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1998-08-21 第143回国会 参議院 予算委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十年八月二十一日(金曜日)    午前九時開会     ─────────────    委員の異動  八月二十日     辞任         補欠選任      福山 哲郎君     浅尾慶一郎君      日笠 勝之君     高野 博師君      小池  晃君     筆坂 秀世君      入澤  肇君     星野 朋市君  八月二十一日     辞任         補欠選任      松崎 俊久君     峰崎 直樹君      宮本 岳志君     市田 忠義君      星野 朋市君     入澤  肇君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         倉田 寛之君     理 事                 鴻池 祥肇君                 野沢 太三君                 林  芳正君                 矢野 哲朗君                 今井  澄君                 平田 健二君                 山下 栄一君                 笠井  亮君                 大渕 絹子君     委 員                 市川 一朗君                 大野つや子君                 狩野  安君                 金田 勝年君                 岸  宏一君                 斉藤 滋宣君                 鈴木 正孝君                 常田 享詳君                 長谷川道郎君                 松谷蒼一郎君                 溝手 顕正君                 依田 智治君                 吉村剛太郎君                 若林 正俊君                 浅尾慶一郎君                 江田 五月君                 小川 勝也君                 郡司  彰君                 内藤 正光君                 広中和歌子君                 峰崎 直樹君                 簗瀬  進君                 加藤 修一君                 高野 博師君                 浜田卓二郎君                 市田 忠義君                 須藤美也子君                 筆坂 秀世君                日下部禧代子君                 照屋 寛徳君                 入澤  肇君                 月原 茂皓君                 星野 朋市君                 西川きよし君                 奥村 展三君                 菅川 健二君    国務大臣        内閣総理大臣   小渕 恵三君        法務大臣     中村正三郎君        外務大臣     高村 正彦君        大蔵大臣     宮澤 喜一君        文部大臣     有馬 朗人君        厚生大臣     宮下 創平君        農林水産大臣   中川 昭一君        通商産業大臣   与謝野 馨君        運輸大臣     川崎 二郎君        郵政大臣     野田 聖子君        労働大臣     甘利  明君        建設大臣     関谷 勝嗣君        自治大臣        国務大臣        (国家公安委員        会委員長)    西田  司君        国務大臣        (内閣官房長官) 野中 広務君        国務大臣        (総務庁長官)  太田 誠一君        国務大臣        (北海道開発庁        長官)        (沖縄開発庁長        官)       井上 吉夫君        国務大臣        (防衛庁長官)  額賀福志郎君        国務大臣        (経済企画庁長        官)       堺屋 太一君        国務大臣        (科学技術庁長        官)       竹山  裕君        国務大臣        (環境庁長官)  真鍋 賢二君        国務大臣        (国土庁長官)  柳沢 伯夫君    政府委員        内閣審議官        兼中央省庁等改        革推進本部事務        局次長      松田 隆利君        内閣官房内閣内        政審議室長        兼内閣総理大臣        官房内政審議室        長        竹島 一彦君        内閣審議官    安達 俊雄君        内閣法制局長官  大森 政輔君        内閣法制局第一        部長       秋山  收君        警察庁刑事局長  佐藤 英彦君        警察庁警備局長  伊達 興治君        総務庁行政管理        局長       瀧上 信光君        総務庁行政監察        局長       東田 親司君        防衛庁防衛局長  佐藤  謙君        防衛庁運用局長  大越 康弘君        防衛施設庁長官  萩  次郎君        経済企画庁調整        局長       河出 英治君        経済企画庁総合        計画局長     中名生 隆君        環境庁企画調整        局長       岡田 康彦君        環境庁大気保全        局長       廣瀬  省君        環境庁水質保全        局長       遠藤 保雄君        沖縄開発庁総務        局長       玉城 一夫君        国土庁防災局長  林  桂一君        金融監督庁長官  日野 正晴君        金融監督庁検査        部長       五味 廣文君        法務省刑事局長  松尾 邦弘君        外務大臣官房長  浦部 和好君        外務省総合外交        政策局長     加藤 良三君        外務省総合外交        政策局軍備管理        ・科学審議官   阿部 信泰君        外務省総合外交        政策局国際社会        協力部長     上田 秀明君        外務省アジア局        長        阿南 惟茂君        外務省北米局長  竹内 行夫君        外務省欧亜局長  西村 六善君        外務省条約局長  東郷 和彦君        大蔵大臣官房総        務審議官     武藤 敏郎君        大蔵省主計局長  涌井 洋治君        大蔵省主税局長  尾原 榮夫君        大蔵省理財局長  中川 雅治君        大蔵省金融企画        局長       伏屋 和彦君        大蔵省国際局長  黒田 東彦君        文部大臣官房長  小野 元之君        文部省生涯学習        局長       富岡 賢治君        文部省初等中等        教育局長     辻村 哲夫君        文部省体育局長  遠藤 昭雄君        厚生大臣官房総        務審議官     真野  章君        厚生省生活衛生        局長       小野 昭雄君        厚生省医薬安全        局長       中西 明典君        厚生省児童家庭        局長       横田 吉男君        農林水産大臣官        房長       高木  賢君        農林水産省経済        局長       竹中 美晴君        農林水産省構造        改善局長     渡辺 好明君        農林水産省農産        園芸局長     樋口 久俊君        通商産業省産業        政策局長     江崎  格君        通商産業省環境        立地局長     太田信一郎君        通商産業省基礎        産業局長     河野 博文君        資源エネルギー        庁長官      稲川 泰弘君        中小企業庁長官  鴇田 勝彦君        郵政省通信政策        局長       金澤  薫君        労働大臣官房長  渡邊  信君        労働省職業安定        局長       征矢 紀臣君        建設大臣官房長  小野 邦久君        建設省河川局長  青山 俊樹君        建設省道路局長  井上 啓一君        自治省行政局長  鈴木 正明君        自治省行政局選        挙部長      牧之内隆久君        自治省財政局長  二橋 正弘君        自治省税務局長  成瀬 宣孝君    事務局側        常任委員会専門        員        宮本 武夫君    参考人        日本道路公団総        裁        緒方信一郎君        日本銀行総裁   速水  優君        預金保険機構理        事長       松田  昇君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○予算執行状況に関する調査     ─────────────
  2. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  予算執行状況に関する調査のため、本日の委員会日本銀行総裁速水優君、預金保険機構理事長松田昇君及び日本道路公団総裁緒方信一郎君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 予算執行状況に関する調査を議題とし、昨日に引き続き、質疑を行います。筆坂秀世君。
  5. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 私は、日本共産党を代表して、景気問題、そして金融問題を中心に質問をいたしたいと思います。  今の深刻な不況を打開する上で、何といってもGDP、国内総生産の六割を占める家計消費をどう拡大していくか、これは決定的であります。これについては恐らくどなたも異論がないだろうと思います。そして、だからこそ今消費税引き下げる、この声が文字どおり日増しに高まっている。世論調査でも半分以上が消費税を下げてほしい、こう願っています。  先日、私はNHKの「日曜討論」に出席しましたけれども、そのときに自民党を代表して出席された武藤嘉文自民党税制調査会顧問消費税をいっそ三%に下げた方が消費拡大につながる、こういう発言をされました。ところが、総理消費税引き下げをあくまで拒否する、こういう態度に終始されている。  私、そこで総理に伺いたいんですけれども、総理があくまでも消費税引き下げを拒否されるというのは、消費税引き下げというのが消費拡大に全く効果がない、だから消費税引き下げに反対されるのか、そのあたりをお伺いしたいと思います。
  6. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 税金は下げたらいいか上げたらいいかというアンケートをいたせば、下げた方がいいという話はこれは別段不思議なことではございません。  今回、消費税についてそういう声があることも承知しております。それから、それをすれば、永久であれば消費がふえるだろうと考えることも想像できることですけれども、それだけを国の財政経済、国政全体の中で考えるわけにはいかなくて、将来のこともいろいろに考えてまいらなければなりません。将来、必ず基本的な税制を二十一世紀に向かってつくらなければならないということも皆様のおっしゃることでございますから、そういうことも考えながら、この際どういう減税をすべきかということをやはり決定していかなければならないと思います。
  7. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 総理に答えてもらいたい。これは総理答弁されているんだから、本会議で。  私が聞いているのは、そういうことを聞いているんじゃないんです。消費税引き下げ消費拡大効果がないという考えなのか、それとも、少子高齢化ということを本会議でもおっしゃいましたよ、消費拡大には効果があるが、しかし少子高齢化に備えて引き下げには反対だというふうに言われるのか、それとも消費拡大に全く効果がないというお考えなのか、この点を総理にお伺いしているんです。
  8. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 全く効果がないとは申し上げておりませんが、効果の度合いについてはこれはいろいろの角度から検討しなきゃならぬと思っておりますが、委員も御指摘のように、先般の五%に引き上げさせていただきましたゆえんのものは、そのお約束以前に十六・五兆円の支出を既にいたしておるわけでございまして、そういったことと、先ほど申し上げましたように、これから将来にわたっての財政基盤も確実なものにしなきゃならない、そのところには社会保障関係のどうしても必要とする経費もその中に組み込まれていかなきゃならぬ、こういう形で引き上げさせていただいたということでございます。
  9. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 効果がないというふうには言わないということは効果があるということですよ、消費税引き下げは。当たり前の話なんです、そんなことは。  これは第一勧業銀行総合研究所山家さんという専務理事の方が指摘されています。消費拡大というなら貯蓄に回る所得減税よりも消費税引き下げの方がはるかに効果がいいと、四つ理由を挙げておられます。  第一に、減税効率が格段によい。なぜなら、消費税率引き下げ減税額実質消費増加額が同額となり、政策効果にむだがない。直接消費拡大につながるということです。二つ目に、低所得層にも厚い。所得税を納めない人にも減税効果がある。当然です。三つ目に、住宅建設耐久消費財など極度に不振に陥っている需要を喚起することにも役立つ。四つ目には、山家さんはこうおっしゃっています。消費税というのは上がるばかりのものだと思っていたが下がることもある、明るい希望を与えるというんですよ。  私はこれは大事なことだと思うんです。今いかに消費拡大するか。橋本内閣はいろいろやってきたけれども、何一つ問題は解決しなかった。そして今、小渕総理だって橋本内閣のやったことは余りにも機械的過ぎた、こういうことをおっしゃっている。堺屋経済企画庁長官は失政だったというふうにおっしゃっている。  そうであるなら、なぜ今これだけ消費が落ち込んでいるときに消費税引き下げに踏み込まないのか、私は改めて総理答弁を伺いたいと思います。
  10. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 消費税を下げましたらそれだけ消費がふえるだろう、全部やめてしまえばもっとふえるだろうと思います。問題はそういうところではないんで、景気を回復しなきゃならない、消費をふやさなきゃなりませんが、全体の税制の中で将来を展望しながらどうしたらいいかという選択の問題にならざるを得ない。何かの税はなければなりませんので、そういうことだと思います。
  11. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 先のことを考えなきゃいけない、こうおっしゃった。しかし、あなた方がやっていることは、私は先のことを考えているとはとても思えない。  例えば法人税を今度引き下げようとされている。しかし、課税ベース拡大はどうなるんですか。あるいは最高税率所得税引き下げようとする。総合課税はどうなんですか。何も手をつけていない。何も将来を展望したものになっていないじゃないですか。  そして、総理社会保障のために回したと言いましたよ、あるいは必要だと言う。しかし、三%から五%になったときに消費税税収は幾らふえたんですか。四兆円以上です、四・八兆円ふえた。このときに社会福祉費を調べてみました、幾らふえたか。〇・二兆円ですよ。消費税税収の二十四分の一じゃありませんか。何が社会保障のためですか。全くそんなことは根拠ないじゃないですか。  第一、総理に聞いているのに何で大蔵大臣が出てくるんですか。総理が拒否しているんでしょう。全く将来展望もない。税制改革と称してやりながら、何が将来展望だ。社会保障と言いながら〇・二兆円しか回していない、五兆円のうち。四・八兆のうち二十四分の一しか回していないじゃないですか。何でですか。──総理総理ですよ。
  12. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) その点も、今の話ばかりでなくて、やっぱり将来を展望しながらお考えいただきたいんですね。消費税は何も目的税ではございませんから、その歳入と社会保障の増額とを比べるということは無意味ではないけれども、目的税ではありませんから、将来の社会保障政策と将来の消費税というものも考えていかなきゃならないと思います。
  13. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 総理に聞いているんです。
  14. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 内閣一体でございますので、大蔵大臣答弁と同様でございますが、先ほどお尋ねの中で、若干誤解を招くといけませんが、橋本内閣におきましての数々の政策についての御党のお考えがございましたが、消費税に関しては私自身もこれは五%に引き上げることについては何らその方向に間違いはなかった、こう考えております。
  15. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 だから小渕内閣のもとでだって経済再生はできないです。  例えば法人税引き下げ日本経済新聞の総合経済データバンクは試算していますよ。法人税減税をやって一体幾ら消費拡大につながるのか。一九九九年度〇%、二〇〇〇年度〇・二%。肝心の消費拡大に何もつながらないことをやろうとしている。何がバランスですか。そして、総理だって消費拡大効果があると認めた消費税減税だけはあくまでも拒否する。  私、この小渕内閣のもとでは、そしてこういう問題について大蔵大臣が先に答弁して、そしてこれが小渕内閣の方針ですと言うような内閣では到底経済再生はできない、私は改めてこのことを指摘しておきたいと思います。  それで、次に金融問題に移りたいと思います。  政府自民党のこれまでの金融対策というのは、超低金利、不良債権無税償却拡大、あるいは住専処理での税金投入、あるいは三十兆円の銀行支援策、いわば典型的な銀行甘やかし政策をとってきた、私はこう言わざるを得ません。だからこそ、幾ら公的資金を投入しても、あるいは事実上の公的支援をやっても、不良債権処理問題一つとったって何にも進んでいない。  私はそこで、先ほど来聞きもしていないのに出てこられた大蔵大臣にお伺いしますけれども、大蔵大臣自民党緊急金融システム安定化対策本部本部長をやっておられた昨年十一月当時、これは十一月二十八日付の日経新聞のインタビューを見ましたが、こうおっしゃっている。金融機関が発行する劣後債を買い取るような銀行経営者についてどうするのかという趣旨設問に対して、「むろん経営者にはやめてもらうし、きつい条件をつけなければならない」、資本注入する銀行に対して、こう言われている。  その後、ことし三月に二十一行に対して約一兆八千億円資本注入がされました。当時宮澤大蔵大臣は「むろん経営者にはやめてもらう」ということを言われたけれども、資本注入して一体だれが、何人経営者にやめてもらったんですか。
  16. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 御引用のコンテクストが全く間違っていると思います。質問は、経営の失敗の結果資本を毀損した銀行資本補てんをするときに何にも条件を設けないでいいのかという質問ですから、それは経営者責任ですからそれはとってもらわなきゃなりませんと、こう申したのであって、三月の資本注入は全く意味の違うものであります。
  17. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 それはそうじゃないんですよ。日経新聞を私は持っています、ここに。「金融機関が発行する劣後債を買い取る構想の狙いは。」というのが設問です。それに対してあなたは「むろん経営者にはやめてもらうし、きつい条件をつけなければならない」と、こういうふうに言われているんです。はっきりしているじゃないですか。
  18. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) それは十一月何日とおっしゃいましたか。
  19. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 二十八日付です。
  20. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 二十八日でございますか。公的資本を、いわゆる一兆八千億円というのはこれは三月のことでございまして、これは全く意味合いの違うことでございます。
  21. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 ごまかしたらだめですよ。このときから公的資金を注入するという議論があって、そして法律ができて実行されたのが三月ですよ。当たり前じゃないですか、そんなことは。そしてあなたはそのときの自民党緊急金融システム安定化対策本部本部長だったわけじゃないですか。要するに、だれ一人として経営者責任なんか問うちゃいないんです。  では、聞きますけれども、三月に資本注入したときにきつい条件をつけましたか。
  22. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 将来についての経営計画というものは、たしか危機管理委員会でおとりになりましたし、また経営内容についても責任者を呼んでお聞きになっていらっしゃいますけれども、この三月の資本注入というのは意味が違うんです。銀行を助けるのではなくて、御承知のように日本金融システム内外ともにこれだけ危機になりましたから、公的資金によって資本を充実してこの金融システム危機を乗り切りたい、それが趣旨でございますから、経営者責任を問うという種類の問題ではないのです。
  23. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 また答えていない。  では、これは預金保険機構に聞きますけれども、資本注入を二十一行にやりました。そのうちの三和銀行、これも一千億円資本注入されている。その際、三和銀行は「経営健全性の確保のための計画」、こういうものを出している。この「金融円滑化」の考え方、この中でどういうふうに述べていますか。
  24. 松田昇

    参考人松田昇君) お答えをいたします。  審査委員会で徴収いたしました三和銀行の「金融円滑化」の条項でございますが、多数記述はございますけれども、例えば、  産業活動の発展や雇用の維持の基盤となる金融機能を十全に発揮することは、金融機関に求められる責務と認識している。  当行としては、従来より、財務内容健全性を確保しつつ、円滑な資金供給を行っていくために、貸出業務に積極的に取り組んでいるところである。  今般、公的資金による自己資本の充実を申請するにあたっては、本措置の趣旨をあらためて重く受け止め、金融円滑化に向け、より一層努めてまいりたいと考えている。  全部読みますか。
  25. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 結構でございます。  大蔵大臣、こういうことを三和銀行は言っていた。これはつまり、当時、なぜ資本注入するのか、これによって貸し渋りがなくなると、こういうことが政府によって言われた。そして、資本注入された銀行はこういう立派な計画書を出した。結果として貸し渋りは解消されたんでしょうか。
  26. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 今度は貸し渋りの話でございますね。  結果として、実際はあのときにこれが貸し渋りの解消に役に立つだろうと私どもも実は期待をいたしました。しかし、実際にはその期待は今日まで実現しておりません。ですから、資本注入をしたから貸し渋りが直ったかというと、それは委員がおっしゃるようにどうも今日までそうなっていない。  いろいろ理由はあるだろうと思うんです。つまり、その時点から後で例えば東南アジアの不良債権が生まれているとか国内でなお貸出先の破綻があるとかいうことで、それから後の事情というのは決してよくなかったことはこれはわかっております。わかっておりますが、それはそれといたしまして、結果として貸し渋りは改善されたかといえば、マクロで見る限り改善されておらないのは私は残念だと思っています。
  27. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 残念だでは済まないでしょう、評論家のように。  あなた方はこういう計画書まで出させておるじゃないですか。そして、金融円滑化に寄与する、産業の発展、雇用の確保のために金融円滑化をちゃんとやりますと各銀行が出したんでしょう。あなた方はそれをちゃんとチェックしたんですか、計画書どおりにやっているかと。
  28. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) マクロでと申しましたのは、それは全体の貸出金額が前の月と比べますとふえていない、かえって減っているような状況でございますから、マクロで見れば残念ながら貸し渋り状況というのは解消していない。それはさっき申しましたようにいろいろ事情はあることでございましょうが、ここまでのところは改善していない。しかし、資本が増強をされておりますから、そういう意味では貸し出し能力はふえているはずであって、これから先の問題としてそういう効果があることを私はやはり期待をいたしております。
  29. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 全く無責任な、税金を使うときにはこれで貸し渋りがなくなりますとあなた方は何度国会で言ったんですか。そして今になってもまだ期待しますと。銀行に対して資本注入やったんだから、あなた方こういう計画書を出したんだからちゃんと貸し渋りを解消しなさいと指導するのが当たり前じゃないですか。そして改善させるのが当たり前でしょう。ただ期待していますと言うだけ。ここにもあなたの銀行に甘い体質がよく出ていますよ。  私、資料をちょっと配付していただきたいと思うんです。    〔資料配付〕
  30. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 ここに、三和銀行資本注入を受けた翌月ですよ、三月に受けた翌月四月十七日、西日本地区融資担当責任者会、ここで配付した「回収・保全強化 マニュアル」、これは全部で十五ページあります。私は持っていますけれども、これはそのうちの一部です。  何と書いてあるか。資金の回収には「前もって成功確率のより高い切り口を十分に知恵を絞って準備することが不可欠」、「例えば、順調に返済中の貸出先に、」、順調に返済中の貸出先ですよ、こういうところからも回収しろ、あるいは保全強化を図れということなんです。「突然、増担保」、担保をふやせとか、「或いは約返増額を申し入れても、取引先への説得性が薄く、実現可能性は低い。そこで一工夫必要なのは、」「当行より取引先の「落ち度」を見つけ、」、落ち度を見つけろというんです。そして、「取引先に理解させ取引先が「申し訳ない」というポジションに立った上で本題の交渉に入る」、担保をふやせだとかあるいは約定返済額毎月のものをふやすとか、こういうマニュアルまでつくっているんです。  そして、「相手を選ぶ」、「率直な交渉が旨く行きそうな先、反対にストレートに要求すると暗礁に乗り上げる懸念のある先」、これ見きわめをしろと。おとなしいところだったらやっちゃえということですよ。  二つ目、「交渉のタイミングをつかむ」、手形の期日が来たとき、新規融資の申し込みがあったとき、こういうときにうまくやれというんです。  そして三つ目に、「取引先の「落ち度」を指摘する」、約束事をたがえたとか、当行に対し誠意がないとか。──笑い事じゃないでしょう、きょうのニュースだって貸し渋りによって自殺した人いるじゃないですか。何笑っているんですか、大蔵大臣は。あなた一番の責任者じゃないですか。  こういうことをあなた方が資本注入した銀行がやっているんですよ。だから貸し渋りは一向になくならない。減っているじゃないですか、総貸出額だって。貸し渋りによる倒産だってふえているでしょう。あなた方は何のために一体資本注入やったんですか。  こんなことを野放しにして、不良債権処理だ、破綻処理だ、金融システム安定だと税金を湯水のように注ぎ込む。こんなこと幾らやったって、中小企業も国民もそこに雇用されている人も全く救われないじゃないですか。ちゃんと調査しなさい。大蔵大臣、今こそ出てきなさいよ。
  31. 日野正晴

    政府委員(日野正晴君) お答えいたしますが、ただいま資料を見せていただいたばかりでございますので、持ち帰ってよく精査した上でしかるべき措置をとりたいと考えております。
  32. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 大蔵大臣、どうですか。
  33. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 御質問が三月の資本投入のことから発せられましたので、当時これは大蔵省の行政の対象でございましたから御説明をいたしましたが、今の銀行の行政についてはその後御承知のように国会の御意思によって金融監督庁に権限が移っておりますので、したがいまして金融監督庁からお答えをいただいたわけです。
  34. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 では、総理に聞きましょう、金融監督庁なんですから。  これは三和銀行だけじゃないですよ。これだけ貸し渋りが横行しているんですから、どの銀行だってこれとよく似たようなことをやっているに違いない。これによって本当にひどい目に遭っているわけでしょう、国民が。倒産に追い込まれた人もいる、そのために職をなくした人もいる。本当にきょうのニュースでやっていましたよ、自殺に追い込まれた人がいる。  私は、あなた方はただ数字、計数だけ調べるのじゃなくて、銀行がどういう姿勢で貸し出しをやっているのか、あるいは貸し渋りや回収のマニュアルをどんなものをつくっているのか、ちゃんと政府責任を持って調査する、そしてそれを国会に、本委員会に提出していただきたいと思います。  総理、いかがでしょうか。
  35. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 貸し渋りとなっております要因につきましては種々あろうかと思いますが、金融機関自体がただいまお示しいただきましたような資料に基づいてそのような態度をとっておられるとすれば遺憾のきわみでございますが、先ほど長官が申されましたように、事実関係その他につきましても、早速調査の上対応をさせていただきたいと思います。
  36. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 私、委員長にお願いしたいと思うんですけれども、金融問題がこれだけ大事な問題になっている、そして莫大な公的資金が投入をこれまでもされてきたし、支援もされてきた、そして今またやられようとしている。私は本委員会金融監督庁がこれを調査してその資料を提出させるように本委員会として取り扱っていただきたい、このことを委員長にお願いしたいと思います。
  37. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) ただいまの件につきましては、後刻理事会で協議させていただきます。
  38. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 次に、北海道拓殖銀行の破綻処理に関連してお伺いしたいと思います。  拓銀処理をめぐっては、これは北海道新聞などでも、拓銀がメーンバンクになっている中堅ゼネコンの一つ、地崎工業への債権をどう承継していくか、これが大きな問題になっております。  これは金融監督庁になるんですか。聞きますけれども、拓銀の地崎工業への貸し出しは、昨年三月末時点、そしてことし三月末時点でどうなっているでしょうか。
  39. 日野正晴

    政府委員(日野正晴君) 破綻した金融機関ではございますが、個別の金融機関に対する債務者の債務の内容についてはお答えを差し控えさせていただきたいと存じます。
  40. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 私、地崎工業の経営改善計画書、昨年つくったもの、ことしつくったものを手に入れました。昨年三月末で拓銀から地崎工業への融資四百十七億八千七百万、ことし三月末には五百七十七億円。つまり、この一年間で破綻した拓銀が地崎工業への融資を百六十億円ふやしているんです。私、総額はどうなっているか調べてみました。地崎工業が拓銀以外のその他の金融機関も含めて借り入れている金額は、昨年三月末が一千二十三億、そしてことし三月末が一千二十六億円です。つまり、総額はほとんどふえていない。しかし、拓銀だけが地崎への融資を百六十億円ふやしている。これはどこかが減らしたということです。  私はきょうそれをパネルにしてきました。(図表掲示)これがそうなんです。  昨年三月末には四百十七億、それが五百七十七億、百六十億ふえている。では、ほかの銀行はどうか。北海道に本店を置く道内銀行、これは昨年三月末で百十八億円、ことし百十五億円ですから、ほぼ横ばいです。あるいは共済連あるいは生保等々が昨年三月末が九十二億円、ことし三月が百億円です。これも八億ふえているが、しかしほぼ横ばいです。減っているのはどこかといえば、都市銀行を中心にした本州に本店を置く銀行、これがちょうど百六十億円減らしているんです。これが実態なんです。  結局、都市銀行などが地崎への融資、これを引き揚げて、そしてどうせ破綻する拓銀に全部押しつけた、このパネルを見ていただければよくわかりますけれども、これが実態だというふうに思うんです。こんなひどいやり方があるか、拓銀が破綻したから全部拓銀にいわばばばを押しつけると。  総理、いかがでしょうか、こういう銀行のやり方。
  41. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 個別の金融機関の対応について私自身が逐一コメントすることは差し控えたいと思います。
  42. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 私、そういう問題じゃないと思うんです。  だって、これ、下手すれば公的資金投入になるわけでしょう。拓銀はことし三月末決算で一兆一千七百二十六億円の、総理、債務超過になっているんです。ことし十一月に最終的に営業譲渡するけれども、さらにふえることは確実と言われている。この穴はどこで埋めるんですか。預金保険機構でしょう。その預金保険機構はどうなっているか。今現在で二千百四十六億円。赤字ですよ、足りない。どうやって一兆以上の債務超過、拓銀の分は持つのか。結局、あなた方がつくった公的資金投入の枠組みを使うということになるんです。つまり、都市銀行は、どうせ税金で後始末するんだから、この際持っておきたくない債権は全部拓銀に移せ、こうやったんです。こんなこと許せるかと聞いているんです。幾ら税金出るかにかかわってくるじゃないですか。
  43. 日野正晴

    政府委員(日野正晴君) 破綻した拓銀の資産の劣化を防ぐために、昨年の十一月十七日だったと思いますが、大蔵省銀行局から業務改善命令が出されておりまして、そこで、経営責任の明確化のために、弁護士、公認会計士など第三者により構成される調査委員会を設置し調査を行うことということで、ただいま与信調査委員会というのが設けられていると承知しております。  そして、そこで現時点で与信の内容調査しているということと、それから、さらにもう一つは、昨年の十一月二十一日に業務監査委員会を拓銀が設置いたしまして、正式に引き継ぎの銀行に対しまして資産を引き継ぐまでの間のその資産の劣化、つまり先ほど委員がいろいろ御指摘になりましたようなさまざまな債務者に対する資産の保全管理などをそこで監査していくという方針でやっていることは承知しております。
  44. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 そんなことやったって、都銀はちゃんともう抜けちゃっているんですよ、百六十億円も。  何でこんなことが起こるか。それは、あなた方がともかく破綻処理に当たっても不良債権処理に当たっても銀行業界には今以上に一円も負担増はさせない、こういうやり方をやるからですよ。つまり、全部税金で後始末をつけてくれる、だったら欲しくないものは全部税金にツケ回ししていこう、こういう銀行の行動になるということです。  アメリカではいかにして破綻処理をやるか。最小コストということが原則になっている。こんなことをやっていたら絶対最小コストにならない。私は、一円もこれ以上負担増を求めない、この政策を変更して、やはり預金保険料を引き上げていく、銀行にも負担増を求めていく、このことを真剣に検討すべきだと思いますけれども、総理、いかがでしょうか。これは総理が答えてください。
  45. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 銀行が破綻をいたしますということは、まさに銀行自身の経営の誤りである場合が多いと思いますので、それはそれとして罰せられなければなりませんが、ただその場合に、預金者は保護されなければならないし、地域の善良なお客様、貸し出しを受けている人たちも、これもむげに切り捨てるわけにはいきませんので、そういう意味で全体的なやはり国の施策というものが必要になってくる。銀行だけの問題でございましたらおっしゃるとおりでございましょうが、そうもいかないというのがただいまも御審議いただいております法律の考えているところでございます。
  46. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 時間が来ましたので終わりますけれども、よく宮澤蔵相は銀行は体力ないとおっしゃるけれども、国民はもっと体力ないんだということを絶対に忘れてはならないということを申し上げて、時間が参りましたので私の質問を終わります。
  47. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 以上で筆坂秀世君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  48. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 次に、大渕絹子君の質疑を行います。大渕絹子君。
  49. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 総理、おはようございます。  毒物混入事件が続発をして社会不安などが生まれていますけれども、国民に再発防止の決意と総理からのメッセージをお願いいたします。
  50. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 昨今、毒物混入事件が発生をいたしておりまして、まことに悪質な事件でございまして、亡くなられた方々に改めて御冥福をお祈りいたしますとともに、被害に遭われた皆さん方に心からのお見舞いを申し上げたいと思います。  これまで毒物等につきましては、国民の保健衛生上の観点から、毒物及び劇物取締法に基づきまして製造、輸入、販売、授与等に関し厳正な規制を行ってきたところでございますが、現時点では事件の全貌が明らかではありません。今後、警察の捜査の結果を踏まえた上でさらなる措置が必要かどうか検討してまいる所存でございますが、いずれにいたしましても、現下発生いたしております事件につきましては、その解明のために全力を挙げて努力をしてまいりたい、このように考えております。
  51. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 八月四日に新潟県を襲った集中豪雨の被害状況と対策について、建設大臣並びに農水大臣にお尋ねをいたします。
  52. 関谷勝嗣

    国務大臣(関谷勝嗣君) この新潟の水害につきましては、八月六日と九日に現地へ参りまして、まず被害に遭われました皆様方にお見舞いを申し上げました。そして、二度にわたり参りまして現地を視察させていただきました。  それで、その後の報告を伺っておりますが、いわゆる床上、床下浸水になりましたのが約一万四千五百戸でございました。家屋の被害、道路の陥没、あるいはまた冠水、落橋など、非常に大きな災害に遭っているわけでございまして、新潟県、そして市町村から被害の状況を今報告いただいております。ですから、これを急ぎ査定いたしまして、急いで災害復旧に入るというのが現状でございます。  それから、先生も御存じのように、福島潟の放水路でございますが、これはちょうど上空から見てみますと、本当に今あれが通水しておればこれだけの被害はなかったということをはっきりと見ることができました。  したがいまして、この福島潟の放水路は、今は平成十七年の完成予定にいたしておるわけでございますが、これは数年早めて完成をしていきたいと思っております。伺いますと、土地の買収はもう大部分が完了しておるというようなことでございますから、このことを進めていきまして、安定した道路のネットワークというものを今後も進めていきたいと思っております。
  53. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) お答えいたします。  まず、八月四日の新潟県を中心とした集中豪雨、心からお見舞いを申し上げます。  農林水産関係につきましては、農作物の被害は、被害面積約一万一千ヘクタール、被害金額三十五億四千万円、現時点でございますが、そして農地、農業用施設等、これは漁業関係も若干含みますけれども、被害金額百三十二億九千万円というのが、現時点で県等から報告をいただいているところであります。  農林水産省といたしましては、これまで北陸農政局長を初め担当官を直ちに現地に派遣し、被害の実態を逐一調査、報告を受けておるところでございますが、農業共済団体等による調査等、被害状況の早期把握にも努めてまいりました。  今後も引き続き、県、市町村あるいは関係団体と密接な連絡をとり、適切な災害復旧対策を早期に実施するとともに、農業共済について、迅速な損害評価と共済金の早期支払いについて指導を行う等、万全の被害対策をしていきたいと思っております。
  54. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 建設大臣には早速に現地に赴いていただいて本当にありがとうございました。  農水大臣に重ねて土地改良費の繰り延べ支払いについての御検討を。
  55. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 土地改良の負担金の償還繰り延べにつきまして、土地改良の農家負担分についてはほとんどの場合、土地改良区が農林漁業金融公庫等の制度資金の融資を受けております。  この資金の償還については、借りておる方々が災害その他特別の事由により元利金の償還が困難と認められる場合には、償還期限の延長等、償還条件の緩和を行うことができることとなっておりますので、これらの措置が円滑に行われますよう、我が省といたしましても適切に措置をしていきたいと思っております。
  56. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 被災農民と新潟県知事から激甚災害指定について強い要望が出ておりますが、国土庁長官にお尋ねします。
  57. 柳沢伯夫

    国務大臣(柳沢伯夫君) 激甚災害の指定の件でございますけれども、これは先生御案内のように、まず地方公共団体の被害報告がある、それに対して、ちょっと落ちつかないとできないんですが、もう既に始めましたが、災害の査定ということを行います。その査定の結果と指定の基準とを照らし合わせることによって指定が行われる、こういうことでございまして、その線に沿って鋭意対処してまいる、そのように考えております。
  58. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 長官は現地に赴きますか。
  59. 柳沢伯夫

    国務大臣(柳沢伯夫君) 国土庁長官が災害が発生したときに現地に赴くかどうかということについては、いろいろ過去にも例がございます。  被災の施設が例えば、建設大臣が行かれたんですが、あれは中小河川のはんらんが非常に多かった、あるいは揚水機の容量が足りなくて非常に低い地のところに冠水が広範にわたって発生した、こういうようなことでおいでになられた、このように承知いたしております。農地であればあるいは農水大臣も行くかもしれない。  国土庁長官が行くというようなことを過去に見てみますと、大体、人的な被害というか、そういうものが非常に広範に生じておるというようなときであるとか、あるいは火山であるとか地震であるとか、こういうように他の役所が所管している施設、こういうものにとどまらなくて、全般的にそういうものが生じておるようなケースのときに現地に飛んで行くということが行われているようでありまして、私も今回の新潟県の被災の状況をかなり慎重に見ておりました。その結果、行かずに時間が経過した、こういう状況でございます。
  60. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 早速、激甚災害の指定がいただけるようにお願いを申したいと思います。  農水大臣に、福島潟干拓が終わったのは何年か、問います。
  61. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 福島潟干拓事業が完了いたしましたのは昭和五十一年でございます。
  62. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 なぜ今まで放水路の建設ができなかったのでしょうか。
  63. 関谷勝嗣

