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1998-10-12 第143回国会 参議院 日本国有鉄道清算事業団の債務処理及び国有林野事業の改革等に関する特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十年十月十二日(月曜日)    午前九時三分開会     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         中曽根弘文君     理 事                 加藤 紀文君                 鈴木 正孝君                 成瀬 守重君                 川橋 幸子君                 寺崎 昭久君                 魚住裕一郎君                 宮本 岳志君     委 員                 市川 一朗君                 岸  宏一君                 国井 正幸君                 佐藤 昭郎君                 斉藤 滋宣君                 清水嘉与子君                 常田 享詳君                 仲道 俊哉君                 馳   浩君                 依田 智治君                 若林 正俊君                 郡司  彰君                 佐藤 雄平君                 谷林 正昭君                 藤井 俊男君                 山下八洲夫君                 和田 洋子君                 荒木 清寛君                 日笠 勝之君                 弘友 和夫君                 須藤美也子君                 富樫 練三君                 渕上 貞雄君                 村沢  牧君                 戸田 邦司君                 渡辺 秀央君                 西川きよし君    衆議院議員        修正案提出者   衛藤 晟一君    国務大臣        内閣総理大臣   小渕 恵三君        大 蔵 大 臣  宮澤 喜一君        農林水産大臣   中川 昭一君        運 輸 大 臣  川崎 二郎君        郵 政 大 臣  野田 聖子君        労 働 大 臣  甘利  明君    政府委員        内閣法制局長官  大森 政輔君        内閣法制局第四        部長       野田 哲也君        大蔵大臣官房審        議官       福田  進君        大蔵大臣官房審        議官       山本  晃君        大蔵省主計局次        長        寺澤 辰麿君        大蔵省理財局長  中川 雅治君        林野庁長官    山本  徹君        運輸省鉄道局長  小幡 政人君        郵政省貯金局長  松井  浩君        労働省労政局長  澤田陽太郎君    事務局側        常任委員会専門        員        小林 正二君        常任委員会専門        員        鈴木 威男君        常任委員会専門        員        舘野 忠男君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件日本国有鉄道清算事業団債務等処理に関す  る法律案(第百四十二回国会内閣提出、第百四  十三回国会衆議院送付) ○国有林野事業改革のための特別措置法案(第  百四十二回国会内閣提出、第百四十三回国会衆  議院送付) ○国有林野事業改革のための関係法律整備に  関する法律案(第百四十二回国会内閣提出、第  百四十三回国会衆議院送付) ○森林法等の一部を改正する法律案(第百四十二  回国会内閣提出、第百四十三回国会衆議院送付  ) ○地方自治法第百五十六条第六項の規定基づ  き、東北森林管理局及び関東森林管理局設置  に関し承認を求めるの件(第百四十二回国会内  閣提出、第百四十三回国会衆議院送付) ○一般会計における債務承継等に伴い必要な財  源の確保に係る特別措置に関する法律案(第百  四十二回国会内閣提出、第百四十三回国会衆議  院送付) ○参考人出席要求に関する件     ―――――――――――――
  2. 中曽根弘文

    委員長中曽根弘文君) ただいまから日本国有鉄道清算事業団債務処理及び国有林野事業改革等に関する特別委員会を開会いたします。  日本国有鉄道清算事業団債務等処理に関する法律案国有林野事業改革のための特別措置法案国有林野事業改革のための関係法律整備に関する法律案森林法等の一部を改正する法律案地方自治法第百五十六条第六項の規定基づき、東北森林管理局及び関東森林管理局設置に関し承認を求めるの件及び一般会計における債務承継等に伴い必要な財源確保に係る特別措置に関する法律案の六案件を一括して議題といたします。  六案件趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  3. 寺崎昭久

    寺崎昭久君 おはようございます。  総理初め閣僚の皆様方には連日の国会対応外交日程の消化ということで大変お疲れのことと存じますが、会期末もいよいよ迫ってまいりました。本日はぜひ実りのある質疑をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  早速、総理にお尋ねいたします。  去る六日に国鉄債務処理に係る関連法案が自民党、自由党、社民党の三党を中心とする賛成多数で衆議院を可決通過し、参議院に送られてまいりました。そのことについてマスコミを初め有識者の反応はいかがなものか観察しておりましたが、私の見るところ総じて不評であったと思います。その理由としては、問題の先送りであるとか理屈の通らないJR追加負担であるとかを挙げていたように思います。  そういう状況ですから、総理社説等の幾つかはごらんになっているんではないかと存じますけれども、総理自身はこの処理スキーム等のできばえをどのように評価されているのか、まずそれをお伺いしたいと思います。
  4. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 今般の国鉄長期債務処理スキームにつきましては、政府の原案を国会にお願いしておったという意味でありますれば、それが衆議院におきまして与野党の話し合いによりJR負担につきまして半減の方法をとられたわけでございますから、政府としては冒頭の提案に比べれば形が変わったという意味では残念だとは思います。  しかし、衆議院におきまして院の決定がそのように行われたということでありますれば、それはそれが正しいことと認識をいたしておりまして、この参議院におきまして得られた結果が国会の御意思であり、それを受けて政府としては物事を執行していく立場でございますので、点数をつけることはなかなか困難でありますが、ぜひ一日も早く通過させていただきたいと願っておる次第でございます。
  5. 寺崎昭久

