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1998-09-10 第143回国会 参議院 労働・社会政策委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十年九月十日(木曜日)    午前十時開会     —————————————    委員異動 九月八日    辞任          補欠選任      久野恒一君      山崎 正昭君  九月九日     辞任         補欠選任      吉川 春子君     市田 忠義君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         吉岡 吉典君     理 事                 末広まきこ君                 田浦  直君                 溝手 顕正君                 笹野 貞子君                 長谷川 清君     委 員                 大島 慶久君                 斉藤 滋宣君                 鈴木 政二君                 今泉  昭君                 小宮山洋子君                 但馬 久美君                 市田 忠義君                 大脇 雅子君                 鶴保 庸介君                 田名部匡省君                 高橋紀世子君    国務大臣        労 働 大 臣  甘利  明君    政府委員        労働大臣官房長  渡邊  信君        労働省労働基準        局長       伊藤 庄平君        労働省女性局長  藤井 龍子君        労働省職業安定        局長       征矢 紀臣君    事務局側        常任委員会専門  山岸 完治君        員     —————————————    本日の会議に付した案件 ○労働基準法の一部を改正する法律案(第百四十  二回国会内閣提出、第百四十三回国会衆議院送  付) ○参考人出席要求に関する件     —————————————
  2. 吉岡吉典

    委員長吉岡吉典君) ただいまから労働社会政策委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る八日、久野恒一君が委員辞任され、その補欠として山崎正昭君が選任されました。  昨九日、吉川春子君が委員辞任され、その補欠として市田忠義君が選任されました。     —————————————
  3. 吉岡吉典

    委員長吉岡吉典君) 労働基準法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 末広まきこ

    末広まきこ君 おはようございます。自由民主党の末広まきこです。よろしくお願いいたします。本日は労働基準法審議ですが、本題に入ります前に、深刻化しております雇用問題について若干お伺いしていきたいと思います。  例えばの話でございますが、商店街デパートなど、わんさか人出の欲しいところには人影は少なく、そして求職センターハローワークといったところはもう連日、朝早くから大勢の人が詰めかけている、こういったような現状でございます。  七月の完全失業率は四・一%と、六月の四・三%に比べてやや改善はしましたが、依然高い水準となっております。また、有効求人倍率も〇・五倍と、統計をとり始めて以来の最低の水準を記録しております。  このように雇用失業情勢は一段と厳しい状況になってまいりました。中でも中高年方々については、リストラの影響を受けて失業する場合が多い上、その再就職もままならないと聞いております。新聞などでも再就職先が見つからず途方に暮れる中高年の姿が報じられ、失業問題がかなり深刻化しているのではないかと心配でございます。  そこで伺いますが、こうしたリストラの直撃を受け、しかも再就職が極めて困難と言われております中高年方々雇用現状について、統計数字を示して御説明いただきたいと思います。特に失業率求人倍率失業期間などについて、ほかの年齢階層と比較しての説明をお願いいたします。
  5. 伊藤庄平

    政府委員伊藤庄平君) 御指摘ございました中高年齢者方々雇用失業状況についてお答えを申し上げたいと存じます。  まず四十代、五十代ということで他の年齢層と比較しますと、失業率につきましては、本年七月の段階で四十代、五十代の方の失業率は二・六%となっておりまして、若年層や六十歳以上の方に比べると低い水準にございます。ただ一方、求人倍率を見ますと、やはり同じ七月の時点で四十代では〇・五六倍、五十代では〇・二三倍となっておりまして、六十歳以上の方よりは高いものの、若年層の方に比べて低い状況にございます。  また、こうした方々失業した場合の失業期間でございますが、これにつきましては、毎年二月に労働力調査等特別調査で把握をいたしておりますが、本年二月の調査時点で見ますと、年齢区分がやや先ほどの説明と異なりますが、三十五歳から四十四歳層、あるいは四十五歳から五十四歳層、五十五歳から六十四歳層、ここで見ますと、年齢とともに失業期間が長くなるとともに、三十五歳未満の方に比べて一年を超えるという方が多くなっている状況にございます。
  6. 末広まきこ

    末広まきこ君 中高年層雇用環境の厳しさ、とりわけ一たん職を失うと再就職までに非常に期間がかかるということが顕著でございます。こうした方々世帯主として一家を支えている年代層なんですね、四十代、五十代は。しかも、多くの場合は学齢期の子供を抱えて出費のかさむ状況にございます。  総務庁がつい最近発表しました家計調査報告というのでございますけれども、全世帯消費支出は昨年十一月以降九カ月連続の実質減少と報じております。とりわけどういう費目で支出を減らしたのかといいますと、もう断トツで突出しておりますのが教育費でございます。真っ先教育費を減らしているという、二五%近く教育費の方を減らしております。失業によって収入の道を閉ざされることは、ほかの年齢階層に比べてより深刻な事態を招くということがこれでよくわかると思うんです。  失業期間も長引いているようですが、再就職できずに雇用保険失業給付をもらい切った場合はどのような支援措置がとられるのか、延長給付などの措置は十分活用されているのでしょうか、お願いします。
  7. 伊藤庄平

    政府委員伊藤庄平君) 雇用保険失業給付でございますが、この雇用保険失業給付年齢別就職困難度に応じてあらかじめ所定給付日数を定める仕組みになっておりますが、さらに、離職者の方の就職の困難さに関します個別の事情あるいは職業訓練を受講する場合等には、この所定給付日数を終了した後も給付日数延長して支給を行うという制度を設けているところでございます。この延長給付制度対象になった方は、平成九年度で見ますと約四万七千人の方がこの延長対象になっております。  私ども、こうした制度を引き続き適切に運用いたしますとともに、きめ細かな雇用対策を講ずることによりまして、離職者の方の早期再就職の促進に万全を期してまいりたいと思っております。
  8. 末広まきこ

    末広まきこ君 一家を支えている中高年方々が速やかに再就職できますように、労働省は総力を挙げて取り組んでいただきたいと思います。  ところで、労働大臣にお伺いしたいのですが、こうした中高年方々の再就職が困難である原因はどのようなところにあるとお考えでしょうか。また、そうした原因を踏まえ、中高年の再就職迅速化を図るために労働大臣がさらに検討されていらっしゃるようなことはどのようなことでしょうか、お伺いします。
  9. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 中高年層の再就職が困難な理由は、一言で申し上げればその年齢層に対する求人数が少ないということになります。先生承知のとおり、失業率若年層中高年層が高いのでありますが、有効求人倍率を見ますと若年層は比較的高くて中高年層が低いということになりまして、ですから、どちらかという比較論で言いますと、若年層は自発的な失業中高年層に比べると多いということなります。  そこで、そうした有効求人倍率の低い中でどうしてこれを上げていくかということが御指摘をされている点だと思うのでありますが、これは人を求める方と職を求める方のミスマッチをどう解消していくかということが大きな課題だと思います。  その一つとしては、職業能力のバージョンアップといいますか、求めているような職業能力アップをしてうまく結びついていくようなことをしていくということが大事だと思います。それに加えまして、もう先生案内のとおり、さきの緊急雇用開発プログラムの中で中高年層に対する雇用開発助成金年齢層を下げました。五十五支給を四十五以上支給というふうに深掘りをさせていただいた次第でありますし、それから雇用開発求人開拓推進員、これも拡充をして求人情報の収集であるとかあるいは就職面接会の開催等々に取り組んでおります。あわせて、中高年層、特にホワイトカラーが深刻でありますので、アビリティガーデン等でこれを活用いたしまして、先ほど申し上げました職業能力開発というものも積極的に進めていく。  それともう一点、私は大臣に就任いたしましたときに真っ先に指示をしましたことは何かと申しますと、求人求職ミスマッチを防ぐためにもうちょっと有効求人倍率を上げる方途がないだろうかと。  それは、現在、求人求職のデータというのは、一番大きいところは御案内のとおりハローワークでありまして、そこでマッチングを図るわけでありますけれども、それ以外にも求人データベース規模は小さいんですけれどもあるわけでありまして、例えば商工会議所であるとか日経連、それが求人情報を持っているのでありますが、それとハローワークのそれとはまだ遊離している状態でありまして、これをデータベースネットワーク化できないだろうかということがまず私が思ったことであります。このための作業を新政策の中で進めさせていただいておりまして、多少なりともデータベースネットワーク化していきますと有効求人倍率が上がるんではないかというふうに期待をいたしておるところでございます。
  10. 末広まきこ

    末広まきこ君 ありがとうございます。官民の持っているデータベースネットワーク化というのは非常に大事だと思います。  私、一つ印象に残ったことがあるんですが、暮れのデパートというのは非常に混難いたしますよね。そのときに、もう見るからに六十はとうに過ぎていらっしゃるという方が、それも家事用品の売り場にいらっしゃいまして、私はその方にレジをお願いしたわけでございます。すると、商品アドバイス、このサイズではこれとこれとは合いませんよということから、きめ細かに、それからレジのカウントも速い。私は、あれ、すごい人だと思って感動を受けたことがあるんです。そこでわかったことは、そのデパート離職者の中でまだやれそうな人をそういう繁忙期に再雇用しているんですね。ですから、非常に勘も衰えていないし、勘どころを押さえた動きをなさる。  だから、民間の持っているそういうデータベースハローワークの持っているベースともう少しぴしゃっと合うともっとミスマッチが減らせるかなと思います。ぜひぜひお願いしたいと思います。  次に、労働基準法改正案についてお伺いしてまいります。  まず、労働基準法改正を必要とする理由についてわかりやすく説明してください。経済社会構造変化とか労働者就業意識変化に対応するためという言葉で片づけずに、改正に盛られている労働契約期間延長、新たな裁量労働制導入などの改正をなぜ今行わなければならないのか、これを国民の皆様にもわかるような言葉でお願いしたいと思います。
  11. 伊藤庄平

    政府委員伊藤庄平君) 今御指摘ございました労働契約期間延長、それから裁量労働制の問題について、今回の改正に織り込んでいる理由についてお答え申し上げたいと存じます。  まず、労働契約期間上限につきましては、新商品や新技術開発等に従事する高度の専門的知識技術を持った方につきまして、従来の一年という上限を三年にいたしているところでございますが、このような改正は、新たなビジネスチャンスを創造していくための研究開発あるいはプロジェクトの立ち上げ等の際に、今までの社内にはそれをやっていくための人材がどうしても得がたい、そういう場合に国の内外からそういった人材を確保しやすくするための方策でございまして、働く方々から見れば一つ企業に縛られずに自分の持つ高度な能力存分に発揮したいという働き方を可能にする選択肢をふやすことにもつながるのではないかと思っております。  また、新たな裁量労働制でございますが、本社等中枢で働く方々、こうした方々が自律的、主体的に働くことを通じまして、目下これらの方々が従事しています業務、なかなか画一的な労働時間管理になじまない面もございますので、そういった面に新たな労働者保護ルールをしくこともねらいまして、そういったことを通じて創造的な能力を発揮できるような環境を整備していこう、こういうことを考えたものでございます。  このように、この二つの制度はいずれも新しい今後の産業発展や育成あるいは新しい事業分野発展、そういったことのために資していくものでございますし、同時に、グローバル化に対応した我が国のビジネスマンが、自立したそういった人材が活躍しやすい環境のもとで働いていただく、そういったことにも役立っていくのではないかというふうに考えているところでございまして、できるだけ早い段階で御審議をいただいて成立させていただければ、そういった効果が出るように的確な運用に努めてまいりたいと思っておるところでございます。
  12. 末広まきこ

    末広まきこ君 確かに産業構造というのが変化していまして、新しい労働を必要としている場合はどういうところでどういう働き方が必要とされているのか、その辺がもう一つ釈然としないので労働不安というのも募る一方ではないかと思うんですが、私も、今回の労働基準法改正案改正趣旨については適切であると思います。  本改正に対しては、規制緩和の面が強調されておりますが、決してそのような内容ばかりではなく、労働契約の締結時に文書明示しなければならない労働条件範囲拡大、それから時間外労働規制強化個別労使紛争の迅速な処理など、働く立場を踏まえた改正も多く盛り込まれております。  また、規制緩和とされる裁量労働制適用対象拡大などについても、働き方の多様化を図るものであり、みずからそれを望む人がふえてきていることを考えますと、そうした希望に的確にこたえていくことが働く方本人にとってもまた日本経済の将来にとっても大変必要なことであると思います。際立っているのが、自分意思業務遂行の手段を考え実行するということは、働く人の自発性とともに自律性を高めるものであると評価しております。  ただ、注意深く見守っていかなくてはならない点は、働く人が不利益をこうむるような形で改正案利用される懸念がある、こういうことではないでしょうか。したがって、くれぐれもそのような利用がなされないよう十分な歯どめをかけ、また、政府もその点に留意して企業に対して指導を行っていくことが必要なのではないかと思います。大臣、いかがでしょうか。
  13. 甘利明

    国務大臣甘利明君) ただいま先生が御指摘の点は、我々が一番留意をしなけりゃならない点だというふうに考えております。  今回の改正の柱は、もう先生先刻御承知だとは思いますが、おさらいの意味で申し上げさせていただきますと、以下の四点を主な柱としているわけであります。  まず第一点が、労働者が主体的な働き方を通じてその創造的な能力存分に発揮しようとする場合のルール明確化、これが一点であります。そして二点目の柱は、仕事と家庭の調和を図ること等の観点に立った長時間残業の抑制策強化でございます。そして三点目が、変形労働時間制を総労働時間の短縮につなげていくための要件の追加であります。そして四点目の柱が、労働条件明示制度強化とかあるいは有給休暇日数の増加などを織り込んだものであるわけでありまして、つまり、総じて申し上げますならば、時代変化に即応しつつ労働者保護を一層推し進めていこうというものであります。  委員会で御審議いただき、本会議で御了解をいただいてこの法案を成立させていただきますならば、こういうような新たな改正趣旨が十分に生かされるように、事業主に対する周知徹底監督指導強化に万全を期してまいりたいと思います。
  14. 末広まきこ

    末広まきこ君 時間の関係でいろいろな点についてお聞きすることができませんので、私は、特に労働関係の団体から反対の声が高かった裁量労働制に絞ってお伺いしていきたいと思います。  裁量労働制については、既に研究者やデザイナーや編集者方々などに適用されておりますが、現状はどうなっているのか、普及状況はいかがなものか。また、みなし労働時間はどのように設定されていて、それに対する労働者からの不満の声は上がっていないのかどうか。具体的な質問です。
  15. 伊藤庄平

    政府委員伊藤庄平君) 現行裁量労働制でございますが、現在の裁量労働制は、研究開発業務に従事する方あるいは情報処理システムの分析、設計等々、専門分野業務の性質上その遂行方法を大幅に労働者裁量にゆだねる必要があるものとして定めております十一の業務につきまして導入が認められておるところでございます。  その適用状況でございますが、本社常用労働者数三十人以上の企業対象として平成八年に調査しておりますが、採用企業の割合は全体で〇・五%でございます。千人以上の規模で見ますと五・三%ということで、ほとんどが大企業導入されているという状況にございます。  裁量労働制の実際にみなされている労働時間数でございますが、これも平成四年の調査から見ますと平均七時間四十四分でございまして、ほぼ千人以上の所定労働時間と一致する数字でございます。  こうした現行裁量労働制につきまして、実際に適用になっている方々がどう受けとめているかという点につきまして社会経済生産性本部平成五年に調査を行っておりまして、裁量労働制導入されていることについて働く方々の七割がよかったという評価で答えておりまして、導入しない方がよかったという方が大体一割弱おられる、こういう状況にございます。
  16. 末広まきこ

    末広まきこ君 その調査結果については私も存じております。  次の質問にも具体的にお聞かせいただきたいんですが、裁量労働制によって労働者が受けるメリットはどのようなものであるのか、現在導入されている企業における事例を挙げてお答えいただきたいと思います。
  17. 伊藤庄平

    政府委員伊藤庄平君) 御指摘のあった点につきましても、先ほど申し上げました社会経済生産性本部平成七年に調査を行っておりまして、働く方々裁量労働制導入メリットとして挙げているものでございますが、まず第一に多いのが、評価の面で成果志向が高まったことを歓迎する、七七・三%の方がそういった点を挙げております。同時に、これによりまして労働時間の使い方が本人自主性にゆだねられる、そういったことから通勤難緩和、解消されるという点を挙げておられる方が七三・六%おられます。また、精神的なゆとりができるという項目についても挙げておられる方が六九・八%、それから自主性の尊重で仕事の質が高まるという点を挙げておられる方が六七・八%おられる、そういう状況になっております。
  18. 末広まきこ

    末広まきこ君 今回、新たな裁量労働制導入され、裁量労働制適用範囲拡大されることになりましたが、これには労働界からも反対の声が上がりました。しかし、今説明いただきましたように、仕事のやり方や時間の配分を労働者本人が決めることができる制度であり、労働者にとってのメリットも大きいと、社会経済生産性本部調査を挙げておられましたが、裁量労働制適用を受けておる労働者の七割近くが肯定的であるという評価が示されております。適切に利用されるのであれば決して悪い制度ではなく、むしろ労働者にとって意義ある制度である、新しい時代を引っ張る制度であると思います。ただし、この適切に利用されるということが前提でありまして、そのための十分な法的措置を含めた対応が必要であろうかと思います。  そこで伺いますが、裁量労働制労働者の健康や長時間労働に悪影響を与えかねないという声があるのでございますが、これに対してはどのような防止策考えていらっしゃいますでしょうか。
  19. 伊藤庄平

    政府委員伊藤庄平君) 今回提案させていただいております新たな裁量労働制は、従来の裁量労働制と異なりまして本社等中枢で働くホワイトカラー方々、いわば非定型的な業務をやっておられる方々対象とする制度でございますので、その導入に当たっては従来のものと異なり大変慎重な手続、要件を課して提案をさせていただいております。  具体的には、この新たな裁量労働制導入するに当たりましては、賃金労働条件全般について調査審議する労使委員会を設けて、そこで具体的な対象労働者範囲業務を特定するとともに、働き過ぎをどう防止するか、またもしオーバーワークが仮にあったとしたら、健康管理のために休日確保等を含めた健康管理上の措置をどう講ずるかというようなことについて、労使委員会全会一致で決議して届け出ることを制度を始める際の前提条件要件として定めておるわけでございます。  したがいまして、こういった制度が正しく運用されるように私ども厳正に監督指導に努めていくわけでございますが、そういったことが功を奏しますれば、こういった働き過ぎの防止あるいは長時間労働等防止につながりますし、またそうした面で事業主が十分対応していない限り、労使委員会全会一致で決議することを条件にしておりますので、労働者の方から見ればその辺の待遇が不十分であればいつでも拒否できる、こういった制度として私ども提案をさせていただいているところでございます。
  20. 末広まきこ

    末広まきこ君 裁量労働制が入って自分意思仕事に取り組めるということで思わず働き過ぎという、熱中する余りの働き過ぎ、オーバーワークというのが大変心配なんですが、これはもう本当に冗談ですけれども、例えば今あるタイムレコーダーにボイスナビみたいなものをつけていただきまして、それで退社時にぱっと押したら、あなたはきょうは働き過ぎました、あしたはもう少しゆとりを持ちましょうとか、何かそういうふうなことを言ってもらうようなことも必要になるんじゃないかな、あくまでも冗談範囲でそう思っております。  私も、制度としてはこういった措置をとることで十分でありまして、対象として不適当な方への裁量労働制導入は十分防げるものであると思います。加えて、衆議院において修正案で、本人同意要件とされることになってより不適切な利用が回避されるのではないかと思います。  それでもいささかの心配が残ります。実態面でどうなのかという不安でございます。  すなわち、労働組合が組織されておりますような会社ではよろしいでしょうけれども、そういうことの少ない中小企業において果たして労使委員会労使話し合いが適切に行われるのかどうか、この点どうお考えになりますでしょうか。労使委員会という制度を設けるから大丈夫と言えるんでしょうか。中小企業における労使話し合いが適切に行われるような何らかの対策が必要なのではないでしょうか。  改正評価する方々の中にもこんな声があります。企業における健全な労使関係体制を整えることがこの改正法を生かすかぎとなるという意見がございます。ぜひともこうした点に十分配慮していただきたいと思いますが、どうでしょうか。
  21. 伊藤庄平

    政府委員伊藤庄平君) この新たな裁量労働制を実施するに当たりましては、御指摘のように、賃金労働条件等々をめぐりましていい労使関係のもとで話し合いが行われる体制が十分確保されている、そういう状況のもとで実施されることがぜひとも必要だという点については私ども全く同感でございます。  したがいまして、この裁量労働制を実施するためには、先ほど申し上げましたように、労使委員会を設置して賃金等全般について調査審議する場を設けておくことを要件といたしておりますが、この労使委員会の設立に当たりましても、労働組合がない場合にありましても、労使委員会労働側の代表委員の選出につきましては十分民主的な手続で選任されるようにその手続等につきまして、まず従業員の過半数を代表する者を選び、その方が指名する労使委員会のメンバーを従業員の過半数が投票で信任手続をとる、そういった手続を課しまして、この労使委員会労働者代表委員が真に従業員を代表するものとして構成されるようなことを要件として設定をさせていただいているところでございます。  そういった労使委員会がこの裁量労働制導入をめぐりましていろんな条件について話し合うわけでございますが、話し合った結果につきましては労働基準監督署へ届け出義務を課しております。私ども、その際に、届け出を受けた段階で法令あるいは今後つくってまいります指針に適合しているかどうかをチェックいたしまして、適合していない場合は、それに適合したものとなるように厳正な指導、またその後における監督を行ってまいりますので、御指摘のような問題が出ないように、こういった仕組みを十分私ども活用いたしまして的確な制度の運営に努めてまいりたいと思っております。  とりわけ中小企業等で労働組合のない場合を御懸念かと存じますが、今までの仕組みでいろいろ対応できるかと思いますのと、それから各労働基準監督署の窓口におきましては、中小企業の届け出があった場合、大企業と違いまして組織、構成というものは比較的単純でございますから、本当に法律上要件といたしております事業主裁量労働者に与えて、業務上の指示をしないこととする方々対象となっているかどうかのチェックというのは比較的容易でございますので、その辺は厳正に、必要によっては事業所に直接赴いてその辺も確認した上で受理するようなことも今後法案の成立した段階では実施してまいりたいというふうに思っておるところでございます。
  22. 末広まきこ

    末広まきこ君 ぜひ細かい目配りをお願いしたいと思います。  また、裁量労働制下での今後の大きな課題は評価制度であると思います。  先ほど申し上げました社会経済生産性本部調査によりますと、裁量労働制が普及しない理由としまして、企業は、成果についての評価方法が確立していない、これを挙げております。一方の労働者は、納得性のある評価ができていない、こう答える者が五割近くおります。  裁量労働制導入のねらいである労働者が生き生きと働き、持てる能力を最大限発揮する、こういうことを実現するには、やはり適正に評価がなされ、それに見合った賃金が支払われるということが不可欠でございます。こうした適正な評価制度構築に向けて、企業は十分な対応をしているのでしょうか。企業における評価制度の実態について、把握していましたら紹介してください。
  23. 伊藤庄平

    政府委員伊藤庄平君) 御指摘のように、裁量労働制を実施した場合に、裁量労働制導入とはまた別に、我が国の雇用慣行あるいは賃金体系等の見直しが進む中で、やはり能力あるいは成果等を重視した人事管理のあり方を打ち出す企業が今大変増加しておるわけでございますが、裁量労働制を実施する場合には、当然そういったことも労使委員会において使用者側からすべて開示されて、そういうものを見た上で労働側が裁量労働制導入に賛成をするかどうかを制度上は十分担保した仕組みといたしているところでございます。  現在の裁量労働制で見ましても、裁量労働制導入メリットとして、先ほどお話し申し上げましたように、仕事評価面で成果志向、そういったものが徹底してきている、そういうことを労働者側から評価する声が六六%ほどもあるわけでございます。  今後、こういった評価制度が今ちょうどいろんな企業で検討され、創意工夫されて変わりつつある段階でございますので、私どもそういった実例も集めながら広く関係者に提供して、労使委員会等におきましては、労働者が参画したもとでこの裁量労働制導入前提としての評価制度について労使間で十分話し合われたり、必要な情報が事業主から開示されるような指導をしてまいりたいと思っております。
  24. 末広まきこ

    末広まきこ君 まだ余り評価制度については具体的なところは確立されていないというようなイメージですね。  この評価制度については本当に素朴な疑問がございまして、例えば営業のようなすぱんと売上高の増減という数字ではっきりと成果が出てくるような場合は評価もしやすいわけなんですけれども、大事などの管理部門では成果というものは客観的に出てこない。その場合の評価はどうなるのか、こうした部門において評価は今後どのように適正化していかれるのかという、まことに素朴な疑問も感じます。  そこで、日本の評価制度の実情と、アメリカでは既に成果主義を採用していると聞いておりますが、どういう評価システムをお持ちなんでしょうか。これはおわかりの範囲内でお教えください。
  25. 伊藤庄平

