○加藤修一君 私は、公明を
代表して、
小渕総理並びに
関係大臣に
質問いたします。
我々をはぐくむ地球は、四千六百万年ぶりの生物種の大幅な減少、毎年記録を更新中のオゾンホールの拡大、汚染物質が深海に至るまで拡散していること、さらに
環境ホルモンなど有害化学物質の脅威など、それぞれが複雑に絡み合って地球的問題群の様相を顕著に示し始めております。
青き地球、その実態は、苦悩が刻み込まれた惑星でもありますが、
地球環境の再生の
仕組みを取り入れた人類の新しいステージへの動きが見られ始めてもおります。すなわち、自然
環境との共生に基づく人類益、地球益を基調とする新世紀、言いかえれば、物、物質至上の世紀から生命を軸にした世紀への兆候でありましょう。そのために、人類の英知を結集したラストチャンスの総力戦が求められているところでもあります。
この意味でも、
京都会議の開催は人類の新ステージに向けて重要なシグナルを発する絶好の機会でありました。
しかし、合意した
削減目標値は、IPCCが警告している
レベルと比較するならばささやかな一歩にすぎません。この一歩にとどまってしまったことは、人類の将来にとって大変厳しい瀬戸際のシグナルとなってしまったと言えましょう。その一歩の中身でさえ、
我が国の
責任を果たす上で、本
法律案によって実効性を十分発揮できるか大変心配されるところであります。
ところで、
我が国の
温室効果ガスの
排出量は、種々の広範な
対策を
考えたにもかかわらず、一九九五年は九〇年比で八・六%とさらに増加しました。一刻も早く
温室効果ガスが増加から削減へと大転換する
対策をとらなければ、
削減目標年が迫るに従ってドラスチックな削減
行動をせざるを得なくなります。これまでの
政府の
取り組みがいかに実効性を欠いていたか、真剣味に欠けていたかを認識すべきであります。
小渕総理に強く反省を求めるものであります。いかなる御見解をお持ちでしょうか。
我が国の
温暖化防止については、長期的な視点からの理念というものが見えてきません。
京都会議の開催直前に至っても
国民的議論が反映されず、霞が関の一角で
環境庁と通産省などが密室協議して、やっと二・五%の
削減目標が日の目を見るや否や、
京都会議の国際交渉の場で翻弄されて六%削減となり、
日本政府の当初のもくろみが破綻してしまったわけであります。
しかしながら、その後、六%という数字に帳じりを合わせるかのように、森林による
二酸化炭素削減という、国際的にもいまだ結論の出ていない森林
吸収源方式で三・七%の削減を見込むシナリオをつくり上げておりますが、権威あるIGBPの最近の報告書は、陸上の
吸収源は来世紀中に
排出源に変わると予測しているわけであります。しかしながら、国内
対策の
努力目標は変えずに、
さきのとおりであります。このような対応で果たして六%削減ができるのでありましょうか。
小渕総理の御見解をお伺いいたします。
また、追加されたHFC、PFC、SF6の三種類のガスの
排出量が二%増加を見込まれていますが、PFCは分解するのに数万年もかかるというとんでもない寿命を持っております。現在、このガスで直接的な被害を受けていないように思えても、かつての特定フロンのように将来取り返しのつかないことになる可能性があります。これらのガスの
排出を禁止すべきと
思いますが、
小渕総理、いかがでありましょうか。
さて、
環境とエネルギーとの
関係は言うまでもなく緊密であります。そこで次に、
政府策定の長期エネルギー需給見通しについてお伺いいたします。
政府は見通しと言っておりますが、これは単なる予測ではなく、
日本のエネルギー
政策の骨格になるものであります。このような重要な
内容を
国会を経ないで決めることは、まさに
国会軽視ではありませんか。両院の
審議にかけ、承認を得るべき重要案件であります。
小渕総理の御見解をお伺いいたします。
また、エネルギー起源のCO2
排出量を二〇一〇年に九〇年比〇%削減は極めて不十分な
目標値であり、しかもこの前提条件となっているのは、第一に、立地紛争などから実現不可能な原発二十基相当の増設を
考えていること、第二に、CO2削減に逆行する石炭火力発電などIPPの大量増設も想定していることであります。一方、クリーンエネルギーに当たる新エネルギーについては、二〇一〇年においてでさえ、たかだか三%程度の低い
