であります。これについて説明を求めて、私の質問を終わります。
  18. 原田昇左右

    原田委員長 簡単にやってください、時間だから。
  19. 佐藤謙

    佐藤(謙)政府委員 事実関係でございますので、私の方から簡単に経過の御説明をさせていただきたいと思います。  まず、先生お尋ね初等練習機でございますが、空自初等練習機、これは、空自パイロット教育最初の課程の、基本的な操縦法の取得のために使用するものでございます。  現有のT3型というのが、耐用命数から見ますと平成の十四年度中にはダウンしていくということから、平成十一年度に後継の練習機を整備する必要があるというようなことから、機種選定のための手続を実施したわけでございます。  このために、本年五月に国内メーカーそれから商社全般、航空機を取り扱うこういうところに事前の説明会を行いまして、これは六十社に連絡を行い、三十社が参加しております。その上で、希望された全社、六社でございますが、これに提案要求書を御通知し、その結果、PC7マークⅡというものとT3改の二機種が提案されまして、八月下旬まで機種選定作業を実施したということでございます。  その選定につきましては、要求性能と……
  20. 原田昇左右

    原田委員長 大臣の時間がないものだから、あなたはこれでいいです。後で。  次に、若松謙維君
  21. 若松謙維

    若松委員 まず野呂田長官に。  長官は、行政改革特別委員会の自民党の筆頭理事として、政権政党でありながらも、特に行政の、新しい中央省庁再編権限規定を排除するという大変すばらしい仕事のリーダーシップを発揮されました。今この難しい防衛庁に当たりまして、その長となられた長官に対しまして、ぜひともそれ以上にまさる御活躍をお願いしまして、まず、私の長官に対しましての祝福とさせていただきたいと思っております。  その上で、まず長官にお聞きしたいんですけれども、実は私も、防衛庁問題、昨年十一月十二日、決算委員会で取り上げました。今回で六回目になります。その間、防衛庁長官は三代目。事件はまさに予想どおり予想以上の広がりを見せまして、私ども追及が正しかったということを今かみしめているわけです。  私も政治家として、特に防衛庁、いわゆるシビリアンコントロールを徹底するにはやはり政治家責任というのが重要であるという観点から、さまざまな追及、また質問をしてまいりました。長官にお聞きしたいんですけれども額賀長官が、今回、その一つのあらわれとして辞任されましたけれども、八月に就任されて、その間に実際に、組織的に、資料の漏えいとか、資料を隠したりとか、遺棄等もあったわけです。そういったことも踏まえて、長官一つ政治家としてのみそぎは示したものの、それだけで果たして十分であったかというと、私は、まだまだ反省の余地があるのではないかと。  そういう観点から長官にお聞きしますけれども額賀長官のこれまでの一連対応について、これから新しい防衛庁をつくられようとする長官に対して、その評価をお伺いします。
  22. 野呂田芳成

    野呂田国務大臣 御指摘いただいたことはそのとおりでございまして、私どもやはり、委員が従来から防衛産業全体の癒着の問題について厳しく追及されておりましたので、今回の事案につきましても、第三回の防衛調達改革本部、これは十一月四日に開いたんですが、額賀長官から、防衛産業団体、これは経団連や日本航空宇宙工業会等団体でありますが、これらに対して、本事案は一部の企業の問題ではない、みずからの問題点としてとらえて自己点検し、きちっと対応してもらいたいということを関係団体に強く警告したところであります。  また、防衛庁としても、契約企業原価計算システムが適切なものであるかどうかを確認するため、今後、これから五年間ぐらいかかると思うのですが、一般確定契約を主体とする企業二百八十社を中心に厳正な調査を行って実態の究明に努めたい、こう思っております。
  23. 若松謙維

    若松委員 ちょっと質問と答えとかみ合っていないようですが、では、長官政務次官に簡単にコメントを聞きたいと思います。  今回さらに、業界と防衛庁癒着だけではなくて、結局その間に政治家が関与していた、特に中島洋次郎政務次官ですけれども。今その任に当たられるのが浜田政務次官ですね。結局、先ほどのシビリアンコントロールをやるのは、政治家としての長官、そして政務次官仕事だ。ところが、現実にその政務次官癒着接着剤になっていた。これでは、正直言って、お二人が今新しい防衛庁をつくろうと言ったって、もうだれも信用しない、こういう状況になっていると思うのです。果たして本当に政官財癒着を断ち切っているのか。それに対して、まずみずからお二人が、少なくとも防衛庁関係する企業等からの政治献金等は受けない、企業団体献金を受けない、そういう決意を持って新しい防衛庁をつくられるのか、お二人に聞きたいと思います。
  24. 野呂田芳成

    野呂田国務大臣 まさにそういう悲壮な決意改革に努めていきたい、こう思っております。
  25. 浜田靖一

    浜田(靖)政府委員 先生のおっしゃるとおりでございまして、額賀長官からもその辺のところはしっかりと言いつかっておりますので、野呂田長官とともに、そのような気持ちで頑張っていきたいと思います。
  26. 若松謙維

    若松委員 それでは、再度総括的にお聞きしますけれども、去年の私の十一月十二日の質問で、今回の水増し、いわゆる原価差異ですね、故意かどうかということで、最終的に故意性立件要件になったわけです。  結局、防衛庁として、今まで水増しじゃなくて原価差異という言葉を使っていましたけれども、これはもう悪質な水増しだと思うのですね。水増しだと思います。それについて、長官、どうですか。原価差異ではなく、私は明らかに悪質な水増しだと思います。それについて明快な答弁をお願いします。
  27. 及川耕造

    及川政府委員 先生指摘のとおり、当時私ども調査では原価差異という言葉を使っておりまして、今回の地検当局のお調べによりまして、先生おっしゃるような水増しの事実があったということだと存じます。
  28. 若松謙維

    若松委員 では、水増しということですね。  では、長官、今回この報告書を見させていただきましたけれども、「組織的に証拠隠しを行っていたと受け取られてもやむを得ない事例があった」、こういう組織ぐるみ証拠隠滅の事実を認めましたけれども、まさに国民を守るべき崇高な責任を持つ防衛庁、それが内輪を守る姿勢に終始している。どうするのか。再度反省の弁を求めます。長官、お願いします。
  29. 野呂田芳成

    野呂田国務大臣 今度の一連事件に対する社会的、道義的な責任は大変重くて大なるものがあると思っております。私どもも、身を切る思いでいろいろな改革を断行いたしまして、一日も早く国民信頼を取り戻したい、その一念に燃えて四月まで目標を立てて今頑張っておるところでございます。
  30. 若松謙維

    若松委員 では、政務次官にお聞きしますけれども、まさに長官を補佐する立場です。新しい防衛庁をつくるに当たって、政務次官としてどれだけ、単なる選挙のバリューを高めるための道具なのか、それとも本当に防衛庁を変える気概でこれから進められるのか、ぜひ決意をお願いします。
  31. 浜田靖一

    浜田(靖)政府委員 先ほど来長官からお答えをしておりますように、今回の問題というのは、それこそ額賀防衛庁長官が道筋を立てたわけでありますが、そのときの人事、そしてまた改革方向というのをかなり思い切ってやらせていただいたと思っております。今後、安全保障というものを考えるに当たっては、当然身を正して、本当に我々精いっぱい努力をしてやっていきたいというふうに考えておりますので、どうぞよろしくお願いします。
  32. 若松謙維

    若松委員 時間が来ましたので、終わります。
  33. 原田昇左右

    原田委員長 次に、西田猛君。
  34. 西田猛

    西田(猛)委員 自由党の西田猛でございます。  長官におかれましては新しく職務につかれましたので、今後とも御精進されまして、不祥事の再発防止に向けて御努力いただきたいと心からお願いを申し上げたいと存じます。  そこで、時間も限られておりますので簡単にお聞きいたしますけれども防衛装備の調達と申しますのは、言うまでもなく極めて機密性が高く、国民、さらには国民の代表であります我々国会においてもなかなかチェックがしづらいようなものでございます。そういう意味におきましては、防衛装備の調達ということは、防衛装備の調達を行う部内における最も高い自己規律と、内部における相互監査が強く要求されているものでございます。したがって、我々といたしましては、従来、この防衛調達実施本部あるいは防衛庁内局において非常に高い自己規律と内部監査が行われているであろうという信頼に基づいて予算も編成し、執行を許してきたわけでございます。  しかるに、今回の一連事件を見ておりますと、まことに極めて遺憾であると言わざるを得ないのでございますけれども、今、このあたりにつきましての大臣の御所見、それから、このような事件が二度と起こらないために、絶対的に起こらないための完全なる再発防止策についての具体的な御所見をお伺いいたしたいと存じます。
  35. 野呂田芳成

    野呂田国務大臣 今回の不祥事件の背景といたしましては委員指摘のような事実があったわけでございますが、調達に携わる職員の自己規律と、それから内部相互監査体制の点などに大きな問題があったと認識しております。  今後、内部監査を強化する観点から、先ほども申し上げましたが、調本は廃止して契約部門原価計算部門を分離する、さらに内局のチェック体制を強化するために経理局装備局を統合再編する、あるいは第三者による監視制度を設ける、また職員一人一人の自己規律を高めるという観点から職員に対する倫理教育等を充実してまいりたい、このような対策を講じまして、不祥事が再び決して起こらないように誠心誠意やってまいりたい、こう思っております。
  36. 西田猛

    西田(猛)委員 今大臣がおっしゃっていただきましたことで完全に再発防止ができるかどうか、我々はまだ確信の持てないところなのでございます。特に今おっしゃいました第三者による監視という点については、防衛機密との関連上、どのような第三者による監視機構を考えておられるのか、これは後ほど事務当局からでも具体的にお聞かせを願いたいと思っております。  それから、今回の事件が起こりました背景は、防衛装備品というものの予算編成それから予算の執行というものが非常に複雑多岐をきわめておるというところにございます。  まず、各陸上、海上、航空の幕僚監部でこういう装備品が欲しいというふうなことを発案する、それを防衛庁内局の装備局と相談する、そして経理局で予算化する、予算査定をする、それを大蔵省に予算要求をして、予算がつけば、次に予算執行の段階になりますれば、また各幕僚監部の調達部と装備局で相談をし、経理局の審議を経て、そして調達実施本部に予算の執行が流れる。簡単に申し上げればこういう一連の予算編成の流れがあったわけでございます。それと、予算執行の流れがあったわけでございます。  そこで、防衛装備の調達の需要者というのは国にしかないわけですけれども、他方、供給者側も非常に数少ない。すなわち、買う者と売る者が非常に数少ないというところに今回のような事件が起こる土壌があったのでございます。  したがって、調達する方は国でしかないわけですけれども、供給者側、製造者側、これのマーケットがある程度拡大して、その中で競争が行われるという原理が働いてこなければ、今回のような事件は完全に再発を防止することは、私はできないのだと思うのです。  そういう意味では非常に難しい問題もございます。例えば軍事技術開発の点もございまして、かつての三木内閣のときに完全に遠慮することとされた武器輸出の三原則ですとか、それから汎用品と軍事用だけの製品の問題ですとか、いろいろと難しい問題がございますけれども、供給者側のマーケットを広げていくために、我々は、これから日本の軍事技術開発あるいは防衛装備製造業者のマーケットの拡大ということを目指していくべきなのではないかと存じますけれども長官の御所見、いかがでしょうか。
  37. 野呂田芳成

    野呂田国務大臣 御指摘ありましたように、防衛産業は、大変高度な防衛上のニーズを満たすために高度な技術が必要であり、また、それにこたえるために多額の生産設備も必要であり、また厳格な秘密の保持ということも必要であります。ですから、供給する側が大変数が限定されておる。しかも、御指摘ありましたように、武器輸出三原則によりましてこれを外部によることもできない。こういうことで、供給者と需要者で長期にわたって依存関係が形成されてきたことが、いろいろな問題が起こる一つの重大な契機になっていると思います。  御指摘のように、製造業者のマーケットが適正に拡大されていくというのが望ましい姿でありますが、今申し上げたように、供給者をいろいろな面で拡大していくということはなかなか厳しい制約があると思いますが、御指摘方向で私どもも一生懸命研究し対応してみたい、こう思っております。
  38. 西田猛

    西田(猛)委員 私の質問の最後になりますけれども、今回の事件の土壌には、今長官もおっしゃったように、我が国防衛あるいは世界の中における日本の防衛というものに対する我が国自体の、特にその行政を担う行政官庁の諸氏の、日本の防衛についてのあいまいな考え方、あるいは日本の防衛戦略、防衛政策というものはどうあるべきだという明確な哲学が欠けていたのではないかなということが根本的に見られるのだと思うのです。  そこで、私たちは、自由党といたしまして、日本の防衛政策についての三原則というものを明確に打ち立ててございます。  これは第一に、日米安保体制を主軸とした日本の防衛戦略を持つこと。それから第二に、我が国の領空、領土に対する急迫不正の実態的な侵犯がない限りは、これは日本の防衛としての実力の行使は絶対にしてはならない、これが憲法の理念であり、枠内であり、憲法の条文解釈だということでございます。それから第三には、しかしながら、国際連合の総会決議あるいは安全保障理事会の決議等があって、国連の要請があれば、国際平和協調ということも日本国憲法の一番大きな柱ですから、これは、国連のオペレーション、それが平和維持活動であろうが国連軍であろうが、日本の力をかすことはできるという考え方を持っておるのでございます。  このような明確な思想、それから哲学を持って日本の防衛政策に当たるのが私は必要なのではないかと存じておりますけれども長官、いろいろな報道によりますと、長官もそのような考え方に理解を示していただいたような記事に私は当たりました。今、長官の御所見をお伺いしておきたいと存じます。
  39. 野呂田芳成

