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1998-09-25 第143回国会 参議院 予算委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十年九月二十五日(金曜日)    午後一時開会     ─────────────    委員の異動  八月二十四日     辞任         補欠選任      鈴木 正孝君     狩野  安君      堀  利和君     広中和歌子君  八月二十五日     辞任         補欠選任      木俣 佳丈君     峰崎 直樹君      池田 幹幸君     須藤美也子君      小泉 親司君     市田 忠義君  九月二十四日     辞任         補欠選任      小川 勝也君     佐藤 雄平君      市田 忠義君     橋本  敦君      須藤美也子君     小泉 親司君      西川きよし君     石井 一二君      菅川 健二君     山崎  力君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         倉田 寛之君     理 事                 鴻池 祥肇君                 野沢 太三君                 林  芳正君                 矢野 哲朗君                 今井  澄君                 平田 健二君                 山下 栄一君                 笠井  亮君                 大渕 絹子君     委 員                 市川 一朗君                 岩井 國臣君                 狩野  安君                 金田 勝年君                 岸  宏一君                 斉藤 滋宣君                 常田 享詳君                 長谷川道郎君                 依田 智治君                 吉村剛太郎君                 若林 正俊君                 江田 五月君                 郡司  彰君                 佐藤 雄平君                 内藤 正光君                 広中和歌子君                 福山 哲郎君                 峰崎 直樹君                 簗瀬  進君                 加藤 修一君                 高野 博師君                 浜田卓二郎君                 小池  晃君                 小泉 親司君                 橋本  敦君                日下部禧代子君                 照屋 寛徳君                 入澤  肇君                 月原 茂皓君                 石井 一二君                 奥村 展三君                 山崎  力君    国務大臣        内閣総理大臣   小渕 恵三君        法務大臣     中村正三郎君        大蔵大臣     宮澤 喜一君        運輸大臣     川崎 二郎君        国務大臣        (内閣官房長官) 野中 広務君        国務大臣        (総務庁長官)  太田 誠一君        国務大臣        (防衛庁長官)  額賀福志郎君        国務大臣        (経済企画庁長        官)       堺屋 太一君        国務大臣        (科学技術庁長        官)       竹山  裕君         ─────        会計検査院長   疋田 周朗君         ─────    政府委員        総務庁人事局長  中川 良一君        総務庁行政管理        局長       瀧上 信光君        総務庁行政監察        局長       東田 親司君        防衛庁参事官   伊藤 康成君        防衛庁長官官房        長        藤島 正之君        防衛庁防衛局長  佐藤  謙君        防衛庁人事教育        局長       坂野  興君        防衛庁装備局長  及川 耕造君        防衛施設庁長官  萩  次郎君        防衛施設庁施設        部長       守屋 武昌君        経済企画庁調整        局長       河出 英治君        経済企画庁調査        局長       新保 生二君        科学技術庁研究        開発局長     池田  要君        金融監督庁長官  日野 正晴君        金融監督庁検査        部長       五味 廣文君        金融監督庁監督        部長       乾  文男君        法務省刑事局長  松尾 邦弘君        外務省アジア局        長        阿南 惟茂君        外務省北米局長  竹内 行夫君        外務省欧亜局長  西村 六善君        外務省経済局長        事務代理     渋谷  實君        大蔵大臣官房長  溝口善兵衛君        大蔵省主計局長  涌井 洋治君        大蔵省主税局長  尾原 榮夫君        大蔵省金融企画        局長       伏屋 和彦君        大蔵省国際局長  黒田 東彦君        運輸省航空局長  岩村  敬君    事務局側        常任委員会専門        員        宮本 武夫君    参考人        日本銀行総裁   速水  優君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○予算執行状況に関する調査  (日米関係及び防衛庁問題並びに経済に関する  件)     ─────────────
  2. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  予算執行状況に関する調査のため、本日の委員会日本銀行総裁速水優君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 予算執行状況に関する調査を議題とし、日米関係及び防衛庁問題並びに経済に関する集中審議を行います。  質疑者はお手元の質疑通告表のとおりでございます。  これより質疑を行います。野沢太三君。
  5. 野沢太三

    野沢太三君 このたび小渕総理におかれましては、二十日から二十三日という極めて短い時間の中で渡米をされまして、国連総会への御出席、それから国連関係者との会談、さらにはイギリスのブレア首相との会談をこなされまして、二十二日にはクリントン大統領との初めての首脳会談を行われてまいりました。まことに御苦労さまでございました。  また、国連総会におきましては、二十一世紀に向けまして新しい国際秩序構築するために国連改革必要性を強調されまして、とりわけ今次会期中に安全保障理事会改革に伴う枠組みの合意という点を訴えてこられましたことは、まことに時宜を得たものと考えられまして、敬意を表する次第でございます。  さて、きょうの予算委員会日米関係及び防衛庁問題並びに経済に関する集中審議ということになっておりますので、この点に重点を置きまして御質問をしてまいりたいと思います。  今回の首脳会談でございますが、まず何よりも首脳同士相互理解信頼関係構築、これが第一ではないかと思うわけでございます。ケイゾウ、ビルというふうにファーストネームで呼び合える間柄にこれからはなっていこうということで、異例の時間も割いておられたようでございます。それとあわせて、当面する経済危機あるいは日米関係の再構築北朝鮮ミサイル発射問題、安全保障条約の再確認等々、話題山積でございましたが、今回の日米首脳会談意義並びに帰ってこられまして今これをどう評価しておられるか、総理の御判断をいただきたいと思います。よろしくお願いします。
  6. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 今回クリントン大統領といわゆる初顔合わせということでございましたが、余人を交えず一時間近く語り合うことができました。当初は別のところでということでわざわざ大変なお心遣いをいただきましたが、残念ながらヘリが飛びませんで、同宿しておりますホテルの中でいたしました。さらに、昼食を含めまして二時間以上極めて和やかな雰囲気の中で会談ができました。  クリントン大統領もニューヨークの国連総会出席いたしておったわけでございまして、各国首脳との会談をこなしておる中でありますが、総計四時間に近い時間を我が日本総理たる私との時間に割いていただきました。しかも、米政府オルブライト国務長官以下ルービン財務長官等々すべての閣僚がそこに出席をするという異例な会談ができたわけでありまして、それだけ我が国に対する重視の姿だと認識をいたしております。  そこで、大統領とは改めてでありますが、日米関係重要性確認した上で、日本及び世界経済に関する意見交換を行いました。世界の第一位、第二位の経済規模を持つ、合わせますと四〇プロを超えるようなGDPを持つ両国が、現下世界経済は極めて停滞をし、ある意味金融通貨問題等を含めまして大変難しい経済状況の中でありますから、改めて両国首脳がしっかりこの問題の認識を深めて努力することを話し合うということは大変意義が深かったと思っております。  その他、安全保障の問題につきましても、北朝鮮によるミサイル発射を含む朝鮮半島の問題、ロシア、中国等の国際問題、そして日米間の協力の問題について幅広く意見交換ができたことは大変内容に富む会談であったと理解しております。  また、大統領から来年前半に米国を公式訪問するよう御招待がございました。首脳間での緊密協議協調を進展させていくことからも極めて意義のあることだと思っております。  いずれにいたしましても、今回の会談を通じまして、クリントン大統領と緊密に協力していく信頼関係構築の第一歩になったと認識をいたしておりまして、さらにこの関係を深化させていきたい、このように願っておるところでございます。
  7. 野沢太三

    野沢太三君 この際、一番やはり大きなテーマとしては日本景気対策あるいは金融システム安定化対策であったかと思うわけでありますが、総合経済対策に加えまして、さらに二次補正、恒久的な減税等考えているわけでありますけれども規制緩和市場開放等も進めながら景気回復金融システムの安定を図っていこう、こういった趣旨での御説明総理はなさってこられたかと思いますが、これについてアメリカ理解あるいは評価はいかがなものであったか、お聞かせいただきたいと思います。
  8. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 首脳会談におきましては、日本経済につきまして大変な深い関心を寄せておりまして、その中で金融システムにつきまして種々お考えが相手方からも述べられました。  これに対しまして、現下日本経済問題の中で金融システムの問題は極めて重要であり、現下日本国会におきまして法案の整備を急いでおるということでありまして、包括的な安定を揺るがすことのないようにという決意を披瀝させていただいた次第でございます。  景気回復の問題につきましては、総合経済対策につきまして前内閣以来の施策が実際に予算執行状態にこの夏以降入ってまいりますので、その効果も見きわめながらでありますが、第二次補正予算の編成あるいは減税の実施、そして我が国経済の再生のために適切な措置をとっていくことの重要性につき申し上げ、そして今お話しのように規制緩和市場開放への努力につきまして、従来の日本政府対応につきましてもそれなりの評価を得ていると認識しておりますが、さらに具体的な問題もありますが、個々の問題について今次会談ではお話しになりませんでしたが、一般論としてはそのことを申しておりました。  いずれにいたしましても、クリントン大統領に私の説明評価していただいて、内需主導による成長の刺激と金融システムの強化のため迅速かつ効果的な措置緊要性を強調されましたことに対し、日本政府といたしましても今全力を挙げて取り組んでおるということを申し上げ、理解いただいたと認識しております。
  9. 野沢太三

    野沢太三君 そういう中で、日本景気状況でございますが、八月の景況指数総合判断では「はなはだ厳しい」となっておりましたのが、九月になりましたら「極めて厳しい」と、こういう判断に変わりました。「はなはだ」と「極めて」がどこが違うかよくわかりませんが、そこを判断する意味で、前回の予算委員会におきまして我が党の林議員からも御提言申し上げましたとおり、景況指数の提案が三カ月おくれでは判断できないではないか、こういうことで御提案申し上げましたところ、今回からそれを二週間ほど繰り上げて十月七日には次の八月の分が出るということで、直ちに改善に取り組んでいただいたことにつきましては、大変意欲的だということで、私どもこれは評価をするものでございます。  しかしながら、まだ二週間という程度ではいかがなものか。もうひとつ頑張って、一カ月おくれあるいは二カ月おくれ、速報値で結構ですから、適時適切なる判断のできる、そういった指標をさらに御工夫いただきたいと思いますが、経企庁長官のお考えを聞きたいと思います。
  10. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) 経済指標につきましては、なるべく早くなるべく正確にということで努力いたしまして、仰せのとおり、DIという指標でございますが、これを今月から、次の回から二週間早めるようにいたしました。ということは、中二カ月置いて発表することになるわけです。  このDIを構成しております十一の要素の中には、消費であるとか雇用であるとか生産であるとか、いろんな各省が統計をとっておるものがございます。それが翌月の末に出てまいります。したがって、それを整理いたしまして合計いたしますと、どうしてもあと二週間ぐらいはかかるものでございますから、今までより二週間早めさせていただいて、八月の末が十月の初めに出るというのが今のところ精いっぱいでございます。  今後さらに、その他の統計も含めて、より早い判断ができるようにいろんな点で改善を今検討しておりますので、できるだけ御期待に沿いたいと思いますが、今のところはこれが精いっぱいと御承知いただきたいと思います。
  11. 野沢太三

    野沢太三君 大変御努力をいただいている点は多とするわけでございますが、このコンピューター時代に二カ月おくれというのはまだまだ私どもは不十分と思いますので、どうかひとつデータの構築段階から工夫していただくことが大事かと思っております。  そこで、日銀総裁にお伺いしたいと思いますが、九月九日に無担保コールレートを〇・二五ということで金融緩和をしていただきました。これの効果があったのかないのか、マネーサプライが幾らかでも改善されたのかどうか、あるいは貸し渋りにいささかでもこれが効果を発揮したのかどうか、この点についての御評価を伺いたいと思うわけでございます。  また、アメリカあたりとの協調利下げについての御相談があったのかどうか。二十三日のアメリカ上院予算委員会におきましてグリーンスパンFRB議長利下げを示唆された、こういった記事が来ております。二十九日に開かれます会議におきまして、いわゆるフェデラルファンドをやはり〇・二五下げよう、こういう見込みもあるやと伺っておりますが、この辺も含めましてのお考えを聞かせてください。
  12. 速水優

    参考人速水優君) お答えいたします。  去る九月九日に一層の金融緩和をいたしました。今回の措置は、国内経済の全般的な悪化金融市場の不安定な動きといったようなことが起こりつつありますことを踏まえまして実施した措置でございますが、日本経済がデフレの悪循環に陥ることを防止し、景気悪化に歯どめをかけるということをねらいとしたものでございます。  私どもとしましては、新しい金融調節方針のもとで、九月、間もなく中間決算の期末が参りますが、それらのことも考え、またそれら以降のことも考えまして、ここで断固として市場に潤沢な資金供給を続けていく、金融市場の安定に万全を期していくという覚悟でとった措置でございます。  今回の緩和措置実施後の動向を見ますと、長短市場金利は順調に低下しております。短期プライムレートを初めとする貸出金利にもその影響が出てきております。こういった金利低下は、その効果を定量的に示すことは難しゅうございますが、マネーサプライを押し上げる方向に寄与することもまた期待いたしております。潤沢な資金供給を通じて、金融機関資金繰り全般に対する不安感を軽減することによって銀行融資姿勢を緩和していくことにも資するものと考えております。  ただ、御承知のとおり、現在、我が国金融システムのいわゆる信用仲介機構と申しますか、銀行の貸し出しは、非常に自己資本の過少ということもありましてかなり消極的になっておることは確かでございます。そういう結果、金利低下マネーサプライをどれだけ押し上げる力を持っているかは従来に比べてはいささか弱くなっているかもしれません。  こうした観点から見ますと、日本経済にとってはやはり金融システムの立て直し、これを一刻も早く実現することが引き続き重要な課題であると考えております。今回の金融緩和措置は、そうした金融システム問題の早期解決と相まって、景気回復によって大きな効果を発揮していくものというふうに考えております。  もう一つの御質問アメリカとの関係ということでございますが、今回の私ども金融緩和措置は、あくまでも日本経済の現状と先行きを踏まえて日本経済が独自に実施したものでございます。日本銀行が独自に実行したものでございます。他国との協調利下げといったものではなかったということをはっきり申し上げられると思います。  アメリカの方もいろいろ経済情勢が少しずつピークを過ぎて、いろいろな指標が出てきておりますが、私どももこれからのアメリカ連邦準備銀行の出方について深い関心を持って見ておるところでございます。以上です。
  13. 野沢太三

    野沢太三君 この景気対策あるいは金融システム安定化というのには金利の操作だけではとても及ばぬということはよくわかるわけでありますが、今後とも国際的な配慮を加えながら適切な金利の選択をよろしくお願いしたいと思うわけであります。  そこで、今回の金融システム安定化策につきまして、総理出発直前まで御努力をいただき、トップ会談まで行われまして、いわゆる日本としての取り組みを携えて向こうに行かれましたが、これにつきましてアメリカ理解が得られたかどうか。クリントン大統領は、存続可能な銀行につきましては十分な公的支援必要性を強調しておられたと、こういった御連絡もあるわけでございます。  今後の金融機関の再編に当たりまして、できるだけ生きた形での多様な処理方策が望まれると思うわけでございますが、これについて今後どのように取り組まれるか、お願いをいたします。
  14. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 今般の日米会談におきまして、我が国金融システム安定化に対する諸対応について理解を得られたかどうかということでございますが、結論的に申し上げますと、私から、現在の国会状況、各党間の話し合い、こうした中で、最終的な問題解決に向けて金融システム全体の包括的な安定性は揺るがしてはいけないという決意については理解を得られたものだというふうに思っております。  それから同時に、アメリカ側におきましても、あえて大統領並びにアメリカ政府が、存続可能な銀行を適切な条件のもと十分な額の公的支援によって支援する必要性を強調されるという事態は、やはり日本における金融システムの安定というものが、ひとり我が国のみならず、世界通貨金融経済に大きな影響を持つという意味で、最大の経済大国アメリカにしても日本動向について極めて関心を深くしておるという証左であると認識をいたしまして、私といたしましては、現在の日本政府並びに国会対応につきましても、このことを申し上げ、理解を得たと認識をいたしております。
  15. 野沢太三

    野沢太三君 今回の金融危機は、我が国のみならずアジア並び世界に対して影響がある問題でございまして、これにつきましては、できるだけ早く与野党合意を得た上で法案の形に仕上げて取り組むべき課題と心得るわけでございますが、これについて、今後の取り組みについて大蔵大臣の所見をお伺いしたいと思います。
  16. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 先ほどお話し党首会談が行われまして総理アメリカに御出発になったわけでありますが、その党首会談の後、実務者の間で解決すべき問題、その方向等を一応列記する作業が行われました。それから後、それをさらに法案の形に組み込むという手はずがその後になるわけでございますけれども、実際問題といたしまして、実務者あるいは政策担当者等与野党の間で、連日連夜と申すべきでございますが、協議を続けておられますが、きょうに至りますまで全般的な合意に達することができずにおります。  他方、九月の仮決算の時期でもございますし、先ほど総理大臣が言われました、日本のこの問題についての対処いかんは、我が国だけでなく世界経済動向を左右する種類の問題でございますので非常に熱心な折衝が続けられておりますけれども、そしてまた現在、この段階でも続けられておると了解しておりますが、まだ妥結のめどがついておりません。この週末を越したくないということは関係者が皆さんお考えのようではございますので、大変に詰めた折衝が行われておりますけれども、この席でまだ具体的な成果について申し上げるまでに交渉は進展しておらないというふうに聞いております。
  17. 野沢太三

    野沢太三君 我が党としても目いっぱいの取り組みをいたしておりますが、さらに努力をいたしまして、一致点合意点を見出すよう、みんなして努めてまいりたいと決意を固めておるところでございます。  そこで、引き続きまして、日米安全保障協議委員会につきまして一、二お伺いをしたいと思います。  先般、北朝鮮からミサイル発射をされた。人工衛星かどうかというような議論がございますが、その失敗ではないかという報道もございます。これについての事実確認と、さはさりながら無警告でこれが発射されたという意味で、国際的な約束、取り決めにも反しているんではないか、かように思われるわけでございます。  これに関してこの2プラス2でどのような議論があり、また共同技術研究を進めていこうではないかと、いわゆるBMD、TMDについての御議論もあったやと伺っておりますが、防衛庁長官のお考えを聞かせてください。
  18. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) お答えをいたします。  まず、人工衛星弾道ミサイルかという話につきましては、防衛庁側といたしましては、独自の情報アメリカ側情報を加味しまして総合的に検討した結果、人工衛星可能性は低い、弾道ミサイル可能性が強いという分析をしておったわけであります。アメリカ側人工衛星が失敗したという分析をしておりまして、私どもといたしましては先般、専門家アメリカに送りまして引き続いて事実関係の究明に当たらせたわけでありますけれども、これはまだそれぞれの言い分がありまして、どっちがどっちというふうに決着がついたわけではないというふうに思っておりまして、引き続き追求をしているというのが実情でございます。  それから、2プラス2におきましては、この北朝鮮弾道ミサイルにつきまして、無警告、無通告のまま発射されたということについては、私どもも強く怒りを持って主張したわけでございまして、この点については、人工衛星であれ弾道ミサイルであれ、我が国ばかりではなくて北東アジアあるいは日米両国にとって脅威であるという認識をともにしたわけでございます。  したがって、今後、この弾道ミサイルについてどういうふうに対応していくかということはかねてから我々が大きな課題として取り組んできたわけでございますけれども、2プラス2におきましては、これまでの総合的な調査結果を踏まえまして共同技術研究対応していくという、実施する方向協議をしていくことで我々は表明をしたわけでございます。  したがいまして、防衛庁といたしましては、今後、予算に伴う関連を含めて政府内の調整をしてまいりたいというふうに思っているところでございます。
  19. 野沢太三

    野沢太三君 思いもかけないミサイルが飛んできたかと思いますと、また足元では大変な事件が出ておる。  九月二十二日に、元防衛庁の調達本部の副本部長ほか業界三名を含めて起訴があったと伺っております。これは、装備品の調達に関して国に二十一億余りの損害を与えたという背任の疑いということになっておるわけでございますが、このような事件が相当以前からささやかれ、かつ一部には報道の方にも出てきたという中でございますが、これらの問題につきまして、やっぱり防衛庁の使命を考えましても、国を守るということに極めてこれはふさわしくない事件でございます。  そして、防衛庁であるがゆえに保護されていた情報の開示ということについて、それをみずから踏みにじるような形になってしまった、まさに国民の信頼を地に落とすというようなことでございますので、この問題を解決するには、何よりもまず事実を解明する、そしてそれに対する適切な対応をとることが大切と思いますが、これに関して防衛庁長官並びに総理の御見解をお伺いしたいと思います。
  20. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 今、野沢委員御指摘のとおり、私どもは、東洋通信機をめぐる背任事件によりまして元調本の副本部長を初め何人かが起訴されました。しかもなおかつ、防衛庁は強制捜査を二度にわたって受けたわけでございまして、これはゆゆしき事態であり、私どもは、今後公判を通じて真実が明らかになっていくものと思っておりますし、また捜査にも全面的に協力をしてきたところであります。  また、我々としては、自浄能力を発揮する意味でも、みずからの力で事実関係を明らかにして、そして再びこういうことが起こらないようにしていくことが私の責務であるというふうに思っております。昨日、防衛調達をめぐる調達仕組みの調査検討委員会というものをつくりまして、学識経験者を含めまして、調達本部が二十九年にできたわけでありますけれども、そのいきさつから今日に至るまでの歴史、それから海外においてはどういう調達システムが行われているのか、さまざまなことを勉強しながら、そしてチェックシステム等を考えて、我々は事実関係を明らかにすると同時に、再びこういうことが起こらないようにし、国民の信頼をかち取っていくことが私の責務であるというふうに思っておりまして、委員御指摘のように、全力投球で国民の期待にこたえるように努力をしてまいりたいというふうに思っております。
  21. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) ただいま防衛庁長官からも強い決意が申し述べられましたが、改めまして、この防衛装備品の調達をめぐって国民の信頼を失墜させる事態が起こりましたこと、極めて遺憾であり、改めて国民の皆様に心からおわびいたす次第でございます。  今後、事実関係を徹底的に究明するとともに、再発防止に向け、調達の仕組みの抜本的改善と綱紀の保持に全力で取り組み、国民の信頼回復に万全を期すことが国民並びに国会に対する私の責務と考え、これからも全力を尽くしてまいりたいと思っております。
  22. 野沢太三

