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1998-09-24 第143回国会 参議院 文教・科学委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十年九月二十四日(木曜日)    午前十時開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         南野知惠子君     理 事                 狩野  安君                 馳   浩君                 江本 孟紀君                 松 あきら君                日下部禧代子君     委 員                 亀井 郁夫君                 北岡 秀二君                 仲道 俊哉君                 橋本 聖子君                 石田 美栄君                 佐藤 泰介君                 本岡 昭次君                 山下 栄一君                 畑野 君枝君                 林  紀子君                 扇  千景君                 奥村 展三君     国務大臣         文 部 大 臣 有馬 朗人君         国 務 大 臣         (科学技術庁長           官)      竹山  裕君     政府委員         防衛庁防衛局長 佐藤  謙君         科学技術庁長官         官房長     興  直孝君         科学技術庁科学         技術政策局長  加藤 康宏君         科学技術庁科学         技術振興局長  田中 徳夫君         科学技術庁研究         開発局長    池田  要君         科学技術庁原子         力局長     青江  茂君         科学技術庁原子         力安全局長   間宮  馨君         文部大臣官房長 小野 元之君         文部省生涯学習         局長      富岡 賢治君         文部省初等中等         教育局長    辻村 哲夫君         文部省教育助成         局長      御手洗 康君         文部省高等教育         局長      佐々木正峰君         文部省学術国際         局長      工藤 智規君         文部省体育局長 遠藤 昭雄君     事務局側         常任委員会専門         員       巻端 俊兒君     参考人         日本放送協会理         事       芳賀  譲君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○教育文化学術及び科学技術に関する調査  (国立研究所における運営費の削減に関する件  )  (中央教育審議会答申に関する件)  (熱核融合開発国際協力に関する件)  (外国人学校卒業生大学受験資格に関する件  )  (原子力行政信頼回復に関する件)  (私立学校における授業料滞納急増対策に関す  る件)  (中央省庁再編科学技術行政の在り方に関す  る件)  (小中学校におけるNHK受信料免除の廃止に  関する件)  (スポーツ振興対策に関する件)     —————————————
  2. 南野知惠子

    委員長南野知惠子君) ただいまから文教・科学委員会を開会いたします。  参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  教育文化学術及び科学技術に関する調査のため、本日の委員会参考人として日本放送協会理事芳賀譲君の出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 南野知惠子

    委員長南野知惠子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  4. 南野知惠子

    委員長南野知惠子君) 教育文化学術及び科学技術に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  5. 馳浩

    馳浩君 おはようございます。自由民主党の馳浩です。新しい両大臣をお迎えいたしまして、そして委員も新しくなりましての質問となりますが、よろしくお願いいたします。  科学技術振興に関する質問をさせていただきます。  財政が非常に厳しい状況の中で、政府科学技術基本計画で九六年から五年間で総額十七兆円の予算確保していることは周知の事実であります。これもひとえに二十一世紀の日本科学技術創造立国として立ち上げるための戦略です。また、不況にあえぐ日本にとって、一刻も早く新技術、新産業の誕生が待たれるところであります。  しかし、例外的に研究費増額が認められた基礎科学研究が思わぬピンチに立たされております。すなわち、国立大学研究所文部省所管国立研究所の観測・実験機器補修費電気代等に使える運営費予算が、今年度は前年比で約一五%前後カットされております。しかも、この現象は文部省関係研究所だけで、科学技術庁通産省系はそんなことは起こっておりません。そして、この一五%カットで、せっかく研究費増額で手に入れた最新機器を十分使えないとか、劣悪な研究データしか出せないという研究現場サイドの悲鳴が聞こえております。  有馬大臣物理学者でもあります。一五%カット重大性をだれよりもお感じになっておられると思いますが、この点についての御感想と、それからどうしてこのようなことが文部省関係で起きたのか、他省庁との違いも考慮して教えていただきたいと思います。
  6. 有馬朗人

    国務大臣有馬朗人君) おはようございます。お返事を申し上げたいと思います。  私も大変心配していることでございますが、どうしてそうなったかというあたりについてまず申し上げてみたいと思います。  おっしゃられますように、大学等における学術研究を効果的に推進してまいりますためには、科学研究費補助金などの競争的資金の充実とともに、実験装置運転経費等を含む基盤的な研究費確保をあわせて図っていくことが重要であるということは、私も心底認識しているところでございます。  今御指摘の点でございますが、今年度平成年度国立学校特別会計予算、この文部省関係いたします研究所、これは大学共同利用研究所が特にそうでございますが、国立学校特別会計予算というところに入るわけでございます。それにつきましては、昨年十二月施行のいわゆる財革法によりまして一般会計からの繰り入れが前年度同額以下とされた中で、やむを得ず各種の経費を削減せざるを得なかったところでございます。これは御指摘の点であり、私も大いに心配をしていたところのことでありました。  ただ、各研究所継続的研究を実施する上で必要となる経費につきましては、その実施に重大な支障が生じないよう措置いたしました。また、科学研究費補助金等増額を、これは幸いにふえておりますので、増額を大いに図っているところでございますので、これは大変ありがたいことだと思っています。  それから、明年度平成十一年度概算要求におきましては、人件費の増分につきまして一般会計からの繰り入れが措置されたということが大変ありがたいことでございまして、平成十一年度から始まる研究プロジェクトも含めまして、それぞれの実験にも支障のないよう配慮いたしました。  今後も引き続き財政状況が非常に厳しいと予想されますが、所要の経費確保最大限努力をしてまいりたいと存じております。  以上、お返事を申し上げます。
  7. 馳浩

    馳浩君 というお答えは予想されるお答えなのでありますが、要は、この研究費がどんどんついてくる中で、実際の現場先生研究者としていらっしゃったわけですが、運営予算というものは、人件費というのはカットしていくことは非常に厳しい。そうなると、運営の方の電気代とかそういったものがカットされざるを得ないという、これをいかにして今後も恒久的にそうならないように措置していくかが私は文部省としての姿勢だと思うんです。財革法に聖域ないカットというふうな文言がありましたけれども財革法云々の問題ではなくて、これは文部省姿勢科学技術創造立国を支える、基礎研究を支える国立大学研究所国研あり方に対する問題だと私は思うんですが、その点を有馬大臣は今までの御経験も踏まえてどうしなきゃいけないという考えに立っておられるか、それをお聞きしたいというところであります。
  8. 工藤智規

    政府委員工藤智規君) いろいろ御心配をおかけして申しわけない次第でございますが、今し方お話がございましたように、有馬大臣をお迎えしたことでもございますし、私ども大学を中心とする研究条件が悪くならないよう、いや、悪くならないという後ろ向きだけじゃなくて、よりよくなるように最大限の力を注いでいかなきゃいけないと考えているわけでございます。そのためには、国の来年度予算の編成に当たりましての御努力もさることながら、先生今し方お話がありましたように、十二年度以降の対応につきましても考えていかなきゃいけないと思ってございます。  そのためには、大きく言いますと、御指摘ありましたように、科学技術関係経費が伸びている中で国立大学はどうだというお話だったわけでございますが、事務的に言いますと、広い意味での科学技術関係経費の中には国立大学研究経費も入っているのでございますが、いわゆる科学技術振興費という中には特別会計経費が入っていないという整理でございますとか、財革法の法律上の縛りもある中で私ども苦慮してきたわけでございます。  そういう中ではございますけれども大臣からも御答弁申し上げましたように、他の経費科学研究費補助金でございますとか、あるいは各国立大学研究所の学長、所長の裁量経費といいましょうか、めり張りをきかせながら、それぞれの大学あるいは研究所内で必要なお金を措置していただくための経費につきましては大幅な増額をこれまでも図っておりますし、来年度概算要求におきましても大幅な増額を予定しているわけでございますけれども、そういう経費の有効な活用によって機動的にめり張りのきいた研究機関運営がなされていくことを期待しているのが一つございます。  また、これは今検討中でございますけれども科研費補助金などに基づきます研究について、これまで各大学で行われている研究で、例えば光熱水料とかというのも各大学が支弁していたわけでございますけれども、そういう他からの研究費について若干のオーバーヘッド、欧米では当たり前のことなんでございますけれども日本では必ずしもいただいていない部分がありますので、研究者の御理解をいただきながら、創意工夫も凝らしながら、いわば全体として研究支障がないような形での努力をさせていただきたいと考えているところでございます。
  9. 馳浩

    馳浩君 ちょっと確認でありますが、国立大学特別会計に入ってくる分というのは授業料とか入学金だと思うんですけれども一般会計からの繰り入れ、これは何割ぐらいあるんですか。それだけでもちょっと教えていただきたいと思います。
  10. 工藤智規

    政府委員工藤智規君) それは年々によって違うのでございますけれども特別会計創設当初以来、大分ふえてきた時期もありまして、一番のピークは八〇%を超えたのでございますけれども、今や六割を下っておるという状況でございます。それは国の財政事情もございますし、特別会計全体の歳出規模が大きくなったと、両方の事情があるわけでございますけれども、少なくとも今、国立大学といえども一〇〇%税金の投入じゃございませんで、昔、三割自治と言われたことにならって言えば、いわば六割国立という状況でございます。
  11. 馳浩

    馳浩君 この辺が非常に予算システムの厳しいところであるというふうなことは理解をいたしましたが、そうなると、先のことを考えますと、省庁再編文部省科学技術庁は将来一緒になるわけですから、そうしたときにこの予算システムの違いというものをどう乗り越えていくのかということが一つ問題点として出てくるのではないかと私は思います。  科学技術庁はこの点についてどういうふうなお考えを持っておられるのか、お聞きしたいと思います。
  12. 竹山裕

    国務大臣竹山裕君) ただいま文部省からお話のありましたとおり、学術研究重要性にかんがみて、私としましても、科学技術振興の観点から、文部省お話のような取り組みに対して重大な関心を持っているところでございますし、また馳理事御指摘のとおり、省庁再編に向けまして文部省科学技術庁において合同検討チームを設置して、教育科学技術省への円滑な推移に向けて検討に努めているところでございます。予算システムの違いなど御指摘の点も十分念頭に置いて、今後とも我が国科学技術振興を図っていくための方策をこうした場を通しながら引き続き十分な対応をしてまいりたい。  いずれにいたしましても、科学技術庁としては、当庁に関して大変お世話になりました経験豊かな有馬文部大臣と十分歩調を合わせながら、科学技術会議専門家意見も聞きながら、科学技術創造立国を目指しての体制をますます整わせていくために両省庁調子を合わせましてやっていきたい、こんな思いでおります。
  13. 馳浩

    馳浩君 この点は有馬大臣にもぜひお聞きしたいんですよね。継続的な研究については、それはやりくりできるでしょうけれども、常に新しい研究をし、その技術開発をし、それをもとにして新しい産業を起こし、新しい雇用を生んでいくというのは国の戦略であります。省庁再編は二十年後、三十年後の話ではありません、あと数年後の話でありますから、この考え方というものは、やっぱり文部大臣科技庁長官お互い協力し合いながら、お互い省庁チーム協力し合いながらこの予算システムを乗り越えていかなきゃいけない問題であると思いますが、有馬大臣、いかがでしょうか。
  14. 有馬朗人

    国務大臣有馬朗人君) ただいま竹山大臣から御説明がありましたように、まず省庁再編に向けましては大変努力をさせていただいているところでございます。  先ほど竹山大臣がおっしゃられましたような教育科学技術省に向けての合同検討チームというものを昨年、平成九年の十二月に発足させていただきました。さまざまな面で考え方が違っていたり、一致するところ、こういうふうなことをよくここで検討してもらい、さらに現在人事交流促進をしているところでございます。  また、文部省自体といたしましては、学術審議会というのがございますが、本年一月に学術審議会に対しまして諮問を行いました。そこで、今御指摘研究費等々のことも含め、大学共同利用機関等と関連する国研科学技術庁の方にたくさん国研がございますが、そういう国研との連携協力あり方を含めて、学術研究総合的推進について審議をしていただいているところでございます。ここの審議には科学技術庁所管国研等からも専門委員として参加いただいております。科学技術庁の御協力を得て進めさせていただいている次第でございます。  こうした検討審議を踏まえながら、御指摘予算の立て方等々につきましてもさらに改善されるべく、そして我が国における学術研究推進を充実する方策について今後とも検討させていただき、できる限り実行に移したいと思っております。
  15. 馳浩

    馳浩君 今、研究予算配分システムあるいは運営予算システムについての質問でありますが、そうなってくると、今度省庁再編をにらみますと、国研大学等研究所、そして民間研究所、この役割分担というのを明確にすることによって、予算といいますのは我々国民の税金でありますから、有効に効率的に使っていただきたい。  それを考えたときに、私は残念ながら研究現場にいなかったのでわからないから基礎的なこと、基本的なことをお聞きしたいんですが、国立大学研究所長所というのは何なのか、あるいは国研役割長所というのは何なのか、民間研究機関のよさというのは何なのかと、この役割分担というものをもうちょっと明確に文部省科学技術庁は打ち出していただきたい、それに基づいての予算配分をしていっていただきたいということがあります。同じような研究国研国立大学研究所民間でやっていても意味のないことでありますし、予算の使われ方という意味では効率が非常に悪いということになります。この点をどうお考えになっているのかということを、とりわけ国研あり方について私は方針を出していただきたい。これは両省庁に聞いた方がいいのかなと思います。  では、まず科技庁の方から、そして文部省の方もお答えいただきたいと思います。
  16. 竹山裕

    国務大臣竹山裕君) 国立試験研究機関は、大学民間企業取り組みでは期待できない国家的戦略研究開発を担うものと考えておりますし、研究者はその戦略の中で研究を行っていく、その国研あり方の御質問がございました。必要な研究者集団をまず有するということでありまして、研究者個人創造性を尊重しながら、組織的・重点的に研究を行っていく機関であるということであります。また、研究者研究等のみに専念している機関であるということも言えると思います。これらの特性を有しておるのが国研である、こういう認識で、あります。  一方、大学においては、科学そのもの創造性を根本に据えて、研究者個人の自由な発想を重視して研究を行い、あわせて教育との連携において人材を育成していく場でもあると認識しております。  また、我が国科学技術創造立国を目指す上で、研究開発投資額で約八割を占める民間においては、基本的には営利活動に活用するための成果を目指して研究を実施していくわけでありますが、経済フロンティア開発の原動力であり、国の活動と相まって重要な役割を果たしていくのが民間の働きであると考えております。  今後とも、これら国研、そして大学民間においてそれぞれの意義、特性を生かした研究を進めていくとともに、お互いに緊密な連携も図っていくことが我が国の総合的な科学技術振興に寄与していく、こう考えております。
  17. 工藤智規

    政府委員工藤智規君) 今し方科技庁長官からもお話があったのでございますが、大学における研究は幾つかの特色があろうかと思います。一つ人文社会科学から自然科学まですべての学問分野を対象にしているということが一つあります。  もう一つは、他と違いますのは、あくまでも研究者自主性自発性基本にしておりますので、研究者がやる気を起こさなくなるともう大学研究は終わりでございます。いかに大変な研究環境であろうと頑張ってくださっている研究者の方々に報いるべく私ども条件整備に努めなきゃいけないわけでございますが、そういうあくまでも研究者自主性自発性に基づくものであるということ。他方で、大学院教育でございますとか、教育面との関係教育研究が一体的に行われているという特色があるわけでございます。  国研につきましては、私どもも一部あるのでございますけれども、各省で置かれております国立試験研究機関は、それぞれの省庁行政目的に応じまして設置、運営されている機関でございます。そのあり方につきまして、特に省庁再編に伴います基本法においてその見直してございますとか、一部懸案というか課題が提示されているわけでございまして、科学技術庁合同事務局をやっております科学技術会議常設委員会であります政策委員会におきましても、今後の国の試験研究機関等あり方について御検討をなされまして、民間には期待しがたいもので、かつ大学における学術研究とも異なる使命を持った研究を推進していくように方向性を言われているわけでございます。  いずれにしましても、国立試験研究機関については各省庁でそれぞれ今後のあり方について御検討をいただいていると承知してございますけれども、私どもも、先ほど大臣が御答弁申し上げましたように、学術審議会におきまして今大臣諮問にこたえた答申づくりの作業をしてございます。その中で、単に大学研究だけではございませんで、そういう国研でございますとかあるいは民間研究状況ども視野に入れながらこれからの日本学術研究あり方について幅広く検討しているところでございますので、先生の御提言を踏まえまして、さらに今後遺漏なきを期してまいりたいと考えております。
  18. 有馬朗人

    国務大臣有馬朗人君) ただいま工藤局長が御答弁申し上げたことでございますが、私は、大学国研民間、それぞれの目的がはっきりしている面と、ややあいまいなところがあろうかと思います。  はっきりしている面に関しましては竹山大臣並びに工藤局長より御意見をお述べいただいたわけでありますが、現在は非常に協力をしようという気持ちが進んでおります。そういう意味で、大学特徴を生かし、また一方で国研特徴を生かし、また民間企業研究とも協力しながら、日本としての科学技術立国に向けて最もいい方策をとっていくべきではないかと思っております。  ただ、国といたしましては、やはり国の行政目的のための研究というものがございます。この研究というのは、やはりある程度目的の決まったところで研究者研究を進めていかなければならない。一方、大学の方は非常に自由である。こういう自由な面と、それから行政目的研究との間をどういうふうに協力体制に持っていくかということが、特に今後科学技術庁文部省協力体制において大変大きな問題として浮かび上がってくると思っております。特に巨大な科学、例えば宇宙科学であるとか加速器科学生命科学、こういうふうな面において、行政目的的なものはどういうものか、それから、より基本的な研究はどういうものか、こういうふうなものを調和をとりながら今後進めていくべきだと考えております。
  19. 馳浩

    馳浩君 さて、お互い役割があるということと、お互いにこれから調和をとってやっていかなければいけないということ。そうすると、現実的に国家戦略ということを考えれば、経済的あるいは雇用面でのプラス効果がなければいけないとなる。  そうなると、承っているところによりますと、産学共同研究がこれからますます盛んに行われていかなければならない中で、大学等技術移転促進法、この施行は八月一日だったと思いますけれども、これによって産学共同研究のあっせんや研究成果特許化などを行う技術移転組織、これはTLOと言うらしいのですけれども、これの設立計画が進んでいると承っております。その進捗状況を教えていただきたいと思います。  あわせて、これはアメリカにおいてもTLOによって、例えば関連する企業が二百社近くあるそうです、それから経済波及効果が九六年で二百四十八億ドル、新たな雇用として二十一万人を生み出したそうであります。これをいかに我が国に定着させていくのか。  わかりやすく言えば、大学等研究所特許を取る、その利用権民間に与える、特許使用料を受け取る、それを大学研究所研究者がいただいて、さらに新しい研究をし、新しい特許知的財産を生み出していく、こういう意味でのTLO役割がこれから非常に大きくなると思いますが、これについて文部省としてはどう取り組んでいかれますか。
  20. 工藤智規

    政府委員工藤智規君) 通称大学等技術移転促進法につきましては、さきの通常国会でおかげさまで成立させていただきまして、この八月一日に施行されたところでございます。  お尋ねのまず第一点がその進捗状況ということでございますけれども施行直後の八月三日には、新聞等で御存じかと思いますが、東京大学先端科学技術研究センター教官有志国立大学で初めての技術移転会社として、株式会社形態でございますが、先端科学技術インキュベーションセンターというのが設立されてございます。また私立大学では、東海大学が本年度から事務組織機能強化を図ったとか、早稲田大学では民間研究所一緒になりまして技術移転機関のモデルの研究を行う投資事業組合を設立したというような動きもございます。このほかに、東北大学を初め慶應義塾大学日本大学、立命館大学などが平成年度内に設立する方向で準備中でございますし、また、東京工業大学でございますとか九州大学など二十を超える大学におきまして、全学的な委員会を設けるなどしながら、その設立に向けてのさまざまな検討が行われている状況でございます。  第二点目の、今後の方策、方針はどうかということでございますけれども、私どもとしては、この法律で意図しておりますことのように、こういう技術移転事業が大学における技術に関する研究成果産業界に効果的に移転する有効な手段と考えてございまして、大学先生方がともすれば気づかなかったことが、民間の場では場合によっては大きな産業発展のもとになる場合も多々あるわけでございますので、その契機となればということで大いに期待しているわけでございまして、科学技術庁とか通産省とも連携を図りながらいろいろ施策を講じることとしてございます。  まず第一点は、法律の趣旨につきまして既に通知あるいは特別の会議招集等で周知を図っているところでございます。二番目には、国公私の大学関係者にもっとこういう特許を初めとする知的所有権のマインドを高めていただくということで、科学技術庁とも御一緒になりまして、特に来年度概算要求にかかわりますけれども特許等の専門家を地域に派遣しながら、特許マインドを涵養していただくような努力を続けてまいりたいと思っております。  またそのほかに、せっかくのこういう成果を上げられる、あるいはそういう特許等の実績がある場合に、それが単に論文等の研究評価の材料、いろいろなファクターがあるわけでございますけれども、こういう知的所有権での成果についても適切に評価されるような体制づくりについて私どもとしても意を尽くしてまいりたいと考えております。
  21. 馳浩

    馳浩君 これは大変期待の大きいところでありまして、これまで企業大学研究に関するかかわりというのは、共同研究とか受託研究あるいは奨学寄附金という形で研究者、教授の皆さん方はいただいてお返しをするという、そんな役割が残念ながら国民には見えない部分が多いと私は思いますし、まさかそんなことはないと思いますけれどもお互いに癒着の温床になるのではないかという指摘もなされております。  そんな中で、このTLO役割というのは非常に大きいのではないか。まさしく今工藤局長がおっしゃったように、教授の方々のマインド、企業家意識、こういったものを向上させて、透明なシステムによって技術移転をし、それによってまた得るものも大きいわけですから、これをぜひ推進していただきたい。これは非常に大きく期待するところであります。  では、次の質問に移らせていただきます。不登校の問題について質問させていただきます。  児童生徒の数が年々少なくなっておりますが、先ごろの調査によりますと、不登校児童生徒が九七年度で十万五千四百十四人に達した、前年比一一・七%の増加になったそうであります。文部省といたしましても、不登校の問題をどの子にも起こり得る問題と方針転換をし、適応指導教室を設置し、民間施設に通う場合も学校長の判断で出席扱いにし、さらには不登校の場合でも中学校卒業認定試験を受験できるようにいたしました。この方向は私は間違っていないと思います。学校とは別のルートを開き、やり直しのきく柔軟なシステムを用意することは義務教育の段階でも必要になってきた時代だと思います。  そこで、この柔軟なシステムを今後も拡充していく方針なのですか。もしそうならば、民間のフリースクール、いわゆるサポート校との連携も図っていきながら不登校の実態を把握して、その結果を魅力ある学校づくりに生かしていくべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  22. 辻村哲夫

    政府委員(辻村哲夫君) ただいま先生の御指摘にありました不登校の子供たちに対しますいわゆる柔軟なシステムというものは、今後もこれを維持していくという考え方でおります。  そこで、二番目にお尋ねでございますけれども、いわゆる民間教育施設に行っている子供たち、この子供たちの状況というものから学校がその情報等を生かしてより魅力のあるものにしていくべきではないかという御指摘でございますけれども、そのとおりだと思っております。不登校の子供たちも小学校、中学校に籍は持っているわけです。ただ、その学校にさまざまな理由で通えない。そこで、公的な施設もありますし民間の施設もあるわけでございますけれども、そこに通っているというわけでございます。  そこで、その状況を評価いたしまして出席扱いをするというわけでございますが、その出席扱いをいたします場合は、教育委員会、学校とその施設とが十分に事前に連絡をとりながら、その子供にふさわしいかどうか、あるいはそこでの教育というものが子供の教育にとってプラスであるかどうかということを十分に調査して、三者の納得の上でこれは出席扱いしていいだろうということで出席扱いをしているわけでございます。したがいまして、出席扱いをしている間、その施設と学校の間では緊密な連携がとられるということが当然期待されておりますし、現になされておるわけでございます。  そこで、学校には来れない、しかしその施設で子供たちがどんな形で毎日学習をしているのか、どんなことに悩んでいるのか、学校に行けないというのはどういうことから来ているのかということは、その施設の先生たちはよくわかるわけでございます。したがって、学校とその施設との連携の間で十分な情報交換を行って、子供の教育の充実のためにこれを生かしていく、それが魅力ある学校づくりにも資する、これは今後とも考えていかなければならない大変重要な点である、こんなふうに思っております。
  23. 馳浩

    馳浩君 さてそこで、三十日以上の長期欠席者の理由のうちにその他というのがふえてきております。このその他ということの分析を私はもうちょっときめ細やかにしていただきたい。つまり、学校にある事情があって通えないという今までの不登校に対する見方ではなくて、親の意思や本人の意思で通わないんだと。そういう意味で、私塾に行ったり、義務教育の学校教育ではなくてその選択の一つとして違う道を選ぶんだという、こういう積極的な意味でのその他がふえてきているんではないかと思いますが、こういう点の分析というのはされておられますでしょうか。
  24. 辻村哲夫

    政府委員(辻村哲夫君) 先生指摘のいわゆるその他でございます。長期欠席者の理由を、病気、学校嫌い、その他、あるいは経済的理由等に区分しておりますが、その中のその他が三万二千七百四十四人ということで、これが増加傾向にございます。その中身といたしましては、いわゆる親の無理解と申しましょうか、そういったもの、あるいは無関心、それから親の病気、それから外国での長期滞在、あるいは家の関係等といったものがその他の中にくくられてございます。  しかし、この数がふえる傾向にございますので、これをさらに細かく分析するためにこれを細分化するかどうか、これについては少し検討をさせていただきたい、こんなふうに思います。
  25. 馳浩

    馳浩君 社会が多様化しておりますから、学校に通うお子さん、それからお子さんを通わせている親御さんも、意識、物の見方の多様化というものもあるんでしょう。積極的な意味での学校不信とか、あるいは学校が別にだめだと言っているんじゃなくて、こっちの方がさらにいいんじゃないかというふうな認識でその他の部分がふえてきているんじゃないかなという点が私はあると思います。  そういう意味で、これは手前みそで申しわけないんですが、私の地元の石川県教育委員会が昨年来、事例研究、ケースカンファレンスというのを行っております。これは教師の小グループごとに研修のときに具体的に事例を扱って、それに対する対処、それも短時間に行う。私はその報告書をいただきまして、一応私も教員の端くれでありましたので自分が研修を受けているつもりになってこのケースカンファレンスについての事例研究の内容をチェックさせていただきましたが、なるほどこういう形があれば、不登校児に対応する学校長あるいは管理職、担任、それから担任以外の先生、保護者、あるいは保護者以外の地域の方々、関係者、こういうふうな方々が取り組んでいただければ、先ほど言いましたその他の部分でありますけれども、これはその他に限らず不登校をしている児童生徒に対する対応が学校現場で、それも地域の皆さんも入って非常に効果的に行われていくのではないかなということを私はこの報告書を見て感じました。  と同時に、文部省としてはこういうケースカンファレンスのような施策といったものを既に各都道府県の教育委員会等に対して行っているのでしょうか。どういう取り組みをしておられるのかお聞きしたいと思います。
  26. 辻村哲夫

