○益田洋介君 私は、公明を代表して、
小渕内閣総理大臣及び宮澤大蔵大臣に
質問をいたします。
去る二十三日未明の
日米首脳会談の最大のテーマであった
我が国の
金融経済問題に関し、
総理は、橋本前政権の政策を大転換して
景気対策に取り組むと
発言されました。
日米両国の
国民の多くの方は、一体これはどういうことなのかと驚いたのではないかと私は
考えます。
総理は、橋本前政権の中枢閣僚として、
財政構造
改革路線や消費税率の引き上げなどを
推進してきた当事者でございます。したがって、前政権の政策は誤りであったと言うのであれば、みずからが主体的に参画した政策に誤りがあり、みずからも前政権の失政に加担したことを
意味することになるわけです。
総理のこの点に対する御見解をお伺いしたい。
次に、ただいま懸案であります
金融再生法案に関する論議についてでございますが、今回の
会談で、
大統領が
総理に冒頭要求いたしました存続可能な
銀行に対する十分な額の
公的資金の
投入という文言は、まさに
長銀問題への
対応について言っているものであります。
総理は、既に
与野党間の
合意で
公的資金投入は行わない旨約束した上で訪米いたし、
会談に臨んだことなどを的確に米側に伝えたのかどうか甚だ疑わしい。それとも、
アメリカ側からこうした要求を突きつけられれば、
野党三党首と昨日交わしたばかりの
合意など、即座に撤回しても構わないというふうにお
考えなのか、その真意をお伺いしたい。
次に、
長銀の
破綻前
処理については、現在このようにしてさまざまな論議があるわけですが、いずれにいたしましても、その際、
国民の皆様の
理解を得るためには十分なディスクロージャーがなされなければならないことは火を見るより明らかでございます。
長銀は
金融債を発行して資金調達を行っているわけでございますが、昨今の
状況から毎月の発行残高は低下しております。
平成八年では毎月一兆円前後の発行を行っていたわけでございますが、本年になりましてからは二千四百億円前後となっております。
こうした経緯の中で、
長銀の
金融債を今でも大量に買い続けてくれる優良な顧客がおるわけでございますが、それは
大蔵省理財局資金運用部であると言われているわけでございます。資金運用部の資金は、郵便貯金、厚生年金、
国民年金などの
国民の財産が
もとになっている。もしこうした資金で
長銀の
金融債を大量に買い付けていることが事実であるとすれば、既に
国民の目の届かないところで
長銀救済を
目的として
政府は
公的資金の導入をしていることになるわけでございます。
大蔵大臣はこの事実をお認めになりますか。事実であるとすれば、金額はいかほどか、どのような種類の
金融債を買っているのか、
国民の前に明らかにすべきであると私は
考えますが、いかがでございますか。
NTTドコモは、十月二十二日、NTT
政府保有株の第四次放出として東証一部に上場される予定となっております。この一週間ほど、
総理の
周辺の人物がNTTドコモの未公開株を保有していることが問題になっております。
その人物とは、
総理の実兄で群馬県中之条町長でもある小渕光平氏、そして
総理秘書官の古川俊隆氏であり、小渕光平氏が二百七十株、古川俊隆氏が百三十五株と言われております。十月十二日、ブックビルディング方式で決められる公開価格は、ドコモの算出見込みによりますと、一株三百万円と見込まれているものでございます。このことはそれぞれ小渕光平氏が八億円、古川俊隆氏が四億円の株を保有していることになりますが、未公開株でもうけるといった構図が
総理の直近の直近たる人物であるということはいかがなものでございましょうか。十年前のリクルートコスモス社の未公開株の店頭登録前譲渡事件をほうふつとさせる
状況と私は判ぜざるを得ないが、この際、
総理に事実
関係をきちんと
説明していただきたい。
一九五二年、当時大蔵大臣であった故池田勇人元
総理の肝いりで設立をされた
日本長期信用
銀行と宮澤大蔵大臣は深い
関係を保持されてきたと一般には
認識をされております。
ちなみに、広島県福山市に本社を有する常石造船という中堅企業は、
長銀から相当な融資を受けてきた経緯があります。この企業は宮澤大蔵大臣のいわばスポンサーであり、選挙では会社ぐるみの応援をしているということでございます。仮に
長銀が
破綻をいたしますと、当然のことながらこの企業も多大な
影響をこうむるわけでございまして、宮澤大蔵大臣の支持基盤が崩れるということになる。また、同社は
長銀から一九八七年と八九年に二回にわたり計十六億円に及ぶ融資を受けていますが、これら融資の担保は大蔵大臣の自宅の土地であるとされている。大蔵大臣はこの事実をお認めになりますか。
先日、私は欧州のある国の公使と対談をいたしましたが、去る十九日、三
野党党首との間で
金融再生法案という懸案の、国家としての当面する最重要事項の修正について
合意を見ておきながら、その舌の先が乾かないうちに
合意の根底が覆されるような
状況を生じしめるという成り行きを見せつけられ、
日本の
総理として当事者能力に乏しく、指導力が欠落しているのではないか、
世界経済の危機に対する
認識が本当にあるのかどうか、一国の
外交をあずかる
立場からこの公使はそのように不安感を吐露しておりました。
私も残念ながらその
意見には全く同感でありまして、
就任間もないことで申しわけないのでございますが、
小渕総理に一刻も早く退陣していただくことが
日本の
経済を救済する唯一の道であるということを強く主張いたし、私の
質問を終わります。(
拍手)
〔
国務大臣小渕恵三君
登壇、
拍手〕