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1998-10-14 第143回国会 参議院 日本国有鉄道清算事業団の債務処理及び国有林野事業の改革等に関する特別委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十年十月十四日(水曜日)    午前九時四分開会    委員異動     —————————————  十月十四日     辞任        補欠選任      小川 勝也君     藤井 俊男君      山下八洲夫君     前川 忠夫君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         中曽根弘文君     理 事                 加藤 紀文君                 鈴木 正孝君                 成瀬 守重君                 川橋 幸子君                 寺崎 昭久君                 魚住裕一郎君                 宮本 岳志君     委 員                 市川 一朗君                 岸  宏一君                 国井 正幸君                 佐藤 昭郎君                 斉藤 滋宣君                 清水嘉与子君                 常田 享詳君                 仲道 俊哉君                 馳   浩君                 依田 智治君                 若林 正俊君                 郡司  彰君                 佐藤 雄平君                 谷林 正昭君                 藤井 俊男君                 前川 忠夫君                 和田 洋子君                 荒木 清寛君                 日笠 勝之君                 弘友 和夫君                 須藤美也子君                 富樫 練三君                 渕上 貞雄君                 村沢  牧君                 戸田 邦司君                 渡辺 秀央君                 西川きよし君    衆議院議員        修正案提出者  衛藤 晟一君    国務大臣        内閣総理大臣   小渕 恵三君        大 蔵 大 臣  宮澤 喜一君        農林水産大臣   中川 昭一君        運 輸 大 臣  川崎 二郎君        郵 政 大 臣  野田 聖子君    政府委員        大蔵大臣官房審        議官       福田  進君        大蔵省主計局次        長        寺澤 辰麿君        大蔵省理財局長  中川 雅治君        国税庁次長    大武健一郎君        林野庁長官    山本  徹君        運輸省鉄道局長  小幡 政人君        郵政省貯金局長  松井  浩君        自治省財政局長  二橋 正弘君    事務局側        常任委員会専門        員        小林 正二君        常任委員会専門        員        鈴木 威男君        常任委員会専門        員        舘野 忠男君     —————————————   本日の会議に付した案件日本国有鉄道清算事業団債務等処理に関す  る法律案(第百四十二回国会内閣提出、第百四  十三回国会衆議院送付) ○国有林野事業改革のための特別措置法案(第  百四十二回国会内閣提出、第百四十三回国会衆  議院送付) ○国有林野事業改革のための関係法律整備に  関する法律案(第百四十二回国会内閣提出、第  百四十三回国会衆議院送付) ○森林法等の一部を改正する法律案(第百四十二  回国会内閣提出、第百四十三回国会衆議院送  付) ○地方自治法第百五十六条第六項の規定基づ  き、東北森林管理局及び関東森林管理局設置  に関し承認を求めるの件(第百四十二回国会内  閣提出、第百四十三回国会衆議院送付) ○一般会計における債務承継等に伴い必要な財  源の確保に係る特別措置に関する法律案(第百  四十二回国会内閣提出、第百四十三回国会衆議  院送付) ○継続調査要求に関する件     —————————————
  2. 中曽根弘文

    委員長中曽根弘文君) ただいまから日本国有鉄道清算事業団債務処理及び国有林野事業改革等に関する特別委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  本日、小川勝也君が委員を辞任され、その補欠として藤井俊男君が選任されました。
  3. 中曽根弘文

    委員長中曽根弘文君) 日本国有鉄道清算事業団債務等処理に関する法律案国有林野事業改革のための特別措置法案国有林野事業改革のための関係法律整備に関する法律案森林法等の一部を改正する法律案地方自治法第百五十六条第六項の規定基づき、東北森林管理局及び関東森林管理局設置に関し承認を求めるの件及び一般会計における債務承継等に伴い必要な財源確保に係る特別措置に関する法律案の六案件を一括して議題といたします。  前回に引き続き、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 依田智治

    依田智治君 自由民主党の依田智治でございます。  当委員会における審議も三日目に入って、大分問題点も出尽くしておるという状況でございますが、私はそれらの議論を踏まえまして、二点に絞って質問をさせていただきたい。  一つJR厚生年金移換金の追加負担問題、これを土光臨調の昔にさかのぼって原点からちょっと論じてみたい、これが一つあと一つは、そもそも鉄道事業とか林野事業というのは、地域発展とかその他いろいろかみ合わせると必ずしも営利性だけでいかない面があって、これは今回とりあえずこういう案をつくったけれども、将来的には国家としてこういう問題についてよほど腹を据えた基本的な対応策を講じていかなければ再び大変な事態になるのじゃないか、こういう問題認識を持って、その基本的問題を二点目にお伺いしたいと思います。  まず、JR厚生年金移換金追加問題でございますが一この点についてはもう既に決着済みじゃないか、そもそも民間企業たるJRに追加的に負担させるということは憲法二十九条の財産権の侵害だというような議論がございます。一方、そもそもこれはJRにいる現在の人たち厚生年金等処理する問題だから、全く関係ない一般国民やその他の厚生年金加入者等にも負担をかけている現状からすれば、やはりJR自体もある程度の負担は必要じゃないか、こういう議論が対立しておるわけでございます。そして、今回、苦肉の策として当初案の三千六百億を半減してJR負担を求めるという案をつくった。  これについてはいろいろ意見がございますが、私の立場は、この案は新聞社説等でもこれはあり得ないとかむしろワーストだというような意見もありますが、ベストではないがやむを得ない。きのうも加藤寛先生が言っておりましたが、セカンドベストかなという感じでおります。それだけに、今後我が国林業鉄道の育成、さらにJRというものをせっかく民間企業としてつくったわけですから、これがしっかりと立ち行くように国としてもしっかりと見定めていくということが大変重要で、与党等にも附帯決議をすべしという意見もございますが、私はそういう視点に立った対応が重要じゃないか、こう考えております。  私はちょうど中曽根内閣のときに秘書官をやっておったのですが、行政改革の問題はもう池田内閣以来臨時行政調査会等をやってきまして、ここに宮澤先生がおられますが、鈴木内閣の時代に土光臨調というものをつくり、中曽根さんが最後にやっぱり三公社等民営化行財政改革の集大成として必要だということで、まず六十年に電電公社、さらに専売公社民営化に踏み切り、最後の六十二年にこの国鉄民営化をやった。  そこでちょっとお伺いしたいのですが、民間会社が立ち行かなくなったという場合に、これを何とか立ち行くようにしようかという場合には会社更生という手続、さらに破産して破産財団がその財産を売り渡すとか、いろいろそういうシステムがあるんだけれども、これは民間に例えればどういう手続になるのか。会社更生的な手続なのか、破産基づ手続的な感じなのか、この点をちょっとお伺いしたいと思います。
  5. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 依田委員にお答え申し上げます。  破産会社更生なのか、こういう御議論でございます。もちろん破産事業の廃止でございますので、今回、事業継続をしているということから、当然更生という手続であろうと思っております。  この基本的な認識先生が一番御存じでありますけれども、JR七社は民営・分割をし、これが自主独立経営できるようにしていく、でき得れば一%の収益を上げられるようにしていきたい、これが第一であります。  そして第二は、国鉄がしょっておりました長期債務というものを清算事業団資産と一緒に引き継がせまして、それを清算していく。そして、その当時のもくろみとしては、二十五・五兆円の借金が十三、四兆円まで資産売却によって減らすことができるのではなかろうか、そこで将来のスキームというものをもう一度つくりなさい、こういうのが当時の考え方であったろうと思っております。したがって更生であろうと思います。
  6. 依田智治

    依田智治君 大体、会社が立ち行かなくなったという場合に、何とかこれを立ち直らせていきたいというときには、できるだけ荷を軽くして、そしてやれる見通しを持って新会社をスタートするというのが本来である。そういうことで、重い荷物は清算事業団という公益清算法人に任せて、JR七社というものは分割してできるだけ軽くして、しかし責任を持って対応しようということでやっておった。  しかし、その際に積み残したことがある。これは会社更生法の二百七十条に、更生会社在職中の役員や従業員は新会社設立に当たり引き続き就職したときは更生会社を退職したとしての退職金は支給されず在職期間が通算されるというようなのがあります。退職金はもちろんですが、鉄道共済、これ自体も当時相当な赤字になっていたはずですから、新会社を設立したときにはこれも本来は決着をつけるべきものであったのではないかと思うんですが、この鉄道共済を当時JRがスタートしたときはどういう扱いにしたのか、そのあたりをお伺いしたいと思います。
  7. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 会社経営、それから労使関係、これについては新しいJRとは切れた、新しいものがつくられたという認識であります。しかしながら、年金の問題、それから退職金問題は引き継がれていく。退職金についてはJRがそのまますべての職員退職金を引き継いで支払いを行う、それから共済年金という制度をそのまま継続いたしましてやっていくという結論が出されたところであります。  ただ、きのうも御議論にありましたように、共済年金というものをいっか厚生年金に移換していかなきゃならぬなという議論が当時からあったことは事実でございます。
  8. 依田智治

    依田智治君 したがって、このときにきっちりとこの問題は、JRは少なくとも将来においてこの問題について、あと自己責任において積極的に対応していく、しかしそのための財源なりいろんな問題については十分面倒を見るというシステムでスタートしていれば今日の問題は生じない。  しかし、このとき鉄道共済というのは共通のあれとして、清算事業団にいる人も含めて七社の関係者もみんな鉄道共済としてずっと来たと。しかし、九年になっていよいよ厚生年金に統合するというときに、さてと。八年、準備したときにこれをどうするかということで、この八年に最終的には国において処理すると言いながら、千七百億はJR、その他は清算事業団、こういう形で七千七百億ですか、これのスキームをつくったと。  この関係で、やはりこのときにも、本来民営化している組織ならば、むしろ旧国鉄分も含めて引き続いてJRで雇用している職員についてはすべてJR負担するというスキームの方がすきっとしていたのではないかと思うんです。それを、発足後だけはJRが面倒を見るがそれ以前の国鉄期間分事業団でする、ここに私は今日の問題が残ったと思うんです。この点はどういうわけでこういうことになったのか、この点をお伺いしたい。
  9. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 確かに御指摘どおりJTのように年金についてはそのままそこで決着をつけて処理をしていれば今回のような問題が生じなかったかもしれません。しかしながら、当時、旧国鉄の身分をそのまま引き継いでおります清算事業団という組織は残っている。そこがNTT、JTとの違いであろう。  したがって、年金事業主負担原則国民負担ではないという原則の中で、清算事業団JRという全部で八つの会社なり事業団が引き継いでいく、負担をしていく、こういう決定をされた。そして、今日、清算事業団が解散をするというときに、この年金の移換金問題が今回御提言をさせていただくような形で再び御議論をいただくようになってきた、こういうことでございます。
  10. 依田智治

    依田智治君 平成八年の閣議決定で「最終的には国において処理する」というのがきのうも議論になっていますが、この文言は、私ちょっと調べてみましたところ、昭和六十一年の「国鉄長期債務等処理方策等について」という中でも、旧国鉄において自主財源等でもってしてもなお残る長期債務等については最終的には国において処理するということで、清算法人がいろいろやってもなお余るときは国において処理するという表現がございまして、結局それを八年にやった。そのまたそこにおいて国において処理するというのを若干先延ばしした、こういう認識だと思うんです。  そういうことで、もうここで決着だ、決着じゃないんだという水かけ論はありますが、結局これは国民負担、さらに他の厚生年金加入団体等にも今後六兆円もの金を負担してもらうという現実等を考えますと、今回二分の一にしたものをJR負担してもらうということは、そう威張れた話ではないけれども、やむを得ないことかなと私は考えております。  時間もだんだんなくなってきたので次に移りますが、やはりJRはただ採算だけ合わせていればいいわけでなくて、地域発展との関係、さらに私が一番心配しているのは危機管理です。  東海大地震も予想されるという中で、JR東海等がもしそういうものに見舞われたときの危機管理積立金というようなものが例えばどの程度できているのか。精いっぱい営業しているだけではどうにもならぬですね。そういう点も加えると、私は国鉄を引き継いだJRというものはやはり国民の足として、国としても相当ないろいろ目を配りながら立ち行くように、そしてまた地域発展にも貢献できるようなシステムにしていく必要がある、こう考えております。  以上が第一点でございます。  第二点は、時間がなくなりましたから林野と固めてお伺いしますが、やはり国鉄林野も、鉄道事業とかはただ採算だけで成り立つ分野でない。旧国鉄は三十九年から赤字が積もっていった。本来なら民間会社ならばこれは立ち行かなくなってとっくに破産し清算しているはずなのに、これは国があれですから大分金を借り入れ、補助金等もつぎ込んで、雪だるまになっていってしまったわけですね。そういう点を考えると、それはただ過剰人員とか放漫経営という問題だけじゃなくて、設備投資というものもやっぱりやっていかざるを得ないという鉄道事業の本来の問題です。  それから、これから改革しようという林業も、私が非常に心配しておるのは、きのうも参考人意見の中にありましたが、大変にこれは人を減らして一兆円残った借金をこの林野事業で何とか返していかにゃいかぬと。そのために人を三分の一ぐらいにして五千人ぐらいになる。間伐なんか半分くらいできているだけで、ものすごい広大なものが残っている。しかも、今度は市町村等にも自主性を与えている。その財源の裏づけも地方交付税等で多少考えているようですが、よほど考えていかないとむしろ林業なんというのは荒廃計画になつちゃうんじゃないか。この点が心配です。  そういう点で、両大臣に、これまでの赤字というものはどういうところから起こっていたのか。恐らく公益性というものがあるからこそ若干問題でも設備をふやしていかにゃいかぬということを考えますと、そのあたりのことと、今後、鉄道事業なり林野事業というものを国として維持していくためには、現在つくったJRの健全なる運営というものと同時に、鉄道事業林野事業というものを国の事業としてぴしっと財源も裏づけた対策というものが大変重要じゃないか。そういう事業の本質を踏まえた将来的なビジョンというか対策というか、それについて最後にお伺いして、私の質問時間はあと四分しかありませんので、二分ぐらいずつ御答弁いただければありがたい。
  11. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) まず、危機管理の話でございますけれども、鉄道の総収入の一割以上の被害を受けた場合は国が援助をするという第一のシステムになっております。それから、鉄道全体の使命として、まず幹線鉄道網というものを全国じゆうにしっかりネットワークしていく、そして同時に今日生じております大都市圏における混雑状況、こういうものを緩和していく。そのために果たして民間だけでやり得るかという議論になれば、まさに先生のおっしゃるとおりであろうと思います。新幹線のスキーム、また常磐新線スキーム、国ができるだけの援助をしていかなければならないだろう、またこれから出てまいりますJR北海道の経営問題等を考えていったときに、青函トンネルを全部JRに任せていいだろうか、こういう議論も当然出てくるだろうと思っております。  また、都市部におきまして、例えば地下鉄を今大変要請を受けているところでございます。営団がやります地下鉄につきましては、現在、下につきまして国が三五%、それから東京都が三五%補助して、七〇%はまさに公の資金でつくって運営をしてもらっておる、これが現実地下鉄の話でございます。そういったものをあわせながら、きちっとしたものをしていかなきゃならぬと思っております。
  12. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 今、先生指摘のように、国有林野民有林も含めてでありますけれども、森林の果たす役割は財を供給するということ、そして大きく分ければ二つ目といたしまして公益的機能ということで、ともすれば、今までは林野会計独立採算でございましたので、また高度経済成長等の需要も多くて比較的伐採の方にウエートがかかっていたことは事実でございます。しかし一方、経済状況あるいは金利状況あるいは外材の輸入等で大変に収支が厳しくなってきたということで、現状で三兆八千億の問題が生じておるわけであります。  今後は特に国有林の場合には公益的機能にシフトいたしまして、約八割の仕事量ウエート公益的機能に充当する。森林の果たす公益的機能はある計算によりますと約三十九兆とも言われておるわけでありますから、この果たす役割というものをますます重要にしていかなければならないと思っております。  一方、特別会計として実は木材や土地等収益も上がるわけでございますので、そういうものも財源とする。また、先生指摘のように、山を守るためにもこれからも投資が必要でございますから、そういう意味投資も必要であり、またいろいろな一般会計等からの繰り入れで収支もきちっとした形で今回の計画を改めてスタートさせていただきたいということで御理解をいただきたいと思います。
  13. 依田智治

    依田智治君 十分国家的視野に立って今後ともしっかりした対策を推進していくようお願いして、私の質問を終わります。(拍手)
  14. 郡司彰

    郡司彰君 民主党・新緑風会の郡司でございます。私は国有林野関係につきまして質問させていただきたいと思っております。  過日、関係法案提案理由の説明をいただきまして、この文言も私なりに読ませていただいております。そのような流れの中で疑問に思ったところについて質問させていただきます。  まず、特別措置法関係でありますけれども、この中に「国民共通財産である国有林野を将来にわたって適切かつ効率的に管理経営する体制を確立することにより、国土保全その他公益的機能維持増進、」というふうな形でうたわれておりまして、この関係につきましては私も評価をするという立場でございます。  その上に立ちまして、「その他」というふうな表現がございますけれども、国民に今回の法案の趣旨を広く理解してもらう、従事している方々にも何をきちんと行えばいいんだということを理解してもらうためにも、例えば水源涵養でありますとか、あるいは地球環境保全でありますとか、温暖化防止でありますとか、国民保健衛生でありますとか、そういった文言をきちんと盛り込んだ方がいいのではないか、またそういうふうなことによって先ほどのような意識の高揚も生まれる。  それについて、さらに大臣の方で具体的にこのような公益的機能というものについてどのように進めていくお考えなのか、伺いたいと思います。
  15. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) まず、先生指摘になりました今回の抜本的改革の大きなポイントの一つが、特に国有林野関係におきまして公益的機能を大部分、八割と二割という一応の仕分けをしておりますけれども、そういうふうにしたわけでございます。  森林、特に国有林の場合には、日本の面積の六割を占めると言われております森林の中でも国有林が約四割程度だと思いますが、特に脊梁山脈地域といいましょうか、山奥の方に非常にウエートが高いということで、上流から中流、下流という流れの一番奥の奥の方に国有林ウエートが高い。日本のような細長くてしかも三千メートル級の背骨があって、ある外国の学者に言わせると日本の川は川ではなくて滝だという表現をした方もいるぐらいに急峻な地形の中で、しかも年間二千ミリという平均雨量のこの日本という自然条件をいかに緑豊かに、また農業そしてさらには地域に住む人々の生命にかかわる水といった生活の基本にかかわる部分森林役割を果たしておるわけであります。これがまさに水源涵養であり、国土保全だろうと思います。  この前の幾多の災害におきましても大変な災害が出ましたけれども、森林整備されていることによって、森林機能によって最悪の事態から防ぐことができたねというようなお話も伺うと、我々としての使命も非常にやっていてよかったなと思うわけであります。  さらに、今後は教育的な観点、都市山村部との交流あるいは保健休養といった文字どおり多面的で国民ひとしく恩恵をこうむるような機能につきましても積極的にバックアップをさせていただきたいと思っております。  ただ、そういう長くなることでございますので、法律的な文章としては国土保全等という形で代表的な例示になっておりますが、その等の中には極めて重要な多くの項目が含まれていると御理解をしていただきたいと思います。
  16. 郡司彰

    郡司彰君 先ほどの文章に続きまして、「地域における産業振興」というふうな字句がございます。今、大臣の方で八割はというふうなシフトの問題をお話しされましたけれども、この産業振興ということは、これまで特にバブルのときにリゾート開発あるいはゴルフ場開発というふうなことで大変に山林あるいは山野が荒廃をしたというふうな苦い経験を持っているわけでありますから、ややもすると反する文言ではないか。そういう意味ではこれは本来削除をすべきだ、もしこの文章が残るということであれば、再び乱開発が起こらないような十分な注意というふうなものを行政の中で生かしていただきたいと思いますが、どうでしょうか。
  17. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 先生指摘のように、バブルの時期には一部かなり山の中にも無理やりゴルフ場をつくったような例もあるようでございますが、この法律の中で書かれておる産業振興というのは、あくまでも「地域における産業振興」ということを条文として明記させていただいておるわけであります。  産業振興といえば、一つは木材産業という二割部分林野の重要な使命であろうと思いますから、ウエートはぐっと小さくなりますけれども、やはり国産材を安定的に供給していくということも国民経済的に見て必要なことだと思います。  それから、こういうところは中山間、過疎の地域が多いわけでございますから、そういう地域発展にお役に立てるような産業振興ということで木材産業、あるいはまた先ほど申し上げたように、都市との交流によって人が来ていただいていろいろな楽しみを享受していただけるというような意味で、あくまでも国家的な使命である木材の供給と、地域に根差した、地域発展のために役立つような産業振興ということが条文の趣旨でございまして、決して乱開発等のようなことを考えておるということではないことを御理解いただきたいと思います。
  18. 郡司彰

    郡司彰君 大臣のお考えをお聞きしまして、そのとおりだと思います。つきましては、曲解をするということをいろいろな会社がしないような考え方をきちんと通していただきたい。その後、今言ったようなことの方針に従いまして必要な施策を行うというふうなことでございますから、国土保全あるいは公益的機能維持増進についての具体的な森林施業というふうなものが出てくるんだろうと思っております。  例えば国土保全関係でいいますと、国有林野内における崩壊危険箇所というのが約八千八百というふうに言われておりますけれども、このうち緊急に保全すべきところがどのぐらいあって、今実際にどの程度の工事が行われているのか。一昨年、長野や秋田の方では山地崩壊とか土石流というふうなことで痛ましい犠牲者も出しているわけでありますから、こういったことが今後起きないような具体的な施業施策、そのことについてお答えいただきたいと思います。
  19. 山本徹

    政府委員(山本徹君) 先生指摘のように、ことしの夏を中心とした豪雨等で各地の森林において地滑り等の被害が発生したのは事実でございます。そういった地域を私どもは危険地域として把握いたしておりますけれども、今回の被害にかんがみまして、こういった地域以外の地域においても実際に災害が発生しておりますので、十月いっぱいをめどに再度全国の危険地域の総点検をいたしておるところでございます。こういった総点検等に基づきまして、緊急に特に公共施設等があるような災害の危険地域等を中心にできるだけ早く治山事業等を実施して、地域の住民の皆様が安心して暮らせるような条件を整備したいと考えております。
  20. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 全国で治山関係で危険箇所が二十二万カ所あるというふうに我々把握をしておりまして、ただいま先生はその中の国有林についての数字をお挙げになりましたが、これは国有林民有林問わず治山という観点から国土保全ということで、今回本当に災害が集中いたしまして大きな被害が出たわけでありますので、ただいま長官が申し上げたように、早急に全箇所を点検して万全の措置をとっていきたいというふうに考えております。
  21. 郡司彰

    郡司彰君 この措置法の関係につきましては平成十五年まで、五年間だと思いますが、期間を集中改革期間というふうにうたっているわけであります。この五年間を経過した後に、その五年間で本当に盛られた趣旨が実行されていくのか、そのような中間的な見直しというものが行われてしかるべきだというふうに思っておりますけれども、全体のスキームを含めて五年後に一つの見直しを行うというふうな考えはおありでしょうか。
  22. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 五年間の集中改革期間というのは、主にスタートに当たっての民間からの借り入れをしていくということ、それによって財投運用部への資金のお返しをスタートさせていくということでございますが、それと同時に人員関係の早期給付金、職員手当でございますけれども、これをやっていくこと、あるいは組織の見直し等が集中改革期間の主な業務でございます。  今回の法案におきましては、五年ごとに管理経営基本計画を定めてその進捗状況を毎年公表いたします。それから、特に債務処理に関する施策の実施状況は毎年国会に報告することになっておりますので、五年ごとの見直しと毎年の国会への御報告ということで、皆様にまた状況を御報告させていただくことになっております。
  23. 郡司彰

    郡司彰君 次の質問とも若干関連していたわけでありますけれども、一方で農業基本法の見直しが今進行しておりまして、答申が出された。当初、食料・農業・農村という中に、いわば川上、川下、森林の問題も含めてもう少し包括的な基本法というふうなものになるのではないかという思いもあったわけでありますけれども、答申の内容はかなり森林関係については限定をされたといいますか、扱いが少ないわけであります。そういうふうなところからいきますと、森林林業行政全般にわたる公益的機能を重視したこの位置づけ、そういうふうな意味からも、環境あるいは循環型社会というふうな時代に対応したような新たな林業基本法、こうしたものの見直しについてお考えになっていらっしゃるのかどうか、お聞きしたいと思います。
  24. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 今回の新しい食料・農業・農村基本法の答申はあくまでも答申でございまして、これから御議論いただくわけでありますが、農業だけという仕切りにはなっていないというふうに理解をしております。  と申しますのは、あの答申のウエート一つが中山間地帯でございまして、中山間地帯といえば、これはもう森林と一体不可分のものであろうというふうに理解ができます。そしてまた、農業における国土保全あるいは多面的機能というものも林野公益的機能国土保全とかなり質的にも重なり合う部分がございますので、そういう意味で新しい基本法の答申というものと林野とは全く別ではない、むしろいい意味でトータルとして概念的には同じスタンスに立っているのではないかというふうに私は理解をしております。  また、林業の方の基本法につきましては、この条文の趣旨がまさに国土保全とか国民のためにとかいう趣旨が冒頭に掲げられておりますので、今回の特に国有林改革の趣旨と合致をしているということで、今回の審議とこの基本法の見直しとは矛盾するものではない、要するに基本法の精神にのっとった形で御審議をいただきたいというふうに考えております。
  25. 郡司彰

    郡司彰君 中山間地の問題も農業基本法見直しの中で盛り込まれていると。確かにそうなのでありますけれども、一面からしますとこれは農業の分野における価格の問題、それとの関係でEUの方の緑の政策その他の関連の側面の方がちょっと強いのではないか、そういうふうな思いもしております。  さらに、この林業基本法がそういうふうな趣旨なんだということでございますから、冒頭に申し上げましたような字句の問題として、法律の条文として長くなる短くなるということではなくして、やはり基本法という場合には宣言法的な意味合いもございますから、そういう意味で先ほどのようなことを申し上げ、見直しについてもというふうなことを申し上げたつもりでございます。  その後、「職員数を業務に応じた必要かつ最小限の」というふうな記述がございます。これは何回もこの委員会の中でも議論になったわけでありますけれども、例えば改革がこれまでも数次にわたって行われてまいりまして、七八年の六万五千が九七年には一万五千というふうな形まで来ている。現場の職員はどの改革のどのところが最後なんだというふうな思いが強いわけであります。裏返して言いますると、非常に不安を持って毎日の業務についている、そういうふうに聞いているわけであります。  さらに、この一兆円返済、その前の三・八兆円というふうなものがございましたけれども、そのときでも返済のために人員が削減をされたというふうに見る向きが少なくないわけでありまして、今後この一兆円の返済のためにさらに削減が進むというふうなことになれば、先ほど来お話があった法の趣旨に沿ったような管理経営が適切に行われることが難しくなってくるんではないか。日本国土の七〇%を占める森林の守り手でございますので、わずか一万人前後ということが本当に適切なのかどうか。これ以上の削減は望んでいないというふうに思っておりますけれども、お考えを改めてお聞きしたいと思います。
  26. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 今回の抜本的な改革は、率直に言いまして過去四回の計画の反省に基づきまして、また時代の要請でもあります国土保全、公益的な機能ということの重視ということから、先ほどから申し上げておりますように、生産林を約二割それから公益林を約八割という仕分けにいたしまして、そして造林、間伐、林道等のいわゆる現業部門は全面的に民間に委託をするということになりますので、国の業務としては森林保全管理、計画の策定等の業務に限定をするということになるわけでございます。  その結果、今いろいろ御議論いただき、またおしかりもいただいておりますが、森林管理署の数あるいはまた人員等も必要最小限のもので対応し得る、そしてまた生産林活動、資産の売却等によって、そういうぎりぎりの体制でやっていきながら、しかも五十年の間に一兆円の剰余が生まれる、したがって三・八兆円のうち一兆円については自分の力でお返しができるという計画になっているというふうに御理解をいただきたいと思います。
  27. 郡司彰

    郡司彰君 今、大臣の方からもございましたけれども、累積債務の三兆八千億のうち二兆八千億については一般会計に、残り一兆円超を今お話しになったような形でもって返済をするというふうなことでございます。  返済のお金をどうやって捻出していくかということになると、幾つかの方法があると思いますが、先ほど申し上げましたように、私は人員の削減によるものについては反対だ、その前段で三兆八千億そのものも一般会計に帰属をさせるべきだというふうな考えも持っております。  例えば自治体等の公的セクターに公有林というふうな構想も含めて譲っていこう、そういうふうな考えがあるわけでありますけれども、現下の経済状況や各自治体の財政がなおかなり逼迫しているというふうなことを聞いておるわけでありますから、そのような現況の中でどの程度の面積、どの程度の箇所、どの程度の額をそういうふうに譲っていけると考えているのか。また、今現在、具体的にそういうふうな問い合わせ、引き合いがあるのかどうかについてお尋ねをしたいのと同時に、もう一つ都市部の土地を売却するというふうな話も当然出てくるのだろうと思います。  私の住んでおります茨城は、前は林木育種場だったと思いますけれども、その土地を譲り受けて今新しく県庁舎を建てていて、来年の四月から入るというふうな準備を進めております。そのような土地も確かにあったわけでありますけれども、聞くところによりますと、なかなか林野庁が持っている土地の中で都市部でそうそう額の大きなものが出るようなところというのは少ないのじゃないか。一説にまだ茨城県がそういう候補地としては一番大きな土地を持っているのだという話も聞かされておりますけれども、それでもそんな面積、額になるのかなというふうな思いがございまして、これについてもどのぐらいの面積、箇所、額として見込んでいらっしゃるのか、お聞きしたいと思います。
  28. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 二点御指摘がありました。  具体的な数字については長官の方から答弁させますけれども、基本的な考え方といたしましては、我々の方で不必要となるような林野・土地については売却をする。一方、自治体等の公的セクターからの要望も強うございまして、もちろん自治体の財政事情が厳しいことも承知をしておりますけれども、我々としてはできるだけそういう要望を優先させていただくということで、随意契約による売り払いということにしておるところでございます。  今後につきましても、こういう景気低迷の時期ではございますけれども、ここ十年近くの間横ばいでございますので、これもある程度我々の立場から見れば見込めるのではないかというふうに考えております。  それから、二点目の都市部のいわゆる高額物件的なものは、確かにバブルのときにいろいろと新聞等でも話題になったような大口の、高額のものというものはこういう状況でございますからそう多くはないとは思いますけれども、何でもかんでも高いものを切り売りするということではございませんで、あくまでも必要に応じてということではございます。都市部においてもそういう庁舎の敷地等、今後の組織・要員の合理化によって生じるものについては売り払いの対象として見込んでいるところであります。  今後の見通しについては長官の方から答弁をさせます。
  29. 山本徹

    政府委員(山本徹君) 土地等の売り払いの実績見通し等でございますけれども、最近では市町村等に随意契約で売却いたしております件数が八百件前後ございます。金額にいたしまして三百億から四百億を超える金額を毎年売り払っております。  市町村等の利用の目的は、森林公園あるいは道路用地、それから土地改良区が農用地を開発される場合等が主な目的でございまして、私どもこれからも、住民の福祉あるいは地域振興のためのさまざまな目的の公用、公共用の取得の要望が寄せられておりますので、国有林野事業運営に必要なものは確保するという基本的な方針のもとに、こういった地方公共団体等からの御要望に対しては、特に今後組織・要員の合理化によって生じます比較的市街地にございますような庁舎の敷地等も新しく出てまいりますので、そういった土地も含めて地域の住民のお役に立つように地方公共団体のニーズに応じて売却を行ってまいりたいと思います。  私どもが把握している状況では、大体これまでに準じた御希望があると把握いたしておるところでございます。
  30. 郡司彰