    野沢太三君 何としても、防衛庁が発足して既に久しいわけでありますが、この内部チェックのシステムがほとんど機能していなかったという印象を私は受けております。  私は、かつて決算委員長を務めたことがございまして、毎年何らかの不祥事、それに伴ういわゆる責任の所在について御報告をいただいておりますが、ただ一つ救いは、それがほとんど自浄能力によって発見され対処されているということがあらかただったと記憶しておるわけでございます。その点、防衛庁が今になってこれに取り組むというのはいささか残念ではございますが、気のついたときが最善のときであるということから、しっかり取り組んでいただきたい。  これにつきまして、会計検査院では既にこれを一部見つけていたのではないかという報道もあります。また、総務庁の方では監査を何遍もしていらっしゃる。そういう中で、取り組みが甘かったのではないか、あるいは踏み込みが足りなかったのではないかと思いますので、検査院の院長のお考え総務庁長官のお考えをお聞きしたいと思います。
  23. 疋田周朗

    会計検査院長(疋田周朗君) お答え申し上げます。  私ども会計検査院といたしましては、防衛庁の装備品の調達につきましては、数ある検査対象の中で最も重要なものの一つであると受けとめまして、従来から鋭意検査に当たってきていたわけでございますが、今回、装備品の調達にかかわります事案が司法当局による強制捜査の対象となりましたことはまことに遺憾であります。  今後、司法当局による事態の解明を見守りながら、本院のこれまでの検査の方法につきましても早急に点検をいたしまして、例えば今後は事態の解明に有効と思われる場合には、会計検査院法第二十三条の規定に基づきまして、会社に対して直接検査を行うというようなことも視野に入れるなど、必要な対策を講じて鋭意検査の実施に当たってまいりたいと考えているところでございます。
  24. 太田誠一

    国務大臣(太田誠一君) 四月から調達本部それから陸上自衛隊について、主としてコストの低減化という観点から監察をいたしてまいりましたけれども、この機会に、緊急の課題といたしまして調達の公正性あるいは透明性について最重点で調査をするということを指示いたしたところでございます。
  25. 野沢太三

    野沢太三君 終わります。
  26. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 以上で野沢太三君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  27. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 次に、峰崎直樹君の質疑を行います。峰崎直樹君。
  28. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 民主党・新緑風会の峰崎でございます。  冒頭、お願いがございます。きょうは、主として、総理が訪米してこられた、その集中質疑でございますから、答弁はぜひ総理大臣みずからお答え願いたいと思いますし、また、十八日の党首会談、これも基本的には両党首、小渕総理とそして我が党で言えば菅直人、この二人の合意でございますから、その点も含めて総理からのお答えをいただきたいと思います。  そして、事前に資料をちょっと配らせていただきたいと思うわけであります。事務局、配っていただきたいんですが。    〔資料配付〕
  29. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 内容は、党首会談で、九月十八日、たしか夕刻の五時過ぎだったと思いますが、「確認」ということで、今お手元にお配りいたしました。「両党は、実務者協議合意した事項については、共同して速やかに成立を図ることで合意した。」、これに伴い、括弧一、括弧二と。そして、次のページに「金融危機管理対策の概要(案)」、「Ⅰ野党三党提案の四法案を基礎に、以下の点及び、これに関連する技術的部分について四法案の共同修正を行う。」、これが大きなⅠですね。そしてⅡと。  この内容について、このように合意をしたということについては間違いないかどうか。参考資料として提出しましたので、その点をまず最初に確認をさせていただきたいと思います。
  30. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 御答弁申し上げます。  党首会談におきまして、それぞれ文書等の提出もございましたが、特に民主党との間におきましての確認の問題がございまして、委員から今御提出をいただきお見せいただきました資料につきましては、この第二の最後のパラグラフのところで「所要の法律を整備する。」というところは、必要な法整備を行うということで合意したものと理解をいたしております。
  31. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 そうすると、ここは必要なと、今申されたとおり直して一応合意をしたということでよろしゅうございますね。  問題はこの解釈だと思いますが、その前に、実は私、要求大臣の中に官房長官は要求しておりませんでした。ところが、野中官房長官の午前中の記者会見の談話内容が入ってまいりましたので急遽お呼びすることになりましたけれども、この点はまたひとつよろしくお願い申し上げたいと思います。  そこで総理、最初にお伺いをしたいわけでありますが、総理が訪米をされて、その訪米時に内政記者懇談会、当然外国に行ったときに記者の皆さんに、出発直前にあった十八日のこの合意、これに基づいて、日本金融システムの問題や焦点になっている長銀問題あるいは財政と金融の分離問題についてどのように内政懇談会ではお話しなさったのでしょうか。
  32. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) すべてを記憶しておるわけではありませんが、現下金融システムの安定の問題につきましては、各党間で党首会談も行われまして、合意事項も作成をしたと。そのことを誠実にこれは実行していかなければならないということの気持ちを申し上げたと記憶いたしております。
  33. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 長銀の問題について私どもが各種新聞等を通じて入手しているのは、このようにおっしゃっているというふうに報道されています。長銀を破綻させずに住友信託銀行と合併させたい、長銀が破綻していては合併できない、資本注入のスキームはぜひ必要だと述べられたというふうに書いておりますが、この点はそのとおりでございましょうか。  と同時に、後で先ほど申し上げました確認事項の括弧一、「長銀問題については、実務者協議合意した事項に沿って、特別公的管理等で対処する。」と。この「等」というものの理解も、このように公的管理の解釈についておっしゃっていたということでございますが、「等」とは、破綻前の金融機関の対策として金融機関の過少資本状態の解消等、金融システムの早期健全化スキームを早急に検討することで与野党間の合意がなされたと、こういうふうに理解をされたというふうに報道されていますが、この二点について、総理は今でも同じ考え方をお持ちでしょうか。
  34. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 各党首との会談において、野党三党と話し合いの中で話し合ったことを中心に結論が出たわけであり、その中で、少なくとも自分が常々申し上げているように、日本金融システムの中で絶対にシステムリスクを起こしてはならない、そのことは日本金融機関の大きさからいっても少なくとも大きな引き金に、日本金融機関が破綻というようなことになって世界金融に重大な影響を及ぼすことはあってはならぬということを申し上げたつもりであります。  それから、「等」につきましてでございますが、この「金融危機管理対策の概要」というものにございまして、その中で「金融機関の過少資本状態の解消等、金融システムの早期健全化スキームを、早急に検討する。」ということの事項がございますので、その検討を待っていかなければならないと思いますが、いずれにいたしましても、大きな金融機関の破綻は避けるべきだと、こういうことを申し上げたと記憶しております。
  35. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 何か私の質問にほとんど答えてもらっていないような気がするんですね。  長銀を破綻させずに住友信託銀行と合併をさせたい、長銀が破綻していては合併できない、資本注入スキームはぜひ必要だと、こういうふうにおっしゃったかおっしゃらないかということは、今のはシステム破綻は起こさないということを私は言いましたと、そういうことを聞いているのではないんです。システム破綻を起こさない方がそれは私たちもいいと思っている。問題は、このことについてそういう発言があったかどうかということの確認を求めているんです。
  36. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) そのとおりの言葉であったかは記憶しておりませんけれども、少なくとも私がこの住友信託と長銀との合併問題につきまして、これは民間の金融機関同士でありますけれども、そうした金融機関が合併されることが望ましいということで、私自身もそれなりの行動をとったということでございまして、そういった意味で、長銀も含めまして破綻をさせることは大変、破綻をいたしますれば当然合併ということに至らないわけでございますので、そうあってはならないのではないかということは申し上げたと記憶しております。
  37. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 要するに、どうもやっぱり確認事項の解釈が違うんじゃないかと私は思っているんです。  ここで、「両党は、実務者協議合意した事項については、共同して速やかに成立を図る」。これは後ろのこちらです。この二枚目の方です、全部ですね。  ここで、「長銀問題については、実務者協議合意した事項に沿って、特別公的管理等で」という「等」の理解ですね。これは今のお話を聞いていますと、どうもⅡのところに目が向いておられるようですが、私どもが今現在修正協議を進めている実務者等の話など全体を聞いておりますと、むしろそのⅠの「金融再生法案の修正について」、そこの一、「金融機関の申し出によって、特別公的管理等の開始を行える旨の規定を、雑則ではなく、本則中に規定する。」、この「等」というところの意味は、実は今おっしゃられたような意味ではなくて、これは特別公的管理で株式所有することもありますよ、それから自民党案にあったブリッジバンクもここにありますよ、それから金融清算人を入れてやる方法もありますよ、そういう理解だというふうに私ども実務者協議で聞いているわけです。  ましてや、後で述べますが、この法案が通るまでの間に何か事があったときに資本注入ができる仕組みのその間合いをねらって今の十三兆円の仕組みが残っているなんということは毛頭あり得ないわけでありますから、そういう理解であるということについて、小渕総理はどのような理解をこの「等」についてはされていたのですか。
  38. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) これは各党間の党首会談のときの合意でございましたが、その後、各党間におきましても、その考え方をめぐりましてそれぞれ各党からの意見も提出をされて、党の責任者同士の話し合いに入って今日まで続いておるのだろうと思います。  そういう意味で、その後、この「等」の解釈をめぐりまして、自民党の森幹事長から、党首会談合意ということで、野党からのこの説明を求められたことに対しまして、次のように言われておるわけです。「等」を入れましたのは、そのような規定を盛り込んだ新しい法律ができるまで現行法の枠組みが生きているという意味であり、我が党として新法を成立させ、新しい利用可能な枠組みをつくり、それで対処することを望んでおります。もし、我が党が従来考えていた現行法のスキームで対処しようとしているという誤解を招いたとすれば、真意は今申し上げたとおりである、御理解を願いたいと思います、というのを二十二日で回答いたしておりまして、私は訪米中でございましたが、幹事長からそのような考え方を申し述べるということで理解を求められましたので、そのことは私も了承したところでございます。
  39. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 今、森幹事長の談話を読まれましたね。ところが、なぜその森幹事長談話が出てくるかというと、総理アメリカへ行ってしゃべられた中身がどうも合意と違うんじゃないかということで合意されたんですよね。その点の認識理解というのは、自分の発言されたことがどうもやはり森幹事長談話のところに収れんされるように訂正した、こういう理解でよろしいですか。
  40. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 帰国しましてから、当時の新聞にもう一度目を通させていただきました。アメリカにおきまして手に入りますのは実は三紙でございまして、帰りまして他の新聞を拝見しましたところ、一面トップで私の記者会見の模様が報ぜられておりまして、長銀に対する資金注入について私がそのように会見で申し述べたという、そうした一面トップの記事もございましたし、そうでないものもございました。  したがいまして、いささか私の弁に言葉が不十分であったかもしれませんが、私といたしましては、今申し上げたような趣旨に基づいて会見したと理解をしております。会見の模様につきましてきちんと把握していただければ、御理解いただけると思っております。
  41. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 いずれにせよ、私たちは総理アメリカで発言されている中身を読むと、どうも長銀は破綻させない、そして新しいスキームができるまでは一応やり得るんだから、従来の十三兆円のスキームはその間に投入し得るというような、そういう誤解を生むような理解というものがあったんではないか。その意味で今回、森幹事長のところで一応整理をされて出てきた、こういう理解をしているわけであります。  しかし、いずれにせよ私どもは、一国の総理党首会談合意をされた中身があちらこちらにいって、幹事長のところで実はまた調整されざるを得ないというのは、やはり今日のこういう状態を招いているという意味でも、私は総理の責任というのは、先ほど大蔵大臣がおっしゃいましたように、事態は今余り進んでいないわけですね。  進んでいない要因というのは、この合意事項の理解の仕方についてどうも私はやはり違いがあるんではないだろうか。そこのところを、きょうはまだ終わっておりません、後でまた質問いたしたいと思うんですが、ぜひ引き続きその点について、もう一度また進めていきたいと思いますが、ちょっと先に進みます。  アメリカに行かれて、日米首脳会談で、私どもは新聞でしかクリントンさんとの会談の内容がわからないんですが、クリントン大統領総理を初めとする首脳会談のやりとり、あるいはこれは最後に合意事項というのがあるそうでありますが、これについては、公的な文書でありますでしょうから、当然英文の文書があるんでしょう。
  42. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 二人の首脳会談会談記録というのは、私は、双方つくるかもしれませんが、日本側は日本側、アメリカ側アメリカ側、こういうことであろうかと思います。
  43. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 そこで、先ほども総理が答えられており、これは本会議のところで聞いておりましたけれどもクリントン大統領は、日本金融当局が存続可能な銀行に適切な条件のもと十分な額の公的支援を投入することが必要だと。  そこで総理日本金融当局がという主語がありますが、存続可能な銀行と、こう書いてありますね。これはどういう意味なんですか。そして、できればそれはどういう英語なのか。そして、その後で十分な額の公的支援を投入すると。これは何か、ある新聞には注入とか投入ということで、インフューズというような言葉が出たとか出ないとかとおっしゃいました。という意味では、私どもはこういう形での文書を見るときに、日本語になっているものと同時に、当然これ英語であるでしょうから、そういうものを理解しないとなかなか出てこないわけです。  ですから、こちら側もつくっている、あちら側もつくっていると今おっしゃいましたが、そういう資料については提示していただけますでしょうか。これが一点目。  それから、日本金融当局が存続可能な銀行に適切な条件のもとで十分な額のというときに、存続可能な銀行というのはどういう理解なんですか。この二点、ちょっと総理にお聞きします。
  44. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) まず、首脳会談を含めた外交上のやりとりを詳細に公にすることは適切でなく、今般の首脳会談におけるクリントン大統領の具体的発言ぶりをお答えすることはできませんが、大統領が、米国を含む多くの国における歴史的経緯にかんがみ、日本金融当局が存続可能な銀行を適切な条件のもと十分な額の公的支援によって支援する必要を強調されたということでございます。  そこで、先ほどの金融機関の状態についてどういうものを想定しているかということでございますが、一般的に日本金融機関の中でそうした厳しい環境にある金融機関を想定しているものと思いますが、具体的なこれに対する指摘があったわけではございません。
  45. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 総理、今聞いているのは、存続可能な銀行というのはどういう理解をされたんですかということです。
  46. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) それはアメリカ側の方がお話をされたことでございまして、我々としては……
  47. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 いや、それは違うでしょう。合意をしたんでしょう、合意事項ですよ。
  48. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 発言は挙手して願います。
  49. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) それは、双方の担当者がブリーフした文書を、──今の先生が御指摘をされたのは、大変恐縮ですが、いずれの文書を申されておられるかちょっと正確にお話をいただきませんと、実は双方のブリーファーがお話しされたことで、日本側のブリーファーの認識アメリカ側のブリーファーの認識とありまして、それぞれを合意事項としてそのことを取りまとめたというものであるかどうか、先生の今の……(「合意事項」と呼ぶ者あり)すなわち合意事項といいましても、両国で正式に合意をしたというような正式の文書を発したものはございません。
  50. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 率直に言って、アメリカまで行かれてやりとりもあった、そして合意事項はといったら、合意事項はありませんと。これでは一体何をやってきたんだかわかりませんので、ちょっとこのときのやりとりの正式な資料をちゃんと出していただけませんか、この理事会に。私要求いたします。ぜひお願いいたします。英文でまたお願いします。
  51. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  52. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 速記を起こして。
  53. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 大変失礼をいたしました。  まず第一に、合意文書があるやなしやと。ありません。  それから、存続可能な銀行というものでございますが、日米会談においてクリントン大統領は、存続可能な銀行を適切な条件のもと十分な額の公的支援によって支援する必要性を強調されたが、具体的な問題に言及されたわけではないことは先ほど申し上げました。  一方、これまでの与野党協議を経まして、今後、破綻前の金融機関の対策として、金融機関の過少資本状態の解消等、金融システムの早期健全化スキームについて早急に検討されることになるものと認識をいたしております。  したがいまして、存続可能な銀行あるいは破綻前の概念につきまして私から申し上げることは困難でありますが、いずれにしても、政府としては金融システム全体の包括的な安定性を揺るがさないとの決意で臨んでおる、こういうことでございます。
  54. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 今、合意文書はないとおっしゃいましたか。あるんですか、ないんですか。
  55. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 御答弁申し上げたと思いますが、これはございません。
  56. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 そうすると、合意はなかったということ。合意はしたけれども、文書はつくらなかったという意味ですか。
  57. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 今回の日米会談は、両首脳があるテーマについてお互いに意見を交わし、かつ合意を求めるという性格のものではありません。お互いの立場はそれぞれ主張はいたしましたけれども、改めて文書を作成し、両国間の合意を文書化するというようなことはございません。
  58. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 新聞その他しか私たちは見ていないんですが、だから正式のものが欲しいと言っているのはそのことなんです。合意事項とかというのはずらずら出てくるんですね。これは合意はしていないということなんですか。もう一度お答えください。
  59. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) お互いのお話をされた中で認識を一致したという点は、それは述べられておるかもしれませんけれども、そのことを合意文書として作成し、これを記録としてとどめるというようなことはございません。
  60. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 認識は一致していたんですね。  そうすると、クリントン……(「一致した点もあるということ」と呼ぶ者あり)いや、一致していたんでしょう。そうすると、先ほど申し上げたように、存続可能な銀行に適切な条件、これは全部抽象的な言葉でクリントンさんの言葉が載っているんです。これはどういう理解をされたんですか。どういう認識をされたんですか。
  61. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) これも誤りを期さないために、申し上げましたとおり、現在、存続可能な銀行あるいは破綻前の概念につきましては、私から申し上げる立場にないわけでございます。したがいまして、当時におきましてもそのような認識でございます。
  62. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 何だか話にならぬ。  要するに、小渕総理が存続可能な銀行についてどう考えているかじゃなくて、クリントンさんが話をされたんでしょう。そのときにクリントンさんは、あるいは恐らくサマーズさんとかルービンさんもおられたんでしょう、そういうときに、無条件でいわゆる公的資金を入れなさいと言っているわけじゃない、ということをずっと書いてあるわけですよ。そうすると、無条件ではないということは、じゃ、どういう条件のものが公的資金の投入対象になり、どういうものはだめですよと。  私、かねてから、アメリカ金融業界というのは大変ドライなところで、もう破綻すべき銀行というのはこれはだめだけれども、しかし生かしていかなきゃいけない銀行はきちんと生かさなきゃいけない、そういう原則は非常にはっきりしているというふうに思います。  その意味で、アメリカ側はこれは恐らく日本金融問題について触れているわけですから、その点でいわゆる平板に、とにかく公的資金をどんどん入れればいいということを言ったんじゃないんでしょう。どういう点でそういう理解を、どういうものがいわゆる再生可能な銀行なのかということを聞いているんですよ。その点の御理解というのはどういう理解をされたんですかということを聞いているんです。
  63. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 大統領は、米国を含む多くの国における歴史的経験にかんがみ、日本銀行が強力で持続的な基盤を持って貸し出しを継続できるようにするために、日本金融当局が迅速かつ十分な量の公的資金を銀行に注入することの必要性を強調された、こういうことでございまして、先生の今お話しの点について、私がそれを問い返してその概念を改めて求めるようなことはいたさなかったわけでございます。
  64. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 どうもやはり中身の問題について、本当に具体的にやりとりをされたというふうに、三時間もお話しされているわけですから、私はその中身についてお聞きしたいと思ったんですが、今のお話を聞いているとわかりません。  しかし、いずれにせよ、そういう文書が公的に当然残っているでしょうから、その文書をできれば、英文と和文と残っていれば私どもに資料としてお願い申し上げたいと思います。  これは後で、委員長、よろしくお願いいたします。
  65. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  66. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 速記を起こして。
  67. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 総理、私どもは、いわゆる合意をされた内容についての合意文書はあるのかと。これについてはないとおっしゃった。それぞれのやりとりについてはそれぞれが文書を設けた。それについては出せないとおっしゃっている。  そうすると、私たちは日米首脳会談金融問題、世界に大変な影響を与えるかもしれない内容についての資料やデータ、本当のところは何によってつかめばよろしいんでしょうか。
  68. 竹内行夫

