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1998-10-08 第143回国会 参議院 労働・社会政策委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十年十月八日(木曜日)    午前十時開会     —————————————    委員異動 十月六日     辞任         補欠選任      谷林 正昭君     小宮山洋子君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         吉岡 吉典君     理 事                 末広まきこ君                 田浦  直君                 溝手 顕正君                 笹野 貞子君                 長谷川 清君     委 員                 大島 慶久君                 斉藤 滋宣君                 鈴木 政二君                 山崎 正昭君                 今泉  昭君                 小宮山洋子君                 但馬 久美君                 山本  保君                 市田 忠義君                 大脇 雅子君                 鶴保 庸介君                 田名部匡省君                 高橋紀世子君    国務大臣        労 働 大 臣  甘利  明君    政府委員        法務省入国管理        局長       竹中 繁雄君        文部省教育助成        局長       御手洗 康君        通商産業大臣官        房審議官     岡本  巖君        労働大臣官房長  渡邊  信君        労働省労政局長  澤田陽太郎君        労働省労働基準        局長       伊藤 庄平君        労働省女性局長  藤井 龍子君        労働省職業安定        局長       征矢 紀臣君        労働省職業能力        開発局長     日比  徹君        労働省建設経済        局長       木下 博夫君    事務局側        常任委員会専門        員        山岸 完治君    説明員        経済企画庁調整        局財政金融課長  奥田 宗久君        経済企画庁調査        局審議官     池田  実君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○労働問題及び社会政策に関する調査  (雇用失業情勢現状対策に関する件)  (雇用促進事業団組織業務の見直しに関す  る件)  (ホワイトカラー能力開発に関する件)  (介護労働力確保に関する件)  (労働債権確保に関する件)  (育児介護休業制度の改善に関する件)  (非正規労働者の増加に関する件)     —————————————
  2. 吉岡吉典

    委員長吉岡吉典君) ただいまから労働社会政策委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る六日、谷林正昭君が委員を辞任され、その補欠として小宮山洋子君が選任されました。     —————————————
  3. 吉岡吉典

    委員長吉岡吉典君) 労働問題及び社会政策に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 末広まきこ

    末広まきこ君 おはようございます。自由民主党末広まきこです。どうぞよろしくお願いいたします。  本日は、雇用促進事業団能力開発に関連してお伺いします。  去年の六月、閣議におきまして十一の特殊法人整理合理化が決定されまして、雇用促進事業団もその対象となりました。事業団がこれまでに果たしてきた役割というのは大きいものがあると思いますが、時代に合わせて組織仕事スリム化を目指し、絶えず業務を見直していくということは、これはぜひとも必要なことでございます。この雇用促進事業団についてですが、まずどのような業務を行っているのか、簡単に説明してください。  また、整理合理化に当たって現在行っている業務をどのように見直していくのか、その具体的内容とスケジュールについて御説明いただきたいと思います。
  5. 征矢紀臣

    政府委員征矢紀臣君) 現在、雇用促進事業団におきましては、職業能力開発関連業務中小企業人材確保等事業主支援業務中小企業労働者のための勤労者福祉施設等設置運営業務勤労者持ち家促進のための勤労者財産形成促進業務等を行っているところでございます。  この事業団につきましては、先生指摘のとおり、平成九年六月六日の閣議決定におきまして、「平成十一年の通常国会において法律改正を行い、廃止する。職業能力開発関連業務中小企業人材確保等事業主支援業務及び勤労者財産形成促進業務については、業務内容を精査した上、新たに設立する法人に移管する。」というふうにされたところでございまして、したがいまして、勤労者福祉施設等の新たな設置、これは行わない、こういう整理が行われたところでございます。勤労者福祉施設等につきましては、これは平成十年度より新設は行わないことといたしているところでございます。  このため、閣議決定に基づきまして、雇用促進事業団廃止後の新法人業務組織等について現在検討を行っているところでございまして、今後これらの検討結果を踏まえまして、雇用促進事業団廃止と新法人設立を行うための関係法案をまとめ、次期通常国会に所要の法案を提出いたしたいというふうに考えております。
  6. 末広まきこ

    末広まきこ君 お話にもありましたが、職業能力開発業務というのは大変重要でございまして、特に厳しい中高年齢者の再就職を促進するためにも、この能力開発業務については新法人のもとにおいて一層力を注いでいただきたいと思います。  ところで、かつて私も能力開発促進センターを視察させていただいたことがございますが、その際、ちょっと感じたことがございます。技術者養成という側面では非常によく頑張っていらっしゃるのでございますが、現在最も大きな課題となっております中高年ホワイトカラー方々の再就職に向けた能力開発に十分対応できているかなというと、それはほとんどなきに等しいというか、配慮が見られないというのが残念ながら現状だったように思います。  能力開発センターにおけるホワイトカラー関係能力開発について、一層充実させる必要が現段階でもう来ていると思うのでございますが、その現状と今後の展望について御説明ください。
  7. 日比徹

    政府委員日比徹君) 先生指摘のように、特に最近問題となっております中高年ホワイトカラー、その能力開発につきまして従来必ずしも十分でなかった点、あろうかと思います。  現在、これも御案内のとおりでございますが、いわゆるアビリティガーデンと申しておりますが、生涯職業能力開発促進センター、これを昨年立ち上げまして、ここでホワイトカラー向け能力開発につきまして、能力開発手法等研究開発を行うとともに、先導的な訓練という形でホワイトカラー教育訓練を実施し始めたところでございます。  もちろん、そのほかのいわゆる能力開発促進センターにおきましても、部分的にホワイトカラーに属するいろんな技能等について訓練も行っておりますが、恐らく御指摘のようなある程度の年齢ホワイトカラー方々についてどうしていくかというのは今確かに緒についたところでございまして、現在もその拡充等に努めておりますが、今後におきましても量的にも内容的にもその拡充を図ってまいりたいと考えております。
  8. 末広まきこ

    末広まきこ君 今のお言葉しっかりと受けとめました。アビリティガーデンというのを私もパンフレットで取り寄せて見てみましたら、まさに時代にかなった、先端を行くと。これを普及してくださることが願わしいと思うんですが、ただ、また苦言を呈しますが、せっかくいい施設なんですが、少しPR不足のような気がいたしましてもったいないので、しっかりPRしてください。  さて、能力開発について別の側面から伺いたいと思います。  この二日に発表されました八月の完全失業率が四・三%と、また悪い方へ戻っております。一層の対策が必要な状況になってきたという感じがいたしますが、この雇用対策については、雇用維持を図るということもさりながら、新たな雇用機会の場をつくり出すことに向けてこれは政府一丸となって取り組むべき段階であると思います。そして、この雇用創出ということを考えますと、その受け皿となるべき新たな事業が次々と生まれ、大きく育っていくことが必要であり、これを担う人材育成が大変急がれると思います。  ここでも能力開発業務というものが重要な役割を果たさなければなりませんが、この場合、高度な技術知識を持った人材育成するだけではなく、創業という、なりわいを起こすという面から見て、経営能力を持つ企業人育成することもまた重要であると思います。  労働省としてもこうした人材育成にも力を注いでいただきたいと思いますが、これは省としてはやる気があるのかないのか。ないか、それともやるぞという方策をお持ちなのか、ちょっとお聞かせいただきたいと思います。
  9. 日比徹

    政府委員日比徹君) ただいま、経営能力を持つそういう人材養成ということでございますが、まず私ども能力開発ということを念頭に置きますと、一般的には雇用労働者といいますか、そういう方々中心となるわけでございますが、ただ御指摘のように、一たん離職された方がみずから仕事を起こすということも念頭にはあるつもりでございます。  なお、経営能力ということに関しまして現状を申し上げますと、これは高度な能力開発を行うという面でいろんな科目を見てみますと、非常に部分的ではあるかもしれませんが、経営計画についての訓練を行ったり、あるいは生産システム経済性分析というようなものを行ったりということを現在も行っておりまして、これは雇用されてというばかりでなく、新たに創業するという方々にとっても非常に意味あるものだろうと思っております。  いずれにいたしましても、現在、非常に世の中で求められている人材につきましては、技能技術の点、ホワイトカラーとしての経費あるいは創業者としても役に立つかもしれない、そういうものにつきまして非常に高度なものが求められておると思っておりまして、そういう新しい需要、今の時代に合った需要というものに合わせるべく努めてまいりたいと考えております。
  10. 末広まきこ

    末広まきこ君 そしてもう一つ、高度な技術知識を持った方と経営能力のある方とを結びつける、これも創業を支援していくという側面から非常に必要なことではないかと思うんです。この点について労働省はどのように考えていらっしゃるか。お仲人さんのようなことでございますね。現在のハローワークシステムの中で、これは十分対応できますのでしょうか。
  11. 征矢紀臣

    政府委員征矢紀臣君) 公共職業安定所におきまして、職業相談職業紹介という形でいろんな努力をいたしておりますが、ただいま先生指摘の点について十分対応できるかどうかという点になりますと、今まで必ずしも十分でなかったという点がございます。  今後の方向としては、できるだけ広く情報提供するという観点から、インターネットによる求人雇用情報提供、そういうようなことも重要課題というふうに考えておりまして、どういうものをそういう形で進めるかという点を検討いたしておりますが、例えば周知徹底するという意味からいけば、ハローワーク案内であるとか、一般の求人情報であるとか、求人求職申し込み手続案内であるとか、あるいは各種助成金情報であるとか、そういう問題についてインターネットを活用して今後対処していく。これにつきまして本年度から試行的に実施するということで準備を進めているところでございまして、そういうものも含めてできるだけ幅広く公共職業安定所が活用していただけるようにしてまいりたいというふうに考えております。
  12. 末広まきこ

    末広まきこ君 技術と資本とアイデア、この三つが出会って、そして三位一体となって新しいビジネスがぱちんとはじけ出るということ、これは雇用創出にとって最も今大事なことだと思うのでございます。今後の労働行政として重要なことであり、重ねてこれに対する具体的なアクションをお願いしたいなと要望しておきます。  今、インターネット等を通じていろんな助成金システムですとかあるいは雇用情報だとかそういうものをやっていきたいということをお述べになったと思うのでございますが、そのやっていく過程において、それを全国的に進めていかれるのか、それとも全国化するには何か障害があるのか、その点についてお伺いいたします。
  13. 征矢紀臣

    政府委員征矢紀臣君) 情報化時代の中で新しい方向づけをしていく、非常に重要な課題であるというふうに考えておりますが、そういう課題について、これは失敗が許されませんので的確に対処するためには、まず試行的に一部地域で実施をしてみていろんな問題点整理して、その上で全国的に広げていくというのが一番適切なやり方であろうというふうに考えているところでございます。  そういう意味で、とりあえず十年度におきまして首都圏の一部地域、これをターゲットにいたしまして試行的にインターネットによる雇用情報提供を行うべく現在準備を進めているところでございますが、こういう準備を進めてやった結果、いろんな問題点整理した上でさらに先の話としては先生指摘のように全国的に広げていくという考え方でございます。
  14. 末広まきこ

    末広まきこ君 全国化するに当たっては別段の障害はない、ただそれまでに実務の段階でいろいろ整理したいと、こういうお言葉でございますので、ぜひぜひインターネット全国スケールで展開していただいて雇用情報に関する過疎地がないようにしていただきたい。今一番大きな失業が起きておりますのが北海道そして南の沖縄、こういうところなのでございますね。これはやっぱりインターネットが急がれるなという思いがいたします。  事業団業務に絡めて、能力開発という点から雇用創出の問題についてお伺いしてまいりました。現在の雇用情勢は極めて厳しい段階に来ております。省庁垣根を取り払って、政府挙げてこの雇用創出に強力に取り組んでいただかないと進まないところに来ているんではないのかな、労働省だけで何かをしようという時代ではないんじゃないかなと思って、そういう政府挙げての取り組みを期待いたしますが、労働大臣の御意見をぜひお願いいたします。
  15. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 末広先生の御指摘、まことにごもっともなお話でありまして、私は本職につきます前には産業政策をずっと担当してまいりました。産業政策を担当してきた労働大臣として期待されることは、省庁垣根を越えて連携をとりながら新しい雇用受け皿をつくっていく、その期待がかかっていると思うわけであります。  省庁垣根を越えると同時に、政労使垣根を越えるといいますか、これは労の側からの御提案もありましたが、政労使雇用対策会議というのも開かせていただきました。そこで基本的な合意が成ったというのは、新たな雇用受け皿づくり雇用創出安定に一丸となって取り組んでいこうじゃないかということで基本的な認識が一致をいたしまして、これを政府雇用対策本部に上げさせていただきました。  私のかねてからの主張は、雇用を維持する、守るというのからもう少し踏み込んでいって、受け皿づくり雇用政策労働政策としても踏み込んでいこうという主張でありまして、通産省と連携をとりまして、新しく業を起こす、あるいは在来の企業分社化をして新しい事業分野に進出をしていくというようなときに、通産と労働、両省から合わせわざでこれを支援できるような枠組み、それから法的な整備を今させているところでありまして、来年度の新政策に向けまして、先生の御指摘におこたえができるのではないかというふうに考えております。
  16. 末広まきこ

    末広まきこ君 大変力強いコメントをありがとうございます。とりわけ、中高年ホワイトカラーの方が六十歳で定年を迎えるわけですが、人生は八十歳と言われているわけです。後の二十年をどう生きるかという、やっぱりその辺あたりまで視野に入れた労働雇用政策というのが望まれると思いますので、ぜひよろしくお願いいたします。  次に、雇用促進事業団施設関係業務についてお伺いしたいと思います。  今後、移転就職者用宿舎勤労者福祉施設新設は行わず、既存宿舎施設自治体等への譲渡を図るとの説明がございました。私は、この既存施設がどのような運命をたどっていくのか大変気になっております。  といいますのは、先日発表されました会計検査院の公的宿泊施設運営に関する会計検査の結果報告というのによりますと、公的宿泊施設の約五割が赤字経営でございます。しかも、多くの自治体財政状況の悪化という事態に見舞われていることを考えますと、これは譲渡が容易に進むとは思いにくいのでございます。  労働省としては既存施設処理についてどのような見通しをお立てになっているのか、お聞かせください。また、譲渡がスムーズに進まない場合は新たにつくられる法人が暫定的に管理運営するということを聞いておりますが、それでは新法人が財政的な負担を負うようなことはないのかどうか、この点を確認させてください。
  17. 征矢紀臣

    政府委員征矢紀臣君) 既存勤労者福祉施設につきましては、基本的な考え方としては、利用状況が低調で老朽化が著しい施設については取り壊しを行うこと、その他の施設については地方公共団体等に対する譲渡を行うこと、これを基本として考えているところでございます。  ただ、この譲渡等につきましては、地方公共団体意向等を十分お聞きしながら段階的に進めていくということがやはり必要でありまして、そうしますとそれまでの間、これは雇用促進事業団あるいはその廃止後に新たに設立いたします法人において暫定的に管理運営を行っていく、そういうことにしなければならないというふうに考えているところでございます。  赤字問題でございますが、基本的にこの管理運営についての赤字補てんをすることは考えておりませんで、ほとんどの施設地方公共団体から土地提供していただきまして、その御要望に応じでつくっている、その設置運営雇用促進事業団が行うということでございますけれども、具体的には設立の際の契約等におきまして地方公共団体を通じその地方公共団体における公益法人管理運営を委託するというような形で実施してきておりまして、基本的にはそういう考え方で対処してまいりたいというふうに考えております。
  18. 末広まきこ