    郡司彰君 国有林でございますので、ただ売れればいいというふうなことではなくて、その後の使い道についても十分留意をしていただかなければならないと思っています。  そしてもう一つ、林産材の売り払いといいますか、その関係があるわけでございますが、一つの目安になるかどうかあれですけれども、分収育林というのがございまして、緑のオーナー制度というふうなことで一般的に知られているわけであります。  始まりましてこれまで額にすると五百億ぐらいの額が全国のそうした心ある方々から寄せられて、それぞれ事業として行ってきたと。一番早いものにつきましては、九九年度でありますから、来年度から分配金の関係が出てくるというふうに聞いておりまして、現在の例えば一口で五十万といいますと、全国的に平均で資産価値としてどの程度になっていらっしゃるのか。具体的には一番最初に発生します福島とか鹿児島とかございますけれども、そこのところの最初の分配金というのはどの程度を見込んでいらっしゃるのか、お聞きしたいと思います。    〔委員長退席、理事成瀬守重君着席〕
  31. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 先生指摘のように、昭和五十九年度に発足いたしました分収育林事業は来年初めて主伐期を迎える林分がございます。これについて五十万で一口応じたけれどもどのぐらいになるかということでございますが、分収額は収穫量と立木販売価格を基本に算定することになっておりますけれども、収穫量につきましては今年度中に調査をしておる最中でございます。  また、価格は、一般競争入札によって立木販売をすることがあり、一方では市況は常に変動しているという状況でございますから、来年度幾らぐらい立木が売れて、そのうち分収分がどのぐらいあるかということは現時点ではお答えできないというのが現状でございます。
  32. 郡司彰

    郡司彰君 時間が余りなくなってまいりました。  いずれにしましても、新聞等によると元本割れの可能性があるんだというふうな記事が出ておりますし、元本を保証するということをうたっての投資ではございませんからそれはそれで、ただ今後のこの返済計画の中における林産材の売り払いというものが同じような経過をたどる可能性もあるのではないか。  そういう意味で、改めましてこの一兆円の返済計画大臣は可能だと思っていらっしゃるか、あるいは二割、その辺はきちんとやらなければ国民理解が得られないというふうな答弁もありましたけれども、精神的な意味も含めての努力目標というふうにとらえていいのか、簡単にお答えをいただきたい。
  33. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 五十年かけまして一般会計からもいろいろと援助をいただきながら一兆円の分もお返しをしなきゃいけないということであります。その主な収入源といたしましては、林野・土地の売り払いと並んで、やっぱり林産物収入というものが金額的には一番多い計算になっておるわけであります。  その根拠といたしましては、いわゆる伐期に入っていく木がこれからどんどんふえていく。今まではちょうど二十年代、三十年代に植えた木がまだ伐期に達していないということが木材、国有林野の低迷の一つの原因だったわけでありますけれども、これからは国産材時代、まさしく量的にもそういう時代に入ってくるわけであります。一方、木材価格は過去十年等の数字を見ましても、今不景気でございますが、これより下がることもないけれども高く見積もることもできないということで、ほぼ横ばいという前提に立っております。  それから土地等の売り払いについては、過去の実績はここ数年平均六百億ぐらい毎年売っているわけでありますが、一応二十五年で毎年二百億というかなり低目の数字を計算して手がたく見込んでおるつもりでございますのでへ五十年先でございますから、いい意味でもつらい意味でもいろいろな変動はあるとは思いますけれども、かた目に見てこういう計画を立てさせていただいて、一兆円の剰余をもって充てさせていただくという計画になっております。
  34. 郡司彰

    郡司彰君 時間がございませんので次に移らせていただきますが、定員内、外というふうな要員の呼び方、余りほかのところでは聞かないわけでありますけれども、大枠定員外という方が山の方に熟知をされている技術的なものを持った方なのではないかなと、そういうふうに思っておりまして、年齢構成が官民を問わずそういう方々は非常に年齢が高い。聞くところによると、全体を管理する範囲を全部熟知するのに十年では足りないんだというふうな話も聞いておりますから、そういった方々を若いうちから育てるというふうなこともひとつやっていかないとこれから大変なことになってくるのかなと。  それから、内の方については異動が大体二年ぐらいというふうな形も聞いておりまして、やはり地域、山に精通した方々がいらっしゃらないと困ると思うわけであります。森林事務所の配置、要員等についてもいろいろ検討をいただいておりますけれども、できれば定員外というふうなものをこの法の中でも明記をする中で複数配置というものを考えていただきたい。  それから、大蔵大臣の方にも最後にちょっとお願いをしたいと思いますけれども、現在、労使の話し合いも含めて要員や事務所の設置については協議をしているというふうに承っておりますが、最終的に要員の問題につきましては閣議での了承ということになるだろうと思います。財源的には今度一般会計への帰属ということでございますから、当然そういった意味でのバックアップといいますか御理解をいただかないと、なかなか国の森林を守っていくということが果たせないんではないかというふうにも思っておりますので、ぜひとも財源的な意味も含めて大蔵省としてもそういうふうなことできちんとやっていくつもりだという決意のほどをお聞かせいただいて、終わりにしたいと思います。よろしくお願いします。
  35. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 定員外職員の方々はやはり地元に精通しているということは私も地元でよく知っておるところでございます。要員全体の規模については、今まさに労使間で論議を詰めておる最中でございまして、基本的にはその結果を尊重したいと思うわけでありますけれども、今後の業務に応じた必要最小限度のものとするということが大前提にあるわけでございます。  一方、現場の実情あるいはもちろんこれも大原則でありますが、雇用身分についてはいわゆる本人の意思に反して首を切らないという大前提もございますので、そういう前提を踏まえながら検討を進めている最中であり、定員外の職員の扱いについても今現在そういう状況の中で検討している状況でございます。
  36. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 労使交渉が林野庁で行われ、さらに農水省と総務庁との交渉も行われる、その後に閣議決定の原案を農水省はつくられると思いますので、今の段階で大蔵省が何か先立って申しますことは差し出がましいことでございます。  しかし、非常に難しい環境の中で難しい労使交渉が行われると想像いたしますので、農水省が閣議決定を求められる原案につきましては、よくその間の経緯を踏まえまして、私どもも考えさせていただくつもりでございます。
  37. 谷林正昭

    谷林正昭君 民主党・新緑風会の谷林正昭と申します。  実は富山県で大先輩であります永田良雄先生が急逝をされまして、この九月に繰り上げ当選になりました。大変戸惑いもありますが、永田先生のお母様から息子の分まで体に気をつけて力いっぱい頑張ってくれ、こういう励ましを受けて登院をいたしました。一生懸命勉強させていただきます。よろしく御指導をお願いいたします。  そこで、きょうまさにデビューでございますので、大変失礼なこともあろうかと思いますが、そこはひとつまげてお許しいただきたいと思います。  まず初めに、清算事業団債務処理等の問題について少しお伺いいたしたいと思います。  細かい数字はよろしゅうございますが、当初十三・八兆円が残るということでスキームが組まれていたというふうに思いますが、それが今二十七・七兆円という数字になっている。いろいろ議論を聞いておりまして、大変高利な金がその原因になっているということを聞いておるんですが、この間に収入というものがどれだけあったのか、これをちょっと聞きたいというふうに思います。
  38. 小幡政人

    政府委員(小幡政人君) お答え申し上げます。  昭和六十二年から平成九年度までの実績で申し上げますと、収入でございますが、土地売却収入が六・五兆円、株式等売却収入が三兆円、新幹線保有機構に対する債権からの収入、現在は運輸施設整備事業団でございますが、そこからの収入が二・六兆円、それから国鉄清算事業団に対する国からの補助金が約一・六兆円等、その合計は十四・四兆円でございます。  以上でございます。
  39. 谷林正昭

    谷林正昭君 この十四・四兆円というものが、当初の計画から見ると、こんな言い方をしたら変かもわかりませんが、順調に収入としては入ってきているんじゃないかというふうに思います。それが今二十七・七兆円に膨れ上がっているということについて、議論の中では大変高利な金の返済、これが滞っている、滞っているという言葉は変かもわかりませんけれども、原因になっているということになっております。本当にその金利だけでこれだけに膨れ上がったのか、果たして何かの原因がまだほかにもあるのではないか、こういうふうな疑問も若干感じますので、その辺を大臣の方からお答えいただきたいと思います。
  40. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) まず、金利が金利を呼んだという話でありますけれども、根本は元本の返済のためにいつ土地が売れたか、いつ株式が上場できて売却ができたか、これが大幅におくれたというのが一つの原因であろう。したがって、元本はそのまま残されて金利がかさんできた、それが大きな数字に上がってきたということが根本的な理由であろうと思います。  したがって、土地の売却がおくれてきた、株式の上場がおくれてきたというときに、止血作用として何かできなかったのか、また今日、十一年たっておりますけれども、もう少し早い時点で何か対策がなかったのか、早い抜本策を出すべきでなかったかと、こういう御批判については私ども謙虚に受けとめたい、このように思っております。
  41. 谷林正昭

    谷林正昭君 批判を受けるということは、もう少し前向きに考えていただいて、責任の所在を明らかにするというようなところまでいきませんでしょうか。
  42. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 例えば土地を早く売るべきだったという議論はもちろん内部にありました。きのうも一部報道の意見を引用してお話をさせていただいたところでありますけれども、当時、運輸省、大蔵省そして清算事業団は早く土地を売りたかった。しかし一方で、国として土地の高騰という問題を見過ごすわけにいかぬ。どっちが政策的に上であったかというのは、まさに当時の政策的決定としてやはり土地の高騰は抑えなきゃならない。これは国会での議論、マスコミの議論もそうであったろうと思っております。  ただ、それによっておくれた、おくれたがゆえにだんだん処理スキームがおくれてきた、もう少し早く出すべきだったということについては先ほど申し上げたとおりでございます。
  43. 谷林正昭

    谷林正昭君 批判を甘んじて受けるというような御発言でございますから、その辺はまたこの後の政治で少しお互いに考えていかにやならぬのではないかなというふうに思います。  次に、大蔵大臣にお尋ねいたしたいんですが、この大きなスキームの中で、郵貯、たばこの方から組み入れるということになっております。まず、たばこの関係でありますけれども、JTは今まで民間会社を目指して非常に努力をされている。まさに社員が一丸となって努力されているときに、消費税に続いてまた値上げがされる。この状況を、禁煙運動だとか嫌煙運動だとかこういうものが広がっているときに、さらに追い打ちをかけるように売り上げが減る、こういうことについて非常に心配されると思います、そこに働いている人たち経営者の人たちは。  そういうことについて、この後そういうJT会社に対してどう配慮されるのか、これが一点。それから、突然の値上げということになろうかと思いますので、株主の皆さんに対してどう対応されるのか、それが二点。それから、先般の議論を聞いておりまして、大蔵大臣は愛煙家の協力を何としてでも得ていきたいというようなお話をなさっておるわけでございますけれども、具体的にどう理解を求められるのか、この辺を聞きたいと思いますし、この際、真の民営化のためにJTの株の放出を考えられたらどうか、こういうことを、時間がございませんのでまとめてお尋ねしたいと思いますのでよろしくお願いします。
  44. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) このたびの国鉄並びに林野の問題につきましてたばこ特別税を起こしたということは、いずれにしても値段を上げさせていただくことになりますから御迷惑のかかることはもうまことにそのとおりでございまして、そういう意味で威張ってどうも申し上げるような種類のことではございません。愛煙家に御理解を得たいと申し上げておりますのはそのような気持ちでございます。  要するに、国鉄にいたしましてもそうでございますし、林野もそうでございますが、理由はともあれ、国の一般会計債務のかなり大きな部分を承継しなければならない、このことが明らかでございます。それは昨年の財政構造改革会議でもいろいろに議論されたことでございますが、一般会計にも債務を承継するいわゆる債務償還能力というものには限りが片方でございますし、他方でしかし、今それを所得税、法人税等の値上げによってカバーするというような状況にはないという判断が大勢でございました。  そこで、やむを得ずたばこについて御負担を願う、あるいは郵政事業について特別の御配慮をお願いするというようなことをいたしつつあるわけで、どちらもひとつ一般会計の力にも限りがございますのでお願いを申し上げますというようなスタンスのものでございます。  それでもしかし、殊に国鉄の場合には今後生すべきいわゆる利子が利子を生むという雪だるまがさらに太っていくことだけは避けたい。ただ、根雪の部分処理できずに残る、それは今後六十年の減債計画の中でやっていくしかない、その財源はただいま特に見通しがあるわけではございませんというのができ得るせいぜいの今の国の状況でございます。  そこで、たばこを選びました理由、これも愛煙家からいえば余り納得のできる理由ではないとおっしゃるかもしれないのですが、比較的嗜好的な品物であるということ、それからたばこの価格の中に占める税金の割合が少し下がっておりますから、従来程度までリカバーすることはひとつお認めを願いたいといったようないろいろなこと。それから、耕作者にもある程度の配慮はしなければなりません。たばこ会社あるいは小売人の方々には、値段が恐らく上がることでございますから、ある程度のマージンは申請がございましたら考えなければいけないというぐらいのことは一生懸命やっておるつもりでございます。しかし、たばこ会社にも御苦労願う、そのことはよくわかっておりますが、合理化等々でまた考えていただけませんでしょうかというふうに思っております。  それから、たばこ会社の株式を放出したらどうかというお話でございますが、三分の二は国が持っていなければいけないという規定がございます。これは結局、専売から変わりました民営会社が将来ちゃんとやっていけるかどうか、これは会社自身の問題ばかりでなく耕作者との関係もございますので、したがってそれを確かめるまでは国が三分の二はやっぱり持っている必要があるということは今も同様に考えております。  したがって、三分の一は放出をしてもいい、売却をしてもいいということで、三分の一は既に放出をいたしておりますので、国が三分の二をいつまで持っている必要があるかということは耕作者の関係それから会社関係がございますので、今のところ放出すべきものは放出し終わったという状況でございます。
  45. 谷林正昭

    谷林正昭君 たばこの関係は合理化で対策を立ててもらいたいというお話がありましたけれども、ただいま目いっぱい現場では合理化をしながら何とかコストダウンをして経営の安定に努めているということも理解してあげていただきたいというふうに思います。  時間がないので次に移りますが、JRの追加負担について少しお聞きしたいと思います。  せっかくでございますので、修正案の提案者の衛藤先生にきょうお見えいただきました。どうもありがとうございます。  その前に運輸大臣にお尋ねいたしますが、このJR各社、七社ありますが、これはどうも話を聞いておりますと、あるときは民間会社だと言ってみたり、あるときはちょっとひもつきだと言ってみたりするようなニュアンスが耳に入ってくるんですが、このJR七社は果たしてどちらなのか、まずそれを運輸大臣の口からお聞きしたいというふうに思います。
  46. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 国鉄改革の基本はJR七社を民営・分割し、そして自主独立経営をしていくというのが基本であります。ただ、今日では本州三社の株の一部を国が有しておりますし、また三島、貨物については一〇〇%という状況にある。したがって、この問題を一日も早く解消するのが私どもの仕事の大きな部分であろうと思っております。
  47. 谷林正昭

    谷林正昭君 済みません、民営会社かどうなのかお尋ねしているんですが。
  48. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 民間会社でございます。
  49. 谷林正昭

    谷林正昭君 民間会社ということを前提に衛藤先生に修正案についてお尋ねいたしますが、まず、端的に申し上げまして、この修正案が二分の一にJR負担を削減した、ここらあたりが非常に不明確、あるいはどういう根拠でどういう経緯があってなったのか、ここらあたりが非常にわかりにくいところでございますので、そこらあたりを明確にお答えいただきたいと思います。
  50. 衛藤晟一

    衆議院議員(衛藤晟一君) JR社員のための年金の原資を全部国民負担してもらうということにつきましては、もう無理があるということは御承知のとおりでございます。そういう中で、いろんな議論を踏まえまして、JRの社員の年金JR国民とで支える、お互いに支え合うことが適切ではないのかということで考えたのがJR負担を二分の一に減額した根拠でございます。  さらに、もっと具体的にということでございますが、一般的には公的年金におきましては職員のための年金負担はその二分の一を経営者が負担するというのが原則でもございます。そもそもJR社員分の年金移換金はJRの社員の年金のための負担でございますので、その点を考慮したときに、今般の移換金のうちの二分の一をJR負担とするということがJR国民とで負担を支え合う姿として最も適当ではないのかというぐあいに考えたところでございます。
  51. 谷林正昭

    谷林正昭君 JR国民とで支え合うというような御答弁がございましたけれども、国民と支え合うというところが私たちは気になるんですね。変だなと思うんです。それは平成八年に既に決着済みであって、その決着済みのものをなおかつ今民間会社だとおっしゃったJRに新たな負担を押しつける、こういうものだというふうに思います。  もしそうだとしたら、筋論からいえばゼロか一〇〇%か、これがポイントだと思うんですね。それが二分の一というのはどういう根拠なのか。それはきのうどなたか参考人先生がおっしゃいましたが、足して二で割るというような政治的なものなのか、そうじゃない、もっと議論の上に立って国民にもわかりやすい、そしてJRにもわかりやすい、そういうものなのか、今の答弁では聞き取れません。恐れ入ります、もう一遍聞かせてください。
  52. 衛藤晟一

    衆議院議員(衛藤晟一君) 六十三年の閣議決定では、御承知のとおり「最終的には国において処理する」と。それが、移換金債務につきましては「事業団の既存の債務等と同様の取扱いをする」というぐあいに平成八年の閣議決定がなされておることは御承知のとおりでございます。  そういう中で、先ほどから申し上げておりますように、もともとJR社員分の年金移換金はJRの社員の年金のための負担でございます。そういう中で、一般的にでございますが、公的年金におきましては、職員のための年金負担は二分の一は本人が、それから二分の一は経営者が負担するということになっているわけでございますので、そういう点を考慮いたしましてどういう形が一番適切であろうかということを考えたときに、移換金のうちの二分の一はJR負担していただくということの方がまさに国民JRとで負担を支え合う姿として最も適当ではないのかという判断をした次第でございます。
  53. 谷林正昭

    谷林正昭君 それでは、運輸大臣にお答えいただきますが、平成八年に決定した内容というのは、それはどこかに新たに見直すとか、そういうことは書いてあるんですか。お答えいただきます。
  54. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 先ほどの私の発言で誤解があったら訂正をさせていただきたいと思います、先ほどお声がございましたので。正確には法に基づく特殊法人、そして民間手法で経営をしてほしい、こういうことであります。  共済年金から厚生年金への移換金問題でございます。  御承知のとおり、国鉄改革のときに経営と労働はまさに新しいJRとは切れた。国鉄とは切れた。しかし、共済年金の問題また退職金の問題等については、従業員の福祉の問題でありますから、福利厚生の問題でありますから、引き継ぐという形で共済年金制度というものは継続をされてきたわけであります。その中で、平成八年、言われるとおり一つの結論が出された。それは事業主負担という原則でございます。JR事業主であります国鉄清算事業団負担すべきであるという結論が出された。では将来的にこの清算事業団の問題をどうしますかというときに、「国において処理する」という文言が使われたわけでございます。    〔理事成瀬守重君退席、委員長着席〕  したがって、清算事業団が今解散されるときに、この清算事業団負担をするとされた厚生年金への移換金問題が今日御提案をされておるような議論として出てまいったということでございます。
  55. 谷林正昭

    谷林正昭君 国の責任処理をするということは、だれが聞いてもこれは国が負担をするというふうに私はとると思うんですね。マスコミの論調もそういうような論調一色だというふうに私は思います。  あわせて衛藤先生に、いろいろな新聞に目をお通したと思いますが、このマスコミの論調に対して修正案はたえ得るのかどうか、修正案提出者として少しお聞きしたいと思います。
  56. 衛藤晟一

    衆議院議員(衛藤晟一君) 実は私も平成八年の厚生年金への移換のときに自民党の社会部会長をさせていただきまして、この問題にタッチをさせていただきました。  年金移換につきましては、JRに対してはみんなで相当な配慮をさせていただいたというのが正直なところであります。陰に陽にJR年金がちゃんとやっていけるように、鉄道共済をここで終息させて厚生年金に移換させるということについて、大変な額をほかの厚生年金等から負担をしていただきながらやらせていただいたところでございます。四十年間で六兆円に上る負担等も一緒にやっていただきながら、この移換はやっと成立したところでもございます。  そういう意味におきまして、少なくとも一般的な公的年金におきましては、職員のための年金は二分の一は経営者、二分の一は社員というふうになっている。その中で経営者分ぐらいは、いわゆる二分の一程度はJR負担をするということでないと、JR社員のための全部の年金国民負担を押しつけるということでは、これまた国民の皆さんに説明のできない中身ではないのかというぐあいに思います。  そういう意味におきましては、そういう中でどういう形が最も適切であろうかということを考えたときに、今回のような形での、ぎりぎり、せめて当初案の二分の一程度の負担についてはJRにも負担をしていただかないことには、国民の皆様にちゃんとした申し開きができないのではないか。  一部では、ただいま先生がおっしゃいましたように、何か割り勘かバナナのたたき売りみたいな説もございますけれども、しかし国民の皆様に対する説明といたしましては、全部を国民負担ということでお願いするには大変な無理があるのではなかろうかというぐあいに思います。
  57. 谷林正昭

    谷林正昭君 議論するには余りにも時間がございませんので、納得のいかないままに質問を終わるような格好になりますが、運輸大臣最後に聞いていただきたいことがあります。  それは、JR西日本旅客鉄道産業労働組合がまとめた阪神・淡路大震災のときの家族、従業員あるいはお客さんにどう接したか、これを私は読ませていただきまして、今のJR従業員の皆さんは、西日本に限らず、まず第一に安全ということを大変お考えになっている。そして、安心して利用できるJR、それこそ時間を守りたい、守る、とにかく国民から愛されるJRになりたいという一心で、まさに経営者の皆さんや労働者の皆さん、その他家族を含めて一生懸命頑張っておいでになります。赤字になっているところもまだまだあるというふうに聞いておりますが、そこの人たちはもっと苦しい目に遭って頑張っておいでになる。そういう中にあって、今新たな負担を押しつけるというような、まさにこの問題についてそこに働く人たち経営する人たちは非常に戸惑いを感じている。  私が聞きたいのは、一生懸命頑張って本当の民営になろうと思って、そして世界の行政改革の手本になろうと思って頑張っておいでになるJR経営者、従業員の皆さんに対して、ぜひ運輸大臣の方から激励の言葉と、今の状況をどう思っておいでになるのか、感想を聞かせていただきたいというふうに思います。
  58. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) たびたび御答弁申し上げておりますけれども、JR七社が大変な努力をされてきた、そしてサービスの改善も図られてきた、これは私ども大きく評価をいたしているところでございます。  ただ、六十二年改革時に、先ほども申し上げましたように、経営また労働関係というものは新しくなりましたけれども、まさに従業員の福祉というものをしっかり守らなきゃならぬという立場の中で、年金制度は継続していきますよ、共済年金という形でやりますよと。しかしながら、その共済年金も成り立たなくなった。厚生年金に移換をされる。そして、多くの皆さん方の御負担をいただきながら、この年金制度を守り、厚生年金へ移換をし、そして将来の年金というものが間違いなく支払われる、これを担保するための今回の措置というふうに御理解を賜りたい、このように思います。
  59. 谷林正昭

    谷林正昭君 激励はないんですか。
  60. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 再三申し上げているとおり、大変しっかり仕事をしていただいておるということについては高く評価したいし、先ほど申し上げたように、やはり残された株について早く売却をしていくということが大きな使命であるし、しっかりやっていただきたいと思います。
  61. 谷林正昭

    谷林正昭君 終わります。  ありがとうございました。(拍手)
  62. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 公明の魚住裕一郎でございます。  きょうはもう三日目でございますけれども、なかなか理解できないことがたくさんございますので、順次質問をさせていただきます。  この国鉄債務林野債務処理法案が参議院の方に送られてまいりまして、各新聞社からいろんな論説が出ておりますけれども、非常に評判が悪いというか、何やつているんだというような形がよく出ております。ある社の社説の中では「こうした意味理解せずルール無視を押し通して世界に恥をさらした政治家と官僚の罪は重い。」、そういう一節もございました。これは全国紙の社説の一節でございますけれども、まさに私たち政治家あるいは官僚の諸君の罪は重いというような断罪をしているわけであります。しっかり議論をしなきゃいけないなと思っております。また昨日、当委員会参考人をお呼びいたしまして意見も拝聴いたしました。自己責任原則というようなことが言われている中で、この政府のやり方は政府自体のモラルハザードではないだろうか、こういうような意見もございました。  この辺の問題、特にJRの追加負担の問題につきましてそういう論が展開をされたわけでございますが、まずJRの追加負担についてお聞きをしたいと思います。  先ほど衛藤先生、また運輸大臣の答弁がございましたけれども、議論すればするほど何かよくわからないというか、特に二分の一という部分につきましてわからないことがあります。衛藤先生、恐縮でございますが、この二分の一にした趣旨、理由をもう一度ちょっとお教えいただけますか。
  63. 衛藤晟一

    衆議院議員(衛藤晟一君) お答えさせていただきます。  私どもは、JRの社員のための年金について、平成八年にこれを厚生年金へ統合することにいたしました。JTJR、NTTのおのおのの共済年金厚生年金に統合いたしまして、そのときにどういう形で統合するかという問題が生じて、一応の移換状態が決まりましたけれども、最終的には国がどういう形で関与するのかということが、ちょうど六十二年から十年たったところで、事業団債務処理を行うというところとちょうど一緒に最終的に処理をしなければいけないということになったわけでございます。  それにつきまして、私どもは、JR社員の年金のための原資を全額国民負担していただくということにも無理があるということで、当初ございました案に対してどういう形でやるべきかということについていろいろな議論が行われましたけれども、そういう中で、やはりJR社員分の年金移換金はJRの社員の年金のための負担でございますので、先ほどから申し上げておりますように、全部国民負担してもらうのも無理がある、ついてはこれの二分の一をJR負担していただきたいと。  一般的に申しますと、公的年金におきましては職員のための年金負担は二分の一が本人、二分の一が経営負担ということになっているので、そういうことを考慮いたしますと、移換金のうちの二分の一をJR負担とすることがJR国民とで負担を支え合う姿として最も適当ではないのかという判断をいたしまして二分の一という形での修正案を提案したところでございます。
  64. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 確認でございますけれども一このJR負担させる二分の一というのは、これは本人負担分ですか、経営負担分ですか、ちょっと確認だけ。
  65. 衛藤晟一

    衆議院議員(衛藤晟一君) 私どもの判断の基準として一般的な公的年金の扱いとして申し上げているわけでございまして、これそのものを経営負担分だとかあるいは本人負担分だというぐあいに区別したというわけではございません。  一般的にはそういう形でございますので、やはり経営者分の負担と考えられるものについては、二分の一相当でございますから、二分の一相当をJR負担とするということについて国民的な理解が得られるのではないのか、全体を国民負担とするということには無理があるのではないのかということでこれを二分の一にしたところでございます。
  66. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 ますますわからなくなってくるということでございますけれども、これは全体が九千四百億あって、七千七百億と千七百億という形でやりましたね、二年前に。そうすると、半分という今の衛藤先生の論理で言うと、この千七百億の部分についてはどういうふうな、要するに国がその千七百億の半分は持つべきなのかなみたいな議論になってきやしないかと危惧をするんですが、いかがですか。
  67. 衛藤晟一

    衆議院議員(衛藤晟一君) 平成二年から八年に、厚生年金への統合前に年金のための負担を毎年二百二十億していただいたところでございます。平成九年は、年金統合後はJRが千七百億円分の負担をしているわけでございます。それが換算いたしますと毎年百六億円に相当するわけでございます。  今回のJR負担を政府案の二分の一に修正すれば、結局、年金に関するJR負担は統合前まで行ってきた負担とほぼ同程度ということになるというように考えています。
  68. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 いや、全然違うことだと私は思っておりますけれども、要するに七千七百億のうち三千六百億をどうするかという議論で、その半分は持ってちょうだいよという話で、そして経営者と本人分だと。そうすると、もう既にJRが払ってしまった千七百億の部分についても経営者分と本人分があるから、そのどっちかについては国が持つべきじゃないの、同じ衛藤先生の論理で言えばそういう議論です。だから、衛藤先生の筋を通せばそういうことになってきやしませんか、そこについてはどうお考えですかと。答弁をお願いします。
  69. 衛藤晟一

    衆議院議員(衛藤晟一君) 平成二年から八年までが毎年二百二十億JR負担をしていただきました。そして、平成八年に統合いたしまして、そのとき決まっておりましたJR負担分が千七百億円でございましたので、その千七百億円は、平成九年はそのうちの中から千七百億円分として百六億円負担したわけでございます。  三千六百億円というのは今回の処理の問題でございましたが、三千六百億円につきまして、私どもは修正案として、そのうちの二分の一をJR負担していただきたいというぐあいに、当初は三千六百億全体をJR負担ということで提出されておりましたけれども、種々の議論を経ながら二分の一についてはJR負担に、そして二分の一については国の負担国民負担という形で修正を申し上げたところでございます。  先ほど申し上げましたように、それにつきましては、お互いに支え合うという形でやるべきではないのかということで二分の一に修正をさせていただいたというのが実情でございます。
  70. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 ちょっと時間がもったいないというか、全然納得できませんし、私の認識ではその修正提案者の論理自体も破綻をしているなというふうに断ぜざるを得ないわけでございます。そうお聞きをせざるを得ないなと。  やはりこの二年前のスキームというのは、一たん雇用関係が切れて新しい民間会社として出発する、そういうところからきっちり分けてやったスキームではないのかなというふうに思っております。もちろん三千六百億自体も、私たちの感覚からすれば、一般国民の感覚からすれば、国が約束したことをまた今さらながらひっくり返したなというふうに思うわけでございますが、さらに二分の一に修正したことによって余計論理の破綻というか、混乱が巻き起こったというふうに私どもは認識をしているところであります。  そこで、今回の処理スキームの中で、国鉄債務の中で繰り上げ償還のことが出てまいります。また、林野についても利払いについての八百五十億ですか、国鉄については二千五百億繰り上げ償還によって財源確保するということでございます。  この資金運用部の資金の繰り上げ償還を認めるというか、今回は認めて利払いの減った分を財源に充てるということでございますけれども、例えば各地方自治体でいっぱいお金を借りていて、その利払いでも大変だということがございます。大蔵大臣のところにも要請とか陳情とかいろいろ行っていると思うんです。この繰り上げ償還を認めるかどうかの基準というものは一体どういうような形になっておるんでしょうか。
  71. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 私の受けております説明は、資金運用部の資金はいわゆる貸付利率と預託利率とが同じで、その間にマージンがないように運営されておりますから、したがって早期償還をいたすような経営基盤になっていない、こういう説明でございます。それはすべての場合にそうである。  ただ、今回の場合は、国鉄清算事業団にいたしましても貸付対象が消滅をいたします。そして、一般会計がその債務を引き受けることになりましたので、したがって債務者がなくなった、そういう状況の中で初めてこういうことが可能になる、そういう説明を受けております。
  72. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 国有林野については事業体はなくなりませんね。ですから、この点についてはいかがですか。今、大臣のとはちょっと違うなと思うんですが。
  73. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) それも申し上げるべきでしたが、国有林野に対しましても一般会計債務を取り上げました。取り上げましたといいますか、自分の債務にいたしましたので特別会計債務でない、こういう論理のようでございます。
  74. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 ちょっと納得いかない部分もございますけれども、一般会計で引き取っちゃえばそうなるのかなということになるのでしょうかね。  ただ、実際これは、国が金貸し業と言ったら語弊があるかもしれませんけれども、要するに融資しているという事業でございますから、やはり金利が下がれば、一般的な感覚からいえばその利払いで苦しんでいるところを繰り上げ償還したいというのが一般的だと思いますので、ぜひその辺、各自治体の問題もあるだろうし、いろんなところがあると思いますので、御配慮をいただきたいと思います。  それから、運輸大臣にお聞きをしたいんですが、きのう加藤寛先生参考人としておいでいただきました。衆議院での参考人意見陳述の中でもあり、またきのうも、今回のこのJR負担についてJRの納得、了解が大前提だというようなことを明言されておりました、この場で。  それで、JR各社に御納得をいただいているのかどうか、また御納得をいただくべくどのような努力をされているのかについてお聞きいたしたいと思います。
  75. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) JR理解でございますけれども、前藤井運輸大臣の時代からJRとたびたび接触をいたしました。また、私どもの党の運輸大臣経験者も間に入っていただき、何回と話し合いの場が持たれたところでございます。ただ、今日までJR理解を全面的に得られたという形にはなっていないことは事実でございます。  また、私の立場でありますけれども、事務的に接触をいたしておりますので機会があれば私はお会いをしたいと申し上げたわけでありますけれども、国会での審議を見守りたいというお話でございましたので、私が直接会うことは今避けております。ただ、国会での議論決定をされた段階でJRとまた話し合いの機会を持ってまいりたい、このように思っております。
  76. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 今回の国鉄債務処理について、ある意味では加藤寛先生はオピニオンリーダーの役割を政府サイドから見ればやっておられると思いますけれども、その先生が納得が大前提だというふうな話になってきますと、ちょっとこの追加負担というのはやっぱり控えるべきじゃないのかなというふうに思うんです。撤回すべきでないかと私は思いますし、またマスコミ各社、あるいはもう国民世論と言っても私はいいと思うんですけれども、これはおかしいんじゃないのということになってきていますが、その点はいかがですか。
  77. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 一方で、JR七社の理解として、国鉄長期債務問題が後送りされていくということについては、決していいことではないというように私どもは聞かせていただいているところでございます。
  78. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 それで、先ほどJRの性格づけについての質問がございました。業績がいいと言われている本州三社でございますけれども、まだ株を国の方で、事業団ですか、持っております。特殊会社だとはいえ、これは早く完全に民営化していくべきだと思うんですね。株式はいつごろまでに売却する予定になっておられるんですか。
  79. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 本州三社につきましては、市況が許せば一日も早くこの売却を行いたいということで打ち合わせを行っているところでございます。一方、三島につきましては、十三年を目標に上場を果たしていきたい、こういう計画を持ちながら努力を重ねているところでございます。貨物についてはもう少し経営の良化を進めなければならないな、このように思っております。
  80. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 市況が許せばという話でございますが、具体的にはどういうような状況を指しておりますか。日経平均が三万九千円になってからというふうな話じゃちょっとたまらないものですから。
  81. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) まさに私の立場と魚住委員立場は一緒であろうと思います。一日も早く売りたい。しかしながら、市場関係者の声を聞きながら、どういう時点で放出したら最もいい売却ができるのか。正直言って、借金をたくさん抱えておりますので、少しでもいい値で売りたいというのが本音でございます。
  82. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 先般、この三島会社JR貨物への支援が新聞記事に出ていました、無利子融資の拡大あるいは固定資産税の軽減というような言い方でございますけれども。民営化していくという状況の中で政府のいろんな援助とか支えをやりながら株式を上場していくというのは、市場経済原則からすれば何かつじつまが合わないように思うんですが、その点はいかがでしょうか。
  83. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) これは六十二年改革に戻るような話になると思います。  当時、どういうふうに民営・分割をすべきか、本州は三社に分ける、北海道、九州、四国はそれぞれやっていくという中で、当初からこの三島についてはなかなか経営が難しいねという理解でございました。そして、先ほどからも御議論がありますように、公益的な性格は考えていかなければならない。同時に、民営にして独立をさせていくならば当然収益は上げていかなきゃならぬ、一%以上いかなきゃならぬ。その中で経営安定基金というものが設けられてスタートをした。そういう意味では、ある意味では原資を持ちながらスタートをしたということであります。  その原資から生まれる果実が、今日の経済状況で、このような経済状況を正直言ってその段階で予測いたしておりませんでした。大変厳しい経済状況の中でその果実が生まれない。そこに対する支援というものはやはり将来を目指すためにはやっていかなければならないだろうという中で、無利子融資とか、でき得れば税制的な問題にも取り組んでまいりたいと思っております。  また、北海道の例を再三申し上げておりますけれども、青函トンネルはこれから補修の時期に入ってまいります。これを全部JR北海道にかぶせるということがどのぐらい経営に影響を与えるか、これも十分考慮した上で我々ができることはしなければならぬだろう、こう思っておりますので、上場という大きな課題と公益性を持ちながらまさに民営化で自主独立てやっていくということで、我々はそのサイドでどのぐらいの援助ができるかということは当然考えていかなきゃならぬのじゃなかろうかなと、こういうふうに思っております。
  84. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 時間がもう本当になくなってきましたので、私の頭の中の順番を変えまして、ちょっと森林法の一部改正についてお聞きをしたいと思っております。  今回、間伐の適切な実施ということで、森林施業計画の認定要件の見直しというような形で出てきておりますけれども、この間伐等の手入れが必要な森林面積というのは人工林という中では一体どのぐらいあるんでしょうか。
  85. 山本徹