    政府委員(竹内行夫君) 事実の問題といたしまして、日米首脳会談につきまして、先ほど来総理から重ねて申し上げておりますとおり、合意文書というものはございません。それから、我が国として、いずれにせよ、記録につきまして英文の記録というものを作成していることはございません。それから、首脳会談のやりとりにつきましては、先ほど来、この当該の箇所につきましては総理から概要の御説明があったところでございます。
  69. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 要するに、我々は何に基づいて今度の日米首脳会談評価をしたり質問をしたりしたらいいんだろうか。本当のところはないんではないですかということを言っているわけでありまして、それであったら恐らくこれは、総理の言葉だけを信用してください、それしかなくなってくるわけですよ。しかし、我々は、そういうものについて本当に言ったかどうかということの確証も含めて知りたいわけですよ、公文書として。せっかく高い外遊費を使ってやってこられたわけです、税金を。その意味で、その点を明確にしてもらいたいということなんです。データがなきゃわからないよ、そんなもの。(発言する者多し)
  70. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 御静粛に願います。
  71. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 北米局長が答弁しましたが、我が国の英文の方の記録は作成しておりません。首脳会談を含め、外交上のやりとりの一言一句を公にすることは適切でなく、従来も明らかにいたしておりません。  なお、首脳会談を含め外交上のやりとりの概要につきましては、先生お手元に資料がおありかと思いますけれども、同行いたしました上杉官房副長官がブリーファーとなりましてそのガイダンスを発表させていただいておることをもって御理解いただきたいと思いますが、その中でも言われているように、北朝鮮の脅威その他につきましては、両国が一致した点は一致したと、こういうことを書かれておられるわけでございまして、なおそれを合意したと、そういう合意事項として述べられると、すべてそのことを合意事項ということでありませんで、それぞれの立場をまた主張したという趣旨でたしかガイダンスにおいて記者団に発表しておること、これがすべてでございます。
  72. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 時間もないですからこれ以上このやりとりはもうあれですが、いずれにせよ、これだけ大変重要な課題についての公的な文書といいますか、そういうものが私たちに提示されないということについては大変な不満ですから、これは私どもは場合によったら、今後ともホワイトハウスその他にも直接お話をするとかいろんな方法がありますので、これらについてはまた留保させていただきたいと思います。時間がありません。  それで、ずっとこの間──何かありますか。
  73. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 英語が不十分でございまして、先ほどガイダンスと言いましたけれども、ブリーファーのブリーフと、こういうことだということでございますので、お許しをいただきたいと思います。
  74. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 そこで、小渕総理アメリカで、具体的な名前を申し上げますが、長銀には資金注入はしないと、それとも破綻前に長銀に資金注入はあり得るということを、これは正式におっしゃったんですか、おっしゃらなかったんですか。
  75. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 個別銀行の問題については申し上げておりません。
  76. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 今の金融システムが大変な状況にある、その一番今焦点になっておるのは長銀問題だということは、これは間違いありませんね。  そうすると、その種の問題を抜きにして、今、日本金融システムがどういう方向にあろうというときに、そういう特に個別の銀行というのは議論にならなかったということですか。議論を全くしなかったということですか。一般論でずっと、システムの問題はどうしますということで対応されたんですか。
  77. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) お説のとおりでございます。
  78. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 ここも、向こうの話はとりあえずこれぐらいにしたいと思いますが、そこでちょっと合意事項のまた「等」のところに戻ってくるんですけれども、実はその前に、こういう議論をするときに必ず我々のところにひっかかってくるのは長銀問題なんです。  金融監督庁長官、お見えになっておりますね。  金融監督庁長官にお尋ねしますが、長銀の検査はいつから始まっていつ終わるんでしょうか。その他の金融機関はもう終わったやに聞いております、七月十四日当時には。その点について、現状を簡潔にお願いいたします。
  79. 日野正晴

    政府委員(日野正晴君) 長銀に対する検査につきましては、主要十九行に対する検査の一環といたしまして七月十三日から同行に立入検査を開始して、本年三月期の自己査定結果に基づいて、その資産内容等につきまして現在鋭意実態把握をしているところでございます。  検査といいますのは、その検査の予告から始まりまして、立ち入り、それから立ち入りの終了、その後審査を経て当該金融機関に対する検査結果の通知をもって終了するわけでございます。  今、委員は他の銀行については既に終了しているのではないかという御質問でございましたが、他の八行につきましては既に立入検査は終了いたしましたが、検査の結果はまだ通知しておりませんので、そういう意味でまだ検査そのものはどの銀行も終了していないという状況にございます。  検査はそういうことで終了しておりませんが、現在精査を尽くしているところでございまして、いつ終了するかにつきましてはまだ現在では申し上げられないということを御理解いただきたいと思います。
  80. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 今、予告、立ち入り、終了、結果の通知と、こうおっしゃいましたね。今どこまで来ているんですか、長銀は。
  81. 日野正晴

    政府委員(日野正晴君) 現在、立入検査中でございます。
  82. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 これはもう二カ月越しますよ。まだやっていらっしゃるんですか。  それで、三月期とおっしゃいましたけれども、これは六月期のものもやるんでしょう、また。何か、三カ月ごとにやるとかという話もちょっと聞いているんですが、そのあたりはどうなっているんですか。
  83. 五味廣文

    政府委員(五味廣文君) お答えいたします。  主要十九行検査は、自己査定の正確性をチェックするということで、今三月期の決算につきましてその自己査定をチェックするということで始まりました。  長銀の場合には、同じ趣旨で始めましたけれども、八月の下旬に至りまして、大幅なリストラとともに公的資金の注入を予定したい、こういうお話がございましたので、おっしゃいますように三月期の結果だけではなくて、その後起こりましたさまざまな事象についてもできる限り実態把握をする必要があるということで、その部分、他の銀行と違いまして事務量が余分にかかるという状況でございます。残りの八行につきましては、一番遅いもので先週の水曜日、十六日で立ち入りが終わっておりますけれども、この銀行につきましては、おっしゃるようにその後の状況について今引き続き立ち入り中であるということでございます。  なお、いつまでに終了するかということでございますけれども、具体的に何月何日までと言うことはなかなか難しいのでございます。と申しますのは、検査官が今最終的にチェックをしておりますが、できるだけきちんと調べて帰ってきてほしいものですから、何日までに終われということをなかなか言いがたいところがございます。  ただ、三月期につきましても、その後の状況の実態把握につきましても、作業量として大きな作業が必要な部分は既に経過をしておりまして、現在、例えばこの銀行の幹部ですとかあるいは公認会計士、外部監査の方、こういう方との詰めの議論を今しておる段階でございますので、もうそう長くかかるということではございません。
  84. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 とにかく、この問題は早く検査結果を出していただいて、そしてこれは要するに債権が超過していませんということが明らかになればそれはそれでいい。しかし、言うならば不良債権が自己資本をオーバーしておりましたと、こうなったら当然これは破綻になりますね。そのことがはっきりしないから、いやどうだこうだという議論がずっと続いているんじゃないですか。  総理大臣、この問題は実は、金融監督庁の最高責任者は総理大臣ですよね。いや、総理がもちろん全体の責任者であると同時に、金融監督庁の統括をしている総理府なんです。  いつまでに終わらせなければ、この議論の全体にとげのように刺さって、実態がよくわからない。本当に優良ならば、それならそれで何も公的資金を注入することないじゃないか。本来十三兆の資本スキームというのは、あれは優良な銀行に注入するということが原則だったんでしょう。その意味で、こんなに長くかかって、二カ月たってもなおかつ、そして今、事務方の方にはいついつまでに終われということは言っていないと言うけれども、これはむしろもう早く総理なりその責任者がいつまでに終わりますということを明示しない限り、この問題について本当に与野党の迷走している論議の一番、何といいますかおもりになっているんです、おりになっているんですよ。  総理、この点についての政治的な決断をぜひ聞かせてください、いつまでにこの問題、長銀の検査を終わらせると。
  85. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 委員がおっしゃっていることは私も十分理解しているつもりでございますが、金融監督庁挙げて現在懸命な検査を遂行しておる、限られた人員の中で精いっぱいやっておるんだろうと思いますが、さらに督励をいたしてまいりたいと思っております。
  86. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 ぐずぐずぐずぐず、ずっと続いていくんですね、これ。しかし、市場の方はもういろんなことの動きをしているんですよ。だから、これはスピードというのは、クリントンさんと話をされたときも、一番大切なのはスピードだということをおっしゃいませんでしたか。いかに早くこれを処理していかなきゃいけないのかが重要なときに、この問題だけぐずぐずぐずぐずいっているということは、今私どもはとてもこれはそういう余裕はないんじゃないのかと。早くそのことを明示して、例えば九月三十日なら九月三十日に区切る。その段階で全部整理をして、そして当然のことながら出てきた粗表を、銀行との間のネゴシエーションなんか、これは裁量行政になりますからやるべきではないと思いますし、当然やってないと思いますが、しかしそういうことをもう決断されたらいかがですか、総理
  87. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 決断といいますか、金融監督庁の上にございます私といたしましても、その責務を十分果たすように、先ほど申し上げておりますように、最善を尽くして努力をするように申しておるところでございます。
  88. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 いつまでにということを入れなければ、この問題について、いつまでもこの問題を引きずってしまうということなんですよ。ぜひこの点は、もうこれ以上また言っても同じ答えが返ってくるばかりですから、私の方もこれ以上追及することはできませんけれども、引き続き、しかしこれは本当に早く急いでいただきたいんです。  そこで金融監督庁、九月二十二日だったでしょうか、あなたは本当にこれ正式にそうおっしゃったかどうかを確かめたいんですが、長銀に日銀特融があってもこれは破綻とみなさないと、こういう新聞の記事が載っておりました。本当に事実そうしゃべられたんですか。その点、ちょっと正確に言ってくださいますか。
  89. 日野正晴

    政府委員(日野正晴君) 日銀法をあえて朗読するまでもないかと思いますが、日銀法の三十八条第一項には、大蔵大臣は、銀行法第五十二条の二の規定その他の法令の規定による内閣総理大臣との協議に基づき「信用秩序の維持に重大な支障が生じるおそれがあると認めるとき、その他の信用秩序の維持のため特に必要があると認めるときは、日本銀行に対し、当該金融機関への資金の貸付けその他の信用秩序の維持のために必要と認められる業務を行うことを要請することができる。」、こうあります。  そして、私が記者会見で受けましたのは、これは俗に日銀特融と呼ばれておりますが、この日銀特融が行われたときに、一般的にその当該金融機関は破綻かという御質問でありました。破綻の方は、一方この預金保険法の第二条によりましてきっちり定義が書いてありますが、「「破綻金融機関」とは、業務若しくは財産の状況に照らし預金等の払戻しを停止するおそれのある金融機関又は預金等の払戻しを停止した金融機関」と、こうございます。明らかに預金保険法第二条第四項のこの規定では日銀の特融のことはうたっておりませんので、この預金保険法の規定上のその破綻には直ちには当たらないと、こういうふうに答えたところでございます。
  90. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 日銀総裁、きょうお見えいただいておりますか。  今のお話を聞いて、その日銀特融を発するというときに、これは事実上、信用不安を起こすということは、要するに資金ショートしたり資金繰りを起こしているわけですね。だから、そこで特融を出すわけですから、これは破綻をしているというふうに一般的に言われてまいりましたけれども、今、私は金融監督庁の解釈を初めて聞いたような気がするんですが、どうでしょうか、日銀総裁
  91. 速水優

    参考人速水優君) お答えいたします。  ただいま監督庁長官がお答えになりましたように、法令上は、日本銀行法三十八条による日銀特融と預金保険法上の破綻金融機関、これは「業務若しくは財産の状況に照らし預金等の払戻しを停止するおそれのある金融機関又は預金等の払戻しを停止した金融機関」を指しておるんですが、この両者は別々の根拠法に基づく概念でございまして、いわば法律上一対一の関係にあるわけではございません。  一般論として申し上げますと、日本銀行は日銀法第一条に規定されているように、金融政策の運営のほか、信用秩序の維持に資することを目的としておるわけでございまして、こうした目的を達成いたしますために、金融機関の破綻処理事例であるか否かを問わず、また破綻前か破綻後であるかを問わず、私どもが信用秩序維持のための資金供与を実施するに当たっての基本的な考え方、これを四原則と言っておりますが、これに照らして必要かつ適切と判断すれば特融を含め所要の措置を講じてきているところでございます。  念のために四原則を申しますと、一つはシステミックリスクが顕現化するおそれがあること、二つ目は日本銀行の関与が必要不可欠であること、三、モラルハザード防止の観点から経営者、株主、出資者等、関係者の責任が十分に追及されること、四つ目は日本銀行自身の財務の健全性維持に配慮すること、この四原則を、もちろん大蔵大臣からの御依頼があって日銀政策委員会にかけて決定することになっております。
  92. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 今お二人の話を聞いていて、そういう抽象論のかけ合いじゃなく、要するに長銀に例えば特融を実施する。なぜ特融を実施するんですか。現金を出すんでしょう、日銀から。それは、恐らく資金ショートしたり支払い不能になるという事態が起きるから日銀が特融をするんでしょう。ということは、これは実質上、預金保険法第二条に規定している破綻の定義に当たるんじゃないですか。  そのことをお二人はそうやって口裏を合わせて、おっしゃっていることは何だか抽象的におっしゃっているけれども、これはもう過去、そういうことの当たり前の整理じゃないんでしょうかね。  私はもうそれ以上言いません。私は、やはり日銀特融という問題が起きない方が望ましいと思いますが、起きたときにはもうそれは実質破綻というふうに国際的にも見られるんじゃないんですか。G7とか世界各国に行っていらっしゃる日銀総裁大蔵大臣だったら、当然そういうことは理解をしておられると思いますが、私はもうこれ以上申しません。  日銀総裁、ありがとうございました。これで質問は終わりたいと思います。  いずれにせよ、今の問題、このいわゆる長銀問題というのは、私は、やはりどうしても早く検査結果を出して国民にディスクローズする。これはクリントン大統領もおっしゃったんじゃないんですか、情報開示をきちっとやろう、スピーディーにやっていこうと。そのことがこんなにおくれているから、国際的にも日本の国の価値まで実は非常に格付が落ちてしまうような状態まで今来始めているんじゃないんでしょうか。  その点は、これは与野党とかそういうことを問わず、日本の政治家として早くこのことに対して責任をとらなきゃいかぬということについてぜひきちんとしていただきたいと思うわけであります。  そこで、ちょっと長銀問題の絡みでございますので、この問題を先に整理をしておきたいと思いますが、私たちは、合意事項にあるいわゆる「等」の理解、その「等」の理解をしたときに、これは十三兆円のスキームは当然入りませんよということを確認いたしました。そして、実務者会議では、議論したように、ブリッジバンクだとか金融管財人だとか、あるいは特別公的管理、国有化も含めて、こういうやり方を入れるということで合意をしたというふうに聞いております。  そこで、総理大臣、そういう意味では長銀に、具体的には長銀ということになりますけれども、破綻前にそういう資金注入をするということはないと思うんですが、その点、もう一回確約をしていただきたいと思うんです。
  93. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 長銀問題につきましては、これに適用できる特別公的管理の枠組みを早急に確定し、新しい法律で規定した上で対処することといたしております。政府・与党といたしましては、新法を成立させ、新しい利用可能な枠組みをつくり、それで対処することを望んでおります。具体的な枠組みにつきましては、今後、与野党間の政策責任者間で検討されることを強く期待いたしております。
  94. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 その新しい枠組みという、そこは具体的にはどのような枠組みなんですか。要するに、新しい枠組みができるまでにとおっしゃっていますね。その中身がかなり食い違っていると。そこをちょっと具体的に答えてください。
  95. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 現在、政策担当者同士で協議を進めておりますので、その協議結果を待たなければ、今の私から、かくなるものとして指示を申し上げ、具体的姿を提示することは不可能であると思っております。
  96. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 この合意をしたことに基づいて実務者協議出発しているときに、いわゆる合意をする人たちに任せているからそのことについては今言えないと。それじゃちょっとおかしいんじゃないですか。つまり、合意をした総理大臣、党首ですね、そこで最高責任者が合意をしたことに基づいて実務者は動いているはずですから、その合意をした最高責任者はその新しいスキームとはどういうふうに理解をしたんですかと、このことを聞いているんです。下に任せますじゃ、全然答えになっていないじゃないですか。もう一回答えてください。
  97. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 新しいスキームを考えるということを合意したのでありまして、その中身についてどうするかについては、今せっかく昼夜を分かたず与野党間でこれを協議いたしておるということでございますので、それぞれの協議結果につきまして、決定をされる段階におきましては恐らく党首たる私にも報告があろうかと思いますが、今の時点ではその報告を得ておらないということは、今真剣に与野党間でこのスキームのあり方について十分検討しておる、こう考えております。
  98. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 それで、最初の「確認」にまた戻るんですが、要するにベースがちょっと違うんですよ。ここで合意をしたのは、ここは実務者協議ですからやりますよと。それで、「長銀問題については、実務者協議合意した事項に沿って、」と、実務者協議というのはこれです。それで、おっしゃっている中身は、このⅡであるとすれば、これは今後やりましょうと。当面やらなければいけないのは、このⅠの「野党三党提案の四法案を基礎に、」金融再生法案の修正と預金保険法の改正をやろうということですね。そこのところをまず、今やらなければいけないのはそこなんですと。これは急がなければいけないけれども、今後も引き続きⅡのところはやるということですと。そういう理解ですね。  そして、先ほど言っているように、「長銀問題については、実務者協議合意した事項に沿って、特別公的管理等」の「等」というのは、先ほど申し上げたように、この金融再生法案の修正の中の「等」と同じ意味です、こういうふうに私たちは当然理解をすべきだと思っているんです。そこのところが崩れると、今あちらの、川向こうと言ったらおかしいですが、衆議院の方の協議で、衆議院だけではなくて参議院議員も入っておられますから、いわゆる自民党を軸にして協議されているものの中身で、随分そこのところの解釈が違って今デッドロックに乗り上げているんだと思うんですよ。だからそこで、そこの理解をしっかりさせましょうということを言っているわけです。  総理、ぜひ総理にひとつお願いします。総理大臣が責任者ですよ。
  99. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 党首会談に列席をしておりましたので、私から御説明をいたします。  今まさにおっしゃいましたように、この二枚目の紙、これが実務者合意でございます。ごらんのように、「金融再生法案の修正について」というのがございますね。その一には、「金融機関の申し出によって、特別公的管理等の開始を行える旨の規定を、雑則ではなく、本則中に規定する。」、ここに一つございますね。  それからもう一つは、最後のⅡでございますね。「金融機関の過少資本状態の解消等、金融システムの早期健全化スキームを、早急に検討する。」、この二つございまして、その後の各派の交渉をお見受けしておりますと、おっしゃいますように、このⅡの方はまず先にやらずに後にしようと。  したがって、それ以外のもの、そういうようなことについて今御協議が行われている、そういうふうに理解していまして、このローマ数字の方も確かに今後の破綻前の金融機関の処理には大事な問題なんですが、大事だということは皆様御存じなんですけれども、それは順序があるからこっちから、その方は後にしよう、こういうふうな御協議のように伺っているんです。
  100. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 総理大臣、今のでよろしゅうございますか。
  101. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 訪米をいたしておりまして留守にいたしておりましたが、その期間も協議を続けられてきたと認識をしておりまして、その結果は大蔵大臣から今お話しした経過と承知しております。
  102. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 Ⅱの点については今後協議をするということについては、これは合意しているんです。  今問題になっているのは、金融再生法の修正についての一のところ、そこに「等」も入っていますから、その「等」の解釈でこの一番目の「長銀問題については、」というところを「特別公的管理等」というふうに理解をすべきじゃないですかということを言っているわけです。この点は党首会談合意をされた理解に、そういう理解をしてよろしいかということをさっきから私は小渕首相に聞いているわけです。この点、小渕首相、再度ぜひ答えてください。
  103. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 先ほども御答弁申し上げましたように、「等」を入れましたのはそのような規定を盛り込んだ新しい法律ができるまで現行の枠組みが生きているという意味であり、我が党と……
  104. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 違う……
  105. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) どうぞ御答弁をお続けください。
  106. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) ということで、森幹事長が「等」に対してのお尋ねがあって恐らくこういうある意味での我が党のお答え、こういうことだろうと思いますが、先ほど申し上げたような趣旨で「等」の認識をいたしておるということだろうと思います。
  107. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 だから、そこを何度も強調しているんですよ。  要するに、法律ができるまでの間すき間ができるから、その十三兆円の今のスキームが残りますから「等」と言っているんでしょう。そうしたら、十三兆円の、我々が合意をしてこれは廃止しますと言った、廃止しますということを党首会談で約束されたでしょう、十三兆円のスキームはありませんと。そういう意味で、ここの「等」の理解は先ほど申し上げたような理解なんです。  それで、幹事長が出されたその統一見解の後に、実は古賀国対委員長と我が方の石井国対委員長との間で協議をしたんです。これは九八年九月二十二日二時四十分、今の問題について、野党三党の提案をベースとして特別公的管理の枠組みを意味するもので、早期健全化スキームを意味するものではありませんと。古賀国対委員長が私ども石井国対委員長のところにこういう内容を持ってこられた、これは表に出ている話かどうかわかりませんけれども。  そういう意味では、そこの理解を一致させないから、実はきのうの三時半に皆さん方から出されたいわゆるこれですね、きのうの三時三十分、九月二十四日第一次提示、確認事項としてこう書いてあるものです。何だか途中で一枚ちょっと違うワープロが入って、これはどこのワープロかいなと思うような一枚がありますけれども、それは別にして、この中身が出されてきた。  その中身を見てみると、それと違うことが書いてあるわけです。ということは、昨日も私どもの鳩山由紀夫幹事長代理が質問したように、どうも合意事項をお互いに確認しておきながら、違うところから何とか長銀に今のスキームで十三兆円の中からお金を入れたい入れたい、こういう思いを持っている人がいて、絶えずそれが我々の合意を横から変えよう変えようとしているんじゃないか。そのことを実は今私は申し上げて、もう一回原点に返りましょうと言っているんですよ。総理、どうですか。
  108. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) それは党首会談という大変大切な会談をさせていただきましたので、原点に戻ることは当然のことでございますが、その原点から出発をいたしまして、各野党間にも若干の考え方の相違もこれあり、したがって、今与党・自民党として各野党それぞれと真剣な話し合いを続けておる段階でございます。  私といたしましては、その成り行きについてこれを信頼し、今の話し合いのまとまることを心から願っておる、こういうことでございます。
  109. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 先ほどのおっしゃられた中身でいくとやっぱりちょっと違うんですね、合意事項の。ですから、これは非常に重要な合意事項で、先ほど総理は見守っていくとおっしゃいましたけれども、むしろ日程的に時間的に見たら、もう総理が出られて、この合意についてどうやら混乱があるようだ、私が出向いて野党の党首を呼んで、お互いにもう一回その合意事項の再確認といいますか、そういうことをして、何とか金融再生に向けて早く立て直すということを考えられませんか。どうですか、そういう努力をされませんか。
  110. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) それはもう質問いただいております先生も私どもも、一日も早く現下金融システム安定化させるために、せっかくの国会を開いて御議論いただいてございますから、一日も一刻も早く決着を見たいという気持ちにおいていささかも劣るものでないと思っております。  しかし、公党としてそれぞれがお約束をしつつ、その中身につきまして今懸命の調整を図っておるところでございますので、そうしたそれぞれの努力を十分見守りつつ、もちろん自由民主党として、政府・与党としてのその話し合いにおける最終的な結論をもって決断をせよと言われれば当然私としていたすべきことでありますが、今その過程におりますので、ぜひこの状況について私としては真剣なまなざしをもって見守っておる、こういうことでございます。
  111. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 そうであるなら、この合意事項というものの私が先ほど述べたような「等」の理解と、それから小渕総理が今答えられたのは随分私は違いがあるように思うんです。この違いをやっぱりどこかで氷解しないと先に進まないんじゃないだろうかという思いをしています。これもまた、もう一つ財金問題もありますので、この問題は大きい問題でありますので、ぜひ引き続きまた要請をしていきたいと思います。  そこで、ちょっと確認します、官房長官お見えになっていないようですから。  けさ、九月二十五日、長銀の子会社への債権放棄をすべきではない、このように午前中の記者会見で官房長官が、日本長期信用銀行は関連ノンバンクの債権を放棄すべきでない、そうしない限り国民の理解は得られないと強調されました。この点について、官房長官はそういう談話をされたんですが、総理大臣、それでよろしいですか。確認いたします。  総理大臣ですよ。官房長官だから。
  112. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 長銀問題につきまして、今般与野党合意におきまして、これに適用できる特別公的管理の枠組みを早急に確定し、新しい法律に規定した上で対処することとされており、関連ノンバンク向けの債権を含む長銀の不良債権処理についても新法の新しい利用可能な枠組みのもとで対処することとされており、これを踏まえて適切に対処するというのが政府の基本的な考え方でございます。  官房長官が記者からの質問に答えましたのは、不良債権処理の一環として関連ノンバンク向けの債権放棄を行うということには、国民の批判が強いことも十分踏まえて対処する必要があるとの趣旨で答えたものであると認識いたしております。
  113. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 これは内閣の見解が一致していないんじゃないですか。官房長官に私は要請して、来ていただけるということで待ち続けてきたんですが、来られないんでしょうか。まず聞いてみます。要請していたでしょう。  委員長、この問題は割と重要な課題なので、債権放棄は。ちょっと速記をとめてください。
  114. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  115. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 速記を起こして。
  116. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 この債権放棄問題はどうするんだと。かねてからの議論を聞いていますと、これは長銀と住信の合併の契約条件ですと。そんな契約があるのか私よく知りませんが、そういう大変重要な問題でもありますので、これは引き続きまた、官房長官は見えませんが、今の答弁では、総理の見解を今お聞きして、官房長官自身がこういうふうに考えていますねと、官房長官がこういうことを言われていることについての見解を今私はお聞きいたしましたが、この点について改めて何か言うことはございますか。  五千二百億円の長銀の日本リース向けあるいはその他向け、この債権については官房長官はこういうふうに考えておりますが、総理自身はどのように考えておられるのか、最後にそのことについてお聞きします。
  117. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) これも今ほど答弁させていただきましたように、ノンバンク向けの債権を含む長銀の不良債権処理につきましては、新法の新しい利用可能な枠組みのもとで対処されることとしており、これを踏まえて適切に対処いたしてまいるのが政府の基本的考え方でございます。
  118. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 いずれにしても、今のは答えになっておりませんよね。債権放棄についてはどういうふうに対応するのか、そのことについて私どもは納得ができないんです。ぜひこの点は、もう時間もありませんので先に進ませていただきたいと思いますが……(発言する者あり)
  119. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 御静粛に願います。
  120. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 そこで、一つ確認をします、この確認事項の。  そこで、一の「長銀問題については、実務者協議合意した事項に沿って、特別公的管理等」、私は「等」の問題を先ほどから聞きましたが、「実務者協議合意した事項(別紙)」と、これですね、これについては総理はこういう認識をお持ちですね。これは実務者協議合意した事項であるということについては今もそのとおり理解をされていますね。
  121. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) それは全くそのとおりでございます。
  122. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 もう時間も少なくなりました。次に移ります。  きのうの鳩山幹事長代理の国会における質問と答弁を聞いて一番私が驚いたこと、それは確認事項の二なんですよ。「金融再生委員会の設置に伴う財政と金融の完全分離及び金融行政の一元化は、次期通常国会終了までに所要の法律」というのが、必要な措置をとるということで決まりましたが、総理のこの答弁を聞いていると、これは一体何ですか。  こういうふうに答えられていますね。財政と金融の分離に関する問題につきましては中央省庁等改革の枠組みの中で金融庁の設置により対処することとし、と。そういうふうに書いてありますか、これ。書いていませんよ。その点どうですか。
  123. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 峰崎直樹君、もう一度質問の事項を要約して述べてください。
  124. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 いや、質問じゃないでしょう、これ。正確に言ったと思いますが。
  125. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  126. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 速記を起こして。
  127. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) この党首会談におきまして、私からたしか口頭で申し上げたかと思いますけれども、その点はすなわち、申し入れの趣旨を重く受けとめ、できる限り尊重するとともに、実務者協議合意した事項は共同して速やかに成立を図ることとしたいと。  そして、長銀問題につきましては、先ほど来御議論ありますが、与野党間の政策責任者協議での合意を踏まえて設ける新しい特別公的管理等の中で対処する。  それから二点目の、今の御指摘ですが、金融再生委員会の設置に伴う財政、金融の完全分離及び金融行政の一元化の問題は、省庁再編の設置法を成立させ、可能な限り早急に実現する、こういうことでございます。  これにつきまして、各党からは正式にきちんとしたタイムリミットを設けよという御主張もございましたが、私といたしましては、それを重く受けとめて、可能な限り早急に実現をするということを申し上げた。その中で、実は省庁再編成の問題もありますので、この点も時期を繰り上げることができれば、その枠組みの中で、金融庁の設置という問題の中で、その成立の過程で十分な議論が図られ、このことの趣旨が達成できるものと、こうした形で私は申し上げた、こう思っております。
  128. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 全然これ話になりません、今聞いていて。正確でないです。合意文書を読んでください、これ。「金融再生委員会の設置に伴う財政と金融の完全分離及び金融行政の一元化は、」と、いつまでにやるかということで書いてあるんで、金融庁がどうのこうのとか、いわゆる今の行政改革の一環じゃなくて、これはもう完全分離をやるんですよということを書いている。そのことを言いかえたらだめです。  ちょっと私、今のはこの確認から大幅に食い違っているんで、とても納得できません、その答弁。ちょっと協議してください。
  129. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 党首会談におりましたからお答えをいたします。  もともと原案は、民主党の言われましたのは平成十一年一月一日、こうおっしゃったんです。そう書いてあった。それはいかにも無理でございますということで、小渕総理大臣から、しかし何か時期を言えというお話がございましたから、それでしたら、中央省庁の再編成の法律案を来年は提出いたしますから、その中で金融庁の設置を前倒しするということで法的整備を行いますと、こう申し上げたのがいきさつでございます。
  130. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 私ども金融庁の設置を前倒しをするという理解はしていないんですよ。金融庁の設置ということになった場合には、そこにおけるこれまでのいわゆる行政改革の積み重ね、積み上げがありましたですね、それとは違ってこれは、金融再生委員会、三条委員会で設けて、そしてその財政と金融の完全な分離ということをまさにやろうとしているんですよ。  この間の衆議院の答弁ずっと聞いていて、私は管轄外でありますがというような答弁を大蔵大臣がやられたり、金融監督庁と本当にばらばらな答弁をしているのを見て、やっぱりこれは財政と金融を分離しなきゃいけないということを我々はそこで言っているんですよ。  私どもは、そういう合意はこの確認事項に盛られたというふうに考えておりまして、とても今の答弁では、宮澤大蔵大臣の答弁でも納得できません。それをちょっと言ってください。(「いつまでと日時の話をしたんだよ」と呼ぶ者あり)  これを日時、もう本当に日時のことだけはいろいろ議論があったと思いますが、それを今申し上げたようなことで、徐々に金融庁の発足というところにすりかえられていったんじゃないですか。そんなむちゃな話ないじゃないですか。それはだめですよ。今の答弁では納得できません。  総理、本当に答えてください。総理、答えてください。
  131. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 今いろいろおっしゃいますが、その日にちは無理でございますということを総理が言われて、それならというので、政府は中央省庁の整備に金融庁というものをもう予定しておりますから、それを前倒ししたらいかがでございますと、そういうことを総理が言われて、そのままのお話になっているんです、そこは。
  132. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 そうしたら、この合意事項はこの金融庁の発足に伴ってというふうにこれを書かないとおかしいじゃないですか。「金融再生委員会の設置に伴う財政と金融の完全分離及び金融行政の一元化は、」と明確にしたんですよ。この中身が、今お話しになったことでは、金融庁の発足でいいじゃないですか。金融庁の中身というのは、前に提起をされている中身とこの中身とは違うんじゃないですか。そこが問題なんですよ。ちょっと総理大臣、今のを。今、大蔵大臣が二回にわたって答えましたから、総理大臣の御見解を。
  133. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 私が先ほど朗読をいたしましたことを、一字一句誤りなく私は申し上げました。  そこで、民主党の菅さんからも日にちを入れました文書が手渡されまして、したがって、大蔵大臣が今答弁いたしましたように、いかにしてもそのことは無理である、したがって、さりながら次の通常国会の終わりまでには結論をつけなきゃならぬということでは大体私は双方合意したと思います。しからば、その後にまた金融庁というものを行政改革再編成で行うということであればその前倒しということもあり得ますねということを大蔵大臣がお話をされまして、そのことは特に異論があったとは私は出席をいたしておりまして考えておりません。
  134. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 そうなったら、この確認事項を書き直さなければそうはなりませんわ。総理、そう思われませんか、これ。(発言する者あり)お互いに合意したんじゃないの。だから最初に確認したんじゃないの。
  135. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) それは、今その私の発言とそれからそれぞれ野党党首の発言ないし文書、それとをすり合わせた結果あの党首会談は成立をいたしておるわけでございまして、それをもとにいたしまして各党とも今協議に入っておるわけでございますので、その点については、それこそ今現在その任に当たっておられる皆さんにもお話は申し上げますが、私としては、そのときの党首会談のことはそのように理解をしておるということでございます。
  136. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 そのような理解をされても、そのような理解が成り立つような確認になっておらぬのですよ。ですから、そういう意味で、先ほど私は総理に言いました、本当にここでまとめるというのだったら、総理の側から、そういうあいまいな決着になっているとすればそれは直さなきゃいけないんじゃないですか。そういう意味で、私はやはり指導性を発揮していただきたいということを最後にお願いをしておきますが、その点についての最後に御見解を伺って、私は終わります。
  137. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 一日も早く疑問点があればこれを解消して合意が成立するように私といたしましても全力を挙げたいと思います。
  138. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 終わります。
  139. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 以上で峰崎直樹君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  140. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 次に、高野博師君の質疑を行います。高野博師君。
  141. 高野博師