    政府委員(辻村哲夫君) ただいま先生から御紹介がありました石川県教育委員会が行っております例につきましては、私どもも資料を取り寄せさせていただきまして読ませていただきました。  ポイントとしては、さまざまな方が加わって個別の事例をもとに研究をする、しかも限られた時間の中でどうするかということを研究するという点に大変意義のある独自なものを感じたわけでございます。  一般的にケースカンファレンス、事例研究というふうに言われていると思いますけれども、それにつきましては、私どもの主催しております研修講座あるいは研究協議会におきましても取り入れてございます。具体的には、いじめ・不登校等の研修講座といったもの、あるいはスクールカウンセラー研究協議会といったものを私ども主催いたしておりますけれども、そういう場でもこうした事例研究の例は取り上げてございます。  ただ、先ほど紹介ありました石川県の場合には、またプラスアルファの独自の趣旨を盛り込んだ形で行われております。それらはこれから私ども参考にさせていただきながら、意義のあるものと思いますので、いろいろな機会を通して紹介をさせていただく、こんなふうに思っております。
  27. 馳浩

    馳浩君 私は、余り教育現場にマニュアル的なものを持ち込むのはいかがかなと、こういうやり方、基本的なやり方。ただし、報告書を見ますと、不登校児童生徒に対する対処のあり方というのは恐らくどういう地域にあっても大体こういう方向に集結するだろうなというふうな内容になっているんですね。そういう意味では、このケースカンファレンスの政策的な取り扱いというものも非常に慎重に取り扱っていただきたいと私は思います。  そこで、先ほどからの関連ですが、不登校児童生徒に対して学校外施設への出席を正規の出席にしたり、適応指導教室を設けたり、あるいはいじ、め等に関連をしてスクールカウンセラーを置いたりしていると、本質的に、学校にいる教師の側に不登校の児童生徒を学校外の施設あるいはスクールカウンセラー等に任せる意識が強まるという問題が発生するのではないかと私は思います。  私もスクールカウンセラーの方にお話を伺ったところ、いろんな報告がありました。例えば、児童生徒のためのスクールカウンセラーであるにもかかわらず、担任の先生から逆にカウンセリングを持ちかけられるとか、あるいは担任の先生、その学校の先生方がスクールカウンセラー任せになってしまうというふうな事例もこれまたやっぱり否定できないところであるそうです。それを考えると、当の教師自体のあり方、ひいては初等中等教育における学校の役割といったものまで、どうも教師、教員の方々の意識が薄くなってしまうんではないかなというふうな懸念も私は感じます。  本来、戦後日本において小学校、中学校が果たしてきた役割、こういったものが崩壊してしまうのではないか。いま一度ここで、初等中等教育における学校の役割、教師の役割といったものについて、これはやっぱり文部省はしっかりと打ち出すべきなのか、あるいはこういう国会の場で議論を高める必要があるのか。  この点、私も、不登校児童が多くなった、対応策が政策として打ち出されてきた、大変選択の余地がふえた、敗者復活の論理が十分政策に反映されている。いいなとは思いますが、本質的な教師の責任、認識、学校の役割といったものが薄れることになると、これは保護者の皆さんも勘違いしてしまうんじゃないかと思います。  その点、どういうふうにお考えなのか、ちょっとお聞かせください。
  28. 辻村哲夫

    政府委員(辻村哲夫君) 申すまでもないことでございますけれども、不登校問題に対しますさまざまな施策、これはあくまで学校を支援する、学校を外部から支援するということでございまして、あくまで学校のために行われている施策の一環であるわけでございます。したがいまして、学校の責任、役割といったものがますます重要にむしろなる、教師の使命感とか責任感といったものはますます重たいものになるということはもう言うまでもないことだと思っております。  ただ、先生が御指摘になられますような御懸念があるといたしますれば、我々、これから教育委員会、学校関係者ともどもに、学校というものの役割というものをもっとわかりやすく社会に説明していくということも大切なことかなと思っております。  幸いと言ったら語弊があるかもわかりませんが、中央教育審議会あるいは教育課程審議会等で学校完全週五日制下での新しい学校教育というものがるる述べられ、新しい展望が示されているところでございます。そういう中でございますので、そうした審議会の答申等も踏まえながら、私ども、さらに学校教育役割というものを共通理解を持って社会に伝えていく、こういうことにさらに努力をしていきたいと思います。
  29. 馳浩

    馳浩君 これは社会に対する大きなメッセージだと思うんです。あくまでもこの不登校児童等に対する対処の政策が本来の学校教育の補完的なものなのか、あるいは、いやそうじゃないんだ、社会の多様性の中、価値観の多様性の中でその道も選べるんですよということを文部省が認めるのかどうかという大きな私は分岐点だと思うんです。この点の議論というのを、やっぱり常に世論を意識しながらもしっかりと打ち出していただきたいというのが私の質問の趣旨でございますので、次の質問に移ります。  大変昨年来社会的な問題になっております環境ホルモン、正確に言いますれば外因性内分泌撹乱化学物質。これは学校教育におきましては、学校給食の食器としてポリカーボネート製食器が使われておる。その食器の使うか使わないかの決定権は自治体にあるんです。ところが、児童生徒の健康ということを考えますと、これは自治体に任せておいていい問題ではないという矛盾が出てくるわけであります。  現在、今は九月です、各都道府県も九月議会をやっていると思いますが、恐らく、我が都道府県、学校現場でどの程度ポリカーボネート製の食器を使っておるのか、環境ホルモンと言われる化学物質であるビスフェノールA、どういう状況でどういう条件のもとで溶出するのかという試験とか調査結果を取りまとめておる段階ではないかと私は思いますが、これに対して、食器を使うか使わないか、これは自治体の権限、教育委員会の権限。しかし、健康被害ということを考えれば、これは文部省が何がしか指導してもらわないと対応し切れませんよというのが実は各自治体の本音でもあります。  この点に関しまして、現況、全国どのようになっておりますか。私、実は数字はもう調べて持っておりますが、現況の把握とそれに対する対処、これを文部省としていかに考えておられるか。  実はこれも、続けて質問させていただきますけれども、地方分権の話が出てまいりますと、先ほども言いましたように、食器の決定権が自治体にあっても、児童生徒の健康上の問題があれば、これは全国的に統一的な方針をとるべき問題ではないかということであります。  中教審の答申に、「今後の地方教育行政の在り方について」と書かれております。「今後とも国においてその役割を担うべき事務」の一つの「全国的な基準の設定等」、これについては国がしっかりやりなさいというふうな中教審の答申もあるわけですよね。お答えしづらいと思いますよ。これは私も十分調べましたが、食品衛生法上に、基準に沿っているわけですからそれ以上のことは言えないというなれば、これはもう議論はそこでとまってしまうのでありまして、これは地方分権の論議とも相まって、国としてどう取り組むのかという、児童生徒の健康上の問題です。  環境ホルモンによって、ビスフェノールA、今現在の食品衛生法上の基準には合っております、そういう数値が出てきたとしても、生殖毒性があるというふうなことを考えた場合に、これは国として、長いスパンの問題ですね、環境ホルモンの問題は、五十年、百年という。精子の減少、免疫系の異常、生殖器の異変、いろいろな問題が絡んでくるわけでありますから、これは、食器の選択は自治体に決定権がありますということだけでおさめておく問題ではないと私は思います。ちょっとまとめて質問させていただきましたが、文部省としては、どういうとらえ方、こういう地方分権とのかかわり、どういう認識でおられるかお答えください。
  30. 遠藤昭雄

    政府委員(遠藤昭雄君) お答えいたします。  学校給食でポリカーボネート食器を使用している学校の数につきましては、公立の小中学校について平成十年五月に調査をいたしました。その結果、小中学校で三万九百九校中一万二千四百九校で使用しておりまして、全体の使用している率は四〇・一%であるという結果が出ております。これを市町村の割合で見ますと、三千二百七市町村中千六百八十六の市町村が使用している。これは五二・六%になっております。これは、平成六年に一度調査をしておりますが、そのときと比べまして二・四倍になっているという結果になっております。ポリカーボネートは大変使いやすいという点がございまして、こういう結果になっているんじゃないかというふうに思います。  それから、最近、一部不安の声が出ておりまして、他の材質に切りかえるという予定のところが百六十八市町村、それから既に切りかえたというところが三十九市町村出ております。しかしながら、一方、地方公共団体独自で溶出試験をいたしまして、その結果、基準以下であるから使用を継続しているというところも出ております。  この点につきましては文部省としては、どのような食器を使うかというのは、食品衛生法の基準を満たすものであれば、学校給食の実施者でございます市町村が地域の実情に応じて何を使うかを判断すべきだというふうに考えております。現に、陶器とかアルマイトとか、いろんな種類がそれぞれ使われておるという状況にあるわけでございます。  文部省といたしましては、厚生省等の関係省庁と密接な連携をとりながら今後できるだけ多くの情報を集めまして、関係者に対し必要な情報を適宜提供していくというのが文部省としては基本ではないかというふうに考えております。  そこで、こうした考え方、さらには、先ほども申し上げましたが、一部の地方公共団体では独自に溶出試験を実施するという動きも幾つか出ておりますので、十一年度概算要求におきまして、内分泌撹乱物質に関する情報の収集、提供事業として、二千九百万ほどでございますが要求をしたところでございます。  その内容は二つございまして、一つは、ポリカーボネート製食器から内分泌撹乱物質がどの程度溶出するのかしないのか、するとしたらどの程度出ているのかといったことについて、食品衛生法に基づいた試験を実施したいというふうに考えております。これは先ほど申しました使っている市町村の約半数の市町村を考えております。  それからもう一点は、インターネット上にホームページを開設いたしまして、文献情報とかあるいは各省庁取り組み状況など、最新のデータをホームページを開設して提供していきたいというふうなことを考えて、文部省としてはこういう最新の情報を提供して各地方公共団体で適切に対応してもらうのが一番いい方法ではないかというふうに考えております。
  31. 馳浩

    馳浩君 二つ私は申し上げたい点があります。  より早くビスフェノールA、PC製食器の安全性についての知見を積み重ねていただきたい、これが一点です。  もう一点は、横浜国立大学とか愛媛大学とか北九州の大学とか、専門的なグループとして大学でこの環境ホルモン問題に取り組んでいるところがあるんですが、十分な予算配分がなされているかということについての不安が私のところにも寄せられております。  この環境ホルモン問題、とりわけお母さん方、女性の皆さんが本当に心配心配でたまらないということで、私も自宅で九カ月になる子供がおりますが、女房は環境ホルモンということになると非常に敏感で、私にカップラーメンも食べさせてくれないというふうな状況なんです。ポリカーボネート製と書かれているだけでそういう哺乳瓶も全部捨てちゃうとか、非常に過敏になっているわけなんですね。  こういった点は各自治体においても同じような反応はあると思いますので、早目の科学的知見の積み重ねをお願いしたいということ、その情報開示と、そして専門的に取り扱っている国立大学等の研究グループに対して十分な予算措置をしていただきたいという要望であります。  さて、次の質問に移ります。  アンチドーピングに関して質問をさせていただきます。ちょっと時間が足りません。  昨年の九月二十二日に出されました保健体育審議会の答申によれば、「国内調整機関」「の充実などアンチ・ドーピング体制を早急に整備する必要がある。」と答申し、続けて「国内調整機関については、アンチ・ドーピングに関する統括的機能を有するものであることから、公的な機関として設置する方向で検討しすべきであると答申しております。  ここで言う「公的な機関」はどこに置くのでしょうか。私の知り得る限りでは国立スポーツ科学センター内に置くものと承知しておりますが、どうでしょうか。さらに、「公的な」と答申されておりますから、国が所管するのか、あるいは財団等のような形にするのか、またそこでの人件費等々、運営費などは国が面倒を見るべきと私は思っておりますが、この点はどうなのか。以上、お答えいただきたいと思います。  実は、これに関連して一つ言いたいんですが、大リーグのホームラン王争いで、マーク・マグワイア選手が新記録をつくったということばかり騒がれておりますが、彼は、IOC、国際オリンピック委員会や、あるいはほかのプロスポーツ、NBAとかNHLなどで禁止されている禁止薬物を使っているんですね。マーク・マグワイアが使ってがっちりした体をつくってホームランを打って効果を上げている。  一面、これは薬物問題と絡んでまいりますと、もっとアンチドーピングという問題に関して言えばマーク・マグワイア選手は法律に触れていないとはいえ、薬物とスポーツということを考えれば、非難されてもしかるべき彼のスポーツに対する取り組む態度ではないかと私は思っておりますが、それは海の向こうの問題ではありますけれども日本においてもアンチドーピング対策というのはアジアのリーダーとしてやっていただきたい。やれるだけの研究者もいるし技術もあると私は思っておりますが、この点、どういうかうにされますでしょうか、アンチドーピング対策についてお答えください。
  32. 遠藤昭雄

    政府委員(遠藤昭雄君) お答えいたします。  御指摘のとおりといいますか、このアンチドーピングにつきましては、保健体育審議答申、昨年九月に答申をいただいておりますが、そこにおいては、アンチドーピングの国内調整機関等の早急な整備、それから当該機関を公的機関として設置する方向で検討する必要があるという旨が提言をされておるところでございます。  また、その設置場所につきましては、ことし一月、日本オリンピック委員会の中にアンチ・ドーピング体制に関する協議会というものが設けられておりまして、ここで国立スポーツ科学センターが適当であるというふうに提言をいただいております。  こうしたことも踏まえまして、現在建設に取りかかっておりますが、国立スポーツ科学センター、北区西が丘でございますが、この国立スポーツ科学センターの中に国内調整機関が利用することの可能なスペースというものを予定しておるところでございます。  それから、それに対して公的機関なので国がどう手当てしていくのかという御質問でございますが、このアンチドーピングの国内調整機関が公的な機関としてどのような設置・運営形態がふさわしいかということにつきまして、その当該機関に求められます統括的機能とか、あるいは独立性、中立性の確保といった観点を十分踏まえながら、文部省それからJOCなどの関係者の間で現在検討を行っているところでございます。  この国内調整機関に対する国の支援をどうするかということにつきましては、その設置の形態とかあるいは運営形態、そういう検討結果を踏まえた上で私どもとしては考えていくべきだろうというふうに考えております。  しかしながら、いずれにいたしましても、ドーピングというのは決してあってはならないものだというふうに考えております。我が国におけるアンチドーピング活動を推進していくために、国内調整機関のできるだけ早い設置に向けまして鋭意努力をしたいというふうに考えております。
  33. 馳浩

    馳浩君 いつまでにされるんですかという詰めた議論をいたしますと、ここの場では議論が出ないと思いますので。  ただし、何度も言いますが、薬物を使ってその競技力を向上させようというのは、意図的であれ意図的ではなくてもあってはならないことだという認識のもとに早く公的な調整機関というものをつくって、私はどういう形がいいのかなと自分も競技者として思うんですが、やっぱり指導者に浸透させるためには大学等教育機関で十分この教育をする必要もあるでしょうし、あるいは統括的な機関として国立スポーツ科学センター、今度できますよね、ここで独立したものとして設置するのが妥当であるだろうなと思うし、そうなると、研究者の皆さん方が常駐できるような、やっぱり運営的なバックアップも国としていただきたいなと思います。そういういろんな観点から私は国としてバックアップしていただきたいということを申し上げたいと思います。  残余の質問もあるのですが、時間でありますので、きょうはこの辺で終了させていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
  34. 佐藤泰介

    佐藤泰介君 民主党の佐藤泰介です。よろしくお願いします。  九月二十一日に第十六期の中教審が今後の地方教育行政のあり方について答申をまとめ、大臣に提出をされました。この答申は、市町村や学校の自主性、自律性を確立して、創意と工夫のある教育事業を進めていこうという姿勢が感じられます。内容の細かな点についてはこれからより突っ込んだ論議や確認が必要だと思いますが、私は、評価できる点もあり、敬意を表したいと思います。  しかし、この答申に対する自治体、学校サイドには戸惑いも多く見られると思います。特に強いのは人材と財源への不安であろうと私は思いますけれども、実施までの国の十分な環境整備を強く要求するものです。  こうした点を踏まえ、答申に対する大臣の所見並びに今後の実施に向けての決意、あるいはこの答申が具体的に実施に向けて今後どのようなスケジュールで進められていくのか、そんな観点をお聞きしたいと思います。
  35. 有馬朗人

    国務大臣有馬朗人君) お答え申し上げます。  今後の地方教育行政のあり方というのは非常に重要なポイントでございます。  戦後の我が国教育というものに対しまして私の考えをちょっと最初に申し上げますと、平均的な学力、平均的な体力を上げるという点では非常に成功してきたと思うのでありますが、一方では、知識偏重であるというふうな問題点、あるいは受験戦争が過熱化しているというような問題点、先ほど馳先生から御指摘がありました不登校の問題、私はこの不登校の問題を大変心配をしているわけであります。あるいは家庭における教育力、地域社会の教育力、こういうふうなものが明らかに現在低下してきている。こういうふうな問題を何とか解決していかなければならないと私は考えている次第であります。  このような観点から、子供の一人一人の個性というものを尊重しながら生きる力をはぐくんでいきたいという考えを現在出しているわけでございます。その生きる力というものは、自分で問題を解決していく、自分で勉強し、自分で問題を見つけ、そして自分で問題を解決していくような力をつけたい。あるいは、倫理観をしっかり持ち、そしてすぐれた鑑賞力を持つ、そういう知・徳に関する力を備えさせたい。さらに体力を十分持たせたい、体も持たせたい。こういうふうな知・徳・体の全体にわたって今生きる力をはぐくむべしということを文部省として考えている次第でございます。  そういたしますと、具体的にはやはりこれからの学校教育を支える地方教育行政制度を見直していく必要がある。各学校や地方公共団体が、地域や子供の実情に応じて、みずから考え創意工夫を凝らし、主体的かつ積極的な施策の展開を図ることが必要であると考えている次第でございます。  幸い、このような観点から、昨二十一日に、今御指摘中央教育審議会答申におきまして、地方教育行政に関する問題が答申として出てまいりました。今後の教育行政における国と地方の役割分担、そしてまた地方の中で都道府県と市町村の間の役割分担、こういうふうなものを見直していかなければならない、あるいは教育制度の上で重要な役割を演じております教育委員会制度を見直していかなければならない、あるいは学校の自主性、自律性を確立していかなければならないというふうなことがこの答申に提言されているところでございます。  そこで、文部省といたしましても、今回の中央教育審議会答申を踏まえまして、地域に根差した主体的かつ積極的な教育行政の展開が行われるとともに、創意工夫を凝らした学校運営が図られるよう、地方教育行政制度の改善に積極的に取り組んでいるところでございます。その際、ただいま佐藤先生より御指摘の点につきましても、十分考えながら進ませていただきたいと思っております。
  36. 御手洗康

    政府委員(御手洗康君) お尋ねございました、答申をどう実施していくかというスケジュールの点につきましては、私の方からお答えをさせていただきたいと思います。  今回の中教審答申を実施していく際に、大まかに考えまして私ども三つにスケジュール等も考えていく必要があろうかと思っております。一つは法律の改正を要するものでございますし、もう一つは法律改正に至らないまでもその他の政省令等の制度改正を要する事項、さらには、これらの制度改正を新たに行うものではなくて、現状の制度のもとでその運用改善に当たっていくものというぐあいに考えているわけでございます。  第一の法律改正を要するもののうち、特に教育長の任命承認制度の廃止や、新たな人材確保のための議会同意制度の導入など地方分権の推進にかかわるものにつきましては、政府全体といたしまして平成十一年度通常国会に地方分権推進計画関連法案を提出するという予定がございますので、私ども文部省といたしましても、この政府全体の日程に合わせまして、地方教育行政の組織及び運営に関する法律等の改正案を提出するという日程で所要の準備を今後進めさせていただきたいと思っております。  それ以外、例えば学級編制の弾力化あるいは新たな研修休業制度の創設等、幾つか法律改正を要する大きな事項もございますが、これらの問題につきましては、その具体化の内容等につきまして今後関係省庁とも協議をしながらまた別途の日程で進めさせていただきたいと考えております。  また、特に学校の自主性、自律性の確立のために、例えば校長の任用資格の見直し、さらには主任制や職員会議等の学校運営組織のあり方、さらには父母や地域の方々の御意見を伺いながら学校を運営していくための新たな仕組みとしての学校評議員制度の導入など、さまざまな制度改正事項がございますが、これらの問題につきましては、今後具体的な中身につきましてさらに教育関係団体の御意見を十分聞きながら鋭意検討を進めまして、できれば先ほど申し上げました地方分権推進関連の法案等の成立の時期に合わせまして具体的な制度改正の内容を固められればと、こういうぐあいに思っている次第でございます。  それ以外の現行の運用の改善等につきましては、例えば文部省といたしましては、これまでの指導通知のあり方や内容の見直し等、これは既に内部におきましてそのための準備作業も進めているところでございますので、できるだけ早く一つ一つ改善のための施策を手を打ってまいりたいと思っておりますし、さらに、各都道府県や市町村等で、現在の事務運営の仕方につきまして現行制度の中でさまざまな改善の御提案をいただいておりますので、これらにつきましては内容の周知徹底を図りまして、関係教育関係団体等とも十分協議をしながら主体的、積極的にそれぞれの都道府県や市町村等で進めていただくよう文部省といたしましても万全の努力をしてまいりたい、このように大まかに現在では考えているところでございます。
  37. 佐藤泰介

    佐藤泰介君 大臣の大変強い決意を伺ったわけでございますけれども、今後のスケジュールの中にもかなり多くの法改正その他があろうというふうに思いますが、教育というのはやはり環境整備あるいは教育関係者の合意というものが必要だろうというふうに思います。そうしたさまざまな大変大きな改革だと私は思っておりますので、その辺を十分に配慮して進めていっていただきたいと思いますし、具体的な法改正等の問題が出てまいりましたときにはまた質問その他をさせていただきたい。そして、円滑に子供たちの生きる力が育っていくような環境を私自身もつくるために、大臣ともまた質疑をさせていただきたいと思います。  そんなことを申し上げて次の質問に移らせていただきますけれども、私は教育改革を先頭に立って進めていくことを公約として今回の参議院選挙を戦ってまいりました。そしてこの発言の場を得させていただきましたが、国民の教育に対する関心は非常に高いものだと改めて肌で感じ、また、私自身小中学校の教育現場で二十二年間籍を置いてきた者として質問させていただきます。  私は、学校教育はこんな考えを持っています。三本の足のテーブルだと思っております。一本の足は親や地域、一本の足は教職員集団、一本の足は教育委員会文部省であり、子供たちがその上にいると考えております。この三本の足が均等でない限り、テーブルの上にいる子供のバランスが崩れます。そんな微妙さは、社会の成熟とともに子供一人一人の多様さが強く求められていることで、よりデリケートで重要になってきていると思います。この三本の足のバランスを私たちが感じ、教育改革を進めていかなければならないと考えております。  また、中教審の幼児期からの心の教育あり方についての答申の中で、家庭‘地域・学校のあり方についてそれぞれ提言をされました。中でも、真っ先に「もう一度家庭を見直そう」と、家庭の教育力向上を提言しております。当時会長の有馬文部大臣は、一人一人の親がこの提言を手がかりとして、できるところから取り組んでほしいと願っておりますと当時述べておられました。私もそのとおりだと思ってお聞きいたしました。  私は、現在国民が求めている教育改革とは、これまでの学級経営や画一的、先ほど言われたさまざまな問題点を細部にわたって検討し、何がよかったのか、何が悪かったのか、そうしたことを改めて考えてこれからの教育を具体的に考え、実施していくことが大変重要であるというふうに思っております。  こんな私の考え方について、教育者としての大先輩である大臣の感想なりこれからの考え方について、重なるかもわかりませんけれどももう一度お尋ねをしたいと思います。
  38. 有馬朗人

    国務大臣有馬朗人君) お答え申し上げます。  先ほども既に申し上げたことでありますけれども、私は、日本教育というのは決して悪いばかりではなかった、いい点がたくさんあったと。ですから、改革というと何となくすべてが悪かったというふうな感じを持ちがちですけれども、私はそうじゃないと思う。やはりすぐれた面がたくさんある、このすぐれた面を残しながらさらなるよりよい改革、国家百年の問題であります教育を進めていきたいと考えております。  実は、中央教育審議会の幼児期からの心の教育あり方という答申を書いている途中で非常に私どもが気にいたしましたことは、本当に政府が国民一人一人の家庭まで立ち入って何か申し上げることはいいのだろうかということを私は非常に心配をいたしました。  しかしながら、残念ながら現在、先ほどおっしゃられました三位一体、保護者、教員、社会の三位一体の何本かの足がぐらついてきているといりことを無視できないということで、私どもは当時会長といたしましてあのような答申の原案をつくっていった次第でございます。  まず、日本の子供たちの教育をよくするためには、我々の時代、我々の世代がよくならなきゃいけない、親がよくならなきゃいかぬ、こういうことが基本にございます。そういうふうな気持ちから、今御指摘の保護者、教師、社会というものが一体になって教育をよりょくするような方策ありやということを現在探っているところでございます。  教育の出発点であります家庭教育につきましては、この答申を踏まえまして、子供の教育に対する家庭の責任が大きいものがあるんだということをお父さん、お母さんに強く自覚をしていただくべく働きかけたいと思っております。具体的に、家庭教育に関する学習機会を充実する、どういうふうにやったらいいかというふうな学習をする機会を充実したい。それからお父さんの家庭教育参加への促進をさせていただきたいと。それから、厚生省と連携いたしまして、母子保健の機会を活用して、家庭のしつけのあり方等を盛り込んだ家庭教育手帳、すなわち親子手帳を作成し、幅広く配布いたしたいと考えている次第でございます。  しかし、国が家庭教育にまで入っていっていいのかということは非常に私も慎重を期しているところでございますが、こういうふうな世の中の必要性があるようでございますので、その辺について進めさせていただきたいと思っています。  さらに、平成十一年度概算要求におきましては、子育てに関する親御さんの悩みとか不安にこたえる相談体制を整備したいと考えておりますし、新たに家庭教育に関する二十四時間電話相談を段階的に、二十四時間でございます、今でもあるんですけれども、二十四時間電話相談ができるよう段階的に全国に配置する事業を予算の中に盛り込ませていただいております。  今後とも家庭の教育力の充実のために一層努力をさせていただきたいと思っています。同時に地域社会、このごろ地域社会も随分教育に関心を持ってくださるようになりましたので、この方向をさらに一層進めるべく努力をさせていただきたいと思っております。
  39. 佐藤泰介