    政府委員(山本徹君) 人工林の面積は国有林民有林含めますと約一千万ヘクタールございますけれども、この約半分程度が間伐等の保育管理が必要であると考えております。
  86. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 手入れというか、その中で間伐等が具体的に実施されているのはどのぐらいの割合なんでしょうか。
  87. 山本徹

    政府委員(山本徹君) 間伐の実施の割合でございますけれども、国有林についてはおおむね必要な間伐は実施されておりますけれども、民有林におきましては五割前後であろうと思っております。
  88. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 五割という話でございますけれども、何で手入れというか間伐をやらないのかということでございますが、その点についてはいかがでしょうか。  そして、今回のこの改正によって五割がどのぐらいになるのか。八割になるのか九割になるのか、その辺の見通しについてはいかがでしょうか。
  89. 山本徹

    政府委員(山本徹君) 間伐が民有林においてなかなか進まない理由でございますけれども、間伐材は主伐材に比べて十センチとか二十センチ程度のやや細目の材になります。これもオイルショック以前ですと、例えば足場の丸太に使ったり等、いろんな多面的な用途がございましたけれども、現在それがスチールパイプにかわったり、いろんな代替材が出ておりまして、間伐材の用途が今少なくなっておりまして間伐材が市場で売れない。したがって、間伐を実施いたしましても、いわゆる切り捨て間伐といいますか、その場で伐採してそのまま置いておかざるを得ないというような森林が相当、今の間伐実績で見ても半分以上はそういった状態にございます。  間伐材が有利に売れないことと、それからこれに対して間伐に要する人件費がかかるといったようなことでなかなか進まないのが実情でございますけれども、今回の森林法で施業計画の中に間伐をきちんと位置づけさせていただき、また予算も増額させていただいておりますので、これによって今以上に間伐が進められることを私ども期待しており、また間伐材の新しい用途の開発、あるいは間伐材をできるだけ安いコストで搬出するような作業道の整備等についても努力してまいりたいと考えております。
  90. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 今、切り捨ての話が出ましたけれども、きのうの参考人の陳述の中でも、ことし台風とか大雨がありましたが、切り捨てたものが大雨で流れて、これが今度は橋にひっかかって洪水の原因になっているというようなこともございました。やはりきちっとした手入れが大事でございますし、またそれを搬出するというのは本当に大事だなと。生命、身体の安全のためにも大事だなと思っておりますが、間伐を森林所有者が進んでやるようにどういうインセンティブがあればいいのか、大臣はどのようにお考えになっているか、お聞きをしたいと思います。
  91. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 今、長官から答弁申し上げましたが、特に民有林の間伐が非常におくれている。おくれているインセンティブという言葉は適切じゃないかもしれませんけれども、そうせざるを得ないのは、やはり木材のいわゆる利回り、収益性が極めて落ちていると。それから、間伐助成をやりますけれども、大体人件費がメーンでございまして、そういう意味でなかなか間伐をやりたくてもやれないというのが現在の林業関係にあるんだろうと思います。  そして、先生指摘のように、私も八月の災害で福島、栃木を見てまいりましたが、まさに間伐材あるいは流木が橋げたのところでひっかかってダム状態になって、そこで水がせきとめられて一挙に周りから流れて大変な災害を起こしたと。まさに間伐、あるいはその後のきちっとした後片づけが必要だろうと思っております。  そういう意味で、今回の森林法の改正におきましては、森林所有者が策定する森林施業計画の認定要件の中に新たに計画的な間伐の実施という要件を一つ入れることによりまして、間伐に対して助成の要件を広めるということも含めまして、やはり間伐の重要性、間伐をやることによって残された機能、価値というものも上がっていくわけでもございます。そういう意味で、特に民有林における間伐の必要性、防災あるいはまた材価としての価値等も含めて認識をしていただくためにも、今申し上げたような間伐についても助成措置を講ずるというようなことを今考えておるところでございます。
  92. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 森林施業計画のことが出ましたけれども、今回のその認定また伐採の届け出の受理でありますとか、また伐採計画の変更命令、施業の勧告等の権限、これを県知事から市町村長へ委譲するというような内容になっております。  地方分権といえば、確かにそういう面からすれば一歩前進かなと評価できる反面、市町村においてそういう人材と知識があるのか、そういう裏づけとなる財源があるのか。また、大きく言えば流域で全体的な計画をやらなきゃいけないだろう。そうすると、その中で市町村がここにあって実際有意義な計画ができるのかなというふうにちょっと危惧をしております。  特に受け入れ体制についてどのような状況になっているのか、自治省としてもこの改正案は歓迎なのかどうか、コメントをください。
  93. 二橋正弘

    政府委員(二橋正弘君) 今回予定されております森林法の改正によりまして、今御指摘がございましたような森林施業計画の認定でありますとかあるいは伐採計画の変更命令など、そういう森林所有者への指導に関する事務が都道府県知事から市町村長に委譲されることになるわけでございます。分権という観点からそういう方向は必要ではないかというふうに私どもも考えておりまして、そういう事務の委譲が円滑に進みますように担当省庁とよくお話をいたしながら、要員の点も含めまして必要な財源措置につきまして、地方財政計画あるいは地方交付税の算定を通じて適切に対応してまいりたいというふうに考えております。
  94. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 終わります。(拍手)
  95. 富樫練三

    ○富樫練三君 日本共産党の富樫練三でございます。  長期債務の問題について伺いますけれども、清算事業団が分割・民営化の当初に引き受けた債務が二十五兆五千億円。本来ならばこれが減っているはずなのに、十一年後の現在二十七・八兆円にも膨らんでいる。この原因については、多くの要因がありますけれども、何よりもその処理を先送りにしてきた、あるいはそもそもJR本州三社の負担が少な過ぎたことなど多くの要因があります。そして、この抜本的な処理策を講じなかった政府の責任が一番重大であります。  もっとも今回の処理案も、大蔵大臣が認めておりますように、元本返済の財源は全く不透明なままに国民負担を一層ふやそう、こういうものでありますから、到底抜本的な処理策と呼べるような代物ではありません。問題の解決にはその原因と責任に沿った解決策、これがどうしても必要であります。  そこで、私は、この債務が膨らんできた一つの要因として、新幹線の譲渡収益流用問題についてまず伺います。  新幹線保有機構、これは当初八・五兆円の債務を承継いたしました。そのうち二・九兆円は清算事業団への返済ということでありました。この保有機構は現在は運輸施設整備事業団というふうに名前は変わっておりますけれども、新幹線をJRに売却することに伴って清算事業団への債務の返済額を減らして私鉄やJRなどへの無利子貸し付けに回してしまいました。  平成三年度から十年度までにどのくらいこの無利子貸し付けに回したのか、まずその合計金額を明らかにしていただきたいと思います。
  96. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 運輸施設整備事業団による常磐新線を初めとする都市鉄道整備及び幹線鉄道の高速化に対する無利子貸し付け、平成三年から平成十年まで二千三百七十二億円の貸し付けでございます。
  97. 富樫練三

    ○富樫練三君 そうしますと、一年間で大体約四百億円ぐらい、平均しますと。  次に、平成三年に新幹線をJRに売却したときに再調達価額として一・一兆円を上乗せしたわけでありますけれども、これを整備新幹線の建設費に充てています。平成十年度までに合計幾らになっているのか、お答えいただきたいと思います。
  98. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 新幹線譲渡収入のうち、平成十年度までに整備新幹線の建設に充当いたしました額は五千四百三十二億円でございます。
  99. 富樫練三

    ○富樫練三君 そうしますと、初年度は別として、大体一年間に七百二十四億円。  最初につくられた新幹線保有機構は新幹線のリース料として毎年JRから入る二千三百億円を全額清算事業団に返済してきていたわけでありますけれども、ところが平成三年に新幹線を売却した。それを契機にして、この二千三百億円の中から、先ほどの無利子貸し付けと整備新幹線の建設費、これを合わせますと年間約一千百億円、これが債務の返済ではない方向に使われる、こういうことになったわけです。清算事業団へはそれまでの約半分の一千二百億円しか返済していない。  こういうことでありますから、本来の新幹線保有機構の目的から外れた使い方、そういう意味では流用ではないかというふうに思うわけですけれども、どうですか。
  100. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) まさに政治の議論であろうと思います。先ほどから幹線鉄道というものをどう考えるかという御指摘もいただいております。  果たしてすべて民間に任せてやり切れるものか。国としてしっかりとした政策を立てながら、例えば過疎地域に対する支援、また例えば東京、大阪等、これはもう地下鉄でいかなきゃできません。多額の建設費がかかる。こういうものに対してどういう形で政府として支援をしていくか。その中で、政治の御判断で、整備新幹線というものは幹線鉄道としてしっかり整備していくべきである、また常磐新線もやるべきである、こういう結論に至ったと理解をいたしております。
  101. 富樫練三

    ○富樫練三君 それは財源が違うでしょう。  もともと新幹線保有機構をつくったのは、新幹線をリースして、そのリース料で清算事業団借金を払う、債務負担する、そういう目的で最初にスタートした。それを途中から、新幹線売却を契機にして別の方にその財源を使うことにした。ですから、もちろん新幹線をつくることであるとか、あるいは過疎地の鉄道をつくるであるとか、あるいは都市での交通を確保するであるとか、そういうことはありますよ、あるけれども、それは財源が違うでしょうということを言っているんですよ。どうですか。
  102. 小幡政人

    政府委員(小幡政人君) お答え申し上げます。  昭和六十二年に、先生お話しのように新幹線のリースということでスタートしたわけでありますけれども、この財源につきましては基本的には実は流用はしておりません。  それから、平成三年に新しくそれ以外の第二次評価として一・一兆円の新幹線の譲渡代金が出てきたわけでございますが、この財源につきましては、先ほど大臣から申し上げましたように、新幹線あるいは常磐新線等々の都市鉄道の無利子貸し付けの利子分といいますか、そういうものを負担するという形で、こちらが政策判断として長期債務ではなく鉄道整備の方に回させていただいたということでございます。  それと、もう一つ補足させていただきますと、先ほどの昭和六十二年からスタートしました新幹線のリース料の収益の中で、実は資金繰りの上で一部常磐新線等の無利子貸し付けに回しているということは事実でございますけれども、これの利子分につきましては、先ほど申し上げました平成三年に調達いたしました第二次の評価益、これをもって充てていくということでございまして、六十二年に用意いたしました長期債務の返済スキームに影響を与えるものではないという考え方でそういう措置をさせていただいているところでございます。
  103. 富樫練三

    ○富樫練三君 長期債務の返済のスキームに影響を与えるものではないというふうに今お答えがあったわけですけれども、一番最初につくったときにその長期債務の返済に充てるということでつくった組織、新幹線保有機構、今名前が変わっていますけれども、このお金がほかの方に流れているということは事実ですね。そこはどうですか。
  104. 小幡政人

    政府委員(小幡政人君) 新幹線のリース料として用意いたしました部分、一・九兆円、当時二・九兆円ですが、現在一・九兆円になっておりますが、これについては返済の約定の期限がございます。その約定の期限にゆとりがある部分につきまして、先ほど申し上げましたような都市鉄道整備のための無利子貸し付け財源として暫時使わせていただいているというのは事実でございます。  これにつきましては、先ほど申し上げましたように、必要な利息を用意いたしまして、長期債務の方に後刻約定の期間に間に合うように返させていただく、こういう意味での一時使用をさせていただいていることは事実でございます。それにつきましては、くどいようでございますが、第二次の売却のときの一・一兆円の新幹線売却益の財源をもちまして利子補給をするということで、先ほどの原スキームに影響のない形で対応させていただいているということを申し上げているわけでございます。
  105. 富樫練三

    ○富樫練三君 無利子貸し付けやあるいは整備新幹線の方にそのお金を使うということについて、債務の返済に支障を来さない範囲、こういうふうに先ほども言いましたし、今は余裕があるということでお答えいただいたわけですけれども、本当にそういう状況なのかという点についてここではっきりさせていただきたいと思うんです。  まず伺いたいのは、平成三年度と平成四年度の清算事業団の収入と支出、これをまず明らかにしていただきたいと思います。
  106. 小幡政人

    政府委員(小幡政人君) お答え申し上げます。  平成三年度の清算事業団の収入でございますが、約一兆一千八百億円、それから平成四年度の収入は約一兆一千二百億円でございます。  それから、利払い等の支出でございますけれども、平成三年度は約一兆四千八百億円、平成四年度は約一兆四千五百億円でございます。
  107. 富樫練三

    ○富樫練三君 先ほどの話と違うじゃないですか。今の報告、今の答弁だと、清算事業団の方は新幹線を売却した平成三年度、そしてその翌年度、これはいずれも赤字になっているじゃないですか。これでも余裕がある、返済のスキームには変化はない、大丈夫なんだ、支障は来さないと、こういうふうに言えるんですか。大臣、どうですか。
  108. 小幡政人

    政府委員(小幡政人君) 先ほど私が申し上げましたのは、昭和六十二年度に用意いたしました新幹線のリース料等を使っての返済計画、これに支障を与える、あるいはそれを変更するものではないということを申し上げたわけでございます。
  109. 富樫練三

    ○富樫練三君 私が聞いたことに正確に答えていただきたいんです。清算事業団平成三年度の収入支出、平成四年度の収入支出です。私の調査とは先ほどの数字は若干違っているようですので、もう一度正確に答えてください。
  110. 小幡政人

    政府委員(小幡政人君) 先ほどの御説明いたしました平成三年度の支出、利払いベース、利払い等でございますが、平成三年度一兆四千八百億と申し上げましたけれども、ここで我々が内訳としておりますものを申し上げますと、利子、それから債務取り扱い諸費、追加費用等、特別負担、管理費等、総合計一兆四千八百十五億のことを申し上げたわけでございます。
  111. 富樫練三

    ○富樫練三君 私の手元には、あなた方がつくった資料があるんですよ。これで言いますと、平成三年度の支出は一兆五千九百億円でしょう。平成四年度の支出は一兆六千六百億円でしょう。あなた方がつくった資料ですよ、これは。  これで見ると、大臣、流用を始めた平成三年度は四千百億円の赤字ですよ、清算事業団は。平成四年度は五千四百億円の赤字ですよ。この二年間だけでも九千五百億円の赤字になっているんです。平成六年度はマイナス八千八百億円、平成七年度はマイナス八千七百億円、昭和六十二年度から平成八年度までの合計で何と三兆七千七百億円も赤字になっているんですよ。  清算事業団が、元本どころか利息さえも返済できない、今債務がふえて困っている、こういう事態になっているときに、余裕がある、支障を来さない、こういうことが言えますか。大臣、どうですか。
  112. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 六十二年当時のスキームの話と、新たに新幹線を整備するためにリース料としてJRに御負担をいただいた額、その関係と、今御指摘いただいておる平成三年度、四年度、極めて多額の赤字が出ているじゃないか、まさにこれが利子分であろうと思いますけれども、この問題と直接的に結びつけられるというのは私どもちょっと理解できません。
  113. 富樫練三

    ○富樫練三君 私の方が納得できないんです、それじゃ。  もともと清算事業団の返済のためにこの機構をつくったんですよ。それを途中から、新幹線を売却したということを契機にしてその中身を変えていった、こういうことでお金の使い道の目的を変えたんでしょう。これが流用だというわけなんですよ。  皆さんのつくったこの資料によれば、最初二十五兆五千億円だったそういう債務が、流用が始まった平成三年が二十六兆二千億円、その翌年が二十六兆四千億円、こうやってどんどん債務が膨らんでいって、ついに二十七兆八千億円になったんじゃないですか。  本来のやり方でいけばこういうふうにはならなかったはずだというんですよ。皆さんがつくったグラフですよ、これ。どんどんふえているじゃないですか。本来使うべきところに使わないでわき道に流用したその結果でしょう。大臣、どうですか。
  114. 小幡政人

    政府委員(小幡政人君) お答え申し上げます。  先ほど大臣からお答え申し上げましたように、この新幹線の譲渡益をどのように使うかということでございますけれども、お話のようにすべて長期債務の方に回しましたならば、先ほど先生お話のように、現在の債務は少なかったであろうというのは事実かと思います。  ただ、先ほど大臣から申し上げましたように、一つの大きな政策判断として、長期債務の問題も大事ですけれども、鉄道整備の必要性、緊急性ということもございまして、国会におきまして御審議の結果、そういう振り分けになったということでございますので、それは政策判断としての結果であるというふうに考えております。
  115. 富樫練三

    ○富樫練三君 それは政策判断を間違えたということですね。要するに、長期債務については責任を負わない、こういう体制ができてきたということじゃありませんか。政策判断の結果、大臣、あなたの政策判断、当時あなたじゃなかったかもしれないけれども、大臣の政策判断あるいは内閣の政策判断、その誤りの結果として債務がどんどん膨れ上がっていった、こういうことをあなたは答弁しているんですよ。そういうことでいいんですか。
  116. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 先ほど数字を申し上げましたように、整備新幹線のために新たな負担をいただいて五千四百億円使ったことは事実でございます。その部分委員借金返しに使うべきであったと、こういう御主張をされておるんだろうと思いますけれども、そこは先ほど申し上げたように、長期債務を返す一方で、日本の交通体系というものをどうしていくかという議論の中でまさに政策判断がされ、また国会でも御審議をいただいたもの、こういうふうに考えております。
  117. 富樫練三

    ○富樫練三君 長期債務を返済する一方でと言いますけれども、長期債務はふえているんですよ。逆なんです。減っていないんです。ここのところはしっかりと見ておかなくちゃいけないところだと思うんです。  こういう政治責任、ここは本当に今大事だと思うんです。反省をして本当にこの債務責任を負うということであれば、こういうやり方については改める、これをやらなければ解決しないと思うんです。  大蔵大臣、先日、本会議での我が党の宮本議員の質問に対して、元本部分処理をするだけの財源が今は調達できない、これが現状だ、こういう趣旨の答弁がありました。今、私が申し上げた無利子の貸し付けやあるいは整備新幹線への流用、こういうことをやめれば一年間に一千百億円返済ができるわけです。毎年四千億円の元本返済分の四分の一にもなるんですよ。大蔵大臣責任ある答弁お願いします。
  118. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 運輸大臣が言っておられますとおり、そこは政府全体として政策判断をいたしたということと思います。
  119. 富樫練三

    ○富樫練三君 そういうことだからなかなか問題が解決しない、こういうことだと思うんですね。  そこで、もう一つ次の問題を伺いたいと思います。  分割・民営化の時点で本州の三社が承継した債務が過小見積もりであったことや、あるいはそのJRが簿価で受け継いだ国民資産、土地、これを売却して莫大な利益を得ていること、前回もこれは指摘されました。債務の返済の基本ルールに基づいて応分の負担をすることが本来の筋道であるということ、これも明らかにしたわけでありますけれども、これとの関連で幾つか伺いたいと思います。  一つは、金沢駅の駅前の北土地区画整理事業に関連して、JR金沢支社ビルの土地を金沢市に売却した、こういうふうに言われております。その面積と市への売却金額、旧国鉄からJR西日本が受け継いだときの帳簿価額はそれぞれ幾らですか。
  120. 小幡政人

    政府委員(小幡政人君) お答え申し上げます。  お話しのJR西日本金沢支社用地の売却面積、価格、それから簿価でございますけれども、金沢市に譲渡いたしました金沢駅構内は面積約三千五百平米、譲渡価格約百十億円、六十二年にJR西日本が引き継ぎましたときの簿価は百七十万円でございます。  それから、本件譲渡は金沢市の実施いたします土地収用対象事業への協力のために行ったものでございまして、事前にJR会社法に基づきまして運輸大臣がチェックをし認可したというところでございます。
  121. 富樫練三

    ○富樫練三君 運輸大臣がチェックをして認可したということですけれども、百六十八万円の土地を百十億円で売ったわけですから、まさに六千六百倍、こういうことなんですね。この売却した土地はJR金沢支社の土地の一部であって、このときに売却しないで残した土地もあるんです。それは、区画整理で駅前の一等地になる、そういう場所を五十五億円で金沢市が買い取って、JRに換地として提供した、こういう経過なんです。さらに、JRは、この市が提供した換地にはその支社のビルはつくらないでそのまま残しておいて、ほかの場所に支社のビルを移転し、古いビルの解体費や新しいビルの建築費、こういうもので移転補償費として八十五億円を手にしたわけなんです。  結局、JRは百六十八万円で入手した国民財産を、五十五億円の土地と百九十五億円のお金にかえたわけなんです。五十五億円の駅前の一等地は将来にわたってホテルでもデパートでも大いに金もうけができる、こういうわけであります。国民財産がこのように金もうけの道具にされているんですよ。一方では莫大な債務を抱えて、その返済のためにたばこ特別税や本来ならば利息として国民に還元するべき郵便貯金まで繰り入れて国民負担を押しつけようとしている、こんな話がありますか。  こういう仕掛けをつくってきたのがあなたたちでしょう。特に大蔵大臣と運輸大臣責任は重大だと思うんです。両大臣、どうですか。答弁願います。
  122. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 土地収用法に基づいて地方自治体にできるだけの協力をしていく、これは公益の性格を持つJRとしては当然のことであろうと思っております。  その結果で利益が生じた、それを返せという御議論でありますけれども、五年間に限ってはそういう見直し規定も設けておりましたが、JRが独自でまさに収用法に基づいて、または私どもの許可も得て行った行為でありますので、御理解を賜りたいと思います。
  123. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) ただいま運輸大臣が言われたとおりと思います。
  124. 富樫練三

    ○富樫練三君 土地収用の対象地として協力したんだ、こういうことなんですけれども、実はJR西日本の有価証券報告書、これを見るとこういうふうに書いてあるんです。関連事業として、「駅を中心とした資産、西日本全域に広がる約五千百キロのネットワーク及び豊富な人材等の経営資源を最大限に活用できる事業分野を中心に、駅ビル、ホテル、デパート、ショッピングセンター、」、こういうふうに「事業展開を図っております。」と、こういうふうに書いてあるんですよ。  市に協力したという側面もあるけれども、同時にJR自身がこうやって進出をしているんです。そのために国民財産を使っているわけなんです。そういうことでいいのか。ここが今まさに問われているわけなんですね。  あわせて、もう一点伺っておきたいと思うんですけれども、これは埼玉の大宮の南側です。浦和との境のところにあるんですけれども、埼玉新都心計画、今これが区画整理事業を中心にして進められているわけなんです。話が多少入り組んでおりますのでパネルをつくってまいりました。(資料掲示)  これがその地域です。よく見てください。真ん中を通っているのが京浜東北線、これが新幹線、ここが大宮の駅、こういうことです。ここはほとんどが旧国鉄の操車場だったところなんですけれども、それを県が一部買い取って、清算事業団の土地も合わせて区画整理を行っている、こういうわけなんです。  区画整理の前にJR日本がこの地域に、この黒点のところに約五千平方メートルの土地を持っていたんです。これは清算事業団に渡さないでJRが持っていた土地です。区画整理をやった結果として、これは二カ所に換地をもらっているんです。このオレンジの丸のところです。ここにはこの全体の新都心計画の一番の目玉になる三百六十メートルのビルをつくる。その土地の真ん中にJRは換地をもらったんですね。ここの面積は大体三千五百平方メートル。もう一カ所、ここは新しい駅ができる真ん前のところです。ここに九百平方メートルの土地を換地としてもらったんです。こっちの土地はほとんど使いものにならない土地、これを一等地のところに二カ所も換地をしてもらう、こういうことが実際に行われているわけなんです。  こういう事態を見たときにどういうふうに思いますか。
  125. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 清算事業団の土地も合わせて埼玉新都心の未来像、まさに市が中心になってお考えのことに協力をしたんだろう、こういうふうに理解をいたしております。
  126. 富樫練三

    ○富樫練三君 この区域内で清算事業団から埼玉県が買収した土地、一平方メートル当たり約五十万円です。この区画整理事業というのは、換地の結果、土地の価値がほぼ二〇〇%、二倍に上がるだろうということを前提にして換地計画が立てられ減歩率が算定される、こういう状況になっているわけなんです。  このオレンジのところ、ここにはこの裏側にあるこういうビルが今構想として考えられているんです。これは高さが三百六十メートルです。この敷地の真ん中のところにJRの土地がちゃんと来るように換地設計をやったわけなんです。この価格に基づいて算定をすると、換地設計の結果受け取った面積は二カ所で四千四百平方メートル、これは倍になるとすれば一平米当たり約百万円、ですから四十四億円になるんです。ただ同然の土地が四十四億円の価値を生み出すわけなんです。  いずれも一等地で今後莫大な収益を生み出す、これに間違いないと思うんです。この土地は本来ならば清算事業団に移管するのが筋だったのではないか、こういうふうに思うんですけれども、どうですか。
  127. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 先ほどから申し上げておりますとおり、市の方が収用法に基づいてJR事業用として使っておった土地をどうしても分けてほしい、その中で換地というものが行われたという理解をいたしております。
  128. 富樫練三

    ○富樫練三君 事業用としてそれを使いたいと。  ここの場所ははるか前に既に操車場の機能は廃止しているんですよ。ですから、JR鉄道事業の用地としてここに持っているはずがないんです、もう操車場がなくなったわけですから。そういう土地を持っていたんですよ。このこともぜひ指摘をしておきたいと思います。  次に、このピンクのところですけれども、ここに新しい駅がつくられることになります。この駅についてなんですけれども、ここにできます駅舎が約八十五億円、東西の自由通路ができます、これの建設費が五十四億円、合計で百三十九億円のお金がかかるんです。この百三十九億円については国と埼玉県、浦和と大宮と与野の三市、この三者で全部負担をするんです。JRは一円も出さないんですよ。でき上がった八十五億円の駅舎はそのままJRに寄附される、こういう事態になっているんです。どうですか。
  129. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 今の仕組みは初めて聞かせていただきましたので、勉強してみたいと思います。
  130. 富樫練三

    ○富樫練三君 運輸省が知らないわけがないですよ、これは。駅舎をつくるんですよ。運輸省と相談しないでできるはずがないでしょう。大臣がたまたま知らないということは仮にあるとしても、運輸省は全部知っているはずですよ、そういう中身については。
  131. 小幡政人

    政府委員(小幡政人君) 我々は鉄道事業法でJR各社を見ておりますけれども、当該案件については我々事務段階でも承知しておりません。
  132. 富樫練三

    ○富樫練三君 承知していないということであれば、ぜひ調べて後で報告をしていただきたいと思います。  時間がなくなってまいりました。私は金沢と埼玉の例を取り上げたわけですけれども、どれを見ても、JRは簿価の財産、この国民財産でぼろもうけをしているのが現実であります。それは土地の売却であったり区画整理であったり、あるいは新駅や自由通路、こういうことです。国や地方自治体の負担をふやしているんです。しかも、JRのもうけ分は一体だれが負担しているか。これはすべて国や県や市なんです。まさに国民負担している税金であります。そのJRの分割・民営化のときの債務承継が過小見積もりであったということもはっきりしたわけですけれども、このJRの本州三社は民間会社とはいっても法に基づく特殊法人なわけでありますから、これは会社としての社会的な責任、公共交通機関としての責任、こういう点から見てもJRが応分の負担をすることはいわば当然のことだというふうに思うわけなんです。
  133. 中曽根弘文

    委員長中曽根弘文君) 富樫君、時間が参りました。
  134. 富樫練三

    ○富樫練三君 こういうことにメスを入れないで放置しておくこと、あるいは逆にそれを認可すること、このこと自体重大な問題だという点を指摘したいと思うんです。大臣、どうですか。最後の答弁で終わりにします。
  135. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 六十二年改革の基本は守ってまいりたいと考えております。
  136. 富樫練三