    政府委員伊藤庄平君) 評価制度、我が国の現状、それからアメリカにおける状況でございますが、我が国における評価制度の最近の状況を見ますと、目標管理制度導入してそれを評価賃金制度と結びつけている例が非常に多くふえてきております。  この目標管理制度は、あらかじめそういった本社等のいろんな部門におられるホワイトカラー方々につきまして、上司と面接等をしながら、達成すべき課題、またそれにどのように取り組むかというようなことを話し合って、その達成すべき課題、目標を設定する、それを一定期間経過した後に、自分がどこまで達成したかというようなことについて自己評価をして上司と話し合う、上司がそういったことをもとにして達成ぐあいを評価して記録し、人事等のセクションとつないでいく、こういったことを基本とした制度を設けておられるのが一番最近の大きな目標管理制度の実情かと存じます。  こういうことを通じまして、今評価制度がいろいろと変えられつつある、また創意工夫されつつある段階だろうと思いますが、今後この労使委員会という仕組みを通じて、労働側が参画したもとでこういったよりよい評価制度ができていくことを期待しておるわけでございます。  アメリカの場合、我が国の形と若干違いますのは、職務の評価制度が非常に発達している、給与等がほぼ職務給で構成されている、職務ごとに細かくその難易度また達成すべき課題等があらかじめかなり確立されておる状況にございます。したがいまして、職務ごとにその目標の設定等が比較的容易に行われ、それをどこまで本人が達成したかというようなことの評価もかなり以前から発達した仕組みで行われておるようでございます。特にそういった評価につきまして、上司と直接評価される方が話し合いながら評価する、評価成果について本人にフィードバックする、こういった仕組みも一般的に行われておるようでございまして、かなりオープンな形で評価が行われる体制ができているというふうに伺っております。
  26. 末広まきこ

    末広まきこ君 日本では、自分のやった仕事の成果が評価されるなんという、そういうドライなシステムというのは今までなかったものですから、なかなか感覚的になじみがないので、それゆえに評価制度はどのようなものになるのかというのが大変興味もあるし心配でもあるというところでございます。労働省としても、公正な評価のモデルをつくって企業に示すべきであると考えます。また労働者としては、何らかのモデルや標準があってほしいというのが切実な気持ちでございます。  そこで、最後の質問になりますが、裁量労働制趣旨が十分に生かされ、生き生きと働くことができ、働く人たちが持てる能力を最大限発揮することができるような環境整備に向けて、質問を幾つかさせていただきましたが、私は適切な労使協議の問題や評価制度の問題などにも力を注いでいただきたいと思います。  衆議院における修正によりまして、裁量労働制導入が一年延期されることになりましたので、この間に私が申し上げました点についても十分な御検討をひとついただきたいと思いますが、これらの点につきまして、最後に大臣の御決意を伺って私の質問を終わります。
  27. 甘利明

    国務大臣甘利明君) お話しのとおり、衆議院でこの部分、裁量労働制の施行の時期が一年先になりました。それは御指摘のとおり、先生指摘のもろもろの心配事をきちっと検討しなさいと、そのための時間というふうに承知をさせていただいておりまして、この指針に関しましては法案成立後直ちに専門的な検討の場を設けまして精力的に検討していきたいと思いますし、その上で中央労働基準審議会に諮りまして、労使の合意が得られるように十分に審議を尽くしていく所存でございます。
  28. 末広まきこ

    末広まきこ君 ありがとうございました。
  29. 田浦直

    ○田浦直君 自由民主党の田浦直でございます。  先日、大臣の所信あるいは労働基準法の一部改正趣旨説明をお受けしたわけですけれども、それに関連して幾つかお尋ねをさせていただきたいと思っているわけでございます。  私は、いろいろお話を聞いておりまして、これからの労働力あるいは労働、こういうものは一体どうなっていくんだろうかという非常な心配を持っておるわけでございます。御存じのように日本というのは少子・高齢化というものがとても進んでおるわけでございまして、先日の新聞でも少子化については出生率が一・三八ですか、百十九万人しか生まれていないということが取り上げられております。  私、昭和三十何年と思いますけれども、ひのえうまの年というのがあったんですけれども、そのときに物すごく子供が減ったんです、出生が。一年で二百万ぐらいあったのが、その年は五十万ぐらい減って百五十万ぐらいになったという鋭角のカーブを思い出しておるんですけれども、今の出生率は百十九万、その鋭角のカーブのさらに鋭角のカーブを描いた出生率しかない、これがしかもずっと続いておるというふうな状況でございます。これはやっぱりもっと真剣に考えなければ、あるいは国としてももっと真剣に取り組まなければならない課題だというふうに思うわけです。  一方では、今度は高齢者、もう世界で一番長寿国になっている。男子では七十七歳、女子では八十四歳というふうな高齢社会になっている、しかも長生きしながら働ける、そういうふうな時代になってきているわけです。そういったものを総合しますと、例えばこれから十年、二十年、三十年ぐらい先の労働というのはどういうふうに変わっていくのか、あるいは労働力といいますか、そういったものを総合したものはどういう変化をしていくのか、それに対して国は対応できるのかな、そういうことを感じるわけです。  少子・高齢化の進展する中で今後の労働力についてはどういうお考えを持たれておられるのか、基本的なことですけれども、その点からお尋ねをさせていただきたいと思います。
  30. 征矢紀臣

    政府委員(征矢紀臣君) ただいまの今後の我が国の労働力人口のまず動向でございますが、御指摘のように少子・高齢化が今後進展するという中で、私どもの推計によりますと、若年層労働力供給の減少によりまして、二〇〇五年ころをピークとして全体として労働力人口は減少に転ずるものというふうに見込んでおります。こうした中で、労働力人口全体に占める六十歳以上の割合につきましても、一九九七年の一三・四%から二〇一五年ころにおきましては約二〇%、労働力人口の五人に一人が六十歳以上の高齢者となるというふうな見込みでございます。  これに対してどう対処するかという点につきましては今後の重要課題でございまして、当面の対策とあわせて今後の政策ビジョン等について検討を始めているところでございます。
  31. 田浦直

    ○田浦直君 高齢化社会ですから、今お話があったように将来は五人に一人ぐらいの六十歳以上の労働者が必要になってくるという時代になってくるんだと思うんです。そういったときに、その高齢者の雇用というものはやっぱり今までの雇用関係と違うものが生じてくるはずだと思うんです。そういったものをどういうふうに今とらえておられるのか、それをまずお尋ねいたします。
  32. 征矢紀臣

    政府委員(征矢紀臣君) 御指摘のとおりでございまして、現状でありますと、ようやく六十歳定年が一般化して法律的にも義務化された、こういう段階でございます。それをスタートとして、今後の高齢者の雇用対策をどうするか、雇用がどうなっていくか、こういうことでございますが、ただ一方で、高齢者の方々については生活の状況あるいは健康状態、そういうものも多様化していく、そういうこともございます。したがって、そういう多様化する状況に応じた対策をとっていくことが非常に重要な課題になってくるのではないか、こういうことでございます。  一方では、高齢化社会の中で、年金制度につきましては、二〇〇一年からスタートして二〇一三年で支給開始年齢が六十五歳になるということは制度的に確定しているわけでございまして、そういうことも高齢者雇用対策を進めるときに考えていかなければならない課題である、こういうことでございます。  したがって、そういう中で、一つには六十歳定年というもの、この定年がどこまで延長できるか、こういう問題がございます。ただ、これは現状におきましては労使双方のさまざまな事情によって、一律的に例えば六十歳定年と同じような形で進めることはなかなか現状では困難である、こういう問題点もございます。  それから、その働き方としましては、状況に応じて定年後再雇用であるとか勤務延長というような形で希望する方は引き続き働けるという制度、これをできるだけ普及していこうということ。あるいはそういう中で、一般的にそういう形ですと賃金がダウンするわけでありますから、雇用保険制度の中で賃金がダウンした場合にそれを補てんする仕組みとして六十五歳までの間、高年齢雇用継続給付という形で給付をする、こういう考え方。  それからもう一つ考え方は、就業という形で、雇用関係という形ではなくて就業という形になりますが、シルバー人材センターというのを全国的に展開しておりまして、いわば一定の収入を得ながら仲間の中で働く、そういう臨時的、短期的な仕事をしていく、そういう場の提供、そういうものも今後の重要課題ではないかというふうに考えております。  それから、生活のためにどうしても働かなければならないという方については、公共職業安定所において最大限求人を確保し、なかなか就職が難しい中で助成金の活用を図りながら就職に結びつけていく、そういう対策も必要であるというふうに考えているところであります。
  33. 田浦直

    ○田浦直君 さっき話がありましたように、二〇一五年になりますと二〇%の人が六十歳以上であるわけですね。そのうち六十五歳以上の方も一二・八%あるわけです。今まで恐らく六十五歳以上の方々の職場あるいは仕事というものはなかなかなかったんじゃないかというふうに思うんです。  しかし、今後はそれがもう一割以上占めるようになってくる。そういうふうな今で言えば定年の後に働く人たちがどんどんふえてくるという時代になるのはもう間違いないわけですから、定年後にどういうふうな職種でどういう働き方をし、どういう御指導をされるのか、どういつだことを考えておられるのか、その辺をひとつ御説明していただきたいと思います。
  34. 征矢紀臣

    政府委員(征矢紀臣君) 御指摘のとおりでございまして、今後高齢化社会、具体的には先生おっしゃるように高齢者の方々がふえていく、そういう方々について、健康状態等も個人差は確かにあるんですが一般的にいうと元気な方もふえていく、そういう中でできるだけ社会参加をさまざまな形でしたい、そういう御希望も多くあるわけでございます。  そういう中でどう対処するかという点につきましては、先ほど申し上げましたように今後のあるべき姿について検討を始めているところでございますが、二十一世紀のその年代になりますと先進諸国の共通の課題としてそういう高齢化というものが、テンポの差はあるんですが結果として大体同じような状況になっていくということが見込まれておりまして、そういう意味で、昨年のデンバー・サミットにおきましてアクティブエージングというような考え方が提唱されたところでございます。  これは活力ある高齢化というように訳されておりますが、高齢者で元気な方はできるだけ、希望する方はさまざまな形で社会参加あるいは雇用の場で働いていただく、そういうことが重要ではないか。結果としてそれが高齢者の方々の健康の面に好影響を与える、あるいは年金制度、社会保険制度についてもいい結果を与える、そんな考え方もあるわけでございます。そういう観点から、高齢者の方々がどういう形で働いていただくか、それは例えば六十五歳という年齢にこだわらずに今後検討していく必要があるのではないか、そういう将来の方向を、今後あるべき姿を検討してまいりたいというふうに考えているところでございます。  ただ、先ほど申し上げましたように、二〇一三年に六十五歳が年金支給開始年齢になる、段階的に六十一歳から六十五歳まで引き上げられていく、そういう中で六十五歳までの雇用、これをどう確保するかということが当面の最重要課題でございまして、それについては先ほど申し上げましたようなことを進めているところであります。
  35. 田浦直

    ○田浦直君 若年者の労働者、若年者というか働き盛りの労働者の数というのはどんどん減ってくるわけです。そうしますと、それを今度は高齢者でカバーするというふうになるんじゃないかと思うんです。  ただ、その場合それが本当にできるのかという疑問があるんです。やっぱり若い人の労働力というのは若い人でないとできないものがあるわけです。例えば体力を非常に使うものだとか、近代的な機器、コンピューターを初めいろんなものを扱うとか、そういったことは若い人でないとできない。できないとは言いませんけれども、そういう方々が実際には従事する。そういう方々が減った分を今度は高齢者の方々が、先ほど話がありましたように高齢者の方々の希望としては短時間の労働をしたいとか、任意的な労働をしたいとか、そういう意向ですから、それで埋め合わせることができるのかなという疑問がどうしてもあるんです。その辺の整合性というものはどういうふうに考えられているのかなという気がするわけです。  例えば、若い人の一人の分を高齢者の方が二人とか三人で短時間ずつ埋め合わせる、これはできるかもしれませんね、時間的には。しかし、その労働の質、中身の問題まで本当にそういうカバーができるのかという気が私はするわけです。その辺についてのお考えをひとつお願いしたいと思います。
  36. 征矢紀臣

    政府委員(征矢紀臣君) 大変難しい御質問でございますが、おっしゃるようなところが問題点としてございます。  そういうところにつきましては、一つには、今後の経済が発展する中で技術革新がどのような形で進んでいって、例えば機械の自動化とかそういうものが進んでいくことによって若い人でなくてもできるような仕事がどうふえていくのかとか、そういう問題がございます。それからもう一つには、そういうことの中で、全体が高齢化する中で高齢者の方々にどういう仕事能力開発することによってやっていただけるようにできるかとか、そういうことも考えていかなければならないというふうに思います。  したがいまして、そういう観点については、恐らくどういう職種について高齢者の方々に適するかというようなことも調査研究していく必要がありますし、それからもう一つは、労働力の実情がそういうふうに高齢化する中で高齢者の方々が働けるような職場環境をどうやってつくっていくか、そういうことも今後の重要課題になろうかと思います。  そういうことを含めまして、いろんな面で幅広く今後の対応を考えていく、検討していく必要があろうというふうに考えております。
  37. 田浦直

    ○田浦直君 御説明はよくわかるんです。だから、それはそれで大変大事なことだからぜひやっていただきたいと思うんです。  私は、やはり基本的には若い労働者をつくるというのが一番大事なことではないかなと思っておるわけです。それは国際的な競争という面からいいましても、やっぱりそうしなければだんだん国の力というのが落ちていくんじゃないかなという危惧をしているわけです。そういう意味から、ぜひ少子化対策といいますか、そういったものに取り組んでいただきたい。これは労働省の方からも取り組んでいただきたいと思っておるわけなんです。  今いろいろ少子化対策というのがやられていると思うんですけれども、私はそれを見ておりますと物足らないんです。こんなもので本当に二十年先、三十年先の国のことを考えて取り組まれているのかなという気がしてならないんです。もっと真剣に少子化対策というものに取り組んでいただきたいと思うんです。  それからもう一つは、女性の職場への進出というふうなこともあります。これがまたカバーできるということもありますから、そういう意味をあわせますと、どうしても女性が働けるような、しかも産み育てられるような、そういうふうな環境づくりというものをしてあげなければならないというふうに思うんです。  その辺が随分今おくれているという私は認識を持っているわけなんですけれども、そういったものについての環境の整備、これは早急に取り組んでほしいんですが、どういうふうにお考えなのか、お尋ねをしたいと思います。
  38. 藤井龍子

    政府委員(藤井龍子君) 御指摘のとおり、少子化の進展の中で働く女性が十分能力を発揮し、充実した職業生活を送ることができる環境づくりをするということは大変重要な課題だと私どもも認識しております。  このことも踏まえまして、昨年、男女雇用機会均等法の改正をいただいたわけでございますが、改正のポイントは、採用、昇進など雇用の各分野における女性に対する差別の禁止、それから女性の能力発揮を促す企業の積極的取り組みの促進、さらに母性、健康管理強化等でございました。労働省といたしましても、この改正男女雇用機会均等法に沿った雇用管理が各企業において円滑に実施されますよう、来年四月一日の施行に備えまして、改正法周知徹底を図りますとともに、事業主に対する行政指導、相談援助を積極的に実施しているところでございます。  また、女性が十分能力を発揮するためには、現実に育児、介護の負担との両立ということが重要な課題でございます。そこで、育児・介護休業法に基づきまして、育児休業制度や介護休業制度の定着を図りますとともに、両立支援対策というものを幅広くかつ積極的に推進しているところでございます。
  39. 田浦直

    ○田浦直君 少子化対策として今おっしゃられましたいろんな施策があると思うんです。例えば税制でもそうだと思うんです。あるいは建設あるいは医療、例えば子供の医療費の無料化とかそういう経済的な面もあると思うし、あるいは保育所をたくさんつくる、事業所内保育所をつくる、あるいは保育料の軽減をするとかいろんな施策が当然あると思うんです。  労働省に関して言えば、今おっしゃられたような育児休業制度あるいは介護休業制度、こういったものをきちんと定着させるあるいは普及させる、そういったものを労働省としては早く取り組んで、取り組んでおられると思いますが、普及をさせていただきたいと思うんですけれども、そういうことについては今どういう定着てあり普及であるのか、お尋ねをしたいと思います。
  40. 藤井龍子

    政府委員(藤井龍子君) 育児休業制度の定着状況についてのお尋ねでございますが、私どもで平成八年度に行いました調査では、規模三十人以上の事業場で育児休業制度についての何らかの規定を設けているというところが六〇・八%という結果でございます。  ただ、先生十分御承知でいらっしゃいますとおり、育児休業というのは法律によりまして個々の労働者に直接権利が付与されているというものでございますので、事業場におきます規定の有無にかかわらず請求すれば育児休業がとれるというものでございまして、法施行後既に五年以上経過してございます。普及状況といいますか、これは今申し上げた数字をかなり上回っていると申し上げてよろしいかと存じます。  育児休業の取得状況でございますが、これにつきましても、同じ調査結果では、働きながら出産された女性の四四・五%が育児休業をおとりになっているという結果が出ているところでございます。  また、別の数字で申し上げますと、育児休業期間中に育児休業給付金というのを支給してございますが、この支給結果を毎年集計してございます。平成八年度が約五万九千人、平成九年度が約六万五千人ということで増加をしているというような状況でございます。  このように、私どもとしてはかなり普及は進んでいるかなとは思っておるわけでございますが、それにしましても規定の整備がおくれている事業場もあるというのも事実でございますので、私ども事業場訪問などあらゆる機会をとらえまして定着に全力を注いでまいりたいと思っておるところでございます。
  41. 田浦直

    ○田浦直君 介護は、介護休業制度
  42. 藤井龍子

    政府委員(藤井龍子君) 介護休業制度につきましては、来年の四月一日から義務化がされるということになっておるわけでございますが、なるべくその義務化の前に多くの企業導入をしていただく必要があるということで、私ども、導入奨励金制度、あるいは勤務時間短縮の措置というのもございますので、これを導入していただくための奨励金制度などを設けまして事業場になるべく早く導入していただくような指導を進めておるところでございます。1なお、同じ平成八年度の労働省調査で、既に介護休業制度導入している事業場は、三十人以上の事業場の二三・二%という状況でございますので、私どもまだまだ導入に努力をする必要があると思っております。  毎年十月というのを「仕事と家庭を考える月間」と定めております。ことしも十月に集中的に介護休業制度の内容等の周知徹底のために全国各地でセミナーを開催するなど、一層の努力をしてまいる予定にしているところでございます。
  43. 田浦直

    ○田浦直君 わかりましたけれども、まだ物足らないですね。育児休業制度にしてももう少しできないものかなという気がします。  それから、これは労働省でないからなんですけれども、例えば児童手当というものがあるんですけれども、これも私はやっぱり外国と比べると非常に少ないといいますか、もう少し大幅にできないのかなと。その基本的な観点というのが、やはり子供さんをたくさんつくるというものがいかに国にとって大事なものかというものの認識の仕方が足りないんじゃないかなというふうに思うんです。これは決して労働省に言っているわけではなくして、国、政府、そういう大きなものに言っているわけなんですけれども、ぜひ労働省もその一端として取り組んでいただきたいというふうに思うわけです。  今度、労働基準法の一部改正が出ましたけれども、私は当然こういったこともこの一部改正の中に含まれておるはずだと、将来のことを考えて、五十年ぶりに労働基準法改正するというわけですから、いろんなところで含まれているだろうというふうに思うんですけれども、具体的にはどういつだものでその少子・高齢化対策についてのものが含まれているのか、お尋ねをしたいと思います。
  44. 伊藤庄平

    政府委員伊藤庄平君) この少子・高齢化の問題、これに的確に対応していくことは、労働時間のあり方なども含めまして当然労働行政全体の大きな課題であるというふうに私ども受けとめております。したがいまして、今般の労働基準法改正案の作成に当たりましても、この点を十分念頭に置いて作成に当たったわけでございます。  御提案申し上げている内容の中にございますように、新たに時間外労働を抑制するための時間外労働上限基準というものを労働基準法に基づいて定める仕組みをつくりまして、これを活用いたしまして、育児や介護を行う女性の方につきましては経過措置としてこれを短く設定する。衆議院におきます修正におきましては、この短く設定するという意味合いを明確に現在の女子保護規定の水準であります年間百五十時間という水準でそれを抑えていく、こういうこともなされたわけでございます。さらに、この経過措置が終わるまでの間に、この家族的責任を持つ男女の労働者の方につきまして、時間外労働が一定を超える場合にその超える部分について時間外労働の免除をできるような制度につきまして、これも検討して必要な措置を講ずる、こういうことも加えられたわけでございますので、私どもこういったものも着実に制度化していくように努力をしていく、こういったことを対処してまいりたいと思っております。  今回の労働基準法改正は、先生指摘のようなことも視野に入れてそういった内容を織り込まさせていただいているところでございます。
  45. 田浦直

    ○田浦直君 そういう子育ての施策として平成六年にエンゼルプランというのがつくられておりますね。これは厚生、文部、労働、建設の四大臣の合意でエンゼルプランというのができたわけですけれども、これが何となくまだくすぶっているというか、子育てのための力をまだ発揮していないというような気がするんです。  このエンゼルプランについて、初めにエンゼルプランの概要といいますか、エンゼルプランというものは一体どういつだものか、どういう目的でつくられたのか、その点ひとつお尋ねをしたいと思います。
  46. 藤井龍子

    政府委員(藤井龍子君) エンゼルプランは、平成六年十二月に文部省、厚生省、労働省、建設省の四省で策定したものでございまして、正式の名称は「今後の子育て支援のための施策の基本的方向について」ということになってございまして、策定のねらいといたしましては、社会全体の子育てに対する機運を醸成するとともに、企業、職場、地域社会などの子育て支援の取り組みを推進するということになっております。そこで、今後十年間、平成六年からの十年間でございますが、子育て支援施策の基本方針と重点施策を定め、総合的、計画的に推進するというねらいになっております。  内容といたしましては、重点的な施策として、例えば労働省でございますと育児休業給付の実施というのを掲げてございます。これは、もう既に平成七年度から実施しているものでございます。それから、厚生省さんの関係で申し上げますと地域子育て支援センターの大幅拡充、それから建設省さんの関係でございますとゆとりある住宅の整備、それから文部省の関係で言いますと、教育内容、方法の改善を行い、ゆとりある教育を実現するといったようなことが内容になっております。
  47. 田浦直

    ○田浦直君 子供さんをつくりたくないということではないんですね。アンケートなんかをとりますと二・五三名は欲しいという統計があります。実際は二・一七名しか産んでいない。それについては、先ほどからいろんなことを言っていますように経済的なものあるいはほかのいろんなものがあるんですけれども、そういったものを解除してやれば子供さんたくさんできるんじゃないかなと思うんです。  そういう意味でも、私はこのエンゼルプランが出たときに非常に期待をしたわけです。これをどんどんやっていげばきっと出生率もふえてくるんじゃないかというふうな期待をしたわけですけれども、逆にどんどん減ってきている。やっぱり高齢者対策というものも非常に大事ですから、とれも当然やらなければなりませんから、ゴールドプランというのが対照的にあるわけです、エンゼルプランとゴールドプランと。  ゴールドプランの方は非常に綿密にできている。例えば、ヘルパーさんの数は何年度には何名何名とかなっているわけです。目標をつくられている。あるいは施設については何施設、ベッドについては何ベッド、もう年度ごとにきちんとできている。その目標を達していっているわけです。しかも、それで足りないから新ゴールドプランというのをつくってさらに上乗せしてやっている。  このエンゼルプランというのは、今お聞きしますと漠然たる趣旨、総論的な話なんです。これからぜひもう一歩突っ込んで、ゴールドプランと同じような目標を設定していただいて、それに合わせて、これは恐らく進まないのはお金が出ないからなんだろうと私は思うんです。そういった意味で、大蔵省が入っていないからだめなんだろうと思うんですが、そういうことではどんどん取り組みがおくれていきますので、ぜひ目標を設定していただいて、それを達成する。例えば、税制はどうするかとか、あるいは医療費の無料化はどうするとか、保育料はどうするかとか、建築にどれだけお金をかけるかとか、そういったものをぜひつくっていただきたい。今のエンゼルプランのままでは、これは死んでしまっています。  そういったことについて何か御意見があったら、これは大臣、どうでしょうか。何か御意見があったらお尋ねをしたいと思います。
  48. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 私も子供が二人おりますが、長女は家内が大学に在学中に産みまして、一年間休学をいたしました。その間にも月謝を取られたのでありますが、私が全部払いました。第二子を産むときには、仕事を持っているときでありまして、結局仕事をやめて子供を産んでまた新たに復帰をしました。  私の家内は医者をしておりますので、再就職というのは非常に楽な方なんでありますけれども、それでもその間にいろいろと苦労をいたしまして、職業を持ちながら子供を産み育てていくというのはいかに大変かというのは私も実感をいたしております。  今までも、局長が答弁をさせていただきましたとおり、仕事を持ちながら子供を産み育てるのがなるべく障害にならないような環境整備をしていく、これは労働省だけじゃなくて全省庁挙げて取り組んでいかなきゃならない。我が省としては、先ほどお話ししましたように、育児休業に二五%のお金をちゃんと保険給付からできるようにする、あるいは職場に保育施設を設ける、そのための補助金、上限がたしか二千三百五十万ぐらいだったと思いましたけれどもそういうのを出そうと、いろいろと具体的に職業生活と家庭生活が両立するようにするためのバリアが何であるかを検証して、それを取り払っていくための作業をしているわけであります。  あわせて、御案内のとおり総理が主宰をされております少子化への対応を考える有識者会議というのがございまして、これはもう今の観点も幅広く検討していくと、大体一年程度かけて検討するということになっておりまして、早ければ十一月ぐらいから提案が上がってくるというふうに承知をいたしておりますが、それを受けて我が省として次に何ができるか、これを幅広く検討していきたいというふうに思っております。
  49. 田浦直