    国務大臣(関谷勝嗣君) 放水路のことですから私の方だろうと思いますが、福島潟の放水路の経過をちょっと御報告させていただきます。  この放水路は、昭和四十一年七月、また翌年の四十二年八月の集中豪雨の災害を契機にいたしまして、新井郷川の恒久的な治水対策の一環として計画をされまして、福島潟から新潟の東港への放水路ということで、昭和四十四年に着手したと伺っております。  それで、今日まで完成をしていないというのは、当初、用地の買収にちょっと時間がかかりましたのと、正直申し上げまして予算が十分でなかったというようなこともございまして、先ほど述べさせていただきましたように、平成十七年度の完成を目途といたしておるわけでございますが、今回の再度の災害等々、そしてまた、先ほど述べさせていただきましたが、現地を視察いたしまして強く認識いたしましたが、あれが通水しておけば、完成をしておけばこういうようなことはございませんでした。  そういうようなことで、先生の強い御要望に従いまして、十七年度に完成の予定でございますが、これを三年間縮めまして、概成、いわゆる実際に放水ができるように平成十四年に完成をいたしますことをお約束いたします。
  64. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 総理、福島潟というのは、本来こうした百年に一度の洪水に備えるような調整池の役割を持っていたところなんですよ。そこを干拓しておいて排水路をつくらない、放水路をつくらないという行政は一体何なのかということを私は強く申し上げたい。干拓をして、その潟の果たしていた役割を遂行できるだけの放水路をつくらないで農地をつくってきた今までの公共事業のあり方について、私はひどい懸念を持っています。  さっき十四年とおっしゃいましたけれども、ぜひもっと早く完成をして、今度のような災害が二度と起こらないような責任ある行政をしなければならないと思います。総理大臣にお尋ねします。
  65. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 建設大臣も、従来の予定工期といいますか、これを繰り上げて全力でやろうと、こういうことでございます。予算面等々のこともあったのであろうと思いますけれども、政府としては、今回のこうした大水害にかんがみましてさらに一層努力をいたしていかなければならない、こう考えておる次第でございます。
  66. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 総理大臣は飢えたことがありますか。飢えを知っていますか。
  67. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 私は、昭和十二年、一九三七年生まれですから、小学校に入りました前の年に終戦を迎えたわけです。私は、この終戦前後というものが食糧事情が最も厳しかった時代でなかろうかと思います。  幸い、私の生家のありますのは群馬県の片田舎の小さな町でございますので、近隣は農家の皆さんもおられますから、そういった意味でいろいろお助けもいただきましたし、私自身の家でもささやかな畑を持ちまして食糧生産にいそしんでおりました。しかし、おなかが満足するような食糧の事情ではなかったと思っておりまして、おいしい白い御飯を食べたいなと常々思いながら成長してまいりました。
  68. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 世界には八億とも十億とも言われる飢餓人口が存在をしていることは御存じだと思います。そういう中で、今の日本農業の置かれている状況は極めて世界から非難をされる状況にあるというふうに私は思っております。総理の御見解を。
  69. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 今御指摘のように、世界六十億を超える民の中でかなり多くの地域、国々におきまして飢餓状態になっておることは承知をいたしております。  委員のおっしゃられる趣旨が、日本農業にとりましてどのような状況がそれに対してあるべきかということのお尋ねの趣旨を十分私は掌握しておりませんですけれども、御主張をいただきましたら、ひとつお話をいただきまして、それに対して私の考えを述べさせていただきたいと思います。
  70. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 それでは農水大臣に。  今、食料・農業・農村基本問題の中で両論併記になっている四点について、大臣のお考えを。
  71. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 今御質問の四点というのは、言うまでもございませんが、いわゆる食糧安定供給を図る上での国内農業生産の位置づけ、それから二点目が食糧自給率の政策目標にどのように取り入れていくべきか否か、三点目が株式会社の農地権利取得を認めるべきか否か、四点目が中山間地域等におけるいわゆる直接所得補償を導入すべきか否かという四点でございます。これは御承知のとおりだと思います。  考えはどうかということでございますが、昨年四月に、いわゆる食料・農業・農村基本問題調査会、これは総理大臣から調査を求めている非常に大きな調査会でございまして、去年の十二月に中間報告が出まして、その中間報告で先生今御指摘の四点が両論併記ということになっております。それ以後も鋭意議論を重ねてまいりまして、大分議論も煮詰まってきているというふうに承知をしております。そして、来月初めぐらいには最終報告書が総理に提出される予定というふうに聞いております。  現時点におきまして私の考えはどうかと伺われますならば、今政府としてこの調査会に議論の集約をお願いしている最中でございますので、その最終報告が出た後に、各界あるいはまたいろんな方々の御意見、国民的な御意見を聞きながら政府としての方針を決めていきたいというふうに考えております。
  72. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 中川農林大臣のお考えを聞いています。その一点一点についてあなた自身がどう考えるかということです。
  73. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 私は政府の一員として農政を預からせていただいておりまして、農林大臣の立場で総理大臣から調査会にこの問題を検討していただきたい、これだけではございませんけれども、そういう立場でございますので、現時点で私は農林大臣としてもまた個人としても考えを申し述べるのは、調査会に対してもちょっと影響を与えかねない問題でもございますので、考えについては差し控えさせていただきたいと思います。
  74. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 調査会に意見を言えというのではありません。その両論併記をされている一項目一項目についてあなたはどう考えるかということです。
  75. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 一項目一項目について中川はどう考えるかという御質問でございますが、重ねて恐縮でありますが、今政府として調査会にこの問題、特に重要な両論併記という問題でございますから、国民的議論もいろいろあると思います。したがいまして、我々はその意見を踏まえた上で、農林水産大臣として最終的な判断、考え方をお示ししたいと思っております。
  76. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 調査会の結果を待たなければ見解が述べられないような農水大臣に日本の農業が預けられますか、総理
  77. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 先ほどのお尋ねですが、恐らく委員の御主張は、国内におきましても今いろいろ生産制限その他やっておられる、このことと、そして生産性の拡大、生産性を上げて食糧増産に挑まなきゃならないということと、世界の飢餓状態ということとの関連においてお尋ねがあったと理解しております。これは我が国は我が国、そうした世界の状況は十分承知をいたしておりますが、と同時に、日本農業として一体どうあるべきかということにつきましての基本的な考え方と整合性を持たなきゃならぬと思っております。  その点につきまして、中川大臣が今申されましたように、基本的な考え方を今取りまとめておられるさなかでございますので、担当大臣といたしましても、総理大臣のもとにあります調査会の結論に対しまして、今のこの時点で考え方を明らかにするということは、調査会で検討されておられる諸先生方に対しましてもあらかじめの考え方を与えるということでございますので、私としては、中川大臣としては十分いろいろお考えは持しておると思いますし、当然調査会におきましては大臣の考え方も述べられると思いますが、この時点におきましては今のような御答弁をもってお許しをいただきたいと思います。
  78. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 新聞の質問には大臣としてちゃんと答えられるのに、委員会で答えられないというのは私は納得できません。
  79. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 申しわけございません。その質問、新聞というのはどういう内容でしょうか、教えていただければありがたいんですが。(大渕絹子君資料を手渡す)この新聞、就任当初、「株式会社の農地取得」について「慎重な検討が必要」というふうな見出しの記事であります。思い出しました。  基本法の議論の中の大きな論点の一つである株式会社の農業経営の参加についてどう答えるかということに対してでありますから、最初からやるべしとか、最初から絶対やっちゃいけないとかいうことではなくて、専門家の皆さんがずっと議論を重ねているわけでありますから、その議論を深めていただきたいという希望を申し上げたわけであります。
  80. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 答えられるじゃないですか。次の問題もどうぞ、四項目答えてください。
  81. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) いや、議論をどうぞ深めていただきたい、調査会あるいは国民あるいは政治の場でも深めていただきたいということを申し上げたわけで、私としては別にこれがいいとか悪いとかいうことは一言も申し上げておりません。
  82. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 そういうことをテレビの前で答えてくださいと言っているんです。
  83. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 質疑があれば挙手をしてお願いをしたいし……
  84. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 さっき質疑はしていますので、重ねてはできません。
  85. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 答弁は正確を期してお答えをいただきたい。
  86. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 「株式会社の農地取得」につきましては「慎重な検討が必要」という新聞記事の見出しになっておりますが、結論的にはそのような趣旨、つまり議論を深めていただきたい。これは基本問題調査会で鋭意やっていただいておりますし、これはまたいろんな場でやっていただくこと、大いに我々としてはそれを参考にさせていただきたいわけでございます。  中川としてどういうふうに考えるかということについては、今申し上げ、また総理からも御答弁あったとおり、私としてはその所管大臣でございますので、この大事な作業に影響を与えるような発言は今の段階では差し控えさせていただき、そして最終報告が出た後に、私を含めいろんなところでいろんな考えを聞き、最終判断をさせていただきたいということであります。
  87. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 昨日、小渕総理大臣を初め閣議を開いて、貸し渋り対策の追加策をつくられたように聞いていますけれども、その内容を教えてください。
  88. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) けさの閣議におきまして、昨日来からも貸し渋り問題についていろんな角度からの御質疑もありましたし、また政府として取り組んでおる問題につきましても御答弁いたしましたが、この際さらに各閣僚におかれまして、この問題についてさらなる貸し渋り対策ができるかどうか、このことについて私から各閣僚に強く要請を申し上げたところでございまして、本件につきましては担当の与謝野通産大臣からもその節も答弁がありましたけれども、通産大臣といたしましても本件につきまして今さらに真剣な検討をされておりますので、答弁をお聞きいただければありがたいと思います。
  89. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) けさの閣議で、小渕総理より各省に対しまして貸し渋り対策をさらに前進させろ、こういう御指示がございました。  貸し渋り対策は、通産省が中小企業を担当しておりますので、その後の官房長官の御指示は来週の金曜日の閣議までにその大綱をまとめろ、こういうことでございますので、各関係省庁と御相談をしまして、来週の金曜日までには大綱をまとめたいと思っております。  その方向はどういう方向かと申しますと、一般の市中銀行は相変わらず貸し渋っておりまして、それを積極的に打開していくためには、やはり政府関係金融機関の融資態度を充実させることが一つであろうと思いますし、また中小企業等、担保を提供する力も保証人を提供する力も、あるいはいろいろな意味で借り入れをするとき力のない方が銀行に行ってお金を借りるときには、やはり各県の保証協会がそういう借り入れを保証する、これがありませんと実際にはお金が借りられないわけでございます。  したがいまして、各県にございます保証協会の内容を充実する。内容を充実するということは、保証協会のいわば財務基盤をしっかりさせるということですから、政府予算にも関係いたしてまいりますし、各地方自治体の予算にも関係してまいりますが、やはり保証協会のそういう保証行為を行う上で背景となる財務基盤をしっかりさせる、そういう方向で解決をいたしたいと思っております。  また、最終的に貸し倒れ損失等が発生した場合に、中小企業金融に関しましては保険公庫といういわばある種の保険会社的な公庫がございます。したがいまして、最終的なバックアップをする保険公庫の力もつけなければならない、そのように思っておりますが、具体的、詳細なことは、各関係省庁とも御相談をしながら来週金曜日までに大綱をまとめたい、そのように思っております。
  90. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 その大綱の中の一点に、ぜひ市町村が中小企業に対して信用保証できる枠組みをつくっていただきたい。その信用保証に対して国が財政的なバックアップをできるシステムをつくれば、その市町村に存在をする地場産業である中小企業の倒産防止がしっかりとできると思います。私は、首長さんあるいは中小企業経営者の皆さんに会って、一番実効性のある対策はそれしかないということを確認してきておりますが、御検討をいただきたいと思います。
  91. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 中小企業に対する融資というのは、地元の商工会あるいは商工会議所がいろいろ取り持ついわゆる無担保無保証の融資というのが実は既にございます。こういうものは地元の商工会、商工会議所が仲介をしてやっております。  各市町村に保証協会があるかといえばそうではなくて、保証協会は大体県にございます。この保証協会が何によって成り立っているのかといいますと、保証協会の収入というのは、国及び地方自治体が出します補助金と、そして保証を行う場合借り入れを行った人からいただく保証料とで成り立っております。しかし、この保証料と国、地方自治体から参りますお金というのは、やはり今の貸し渋り時代に対応するだけの力を保証協会に与えておりません。  したがいまして、保証協会が保証をするときその実際の第一線で保証行為を行う担当者のいわゆる親身になった保証行為を行う態度、あるいはその保証協会全体として保証を行うに足るバックアップをする自分たちの財政あるいは財務の基盤、あるいは最終的に何か起きましたときにそれの面倒を見る保険公庫の力、財務の基盤、こういう全体を力強くしてまいりたい、そのように思っております。
  92. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 従来のシステムでは機能しなくて貸し渋りが起こり企業が倒産をしているんですから、新たに、中小企業が所在をしている市町村はその企業をだれが経営しだれがそこに勤めているか勤め人の顔まで全部わかっているわけです。その地域にとっては欠かすことのできない大事な産業なんですよ。それを守るために、今地方自治体がそういう融資制度をつくって独自に小さな基金でやっているんです。それを何とかもう少し拡大できるシステムをつくる、そのことが私は肝心だということを言っているんですけれども、わかりませんでしょうか。
  93. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 先生の御指摘でございますので、自治省等とも御相談をしながら来週金曜日の大綱までにそのことも検討させていただきたいと思っております。
  94. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 ありがとうございます。  宮澤大蔵大臣先ほど消費税少子高齢化社会を支える大切な税財源であるというふうにおっしゃいました。私も間接税そのものはこれからの日本の将来にとって大事な税制であるということは同じ考えでございます。しかし、消費税が導入をされたときからその最大欠陥は逆進性にあるということを当時の竹下元総理大臣もおっしゃっておりましたけれども、この逆進性の緩和について、宮澤大蔵大臣はどう考えますでしょうか。
  95. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 逆進性であることは否定できないところであると思います。  税制全体としましては、したがいまして低所得者、語弊があるかもしれませんが、所得の少ない人々に対して直接税をなるべくかけないように課税最低限をかなり高く設けておりまして、バランスとしてはそういう意味での直接税の負担を少なくしていくということが税制全体としては一つのバランスと思います。  また、議論にしばしばなりますのは、逆進性のゆえに、生活に非常に必需的な品物については、食料品等々でございますが、課税から除いたらどうかという議論は有力な議論としてございます。そこらが問題点であろうかと思います。
  96. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 問題点は私と共通をしています。私は、国会に来てもう十年目になりますけれども、この間一貫してこの消費税の逆進性についてここの予算委員会の場所でも何度も御質疑をいたし、そしてその逆進性緩和のためにこそ飲食料品の非課税は避けて通れないことを主張し続けてまいりました。そして、その税財源として資産所得の総合累進課税制度の導入もみずからの試算を示しながら御提示をし、そして当時の大蔵大臣からもこれからの課題として検討していくという答弁をいただいているわけでございます。  この不況のとき、国民はひたすら消費税改革を願っています。私は、今度の参議院選挙で地元におきまして、この消費税改革、飲食料品非課税は何としても少子高齢化時代に避けて通れない問題であることを提示し、このことをやりたいということを公約に掲げて、公共事業や恒久減税を掲げた自民党公認候補を破って当選させていただきました。これは大変重い民の声だと私は思っています。  ぜひこの不況の景気対策に、きのう大蔵大臣が言った四兆円の恒久減税の財源を充てていただいて飲食料品非課税に踏み切っていただきたい。全部の国民が恩恵を受け、消費の芽が出て景気回復ができる対策はこれしかない、私はそう思っていますが、いかがでしょうか。
  97. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) この問題は以前から各党の間で御議論になっている問題でございますので、その財源をどうするかということはこれはまたこれで考えるといたしまして、大渕委員の今言われるようなことが果たしてどういう結果になるであろうかということについて、必ずしもその結論が定かでない。  よく言われますことは、生鮮食料品をどういうふうに定義するか、その範囲とかいうことはございます。これは解決できない問題ではないだろう、技術的に多少の問題はあっても大まかには解決できない問題ではないだろうと思います。  難しい問題は、つまり末端で生鮮食料品というものを販売する。その生鮮食料品が生産される前の段階で、申し上げるまでもないんですが、生産に要した機械設備等のコスト、それから流通に要したコスト等々がみんな税をしょいながら末端の段階に参ります。それはいわゆる最終価格に転嫁されておるわけですが、もしそこのところを無税にいたしますと、累積したそういう税は持っていきどころがございません。したがって、これは最終消費者がしょうしかない。それで、しょうとしますと幾らもしょえませんから、いつまでもしょえませんから、それを価格に転嫁するというしか持っていきようがないという問題は、結局消費税を免除して価格を安くしようという試みと反対に、税が転嫁されて価格が高くなってしまうという問題をどうするかということ。  これは逃げるために申し上げるのではありませんで、現実にそういう流通の混乱等、消費者に与える思わざる効果というものをどう考えるかということがございますので、だから何もしなくていいと簡単には申しませんが、一生懸命そこを考えなければいけないと思っています。
  98. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 今も全部の段階にかかっていって物価が形成をされているわけですから、今最終段階で、小売の段階のところだけで飲食料品非課税が実現をすれば、その部分だけは確実に負担が少なくなるというふうに私は思っています。ぜひこれを検討していただいて、これからの将来の税体系をこういう形で持っていくとすればここは避けて通れない問題です。  総理、さっき私は人間の生命維持に食料が欠かせないということを申しましたけれども、その生命維持に欠かせない食料品に税金をかけていることの是非を総理に問いたいと思います。
  99. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 諸外国でも付加価値税を導入している国々におきましては、食料品等につきましては特別の税率を持っておることは事実だと思います。ただ、いずれの国も少なくとも一〇%以上、多いところは二五プロと、こういうような形に相なっておりまして、今五%のこの日本消費税の中で軽減税率をとるということはなかなか難しいことではないか、こう考えております。
  100. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 大蔵大臣は検討すると言ってくださっていますが、総理と見解が違うのですか。
  101. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 私が検討すると申し上げましたのは、これは各党でも随分長いこと御議論になっている問題でございますから、問題が解決していることではありませんで、しかし諸外国にはそういう例もあるわけですから、何かその間にいい現実的な方法はないだろうかということはいつでも、常に考えておかなきゃならない問題だ、こう申し上げました。総理大臣がこれをそのようにおっしゃいますと、あすにでも実現するかというような印象を、総理の言明というのは重うございますから、それでそういうふうに言っておられるんだろうと思います。  私も、長いこと検討している問題でございますからすぐに答えが出るとは思っておりませんけれども、問題意識は依然として持っておるということでございます。
  102. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 もう一点、先ほど申し上げました資産所得の総合累進課税についてどうでしょうか。
  103. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) これも大変いきさつのある問題でございまして、そのときそのときの政策課題によりまして答えがいろいろになってくるわけでございますが、本来の理想はすべてのものが総合所得として課税されるということでございましょうけれども、長い経緯の結果今のようなことになっておりますので、ここにも問題がいろいろございますし、抜本的な税制改正をするときにはそういう問題がまた出てくるであろう。キャピタルゲインでありますとか利子所得でありますとか、片方で取引の簡素化、安定というようなこともございますから、将来全般的な税制改正をやりますときにはやはりこの問題は問題として検討されなければならない一つだと思います。
  104. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 四月一日に改正外為法が施行されましたけれども、千二百兆円に上ると言われる国民の預貯金の動向についてお尋ねをいたします。
  105. 黒田東彦

    政府委員(黒田東彦君) お答えいたします。  御指摘のとおり、ことしの四月一日から外為法が全面改正になりまして、一部残っておりました資本取引についての事前許可あるいは事前届け出というのがすべてなくなりました。その結果、この四月から六月までの数字が把握されておりますけれども、それによりますと、本邦資本、つまり日本の居住者のお金は四月から六月の間で対外的に約三兆円の流出になっております。ただし、昨年の同時期、四―六月は約十一兆円出ておりましたので、むしろことしの四―六月は昨年に比べると流出は減っているということでございます。  他方、外国資本、外国の資本が入ってきたものが出たり入ったりしますけれども、その外国の資本について見ますと、この四―六月で実は四兆以上出ておりまして、ちなみに前年の同時期には外国の資本は相当大きく入っておりましたので、この時期に外国の資本は四―六月に出ていったということでございます。  すなわち、外為法の改正によって何か日本の居住者の対外資本の流出がふえたということは、少なくとも現在の統計で見る限り起こっていなかったということでございます。
  106. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 その急激な流出を防いでいるのは円安だと言われていますけれども、それについてはどうでしょうか。
  107. 黒田東彦

    政府委員(黒田東彦君) 確かに資本の流出入の要因としてはいろいろなものが考えられると思いますが、為替の動向であるとかあるいは内外の金利差であるとかその他が非常に大きな役割を持っておりまして、この為替管理法の改正による影響というのはそれほど大きくないというふうに思われます。  ただし、最近の円安が本邦資本の流出の量を少なくした、とめたということは必ずしも言えない、そういう御議論もあることはあるんですが、必ずしもそういうふうに一般的に市場では言われておりませんでして、むしろ最近の円安についてはいろいろな要因からそういうことが進んだ、それに対して政府としては懸念を表明し、適宜適切に対処するということをしておりますけれども、この円安が資本の流出をとめているということは、必ずしも一般的には言われておらないというのが現状でございます。
  108. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 大蔵大臣に聞きますが、円はアジアの通貨の基軸になり得ますでしょうか。
  109. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) ただいままでのところなっておりません。  それにはいろいろ理由がございますけれども、戦後かなり長い間、最近までと申し上げてよろしいかもしれませんが、日本政府としては余りそういうことに積極的でなかったということがあると思います。それはやはり、基軸通貨となりますれば、日本政府経済財政の運営に一つの義務と申しますか荷物がかかってまいりますので、それがどうであろうかということ。また、円を持つ方の側からいたしますと、持つ以上はそれを十分に短期市場で運用できなければ危なくて持てませんが、そのためのいわゆる財務証券、短期証券のようなものをそういう自由市場で放出をする、取引をさせるということに日本政府は積極的でございませんでした。  したがいまして、持とうといたしましてもうまく運用の方法が与えられていないといったようなこともありまして、ここまでのところ基軸通貨になっておるということはもとより申し上げることができません。  ただ、私の前任者が、比較的最近の機会におきまして円の国際化ということをもう少し積極的に考えるべきではないかという発言をしておられまして、それについての若干の検討は政府部内で行われております。
  110. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 五月ごろに前大蔵大臣が円のアジアの基軸体制というようなことを主張して、そのことに対してアジアも反応したわけですけれども、八月に入って急激に円のアジアの通貨基軸化というのがしぼんできている。そして、それとあわせてアジアの新たな通貨を考え出したらどうかというようなことが議論をされているやに聞きますけれども、日本はその議論に参加をしていますか。
  111. 黒田東彦

    政府委員(黒田東彦君) 御指摘のとおり、アジア諸国の中から、最近のアジア通貨危機にかんがみまして、ドルにペッグする為替方式を見直し、具体的に言いますと昨年からほとんどの国がドルペッグを廃止しておりますし、国際通貨としてドルにだけ過度に依存するということは望ましくないということで、新しい方向を模索している段階でございます。  その際には、一つのあり方としては、ドルだけでなく、来年から創設されますユーロあるいは円、さらにはアジア地域の中の通貨というものをもっと国際取引に使ってはどうかという動きが出ておりまして、そういう関係につきましては、日本とASEAN諸国との間の蔵相会議あるいは蔵相代理会議というものができておりまして、そこで今申し上げたような問題についての協議を始めております。
  112. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 歴代総理として、小渕総理は初めて環境ホルモンという問題を所信表明で取り上げていただきました。私は早急に法制化をすると踏み込んでおられる大臣に非常に感謝を申し上げますけれども、その大臣のお考えとは裏腹に、通産省と環境庁が、それぞれの省益といいますか、そういうことに関連をしながら環境保全に対して、あるいは化学物質の規制について非常に対立をしている場面がこの間多く見られます。そのことについて私は懸念を持っていますけれども、総理から通産大臣に対して、これからは地球環境保全を優先すべきなんだということをぜひ指導して、リーダーシップを発揮していただきたいというふうに思っていますが。
  113. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) いわゆる環境ホルモン問題につきましては、言うまでもありませんが、国民の健康や生態系への影響を防止する観点から極めて重要な問題と認識いたしております。  このため、OECDの活動に積極的に協力するなど国際的な連携を図りつつ、鋭意調査研究を推進し、この問題の解決に努めてまいりたいと思っておりますが、それぞれ所管する省庁におきましての考え方もあろうかと思います。  しかしながら、結論から申し上げれば、今申し上げたように人間の体に非常に大きな影響を与えるのではないかという研究等が進められておるわけでございますから、そうした観点に立ちますれば、当然これは政府を挙げて取り組まなきゃならない問題と認識しております。
  114. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 今は大変金融危機の時代と言われていますけれども、その陰に隠れて本来の人類の危機というのは別なところで進行しているんだということを私はしっかりと申し上げ、政治がそこに果たす責任の重さということを主張させていただきまして、関連質疑に移らせていただきたいと思います。
  115. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 関連質疑を許します。照屋寛徳君。
  116. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 私は、小渕内閣の発足に当たり、総理を初め内閣挙げて沖縄の基地問題の解決や振興策の樹立に強力に取り組まれることを御要望申し上げたいと思います。  そこで、小渕総理に、沖縄の基地問題や振興策などについての所信をお伺いいたしたいと思います。
  117. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 基地問題を初めとする沖縄の抱える諸問題につきましては、今後とも全力を挙げて取り組んでまいりたい、このように考えております。  米軍施設・区域の整理、統合、縮小、これにつきましても外務大臣時代と同様の考え方をぜひ進めてまいりたい。特に、沖縄県の御要望を踏まえつつ、日米両国政府で最大限の努力を払ってまとめられたSACOの最終報告の内容を着実に実施をいたしてまいりたい、このように考えております。そのことが沖縄県民の御負担を一歩一歩軽減する最も確実な道である、このように考えておりますので、政府としては、最終報告に盛り込まれた措置を的確に、そして迅速に実施に向けて努力をいたしてまいりたいと思っております。  なお、沖縄振興策への取り組みにつきましても、沖縄経済の厳しい現状を踏まえるとともに、今後沖縄経済の持続的発展を確保する上で自立型経済への移行に向けた取り組みが重要と考えております。  こうした認識を踏まえまして、政府としては各般の取り組みを行ってきたところでありますが、今後とも施策の着実な前進を図るべく最大の努力をいたしてまいりたい。  なお、振興策の検討に当たりましては、基地問題との関係は当然無視することができません。この点からも基地問題の現実的な進展を強く期待いたしておるところでございます。
  118. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 沖縄の基地問題や振興策を考える原点は、私は沖縄戦と二十七年間のアメリカの軍事支配だというふうに思っております。  そこで、小渕総理に、沖縄戦とそれに続くアメリカの軍事支配についてどのような御認識を持っておられるか、お聞かせ願いたいと思います。
  119. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 過ぐる大戦におきまして国内唯一の地上戦を経験し、多数の県民のとうとい命が犠牲となり、戦後二十七年間の長きにわたりまして外国の施政権下に置かれるなど、沖縄の戦中戦後を通じた歴史は筆舌に尽くしがたい苦難の連続であったことを、私自身も政治家としての思考と行動の原点として心に刻み沖縄問題にこれまでも取り組んできたところでございます。  橋本前総理は平成八年九月十日に内閣総理大臣談話を発し、過ぐる大戦において沖縄県民が受けられた犠牲と今日まで沖縄県民が耐えてこられた苦しみと負担に対しまして私たちの努力がいかに不十分であったかを反省し、沖縄の痛みを国民全体で分かち合っていくことが大切であることを表明いたしたところでございます。  私は、さきに述べた認識のもと、こうした前内閣の沖縄問題に係る方針を継承し、基地問題を初めとする沖縄の抱える諸問題に対して今後とも全力を挙げて取り組んでまいりますが、重ねて、私自身も復帰以前の時代に沖縄に参りまして、学生の時代からその復帰運動にいささか尽力をいたした者といたしまして、自来長きにわたりまして沖縄の問題にかかわりを持たせていただいてまいりました。そうした気持ちを今日もなお持続しながら、この沖縄の皆さんのお気持ちをお気持ちとして、これから全力を挙げてその解決のために努力をいたしてまいりたい、このように考えております。
  120. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 総理は、所信表明演説で、沖縄県の協力と理解のもと、SACO最終報告の実現と振興策に取り組むと述べられました。具体的にいかなる方法で沖縄県の協力と理解を得るのか、御所見をお伺いいたします。
  121. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 先ほど私が申し上げましたように、沖縄の現状を考えましたときに、政府としてあらゆる努力を傾注しなければなりませんが、当面、先ほど申し上げましたように、SACOの最終報告に基づきましてこれを着実に実現していくということに全力を投入してまいりたい、このように考えております。
  122. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 私がお伺いしたいのは、そのSACOの最終報告を実現するには、これはやっぱり沖縄県の協力と理解がなければだめだと総理自身がおっしゃっているわけですから、いかような方法で県の協力と理解を得ようとしているのか、そのことをお聞かせ願いたいわけであります。
  123. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) SACOの最終報告のでき上がります過程におきましては、沖縄県当局のお考えも十分これを入れながらその最終報告ができ上がっておるわけでございます。そういった意味で、現在の沖縄県におけるすべての方々の御協力、御支援を得ながら、我々としてはぜひこの最終報告が実現できますように、諸問題につきまして県民の皆さんの御意思を承りながら対応していきたい、このように考えております。
  124. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 総理は大田知事と会談をする用意はおありでしょうか。
  125. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 現在まだ、私、総理になりましてからそのような御要望をいただいておりませんけれども、それぞれのお考えがあられるかと思いますので、我々としてはそうした考え方にのっとりまして、必要があれば会談をいたし、要は県民のためになることでありますればその方向で努力もしなければならぬと思っております。
  126. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 私は、なるたけ早い時期に総理と知事が会談をして、率直な意見交換をされることを強く御要望申し上げたいと思います。  海上ヘリ基地問題についてお伺いをいたしますが、社会民主党は海上ヘリ基地建設には反対であります。また、沖縄では参議院選挙で海上ヘリ基地反対の島袋宗康候補が当選をいたしました。大田知事も二月六日に海上ヘリ基地建設に反対する旨表明をされております。  私は、海上ヘリ基地建設に反対する、これは沖縄の民意である、その民意を政府は尊重すべきだと考えておりますが、海上ヘリ基地建設問題についての総理の所信をお伺いいたします。
  127. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 政府といたしましては、かねて申し上げておりますように、普天間基地の全面返還のためには代替するヘリポートの基地を建設しなければならないと考えておりまして、従来その計画につきまして沖縄県の御協力を得られるべく努力をいたしておりますので、ぜひ県民の皆さんの御協力をいただきたい、このように考えております。
  128. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 橋本前総理は、海上ヘリ基地は地元の頭越しには建設しない、強行しない、こういうふうに言明をしておられましたが、小渕総理はいかがでしょうか。
  129. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) かなりいろいろの経過がございましたけれども、そのこと、すなわち頭越しでそうしたものを強行するというようなことは、これは絶対避けるべきだと考えております。
  130. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 来る十一月に知事選がございます。恐らく最大の争点は海上ヘリ基地建設問題だろうというふうに思います。政府は、海上ヘリ基地反対を明確にしている大田知事が三選された場合、海上ヘリ基地建設を断念すべきと考えますが、いかがでしょうか。
  131. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 県民の意思を明らかにする県知事選挙のございますことは、これは法の定めるところだろうと思いますが、その選挙結果につきまして、またいかなる選挙が行われるかにつきまして、私の立場から今申し上げることは適当でないと考えております。
  132. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 井上沖縄開発庁長官、二度目の沖縄開発庁長官の御就任おめでとうございます。  長官に沖縄の振興策に取り組む御決意をお伺いいたしたいと思います。
  133. 井上吉夫

    国務大臣井上吉夫君) 私は、昨日、大田知事が見えられましたのでお会いをいたしました。中身は平成十一年度の国庫支出金についての要請でございます。言いかえれば、平成十一年度に向けて、財政事情は大変厳しい時期ではあるけれども、沖縄の振興開発に向けての諸施策を必ず実現に向けて努力をしてほしいということでございました。  私は、照屋議員仰せのとおり、今回で二回目でありますが、平成元年のときの事情とは随分事情が変化をしておると思います。とりわけ、基地をめぐる最近の動きというのは、九年前と随分と変わってまいりましたが、そのことよりも、私は、本土復帰以来三次にわたるこの振興開発計画に基づく総額五兆円を超える投資は相当な効果を発揮いたしまして、総体としては着実にいわば振興が成果を上げてまいっていると思いますが、それでもなおかつ、昨今の大変厳しい経済情勢と雇用情勢を見ますと、全国平均四%台の失業率が沖縄の場合は八%に近い失業率、そういう雇用の情勢でもあります。  したがって、まだまだ社会資本も相当手を入れなきゃならぬ、かてて加えて自立する沖縄、それを目指すためにはまだまだ産業基盤なり産業対策なりというものに相当力を入れていかなきゃならぬなと思っておるところであります。したがって、そういうことが着実に前進するように全力を挙げて頑張っていきたいなと。  しかも、沖縄県自体でもそういう思いで取り組んでいただいておりますし、今年成立をいたしました新しい法律に基づきまして、特別自由貿易地域なり観光なりあるいは情報産業なり、そういうことあたりに対する特別な対策を十分に駆使しながら、その成果が上がるように頑張っていきたいなと思います。  このことにつきましては、公式に要請を受けた大田知事に対する答えと同時に、開発庁と県はしっかりと絶えず連携をしながら、その間に溝が起こらないように、沖縄のためじゃありませんか、一緒に頑張っていきましょうということを申し上げました。そのことが照屋議員の質問に対する私の気持ちでございます。  お答えをいたします。
  134. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 百二十九万県民が井上長官の御活躍に期待をいたしておりますので、ぜひ御奮闘いただきたいと思います。  それで、昨今、基地問題、特に普天間基地が動かないからもう沖縄の振興策をやらぬでもいいなんという暴論がありますが、長官、基地問題と振興策の関係についてどのようにお考えでしょうか。
  135. 野中広務

    国務大臣(野中広務君) 照屋議員御承知のように、基地問題と振興策とはそれぞれリンクするものでございまして、SACOの合意に基づきまして今日まで進めてまいりましたことは、照屋議員も十分御承知のように、平成八年一月二十三日に、大田知事から橋本総理に普天間の飛行場の現状と、そしてそれをぜひ返還してもらいたいという要請を受けられました。翌月、クリントン大統領と橋本総理は会談をし、要請をし、そして四月十二日、この普天間飛行場の返還が決められたことは御承知のとおりであります。自来、一つの県の知事と十七回にわたって橋本総理は魂と魂をぶつけながら話し合いをしてまいりました。残念ながら、ことしの二月六日、名護の市長選挙を通じて大田知事が海上ヘリポートの拒否を表明されたわけでございます。  したがいまして、その経過を思うときに、私どもは何とかして沖縄の基地のこの重圧を和らげていきたい、そのために県道一〇四号を初めとして、本土のそれぞれの地域に五カ所、十分ではないでございましょうけれども、それぞれ当該地方公共団体住民の皆さん方の協力をいただいて、そして移転を進めてきたわけでございます。  けれども、海上ヘリポートというのは、先ほど総理も申し上げましたように、普天間の機能を生かしながら規模を縮小し、そして環境を考え、そして基地が必要でなくなったときには撤去可能ということの最大の選択肢として決めたものであり、その間二年間、沖縄県からはそれに対する意見が示されないまま来たわけでございます。そして、ことしの二月に至ったわけでございます。その後、改めて何らの新しい提案もないわけでございます。SACOが合意され、そして普天間の基地がこの機能を代替する状態が出てこないと、振興策というのは同じようにリンクして動かない状態が出てくることを恐れます。  私は、知事が今日に至って、昨日、記者のぶら下がりでありますからわかりませんけれども、海上ヘリポートについてはハワイかグアムに持っていくべきだ、あるいは県外移設だと、こんな、もう二年間の本当に橋本総理との話し合いを完全に無視したような発言をされるのは、たとえ選挙前としても守礼の邦としていかがなものであろうかと残念に思うほど悲しい思いをしております。  我々はこれからも沖縄のこの痛みを歴史のかがみとして、そしてその痛みが解消できるように一層誠意ある話し合いを続けてまいりたいと思いますけれども、県当局におかれましても、また今日までの経過を真摯に受けとめて、そして対応をしていただきたいと思うものでございます。
  136. 井上吉夫