    寺崎昭久君 できばえに自信があれば、及第点であるとか、せめてそれぐらいのことはおっしゃるんではないかと思いますが、おっしゃらないところを見ると、総理も内心じくじたるものがあるのかなと推測させていただいております。  私は多分総理よりも辛い点数をつけていると思います。というのは、前例踏襲、便宜的な、秀才の書いた作文ではないかというようにスキーム法案全体も感じられるからでございます。  理由を挙げますと、債務返済の鉄則というのは、まず当事者みずからが出るを制し入るをはかるということだと思いますが、行政費の削減あるいは国有資産売却といったみずからの努力について言及されておりません。それから、当座の利払い財源国鉄債務とは無関係なたばこ郵便貯金特別会計に求めておりますが、債務元本についてはどう返済するのかということが明示されてなく、先送りされているからであります。既に決着済み年金にかかわるいわゆる移換金の問題についてもまた持ち出しまして、民間企業となったJR各社追加負担を求めるというようなこともやっております。また、債務増加の原因ともなった財投システムにメスを入れるということもやっておりません。  従来のスキームの欠陥、運用上の問題から何を学んだのか、そういったことを疑わせる新しいスキームになっているわけであります。とりわけ責任と権限の所在というんでしょうか、そういったものが不明確なままにされているというのは極めて遺憾なことだと思います。言ってみれば、いわゆる官僚的な手法でつくられたスキームであって、私はこのままではまた破綻するんではないかとすら思っているわけでありますが、総理はそういう懸念はお持ちではありませんか。
  6. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 今回のスキームは、とにもかくにもこれだけ膨大になりましたこの状況の中で、利子の累積がかような問題になってまいりまして、これを解決しなければならないという事態の中で対処してきたわけでございます。  したがいまして、この処理法案につきましては、財政構造改革会議において将来の世代の負担先送りするという形での安易な処理を回避するためあらゆる方策につき個別的、具体的検討が精力的に行われたところでございまして、こうした検討基づき、事業団債務について事業団にかわる最終的な負担閣議決定するものであるので、この方策では破綻することはない、こう信じておる次第でございます。
  7. 寺崎昭久

    寺崎昭久君 認識のずれがあるように私は思います。  まず、処理スキーム全体についてお伺いしたいと思うんですが、昭和六十年七月二十六日の国鉄再建監理委員会答申を受けて、政府国鉄債務の新たな財源措置に関して何度も閣議決定等を通じて公約をされてきております。すなわち、六十年には長期的、総合的、全国民的な処理策検討、確立すると述べられ、その後、歳入歳出の全般的な見直しの中で検討決定する、あるいは本格的、具体的処理策検討、成案を得る等々、十数年の間に年末年始になると恒例行事のように閣議決定でこうした美辞麗句というか修飾語をちりばめた大げさな、十二ひとえを着せかえるような文書を発表されているわけであります。  そして、このたびは十年に一度というふれ込みで対策を発表すると言うから、私は早期償還論者ですから大いに期待しておりましたけれども、拝見しまして大変失望、落胆、もっと言えばこれが本当に政府の知恵を絞った最終的な案なのかと思ったほどでございます。  十年以上も構想を練りに練ったその結果がたばこ特別税の創設と郵貯特会からの特別繰り入れなんでしょうか。これが政府の言う新たな財源措置のすべてということなんでしょうか。運輸省はこの程度スキームしか考えられないのか。運輸省、答弁してください。
  8. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 寺崎委員から厳しい御指摘でございます。  国鉄清算事業団債務本格処理のためにいろいろなことが考えられたことは事実でございます。  少し御報告申し上げますと、自主財源による債務償還財投資金の繰り上げ償還あるいは金利減免相続税軽減等の特典をつけた無利子国債の発行、歳出全般の大幅な見直し交通機関利用者全体の負担JRによる負担鉄道利用税等の形によるJR利用者負担揮発油税等道路財源活用事業団債務一般会計へのっけかえ、増税による国民負担郵便貯金特別会計剰余金活用、それからたばこ特別税、さまざまなことが考えられた中で、結論といたしまして、先ほど総理からお話がありましたような結論になり、御提案を申し上げた次第でございます。
  9. 寺崎昭久

    寺崎昭久君 私は、従来スキームを破綻させた責任を全く感じられていないんではないか、反省もないんではないかとしか思えません。民間は今命がけでサバイバル作戦を展開しているわけであります。それに比べて、過去に何をやってきましたと言うだけがこれから本気になって長期債務返済しようという運輸省の態度なんでしょうか。  私は、民間で言えばこれは破産か、ないしは会社更生法適用の申請ものだと思います。国の場合には、国債を増発してひとまずは資金運用部に引き受けてもらうというようなことができるわけですから、たとえタコ配当のようなことをやっても問題が表に出るということはないのかもしれません、したがって債権者も取りつけ騒ぎを起こすというようなことはやらないのかもしれません。しかし、実態は債務者の側から見れば間違いなく破産であるわけです。  そうした認識でつくられた新しいスキームだったら、もう少し元本償還まで踏み込んだ検討がされて当たり前じゃないですか。もう一回答弁してください。
  10. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 昭和六十二年の国鉄改革のときに、まず資産売却を急げと。この資産売却が当時の状況判断の中で先送りをされた、そのために残念ながら多額の債務を抱えるようになりました。同時に、国鉄再建が考えられたときに、その資産売却が終わった後、本格的な処理スキームを考えろと、こういう御指摘をいただいたところでございます。  そういった議論の中で、先ほど申し上げたように、特別の収入を求める、また交通税揮発油税等のものを考える、こんなことも与党内でさまざまな議論が重ねられたことは事実でありますけれども、今回御提案申し上げた一つスキームが最上のものということで御決断をいただき、そして提案をさせていただいたところでございます。  元本償還に入り得ないという今日の状況をどうぞ御理解賜りたいと思います。
  11. 寺崎昭久