    野呂田国務大臣 十九日に両党の党首が会談をして、自由党側から三つの原則が示されたことは私も承知をしております。いずれにしましても、これは両党間で十分な論議を経て結論の出る問題でありますから、私は、防衛庁長官としてこの場で自分の考えを申し述べることは差し控えさせていただきたいと思います。
  40. 西田猛

    西田(猛)委員 長官の時間があるようでございますので、私の質問はこれで終わります。
  41. 原田昇左右

    原田委員長 次に、東中光雄君。
  42. 東中光雄

    東中委員 先日、総理大臣は所信表明の中におきまして、防衛装備品調達をめぐる背任事件について、「防衛庁において、事実関係の徹底的な解明を図り厳正な処分を行った」ということを言われました。事実関係の徹底的な解明を図ったということを言われております。  今度出されました二つの報告書によりますと、文書管理実態に関する報告書の二ページでは、昨年以来、事務レベルの最高責任者として秋山事務次官は、四事案に関し内部調査による事案の解明、処理に取り組んだ、しかし刑事事件として立件されるまで真相解明と適切な処理を行うに至らなかった、これが責任追及の第一に挙がっております。要するに、四事案の解明に取り組んだ、しかしそれはやられなかったと言われておるわけです。  それから、同じ報告の十三ページでは、原価差異事案対策特別委員会を昨年設置して、この検討委員会は、いわゆる原価差異事案について、どのような経過で過払い額を計算し確定したかという事実関係調査の重点を置いたというふうに書いています。そのために、当時の担当者や会社の関係者からも事情を聞いたということが書かれております。四事案の事実関係調査をやった、そして今もまだ検討を続けていると書いてあります。  最後に、調達改革基本方向という改革本部の報告文書の三ページによりますと、「具体的な事実関係の解明については裁判の結果を待つ必要があるが、これまでに明らかになった事実関係等を踏まえれば、以下のような問題点があった」といって、改革方向を出しているのですよ。要するに、事実関係について解明を行った、真相解明のためにやった、そしてこれまで明らかになった事実関係の上でこの方針を出しているのだと。  ところが、この二つの報告書を見ますと、背任事件といいますか、あるいは水増し請求、過払い事案についての事実関係報告は一切どこにも出てこないのです。この報告では、最終報告とはとても言えません。文書管理実態についての報告と、そこからの改革方向だけなのです。  事実関係実態を解明したと総理も言っているんですからね。その部分について一切ないので、これは、新長官のもとにおいて、当然、事実関係がどうであったのかということについて報告がされるべきものだと思うのですが、される意思がありますか、ございませんか、お伺いしたいと思います。
  43. 野呂田芳成

    野呂田国務大臣 委員指摘のとおり、私どもは今回の一連の不祥事に対しまして、大変厳しく社会的、道義的な責任を感じて反省しているところであります。  私どもとしては、今般「防衛調達改革の基本的方向について」を取りまとめるに当たりまして、今回の背任事件の原因となった主要な問題点について整理、総括したわけでございまして、詳細はきのう発表した文書に見られるとおりであります。  いろいろな具体的な事案につきまして調査をして発表していくということは、既にこれが裁判上の問題になっておりますので、それを妨害するということに対してまた配慮を加えなければいかぬ、こういうことで、私どもとしては、調査した結果について、これを公表することはなかなかできませんが、証拠隠しと言われるような失態は二度と繰り返さないように積極的に捜査当局に協力してまいりたい、こういうふうに考えております。
  44. 東中光雄

    東中委員 防衛庁調査をすると捜査の妨害になる、そういうようなことはできないんだ、こういう趣旨のことを言われましたが、これは全くゆゆしい問題だと思います。  だから、そうじゃなくて、現に起訴されているのは二件だけでしょう。東通関係と、そしてニコー電子、この二件だけじゃありませんか。それも弁済についての、返還についての額を下げた、意識的に下げたのはこれは背任だと言われているわけであります。  ところが、今問題になっているのはそうじゃなくて、先ほど来の質問にもありましたように、水増し請求をやった。それを防衛庁が丸のみしたかどうか知りませんが、受け入れて、そのことによって国が過払いをやったというのは、東通だけじゃないのです。日本工機もそうでしたし、その他新たに次々に出てきていますよ。今度はNECが、本社が今その問題が出ているでしょう。あるいは、宇宙開発事業団に対してもNECが水増し請求をしておったということで、宇宙開発事業団はそれは早速調べて、こういう点であったといって、内容を出して今追及していますね。新聞で公表していますよ。そしてそれは、詐欺罪になる、宇宙開発事業団はNECにだまされたんだ、だから詐欺罪になる、告発することも検討すると新聞でも発表していますね。  ところが、防衛庁はどうか。随分だまされてきたわけですね。詐欺であるということを一言も言ったことがない。だから、だまされたのじゃなくて、通謀しておったからかということになるわけです。それだったら、通謀してやっていたのだったら、まさに背任じゃないですか。過払いをやったこと自身が背任になる。そういう関係の事実関係をちゃんと明らかにしなければ、どうして――検討委員会といってその関係を明らかにするためにやってきたんだと言っているじゃないですか。今の防衛庁長官は、それをやらないと言うのか。やっても発表しないと言うのか。既に明らかになった事実ということをここに引用してあるわけですから、これまでに明らかになった事実関係、それを公表しなさい。するかしないか、はっきりと答えてください。
  45. 野呂田芳成

    野呂田国務大臣 私が先ほど申し上げましたのは、既に捜査の対象となっているものについての見解を述べたわけであります、多少取り違えておったと思いますが。  御指摘のとおり、日本航空電子工業とか日本電気とか日本電気電波機器エンジニアリングとか、まだ過払いの疑惑があるところがたくさんありますので、これにつきましては、二百八十社を対象にして水増しあるいは過払いの調査に今当たっておるところであります。ついこの間、日本電気の府中事業場に立ち入り、またきのうでしたか、横浜事業場の方にも立ち入りまして、今御指摘の点については鋭意調査をしているということでございます。
  46. 東中光雄

    東中委員 時間ですが、調査をしているとおっしゃいましたので、私の言っているのは、調査しているのはわかっているので、去年から調査しているということになっているんだから、その調査の結果明らかになった事実に基づいて報告を出したというのだから、その明らかになった事実を公表するかしないか、隠していくのかということを今聞いているのです。それに対する答えがございません。
  47. 野呂田芳成

    野呂田国務大臣 捜査の妨害にならない限度において発表していきたいと思います。
  48. 東中光雄

    東中委員 終わります。
  49. 原田昇左右

    原田委員長 次に、岩永峯一君。
  50. 岩永峯一

    岩永委員 防衛庁の背任、証拠隠滅に関する一連疑惑に対する総括である先月十九日に発表されました最終報告に関してでございますけれども、この最終報告書を読んでいる限り、何度読んでも、まるで他人の不祥事に対して書いているようにしか思えないわけでございます。  証拠隠滅ととられても仕方のない行動が見られたという記述がございますね。いかにも、後から考えたら証拠隠滅だった、考えが足りなかったと言いたげでございますが、実際に書類を隠したり焼いたりしたら検察の捜査が困るということは、その時点でもわからないはずはないと私は思うわけです。それなのに、防衛庁が書類を焼いたり隠したりする段階でその行為が証拠隠滅になるということを認識していた、要するに、故意組織的に証拠隠滅工作をしたのかということが報告書にはっきり書かれていない、このように思うわけでございます。  それとも、検察の業務や行政説明責任について、防衛庁内のいかなる人間も全く考えが及ばなかったと強弁するつもりなのかどうか疑うわけでございます。  組織証拠隠滅工作は故意犯か業務上過失犯か、どちらかはっきりと申していただきたいと官房長にお願いするものでございます。
  51. 守屋武昌

    ○守屋政府委員 お答えいたします。  四社事案関連文書管理実態に関する報告でございますけれども、この文書におきまして、調査の結果、東京地方検察庁の強制捜査の直前に、防衛庁幹部による資料の移転や処分が行われていた事例など、組織的に証拠隠しを行っていたと受け取られてもやむを得ない事例があったことが判明しておりまして、これは防衛庁として深く反省しているところでございます。  どうしてそういうことが行われたのかという聞き取り調査を多数の職員に対して実施しました。どうしてその資料の移転、処分をしたかという理由でございますけれども、業務遂行上必要な資料の押収を避けたかった、それから、事件に巻き込まれるのが嫌だったといったものがございました。  それから、防衛庁としまして、何が捜査に必要な資料かは最終的には捜査当局が判断すべきものであって職員の独断は避けるべきであったにもかかわらず、このような種々の事例が生じたのは、組織として、捜査協力の面で適切な対応をとるための指導が不足していたというもので、大変問題があったと考えているところでございます。  ただ、このような資料の移転、処分などの行為が刑法上の証拠隠滅罪に該当するかどうか、また、証拠隠滅罪の故意があったと認められるかどうかについては、これは防衛庁としましては捜査・司法当局の判断をまつべき問題でありまして、防衛庁としての判断は差し控えたい、こういうふうに考えているのが現状でございます。御理解いただきたいと思います。
  52. 岩永峯一

    岩永委員 また、報告書の後半にある原因の分析に関しましても、世間的な官僚批判に沿っただけであるものや、調達本部という一部のスペシャリストに問題があったということしか書いてないじゃないかと思うわけでございます。組織的な捜査妨害、証拠隠滅工作などという、官僚不祥事の中でも例を見ないほど重大な犯罪を起こしたという認識を防衛庁の皆さんは本当に持っておられるのかどうか、お聞きしたいところでございます。自衛隊でもない、官僚全体がやったことでもない、防衛庁内局がやったことなんですよ。  この証拠隠滅工作については、この報告書の内容を見る限り、官僚制度や一部のスペシャリストが悪かったという責任転嫁の姿勢が見え隠れしていると思うわけであります。監督不行き届きというのは、おれたちは何も手を下していないと言っているのと同じだろう、私はこのように思います。あんな大それたことをしながら、報告書からは、一般的な批判に対応するばかりであり、防衛庁内局に存在する本質的な原因に迫ろうという姿勢が実は感じられないのが大変残念でございます。  私が考えるのには、今回の事件の最大にして根本的な原因は、国防という行政の一分野について真っ正面から真剣に向かい合ってこなかったことの当然の帰結だ、このように思っております。  憲法解釈の問題、武器輸出三原則、一部の偏向的歴史教育など、我が国国防を取り巻く状況は、世間の評価に関しても予算での扱いに対しても極めて劣悪な状況にある、私はこのように思っております。我々政治家も、国防意識の喚起について当然責任を負っております。しかし、第一線で汗を流す自衛官に一番近い立場にある防衛庁が世間に対して議論を起こしていく姿勢を持たなければ、絶対に現状は変わらない、変えられるわけがないと私は思うわけでございます。防衛庁内局が、国防という仕事に誇りを持ち、国防責任を負うために必要な予算はきちっと要求していかねば、現場の自衛官たちはどうやって誇りを持って、なおかつ必要な責任を果たすのかと考えるわけでございます。  どうも私が見るには、防衛庁の内局は、堂々と国防行政必要性を主張する気迫、気合い、ストレートさが著しく欠けているのではないかと思っているわけでございます。だから、国防責任を果たすためにその場その場で取り繕う必要に迫られることになって、結果として、今回のような背任、証拠隠滅事件に結びついた、私はこのように思っております。すべて責任回避という発想から出ている、本当のことは説明できないという思いでございます。  どうですか、防衛庁は本当に今まで国民国防必要性説明する責任を果たしてきたと言えるでしょうか。その責任を果たしてこられなかったということが、今回の事件の最大の原因と私は思うわけでございます。  防衛庁の出した最終報告書指摘した原因が正しいのか、もしくは私の見解が正しいのか、官房長、防衛庁内局の代表としてあなたの見解をお聞きしたいと思うのであります。
  53. 守屋武昌

    ○守屋政府委員 先生の御指摘を、防衛庁内局として大変重く受けとめております。  今回の最終報告でも、東通事案の解明が刑事事件として立件されるまで事実関係を明らかにできなかった内部調査の不徹底や、同事案に対する防衛庁の考え方、評価等をまとめて評価書として地検に提出したものの、十分な事実認識に基づかなかったことから背任事件の起訴後に撤回するなど不適切な行政対応もあったということは、私どもの真摯の思いとして記述させていただいたところでございます。  防衛庁としましては、国民信頼を失墜したことについて深くおわびするとともに、今後再びこうした事態が起こらないようにするために、関係者の厳正な処分、事務次官初め大変厳しい処分を行い、思い切った人事の刷新を行ったところでございます。それから、この機会に、調本の解体も含めました抜本的な組織の改編を断行しまして、今先生が言われました戦後の防衛行政の総決算を行いまして、開かれた政策官庁として防衛庁、自衛隊の脱皮を果たしまして、国民信頼回復に向けて、一刻も早く行いたいと考えているところでございます。  それから、広報の話でございますが、防衛庁としまして、日本の防衛庁、自衛隊の実態、それから日本の安全保障政策、そういうものにつきましては、国民の理解と信頼がなければ私どもの活動は全く進むものではありません。ここのところは深く認識しておりまして、国会における御審議の場はもとより、平素より、白書の発行あるいは各種の災害派遣とかいろいろの自衛隊の活動を通じまして、広く国民に周知し、理解を得ていただくよう努めているところでございますが、この点についても、心機一転、心を新たにしまして一生懸命取り組んでまいりたいと思いますので、御理解いただけるようお願いいたしたいと思います。
  54. 岩永峯一