    末広まきこ君 ちょっと私聞き漏らしたのかもしれませんが、新法人が財政的な負担を負うようなことはないのかどうかというのはお答えになりましたか。
  19. 征矢紀臣

    政府委員征矢紀臣君) 管理運営につきまして、新法人財政負担を行うということは考えておりません。
  20. 末広まきこ

    末広まきこ君 考えてなくても発生するものはあるわけでございます。委託をすれば委託料を私わにゃいかぬということがございますね。それから、箱物ランニングコストというのは、これは甘く考えてはいけない。すごい額が現に赤字として上がっておりますし、だれがどうやってもランニングコスト維持費修繕費固定資産税借地料やそれから委託料、こういったものはどうしても出るわけでございますので、そこら辺のところはこれから詰めていかれるのかなという気がしないでもないので、重々その辺に注意を払われた御計画を立てていただきたいなと思います。  次に、老朽化したこういった施設はともかくとしまして、そうでない場合、もう新品のもの、びかびかの、どこのホテルにも負けないぞというようなものもあるわけでございますので、せっかくの施設機能を有効活用することはできないか。これもまた、先ほど大臣にお伺いしました省庁垣根を取っ払うような話なんでございますけれども、私個人のアイデア、小さなアイデアで申しわけないのでございますけれども、例えばクラブ活動合宿とか林間学校利用ができないか。  と申しますのは、つい最近こういうようなことがありました。小学校の林間学校で一流の温泉ホテルに小学生がバスでだあっとおいでになりまして、着くなりそこでだあっと部屋の中で運動会をなさいました。翌日はまたバスでだあっと遊びに行って、また同じところに帰ってきて、また部屋で遊んでという、それはちょっと何か中高年慰安旅行のパターンのような気がして、子供の学ぶための旅行じゃないなと。  私たちの経験を掘り起こせば、着いたらすぐに宿舎掃除からしたよ、ぞうきんがけから始めたなというような記憶があるのでございます。子供たち林間学校というのは炊事や掃除など日常生活のあらゆることを学習できるような、そしてなおかつ男女共生教育的な意味を持った研修施設に衣がえするようなアイデアはいかがでございましょうか。こうした利用の仕方であれば、利用者施設管理の一部を負担することになりますから、人件費も最小限となり、維持管理費も余りかからないのではと思います。細かな工夫でございます。あるいは再就職のための合宿によるホワイトカラー能力開発に向けた施設としての利用などは考えられないでしょうか。幾つも考えられます。  これ、考え出すと寝られなくなるぐらい広がるのでございますけれども、介護福祉方面でこれから大きな労働需要が今後起きてまいります。そういう能力開発施設にできないかとか、あるいは定年を迎えた人たちが集まって第二の人生について話し合ったりネットワークをつくったりする施設にできないものでしょうか。定年になりたての方を襲う孤独というのははかり知れないものがあります。孤独と戸惑い一それからストレスが大変高いということを聞いておりますので、同じ時期に定年退職を迎えた人たち、仲間が意見交換の場をつくるということも大変重要なことだと思います。そこから新しい産業が生まれるかもしれない、そこに期待したいというような思いもございます。  いずれにせよ、事業団廃止が意義あるものとなるように、同じ悩みを自治体も持っていると思いますので、自治体とも十分話し合って、既存施設の処置について国、地方を通じて財政的な負担が減少するよう知恵を出して、速やかなそして適切な処理がなされるよう要望しておきます。  最後に大臣の御見解を伺って、私の質問を終わります。
  21. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 時間もないようですので、簡潔にお答えをさせていただきます。  当初の設立目的以外に先生指摘のように有効活用されている例はございます。ただ、土地自身地方公共団体のものでありますので、基本的にはその立地する地方公共団体意向をまず踏まえるということが第一義的にやらなければならないことでありますが、先生指摘お話を踏まえて、いろいろ労働省としてそういうような誘導ができないかどうか、努力をさせていただきます。
  22. 末広まきこ

    末広まきこ君 ありがとうございました。
  23. 田浦直

    田浦直君 自由民主党田浦直でございます。  前回、少子・高齢時代労働雇用についてお尋ねをしたわけですが、きょうもちょっとその続きをさせていただきたいというふうに思っております。  前回のこの国会労働基準法の一部改正が行われました。育児休業に引き続いて介護休業というものが設けられるようになったということで、これは大変いいことではないかと思うわけで、私はきょうは介護保険中心にしてちょっとお尋ねをしたいと思うんです。  家族がこういう介護休業などによって介護する、これはすばらしいことですけれども、実際問題として寝たきり老人二百万になる、あるいは痴呆老人あるいは虚弱老人、そういう方々を見るということはとてもできないわけでございます。そういったところからこの介護保険というものが考えられて、二〇〇〇年から実施されるということになってきたというふうに思うわけでございます。私はこれは福祉にとっては大変大きな変化だというふうに思うんですが、同時に労働雇用という面からも大変インパクトがあることではないかなというふうにとらえておるわけです。  例えば、介護保険が導入されるということによって民間の介護業者あるいはいろいろな職種、そういった方々が活性化してくるというふうな気がするわけでございまして、労働という面からもこれは無視できないというふうに思うわけですけれども、この介護保険あるいは介護の導入によってどのような労働力あるいは雇用需要が見込まれるのか、そういったことについて考えておられるなら御答弁をお願いしたいと思います。
  24. 征矢紀臣

    政府委員征矢紀臣君) 御指摘のとおり、高齢化の急速な進展あるいは介護保険制度の導入等に伴いまして介護サービスに対するニーズが今後増大、多様化し、これによって介護分野の労働需要は今後質量ともに大幅に拡大することが予想されております。  具体的にどのくらい拡大するかというのは私ども明確には現段階では把握できませんが、新高齢者保健福祉推進十か年計画、新ゴールドプランにおきましては、例えば訪問介護員、ホームヘルパーの平成十一年度までに確保すべき目標人数が十七万人とされておりまして、八年度で十一万九千人が確保されるなど、その労働力の供給面におきましても増加しているところでございます。  今後、この需要の拡大見込みを踏まえますと、介護分野の労働力の確保人材育成が大きな課題であるというふうに考えております。
  25. 田浦直

    田浦直君 今おっしゃられましたように、ホームヘルパーさんでも今十二万人ぐらいで、新ゴールドプランでもあと七万人は要る。恐らくこの数はその時期には足らない数だというふうに思うんです。もっとたくさん実際には要るというごとになると思うんです。あるいは、この前試験がありましたけれども、介護支援専門員ですか、ケアマネジャーの試験をしましたところ、もう大変希望が多くて二十三万人も受験に来られた。ある意味では人気があるのではないかなという気がするわけです。これも現在のところは五万人ぐらいを目標にしてやっておられるわけですけれども、これも実際にはとても足らない数だというふうに思うわけです。  あるいはこの介護を導入することによって、ほかの職種もそうですが、各市町村が主体になってやるわけですから三千三百の市町村があるわけですから、そんなところでまだ雇用が要る。あるいはどうしてもコンピューターを入れなければ処理ができないという面もありますから、コンピューターの専門家も要るとか、いろいろ考えていけばいろんな職種といろんな数の需要が見込まれるんじゃないかなと私は思っておるわけで、これはやっぱりこれからのこの少子・高齢化時代を考えて、ひとつ労働省でもぜひこういった面からも取り組んでいただきたいなというふうに思っておるわけでございます。  私は、この介護というのが今までのいわゆる労働と違って非常に難しい面があると思うんです。ある意味では専門的なところもありますし、今までのように技術を腕で覚えるとかそういうことでなくして、非常にデリケートな心の問題というものが非常にあるわけですね。そういった意味からも、せっかく介護仕事をしたいと思っている方を育てるということがまた一つ必要ではないかというふうに思うわけですが、そういった意味で、その人たち能力開発といいますか、そういったことをどういうふうに考えておられるのか、その点についてお尋ねをしたいと思います。
  26. 日比徹

    政府委員日比徹君) まず現状を先にお話しいたしますと、介護関係の職業能力開発につきましては、一つには公共職業能力開発施設におきまして、介護福祉科あるいは福祉ヘルパー科等の名称で今年度ですと三十一施設訓練を行っております。また介護労働安定センター、これは財団法人でございますが、そこにおきます研修も実施しておるところでございます。  大づかみの現状はそのような状況でございますが、私ども公共の能力開発施設を例にとりますと、介護関係の需要が今後非常にふえるだろうということで、基本的には訓練科の増設等を図るという方針ております。また、今年度も三十一施設にとどまっておりますが、昨年度に比べますと四施設ほどふえておりまして、現在次第にふやしつつあるところということでございます。今後におきましては、御指摘のように非常に需要が見込まれるということでもございますので、これら訓練の質、量ともにその拡充のために努めてまいりたいと思っております。
  27. 田浦直

    田浦直君 もう一つは、これも医学と非常に関係あるわけですから、非常に日進月歩進歩していくというふうに思うんです。だから、その介護に従事している方々の教育というんですか再教育といいますか、そういったこともずっとやっていかなければならぬのじゃないかなというふうに思うわけですけれども、そういう介護労働に従事している方の能力を高めるというふうな施策はないものかどうか、その点についてお尋ねをいたします。
  28. 日比徹

    政府委員日比徹君) 先ほどは新たに従事する方々の関係で申し上げましたが、御指摘のように現に介護に従事する方々、実はこの方々もいろんな段階方々がおられます。御案内のとおりでございますけれども、ホームヘルパーさんにつきましても級が分かれておりますし、そういう状況の中で私ども、介護労働に現に従事している方、その方々訓練につきましても行っておりまして、一つは公共職業能力開発施設におきまして、在職者向けということで若干短期でございますけれども向上のための訓練、あるいは介護労働安定センターにおきましても現に従事している方につきまして研修を実施しているところでございます。  ただいま先生指摘のように、介護の関係、医療との関係で、もちろんおのずから一定の範囲にとどまりつつも、いろいろな単なる知識技能ではないものも求められますし、またその知識技能なりも向上させていかないといけない分野であろうと思っておりまして、今時点で十分かどうか十分検討もしつつ、今後、介護に現に従事している方の能力の開発向上につきましても積極的に取り組んでまいりたいと思っております。
  29. 田浦直

    田浦直君 私は今、これから従事する人、今従事している人の能力開発ということについてお尋ねしたんですが、もう一つは今度は、先ほども申しましたように、民間のいろんなそういう介護企業といいますか、そういうものがたくさん参入してくるということは考えられるわけですね。そのときには今度はもう一つ大事なのはこの事業主だと思うんです。それをやる人、これがやはり十分福祉に理解がなければ、これを全くの金もうけの企業と考えて参入してもらっちゃ困るなという気がするわけです。  そういった意味で、この事業主の教育というのを、あるいはそこで働く方々が元気で働けるような、そういうふうなことも必要じゃないかというふうに思うわけです。私はそういうふうな事業主に対しては、これからのことですけれども、指導をされたり援助をされたりする計画があるかどうか、そのことについてお尋ねをしたいと思います。
  30. 征矢紀臣

    政府委員征矢紀臣君) 御指摘のように、介護労働の分野を魅力あるものとし、今後の労働需要の拡大に対応する介護労働者を確保するためには、事業主の方々雇用管理の改善のための自主的な努力、これを促進する必要があるというふうに考えております。そのため労働省といたしましては、介護労働力確保の拠点として各都道府県に一カ所ずつの公共職業安定所、これを福祉重点ハローワークというふうに指定をいたしまして、そこに専門の職員あるいは雇用管理アドバイザー、そういうものを置きまして、介護関係業務を行う事業主に対する雇用管理の改善指導等を行っているところでございます。  また、介護労働者の福祉の増進に関する支援機関といたしまして財団法人介護労働安保定センター、こういうものがつくられておりますが、この全国の四十七支部におきまして介護労働サービスインストラクター、こういうものを設置して、介護関係業務を行う事業主に対するさまざまな相談、あるいは介護関係業務を行う事業主の方が雇用管理者に雇用管理改善のための研修を受講させたり、介護労働者の雇い入れ時に必要な知識技能についての講習あるいは健康診断、そういうものを行った場合の助成金の支給等の措置を行って、この介護労働分野についての雇用管理の改善を図るということを行っているところでございます。  この辺につきましては、今後の非常に重要課題でありますが、なかなか現段階で手探りでやっている面もありまして、今後さらに状況の進展に応じた対策検討していく必要があるというふうに考えております。
  31. 田浦直

    田浦直君 この介護の問題は当然厚生行政と非常に絡んでくるわけですから、労働行政、厚生行政の連携をぜひ高めていっていただきたいというふうに思うんですけれども、その点についてはいかがですか。
  32. 征矢紀臣

    政府委員征矢紀臣君) 介護労働力確保していく上で、ただいま御指摘のように労働行政と厚生行政が連携、協力することが非常に重要であるわけでございます。そのために、ただいま申し上げました福祉重点ハローワーク、そういうところで介護分野に働くことを希望する者に対するきめ細かな職業相談あるいは職業紹介、福祉関係合同選考会の開催、福祉施設事業主の方に対する雇用管理の推進などを行っているところでございます。これらの事業の実施に当たりましては、各地域において厚生省が設置いたしております福祉人材センターあるいは福祉人材バンク、そういうものとも密接な連携を図りながら、この地域におきます労働行政と厚生行政の連携体制、その充実に努めてまいりたいというふうに考えております。
  33. 田浦直