    寺崎昭久君 十何年もかかってこの程度スキームしかできないというのは極めて遺憾だと思います。  倒産とか会社更生法適用となれば、民間企業の場合だったら当然管財人を選任する、その管財人の指示に従って再建計画をつくる、法的な措置をするという手続がとられるわけであります。国の場合には倒産という事態を想定していないんでしょうから、この場合は運輸大臣破産人管財人ということだと思います。だとすれば、管財人として何をするのかという立場から新しいスキーム、新しい法律をつくるということをやるのが当たり前のことじゃないんでしょうか。  例えば今の元本償還の問題にしても、「当面は、一般会計歳出歳入両面にわたる努力により対応」ということになっておりますが、これは言ってみれば行政裁量にお任せくださいということと同じじゃないですか。その結果、従来スキームは破綻したんですよ。同じことをやろうとしている。それがおかしいんですよ。せめて行政裁量幅を縮小するとか、そういうことを決めたらどうですか。もう一回言ってください。
  12. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 今回のスキームにおきまして、衆議院でもたびたび御議論いただいたことでありますけれども、金利金利を呼ぶ、こうした状況をまず解決しなければならない、この基本的な考え方の中でまず金利問題を解決する、こんなことで出させていただいた次第でございます。  先ほど申し上げましたように、元本問題について踏み込めなかったことについては御理解を賜りたいと思います。
  13. 寺崎昭久

    寺崎昭久君 従来の処理スキームが破綻した、本格的処理緊急課題であるという認識で新しいスキームをつくられたとすれば、国鉄民営化にさかのぼっていろんな問題点を洗い直すというのは当然の作業だと思います。  その一つとして、例えば運輸施設整備事業団からお金を出している新幹線建設交付金都市鉄道建設のための無利子貸し付けについてどのように検討したのか、しなかったのか。言うまでもなく、これらの財源というのは新幹線保有機構あるいは鉄道整備基金発足のときに、新幹線鉄道施設から施設譲渡代金が使われているわけであります。本来は国鉄債務返済に充てられて当然の財源だと思います。新幹線鉄道財源が、建設財源がないというのであればそれは一般財源に求めるのが筋で、先に債務償還にこの財源を充てるというのは当たり前のことだと思いますけれども、そういう検討をしたんですか。
  14. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) もちろん、一つ議論として、運輸省行政経費を削減して、そこの中から賄うべきでなかろうか、もっと突き詰めますと、鉄道局予算を削減してそれを賄うべきか、こういう議論も当然あります。しかし一方で、幹線鉄道というものの全体的なネットワークというものをぴしつとっくり上げる、これも一つ要請であろうと思っておりますし、また都市部におきまして地下鉄というものを早く整備して、通勤者の今日こうむっておる被害的な状況と言ったら失礼かもしれませんけれども、今日の状況を少しでも緩和すべきではなかろうか、これは逆に鉄道局に課せられた課題であります。そういった両方の要請というものの中で今日のスキームを御提案申し上げたということでございます。
  15. 寺崎昭久

    寺崎昭久君 私は、鉄道網整備が不必要だなんということは申し上げておりません。どうして整備新幹線から上がってくる収益でそれをやろうとするんですか、必要であれば一般財源に求めたらどうですかということを申し上げているんです。  平成三年の夏のころ、運輸省も言われたと思いますけれども、盛んに鉄道復権という言葉がマスコミに見えるようになりました。この時点で国鉄債務がどうなっていたかというと、発足当初よりも約七千億増加しておりまして、そしてその十月には鉄道整備基金発足するという状態の中でございました。しかし、鉄道長期債務というのはさらに累増するおそれも十分あったわけであります。  そういう状況の中で、私は平成三年九月十九日の参議院運輸委員会でこういうことを発言させていただきました。鉄道復権がもしも整備新幹線建設ラッシュの初年度という意味なら問題である、清算事業団土地株式売却が思うに任せない状況を念頭に置くならば、その前に債務返済見通し国民負担がどうなるのか、それを明確におっしゃってくださいと。国民負担が十兆円を上回るということがどうも確実のようであるというのであれば、今から毎年その償還資金を手当てしてはどうですかということも申し上げました。残念ながら、当時の運輸大臣平成三年の土地処分見通しがついたら云々という閣議決定をオウム返しされるだけで、やろうとしなかった、動こうとしなかった、それが今日大きな問題を残したということを申し上げたいわけであります。  債務償還が緊急の課題だという認識があるのであれば、せめて整備新幹線建設をスローダウンするとか、一定時期中断するとか、そういうぐらいのことは検討したらどうですか。もう一回言ってください。
  16. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 寺崎委員から厳しい御指摘でありますけれども、一方で整備新幹線はぴしっと整備をしていかなきゃならぬという意見も大きな意見だというふうに受けとめておりますし、また一方で、先ほど言いましたように、都市鉄道整備、これも極めて大きな課題であると私は考えております。  この二つの要件の中で、結論として、まず金利金利を呼ぶという状況を何とか解消しなきゃならぬという今日のスキームを提出させていただいたわけでございます。
  17. 寺崎昭久