目標値にとどまっております。これは社会
経済構造の改革姿勢が欠如した
内容でもあります。
以上の指摘について、与謝野通産
大臣の御見解をお伺いいたします。
次に、本
法律案の第十四条において、
環境庁長官が他
省庁の長に対して
温暖化対策の
推進について協力を求めることになっておりますが、しかしこれだけでは不十分であります。
政策の立案、
実施を含めて、
温暖化対策の観点から
政策アセスメントを行うべきではないでしょうか。真鍋
環境庁長官の御見解をお伺いいたします。
次に、
事業者の削減
計画と
実施状況の公表が
努力目標になっておりますが、産業部門のエネルギー消費量は
日本全体の五割程度を占め、その
温暖化対策が極めて重要であります。そこで、削減
計画と
実施状況の公表については、当初
環境庁が
考えていたとおり義務にすべきであります。また、
計画内容や
実施状況が十分でない場合は、国が勧告・命令を行うことが必要ではないでしょうか。真鍋
環境庁長官のお
考えをお伺いいたします。
ところで、
我が国は
地球温暖化防止行動計画を
策定しておりますが、
平成九年度の
予算執行額を見ますと、全体で十一兆七千億円にもなります。そのうち、実に七二%に当たる八兆四千億円が道路関連整備費になっております。
温暖化防止と道路整備、奇妙な
予算措置であります。これだけの費用にもかかわらず、CO2
排出量が
効果的に削減できたというふうな話は聞いておりません。一体、
対策費がどのように使われているか。そもそも、費用対
効果などを明示した
対策は、全体二百三十三件の中でたったの八件であります。実効性を上げる重要な手続は、費用対
効果を明確にすることであると
考えますが、
小渕総理の御
答弁を求めます。
次に、
地球温暖化対策推進大綱についてお伺いいたします。
この大綱はどのように決定されたのでしょうか。そのプロセスが不透明であり、既存の
省庁の
対策メニューが縦割りに単に並べてあるだけで、六%削減を必死に達成しようという積極的な意欲が見えてきません。
政府は、広く
市民、
NGOの
意見を聞き、
国民的議論の中で大綱の再
検討を行い、
国会審議、承認を経て、総合的かつ実効性のある
温暖化対策推進大綱をつくるべきであります。
小渕総理の御見解をお伺いいたします。
また、
地球温暖化防止行動計画と
地球温暖化対策推進大綱、そして本
法律案の相互
関係はいかなる位置づけになるのでしょうか。
小渕総理の御見解をお伺いいたします。
次に、
地球温暖化対策の
推進を実効あらしめるためには、
政府の率先
実行計画が重要であります。
省庁の率先
実行計画の
取り組みは
目標の何%まで実行されているのでしょうか。また、今後の
取り組みについて
小渕総理の決意をお伺いいたします。
ところで、
京都会議において先進国が五%削減に合意しましたが、しかし、その後の削減強化がうまくいったかどうか、それはこれからの
行動次第であります。
日本は、
議長国としてリーダーシップを発揮して、
京都議定書の
内容を早期に確定して、一刻も早く
世界に先駆けて
京都議定書の批准をすべきであります。いつまでに批准するお
考えでありましょうか、
小渕総理の御決意をお伺いいたします。
また、早急な対応が求められている
環境問題は、ダイオキシン汚染問題についても同様であります。ダイオキシン
濃度の基準は
排出ガスのみであり、飛灰、焼却灰は
濃度が高いにもかかわらずダイオキシンを特定した規制がなく、さらに土壌、水質などは基準なしの状態であります。早急にこれらの基準を設けて総量規制を図るべきでありますが、真鍋
環境庁長官はいかがでありましょうか。
最後に、二十一世紀には
環境がキーワードになることは言うまでもありません。
京都会議を通じて
環境外交が一層定着しましたが、ブラント報告書が述べているように、国家指導者が地球規模の
責任感を持たなければならない必要が差し迫っていることを
考えますと、
環境外交は国際的交渉の場でますます重要なことになってきております。
小渕総理は、みずからの
政治理念に
環境外交をどのように位置づけているのでしょうか。
小渕恵三内閣
総理大臣に御見解をお伺いし、私の
質問を終わります。(
拍手)
〔
国務大臣小渕恵三君
登壇、
拍手〕