    岩永委員 官房長、私は本当に、この行革の際にもう一度国防議論を巻き起こしてもいい、そして、このテポドン事件の問題を契機に、本当に国民が真剣に国防を考える、そういう議論を巻き起こし、喚起していかなきゃならぬ、実はこのぐらいの気持ちでいるわけでございます。それだけに、防衛庁が萎縮したり陰へ隠れたりするようなことがあっては、我々の国を守るという大前提に立った防衛がすくんでしまうという大変残念な気持ちを持つわけでございますので、ひとつ内閣として、積極的な、堂々とした対応をしていただきたいということを要望しておきます。  最後に、上野被告が会計検査院の懐柔を図っていたということもあり、会計検査院のチェック体制について、各紙新聞報道においても疑義を呈する意見がございますし、来春の行革議論の本格化に向けても重要な課題になると思いますので、会計検査院の現状について数点、会計検査院に対して質問させていただきます。  会計検査院OBが退官した後の再就職先の監督官庁を多い順に示していただきたいと思います。  二つ目には、会計検査院は、各省庁に再就職の世話をしてもらいながら各省庁に対して検査を行っているような状況で、その監督の厳格性に対する国民信頼を損なっているのではないか。フランスのような非常に権威の高い会計検査システムなど、到底構築できないのではないかと思うものであります。  三つ目に、これから政策評価ということが重要となっていく中で、会計検査院は各専門行政分野に対して実効的に検査できるのかどうか。また、各検査官の能力を高めるためにも、他省庁からの独立を疑われるような人事交流に頼るよりも、高給を保障するなどして大胆な中途採用を慣行化するなど、一般省庁とはまた違った柔軟な人事システムを図る必要はないのかという点。  四つ目に、会計検査院は憲法上その独立を保障された機関でございますし、各省庁から再就職の世話を受けている現状では、その独立が実質的に保障される度合いは心もとない。再就職に関して、会計検査院には、特別な年金の付与や公認会計士資格の付与などの特別扱いを行う必要があるのではないかと思うものであります。そうしない限り、会計検査院の独立とその検査結果への国民信頼性を保つことは不可能ではないか、このように思うところでございます。  ひとつ会計検査院からのお答えをいただきたいと思います。
  55. 深田烝治

    ○深田会計検査説明員 お答え申し上げます。  私の方からは、第一番目のOBの再就職先につきましてお答え申し上げたいと思います。  本院の職員が退官後、その検査経験を買われまして、内部監査の充実を期するというために監事などの職務に従事している例はございまして、公団、事業団について見ますと、監事として現在七名の本院退職者が内部監査に従事している実情でございます。
  56. 疋田周朗

    ○疋田会計検査院長 私の方からは、ただいま委員質問になりました第二点から第四点までをお答え申し上げたいと思います。  まず最初に、再就職の問題でございますが、本院の元職員が一部の検査対象団体に再就職しているというのは委員指摘のとおりでございます。そのほとんどは、過去の検査経験を買われまして、監事あるいは監査役などとして内部監査の業務に従事しているところでございます。  過去の検査報告をごらんいただいてもおわかりだと思いますが、本院のOBが再就職している機関でございましても、検査に手心を加えるというようなことはございませんで、これまでも、検査の結果、不当あるいは改善すべきと認められるような事項などにつきましては、決算検査報告に掲記しているところでございます。  それから、先ほどフランス会計検査院との違いについてお触れになられましたけれども、フランスの会計検査院につきましては、行政裁判所としての権限を持っている特殊な会計検査院でございまして、その性格上、院長以下、職員の中には多くの司法官が含まれているところでございまして、これらの司法官は退職年齢も六十八歳あるいは六十五歳というように高くなっているなど、我が国の場合とは権限や職員構成の面で異なったものがあるというように承知いたしております。  しかし、このような制度面の違いはございますが、権威のある会計検査システムの構築を目指していくという点につきましては我が国会計検査院も同様でございますので、一層の努力を傾注していくということが肝要であると認識しているところでございます。  それから第三番目に、政策評価が今後ますます重要になっていくということの絡みで、各専門行政分野に対して実効的に検査ができるのかという御質問でございました。  私ども本院の職員は、現在、他の一般行政庁の職員と同様、一般職とされているところでございまして、国家公務員法の枠内で採用あるいは任用を行っているところでございます。したがいまして、御指摘のような給与体系あるいは中途採用などにつきましては、現在の公務員制度の中でどのような方策がとり得るのか、私どもとしても研究していかなければならないものと考えております。  いずれにいたしましても、会計検査院といたしましては、限られた人員、予算の中で最大限の成果を上げることができるよう、さまざまなケースを想定した研修を行いまして、現有職員の検査能力の向上を図るなどの努力をしているところでございます。  それから最後に、四番目の御質問でございますが、先ほども申し上げましたように、本院職員は、他の省庁の職員と同様、一般職の国家公務員でございまして、その再就職に関しましても関係法令の適用を受けております。その上で、会計検査業務に長年従事して培ってまいりました検査経験を生かすという形で再就職を行ってきているところでございます。  しかし、今般の事案に関して寄せられました国民の批判を真摯に受けとめまして、このたび事務総局に検討委員会を設置いたしまして、政府部内で行われている公務員制度についての検討状況、あるいは地方自治体で導入することとなりました外部監査人制度の実施状況などを踏まえつつ、職員の再就職のあり方などについて、ただいまの委員の御提言も含めまして、幅広く検討を行ってまいりたいと考えておるところでございます。
  57. 岩永峯一

    岩永委員 どうもありがとうございました。時間が参りましたので、これで質問を終了させていただきます。
  58. 原田昇左右

    原田委員長 次に、田中甲君。
  59. 田中甲

    田中(甲)委員 三十分の質疑の時間をいただきました。辞職されました額賀長官が、一連の不祥事については私がしんがり役を務める形で新しい出発にしてほしい、そうおっしゃられた。その言葉を大切にしながら、きょうの三十分の質疑をさせていただきたい、こう思っております。  その一連防衛庁の今般の問題に入る前に、一部報道で、北朝鮮、朝鮮民主主義人民共和国がまたテポドンを発射するときと同様の準備を始めているという情報が一部の新聞から出ております。そのことについて、防衛庁が今どのように把握をされているか、冒頭お聞きをしたいと思います。
  60. 守屋武昌

    ○守屋政府委員 この件に関してでございますけれども防衛庁といたしましては、情報本部というものがございまして、これは日本の周辺に六カ所の通信所を持っておりますけれども、そこで対象国のそのような活動を収集いたしております。  そういうふうな体制で、我が国防衛に必要な情報は、そういう通信所の情報、それから陸海空のその種の部隊がございますので……
  61. 原田昇左右

    原田委員長 官房長、もうちょっとはっきり答えなさい、聞こえないです。
  62. 守屋武昌

    ○守屋政府委員 はい。  陸海空のそういう情報を収集する部隊がございますので、その活動で行いまして、必要な情報の収集に努めておるということでございます。  それから、アメリカと日常的な情報交換を行っておりまして、この面についても、必要な情報の交換を行っているという体制をとっているところでございます。
  63. 田中甲

    田中(甲)委員 いや、皆さんがお感じになられたと思いますが、システムの話を聞いているのではなくて、そういう情報をキャッチしているかということをお聞きしているのです。
  64. 守屋武昌

    ○守屋政府委員 防衛庁といたしまして、そういう探知がございましたときは、その方面に対する情報収集体制の強化をとっております。
  65. 田中甲

    田中(甲)委員 この問題で余り時間をかけるつもりはなかったのですが、しかし国民の生命、財産、身体を守るという政治の基本からするならば、防衛庁の今回の問題よりも先に聞くべきであろうというふうに私は思ったわけであります。もし、そういう情報をキャッチしているのでしたら、いち早くそれに対応するということをまず心がけていただきたい。冒頭申し上げます。  さて、今回の額賀防衛庁長官初め三十一人の皆さんが処分されたということは、政治家のリーダーシップによってその行為が行われたと受けとめていいものなのか、逆に、防衛庁組織的な証拠隠滅によって長官の職が失われたのか、首が飛んだのか、どのように受けとめていいか、非常に複雑な思いがいたします。  私が前回質問させていただきましたのは、十月の十五日、同じく決算行政監視委員会での質問でありましたが、その際に、参議院で問責決議が行われて、当然、参議院のメンバー構成からするならばそれが可決される可能性があるということも予測ができたはずです。にもかかわらず、その前日、十四日に出された中間報告は、全くこの問題に対して組織的な隠ぺい工作というものはされていないという内容のものでありました。  もしあのときに防衛庁がしっかりとこの問題に対して、今回の最終報告という形で出されたように組織ぐるみ隠ぺい工作ということを、そう受けとめられてもやむを得ない、そういう表現だったと思いますが、こういう言葉が入っていれば、長官が辞職をするということにはならなかった。中間報告の出し方は、どこがどのような責任で出してきたのか、その辺はどうしても私は納得がいかない。  その点について、一言まず御答弁をいただきたいと思います。
  66. 守屋武昌

    ○守屋政府委員 防衛庁で中間報告を行ったわけでございますけれども、今回の最終報告で記述したものと中間報告について大きな記述の差がございましたのは、組織性の問題というところでございますけれども、これは中間報告の段階では調査報告結果について、事情聴取の真っ最中でございまして、組織としての統一的な事実の解析がまだ不十分な状況でございまして、その段階で報告せざるを得なかったということで、大変申しわけなかったと思っております。そういう観点でございます。
  67. 田中甲

    田中(甲)委員 だれに申しわけなかったのですか。だれに申しわけないと今おっしゃったのですか。
  68. 守屋武昌

    ○守屋政府委員 国民の皆様、国会の皆様に対して、大変申しわけなかったと思っております。
  69. 田中甲

    田中(甲)委員 加えて額賀防衛庁長官に対して、皆さんがそのような組織的な隠ぺい工作を行っているということが長官を辞職させたのですよ。その認識はありますか。
  70. 守屋武昌

    ○守屋政府委員 大変申しわけなかったと思っております。
  71. 田中甲

    田中(甲)委員 その後、前額賀長官は、約一カ月の間懸命に御努力をされて、みずから最終報告がどういうものになるかということを、報告書を手に入れて修正を再三繰り返した。当初では、幹部が指揮命令系統を通じて広く組織資料を移動、処分するように明確に指示した事実はなかった、このように書いてあったそうですけれども、本当ですか。
  72. 守屋武昌

    ○守屋政府委員 組織性の問題でございますけれども、幹部らが強制捜査直前という同一の時期に資料の移転、処分を行ったこと自体や、今回の最終報告で判明しました調本原価管理課における地検への提出資料の一部抜き取りの事例などは、組織的に証拠隠しをしたと受け取られてもやむを得ないと防衛庁として評価して、真摯に反省すべきであると考えております。
  73. 田中甲

    田中(甲)委員 それは最終文書でありますね。そうではなく、私が申し上げたのは、幹部が指揮命令系統を通じて広く組織資料を移転、処分するように明確に指示した事実はなかったなどと、その段階では、組織防衛の色合いが強く出ていた。それを前防衛庁長官である額賀さんが何度も修正を加えて、最終的に「国民信頼を裏切った社会的・道義的な責任は極めて重い。」という文章が加えられた。そういうふうに新聞等でも書かれていますよ。その一カ月の努力によって、今回の最終報告が出された。  額賀長官は、中間報告を皆さん方が組織防衛ということに重きを置いて不備のまま提出した、そして長官が辞職をされたということではないのですか。一体、国民の審判を受けて当選している議員を何だと思っているのですか。許しがたい。今、防衛庁の肩書きがあって選挙に出たら、だれも受かりませんよ。国民はそういう目で見ているのです。  しかしながら、前長官が御努力をされてつくり上げたその最終報告の中でも、まだまだ不十分な点があります。業務上必要な資料の押収を避けたかった、あるいは、捜査に必要な資料は既に提出してあり処分しても問題ないと考えた、コピーであり原本は会社にあるので問題ないと思った。言いわけの羅列。  最終報告なのに自己弁明ゃ弁解ばかりというのが印象に残るのですけれども、その点についてはどのように考えていますか。
  74. 守屋武昌

    ○守屋政府委員 その点につきましては、最終報告で、「組織的に証拠隠しを行っていたと受け取られてもやむを得ない」、それから「国民の奉仕者たる公務員として厳しく叱責されなければならない」、防衛庁としての「社会的・道義的な責任は極めて重い」と考えているということを申し上げております。  そういう深い反省の上に立って、今後こうした事態を再発しないよう、前長官のもと、監督面責任を含めた関係者、事務次官以下三十一名に対しまして停職、減給という、防衛庁としてこれまでにない厳しい処分人事の刷新を行ったところでございます。御理解をいただきたいと思います。
  75. 田中甲

    田中(甲)委員 最終報告資料には、大量焼却について「四社事案とは関係のない保存期間を過ぎた資料である」、そう書かれていますが、これは本当でしょうか。
  76. 守屋武昌