    国務大臣井上吉夫君) 野中官房長官から、普天間基地問題が解決することが、沖縄の国際都市としてのいろんな計画を進めている実態の問題としてどうしてもこの問題がクリアしないとという、そういう思いを込めてのお話がありました。  ただ、沖縄の振興開発の全体像として考える場合は、そのために私はすべてをストップするというつもりはありません。振興開発計画は着実にやってまいります。  ただ、その中の重要な項目であるという実態については御認識をいただいて御協力いただき、沖縄の発展のためにこれがないと肝心な目玉が入らぬというほど重要な問題であるという御認識はぜひ共通の認識として持っていただきたいとお願いをしておきます。
  137. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 官房長官の人の道に反する論議については月曜日にまた改めてやりたいというふうに思っております。  沖縄は戦後五十三年余り日本の安全保障の犠牲と負担をひたすらに強いられてまいりました。今なお膨大な米軍基地が存在する沖縄の現状について、防衛庁長官、いかなる認識と所信をお持ちか。また、大臣として在沖米軍基地の視察を早急に行うべきだと考えますが、決意のほどをお聞かせいただきたいと思います。
  138. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 照屋委員にお答えをいたします。  私は、先般、防衛庁長官を拝命いたしましたときに、小渕総理から沖縄問題は最重要課題であるから一生懸命頑張りなさいというふうに言われておりまして、私にとりましては最重要課題であるということをお訴えしたいと思っております。  私が沖縄問題について最初にというか大きな関心を持ちましたのは九四年のことでございました。それは北朝鮮で核開発の疑惑が起こったり、あるいは少女暴行事件が起こったりしたときであります。たまたまそういうときに前の総理の橋本龍太郎先生が自民党の総裁選に立候補いたしまして、この沖縄問題につきましてお互いに鉛筆をなめながら原稿を書いたことがあります。それは自由民主党立党四十周年記念の講演のあいさつの中で書かれておりますけれども、それをちょっと引用させていただきたいと思っております。   沖縄の返還は、私が政治の師と仰いでおりました佐藤栄作総裁が、まさに、政治生命をかけて成し遂げた歴史的な業績でありました。あれから二十三年、沖縄の方々の苦しみ、悲しみをわれわれ政治家が、真に分かち合い、励まし、和らげる努力を、十分にしてきたのかと考えると誠に、ざんきの念に耐えません。   このことは、米国の問題ではなく、われわれ日本人、われわれ日本の政治家の問題であります。さる十一月二十日、沖縄基地問題に関する日米の行動委員会が発足し、一年以内に結論を得ることになりました。この問題の解決こそ佐藤総裁の業績を受け継ぐわが自由民主党に課せられた使命であることをここに強調しておきたいと思います。  これは当時の橋本総裁のごあいさつでございました。  それ以来、私は沖縄の問題に大きな関心を持ってまいりまして、二年前に大蔵委員長を拝命したときに、大蔵委員長として、沖縄県の経済の自立を考えるときにどういうことをなさるのがいいのかということで、沖縄の現場を見せていただきました。そして、今日に至っているわけであります。  今、照屋先生の御質問に対しましてお答えをさせていただきますならば、沖縄県に所在する施設・区域は復帰三十年近くたっても依然として日本のほかの都道府県に比べまして大変大きな部分を占めているわけでありまして、日本全国にある施設・区域の約七五%を占めているということは私もよく承知をしていることでございます。特に沖縄本島の中枢部にそういう施設や区域が多くありまして、沖縄県民の皆さん方の生活にとって不安を醸し出し、また発展基盤の障害になっていることもよく理解をしているところでございます。その上、さまざまな基地における演習訓練の騒音だとか事件や事故が起こったりしてきていることもよく承知をしていることであります。  このことから、私は、沖縄の米軍基地の整理、統合、縮小につきましては今後も努力をしていかなければならない。沖縄県民の心、それから沖縄県経済の発展、そして沖縄の米軍基地の整理、統合、縮小と我が国の安全保障、この三つの視点から総合的に考えて、お互いが三方一両得を図っていくような形で真摯に対応していくことが大事であるというふうに思っております。  私も防衛庁長官といたしまして普天間基地の対策本部長を務めておりますので、まじめにそういう大きな観点から沖縄県民の皆さん方と率直に話し合いをして解決の糸口を見出し、一歩一歩前進をさせていただきたいというふうに思っております。  また、できるだけ早く沖縄の実情を視察したらどうかという御提言に対しましては、私も就任早々そういうことを心の中で思っておりまして、国会の日程を考えながら、できるだけ早く沖縄の視察を行いたいというふうに思っております。  以上です。
  139. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 以上で大渕絹子君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  140. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 次に、星野朋市君の質疑を行います。星野朋市君。
  141. 星野朋市

    星野朋市君 私は、自由党の星野朋市でございます。  まず、質問に先立ちまして、米軍がスーダンに対してテロ攻撃に対する報復攻撃を行いましたけれども、この件について、総理の御見解がございましたらお願いをいたします。
  142. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 今朝、私のところにも米国によるスーダン、アフガニスタンのテロ関連施設爆撃につきましての報告をいただきました。早速に外務大臣、官房長官を初めといたしまして、この問題につきまして協議をいたしました。  ただ、現時点におきまして、実はこの委員会に入りますまでには事実関係の詳細につきましてまだ十分な資料を得ておりません。したがいまして、そのことを前提にして申し上げるわけでございますが、我が国としては、先般のケニア、タンザニアにおける大変なテロ事件に対しましては、これは断固とした対応をとるべきものと考えておりまして、今般の米国による軍事行動につきましては、事実関係の詳細について調査中でございますが、米国のテロリストに対する断固たる姿勢は理解できるものと考えております。
  143. 星野朋市

    星野朋市君 それでは本題に入りまして、まず小渕総理にお聞きをしたいと思います。  小渕総理は、今度の内閣経済再生内閣と名づけておられますが、総理は橋本前内閣からのツケを背負っておられるとお考えでしょうか。例えば一つ申し上げますと、橋本総理が思いつきのようにやった例の定額の減税、特別減税、こういうものがこれからの経済施策に相当な影響を及ぼすと思うんです、私は後から減税の問題でそのことを申し上げますが。そういうことを含めて、大きなツケを背負っておられるとお考えでしょうか。
  144. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) お言葉でございますが、前内閣の思いつきと言われますが、私はいわゆる単年度における減税、これは当時におきまして、日本経済が極めて下降線をたどっておる、こういう中で消費のマインドというものを考えなきゃならぬ、こういうことで減税という効果考えながらこれを行ったということは、その時点におきましてはそれなりの適切な対応であった、このように考えております。
  145. 星野朋市

    星野朋市君 減税の問題だけがクローズアップされて取り上げられておるんですけれども、実は各個人にとってはいわゆる国民負担率というもの、これが大きな課題になっているわけです。  それで、今、所得が一千万ぐらいの人だと国民負担率というのは三七・五%ぐらいになりますか、そのうち国税が一四・五%で地方税が九・五ぐらい、それから社会保険料が一三・七ぐらいになりますか、大体国税と社会保険料というのがほぼ同額なんです。  ところが、これから社会保険料の負担の方がだんだん高くなっていく、この事実は変えられないんです。そうすると、所得が七百万ぐらいの一番今度も減税の対象になっているこの人たちは、国税に対して社会保険料の方がほぼ倍ぐらいになっていく、こういう状態が橋本内閣から残されちゃっているわけですよ。ここら辺をどう解決していくか。  それから、財革法の凍結もしくは廃案というのが話題になっていますけれども、これは去年の十一月に財革法が成立して、その後六カ月、ここで改正が行われた。私は、この財革法の改正のときに、半年先が読めない内閣日本の将来を任せられるか、こういう詰問をいたしました。それが今度は、わずか三カ月の間に廃案であるとか凍結であるとか、そういう言葉で語られております。  今度の内閣予算編成に関してこの財革法を廃案もしくは凍結という形で行われようとしているのは、まさにこれは行政の法律違反。この財革法を凍結もしくは廃案という形でまず国会で決めていただいて、その後で予算編成を行うのが筋だと思うんですが、その点に関しては、総理、いかがお考えですか。
  146. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 財革法の凍結もしくは廃案という仰せでございましたが、この点は総理の指示によりまして既に凍結というふうに政府の態度を決定しておりますので、そのようにひとつ御了承賜りますようにお願いいたします。  この問題は、こういうふうに私どもは考えております。例えば、予算が歳入補てん公債を発行することによって編成されますような場合、その予算案を国会に提出いたしますと同時に、これは特例公債になりますので特例に関する法律案を提出いたしておりまして、それは特例に関する法律案を御承認いただくことを前提にいたしまして予算案というものの成立が可能になる。したがって、同時というふうに考えております。  そのことは、ただいまお尋ねの場合も同じように考えておりまして、政府部内におきましては凍結を前提にいたしまして予算の編成、減税等を考えておりますが、これが国会に提出の上、御審議をいただく段階におきましては、それと矛盾しない形で財革法を凍結しなければならない。恐らくそういう事態になるであろうと存じますが、したがいまして同時に提出をし、御審議を願うということ、行政の内部におきましては一つのことを前提にして作業をいたしますが、国会に御審議の段階において両方がそろって出るということで法律上問題はなかろう、こう考えております。
  147. 星野朋市

    星野朋市君 この問題についてはさらに議論を私は深めていきたい、こう思っております。  次に、金融監督庁にお伺いをいたします。  今、非常に問題になっている日本金融機関不良債権問題、私は前国会から不良債権と言わないで問題債権と言っているんですが、これは大蔵省が去年の暮れまでは二十八兆円、こう言っておった。それが、一月十二日に自己査定において七十六兆七千億円になった。これはいろいろ問題があるんですね。  そして、経緯をさらに申し上げますと、三月末に例の各行一千億ずつ公的資金の導入を図ったときに、主要十八行について、三行だけはSEC基準でもってこの問題債権を開示した。残りの十五行はそのときに間に合わないで五月中にこれはやったはずです。ここが一つ問題なんですが、それで七月の初めに今度は出てきた数字が八十五兆五千億ですか。そして、それは一月十二日に発表したときとベースが違っているんです。前は第二地銀までを入れてそう言ったのが、七月に発表したときはそれに信金、信組と農林中金と信連までを加えてきた。ベースが違っているんですね。そしてSEC基準でもってやったと。農協は入っていません。  それから、主要十八行だけで三月末に十兆四千九百億円、地銀まで入れて十数兆の償却をしている。そういう経過が専門家のごく一部だけでわかっているんです。だけれども、一般の人はわからない。だから、日本不良債権は一般的には百兆ぐらいあるんだろう、こう言われているんですが、その経過について、金融監督庁はきちっと整理をして説明をしていただきたい。
  148. 日野正晴

    政府委員(日野正晴君) お答えいたします。  不良債権という定義でございますが、これはいろいろな切り口があることは今、委員御指摘のとおりでございます。  まず、最も基本となりますのは、これは前回の国会で御承認いただきました金融システムの改革法によりまして銀行法が改正されました。そして、従来と違いまして来年の三月期からは単体のみならず連結ベースで、しかも懲役一年以下という罰則つきの大変厳しい、不良債権がリスク管理債権として公表を義務づけられております。これが、最も法律上のミニマムルールと申しますか、全金融機関に対して義務づけられている不良債権の公示であろうかと存じます。  次に、ただいま御指摘になりました、全国の銀行の中でも信用組合あるいは信用金庫については違う基準で発表されているではないかという御指摘でございました。  これは、この新しい法律が通りまして、全国銀行協会がことしの三月期の決算から新しい基準に基づいて不良債権を集計して公表することとなりました。しかし、銀行については確かにスピーディーにこの基準を適用することが可能でございましたけれども、信用組合などの金融機関につきましては若干その点おくれましたので、前回金融監督庁で七月に集計いたしました不良債権の集計につきましては、確かに御指摘のとおり、従来基準分と新しい基準分とが混同して入っておりますので、普通読みますと、従来の基準と比較して読むとなかなか難しい点はございます。  そういった事情がございますので、しかし少なくとも新しい基準で今度作成いたしました金融機関につきましては、この一月から三月にかけまして大蔵省が仮に集計したその分と比較可能なような集計になっていると存じます。  それから、もう一つの切り口は、もう御案内のとおり、各金融機関が決算に備えましてそれぞれ査定をいたします。これは自己査定と申しておりますが、この自己査定は決算に向けての準備として行われるものでございまして、決算に向けてはこの自己査定の上でさらに公認会計士、監査法人の監査を経て決算が確定いたしますので、それに向けての準備ということで自己査定としての不良債権が集計されることになろうかと思います。  これも金融監督庁におきましては、各行からその報告を受けまして、前回、全体につきましてこれを集計した結果をディスクローズしたところでございまして、それが先ほどお話のありました八十とか六とかいう数字になっているわけでございます。  以上でございます。
  149. 星野朋市

    星野朋市君 私はこういうことを言っているんですよ。一たん発表した数字だったならば同じベースでもって次はどうなった、こういうことでやってもらいたい、こう言っているんです。いつも基礎が違っていたらこれはわからない、こういうことなんです。  それから、引き続き金融監督庁長官にお伺いをいたしますが、今の御説明の中で連結ベースというお話が出ましたけれども、金融監督庁は銀行本体だけを検査する、こういうお答えがたしか衆議院であったと思うんですが、その関連会社は検査できないんですか。
  150. 日野正晴

    政府委員(日野正晴君) 連結ベースの決算、これのディスクローズと申しまして、連結というのは、御案内だと思いますけれども、子会社として子会社の株式を五〇%以上持っているというのがいわゆる連結会社ということになるわけでございまして、これは銀行の子会社、銀行がその五〇%以上の株式を所有している場合が連結ベースということになります。  ただ、それ以外の銀行につきましては、これはいわゆる連結ベースとは違いまして、持ち分法とかいろいろな会計法上の処理の方式がございますが、いわゆる関連会社につきましては、株式を所有していない場合はもちろんですが、私どもの銀行法上の権限に基づきますと、本体のみを検査することができる、こういうことになっておりまして、その関連会社につきましては、子会社は格別でございますが、本体の金融機関を通じて関連会社との財務の内容のチェックをするということになろうかと存じます。
  151. 星野朋市

    星野朋市君 そうしますと、例の問題になっている長銀の件なんですよ。長銀は関連会社が幾つあるか、わかっているだけで六十数社、さらにその中にペーパーカンパニーが十一社あります。これがいろいろ問題になっていて、これは三月末の公的資金の注入に関しては特に千七百億円もつぎ込まれている。そのときの七人委員会のいわゆる答弁というのがどうなっているか、リストラ策、そういうものがどうなっているか、本来はこれは明らかにしないとおかしいんですね、税金を注入するんですから。  それで、長銀の破綻の問題がここへ出てきて、超法規的な救済措置だとかいろいろな問題が急速にこの一週間出てまいりました。昨日の夜に総理まで交えて住友信託との間の合併促進という話をなさったのは、いよいよ長銀がそうでもしなければおかしくなるから、そういういわゆるがけっ縁になったんじゃないかと私は思うんですが、きのうどんなお話をされたのか、お聞かせ願いたいと思います。
  152. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 衆議院の予算委員会におきましても長銀と住友信託の合併問題について問われましたので、これはそれぞれ民間企業同士の合併のお話でございます、しかしながら政府としても極めて注目をいたしておりますと、こう申し上げておりました。  そこで、この長銀におけるリストラ計画といいますか、そういうものにつきましてかなり大きなその方針が進みつつあるという監督庁長官のお話もございましたので、この機会に両行が円満に合併に至ることは望ましいことではないかと思いまして、私として住友信託の高橋社長とお話をいたしまして、どういう経過になっておるかということにつきまして私なりに関心を深くし、そして結論的に大きく言えば、やはり金融システムの安定、そしてこれまた預金者の保護という大目的のために、この合併につきまして、もしできることなれば政府といたしましてもどういう協力ができるかということにつきましてお話し合いをさせていただいた次第でございます。
  153. 星野朋市

    星野朋市君 監督庁長官、一言だけ答えてください。長銀は債務超過じゃありませんか。
  154. 日野正晴

    政府委員(日野正晴君) ただいま私どもが持ち合わせている情報では、債務超過ではございません。
  155. 星野朋市

    星野朋市君 私は、金融監督庁の検査の順位があったと思うんです。その中で長銀は第一位だったと思うんです。それから、私が先ほどから申し上げているように、本体とその他関連会社を含めたらどうなるか、これが重要だと思っております。  それから、先ほどちょっと触れましたので、大蔵大臣減税についてお尋ねをいたしますけれども、今、小渕総理が四兆円の定率減税ということをおっしゃったのは来年度のことですか。それとも、まだ橋本総理が約束して二兆円残っている定額減税分があります、あれを含めてのことなんですか。税務会計年度と一般会計年度にずれがありますから、そこのところがよくわからない。それで、四兆円というのは新たな四兆円の定率減税なのかどうか、そこのところを明確にしていただきたいと思います。
  156. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 新たな四兆円でございます。  私どもが今考えておりますのは、平成十一年分の所得、一月からの所得でございますが、これについて四兆円の減税をいたそうと考えております。他方で橋本総理時代の定額減税四兆分がただいま進行しておりますが、それはそれで終わりますので、御提案をいたそうとしておりますのは、平成十一年分の所得につきましての新たな減税でございます。
  157. 星野朋市

    星野朋市君 時間が来ましたので、終わります。
  158. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 以上で星野朋市君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  159. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 次に、西川きよし君の質疑を行います。西川きよし君。
  160. 西川きよし

    西川きよし君 おはようございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。  選挙が終わりまして、最初の質問をさせていただきます。これからも初心を忘れずに、小さな声を、また弱い立場の人たちの声をしっかりと受けとめて頑張ってまいりたいと思います。  早速ではございますが、総理にまずお伺いいたします。  掲げられました財革法の凍結の問題でございますけれども、その判断に至った総理の真意、心のうちをまずお聞かせいただきたいのと、この財革法につきましては、前総理が、財政構造改革には痛みが伴うけれども、その痛みを覚悟した上で何としてでも改革を進めていかねばならないと、強い決意で導入されたわけですけれども、例えば病院の支払いが高くなって病院へ行くことをちゅうちょするなど、全国のお年寄りの皆さん方、本当に困っておられる方がたくさんいらっしゃるということは総理も御存じだと思います。  私がこの質問をきょうさせていただくに当たりまして、周囲の方々が、小渕さんという人はどういう人なのか人物像がはっきりしないので、自己紹介なども含めて御答弁をいただけたらありがたいと思います。  どうぞよろしくお願い申し上げます。
  161. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 私も前の内閣におりましたので、橋本前総理、西川議員の質疑応答をお聞きいたしておりまして、特に委員に対して全国から寄せられたお手紙等を御披露されながらお訴えを兼ねてお話をされ、それに対して政府としても一つ一つ懸命にお答えをされたことを拝見いたしておりました。  私も、橋本総理のように厚生といいますか社会保障の問題は詳しくはございませんけれども、気持ちとしては、そうした大変いろいろな障害を持たれた方々等につきましてもお気持ちを持ってこれから全力を挙げて政治の道で取り組んでまいりたいと、このように考えておる次第でございます。  それから、税の問題について触れられましたが、これは実は私が総裁選挙という自由民主党の中の選挙のときに公約として発表いたしました。幸いにして総裁に当選し、かつまた、今般こうして総理大臣の大任をいただいておるわけでございますので、その約束したことは国民に対してお約束したことでございますので、所得課税あるいは法人課税も含めまして六兆円を超える相当額の減税をいたすべきと、こう申し上げておるわけでございます。むしろ、先に減税ありきの公約を申し上げておるわけでございまして、そのことを達成いたそうといたしますとどうしても現行の財革法との問題が生じてまいりますので、ぜひこの点につきましてはこれを凍結するということによりまして、これからその減税を実行させていただかなきゃならぬと思っております。  最後に、人物像と言われましても、私自身みずからなかなか表現力がございませんけれども、私は三十六年間この道一筋にやってまいりました。ただ、党内におきましても幹事長とか副総裁とか、どちらかというと党を支える立場におりまして、閣僚という立場では比較的少のうございましたので、その点では国民の皆さんに行政を通じて、いろんなお仕事を通じてどの程度お役に立っておったか、実は反省をいたしておる次第でございます。  したがいまして、これから、非常に厳しい御批判の前にこの内閣をスタートさせていただいておりますが、私としては誠心誠意この自分の人柄を大いに発揮させていただくと同時に、今日内閣を組閣させていただきましたのも、私みずからの力の限界というものを私なりに承知をいたしておるつもりでございます。そういう意味で、長きにわたりまして多くの方々の御見識また実力、こういうものをおまとめさせていただきまして、そしてぜひ一丸となっておこたえをさせていただきたい。  そのために、宮澤先生にも、大変御苦労なことでございますけれども、内閣総理大臣を御経験された方にもこの際の経済、特に金融問題その他につきましてお力をいただきたいと思っておりますし、また民間からも堺屋さんにも入閣していただきまして、民間でのいろいろの御意見をこれから政府の中へ入って発揮していただきたい、こういう意味で、ぜひこの総合的な力をおまとめさせていただくことが私のある意味では力ではないかと、こう考えております。  これからも一生懸命やりたいと思いますので、よろしくお願いいたしたいと思います。
  162. 西川きよし

    西川きよし君 御丁寧な御答弁をいただいて、ありがとうございます。  本当にそのいすに座るということは大変なことではございますが、政治というのは本当に当面する大きな課題を処理していただいて、全国のきょうもテレビを見ておられる皆さん方が将来に夢や希望を持てるような、ひとつ歴史に残るような宰相であっていただきたいというふうに思います。  現在においても、この財革法があるがゆえに自分たちの生活には大きな影響を及ぼすのではないかなと不安に思っていらっしゃる方が全国にたくさんいらっしゃるわけですけれども、例えばそうした中で、私も三人の子供の親として、小児慢性特定疾患の治療研究事業によってこの治療費の一部負担を公費で受けていらっしゃる病気の子供さんがいらっしゃいます。御家族ももちろん心配です。  厚生省にお伺いしたいんですけれども、この事業については事業の適正化ということで昨年既に見直しがされているわけですけれども、この事業の趣旨と適正化の内容について厚生省の方からお願いいたします。
  163. 横田吉男

    政府委員(横田吉男君) 小児慢性特定疾患治療研究事業につきましては、先生よく御承知のとおり、小児がんでございますとか慢性心疾患でございますとか、小児慢性疾患のうちで治療に非常に長期間を要するもので医療費も高額になるような十疾患群五百疾病を対象といたしまして、医療費の自己負担分を公費で負担する制度でございます。  最近、少子化の進行に伴いまして多くの疾患群は減少または横ばい傾向にあるわけでございますが、今回措置いたしました成長ホルモン分泌不全による低身長症につきましては近年特に増加が目立っておりまして、この疾病だけで私どもの事業費全体の約四割を占めているというような状況でございます。  これは、これまでこの疾病につきまして治療の終了基準というものが明確でなかったこともありまして、平均身長が男子で百七十センチでございますが、これをはるかに超えても無料で治療を受けている例でございますとか、あるいは都道府県の審査体制が必ずしも十分でなかったというようなこともございまして、都道府県別にもかなりばらつきがあるというようなことで、その適正化が求められていたものでございます。  こうしたこともございまして、私ども昨年、専門家から成る検討会を設けまして、その報告書に基づきまして、今回、都道府県における審査体制を強化いたしますとともに、低身長でございましても、いわゆる家族性ということでこの事業の対象にならない低身長の方々も多数おられるということとのバランス等も勘案いたしまして、治療終了基準を男性で百五十六・四センチ、女性で百四十五・四センチといたしまして明確化を図ったところでございます。
  164. 西川きよし

    西川きよし君 ありがとうございました。  今御説明をいただきましたように、既に適正化された事業であります。財革法の奨励補助金の一割カットという規定があることで、さらに事業の見直しが行われるのではないか。先ほども御答弁に出ましたけれども、心臓病、小児糖尿病、小児がんなどの子供さんの治療費の公費負担が打ち切られる、これは大変御両親様にとりましても心配でございます。皆さん方、大変、国会そして厚生省にも請願を寄せていただいたということも伺っております。  私も選挙前にこの場所で質問をさせていただきましたときには、局長様からは西川さん大変に頭の痛い問題ですというお答えをいただきました。今回の財革法の凍結ということによって、公共事業費が大幅にふえるという一方で、こうした公費負担も当然のこととして守られるべきではないかなというふうに私は思います。  ところが、今回の政府の方針といたしましては、奨励補助金の一割カットについては継続をするとされているわけです。そういたしますと、財革法の凍結で、例えば公共事業は大幅な増になるわけですけれども、こうした病気で苦しんでいらっしゃる子供さんに対する補助金の方は打ち切られるということでは、これはやっぱり子供さんはもちろんのことですけれども、御両親様、お父さんやお母さんも不安がぬぐい切れません。この財革法を凍結という決断をされた以上は、こうした病気治療をしている子供さんに対する補助について打ち切るということは本当にお気の毒ではないかなというふうに私は思います。  そこで、厚生大臣にお考えをお伺いしたいと思います。
  165. 宮下創平

    国務大臣(宮下創平君) 今、児童家庭局長の方から、技術的な問題がございますから、詳細に御報告をいただきました。特に、成長ホルモン分泌の不全によります低身長症、こういう問題はそこに含まれておるわけでございますけれども、今、児童家庭局長の言われましたように、治療基準を見直すというようなこと、あるいは審査体制を見直すという一環でございまして、結果として、財革法の一割カットということと関係なしとはしませんが、そういう視点に立ったものでございます。  今回の平成十一年の概算要求に当たりましても、基本方針の中でその他補助金は一割カットが要請されております。これは閣議了解されております。  しかしながら、今、委員の御指摘のように、子供の病気の治癒の問題でございますから、これは児童教育上大変重要な課題であると存じますので、一割という線は厚生省全体のその他補助金の中でこれを処理すればいいことでございまして、医学的にまた病理上必要なものはきちっとした対応を先生の言うとおりしてまいりたい、こう思っております。(「名答弁」と呼ぶ者あり)
  166. 西川きよし

    西川きよし君 大変いい御答弁をいただきまして、ありがとうございます。よろしくお願い申し上げたいと思います。  我々は、こういう質問をいたしますときにはどういうお答えが返ってくるのかというのは、もう皆目わからないわけですけれども、厚生大臣に、選挙前からずっとこの質問をさせていただいて、今、自民党の席の方からも名答弁というお声がかかったんですけれども、どうぞ小さな声、弱い立場の人の声、法律と法律との行間には本当に弱い立場の人たちが、なかなか国会で聞いていただけない、そしてまた大きな組織では取り上げていただけない、そういうものを自分はしっかりとこれからも受けとめて頑張っていきたいと思います。だめなものはどうしてだめなのか、そしてできることはどうしてできるようになったのかということを、しっかりと全国の皆さん方にお伝えするのが自分の仕事であると思います。  もう一つ総理大臣にお伺いしようと思いましたけれども、時間が参りましたので、月曜日にまた御質問をさせていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  167. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 以上で西川きよし君の本日の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  168. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 次に、奥村展三君の質疑を行います。奥村展三君。
  169. 奥村展三

    ○奥村展三君 新党さきがけの奥村でございます。  連日、衆議院そしてまた本院にも移って議論をしているわけでございますが、今日の景気対策、いろいろ政府で御努力をいただいているわけでありますが、どうも経済の量の拡大ばかりの議論になっているのではないかな、もっと質の話、つまり規制緩和やあるいはシステムの改革等について目を向けるべきではないかと思っておるところであります。  ということは、先ほどもお話がありましたように、毒物の混入事件だとかあるいは阪神・淡路の大震災等々、やはり国全体の危機管理というそのシステムの構築ができていないというような思いを持っているものでありますが、ぜひ経済の不況対策、こういう問題につきまして、量から質の方に目を向けるということで、総理はどのようにお考えになっておるのか、質問をいたしたいと思います。
  170. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 量と質というお話でございましたが、当面、この内閣としては経済再生内閣考えております。  そのためには幾つかの方策があるかと思いますが、私自身、減税そしてまた補正予算の十兆円、こういう形で、ある意味では先生がおっしゃられる量ということかもしれませんけれども、従来こうした問題につきましては、早目早目に実は対応すべきものと考えておった点もございますが、今次、この内閣におきましては一日も早くこうしたものを通じまして、成果の上がるように考えていかなきゃならないと思います。御指摘のように、質という問題を考えましたときに、例えば税制で言われます将来にわたってのいわゆる恒久的な減税の中には制度的な改正の問題もあろうかと思います。  将来においては、中長期、こうした問題に真剣に取り組んでいかなきゃならぬと思っておりますが、まずは当面、この経済状態から脱却するために必要な手だて、その中には、量と言われれば量なのかもしれませんけれども、予算の問題につきましても、これからできる限り、財革法も凍結をさせていただきながらも新しい政策を打ち出させていただきたい、このように考えております。
  171. 奥村展三

    ○奥村展三君 ぜひそのように進めていただきたいと思います。  日本経済の悪性腫瘍とも言われます不良債権、これは一日も早く手当てをしなければならない問題であります。いろいろ議論をしている中に、これまた機構や仕組みばかりの議論が横行しているのではないかなというような思いもいたしております。やはり金融機関の徹底したディスクロージャー、情報開示をしていただいて責任を明らかにすることが基本ではないかなというように思うものであります。  特に、今、公的資金の投入等について国民の皆さんが、私もきのう、おとついもいろいろ地元と電話で話をしている中で、テレビを見ているけれども一体何事が始まって何を議論しているのかわかりづらい。特にアメリカのクリントン大統領なんかは、私的なこともありましたが、きのうのアフガニスタンのああいう問題にしてもすぐに声明を出したり、すぐその場で今はこれが大事なんだというようなことを訴えておられる。なぜ日本総理はそういうことをやられないんだ。だから、ぜひそういう問題を国民にわかりやすく理解をしていただけるような、やはりマスコミを使って緊急声明だというようなことで国民の皆さんに理解を求めるようなこともやってほしいなというようなことも皆さんから聞いておるところであります。  そうなりますと、今この公的資金の投入問題が出ているわけでありますが、どういうときにどのような銀行にどのくらい投入するか、基本的な問題でありますが、こういうことを本当に国民の皆さんはわかりづらいと言っておられるわけでありますが、総理、いかがなものでしょうか、どういうように説明をされようといたしておるか、お伺いをいたしたいと思います。
  172. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) まことにごもっともな御指摘と思います。  二つケースがございまして、一つは、ある銀行が破綻をいたしましたときにその受け皿となる銀行、例えば北海道のケースでございますが、北拓というような大きな銀行を北洋銀行が承継するということは、しょっております荷物で申しますと馬と犬ほどの違いがございますから、北洋銀行はその結果資本は非常に弱まるわけでございます。そういう場合には、やはり金融秩序と地域の経済のために北洋銀行資本投下をする、これは銀行のためではございませんで、承継が無事にいき、預金者、お客様、地域の経済が傷つきませんための措置でございます。それが一つでございます。  それからもう一つは、ことしの三月にいたしましたように、日本経済システムそのものが国際的に非常な危機になりましてジャパン・レートを払わなければならない、あるいは格付が下がるといったようなシステム全体の危機になりましたときに、銀行に対してキャピタルレシオ、いわゆる資本率を強化するために公的な援助を行う。これも銀行の利益と申しますよりは、日本経済システムが国際的な不信を受け、またそれが国際的な不信にさらに展開するようなことがあってはなりませんので、そういう場合にキャピタル、資本強化をいたしますために投下をする。大きく申しましてその二つの場合でございます。
  173. 奥村展三

    ○奥村展三君 今、大蔵大臣、御経験の中でも過去のお話を踏まえてお伺いをいたしたわけでありますが、私は、やはり冒頭に申し上げましたように危機管理、そういう問題についてぜひ総理みずからがみずからの言葉をもって国民に訴えていただきたい。官房長官が沖縄問題でいろいろと先ほど熱弁を振るわれました。ああいうような気持ちになって、国の根幹をなすようなこの経済そのものを、やはり総理みずからが記者会見をしながら所信あるいは声明を出すというぐらいの意気込みでこの難局を乗り切っていただきたいというように思う一人であります。  特に、住専のときのように税金の投入等がございました。そしてまた、その後、優先株等の機構もいろいろできてまいりました。国民の皆さんは全部が公的資金税金をもって投入されるんだというような誤解もあるわけであります。ですから、そういう優先株的なああいう問題もしっかりと国民の皆さんに理解をしていただく、あくまでも預金者保護なんだということを前提に置いて、基本に置いてしっかりとやっていただきたいということをお願いいたしたいと思うのであります。  なお、突然でありますが、先ほどの西川先生の御質問にもありました、経済企画庁というのは企画立案されるところだと思うんですが、この不況、そしてまた今の不良債権等について、堺屋太一氏が民間から登用されたわけでありますが、ぜひ所見をお伺いしておきたいと思います。
  174. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) ただいま御質問のありました金融問題を初めといたしまして、現在は実体経済も大変厳しい状況になっております。これを単に今の場面だけではなしに、やはり日本の将来の構造的な面から国民の皆さん方に安心と希望の持てる国につくり変えていかなきゃいけない。この現在の金融問題、不況問題の解決と未来の夢とを同時並行につくっていかないと、減税をいたしましてもなかなかお金が回ってまいりません。  そういう意味で、小渕内閣では経済戦略会議というのをつくりまして、短期集中型で問題を解決して未来の夢のある社会をつくる。そして、公共事業にいたしましても、従来型のものからできるだけ未来型のものへシフトしていって、皆様方に本当に日本の将来は安心なんだという形をつくるように努めたいと思っております。  私も、微力でございますけれども、そういうことには必死の努力をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
  175. 奥村展三

    ○奥村展三君 ぜひ国民が安心できる経済基盤をおつくりいただきたいと思います。  最後になりますが、金融監督庁が発足をいたしまして、日野長官御就任をいただきました。我が党は以前からこの金融監督庁の設置について前向きに取り組んできたわけでありますが、特に現在の金融につきましては、企画立案がそのまま大蔵省へ、そして検査・監督が監督庁へ、金融政策が日銀となっているところでございますが、三すくみ状態になっているのではないか、責任の所在そのものがもう一つはっきりしていないのではないかなと思うものでありますが、長官、どのようにお考えですか。
  176. 日野正晴

    政府委員(日野正晴君) お答えいたします。  金融監督庁は、今お話がありましたように、従来の金融行政に対するさまざまな御批判を重く受けとめまして、透明かつ公正な金融行政への転換を確実なものとすべく、総理府の外局として設置されたものでございます。  なお、この金融監督庁設置法や銀行法などにおきましては、金融監督庁長官から大蔵大臣への協議、意見具申あるいは大蔵大臣との緊密な連絡が求められておりまして、大蔵省との連絡協調は密接にしていかなければならないことは言うまでもないと思いますが、民間金融機関の検査・監督を担当する金融監督庁といたしましては、この大蔵省との間では銀行法等の法律に基づきまして明確な機能分担が行われております。したがいまして、金融監督庁の独立性には何ら問題があるとは考えておりません。
  177. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 奥村展三君、時間が参っております。
  178. 奥村展三

    ○奥村展三君 はい。十分機能を発揮していただくことをお願いして、終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  179. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 以上で奥村展三君の本日の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  180. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 次に、菅川健二君の質疑を行います。菅川健二君。
  181. 菅川健二