    田浦直君 きょうは介護についていろいろ質問をさせていただいたわけですけれども、これは二〇〇〇年からのことですから、まだまだ具体的に姿が見えてきているわけでもないんじゃないかなと思うんです。ただ、福祉あるいは厚生行政から見ると大変な変革を起こすものだというふうに思います。同時に、労働という意味からも、あるいは雇用という意味からも大きな労働源になるんじゃないかなというふうに思っていろいろ質問をさせていただいたわけです。  大臣にちょっとお尋ねをしたいと思うんですけれども、私がこの問題を取り上げてみたのは、一つは、先ほどもちょっと話がありましたように、この介護というのは厚生がやっているというふうな感じがあってならないんです。そうでなくて、やっぱり労働省も非常に関係があるんだということを一つは申し上げたいということでいろいろ話をさせていただいたんです。  もう一つは、基本的なものになるんですけれども、この介護あるいは福祉というものは、ある意味では荷物に思われているような感じがどうしても私にはぬぐい切れないんです。  これは、例えば景気対策といいますと公共事業と反射的になるわけですけれども、僕は決してそんなことはないと思うんです。これからは、もちろん公共事業は大変大事ですけれども、同時に福祉にも積極的に僕は取り組んでいった方がいいんじゃないかなというふうな気がしてならないんです。  総務庁から出ている資料でも、例えば社会保障または公共事業部門に一兆円の税金を投入した場合の生産波及効果額と雇用効果との比較というのがあるんですけれども、例えばその第一次効果、第一次効果というのは賃金ですね、社会保障費でいえば三兆円、公共事業では二兆円。社会保障の方が賃金への効果があるんです。同時に、それから波及する二次効果、三次効果についても、もうはるかに公共事業よりも社会保障費に投入した方が景気がよくなるというのが出ているんです。  私は、今の、悪いけれども古い政治家の方々は、理屈はそういっても実際に景気がよくなるのはやはり公共事業だという考えがぬぐい切れないと思うんです。そこを大臣にも、大臣お若いですから、ぜひ考えていただいて、これからはそういう時代でなくなりつつある、こういった社会保障費というものも決して荷物ではないんだ、ある意味では非常に景気対策にも役立つものですから取り入れていきたいというふうに御答弁いただければなと思っておるんです。  私は、よく福祉で町おこしをやろうということを言っているんですけれども、そういうふうに荷物という考えじゃなくして明るくとらえていって、これだけ社会保障費を入れれば雇用もふえ需要もふえていく、そして町も明るくなってだんだん町おこしができるんだという、そういうとらえ方ができぬものかなというふうに思っておるんですけれども、最後に大臣にその辺の御感想をお尋ねいたしまして、質問を終わらせていただきたいと思います。
  34. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 公共事業というのは即効性という点でどうしてもまず手を伸ばしたくなるということになるんだと思いますが、先生指摘のように、今後新しく雇用創出する十五分野の重要な一角として介護福祉というのはとらえられているわけでありまして、まさに発想の転換といいますか、社会保障政策がいろんな意味でのお荷物という感覚ではなくて、新しい経済分野といいますか、新しい活性化分野、社会の活性化分野であるという視点の転換というのは非常に大事だと思っております。雇用創出効果のみならず経済波及効果も非常に大きいという試算もおっしゃるとおり御指摘をされているわけであります。  労働省といたしましては、厚生省と施策のすり合わせをする重要分野の一つに掲げておりまして、これは厚生、労働で取り組んでいくわけでありますが、同時に新しい経済政策としても非常に魅力的であるという前向きな訴えもぜひしていきたいというふうに思っております。  二〇〇〇年からスタートする介護保険でありますが、保険あって介護なしということが言われないように、施設整備とそれからマンパワーの整備というのは同時にしっかりとやっていかなければならないことであります。労働省といたしましても、能力はあり経験はあるけれども家庭に引きこもっているというような人たちをどうやって介護分野、福祉分野での市場に引き出していくかということも積極的にやらなければなりませんし、あるいは再訓練といいますか、感覚を取り戻すという意味で職業訓練も新たな分野に対応すべくカリキュラムもしっかりと組んでいかなきゃならないというふうに思っております。  いずれにいたしましても、先生の御指摘はそのとおりだと思っておりますので、そういう視点でとらえていきたいと思います。
  35. 今泉昭

    ○今泉昭君 民主党・新緑風会の今泉でございます。  今世の中は金融問題ばかりが大変な注目を浴びているわけでございまして、カラスの鳴かない日があっても金融問題が新聞に出ない日はないような状態でございますが、金融問題に負けないくらいに私は雇用問題というものが大変政治の重要課題であろうというふうに考えております。  したがいまして、きょうはこの雇用問題一本に絞らせていただきまして、いろいろな角度から質問をさせていただきたいというふうに思っております。  私は一実は三年前の参議院選挙で当選して以来、労働委員会で事あるごとに雇用問題についての意見なり質問をさせてきていただきました。と申しますのは、もう御存じのように、一九八九年にいわゆる米ソの対決がなくなり緊張緩和が生まれて以来、特に先進国を中心として軍事産業が少しずつ少なくなっていく、あるいは兵員の数も減っていく、軍縮の流れが一つは出てくる。さらには、第三次産業革命と言われる高度情報化社会がますます進めば進むほど、雇用問題に関するいろいろな大きな問題が出てくるだろう。さらにまた、この緊張緩和に伴います新しい国際間、国家間の自由競争の激化に伴います雇用のあつれきが大変ふえていくというような認識に基づいて、二十世紀の最後の十年あるいは二十一世紀の最初の十年というのは、世界的に雇用問題というのが大変重要な問題になるだろう、こういう認識に基づいて、実は雇用問題一本についていろいろな質問をしてきた次第でございます。  我が国の雇用問題の実態を見てみましても、いろんな指標を見ても、多少の変動はあるにしましても、いい指標は一つも出ていないわけであります。たまたま三年前のときは円高が大変進んでおりまして、七十九円台にまでドルが落ちて、円高というものの中で雇用問題は大変重要な問題になっておりました。特にホワイトカラー中心とする企業内におけるところの失業者というものをどのように解決していくかという問題が当時は大変大きな課題であったと思います。  その後、いろいろな形で雇用問題の焦点というのは変わってまいりましたけれども、今我々が抱えている問題は、金融問題とバブル崩壊後のデフレ問題に伴いまして、変わった角度からの雇用の取り組み方というものが大変重要になっている時期だろうというふうに思うわけであります。  具体的に申し上げますと、八月に発表されました我が国の失業率は四・三%、七月にはちょっと下がったけれども、また再び戦後最悪と言われる指標を記録いたしました。三百万人に手の届くような失業者がちまたにあふれるというような状態になりました。  振り返ってみますと、我が国の失業者の数が百万台に乗ったという時期は、恐らく昭和五十年か五十一年、これは第一次石油ショック直後のことだったんじゃないかと思うんです。一%台の失業率が二%台になった。これも大変な時期でありました。それから二十年間、我が国は大体二%台の失業率の中でいろんな雇用対策をやってこられたと思うわけであります。これが平成になりまして、平成五年からでしたか、三%台になりました。三%台を三年続けただけで今度は四%台になってしまった。急激な意味での雇用の悪化というものが今進んでいるわけであります。  そういう意味では、八月に発表された失業者の数も、実は失業者の数の中からいわゆる失業保険給付を受けている人が百万人を超える、十六年ぶりの大変多くの失業保険受給者がふえているというような状態でございます。大学卒業者も六〇%台という就職率しかない。どこを見ても実はいい指標は一つもないわけであります。  我が国は大体四千四百万世帯ぐらいあるわけでございますが、農家世帯を除きますと、勤労者家庭におきましては十世帯に一世帯当たり一人は必ず失業者を抱えている、こういうような状態になっているわけでありまして、この失業問題、雇用問題をどのように取り扱っていくかということは、政府にとりまして大変喫緊の課題であろうと思うわけであります。  そこで、労働大臣にお聞きしたいと思うのですが、この雇用現状というものを今政府はどのように受けとめておられて、これに対してどのような対策をやろうとされているのか、まずその基本認識からお伺いしたいと思います。
  36. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 御指摘のとおり、失業率もそして有効求人倍率も我が国史上最悪の数字であります。今や雇用創出、安定というのは小渕内閣の最重要課題になっていると思います。  そして、雇用問題といいますと、とかく労働省あるいは財政出動云々という範囲で語られがちでありますけれども、もちろん個々の役所が取り組むことと同時に、政府全体で一丸となって取り組んでいかなければならない、今内閣における最優先課題だというふうに認識しておりますし、個々の政策を見直すということとあわせて、省庁の壁を乗り越えて協力をして連係プレーをとるということが一番大事なときだというふうに考えております。
  37. 今泉昭

    ○今泉昭君 そこで、つい最近、政府で出されましたことしの経済見通しの下方修正が出されたわけであります。当初見通しによりますと、我が国は一・九%の実質経済成長が実現できるだろうと。恐らくそこの一・九%という見通しを立てられた際には、悪口を言う人は、そんなことを言ったってそれは各省間の取引だけの話じゃないかという方もいらっしゃいますけれども、一応いろんなデータをベースにいたしまして、一・九%の実質経済成長率が実現されるというふうにされたと思うんですが、そのときに一体政府はどの程度の失業率というものを頭に描いて当初この経済計画を立てておられたのかということをまずお聞きしたいと思います。  あわせまして、今回一・九%という実質経済成長率をマイナス一・八%に大幅な下方修正をされました。政府見通しの経済成長率が下方修正されるというのは大変珍しい話でございまして、これもまた十六年ぶりぐらいのことではなかったかと思うわけでございますが、そのときの下方修正を見てみますと、プラス五%台のが三%台に下がったぐらいの、二%ぐらいの下方修正だったと思うんです。ところが、今回の下方修正というのは、何と四%をわずか下回る程度の大幅な下方修正であります。これは、相当基本的な数字が変わってきているのではないかと思うわけであります。  そういう意味で、ことしにおけるところの失業率というのを大体どの程度まで悪化するというふうに考えていらっしゃるのか、どの程度に見込んでこの下方修正の協議に参加をされたのか、これをお聞きしたいと思うわけであります。  ほかのいろいろな民間機関の経済予測等を私ども調べてみますと、ショッキングなほどの下方修正に伴います失業率の予測を立てているわけです。具体的に言いますと、大和総研あたりの予測によりますと本年度で四・四%ぐらい、来年度になるとこれが五・四%の失業率に、一%以上上回るというような予測さえされているわけでございます。  政府としてもこの失業率の予測に基づいて恐らく雇用対策労働行政をやっていかれるはずでございますので、どのような見通しを立てられてこの下方修正に参加をされたのか、討議に参加をされたのか、そのことについてお聞かせ願いたいと思います。
  38. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 当初見通しては失業率は三・三で予測をしておりました。しかし、これだけ大幅なぶれが出ますと四・二くらいに年平均値でなるんではないかという予測をいたしております。もちろん民間調査機関はさらに悲観的なことを言っているところもありますけれども、労働省としてはそういう数値で臨んでおります。プラスからマイナスに転じたということももちろんショッキングでありますけれども、先生指摘のとおり、その落差であります。これはかつてない幅で見通しとの差が開いておりまして、これはかなり深刻だと思います。  そこで、総理は閣議の席でも、とにかく二次補正についてさらに見直す点はないか、さらに新しい景気対策雇用安定施策はないか、ありとあらゆる知恵を出してくれという指示をいただきました。  そういう経緯もあって、当初は二次補正を組んで実際国会承認は年明け早々、通常国会早々ということであったんだと思いますが、それを、臨時国会を開いて直ちに与野党の理解をいただいて執行できるようにしようというのもその危機感のあらわれてあります。  実はきょう、閣議では余り自由に物が言えない、閣僚懇というのもその後にありますけれども、いつも時間が迫っていてなかなか自由な意見交換ができないということで、総理の御指示できよう閣僚懇が長時間行われました。そこでは自分の所管外のことでもいいから効果があると思われることはどんどん発言をしてくれということで、一時間何分がその会議をしてまいりました。もちろんまだ外へ出せないこともありますけれども、いろいろ建設的な意見も出た次第であります。
  39. 今泉昭

    ○今泉昭君 今度の下方修正をされました経済見通しの中で、政府が予想されている就業労働者数が当初予測をいたしました数に比べまして百万人以上減る予測を実は立てられているわけであります。ということは、百万人近くの失業者が、私はここでこういうことを申し上げましていたずらに不安を増大しようという気は全くございません、現実の姿をさらけ出して、これに対する施策を早急に打っていただきたい、そういう意味で申し上げているので誤解をしていただきたくないわけでございますが。  就業労働者が百万入減るということを予測されているようでございますが、これは全部が全部失業者になるとは考えられないのは当然ですけれども、その減少というものが、今予測をされまして三・三から四・二、一%弱の中でおさまるというふうに考えられるんでしょうか。多少心配なものですから一あわせてもう一度お聞きしたいと思うんです。
  40. 征矢紀臣

    政府委員征矢紀臣君) 今回の経済見通しの改定試算につきまして、ただいま先生指摘ございましたように就業者数が百万人程度減という見通してございますが、あわせて労働力人口も若干減を見込んでおりまして、当初見通しですと六千八百三十万人であったものが六千七百八十五万人というふうに見ているところでございます。これにつきましては、非常に厳しい状況になりますと、本来ですと労働市場に出てくる方が労働市場の外に行く、こういうこともございまして若干の減と見込んでおりまして、そこのギャップを計算しますと四・二%、こういう見通しになっているところでございます。  これにつきましては、政府として経済企画庁を中心にいろいろこの見通しについても試算をいたしました結果として、現時点でそういう見通しの改定を行ったというところでございます。
  41. 今泉昭

    ○今泉昭君 政府の方で予測されているような数値でおさまる、あるいはまたそれ以下でおさまることを願いたいというふうに考えておる次第でございます。  次に、雇用対策をどのように打ってきたかという意味でのいろんな質問をしてみたいと思うわけでございます。  失業にもいろんな見方があるわけでございまして、最近は失業率の計算にもいろんな親切な指標がたくさん出ております。例えばいわゆる構造的な変化によるところの失業率であるとか、あるいはミスマッチによるところの失業率であるとか、あるいはまた景気循環によるところの失業率がこのぐらいあるというような親切ないろいろな指標が、これは民間研究機関が出しているわけですが、出るようになってまいりました。  循環的な意味で景気が悪いときに大量な失業が出るというのは急に出てくるわけでございますが、構造的な産業界の変化に伴ってどうしてもどんどん労働人口なり雇用者が減っていかなきゃならないという意味合いの失業、さらには、これは社会のいろんな条件に責任はないわけですが、やめてすぐ就職する人ばかりじゃないわけでありまして、多少充電をしたりあるいは楽をしてまた就職をするかという、これは何と表現するんでしょうか、摩擦的な意味での失業とでも称していいかもしれません。  日本の場合は今まで摩擦的な意味での失業率というのは大体一%ぐらいだろうというふうに一般的に見られておりました。そのくらいの摩擦的な意味での失業率がなければ労働需給は過熱してしまって人手不足で大変になるということが言われていたわけでありまして、アメリカあたりでは四%ぐらいがそういう意味での摩擦的な失業率だろうということも言われておりました。これはお国柄によっていろいろ違うだろうと思うわけであります。  今四・三%と言われている失業率の中身ということについてちょっとお聞きしたいんですが、景気が悪いために生じている失業率というのは大体どれぐらいにとらえていらっしゃるのか、構造変化に伴うところの失業率というのは大体このくらいなんだというのはどのように計算されているのか、ちょっとその点をお聞きしたいと思います。
  42. 征矢紀臣

    政府委員征矢紀臣君) ただいまの御指摘の点でございますが、最新時点で四・三%の完全失業率の中で構造的な要因によるものがどのくらい、あるいは循環的な意味での需要不足のものがどのくらい、こういうことでございますが、現時点では大体三%程度が構造的な要因の失業率、それから需要不足によるものが一・三%程度ではないかというふうに考えております。  構造的要因の三%というのは、確かに失業率が低かった時代に比べましてこれは一貫して上がってきておるわけでございまして、それは一方では、恐らく生活水準の向上に伴って働く方々が自分の希望する仕事がない場合に自分の希望するものがあるまでは就職しないというような意味でのミスマッチ、そういう面での上昇もございます。それからその他の状況もあるわけでありますが、そういう構造的な要因と、それから当面の厳しい雇用情勢を反映した需要不足の失業率、これが一・三%、これも従来に比べますとかなり大きな数字になってきているということでございます。
  43. 今泉昭

