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1998-11-06 第143回国会 参議院 農林水産委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十年十一月六日(金曜日)    午後一時四十分開会     ―――――――――――――    委員異動  十月十五日     辞任         補欠選任      岸  宏一君     井上  裕君  十月十六日     辞任         補欠選任      井上  裕君     岸  宏一君  十一月五日     辞任         補欠選任      国井 正幸君     森田 次夫君      佐藤 昭郎君     久野 恒一君      長峯  基君     竹山  裕君  十一月六日     辞任         補欠選任      竹山  裕君     景山俊太郎君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         野間  赳君     理 事                 岩永 浩美君                 三浦 一水君                 和田 洋子君                 須藤美也子君                 村沢  牧君     委 員                 景山俊太郎君                 岸  宏一君                 久野 恒一君                 中川 義雄君                 森下 博之君                 森田 次夫君                 小川 敏夫君                 久保  亘君                 郡司  彰君                 風間  昶君                 大沢 辰美君                 谷本  巍君                 阿曽田 清君                 石井 一二君    国務大臣        農林水産大臣   中川 昭一君    事務局側        常任委員会専門        員        鈴木 威男君    説明員        外務省経済局長  大島正太郎君        農林水産政務次        官        亀谷 博昭君        農林水産省構造        改善局長     渡辺 好明君        農林水産省農産        園芸局長     樋口 久俊君        食糧庁次長    山口 勝朗君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○農林水産に関する調査  (平成十一年産米政府買価格に関する件)     ―――――――――――――
  2. 野間赳

    委員長野間赳君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日、国井正幸君、佐藤昭郎君及び長峯基君が委員辞任され、その補欠として森田次夫君、久野恒一君及び竹山裕君が選任されました。  また、本日、竹山裕君が委員辞任され、その補欠として景山俊太郎君が選任されました。     ―――――――――――――
  3. 野間赳

    委員長野間赳君) 農林水産に関する調査のうち、平成十一年産米政府買い入れ価格に関する件を議題といたします。  まず、政府から説明を聴取いたします。山口食糧庁次長
  4. 山口勝朗

    説明員山口勝朗君) 米穀政府買い入れ価格及び標準売り渡し価格米価審議会への諮問につきまして御説明申し上げます。  米穀政府買い入れ価格は、主要食糧需給及び価格の安定に関する法律におきまして、「自主流通米価格動向その他の米穀需要及び供給動向を反映させるほか、生産条件及び物価その他の経済事情を参酌し、米穀の再生産を確保することを旨として定める」こととされております。具体的な算定方式につきましては、平成七年十二月に米価審議会意見を聞いて自主流通米価格変動率及び生産コスト等変動率基礎として算定する現行算定方式設定されたところであります。  平成十一年産米穀政府買い入れ価格につきましては、需給動向市場評価を反映させつつ、安定的な価格形成が図られる現行算定方式に基づき算定することといたしまして、本日の米価審議会諮問を行い、御審議をいただいているところであります。  また、米穀標準売り渡し価格につきましては、「米穀需要及び供給動向家計費並びに物価その他の経済事情を参酌し、消費者家計を安定させることを旨として定める。」との食糧法規定に基づき、米穀需給動向財政事情等総合的に考慮して諮問案を取りまとめ、政府買い入れ価格とあわせ、本日の米価審議会において御審議をお願いしているところであります。  以下、これらの諮問の概要につき御説明を申し上げます。  まず、資料一の「諮問」でございます。朗読させていただきます。     諮問   平成十一年産米穀政府買価格については、米穀需給動向市場評価を反映させつつ、安定的な価格運営を図るとの観点に立って算定を行い、この算定に基づき決定する必要があると考える。また、米穀標準売渡価格については、米穀需給動向財政事情等総合的に考慮し、これを決定する必要があると考える。  これらについて米価審議会意見を求める。   平成十年十一月六日        農林水産大臣 中川昭一  次のページに「諮問説明」がございます。これについても朗読させていただきます。     諮問説明   米穀につきましては、連年の豊作等を背景として全体需給が大幅な緩和基調で推移する中、昨年十一月、生産調整対策稲作経営安定対策及び計画流通制度運営改善を基軸とする「新たな米政策大綱」を取りまとめ、これに基づく各般施策総合的に推進してきているところであります。この結果、米穀需給バランス回復傾向に転じる等着実に成果が上がってきております。しかしながら、本年十月末の国内産米在庫量は三百四十四万トンと、適正備蓄水準を依然として大幅に超える状況となっております。  このため、米穀需給均衡を図るため、引き続き「新たな米政策」を着実に推進することとしております。  平成十一年産米穀政府買価格及び米穀標準売渡価格につきましては、計画流通制度運営の一環として、「主要食糧需給及び価格の安定に関する法律」の規定に基づき、適切に決定する必要があります。  具体的には、平成十一年産米穀政府買価格につきましては、「新たな米政策」を踏まえ、引き続き、自主流通米価格変動率及び生産コスト等変動率基礎として、需給動向市場評価を反映させつつ、安定的な価格運営が図られる現行方式により算定することとしてはどうかということであります。  また、米穀標準売渡価格につきましては、以上のような米穀需給動向財政事情等総合的に考慮して決定することとし、ミニマム・アクセス輸入米は、国内産米価格体系との整合性も踏まえながら決定することとしてはどうかということであります。なお、実際の売卸に当たっては、備蓄の適切な運営を図る観点から、標準売渡価格基準としつつ、需給動向等に対応して弾力的に予定価格設定を行う必要があります。  次に、資料番号としましては二番目でございますが、「平成十一年産米穀政府買価格試算」という資料がございます。これにつきまして御説明を申し上げます。  目次を飛ばしていただきまして、一ページ目でございます。「平成十一年産米穀政府買価格試算」についてであります。  まず、一の「政府買米価算定考え方」でございます。右側に算式が書いてございますが、まず自主流通米価格形成センターにおいて形成されます自主流通米入札価格動向比較により価格変動率Aを求めます。次に、生産費調査に基づく米販売農家の全算入生産費動向比較により生産コスト等変動率Bを求めます。この二つの変動率を均等のウエートにより基準価格POに乗じ、「求める価格」を算出することといたしております。  この場合、基準価格は前年産米穀政府買い入れ価格としております。また、自主流通米価格変動率算出に当たりましては、すべての上場銘柄加重平均価格を用いることといたしております。さらに、生産コスト等変動率算出に当たりましては、直近までの物価・労賃の動向及び反収動向を織り込むことといたしております。  次に、二ページでございますが、政府買い入れ米価につきましては、需給事情市場評価を反映させつつ、安定的な価格運営を図る観点から、まず自主流通米価格変動率を求めるに当たりましては、移動三カ年平均による比較を行いまして、その際には、需給変動による価格への影響を緩和するため、生産調整面積変更を決定した年の年産に係ります自主流通米入札価格平準化を行うということをいたしております。また、生産コスト等変動率を求めるに当たりましては、移動三カ年平均による比較を行うこととしておりまして、その際、平準反収を用いることといたしております。  次に、二の「算定」でございますが、以上申し上げましたような考え方に基づきまして算定いたしました平成十一年産米穀政府買い入れ価格は、自主流通米価格変動率生産コスト等変動率ともマイナスになることから、六十キログラム当たり一万五千五百二十八円、前年産価格に対しまして二百七十七円の引き下げ、パーセントで申し上げますと一・七五%の引き下げとなるということでございます。右の方に具体的な数値の入った算式がございます。  なお、この価格の性格でございますが、注にも書いてございますとおり、ウルチ一-五類、一-二等平均包装込み生産者手取り予定価格ということでございます。  次に、三ページからは「算定要領」について説明しております。  まず、「基準価格」でございます。基準価格は、先ほども申し上げましたように前年産米穀、つまり十年産米穀でございますが、この政府買い入れ価格でございまして、一万五千八百五円ということでございます。  次に、「自主流通米価格変動率」でございます。自主流通米価格変動率につきましては、自主流通米価格の中期的なトレンドを反映させるといった観点から、すべての上場銘柄加重平均価格直近三カ年平均とその前年の三カ年平均とを比較することにより求めております。  この場合、生産調整面積変更を決定した平成年産及び九年産の各年産価格につきましては、各年産加重平均価格とその年産入札取引における基準価格との平均価格を用いることといたしております。このようにして求めました自主流通米価格変動率は九七・〇八%でございまして、約二・九%の低下という結果になっております。  次に、四ページでございます。「生産コスト等変動率」について説明しております。  生産コスト等変動率につきましては、生産費調査等に基づきまして、家族労働費物財雇用労働費等、それから反収、それぞれごとにその変化率を求めます。さらに、家族労働費物財雇用労働費等について、全算入生産費に占めるそれぞれの割合によりウエートづけを行いまして、最後反収変化率で割り戻すということを行いまして、生産コスト等の全体の変動率を求めているわけでございます。  これを算定式に置いてみますと右上のような式になるわけでございまして、この算式に具体的な数値を当てはめて計算した結果は右下に示してありますが、簡単に申し上げますと、家族労働時間の減少、農家購入価格低下等によりまして生産コスト等変動率は九九・四一%となり、〇・六%の低下となっております。  以下、五ページから七ページにつきましては、ただいま御説明申し上げました生産コスト等変動率のそれぞれの算定要素の具体的な説明になっておりますので、説明は省略させていただきまして、最後の八ページでございます。  八ページには「類別等級別価格算出方法について触れております。これまで御説明申し上げました算式により算出いたしました「求める価格」、すなわちウルチ一-五類、一-二等平均包装込み生産者手取り予定価格基礎にいたしまして、ウルチ類一等価格を求めます。下にある式でございます。この価格を中心にいたしまして、右の表のように各類別等級別価格算出しております。  以上が十一年産米穀政府買い入れ価格試算説明でございます。  次に、資料番号三の「米穀標準売渡価格改定内容(案)」につきまして説明させていただきます。  一ページをお開きいただきまして、Ⅰの「国内産米」についてでございます。  まず、基本的な考え方でございますが、国内産米標準売り渡し価格につきましては、食糧法のもとで政府米備蓄運営の機能を有することを踏まえながら米穀需要及び供給動向家計費並びに物価その他の経済事情を参酌し、消費者家計を安定させることを旨として定めることとされております。  そこで、二におきましては、この標準売り渡し価格設定に際して参酌すべき事項についての動向米穀をめぐる事情として取りまとめてあります。  まず、最近の需給動向であります。  米穀の全体需給は大幅な緩和基調で推移したところでありますが、「新たな米政策大綱」に基づく各般施策総合的推進によりまして米穀需給バランス回復傾向に転じております。  しかしながら、本年十月末の国内産米持ち越し在庫量は、政府米自主流通米合計で三百四十四万トンと適正備蓄水準を依然として大幅に超える状況となっております。  このため、米穀需給均衡を回復するため、引き続き「新たな米政策」を着実に推進することといたしているところでございます。  次に、家計費及び物価動向ですが、最近における家計費及び物価動向を見ますと、標準売り渡し価格改定時の平成十年一月と現時点との比較で見てみますと、消費者物価指数総合は〇・三%の低下消費者物価指数のうち米類についても〇・二%の低下となっております。  政府管理コストにつきましては、適正備蓄水準を大幅に超える備蓄保有備蓄米保管期間長期化等により、管理経費増加傾向にあります。  次に、二ページでございます。  政府買い入れ価格ですが、これは先ほど説明いたしましたように、平成十一年産米政府買い入れ価格につきましては、今回の米価審議会におきまして、政府案として額にして二百七十七円、率にして一・七五%の引き下げ諮問を行ったところであります。  三は、標準売り渡し価格改定内容について説明しております。  ただいま申し上げましたような状況を踏まえまして、政府買い入れ価格引き下げ効果消費者に適切に還元することとし、国内産米標準売り渡し価格につきましては、消費者家計の安定が図られるよう改定するということでございます。  具体的には、まず平成十年十二月一日以降の標準売り渡し価格を、額にしまして百七十六円、率にして一・〇四%引き下げるということといたしております。  また、銘柄間格差等については現行どおりでございます。  さらに、このような考え方に基づきまして算定いたしました類別等級別国内産米標準売り渡し価格につきましては、四ページにあります別紙のとおりとなります。  最後の(4)でございますが、若干わかりにくい表現になっておりますが、要するに、実際の政府米の売却に当たりましては、今申し上げました標準売り渡し価格基準といたしまして売り渡し予定価格を定めることとなっておりますが、この予定価格につきましては、下から二行目でございますが、需給市場価格変動に対応し得るよう適切かつ弾力的に設定することとしてはどうかということであります。  次ページ以降、またその他の配付資料につきましては、説明を省略させていただきます。  以上でございます。
  5. 野間赳

    委員長野間赳君) 以上で説明の聴取は終わりました。  これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  6. 和田洋子

    和田洋子君 民主党の和田洋子でございます。  米審の国会ということで、米価と米の備蓄についてお伺いをしたいと思います。  まず、新たな米政策実施初年度評価と、二年目の推進についてお伺いをいたします。  申すまでもなく、私たち日本人にとっては本当に米はかけがえのない主食だというふうに思っています。そして、日本の農家の大半が米を基幹作目というふうに位置づけて極めて重要な農産物としてつくっていることも事実だというふうに思っています。ところが、近年、自主流通米が下落をして本当に大変な時期になっており、取り巻く環境が大変厳しいということをまくら言葉にいつの間にかしてしまうような農政になってしまっていることが本当に残念で仕方がありません。  「新たな米政策大綱」ということで初年度進められてきたその一年目の成果、そして二年目はどういうふうに取り組まれるつもりなのか、政務次官、お願いいたします。
  7. 亀谷博昭

    説明員亀谷博昭君) 和田洋子委員にお答えを申し上げます。  今お話しいただきました「新たな米政策大綱」、昨年十一月に決定をいたしたところでありますが、生産調整対策、また稲作経営安定対策あるいは計画流通制度運営改善を三本柱といたします総合的な実効性のある対策であると私たちは考えております。  その大綱に基づきまして、十年度の生産調整生産者団体と行政が一体となりまして精力的に推進をいたしました結果、全国的に見ればほぼ目標どおりの達成となってきているところであります。また、備蓄運営ルール前提にいたしまして、政府米販売につきましては自主流通米販売を優先させるということによりまして市場の安定を図ってきたところでございます。このような取り組みの結果、米の全体需給は確実に改善傾向にございまして、着実に成果が上がってきているものと考えているところでございます。  このような状況を踏まえまして、「新たな米政策大綱」二年目の推進に当たりましては、大綱によります需給改善等成果をより確実なものにいたしますために、生産調整につきましては、平成十一年度は十年度と同規模の九十六万三千ヘクタールといたすことにいたしておりますし、また備蓄水準適正化を図るということから備蓄運営ルールを確実に実行いたしまして、再来年、十二年十月末の国産米在庫適正水準の百五十万トンを基本とし、二百万トンを上限とするというところまで縮減すること等の大綱の枠組みを前提といたしまして、着実な推進を図ってまいりたい、このように考えているところであります。
  8. 和田洋子

    和田洋子君 評価をしておられて、そしてよくいっているというなら何で米が下がっていくのかなというふうな大変素朴な疑問があるわけですが、米価の下支えということでちょっと質問させていただきたいと思います。  今、算定方式マイナス一・七五%ということでありますが、これは、自主流通米が例えば大きく変動する中で、生産コストというのはみんな自分たちが努力をして下がっているとすればだんだん下がってくるというふうに思います。そういうところで、絶対にもうこれ以上は下げないよということを言わなくてはいけないんじゃないかなというふうに思いますが、どう思われますか。
  9. 山口勝朗

    説明員山口勝朗君) 食糧法のもとでは、自主流通米米流通の主体として位置づけ、これに伴いまして政府米買い入れ備蓄運営等特定政策目的のためのものとなりまして、量的にも限定されているところでございます。  また、九年産につきましては、需給緩和のもとで多くの銘柄自主流通米手取り水準政府米価格を下回るものが見られたところでありまして、そういう意味で、米価の安定は米の全体需給調整を通じて図られていく必要があるというふうに考えております。  このような状況にかんがみまして、食糧法目的でございます米の需給価格の安定を図るため、「新たな米政策大綱」を策定して、この大綱を着実に推進してきているところでございます。
  10. 和田洋子

    和田洋子君 次に、備蓄についてお伺いをいたします。  今、三百四十四万トンということを御説明いただきましたが、平成五年の大凶作、あのときは備蓄でなくて保有米が大変少なくて、国民のだれもが大変なパニックだったわけですが、その中で備蓄というものをどういうふうに受けとめておられるのか。適正備蓄水準を大幅に超えたというふうに書いてありますが、その備蓄適正水準というのをどこに置いて、国民が安心して生活を送っていかれるということをどのようにとらえておられるのか、お伺いをしたいと思います。
  11. 山口勝朗