    佐藤泰介君 家庭との連携について私ももう一つ質問考えておりましたけれども、ちょっと時間がなくなってまいりましたのでまたその問題は後日の機会にさせていただくとして、今、じゃ教育現場でどうなっているかということをちょっとお話しさせていただきますので、御感想をお聞かせ願いたいというふうに思います。  私、先日、地元名古屋の小学校をちょっと見てまいりました。この学校は十学級で、名古屋市としては小規模校に属します。職員数は十五名。その内訳は、学級担任が十名、校長、教頭、教務主任、専科教員、養護教員の十五名でございます。児童数は二百四十六名でございます。したがって、教員の一人当たりの児童数は十六・四人となります、校長も含めて。このことが文部省のこれまでの学級編制の基準を下げることは難しいという理由の一つにも挙げられていたと思います。  この土曜日は、二人の教員が子供の運動会で休みをとっていました。教務主任と専科教員が学級に入るので、職員室には校長、教頭となっておりました。養護教諭は発熱した児童の対応で保健室にいて、そしてPTAの会議がありましたので校長、教頭がそちらに出席し、一時的には職員室は用務員が一人というような状況もありました。校長は、もし急に他の教員が病気になって休みをとったらと思うとどのような手を打つのか苦しいところだと言っておりました。私も教員時代、教員が年次休暇をとるには勇気が要るなと思っておりました。今もそんなところが変わっていないのかなと、そんなことを感じておりました。  そして、その土曜日の午後二時ごろ、教員は全員職員室にいました。食事をした後、事務処理をしている者がほとんどでした。三時ごろ、部活動指導などが終わって、残っている教員は十名でした。五時に私が学校を出るときに残っていた教員は十五人中七名でした。部活動が終わって子供と話をしている教員と、授業の検討会を行っていたそのメンバーの一人は三人の小さな子供を持つ女性教員でしたが、保育園終了までの時間と言って検討会に参加をしておりました。  この小学校は名古屋市の中心部で、保護者は協力的で、大きな問題を抱えている児童が少なく、ごく一般的で、周囲からは問題の少ない小学校と言われています。こうした学校でも、子供の問題行動や保護者からのクレームが起きれば、その対応に学校は一挙に変わります。この日、別の学校で、午後五時の時点で教員がほぼ全員学校にいる中学校もありました。  これは土曜日の例でございますけれども、こうした現在の教職員の勤務実態について、さまざまな改革が進められようとしている中で大臣はどんなふうにとらえておみえになりますか、お伺いしたいと思います。
  40. 有馬朗人

    国務大臣有馬朗人君) お答え申し上げたいと思います。  各学校が本当に自主的に自立的に力を発揮していき、地域の児童や子供の実態に即した特色ある教育活動を展開し子供一人一人の個性を伸ばすためには、おっしゃるとおり教員一人に対する児童生徒数をどうするかというのが大きな問題であると認識しております。  中教審の第一次答申の際に、欧米並みの水準に近づけたらどうかということを提案いたしました。ただ、統計のとり方がなかなか難しいわけでありまして、先ほど御指摘のように、校長、教頭等々含めて日本のデータを見ますと十九・五人になっております。アメリカが十九・〇であったかと思いまして、そういう点ではかなり既に近づいてきているということが言えるかと思うのですが、ただいま御指摘のような点で、やはり必ずしもその十九・五という数字が生きていない面もございます。  そこで、今後の教職員配置のあり方に関しまして私も非常に気にしまして、ともかく予算の枠というのがなかなか伸ばしにくい現状において、私はまず第一に、現在の第六次改善計画で実施しておりますチームティーチング、私は先日、私の母校であります銚子市にあります興野小学校に参りましてこのチームティーチングがどう生きているかを見てまいりましたが、そういうものに対してもう一度きちっと評価をしようではないかと思います。  それからまた、現在学校が抱えているさまざまな課題に対応するためにどのような教職員配置が必要であるか、さらにまた、新しい学習指導要領に基づいた教育を実施するためにはどのような教職員配置が必要かなど、さまざまな観点から専門的な検討を行って広く国民の理解を得る必要があると強く考えております。  そこで今回、教育課程、教育方法、教育評価や学校経営等についての専門的有識者と、教育委員会や校長、教員など現場教育関係者などにお集まりいただきまして、今後の教職員配置のあり方等について検討を開始いたしたいと考えております。今御指摘のことにつきましても、この専門家会議の中で十分御議論をいただきたいと考えている次第でございます。
  41. 佐藤泰介

    佐藤泰介君 十分にその検討をしていただきたいと思いますけれども、欧米並みの水準というのは、なかなか比較もしにくいし、わからないですね、どの辺で欧米並みだといって線を引くのか。  現実には、平成年度調査では、全国平均で学級定数でいえば小学校が二十七・七ですか、中学校で三十二・九。そして、一学級三十五人を超える学級の全体に占める比率は、小学校で約二〇%ぐらい、中学校では五〇%ぐらいだと聞いておりますけれども一欧米並みといっても、どうしても現状の同学年の児童生徒で編制する学級の規模が地域や学校によって大変アンバランスになっているということについて、やっぱりそろそろ研究検討をしていく必要があるのではないか。例えば小学校の一年生が四十名近くで二年生は二十何名のクラスというごとになると、親も法律でこうなっておると言ってもなかなか理解を得にくいんではないか。そうすると、そうしたアンバランスを解消していくために、教育効果の面あるいは生活集団の面等々でどれくらいの規模がより生活集団としていいのか、あるいは学習集団としていいのか、そろそろ私は研究を進めていく時期ではないか。  欧米並み、欧米並みといっても、数値の比較ではもう近づいているとか、あるいは実際には中身が違うとかということではなくて、日本の実情に合わせたそうした研究をして、できますれば第六次の定数改善が終了するぐらいまでにそうした研究を進めて、これまでの固定化した議論から多様化する子供たちの実情に応じた議論ができるような、そうした基礎資料をつくっていただきたいと思うんですけれども、その点はお約束していただけますでしょうか。
  42. 有馬朗人

    国務大臣有馬朗人君) 先ほど申し上げました専門家による協力会議で今御指摘の点なども、例えば教育あり方はどうか、大教室の方がいいか小教室がいいかとか、分野によっては人数が少ない方がいい、分野によっては割に多くてもいいという、こういう点に関しましても十分検討をしていただき、最もよい定員配置とはどういうものか、予算の枠の中で、予算がふえればいいんですけれども、このような財政状況のもとでなかなか私といたしましてもふやしたくてもふやせないような問題がございますので、ともかく与えられた環境の中でよりよくするにはどうしたらいいか、それからプラスアルファはどこに持っていくかというふうなことに関して少し検討をしてもらいたいと思っております。  こういうふうなことでお返事になれば幸いでございます。
  43. 佐藤泰介

    佐藤泰介君 学級が少なければ少ないほどいいというだけの論議ではなかなか進まないと思いますので、できるだけ基礎的な資料を早急に——やっぱり実践研究に入るべきときに私は来ているんではないかと思いますので、そんな点を強く要望すると同時に、定数改善には大変厳しいという今大臣お話がございましたけれども、これから総合的な学習の時間、あるいは各学校の創意工夫による展開等々、中教審や教課審の考え方を進めていけば、学校独自で使える、自由にTTに取り組めるような定数改善が私はぜひ必要だと思うんですが、こうした条件整備に向けてやはり大臣に大きな期待が寄せられていると思いますので、厳しい中にもありながら一層の御努力をいただきたい、あえて答弁は求めませんけれども、よろしくお願いをしたいというふうに思います。  次に、科学技術庁に熱核融合の国際協力、ITERの四極協力について質問をさせていただきます。  日本、EU、ロシア、米国の四カ国で研究がかなり進んでいると聞いておりますが、不安材料として、これまで六年かけてITER・EDAの活動の結果として基本設計ができ建設段階へと入る段階で、米国がこの建設の基本であるトカマク方式に疑問を持ったと聞いております。日本としてはこのトカマク方式についてどのように評価をしてみえるのか、米国のこのITERへの署名、協定延期の見込みについて簡単に説明をしていただきたいというふうに思うと同時に、もう時間が来ましたので、あわせて大臣にこのプログラムにかける決意をお聞かせいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
  44. 青江茂

    政府委員(青江茂君) 御質問ございました事実関係等につきまして先に私の方から御説明をさせていただきたいと思います。  核融合研究におきまして、我が国におきましては幾つかの方式につきましての研究が行われておるわけでございますけれども、それらはすべて原子力委員会のもとにおきましての核融合会議というところでもちまして議論をしながら、その基本計画をつくって進めておるところでございますけれども、御指摘のトカマク方式というものにつきましては、これらの方式の中で最もすぐれたプラズマ性能を達成しているという評価を受けております。  EU、ロシアにおきましても、ともにトカマク方式が最も進んでおり、それぞれトカマク方式によりましての実験炉の開発というものを国内計画の中心に据えて進めておると、こういう状況にございます。  それから、米国のITERの参加の問題でございます。近々上下両院の協議会が行われるということが伝えられておるわけでございますけれども、アメリカがきちんとサインをして参加をしていくということにつきましては、現時点におきましてはまだ結論は出されていないという状況で、私ども注視をしておるという状況にございます。  先般来、大臣の方から、DOEの長官でございますとかフォーリー大使等々関係者への書簡の発出もしてございますし、それから今週の初めに竹山大臣がちょうどウィーンにおきましてリチャードソン長官と直接会いまして、その辺の働きかけも行っていると、こういう状況にございます。
  45. 竹山裕

    国務大臣竹山裕君) 佐藤委員からお話のありましたITERプロジェクト、まさに究極のエネルギー源の確保ということでは人類共通の大課題であり、これを達成するべく世界の英知を結集して取り組むべき重要な課題だという認識を大前提として持っております。  また、今原子力局長からも御答弁を申し上げました、せっかく今日まで四極でやってまいったわけでありますが、アメリカが大変大きなその意思決定の段階に来ておりまして、近々に上下両院の協議会が開かれるということで、かねてから文書での要請もしていたんですが、今週初めにちょうどウィーンでIAEAの会議がございまして、そこへ先方もエネルギー省のリチャードソン長官が見えましたので、じかに顔を合わせて重ねての強い要請をしてまいりました。  それで、具体的には、私どもからの要請についてリチャードソン長官も早速に動いてもらいまして、二十二日のウィーンにおいて、アメリカとして一年間工学設計活動への参加を継続するとともに、その後は核融合の国際協力に関する新しい枠組みを求めていることも明らかにしたところであります。  今週中には開かれようかと思いますアメリカでの両院協議会、しっかりと見守っていくというのが現在の私の立場でございまして、今後ともITERがアメリカの参加を得て引き続き四極で国際協力として進展ができるように、同時に、同プロジェクトにおいても我が日本国がその中で重要な役割を引き続き果たしていくという覚悟を固めているところでございます。
  46. 佐藤泰介

    佐藤泰介君 どうもありがとうございました。
  47. 南野知惠子

    委員長南野知惠子君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時三十分まで休憩いたします。    午前十一時三十四分休憩      —————・—————    午後一時三十分開会
  48. 南野知惠子

    委員長南野知惠子君) ただいまから文教・科学委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、教育文化学術及び科学技術に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  49. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 民主の本岡でございます。  臨時国会が始まって初めての委員会でございまして、大臣にそれぞれ初めての質問になろうかと思いますが、よろしくお願いをいたします。  まず、中教審の答申について若干お伺いをいたします。今後の地方教育行政のあり方についての答申ということで、私もこの中央教育審議会答申を一通り読ませていただきましたし、文部省の方からも改めて図式された資料によって詳しく説明も受けました。その上で若干質問いたします。  まず、この答申を具体化していくためにかなり新しい法律をつくったり現行法の改正が必要になってこようと思います。どのような現行法の改正なり、また新しい法律を必要とするのか、またそれをどの時期に提出しようと今文部省はお考えになっておられるのか、お示しいただきたいと思います。
  50. 御手洗康

    政府委員(御手洗康君) 今回の中教審の答申に基づきまして、特に法律改正事項といたしましては、地方教育行政の組織及び運営に関する法律を中心といたしまして、教育委員会制度、あるいは教育長の任命承認制度の廃止と議会による同意制度等の新しい御提言がございます。これらにつきましては、国全体の地方分権推進に係ります関連の法律案を次期通常国会に提出するということで各省庁とも準備しておりますので、文部省といたしましても、今回の教育委員会制度の改正並びに国と地方の関係にかかわります地方教育行政の組織及び運営に関する法律を中心とします法律改正につきましては、次期通常国会までに成案を得まして法律改正をお願いいたしたいと考えているところでございます。  そのほか、法律改正にかかわる重要な事項といたしまして、学級編制等の弾力化を進めるべきである、さらには、現在の現職のままで研修を受けるという規定のほかに、新たに、教員がさまざまな形で長期の研修やボランティア活動等に参加できるような新たな休業制度を検討するようにというような大きな課題もございます。これらの課題につきましては、具体的にどうするかという内容面の詰めがまだ必要であろうかと思いますので、現場の御意見も聞きながら、また関係省庁とも十分協議をしながら、また別途の日程でできるだけ速やかに検討を進めてまいりたいと考えているところでございます。
  51. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 文部省設置法というのがございますね。この文部省設置法はさわらないんですか。地方分権ということで教育を仕切っていこうとするときに、この文部省設置法をこのままにしておいてはまずいと私は思います。特に、第五条の文部省の所掌事務というのは詳しく百四にわたって書いてあるわけです。細々と書いてある。何でここまで細かいことを書かなければならぬのかと書いてある。そしてまた同じように、文部省の権限という第六条、ここにも二十五書き上げてあるんです。  地方分権、あるいはこの答申にあるように地方教育というものに比重を、教育行政を移していこうと思えば、この設置法をこのままにしておいたのではだめだと思うんですが、大臣いかがですか。その中身はきょう触れる気はないから、大臣の感想だけ聞かせてもらったらいいんです。
  52. 有馬朗人

    国務大臣有馬朗人君) 検討をさせていただきたいと思います。確かに今回の答申でかなり具体的に考えなきゃいけないことが出てきておりますので、どの法律をどういじるか、どう直すか、この辺に関しては少し時間をいただきまして、きちっと調べ上げた上で対策を講じさせていただきたいと思います。
  53. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 今言いました文部省設置法をぜひとも見直していただきたいということを強く要望しておきます。  それから、文部大臣は二十二日の記者会見で、新聞に大きく出ておりました、三十人学級に踏み出すために専門家会議検討を始めるというようなことを明らかにされたようであります。私は、遅きに失した感があるけれども、まことに結構なことだと思っております。現在は御存じのとおり四十人学級による第六次教職員定数改善計画が推進されております。しかし、さきの財政構造改革法により二年間計画が延長されたという経緯があります。しかし、小渕総理は今国会の冒頭の所信の中で、財政構造改革法は当面凍結することとし、そのための法案を来年の通常国会に提出するということを述べておられます。そうしますと、財政構造改革法によって定数改善計画は本年完結すべきものを二年先延ばしされたという問題も当然影響を受け、凍結されるとなれば新しい立場に立って文部省対応すべきであると考えます。  そこで、今ある第六次定数改善計画ですね、これを来年度に完結させるための法整備、そしてその予算編成というものを積極的に文部省が提起すべきであると思います。基本になる法律が凍結され、しかしその凍結以前に決められたことをそのままはいはいと守っていくというようなばかなことはないと私は思うのであります。それでなくても教育現場状況は大変な時代にあるわけでありますから、ぜひともこれは文部大臣の英断、決断  によって、二年先延ばしされたことも御破算だと、一年おくれたけれども来年で完結させましょうという対応をぜひともやっていただきたいと思いますが、いかがですか。
  54. 御手洗康

    政府委員(御手洗康君) 御指摘の定数改善計画につきましては、先生指摘のような状況でございますが、来年度につきましては二千五百十五人の改善計画を要求しておりまして、残り、当初の計画から見まして千二百人をさらに平成十二年度に繰り延べするという形で概算要求を行っているところでございます。これらの計画につきましては、私どもといたしましては、現行法、昨年の財政構造改革法の御審議の際に現行の定数改善計画の改正時期が平成十二年度中までということに法律改正されておりますので、その法律改正に従った概算要求をしているところでございますので、十二年度の改正に向けまして全力を挙げて努力をさせていただきたいと存じております。
  55. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 そんな答弁を聞きたくて私は質問したんじゃありません。現行法が生きておればそれでいいんですが、凍結すると言っているんですから御破算ということでしょう。となれば、もう一度一年でも早く第六次教職員定数改善計画が完結するようにと努力することが、文部省教育を大切にするという立場から、あるいは現場で頑張っている教職員あるいは親の立場に対する考えでなければならぬと私は思います。  今ここで直ちにその答えを求めませんが、文部大臣、盛んにうなずいていただいておりますけれども文部大臣の決意をちょっと聞かせていただいて、次の質問に移ります。
  56. 有馬朗人

    国務大臣有馬朗人君) 教職員の配置の改善というのは、極めて重要なことだということはよくわかっております。しかしながら、今局長が申し上げましたように、現行の第六次改善計画を完成すること自体がかなりまだまだ難しい問題がございまして、そこにまず全力を尽くさせていただきたいと思っております。そしてまた、定数はどういう形がいいか、例えばある科目によっては少ない方がいい、ある科目においては大勢いてもいいというようなことも、少しきめ細かく検討させていただきたいと思っております。そういうことで、財政の許す限り努力をさせていただきたいと思っております。
  57. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 これはぜひ頑張っていただきたいと思うんです。小泉厚生大臣でしたか、随分頑張って厚生省関係だけは別枠だというのをかち取られたこともあるんですし、よろしくお願いいたします。  それから、文部省は今回のこの答申を受けて、教育改革を推進するんだという立場に立っておられます。まことに結構であります。そしてその中に柱を二つ立てて、教育委員会と学校等の自主性、主体性の確立、いま一つ教育分権の推進ということで、この二本柱で教育改革を推進するということでこの答申を受けとめておられます。私はまことに結構だと思うんです。  その中で、学校の自主性、自律性ということの中に、民間人の登用も含めた校長の適材を得るために校長資格の弾力化、あるいは主任制の抜本見直しと職員会議の法令上の位置づけの明確化、学校評議員制度の導入といった内容があるんですが、こうしたものが学校の自主性、自律性の確立を促すものとすれば、こうした内容はいかにあればいいかと、これらのありようは。これは文部省が従来のように一定の方向を決めて、そして行政通達という形で下に指導をおろす、そして各都道府県は一斉にその指導を見習ってやるということであれば、これは自主性、主体性の確立、あるいは地方分権の推進ということと全然相反することになってしまうんですよね。  だから、こうした問題は、やはり都道府県あるいは教育現場のそれこそ自主性、主体性というものを推進しながら、自分たちの力でここに求められているような状況をつくり上げていくんだと、主体性、自主性のある学校をつくっていくんだというふうにやはり現場を奮起させなければならぬ、こう思うんです。でなければ、私はやっぱりモラルハザードみたいなものが学校にもどんどん起こってくる心配をするわけでありまして、そういう意味文部省にこれは要請だけしておきます。  上から指導通達をおろして、学校はかくあるべきという枠の中で自主性、主体性なんというものはないわけで、結局文部省から言われたからとかいうことになるわけで、自分たちで決めて、自分たちでやるんだという、こういう姿勢をやはり確立させるように、よろしくお願いしたいと思います。また、具体的にこうした法律なりあるいは議論をする場が出ましたときに改めて意見を述べさせていただくことにいたします。  次に、外国人学校卒業生大学受験資格の問題をお伺いします。これは私は何回も今まで質疑を繰り返しているのでございます。  九月三日に、京都大学大学院理学研究科が受験を認めた朝鮮大学校卒業生三人のうち一人が合格したということが新聞に出まして、私はほっとしたのでありますが、この問題について有馬文部大臣は閣議後の記者会見で、「受験資格を認めないのは矛盾のないやり方だが、」私は矛盾があると思うんですが、「矛盾のないやり方だが、今日の国際化の中でこのままの形を踏襲した方がいいのか、検討したい」と、私から見れば従来より一歩前進した見解を述べられたようであります。これは、ようであります、あくまで新聞で拝見したのでありますから。  しかし、今日の国際化、自由化の中における文部行政の頭のかたさ、閉鎖性、保守性、私ももうこれにはあきれるのでありますが、何とかもう少し頭をやわらかく、国際化に見合った開放的なものに外国人学校卒業生大学受験問題は対応すべきではないかと、こう思うんです。  この問題がもう既に国連の人権委員会で取り上げられたり、また子どもの権利条約を審査する国連委員会にも取り上げられて、早急な是正を日本政府に求めるというふうなことも起こっております。  それで、文部大臣、御存じだと思いますが、公立や私立の大学では、昨年九月現在で公立五十七校中三十校、私立四百三十一校中二百二十校が受験資格をもう既に認めているんです。公立て五三%、私立て五一%と、過半数の大学が受験資格を認めている。しかし国立大学だけは頑としてこれは認めない。これはどうもいかがなものかと思います。  それで、外国人学校卒業生大学受験資格を今年度大学受験から認める措置を私は早急に行うべきだと考えますが、大臣検討したいとおっしゃっておりますけれども、これはやはり大臣の決断ではないかと思いますが、いかがでしょうか。大臣お答えいただきたいと思います。
  58. 有馬朗人

    国務大臣有馬朗人君) お答えいたします。  先ほど矛盾がないと申し上げましたのは、現在の国内の外国人学校がほとんどすべて各種学校となっており、各種学校の教育内容については法律上特段の定めがないために、その卒業者に対しては一般的に高等学校卒業者と同等以上の学力があると認定をしていない状況であります。困難であると考えている。そのために、大学入試資格を認めないという意味一つの筋が通っていると申し上げたわけであります。  しかしながら、御説のように、この国際化の時代にもう一度状況を私としてもしっかり押さえておきたいということで、我が国の外国人学校卒業者の大学入学資格との関連で先日より調査したいと申し上げておりますが、その内容について明確に定義をさせていただきたいと思います。  まず第一に、我が国の在外教育施設の当該国における法的、制度的な位置づけ、その卒業生の当該国における大学学部、大学院を含む上級学校への入学試験がどのような取り扱いを受けているかということが一つであります。ある程度わかっておりますけれども、慎重にもう少し詳しく調べたいと思っております。  それから二番目に、我が国にある外国人学校の歴史や現状がどうなっているか。  第三番目に、我が国にある外国人学校のそれぞれの母国における制度上の位置づけなどがどうなっているか。それから、それぞれの母国における上級学校への入学資格がどうなっているか。  四番目に、国際化に伴い、日本と外国の学校を移動することがさまざまな形で考えられます。その相互関係の中で取り扱いに矛盾がないかというあたりについてまず調査をさせていただきたいと思っております。  先ほども申し上げましたように、ある程度は認識はしているのですが、さらにきちっとしたいと思っております。このような調査の結果を踏まえ、今後の国際化の中でどのように考えていったらいいかを少し私といたしまして整理をさせていただきたいと思っております。ただ、これはお断りを申し上げておきますが、ここですぐにこれまでの取り扱いを変更するということを前提にしているわけではございませんので、この点はひとつ御了承賜りたいと思っております。  それからまた、これらの調査や整理についてどのくらいをめどにして行うかということも多分御関心がおありかと思うんですが、あらかじめ申し上げますと、私といたしましてはできるだけ早く行いたい、少なくとも調査は早く行いたいと思っております。  それぞれの国の学校の制度や位置づけ、入学資格等は多様なものとなっておりますので、その調査や今後どのように考えるかということにつきましては、相当の時間をいただければと思っております。それから、その相当の時間という日本語はどのくらいなものになるか、私としてもここで即断は申し上げられない、調査の結果を見た上で少し検討させていただきたいと思っております。  以上が現時点で私として申し上げられることかと思います。
  59. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 随分気を使いながらの御発言でございまして、よく私には理解ができます。しかし、はっきり申し上げまして、やはりこれは有馬文部大臣のときに解決しておかれるべきであろうと私は思いますので、何とぞひとつ頑張っていただきたい、このように思います。  国際化、自由化という大きな波の中で、国立大学であるがゆえに何もできないということであれば、これは学術研究といった国際的な視野で考えていかなければならない点についてもやはり大きな障害になってくるんじゃないかと、私はこう思っておりますので、きょうは大変前向きの答弁をいただいてありがとうございます。希望が持てたような気がいたします。  それでは、次にちょっと視点が変わりますが、財団法人日本中国教育交流協会の問題について若干御意見をお伺いしておきたいのであります。  まず、文部大臣所管の財団法人というのは幾つあるんですか。
  60. 小野元之

    政府委員(小野元之君) 文部省の所管法人は、平成十年九月一日現在で千八百十一法人ございます。これは、教育学術文化、スポーツと幅広く、文部省の所管の部分がいわゆる民法三十四条の公益に挙げてございます例示に非常に関連が深いということもございまして、数が多いのが現状でございます。
  61. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 私もびっくりしましたが、文部大臣もびっくりされておりまして、これは要するに、文部大臣が責任を持って管理監督せないかぬ財団法人が千八百十一あるということなんで、これは大変なことであります。  その中の一つ日本中国教育交流協会というのがございます。実はこの財団が寄附行為の変更申請を文部大臣にしたのでありますが、その経過の中で、当時、その寄附行為変更を理事会なり評議員会で行う手続のところに瑕疵がある、問題がある、間違った決定をしたということをその当時の財団の常務理事が、寄附行為の変更を認可した文部大臣の監督責任ですか、を問う裁判が現在行われておるのでありまして、まず、文部大臣はその事実を御存じなのかどうかということをお伺いしたいと思います。
  62. 有馬朗人

    国務大臣有馬朗人君) 事実はよく知っております。ですが、詳しくは官房長からお聞きいただければ幸いです。
  63. 小野元之

    政府委員(小野元之君) ただいまございました日本中国教育交流協会につきましては、本年二月二十日付で寄附行為の変更認可申請が法人からございまして、文部省といたしましては認可したわけでございますが、この件につきまして同財団の元常務理事ほかから、文部大臣を被告として、認可を取り消すように求めた行政訴訟が現在起きておりまして、係争中でございます。
  64. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 既に二回審理が行われ、三回目が十二月に行われるとも聞いておりますが、どういう経過になっておりますか、裁判は。
  65. 工藤智規

    政府委員工藤智規君) これは、先ほど先生文部大臣の監督責任を問うたという御指摘でございましたけれども、監督責任というよりは認可そのものを取り消せという行政訴訟でございまして、私どもとしては、当時の手続、省内いろいろ調べまして、いささかもやましいところはございませんので、この訴訟について正当性をかち取るべく今対応しているわけでございますが、この訴訟そのものの提起されたのが五月十八日でございますけれども、第一回の公判が七月二十七日、それから第二回の公判が九月二十一日、先般ございました。  詳しい裁判内容は、裁判長の訴訟指揮にもかかわることでございますのでなんでございますが、私どもで承知しておりますのは、訴えられた方々の法律上の利益といいましょうか、訴えの利益があるかどうかについて裁判長から再三準備書面の用意をするようにというお話がある中で、必ずしもその議論がかみ合っていないといいましょうか、原告の方の御主張が裁判長の訴訟指揮に合っていないような印象を受けているところでございます。
  66. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 私の知っている範囲は、今おっしゃったように行政訴訟の形態になっておりますから、いわゆる寄附行為変更を認めたのは誤りであると。これは文部大臣が認めるわけですね。だから、それを取り消せということは、認めてはならないものを認めたというのは監督責任の私は一部に入ると思うから、文部大臣が訴えられているんだろうと、こう理解しているんです。  そのことの事実ですよ。これは重要なことなんですが、それを具体的な裁判の審理の中で明らかにしようとせずに、いわゆる門前払いということですね。今おっしゃったように、このことを審理しても訴えた本人に何ら利益というものがない、無意味であるということで門前払いをさせているということのようでありました。  しかし、裁判では、その門前払いをするにしても、もう少しはっきりとした準備書面を出してもう少し中身を議論しなければならぬのではないかということで三回目が持たれると。  私が希望するのは、少なくとも文部省文部大臣が監督して責任を持っている財団法人の中で、寄附行為の変更というこの一番重要な問題にかかわって評議員会、理事会の決定に瑕疵があったと、手続上の大きな間違いがあったと言ってその当時の常務理事が訴えるというようなことは、これはもう大変なことなんですよ。  だから、そんなもの門前払いしてほおかむりするということをするなら、今あちこちでいろんな事件が起こっているけれども文部省もその財団と何かやましいことがあるのかなというような勘ぐりもしたくなるわけで、そういうことじゃなくて、やはりきちっと裁判のところで真実を究明して争うなら争うと。また、自分たちの責任のある財団であれば、それに対して文部省自身が事実であったのかどうかということを究明してそういう変な誤解を解くようにするというのが文部省対応ではないかと、私はこう思うので、この場をかりて質問したのでございます。  もうこれ以上はこれから裁判の成り行きを見たいと思うんですが、最後に、訴えられている御当人の文部大臣の方から一言その感想だけ求めて、私、終わります。
  67. 工藤智規