    ○守屋政府委員 私どもの内部調査でそのように確認いたしております。
  77. 田中甲

    田中(甲)委員 重ねて、今回の報告でも、当初一部で報じられた伝票や原価の元帳などの組織的な大量焼却はなかったとされていますね。これも本当ですか。
  78. 守屋武昌

    ○守屋政府委員 調本職員の現場での仕事に携わった者すべてについて事情聴取を行いまして、そういう事実はなかったということを確認いたしております。
  79. 田中甲

    田中(甲)委員 どうぞもっと自信を持って答えてください。  証拠隠滅疑惑に対して、今後検察の捜査のメスがどこまで入るか、国民は注目をしています。追及の手は緩めるべきではない。もし今回の最終報告に錯誤、間違いがあった場合には、だれがどのように責任をとりますか。
  80. 守屋武昌

    ○守屋政府委員 今回の四社事案関連文書に関する報告は、防衛庁が約二カ月にわたりまして、この問題に関係しました職員すべてに対しまして行った調査活動の結果を取りまとめ、今お手元に差し上げております結論に達したものでございます。防衛庁としまして、証拠隠し疑惑に関し、何らかの重大な事実が出てくることはあり得ないと考えております。  それから、野呂田防衛庁長官からも、今回の背任事件のような国民疑惑を抱かせる事案に対しては、透明性、公開性を持って対応することが基本であるという考え方を示されまして、防衛庁職員として事実を隠すことのないよう指示を受けたところでございまして、これからも厳正に対処してまいりたいと考えておるところでございます。(「違うよ。責任をどうとるかと言っているんだよ」と呼ぶ者あり)責任に対しましては、私どもは、先ほど申し上げましたように、二カ月にわたる調査結果を踏まえましてこのような結論に達したものでございまして、証拠隠し疑惑に関して何らかの重大な事実が出てくることはあり得ないと考えております。
  81. 田中甲

    田中(甲)委員 また長官の首を切るんですか。  組織的な証拠隠しと受けとめられてもやむを得ない事例があった、明確には組織的な証拠隠しを認めていない。違いますか。組織的な証拠隠しを明確に認める、これが最終報告ですよ。そして、検察の捜査も継続していますけれども防衛庁もこの捜査、調査というものを継続して、みずからの手で真相究明をして明らかにすべきだ。御所見をいただきたいと思います。
  82. 守屋武昌

    ○守屋政府委員 そのような問題が生じましたときには、国民の皆様に、かつて私どもの行った事案に対しまして、私どもの過去のそういうふうな処分に対しまして、行政的な案件に対しましてそのような事案が起きたときには、これは公開性、透明性を持って国民の皆様に明らかにしていくということが野呂田防衛庁長官の強い決意でございますので、我々職員一同、それを守って厳正に対処してまいりたい、こういうふうに考えております。
  83. 田中甲

    田中(甲)委員 この際ですから触れておきたいと思います。  官房長官が記者会見で異例の参議院批判をされたということがありました。お気持ちはわからないわけではありませんけれども、これはやはりお門違いだったと思うのです。そして、こういうことを生み出したのも、やはり防衛庁の皆さんが、憲法史上初めて参議院で問責決議が可決される可能性があるという事態の逼迫した状況、重要な局面ということを理解せずに中間報告を出している。ここがまさに過ちですよ。そして、この最終報告にしっかりとした内容というのを盛り込んでいくという努力のまだ足りない点を、今指摘をさせていただいたわけです。  テーマを変えますけれども、七四式戦車の整備をめぐる問題。  私も新聞紙面で初めてこれを見たときに驚いて、そして実際に防衛庁の方に確認に、私自身は行けなかったのですけれども、ある人を通じて確認をしてまいりました。三菱重工業が技術資料を貸しただけで、その資料をただ貸しただけで、技術使用料として約六千七百万円の支払いを受けていたことが会計検査院の調査で明らかになった。まずはこの件の概要についてお聞かせをいただきたいと思います。
  84. 諸田敏朗

    ○諸田会計検査説明員 お答え申し上げます。  この事案につきましては、ただいま検討中でございますので、詳細については答弁を差し控えさせていただきますけれども、ただいま先生指摘のとおり、陸上自衛隊では七四式戦車の整備を民間会社二社に外注しております。この整備費用には、三菱重工に対します技術使用料が含まれております。  しかし、一部の整備、これは標準内整備と標準外整備というのがございますが、標準内整備につきましては、その整備の実態から見まして、七四式戦車の製造会社でございます三菱重工から技術指導を受ける必要があるかどうかということについて本院として疑問を持ったわけでございまして、その点につきまして、担当課として現在防衛庁に対し見解をただしているというところでございます。
  85. 田中甲

    田中(甲)委員 現在、会計検査院は今年度の決算検査報告からこの問題は削り、不問に付する予定、こういう報道が出ていますけれども、これは事実ですか。
  86. 諸田敏朗

    ○諸田会計検査説明員 会計検査院は、会計検査の結果、疑問があれば、公文書によりまして事実の確認等を行っております。その際、相手方の意見を聞きまして、相手方の言い分に妥当性があるかどうかといった点につきましても検討をしておりますが、特に相手方の了解が必要なわけではないということでございます。  ただいまの件につきまして、本年の決算検査報告に掲記するかしないかということにつきましては、現在まだ継続して検討中ということでございます。
  87. 田中甲

    田中(甲)委員 それでは、一部の新聞で不問に付するということは過ちですね。
  88. 諸田敏朗

    ○諸田会計検査説明員 私ども検査といいますのは、あくまでも検査報告というのはそれぞれの年度ということで国会の方へ提出いたしますけれども、あくまでも事案につきましては、その年度あるいはその年において終わるということではございません。また、マスコミがこれを不問にするとかしないとか言うことと、私どもがそれについてどう処理するかということは全く関係がないということでございます。
  89. 田中甲

    田中(甲)委員 それは認識はしていたのですけれども、東洋通信機事件検査、あのときに、会計検査院の職員の方から防衛庁側にだまされたという言葉まで飛び出していた、あの一件を考えますと、こういうことこそ会計検査院の方でしっかりと調査をしていくということが大事なんだろうと思うわけです。そして、これからもその調査ということを継続していただきたい。  今回の防衛庁、陸上自衛隊の行動は、調達実施本部背任事件反省が、こういうことを見ると、生かされているのだろうかという疑問を持つわけです。これだけではありません。先ほど来質問がありました富士重工問題、この問題にしても、本当にこれから透明性を確保していくということが実際に行われていくのだろうかという疑問を持つのは私だけではないと思います。  最終報告の中で「防衛庁・自衛隊に対する国民信頼回復に全力を尽くしていく」と言われているならば、そして第三者による外部監査制度の導入等チェック体制の確立ということをうたっているわけですから、会計検査院という第三者によるチェックというものをしっかりと行っていかなければならないのに、逆にそのチェック機関ということを拒否しているようにも受けとめられる、そんな危倶がされるところもあります。  この点について、防衛庁の方はどうですか。
  90. 及川耕造

    及川政府委員 七四戦車の件につきましては、ただいま会計検査院の方からお話があったような経緯でございまして、現在、私ども検査院の方とお話をしている最中でございます。  いずれにいたしましても、当庁といたしましては、検査院からの御照会に対しましては、事実関係について的確にお答えし、御協力申し上げていくべきであるというふうに思っております。
  91. 田中甲

    田中(甲)委員 それでは、またこれは継続して御質問をさせていただくなりあるいは違う形で資料を提出していただくなり、今後対応をとらせていただきたいと思います。  この問題にはどうしても触れないわけにいかないのですけれども野呂田長官は今参議院の方でここにはいらっしゃいませんけれども、富士重工問題、中島洋次郎代議士が海上自衛隊の救難飛行艇US1A改良型の試作品の製造分担の決定に関与してわいろをもらう、これが今問題にされているわけであります。  長官が、今いらっしゃいませんが、自分の調査では、富士重工のシェアを一九%は維持するように配慮したということ、そういう受けとめ方をしているという発言があったのですけれども、このことについて、今どのように防衛庁はお考えになっているか、事実かどうか確認をさせていただきたいと思います。
  92. 及川耕造

    及川政府委員 先週の閣議後の会見におきまして、大臣が、記者の方からの御質問がございまして、富士重工のシェアについて、中島元政務次官の関与により富士重工業に有利になった、あるいは一部の報道にもございましたような、シェアが高まったのではないかという趣旨の御質問が記者の方からあったというふうに認識をされまして、US1A改の富士重工業のシェアは現在のUSAのシェアと同程度であるという趣旨を述べたまででございます。  先生の御質問に対してはそういうことでございます。
  93. 田中甲

    田中(甲)委員 それに対しては国民は大きく疑問を持っているところでありまして、きょうの報道等でも、会長が逮捕されるとか、そういう状態に至っているわけですね。  こういう事柄というものは、私は個人名を挙げて代議士を批判するということは極力避けたいのですけれども防衛族という大きなその固まりの中で言うならば、やはりこれは氷山の一角という受けとめ方をせざるを得ない。こういう防衛庁内の体質というものが大きくはびこっている、このことをつくりかえていかなければならない、そういうところにいわゆる防衛庁の体質的な問題の改善が必要だということだと思いますけれども、確認のために御答弁をもう一度いただけますでしょうか。そういう考え方でよろしいですか。
  94. 及川耕造

    及川政府委員 最近までの四社事案等によりますさまざまな問題の中で、私ども、改善しなければいけない点が多々あるということで、先般報告をいたしました。その中でさまざまな改善事項が挙げられているわけでございまして、その点、これからその実現に向けて鋭意検討し、実践していかなければいかぬ、こういうふうに思っているところでございます。
  95. 田中甲

    田中(甲)委員 残り時間も少なくなってまいりました。具体的に、「防衛調達改革の基本的方向について」というこの最終報告文書の中から少し質問をさせていただきたいと思います。  私は直接この「調達実施本部の概況」というものをもらってきたのですけれども、原価計算方式において、直接労務費及び製造間接費という加工費について裁量によるところが多過ぎるという問題があったと思うのですけれども、この裁量の範囲を狭めていくために具体的な対策というのを簡潔に答弁していただきたいと思います。
  96. 及川耕造

    及川政府委員 御指摘のように、現在の予定価格の算定訓令というのは昭和三十七年につくられておりまして、現在の情報化時代あるいはさまざまな経営のタイプというものがある中で適切かどうかという御指摘がされているところでございます。  したがいまして、これにつきまして、検討会におきまして、いかなる計算のやり方がいいのか、先生おっしゃるように裁量の幅が余りにも大きくなるようなことのない、透明な形での計算方法というのはないものかどうか、これについて外部の方の知恵をかりまして検討していこうとしているところでございます。
  97. 田中甲

    田中(甲)委員 今回の背任事件での問題点は、調達実施本部に、特に副本部長権限と裁量権が集中しているということ、これはもう指摘せざるを得ないですね。  この問題に対して、原価計算部門契約部門を分けることにしているということですけれども原価計算部門契約部門を分けることにした場合に、私はちょっと心配なのは、効率的な面で問題が出てくるのではないかなというふうに考えるのですけれども、この点はどのように今検討されていますか。
  98. 及川耕造

    及川政府委員 先生おっしゃるとおりの危倶は私どもも持っておりまして、そのために、内局におきます、経理局装備局等の改編を通じまして、予算の取得から調達、実施、執行まで一貫してこれをウオッチできる体制を内局の方でとりたい、こういうふうに思っているところでございます。
  99. 田中甲

    田中(甲)委員 第三者によるチェックの体制の確立について述べられているのですけれども、基本的に、一年間の契約件数というのは、おおむねどのぐらいなのですか。
  100. 及川耕造

    及川政府委員 新規分で一万件、さらに、契約の更改等もございますので、さらに相当数、それ以上ございます。
  101. 田中甲

    田中(甲)委員 その数をチェックするということは実際に可能ですか。
  102. 及川耕造

    及川政府委員 御指摘の点は、第三者機関がという意味でございますか。(田中(甲)委員「そうです」と呼ぶ)第三者機関では、残念ながらそれは難しいと存じますので、それは、非常に重要なものあるいはサンプリング等によりまして御チェックをいただくのが適切ではないか、こういうふうに考えております。
  103. 田中甲

    田中(甲)委員 私は、ここが大切だと思うのですよ。防衛庁の皆さん方とともにどのように知恵を絞っていくかということだと思うのですが、ここに、第三者によるチェックの例として公認会計士を挙げていますね。  しかし、専門性の高い原価計算のチェックが実際に可能なのかどうかということは私たちも疑問に思うところでして、そこで一点、私からの提言なのですけれども、実際にできるかどうかはわかりませんけれども、これから、数多い契約のチェックをするに当たっては、専門性を有している方として、企業で実際に原価計算や契約にかかわった、携わった方、そのOBの方を特別職の公務員として監視機関のメンバーに加えてはどうかということを考えます。そういう専門的な経験のある人間でなければできない、そして、例えばですが、A社と防衛庁契約の際にはB社のOBに監査をさせて中立性を保つ等、この辺の工夫を画期的な発想を持って進めていただきたい、こんなことを考えております。ぜひ参考にして検討していただければありがたいと思います。  委員長、私の質問時間はもうなくなりましたが、最後に、額賀長官が辞職された日、私は武道館で行われた自衛隊音楽まつりに行ってまいりました。そこで、この時期を自分たちが力を合わせてはねのけて、防衛庁のあるいは自衛隊の姿というものを確立していくんだという、そんな参加している皆さん方の心意気というのですか、これから自分たちでつくりかえていこうという、そんな熱い思いが伝わってまいりました。  どうか、自衛官の方々のためにも、力を合わせて改善をしていくという、そんな思いを持ってともに頑張っていきたい、そんな言葉をもってきょうは質問を終わらせていただきます。どうぞよろしくお願いします。
  104. 浜田靖一