    説明員山口勝朗君) 適正備蓄水準考え方でございますが、現在私ども、食糧法のもとにおいて新たに設けられました備蓄制度運営に当たりましては、百五十万トンを基準といたしまして、プラス・マイナス五十万トンのアローアンスを置く運用を行っているところでございます。  この百五十万トンという数字でございますが、これは戦後の不作の平均をとりますと作況指数九二ということでございます。トン数にいたしますと、作況指数一が十万トンということでございますと、八ポイント下がった場合に八十万トンの収量の減ということになります。それが二年間続いても国民に米を安定的に供給できる水準といたしまして、この百五十万トンというものを設けたところでございます。  なお、先ほど申し上げましたように、この備蓄水準上限が二百万トンということでございますので、「新たな米政策大綱」におきましては、二年間かけて在庫が二百万トンを超えている部分を二百万トンまで縮減していこうということで進めているところでございます。
  12. 和田洋子

    和田洋子君 作況指数九二というふうにおっしゃいましたか。我が福島県はことしは九四、もっと下がっているんじゃないかというふうな説明を受けたんです。とすれば、福島県なんかは本当に米がとれるところですから、全国平均はことしはどのくらいかまだわかりませんが、本当に大変な状況にことしも直面しているというふうに思います。  それで、今後はその備蓄というものを何年間でどのようにというようなことを考えておられ、運営されるつもりですか。
  13. 山口勝朗

    説明員山口勝朗君) 今申し上げましたように、備蓄水準が超えていますものを確実に平成十二年十月末、これは十二米穀年度末ということになりますか、これを目指しているわけでございます。そのために、政府米が売れなければその分買い入れ数量調整するという備蓄運営ルールを確立するとともに一これを前提として、政府米販売方法については自主流通米販売との連携を図るということで、「新たな米政策大綱」で定められたところでございます。  この結果、自主流通米販売は前年を大幅に上回る一方、政府米販売は五十二万トン、前年に比べまして十六万トン減少しております。この五十二万トンにとどまると見込まれておりますので、十年産政府買い入れ数量につきましては、備蓄運営ルールに基づき三十万トンとしたところでございます。  このように、「新たな米政策大綱」で示された方向に向かい確実に備蓄水準適正化が図られているところでありまして、今後とも政府備蓄運営につきましては、備蓄運営ルールに則して着実に実行していく必要があるというふうに考えているところでございます。
  14. 和田洋子

    和田洋子君 そして、備蓄のあり方は回転備蓄方式ということですが、食料安保の位置づけが不明確なために一年備蓄後は全部放出するということで大変に米があり余るというような状態になるわけです。棚上げ方式にしてはどうかという議論が出ていますが、それについてはどういうふうに思われますか。
  15. 山口勝朗

    説明員山口勝朗君) 先生御指摘のとおり、ただいま備蓄運用に当たりましては回転備蓄方式をとっているわけでございます。これは、回転備蓄におきましては順次在庫年産が更新されまして、棚上げ備蓄に比べて品質一定に保持されるということから主食への円滑な供給が可能となります。一方で、棚上げ備蓄では一定期間の経過による品質劣化等によりまして主食への販売が困難となりまして、主食以外、例えば飼料用等へ振り向けざるを得なくなるようなことになるわけでございまして、そうしますと多大な財政負担が伴うということでございます。  こういうようなことから、現在、回転備蓄方式をとっているところでございまして、現時点ではこの備蓄方式が適当ではないかというふうに考えております。
  16. 和田洋子

    和田洋子君 回転備蓄ということで、棚上げということは考えていないというふうに理解をいたしました。  それで、十年産買い入れを先ほど三十万トンというふうにおっしゃいましたが、それを買い入れる都道府県の比例配分というのはどういうふうにして決めておられますか。
  17. 山口勝朗

    説明員山口勝朗君) 十年産米政府買い入れ数量につきましては、ただいまお話ございましたように備蓄運営ルールに基づきまして三十万トンとしたところでございます。この買い入れ数量の都道府県別の配分につきましては、産地ごとの需給改善の状況を踏まえて、各都道府県の自主流通米生産販売体制の確立と都道府県ごとの生産調整目標の円滑な調整に資するよう、生産者団体の意向を踏まえて行っていきたいというふうに考えているところでございます。  具体的には、十年産政府買い入れ数量三十万トンのうち半分の十五万トンにつきましては、政府買い入れ実績、これはウエートとして八〇%でございます。県産銘柄政府米販売実績、一五%のウエートでございます。生産調整面積、五%のウエートでございます。こういった要素に応じて都道府県別に配分することといたしております。  また、残りの十五万トンでございますが、十年産生産調整を一〇〇%以上達成したものの、大綱による需給改善効果の発現がおくれている都道府県等について十一年産生産調整目標面積の自主的な拡大に応じて配分する等、生産者団体の意向を踏まえて配分することといたしております。
  18. 和田洋子

    和田洋子君 需給改善の何をあれにというふうにおっしゃったかちょっと聞かなかったんですが、それはどういうことでしょうか。
  19. 山口勝朗

    説明員山口勝朗君) ただいま申し上げましたのは、需給改善効果の発現がおくれているということを申し上げたわけでございます。  具体的に申し上げますと、一般的な自主流通米価格というのは、生産調整の効果等もございまして全般的には価格が前年産に比べますと上昇傾向にあるわけでございます。また、自主流通米でもかなり在庫が減ってきている。また、政府米につきましても在庫が減ってきているところもある。  ただ、そういうものを地域別あるいは産地別といいますか、産地あるいは銘柄ごとに見ますと、必ずしも十分な価格回復が見られないとか、あるいは在庫縮減が図れないという地域がございます。具体的に言いますと、北海道とか青森あたりはそういうことが言えるのではないかと。そういう地域がございますので、そういう地域にも配慮しながらこの残りの十五万トンの配分をしてまいりたいということでございます。
  20. 和田洋子

    和田洋子君 「新たな米政策大綱」という、今までに農林省が示された農家に対するいろんな施策があるわけですが、それに沿って一生懸命やってきた人たちが、集積をした農家が今一番困っているというのは皆さんもよく御存じだというふうに思います。  そういう中で、去年は百二十万トン、ことしは三十万トン。備蓄が多かったということなのかもしれませんけれども、それでは政府米をつくっている農家というのは本当にどこを信じて何をつくっていけばいいのかということがあると思いますが、そういうことについてはどういうふうに思われるでしょうか。
  21. 亀谷博昭

    説明員亀谷博昭君) 十年産政府買い入れ数量につきましては、食糧庁次長等から先ほど来御説明を申し上げておりますとおり三十万トンといたしたわけでありますが、この一番大きな原因は、九年産生産量が一千二万トンございました。十年産生産調整を実施したことによりまして百四万トン減少いたしまして八百九十八万トン、こういうことになっております。よって、生産量がそもそも百万トンほど減ってきているものですから、今のような政府買い入れ数量もしたがって減少するというような、備蓄運営ルール上の算定方法からいたしますとこういう数字になってきている、こういうことであります。  その一方で、自主流通米は昨年並み、昨年は四百三十四万トン程度でありますが、この程度の販売は可能であるというふうに考えておりまして、その価格回復傾向にございます。そういうことから、従来の政府米銘柄につきましても、政府に出荷するよりは自主流通米として出荷する方が有利になってきているという状況も一面で生まれてきているわけでございまして、自主流通米をめぐる状況は、昨年に比べますと販売環境というのは格段に好転をしているのではないか、こう考えているところであります。  また、都道府県別の配分につきましては、先ほども御説明を申し上げましたが、価格上昇あるいは在庫減少という需給改善効果がなかなかあらわれてこない地域もございます。そういうことも考慮しながら、産地ごとのそうした需給改善の状況を踏まえて生産者団体の意向も聞きながら行っていきたいというふうに考えているところであります。  なお、政府米地帯の稲作経営が困難になるのではないか、こういうお話がございました。いわゆる政府銘柄につきましては、各産地におきまして自主流通米として有利に販売できる銘柄への作付転換ということもこれからなお進めていかなければならないというふうに思っております。そういう対策をしっかりと行っていくことにより政府米地帯における稲作生産が困難になることはないようにしていかなければいけない、しっかりとその対策は立てていきたい、こう考えているところであります。
  22. 和田洋子

    和田洋子君 もう時間がないので最後の質問にします。  今、政務次官がお答えになったことはぜひお願いしたいというふうに思います。  最後に、今、約八億人の人たちが飢餓に陥っているというふうに週刊誌なんかで報道しております。そして、子供たちのやせ細った写真を見るのは大変つらいことだというふうに思います。日本でこんなにお米が余っているのに、どうしてあの子たちに御飯を上げられないんだろうというのは国民だれもの本当に素朴な疑問であるというふうに思います。  いろいろなODAの問題とか貿易ルールの問題とか、また日本の米をだれが買うのか、どこで買ってくれるのか、そして買った米をどういうふうに送るのかということはあると思いますが、人類愛ということからいえば、本当にあの子供たちに今お米を食べさせたい、食べ物を食べさせたいというのはだれもの願いではないかというふうに思います。まず、その国の人たちにもっともっと農業に関する、教育に関することをやらなければいけないというのは根本だと思います。あの子供たちを救うのは今じゃないかというふうに思います。前向きの答弁をお願いして、私の質問を終わります。
  23. 山口勝朗

    説明員山口勝朗君) 米を使った食糧支援ということだと思います。これにつきましては、従来から被援助国からの要請に基づきまして、国内にございます政府米を使って援助するということをやっているところでございます。  ただ、この政府米を使った食糧支援につきましてはいろいろ配慮しなければならない事項もございます。政府米を援助に向けますと財政負担が非常に大きくなも。国産米ですともともとトン当たり三十万円でございます。ミニマムアクセス米ですと十万円というのが買い入れ価格あるいは売り渡しの価格ということでございまして、実際に援助に振り向けるとなりますと国際価格ということでございます。国際価格ですと、これは為替レートによっていろいろと違ってまいりますが、例えばトン当たり三万円というようなことになります。その差額は財政負担ということになるわけでございます。  また、こういうような財政負担をどうするかということを考えなければならないということもございますし、また食糧支援をする場合には国際ルールとの関係がございます。この食糧支援にミニマムアクセス米を使う場合には内外無差別というガット上の取り決めもございます。あるいはほかの国際条約との関係もございます。この点をクリアするという必要もございます。あるいは国内における在庫水準はどの程度かということも問題になると思います。  いずれにいたしましても、こういうことを考慮しながら、できるだけ被援助国からの要請に基づきまして、国内にございます政府米を使った食糧支援に努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  24. 和田洋子

    和田洋子君 ありがとうございました。
  25. 風間昶

    ○風間昶君 公明の風間です。ちょっとダブるかもしれませんけれども、何点か当局にお伺いしたいと思います。  十月三十日付の新聞報道でありますけれども、もう御承知のように、政府と自民党が協議して、この十一年産買い入れ価格が一万五千五百二十八円というふうに決まったようでありますけれども、今日の食糧法による政府買い入れ価格の基本的な考え方というのは従来の食管法とは違うわけでありまして、さっきも説明がありましたが、自主流通米の市況というか、それを強く反映しているという仕組みになっていることは承知していますけれども、じゃ、それでどれほどの稲作農家生産費を計算していく上でこの一万五千五百二十八円の米価にたえ得るものなのかということなんです。  要するに、稲作農家の経営、それから再生産の確保という観点から、この十一年産政府買い入れ価格の下限というのは一体どのぐらいになるのかということに私どもは物すごく大きな関心を持たざるを得ないわけでありまして、そういう意味で、生産費を確保する水準にするのは重要だと思うんですけれども、この点についてまずお伺いしたいと思うんです。
  26. 山口勝朗

    説明員山口勝朗君) 政府買い入れ価格につきましては、需給事情市場評価を反映させつつ安定的な価格運営を図るといった観点から、先ほども先生も触れられましたけれども、自主流通米価格変動率及び生産コスト等変動率を均等にウエートづけして前年産政府買入札価格に乗じることにより算出する算定方式になっているところでございます。  この結果といたしましては、先ほども御説明いたしましたように、六十キログラム当たり一万五千五百二十八円、前年対比でマイナス一・七五%ということで米価審議会諮問させていただいたわけでございます。この米価審議会諮問の答申を踏まえまして適正に決定してまいりたいというふうに考えているところでございます。
  27. 風間昶

    ○風間昶君 買い入れ価格の下限はどのぐらいになるかということも伺っているわけでありますけれども。
  28. 山口勝朗

    説明員山口勝朗君) 今の算定方式によりますと、下限価格といったものはございません。
  29. 風間昶

    ○風間昶君 わかりました。  次に、先ほどもありましたが、買い入れ数量が三十万トンと決定されたことについて、これも新聞報道で七月ぐらいからずっと追っかけできますと、当初は、政府米販売が低調だということで、買い入れ数量はゼロになるんじゃないかという七月の報道でありました。七月三十一日になると、政府米販売数量が三万三千トンぐらいだということになった段階で五万トンぐらいじゃないかと。そして、十月十日では二十万トンどまりだと。どんどんどんどん変わっていく。  結果的には三十万トンという数字が最終的なものとして報道されたわけでありますけれども、先ほどの説明でいうと、新たな備蓄ルールにのっとった形だというふうにおっしゃっているんだったら、何でこんな七月から九月、十月に、最初はゼロだという報道があって、そして五万トンだ、やれ二十万トンだというふうになるのか、それが極めてわかりづらい。ですから、最終的に三十万トンになったということの過程をきちっと説明をいただきたいと思うんです。
  30. 山口勝朗

    説明員山口勝朗君) 政府買い入れ数量でございますが、先ほど来申し上げておりますように、備蓄運営ルールのもとで行っております。この備蓄運営ルールによりますと、十年産の場合には、政府販売数量から二十五万トンを引いた数字になるわけでございます。  そこで、途中経過でいろいろな数字が新聞紙上で出ていたではないかというお話でございますが、これは政府買い入れ数量は、あくまでことしの十月末までに売れた数量ということでございまして、途中段階では確定しないというのが本来の姿でございます。ただ、途中段階では、この今の売れ行き状況によればこういう数字になるというのが、生産者団体が設置しております米情報委員会の取りまとめた資料などでも出ていたのも事実でございます。  当時は、当時といいますか、まだ十米穀年度の半ばのときには政府米販売状況が思わしくなかった。と申しますのは、備蓄運営ルール自主流通米政府米販売連携ということも同時にやることになっておりまして、自主流通米販売を優先させるということをやった結果、政府米販売数量が非常に落ち込んだというのがございます。その結果、年度前半というものは、そのままいくと確かに政府買い入れ数量は最終的にゼロというものになるような水準の売れ行き状況であったことも事実でございます。  ただ、年度後半になりますと、自主流通米が抱えておりました八年産米調整保管米という、これは前年産でございます。これの売却のめどもついてきた。また他方で、生産調整を十年産につきまして強化したということもございまして、十年産の出回り量が減るであろうというような思惑といいますか推測といいますか、そういうものもございましたし、また作況も必ずしもよくないのではないかというような状況もあったということで自主流通米価格回復傾向になった。それに対して政府米価格一定でございますので、価格差が聞いて政府米も買う魅力が出てきたというふうに買い手、卸さん方に受け取られて、政府米販売数量が年度後半からふえております。  最終的に政府米販売数量というものは、全農の十万トンの買い入れを含めて十月末になれば、十月分の販売数量の確定値はまだ出ておりませんが、大体予想すればトータルで五十二万トン程度になるという見込みのもとに、政府買い入れ数量は五万トンでまとめて三十万トンというふうにしたところでございます。
  31. 風間昶

    ○風間昶君 では次に、さっきもインドネシアに対する米の支援の話が出ていましたので。  政府は、六月二十三日に政府米五十万トンの貸借契約を締結されました。そして、十月、先月の二十日に二十万トン分が現地に到着したというふうに報告があって、その二十万トンの現物支給のうち半分をミニマムアクセス米をもって充てるというふうに決定したようでありますけれども、この部分も国産米を充てるようにすれば今年産米買い入れ数量はもう少し伸びたのではないかと思うんですけれども一どうですか。
  32. 山口勝朗

    説明員山口勝朗君) インドネシア向けの追加支援につきましては、二十万トンを先月末に決定いたしております。この内訳につきましては、国産米十二万トン、ミニマムアクセス米八万トンという内訳でございまして、これは五十万トンのさきの貸し付けを行った場合の比率と同様でございます。  このインドネシアへの追加支援の決定に当たりましては、そもそもインドネシア側の意向を踏まえて決定したものでございまして、そういう意味で援助への国産米の活用は、昨年十一月の「新たな米政策大綱」における生産調整備蓄運営に影響を与えないことを前提として、人道的観点から相手国の要請を踏まえつつ実施したということでございます。  また、援助には多大な財政負担が伴っているところでございまして、援助量を販売量にカウントして政府買い入れ数量を増大させれば備蓄運営ルールの趣旨に反することとなることから、援助量を販売量にカウントすることは適当でないと考えております。
  33. 風間昶

    ○風間昶君 今、私が聞き違えたかもしれませんけれども、では、あくまでも米の種類はインドネシアの意向によって決めだということですか。そのような今ちょっと御発言がありました、インドネシアの意向によってという。
  34. 野間赳

    委員長野間赳君) 質疑者の質問時間が限られておりますので、答弁につきましては簡潔にお願い申し上げます。
  35. 山口勝朗

    説明員山口勝朗君) この内訳について、インドネシア側の意向ということではございません。援助自体について、インドネシア側の要請に基づきということでございます。
  36. 風間昶