    政府委員工藤智規君) 詳しい訴訟の内容等、大臣は必ずしもつまびらかでいらっしゃいませんので私の方から御説明させていただきますが、かねがね教壇に立たれた経験をお持ちの本岡先生その識見と情熱、今のこの関係しておられた法人のいざこざについて御心配の向き、よくわかるのでございますけれども、先ほど申しましたように、本件、いわば私どもからすれば売られたけんかでございまして買いたくないのでございますけれども、こちらにやましいことがあれば別でございますが、一切やましいことがないという中でどういうふうにその裁判に対応するかというのは、若干訴訟対策もあるものでございますから、どういう裁判対策をするかというのは法務省とも御相談しながら対応しているところでございます。  ただ、一言だけ申し上げますと、先生もおっしゃいましたように、どうも民法法人の内部の若干役員間でのいざこざといいましょうか、思惑の違いに端を発している向きがあるようでございますので、私どもは監督庁ではございますが、基本的に民法法人というのは役所が余り関与することなくそれぞれの関係者の方々が自主的にいろいろお話しいただき解決していただくのが最適なわけでございますので、そのあたりの関係者の今後の御努力を見守りたいというところもあるわけでございます。
  68. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 きょうはこの辺でおいておきます。また改めて質問します。  最後に、竹山科学技術庁長官にお見えいただいておりますので、残された時間、一問だけ質問しますので、お願いします。  この間の長官の所信を聞きました中で、国民に真に信頼される原子力行政の確立ということについて最大限努力をしたいとおっしゃいましたが、これは極めて大事なことであり、今後原子力の開発利用についていろいろあるにしても、国民に信頼されるものをつくり上げていくということを抜きにしてあり得ないと思うんですね。そのために、動力炉・核燃料開発事業団で起こった問題、あるいはまた高レベル廃棄物処理の研究開発、こうしたことについて今後どのようになされようとしているのか、一言長官の決意のようなものをお聞きして、質問を終わりたいと思います
  69. 竹山裕

    国務大臣竹山裕君) お尋ねの動燃の新法人につきましてはいろいろ御心配をいただきました。その後、事業のスリム化、安全確保、情報公開の徹底を図るなど抜本的な改革を行ってまいりまして、十月一日といいますともう一週間後でございますが、新法人、核燃料サイクル開発機構と名称も変えまして、もう理事長は既に都甲理事長になっております。理事も顔ぶれを一新いたしまして、本社機構も東京から現場のあります東海村等に移動をいたしまして、万全の対応で新発足をしていくつもりでございます。  新機構につきましては、今後、高速増殖炉及び高レベル放射性廃棄物の処理処分技術研究開発等を中心に、核燃料サイクルを技術的に確立することを目指して業務運営を行うこととなりますが、職員の一人一人の意識改革、そして安全確保を徹底するように一層の努力をしてまいり、おっしゃるとおりの国民の真の信頼を回復していくことが何よりもの要件だと思っております。  また、原子力開発利用を進める上で最も難しい問題でもあります高レベル放射性廃棄物の処理処分については、現在、動燃において、これまでの研究開発成果をまとめる技術報告、二〇〇〇年レポートと申しますが、これのドラフトが第一原案として去る九月二日に提出されております。また、新サイクル機構でこの報告書を完成するために、国の内外の評価を得て全力を挙げて引き続き成果を求め、安全規制や処分の実施主体の活動に適切に反映させるように、科学技術庁といたしましても今後の活動を積極的に支援してまいり、安全と安心に基づいた原子力行政にしていきたい、こんな思いでおるわけであります。
  70. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 どうもありがとうございました。
  71. 松あきら

    ○松あきら君 公明の松あきらでございます。きょうは初めて両大臣質問をさせていただきます。  まず、科学技術庁長官にお尋ねをいたしたいと思います。  長官は所信表明の中で「新産業創出を促すような先端科学技術分野の研究開発やその成果の活用の推進」を訴えられておりました。先日、委員会で我が神奈川県を御視察いただきまして、その中で海洋科学技術センターにも視察に行ってまいりました。今、本岡先生からも原子力という話が出ましたけれども、実は私も以前この委員会でも御質問したんです、マイティーホエール、これを見てまいりました。  私は、もちろん原子力は大事でございます。しかし、日本というのはいろんな資源もございませんし、原子力についてもさまざまな問題がある。日本という国は御存じのように島国で四方を海に囲まれておりまして、水や波というのはただで幾らでもあるわけでございます。その燃料をどこからも輸入しなくてもいいという、こういった公害とは無縁の、ただの原料をエネルギーに変える。この前に質問したときは、お金がすごくかかるから云々みたいなことだったんですけれども、実際見てまいりまして、これは非常にいいんじゃないかと。やはりこういう技術を推進していただくことが長官のおっしゃる新産業を興す力になるんじゃないかと思いますけれども、いかがでございましょうか。
  72. 竹山裕

    国務大臣竹山裕君) 松理事初め当委員会御行には、先週十七日でございましたか、委員派遣で横須賀の方の海洋科学技術センターへもお出かけいただいて、波力のエネルギー研究開発を御見学いただいたと承っております。あの模型は大変かわいらしい、まさに鯨の格好をしたマイティーホエールということで過般まずスタートをしたということでございます。  確かに、四方海の日本国にとっては一つの大きなテーマとして今後研究を進めていかなければならない。今回始めましたのは、三重県の五ケ所湾、あの辺は波の大きいところで、紀州の先の方でございますので、その波の力を利用しようと。同時に、マイティーホエールのスケールによっては消波、波を防ぐものにもなり得る。一石二鳥などということもあってやりました。  しかし、コストはいろいろかかるようでございますが、風の方、波の方はただで押し寄せるわけであります。これをどうしてエネルギーに変えるかということがこれから我々科学技術庁に与えられた大きな課題であり、非常に地球環境の問題もある今日でございます。御指摘の中を踏まえて、まさにクリーンエネルギー、再生エネルギーとしての研究開発に今後とも鋭意努力をしていきたい。御指摘を踏まえて勇気百倍でございます。よろしく御激励をいただきたいと思います。
  73. 松あきら

    ○松あきら君 ありがとうございました。どうぞよろしくお願いをいたします。  それでは、有馬文部大臣にお尋ねをいたします。  種々先生方からお話出ましたけれども、私は、今やはりこの長引く不況の中で日本は深刻な状況の中にあると思います。そして、それを直撃しているのは、やはり子供たちにもその大きな影響が出ているというふうに思います。  今、実は大学、高校などで授業料などが払えない、学費が払えない、そして学校に延納を申し出たり、奨学金を希望する学生生徒が急増しているというんですね。それはなぜかといいますと、新聞にも出ておりますけれども、倒産やリストラが、親だけではない、家庭の中で子供たちに非常に大きな深刻な状況を与えているわけです。今までは両親の離婚や父親の死亡などが主な理由だったが、ことしは会社の倒産やリストラが目立つというわけです。例えば、四百人いる生徒のうち延納者が二十人いるとかいろいろあるわけでございますけれども大学によっては特別に貸し出しをしたりしている大学もあるそうですけれども、中には家計を助けるために退学をする子供もいるそうでございます。  来年度予算、奨学金一千億を増額する計画と、そういうふうに伺っておりますけれども、しかし私が申し上げたいのは、今現在お金が必要だと、来年度ではないと。緊急に文部省調査をして奨学金の緊急対応措置をすべきであると思いますけれども大臣いかがでございましょうか。
  74. 有馬朗人

    国務大臣有馬朗人君) 私も大変心配をしている点でございます。私自身が非常に貧乏な家庭に育った人間でありますので、奨学金の重要性ということは重々承知をしております。  今御指摘の点でございますが、既に現在の制度の中で、生徒諸君からの要望があれば、それに基づいて各学校に申請があり、そしてそこから奨学会の方に申請がありますと、直ちにそれに対して保障ができるようになっております。  なお、学生の生活実態につきましては、昭和四十三年度から隔年で学生生活調査を実施しております。本年十一月に平成年度調査を行い、学生の標準的な学生生活費及びこれを支える家庭の生活状況、学生のアルバイト従事状況など、学生の経済状況を把握し、奨学援護事業の改善充実のための基礎資料としているところでございます。先ほど申し上げましたように、緊急な状況に対しては今でも対応できるということをつけ加えさせていただきたいと思います。そしてまた、来年度以降におきましては抜本的に奨学金をふやすべく、現在努力をさせていただいております。
  75. 松あきら

    ○松あきら君 それでは、現在でも緊急の場合はそういう措置ができるという解釈でよろしゅうございますね。
  76. 佐々木正峰

    政府委員佐々木正峰君) さようでございます。
  77. 松あきら

    ○松あきら君 どうぞよろしくお願いをいたします。  さて、馳先生からもお話が出ましたけれども、今、不登校が十万人を超える深刻な事態でございます。そして、中学校の不登校の生徒が不登校のままで校長の教育的配慮で修了証書が渡されて卒業をしているという、こういう現状があるそうでございますが、これは事実でございましょうか。
  78. 辻村哲夫

    政府委員(辻村哲夫君) 不登校のままということになりますと若干誤解を与えるかと思うのでございますけれども、中学校の卒業認定と申しますのは学校教育施行規則に規定されておりまして、校長が生徒の平素の成績を評価して卒業の認定を行うということになっております。  不登校の子供たち、三十日以上学校に来ない子供たちがいるということでございますけれども、全く来ないという子供たちばかりではないわけでございます。学校に来る子供も、三十日以上欠席いたしますと不登校ということでカウントをして十万人以上ということになっておりますものですから、そういう子供たちがいるということ。ですから、学校に全く来ないままでということではございませんで、学校に来る。あるいは、先ほども質問に出ておりましたけれども、いわゆる適応指導教室ですとかあるいは民間教育施設、そういうところで一定の要件のものにつきましては出席扱いをするというような扱いをいたしております。したがって、学校には来ない、しかしそういうところに行っているというような子供たちもいるわけでございます。  そうしたもろもろの施策と相まりまして校長が卒業認定をしている、こういうことでございます。
  79. 松あきら

    ○松あきら君 中学生を対象にした就学義務猶予・免除者の中学卒業程度認定試験があるということでございますね。もう一度、どういう制度か簡単に説明をしてください。
  80. 辻村哲夫

    政府委員(辻村哲夫君) この制度は、まず第一は、病弱等の理由で義務教育諸学校に就学をできない、そこで保護者が就学させる義務を猶予・免除された子供、こういう子供たち。それから、猶予・免除の手続はとっておりませんけれども、やむを得ず不登校になって学校に来れない子供たち。こうした子供たちにつきまして国が試験制度を設けておりまして、その試験に合格いたしますと高等学校入学資格を与える、こういった制度でございます。
  81. 松あきら

    ○松あきら君 いじめや登校拒否などさまざまな理由で通学できなかった者や、あるいは経済的理由、家庭の事情など、やむを得ない事由により学校に行きたくても行けない状況にあった者が対象となっているということで、昭和四十二年から年一回都道府県で実施をしているということでございます。  ちょっとこの資料を見ますと、全国での最近の受験者数が、平成八年で二十五人、平成年度で三十三人なんですね。この程度なのは、まずどういうことが理由だと思われるでしょうか。
  82. 辻村哲夫

    政府委員(辻村哲夫君) 先ほど申し上げましたような子供たちが受験をするわけでございます。したがって、まず一つは、養護学校等が整備されてまいりまして重度の子供たちも学校に通えるようになりました。したがって、就学義務猶予・免除を受けて学校に通えないという子供たちが減ってきたというのが一つございます。  それから二つ目、不登校の子供たちにつきましても受験資格を与えているわけでございますが、不登校の子供たちは、御案内のとおり三十日以上につきましては十万を超える数にふえているわけでございますけれども、しかしこの子供たちにつきましても、全く学校に来ないという子供ばかりではないということ、それから適応指導教室や民間施設等に通って出席扱いを受けるというような形の子供がいるわけでございます。そうした子供たちにつきましては、校長が卒業を認定するという形で卒業資格を与えているという状況があろうかと思います。
  83. 松あきら

    ○松あきら君 さまざまおっしゃいましたけれども、実は私はいろんなことを調べまして、今、いろいろな理由がなくて、子供の心の問題で不登校になっている子供が多いわけでございます。これはもちろん大臣もよく御存じのことと思います。  そして、中学に出席日数も足りない、そして施設のそういったところにも全然行っていない、さまざまなことに該当しなくても校長先生が修了証書を渡してくれる。そういった場合どうなるかというと、要するに中学としては、厄介者というと変ですけれども、とにかく学校を出てほしい、とにかく卒業証書、修了証書を渡して中学をお出ましいただきたいという、こういう気持ちが強いと。やはりそういうことで渡してしまう。  そして、平成年度から実は、卒業認定ですか、この試験も中学三年生の十五歳から受けられることになったそうですけれども、以前は十六歳からで一年間、つまり中学卒業してすぐにこの試験が受けられなかったわけです。間があったわけでございます。ですから、平成年度からは十五歳になったわけです。  私が何が言いたいかといいますのは、中学の子供が例えばいろんなことで学校に行けなかった、学校は行けない子供に対しても、とにかく出ていってちょうだいよということでなくて、その子供が、私は中学を卒業したんだという卒業認定試験というのはすごく大事じゃないかと思うんです。いわゆる子供の人格を認めるという意味で大事だと思っているんです。  なぜ二十五人とか三十三人とかということかと、こういうことなんですけれども、やはりそこにはまず、こういう試験を受ける子供が自分の学校からたくさん出ると、うちの学校は不登校の子が多いというような評判が立ってしまって、本当はそれを受けてほしくないというような学校の雰囲気があるということが種々耳に入っているわけです。そういうことが現実にあるというふうに私たちの耳には届いているわけですけれども、これに対していかがでございましょうか。
  84. 辻村哲夫

    政府委員(辻村哲夫君) 各学校の個別の状況につきまして私どももすべて把握しているわけではございません。場合によってはそうしたまさに不適切な中学卒業認定というものについての理解のもとにそうした言動があるとすれば、私は大変不適切だと思います。  ただ、私どもが予想されますのは、学校の出席日数を厳格に運用いたしますと、どうかなと。いわゆる原級留置、端的に言えば落第ということなのでございますけれども、そういったことをして中学校にとどめるか、あるいは他の子供たちと同時期に卒業を認める、出席日数からいったら足りないけれども、いろんな成績を総合的に評価して認めるかという点、それは学校でも悩む点だろうと思います。しかし、それはあくまで、そういった形で学校を出ていく子供が多いことが何か学校の恥であるとかというような、そういう学校の立場ではなくて、その子供のさまざまな面を考えての判断なのではないか、そういうことはあるのではないかとは思います。  ただ、先生が御指摘の点は、私ども調べておりませんのでないという断定はできません。しかしあるとすれば、私は、大変不適切な中卒認定試験に対します、あるいは中学校卒業というものに対します理解に基づくものだと、こんなふうに思います。
  85. 松あきら

    ○松あきら君 私は、中学卒業の認定、例えば九九ができればいいとか、もう難しいことを卒業認定の試験で求めないで、最低限人間としてここまで、十五歳までだったら漢字もこれぐらい読めればいいですよという基準を非常に低くすると。それが、今いろんなカリキュラムが多くて本当に大変になっている。そういうことを本当に低くすれば、九九ができない中学生はいないんじゃないかと思いますし、まさに文部大臣が、これからは子供たちに生きる力を与えるんだというふうにおっしゃっていられます。この生きる力ということとこういうことは非常に深く密接に関係しているんだと思いますけれども、その点、大臣いかがでございましょうか。
  86. 有馬朗人

    国務大臣有馬朗人君) 御指摘のこと、重々私も考えておりますが、一つ中央教育審議会でこの議論をいたしましたときのことを思い出しておりました。  中学卒業資格認定試験をもっと大々的にやったらどうかという提案をいたしましたけれども、その際にむしろ社会が大変御批判が強かったんです。社会の方たちはどういうふうにおっしゃったかというと、せっかく各中学校で工夫をし校長の責任で卒業資格を与えているのに、また試験をするのですかといったぐいの批判が非常に強かった。にもかかわらず、私は、今おっしゃられたように優しいやり方で認定をするということがいいじゃないかという方針を出しまして、中央教育審議会ではこの資格試験を使えということを述べた次第であります。  したがいまして、今御指摘のように、これをなるべく活用できる格好で今後進んでいきたいと思っております。
  87. 松あきら

    ○松あきら君 例えば、この認定試験制度で、仮にこれが受かりまして高校を受験した場合、内申書の問題はどうなるんでしょうか。内申書はつけられるのか、あるいはもしつけられるとしたら内申書で差別があるとか、そういうことはいかがでございましょうか。
  88. 辻村哲夫

    政府委員(辻村哲夫君) せっかく中卒認定試験をパスして高等学校に進学しようとしても、受験の段階でそれが不利になるということであっては大変これは生かされないということで、まさに大臣からも御答弁がございましたが、中央教育審議会におきましてもその点は大変議論になりました。  そこで、入学者選抜の扱いにおいて工夫をしてほしいということで、例えば調査書によらない選抜といったこと。あるいは自己申告書というような制度を設けまして、本人が、欠席をなぜしたか、高等学校に対する意欲といったものを書くということによって欠席日数を問わないとか、そういった工夫を選抜の資料においてはすると。そういうこととあわせてこれは進めていくべきであるというような中教審の答申もございます。それを受けまして私どもは県に通知をいたしまして、各県でもさまざまな取り組みが始まっているというふうに承知いたしております。
  89. 松あきら

    ○松あきら君 ぜひ差別がないようによろしく御配慮をお願いいたします。  次に、私は、高等学校についても卒業程度認定試験、この制度をぜひつくっていただきたいというふうにお願いしたいんです。  高等学校中退者の数は十一万人を超えるわけでございます。御存じのように、大学入学資格検定試験制度、いわゆる大検ですけれども、これはもちろんあるわけで、高校を中退しても大検を受ければいい、こういうふうにおっしゃるかもしれない。しかし、例えば、中学を卒業した、そして高校で不登校になってしまっていろんなことでリタイアしちゃった、しかし一念発起して大検を受けて受かった。そういう子供が仮に大学へ行っていて途中でやめた場合、これはどうなるかというと中卒になるわけですね。大学も途中でやめてしまった。要するに、大検は受かってもこれは高校卒業にはならないわけで、どこを卒業しましたかというと、中卒ということですよね。  あと、専門学校を受験する場合、高校卒業と同等以上の資格が要るわけでございます。専門学校というのはそれぞれの専門のことですから、大検というのは広くいろんな科目をやらなければいけない。やはり私は先ほども申し上げましたように中学の卒業認定と同じように高校卒業認定、これもぜひやっていただきたい。これがあると、要するに大検はいろんな科目をやらなくちゃいけないけれども、大検ほど難しくない。少しレベルを下げて、高校卒業認定ですか、そうしましたら高校中退自体のマイナスイメージが解決される。子供たちにも、高校を途中で行きたくない、不登校になってしまっても何か希望が持てる。大検はとても難しくてできないやと思っても希望が持てるというふうに思うんですけれども大臣、いかがでございましょうか。
  90. 富岡賢治

    政府委員(富岡賢治君) 先生の御指摘は主として二点あろうかと思います。  最初の第一点でございますが、その前提としまして、まず高等学校卒業を一般的に認定するような制度ということでございますが、御案内のように、高等学校卒業という学歴そのものは、高等学校で学業を修了したという認定の問題でございますので、一般的にそれを置きかえるというのはなかなか制度的に難しいと思います。  先生の御指摘の二つの面でございますが、一つは、高校を卒業しない場合で大検なんかに受かりまして、何か就職とかあるいはいろんなほかの資格試験をとるときにマイナスがないようにという配慮は大事なことでございます。これが第一点だろうと思います。この点は、先生指摘のように、いろいろな制度を私ども洗ってみますと、大検の合格者が実際上高等学校卒業者と同じように受験資格などで扱われているのが圧倒的に多うございます。ただ、一部にはまだ残っておりますので、そういう意味では学習歴というものを大事にしてほしい、学校歴じゃなくて学習歴を大事にしてほしいということで今後一層進めていきたい、こういうふうに思っておる点でございます。  それから第二点でございますけれども、専門学校への入学資格ということでございますが、御案内のよりに、大学入学資格検定試験が同時に専門学校の資格にもなっているわけでございますので、実際上はそこで対応できるんだろうと思います。ただ、先生指摘のように、もう少しできるだけ子供たちに優しいというふうに配慮していくことは大事でございまして、事実、この試験につきましても、現在行われています検定は高等学校卒業に必要とされます単位の半分程度の科目で、しかも内容が非常にミニマムな内容として設定されているということと、試験問題の作成に当たりましても、高等学校で履修するであろう内容の本当に基本的なことを評価するというようなことを念頭に置いて作成しているのが実情でございますが、さらに先生の御意向も踏まえまして意を尽くしてまいりたい、こういうふうに考えております。
  91. 松あきら

    ○松あきら君 もう持ち時間がないので、ちょっと最後に一言。  実は、難病のお子さんを持つお母さんから昨日ちょっと陳情をいただきました。相模原市の子供なんですけれども、横浜の病院に入院している。そして、学齢になったから学校に入りたいけれども、相模原市も横浜市も手を差し伸べなかったんですね。片一方は、あなたは横浜市に行きなさい、横浜の病院に入っているんだから。片一方では、あなたは相模原市に住んでいるんだから。つまり、そういうことで受けたいという教育を受けられない。やっぱり非常に不公平であるというふうに思います。予算関係もいろいろあるんだと思いますけれども、要するに病院の中にそういった教育施設をつくる云々という予算関係もあると思いますけれども、やはりこれは十分な配慮をぜひお願いしたいということで、質問を終わらせていただきます。
  92. 山下栄一

    ○山下栄一君 引き続き、公明でございますが、山下でございます。  有馬大臣中央教育審議会の会長をされておったわけでございまして、教育分野の最高権威といいますか、実質的にもそういうお立場から今回大臣になられたわけでございまして、今、日本の学校教育、学校教育だけじゃなくて教育の機能そのものが大変行き詰まっているという状況がございます。家庭における教育費の占める割合はふえる一方である。正規の学校だけじゃなくて、塾とか予備校とかもうあらゆる分野での学ぶ仕組みがたくさんあるわけでございまして、教育のニーズは高まる一方だけれども、既存の教育の仕組みは非常に制度疲労し行き詰まっている。そんな状況の中で有馬前会長が大臣に就任された、私はこれは大変大きな意義があるし、国民も大変期待しているんではないかということを感じております。  特に、先日、中央教育審議会の地方教育行政に関する答申が出てまいりましたけれども、地方分権が非常に進んだ内容になっておりますし、また学校の自律性、主体性を確立するというふうな考え方が強く出ておりますし、また地域住民、保護者も含めて、地域の教育行政だけじゃなくて学校運営にも参加していこうというふうなこともございまして、非常に画期的な内容になっておる。ただ、この中教審の答申が骨抜きにならぬようにしていただきたいなと思っておるのでございます。  限られた時間でございますので、私、具体的な質問を二点させていただきたいと思います。  一つは、この九月の初めに、京都大学大学院理学研究科の入試の結果、外国人学校、在日の朝鮮大学校の出身者が合格したわけでございますが、これに対して、文部省はこういうことはよくないというふうなお考えがあるというふうに聞いておるんですけれども、合格後、入学をさせないということなんでしょうか、お聞きしたいと思います。
  93. 佐々木正峰

    政府委員佐々木正峰君) 文部省といたしましては、大学において一たん合格者とし、あるいは入学許可を行った場合には、その学生の利益を考慮いたしまして、取り消しを求めるようなことは行わない、そういう考えでございます。
  94. 山下栄一

    ○山下栄一君 合格を国立大学院の側が認定した以上、御本人が入学を希望すれば入学は認めざるを得ないということですね。だけれども、受験資格を与えたことについてはよくないとお考えですか、どうなんでしょうか。
  95. 佐々木正峰

    政府委員佐々木正峰君) 朝鮮大学校卒業生の大学院受験の関係でございますが、御案内のように、朝鮮大学校は学校教育法の体系では各種学校として位置づけられておるわけでございます。したがいまして、一般的に大学学部の卒業者と同等な学力があるというふうな認定ができないわけでございまして、大学院入学資格は認められていないところでございます。
  96. 山下栄一

    ○山下栄一君 これは、法令上もそれを拒否するような法令の仕組みになっているんですか。
  97. 佐々木正峰

    政府委員佐々木正峰君) 大学院の入学資格につきましては法令で規定がございます。したがって、法令にのっとった対応を各大学に指導しておるところでございます。
  98. 山下栄一

    ○山下栄一君 ということは、法令上は受験資格を与えていないと。  学校教育施行規則七十条の五号、大学院が、「大学を卒業した者と同等以上の学力があると認めた者」ということで今回も受験資格を与えておるわけでございますが、そういう学校教育施行規則七十条五号に当たるから受験資格を与えたと思うんですけれども、何の問題もないんじゃないかなと思うんです。大学院側が受験資格を認めたから受験できたと思うんですね。そういうことになっていると思うんですよ。  だから、法令上は受験資格を与えているんではないかと思うんですけれども、そうじゃないんですか。
  99. 佐々木正峰

    政府委員佐々木正峰君) 京都大学におきましては、大学院の理学研究科において、問題となりました学生につきまして大学を卒業した人と同等の学力があると判断をし大学院の受験資格を認め合格させたということでございますが、根拠となります学校教育施行規則七十条の第五号でございますが、御指摘のように、大学院において大学を卒業した人と同等な学力があると認めた者については大学院の入学資格を認めておるわけでございますが、この規定は、戦後、旧制度の学校から新制度の学校に進学する場合等の救済措置として規定されたものでございますので、現在問題となっておりますような朝鮮大学校の関係にこれを適用することはできないというふうに考えておるところでございます。
  100. 山下栄一