    ○高野博師君 最初に、小渕総理クリントン大統領との首脳会談を踏まえて、北朝鮮ミサイル問題について若干御質問いたします。  この首脳会談で、日本安全保障に直接かかわるだけではなくて、北東アジアの平和と安定にとって極めて憂慮すべき行為だと、そういう認識で一致したということでありますが、極めて憂慮すべきということは重大な脅威と同じ意味でしょうか。
  142. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) その言葉そのものを、概念を規定しているわけじゃありませんが、極めて憂慮しておる事態だと、こう認識して、そのような考え方を申し述べて一致したところでございます。
  143. 高野博師

    ○高野博師君 重大な脅威だという認識はございますか。
  144. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) もし北朝鮮から発せられたものがいわゆる軍事的ミサイルであるとすれば、まことに重大な事態というふうに認識いたしております。
  145. 高野博師

    ○高野博師君 脅威かどうかということを聞いているんですが、お答え願います。
  146. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) これは国民の受けとめ方かと思いますが、ほとんどの人はそれは大変な脅威に通ずるものだと認識していると思います。
  147. 高野博師

    ○高野博師君 総理認識を聞いているのでありますが、いわゆる2プラス2の会議では、これは日米両国安全保障にとって、そして北東アジア地域にとっての重大な脅威だと、こういう認識で一致したということでありますが、そのとおりでしょうか。
  148. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 弾道ミサイルにつきましては、我が国あるいは北東アジアにとりまして、あるいはアメリカにとりましても脅威であるという意味では共通の認識を持ったということであります。北東アジアにおいては大きな不安定要因であるということであります。
  149. 高野博師

    ○高野博師君 重大な脅威という言葉は何度も報道もされておりますし、先ほども総理も使われておりました。脅威というのは、攻撃する能力があるか、そして攻撃する意思があるか、この二つがなければ脅威とは言えない、こう言われておりますが、ミサイルであれ人工衛星であれ、攻撃する能力があるということはもう確認された。  それでは、北朝鮮我が国を攻撃する意思があるのかどうか、その点についてはいかがでしょうか。
  150. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 私は、弾道ミサイルは脅威であるという共通の認識を持ったと。北朝鮮が脅威であるとは申しておりません。
  151. 高野博師

    ○高野博師君 今まさに北朝鮮ミサイルが問題になっているのであって、一般的な弾道ミサイルの話をしているのではありません。明確に答えてください。
  152. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 北朝鮮は、人工衛星であるか弾道ミサイルであるか、まだ私どももどちらかというと弾道ミサイルの方が可能性が強かったんではないかという分析をしておりますが、引き続いて分析中であります。この問題については、無通告で発射されたことであり、我々にとっては脅威と受けとめ、それで予想外の技術の進展等々を考えれば、これはアメリカにとっても脅威であるという共通の認識を持ったということであります。  北朝鮮我が国を攻撃する意思を持っておったかどうか、あるいは弾道ミサイル発射直後に北朝鮮内部で軍部あるいは軍事体制的に変化があったかどうか、そういうことについては我々は確認をしておりませんので、北朝鮮が脅威であるというふうには言っておりません。
  153. 高野博師

    ○高野博師君 この間の発射のときにそういう攻撃の意思があったかどうかというのではなくて、脅威は将来的なことでありまして、将来的にそういう意思があるかということについて伺っているんですが、この点はこれ以上踏み込みません。  そこで、日朝関係全般についてでありますが、こういう問題が起きてくるというのは一つの結果でありまして、その前の段階として、日朝関係について我が方のこれまでの政策が問題なかったのかどうか、その点について検証すべきではないかと思うんです。  これまで我が国北朝鮮に対しては五十万トンの食糧援助をやった、これは御存じのとおりだと思います。しかし、人道的観点といいながら国民の口に入ったという確認は何もされていない。むしろ、軍の備蓄になったのではないかということも盛んに言われました。それから拉致事件、これも十人ほど拉致されているのでありますが、一人とか二人の段階でなぜもっと強い抗議をしてこなかったのか。国家主権の侵害であり、また基本的人権の問題でもあるわけです。それから、国交正常化の交渉の過程で、正規の外交チャンネルではなくて、いろんな政治家がいろんな動きをしたと。これも食糧援助等に絡んで複雑な関係ができてきてしまったのではないか。先方の工作員らしき人物も登場していると。  要するに、我が国北朝鮮に対して間違ったメッセージを送ってこなかったかどうかということを私は懸念しておりますが、国交正常化とそれから食糧援助について大変熱心であった野中官房長官にこの点についての認識を伺います。
  154. 野中広務

    国務大臣(野中広務君) お尋ねの件について御報告申し上げます。  私は、九〇年に金丸・田辺訪朝団の一員として北朝鮮に初めて参りました。そして当時は、自由民主党と朝鮮労働党の話し合いの席で、だれも北朝鮮の核疑惑について、IAEAの査察を受け入れろというテーマについて発言する人がない。したがって、ぜひ私にやれということになりまして、私が、IAEAの査察を受け入れるべきである、そうしない限り世界に開かれたあなた方の国はできないということを強調いたしました。先方からは激しい応答が返ってまいりました。けれども、常に私も負けないで鋭く対立をいたしました。  その後、この対立から非常にお互いの気持ちが通い合うようになって、私はこの国にいろんな思いを持つことになりました。  わけて、私のような、ある意味において、あと戦争が一年も続いておればこの世に五十数年の生をいまだに受けることがなかった世代に生きた人間は、戦争中の一つのいわゆるみずからのけじめとして、一番近くて遠い国にあるこの国を何とか過去の歴史を知っておる我々世代が生きている間に近くて近い国にするべきでないか、このように考えまして、今日までこの国と細いパイプを何とかたぐり寄せて、そしてできれば近くて近い国にしたいと思って努力してきたことは事実であります。  だがしかし、その私が、あのミサイル発射によってみずから官房長官としてこの国の異常なやり方に抗議をし、そして対抗処置を講ぜざるを得なかったのはまことに残念であり、悔しい思いであります。  けれども、何とか今もこの国が、この異常な軍備の増強と、そして人工衛星と言おうが弾道ミサイルと言おうが、非常に長距離を飛ぶいわゆる運搬装置を持ったミサイルと言われるものの先に弾頭がついておったか、あるいは人工衛星的なものがついておったかだけの違いでありまして、あれだけの距離を飛ばすものを持ったというその技術は大変恐ろしいものであります。  国民が今餓死しておる人が多いという中において、この国でこのような異常なことが行われていることに対して、私どもはやはり自国の名誉とそして国民の安全と、この責任において重大な抗議をしていかなくてはならないし、対抗処置を講じていかなくてはならない。そのことと、この国が何とか近くて近い国になってほしいということとは別なことであります。  今後も、そういう気持ちで取り組んでまいりたいと考えております。
  155. 高野博師

    ○高野博師君 そういう交渉の過程の中で、核の問題あるいはミサイルの開発には反対だと、国交正常化の条件としてそういうことを先方に提示してきた経緯はあるんでしょうか。簡潔にお願いします。
  156. 野中広務

    国務大臣(野中広務君) そもそも、先ほど申し上げましたように、朝鮮労働党と自由民主党との会談においてIAEAの査察を受け入れろということを執拗に主張したのは私でありますから、自後も私はそれを続けてまいりましたし、ミサイルについては先般初めてこれが発射をされたわけでございまして、その前にノドン一号が発射された等の経緯があるようでございますけれども、その当時は私は内閣の一員でもありませんでしたから具体的に検証することができませんでした。  しかし、今回はみずから内閣の一員とし、さらに我が国の国民の生命、財産を守る立場に立って国家的見地でこの問題に取り組んでまいらなくてはならないと存じており、これからも執拗に抗議をし、そして先方がミサイルや軍備拡張にならないようなための努力はするべきであると存じております。
  157. 高野博師

    ○高野博師君 私が誤ったメッセージを送ってきたんではないかということは、日本はおどかせば譲歩を引き出せる、そういう誤解を与えてしまったのではないかという、そういう懸念があるわけです。  野中長官は、加藤前幹事長あるいは山崎拓前政調会長、これらの方々と同じようなスタンスで北朝鮮問題に当たってきたんでしょうか。簡潔に答えてください。
  158. 野中広務

    国務大臣(野中広務君) 当時の加藤幹事長、山崎政調会長同様の気持ちであったと思いますけれども、私はこの人たち以上に、最初に訪朝し、何回も訪朝しました経過から、先ほど申し上げましたような近くて近い国にしたいという気持ちはより多くあったと存じております。
  159. 高野博師

    ○高野博師君 それでは、BMDの件についてお伺いいたします。  ミサイル発射事件をきっかけに、偵察衛星の配備とかあるいはBMDの共同開発、そういう方向に今議論がされておりますが、力に対して力をもって対抗するという考え方は簡単でありまして、いかにして戦争を起こさないで平和を確保するか、そこに全力を傾注すべきではないかと私は思うのであります。  偵察衛星にしても、これは寿命が大体三年から五年だということで、これを一たん打ち上げれば毎年数千億の費用がかかると、こういうこともきちんと克明に国民に説明すべきではないかと私は思います。  BMDにしても、さまざまな問題があります。費用対効果の問題、あるいは国民的な合意がまだできているとは言えない状況、また宇宙の平和利用を求めた国会決議との整合性の問題、あるいは専守防衛という憲法上の問題、中国の反対、さまざまあります。いずれにしても、これが配備できるのは十数年後だということでありますが、一番大事なのは、これから十数年間、一体我が国の平和と安全をどうやって守るのか、それが最大の問題であろうかと思うんです。  そういう中で、日米安保体制は重要な役割を果たすと私は思うのでありますが、そこの点について、今回のミサイル事件との関係総理はどういう認識をされておられますか。
  160. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 先般の2プラス2におきましても、今度の北朝鮮弾道ミサイル発射というものは、我が国民の関心を大きくしたばかりでなく、世界じゅうの皆さん方の弾道ミサイルに対する関心を大きくしたものと思っております。  したがって、2プラス2におきましても、日米安保条約におけるコミットメントをきちっと確認したわけでありますし、さらに我々もかたいきずなを誓い合ったということでございます。  その意味におきまして、弾道ミサイルにつきましては我々もかねてから研究をしてきたところであり、この問題について、さらに総合調査研究から共同技術研究実施する方向で我々も考えていきたいということで、日米の安保関係を強固にしていく中で我が国の安全と平和というものを確実にしていこうということを一層強くしたところであります。
  161. 高野博師