    浜田(靖)政府委員 田中委員からお話がございましたように、まさにいろいろなアイデアを皆さんからいただいてこの防衛庁の問題は考えていかなければいかぬと思いますし、そして、まずもって我々が考えなければならないのは意識改革だと思うわけであります。五十年の歴史の中に我々の防衛論議というのがどこまで深まっていたか、この点も含めて、我々は反省しなければならないなと思っている次第でございます。  先生のお言葉をしっかりと受けとめて頑張ってまいりますので、よろしくお願いいたします。
  105. 原田昇左右

    原田委員長 次に、石井紘基君。
  106. 石井紘基

    石井(紘)委員 先ほど途中になりました航空自衛隊の次期初等練習機選定問題、これは、航空自衛隊の練習機T3というものが古くなったので、平成の七年ごろから選定作業が始まったということだと思います。  九五年に、次期練習機の値段について防衛庁は富士重工に打診をしたようであります。その際に、富士重工は約四億という回答をしたというふうに聞いておりますが、そのとおりですか。
  107. 佐藤謙

    佐藤(謙)政府委員 先生の御質問にお答えを申し上げます。  今先生からお話がございましたように、空自が使っております初等練習機、これが古くなって後継機機種が必要だろうというようなことで、中期防の過程におきまして検討が行われました。ただ、その段階では具体的な機種選定をしているわけではございませんので、経費を積み上げる参考といたしまして、富士重工から一定の見積もりをとったということは事実でございます。  それで、今先生お話しの中期防の細部計画におきまして、約四億の見積もりを計上しているということは事実でございます。
  108. 石井紘基

    石井(紘)委員 富士重工から見積もりをとって約四億。その後、これを入札でやろうということにしたのですか。あるいは、そのころから、もう入札でやるのだけれども、大体の予算も頭に入れておかなければいけないので聞いたということと、どっちですか。
  109. 佐藤謙

    佐藤(謙)政府委員 その時点では具体的な機種選定ということではございませんで、まさに中期防全体の経費を算定するに当たりまして参考のために見積もりをとったということでございます。  具体的な機種選定作業そのものは、本年の四月以降、具体的にやっているわけでございます。
  110. 石井紘基

    石井(紘)委員 そこで、先ほど経過の若干の説明があったわけですが、ことしになって、五月に第一次及び第二次の説明会があった。六月に提案書の提出があった。これは六社に配付されたのでしょうか、そのうち、富士重工とスイスのピラタス社が残った。ピラタス社というのは世界的にも大変有名な、評判のいい航空機会社だそうでございますが、そういうことであった。  富士重工はT3改というのを提示し、ピラタス社はPC7というのを出してきたということで、いろいろな経過を経て、これが最終的に富士重工のT3改ということにことしの夏から秋にかけて決まったということでありますが、その決まったところの富士重工との契約価格は、一機二億四千万円、それで五十機ですか、それから、ライフサイクルコストが三百七十億ということであったということですが、大体そこまでは間違っておりませんか。
  111. 佐藤謙

    佐藤(謙)政府委員 基本的に先生今お話しのところなのでございますが、もう少し正確に申しますと、五月の八日に、航空機を扱います国内航空機メーカー、商社全般、これは約六十社でございますが、これに対しまして会社説明会の案内をいたしました。それから、五月の十二日に、約三十社の国内航空機メーカー、商社に対して会社説明会をし、それから、五月の十五日に、提案をする意思を示しました六社に対しまして、提案要求書をお知らせをしたわけでございます。  その後、六月十五日に、PC7マークⅡ、それからT3改というものにつきまして会社から提案書が提出され、それに基づいて私どもとしては機種選定作業を行い、八月になりまして、事務次官通達で定められてもおります航空機機種選定会議を開催し、後に長官により機種決定をした、こういうことでございます。
  112. 石井紘基

    石井(紘)委員 当初の富士重工から出された見積価格は、先ほどのお話ですと四億ということであったが、契約価格は二億四千万円ということになっておるわけですね。  ここで、スイスのピラタス社の方から大変、いろいろな形で抗議のようなものが、あるいは見解が出されているわけです。その中に述べられていること、幾つかあります。いろいろありますが、一つは、そもそも選定の発表というものはもともと七月初旬ぐらいにあるはずだったというふうにピラタス社は主張しているわけですが、実際にはこれが九月になったということですが、これはいかがですか。
  113. 佐藤謙

    佐藤(謙)政府委員 機種選定の日程でございますけれども機種選定そのものは八月の二十七日に最終決定しているところでございます。
  114. 石井紘基

    石井(紘)委員 当初は七月ということで徹底されていたのですか。あるいはそういうふうに相手側の会社に対しては知らされておったのでしょうか。
  115. 佐藤謙

    佐藤(謙)政府委員 私どもとしてはあくまでも、先ほど御説明しましたように六月十五日にその会社から価格も含めて提案があったわけでございます、それに基づいて選定作業を行いまして、その過程で機種選定会議等も行い、所定の手続に従って選定をしてきたということでございます。
  116. 石井紘基

    石井(紘)委員 それで、これは防衛庁としては、当然のことながらこうした公募による入札ということになれば、性能はもちろんですが、価格の安い方ということにその基準は置かれていたわけでしょう。どうですか。
  117. 佐藤謙

    佐藤(謙)政府委員 まず、当然のことながら要求性能を満たす必要がございますし、要求性能を満たす中でも、我々が考えております初等段階での練習にどちらがより適合しているか、そういうこともございますし、それから、もちろん経済性ということもあわせて総合的に判断するということだと思います。
  118. 石井紘基

    石井(紘)委員 そういうことであれば、性能の面は両方とも問題ないということであったわけですから、価格の面はもう一目瞭然ですから、これはもうもっと早く本当はできたはずだというふうに思うわけですね。  ピラタス社の主張について見てみますと、こういうことです。そもそも七月の初旬には発表があるはずだったのだ。それが延び延びになっているので、スイス大使館から、防衛庁調達先が決定される予定の日の前に、この選定方法について防衛庁の幹部に少々懸念を表明しようとしたけれども、これは断られた。したがって、外務省を通して問い合わせをしたところ、外務省からは、それは防衛庁へ直接提訴をしなさいというふうにアドバイスをされた。また、そのときに、防衛庁選定結果の発表が九月十日から二十日ぐらいの間に延期になったのだということを告げられたというわけなんですね。  ピラタス社は、六月ですから、七月、八月、九月と、約三カ月にもわたるこの間、時間が経過したわけですが、これは非常に不信感を持っているわけですね、ここに対して。それで、この入札あるいは機種選定の方法がいろいろな点で、富士重工のアドバイスを公募開始後に得たりとか、富士重工との間には一定のやりとりがあったようである、それで富士重工は既に入札価格を知っておったというわけですね。  そもそも四億と富士重工自体が言ったのに、富士重工が二億四千万ということで契約をしているというのは非常に不可解であるということなんですが、ピラタス社のこうした見解に対して、どのように説明をされますか。
  119. 佐藤謙

    佐藤(謙)政府委員 私どもといたしましては、先ほど申しましたように、可能性のある会社にすべて声をおかけし、その中から提案があった。これが、六月十五日に両社から提案があったその提案の内容に従いまして、価格面も含めましてそれに従いまして検討してきたというところでございます。
  120. 石井紘基

    石井(紘)委員 先ほど八月に決定をされたというのですが、ピラタス社の主張を見てみますと、九月まで、少なくとも九月の上旬までは何の連絡も来ていないというわけなんですね。  確かに八月二十七日に丸紅、ピラタス社の商社は丸紅ですから、丸紅とのミーティングがあって、それを防衛庁は発表の日というふうに主張している節があるけれども、しかし、その日については、ピラタス社は全然知らされていなかったし、また公式な発表というものは丸紅に対してもピラタス社に対しても九月の上旬まで伝わっていない、こういうふうに言っているわけですが、いかがですか。
  121. 佐藤謙

    佐藤(謙)政府委員 このPC7のマークⅡにつきましては、具体的な提案会社は丸紅ということでございます。  私どもとしては、この八月二十七日に機種選定をし、決定をしてございますので、これは当然のことながら丸紅にも御連絡をしているものだ、こう思います。
  122. 石井紘基

    石井(紘)委員 丸紅から二億四千万で提示があったのは、これはいつですか。  六月十五日までにはっきりした見積書を提出しなければならなかったのに、これはピラタス社の主張ですよ、入札者は六月十五日までにかなりはっきりした見積書を提出しなければならなかったのに、富士重工は八月四日の時点でコンペティティブ、競争できるような提案を出そうとしていたというのはどういうわけなのかというふうに言っているわけなんですが、この富士重工の方の金額というものが出てきたのはいつですか。
  123. 佐藤謙

    佐藤(謙)政府委員 先ほど申しましたように、六月十五日に両社から価格面も含めて御提案があったということでございます。  なお、私ども、会社からの提案をお願いするときの提案要求書におきまして、提案内容は契約完了に至るまで及び運用期間中提案会社を拘束するものであり、当方、防衛庁から指示する場合を除き、提案の内容の変更は一切認められないというようなことで、機種選定中に提案会社からの申し出によりましてこの提案書の内容の変更を認めたという事実はないと承知しております。  ただ、単純な計算違いであるとかそういったもの、あるいは、一方の提案会社が所要経費を計上して他方が計上していないとか、こういうものにつきましてはむしろ是正をすることがより適切であるわけでございまして、そういったことはございました。  ただ、いずれにいたしましても、その富士重工の提案書にございます所要経費総額あるいは機体価格とも、この六月十五日の当初提出のものより小さくなった事実はない、こういうふうに私は聞いております。
  124. 石井紘基

    石井(紘)委員 その問題は、きょうはそこまで伺うだけにしておきたいと思います。  それから、この富士重工関連でもう一つ事件になっております、今度は海自の救難飛行艇の問題ですが、平成八年に、大手の防衛企業などがこのシェア争いに参入してきて、富士重工のシェアが落ち込んでいくという厳しい状況があったわけですね。そこで、中島洋次郎議員は、平成八年の十月三十一日に政務次官室で小暮さんから五百万円を受け取った、こういうわけですね。これは調査をされましたですか、この事実については。小暮さんが少なくともこの十月三十一日に政務次官室へ来たのかどうなのかという点については調査をされましたですか。結果はどうですか。     〔委員長退席、佐藤(静)委員長代理着席〕
  125. 及川耕造

    及川政府委員 これは、ただいま地検の方で捜査をされていることでございますので、答弁は差し控えさせていただきたいと存じます。
  126. 石井紘基

    石井(紘)委員 質問時間が終了したという紙が参りましたので、終わります。ありがとうございました。
  127. 佐藤静雄

    佐藤(静)委員長代理 次に、若松謙維君
  128. 若松謙維

    若松委員 後半に移らせていただきます。公明党の若松謙維でございます。  まず、十一月十九日に防衛庁が出されました、まさに前額賀防衛庁長官がみずから手を入れられたと言われるこの報告書、「防衛調達改革の基本的方向について」というところについて質問をさせていただきます。  まず、今回の事件の最大の原因といたしまして、結局、調本が全部やっていた、チェックも契約も全部やってきた、そういったいわゆる防衛庁内のチェック機能が働かなかったこと、これを当然挙げておりまして、省内のチェック機能強化を打ち出しているわけです。  最も重要なのが部外者から成る第三者機関によるチェック、これは私が再三言ってまいりました点で、第三者機関を設けるということでは評価しております。しかし、従来のいろいろな、何か委員会をつくるとか、そういう形でありながら実際に対応できなかったということも踏まえまして、これがまた単なるパフォーマンスであってはいけないと思っているわけですので、ぜひともそういう第三者機関を内実のあるものにしていただきたいわけですけれども、ちょっと文章だけでは読み取れない。わかる範囲で、かつ、いつごろまでにこういったものを具体化させるのか、可能な限り詳しく説明してください。
  129. 及川耕造

    及川政府委員 外部の有識者から成る第三者監視機関につきましては、先般の改革本部の、先生今御指摘報告書にもございますが、別途私ども防衛調達制度調査検討会という会で、外部の有識者の方たちに入っていただきまして、検討をさせていただいております。  そこで、この有識者から成るチェック機関としての第三者監視機関がどういう業務をしたらいいかということにつきましては、現在、三点あるのではないかという御提案をいただいているところでございます。  一つは、調達制度及び同制度の運用、例えば、予定価格訓令の見直しでございますとか調達業務に関しますチェックシステムの評価等について提案や御審議をいただくというのが第一点。第二点は、個々の契約に対しまして事後的にランダムなサンプリングチェック、契約方法の選定が適切かどうか等についてのランダムサンプリングチェックを行っていただくこと。第三は、契約の担当部門によります第一義的な苦情への対応に加えまして、非指名業者等の苦情を審議、いわゆる再苦情処理をしていただくということで機能をさせたらいかがであろうか。そして、その構成のメンバーにつきましては、先ほど田中先生のお話もございましたけれども、公認会計士の方たち等を入れまして、そしてその専門的な知見といったものを活用させていただくというのはいかがであろうか、こういう御提案をいただいているところでございます。  したがいまして、私どもといたしましては、制度調査検討会のこのような御提言を踏まえ、具体的には四月までにその具体的な内容等について成案を得たい、こういうふうに考えているところでございます。
  130. 若松謙維