    ○富樫練三君 終わります。(拍手)
  137. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 社民党の渕上でございます。  事業団債務の増大を初めとして、北海道、四国、九州の三社、とりわけ貨物会社赤字問題、それから国鉄職員でありましたJR不採用問題、分割・民営化の残した負の遺産は余りにも大きい、これがきょうまでの委員会における主な議論ではなかったかというふうに私は思っています。  したがいまして、今回の長期債務議論に当たりましては、こういう分割・民営化の負の側面を補てんする方策というのをやはりきっちり定めていくということが非常に大事なことではないかというふうに思います。不十分ではあるとはいえ、この旧国鉄長期債務処理法案というものが一定程度、まだ決まってはおりませんけれども、方向が見出し得つつあるという状況の中で、JR各社としては一段と民営化が進むのではないか、こういうふうに認識をしているところであります。  したがって、一つの政策の課題として、今日、全国的な鉄道ネットワークの整備、維持をしていく仕組みというものが欠如していることは大きな問題だと思いますし、災害における鉄道施設の被災の結果、復旧費用は会社負担となる、同時にあわせてローカル線などはどうせ赤字だから長期にほったらかしをしていく、復旧の見込みがない、あるいは廃線にしていくような状況に追い込まれるというようなことが出てきています。  また、採算性重視の結果、例えば山陰本線ではトイレのない車両が導入されたり、岩手では大都市型のロングシートの車両が入る。冬なんかは、あけっ放しになると、せっかく暖房しておった車内が急に冷蔵庫になるような感じになってくる。そういう面では、乗客の利便性、快適性といいましょうか、いろいろ問題が起きておるところでございまして、そういう問題についてもこれから先しっかり点検、チェックしていかなくてはならないと思っているところです。  補助金で路線を建設して、運営鉄道会社に任せるという上下分離方式の検討など、この際、全国的な鉄道ネットワークの整備、それから維持をする仕組みというのを設けることに乗り出すべきではないかというふうに思っているところでございまして、やはりそういう観点から政策というものをこの際考えてみてはどうかというふうに思っているところです。大臣の決意をお伺いしたいと思うんです。  同時にあわせて、道路や空港や港湾には整備計画があり、総合交通体系の中でやはり鉄道整備計画というものも考えていくべきではないかということもありますし、国土交通省になるに当たって、交通会計の特別会計を見直して総合交通会計を設けてはいかがか、そして総合的な交通整備というものをやるべきだというふうに考えますけれども、大臣の見解をお伺いしたいと思います。
  138. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 今御指摘いただきましたように、大きな課題でありました国鉄長期債務問題に一定の方向が結論づけられましたら、まさに私どもの次の課題というように考えております。環境問題、エネルギー問題等にかんがみましても、鉄道に対する期待というものは極めて高いというふうに思っております。  一方で、先ほどからもお話が出ておりますけれども、例えば都会地における地下鉄整備というものが民間業者でやっていけるだろうかということになると、東京都におきましても、営団は国の補助金が三五%、そして都の補助金が三五%というのが現状であります。また、新幹線についてはもう御高承のとおりでございます。また、過疎地域におけるこの問題をどうしていくか、大きな課題であります。既に運政審においても、鉄道整備の円滑化方策の検討というものが必要だろう、こう言われているところであります。  一方で、国土交通省という形で行政改革の結論としてその道づけがされ、来年にもその法案を御審議いただくことになるだろうと思っております。その中において新交通政策をどうしていくか。会計を一本化にせいと。道路利用者、車を運転する人が道路の負担をしていく、空港の負担は空港を利用する方々がしていく、ある意味では極めてわかりやすいシステムになっております。この見解を支持する方々も大変多いことは事実でございます。ただ、全体の新交通政策をどうするかという観点から、十分勉強してみたいと思っております。
  139. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 JR北海道、四国、九州の各旅客会社及び特に貨物鉄道会社への無利子貸し付けについては、JR負担というのが二分の一となれば同じく減額されるのではないかという心配が生まれてくるわけでございますけれども、その点についてはいかがなものでしょうか。同時にあわせて、無利子貸し付けの使途についてお伺いをしたいと思います。
  140. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 今回の無利子貸し付けの支援は、基本的には経営安定基金からの果実の問題、早く上場ができる体制を整えてほしい、今日の経済情勢の中でできるだけの支援をという中で考えておりますので、一千億の枠については変更しないつもりで努力をしてまいります。  それから、無利子貸し付けをどのように使うかということでありますけれども、やはり競争力の強化という問題と経営の効率という問題でお使いになるんだろうと。必ずしも設備投資だけにお使いいただくという理解はいたしておりません。
  141. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 清算事業団職員の問題で、今度なくなっていくということになれば、そこに働いている人たちの転職状況については今具体的にどのような形になっているのか、もしわかれば行き先などもお教えいただければと思っています。
  142. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 平成八年度当初で千八百七十二名でございます。JR各社、各省庁、特殊法人、また御指摘いただいたゼネコンもございました。合わせて五百名以上が再就職をいたし、今千百七名でございます。  その千百七名の中、三百名については見通しがついてきたところでございます。残り八百名についても、一たん就職先を決定した上、公団への出向という形で働いてもらいたい、身分安定をまず図りたい、このように考えております。
  143. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 その点は万々怠りなくやっていただきたいと思いますし、とりわけ雇用の問題でありますから、二度と再び千四十七のようにならないように、大臣、ひとつしっかりやっていただきたいと思います。  次に、完全民営化に向けてといいましょうか、民営になったJRに対してまた再び負担が来るのではないかという心配などがあるということは、やはり早く完全な民営化というものが大事ではないかというふうに思っています。  そこで、本州三社はもとよりでありますけれども、JR北海道、それからJR四国、九州の各旅客会社及び貨物鉄道会社、特にこの三社の株上場問題、先ほど答弁では十三年を目標にというふうに言われました。上場するに当たっての経済の状況や市況の状況などを勘案しながらというようなことで、非常に資金調達環境との関係もあると思いますけれども、結局、今でもこの北海道、四国、九州の三社というのは大変経営環境が厳しい状況の中でありますから、十三年を目標として具体的にやれるものかどうなのか。これは大変難しい判断になると思いますけれども、そういう株上場の見通しについてお伺いをしたい。  同時に、貨物会社に対する全国一律のネットワークというものをきちっと整備することもこの貨物会社にとっては非常に大事なことではないかというふうに思っていますので、そこらも含めて大臣の決意をお伺いしたいと思います。
  144. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) まず、三島の経営でございますけれども、営業利益という面では、昭和六十二年から今日までを比較いたしますと改善が進んできておる、こういう認識をいたしております。したがって、今日の経済状態が極めて厳しい中で経営安定基金も同様に厳しい状況にございます。これが普通の状況に戻っていくということを大きく期待したい。しかし同時に、三社の不断の努力によりまして何とか十三年に上場できるような体質というものをしっかりさせたいなと考えております。  貨物につきましては、正直言ってトラックとの競争に負けておるのかなと。今日の経済情勢ですから、トラック業界も厳しゅうございます。しかしながら、六十二年からの推移をずっと見てまいりますと、当初、大変期待感が高く、また収益も上がっておりました。しかしその後は、平成五年以降になりますでしょうか、収益が落ちてまいりました。毎年資産を売却してつじつまを合わせるという状況が五年ほど続いてきているのが現実であります。そういう意味では、効率化の検討を再度してもらわなければならないと思っておりますし、先日、経営者等につきましては、自分の賞与なり給与の減額という決定をされたところで、取り組みをされるものと理解をいたしております。  ただ、その中で、委員指摘のように、全体のネットワークをどう維持しながらやっていくのかと。極めて厳しい課題になると思いますけれども、十分私どもも勉強しながら、お互いに目標を持ちながら進んでまいりたいと思っております。
  145. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 その貨物会社のことでありますけれども、現在のモーダルシフトのことなどを考える、すみ分けを考える、そして北海道から九州まできちっとしたそういう貨物のネットワークというものをつくっていく、一方で、本州三社、あと旅客会社三社、そういうところのネットワークというのをきちっとしていく、線路をきちっとつくっていくと。どうも途中でばらばらになるような感じもしないわけではないわけでありまして、やはり貨物を運営するに当たっての物流ということを考えると、必ずしもトラック輸送だけでは十分でないし、もし災害が起きた場合に貨物をどうするかということは阪神・淡路の教訓から私どもは学んでいるわけであります。  その貨物会社に対して、経営陣は賃金カットだとかというお話も今ありましたけれども、そういうことだけで事足りるのかどうか、もう一度貨物会社に対する御見解をお伺いしたいと思います。
  146. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) まず、運輸省としてモーダルシフトのある程度の目標数字を持ってくれという指示をいたしたところでございます。いろいろ言いながらどのように進んでいるか将来展望を書いたときに、やはりエネルギー、環境というものを考えていくと船舶または鉄道へシフトしていかなきゃならぬ、それのまず明確な数値目標を持たなきゃならぬと思っております。その明確な数値目標を持つ中でどのようなことを私どもがしていくべきか、はっきりした方針を決めながら進まなきゃならぬだろうと。  そういった中で、貨物の問題はまさに渕上委員は御専門でございますので、また私どももアドバイスを受けながら努力してまいりたいと思っております。
  147. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 終わります。  ありがとうございました。(拍手)
  148. 渡辺秀央

    ○渡辺秀央君 きのうの質問で少し積み残しました林野関係について質問をさせていただきたいと思います。最後に時間がありましたら、JR問題について一言、大蔵大臣に希望だけ申し上げておきたいというふうに思います。  参考人の方が見えたときもおっしゃっておられましたが、この林野事業というのは本当に国家事業として大変大事なことである。私は生まれ育ったところが実は山間部でございますので、この地域の特に国有林に携わっている人たちというのは、国有林という考えでなくて自分の山のように思って、我々は小さいときに山に行っても山を大事にしろといって教育を受けたことがあるわけです。そういう意味では、今度の改革特別会計から、このスキームでは日本の大事な山を守っていけないということでやらざるを得ない。基本法の大改革、そして最後のチャンスということであろうと思うんですが、こういうときにこそ心が入らなきゃならぬと、精神論みたいなことばかりいつも言って恐縮ですが、私はそう思うんです。  そういう意味において、今度のスキームの一兆円というのが、どう聞いていても、これもずっとおとといからきのう話を聞いておりましても、JRと同じようでなかなか無理のあるスキームで、五十年先のことなんというのはだれも保証できない、しかしあえてそれを今出さざるを得ないということだろうと思うんです。  そういう意味において、新しいスキームの推進に当たってまず一つは、要員の削減あるいは合理化ということだけで走らずに、一番大事な技術者、これは同僚議員からも話がありましたし、参考人も話していかれました。この技術者のことを大事にすると同時に、むしろ育成していく。もう大分高齢になってきている。そういうことのとらえ方をしっかり大臣も事務当局もしていただいてこの事業に当たってほしいというふうに思いますが、その件についての所見を承りたいということと、もう一つは、そういう立派な技術者あるいは専門家ができて民間に委託して、民間の合理的な、しかも採算ベースに乗っていくノウハウを吸収して事業を達成していくということではないのかなと思うんですが、いかがですか。
  149. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 今、渡辺先生のおっしゃっていることは私自身非常に大事なポイントだと思っております。ともすれば、五十年計画で一体人員はどうなるのかというお話、これはもちろん大事な話であります、人の生首の話でございますから。しかし、先生のお育ちになった環境の御披瀝がございましたけれども、やはり国を愛し、国土を愛し、自然を愛し、山を愛し、木を愛しという気持ちが非常に大事だろうと思っております。  ちょっとわき道にそれますけれども、今回の改革をきっかけにして、そういう山を愛する、子供たちに対する普及みたいなものもぜひやっていかなければいけないのではないかなと思っておりますが、先生指摘のように、人数はこれだけそろいましたというだけではだめなのでありまして、技術力、それから先生が今力説されました山を愛する気持ちを職員の皆さんに持っていただけるような要員体制というものにぜひ持っていくべく、その点も含めまして今労使の間でいろいろと議論していると思います。  それから、現業部門といいましょうか、生産部門の事業民間に委託するわけでありますけれども、民間の受け入れ体制もきちっと受け入れられるように我々としてもバックアップをしていく必要があると思いますし、また先生指摘国有林民間との問の技術交流、あるいはお互いに切磋琢磨する、あるいはまた共通の価値観を持つ、共有するという点、それぞれごもっともだと思いますので、これから実施段階で大いに御参考にさせていただきたいと思っております。
  150. 渡辺秀央

    ○渡辺秀央君 国を守るというのは何も防衛だけで守るのではなくて、こういう自然を守ることがまさに国を守ることで、ふるさとを愛する心なくして国を愛することはできない、国の繁栄なくしてふるさとはない、そのふるさととはまさに林野というか山間地的なことだろうと私は思っているんです。  国有林の次の問題として要員問題、一、二質問が出てあるいは重複の面があるかと思いますが、ちょっと時間がなくなってまいりましたので簡単に申し上げますと、いわゆるこのスキームは自民党、社民党、さきがけさんの三党間の合意ででき上がりましたね。平成八年度末の一万五千人を将来目標として平成十五年度末に三分の一程度にするということ、そのことが当時の話し合いの中で消えているんですか。簡単に、一言でいいんです。  それからもう一点、この要員問題については労使の間で話し合うということになっていますね。労使の間で決定したものを閣議が決定する。この経費の負担というのは一般会計でやっていくということでないと、これは当然そうなんでしょうけれども、また債務が重なっていくことになるというふうに懸念をいたしますが、その点もあわせて。そうでなければ結構です。
  151. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 一方五千人を三分の一にするというふうに出たのは去年八月の概算要求の段階で出た数字でありますが、その後、与党問の協議の中でそういう具体的な数字は消えております。  ただ、これからの事業をやっていくと、必要最低限の事業として議論をしていく上での一つの目安として、先生が今おっしゃったおおむね一万五千人の三分の一程度を基本としつつというような、形容詞が三つぐらい入ったようなふわっとした言葉になっておりまして、最初にそれがありきではないということでございます。  それから、人件費等につきましても、これは一般会計からの注入ということで林野事業援助をしていただくということになっております。
  152. 渡辺秀央

    ○渡辺秀央君 ぜひその要員のところを、とかくまたそこがいいかげんになっていると大変だと思いますし、また愚を繰り返すということにある意味においては、別の面においてはなるかもわかりませんから、気をつけていただくように希望いたしておきます。  時間がなくなりましたので、大蔵大臣、このJR問題、運輸大臣が当面の形ですけれども、これは通告しておりませんので、もし感じがありましたらお聞かせ願いたいんですが、実際の株主というのは、大株主は大蔵大臣宮澤喜一ということにたしか法律的にはなるんだろうと思うんです。これは運輸大臣ではないはずなんですね。  そういう意味で、私はきのうも若干のことを申し上げましたが、このJR問題を円満に解決しないと、法律はできたけれども、お互いに言うことを言い合って対決し合っているということではやっぱりうまくない。一々言いませんけれども、さっき私と若干違う質問がありました。JRは借入金の負担が当初の資産見積もりが低くて少なかったというような話がさっき私の直々前のところで質問がありました。  しかし、十四兆五千億という負担は、これはJRの発足時においての収入見積もりということを考えると、JR東海の収入の六・七倍ですよ。そして、JR日本の収入の四・五倍なんです。これは普通の企業では倒産の危険性で発足しているんですよ、本当は。この資産の評価ということは、いろんな見方、考え方があると思うんですが、しかし実際に十四兆五千億の負担をかけられて発足した当時のJRというのは、これはもう今電機業界だって大体二倍ですから、借入額は。去年倒産した東食なんというのは〇・八倍ですよ。そういうことを考えれば、JRというのは、一般的にと言っていいのか、破産寸前の状態からスタートしたと。債務額が売上高を何倍も上回ったところで出発したなんということはなかなか大変だったというふうに思うんです。  そういう意味で、企業経営をやっている人たちというのは、JRはよくやってきたねと。最近になってさっきの何か駅舎の話とかいろいろありますけれども、えらい景気がいいように見えているとは思うんですけれども、しかし一万円の株価がいわゆる三千億に影響するというようなことですし、まあまあ国家にとってJRは財政的にも貢献をしていると言っていいでしょう。  そういう意味で、事業者当局である運輸省とJRとやっているわけですから、この法律の通過した後のいわゆる円満な解決のためには、やっぱり株主総会というのが一番大事なところですから、そういう意味では大株主で筆頭株主である大蔵大臣のこの円満な解決に向かっての、あるいは納得に向かっての、理解してもらうについての御努力をぜひ私は期待いたしたい、こう思います。いかがでしょうか。
  153. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 昨日、お話を承っておりましたときに、この問題が非常に混乱した原因の一つとして、事業団との間の信頼関係が欠けておるというお話がありまして、亡くなられた政治家の名前にも言及せられました。  不思議なことでございますけれども、役所から特殊団体とかあるいは民間企業が分かれていきますときに、お互い今まで同じ屋根の下にいた人たちがあるときから突然監督する側とされる側という関係に立って、癒着をするのかと思うとむしろその逆になるということは非常に不思議なことでございます。渡辺委員も大きな役所の大臣をされまして、その役所にもそういうことがございまして、どういうことなんだろうかと私はいつも不思議に思っております。このことは、全体としてやはり関係者の皆さんに反省をしていただきませんとお互いに不幸なことではないかと思っております。  したがって、今おっしゃることはよくわかるわけでございましく、この株主は実は清算事業団でございますけれども、しかしおっしゃっていることはそのとおりと私は思いますので、せっかく事業団が苦しい中からこうやって育つできていい評判をだんだんとりつつあるわけですから、これがよくなってくれるということは私は大事なことだと思います。過去にはいろんなことがございましても、これがよくなってくれることで国鉄改革ということをやった意味があるのでございますから、そこのところは私も政治に関係する者の一人といたしまして渡辺委員の御指摘は十分に肝に銘じて感じられるところでございます。
  154. 渡辺秀央

    ○渡辺秀央君 どうもありがとうございました。御期待申し上げます。(拍手)
  155. 西川きよし

    西川きよし君 よろしくお願い申し上げます。  先日に続きまして、現在残っております土地約千五百ヘクタール、資産価値にいたしまして約五千億円を今後どのように売却していかれるのか。きのうは会計検査院の指摘基づきまして御質問させていただきました。本日も引き続きまして、この土地区画整理事業による面的整備が必要なもの、こちらについてお伺いしたいと思います。  具体例といたしまして、大阪の梅田貨物駅についてお伺いしたいと思うんですけれども、昭和六十年に旧国鉄が吹田操車場跡地への貨物機能全面移転の方針を決定したわけでございます。移転先の吹田市、そして摂津市が貨物駅受け入れに難色を示したことで長期間にわたってめどが立たない状況が続きました。しかし、ここ数日、大阪の方、地元の新聞を見せていただきますと、この事例について関係五者の覚書が交わされたという大きな報道がされております。  この問題のこれまでの経緯と現状をわかりやすくひとつ御説明をお願い申し上げたいと思います。
  156. 小幡政人

    政府委員(小幡政人君) お答え申し上げます。  梅田貨物駅の貨物機能を吹田信号場へ移転し、その跡地を売却するため、事業団は六十二年発足以来十年余にわたりまして地元吹田、摂津両市と協議を重ねてまいりましたが、理解を得るに至らなかったことから、昨年六月、吹田地区に移転する貨物量を半減する見直し案を地元両市に公式に提示させていただいております。  事業団の見直し案を受けまして、地元両市は吹田信号場跡地を中心とする町づくりの基本構想の検討を進めた結果、両市の市議会においても、事業団の提案を受け入れるとともに、跡地の整備を求める決議が採択されたところでございます。  さらに、両市議会のこの決議を具体化するため、大阪府、吹田、摂津両市、事業団、それにJR貨物の関係五者間で貨物駅移転のための条件等について協議を重ねておりまして、十月七日に合意に至ったところでございます。  今後、この合意が両市議会で承認されますよう関係者でさらに調整を進めていく、こういう状況でございます。
  157. 西川きよし

    西川きよし君 今回のこの覚書というのは、あくまでもこれまでの協議経過を踏まえまして現時点での協議結果を確認するために締結されたものでございますけれども、今後さらに関係者問で協議を進めていくとお伺いしております。  貨物駅を受け入れる側の地域の住民にとりましては大変不安なこともいっぱいあると思います。例えば貨物そしてまた貨物のトラックの排気ガス、つまり環境に対する不安等々があると思うわけですけれども、これは当然のことですが、十分な理解を得るためにひとつよろしく御努力をいただきたいと思います。  できる限り住民の意見を聞きながら協議を進めていただきまして、今後協議を進めていく上で特に住民に理解を求める、そういった場合にはどういう努力というんですか、見せていただきますとなかなか変則的な土地が多いものですから、どういうふうにされていくのかなと、私もすぐ近くに住まいがあるものですから、お伺いしておきたいと思います。
  158. 小幡政人

    政府委員(小幡政人君) お答え申し上げます。  梅田貨物駅は事業団にとりましても残っている数少ない大規模用地でございます。その売却のためには貨物施設の移転につきまして吹田、摂津両市の御理解がぜひとも必要でございます。そういうことで、昨年六月、吹田地区に移転する貨物量を半減するという決断を行いまして、地元に提案させていただいたところでございます。  地元住民の方々からは、貨物施設の受け入れに当たりまして、貨物トラックの運行による排気ガスあるいは騒音のレベルが悪化しないようにという要望が出されていることは承知をしております。貨物駅に出入りいたしますトラックの量を一日千台以内にすることや環境アセスメントの実施、それに貨物専用道路の整備や緑地の確保というようなことにつきまして、環境対策には十分配慮してまいりたいと考えております。  さらに、貨物駅の整備に当たりましては、事前に住民の方々に十分説明を申し上げるということとともに、住民の意見を可能な限り事業計画に反映させていただこうと思っておりまして、貨物駅の移転が住民の理解を得て円滑に進みますよう最大限努力してまいりたいと思っております。
  159. 西川きよし

    西川きよし君 大変難しい問題を御説明いただいたんですけれども、道路のことなんかは特に住民の皆さん方は不安だと思います。仮にこの五者間の協議がまとまりましても、移転後の土地について、そしてまたは残る半分の貨物量の問題、あるいは土地の売却方法など解決を図っていかなければいけないことはたくさんございますけれども、この点についての基本方針と申しましょうか、ぜひお伺いしておきたいと思います。
  160. 小幡政人

    政府委員(小幡政人君) お答え申し上げます。  今回の国鉄長期債務処理法案におきましては、国鉄清算事業団の解散後は鉄道建設公団が残ります土地の売却を進めていくことになりますが、先ほど申し上げましたように、梅田貨物駅は残る数少ない大規模用地でございまして、早期に売却する必要がございます。このため、貨物施設の移転につきまして吹田、摂津両市の御理解が得られるよう、昨年六月以来、吹田地区に移転する貨物量を半減するという提案を行ったところでございます。  一方、その結果大阪駅に残ります二分の一の貨物の移転先を今後検討する必要がございますが、梅田貨物駅は大阪駅前という都心に残る貴重な開発可能用地でもございます。大阪市が二十一世紀に向けまして発展するためにもその整備が重要ということでございまして、残り半分の貨物の取り扱い、貨物移転後の跡地の開発、土地売却の基本方針について、今後、大阪市等と調整してまいりたいと考えております。
  161. 西川きよし

    西川きよし君 二日間にわたってこの土地処分についてお伺いいたしました。  五千億という金額はきのうも申し上げましたように本当に莫大なお金でありますが、毎日大きな金額を聞いておりますと小さいのではないのかなというような錯覚に陥ったりすることもありますけれども、本当に国の大切な財産であります。しかし、その一方で、ここまで処理がおくれたのはさまざまな問題、国難と申しましょうか、売ることができなかった時期があったわけです。今後もなお一層粘り強い対応によって早期に一円でも高く売っていただきまして、国民負担を少しでも和らげる努力をしていただきたいと思います。  最後に、大臣にその御決意をお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
  162. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) この法律が御可決をいただきますと、清算事業団は約一週間で解散手続に入ると思っております。  そうしますと、鉄建公団に移籍をしていただく。今千百名でございますけれども、三百名ほどは再就職先の見通しが立っております。残りの八百名の方については、これから私ども努力しながら、まず身分を決めていかなければならないだろうと。  といいますのは、土地を売れば売るほど自分の仕事がなくなる、将来仕事がなくなるわけですから、不安を抱えた中で仕事をしていただかなければならない。したがって、まず身分を決めていただいて、要するに再就職先を決めていただいて、そこから再出向していただいて、まさに十一年努力してきたベテランでありますから、その方々に仕事を続けていただく、こういう方策を考えているところでございます。  その中で、昨日からずっと御指摘ありましたように、現有の土地を建物として使用されている方々やまた自治体の方々や住民の皆さん方の理解を得ながら、一日も早く売却が可能になるように努力をしてまいりたいと思いますし、西川委員指摘のとおり、一円でも高く売れたらなという思いの中で頑張りたいし、私どもも協力をしてまいりたい、こう思っております。
  163. 西川きよし

    西川きよし君 ありがとうございました。(拍手)
  164. 中曽根弘文

    委員長中曽根弘文君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後三時三十分まで休憩いたします。    午後零時十分休憩      —————・—————    午後三時三十四分開会
  165. 中曽根弘文

    委員長中曽根弘文君) ただいまから日本国有鉄道清算事業団債務処理及び国有林野事業改革等に関する特別委員会を再開いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  本日、山下八洲夫君委員を辞任され、その補欠として前川忠夫君が選任されました。
  166. 中曽根弘文

    委員長中曽根弘文君) 日本国有鉄道清算事業団債務等処理に関する法律案外五案件を一括して議題とし、休憩前に引き続き質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  167. 成瀬守重

    ○成瀬守重君 私は、当委員会における締めくくり総括質疑において、自由民主党を代表して質問いたします。  まず、国鉄清算事業団債務処理法案関係質問いたします。  振り返れば、公社制度のもとで我が国の輸送構造の大きな変化に対応できず破綻するに至った日本国有鉄道を再生させるべく、さまざまな反対や困難を乗り越えて、分割・民営化を内容とする国鉄改革という戦後の総決算ともいうべき大改革を昭和六十二年に断行してはや十一年が経過しております。この国鉄改革により新たに民間企業として出発したJR各社は、それぞれの経営責任のもとで立派に鉄道事業継続しております。  しかしながら、清算事業団に残した長期債務はその後も減ることなくふえ続け、今年度には約二十八兆円という巨額に達しており、このまま放置すれば利子が利子を生むという悪循環によりさらにその債務はふえ続けることが予想されます。この国鉄改革の残された課題ともいうべき国鉄長期債務処理に最終的な決着をつけるべきときを迎えていると私は考えております。  ここで清算事業団債務の本格的処理の早期実施の決意について運輸大臣にお伺いいたします。
  168. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 春以来、法案の御審議をいただいてまいりました。また、私が運輸大臣拝命以来、八月から衆議院の特別委員会で審議が始まり、今日まで御審議をいただいてまいったわけでございます。十月一日に清算事業団を解散したいという法の規定でございますけれども、国会での審議、さまざまな課題を抱える中、今日まで審議が続けられてまいりました。その間、資金運用部資金を借りる、つなぎ資金を借りながら今日続けておるというのが現状でございます。  そういった意味で、どうぞ皆さん方の御審議をいただき御可決を賜りますよう心からお願い申し上げますとともに、この法案が可決されましたならば一週間程度をもって清算事業団を解散し、鉄建公団に業務の一部を引き継ぎながらまた新たな目的に向かって動いてまいりたい、このように考えております。
  169. 成瀬守重

    ○成瀬守重君 清算事業団債務は昭和六十二年度初めには二十五・五兆円でありましたが、先ほど述べましたように、今年度初めには約二十八兆円に膨らんでいます。当初の考え方は土地や株式を売却することによりできる限り債務を減らすということが方針であったはずですが、ところが全く反対に債務は増加してまいりました。債務がこれだけふえてしまったということについて、原因とその責任についてどう考えるのか、たびたびこの委員会の席上で質問がありますが、再度、運輸大臣にお伺いしたいと思います。
  170. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 今、御質問をいただきましたように、国鉄改革の基本は二つであろうと思っております。  第一番目は、分割・民営によって七社が自主独立経営を行えるようにしていく、でき得れば一%程度の利益を上げられるような体制をつくり上げてまいりたい、そうした思いの中でスタートをいたし、七社については今お話しいただいたとおりでございます。  一方で、清算事業団という組織、まさに旧国鉄の身分をそのまま引き継ぎました。長期債務を引き継ぐと同時に資産を引き継いだわけでございます。そして、これが順調に資産の売却、株の上場がなされるならば十四兆円ぐらいの借金に今日なっていただろうと。まさに今、十四兆円のスキームを御審議いただかなければならないところであったはずでありますけれども、二十八兆円という債務になったところでございます。  基本的な認識として、やはり土地の売却というものが、当時、運輸省なり大蔵省なり清算事業団から売却すべきであるという強い意見もあったようでありますけれども、政治の大きな判断、土地の高騰をこれ以上招いてはならないということから見合わせられた、そのことが最大の理由だと思っております。なお、時間がかかり過ぎてしまったために金利が金利を呼ぶという形になってしまいました。もう少し早く処理スキームを見直しすべきではなかったかという厳しい御指摘に対しては、私ども反省をし謙虚に受けとめなければならない、このように思っております。
  171. 成瀬守重

    ○成瀬守重君 今回の清算事業団債務処理の内容は、平たく申し上げれば、清算事業団の二十八兆円の債務のうち有利子債務と無利子債務を合わせた約二十四兆円の債務については国が負担する、三・五兆円の年金負担については鉄道建設公団が負担する、〇・八兆円の厚生年金移換金負担のうちJR社員以外の分とJR社員の分の二分の一を合わせた約〇・六兆円については鉄道建設公団が負担し、JR社員の二分の一の〇・二兆円についてはJR負担するというものであります。国の債務承継に伴う利払いのために、その意味においては国鉄とは全く関係のないたばこや郵便貯金からも支援をいただかなければなりません。  今回の処理方策の中で一番と言ってよいほど議論となったのは、厚生年金移換金についてのJR負担の是非についてであります。  ここで、なぜJR負担させることになったのかということについて運輸大臣にお伺いしたいと思います。
  172. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 六十二年改革当時にJRとまさに旧国鉄は、経営の問題、労使の問題等は分かれました。しかしながら、従業員の福利厚生という面で、退職金JR責任を持って支払う、そして年金については共済年金制度を残すという形でまいったところでございます。  もちろん、共済年金制度が将来的に厚生年金に移換されていかなければならないだろうと。これはNTT、JTあわせての課題であったと思いますけれども、平成八年にその課題が出てまいりました。厚生年金への移換金問題ということで議論がされ、当時事業主でありました清算事業団JR負担をすると決定されたところでございます。  しかしながら、今日、清算事業団の解散、まさに事業主の解散という中で、JR職員のための年金負担分、この移換金につきましてはJRに御負担を願いたいということで私どもはお願いをしてまいったところでございます。  ただ、そうした経過の中で、衆議院におきまして、修正として、このJR職員のための負担金につきまして、国民JRが等しく負担をすべきではなかろうかということで二分の一という修正になり、私どももやむを得ない修正であるということで受けとめたところでございます。
  173. 成瀬守重

    ○成瀬守重君 この問題につきましてはいろいろ議論が出ておりますが、とどのつまりは、この負担を全部国民負担するのか、それとも一部をJR負担するのかということに尽きるのではないかと考えております。  JR負担させるのではなくて国が負担すればよいとか、鉄道建設公団が負担すればよいという意見がありますが、国が負担するとなると、結局、国民負担するということにほかならず、その意味では無責任意見と言わざるを得ないと私は考えます。  しかし、JRにとっては、今後も負担を求められるというのではとても安心して経営を行っていくことができないというのも事実でありますし、既に上場を果たした本州三社の株式を持っている株主にとっても、そのような心配をしているのではないでしょうか。  そういった中にあって、民間の株式会社負担を求めるのは筋が通らないという意見はございますが、JR各社は単に商法に基づく株式会社ではなく、旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社に関する法律に基づ会社であります。そういった意味においてもこれは当然考えなければならない点ではないかと思うわけでございますが、さはさりながら、殊に経営状況の厳しいJR北海道、四国、九州の各旅客会社及びJR貨物については、経営基盤の安定に向け財政、税制等の適切な援助の拡充に努めていただきたいとぜひお願いしたいと思います。  また、本法施行後もJR各社と引き続き協議を行い、関係者理解を得るように努めていただきたいと思いますが、運輸大臣のお考えを承りたいと思います。
  174. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 政府といたしましては、経営状況の厳しいJR北海道、四国、九州の各旅客会社及びJR貨物会社については、経営基盤の安定に向け、財政、税制等の適切な支援策の拡充に努め、実質的負担増とならないように配意することといたします。  また、政府は、本法施行後もJR各社と引き続き協議を行い、関係者理解を得るように努力をいたしてまいります。
  175. 成瀬守重

    ○成瀬守重君 小渕総理、今の点につきましていかがでございましょうか、お考えを聞かせていただきたいと思います。
  176. 小渕恵三

    国務大臣(小渕恵三君) ただいま運輸大臣から答弁申し上げたとおりでございまして、こうした経営状況の厳しい北海道、四国、九州あるいは貨物、それぞれの会社につきましては、その安定のために政府といたしましても実質的な負担増にならないように配意いたしていきますことは当然でございます。  また、政府といたしまして、JR各社との関係におきましても、引き続き協議をし、関係者の御理解を得ることのできますように政府を挙げて努力をいたしてまいりたいと思っております。
  177. 成瀬守重