    ○山下栄一君 背景はいろいろあったかもわかりませんけれども、国際性が求められている時代、できるだけ前向きに解釈をしていくといいますか、というよりも、もっと明らかに門戸を開くような、そういう仕組みになっていないなら仕組みに変えていくというふうにしないと、日本はいつまで古い仕組みにしがみついているんだと、江戸時代でもないのだからというふうに私は考えるわけでございます。  諸外国における日本人学校、また諸外国にも日本の私学の高校があると思うんですけれども、そこの卒業生を、居住国が要するに日本人学校の卒業生に大学受験の資格を認めたり、入学を認めたり、そういう例はたくさんあると思うんですね。と同じことが何で日本でできないんだと。日本人の子供たちは外国において大学受験を認められ、大学院にも入っているにもかかわらず、日本ではそれを認めないというのは非常におくれておる。  特に人権の観点から、また国際化が求めている。留学生の方もたくさん日本に来られますし、日本の子供たちも別に大学だけじゃなくて高校段階から、中学段階からも勉強するために外国に行かれるという時代ですから、こういう激しい時代において、日本国内の外国国籍の方に対して、また、そこの民族学校といいますか外国人学校を出られた方に対して門戸を閉ざすようなことは、これはもう時代逆行も甚だしい、こういうふうに考えるわけでございますけれども大臣どうお考えでしょうか。
  101. 有馬朗人

    国務大臣有馬朗人君) 多少お答えが先ほどと重複いたすかもしれませんけれども、この点については調査したいということをたびたび申し上げております。  我が国の外国人学校卒業者の大学入学資格についての調査でございますが、その内容というものを、先ほど申し上げましたが、もう一度詳しく私の考えを述べさせていただきます。  まず第一点は、我が国の在外教育施設の当該国における法的、制度的な位置づけや、その卒業生の当該国における大学学部、大学院を含む上級学校への入学試験資格がどのような取り扱いを受けているか、これは先ほど山下先生指摘のことであります。かなりのものが外国でも認められているのでありますが、実態がどのくらいになっているかを調べたいと思っております。  それから二番目に、我が国にある外国人学校の歴史や現状がどうなっているのか。  それから第三点は、我が国にある外国人学校のそれぞれの母国における制度上の位置づけや上級学校への入学試験資格がどうなっているのか。  四番目に、まさに御指摘のように、今日の国際化の時代に伴いまして日本と外国の学校を移動することがさまざまな形で考えられますが、その相互関係の中で取り扱いに矛盾はないかというようなことを調査させていただきたいと思っております。  そのことを申し上げて、お答えといたします。
  102. 山下栄一

    ○山下栄一君 二十一世紀を目前にしまして、国の垣根といいますか、どんどん低くなっているというふうに時代は進んでいくと思うんですね。経済も国際化、ビッグバンと言われる金融部門もそうでございますけれども、環境にしてもそうでございます。また、こういう国を越えた連帯、子供のレベルの連帯、大人の連帯、こういうことが大変求められている時代であるというふうに思うんですね。  特に、平和という問題を考えましても、軍事的な連帯もありますでしょうし、経済的な連帯もある。だけれども、私は、恒久平和の基盤というのは人間レベルの、特に国民といいますか民衆レベルの連帯、これがないと軍事同盟、経済同盟というのは非常に基盤が弱いと、このように考えております。  そういう意味で、経済、軍事の連帯、プラス教育の連帯といいますか、そういう人と人とを結びつけていくことが大変重要な時期、日本の国内も学校の中もそうだと思います。心と心を結びつけていくこと。分断されていくこと自身が非常にいじめの問題とかいうことになっていっていると思うんです。家庭もそうだと思います。そういうきずなが非常に求められている時代だと。  したがって、この教育の連帯ということがこれからますます重要な、平和を恒久化するためにもあるいは武器になっていく。武器という言葉はおかしいですけれども。そんな状況の中で、こういう歴史のある日本の外国人学校の卒業生に対して門戸を閉ざす仕組みがいまだにある。これは分断を促進するものであって、ましてアジアの在日の、特に中国の方とか朝鮮の方の民族学校といいますか外国人学校はたくさんあるわけでございます。  そういうことから考えましても、先ほど御答弁ございました文部省の方の御答弁というのは、中教審がどんどん新しい意欲的な答申を出しているのに何でこんな後ろ向きのことをいまだに言っているのかなということを考えまして、大臣の方から具体的なことも検討していきたいとおっしゃっておりますけれども、これは速やかに門戸を開く形の結論を出していただきたい。中学、高校生レベルの運動の、インターハイその他門戸を開くことも進んでおりますし、全体的に日本国内における外国籍を持っている方に対する配慮といいますか、しっかりしないとアジアの中における、世界の中における日本の信頼はかち取れない、こういうことをお訴えしておきたいと思います。  それからもう一つ、これは私の住んでおります大阪の問題でございますが、予算委員会でもちょっと大臣に御質問させていただいたんですけれども、大阪の最北端に能勢町という町があるわけです。ここに一般ごみの焼却施設がある。焼却施設のすぐ近くに府立高校がある。その府立高校の敷地内から高濃度のダイオキシンが検出されたということがことしの四月、二回目の調査で明らかになったわけでございます。  そして、つい三日ほど前、今度は国の調査によりまして、この施設内、そして施設周辺、南の方に学校があるわけですが、町が調べなかった北の方におきましても一グラム当たり三千ピコグラムという、これはもう府立高校内の土壌汚染に匹敵するというか、それ以上の高い濃度の土壌の汚染がわかってきた。こういうこともございまして、住民の健康被害に対する不安が非常に広がっておるわけです。  それで、いろんな原因が積み重なって、本当に世界でも類を見ない高濃度のダイオキシンも検出されておるわけでございますけれども、そのすぐ近くに府立高校があり、そこで農業演習もやっている。その農業演習の場所から高い濃度のダイオキシンが検出されているわけです。  私は、今回の厚生省の調査考えまして、やはり住民をもっと広く解釈して、そこで授業を受けていた子供たち、教職員の健康調査もきちっとやってあげるべきだというふうに思います。そして、高濃度のダイオキシンが検出された場合は、しかるべくきちっと手を打っていくということも重要な課題であるというふうに私は思うわけでございます。  それで、こういう問題は確かに所管外かもわかりませんけれども、学校の敷地内、そしてそこで学ぶ生徒、教職員にかかわることでもございますので、これに対する何らかの対応を他省庁に働きかけるとか、また独自で何か新しい取り組みをするとか、たまたまこれはわかった話で、ほかの全国にも調べればまた同じようなことが起こる可能性もございますので、文部省としてもこの問題は強くとらえていただいて、府立高校の話でございますので、大阪府とも連携しながらきちっと対応をしていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
  103. 遠藤昭雄

    政府委員(遠藤昭雄君) お答えいたします。  この件に関しましては、先生も言っておられましたように八月に質問していただきまして、私ども九月二十一日に担当者を現地に派遣しております。  大阪府としては、府立能勢高校農場、それからその近辺におきましてダイオキシンの濃度が一定レベルを超えている汚染土壌につきましては、密封された保管施設を建設してそれを保管するという方向で検討しておると聞いておりまして、現在、その保管場所につきまして地元と協議を継続しておるというふうに伺っております。  具体的な保管場所をどこにするかということにつきましては大阪府等関係者において判断されるべきことであるというふうには思いますが、文部省といたしましても、保管方法等が適切であるということ、生徒の健康上問題がない、あるいは学校運営上少しでも支障が少ないような形をとっていただくということが大切ではないかというふうに思っております。今後とも、大阪府とは緊密に連携をとっていきたいというふうに思っております。  それから、健康調査の方を簡単に申し上げますと、大阪府のダイオキシン対策会議において、この二十一日に、既存の住民健診等の分析、母乳調査等に加えまして、ダイオキシン類の健康影響の有無の確認のため、美化センター周辺住民等に対して血液中のダイオキシン類測定を初めとする健康調査を能勢町と連携して実施するという決定をしたと聞いております。その調査対象につきましては、高濃度ダイオキシンヘの暴露状況などを勘案しながら今後さらに検討していくというふうに聞いております。  私どもとして、直接には関与する立場ではありませんが、大阪府と、あるいは関係省庁連携をしながら適切に対応してまいりたい、そのように考えております。
  104. 山下栄一

    ○山下栄一君 時間もございませんけれども、住民の健康調査の話が出ているんですけれども、それを広げて、先ほど申しましたように、ここには住んでいないけれども通っていた子供たち、教職員もそこに住んでいる人は少ないわけでございまして、まさにそこで学校生活をしていた人たちにもきちっとその健康調査の中に入れるということを、本来僕は文部省独自でもそういうことをやってもらいたいと思うけれども、管轄外でしたら、厚生省、環境庁に働きかけるとか、そこにちゃんと明確に入れなさい、また入れるべきだということを言っていただきたい。  保管場所についても、私は、環境、教育の観点からも、そういう有毒性がはっきりし、発がん性があるということを世界の国際組織が認定しているそういう汚染物質をそんな敷地に保管することはおかしいということも、文部省としてきちっと明確な考え方を明らかにしてもらいたいなというふうなことも思うんですけれども大臣、どうでしょうか。
  105. 有馬朗人

    国務大臣有馬朗人君) まず第一に申し上げたいと思いますことは、やはり生徒諸君、学生諸君の健康、それから教育に従事する人々の健康が大切だと思います。疑わしきものはできる限りきめ細かく調査をし、対策を講じたいと思います。  ただ、今回のことは、これは厚生省等々との分担の問題もございますので、必要のあるところについて、他省庁とも協議をしながら進めたいと思っております。
  106. 山下栄一

    ○山下栄一君 どうもありがとうございました。
  107. 林紀子

    ○林紀子君 日本共産党の林紀子でございます。  質問に入ります前に一点、緊急な要請、お願いをしたいと思います。  それは台風七号にかかわってですけれども、お亡くなりになった方、また大変な被害を受けた方には心からお悔やみとお見舞いを申し上げたいと思いますが、この台風七号は風台風ということで、国の指定の文化財というのも随分大きな被害を受けたということです。新聞やテレビを見ましたら、あの奈良県の室生寺の五重の塔が無残な姿をさらしておりましたけれども、この補修の財政的な措置、これを急いで講じていただきたい、このことをまず最初に御要請申し上げまして、質問に入らせていただきたいと思います。  私は、まず、先ほど来お話がありましたけれども、戦後最悪の不況と言われる中、今、親が失業した、リストラに遭った、経営困難などによって私学の生徒の授業料の滞納や経済的理由による中退というのが非常に多くなっている。  私が宮城県の私立の高校教職員組合連合会、ここに問い合わせましたところ、私学七校の調査をしたと。昨年度、親の失業や営業困難のために連続三カ月以上授業料を滞納している生徒が六百人を超えて、全生徒の一割近く、九・三%にも上っているということです。授業料が払えないために退学していった生徒も二十七人だということを伺いました。また、東京近郊の私立の女子高校では、経済的理由で退学した生徒、一九九五年は十数人だったのに、昨年度は三十人と急増している。そして、ことし五月の授業料の滞納者は百五十人に上って、いつもの年の一・五倍だということです。  先ほどの松委員質問大臣から基本的なお話は伺いましたけれども、私立高校生の授業料の滞納や退学の実態というのをどれだけつかんでいるかというのを局長の方からお話しいただけたらと思います。
  108. 辻村哲夫

    政府委員(辻村哲夫君) 今年度の現状につきましてはただいま持ち合わせておりませんが、平成年度、私ども仮の集計をいたしましたところ、私立の高等学校を経済的理由によりまして中退した者の数は千六百三十人ということでございまして、その前年度に比べまして百四十九人ふえているという数字を把握いたしております。それから滞納につきましては、ある県について申し上げますと、今年度に入りまして百九十五人、これは平成年度の同時期に比べまして三十九人ふえている、こういう実情でございます。
  109. 林紀子

    ○林紀子君 ことしに入ってからの失業率というのは月ごとに記録を塗りかえているわけですが、今、不況というのは中高年に大変大きな打撃を与えている。特に、仕事がない、職安に行っても求人がない、住宅ローンや教育費が一番かかる世代の四十代、五十代が失業に追い込まれているという統計があります。総務庁の労働力特別調査というのを見ましたら、男性の失業期間というのは、三カ月以上が全失業者の六割から七割にも達している。年齢的に三十五歳から五十四歳という層を考えると、全失業者の三人に一人が一年以上も失業している、長期化している、こういう統計があるわけです。  それで、今お話にありましたように授業料の滞納や中退もふえているということですが、文部省は、毎年行っているこの調査だけではなくて、今の事態に即して、特に私学というところに焦点を当てて特別な調査をしていただくということはできないものでしょうか。
  110. 辻村哲夫

    政府委員(辻村哲夫君) 中退者の調査につきましては、ただいま平成年度につきましては集計中でございます。今年度につきましては、どんな形でやるのか、預からせていただいて検討してみたいと思います。
  111. 林紀子

    ○林紀子君 今、高校進学率は九七%を超えているということで、しかしその中でもまた中退者も多いということですけれども、そういう中で、どうしても高校で勉強を続けたい、高校卒業まではどうしても頑張りたい、こういう意欲に燃えた生徒が経済的な理由のために中退していかなければいけないというのは本当に残念なことですし、放置をすることはできないことじゃないかというふうに思うわけです。  中退者の状況調査ということなんですけれども、今必要なのは、中退者を何とか救っていくという意味では、中退した後、中退者が何人いたかということじゃなくて、滞納状況から中退になりそうな人は何人いるのか、そういうところに着目してぜひ調査をしていただきたいというふうに思いますし、そうしたら、その資料に基づいてどういう援助措置をしていこうかということを考えていただきたいというふうに思うわけです。  国としまして、私学への特別な助成、特に私学というのが大変なわけですから、これをできないものでしょうか。私学が授業料を減免した場合には国が何とか補助をするという、そういう制度を緊急にお考えいただけないかと思うんですが、いかがですか。
  112. 佐々木正峰

    政府委員佐々木正峰君) 現在、各都道府県におきましては、各私立高等学校に在学する生徒の保護者の経済的負担を軽減し、修学の機会を保障するため、所得水準等に応じた授業料軽減補助制度が実施をされておるところでございまして、経済的な理由で授業料等の納付が困難な者に対してはそういう制度の中で対応しておるところでございます。すなわち、各私立高等学校が授業料等の軽減を行った場合には、都道府県がその学校を設置する学校法人に対して補助を行う授業料等軽減補助事業というものをすべての都道府県が実施をしておるわけでございます。  文部省といたしましては、これらの制度を使いまして各学校法人が適切な対応をしていくということを強く期待しておるところでございまして、国の財政事情が極めて厳しい中で、新たな御指摘のような補助制度を設けていくことはなかなか難しい、困難なことであると考えておるところでございます。
  113. 林紀子

    ○林紀子君 今お話があったのは、県とか都とか府とか、そういうところが私学に助成をするということなわけですね。  最後に、文部大臣にここでお聞きしたいんですけれども、奨学金のお話もありましたし、私学助成ということを国としてやられているということはもちろん知っているわけですけれども、今お話ししましたように、本当に泣く泣く学業を中退しなくちゃいけないというような子供をなくすという意味で、本当に国としての手当てをお願いしたいと思うんです。それは、阪神大震災のとき、あれは確かに緊急時だったわけですけれども文部省は補正予算を組んで、授業料減免を行う私立の高校に助成をする、府県に対して二分の一の補助をする、そういうことをなさいましたよね。ですから、あのときは自然災害で、兵庫県、その近辺の府県も大変だったということがあるわけですが、今のような経済情勢ということを考えましたら、それに匹敵するような形で、やはり国が県任せにしない、何とか手を差し伸べる、そういうことが必要なんじゃないかと思います。  教育権を保障するというその立場に立って、ぜひ文部省の責務という形でお考えいただけないかということを大臣の方に一言お聞かせいただきたいと思います。
  114. 佐々木正峰

    政府委員佐々木正峰君) 繰り返しになって恐縮でございますが、阪神・淡路大震災の際に国が実施しました授業料軽減の補助は、一つには、震災によって私立学校に在籍している子供の保護者が死亡あるいは重傷を負ったり住む家が全壊したことなどに加えて、学校法人自体、あるいは地方公共団体自身が地震によって非常に大きな被害を受けて、財政事情というものが非常に逼迫をしたというふうな特別な事情がございます。そういったことを踏まえまして、国として緊急かつ臨時的な対応といたしまして補助制度というものをつくり、これを実施したわけでございます。  御指摘の点につきましては、現在既に各都道府県において授業料軽減補助制度、学校法人に対する補助制度というものが全都道府県において整備されておるわけでございますので、その積極的な活用により対応していただくことが適当であると考えておるわけでございます。  文部省は、現在の極めて厳しい財政事情のもとで、私立学校教育条件の維持向上やあるいは在学生徒等の修学上の経済負担の軽減等を図るために、私立高等学校等経常費助成費補助金を増額要求するなど私学助成の充実に努めておるところでございまして、このような中において新たな補助制度を設けるということは困難であると考えておるところでございます。
  115. 林紀子

    ○林紀子君 同じお答えを重ねていただいたわけですけれども、それを押して何とか、それこそ国の責任ということをお考えいただきたいということを要請したいと思います。  時間の関係もありまして次の問題に移らせていただきますが、大臣にお聞きしたいんですけれども、大変一般的な御質問で恐縮なんですけれども教育の中立性ということについてどういうふうにお考えになっているかということなんです。  教育基本法では、「教育は、不当な支配に服することなく、国民全体に対し直接に責任を負って行われるべきものである。」というふうにうたっているわけですけれども、これとの関連で教育の中立性という問題は大変重要な問題だと思いますので、ちょっと抽象的になりますが、この中立性ということについてどうお考えか一言お聞かせいただきたいと思います。
  116. 有馬朗人

    国務大臣有馬朗人君) 教育におきましては、まず基本的には、日本でありますと日本国憲法とそれから教育基本法というものがあります。この精神にのっとってやっていかなきゃいけない。人権尊重ということを私は非常に注意をしておりまして、人権尊重の意識を高める、それから一人一人を大切にした教育を推進していくことが大切だと思っております。  そういうことから考えまして、ある形の政治運動や社会運動など、それぞれの方がそれぞれの考えを持ってお進めになっておられると思いますけれども、やはり根本的には教育の中立性ということを守っていかなければならない、この教育の中立性ということをやはりしっかり守っていかなきゃならないと思っております。
  117. 林紀子

    ○林紀子君 今大臣からお考えを御表明ありましたけれども、中立性ということを伺いましたのは、今私の住んでおります広島県でいろいろな問題が起こっておりますので、そのことに関連してまずお聞きしたわけですが、ちょっと実情を申し上げてみたいと思うんです。  広島県に三次市というところがありますが、その小学校の「学校要覧」というのを私は最近目にする機会がありました。そうしますと、そこには「めざす学校像」ということがうたわれておりまして、「○○小学校は、部落の完全解放をはじめ、」「いっさいの差別からの解放を教育の立場からめざしていく学校である。そのためには、」「解放運動との密接な連携を取りながら取り組みを進めていく。」。  続いて、「めざす教職員集団像」ということでこういうことが書いてあるわけです。「私たちは、部落差別をはじめ、いっさいの差別からの解放を解放教育運動を通して実現していく社会的使命を持っている。いっさいの差別からの解放を自分の生き方として捕らえ日々の実践を進めることが、被差別の立場に置かれている子どもや保護者の「思い」を共有することにつながる」云々。私はこれを読みまして、これでは運動団体の要綱か何かじゃないかと思ったわけです。到底、公教育を担うべき学校の要覧だとは思えなかったわけなんです。  それならば、こうした逸脱というのを正していくというのは教育委員会の役目だと思うわけですけれども、三次市の教育委員会というのはやはり「教育要覧」というのをつくっておりまして、私はそれも拝見いたしました。そうしたら、ここにもまた同じような文言が並んでいるわけなんです。「部落差別をはじめとするあらゆる差別をなくしていく教育の推進」、こういうことを掲げまして、「同和教育を基底とした教育活動の推進」、「部落解放同盟との連携を密にし、部落解放研究諸団体の育成及び連携をはかる」、こういうことになっているわけですから、学校も大変だと思ったんですけれども、そもそも教育委員会姿勢というのが大きな問題があるんじゃないかというふうに思ったんですが、これについてどのようにお考えになりますでしょうか。
  118. 辻村哲夫

    政府委員(辻村哲夫君) 先ほど大臣から御答弁がございましたように、一人一人を大切に育てていく教育というときに、政治的にあるいは信条において教育の中立というものが確保されなければならないと思います。私どもは、憲法、教育基本法、それから学校教育法に基づいて学校教育を展開していかなければならないわけでございます。その際には、子供たちの発達段階ということもきちっと踏まえてこれが行われなければならないと思います。差別ということ、これは人権の中でも大切なことであるということは私ども認識するわけでございますけれども、学校教育の与えられた任務というのはそれだけに偏るということがあってはならないというふうに思います。  今先生から御紹介を、ただいま聞いただけでの判断で即断は避けたいと思いますけれども、学校教育全体としての任務、その中でのバランスと申しましょうか、といったものについてどうかなというような印象を受けた次第でございます。
  119. 林紀子

    ○林紀子君 この要覧とか書いてあるものだけではなくて、この書いてあることが実際の教育に移される、実践されるとどういうことになるのか。私が知り得ている部分というのはまだほんの一部だと思うんですけれども、こんなことがあるというのも、ついでにと言ってはなんですが、御紹介させていただきたいと思うんです。  まず、運動会なんですけれども、これは三次、庄原、福山といった市の小学校。徒競走、駆けっこというのがありますよね。あれでは一等、二等と順番をつけるのは差別だ、みんなが一緒に手をつないでゴールしましょう。こんなばかばかしいことが大まじめで行われているんです。この問題だったらまだばかばかしいで済むかなと思うんですけれども、それよりもっと深刻なことが行われているわけなんです。  豊田郡の本郷町という町のある学校では、各クラスの担任が学期ごとに学級経営や地域進出についての総括という文書を部落解放同盟の支部に提出をしなければいけない。  それから、三原市や神辺町の小学校では狭山学習というのがいまだに続けられておりまして、決まった日、「節目の日」と言うんだそうですけれども、そのときには子供たちはゼッケンをつけて登校をしなければいけない。  また、府中市、上下町、神石町では、全小中学校、それから幼稚園や保育園も含むと思うんですが、一斉に一日休みになる日があるんだそうです。そして、ここでは先生たちの同和教育研究会が開かれ、住民からは、休んでまで研究して、そのことを強制するような解放教育なんか必要ないじゃないかと大変厳しい批判が寄せられています。  また、子供が差別的な言葉を使ったり、学校に落書きがあったりなどということになったらもう大変なもので、行政機関と部落解放同盟の支部が加わった確認・糾弾会、これが行われまして、先生を対象に深夜まで行われる。そして総括書というのを出させられるわけですが、これは何度も何度も書き直させられるわけですね。ですから、先生たちは精神的にも身体的にもへとへと、授業には到底ならない。これは先ごろの週刊朝日にも取り上げられておりましたけれども、こういうことがずっと繰り返されてきたんです。  これは広島県の一部の地域に限って行われていることじゃなくて、広島県のほんの一部を除いた全部で行われているということなんです。これが二十年以上にもわたってこういうことが続けられているんです。どうしてこんなことが行われているのか。それは何よりも県の教育委員会姿勢なんだと思うんです。先ほどは三次の教育委員会お話を申し上げましたけれども、市町村の教育委員会と同じ立場を県の教育委員会が続けている。  一九八五年に、知事や県会議長、教育長の三者と、部落解放同盟広島県連合会、県教組、高等学校教組、同和教育研究協議会、高校同和教育推進協議会、この五者、両方で八者になるわけですけれども、いわゆる八者合意というものがあるわけですが、ここでも、同和教育の推進に我々は一致して努力する。差別事件の解決に当たっては、関係団体とも連携する。同和教育基本として広島県の教育をすることを改めて確認し、その後の教育の方向づけをするものとなったのがこの八者合意だと教育委員会みずからが位置づけているわけですね。  ですから、部落解放同盟とその関係団体の教育介入にお墨つきを与えたようなこの八者合意というのをやめない限り、広島教育の中立性というのは絶対守ることはできないと思うわけです。  ですから、ぜひ教育の中立性を守るように、先ほど文部大臣からも大変きちんとしたお話を伺ったわけですけれども文部省基本的な責任ということでぜひ力を尽くしていただきたいというふうに思うわけです。このことについてどのようにお考えになりますでしょうか。
  120. 辻村哲夫

    政府委員(辻村哲夫君) 先ほどからお答えを申し上げておりますとおり、教育の中立性、教育行政の中立性というのは大変大切なことだと思います。教師に対する処分等につきましては、やはりそれぞれの権限を持った教育委員会が、教育委員会の権限においてきちっと責任を持って行うということだろうと思います。それがきちっと確保されるということが大事だと思います。  先生、ただいまいわゆる八者合意という御指摘があったわけでございますけれども、私どもとしては、この文書はともかく、実態として指摘されるような実態があるということも私ども聞いておりまして、現在、県の教育委員会に対しまして、いわゆる人権学習と申しますか、そういったものの内容等については調査を行っているところでございます。  したがいまして、この調査結果を踏まえまして、一層主体的に県の教育委員会対応しますようにきちっとした対応をしてまいりたい、こんなふうに思っております。
  121. 林紀子

    ○林紀子君 ありがとうございました。
  122. 畑野君枝

    ○畑野君枝君 日本共産党の畑野君枝でございます。  私は、不登校問題と養護教諭の配置、三十人学級の実現などを中心に質問をいたします。  初めに、不登校問題と養護教諭の配置について伺います。  不登校の児童生徒が、先ほどからも出されていますように、十万五千四百十四人と過去最高となっております。こうした状況の中で、保健室の役割が重要になっております。  小中学校のいわゆる保健室登校の子供が、日本学校保健会の調査によると一昨年度は一万人を超えております。この六年間で倍増している。保健室登校の子供がいる学校は、中学校では全体の四割に上っております。同時に、休憩時間や放課後に保健室に来る子供も多く、勉強がわからず教室に居場所がないという子供もいると伺っております。中教審答申でも、保健室の役割を心の居場所と強調しております。  私も、保健室の養護教諭の方に直接お話を伺いました。例えば五百人規模の十三学級の中学校では、毎回の休憩時間にいつも十人の生徒が来る。また、小学校、四百人規模、十四学級のところでは、二十分の中休みに二、三十人はいつも来ている。ある日数えたら、一日に百三十八人の児童が来て、そのうち六十人はけがや病気だけれども、あとは話を聞いてほしい、こういう相談だというのです。  一方で、養護教諭が忙しくて研修にも参加できない状況が生まれて、今日の保健室の役割にふさわしい養護教諭の複数化を望む声が強く寄せられております。しかし、養護教諭配置の基準で言いますと、複数化は三十学級以上の学校となっており、現状では小中学校ではなかなか実現できません。  ここで有馬文部大臣に伺いたいと思いますが、保健室と養護教諭の役割にふさわしい対応、複数化に向けて養護教諭配置の基準の見直しが必要ではないでしょうか。いかがでしょうか。
  123. 有馬朗人

    国務大臣有馬朗人君) 御指摘のように、中教審でもこの問題は十分議論をいたしました。現在どういうふうなことを考えているかは助成局長よりお答え申し上げます。
  124. 御手洗康

