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市田忠義君
裁量労働制を
導入して、みなし
労働時間は八時間、実
労働時間はつかめていない。本当にひどい話だと私は思うんです。
実態はどうか。月に百時間、百数時間の時間
外労働があるのに、一日のみなし
労働時間が八時間ということで
労働基準監督署に届けている。これは雑誌に載った論文の中にも、実際に調べられた出版
関係の
労働者の方の発行されたパンフの中にもそのことが示されておる。
裁量労働制が
導入されて、一九九五年の九月に
労働組合がアンケートをとりました。アンケートをとって、実
労働時間は減りましたかと、こういう問いに、減っていないというのが五〇%以上です。自己
裁量労働がふえたかと、五〇%以上がふえていない。つまり、長時間
労働の実態は何にも変わっていないのに、かつては法違反だったのが今では合法となっておる。これが
裁量労働制じゃないか。つまり、実際に何時間働こうと、実働時間とは一切
関係なしに
労使協定で定めた時間だけ
労働したものとみなしてしまう。まさに
労働時間に対する法的規制を取り払ってしまう
制度じゃないか。
出版、編集の
業務の実態というのは一体どうなっているか。例えば、コミックの
編集者の場合、担当した漫画家が非常に売れっ子であったり、遅筆であったりする。そういう人を担当した
編集者の
労働時間というのは極めて不規則かつ長時間。そうでない場合も、例えばストーリー作成の相談に関与する。
労働者本人の
裁量ではどうにもならない事情で
労働時間が左右される。加えて締め切りがある。
本人の自由な
裁量に任されるというけれども、雑誌なんというのは毎週毎週締め切りに追われるわけです。
仕事のノルマが長時間過密
労働と密接な
関係がある。雑誌編集の場合にはそれが締め切りというわけであります。
裁量労働制を
導入していない場合には、時間外の割り増し
賃金の支払い、もちろんそれがあるからといって必ずしも長時間
労働をやめさせる抑止力は使用者の側に働くというわけではなくて、そうであっても実際には多くの事業所ではサービス残業が横行している。しかし、
裁量労働制になれば、そういう辛うじてあった抑止力すらなくなるではないか。
そこで私、お聞きしたいんですが、今回
導入しようとしている新しい
裁量労働制、事業の運営に関する企画、
調査、立案及び分析の
業務。しかも
業務の遂行、
労働時間の配分について使用者が指示しない
業務。指示することが困難じゃないですね、使用者が指示しない
業務。指示できるかどうかにかかわりなく、指示しない
業務に
適用している。極めて抽象的、一般的かつ包括的で、
対象労働者が無限定に広げられるんじゃないか、こうした事態が一般の
ホワイトカラー全体にも広がるのではないか、そういう懸念が広がるのは私当然だというふうに思うんです。
そこでお聞きしたい。わかりやすく簡潔に新しい
裁量労働制の
導入要件を述べてください。できるだけ簡潔にわかりやすく。よろしく。