    ○風間昶君 一方では全農が十万トン買い入れたという数字があるわけですけれども、それとほぼ一致するのではないかというふうに思われます。  そうすると、単純に考えますと、農家買い入れ枠を確保するために自分たちでこの在庫を買い取ったという図式になるのではないかというふうに疑われるわけでありますけれども、そこはどう解釈すればいいんですか。
  37. 山口勝朗

    説明員山口勝朗君) 今回の全農によります政府米の購入は、一般卸が購入するのと同じ価格条件のもとで行われたものでございまして、政府側から見れば、通常の政府米販売実績の一部にすぎません。  備蓄運営ルールのもとでは、政府買い入れ数量政府米販売実績によって決定されるため、農協系統といたしましては、備蓄運営ルールを遵守しつつ、ある程度の政府買い入れを実現するため、政府米販売への協力の一環としまして、農協系統としても政府米を購入するという方針を早くから、先ほど申し上げました米情報委員会において明示してきたところでございます。  こうした方針のもとに今回、全農が政府米を購入することとなりましたけれども、これは全農としても、十年産加工用米の一部を政府米と置きかえたり、ニーズに対応した販売を行う上で必要であるとの判断のもとで実行されたものと承知いたしております。
  38. 風間昶

    ○風間昶君 次に、十一年産米政府買い入れに関して、産地、品種、銘柄ごとに定める買い入れ割合の上限は、今年産より一〇ポイント下げて五〇%としたという報道がありますが、三十万トンという数字が今年産米の三%程度の数字でしかないのに、なぜ五〇%の上限という決定に意味を設けるのかということについては非常に問題がある。私は、銘柄別に割合を決める必要があるのではないかとも思ってもいるわけですけれども、この点についてはどうですか。
  39. 山口勝朗

    説明員山口勝朗君) 今御指摘のように、「新たな米政策大綱」に基づきまして、備蓄の的確な運営を図り、また自主流通米として有利に販売できる銘柄への作付転換を進めるために、銘柄ごとの買い入れ数量を十年産においては計画出荷数量の六〇%以内としますとともに、十一年産以降はこの比率を段階的に引き下げていくこととしたところでございます。  このことは、自主流通米米流通の主体となっている中で、銘柄ごとの生産量のうち相当部分は自主流通米として販売し得るよう誘導するためのものでございまして、これを受けて各産地におきましては、十年産の作付に際しまして、従来のいわゆる政府銘柄についても自主流通米として有利に販売できる銘柄への作付転換が行われているところでございます。  十一年産につきましては、この傾向を一層確かなものとするために、計画出荷数量の五〇%以内とすることといたしたところでございます。
  40. 風間昶

    ○風間昶君 時間がないから、何だかわけがわからない答弁になっているので、これはもう一回やらなきゃならないかと思っています。  もう一つ。ことしの七月でしたか、青森県の中里町で、条例を改正して、米の生産調整に非協力的な生産者に野菜の集荷施設を利用させないようにしたという出来事があったわけです。米の需給均衡を回復するために生産調整はやむを得ない措置であるから、農家にとっても米価の維持を図る上で避けて通れない措置でありますけれども、これに関係のない共同利用施設の利用を制限するようなペナルティーを科すことはやっぱり問題だと思うんです。結果的にはペナルティーは科されなかったわけだけれども、来年も九十六万三千ヘクタールの減反が継続される状況の中で、あちこちでこういうことが起こり得る可能性があるわけであります。  そういう意味で、減反の趣旨にかんがみて、非協力農家であったとしても理不尽なペナルティーが科されないように十分農水省としても注意していってもらわなきゃ困るわけです。このことについて短い時間の中で答弁を願って、質問を終わりたいと思います。
  41. 樋口久俊

    説明員(樋口久俊君) いわゆるペナルティーについての御質問でございますが、例えば目標未達成の場合に次年度の目標面積の上乗せを行うというようなことがございました。そのペナルティー措置は、実は平成八年度からとらないことにしておりますけれども、そのようにしておりますのは、新しい食糧法のもとでは、先ほどもお話がございましたが、政府の役割は備蓄運営が中心となっているわけでございまして、米の流通の大宗を自主流通米が占めることとなっておりますような状況、そういう自主流通米を中心とした米の需給価格の安定を図るために生産調整が行われるということでございますので、生産調整においては、生産者や地域の自主性を尊重するということを今考えて実施をされているというわけでございます。  したがって、そのような仕組みを前提に構築されております新たな米政策におきましては、生産者や生産者団体が主体となって需給調整価格の安定に取り組んでおられるわけでございまして、行政側からそのペナルティーというようなものをもって生産調整の実効を図るという手法は、一層現在ではなじまなくなってきていると私どもは考えております。
  42. 大沢辰美

    ○大沢辰美君 日本共産党の大沢でございます。よろしくお願いします。  主に、生産調整の問題を中心に質問したいと思います。  政府は昨年、今多く質問ありましたように、九七年産の米の価格暴落を受けて新たな米政策を実施して、ことし九十六万三千ヘクタールに及ぶ過去最大規模の減反を行ったわけですね。また、来年も同じ規模の減反を生産者に強いる計画を発表されたわけです。減反を十七万六千ヘクタール拡大されたことしは、二十一年ぶりに生産調整目標未達成という事態が出たわけですね。これは未達成県が十六府県に上るわけです。実施率も、前年と同じだった二つの地域を除いてすべて都道府県で低下しているわけです。これは御存じだと思うんです。  そして、十一月四日の日本農業新聞に、その一定の各府県の担当者の聞き取り調査をしているわけですけれども、特に未達成地域の十六府県の担当者の聞き取り調査を行っている内容を見ていましたら、本当に深刻ですね。さまざまな意見がありますけれども、特に目標面積が多過ぎるというのが比較的多いと、限界感が表面化したという報道をされているわけですが、私も、兵庫県ですので、農家の方を訪問して直接聞き取り調査をいたしました。特に、大規模農家の方たちは三割減反までは我慢できたと、だけれども四割の減反はもう我慢できないと口々に訴えられているのが実態なんです。  こういう人たちは、本当に地域で水田を守って、農業生産を維持するためには減反が限界に達していても頑張ってきたと。こういう中で減反面積の拡大、また強制されているわけですから、生産意欲を奪っているし、水田の荒廃も一層深刻になっていると私は思いますが、この減反拡大の影響をどのように考えていらっしゃるか、基本的な点をまずお聞きしたいと思います。
  43. 亀谷博昭

    説明員亀谷博昭君) 大沢委員にお答えを申し上げます。  お話ございました生産調整、今までも御論議がございましたが、需給均衡の回復を図るという考え方のもとに、「新たな米政策大綱」に基づいて、二年間の緊急生産調整推進対策ということで進めてきているわけであります。  これは、平成五年に不作という年もありましたが、以後四年間豊作が続いてきておりまして、全体の需給が大幅に緩和してきている、自主流通米価格が急激に下落をしてきている、そのことによって農家の経営に大きな打撃を与えている、こういうことから農家経営の安定に資するものということで、生産団体も同様の考え方でこの推進を行ってきているところであります。  これによりまして、今年度におきましては自主流通米価格に回復の兆しが見られるなど、一定の効果を上げてきているものと私たち評価をいたしているわけであります。  このような状況を踏まえて、十一年度の生産調整も十年度と同規模でと、こういうことにいたしているところでありますけれども、さはさりながら、今後この稲作農家の経営安定を図るためには、規模の大きな経営体の育成あるいは団地化、あるいはブロックローテーションによる土地利用の合理化、あるいは大豆、麦、飼料作物等の他作物を取り込んだ生産性の高い水田営農の実現、あるいはまた担い手の育成等々の政策が不可欠でありまして、こういったものにしっかりと取り組むことによって、この生産調整をしっかりと根づかせて、そしてまた実効のあるものにしていきたい、こう考えているところであります。
  44. 大沢辰美

    ○大沢辰美君 今の答弁の中で、後にまたお聞きしたいと思うんですが、生産者団体も農業者も協力してやってくれているんだという答弁なんですけれども、その人たちは確かに一生懸命やられましただけれども、その結果が、この新聞の報道にあるように難しいと、来年は難しいという答えをされている方は半分いらっしゃるんですよね。私はこれが実態だと思うんです。これを私、深刻にまず受けとめていただいて答弁をいただきたいと思うんです。  生産者団体が協力しているとおっしゃるわけだけれども、この人たちは悲痛な思いで減反をしている、転作に協力しているわけです。これは皆さんが、政府が、米の価格安定のため減反によって在庫を減らすしかないんだという事態にしたからだと私は指摘したいと思うんです。ところが農水省は、消費が減少し続けているとか、その一方では、ミニマムアクセス米を輸入しているとか、本当に価格を維持しようとすれば絶え間ない減反をしないといけないような状態も私は一方では生まれるんじゃないかと思うんです。  また、ことしの米政策では、今も他の方が指摘をされていましたけれども、政府米買い入れる条件に、ことし生産調整を一〇〇%達成した上にもまた来年、生産調整目標を上乗せすることまで求めて、都道府県に対して価格維持の責任を負わせようとしていますね。本当に私はひどい農政だなと思って怒りを持っているんですけれども、価格維持には生産調整という手法しか示せない今の現状です。生産者は常に不安定な状況に置かれているわけです。だから、米づくりを続ける展望を持つことができないというのが今の実態だというのをもう一回私は述べたいと思うんですが、これで安定的な生産体制を維持できるとお考えですか、その点について。
  45. 亀谷博昭

    説明員亀谷博昭君) 農家が安定的に稲作に取り組むということを考えれば、確かに今お話しのように、減反というものが少ない方がいいのか、備蓄米が積み上がることによって価格がまた変動していく、そちらに対する対策が必要なのか、この辺は非常に難しいところだと思います。しかしながら、私たちとしては、生産調整を行うことによってまずもって価格の安定を図っていくということを第一義に考えながらこの米政策大綱をつくり上げて、今推進をしているところでございます。  生産調整規模が変動しない方がいいと、同じ面積で何年もつくられる方が農家は安心するんだということも確かに議論としてはあると思いますし、そういうお考えもあろうかと思いますけれども、先ほど申し上げましたように大変な不作の年も出てくるわけですし、それから豊作が続けば備蓄米が積み上がってくる。不作のときは実は二百六十万トンぐらい輸入をしているわけです、平成五年に。そしてまた、四年間連続して豊作であったことにより、昨年末には三百五十二万トンまで在庫が積み上がってきた。こういう情勢を総合的に考えながら、適正な備蓄数量というものを目指して私たち生産調整というものを生産者団体の御理解もいただきながら進めている、こういうことでございまして、ぜひ御理解を賜りたいというふうに思っております。
  46. 大沢辰美

    ○大沢辰美君 どちらを選ぶのかという表現では、私は政治の役割を果たせないと思うんですね。私は、市場原理を前提にした米の価格維持には減反しかないというのでは、これからもう稲作生産は減少する一方だと思うんですよ。  ある農協中央会の生産調整の担当者は新たな米政策に対する不安をこのように言っています。生産調整による水稲生産力が絶対的に低下し続ける中で、今の政策はどの水準でこれを保持しようとしているのか見きわめられない、このように指摘している。これは本当に多数の農家の皆さんの声を代表しているんじゃないかと思います。ですから、政府の責任放棄に対する当然の批判として受けとめていただきたいと思います。  今、次官の答弁の中で、いろんな需給安定対策を講じているんだからという答弁がありましたけれども、その需給対策についても、御存じのように、九十六万三千ヘクタールの減反をやればやはり転作も同じようにふえていっているわけなんですけれども、これを一〇〇%実施した生産者に対しては手厚い助成をするかのように宣伝をされて安定対策を打ち出したけれども、私が聞いた農家の実態の声は、メリットがない、そして米をつくった方がいいとおっしゃることが圧倒的でした。  ことしはそういう中で転作の面積もふえているんですけれども、これも兵庫県の例なんですけれども、小豆は最高額を転作奨励でいただけますから町も奨励しているわけです。最高時、キロ二千円だったときもあったわけです。だけれども、ことしはキロ六百円になってしまっている。そうしたら、なれないものをつくっていますから、もちろん収穫も上がらない、天候も悪天になっているという点で、こういう点ではやっぱり保障がないわけなんですよ。だから、他の作物にかえたいけれども、また野菜をつくろうと思ったって助成金はキロ四千円でしょう、ですから採算がとれないというのが実態だと思うんです。  だから、本当に農家の人は他につくるものがない、米をつくらなければ経営が成り立たないというのが実態だということをまず知っていただきたいと思うんです。そのお金を三千円、十アール当たり出していらっしゃるわけですけれども、大方の農家の方は、米と遜色のない収入になると言われたけれども、これでは拠出金の持ち出しの方が多いというように言われた方もおられました。  だから、今、本当に農業生産が高齢化しているし、後継者不足の中で機械化が進んで、労働力も少なくなって必然的に稲作というのは傾斜してきているのが実態ですから、こういう需給安定対策をつくったとしても、転作の条件整備ですね、わずかの奨励金ではもう間尺に合わないのが実態ですから、こういう作物をつくっても安定して経営が成り立つ措置が必要じゃないか、条件整備をちゃんとやりなさいということなんですが、その点については根本的に転換されるお考えはありませんか。
  47. 樋口久俊

    説明員(樋口久俊君) 新たな米政策推進に際しまして、生産調整を実施されるということで、そのメリットを明確にするということから、御指摘がございました米需給安定対策、これに加えまして、稲作経営安定対策でございますとか水田営農確立助成金を交付する等々、いろんな対策総合的に講じているわけでございます。  したがいまして、ある時点で、ある一部分を取り出して、なかなかメリットがある、ないというのは、私どもとしてはこれは適当じゃない議論であろうかと思っておるわけでございます。  ただ、お話がございました米需給安定対策についてあえて数字で申し上げてみますと、補償金の水準設定いたしますときは、主要な転作作物でございます麦、大豆などに重点を置いて設定をするということにいたしておるということはもう御承知だと思います。  平成十年度におきましては、助成対象になります水田面積の八五%がこの対策に加入をされるという見込みを現在持っておりますことから、農業者の皆様からは一定評価をいただいているものと考えているところでございます。  また、水田営農をやっていただくということでまとまった場合にはそれなりの評価をするということで、地域の農業者が四分の三以上まとまっていただく場合には十アール当たり五千円という補償金が加算されるという仕組みになっておるのは御承知だと思いますけれども、これを加えていただきますと、仮に低い方のランクでございます野菜等で取り組まれた場合でも、拠出と交付のバランスはそれなりにとれているものと考えているというところでございます。
  48. 大沢辰美

    ○大沢辰美君 その金額、部分を取り出してと言っておられますけれども、本当に私たち調査の中ではそういう部分が強調されましたので、やはりそういうところがあるということをもう一度点検をしながら転換を求めたいと思います。  特に、転作として奨励している麦の問題も、これからやはり民間流通の価格支持制度の見直しも出されているわけで、これはやっぱりひどいと思うんです。この点は特に指摘をしてお岩たいと思います。  最後に、政府はこのように激しい減反を生産者に押しつけながら、一方では、在庫拡大の要因である輸入米は国際的な約束だから削減せず、輸入しながら減反という不合理を四年間も押しつけてきたということに農民は特に怒りを持っています。国内生産を犠牲にして、減反を強化することで国内在庫を削減するやり方であっては、本当に個々の生産者が納得できる道理がありません。輸入米を別途処理するでもなく加工用として国内に放出し続けているわけですから、この点については政府の責任として、ミニマムアクセス米は国内需給から完全に切り離して海外援助、飼料用として処理すべきだと考えるが、そのことを量後に質問をして終わりたいと思います。
  49. 野間赳

    委員長野間赳君) 時間が経過しておりますので、答弁は簡潔にお願いいたします。
  50. 山口勝朗

    説明員山口勝朗君) ミニマムアクセス米の扱いにつきましては、今、先生御指摘のとおり、国内産米で対応しがたい加工用等に振り向けているところでございます。このミニマムアクセス米が主食用の需給に影響を与えないようにということで、引き続きそのような方針でやっていきたいと思います。  なお、ミニマムアクセス米の扱いにつきましては、先ほど来出ておりますように、適宜、援助用にも使うということもいたしているところでございます。
  51. 谷本巍

    ○谷本巍君 初めに、生産調整問題について伺いたいと存じます。  生産調整の面積が拡大されればされるほど実施をする農家は大変になってくる。これに対して、やらなかった農家が受けるメリットは大きくなってしまうというような矛盾が拡大してまいります。ことしの場合は十六府県も未達成でありました。それで、来年がどうなっていくかということから、関係者の間からは実効確保の措置をしっかりやっていただきたいという声が多くなっております。  そこで、私が初めに伺いたいのは、商系の一次集荷業者の一部に見られることでありますが、生産調整はやるな、全量買ってあげますよというようなことで、集荷のシェアを広げていくという動きがかなり出てきております。こういう事態はそのままにしておくことができません。では、こうした事態についてどう対処されるのかについて伺っておきたいのです。
  52. 山口勝朗