    ○今泉昭君 今御説明いただきましたように、構造的部分というのは大変高まってきている、これは我が国が最近失業率が高くなってきた最大の要因だろうというふうに思うわけであります。そういう意味で、政府としましても、いろんな意味での構造的要因から来る失業者の増大を防ぐためにこれまでいろいろな手を打ってこられただろうと思うわけであります。  例えば、数年前に出されました政府のいわゆる新規産業創造プログラム、二〇一〇年までに二十業種近くの新しい産業を積極的に起こすことによって七百四十万人の新しい雇用創出したいという計画を立てられました。大いに結構なことでありまして、我々もこれを期待をしていたわけでございますが、どうでしょう、きょうは通産の方もお見えになっていると思うんですが、これは極めて通産行政に深い関係のある計画だろうと思うわけですが、この計画が出されて以来これまでの間、この雇用創出というもののプログラムに従ってどの程度、数をちょっと計算せいというのも無理な話かもしれませんけれども、この実効がどのように上がってきているのかどうか、そして今後の見通し等もちょっとお聞かせ願いたい。  と申しますのは、最近この雇用問題の重要性を大変認識しておられまして、小渕総理も最近の新聞あたりでは生活空間倍増戦略プランとかあるいは何か産業再生計画などというものの構想を打ち出されているようでございます。  その構想の中身を見てみますと、二年間に五十万人ほどの雇用創出につながるようにしたい、二年間に五十万人。ところが、先に出された七百四十万人の雇用創出プランから比べてみますと、数からいうと、今一番重要な時期に二年間で五十万で果たして最終目標の七百四十万人なんか実現できるのかというような大変な不安と、何か花火は打ち上げるけれども現実があちこち言出しているような感じばかりしか受けないんです。それもあわせて、通産の方でこれまでやってこられた産業構造の転換、新しい産業育成というものの実効がどのような形になっているのか、お聞かせ願いたいと思います。
  44. 岡本巖

    政府委員(岡本巖君) 私どもも雇用機会創出するということが生面の経済運営の面でもそれから中長期的な経済構造改革の面からも非常に大事だという認識を持っておりまして、当面の経済運営という面では、先ほど甘利大臣からもお答えありましたように、既に決めております総合経済対策に加えて、第二次補正予算というものをスケジュールの中で可能な限り思い切った対策をやっていくべしということで私どもも考えておる次第でございます。  それに加えまして、先ほどの先生お尋ねの、新しい産業を起こしていく、それによって二〇一〇年に七百四十万人ぐらいの雇用創出を見込んだ新産業創出のためのプログラムというものを、昨年五月に閣議決定いたしました経済構造改革の行動計画の中で各省とも御相談の上閣議で決めている次第でございます。  この二〇一〇年の七百四十万人というものを達成していくに当たっては、バイオでありますとか、医療、介護でありますとか、情報通信でありますとか、新しい産業を伸ばしていくということで、取り組みとしては研究開発をどんどんやっていく、あるいはベンチャーその他の新しい事業を起こしていくという、そういうアプローチが基本になってこようかと思いますが、先般、小渕総理から産業再生計画の取りまとめの御指示がありました際に、当面の短期的な雇用創出の目標として、少なくとも五十万人というものを目指してという御指示があった次第でございます。  この観点に関して、私ども、労働省を初め各省庁と御相談をして、これから具体的な計画をできるだけ早く取りまとめていきたいと考えておりますが、そこにおけるアプローチの方向としては大きく三つの方向を考えております。  第一は、小規模事業なりあるいは会社をリストラその他でおやめになった個人の方々創業、開業というものを支援する、開業支援ということで、まず大きく従来の枠を少し飛び越えて思い切った助成を、例えば国民金融公庫でマル経資金の融資を拡大する、その裏打ちとしての無担保無保証の保証制度を用意するというような形で新規の開業ということに向けての支援を思い切ってやっていく。これは必ずしもいわゆるハイテクのベンチャーというようなものにとどまりませんで、従来型の事業を起こしていくというのを積極的に応援したいと考えているものでございます。  ちょっと長くなりますが、アメリカの場合に八〇年代の半ばから九〇年代の半ばにかけて約二千二百万の雇用創出されているわけでございますが、その八割強、千八百数十万というのは中小あるいは小企業方々で、シリコンバレーのようなベンチャーだけではございません。まさにいろんな種類の飲食店とかサービス業とか自動車の整備工場とか、そういったことを含めた開業によって大きく雇用創出しているという実態がございますので、日本の場合にもこういった開業支援というものをまずやっていくというのが第一のアプローチでございます。  第二に、高度の技術を実際に事業に結びつけていく、いわゆるベンチャービジネスというものを大きく育てていくということで、この関係では、研究開発をさらに大きく進めるということと、その成果を利用して実際に事業を起こすということに向けてリスクマネーの提供、あるいは技術はベンチャーの方々よくおわかりなんですけれども、マーケットにどう結びつけていくか、あるいは新たに会社を起こして経営としてやっていくについての法務の面でありますとか財務の面でありますとか、そういった面でのアドバイスの機能というのをベンチャーの方々の求めに応じて提供していくような一連の取り組みというのをベンチャーの関係でさらに施策の中身を厚くしていきたいと考えております。  三番目に、既存の大企業を含む事業会社にコーポレートベンチャーというような形を含めて新しい事業への取り組みを積極的に進めていただく、それを後押しをするような商法でありますとか税法の面での制度改正を含めた環境整備というものを進めていきたいと考えております。  以上のような各方面からの取り組みを総結集することによって当面の五十万、それから先々の七百四十万という大きな雇用創出に向けての取り組みを着実に進めてまいりたいと考えている次第でございます。
  45. 今泉昭

    ○今泉昭君 構造変化に伴う雇用創出の実現というのは中長期的な一つの取り組みでございますから、短い期間にすぐ効果が出るということは余りそう期待はできないだろうというふうに思うわけです。もちろん出てもらうのが一番ありがたいことでございます。昨年の五月に閣議決定をされて動かされたということですから、一年半程度ではなかなかそう結果は出ないだろうと思うんですが、ただ単に計画として打ち出された絵にとどめておくのではなくして、強力に、特に現在のような厳しい雇用情勢のときには積極的にこれを実現するようなひとつ施策を推進していただきたいというふうに思っている次第でございます。  そこで、もう一つ、対応策としての問題点でお聞きしたいと思うんですが、今のは中期的な一つの雇用対策計画として十分理解いたしましたが、もう一つの大きな、不況時における循環的な失業というものをなくすためにどうしたらいいのか、これは景気変動の中で出てくる失業でございますから、緊急事態の一つのあり方として考えていかなきゃならない対策であろうと思うわけであります。  最近の、これは朝日生命でしたか何かで出されました研究論文を見てみますと、次のようなことが出ていたわけでございます。というのは、失業率と消費の関連、特に現在の我が国の不況というのは消費の減退に伴う内需の不振というのが大変大きいわけでございまして、消費をいかにしてふやしていくか、回復させていくかということが実は景気回復のために大変重要な一つの側面を持っているわけです。この失業率と消費の関係をいろいろ見てみますと、実は失業率が一%ポイント上昇しますと消費性向がまず〇・六%ぐらい減る、これによりまして消費需要というのは約四兆九千億程度減少する、約五兆円。単純に言うと、一%失業率が上昇すると消費は五兆円減少するということであります。  雇用と消費との関係がそういう形であるとするならば、これは消費喚起という意味でも相当思い切った政府対策がとられなきゃならないはずでございます。財政不足の問題でいろいろと言われてはいますけれども、いわばいろんな意味での財政的な支出、出動というものを相当思い切ってやらないことには、今の緊急事態における失業率のこれ以上の上昇を防げないのではないだろうか、財政出動によってもう少し需要喚起というものを考える必要があるのではないかということをこれは示唆している一つの研究論文だろうと思うわけであります。  もちろん、消費を喚起するにはいろんな要因がたくさんあります。雇用というのはその要因の中の一つでありましょう。例えば物価の安定であるとか雇用であるとか、あるいは所得の上昇、あるいは強制的な意味での所得の増加に結びつく減税だとか社会保険料の減少だとかというようなことを総合的に考えていかなければ消費支出というのは拡大しないかもしれないけれども、その中の大きな指標の一つである雇用、一%上昇することによってそれだけ大きな消費が減退をするとするならば、失業率を低下させるための財政出動、景気対策というのをもっと積極的にとっていいのではないかというふうに思うわけです。  実は、ことしの当初十六兆円の景気対策を打たれました。このときはたまたま我が国の需給ギャップが三%ぐらいだから、GNPに換算してみると三%というと大体十六、七兆円だというようなところから十六兆円という換算が出てきたんでしょうけれども、今の需給ギャップというのは三%どころではない、むしろ五%ぐらいになっているんじゃないかというのが一般的な見方であります。二十兆円から三十兆円ぐらいの大幅な財政出動、景気対策がなければこの需給ギャップを埋めることができないと言われているような状態でございます。  そういう意味からも、次なる手というものが政府筋でも考えられているようでございますけれども、なかなか言えないことではあろうと思うんですけれども、当然そのような次の景気対策ということを孝之ていらっしゃるのかどうか、雇用の減少を防ぐために、あるいは雇用創出のために、そういうお考えがあるならばちょっとお聞かせ願いたいと思います。
  46. 岡本巖

    政府委員(岡本巖君) 先生今御指摘のように、失業率、ひいてはそのことが雇用者の所得ということにつながっていきますので、そのこととGDPの約六割を占める消費との関係に密接な関係があるというのは御指摘のとおりでございます。  その意味において、私どもは、消費というのを拡大する、回復するということもにらみながら、それから先々の雇用の不安がある場合には、手元の可処分所得がふえたとしてもなかなか消費に、特に少しまとまった価格の自動車であるとか家電製品でありますとか、そういったものを買うというところに消費者の方々がなかなか踏み切れないという御事情もありますでしょうから、そういう先々に向けての雇用不安を解消するということと、それから実際の足元での勤労者の可処分所得をふやすという意味からも雇用機会創出というのを急がなければならないという考え方のもとに、先ほど申しました即効性が期待できる第一のタイプの、個人の方々等による開業支援というものを思い切ってやっていくということで一つ考えている次第でございます。  それから二番目に、先生が御指摘になられました需給ギャップということに関しまして、私ども通産省の中でも試算をいたしまして、民間では二十兆、三十兆ぐらいの需給ギャップがあるという試算を発表されているところが多うございますが、与謝野大臣にも私ども御報告をして、通産省としては約十八兆ぐらいの需給ギャップがあるという一つの試算を持っているわけ、でございますが、これを埋めるために、先般閣議で総理から御指示もございましたので、私どもは私どもなりに、先ほど甘利大臣の御答弁にもございましたように、各省の枠を多少乗り越えてでもいろんな提言あるいは対策検討というものを大急ぎでやっていきたいというふうに考えている次第でございます。
  47. 今泉昭

    ○今泉昭君 きょうは企画庁の方もお見えになっていると思いますが、いらっしゃいますか。  企画庁の方にちょっとお伺いしたいと思うんですが、今朝日生命の例を申し上げました、そういう見方があるんだけれども、企画庁の方としてはそういう分析についてどのように受けとめていらっしゃるのかということが一つと、もう一つは、新しい下方修正見通しの問題でございます。  我が国の経済成長率をことしはマイナスにしないでゼロ%でもとにかく実現をしようとするならば、少なくとも今後年率五%ぐらいの経済成長が必要だ、あるいはまた当初見通しの一・九%を実現するためには今後一〇%を上回る経済成長がなければ実現できない、そういう前提に基づいて下方修正を大幅にされたというふうに思うわけですが、そういう意味で、今我が国が持っているマイナスのげたというのはどのくらいあるんですか。これをお聞かせ願いたい。
  48. 池田実

    説明員(池田実君) まず最初の御質問にお答えしたいと思います。  雇用の悪化が消費者の経済や暮らしに対する先行き不安を招いて消費に悪影響を与える、こういう考え方は合理的な考え方である。本年度の経済白書においても消費性向の動きを説明する要因として雇用環境というものを挙げております。したがって、繰り返しになりますが、雇用悪化が消費にマイナスの影響を与えるという見方は正しいと思っております。
  49. 奥田宗久

    説明員(奥田宗久君) 今先生の方から御質問がございました点についてお答え申し上げます。  現在のところ、私どもの四−六月期のQEが出ておりまして、それがマイナス〇・八%ということで公表されているわけでございます。それで、今後の伸び率のことを機械的な計算をいたしますと、今後四半期ごとの伸びが〇・〇%の場合、平成十年度の実質経済成長率が三角の一・八%になるということでございます。  以上でございます。
  50. 今泉昭

    ○今泉昭君 げたはどのくらいあるんですか。マイナスのげた。
  51. 奥田宗久

    説明員(奥田宗久君) ただいま年度途中でございますので、マイナスのげたというものは今現在わからない状況でございます。
  52. 今泉昭

    ○今泉昭君 結構です。時間が少なくなってきましたので、先を急がせていただきます。通産省の方と企画庁の方、結構でございます。どうもありがとうございました。  今私が申し上げましたのは、基本的な雇用対策に対する施策という点でいろんな角度からお聞きしたんですが、これからお聞きするのは、とにかく今四・三%という高い失業率だと、二百九十数万人の失業者がいる。この失業者に対してどのような手当てをしていくのか、政府としてどのような援助をしていくかということもこれは労働行政として大変重要なことであろうという観点から、当面の対策について少しお聞きをしてみたいと思うわけであります。  失業者に対する一つの援助策のあり方として、実は第一次石油ショック直後につくられました古い失業保険法から雇用保険法に変わったときに、三事業中心とする新しい雇用対策が出されまして、この恩恵を受けられた方々は大変多かっただろうと思います。一〇〇%いいとは言えないまでも、大変これがこれまで効果的に労働省の指導によって運営されてきたのではないだろうかというふうに私どもは思っているわけでございます。  しかしながら、これは二%時代の一つの大幅改正であったわけでございます。四%時代、今後構造変化の問題もあるし、構造変化のげたというのは高いまま抱えていかなきゃならないでしょうから、四%が三%に下がっていくという時代はなかなか考えられないだろう。将来的な失業率の展望とするならば、四%の中で何とか抑えて五%時代を迎えないようにしなきゃならないという認識に基づいた雇用対策が必要な時代ではないかと思うわけであります。そういう意味では、失業率二%の時代と違った新しい雇用対策というものを抜本的に見直さなきゃならない時代ではないだろうかなという考えを私個人としてはしているわけでございます。  そこで、今三事業の収支状況は一体どうなっているのか。いろいろお聞きいたしますと、ここのところ雇用調整給付金を受けられる方も大変多くて、実は六年連続して赤字の状態になっている、積立金もどんどん減ってきている。たまたま一九九五年でしたか、バブルの影響で大変雇用保険会計が豊かになったから、あのときに一回雇用保険率を引き下げてしまっているわけでございまして、そういう意味では雇用保険財政というものも赤ランプがついてきているんではないか、こういう考え方もあるわけであります。  大体財政が赤字になると、厚生省の年金ではないけれども給付水準を下げようとか保険料率を上げようという発想がどこからともなく必ずこれは出てくるわけでございまして、そういうことであったならば大変困るわけでございまして、そういう意味で、今三事業財政状況がどうなっているのか。何か聞くところによりますと、来年度の予算要求の中で一兆円ほどの赤字財政を頭に描いて組んでいくという話も聞いておりますが、その辺を少しお聞かせ願いたいと思います。
  53. 征矢紀臣