    ○田浦直君 大臣のお言葉はよくわかるんです。  今、大臣からもお話がありましたように、少子化への対応を考える有識者会議というのを総理の諮問機関としてつくられて取り組む、ここの意気込みは私も非常にいいと思うんです。ただ、もう今さら有識者の話を聞くような時期ではないと思うんです。もういっぱい出ているんです。どんな資料もありますし、どんな結論もある。要するに、やるかやらぬか、そこだけなんです、今のところは。  私は、きのう有識者会議の分科会というのがあったというのを新聞で読ませてもらいましたけれども、もう本当にちゃちな話、新聞の中で読むと、少子化はなぜ問題かとか、少子化の要因として結婚と出産の減少、日本の働き方が少子化とどのように結びついているのか、仕事と育児の両立への支援の四点を中心に今後の議論をすると書いてあるんです。こんなことはもう山ほど出ているんです。  私は、本当にこれを期待しているんですけれども、大臣も総理にお会いされる機会もたくさんあられると思いますし、ぜひ労働委員会でそういう意見が出たので、私は希望として言わせていただけば、年次計画なりつくっていただいて、それにはこのくらいの予算を注ぎ込むんだというふうな具体的なものをもう出す時期であるというふうに思っておるんです。  そういうことで、ぜひ大臣にも御協力をお願いしたいと思うんですけれども、最後に大臣の御意見をお尋ねして終わらせていただきます。
  50. 甘利明

    国務大臣甘利明君) ただいまの先生のお話を真摯に受けとめまして、閣議等機会あるときに発言をさせていただきたいというふうに思っております。
  51. 田浦直

    ○田浦直君 終わります。
  52. 小宮山洋子

    小宮山洋子君 民主党の小宮山洋子でございます。  労働基準法改正について伺いたいと思います。  まず、基本的な考え方を大臣に伺いたいと思いますが、これはいろいろいい面があるというふうに多々言われておりますけれども、私は労働規制緩和の面というのが非常に強いのではないかと思います。政府規制緩和の柱として、労働分野ではこの労働基準法改正と派遣法の改正が二つ大きな柱として挙げられている点からもそれが言えると思うのですが。多様な働き方ができると言われていますけれども、規制緩和、競争原理ということは力関係でもあるわけですから、今の現状からいきますと、もちろん一部多様な働き方ができる人もいるとは思いますが、多様に働かされるという面が強いのではないかというふうに思うんですが、その基本的なとらえ方をぜひ大臣から伺いたいと思います。
  53. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 私、今小銭を持ち合わせていないものでありますから委員と呼ばせていただきますが、今、小宮山委員の御指摘の中に労働規制緩和というお話がありました。確かに政府規制緩和推進計画の中に労働分野規制緩和ということでこの項目が入っております。ですから、私も全くそういう部分があるということを否定するというわけではありませんけれども、実は時系列的に申し上げますと、この政府規制緩和推進計画にカウントされるそれよりかなり前から、この労基法の改正については十年くらい前から問題提起がされてずっと検討されてきたわけでありまして、それを労働省の言い分から言わせていただきますと何となくつまみ食いをされてしまったと。だから本来の趣旨と違う部分がむしろ強調されてしまってはいないかという懸念というか、若干不満を持っているわけであります。  それはどういうことかと申しますと、たしか社民党の大脇先生が何かの席でお話しになったことが、私非常になるほどと思わせていただいたんですが、それはこういうお話だったと思いました。労働基準法というのは労働条件の最低基準を保障するための法律である、そして今般のこの労基法の改正は二十一世紀の働き方に対して最低基準をどう確保、保障していくか、そういう点であるというお話でありまして、一言で表現するとそういう話になるのかなとしばし感心をした次第であります。  労働基準法制定以来五十年がたちまして、その間にいろいろと世の中の変化というのがございます。働く方の働き方に対する価値観といいますかニーズも随分と多様化をしてきた。つまり、時代の要請にこたえる中でどうやって労働最低基準を確保していくか、そういうための改正だというふうにとらえておりまして、若干規制緩和論が強調されるのでありますが、そのスタートの基本は、そういう時代の要請にこたえる中で労働条件の新しい働き方、ニーズ、価値観に対して労働基準の最低保障をどうするかということが出発点だというふうに理解をさせていただいております。
  54. 小宮山洋子

    小宮山洋子君 もちろん規制を緩和して競争原理でやった方がいい部分もあることはあると思いますけれども、労働者が安心して働けるためにはそのためのセーフティーネットがきちんとなければいけない。その一つがやはり人間的に働く労働時間だと思うんですけれども、皆様もちろん御存じのこととは思いますけれども、ちょっとパターンでいかに日本人が多く働いているかを見ていただきたいと思います。(図表掲示)  これは労働省労働時間課が推計したもので、各国のデータと比較して、日本人はこれは五人以上の事業所をとっているんですけれども、九六年で日本は千九百九十三時間、イギリス、アメリカは千九百時間台ですけれども、フランスの千六百七十九時間、ドイツの千五百十七時間と比べますとはるかに多く働いている。しかもこれは労働省企業から聞き取られた毎月勤労統計をもとにした数字なわけです。ですからサービス残業などは含まれていない数字でこれであると。そのサービス残業も含んだ数字としては、総務庁が一人一人から聞き取った労働調査というのがございます。これはもちろん基準とかが違いますから単純には比較できないとは思いますが、これによりますと、週の労働時間が平均四十二・七時間、これを単純に五十二を掛けますと二千二百二十時間にもなるわけです。私の取材などの体験からしましても、こちらの方が実態に合っているのではないかというふうに思っています。  その男女ともの労働時間規制ということが今回きちんと確保されていない。こうした働き方の中で、しかも年次有給休暇の取得率も五四%という、余り休めていない。そういう中で男女ともに労働時間が緩和される、規制緩和になるということは、五十年余りぶりの大改正としては私はやはり考え方が違うのではないかと思いますけれども、どのようにお考えでしょうか。
  55. 伊藤庄平

    政府委員伊藤庄平君) 先生指摘のように、ただいまの生産労働者について推計した数字で国際比較をいたしますと、短縮されつつあるとはいえ、まだヨーロッパ等の国々に比べてかなり長い状況にあることは御指摘のとおりでございます。  私どもはそういった状況を踏まえて、労働時間の短縮を、週四十時間制、長時間残業の抑制、それから年次有給休暇の取得促進、こういったことを柱に進めてまいりまして、ここ十年間では二百時間を超える年間の総実労働時間の短縮を図ってきております。特に週四十時間制につきましては、昨年四月から全面的に実施いたしまして、所定労働時間の短縮についてはかなり数字の面でも短縮となってあらわれてきているところでございます。  私ども今回の改正では、そういったことの上に立って、長時間残業の抑制それから年次有給休暇の日数の増加、こういうことを今回の改正に織り込ませていただいて、さらにこの労働時間短縮という流れを確実なものにしていきたいと思っているところでございます。  具体的には、時間外の面では上限基準というようなものを大臣が定めるということを法律に根拠を置きました体制をつくりまして、従来に比べてより強い指導ができる武器を私ども持たせていただきたいというふうに思っているところでございます。さらに、これを軸にいたしまして、家庭責任を持つ方の激変緩和措置、あるいはその後における一定時間を超える時間外労働の免除措置、こういったものも確実に制度化を進めまして、時間短縮の効果を上げていきたいと思っておりますし、今回法案に織り込んでおります年次有給休暇の日数の増加も私ども総実労働時間の短縮に必ず効果を上げていくものというふうに考えておりますので、ぜひその辺の私どもの考えでいるところにつきまして御理解を賜りたいと思っております。
  56. 小宮山洋子

    小宮山洋子君 その労働時間の延長の限度について、法律案の中では、基準を定めることができるものとするとなっているわけですけれども、現在ある労基法の中でも、罰則がついていても守られていないものがかなりございますね。そうした中で、罰則がなくて、基準を定めることができるものとするということで効力があるのでしょうか。また、三百六十時間を超えたときの三六協定の民事的効力はあるのか。この二点を伺いたいと思います。
  57. 伊藤庄平

    政府委員伊藤庄平君) 御指摘の時間外労働上限基準を今度定めますが、それを超えて三六協定が締結された場合の問題でございますが、労使がそのような協定を結んだ場合には法律上直ちに無効になるものではないと解釈されるかと思います。しかしながら、この時間外労働上限に関する基準に適合しない三六協定を締結されまして、それが届け出されてくる、そういう場合には、私ども届け出の際に十分チェックいたしまして、合理的な理由がない限り、他の基準法違反の場合と同様、監督署名によりまして是正勧告を行いまして厳正に対処していく、こういうことを通じまして理由なく上限基準を超える三六協定をまず解消していく、そういうことを通じまして長時間の時間外労働の抑制に実効を上げていきたいと思っております。  ただ、このようにもし理由なく上限基準を超える三六協定、こういうものがあるとすれば、今のような形でこういったケースの解消を図ることがまずもって重要と思いますが、もしそのようなケースが生じまして、それを拒否したというようなことで何らかの不利益取り扱いを受けた、こういう事例があります場合には、当然そういったものにつきまして争われる場合、裁判所の判断に際しましては、こういう新たな改正規定が設けられたということが裁判所の判断に十分参考になるものとして扱われていくのではないかというふうに考えているところでございます。
  58. 小宮山洋子

    小宮山洋子君 重ねて伺います。  今、直ちに無効とは言えない、合理的な理由がない場合はというお答えがございました。衆議院でも一概には無効にはならないという趣旨の御答弁があったと思うんですけれども、私は、時間外労働上限基準を超える残業命令には、その理由にかかわらず合理性がなく労働者を拘束できない、業務命令には効力がないというふうに考えますが、重ねて伺います。
  59. 伊藤庄平

    政府委員伊藤庄平君) 二つの側面からお答え申し上げたいと思いますが、まず私ども、届け出義務がかかっております三六協定でございますので、窓口段階でまず厳正にチェックし、理由なくこの上限基準を超えるような三六協定は解消させていくという気持ちで取り組んでまいります。もし、そういうことで三六協定を直しておきながら実際上それを超える残業命令を出したという場合には、これは直ちに労働基準法違反、いわゆる罰則のついた形での労働基準法違反という形になるわけでございます。  それからもう一つ、どうしても三六協定そのものがこの上限基準を超えるものがあると。その場合には、理由といたしまして、例えば企業が存亡の危機にかかわっているときとか、あるいは同じ事業場内でもあるセクションでは新製品等の開発のプロジェクトの山場にかかっている、あるいはそれを市場に送り出すちょうど詰めのときであるとか、そういった期間にいろいろ臨時的、緊急的な事情でどうしても超えるというケースがあるかどうか等、厳格な理由をただしながら私ども対応することになるのではないか、そういうふうにしてまいりたいと思っているところでございます。
  60. 小宮山洋子

    小宮山洋子君 今のお答えには満足いたしませんが、またこれは改めて聞かせていただきたいと思います。  次に、少子・高齢社会の中で育児、介護、これはアンペイドワークとして女性が九割担っている現状がございます。これももう一枚パターンを見ていただきたいと思うんですけれども。これです。(図表掲示)  共働きの夫婦の勤労時間で、これは総務庁の社会生活基本調査平成八年のものでございますけれども、男性は賃金労働、有償労働を一日八時間二十九分しています。これに対して女性は五時間三十五分、これはやはりパートで働いていたり働く人数が少ないということからここにおよそ三時間近くの差がございます。ところが、家事関連時間というのは、家事、育児、介護が入っていますけれども、これは女性が三時間五十八分しているのに対して、何と男性は十一分なんですね。このあたりが二十一世紀の働き方にどうかということがあるわけです。これを合わせますと八時間四十分とおよそれ時間四十分、一時間今でもこのアンペイドを加えますと共働きの場合女性の方が働いております。  これは私は、このままで例えば規制緩和をして、もちろん激変緩和とかがあることは存じていますが、もしこれで男性と同じに規制を外してしまうとすると、女性は過労死をするか働くのをやめるしかない。これは、先ほどセーフティーネットという言い方をしましたけれども、人間らしく男女ともに働くためには、男性の時間も女性の時間もある程度のレベルにそろえておいて、それをきちんとやはりセーフティーネット、枠組みとして置いて、この家事、育児、介護も、男性も人間らしく人生八十年豊かに生きるためにはこれが必然でございますので、定年後三年で亡くなるなどというのは男性にとっても不幸なことだと思いますから、やはり家族と向き合って男性も生きる、そういう生き方を変えていくための改正に今回の改正がならなくてはならないのではないか。そういう意味では甚だ不十分だと思っています。  それで、今回激変緩和ということで年間百五十時間、これは女性保護規定がなくなった後、その激変を緩和するためということが盛り込まれることになっておりますが、これはもろ刃の部分がありまして、一方では相変わらずこれを女の役割としてしまうのではないかという心配の声もございます。でも、現実として実際にこれだけ女性が担っているんですから激変を緩和しなければならない。その場合、その対象労働者として、育児というのは何歳まで考えられているのでしょうか。
  61. 伊藤庄平

    政府委員伊藤庄平君) 激変緩和措置の具体的内容をどうするかにつきましては種々御論議をいただいているところでございますが、既に昨年、均等法とあわせまして保護規定の解消の中で深夜業につきましてもその制限が解消されまして、あわせて深夜業につきまして、育児、介護等を行う方々についての免除請求制度が創設されておるわけでございます。その中では小学校就学時までの年齢の子供さんを育児する場合が対象になっておるわけでございます。  この激変緩和措置の方は時間外労働についてのいわば措置でございます。これをどういつだ範囲にするかにつきましては、時間外労働という特殊性を考慮していかなくてはいかぬと思いますが、やはり既にある女性少年問題審議会で一応合意されております深夜業に関する免除請求権の対象となる範囲、これを基本としながら、改めて中央労働基準審議会で御議論いただいて具体的に決めてまいりたいと思っているところでございます。
  62. 小宮山洋子

    小宮山洋子君 私は、深夜の方につきましてはまた後ほど伺いますけれども、小学校就学時まででは不十分だというふうに思います。今のいろいろ教育の問題家族の問題ということを考えましても、これはやはり小学校を卒業するまでの子供が対象になるべきではないかというふうに思っています。  諸外国を見ましても、例えばスウェーデンなどの例でも、子供を対象としたものの場合、十二歳までという法律がいろいろございます。そういうことから考えましても、これも二十一世紀を目指しての法律ということでありますから、深夜の部分も私は改めてほしいと思っているわけですけれども、これからつくるものは、やはり前例にこだわらずに、ぜひ小学校を卒業するまでというふうにしていただきたいと思います。  それから、この激変緩和措置、三年たった後、男女ともの規制につきまして、衆議院の附帯決議で「その水準について激変緩和措置との連続性に充分留意すること。」としていますけれども、そこへの道筋、どのようにそういう方向で取り組まれるかを伺いたいと思います。
  63. 伊藤庄平

    政府委員伊藤庄平君) この激変緩和措置につきましては経過措置、いわば緊急避難的に、育児、介護を行う女性の方々対象とした措置でございますが、本来そういった点、男女の労働者がそういった面についての役割を担っていくべきだという考えに基づきまして、私ども、経過措置が終了するまでの間には、男女の労働者の方につきまして一定の時間を超える長時間の残業につきまして免除を請求できる制度について検討をして、必要な措置を講じてまいりたいと思っております。  その際に、激変緩和措置との連続性に留意すべきであるという附帯決議を衆議院の方で私どもいただいておりますので、この激変緩和措置の内容、これが固まりましたら、それを土台にしながら、それと連続性を十分保つ、いわば乖離はできない、こういう範囲内でこの制度のあり方を早急に詰めて必要な準備を始めたいと思っているところでございます。
  64. 小宮山洋子

    小宮山洋子君 その連続性に留意ということは、激変緩和措置が年間百五十時間ということであれば、当然そちらも百五十時間にということだと私は考えております。  それで、特に、女性の保護規定を外すときに、今も女性が弱い立場なのではないから女だけを保護する必要はないという言い方もされました。それも一面では確かにそうだと思いますが、今守られなければいけないのは、やはり家族的責任、育児、介護を担う労働者、この保護ということはぜひ必要だと考えます。  日本は、ILOの百五十六号条約、家族的責任条約を批准しているわけですね。その国際条約と国内法というのはどちらが上位にあるという考えをお持ちでしょうか。
  65. 伊藤庄平

    政府委員伊藤庄平君) 国際条約を批准した以上、国内法制、当然にその条約に適合する形で整備をしておかなければならないというふうに理解をいたしております。
  66. 小宮山洋子

    小宮山洋子君 この家族的責任条約の内容につきまして各国が守るべき道筋を示した百六十五号勧告の中には、一日の労働時間を次第に短くするということが盛り込まれているはずです。今回の労基法改正はこの方向とも反するのではないかというふうに私は思うのですけれども、いかがでしょうか。
  67. 伊藤庄平

    政府委員伊藤庄平君) 今回の改正法案につきましては、週四十時間制を昨年四月に実施いたしまして所定労働時間の短縮を図り、その上に立ちまして次は時間外労働の抑制である、こういう観点から、その実効ある抑制方策といたしまして時間外労働上限につきまして労働基準法に根拠を置いて基準を定めて強力に指導できる形をつくる、こういうことで改正案提案させていただいているわけでございます。この仕組みには当然労使の遵守義務、それから監督署の指導の権限、こういうことも明記しておるわけでございます。  こういったものが効果を上げてまいるというふうに私ども考えておりますので、今回の労働基準法につきましては、一日の労働時間を長くする点というのは正直申し上げて入っていない、むしろ方向性としては一日の労働時間をさらに短くするということをねらっている、またそういう方向へ必ずや効果を上げていく内容になっているものというふうに理解をいたしております。  もし先生指摘の点が、昨年男女雇用機会均等法とあわせて機会均等の充実強化、こういうことの観点のためにあわせて必要だということで、女性の方の保護規定の改正をされた部分についての御指摘であるとすれば、やはりその点につきましても今回の労働基準法改正は、そういった点につきましてさらに激変緩和措置、また激変緩和措置が終わるまでの間に講じます時間外労働の免除に関する制度、こういうことを着実に制度化を図ることによってさらに一日の労働時間を短くしていく、こういう方向で作用していくものというふうに理解をしているところでございます。
  68. 小宮山洋子

    小宮山洋子君 私は、今おっしゃったように一日の時間が短くなる方向での改正だとは思っておりませんけれども、ここで議論をしていると切りがございませんので、短くするべく努力をしていらっしゃるということですから、まだ取り組みが遅い、テンポが遅いと私は思いますので、もっと実効性を早く上げていただきたいと思います。  そして、家族的責任条約の実効性を高めるためにこれまで政府としては何をしてこられて、これから何をなざるおつもりなのか、お聞かせください。
  69. 藤井龍子

    政府委員(藤井龍子君) 家族的責任条約、ILO百五十六号条約でございますが、この条約の主な内容といたしましては、家族的責任を有する男女労働者が差別されずにできる限り職業上の責任と家族的責任とが抵触することなく職業に従事する権利を行使することができるようにすることを国の政策の目的とするというのが基本的な内容になっておるわけでございまして、我が国はこれを平成七年に批准しているわけでございます。  労働省といたしましては、この条約の趣旨を踏まえまして、育児休業法に基づきます育児休業制度の定着促進を図りますとともに、批准をしました同じ国会で改正をいただいたのでございますが、育児休業法の改正によりまして介護休業制度を新たに義務化、法制化していただいたわけでございます。その他、育児や介護を行いながら働き続けやすい環境の整備、育児、介護等のために退職した方々に対する再就職支援措置など、職業生活と家庭生活の両立を支援するためのさまざまな施策を推進しておるところでございます。  今後とも、こういった家族的責任を有する労働者方々仕事と家庭の両立支援のための施策につきましては一層の充実を図ってまいりたいと考えているところでございます。
  70. 小宮山洋子

    小宮山洋子君 私は、この条約は先ほどから申し上げている二十一世紀の男女ともの生き方、働き方のてこになる条約だと思っていますので、おっしゃったようなことをさらに力強く進めていただきたいというふうに思います。  次に、深夜業につきまして幾つか伺いたいと思います。  衆議院での修正と附帯決議で、就業条件の整備や、健康確保のための健康診断結果に基づく回数の減少など、労働安全衛生法の改正を行って必要な措置をとるようにというふうにしていますけれども、その際の条件整備としてはどのようなことを考えていらっしゃるのでしょうか。
  71. 伊藤庄平

    政府委員伊藤庄平君) 深夜業の問題につきましては、これを抑制していくための労使の自主的な努力を促進しながら、同時にその実効ある抑制方策について政府においても検討していくことが一づ指摘されました。それから、今、先生指摘ございましたように、深夜業に従事する方々の健康、これについて的確なチェック、労働者の方の自発的な健康診断を含めましてその辺のチェック体制を整備し、その結果によっては、安全衛生法において例えば作業の転換、労働時間短縮ということを事業主が今講ずべきことを定めておりますが、それら深夜業もにらんだ措置を義務づけていく、こういうことが附帯決議の中に趣旨として織り込まれているわけでございます。私ども、この衆議院での附帯決議を受けまして、早速この両者について具体的な行動に入ってまいりたいとは思っております。  一つ指摘あった方の安全衛生法の改正に向けての条件整備でございますが、現在は事業主の方に定期健康診断を義務づけて、その結果に基づいて異常があれば事業主が医師の意見を聞いて作業の転換等の措置を講じなければならないという形になっております。  そこでは二つの問題がございまして、労働者自身が自発的に受けた健康診断をどう活用していくかということが今の体系には入っていない。それからもう一つは、事業主の方に義務づけています作業の転換等に深夜業のことがいわばはっきり意識された形で表現されていない。こういう二つの問題がございますので、その辺につきまして私どもどういつだ対応の仕方があるかを十分検討し、場合によってはそういったことを実施していくために、特に自発的な健康診断等を進めていくために予算措置等も必要になることも考えられますので、そういった点については関係方面との折衝等を行って条件整備、環境整備を図りながら検討を煮詰めて、この改正法案をできるだけ早い時期に御審議をお願いできるように持っていきたいと考えております。
  72. 小宮山洋子

    小宮山洋子君 私は、本来はこの健康診断によって何か支障があるという場合だけでなくて、深夜業というのは本来人間が働くべき時間ではないと思いますので、そういう意味では一般にその回数とか間隔の制限がある程度必要なのではないかというふうに思うんですが、その点はいかがでしょうか。
  73. 伊藤庄平

    政府委員伊藤庄平君) 先生の御指摘のように深夜業、やはり健康とのかかわりでいろんな点が研究すべき、あるいはさらに掘り下げて検討すべき要素があろうかと存じております。  ただ、深夜業につきましては、我が国の産業活動を見ますと、自動車や電機といった主要産業におきます交代制、あるいは最近のようにグローバル化いたしますと世界の市場を見て対応している金融の部門、あるいは都市のコンビニ、あるいは賞味期間等の関係で深夜につくるいろんな食品、そういったこと等々、いろんな分野で深夜業が実際上行われているわけでございまして、これらをどのように回数等も含めて少なくしていくための措置を講じていったらいいかというのは大変難しい課題であることも事実でございます。そのために私ども、まずそういった業種ごとに労使方々にテーブルに着いていただいて自主的なガイドラインを作成していただく、そういったことに向けてまず努力を開始したいと思っております。  そういった中で、先生指摘の回数等々の問題についても労使間で議論が行われるかと思います。私どもそういった状況もつぶさに同時に把握しながら、並行して過度の深夜業を抑制するための実効ある方策というものにどういうものがあるか、衆議院での附帯決議を受けた検討を並行して進めていきたい、こういうふうに思っているところでございます。
  74. 小宮山洋子

    小宮山洋子君 もう一回重ねて伺いますが、業種ごとのガイドラインをつくる、それでガイドラインでは不十分だと思いますので法律へということもあるかと思いますけれども、検討して措置をとるのに急ぐ必要があるというふうに思います、法改正はすぐですので。その期間としては、でき上がるまでどれぐらいの期間考えておいででしょうか。
  75. 伊藤庄平

    政府委員伊藤庄平君) まず、労使の方にテーブルに着いていただいて自主的なガイドラインの作成を目指して話し合いを開始させる、このことがまずもって重要かと思います。そういった中で出てくる回数等をめぐる議論も把握しながら、私ども実効ある抑制方策について検討をしていくわけでございますので、まず法案を成立させていただいた段階労使の方をテーブルに着けさせる、そういう努力がどういうふうに進むか私どもできるだけ急いで進めたいと思っておりますが、その辺の作業が進んだ段階で、今後の深夜業の検討についての結論を出せる時期等についていわば目途をつけてまいりたいと思っております。  ただ、その間におきましても、先ほど御指摘がございました労働安全衛生法の深夜業をめぐる改正につきましては、これはまた別の問題として着実に準備は進めてまいりたいと思っております。
  76. 小宮山洋子

    小宮山洋子君 先ほど百五十六号条約のところでもちょっと話が出ました育児・介護休業法の話をしたいと思うんです。  これでは深夜業につきまして今回改正で、申請をすれば育児、介護をしている労働者は深夜業を免除されるというふうになっておりますけれども、一点は、子の年齢も、先ほど申し上げたように小学校就学前までではなくて小学校を卒業するまでにするべきではないかということ。それから、申請ができる労働者にいろいろな条件がついていますね、この条件を全部満たすというのは私はかなり難しいのではないかと思いますので、この条件緩和が必要であるということ。こういう点で、この育児・介護休業法の中の深夜の申請して免除される部分につきまして、さらに改正をされる考えはないのか。  また、こちらの方が先行しているわけですから、今回の法律との関係をきちんと整理をして、とにかくそういう労働者が免除される措置を一刻も早く整備する必要があると思いますが、その二点を伺いたいというふうに思います。
  77. 藤井龍子