    説明員山口勝朗君) 生産調整推進に当たりましては、生産者と密接な関係を持ちつつ計画流通制度の一端を担う第一種登録出荷取扱業者に対しましても、これまでも生産調整推進活動等に積極的に取り組むように指導してきたところでございます。特に、「新たな米政策大綱」に基づきます緊急生産調整推進対策推進に当たりましては、第一種登録出荷取扱業者によるこれまで以上の取り組みが重要であるとの判断から、関係者間の連絡調整体制の整備を図り、第一種登録出荷取扱業者の生産調整推進の取り組みに対しまして、関係者が一体となって機動的かつ効果的な指導等を行うことといたしているところでございます。  また、各食糧事務所におきましても、第一種登録出荷取扱業者の活動状況をきめ細かく把握しまして、生産調整推進に関し、今御指摘のございましたような行為を行った登録出荷取扱業者に対しましては厳重注意を行う等の指導を実施してきているところでございます。  今後とも第一種登録出荷取扱業者が生産調整関連業務に積極的に取り組むように指導してまいりたいと考えております。
  53. 谷本巍

    ○谷本巍君 この点は行政指導でやるしか方法がないわけであります。したがいまして、生産調整の面積がふえればふえるほど、食糧事務所の機能も生かしながら、これまで以上の取り組みをやらなければ防ぐことができないわけでありますから、その点を特に強くお願いしておきます。  続いて伺いたいのは、大型農家の一部に生産調整不協力という例がしばしば見受けられます。そして、その多くは残念ながら認定農家であります。これは集落の中で物すごく評判が悪い。最近の農政は選別農政になってきております。認定農家傾斜型であります。そういう恩典に浴している人が生産調整はやらないということから、中小農家からの批判の声が強くなってきているのであります。  私は、生産調整の実効確保というのはペナルティー方式だけをやっておったんじゃいけませんということは前から申し上げてきておるのであります。この点についてもやはりきちっとした行政指導があってしかるべきだと思います。その点いかがでしょうか。
  54. 渡辺好明

    説明員(渡辺好明君) 御指摘の点でありますけれども、今まさに先生おっしゃいましたように、認定農家といえども集落を離れて存在することはできないわけでございます。認定農家が御自分の経営内容を改善するというのはこれはもう当然のことといたしまして、同時にやはり地域のリーダーでございますので、地域内の農地とか水とかあるいは生産調整も含めましてそういったものを引っ張っていく、そういう責任があろうかと思います。今一部の事例を御提示いただきましたけれども、むしろ積極的に集落内の転作を全面的に引き受けてやっているというふうな事例も多いわけでございます。  なお、認定農家制度発足以来五年を迎えまして、間もなく再認定といいますか、見直しの時期も順次参ってくるという状況にございますので、そういった機会に一再審査の際に生産調整への協力というふうなことについて配慮するようにしたいと思っておりますし、市町村や県には構造政策推進会議もございます。そういう場でも指導を強めたいと思っております。近々、十一日に山形県の酒田で千人の認定農業者を集めまして認定農業者サミットもございますので、そういう場でもやはり転作の輪に加わるというふうなことで指導をしたいと思っております。
  55. 谷本巍

    ○谷本巍君 極めて悪質なものについては認定の取り消しという検討もあり得るということでしょうか。
  56. 渡辺好明

    説明員(渡辺好明君) 取り消しという明確な規定といいますか定めに該当するようなものではないと思いますけれども、今申し上げましたように、五年ごとの見直しの時期も来ておりますので、そういったときには生産調整への協力という点につきまして再度確認をするというふうなことを進めるべきだろうと思います。もちろんはじき出すのではなくて、中に入れることが最大の目的でございます。
  57. 谷本巍

    ○谷本巍君 先ほども申し上げましたが、これまでの実効確保措置というのはほとんどペナルティー方式でありました。もうそれだけでは限界であります、面積は多くなってきて二年目ということになりますから。だから、そういう意味では、新たなメリット対策を行おうという動きというのは歓迎されてよかろうと思います。伺ったところでは、超過達成への助成というのが検討されているというふうに聞いております。どの程度の規模のものを想定しておられるか。  それから、もう一つこの際伺っておきたいのは、超過達成問題に限らず、この種のやり方というのはほかにもいろいろあるわけでありますから、そうした問題についても調査、検討をしていただきたいと思うが、いかがでしょうか。
  58. 樋口久俊

    説明員(樋口久俊君) お話がございましたように、本格的な需給均衡の回復のためにはさらにもう一年生産調整をやっていくわけですが、これが着実に実施されるということが必要であろうと思っております。  それで、十一年におきましては、まず未達成地域の解消を通じまして全国規模での生産調整の着実な実施を図っていく、これが私どもとしては二年目の課題であろうということでございまして、生産調整を達成した市町村において超過達成した生産調整実施者を対象に、超過達成面積に応じて一定のメリットを付与することを内容とする支援策を本年の予算編成時までに検討するということで、今まさに始めたところでございます。まさに始めたところでございまして、予算編成時までに具体的に検討するわけでございますので、その内容につきましてはこの段階でまだ具体的に申し上げられないということは御理解をいただきたいと思いますが、考え方は今お話ししたようなことを踏まえまして検討していきたいと思います。  なお、さらに御提示ございました点につきましては、私どもとしては、生産調整自身は例えば十一年で終わるとかという話でございませんで、その後もいろいろございますし、いろんな対応を視野に入れながらさらに勉強していかないといけないのではないかとは思っております。
  59. 谷本巍

    ○谷本巍君 次に伺いたいのは、生産調整ともかかわりのある稲作経営安定対策についてであります。  まずこの件で伺いたいのは、生産者の拠出、それから政府助成、いわゆる稲作経営安定対策資金の積み上がった金額、これをどう活用するかについてであります。私どもがお聞きしておりますのは、一つは制度運用に生かした使い方があるのではないかということであり、もう一つは個人負担の軽減に向けた使い方もあるではないかといったような各党からの検討がされているという話を伺っております。  そこで伺いたいのは、一つはいつごろまでにこの方針を決めるかということであります。それから二つ目に伺いたいのは、この資金は個人に帰属しているものでありますから、したがって政府が一方的にその扱いを決めるという筋合いのものではありません。関係者との合意づくりをどう進めようとしておられるか、その点について伺いたいと存じます。
  60. 山口勝朗

    説明員山口勝朗君) この稲作経営安定対策につきましては、稲作農家生産調整を実施したにもかかわらず自主流通米価格が下落した場合に、その影響を緩和することによりまして安心して営農を行えるようにするものでございます。言ってみれば、生産調整実施者に対する一種の保険的なメリット対策として仕組んだものでございます。  本対策につきましては、まだ導入初年度でございます。また、将来にわたって価格下落時に補てんを行っていくという制度の趣旨からいたしまして、仮に資金が積み上がるような状況が生じるといたしましても、その取り扱いにつきましては、ある程度の実施期間を経まして、一定の経験と実績を積んだ上で判断すべきものと考えているところでございます。  またもう一つ、個人に帰属する関係で、取り扱いについてはどうか慎重にというお話でございましたけれども、いずれにしましても本対策につきましては、今後の実施状況等を踏まえて適宜必要な見直し、改善を図ることとしておりますので、その際、個人ごとに管理されている資金の積み上がり状況などを踏まえまして、生産者の意向を十分に聞きながら、その活用のあり方も検討していきたいというふうに考えているところでございます。
  61. 谷本巍

    ○谷本巍君 問題は、最後に伺ったような決め方の問題なんですね。ですから、農家の意向を直接調べるという方法もありましょう。それから、生産調整の主体になっておるのは農協でありますから、そうした関係団体との話し合いというのもあるでしょう。その辺いかがですか。
  62. 山口勝朗

    説明員山口勝朗君) この稲作経営安定対策に関しましては、先ほど申し上げましたように、当初から適宜必要な見直し、改善を図るという方針で臨んでおります。その参考とするために、生産者の意向の把握というものも今年度、六月にも実施しておりますし、また今後も年内及び来年六月を目途に補完調査を実施することといたしておりますので、生産者個々からの御意向もつかみ、また生産者団体ともいろいろ意見交換しながら検討していくということになろうかと思います。
  63. 谷本巍

    ○谷本巍君 この点は一方的に決めないようにしてくださいよ、非常に大事なことですから。  最後伺いたいのは、政府買い入れ問題であります。  これまでもお話がありましたように、百二十万トンであったものが、ことしは二十万トンプラス全農の十万トンで三十万トンというふうに激減いたしました。この傾向は来年以降も続くであろうというふうに見られます。  さて、そこで伺いたいのは、三十万トンで需給操作が果たしてうまくいくのかどうなのかということであります。御存じのように、ことしの場合、価格在庫、それぞれの地域によって大きな地域差が出てまいりました。それだけに、たった二十万トンでうまく調整できるか。確かに政府買い入れ量は激減しても、新米の出回り量が大型減反で少なくなってきましたから、まあまあ総量的にはバランスがつくという感じはいたします。ところが、それは総量の話でありまして、古米と競合する例えば北海道光、青森米はそうはいかぬのではないのか、新米だから売れるとは限らぬのではないかという不安が残っております。この点とう見ておられるか。いかがでしょうか。
  64. 山口勝朗

    説明員山口勝朗君) 「新たな米・政策大綱」の推進の結果、先生御指摘のとおり、全国的に見れば自主流通米価格が上昇するとともに、自主流通米在庫が減少するなどの需給改善効果を上げているところもございますが、産地・銘柄別に見ますと相当の差が生じており、効果の発現がおくれているところもございます。  こうしたことから、十年産政府買い入れ数量の都道府県別配分につきましては、これまでの買い入れ実績、産地ごとの需給改善の状況等を踏まえて、生産者団体の意向を尊重して行うことといたしております。具体的には、十年産政府買い入れ数量三十万トンのうち十五万トンにつきましては、政府買い入れ実績、これはウエートとして八〇%でございます。県産銘柄政府米販売実績、ウエートとして一五%、生産調整面積、ウエートとして五%でございます。このような要素に応じまして都道府県別に配分するということと、もう一つ、残りの十五万トンにつきましては、十年産生産調整一〇〇%以上達成したものの大綱による需給改善効果の発現のおくれている都道府県等について十一年産生産調整目標面積の自主的な拡大に応じて配分する等、生産者団体の意向を踏まえて配分するという考え方をいたしております。  以上のことから、いわゆる政府米地帯における稲作生産が困難になるということはないと考えております。
  65. 谷本巍

    ○谷本巍君 終わります。
  66. 阿曽田清

    阿曽田清君 自由党の阿曽田でございます。  いろいろともう御質問が出ておりますので、私からはことしの減反政策を実施した実態面から質問させていただきたいと思います。  ことし五%上がって、熊本の場合は約四〇%の減反面積になりました。我が農協管内でも最後最後まで達成し得ない地域がありまして、それを担当者、営農指導員、役場と一緒になって個別農家回りまでして達成に向けてぎりぎり努力をしてやっと達成できだというような状況であります。しかも、結果としては水田でも植えられなくそのまま荒れているというところもあるし、またそれが、わずか五%と言ってはなんですけれども、四割になった部分でのダメージは物すごく大きくて、周辺にそういう休耕田ができてしまったり、管理不良になって他の地域に影響を及ぼしたり、さらには意欲をさらに低下させるというような悪影響が、わずか五%上げたことによって大変現地においては苦しい思いをしたのがことしであったわけであります。  このような減反政策が既に始まってから二十三年たって、三五%全国平均、しかし六〇%以上を超えている県もあるという中で、今後いわゆる消費が減少し、海外から入ってくるもの等も固定化されたにしても、二十年もせぬうちに五〇%の減反になっていきはせぬかという心配が私なりの計算では出てくるんです。  このような政策を、ただ毎年毎年こういう需給調整問題だけで、需給のバランスだけで米政策が行われていっていいものだろうか。私は、ここで抜本的な問題を既に用意しなければならない時期に来ているのではなかろうかと思うんですが、いかがなものでありましょうか。
  67. 樋口久俊

    説明員(樋口久俊君) まず前提としまして、先生御承知のとおり、大変大きな需給ギャップが水田につきましてはあるということは御承知だと思います。したがいまして、単に生産量を減らすということだけではなくて、今度は逆に水田が有しております大変高い生産力がございますので、そういう生産力を十分に活用する、片方で需給ギャップを均衡させるというねらいと水田の持つ高い生産力を有効に活用する、そういう両面の望ましい水田営農を行うという観点から対応していかないといけないということでございまして、昨年から実施をしております新しい米対策、そういう考え方のもとに立って実施をしております。  ただし、大変大きなギャップを緊急に回復するということがございましたものですから、いかにもその部分が大変目についておりますが、全体の考え方は先生がおっしゃったような方向で、生産力を活用するということは十分頭に入れた対策になっているということは御理解いただきたいと思います。
  68. 阿曽田清

    阿曽田清君 そこで私は御提案したいんですけれども、少なくともここ数年間は、四、五年間はこの減反政策で需給のバランスをとっていく政策を米政策としてやっていくけれども、それから先の一つのいわゆるランディングさせた形で新しい導入を行っていくということをするならば、御承知のとおりに穀物自給率は二九%です。飼料穀物自給率は二五%です。すなわち、海外にほとんどの飼料穀物は依存しておると言っても過言でないわけですから、ここでおいしい米はどれだけの面積でつくる、そして飼料穀物としての米を、食用じゃなくて畜産に供する飼料米づくりを新たに水田活用してつくっていく、それは反当一トン半とか二トンを目指すような原種の開発をしていく、国産原種の開発をして高めていく。そうすると、飼料の問題も海外に頼らず安定した畜産経営がおのずからできていくというふうに思うんです。  いわば、耕種部門と畜産部門と園芸部門と分かれれば、畜産部門のいわゆるふん尿処理を今までは堆肥としてつくって園芸部門にやっていた、あるいは耕種部門にやっていた。今度は耕種部門が逆に畜産部門に飼料、えさを供給していく、飼料米を栽培して供給していくというようなことになると、おのずから穀物自給率は上がります。海外から入ってくる必要も少なくなります。そして環境も、水田も活用できます。そんな方に米政策の方向を思い切って変えるということが二十一世紀に向かって今必要じゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
  69. 樋口久俊

    説明員(樋口久俊君) まず飼料米、えさ米という言葉でもよろしいかと思いますけれども、とりあえず転作の世界の話をまず御説明してから、その次に引き続き御提案の点についてお答えしたいと思います。  まず、飼料米の転作上の扱いにつきましては、私どもとしては湿田地帯のようになかなか畑作物へ転換ができにくいという困難な地域では有効な転作作物の一つであるという扱いを今するのが適当だということで、緊急生産調整推進対策という世界では飼料用米という範疇といいますか、それはございまして、他の飼料作物と同様に最高額で十アール当たり五万円の助成金を交付するということになっております。  ただし、これには一つ、ほかのものとは違います制約がございます。なぜかといいますと、引き取ってもらわないといかぬというところがあるわけでございます。当然さっきおっしゃいました畜産農家ということになるわけでございます。したがいまして、そういうことをいろいろ判断しまして、まず品種を限る、それから一定の契約がされていないといけないという制約があったわけでございます。これを本年度からは品種の範囲を広げようということを一つやったわけでございます。それから、畜産をやっておられる場合に、自家家畜へ供給するという場合も対象としようではないかということで広げておりまして、それまでに比べたら比較的取り組みやすい仕組みにしたというつもりでございます。  なお、その後、一体それを米の中にどういうふうに取り扱うかということにつきましては、いろんな留意しないといけない観点があるわけでございますが、一つは水田をそもそもどういうふうな管理をしていくのが適当かという考え方が一つ。それから、有畜農家需要者に飼料米を一体どのくらい使ってもらえるんだろうか。例えば、トウモロコシについても内容が必ずしも同一ではございませんで、飼料の養分扱いをした場合に差異があったりしてほかのものを添加しないといけない等いろいろございます。そういう点から考えないといけない。それから、相当多収でございませんとこれは計算が成り立たないという点がございますので、品種開発、そういう点も考えながら対応していかないといけないと思っております。
  70. 阿曽田清

    阿曽田清君 言っていらっしゃることはよくわかるんですが、そういう点を真剣に計算したことはありますか、採算が成り立つためにはどうしたらいいかということの、えさとして活用して。アメリカの価格とは二・五倍も三倍もする、日本に持ってくれば。それに合うような増収の飼料用米を育成し、そしてそれが採算的に、計算的に成り立つようにとことん詰めてその導入をやっていこうという取り組みが過去ないような気がするんですよ。私は、今どきそれは必要だと思うんです。  もう一点は、UR対策でいわゆるミニマムアクセスで入ってまいりますね。入ってきているタイの米にしても、いろいろな海外、東南アジアから入ってきている米に、食用の米ということに限っていないわけでしょう。今は食用の米しが入ってきていませんけれども。でき得るならば、これは私の非常にとっぴな提案ですけれども、インドネシアにしてもタイにしてもマレーシアにしても、よその国にえさ用の米を生産してもらって、それの輸入をどんどんしていくというようなことをしたら、何も国内の食用の米に影響は及ぼさぬことになるんじゃないですか。食用の米でなきゃならないということじゃなくて、日本の飼料用の米を海外でつくって、それを米として輸入しますよということにしたら、どれだけやったって、まだまだ飼料用の原料は足らないわけですから、トウモロコシ、小麦とかそういうものにこだわらず、そういう一つの発想はいかがなものかなと思いますが、いかがでしょうか。
  71. 山口勝朗

