○市田忠義君 全く納得できないですよ、そんな答弁は。最終裁判所である最高裁判所は、そういう
規定の仕方は私法的な拘束力を持たない、そういうふうに判決を下しているのに、それとは異なった解釈でこの
法案は大丈夫だ、そんなことを国民が納得できますか。大体、
法律に上限を明確に書いて、それ以上の残業時間を禁止してほしい、これが
労働者の強い願いなんですよ。全くそれに今度の
法案はこたえていない。参議院の
審議を通じても
労働者の願いにこたえるものに仕上げられない。そうなれば本当に参議院の存在意義はどうなるのか。私は、このことを特に指摘して、ほかの問題も論議したいので、次に移ります。
前回も私は裁量
労働制について聞きました。衆参の
審議を通じて、あるいは参考人
質疑を通じて、新しい裁量
労働制について重大な問題点が浮き彫りになりました。
第一は、裁量
労働制が持っている本質的問題、すなわち、何時間働いたかにかかわらず労使が協定で決めた時間だけしか働いたものとみなさないわけですから、
労働時間管理を外して際限のない長時間過密
労働を
労働者に強いることになる。そうした
労働を強いられることのないような歯どめが果たして可能なのか。第二には、そういう弊害をこうむる
労働者の範囲を限定できるのか。ここに私は
質疑が集中したと思うんです。そういう疑義があるから、衆議院の修正でもこの問題に
一定の答えを出そうということで恐らく本人同意問題がつけ加えられたのだと思うんです。しかし、それでもなお不明確なために、施行までに一年間の猶予
措置を置いて労使
委員会で決議すべき事項を定める、そういう指針の内容について専門的機関で検討しようということになった。参考人
質疑では、一年では短い、三年ぐらい検討したらどうかという意見もあった。
しかし、いわば
労働条件にかかわる重大な問題を
法律で決めないで、
国会の外で、指針だとか中
基審で
議論するんだとか専門機関を置いて検討するんだとか、結局これでは、具体的な事項がはっきりしないまま、
国会や国民の前には裁量
労働制をどういう
労働者に適用するかはあいまいなままで見切り発車するのと同じことだ、これでは参議院としての
責任ある
審議をしたことにはならない。
はっきりしない具体的な事項には何があるか。私なりに幾つか整理してみると、実
労働時間とみなし
労働時間の乖離、この差を埋められるのかどうか。二つ目には、ホワイトカラー全体に広がるおそれがあるのに、対象業務の具体的な限定は
国会での
議論の外に置かれている、指針で決めるんだとか労使
委員会で決めるんだとか、
労働基準監督署がきちんと管理するんだとか。しかし、
法案では極めて抽象的であいまい、こういう問題がある。三つ目、労使
委員会での決議によって本当に業務限定が可能か。四つ目、これはきょう後でも詳しく詰めたいと
思いますが、届け出時のチェックで十分是正が可能だ、枠は広がらないと盛んに伊藤
局長は言われた、この問題があります。また、臨検監督によって是正が可能か。さらに、そもそも労使
委員会の機能そのものが極めて重大な問題をはらんでいる。これは参考人として出られた連合の松浦さんもおっしゃった。多くの方がおっしゃった。
ほかにも問題がありますが、ざっと挙げただけでも裁量
労働制の問題だけでもこれだけ、まだまだ解明しなければならない問題があります。
そこで、まず対象業務の限定の問題について、前回もお聞きしましたが、改めて聞きたい。
前回私は、
議事録を読み上げて、伊藤
局長の衆議院での答弁が
意味不明だということを指摘しました。
労働大臣にこの
説明がわかりますかと私が聞いたら、かなり回りくどい言い方であった、わかりやすいようにもう一回答弁させますと、
労働大臣もわからなかった。私は、言っている本人もわからないんじゃないかということを言いましたが、よく
考えてみますと、伊藤
局長の
説明の仕方がまずいんじゃないんです。
法案に書いてあることが抽象的、一般的だからなんです。だからああしか言いようがない。あなたの
説明の仕方がまずいんじゃないんですよ。だとしたら、なぜ具体的な対象業務を
国会に示せないのか。
大臣どうですか。