    政府委員征矢紀臣君) 雇用保険三事業関係の財政事情でございますが、先生指摘のように、ここ数年間、平成五年度以降を見まして、決算いたしました結果、雇用安定資金を取り崩してきております。九年度につきましてはまだ決算見込みでございますが、九年度はたまたま若干剰余がございまして、これを積み立てるというような形になっております。ただ、趨勢的に、御指摘のような厳しい雇用情勢を考えますと、今後ともこれについては資金を取り崩すということが考えられるわけでございまして、十年度予算におきましても若干の取り崩しを予定いたしているところでございます。  ただ一方で、雇用安定資金の積み立てにつきましては、御指摘のように経済が好況期に積み立てた資産がございまして、取り崩してきてはおりますが、九年度の決算見込みでなお二千八百億円余積み立てがございます。したがって、この積立金と、それから当年度におきます収入、これが五千七、八百億ございますから、そういうものの中でこの雇用保険三事業関係の収支、これを見ていくということでございまして、当面これによる保険料率の引き上げというものは考えておりません。  なお、三事業の中身につきましても、先ほど来御質問もございましたが、不急不要な事業はやめるということで、先ほど申し上げましたように雇用促進住宅であるとか福祉施設新設はもうやめておりますから、それによりまして財源が五百億円近くこの厳しい雇用情勢に対処するために回せる、こういうようなこともやりながら運営しているところであります。
  54. 今泉昭

    ○今泉昭君 ぜひお願いをしておきたいのは、悪いいろいろな雇用条件が重なってまいりますので、財政運営も大変厳しい局面に向かうことは間違いないと思うんですが、給付水準の条件低下であるとか保険料率の値上げということは視界から少し遠ざけておいていただきたいというお願いをしておきたいと思うわけであります。  それからもう一つは、これほど雇用が悪化してまいりますと、企業の立場からすると手元不如意で払えないということで、実は労働者の債権であるところの賃金の不払い、退職金の不払い、その他の不払いというものが大変起こるわけでございます。この労働債権をどのように確保するかということも労働行政の大変重要な仕事の一つだろうと思うわけでございまして、立てかえ払いをこれまでも何回か水準の引き上げをしていただいてきております。  ところが、倒産の実態をいろいろ調べてみますと、自分で整理をして倒産してやめる、あるいは和議でやめるというやり方が一番多いわけでございます。そうしますと、債権の順位というものがいろいろございまして、商法とか民法とかいろいろの中で労働債権の位置づけがみんな違うわけでございます。特に一番多い一般的な倒産、和議なんというのは労働債権が一番下の方に置かれているわけでありまして、一番最後にしか労働債権確保できていないという実態。  こういうような雇用不安で倒産企業が多くて、その被害を受けている労働者が大変多いときに、こういう法体系というものをこのまま放置していいのかどうか。例えば会社更生法などになります、と労働債権は高い順位になるけれども、更生法なんというものは全体の倒産の中では数からいうと微々たるものなんです。  そういう意味で、この労働債権確保のための法体系の再検討、そういうものを考えられる余地はないのか、つもりはないのか、お聞きしたいと思います。
  55. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 今の先生指摘の点は、私が大臣に就任してから何人かの先生からも御指摘をいただいてまいりました。  結論から申し上げますと、どういう検討の余地があるか、これは労働省だけじゃなくてすべての省がかかわってきますから、労働省としての立場は、できるだけ労働債権は高い方がいいと私は個人的に思っております。各省とのすり合わせといいますか、個別法体系も違いますので、そこのところの整理がどこまでできるか。契約社会の中で、その契約の実効力を阻害することになってもいけないことはあるのでありますが、とにかく、どういう協議の場でこの問題が具体的に前進をしていくか、今事務方に投げかけているというところであります。その辺のところまでしかまだ答弁ができませんが。
  56. 今泉昭

    ○今泉昭君 残された時間が限られてまいりました。  労働省には当面の雇用対策、緊急対策としていろいろと見解をお聞きしたいことがまだたくさんあったわけでございます。例えば、ワークシェアリングの新しい取り組みのあり方について検討する余地はないかとか、あるいは人手不足分野に対する、先ほどちょっと介護問題で田浦先生の方から話が出ましたけれども、介護問題だけではなくて人手不足分野というものが現にあるわけでございまして、そういう面についての緊急的な、人を政府、行政の力でもって対応していく方法はないかとか、幾つかお聞きしたいことがあったんですが、ちょっと時間がなくなってしまいましたのでまたの機会にさせていただきます。  きょうはたまたま法務省の方も実は呼んでおりまして、そういう意味では大変失礼なんですが最後になりますけれども、法務省の方と、それからそれに関連して労働省からも御返答願いたいと思うんです。  最近のテレビによりますと、ブラジルとかペルー等からの日系人の出稼ぎ労働者がこの不況のもとで大変な苦労をしている。その報道によりますと、大量の人たち仕事はもちろん、首を切られる、住んでいた家も追い出される。ガードの下でホームレス生活をしているという報道がなされ、その報道が母国のテレビで流されて、例えばブラジルとかペルーで流されて、日本は日本人でなければこういう人たちに対する救いの手を出さないのか、ある意味では日本に対する評価ががた落ちをしている、あるいはそういう人たちからの非難が大変あるとかということも聞きます。  そういう意味で、これも大変重要な一つの点じゃないかと思うんですが、一つは、労働省としてこういう問題をどのように考えておられるのかということをお聞きしたいんです。  法務省の方にはデータ的にちょっとお聞きをしたいと思うんですが、出稼ぎ労働者として日本に来られている方々、特に日系人の方々が、聞くところによると二十万人とか二十五万人とかというふうに聞くわけでございますが、どのくらいいるのか。そして、今大体どういう地域から出稼ぎ労働者として来られている人たちが多いのか。そして、最近の動向がどうなっているのか、ちょっとお聞きしたいと思います。  それをもって私の質問を終わらせていただきたいと思います。
  57. 竹中繁雄

    政府委員(竹中繁雄君) 出稼ぎというカテゴリーでは統計ができていないものですから、一番そういうことをよく言われるブラジルとかペルーとかというようなところからどのぐらいの人がお見えになっているかということでございます。  今現在外国人登録に載っております数字で申し上げますと、ブラジルに関しましては約二十三万人の方がおられます。その中で約半分が日本人の配偶者等というカテゴリー。したがいまして、日本人のそれこそ配偶者あるいはそのお子さんという格好で来ております、約十一万。それから、残りのほとんど、やはり十一万が定住者。これは日本人の血縁関係者という格好で来ておられる方ですが、そのカテゴリーで滞在されております。  ペルーにつきましては、もっとはるかに少なくて全体の総数が四万人という数字でございます。
  58. 征矢紀臣

    政府委員征矢紀臣君) 御指摘のように、今回、長期景気低迷によりまして雇用失業情勢が悪化をしている、そういう中で日系ブラジル人等の方々雇用にも相当悪影響を及ぼしているところでございます。  私ども、日系人の方に対して専門的に職業紹介を行う公共職業安定機関として日系人雇用サービスセンター、こういうものを設置しておるわけでありますが、そこにおきましても新規求職件数、これは平成十年度第一・四半期で見ますと、対前年同期化で八〇%増と大幅にふえております。  私どもといたしましては、こういう方々について日系人向けの求人の開拓に努力する、あるいはそういうものを踏まえてこれらの方々職業紹介を一生懸命やっている、こういうことで努力はいたしておりますが、情勢が非常に厳しい状況にある、これはもう御指摘のとおりでございます。  また、あわせましてブラジル国サンパウロ市にございます日伯雇用サービスセンター、これは日本とブラジル共同でそういうサービスセンターをつくっているわけでございますが、そういうところにおきまして、我が国に出稼ぎを希望する日系人の方々等に対しましてこの非常に厳しい雇用状況につきましても説明をするようなことも行っているところであります。
  59. 今泉昭

    ○今泉昭君 ありがとうございました。  終わります。
  60. 山本保

    ○山本保君 公明の山本保です。  私は、十五分程度でございますので、雇用情勢についての大臣のお考えをお聞きして、それから特に能力開発についてお聞きしようと思っておりますけれども、時間のこともあって、ひょっとして途中で切れてしまうかもしれません。その場合はまた次の機会ということでやりますので、回答を準備していただいているかもしれませんが、その辺よろしくお願いいたします。  今、今泉先生から、毎回非常に先生の質問は勉強になりまして、大学で授業を聞いているような気がして、非常に触発されるところがありますので、それにも関連してちょっとお聞きしたいなと思っております。  最初に、先ほど今泉先生からも御質問がありましたけれども、この八月の失業率四・三四%、二百九十七万人である、また男性が多いとか高齢者のみならず世帯主が多いとか、非常に危機的な状況が発表されているわけでありますけれども、それについて労働大臣甘利大臣どのようにお考えなのかをお聞きしたいわけであります。  ただ、先ほども御返事がありまして、お聞きしておりましたけれども、政府としてということが出てまいりましたけれども、大臣としてというのがちょっと私聞き取れなかったものですから、できましたらそれについても大臣、省として、またもしできれば個人的にもお考えがあればお聞かせいただきたいと思います。
  61. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 山本先生が御指摘のとおり、失業率四・三%、有効求人倍率〇・五〇、いずれも史上最悪の数値でありまして、それから今後の見通しとしてこれが急激に改善をするという明るい見通しがまだ立っておりません。引き続き厳しい状況があるというふうに考えております。  私は、労働省として、労働大臣としてやるべきことと、それから労働大臣労働省垣根を越えてやるべきこと、つまり他省と連携してやるべきこと、それから政府全体で取り組むべきこと、それぞれ各般の施策を緊急に取り組んでいかなければならないというふうに考えております。  政府全体として取り組んでいくこと、失業率を改善していくという方法は幾つかあると思いますが、全般的に取り組んでいくのは景気を回復させるということでありまして、これは総合経済対策等々で政府がそれぞれ各省連携をとって政府全体として取り組んでいくべきことであろうと思います。  そして、労働省労働大臣が他省の大臣連携をしてやっていくことということに関して、新しい職場の創設を図るということを私は大臣就任早々提言をさせていただきました。これは産業政策の分野でもありますので、新しい事業を起こす、あるいは在来の企業分社化をして新しい事業進出を行う、そういうときに産業政策という点からの融資であるとかあるいは税制に加えて、雇用政策として、人を新しく採用した場合あるいは事業を起こした者自身が雇用保険の対象者である場合には、その当事者も含めて支援が行くような、いわゆる合わせわざで新たな事業創出して雇用受け皿にする。  それ以外に、例えば景気がなかなか好転をしないという現状のままで、つまり景気はよくならないけれども雇用情勢は改善したという方法はないんだろうかということを考えまして、ミスマッチ対策というのを考えたわけであります。これは労働省の所管でない他省の所管が持っているデータベースを活用できないかというのがネットワーク政策であります。  それから、これはまだ実現に向けて作業中ですから、まだ発表してはいけないのかもしれませんが、個々のハローワークに来られる方々が自分の要求に合った職場を検索するのに職員に頼んで端末機のキーを打っているわけでありますが、そうしますとそこにたくさん人が並んでいるわけでありまして、順番を待っていると、こういう条件でと言って検索されたものに対して、いやなかなかいいのがないから次はこういう条件でと、何となく気持ちの上で無理がきかない。これだったら自分でやった方がいいやという思いもありまして、実は私が週末選挙区を歩いておりまして、自分で探せないのという話もありました。  そこで、仮に追加策が認められるのであるならば、試験的に行っている自己検索システムというのを全国に展開できないだろうかということを実はきょう閣僚懇で発言をしてきまして、きょう私が発言したというだけでありますからこれが施策になるかどうかまだ正直言って自信を持って言えませんが、景気をよくして人をたくさん送り出すようにすること、それから景気の全体はそんなによくならないかもしれないけれども他省と連携を組んで受け皿をつくること、それから現状が固定のままでもミスマッチをなくして失業率を改善すること、幾つかのやり方があると思いますので、すべてトライをさせていただいております。
  62. 山本保

    ○山本保君 大変明確に仕事の分担といいますか目標をとらえられているなとは思います。これまで、確かに景気変動の方にばかり話が行きますと産業政策であって、労働政策というのはそれに付随しているものだというような、そんな感覚が時に私ども感じられました。  今のお話でいけば、ミスマッチという言葉は非常にやわらかいわけですけれども、まさに先ほど議論になりましたように構造的な変化、それが失業を生み出しているということを考えますと、この辺が一番重要な問題ではないかと思うわけであります。  今大臣がおっしゃいましたのは、私考えますに、ミスマッチといいますと、情報のミスマッチというものと、いわば供給側と需要側というか労使の必要な労働能力のミスマッチ、これはミスマッチという言い方ではちょっと言えないようなものだと思うんです、もっと重いものだと思いますけれども、しかしこの二つがあると思うわけです。大臣のおっしゃったのは、言うならば情報のミスマッチでありまして、これについて、最近のインターネットなどを利用した、また個人がそれを動かしていくという形でやろうと。やらない方が本当におかしいぐらいですから、ぜひそれは進めていただきたいとは思いますけれども、能力開発についてのミスマッチという点が問題ではないかと思います。  それをきょうはお聞きするつもりでおりますけれども、その前にちょっともう一つ、もう少し雇用情勢についてお聞きしたいと思うわけです。  今大臣も選挙区のことのお話ありましたが、私もそれにひっかけて申し上げますが、私は愛知県選出でございまして、愛知県といいますと御存じのように大きな自動車会社、またその関連企業がございまして、国内でも比較的雇用状況はよかった県でありますけれども、最近は非常に厳しい。やはり同じように四%を超える失業率となってまいりまして、これは他の県と比べてよかったがゆえに余計厳しいという実感があるわけでございます。  先日も連合が中心になりましていろんな形でキャンペーンを張り、雇用創出を訴えられたということ。大臣の方にも行っておられると思います。私どもの方にも参りまして、愛知県からもぜひこのことはこの委員会で言っていただきたいというお話がありましたので申し上げるわけでございます。先ほどからもお話ありますけれども、雇用状況というのは大変に今の経済の中でも大きなファクターでありますから、ぜひお願いしたい。しっかりやっていただきたいと思います。  そこで、二点ほどちょっとお聞きしたいんです。  先回の質問でも申し上げまして、そのとき物を見せませんでしたが、もう御存じだと思いますけれども、雇用対策基本計画労働省が出されておりまして、その中に、このままでいけば平成十二年度の失業率は三・七五%、また今政府が進めているさまざまな構造改革が進められていけば、二・七五%ぐらいを目安としているんだというのが現在の計画でありますけれども、これは先ほどから詳細な検討がありましたように、最近の状況からいって当然見直す必要があるのではないかということを先回申し上げたわけでありますけれども、その辺についての取り組みはどのようにお考えでございましょうか。
  63. 征矢紀臣

    政府委員征矢紀臣君) ただいま雇用対策基本計画お話ございましたが、数字は御指摘のとおりでありますが、ただ、雇用対策基本計画はこれだけではございませんで、経済計画とセットでこの計画が同じ期間定められておりまして、したがって、仮に見直すということになれば経済計画の見直しとあわせて雇用対策基本計画を見直す、こういう仕組みになっております。  現時点でそれじゃ経済計画についての見直しを行うかという点につきましては、政府としてその計画を見直すということは現時点では検討いたしておりません。ただ、あえて言えば、失業率につきまして、これは最終年次の目標でございまして、その目標に対して現時点の数字が余りにも厳しいではないかという御指摘はそのとおりであります。  いずれにいたしましても、ただいま大臣お答え申し上げましたように、いろんな形での対策をとることによって、雇用情勢ができるだけ改善されるように努力をしていかなければならないというふうに考えておりますが、計画自体の見直しにつきましては、現時点では、諸般の事情から見直すというような状況にはないというふうに申し上げたいと思います。
  64. 山本保