    説明員山口勝朗君) いっそのことえさ米を輸入したらどうかということでございますが、今の仕組みはよく先生御存じのとおりだと思いますが、私ども、ミニマムアクセス米につきましては食用の需給に影響を与えないということで、加工用向けの原料を主体に振り向けているわけでございます。そういうものとの関連とか、あるいは海外で生産すると、委託するとどういう状況になるのかということも今の段階でにわかにお答えもできにくいものですから、いろいろ検討することが多々あるのではないかなという感じがいたしております。
  72. 阿曽田清

    阿曽田清君 今までの農林水産省の発想からするととてもそういう考えは生まれてこないと思いますが、私から改めてそういう提案をするということは、今までの減反政策をこのままずっと続けるということじゃなくて、どこかで一つの思い切った方向転換をすべきだと。それの提案としてこの提案をさせていただいたので、農林省は真剣に今まで考えて検討したことないじゃないですか。だからそれをやっていただきたい。その決意だけ、政務次官。
  73. 亀谷博昭

    説明員亀谷博昭君) MA米の取り扱いにつきましては、いろいろ制約も現在はあるわけでありますけれども、今後の生産調整の一つの手法としても今の御提言につきましては検討させていただきたいというふうに思っております。
  74. 阿曽田清

    阿曽田清君 終わります。
  75. 石井一二

    ○石井一二君 二院クラブ・自由連合の石井一二でございます。  政務次官にお伺いいたしますが、私は生産米価審議会というものはやめてもらった方がいいと思っておりますが、その存在意義について政務次官のお考えをお聞きしたいと思います。  なぜこういうことを聞くかということですが、もう二日も三日も前から日本農業新聞に出ていますように、ことしは一・七五%ダウン、一万五千五百二十八円ともう決まっているんでしょう。例えば、きょうやっている米価審議会によって多少ともこれを変えるだけの力があるのかどうか。セレモニーにすぎぬのではないか。そうであれば、米価追認委員会というように名を改めるべきじゃないかと思うんですけれども、そういうことも含めてあなたの所見を伺いたい。
  76. 亀谷博昭

    説明員亀谷博昭君) ここ何年か諮問どおりの米価が決定をされているということは事実であります。しかし、米価審議会におきましては、買い入れ価格あるいは標準売り渡し価格を決定する機関として、国民主食である、我が国農業の基幹作物である米、麦の価格という大変重要な事項である、そしてまた審議の対象の性格上、生産者、消費者等の利害に直接影響するものであるというようなことから農林水産大臣諮問に応じて御決定をいただいてきているところでございまして、私たちとしては今後とも米価審議会において最終的な御決定をいただくという手法は必要であるというふうに考えておるところであります。
  77. 石井一二

    ○石井一二君 質問をよく聞いて、問うていることに答えていただきたい、あらかじめ書いてあるものを読まないでいただきたいと思います。  次に、山口食糧庁次長にお伺いいたしますが、新食糧法第五十九条の二項には政府買い入れ価格というものは米穀の再生産を確保することを旨として定めると、こうなっておるわけであります。そういうことになりますと、今決めんとしておるこの一万五千五百二十八円、この値段で生産をしてペイする稲作経営力を持っておる農家というものは全農家の何%ぐらいになるのか。大体推測で結構です。正確な数じゃなくていいです。私はゼロじゃないかとむしろ思っておるんですが、あなたの御意見伺いたいと思います。
  78. 山口勝朗

    説明員山口勝朗君) 現在の政府買い入れ価格算定方式につきましては、ただいま先生がおっしゃいましたように、生産コスト変動率もございますが、そのほか等量のウエートで自主流通米変動率というものも算定の中に入ってくることになっております。したがいまして、生産費調査あるいは再生産確保という要素だけで算定されるものではないという算定方式になっているということを御理解いただきたいと思います。  なお、現在の価格でどの程度の農家生産費をカバーしているかという点につきましては、ちょっと今手元に資料がないものですからにわかにはあれですが、販売量で六割程度ではないか。生産費が米価を下回る農家の比率といたしましては、これは第一次生産費でございますが、戸数で約四割、販売数量で約六割というようなことでございます。また、全算入生産費米価を下回る農家の比率は戸数で一四%、販売数量で三一%というふうに推計されます。
  79. 石井一二

    ○石井一二君 今、答弁の中で、自主流通米変動率が云々ということも言われましたが、例えばことしは自主流通米生産量は対前年比百五万トンのマイナスですね。そうすると、価格としては強含み、上向きですよ。また、反収を見れば四百九十九キロのダウン。ということは、生産コストはバーユニットで見たら上向きですよ。こういう中で、じゃ、なぜ米価が一・七五%ダウンになるのか。矛盾しているんじゃないんですか。その辺のロジックをどうお考えですか。
  80. 山口勝朗

    説明員山口勝朗君) 先ほど申し上げました算定方式に基づきまして買い入れ価格が決定されるわけでございますが、ことしの場合には自主流通米価格、十年産でございますが、先ほど来出ておりますように、生産調整を行政、生産者団体が一体となって積極的に推進した結果、ほぼ目標面積を達成ということもございまして、自主流通米価格回復傾向にございます。  このような回復傾向を反映いたしますと、それを算式に当てはめますと、ことしのような結果が出てくる。と申しますのは、自主流通米価格に関して言えば、先ほど説明申し上げましたように、過去三カ年間の自主流通米基準価格平均価格を原則としてとっております。そういうことでございまして、ことしの場合は上がっている。過去三カ年間といいますと、八、九、十とその前の七、八、九、これを比較しているわけでございます。七年産価格は非常に高かった。それに対して、その部分と比べますと十年産は低いわけでございます。若干戻してきているという状況でございまして、いずれにしましても価格を戻していることが影響している。  それともう一つ、反収についても、これも先ほど算定方式のところで若干申し上げましたけれども、単純にその年の反収をとっているわけではなくて、平準化反収というものをとっておりますので、これも傾向的に上がる傾向にあるという状況でございますので、これも下げ要因になっております。  以上でございます。
  81. 石井一二

    ○石井一二君 どうも私にはあなたがおっしゃっていることはへ理屈に聞こえて仕方がないわけでありますが、私に与えられた十分という時間の関係もありまして、これに対してさらなる論議はこの場ではやめておきたいと思います。  政務次官にお伺いいたします。  我が国は今極めて重要なデシジョンメーキング、ミニマムアクセスを続けていくのか、関税化をするのかということを決めなきゃならぬ時期が迫っております。大臣に同じ質問をするつもりですが、大臣のおられないうちにあなたの所見を、大臣に御相談なく、どちらの方向に我が国は進むべきか、その理由を含めて所見を述べていただきたい。個人的な意見で結構です。
  82. 亀谷博昭

    説明員亀谷博昭君) 現在の特例措置は二〇〇〇年までということでありまして、それ以後のことにつきましては来年の末あたりから実際の話し合いが進んでいくのかなと思いますが、現在のところは、長期的な視点から米の安定供給を図るという立場からどのような方向がいいのか、これからしっかりと取り組んでいかなければいけない。ミニマムアクセスの方向を続けるのか、あるいは関税化に踏み切るのかというのは、大変申しわけありませんが、今ここではっきりと申し上げられるような結論を得ていないということで御理解をいただきたいと思います。
  83. 石井一二

    ○石井一二君 私はあえて政務次官としてではなしに私見でいいと、こう申し上げておるんですが、政務次官の立場にあるあなた自身が私見もお持ちじゃないと、そういうことですか。
  84. 亀谷博昭

    説明員亀谷博昭君) きょうは農林水産政務次官として出席させていただいておりまして、私が個人の立場で個人の意見を申し上げることは、この場合は不適当であろうかと存じますので、御理解をいただきたいと思います。
  85. 石井一二

    ○石井一二君 では、また個人的な会話を楽しませていただきたいと思います。  一応終わります。
  86. 野間赳

    委員長野間赳君) 以上で政府当局に対する質疑は終わりました。  速記をとめてください。    〔速記中止〕
  87. 野間赳

    委員長野間赳君) 速記を起こしてください。  引き続き、農林水産大臣に対する質疑を行います。
  88. 岩永浩美

    ○岩永浩美君 先ほど来政府当局からいろいろな御答弁がございましたが、大臣がお見えになったら早速、大臣にお伺いをしたいと思います。  きょうは平成十一年度産米価について大臣にお伺いすることになっておりますが、それに先立って、目下の最大の課題であるAPECにおける林産物、水産物の自由化問題についてお伺いをしたいと思います。  特に、きょうお帰りになった中川農林大臣に、五日間の中で、機上泊三日、地上泊二日という強行スケジュールをこなしてきようここにお見えいただいている大臣に、大変お疲れであっただろうと御推察を申し上げると同時に、御苦労さまでしたと改めて申し上げておきたいと思います。  特に、アメリカではバジェフスキー通商代表やグリックマン農務長官らとの会談をされてこられたとお聞きしておりますが、今回、アメリカ側との会談で議論は平行線のままだったということが報道されています。  きょうの農業新聞に、農水省に五日に入った連絡では、中川農林大臣はAPECの自由化協議の状況と日本の立場を十分に説明されて、APECでの米国の戦略は、そこで関税引き下げの枠組みを決めて既成事実としてWTO次期交渉でEU包囲網をつくる意味があると指摘をされたと報道されています。今お帰りになったばかりの農林大臣から、そこら辺についてホットな話を伺いたいと思います。
  89. 中川昭一

    ○国務大臣(中川昭一君) 今、岩永先生から御指摘がありましたように、五日間でワシントン、それからWTO事務局長のいるジュネーブ、そしてEUの農業担当委員のいるブラッセルと回ってまいりました。最初にワシントンに行きましたのは、今、先生御指摘のとおり、APECで林、水二品目の関税引き下げについてアメリカが強い要求を日本に出してきていることに対して日本の立場を述べ、そしてそれは絶対にのむことができないという趣旨のことを申し上げに行ってまいりました。相手方はバジェフスキーUSTR代表、それからグリックマン農務長官、そして大統領府の経済担当の補佐官でございました。  日本の立場は、今まで総理、あるいはまたいろいろな場で私も申し上げておるところでございますから、向こう側が何を言い、それに対してどうお答えをしたのか、御質問があればまた私が言ったこともお話ししますが、向こう側の主張というのは、九分野の早期是正が必要な、EVSLと言われておりますけれども、九分野、これを三項目について完全にみんなで参加してみんなでやろうということであります。九分野の中に林、水と二分野があるわけでございます。三項目と申し上げますのは、関税の撤廃あるいは引き下げ、それから貿易の円滑化、輸出にかかわる貿易の障壁等々について非関税分野の障壁を取り払うこと、それから技術協力等、これら三項目でございますから、合計二十七項目というふうに我々は理解しておるわけでありますけれども、そのうち日本としては林、水の関税の撤廃についてはどうしてものむことができない。  しかし、今回のAPECの最大のポイントは、アジア太平洋経済をどうやって再生していくかが最大のポイントであるから、日本としてはそのほかに三百億ドルの資金援助の支援の準備もしておる。日本がどの国よりもこの問題については熱心にAPECの中で果たすべき役割というものをやってきたし、これからもやっていくんだということであります。しかし、アメリカはとにかく二十七セットでないとだめだという強い主張であります。  そもそもAPECというのは、先生方御承知のとおり、一九八九年にみんなでお互いの立場の違いを超えて話し合いをして、発展のために協議をしましょうという場であって、決して物事を決めたり、また拘束されるものではない。先ほど申し上げたようなEVSLのVもこれはボランタリー、つまり自主性というものが原則にあるわけでございますから、やれるものとやれないものがあってしかるべきだと。それをあたかもWTOあるいはNAFTAのような形でがちっとやってしまうことには、そもそもアメリカの論理というものに私は率直な反論をいたしました。さらには、あたかもWTOの前倒しの関税交渉のようなやり方についても私は納得ができなかったわけであります。  その辺のやりとりを激しくやったわけでございますが、つけ加えますと、ヨーロッパに行っていろいろお話をする前に申し上げたのは、これは多分アメリカとしては、林、水という仮に関税化をしたところで数万ドル、数十万ドル単位の貿易量にしかすぎないであろうものにこれだけこだわっているということは、向こうはパッケージだとか東南アジアを救うとか言っておりますけれども、来年、残り六分野の中に食品が入ってまいります。それから、大事な輸出貿易品目である油糧種子が入ってまいります。それで、ことしやって、来年、食品、油糧種子をやって、そしてアジア太平洋、オセアニア、いわゆるケアンズ・グループをまとめ上げて、そして二〇〇〇年の交渉で最大の敵であるEUと農業分野で戦うための前哨戦のもう一つ前という位置づけであると私は判断をいたしました。  ですから、ルジェロWTO事務局長あるいはEUのフィシュラー農業委員にもそのことを申し上げたわけでありますが、ルジェロさんは、立場上一つのことにイエスともノーとも言えないけれども、決してAPECの場で日本の主張が孤立しているとは思わない、それからWTOとAPECとは性格が違うということをはっきり断言されましたし、それからフィシュラー氏に至りましては、まさしく最大の交渉の相手方はアメリカであるということで、日本とEUとともに手に手をとってという、私の表現でありますが、よく連絡をとり合いながら、ASEMという別の舞台もございますので、そういうところでアメリカの、私は率直に言って理不尽なAPECの運営方法あるいは要求についてひとつ頑張っていかなければならないということで、できますならば委員の先生方の御指導、御支援をいただくこともお願い申し上げて、御報告といたします。
  90. 岩永浩美

    ○岩永浩美君 大変心強い交渉をしてこられたことをお聞きして大変私たちも安心いたしますが、特にAPECの中における話し合いがすべてWTOの、解決をしていくための延長線上にあるような世論の操作等々があることは非常に我々も危惧を抱いております。  特に、林産物、水産物のそれぞれの団体等については、このAPECにおける話し合いに危機感を抱いて団体の集会等々も開いておられるし、そしてまたそのことが方向として何か妥協したような形で解決をされると国内の農林水産業の崩壊の道に行くのではないかという心配が多分に出てくることは否めない事実だと私は思います。特に、通産省の中で余り影響のないものについては関税の引き下げについて同意してもいいのではないかという品目の調査をされたやに新聞報道で聞いていました。  そういうそれぞれの国益を守っていくために長い年月、そして長い経験をもとにして、中川農林水産大臣農林水産業のエキスパート、行政、政治におけるエキスパートだから、その面については何も心配しなくても、国益を守るという意味においてはほかの役所に負けることのないようにこのことについてはしかと心得て交渉に当たってもらいたい。そのために、今回のAPECに大臣は御出席をされるのかもお伺いしたいし、もし行かれないとするならばどういう立場の人を大臣のかわりに出席させるのか。  政府の交渉の相手は、経済閣僚会議、あるいは大蔵大臣と通産大臣が行けば問題の解決になるというふうな形で事を済ませようとしても、それほどまでにアメリカ並びにEU諸国とは関係並びに意見が違うとしても、アメリカの非常に強い意見があるとすればそれに対峙して、勝ち負けで論議するわけにはいきませんが、十分に対峙できる立場の人を立てて交渉に当たるべきだと思いますが、その件についてどういうお考えがお聞きしておきたいと思います。
  91. 中川昭一

    ○国務大臣(中川昭一君) 通産大臣から私に対して、影響のないものについてぐらいは出してもいいのではないか、そのためにひとつ相談をしようという話があったことは事実でございます。  ただ、私としては、事務的にどういうものが影響がないのかということを通産省と農林省の事務当局で、向こうから言ってくればそれに対応することは拒否しません、しかしそれはAPECあるいはEVSLの話とは全く別次元であることだけは前提として理解をしてもらいたいということを申し上げましたが、現時点において通産省から私の方にそういうリストなり相談があったという話は私は存じ上げておりません。  一方、けさ、総理あるいは通産大臣、外務大臣ともお会いをいたしましたが、外務大臣は今出張中でありましたが、大蔵大臣も通産大臣も、今まで小渕総理がクリントン大統領やマハティール首相に申し上げたように、APECというのは交渉の場ではない、WTOの前倒しでもないという基本姿勢については自分たちも同じ認識である、だからみんなで頑張ろうということでございまして、総理はもとよりでありますけれども、通産大臣も外務大臣も同じ立場でAPECの場に臨まれるということを私はかたく信じております。  一方、おまえは行くのかと言われる御質問に対しては、仮に私が行っても発言する場が多分ないんだろうと思います。実は、おまえも行ってこいという話が非公式にあったことは事実でございますけれども、行っても何で日本だけ農林大臣が出るんだということで、逆に問題をショーアップする可能性もあるのではないか。ですから、仮に、日本の外交努力でAPECで農業大臣会議でもやって、十八カ国ずらりそろってやるのであれば喜んで私は参加をいたしますが、そういう場はどうもなさそうでございますし、過去に外務、通産以外の閣僚が出席したことはございません。  そういう意味で、私は行く予定はしておりませんが、我が省としては熊澤農林水産審議官、通商担当の次官でございますけれども、熊澤審議官が同行してしっかりと後ろでよく状況を把握するという体制でいこうというふうに考えております。
  92. 岩永浩美

