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山中(燁)
委員 国際的な、
韓国と
日本とのいい形のこれからの包括的な
関係ということを非常に大事に考えますけれ
ども、もう一方で、
日本の国民の食ということを考えますと、やはり
漁民の人たちの気持ちというのを十分踏まえて、できるだけの
努力をして今おっしゃったところに近づけていただきたいと思います。
そういう現状を考えてみますと、実は私、十月にオーストラリアのブリスベーンで海洋と
漁業に関する国際的な環境研究会が発足し、招かれまして、出席いたしました。これは、二年間世界各地の六カ国で
会議をして、そして最終的に国連を初め各国に対して政策を提言するという
趣旨でアメリカとイギリスの機関が一緒に開催し始めたものなのです。
実は、出席してみましてわかりましたのは、北東アジアあたりの情報がすぽっと抜けておりまして、
日本がトロール
漁船をやめているということも知られていないし、中国が大変な
漁獲量を毎年増量している、そういう事実も余りはっきりと認識されておりませんで、国際的なそういった海洋、
漁業、環境の問題の中で、つまり、
日本からあるいは北東アジアからのきちんとした
データとかあるいはインフォメーションというものが十分出ているのかどうかということを私は大変疑問に思ったわけで、それと同時に、そういうきちんとした
データや何かの公表が国際的にされている量が少ないとすれば、もう
一つは、どのようにして、
日本海やオホーツクの海洋環境に関すること、それから
漁業資源に関する
保護がなされているのかということもまた、国際的にはよくわかっていない、本当にされているかどうかということも見えないという
状況になっているわけでございます。
それで私は、この点、先ほど
高村外務大臣が、まず二国間で今
漁業協定がそれぞれ始まったところだからとおっしゃいますけれ
ども、今、始まったときだからこそ、もう少し大きな枠組みで、
日本海それからオホーツクそれから北太平洋、ここの共同の
資源の調査
管理という機構を
日本が打ち出すという時期に来ているのではないかというふうに思っておりまして、個々にやっていることをもっと総合的に集めることができないかというふうに考えたわけでございます。
お手元に地図が配付されていますでしょうか。この地図を大臣はごらんになったことがおありになりますでしょうか。これは
御存じかと思いますけれ
ども、インターナショナル・カウンシル・フォー・ザ・エクスプロレーション・オブ・ザ・シーということで、国際的な海洋調査に関する
協議会ということなのですが、これは実は一九〇二年に最初設立されておりまして、海洋学、水産学に関する研究を行うということで、世界で一番古い研究機関なのでございますけれ
ども、これは
政府機関です。それが現在では、ベルギー、カナダ、デンマーク、エストニア、フィンランド、フランス、ドイツ、アイスランド、アイルランド、ラトビア、オランダ、ノルウェー、ポーランド、ポルトガル、ロシア、スペイン、スウェーデン、イギリス、アメリカという十九カ国が参加するに至っております。
基本的には、北海と北大西洋に面する、あらゆる国々の科学者の集まりでして、毎年、水産
資源に関するあらゆる
データ、つまり産卵ということな
ども含めまして検討して、それを
漁獲割り当ての勧告の
合意に結びつけているという
作業をしております。一九七〇年代からは、これは欧州
委員会とも連携いたしまして、欧州
委員会が各国に行う科学的
漁業政策それから
漁獲量割り当ての勧告案の、その
基礎になる
データを提供するという役割も果たしております。
毎年二十種類以上の魚種の調査を、その地図にあります区切ったものをボックスと呼んでおりまして、そのボックスの中ごとに行っているわけで、これを実際に行うことと同時に、年間百種類の
会議、会合、各種
作業グループの活動、研究グループ、ワークショップ、
委員会などの活動を行っておりまして、それを毎年九月のアニュアル・サイエンス・コンファレンスの折に報告して、総合的な分析を行って、そして
データを公表する、そういう
作業をしております。
この海洋学的な調査というのは、各
水域と生態学的なプロセスの特性とか、あるいは変化というものを主な目的としているわけですけれ
ども、しかし、同時に海洋学調査に使用する機器の開発やその精度に関する測定の
作業にかかわる品質の改良あるいは海洋学
データの質の維持、
データ間の比較をしやすくするための調整というような補助的なことにも実際には非常に予算をつけておりまして、そういったことで
漁獲高に関する公式な統計、それから
漁業アセスメント、それから国際はえ縄
漁業網の調査、それから北海の
漁獲高の
データバンク、北海の魚種の
データバンクというようなことがなされております。
御存じのように、実はカナダの大西洋岸のタラがとり過ぎて絶滅をしてしまったという物すごく苦い経験から、これがかなり強化されているという現実があるのですが、こういった
意味で、今科学的な
データの収集、分析、勧告というのを国際的な機関あるいは国際的な研究所あるいは機器のメーカー、調査
関係者それから
漁業関係者、そういった人たちのネットワークをして、そして
日本海、オホーツク、北太平洋にかかわる、例えば中国、ロシア、
韓国――北朝鮮も入ればなおいいですけれ
ども、カナダ、アメリカ、
日本というような国がそういったネットワークを構築するとすれば、その技術と資金力というのはやはり
日本がイニシアチブをとるというようなことになってくるし、それが
日本にとっても、また
日本のこの地域への貢献ということに関しても、あるいは世界への貢献ということに関しても非常に
意味があると思うのです。
その中で、カナダとアメリカ、ロシアなどは既に大西洋側の方で参加しているわけですから、そういったことを構築しようというようなことを、いずれ時期が来たらではなくて、早急に構築できるかどうかという検討に入るという時期に私は来ていると思うんですが、その辺、大臣のお考えをお聞きしたいと思います。