    ○山本保君 大臣と違ってちょっと消極的な対応だと思うんですよ。それは省としてはそう決めているということでしょうから。大至急これは取り組みを開始していただかなくては、経済企画庁ですら急遽経済見通しを大変な変化をさせたというわけです。  先ほどからも議論ありますように、雇用状況こそが経済を引っ張っていくという議論が一般にもなされてきているわけですから、労働省が、経済計画の方がまだやってないから後でいいというふうに聞こえるような発言では、これはどうかと思います。先に引っ張っていっていただかないと働く者の立場としては困るということでございますので、これは申し上げるつもりはなかったんですけれども、それはぜひ進めていただきたい。  そこで、もう一つ局長にお聞きしたいんです。  先ほどの議論で、構造変化というのがあるんだ、大体三%ぐらいだと。これ一体、構造変化というのは何を考えておられるのか。簡単で結構なんです、私の考えもありますので。
  65. 征矢紀臣

    政府委員征矢紀臣君) 必ずしも確たる定義ということではございませんが、産業構造等が変化することによって労働力の移動が起こるわけでありまして、そういう意味での、現時点においては非常に大きな構造変化が進んでいる、そういう状況の中での失業。あるいはもう一つは、働く側の意識の変化、そういうものがありまして、先ほども少し申し上げましたが、一般的に、非常に生活が厳しければ、職場に不満があろうとなかろうと働き口があれば即就職するということで就職率が高くなるんですが、生活水準が向上しますと必ずしもそうでなくて、自分の気に入る職場を時間をかけて探す、こういうこともございます。そういう意味失業率が上がっている、そういう面があろうかと思います。
  66. 山本保

    ○山本保君 一般的に産業構造が第一次、第二次、第三次というような形で変わっていくというふうに言われるわけです。しかし、考えてみますと、これは、先ほど摩擦的と言われた分野でそれなりの労働能力の形成というのを待てばいいというふうにも考えられますし、私は、後助言われたまさに雇用慣行だとかそれから家族生活、特に先ほど出ましたような保育でありますとか介護というもの、それから今度は働く側の意識とまさに構造の変化、若者の就職意識、それからもっと大きいのは、まさに六十歳、六十五歳でも十分働きたいと思う方がふえていること、こういうものが日本の構造変化じゃないかと思うんです。  ぜひ労働省はまた研究の方できちんとこの構造変化の中身を、私は今考えますに、雇用慣行とそれから家庭生活の変化、それから若者や老人の意識の変化という三つじゃないかなという気がしておるんですけれども、どうも探しましてもそれについてきちんと分析をされているのが見当たらないんです。今までの日本の失業率が外国と比べて非常に低かったということの分析もどうもなされていないようであります。いろいろそれはあるんだよとおっしゃるんでしょうが、最近出た岩波新書の野村先生の本などを見ますと、この分析、私は全体的に正しいとは思わないところもあるんですが、しかし、労働行政は今までの分析にしっかり乗っていないんじゃないかという批判、これは私もまさにそう思うものですから申し上げます。  時間がないですが、もう一つだけ。  大臣にちょっと、これはいちゃもんのようで申しわけないんですが、新聞を見ましたら、十月二日の日経の夕刊ですが、官房長官が、企業に潜在的な失業者がいるんだ、まさに今申し上げた雇用慣行の問題なんだと思うんですけれども、これが収益悪化の原因となっているんだから、むしろ吐き出して新たな雇用機会をつくれと。言葉はいいんだけれども、逆に言えばもっと失業者をふやせという発言じゃないかという気がするんですが。  最後なんですけれども、大臣、まさかこういう発言、つまり、不況期に失業者をといいますか、リストラをしたり、もっと自由な職場を与えるために失業してもいいんだなんということを為政者が言うべきものでは全くないと思うわけでありますけれども、これは御本人に聞かなくちゃいけないところなんですが、労働大臣、それについて御意見をいただきたい。
  67. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 官房長官の意が正確にマスコミに伝わっているかどうかという問題がありますが、この発言、これに近い発言があったのは事実であります。そこで私は明確に否定をさせていただきましたし、そこでこの話は終わっているというふうに理解をしております。プライベートで通産大臣と話もしましたけれども、全く同じ認識であります。
  68. 但馬久美

    ○但馬久美君 公明の但馬久美でございます。私は、育児介護休業法について何点かお伺いいたします。  一九九五年にはこの育児休業法が育児介護休業法と改正されました。この法律の成立によって、子供が一歳になるまで男女いずれかの労働者も育児休業を取得することができ、さらに雇用保険もしくは共済保険から給与の二五%が保障されるようになりました。また、この休業中の社会保険料が免除されることなど、徐々に整備はされてきております。しかし、条約や勧告が求めるのはもっと根源的でありまして、とるべき措置も多岐にわたっているのではないかと考えます。  そこで、その一つとして、スウェーデンでは、全日休暇は生後一歳半まで、そしてまたこれは短縮型ですが、小学校の生活になれる八歳時までまたは小学校一年生を修了するまでの四百五十日間、この育児休業を認めていると言われております。ドイツでもフランスでもまたほかに例はあるんですけれども。  そこで、日本の一歳までというのは私は短か過ぎるのではないか、そういうふうに思うわけです。日本の特に合計特殊出生率が既に一・三九人となっている今日、ますます女性が産み育てる状況が非常に厳しい。そしてその中で、まず育児休業期間の延長を図って、子供を育てる大事な成長期間、三歳から七歳ぐらいまでの弾力的な運用を図るべきではないかと思いますけれども、労働省また文部省にお尋ねいたします。
  69. 藤井龍子

    政府委員(藤井龍子君) 育児介護休業法では、一歳に満たない子を養育するため育児休業がとれるということになっているわけでございますが、これは子供が一歳未満である期間というのは時間的にも労力的にも親である労働者の仕事と子育ての両立が大変難しい時期であると考えられること等から、法律によりまして最低基準としてこういう定め方がされておるわけでございます。  同法律には、さらに一歳から小学校就学の始期に達するまでの子供を育てる労働者につきまして、育児休業制度、短時間勤務の制度、フレックスタイム制度、あるいは始業時間、終業時間を繰り上げあるいは繰り下げるといったような必要な措置を講じていただくように事業主に努力義務を定めておるわけでございます。  また、この法律に基づきまして事業主さんに講じていただきたい措置ということについての指針を定めてございます。  ここの指針におきまして、事業主は、一歳から小学校の就学の始期に達するまでの子のうち年齢の低い子を養育する労働者の方が一般的にこれらの措置の適用を受ける必要性が高いと考えられることに留意しつつ、労働者の勤務の状況あるいは子の養育をめぐる環境等を総合的に勘案して、より必要性の高い措置がより早期に講じられることが望ましいものであることに配慮すべきであるという旨規定をしてございまして、私ども、これらの規定に従いましてそれぞれの事業場でさらに柔軟な制度をつくっていただくよう指導しているところでございます。  ちなみに、平成八年度、私どもが行いました調査結果を御紹介したいと思いますが、常用労働者三十人以上の育児休業制度の規定がある事業所において、子供が一歳を超えるまで育児休業制度を設けているという事業場の割合が一〇・六%になっております。  私ども、引き続きまして、育児介護休業法の努力義務規定、あるいは先ほど御紹介いたしました指針を踏まえまして、実情に沿いまして最低基準を上回る措置を事業主の方々に講じていただきますよう周知啓発に努めてまいりたいと思っておるところでございます。
  70. 御手洗康

    政府委員(御手洗康君) 公立学校におきます職員の育児休業につきましては、地方公務員の育児休業等に関する法律の規定に基づきまして一年以内ということで各地方公共団体の条例でこれを定めるということになっておりますので、これを直ちに一年以上に延長するということは現時点では難しいかと存じております。
  71. 但馬久美

    ○但馬久美君 いろいろありがとうございます。  事業主の努力義務そして規定で定められてということでございますけれども、なかなか事業主の方ではそれをきちっとやっているところが現状では少ないと聞いております。そういう中で、私は、やはり男女ともに差別のない、働きやすい、そういう環境づくりをつくっていただく中で、ぜひそういう法的整備などをもう一度見直していただいて、やっぱり就労と家庭の調和を図っていただきたいと、そういうふうに思うわけでございます。  その中で、文部省にもう一度お尋ねいたします。  育児休業の一年経過後についてですけれども、教職員本人の体調が思わしくないとか、また子供の病気とかで勤務を長期間休むケースがふえていると聞いております。その辺の実態はどうなっているのか。  そしてまた、引き続きちょっと時間がありませんので聞きますけれども、本人の病気の場合、休暇をとるかまた休職するかいずれかになると思うんですけれども、その休職期間が長くなる場合の所得保障とか、また復帰後そのポストはどういうふうになっているのか、その辺をお聞かせください。
  72. 御手洗康

    政府委員(御手洗康君) 平成八年度で申しますと、全国の公立の小中高等学校並びに特殊教育諸学校の教育職員に限って見ますと、育児休業の承認件数が一万九千八百十五件となっておりますが、大変申しわけございませんが、その後の病気休暇等につきましてはそれぞれの校長や地方公共団体の教育委員会が処理している日常の業務のことでございますので、全体として休暇数を把握しておりませんので、御了承いただきたいと思います。  一般的に病気休暇の場合におきましては、これは各都道府県の条例によって多少期間も差がありますけれども、一般的には条例の規定によりまして病気休暇取得者につきましては九十日以内であれば給与の全額が支給される、その後は無給になりますので、一般的にはそれ以上長引く場合には休職という措置がとられまして、給与の半額が保障されるというような形で身分保障はされていくものと考えているところでございます。
  73. 但馬久美

    ○但馬久美君 さらに文部省にお尋ねいたします。  代替教員を雇用するぐらいのある程度の長期の休職をとったとしても、一年未満で復帰した場合は生徒にとっては担任がかわるわけなんですね。そういうことは教育上また生徒にとっても芳しくないと思われますけれども、例えば学年修了までの期間同一の担任がつくことが非常に望ましいと思います。そのために育児介護休業法におけるこの期間延長が必要であると私は思うわけなんです。そのように同一の担任、またある一定期間その学年を通してそういう期間をつくという望ましい体制整備をすることがまず私は大事だと思いますけれども、文部省はその点とういうふうに考えていらっしゃいますでしょうか。
  74. 御手洗康

    政府委員(御手洗康君) 御指摘の点、教育上の観点からすれば確かにごもっともな指摘でございますが、個々の任命権者が個別に人事管理運用をどうするかという問題に尽きようかと思いますが、その際に問題なのは、定数を使うということになりますと財政的な問題が生じてくるということでございまして、国全体の制度としてそういったケースのところまで国の方で財政的な支援をするという考え方は今持ち合わせておりません。  各都道府県におきましては、それなりの範囲内で、休暇が長期にわたる場合には代替教員を非常勤や臨時的任用ということが例えば一カ月以上になりますと大体発令するというようなこともやっているところでございますけれども、今言ったような御指摘の問題につきましては、それぞれの任命権者の御工夫ということで処理していただきたいと考えているところでございます。
  75. 但馬久美

    ○但馬久美君 今の返答なんですけれども、私はある地方の校長先生からこういう話を伺いましてきょうこの問題を取り上げたわけなんですけれども、非常に個々にこういう問題を抱えている学校がたくさんあるということを聞いております。そういう中で、校長に任せる、行政に任せるのではなくて、ぜひ国でもっときちっと掌握していただきたい、そういうふうにも思うわけでございます。その点よろしくお願いいたします。  もう一点だけお伺いいたします。次に労働省にお伺いいたします。  介護休業制度は来年の四月一日から施行されるわけですけれども、事業主に申し出ることによって、連続三カ月を限度として、配偶者、父母及び子あるいはこれらに準ずる者、そしてまた配偶者の父母等の対象家族に対して、一人につき一回だけ介護休業をとることができるとなっております。  現在、事業主の努力義務になっておりますけれども、この介護休業の取得状況はどうなのか。特に、高齢者のための介護休業制度であり、子供のための休業制度になっていないと言われておりますけれども、高齢者と子供のそれぞれの取得の違い、また育児及び介護休業中及び復帰後における賃金や処遇等で本人の不利益にならないかどうか、どのような措置がとられているのか、お聞かせください。  以上でございます。
  76. 藤井龍子

    政府委員(藤井龍子君) 平成八年度の私どもの調査によりますと、介護休業制度を導入している事業場は三十人以上の事業所の二三・二%でございます。この事業場における介護休業の取得状況でございますが、常用労働者に占める一年当たりの取得者の割合というのが〇・〇四%でございます。一万人の労働者につき四人という状況でございます。  それから、二番目にお尋ねの高齢者のためか子供のためであるかということでございますが、これは、私ども関係の財団法人で上場企業五百八十五社を対象に平成八年に行った調査結果によりますと、自分の父母のために介護休業をとったというのが約四六%、配偶者の父母というのが約一一%、配偶者が約二〇%、子供のためというのが約二二%ということになっております。  それから、三番目のお尋ねの復帰後の処遇等の問題でございますが、これにつきましては、育児介護休業の申し出をしたことあるいは休業したことを理由として解雇してはいけないというのを法律で明記してございます。それ以外の規定につきましては法律に明文の規定はないわけでございますが、法律に基づいて定めております指針におきまして、事業主は育児介護休業の権利を行使したことを理由として当該労働者を不利益に取リ扱うものであってはならないということ、さらに育児介護休業後においては原則として原職または原職相当職に復帰させることが多く行われていることに配慮する旨規定しているところでございまして、私どもこれらの規定に従いまして事業主に対する指導に努めておるというところでございます。
  77. 但馬久美

    ○但馬久美君 どうもありがとうございました。
  78. 市田忠義

    ○市田忠義君 日本共産党の市田です。  きょうは、雇用失業問題、特に雇用の維持の問題及び失業者の生活保障対策について御質問したいと思います。  他の委員からもこもごも指摘がありましたが、先日総務庁が発表した八月の労働調査によりますと、完全失業者も失業率も過去最高、完全失業者の数はこれでたしか十六カ月連続して対前年度比でふえておりますし、就業者の数は六千五百四十六万人で七カ月連続マイナスであります。しかも、完全失業者の中身、内容を見ますと、解雇や倒産など企業の都合によるいわゆる非自発的理由による失業が九十一万人、こういう雇用失業の土台、背景に実体経済の落ち込みといいますか、悪化があることは多くの人が認めておられるところであります。  それでまずお聞きしたいんですが、日本の失業統計というのは大変統計のとり方の幅といいますか範囲が狭くて、厳格過ぎて実際より少ない数字が出る。例えば、調査期間である月末の一週間に一時間以上働いた人、実際に失業していても求職活動をしなかった人、仕事があってもすぐに仕事につけない人、こういう人は失業者に数えない、そういうとり方でも今やアメリカに近づきつつあるわけです。  そこでお聞きしたいんですが、労働調査の特別調査では、求職活動はしていないが職があればすぐにでも職につきたいと考えている人、いわゆる潜在的な失業者と言ってもいいと思うんですが、その数をつかんでおられるはずですが、何人でしょうか。
  79. 征矢紀臣

    政府委員征矢紀臣君) 総務庁統計局の労働調査特別調査、これの平成十年二月の結果によりますと、適当な仕事がありそうにないとする就業希望者のうちですぐつける者、こういう方は百二十六万人となっております。
  80. 市田忠義

    ○市田忠義君 そうしますと、完全失業者二百九十七万人に百二十六万を加えますと四百二十三万人。実際の職安の窓口に来て求職活動をやっておられる方というのは六百万人から七百万人とも言われております。  これも総務庁の発表された指標によりますと、非労働力人口のうち就業希望者というのは九百八十四万人、適当な仕事がありそうにないために求職活動をしていないというのが四百十万人という数字が出ています。極めて深刻だと思うんですが、そこでお聞きしたいのは、失業者で失業給付受給期限が切れた人、これどれぐらいいるのかつかんでおられますか。
  81. 征矢紀臣