    ○菅川健二君 改革クラブの菅川健二でございます。テレビ放映のアンカーでございますので、どうぞよろしくお願いいたします。  まず、小渕総理にお聞きいたしたいと思います。  小渕総理は所信表明演説の中で、外科医の座右の銘である「鬼手仏心」を信条とすると述べられたわけでございますが、鬼手の具体的なことについてどういうことを想定しておられるか、お答えいただきたいと思います。
  182. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) かつて大平先生だったかと思いますが、本院におきましてもその言葉を使われました。改革をなすべきときには相当厳しい、時には外科手術もやらなきゃならぬ、こういうことでございました。しかし、その心は常に仏の心を持ってしなきゃならぬことだと思います。  私自身も、これからいろんな政策を断行してまいります場合にはいろいろ障害もあろうと思いますし、反対もあろうかと思います。しかしながら、やらなければならないことはぜひこれを実行していきたい。そのことを気持ちとして「鬼手仏心」という言葉にあらわさせていただいた次第でございます。  具体的にと、こうおっしゃられますが、今、内閣としてこれから行おうとする、特に経済再生を最大眼目にいたしておりますので、そうした点で、これから税制あるいはその他補正予算等について約束したことを何としても実現させていただきたい、こういうこともその一環と考えております。
  183. 菅川健二

    ○菅川健二君 どうもお聞きしておりますと、余り具体的なものは想定されていないというふうにお聞きいたしたわけでございますが、六兆円超の減税といい、十兆円の補正予算、それから赤字国債の増発等々を見ますと、鬼の手というよりもむしろ仏の手で仏心を出しておられるのじゃないかと。これが将来とも続けば大変ハッピーだと思うわけでございますが、近い将来に、鬼の手でもって鬼の心でもって大切開手術をせざるを得ないという時期が来るのを恐れるわけでございます。  立教大学の斎藤精一郎先生がおもしろいことを言っておられるわけでございますが、懐かしい「神田川」の歌に、あなたの優しさが怖かったと。あなたの優しさが怖かったというのが所信表明の感想であったと言われておるわけでございます。  それから、ちょうど三日前のたしか朝日新聞だったと思いますが、論説に大変いいことが書いてあるわけでございます。一部読ませていただきますと、「鬼手仏心とは、火だるまと同じく、ただ国民を欺く目くらましの言葉なのか。新政権の打ち出した減税や公共事業の巨額さを聞くにつけ、政治への絶望は深まるばかりだ。 小渕総理に問いたい。この政策に、自民党の痛みはありますか。ただ、借金となるお金のばらまきなのでは。」云々という痛烈な批判が出ておるわけでございます。  まさに当を得ておるというふうに思うわけでございますが、小渕総理には、この読者の問いに対してどのようにお答えするでしょうか。
  184. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 固有名詞を挙げられて新聞の社説を取り上げられました。  たしか朝日新聞は、去年の十月当初の社説かと記憶しておりますが、現在の日本経済状況をどうとらえるかということで、この不況はということですが、その「不」を「普」という言葉であらわしておりました。したがいまして、そういった観点で、現在の状況が普通の状況だという一つの認識として考えますか、あるいはまた現在の状況というものをいわゆる景気対策も含めて諸般の政策を遂行しなければならない状況かという、判断の差があるのではないかと。  私自身といたしましては、やはり今日の日本の国民生活を維持し、そして将来にわたって社会保障制度を確立していくために、また二十一世紀に向かって国民の皆さんが真に安心のできる姿を維持していこうとすれば、どうしても経済成長の面でもマイナス成長であっては、これは達成し得ないというふうに認識をいたしておりまして、この状況を何とか脱却し、申し上げましたように、この一両年に何とか経済の回復基調を達成しなければならない。そのためには、どうしても先ほど申し上げました減税とか、あるいはまたその他の補正予算というものをこの際かなり集中的に実行していかなければならないという認識に立ち、その政策を実はお願いいたしておる次第でございます。  したがいまして、税制につきましても、中長期的には将来にわたって本当の意味での制度減税をやっていかなければならぬと思っておりますが、それを今の時点で実行しようとしますと、財源的に考えますれば赤字公債をもってこれを実施しなきゃならない、このことが今、委員御指摘の御批判につながっておるのかと思いますが、私としては、ぜひこの経済政策を成功させて日本経済が本当に活力を持つ、こういう形になってまいりますれば、やがては日本の今置かれた財政の厳しい状態も解消されていく、こういう信念に基づいてこの政策を実行させていただきたい、このように考えておる次第でございます。
  185. 菅川健二

    ○菅川健二君 辛うじて鬼の手と思われますのは、十年間で国家公務員の定員二〇%、行政コストの三〇%削減を実現するというくだりがあるわけでございますが、公務員の二〇%削減につきましてこれを分析してみますと、どうも一〇%分は新しい独立行政法人をつくってそれに移しかえるんだという意味のようでございます。そうしますと、橋本前内閣が打ち出された公務員の一〇%削減と実態は何ら変わりはないんじゃないかと思うわけでございますが、これは上げ底の見せかけの数字じゃないかというふうに思うわけでございます。この点について一つお聞きしたい。  もう一つ、行政コスト三〇%削減でございますが、これは私もかつて長い間役人をやっておりましたので三〇%削減がいかに厳しいものであるかということはよくわかるわけでございまして、逆にこれが本当に実現可能であるのだろうか、果たしてその三〇%の具体的な積算根拠はどうなっておるのかということが疑問になるわけでございます。  そういった点におきまして、総理総務庁長官、この二つの点についてお答えいただきたいと思います。
  186. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) まず、国家公務員の十年間二〇%削減でございますが、これまた総裁選のときの公約でございました。  確かに、中央省庁等改革基本法で規定されました十年一〇%の定員削減計画より、これは数字で示されるように二〇%ということはやはりより厳しいものだというふうに認識いたしておりまして、その実施というものはなかなか困難だと考えております。これは先ほど委員も御指摘のように、独立行政法人による削減分も可能な限り大きなものといたしてまいり、これを合わせて十年二〇%の削減というものを目指していきたいと思っておりますが、橋本内閣時代におきましては、この独立行政法人化の問題につきましては数字が入りませんでした。方向としてさらに確実なものにしていくという意味で目標を設定したということは大変厳しいことではございますけれども、ぜひこれを実現いたしてまいりたい、またこのことは私の決意の表明と御理解をいただきたいと思っております。  それから、コストの三〇%の削減の問題でございますが、これまた委員も御指摘ありましたようになかなか困難な問題だと考えております。  具体的には各省庁がそれぞれ所掌しておる行政分野ごとに十年間に三〇%のコストの削減という目標をぜひ設定することにいたしたいと考えておりまして、現在、政府部内におきまして今度の作業の進め方について検討を進めているところでございますが、太田総務庁長官にもこのことについてはぜひこれが達成できるように、それぞれ省庁に対しましても、その目標設定について各省庁の努力を強く要請させていただいておるところでございます。
  187. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) つけ加えるべきことも余りないんですけれども。  要は、大変誤解がありますのは、二〇%の削減ということは、自民党の総裁選挙で片や小泉候補がこのことに触れて五〇%削減ということを掲げられた。一方で小渕候補が二〇%削減というのを掲げられた。このときに、小泉候補の方は、郵政の公社化も含めて五〇%ということを言われ、独立法人ももちろん含んで言われ、小渕候補の方は、郵政を外した独立法人と定員削減のことで言われたということでございますので、そこは、独立法人化が入っているということは最初からわかっていたわけでございまして、何か上げ底だとかなんとかということは全くの誤解でございます。  なお、独立法人化というといかにも簡単にできるように受け取る向きがございますけれども、これはこの間の最終報告でたくさんのリストを出したわけでございます。国立の試験研究法人などもたくさん挙げましたけれども、だれもそれについて独立法人化してもよいということを約束した役所は一つもないわけでございまして、この情勢は定員削減などよりもかえってこれは大変な物すごい犠牲を払う仕事になりますので、そっちの方が、定員削減は難しくて独立行政法人化が簡単であるというふうなことは、ゆめゆめ我々は考えてはいけないというふうに思っております。  コストの三〇%削減については、これから各省庁に対して私ども総務庁の方から、きちんとどういうことでやるかということを、案を固めていきたいと思っているところでございます。
  188. 菅川健二

    ○菅川健二君 今お聞きしておりますと、まず二〇%削減につきましては、いわゆる行政改革にはならないということの意味ではないかと思うわけでございます。特に一〇%分は、これはコストを移しかえただけにすぎないということでございます。それから、三〇%分は、どうも腰だめのようでございますが、いずれにいたしましても行政改革というのは、御案内のように、まず仕事を減らして、その次に人減らし、そして経費減らしということになるわけでございまして、順序を間違えないように着実に実行していただきたいと思うわけでございます。  それから、先ほど、当面赤字国債を出さざるを得ないという御答弁でございますが、現下の景気回復を確実なものにするという優先順位からすると、当面としてはもちろんやむを得ないわけでございますが、それがばらまきなり無定見な政策を続けるということになりますと、後々に大きなツケを残すわけでございます。  ピンチはチャンスでございまして、将来国民が安心して暮らせるような経済社会をつくりますために、こういった事態におきましても、将来への布石を打っていただく。そのためには、やはり構造改革というものをぜひ頭の上に置いて、その布石としてこれらの当面の対策をやっていただきたいと思うわけでございます。  最後に、総理の決意のほどをお聞きいたしたいと思います。
  189. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 全くお説のとおりだろうと思っております。  したがいまして、財政におきましての構造改革につきましても、基本的理念は橋本内閣以来の方針は持っていかなきゃならぬと思っておりますが、しかし、当面は私が申し上げたような政策を遂行させていただきたい、このように考えております。
  190. 菅川健二

    ○菅川健二君 終わります。
  191. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 以上で菅川健二君の本日の質疑は終了いたしました。(拍手)  午後一時に再開することとし、休憩いたします。    午前十一時五十四分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  192. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) ただいまから予算委員会を再開いたします。  予算執行状況に関する調査を議題とし、休憩前に引き続き質疑を行います。江田五月君。
  193. 江田五月

    ○江田五月君 総理を初め閣僚の皆さん、このたびは御苦労さまでございます。おめでとうございます。なかなか大変な時代で、私も二年ぶりに国会に戻ってまいりまして、お久しぶりでございます。  実はいささか戸惑いながら質問の準備をしておりまして、かなり用意したんですが、きのうからきょうにかけていろいろな事態が激変をしておりまして、どうしてもそのことにまず触れなきゃいけない。参議院選挙の結果を受けての参議院での首班指名のことなどいろいろ聞いておきたいんですが、それは全部もうこの際やめまして、緊急の課題に早速入りたいと思います。  総理、アメリカの今度の空爆、アフガニスタン、スーダン、これはいつお知りになりましたか。
  194. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) けさ午前四時ちょっと前だったと思いますが、報告がありまして、しかしまだ正式に詳細な状況がわかりませんでしたので、直ちにテレビのスイッチを入れまして、その後CNNあるいはまたNHKその他の報道をずっと見ておりました。
  195. 江田五月

    ○江田五月君 総理にぜひこれは答えてほしいんですが、おわかりにならなきゃならないでいいんですが、国連事務総長がこの事実をいつ知ったか、あるいはまだ知っていないか、そのことについて総理、御存じですか。
  196. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 何らかのコメントをしたという報告といいますか情報はお聞きをしましたが、今のお尋ねには実はすべて承知しておりません。
  197. 江田五月

    ○江田五月君 私の手元にインターネットでとった国連事務総長のプレスリリースがあるんですが、これによりますと、国連事務総長は、ミニッツ・アフター・ゼイ・トゥック・プレイス、直ちにと言えるんでしょうけれども、事後報告、事前の国連事務総長に対する報告はなしに行われている。  外務大臣、それでよろしいですか。
  198. 高村正彦

    国務大臣(高村正彦君) 国連に対してもあるいはいかなる国に対しても事前報告はしていなかったと承知しております。
  199. 江田五月

    ○江田五月君 我が国に対しても事前報告もないし、事後の報告はいかがですか。
  200. 高村正彦

    国務大臣(高村正彦君) 事後の報告はありました。  ロス国務次官補から在米大使館の小林公使へ、そして二十一日九時半から柳井事務次官に対して在京米国大使館グリーンウッド公使から説明が行われております。
  201. 江田五月

    ○江田五月君 どういう説明であったか明らかにしてください。
  202. 竹内行夫

    政府委員(竹内行夫君) ワシントンにおきまして、ロス次官補から我が方大使館公使を呼びまして詳細といいますか説明はございました。  それは、この事件の経過、経緯、背景等につきましておおむねクリントン大統領が発表され、またコーエン国防長官、シェルトン議長が述べられて報道されているような内容でございますが、正式の説明がございました。  それから、けさ九時半に在京米大使館の臨時代理大使が柳井事務次官を来訪しまして、同様の説明がございました。
  203. 江田五月

    ○江田五月君 ということでございますが、事案の内容自体の報告はまた後ほどゆっくり聞くことにいたしますが、総理大臣、これは日本政府としてはどういうふうにお考えになりますか。このアメリカの行動を支持するのか、反対するのか、見守るのか。どういうお考えですか。
  204. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) テロというものに対しましては、これはその態度に対して国際世論あるいはまた国際政治の面で毅然とした態度をとらなきゃならぬというのは基本的な方針であり、これはサミットのときでも、主要国の首脳がこのことをお互いに責任を持って努力をするということでございます。  そこで、今回の問題につきましては、実はまだ私自身も詳細なアメリカ側の対応について十分把握をいたしておりません。したがいまして、現時点におきましてはどう対応するか決定しておりませんが、いずれにしても、アメリカとしてこのテロに対して厳然たる態度をとられたということについては理解を示しておるところでございます。
  205. 江田五月

    ○江田五月君 各国首脳がそれぞれ責任を持って対処するとおっしゃいましたが、私は、もちろんテロは強く非難されるべきことであり、そしてそういうものはなくしていかなきゃならぬ。これはいわば国際社会の共通の要請でして、やはり大切なことは、テロがあった、だからといってすぐどこかの国が独自の判断で国境を越えてそれをやっつけに行くというような、報復をするというような対応じゃなくて、国際社会共通の対処でそういうものをなくしていく努力をするということが基本でなきゃならぬ。それが戦後の国連憲章の基本的な考え方。なかなか五十何年たってまだそこまできっちりできてはいませんけれども、やっぱりそういう方向でなければならぬと思うんです。  今回も、先ほど確認したように、国連の事務総長に対する事前の報告さえなしに行われているということで、私はこれは、もちろんまだこれからの事態の推移を慎重に見きわめていかなければならぬけれども、すぐ理解をするというような態度を示すことはさてどんなものかなという気がいたしますが、どうですか。
  206. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) ですから、申し上げましたように、今回の対応について理解をするというよりも、テロに対して、厳しくこれに対する対応をされるというこの姿勢については理解をしておる、こう申し上げておるわけでございます。
  207. 江田五月

    ○江田五月君 厳しく対応するという姿勢は理解をする、しかし、今回の行動自体についてはまだ態度表明をする時期ではないということですか。
  208. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) さようでございます。
  209. 江田五月

    ○江田五月君 私はやはり、アメリカの国内政治というものもいろいろありますし、クリントン大統領、御承知のようないろんな事情もあるわけですから、そこはよく見きわめなきゃならぬことだと。手段、手続について少なくとも今の段階では大いなる疑問があるので、どうもこの行動は、アメリカンスタンダードではあってもグローバルスタンダードとちょっと言えないのじゃないかという感じもするので、さらにまた日米ガイドラインに基づく周辺事態法案の審議、こんなことともかかわってくると思うので、今後とも事実関係を十分私どもも見きわめながら議論していきたいと思っております。  次に、もう一つ大きなニュースがございました。これはぜひまず冒頭、小渕総理に率直にお答えいただければいいと思うんですけれども、長銀の話なんです。  いろいろときのうまで新聞報道がございました。御承知のとおりです。超法規的措置で資金投入するとか、公的資金五千億から一兆円入れるとか。我が党の今井委員がきのうの午前これは尋ねた。まだ議事録は私直接見ておらないんですが、総理は、承知していない、金融監督庁が懸命に検査しているが私のところに中間的報告も来ていない、報道された事実はないと理解しておると。新聞の要約ですけれども、そういう趣旨答弁をきのうされたように要約されているんですが、これは後で議事録を見ればわかることですが、ちょっとそれだけ確認させてください。いかがですか。
  210. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 長銀の現在の経営内容、たしかこういうことで問われていたかと思いますけれども、その点につきましては、現在金融監督庁で検査に入っておりますので、その報告をまだ聞いておりませんので、私が個々の金融機関の状況についてその内容を的確に把握しておるわけではございませんので、そのように答弁をさせていただいたと、こう思っております。
  211. 江田五月

    ○江田五月君 新聞報道は長銀の経営状況についてもいろんなことが書いてありますが、それだけじゃなくて、日本長期信用銀行と住友信託銀行の合併話とか、あるいは長銀の経営の健全化のためでしょうかね、資本注入するとか、そういうことが検討されておる、そういう具体的ないろんな記事が出ているわけですね。  金融監督庁の検査の中間報告を受けているかどうかという話じゃなくて、長銀を救済するいろいろな手だてが検討されているということを承知しておるのかどうか、そういう質問であったはずなんですが、それは承知していない、報道された事実はないと理解しているというふうに答弁されたと新聞に出ているんですが、それは新聞の要約の間違いですか。
  212. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) たしか長銀に関しましての種々のマスコミ報道については、私もこれは拝見をさせていただいておるということは申し上げました。それと、救済方法であるかどうかは別にいたしましても、長銀と住友信託とが合併につきましてそうした話し合いをされておられるという事実は承知をしているということを申し上げたと思っております。
  213. 江田五月

    ○江田五月君 話が進んでおることは承知している、しかし、資本注入の検討などをしているということはきのうの午前中までは知らなかったんですか。
  214. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 従前、資本注入したことは承知をしておりますが、今般のことについてそうしたことは承知をいたしておりません。
  215. 江田五月

    ○江田五月君 今は御存じなんですか、御存じではないんですか。今回ですよ、今回。三月のことじゃありませんよ、その後に。
  216. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) この件については恐らく関係者から正式な申請等があってその作業を進めるんだろうと思いますが、私はそういうことは承知をいたしておりません。
  217. 江田五月

    ○江田五月君 報道ですが、長銀と住信との合併支援のために長銀に新たに公的支援資本注入するという関係のニュースで、昨夜、首相公邸で、総理、蔵相、官房長官が住信社長と会談をしたという報道、この報道についての事実関係は、これは総理、明らかにしてください。
  218. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 長銀が思い切ったリストラ案を提示されたことを受けまして、長銀の合併の予定行であります住友信託銀行の高橋社長と面談をいたしまして、その内容を、金融監督庁長官も同席をいたしておりましたが、その状況を御報告されました。  私といたしましては、そうした合併の話が今日まで行われてきたことは承知をいたしておりましたので、政府といたしましてその支援もいたしていくことをお伝え申し上げたと、こういうことであります。  提示の予定でございますので、それを受けまして、長銀がリストラ案というものを提示される予定であるということを金融監督庁長官からお聞きしましたので、そういう予定につきまして、金融監督庁から住友信託にそのことをお話をされたということでありまして、そこに私も同席をいたしておりましたので、かねて来、合併のお話がございましたので、政府としては支援申し上げたいと、こういうことを申し上げた次第でございます。
  219. 江田五月

    ○江田五月君 リストラ案の提示があって、それを住信の方に伝える、そこへ総理もおられた、そして支援をしますと言われたと、こういうことですね、ちょっと確認します。  これは大蔵大臣も、それから官房長官もおられたわけですか。
  220. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 私は、今、所管事項ではございませんけれども、総理を補佐するのは閣僚の役目と心得ておりますので、おりました。
  221. 野中広務

    国務大臣(野中広務君) たまたま夜、宮澤大蔵大臣が、時間があいておるのでもろもろの最近の問題について懇談をしようと、予算委員会等で連日お会いをしながらもお話しする機会がないのでということでお伺いをいたしました。私もちょうど時間があいておりましたので、陪席をしておりました。  先ほど総理から申し上げたお話は、私も承っておりました。
  222. 江田五月

    ○江田五月君 それから、金融監督庁長官がおられたというんですか。
  223. 日野正晴

    政府委員(日野正晴君) 江田委員よく御存じだと思いますが、これは合併でございまして、銀行の合併、特にこの場合は異種の合併でございます。この合併は、法律、銀行法それから金融機関の合併及び転換に関する法律、これはすべて内閣総理大臣が認可することになっております。  ただ、金融監督庁の長官に法律上、委任されていることでございますが、大変大きな合併でございまして、私といたしましては、必要に応じ随時総理大臣に報告しなければならないというふうに考えております。
  224. 江田五月

    ○江田五月君 リストラ案を示されたと。どういうリストラ案ですか。
  225. 日野正晴

    政府委員(日野正晴君) これはまだ正式に私どもの方に届いているわけではありませんが、いろいろこれまで、六月二十六日に合併の構想が発表されて以来、両行の間でそれぞれ自分の資産を整理するという観点から、長期信用銀行においてはリストラを進めてこられたものというふうに理解しております。  その内容は多岐にわたりますのでここで一概に申し上げることはできませんが、例えば海外拠点からの撤退などが含まれているものと理解しております。
  226. 江田五月

    ○江田五月君 新聞の報道ですが、役員の更迭ですか、それから海外取引からの撤退。減資というのもありますが、これもあるんですか。
  227. 日野正晴

    政府委員(日野正晴君) 減資は聞いておりません。
  228. 江田五月

    ○江田五月君 そういうことがあってこれを支援するということを申し上げたというんですね。どういう支援ですか。
  229. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 具体的に今申し上げることではありませんが、精神的にこの合併というものは、日本金融のそれぞれの姿の中で両行が合併することによりまして金融秩序というものが維持できるということであればそれは望ましいことである。こう考えまして、政府としてもどういう支援ができるか、今検討しているわけではありませんけれども、そうした……(「出任せで言ったんですか。しゃべっていることと違うんじゃないか」と呼ぶ者あり)基本的に両行が合併されるという今までの方向について、先ほど申し上げましたように金融監督庁として、長銀としてそういう案を検討しつつあるということのようでございましたので、その説明も相手方に申し上げて、そして政府としては支援をいたしていくという気持ちをお伝えした、こういうことでございます。
  230. 江田五月

    ○江田五月君 結婚式に出ていってお祝いを言うんじゃありませんからね。精神的でいいことです、望ましい、それが支援、そんなことが支援なんですか。(「祝儀袋は要らないんだよ。中身が欲しいんだから」と呼ぶ者あり、その他発言する者あり)
  231. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 御静粛に願います。
  232. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) それは、相手の方々の御意見もお伺いをしなければ、一方的にこういう支援策がありますというようなことを申し上げる立場にはありません。  しかし、重ねて申し上げますように、この合併というものは日本金融システムの中で極めて重要なことである。こう考えておりましたので、この合併に当たりまして、金融監督庁からこうした方々や、長銀の方のリストラ案その他につきましての今日までの動向について相手方にも御説明して、両者の話を私お聞きをしておりまして、どういう支援ができるかということを考えていかなければならない。しかし、政府として私が金融監督庁の長の上にあるという立場でございますので、私が立ち会ってその間の双方の状況についてお聞きをさせていただいて、できる限りの支援をいたしてまいりたい、こう申し上げたわけでございます。
  233. 江田五月

    ○江田五月君 そのできる限りの支援、しかしそれは精神的、中身は検討していない。検討していなくてできる限り、何かわからないんですがね。  ちょっとその前に、先ほど予算委員会では会うけれどもお話しすることがないから、たまたまいたからと官房長官おっしゃったりするんですが、まず、それじゃいつどこで会ったんですか、会った場所。総理
  234. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 私は、総理を補佐するのが閣僚の務めと存じておりますので同席をいたしましたんですが、昨晩総理公邸で総理のところへ住友信託の方が来られ、また所管の長官であります……(「たまたまね」と呼ぶ者あり)たまたまではございません、監督庁長官、それから官房長官、私が同席をいたしました。  それで、お話は先ほど総理の言われたとおり、それ以上のことを総理がおっしゃるのは、あるいはお求めになるのは私無理だと思うんですが、つまり、監督庁長官から、長銀が徹底的なリストラ計画をほぼ完成した、そのことを監督庁にやがて報告をしてこられる、それとの関連で恐らく、これは想像でございますけれども、政府に対しても何らかの支援を求めてこられるであろう、そういう状況になりましたので、総理がその様子を聞かれ、そして、相手方の住友信託の方から合併の話はその後どういうふうに進行していますかというふうなことを聞かれたと。それで、どういう支援要請があるかということは、リストラはまだ発表されておりませんので、当然のことながらわかりません。  しかし、想像をしますと、リストラの発表というものはかなり長期信用銀行としては犠牲を払うものでございますから、その後の何らかの支援について恐らく申請をされるであろう。しかし、それは申請がされておりませんので、何がどうということを総理の口から申し上げることは今の段階ではできない。申請がございましたらまた違うかもしれません。
  235. 江田五月

    ○江田五月君 大蔵大臣のお話はわからぬわけでもないんです。わからぬわけでもないんですけれども、やっぱり率直に言ってもらうところは言ってもらわなきゃいけないし、それから今、事態が事態ですし、やはり可能な限りいろんなことは明らかにしていただかなきゃ困ると思うんですね。  ちなみに、ちょっと話が違うんですが、大蔵大臣は大変英語が御堪能で、十九日のフィナンシャル・タイムズはごらんになりましたか。
  236. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 読んでおりません。
  237. 江田五月

    ○江田五月君 日本のことが出ているんですよね。  それで、これもインターネットなんですが、現実にペーパーを私、見ているわけじゃないんですけれども、総理の検査結果の公表に関しての御発言があって、それでかなり手厳しく批判をされているんですよね。  一番最後のところには何が書いてあるかというと、金融秩序を正常にしていくためには日本経済が上昇基調に戻ることが非常に大切だと。バット・ウイ・ニーディド、しかしと書いてあるんです。しかし、日本政府がシースズ・ツー・ファッジ、あれこれごまかすということをやめる必要が同じ程度に必要があると、そう書いてあるんですよね。これまでの限りはどうもこう言えるんじゃないかと。ミスター小渕は、ダズ・ノット・インスパイアー・コンフィデンス・オン・ディス・スコア、どうもこういう点については信頼をつくり上げようというそんな気持ちにはなかなかないようだという、そんな趣旨でしょうか。  日本だけじゃないんです。世界じゅうがここで総理がおっしゃることは注目されていまして、そのニュアンスに至るまでみんなが見ていて、これはマーケットはもちろん見ているわけです。ここにもマーケットのことも書いてあるんですね。やはり、可能な限り率直におっしゃっていただく、おっしゃれなければおっしゃれないで、なぜおっしゃれないのかということまでちゃんと説明していただくということがなければこれは大変だと思いますよ。  総理、そこでもう一遍伺いますが、さっきの、きのうの夜の公邸での会談ですね、これはだれがセットしたんですか。
  238. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 私自身が行いました。
  239. 江田五月

    ○江田五月君 官房長官にも来てくれとおっしゃったんでしょうか。
  240. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 官房長官にも私からお願いをいたしました。
  241. 江田五月

    ○江田五月君 まあまあ官房長官、いいですよね。そうですよね。総理から来てくれと言われたんですよね、たまたまじゃなくて。  その支援の内容は、それは確かに今はまだ申請がないから言えないという、しかし全然知らないという話はないと思うんですがね。今は知っていても言えないことなんですということはそれはあると思います。だけれども、承知していない、知らないということはないと思うんですけれども、いかがですか。事前のいろんな相談は受けてはおられるんでしょう、総理
  242. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) この問題は、私もこの仕事につきまして最も重要な問題である、現下における不良債権問題の解決なくしては今日のこの日本経済の復活はあり得ない、そういう意味で、もちろん就任をする以前から問題意識を持っておりましたが、この責務を負ってこの問題に対して強い関心を有しておったことは事実であります。  ただ、毎日この両院の予算委員会出席をいたしておりまして、なかなか現在の状況につきまして金融監督庁長官からも詳細な説明を聞く機会に必ずしも恵まれなかったということでございまして、そういった意味からも、金融監督庁長官からできれば夕刻この問題についてお聞きをいたしたいということもございました。そういう話の本題として大蔵大臣、官房長官をお呼びしたわけではございませんけれども、私自身もこの金融全般あるいはまた国会の問題等々すべての問題につきまして大変深い理解を示されておる大蔵大臣にもお聞きしたいし、またこれからの国会の運営その他につきましても官房長官にもお聞きしたいということもございまして、そして席を同じゅういたしました。  その後、監督庁長官にもおいでいただきまして、私自身がその経過について十分承知しておった方がよろしいと思いましたので、実は御両者にお残りをちょうだいいたしましてその話を御一緒に聞いていただいた方がよろしいということになりました。そこで、高橋社長にもそうした現在の長銀の状況について私に報告をしていただいたことと同様のことを相手方にもお話をして、その状況のいきさつを私自身が責任者としてお聞きいたしておりまして、そして私自身がいかように対応したらよろしいかということでございまして、そのことにつきましては冒頭申し上げましたようにそのいきさつをお聞きして、しかも合併のお話をかねて来両行ともしておられましたので、どういういきさつに相なっておるかということと同時に、もし所感がありましたらお聞きもいたしたいということで率直な意見の交換を行った、こういうことでございます。
  243. 江田五月

    ○江田五月君 今ちょっとフィナンシャル・タイムズのことを出しましたが、その関係で、別に英字新聞がどうというんじゃありません、この金融問題、まあ金融問題だけじゃないんですけれども、国民がみんな物すごい不信を今持っている、マーケットも大変な不信感。そんな中で、しかしこれは日本も世界も、金融秩序を崩壊させてはいけませんので、ありとあらゆる知恵を絞っていかなきゃいけない。  だから、一番大切なのは国民との信頼あるいは世界の信頼、それをどういうふうにもう一度つくり上げていくかということだと思うんです。その根幹には情報開示といいますかディスクロージャー、これがあると思うので、先ほどもちょっと申し上げましたように、もちろんどこかの限度はあるでしょうが、可能な限りこの国会はもちろん国民にもその方法についての説明をしながら進めていく、そういうことはいかがなんですか、それはそれでよろしいんですか、総理大臣、まずお伺いします。
  244. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 自分の性格を申し上げるつもりはありませんが、もともと極めてあけっ広げでございますので、できる限り世の中にお話しすべきことはお話ししなきゃならぬ、そしてこのことは同時にあらゆる面でもクリアリーに、そしてすべての情報の開示ということはその方向性でなきゃならぬというふうに思っております。  ただ、事金融の問題につきましては、これは私の少し思い過ごしかもしれませんけれども、こうした立場で不用意な発言というものが起こったことによって、かつて片岡蔵相がその発言から昭和の恐慌を招いたというようなことも歴史的事実として私も学ばせていただいておりますので、こうした点につきましてはより慎重に、またより誤解をいただかないように、その情報の開示におきましてもそうしたことをしていかなきゃならぬというみずからの戒めとしてそうした考え方は持たせていただいておる、こういうことでございます。
  245. 江田五月

    ○江田五月君 大蔵大臣はいかがですか、情報開示、ディスクロージャー。
  246. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 先ほどフィナンシャル・タイムズの記事を御引用になりましたが、少し外国の特派員諸君がせっかちだと思いますのは、この内閣が発足いたしましてまだ何週間でもございません、正直を申しまして。税制の問題があり、予算シーリングの問題があり、そして今御指摘の問題があって、ですから小渕首相を評価するのには時間は実はほとんどまだたっていない。そのうちにきっと連中もわかるだろうなと私は思って余り気にしておりませんのですが、確かに情報はできるだけ開示した方がいい。  今のお話にいたしましても、総理大臣は今随分明快に言っておられるように思います。報道がございましたけれども、しかしまだ長期信用銀行からは何の意思表示もありませんし、リストラ案も発表されていない。しかし、そういうことをいろいろ報告を受けられたから、それに備えて相手側の銀行の話も聞いておきたいということを御自分のイニシアチブでやったと言っておられるわけでございますから、そうしますと次の段階は、報道は別といたしまして、政府としての段階は長期信用銀行から何かのリストラ案が発表され、それについて何かの要請があったときに政府はどうするのだと、こういう御質問があって、その段階でなら総理大臣はお答えになるのだと思いますので、ちょっと御質問が早い、答えろとおっしゃるのは少し私は無理なような気がします。
  247. 江田五月

    ○江田五月君 情報開示、透明性について、日銀総裁はいろいろと積極的なお話もされておりますが、この際確認をさせていただきたいと思います。
  248. 速水優

    参考人速水優君) 金融機関不良債権の自己査定、自己開示、早期償却ということは、私かねてからの持論でございまして、去る六月の新聞記者会見のときに、情報開示の一層の徹底を図る上で自己査定の内容についても自主的な開示を進めていくことが選択肢の一つではないかということを示唆いたしました。それをかなり大きく新聞は伝えたわけでございますけれども、これは市場における不信感を払拭するには個々の金融機関が自主的判断に基づいて創意や工夫を凝らしながら情報開示の内容を一層充実していくことが有用であろうという考えを申し述べたものでございます。  自己査定の内容の開示というのは、こうした自主的な開示の一つの選択肢として示したものでありまして、そのような積極的な対応を通じて不良資産の内容とその処理の道筋をはっきりしていくことが個々の金融機関に対する信頼の回復、顧客に対する信用の回復、我が国金融システムに対する内外市場の信認回復と金融再生への展望を明確にしていくものではないかというふうに考えております。  たまたま昨日も東京三菱銀行から今九月からの自己開示について、SEC方式を一歩前進させてもう少し情報開示の範囲を広げていくということを発表されたようでございます。これなどは、そのスタンスについて私は高く評価したいと思っております。こういう方向で進んでいけばいいがというふうに考えています。
  249. 江田五月

    ○江田五月君 申しわけありません、日銀総裁もう一つ。  今の自己査定の結果を自分で公表していく方向について好ましいことだというお話、わかりましたが、その自己開示には第Ⅱ分類のものも当然入るんでしょうね。
  250. 速水優

    参考人速水優君) やはり第Ⅱ分類がかなり広い範囲でございまして、公表している銀行もないではないんですけれども、今のところ各銀行がこれが第Ⅱ分類であるというふうには自行のものは発表しておりません。全体としての数字が監督官庁から発表されているだけでございますので、その辺のところをもう少し分析して、自分の判定でいいものと悪いものとをはっきり分けて、悪いものについては引き当てを置き、あるいは償却を早めるということにしていっていただければなというふうに思っておる次第です。
  251. 江田五月

    ○江田五月君 情報開示、ディスクロージャー、どうしてもこれは国民に透明性を高めた手続の中で今の金融再生をしていかなきゃいけないんで、可能な限りやっていかなきゃと思います。  そこで、ぜひこれは資料要求をいたします。  今年三月に公的資金による資本注入を実施した二十一行について九八年三月期における自己査定結果ほか、それから日本長期信用銀行について過去六カ月間の資金繰り表ほか、その他破綻した金融機関の大蔵省検査結果あるいは全特殊法人の不良債権の状況をペーパーにしておりますので、これはぜひ委員長の方で、理事会で検討いただきたいと思いますが、これどうしましょう、紙をお渡ししておきましょうか。
  252. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 理事を通じてお出しください。
  253. 江田五月

    ○江田五月君 では、理事を通じて出します。
  254. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) ただいまの江田君の要求につきましては、後刻理事会で協議いたします。
  255. 江田五月