    ○成瀬守重君 この処理スキームにより清算事業団債務処理が完全に決定されるのであり、JRに対して負担を求めることはないということでよろしいんでしょうか。再度この問題について運輸大臣にお伺いしたいと思います。
  178. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 冒頭にも申し上げましたように、JR七社がまず自主独立の経営を行うというのが第一の考え方であります。第二の考え方として、国鉄清算事業団長期債務資産を負わせた、そして資産の売却の後、残った長期債務について処理スキームを考える、こういうのが国鉄改革の基本でございます。  そういった意味で、旧国鉄の身分を引き継ぎます清算事業団が解散されるというこの法律が通りましたら、まさにもとに戻るということはあり得ないと思っております。鉄建公団は引き継ぎの業務を引き継ぎさせていただくだけということになろうと思っております。
  179. 成瀬守重

    ○成瀬守重君 今回の債務処理により清算事業団は解散することになります。事業団職員は、はっきり申し上げて、債務をできるだけ減らすことが仕事である以上、どうしても世の中の批判を浴びることになりがちです。しかし、職員の皆様方はさまざまな制約のもとで懸命にその職務に励んでこられた、よくやってきたというのが私の偽らざる評価だと思います。  今回の事業団の解散により、その職員の方々の再就職も重要な問題であると考えます。運輸大臣も十月一日に事業団職員の激励に行かれたようですが、職員の方々にとって事業団での業務が充実したものであったとするためにも、再就職対策をきっちりと実施していく必要があると考えます。  ここで、清算事業団職員の再就職対策について政府は万全を尽くすべきであると考えますが、現状と決意について運輸大臣にお伺いしたいと思います。
  180. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 平成八年度当初で事業団プロパー職員は千八百七十二名でございました。JR各社、各省庁、特殊法人、また民間等、多数の採用申し出をいただき、五百名以上が再就職の決定をいたしたところであり、今現在、十年度当初で千百七名でございます。  解散をされました後、三百名程度の就熾は既に内定をいたしております。八百名の職員につきましては、資産約五千億の土地が残っておるわけでございます。これを売っていただかなければならない。新しい人がやるというよりも、やはり今日までの経験ということでぜひ仕事を続けてもらいたい。しかしながら、土地を売れば売るほど自分の仕事がなくなるということでありますので、まず身分確定のために、今御指摘いただきましたように、再就職先を先に見つけた上でその仕事をしていただく、将来の見通しを立てていくということが一番大事であろうと思いますので、省を挙げて頑張りたいと思っております。
  181. 成瀬守重

    ○成瀬守重君 最後に、清算事業団債務処理国鉄改革の総仕上げともいうべき重要課題です。はっきり申し上げて、債務処理はだれかに負担をお願いしなければならない以上、だれからも喜ばれるものではあり得ません。しかし、このまま放置すればかえって債務が増加します以上、これ以上の先送りは絶対に許されず、痛みを伴うものであってもこれを断行することが政権与党としての責任であるとも考えております。  しかし、今回の債務処理に際して、今後も広く国民の方々に多大な御負担をお願いしなければなりません。このように多額の負担国民に対して求めざるを得なくなったことについての責任と、清算事業団債務の早期処理に向けた決意について、小渕総理にお伺いしたいと思います。
  182. 小渕恵三

    国務大臣(小渕恵三君) 改めてでございますが、国鉄長期債務処理につきましては、昭和六十三年の閣議決定基づ資産の処分に全力を挙げて取り組んできたところでございますが、先ほど運輸大臣からも御答弁がありましたように、土地売却、こういう点が思うように進まなかったことは事実でございます。そのため大きな債務を依然として背負ってき、その上でさらに年金関係負担も負ったことでありまして、その債務が増加するに至りましたことは、まことに遺憾であると同時に、政府としての責任も痛感いたしておる次第でございます。  この間、政府といたしましても、一兆六千億に及ぶ国庫補助金の交付や一般会計による事業団の有利子債務の承継など、その時々の情勢でその処理のためできる限りの措置を講じてきたところでございますが、この事業団債務につきまして国民負担を求めつつその本格的処理を実施することは、国鉄改革の総仕上げを行うという上で避けて通れない課題であり、ただいま成瀬委員指摘のように、まさにこれは政府また与党としても大きな課題であり、緊急に措置すべき重要課題となっております。そうした意味におきまして、この法案が期限内で成立いたすことによりまして、ぜひこの問題の決着をつけさせていただきたい、このように考えております。  いずれにいたしましても、国家的、国民的見地からもぜひこの問題につきまして結論を得て、そしてあすへ向かって前進できるように努力をいたしてまいりたいと思っております。
  183. 成瀬守重

    ○成瀬守重君 ありがとうございました。  次に、国有林野事業改革法案関係質問いたします。  我が国の国有林国土の約二割を占め、木材の供給のほか洪水や山崩れの防止、良質な水の安定供給、清浄な空気の供給、二酸化炭素の吸収による地球温暖化の防止の寄与等、多面的な機能を有しており、国民生活の安定と向上に重要な役割を果たしております。国有林野事業改革案の中でこのような役割が今後一層期待されていることを踏まえ、国有林野の管理経営の方針を木材生産機能重視から公益的機能重視に転換することになったことはまことに結構だと思います。  ただ、ここで心配します点は、厳しい財政事情のもとにおいて適切かつ十分な施業の実施が確保できるのかということであります。手間暇かけてこそよい山づくりができるということは、木材生産林はもちろん、公益林も同じことであります。一兆円の債務については確実に返済できたとしても、必要な施業の実施が確保できなくては国民の期待にこたえた山づくりは到底行っていけません。  ここで、国有林において今後適切かつ十分な施業の実施を確保し、国民の期待にこたえた山づくりを行っていくことについて、農林水産大臣の決意をお伺いしたいと思います。
  184. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 今、先生指摘のとおり、国有林を初めとする日本森林は極めて多面的な、国民生活に不可欠な役割を果たしているわけであります。もちろん木材生産という観点も重要でございますが、先生が今御指摘のとおり、今回の抜本的改革におきましては、国有林におきましては公益的機能が業務の約八割程度を占めるというようなウエートで重視をした方針にさせていただきたいと思っております。御指摘のように、一兆円を返すことも大事でありますし、一方、財政状況の厳しい折ではございますけれども、きちっとした本来の目的を達成するためあ施業を確実に実施するということも極めて大事ななことでございます。  そのために、一般会計からの繰り入れを引き続き行うとともに、新たに公益林の管理等に対する繰り入れの創設、あるいはまた必要な経費に対する繰り入れ割合の拡充等も行います。また、地域管理経営計画地域別の森林計画の案について国民の方々の御意見を聞いて、国有林に対する期待を森林整備の方法などに反映していくことも考えております。  これらによりまして、国有林における適切な施業を確保して、国民の期待にこたえた活力ある健全な山づくりに邁進していきたいと思っております。
  185. 成瀬守重

    ○成瀬守重君 水資源や国土保全等森林公益的機能維持増進を図るためますます大きくなるわけでございますが、森林公益的機能維持増進を図るためにも、あらゆる面での投資は増大しなければならないと思うのでありますが、この投資は水資源の恩恵を受ける国民全体で負うべきだと思います。そういった面で、中でも下流域の水利利用者、特別の受益を受けている者、そういった方々に水源税のような目的税についても検討してはどうかと思いますが、いかがでしょうか。
  186. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 先生指摘のように、水資源というのは川上から川下に至るすべての国民の生活あるいは経済活動に死活的な関与のある物質であるわけであります。そしてまだ、その地域でもあるわけであります。  そういう意味で、特に林業関係者分自主努力だけではなくて、下流域に住む人々も大変な受益をこうむっておるわけでございますから、応分の費用を分担することも重要なことでございます。  現在におきましても、分収林制度の活用あるいは森林整備協定等の整備が進んでおりますけれども、先生から今御指摘のありました水源税は昭和六十年ごろに大いに議論されたところでございます。このような目的税の創設につきましては、率直に申し上げれば、私どもの立場としては非常にありがたい話ではございますけれども、新たな国民的な負担につながるものであり、国民の広いコンセンサスが必要であると思いますので、いろんな面からさらに研究していきたいと思っております。
  187. 成瀬守重

    ○成瀬守重君 大蔵大臣にもお伺いしょうと思いましたが、ちょっと時間がなくなりましたので、最後に二十一世紀に向けた我が国の森林整備林業振興をどのように図っていくお考えか、総理のお考えを伺いたいと思います。
  188. 小渕恵三

    国務大臣(小渕恵三君) 我が国の国土の七割を占める森林が木材の供給のほか災害防止等の国土保全、水資源の涵養、二酸化炭素の吸収等、国民生活にとってかけがえのない重要な役割を担っておるわけでございます。  このため、今回御提案しております国有林野改革関連法案等によりまして、公益的機能を高度に発揮できる健全で多用な森林整備を着実に推進するとともに、林道等の林業生産基盤の整備、機会化による林業経営の低コスト化や担い手の育成などを通じて林業振興も図ってまいりたいと考えております。
  189. 成瀬守重

    ○成瀬守重君 ありがとうございました。(拍手)
  190. 川橋幸子

    川橋幸子君 民主党・新緑風会の川橋幸子と申します。  連日大変お疲れさまでございます。特に、この特別委員会の場合はきょうも朝九時からということでございまして、朝からおつき合いいただいております大臣の皆様、また本会議に引き続きまして御出席いただいている総理、本当にお疲れだと思います。  私は、この国鉄長期債務の問題というのは、今会期末に参りまして審議が大変に熱くやられております金融関係法案の考え方と非常に共通する部分があるのではないかというふうに考えております。  どういう意味かといいますと、こちらの方は公的分野といいますか国がかかわる分野ではありますけれども、不良債権の処理を二十一世紀を前にしてここで本格的にやろうということと、それと鉄道林野事業の再生を図りたいと、非常に大きな目的を持った金融関係法案と非常に共通する部分があるのではないかというふうに考えております。  そうした中で、月曜から始まりました総括質疑参考人先生方からの意見聴取、一般質問、そしてこの締めくくり総括を迎えているわけでございますけれども、この特別委員会の中で特に審議を通じまして私が強く感じておりますのは、政治への信頼を取り戻さなければいけない、それから処理のルールの原則を明確にすることが政治への信頼を取り戻すかなめといいましょうか鉄則なのではないかということでございます。以上が私の、つたないと思われるかもわかりませんが、前提でございます。  さて、この前提に立ちまして、今までの論議の中で特に争点といいますか考え方の違いといいましょうか、逆に言えば国民の皆様方にもよく理解してもらいたい、そういう論点に絞りまして、もうたびたび出た問題と思われるかもわかりませんけれども、締めくくり総括といたしまして総ぐくりに質問させていただきたいと存じます。  まず一点目は、これも既に締めくくり総括で成瀬委員の方からも聞かれたことでございますけれども、二十八兆円もの巨額な債務になってしまったその原因及び責任についてお伺いしたいと思います。  二十七兆八千億、国民一人当たりでは二十万円というふうに割り算されるわけでございます。旧国鉄長期債務がなぜこんなに巨額な借金になってしまったのか、その責任は一体だれにあるのか、これを知りたいと思うのが国民感情というものでございます。  土地、株、資産を売却しまして二十五兆の借金を十三兆八千億に減額した上で、最後国民負担をお願いして最終的に処理したいというのが清算事業団の任務であったはずでございます。ところが、借金を減らすことができなかったばかりか、逆に利払いのために借金が雪だるま式にふえてしまったということでございます。常識で考えましても、借金というのは返済がおくれればおくれるほど利子が膨らんでいくということでございます。サラ金なんて言わなくてもこれは当然の常識でございます。  国の事業の中でこのあたりのことをどのようにお考えになってこられたのかお伺いしたいと思います。ここは運輸大臣に先にお伺いして、それから総理にさらに高い見地からのお答えをいただきたいと思います。
  191. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 川橋委員にお答え申し上げます。  国鉄改革の基本は御指摘いただいたとおりでございますけれども、まず経営の悪化、そしてサービスの状況が必ずしも芳しくない、労使関係、そういったものを見たときに国鉄改革しなければならない、まさに国民の総論の中でスタートをいたしたであろうと思っております。  そして、まず民営・分割をすることによって七つに分けられた会社が自主独立経営を逐げていく、その結果としてサービスの改善が図られる、そして収益も一%程度上げられるようになったらいい、こういう期待感もあってスタートをいたしました。本州三社についてまさにその目的がかなえられた、三島については安定基金の収益が出ないということでいま一段の政策が求められておる、貨物については時代の変化の中で経営改革というものが求められておる、これが一つであろうと思います。  当然、会社更生法という議論が午前中ございましたけれども、まさに経営悪化であります。したがって、借金部分をすべてJRに負わせるわけにはいかぬ。そこで、清算事業団国鉄の身分を保ちながらその長期債務資産というものを受け継いでスタートをいたしたわけでございます。御説のとおり、順調にいけば今十四兆円ぐらいの債務が残って、その処理スキーム国会で御審議いただいておるというのが筋であったろうと思っております。  ただ、清算事業団職員が一番残念がっておるんだろうと思いますけれども、土地が売れるときに土地高騰を招くということから手控えるという政府の大きな決断がなされたことであります。これは国会での議論、またまさにマスコミ挙げての議論であったことも事実であろうと思っております。そして、阪神・淡路大震災の結果として株の売却もなかなか進まなかったということから、御指摘のとおり、まさに処分がおくれればおくれるほど金利がかさんできて二十八兆円という結果になってしまったと思っております。  再三お答えいたしておりますけれども、土地の処分がおくれてきたときに、株の処分がおくれてきたときにもう少し早く決断をすべきでなかったのかという御指摘については、謙虚に反省をしてまいりたいと思っております。
  192. 川橋幸子

    川橋幸子君 総理にお答えいただく前に、私の問題意識を総理に聞いていただきたいと思います。  国鉄改革JRが発足しまして確かに国民は大変喜んでいる部分がございますけれども、この借金の問題がツケとなっているわけでございます。その場合の御説明が、地価の高騰が鎮静化するまで閣議でも、あるいは国会でも、あるいはメディア挙げまして日本全体が国鉄の用地放出は控えるべきだと、こういう合意があったということ、あるいは株価の低迷が災いしたというような御説明を聞くわけでございます。  一国民立場から見ますと、バブルを生んで、それからバブルが崩壊した後の経済運営、これについて政府の失敗があったのではないか、政策運営の失敗があったのではないか。そうした政策不況、政府の失敗についてのお答えがない限り、どうも国民には問題がすりかえられて、この借金が雪だるま式に大きくなったことの理由としてすりかえの説明が行われているのではないか、信頼を失わせる一つの原因になっているのではないか、私はそのように思いますが、総理、いかがでございましょうか。
  193. 小渕恵三

    国務大臣(小渕恵三君) どういう観点からお答、えしたらよろしいかと思いますけれども、バブルが起こりまして、その後これが崩壊をいたしまして、今日その後遺症に悩んでおるわけでございまして、最も大切な金融問題におきましても不良債権を抱えて、バブル以降の解消を今日まで引きずってきておるわけでございまして、そういった点で経済が非常に好調であった時期、これはある意味ではバブル経済と言われたところもありますが、以降、今日になっておるわけでございます。  そうした過程の中で、この旧国鉄債務をいかに解消するかという努力につきまして、その時々におきましては政府としても対応をいたしてきたわけでございますが、先ほど来運輸大臣も御答弁申し上げておりますように、まず優良な旧国鉄用地を売却することによってかなりの債務を返済できるであろうという予想が大いに崩れてしまったというような点もございます。また、借り入れましたお金の利子が利子をまた生んでくるという雪だるまのような状況に今日相なってきておるわけでございます。  今日に来てそうしたことがいよいよそれこそにつちもさっちもいかぬ、こういう状況に至っておりまして、今回こうした最終的な結論を得るべく努力をいたしてきておるところでございます。そういった意味では政府もその責任を大いに感じ、そしてこれからの対応に対しましても努力をいたしていかなきゃならぬ、こう思っておる次第でございます。
  194. 川橋幸子

    川橋幸子君 誠実にお答えいただいたところではございますけれども、答弁席の前でちょっと総理はつぶやかれまして、どうお答えすればいいのかちょっと困惑のお顔が見えましたが、そのあたり国民がどういう答え、どういう点について率直な総理の生の声を聞きたいと思っているか。  私の質問の仕方もうまく総理にメッセージとして伝わらないとしたら、それは私の言葉の使い方がまずいということかもわかりませんが、なお一層じかに率直にお話しいただく、それが国民の不信感を払拭することであり、またそれをしないとがえって非常に高い代償を支払うことになるということを総理に申し上げさせていただきたいと思います。  さて、処理スキームが出てまいったわけでございますが、マスコミ論調は、マスコミを挙げて反対と、残念ながらそれが現実であったと思います。さきの通常国会が始まりますころ、法案提出のころにまず全国紙全紙が一斉に反対の趣旨の論陣を張られました。また、通常国会が終わりまして臨時国会が始まり、この法案が審議されるという状態になったときにも同じような状況でございました。  そして、その後、衆議院での審議が進み、追加負担というところが二分の一に減額されたわけですね。当初の案の額からJRは二分の一に減額されて修正可決され、今参議院の審議を迎えている。このときでもまだ筋が通らないですとか、あるいは理屈が通らないですとか、財源手当てはこれで一体よいのかといった厳しい論調があると私は思っております。こうしたマスコミを挙げてのいわば反対論調、これについてどうお考えでいらっしゃいますでしょうか。  これは運輸大臣と大蔵大臣にお伺いしたいと思います。それぞれのお言葉でお返事をちょうだいしたいと思います。
  195. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) マスコミの御批判は、一つJR負担の問題、一つは元本償還財源というものが明確になっていない、またもう一つあるとすれば郵便貯金、たばこの負担を求める、こういうところにあるのかなと思っております。  私の立場からJR負担問題について申し上げますと、これはもう再三申し上げているところでありますけれども、JR職員年金、これを安定的に供給するために、支払うためにだれが負担をすべきかという議論であろうと思っております。  私どもは、昭和六十二年当時の改革、その当時に想定されておりませんでした共済年金から厚生年金への移換金の問題、この問題について平成八年に事業者である清算事業団、そしてJR負担ということで決定をし、そして今日、清算事業団が解散をするというときにJRの御負担をお願いいたしているところでございます。このJR職員年金を支払うための移換金、これの理解というものが多少お互いが違うのかなというような気がいたしております。ただ一方で、マスコミと言われますので、二分の一にいたしたときに千八百億円また国民負担がふえたという表示があったことも事実だろう。  そういう意味では、JR負担をするのか国民負担をするのか、こういう議論の中で、私どもはJR負担という御主張をいたしてまいりましたけれども、衆議院では半分ずつにせいという形での一つの結論をいただいた、こういうふうに思っております。  それから、償還財源につきましては、衆議院でもまた参議院でもいろいろ議論はありました。道路目的税というものを使ったらどうだ、新幹線の財源を回したらどうだ、こういう意見もありました。交通税という意見もありました。しかしながら、そうした意見がなかなかまとまらないという今日の中で、国家財政の中でお願いをしていくという結論に相なった。その辺がいろいろ御批判をいただいている理由だろうと思っておりますけれども、私どもも考えて考えて出させていただいた結論でございますので、御理解を賜りたいと思っております。
  196. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) お答えするのは実は非常に難しいのだと思いますが、まず最初に、郵政特会にお願いをしたということについては、これはもうひとえに関係者の御協力と言うしか申し上げようがございませんで、直接に関係のある話ではございませんから、比較的順調な運営をしていらっしゃるということに対して期限を限りまして御支援を願う、こういうお願いをいたしたわけでございます。  それから、たばことの関連も、これも余り立派な説明ではありませんけれども、納税者全部にお願いするよりは、価格の中でこのごろ税金分が少し下がっておりますこともあって、愛煙家の方にひとつお願いできませんかという、そういうベースのことでございます。  それらはいずれも一般会計で一般の納税者に御負担を願うよりもまだお願いができればという気持ちの部分でございますが、JRのことはこれはきっと全然違うお話でございます。  私どもは、運輸大臣が言っていらっしゃいますように、移換金のあたりはいろいろ難しい経過はあったけれども、そういうことでお願いができれば一番いい、大蔵大臣としてはそう思うわけでございますけれども、そこは遺憾ながらなかなかお互いの了解がつかずにやや争いの形になっておりますことは残念ですが、しかしこれがそんなことに関係ないということになってしまいますと、それはまた非常にそこのところが一番世論の批判の高いところで、関係がないではないかと。  そうしますと、それは結局は納税者の負担になるということしかやりようがありませんで、国としては新しい雪だるまがふえることはもうしない、しかし根雪の方に手はつきませんというぐらい困っておるところでございますから、もしJR負担はいかぬという一般の世論であれば、それは一般の納税者にお願いするしかないということにどうもならざるを得ないというあたりで、私はマスコミから不評判だということは承知しながら、それではそのかわりの答えは一般の納税者にお願いするしかないと。こういうことは余り言いたくないことでございます。そういう開き直ったようなことは言いたくございませんけれども、問題としてはそうなるのだと思います。
  197. 川橋幸子

    川橋幸子君 運輸大臣も大蔵大臣もきっとそのように誠実な懇切丁寧な言葉でマスメディアにも御説明くださったのだと思いますが、問題の中身にはまた後ほど入らせていただくといたしまして、私が伺いたかったのは、なぜその説明はマスコミに受け入れられなかったのだろうか。メディアが悪いのでしょうか、理解不足なのでしょうか。そのあたりの受けとめ方をむしろお伺いしたがったということでございますが、重ねてお伺いしてよろしゅうございますか。
  198. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) これは余り申し上げたくないのでございますけれども、よって来ることについての責任論でございますと、これはもう運輸大臣も言われますように謙虚に聞かなければなりませんが、このよって来って生まれた事態の解決ということになりましたら、JR負担させるのはよくないぞという御議論であれば、それならそれはどこに負担させることになりましょうかと、こう両方の比較において私は議論が成り立つべきものではないか。  これは、大蔵大臣としてはちょっと開き直ったような感じがいたしますから余り申し上げたくないのですけれども、しかし実際は問題はそのようにして出されませんと本来の答えは出ないんではないかと思います。
  199. 川橋幸子

    川橋幸子君 重ねて御答弁いただきましたけれども、私の理解では、やっぱりマスコミはどこかで感じているのではなかろうか。何を感じているかというと、一問目の借金が巨額になったことの原因と責任、そこでございます。政府の失敗に対する率直な反省がない、それから本格処理に向けてどのような決意ないし態度で臨もうとするのか、そのポリシーが見えない、そこの真剣さに欠けるところが私はマスコミに訴えるものがないことの一番の原因ではないかと思っておりますが、私の受けとめ方は間違っておりましょうか。私はこのような受けとめ方をしております。  それでは、次に進みます。  厚生年金へのJR年金の移換金問題でございます。  これはたばこ、郵貯とはちょっとわけが違うだろうというふうにお答えいただいたわけでございますが、私もそのようには感じておりますけれども、今マスコミの反応についてお伺いしたと同じような非常に異常な状態であることを国民感じているのではないかと思っております。  どういうことかといいますと、JR各社の反発の強さでございます。法案提出前後からJR七社が緊急アピールをなさいましたり、新聞の全面広告をなさいましたり、結局この問題は決着済みの問題であるのに信義則違反ではないかということで態度を硬化しているわけでございます。  運輸省とJR七社といえば当事者同士でございまして、この問題について一致協力して解決していかなければいけない立場の当事者間で非常に異常な反発といいましょうか、異常なというのはやっぱり国民の目から見れば私はそのように映るのではないかと思っておるわけでございますが、こういう印象を与えることについて運輸大臣はどのようにお考えでいらっしゃいましょうか。
  200. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 私の前任者であります藤井運輸大臣、また我が党の先輩であります運輸大臣経験者の皆さん方に間に入っていただきながらさまざまな話し合いが行われてきたことは事実でございます。しかしながら理解に至らなかった、これも一面お話を申し上げておるとおりでございます。また、先ほど自民党から御指摘いただきまして、今後も継続して理解をいただくように努力をせいということでありますので、守ってまいりたいと思っております。  なお、私の立場でございますけれども、事務的な折衝はいたしておりますけれども、私自身JRと一度機会を持ちたい、このような投げかけをいたしましたけれども、国会での法案審議の状況を見守りたい、こういう御意見でございましたので、この審議が続いている間については少し遠慮させていただいております。一つの結論が得られれば、その時点で話し合いに入ってまいりたい、このように思っております。
  201. 川橋幸子

    川橋幸子君 そのように御努力はしていただくのが国民立場からすれば当然と言うとちょっと言葉はきついでしょうか、お願いしたいと存じます。  この間のやりとりの中で、私はJRの方が態度を硬化させたというそちらの気持ちがよくわかるような気がいたします。メディアの報道がそうだったと思われるかもしれませんけれども、私はそれに共感を覚えるといいますか、同情を禁じ得ない部分があったのでございます。説明なさるときに、国において処理するというあの約束事は処理の方法を決めるという意味であって負担を決めたわけではない、これはやっぱり開き直りといいますか詭弁といいますか、そのような印象を与えていたし方のないおっしゃり方だと思います。  それから、参議院の審議では割合率直な御答弁は聞かせていただいたような気がいたします。厚生年金への統合に伴う積立金不足の問題というのはぼんやり頭の隅っこにはあったんだけれども、これからの資産処理の動向あるいは経済の動向等々、不明材料がたくさんあったので、そこのところは余りはっきりしていなかったんだというような率直なお答えがあったというように私は受けとめさせていただいておりまして、むしろこうした率直なお答えの方が、JR社員の年金ならJR会社負担して当然というような年金の理屈でおっしゃるよりは、相手にも考える余地を与えることではなかったかと思うのでございます。  今回の問題は年金の論理の問題ではなくて、追加負担を納得してもらう、そういう信義則の中で相手がどこまで納得できるかという説得力の問題だったのではないかと思いますが、その点についてはどうお考えでしょうか。
  202. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 国鉄再建監理委員会の時代から、負担をする、処理する、こんな用語の使い分けをしてきたことは事実でございます。しかし、それが官僚言葉でなかったのかということになると、今御指摘のように、お互いの行き違いがあったのかなという反省はいたしております。  しかしながら、基本的な姿勢として年金の問題ではないとおっしゃいますけれども、JR職員年金負担というものを国民負担させるのか、JRに御理解をいただくのかというどちらだと言われれば、私どもはやっぱりJRの御理解をいただきたい、こういう姿勢でやってきたつもりでございます。  行き違いがあったことについてはそうかもしれません。
  203. 川橋幸子

    川橋幸子君 先ほど大蔵大臣もおっしゃいましたし、運輸大臣も今おっしゃいました。JR負担しなければ国民負担がふえる。これはある種のおどしのような、JRにとってはそういう印象を与えるのではないでしょうか。それから、国民にとっても、JR負担してくれなければ自分の方の負担がふえるのかなと。  どちらにいたしましても、年金移換金の問題は二十八兆の中から比べれば金額にすれば小さな部分でございます。ここはどっちが得、どっちが損というよりも、むしろ政治、行政企業との約束、国民との約束、そういう信義則の問題であったと。同じことを何回も明敏な大臣の前で繰り返して申し上げる、私はじくじたる思いをしながらも、ぜひそこのところは御理解いただきたいという意味質問をしているのでございます。  これは年金問題とは次元が違う、年金問題かもしれないけれども事はそこで済まない次元にエスカレートしていく。国がかかわった不良債権の問題についてどこまで信頼を得ながら処理していけるか、こういう問題についての認識が、大変申しわけないんですけれども、不足しておられたような気が私はいたします。  そこで、関係者間の納得をいただくとか、あるいは世論のコンセンサスを得るとかということがこの件については一番重要なかなめであるわけでございますけれども、この点につきましては、直接の当事者である運輸省とJR各社の間の納得について、本当に仕切り直しをするぐらいにもう一回話を詰めていただきたいということが一つ。  それから、くしくも大蔵大臣、運輸大臣がおっしゃった、国民負担がふえますよと。国民はその程度のことはわかっていると私は思います。つまり、国の責任とか、あるいはそれが特殊法人であってもそうでございますけれども、財政的に成り立たない法人の負担、それには国が出資する、国の出資は一般会計で賄うとなれば、いずれは国民負担に返ってくることはわかっているわけでございますけれども、あえて国民負担に名をかりた政府の責任逃れ、このようにとられることのまずさというものを考えるわけでございます。  冒頭、私はきょう質問させていただきます前提には金融問題と同じようにモラルハザードを生まないということが一番大きな課題であるというふうに認識していると申し上げました。二十一世紀を目前にしまして、二十世紀中の赤は今の私たち当事者の間で決着をつけよう、二十一世紀はもっと明るい未来が迎えられるようにしよう、そういう時期に当たりまして禍根を残すような感じがいたしますが、政治におけるモラルハザードの問題、あるいは国民の信頼を得る問題というものについてはどのようにお考えでしょうか。  これは一応JR年金問題から始まっておりますので、運輸大臣にまず御答弁いただきたいと思います。
  204. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 国民理解を求めていく中で、先ほど大蔵大臣が言われましたように、JR負担をすべきか国民負担をすべきか、こういった議論が衆議院でも重ねられてまいりました。また、ある政党はJR負担をもう少し六十二年に戻ってふやすべきだと、こういう御議論もありました。そういった議論が衆議院でなされる中で、やはりここで問題の決着を先送りさせてはならないという判断をいただいて半分半分という一つの結論をいただいたんだろう、このように私どもは理解しております。  また、今後私どもは、先ほどお約束をさせていただきましたように、JRと機会を得ながら話し合いを続けてまいりたい。そして、JRと我々の話し合いが続くことによって、理解が深まることを通じて国民理解につながっていくのではなかろうか、このように理解をいたしております。
  205. 川橋幸子

    川橋幸子君 私ども民主党はこの問題を非常に重視しております。衆議院で修正されて、それで少し抵抗が弱まったというような観測があるかもわかりませんが、原則を大事にしたい、この姿勢を貫くことが民主主義のかなめであって、国民に対するアカウンタビリティーを発揮するという方向であるといたしますと、私は、当初のお約束どおり信義則を守るということで、二分の一になりましても、千八百億の追加負担は撤回すべし、モラルハザードを生むという高価な代償を払わないためにも勇気ある撤回を今お願いしたいと思います。  くどいようでございますが、いま一度御答弁をお願いします。
  206. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) JRにおきましても、この問題を先送りしてはならないというのは共通認識だろうと思います。どうぞ御理解を賜りたいと思います。
  207. 川橋幸子

    川橋幸子君 民主党の主張は御理解いただけたことかと思います。  さて、次の利払い問題、利払い費のかさんだ費用の処理問題についてお伺いしたいと思います。  根雪の処理はともかくとしまして、今は新雪が降り注いで雪だるまのように借金がふえるのだけは防ぎたい、本案がこのような目的を持っている、この点は私どもも理解しておりまして、評価しているところでございます。  ただし、いろんな問題点があると存じます。  まず、資金運用部からの繰り上げ償還の問題でございます。今までは繰り上げ償還ということについてはずっと頑としてお認めにならなかったと理解しているわけでございますが、今回は清算事業団が消滅するから、当事者がいなくなるからという理由で認めるという、理屈は理屈なのかもしれませんが、国民の印象は、理屈は後からついてきた、こんな印象ではないかということを一言申し上げさせていただきたいと思います。  繰り上げ償還を認めることによりまして二千五百億ぐらいの負担が軽減されるわけでございますけれども、これは資金運用部の負担になるわけでございますね。資金運用部の会計を見ますと、九年度決算、十年度決算の予定される利益金はゼロというふうに見込まれているかと思います。そういう資料をいただいております。繰り上げ償還を認めると今度は資金運用部の収支に影響するのではないか、資金運用部の収支赤字が生ずることはないのか、もし赤字になったらこれはまた一般会計から繰り入れる、こういうことになるのでしょうか、お伺いしたいと思います。
  208. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 積立金で処理をしていると思いますが、政府委員からちょっとお聞きください。
  209. 中川雅治