    政府委員(御手洗康君) 御指摘がございましたように、現在の改善計画におきましては、三十学級以上に複数配置を行うという考え方のもとに行っておりまして、本年度は六十六人を基準改善いたしましたし、また、来年度は九十九人を、三十学級以上に全校配置するということも含めてでございますけれども、改善要求をいたしているところでございますので、全体を含めまして現行計画が千百八十四人の改善を予定しておりますので、これを十二年度までに着実に進めてまいりたい。  その後の問題につきましては、今後新たな教職員の配置の考え方等につきましても、中教審の御提言も踏まえまして私どもも事務的な調査研究等をしなきゃならぬ、こう考えているところでございますので、それらの中で十分御議論をいただきたいと考えているところでございます。
  125. 畑野君枝

    ○畑野君枝君 もう本当に命がけで養護の仕事に携わっている、こういう状況があるわけですね。  伺った東京の場合でも、それでは小中学校で三十学級以上の学校はあるのか。ないに等しいという状況だと。それから、私の神奈川県でも三十校ですよ。ですから、本当に圧倒的には複数が置けないという状況、やはり変えていく必要があると思うんです。  ある中学校で大変荒れていた。一学年で三クラス、約九十人の生徒の話を全員聞こうということで、養護教諭の先生を中心にして校長先生初め七人の先生方が聞くことを三年間続けたんだそうです。そうしましたら、こんな自分でも話を聞いてくれた。生徒から歓迎をされて、今、三年目にして学校が落ちついてきた。これはやはり養護教諭が全員の生徒の状況をつかんで、その中で初めてできたことだと思います。  国連の子どもの権利条約の「子どもの最善の利益を考慮するように」、こういう点からも養護教諭の複数配置への基準の改善を強く求め、その検討をお願いしたいと思います。  また、保健室に外線電話がない、こういう状況がございまして、病院や保護者との連絡にも苦労されている状況も伺っております。せめてこの時代に外線電話を各保健室に設置するよう、これ基準ではございませんので、加えていただきたいということもあわせて求めておきます。  さて、不登校に関連して、一九八五年の十二月二十三日に教育助成局長の通知が出されております。その中では、「一年以上当該学校に通学していない児童生徒は、教職員定数の算定上は在籍者としないこと。」という事項があり、不登校の児童生徒が在籍者でないかのように受けとめられる事例がございます。このような部分は削除すべきではないでしょうか。  通知のこの事項についての問い合わせが文部省にも来ていると思いますが、どのような指導をされているのか、お伺いいたします。
  126. 御手洗康

    政府委員(御手洗康君) 御指摘の通知は、当時、各学級に在籍しない子供を架空に算定いたしまして学級数を多く算定して、それによって教職員数を多く配置するというような事例が、会計検査院等の調査によりまして、大変残念なことでございますけれども、幾つかの都道府県等で指摘されまして、これに対応するという観点から、一年以上居所不明の児童生徒あるいは一年以上当該学校に通学していない児童生徒は、教職員定数の算定上は在籍者としないことという趣旨で通知をいたしたわけでございます。  これにつきましては、その後、不登校の児童生徒等の通知におきましても、不登校の児童生徒等におきます指導要録上の取り扱い、すなわち出欠の取り扱い等かなり弾力化してくるというような形の通知を平成四年九月付で出してございまして、それらとあわせまして、私ども実務の担当者の間では、こういった不登校の子供の場合に、こういった六十年の通知がそのまま適用するものではないということにつきましては十分趣旨徹底を図っているところでございますが、中にはそれが十分徹底されていないというようなこともございましたので、御指摘を受けた後におきましても、事務担当者会議におきまして改めてその内容の徹底を図っているところでございますので、今後とも十分指導をしてまいりたいと考えております。
  127. 畑野君枝

    ○畑野君枝君 ということは、不登校の児童生徒は在籍者に入るということで御確認よろしいですね。——はい、わかりました。  川崎市議会でもこのことをめぐって大問題になったわけです。ですから本当に徹底されていない。文部省も重視をしている、大臣も重視をしている不登校問題にかかわることですので、ぜひこの事項は削除するように求めておきます。  次に、三十人学級、少人数の学級編制について質問いたします。  日本共産党は、三十人学級の法制化を提案し、各党共同で取り組むことを呼びかけてまいりました。今、三十人以下の学級編制を求める国民の声は大きく広がっております。全国の多くの自治体からも意見書が上がっております。十人目には、横浜市議会の文教委員会でも全会一致で国に対して三十人以下の学級編制を要望する意見書が採択されました。そこでは、いじめ、不登校など克服すべき課題も多岐にわたっている、こういった教育課題に対応していくためには教職員の加配が不可欠として、あわせて三十人以下の学級編制基準を要望しているわけでございます。  神奈川県内では、三十人学級を求める県条例制定の直接請求署名運動が十月一日から五十万人を目指してスタートするということでございますが、今は各学校のPTAからも上がっておりますし、先ほどの養護教諭の方を初め現場先生お話からも共通して出されるのは三十人学級への要望でございます。  小学校に通う私の子供のクラスなんですが、この三月まで十九人だったのが、三年生になった四月からは二クラスが一クラスになって、今は四十人。ですから、先生が机の間を回ることができない、こういう苦労をされています。ある子供は、先生お話ししたいけれども、四十人もいて先生が大変だから我慢している、こういうふうに言っております。  有馬文部大臣は、二十二日の記者会見で、先ほどもありましたけれども、教職員定数の増員を検討するなどの協力会議を発足させる考えを述べて、新聞報道では三十人学級の実現などが焦点になるとも報道されている。こういうことで、国民が今大変注目をしていると思います。財政的な試算などもこの中で、学級編制問題で行っていくんでしょうか。三十人学級を今まさに国として実行に向かうべきときだと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
  128. 御手洗康

    政府委員(御手洗康君) 中教審の御提言におきましては、三十人学級それ自体を前提にして御議論をするというようなことにはなっておりません。できるだけ欧米の水準に近づけるようにということと、あわせて各都道府県や市町村の実情に応じてできる限り弾力的な学級編制ができるような、そういった必要な法的な整備を図ることという御提言がございます。  私どもはこの課題を受けまして、特に三十人学級をめぐりましては、現行改善計画を実施いたします際にもさまざまな御議論がございまして、いわゆるホームルームのクラスサイズをどうするかという問題と同時に、具体の個別の授業におきます指導のクラスサイズ、授業サイズをどうするかという大きな問題が学級編制の問題についてはあるわけでございまして、当面、現在の段階ではできるだけチームティーチング等の小グループの、あるいは複数の先生による指導というようなことで実績を見てみようということもございますので、今後新たな専門家会議検討をいたします際には、現行のこのようなチームティーチング等の実績の評価ということはまず第一に検討されるべき課題であろうと思います。  また、ヨーロッパ諸国との問題ということも比較の上で、当然精緻な調査ということが必要になろうかと思っておりますし、何よりも今御指摘のような財政問題につきましては、すべての問題につきまして私ども十分専門家会議等の中でということもございますけれども、行政的にも検討した上で、専門家会議に資料等を提供して御議論をいただきたいと考えているところでございます。
  129. 有馬朗人

    国務大臣有馬朗人君) ただいま助成局長よりお答えを申し上げたことの繰り返しになるかもしれませんが、先ほど御指摘のように、中教審の中でもこの問題を十分検討いたしてまいりました。  今回の中央教育審議会答申では、教員一人当たりの児童生徒数を欧米並みの水準に近づけるようにすべきであるという基本的な考えを示しております。これがどういう意味を持つかということがまた御議論になろうかと思いますが、ともかく、教育条件の向上を図るために特に必要がある場合には、都道府県が義務標準法に定める学級編制の標準を下回る人数の学級編制基準を定めることができるように多少規制を緩和するなどということを提案してくださっています。学級編制を弾力的に行うことができるようにするための必要な法的整備を図ることが要るという提言があったところでございます。  こういう状況を踏まえまして、私といたしましては、まず第一に、現在行われています現行改善計画をまず完成させたい、そのために最大限努力をしたいと思っております。同時に、先ほど申し上げましたような中央教育審議会の提案を受けまして、専門家以外にも何人かほかの方にお加わりいただこうと思いますが、専門家等から成る協力会議を設置し、今後の教職員配置のあり方等について検討を開始してまいりたいと思っております。
  130. 畑野君枝

    ○畑野君枝君 前のそういった会議では効果が見られないというような結果が出ておりましたけれども、そういうことのないように本当に現状に沿ってやっていただきたいというふうに思うんです。  弾力的に行うという地方の関係ですけれども、本当にこれまで御苦労されてきた長野県の小海町、あそこでも、教育には一年の猶予もない、こういう立場でやっていらっしゃるわけです。三十六人や三十八人のクラスを二つのクラスに分けたら十九人になって、子供が学校に行くのが楽しいと言うようになった、先生と話す機会がふえた、こういう教育効果がもう既に示されております。佐賀県の北波多村の努力もございます。  そういう点では、千葉市議会も実はおとといの二十二日に本会議で全会一致で三十人学級を求める意見書を採択しておりますけれども、本当に子供たちが大きなストレスを抱えて悩んでいる、じっくり聞いて学ぶ喜びを大切にできるように、教職員もしっかり授業の準備ができて、子供たちと人間的に触れ合えるように、そのためにゆとりをつくることは教育上極めて大切だ、こういう意見書の内容になっているわけです。  自治体が今こういう努力をしているときに国はどうするのか。二十一日の中教審答申を前にした共同通信社の調査、ごらんになっているように、二十八の県は三十人を下回る少人数学級の編制を検討すると回答しながら、しかし財政的には国の支援がないと厳しいと言っているわけですから、ぜひとも財政状況にかかわらず進めていく方向でやることが必要だというふうに思います。  チームティーチングの話がございましたけれども、これは実際どれぐらいかというと、六次改善計画では、六年間で公立小学校で八千四百四十一学級、これは全学級で比べますと三%ですよね。学級数というのは二十七万九千七百四十四学級あるわけですから、その中の三%ですよ。  そういう点では、今公立小学校で三十一人以上の学級で学んでいる児童というのは六四.九%もいるんです。三十一人以上の学級で学ぶ生徒は中学校では九一・八%、ほとんどが三十一人以上の状況というのが日本だというふうに思います。  私は、欧米の学級編制の状況についてこの資料を見せていただきました。文部省が補助金を出している「学校・学級の適正編制に関する総合的研究」というものですけれども、この中でも、小学校の一年生でイタリアが十五人、スウェーデンが二十二人、カナダが二十五人、ドイツが二十八人。四年生で見てもほとんど三十人以下になっているわけです。財政状況にかかわらず多くの国ではもう既に実現されている。これが欧米の水準だと思います。国としても真剣に取り組むべきだと私は思います。  さて、加えまして二点申し上げておきたいというふうに思います。御質問させていただきます。  深刻な不況による高校退学の問題、林委員また松委員からもございました。それで、私の地元の神奈川県でも特に私立学校の中退者は深刻でございます。先ほど奨学金の問題がございましたけれども、その採用基準と制度の周知徹底について伺いたいと思います。  これは、年二回の定期採用のほかに、主たる家計支持者が死亡または生別した場合、失職した場合は緊急の制度、応急採用というのがあるわけですが、この基準が、伺いますと、高校一年生では中学校の成績が三・三以上、高校二、三年生は二・八以上の成績というふうになっております。この基準はどうなのかと思います。むしろ、応急採用の場合は成績を要件にするべきじゃないと思うんです。というのは、家庭の状況が悪化していますから、アルバイトとか家業の手伝いとか、なかなか学習に集中できない状況なわけですね。ぜひこの成績の基準を含めて御一考いただいて、奨学金の応募をされた方にぜひともこたえていただきたいというのか一点。  加えまして、この制度が知らされていないのではないかと。私ども、あるベテランの先生に伺いましたら、国からも県かちも説明を聞いていないとおっしゃるわけです。ですから、こういうことを知らないまま中退する生徒がないように、私もいろいろな場でお知らせしたいと思いますが、文部省としてもしっかり広報宣伝していただきたいというのがもう一点でございます。  以上の二点、簡単に御答弁をお願いいたします。
  131. 佐々木正峰

    政府委員佐々木正峰君) 応急採用制度により、今回の不況等により奨学金が必要となった者に対しては適宜対応してまいりたいと考えておるわけでございますが、御指摘の学力基準につきましては、通常のケースよりは緩やかな基準で対応をしておるわけでございますし、また、家計基準につきましても急変後の所得を勘案するなど、弾力的な扱いをしておるところでございます。  この点、引き続き努力をしてまいりたいと考えておりますが、具体的にどのような対応をしていくかということでございますが、採用に当たっては、学校側から日本育英会へ該当者の連絡をするということとなっておるわけでございます。したがいまして、この制度については、やはり日本育英会の各支部を通じてそれぞれの学校に周知していくことが必要でございまして、来週には日本育英会から各支部にその周知徹底を図るための通知を発出する、そういう予定であると聞いております。
  132. 南野知惠子

    委員長南野知惠子君) 時間が来ております。
  133. 畑野君枝

    ○畑野君枝君 わかりました。ぜひお願いいたします。  最後に、サッカーくじの問題なんですが、私どもは実施の中止を求めておりますけれども、保健体育審議会のスポーツ振興投票特別委員会が公開されていないという状況です。ぜひ傍聴ができるように公開をして、日程の周知や会場の広さを確保してほしいという声がございまして、急いで実現していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  134. 南野知惠子

    委員長南野知惠子君) 時間が来ていますので、手短にお願いします。
  135. 遠藤昭雄

    政府委員(遠藤昭雄君) 手短に申し上げます。  保健体育審議会におきましては従来から報道機関に対しまして公開をいたしております。スポーツ振興投票制度に関する特別委員会というものを設けましたが、これにつきましても七月二十一日の総会で、総会と同様の公開をするということを決定をいたしております。しかしながら、この制度につきましては御要望もございまして、九月二十一日に開催されました特別委員会におきまして、一般国民の方の傍聴について委員の方々に御意見を伺いました。その結果、特別委員会としてはこれを認める方向で総会に諮ることについて了承を得ました。  この特別委員会会議の公開につきましては、保健体育審議会の総会で決定される事柄でございますので、次回の総会に特別委員会の一般国民への傍聴の可否についてお諮りをしていきたいと、このように考えております。
  136. 畑野君枝

    ○畑野君枝君 総会をできるだけ早く開いていただくようにお願いして、終わります。
  137. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 去る九月二十一日、中央教育審議会が今後の地方教育行政のあり方について答申をいたしました。それに基づいて法改正がこれから行われていくわけでございますが、地方教育行政の抜本的な見直しというのは、一九五六年の地方教育行政組織運営法制定以来四十二年ぶりになるというふうに思います。  ところで、かつて昭和六十三年の第百十二回国会で、当時の臨教審の答申を受けまして改正案が提出されたことがございます。その内容は、今回の中教審の答申でも触れられております市町村の教育長の専任化などが盛り込まれていたというふうに記憶しております。  それで、同法案は特に質疑も行われず、第百十七回国会で廃案となっております。当時、法案提出をなさいました文部省の立場から、この法案が成立しなかった点、どういうところが問題点であったのか、その分析をしていらっしゃると思いますが、御見解をお願いいたします。
  138. 御手洗康

    政府委員(御手洗康君) 成立しなかった法案につきまして私ども分析するのはなかなか難しいところがあるわけでございますけれども、六十三年三月に地教行法の、今委員指摘のような市町村教育長の専任化を含みます改正案を出しましたのは、当時、臨教審の答申を受けまして、教育委員会の活性化という観点から、市町村教育長につきまして、ぜひやはり委員とは独立してそれに専念できるようなということから私どもも法案を提出したわけでございます。当時、臨教審の答申を受けまして、例えば教育公務員特例法及び地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律案、いわゆる初任者研修制度を創設する法案でありますとか、あるいは教育職員免許法等の一部を改正する法律案ということで、免許状の種類、免許基準の見直しをいたしまして、社会人活用等のための免許制度の改善を図ったり、免許状の種類を専修免許状に直したりというようなさまざまな法案がございまして、審議ができなかったと。その後も審議が行われることなく、衆議院の解散が平成二年一月にございまして、それに伴って廃案になったという経過でございます。
  139. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 今回同じような趣旨の内容が盛られておりますので、その点を明らかに私はしておきたかったわけでございます。またいずれこのことにつきましてはお聞きすることがあるかと存じます。  次に、今回の答申では、地方教育行政法の第四十九条の規定、これは廃止の方向で見直すというふうになっております。つまりこの第四十九条というのは、都道府県教育委員会が県内の教育水準の維持向上を図る観点から市町村立学校の組織編制等に関する基準を設定できるという規定でございます。これを廃止の方向ということにされております。  ところで、今度は地方教育行政法の第四十八条でございますが、そこでは、文部大臣または都道府県教育委員会は、市町村等に対して必要な指導、助言、援助を行うものというふうに規定しております。この規定があるがゆえに、国や県による指導が必要以上に行われたり、指導ということが指揮、監督というふうにとられてきたということがあるのではないかなというふうに思うわけでございます。  そこでお尋ねいたしたいんですが、文部省による指導行政あるいは通達行政と言われてきたそういう中央集権的な体質、それを地方分権にということが今度の答申の趣旨ということも言えると思うんですね。そういたしますと、これまで文部省によるいわゆる指導行政というものがどういうものであったのか、これの御反省もおありになるだろうというふうに思いますが、現状というものに対してどのような御見解をお持ちでいらっしゃいますか。行き過ぎた指導もあったんじゃないかなという御反省も込めて、いかがでございましょうか。
  140. 御手洗康

    政府委員(御手洗康君) 地方教育行政の組織及び運営に関する法律の四十八条の、指導、助言及び援助、文部大臣並びに都道府県の教育委員会の権限に関する規定でございますが、これは実は教育委員会制度が戦後できました際の大変大きな、新しい教育行政推進のための理念の一つの柱でございまして、戦前は基本的に初等中等教育につきましても国の行政の一環を担うという観点から、指揮、監督、指示、命令という関係に基づきまして、地方長官を通じておりました初等中等教育に関します事務を、今後は地方自治の理念のもとに、国、都道府県は法的拘束力のない指導、助言、援助ということで行っていくと。それぞれの学校設置者である都道府県あるいは市町村が基本的に学校管理に責任を持つ。あるいは人事権についても、現在は小中学校については都道府県が、県立学校につきましては都道府県がそれぞれ持っておるところでございますけれども、そういった学校設置者を基本として学校管理行政を行える。その際の国と地方との関係を、基本的に拘束力のない指導、助言、援助に転換するという考え方でございます。  今回の中教審の答申におきましても、私どもといたしましては、現行の地方教育行政の組織及び運営に関する法律が持っております基本理念そのものについては変わらない。むしろこれをもっと推進するという観点から、先生も御指摘のように、例えば中教審の答申におきましては、学校の管理運営の適正を確保するという観点から指導、助言という考え方文部省や都道府県も強めに指導し、またあたかも法的拘束力があるかのように受けとめられる側面があった。そのことによって責任の所在が不明確になる、さらには指導がそのまま主体的な判断を加えられることなく受け入れられてしまうといったような、現実に見られます幾つかの問題点指摘されておるわけでございます。  こういった指摘につきましては、私ども自身日常の仕事をしておりましてかなり感じる部分もあるわけでございますので、今後は、この地方教育行政の組織及び運営に関する法律の四十八条の規定につきましては、答申に基づきまして必要な法律改正の準備もさせていただき、御審議もお願いしたいと思っているわけでございますけれども、それとはまた別途、そういった物の考え方ということにつきましては、直ちに私ども関係者の中で十分改めるべきところはあるわけでございますので、これはひとり文部省の担当者のみならず、各都道府県、市町村あるいは校長や教職員なども含めまして、この答申の趣旨というものを十分熟読玩味しながら今後の教育行政あるいは学校運営に生かしていきたい、このように考えているところでございます。
  141. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 今回の中教審答申では、この四十八条の規定を見直す、つまり義務づけを廃止するという方向を提言しております。ところが、地方自治法の第二百四十五条でございますか、そこにも文部大臣は都道府県等に対して指導できるということがあるわけでございますから、この際もう思い切って四十九条だけではなくこの四十八条も廃止するというくらいの決断が必要ではないか。久しい間、中央集権的な硬直性、画一性という文部行政が批判をされていたわけでございますから、そこまで踏み込んだ形での法改正になってほしいと、これから法改正が行われるわけでございますから、私はここで要望を申し上げておきたいと思います。  次に、今回の答申では学校評議員制度の創設というものが提言されております。  そこでお伺いしたいんですが、文部省としてはどのようにこの学校評議員制度というものの位置づけを考えていらっしゃるのか。例えば、今までのPTAなどの既存の組織との役割分担ということも問題になってくるのではないかというふうに思います。それからまた、学校評議員のメンバー、構成員でございますが、どういった方々がその構成員になるかによってまた性格も変わってくるのではないか。例えば、市民の多くの方々は、やはり構成員の中に当事者である子供も入れるべきではないかというお声もございますが、以上の観点も含めまして、その位置づけをお尋ねいたします。
  142. 御手洗康

    政府委員(御手洗康君) 今回中教審から行われました学校評議員の制度の導入についての御提言は、これまでの青少年健全育成協議会のように学校もその地域の一つのメンバーとして組み込まれて、地域、学校あるいは家庭等が一定の子供たちの健全育成のために、あるいは教育のために連絡、協力していくというような組織とは異なりまして、学校運営上の新たな仕組みとして、いわば学校の組織として各学校設置者の判断によって置いてはどうかということでございます。  答申での御指摘は、メンバーは校長の推薦に基づいて、最終的には教育委員会が委嘱するという形をとること。またその構成員につきましては、具体的には触れておりませんけれども、小・中・高等学校の別等に応じまして、学校区内外の有識者や関係者、関係機関、青少年団体等の代表者、さらにはPTAなども当然含むことになりますけれども、保護者などできる限り広い分野から委嘱することが望ましいこと。何よりもその職務といいますか評議員のしていただきます仕事の内容といたしましては、校長の求めに応じまして、教育活動の実施、学校と地域社会の連携の進め方など、校長の行います学校運営に関しまして意見を述べ、助言を行うといういわばアドバイザー的な役割を期待されているものでございます。  これを具体的にどうしていくかということにつきましては、中教審の御審議の際に各教育関係団体等さまざまな分野からの御意見を伺いました際にも、なかなかその評価につきましては、正直言いまして必ずしもこれでまとまる、一つのかちっとした方向でまとまるということではなくて、ようやくこの中教審の御答申いただきましたような幅で、今後地域の実情に応じて設置者の定めるところにより置くと。できればその際に全国的な制度として明確にした方がいいといったような御意見も含めまして御提言がございますので、これを法令上の位置づけも含めましてどのような形に具体化をしていくかということにつきましては、今後教育関係団体等の方々の御意見等も踏まえながら、文部省の方におきまして具体的な形にまとめてまいりたいと思っている次第でございます。  生徒の問題につきましては、中教審の中でも諸外国の学校評議会の例等を挙げましてそういった御意見があったことは事実でございますけれども、中教審の答申の中には生徒までその構成員に含めるという考え方はとっていないわけでございまして、これは私ども考え方では、子供の自主性自発性の発揮というのは、現在、生徒の自主的な活動ということで学校の特別活動等の分野、あるいは生徒指導というような領域で正面から教育活動として実施しているというような我が国の学校教育基本的なあり方というものにかかわってまいりますので、今後の検討に当たりましても、生徒の問題につきましては別途に検討させていただきたいと考えているところでございます。
  143. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 今、位置づけについては校長のアドバイザー的な役割だというふうにおっしゃったわけでございますが、アドバイザー的役割というのが具体的にどういうことなのか、これはこれから詰められていくんだろうというふうに思います。  イギリスの場合でございますと、学校理事会というのがございまして、これは保護者や校長、教員、それに地方当局の職員が入っておりますけれども、その権限というのは、人件費を含む予算の運用、また教員の実質的な任用権まで持っているという、そういうスクールガバニング、まさにスクールガバニングの機関がございます。  そのイギリスの例なども含めまして大臣にお尋ねしたいのでございますが、学校運営に対していわゆる保護者あるいは地域社会というのは一体どこまでかかわった方がいい、あるいはかかわるべきだとお考えでいらっしゃいましょうか。
  144. 有馬朗人

    国務大臣有馬朗人君) これは今後少し慎重に検討させていただきたいと思っておりますけれども、イギリスはイギリスの伝統があるかと思います。また、日本日本として今後考えていくべきことがあろうかと思っております。  学校評議員制度につきまして、中央教育審議会において導入について提言されたところでございますけれども、この制度は従来の青少年健全育成協議会のようなものとは異なると考えております。学校運営上の新たな仕組みとして導入されたものでありますので、法令上の位置づけ等も含めて、教育委員会関係団体、校長会、PTAなど関係者の意見を聞きながら、地域の実態に合わせて円滑に導入していかなければならないと考えております。今後さらに慎重な検討を加えさせていただきたいと思っております。またあわせて、教育委員会関係団体等においても、その具体的なあり方についてそれぞれ検討を行うようお願いをしていきたいと考えております。今検討中であるということを申し上げておきたいと思います。  私の感じでは、例えば総合的学習の時間というものが行われますが、そういうものの中でどういうことを地域社会が教育してほしいかということなどは、こういう評議員にお聞きすることができるのではないかと考えております。  一例を申し上げました。今後の検討を待ちたいと思っております。
  145. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 ぜひとも形骸化しないような、そういうせっかくの提言でございますから、このような制度を生かすような方向にお願いしたいと思います。  次に、六月三十日でございますが、大学審議会から「二十一世紀の大学像と今後の改革方策について」、その中間まとめが発表されております。  ところで、文部省の試算によりますと、大学の進学率は平成二十一年度には五八・八%、そして大学志願者に対する収容力は一〇〇%になるという試算を出していらっしゃいます。  進学率の上昇、学生の量的拡大ということが高等教育に及ぼす影響というのは非常に大きいというふうに思います。例えば、量的な拡大というものが、高等教育機関の質の確保をどうするのかということ。あるいはまた、平等を図れば質の確保が難しくなるかもわからないという可能性。あるいはまた教育研究、これが大学の二つの主要な機能でございますけれども、そのどちらかに分化されてしまうのではないか、それをいかに統合していくのかというような問題。あるいは、大学目的というのが、例えばアメリカのカレッジのように一般的なリベラルアーツ、教養を目的にして、大学院で専門になるというふうな形に持っていくのかどうなのか、そうすると大学院と大学とはどうなるのか。あるいはまた入学試験も入り口で規制するのか、あるいは出口、今回の答申では出口で規制するということになっております。あるいはまた入り口も出口も規制しないのかというふうな、私、今四つぐらい申し上げましたけれども、いわゆるマス化と言われているそういう時代、高等教育あり方というのはさまざまな問題を含んでいると思います。  東大総長でもあられました大臣の御見解を、御経験を踏まえて、いただきたいと存じます。
  146. 有馬朗人