    政府委員(藤井龍子君) 育児・介護休業法第十六条の二及び第十六条の三によりまして、事業主は、小学校入学までの子の養育や常時介護を必要とする状態にある対象家族の介護を行う労働者が請求した場合においては、事業の正常な運営を妨げる場合を除き深夜において労働させてはならないという規定が設けられたわけで、来年の四月からの施行になっているわけでございます。  小学校入学までの子の養育ということになっておるわけでございますが、これは通常、子供が学齢に達するころには育児負担が相当程度軽減されるということで、審議会等でも十分御議論をいただいて合意の上でこういうような規定ができておるということでございます。  また、深夜業の制限の措置といいますか、請求をできる労働者についていろいろ条件がついておると。例えば、日々雇用される労働者や勤続一年未満の労働者は請求できないというような条件がついておるわけでございますが、これは女子保護規定が解消されるに伴いまして、現実に深夜に子を養育するあるいは介護を要する家族の世話をする人がいなくなるケース、そういったケースヘの対応としてこういう措置が絶対に不可欠であると考え労働者に対して形成権としての請求権を認めたものでございますので、法律でこういった権利を認めておるわけでございます。その対象者あるいは請求できる期間等については、法律によって最低限保障すべき範囲として規定されているものであると思っております。  ただ、深夜業の制限に関しまして、事業主が配慮すべき事項というのを定めた指針というのを告示で定めておりまして、この指針の中で、労働者の子の養育または家族の介護の状況労働者の勤務の状況等がさまざまであることに対応し、制度の弾力的な利用が可能となるよう配慮することを事業主に求めているところでございます。  私どもといたしましては、この指針等に基づきまして、来年四月以降施行されることになっておりますので、事業主方々に対しまして制度の弾力的な運用につきまして周知、啓発に努め、なるべく育児や家族の介護を行う労働者方々に活用いただけるような制度となるよう指導してまいりたいと考えておるところでございます。
  78. 小宮山洋子

    小宮山洋子君 私はやはり現状では配慮だけでは不十分だと思いますので、ぜひ検討をお願いしたいと思います。  次に、休日労働について伺いたいと思います。  回数等を含むガイドラインの設定などを中央労働基準審議会で労使の意見を尊重して検討するようにと附帯決議に入れてあります。  私は、女性のこれまでの基準、工業的業種は禁止、非工業的業種は四週一日ということでのガイドラインが必要なのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  79. 伊藤庄平

    政府委員伊藤庄平君) 先生指摘のありました衆議院の附帯決議を踏まえまして、私ども法案を成立させていただいた段階で、できるだけ早い時期にこの休日に関しますがイドラインの設定などの措置につきまして中央労働基準審議会に諮り、意見を聞くようにしてまいりたいと思います。  具体的な内容につきましてはそういった中央労働基準審議会での御議論を踏まえて対応したいと思います。先生から具体的な回数等についての御提案がただいまございました。私ども一つの御提案として受けとめさせていただいて、この基準審議会の議論を見守りながら具体的なものについてまた固めてまいりたいと思っております。
  80. 小宮山洋子

    小宮山洋子君 次に、有期雇用期間の定めのある労働契約について伺いたいと思います。  私は、問題は幾つかありますけれども、大きく分けて二つの問題について伺いたいと思います。  一つは、上限を三年にすることになっていますが、これは業務が厳密に限定されませんと無定量な労働をふやすことになると思います。現にパート労働法ができた後、有期雇用が二割から四割にふえたという例もございます。乱用の防止が必要だと考えますが、いかがでしょうか。
  81. 伊藤庄平

    政府委員伊藤庄平君) 今回御提案申し上げている改正法案の中では、労働契約期間上限につきまして、新商品、新技術開発等のための業務、あるいは新規事業の展開を図るためのプロジェクトの業務、こういったところで事業場内ではどうしてもそういったことに必要な能力を持つ人材がいない、こういう場合にそういった高度の技術や知識を持つ人材を雇う場合に限って三年という延長を認めておるところでございます。またもう一つは、六十歳以上の高年齢者の方につきましては、定年退職後の長期雇用を確保する観点から設けておるわけでございます。  こういう限定でございますので、私どもこれを厳正に監督指導を通じて運用をしてまいります。このように強く制限されている以上、多種多様な職種で、またスキルの程度につきましても、非常に幅の広い労働需要があるパート労働の場合と異なりまして、決して乱用にわたることはないかというふうに考えておりますが、そこは十分、心して厳正な運用に努めてまいりたいと思っております。
  82. 小宮山洋子

    小宮山洋子君 もう一つは、この有期雇用が若年定年制につながりかねないという点です。現実にアルバイトスチュワーデス、有期契約の客室乗務員の場合、三年間本当に我慢を重ねて正規雇用を待っている、ところが実際には途中で切られるというケースが多いと聞いています。これは入るときからそういう形でなっていきますと、ますます女性の働き方としてはよくない形になると思いますので、そのあたりの歯どめについてはどういうふうに考えていらっしゃるでしょうか。
  83. 伊藤庄平

    政府委員伊藤庄平君) この有期労働契約の問題と実質若年定年制的な機能をするのではないかということの関係でございますが、今回の改正法案の作成をめぐる議論に際しましても、契約期間上限延長する場合に先生指摘のような問題が出るのではないかという御意見がございました。私どもも、そういったことも踏まえて、この改正趣旨が本当に新商品、新技術等の開発のために必要な社内では得がたい研究者やエンジニアの方とか、そういった方に内外から来ていただく、こういうことのための改正であるということを踏まえて、この条文で限定しましたように一例えば新規の大学卒業者とか、そういった方がこういった上限延長対象に決してならない仕組みをとらさせていただきました。  もう一つは、若年定年制との関係で考慮しなくてはいけないのは、今回の改正法とは別に、一年以内の契約というのは現行法で認められておるわけでございますので、これを反復更新していく形で、ある時点で契約を更新しないということが起こり得る問題でございます。この点につきましては、審議会での議論の過程でも再三意見が出され、衆議院におきます国会審議の過程でも意見が出されて、専門家による研究会を設けて調査検討を行うようにと、こういう附帯決議をいただいたところでございます。  私ども、附帯決議の趣旨を十分踏まえまして、この有期労働契約の反復更新の問題につきましては、専門的な研究会を設けまして、実態把握、また最近におきます裁判例の動向等を詰めてまいりまして、どのように対応する制度、施策があり得るか煮詰めてまいりたいと思っております。
  84. 小宮山洋子

    小宮山洋子君 今言われましたように、附帯決議で、反復更新の実態、裁判例などの調査研究を行い、その結果に基づいて法令上の措置を含め必要な措置をとるとしているわけですけれども、その際、やはり契約の締結時とか、それから労働条件などについても、反復更新をする場合、不利なことがないように細かい配慮が必要だと思いますが、いかがでしょうか。
  85. 伊藤庄平

    政府委員伊藤庄平君) 確かにこの反復、短期の契約を結ばれる方につきまして、例えば既にパート労働法におきましては労働条件の明示等を努力義務であれ課したりして、入り口からの問題に対応していること、先生指摘のとおりでございます。  今回の労働基準法改正案では、そういった点も含めまして、努力義務ではなくて、こういった短期の有期契約の労働者、パート労働者の方も含めまして、入り口の時点労働条件の明示を義務づけするという強化を行い、また出口の方でも解雇の理由等について請求があれば書面で明示しなくてはいけない。また、そういった方がそういう入り口、出口両方を通じまして、もし労働条件をめぐって何らかの問題を抱えておられる場合には、そういった相談を受けて、裁判等に持ち込まずとも、労働基準局の指導、助言、そういったものを出して、問題の早期解決に結びつくための方策も今回の改正法案に入れ込んでいるところでございます。  とかくパート労働者方々等をめぐる労働条件の問題、多数相談が寄せられますので、こういったことを的確に運用いたしまして、先生御懸念のような入り口から出口まで起きるいろいろな問題、これに的確に対処できるように努力してまいりたいと思います。
  86. 小宮山洋子

    小宮山洋子君 次に、裁量労働について伺いたいと思います。  私は、この裁量労働範囲を広げることはいろいろ問題が多いと思います。労基法は、先ほど大臣も大脇委員の話を引いておっしゃいましたけれども、働き方の最低条件を保障するものであるはずですね。そうなりますと、今回、この裁量労働の場合、労働者の同意を前提にはしていますけれども、同意をするかどうかで最低条件を守ることになるのでしょうか。
  87. 伊藤庄平

    政府委員伊藤庄平君) まず、確かに先生指摘裁量労働者対象になるためには、個々の労働者の同意をとらなければならない仕組みを衆議院におきます修正に基づいて挿入をされたわけでございます。この点は、裁量労働制についてのいわば乱用にわならないようにという意味での大きな歯どめになろうかと存じております。  ただ、裁量労働制の実施に当たりましては、その大きな枠組みを既に要件として設定いたしておりまして、賃金あるいは評価制度等も含めたことについて調査審議することを任務といたしました労使委員会、これを設立いたしまして、そういった賃金あるいは人事管理等についての事業主からの情報の開示を受けつつ、裁量労働制をその関連で実施することが適切かどうか、労働者側が同意しない限り、これは全会一致導入の同意をしない限りこの裁量労働制は使えない仕組みといたしております。  そういう仕組みの中で導入が始まりますので、あわせて個々の労働者の同意ということが入れば、この裁量労働制対象労働者について、御懸念のように無用に実質裁量権のない方々にまで広がるというような点については、私ども万全の措置ができ上がったのではないかというふうに思っているところでございます。
  88. 小宮山洋子

    小宮山洋子君 範囲をどのようなところで限定するかということなのですが、企画、立案、調査、分析の業務というのはどのような範囲なのか、具体的に示していただきたいと思います。例えば営業担当の場合はどうなのであるか。あるいは職場の責任者、チーフ、店長などの場合はどうなのか。それから、女性保護規定の対象外である指揮命令者の場合はどうか。また、コース別雇用管理による総合職の場合はどうなのか。このコース別雇用管理による総合職として採用された新規の社員がこういう形になるというのはかなり問題なのではないかと思いますので、今のような私の問いに答えていただく中で範囲を具体的に示していただきたいと思います。
  89. 伊藤庄平

    政府委員伊藤庄平君) 裁量労働制対象者の範囲は、まず法律に即しますと、企画、立案、調査等の仕事を事業の重要事項を決定する部門において行っておることが一つでございます。これは、会社の重要な運営方針を決定する部門で、いわばそういったことに関連いたしまして問題がどこにあるか発見し、その問題を解決するための方策、手段等々についてみずからが考え、それをまとめて立案し実行に移していく、こういう一連のことをみずからがやるということがまず要件とされております。しかも、そういったことにつきまして法律上、事業主業務上の指示をしないこととする業務、こういうふうにいたしておりますので、そういったことについてみずからの才覚で段取り等も決め実施する方に限られる、こういう法律上の仕組みといたしております。  そこで、御指摘ありました例えば営業担当ということについて見ますれば、本社等におきまして全社的な販売政策、いわば販売計画の企画立案等を行う方はもちろん該当者として十分検討しなければならないと思いますが、個々の営業マン、具体的に営業活動そのものをやっておられる方は裁量労働制対象ではございません。  それから、いわば女性の保護規定が現在外れている指揮命令者の場合でございますが、例えば課長等々管理監督者は現在労働基準法労働時間に関する規定の適用除外でございまして、これはいわば裁量労働制よりももっと進んだ別の形になっておるわけでございます。ただ、それは管理監督者でございまして、相当の部下を持ち指揮監督をする立場にある方でございまして、それまでの間のいわば係長、あるいは私どもで言えば課長補佐といったような部門につきましては、この裁量労働制との関連で仕事のやり方から見てなじむかどうか、判断を要する対象者にはなり得ると思っております。  また、総合職の方、総合職という分類で一概に裁量労働制との関係を論ずることはできないわけでございますが、先ほど申し上げましたように、問題の発見からその解決方法、それを立案して実行に移す、そこまでをみずからの判断で段取りを決めて仕事考えていく、こういうことが法律上の要件でございますので、私ども指針等で具体的な範囲を示す際には、大学を出てすぐ総合職で雇われたという方は通常そういうことはまずできない、むしろアシスタントとして働いて経験を積む期間が相当あるはずだというふうに思いますので、そういった方はまず裁量労働制対象にならないというふうなことは明らかにしていくことになろうかというふうに思っております。
  90. 小宮山洋子

    小宮山洋子君 適用できる場合としまして、やはり業務の性質上、使用者が労働時間の配分等について指示することができない場合というふうに厳しく限るような歯どめが必要ではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
  91. 伊藤庄平

    政府委員伊藤庄平君) これは裁量労働制対象者である以上、事業主から業務上の指示を受けて労働時間の配分、仕事の進め方について裁量制がない以上、これは裁量労働対象者にならないことは当然でございまして、今回の改正法案におきましても事業主業務上の指示をしないこととする業務についている労働者に限るということを明文を織り込んで、今御指摘のあったような点については明確に除外するように措置をいたしておるところでございます。
  92. 小宮山洋子

    小宮山洋子君 この裁量労働制の中のかぎを握るとも言われております労使委員会について伺いたいと思います。  この労働者代表は無記名の投票で選ぶことが必要だと考えますが、衆議院でも答弁されていますけれども、実際に中小企業あるいは組合のないところでは、労働者が知らないうちに労働者代表が選ばれているという例も現実にございます。そういう意味で、そのあたりの選び方の公平性、公正さにつきまして重ねて確認をしたいと思います。
  93. 伊藤庄平

    政府委員伊藤庄平君) この労使委員会裁量労働制につきましては重要ないわば拒否権等も含めて権限を持った場でございますので、そこに参加する労働者の代表委員の選び方については、非常に厳正な民主的な手続で行われなければならないというふうに私ども思っております。  法律上、労使委員会に参加する労働者の代表委員は、労働組合がある場合にはその労働組合が指名し、指名の上にさらに従業員の過半数を超える信任を得なければいけない、こういうふうにいたしております。また、労働組合がないケースにつきましては、従業員の過半数を代表する者をまず選挙等によって選んでいただいて、その従業員の過半数を代表する方が複数の代表委員を指名する、そして指名したら、労働組合がある場合と同様、従業員の過半数の信任をやはり投票によって受ける、こういう仕組みにいたしております。  そういった手順について、具体的なことは法律の委任を受けて労働省令で定めます。労働省令では、あわせまして、いわば総務課長とかそういった方ではなくて、真に従業員の側を代表する者でなければならない、そういったこともつけ加えて規定をいたすことにいたしております。
  94. 小宮山洋子

    小宮山洋子君 この裁量労働導入されることによりまして、業務遂行くの責任がかなり強調されることになると思います。それによって残業がふえるという可能性が心配されます。それを防ぐためには、人員配置など、業務処理のための組織上の整備ですとか、業務量に直結する事項など、こうしたことはこれまで労働者との協議にはなじまないということで除外されていた部分かと思いますけれども、こうしたことにつきましても、裁量労働にかかわる周辺のいろいろな条件整備という意味で協議の対象にすべきではないかと思いますけれども、この点についてはいかがでしょうか。
  95. 伊藤庄平

    政府委員伊藤庄平君) 労使委員会におきまして、全員合意で導入意思決定をしなければならないというのが大前提となる要件でございます。したがいまして、労使委員会賃金労働条件等全般について調査審議する。したがいまして、裁量労働制導入とあわせて、賃金体系あるいは人事管理体系がどう変わるのかということについても、当然説明を受けた上で裁量労働制導入について労働側が同意するかどうかを決定するわけでございますが、その際に、先生指摘ありました中にはかなり経営事項も含まれる可能性はあるかと思いますが、少なくともそういった事項について事業主から開示を受けない限りは同意しないということも可能な仕組みにいたしております。  したがいまして、労使委員会では、同意するに当たって、情報が必要であればそういったことを事業主から出させる、そういうことを条件として、そういうものを聞いた上で裁量労働制導入に同意するかどうかを決め得る、そういった仕組みにいたしておりますので、先生指摘のような点につきましても、労使委員会が代表等が的確に選ばれて機能していくことによりまして、十分満足される形ができ上がっていくというふうに私ども考えております。
  96. 小宮山洋子

    小宮山洋子君 もう一点、決議の有効期間につきまして、衆議院での答弁もありますが、改めて確認したいと思います。
  97. 伊藤庄平

    政府委員伊藤庄平君) この有効期間につきましては、衆議院の審議に際しまして、一年以内の有効期間を当面つけて見直しがきちっと行われていくような仕組みとするということを申し上げてきております。私ども、そういったことに沿って措置をしてまいる考えでございます。
  98. 小宮山洋子

    小宮山洋子君 また、最後に、労働大臣に少し御意見を伺いたいと思いますけれども、最初に申し上げましたように、全体として規制緩和、私は、否定されてもやはりその側面がかなり強いと思っておりますので、その競争原理にある程度任せるとなりますと、一点は能力開発とか情報提供などが労働者にとって一層必要になるのではないかと思いますが、まずこの点についてはいかがでしょうか。
  99. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 私が発言したことで若干誤解がありますのは、規制緩和の面があるということを全面的に否定はしませんというお話をさせていただきました。ただ、そのスタートの趣旨はこういう考え方で始めて、それを都合よくつまみ食いされちゃったような思いがありますよというお話をさせていただきました。  それから、能力開発の件に関しまして、これはさっきの雇用ミスマッチのところでも申し上げましたけれども、働く者が今までの能力のままでミスマッチを解消するというとなかなか難しい面がある。ですから、働く側の能力もバージョンアップをしていく。そのためのいろんな、企業側にもそうだし、個人としても、教育訓練給付というのがスタートしますけれども、自分の思いでバージョンアップするようなチャンスとそれから援助を最大限やっていこうと。  しかも、その能力開発が時代的な要請を担っているか。私は、労働省に訓練施設のカリキュラムについて総点検をしてくれという指示をいたしました。私が昔講義を受けた大学の教授は十年前のノートをそのまま使っているとか、実は職業訓練がそうであってはいかぬよと、新しい世の中のニーズにこたえるようなカリキュラムがきちっと組まれていなければいけないですよということで総点検をさせていただいたところでございます。働く側のニーズにも時代の要請にもこたえられる柔軟性と即応性を持ってそういう点も対応していきたいというふうに思っております。
  100. 小宮山洋子

    小宮山洋子君 昨年、政府の方でも、少子・高齢社会の中で、女性をメーンにしてではありますけれども、その働き方について幾つかの白書とか審議会の報告などが出ていると思います。  例えば、経済企画庁の国民生活白書では女性の働き方を初めてテーマにしまして、現状では御存じのようにまだまだM字型のカーブがあって、でも就業希望率、働きたいという人のパーセンテージを加えますと諸外国と同じように馬の背型、食パン型になるということがあるわけですね。日本のように高学歴の女性の労働力率がこれほど低い国も先進国の中ではない。こういう中でこれから、やはり労働力が少なくなるということからしましても、男女ともに自立して生きるという意味からいきましても、女性が働きやすくなる条件整備が必要だというふうに思います。  それから、昨年、厚生省の人口問題審議会が出した報告書の中にも、子育ては親だけでなくて社会全体の責任であるということの中で、持ちたい人が安心して子供を産み育てられるようにするためには、雇用慣行を改めること、具体的に育児休業の充実、その所得保障期間延長など、それから勤務時間の弾力化、短時間労働者労働環境の改善などが必要だというふうに指摘をしているわけです。  こうした政府の中でもこれから少子・高齢社会の中で働きやすく生きやすい仕組みをつくろうと考えている中で、今回の労基法改正はそういう道筋にちゃんと沿って運用されるように私は望んでおりますけれども、そのあたりについて大臣のお考えを伺いたいと思います。
  101. 甘利明

    国務大臣甘利明君) この労基法の改正を衆議院で審議していましたときに、私は、当時は前任者が大臣でありましたので議事録で読ませていただきましたが、民主党のある委員の方から、既に成立となった改正均等法は今回の労基法の改正と一緒になって完結をするという御指摘がありました。確かにそうだというふうに思っております。  男性も女性も共同に参画する社会、家庭生活と職業生活がきちんと両立をしていく、そのための環境整備を進めていかなくちゃいけない。そして、それらの中には意識改革も必要だと思います。委員先ほど御指摘になられましたとおり、家庭責任というのは相変わらず女性じゃないか、このままでは男性の意識改革もきちっとしてもらわないと困りますよという御指摘もありました。そういう我々男性の側の意識改革もあわせて必要だと思いますし、そのために法律も後押しをしていく。それは、御案内のとおり激変緩和措置対象が女性になっていますが、その後の対応は男女が家庭責任を有するものと、つまり男性も同じ意識でいてくださいねということを後押ししていく改正になっていくわけであります。  そこで、きょうもいろいろと御指摘をされました、時間外労働上限基準の具体化であるとか、今後の検討すべき課題とされた一定時間を超える時間外労働の免除制度、こういうものについてもその方向に沿うものとなるように一生懸命努力をしていきたいというふうに思っております。
  102. 小宮山洋子

    小宮山洋子君 おっしゃることをぜひ実現していただきたいと思います。  今おっしゃいましたように、えてしてこういう子育てとか家庭責任というのは女性が産み育てられるようにとか、女性の職場進出というのも私はちょっとおかしな言い方だと思うんです、男の人がいてそこへ進出してきたというような感じですから。やはりあちこちにそういう意識の見え隠れがございまして、そもそも今の日本の仕組みは大体そういう男の方が仕事をして女性が家庭を守るという仕組みですべて成り立っていると思いますので、このあたりは決して女性のためだけではなくて、今どちらかというと比較的元気がないのは男性であるとよく皆さんおっしゃいます。大臣もそう思われるのではないかと思いますけれども。  これはやはり、男の人が仕事だけして生きるというのは男の人自身の生き方が豊かでないということなので、定年後居場所もやることもないということではなくて、もう少し、女性も男性も能力を発揮してワークシェアリング、働いていて、高齢な方もそれなりの働き方ができて、そして男性も家族と向き合うというのは、これは何を隠そう男の方のためだというふうに私は思っているのですけれども、そうした方向での二十一世紀の働き方を見据えた改正にぜひしていただきたいと思います。  最後にもう一度御決意を伺いたいと思います。
  103. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 委員の一連の御指摘を真摯に受けとめまして臨んでいきたいというふうに思っております。
  104. 吉岡吉典

    委員長吉岡吉典君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時三十分まで休憩いたします。    午後零時二十七分休憩      —————・—————    午後一時三十分開会
  105. 吉岡吉典

    委員長吉岡吉典君) ただいまから労働社会政策委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、労働基準法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  106. 但馬久美

    ○但馬久美君 公明の但馬久美でございます。  労働基準法改正法案に対しまして、午前中もいろいろと質疑応答がありましたけれども、私も私なりに細かくいろいろと質問させていただきます。  このたびの労働基準法改正は、昭和二十二年以来最大の改正と言われております。確かに、現在、経済社会の構造変革は急激に進展しておりますし、また企業の世界的な競争が激化し、経営資源、つまり資本とか技術とか人材、それが世界の各地を飛び交い、産業企業の積極的な事業転換なくしては日本の活力、再生はおぼつかないように思います。雇用の維持、創出も産業企業の活性化があってこそ生きてくると思います。この時代背景をしっかり認識しなさいよというのが中央労働基準審議会の十二月四日の報告内容ではなかったかと思います。  そこで、労働大臣にお尋ねいたしますけれども、労働者産業企業の附属物では決してありません。大切な命を持った生身の人間であります。過度に使えば機械だって壊れますし、まして人間が人間らしい生き方を望むのは当然であると思います。  そこで、このたびのこの改正は、労働者の権利保護を目的とする基準法が、その保護義務規定を横に置いて、企業、いわば使用者側の論理に立った法改正ではないかと危惧されておりますけれども、その点、大臣の御見解をお伺いいたします。
  107. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 午前中からこの点の御指摘をいただいております。企業側の論理、規制緩和という中に含まれていないかという御指摘があろうかと思いますが、規制緩和の側面を全く否定するものではありませんけれども、考え方はもう十年前からスタートしておりまして、そこの観点は、もちろん経済社会が活力を持っていなければ、つまり企業が倒産するようではもともと労働者の権利も何もないわけでありますから、企業が国際競争の中で勝ち抜いていくということは当然大事な観点であります。しかし、その中でも働く者の働き方に対するいろいろな要望とかあるいは価値観の多様化について柔軟に対応し、その中で労働条件の最低基準をどう確保していくか、それが原点であるわけであります。  先ほども触れさせていただきまして、また重複になるのでありますが、この労働基準法改正の柱というのは四点ありまして、一点が、労働者が主体的な働き方を通じてその創造的な能力存分に発揮をする、その場合のルール明確化、これが一点であります。二点目は、仕事と家庭の調和を図ること等の観点に立った長時間残業の抑制策強化。そして三点目が、変形労働時間制を総労働時間の短縮につなげるための要件の追加。そして四点目が、労働条件明示制度強化とか有給休暇日数の増加などを織り込んだものであるわけでありまして、時代変化に即応しつつ労働者保護を一層推し進めていこうというものでございます。
  108. 但馬久美