    ○高野博師君 日米同盟、日米安保体制の根幹にかかわる問題としてその信頼性というのがあると思うんですが、もし在日米軍基地が攻撃されたら、これはアメリカは当然直ちに反撃すると思うんですが、ほかの東京とか大阪とかそういうところがミサイルで攻撃されたときに、この場合にアメリカがニューヨークとかワシントンが攻撃されるという危険を冒してまで我が国を防衛してくれるのかどうか。まさにそこの一点が、明快にそうだということが言えれば国民はある程度安心するんだと私は思うのでありますが、この点について、先般、小渕総理クリントン大統領が、これは報道でありますが、両国日米安保体制のコミットメントは確固たるものであるということを確認した、こういう報道がありましたが、その中身は何でしょうか。簡単にお答えください。
  162. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 具体的に一つ一つ取り上げてというよりも、これは基本的に日米間で安保体制というものが確実なものとしてお互いの信頼関係のきずなをさらに強くし、それぞれの事態には十分対応していくということをお互い確認し、かつ確信を持てたと、こういうことだと思います。
  163. 高野博師

    ○高野博師君 日米安保体制が確固たるものであれば、これは当然抑止力としても働く、そういう意味日米体制の強化というのは必要だと私は認識しておりますが、そういう日米安保体制をきちんと確認した上で、BMDとかTMDとか、そういう議論をしていくべきではないか、一気にBMDの共同研究開発、そういう話になるのは早過ぎるのではないか、そういう認識を私はしております。  それでは、防衛庁の背任事件についてお伺いいたします。  この防衛庁の事件は、国家に対する背任と同時に国民に対する背信である、前代未聞の不祥事だ、深刻かつ重大だと、私はそういう認識をしておりますが、最も高いモラルと士気を要求される防衛庁が組織的に犯罪を行っていた、そして証拠隠滅を行い、防衛庁の威信を失墜させた責任は重いと思うのでありますが、総理は、事件が組織的な犯罪という認識をしておられるでしょうか。
  164. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 今般の事件に関しまして、私も自衛隊の最高指揮官という立場から考えましても、まことに遺憾のきわみだと改めて国民におわびをするわけでございますが、今事件の解明をしつつある段階でございます。また、既に背任罪におきまして起訴された者もおるわけでございますが、現在事件が進行中でございますので、今の段階で私自身がその内容についてコメントすることは差し控えさせていただきたいと思います。  いずれにしても、冒頭申し上げましたように、こうした事件が再発をしないように、防衛庁長官のもと、みずからの力でこれは解明し、そしてそれに対する対処をいたしていくべきものと思っております。
  165. 高野博師

    ○高野博師君 水増し請求というのは防衛産業の常識だと、そう言われているそうでありますが、東洋通信機の問題は氷山の一角ではないか。そうであるかもしれない。防衛産業は二百八十社余りあると言われているんですが、これと調本との関係、調達実施本部との関係は徹底的に究明すべきだと私は思いますが、防衛庁長官は、この防衛産業の常識というのはそういう理解をされていますか。
  166. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 今この問題が発覚をいたしましてから、防衛庁ではいろんな制度改革を行うために制度調査をしておりまして、今、高野委員御指摘の二百八十社につきましては、この原価計算あるいは経理のあり方、要求の仕方等々につきまして鋭意調査を行っているところであります。二百八十社すべてについてきちっと調査をしていくつもりであります。  しかし、私はそういう現象面だけではなくて、防衛産業のあり方、調達システムのあり方等々を原点に返って点検し直して、再びこういうことが起こることがないようにすることが大事であるというふうに思っておりまして、昨日、調達制度検討委員会の第一回目を開かせていただきました。  私は、防衛庁長官に就任をして五十日余り過ぎましたが、就任と同時に、事実関係を明らかにし、再びこういうことが起こることがないようにということで事務局に命じまして、その検討委員会が昨日行われたわけでございまして、私は、高野委員の問題意識と同じように、原点に返ってこの問題に取り組んでいって国民の皆さん方の信頼を得なければならないというふうに思っております。
  167. 高野博師

    ○高野博師君 内部調査を今進めていると思うんですが、その内容について、調本の副本部長関係書類を自宅に持ち帰ったとか、あるいは親族宅に移した、あるいは海幕の方に移動させていた、そういう事実が明らかになっていると思うのであります。証拠隠しの意図はなかった、そう言っているらしいんですが、その点についてはどうでしょうか。どう思われますか。
  168. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) この問題は、新聞の報道で、証拠隠滅のために大量に組織的に文書が焼却されたりということがあったわけでありまして、もしそういうことであるならば大変重大な事態であり、もちろん捜査当局でも、我々は全面協力をしておりますから事実を明らかにしてくれるものと思っておりますが、みずからの自浄能力を発揮するために我々が精力を込めて今職員の調査を行っております。既に昨日までに百八十人余りの方からお話を聞いていろいろと整理をしているところであります。  高野委員御指摘のような案件がありましたけれども、今まだ全部整理され尽くしているわけではありませんので、もう少し時間をかしていただいて、私はうそをつかずに隠し立てをすることなく国民の皆さん方にオープンにしますから、信頼をしていただいて、もうちょっと時間をかしてほしいと思います。
  169. 高野博師

    ○高野博師君 上野容疑者が返還額の減額を天下り受け入れのおどかしに使ったりとか、あるいは天下りOBの待遇アップを要求していた、これは相当悪質だと私は思うのでありますが、天下り問題はほかの省庁も共通した問題であります。むしろ、調達実施本部の仕組みとかあるいは調達装備品の購入の透明性あるいはその適正性、公正さ、そういうものが求められていると思います。  そこで、会計検査院の検査体制について問題があるのではないかと思うんですが、工数計算の問題点は早くから会計検査院も指摘していた。しかし、最近の報道でも、会計検査院側は調本に再三だまされているというような報道もありまして、匿名の電話とかいろいろな投書があったにもかかわらず、本格的な調査を行っていない。  例えば、交際費とか宣伝広告費が調達装備品の経費の中に入っていた、これは追及もしていない。検査に甘さがあったということだと思うんですが、その背景があるように思うんですが、検査院長の認識はどうでしょうか。  検査院に対する容疑者からの天下り申し出等についての事実関係についてもお伺いいたします。
  170. 疋田周朗

    会計検査院長(疋田周朗君) お答えいたします。  今回の防衛庁の事案につきましては、これまで他の委員会で担当局長から御答弁申し上げてきたところでございますが、防衛庁におきまして事態を発見し、是正の措置をとった旨の報告を受けたものでございます。  私ども会計検査院といたしましては、その報告内容について必要な検査を行うなどして可能な限り努力してきたところでございますけれども、原資料の保存が義務づけられていないといったようなことなどもございまして、具体的な金額の検証が困難であったということについて御理解をいただきたいと思います。  なお、このような事案が生じたことにつきまして、私ども会計検査院といたしましても強い衝撃を受けているところでございまして、本院のこれまでの検査の方法に改善すべきところがないかどうか早急に点検をいたしまして、今後の検査の実施に最善を尽くしてまいりたい、このように考えております。  それから、二点目の再就職の問題でございますけれども、本院職員の再就職につきましては、検査経験を活用させてもらいたい、こういう旨の要請が相手方からございました場合に、本院といたしましても適任と考えられる人材を推薦するなどして応じているところでございます。  会計検査院は国の財政監督機関でございまして、検査活動に関して、たとえ元職員が監事あるいは監査役に従事しているからといって、検査に手心を加えるというようなことは一切行っていないところでございますので、その点につきましても御理解を賜りたいと思います。
  171. 高野博師

    ○高野博師君 時間が余りありませんので、防衛産業にとってTMDとかBMD、これは生き残りの最後の切り札だとも言われておりますが、防衛庁の不祥事問題を抱えたままでこういうプロジェクトを実施していくということについては国民も納得がいかないと思います。相当膨大な予算を使うということでありますから、この防衛庁問題をきちんと整理して、解決してからこういう問題に取り組むべきだと私は思います。  次に、金融問題について若干質問いたします。  先ほども質問のありましたように、クリントン大統領小渕総理の間でのやりとりの中で、存続可能な銀行に十分な額の公的資金を投入する必要があるというこの発言ですが、合意がなかったということでありますが、認識は一致したんでしょうか、あるいは意見の一致を見たということでしょうか。
  172. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 先ほども御答弁を他の委員に申し上げましたけれどもクリントン大統領としては、存続可能な銀行を適切な条件のもと、十分な額の公的支援によって支援する必要性が強調されました。これに対しまして、私といたしましては、金融システム全体の包括的な安定性を揺るがさないという決意で臨んでおるということでございまして、具体的なケースではありませんけれども、お互い今日の日本における金融のあり方自体について極めて重大な関心を寄せておるという点では考え方が一致したものと思っております。
  173. 高野博師

    ○高野博師君 このクリントンの発言については、日本政府がかなり根回しをして言わせたのではないかと思われる節があるのでありますが、外圧を利用したとすれば小渕総理もなかなかしたたかだなという感じがするのであります。  宮澤大蔵大臣は同席をしていなかったんですが、先方は財務長官あるいは通商代表部の代表等が同席しているんです。なぜ大蔵大臣が行かなかったのか私は理解できませんが、先般九月に訪米されてルービン財務長官と話をされた中で、存続可能な銀行あるいは公的資金の投入云々ということは話し合われたんでしょうか。
  174. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 具体的なケースとしては話をいたしておりません。
  175. 高野博師

    ○高野博師君 それでは、宮澤大臣に若干お伺いしたいと思います。  長銀の問題で、長銀への公的資金の投入が決まったらさっさと大蔵大臣をやめる、そういううわさがあるようでありますが、何か心当たりはございますか。
  176. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 心当たりはございませんが、何しろ、やはりこの問題を処理することが今の我が国景気、これは実は世界的な不景気のもとと言われている我が国でございますから、のために非常に大事であると思っておりますので、自分の丸々の所管ではございませんけれども、できるだけ全力を挙げてこの問題の処理をいたしたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
  177. 高野博師

    ○高野博師君 長銀が日本リースに約二千五百五十六億円を融資している、こう言われますが、日本リースがどんな会社に融資しているのか、これを知っているんでしょうか。ある情報によれば、大口の三十社等はもうほとんどがペーパーカンパニーだということで、こういうことが本当に事実だとすれば長銀の実態は相当ひどいということになります。この長銀救済というのは日本リース救済とも言われることになりますが、この実態について調査をした上で情報を公開すべきだと思うんです。  こういう実態をもしクリントンさんが知っていたら今回のような発言はなかったのではないかと私は思うんですが、この点について簡単にお答えください。
  178. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 私は今そういう意味での金融機関を所管しておりませんので、これは金融監督庁でないとお答えができない。  ただ、この問題は、法律を御審査中の衆議院の委員会ではたびたび御指摘がありまして、実態は長銀と住友信託との任意の契約による合併条件にそれがなっておる。金融監督庁としては、そのような合併条件は、いわば母体行の考え方ですが、住専のときにも国が口を入れて適当な結果でなかったので、契約は契約として考えなければならないだろうと。それは私はそうあるべきだと思うんですが、しかし、外から見るとこの話はどうもなかなかわかりにくいということはしばしば衆議院の委員会で御指摘がございました。
  179. 高野博師

    ○高野博師君 宮澤大臣のファミリー企業が日本リースの大口融資先に入っているとの報道も一部にありますが、これは事実でしょうか。
  180. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) いや、私のファミリー企業なんというものはございませんで、何か私が、いつかだれかの媒酌をしたという御質問を受けましたが、私はその人を存じませんで、媒酌しておりません。
  181. 高野博師

    ○高野博師君 長銀への公的資金の投入というのは農協救済の住専処理と全く同じだということも言われております。国民は長銀に対して膨大な公的資金を投入することについては納得いかないのではないかと私は思うんです。  最後に長銀の問題。長銀が破綻をすれば世界金融危機になるという理屈はなかなか説得力がある部分もありますが、しかし、もう少しわかりやすく簡単に、どういうことになるのか説明していただきます。
  182. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 高野委員はよく海外の事情を御存じでいらっしゃいますから申し上げるまでもないことなんですが、長銀は海外に大小いろいろ数十の事業拠点を持っております世界的に知られた銀行でございます。殊にまたデリバティブもございますし、それが仮に崩壊をしたというようなことは、銀行の大きさから言いますとベアリング・ブラザーズなんかとはもう比べ物にならない大きさでございますから、コンチネンタル・イリノイよりも何倍でございますから、それだけでもう大きなショックでございますし、国内でも、預金者はおりませんけれども金融債券あるいは貸出先等、非常な大きさでございます。  これは、恐らく大したことないとおっしゃる方と、いや、やっぱりそれは容易なことでないとおっしゃる方とありますが、私は、残った日本銀行に対しても相当大きな影響を与える、ジャパン・プレミアムとかいうことでございますけれども、そういうふうに思っております。
  183. 高野博師

    ○高野博師君 時間ですので、終わります。
  184. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 以上で高野博師君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  185. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 次に、小泉親司君の質疑を行います。小泉親司君。
  186. 小泉親司

    小泉親司君 日本共産党の小泉でございます。  私は、防衛庁の背任事件に絞って質問をさせていただきます。  今回の事件は、御承知のとおり、外部の情報で軍事企業による装備品の水増し請求が発覚した、防衛庁が過去五年間を調査して国への返納額を確定したが、この返納額が防衛庁とNEC、東洋通信機によって約二十一億円も圧縮されていた、つまり私は防衛庁と有数の軍需産業NECが共謀して国民の税金である防衛予算を食い物にしていたという前代未聞の重大な事件であるというふうに思います。  しかも、さらに重大なことは、防衛庁が価格算定などの資料を焼却してしまった、つまり証拠隠滅が明らかになったという点であります。既に、これまで厚生省のエイズ事件などでも証拠を隠したということはありましたが、証拠を焼却したというのは、私は前代未聞の驚くべき事件であるというふうに思います。  そこで、まず総理にお聞きをいたしますが、総理は、今回の事件について、事実関係の解明に全力を挙げてかつ徹底的に行うよう強く指示しておるというふうにお答えしておりますが、具体的にどのように事実関係の解明を徹底的に行うのか、お答え願います。
  187. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 防衛庁からは証拠隠滅につきましての報道の後、直ちに調査委員会を設置し、事実関係調査を行っているとの報告を受けております。報道内容が仮に事実であれば、大変重大な問題であると考えており、今後検察当局の捜査等により事態が解明されるとともに、防衛庁においても事実関係を徹底的に解明し、その結果を踏まえ、必要であれば厳正な措置をとっていく必要があると考えております。  先ほど来防衛庁長官答弁されておりますように、みずから自浄的な努力を踏まえ、積極的に本件の解明に努力し、必ずやその実態が、もちろん捜査当局にもよりますが、内部的にも明らかになりまして、この防衛庁の事件が再び起こることのないように、防衛庁長官また私自身も、十分これに対して対処いたしてまいりたいと思っております。
  188. 小泉親司

    小泉親司君 起訴状によりますと、本来二十九億円返還させるべきところを八億七千四百万円に減額した、差額はつまり約二十一億円であります。私は、やはり予算がこのように使われていたというのは予算委員会としても大変重大な問題だというふうに思います。  そこで、まず総理にお聞きしますが、このような大変巨額な二十一億円という国民の税金が不当に請求されていたわけですから、私はすぐに関係企業にこの返還を求めるべきだと思いますが、総理、いかがでございましょうか。
  189. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 東洋通信機の事案に関しまして、今般明らかになった事実関係を前提とすれば、事案発生当時の返還金額の算定は適切なものであると言えず、依然として国損が生じていると防衛庁から報告を受けております。その返還につきましても適切に処置されるべきものと考えております。
  190. 小泉親司

    小泉親司君 既に、九月十二日に東洋通信機側は国に返納するということを言っておるんですね。ですから、これは直ちに私は返還交渉に入ってすぐにやるべき、そういう指示を総理が出されるべきだと思いますが、もう一度お願いをいたします。
  191. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 具体的な事案としてどの程度水増しの要求があり、どの程度の実際の支払いがあったかという事実関係もございますので、そういった点につきましては現在防衛庁で把握しておられるのか、あるいは捜査当局が明らかにしていくのでありますか、その点私自身はその数字を承知いたしておりませんが、いずれにしても不正な支払いがされたということが確認をされれば、当然そのすべてに対してそれは返還を求めなければならない、このことは至極当然な話と認識しております。
  192. 小泉親司

    小泉親司君 起訴状でも二十一億円と言っている、東洋通信機側も返すと言っているわけですから、額ははっきりしているわけですから、直ちに返還を要請したらどうですか。
  193. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 小泉議員御指摘のとおり、二十一億円の返還金額につきましては、私どもも検察庁の捜査によって新たな事実がわかってきたこと、また当時の調達本部の幹部の皆さん方の中でも間違っていたという見解を示していること等々から、我々が内部調査によって返還額の積算根拠をつくっておったものが崩れてきたことは当然でありまして、今回、関係法等を照らし合わせながら、早急に返還の措置をとっていきたいというふうに思っております。
  194. 小泉親司

    小泉親司君 次に、資料の焼却・隠滅問題であります。  防衛庁は、私の外交・防衛委員会での質問に対して、証拠書類を移動したという事実はお認めになりました。秋山防衛庁事務次官は、報道によりますと、さまざまな書類について、オフィスだけでなくほかの場所に保管したり、調本から別のビルに移したりしていた状況を把握しているというふうに記者会見では述べられております。  それでは、総理に聞きますが、総理はどのような報告を現在お受けになっておりますか。
  195. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 証拠隠滅につきましては、その報道後、先ほど御答弁申し上げましたが、庁内に調査委員会を設置してその事実関係調査を行っておるとの報道を受けまして、詳細にどのような事態になっておるかにつきましては、大変申しわけありませんが逐一承知をいたしておりませんが、いずれにいたしましても、現在防衛庁におきましてもその事実関係について明らかにする努力をいたしておりますので、報告を求めたいと思っております。
  196. 小泉親司

    小泉親司君 総理は、先ほども最高司令官とおっしゃいましたから、法律的には防衛庁を指揮監督し、自衛隊の最高司令官であられます。ですから、これは大蔵省などのいろんなスキャンダルの事件や汚職事件などと違って、総理みずからが私は責任を問われる大変重要な問題だというふうに思います。その意味では、今の、中間的な報告なのかどうかわかりませんが、具体的に防衛庁の報告も受けていないと。その点は私はやはり総理の責任が問われる問題だというふうに思います。今回の事件では、原価の計算資料とかさまざまな証拠書類が焼却されたり隠されたりするという事実が発覚しているわけです。  そこで、私、法務省に御質問いたしますが、刑法のコンメンタールを見ますと、隠滅というのは、単なる物理的な滅失ではなくて、証拠の顕出を妨げ、またその価値を滅失、減少させる行為をすべて含む。つまり、証拠隠滅を単なる資料の焼却であるとか物理的な隠滅というばかりではなくて大変幅広く私は解釈していると思いますが、その点に間違いございませんね。
  197. 松尾邦弘

    政府委員(松尾邦弘君) 一般的な解釈といたしましては、お尋ねのとおりでございます。
  198. 小泉親司

    小泉親司君 刑法の定説によれば、防衛庁が組織ぐるみで資料の焼却、隠匿などをやったことというのはやはり明確な隠滅行為であるというふうに思います。  ある新聞の社説にこのようなことが載っておりました。住宅専門会社での大蔵省や農水省、薬害エイズでの厚生省など、情報を隠す体質は防衛庁に限らず官僚組織全体に根深い。それにしても、今回の証拠隠滅疑惑は突出しているというふうに言っているわけですね。その上で、法治国家として最低限のルールを、法を執行する立場の公務員が平然と破って恥じないならば、この国の民主主義制度は根幹から崩れてしまうと、こう言っております。私もこの社説のとおりだというふうに思います。  ところで、防衛庁は、証拠隠滅が発覚してからもう十日もたっているんですね、そうでしょう。ところが、いろんなことを言って、私、六本木も何回も行きましたが、あの防衛庁の狭い区域で、報道によると段ボールをあっちに移したこっちに移したとやって、それが実際そういう行為が具体的にあったかどうかということが十日もたってもわからない。さっき防衛庁長官、百八十人調査したとおっしゃいましたが、実際にこのような事実があったのかなかったのか、このことは一日や二日あれば十分やれることじゃないですか。そういうことをやらないで十日も放置して、後で私を信用してくださいと言っても、私は信用できないというふうに思います。国民も信用できないというふうに思います。その意味で私は、これは新たな疑惑隠しでありまして事実隠しであるというふうに思います。  総理はこの点どのように厳正な調査を指示されるのか、総理にお答えいただきたいというふうに思います。
  199. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 先ほど来申し上げておりますように、そういう大量に組織的に証拠隠滅があるかないかについて、我々も重大に受けとめて調査に入ってきておりまして、百八十人ぐらいの方々から話を聞いたと。  現段階におきましては、報道の中で指摘されておりました昨年九月、本年五月、本年八、九月といった時期の事実関係についてこれまでの調査を申し上げますと、昨年九月ごろには調達実施本部の複数の課において東京地検への書類の任意提出等に備えてコピーを作成したことは、複数の職員からの聞き取り結果により事実と思われることがわかっております。その際に書類の焼却処分を行ったかどうか、また行ったとしてその中に今回の背任事件に関する重要書類が含まれていたかどうか、そういうことについて今確認をしておるところであります。  また、毎年年度がわりの四、五月には他の時期に比べ大量の書類焼却が発生することは聞き取り調査の結果でもわかっております。本年五月ごろに、通常行われている書類整理以外に本件に関する重要書類を大量に焼却したかどうか、まだ確認中でございます。  また、本年八月から九月にかけての調査でありますが、種々の書類を自宅保管したり他の建物へ持ち込んで保管したことがあるという聞き取り結果を得ているけれども、いかなる理由、状況下でそのようなことが行われたか、また今回の元調本長ら背任容疑事件に関する書類があったかどうかという点についても、これは資料そのものが全部もう没収というか検察庁にあるわけでありますから、その中での聞き取り調査でございますので御理解をいただけると思っておりますけれども、そういう中で一生懸命整理をしているところであるということでございます。
  200. 小泉親司

