○今泉昭君 構造変化に伴う
雇用創出の実現というのは中長期的な一つの取り組みでございますから、短い期間にすぐ効果が出るということは余りそう期待はできないだろうというふうに思うわけです。もちろん出てもらうのが一番ありがたいことでございます。昨年の五月に
閣議決定をされて動かされたということですから、一年半程度ではなかなかそう結果は出ないだろうと思うんですが、ただ単に
計画として打ち出された絵にとどめておくのではなくして、強力に、特に現在のような厳しい
雇用情勢のときには積極的にこれを実現するようなひとつ施策を推進していただきたいというふうに思っている次第でございます。
そこで、もう一つ、対応策としての
問題点でお聞きしたいと思うんですが、今のは中期的な一つの
雇用対策の
計画として十分理解いたしましたが、もう一つの大きな、不況時における循環的な
失業というものをなくすためにどうしたらいいのか、これは景気変動の中で出てくる
失業でございますから、緊急事態の一つのあり方として考えていかなきゃならない
対策であろうと思うわけであります。
最近の、これは朝日生命でしたか何かで出されました研究論文を見てみますと、次のようなことが出ていたわけでございます。というのは、
失業率と消費の関連、特に現在の我が国の不況というのは消費の減退に伴う内需の不振というのが大変大きいわけでございまして、消費をいかにしてふやしていくか、回復させていくかということが実は景気回復のために大変重要な一つの
側面を持っているわけです。この
失業率と消費の関係をいろいろ見てみますと、実は
失業率が一%ポイント上昇しますと消費性向がまず〇・六%ぐらい減る、これによりまして消費
需要というのは約四兆九千億程度減少する、約五兆円。単純に言うと、一%
失業率が上昇すると消費は五兆円減少するということであります。
雇用と消費との関係がそういう形であるとするならば、これは消費喚起という
意味でも相当
思い切った
政府の
対策がとられなきゃならないはずでございます。財政不足の問題でいろいろと言われてはいますけれども、いわばいろんな
意味での財政的な支出、出動というものを相当
思い切ってやらないことには、今の緊急事態における
失業率のこれ以上の上昇を防げないのではないだろうか、財政出動によってもう少し
需要喚起というものを考える必要があるのではないかということをこれは示唆している一つの研究論文だろうと思うわけであります。
もちろん、消費を喚起するにはいろんな要因がたくさんあります。
雇用というのはその要因の中の一つでありましょう。例えば物価の安定であるとか
雇用であるとか、あるいは所得の上昇、あるいは強制的な
意味での所得の増加に結びつく減税だとか社会保険料の減少だとかというようなことを総合的に考えていかなければ消費支出というのは拡大しないかもしれないけれども、その中の大きな指標の一つである
雇用、一%上昇することによってそれだけ大きな消費が減退をするとするならば、
失業率を低下させるための財政出動、景気
対策というのをもっと積極的にとっていいのではないかというふうに思うわけです。
実は、ことしの当初十六兆円の景気
対策を打たれました。このときはたまたま我が国の需給ギャップが三%ぐらいだから、GNPに換算してみると三%というと大体十六、七兆円だというようなところから十六兆円という換算が出てきたんでしょうけれども、今の需給ギャップというのは三%どころではない、むしろ五%ぐらいになっているんじゃないかというのが一般的な見方であります。二十兆円から三十兆円ぐらいの大幅な財政出動、景気
対策がなければこの需給ギャップを埋めることができないと言われているような状態でございます。
そういう
意味からも、次なる手というものが
政府筋でも考えられているようでございますけれども、なかなか言えないことではあろうと思うんですけれども、当然そのような次の景気
対策ということを孝之ていらっしゃるのかどうか、
雇用の減少を防ぐために、あるいは
雇用創出のために、そういうお考えがあるならばちょっとお聞かせ願いたいと
思います。