    ○但馬久美君 私は、結局、企業側と労働者側とのバランスをどのようにとっていくかということが一番の観点だと思うんです。特に女性の立場からいいますと、仕事、家庭生活が両立する労働条件環境整備が求められておりますけれども、特に少子・高齢社会を迎えて子育てや介護なども、きょう午前中もいろいろとお話がありました。家事、責任を多く抱えている女性にとっては、長時間労働はまさに敵と言っても過言ではありません。労働時間の短縮は最大のポイントでもあると思いますし、その点から年間総労働時間千八百時間達成は決して譲れないものであると思います。  今度の法改正労働時間の短縮は取り外されたような感じがするんですけれども、この年間総労働時間千八百時間達成に対する大臣の御決意はいかがでしょうか。
  109. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 千八百時間の達成は、私どもがしつかりと踏まえて進んでいく方向であります。  ちなみに数字を追ってみましたら、昭和六十二年度に二千百二十時間の総労働時間、これは統計のとり方にもいろいろ御指摘がありますけれども、それが平成九年度はようやく千九百時間を切りまして千八百九十六時間、二百二十四時間短縮ができたわけであります。これは、ひとえに与野党の先生方の御努力によって、時短に力を入れたこの十年でこの成果が上がってきたわけであります。  ちなみに、私は有給休暇をどのくらい今とっているんだということを調べさせました。  権利日数でいいますと十七・四日、平均的にあります。このうち実際にとっているのが九・四日でございまして、ちなみに全部ちゃんと権利を行使したらどれくらいの時短になるんだいということで計算をさせますと、労働者がその権利をすべて行使しますと千八百三十時間ぐらいに一挙に縮むわけであります。  ただ、職場で、みんな権利は持っていたってなかなか行使しづらいという雰囲気がありますから、労使で今期はこれぐらいちゃんととろうという何か旗振りをしまして、胸を張ってちゃんととれるような環境整備もしていかなくちゃいけないというふうに思っております。  もとより、職業生活と家庭生活をちゃんと両立させる、この点においても、あるいは自分の自己実現を図っていくという観点においても、その千八百時間というのは大事なことでありますし、御指摘がありました附帯決議を踏まえて、年間総実労働時間千八百時間の達成に向けて積極的に取り組んでいきたいというふうに思っております。
  110. 但馬久美

    ○但馬久美君 ぜひよろしくお願いしたいと思います。  来年の四月一日から女子保護規定が撤廃されます。撤廃されますと時間外労働、また休日労働、そしてまた深夜労働に対する規制はなくなり、男性と同様の労働が強いられます。  衆議院では、激変緩和策として当分の間、三年間をめどとしているようですけれども、本人の申請により従来の女子保護が継続するようにと附帯決議が付されたのであります。  免除請求は家族的責任を有する労働者となっておりますけれども、これ以外は免除請求はできないのか。例えば健康を理由として、それはどうなっているのか、その点をお聞かせください。
  111. 伊藤庄平

    政府委員伊藤庄平君) 先生から今お話のございましたいわゆる激変緩和措置、またその後に検討課題として附帯決議等で、また衆議院での修正を通じて明確にされました一定時間を超える場合の時間外労働の免除に関する制度、これらにつきましては、育児、介護などの家族的責任を有する方々対象としたものとしてお話が進められたというふうに承っております。  先生指摘ございました健康に問題のあるケースにつきましてどうするかということでございますが、健康に問題があるケースにつきましては、現在労働安全衛生法におきまして、定期健康診断等で健康に問題が出れば事業主は医師の意見を聞いて労働時間の短縮あるいは作業の転換等の措置を講じなければならないという定めをいたしまして、健康管理を十分に行う体制を整備しているところでございます。  先生指摘のございました健康上の理由のある者につきましては、これらの施策を通じて健康に悪影響の出ることのないような健康管理体制の中にひとつ対象として組み入れていただくような形を持っていきたい。  また、あわせまして、労働安全衛生法のその部分につきましては、深夜業もにらんで自主的な健康診断等を含めてさらなる改正を検討すべきことが附帯決議に盛られました。そういうことも私ども着実に詰めてまいりまして、健康に問題のある方の労務管理が適切に行われるような体制をつくり上げていきたいと思っております。
  112. 但馬久美

    ○但馬久美君 例えば免除請求に対する不利益待遇がなされた場合、使用者側に対してどう対処していくのか。また、特にこの不利益待遇をしてはならないというのは裁量労働の不同意に対してでありますけれども、女子保護規定存続に対する請求についてはこの不利益待遇の取り扱いについては論議されていないんですけれども、この点はどうなのか。また、この不利益待遇に対してはきちっと罰則を設けることが必要と思いますけれども、その点どうお考えなのか、お聞かせください。
  113. 伊藤庄平

    政府委員伊藤庄平君) この激変緩和措置も、制度といたしましては新たに労働基準法の今回の改正案に盛り込んでおります時間外労働上限に関する基準、これを従前の女性の方に対します保護規定の水準、これをもって、その上限基準を定めることをもっていわゆる激変緩和措置を講じてまいります。  したがいまして、私ども、事業主から三六協定、時間外労働労使協定の届け出があった段階でそれを超えるようなケースにつきまして、これは理由なくそういう協定が出てきた場合には厳正にその是正を命じて、そういった三六協定をまず解消していくというふうにいたしてまいりたいと思います。  もし、この激変緩和措置として定めました上限基準を超えるような労使協定があって時間外労働が命ぜられて、その結果それを拒否して何らかの不利益取り扱いを受けたというようなケースにつきましては、争えばこういう規定が新たに労働基準法に設けられたことが裁判所の判断等に当たって何らかの参考になっていくものというふうに私ども考えております。
  114. 但馬久美

    ○但馬久美君 今回の改正では、男女共通の労働時間規制は極めて弱いと感じます。日本の労働基準法は変則的であると言われております。  EU諸国では労働時間規制は日本に見られないような規制があります。例えば、すべての労働者に最低一日十一時間の休息時間が保障されなければならないとか、また一週の最長労働時間は時間外労働を含めて四十八時間とされている。これは、一週の法定労働時間が四十時間とすれば、時間外労働は八時間しか許されないということです。さらに、EU各国ではそれぞれ国内法や労働協議はそれ以上の労働時間規制がありまして、こうした土壌の上に女子保護規制の撤廃があるというふうに言われております。  この上に、さらにILOの百七十一号条約があります。御存じと思いますけれども、この条約は夜業労働者の健康を保護し、そして夜業労働者が家族的責任及び社会的責任を果たすことを援助し、職業上の昇進のための機会を提供するための措置を規定したものでも、日本はこのILO百七十一号条約を批准しておりません。  こうした男女共通の労働時間規制について、またILOの百七十一号条約の批准について、労働大臣の御所見をお伺いいたします。
  115. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 時間外労働上限規制でありますが、先生案内のとおり、現在も一応の上限規制というのはあるのでありますけれども、言ってみれば単なる行政指導というんですか、そういうがちっとしたものではない。これを今回の改正で基準として法的な後ろ盾を持てるようにすると。しかしながら、御指摘のとおり、罰則を伴った摘発というようなところまでいっていないわけで、その点を御指摘されていると思うんです。  ただ、午前中基準局長が申し上げましたとおり、いろいろ企業にはある場面場面で社運をかけて戦っていく場面というのがありまして、なかなか一律規制になじまない部分がある。日本は雇用の安定というのを時間外で調整しているという部分があります。言ってみれば、長期雇用を守って行くためにそれがショックアブソーバーになっている部分があるということは否定できないのであります。ただ、三六協定を結ぶときにちゃんと上限基準に合致するように厳しく指導はしていくというふうに事務方からも答弁をさせていただきまして、この点は御懸念が極力少なくなるように指導していきたいというふうに考えております。  それから、ILO百七十一号条約の批准の件、これは私も正直詳しく存じ上げなくて勉強させていただいたのでありますが、夜業に関する条約について批准はどう考えているかというお話なのでありますが、これは内容を調べてみますと、四点ほど国内法令とすり合わせができない部分等があります。  例えば、夜業の定義が我が国における深夜業の定義と必ずしも一致していない等々ございまして、これは今後我が国の法令との関係について引き続き検討していく必要があるんではないかと考えております。この種のこと等、なかなか国内法令とのすり合わせができない部分が散見されるということもあって、調べてみましたら、一九九六年末時点で批准国は五カ国でありました。キプロス、チェコ共和国、それからドミニカ共和国、リトアニア、ポルトガル。サミット関係諸国は一カ国もないというのは、なかなかまだそのすり合わせができていないということだと思いますし、国内法令との関係について引き続き検討をしていく必要があろうかと思っております。
  116. 但馬久美

    ○但馬久美君 いろいろと細かくありがとうございました。  この協定、私も今回いろいろと勉強させていただいて初めて見たわけなんですけれども、今の五カ国、余り大国ではないですけれども、やっぱりそうやってあるところもあるんですから、日本もぜひ協力していただきたいと思います。  次に、労使協定についてお伺いいたします。  労使協定でありますけれども、労働者の過半数を代表する者の選出方法や職制上の地位については現行法には規定されていなくて、単に通達で指導されているのにすぎない現状です。今後は、この労使協定は非常に大事になってまいります。しかし、労働組合の加入者は二二・六%で、八割弱の方々が未組織労働者であります。労使協定が正常な形で、いわば対等な立場で協議できるのかどうか非常に疑問であると見られております。特に中小企業においては労使委員会が機能するのが非常に難しい現状であります。  今回の改正では、それを「命令で定める」としておりますけれども、労働者の意向が反映した措置とは思われません。労働省の御意見をお伺いいたします。
  117. 伊藤庄平

    政府委員伊藤庄平君) いわゆる三六協定等の締結の当事者になります労働者の過半数を代表する者、御指摘のように大変重要な役割を果たすわけでございます。今まで私ども、こうした代表者が選ばれるに当たりまして、手続が非常に民主的に行われる必要性があるということから、投票等の方法で選出されて、かつ当該労働者がいわゆる管理監督者の立場にない者であることなどを通達によって指導を行ってきたところでございます。  ただ、今回改正法案に盛られておりますように時間外労働上限基準というようなものを提案させていただいておるわけで、一層この労働者の過半数を代表する者の役割が大きくなるわけでございますので、この過半数を代表する者の選出方法、それから管理監督者でないというような職制上の地位、そういうものに関しまして労働基準法の施行規則できっちりと明示いたしまして、いわば労働基準法体系の中に取り込みまして、適正に選出され、また正しく機能するように私ども十分チェックと監督指導を行ってまいりたいと思っております。
  118. 但馬久美

    ○但馬久美君 今日、男女雇用平等が推進されまして女子保護規定が撤廃される中で、代表委員に女性労働者を参加させるような措置を講ずるべきと考えますが、その点どうなのでしょうか。
  119. 伊藤庄平

    政府委員伊藤庄平君) 労働者の過半数を代表する者の選出につきましては、先ほども申し上げましたとおり、民主的な手続、いわば投票等によってきっちりと選ばれるように、労働基準法体系の中に、いわば省令できちっと書いていくというふうに申し上げました。そういう手続が行われることによりまして、いわば従業員を真に代表する、例えばパート労働者が多ければパート労働者の代表も入るとか、女性労働者が多い場合女性労働者意思を反映させる方が入るとか、そういったことがもちろん望ましいというふうに考えております。  ただ、労働基準法令でそういったことを義務づけていくということは、労働者自身が投票等で選ぶことが前提になりますので、これを法令で義務づけていくことはなかなか正直難しいわけでございますので、そういった趣旨につきましては私ども念頭に置きながらいろんな周知や啓発の場面では話をしてまいりたいと思いますが、そういうことを通じて実際に投票に当たる各事業場で先生指摘のような結果が多く生まれてくることを期待いたしていきたいというふうに思っております。
  120. 但馬久美

    ○但馬久美君 ぜひその辺の点をよろしくお願いします。  個別紛争が多発する傾向があるということを今回私も本会議質問指摘させていただきました。それについて、特に労働基準監督署などへの不服申し立ての申告があった場合には、きちっと監督署が調査、そしてまた報告する義務を果たすべきだと思いますけれども、その調査義務、そしてまた報告義務、その点をどう考えていらっしゃいますか。
  121. 伊藤庄平

    政府委員伊藤庄平君) 労働基準法に関連する法律に違反した事案につきまして労働者から申告があった場合の処理につきましては労働基準法に明記されているわけでございまして、申告の対象になりました事業場に赴きまして事業場を調査して、申告のとおり労働基準法違反といったような問題が認められれば、その改善について是正するように勧告をし、さらにその是正状況を確認して、申告のあった労働者の救済を図っていく、こういうことで進めております。  この点は各労働基準監督署に配置されている労働基準監督官にとっていわば第一の任務になりますので、その辺、先生指摘の点を肝に銘じてこういった問題の処理に当たるように指導を徹底してまいりたいと思っております。
  122. 但馬久美

    ○但馬久美君 労働者の人権が侵害されるようなことがないよう、ぜひその辺をしっかりと監督していただきたいと思います。  次に、裁量労働制についてお伺いいたします。  中央労働基準審議会で検討時より労働者側が強く懸念した新たな裁量労働制導入については、一つには、法律条文において労使委員会での全員の合意、二点目には、法律条文においてその対象業務を企画、立案、調査そして分析の業務と限定しております。三つ目には、衆議院での修正で本人の同意を必要としておる。また四つ目には、衆議院の附帯決議において、労働大臣が指針を定めて対象業務を可能な限り具体的に明示すると。かなり明確に適用範囲を絞っております。  対象とすべきでない人への拡大を防いでいるようですが、問題は、この労使委員会での拡大解釈でこの業務範囲が広がることが懸念されます。例えば国家公務員、地方公務員は全員対象になるのかどうか。また、あるいは民間でも事務や工場関係にも適用される、そういうふうに危惧されているんですけれども、施行以後しっかり監督していくべきと考えますが、どうでしょうか。
  123. 伊藤庄平

    政府委員伊藤庄平君) まず、最初にお尋ねございました国家公務員、地方公務員に対しての適用の問題でございますが、国家公務員につきましては労働基準法適用が除外になっております。  地方公務員の方は適用があるケースがもちろんあるわけでございますが、ただ、この裁量労働制適用するに当たりましては、恐らく公務員関係のいろんな処遇、待遇等全般についてかなり整備していかなくちゃいかぬというケースは出ようかと思います。これは、もし裁量労働制というようなものを地方公務員の現場に活用するに当たっては相当な人事管理制度の整備が必要になってくるんではないか、若干時間のかかる問題となるんではないかというふうに思っております。  それから、工場等で働く方々に対して適用があるかということでございますが、これは、法文上、事業の重要事項を決定する部門で企画、立案等の作業を行い、かつ事業主から業務上の指示を受けないこととされている業務ということでございますので、これは工場等で働く方々対象にならないということは明らかにいたしておりまして、この点は労働大臣が定める指針の中でももちろん明らかにして、窓口ではそういった点は十分チェックしてまいりたいというふうに思っております。
  124. 但馬久美

    ○但馬久美君 労働基準法適用外と言われる国家公務員、その理由はどういうことなのか、ちょっとお聞かせください。
  125. 伊藤庄平

    政府委員伊藤庄平君) 国家公務員につきましては、原則として民間の事業主労働者という関係を規律する労働基準法適用除外という法制度になっておりまして、そのかわり服務の規律なりそういった労働時間等も含めて人事院規則等で規定していく、こういう形になっておりまして、そういう意味で国家公務員については労働基準法適用がない、こういう姿になっておるわけでございます。  それから地方公務員につきましては、労働基準法そのものが適用になるケースはもちろんあるわけでございますが、この裁量労働制の部分については、先ほど申し上げましたように、いろんな処遇、人事管理制度全般等とのかかわりがございますのでこの適用がない、こういう姿で進むだろうというふうに思っております。
  126. 但馬久美

    ○但馬久美君 また、この裁量労働制導入に当たっては、単に残業代をカットするような発想で制度導入があってはならないと考えますけれども、この点について労働大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
  127. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 新たな裁量労働制が単に残業代をカットするためだけに導入されるようなことがあってはならない、私もならないというふうに思います。  今までの審議の中でも御説明をさせていただきましたとおり、新たな裁量労働制というのは、企業本社等中枢部門で働くホワイトカラー方々、それもある程度限定をして、そういう仕事に絞って、自律的で創造的な働き方ができるように、なおかつ健康確保の面も含めた新たな働くルールを設定する、その環境を整えるということを目的とするものであります。  先生が既にお話しになりましたとおり、労使委員会を設定いたしまして労働条件について労使で十分話し合いを行った上で、委員の全員一致の合意で決議することを要件にしているわけでありますし、衆議院の方におきましてもお話がありましたような修正あるいは附帯決議があって、きちんと本来の趣旨から外れないように修正、附帯決議がなされてきたわけであります。したがいまして、こういう制度の内容の十分な周知徹底を図りますとともに、労働基準監督機関が厳正な監督指導を行う、そういうことを通じて先生が御指摘されましたような心配がないようにしていきたいというふうに思っております。
  128. 但馬久美

    ○但馬久美君 今のお話を伺いながら、この裁量労働制導入するに当たりまして、労働者の創造的な能力の発揮に寄与するためということがよく言われております。私はこの裁量労働制導入しなくても、フレックスタイムの導入やまた賃金制度の見直しなどの工夫によって十分対処できるのではないかと思うんですけれども、その点いかがでしょうか。
  129. 伊藤庄平

    政府委員伊藤庄平君) 各本社等の重要事項を決定する部門で働いている方々の実情を見ますと、実際上仕事の内容が近年とみに、集団で何かを仕上げていくという部分はもちろんございますが、同時に、個人個人のいろんな知識や能力がかなり物を言ってくるといいますか、そういったものの重要性が高まっている業務が非常にふえていることは事実でございます。そういった部分でそういった方々仕事をする際に、労働基準法が従来から想定してきた一律的な労働時間管理というものがどうしても実際上機能しにくい面がございます。そういったことで、むしろそういった方々労働時間に対しても仕事に対してもみずからが主人公になって主体的に働いて創造的な能力を発揮していくためには、厳正なルールを設けた上でのことですが、裁量労働制が必要だというふうに判断いたしました。  フレックスタイムでそういった部分が代行できないかという御指摘でございますが、フレックスタイムはコアタイムというものをしっかり設けて朝の出勤時間の幅をある程度広げておく、こういう形で運用されておりまして、実際上自由になる部分というのは非常にわずかでございまして、全体としては、残業するにつきましても事業主管理下にあって残業命令等を受けながら仕事をするという基本的なパターンは崩れていない制度でございます。そういう意味で、実際には通勤のいろんな緩和とかそういう面では非常に効果があるのでございますが、裁量労働制にかわる機能をそこに期待できるかというと、私ども十分でないだろうというような考えに基づきまして、今回、裁量労働制の新たなルール提案させていただいておるわけでございます。
  130. 但馬久美

    ○但馬久美君 どういうふうな結果が出るかというのはこれからなんですけれども。  それでは、社会経済生産性本部調査によりますと、対象となっている労働者の声は、導入前よりも労働時間が長くなるという回答が多くありました、五二・九%。この点を含めて、賃金の低下や過重労働の事態が生じていないかどうか、また、現行裁量労働制のように高度で専門的な知識業務でさえ長時間労働の傾向があるということでありますから、今後実施されようとしているこの新たな裁量労働制についても長時間労働が引き起こされることはほぼ間違いないと思われます。  こうした長時間労働に対する歯どめをしっかりと講じていただかなぐてはならないと思いますけれども、この点どういう対処をなさいますか、お聞かせください。
  131. 伊藤庄平

    政府委員伊藤庄平君) 裁量労働制導入前後、現在ある制度で幾つかのところが調査しております。  例えば社会経済生産性本部調査では、この導入前より労働時間が長くなるかどうかということでは、長くなるとそうでないという回答が、先生今御指摘ございましたように、五二%とまたその逆数の数字ということでほぼ半々するような形でございます。さらにほかの調査で見ますと、連合総合生活開発研究所が行った調査が別にあるわけでございますが、そちらの方で見ると、労働時間が長くなったというものが一三%で、例えば賃金の方について見ると、ふえた、余り変わらないというものが八割強に達していて、減ったとするものが一三%というような数字も出ておるわけでございます。  いずれもこういう数字が出ますのは、それぞれの事業所で今の裁量労働制労使協定で決めていくことになるわけでございますが、恐らくその労使協定で実施するかしないかだけを決めていくわけでございます。そういったことで、事業所によってかなり裁量労働制の仕組み等に差があるのかなというふうに思っておるわけでございます。  今回の新たな裁量労働制は、本社等で非定型的な業務をするホワイトカラー方々ということでございまして、したがいまして、弊害の出ないように労使委員会またはそこで全会一致で決める。その対象には、勤務時間を把握して、もし問題があれば健康管理上の措置などをちゃんと講じる、そのルールをあらかじめ全会一致で決めておく。こういうことを必要要件として組み込んだり、いろんな工夫をいたしまして、先生指摘のような長時間労働等を防ぐための手だてを講じております。  こういう制度が有効に発揮するように私ども当然監督、指導してまいりますので、今までの裁量労働制とは違って長時間労働等の弊害が除去された形で機能していく、そういうふうに私ども思っておりますし、そうなるように監督指導等、十分配慮してまいる考えでございます。
  132. 但馬久美

    ○但馬久美君 新裁量労働制において適切なみなし労働時間が定められるように、労働省としては何か施策を考えておられるのかどうか。また、労使委員会の決議ということだけでこれは万全なのでしょうかどうかということが危ぶまれております。特に中小企業においては、適切なみなし労働時間が決定されるのか懸念されるんですけれども、その点は大丈夫なのかどうか、その辺お聞かせください。
  133. 伊藤庄平

    政府委員伊藤庄平君) この裁量労働制では、労使委員会全会一致で一定のみなすべき時間を決める、こういうことになるわけでございます。そのみなされる時間が適切かどうかということがございます。  この点につきましては、先ほども申し上げました実際の勤務時間がオーバーワークというようなことになる場合には、そうならないような健康管理上の措置をあらかじめルール化しておくということを一つ要件にいたしております。また、こういった時間の決め方、それを実情、実態をどう反映して決めていくかというようなことにつきまして労働大臣が指針を定めてまいりますが、その中では、労使一方から見直すべきような要請があればこれは労使委員会を開いてきちっとまた協議していく。審議の中ではそういった姿を変えていくというようなことをいろいろ検討して、先生指摘のようなみなし労働時間についてきちんと正しい、いわば妥当なみなしが行われるような姿をつくっていきたいというふうに思っております。
  134. 但馬久美

    ○但馬久美君 ぜひ万全を期して、よろしくお願いいたします。  また、心配なのは、こうした長時間労働のあげくに過労死した人があります。ちょっと例をきょうは挙げさせていただきたいと思います。  裁量労働者の長時間労働と過労死に対する賠償責任判決について、システムコンサルタント事件というのがありまして、東京地裁で平成十年三月十九日に判決がおりました。  どういう内容かと申しますと、コンピューターソフトウエアの開発業務従事の裁量労働者が年間で三千時間以上労働し、脳出血死しました。判決は、裁量労働者であっても脳出血死を回避するように配慮する義務、安全配慮義務が会社側にあったとして、損害賠償を命じました。ただし本人側にも自分健康管理について落ち度があったとして五割を相殺し、賠償金は妻に二千七百六万円、お父さんに六百八十一万円となった、こういう例があるわけなんです。  この裁量労働制のもとでも労災適用がなされるのか、つまり、労働時間について自己決定権を持つという理由だけで本人の責任となることはないのか、この点非常に懸念されますけれども、その点どうなのでしょうか。
  135. 伊藤庄平

    政府委員伊藤庄平君) 御指摘裁量労働者について過重な業務原因で大変そういう残念な、過労死と言われるような事態を招いた場合の問題でございますが、これはもちろん、会社の仕事本人はされているわけでございまして、そういった業務との因果関係がある限り労災保険の対象として保障されることはもちろんでございます。  先生指摘になりましたシステムコンサルタントの方の事例、また裁量労働者でないケースでも、本社等で働いている方々について私どもこういったケースがある場合に大変苦慮いたしますのは、やはり超過勤務について自己申告とか、あるいは業務の性格上なかなか事業主が時間管理をし切れていないというようなことで、業務との因果関係を把握するための実態把握が大変難しいケースがございます。  今回の裁量労働制の枠組みを私ども検討するに当たりましては、そういった点も配慮いたしまして、先ほども申し上げましたが、勤務状況に応じて健康管理上の措置を講じているということを全会一致であらかじめ決めておくことが必要要件だというふうに申し上げましたが、これは勤務状況事業主が把握して健康管理措置を講じなければならないということにつながるわけでございまして、今までのような認定に当たって事実関係の把握等に苦労することがないように、そういう措置をこの制度の中に仕組んで入れてあるわけでございます。そういった配慮をしていることにつきまして御理解をいただきたいと思っております。
  136. 但馬久美

    ○但馬久美君 こういう本当に痛ましい事件がこうやって多発しないように、ぜひそういう意味におきましてもしっかりと監督していただきたいと思います。  契約期間上限、第十四条関係についてでありますけれども、現行の契約期間上限が一年を今回三年に延長した対象労働者は、一つには、新商品や新技術の開発に必要な高度な専門的な知識を有する者、二番目には、事業の開始、そして拡大、転換、そして縮小や廃止に必要な高度な専門的な知識を有する者、三番目には、六十歳以上の労働者とされております。  大枠でこの三種に分けられたこれらの対象労働者現行の一年より三年がベターという理由は不明だと言う学者もいらっしゃいます。契約期間上限を三年にした明確な根拠は何なのか、御提示いただきたいと思います。
  137. 伊藤庄平