    小泉親司君 いや、その資料が果たして今回の事件に関係するかどうか。つまり、わからないとおっしゃいましたけれども、先ほど私、刑法上の問題を言いましたように、それが含まれているかどうか別にして、そのものが顕出するのを妨げる行為も証拠の隠滅行為なんですよ。先ほど法務省が言っているでしょう。だから、そのこと自体をどういうふうに防衛庁が見られるかということが大変大事な問題だというふうに思います。そこをはっきりさせていただきたいと思います。  今回の事件を、私は防衛庁が組織ぐるみでこの問題を何とか隠ぺいしようということを次々とやったという点が非常に重大なもう一つの点だというふうに思います。その最たるものが、私は防衛庁が地検の強制捜査前に法務省と東京地検に提出した上申書であるというふうに思います。  私は、この上申書の問題については委員会でも取り上げてまいりました。防衛庁はこの文書について、私への答弁で、「東通事案に対する現時点での評価について」という題名で、日にちはいわゆる捜査が入る約二カ月前の七月十四日、防衛庁の名前で、しかも久間前防衛庁長官の了承を得て提出をしたというふうに答弁しましたが、それに間違いございませんね。
  201. 及川耕造

    政府委員(及川耕造君) 相違ございません。
  202. 小泉親司

    小泉親司君 この上申書には、総理、大変重要なことが書いてあるんです。つまり、いろいろ報道されていますが、本来二十九億円の返還すべき金額を八億七千四百万円に圧縮したという事件でありますが、この圧縮は正当だったんだ、やむを得なかったんだということが書いてあるんです。  総理、この上申書をお読みになりましたか。
  203. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) まだ通読しておりません。
  204. 小泉親司

    小泉親司君 私、先ほど述べました現時点での評価という上申書を持っておりますが、これを防衛庁が総理に読ませないなんというのは非常に重要な問題ですよ。  これは例えばどういうことが書いてあるのか。まず第一は、価格の決定について、今回の問題ですよ、この辺についてどのように書いてあるのか。「予定価格算定の訓令は、一般的な基準を示しているにすぎず、具体的案件についての算定に当たっては、」云々かんぬんで、「一義的に唯一絶対の客観的数値というものを計算することは不可能に近く、担当者により、計算値が異なることもやむを得ないものと考える。 まして、基準のない原価差異算定にあたっては、」、つまり今回の事件ですよ、いいですか、「唯一絶対の客観的数値を得ることは不可能に近い。」、だから担当者の裁量に任せられるものだというふうなことが書いてあるんですよ。ところが、起訴状はこれとは全く逆のことが書いてあるわけです。そうでしょう。  防衛庁長官、これについてまだあなたはこの上申書の見地が正しいというふうにお考えなんですか。
  205. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 先ほど申し上げましたように、私も上申書について、概要について就任の後に読ませていただきましたけれども、当時は防衛庁内部で強制捜査権がない中でいろいろ考えた、よりベターな案だったんでありましょうけれども、その後、検察庁の捜索とかあるいは調達本部の幹部の皆さん方の考え方も変わっておりまして、積算根拠が間違っておったということでございますから、今から考えると非常に配慮に欠けた点があったんではないかというふうに思っております。  したがって、先ほど言っておりますように、国に損害を与えている分の債権については、関係法律に従ってできるだけ早く国に納めさせることが適切であるというふうに思っております。
  206. 小泉親司

    小泉親司君 ということは、間違っていたという認識に到達したということでございますね。
  207. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 最も適切なやり方ではなかったし、今考えると間違っておったということであります。
  208. 小泉親司

    小泉親司君 確かにこれを認めますと、結局諸冨容疑者や上野容疑者、こういう人と同じ立場になってしまうんですよ。だから、この点は非常に重要で、この点を私は、現在のこの起訴状で防衛庁の上申書がやはり間違った立場であったと防衛庁長官も今お答えになりましたが、そうであれば当然撤回されるべきだと思いますが、防衛庁長官、どうですか。
  209. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) この上申書についての考え方については、私が今述べたことによって公になったものと思っております。上申書は検察庁にあるわけでありますけれども、検察庁も捜査過程の中でこれは間違いであるということの立件をしているわけでありまして、公判で明らかになっていくでありましょう。私もそれは間違いであったと今述べたわけであります。
  210. 小泉親司

    小泉親司君 いや、撤回されるのかどうなのかということをお聞きしているんです。
  211. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 手続的には、これは既に上げたものが検察庁でどういうふうに扱われているかどうかでございますけれども考え方としては間違っておったということでありますから、撤回すべきだと思います。
  212. 小泉親司

    小泉親司君 私、上申書のもう一つの重要な問題は、今回の事件の当事者であるNECの関連会社、つまり東洋通信機に対して至れり尽くせりの優遇処置を主張している点だというふうに思います。  今回の事件で不正請求が発覚した事件はまず四社事案といいまして、御承知の日本工機、藤倉航装、ニコー電子、それと東洋通信機であります。このうち、東洋通信機以外の三社は取引停止になっているんですね。ところが、NECの関連会社である東洋通信機だけは取引停止になっていない。その理由はどういうことですか。
  213. 及川耕造

    政府委員(及川耕造君) お答え申し上げます。  私どもの聞いておる限りでは、他の社につきましては業務の改善措置をとるまでの間取引を停止したというふうに聞いておりますけれども、東通の場合には支払い等の方法、額等が確定した時点で既に社の方で改善措置をとったということで取引停止等の措置はとらなかったというふうに聞いております。
  214. 小泉親司

    小泉親司君 ところが、上申書はそういうことは書いてないんですよ。上申書は取引停止にしなかった理由というのをこう言っているんです。「東洋通信機の場合、味方識別装置等の防衛装備品の供給を専ら請負っており、これが供給停止といった事態となれば、航空機等の装備システムの円滑な運用ができなくなる恐れがあった。」からだ。つまり、安全保障上の問題への考慮をしたから取引停止にしなかったと、こういうふうに言っているんです。  これは国会で今御説明があったことと全然違うじゃないですか。この点も間違いだというふうにお認めになるんですね。
  215. 及川耕造

    政府委員(及川耕造君) 上申書の内容に触れることでございますので、その点に直接のお答えになるかどうかでございますけれども、私が申し上げた取引停止という措置そのものにつきましては先ほど御答弁を申し上げたとおりでございまして、安全保障上の観点というのは、それはあらゆる場合、私どもがその会社からしか調達できない場合に配慮しなければならない、そういう趣旨でございます。
  216. 小泉親司

    小泉親司君 私は、安全保障のために違法なことが行われていいというものじゃないというふうに思います。やはり国の安全保障というのは国民の財産を守ることですから、それが何か国民の財産を守ることじゃなくて、逆に防衛産業が国の予算を食い物にするような行為を、これは安全保障上の理由だから取引停止にしないとか、そういう優遇措置が私はあってはならないというふうに思いますが、総理、いかがですか。
  217. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 防衛関係の物品の納入につきましては、一般的に競争原理というものがなかなか働きにくい。それは、それぞれのものが極めて特殊なものである場合が多いわけでございまして、そういった意味でより精密に価格を査定し、そして購入に当たりましては十分な配慮をしなければならないものだという認識をいたしておりまして、そういった意味で今般起きました事件にかんがみまして、今後こうしたことの絶対に起こらないような措置をいたしていくべきものと認識しております。
  218. 小泉親司

    小泉親司君 私は今回の問題というのは、本当に防衛庁が組織ぐるみでこの事件の隠ぺいを図るということもあるし、現実問題としてこのような事件を引き起こしているというふうに思います。その意味では、この証拠隠滅の問題でも今度の上申書の問題でも私はやはり防衛庁長官の責任は重要だというふうに思います。  その意味で、総理は、今度の事件でも証拠隠滅という点でも監督責任が防衛庁長官にはあるわけですから、その点で私は罷免をすべきだというふうに思いますが、総理、いかがですか。
  219. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 現防衛庁長官現下惹起しておりますこの問題につきまして、先ほど来御答弁申し上げておりますように真剣に対処しておるわけでございまして、したがいまして現防衛庁長官といたしましてはこの問題についてきちんとした対応をし、国民の批判に十分こたえ得るような対応をすることが現下の長官の責務、任務である、こう私は考えております。
  220. 小泉親司

    小泉親司君 もう一つ、私は防衛庁の天下りの問題についてお聞きをいたします。  今回の事件は、水増し請求を見逃したり返納額を過小に見積もるということを見返りにして防衛庁が天下りを強要していたという事実がもう一つあります。  報道によりますと、諸冨容疑者や上野容疑者は東洋通信機に天下りの枠を広げさせて実際に参事官などを受け入れさせたということであります。これは相手に優位に立って天下りを強要するという悪質きわまりない、強要罪にも相当する行為だろうというふうに私は思います。  起訴状でも、今回の背任事件を構成する、要するに構成要件の一つとして、「被告人らの保身及び東通の利益を図るとともに、東通から調本の退職者に顧問料等名下の金員の提供を受けさせるなどの目的をもって、」というふうに書いてあります。つまり、今回の背任事件の構成要件の一つに天下りの問題が挙げられているわけで、これは私は一般的な天下りの問題では解消できない重要な問題があるというふうに思います。  この点、総理はどのような認識をお持ちなのか、明確に答弁願います。
  221. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 御指摘のような悪質な天下りの強要が事実といたしますればまことに大変遺憾であり、あってはならないことと考えますが、その事実を含めまして現在、検察当局の捜査が行われているところであり、その推移を見守ってまいりたいと考えております。  また、国会における御意見、ただいまのような御批判を真摯に受けとめ、額賀防衛庁長官を中心として防衛調達の改善に努めるとともに、防衛庁に部内有識者による研究会を設け、契約関係のある企業への再就職のあり方も含めまして、自衛隊員の再就職にかかわる問題を鋭意検討させてまいる予定でございます。
  222. 小泉親司

    小泉親司君 報道によれば、諸冨容疑者の計らいで東通への三人の天下りが決まった、そのうち諸冨容疑者の同期の防衛庁キャリアは非常勤のポストにつきながらほとんど仕事もしない、年間七百万円の顧問料を受け取っていた、こういうことであります。起訴状でも、「金員の提供を受けさせるなどの目的をもって、」というふうに明記をしているわけですね。これは単なる天下りではなくて、資金提供を受ける目的で天下りを強要したというもので、私はわいろにも等しい行為ではないかというふうに思いますが、その点いかがですか。
  223. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 能力を買われて行ったのか定かではありませんけれども、いずれにいたしましても、名前だけ置いておいて給料は汗をかかずにもらうというようなことは許されるものではないというふうに思っております。  したがって、そういうことも含めて、ただいま総理からお話がありましたように、自衛隊員の再就職の問題について研究会をつくって、これからいろいろと将来にわたる制度的な透明的なものを形づくってまいりたいというふうに思っておりますので、先生の御意見等も踏まえながら今後議論をしてまいりたいというふうに思っております。
  224. 小泉親司

    小泉親司君 いや、実際わいろに等しい行為で、資金提供だというふうに私は思うんですが、この点は防衛庁はお調べになっているんですか、こういうことを。
  225. 藤島正之

    政府委員(藤島正之君) 御指摘の、防衛庁を退職した者が再就職先におきましていかなる勤務条件で雇用契約を結んでいるかにつきましては、基本的には企業と個人の問題でございますので、防衛庁としてコメントすることは差し控えさせていただきたいと存じます。
  226. 小泉親司

    小泉親司君 いいですか、報道では、いわゆる防衛庁の場合はたすきがけと言いまして、たすきをかけるんじゃないんですよ、あっちの会社こっちの会社とたすきがけのように企業に天下りしていく。一方の企業の顧問をやりながらもう一方の企業でコンサルタント契約を結ぶ。実際には在職時とほぼ同様の金額をせしめるというふうな行為をやっているわけですよ。その点は明確にこの起訴状にも書いてあるわけですから、この点を防衛庁が調べていないで、それはほかの、いわゆるこれからの退職者の問題というのでは済まないですね。だって、あなた方はこれから改善すると言っておられるわけですから、どういう現状があるかということがなかったら改善できないじゃないですか。その点、明確に調査をするということをお約束いただけますか。
  227. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 新聞でたすきがけとかいろんな話がありましたが、たすきがけというのは昔小さいころ田舎で母さんがこうやっていた姿しかわかっておりませんけれども、実態的にそういうことがあること自体がおかしいのでありまして、小泉先生、これは現象面をその場その場で覆っていってもだめなんであります。やっぱり原点は何なんだということから考えていかないと、必ず五年先、十年先、二十年先に起こることなんです。  したがって、私は、この再就職問題について、原点に返って考え直していく必要がある、しかもこれは二十一世紀の自衛隊員のあり方に直結することである、これは国の安全保障に結びつくことである、そういう問題意識を持って取り組ませていただきたいというふうに思います。
  228. 小泉親司

    小泉親司君 防衛庁長官はそうおっしゃいましたが、それでは防衛庁の職員が他の国家公務員と天下りの問題で違うということ、そういう御認識はお持ちですね。どういう点が違いますか。
  229. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) いや、ですから、自衛隊員の再就職につきましては、もちろんほかの国家公務員のあり方が今議論されております、あるいは退職のあり方も議論されておりますから、そういうことも含めて考えていく必要があると思っております。  自衛隊員の場合は、特徴を挙げるとすれば、それは体力的な問題からどうしても定年が早く起こるということは実態として私も聞いております。だから、よく調査の上、今後体系的にどういうことができるかということを考えさせていただきたいというふうに思います。
  230. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 時間が参りました。
  231. 小泉親司

    小泉親司君 防衛庁の契約というのは、天下りの問題だけについて言いますと、結局、他の国家公務員は人事院という第三者のチェックを受けているんです。防衛庁は受けていないというのが特徴なんです。  防衛庁の契約というのは、八六%が競争のない随意契約であります。ですから、契約企業との癒着が起きやすい。その点では、私は、この天下りの問題では、契約企業への天下りを禁止することを初め、第三者機関でのチェックをきちんとやるべきだというふうに思います。  今回の事件は大変重大な事件ですので、我が党は今回の事件では議運委員会などに特別委員会を設けて徹底的に解明するということを要求しておりますので、ぜひその点でもこれからも徹底的な解明をしていきたいというふうに思います。  質問を終わります。
  232. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 以上で小泉親司君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  233. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 次に、照屋寛徳君の質疑を行います。照屋寛徳君。
  234. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 それでは、最初に小渕総理日米首脳会談の件について何点か質問をいたします。  クリントン大統領と三時間余にわたってさしでお話をされたようでありますが、その際にクリントン大統領との間で沖縄の米軍基地問題について具体的な話し合いはなされましたでしょうか。
  235. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 昼食のときにワーキングランチがございました。橋本総理クリントン大統領とで御承知のように普天間基地の返還の問題が合意をされたわけでございまして、私が内閣を引き継ぎました以降もこの問題に継続して取り組んでおりますが、残念ながら、現時点におきましてはその解決を見ておらない。しかし、全力で努力をしてまいりたいということを申し上げたところでございます。
  236. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 今御答弁ございましたワーキングランチの際には、大統領の方からは海上ヘリ基地については何かお話がありましたでしょうか。
  237. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 内容を逐一申し上げることではございませんが、私の方から実はこの問題については積極的に取り組んでまいりたいということを申し上げ、前総理クリントン大統領のそうした前回の首脳会談における大きな成果といいますか、問題のこの普天間問題についての双方の努力をお互いこれは継続し、かつ解決していかなければならない問題と提起をし、御説明を私の方からいたしたところでございます。
  238. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 日米安全保障協議委員会、いわゆる2プラス2でSACOの最終報告の着実な実施のコミットメントが再確認された、こういうことについて総理はどういうお考えを持っておられるでしょうか。
  239. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) これは2プラス2におきまして、SACOの最終報告についてお互いに関心を持っておりますし、私どもも全力投球でこれを完成させていく努力をしていきたいという話をいたしました。
  240. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 十一月十五日に沖縄で県知事選挙がございます。既に現職、革新の大田知事も立候補を表明いたしましたし、保守で自民党推薦の稲嶺さんも立候補を表明いたしました。お二人とも海上ヘリポート基地に反対をする、こういう公約を発表いたしております。    〔委員長退席、理事野沢太三君着席〕  したがって、どなたが知事に当選をしても海上ヘリ基地は断念せざるを得ない、こういうふうに思いますが、総理はどのように受けとめておられますか。
  241. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) これはもう照屋議員すべて御存じでありますが、普天間飛行場の移設先については、SACOの中間報告以降、嘉手納弾薬庫地区あるいは嘉手納飛行場、キャンプ・シュワブ等々が候補地として挙がったわけでありますけれども、沖縄県議会におきまして、環境問題だとか自然の問題だとかということで、結果的には海上ヘリポートが最も適切ではないかというふうに政府側としては集約をいたしまして地元に提示したわけでございます。  私は、先般沖縄に行ってまいりましたけれども、つぶさに沖縄の基地を拝見させていただきまして、私は、ボールはこれは野中官房長官もおっしゃっているように沖縄側に投げられているということが正しいのかなという感じを持っておりまして、その意味ではやっぱりまずテーブルに着いて、そしていろいろ話し合うことが大事ではないかなという感じがいたしております。  その意味で、その中からこの海上ヘリポートに沖縄県の方々の意見を出していただくという形をつくっていくことが一歩前進することになるのではないかというふうに考えております。
  242. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 今の質問は、私は総理にもぜひお答えをいただきたい。というのは、御両人とも海上ヘリポート基地は反対だと言っているわけですから、どちらが当選してもSACOの最終報告が実施できないんです。どう思いますか。
  243. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 知事選のことに触れることは避けたいと思いますが、現大田知事におかれましても反対の意思を表明されておることは承知しています。政府としては、諸般の状況を勘案して海上ヘリ基地が最も適切であると、こうして今現地の皆さんにお願いをいたしておるところでございますので、政府としては現時点においてその考え方を変える気持ちはございません。
  244. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 防衛庁長官、今のに関連しまして、陸上案がだめになってSACOの協議の中で海上ヘリ基地案が出てきたわけですね。その海上ヘリ基地案について両方の知事候補はだめだと言っているんです。そうすると、2プラス2のSACOの最終報告の実施ができると思いますか、長官。
  245. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) だから、私は先ほど申し上げておりますように、これは何が沖縄県民あるいは全体の安全保障等々から考えて一番適切なのかというと、まず話し合いのテーブルに着くことではないのか。それぞれ私はこうだ私はこうだということで、オール・オア・ナッシングでは現状維持で一歩も前進はしない。だから、政治家としての姿勢としては、まず話し合いのテーブルに着いて、その上でいろいろと意見交換をし、よりベターなものを探っていく姿勢が大事ではないかというふうに思います。
  246. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 長官、実際は困惑しているんじゃないでしょうかね。胸中お察し申し上げますよ。これは協議以前の問題なんだから、県民に公約しているわけですから、それぞれの候補者は当選したらその政策を実行しないといけないでしょう。困惑していませんか。
  247. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 私は知事選のことについて言及するわけにはまいりませんけれども、知事も政治家であるならば、やっぱり沖縄県民の声を背負って、そして自分がどうすれば前進をしていくのか当然考えてくれることを期待したいと思います。
  248. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 知事も当然政治家であり、長官も政治家ですから、やっぱり県民の総意が、民意がどこにあるかということもぜひ私は真剣に受けとめていただきたいと思います。  ところで、2プラス2で表明された嘉手納飛行場におけるPCB投棄問題についてのアメリカ側認識についてお伺いいたします。
  249. 竹内行夫

    政府委員(竹内行夫君) 照屋先生が今申されました一九六〇年代から七〇年代にかけて嘉手納飛行場のある地点にPCBが投棄されていたという報道に端を発しました件でございますが、日本政府としまして直ちに米側に対して事実の照会等を申し入れたところでございます。  二十日、ニューヨークで行われました日米安全保障協議委員会の機会に、アメリカの方から日本政府の懸念を真剣に受けとめているという認識を示した上で、報道されているような嘉手納飛行場におけるPCB汚染地点があるかどうかを調査するため、国防省の専門家チームを現地に派遣する旨明らかにされたところでございます。
  250. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 アメリカ国防省が調査団を派遣することが決定をした。ところが日本政府は、これだけPCBをめぐって地域住民があるいは県民が不安を抱いているのに、政府としての正式な調査団すら派遣をしない。私や白保衆議院議員が基地の立入調査を要求したら、これは拒否されました、アメリカから。そういう実態なんですね。  防衛庁長官アメリカの国防省のPCB調査団が嘉手納基地にやってこられたときに、沖縄県やあるいは環境関係の学者、これに立ち会いをしてもらう、そして調査結果はやっぱり県民に公表してもらう。この点を私はアメリカに要求すべきだと思いますが、きょうは外務大臣いらっしゃいませんので、長官、どうでしょうか。
  251. 竹内行夫