    政府委員征矢紀臣君) 失業給付終了後も職につけない方がどれくらいいるか、これは直接把握する統計ございませんが、総務庁統計局の労働力特別調査平成十年二月によりますと、失業期間一年以上の離職失業者の方、これは二十九万人おりまして、離職失業者全体、百六十五万人中の一七・六%を占めております。  なお、平成九年度におきます雇用保険の支給終了者、これは百三十万人となっております。
  82. 市田忠義

    ○市田忠義君 失業者の生活保障というのは労働省としても最も重要な課題の一つだと思うんですが、今のような深刻な事態のもとでどういう措置を講じておられるのか、政府としての雇用失業対策としては具体的にどんな対策を用意しておられるのか、簡潔に、これ大臣にお述べいただけますか。
  83. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 緊急雇用開発プログラムを組みまして、これは労働省中心に取り組んでおりますが、その他各省と連携をとりながら、まず景気をよくし、ミスマッチをなくし、ミスマッチは先ほど御指摘がありましたが情報のミスマッチとそれから能力のミスマッチ両方あると思います、それぞれ適宜適切に対応させていただいているつもりであります。
  84. 市田忠義

    ○市田忠義君 政府雇用対策が本当に役立っているのかどうかということについて具体的にお聞きしたいと思うんです。例えば緊急雇用安定地域の指定、これ七月十日に五地域ですね、北海道の函館、旭川、釧路、青森県の八戸、福岡県の久留米市。いずれも深刻な地域ばかりですが、こういう地域で例えば政府の具体的な雇用対策の柱と言われている雇用調整助成金あるいは特定求職者雇用開発助成金、それから雇用保険の個別延長給付、それぞれの実績が今指定されている五地域でどうなっているかという実績をお述べいただけますか。
  85. 征矢紀臣

    政府委員征矢紀臣君) 緊急雇用安定地域につきましては、御指摘のように七月十日に五地域指定いたしたところでございますが、この支給実績につきましては、これはまだ制度を指定したばかりでございますので実績自体はなかなか出てまいりませんが、ただその効果といたしましては、この五市におきまして七月から八月にかけて雇用調整助成金の支給が見込まれる休業、教育訓練等の計画の対象者数、これが四千七百三十九人となっております。また、特定求職者雇用開発助成金の対象となり得る方が六百八十四人となっております。さらに、雇用保険の個別延長給付の支給実績につきましては、七月から八月にかけまして七百九十五人に支給されているところであります。
  86. 市田忠義

    ○市田忠義君 労働省にお聞きした資料によりますと、おっしゃるように雇用調整助成金は申請から支給まで一、二カ月かかりますからまだ実績がないのはそのとおりですが、申請受理件数でいいますと、今の地域で七月は二十二件、八月が三十二件です。それから特定求職者雇用開発助成金については、これは六カ月の雇用実績を見て支給するわけですから実績がまだをいのはそのとおりですが、ただ申請ベースで見ますと七月が三十一人、八月が三十七人、これは労働省からいただいた資料でそうなっています。  それでお聞きしたいと思うんですが、緊急という名がついているんだけれども、雇用保険の延長給付、これはかなり一定の数に上っていると思うんですけれども、これ以外はほとんど緊急の役に立っていないんじゃないか。特定求職者雇用開発助成金、指定されている五地域というのはもともと極めて求人数が低いわけですから、六カ月を待ってもそれほど実績が上がることはなかなか期待できないと思うんです。  そこでとりあえず、一番効果を上げていると見られる個別延長給付、これについてお聞きしたいんですが、雇用保険法の二十二条の二及び二十三条では雇用保険の延長給付ができるようになっていますが、この個別延長給付の措置を受けている人は何人でしょうか。
  87. 征矢紀臣

    政府委員征矢紀臣君) 雇用保険の失業給付につきましては、年齢別の再就職の困難度等に応じました所定給付日数に加えまして、離職者の個別の事情、すなわち地域、業種などの個別の就職困難な状況に応じまして給付日数を一定期間延長する、これが個別延長給付でございます。  これの支給実績でございますが、平成九年度で見ますと、金額で五百五十八億円となっております。受給者実人員で見ますと、これは月の平均でございますが、三万四千五百十一人というふうになっております。
  88. 市田忠義

    ○市田忠義君 八月の失業給付の受給者は全体で百十万七千人になっているわけですが、今お話がありましたように、個別延長給付を受けている人は三万四千人、これは大変少ないというふうに思うんです。しかも、総務庁の統計によりますと、失業期間が一年以上という人が過去最高の五十一万人にも上っておる。失業者の中の圧倒的多くの人が最高三百日の給付を受けた後は無収入に追いやられていることになる。こういう事態が消費不況をさらに深刻なものにして、それがまた新たな失業者を生み出す、そういう悪循環を招いているというふうに思うんですが、雇用保険法には全国延長給付の規定がありますが、その発動要件を簡潔に御説明ください。
  89. 征矢紀臣

    政府委員征矢紀臣君) 全国延長給付の発動要件でございますが、これは全国的に失業状況が著しく悪化した場合、すなわち具体的には連続する四カ月間の各月における基本受給率、これは受給者実人員を被保険者数と受給者実人員の合計により割り算をしたものでございますが、これが四%を超え、かつ各月におきます被保険者に占める初回受給者数の割合が増加傾向にある場合において、受給資格者の就職状況から見て特に必要があると認められるときに、労働大臣が期間を指定して全国のすべての受給資格者に対して給付日数を一定期間、九十日でございますが、延長するものであります。
  90. 市田忠義

    ○市田忠義君 労働大臣にお聞きしたいんですが、今の話によりますと一基本受給率が四%。今受給者が百十万七千人ですね、ことしの八月で。私計算してみますと、四%といいますと、受給者が大体百四十万人から百五十万人ぐらいになった状況だと思うんです。今の失業者のふえ方からすると目前とも言えますが、そういう事態を待たないで、政令を改正してでも全国延長給付に踏み切るべきではないか。そのことがこれ以上の失業者を出さない、そういうことにつながるんではないか。この点についての前向きな検討が必要だと思うんですが、大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
  91. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 失業給付というのは未来永劫出すものではありませんで、一刻も早く戦線復帰をしてください、それまで支えていきますよという仕組みなんでありますから、これは失業対策の抜本解決にはならないわけであります。  それはもらう方からしますと、できるだけ一〇〇%に近い金額の方がいいに決まっているし、できるだけ長い方が安心に決まっているわけであります。しかし、一刻も早くその離職している方に戦力として経済に復帰をしてもらわなきゃならないわけであります。そこで、いろいろ個別の離職の事情があるし、離職者一人一人の個別事情が違うわけでありますから、ある意味ではきめ細かく対応した方がいいという考え方もあります。  ただ、私のところにここのところ識者の方が何人が御指摘をされますのは、日本人ははっきり言って失業なれしていない、終身雇用中心とする体制の中で失業が物すごい衝撃波で来るから、失業したこと自体を認識して立ち直るまでに時間がかかっちゃうんだと。それから、よし、このままじゃいかぬから自分の能力のバージョンアップを図ってもチャレンジしていくぞというまでにタイムラグがあって、それから今度は職業訓練というかそれに取り組んでいく。だから大臣、今の給付期間では職業訓練の時間がとれないんじゃないですかという指摘を実は何人がからいただきました。これはまだ労働省の施策が完全に御理解をいただいてないんだなと。  つまり、教育訓練給付というのは延長給付にあるわけでありますし、ごく極端なことを言えば、三百日の二百九十九日目でよしという気持ちになって職業訓練のコースに登録をする。そうしたらそれが終わるまではきちっと延長給付があるわけでありますから、今の個別に対応できる施策をきちんとPRすることが大事じゃないかというふうに思っておりまして、事務方にはまだまだ周知徹底が足りないのではないかということを今指示しているところであります。
  92. 市田忠義

    ○市田忠義君 全国延長給付についての消極的答弁とも言える回答で極めて残念でありますが、先ほど来それぞれの委員からも指摘があったように三百万人近い完全失業者、潜在失業者も含めれば四百万、五百万あるいは六百万と言われる。しかも、一年以上働く意思があっても仕事につけない人が五十一万も超えている。そういう事態のもとで、せっかく法律でこういうことが決められているわけですから、四%というのは余りにも高い数であるわけで、既に百万を超えている現状のもとで要件緩和してでも全国延長給付の適用をぜひ前向きに検討していただきたいことを改めて強調しておきたいと思います。  そこで、じゃ全国延長給付が直ちに無理な場合でも、せめて個別延長給付の弾力化について法の精神を生かして積極的な適用を図る、個別の救済を急ぐべきだと。これは政令の改正を待たなくても労働省の運用で幾らでもできるはずだと思うんです。この点について少しお聞きしたいと思うんですが、先ほど個別延長給付を受けている者の数をお聞きしましたら三万四千というお話がありました。そこでお聞きしたいんですが、そのうち二十三条で言われている景気の変動等により離職を余儀なくされた者、こういう要件で延長給付を受けた者が何人いるかというのは統計上つかんでおられるでしょうか。
  93. 征矢紀臣

    政府委員征矢紀臣君) 受給者実人員で申し上げますと、その中で特定不況業種離職者及び緊急雇用安定地域離職者、そういう形で内訳として計上しておりますが、そういう方々は人数的には月当たり八百人程度でございます。
  94. 市田忠義

    ○市田忠義君 そうじゃなくて、二十三条の中に幾つか要件ありますが、景気の変動等により離職を余儀なくされた者で労働省令で定める者、この適用を受けて個別延長給付を受けている人の数というのは、そういうのは統計上はつかんでおられないわけですか。
  95. 征矢紀臣

    政府委員征矢紀臣君) 恐縮ですが、そういう形での統計的な把握はいたしておりませんで、ただいま申し上げたような形での数字でございます。
  96. 市田忠義

    ○市田忠義君 わかりました。  今言った景気の変動等により離職を余儀なくされた者で労働省令で定める者、これに該当する者で個別延長給付の適用を受けている方というのは大変少ないんですね。  私の出身地の京都では、西陣や友禅、丹後などの労働事情は大変今厳しくなっています。京都友禅一般労組などの関係団体が京都府の雇用保険課長と交渉した際に、労働情勢が極めて悪化している、とりわけ西陣、友禅、丹後の状況が厳しいので職安の窓口に給付延長を求める相談に応じられる体制をつくる、適用については特定不況業種などに指定されている職種の離職者で個別に判断して職安所長が決定する、同時に既に給付が切れている労働者についても、四月二十四日に雇用開発プログラムが閣議決定されていることから、その時点にさかのぼることも考慮する、こういう前向きの回答を引き出した。そして、京都では初めて不況が原因の友禅の失業者の個別延長給付が認められた。  これは五十四歳の人なんですが、友禅一筋で生きてきましたからほかに技能もないし、この年齢では再就職先もなかなか見つからない、打ち切りが追ってお先真っ暗だった、それだけに大変助かった、これでなえていた気持ちを切りかえてよし頑張って職を探そう、そういう思いになったということを語っておられましたが、しかし、こんな例はまれなんですね。  雇用情勢が悪化しているもとでもっとこうした適用を認めるべきではないか。これらは職安所長の判断で行うことになっていますが、労働省として仮にも締めつけたり、あれはだめだとかこれはだめだと、そういう圧力を絶対に私はかけてはならないと思うんですが、よく調査して必要な人には法に照らして直ちに適用するという、大臣として全国にそういう立場を徹底する必要があると思うんですが、いかがでしょうか。
  97. 征矢紀臣

    政府委員征矢紀臣君) 私ども、雇用保険制度の運用につきましては、これは法律、法令その他制度に基づいてきちんと運用する、これが基本原則というふうに考えておりまして、その制度がきちんと運用している限り、それについて何らかの圧力をかけるとかそういうことをいたすつもりはございません。
  98. 市田忠義

    ○市田忠義君 そういう圧力はかけないということで確認しておきたいと思います。  次に、雇用の維持についてお聞きをいたします。特に雇調金の適用拡大についてであります。  建設省にお聞きしたいと思うんですけれども、建設業における全建築物、それから民間建築主の居住用建築物の着工床面積、これが最近どんな状況になっているかという数字をお述べください。
  99. 木下博夫

    政府委員(木下博夫君) お尋ねのございましたことは、私どもの方で調査しております建築着工統計が適当かと思いますが、ただ申しわけないわけでございますけれども、これは季節によって大分変動がございまして、その時々にいわゆる経済情勢を受けておりますが、まず全建築物の着工統計は、平成十年八月が最新の情報でございますが、前年同月比でマイナス一五・三%、これは平成九年二月から十九カ月連続で減少しております。  それから、民間建築主におきます居住用建築についてお尋ねがございましたが、これにつきましても同じく八月の数字でございますけれども、対前年同月比でございますが、マイナス一一・二%、これも十八カ月連続減少しております。
  100. 市田忠義

    ○市田忠義君 今お述べになりましたように、建設業の困難というのは大変際立っているというふうに思うんです。建設関係の就業者数、これも先日の労働調査ではたしかマイナス四十一万人で十カ月連続マイナスであります。私はこういうところにこそ雇調金の適用が必要だと思うんです。  例えば全国建設労働組合総連合という、町場の土建屋さんや大工さんなどで組織している通称全建総連という組合がありますが、そこが最近建設労働一一〇番というのをやられました。全国の建設労働者から大変深刻な状況の電話相談がありました。もう半年間金づちを持ったことがないという大工さんや、夜逃げや自殺者が相次いでいると。東京土建の組合員の中だけでも、この七月まででことしに入って三十数名の自殺者が出ているというぐらい深刻な状況であります。  こういうそれこそ町場の小さい中小の土建屋さんや従業員、こういう人たちがやっている仕事にぜひその雇調金の適用が必要だというふうに思うんですが、労働省としては業界団体からの申請をただ待つんじゃなくて、積極的に実態を調査して適用するようにすべきだというふうに思うんですが、お考えはいかがでしょうか。
  101. 征矢紀臣

    政府委員征矢紀臣君) 雇用調整助成金の業種指定につきましては、景気の変動、産業構造の変化その他経済上の理由により業種全般にわたって事業活動の縮小が見られると認められた場合において労働大臣が当該業種を指定する、こういうことになっておりまして、この指定につきましては厳しい雇用失業情勢を踏まえて機動的に行うことといたしております。  業種の指定に当たりましては、業界団体の要望に基づきまして業界団体とその業を所管する官庁、これにヒアリングを行い、指定基準を満たしているか否か検討した上で迅速かつ機動的に指定することといたしておりますが、ただいまお話しの建設業の一般住宅建築につきまして、これは現在、業所管官庁であります建設省と連絡をとりつつ、指定の要望の把握に努めているところであります。
  102. 市田忠義