    ○江田五月君 しかし、総理、きのうの朝は今の長銀のことを承知していない、報道された事実はないと理解していると、その夜にはもう会談をセットされる。どうも国民から見ると、それはきのうの朝はやっぱり承知していたんじゃないかという気がしますが、どうですか、ここは。もう一遍、くどいようですが。
  256. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 承知しておらないというのは先ほど申し上げましたけれども、新聞その他で報道された事柄について私は承知を、それをよく読ませてはいただきました。しかし、国会が始まる前でございましたので、詳細、すべての記事の端々にまでわたって私が拝見したわけではありません。しかし、見出しを見まして、そういうことが取り上げられておるということの事実は承知をしておると、こういうことを申し上げたわけでございます。  その後、金融監督庁長官からも、長銀につきましてのリストラ案等につきましていろいろとお聞きをしておるというような状況もお聞きをいたしました。  本問題につきましては、朝ほどのそういったお尋ねも含めまして、今日の状況につきましてはまさに刻一刻新しい事態が起こってくるわけでございますので、そうしたことについては責任者としては当然十分な神経を払っておくべきことではないかと、こういうふうに思っておりました。しかし、なかなか一日こうした場所におりまして、状況につきまして、そこに金融監督庁長官おられますけれども、話し合いをするという機会がございませんでして、昼食その他のときにこういう状況になっているというようなお話を聞きましたので、それなればこの問題についても相手方に状況についてお話をされることは望ましいのではないかということで先ほど来の経過をお話ししたとおりになった次第でございますので、御理解をいただきたいと思います。
  257. 江田五月

    ○江田五月君 金融監督庁長官、もちろんまだ今回の検査、途中経過だと思いますが、長官は長銀が債務超過ではないと国会で言明をされましたですね、いかがですか。
  258. 日野正晴

    政府委員(日野正晴君) 十九行検査の一環といたしまして今検査をやっている最中でございますので、まだ私の手元には債務超過であるといったような証拠といいますか、そういう報告は受けておりませんということを重ねて申し上げていると思います。
  259. 江田五月

    ○江田五月君 長銀のこの検査はいつから始まってどの程度まで行っておるか、それからその他の調査はどこまで始まってどうなっているか、その経過を御報告ください。
  260. 日野正晴

    政府委員(日野正晴君) お答えいたします。  長期信用銀行への立入調査開始は七月十三日でございます。それから、第一勧業銀行など八行への立入検査の開始が七月二十四日。それから住友銀行など五行への、これは日銀の考査でございますがこれは八月二十四日。残りの五行がまだ残っておりますが、これはこれから検査に入る予定でございます。  いつまでに終了するかというお尋ねですが、従来の大蔵省の金融検査部の検査の実績といいますか、それを拝見いたしますとおおむね二カ月ぐらいかかっていたようでございます。ただ、ことしの四月からは新しい検査方式が導入されまして、それに基づいて検査を今やらせていただいておりますが、いろいろやりたいことはたくさんございます。例えばコンプライアンス、法令遵守状況などについての検査もやりたいのですが、とにかく不良債権の問題が大変喫緊の課題でございますので、この資産査定を中心に今やらせていただいておりますが、やはりそのくらいの日数はかかるのではないかなというふうに考えております。
  261. 江田五月

    ○江田五月君 長銀だけがちょっと早目にスタートした、これはなぜですか。
  262. 日野正晴

    政府委員(日野正晴君) 十九行に対する検査につきましては金融再生トータルプラン、これは七月二日に開かれまして、ここで緊急的対応として、「主要十九行に対し、集中的な検査を実施」するということが盛り込まれたわけでございますが、私どもがその当時の市場の推移というものを見まして、これはやはり一番最初に長銀に検査に入るのがいいかなということで入ったわけでございます。
  263. 江田五月

    ○江田五月君 市場の推移、株価のことですかね。
  264. 日野正晴

    政府委員(日野正晴君) お説のとおりでございます。
  265. 江田五月

    ○江田五月君 そして、その他第一勧銀を初めとするところに入って、次の残り五行は第一陣が終わってからスタートするというようにきのう説明を受けましたが、それでよろしいですか。
  266. 日野正晴

    政府委員(日野正晴君) 残り五行でございますが、これは最初の九行の検査終了後に改めて検査予告をする予定でございまして、実際は今月の末から九月の初めぐらいに検査に着手したいというふうに考えているところでございます。
  267. 江田五月

    ○江田五月君 九行が九月の初めぐらいに終わって、それから残り五行。そうしますと、その九行については検査結果通知書というのは九月の初めにお出しになるんですか。
  268. 日野正晴

    政府委員(日野正晴君) お答えいたします。  検査結果通知書といいますのは、結局最終的にこれはさまざまな分類債権についての評価になりますので、私どもが、例えばこれはその貸倒引当金を五〇%積むべきではないか、こういうことを言いましても、当該の金融機関は、いや自分たちが査定したとおりこれは三〇%でいいじゃないか、こういうことを言われますと、直ちに、いやそうじゃなくて、これは五〇%にすべきだと言うことができるかどうか、若干疑問があります。  そこで、そこは多少ネゴシエーションが出てくる場面になるかと思いまして、そこは若干、最終的な検査の確定といいますのは必ずしも物理的な検査が終了した時点をもって完全に終了したというふうには言えないかなと考えております。
  269. 江田五月

    ○江田五月君 結果通知書は、きのうの御説明ですと、九行と五行ですから、十四行全部が終わってから一斉に出すんだというような御説明だったんですが、検査が終わった後ネゴシエーションして、全部ぐるぐるっと丸めてしまって、それから、ではこういう結果通知書でいいですね、はい、いいですというので出す、そういう趣旨ですか。
  270. 日野正晴

    政府委員(日野正晴君) 先ほど貸倒引当金のお話をいたしましたが、例えばA銀行が三〇%と、同じ債務者が仮におりましたとしまして、今度はB銀行が同じ債務者に対して仮に四〇%という貸し倒れ引き当てをしていたと仮定いたします。そういたしますと、私どもは五〇%ということを主張いたします。ただ、そうするとAとBとが三〇と四〇と、こう違ったような結果ではやっぱり困るわけでございまして、同じ物差しでそこは評価するということになろうかと思います。  そういたしますと、やはり十九行全体をやってみませんと、一体どういう物差しが最もこの資産検査に対してふさわしい物差しであるかということが出てこないのじゃないかというふうに考えておりますので、ある一つの銀行だけの資産検査が終了したからといって、もうすべての銀行はこの物差しでいくべきだというふうにはならないのではないかと考えますので、先ほど委員が御指摘になりましたように、ぐるっと丸まってといいますか、そんな感じになろうかというふうに思います。
  271. 江田五月

    ○江田五月君 なるほどね、検査というのはそういうものなんですか、ちょっとびっくりしました。  あらかじめ物差しがあって、それで検査に行くんじゃなくて、検査した後で物差しをつくるという話ですか。
  272. 日野正晴

    政府委員(日野正晴君) もちろん、大蔵省時代にさまざまな物差しがつくられておりますが、ことしの四月から新しい検査方式が導入されましたので、それに基づいた新しい物差しを私どもは今つくらなければならないと思いまして、実は来週から若手の弁護士、公認会計士あるいは商法学者などの方々に集まっていただきまして、検査マニュアルといったようなものをこれからつくりたいというふうに考えております。  その検査マニュアルはいずれ、ことしの十二月の末に公表したいと考えておりまして、結局その公表される、今準備をしているわけですが、そういったものが将来的には一つの物差しとして皆様方にお示しできるものになるのではないかというふうに考えております。
  273. 江田五月

    ○江田五月君 どうも疑問ばかりどんどん出てきて、これは時間が幾らあっても足りないぐらいです。  この長銀のリストラの検討の項目として海外取引からの撤退というのがあると言われましたね。これはなぜですか。
  274. 日野正晴

    政府委員(日野正晴君) 十九行は全部が国際業務を展開しているとは申し上げられませんが、かなりの金融機関が国際取引、国際業務に従事しておりまして、資産の内容に占める国際的な取引がかなりの部分を占めているという金融機関もあると思われますので、それを抜きにして全体の資産の状況を把握することができないからだというふうに思えるからでございます。
  275. 江田五月

    ○江田五月君 ことしの三月の資本注入の際に経営健全化計画を提出させましたよね。そのときに、長銀のものを見ますと随分すばらしい。「当行は、すでに従業員一人当たりの収益性・効率性では日本金融機関の中でトップクラスの地位にありますが、より強靱な収益体質・財務体質を目指し、資産内容の一層の効率化を推進しています。」などというようなすばらしいことを書いてあって、この当時が自己査定で自己資本比率が一〇・一一でしたかね。しかし、海外取引からの撤退というものが今度のリストラ案に入る。八%をクリアできないんじゃないですか。
  276. 日野正晴

    政府委員(日野正晴君) お答えいたします。  現在、八%は国際基準、バーゼル委員会で決められた八%でございまして、国内行につきましてはその半分の四%ということになっておりまして、仮にもう国内行に徹するんだということになれば四%の基準で十分ではないかというふうに今考えております。
  277. 江田五月

    ○江田五月君 この三月が一〇・一一、それが四%というようなことが取りざたされる。三月期決算のときのリスクアセットは、長銀は十九兆七千二百七十一億。四%ですと自己資本が七千八百九十一億必要。三月に千七百六十六億円入れた。今回六千億入れればちょうど四%。一〇・一一という自己資本比率は全くの粉飾などというような心配がどんどん出てくるんですが、時間になりましたので、私の質問はここで終わります。──それを聞いておきましょう、その今のこと。
  278. 日野正晴

    政府委員(日野正晴君) 何か最後は、仮に今回注入すればという仮定の御質問でございますので、これにはちょっとお答えを差し控えさせていただきたいと思います。
  279. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  280. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 速記を起こして。  関連質疑を許します。簗瀬進君。
  281. 簗瀬進

    ○簗瀬進君 早速、間を入れずに具体的な質問に行きたいと思います。  先ほど総理の会合設定、昨晩のいきさつについて、総理の御発言と官房長官の御発言がどうも真っ向から食い違っていたような感じがするんですが、その点はもう一回確認をさせていただきたいと思います。それは官房長官の方から。
  282. 野中広務

    国務大臣(野中広務君) 先ほど江田委員にお答えをいたしましたのは、昼、大蔵大臣総理が最近お話しすることが少ないので、国会運営の問題やら最近の為替相場の問題やらいろいろ懸案事項があるので、大蔵大臣の時間を聞いたところ、夕方八時ごろにはおいでをいただけるようだから、できればそのときに一緒してもらいたいというお話がございまして、最初二十分ほどですか、もろもろの問題について三人でお話をいたしておりました。その後、先ほど総理からお話がございましたように、金融監督庁の日野長官から経過を聞くというお話になりまして、せっかくの機会だからぜひ官房長官も陪席をしておってくれというお話でございまして、私も陪席をさせていただきました。  以上でございます。
  283. 簗瀬進

    ○簗瀬進君 これは本題はやっぱり住信の社長さんに主眼があったんではないんでしょうか。  というのも、新聞報道等で、両行の合併ということについて住信側で非常に懸念を抱いておる。住信の方でもう一回独自に、金融監督庁のいろんな調査が信じられないのかどうかわかりませんけれども、独自にもう一回長銀の中身を調べさせていただきたいということで調査チームを長銀の方に派遣したいんだと、そういうふうな話が出ている。こういうようなことも新聞で報道されているわけなんですけれども、この辺について総理は御存じでしたか。
  284. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 再調査云々のことは、申しわけありませんが存じておりません。
  285. 簗瀬進

    ○簗瀬進君 随分御心配になっているようなんで、そこら辺でしっかりと固めておきたいと、そういう趣旨が昨晩の会合の趣旨であったのではないのかなと想像するんですが、総理、いかがですか。
  286. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 先ほど来、江田委員にもお答えしておりますように、現下の金融システムの安定のための現時点における問題について大変憂慮すべき状況と心得ておりますので、この点につきまして私としても事情をお聞きしたい、こういう気持ちを持っておったことは事実でございます。
  287. 簗瀬進

    ○簗瀬進君 とにかく、預金者の保護ももちろん大切であります。しかし、この金融安定化の問題で国民が一番何を心配しているか。それは自分たちの知らないところでどれだけ泥沼の金融安定化のために自分たちの税金が投入されるのか、その底が見えない。これについての心配が疑心暗鬼となって非常に処理をおくらせ、また国民の心配を増幅しているわけですよ。  それに対して、きょうのそれぞれの御答弁を聞いてみると、何といいますか、言を左右に真実をできるだけ遅く伝えようと、そういうふうなことで逆に国民の疑心暗鬼をあおっているような、そういう感じがするんですが、いかがですか、総理
  288. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 先ほども申し上げましたように、長銀からこれからリストラの計画が決定、発表され、そしてその後に簗瀬委員の言われますことは何かの支援があるであろう、それに対してどうこたえるかという部分は、まだ今のところ申請がございませんし、リストラの内容も正式には出ておりませんので、お答えするのが遅過ぎやしないかというのは、その段階になっていませんで、逆に申せばそういう報道が早過ぎるのかもしれません。  ここは両方の難しいところでございますから、正式に申請がありましたときにどうするかという御質問に答えられるのがやはり総理大臣としてのお立場ではないかと。弁解するのではございませんが、真実はそういうことではないかと思います。
  289. 簗瀬進

    ○簗瀬進君 確かに形式的な申請はないかもしれません。しかし、金融監督庁に対してかなり大幅なリストラ案を出しているわけです。そして、その上で住信というようなことでの話でございますから、これは言うならば日本の行政がいつもやるパターンで、もう表で申請をしたときはすべてでき上がっている状況であるのではないでしょうか。  だから、そのように考えてみると、まさに金融監督庁に対してかなり大幅なリストラ案を長銀の方から提出をした、そしてその上で住信等を総理みずからが呼んで、官邸で、公邸ですか、設定をしたというふうな形になると、これはまさにある意味ではもう政府がこの破綻隠しの合併に根拠なしに手をかしていくというふうなことを住信の方に保証を与えた、そういうふうなことになりかねない。  私はそのように解釈せざるを得ないんですけれども、総理はいかがでしょうか。
  290. 日野正晴

    政府委員(日野正晴君) 簗瀬委員のお言葉ですが、決して破綻した金融機関を別な銀行が救済するという図式では本件はなかろうと思います。六月二十六日に両行がいわゆる商法上の通常の合併を行う、それは銀行法やあるいは金融機関の合併及び転換に関する法律によりまして、内閣総理大臣がこれを認可すべきものとされているわけでございます。  これだけの大規模な銀行になりますと、きょう申請書を出して、それじゃあしたから新しく合併した銀行として発足したい、こう言われても、これはちょっとすぐに認可をするかどうかということは、やはりかなり手続的に時間もかかりますし、さまざまな要件が必要とされているわけでございます。  これらの要件を一つ一つ充足していくのには、やはり両行が今お話しになっておりますように、九月中旬には合併の基本的な合意を発表して四月からの合併に向けて努力したいとおっしゃっているわけですから、それを前提に一つ一つの手続をこれから着実に進めていくべきものではないかというふうに考えているわけでございます。
  291. 簗瀬進

    ○簗瀬進君 お言葉ではありますけれども、長銀だけ破格の待遇で、十一日もほかの銀行よりも先に呼んでいるんです。  それで、市場の推移と先ほどおっしゃいました。市場の推移というのは一体どういうことですか。
  292. 日野正晴

    政府委員(日野正晴君) 先ほど江田五月委員にも御答弁申し上げましたように、当時の株価の推移を私どもが注視してそういうふうに判断したわけでございます。
  293. 簗瀬進

    ○簗瀬進君 当時というのは幾らぐらいだったんですか。
  294. 日野正晴

    政府委員(日野正晴君) 具体的な数字はただいま持ち合わせておりませんが、その当時はそういうふうに判断させていただきました。
  295. 簗瀬進

    ○簗瀬進君 それは答えになってないですよ。市場の推移で判断したんでしょう。
  296. 日野正晴

    政府委員(日野正晴君) ちょっと記憶だけで申し上げますと不正確になりますので、これは後ほど詳細を調査して正確なところを御提出申し上げたいと思っております。
  297. 簗瀬進

    ○簗瀬進君 それでは、きのうの夜、総理に対してはどういうような御報告をしたんですか。
  298. 日野正晴

    政府委員(日野正晴君) お答え申し上げます。  大変申しわけないんですが、もう御案内のとおり、私は本当であれば、本来認可権を有しておられる内閣総理大臣に対しまして、これを補佐する、補助する者として絶えず状況の推移を報告しなければならないところでございますが、私の至らないところがございまして、なかなか総理に報告することができませんでした。  しかし、私どもといたしましては、両行の合併につきましては、その都度、時々、折に触れてその進捗状況を聴取してまいったところでございます。また、報道されておりますように、昨日の朝、たまたま私といたしましては、住友信託の方からきのうの時点での合併の進捗状況の報告を受けましたので、せっかくの機会でございましたから、昨晩、総理に御報告させていただいたわけでございます。  それからなお、先ほど、後で調べた上で御報告申し上げると申しました当時の株価の推移でございますが、七月十三日に金融監督庁が長銀に対する検査に着手した時点では、五十七円ということでかなり額面すれすれの状態になっていたことを御報告申し上げたいと思います。
  299. 簗瀬進

    ○簗瀬進君 昨年以来、北拓あるいは山一、株価が大変金融機関に対しては非常に大きな影響力を持つということは、当然これは長官も御案内だろうと思うんです。まさに、今のお答えは、金融監督庁としては長銀がこの中ではかなり破綻の可能性が高い、このように御判断をしているという言葉の言いかえじゃないんですか、それは。
  300. 日野正晴

    政府委員(日野正晴君) 委員のお言葉ではございますが、私どもはあくまでもその当時の株価の推移を見て判断したということでございます。
  301. 簗瀬進

    ○簗瀬進君 話は若干前に戻るんですけれども、いわゆる早期是正措置というようなものがあるのは、もちろんこれは釈迦に説法でございますが、この早期是正措置の理解について、どうも金融監督庁長官としては、はっきりと御認識なさっていないのではないのかなということがあるのでちょっとお尋ねしたいんです。  これは、衆議院の予算委員会で我が党の横路委員長官質問をいたしました。そこで、早期是正措置の発動について、自己査定とそれから金融監督庁の見解が一致しないような場合があったときに、通知書にいろいろな結果が出たからといって、それに基づいていきなり何か強権発動をするとかあるいは早期是正措置を発動するということにはならないかと思いますと。  早期是正措置というのは、そういうふうに任意的な金融監督庁の裁量の範囲内のことなんですか。
  302. 日野正晴

    政府委員(日野正晴君) お答えいたします。  それでは、正確に申し上げることにしたいと思いますが、検査を通じて実態把握しました事項、問題点等につきましては、まずそれらを取りまとめた検査結果の通知書の交付によってそれを当該の金融機関に通知することとなります。この当該の金融機関はこれを受けて自主的な業務改善努力を行うことが期待されますけれども、金融監督庁といたしましては必要に応じましてその改善状況をフォローアップいたします。それは、銀行法の二十四条などに基づきまして、検査結果通知書において指摘されました事項についての発生原因あるいは改善策等の報告を求めることとなります。また、その検査結果を受けまして、金融機関が監査法人等と協議を行いまして資産分類や償却、引き当ての見直しを行った結果として自己資本比率に変動が生じますので、それが定められた基準を下回った場合には早期是正措置の発動を判断する、こういうことになるわけでございます。
  303. 簗瀬進

    ○簗瀬進君 今の点も細かく追及すればいろんなことが出てくるんですけれども、とにかく金融監督庁はいわゆる金融財政を分離しなければだめだと、そういう大変な議論の中で出てきた、言うならば金融の安定化のための切り札の役所のはずなんですよ。  ところが、お話を聞いているとどっちを向いているかわからない。国民のお金を本当にやみくもに、実質上破綻をしているかどうかわかりませんけれども、そういう金融安定化のためにどこまで投入してしまうのかわからない。しっかりと情報を開示した上で、納得のいくものは出すけれども、納得のいかないものは出せないというのが国民の気持ちですよ。そういう国民の気持ちにしっかりとこたえなきゃならないのが金融監督庁のはずでしょう。それに対してどうも発言が及び腰のような感じに聞こえるんです。  だから、この点について突っ込むことはもうこの辺にしますけれども、とにかく今申し上げた国民の期待というようなものをしっかり受け取ってもらいたい、そういうふうに思うわけであります。  最後にもう一つ、金融監督庁にまた聞かせていただきますけれども、七月十三日から長銀の調べに入った、検査員は何人ぐらい投入したんですか。
  304. 日野正晴

    政府委員(日野正晴君) 先ほどいろいろ御叱正をいただきました。金融監督庁設置がなぜ行われるようになったかということを絶えず拳々服膺しながらこれから努めてまいりたいと思いますので、簗瀬委員におかれても、ぜひひとつこれから御支援、御協力方お願いしたいと思います。  それから、長銀に一体何人投入したかという御質問でございますが、当初は十二人投入いたしました。
  305. 簗瀬進

    ○簗瀬進君 当初ということは、最後は幾らぐらい、あるいは延べで何人なんですか、何時間ぐらいやったんですか。
  306. 日野正晴

    政府委員(日野正晴君) その後、三名追加投入いたしました。何でそんな少ない数かと思われるかもしれませんが、何しろ大変少ない陣容なものですから、三名を投入しても相当な力となるということをひとつ御理解いただきたいというふうに思います。
  307. 簗瀬進

    ○簗瀬進君 検査部全体が百六十五人、こういうふうな体制であるということは私も承知をいたしておりますけれども、例えばこの前の一千七百六十六億円、三月に投入をしたわけでありますけれども、その際の検査体制はどのようなぐあいになっていたんですか。何人ですか、何時間ですか。
  308. 日野正晴

    政府委員(日野正晴君) 金融監督庁発足前のことでございますが、ちょっと正確に申し上げられませんが、たしかあのときはそういう意味での検査はしていなかったのではないかというふうに理解しております。
  309. 簗瀬進

    ○簗瀬進君 それで、ちょっと金融監督庁の体制について、細かい質問になるかもしれませんけれども、まずアメリカの預金保険公社、これは三千七百九十一名という大変な多くの検査要員を考査局に抱えているわけですね。日本は、今国民期待の金融監督庁が百六十五人そして預金保険機構も二百八十五人。このように大変な少なさなんですけれども、私もよくわからないんで教えていただきたいんですが、例えばこれを増員とかあるいは組織変更といったときにはどこが立案するんですか。金融企画局がやるんですか、大蔵大臣
  310. 日野正晴

    政府委員(日野正晴君) 金融監督庁の組織につきましては金融監督庁が行うこととなります。
  311. 簗瀬進

    ○簗瀬進君 そういうことで、預金保険機構の方は、これは金融企画局がやるんですか。
  312. 松田昇

    参考人松田昇君) お答えいたします。  やはり、増員要求は当機構で立案いたします。ただ、いろいろな関係がございまして、私どもは会計検査も受けておりますし、一応増員と組織改正については大蔵省の主計局の許可認可をもらって進めております。
  313. 簗瀬進

    ○簗瀬進君 結局、今預金保険機構質問をさせていただいたんですけれども、金融財政の分離というようなことが非常に問題になっている。そこで、やっぱり今までの金融についてのいろんな問題、あるいは日本全体の現在の経済不況をつくり出した原因というのは一体どこなのか。いろいろ考えてみても、私は大蔵省の中に伝統的にある金融政策財政政策の関係、そしてその中でどうしても金融政策を大胆に動かしはするけれども、減税等の財政政策は余り熱心じゃないと、こういうふうな長い間の一つの流れというようなものが現在まで来ているんではないのかな、このような私なりの印象を持つわけでございます。  そこで、これは大蔵大臣にお聞きしたいと思うんですけれども、この前の本会議で、大蔵大臣がバブル発生の問題について非常に率直な反省の言葉を述べられた。私は非常に感じ入ったわけでありますけれども、この辺をひとつテーマにして若干バブルの総括論、非常に時間が短いところであるんですけれども、これを大蔵大臣のお考えを聞かせていただきながら、ちょっと進めていきたいと思っております。  私は、簡単に整理をする意味でちょっとこちらにパネルをつくってまいりましたけれども、いわゆるプラザ合意から始まって現在に至るまでの日本経済というようなものを四つに分けて分析をすべきなんではないのかなと思います。(図表掲示)  一つはプラザ合意があった八五年、それから九〇年、それがバブル発生期。九〇年はなぜ九〇年かというと、ここで例えばゴルフ場の会員権の相場とかあるいは土地の資産価値、それからこの前年の八九年の十二月だったですか、株が最高値の当時は三万八千円台、これを記録したときであったわけであります。  でありますから、バブルの頂点までをバブル発生期。それからその後、急激にバブルを冷やしていった八九年の五月から九一年七月までがバブルの鎮静期。それから、九一年七月から九六年一月までが、これはかなり長いんですけれども、言うならば景気の低迷期、そして金融不安の顕在期。それから、九六年一月、これは橋本政権誕生で、言うならば膨らみ過ぎてしまった赤字国債を何とかしなきゃならないということで、大蔵省が中心になってしゃかりきに財政構造改革、こちらの方に行く。  こういうふうに四つに分けてみても、それぞれいずれのときにも、例えばバブルの発生期でも、一番問題になったのは金利政策で、言うならば当時二・五%というかなり低い金利を二年三カ月にわたってずっと続けてきたことなんではないかなとか、例えばバブルに対してこれを冷やそうとしたときに、総量規制とそれから大変急激な金利のアップをした。本来、例えば正面からやるべき土地の市場の問題あるいは株式市場の問題、そういう正面からの手当てをせずに、どうしても金利政策に頼ってバブルを消そうとした、そういう無理が来たんじゃないのか。  それから、例えばその後の景気低迷期も、やはりなかなか減税等の直接的な財政出動に対しては及び腰、そして赤字国債を出すにしても、それは建設国債とのいろいろ絡みの中でどうしても従来パターンの公共事業の方にお金が行ってしまった。こういう意味での一つのこれは財政政策のひずみがやっぱりここに出た。  そして一方で、超低金利政策の〇・五%をずっと続けた。これは一つには景気対策の意味もある。だけれども、二つ目には、これは言うならば超低金利によって銀行の、金融機関の収益環境をよくしようと、こういうふうなことをやったわけであります。  それから、このバブルの失速期というふうなことで見てみても、これは結局、現状とかなりずれた景況認識の中で財政構造改革にしゃにむに突き進んでいった橋本政権の一つの大きなやっぱり誤りだったんではないのか。  このように考えてみますと、我が国の経済の一つの大きな問題点をつくったというのは、やっぱり大蔵省の中にある伝統的な財政優位、そして景気対策等を含めてかなり金利政策の方に依存をしながら経済運営をしてきてしまったという問題があるんじゃないのかな。  そして、私もかつては自民党にいました。だからそんなに偉そうに批判をすることはできないと思っていますけれども、そういう意味でとにかく大蔵省を初めとするそういう官僚主導の政治に対して政治の側でしっかりと抑え込むことができなかった、こういうふうな問題が現在来たのではないのかな、私はこのような認識を持つんですけれども、総理あるいは大蔵大臣、お考えを聞かせていただければと思います。
  314. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) このたび簗瀬委員からこの問題の御提起があることを伺っておりましたので、私自身につきましてですが、せんだって本会議で申し上げましたようなことをずっと編年、年を追って分析をしてみたのでございますけれども、基本としてこの間申し上げたことに間違いはございません。ただ、記録だけ見ておりますと、私が大蔵大臣に就任いたしましたのは六十一年夏でございますのでプラザ合意の翌年でございますが、これは異常に急激な不景気が進行をこの年からいたしますのですが、それにもかかわらず、実は銀行局長が土地の投機に伴うような融資を厳に慎まなきゃならぬというような通達を出しております。そして、もう一遍、翌年、六十二年の十月にも同じような通達を出しております。しかし、このときには、まだまだいわゆるバブルというようなことはそんなに起こっておりませんで、日本経済全体が円高に対して苦闘をしているときでございますから、それにもかかわらず、投機的な土地取引はやめろというようなことを二度も三度も通達をしておる。  ですから、弁解をするつもりならば、行政は一生懸命そのころからやっておりますというようなことを言えそうなことになっておりますけれども、そのような通達というのは、いわば実際上はそのとおり行われていないとか、あるいは市場経済の実勢というものがむしろ非常に強いものであって、一片の通達では実際はどうもならなかったと申しますか、弁解はできますけれども、事実はそのとおりになっていないのですから、やはりタイミングを失ったということになると思います。  私は六十三年の暮れに退任いたしておりますけれども、そのころに今度は公定歩合は引き上げの方に動いておりますので、これも大変おくれたということもまた言えないような状況である。  ですから、申し上げますことは、非常に経済の上下の動きが、エネルギーが強うございまして、一片の通達やちょっとした公定歩合の変動ではこれを左右することができなかったということであろう。そうであるならば、もっとドラスチックなことをしなければならなかったということになる。これが一つの反省でございます。  それから、今言われましたことは、私はやはり感想としてはそのとおりであったろうと思います。私が一九八六年の夏に就任いたしましたときに、何とかこれは補正を組まなければならないということをかなり強く申しましたけれども、これは率直に申しまして、省内でなかなか賛同を得ることができませんで、それはやはり財政上の事由でございます。ようやくその年の暮れになりまして、もうやむを得ませんので補正を組もうかということになったことでもおわかりのように、なかなか財政が機動的に動くことは難しゅうございます。  それは、いろんな反省を込めて申しますけれども、伝統的な財政健全化主義と申しますか、そういうこと、国債に頼ることを避けたいというふうな気持ち、あるいはまた、予算というものは国会の御審議を経なければなりませんから、それに伴ってある程度の時間がかかるというようなこともございます。勢い金融の方に動いてもらうことになる。本来なら、ポリシーミックスというものが考えられそうなものでございますけれども、実際には財政の側も非常に動きにくい、金融には金融の事情があるというようなことがあって、両方が上手に連動して動いてこなかったということは、やはり私は反省事項として考えていかなければならないところだと思っております。
  315. 簗瀬進

    ○簗瀬進君 財革法をスタートさせる際の閣議決定がございました。昨年の六月だったですかね。そのときに大蔵省がこういうふうな文書を入れておったはずです、我が国の財政赤字は先進国中最悪であると。こういうふうな議論なんですけれども、その後、OECDから出された資料等を見ますと、先進国の場合は、負債だけの赤字論を言うよりも、むしろ負債と政府保有の金融資本、これを合わせた形でネットの赤字があるのかないのか、こういう議論をするのが一般的だと。  それでいきますと、九五年の経済企画庁の数字ですと、我が国の財政赤字が政府セクターで四百四十八兆。ところが、金融資本で三百九十四兆だから、ネットの財政赤字で見ると実は日本は一四%で、アメリカはたしか四〇%を超えていたようなそういう数字なんですね。  だから私は、やっぱり国民に財政状況を真実の姿をむしろ正直に伝えるというのであるならば、意図的に負債だけ切り離して強調するような赤字論よりも、まさにネットの赤字論をしっかりと伝えて、その上で国民に対して訴えていくといった方がフェアなんではないのか。恣意的に増税環境をつくるような厳しさを何か必要以上に吹き込むというような姿勢に見受けられてしまうんですけれども、その辺はいかがでしょうか、ネットの赤字論ということで。
  316. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) これは、さかのぼると結局戦争中に赤字財政というものが臨時軍事費の関係もございまして行われまして、今度戦後はこういうことになりましたので、ずっと赤字を続けてまいりました。そのことに対する財政当局の伝統的な用心と申しますか、反省と申しますか、つまり財政の健全さを守ることが、かつてはそれがなかったがゆえに日本が戦争に入ったといったようなそういう体験、あるいは戦後極端なインフレーションになった、そういう伝統的な考え方がございます。  それをずっと受け継いでいて、いわゆるケインジアンのような思想というものは予算をやっております当局には非常に受け入れがたい。これは伝統的なこともございますし、逆にまじめさというのも評価しなければならないことも本当だと思いますが、実感といたしまして、一般会計の中で国債費が二割少なくともございます。利払いと償還で二割ございますから、この二割が本当に丸々使えれば随分いろんなことができるということは、直接担当しております者はかなり痛切に感じますし、また私も大蔵大臣としてそのことを何度か痛切に感じますものですから、そういうところの発想が強く出過ぎるといいますか、出さなきゃならないものも、歳入補てん公債を出さないというようなコンサーバティブな感じになっておるのではないか、これも反省を込めまして申し上げます。
  317. 簗瀬進

    ○簗瀬進君 迅速果敢な経済対策がなかなか立てられてこなかったと大蔵大臣おっしゃいました。きのうも自民党の林さんの方からも御質問があったんですけれども、経企庁の経済見通しということについてちょっと聞いてみたいんです。  堺屋長官になられてから急に変わるということになりますと、見通しというのは本当に科学的な根拠の中で立てられているんだろうか。人によって簡単に変わってしまう、あるいはそれほどある意味では科学的な根拠が薄い、どちらかというと大本営発表みたいな、行け行けどんどんの目標みたいな意味で見通しというようなものがあるはずではないなと私は思っておるんですけれども、その辺についての御所見をいただきたいと思います。
  318. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) 私が大臣になったから、長官になったから変えたわけではございませんで、現実の経済の動きが一・九%という見通しと乖離してきたから変えたのでございます。一・九%の見通しは、これをつくりました当時の需要の見込み、それから経済対策、特別減税等を入れるとふえるんじゃないかという積み上げがあった。科学的というのは社会科学の場合どれほど科学的な見通しが当たるか、これは難しい問題でございますので、ちょっと物理学のようにはいきませんけれども、そのときにはいささか楽観的であったとはいたしましても、それなりの根拠を持って計算したはずでございます。  しかし、この経済の動きが非常に厳しかった、アジアの経済も予想外な崩落をした、そういうことが絡んで非常に現実と乖離したものですから、これは現在としては実現不可能だ、こう訂正したわけでございます。
  319. 簗瀬進

    ○簗瀬進君 もう少し大胆な突っ込んだ御発言がいただけると思ってはいたんですけれども、ちょっとガードがかたくなったようでございますので、情報政策についてのお話をさせていただきたいと思います。  質問に当たりましていろいろ調べさせましたら、いわゆる情報政策関連の予算として平成八年度は三千六百、それから平成九年度が四千八百、平成十年度が五千億と大変な金額になってきておりますけれども、すべての省庁にまたがってだっと出てくる。私はこれから雇用創出の点でも、あるいはこれから質問させていただきます外交政策においても情報政策というのは大変重要だ、このように考えておるわけなんです。このようなばらつき、精査はしていませんけれども、もっと戦略的に一つにまとめて、あるいはプライオリティー、優先順位をしっかりとつけてどんとやっていく、そして情報政策によって現在の経済的な閉塞状況を突き破っていく、こういうふうな大きな戦略が必要だし、その戦略に見合った調整機能をつくらなければならないと考えるんです。  この辺に大変御熱心な総理にお答えをいただければと思います。
  320. 野田聖子