    国務大臣有馬朗人君) お答えになるかどうか心配ですが、率直に申しまして大変難しい時期だと思っております。  まず第一に、日本の特殊事情というのがある。それは、国公私立という三つの形態がある。そして、特に私立には建学者の精神というものがあります。しかも、日本だけが七五%以上の学生諸君を私学に教育をお願いしている。これは世界的に見ても異例に多いわけですね。そういうようなときに、御指摘のように五〇%以上が高等教育に入っていく。  それで、すべてが同じ形の大学であるべきだと私はちっとも思わないんです。事実、大学審議会の方のまとめでもそのことが指摘されております。第一に、教養を中心とする、先ほどアメリカのカレッジを例としてお出しいただきましたけれども、すぐれた教養教育教育するところ、こういう大学があってしかるべきだと思います。それからまた、アメリカやフランスで申しますとポリテクニクという徹底的に専門家を養成する、こういう大学があってよろしいかと思います。それからまた、さらに大学院へ進んでいくというような格好で、より研究向きの人材を養成していくというような大学があってもよろしい。それぞれの大学がしっかりした目的を持ってやっていくということが今後要求されることであろうと思っています。そして、その際には、すべての大学が全く同じスタイルでやっていくということはもうこれは不可能だと思う。しかも、やるべきではないと私は思っているわけです。  その際に、一つ私自身がこの十年大変頭を痛めてまいりましたことは、研究者という気持ちが非常に強いんです、大学の教員は。これは世界的にそうです。あなたは何ですかと言うと、教育者と言う前にまず研究者だと答えるのが大学教員の気持ちです。しかしながら、今日のように極めて高等教育が大衆化した段階においてそうでいいんだろうかということが、私がこの十年頭を痛めてきた問題でございます。少なくとも学部教育に携わる者は五〇%以上の時間を研究者ではなく教育者として使ってほしいと私は思っているわけです。もっと積極的に言えば、学部教育というのは教育であるということを徹底的に打ち出してもいいんじゃないかと思います。  ただ、重要なことは、高等学校あるいは中・小といささか違うところは、やはり大学の教員というのはどこかで一度研究生活を送った人がやる方が私はいいと思うんです。そういう意味で、大学の教員がどこかで研究者であったというような実績を残しておくことは教育の上で非常にいいことだと思っています。しかしながら、いつまでも常に大学教員が研究が中心であるという考えはこの際少し改めていかなければならないと思っております。  以上、お答えになりましたかどうかわかりませんが、私の考えを申し上げました。
  147. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 大学あり方あるいは大学院のあり方につきましては、また折々御質問をさせていただいて、御意見を承りたいと存じます。  今回の中間まとめでは、大学の自己評価・点検というのを義務づけております。文部省平成八年十月現在の調査によりますと、国公私立大学で約八五%の大学が自己点検あるいは評価を実施しているというふうに私は聞いております。  ところで、文部大臣は、東大の総長時代に、いわゆる東大白書と言われた「東京大学 現状と課題」その一を編さんなさっていらっしゃいます。たしか六百三十ページぐらいに及ぶ膨大な自己点検の記録をおまとめになっております。読ませていただきましたけれども、自己点検というよりセルフスタディーというふうにとらえていらっしゃるようにお見受けいたしましたが、自己評価とおっしゃっているんじゃなくて、自己点検というふうにおっしゃっていたというように私は記憶しております。  そこで、「発刊の辞」の中で、これからは「社会各方面から東京大学に対する建設的な提言が寄せられることを期待したい。」、そしてまた、それは同時に、本学の構成員である方々も自省すべきことは自省するというふうに有馬総長のお言葉で書かれておりますが、このいわゆる東大白書の内外への影響ということ、そのことの自己点検をも含めてお言葉をいただきたいと存じます。
  148. 有馬朗人

    国務大臣有馬朗人君) 自己点検をいたします。  まず第一に、あれは平成二年から三年にかけてであったと思いますけれども、国じゅうの大学が自己点検・評価を嫌がった時代であります。教育において自己点検、自己評価という評価を非常に嫌がった時代でありますけれども、やはり私といたしましては、国のお金を使わせていただく、あるいは、私学でいえば保護者のお金を使わせていただく以上、しっかりとした自己評価、自己点検を行うべきだという考えであの白書をつくらせていただきました。  その際に、私は自己点検ということを主に使いました。なぜならば、評価というのは、自分が自分を評価することはできないという考えに基づいているからであります。  しかしながら、途中で、やはり自己点検、自己評価ということがあり得るという気持ちになりました。その理由は、研究者一人一人は自分の点検をするのが精いっぱいで、自分の評価というのはなかなかできません。しかしながら、それが学部長に提出されますと、学部長は各教員あるいは教官の教育及び研究における実績について比較することができるようになる、こういう点で点検になってまいります。評価になってまいります。さらにまた、学長のところにその結果が出されますと、学長の段階では各学部の比較をすることができます。どこに問題があり、どこがすばらしいかというようなことができる、そういう点で一つの評価が行われ得るということを認識するに至りました。  しかしながら、じゃ東京大学がどのくらいの力を持っているか、京都大学がどうか、慶応がどうかということは、各大学の学長によっては自分自身を評価できないと私は思っている。したがって、やはり他者評価、第三者評価というふうなことが必要であろうという気持ちになってまいりました。  したがって、東京大学の理学部物理教室におきましては、私が総長をやめる直前でございましたけれども、外国人を含めた他者評価を行うことによって、現在どの程度の実力を持っているか、何が問題か、例えば建物が非常に悪いとか、研究室が極めて不十分だとか、こういうことも含めて他者評価をやってもらうことによって、大いに我々の将来をどうしたらいいかということがわかりました。そういう点で、先ほど御指摘がありました白書並びに第三者評価というふうなことをやりまして、やはり今後日本大学、東京大学だけではなく、日本大学がどういうふうにしていくことによって充実できるだろうかということをみずから認識することができたわけであります。これが自己評価でございます。
  149. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 今、大臣もおっしゃいましたように、外部、第三者による評価ということが非常に重要だと、そのことをお感じになったという御感想でございますが、そうしますと、外部の第三者機関による評価の実施というのはやはりその重要性にかんがみて制度化すべきではないかというふうに思います。それと同時に、その評価あるいは点検の結果を広く国民に知らしめる、国民だけではなくて外国も含めまして、いわゆる今のはやりの言葉で言えば情報開示ということが必要だというふうに思いますが、その二つに関して具体的な方策を今文部省として考えられておりましょうか。もしおありでしたらおっしゃっていただきたい。
  150. 佐々木正峰

    政府委員佐々木正峰君) 第三者機関が行う評価の目的といたしましては、多様な観点からの第三者評価を行いまして、評価結果をそれぞれの大学にフィードバックしたいと。それによりまして各大学の自己点検、自己評価をより充実したものとし、教育研究活動の質的充実に向けた各大学の主体的な取り組み促進してまいりたいと考えておるわけでございます。  また、教育研究活動のみならず大学のさまざまな活動、例えば学術文化面での社会的貢献なども多面的に評価をし、公共的な機関としての大学が設置、運営されていることについて広く理解を求める、そういうふうなことにも評価ということの機能を生かしてまいりたいと考えておるわけでございまして、これにつきましては大学審議会の中間まとめにおいて、「速やかな対応が望まれる。」と第三者機関の設置について述べておるところでございます。  文部省といたしましては、これを受けまして所要の概算要求を行い、第三者機関による評価のあり方、評価の方法などについて研究をしてまいりたいと思っておるところでございます。  なお、第三者機関が行う評価の結果でございますけれども、その評価結果につきましてはこれを幅広く公表し、それもまた評価の対象としていくということが適切な評価のためには必要であると考えておるところでございます。
  151. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 必要性は私も大臣も認めておりますので、それをいかにして制度化するか、つまり制度化するための具体的な方策があるかないかということを私はお聞きしたわけです。必要性についてお述べいただくということではなく、その具体的な方策はまだございませんか。あるかないかだけ。時間がございませんので、済みません。
  152. 佐々木正峰

    政府委員佐々木正峰君) 十一年度概算要求におきまして人員措置と所要経費の要求を行っておりまして、それらを用いまして評価のあり方について具体的な研究を進めてまいりたいと思っているところでございます。
  153. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 ぜひともそれをきちっとした制度にしていただきたいということを強く要望しておきます。  それから、文部大臣もおっしゃいましたように、外国人による評価ということもこれから国際化の時代に必要だと思います。先般、神奈川の総合研究大学大学に参りましたときに、そこでの評価というのは外国の方を二名、第三者の方にお願いするということを承っております。ぜひともそういうことを進めていただきたいというふうに思います。  さて、ことしはキュリー夫妻がラジウムを発見してから百年でございます。大臣にもお名前をいただいておりますラジウム発見百周年記念事業委員会というのがございます。私も名前を連ねさせていただいておりまして、文部省あるいは科学技術庁からも後援をいただいておりますが、私は、非常に女性科学者について改めて考えるというふうな機会をいただいたというふうに思います。  ふえてきたとはいいながらも、しかしながら男性に比べるとまだまだ女性科学者の割合というのは非常に低いわけでございます。文部省の統計を拝見しますと、国立大学校及び研究機関における女性教員・研究者の割合というのは、一九九五年で七・一六%しかないということであります。それがさらにいわゆる理工系ということになりますと、もっともっと割合が低くなってしまいます。女性の専任教員の割合というのは、アメリカの場合はもう三〇%を超えているわけであります。そういう点から見ますと、我が国の場合、男女平等というふうに言われていながらも、やはりこの視点から見ますと非常にまだ不平等であるということがわかるわけであります。  女性の研究者の能力が劣っているというわけではないというふうに思います。これは、物理学御専攻で権威者でいらっしゃいました大臣はそう評価なさってくださっていると思うわけでございますけれども、特にまた男性にはない柔軟性があるとか、女性にこそいい面があったというふうなことも御評価いただいていると私は信じております。そういう御経験も踏まえまして、これから文部省としてあるいは大臣として女性研究者をふやすための何らかの具体的な対策というものをお考えになっていらっしゃるのかどうか。  それからもう一点は、大学における教員・研究者だけではなくて、専攻分野において男女の違いというのが非常に著しいわけであります。一言で言えば人文科学系へ女性は集中する、そして理工系には過疎であるという傾向はいまだに続いております。それはやはり高等教育だけではなく初等中等教育においてもそういう傾向を是正できないでいる問題点もあるのではないかなというふうに私は思います。  最近、国際数学オリンピックで日本の女子高校生が金メダルをもらったと。これは大変にうれしいことなんですが、いまだにこれはやはり例外的なんですね。中学における数学教師の男女比を見ますと、男性が七二%を占めているというんですね、男性教師が。これは国際平均でいうと、男性が四七%、むしろ女性教師の方が五三%で多いというんです。日本の場合は全くそれが逆であります。他の先進国におきましては、例えば私が経験したことでございますが、イギリスなんかでは、中等教育におきまして特に女性がそういう特別な専攻分野に偏らないための特別なカリキュラム、プログラムなどもつくっているようでございます。  そういうことを含めまして、これからの専攻科目とそれからジェンダーの問題につきまして、これは私、時間がないのでまとめて今しゃべってしまいましたけれども、まず文部大臣、そしてまたこれからの科学技術振興ということに命をかけていらっしゃると思います科学技術庁長官、お二方に御意見を承りたいと存じます。
  154. 有馬朗人

    国務大臣有馬朗人君) 率直に申しまして、五十人ほど博士をつくりましたけれども、その中で博士の数は女性は少なかったです。しかし、アメリカ人も含めまして五十人ほど博士をつくっていく中で一番よくできたのは女性でありました。今ルント大学の教授をしております。これは明らかに一番よくできた。そういう点で私は、女性が科学に向かない、特に理論物理のようなものに向かないとは思っておりません。しかしながら、マダム・キュリーの研究などを見ていますと、女性の特別な才能がマダム・キュリーによって発揮されていたと思うんです。辛抱強く実に丁寧に分析をしていく、こういうやり方というのは女性に向いているかもしれません。しかしながら、すぐれた女性科学者というのは十分女性の中から出てきていると思います。  それから、日本の問題でございますけれども、これはやはり社会の問題があろうと思います。アメリカの大学の教員採用の際には必ず大学の方から、まず最初に少数民族から選べ、もし少数民族がいなければ女性を選べ、女性がいなかったらほかの人を選べというようなことが大学の方から指令が参りまして、今はもうなくなったかもしれません。こういうふうな方策がいいかどうかということは、私は文部大臣として今多少慎重にならざるを得ない。やはり、自発的に女性の方たちが社会環境の中から、苦労をなさると思うけれども、やはり御自分の力で伸びていかれることを望んでおります。それに対して多少教育の上でもさまざまな点で御援助申し上げたいと思っておりますけれども、やはり根本的には女性の方の御努力にまたなければならないのではないかと思っています。  小中高の中で理科が向いているか向いていないかということでございますが、女性の理科の勉強の進捗状況は非常にすぐれておりますので、私は将来楽しみにしております。むしろ、男性もう少し頑張れと言いたいぐらい女性が頑張っているということを申し上げておきましょう。  そういうことで、急激に女性の科学者がふえていくということを私は信じている次第でございます。
  155. 竹山裕

    国務大臣竹山裕君) おっしゃるとおり、昨今の若者の科学技術離れに大変心を痛めているわけですが、女性の研究者につきましても、過去に先端的科学技術研究者に対して調査を行いまして、女性研究者の少ない理由といたしましては、出産、育児、介護等で研究が継続しがたい、自然科学系統の女子学生が今お話しのように少ない、また三として受け入れ体制が整備されていないというような回答が四割を超えたほかに、女性研究者御自身から女性研究者の処遇が低いなどという回答も多く寄せられております。  そこで、女性研究者が増加するには、育児・介護休暇制度等各種制度の一層の整備を図って、女性研究者が働きやすい環境をつくっていくことが必要条件だなと認識しております。  また、産学官の研究者全体に占める女性研究者の十年間の人数の増加率といいますか、十年前三万六千人であったのが、現在六万八千人というような割合での伸び率の数字も出ているかと思っております。  科学技術創造立国という意味では、まずそうした女性研究者の働きやすい環境づくりと、女性の研究者が働き続けることができる要因ということでもありませんが、男女雇用機会均等法成立以後、特にフレックスタイムの導入という面では実態面でこの制度が効果を得て評価されているということも聞いておりますので、こうしたものについてもなお一層の認識を深めていきたいと思っております。  ちなみに、私ども科学技術庁関連では宇宙飛行士が五名おりまして、その中に向井千秋さんという、この秋には二回目の挑戦をするドクターもいるわけでございまして、大いに今後とも私ども科学技術創造立国のためのPRをして、次の世代の若者たち、なかんずく女性の皆さん方にそうした理解をつなげていくことが大事なことだなと思っております。
  156. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 先ほど有馬大臣が、女性の科学者あるいはまた女性の教員の割合を高めるためには多少というふうなお言葉をお使いになった。多少国が援助しなければと。多少じゃなくて私は大いにしていただきたい。そのお言葉をちょっと、ちょっとじゃなくて撤回してほしい。多少の多の方だけで少はやめていただきたい、多い方だけにしていただきたいと思うんです。  女性の自覚とおっしゃいましたけれども、もう今までずっとその女性の自覚論で来て、こういう結果なんですね。だから、女性は自覚をうんとしています。しかし、機会も平等に与えられているようではございますが、社会的、文化的な背景あるいはさまざまな要因で能力を、有馬大臣がお認めいただいている女性の能力が発揮できないというその現状を女性の自覚のみに責任を帰するということは、やはり大臣の言葉としては私は満足できませんし、撤回していただきたいというふうに思います。  今聞きますところ、国立教育研究所の数学教育研究室で数学とジェンダーという研究が行われていると聞いております。そこの室長はたしか女性だったと思います。ぜひとも大臣よくお聞きになりまして、経過などもよく御報告をお受けくださいまして、これからの女性研究者、そしてまた専攻科目において男女の差がない、そして女性研究者が本当に自分の能力を、結婚、出産、そういったことにかかわらず伸び伸びと発揮できる、そのことが未来の日本をつくっていくということを再確認をしていただき、対策をよろしくお願いいたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
  157. 扇千景

    ○扇千景君 今国会は会期が七十日でございます。きょうは五十六日目、やっと両大臣のお顔を拝見しまして質問時間を持つことができましたけれども、その時間も二十八分しかございません。その中で全部伺いたいと思ってもかなり無理がございますので、同僚議員の質問に重ならないところだけ伺いたいと思います。  また、有馬大臣におかれましては、東大の学長であり、理化学研究所の理事長、そして科学技術会議委員、行政改革会議委員でありましたし、中央教育審議会の会長さんでもいらっしゃいました。日本の今までの教育、そして学術科学の各方面において造詣がお深いのはもとより、日本のそういう面に大きな影響を与えてこられたというその貢献度に対しては私ども本当に心から敬服しているところでございます。  けれども、今度国会にお入りになって大臣におなりになって、今まで関係のあった文部省科学技術庁ともに眺めていらして、何が変わり何が変わらないのか、何を変えたいのか、時間がありませんけれども、一言おっしゃっていただければありがたい。
  158. 有馬朗人

    国務大臣有馬朗人君) 文部省には文部省の伝統があり、科学技術庁には科学技術庁の伝統があると思います。しかし、ともに科学技術ということに関して大いに関係があるのでありまして、今まで縦割りのよさを随分発揮していた面がある一方、多少その縦割りのために損をしていたようなところもあったと思います。  それが、統合ということにすぐになるならないは別といたしまして、文部省科学技術に関する力と科学技術庁科学技術に関する力とが協力をしていくということはすばらしいことであると思っております。まず、この協力体制に入れたということがすばらしいことだと思っております。
  159. 扇千景

    ○扇千景君 たくさんありますけれども、せっかく両大臣おそろいでございますので、今までの視点と違って、有馬文部大臣は行政改革会議委員でもいらっしゃいましたので、今後二十一世紀に向けて、しかも昨年の通常国会で私どもは中央省庁等行政改革基本法を成立させました。そして、二〇〇一年から二十二の中央省庁体制を一府十二省に再編するということになっております。文部省科学技術庁が新たに教育科学技術省となります。  そして、大臣はこの委員会にお入りになってお気づきかどうかわかりませんけれども、参議院ではそれを先取りいたしまして、私どものこの委員会は文教.科学委員会という名称で、新しく中央省庁の統合に先駆けて参議院改革の一環としたんですけれども、今こうして両大臣お並びですから、きょう一日お座りいただいても片方の大臣にはほとんど質問がなかったり、そういう二つを一つにするだけでまだその実を上げていないというのが実情でございますが、私は二〇〇一年の行革に対して両大臣の御意見を端的に一問一答で伺っていきたいと思いますので、御協力賜りたいと思います。  まず、単に二省庁足しただけの名称は余りにも能がないと思うんですけれども教育科学技術省の名称に対してどういうお考えでしょうか。
  160. 有馬朗人

    国務大臣有馬朗人君) これは御承知のように長過ぎるという問題が一つございますね。ですが、やはり科学技術という有用なものをどう考えていくかという大変基本的な問題があると思います。  このため、中央省庁等改革基本法でどう書いてあるかというのを見てみましたならば、「新たな省の名称については、これを設置する法律案の立案までの間に、当該省が担う任務をより適切に表す名称となるよう検討を行うこと及びその結果に基づきこの法律において規定するものと異なるものとすることを妨げない。」と規定されております。  こういうことがありますので、もしこれをさらに積極的に早く決めなきゃならないなどということがありますような場合には、科学技術庁とも御相談の上で検討を進めさせていただきたいと思っております。これだけの教育文化科学技術全部をこういうふうに入れていくというのはなかなか難しいと認識しております。
  161. 扇千景

    ○扇千景君 時間がありませんから、次の問題に移ります。  基本的には現在の文部省科学技術庁がそのまま移行することになっているんですね、現段階の表を見ますと。私はそれは大変不完全だと思うんです。私は、やっぱり教育行政は地方分権等によって、国としてむしろ必要最小限の行政にとどめて、新しい省はもとより研究に重点を置いたものにすべきだと思うんですけれども、この両方をそのまま移行するようなことに対して科学技術庁長官のお考えはいかがでしょうか。簡潔にお願いします。
  162. 竹山裕

    国務大臣竹山裕君) なかなか難しい、一言では御返事のできにくいことではございますが、現在、行政改革の基本法に基づきまして、前政権に引き続いて大きな政治課題として、今後とも政治日程の中で、私どもとしては、まさに科学技術創造立国としての最重要政策の一つとして認識しておりまして、総合科学技術会議あるいは教育科学技術省というものを通して創造的な科学技術行政体制の整備ができればという意気込みで、今後とも具体化に向けて精力的に取り組んでいきたいと思っております。
  163. 扇千景

    ○扇千景君 たくさん伺いたいので、端的に。両大臣ともまさにお答えが縦割りだと思います。  そういう意味では、国家戦略上、情報と生命科学、地球などの研究開発重要性は今後二十一世紀に向かって極めて大事だと私は思うんですけれども、新しい省がその役割を果たせるんでしょうかどうか、その辺もちょっと御意見を伺いたい。
  164. 有馬朗人

    国務大臣有馬朗人君) まさに二つの省及び庁が協力すれば、今御指摘の生命とか宇宙とか、そういうことにすばらしいものができると思います。
  165. 扇千景

    ○扇千景君 そうしますと、科学技術庁、今までやってまいりまして、まあ有馬先生の御専門でもございますけれども、原子力、宇宙開発などの、目的が明確でかつ研究も固定している、そういう巨大な事業と基礎研究、そしてまた研究開発一緒にすることの是非は、科学技術庁長官どうお考えでしょうか。
  166. 竹山裕

    国務大臣竹山裕君) お話しのとおり両々相まって大切でありまして、前半の方がより優位になってはいけない。特に基礎研究については、第一バッターとして先を走ろうとやってきましたところが、ここへ来まして、アメリカを初め欧米先進国に比べて特に基礎研究の分野でおくれをとっているという認識が高まっておりますので、まさに両々相まつべきもの、こう思っております。
  167. 扇千景

    ○扇千景君 科学技術庁長官から先はどちらっとお話しになりましたけれども有馬大臣の専門でもございますけれども、いわゆる原子力行政というもの、そしてエネルギー利用との関係、そういうものに関して、技術開発は経済産業省、そして科学技術学術研究に関しては教育科学技術省担当、こういうふうに分離されるわけですけれども役割の分担がうまくいくとお思いでしょうか。いかがでしょうか。
  168. 有馬朗人

    国務大臣有馬朗人君) 私はいくと思います。  すなわち、科学技術庁で今までやってこられました原子力の中の基礎部門、先ほども御議論がありました核融合、こういうもの、あるいは今さまざま問題になっておりますけれども増殖炉、こういうふうなものはまさに基礎研究なわけですね。こういうところを本当にこれからどうしていくかということは、基礎研究を固めていかなければできない。  この点で、私はやはり、科学技術庁の傘下にあります研究者と、大学の傘下にあります研究者が共同してさらに新しい考え方を進めていくということは非常に大切だと思っております。
  169. 扇千景

    ○扇千景君 私、これから大事なことだと思うんですけれども、内閣府のもとに今度は総合科学技術会議が設置されます。そして、その下に今までの原子力委員会と原子力安全委員会が置かれることになっています。私は、この原子力委員会と原子力安全委員会の両委員会特色を生かす体制考えるべきだと思いますけれども、これは両大臣に伺いたいので、科学技術庁長官から。
  170. 興直孝

    政府委員(興直孝君) お答え申し上げます。  ただいまの先生の御質問に関してでございますけれども、総合科学技術会議が内閣府に置かれることとなってございまして、また、原子力委員会及び原子力安全委員会は内閣府に置かれる形となっております。  しかしながら、それぞれの三機関関係におきましては、国の総合科学技術政策、戦略を構築したり、さらには評価を行ったり、そういうふうな観点から総合科学技術会議は位置づけられるものでございまして、また、原子力政策並びに原子力安全政策、そういうものを所掌する委員会として両委員会が内閣府に置かれるもの、このように理解してございます。
  171. 有馬朗人

    国務大臣有馬朗人君) これは私確認をしなければいけないことなので申しわけありませんが、総合科学技術会議と原子力委員会あるいは原子力安全委員会との関係というのは上下関係ではないと思うんですが、いかがですか。それほどはっきりと上下関係ができているわけではないと思いますが、ちょっとお確かめいただきたいと思います。
  172. 興直孝

    政府委員(興直孝君) お答え申し上げます。  先ほど御説明申し上げたのも、まさにそういうふうな意味お答えしたものでございます。
  173. 扇千景

    ○扇千景君 私は、今までの両委員会が、今、有馬文部大臣は縦割りではなくて、上下関係ではなくてとおっしゃいますけれども、そうすると、この総合科学技術会議というものの総合というのは何を意味するのかと。これはまた別になってきて、三つが横に並ぶのかということになると、私はそれはまたお互い特色がおかしくなってくるんじゃないかなと思いますので、これはまだ先のことでございますから、きょうはその程度にさせていただきたいと思います。  それからまた、八十を超えるいわゆる国立の試験研究機関、これは私は、今後国立の試験研究機関の再編をどうしていくのかということに関しては、各省庁の縦割りの研究所、これ全部縦割りになっていますから、これをどうするのかと。そしてまた、それぞれの研究所の統合を進めることができるのか、あるいはエージェンシー化する環境をどうするのかということに関しても、これも両方の大臣にちょっと伺いたいと思いますけれども、まず有馬文部大臣から。
  174. 有馬朗人

    国務大臣有馬朗人君) 大変難しいところでございまして、行革の際に議論したことを思い出してみますと、国の行政の目的のための研究は、それぞれの省庁目的に合わせてそこに附属させるということであったと思います。しかしながら、御説のように、同じような研究がさまざまな研究所で行われている場合にどうするか、こういうことについては総合科学技術会議のもとでさらに検討をするというふうな格好であれはおさめられたと覚えております。  ですから、国立研究所をどうするか、その点に関しての議論というのは今後さらに検討を加えていかなければならないものと認識しております。
  175. 扇千景

    ○扇千景君 ちょっといいです、お答えが多分同じようなお答えになろうと思いますので。  要するに、私が申し上げたいのは、少なくともこの行政改革というものに対して、今それぞれがこれから二十一世紀に向かって努力するとおっしゃいますけれども、先ほど同僚議員の質問有馬大臣が答えて自己点検・評価ということをおっしゃいましたけれども、まさに私は、それぞれの省庁の自己点検をして、そして総合的な評価でもって二十一世紀に対応し得る、また二十一世紀に世界の中で生きていける科学技術レースに日本が参画していく、また先頭を切るぐらいな勢いでなければ、その意味の行政改革の文部省科学技術庁の統合でなければならない。私はその実が上がるというふうに信じていますけれども、それぞれ経験の大臣がお座りになりましたので、ぜひ私はこの両省庁でその実が上がるように希望して、時間がないのでこの問題を終えたいと思いますけれども、今そのことを要望だけしておきたいと思います。  話題を変えます。  NHKに伺いたいと思いますけれども、放送受信料の免除措置、各学校に対して平成十一年度から放送受信料の免除をやめたいとかやめていただきたいとかという要請を文部大臣にしているようでございますけれども、現状を教えてください。
  176. 芳賀譲