    政府委員(竹内行夫君) 米国防省側の説明によりますと、この専門家調査団、熟練の専門家と先方は言っておりますが、現地におきまして調査を行いますが、その一環としまして、嘉手納飛行場内及びその周辺に在住する沖縄の住民の方々及び米国人に対する潜在的な健康への危険についても調査すると。さらに、調査の過程で適当な場合に、大気、地表水、飲料水及び地表の土壌のサンプル調査も行うということを明らかにいたしております。  調査結果の公表についてでございますが、この専門家チームによる調査結果につきましては、沖縄の地元の方々の不安感を解消するという上でも有意義であると考えますので、今後米側と協議いたしまして適切に対処してまいりたいと思います。    〔理事野沢太三君退席、委員長着席〕  他方、本件調査に対する立ち会いに関しましては、この専門家チームが周辺住民の不安にこたえるべく、科学的な観点から調査を誠実に実施するものと承知いたしておりまして、この調査の結果が報告されるまでの間は、むしろ米側の責任においてその専門家により実施される本件調査の進捗を見守るということといたしたいというふうに考えております。
  252. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 それでは次に、TMD、戦域ミサイル防衛構想について防衛庁長官にお伺いをいたします。  このTMDは、本格的な配備をすると少なくとも四兆円の経費がかかるという試算もありますし、また技術的にも非常に疑問が多いと言われております。  そこで、いろんな報道があるわけですが、防衛庁長官、2プラス2におけるTMD構想についての協議合意内容を明確にお教え願いたいと思います。
  253. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) BMDにつきましては、先ほど来申し上げておりますように、日米間ではこの数年間総合調査を展開してまいりまして、我が国におきましても弾道ミサイル防衛についてどう考えていくかということは大きな国策上の問題でありますので、今回の2プラス2の会合におきましては、さらに総合調査から共同技術研究にステップアップして、そこの方向で、実施する方向協議をしていこうということを日本側で考え方を示させていただいたわけでございます。  具体的には、海上装備に伴う、言ってみればセンサーだとかあるいはロケットだとか、そういう四つの分野について、その調査対象というか技術研究の対象項目としてはいかがかというふうに問題提起をいたさせていただいた。そして今後、私どもは、政府部内でいろいろと協議を展開させていただきたいというふうに思っているところでございます。
  254. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 私は、このTMD構想というのは、憲法が禁じている集団的自衛権に抵触するおそれが極めて強い、同時にまた従来の日米安保体制の質的変化をもたらすことは間違いないだろうというふうに思いますし、東アジアの軍備拡張を招くおそれも強い、こういうふうに思っております。  さて、今長官の御答弁がありましたけれども、2プラス2の概要説明は、外務省、防衛庁のペーパーによりますと、「閣僚は、共同技術研究実施する方向で作業を進めていく。」と、こういうふうになっておりますが、この表現というのは、もうTMDについて日米共同技術研究実施する、そういうことを合意したと、こういうふうにお考えになっておるんでしょうか。
  255. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 共同技術研究に着手するということを決めたわけではないけれども実施する方向で政府内の作業を進めていきたいということでございます。
  256. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 九月二十一日、すなわち2プラス2の翌日でございますが、防衛庁長官とコーエン国防長官との間で日米防衛首脳会議が行われたと思います。その日米防衛首脳会議において、日米間のTMD共同技術研究の役割分担というか研究分野の分担というか、そういう取り決めはなされたんでしょうか。また、そのことと含めて日米防衛首脳会談の内容についてお聞かせ願いたいと思います。
  257. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 日米防衛首脳会談におきましては、私の方から、今後日米共同研究を実施する方向で作業を進めていく際に、日本側としては海上配備型上層システムを対象として我が国が技術協力を行うことが可能であることを調整していきたいという話をいたしました。  具体的に言いますと、言ってみればミサイルが飛んできたものを迎え撃つミサイルのノーズコーン、弾頭とかあるいはミサイルを追っかける目、赤外線シーカーというものとか、そういう専門分野の四つの分野について日米共同技術研究の候補にできないかという話をしたわけでございます。  そういうことも含めて、今後我が国国内の作業あるいは日米間の調整を進めていきたいということであります。
  258. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 それでは、次に防衛庁の調達実施本部、いわゆる調本の背任事件やあるいは証拠隠滅事件の容疑について何点か質問いたします。  私は、今度の調本の背任事件、これはまさに国家組織による国家に対する背任行為であり、同時に納税者たる国民への重大な背信行為であるというふうに思います。さらに、まだ捜査中とはいえ、防衛庁による組織的、計画的、そして悪質な証拠隠滅行為が行われたのではないか、こういう疑いが強くなってまいりました。  そういたしますと、TMDもそうでございますし沖縄の米軍基地もそうでございますが、今の防衛庁に我が国の防衛は任せられないのではないか、こういうふうに言わざるを得ません。今や防衛庁ではなくして自己防衛庁になってしまったんではないかなという感を受けるわけであります。  さて、長官、先ほどからいろいろ質問ございますが、東洋通信機に対し国の損害分二十一億七千万円の返納を求めますか。
  259. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) お答えをいたします。  既に申し上げましたように、当時の調本の幹部の皆さん方は当時の返還額の積算根拠は適切でなかったという意見を述べておるし、東京地検の捜査によってもその根拠が覆されておりまして、私どももそういうことを考えて、ほかの関係法案との絡みを考えながら、東洋通信機から相当の国の損害額を早期に返してもらうことが適切であるというふうに思っております。
  260. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 施設庁長官、おいでですか。  施設庁長官は、逮捕されておりますNEC支配人長澤弘容疑者から、一九九六年度に過大請求をチェックするため調本が予定していた特別調査の対象からNECを外すよう頼まれた、要するに長澤容疑者があなたに頼んだ、こう言っておりますが、それは事実でしょうか。
  261. 萩次郎

    政府委員(萩次郎君) そのような事実は記憶がございません。
  262. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 あなたが調本の本部長をしているときに長澤容疑者とお会いになったことはありますでしょうか。
  263. 萩次郎

    政府委員(萩次郎君) ございます。
  264. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 あなたと長澤さんは大学の同じ学部の同窓なんでしょう。
  265. 萩次郎

    政府委員(萩次郎君) そのとおりでございます。
  266. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 あなたは長澤さんと何か特別に仲が悪いとか、長澤さんに恨まれているようなことがあるんでしょうか。
  267. 萩次郎

    政府委員(萩次郎君) 大学が同窓という、ごく普通の友人でございます。
  268. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 ごく普通の友人としての交際はありましたか。
  269. 萩次郎

    政府委員(萩次郎君) 毎年一回程度のクラス会では会っております。
  270. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 クラス会以外には会っておりませんか。
  271. 萩次郎

    政府委員(萩次郎君) 会うこともあります。
  272. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 特に仲も悪くない、しかもクラス会で会うような関係にある、そういう状況の中で、長澤さんがいたずらにあなたを陥れるためにあなたに不利になるようなこんな重大なことを告白するはずがないと思いますがね。本当に頼まれたことないんですか。
  273. 萩次郎

    政府委員(萩次郎君) そのような記憶はございません。
  274. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 よくこういうケースでは突然記憶を失ったりしますからね。いずれまた機会を見てやりましょう。  防衛庁長官、一点だけ。  石附弘調本副本部長が、八月三十一日の夜、みずから調本総務課幹部に関係書類を庁外へ持ち出すように、しかも公用車を使って持ち出したと、こういう事実は確認できておるでしょうか。しかも、巧妙に、防衛庁を出て青山墓地付近で別の車に移しかえて横浜まで運んだと、こういうふうに言われておりますが、いかがでしょうか。
  275. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 御指摘の点につきましては、四社事案関連文書の管理実態に関する調査委員会に対しまして、我々の内部の調査委員会に対しまして、九月三日の調達実施本部の家宅捜索の前に執務室内の資料を自宅以外の場所にも移動して保管していた旨、申し出があったことは承知をいたしております。今おっしゃるような詳細のことまでまだ聞いておりません。
  276. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 以上で照屋寛徳君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  277. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 次に、月原茂皓君の質疑を行います。月原茂皓君。
  278. 月原茂皓

    ○月原茂皓君 自由党の月原です。  質問の最初の予定にはなかったんですが、もうこういうことは常識的な話なのでお伺いしたいと思います。  今度、アメリカ総理または防衛庁長官が行かれたときに偵察衛星の話というのは出なかったでしょうか。と申しますのは、TMDの議論も一つですが、それ以上に情報の欠陥として昔から言われておったわけですが、偵察衛星の話がある。そして、米国自身はこの偵察という情報能力については、それを自分のところで独占する。これはナイの論文にも出ておるわけでありますが、そういう考えが進んでおる。  そういうことから考えて、こちらの方から言い出さなければ向こうは言わないのかもしれませんけれども総理大臣でなくても、防衛庁長官でなくても、その随行者でも結構ですが、偵察衛星の話を米側はどういうふうに考えておるのかということが何かあったらお知らせ願いたいと思います。
  279. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 私とクリントン大統領との間におきましては、委員今御指摘の偵察衛星につきましてはお話ありませんでした。
  280. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) コーエン長官との間で偵察衛星の話はしませんでした。
  281. 月原茂皓

    ○月原茂皓君 新聞によれば、自民党のプロジェクトチームが行って話をする、それから防衛庁の防衛局長が長官より前に渡米して、そのときの食事をしているときに、ワーキングランチのときにそういう話があったというようなことがマスコミでは報ぜられておるので、その点お伺いしたわけであります。
  282. 佐藤謙

    政府委員佐藤謙君) 現地時間で九月の十二日でございますけれども局長クラスの会合、SSCと申してございますが、外務省の北米局長、それと私等々の会合の中で、偵察衛星につきまして米側より、この問題は日本自身が決めるべきものであり、もし日本が保持を決めれば米としてこれに協力する用意があり、引き続き情報を提供する、こういうふうな発言がございました。
  283. 月原茂皓

    ○月原茂皓君 これは米国として、もっと具体的な内容について詰めているわけではないにしても、そういうふうな姿勢を示したということは今までになかったことではないかと思っております。  そこで今、偵察衛星というものについての誤解が非常に多いのは、ミサイル発射したときに何で見つからなかったんだと、それが一つの衛星の議論であること、早期警戒衛星のことであることは間違いありませんけれども、それはTMDの全体構想に絡んでくるわけでありまして、今すぐその問題を議論する必要はないと私は思っております。  そこで、情報というものについての重要性からいって、偵察衛星というか、今多目的な機能を持つ衛星を考えておるとか、いろいろ言われておりますが、この衛星について、偵察衛星である場合の焦点は何かといえば、分解性能というか分解能というか、要するに先端のものであれば十五センチ角のものがわかる。ところが、商業衛星なんかだったら十メートル、二十メートルの幅だと、分解能だというようなこともありますし、それから七百キロメートルとか千五百キロメートルとかの高いところを回っているけれども、必要に応じては百五十キロメーターぐらいまで軌道修正しながらおりてくる、そしてそこで写真を撮って送ってくる、こういうふうなことが軍事的な意味における偵察衛星の私は特色だと思う。  科学技術庁長官にお尋ねしたいんですが、今国内で新しい種類の衛星の研究開発が行われておる、そして今北朝鮮ミサイルの問題について日本の方もそういう衛星を持つべきだ、それについて科学技術庁の担当の方々は自分のところでできる、そしてまたそういう多目的のものをつくったらどうだという空気があるわけであります。  今、私が申し上げたような分解能、それからまた軌道修正の能力、もちろん解析能力というのは別のトレーニングの議論ですが、そういうことについて科学技術庁が今考えておられる衛星で今言った分解能及び軌道修正、これは主なものだけ申し上げておるんですが、そういうことを偵察するための衛星としての機能を持たすだけの能力を開発する自信があるのかどうか、その点をお尋ねしたいと思います。
  284. 竹山裕

    国務大臣(竹山裕君) 月原委員、大変その部分お勉強のことでございまして、人工衛星の分解能あるいは軌道変換技術の現下我が国科学技術庁での技術展望いかがということでございます。  現在、我が国の宇宙開発事業団が着手しております開発中の陸域観測技術衛星、ローマ字の頭文字をとりまして通称ALOSと言っておりますが、このALOSには三種類のセンサーを搭載する予定でございます。そのうちの最も高い分解能をもってしてセンサーの性能は二・五メートルを目指して現在開発中、むしろもうつくっておりまして、このALOSそのものは平成十四年の後半に打ち上げを予定しているところでございます。  また、軌道変換に関する技術については、人工衛星を静止軌道へ投入する技術のほかに、現在、技術試験衛星Ⅶ型、これは過般の七夕に第一次、また旧暦の七夕に第二次のランデブードッキング技術に成功しました。ニックネームは「おりひめ」、「ひこぼし」と言っておりますが、これらの実験に既に取りかかっているところでございます。  また、お話しのとおり、今後の衛星のセンサー、軌道変換技術について、その具体的な必要の度合いあるいは開発目的を踏まえて検討していくこととなろうかと思っておりまして、その高い分解能の性能をもって月原委員おっしゃるように、ピンポイントといいますか、地域に限定した、あるいは高度を下げていくようなことについては、現在のニーズの点では研究に入っておらないというところが現状でございます。
  285. 月原茂皓

    ○月原茂皓君 衛星の問題は、まとめますと、私は科学技術庁が進められておるその方向で、しかし偵察的な色彩を持つ衛星となれば、これは分解能の問題、軌道修正の問題、そういうものが非常に大きなウエートを占めてくるわけですから、私が思うのは、同時並行的に取り組むならば研究開発を進めていく、そうしなければ非常におくれてくるんではないか。  先ほど少し申し上げましたが、情報というものは大切なものでありまして、今防衛庁が商業衛星から情報をもらっておるというふうに言われておりますけれども、肝心なところになると、そのピンポイントまで衛星が行ってくれるかどうか、それからシャッターコントロールといって、例えば例を挙げると悪いですが、中東の米軍の展開のところになると、完全にそれは送られてこない。そういうことがされるわけでありまして、そういう意味では、我が国防衛のためにそれを持つとするならば、そのカバレッジの議論もあるとともに、そういう他にゆだねておればいろいろ問題点が出てくる、我々の目的を達することができない。  そういう意味で、私は、研究開発をすべきであるし、また今言ったようなことについても早目に手を打つべきである。それはどこの役所であるかということは、防衛庁であるとかそんな意味ではなくて、総理大臣の指導のもとにそういうことをしていただきたいと思いますが、総理大臣の御見解はいかがでしょうか。
  286. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 専守防衛を旨とする我が国の防衛にとって、各種情報機能の充実が極めて重要であるということは言うまでもないことであります。特に今回、北朝鮮ミサイル発射でこの点を改めて認識を新たにしたところでございます。  画像衛星につきましては、有力な情報収集手段の一つとして従来より関心を有しているところでありまして、今回の事態を踏まえ、画像衛星を含め幅広く我が国安全保障上必要な情報収集に関する方策につきまして実は私から事務当局に今検討を指示しておるところでございます。先ほど科学技術庁長官からも御答弁されました科学技術庁で開発中の衛星等も含めまして、いろいろの機能をどのように持っていったらいいかということも含めまして、現在指示して検討をさせ始めたところでございます。
  287. 月原茂皓

    ○月原茂皓君 繰り返して申し上げますけれども、TMDの問題は相当長期間の問題であるし、そしてそれよりももっと早く必要なものは私は情報だと思っております。そういう意味で、総理大臣の今御答弁のように、それをさらに強力に指導力を持って進めていただきたい、このようにお願いしておきます。  さて次に、表現が非常に難しいんですが、金融関係の問題で、よく世間の人が関心を持つのは、非常に大きな金融システムとかそんなことではなくて、それも大事なことですが、それは自分ではつかみどころのない想像を絶するような世界だと。そうするとどうなんだといったら、一番関心があるのは、どこかの銀行ならAという銀行でもいいんですが、それが債権を放棄したら、その銀行から借りておる、ノンバンクならノンバンクの債権はどうなるんだ。  というのは、そのほかの金融機関もそのノンバンクに貸しておる場合、融資しておる場合に、その金融機関にはどういう影響が与えられるのか。それから、そのノンバンクから借りておる連中は得するのか損するのか。こういうところが、ノンバンクに融資している人たちが債権放棄の結果、その人たちにどういう影響があるんだと。そして、ノンバンクの子会社の人たち、また借りている人たちがどういう結果になるのか。  私はこういうことが、宮澤大蔵大臣が昔住専の問題なんかで、後でこれは農協を助けたんだというようなことをはっきり、選挙が終わって大分たってからですが、そのころはわからなかったんですが、とにかくそういうふうなことを言われたわけであります。農協がどうという意味ではないんですよ。  みんなそういうふうに、この債権放棄の結果、借りておる人たち、モラルハザードの問題になると思いますけれども、融資している人それから借りている人はどういうふうに子会社の系統で変わっていくのかということが非常に私は大きな関心を持たれておると思うんです。その点、抽象的な表現でも結構なんですけれども、どういうふうな影響を与えるのかということをお尋ねしたいと思うんです。
  288. 日野正晴

    政府委員(日野正晴君) お答えいたします。  金融機関が債権を放棄する場合の債務者との関係には、月原委員が今仰せになりましたようにさまざまなケースがあり得ると思います。  債権放棄が債務者等にどのような効果を与えるかをそういうことで一般的にお答えすることは大変難しいんですが、これはあえて申し上げさせていただきますと、金融機関の経営者はその株主との関係におきましては合理的な経営判断をする必要がございます。もしこれに反した場合には株主等からその責任を追及されることになりますので、金融機関が子会社等に対する債権の放棄をするに当たりましては、その当該金融機関にとって合理的なものと判断できる理由がある場合でなければならないのではないかというふうに考えておるところでございます。
  289. 月原茂皓

    ○月原茂皓君 最後に、防衛庁の調達問題についてお尋ねいたします。  公務員の倫理からいって、そして国民からの信頼からいって大変なことが起こっておる。長官、大臣も大変苦労されておることと思います。  私は、一つの基本的な問題点としては、後で御意見をお聞きしたいんですが、物の値段を決める積算の基礎というものがほとんど昔と変わっていない。裁量の非常に大きなものを含めたままの訓令というか基準がそのままになっておるということが私は大きいんじゃないかと思う。  そして、特に日本人の性格、このごろは直されたのか知りませんけれども、頭で考えたものについては余り金目がない。物すごい秀才が紙一枚書いたら、これで世の中が変わるようなことを書いておってもこれは紙一枚だと。ところが、朝から晩まで汗を流して動きよったら金になってくる。三日やったら三日分になる。これが工数というやつだと。今度のいろいろな問題、そうすると企業努力をした場合あるいは研究開発をした場合、そういうのが工数に直接反映できないものだから、ややもするとそこへ逃げ込んでリーズナブルな値段をつくっていくということがずっと積もってきておったんじゃないかと私は思うんですよ。  ですから、私は今度のことについて、公務員倫理に反することだし、ちゃんと反省はせんといかぬという前提に立って、大臣自身が、今、中に調査機構をつくられてやろうと思われておる、その核になるもの、その最も大事な要素はそこでなかろうかと私は思っているんですが、大臣の見解をお伺いしたいと思います。
  290. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 月原先生はよく御存じでありますが、この原価計算の根拠、これをちょっと調べてみますと、算定基準に対する考え方は昭和三十七年五月に制定されて、その後七回の改正を経て、最後は昭和四十九年の国会等で論戦を受けて、それも含めて七回の改正を経て今日に至っているというふうに聞いております。  今度、その原価調達の仕組みを根本から考えていくに当たりまして、もちろんそういう積算根拠、積み上げ方式も当然でありますし、それから供給ソースを拡大していくということ、それから企業がコストダウンをしたときに企業のメリットがどういうふうになるのかということが明確でない、だからコストダウン方式がどうも余り重要視されていなかったんではないか、そうすると当然親方日の丸的なことになっていく可能性がある。そういうことも含めてさまざまな角度から研究をして、基本的には防衛産業は安定的に存続をしていかなければならないという前提の上に立って、なおかつ効率よく、しかも透明性を持った形をつくっていきたいというふうに思っております。
  291. 月原茂皓

    ○月原茂皓君 大臣の熱心な取り組み、そして二十一世紀に向かってちゃんとした形にしていただくことをお願いして、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  292. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 以上で月原茂皓君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  293. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 次に、石井一二君の質疑を行います。石井一二君。
  294. 石井一二

    石井一二君 二院クラブ・自由連合の石井一二でございます。  持ち時間が十分と少のうございまして、そう深く立ち入って質問する時間がないかもわかりませんが、ひとつよろしくお願いを申し上げます。  先般来、我々は北朝鮮との問題でいろいろと論議をしてまいりました。そういった中で、総理のお考えをまずお聞きしたいんですが、北朝鮮の打ち上げたものは攻撃用のミサイル発射実験であったのか、人工衛星の打ち上げのものであったのか、政府として今どちらの見解に立っておられるんでしょうか。
  295. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 御指摘の点につきましては、入手した情報から判断し、今般の北朝鮮ミサイル発射により実際に人工衛星が打ち上げられた可能性は低いと考えてきたところでございます。  他方、北朝鮮人工衛星の打ち上げを意図したか否かにつきましては、米国の情報も含め、さらに詳細な分析を行う必要があると考えておりまして、結論から申し上げますと、現段階におきましてはいわゆるミサイル発射、こういうことでございますが、その後にいろいろな情報が今錯綜しておるということは事実でございます。
  296. 石井一二

    石井一二君 総理なり防衛庁長官ミサイル発射ミサイル発射ということをよく言われますが、私は人工衛星の打ち上げというように言葉を置きかえて御発言されるべきではないか、そのように考えております。  例えば、あなたの国連における演説を見ておりますと、北朝鮮による先般のミサイル発射は、その後にあたかも良心の呵責にとらわれたごとく、仮に衛星の打ち上げを目的としたものであったとしてもというように、衛星の打ち上げという言葉をやはり述べておられる。現に韓国の新聞は写真まで載せて、北朝鮮の打ち上げたものはあれは人工衛星であったと。また、その後アメリカもこれを追認しております。中国もしかりであり、ロシアもそうであります。  そういった中で、十日か二週間前の古いときのタイミングならともかく、今、日本という一国の総理がいつまでもミサイル発射発射と言われる根拠というものが私は実に乏しいように思えてならないわけであります。  例えば、弾頭の残骸が見つかったんですか。いかがですか、総理
  297. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 残骸は見つかっておりません。
  298. 石井一二