    国務大臣(野田聖子君) ただいまの簗瀬委員質問に、郵政大臣、情報通信の方を所管している担当大臣として先にお答え申し上げたいと思います。  最近、情報通信それ自体が道具として社会また経済活動にかかわっていくものだということは、きのうの林委員の御質問にあるように、そういう理解が深まっている。そんな中で、政府も平成六年には高度情報通信社会推進本部というのをつくりまして、総理本部長、そして私は副本部長という立場で政府一体の取り組みを進めていこうということを今やっているところであります。  実は、郵政省というのは、きのう申し上げたとおり、情報通信のエキスパートを自負しているわけですけれども、実は情報通信に対しての総合調整をする立場にはございません。ほかの省庁のことは私は所管外なのでよくわかりませんが、少なくとも郵政省に関しましては、現在いろいろ情報通信関連に関する施策を実行する際にはどうもかかわりがありそうだなと思うようなそれぞれの省庁に対しては事前にお声をかけて重複しないようにきちんと調整をしているところでありまして、確かに十数年前には同じようなことをやっているじゃないかという御批判がございましたけれども、最近ではそういうことがなくなっているということを御報告申し上げたいと思います。  そして、予算の実施については、先ほどどんどん予算がふえているということなんですけれども、連携協力ということを心がけています。平成十年度の予算におきましても、郵政省の中の予算、そんなに多くはないんですけれども、そのうちの十三件が十一省庁と連携をして施策を進めているところで、例えば情報バリアフリーというのは厚生省、労働省と一緒に施策をやっておりますし、先進的情報通信モデル都市の事業では通産省と御一緒に仕事をさせていただいているところでございます。  さらに、平成十一年度の予算では、昨日来総理が強調しておられます総理枠、情報通信とか環境とか二十一世紀型の特別枠に関しては総理から厳しい御命令がございまして、連携施策を最優先するんだということでそれぞれ今連絡をとり合って調整しているところでございます。  以上です。
  321. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 簗瀬議員ともども党にありましたときに情報産業振興のためにいろいろ力を尽くさせていただきまして、私も長い間その会長を相務めてまいりました。  行政機構も既に新たなるその機構が決定しておることでございますが、その昔は私は郵政省、通産省一緒になって情報産業省ぐらいのことはよろしいんじゃないかと主張したことも実はございました。それは、実は産業的に見ますとコンピューター、すなわちこうした日本の産業が非常に発展してきている、一方コミュニケーションということになりますと郵政省が管轄しておるというようなことがございまして、いわゆるコンピューター・アンド・コミュニケーションというものをしっかり踏まえながら進めていかなきゃならぬということでございます。  今は簗瀬委員から情報関係諸予算が各省に非常にわたっておるんじゃないかというようなこともございました。事実そういった点はございますけれども、野田大臣から今お話しのように、次年度の予算編成に当たりましてはぜひ情報産業という枠組みの中で、各省庁ともひとつすばらしいアイデアを出していただきまして、私自身もこのことを十分予算的にも精査させていただきまして、有機的そして合理的にこれがお互い予算として力を発揮できるような姿にしていかなきゃならぬ、こう考えて、来年度しっかりやってまいりたいと思っております。
  322. 簗瀬進

    ○簗瀬進君 今のお言葉にもう一つ私はつけ加えるべきだろうと。  どうしても日本の情報政策というのはサプライサイド側、情報産業振興という、今まさに総理がお話しになったような側面でとらえられてしまう。しかし、もっと大切なことがあるんです。それは情報を使っている情報ユーザーの側なんですよ。なぜ情報が必要なのか、市民と市民が横断的に情報基盤をつくって、それでさらに新しい社会環境をつくっていかなければならない、こういうふうな側面も必要だと。そういうことになってきますと、どうも日本の情報政策にもう一つ欠けているユーザーの側に立った政策というようなもの、これが必要なんではないのかなと思うんですが、いかがですか。
  323. 野田聖子

    国務大臣(野田聖子君) ただいま利用者の立場に立った施策をということでございますが、これまで私たちが利用者の立場を考えてやってきたことというのは、例えばユニバーサルサービス、これは例えば最近では全国どこでも携帯電話が使えるようにということで格差是正事業というのを積極的に取り組んできております。または規制緩和をすることによって、また接続ルールなんかをきちっと定めることによって、民間の事業者に対して自由な競争市場をセットして、そしてその中での公平な競争によって利用者に対して安い料金とかサービスを生み出していただく、そういうグラウンドづくりをしてきたと言えます。さらにはインターネットとか新しい情報通信に関しましては、その非常に基盤である光ファイバー網の敷設、これは民間主体でやる仕事なんですけれども、これに対しても超低利融資という形で後方支援をしてきたところであります。  また、自治体ネットワークという制度もありまして、これは希望する自治体がそういうマルチメディア化をしたいときにはお手伝いをし、市民から行政へアクセスできるようなさまざまなプログラムのお手伝いをしてきているところです。  ただ、これからインターネットを考える場合の今までの情報通信との大きな違いというのは、例えば今までの情報通信というのは、テレビは一方的に利用者が受け取る情報、例えば電話は基本的には一対一の情報のやりとり。インターネットのすばらしさというのは、これはもう簗瀬委員も既にホームページを開いていらっしゃるから私から言うまでもないんですけれども、利用者がそれを通じて世界に自分から情報を発信することができる。これによって新たなビジネスチャンスが生まれたり、さまざまな公共のアプリケーションが生まれてくるという大変大きな宝を秘めているわけでございます。  ところが、こういうことをする際に現在利用者の不満として言われていることは、インターネットというのはつなぎっ放しの状況でやることが多いわけですから通信料がとても高いじゃないかということもありますし、または回線がまだ遅い、情報が電話回線では遅いという不満もございます。そういう問題を改善していきたい、解決していきたいということで、取り急ぎやれることからということで公共分野、学校なんかに先導的投資によるインターネット料金の引き下げということで、実は教育とインターネットということの懇談会の中でそういう御提言がありましたので、これは早速通信事業者と調整を行っていきたいと思っているところでございます。
  324. 簗瀬進

    ○簗瀬進君 情報の関係でもう一つ。  どうしても情報強者のための情報というとらえ方がされるんです。私は、むしろいわゆる障害を持った皆さん、ディスアビリティーの皆さんが自分の欠けている能力をこの新しいネットワークを使ってさらに拡充をしていく。そういう意味ではまさにネットワークは、情報弱者というふうに言ったらしかられるかもしれませんけれども、そういうディスアビリティーの皆さんのためにもあると思うんです。  その辺で、これは厚生大臣にお尋ねをしたいんですけれども、厚生省としても全面的にディスアビリティーの皆さんのためのネットワークづくりというようなものにお取り組みになる、なっているんだったらその御説明等をいただければと思います。
  325. 宮下創平

    国務大臣(宮下創平君) 今の御指摘は大変重要な視点でございまして、私ども、例えば障害者、物を見ることのできない方、あるいは聞くことのできない方等についてもそういうアクセスの方法を研究いたしておりますし、現にいろいろの諸団体を通じましてそういうアクセスの方法を今開発もし利用しつつございます。  今後ともこういう方面は力を入れていきたいと思っています。
  326. 野田聖子

    国務大臣(野田聖子君) ただいま簗瀬委員からお話がありましたいわゆる情報弱者について、郵政省として技術的なことについて少し御報告を申し上げたいと思います。  今、厚生大臣がおっしゃったように、そういう障害のある方に対して情報通信が果たす役割は大変大きいものがあるわけでございます。今現在郵政省としては何に取り組んでいるかというと、例えば聴覚障害者の方に対しましては、手話をテレビカメラに映して、それを文字に変換して双方のコミュニケーションがとれるような研究とか、さらには視覚障害の方には、声をマイクを通じてしゃべっていただくことで変換させてコンピューターを作動していただくような研究をやっている。同時に、今現在は金沢市におきまして、例えば高齢者とか障害者向けで、キーボードとかが苦手だとかパソコンになじみがないという人には、家にある電話、今まで使っている電話を使っていただいて、その電話の番号の入力によって例えば新聞社のホームページにつないでそれを音声で聞いてもらう、またはファクスが使える方はファクスによってホームページにつないでいただき文書で受け取っていただくような実験をしているところであります。  とはいいましても、厚生省との共同での研究会の御提言の中には、まだまだモデル的な導入はあるけれども普及はしていないんだ、高齢者の八割、さらには障害者の七割がまだインターネットの経験をされておられない、利用が進んでいないというのが現状です。  実は、こういう研究開発というのは大変地味で、なかなか国の予算としても厳しいところがございます。簗瀬委員は、私が当選したときにはもう既にマルチメディア化されている国会議員で、私は先生の御指導をいただいて今日があると思っていますので、どうかこういう方たちのための全面的な御支援を心からお願い申し上げます。  以上でございます。
  327. 簗瀬進

    ○簗瀬進君 ありがとうございました。  外務大臣に御質問をしたいんですが、フォーリン・アフェアーズで、大変有名なナイ・ドクトリンを書いたジョセフ・ナイさんが、三年ぐらい前だったと思うんですけれども、情報革命と新安全保障秩序、こういう論文を出しています。軍事あるいは安全保障の面での情報という大変大きなテーマが出ている。これについて御所見を伺いたいと思います。
  328. 高村正彦

    国務大臣(高村正彦君) 外交において情報が大変大切であるということはそのとおりだと思いますし、我が国としても、在外公館中心に各国政府あるいは民間と情報の交換を行うとか、あるいは情報機能の強化に努めているわけでありますが、今おっしゃった情報を共有することによって安全保障関係をよくする、あるいは国際協調関係をつくっていくということにつきましては、それは一つの見識である、こういうふうに思っております。
  329. 簗瀬進

    ○簗瀬進君 この論文の中でナイさんは、核の傘にかわる情報の傘を、こういうふうな提案をいたしておりますけれども、これについての御所見を伺いたいと思います。防衛庁長官
  330. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 今、簗瀬委員のお話を聞いておりまして、国を守るあるいは国民を守るということにつきましては、やっぱり情報が一番大事である。情報をいち早く入手し、それを分析をし、そしてどういう対応措置をとるか、それが我々の防衛につながっていくという考え方を持っております。その意味におきまして、防衛庁におきましてもさまざまの情報網を利用して、国民の皆さん方に、まず我が国の防衛をどういうふうにしていくかということについて一緒に考えていこうではないか、そういうことの情報も必要であろうというふうに思っております。  あるいはまた、世界の各国の皆さん方と、それぞれの国々の防衛のあり方あるいは整備の状況、そういうものが透明性を持っているということ、そういうものが情報網やあるいは人対人の交流によってそれが理解されていくこと、そういうことも大事であろうと。あるいはまた、防衛庁だけではなくて、いろんな国家戦略的にどういうふうに組み立てていくかということも必要であろうというふうに思っております。  そういう認識に基づいて、今後も防衛体制の整備に努力をしていきたいというふうに思っております。
  331. 簗瀬進

    ○簗瀬進君 若干私の質問が漠然的だったので答えられなかったかもしれないんですけれども、実はこの論文は、言うならば情報をかなり軍事的、戦略的に使っていこうという大変な考え方なんです。いわゆる湾岸戦争のときに、情報を押さえる者は別に核を持たなくても戦争に勝てるんだ、だから新しい囲い込みを情報ネットワークの中でやっていこう、こういうふうな発想なんです。それに従ってアメリカの外交とか情報戦略というのが組み立てられようとしているというこの実態を、意外に先ほど外務大臣あるいは防衛庁長官の御答弁の中にはもう一つ認識が薄いのではないかな、そういう感じがした。それに対して我が国はどういうふうな対処をすべきなのか、それに漫然と巻き込まれていくべきでは私はないと思います。  むしろ、日本にとっての情報というようなものは、先ほど外務大臣がいみじくもお触れになりましたけれども、情報によって国境を越えるんだ、そして国境を越える相互信頼を世界の市民との間でつくっていくんだと。そういう新しい考え方の情報による平和のシステムというようなものを、我が国が先頭に立って世界に対してリーダーシップをとっていったらどうだ、こういうふうな考え方を私は持っております。  ということで、時間が過ぎたんですけれども、この今の二点の問いかけに対して、外務大臣とそれから防衛庁長官、それぞれお答えいただいて質問を終わりたいと思います。
  332. 高村正彦

    国務大臣(高村正彦君) ナイ氏が情報の選択的提供と言っていることは、私はよくわかっているわけで、この情報の傘というのは情報を握っている側がつくったものだということはよく承知しているつもりでございます。
  333. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 例えば、アメリカにおいてはさまざまのニュースがCNN放送を通して世界じゅうを駆けめぐる、そういうことはアメリカにとっての一つの国益につながっているということをよく感じております。  しかし、我が国は我が国の防衛体制というものの独自の構えがあるわけでありますから、専守防衛という形があるわけでありますから、そういう形で情報を共有することによってお互いの脅威をなくしていくということについて、先生の御提言に沿いまして我々も勉強させていただきたいというふうに思っております。
  334. 簗瀬進

    ○簗瀬進君 ありがとうございました。
  335. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 以上で江田五月君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  336. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 次に、依田智治君の質疑を行います。依田智治君。
  337. 依田智治

    ○依田智治君 自由民主党の依田智治でございます。  当予算委員会におきましても、我が党の同僚議員が昨日来、当面の緊急課題である金融経済対策等、また国政、教育、福祉等全般の問題に触れておりますが、私は、やはりこうやっている中にも国家として対応せにゃならぬような安全保障上の問題、危機管理という諸課題を抱えておる日本の現状におきまして、この問題を中心にいただいた時間を質問させていただきたい。ただ、初めに、私も全国を駆け回って参議院選を戦ったその結果を踏まえて、ちょっと感想とこれから国政に取り組む決意というようなものを私なりにも反省しながら申し上げて本論に入りたい。  そこで、まず総理、既に本会議等以来、今度の選挙結果と、総理・総裁として国政に取り組む決意等を述べられておりますが、改めてこの場でひとつ総理のお考えをお伺いできればありがたいと思います。
  338. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 今般、結果の出ました参議院選挙につきましては、改めて厳しくこれを見詰め、謙虚に反省をしつつ、この政治責任を全うしていかなきゃならないというふうに考えております。  今回の参議院選挙の敗因はさまざまあろうかと思いますけれども、やはり一つは何といっても最近の景気動向にかんがみまして、将来に対する不安というものが漠然と国民の中に植えつけられておるということでございます。  したがいまして、この内閣としては、経済再生内閣ということでできる限り国民の皆さんがこれから元気の出るようなそういう政策を打ち出していかなきゃならないということでございまして、そのために、現下の厳しい状況を乗り越えるためにできる限りの手段、すなわち減税、あるいはまた追加予算、こうしたことを通じましてやはり国の中にお金が流れていくという形のものをつくっていくことが必要だと思っております。    〔委員長退席、理事野沢太三君着席〕 この期間はまことに短うと思っておりまして、私としては、この一両年その結果が必ず出てくるというためにあらゆる手段を講じてまいりたい、このように考えております。
  339. 依田智治

    ○依田智治君 私も今度の参議院選で全国を回りました。国民にこういう苦しい時代は何とか話せばわかっていただけるんじゃないかという希望を持ちながら、六大改革の問題、財政構造改革がなぜ今必要かというような問題をいろいろ訴えてまいりました。しかし、なかなかそれをわかっていただくほどの、お許しいただけるような現下の経済情勢でなかったという点が基本の状況じゃないかと思います。そこで、国民は、やはり自民党は一生懸命になってやってくれているけれども、当面思い切った手を打ってくれというのが私は今度の選挙結果ではないか。  冷静になって当選の数字等を見てみますと、ちょっと表をあれしますと、九年前の消費税導入の時はトータルで三十六人しか当選しておりません。私どもが出た今日よりはずっと状況はよかったかと思ったときに比例十五の四十六でございました。今回、推薦一人入れると四十五ということでして、そういう点で、やはり今日の状況というのは、私どもが本当に現有議席確保というほどの、果たしてそれだけのものが確保できる客観情勢にあったかという点は大きな問題じゃないか。  ただ、考えてみますと、現在、政党政治ですから、いずれにしても合わせて百五という圧倒的多数の自民党という数字を持っているわけでして、やはり民主主義というのは、国民の最も多数の支持を得ている政党が責任を持ちながら国政にかかわる問題等については他の野党の理解を得ながらやっていく、これが私はこれからの民主主義、一党が圧倒的に勝つというような政治状況はなかなかできないかもしれない、こんな感じがしておるわけでございます。  総理には、ひとつ自信を持って思い切った手を打つ。ただ、今回の反省としては、国民に理解されるということが非常に、もうちょっといろんな、多角的な手を打つ必要がある。内閣等の政策についても、若い人にインターネットなんて物すごく普及している。こういうものをもっと活用して、本当にこれからだってそんな簡単じゃないと思いますよ、いろいろ。政府の、これからいい時代を迎えるのに、全く楽をして本当にすっといくなんということは考えられないとなってきますと、苦しくてもこれが今必要なんだ、そして思い切った手を打ちますということについての相当多角的な広報戦術というものも内閣としてもやっていただいて、そしてしっかりした国の進路を誤らないような形をお願いしたい。  そんなことで、ひとつ総理にこの点についての決意をお伺いして、本論に入りたいと思います。よろしくお願いします。
  340. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 二十一世紀、日本にとって第三の改革の時期を迎えてのここ一両年だというふうに考え、さればこそ、前内閣も六つの改革を打ち出して、これをやり遂げることが極めて重要だということでありまして、しばしば申し上げておりますように、このこと自体は二十一世紀を明るく迎えるために我が国としてなさなければならない事柄であるということは承知をいたしております。  ただ、その中におきまして、現実の問題として、景気その他の問題が現実にございまして、そういった点での手の打ち方、こういうことについて十分な理解がされなかったという反省を込めておるわけでございます。  当面、この状況を脱却した上には、二十一世紀に目指す日本の姿というものをこれから描きながら、そしてその中には、必ずしもすべての国民が満足するということでなく、時には厳しいこともあり得るわけでございます。かつてケネディ大統領は、就任式でやはり国民の皆さんにもその厳しさを訴えながら新しいものを目指すという形のことを訴えておられましたけれども、ぜひそういうことで、今後におきましては明るい展望のできる未来を描く、そうした政策を国民の前に披瀝しながら国民とともに歩む形にしていかなきゃなりませんが、当面はこの事態を乗り越えるというところにあらゆる精力を集中していかなきゃならぬ、このように考えております。
  341. 依田智治

    ○依田智治君 内閣の総力を挙げてこの難局に対処していっていただくようお願いいたします。  では、本論に入りますが、まず我が国の日米安保関係、これを踏まえてのガイドライン、これは先国会等からも懸案になっております大変重大な問題でございます。先般、高村外務大臣がアメリカへ行って引き続き努力するということを決意表明してきておりますが、まず防衛庁長官、新しくかわった人もございますので、ガイドライン関連法というもののねらいと、今なぜ必要か、どんな中身か、概略ちょっと御説明いただくとありがたい。
  342. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) これは依田先生の専門の分野でありますけれども、私なりに整理をして国民の皆さん方にわかりやすく説明ができればよいと思っております。  御承知のとおり、冷戦の終結とともに本格的な東西陣営の対決というものは消滅をして、我々はいっときはいよいよ世界の中に平和と安定というものが訪れてくるのかなという期待感を持ったのも事実でありました。しかしながら、実態は、やっぱり宗教的なもの、領土的なもの、民族紛争的なもの、地域的な争い事が続出をしてきた。このアジアにおきましても、北朝鮮の核疑惑の問題を初め、五月にはインド、パキスタンも相次いで核実験を行うなど、新しい不安、新しい危険というものが生じていることはだれもが承知をしているわけであります。  こうした中で、私どもは、先般、平成八年度以降の防衛大綱をつくり、そしてまた二年前には日米両国で日米防衛協力の共同宣言をしたわけでございます。そういうことを踏まえて、昭和五十三年につくった日米防衛協力のための指針というものを二十年ぶりに今度見直しをして、新しい日米防衛協力のための指針というものをつくったことは御承知のとおりであります。  この指針の中で、日米安保条約の目的である我が国の安全とこの周辺の安全と平和を守るためにその新しい指針をどういうふうに実効あらしめていくかということを昨年の九月に閣議決定をいたしまして、今回の周辺事態安全確保法案の言ってみれば基本的な考え方をつくったということが今までの経緯でございます。  周辺事態が起こりそうな場合は、各国の外交努力、国連など国際機関の働きかけなど、あらゆる分野で紛争の発生阻止の努力が行われることは当然でありますし、それがまた政治の本来の目的であると思っております。しかし、それにもかかわらず周辺事態というものが起こった場合に、我々は我が国の平和と安全を確保する体制の充実を図る上で日米防衛協力のための指針の実効性を確保することが重要であると考えまして、今我々はこの法案をつくっているということであります。  そして、この法案では、政府は周辺事態に際しまして、適切かつ迅速に後方地域支援、後方地域捜索救助活動、船舶検査活動その他周辺事態に対応するための必要な措置を実施し、我が国の平和及び安全の確保に努めるものという形になっているわけでございます。
  343. 依田智治

    ○依田智治君 外務省としてもACSA協定の改定等いろいろ出しておるわけですが、外務大臣の所見もお伺いしたいと思います。
  344. 高村正彦

    国務大臣(高村正彦君) 今提案している二法案一協定、これはいずれも日米安全保障条約の実効性を確保するために絶対必要な法案である、こういうふうに思っております。
  345. 依田智治

    ○依田智治君 総理は安保会議の議長であり、国の安全保障の最高責任者であるわけでございますが、橋本総理の共同宣言以来積み上げてきたこの努力、実現に向かってぜひ努力いただきたいと思いますが、総理の決意のほどをちょっとお伺いしたい。
  346. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 特に、橋本総理そしてクリントン大統領との首脳会談で種々両国の関係のきずなはますます強まっておるわけでございますので、私といたしましても前内閣の方針をそのまま貫き通していきたい、このように思っております。
  347. 依田智治

    ○依田智治君 このガイドライン関連法案につきましてはまだつるしになっていて残念なんですが、委員会の段階でまた問題点等を掘り下げたい、こう思っておりますが、きょうは予算委員会でございますので、最近この法案をめぐって若干論点になっております点四つばかりを取り上げて、大臣並びに総理の御見解をお伺いしたい。  一つは、周辺事態とは何ぞやと。周辺というのは地理的概念ではなく性質に着目した概念だということで説明されてきておるんですが、この点について改めて外務大臣、ひとつお願いいたします。
  348. 高村正彦

    国務大臣(高村正彦君) 今おっしゃったように、地理的概念ではなくて事態の性質に着目した概念であると。ですから、あらかじめ一概にこの地域がそうだとかそうでないとか、そういうことを画することはできません。どこが入ってどこが入らないとか、そういうことを言うのもできないし、適当でもない、こういうふうに思っております。
  349. 依田智治

    ○依田智治君 周辺事態というのは、我が国周辺において我が国の平和と安全にとって重大な影響を与える事態ということですから、やはりそういう事態が起これば独立国家として対応するというのは当たり前。これについての議論はまた委員会等に譲るとしまして、次に国会承認の問題がございます。  総理大臣は防衛出動とか治安出動というときは国会に承認を受けるということになっておるわけでございます。今回の場合は、PKO法のPKOを派遣するときに遅滞なく国会に報告すると、同じ規定ぶりになっておるわけですが、防衛庁長官、これについてのちょっと御見解をお願いしたい。
  350. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) お答えをいたします。  防衛出動につきましては、自衛隊法第七十六条によりまして、内閣総理大臣が原則として事前に国会の承認を得なければならないというふうになっているわけであります。また、命令による治安出動につきましても、自衛隊法第七十八条により、内閣総理大臣が事後に国会の承認を得なければならないというふうになっておることは御承知のとおりであります。  これは、これらの出動につきまして国民の権利義務に関係することが多いことに加えまして、防衛出動については、我が国による自衛権の発動として武力の行使が可能となることから、慎重を期して行政府の判断のほか国権の最高機関である国会の承認も得ることにしているものと思っております。  これに対しまして、周辺事態への対応というものは、武力の行使を伴っていかないということ、それから国民の権利義務に直接かかわってはいかないということ、それから迅速に判断もしなければならないということから、国会への報告という形にさせていただいているということでございますので、よろしく御理解を得たいと思います。
  351. 依田智治

    ○依田智治君 PKO法でも、現在凍結になっておりますいわゆるPKFを出すときは国会の承認を得るということになっておるわけでございますが、そういう意味で、また同じ治安出動的なものでも海上における警備行動というのは長官総理大臣の承認を得てやるというふうに、それぞれの中身によって段階があるわけでございます。私は現時点においてこういう規定は適切かなと思っていますが、この点はまた今後の議論に譲りたいと思います。  次に、武器の携行。実は私が防衛庁におりましたときに湾岸戦争が起こった。そのとき、自衛隊を派遣しようというときには、当時、丸腰で行ってもらおうという議論がまともに行われておりました。私は、中東なり何なりそういうところへ丸腰でやってどうなのか、やはり身を守るくらいのことがなかったら送らない方がいいんじゃないかという議論だったわけで、今日のPKO法におきましては身を守るための武器は持っていくということになっておりまして、先般の国会では指揮官が指揮できるように改正していただいた。  そこで、今回の周辺事態法につきましては、武器の規定があることに関連して、これは憲法違反だとか、非常に問題があるというような意見も一部あるわけでございますが、この点、この法案においては武器の規定の問題はどうなっているのか、防衛庁長官
  352. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) この点につきましては、依田委員御承知のとおり、この法案の第二条第二項に、一連の周辺事態への対応措置の実施は、武力による威嚇または武力の行使に当たるものではないということが明確に記されているわけでございます。  その上に立ちまして、武器使用の目的は何かということでございますけれども、後方地域捜索救助活動または船舶検査活動の特定の場合におきましては、その職務を行うに際しまして不測の事態が発生することが否定できないという場面もありますので、そういう場面に限りまして自己または自己とともにその職務に従事する者の生命または身体を防護するための必要最小限の武器使用を行い得るよう措置するというふうにしたものでありまして、言ってみれば自己保存のための自然権的な権利というものであろうというふうに思っております。
  353. 依田智治

    ○依田智治君 先般、秋野さんの悲しい死亡というのがありましたが、そういう点も考えますと、やはり不測の事態に備えて身を守るための武器の携帯というのは当然認めるべきだ。  法制局長官、これは法案が出されておるわけですので憲法上全く問題ないと思いますが、この点についての法制局長官の見解を伺いたい。
  354. 大森政輔

    政府委員(大森政輔君) 先ほど防衛庁長官からほぼ必要なことはすべて述べられたわけでございまして、私からつけ加えて述べることもないわけでございますが、重要なことでありますからもう一度申し上げますと、この武器の使用と憲法九条第一項により禁止される武力の行使との関係につきましては、従前から一般的な見解を次のように述べているわけでございます。  すなわち、武力の行使は武器の使用を含む実力の行使に係る概念でありますが、この武器の使用はすべて同項の禁止する武力の行使に当たるとは言えない。例えば、自己または自己とともに現場にある我が国要員の生命または身体を防護するということは、これは先ほど防衛庁長官の言葉にもありましたように、いわば自己保存のための自然的権利と言うべきものでありますから、そのために必要最小限の武器の使用は憲法第九条第一項に禁止する武力の行使に当たらないということでございます。  そして、今般審議をお願いしております周辺事態安全確保法案の第十一条には、先ほど紹介がございましたように、後方地域捜索救援活動あるいは船舶検査活動を命じられた自衛官が一定の限られた要件のもとで武器を使用することを認めているわけでございます。    〔理事野沢太三君退席、委員長着席〕  この武器の使用は、ただいま申し上げました一般的な見解に当てはめますと、自己もしくは自己とともにその職務に従事する者の生命または身体を防護するためのものでございまして、いわば自己保存のための自然的権能の行使ということが言えようかと思います。したがいまして、そのために必要最小限度の武器使用に限っているわけでございますから、憲法九条との関係で何ら問題がないというのが私どもの見解でもございます。
  355. 依田智治

    ○依田智治君 ありがとうございました。  あと一点、議論を呼んでおりますのは、民間空港、港湾等の使用、地方公共団体等に対して協力を求めるというか、この関係です。この点は、防衛庁長官、どんなぐあいになっておるのでございましょうか。
  356. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) この点につきましては、この法案の第九条第一項にあるわけでありますが、関係行政機関の長は、法令及び基本計画に従いまして、地方公共団体の長に対し、その地方公共団体の長が有する権限の行使について必要な協力を求めることができるということが記されているわけであります。  これは、言ってみれば、我が国の平和及び安全に重要な影響を与えるような周辺事態が発生した場合、その重要性にかんがみまして、特に地方公共団体の長の権限の行使につきまして、公権力の行使に係る権限の公共的な性格及びほかに代替手段を求めることが困難であるという事情を考えて、本法案に基づきまして、閣議決定される基本計画において定める、求める協力の種類、それから内容等が定められることを前提として、関係行政機関の長から必要な協力を求めることができるというふうになっているわけであります。
  357. 依田智治

    ○依田智治君 本当に国の平和と安全にとって重大な事態が起こっているというときに協力を求めるという程度のことでいいのかというような議論もありますが、これはまた後日に譲るとして、もともと基地を平素から整理、統合、縮小して非常にコンパクトに、平時において必要最小限の基地を維持していこうということになりますと、いざ何か起こったというときには、米軍基地で足りなければ自衛隊基地、両方使ってもなお足らない場合に協力を求めて民間空港等を使う。これは国家存立にとって重要な事態だったら当然なことでございます。ここで重要なことは、やっぱりよく説明して、民間初め地方公共団体の長等に対して平素から、また法案等につきましてもしっかりと理解を得ていくという粘り強い努力が必要じゃないか、こう思いますので、努力をお願いしたい。  なお、これに関連して、このガイドラインじゃないんですが、私は内閣で安保室長をしていた当時、有事法制の第三分類といって、一般のその他省庁に属さぬ事項というのにあずかっておって研究しておりました。もう大分たっていますが、まだそのままになっております。やはり国の重要な事態が起こったときに法制上どういう点に問題があるのか、考えただけでもいっぱい問題があるわけです。これを総理の命令によって、ちょっと各省庁割り振ってしっかり勉強しておいてくれと。勉強しておくだけだって違うんですよ。それがなされていない独立国家というのは非常におかしいなと思っていますので、これは総理に強く要望しておくことにいたします。  ガイドラインはこれで終わりまして、次に外交、防衛上、当面私なりにこれはちょっと聞いておきたいという点を幾つかお願いしたい。  まず最初に、ロシアの情勢です。  ルーブルを切り下げた。これが世界的に波及するようなことになったら大変だろうと。また、あの国は核を含む膨大な軍事力を持っておる。この核管理がずさんになったら世界の平和にとって大変な脅威になる、こう思いますので、現状と我が国としての取り組み、これを外務大臣からお願いしたい。
  358. 高村正彦

    国務大臣(高村正彦君) ロシアの経済金融情勢につきましては、注意深く注視しているところでございます。  委員が御指摘になったルーブルの実質切り下げを含むいろいろな金融措置でございますか、このことによってロシアが市場の信認を回復して安定していくことを望んでおりますが、これはこれからも注意深く見ていかなければならない状況である、こういうふうに思っております。ロシアは今まで改革努力を続けてきたわけでありますが、より一層その改革努力を続けてもらいたいと思いますし、日本としても国際社会と一緒になってその改革努力を支持していきたい、こう思っております。  それから、武器等の流出の動きでありますが、これもまたきっちり注視していかなければなりませんし、国際社会との連携のもとで、ロシアの軍民転換の動き等を促しつつ、必要な働きかけをロシアに対して行っていきたい、こういうふうに思っております。
  359. 依田智治

    ○依田智治君 きょうは、時間の関係上、問題点を指摘して努力をお願いすることにとどめます。  次に、日韓漁業協定です。本年一月破棄して、来年にはもう満期になる。それまでには何とか締結しなきゃならぬ。ただ、この問題は竹島という領土問題がかかわって安易な妥協ということはなかなかできない、こういう中において金大中さんも十月には参る、こういうようなことでございまして、この問題についての外務省の取り組み状況、締結に向かっての決意というか、これをお伺いしたいと思います。
  360. 高村正彦

    国務大臣(高村正彦君) 十九日から実務者協議をやっておりまして、きょうも継続してやっているところでございますけれども、隔たりが大きいのは事実でありますが、韓国側の協力も得てその隔たりを縮めていきたい、そして双方の努力によって金大中大統領が日本に来られる前には実質的な合意にこぎつけるように双方で努力していきたい、こういうふうに思っております。
  361. 依田智治

    ○依田智治君 ぜひ真剣な努力をお願いしたいと思います。  次に、これは総理の所信表明演説の中にもございましたので直接総理にお伺いした方がいいかなと思っておるんですが、国連の改革という問題がどうも最近スピードが落ちているかなというような感じがします。ちょっと調べただけでも、我が国の国連に対する拠出金というのは二〇%にも迫っておるという状況で、そういう中において、国連安保理の常任理事国というものに早く就任して、世界の平和等の面で我が国としてのノウハウを生かしつつ積極的に努力していく必要があるんじゃないか。  所信表明にも触れておられましたので、総理のこの問題に対する御決意をお伺いしたいと思います。
  362. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 国連改革は幾つかの諸点があるかと思っております。  今、分担率の問題もございましたが、財政状況も極めて厳しい、特にアメリカにおきましてはその支払いも滞っておるというようなこともございます。そういった意味で、分担率、いわゆる国連における財政問題も厳しゅうございますが、我が国といたしましての最大の問題は安保理の常任理事国入り、こういうことだろうと思うんです。  最近ではほとんど我が国の立場は一貫しておりますが、やや今までの内閣の中で消極的であった点もございましたが、現在は、どうしても我が国としては、これだけの大きな国となって、やはり常任理事国に入って、そして国連における責任を果たしていくということでいたしております。  ただ、実際は、我が国とドイツについてはほぼ常任理事国入りについては合意がなされつつあるところではありますけれども、そうなりますと、では南米の中でどの国が入るべきか等々、それぞれ希望される国がかなりありまして、その調整に手間取っているということだろうと思っております。いろいろ苦心をしてこの調整案をつくりつつありますが、なかなかこの点について現時点におきましても確たる方向が定まっておらないことはまことに残念でありますが、なお積極的に努力をしてまいりたいと思っております。
  363. 依田智治

    ○依田智治君 いろいろ他の国の協力も得なきゃならぬ、またいろいろ地域ごとに大変複雑な問題もあってなかなか難しいかと思いますが、私は、我が国は我が国なりに、その国にはその国なりの憲法もあり、いろいろあるわけでございますから、そういう国の姿をもって国際社会の中に積極的に貢献していくということが大変重要でございまして、少なくとも、せっかく日本になってくれと言うのに腰を引くというようなことにはならぬようにしっかりと努力していっていただければありがたい。  次に、けさのニュースでもちょっと拝見したんですが、これは大変な問題だなと思ったんですが、KEDOの軽水炉プロジェクト、これが何かアメリカの重油がどうも提供が滞っているというようなこともあって、若干別に核開発施設をつくっているような疑いがあるなんと言って、衛星がキャッチしたというようなことで、きょうにでも米朝協議があるような話もございます。  インド、パキスタンの核実験、こういうものを踏まえていろいろ──やっぱり核というのは業の兵器で、こんな無差別に非戦闘員を含めて大虐殺するというようなものは、日本はたとえつくる能力があってもつくらない。これはもう当然なことであって、核五大国等もできるだけ減らしていってもらう、新たなものは絶対につくらせないということが重要だ。  そういう視点に立ちますと、このKEDO、軽水炉プロジェクトが何か滞っているというような状況があるようでございますが、ひとつ積極的に推進していただくように、これは外務大臣、いかがでございましょうか。
  364. 高村正彦

    国務大臣(高村正彦君) KEDOの中心的なところはもちろん軽水炉プロジェクトでありますが、先月の末、KEDO理事会メンバーの大使級会合において経費負担問題について実質的な意見の合意を見たわけであります。  これを受けて、今月中にも再度大使級会合を開催し、正式に採択、発表する予定でございます。その後、直ちにKEDOとの間で資金拠出協定の交渉を行い、交渉がまとまり次第国会にお諮りしたい、こういうふうに思っております。
  365. 依田智治

    ○依田智治君 次に、これもやっぱりしっかりと対応しておっていただかないと大変なことになるぞということで、イラクに対する国連査察、これが最近何か滞っていると。  これは、国連安保理の六八七決議で大量破壊兵器完全廃棄の受け入れをして検査を受け入れている。そして、やっぱり核兵器を含む生産能力とか、VXガスの生産可能性とか、原料物質みたいなものを大量に持っている疑いがあるという状況があるわけでございまして、この点はぜひとも国際社会で一致協力して推進して、しっかりとそういうものの拡散をとめていただくということが大変重要じゃないかと思いますので、この点も外務大臣、お願いいたします。
  366. 高村正彦