    若松委員 来年の四月までに具体的な成案ということで、では、いずれにしても、もう来年度以降はそういった第三者監視機関が設置されて、そういった制度のもと、今後調本の業務が監視される、そういう理解でよろしいわけですか。
  131. 及川耕造

    及川政府委員 最終的に第三者機関組織としての性格をどうするかという問題がございますけれども、私どもとしては、暫定的であっても、あるいは将来的に大きく発展するにせよ、来年度になりましたならばとにかく立ち上げたい、こういうふうに思っているところでございます。
  132. 若松謙維

    若松委員 そうしますと、今おっしゃったように、どういう性格にするか、組織的な位置づけにするか今検討中のようですけれども、大体どの程度の規模でやるのか、事務局を設けるのかとか、そこら辺は、では、立ち上げるのが先で中身が後という形になるのですか。ちょっとそれもおかしい話なので、もっと見える形で言ってくれませんか。
  133. 及川耕造

    及川政府委員 私からお答えするのが実は適切かどうかでございますが、先ほど来ございますように、内局の改編、それから調達実施本部の改編がまずございます。その中の、大きな防衛庁全体の調達機構、システムの改革の中の一つに位置づけられるものであろうというふうに思っております。  ただ、来年度につきましては、とりあえず、装備局のもとに調査室、正確な名前はちょっとあれでございますが、現在、機構というか定員要求をさせていただいておりまして、これが認められますならば、そこを事務局といたしまして、先ほど申し上げましたような第三者機関を立ち上げたい、こういうふうに思っております。  ただ、大きな全体の機構改革の中で、最終的に装備局も改編をされるわけでございますので、それがなされる段階で、第三者機関のあり方についても再度調整する必要があるのではないか、こういうふうに思っているところでございます。
  134. 若松謙維

    若松委員 ぜひ、全体のシステムとしての整理がついた段階で、また個別でも結構ですので、御報告をお願いしたいと思います。  私も、この報告書なりを公認会計士の専門家の方にもちょっと意見を聞きました。特に、報告書の八ページですけれども、具体的な企業側提出資料信頼性確保の施策ということで、三つの施策、①、②、③を挙げております。では、これが果たして、こういうことを実施することによって信頼性確保がちゃんと担保されるのかというと、非常に抽象的な話なのでどうかなという疑問があるんですね。ですから、この八ページで挙げている①から③までは、いわゆる問題があった場合の事後的な体制なんですね。大事なのは、問題が起きないような、いわゆるプリベンティブコントロールというのですか、事前防止策、事前チェックという事前の審査能力向上のためにもっともっと工夫が必要ではないか、それもかなりはっきりとした形でこういった報告書の中に盛り込むべきではなかったか、私はそう思うんですね。  例えば、これは監査の手法ですけれども、私が前いた監査法人ですと、STRATAとかといういわゆるコンピューターの、不正を事前にチェックする、防止する監査プログラムがあります。そういったいわゆるコンピューター利用審査システムとか、やはりこういったところも明言して、今後の事前審査能力向上というところにぜひ努力をしていただきたいと思うのですけれども、それについてはいかがですか。
  135. 及川耕造

    及川政府委員 先生指摘のとおりでございまして、今回の事案の原因の一つといたしまして、契約企業に対する審査について、企業側のデータを確認する手段というのが当方に十分整備されていなかったという問題を認識いたしております。  この対策といたしましては、審査能力の強化のための人材育成等がまず大事だろうと存じますが、今御指摘のございました民間監査法人の活用でございますとか、企業のデータを集計するシステムの整備といったことも必要だろうと存じます。今先生指摘のありました監査用のソフトの活用というのも、現在大変注目を浴びておりますシステム監査等の一環として重要ではないかと思っておりますので、ぜひ検討させていただきたいと存じます。
  136. 若松謙維

    若松委員 ぜひ勉強してください。  それと、今回の調本のこれだけ大きな問題を長期間にわたって許してきた背景には、調本内での原価計算部門、いわゆるこれは監査ですね、それと契約部門、これが同じ責任者のもとに行われて、その責任者がいわゆる不正をやっていた、こういう結果ですね。これを今後分離するわけですけれども、具体的にどういう形でやるのか、かつその独立性をどう担保しているのか、それについて、これは大変重要なポイントだと思いますので、この委員会でしっかりと答弁していただけますか。     〔佐藤(静)委員長代理退席、委員長着席〕
  137. 小林誠一

    ○小林(誠)政府委員 現在検討中の考えで申し上げますと、現在の調達実施本部というのは、防衛庁設置法上、特別の機関として、一つ組織として位置づけられております。これを、調達実施本部の廃止ということで、契約部門原価計算部門に分離するわけでございますけれども、その際、それぞれの機関として分離した場合の、二つ機関を念頭に置きますけれども、それぞれの法的性格につきましては、いろいろと関係当局と御議論させていただく中で決めていかせていただきたいと思っております。  いずれにいたしましても、機関を二つつくらないと、明確な形での分離したということにはならないと思っております。
  138. 若松謙維

    若松委員 では、今のお話で、原価計算部門契約部門ですけれども、いずれにしても、少なくとも立場としてはいわゆる監査という立場からの原価計算部門の方が上位じゃないといけないわけですね。  ちょっと政務次官に感想をお聞きしたいんですけれども、私は以前、そういった原価計算部門なり監査のチェック部門は官房にあるべきだ、それがしっかりあればこういう事態にならなかったと言っているわけですけれども、そういった意識で、原価計算部門契約部門を分離するわけですけれども、対等の立場じゃなくて、いわゆる監査する部門はしっかりと上位の立場に置く、そういった形の機構改革をやっていただけますか。次官、お願いします。
  139. 浜田靖一

    浜田(靖)政府委員 今若松先生からお話がありましたように、この間、検討会の先生方とアメリカまで行って勉強させていただきまして、アメリカはもうそういうシステムであります。  それで、今若松先生からお話があったように、私のイメージからすれば、内局の下に、装備局の下に二つあって、それが、先生のおっしゃるように、監査の方が上だというお話もありましたけれども、そういうことも一つ考えられると思いますし、もう一つ、内局で、今回装備局経理局と両方合併をさせて、合体させて、その中の監査の部分でもチェックをさせて、そして外の第三者機関でやるという、ダブルチェックというよりもトリプルチェックのような形をとれればいいかなというイメージを、私自身は持っていたんですね。  それで、今若松先生がおっしゃるように、やはり監査の方が上だということになれば、その方がさらに監査機能が強くなるのかな、その辺のところはまたいろいろ御意見をいただいて勉強させていただきたいと思いますが、私のイメージでも、同じように、監査の部分をやはり別にして、そういうところに力を持たせるというのは非常に重要かなというふうに思っておりますので、先生のお考えをまた検討させていただきたいと思います。
  140. 若松謙維

    若松委員 その指摘した点、検討されるということですので、さらに専門家等いろいろな意見を聞いて、ぜひ実現の道筋をお願いいたしたいと思います。  それでは、今回のこの報告書、全体的に、調達改革について、これは専門家の意見ですけれども、いわゆる監査とかコンピューターシステムとか内部統制とか組織のあり方、これについて、防衛庁の認識の甘さというんですか、やはり自己チェックというところに対して、組織そのものに対しての内部統制とか自己チェックとか、またコンピューターの活用とか、そこら辺が非常に甘かったし勉強も足りなかったという率直な意見でした。  ですから、今後も、この防衛庁改革、特に調達関係改革ですけれども、監査法人とかさまざまなコンサルティング会社があります、そういった専門家のサポートが当然必要になるわけで、従来の皆さんの発想の延長での改革案というのはやはりもう時代には恐らくマッチしていない、時代の要求には恐らく達していないのかな、この際、しっかり外部の専門家の意見を取り入れて、かなりがっちりやっていただきたいと思っているわけですけれども、それについてはいかがですか。
  141. 及川耕造

    及川政府委員 先生指摘のとおり、今の私どもの制度がそれなりの制度疲労を起こしているのではないかという危倶は持っておりまして、そのために、この九月から、調達制度調査検討会という外部の方の検討機関をつくりまして、そこで御審議をいただき、かつ、先ほど政務次官申し上げましたように、その先生方や政務次官が諸外国、欧米を調査いたしまして、そしてその成果等を持ち寄って、現在、組織改編あるいは制度改正のあり方について検討しているところでございます。  御指摘のとおり、十分外部の方たちの知見等を取り入れて改革に努めてまいりたいというふうに思っております。
  142. 若松謙維

    若松委員 それでは、ちょっと問題を変えますけれども、いわゆる天下り問題、これも一つの今回の事件の焦点になりました。  この報告書にも書いてありましたけれども、十四ページ、「再就職規制の見直し」。これにつきましては防衛庁として随分苦慮されたようですけれども、ここに、事務官は再就職規制については公務員一般職に準ずる、こう書いてありますけれども、事務官の範囲というのは、これは制服組以外の全員ということを言っていらっしゃるのですか。それとも、公務員一般職ですと、いわゆる顧問とか評議員とかコンサルタント、これの再就職は禁じられております。ところが、御存じのように、防衛庁の方は例外規定があるということで、今回例外規定が適用され、いわゆる利用されたわけですけれども、これについてはどういう定義で考えていらっしゃるのか。  また、一般職公務員ですと、コンサルティングまた顧問等の就職は禁じられているわけですけれども、同じような趣旨で、今後もこの天下り問題で他の一般職と同じように法改正をしていくのか、そういった点についてお聞きしたいと思います。
  143. 坂野興

    ○坂野政府委員 お答えいたします。  自衛隊員の再就職につきましては、現在一定の規制はございますが、その実効性についてかねてよりいろいろと御指摘がございました。そういうことで、今回の四社事案を契機といたしまして、再就職のあり方につきましても、規制のあり方につきましても見直すことといたしました。  まず事務官等につきましては、現在、定員内の自衛隊員のうち自衛官を除く者を事務官等といたしております。そして、再就職につきましては、従来でございますと、自衛隊法によりまして、顧問等非役員でございますと承認の対象となっていなかったということでございますが、今回の見直しにおきましては、顧問等、役員非役員を問わず、防衛庁に在職中の業務と関係があった場合には承認の対象とする方向で検討を進めております。
  144. 若松謙維

    若松委員 ぜひ、今局長がおっしゃったような形でしっかりと法的な改正をお願いしたいと思います。  それで、六ページに戻るわけですけれども、「防衛庁企業関係の適正化の推進」というところで「官と民との関係の適正化を図っていかなければならない。」こう言っておりますけれども、ちょっとこれだけの表現では何を言っているのか、何も言っていないに等しいと思います。これは具体的にどういうことなのか。いわゆる適正化というのは、何が今まで不適正で、どうしたら適正になるのか、もっと詳しく説明してくれますか。
  145. 及川耕造

    及川政府委員 この考え方の背景には、アメリカにおきます防衛調達側と企業との関係というのが、非常にスムーズな形で民間活力を活用し、そしてそのアイデア等を生かしながらコストダウンを図っているという事実がございます。  ただ、今回の事案のようなことになりますと、いわゆる企業との関係が、癒着とか、そういう御批判を浴びているわけでございますので、そういうことのないように、一方では企業との関係に一定の緊張関係を保ちながらも、相互の意思疎通というものを密にいたしまして、今申し上げましたような、アメリカが民間活力を十分に活用してコストダウンを図っているといったような形を、我が国でもそれなりに考えていくべきではないか、こういうことで使っているものでございます。
  146. 若松謙維

    若松委員 今の説明ではよくわからないのです、もっと言ってくれますか。ちょっとわからないですよね。
  147. 及川耕造

    及川政府委員 例になってしまいますけれども、例えばアメリカでございますと、企業活動の信頼性を確保するために、契約そのものの条項に罰金制度等を設けております。  これは、一方では厳しく、企業が虚偽的な行動を行った場合には罰するということを契約の中にもうたうと同時に、他方で、先ほど申し上げましたように、経理システムが高度情報化等の中で非常に多様化している、そういった多様化に合わせた形での原価計算等を行っていくというような形で、相互の信頼関係を築くとともにコストダウンに寄与していく、こういうようなことではないかと思っております。
  148. 若松謙維

    若松委員 わかりました。  では、時間もあれですから、最後の質問に移らせていただきます。  今回も、会計検査院のお立場として、会計検査院の使命が十分全うしてあるのかどうか、そういう存在意義も問われた一つ事件となりました。そしてさらに、会計検査院のいわゆる独立性というところで、業界に対する再就職、これは生活上やむを得ないとしても、会計検査院という独立性を守らなくてはいけない立場でそれが果たして許されるのかとか、そういったところも議論されました。  そういった一連委員会を通しての議論について、今回の事件でどういった教訓があって、今後さらにどういうふうにそれを改善していくか、会計検査院長から答弁をお願いします。
  149. 疋田周朗

    ○疋田会計検査院長 お答え申し上げます。  今回の事案によりまして会計検査院に対する国民信頼が揺らいでいるということにつきましては、私ども会計検査院といたしましても重大に受けとめているところでございます。  本件事案を未然に発見できなかったことにつきましては、私どもといたしまして謙虚に反省し、今後は、検査の実施体制の強化を図ってまいりまして、原価検査のプロジェクトチームをつくるなどいたしまして、検査に万全を期してまいる所存でございます。  それからまた、本院の職員の再就職に関する御論議につきましては、これを真摯に受けとめているところでございまして、職員の再就職のあり方につきまして幅広く検討を行うことによりまして、国民から会計検査院の検査の公正性に疑念を持たれることのないように厳しく対処してまいりたい、このように考えているところでございます。
  150. 若松謙維