    政府委員中川雅治君) 御指摘のように、繰り上げ償還をいたしますと、資金運用部といたしましては、当初の契約によって得られた利息収入が入りませんで、その分、現時点での低い金利での再運用をしなければならない、そういう意味でいわゆる逸失利益が生ずるわけでございます。これにつきましては、大臣が今お答え申し上げましたように、資金運用部特別会計の積立金、これは現在一兆一千百九十一億円ございます。これによりまして対応してまいりたいと考えております。  また、今後とも資金運用部の運営に当たりましては適切なALM、資産負債管理を図りつつ、資金運用部の健全性については十分配慮をしてまいりたいと考えているところでございます。
  210. 川橋幸子

    川橋幸子君 利払い費の処理の第二は郵貯の問題でございます。  先日来、野田郵政大臣は、国家財政の危機であるからやむを得ず郵貯が協力させていただく、これは大変けなげな御答弁だということで、当委員会でも評判になっているといいましょうか、これはいい意味の評価でございます。ですけれども、やむを得ずという言葉から私どもが察知してしまいますのは、郵政三事業の分割・民営化という論議の中でのやむを得ずではなかったのかと。  それから、郵貯特会は累積黒字で、九年度では約五兆あるのかもわかりませんけれども、十年度になりますともう単年度で赤字が見込まれている。これから二、三年の間は高金利時代の定額預金の払い出し満期が来るからなかなか郵貯特会も難しい時期を迎える、こういうことになるわけでございます。協力させていただくというけなげな御覚悟でございますけれども、郵貯特会の方は大丈夫でございましょうか。  それから、郵貯の利益は利用者のものでございます。これは大臣も何回もおっしゃっておられるわけでございますけれども、いわば今回のような強制的と言うと言い過ぎかもわかりませんけれども、大蔵大臣のたってのお願いがあってやむを得ず貢献させられる、貢献する、今度は郵貯利用者に対するリウォード、何か報いるものがあってしかるべきではないかと思いますが、この辺について大臣の御決意を承りたいと思います。
  211. 野田聖子

    国務大臣(野田聖子君) ただいまの先生の御質問ですけれども、まず初めに、くどいようでございますけれども、今回の協力につきましてはやむを得ずというのはけなげと、そう言っていただければ大変ありがたいんですが、本当に大変な非常事態であり、先ほども大蔵大臣がおっしゃったとおり理解しがたいこともあるけれども、やはり先生方の共通認識である先送りはできないんだと、そういう中で国の機関である郵便貯金も協力をやむを得ないということで特例的にさせていただいていることでございます。  その中で、御指摘のとおり、郵便貯金特別会計平成十年度と十一年度では単年度赤字となるわけですが、平成十二年度以降につきましては、御存じのとおり、ちょうど平成二年から三年度の高金利ピーク時の定額貯金が順次満期を迎えることになっておりまして、高金利の貯金が払い戻されることによりまして支払い利子への負担が減少します。よって、経営は好転するものと考えておりまして、この累積黒字の五兆円は当然減少していきますけれども、特別繰り入れをしても黒字が維持できるというところで、くどいようですが、やむを得ず御協力をさせていただくという判断をさせていただきました。  あわせて、先ほどのリウォード、利用者に対しては何をしていくんだということでありますけれども、まずは大きな意味ではそういう国が抱えている先々の不安、この処理の問題も一つでありますが、めどをつけるということで国民、利用者の将来不安の一つの解消に協力をさせていただいているという見地に立っております。郵政省としては、そればかりではなく、郵便貯金の利用者の人に御理解いただくためにさまざまな取り組みを実現するように今進めているところでございます。  具体的に申し上げれば、郵便局と民間金融機関とのATMの相互利用がしていただけるような取り組みとか、これは先日もお話がございましたけれども、障害者の方などに高い金利をお支払いする福祉定期郵便貯金の取り扱い期間の延長と対象の拡大が実現することになりました。あわせて、将来的にはインターネットの普及に対応した郵便貯金利用者の利便を図るような仕組みとか、さらには新聞でももう報道されておりますけれども、現在お持ちのキャッシュカードを利用したショッピングができるデビットカードサービスの実施等々を考えております。さらには、消費者団体の方から御要望がございました定額貯金の、預けられてから五年経過したときに、今その時点での利息などをお知らせするようなサービスもあわせて今回実施させていただく検討を進めているところでございます。  御理解いただきたいと思います。
  212. 川橋幸子

    川橋幸子君 ぜひそうした知恵は十分に出していただきたいと思います。  先日来、この委員会の中で話題になりましたのは、やはり郵政三事業というのは三事業が連携してこそ全国的な規模のユニバーサルサービスが展開できると。郵便事業赤字ならば郵貯はむしろ同じ仲間の赤字を救うべきではないかとか、あるいは超低金利時代の年金生活者の高齢者への利子の問題等々についての還元を私は大臣に要望させていただきたいと思います。  たばこの話でございますが、取りやすいところから取るということで、論理的な合理性は全くないということで世上非常に不評でございます。はっきり申し上げましてそうでございます。  大蔵大臣からは、このところ、平らに言って愛煙家にお願いしたいという大変言葉優しいお願いの言葉を伺っているわけでございますけれども、言葉は優しくても実は煙の害に対するペナルティーかな、なぜたばこがねらい撃ちなのかなと思うと、何か政策的な意図があるのかな、あるとすれば、やっぱりこれは目的税であって、使い道については関連する環境・健康対策に充てるべきではないかな、こういう反応が一般の反応でございます。  もうお答えは結構でございますけれども、今回の論議の中ではっきりしなかったのは、いつまでこのたばこ特別税は続くのでしょうか、こういう話がございました。この点について確認させていただきたいと思います。
  213. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) これはどう説明申し上げましても好評になる可能性はございませんので、もう初めからお願いベースで申し上げるしかないことだと思っています。  ただ、今あえて逆らって申し上げるのではございませんけれども、一般会計の歳入としてこれは国債整理基金の方で真っすぐ受け入れるのでございますから、何かの事業と結びついていないという意味では私どもは目的税とは思っておりません。しかし、いずれにしても御負担をお願いすることには違いありませんで、当分の間ということになっております。  今、たばこの価格の中に占めるいわゆる税の該当分は少し下がっておりますから、それを従来どおり程度に戻させていただくと、理屈を言えばそういうことを申し上げることになりますが、当然、価格は上昇いたしますので、御迷惑をおかけいたします。当分の間というのは、五十年とか六十年とかということを今はっきり考えて申し上げているわけではございません。  普通、たばこの税は地方の収入も本来あるわけでございますが、これは国だけでいただいておりますもので、国の歳入補てんなものですから、そんなことも幾らか気になる点がいろいろございます。経済情勢も変わってまいりましょうし、いろいろございますから、当分の間と、文字どおりそういうことで申し上げておりますので、腹の中では五十年とか六十年を持っているのかとおっしゃれば、そういうことでもございません。
  214. 川橋幸子

    川橋幸子君 一番の問題は元本をどうやって償還していくかということでございます。非常にしつこい根雪の処理こそが大きな課題であるわけでございます。  今回の財源の条文については、歳入、歳出両面にわたる努力によってお金を生み出して、六十年にわたって返済と。いわば中身がほとんどない、何か精神規定のような規定のしぶりになっているわけでございます。たばこの方の元本返済に充てられる金額というのはごくごくわずかでございまして、これが元本償還についての着実な原資になるわけは全くないわけでございます。しかし、この根雪が一番大きな問題であるといたしますと、二十一世紀には不良債権の課題を残さないという政府の姿勢であるとしますと、少なくとも何らかの政府の姿勢、対応の方向が示されるべきではないでしょうか。  この委員会でも、財源問題については、総合交通利用税等々、一々挙げませんけれども、さまざまな財源の問題が話題になっておりました。それについては、今回の法案では、財政構造改革会議で合意に至らないというのは時間的に間に合わなかった。とにかく新雪がふえるのをここで防ごうというところで合意を急ぐのに優先したものだから、そこの部分についてはほとんど触れられていないというのが実態かと思います。  五年後に一体政府はどうするのか、ぜひこの大きな課題についての処理についての政府の姿勢というものをお伺いしたいと思いますが、大蔵大臣、お伺いしてよろしいでしょうか。
  215. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 政府はただいま、御存じのようにはっきり減債の対象になっております長期債務、大きな金額を持っておりますことは御存じのとおりでございますけれども、今回、この事業団が背負っておりました、これも政府関連の債務であったには違いありません、あるいは林野もそうでございますが、それをとにかく根雪がふえるのだけはとめたというのがせいぜいでございました。したがって、根雪の部分がここではっきり国の長期債務の中へ、まあ認知されるというのはそういうことでございますね、結局。ですから、国の大きな長期債務部分になって、それ全体を国が今後どうするか、そういう問題の一部になったというふうに考えております。  それなら、それをどうするのかということにつきまして、国の大きな債務を今後どういうふうにしていくのか。六十年で償還をいたしますということを申し上げ、減債基金を積んでおりますけれども、はっきりいつどれだけできるということは実はわかっていないわけでございますから、そういう意味で、そういう債務の中に取り込ませていただいて、そしていわば国民経済の努力の中で、あるいは財政の努力の中で、歳出、歳入両面の努力の中でやがて償還していかなければならない債務の一部である、こういうふうに考えるに至ったわけです。  と申しますのは、日本の経済というのは今最悪のところにありまして、いつまでもこういうことが続くことはないであろう。そういたしますれば、名目成長もゼロとかマイナスとかいうことではなくてプラスになっていく。そうすれば、それだけ租税もやがてはふえてくるはずでございますし、そういうことを長期にわたって考えますならば、債務は大きいけれども、しかしこれだけの国力のある国でございますから、そんなに私は心配しておりません、本当を申しますと。本当を申しますと心配しておりませんし、日本の経済の将来はそれは解決ができると思っておりますので、長い年月のことでございますから、それはそう考えておいていいだろう。  むしろ、今これを税金でもいただいて処理しろということになりますと、それはもうほとんど現実性のない、日本の経済に害はあっても得はないことだろう、そういう判断をいたしておりますので、日本の経済の将来の中でこれは処理できる、処理しなければならない債務の一部として心得るに至ったと、こういうことでございます。
  216. 川橋幸子

    川橋幸子君 それでは、聞き方を変えまして、五年間郵貯で持ちこたえられる、あるいはたばこも、愛煙家も協力するといたしまして、五年後には財源問題について根本的な検討をしてくださいますか。
  217. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 郵貯から御協力いただけるのは五年限りでございますから、そのときにその部分をどうするかということは考えなければなりません。
  218. 川橋幸子

    川橋幸子君 検討していただけますかというこのお願い口調は、実は私は使っていけない言葉なんだろうと今自戒しております。国民を代表して、これはすべきと、抜本的な改革案についてちゃんと関係当事者が、縦割りじゃなくて、本当に日本の将来を考えて真剣に取り組んでいただきたい、取り組むべきだという、これは国民の声であることをお伝えさせていただきたいと思います。  さて、国鉄の問題は以上にいたしまして、林野の問題について伺わせていただきます。  林野の問題につきまして、今までの論議から見ますと、公表のタイミングというのが非常に大きな問題になりましたこと、それから三・八兆のうちの二兆は処理するけれども一兆は経営努力でとなっているけれども、これは今までの経営の経過から見て実現不可能なことではないのか、こういう一兆円というのは返せるのかということ、三点目といたしましては、森を守るといいますか山を守るにはむしろ人材、技能というものをしっかり守る、こういう手当てが必要であるということが言われた、この三点が大きな問題であったかと思います。  ところで、まず最初の公表のタイミングでございますけれども、くしくも七月十二日の参議院選の翌日の七月十三日にこの林業の方はスキームが公表されたといいますか、法案要綱だったのでしょうか、プランが公表されたわけでございます。何か本当に選挙の翌日といいますと非常に意図的なものを感じてしまうわけでございます。これは事務方の政治家の立場を思いやる深情けでこうなったのか、それとも政治家の側で、参議院選でこのように与野党逆転のような勢力分野の変更があるということはつゆ疑わず、勝利を信じられて、選挙が終わればいいだろうということになられたのか、大変意図的なものを感じてしまうわけでございます。  しかし、考えますと、こういう問題というのは逆に王道を行くような国民に対するアカウンタビリティーを発揮していただきたいということでございます。政治はゲームではないわけでございまして、しかもこの林野関係債務処理あるいは公益的機能を明確にするという方針転換、政策転換というのは新大臣のもとで堂々と説得され、進められるべき話だったのではないでしょうか。  中川大臣は精通した専門家という定評のある大臣でいらっしゃいますから、率直な御意見を伺わせていただければと思います。
  219. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 七月十三日に公表いたしましたのは、今回の抜本改革に伴う全国二百二十九の営林署の再編の発表でございます。これはあくまでも案でございます。しかし、長い間スケジュールにのっとりまして自治体を初めいろんな方々の御意見を聞き、粛々と作業を林野庁内部で進めた結果、七月十三日に成案を発表させていただいたところでございます。逆に、この作業は政治の状況によって左右されるべき問題ではないというふうに考えております。  新大臣たる私といたしましても最善の案だと思っておりますので、法案成立をさせていただき、政省令の完備をさせていただいた後、十分時間をとらせていただいて、関係市町村に御理解をいただきながら新たなスタートをこの案でもって切らせていただきたいというふうに思っておる次第でございます。
  220. 川橋幸子

    川橋幸子君 時間がなくなりましたので、最後に一点、運輸大臣に御質問させていただきます。  旧国鉄に勤務しておられた方の再就職問題が宙に浮いております。千四十七名という非常に多い人数に上っておられるわけでございます。労使それぞれの主張はあったと思いますし、さまざまな経過はあったのだと思いますけれども、十一年たつとなりますと、その人の人生だけではなくて家族を含めて非常に人道上の問題ではないかと言われる状況に今日至っているわけでございます。東京地裁の判決が出たことを踏まえて、また今回の国鉄長期債務処理についての、これは非常に政府側としては意欲的な案だと思っていらっしゃると思いますが、これを機会に何らかの労使がテーブルに着くような努力をしないと、きっかけを失ってしまう危険がございます。その点についての運輸大臣の御見解を伺いまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
  221. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 今御指摘いただきましたJR発足時の職員不採用問題、中労委の命令を不服としてJR、そして国労とも東京地裁に対して命令取り消しを求めた。結果はJRが全面勝訴という結果になりました。これは第一審であります。今係争中でございます。  この結果を受けまして、この委員会でもたびたびお話がございますけれども、例えば国鉄清算事業団と話し合いということになったらどうなるのか。清算事業団が解散されるわけですから、その場合には鉄建公団というものが話し合いの相手、場合によっては係争の相手になるかもしれません。そうした機をとらえながら、関係者の努力の中で私どもがなすべきことがあれば努力をしてまいりたい、このように思っております。
  222. 川橋幸子

    川橋幸子君 六十分あると思って悠々と聞いておりましたら、大分質問をお願いして飛ばした部分がございます。おわびしたいと思いますが、この問題は本当に日本の金融再生と同じ重要な課題でございます。金融の問題の陰に隠れて、むしろどさくさ紛れに何かわからないような処理をされた、こういう後世に対する禍根を残すことが私は一番の心配でございます。  どうか閣僚、総理以下御努力くださいますようにお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。(拍手)
  223. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 公明の荒木清寛でございます。  この国鉄債務処理の問題は決して先送りができない、そのことは我々も認識をしております。しかし、だからといって道理に反することをしてはいけない問題である、これもまた重要な原則でございます。  先ほど先行議員の質問の中で、マスコミも挙げて反対をしている、どうですかという話もございました。きのうは参考人で玉置参考人がいらっしゃいましたが、こういう発言がありました。ウォール・ストリート・ジャーナル、ニューヨーク・タイムズ、世界の名立たる新聞がJR追加負担を愚挙だと言って日本政府を笑い物にし、かつ怒りをあらわにしているではありませんか、このようにおっしゃったんです。  ですから、私も調べてみましたが、九月三十日付のウォール・ストリート・ジャーナルの記事とその訳文を国会図書館から入手したわけでございます。そこにはこういうことも書いてあります。ジョン・ケディ議員、民主党だそうですが、ジョン・ケディ議員は経済における日本の信頼性は危機に瀕しているとことし早々に日本政府にあてた手紙に書いた、またその手紙に彼はJRグループに対して力ずくで追加負担を課すことになれば日本政府とアメリカ合衆国及びその他投資家との信頼関係は粉々になるであろうと書いたという紹介もございました。  こういう手紙が来てどういう返事を日本政府は出したのか私は知りませんが、それにしましても、こういう筋の通らない法案を通してしまうということは国際的に見ても日本の信用を落とすことになるのではないでしょうか。そういう心配、その点を総理はどう考えていらっしゃいますか。
  224. 小渕恵三

    国務大臣(小渕恵三君) 今回の国鉄長期債務処理方策のうちJR負担問題につきましては、どうも誤った情報によるものか、海外の関係者の一部には根本的な誤解があったように思われるということでございまして、今回の措置は我が国政府が民営化されたJRに利益の納付をさせたり国の債務の肩がわりをさせようとするものではない、そのようなことは政府としても国鉄改革基づく我が国の民営化政策に合致するものではないと考えられるわけでございます。  今回、JR負担を求めるのは、共済年金に係るJR社員分の移換金であり、自分の社員の福利厚生のための費用である、このような負担民営化された企業としても自分で負担することは合理的な負担でありまして、また我が国政府としては、このような特定企業の社員の福利厚生のための費用まですべて一般国民負担、すなわち税金による負担とするわけにはいかない、こう考えて今般この法律案を提出させていただいておるわけでございます。  荒木委員が今御指摘をされました九月三十日付のウォール・ストリート・ジャーナル、これにつきましては、そういった経過につきまして、率直に申し上げてすべて御理解を願った上でなくて、既に民営化されておるので、民営化されたものについての株主の問題からこうしたことにつきまして御指摘のような論文が出されておるんだと思っておりまして、そういった点で、先ほど申し上げましたように、政府としては、その後のいろいろな経過につきまして十分御理解いただけますれば若干こうした誤解は解き得たものではないか、こう考えております。
  225. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 その新聞には共和党の議員も批判しているという紹介もありますし、日本のマスコミがこぞって批判をするということは、私も新聞は全部読みますけれども、近時珍しいことではないかと思っているわけです。    〔委員長退席、理事成瀬守重君着席〕  それで、総理がおっしゃるように、追加負担が筋が通るのか通らないのか、限られた時間で繰り返しになる部分もありますが、議論をしたいと思います。  その前に、国有林野長期債務の問題についても一点だけお聞きいたしますが、平成九年六月三日に「財政構造改革の推進について」という閣議決定がございます。これは小渕総理も当時外務大臣として参加をされておりますから内容は十分御案内だと思います。その中で、農林水産に関する部分の(4)として、   国有林野については、今後の行政改革議論  を踏まえた上で、森林のもつ環境保全等の公益  的機能の発揮に留意しつつ、経営の在り方及び  組織等の抜本的な改革に取り組む。こうした改  革や財政構造改革原則を踏まえた上で、  ・森林整備のための財政措置の在り方  ・累積債務処理の方策  ・森林からの受益に対応した税財源を含めた費   用負担の在り方  等につき幅広く検討する。とございます。  そこで、今回上程されておりますいわゆるたばこ特別税と、ここに言われています「森林からの受益に対応した税財源」とはどういう関係にあるんでしょうか。総理にお聞きします。
  226. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) たばこの話と林野から上がる収益との関係というような御趣旨の御質問かと思いますが、済みませんが、もう一度質問を繰り返していただけますでしょうか。
  227. 寺澤辰麿

    政府委員(寺澤辰麿君) 閣議決定と今回の法案のたばこ特別税の関係、事務的に一言、大臣が御答弁されます前に御説明をさせていただきます。  御指摘国有林野についての三つの検討項目のうち、先生の御指摘森林からの受益に対応した税財源を含めた費用負担のあり方とたばこ特別税の関係でございましたが、たばこ特別税との関係でいいますとこの項目は関係がございませんで、累積債務処理の方策とたばこ特別税につきましては、今回の抜本的処理スキームの中で利払い費にたばこ特別税が充てられる。ただ、利払い費と申しますのは、二・八兆円を一般会計に承継をして一般会計負担する利払い費に対しましてたばこ特別税が充てられるということでございます。
  228. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 総理、農水大臣でもいいですけれども、そういうことじゃなくて、この閣議決定の趣旨はそういう森林からの受益に対応した税財源も含めた検討をする中でこういう累積債務の方策を検討すると、素直に読めばそういうことでしょう。違いますか。
  229. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 今回の抜本改正の国有林野特会の中では、国有林の中で上がっていくいろいろな収益、木材代金、地代あるいは林野代等の収益を一兆円の元本部分に関して特会の中でお返しをしていこうということであります。  一方、二・八兆円につきましては一般会計の中でやっていくわけでありますが、今大蔵省の方からも説明がありましたように、二・八兆の利払い分につきまして、たばこ特別税と一般会計の中の農林水産予算とで折半をしてこの二・八兆の利払い費として返していくというスキームになっております。
  230. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 いや、総理、そういうことじゃなくて、やはりこの抜本改革というのはこういう受益に応じた税財源を含める中で債務を返していく、これがこの閣議決定の趣旨であって、今回の抜本改革と言われる法案はこの閣議決定を先送りして全く関係のないたばこ税を持ってきた、そういうことじゃないんですか。だから筋が違っているんじゃないでしょうか。総理、いかがですか。
  231. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) たばこの関係はあくまでも林野特会とは別の世界であるということを改めて申し上げさせていただきたいと思います。
  232. 小渕恵三

    国務大臣(小渕恵三君) なるほど、この平成九年六月三日の閣議決定におきまして、五原則を踏まえた上でということで、その中で累積債務処理方策ということでございまして、それを幅広く検討した結果こうした考え方も生まれてきたと、こういうことだろうと思っております。
  233. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 それでは、国鉄債務の方に移りますが、まず総理に、今回のスキームというのは抜本改革なんでしょうか。
  234. 小渕恵三

    国務大臣(小渕恵三君) 抜本的改革ということは、それこそ元本、それから利息、こういうものを全部含めましてすべてにわたりまして解決できるということになることが抜本改革と言われますれば、これはそうしたことになっておらないということでございます。  しばしば申し上げておりますように、現下の状況にかんがみまして、どうしても利払いが利払いを生んでくるというような状況でこれを進めることはできないというそれこそ最後の段階に参りまして、この問題の処理をまずは行わせていただきたい、そして元本につきましては将来にわたりまして検討を進めさせていただくということでございます。
  235. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 運輸大臣にもお聞きいたしますが、今回の処理スキームは抜本的な処理策でしょうか。
  236. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 六十二年の改革当時に、再三申し上げておりますとおり、まず民営分割という問題、そしてもう一つ清算事業団長期債務資産を引き継いで処理に当たる、そしてその資産処理がある程度めどがついた時点で、当時は十四兆円を想定いたしていたわけでありますけれども、そこで最終的に清算事業団というものを解散するとか清算するか、そういうものをはっきりさせるということであります。そういった意味では、旧国鉄の身分を引き継ぎました国鉄清算事業団というものを解散させるというのはある意味では一つの結論であろうというように考えております。
  237. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 いや、私は端的にこれは抜本的な処理スキームかどうかと。昨日の一般質疑では抜本的な改革であるという御答弁があったかと思いますが、いかがですか、運輸大臣
  238. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 六十二年以来の改革を進めてまいって清算事業団をここで解散させる、一つの結論を得る、そういう意味では抜本的と言われれば抜本的かもしれません。そういう理解をいたしております。
  239. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 そうしますと、総理と運輸大臣とは認識が違うわけですか。この法律案要綱の趣旨によると、「当該債務等の抜本的な処理を図ることが緊急の課題となっていることにかんがみ、」ということで御提案になっている。総理は今、そういう元本を返さないという意味では抜本的なものとは言えないというお話であり、運輸大臣清算事業団を解散するという意味ではある意味で抜本的であると。一体我々はこのスキームをどう認識したらよろしいでしょうか。総理、もう一回御答弁願えますか。
  240. 小渕恵三

    国務大臣(小渕恵三君) 運輸大臣が御答弁申し上げておりますように、清算事業団を解散して新しい時代に入りたいという意味では抜本的かもしれませんが、私が申し上げたのは、元本の返済は残っておるわけでございまして、一般論的に言えば、すべて元利返済をされましてきちんとした形の中で考えることが抜本的という考え方もできるだろうと思っております。しかし、今回の法律案でできますことは、今も申し上げたように、新しい今回なさなければならない措置をいたすという意味では、運輸大臣が今答弁いたしましたように、現時点におきましてはこれは抜本的と、こういうことなのかもしれません。    〔理事成瀬守重君退席、委員長着席〕
  241. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 小渕総理は抜本的改革でないと言われ、後段ではあると言われ、ますます我々は理解ができませんが、いずれにしましても、先ほどの質疑でもありましたように、郵便貯金からの二千億円というのは五年間しか入ってこないわけですから、六年後にはどうするのかという話になるわけです。そして、このスキームでは元本の返済については具体的に触れられていない。そのことは間違いないわけでございます。  そういう意味で、昭和六十年以降のこの累積債務が増大した反省というのは、なぜもっと早く手を打たなかったのかと。それはもう再々、今回の委員会でも政府側からその反省が述べられているわけです。それをなおここに至って、元本の返済については先送りというのがこのスキームであることはもう間違いないわけです。そういう意味では、総理、抜本的かどうかという言葉の論争をしておってもしようがないんでしょうけれども……(「統一見解」と呼ぶ者あり)出してもらった方がいいですか。  ではその前に、このスキームは要するに抜本改革かどうなのか、その点についてまず政府の統一的な見解を出していただけますか。
  242. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 総理もお答えになりました日本国有鉄道清算事業団債務等処理に関する法律、日本国有鉄道清算事業団を解散する、抜本的な処理を図ることが緊急の課題と。清算事業団という立場から見たら、まさに解散という抜本的なものであろうと。しかし、御批判をいただいておりますとおり元本問題が残るということで、総理がまあ抜本的といえば抜本的、いや、そうでないかもしれないという御答弁をされたと、こういうふうに理解しております。ただ、清算事業団という立場からすれば、まさに解散ということでありますから、私は抜本的な一つ処理であろうと思っております。
  243. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 総理、いずれにしても元本償還のための財源をどうするのか、この点は言及がないわけですね。そういうことも含めた本当の抜本改革スキームをなぜ今回作成して我々国民の前に提案されなかったのでしょうか。私は、総合交通体系の見直しという中で、財源、税源も含めた見直しの中でこの元本をどう返すのかというのが本当の抜本改革であって、それをやっていただきたかったんですが、なぜできなかったんですか。もう技術的な話はいいですよ。
  244. 寺澤辰麿

    政府委員(寺澤辰麿君) お答え申し上げます。  利払い費につきましては御指摘のとおり財源が個別具体的に確保されているわけでございますが、元本償還のための財源は当面は一般会計の歳出、歳入両面にわたる努力により確保するという形でこのスキームが組まれているという意味で、元本についてもきちっとやりますということを政府としてこのスキームを決めますときに決定しているわけでございます。
  245. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 ちょっと先ほどの総理の率直な答弁と違いますが、いずれにしましてもいずれかの時点でこの元本をどうするのかという話になるわけです。  総理にお尋ねしますが、そのときに、よもやJRに直接あるいは間接にさらに負担を強いるということにはなりませんね。
  246. 小渕恵三

    国務大臣(小渕恵三君) そのようなことなしに私が言う抜本改革を行わなければならないというふうに考えております。
  247. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 今、私は直接あるいは間接に負担をさせることはありませんねと。それはありませんということでよろしいわけですね。じゃ、もう結構です。  それでは、もう時間も押してまいりましたので、今回の年金移換金の負担区分の変更は合理的であるという政府の立論に対しまして、いかに不合理であるかということを私は述べたいと思います。  昭和六十三年一月二十六日の閣議決定では、「土地処分収入等の自主財源を充ててもなお残る事業団債務等については最終的には国において処理するものとする」、もうさんざん問題になっておる閣議決定でありますが、この最終的な負担先にはJRは入っていなかったわけですね。総理、いかがですか。
  248. 小幡政人

    政府委員(小幡政人君) お答え申し上げます。  これは総理、運輸大臣からもたびたび答弁いただいておりますけれども、その閣議決定におきましては、将来国において処理するということ、いわばその段階においては決めていないということでございますので、JRについて負担を求めるあるいは負担を求めない等については、一切決まっていなかったという解釈でございます。
  249. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 運輸大臣、私は衆議院の議事を起こした書類を持っておりますが、運輸大臣もそういう認識ですか。
  250. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 処理するという表現には、まさに今政府の方からお話をさせていただいたとおりであります。  ただ、国鉄改革の精神というものについては、るる申し上げているとおり、まず民営・分割、七社の自主独立経営、そしてこちらの清算事業団債務を引き受け、資産をもらい、そして処理をしていくということでありますから、それを両方合わせていくことはあってはならぬな、こういうことでお答えをいたしておるわけです。
  251. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 ですから、この負担先にJRは基本的に入っていない。衆議院でもそうお答えになっておりますが、そういうことでよろしいわけですね。
  252. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 処理するという表現に入っているか入っていないかと言われれば、処理するはまさにそのときに考えるという話ですから、全くすべてのものが入る。しかしながら、国鉄改革の精神としては、清算事業団負担というものをJRにまた戻すということがあってはならないと、私は精神の問題として申し上げております。
  253. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 そうしますと、平成八年三月八日の閣議決定では、いわゆる移換金債務七千七百億円、最終的にどうするのか、これは「事業団の既存の債務等と同様の取扱いをするものとする。」ということですから、その精神においては、もうこれはこれ以上JRには回さないという、そういう理解になりますね。
  254. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) まず、JR清算事業団ということで負担という表現を使いました。負担を決めた。そして、清算事業団が解散をされる、そういう事態のときには政府が処理するということですから、まさにそこで考える。そして、同様にというのは、その時期に同様にやらせてもらいますよということを申し上げております。
  255. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 これはさんざんここで議論されてきたことですけれども、六十三年一月二十六日の閣議決定における国において処理するということは、国鉄改革の精神からすれば、もうそれ以上JRにツケは回さない、そういう解釈になるんだというお話だったでしょう。それと同様に、この七千七百億円の事業団負担の移換金債務処理をするというのでありますから、その精神からしたら、これはもうJRにはこれ以上ツケを回さないという、先ほどの答弁からすればそういう話になるんじゃないですか。
  256. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) いろいろ申し上げておりますのは、国鉄再建監理委員会の時代から負担をするという表現処理をするという表現を使わせていただいております。処理をするというのは、やはりその時点において国がどのような方策でどのような財源でこれを処理するかを考えますよ、実行しますと、こういうことを書いておる、私はこう述べているわけであります。
  257. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 先ほどの答弁で、六十三年の閣議決定処理をするというふうに書いてあるが、国鉄改革の精神を考えればもうこれ以上JRには回さないという趣旨だというふうにおっしゃったじゃないですか。
  258. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) ですから、申し上げておりますのは、国鉄清算事業団のその当時の仕組みとしてその判断をしましたよと。ただ、今回のものは年金移換という新しい問題のテーマで、六十二年のテーマとは違いますよということはお話し申し上げております。
  259. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 では、どうして同様の取り扱いをするなんということを書いたのか。少なくともJRとしてはもう平成八年の年金統合の時点において一千七百億円の負担をした、これで最後である、もうこれ以上のツケ回しはないと思ったって当然ではないですか。そのときに、いやいや、これは残った七千七百億円についても最終的にはまたおたくにツケが行くかもしれませんよと、そういう話をしたんですか。
  260. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 先ほどからお答えいたしておりますし、また川橋委員にもお答えをいたしました。確かに、官僚用語として処理するという言葉が、負担をするという言葉と処理をするという言葉を使い分けをしてきた。この処理するという言葉がある意味では行き違いになってしまったかな、そこが今JRの御理解をいただけない理由になっておるかもしれぬなと、これは私ども感じております。  しかしながら、それではJR職員年金を払っていくために国民負担を求めるべきか、JR負担を求めるべきかという議論になれば、これはまた別の話として私どもは御理解を賜りたい。したがって、今後も誠意を持って説得を続けるということでございます。
  261. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 いや、大臣が今言われたことは、一遍契約で確定した債務も実質的な理由があれば変えてもいいよという話ですよ。だから、日本というのはルールがない国ですねなんて言われてしまうわけです。  そこで、もうわずかですから、運輸大臣は退職手当についてもJR国鉄期間分を含めて自分の社員の分を負担していることが国鉄改革の方針として決められているという趣旨の答弁をされ、これをJRの今回の年金移換金追加負担を正当化する論拠の一つとされていますが、そうですが。
  262. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 六十二年の改革時に、経営と労使の関係、これはもうJR国鉄時代のものを引き継がない、こういう決定をされたところであります。しかしながら、従業員の福利厚生のための年金については共済年金という形で継続をしていく、そしてそれは今厚生年金に移換ということで問題になっておりますけれども、それが一つ決定された。  それから、退職金の問題はどうしましょうかねということで、国鉄が切れるならば一たん退職金をそこで支払って新しい会社としてスタートをするのかどうか。その議論の中で、国鉄職員JRに引き継がれた場合、その職員退職金はすべてJRで支払いますと、そこに新しい会社が設立した当時に四割程度の退職金が積まれていたということは事実でございます。
  263. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 ですから、四割程度の退職給与引当金をもらって新会社に移行しているんですから、その国鉄の期間の退職金というのはJRが自分の懐を痛めて払ったんじゃなくて、その退職給与引当金で、それを原資として払っているんじゃないですか。JRが払っているんじゃないじゃないですか。JR負担において払っているんではないでしょう。
  264. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) こういう想定はできないんだろうと思うんですけれども、JRに移られて、例えば一年で全員がおやめになったといえば当然六割は出さなきゃならぬという理屈になるんだろうと思います。したがって、JRは当然負担をしていると。
  265. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 いや、しかし実際JRになって一年間でみんなやめていないわけです。  どうして四割かというと、これは平均在職期間が十二年、だからこの四割の引当金を複利運用すれば、それでもって全部払えるという四割なんですよ。ということは、結局この退職金だってJR負担で払っているわけじゃないです、もちろんやめるときにはJRの名前で払うんでしょうけれども。しかし、その原資は引き継いできた退職給与引当金なんですから、今回の年金のように国鉄分の分までJR負担をするというのとは違うわけですよ。どうですか。
  266. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) ちょっと理解が違うと思います。  要は、JR継続して職員退職金について責任を持つ。そして、四割の積み立てをしてあったということでありますので、四割積んであれば全部支払えるということにはつながらないと思っております。
  267. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 ですから、これは大蔵省の税法の解釈によっても、十二年間平均して勤めるんだから四割を複利運用すれば何とかなるという、その四割じゃないんでしょうか。  私は、この退職金の今の問題をもってこの国鉄の期間の移換金の分までJRが払えというのはおかしいと思うんです。JRはその間については事業主でも何でもなかったわけです。別の会社だったわけです。別の会社の分の移換金までなぜJRは払わなければいけないのか。それは国民負担を回さないからということでは決して正当化できない、私は重ねてそれを申し上げまして、質疑を終わります。(拍手)
  268. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 日本共産党の宮本岳志でございます。  まず、総理にお伺いをいたします。  国鉄分割・民営化から十一年になりますけれども、大きな問題として、旧国鉄長期債務をどう解決するのか、これは今後六十年間にわたる重要な課題であります。また、未解決の問題として、一千四十七名のJR不採用問題もございます。  民営化に当たり、当時の橋本運輸大臣は一人も路頭に迷わせないと国会で言明をいたしました。これは公約と言うべきものだと私は思います。政府として、行政の一体性、継続性の責任から見て、この言明、この公約を当然守るべきだと考えますが、総理のお考えをお伺いいたします。
  269. 小渕恵三