    国務大臣(高村正彦君) 十三日からイラクを訪問していたシャー国連事務総長特使が、イラク側との協議の結果につき来週早々にも安保理で報告を行う予定であります。  今、委員御指摘になったように、安保理が一致して対処していくことが重要であって、我が国としては、引き続き他の安保理理事国とも十分に協議しつつ適切に対処していく所存でございます。
  367. 依田智治

    ○依田智治君 国によってちょっとニュアンスが違うようでございますが、こういう問題は歯どめがかからなかったら本当に大変な事態になる、こう思いますので、我が国としても真剣な御努力をお願いしたい。  次に、新聞等に出ておって、早速外務省から取り寄せて読ませていただいたんですが、国連の人権小委員会で最近マクドガル報告というのが出ている、従軍慰安婦問題に関する勧告というようなもの。これをちょっと読んでみますと、どうもルワンダとか前のユーゴスラビア等において人種的な面から相当ひどいことが行われていた。それと同列の認識のもとに、附属書の方で我が国の従軍慰安婦問題が取り上げられた。これはとんでもないことです。  そして、これを読んでいくと、レイプキャンプとかレイプセンターとかいって、日本の軍が慰安所として設けてやっておった、こういうのがレイプセンター、レイプキャンプというような表現の中で、我が国としてそういう犯罪者を捜し出して対応せよなんて、こんなような、私は、中川さんが発言されたのがいろいろ問題になっておって、閣僚としては今その発言でやむを得ないのかなと思っておりますが、しかし、私はいろいろ内閣等で調査した結果その他、河野官房長官談話というようなものもやや政治決着を急いだなという感じもしておりまして、これは長期にわたって我が国の民族の名誉にもかかわる極めて重大な問題ですので、今後とも明らかにしていく必要があると思っております。  これはこれとして、この問題はまた正規に委員会で審議があるやに聞いておりますが、外務省としてこれについてはしっかり的確に対応しておっていただく必要があると思いますが、外務大臣、この点についての見解をお伺いしたい。
  368. 高村正彦

    国務大臣(高村正彦君) いろいろありますけれども、このマクドガル特別報告者の報告書で、法的賠償を勧告するというような点が中にあります。ただ、これは我が国の従来の立場に反するものでありますから、同報告書の論理及び結論を我が国としては受け入れられないということを同小委員会においても我が国として既に表明しているところでございます。  我が国は、政府としては今お触れになった河野官房長官談話、そういう認識のもとに、国民の本問題に対する真摯な気持ちのあらわれであるアジア女性基金の事業に対し政府は最大限の協力を行ってきているわけでありますが、こうした努力は昨年の同小委員会でも評価しているということを一言申し添えておきたい、こう思います。
  369. 依田智治

    ○依田智治君 いろいろ意見はありますが、少なくともレイプキャンプとかセクシャルスレイバリーとか、こういう性的奴隷という表現で扱われるべき状況ではないということでございますから、この点しっかり対応していただくようにお願いしたい。  この外交・防衛問題の最後にBMDですね、防衛庁長官。私は、これは非常に難しいけれども、やはりこういう今のようなミサイル拡散時代には、これは攻撃でなくて防御ですからぜひ必要だと。最近、新聞等を見るとちらほら防衛庁は予算を要求しないとかいろいろ出ていますが、やはりこれは国益を踏まえて、必要ならば、そして実現可能性があるならばしっかりと参加してこれを研究していくという姿勢が非常に重要じゃないか。何かピストルをぱっと撃ったときに他のピストルでぱっと撃ち落とすくらい難しいというようなことを例えで聞いたことがありますが、しかしこのあたりの実現可能性と防衛庁自体の現時点における判断、これを防衛庁長官からお伺いしたい。
  370. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) お答えをいたします。  先ほどもお話をいたしましたけれども、最近の大量破壊兵器の拡大あるいは弾道ミサイルの拡大、こうした事態におきまして、我が国の弾道ミサイル防衛対策をどうするかということは重大な関心を持っておるし、また勉強していかなければならないということだと思っております。  弾道ミサイル防衛の必要性や効果について論じるためには、弾道ミサイルの脅威、あるいはまた弾道ミサイル防衛システムの具体的な内容、あるいはまたその技術的実現可能性等につきまして我々は十分な研究を行う必要があるというふうに思っております。このため、現在、弾道ミサイル防衛に関する多くの材料とか知識を持っている米側の協力を得ながら、日米共同で研究を進めてきたことは御承知のとおりでございます。  御指摘の日米共同技術研究も含めまして、今後適切な対応をしてまいりたいというふうに思っております。
  371. 依田智治

    ○依田智治君 このほか質問したい事項としては、沖縄の米軍基地問題とかPKO要員の安全性の問題その他いろいろございますが、また当委員会においても同僚議員等が質問すると思いますので、次に最後のテーマとして、きょうの朝以来話題になっていますが、国際テロとか我が国における組織犯罪というものも大変厳しい状況になってきていますので、この国際テロ等組織犯罪対策という問題について、最後に残された時間を質問させていただきたいと思います。  今未明に米軍がスーダンとかアフガンのテロ関連施設を攻撃した、これはびっくりしましたが、これが国際的にどう問題なのかという点は十分真相を把握した上で我が国としても的確な対応をお願いしておきたいと思いますが、いずれにしても、現在まだテロを支援しているとレッテルを張られている国家があるということでございまして、外務省、現在アメリカ等によってテロ支援国家として挙げられている国はどういう国があるんでしょうか。
  372. 浦部和好

    政府委員(浦部和好君) 例えば、イラン、イラク、キューバ、北朝鮮等でございます。
  373. 依田智治

    ○依田智治君 等ということで、急に質問しましたから、七カ国挙げられておるわけです。そんな実態も踏まえると、けさ以来質問がありましたように、本当に国際社会一致協力して、こんなテロなんというのは、まさにひきょうなる人類に対する最大の敵でございますからなくしていかなきゃいかぬ。しかし最近、残念ながらいろいろ宗教を背景としたり民族等を背景とするテロがまだ絶えない。  そこで、最近におけるテロ情勢というか、どんなぐあいになっているのか、外務省の方、ちょっと御説明いただければありがたい。
  374. 高村正彦

    国務大臣(高村正彦君) 爆弾テロ事件としては、最近では、今月七日にケニアの首都ナイロビ及びタンザニアの首都ダルエスサラームにおいてそれぞれ米国大使館をねらったと思われる爆弾テロ事件が発生いたしました。また、今月十五日には北アイルランド中部のオマー市において繁華街での爆弾テロ事件が発生するなどし、それぞれ多数の死傷者を出しております。そのほかにも、一昨年一月のスリランカのコロンボ市における中央銀行爆破事件、昨年十月同じくスリランカのコロンボ市におけるホテル駐車場付近の爆弾銃撃事件、そして昨年十一月のエジプトのルクソールにおける観光客襲撃事件では邦人が被害に遭っている、そのような発生状況でございます。
  375. 依田智治

    ○依田智治君 今ちょっと資料が出てきましたが、米国の国防省が国際テロ報告書の中で挙げている国は、キューバ、イラン、イラク、リビア、北朝鮮、スーダン、シリア、この七カ国でございます。こういう状況で、サミットでももうずっと前のボン宣言以来必ずテロ対策の強化ということでやっておるが、相変わらず後を絶たないという状況で、我が国もアジアからの唯一の参加国として、これに対しては積極的に努力するということで、橋本前総理等もアジアのフォーラムを開いたりいろいろやっていただいているわけでございますが、アジアにおいてもまだテロ関連条約に加盟していないという国が結構あるわけですが、このあたりの状況、外務省はわかりますか。
  376. 浦部和好

    政府委員(浦部和好君) 申しわけありません。手元に資料がないものですから、十二分にお答えできません。  むしろ主要加盟国の方はお答えできるわけでございますが、主要加盟国ですと、いわゆる主要先進国ではほんの一部の、例えばフランスが一部の条約に入っていないとか、そういう例はございます。あるいはロシアが一、二条約に入っていない、そういうケースはございます。ただ、主要国ですとほとんどいわゆる十条約というものについては全部加盟をしておる、こういう現状でございます。
  377. 依田智治

    ○依田智治君 やっぱり外務省はアジア等でどのテロ関連条約にはどの国が入っていないなんという程度のことは即刻答えられるぐらいにしておいてもらわぬと、何をやっているのかということになりますよ。手帳に書いて持っているぐらいのことでやってもらいたい、こう思いますので、この点はよろしくお願いしたい。私も自民党テロ対策小委員長、かわってもう今は解任になっているかどうか知りませんが、前のではそうなっておりますので、よろしくお願いしたい。  それから、ペルー事件、あのときいろいろ外務省として我が国の大使館なり在外公館の警備というものを非常に強化しようということで──アメリカのように主なところは海兵隊等もつぎ込んで警備しているようなところでもああいう状態ですね。あそこは比較的弱いというところでねらわれたというようなことでしたが、我が国はあれ以来外務省も、相当といってもまあ全体的には細々という感じかどうか知りませんが、予算をとって相当強力な対策を講じておるというように聞いておるわけでございますが、そんな状況はどうなっておりますか、外務省。
  378. 高村正彦

    国務大臣(高村正彦君) ペルー事件の教訓を踏まえまして、外務省としては、在外、本省を含めた情報の収集、分析、評価体制の強化、あるいは警備官及び現地警備要員の増員、警備官を補佐する日本人の警備専門員の新規配置、ゲート式金属探知機、エックス線爆弾探知機の配備拡充のほか、外塀、門衛所等の公館外周部の強化、さらには通信連絡体制の強化を図っていますが、なかなか予算がとれないので、応援をよろしくお願いいたします。  また、天皇誕生日祝賀レセプション等の大規模行事実施に際しては、既に本省から示したガイドラインに基づき、各公館ごとに警備マニュアルを作成し、警備強化を行っております。
  379. 依田智治

    ○依田智治君 出入国管理とかその他いろいろ考えますと、本当に我が国にそういう過激派が入ってきて何かやろうとしたら非常に簡単にできるんじゃないかなという点が心配でございます。これは、官邸等もなかなか建てかえしないで、まだそういうセンター自体も小さいところへつくっているような状態でございますが、国の危機管理という見地から十分予算をつぎ込んで備えをしていただくということが大変重要じゃないか、この点を特に要望しておきます。  最後に、現在、組織犯罪対策三法というのが提出されたままになっております。これはまた現在の組織犯罪情勢等を考えると非常に重要な法律だなと。しかし、いろいろこういう重要な法律をつくるとすれば、またそこでこれを悪用したら人権上問題があるというようなことでなかなか進まない、そんな状況がありますので、この点を最後にちょっと法務大臣、国家公安委員長等を中心に御説明いただいておきたいと思います。  まず法務大臣、最近の我が国における組織犯罪をめぐる情勢というのは極めて深刻な状況になりつつある。そういうことで、先ほど申しましたように組織犯罪三法も提出されておるわけでございますが、最近の犯罪の情勢、暴力団関係者等が金融経済システムに悪影響を及ぼすような犯罪も起こしてきておるというような状況がございます。そのあたりを踏まえた最近の状況の御説明をお願いしたいと思います。
  380. 中村正三郎

    国務大臣中村正三郎君) お答えいたします。  今も委員質問の中でおっしゃられましたとおり、大変重要な課題である不良債権の処理、そして金融再生においても組織暴力犯罪というものが大変な障害になっているという事実もございます。現下、暴力団による薬物や銃器等の不正取引等、深刻な状況にあると思っております。  また、暴力団組織の不正な権益の獲得、維持を目的とした各種の犯罪でありますとか、オウムのような大規模な組織的な凶悪事犯、法人組織を利用した詐欺商法等、組織的な犯罪が少なからず多発をしている状況でございまして、今も申し上げましたように、金融経済システムの中で暴力団関係者による犯罪も多発している状況にございます。こうした犯罪状況は、我が国の平穏な市民生活を脅かすとともに、健全な社会経済の維持発展に重大な悪影響を及ぼす状況にあると認識をしております。  とりわけ、薬物犯罪におきましては、暴力団周辺者にとどまらず、一般の市民、さらには未成年者等にも急速に拡大しておりまして、その背後には暴力団を含む内外の組織が密輸や供給にかかわっているものと考えられております。  また、銃器に関する犯罪につきましても、暴力団による対立抗争事件、企業幹部を対象としたテロ行為、金融機関等に対する現金強奪事件など、一般市民が巻き添えとなり、あるいはねらわれる悲惨な事件もしばしば発生しております。やはりその背後には、暴力団等により組織的な密輸、供給が行われているものと考えられるわけでございます。  したがって、このような組織的な犯罪の防圧はまさに急務であると考えております。
  381. 依田智治

    ○依田智治君 きょうは警察庁にも来ていただいていますが、暴力団犯罪、特に麻薬、覚せい剤、銃器の不正取引というようなものも大変ふえておるというふうに聞いていますが、数値的な問題等を含めて現状を御報告願いたいと思います。
  382. 佐藤英彦

    政府委員佐藤英彦君) まず暴力団の現状でございますけれども、昨年末現在で構成員が四万四千七百人、準構成員等を含めまして現在八万一千人を警察としては把握しております。  これらの暴力団によります犯罪でありますけれども、今御指摘のように薬物、賭博あるいは企業を対象とした恐喝事件が主流でありまして、これはかねてから彼らの資金源でございますけれども、最近は、法務大臣からも今御答弁がございましたように、競売入札妨害等の金融不良債権関連事犯にその資金源を求めて、かなり多数この活動を重点としてきている暴力団がふえてきております。  次に、けん銃でございますけれども、昨年一年間では五百五十一人をけん銃の不法所持、使用等で検挙し、押収をいたしましたけん銃は七百六十一丁でございました。  また、覚せい剤でございますけれども、覚せい剤取締法及び覚せい剤に係る麻薬特例法違反で検挙いたしましたのは昨年一年間で七千八百十七人、押収をいたしました覚せい剤は百四十五キログラムでございます。  これらの取引につきましては、最近は海上におきますところの取引でありますとか、あるいはイラン人等と連携をいたしまして携帯電話等を用いて密売所を決めている、そういうことが目立っているという実態でございます。
  383. 依田智治

    ○依田智治君 携帯電話という話がございましたが、本当に通信手段が多様化している中で、そういうものを利用した複雑な犯罪というものが非常に心配される状況でございまして、これに対して検察、警察は現行法律を活用して取り組んでいるけれども、どうしてもそれでは限界がある。組織ぐるみないし組織を背景とする犯罪というのが非常にふえているということで、犯罪捜査等も非常に困難化しつつあるということでございますが、そのあたりの実態を法務省、警察庁、それぞれ特徴的な点を御報告いただければありがたいと思います。
  384. 中村正三郎

    国務大臣中村正三郎君) この組織的な犯罪、暴力犯罪等に対応いたしますには、我が国の刑法は組織的な犯罪の悪質性を反映した刑罰としては十分でないと思われるものがございます。  また、犯罪収益の規制という面から、組織的な犯罪を防圧するための制度が極めて不十分であるというような問題がございます。  また、犯罪活動の把握が非常に困難となってきておりまして、従来の捜査方法だけではこれに効果的に対処することが極めて困難でございまして、特に新たな捜査方法を導入する必要があるというふうに考えるわけであります。  他方、こうした犯罪に関係する証人等につきましては、自己や親族に危害を加えられる不安も強く、その保護に関する配慮が十分ではないと考えております。  主要国におきましては、これらの点につきまして既に法整備が進んでおりますが、我が国はこのような法制上の欠陥を是正して、諸外国と協調した対応を行うことが強く求められていると思います。  このような観点から、委員が今御指摘になりました組織的犯罪に対処するための関連三法案を提出して御審議をいただいているところでございますが、これの早急な成立を願っているところでございます。
  385. 佐藤英彦

    政府委員佐藤英彦君) なお、警察といたしまして捕捉をいたしておることを三点ばかり申し上げてみたいと存じますが、まず一点でありますけれども、けん銃の問題であります。  暴力団のけん銃摘発は最近大変困難になっておりますけれども、その理由の一つといたしまして、従前は彼らは武器庫というものを持っておりました。事務所あるいは自分の情婦の家あるいは自分のかねての信頼した部下であった者、こういうところを武器庫としておったわけでありますけれども、最近は全く関係のない自分の中学時代のクラスメートの家だとかそういうところに、事情を知らない友人に保管をさせる等々、大変困難になっておりますが、これを組織的に行っております。したがいまして、彼らの銃器隠匿に関する組織性を把握するのが非常に困難になってきているということがあります。  また、二つ目といたしましては、過去も何件か企業の幹部あるいは映画監督等を襲撃いたしました事件がありまして、それの実行行為者を検挙いたしたわけでありますけれども、結局はそれを指示した組長等についてはその立証が困難ということで、その真の指示者を検挙するに至っていないということも目立つのであります。  三点目といたしましては、最近は暴力団のみならず、日本での組織犯罪は、中国人によりますところの組織窃盗でありますとか、これは二十億、三十億の窃盗事件で、ロシアあるいは香港、ベトナム等へ輸出をいたしておりますけれども、こういう組織窃盗、あるいは蛇頭による密入国、さらにはイラン人によりますところの薬物の密売事件があります。こういう組織集団とまた暴力団とが連携を深めてきているということがございますけれども、これらの実態がなかなか解明し得ていないというのが現状でございます。
  386. 依田智治

    ○依田智治君 こういう現状を踏まえて組織犯罪三法もつくられまして、現在、罰則を強化するという問題それから証人を保護して名前を出さないで証言してもらうというようなこと、これはまあ当然なことだなと。諸外国でもやられていることでございます。  あと二つだけ、時間の関係で絞ってお伺いしますが、いわゆる組織犯罪対策としてマネーロンダリング、これが非常にやっぱり効果を発揮する。我が国の場合は、麻薬犯罪には法律で適用になっておりますが、外国、国際機関からもいろいろ対日審査が行われて、こういう面について強化せよというようなことが言われているようでございますが、このあたりの状況、法務省からちょっと御説明いただければありがたい。
  387. 中村正三郎

    国務大臣中村正三郎君) 犯罪には国境がないと言われますように、マネーロンダリング対策、極めて重要なことでありますが、現状は、主要国においては既に法制度の整備が終わっているところでありますが、我が国においても法制を整備する必要が極めて大きいと考えております。  今、委員御指摘になりましたOECDの金融活動作業部会ではマネーロンダリング対策に関する勧告やその実施状況の審査等を行っておりますが、本年六月に行われました我が国に関するこの審査では、主要国の法制度と比較して我が国の法制度に大きな欠陥があるとの指摘を受けたところでございます。  しかしながら、他方、この審査におきまして、先ほど申しました組織犯罪に関する法律が施行されて厳格な捜査、検挙、そういったものが行われるようになればマネーロンダリング対策の有効な手段となるという、この我が国の今御審議いただいている組織的犯罪処罰法案が評価をされたという面がございます。  このような状況の中で、これまたこの法案の早期の成立が国際的な我が国の評価のためにも必要であるというふうに考えております。
  388. 依田智治

    ○依田智治君 最後に、この法律の一番争点になっているのは通信の傍受だと思います。  現在、通信手段が非常に発達している中で、犯罪者もこれを利用してくるということでございまして、最後のとりでとして、やはり適正な手続によってぎりぎりの場合はそれを可能とする。諸外国ではそういう制度をもういち早く導入されておりますが、これらの点について、この必要性というか、どうしてもこの法案を通していただく必要があるんだという必要性を法務大臣からお伺いしたい。
  389. 中村正三郎

    国務大臣中村正三郎君) 現下の組織的な犯罪というのは、犯罪自体が隠密裏に行われているという密行的な性格を持っております。また、犯行後において証拠隠滅であるとか犯人を隠すとかいう工作が行われることもあるわけでありまして、その上、犯行に関与した者のうち一部の者、特に末端の犯行関与者が検挙されても、その首謀者の氏名だとかその関与の状況などについての供述を得ることが容易でないことから、その真相を解明して首謀者等責任を有する者を検挙することが著しく困難となる場合が少なからず生じておるわけでございます。  一方、電話等の電気通信は、これを利用すれば第三者に知られずに簡易迅速に連絡をとることができることから、殺人、麻薬及び銃器の不正取引に係る犯罪等の重大な犯罪の実行に関して、組織的、密行的に犯罪を実行するための手段としてしばしば悪用されていると認識しております。  このようなことから、これらの犯罪の全容を解明して、犯行に真に責任を有する者を検挙するためには、犯罪捜査のための通信傍受の制度を導入する必要がどうしてもあるというふうに考えております。
  390. 依田智治

    ○依田智治君 通信傍受といいますと、やっぱり憲法上の「通信の秘密は、これを侵してはならない。」、こういう憲法上の規定との兼ね合いにおいて非常に慎重を要すると思います。  最後の質問としまして、法務大臣と国家公安委員長に、こういう手段を与えていただいた場合に、これをやはり適正に運用していくということが極めて重要でありますし、また、ずっと本日質問をさせていただきましたように、国際テロを含む組織犯罪等に対決するには断固たる強い決意を持って臨んでいく必要があると思いますので、その両面から法務大臣と国家公安委員長にこの点の決意をお伺いしたいと思います。
  391. 中村正三郎

    国務大臣中村正三郎君) 御指摘のとおり、通信の傍受は国民の人権、プライバシーにかかわるものでありますから、これは大切に守らなければいけないものであります。  そういう意味で、今回の法律案においては、時間がないので省略いたしますが、それが不当に害されることのないように要件、手続を厳格に定めているわけでありまして、十分な配慮がなされていると思っているわけであります。  また、我が国の捜査機関は常々国民の信頼を裏切ることのないように適正な職務執行に努めておりますし、通信の傍受についても法に従い適切な運用に当たるべきものと考えておりますが、この点につきましては重ね重ね十分に注意をしていかなければならないことと考えております。
  392. 西田司

    国務大臣(西田司君) 先ほど政府委員からも御説明をいたしましたように、昨今の犯罪というのは大変巧妙、組織化が進んでおります。何としても警察は国民が安心をして住める日本をつくっていく重大な使命を持っておりますので、このことに対しては私どもは全力を挙げてやっていく決意でございます。  しかし、御指摘のような国民の人権を守っていくということは極めて大切なことでございます。警察においては、従来から人権に配慮しつつ法令の趣旨を踏まえた適正な捜査の推進に努めてきたものと考えております。  御指摘の新たな法制度が成立した場合におきましても、その運用の基準や留意事項を国家公安委員会規則等で定め、また都道府県警察に対する適切な指導を徹底してまいりたい、このように考えております。
  393. 依田智治

    ○依田智治君 大臣からもお話しいただきましたように、やはりそういう法律で手段をいただいた場合、令状請求なりなんなりそういうものが本当に幹部の掌握のもとに適切に行われて、適切に人権が守られる、日本は犯罪天国だなんということにならないようにしっかりとした対策を講じていただく必要があるんじゃないか。  最後に、総理質問通告していませんが、きょう私が質問しました金融財政政策金融経済政策等を重点に当面取り組んでいただいて、一日も早く明るい未来を展望できるような日本の状況をつくっていただきたいんですが、並行して、やはり今日ただいま何が起こるかわからないというのが安全保障、危機管理という問題でございますので、国の行政の最高責任者としてこういうものに間断なく取り組む決意というか、これを最後に総理にお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
  394. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) クライシスマネジメントというのはまことに基本的なことで、国家の安全保障、社会の安全保障、これは政治の要諦だろうと考えております。過ちのなきことを期して全力を挙げてまいりたいと思います。
  395. 依田智治

    ○依田智治君 以上で終わります。  どうもありがとうございました。
  396. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 以上で依田智治君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  397. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 次に、山下栄一君の質疑を行います。山下栄一君。
  398. 山下栄一

    ○山下栄一君 まず最初に、ダイオキシン類による環境汚染問題、厚生大臣環境庁長官に御質問したいと思います。  大阪の最北部に能勢町という町がございます。環境すばらしい地域でございますけれども、今住民が環境問題で苦しんでおります。  昨年の能勢町の一般ごみ焼却場の問題でございますけれども、周辺から高濃度のダイオキシン汚染の問題が出てまいりました。去年の八月そして十二月、二回にわたって再調査を行いまして、本年四月に極めて高い二万を超えるピコグラム、土壌汚染でございます、これが明らかになりました。これは、日本全体にとりましてもかつてないというか、ほかにもあるのかもわかりませんけれども、明確になった問題として極めて深刻な土壌汚染にかかわる問題でございます。  しかし、土壌にかかわるダイオキシンの環境基準はいまだにない、そしてその汚染された土をどうするんだということが問題になったまま放置されているという深刻な問題があるわけでございます。それで、どの基準で汚染された土壌を除去するのかということ、またその汚染された土壌をどこで保管するのかということ、これが国として明確にないまま町は今、動こうとしておるわけでございます。  そして、この美化センターのすぐ近くに府立高校がございまして、その敷地内、これが園芸の授業の場所になっておるわけでございますけれども、そこも授業にかかわることでございますので、この汚染された土壌をどうするのか、学校の敷地内が汚染されていると。  具体的に、陳情等も町から府からあったと思いますけれども、この問題に関しまして国はどのように指導されておるのか。また、この除去についても非常にお金がかかるわけですけれども、その財政負担についてもどのように考えておられるのかということをお聞きしたいと思います。
  399. 宮下創平

    国務大臣(宮下創平君) お答え申し上げます。  今、委員の御指摘は、豊能郡の美化センター周辺のダイオキシンの汚染の問題でございます。  このダイオキシン対策につきましては、現在まで何もやっていないわけではございませんで、平成二年には、ダイオキシン類の発生予防のためのガイドラインを策定いたして地方公共団体に指導いたしておりますし、また施設整備の国庫補助におきましても、このガイドラインに準じた施設を優先的に採択する等の措置を講じてきております。  さらに昨年の一月には、科学的知見に基づきまして新しいガイドラインを設定いたしました。また同八月には、廃棄物処理法の施行規則を改正いたしましてダイオキシン対策に関する規制を強化いたしておりまして、例えばダイオキシンの排出基準で申しますと、新設の場合あるいは既設の基準の場合、緩和措置をある程度必要といたしますので、それぞれ能力に応じてこの基準等を設定してまいっております。  豊能郡の美化センター周辺のダイオキシン汚染問題につきましては、まず原因を明らかにすることが重要と認識しておりまして、関係者からいろいろ事情を聞き取って維持管理に問題がなかったかどうかを確認いたしております。特に、このダイオキシンの処理には、焼却炉の燃焼温度が例えば八百度C以上であることが必要である、しかもその焼却された空気を集じん機に入れるわけですが、その場合は急速に二百度以下にする必要がある等々の維持管理上の問題点がなかったのかどうか等確認をいたしております。  また、厚生省にございます生活環境審議会に専門家によりますダイオキシン対策技術専門委員会を設置いたしましていろいろ検討をいたしておりまして、施設の改善の個別の検討、あるいは必要に応じまして廃棄物処理法の基準あるいは全体を見直す必要があるかどうか等、ダイオキシン問題に取り組んでおるところでございます。  今、委員の御指摘のように、当地の土壌から、排水の調整池の底質から出ましたのはかなり濃度が高い、これは御指摘のとおりで、これは京都大学の教授を委員長といたしまして設置した結果でございます。  そこで、こうしたダイオキシン汚染土壌の除去をどうするのかという問題でございますけれども、今、大阪府等を中心にして汚染土壌の除去につきまして協議をしていただいておりますが、厚生省といたしましても生活環境審議会に専門委員会を設置いたしましてそれらの問題について検討いたしております。ただし、この汚染土壌の除去対象の費用等につきましては、これは公害等の場合でございますがPPP原則というのがあります、ポリューター・ペイズ・プリンシプル、汚染者の支払い原則というのがございまして、市町村の責任で対処するということが一応基本にはなっております。  そこで、そういう立場を踏まえつつも、除去土壌の最終保管場所の確保その他は、最終的には無害化をして埋立処分することが必要でございまして、大阪府とも相談しながらその対応を今現在やりつつある、こういう状況でございます。
  400. 真鍋賢二

    国務大臣(真鍋賢二君) 山下先生のお地元の大阪の能勢町の事案でございますけれども、これまでにない環境汚染の事例でありまして、環境庁でも重く受けとめておるところであります。  今、厚生大臣からも答弁がありましたように、大阪府が中心になって汚染土壌の除去方法をいろいろ講じておるところであります。近々、焼却炉の設置者であります豊能郡の環境施設組合が主催となりまして、土壌の除去などの工事を開始すると承っておるところであります。  環境庁といたしましても、汚染原因者とそしてまた大阪府が中心になってこの問題には取り組んでおるところでございますけれども、厚生省も国としての援護方法を考えておるということでありましたが、環境庁としては技術的な面でどういう支援ができるか、これを検討しておるところであります。  香川県の私の地元におきましても、豊島の産業廃棄物問題につきましてこのような対応をとっておるところでありまして、できることならマニュアルをつくって、こういう汚染箇所が出ればどういう方法をとったらいいか、これからの大きな検討課題じゃないかと思っております。  以上でございます。
  401. 山下栄一

    ○山下栄一君 地元の大阪ということで象徴的に出てきた問題であって、これは大気を通じただけでももう今、環境庁のこの前の推定ですけれども、日本列島には北海道から沖縄まで二・五キログラムのダイオキシンが降り注いでいると。場所は土であり水であり、また食べ物の中にも入っているということを言われているわけです。  もっと前から焼却場に埋め立てたところは全国至るところにあります。そんなことまで考えましたら、日本列島は世界一のダイオキシン汚染の国であるとも言われておるわけでございます。そして、高濃度の土壌汚染、二万三千ピコグラムという高濃度の汚染された土が明確になったと。  この土をどうするんだという問題が去年の十二月から問われておるわけです。去年の十二月にわかって、もう一回調査して、さらにほかの場所でも土が汚染されていたということがわかってきたわけです、府立高校の敷地内が汚染されていると。これ、いつまでほっておくのかということで、もう町はほっておけないからぜひ除去しようと手段、場所まで考えて、学校の農場の敷地内に穴を掘ってそこに埋めるということを考えているわけですよ。  ドイツでは、これはもう放射能汚染と同じように地下室にきちっとした処置をして埋めるということが行われている。放射能汚染と同じような対応をしている。  土の汚染をどうするんだという問題、これを国のガイドラインに基づいて焼却させておいて、その周辺から起きた汚染について国は何も責任ないことはあり得ない。だから、基準もはっきりしていない、どのレベルで、どこまでの深さの土を除去したらいいんだという基準もはっきりしていない中で大阪府とか町が検討委員会をつくって一応の基準をつくって、ドイツとかのを参考にしながら除去しようとしているだけの話で、それを学校の中で保管しようとしているわけです。  この問題どうするんですか。国は何も基準を決めていない。そして、どの範囲のどれだけの土を除去しようかということを何も指導していないということであるならば、ほかで発覚していないだけの問題かもわからない、たまたま大阪で発覚しただけの話で。こういう大変大きな問題であるわけです。いつまで放置するんだということを毎日突きつけられているわけです、町長さんは。  きょうは、国の方に補正予算で三億円の事業にかかるから応援してほしいという財政支援の要請が来ているとお聞きしましたけれども、これそんな基準を検討しますという段階じゃないんですよ。どこに保管、一時保管さえ場所が、学校の敷地内でいいのかという問題もございますし、最終どうするんだと。まさに放射能汚染と同じような問題になってきているわけです。  これについて、厚生省も中途半端な答弁でしたし、保管場所はどうしたらいいんですか、だれか答えてください。
  402. 有馬朗人

    国務大臣(有馬朗人君) 高等学校に関連することが御質問に入っておりましたので、お答えを申し上げたいと思います。  現時点では詳細な事実関係を確認しておりませんけれども、直ちに電話で大阪府に問い合わせをいたしましたところ、大阪府のダイオキシン類に関する環境対策検討委員会において汚染土壌の一時的な保管に関する議論がなされたところでありますが、大阪府としては高校の敷地内に一時保管するという決定は現時点では行われていないということでございました。  文部省といたしましては、やはり児童生徒の健康が第一でございますので、この問題に関してさらに詳細に検討をいたしたいと思っております。事実関係のまず詳細を把握いたしまして、その上で、今後とも大阪府と密接に連絡をとりながら適切に対処していきたいと思っております。
  403. 山下栄一

    ○山下栄一君 具体的に大阪府の方から、予算のシーズンですから、どこの場所に、工事計画もあるわけですよ、農地敷地内に保管と。それも最高濃度の二万三千ピコグラムの土壌を水処理した上で固形化処理を行って敷地内に保管するという案が出てきているわけです。それに基づいて積算をして、そして予算はこれぐらいかかるから応援してほしいということを出してきているわけですね。  これはもう緊急にかかわる問題で、少なくとも住民にとっては。高校の敷地内でなかったら、じゃ、どこに保管するんだと。美化センターの場所に、今はもう操業を停止していますからそこの一部に保管しようとかいう案もあるそうです。そういう計画もございますけれども、こういう問題について、国のガイドラインに基づいて、厚生省のガイドラインに基づいて焼却をした状況の中でこういう問題が起きてきたということについて、僕は少なくとも国は応援すべきだと、全面的に負担しろとは言いませんけれども。  これについての明確な答弁をお願いしたいと思います。支援するのか、しないのか。
  404. 宮下創平

    国務大臣(宮下創平君) お答え申し上げます。  先ほど申しましたように、こうした土壌の処理の問題につきましては、これは地方公共団体、この件の場合は大阪に責任ありとしてよく協議をしなければなりません。  しかし、汚染者の負担原則、さっき私はPPP原則というのを申し上げましたが、これはあくまでもその廃棄物処理が本当にガイドラインに沿ったものであったのかどうか検証をいたしましたところ、やはり冷却温度が非常に高かったというような問題等々もございますようですから、それはまず是正していただくことが重要でございます。  そして、汚染土壌の問題は、その地方自治体におきまして最も適切な判断のもとに処理していただきたいということでございまして、財政上の必要措置は、直ちに補助金で全国のものをやるというわけにもまいりませんので、地方公共団体が措置いたしますれば、何らかの交付税措置その他があるいはあり得るのかなという感じだけ私は今申し上げさせていただきます。
  405. 山下栄一

    ○山下栄一君 いずれにしましても、財政支援について明快な対応をしていただきたい。  総理大臣、どうですか。
  406. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 委員のお尋ね、また厚生大臣環境庁長官あるいは文部大臣答弁をお聞きいたしておりました。なかなか難しい問題のようにお聞きをいたしておりますが、何らかの意味で緊急に財政的な援助ができないかというようなことにつきましても、閣内におきまして勉強させていただきたいと思います。
  407. 山下栄一

    ○山下栄一君 冒頭、環境基準の話を申し上げましたけれども、大気についての環境基準はある、排出ガス濃度の基準はあると。それが水に落ち土に落ち、土がどれだけ汚染すれば問題なのか、また問題ないのか。子供たちが遊ぶ場所、農地はどうなんだという基準が全くない。大気の基準だけあって水質の汚染基準がなしで、土の基準もない。大気に降り注ぐと必ず水に落ち土に落ちるわけですから、セットで基準を考えないから、こういう現場は困るわけです。どこまで濃度が汚染されたら除去しなきゃならないのかと。  今はもう一部の大阪の検討委員会のメンバーが決めて、とりあえず一千ピコグラム以上の土壌だけ除去しよう、それもどこまで深さをしたらいいんだということも明確でない状況の中で除去しようとしている。これは緊急を要する問題で、大気汚染の基準だけしかないという状況はすぐに解消しなきゃならない。  土の基準、水の基準についてどのようにお考えになっておるのかということをお聞きしたいと思います。
  408. 遠藤保雄

    政府委員遠藤保雄君) お答え申し上げます。  ダイオキシン類につきます土壌汚染ないしは水汚染につきましては、科学的に未解明な部分が多いということが実態でございます。したがいまして、多くの先進国と同様、我が国におきましてガイドラインや法規制を行ってこなかったのが実情でございます。このように科学的に未解明な部分が多いという制約につき御理解を賜りたいと思います。  しかしながら、環境庁といたしましては、現在、国内の一線級の専門家に参加いただきまして、土壌中のダイオキシン類に関する検討会を設置しまして、土壌に由来する健康影響の評価手法や汚染対策手法について鋭意検討中でございます。真鍋長官の御指示も仰ぎながら、極力早い段階においてこの対応を図ってまいりたいと思っております。
  409. 山下栄一