    参考人芳賀譲君) NHKの営業を担当しております芳賀と申します。よろしくお願いいたします。  NHKでは、主として放送の普及という見地から受信料の免除を実施してきております。この免除した額というものは結局一般視聴者の負担によって成り立っているわけでありますが、その普及という観点から考えますと、おおむねその目的は達成されたのではないかというふうに考えております。  また、施設についての受信料の免除でございますが、この点につきましては、先生御存じのとおり国会の御指摘もありまして、行政で負担してもらうべきだ、こういう御指摘をいただいております。そういうこともございまして、昭和五十三年度以降、大学、高等学校など順次免除を廃止させていただいてきております。  今日、多チャンネル時代を迎えておりまして、放送を取り巻く環境が大きく変わってきておりますけれども、公共放送NHKとしてこの使命を果たしていくというときには、財政基盤、財政の安定ということは大変重要だというふうに考えております。ただ、現在のこのような厳しい経済状況の中でありますと、国民の皆さんに新たに負担をしていただくという、値上げというようなことは到底考えるべくもない厳しい状況だというふうに認識をしているところでございます。  こうした考えに立ちましてNHKはずっとコンパクトな業務運営に努めてきておりますけれども、受信料負担の公平を期すという観点からも、学校それから社会福祉施設に対する施設の免除措置、これは段階的に廃止させていただきたいというふうに考えております。  現在、電気、ガス、水道、電話など、ほかの公共料金は行政が負担しているわけでありまして、同様に負担していただきたい、こう考えておりまして、当面、十一年度につきましては、学校の校長室、職員室について免除措置の適用から外させていただきたい、こう考えておりまして、現在、関係省庁、自治体等々について理解を求める活動を続けているところでございます。
  177. 扇千景

    ○扇千景君 今、文部大臣お聞きになったようなことで、これ金額にしますと、わずかというと怒られますけれども平成年度で百五億なんです。  今回は校長室、職員室ですけれども、次々とNHKさんの場合には普通教室も全部していきたいという希望、今のお話のとおり。ですから、地方行政に対する負担というのがこれ全部かぶっていくんですね。そして、有馬大臣御存じのとおり、これからのいわゆる情操教育、通信教育、あらゆる新しい教育には、これからコンピューターもインターネットも全部学校に、アメリカ等々に、欧米諸国に通じるようにしていかなきゃいけない、それだけの費用をもっとしていかなきゃいけない。  ですから、せっかくNHKさんに今まで受信料を免除していただいたそのお金で、次の学校の施設にインターネットなりあるいはワープロを子供たちに一台与えられるような、そういう施設に回して初めて私はNHKさんが今まで貢献してくださったことも生きてくると思うんですけれども、そういうことに対して、文部大臣の御感想を伺いたいと思います。
  178. 富岡賢治

    政府委員(富岡賢治君) 先生もよく経緯を御案内のことでございますが、小中学校の放送受信料につきましては、確かに昭和六十三年度以降、日本放送協会の方から受信料免除措置の廃止の要望がございますし、また本年八月にも同様の要望書をいただいておるわけでございますが、他方、私ども、各都道府県の教育庁の方々からは、これの継続につきましてはぜひともということで要望もいただいているところでございます。  今、先生からお話がございましたように、小中学校の放送受信料の免除は、これらの学校におきます教育放送の意義や役割、それから児童生徒の学習理解促進など、教育に貢献する点や日本放送協会の公共的性格等にかんがみまして、七十年にわたりまして継続されてきたものでございまして、文部省としましては、現在におきましてもこりした趣旨は基本的に変わっていないという認識を持っておるわけでございますので、このような免除措置が今後も継続されることを強く望んでいるわけでございます。また、学校関係者からも強い要望を受けているところでございます。  大変難しい点がございますけれども、そのような状況でございます。
  179. 扇千景

    ○扇千景君 NHKさんの気持ちもわからなくありませんけれども、これは文教委員会でございますので、ぜひ私は文部大臣に、そういうNHKさんが今まで与えてくださった特典の部分を、ぜひ新しい機材を学校に入れられるように今後も努力していただきたいということにとめておきたいと思います。  それから、先ほど何か広島の話がやたら出てまいりましたけれども、この間の夏休み、これやっぱり広島県なんですね、申しわけないんですけれども、広島県の亀井先生もそこに座っていらっしゃいますけれども。広島県内の公立の中学校で夏休みの宿題として配付されました学習帳でございます。ここに手元にございます。この中で、「夏の生活 社会科」に対して、余りにも内容が反目的な思想に偏っているとして保護者団体から県の教育委員会に是正の要望が出てまいりました。  この中で、保護者の方の要望の中には、朝鮮人の強制労働の問題を取り上げて、当時の過酷な労働条件、そして差別などを記載した上で、「日本が朝鮮を支配しているときに、強制連行のほかに、朝鮮に対してどんなことを行ったか調べましょう。」、また、「自分の名前をハングルで書いてみましょう。」、こういうのがいっぱいあるんです。  ただ、保護者が否定されていないところで、私これを拝見してびっくりしたんですけれども、これは社会科の三年生用でございます。参議院の先生、よくお聞きいただきたいと思います。「衆議院優越の原則の歌」というのがあるんです。「ドラえもんのうた」のメロディーに対して歌いましょうと。  衆議院って いいな 優越って いいな  法律に 予算に いろいろあるけど  衆議院って いいな 優越って いいな  条約に 首相に 不信任案  もうひとつありますよ ハイ 予算先議権  アンアンアン 民意を反映 衆議院  アンアンアン これだけ優越 衆議院地元の父兄の人はこのことには一言も触れていませんけれども、その下にまだただし書きがあるんです。「頭に入っていそうで入っていない衆議院の優越の内容です。歌にすると頭から離れませんから、口ずさんでみてください。」。私は本当に何だかそら恐ろしい気がしまして、こういう一方的なものを、果たして「夏の生活」ということで父兄に、これお金出して買うんですよ、ただじゃないんですよ。こういうことが県の教育委員会——申しわけありません、広島の先生には。私は余りにも偏り過ぎていると思うんです。  ですから、ぜひこれは、文部省としてどういう体制をとるのか、ちょっと伺いたいと思います。
  180. 辻村哲夫

    政府委員(辻村哲夫君) 御指摘の件につきましては、私どもも新聞報道で知りました。直ちに県の教育委員会を通しましてその実態把握に今努めております。  問題としては二つございまして、一つは、補助教材でございますので届け出とか認可とかという手続を踏んでいるかどうかということと、今先生の御指摘の内容とございます。この両面につきまして、今県の教育委員会を通して実態を調査いたしておりますので、それを踏まえまして対応してまいりたいと思っております。
  181. 扇千景

    ○扇千景君 私は、一つの地域に限ったことを、なるべく国会の場では個別の地域名を出して質問したくないという原則を持っておりますけれども、今回ばかりは、残念ですけれども県名を申し上げなきゃいけなかったわけです、こういう特定なことですから。  しかも、広島県のことをついでに申し上げさせていただきますと、以前に文部省が異例の現地調査を行ったことがあると思うんです。それは、これも名前を私は挙げたくないんですけれども、福山市で、小学校、中学校では君が代を斉唱した学校はゼロ校なんです。これも私は本当に不思議だなと思うんです。  有馬文部大臣にぜひお願いしたいんですけれども、私は、自国の国旗・国歌と同様に他国の国旗・国歌も敬意を払うということの大切さをぜひ学校で教えるべきだと思うんです。  それは、去る韓国のソウルのオリンピックのときに、式典中の国旗・国歌の斉唱の折にスタンドで起立しなかったのは日本から見学に行っていた先生と生徒だけだった、その一団だけが一人も立たなかったと私は韓国の方に言われました。本当に恥ずかしい思いをしました。そしてまた、過日の長野の冬季オリンピックでも、国旗・国歌、そういう表現を使わなかったんです。  こういうことからして、学校教育重要性というもの、また、国際社会に通用する人間が私は基本だと思うんですけれども有馬文部大臣の認識と、あるいは学校教育にそういうものをどうしていこうと思っていらっしゃるのかを伺って終わりたいと思います。
  182. 有馬朗人

    国務大臣有馬朗人君) お答え申し上げます。  御心配の点、私も大変気にしておることであります。子供たちが将来国際社会において尊敬され信頼される日本人として成長するためには、学校教育において、国民としての基本的なマナーとして、我が国の国旗・国歌はもとより、諸外国の国旗や国歌に対する正しい認識と、それらを尊重する態度を育てていくことが極めて大切であると思っております。  現在、社会科において国旗・国歌の意義を理解させるとともに、入学式や卒業式などにおいて、その意義を踏まえ、国旗を掲揚するとともに国歌を斉唱するよう指導するものとするなど、指導の充実を図っているところでございます。  このような指導の重要性にかんがみ、その充実を期していくべきだと私は考えております。
  183. 扇千景

    ○扇千景君 終わります。
  184. 奥村展三

    ○奥村展三君 二十一世紀を間近に控えまして、教育、大変重要な時期に差しかかっておると思います。先輩、同僚議員からもいろいろけさから御質問されておりました。  そして、私は考えるときに、前政権である橋本総理大臣が六つの改革を唱えられました。確かに今日、経済は大変究極な時代を迎え、あるいはまた産業界も大変な時代であります。しかし、先人の皆さん方の努力によって、戦後、追いつけ追い越せで非常な経済発展をしてまいりました。その裏を翻って考えてみますと、私はそこにしっかりとした教育というものがあったと思います。そのおかげで我々も今日このようにして生かさせていただいておるんだという思いを持ちながら、それぞれの活動をしているわけであります。  そう思いますと、今、扇先生からもいろんな現場お話を聞きました。よく先輩たち、私も親から知、徳、体ということを聞きました。しかし、やっぱりこれは逆であって、体があって徳があって知ではないかな、体が健全であってこそ知があり徳が芽生えてくるというように思うんです。  そういうことを考えますと、道徳の日を反日教育に使ったり、あるいは職員集会におきまして校長の胸ぐらをつかんで机の上に土足で上っていく、そういうのを子供が見ておる、そういう中で教育がなされておる。このことも私は体験もしてまいりましたし、その教職員が、これは体育の先生であったんですが、組合に入らない、そしたら除外をされた。そして、あらゆることをボイコットされて、転勤するときも非常に自分の意思が通らなかった、こういうことが本当に現場で行われておる。それで本当に教育というのができるんだろうか、そういうことを思いますと非常に残念な思いであります。  有馬文部大臣、先ほど来各先生方からも御質問され、的確にお答えになっておられ、私は大きなこれから期待を寄せていきたいと思います。前政権からも言われた六つの改革の中では教育というのは完全に私は基本であって、これが一番最初にあって経済や社会保障だとかあらゆる問題を考えていくべきだということを与党におりましたときも言い続けてまいりました。  そんな中で偉そうなことを申し上げたわけでありますが、特に、体、徳、知といきますとスポーツ振興についてお伺いをいたしたいんですが、前国会でスポーツ振興くじは参議院の修正をもって可決されまして、衆議院でもって可決されたわけでありますが、二〇〇〇年を目途にこれがスタートするわけであります。今日、検討委員会、特別委員会等でいろいろ御審議をいただいているようでありますが、文部大臣、今までのいろんな体験の中でもお考えになっていたと思いますが、今、文部大臣になられてこのスポーツ振興くじというのはどのようにお考えなのか、ひとつ基本的な所見をお伺いしたいと思います。
  185. 有馬朗人

    国務大臣有馬朗人君) スポーツ振興はぜひ図らなければならないと思います。残念ながらどうもあらゆるところで財政が問題になるわけでありますが、スポーツもまたその一つであります。  そういう意味で、スポーツ振興くじというものは、スポーツ振興のための新たな施策を実施するための財源確保の手段としてスポーツ議員連盟によって構想され、国会でも十分御審議を尽くされた上で法律として成立したものでありますので、私といたしましても、スポーツ振興のために必要な方策と認識しております。  現在、文部省では、保健体育審議会の意見をいただきながら政省令の制定準備等を進めているところでございます。そして、青少年の健全育成等に考慮しながら、明るく国民に親しまれる制度として定着されるようにその仕組みを整えてまいりたいと思っております。特に、青少年の健全育成ということを特に配慮いたしたいと思っています。  また、文部省ではスポーツ振興のためこれまでも予算確保努力してまいりましたけれども、スポーツ振興投票による財源だけを頼ることなく、国として行うべき責務を十分に果たしていく必要があるものと考えております。  繰り返し申し上げて恐縮でありますが、財政状況が極めて厳しくなっている中でございます。しかしながら、その中でスポーツ関係予算の充実確保につきましては今後とも最大限努力を図りたいと考えております。
  186. 奥村展三

    ○奥村展三君 質問していないところまで答えていただきましてありがとうございます。  確かに、財源確保はわかるんですけれども、現在、平成年度予算、この健康教育関係あるいは体育・スポーツ関係、全部合わせましても五百二十億なんですよね。そして、この間の新聞を見ましたら、スポーツ振興くじだけの取らぬ皮算用で文部省がというようなことで、一千六百億から二千二百億円。当時一番この話が出たとき三千億と言われたんですよ、文部省の方が。私が三年前に当選してきたときに言われたんです、三千億が目標だと。そんなばかな話があるかなというような思いを持っておりました。  しかし、だんだん狭めていって千三百億円だとかいろんなことになってきたわけでありますが、これはやっぱり私は、今大臣がおっしゃったように、こんな振興くじを当てにすることすらが間違っておって、教育全体の予算も、スポーツの予算も、さっき申し上げたように何で確保ができないか、一番歯がゆいと思うんです、大臣も今まで現場におられて。私立の問題も先ほど出ました。国公立の問題も出ています。結局、大蔵省の言いなりになっているんじゃないですか。こういう問題こそ私は、教育というのは人間の尊厳を大切にする、この基本をしっかりする教育というものにもっとお金を入れなければだめだと思うんです。そのために私は、ぜひ大臣により以上ひとつ頑張っていただいて、我々も本当にもうこれは大蔵省に談判して、本当にみんな国会議員挙げて、超党派でひとつ教育に力を入れよというぐらいの意気込みでやっていかなかったらだめだと思うんです。  だから、こういうスポーツ議員連盟ができて、この力によって振興くじがこのように前向いて出てきました。しかし、青少年の健全育成だとかいろんなことからしますと、やっぱり非常に心配なところがあるんです。私は当初反対しておりました。しかし、だんだんだんだん行って、五〇%返して、一七・五、一七・五、最後残った一五%を事務費に使うとおっしゃる。それだったら、人のふんどしで相撲をとるのと一緒で、一体そればっかり考えておって、文部省みずからが努力をしないということはだめだということで大分議論をしたんですが、結局、五〇%を四分割にして、地域体育だとかナショナルスポーツだとか、できるだけそういうようにやっていこうということになりましたから賛成をしました。  しかし、私もずっとスポーツをしてきたんですが、今やはり公共事業なんかでよく国土の均衡ある発展だとか言われるんですが、後で申し上げますが、国体なんかでも実際にそのときはいいんです。この間も横浜へ行って見せていただきました。立派なものができています。去年の大阪のなみはや国体、山下先生おられませんが、大阪で約五千二百億使っておられるんですよ、施設つくるだけ、運営費等で。こんなことをただ一回のためにやっていいかどうか。神奈川県はたくさんお金があるからあんな立派な競技場でやられるんだと思うんですけれども、そんなことをこれからの高知県やら後の、この間の新聞を見ておりましたら、神奈川やら高知やら七府県が寄ってこれからもっと簡素合理化をしてくれというような話が出ていますが、そういうようなことを考えますと、スポーツ振興全体も考え教育全体も考えていくと、教育予算文部省予算というのはしっかりと確保していかなければならないというように私は力説をしたいんです。  そういう流れを考えますと、今、橋本先生おられませんし、江本先生おられますが、こういうプロ野球の選手だとかオリンピックの選手が私の滋賀の田舎だったら来てくれないんですよ。それで、ようやく私の隣の町にサッカーの井原選手が出たんです。このおかげでもうサッカーブームです、今、私の地元は。そういうようにして有名な選手が出たらありがたいんです。  ということは、均衡ある発展と言いながら、これは公共事業だけじゃない、スポーツの面でも教育の面でもそうなんですよ。だから、やっぱり肌で感じる、子供たちがオリンピックの選手と一緒に泳げた、あるいは一緒に走れた、ボールが投げられた、そういう思いを私はさせてやってほしいと思う。そういうためには、こういうスポーツ振興くじを今後大いに活用していく。今、特別審議会で御議論をいただいているようでありますが、ぜひこういう問題も今後文部省としてもどんどん話をしながら、この振興くじが有効に利用されるようにお願いをいたしたいと思うわけであります。  体育施設まで入りましたので何でございますが、体育局長さんおいででございますが、今申し上げたように、地域のスポーツ振興をいろいろ私もやってきました。考えできますと、本当に格差があるんですよ。国体のときに立派な競技場をつくったが、種目によっては全然後に使われていないんですよ。大阪のところも、去年のところも新聞に先日も載っておったと思いますが、そういうよりなところがありますね、昨年のなみはや国体の後も。  だから、そういうことを考えますと、神奈川を初めずっと後の七府県の方々がおっしゃっているように、ぜひひとつ簡素合理化の国体にしてほしい。私は、ここで申し上げてどんな答弁が出てくるのか知りませんが、マンネリ化した国民体育大会というのはもう今考えるべきときに来ていると思うんです。これは一九四六年から京都から始まっているんですよ。それから一巡して沖縄が終わって、京都から二巡目が始まったあの段階で私は考えるべきだったと思うんです。国体の問題になると、局長さんが答えたらちょっと日本体育協会やらいろんな競技団体からおしかりを受けるかもわかりませんので何ですが、ちょっとそこらの点、お考えをお伺いしたいと思います。
  187. 遠藤昭雄

    政府委員(遠藤昭雄君) お答えいたします。  先生おっしゃるように、国体を開くために幾つかの施設を現実につくっていただいておるわけですね。それを、その場限りじゃなくて、金を使って建てるわけですから、住民のために大いに利用するというのがこういう厳しい財政状況の中で特に求められていることだというふうに考えております。  それで、こういった国体の競技施設につきましては、私どもも従来から、既設施設をできるだけ活用して新設は抑制してください、あるいは施設を新設する場合でも、大会開催後に都道府県民や地域住民が利用しやすい施設となるよう格別の配慮をしてくださいということを毎回重ねてお願いをしているところでございます。  最近開催されました国体に係る施設につきまして、詳細なデータ等はありませんが、若干幾つかの県を調べてみました。そうしましたら、全体として見ますとおおむね後利用に配慮した施設設備の整備が行われておりまして、また利用状況もおおむねまあまあの程度利用されているというデータが出ております。ただ、先生も御指摘のように、例えばアクセスに若干の難があるとか、あるいは競技人口が少ないスポーツなどでは特に利用人数が、施設をつくってもなかなか利用者が少ないとか、そういった御指摘のような問題を抱えているという施設があるのも事実だと思います。  こういう財政状況が厳しい状況の中で一層の簡素効率化が求められているんだろうというふうに認識をしておりまして、そこで先般、日本体育協会、それから開催都道府県、それから文部省、この主催三者で協議する場を設けまして、国体の簡素効率化について具体的に検討をもう少し進めようじゃないかというところで検討を開始いたしているところでございます。  それから、国体のあり方そのものについて検討すべき時期にあるんじゃないかと。これは、主催者は今申し上げました三者でございますので、私どもとしてもこれについての考え方というのは持たなければいけない立場でございますので申し上げますと、とりあえずは先ほど申し上げましたような三者による簡素効率化、こういう厳しい財政状況のもとでどういうふうにやっていくかということに力点を置いて検討をしていきたいというふうに考えておりますが、先ほどもありましたように、国体も六十三年から二巡目に入っているなど、国体を取り巻く社会情勢も変化してきている。そういったことも考えますと、国体のあり方全般について検討する長期的な課題として、すぐにはなかなか難しいと思いますが、長期的な課題として存在しているというふうに認識をいたしております。
  188. 奥村展三

    ○奥村展三君 ぜひその前向きな検討をお願いいたしたいと思います。  やはり自治体は、今地方分権が叫ばれておりますが、これも先ほど来ずっと議論をされておりますが、組織ばかりの話じゃないんです。これはやっぱりしっかりとした財源が国から地方に移譲されなかったら、幾ら教育の地方分権であれ、あるいはほかのいろんな分権問題が出ておりますが、これはなかなか至難な問題。税そのものの体系から変えていかなければ、幾ら組織をし、あるいは機構を移譲していきましても、特に教育なんかはお金がかかわるわけです。都道府県のいろんな予算を見ましても、人件費から何もかも見ても必ず四分の一以上は教育費が占めているわけですから、そういうこともやはり財源がしっかりと移譲ができてこそまさしく私は文字どおりの地方分権になると思います。そういうふうな意味で、ぜひ文部大臣を中心にひとつ画期的な感覚のもとでやっていただきたいと思います。  今、体育局長がおっしゃったように、確かにこれは自治体も大変な負担なんですよね。開催経費だけ見たとしても、文部省日本体育協会からちょっともらっても、正直申してたった二%なんですよ、去年の大阪を考えてみますと。あと全部自治体が持っているんですよ。持ち出しなんです。それは何十年に一遍ですからいいかもわかりません。お祭り騒ぎかもわかりませんが、毎年毎年順送りになっていくわけですから、そこらのこともぜひ考えていただきたいというように思うわけであります。  それと、一つお願いなんですが、あくまでもこれはスポーツ振興くじですから。よく新聞でサッカーくじ、サッカーくじと。私は当初から言っているんですが、これはサッカーくじじゃないんですよ。たまたまサッカーになっただけであって、ヨーロッパの例とかいろんなことを見てサッカーでいこうということを決めたわけであって、これをサッカーくじ、サッカーくじと言ってやると、ほかの協議団体、都道府県の協議団体なんかがこの振興くじのときに文部省から言われてわんさわんさと陳情に来て、何とか通してください、通してくださいと。私も各種団体のいろいろな会長をしていますが、自分の名前でも出したんですけれどもね。考えてみたら、サッカーくじが、何かサッカーだけがやっているみたいなイメージしかないんですよ。  これからマスコミ報道にしても何にしても、体育局は、絶対これはスポーツ振興くじなんですよということをはっきり言ってくださいよ。そうじゃないと、こんなものがひとり歩きして、なかなか盛り上がらなかったら、それこそ取らぬ皮算用の一千六百億から二千二百億、とても入りませんよ、こんなもの。一千億切れますよ。まさしくそこらを十二分にひとつ考えていただきたい。特に体育振興についてお願いをしておきたいと思います。  論点を変えさせていただきます。  もう既に心の教育や中教審のいろんなお話教育課程の話も出てまいりました。特に、私は、以前にもそれぞれの委員会に所属をさせていただいた中で申し上げてまいりました。あるいは文部大臣もお聞きになっているやに思いますが、あえてもう一度ここで申し上げたいと思います。  私は五十四年に県会議員になりました。そのときに、当時の武村知事が、議員になったんだから、一期間、何か一つ自分として提案できるぐらい勉強してくださいと、こういうことを一期の県会議員を集められて、県政のプラスになるようにということを我々に勉強会でお話をされました。  私は、あるときに香川県の五色台へ行きました。五色台では山の家と海の家があって、中学校二年生の子が全部そこで一泊二日の研修をしているということを聞きました。そして、私はそれを持ち帰って、ああそうか、滋賀県は琵琶湖があるな、何とかこれができないものだろうか、体験学習をさせてやれないものだろうかということで、五十六年九月の県議会で提案をさせていただいたのが、現在十五年目を迎えた滋賀県独自の「湖の子」なんです。  決して私は自分の自慢話を申し上げるのではなくて、そういう滋賀県ならではの、琵琶湖を持つ滋賀県ですから、ここに十四億円をかけていただいて、六十五メーター、九百二十八トンという、大人で百二十人、子供で二百四十人が一泊二日できる研修船、フローティングスクールをつくっていただきました。五十八年に就航しています。そして、今日までずっと大体一年間に百十日航海をしております。これは倍ですから二百二十日になるわけであります。その中で小学校の五年生の子が、当時は二万人ぐらい子供がおったんですが今はもう一方六千人ぐらいしかいません、だんだん少子化ですから。しかし、小学校五年生の子が必ず一泊二日でその船に乗ってくれるんです。そして、そこで琵琶湖の水をくみ上げたりカッターに乗ったり、あるいは琵琶湖のそれぞれの港へ寄港して、そして北の子だったら南の大津へ行って、大津の周辺のいろんなお寺を見たり自然に触れ合ったり、そういう体験学習を今しているんですよね。  ですから、そういうことを考えてみますと、林野の問題、国有林の問題が今ありますね、二兆八千億赤字になって云々だとかいう話もありますし、そして減反をどんどんしていただいております。そういう体験学習をぜひ子供たちにさせてあげていただきたい。文部大臣が今いろんなところへ行って、先ほどもおっしゃっていましたが、勉強しているところを見ておられる。そういう流れの中で、ぜひ子供たちに肌で感じるような体験学習をさせてあげていただきたいというような思いなんですが、どうですか、いかがお考えでしょうか。
  189. 有馬朗人

    国務大臣有馬朗人君) 具体的には後に生涯学習局長よりお返事を申し上げますけれども、私は奥村先生のお考えに大賛成でございまして、特に自然を身をもって体験するという体験学習、同時に、この少子化の時代でございます。したがいまして、多くの人と一緒の生活をするという訓練をぜひすべきだと思っています。  そういう点で今さまざまなことを検討させていただき、実現できれば幸いだと思っておりますが、他省庁とも御相談申し上げながら幾つかのことを体験学習に向けて進ませていただいている次第でございます。詳しくは今から生涯学習局長より申し上げます。
  190. 富岡賢治

    政府委員(富岡賢治君) 「湖の子」構想を滋賀県が先進的にやっていただいていることは私どもよく承知しております。  私どもは、今大臣が申しましたように、体験学習を学校教育とか学校外での活動でさまざまに進める必要がある。特に、関係省庁のいろんな人的な資源、物的な資源なども活用しようということで、今各省庁連携して働きかけをしております。  例えば十一年度概算要求におきましては、環境庁と連携いたしまして、国立公園のいろんな保存活動に子供たちを連れていくような事業を両省庁連携してやろうではないかということで話がまとまってまいりました。また、建設省、環境庁と、河川敷の改修に当たりまして、子供たちの遊び場、体験学習ができるような場に改修工事などをしていこうじゃないかと、そのような事業も今度はスタートすることにいたしました。  また、国有林というお話がございましたけれども、林野庁とも最近話し合いを進めております。新しい林野の利活用のあり方について検討を開始するということでございますので、どうかそれを子供のためにも活用できるような林野行政にしてほしいということで、森林審議会なんかにも文部省は働きかけをさせていただきまして、今度は連携してやろうというような話し合いも進んでいるわけでございます。  私ども、いろんな形で関係省庁民間の方々も含めまして連携してまいって、そういうことで体験学習が学校の中と外でそれぞれ進むように最善の努力を尽くしてまいりたいと考えております。
  191. 奥村展三

    ○奥村展三君 ありがとうございます。ぜひ実現を全国ベースでいろんな省庁との連携をとりながら推し進めていただきたいと思います。  今、教育がいろんな問題を醸し出していますが、やはり集団生活、お互いに孤立化をしない教育というのが私は一番大事ではないかなと。学校、地域あるいは家庭とおっしゃっています。やはり基本は家庭であって、その次が地域、そして学校という形で、いろんなベースの中でひとつ皆が連携をとりながらもう一度原点に戻ってやっていくべきときではないか。そういうところには、冒頭に申し上げましたスポーツだとか、今の一例でありますが体験学習だとか、集団生活を基本とした教育をもう一度お考えいただく時期ではないかなということを要望申し上げて、終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  192. 南野知惠子

    委員長南野知惠子君) 本日の調査はこの程度といたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時十四分散会      —————・—————