    石井一二君 見つかっていないという場合には二通りのケースがあると思います。実際見つからない場合と、もとからなかった、こういうことも考えられるわけでございます。  私は、特にこの事件が起きて以来、急速に話が進んでおるのが例のTMD構想、何が何でもあれはミサイルだったと、その結果、危機があると、したがってこれはやらねばならない、そういう方向へ話を持っていこう持っていこうとする嫌いがあるのではないか。本来なら十億円の研究開発費も計上できないなというムードにあったわけでありますけれども、今はそれどころか、さらに進んで共同技術の開発をやるということ、しかも額賀長官が先ほど言われたように、四つの分野まで想定して話をどんどん進めていっておられる。国内で、そういったものは国会としてもオーソライズしていない、またそういうことも現に認めておられるわけでございます。  こういった中で、総理、なぜこのように早急にあれはミサイルだと、TMDは大事なんだと、危機があるとおっしゃるのか。日本人工衛星を八十基以上打ち上げております。北朝鮮はたった一基。ほかの国は少なくとも人工衛星だと認めておる。こういった中で、一体何が危機で、TMDをなぜここまで急がねばならないのか、総理の現在の御見解をもう一度お聞かせいただきたいと思います。
  299. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) ミサイルということですが、これが軍事的なミサイルであるかどうかということにつきましては、これは確定し得ない問題だろうと思うんです。ただ、あれだけのロケットを、運搬手段としてそれだけの能力があるということは、これは分析の結果明らかになっておるわけでございまして、その点はその点としていろいろの考え方が発せられておりますし、打ち上げた北朝鮮自身がそのようなことを申し上げていることは承知をいたしておりますが、我々としては、現在においてはその分析の中でそれを確かめる手段がないということだろうと思います。  そこで、であるがゆえにTMD計画に取り組んでおられるということでございますが、これはまたやはりTMDあるいはBMDというもので、他国からのそうした仮にも軍事的なミサイルというものについて、これに対して防衛的な手段として常に以前からの検討をいたしておることであります。たまたま北朝鮮ミサイル発射ということに関連いたしまして、マスコミあるいは国民の皆さんがこうしたものについて再認識をされたということによって広くこれが取り上げられておりますが、日本としては、従来から、他国のそうしたミサイル攻撃というものも含めまして、いかに対応するかということを常々考えていくことは、これは防衛としては当然あってしかるべきものだと思っております。
  300. 石井一二

    石井一二君 総理の答弁を聞いております間にはや残り時間が四分と、こうなっておりますので、もう少しこの問題を聞きたかったわけでありますが、先を急ぎたいと思います。  先ほど、我々同僚議員の質問の中で、防衛庁の背任問題に関連して、額賀長官をなぜ罷免しないのかというような質問が出ました。その中で、総理は、当面はこの問題についてちゃんとけりをつけるために頑張ってもらいたいんだというような答弁をされたわけですが、一段落したら罷免すると、そうとっていいんですね。いかがでしょうか。
  301. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 当面と言ったかどうか、ちょっと記憶に定かでありませんが、いずれにしても、防衛庁長官の今なすべきことは、この不祥事に対しまして適切な対応をして、二度と再びこのようなことが起こることのないようにすべての観点から対処する、このことがその最大の任務であると思っております。
  302. 石井一二

    石井一二君 私は、九月十日の読売新聞のコピーを持っておりますが、額賀長官がこの問題で陳謝をしたというように報じられております。  額賀長官にお伺いいたしますけれども、そのちょっと前に秋山事務次官が更迭されておる。あなたが防衛庁のナンバーワンであり最高責任者である。みずから進んで、喜んで、潔く、私がやめるということをなぜ言わないのか、その理由をひとつ聞かせていただきたい。武士道に反する行為である、私はむしろそう申し上げたいと思います。いかがですか。
  303. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 責任の問題とかやらなければならないこと、あるいは責務とか、さまざまな考え方があろうかと思っておりますけれども、私は問題が起こったら真正面から取り組んで、何をなすべきかを考えることが第一であるというふうに思います。  したがって、今防衛庁でさまざまな事件が起こり、そして起訴までされるに至った、しかもなおかつ強制捜査を二回も受けた、さまざまな新聞報道による疑惑もある。そういう中で私は、まずこの事実をどういうふうにみずからの力で、防衛庁内部で調査をすることによって明らかにしていくことが大事である、また捜査に協力していくことが大事である。しかも、なおかつこういうことが再び起こることがないようにきちっとしておくことも責任の果たし方であると、そういうふうに思っております。
  304. 石井一二

    石井一二君 私は全然答弁になっていないと思います。だがしかし、あなたの反省を促し、未来の決断に期待をいたし、運輸大臣に御質問をいたしたいと思います。  運輸大臣、不況対策の中で今いろいろ金融の正常化とか減税とかいろんな施策が打たれておりますが、規制緩和重要性ということも論じられております。現に、政府はこれまでもいろいろ規制緩和をやってまいりました。最近我々珍しいなと思った出来事の一つに、運輸省がスカイマークという新しいエア会社を認可した。  だがしかし、マスコミとか世論のこの会社に対する論評とか意見を聞いておりますと、ここにも「テーミス」という雑誌の論評を持っておりますが、「参入も三年間は赤字 ばかげた「空の自由化」」、現在のJAS、ANA、JAL、この三社には運輸省の高級官僚が偉い偉いお方として、重役としてあるいは副社長等として天下り、官業が一体となって参入者が入ってこないようにみずから権益を守っておる。  こういった中で、ほっておいてもつぶれるというような状態の中で認可するということは私は正しくない。二〇〇〇年には新たな配分もございますし、この十二月には二号機が入った場合にさらにお願いしておることもあると思いますが、運輸行政の規制緩和ということと、この新しい会社の前途ということに対して、あなたはどのような見方をしておられるのか、決意を込めてひとつ御答弁を願いたいと思います。
  305. 川崎二郎

    国務大臣(川崎二郎君) 御指摘のように、スカイマークエアラインズ、九月十九日から営業をいたしております。十月の末にはもう一機購入をしたい、今のところ早朝と夜遅く、要は今三便でありますけれども、四便飛ばしたいと、こういう計画を持たれております。  石井先生もよく御存じであります。私も実は電気通信の市場開放をずっとやってきた一人でございます。その過程の中で、例えば携帯電話とPHSの話がありますように、あらゆるチャンスというものをやっぱりオープンにしながらやっていく、その中で、正直言って成功するものもあれば敗れるものもあると、これは規制緩和の基本理念だろうと思っております。  そういった意味では、このスカイマークエアラインズが、やはり可能性の中で精いっぱい努力をしていったと。しかしながら、電気通信市場のときもございました、先輩の方々が排他的な立場をとられるというときにはしっかり物を言わなきゃならぬなと、こういうふうに思っております。  そういった意味では、まず会社の御奮闘を願いたいと同時に、私どもは安全の問題だけは譲れない、この辺は御理解を賜りたいと思います。
  306. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 時間が参りました。
  307. 石井一二

    石井一二君 はい、どうも失礼しました。
  308. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 以上で石井一二君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  309. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 次に、奥村展三君の質疑を行います。奥村展三君。
  310. 奥村展三

    ○奥村展三君 さきがけの奥村でございます。  まず、いろんな議論をされてきたわけでありますが、景気対策等についてお伺いをいたしたいと思います。  ことしの四月に決定されました事業規模十六兆円の景気対策、この効果でございますが、秋以降本格的に出てくると言われているわけであったと思いますが、政府として現在どのような見解をお持ちなのか、お伺いをいたしたいと思います。
  311. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 小渕内閣が発足いたしますと、比較的早い機会に来年行われるべき所得税、法人税の減税についての基本を決定いたしました。それから、来年度予算編成についてのいわゆるシーリングの扱い方についても、このたびは特別の枠を設ける等の工夫をいたしまして、そして新しい型の公共事業も取り入れながら来年度の予算を編成する。ただし、その前にどうしても今年度の補正が必要になりますので、来年度の予算編成構想においては十五カ月の予算編成を行ってかなりのものは前倒しをしよう、そういう発想でやっておるわけでございますが、おっしゃいますように、そのうちに十六兆円のかつての補正がかなり現実に事業となってあらわれるであろうというふうに期待をいたしております。  ただ、どうも見ておりますと、契約はしておりましてもなかなか支払いのところに行っていない嫌いがありまして、それはもしかすると、中央はちゃんとお金を出しておりますけれども地方にそのマッチする負担があるいはできていないんじゃないか、地方もいろいろ財政が不如意でございますから。それで、ここは、今までは地方が出さなければ中央も出さないと、マッチングでやっているわけですけれども、ある程度は中央が少し先へ進んでもいいじゃないか、地方が多少おくれても余り厳しく言わない方がいいのじゃないかというようなことを今考えておりまして、間もなくそういうことを決定いたしまして、地方もおくれてもいいからできるだけひとつ話に乗ってもらいたい、そういうふうにする必要があるかなと思っております。  御承知のように、世界経済全体が、従来御存じのことに加えましてロシアがあり、今度はラテンアメリカが出てまいりますから、いよいよ我が国が担わなければならない荷物は重くなるわけで、それがこの間総理が訪米されてクリントンさんと話されたことだと思いますが、そういうことでございますから、何とか工夫をしながらそういう施策を少し前倒しにして進めてまいりたいというふうに考えております。
  312. 奥村展三

    ○奥村展三君 確かに、中央と地方との連携がうまくいっていないのは事実であります。公共事業等、相当な前倒しをやったということは聞いておるんですが、実体景況、我々地元へ帰って肌で感じますと、とてもじゃないが好転していない、まだまだ冷え切っておるというような状況であります。やはり、地方の財政も非常に厳しい中でありますから、そこの連携を十分にとりながら一日も早く景気回復により以上努力をお願いいたしたいと思います。  なお、総理は先日の日米首脳会議の中でも、今後総事業費十兆円の大型減税をやりたいというようなことも、第二次補正もやってみたいというようなことも申されたやに仄聞をいたしておるわけでありますが、具体的にどのようにお考えになっておるのか。  また、私は考えるんですが、従来型の公共事業、きょうまでずっと続いてきたあのようなことよりもやはり民間投資に呼び水を求めるような新たな仕組みといいますか、そういう新社会資本の整備に重点を置くべきではないかなというように思うんですが、いかがでしょうか。
  313. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 補正予算に関連いたしまして、財政支出につきましては大蔵大臣から今お話がございました。  そういった意味で、いろいろな手法を通じまして景気回復に努めておるわけでございますが、昔から金融、税制、そして財政出動というのが一般的にその手法としてとられているわけでございますが、金融は言うまでもありませんが、今さらながらに金利を引き下げて、そして企業の活動を待つというような状況でありませんで、したがって税制と財政の出動におきましてこれを回復したいということでございます。  そこで、具体的にこれから何をなすべきかということでございますが、現在、経済戦略会議というのを設けましたことは既に御承知かと思いますが、実はきょうこれからも六時から会合を開くことに相なっておりますが、できる限りいろいろの手法を講じたい。  特に、先般、私として空間二倍増計画というものを打ち出しまして、これの御論議をきょうしていただくことになっておりますが、土地、住宅、こういったものについてさらなる政策が打ち出せないか、特にまた住宅につきましては、ローンの問題等につきましても都市関係の議員の皆さんからも強い要請も来ておりますので、そうしたものをもろもろこれから検討して、できる手段はすべてやっていくことといたしていきたい、このように考えております。
  314. 奥村展三

    ○奥村展三君 今御答弁をいただきましたが、確かに住宅政策、そのとおりでありますが、私ども、先生方もそうだと思うんですが、よく地元へ帰りますと、非常にもう冷え切ってひどい状況だと。何が長銀だと。長銀のことも大事だけれども、一体我々の毎日毎日の生活、中小企業はどうしてくれるんだという実態の声が皆さんにも聞こえておられると思います。その戦略会議等もおやりだと思いますが、ぜひ民間の皆さん方の御意見を十分聞いていただいて、本当に実態に即した経済対策を早急に、より以上に打っていただくことを要望しておきたいと思います。  次に、防衛庁長官にお伺いをいたしたいと思います。  先ほど来いろいろ議論の中にありますが、今回の施設庁のいろんな問題等もあったわけでありますが、やっぱり人事そのものに、長い間そこにずっと居座っておるというような、天下りの問題も先ほどありましたけれども、そういう人事そのもの、組織そのものもひとつ十二分に考えるべきだというように思うんですが、いかがでしょうか。
  315. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) これは、どんなに組織を立派につくっても、そこで働く人がきちっとしていなければ組織が光らないわけでございまして、もちろん人がきちっとしていなければなりません。規律を保ち、しかもなおかつそこを風通しよくして回転をよくするとか、そういうことを考えながら、こういうことが起こることがないようにしないといけないと思っております。
  316. 奥村展三

    ○奥村展三君 これはあらゆる政府の機関等もそうだと思うんですが、民間の適材適所、そしてまた臨機応変に的確に人事をやるというようなシステムを、やはり改革をしてやっていくということが私は大事ではないかなというように思います。  もう一点でありますが、先ほども北朝鮮のいろんなお話がございましたが、今回のこの第一報も米軍から来て、ミサイルだ、衛星だと。先ほど石井先生もお話がありましたが、一体日本で危機管理がどこまでできているんだろうと、本当に残念な思いをした一人であります。  私が仄聞をいたしております来年度の防衛庁予算の中に、画像情報支援システム、約四十三億ぐらいだと思うんですが、要求をされているようであります。これはどういうものか、お伺いをいたしたいと思います。
  317. 佐藤謙

    政府委員佐藤謙君) 防衛庁におきましては、従来から広く一般に提供されております民間の衛星の画像データを利用いたしまして、画像解析業務を実施しているところでございます。これをより効率的に、より精密に分析できるようなシステムをつくろうということで、九年度から着手している事業でございます。  要は、画像処理・解析を行うための解析部と、それからこの衛星から直接データを受信する地上局、こういうものから構成されているものでございまして、一応九年度から十年度、十一年度とかけまして、これでほぼこの運用ができるような体制になってくるのではないか、こんなふうに思っております。
  318. 奥村展三

    ○奥村展三君 ぜひそのシステムがしっかりと国民が安心して効率よくできることを希望して、質問を終わります。  ありがとうございました。
  319. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 以上で奥村展三君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  320. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 次に、山崎力君の質疑を行います。山崎力君。
  321. 山崎力

    山崎力君 改革クラブの山崎でございます。  最後になりますが、あと十分ほどお疲れのところをおつき合い願いたいと思います。  今回のアメリカにおいてのいろいろなクリントン米大統領との会議の中で、金融問題に関して一点気がついたことがありました。私の観点からすれば、きょうもその問題いろいろ言われておりますけれども、非常に国民にとってわかりづらい、特に私のように金融問題に不得手な人間にとってはわかりづらい表現でございました。  それは何かといえば、先ほど来問題になっている、存続可能な金融機関を適切な条件のもと十分な額の公的資金によって支援することが重要であると、何を言っているんだかわからないというのが私であります。例えて言えば、十分な額の公的支援を受けて存続不可能な金融機関があり得るのか。もう一つ具体的に言えば、合併を予定して合併しなければ存続できないと言われている長銀が存続可能な金融機関だと言えるのかといえば、もう答えをいただかなくても結果はわかっているわけでございまして、ポイントはやはり適切な条件のもとということであろうと思うわけでございます。  ところが、そのところが余り国民に伝わってこないというのが私の率直な印象なんですが、総理、何かその辺についての御感想等がありましたら、まずお伺いしたいと思うわけでございます。
  322. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 山崎委員御指摘のように、あるいはわかりにくい点もあったかと思います。と申し上げますのは、米国も現在の日本金融システムにつきましていろんな意味で危惧を有しておるということでございますので、先ほどお読みいただいたような趣旨の発言がございました。  一方、私どもといたしましては、現在党首会談で決められましたこのシステムに対しての対応、すなわち金融関係の法律案につきまして党首会談までいたしましたが、その後の話し合いが継続しておる段階でございますので、私としてもその状態について具体的なお話ができにくい状況でございました。包括的なシステムとしてぜひ守らなければならない、こういうことを申し上げておりました。  そういった意味で、現在国会で御審議をいたしております過程でございますので、このような姿に相なりましたということを相手方に申し上げることができにくい状況でございましたので、委員の御指摘はある意味では、そういうお考えを持つ方も多いということは残念でありますが、今の段階、やむを得なかったと思っております。
  323. 山崎力

    山崎力君 そういったことであろうとは思うんですが、私どもが別の見方からしますと、かなり以前と比べれば、お互い経済の問題、これはグローバルになってきたからしようがないのかもしれませんが、以前の価値観からすれば内政干渉的なことを言い合っているなという気がございます。そういった中で、総理も一国の代表者として、その辺言われっ放しでない、今の立場からいうとなかなか難しい、経済的にあると思いますが、その辺のことを国民に対してのメッセージとして今後も伝えていただきたいというふうに御期待申し上げます。  時間が足りませんので、早口で申しわけございません。  次に、防衛庁の問題にいきたいと思うんですが、私が問題としたいのは、今回の一連の背任事件に関して言語道断であるということは私自身としてこれ以上、前の委員質問等ございましたのでつけ加える気はございません。  ただ、この問題を全般的に考えて、国家の、政府の一種の民事行為といいますか、調達行為、物を買う行為の中を全般的に見た場合に、民事契約、そういったものを結んだ際の不当利得が生じたということが今回一般論からいけば言えるのではないかと思うわけでございます。その不当利得、一つは過失あるいは計算ミス、そういった単純なところで生じることも当然ございますが、今回の場合は明らかに故意、水増し請求という故意によって行われたと私自身は認識しておるわけでございます。  そういった場合、このことが一種の詐欺に当たるのかどうか、それとも商取引上、相手が気づかなければもうけてやれということが許される範囲なのかどうか。そこのところで、今回背任の前に、その請求したところに詐欺行為があったのではないかという気持ちと、それからもう一点、法務省の方にお伺いしたいわけですけれども、それをわかって見過ごした場合、今回のようにまけてやった、返すべき金をまけてやったという背任ではなくて、全額いろいろな貸し借りがあった、あるいは天下りの問題が頭にあったかもしれませんが、まあいいやといった場合、背任が生じるのかどうか、背任罪の対象になるのかどうか、その辺のところを教えていただければと思うわけでございます。
  324. 松尾邦弘

    政府委員(松尾邦弘君) 具体的な事実あるいは想定を交えた事実について、それが何罪に該当するのかということについてはなかなかお答えしにくいところでございます。  今捜査中の防衛庁関連の事件でございますが、本日までに五名を背任罪によって起訴しているということでございます。そこでどういう事実をどうとらえているのかということにつきましては、公訴事実に任務違背行為あるいはその違背行為の具体的内容の摘示があるわけでございます。もし必要であれば今ここで申し述べますが、以上でございます。
  325. 山崎力

    山崎力君 お立場はわかるのですが、このことが背任行為に当たる、あるいは詐欺行為に当たるということを明確にしなければ、刑事政策上またうやむやになってしまうというふうに私は思うんです。  そういった点で、刑事訴訟法の二百三十九条二項の問題もありますけれども、この辺のところをはっきりさせないと、さきの委員会での私の質問もあったんですが、要するに公務員がそういった一般企業との間で契約をするときに、その額が適正であったかどうかの判断、相手方に不当利得が生じるようなことがあったことを判断するのは公務員として当然やるべき義務ではありますが、そのときに、今回のような違背行為が起きた。それに対して、政府としてどういうふうに対応するんだというルールがなければ、今までなかったとしか思えない。そのルールがなければ、このときは刑事で起訴しなさい、このときは民事でやりなさいと、ある程度共通したルールをつくらなければ、これからそのときそのときの、今の法務省の言い方ですと、事案ごとに検討しますと。これは立場からいうとそうかもしれません。  しかし、政府全体、公務員制度全体、そういった中で、公務員がこういった契約上のいろいろな問題、相手方に不当利得を生じさせるような問題になったときにどうするんだということのある程度の検討がなされなければいけないし、もっと広く言えば、今回の防衛庁の問題を奇貨としてその辺のところを公務員制度の中でどうとらえていかなければいけないかという検討をしていただきたいというのが私の希望でございますけれども、その辺のところを総理並びに総務庁長官にお伺いしたいと思うわけでございます。
  326. 太田誠一

    国務大臣(太田誠一君) 今回の特に行政改革、中央省庁等の再編の議論の中で一貫して一番柱になっております考え方は、事前の調整から事後のチェック型へと行政を転換していくということでございます。  そこで、例えて言えば、独立行政法人のようなものをつくって、そこは独立して仕事をするんだけれども、事後的にそれの政策評価をするとか、あるいは企業会計原則にのっとってディスクロージャーをするというようなことで、それは例えば各省に設けられる評価委員会がそれを評価するというような形で事後的にチェックをするという考え方に変わってきております。  ただし、では残されたそれぞれの省庁の独立行政法人ではない部門がどうなるのかというと、そこは改めて今のような考え方をもっと徹底して公務員の世界でもって定着をさせなければいけないという仕事はまだたくさん残っているというふうに思っております。
  327. 山崎力

    山崎力君 ちょっと私の真意が伝わらない御答弁だったろうと思います。  要するに私の言いたいのは、今回のような事案が生じたときに、刑事告発しなさいというふうにある程度のガイドラインを示してやらなければいけないのじゃないか。あるいは、ここは自分たちの裁量権の中で処理しなさい、民事的に金を取り返しなさいと。そこのところで今回防衛庁の背任の問題が起きたわけです。あれを詐欺罪で訴えることができなかったのか、防衛庁が。その辺の判断をそれぞれの担当の公務員に任せておいていいのかどうかということが私がお伺いしている点でございます。  何かその辺について御答弁があればお伺いしておきたいと思います。
  328. 太田誠一

    国務大臣(太田誠一君) 大変高度な御質問でございますので的確な答えはできないわけでございますが、従来は、それはいわゆる検察側の判断に任せておって、それに対して、ルールを定めて、委員が今おっしゃるように、その場合にはこうだという対応をするルールがあれば、それはいいことだというふうに私も思います。
  329. 山崎力

    山崎力君 時間ですので、終わります。
  330. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 以上で山崎力君の質疑は終了いたしました。  これにて日米関係及び防衛庁問題並びに経済に関する集中審議は終了いたしました。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時二十二分散会