    ○山下栄一君 では、大阪府の今現在汚れている土は国が決めてから除去したらいいと、こういうお考えですか。長官どうでしょうか。
  410. 真鍋賢二

    国務大臣(真鍋賢二君) 先ほども申しましたように、環境庁といたしましては今のところ技術的な指導の対応しかできない状況にあるわけであります。技術的な指導につきましては、必要な経費を補正予算等で計上いたしましてそれに対応してまいろうと思っておるところであります。  いずれにいたしましても、この地元そしてまたその被害を出した関係者、そして国ということになるわけでありますけれども、国としてもできる範囲内での応援をしてまいるその対策を講じていかなきゃならないと思っておるわけでありますけれども、なかなかその規定が定められないというのが現状でございます。(発言する者多し)いや、ですから……
  411. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 不規則発言にお答えにならないように。
  412. 真鍋賢二

    国務大臣(真鍋賢二君) こちらの方としては、技術的な指導の対応しか今のところはできないわけでありまして、それらについては今後の問題だと思っております。
  413. 山下栄一

    ○山下栄一君 大阪府立能勢高校の農場内が今も汚染されたままになっているんです。その周辺には子供たち近寄れない、そういう状態がもう去年の十二月から続いているわけです。どうするんだと、これは。この問題をのんきに、のんきというか、もちろん厳しく検討会をして基準をつくらにゃいかぬけれども、いつまでも土壌汚染を放置しておくのか。そういう状況じゃないから、今緊急に除去しようとしているけれども、基準が何にもないから、要するに大阪府の考えた基準で今は除去しようとしていると。参考にしているのはドイツの土壌汚染環境基準ですよ。それはだから農地の基準とか、申し上げたように児童公園の土地、そして一般住宅地、土地用途別の基準をドイツは既につくっている、数年も前から。  こういう世界最大のダイオキシン汚染と言われる国がこういう環境問題、命にかかわる問題にこれほどひどい対応をしているということは、要するに日本の国の品位にかかわる、国のレベルにかかわる話であると私は思うわけでございまして、この大阪府の能勢町の住民、そこに住んでおられる方々も考えて国は即刻、財政支援の問題、そして環境基準の問題、また土壌汚染の法制定の問題、明確に緊急に対応をお願いしたい。  総理のリーダーシップを期待したいと思いますけれども、もう一度お願いします。
  414. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) お聞きをいたしておりまして、実情は大変厳しい状況と認識をいたしております。どのような対応ができるか、早急に検討させていただきます。
  415. 山下栄一

    ○山下栄一君 日本道路公団にかかわる問題について質問させていただきたいと思います。  日本道路公団の関連会社、日本ハイカという会社がございます。これは高速道路のプリペイドカード、ハイウェイカードを日本道路公団から独占委託されておる会社でございますけれども、ここの資金回収、プリペイドカードを販売したその回収、二十七億円焦げついていたということがございまして、今月の冒頭に日本ハイカという日本道路公団の直系の関連会社が訴えました。訴えられたのは自民党の参議院議員の親族の方、奥さんが経営される会社でございます。日本ハイカという会社と委託販売契約を結んで、そして資金をちゃんと回収していなかったということが発覚したわけでございますけれども、この問題の経緯、原因、御認識を公団の総裁にお伺いしたいと思います。
  416. 緒方信一郎

    参考人緒方信一郎君) ただいま御指摘の問題でございますけれども、日本道路公団は高速道路などの有料道路料金のプリペイドカードでありますハイウェイカードというものを発行いたしまして、ただいま御指摘のありました日本ハイカという株式会社に対しまして販売業務を委託いたしております。  当公団からカード販売業務の委託を受けました日本ハイカは、同社において直接カードの販売も実施をいたすのでありますけれども、おおむねカード購入のアクセスポイントをより多く設けまして、カード購入希望者の利便向上を図るために二千七百のものに対しましてカードの販売を委託いたしまして、全国二万七千カ所の店舗でカードを販売しておるという実態でございます。  今回の問題は、日本ハイカ株式会社がカードの販売委託をしておりましたものと日本ハイカとにおいてカードの代金約二十七億円の支払いが遅延をした、こういう事件でございます。  具体的に申し上げますと、日本ハイカはケイエス・プランニングという会社とカードの販売契約を平成六年の九月に締結をいたしましてカードの販売委託をしていたわけでございますが、平成七年の九月分以降、ケイエス・プランニングから日本ハイカへのカード代金の支払いが遅延するようになったわけでございます。その後、回収について任意の交渉を進めてまいりましたが、進展を見ないことから民事調停を申し立てましたものの不調、打ち切りとなりまして、今回、日本ハイカ株式会社がケイエス・プランニング及びその連帯保証人を相手といたしましてカード代金約二十七億円の支払いを求める民事訴訟を起こした、こういうものでございます。  どうしてこんな事件が起こったかということでございますけれども、当時、日本ハイカ株式会社の中におきまして販売促進に対する非常に強い意識があったということを背景にいたしまして、契約締結基準にあいまいさがあったというようなことと同時に、業務運営に甘さがあったということに基本的な原因があるというふうに考えております。  この事件を契機といたしまして、日本ハイカと販売店との契約に当たりまして、まず前払い方式というものを原則とした販売委託契約に改める、それから後払い方式の場合には銀行保証を必ずつけるというような取り扱いをする、それから内部監査体制を充実するというようなことに改めたわけでございます。  さらに、今般、この問題が訴訟というような問題になりまして、建設大臣からの御指示を踏まえまして、こういうハイウェイカードの販売店に対しますチェックシステムについても直ちに具体策を検討いたしまして実施いたしますとともに、ハイウェイカードの販売そのものにつきまして競争性を確保するというために、現行の単独販売委託契約方式を見直しまして複数販売委託契約方式等に改める、さらには手数料の引き下げを検討するというようなことで、このような事件が二度と起こらないように直ちに実施をしてまいりたいと考えておるところでございます。
  417. 山下栄一

    ○山下栄一君 建設大臣並びに公団総裁のこの問題に対する認識がどこまで深刻かということを私はちょっと確認したいと思っておるわけでございます。  この日本ハイカという会社は、役員十二名中十一名が公団OBでございます。そして、そこだけで年間四千四百億円の仕事をしている。高速道路料金は約二兆円ぐらいだと思いますけれども、そのうちの二五%がこの会社で一手に独占的に委託を受けているわけです。その再販売契約というか再委託した会社がケイエス・プランニングだと。この会社は社員数名です。そして、わずか一年四カ月の間に二百二十億円の取引をした。そして二十七億円焦げついたという。いまだに回収されないから民事訴訟に訴えたと。だけれども、これは三年前の話なんですね。三年前にこういうことがわかっておって、日本ハイカの社長以下四人、専務も取締役も退陣した。そして、退陣した方々は責任をとって退陣したはずなのにどこに行ったのか。また、同じ道路公団の関連会社に堂々と、退職金を二千万円以上もらって再就職している。そのあっせんまで公団はかかわったという。  こういう話でございますが、責任を感じているのか、日本ハイカは。単なる複数契約にするとかそういう問題で済むのか。公共事業の質が問われている。公共事業というのはどれだけ景気対策にかかわるのか。  日本道路公団は二十何兆の借金抱えて、累積債務二十何兆、二兆円の財政投融資、そして補助金、国民の税金も二千六百億円を注ぎ込んでいる公団の仕事です。四千四百億円の仕事を一つの会社に任せて、その任せた会社は十二名中十一名まで公団OBだと。そして、再委託した会社には信用保証もなしに、そんな二百二十億円も一年四カ月で仕事をさせていたという、それが焦げついたという背景でございます。そして、今月初めに二十七億円回収が焦げついたから民事訴訟に訴えた、こういうことなわけですね。  私は、この日本ハイカという会社は要らぬのじゃないかなと思うわけです。独占的に、そして次に二千七百社に再委託していると。再委託会社がどんな会社か御存じなんでしょうか、公団総裁。どういうところで委託契約結んでいるのか。ケイエス・プランニングもいいかげんだと。ほかにもいいかげんなところはないのか調べられましたか。
  418. 緒方信一郎

    参考人緒方信一郎君) ハイウェイカードにつきましては、ただいま御指摘のように約四千八百億円の売り上げがございます。年間の料金収入は大体二兆円ございますので、金額に対しましては二二%程度の比率を占めておるというかなりな比率を占めておることは事実でございます。  先ほど申し上げましたように、日本ハイカは約二千七百の販売店と契約しておるわけでございまして、末端はどういうところで売っているかといいますと、高速道路の中、料金所でありますとかサービスエリア、それからパーキングエリアのレストランとかガソリンスタンド、そういうようなところ、あるいは高速道路の外でありますとデパートでありますとかスーパーマーケットとかガソリンスタンドとかあるいはコンビニエンスストアとか、そういうものもまた多数二万七千店舗の中には入っているわけでございまして、いろいろなものが混在しているということでございまして、したがって詳細なリストはちょっと私、今承知しておりませんが、概括を申し上げると大体そういうことでございます。
  419. 山下栄一

    ○山下栄一君 百貨店とかパーキングエリア、サービスエリア、コンビニエンスストアじゃなくて、とにかく二千七百社の中には料亭福田家とか喫茶何とかとか、会社であるはずなのに個人の何とかさんとか、再委託販売契約を個人と結ばれている。また、神社とも契約を結んだりとか、酒屋さんももちろんあるわけですけれども。  こういうこともほとんどノーチェックで、二十何兆というたくさんの借金を抱えて、毎年公共事業をやっている高速道路の公団ですね。そこの収入は大変貴重な収入で、高速道路料金というのは公共料金で重要な分野を占めている。そのうちの四千四百億円の仕事を一つの民間会社に、十二名中十一名も公団の天下りしている会社に任せて、そしてどういう契約が行われているのかノーチェックで、ノーチェックだからこういう後払いで信用保証もない会社と平気で結んで、三年間放置していてという問題になってきているわけです。こんなひどい実態はない、私はこのように思うわけでございます。  こういう問題に私は本質があるということを考えましたときに、こんな天下りの方々を養うようなそんな会社をたくさん、六十六社も公団はつくっておられるそうでございますけれども、私はこの問題に対する深刻な反省点といいますか改善策を講じないと、単なる競争原理、形だけの競争原理導入とか、日本ハイカ以外にもう一つ会社をつくったらいいとか、そんなことで済まされる問題じゃないと思いますけれども、建設大臣、いかがですか。
  420. 関谷勝嗣

    国務大臣(関谷勝嗣君) この事件が起こりましてからるる指示を出しておるわけでございますが、私は三つの観点からこれをきちっと是正していきたいと思っております。  まず一つは、先生が今おっしゃられましたが、日本ハイカというのが単独で販売をしておったわけでございますから、やはりこれはもっと透明性、そして競争原理というものを入れまして、私は複数のものにしていきたいと思っておるわけでございまして、この販売委託契約の見直しを行うように指示を出しております。  それが一つでございまして、次はその組織の形態、そしてまたその中に勤めております従業員といいましょうか、そういう役員の方々、これは確かに先生が御指摘のような流れがあるわけでございまして、こういうようなところは是正をするようにまた指示を出しております。  今回、ハイカの社長を務めておりました大久保一男さんは、東日本ハイウェイ・パトロールの顧問に就任をいたしておりましたが、この八月十八日付で退任をしております。その他の三人の方はまだ関連の企業に勤務をいたしておりますが、この方々も今まで立派な人生を歩んできておる大人でございますから、出処進退はもうその方々にお任せをしたいと私は思っております。そういうふうに私が今ここで答弁をして、もしも退任をしないのでありましたら、私からそういう指示を出していきたいなと思っております。  それから、最後の問題といたしまして、やはり何といいましても私は道路公団の監督・チェック機能が劣っておったと思うわけでございまして、先生御指示の、前払いで本来はやらなければならないのでございますが、それを後払いでも銀行の保証もなくして貸しておったというような、そういうこともございます。  ですから、なお一層チェックをしていきたいと思うわけでございまして、九月の上旬から十月の上旬にかけまして、道路四公団につきまして特別の監査を行うように今指示をいたしております。  以上でございます。
  421. 山下栄一

    ○山下栄一君 引責辞任したはずの四名の役員、社長さんは日本ハイカ創設以来ずっと社長をされていて、引責辞任されたのは三年前ですけれども、公団元理事でございますが、この方を含めて四人の方々の再就職を公団があっせんしたということは事実ですか。
  422. 緒方信一郎

    参考人緒方信一郎君) 公団を既に退職しました者がその後さらに民間企業等に再就職をするというようなことにつきましては、基本的には本人と会社の問題であると考えておりまして、公団として再就職を依頼するというようなことはいたしません。  本件の場合、やめられた四人の方がそれぞれ御指摘のような再就職をしておるということは事実でございますが、関係者からいろいろ事情聴取いたしましたところ、当時、やめました日本ハイカの社長が、自分はもちろん退任するんですけれども、ほかの三名の役員についても一緒に退任をするということはやむを得ないという決断をいたしまして、やめました社長自身がその三人の面倒を見たと申しますか、若干心配していろいろ話をして関係の会社が了承した、そういう経過であるというふうに聞いております。
  423. 山下栄一

    ○山下栄一君 総裁、その再就職先が問題なんです。公団のファミリー会社に全部就職しているわけですよ。社長さんも東日本ハイウェイ・パトロールという会社。あと専務さんも新日本道路サービス顧問というふうにして、そういうことが大問題である。こんなチェックもほとんど、民間会社という名のもとに、その関連会社も天下りの方が大半なわけです。そういうところに就職していらっしゃる。まさに公団があっせんしたと言ってもいいような状況になっていると私は思うわけでございます。  そして、複数契約にしたらいいという話ですけれども、日本ハイカという会社に何で仕事を独占的にさせるのかなと。公団そのものが首都高の改革と同じように代理店と直接代理店契約を結んでやればいい、このように私は思うわけでございます。  真ん中にファミリー会社を介するからこそむだなお金が、要するに十二名中十一名の公団OBを養わなあかんような、それだけで一億数千万も年収にかかるような、そんなシステムそのものが問題だと。どうして首都高みたいに直接代理店形式にできないのか。日本ハイカ以外に二つ三つ会社をつくっても、それは単に分担されて本当の競争にならない、このように思うわけですけれども、いかがですか。
  424. 緒方信一郎

    参考人緒方信一郎君) 今回の事件は、日本ハイカと販売店の間の契約において生じましたハイウェイカードの未回収問題でありまして、公団自身に損失が生じているわけではないのでありますけれども、当公団が委託をいたしました販売業務に関しましてこのような事件が生じたことは大変遺憾であるというふうに存じております。二度とこんなことが起こっては大変であるということで、いろいろ努力しております。  先ほどの御質問で、三年間何をしておったかというような御指摘があったわけで、まことに当然の御指摘だと思いますけれども、平成七年に実はハイカからそういう報告を受けまして、直ちに未収金を鋭意回収するということを指示しますとともに、ともかく全部前払い方式にしなさいと。例外的に後払いというものを当時の契約条項では認めておったわけでございますが、以後、ともかく全部原則前払い、後払いにする場合には必ず銀行等の保証をつけるということもきちんと指導いたしまして、その後こういう問題は起こっていないわけでございますが、ただやはりこういうことは絶対にあってはならないということで、種々先ほど申し上げましたような対策を講じようとしております。  ただ、先生の御指摘では、そういうのでは非常に不十分であるという御指摘でございますけれども、日本ハイカという会社がなぜできたかという沿革にさかのぼることになりますけれども、ハイウェイカードというものができましたきっかけというものが、そもそも料金徴収の時間を短縮しようとか、あるいは個人に対する割引サービスを行おうとかというようなことでありまして、これは全国的に展開していきました関係で、やはり首都高速のように局部的に非常に集中した地域で限られた店でやっておるというものとはちょっと違うんだよというふうに存ずるわけでございます。  実際問題としましても、よその公団のことを申し上げてなんですけれども、先ほど私どもの方は、二千七百の販売店に対しまして契約をして二万七千の販売地点で売っておるということを申し上げましたが、それに相当しますのが、例えば首都高速の場合ですと契約件数で二百五十四、販売店舗数は千三十でございまして、けたが違う。しかも、日本道路公団の場合には全国に展開しておりますものですから、これは日本道路公団が全部自分で管理しようということになりますと非常に手間と人員もかかるということでありまして、これはやはり民間のそういう形で外注するのが合理的だということでございます。  ただ、その中身に対するチェックが非常に甘かったという反省は、これは十分いたしておりますので、今後は複数にするだけでなしに、十分チェックをしていきたいと思っております。また、現に複数にする前でも直ちにこれからいわゆるチェック体制に入っていきたいということで、日本ハイカと当公団と一緒になりまして、実際の販売店の実態をこれから厳しくチェックしていきたいと考えておるところでございます。
  425. 山下栄一

    ○山下栄一君 大臣、先ほど私が申し上げました、首都高と同じように直接委託販売方式にしたらどうだと。日本道路公団は全国に支社があるわけです。そして、日本ハイカも実は一々売りに行っているのではなくて、現金を持ってこさせて仕事をさせていると。別にそんなに人員も要らないという実態なわけです。  日本ハイカという会社は何のためにあるんだと。それはOBを養うためにあるとしか言いようがないような実態になっているということについてもっと深刻な反省と取り組みがないと、公共事業のむだにかかわる話ですし、高速道路料金という公共料金にかかわる話ですから、中途半端な改革では済まされない。  これは象徴的な事件が二十七億円焦げつき事件であると思いますから、建設大臣になられたばかりですけれども、新鮮な感覚で改革に立ち上がっていただきたい。どうですか。
  426. 関谷勝嗣

    国務大臣(関谷勝嗣君) 先生のお考え、十分に理解をいたしておりますので、通常国会の予算委員会では立派な返事ができるようにいたしたいと思います。
  427. 山下栄一

    ○山下栄一君 最後に、二〇〇八年オリンピックの問題でございますけれども、ちょうど一年前に国内候補地として大阪市が決まったわけでございます。来年、再来年、もう一年ちょっとで正式の立候補表明をしなきゃならないという状況の中で国の取り組みがまだ決まっていない、財政的支援も含めて。  この問題について早急な対応をしないと、私は日本の国としてオリンピック招致にかかわる仕事ができないのではないかと思いますので、この辺の取り組みについてお考えをお聞きしたいと思います。
  428. 有馬朗人

    国務大臣(有馬朗人君) オリンピックが我が国で開催されますことは、先般の長野オリンピックで見られるように、多くの国民に感動と勇気を与えるのみならず、我が国のスポーツの普及、振興、国際親善の推進、社会経済の活性化等にも非常に大きな意義を持っていると私は認識しております。したがいまして、従来より、オリンピックの我が国への招致につきましては、政府として招致に関する閣議了解などを行い、国としても支援を行ってきているところでございます。  今回のオリンピックの大阪招致活動につきましても、その円滑な推進を図るため、政府といたしまして招致や開催に対する支援のあり方などについての閣議了解が必要であるということを存じております。このため、六月二十九日に関係省庁課長会議を開催いたしまして、大阪市からオリンピックの開催概要計画について説明を受けたところでございます。現在は競技施設整備の計画などにつきまして、大阪市及び関係省庁との間で調整作業を行っているところでございます。  今後さらに精力的に検討を進め、早期に閣議了解が得られるよう取り組んでいきたいと思っております。
  429. 山下栄一

    ○山下栄一君 閣議了解は大体いつごろかということを総理にお聞きしたいと思います。
  430. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) ただいま文部大臣から御答弁申し上げましたように、極めて重要なことでございますので、過去のオリンピック招致と同様、大阪への招致、開催に対する支援のあり方などにつきまして閣議了解を行うべく、文部省を初めとする関係省庁におきまして鋭意検討を進めてまいりたいと思っております。  今後とも、大阪オリンピックの招致活動が円滑に展開できますように適切に対処してまいりたいと思います。
  431. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 関連質疑を許します。高野博師君。
  432. 高野博師

    高野博師君 まず最初に、けさの米国によるアフガン、それからスーダンのテロ拠点攻撃に関して二、三確認したいと思います。  この攻撃について、事前の通報は日本政府にあったんでしょうか。
  433. 高村正彦

    国務大臣(高村正彦君) ありませんでした。
  434. 高野博師

    高野博師君 通報があった国は御存じでしょうか。
  435. 高村正彦

    国務大臣(高村正彦君) なかったと承知しています。
  436. 高野博師

    高野博師君 軍事行動の事前通報というのは同盟関係の根幹にかかわることだと私は認識しておりますが、日米同盟関係ということであれば、その信頼にかかわるものではないかと私は思っております。  特に、アフリカについては日本経済協力の重点地域になっているわけで、日本も大きな関心を持っているし、利害関係もある。そういう中で何の通報もないということでありますが、この米国の行動について日本政府は理解を示したんでしょうか。
  437. 高村正彦

    国務大臣(高村正彦君) テロに対して断固たる姿勢をとるということについては理解を示しております。
  438. 高野博師

    高野博師君 軍事行動をとったことについてはどうでしょうか。
  439. 高村正彦

    国務大臣(高村正彦君) テロに対して断固たる姿勢をとるという限りにおいて理解ができる、こういうことであります。それ以上のことはさらに事実を調査してみないとわからない、こういうことであります。
  440. 高野博師

    高野博師君 きょうの朝のNHKのニュースによれば、イギリスには通報があったという報道であります。そこで、正確な事実を把握なしに理解を示すということはないと思いますが、いずれにしても武力に対しては武力をもって応ずるというアメリカの行動に対しては、これは若干私はこういう姿勢はいかがなものか、そういう認識をしております。  それでは、次に少年法の改正問題に移ります。  中村法務大臣が十八日の閣僚懇談会で、少年法の改正問題について刑事罰対象年齢を引き下げる、こういう見直しをするという指示をしたそうでありますが、その理由は何でしょうか。  それから、法改正を法制審議会にかけないで行うという理由は何でしょうか。
  441. 中村正三郎

    国務大臣中村正三郎君) お答えいたします。  まず、事実関係を二つ。私は、下げるとは申しておりません。それから、審議会にかけないとも申しておりません。  なぜこういうことをお話ししたかと申しますと、私が法務大臣に就任いたしましてから、各マスコミそれからいろんな方から聞かれますことで国民の重大な関心事が、最近の少年犯罪の増加、凶悪化というふうなことが背景にあるのだと思いますが、少年法の改正の問題でございました。そして、既にもう法務省において少年法の改正を来年の通常国会に提出するということで準備が進んでおりましたので、やはり一番の関心事である年齢の問題についても同時に協議をするべきであろうということで発言をさせていただきました。そして、こうした極めて重要なことでありますから、これはやはり国民の代表である国会で御論議いただくのが至当なことであろうということで、与党で既に委員会もつくって御論議が進んでいたものでございますから、自民党の法務部会にお願いして協議を進めてくれということを申しました。  それから、今法制審議会のことを言われましたけれども、法制審議会というのは法律を持たない審議会でありまして、法務省の組織令で定められた法務省の行政機関であります。そして、やることは、法律を持っていませんから大変簡単に書いてありまして、法務大臣の諮問に応じて民事、刑事の法制について、それから法務の基本的な問題について諮問に応じて審議をするということであります。それから、委員は関係庁の役人と学識経験者で構成するということになっております。そして、会長は私でございます。ですから、諮問するか否かは大臣が判断することであって、行政庁の中の委員会になぜ諮問しないんだと言われてもちょっと答えに困るわけでございます。
  442. 高野博師

    高野博師君 今のお話の中で、犯罪が増加しているということでありますが、実際に増加しているんでしょうか。
  443. 中村正三郎

    国務大臣中村正三郎君) 御案内のとおり、一時増加のピークがあって、それから少し減って、また増加の傾向にあるということでございます。  昭和二十六年の第一のピーク、昭和三十九年の第二のピーク、昭和五十八年の第三のピークと大きな波があるわけでありまして、検挙人員は第三のピークと言われた昭和五十八年の約三十一万七千人以降減少いたしましたが、平成七年を境に増加に転じ、平成九年には約二十一万五千人となりました。また、凶悪犯も強盗を中心として平成七年を境に増加しており、十四歳、十五歳の年少の少年の凶悪犯も増加している状況にございます。  そして、近時の少年非行の特徴としては、規範を守るという意識の希薄化、それから非行をやる場合の集団化ということが指摘できる傾向ではないかと思います。  こういうことで、少年事件については今後も動向を注視すべきものと考えております。
  444. 高野博師

    高野博師君 犯罪白書あるいは警察白書によれば、これは戦後一貫して減少傾向にあります。特に凶悪犯罪についても、今言われたようなピークのときはありましたけれども、依然としてこれは低い水準を維持しているということが指摘されております。  したがって、最近犯罪が増加しているというのは非常にセンセーショナルにマスコミで取り上げられるという事実も私はあると思うんですが、そこで、この犯罪の増加ということをもって少年法を改正するというのはどういう理由でしょうか、その根拠は何でしょうか。
  445. 中村正三郎

    国務大臣中村正三郎君) 今、議論されております少年法の改正には、二つの点があると思います。  一つは、少年審判の家庭裁判所のあり方。これが裁判官と被疑者の二人だけで行われ、それ以外の者が入らない、そういうような審判のやり方で適正な、正確な事実認定の把握ができるだろうか、そして適正な処分がなされるだろうか。ここにやはり普通の裁判で言えば検察と弁護のようなものが入ってきちっと事実を述べて、そして裁判官が判断するというようにした方がより正確な裁判が行われるのであろうということが一点であります。  もう一つは、やはり年齢の問題でありまして、低年齢の方が、例えば私の子供もまだ若いのがおりまして、十歳のがおりますけれども、この間私がこの話をしておりましたら、僕は十三歳まで何をやったっていいんだよというようなことを言う。そして、どこで聞いたんだと言ったら、こんなことは皆知っているよ、だけれども私はやらないから安心しろと、こう言われましたけれども、そういったことに対する対応もあるのではないかと思います。  それから、犯罪の数を今申されましたけれども、確かに成人犯罪は減っておりますけれども、その中で年少の少年の犯罪がふえているということがあることを御認識いただきたいと思います。
  446. 高野博師

    高野博師君 刑罰を適用する年齢を下げるという考え方についてはどういう認識をされていますか。
  447. 中村正三郎

    国務大臣中村正三郎君) 先ほどから申し上げますように、私は行政の長として予断は持っておりません。これは、広く国民なかんずく国民の代表である国会で御議論をいただきたい問題だと思っております。
  448. 高野博師

    高野博師君 私は、少年法を改正しても犯罪は減らない、そういう認識をしております。法律による厳罰あるいは法による威嚇、これによっては犯罪を抑止することはできない、そう思っております。  最大の刑罰というのは死刑でありますが、死刑は廃止する方向にあるのは、これは世界の潮流であります。そういう意味で、死刑という厳罰をもってしても犯罪を抑止する力にはなっていない。したがって、問題は、こういう厳罰主義とかあるいは司法手続も含めて、この改正で非常に厳しくしていくという方向にあることに対しては、私は非常に懸念を持っております。  そこで、法務大臣にお伺いいたしますが、少年法の理念とは何でしょうか。少年法の基本的な考え方、理念は何でしょうか。
  449. 中村正三郎

    国務大臣中村正三郎君) それは、法律に明記してあるとおり、少年の健全育成でございます。
  450. 高野博師

    高野博師君 まさに少年法の第一条にそう書いてあるわけですが、犯罪を犯した少年の立ち直りあるいは更生ということに主眼が置かれているのでありまして、要するに刑法とかあるいは刑事訴訟法とは全く異質の法律だと、そう言われております。したがって、少年法を改正して刑罰年齢を下げるということは少年法の本来の目的に沿わないのではないか、そう私は思っております。  問題は、犯罪は一つの結果でありますから、そういう子供を犯行に追いやった社会的な背景、経済的な状況あるいは人間関係、さまざまな理由、原因があると思うんですが、そこのところの究明がなされないで単純に少年法を改正するという考え方には私は反対であります。どんな子供でも将来極悪人になってやろうと思っている人は一人もいないはずであります。みんな中村大臣のような立派な人になろう、そう思っているんだけれども、しかし過ちを犯してしまうということがあるわけで、子供は過ちを犯しながら成長していく。その過ちを自覚したときには非常に更生も早い。したがって、子供が成長過程にある中でのこういう問題について対応を誤らなければ子供は更生していく。それを温かく見守ってやるというそういう思想が少年法にはあるんだと思います。  したがって、日本の場合は一人の非行少年も逃がさないというこういう姿勢で、これはもうそもそも子供に対する不信から出発している。こういう厳罰主義という考えで少年法の改正はとらないでいただきたい、そう思っておりますが、大臣は児童の権利に関する条約を御存じでしょうか。
  451. 中村正三郎

    国務大臣中村正三郎君) 詳しくは存じません。
  452. 高野博師

    高野博師君 これは非常に重要な条約でありまして、この条約も知らないで少年法改正云々を話をするのは私はナンセンスだ、そう思っております。  この条約の第三条に、公共の安全の維持とかあるいは処罰の優先ではなくて、あらゆる機関が子供の最善の利益を第一に考慮することを規定しております。したがって、少年法の改正は、方向性によってはこの条約に違反するという可能性が十分あるということを指摘しておきたいと思います。  そこで、文部大臣に一言お伺いしますが、最近の少年犯罪と学校教育との関係性についての認識をお伺いいたします。
  453. 有馬朗人

    国務大臣(有馬朗人君) このごろ、心の問題が大変重要な問題として取り上げられております。最近まで私も中央教育審議会の会長といたしまして、心の教育をどうするかということについて検討をいたしておりました。  今御指摘のように、最近の少年非行情勢は、補導をされる犯罪少年の人数がふえてきております。そしてまた、凶悪粗暴な非行や薬物乱用、それから女子の性非行、学内暴力などが増加してきていることは、私も大変心配をしている次第でございます。  このような少年犯罪をどうすればいいかということは、教育の上からも非常に真剣に議論をしております。非行を犯した個々の少年への適切な対応ということが教育的観点から必要なことは今御指摘のとおりでありますが、教育の分野におきましても、私どもは、一つは家庭教育ということを重要視すべきである、家庭における教育ということを重要視すべきだということの結論に達しました。これが第一点。特に、親が子供たちに対してきちっと指導する、悪いことは悪いんだということをきちっと指導すること、このことが必要であるということを我々は強く認識する次第であります。  それから次に、学校の役割というのは極めて重要だと思いますが、同時に今申し上げたように、家庭におけるしつけ、家庭における教育、それに加えて地域社会の人々が子供さんたちに対してきちっと教育をする、見守っていくという態度を伸ばさなければいけないと思っております。そういう意味で、この少年犯罪にせよ、心の教育にせよ、すべてにおいて家庭、学校、地域社会の協力が最も必要であると私どもは判断をいたしております。  したがいまして、そういう方向に向かって例えば家庭でどういうふうに指導をしていったらいいかというふうなことについて、お父さん、お母さんがお互いに切磋琢磨するような学習機会の充実であるとか、特に私が主張していることは父親の教育への参加で、これを私は強く要望いたしております。  それから、子育てで親たちが大変悩むことが多い。そこで、極端に言えば二十四時間常にその人たちの悩みにこたえられるようなホットラインをつくりたいと思っております。そういう家庭教育の相談体制を整備すべきであると思っております。  それから、子供たち自身がまた直接カウンセラー等々に対して質問をし、悩みを訴えるような機会をつくりたいと思っております。  さらにまた、厚生省と連携いたしまして、母子保健の機会を活用して、家庭でのしつけのあり方などを盛り込んだ家庭教育手帳、親子手帳などを作成して広く配ってみたいと思っております。  いずれにいたしましても、繰り返しますけれども、家庭の教育への参画をさらに積極的にすること、地域社会が教育に対して関心を持っていただくように努力をしたいと思っております。
  454. 高野博師

    高野博師君 何を言っているのかよくわかりません。  私は最近の少年犯罪との関係性を聞いたのであります。私は大いに関係があるとそう認識をしておりますが、とすれば学校教育のどこに問題があるのか、どこをどうすればいいのか。心の教育とか家庭の教育とか父親の参画とかありますが、それ以前の問題として、最大の問題は文部行政、特に学習指導要領、これに問題がある。子供に負担が多過ぎる、どんどんレベルを上げ過ぎる、これをミニマムスタンダードにするということが最も大事だと私は思っておりますが、これについては。
  455. 有馬朗人

    国務大臣(有馬朗人君) 御承知のように、二〇〇二年から学校週五日制を導入することにいたしました。  その理由は、現在、中教審の答申に従い、心の教育、それをひとつさかのぼって生きる力を伸ばしていくということを中心に考えております。生きる力を養成するためにはゆとりがなければいけない、そのゆとりを持たすために五日制を導入する、五日制を導入するためにはおっしゃるように教科、内容を減らしていかなければならない。  そこで、教育課程審議会ではかなり抜本的な減量を図った次第であります。この後、これが実行されることを私は望んでおります。
  456. 高野博師

    高野博師君 何か他人事みたいなことを言っておりますが、この問題はまた別な機会に取り上げたいと思います。  それでは、台湾問題についてお伺いしたいと思います。  江沢民主席が九月に訪日されるということで、この問題に関して、特に台湾の問題についてはクリントン大統領が訪中したときにいわゆる三つのノーというのを表明しました。江沢民が来られるときに日本側にもこの三つのノーを明記するようにという要望があるようでありますが、報道等ありますけれども、これに対して、日本側の立場について確認したいと思います。
  457. 高村正彦

    国務大臣(高村正彦君) まず、アメリカでありますけれども、米国は中華人民共和国政府が中国の唯一の合法政府であるという前提に立った上で、台湾との実務関係を維持していくという基本的立場に立っているわけでありますが、クリントン大統領の発言もこうした米国の従来の立場に基づいて述べたもので、何か特別目新しいことを述べたとは私は理解しておりません。  それから、中国との関係についての我が国の基本的立場は、日中共同声明及び日中平和友好条約に述べられているとおりでありまして、こうした基本的立場に立って日中関係の一層の発展に努めていきたいと考えております。
  458. 高野博師

    高野博師君 今、中国、台湾からいろんなミッションが日本に来ておりまして、ある意味で対日攻勢をかけているところがあります。そこで、日本側の対応次第ではこの台湾問題をめぐって東アジアに緊張が走る、緊張あるいは不安定化するようなことがあってはならないと思うのであります。  台湾を追い詰める、あるいは孤立化させるということは避けなくてはいけないと私はそう思っておりまして、最近も中国側の要人とアメリカで話し合ってきましたが、中国側に焦りがあるんではないか、この台湾問題について。ある意味で私はそこを懸念しておりまして、中国数千年の歴史を貫く政治の知恵というのは、功を急げば目的は達せられないと、こういうことではないかと思うんですが、物事を急進的に解決しようとするんではなくて、漸進的に粘り強い対話を重ねて解決することが必要ではないか。  そこで、最後に小渕総理大臣にお願いしたいんですが、江沢民主席にお会いしましたら、ぜひとも焦らずにじっくり台湾問題については取り組むべきだということを総理から言っていただきたいと思っておりますが、いかがでしょうか。
  459. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 中国の中で台湾との関係は国内の問題でございますけれども、最近は両岸関係の経済的な交流等も非常に盛んになっておるように私も拝見をいたしております。ぜひそういった意味で、国内の問題として平和にこの問題が進んでまいりますことを日本としても期待いたしておるところでございます。
  460. 高野博師

    高野博師君 終わります。
  461. 倉田寛之

    委員長倉田寛之君) 以上で山下栄一君の質疑は終了いたしました。(拍手)  次回は来る八月二十四日午前十時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時十六分散会