    寺崎昭久君 何度も申し上げますけれども、金利がこれ以上ふえることを防がなければならないというのは私も同じです。それのために何で新幹線売却益を充てるんですかと申し上げているんです。  これは勘ぐれば、平成三年当時のことですが、性懲りもなく政治路線にまた着手したのかという見方もありました。また、運輸省の中にも、国鉄債務償還は少々おくれようが債務がふえようが、いずれ一括国民負担にお願いすることだから五十歩百歩だと考えていたのではないか。それよりも、大蔵省に頭を下げて財源を手当てしてもらって新幹線をつくるなんということはやりたくない、そういう思いがあって鉄道整備基金をつくったんじゃないかという推測も当時はされていたわけであります。  私は、当然このスキームをつくるに当たってそうした過去の問題についても洗い上げて、練り上げる必要があると感じております。  大蔵大臣にちょっとお伺いいたします。  今回、国鉄債務の一部を、一部というか大部分を国の一般会計が承継されることになりました。となりますと、今申し上げてきた整備新幹線鉄道譲渡代金一般会計に入れろと要求してもおかしくないと思うんですけれども、そういうことはされたのかどうか。新幹線施設譲渡代金、これを一般会計に入れるようにと要求してもおかしくないんじゃないでしょうか。なぜ債務だけ引き継いで債権を引き継ごうとされないのでしょうか。
  18. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 売却益整備基金の方に入れてございますから、それでつじつまが合っておるというふうに考えております。
  19. 寺崎昭久

    寺崎昭久君 基金の方に入っているんですが、  一般会計には入っていないんですね。だったら、大蔵大臣の今言われる理屈からいえば国鉄長期債務も全部基金の方へ入れたっていいんじゃないかということになると思いますけれども、債務だけ引き受けて債権はいいよというのはおかしいんじゃないでしょうか。
  20. 寺澤辰麿

    政府委員寺澤辰麿君) 事務的な点をまず私の方からお答えさせていただきたいと思います。  新幹線鉄道施設譲渡代金につきましては御指摘のように毎年七百二十四億円が整備新幹線建設に対する交付金財源とされておりますが、それ以外の部分につきましては今回のスキームにおきましても鉄道建設公団特例業務勘定収入とすることにしておりまして、これは年金等負担金支払いに充てることとされているところでございます。
  21. 寺崎昭久

    寺崎昭久君 新幹線整備のために七百二十四億円を使っているというのはそのとおりですけれども、それ以外にもあるでしょうと言っているんです。地下鉄建設だとか常磐新線をつくるために新幹線の上がりを使っているじゃないですか。
  22. 寺澤辰麿

    政府委員寺澤辰麿君) それらにつきましては、貸付制度になっておりますので、最終的には年金等支払い財源になることにされているところでございます。
  23. 寺崎昭久

    寺崎昭久君 それもわかっていますけれども、その利息も新幹線から上がってくる運用益で賄っているんでしょう。もとは同じですよ、新幹線ですよ。  別の問題に入りますけれども、元本償還の問題について、大蔵大臣は八月三十一日の衆議院特別委員会では、今具体的計画が立っていないとおっしゃられ、また利払いがふえることを防ぐのが今の我が国財政がなし得る計画としか答えられませんというお話がございました。したがって、この問題について根拠を示せとか、どうやって財源を見つけると申し上げてもなかなか期待する答えは出ないかと思いますけれども、せめて償還財源償還方法あるいは財源について、いつまでに決めるということはおっしゃっていただけませんか。
  24. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 先ほど運輸大臣利子が雪だるまにならないようにという意味のことを言われましたとおり、新雪が根雪にならないようにという程度のことができただけでありまして、根雪そのもの処理については、いつぞやも申し上げましたように、残念ながら見通しが立っておりません。この際、新しい歳入源を求めて、それは恐らく税ということになりますが、さらに根雪部分にまで処理を進めていくということは今の国民負担から考えましてしょせん無理であろうというふうに考えましたので、いわゆる国の一般会計債務を六十年で償還する債務と考えざるを得ないとしたわけでございます。  その考え方の中には、六十年でございますから、日本の今の経済は恐らく最低の状況にございますので、いつまでもこういうことが続くとも思われない、やがて経済がもう少し正常化いたしましたらそういう債務償還についても何か新しい見通しが出てくるだろう。甚だ心もとないことを申し上げるようでございますけれども、六十年というのはそういう年月でございますから、この際、国民負担をふやすよりは、むしろ将来の我が国経済の中でそれが賄えるような経済運営をしてまいることが大事なのではないか、こういう判断をいたしたわけでございます。
  25. 寺崎昭久

    寺崎昭久君 六十年で債務償還をされるというお答えでございますが、大蔵大臣は同じく八月三十一日の衆議院特別委員会で、たばこ特別税について、一般会計を助けるという意味で創設したのであって、いわゆる目的税ではないということをおっしゃいました。六十年の問題と目的税ではないということを踏まえて言えば、例えばたばこ特別税の根拠法になる財源確保のための法案が不成立に終わったとしても国鉄債務は予定どおり償還される、そのように考えていいですか。
  26. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) たばこ特別税を創設するということは税金を新たにいただくわけですから、どなたも歓迎なさらない、また余り威張って申せることでもないわけで、そこは愛煙家にひとつ御理解をお願い申し上げますという申し上げ方しかできないわけでございます。それは、理屈を申すようですけれども、目的税と申しますより、この債務は既に一般会計債務になりましたから、財源一つとしてたばこの愛煙家に御負担をかけることになったわけでございますから、もしこの財源が成立しないといたしますと、それにかわる何かのことを考えざるを得ないという状況であろうと思います。
  27. 寺崎昭久