    ○市田忠義君 ただ申請を待つんじゃなくて、積極的に労働省としてのイニシアチブの発揮を特に要望しておきたいと思います。  同じような問題がこれまた私の出身地の京都でも起こっております。  先ほど西陣や友禅が大変だということを言いました。西陣や友禅は雇用調整給付金の対象業種であるわけですが、製造業とともに卸売業や商社も今大変深刻な状況にあります。今友禅業者の中を歩きますと、真っ暗やみの出口のないトンネルに入ったようだと。仕事がないので手塩にかけて育てた職人を八人から二人に減らしたとか、それでも仕事がない。二人の職人に仕事を保障するために自分は中央市場で夜八時から明け万五時までアルバイトしているだとか、しみ抜きの同業者がもう三人も自殺したと。そういう製造業者だけじゃなくて、いわゆる室町筋の卸問屋、商社。  例えば、九六年までの五年間に、これは京都織商の組合員調査によりますと、七十三の商社で、従業員数で三千三百入減少している。今後のリストラ計画を見ましても、ある商社は四十人、別の商社は百人、ある社は全員の解雇という話も出ています。  西陣、友禅の製造業とともに卸売業にも雇用調整助成金の適用をするべきだというふうに考えますが、いかがですか。
  103. 征矢紀臣

    政府委員征矢紀臣君) 織物卸売業関係につきましても、これは業所管官庁は通産省でございますが、通産省と連絡をとりつつ、指定の要望の把握に努めているところであります、
  104. 市田忠義

    ○市田忠義君 やや官僚的な答弁で、今の実態は本当に深刻なので、そういう思いにこたえて、もっと前向きな検討をしていただきたいのですが、大臣いかがですか。
  105. 甘利明

    国務大臣甘利明君) それぞれ深刻さの度合いに違いがあると思いますが、客観的に把握する必要があります。労働省企業種の実態を客観的に子細に把握できるわけではありませんので、所管省庁と連絡をとりながら適宜適切、機動的に対応していきます。
  106. 市田忠義

    ○市田忠義君 最後にお聞きしたいんですが、政府は消費を喚起するために六兆円を超える大幅減税ということをいろいろ言われていますが、これは、特別減税が打ち切られるもとで、結局のところ、大金持ちというか高い所得の人には減税になっても庶民には増税になるということは予算委員会などでも我が党の質問の中でも明らかになっているところですが、大臣にお聞きしたいのは、労働大臣として一番責任を負わなければならない失業者にとって、今計画されているようなあの六兆円を超える減税がどういう恩恵があるとお考えか、お聞きします。
  107. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 減税というのは税を納めた人の税を返すわけでありますから、納めた税に従って税の還付があると。納めてない人には、それは減税といっても効果はありません。
  108. 市田忠義

    ○市田忠義君 今おっしゃったように、失業者には何の恩恵もないというのはもう明白だと思うんです。  雇用保険法第十二条には、「租税その他の公課は、失業等給付として支給を受けた金銭を標準として課することができない。」、そう定めている。その理由は言うまでもないことですが、失業給付というのは受給者の最低生活を保障するものですから、この最低生活を保障することは憲法二十五条において国の社会的使命として明らかにされていることだからだと思うんです。ですから、減税の効果は及ばないというのはもう明白です。  ところが、消費税の五%への増税というのは失業者にも待ったなしにこれはかかるわけですね。法律が憲法上の理由から公租公課を禁止しているというのに、消費税で最低生活保障補給たる失業給付を減額させる、これは大変重要な問題だと思うんですが、消費税についての意見はいろいろ大臣お持ちだと思うんですが、少なくとも消費税を引き下げることは失業者にとっては大変恩恵をもたらす、そのことはお認めになりますか。
  109. 甘利明

    国務大臣甘利明君) それは税は高いより低い方が消費者にとったはいいに決まっていますし、恩恵があるに決まっているのでありますが、しかし、税によって成り立っている施策であり国家でありますので、軽々に論ずることはできないと思います。  総理も、制度減税によって恩恵を受けるところと受けないところ、これについてどう対応していくかいろいろと頭を悩まされておるところでありますし、減税の恩恵が行かないところに対してどんな策があるか、これからいろいろと勉強させていただきたいと思います。
  110. 市田忠義

    ○市田忠義君 時間が来ましたから、終わります。
  111. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 日銀は十月一日に九月の企業短期経済観測調査というものを発表いたしました。  これによりますと、業況判断指数、DIを見ますと、主要企業の製造業がマイナス五一、非製造業マイナス三六と、前回の六月調査よりも大幅に悪化して、特に中小企業は過去最悪となっています。この状況によりまして、倒産や業績悪化を理由に解雇その他、リストラによる労働者の雇用情勢は一段と深刻の度合いを増し、意に反する雇用の流動化が進んでいるように考えられます。  労働省としては、製造業と非製造業別あるいは事業規模別にそれぞれこうした失業の実態をどのように調査、把握されているか、御質問をいたします。
  112. 征矢紀臣

    政府委員征矢紀臣君) 総務庁統計局の労働調査によりますと、平成十年八月の非自発的な離職による失業者は九十一万人となっておりますが、離職理由別に見ました前職の就業状態別の状況につきましては、総務庁統計局の労働調査特別調査でしかこれは把握できないわけであります。  そこで、最新の同調査平成十年二月の結果によりますと、人員整理事業不振、定年等の非自発的な離職による失業者数は七十六万人となっております。この七十六万人のうち、前職の就業状態については過去三年以内の離職失業者についてのみ集計されておりますが、これによると、製造業が二十万人、非製造業が四十六万人という数字になっております。また、前職の従業者規模別の集計は雇用者であった者についてのみ行われておりまして、規模別に見ますと、百人未満が三十九万人、百人から四百九十九人が十一万人、五百人から九百九十九人が四万人、千人以上が九万人という数字になっております。
  113. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 そういたしますと、先ほどネットワーク政策大臣は言われまして、ミスマッチ対策というものを省庁の壁を越えて行うというふうに言われておりますが、この点については具体的にはどのような施策、あるいは行動というかアクションプランがあるんでしょうか。
  114. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 労働省が持っております雇用情報の中だけでのマッチングを今まではやっていたわけであります。それ以外に、事業者団体が持っております、これは主に求人情報であります、それがデータベースとしてのスケールはまだ小さいのでありますが、登録をされているというところもあります。  具体的に言いますと、全国各地の商工会議所のうち、このデータベースを持っておるところは幾つかあります。それ以外に、これは経済団体としての労働省のカウンターパートでありますけれども、日経連はこのデータベース化に積極的に取り組んでおります。あるいは、まだデータベースは持っていないんですけれども、そういう施策ができ上がるならばやっていきたいという団体が、例えば中小企業団体中央会というところがあります。  私は、就任してすぐそういうことを思い立ったものでありますから、それらの経済団体を直ちに回りまして責任者と会いまして、私の思いを訴えて協力要請をいたしました。もちろん並行して、他省の所管にかかわるところでもありますから、閣議において通産大臣にこういうことをさせてもらいたいと協力要請をし、快諾もいただきました。  その上に沿って、それらの経済団体と労働省が持っております情報のネットワーク化を図っていくというところでありまして、経済団体のネットワークを整備するために、これも通産省に要請をしまして、そのための予算をとってもらいたいと、他省のことでありますがこちらから要請をさせていただきまして、新年度施策として経済団体のデータベースを整備するための予算も通産省にとっていただいたところであります。
  115. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 次に、パート労働者や派遣労働者の増加がマスコミ等で伝えられています。この一年で正社員よりもこうしたパート労働者、派遣労働者の増加が顕著であるという実態がどのようになっているか、お尋ねをいたします。とりわけ女性労働者にとってはこれは大変重要な問題だと思いますが、いかがでしょうか。
  116. 澤田陽太郎

    政府委員澤田陽太郎君) 総務庁統計局の労働調査に依拠してお答え申しますと、非農林業雇用者のうち週三十五時間未満の雇用者がいわゆるパートタイム労働者を反映すると思われますので、その数字でお答えいたしますと、平成九年一年間、週三十五時間未満雇用者は前年に比べて九・八%増でございました。それに対しまして、平成九年の非農林業雇用者全体の伸びは一・三%でございました。平成十年に入りまして一月から八月の平均でございますが、週三十五時間未満は前年の同期間に比べて三・七%増。これに対して非農林業雇用者全体はことしの一−八月マイナス〇・四%減ということになっております。
  117. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 そうしますと、パート労働者、派遣労働者の増加というのは、本来フルタイム労働者からの労働移動というふうに主としてこの増加を考えてよろしいのでしょうか。
  118. 澤田陽太郎

    政府委員澤田陽太郎君) そこは先生指摘のようなことには必ずしもならないと、かように考えております。
  119. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 そうしますと、非自発的なパートタイム労働者、フルタイムで働きたいけれどもパートしか職がない、本来ならばパートでも長時間労働を望んでいるのに希望の時間働けない、あるいは顕在化しないけれども求職の意欲が喪失をしていて時折パートの就労をしているというような、非自発的パートというものはパート労働者の全体の中でどのように増加をしているか、統計はとっておられますか。
  120. 澤田陽太郎

    政府委員澤田陽太郎君) 残念ながら、そういう政府統計はございませんで、パートタイム雇用にどういう理由、動機でついているかは、特別調査、そのための実態調査等でわかる程度でございまして、時系列的なもの旭わかりません。  ただ、先生今御指摘になりましたような理由もあることは間違いございませんが、パートタイムについている方々のかなりの部分は、御本人の都合、労働時間、勤務場所、仕事の内容等々をかなりしんしゃくしてついているという要素もございますので、統計数字ではお答えできませんが、いろいろな要素で現在の就業状態が結果としてこういう数字で動いているということだろうと思います。
  121. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 私は、今までのようなパート労働への就職理由という物の考え方に立った統計は少しその視点を変えて、失業の観点から非自発的パートへの流動化がどのように行われているかということがこれからの不況時の失業対策にとっては非常に重要な視点になるというふうに考えますので、ぜひこの点については積極的な調査を始めていただきたいと思います。  こうした雇用情勢の悪化は、労働者の労働条件の低下はもとより、賃金の切り下げに通していきます。賃金の支払い確保に関する法律というのがあって、倒産時における一定程度の賃金の確保の上限を決めているわけです。しかし、それも退職金に及ぶと言われておりますけれども、総額が非常に低いということで、そうした労働債権の保障が非常に不十分であるというふうに考えられておりますが、賃金の支払い確保に関する法律の上限の見直しというものが必要だと思われますが、その点についてはいかがでしょうか。
  122. 伊藤庄平

    政府委員(伊藤庄平君) この未払い賃金の立てかえ払い制度におきましては、立てかえ払いの限度額を御指摘のとおり定めているところでございますが、本年度からその上限額を改定いたしましてそれぞれ引き上げたところでございます。目下、厳しい経済情勢を反映いたしまして、この立てかえ払い制度の対象件数は増加しているところでございます。  私ども、今後ともこういった中で、倒産等の事態に遭われた働く方々の賃金が適切に確保できますように、この上限額につきましても賃金の上昇の状況等を見ながら対応してまいりたいと思っております。  今までも、毎月勤労統計によります平均的な定期給与額の三カ月ということを何とか確保していこうというような観点から、そういった状況を見ながら対応してきておりますので、今後ともそうした動きを見ながら的確な時期には的確な改定を図っていくということで臨んでまいりたいと思っております。
  123. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 退職手当の保全措置に関しましては、罰則を背景に労基署長が是正命令を命じ得る貯蓄金の保全措置に準じる措置とされておりますが、これは努力義務となっております。このような状況の規制では非常に不十分だと思います。立法措置を含む適切な対応が早急に必要だと考えられますが、この点については労働大臣いかがお考えでしょうか、お伺いします。
  124. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 退職金の保全を貯蓄金の保全と横並び、同様の措置をというお話であります。  貯蓄金の場合は、所有権が既に労働者に移転をしているわけでありまして、金融機関に貯蓄しているような、同じようなものでありますから、つまりそれは労働者からの預かり物ということだと思います。  そして、退職金にそこまで厳しくできるかどうかということなんですが、将来発生し得る権利になるわけでありまして、現時点では、退職という事態が現実に起きるまでは明確に言えばその労働者に権利がまだ移転をしていないということなんだろうというふうに思うわけでありまして、この辺のところをかっちりと貯蓄金と同様に法律的にがんじがらめにできるかどうかというのはちょっとまだ問題があろうかと思います。ただ、できるだけそういう懸念がある企業に対して社外に積み立てができるように指導していくということはこれからも必要だというふうに思っております。
  125. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 確かに、理論的に言えば退職金というのは退職という事実が発生してから顕在化するものでありますけれども、退職金というのはやはり賃金の一部と認められて賃金の後払いの性格というのを持っているわけですから、それが倒産その他によって全く無に帰するということについては非常に大きな問題があると思われます。でき得る限りその対応について御検討をお願いしたいと思います。  最後に、八月二十四日まとめられました一九九七年度の女性雇用管理基本調査によりますと、妊娠、出産で退職した女性労働者の割合は、五人以上の事業所で一五・三%、三十人以上では一九%と報告されておりまして、これは前回の九四年度調査と比較いたしますと非常に低くなっているわけです。これについてはどのように分析をし受けとめておられるのか、お尋ねをいたします。
  126. 藤井龍子

    政府委員(藤井龍子君) 今御指摘のとおり、前回調査と比較いたしますと、妊娠、出産で退職した女性労働者の割合は一二・六%減少をしておるわけでございます。  この理由といたしましては、第一点目といたしましては、女性の職業意識の高まりによりまして、妊娠、出産後も継続して働くことを希望する方がふえてきているということが申し上げられると思います。  それから第二点目におきましては、制度面で、御承知のとおり平成七年四月一日よりすべての事業所で育児休業制度が義務づけられたわけでございまして、その活用が進んだせいではないかと思います。  さらに第三点目といたしましては、昨今の厳しい雇用情勢のもとで、一たん退職するとなかなか再就職が容易ではないという状況もあり、これも影響をしているのではないかと私ども分析をしているところでございます。
  127. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 ただ、私が懸念いたしますのは、産前産後休暇や生理休暇時の賃金について有給保障の事業所の割合もまた低下しているということでありますが、これらについてはどのように受けとめておられますか。
  128. 藤井龍子

    政府委員(藤井龍子君) 同じ調査によりますと、御指摘のとおり、産前産後休暇時及び生理休暇時の賃金について有給保障をする事業所の割合がそれぞれ低下しているわけでございます。  この低下の傾向はここ数年の調査結果で出ておるものでございますが、この原因につきましては私ども本調査からは必ずしも明らかではないわけでございますので、明確にこういう要因ということでお答えはできませんが、やはり昨今の経済情勢のもとで各企業におきましてさまざまな人事労務管理制度の見直しが行われておるようでございます、そういうのも影響しているのではないかと思っておるところでございます。
  129. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 現場の声からいたしますと、こうした有給保障が基準法上違法だというような使用者側の女性労働者に対する意見の披瀝やあるいは強制的な取り扱いがあるということも受けておりますので、そうしたことがないように行政指導上、労使自治の今までの慣行の尊重という形で指導をしていっていただきたいと思います。  時間ですので質問を終わりますが、今般の長引く不況のもとで失業率が悪化をしております。いわゆる職場の創出というような非常に重要なことがこれからどのように具体的に行われるかということですが、これは先ほど合わせわざでやっていきたいということですが、私は、かつての緊急失対事業とは違いますけれども、あるいは将来的にそうした公共事業とリンクする形の失対事業というものを考えなければならないような状況になってくるのではないかというふうに考えますので、さまざまなきめの細かい御検討をお願いしたいと思います。終わります。
  130. 吉岡吉典

    委員長吉岡吉典君) 本日の質疑はこの程度とし、これにて散会いたします。    午後一時六分散会