    ○岩永浩美君 決してほかの役所が力不足というわけではありませんが、近ごろの外務省の交渉事は、何かにつけて非常に妥協することのみに解決策があるように見受けられてなりません。特に、韓国との日韓漁業交渉においては、我々が主張してきたこととは全然違う形で解決をされたというのは残念な思いであります。特に、党の部会等々における議論と、解決をされた点では余りにも乖離が大き過ぎる。その地域に住む漁民並びに漁業関係者の皆さん方の意向が十分反映されていない解決がなされたことは本当に残念でならなかったその一つの思いから、当事者がぜひその場に立って交渉に当たっていただくことを私は心から期待し、そういう思いで大臣に見解を申し述べたところであります。  それだけに、熊澤審議官が向こうに行かれたら、やっぱり日本政府の一員としてしかとその辺について、来年のWTOに関連することがないように、そしてWTOの交渉で、誤った解決策をしてきた過去の過ちを二度と起こすことがない交渉に臨めるような体制を今回示していただくことをぜひ強く要望しておきたいと思います。  大変限られた時間の中で米価のことを申し上げなければいけませんが、生産調整の問題についてまず伺います。  生産調整については、緊急生産調整対策として、十年度と同規模の九十六万三千ヘクタールを今回決定されました。そして、十年度と十一年度の生産調整面積を今回同じにしておられます。その理由をお聞きしたい。そして、生産調整未達県は十六府県であったということは谷本議員の質問の中でお話がありました。なぜ未達の状況に至ったのか、その理由もあわせてお聞きしておきたい。そしてまた、新食糧法において自主流通米政府米以外の計画外流通米が認知をされています。その認知されている計画外流通米の流通量はどの程度なのか、そのこともあわせてお願いしておきたい。  生産調整に大変御協力をいただいている米生産者がさらに生産調整面積をふやさざるを得ないということが今後出てきたら、まさに正直者がばかを見るという思いになっていくことは事実であり、そのことを認めるわけにはいきません。未達成者の分をカバーして、新たなメリット対策がぜひ生産調整に協力した人に課せられるべきだと思いますが、そういう生産調整に協力した人たちに対する政府の今後のメリット対策をどういうふうに考えようとしておられるのか、それも簡潔に御答弁をお願いしたいと思います。
  93. 樋口久俊

    説明員(樋口久俊君) 私の方から関係のお答えを申し上げます。  まず、生産調整の目標の面積を同規模にした理由でございます。これは一言で申し上げますと、この対策は緊急に需給均衡を回復するということで二カ年の対応をするということから実施をされておりますが、十一年度につきましても、十年度の経験を踏まえ、また需給事情を勘案した上で、農協系統がやはり当初の方針どおり、早期に在庫水準適正化価格の安定を図るということから同規模の生産調整に取り組むことが適当だという決定をされたことがございまして、国としましてもこの系統の方針をもとに、本年の作柄あるいは十米穀年度の需給等を見きわめた上で、先般、十年度と同規模の九十六万三千ヘクタールに決定をしたところでございます。  また、未達の部分につきましては、やはりこういう大変な需給ギャップを緊急に回復するということで、これまでかつて経験をしたことのない大変な規模の面積に取り組んでいただいたということがなかなか難しかった最大の要因と考えております。  ただ、地域によってはいろいろばらつきといいますか、でこぼこがございまして、どちらかといいますと飯米農家の割合が高い地域、また都市地域を抱えておられて販売が容易であるという考えがしみ渡っている地域といいますか、そういう地域がなかなか難しくて、生産調整に対する理解を得にくかったというふうに私どもとしては分析いたしておりますが、十一年度の推進に当たりましては、こういう学習効果といいますか、そういう部分を生かして対応しないといけないと思います。  最後に、やはり未達成地域の解消をするということが、それを通じまして全国規模での生産調整の着実な実施を図るということが二年目の大変大きな課題と認識をしておりまして、生産調整を達成した市町村において超過達成した生産調整実施者を対象としまして、超過達成面積に応じて一定のメリットを付与することを内容とする支援策を本年末の予算編成時までに詰めるということで検討を行うということにいたしております。
  94. 山口勝朗

    説明員山口勝朗君) 先ほど、計画外流通米の流通数量もお尋ねだったと思います。  これにつきまして申し上げますと、九年産の計画外流通米につきましては、推計いたしますとトータルで約二百八十万トン程度と見ております。  若干申し上げますと、この算出方法は、生産量から計画流通米、これは政府米自主流通米でございます。この出荷量と農家の自家消費等を差し引きますと、一般米相当の計画外流通米が出ます。その数量が二百八十万トンということでございます。  以上でございます。
  95. 岩永浩美

    ○岩永浩美君 ぜひ来年度の予算の中で、超過達成者の分についての予算措置を明確に打ち出していただいて、御協力をいただいた協力者に対しては目に見える形でお示しいただくこと、これは農家の皆さん方が安心して農業にいそしむことができることにつながっていくと思いますから、ぜひそのことをお願いしておきたいと思います。  それから、経営安定対策についてでありますが、個々の前段の部分については省略をいたしまして、具体的に経営安定対策の加入メリットを明確にしていくために、ぜひ農業共済等々におけるいわゆる無事戻しなど、積み上がった資金の積極的な活用を図っていくべきだと考えます。そうした資金の積極的な活用がまた加入促進の大きな力になっていくと私は思いますので、資金の活用方法について政府はどういうふうに今後お考えになるのか、そのことをお尋ねしたいと思います。
  96. 山口勝朗

    説明員山口勝朗君) お答えいたします。  稲作経営安定対策につきましては、稲作農家生産調整を実施したにもかかわらず自主流通米価格が下落した場合に、その影響を緩和することにより安心して営農が行えるようにするものでございます。そういう意味で、生産調整実施者に対する一種の保険的なメリット対策として仕組んだものでございます。  この対策につきましては、まだ導入初年度であり、また将来にわたって価格下落時に補てんを行っていくという制度の趣旨からいたしまして、仮に資金が積み上がっているような状況が生じるとしても、この取り扱いにつきましてはある程度の実施期間を経て、一定の経験と実績を積んだ上で判断すべきものと考えております  いずれにいたしましても、本対策につきましては、今後の実施状況等を踏まえて適宜必要な見直し、改善を図ることといたしておりますので、その際、個人ごとに管理されている資金の積み上がり状況なども踏まえまして、その活用のあり方も検討していきたいと考えているところでございます。
  97. 郡司彰

    ○郡司彰君 民主党の郡司でございます。  中川大臣、大変多忙な日程だというふうなことで大変御苦労さまでございます。  一方で、きょうのこの委員会、私自身の気持ちからしますと、米審が開かれ、先月末には諮問内容、答申の予測ができ上がっているような流れの中でのむなしさも若干覚えているというふうな気持ちもございます。二年目を迎えました「新たな米政策大綱」の実施状況生産調整に関して質問をしていきたいというふうに思います。  国産の米在庫を二百万トンまで縮減する、十年度については約九十六万ヘクタールの生産調整目標が関係者の大変な努力でほぼ達成をされたというふうな中で、転作の関係で麦・大豆・飼料作物生産振興緊急対策というふうなことの実施をしてまいりましたけれども、転作一〇〇%のうちでそれぞれ麦、大豆につきましては六%、八%ぐらいの転作率だというふうな資料も承っておりますし、国内自給率の関係からいうとそれぞれ七%、二%ぐらい。しかしながら、愛あるいは大豆につきましては、転作というふうな意味だけではなくて、新しい基本法の中でも逆に品目ごとの自給率を定めるということが必要だというふうな戦略作物だろう、そのように考えているわけであります。  そういうふうなことからいきますと、現在の状況は見込まれていた程度ということなのか、今後さらに条件整備、所得補償があるいは価格政策か、そういったものの中で転作、麦、大豆、この辺についてきちんとやっていこうというお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  98. 中川昭一

    ○国務大臣(中川昭一君) 六から八%が見込まれた数字がどうかということにつきましては農産園芸局の方から答えさせますが、先生今御指摘のように、麦も大豆も基幹作物であるにもかかわらず極めて低い自給率であるわけであります。その中で、新しい基本法の議論の中で自給率の議論になるときによく我々が話をするのは、仮に現在の四二%なり二九%なりの自給率を一ポイント上げるためには日本の全麦生産を倍にしなければならない、あるいは大豆ですと三倍にしなければならないという議論をよくいたします。  そういう意味で、先生おっしゃるとおり、実需者あるいは消費者ニーズに合った麦、大豆を積極的にこれから上げていくことは国民の食料の安全保障の観点からも、また消費者ニーズにこたえる意味からも非常に大事なことだろうというふうに考えております。  そういう意味で、転作の基幹作物であると同時に、そもそも我が国の基幹作物なんだという観点からも、麦、大豆についてはさらに生産振興をして、消費者ニーズにこたえられるような新品種も含めて積極的に対応をしていきたいというふうに考えております。
  99. 郡司彰

    ○郡司彰君 今、大臣の方から答弁をいただきました。そのようなことで進めていただきたいと思いますけれども、一方で、政府の方の新しい安政策、このようなところを読ませていただきますと、全量を民間に移行というふうな方針もあるようでございますから、そのような中で価格がかなり下落をするというふうな予測も立ちますので、この辺のところについても十分配慮をいただきたい。  それから、大豆につきましては、転作をした、しかしながら自家用といいますか、なかなか流通の段階まで出回らないというふうなところのものも相当あるんじゃないか、そういう意味では産地形成その他につきましても改めて要請をしておきたいというふうにも思っております。  また、今後の生産調整の関係でございますけれども、十年度、これまでのいわばだぶつき基調あるいは価格低下傾向といった側面、九十六万ヘクタールというふうな大規模な減反になったわけでありますけれども、それぞれ地域の中では減反に対するとらえ方はいろいろ出ているようでありまして、自治体として協力をしないというふうな発言をされているところも出てきているわけであります。そういう意味では、逆に目標を超えて達成をしているような自治体もあるわけでありますから、そうしたところには、先ほどのような議論の中での報いるというふうな努力も必要になってくるんだとは思います。  いずれにしましても、生産調整が現在果たしている機能については十分承知をしながら、しかしながら農家の方々は、いつまで続くのだろうか、どの程度のところまでこれが広がっていくのだろうかというふうな思いが強いわけであります。  大臣の地元の北海道のお話をさせていただければ、ほぼ五割に近い減反率でございますので、集約化、規模拡大というふうなことになれば、十アールふやすのに二十アールの購入をしなければ実質的には集約化ができないというふうなことでございますから、場合によっては減反政策そのものをやめてもどうだというふうな意見もございます。  その辺のところ、見通しについて大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  100. 中川昭一

    ○国務大臣(中川昭一君) 現時点での対策は二年間の緊急対策でございまして、適正在庫である百五十万トンをへそにしまして最大二百万トン程度までの備蓄が必要ではないか。そして、その備蓄というのは万が一のとき、万が一のときが本当にあるのかとよく消費者の方から言われますけれども、つい五年前に大変な事態があったでしょうと、そういうことがいつ起こるかわからないというのが生き物相手、自然相手の農業の難しさではないかということで、国民の御理解をいただきながらそういう備蓄体制で万が一と、それから今度は援助の方も備蓄の中でやっていこうという位置づけにしておるわけであります。  今後、中長期的、長期的に言いますと少子化、高齢化、そしてまた、ずっと米の一人当たり消費が減っておるという状況を考えますと、一生懸命議会の方でも、また政府の方でも米の消費拡大のキャンペーンをやっておるわけでありますけれども、今後飛躍的に消費がまたふえていくかというと、そういう予測はなかなか立ちにくいという中で、一方では米の生産性はどんどん技術が進んできておるわけでありますから、その中で、現在の二百六十万ヘクタールというベースに掛ける五トンなのか六トンなのかという数字と実際の消費量との間に大きな乖離が生ずるということになりますと、これは最終的に困るのはまず生産者にツケが回っていくだろう、要するに価格の面でもどんどん下がっていかざるを得ないのが今の体制でございます。  最近は大分価格を戻してまいっておりますけれども、自主流通米価格というのはそういうメカニズムで決まるということでございますから、大きな乖離が恒常的に生じる状態になったとするならば、そのときにはまた別の新しい方針というものを、また当委員会を初めとするいろいろな御意見を聞きながら検討をする必要も出てくる可能性があるのではないかというふうに考えております。
  101. 郡司彰

    ○郡司彰君 今、備蓄の話も出てまいりました。先ほど来から大臣がいらっしゃる前の質疑の中で、見通しとして約五十二万トン見込まれているということでございますけれども、たしか昨年の計画段階でいいますと見通しを百二十五万トンということにしていたと思われます。これはそもそもこの見通しが甘かったのか、それとも基本的にだぶつき基調の市場の方に放出をするというふうな考えそのものがもう無理があったのか、どのようにお考えになっていらっしゃるかというふうなこと。それから、備蓄の数量についても二百万トンというふうなものをお考えになって、今それに合わせて政策を行っているわけでありますけれども、二百万トンというこの水準が本当に不測の事態に対処するに十分な量がというふうな議論もあるだろうと思っております。  いずれにしましても、この回転備蓄という方法の中でやっているわけでありますけれども、主要食糧需給及び価格の安定を図るというふうな趣旨と相反するような側面も出ているのではないか。国際的には大変飢餓に苦しむ人口が多いわけでございまして、そういう意味では一部現在の中でも棚上げ備蓄と同じような形でもっての援助の手法もとっているわけでありますから、もっと手法ということではなくて制度として棚上げ備蓄を今後とも検討する余地がないのかどうか、そのことについてお聞きをしたいと思います。
  102. 山口勝朗

    説明員山口勝朗君) まず、政府米販売数量が五十二万トンになったのは百二十万トンの計画からするとそもそも計画が甘かったのではないかというお話がございました。この百二十万トンの計画をつくりましたのは昨年でございますが、これのもとになっておりますのは備蓄運営ルールのもとで政府米自主流通米販売連携ということを行うというのが前提としてございます。  当時としては、私どもは百二十万トン売れるのではないかと思いましたけれども、その後、政府米自主流通米販売連携の中で自主流通米販売を優先させたという結果といたしまして、自主流通米販売は大幅に伸びましたけれども、政府米は五十二万トンになってしまったというものでございます。そもそも百二十万トンの計画をつくったときには、やはり販売方法変更によりましてそういうこともあり得るという前提で百二十万トンの計画をつくったということでございます。  それと、備蓄方法についてもお尋ねがございました。棚上げ備蓄にしたらどうかということでございますが、現在の回転備蓄に比べますと、棚上げ備蓄の場合には財政負担が大きくなるという難点がございます。と申しますのは、棚上げ備蓄にいたしますと一定期間経過後品質低下して、用途としては主食用には回せない、例えばえさ用ぐらいにしかならないということになりまして財政負担がかさむという問題がございまして、そういう意味で今の回転備蓄制度をとっているところでございます。
  103. 郡司彰

    ○郡司彰君 今の答弁の中で、連携販売、協調販売、そのことについては十分わかっているわけでありますけれども、そのような形を結果としてとらざるを得ないようなことに初めからなるというふうな予測も立っていたのではないかということ。それから、国内米の管理経費の数字もいただきましたけれども、これは現在の回転備蓄の関係を見ましても、平成五年以降かなり増加傾向、四年度とほとんど同じような数字になっておりまして、これが棚上げの方になりますとどういうふうな数字になるのか、ちょっと私の方でまた後でお聞きをしたいと思います。  最後に、時間がありませんので、買い入れ価格の関係についてでありますけれども、諮問の方は一・七五%マイナス、二百七十七円の下げというふうなことであります。政府米買い入れ価格、流通米の価格生産費の変動率というふうなことでありますけれども、もともとこの自主流通米価格については、先ほど言った備蓄制度の問題も絡んで大枠は下げ基調になっていくんだろうと。それから、生産費については、対象の耕作面積が以前から徐々に引き上げになっておりますから、集約化あるいは規模拡大を行ってきた農家の方の努力が逆に買い入れ価格の下落、マイナスに連なるというふうな現象というのがおおよそ流れとして出てきてしまうのではないか。  現在の農業の基礎体力は、御存じのことだと思いますけれども、農業の従事者は三十年前の四分の一、しかもその四割は六十五歳以上というふうな年齢に達しているわけでありますし、耕作面積も三十年前から比べますと約百万ヘクタール以上減っている。しかも、耕作利用率も一〇〇%をかなり下回っている、そういうふうな現状になってきているわけであります。  農政審議会が七年にまとめました需要生産の長期見通しの中では、十七年の予測で生産量は微減というふうに予測をしているわけでありますけれども、現在のMA米、こういうものが終了する十二年以降の国境調整措置、これのいかんによっては相当程度落ち込んでくる可能性もあるのではないか。要するに、心配をされるのは農家生産意欲の減退というふうなことでありまして、生産調整面積の拡大とあわせて、本当に稲作に将来があるんだろうか、そういうふうな思いを抱いている方がいるわけであります。  こうした思いを抱かせるということは、これは日本の全体にマイナスにしか働かないわけでありますから、その辺のところについて大臣としてこれからの考えをお聞かせいただきたいと思います。
  104. 中川昭一