    国務大臣(小渕恵三君) 橋本内閣時代のそうしたお約束、それを守るために今最善の努力をいたしておるわけでございますが、特にこの不採用問題につきましては、歴代の運輸大臣、労働大臣が政治決着に向けて労使双方に協力を求めてまいりました。  関係者の間で大きな隔たりがあるのが現状でございますが、過ぐる五月二十八日に地裁でJR勝訴の判決が出されたところでありまして、政府といたしましては、本判決が問題解決の契機となり得ると考えられることから、今後の関係者対応を見守りつつ、引き続き努力してまいる所存でございます。
  270. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 多分お間違えになったと思うんですが、これは橋本内閣時代じゃなくて、中曽根内閣時代の改革時の問題でございます。
  271. 小渕恵三

    国務大臣(小渕恵三君) 失礼いたしました。
  272. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 それで、この問題は、やはり十一年経過して国民の働く権利、生存権にかかわる重大問題だと私は思っております。  一千四十七名の労働者とその家族の皆さんはJRに採用されなかったためにアルバイトでの収入しかないというような状態、給食費すら払えなくつらい思いをしたという小学生、高校進学をあきらめざるを得なかった中学生など、本人はもとより、子供たちを初め家族全員が生活上で大変な思い、大変な犠牲を強いられてきた十一年だと思うんです。人道上からもこれ以上放置することは許されない問題だと思うんです。  総理、政府を含めてこれを早期に解決すべきだと考えますが、もう一度、そういう人道上の問題として放置できない、これについてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  273. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 五月二十八日の判決がJR全面勝利であったことは御承知のとおりであります。その後、この判決を一つの契機として、お互いに話し合いをしていって詰められないものか政党間でも御努力をいただいているところでございます。また、そこまでの経過として、運輸大臣なり労働大臣、時の所管にある方々が歩み寄りを求めてきたことは事実でございます。  JR全面勝利という一つの結果を受けて、例えば国鉄清算事業団とこの一千四十七名の方々がテーブルに着くという場面が生じてくるのか、そうなればそういった関係者の努力を見ながら我々としてなすべきことがあればやらなきゃならぬ、こういう対応をいたしているところでございます。
  274. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 総理は本会議での御答弁でも、今後の関係者対応を見守りつつ引き続き努力をしてまいる所存でございますと、こういうふうにも御答弁されておりますので、ぜひ今お話のあったような方向も含めてしっかりと対応、努力をしていただきたい、このことをお願いしておきたいと思います。  続きまして、私は低利借りかえの問題についてお伺いをいたします。  言うまでもなく、ここまで債務が膨らんできた要因の一つは利払いであります。我が党はこれまでも一貫して財投資金の低利借りかえを主張してまいりました。今回、財投資金の繰り上げ償還を行うとしていることは一歩前進だと考えております。これによって毎年六千六百億円の利払いが四千百億円に二千五百億円も減少するということは極めて重要でありまして、これまでの我が党を初めとする主張の正しさを示すものだとも考えております。  しかし、今回の法案で免除するとなっている八・三兆の無利子債務、これは長期債務の側から見れば無利子債務ですけれども、一般会計の側では決して無利子ではないんです。国民負担という観点から見れば有利子債務だと私は思います。この分の一般会計からの利払いは先日の本委員会での答弁でも六十一年以来既に総額で四兆一千七百五十億円に達している、こういうことが確認されました。  問題は、この無利子債務八二二兆円については繰り上げ償還を行わないとしていることが重大だと思うんです。平成十年度の予算を見ましても、この利払いは年四千三百億円を超えておりますけれども、八〇%は財投資金でございます。これを繰り上げ償還して借りかえれば、単純計算でも利払いは二千億程度下がるというふうに思います。  そこで、大蔵大臣にお伺いいたしますが、こんなに効果が明らかであるのに、この無利子の債務の方、このたび一般会計に引き受けるというこの分についてなぜ借りかえを行わないんですか。
  275. 中川雅治

    政府委員中川雅治君) 今回の国鉄清算事業団債務の繰り上げ償還でございますが、これは国鉄長期債務の本格的処理策の一環として、国鉄清算事業団が廃止され一般会計債務が承継されることによりまして資金運用部は従来貸し付けを行ってきた根拠、目的を喪失するという考え方のもとに、いわば本格的処理策の一環として清算事業団債務の償還を受けることを決断いたしたものでございます。  一方、先生から御指摘のありました既往の一般会計承継債務でございますが、これは今回のような本格的処理策の一環ということではなく、国鉄清算事業団がこれから発足する昭和六十二年三月末、あるいは清算事業団が存続中で本格的処理策が講じられるまでの業務を続行している中で、その時々の国鉄清算事業団債務を軽減するために、本来、国鉄清算事業団負担すべき債務一般会計において承継をした、つまり一般会計が肩がわりしたものでございます。言いかえれば、資金運用部と国鉄清算事業団の債権債務関係が資金運用部と一般会計との債権債務関係に置きかわっただけのものと認識すべきでありまして、その時点で繰り上げ償還という考え方はございませんでした。  この一般会計承継債務は以上のような経緯で生じたものでございますが、現時点におきましては、資金運用部と一般会計の債権債務となっておりまして、清算事業団債務とは完全に切り離されたものでございます。  この債権債務は現時点では約定金利で既に定められたスケジュールに沿って償還が行われているものでございまして、今回の本格的処理策の一環としての措置とは同列には論じられないものだというふうに考えております。
  276. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 できるだけ手短にお願いをいたします。  先ほど本委員会でも、今回の繰り上げ償還に関して、なぜ林野債務についてはそうしないのかと。例えば、清算事業団がなくなるからというのであれば、これは林野庁はなくなりませんし、林野特会は残るではないかという議論がございました。このときのお答えは、一般会計に承継するからでございますと、こう大蔵大臣はお答えになりましたが、これは一般会計に承継するのに、なぜこの分については償還しないのかと私は聞きたいんです。大蔵大臣、いかがですか。
  277. 中川雅治

    政府委員中川雅治君) 資金運用部がほかのところに貸している債権を一般会計が承継したという事例は過去にも幾つかございます。  したがいまして、一般会計が承継したということで繰り上げ償還をするということではございませんで、今回の林野の場合には、国有林野事業改善特別措置法が廃止されまして、いわゆる今までの資金の貸し付けの目的が失われる、それで今回の林野特別会計はいわば公益的な側面を重視した新しい考え方で生まれ変わる、そこの今後の林野特別会計には資金運用部は貸し付けをしない、こういうことで全体がセットになって繰り上げ償還という措置が講じられるものでございます。
  278. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 なかなか理解しかねる御答弁だと思うんですけれども、先ほどの御答弁、最初の御答弁を聞きましても、同じ旧国鉄債務であります、それは。今回の処理にかかわるものであるとかないとかという議論はありましたけれども、同じ旧国鉄債務でありますし、また同じように一般会計に承継しながらこれについては繰り上げ償還をしないというのは、筋が通らないというだけではなくて、このことによってどんどん膨らんでいっている利払い費、これがまさに隠れた形での国民負担になるということを私は指摘をしているわけであります。  ですから、これについても、この前、私はいろんな試算を出しましたけれども、膨大な額の国民負担ということになっていく可能性があるわけですから、改めてこの無利子債務と言われるものの利払い費についての一般会計での、何といいますか、国民負担の軽減、利払いの軽減ということをやるべきだというふうに思っております。  それで、総理にお伺いしたいんですけれども、総理は何度も、ここまで債務が膨らんできたというのは大変遺憾だということについては本会議の御答弁でもおっしゃいました。また、できるだけ国民負担を少なくするというお気持ちも持っておられると思うんですよ。その点で、先ほど申し上げたように、この分の利払いは借りかえないためにどんどん膨らんでいっていると。これは私が聞いているところでは八・三兆のうちの大体八割は財投資金だということですけれども、これもあわせて借りかえる、繰り上げ償還する、こういう御決断はいかがですか、されませんか。
  279. 小渕恵三

    国務大臣(小渕恵三君) 公社公団の分も含めまして、資金運用部の資金のあり方につきまして検討する過程でこの問題については考慮していくべきものと考えております。
  280. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 つまり、私が本会議で繰り返し指摘してきたように、この国鉄債務処理という問題は、二十八兆円ということが額で出ていますけれども、実際はさまざまなその他の国民負担の中身がある。七十兆ということも言いましたけれども、まさに今銀行の早期健全化という議論もやられて、ここでも六十兆とかいう議論がやられていますよ。私、本当にこういう議論を見て思うのは、住専のときには六千八百億という議論でありました。また、消費税や医療改悪のときには九兆円という議論でありました。そして今、ここで議論されているのはまさに六十兆、七十兆と。一体どこまで国民負担をかけていくのか、こういう点を本当に怒りを持って受けとめるわけであります。  次に、自動車重量税など道路特定財源の活用について質問をいたします。債務返済のための財源問題です。  我が党は、長期債務の解決のためには、JR本州三社に応分の負担を、このことと同時に、道路、港湾、空港など交通関係特別会計を一元化した総合交通特別会計をつくって道路特定財源を活用することを一貫して主張してまいりました。これは今や広く国民の間で世論になって広がりつつあると思います。マスコミや学識経験者の間にもそういう声が聞かれます。昨日の参考人質疑でも、日本大学の桜井教授、元国鉄再建監理委員会代表代行の加藤参考人、そして玉置和宏参考人、そういう皆さんも自動車関係税の活用に賛同を表明されたと思います。昨日お招きした参考人の半数がそういう所論を述べられたというふうに思うんです。  大蔵大臣は本会議での私の質問に、道路財源の活用について実は財政構造改革会議でもそういう有力な意見があった、しかしながら強力な反対があって困難だったと答弁をされました。また、別の場所での答弁では、何といっても、今のように既得権と申すと言葉が悪いかもしれませんが、はっきりそれらのものは使途が決まっておって、こういう新しいところに導入することには大変な抵抗がございましたと、こうお答えになっている議事録もございます。この既得権というのは一体何ですか、そしてどういう抵抗があったんですか。
  281. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) これはもう長い長い歴史のある話でございますが、結局、財政構造改革会議でも、理屈からいえば委員のおっしゃるようにみんな交通関係のものを一つにして財源を合わせたらそれで本当に、ですから学者さんはそうおっしゃいます。理屈はそうなんですが、おのおのの財源には法律によるものあるいは慣例によるもの等々いろいろありまして、道路は道路、自動車は自動車、もう何十年の貸し借りも含めまして、北方領土なんという言葉が実はあるぐらい、いつ貸した、いつ取り返すんだと、もう大変長い間のあれがございます、本当を申しますと。  ですから、ひとつ何かの機会にもう全部持ち寄って新しいことをやろうじゃないかとでもならない限り、財源の方が動いてこない。会計が仮にできましても、財源の方が来ませんから動かないというのが実は実情でございます。これは一種のある意味行政改革というんでしょうか、それとも行財政改革、税制改革というんでしょうか、大変にしがらみの多い問題でございます。
  282. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 大蔵大臣は私よりもずっと御年配ですので長い歴史も御存じなのかと思いますが、しかしこういうことについてさまざまな指摘がされております。  一橋大学の石弘光教授は、昨年五月五日付の日経新聞で、「ガソリンは酒、たばこと同じように担税物資である。過去の経緯に問題が残るかもしれないが、税理論から言って一般財源として用いてもまったく問題はない。」と指摘し、「揮発油税、自動車重量税などの税収を道路特定財源に自動的に割り当てている国は今日、世界広しといえど日本ぐらいなものである。」と、こう話っておられます。  ぜひお伺いしたいんですが、日本以外に自動車重量税や揮発油税を自動的に道路特定財源に割り当てている国がございますか、大蔵大臣
  283. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 申しわけありません、お答えできる者がおらないかと思います、大変複雑な問題なものですから。お許しください。
  284. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 ぜひ調査をして、このことについてもきっちりと調べていただきたいと思うんですね。  それで、私は、こうして学者の間からも非常識だという指摘をされているわけですから、この道路財源の活用に対してまさに踏み出すということが大事だと思うんですよ。これまでのしがらみというようなことをおっしゃいますけれども、まさにそのしがらみがここまで財政も行き詰まらせてきたし、長期債務の大もとにもなってきたと。私は、今ここで七十兆なんという負担国民にかけるという議論をやっているわけですから、そんなしがらみだとか既得権だとか、そんなことで国民は絶対に納得しないと。改めてこのことについての検討が必要だと私は思います。  こういう議論をやりますと出てまいりますのは受益者負担という言葉でございます。総理も答弁で受益者負担ということを言っておられました。  それで、私が指摘したいのは、交通政策に対してこういう受益者負担という考え方というのは今もう世界でも時代おくれになってきている、そういうこともぜひお考えいただきたいと思うんです。  昨日の桜井参考人も交通の社会的費用という考え方を紹介されました。交通の社会的費用というのはEU諸国などで今随分広がってきている考え方ですが、つまり騒音とか渋滞とか環境破壊とかさまざまな影響を例えば道路であれば自動車が与えている、だから当然その交通がさまざまな与えている、それを解決するためにかかる費用というものはやはりその交通に負担をさせていく、そのために交通全体をしっかりと体系的に見直して、交通の社会的費用という観点から例えば道路の財源鉄道に充てる、そういうさまざまな影響のないような分野にこのお金を使っていく、こういう考え方がドイツやEU諸国で広がっていると、こういうことも御紹介をいただいたところです。実際にこういう考え方に基づいてドイツでは鉱油税の鉄道への充当は当然とされておりますし、スウェーデンでも実際に鉄道に自動車関係税から資金を振り向けております。  大蔵大臣も本会議での私の質問に、将来の問題としては考える可能性があるとお答えいただきました。将来の問題と言わず、本当にぜひ早急にこのことについて踏み出すべきだと考えますが、大蔵大臣の御答弁をお願いします。
  285. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 恥ずかしいことを申し上げるようでございますが、例えば自動車と鉄道は一種の敵なんですね、おかしなことでございますけれども。競合関係にあるといったようなことを乗り切りませんと、この話は、本当に理屈としては総合交通体系というものがあっていいんですが、それこそ長い間の関係というものが深うございまして、しかしどうしても理屈でおっしゃれば、私は委員のおっしゃることは理屈としては当たっていると思わざるを得ないんですが、なかなか現実にその長い間の溝を埋めることができません。しかし、そういう努力はしなきやなりませんでしょう。
  286. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 最後に、自動車重量税についてお伺いをいたします。  自動車重量税創設の理由について、当時の福田国務大臣は、四十六年度予算では自動車重量税を一般財源として受け入れることにしたのです、したがって道路財源として発足しました自動車重量税はひもつきであるとかあるいは特定財源であるとかそういう形をとっておりません、七一年国会での答弁でございます。  自動車重量税は特定財源ではなく一般財源なんですから、いわば何の根拠もなく六千七百億円、これが道路特定財源に回されていると私どもは考えますけれども、せめて直ちにこの分は自動車重量税については長期債務の元本返済の財源に回すべきではないか。御答弁をお願いいたします、大蔵大臣
  287. 寺澤辰麿

    政府委員(寺澤辰麿君) お答え申し上げます。  先生指摘のとおり、自動車重量税の四分の三、これは国分でございます。残りの四分の一は地方の財源でございますが、四分の三の八割が現在道路財源として使われているわけでございます。税法上はその四分の三は国の一般財源でございますが、税創設及び運用の経緯から道路財源として現在使われているということでございます。
  288. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 世界広しといえどもそういうことをやっている国はないというわけですから、本当にこの点についても真剣に御検討いただきたい。  これまで議論してまいりましたように、政府は六十二年改革当時のルールというものを幾つも踏み破ってきた。JR債務承継額を不当に過小なものにし、それが実際と食い違っても気づきながら見直そうともしなかった。さらには、原則に反して売ってはならない土地を売却して大もうけするJR本州三社を黙認して、全く無責任対応に終始してまいりました。そして最後には、その不始末のツケを全部国民にツケ回しする。  このようなやり方は絶対に許されないということを強く指摘いたしまして、私の質問を終わります。(拍手)
  289. 村沢牧

    ○村沢牧君 私の持ち時間も極めて少ないし、したがって今までの我が党の主張や質問を確認する意味質問いたしたいと思います。  宮澤大蔵大臣、私はこの委員会に参加いたしまして、ちょうど今から十二年前、国鉄の分割・民営化のときの論議を思い出しております。私も実はあのときは社会党案の提案者といたしまして、民営化することはいいけれども分割は反対だということで、参議院では社会党の提案者になりまして、中曽根総理や橋本運輸大臣がそこに座りまして、いろいろと私たちの質問を受けたこともあります。  そのときのことを考えまして、十二年たっても変わっていない、同じことを言っているんだというふうに思うんです。例えば、そのとき社会党の案は結局成立しなかったけれども、自民、社会、公明、民社、新政クラブが満場一致で附帯決議をしているんです。  その中を見てみますと、十二年前も同じことを言っておったんだなと思い出すんですが、そのとき、「国鉄長期債務等処理については、六十二年度を含め、各年度の予算において的確な措置を講ずること。」、こういうことになっているんです。宮澤大蔵大臣はその後大蔵大臣をやり、総理もやったんですが、一体どういうふうに取り組んできたんでしょうか、ちょっとお伺いしたいのです。
  290. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) そのときのことも覚えておりますが、やっぱり役人が書きますと同じような文章になるという感じがいたします。問題をちょっと先送りしなきゃならない、しかし毎年の予算でその都度その都度で処理していこうというような気持ちがそこへ出ているので、抜本的な結論ができないものですから、そういうふうにやってまいったんだと私は思います。
  291. 村沢牧

    ○村沢牧君 大蔵大臣、これは役人が書いたのではなくて、今申しましたように各党がこういう附帯決議をしているんですよ。しかし、国会でこれだけの論議をし、附帯決議をしたことが今また同じような論議になっているんですが、一体政府はと。総理はこのときどういう立場だったか知らぬが、宮澤大蔵大臣はずっといろいろ取り組んできたんですから、今度の論議をしても、また何年たっても同じことだということになつちゃ困るんですね。しっかり取り組んでもらいたいが、いかがでしょうか。今まで話し合ったこと、債務の問題なり。
  292. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 今御審議中のこの二つの問題につきましては、抜本であるかないかという御議論はございましたものの、今まで長い間、毎年毎年融資でつないで延ばしてきて利子が積もってということは、やっぱりこの際ともかく一遍きちっとしょうというのがこのたびのお願いと思います。根雪は残りますけれども、もう新雪だけは太らないようにと、そういう意味でこのたびのことを私はお願い申し上げておると思います。
  293. 村沢牧

    ○村沢牧君 総理、国鉄債務法案の最大の焦点がJRの追加負担であるわけですが、いまだにJR関係理解が得られておらないということは、これは大変大きな問題です。したがって、引き続きJRの追加負担について関係者並びに国民理解を得るように努力しなければなりません。  あわせて、今後再びJR負担を求めることがないよう明確にすることが必要だと思いますが、総理はどのようにお考えで、どのように取り組んでいかれますか。
  294. 小渕恵三

    国務大臣(小渕恵三君) 今般のJR負担につきましては、衆議院におきましてこれが修正をされたわけでございますが、それに対して、当事者におきましては経営者としての御意見も聞いております。  いずれにいたしましても、今後とも十分な理解を求めていかなければならないというふうに考えております。
  295. 村沢牧

    ○村沢牧君 運輸大臣、いかがですか。
  296. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 先ほども御答弁申し上げましたけれども、今後もJR理解を求めて話し合いを続けてまいりたい、努力をしてまいりたいと思っております。  それから、根本問題でございます国鉄清算事業団が解散をされるとまさに国鉄の身分がなくなるということになります。そういった意味では、JRに今後違う形の負担がかかるということはあってはならないというように考えております。
  297. 村沢牧

    ○村沢牧君 今話がありましたように、JR年金追加負担を二分の一に軽減、圧縮するといっても、北海道、四国、九州の各旅客会社あるいは貨物会社につきましては厳しい経営環境にありますから、住民の足を守るという、モーダルシフトを維持する観点から、経営基盤の強化のため効果的な支援を講ずる必要があるんです。  そこで、必要な資金を長期無利子で貸し付けるとか、あるいは税制上の優遇措置、経営安定基金等の積み増しなどを行うべきでありますが、どういうふうに考えていますか、どういうふうにやりますか。
  298. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 民営・分割いたしました七社の中で、本州三社の経営は順調に推移をさせていただいております。三島、貨物につきましては、特に三島につきましては再三お話し申し上げましたとおり、経営安定基金からの果実というものが少なくなっております。そういったものもあわせて私どもは支援をしていかなければならない。今日の経済情勢というのは当初予定された経済情勢ではございませんので、できるだけの援助をしたい。その中で、無利子融資一千億円を予定いたしておりました。二分の一の負担になったからといってこれとは別物でありますので、十年度、一千億円の無利子融資を行いたいと思っております。また、税制上はこれから年末へかけての議論でありますので、できるだけの主張をしてまいりたい。  それから、財政的な支援として、私はこれが終われば北海道の青函トンネルを見たいと思っております。JR北海道にこの青函トンネルの補修の負担をすべてゆだねるというのはなかなか難しいだろう。そういった中で、私ども何ができるだろうかということで視察に行ってまいりたい、このようにも思っております。お説のとおり、できるだけの努力をいたしてまいります。
  299. 村沢牧

    ○村沢牧君 国鉄並びに国有林財源問題について、昨年、財政構造改革会議がありました。私もその一員として実は出席をさせてもらいました。大蔵大臣だけではなくて歴代総理も出席してこういう財源措置を講じたわけでありますが、そこで例えばたばこの問題についてもいろいろと問題がありました。ただ、その中で、たばこ生産だとかたばこ製造業あるいはたばこ販売業者等にしわ寄せをしてはいけないという強い声があったんです。  たばこを財源にすることについても問題はありますけれども、こういう問題に対して強く指摘があったんですが、大蔵大臣、どのように考えますか。
  300. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) それは当時、三党合意と申しますか、耕作者を初めたばこ小売店等々につきまして、こういう施策をとった場合になるべく打撃を緩和しなければならないという強い御意見があり、御異議があったことをよく承知しております。  それで、それでと申してはおこがましいかもしれませんが、ある程度、今度の八十二銭の値上げについて、恐らく小売のマージンといったようなことも起こってくるであろう。どういう申請をされますか不明でございますが、そういうことも心構えとしては考えておりますし、また耕作者の価格に対しても、引き上げるということはできませんまでも、大きな影響のないようにというようなことは事実上の行政では配慮をいたしておると思います。  ただ、十分であったかといえば、あるいはそう申し上げられないかもしれませんが、そのようなお約束があって、できるだけのそういう努力を政府としてもしておることは事実でございます。
  301. 村沢牧

    ○村沢牧君 先ほど申しました昭和六十二年の関係ですが、運輸大臣御承知のとおりに、特に職員の採用問題についていろいろ論議がありました。先ほど申しました附帯決議の中においても、本人の希望を尊重して、所属労働組合等による差別が行われることのないように格段の措置を講じなさい、あるいは政府の責任として国鉄改革のときには公的部門に採用するように努力しなさい、労働条件についてはこのようにしなさいと、これだけ附帯決議を何項目にもわたってやっているんですね。だから、この採用問題の解決に当たるべき清算事業団が解決することなく解散するということは極めて残念であります。  先ほど来、東京地方裁判所の問題も出ていますけれども、本当に政府並びに関係者がテーブルに着いて何とかしょうという努力をしてもらいたいと思うが、どうですか。もう長い問題です、これだけ国会で何回も決議しているんですから。その気持ちを伺いたい。
  302. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) そうした考え方の中から、社民党、さきがけ、自民党の中でプロジェクトチームができ上がり、この判決を契機にお互いがテーブルに着けないものであろうかと努力が重ねられております。そうした関係者の努力を見守りながら、運輸省としてもできることがあれば全力を尽くしてまいりたいと思っております。  なお、清算事業団は解散をいたしますけれども、この問題については鉄建公団が引き継いでいくということになります。
  303. 村沢牧

    ○村沢牧君 時間が余りありませんが、国有林問題について、私も先般来質問で要請しましたので、確認をしていきたいと思います。  大蔵大臣、確認いたしますけれども、労使間の合意ができて、農水大臣がこのようにいたしますと、そういうことで閣議決定を求めた場合、民間委託になじまない業務は国で実行する、あるいは山守的な技能者の森林事務所への人員配置が必要、こういう国会論議を踏まえて大蔵省として対応してもらいたいと思います。  改めて大臣の見解を伺いたい。
  304. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 林野庁におきましていろいろ労使の交渉が行われるわけでございますけれども、恐らく非常に厳しいことになると思います。  また、定員等については、総務庁長官の御所管でもございますから、そういう御相談もあるのでございましょう。それに先んじて私がかれこれ申すべきことではございませんけれども、恐らく与えられた状況が非常に厳しゅうございますし、特殊な業種でもございますから、農水大臣が最終的に閣議に請議されますときには、私としても農水省のお立場は十分踏まえて対処させていただくつもりでございます。
  305. 村沢牧

    ○村沢牧君 国有林の累積債務中、一兆円は林野特別会計処理する。大変厳しい問題だと思う。先ほど私が指摘をしたように、農水省が出している試算表のようにいきっこないんです。ですから、一体どういうふうに進むのか、この中間年度において見直しをする、そのことがどうしても必要なんだけれども、その辺、はっきりしてもらわなきゃ。大臣、どうですか。
  306. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 管理経営基本計画、五年ごとに見直すわけでありますが、これも毎年度公表いたしまして、必要とあらば見直しを含めて検討をさせていただくことになっております。  それから、財務状況債務状況につきましても毎年国会に報告をさせていただき、次年度の作業に資するようにしていきたいということで、毎年チェックをいただくということになっております。
  307. 村沢牧

    ○村沢牧君 今だって農業白書だとか林業白書を国会に出すことになっている。国会に出しただけじゃだめなんですよ。本当にできておるかどうか見直しをして、今までどおりいかなかったらそれを今度は検証していく、また直していく、そのことをしなきゃだめですから、ぜひやってください。  それから、この累積債務の問題について大蔵大臣にお伺いしたいんですが、法律によって新しい制度がいろいろ出てきます。しかし、それは政令の定めるところによって、政令で決めていくわけですね。やっぱり国有林野事業を抜本的に改革していくためには、その政令について、本当に改革するにふさわしいような政令にする。そしてまた、今までもいろいろ言ったけれども、大蔵省、農林省が言ったような形になっていない。やっぱり大蔵省も見直しをしたものについてはそれだけの予算をつけていくという考えがなくては、またそういう態度がなくてはいけませんので、改めて要求をしておきます。  時間が来ましたので、大蔵大臣の答弁を求めて、私の質問を終わります。
  308. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) このたびは公益的、公共的な行政の性格から独立採算制も改めたわけでございます。しかも、一兆円というのは私もこれはなかなか大変なことだろうと内心は思いますので、できますことはできるだけ誠実に財政の方もやってまいりたいと思います。
  309. 戸田邦司

    ○戸田邦司君 自由党の戸田邦司でございます。  大分時間も過ぎてまいっておりますし、また短時間でいろいろお伺いするというわけにもまいりませんので、幾つかの点について確認をしておきたいと思います。  まず第一の点でありますが、私は、今度の問題で問題を複雑にしたといいますか、国民の目から見ると甚だわかりにくくした、これは政府に責任があると思っております。  例えば、平成八年に年金の移換問題を検討したときに、千七百億と七千七百億、そういうような仕切りをした。あれは国民の目から見ると、あれでおしまいになったかな、おしまいだろうとだれもが思ったと思いますね。それで、現在その三千六百億に関する限りはJR負担するのが正当である、こういうことになっているわけでありますが、あのときに、その当事者、政府側もJR側も何の確認もしていない、これが一番問題を複雑にしたんじゃないかと思っております。  今、長期債務処理の問題を検討している最終段階ということになるかと思いますが、私は年金の問題がこの問題をとらえるときに非常に問題を複雑化してしまったというふうに考えております。これは政府とJRだけに責任があったというわけではなくて、あのときに立法府も一言言うべきであったかもしれない、そういう意味で立法府にも、国会にも責任があったかと思います。  そういうことで、今回のこの問題について、やはり常日ごろからこの問題の本質はこういうことであるということを国民にわかりやすく説明していく、それが国の責任ではないか。特に、今回の問題については最終的には納税者が負担していく、これは年金の問題についても一部負担しなければならない、また長期債務処理についてはもちろん国民がそれを負っていかなければならない、そういうような仕組みに相なっているわけでありますから、その国民理解を得る努力、これを相当かたい決心で進めていっていただきたいと思います。  それからもう一点、これはよくあることなんですが、先ほどからウォール・ストリート・ジャーナルにこう書いてある、あるいはニューヨーク・タイムズにこういうふうに出ていると。そういったことが正しいのであればそれはそのままでよろしいかと思いますが、もしそれが正しくないというならきちっと反論しておいていただきたい。これが国の利益を守っていく、国の評価を守っていくための最低限のやり方ではないか、そういうことを思っております。  これについて総理大臣の御決心をお伺いしたいと思います。
  310. 小渕恵三