    若松委員 我が公明・改革といたしましても、天下り禁止法案とあわせて、定年制の問題、今六十を六十五なりに上げる、これは民間にも理解していただいてお互いに安心して職務を全うできる環境もつくらなくてはいけないという議員立法も提案させていただきました。ぜひそういったところの議論もあわせて――ただ公務員をいじめるのも意味のない話でしょう。だけれども、特に会計検査院というのは、率先してみずからの独立性、潔癖性というものを示す立場ですので、今回、この歴史、教訓を踏まえて、本当に国民信頼性をかち取るような会計検査院の再構築を院長みずから頑張っていただいて期待にこたえられるよう要望して、質問を終わります。  ありがとうございました。
  151. 原田昇左右

    原田委員長 次に、西田猛君。
  152. 西田猛

    西田(猛)委員 自由党の西田猛でございます。  先ほどの野呂田防衛庁長官に対します質問に引き続き、質問を続けさせていただきたいと存じます。  先ほど長官に対してお聞きいたしましたのは、防衛装備品調達ということは極めて機密性の高いことでありまして、したがって、国会あるいは主権者である国民のチェックがなかなか及びにくいものであるがゆえに、それを行う主体の中において自己規律あるいはその中での相互監査というものが最も高く要求されるものであるのではないでしょうか、それに対して、今回のような事件が、一連のものが起こっておりますのは大変遺憾だということをお聞きしたわけでございます。  それに対する大臣からの御答弁の中で、今後は第三者機関等によるチェックのシステムを考えていきたいというふうにお答えになられました。その点についてお聞きしたいと思うのであります。  第三者によるチェックというもの、今までの議論の中でも少しずつ頭出しはあるようですけれども、具体的にどのようなシステムが考えられるのか、お答えいただけますでしょうか。
  153. 及川耕造

    及川政府委員 第三者機関につきましては、タイミングにつきましてはこの四月までに、現在私どもで外部の方にお願いをしております制度調査検討会で検討させていただくところでございますけれども、そこでは、現在のところ三つの点を大きな任務としてやっていただくのが適切ではないか、こういう御指摘をいただいているところでございます。  一つは、予定価格訓令等のような調達制度そのもののあり方について適切かどうか、あるいは改善すべきではないかといった点についての御審議をいただくことが第一点でございます。二番目は、重要な契約等に関しまして、一種のランダムサンプリングでチェックをしていただくということで透明性を図ることにしたい。三番目は、苦情等の処理ということで、非落札者等から問題点等が提示されましたらば、第三者機関としてその適切性等をチェックするというのが必要ではないか、こういった点をお願いすべきではないかという御指摘をいただいているところでございまして、その辺をさらに詰めてまいりたい、こういうふうに思っているところでございます。
  154. 西田猛

    西田(猛)委員 今お答えいただきました中でですが、特に最後の点で少し敷衍してお聞きしたいのは、第三者機関によるチェックの場合、その第三者機関というのは、今のところで結構ですが、どういう性格のものになり得るということを想定しておられますか。
  155. 及川耕造

    及川政府委員 構成はもちろん外部の方になっていただくわけだろうと存じますけれども、どういう組織にするかというのは、現在、行政改革全体の流れの中で、私ども防衛庁の内局、さらにお話し申し上げましたように調本自体の改変というのもございます、そういう流れの中で最終的には決めたいと思っておりますが、とりあえず現在、来年度から発足させたいというふうに思っておりますのは、とりあえずでございますが、例えば長官の私的な諮問機関みたいなものでスタートをして、そして大きな機構改革全体が決まるときにその性格等についてもきっちりとするというようなことが必要ではないかというふうに思っているところでございます。
  156. 西田猛

    西田(猛)委員 続きまして、先ほども防衛庁長官にお聞きしたことでございますけれども、この防衛装備品調達というものにおいて、市場のメカニズムとかけ離れたものが今まで行われてきたわけです。これは、有事に備えての国内の防衛の生産技術基盤維持という安全保障の問題だという後ろ盾に寄りかかっていたためであるわけですね。ですから、ここに、なかなか市場のメカニズムが働かない土壌があったわけでございます。  そこで、先ほど大臣にもお聞きしたわけですけれども、これを調達する方、需要者は国ひとりでありますけれども、供給する側をもう少し数をふやす、そのことによって正当な適正な競争が行われることによってこの再発を防止していく、これしか私はないのではないのかなというふうに思うのですね。幾ら、自己の規律を高めてほしい、これを期待いたしましても、内部における監査が厳しくあるべきだということを申し上げてどのような十重二十重のチェック機能をつくってみても、しょせんはそれを運用する内部の人たちがどのようにそれを働かせていくかということでありまして、こうなってきますと、以前からもこういう問題は指摘されているわけですけれども、この完全な再発の防止のためには、やはりマーケット、市場の原理ということがここに導入されてこなければいけないのだと思います。  この点について、供給者のマーケットが適正に拡大されていかなければならないのではないかという私の先ほどの防衛庁長官に対します指摘についても、どのようにお考えになっておられますでしょうか。
  157. 及川耕造

    及川政府委員 御指摘のとおり、競争原理をなるべく働かせるような土壌をつくっていくというのは大変重要な点だろうと思っております。したがいまして、報告書にもございますように、そのためのいろいろな施策を考えていかなければいけないというふうに記述しているところでございまして、例えば仕様書につきまして、極力民間のカタログ仕様等で使用できるものはないかといったようなことを考えていきたいというふうに思っているところでございます。それによって供給者をなるべくふやしたいということでございます。  ただ、御案内のとおり、先生も今御指摘ございましたけれども、需要者が防衛庁だけでございますと、予算の制約等の中で年々厳しさを増しております。したがいまして、御案内のとおり供給者をふやすということになりますと、現在つくっていない方たちにも参加してもらうというためにどうすればいいかという相当の知恵を絞らなければいかぬというふうに思っているところでございます。
  158. 西田猛

    西田(猛)委員 非常に微妙なことをお聞きいたしますけれども、先ほど防衛庁長官に対する御質疑の中でも私頭出しだけをいたしましたが、いわゆる武器輸出三原則あるいはその他のもろもろの、かつての冷戦時代下に我が国がとりましたいろいろな諸原則、これらのその時代の背景が今明らかに変わってきているわけですけれども、そのようなこととこの問題は非常に関連していると思います。そのあたりについて、少しお答えをいただけますでしょうか。
  159. 及川耕造

    及川政府委員 武器輸出三原則につきましては、我が国の大変重要な原則であろうと思っておりますが、当庁といたしましては、先般の平成八年度以降におきます防衛計画の大綱の決定の際に、官房長官談話という形で発表させていただいたところでございます。「装備・技術面での幅広い相互交流の充実による日米安全保障体制の効果的運用との調和を図りつつ、国際紛争等を助長することを回避する」という武器輸出三原則等の基本理念を維持していくというのが政府の考え方でございまして、私どもは、現在でもこの大綱のもとにあるというふうに思っております。
  160. 西田猛

    西田(猛)委員 武器輸出三原則のことをお聞きしたのじゃなくして、それらの中で、今局長も言われた供給者の側のマーケットも広げなければいけないという要請が片やあって、片やそれに対するブレーキのようなものもある。しかしながら、これは我が国の憲法ないしは防衛政策上、やはり今の時点ですぐに我々もこれを見直そうとか言っていることではないという非常に難しい状況ですよね。相矛盾したことを、しかしながらうまくこれから、何と申しましょうか、止揚していかなければいけないという段階に、防衛庁は非常につらい立場に置かれているわけですから、そこのところをどのように突破していくかということのお考えを実はお聞きしたかったのでございます。  ですから、それについてのお答えも含めまして、それとやはり、特に一番直近の中島洋次郎衆議院議員贈収賄容疑等にもかかわりますように、当初から技術開発にかかわっていなければこの防衛調達について参画できない、あるいは逆に言うと、当初からの技術開発に参画しておりさえすればこの防衛装備品調達についてはうまく参画していけるのだという事情もかつてございました。  そこで、軍事技術の開発については、つくったものの輸出とかあるいはつくったものの供給とかという観点じゃなくして、もう少し幅を広げて、我が国の研究者あるいは研究業者も参画していくという方途を考えてもいいのではないかなと思うのですね。そのことが、逆に言えば、日本はどういうものを装備品として持とうとしているのかということが諸外国にも透明性を持ってわかってきますから、日本がどんな防衛をしようとしているのか、あるいはどのような防衛政策を持とうとしているのか全くわからない、だから怖いというふうなことにはならない。世界の国々と手を携えて世界の平和を維持していくのだという観点からも、私は今後考えられていいことなのではないかなというふうに思うのですけれども、いかがでしょうか。
  161. 及川耕造

    及川政府委員 確かに武器輸出三原則は、生産でございますとかまさに輸出等々につきましては、全世界にわたってこれを禁止しているわけでございますが、唯一、日米間の共同研究開発、技術開発に限りまして、武器輸出三原則等の例外として、対米武器技術供与の枠組みのもとで研究プロジェクトが進められているところでございまして、既に幾つかのプロジェクトがスタートしているところでございます。  これにつきましては、おっしゃるとおり、今後とも、両国のすぐれた技術あるいは施設等の有効活用という点から効果的な装備品等の研究開発が進められるということもあり、それなりに推進すべきものではないかというふうに思っているところでございます。  なお、おっしゃいました技術開発全般、これは国内の、今まで防衛産業に携わっていない方たちにも極力参加していただくというのはそれなりに重要だと思いますけれども、米国以外の国に共同研究開発を進めるかどうかというのはなおさまざまな御議論があろうかと思いますので、私どもとして、現在は、先ほど申し上げました大綱の範囲内で作業をしている、こういうことでございます。
  162. 西田猛

    西田(猛)委員 それでは、やはり、このような一連の問題を考えていくに当たりましては、会計検査という切り口を忘れるわけにはいかないと思うのであります。  そこで、きょうは院長もおいででございますけれども、今まで、過去において、防衛装備品調達について会計検査院として違法ないしは不適切な支出があるということを指摘された事例がありましたらば、それを具体的に教えていただきたいと思いますのが一つと、それと、やはり今後とも、先ほど申し上げた、高い機密性を持った防衛あるいは安全保障という観点からの防衛装備品調達について、いかな会計検査を行っていく御方針かということをあわせてお聞きしたいと思います。
  163. 疋田周朗

    ○疋田会計検査院長 これまでの指摘状況につきましては後ほど担当局長からお答え申し上げますけれども防衛装備品につきましては、通常の調達と異なりまして特別仕様に基づくものが非常に多い、それから市場価格も構成されにくい、それからまた調達が長期にわたるというような非常に特殊性がございまして、私ども検査の対象の中でも非常に難しいものの一つでございます。  今回の事案にかんがみまして、私どもも、認められた権限をフルに活用いたしますとともに、体制を整備いたしまして、鋭意防衛装備品調達検査に当たってまいりたいと考えております。  検査結果につきましては、担当局長からお答え申し上げます。
  164. 諸田敏朗

    ○諸田会計検査説明員 お答えを申し上げます。  平成八年度決算報告までの過去十年間におきまして、対防衛庁に対しまして指摘したものは十二件ございます。このうち、防衛装備品に関する指摘というものが六件ほどございます。  具体的に内容を申し上げた方がよろしいでしょうか。――それでは、全部申し上げるのは時間の関係がございますので、二つほど申し上げたいと思います。  まず、昭和六十二年に、F15型要撃戦闘機用のエンジンの構成品の運用についてということで、防衛庁に対して改善をさせております。  これは、航空自衛隊におきまして、オーバーホール等を実施する基準となる定期交換時間が定められております主燃料ポンプ等のエンジン構成品をエンジンから取り外し寄託保管している間、これは会社に保管させているわけですけれども、定期交換時間の延長があったのに、この場合の取り扱いを明確に定めていなかったため、延長前の定期交換時間を適用したままこれらのオーバーホール等を実施する契約を締結したとしておりましたので、これを指摘しましたところ、改善処置をとられまして、約九千万が節減できているということでございます。  もう一件は、平成七年度の指摘したものでございますけれども、航空自衛隊のレーダー基地等の光伝送装置に使用いたします光ファイバーケーブルの費用の積算についてでございます。  レーダー基地等の光伝送装置の製造請負契約におきまして、装置に使用する光ファイバーケーブルに、光ケーブルメーカー製品のうち経済的なテープ形の光ファイバー心線を用いたものを使用しても支障がないのに、装置の製造会社がみずから製造いたしましたものを使っておりまして、そのため積算額が過大になっていたということでございます。  これは約四千万弱節減できたということで、これは、航空自衛隊仕様というよりか一般仕様でもよろしかったのではないかという指摘でございます。  以上でございます。
  165. 西田猛

    西田(猛)委員 時間が来ましたので終わりますけれども、今の局長からの具体の二つの例を見ても、全く大きな切り口じゃなくて、九千万、四千万というレベルの会計検査だったわけです。やはりこれからは、水増し請求のようなものをぴしっと見抜けるような、そういう会計検査のやり方が必要なのではないかなということを指摘いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  166. 原田昇左右