    政府委員伊藤庄平君) まず、有期労働契約上限につきまして、今先生が御指摘ございましたような範囲に限りまして三年というふうに延長をいたしたわけでございますが、一つは、こういった高度の能力、知識、経験等を有して、そこを企業の方から望まれて、いわば助っ人的な役割をする人たちでございますので、今までの一年が上限、それを更新してプロジェクトなり研究開発が終わるまで更新していくというスタイルにつきましては、そういった方々、特に外国のエンジニアの方、技術者等々につきましては、むしろ一年で自分能力評価するのか、一年ごとに査定されるような人材としてしか見ないのかというようなことでなかなか来てくれない、こういう要請も正直ございました。そういうことで複数年の契約ができるようにというような趣旨一つは込められております。  そこで、上限を具体的に三年としましたのは、こういう研究開発あるいはプロジェクト等が一体実際にどのくらいの年数がかかっているか、これを科学技術庁の日本企業の戦略的研究開発のマネジメントに関する調査あるいはニュービジネス協議会の調査等から見ますと、大体三年というケースが大体五割から六割を占める、こういうことでございまして、そういったことを参考にしながら上限を三年といたしたわけでございます。
  138. 但馬久美

    ○但馬久美君 もう時間がありませんので、もう一点だけお聞きいたします。  現実には、正規労働者の採用もなく、逆に正規労働者を切り崩して契約労働者に切りかえられていくという現象が見られます。今回の法改正はまさにそうなることを危惧するんですけれども、労働者から今度はぜひ歯どめをかけていただきたいと強く要望されておりますけれども、この点どう考えていらっしゃるのか、最後にお伺いして、終わりたいと思います。
  139. 伊藤庄平

    政府委員伊藤庄平君) 今提案させていただいております法案では、先ほど御指摘ありましたような高度の知識、技術を持って、同様の人材がその会社にいなくて、ほかから確保しなければいけない場合、いわば新たに雇い入れる場合に限ってその契約の上限を三年ということを認めております。したがいまして、今までの会社にいる人をその事業場で三年の契約に切りかえていくというふうなことは労働基準法に違反する姿になりますので、そういったことは認められない条文といたしております。
  140. 但馬久美

    ○但馬久美君 ありがとうございました。
  141. 市田忠義

    市田忠義君 日本共産党の市田です。  労働基準法についての参議院での本格的な審議はきょう始まったばかりであります。参議院での各党の質問の中でも五十年ぶりの大がかりなものだと、こういう発言もございました。私も参議院本会議質問の中で、最後の締めくくりのところで次のように述べました。  本法案に対する多くの労働者や法曹団体からの厳しい批判を真草に受けとめて、さきの参議院選挙で示された民意を生かす道を衆知を集めて模索することこそが本院の責務ではないかと、そう述べました。たとえ法案に対する態度はさまざまであっても、徹底的な審議が必要であるという点では恐らく共通しているというふうに思うんです。また、多くの国民がそのことを望んでいる。  私の部屋に寄せられるファクスも、参議院らしい徹底した審議を求める、こういうファクスが相次いで寄せられております。私は、参議院がその良識を遺憾なく発揮したと胸を張って言えるような審議を進めることが求められているというふうに思います。  さて、法案についての具体的な質問に入る前に、まず労働大臣に確認しておきたいことがあります。  憲法二十七条には、「勤労条件に関する基準は、法律でこれを定める。」、こう明記されています。これは極めて大事な規定だと思います。  労働省が編集された「労働法コメンタール」の「労働基準法」、冒頭のところに、「産業革命以降の歴史は、労働者と使用者との間の法律関係を契約自由の原則に委ねることが、労働者の生存そのものを脅かすほどに不公正な結果をもたらすことを明らかにしてきた。」、だから、契約自由の原則にゆだねるんではなくて、法律で労働条件の最低基準を決めることによって労働者保護しようと。「憲法にこのような規定があることは、単に労働基準法制定の根拠を与えるにとどまらず、我が国の労働関係において契約自由の原則を修正していくという、つまり、世界の労働法の流れをしっかりと見極めて日本の法秩序の新しいあり方を宣言していることに他ならない」、これが労働省労働基準局編著による先ほど紹介した本の冒頭の部分であります。  ことしの三月二十六日の参議院予算委員会での我が党の吉川春子議員の質問に当時の橋本総理は、「まさに、契約自由の原則を修正する、法律が労働条件について一定の基準を置くべきこと、これがその基本であったと思いますし、私は、その基本は今日においても変わらない、」、こう答弁されました。これは大変大事な問題なので、甘利労働大臣においてもこの認識は同じだと考えてよいか、改めて確認しておきたいと思います。
  142. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 御指摘のとおり、労働基準法は、憲法第二十七条第二項に基づきまして、労働条件について契約自由の原則を修正し、賃金労働時間その他の労働条件に関する一定の基準を定めたものでありまして、この考え方は今日でも変わっておりません。
  143. 市田忠義

    市田忠義君 次に、労働基準法の第一条、「労働条件は、労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充たすべきものでなければならない。この法律で定める労働条件の基準は最低のものであるから、労働関係の当事者は、この基準を理由として労働条件を低下させてはならないことはもとより、その向上を図るように努めなければならない。」と、文字どおり労働条件の最低基準を定めている。労働時間はその中でも賃金などとともに代表的な労働条件であり、労働時間の原則は一日八時間、一週四十時間と。私は、労働時間法制を議論するに当たってこの中心問題が揺らぐことがあってはならない、これが原則であることについて労働大臣に確認しておきたいと思います。
  144. 甘利明

    国務大臣甘利明君) そのとおりでございます。
  145. 市田忠義

    市田忠義君 次に、午前中の議論の中で小宮山委員からもお話がありましたが、今の日本の労働時間というのがいかにひどい長時間労働かと、グラフも示して質問がございました。過労死という言葉に象徴されるように、過酷な長時間過密労働、八時間労働の原則もなきに等しいようなサービス残業の横行であります。こうした状況が野放しのままで一般のホワイトカラーにまで裁量労働制導入されたらどうなるのか、そういう心配の声が多くの労働者労働組合、法曹界からも巻き起こっていますし、なぜ時間外・休日・深夜労働の罰則規制を法律に明記しなかったのか、こういう声も広がっています。  そこで、私、幾つか事実の問題についてお聞きしたいと思うんです。  一九九四年の秋、東京労働基準局が都内の出版社に対して集中監督を行いましたが、その結果、極めて異常な長時間残業の実態が明らかになった。その概要について述べてください、簡潔に。
  146. 伊藤庄平

    政府委員伊藤庄平君) 御指摘のありました事案でございますが、平成六年に東京の労働基準局が出版業について監督を行った、その結果についてかと思います。  もちろん、これは二十六事業場を対象に監督を行ったものでございまして、詳細についてはその監督署の段階に監督結果の報告書がございますので、私ども、先生から御指摘もあり、その当時のものを調査いたして概略について把握しているところでございますが、その状況について御報告をさせていただければ、この結果、二十一事業場を監督した結果、これらの事業場において労働基準関係法違反、特に労働基準法の三十二条違反、いわば三六協定を超える残業があったということの違反事例が発見されまして、それが十七事業場でございます。その結果、労働基準監督署の方で是正勧告を命令し、その改善を図らせたという事案かと存じます。
  147. 市田忠義

    市田忠義君 次に、具体的にお聞きしたいと思いますが、講談社について中央労働基準監督署は一九九四年、平成六年ですが、十月六日是正勧告を出しているはずですが、間違いありませんか。
  148. 伊藤庄平

    政府委員伊藤庄平君) ただいま御説明申し上げました監督の中に講談社が含まれ、その所轄の労働基準監督署から是正の勧告もしているというふうに承知いたしております。
  149. 市田忠義

    市田忠義君 その中で監督署は、講談社において一カ月の時間外労働に関する労使協定は上限を六十五時間としているのに同年八月には月間二百八十四時間の時間外労働を行わせていたと、こういう事実を認定しているはずですが、間違いありませんか。
  150. 伊藤庄平

    政府委員伊藤庄平君) 労働基準監督署が行った監督の詳細につきましては、監督結果が報告され、労働基準監督署に保存されておるわけでございますが、今、本省で一つ一つの監督事案を詳細に把握することはもちろん困難でございますが、お話ございまして、概要を調査した限りでは、今、講談社の事例について所定外の労働時間につきまして三六協定を超える労働をさせていた方、もちろん全員でございませんが、複数の労働者につきましてこの三六協定をかなり上回るいわば時間外労働があったという事案であるとは承知いたしております。
  151. 市田忠義

    市田忠義君 否定をされませんでしたので、月間二百八十四時間、週休二日制とすれば、計算すれば一日平均十時間を超える、そういう本当に信じがたいようなむちゃくちゃな長時間労働であります。  そこで、中央労働基準監督署は是正勧告とあわせて具体的な改善指導、改善措置指導されたはずですが、どんな内容か、簡単に報告してください。
  152. 伊藤庄平

    政府委員伊藤庄平君) もちろんこうした事案につきましてこの三六協定、労使協定内にこの時間外労働をおさめるように、そういった労働基準法違反状態を是正するようにということを指示したものと思われます。
  153. 市田忠義

    市田忠義君 これは公にされているパンフレットの中にも示されているわけで、どういう指導票を発行されたかというと、「編集業務従事者について、恒常的な長時間労働が認められるので、業務の見直し、増員等につき検討することにより、その削減を図ること。」。その次に、「また、裁量労働、フレックス制の採用についても検討することにより、残業時間の削減を図ること。」。裁量労働導入したらどうか、そしてこの長時間労働、残業時間削減を図ったらどうかと、こういう指導票を出されています。  この指導票を出されて、実際にその後どうなったか、簡潔にお答えください。
  154. 伊藤庄平

    政府委員伊藤庄平君) 先生からも紹介ありましたような労働基準法違反の実情は大変憂慮すべき問題であるわけでございまして、所轄の労働基準監督署としては、そういう実態を改善するために種々手を尽くしたかと存じます。  それで、これはこの現在申し上げている裁量労働制ではなくて、現在の裁量労働制の問題かと存じますが、恐らくこの裁量労働制は、労使委員会ではございませんが、労使協定を前提といたしております。恐らく監督署としては、労使でこういった実態についてもう一度よく話し合えと、それでそういった仕事をせざるを得ない業務の実情を改善していく、そういうことも期待しながら、労使の話し合う場としての問題だということでこの裁量労働制等の検討も含めて労使で十分話し合えと、こういうことを指示したのではないかというふうに思われます。
  155. 市田忠義

    市田忠義君 一九九五年の九月に講談社は、全職場一律ではありませんが、書籍の編集部ではフレックスタイム制が入れられて、雑誌編集部門では裁量労働制が入れられたと。  そこでお聞きしたいんですが、みなし労働時間はどれだけに設定されたか、また実労働時間はどう変化したか、つかんでおられますか。
  156. 伊藤庄平

    政府委員伊藤庄平君) 御指摘ございました裁量労働に関する協定の届け出を私ども急速今取り寄せて見ておりますが、その中で、協定で定める時間は一日八時間となっております。それで、実労働時間等については私ども把握いたしておりません。また、この八時間を超えるような実態に対して裁量手当等のたぐいがどういうふうになっているか、この届け出では不明でございます。
  157. 市田忠義

    市田忠義君 裁量労働制導入して、みなし労働時間は八時間、実労働時間はつかめていない。本当にひどい話だと私は思うんです。  実態はどうか。月に百時間、百数時間の時間外労働があるのに、一日のみなし労働時間が八時間ということで労働基準監督署に届けている。これは雑誌に載った論文の中にも、実際に調べられた出版関係労働者の方の発行されたパンフの中にもそのことが示されておる。  裁量労働制導入されて、一九九五年の九月に労働組合がアンケートをとりました。アンケートをとって、実労働時間は減りましたかと、こういう問いに、減っていないというのが五〇%以上です。自己裁量労働がふえたかと、五〇%以上がふえていない。つまり、長時間労働の実態は何にも変わっていないのに、かつては法違反だったのが今では合法となっておる。これが裁量労働制じゃないか。つまり、実際に何時間働こうと、実働時間とは一切関係なしに労使協定で定めた時間だけ労働したものとみなしてしまう。まさに労働時間に対する法的規制を取り払ってしまう制度じゃないか。  出版、編集の業務の実態というのは一体どうなっているか。例えば、コミックの編集者の場合、担当した漫画家が非常に売れっ子であったり、遅筆であったりする。そういう人を担当した編集者労働時間というのは極めて不規則かつ長時間。そうでない場合も、例えばストーリー作成の相談に関与する。労働者本人裁量ではどうにもならない事情で労働時間が左右される。加えて締め切りがある。本人の自由な裁量に任されるというけれども、雑誌なんというのは毎週毎週締め切りに追われるわけです。仕事のノルマが長時間過密労働と密接な関係がある。雑誌編集の場合にはそれが締め切りというわけであります。  裁量労働制導入していない場合には、時間外の割り増し賃金の支払い、もちろんそれがあるからといって必ずしも長時間労働をやめさせる抑止力は使用者の側に働くというわけではなくて、そうであっても実際には多くの事業所ではサービス残業が横行している。しかし、裁量労働制になれば、そういう辛うじてあった抑止力すらなくなるではないか。  そこで私、お聞きしたいんですが、今回導入しようとしている新しい裁量労働制、事業の運営に関する企画、調査、立案及び分析の業務。しかも業務の遂行、労働時間の配分について使用者が指示しない業務。指示することが困難じゃないですね、使用者が指示しない業務。指示できるかどうかにかかわりなく、指示しない業務適用している。極めて抽象的、一般的かつ包括的で、対象労働者が無限定に広げられるんじゃないか、こうした事態が一般のホワイトカラー全体にも広がるのではないか、そういう懸念が広がるのは私当然だというふうに思うんです。  そこでお聞きしたい。わかりやすく簡潔に新しい裁量労働制導入要件を述べてください。できるだけ簡潔にわかりやすく。よろしく。
  158. 伊藤庄平

    政府委員伊藤庄平君) 今、先生から現在の裁量労働制、特に編集にかかわる方の事例についてお話がございました。  この裁量労働制導入した後、労働時間が変わったか変わらないか、半数の方が変わらないというふうに答えたと伺いましたが、そういった半数の方がどう変わっているのか等々、私どもとしても把握し、いい方向へ変わっているのかそうでないのか、その辺も踏まえて、先生評価されている内容、実態、また私どもがどういう実態にあるか、この辺は私どもとしても研究をしてみたいと思います、どういうふうに、いい方向へ変わっているかどうかにつきましては。  先生から御指摘のございましたそういう事例がもし不十分な方へ変わっているとすれば、やはり今回の新たな裁量労働制ではそういう点を十分認識して一先生質問のあった要件等枠組みを決めているわけでございますが、例えば講談社の事例であれば、講談社の労働組合にもいろいろ御協力をしていただかなくちゃいかぬと思いますが、労使協定によって現在の裁量労働制が行われる、これは常設の労使委員会の仕組みじゃなくて、随時見直したり協議したり、あるいは実際の賃金体系がどう変えられたか、それが不満なら拒否できる、いろんな枠組みを一般のホワイトカラーの方については設けていかなくちゃいかぬ。こういう反省の上に立って、先生質問の今回の新たな裁量労働制の枠組みを設けております。  したがいまして、労使委員会で全員一致で法律の趣旨に即した対象業務対象労働者範囲を定めること、この点につきましては衆議院の修正が加わりまして、労働者本人の同意をとること等が決められました。この対象業務範囲等については、労使委員会全会一致で決めることも制度の中に織り込まれております。  そういう形で決められたものを、労働基準監督署へ届け出義務をあわせて課しておりまして、労働大臣が詳細を決めて公表いたします指針に即して、その内容が本当に法律の趣旨に即した内容になっているかどうかをチェックして、受理して初めて裁量労働制が実施できるという仕組みにいたしておるものでございます。
  159. 市田忠義

    市田忠義君 私が聞いたのは、新しい裁量労働制導入要件について簡潔にわかりやすく説明してほしいと言ったんです。全然さっぱりわからないです、今の話では。
  160. 伊藤庄平

    政府委員伊藤庄平君) 新しい裁量労働制導入要件についてお話し申し上げたつもりでございますが、先生ずっと御指摘ございましたように、講談社等が今のタイプで行っている労使協定方式の裁量労働制と、労使委員会というもので組み立てていく裁量労働制の違いについて、恐らく一緒になってごらんになっているから私の説明を御理解いただけないのかなというふうに思うんですけれども。
  161. 市田忠義

    市田忠義君 私の頭が悪いからとおっしゃりたそうですが、じゃ一番ポイントの対象業務について聞きます、新しい裁量労働制の。  例えば、現行裁量労働制度では十一業務対象になっています。九三年の法改正のときに伊藤基準局長、当時はたしか賃金時間部長だったと思いますが、そのときに、「裁量労働についての歯どめといいますか乱用防止の観点であろうと思いますが、」、「今までの裁量労働制対象業務は、五業務を例示しまして、その他それに類似するような業務もよろしい、こういういわば例示的列挙でございました。」。これは平成五年四月二十三日の委員会で御答弁になっているんですが、「この点につきまして、今回は労働省令で、審議会の検討を経て、限定的な列挙をしていく、いわば業務範囲を明確にすることによって安易に事業主が広げていくような形はとれない仕組みをまずつくります。」、こう答弁されています。  つまり、現在の十一業務裁量労働制対象とすることのよしあしは別にして、これが乱用防止になっているかどうかも別として、少なくとも乱用防止のためには非常に限定的に運営されなければならないということを伊藤局長はかつておっしゃっていたんです。  ところが、今回の裁量労働制について衆議院の審議で、余りに無限定でどこまでも広がるのではないかという質問に答えて、これは五月八日の衆議院労働委員会です。中川委員が、「今度の改正で新たに企画、立案、調査というものが追加をされて、この範疇が拡大をされたということが一つありますが、この企画、立案、調査というのは、これは具体的にはどういうことをいうのですか。私たちの感覚では、これは、仕事の中身からいけば、ホワイトカラーはすべてこの範層に入るというような感覚で受け取れるわけですね。」、こういう質問こ対してあなたは、「その具体例を、私ども、労働大臣が定める指針で具体的に示して、」と。  「具体例のお尋ねでございますが、」、こう述べて、こうおつしゃつているんです。「例えば人事やそういったことの新しい計画を企画していく、それも、ある意味では部分的にやらされている人じゃなくて、総合的に一体のものとして、そういった企画業務を、問題点を発見し、それを解決するための具体的な企画をし、案を策定する。それら一連の業務をある程度一体的なものとして任されている人たち」、これがあなたが具体例とおっしゃった説明なんです。言っている本人もわからないんじゃないですか。労働大臣、この意味わかりますか。これで限定的と言えるか、お答えください。
  162. 甘利明

    国務大臣甘利明君) かなり回りくどい言い方であったかと思いますので、もう一度整理して答弁をさせます。
  163. 市田忠義

    市田忠義君 労働大臣、これわかりますかと聞いているんですが、これ伊藤さんに聞いているんじゃないんですよね。伊藤局長が衆議院の労働委員会で、私が今読み上げたような言い方をされているんです。これ、だれが聞いてもわかりませんよ。日本語にもなっていません、本当に。もう一回読みましょうか。私、時間がありませんから繰り返していたら次の質問に行けません。こうおっしゃっているんですよ。よくお聞きくださいよ。「例えば人事やそういったことの新しい計画を企画していく、それも、ある意味では部分的にやらされている人じゃなくて、総合的に一体のものとして、そういった企画業務を、問題点を発見し、それを解決するための具体的な企画をし、案を策定する。それら一連の業務をある程度一体的なものとして任されている人たち」。  具体的にわからぬ、さっぱり。だから具体的に示してくれと言って質問した人に対して、あなたがおっしゃったのはこれなんですよ。議事録を私コピーしてきたけれども、間違いない。そのときに、前提に、労働大臣の指針で明らかにすると、法律では抽象的だけれども。「具体例のお尋ねでございますが、」とおっしゃったのがこれなんですよ。何のことかさっぱりわからないので、労働大臣これわかりますかと私聞いたんです。
  164. 伊藤庄平

    政府委員伊藤庄平君) 新しい裁量労働制対象業務につきましては、今私の話を引用していただきましたが、そういった考え方に基づきまして、個々具体的な企業の実例等を見ながら、その企業のセクションあるいは経験年数、あるいはそこにいろんな職能資格制度を絡めるのか、そういったことを調査して指針においていろんな業務の具体例を、姿を出していくというときの具体例を出すための基本的な考え方について申し上げた部分を引用されているのかと存じます。したがいまして、具体例を絞り込むときのいわばメルクマールを申し上げているわけでございまして、それで具体例かと言われると、これはまたちょっとずれがあることは事実かと存じます。
  165. 市田忠義

    市田忠義君 要するに、無限定で本人説明しょうがないということを言っているのと私一緒だと思う。  じゃ、具体的に聞きます。法律では余り限定的に細かく書くわけにいかないので労働大臣の指針で具体的なものは示すと、こういうことですね。
  166. 伊藤庄平

    政府委員伊藤庄平君) 新しい裁量労働制については、いわば二重三重の枠組み、要件を設けておるわけでございます。
  167. 市田忠義

    市田忠義君 聞いていることに答えてください。指針で示すのかと聞いているんです。
  168. 伊藤庄平

    政府委員伊藤庄平君) したがいまして、法律で基本的なこの対象業務の性格を述べ、それを労使委員会で職場の実情を十分知っている労使が全員合意のもとに対象業務を特定する。その特定の作業をきちっと行っていただくために労働大臣が指針を示す。こういう枠組みでございますので、法律の枠組み、基本的な要件、それから労使委員会でそれを具体的に特定させる、その部分を飛ばして労働大臣の指針、これだけで縛っているわけではございません。まずその点は一点申し上げたいと存じますし、もし個々の具体例について御指摘であれば、いろんな事例について私どもお話を申し上げなくてはいけないと思いますので、そこは御理解をいただきたいと思います。
  169. 市田忠義

    市田忠義君 委員長、聞いていることにだけ答えるように指示していただきたい。  私は、労働大臣の指針をつくるんですかと。具体的な業務範囲については法律では極めて抽象的で一般的だと、あなたは衆議院の労働委員会でそういう答弁をされているんですよ。さっぱりわからないと各委員から出て、いや、それは労働大臣の指針で示すんだと、そうおっしゃっているんですよ。だから、労働大臣の指針を示すんですねと聞いたら、示すか示さないかと答えていただければいいんです。
  170. 伊藤庄平

    政府委員伊藤庄平君) 指針におきまして、さらに労使委員会で決める際の指針を出すわけでございますから、その中では、経営企画の分野ではこういったもの、もちろん労働者範囲を決める際には業務だけじゃなくて横割りとしての経験等の考え方も入れて、それから人事労務ではどういう業務対象になり……
  171. 吉岡吉典

    委員長吉岡吉典君) 質問に答えてください、きちんと。
  172. 伊藤庄平

    政府委員伊藤庄平君) 財務経理の分野であれば、財務の計画の企画立案からそういうファイナンスの企画の問題とか、それら業務を拾い上げつつ、この裁量労働制になじむ範囲を指針で示していく、こういう作業をする。そのために専門家の御参集も願う。こういう考えでおります。
  173. 市田忠義

    市田忠義君 ホワイトカラー全体に広がるかどうかの一番のポイントは、どういう業務裁量労働制がこれまで十一業種だったのが広がるのか、それをみんな心配しているわけですね。具体的にどうかと聞けば、法律では細かく規定できないと。前の労働大臣の伊吹さんは、細かく法律で規定したらかえって問題になる、だからそれは指針で示すんだと、こうおっしゃった。指針をここに明らかにしてくださいよ。対象業務が一番問題だ。  国会では指針を明らかにされずに、それは労働大臣が指針で決めると。じゃ、労働大臣に最も大事なことを白紙委任せよと。大まかな基準があるだけでどうにでも解釈できる。具体的なことは労働大臣に任せてくれというのと一緒じゃないですか。なぜその細かい基準を国会で、一番みんな心配しているのはそこなんですよ。私たちはそんな、労働大臣に白紙委任することはできないです。
  174. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 法律では抽象的な書き方になっております。一番細目については労使委員会で、当然企業ごとに画一的、一律的ではないと思いますから、本当の最後の具体的なところは現場で詰めるんだというふうに思います。詰める際に、言ってみれば法律が漠として規定しているものよりもさらに概要がわかるような絞り込みをすると。最終的に個別、個々、これはそう、これはそうじゃないというのは現場の労使委員会で決めるということになろうかと思います。
  175. 市田忠義

    市田忠義君 じゃ、質問を変えましょう。  指針の法的拘束力、指針、ガイドラインですけれども、この指針に反したら罰則を受けますか。ガイドラインですから罰則を受けないですね。いかがですか。
  176. 伊藤庄平

    政府委員伊藤庄平君) 御指摘の指針そのものには罰則等の問題は絡まないわけでございます。ただ、罰則、これは指針で決めた範囲以外の業務が出てきた場合には、窓口において法律の裁量制が本当にある業務なのか等々につきまして調べて、そういったものがない場合にはそれを除外させます。除外せずにもし裁量労働制適用していた場合には、これは労働基準法を誤って適用している、したがって、もとに戻りまして三六協定をつくり、割り増し賃金を支払う体制管理していない限り労働基準法違反ということで罰則の対象が出てまいります。
  177. 市田忠義