    寺崎昭久君 何かの財源をほかに求めるにしても、長期債務処理法が成立し財源法案の方が不成立に終わったら、その間は一般会計の義人、債務両面を工夫されて捻出するということでございますか。
  28. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) そういう場合にはそういうことを考えざるを得ないかと思います。
  29. 寺崎昭久

    寺崎昭久君 総理にお伺いします。  私は問題点のごく一部を指摘したつもりでありますけれども、今の御答弁を伺っておりましても、本当にこのスキームが、国鉄債務全体でいうと二十八兆円でしょうか、それをきちんと償還できるような仕組みになっているか甚だ不安に思っております。  そういうことを考えれば、急がば回れという言葉もありますから、この法案は一たん撤回されて、中身のあるきちんとした法案を再提出されたらいかがでしょうか。総理、どうですか。
  30. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 先ほど来、政府側が答弁申し上げているように、元利ともどもに返済できるようなことができますればそれは最良かと思いますけれども、現在はまさに利子利子を生むというような状況の中で、国にはデフォルトということは一日も許されない、世界の中でそれに近い国はあるにしても日本の国でそのようなことはあってはならぬことでございますので、今回緊急のこととしてこの処理だけはぜひさせていただきたいというのが我々の考えでございます。ぜひ御協力をお願いします。
  31. 寺崎昭久

    寺崎昭久君 撤回されないということでありますので、現在提出されている法案の中身を少しお尋ねしたいと思います。  まず、大蔵大臣にお尋ねしますけれども、今回の債務処理法案では有利子債務に関して繰り上げ償還を実施するということが予定されているようであります。この繰り上げ償還というのはどういう基準で行われるのか、お尋ねしたいと思います。  と申しますのは、財投の繰り上げ償還については、これまでも金利負担を軽減する方法一つとして国会の内外で実施するべきだという指摘がございましたけれども、そのつど財政当局は法律の建前と資金運用部収入不足を理由にしてこれを拒んでまいりました。  今回もし繰り上げ償還を実施するとなれば、債務の条件変更の法律を改正せずになぜ実施できるのか。また、この法律で言うその他の特殊事情、第一条に書いてありますが、特殊事情というのはどういうことを指しているのか、できれば列挙していただきたい。  それからもう一つは、ほかの財投機関から繰り上げ償還をしてもらいたいという要請があったらどうこたえられるのか。技術的な問題もありますから、大蔵省、双方でお答えいただいて結構でございます。
  32. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 確かにこれは資金運用部運用に関することでございますので後ほど政府委員からお答えを申し上げますが、考え方は、資金運用部の資金運用はマージンを取らずにやっておりますから、したがって繰り上げ償還ということを一般金利の変化によって行うということはできないというふうに考えられてきておりますけれども、今回の国鉄債務処理の実施に伴いまして国鉄清算事業団が廃止されます。そして、資金運用部に対する債務一般会計に承継されることになりますから、資金運用部資金は従来貸し付けておりました対象、目的を失うことになります。  したがいまして、今後、従来の対象に資金運用部の融資を行うことはもうあり得ない、その必要がないことになりますので償還をした、こういうふうに聞いておりますが、なおそれでは御満足でいらっしゃらないかと思いますから、政府委員が補足をいたします。
  33. 中川雅治

    政府委員中川雅治君) 大臣が今御答弁されましたように、資金運用部は利ざやを取らずに、その時々の金利情勢の中で最も低い金利で長期固定の貸し付けを行いながら収支相償うように運営されているところでございまして、過去の高金利債務の繰り上げ償還を行うということはできない仕組みになっております。  と申しますのは、金利が高いときの債務の繰り上げ償還を受けるということになりますと、運用部の方では現在低い金利の貸し付けをしておりますけれども、これも金利が上がりましても繰り上げ償還を求めるということはいたさないわけでございます。したがいまして、金利の情勢によりまして資金運用部が片面的な不利益を受けるということになりますと資金運用部が成り立たないということになるわけでございます。したがいまして、繰り上げ償還を行いますと、資金運用部から見ますと、貸付先の方はその分金利の軽減効果、利益を受けるわけでございますけれども、その分は資金運用部に転嫁されるということになるわけでございますので、繰り上げ償還と申しますのは金利の低下を理由としたものは認められないと。  ただ、繰り上げ償還を過去にも認めた例があるわけでございますが、これは約定条件に反した場合とか、あるいは貸し付けをした対象の事業の、例えば建物を取得してその建物を既に売ってしまっているということで貸し付けを継続することが適当でない場合には、資金運用部の方から繰り上げ償還を命ずるという場合もあるわけでございます。  今回の国鉄清算事業団の場合でございますけれども、国鉄清算事業団に対しましては、資金運用部国鉄改革法に基づき本格的な処理を行うまでのつなぎということで資金の融通を行ってきたわけでございますが、今回、国鉄長期債務本格的処理策の実施に伴いまして国鉄清算事業団が廃止される、資金運用部に対する債務一般会計に承継されるということになりますと、資金運用部資金は従来貸し付けを行ってきた根拠、目的を喪失することになるわけでございます。したがいまして、一般会計に承継された後の債務については、資金運用部が融資を行う必要がなくなるということで、むしろ償還を受ける、こういうことでございます。
  34. 寺崎昭久

    寺崎昭久君 それでは次に、利払い費と元本償還に充てられるたばこ特別税の問題について、大蔵大臣にお尋ねいたします。  なぜたばこ特別税かということは、時間の関係で余り突っ込んだ話ができませんので、たばこ特別税の創設には反対だということを申し上げて、中身の問題を少し議論させていただきたいと思います。  まず、たばこ特別税を創設されるに当たって、例えば政府税調の議論は経ておられるんでしょうか。もしあったとすれば、どういう意見だったんでしょうか。
  35. 福田進