    ○国務大臣(中川昭一君) 今、先生御指摘の事実はそのとおりだと思います。したがいまして、生産者が意欲を失うということが日本の農業を危うくする、そして危うくした結果がどこに最終的に行くかというと、私はやはり国民に行くんだろうというふうに思うわけであります。したがいまして、私は国民も日本の国内の農業の位置づけというものを十分理解していただくように我々としても努力をしていかなければならないというふうに思っておるわけであります。そういう中で、先日、基本問題調査会から答申が出されたわけでありますが、これはまさしく食料について国民的な理解と農村・農業に対する理解を深めていただくことが一つの大きなポイントになっているわけであります。  そしてまた、減反に協力した方あるいは計画流通に協力した方に対して何らかのメリット措置も幾つも講じておるわけでございますし、これからまた中山間地域についての直接所得補償の議論も御審議いただくことになろうかと思いますし、また担い手あるいは意欲のある農家に対してのいろいろな助成措置等々も、いろいろなメニューを出して、意欲のある、あるいはまた農業にしっかり従事している方に対しては、農業者あるいは地域としても、できるだけ国あるいは自治体も含めまして、国民の理解を喚起した上で、最大限の努力をして、意欲を失わないような農業、米づくりに邁進していただけるように頑張っていきたいというふうに考えております。
  105. 風間昶

    ○風間昶君 大臣、お疲れさまです。いつもの顔色とはちょっと違う、疲労の顔色でありますけれども、まだお若いでしょうから頑張っていただきたいと思います。  三点ばかりお伺いします。  今回の一万五千円台の米価は大規模稲作農家の経営をかなりきつい状況にさせて、ひいては地域経済にも大きな影響を及ぼす。特に北海道の場合は、とにかくブランド米産地のような高い価格じゃないわけでありますから、先月二十七日の今年産自主流通米、自流米の四回目の入札で、新しい品種のほしのゆめが一万六千円台だったけれども、相変わらず、きらら三九七は一万五千二百八十九円であって、この米価引き下げというのは北海道産米の一層のこれからの下げ要因になりはしないのかなというおそれがあるわけであります。  政府・自民党が合意した以上、これはなかなか厳しいわけでありますけれども、とにかく稲作農家の経営実態と地域経済に及ぼす影響を直視して十一年産米政府買い入れ価格を決定されることを強く要求していきたいところであります。  そういう意味で、大臣の所感をまずお伺いしたいというふうに思います。
  106. 中川昭一

    ○国務大臣(中川昭一君) 新食糧法のもとでの価格決定のルールというものは先生もう既に御承知のとおりだと思います。メリットがあれば半分は生産者の方が享受をするということでありまして、逆にデメリットが発生すればそれもまた半分ということになるわけでございます。  一方、流通についても、市場原理というものをひとつ、自主流通米が主体となった価格決定のルールでございますから、今回は今この委員会で御審議をいただき、また同じ時間に米価審議会で御審議いただいておりますが、政府といたしましてはルールにのっとってやっていくということが適正なことであろうというふうに思っております。  自主流通米価格は、最近は若干、去年の十一月に決めた大綱以降少しずつ上昇してきておるわけでありますが、今、先生の御指摘のありました北海道の米はかなり価格的には低いということで、これは大臣というよりも、先生と同じ立場でいえば、北海道の米生産者が非常にこの価格については御不満をお持ちになっておるわけでございますが、何らかの御意見を聞きながら、決定は決定として、本当に何かいいお知恵があればひとつ先生方のお知恵を拝借しながら考えていきたいというふうに思っておるところでございます。
  107. 風間昶

    ○風間昶君 今、大臣がルールの話をされましたけれども、これはやっぱり北海道に限らず、消費者というか国民の目から見ても、片方ではミニマムアクセス米を輸入していて、片方では国産米は三十万トンしか買わないと。これは農家だけじゃなくて消費者にもやっぱりきちっと説明しなきゃならないのじゃないか、ルール、ルールということでこれは済まされないのではないかと私は思うんです。  今、知恵を拝借してと言ったけれども、じゃ、私もそうあるわけじゃないですけれども、まず国の食料をきちっとコントロールし、なおかつその総大将である大臣がどういうふうに説明されるのか、私は極めて大事な問題だと思うんです。それがあって初めて国民の後押しが出てくるのではないかと思うものですから、どのように大臣だったら説明するんですか、このことについて。片方でミニマムアクセス米七十万トン近くですか、そして片方で国産米三十万トンしか買い入れないと、このことについて。
  108. 中川昭一

    ○国務大臣(中川昭一君) 御承知のとおり、米は国家貿易品目でございまして、内外の間にはきちっとした仕切りが存在している中で、関税化を拒否するかわりにミニマムアクセスを受け入れざるを得なかったという経緯は御承知のとおりだろうと思います。四%からスタートして二〇〇〇年までに八%ということで、最終的には七十五万トン程度精米ベースで入ってくるわけでございますが、率直に申し上げて、例えばアメリカの関係者が日本に来ると必ず私に言うのは、アメリカ米をもっと輸入してくれと、こう言うわけでありますが、これは正直言って消費者のニーズでしょうと。消費者のニーズとしてほとんど半分ぐらいが残っちゃうわけであります。  そういう意味で、今は中に一たん入ったものは、消費者ニーズが多ければどんどん売れていくはずのものがほとんど売れないという状況はむしろそちら側の問題なのではないでしょうかという説明をしておるわけであります。  一方では、先生今御指摘の御疑問については、一般的にそういう疑問が出てくるのはよくわかる話ではありますけれども、しかし現在でいうと七十万トン弱の米が市場からは隔離していますと。もちろん欲しいという人には入るわけでありますけれども、特に備蓄に関しても、今三百四十四万トンぐらい今月末で積み上がりますが、これはMA米の残っている部分とは全く違う世界で、三百四十四万トンをどうやって二年間かけて最終的に二百万トン前後に、前後というか二百万トンぐらいにしていくかというこの計算方式は、あくまでもMA米とは関係のない世界でやっていくわけであります。  しかし、先ほどもお話がありましたように、去年は百二十万トンも買って、ことしは何で三十万トンかというお話がございましたが、これは三百四十四万トンなる国産米だけの世界でどうやって二年間かけて適正在庫のアッパーリミットぐらいのところに戻していくかという話でございますから、これに関してはMA米とは完全に一線を画しておるということで御理解をいただきたいと思います。
  109. 風間昶

    ○風間昶君 大臣、そこまで丁寧に国民の前に、聞かれたら説明できますか。
  110. 中川昭一

    ○国務大臣(中川昭一君) あらゆる機会を通じて説明する努力をしていきたいと思っております。
  111. 風間昶

    ○風間昶君 そこはやっぱり丁寧に私はやるべきだと思います。  最後に、時間がありませんからあれですけれども、この三十万トンの買い入れ数量は、生産調整を一〇〇%達成して政府への売り渡しが可能な農家一戸当たりどのぐらいの数量になるんでしょうか。
  112. 山口勝朗

    説明員山口勝朗君) 買い入れ数量の配分につきましては、先ほど来申し上げておりますが、産地ごとの需給動向を踏まえるなど生産者団体の意向を尊重して配分することとしております。農家一戸当たりの買い入れ数量算出ということでございますが、そういう意味からすると余り意味はないのではないかなという感じがいたしますが、あえて十年産米において計画出荷米の出荷を予定している全農家、これは二百九万八千戸でございますが、これを基礎として算出いたしますと、一戸当たりの平均の数量は百四十四キログラムとなります。
  113. 風間昶

    ○風間昶君 終わります。
  114. 大沢辰美

    ○大沢辰美君 日本共産党の大沢でございます。大臣に二点ほどお尋ねしたいと思います。  私は、地方政治に携わって農業の大変さに立ち向かってきた一人なんですけれども、今本当に率直に言って、農業を大切に、米づくりに誇りを持って頑張っている農家の思いと、米価の決定を市場原理に任せて生産費にも届かない米価引き下げ政府のやり方に何か大きな乖離がある、このように強く感じます。  先日訪問した私どもの兵庫の米どころ、丹波町というのがあるんですが、この農家の方は希望が持てないと言うんです。息子にも後を継いでくれと言えないというわけです。それはやっぱり数字に出てくるわけですけれども、八月に発表された九七年の全国の米の生産費調査によりますと、十アール当たり所得五万百二十二円でしょう。これは前年より二万百八十五円も減少しているわけです。だから、この五万円台というのは二十四年前の所得だということに私も統計上見てびっくりしたんですけれども、こういう事態なわけです。  ことし一月の予算委員会の答弁を私ちょっとめくってみましたら、前の島村大臣は、九年産の米の価格暴落について、「農村、いわゆる米の生産者は途方に暮れている、こういう状況にあります。」と答弁されていました。不作のことしも、確かに一部の銘柄は値上がりしたけれども、多くの価格は低迷したままだと思うんです。  だから、先ほどもおっしゃった十月二十七日の入札結果を見て、北海道のきらら三九七、五つの銘柄政府買い入れ価格一万五千五百二十八円を下回ったままですし、暴落前の九六年産米の指標価格までも届いているのは八十銘柄中十二銘柄だけなんですよ、上がった上がったと言うけれども。だから、私は依然として生産者は途方に暮れている状態にあると思うんです。  この価格低迷の現状を、本当に大臣は農家の経営への影響をどう認識しているのか、その点をまずお聞きしたいと思います。
  115. 中川昭一

    ○国務大臣(中川昭一君) ひとつ先生に御理解をいただきたいのは、これはとりあえずはいいことだろうと思うんですけれども、四年連続豊作が続いたということであります。五年前のあの大凶作、大不作のときは作況指数七四でございましたが、一〇二とか一〇六とか一〇九とかそういう豊作で、御承知のとおり一ポイント違うと十万トンふえたり減ったりするわけでございまして、一〇九なんということになると一〇〇万トン近くの米が予想よりもとれてしまうという状況であります。  したがいまして、平成七年のときに、今、先生御指摘のように、自主流通米価格を決めるときに、在庫も積み上がる、また豊作だということでどんと値段が下がったわけでございます。したがいまして、去年の秋に新しい米政策大綱というものをつくりまして、生産者の皆さんの大変な御努力の上に立って九十六万三千ヘクタールの減反を二年間続けてやっていこう、そして適正在庫にすることによって十二年十月にそれを達成しようということでありますから、もう一年やるわけでありますけれども、それによって本来の水準の中で適正な価格が形成されていくであろうと。  私も、正直言ってこの値段というのは生産者の皆さんにとってはさぞ厳しい値段であろうというふうに思いますが、先ほども申し上げたように、いっぱいできたことが果たして生産者の皆さんから見ればいいことなのかということは、私も直接、生の声を聞いておるわけでございますので、本当に今、米生産者の皆さんが御苦労されていることは私も重々承知をしております。だからこそ、今申し上げたように二年間みんなで頑張って、そして十二年、十三年産米からはまた通常の状態になっていくんだということで今やっておるところでございます。  いずれにしても、生き物相手、自然相手でございますから、作況一〇〇がずっと続けばもっと計画も立てやすく、またその計画どおりにいきやすいと思いますけれども、ことしも災害が続発したにもかかわらず九八という、予想よりはいい数字で仕上がったようでございますので、何とか生産者の皆さんが意欲を持って安心して、そして所得確保がきちっとできるような体制にするために今二年間の緊急対策をやっているということについて御理解をいただきたいと思います。
  116. 大沢辰美

    ○大沢辰美君 厳しい値段だという認識は持っていらっしゃると。豊作が喜べないという事態が本当に私は悲しい現状だと思います。今言われたように、ことしは米の価格暴落に加えて台風、長雨で被害が追い打ちをかけている。地域によって違いますけれども、やはりこういう状態の中で深刻な状態があるということをもう一度認識していただきたいと。  特に、大臣の北海道の例も今ありましたけれども、農家の実質的な手取り収入たる仮渡金はことしは一万二千円しか払われていないんですよ。これは北海道の米の生産費一万五千五百六十八円を大きく下回るわけですし、仮渡金は自主流通米の値幅制限撤廃を受けて各地で千円ぐらい下がっていますから、私の兵庫でも例を挙げましたら一万二千円から一万五千円程度なんですよ。ということは、兵庫の生産費の中での物財費というのは一万一千五百九十円、えらい細かいことを言いますけれども、それを補うこともできない。一万二千というのは米の生産者にとっては成り立たない状態になっているということを、御存じだと思いますけれども、もう一度指摘をさせていただいて、もう一点質問したいんです。  農水省が新たな米政策の目玉にしています稲作経営安定対策制度ですけれども、この制度は指標価格低下が続いて基準価格低下すれば補てん金額も自動的に低下します。ずっと今説明がありましたけれども、結果的にはそうなるわけです。ですから、米の再生産を確保するという言葉はありますけれども、配慮はあるけれども完全にそれは失われているというのが今の実態です。ですから、農家手取りの減少そのものをとめる効果がないと思うんですね。  そこで、質問したいんですけれども、これも北海道の例なんですけれども、農業団体の方がこの価格支持に北海道の農業の命運がかかっているとおっしゃったことが、私、先日懇談して非常に記憶に残っているんです。だから、この経営安定対策については生産コストを補うものでなければならないと強く要求されていました。それは全国共通の願いですけれども、特に北海道の農業団体の方がおっしゃったことを私は強く受けとめて、これを代弁したいと思います。  本当に農家の経営安定を考えるのだったら、経営安定対策の補てん基準は指標価格から算定するのじゃなくて、生産者が再生産可能な額にすべきだと私は思うんです。それが、九七年産で総生産費一万九千三百六十三円ですから、これを補う価格として私は稲作経安対策の補てん基準は決めるべきだと思う。だから、六十キロ最低二万円は必要なことを指摘したいと思うんです。その財源は国として責任を持つべきだし、米の再生産を保障することが必要であるということで、もう一度その点についてお聞きしたいと思います。
  117. 中川昭一

    ○国務大臣(中川昭一君) 先ほどから北海道について言及していただきまして、出身地なだけに非常にありがたいやら恐縮でございますが、それだけ一番厳しいということを先生方にも認識していただいているのかなと思います。  北海道は、御承知のとおり生産量も大変多うございます。日本一の量でございます。しかも、政府米に頼る比率の高い地域でもあるだけに、ことしは北海道は大変豊作だったのでありますけれども、それによってますます価格に影響するということ、それから政府買い入れ数量全体が非常に少なくなっているという状況で、北海道の稲作関係者は大変心配をしておるわけであります。  先生御指摘のように、生産費コストをベースに価格を決定するべきではないかという御議論も、もともとというか前からあるわけでございますが、現在はその決定方式生産コストが五〇%、それから市場価格動向が五〇%という半々のウエートで政府買い入れ価格を決定するというルールになっておるわけでございまして、これは当たり前のことを改めて言っているだけの話でございます。これがスタートしてまだ数年、それから何回も申し上げて恐縮ですが、今大変だからことしと来年みんなで頑張ろうといって、特に生産者の現場の皆さんが大変な御努力をしながらやっていただいておるということでもございますので、できるだけ米政策大綱の中でいろいろな制度を活用しながら何としても頑張ってもらいたいということで御理解をいただきたいと思います。
  118. 谷本巍

    ○谷本巍君 大臣、どうも御苦労さまでした。  私、大臣にAPEC問題で二つほどお伺いいたしたい。一番大きいのは今度のアメリカの出方というのをどう見るかという問題でありました。この点についてはもう既に大臣の側から先ほど報告がございましたので、一つの質問と、それから外務省から見解を伺った後に最後にまた大臣の考え方伺いたいと思います。  大臣に伺いたいのは、林、水自由化に応じぬ日本はAPECの中では孤立をしているとアメリカは言っております。これは新聞にも出ております。どうもこれは合点がいかないのであります。  といいますのは、IMFの支援と引きかえに自由化をのまされた韓国の場合は例外としまして、例えば中国にしましても、それからその他の関係各国にしましても、これまでの経過からしますというと、例えばAPECの事務局段階、閣僚段階、それからまた首脳段階でも、日本が林と水については参加しませんよということはもう確認済みになっているんです。そういう事実経過がありますし、そして何よりも、この自主性の原則からして日本が加わらなかったからけしからぬという考え方は私は成り立たぬだろうと思うのです。  大臣も既にアジア、APEC関係国を歴訪された政務次官の報告も聞いておられると思いますので、その辺も含めて、アメリカが言っている日本はAPECの中で孤立しているということについてどうお考えか、お聞かせいただきたい。
  119. 中川昭一