    市田忠義君 指針に違反したからといって罰則規定があるわけじゃないというのは確認されました。これに反したからといって罰則を受けるわけじゃないと。  私、今度の法案で、これは裁量労働制と違う別の話ですが、時間外労働上限時間についての基準を労働大臣が定めると。この基準は指針とほぼ同じだろうと思うんですが、そして、労使協定がその「基準に適合したものとなるようにしなければならない。」、こうなっていますね。これは罰則規定がない。  これも衆議院の労働委員会質疑で、罰則規定がなかったら強制力がないじゃないか、こんなことでどうしてその基準をみんなが守るのかと。しかも、「適合したものとなるようにしなければならない。」、なるようにしなければならないというのは単なる努力義務だと、最高裁の判決でもそういうことが示されている。  その質問に対して伊藤労働局長はどう答弁されたか。「もしこれに違反するケースがあれば、労働基準監督署としては是正を求める指導を繰り返しでもしていかなければならない。したがって、あくまでその遵守を求めて指導を繰り返す。こういう意味で、いわば努力義務を超えて、罰則はございませんけれども、改善が厳しく求められる義務である、」、「こういうふうに理解をいたしております。」、四月二十四日の衆議院労働委員会での御答弁です。  繰り返し改善を求めて指導すると。指導に従わなかったらどうしますか。
  178. 伊藤庄平

    政府委員伊藤庄平君) これは先生にもう少し私ども窓口の実情を含めて申し上げなければならないと思いますが、この時間外の上限基準、現在は事実上の指導の目安を出してやっているわけでございます。  このペース、これも窓口で指導いたしますが、年間三百六十時間ということを例にとって申し上げれば、出てきて直させるものもございますが、結果として九割を超えるものがこの三百六十時間内に三六協定を定めておる状況にございます。私ども、これをより一層確実を期すために、法律に根拠を置いて労使先生指摘ございましたような遵守の義務をかけ、監督署の指導の権限も明確に織り込む法体系をつくりましたので、これを武器として窓口が懸命な指導をいたしますことによって、まずほとんどのケースについてこの上限基準を超えるような三六協定を解消していける、こういうことをねらって制度をつくったものでございます。  既に窓口段階でそのように現在の指導の目安でも担当の職員がそこまで努力している、法律上の罰則がない限り全然事業主が守らない、こういう姿ではないことにつきましては御理解をいただかなくてはいかぬと思います。
  179. 市田忠義

    市田忠義君 指導を繰り返しても従わなかったらどうするのかと聞いているんです。罰則の担保があっても守らせていない例はいっぱいあるでしょう。しかも罰則規定がないのに、頼むから従ってくれ従ってくれと何ぼ言っても従わないと。これは罰則規定がなかったらほとんど効果はありませんよ。そのことについて聞いているんです。いかがですか。
  180. 伊藤庄平

    政府委員伊藤庄平君) 私、ただいまお答えしたとおりでございまして、現在の法律上の根拠のない姿で実際上九割以上守らせている、これを法律上の根拠を置いて明確な体系のもとで強力な指導を行うことによってまずほとんどは解消できる。もし解消できないケースが先生指摘のようにあるとすれば、それは再三にわたり指導を繰り返してまいるわけでございまして、私ども労働基準監督署の窓口職員が今まで長年いろんな労働条件について指導し、監督をしてまいりました。是正勧告等も出してまいりました。それが先生指摘のように守られないものばかりだということは決してないわけでございまして、ほとんどのケースについてそういったものを守らせ、改善を行わせてきている実績があるわけでございます。
  181. 市田忠義

    市田忠義君 あなた、聞いていることに答えないとだめだと思うんですよ。守られているやつばかりか守られていないのが多いかと聞いていないんですよ。指導しても従わなかったらどうするんですかと聞いているんです。指導しても従わなかったら、罰則規定がなかったらそれ以上仕方がないでしょう。指導するだけの話で、相手が従わなかったら仕方がないでしょう。そういうのではしっかり守らすことができないじゃないかということを私は聞いているんです。  例えば、今の労働基準法百三十四条、有給休暇取得に対する不利益取り扱いの禁止規定。この現行の労基法百三十四条は、「使用者は、第三十九条第一項から第三項までの規定による有給休暇を取得した労働者に対して、賃金の減額その他不利益な取扱いをしないようにしなければならない。」、しないようにしなければならないと規定されている。  この規定の解釈について最高裁は、九三年六月二十五日、「本条は、それ自体としては、使用者の努力義務を定めたものであって、労働者の年次有給休暇の取得を理由とする不利益取扱いの私法上の効果を否定するまでの効力を有するものとは解されない」と。すなわち、何々となるようにしなければならないという規定は単なる努力義務にすぎない、指導とか助言というのは罰則にかわり得ない、それは実効ある規制の役には立たないというのが最高裁の判決なんですよ、何ぼあなたが言われても。  大体、罰則規定で担保されている問題でも守らせていないものはいっぱいあるんですよ。  例えば、ことし参議院の委員会吉川議員が提起しましたが、JR東日本における時間外の割り増し賃金を支払わなかった問題で、これは労基法三十七条違反だから懲役六カ月以下というれっきとした犯罪行為です。労働省は、行政指導よりもはるかに重い是正勧告を出したにもかかわらず、割り増し賃金を支払わせていない、それをサボったJRを司法処理にもしていない。いや、就業規則を変えたとかいろいろ言って、実際は割り増し賃金を払わせていないんですよ。罰則規定で担保されているものでも、実際に守らせていないというのが労働基準行政の実態なんですよ。罰則のないようなものをどうして監督署が是正できるというのか。  じゃ、別の問題で聞きたい。  今度の裁量労働制は、最終的には労働基準監督署に届け出ることによって発効するんですか。届け出で発効するんですね。いかがですか。
  182. 伊藤庄平

    政府委員伊藤庄平君) まず、先生にまた質問していないことにというおしかりを受けるかもしれませんが、先ほどJRの問題の御指摘がございました。  これはその委員会でも私申し上げましたが、守らせることができないから割り増し賃金が払われていないのではなくて、訴訟に持ち込まれて裁判上の判断の問題になっているので今その問題について決着をつけられないんだと、こういうふうに申し上げておりますので、そこは御理解をいただきたいと存じます。  それで、御指摘ございました裁量の、労使委員会で決議をするその届け出をもって効力を発するのか、こういうことでございますが、届け出義務ば当然課せられておりまして、届け出ることによって初めて裁量労働制の実施に入れるという性格のものでございます。
  183. 市田忠義

    市田忠義君 届け出というのは、必要な書類がそろっている、記入漏れがない、形式要件を満たす届け出が役所に届いた、それで届け出の行為完了ですね。すなわち、行政機関に対して一定の事項を通知する。許可じゃないんですから、届け出というのは。そうですね。許可なんですか。届け出なんでしょう。届け出というのは、書類の様式が整っていれば、これは受け付けられないと、そんなことを言う権限はないんでしょう、行政官庁は。届け出というのは通知するということなんでしょう。いかがですか。
  184. 伊藤庄平

    政府委員伊藤庄平君) 届け出については、許可と違いますから、その形式要件を備えているかどうかということで判断することになると思います。  ただ、労働基準監督署は同時に労働基準監督官でございます。労働基準法違反につきましては、実態を調査し、是正させ、場合によっては司法処理をしていく権限と義務を持っております。  したがって、内容的に、実質的にこの労働基準法の定めあるいは指針等に即さないで裁量制のないものが含まれていた場合には、これは労働基準監督官として実情を照査し、是正勧告をし、場合によっては司法処理も含む一連の措置に直ちに入っていくわけでございまして、そういった役所が届け出を受けるんだということをよく御理解いただければ、内容が間違ったままで裁量労働制が実施に移されていくということはあり得ないということを御理解いただけると思います。
  185. 市田忠義

    市田忠義君 じゃ、届け出の際に指針やその他にそれが合致しているかどうかを労働基準監督官は調べた上でなかったら受け付けないんですね。あなたはこういう答弁をしているんですよ、「届け出ることを発効要件にいたしておりますので、届け出の段階で、もし指針に沿っていない、あるいはもとに返って法律上の範囲に即していないということであれば、直ちに是正を命じ直させていく、」。だから、届け出を受理しないんですか、どうなんですか。その段階で書類の形式が整っているかどうかだけじゃなくて、中身にわたってその段階で調べて、内容が不備なら受け付けない、そういう権限あるんですか。届け出というのはそういうことも含まれるんですか。
  186. 伊藤庄平

    政府委員伊藤庄平君) 届け出があった場合に、実際問題として、労働基準法に反する部分が含まれている場合に、労働基準監督官である労働基準監督署長がその過ちを放置したままにしておくわけにはまいらぬわけでございまして、その受理を保留してでもまず是正をさせていくということが我々の正しい職務の執行の仕方になると思います。
  187. 市田忠義

    市田忠義君 じゃ、受け付けないで保留するんですか、内容を調べて。伊藤労働基準局長、どうなんですか。行政手続法三十七条、どう書いてあるんですか。重大ですよ、そんなのは、あなたの言っていることは。内容、中身にまで踏み込んで、書類の形式が整っているのに、あなた、受け取りを保留することだってあり得ると言ったんでしょう。そんなことできるんですか。なぜできるんですか。その法的根拠を示してください。
  188. 伊藤庄平

    政府委員伊藤庄平君) 労働基準監督官には、労働基準法違反に関する事実について、事実を調査し、是正させ、場合によっては司法処理の対象にしていく権限と義務が与えられているわけでございまして、届け出が来ていた段階で明らかに労働基準法違反に該当するものが含まれていれば、これはそれを是正させる権限と責任があるわけでございまして、それを直させるために今申し上げたような形をとることは、これは労働基準監督官としての職務を全うするものだと理解しております。
  189. 市田忠義

    市田忠義君 届け出で効力を発すると言いながら、中身にまで踏み込んで、中身が問題なら受理しないこともあると。これは重大な発言です。  私、もう時間ですからやめますが、私のこの間のやりとりの中でも、対象も事実上無制限に広がる、八時間労働制を根本から掘り崩す、極めて重大な、新しい裁量労働制導入というのは重大な問題を含んでいる、削除以外ない、そのことを私強く主張して、また次の機会に別の問題を質問したいと思います。  以上で終わります。
  190. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 私は、時間外・休日労働に関する労使協定関連の問題についてお尋ねをいたします。  今、市田議員が、労基法第三十六条三項に言う、適合するようにしなければならないということと関連してどのような行政指導をするのかと。これは、これまで目安時間であったものが基準と言われて、大臣告示であったものが法的な根拠を持つことになったわけでありますが、私が代表質問でお尋ねをしたときには、他の労働基準法違反と同じように、是正勧告などして厳正に対処すると労働大臣にお答えいただきました。  ということになりますと、労働大臣が設定した基準、すなわち指針の内容に適合するようその労使協定をきちっと是正していくというふうに受けとめてよろしいわけですか。
  191. 伊藤庄平

    政府委員伊藤庄平君) 御指摘のとおりでございまして、この労使協定届け出があった場合に、もし上限基準を超えているものがあれば、直ちにそれをチェックじ、是正を他の労働基準法違反同様行っていく、こういうことによりましてまずもってそういった労使協定の解消をさせていく、こういうことをまず私ども最大限の力をそこに注ぎたいというふうに思っております。
  192. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 そうしますと、罰則はかかっていないけれども、労基監督署の取り扱いは罰則はかからないというだけで非常に禁止規定に近いような取り扱いをすると、こういうことでよろしいんでしょうか。
  193. 伊藤庄平

    政府委員伊藤庄平君) 先生指摘のとおり、実質的に窓口でのそうした対応を通じまして、この基準を超えるような労使協定というものが理由なく存在する状態は、まずこれらのことをなくすということを我々最大の任務といたしていく考えでございます。
  194. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 先ほど小宮山委員質問に対して、この基準に違反した労使協定は直ちに無効になるものではないというふうにおっしゃったわけですが、民事的な効力については無効になるものではないが、その基準に適合しない三六協定には合理性がないと理解してよろしいわけでしょうか。
  195. 伊藤庄平

    政府委員伊藤庄平君) 先生指摘のように、上限基準を超える労使協定がなされた場合、そのすべてが直ちに無効になるというものではないというふうに解されると考えております。  ただ、もしそういう三六協定が存在してそういった業務命令が出され、それを拒否したこと等によって不利益な取り扱いを受ける、そういったケースにつきまして、こういった条文が新たに設定されてそういったことの姿をなくそうとしているという行政側の判断、またはそういう条文の存在がそういう不利益取り扱いの効力あるいは原状回復等に向けて当然裁判所においては判断の材料としていくものではないかというふうに理解をいたしておるわけでございます。
  196. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 ちょっと明確ではないんですが、私がお尋ねいたしましたのは、基準を超えた労使協定は直ちに無効になるものではないが、それ自体、基準というものを今回設定する以上、基準を超えた部分については合理性がないのではないかというふうにお尋ねをしているわけであります。  さらに、そうした協定に基づいて出された業務命令というものを拒否した労働者の処理について今何かおっしゃったと思いますが、そこをちょっと整理してお答えください。
  197. 伊藤庄平

    政府委員伊藤庄平君) まず、この時間外労働基準を超える三六協定があった場合に、それが合理性のない姿でそういった上限基準を超えている三六協定があるということは現実としてあり得ると思います。そういったものにつきましては、監督署の方において十分是正をさせていくという姿勢で臨むわけでございますが、もしそういった合理性のない上限基準を超える三六協定が存在して、そういった三六協定を根拠に時間外労働を命ずる業務命令があって、それを拒否したこと等によって民事上の紛争が発生した場合には、これは合理性のない上限基準を超える三六協定を契機とした不利益取り扱いである限り、これは、民事上の争いに際してこういった新しい法文の存在というものは裁判所等の判断においてそれは十分材料とされていくものではないかというふうに私どもは理解しておるわけでございます。
  198. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 先ほど小宮山委員質問に対して、何か合理的理由がないような事例として、企業経営存亡の危機、某セクションで仕事が山場だったとき、それから人員の定数があるかどうか等というような要素を挙げられましたけれども、これは何の基準でしょうか、何の基準として挙げられたんですか。
  199. 伊藤庄平

    政府委員伊藤庄平君) 先ほどお話し申し上げましたように、上限基準を超える三六協定、これが合理性のない理由上限基準を超えている場合があり得る、これは是正をさせ、またそれをめぐる民事紛争についても先ほど申し上げたような解釈ができてくるのではないかというふうに申し上げたわけでございますが、もし企業がどうしても局面局面で会社全体の命運をかけて対処しなくちゃいかぬ事案にぶつかっているとき、あるいはそういった会社が力を入れてきた新しいプロジェクト等の山を迎えて、その期間どうしても残業時間がこの上限基準を超えるような緊急かつやむを得ないような事情がある場合に、これは本当にそこを合理性がないというところに持っていけるかどうかの問題としてそういうケースがあり得るのではないかということを申し上げたわけでございます。
  200. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 その危急存亡のときと仕事が山場であるときというほかに、何か定数の問題について触れられませんでしたか。この二点だけでしたか、触れられたのは。触れておられませんか。これは全体の、仕事の山場のときに定数はあるかどうかという、そういう趣旨で理解すればいいんですか。あのとき言われた返答をちょっと正確におっしゃってください。これは非常に重要な問題でちょっと見過ごせないんです。
  201. 伊藤庄平

    政府委員伊藤庄平君) 先生指摘の定数という意味がもし要員の数という意味であれば、この要員の数そのものが足りないということで三六協定がこの基準を超えていて、その後民事的な紛争に際して合理性があると判断される材料となるというふうには私、今の段階では申し上げられない。それは事業主がこの上限基準を守っていただくためにできる限り要員計画等々について御努力を願うべき課題ではないかというふうに思っております。
  202. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 そうしますと、合理的な理由としては、企業経営存亡の危機とそのセクションの仕事、プロジェクト等が山場であったとき、この二点というふうに理解してよろしいでしょうか。  そうすると、これはいわゆる労働基準監督署の窓口でのチェックの基準なのか、あるいは法的な効力におけるいわゆる民事上の効力の基準として言っておられるのか、どっちを言っておられるんですか。
  203. 伊藤庄平

    政府委員伊藤庄平君) この上限基準を具体的に文章を含めてどうつくるかということを固めて、正確なその辺のお答えを申し上げなければならないことになるかもしれませんが、現段階で申し上げれば、まず窓口でチェックする際に、よほどの理由がない限りこの上限基準内におさめていただく三六協定にするということを申し上げたわけでございます。  その際に、今申し上げたようなどうしてもこの期間残業が超えるという、先ほど申し上げたような事例などに代表されますような緊急、やむを得ないときにどうするかというのは、これは監督署の方で是正勧告を出す際の一つの基準となり得る可能性はございます。同時に、本当にそういった事由について合理的な理由があってそこはやむを得ないんだということであれば、その後に続く不利益取り扱い等をめぐる民事上の紛争について、合理性の判断の際にそういった事情というのは考慮される可能性はあろうかと存じます。
  204. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 先ほど、労働基準法違反と同様に厳正に対処する場合に、是正勧告の基準ということであれば、今言われた危急存亡の危機とかプロジェクトの山場のときということは、そうすると受け付けるところではどうされるんですか。先ほどの市田議員とまた重なるわけですが、この二つの状況をどこでいつどのようにだれが判断するのか、受け付け、届け出のときにはこういう基準というのは一体働くのか働かないのかということはどうですか。
  205. 伊藤庄平

    政府委員伊藤庄平君) この三六協定の届け出がありました際に、もし上限基準を超えていれば、どうしてこれを超えているのか、そういった疎明がない限り私どもこの上限基準に合致させるように是正勧告等をしていく、こういうふうに申し上げました。  その疎明はどういう疎明があるか。先ほど申し上げましたような例に代表されるような疎明があった場合に、本当にその期間だけはやむを得ないと、その後その上限基準にきちっと当てはめさせるというようなことの対応をしていくのか、そういうこともあり得るということを想定しなくてはいけないのではないかというふうに今思っております。
  206. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 そうすると、それは窓口でやるということになるんですか。そうすると、窓口でそういう判断をするということになれば非常にこれは大きな問題になりまして、では疎明はどうするのか、その通達で書くつもりかどうかという点についてはどうですか。そんなことをしたら、本当に時間外労働上限基準を定めて適合するようにしなければならないというふうに規定した趣旨が大きくゆがめられるということになって、これではもう法文の修正だってやらなきゃ参議院のメンツにかかわるということになりませんか。
  207. 伊藤庄平

    政府委員伊藤庄平君) この上限基準を超える三六協定、これを先生指摘のように一律に、ちょうど罰則であれば一律に運用しなくちゃいかぬわけでございますが、そういう形になり得るかどうか。  先生指摘のように、一カ月なり一定の期間どうしても残業をやむを得ず緊急的にやらなくてはいけない、それで三六協定等がもし改めて届け出られてきた場合に、ではその残業を認めないのかどうかという判断を窓口ではせざるを得ないわけでございます。もしそれが合理的な理由がない理由で出てきたものであれば、それはだめですと、お約束申し上げているように是正をさせていくことになるわけでございますので、そういった際の問題としてそういったことを考えていかざるを得ないというふうに申し上げておるわけでございますので、いわば緊急、やむを得ない場合の非常に例外的な事例があった場合の判断ということに相なろうかと思います。
  208. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 そうすると、是正勧告の基準と窓口の基準というのは違うでしょう、あれは、はっきり言って。どちらの基準だと言われるんですか。是正勧告の基準なら一応わかりますけれども、窓口でそんな基準を設けられたら大体おかしいじゃないですか。時間外労働の規制としてそんな、ケース・バイ・ケースで処理するということになるし、だったち疎明を出したらいいのかということにもなるし、それはおかしいじゃないんですか。
  209. 伊藤庄平

    政府委員伊藤庄平君) 疎明をすればいいということでなくて、是正勧告する際に、今のような合理的な理由がない上限基準を超えるものに対しては必ず是正勧告等を出して是正させていくわけでございますから、ではどうしても緊急、やむを得ないケースについて是正勧告を出せるかどうかのぎりぎりの判断のときに今申し上げたようなケースが問題となるというふうに御理解をいただきたいと思うんですが。
  210. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 そうすると、窓口の基準にはなりませんね。受け付けの基準にはなりませんよね。それで、是正勧告の問題は内部通達の問題ですけれども、窓口の受け付けの問題になると一般的な通達の問題になるからこれはちょっと重大だと思うんですが、窓口の基準ではありませんね。
  211. 伊藤庄平

    政府委員伊藤庄平君) これは労働基準監督官がその是正を出す際に、本当に是正というのはかなり重い扱いでございますので、そういった処分をする場合にそういったぎりぎりの判断をせざるを得ないケースがあり得るということを申し上げているわけでございます。したがって、是正勧告を行う際の判断上の問題と御理解いただきたいと思っております。
  212. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 是正勧告の基準ということでありますが、裁判所で争われる場合の合理性の理由になるような御答弁が先ほどありました。これはちょっと労働省として越権行為であります。それを決めるのは司法判断でありまして、あなたの方がそういう答弁をなさるということはおかしいので、そこはしっかり撤回しておいていただかないといけないんです。
  213. 伊藤庄平

    政府委員伊藤庄平君) 御指摘のとおり、裁判所の判断について私どもが云々できるわけでございませんで、そういう意味で、この新しい法律の存在がその後、裁判所における不利益取り扱い等の効果の問題について判断する際の材料になり得ると言うこともある意味では越権なのかもしれません。ただ、こういった法体系は今までの裁判所のいろいろな考え方からすればそういうことがあり得るというふうに、判断材料となり得ることはあるんではないかというふうに申し上げておるわけでございます。  その際の、裁判所が上限基準を超えたことについて真にやむを得ない合理的な理由があったかどうかの判断をどういう基準でやるか、これは是正勧告を出す際の基準とまた別の態度を裁判所がとり得ることは先生指摘のとおり、あり得るかと思います。
  214. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 だから、裁判所のいわゆる合理的な理由ないしは合理性の有無に関する基準としては、労働省はそういう意見として言わない、言えないということは確認していただきたいと思うんです。言えないんじゃないんですか、そんな推定したりなんか、困っちゃうんじゃないんですか、それは。
  215. 伊藤庄平

    政府委員伊藤庄平君) 先ほど申し上げましたように、この新しい条文の存在が不利益取り扱い等の問題で争われた場合に、裁判所のいわば判断の参考とされるのではないかというふうに申し上げたのもそういう推測で申し上げておるわけでございまして、そういったことについてなお法律上の詰めをし、これはもちろん裁判所の判断と一致するとは限らないわけでございますが、そういった解釈があり得るという前提をもって、むしろそういった気持ちでこの是正を促していく、そういうふうに臨みたいという気持ちでございますので、御理解をいただければと思っております。
  216. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 結局は、こういう解釈の非常な混乱とか幅があるのは、やはり三十六条三項の適合するようにしなければならないという文言が非常にあいまい性を生むということに問題があるんだということで、私はもう従来、この適合するようにしなければならないというのを明快に適合しなければならないと書くべきであると主張していますが、これを再度主張させていただいて、この質問は終わります。  次に、現行の三六協定の中で、一年三百六十時間ということですが、この三百六十時間は最高限で、私は、三百六十時間から百五十時間の範囲内で漸次削減をしながら千八百時間を目指していくような法律の書き方がいいというふうに主張してきたわけですが、この三百六十時間というものに対してこれは見直しを、順次低くしていかれるでしょうね。
  217. 伊藤庄平

    政府委員伊藤庄平君) これは、この法案につきましての衆議院での国会審議に際しまして労働大臣から申し上げていますとおり、三百六十時間内で設定してその後の状況に応じて見直しをしていくこととしております。
  218. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 その際、現在、一年三百六十時間を超える適用業種というのがあります。自動車運転者の労働時間等の改善のための基準というもので、これは平成元年労働省告示七号、改正平成九年労働省告示四号というもので、実態は一年四百五十時間というものが設定されておりますが、こうした三百六十時間を超える適用業種に対しても見直しを今後していかれるかどうかということをお尋ねいたします。
  219. 伊藤庄平

    政府委員伊藤庄平君) 御指摘ございました自動車運転手の労働時間等の改善基準は、今までも週四十時間制が段階的に実施される過程でその都度この時間数等の見直しを進めてきております。したがいまして、今後、この上限基準が三百六十内でまず設定され、その後見直しをしていくとすれば、それらの観点からまたこの自動車運転手の改善基準も何らかの影響を受ける可能性がございます。その段階ではその都度見直してまいります。  ただ、この自動車運転手の改善基準は、拘束時間とか休息時間、そういった幅広い点についても規制をしておりますので、上限基準がだんだん短くなってきた場合にそういった点に具体的にどう影響を及ぼすか、これは十分その都度見きわめながら労使の参加を得て見直しをしていくことになろうかと思います。
  220. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 現在の目安時間の告示によりますと、それは一年だけではなくて、一カ月ないしは三カ月だったでしょうか、細かく区切って規定がしてありますが、この指針による今回の基準は年間の総量規制としての効果を持つのかということについてはどうでしょうか。
  221. 伊藤庄平