    政府委員(福田進君) お答え申し上げます。  「たばこについての税制上の措置」ということで、平成九年十二月十六日、税制調査会の答申の中で次のように述べられております。   政府・与党の財政構造改革会議から国鉄長期  債務及び国有林野累積債務処理方策のスキー  ムが提案されています。これに対する当調査会  の考え方を示せば以下のとおりです。   本処理方策の是非については、当調査会にお  いて、なお一層の歳出削減努力を図るべきでは  ないか、自動車重量税の使途の見直し対応す  べきではないか、政府保有株式の活用により賄  えないかなど、様々な意見が出されました。ま  た、仮に税負担を求めざるを得ない場合でも、  一般会計歳入歳出全体の中で議論すべきであ  り、特定の事項の処理に特定の税目をあてるこ  とは好ましくないとの意見も多く出されまし  た。   他方、国鉄及び国有林野の債務処理は先送  りの許されない問題であり、何らかの対応をせ  ざるを得ないとの指摘もありました。特殊なし  好品であるたばこに係るたばこ税については、  当調査会はかねてより、その課税方式が従量税  によっており、価格の上昇とともに税負担割合  が低下する傾向にあること等から、随時負担の  見直しを行い、適正な税負担水準の確保に努め  る必要性があることを指摘しています。このた  め、可能な限りの財源確保を行った上で、なお  新たな歳入確保が必要な事態であれば、この考  え方に基づ負担の適正化の範囲内で税負担増  を求めることは、財政構造改革を推進すべき観  点からはやむを得ないものであることは理解で  きるとの意見がありました。ということで、いろいろ各方面から検討がなされた結果、現在御提案申し上げているような点でまとまったところでございます。
  36. 寺崎昭久

    寺崎昭久君 歳入歳出の全般的な見直しの中でとか、そういうことは党税調が言うべき話なんでしょうか。この税制が適切であるかどうかということ、私たちはそういうことを期待するべきなんではないでしょうか。  例えば、これまでも紹介しましたように、六十年以来、新たな財源措置については長期的、総合的、国民的に処理しますよと言っておきながら、今の党税調の話だったらとりあえずの話ばかりで、党税調の役割を全然果たしていないと思いますよ。  党税調の皆さんにここでクレームをつけてもしようがないのかもしれませんけれども、(「政府税調だろう」と呼ぶ者あり)失礼しました。政府税調の言い間違いであります。いない方のことを云々しても始まりませんからこれはやめておきますが、ただ問題が多いということは指摘しておきます。  それから、たばこ特別税の創設によってたばこの売り上げへの影響はどう見ておられるのか。  もう一つは、売り上げが減少すると地方たばこ税がその分減ります、国と地方が半分ずつ税金を取っているんですから。もし減ったら、国は責任を持ってそれを地方に補てんする、交付金を交付すると約束されますか。
  37. 寺澤辰麿

    政府委員寺澤辰麿君) お答え申し上げます。  たばこ特別税創設の影響につきましては、年間で見ますと百五十億本程度の需要減が生ずるのではないかというふうに見ておりまして、これに伴うたばこ税収の減少を国、地方それぞれ五百億程度と見込んだところでございます。  こうした影響はたばこの値上げによる売り上げの減少を通じました間接的、反射的なものでございますので、たばこの値上げによる売り上げ減少は過去の例では一時的なものにとどまっておりまして、その後は売り上げが回復をしております。  また、たばこの需要はさまざまな要素に左右され得るものでございますので、たばこ特別税の影響は特定が難しいという事情がございまして、たばこ特別税創設後、実際の販売本数の動向から改正の影響分がどの程度あるかについて確たることはなかなか申し上げることが困難かと存じます。  ただ、先生御指摘のように、平成十年度におきましては、たばこ特別税の創設の年度であることを踏まえまして、一般会計から交付税特別会計に対しまして所要の額を繰り入れることとしているところでございます。
  38. 寺崎昭久

    寺崎昭久君 私は地方に迷惑をかけないでくださいよと申し上げているので、それは約束されますか。
  39. 寺澤辰麿

    政府委員寺澤辰麿君) 先ほど申し上げましたように、十年度におきましても地方交付税特別会計に所要額を繰り入れております。  ただ、十一年度以降においてどうなるかということでございますが、地方財源不足がどの程度になるのか現時点で確たることを見通すことができないわけでございまして、具体的に幾らということを申し上げるわけにはまいりませんが、国、地方いずれも厳しい財政事情でございます。これを踏まえまして予算編成過程において地方財政の円滑な運営にも適切に配慮してまいりたいと考えております。
  40. 寺崎昭久