    ○国務大臣(中川昭一君) 結論から申し上げますと、日本は決して孤立をしていない。このことはアメリカの関係者、それから先ほど申し上げたようにルジェロさん、あるいはフィシュラーさんにも申し上げましたし、きょうも総理にそういうふうに申し上げました。  谷本先生がさっき御指摘になりましたように、そもそもバンクーバーでこの二十七について決めるときに、日本は林、水の関税撤廃には参加しませんよということを最初から言って、それでも構わないから入ってくれと言われて、それだったら、じゃ、自主性の原則で入ったわけですが、その瞬間に今度はパッケージで全部、全員参加しなきゃおかしいというふうに言われたわけでありまして、極端に言えばこれはだまされたような話でございます。  御承知のように、参加十八カ国の中でチリあるいはメキシコは全分野参加しませんし、あるいはまた中国にしても、いろんな国々がそれぞれ条件をつけて、ここの分野はいいけれどもということで、文字どおりボランタリー、自主性が大原則でありました。  そしてまた、例えばこの前マハティールさんと小渕総理が話されたときに日本の立場を説明したら、マハティールさんは、日本の立場はよくわかるので留意をするという発言がございましたし、また谷本先生の御指摘の政務次官の中国、韓国あるいは東南アジアでの話し合いの報告を聞きましても、日本の立場はよくわかる、全部丸ごとということじゃなくても結構ですということでありますから、日本の主張は唯一、日本だけが言っていることではないし、決して孤立しているとは私は思っておりません。多くの味方がいると思っております。
  120. 谷本巍

    ○谷本巍君 そこで、外務省に伺いたいのでありますけれども、冒頭の岩永先生の質問についての中川農相の答弁、それから今のお話など全体を見て、あそこは違うではないか、おれのところはこういう見解だよというものがあったらお示しいただきたい。大体そのとおりだというのだったらそれだけで結構であります。イエスかノーか。
  121. 大島正太郎

    説明員大島正太郎君) お答え申し上げます。  外務省としても、中川大臣あるいは農水両政務次官、いろいろな御尽力によりまして理解が深まっていると思っております。また、外務大臣自身もインドネシア、豪州、ニュージーランドに出張されて説明されて理解が深まっていると思います。他方、まだ日本に対する期待が依然としてあることも事実であると思います。  以上でございます。
  122. 谷本巍

    ○谷本巍君 そこで、外務省にお願いしたいのは二つほどございます。  一番大事なことは、この種の場合に内部分解を起こすということが一番怖いんです。相手方とどう戦うかの前に内部分解を起こされるのが一番怖い。負ける場合には大体そういうことがある。それだけに自主性の原則を、言うなれば死守するというような立場で農林水産省ともよく意見の交換をしながら当たっていただきたいということをお願いしたいことが一つ。  それからもう一つお願いをしておきたいのは、これは外務省だけじゃありません。通産省の皆さんに接触をしましても、どうも単なる通商上の問題としてとらえる嫌いがある、林と水の問題。  例えば、木材、林産物の輸入拡大について申し上げますというと、これをやられましたら日本の林業はもうもちません、率直に言いましてもたないということはどういうことなのか。今でさえ山が荒れて保水力の低下はもうひどいものになってきました。ですから、雨が降れば洪水の被害がでかくなる。ちょっとからから天気が続けば水が足りなくなる。こういう現象が顕著になってきました。  そうした国土保全や国民生活との絡みの問題もありますが、もう一つでかいのは、木材輸入をやりますとまた日本は攻撃されるんだよ、世界じゅうから、熱帯雨林どうしてくれるのよと。地球環境問題ですね。  そういう問題もありますし、それから水産物の輸入拡大問題についても、ようやく緒につこうとしている水産資源の管理体制づくり、これが対日輸出に向けてまた崩壊の危機にさらされるであろうといったような問題等々がございます。  それだけに、単なる通商上の問題としてとらえるのではなくて、やっぱり国益と地球環境という問題を大事にしながら、そしてこれまでの経緯を踏まえながらひとつ外務省も頑張っていただきたいということを申し上げたいのですが、いかがでしょうか。
  123. 大島正太郎

    説明員大島正太郎君) お答え申し上げます。  まず、基本的なポジションでございますけれども、政府の一致したポジションとして、外務省としても今回のEVSL、早期自主的分野別自由化については、これを自主性の原則のもとに実施すべきだということを一致して主張してきておりますし、引き続きその立場を維持して努力してまいりたいと思っております。  それからもう一つの点でございますが、WTO等の場において、林産物、水産物の貿易自由化が議論される場合であっても、御指摘のとおり地球的規模での環境問題等の視点を十分踏まえて今後とも対応してまいりたいと存じております。
  124. 谷本巍

    ○谷本巍君 時間がなくなってしまいましたので、最後に大臣に。  きのう私の友人から、韓国の水産業界のある大立て者と言っておりましたが、その方から電話で話を聞いたというのでありますが、やっぱり日本よ頑張ってほしいという声が非常に強いですよという話を伺いました。韓国の政府にしたって腹の中は同じでありますというような話があるんですよということを聞かされました。やっぱりそうだろうというのが私の印象でした。  それだけに、大臣、ここでやっぱり日本が毅然たる態度を示すこと、これが私は大事だろうと思うのです。理にかなった態度を日本が示すか示さないか、これによってAPECの関係国の出方もかなり変わってくる可能性、さらに積極的になるかどうかという問題があるだろうというふうに思うので、ひとつこの点を頑張っていただきたいという意味で申し上げたい。  それからもう一つは、APECの閣僚会議、先ほども岩永先生の質問の中でも出ておりましたけれども、外務大臣と通産大臣だけなんですね、出席は。農林大臣は先ほど、発言する場がないから出席はしないということをおっしゃっておりました。そしてまた岩永先生が、そうであるならということでいろいろ注文をつけられている。それもよくわかるんですけれども、どうも農林水産大臣のいないところで結論を出すべき筋合いのものなのかどうなのか。私はこういうことはすべきじゃないし、できないと思うんです。  そういう意味で、大臣の出席問題も含めて、ひとつ御検討願えないかという要望を申し上げておきたいのです。
  125. 中川昭一

    ○国務大臣(中川昭一君) 一般論から申し上げますと、先ほど申し上げましたように、過去九回の会合はすべて両大臣でやっていた。それから、今回そう大きな問題にはなっていないんでしょうけれども、例えば医薬品なんかも九分野の一つに入っているわけでありますが、それについて厚生大臣が行くかといえばそうではない。というのは一般論であります。  しかし、先ほどの岩永先生、そして谷本先生の御趣旨は私自身実はよくわかる話でございます。私は、先ほども申し上げたように、十八カ国の農相会議をやらせてくれるなら喜んで行って、先生方の思いのたけを言いたいという気持ちはありますが、私だけ何か後ろの方の席に座っているだけと。そこで、先生が冒頭おっしゃられたように、通産大臣と外務大臣の言っていることは違うよということになったらこれまたみっともない話ですし、そもそもAPECは物事を決める場ではないという大原則があります。  それから、これは結論でございますが、今、大島経済局長が言われたように、日本政府としては総理以下、外務大臣も通産大臣も従来の方針で臨むわけでございますから、私は外務大臣、通産大臣を全面的に信頼してお送りしたいというふうに思っております。
  126. 谷本巍

    ○谷本巍君 終わります。
  127. 阿曽田清

    阿曽田清君 自由党の阿曽田です。  先ほど大臣がいらっしゃらないときに、減反政策の話の中で、いい米づくりはいい米づくりとしてどんどん進めていかなきゃならないけれども、今の米政策はもう行き詰まっている、限界を超えているというふうに質問をし、そしてその米づくりとあわせて、同じように飼料米の取り組みを真正面から取り組んでくれないかというお話を申し上げました。  政務次官は、検討するということで終わったわけでありますが、特に北海道、九州というのは畜産あるいは米、野菜、そういうものが中心でありまして、食料生産基地であります。耕種部門と畜産部門が、いわゆるし尿等については畜産が堆肥として耕種部門に提供し、耕種部門で食用の米と飼料用の米を生産することで畜産部門にそれを供給する、それを有効・組織的に結びつけていくという一つの政策を農林大臣がこのときにスタートさせたら北海道の農業者は大変喜ばれるというふうに思います。そのためには、研究機関においてハイブリッド米じゃなくて、日本独自の原産から生まれる重たい米を研究開発していただくということによって、私は相当米作農家も元気がついてくるというふうに思います。大臣は前段のお話をお聞きになっていないから御理解しにくいところもあろうかと思いますが、中川農林大臣のときにそういう取り組みを真正面から取り組んでいただきたいと思いますが、いかがなものでしょうか。
  128. 中川昭一

    ○国務大臣(中川昭一君) 今回の九十六万ヘクタールという大変な減反に当たって、生産者の皆さんが大変な御努力をしていろんな方法で米にかわる水田の活用をしたわけであります。その中で、麦、大豆が中心でございましたが、比較的減反を麦、大豆でやることについては当初の成果が上がったというふうに考えております。しかし、減反をするというのはさぞおつらい気持ちだろうと思いますので、生産者の皆さんにどうやってその協力というか自主的にやっていただけるかということをさらに考えていく必要があろうと思います。  そういう中で、飼料米というものが生産者の皆さん、あるいはまたコスト的な面、意欲の面、いろんな面から検討して、それはメリットがあるのであれば当然取り入れていくべきだろうと思いますので、これは研究することはやらせていただきたいというふうに思います。
  129. 阿曽田清

    阿曽田清君 ぜひひとつ前向きにお取り組みいただいて、水田農家が元気が出るような方向に必ず私はできないことはないというふうに確信を持っておりますので、よろしくお願いいたしたいと思います。  最後に、昨年、構造改革法案が通って、その折に、学校給食について一〇%の値引き措置が来年でもう終わるというふうなことになりました。財政構造改革は凍結ということになっておりますので、先ほど大臣がおっしゃいましたように、少子化、高齢化という中でだんだん米の消費が減ってきている。やはり、米を食べなくなってきた大きなもとになるのは学校給食でパンから入っていったところに、私は食生活が大きく変わってきたと思うんです。やはり、日本人は日本の米を主食としてあくまでも維持していくというか、主食の柱に置くということが私は消費拡大のもとになる。それの原点はやっぱり家庭と学校給食にあると思うんです。  その学校給食をことしまで三〇%、来年から一〇%と、財革法のもとでこういう値引き措置をなくすということでありましたから、現場のPTAの方々に聞くと、どうしてもこれは困るというような声が大きいわけでありますので、再考するお考えはないかどうか。そういう将来を見据えたところでこれを打ち切るということは大変なことになるんじゃないかなと思いますので、明快な答弁をいただきたいと思います。
  130. 中川昭一

    ○国務大臣(中川昭一君) 学校給食につきましては、今も先生御指摘のように、私もパンと脱脂粉乳で育った世代でありまして、やはり自分の子供を見てもできるだけ米を食べさせる。これは食というよりもやはり日本文化という面もあると思いますが、そういう中で、学校給食自体が現実問題として週二・七回ぐらいということで、若干頭打ち状態になっているのが現状でございます。  しかし、財政面では今おっしゃられた段階的に廃止するということになっておりますけれども、農林水産省としては、日本型食生活というものは世界に誇り、宣伝していくべきものだと思いますので、その一環というか、基礎として、学校での米飯給食について積極的に引き続き推進してまいりたいというふうに考えております。
  131. 阿曽田清

    阿曽田清君 終わります。
  132. 石井一二

    ○石井一二君 大臣にお伺いいたしますが、いろいろ農政をおやりになっている中で、極めて評判が悪いのがミニマムアクセスの輸入だと思うんです。米余り国家の日本がなぜさらに米を輸入しなきゃならぬかと。例えば、国内産米買い入れが三十万トンであるにもかかわらず、胃袋にも入らないと十万トンを輸入すると。率直に申し上げて、こういったことが先般の参議院選挙の結果なんかにもあらわれているんじゃないかと、これは私の指摘でございますが、そう思うわけであります。  ただ単に輸入するにしろ、同じ外国米を買うのであれば安いところから買えばいいんですが、米国、タイ、中国、豪州、こう比べてみても一番高い米国から買っておる。クリントンさんのおひざ元のアーカンソー米も入っておるということまでは言いたくはございませんが、こういった中で今後ミニマムアクセスをさらに続けていくのか、関税化に踏み切るのか。政府内でも通産省あたりは、それは当然譲歩して関税化に踏み切るべきだというような意見もございます。先ほど大臣がお越しになる前に、政務次官の私見もこの問題についてお伺いをいたしました。  そういった中で、大臣、私見として、一政治家として、責任ある立場として、今後どのような方向に我が国は進むべきだとお思いですか。大臣の立場を離れてで結構ですから、御所見を承りたいと思います。
  133. 中川昭一

    ○国務大臣(中川昭一君) 先ほども御指摘がありましたように、一般的な方は何で三百万トンも米が余っているのに片方で食べない米を輸入するのはおかしいだろう、これは素朴な疑問だろうと思います。しかし、当委員会の先生方はプロでございますから、言うまでもなく、前回、関税化を阻止するための特例措置として、四から八、六年間かけて輸入をする義務を負ったわけでございます。先ほど、これは一応在庫なり一般とは区別するというふうに申し上げましたが、例えば内外無差別の原則みたいなものがあって、外国米を差別しちゃいけないよとか、いろいろな条件もまた一方ではついておるわけであります。  正直申し上げて、これはもう私自身の考えは現時点ではないわけでございまして、今後ミニマムアクセスを守ることによって関税化を防ぎ、しかしそれによって受け入れ可能な代償措置をとるというのが協定の中にあるわけであります。  それから、関税化をすることによって、例えば一〇〇〇%か八〇〇%か、日本が主体的に関税率は決められるわけでありますけれども、何百%かの関税を張って、実質的に禁止関税的なものを張って、そしてミニマムアクセスはもう要らないと。しかし、それは関税化したことになるわけでございまして、その辺が私、農林大臣でなくても正直言って、率直に言ってわからない。まだ結論が頭の中で整理できていない。  そして、農林大臣といたしましては、そういういろんな御議論を聞いて、来年以降、実質的に交渉が始まってまいりますので、先生方のいろんな御意見を聞いた上で農林水産大臣としての職務を果たしていきたいというふうに考えております。
  134. 石井一二

    ○石井一二君 まだ考えが決まっていないが議論を聞いてだんだん自分の考えを固めていくと、そういうことでございますので、議論として私の意見を言わせてもらいたいと思います。  農林大臣のお立場でミニマムアクセスを続けていくということをおっしゃれば、ごく当たり前な平凡な答弁だと思いますが、自由化をして関税化で当初は高くて文句を言われても徐々にそれを下げて自由競争をやると言えば、まさに歴史に残る農林大臣にあなたはおなりになる、未来の総理は当然回ってくる、そのように私は思います。私の意見として強く申し上げておきますので、今後の参考にしていただきたいと思います。  最後に、これに関連して極めて評判の悪いのがこの六兆百億円というウルグアイ・ラウンド対策費であります。私は今ここに朝日新聞ウイークリー「つかみ金六兆円は闇の中」という中で三ページ、それから読売新聞でございますが、「薄い算定根拠に批判」とか、言っておれば切りがないです。例えば、リフレッシュビレッジというのはわけがわからぬとか、こういった中で時は刻々と過ぎておる。金を使ってきたんだから、その費用対効果というもので、あれだけ金を使ってコストダウンができたとか、何かメリット的な結果が出かかっておると思うのですが、その辺について食糧庁次長、どのような評価をしておられますか、お伺いいたします。大臣でもいいです。
  135. 中川昭一

    ○国務大臣(中川昭一君) 当時はここにいらっしゃる何人かの先生方どこの対策を、私は農林部会長でございましたので、やらせていただいたわけでありますが、六兆百億というのは事業規模でございまして、国費でいうと約三兆でございます。三兆を六年でこのウルグアイ・ラウンドという日本の歴史始まって以来の米の受け入れ、始まって以来というか、不足時代は別でありますが、生産者の皆さんに大変な衝撃を与えたことは私もよく記憶をしております。  したがって、十分な国内対策をやろうということで、総理大臣のもとにウルグアイ・ラウンド対策本部というものをつくって、ほとんど全省庁の閣僚がメンバーでいろいろやってまいりました。その中には公共、非公共いろいろ事業はございまして、先生のお手元にあるようなことも事実幾つかあったと思います。書き過ぎの部分も幾つかあると私は思っておりますけれども、後で我々が見ても、えっというようなことがなかったとは私は率直に言って申し上げられません。  しかし、この対策がなかったとするならば、もっともっと今の農業というのは厳しかった。農村基盤整備、生活基盤あるいは田畑の整備あるいはまたいろいろな技術開発の促進とか、そういうものに年間事業規模一兆円のお金を使っていく、あるいは中山間地域対策に思い切った低利融資のお金を使う、そういうことについては、私は総じてやはり意味があったというふうに考えておりますが、今御指摘のようなことが時々マスコミ等に報道され、我々は特にここ最近になって事業効果の評価というものについて厳しく見直しをするということで取り組んでおりますので、御理解をお願いいたしたいと思います。
  136. 石井一二

    ○石井一二君 終わります。
  137. 野間赳

    委員長野間赳君) 本件に対する質疑はこの程度にとどめ、本日はこれにて散会いたします。    午後五時五分散会