    原田委員長 次に、東中光雄君。
  167. 東中光雄

    東中委員 防衛庁は、昨十二月一日に、日本電気の府中事業場へ特別の立入調査をやられたということが報道されておりますが、何のための、何に対する特別の調査で、調査人員は四十名というふうに言われておりますが、なぜそんなに大がかりになるのか、そういった点についての状況を御説明願いたいと思います。
  168. 及川耕造

    及川政府委員 御質問にお答えする前に、一言修正をお許しいただきたいと存じます。  先ほど大臣が、昨日でしたか横浜事業場にも立ち入りましてという御答弁を申し上げたところでございますが、府中事業場にまだ立ち入っているところでございまして、横浜事業場への立ち入り予定は、まだこの府中が終わらない限りできませんので、修正をさせていただきたいと存じます。  それから、御質問の点でございますけれども、御指摘のNECにつきましては、去る十月二十二日、同社より過大請求を行っていたという報告を受けたことを踏まえまして、それで一昨日より特別調査に入ったところでございます。  調査の目的は、過払い事案がどのような仕組みでなされていたか、規模はどの程度のものであったのか等の内容を把握するためのものでございまして、企業の経理規定等社内規則類を確認し、原価がどのようにフローしているかといったものの確認等を行うものでございます。  調査に着手したばかりでございますので、現時点で、どういう形の調査内容あるいは調査結果というのはまだ申し上げられる段階ではございません。  以上でございます。
  169. 東中光雄

    東中委員 調査人員、体制。
  170. 及川耕造

    及川政府委員 四十人ほどの人間で行っております。
  171. 東中光雄

    東中委員 非常に、靴の裏から足をかいているような感じがする、そういう答弁でありました。  それでは、まずこういうふうにお伺いしたいと思います。  十一月七日の朝日新聞によりますと、十一月五日、NECの担当幹部が防衛庁調達実施本部を訪れて、二重帳簿による水増しを認めた、会社は赤字だからそうせざるを得ぬということを言い、そういう帳簿ができたということは、六日に会社自身が、二重帳簿になっておったということは事実でありますという趣旨のコメントを発表したというふうに報道されておるわけでありますが、五日にNECの幹部が防衛庁を訪れたことがあるのかないのか、それから、二重帳簿云々のことについてのどういう報告があったのか、明らかにしていただきたい。
  172. 及川耕造

    及川政府委員 十一月の五日、日本電気の幹部が防衛庁調達本部を訪れているのは事実でございます。  そして、私どもに申しましたことは、府中、横浜の事業場におきまして、工数等を実績より増加させて、原価監査及び実績報告用に虚偽の原価元帳を作成しておりましたというのが第一点。  第二点は、上記操作は五年以上前から行っておりましたが、最近は停止しております。  増加させた部分というのは、工数が大部分でありますが、ごく一部、材料費もありました。  四番目は、今後の対応としては、原価監査及び見積もり等については真の原価元帳により実施をいたします、防衛庁による調査には至急対応をいたします、返納については弁護士と相談をいたします等々を、今申し上げましたようなことにつきまして私ども報告をしていったということでございます。
  173. 東中光雄

    東中委員 それが十一月五日のことですね。
  174. 及川耕造

    及川政府委員 さようでございます。
  175. 東中光雄

    東中委員 そのことに関連しての調査に入った、横浜は府中が終わってからやるんだと先ほど言われましたね。  そういうことになると、二重帳簿をつくって水増し請求をしましたということをNECがわざわざ言うてくる。なぜ言うてきたのか、そこはよくわかりませんけれども、言うてきた。それの内容の調査に行くのに、何と三十日までかかっているんですね。そして、三十日に行って、その調査が終われば横浜事業場に行く、それは年内を目途にしていると。さらに、その他の三田、我孫子、玉川、相模原事業場等については、以後順次調査をする、こういうふうに防衛庁からいただいた装備局管理課の文書には書いてあります。  水増し請求、過払い、二重帳簿をつくってやりました、五年以上前。五年以上前といったら十年前も五年以上前ですし、二十年前も五年以上前です。ずっとつくっておったということになっておるわけですが、今これくらい問題になっているときに、防衛庁はなぜ十一月三十日に初めて調査を開始するのか。  それで、調査をしに行くのは四十人と簡単に言われましたけれども、調本だけじゃなくて、地方の調達実施機関、それから陸自も海自も空自も技本も、全部行くんでしょう。合わせて調査に行くんでしょう。  向こうへ行って制度を見ると言われましたけれども、それぞれの契約についてのそういう、どういう帳簿でどうなっておるかということを調査に行くんじゃないんですか、特別立ち入りというのは。その点はどうなんですか。はっきりとしてください。
  176. 及川耕造

    及川政府委員 時間がかかりましたのは、先方の準備がかかったということと、私どもの前に宇宙開発事業団の方の調査がなされておりましたので、それとの関係等がございました。  調査につきましては、今先生おっしゃったような項目、大方そういったことを調べることになるかと存じます。
  177. 東中光雄

    東中委員 先方の準備を待ってから調査に行くんですか。しかも、向こうのやったことを、準備したところを今度は四十人で行って調査をする、普通の常識からいったらちょっと考えられぬことなんですが。しかもそれは、府中が終わったら横浜ですか、それで年内かかる、こういう計画だというんですね。どうも普通の常識でいうと考えられぬ事態になると思うのです。  二重帳簿の件については、五年以上前からということを言うてきた。ところが、報道によりますと、二十年も前から行われていたという報道もあります。  日経の十一月二十七日の報道によりますと、週明けにもNEC府中事業場に立入調査をする方針を固めた、これが二十六日なんですね。それで、三十日に行かれたわけですが、その記事の中で、関係者によると、NEC側が歴代の担当役員に引き継がれる形で二十年以上にわたり府中事業場などを中心に水増し請求を続けて過剰な支払いを受けていた、この数年間の水増し額は毎年十数億円に上るという報道がされております。  調査に行かれて、五年さかのぼってやるのか、二十年も先までさかのぼっていつから二重帳簿による過剰請求をやったかということについて全部調べるのか、その点をお伺いしたい。
  178. 及川耕造

    及川政府委員 資料の保存の義務期間が五年間でございますので、五年間の調査をすることになろうかと存じます。
  179. 東中光雄

    東中委員 保存期間の問題ではないです。保存しているかしていないかは別にして、調べに行くときに初めから五年と区切って行くという、そういうこと自体が非常に問題なんだ。前の事件も今問題になっている事件も全部五年に区切っていますね。保存していないとは限らないんですから。関係の書類は防衛庁にはちゃんとあるはずです。事件別にちゃんとやるべきだ。五年に限るべきじゃない。全部やったが、調べたけれどもわからなかったというんだったら別です。向こうから言うてきて、それを、準備してから調査に行く、これはまともな姿勢だとは思えません。  この点を指摘して、水増しするのも悪いけれども、それを認めてきた防衛庁責任というのは非常に大きいんだ、過払いは国に対して不当な損害を与えたんだ、そのことをもってその実態調査する、それをやることを強く要求しておきます。  終わります。
  180. 原田昇左右

    原田委員長 次に、辻元清美君。
  181. 辻元清美

    辻元委員 社会民主党の辻元清美です。  私は、このたびの最終報告、「四社事案関連文書管理実態に関する報告」につきまして質問をさせていただきたいと思います。  まず最初に、経過について確認させていただきたいんですが、これを読ませていただきまして、ヒアリングファイルというのが七月ごろに出回っておりまして、そしてその後、七月十四日に「東通事案に対する現時点での評価について」というものが出ております。そしてその後、九月から新たなる事実がどんどん出てきまして、私も安保委員会で何度も審議をいたしました。そして十月十四日に中間報告をいただきまして、十一月十九日に最終報告、こういう経過になっております。  今回、この経過を踏まえまして、最終報告では、ポイントとして、これは組織的な証拠隠しと受け取られてもやむを得ない、認めざるを得ないというのが一つの大きな柱となっておりますが、中間報告ではこの点は否定されておりました。ということは、この中間報告が出た時点から最終報告が出ました時点までの間に、組織的であるということが認識される事実が明るみに出たのでしょうか。まず最初質問です。
  182. 守屋武昌

    ○守屋政府委員 お答えいたします。  中間報告の段階では、この問題に関係しました職員のヒアリング調査の結果を体系的にまとめるに至らない段階で、そういう格好で中間報告という形をとったものでございます。  それで、最終報告では、ヒアリングしたものを体系的に分析を行いまして、今言われましたような、組織的な、かつ大量に焼却、組織的な証拠隠しと受け取られてもやむを得ないという判断を行ったものでございます。
  183. 辻元清美

    辻元委員 そうしましたら、この報告書の中に、どうしてこれを組織的であったというふうに認めていらっしゃるかというところに、資料の移転、処分組織的に行われたか否かについては問題のある事例が存在。一つ目としまして、部下を用いて資料を移転させた事例。これは多分石附前副本部長のことだと思います。幹部が強制捜査直前に資料の移転、処分をした事例。これは藤島前官房長のことではないかと私は考えております。電話連絡を契機にヒアリングファイルが処分された事例課長の了承のもと地検提出資料の一部を抜き取った事例等、組織として捜査に非協力的であったと評価されてもやむを得ないもの、防衛庁として深く反省、こう出ております。  そうしましたら、中間報告のときにはこのような方々、石附さんや藤島さんや田中さんなどは、このような事例報告していなかった、うそ報告をしていたということになるのですか。
  184. 守屋武昌

    ○守屋政府委員 そういう報告、我々の最終報告に当たりましては、今申し上げられた方々からのそういうような指示の内容と、それを受けた部下職員がどういうふうな対応をしたのか、どういう認識であったのか、そういうことを詳しく聴取する必要がありましたので、最終報告までの、我々の最終報告で記述した内容に至るまで時間を要したということでございます。
  185. 辻元清美

    辻元委員 そうしましたら、そういう方々が指示をされたということをおっしゃったのは、中間報告の以前でしょうか、以後でしょうか。
  186. 守屋武昌

    ○守屋政府委員 中間報告の前にそういうふうな事実も、私ども調査でそういう事実は上がっておりました。それをどういうふうに評価するかということが、最終報告で私たちが大変留意を置いた点でございます。
  187. 辻元清美

    辻元委員 そうしますと、私どもがいただきました中間報告にはそのような事実は出ていなかったと思うのですが、どうして出なかったのでしょうか。
  188. 守屋武昌

    ○守屋政府委員 お答えいたします。  中間報告では、先ほどから申し上げているように、まさにその時点で明らかになったことを正確に御報告しようということで、いろいろな事実を、防衛庁としまして指示を出した者と指示を受けた者、そういうものをどういうふうに評価するかというふうな作業は行っていない段階で中間報告を取りまとめたものでございます。
  189. 辻元清美

    辻元委員 ということは、そのような指示があったということは、今、中間報告以前にあったということはお認めになりましたので、その段階では、それは組織的な隠ぺいにつながる、もしくは組織的であるという認識ではなかったということですね。
  190. 守屋武昌

    ○守屋政府委員 先生の御指摘のとおりでございます。
  191. 辻元清美

    辻元委員 私は今の話を聞いてびっくりしましたが、今のような責任者である人が、そういう書類を燃やしたり、そしてかつ、ここに書いてあります、部下を用いて資料を移転させた、そのようなことが組織的でないという御認識ですか、指示そのものは。
  192. 浜田靖一

    浜田(靖)政府委員 その件に関しましては、中間報告までにそのような認識であったがゆえに中間報告であのような形になってしまったということだと私は思いますし、ただ、最終報告に対して、そういうことではいかぬという長官の、私も本部長代理でその会議に立ち会わせていただきましたが、長官と私も一緒にその報告書を全部読んで、この部分はこうじゃないかという指摘をしつつ最終報告をまとめたという経緯もございますので、その点はそういうことで御認識願いたいと思います。
  193. 辻元清美

    辻元委員 そうしましたら、今の政務次官の御発言の中に、この部分はこうじゃないかと指摘してまとめていったという一例、この部分はこうじゃないかと言われたその一例を示していただけますか。どういう部分でしょうか。
  194. 浜田靖一

    浜田(靖)政府委員 それは、例えば表現の方法の中であったりとか、それとか、極端に言わせていただければ、そういうふうにとられてもやむを得なかった、見られても仕方がなかったという表現の部分とか、あとそれから、事例としてはっきりと表に出ていなかった事例を表に出してきたというようなところで、チェックをして全部その最終報告の中に出してきたという部分もあるわけでありますので、細かなところ、今私持っていないものですから、ちょっと今お話しできません。
  195. 辻元清美

    辻元委員 そうしましたら、先ほど私は中間報告のことにも触れましたが、政務次官はあの中間報告は、今のやりとりをお聞きになっていて、非常に不十分であり、、判断が間違っていたと思われませんか。
  196. 浜田靖一

    浜田(靖)政府委員 間違っていたかどうかは別といたしまして、確かに不備であったことは事実だと思います。
  197. 辻元清美

    辻元委員 時間が参りましたのでこれで終わりますが、この中に、「処理努力の不徹底」というところに、「過去の行政判断を覆すことへの躊躇と事件化した際の行政事務への影響」というようなことが出ていますが、この「過去の行政判断を覆すことへの躊躇」、これですね、ここが私は一番大きい問題やと思うのです。間違っていたことは間違っていたと言うべきだと思っていますので、この続きは、あした安保委員会でまたやらせていただきます。  以上で終わります。
  198. 原田昇左右

    原田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時九分散会