    寺崎昭久君 国のことも先送りして、とりあえずたばこ特別税を設けましょうかというようにしか受けとめられないわけでございます。  それから、たばこ特別税については、いつまでこの税制を適用するかというのが決まっておりません。当分の間ということになっているわけであります。  そこで、大蔵大臣にお尋ねしたいわけでありますけれども、納税というのは言うまでもなく国民の基本的な権利義務にかかわることでございます。にもかかわらず、当分の間、つまりいつまでというのを行政裁量に任せるというようなことは国民の権利を侵害しているということにならないでしょうか。  似たような問題がほかにもございます。暫定税率の適用という問題です。  例えば自動車取得税というのは本則三%、暫定税率を五%で二十四年続けております。揮発油税は本則一リッター当たり二十四円三十銭を、本則をそのままにして四回暫定税率を変更しているわけであります。現在は本則の倍額になって、二十年以上続けているわけです。四回も暫定税率を変えるということは、これは新しい税金をつくったというのと同じじゃないでしょうか。  私は、少なくともこのたばこ特別税については、いつまで適用するとか、あるいはそのときに見直しをしますとか、そういう条項をつけるのが当たり前だと思いますし、行政裁量にゆだねるべき問題ではないと思いますが、いかがでしょうか。
  41. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) まず、前段の問題でございますが、恐らく百五十億本初年度は売り上げが減るであろうということまでを考えておりまして、その分は地方に、特別交付税の中へ計算をさせていただきますと、こういうことを政府委員が申し上げました。  平成十一年度の予算編成をいたしますときに、地方が非常に財源が苦しいということが一般にわかっております、中央もそうでございますけれども。そこで、中央と地方の財源の関係をかなり大きな問題として取り上げざるを得ない。御承知のように、所得税あるいは法人税の減税を考えておりますけれども、その負担を地方にどれぐらい持ってもらうのか、あるいは持ってもらわないのかというような問題が基本にございますし、今のこともございますから、十一年度予算編成に当たりましては、中央と地方の税財政のことを一遍自治大臣と私とで十分検討しなければならないと考えておりますが、その中でこれは一つの問題になろうかと思います。  一般的に、百五十億本減りますのは、当初減りますが時間がたつとだんだんもとに戻ってくるというようなことを言われておるわけですけれども、その辺はしかしやってみないとわかりませんから、そういう問題も含めまして、地方と中央の財政、税制を検討しなければならないと思います。  それから、次の問題でございますが、確かにたばこ特別税と名づけまして地方の税源を、取り分は排除しております。国だけが取るということになっておりますから、ここらあたりは何かちょっと気になるところがあるという問題だと思うのでございます、本当ならば普通は国と地方を分けるわけでございますから。そういうこともあります。  しかし、これは一般会計財源不足を補うものでございますから目的税ではない、説明はそういうことになっていて、それで当分の間ということになったのではないか。長いこと先は見通せないし、この税金そのものにちょっとどこか気になるところが私はあるのではないかという思いもいたします。これは本当に当分の間というのは六十年のことかとおっしゃれば計算上はそうであるかもしれませんけれども、そこはおっしゃいますように、いつまでもこんな形にしておいていいのかなという問題は、私ども財政当局はいつも考えておかなければならないだろうと思っております。
  42. 寺崎昭久

    寺崎昭久君 それでは次は、郵貯特会から特別繰り入れする件についてお尋ねいたします。  昨年九月七日の財政構造改革会議の企画委員会というところで、当時の自民党の山崎政調会長が次のように発言したと報道されております。すなわち、郵政三事業は一体で国営を維持すべしとする郵政大臣に対して、行政改革で単なる現状維持は許されない、国家財政に寄与すべきで、今後、特会の自主財源で生み出す剰余金国鉄長期債務返済財源に使えないかと迫って、国営一体化と郵貯特会からの特別繰り入れを刺し違えたということが報道されております。  もしそれが本当であれば、第一、関係のない郵貯特会がなぜ負担をするかという問題もありますし、それから行政改革がそうしたことでゆがめられていいんだろうかという問題を感じるわけであります。  私自身は郵貯特会負担させるということは賛成できませんが、郵貯特会負担させるに至った経緯等について御説明いただけませんでしょうか。
  43. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) その前に、先ほど百五十億本ということを申し上げまして、私、ちょっと今年度分がその半分になる、平年度丸々ないということを申し上げ忘れましたので、したがいましてこの十年度は半分以下だそうでございます。  それから、郵貯の問題は、昨年財政構造改革会議をやりまして、これらの、つまり国鉄、林野等々は長い間債務をしょったままほうっておきましたので、財政構造改革を全面的にやりましたときに、こういうものもこの際何とかしなければならないという意識、そこまでは正しかったと思うのですが、そういう中でどこに税源を求めるかということが両方問題になりました。  それで、郵貯の特別グループを下につくりましていろいろ問題を討議いたしましたけれども、結局、そこはどう申し上げたらよろしいのか、便宜主義という御批判はあるかもしれないと思いますが、一般国民に御負担をこれ以上かけないと。たばこはどうだといえば、それは愛煙家にお願いしますとでも申すしかないんですが、一般の負担を避けたいという気持ちからいいますと、郵貯特会には積立金があるし、また今後の運営にも十分配慮した上で、ひとつ一般会計財源確保に応援をしてくれないかと。平らな言葉で言えばそういうことであったと思いますので、普通ならこういうことはしないことだということは私も思いますけれども、しからずんば一般納税者の負担になるということからこういうお願いをいたしたものと理解しております。
  44. 寺崎昭久