    政府委員伊藤庄平君) 現在の上限基準のいわば土台になっております現行指導の目安で見ますと、これは年間を決め、さらに週、月、例えば三カ月といったような単位でその上限を決めて指導をいたしております。  実態を見ますと、一カ月で決めているところが八四%、同時に、やはり一年で決めているというところが八〇・五%ございます。こういったことは、こういう週または月単位等の期間で決めることと一年についての期間で決めることと双方協定するようにという指導をしてきている結果このように両方決めている、重複回答が非常に多くなっておるわけでございます。  今後、上限基準をつくるときに、今まで両方決めるようにと、いわば年間単位で総量を規制しつつ月単位とか週単位の時間も決めるという今までの指導をどういうふうに扱うか。これは上限基準の具体化に当たりまして、関係審議会の方で労使の意見を十分聞いてどういうふうに織り込んでいくかを相談させていただきたいと思っております。
  222. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 時間外労働に関する規制というのは、今回はやはり総量規制で年間三百六十時間を超えることがないように規定し さまざまに週とか月においてきめ細かくつくっていく指針をしつかり張っていただきまして、時間外労働の長時間労働に至らないための抑制策を十分にしていただきたいと思います。  この点について、労働大臣の時間短縮、長時間労働抑制についての御決意を伺いたいと思います。
  223. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 年間三百六十時間というのが上限で、これを行政指導で行い、今般それに法的な裏打ちをしていくということで、次第にその上限の縛りを強くしていく。今までもそうでありますが、これから社会の要請に従ってこの上限について各方面と相談をし、意見をいただきながら検討していきたいというふうに思っております。
  224. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 時間がありませんので一点だけ、休日労働の規制についてお尋ねをいたします。  さきの雇用機会均等法における労働省関係法律の整備に関する法律案に対する附帯決議におきましては、激変緩和措置で、家庭責任、家族的責任を有する女性労働者に対する適切な措置については「時間外・休日労働等の在り方について」というふうに時間外と休日労働がセットになっているんですが、今回の激変緩和措置は時間外労働でありまして、休日労働はガイドラインでやっていくと。これはどうして法的規制にならずにガイドラインになってしまったんでしょうか。これはやっぱり問題だと思うんですが。
  225. 伊藤庄平

    政府委員伊藤庄平君) まず、時間外労働につきましては、これは先生案内のように、今まで時間外の上限に関する指導の目安を提示して、長期間にわたって私ども指導をしてきて一定の成果をおさめてきていたという実績がございます。これらを活用いたしまして、これを法律に基づいてさらに強化させていただいて、その上でこれを軸にした家族責任を持つ女性の方についての激変緩和措置を講じていこう、こういう考えでございました。  休日労働につきましては、今まで正直申し上げてそのような実績がございませんでした。私どもこの休日労働の回数等についていろいろ実態もかねてより集めてきておりますが、現在までのところ、例えば最長ですと大体月に一・七回、平均すると一・五にいくかどうかというところで、まずは非常に幅の小さいところで休日労働を抑制していかなくちゃいかぬというふうに思っております。  そのために、まずガイドラインできっちりと少ない幅の中で合意のとれる回数というものを私ども設定して、今までの、例えば休日労働が工業的業種で禁止されていたそういう方が急激に休日労働がふえないような形をとるために、まず労使の合意をとってガイドラインという形で世に出していきたい。そのために、まずは審議会にガイドラインの設定について諮らせていただきたい。いわば初めての試みでございますので、そういったやり方を採用させていただきたいという気持ちでおります。
  226. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 最後に、時間外労働に関する基準の設定がこのように上限基準としてなされたわけですから、休日労働をやっている人が実態上少ないからといっても、それは休日労働上限設定があったということが前提になるのではないか。さらに、休日労働というものが家庭生活に及ぼす影響ということを考えますと、やはり従前どおりの基準を、激変緩和措置と同じように家族的責任を持つ女性に対して法的な措置として行われるべきではないかと私は強く主張して、質問を終わります。
  227. 鶴保庸介

    鶴保庸介君 自由党の鶴保庸介でございます。  労働省大臣並びに局長に幾つかの御質問をさせていただきたい。  各委員からのお話をお伺いしておりまして、本当に法律の上で規制をするということの難しさみたいなものを今るる感じただろうと思います。皆さんも、委員各位もそんなふうにお感じになられたと思います。  ただ、私が思いますに、労働法というのは人間関係を規律する法律といいますか、極めてあいまいな部分もある、そういう法律であろうという感じがいたしております。したがいまして、監督官庁である労働省、並びに当事者である労使関係方々が、その人間関係の中で、お互いの人間関係をどのように構成していくかというようなことについて、監督官庁がきちっとした指針というようなものは少なくとも出しておかなければいけないんじゃないかというような気がいたしておりますものですから、今回は初めての審議ということもありまして、法律上のことよりもむしろ実態上の運用であるとか状況であるというようなことについて焦点を絞って具体的な指針とか思いとかいったものをお伺いしておきたいなというふうに思うわけであります。  まず大臣に、これは本当に大きな意味でお伺いをしておきたい。伊吹文明前大臣がお答えをされた終身雇用についてであります。  伊吹大臣は、終身雇用については、これからの二十一世紀を通じても日本の仕組みの中で本当に大切なものであるというふうにはっきりと表明をされました。この辺のところ、日本の経済発展を支えてきたとも言われる終身雇用制について、これについては国際的にも今この不景気の中で本当に評価の分かれているところであります。今回の改正には、このような雇用の仕組みそのものを考えていかなければいけない、変えるのかどうか考えていかなければいけないというようなところもあるかと思います。  私ごとで恐縮ですが、私ば昭和四十二年生まれ、三十一歳でありますから、自分たちの世代にとりまして、フリーターであるとかフリーアルバイターと言われるような、一つの組織、企業に縛られることを嫌うような新しい労働形態というふうなものを模索するような動きすらあるわけであります。二十一世紀を通じての日本の終身雇用制、このことについて大臣はどのようにお考えでいらっしゃいますでしょうか。
  228. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 私は、終身雇用というのは、前大臣も多分そうお答えになったと思いますけれども、日本の雇用文化であって、これは正直誇っていいものだと思います。それは社会の安定要因にもなっているはずでありますし、そして、使用者側から見て終身雇用というのが非常に使い勝手が悪いというような御指摘はありますけれども、しかし経済発展にとっても、例えば製造業なんというのは、雇用が定着をして社内職業能力開発等を実施することもあわせて、労働者能力アップと相まって製造業というのは世界に冠たる製造業になってきた。定着率が高かったということはそれは産業発展にも私は寄与してきたと正直思います。  ただ、これはもちろん社会の変化もそうですし、働く側も一生この会社に縛られていたくないという思いも持っている人もいらっしゃいます。そのとき、そういう思いを持っている人が自分のチャレンジ精神に従って新しいところに挑戦していく、そのときのパイプがちゃんとつながる。一回入っちゃったが最後、死ぬまでもうどうあがこうと逃れられませんということではなくて、そういう自分の新しいトライに向かっていろんな道筋があるということも大事でありますから、基本は終身雇用にある、これは守るべきだと私は個人的には思います。その上で、希望すればいろいろなところへつながっていく、チャンネルが多チャンネル化しているということをあわせて乗っけていくべきだというふうに思っております。
  229. 鶴保庸介

    鶴保庸介君 まさに大臣おっしゃるとおり、私も基本としては必要かと。ただ、選択肢が本当にある自由な社会、自己責任があり、自由な社会を目指す、私たち自由党はそのような思いを持って活動しておるわけでありますが、そのような中で、やはりそうしますと、先ほども言いましたけれども、法律論もさることながら、本当に監督官庁である労働省がどのような指針を持って実際上どのように運用していくのかということが本当に大切になってくるんだと思います。原則として自由であっても、先ほど市田委員がおっしゃったとおり、全く自由にしてしまえば本当に大変なことになってしまう。  その観点から労基法のお話をちょっとお伺いしたいんですが、まず、労基法の今回の改正の柱の一つであります契約期間延長についてでございます。  労働契約期間延長については、一つ企業であるとか職場に縛られず自分の持つ高度な専門能力を十分に発揮する、そんな働き方を可能にするというような視点から今回の改正もあったと思いますが、その適用が一般の労働者にまで拡大されるようなことになれば、先ほど申し上げた終身雇用制を前提とした日本の雇用制度の根幹にかかわってくるようなおそれすらあるかと思います。  そこで、改正法案で設けている三つの条件というようなものが重要になってくるように思われます。法案の十四条の「専門的知識等を有する労働者」とは一体具体的にどの程度の専門的知識なのか、具体例を挙げてお答えをいただけたらありがたいです。
  230. 伊藤庄平

    政府委員伊藤庄平君) 新商品や新製品等の開発のために必要な専門的な知識や技術を有する方で、その高度の基準を定めてこれを対象者を限定していくことにいたしておりますが、これにつきましては、例えば私どもその技術等の分野専門家としてどういつだ年数、経験年数なり学歴等を組み合わせた一定の基準をつくっていかなければならないと思います。例えば新製品、新商品で言えば、最近よく言われます、例えば金融等の分野であればデリバティブ等の新しい金融商品を開発するためのいろんな数学的な理論なり、あるいは国際金融の技術で長年経験あるいはそういった知識を積んできた方、それから技術関係で申せば、次世代のコンピューターを開発していくためのそういった数学的な理論を研究されている方、あるいはそういった方面のエンジニアの方、それから特に今開発等でいろいろ競われております形状記憶素材の開発に必要ないろんな科学面で相当研究を積み重ねている人たち、こういう人たちは、まずいろんな新製品の開発等に際し、内外を問わずやはりそういう人材が求められるケースが多いのではないかというふうに思っております。  こういった判断は、例えば新しい事業開始等のための業務に必要な専門的知識という第二グループの方につきましても、例えば新しい支店を立ち上げるマーケティングの経験を相当積んでいる方をそこに一時的に置いてでもマーケティングを行わなくちゃいかぬ、そういった方とか、そういったことの相当経験年数、学歴等を組み合わせた基準を作成して対応していく考えでおります。
  231. 鶴保庸介

    鶴保庸介君 ただいま具体例はいろいろ挙げていただいたんですが、その中で、経験年数とか客観的な、法の明記でなくてもこんなものだと、客観的にこういう基準なんだと言えるような程度のものがあるかどうかお伺いをしてもよろしいでしょうか。
  232. 伊藤庄平

    政府委員伊藤庄平君) ほかの例で申せば、例えば入国管理上、そういう技術とかいろんな専門分野の方については、一般労働者については入国を基本的に認めないという中でそういう技術とかいろんな人文科学の分野とか、そういった方を認めるケースがございます。これはそういった方がどこまで学んできたか、学歴等の問題と経験年数等を組み合わせてそういった基準を作成している例がございます。そういうことも参考にしながら、この高度というものをしっかりと押さえてまいりたいと思っております。
  233. 鶴保庸介

    鶴保庸介君 私は今のお話を伺って、本当に抽象的な感じが、まだまだこれから運用を蓄積していかなければいけない、そんな気がいたしました。  ただ、労働契約期間延長というような問題について、先ほど但馬先生からもお話がありました。今回の改正によって三年に延長されたというようなお話であります。そして、それは局長が答弁でお話しになられましたけれども、研究期間というか、そのプロジェクトなんかを見ておって、三年ぐらいというのが大体適当であろうというようなお話であったように記憶しております。  その三年という契約期間が、高度な専門的知識存分に発揮するために本当に必要な期間という意味としてはうなずけないわけではないんですが、一般論から見て、労働者を取り巻く雇用環境労働者の生活環境というのがその三年というスパンの間全く変わらない状況というのはちょっと想定しにくいだろうと思うんです。そんなときに、本当に俗な言い方で言えば、ちょっと途中で気が変わってというか状況が変わって、その労働契約を解除したいなと思うようなときがあるかもしれません。そうしましたら、民法上の損害賠償その他の責任を問われないかというおそれすらあります。このことに関して、何らかの対処とか措置とか、労働省として考えていらっしゃることがあればお伺いをしたいと思います。
  234. 伊藤庄平

    政府委員伊藤庄平君) 一定の契約期間を定めた場合には、その途中で労働者の方から都合によって退職して企業に損害を与える、こういうケースが出ますと、これは理論上は一種の債務不履行ということで損害賠償等の民事の問題が出てくるかと存じます。ただ、私ども、今まで契約期間一年というようなケースについては見てきておるわけでございますが、正直、今までそういったことについてはケースは生じてこなかったということもございます。  ただ、先生指摘のように、今度は非常に高度な、いわば企業がどうしてもその人の能力をかりてでも新製品等の開発、事業等を立ち上げたいという問題でございますので、そういった先生指摘のように懸念される点についてはよく私どもも理解をできます。そういった民事上の問題でございますので、最終的には当事者また裁判所での話し合いということになるわけでございまして、そこはどうしてもそういった非常に高度な方同士の、高度な能力を持った方と、どうしても企業が欲しい、そういった企業とのめぐる争いでございますので、労働法規上どこまで工夫できるか、これは大変難しい問題があろうかと思っております。
  235. 鶴保庸介

    鶴保庸介君 民法上の損害賠償請求であるとかという法律的なことはわかるんですが、実際は本当にそのとおりになっていないというようなことだろうと思うんです。ただ、労働者が契約を結ぶときというのは、立場が物すごく弱いものですから、一年ぐらいでしか本当は契約を結びたくないなと思うときでも三年間結ばざるを得ない、三年でないとおまえを雇わないと言われてしまえば、じゃ三年間やってしまおうというようなケースも出てくるかもしれません。その辺について、これから運用上の対処、考えをちょっと視野に入れていただけたらと思います。  さて、その契約期間ですが、一定期間労働前提とした有期雇用契約なんかでは、雇用契約期間が過ぎてしまったら職を失うわけでありますから、労働者の生活設計を考える上では当然リスクを伴う。労働者にしてみたら、三年間なら三年間というのはあれだけれども、三年たったら全く職を失う。もちろん一年ごとの更新はできていくということは前提としてあるかもしれませんが、賃金労働者に対する保護の部分と、それからいわゆるリスクの部分、この対向というか対比というか、そういったものについて、使用者が結果的に本当に低いコストで労働者を使用できるというようなことになってしまわないか。政府として、何らかの労働者のリスクと労働者賃金といったような部分の対比、その辺について何かお考えがおありでしょうか。
  236. 伊藤庄平

    政府委員伊藤庄平君) 先生指摘のように、短期間の一定の期限のついた労働契約で働く方々のリスクの問題は、いろいろと検討すべき課題が確かに多いかと存じます。  ただ、一つは、今回三年に延長するという範囲は相当限定しておりまして、企業の方がどうしてもそういった人材を欲しいという、いわば売り手市場の中でその能力を買われていく人たちに限っておりますので これは先生指摘のようなリスクということよりも、むしろそういう形で自分能力を発揮して働いていくということにかなう道を開くことにつながるのではないかと思います。  ただ、先生指摘のようなリスクは、むしろ短い契約期間を、特にパート労働の方等を含めまして、反復更新しながら突然ある日からもう更新しないというようなことを言われる。当事者にずっと雇用機会、ずっと働けるという期待感がありながらそういったことが生じる場合の問題というのは大変重要かと存じます。  この点につきましては、有期労働契約のそういった契約の更新を突然事業主が拒否するというような場合に、解雇と同様の手続、私ども雇いどめと呼んでおりますが、そういうことを含めて制度的にどうあるべきなのか等々については、私ども早急に専門家の方の研究会等も設けてそういった方策のあり方について検討をしてみたいというふうに思っております。
  237. 鶴保庸介

    鶴保庸介君 わかりました。  時間がありませんものですから一次の論点というか、一年単位変形労働制、変形労働制について順次ちょっと聞いてみたいんですが。  一年単位の変形労働制が導入されたときには、労働時間の限度は省令で一日九時間、一週間で四十八時間と決められていたとお伺いをしております。それが今回の法改正に合わせて省令を改正して一日十時間、一週間に五十二時間というふうな状態になるという、引き上げたとされるその理由をちょっとお伺いしたい。
  238. 伊藤庄平

    政府委員伊藤庄平君) 御指摘ございました一年単位の変形労働時間制は、週四十時間労働制、中小企業側から見ればかなり受け入れが難しいというような声がある中でその実施を進めてまいったわけでございますが、その過程でこの四十時間制の導入をしやすくするために、年間忙しいときと暇なときがあれば、そこのめり張りをつけた形で年間単位で期間を見て週平均すれば四十時間が達成できる、こういう仕組みとして制度をつくったわけでございます。その当時の上限時間は先生指摘のとおり一日九時間、週にすれば四十八時間ということでやってまいったわけでございます。  今回改正をお願いしておりますのは、この年間の総労働時間を千八百時間に近づけていかなくてはいけないわけでございますが、千八百時間に近づけば近づくほど、いろんな業務上の工夫をしないとこれ以上の労働短縮が難しいという側面が中小企業等を中心に出てまいります。  したがいまして、本当に忙しいときと暇なときを峻別して、暇なときには思い切って労働時間を減らしたり休んだりしていく、こういうことをして全体としての年間の労働時間を減らしていく。こういう工夫も一つの道ではないかということで、今回、この一年変形制につきまして休日日数等について新たな要件を付加し、残業についても上限基準を短くするというような要件を付し、それらとあわせて一日の限度時間、週の限度時間をそれぞれ十時間、五十二時間に延ばしまして、忙しいとき、暇なときのめり張りをつけて全体として休日や総労働時間の短縮ができる仕組みとして御提案を申し上げている次第でございます。
  239. 鶴保庸介

    鶴保庸介君 変形労働制そのものの御趣旨だと思うんですが、今おっしゃったとおり、忙しいときは働きそして暇なときはというのは、それは当たり前なんです。ただ、なかなか今日の日本の社会の中では、年次有給休暇なんかでもとれとれと言われながらなかなかとれる状態じゃないというか、本当に日本の慣行なんでしょうか、なかなかそうとれないだろうなと。いわゆるサービス残業というようなものが横行して、結果的に経営者にとって少ない賃金労働を得るだけというようなことになるおそれがあると思います。  そこで、変形時間制が制度としてでなく、実体的にも労働時間の短縮に本当に役立つものだというお考え、恐らくそうだとは思いますが、お考えであろうかということをお伺いしておきたい。  そしてまた、休日増やそれから労働時間の短縮が図られているとはいえ、今申し上げましたとおり、限度時間の引き上げたとかそれから残業手当の引き上げは結果的に残業手当の減少を招いていることになるじゃないか、家計への影響もそういう意味では看過できないものになる、この点についてお伺いをしておきたいと思います。
  240. 伊藤庄平

    政府委員伊藤庄平君) この一年単位の変形制を導入したところで、平成八年に調査しておりますが、導入前後、労働時間短縮状況を見ますと、休日日数で導入したところが平均六・一日増加する、あるいは週所定労働時間数で見ると二時間二十五分平均で短縮されるというような効果を生んでおりますので、今回、制度面からもこういう流れを確実なものとするように、御提案申し上げている事項を着実に的確な運用に努めてまいりたいと思っております。  それから、御指摘ございましたように、こういった制度労働時間外の問題、残業手当の減少を招くというようなことにつながること等々についての懸念の問題でございますが、労働時間につきまして上限時間をこの変形制等について短くするというようなこととあわせますと、これは労使協定を原則にしておりますので、労使間で休みあるいは労働時間の減少をとるか残業代の方をとるかということで制度導入に当たってある程度議論を交わしていただく、そういうことを経て労使が納得して協定を結ぶ、そういう形がきちんと行われるように私ども指導を徹底していかなくちゃいかぬという気持ちで考えております。
  241. 鶴保庸介

    鶴保庸介君 危惧されることを羅列するようで本当に申しわけないんですが、それだけにこれからの労働省の取り組みが大切だと思います。  裁量労働制についてちょっとお伺いをしておきたいと思います。  新たな裁量労働制というようなものは日本独自の制度だというような声もよく聞きます。そこで、まず冒頭に、諸外国での裁量労働制あるいはこれに似た趣旨制度について、その運用方法あるいは法制度の概要といったものをちょっと御紹介いただけませんでしょうか。
  242. 伊藤庄平

    政府委員伊藤庄平君) 先進国で見ますと、確かにこの裁量労働制というのは日本独特のものかもしれません。  と申しますのは、アメリカあるいはフランス等々もそうでございますが、例えばビジネススクールを出て企業へ入る、その時点から、ある意味ではそういった方々、実質上イグゼンプトと呼ばれる労働基準法適用がされない、適用除外の形で働くわけでございます。そういう方と別に、いわゆるワーカーと申しますか、クラークの方々等は、これはアメリカの労働公正法がきちんと適用される、こういう仕組みになっております。これはフランスのいわゆるカードルと呼ばれる経営の中枢に入っていくような人たちもやはり同様でございまして、例えばヨーロッパにおきましてはそういった部分のホワイトカラー方々についてはそういった適用がされている。  我が国の場合、この裁量労働制につきましては、日本の人事慣行が大卒を採用して本当に裁量的に働けるようになるまでは相当育て上げてからということになりますので、そういう範囲を職場を熟知している労使委員会できっちり押さえて、裁量制がないのに裁量労働制対象になったりすることのないようにいろんなルールを厳格に当てはめないと欧米のような姿がとれない、こういう配慮で、ある意味では独特のこういう厳格なルール裁量労働制という名のもとにしいて提案をさせていただいているわけでございます。
  243. 鶴保庸介

    鶴保庸介君 今の質問は少々前提がわりのところがありまして、各委員先生方が今までずっと裁量労働制についておっしゃっていたとおり、今一番問題になっているのは、新たな裁量労働制適用される範囲、その限定方法といったようなこと、またそれについての担保措置といったようなことだろうと思うんです。  私は、もう時間もありませんのでこのことについてはちょっと割愛をさせていただきますが、各諸外国の制度であるとか、そういう参考になる制度があれば積極的にそれを活用して、よりよいものにできるように労働省の本当に努力を求めたいと思います。  裁量労働制についてはあと一点だけ。  裁量労働者にとって無理な目標設定を置いたような場合、この労働者に対して何らかの形で安全衛生上の支援措置をとるような用意が政府としてはありますか。
  244. 伊藤庄平

    政府委員伊藤庄平君) 裁量労働制のもとで過大な業務目標がかかったり、そういった仕事へいわばのめり込むというようなことが出てきやしないか、そういう人たちに対する安全対策の問題かと思いますが、この裁量労働制ではそういった点につきまして、事業所等が恐らくこの裁量労働制を実施する場合に、最近こういったホワイトカラー評価制度として広がりつつある目標管理制度等を実施するかと思います。そういったものがもし過重な制度としてある場合には、労使委員会において目標管理制度等の内容を開示させ、裁量労働制導入に当たって労働側が同意するかどうかの判断材料にできるような仕組みといたしております。  さらに、事業主がそういった方の勤務状況を把握して、それに応じて安全衛生上、特に健康管理上の措置をどう講ずるか、その具体的内容をあらかじめ労使委員会全会一致で決めて届け出るということも要件にいたしておりまして、その健康管理上の措置の具体的な望ましい姿については指針でいろんな具体例を示して普及させていくというふうにいたしてまいりたいと思っております。
  245. 鶴保庸介

    鶴保庸介君 最後の質問でございます。大臣に最後にお伺いをしたい。  年間総労働時間の限定、千八百時間という目標を先ほどからも何度も決意をされて、やるんだというお話でありました。もしやるとするならば、具体的にどのようなタイムスケジュールで実行に移していかれるおつもりか。  そしてまた、ここで一つ提案というか思いなんですが、私たちは、年間千八百時間ということに限定するということだけではなくて、その意味、より豊かな生活の実現を図ろうというのが千八百時間限定の意味だろうと思います。その意味において、我々は一部国民の祝日を月曜日に持ってくることによって休日を連続して三日間とれるようにするような制度、祝日の三連休暇制度というようなものを自由党としては強く提案をし続けております。こういったことについて大臣はいかがお考えでありましょうか。
  246. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 先ほども千八百時間の達成についての御質問がありました。与野党の先生方の大変な御努力によりまして時短を推進してこの十年で二百二十四時間が短縮をされた。しかし、それでも千九百時間をやっと切ったというところでございまして、さっきも申し上げましたが、有給休暇をもっと積極的にとっていこうとか、いろんな方策を講じながら当初の目標であります平成十二年度末までに何とか千八百時間に限りなく近づけていこうと、あらゆる努力を払っていきたいというふうに思っております。  それから、その一助にと、今先生からお話がありました。これは与野党で案は違いますけれども、提案が出ているというふうに承知をいたしておりまして、まだこの審議が始まっていないと聞いておりますが、この審議状況を見守って、どういうふうにそれが審議が始まったら収れんしていくのか見守っていきたいというふうに思っております。
  247. 鶴保庸介

    鶴保庸介君 ありがとうございます。  祝日の三連休化は、祝日を四日移動して三連休を四回つくるだけで経済効果は一兆四千億というふうに試算される向きもあるんです。今この不景気の中では本当に考慮すべき政策だろうと私は思いますし、この労働委員会の中でも千八百時間という労働の全体としてのあれがあるわけですから、ぜひとも前向きに御検討いただければと思います。  どうもありがとうございました。
  248. 吉岡吉典

    委員長吉岡吉典君) 本案に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。     —————————————
  249. 吉岡吉典

    委員長吉岡吉典君) この際、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  労働基準法の一部を改正する法律案の審査のため、来る十八日、参考人の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  250. 吉岡吉典

    委員長吉岡吉典君) 御異議ないと認めます。  なお、その人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  251. 吉岡吉典

    委員長吉岡吉典君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時六分散会