    国務大臣(小渕恵三君) いずれにいたしましても、国民負担なくしてはこうした問題は解決できないわけでございますので、そのための理解を求める努力を傾注していかなきゃならぬということはそのとおりかと思います。その点で十分でなかったと申されれば、我々もさらに反省をしながら国民の皆さんのより一層の御理解を求めていきたいと思います。  また、今御指摘にありました外国その他におけるこの問題についての指摘につきましては、これまた適時適切に対応して、そうした問題の本質についての理解を諸外国において、今回のJR民営化に伴っての株主の権利その他につきましていろいろ御指摘があった点についても、今回の法律のあり方につきましても、十分説得をしていく努力はいたさなきゃならぬと考えております。
  311. 戸田邦司

    ○戸田邦司君 ぜひその点はしっかりと進めていただきたいと思います。  次に、今回の年金で新たな負担JRに求めるという件について、今の各社の経営状況などを考えますと、北海道、四国、九州、この三社に関する限りは経営安定基金などを積んで相当支えてきていたつもりであったかもしれませんが、ここ数年の低金利でそういう経営安定基金の効果というのが全くなくなってしまっている。また、JR貨物に関する限りは、これは相当抜本的なことを考えなければここ数年のうちに黒字さえ危ぶまれる。  そういうような状況になっているわけでありますから、この四社に対しては、設備投資なりそういった面で金融上の面倒を見るとか、そういったことを注意深く観察しながら相当手厚く進めていかなければならぬということではないかと思いますが、この点について運輸大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  312. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 御指摘いただいたとおりだろうと思います。  六十二年改革の当時、七社を民営・分割し、果たして自主独立経営でやっていけるだろうかとみんな心配したものでございました。そういった中、本州三社が経営の実を上げて、まさに安定した経営をされておる、大きく評価をしてまいりたいと思います。一方で、経営安定基金を設けなければなかなか利益の確保は難しいだろうという中で三島なり貨物はスタートしたということも事実であります。  そういった意味で、今の経済状況に照らして私どもは何をなすべきかしつかり考えていかなきゃならぬと。無利子融資というものも考えたいと思いますし、これは一千億ということで御答弁申し上げております。それから、税制等につきましても年末に議論をしてまいりたい、このように思っております。  私は就任いたしましてまだ数カ月でございますけれども、正直、御陳情を受けておりまして、一番多いのが新幹線かと想定いたしておりましたら、実は東京の地下鉄の話が一番数が多うございます。営団地下鉄、国から三五%補助、都から三五%補助で、まさに上下分離でしたが、つくられる、そして経営をしていく、それでも経営がなかなか難しいですよというのが都市部における交通の実態であることも事実であります。  過疎地域の問題等を考えていったときに、私どもは何をなすべきか十分勉強しながら努力をしてまいりたい、また御指導もいただきたいと思っております。
  313. 戸田邦司

    ○戸田邦司君 先ほど来、雇用の問題が議論されております。この問題、JR不採用の問題もありますが、その前に、清算事業団が解散されるということになりますと、今一千百名ぐらいの人たちが働いているわけですが、この人たちの今後の職場の確保について、既に仕組みを考えておられるということでありますが、ひとつお話しいただければと思います。
  314. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 今お話がありましたように、現在千百名ぐらいの職員になっております。平成八年度におりました職員JR各社、省庁、特殊法人、また民間にも行っております。また、合わせて三百名ぐらいが今後の見通しがついているところでございます。残り八百名の問題について、これからまさに省を挙げて取り組まなければならないと思っております。  また、御可決をいただきましたならば、一週間ぐらいで清算事業団の解散の手続に入ってまいりたい。鉄建公団に移ることになります。仕事をすればするほど、土地を売れば売るほど自分の仕事が少なくなるというのが実態でありますので、将来保障という立場でまず再就職先を決めて、そこから出向みたいな形での取り扱いをしていただければありがたいなということで全面的な努力をしてまいりたいと思います。
  315. 戸田邦司

    ○戸田邦司君 先ほど来議論されてまいりましたJR不採用の千四十七名の問題、これは既に御答弁いただいておりますが、やはり国鉄改革の入り口は成功した、今その出口に向かいつつあって、すべてが解決するというわけにはいかないと思います。しかし、国鉄改革の成功のいわば大きなかぎの部分と言うことができるのではないかと思います。こういった面についてもきちっとした解決ができない限り国鉄改革が成功したとは言えない、そういうふうに私は受け取っております。  先ほど来の御答弁ではありますが、やはりもっと積極的に政府がそれなりの努力をしていただくということが必要なのではないかと思いますが、運輸大臣、この点についてお伺いしたいと思います。
  316. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) この問題の解決に向けて当時の与党間で話し合いが行われ、また当時の政調会長からも一つの提言が出されていることは事実でございます。また、裁判の結果というものも受けながら、どのようにこの問題を展開させていくか、まさに関係者が御努力をいただいておりへまた私ども自由民主党もその中に入らせていただいております。  いい糸口が見つかれば私どもも努力をしたい、また糸口が見つかるよう私どもも側面から援助ができればと、このように思っております。
  317. 戸田邦司

    ○戸田邦司君 この一点で最後にしたいと思いますが、実は国有林野問題、一兆円の債務を残してこれを返済していくという計画になっておりますが、さまざまな状況を考えますとこの一兆円の返済というのは非常に難しい、私はこう考えております。  そこで、その返済計画を立てて、いろいろリストラもしというふうに進めていくことになると思いますが、経済状況その他諸般の状況が変わってくると必ずこの計画というのは見直さないといけない。国鉄長期債務の問題だって、六十二年に計画を発表して、それを途中で状況が変わったところですぐにその状況に応じて変えていくというような努力が足りなかったために最後にこういうようなことになってしまったというところが私はあると思います。  それと同じとは申し上げませんが、こういった国有林野のような改革を進める場合に、そういう状況変化に応じて計画を変えていく、勇気を持って変えていくということがないと、また債務債務を生んでいくというような状況にもなりかねないかと思いますが、こういったことについて今後の対応も含め総理の御見解をお伺いしておきたいと思います。
  318. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 五十年間で一兆円の剰余を出して、現在の三・八兆円のうちの一兆円をお返ししょうという、ある意味では非常に期間の長い壮大な計画でございます。  なぜこれが成り立つのかといえば、木が五十年、百年という長いタームで営々として日本国土の中で生い茂ってきている恩恵をこうむっているということが一つの原因にあると思います。  一方、五十年を経済的に予測しますといろんな状況があるわけでございまして、過去五十三年以来四回にわたる計画もいずれも見通しと違ったことになったことは先生方の御指摘のとおりであります。  しかし、逆に考えますと、現在の置かれている経済状況、このデフレ経済の状況を一刻も早く脱却することによって逆に計画よりも早くよくなるということも考えられるわけでございますので、ぎりぎりのスリム化をした上で皆様方の御理解をいただいて、本来の公益的な機能と一部の生産機能とをうまくミックスいたしまして、国有林野国土機能を守りながらやっていくという前提でこの計画を進めていくことによって計画どおりになっていくことを私は確信して、この法案の御審議をお願いしているところでございます。
  319. 戸田邦司

    ○戸田邦司君 時間も参りましたので、これで終わります。(拍手)
  320. 西川きよし

    西川きよし君 よろしくお願いいたします。  いよいよ私で最後になりましたが、私はまず今回の旧国鉄債務について、納税者のコスト意識についてぜひお伺いしてみたいと思います。  昨日の参考人質疑のときにもお尋ねをしたのですが、今回の旧国鉄債務の問題で、これだけ莫大な金額を長期にわたって負担をしなければならない問題でありながら負担をお願いされている国民の関心というのがともすれば小さいのではないかな、そういう面があると思います。  例えば、先日、年金審議会の意見書が提出されたことが大きく報道されました。そのときにはたくさんお便りをいただいたり、お電話をいただいたりいたしました。びっくりいたしました。若い方からお年寄りまでいろんな御意見をちょうだいいたしました。現実に、今回の問題は一部の関係者を除いて一般生活者というような方々からは、それはおかしいではないか、それはやむを得ないのではないかというような声はなかなか私の方にはいただきませんでした。  これは、やはり今回の負担のあり方が、例えば直接に現金で払うとか、たばこ以外は値上げがされるといったことがないがために一般生活者の中にまでなかなか浸透しなかったのではないかなというふうに思うわけですけれども、今回の旧国鉄債務の問題に対する国民の意識という点についてはどのように感じておられるのかというのをぜひ僕は運輸大臣にお尋ねしてみたいと思います。
  321. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 御指摘いただいたとおり、確かに国民の関心は低いと思っております。  私は昭和二十二年生まれでございます。先生は昭和二十一年生まれ、戦後生まれの者として、将来、十五年後、二十年後の年金問題、医療問題、介護の問題等を大変不安に感じる、だから財政再建に取り組んで将来きちっとしなきゃならぬ、これが去年の世論であったと思っております。  しかしながら、経済の極めて厳しい低迷期を迎えて、財政再建議論よりもきょうの糧を、きょうの経済を一日も早く立て直すのが優先である、こういった時代背景の変化というものが、少しこの問題、まさに長期債務という問題について国民の関心を呼ばない理由になっておるのかな、それだけに私どもは今回の処理結果というものをやはり国民にしっかり知らせていかなきゃならないだろうと。また、衆議院でも御指摘をいただき、先ほども御指摘をいただいたわけでありますけれども、国内だけでなく国際的にも今日の状況、この問題点というものは御報告していかなきゃならないだろうと思っております。  また、この採決が終わったから終わったという話ではなくて、来年以降国会へ報告し、そしてマスコミ等を通じて情報公開しながら、この債務処理状況というものは明確にしていかなければならないだろう、このように思っております。
  322. 西川きよし

    西川きよし君 大蔵大臣にもこの意識について一言いただけませんでしょうか。
  323. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 恐らく国民が普通に考えておられることは、JRというのはとてもよくやっているじゃないか、それを何だかもう分かれてから随分時間がたつのに、何か古い証文みたいなものを持ってこられて取られるというのは何かかわいそうだなと。それから、たばこの方は、何でたばこに関係あるんだろうかというような、簡単に申しますと、きっとほとんどの国民がそう考えていらっしゃる。実は国がこういう債務があって、そうでもしないと、一般会計からと私どもは申しますが、一般会計と申し上げても国民は御自分のことだとはお思いになりませんから、そうじやなきゃ自分に返ってくるというふうな意識はほとんどお持ちになっていないんじゃないでしょうか。
  324. 西川きよし

    西川きよし君 ありがとうございました。  これまでの政府側の答弁の中で、最終的に国民負担を求めざるを得ない場合にあっても、国民に受け入れやすい負担として、国民生活上必ずしも強制感を伴わないものとする必要があるということをおっしゃっておられます。  私が考えるには、少々強制感が伴うにしても、そのことによって国民に深く関心を持っていただく、より理解を深めていただく、そして納得した上で負担をしていただくというようなことも必要ではないかなというふうに思うわけです。そうすれば、今後の債務の実情、広く交通政策、そういう意味におきましてもしっかりと注意をして意識も強く持っていただける、政府側もその都度しっかり説明をしていただかなければいけないと思うんですけれども、そういう意味ではむしろ強制感が伴うというような、そういうことも僕は必要ではないかなというように思うんですけれども、運輸大臣、いかがでしょうか。
  325. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 大変勇気のある発言だと思います。  しかしながら、先ほど申し上げましたように、今日の経済情勢というものを考えたときに、今新たなる御負担、まさに痛みの伴う御負担を出してかえって経済の足を引っ張るということがあってはならない、消費者のまさに購買意欲というものがまた下がるということがあってはならぬ、やっぱり今は何とか国民に明るさを与える時期ではなかろうかなと思っております。  ただ、御説のとおり、先ほど年のことも言わせていただきましたけれども、まさに我々は財政再建という問題を大きな課題としてとらえなきゃならぬ、これはまさに国民の痛みを伴う、勇気を持って言うときは言わなければならないだろうと思っております。
  326. 西川きよし

    西川きよし君 国会に参りまして十二年になりますが、ここは毎日の生活の中では本当にわからないことだらけで、何か国会に来ているだけで私たちもいい生活をしたり、ひょっとしたら特権やそういう地位を利用しておいしいこともあるのではないかなというふうに思いますし、我々もそう思ってまいりました。でも、ここのことはなかなか本当にわかりません、ここへ参りましてもわかりませんし。ですからこそ、まじめに庶民の代弁者としていろいろ勇気を持って是々非々を基本に自分はやらせていただいておるんですけれども、なかなか難しい。きのうも参考人先生がおっしゃっておられました。国民にとってなかなか受け入れられない強制感を先送りしているという自覚を持ってやっていかなければならないというふうにある先生がおっしゃっておられました。  今回の法案が成立をしてこの処理策がスタートしたといたしまして、この問題は国民理解を深めていく努力というのが大臣も今おっしゃっておられましたけれども非常に難しい問題であると思います。  もう答弁はいただきませんけれども、ぼつぼつおしまいになってまいりましたので、最後にぜひこれだけは質問させていただきたいと思いました。  余り林野庁の方にはお伺いすることはなかったんですけれども、私は実は高知県で生まれました。幼いころ父親が材木商と工務店をやっておりまして、私が七歳か八歳ごろに失敗をして大阪に出てまいりました。すぐに山があって川があって、大変すばらしいところでした。  今回、こういう議論をお伺いしながら子供のころを思い出しておったんですけれども、毎日の生活の中で東京とか大阪で慌ただしく生活をしておりますと、ややもすれば緑だとか水、そして空気、人間が生活をする上で最も大切なものを当たり前のように錯覚することが多々ございます。  しかし、そうした陰には、いわゆる見えないところで森林を育てていらっしゃる多くの方々の御苦労、また病気になった方々の心をいやしたり、そして子供たちの教育の場として、また福祉の場として、いろいろと勉強をさせていただきましたが、いろんなこともやっておられますし、木、山というものは、この議論の中でもお伺いして、本当に大切な役割を果たしていると私も改めて認識を深くいたしました。  政府は国有林改革を行おうとしている中で、そうした私たちの生活を支えていただいている一万三千五百人の国有林職員立場を、そしてまた事業団の方々の再就職もそうですけれども、本当に皆さん方の立場になってこの一万三千五百人、ぜひとも皆さん方の心を大切に今後お取り組みいただくということについて、心からの御答弁を総理大臣に言いただければと思います。
  327. 小渕恵三

    国務大臣(小渕恵三君) 常々、委員が働く方々あるいはまた弱者の皆さんのお気持ちを心として御質疑いただいて、また歴代政府の者も答弁させていただいておりますが、改めて敬意を表しております。時々、委員が全国から寄せられたお手紙を紹介しながら、そうした方々の気持ちを体しながらお仕事に専念されておること、改めて敬意を表します。  今の山で働く方々、私も生まれが山間地でございまして、特に林野の多いところで育ちました。黙々として山に入って木を育てておられること、大変な作業をされておると思っております。そうした意味で、目立たないところかもしれませんけれども、我が国土を守り、またその中で林野を守っていく方々をしっかり見守ってやらなきゃならぬ、こう考えております。  ぜひ我々も、今回の法律は法律でございますけれども、そうした方々に対する愛情を持って今後とも対処いたしていかなきゃならぬ、今の御質問を承りまして心から感じた次第でございます。
  328. 西川きよし

    西川きよし君 ありがとうございました。(拍手)
  329. 中曽根弘文

    委員長中曽根弘文君) 他に御発言もなければ、六案件に対する質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  330. 中曽根弘文

    委員長中曽根弘文君) 御異議ないと認めます。  暫時休憩いたします。    午後六時四十三分休憩      —————・—————    午後六時五十三分開会
  331. 中曽根弘文

    委員長中曽根弘文君) ただいまから日本国有鉄道清算事業団債務処理及び国有林野事業改革等に関する特別委員会を再開いたします。  日本国有鉄道清算事業団債務等処理に関する法律案外五案件を一括して議題といたします。  この際、日本国有鉄道清算事業団債務等処理に関する法律案の修正について寺崎君及び宮本君から発言を求められておりますので、順次これを許します。寺崎昭久君。
  332. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 私は、日本国有鉄道清算事業団債務等処理に関する法律案に対し、民主党・新緑風会及び公明を代表いたしまして、修正の動議を提出いたします。  その内容はお手元に配付されております案文のとおりでございます。  これよりその趣旨について御説明いたします。  鉄道共済年金厚生年金への統合に伴って必要となったいわゆる年金移換金の負担問題については、平成八年の厚生年金法等改正法の規定によりまして、年金受給者の旧国鉄期間分清算事業団負担し、JR期間分はJR負担することと決定され、既に決着済みの問題であります。  しかるに、政府は、今回の法律案によりまして、旧国鉄期間分についてもJR社員となった者の移換金の負担JRに押しつけようとしているのであります。  そもそも年金移換金の負担事業主としての負担である以上、旧国鉄期間には存在しなかったJRが旧国鉄事業主としての負担を負うべき筋合いは全くないにもかかわらず、今回、法律によって民間企業であるJR負担を強制しようとすることは、国鉄民営化の趣旨に反するばかりでなく、わずか二年前に法律で決着済みの問題を合理的な理由もなく変更を迫るものであり、民主主義のルールにも反するものであります。  したがって、今回の法律案におけるJRに対し負担を強制する規定は削除されるべきであります。  なお、この点につきましては、衆議院においてJR負担分を二分の一にする修正がなされましたが、JR負担分そのものが削除されるべきであります。  以上が修正案提案の趣旨であります。  次に、修正案の概要は次のとおりであります。  一、日本国有鉄道共済組合等の長期給付事業の   厚生年金への統合に伴う費用負担に充てるも   のとして日本国有鉄道清算事業団負担する   こととされていた額については、政令で定め   るところにより、日本鉄道建設公団が負担す   るものとすること。  二、その他所要の規定整備するものとするこ   と。  以上であります。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  333. 中曽根弘文

    委員長中曽根弘文君) 次に、宮本岳志君。
  334. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 私は、日本国有鉄道清算事業団債務等処理に関する法律案に対し、日本共産党を代表いたしまして、修正の動議を提出いたします。  その内容はお手元に配付されております案文のとおりでございます。  これよりその趣旨について御説明いたします。  旧国鉄長期債務約二十八兆円の処理をどう進めるかが今問われております。政府案は、旧国鉄長期債務の元本返済財源について、歳入歳出の見直しによる財源確保と言うだけで、旧国鉄債務とは何ら関係のない郵便貯金特別会計からの繰り入れ、たばこ特別税を財源とするなど、国民負担に転嫁するものとなっています。しかし、本来この長期債務処理は発生原因と責任に即して解決を図ることを基本とすべきであります。  政府は、十一年前に国鉄を分割・民営化したとき、長期債務問題の解決を図ることを最大のうたい文句にしましたが、実際には分割・民営化によって発足するJRを不当に優遇して、国鉄の優良資産をただ同然で引き継がせました。一方、国鉄清算事業団には長期債務二十五兆五千億円を引き継がせ、土地売却などにより約十四兆六千億円もの返済が行われたにもかかわらず、実際には債務は約二十八兆円にも膨らんでしまいました。これは、清算事業団が利払いのために新たな借金を重ねるという悪循環を繰り返し、本来返済に充てるべき資金まで他に流用するなど、有効な対策をとらなかったことにあります。これを放置してきた政府の責任は重大であります。  本修正案は、これらの経緯を踏まえ、JR本州三社に応分な負担を求めるとともに、道路特定財源を活用した総合交通特別会計の創設、長期債務返済資金の流用をやめさせる所要の措置を講ずることにより、国民に新たな負担増を求めることなく長期債務処理を図るものであります。  次に、修正案の概要につきまして御説明いたします。  第一に、国鉄分割・民営化時の閣議決定基づ原則に照らしてもJR本州三社の債務承継は過少であり、これを是正するための措置として、応分の負担を求める措置を講ずるものであります。  第二に、約二十八兆円に上る長期債務の返済について、新たな国民負担なしに行うために、道路特定財源等の見直しによる道路、港湾、空港等の交通関係特別会計を一元化した総合交通特別会計を創設、新幹線鉄道施設の譲渡の対価の活用など、財源確保の必要な措置を講ずることにしています。  以上がこの修正案の提案の理由及びその内容であります。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたしまして、趣旨説明を終わります。
  335. 中曽根弘文

    委員長中曽根弘文君) これより六案件及び各修正案について討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  336. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 私は、民主党・新緑風会を代表して、日本国有鉄道清算事業団債務等処理に関する法律案に対して、民主党・新緑風会及び公明の修正案に賛成し、原案並びに民主党・新緑風会及び公明以外の修正案に対して反対、並びに一般会計における債務承継等に伴い必要な財源確保に係る特別措置に関する法律案に対して反対の討論を行うものであります。  国鉄長期債務は、法令に基づき、国鉄清算事業団すなわち国の債務JR債務とに明確に区分されたものであったはずであります。JR各社が着実な債務返済を行ってきた一方で、国鉄清算事業団債務は、当初二十五・五兆円であった債務が、土地や株式の売却を行ったにもかかわらず、平成九年度首で二十八・一兆円にも膨れ上がっております。したがって、国鉄清算事業団債務増加の原因をきちんと検証し、責任を追及するべきものであり、JRに追加負担を求めることは筋違いとしか言いようがありません。  さらに、昭和六十三年の閣議決定で土地処分収入等の自主財源を充ててもなお残る長期債務等については最終的には国において処理するとされていることを想起すれば、いわゆる年金移換金をJR各社に求めることは、この閣議決定に明らかに反するばかりでなく、法的にも社会常識としても正当性に欠けるものであります。  さらに、二年前の国会において厚生年金保険法等の改正が行われ、平成九年四月より行われた日本鉄道共済年金厚生年金への統合に伴い、移換金の不足額として清算事業団が約七千七百億円、JR各社が約千七百億円を負担することで最終的な決着を見ているのであります。したがって、JR負担を半額にすればよいという問題ではありません。  民主党・新緑風会及び公明は、JR負担については、これを削除する修正を求めているところであります。  次に、債務承継財源確保法案でありますが、国鉄清算事業団長期債務国有林野債務処理のために、郵便貯金特別会計から毎年二千億円程度、合計一兆円、たばこ特別税を新設し毎年二千二百四十五億円程度を一般財源に繰り入れることになっておりますが、長期債務と全く関係のないところから財源を持ってくるといった手法は納得のできるものではありません。  政府は、最終的に国において処理するとの約束を守り、社会常識に反するやり方、あるいは課税の公平性にもとる手法ではなく、まずみずからの責任を明らかにした上で、本当の行政改革と地方分権、むだな公共事業の中止、事業費の縮減などにより、一般会計の健全化の中から財源を見出す努力をすべきであります。  また、本委員会で同時に審議されました国有林野改革法案については、破綻した国有林野事業会計に今後も一兆円の債務を残すなど、抜本改革からはほど遠く、断固反対であることをあわせて申し上げ、私の討論を終わります。(拍手)
  337. 鈴木正孝

    鈴木正孝君 私は、自由民主党、社会民主党・護憲連合、自由党を代表して、国鉄債務処理法案等六案につき賛成、民主党・新緑風会、公明提出の修正案、日本共産党提出の修正案に反対の立場から討論を行います。  最初に、日本国有鉄道清算事業団債務等処理に関する法律案についてであります。  約二十八兆円にも及ぶ国鉄清算事業団債務処理はもはや先送りのできない最重要課題であります。そして、現在行っている事業団債務償還等のための緊急措置としてのつなぎ資金も十一月中には底をつく見通しであり、この異例の事態を一日も早く解消しなければなりません。  今回の処理策の焦点であるJR各社に対する年金負担の追加は、衆議院における修正において、清算事業団負担することとされた移換金負担のうち、JRの社員分について事業主であるJR負担JR各社の経営状況も勘案して半分に軽減しております。これはJR平成九年四月の年金統合前まで行ってきた企業としての負担と同程度であり、適切な措置であります。  次に、国有林野事業改革のための特別措置法案等についてであります。  現在、国有林野事業はまさに危機的な財務状況に直面しております。国有林野国民共通財産であり、国土保全等、その使命を果たすためには今抜本的な改革が必要であります。  今回の改革案は、管理経営の方針を公益的機能重視へ転換し、保健利用の活用、さらに民間事業者への委託、組織機構の合理化、累積債務の縮減を図るものであり、これら関係四案を成立させ、早急に実施しなければなりません。  最後に、債務の承継に伴う財源確保法案についてであります。  我が国財政は危機的状況にあり、財政構造改革の先送りは許されません。  今回は、現在の財政状況を踏まえながら、国鉄及び国有林野問題の抜本的処理の一環として、郵便貯金特別会計から一般会計への繰り入れ、たばこ特別税の創設等、可能な限りの努力をして財源を補完するものであります。国を挙げて、また国民理解を得ながら、将来の世代に過大な負担を残すことがないよう果敢に処理を行おうとするものであり、適切な措置であると思います。  以上、賛成の理由を申し上げ、私の討論を終わります。(拍手)
  338. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 私は、公明を代表いたしまして、ただいま議題となりました政府提出の森林法等の一部を改正する法律案並びに民主党・新緑風会、公明提出の日本国有鉄道清算事業団債務等処理に関する法律案に対する修正案に賛成し、その他四法案、一承認案件に反対する立場から討論を行います。  今回の法案審議を通し、本法案がその場しのぎの法案であり、抜本的処理策とはほど遠い法案であることが明確になったと考えます。根拠もあいまいで筋の通らない本法案がもし成立するようなことがあれば、行政改革のモデルと言われた国鉄改革に大きな傷をつけ、日本が世界の笑い物になってしまうことを私は非常に危惧いたします。  以下、反対する理由を申し述べます。  第一に、JR年金移換金に対する追加負担の問題でございます。  この問題は平成八年の国会審議を経て既に決着済みの問題であり、一方的理由によりJRに追加負担を求めていることは、当時の議論を全く無視した国会軽視そのものであります。  そもそも、国鉄清算事業団は旧国鉄の後継体であり、その債務は当然国において処理すべきものであります。今申し述べた処理というのは負担という意味であります。今回のJRの追加負担は、国の債務民間企業に負わせることを意味し、官民の役割分担の明確化による行財政改革の遂行に逆行するものであります。  そして、自己責任原則からいえば、筋が通れば全額負担、筋が通らなければ全額非負担であります。半額負担であること自体、まやかし以外何物でもありません。また、当事者でありますJRの合意、納得が得られていないということも問題であります。JR側も、法案成立後、違憲訴訟を起こす構えがあるとも報道されております。この強制的追加負担は、政府・与党のおごりであり、暴挙と言わざるを得ません。  反対の第二の理由は、国鉄債務並びに国有林野債務処理と、郵貯特会の特別繰り入れあるいはたばこ特別税の創設の間に、いかなる因果関係も存在していないということであります。余っているから持ってくる、また取りやすいところから取るスキームでは、全くの御都合主義であります。  第三の理由は、元本償還の問題であります。  大蔵大臣みずからお述べになったように、元本償還については何も決まっていないのと同様であります。国民の皆様に対し、納得のいく財源を明らかにし、明確な償還スケジュールを指し示し、旧国鉄並びに国有林野の愚を二度と繰り返さない計画を示すことが政治への信頼回復の第一歩と考えております。  最後に、第四の理由として、政府・与党の責任が全く明らかにされず、だれも納得できる責任をとっていないということであります。  民主、公明提出の修正案は、政府提出法案の問題点の中で、最重要問題だけについて修正することを目指したものでございます。  委員各位の御賛同を賜りますようお願いをいたしまして、私の討論を終わります。(拍手)
  339. 須藤美也子

    須藤美也子君 私は、日本共産党を代表して、森林法案を除く国鉄債務処理法案初め政府提出の五案件及び民主党、公明提出の修正案に反対、日本共産党提出の修正案に賛成の討論を行います。  まず、これら重要法案をたった三日間の質疑で打ち切り採決することに厳しく抗議するものであります。  国鉄債務処理法案に反対する第一の理由は、債務返済計画が抜本的処理とはほど遠いものであるからです。  政府は抜本的処理策を先延ばしにして、債務を二十七兆八千億円へと増大させました。その上、法案は、当面の利払いのみに対応するだけで、元本返済財源には全く裏づけがないものです。こうした無責任対策は容認できません。  第二は、巨額な債務のほとんどを何の責任もない国民に押しつけるものだからであります。  質疑では、政府の債務返済計画が過去と将来の国民負担総額が七十一兆一千億円と国家予算に匹敵することが明らかになりました。しかも、利払い財源は、旧国鉄と全く関係のない郵便貯金特別会計からの繰り入れやたばこの増税分を充てることになっています。国民への債務の押しつけは絶対に認めるわけにはいきません。  第三に、国鉄分割・民営化の際における債務負担のルールに照らせば、本来、JR三社に応分の負担をさせるのは当然なのに、こうしたやるべきことをせず、国民負担をふやすのは許されないことです。  なお、民主党、公明提出の修正案は応分な負担を行うべきJR三社の負担をなくすもので、賛成できません。  今求められることは、交通関係特別会計を一元化した総合交通特別会計を創設するとともに、むだな投資をなくし、債務返済の財源を安定的に確保することです。JR本州三社への追加負担分も合わせるならば、年間四千二百億円程度の財源確保は可能であります。  次に、国有林野関連法案についてであります。  累積債務が三兆八千億円に膨らんだ原因は、独立採算を押しつけたまま木材の輸入自由化を進め、赤字対策として高金利の財投資金を投入し続けてきた政府の失政にあることは明らかであり、そのツケを国民負担に回すことは許されません。これが反対の第一の理由です。  第二は、営林署の統廃合、人員の大幅削減が国有林野事業を事実上の機能停止にさせ、国有林公益的機能を守ることができなくなるからであります。  第三に、一兆円の債務処理計画が確実に達成できる保証はなく、企業的な運営のもとで不安定な林産物収入に頼る方法では、さらなる土地の切り売りや管理経費の削減が避けられず、国有林の一層の荒廃を招くことは必至だからであります。  今必要なことは、地域住民や自治体、国民の期待にこたえ、国が国有林責任を負う体制を確立することであります。  そのことを強く指摘し、反対討論を終わります。(拍手)
  340. 中曽根弘文

    委員長中曽根弘文君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより採決に入ります。  日本国有鉄道清算事業団債務等処理に関する法律案について採決を行います。  まず、宮本君提出の修正案の採決を行います。  本修正案に賛成の方の起立を願います。    〔賛成者起立〕
  341. 中曽根弘文

    委員長中曽根弘文君) 少数と認めます。よって、宮本君提出の修正案は否決されました。  次に、寺崎君提出の修正案の採決を行います。  本修正案に賛成の方の起立を願います。    〔賛成者起立〕
  342. 中曽根弘文

    委員長中曽根弘文君) 少数と認めます。よって、寺崎君提出の修正案は否決されました。  それでは次に、原案全部の採決を行います。  本案に賛成の方の起立を願います。    〔賛成者起立〕
  343. 中曽根弘文

    委員長中曽根弘文君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。(拍手)  次に、国有林野事業改革のための特別措置法案について採決を行います。  本案に賛成の方の起立を願います。    〔賛成者起立〕
  344. 中曽根弘文

    委員長中曽根弘文君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  次に、国有林野事業改革のための関係法律整備に関する法律案について採決を行います。  本案に賛成の方の起立を願います。    〔賛成者起立〕
  345. 中曽根弘文

    委員長中曽根弘文君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  次に、森林法等の一部を改正する法律案について採決を行います。  本案に賛成の方の起立を願います。    〔賛成者起立〕
  346. 中曽根弘文

    委員長中曽根弘文君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  次に、地方自治法第百五十六条第六項の規定基づき、東北森林管理局及び関東森林管理局設置に関し承認を求めるの件について採決を行います。  本件を承認することに賛成の方の起立を願います。    〔賛成者起立〕
  347. 中曽根弘文

    委員長中曽根弘文君) 多数と認めます。よって、本件は多数をもって承認すべきものと決定いたしました。  次に、一般会計における債務承継等に伴い必要な財源確保に係る特別措置に関する法律案について採決を行います。  本案に賛成の方の起立を願います。    〔賛成者起立〕
  348. 中曽根弘文

    委員長中曽根弘文君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、六案件の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  349. 中曽根弘文

    委員長中曽根弘文君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  350. 中曽根弘文

    委員長中曽根弘文君) 継続調査要求に関する件についてお諮りいたします。  日本国有鉄道清算事業団債務処理及び国有林野事業改革等に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、本件の継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  351. 中曽根弘文

    委員長中曽根弘文君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、要求書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  352. 中曽根弘文

    委員長中曽根弘文君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後七時十八分散会      —————・—————