    寺崎昭久君 次に、JRに対する追加負担の問題についてお尋ねしたいと思いますが、基本的な考え方として総理にお尋ねいたします。  言うまでもなく、国鉄民営化のときに、国鉄債務等総額三十七兆一千億円のうち、JR各社が実質四割に当たる十四兆五千億を引き継いでおります。今もその償還に当たっているわけであります。  さらに、鉄道共済年金が厚生年金に統合された平成九年には、移換金の積み立て不足九千四百億のうち千七百億円をJR各社負担とすること、そして残り七千七百億円は清算事業団負担としてほかの債務と同様に国において措置するということが確定していると考えております。それは平成八年の厚生年金改正法の質疑あるいは閣議決定の経緯を見ても明白なことだと思います。  つまり、この問題、移換金については決着済みだと私は思っておりますし、今さらJR各社にたとえ当初案の半額であれ年金負担分ということで追加負担を求めるべきではないと考えているわけでありますけれども、総理はこの問題についてどのように理解されておりますか。  既に決着したものをまた持ち出してよこせと、まして民間企業に言うのは筋が通らないんではないかと思いますし、JR各社も、いろいろ聞いてみましたら、あれはもう決着した問題ですという認識に立っているように受けとめております。
  45. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 国鉄清算事業団債務本格的処理が、事業団という法人を清算するに当たりまして、当該法人が負う債務年金負担について、その性格や内容に応じて当該法人にかわる最終的な負担者を決定するものでございます。  そして、御指摘がありましたが、JR社員の年金のための厚生年金移換金につきましては結局だれかに負担をお願いせざるを得ない問題でございまして、これを事業主であるJR負担にするというのか、それとも最終的には国民の負担とするかが問われておるところであります。JR社員の厚生年金移換金JR社員の年金給付のための負担であることからすれば、こうした特定企業の社員の福利厚生のための負担を事業主であるJRが一切負担しないですべて一般国民の負担にすることは不適当である、こう考えましてこのような決定をさせていただいた次第でございます。
  46. 寺崎昭久

    寺崎昭久君 運輸大臣にお尋ねしますが、大臣は八月三十一日の衆議院特別委員会で、JR追加負担の問題について次のような発言をされております。平成八年の問題は共済関係事業主として事業団負担したということであって、事業団負担を国が負担すると決めていたわけではない、あるいは事業団解散時にどのような負担になるのか決めていたわけではないということをおっしゃっております。  私はこれを議事録で拝見しておりまして例えがよくないかもしれませんけれども、見るだけでいいからと店の中へ招じ込んでおいて帰りがけになって法外な料金を請求する手口に似ているんじゃないかとか、飯を食わせろと言って食堂に入って、代金を請求されたら、おれは料金払うなんて言っていないということを言っているのに似ておりまして、これは牽強付会というか難癖というか、理屈が全く通らないんじゃないかと思っております。  それではなぜ、鉄道共済の持参金九千四百億円をだれが負担するかというときに、事業団国鉄時代分七千七百億円、JRJR時代分千七百億円と区分したのか、あるいはこのときJR各社には後日追加負担を求めるよというようなことをどこかで答弁しているかというと、全くない、法文もないということを考えますと、先ほどのような牽強付会だという話になるわけであります。  私は、少なくともこの衆議院での発言は撤回された方がよろしいし、陳謝されるのが筋だと思っております。せめて、JR各社の御理解が得られるならばとか、それぐらいの謙虚さがあって当たり前じゃないですか。大体納税者に対して失礼ですよ、あなた。言ってください。
  47. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 六十二年度改革につきましては、一つ決定として強く受けとめたいと。しかしながら、そのときこの厚生年金への移換金問題というのは出ていなかった問題であります。そして、平成八年、共済年金から厚生年金への移換がなされることになった。当然、事業主負担でありますから、旧国鉄の身分を引き継ぎます清算事業団JR負担という形で分けられた。そして、国鉄清算事業団土地、資産等の売却が済んだ、ある程度見通しがついた時点でこの問題の抜本的処理をしろと、そのときにあわせて処理をしろということで閣議決定が行われた、こういうふうに理解をしております。  したがって、国鉄清算事業団が厚生年金への移換金として負担をしたものについて国が処理をするということで今回の処理スキームを書かせていただいた、こういうことでございます。衆議院で御答弁申し上げたとおりでございます。
  48. 寺崎昭久

    寺崎昭久君 時間があれば一つ一つそれに対して反論をさせていただきたいと思いますが、その前に運輸省にちょっとお尋ねします。  ことし一月二十三日に「汎交通」の主催の集まりで黒野運輸事務次官が講演されたということを記事で読みました。その中に、JR立場としては移換金問題はけりがついているのに、それをまたJR負担だといって持ち出すのは何事かとやり合っている最中だと。多分、政府・自民党の企画委員会に言っているということでしょうか。また、郵貯にもたばこにも長期債務返済財源負担をしてもらっているんだから、JRが何もしないではたばこも郵貯もつき合えないということだというようなことをおっしゃったという議事録が残っております。  こういうのはおごりと言うんじゃないでしょうか。私は、こういう認識がもともとあったから、つまりもうJRの問題は決着したという認識があったから、例えば昨年度概算要求をしたときには、ほかの有利子債務と同様の扱いで特別会計へのっけかえを要求している。それから、どの関係資料を見ても、昨年の十二月十六日までは有利子債務は十六兆円というように記載されているわけで、そのうちにこの十七日を境にして十六兆二千億というようなことになってきたのはおかしいんですね。一貫して運輸省はこのJRの問題を取り扱っていないんです。  この経過について御説明いただけますか。間違っていますか。
  49. 小幡政人

    政府委員(小幡政人君) お答え申し上げます。  先ほど「汎交通」という雑誌のお話が出ましたけれども、この発言の要旨について、本人、次官から私が聞いておりますところを申し上げますと、この発言の要旨は、先ほど大臣から申し上げましたように、六十二年に引き継ぎました長期債務、具体的には先ほどの有利子債務等々の債務と将来の年金負担、この二つが大所としてあったわけでございます、この問題、それからもう一つ平成八年に生じました厚生年金移換金の分担の問題、この二つにあるわけでございますけれども、これらについて特に全体について国において処理するということの中で、全体についてのJR負担の問題も議論としては出たということでございますので、その中で我々は頑張らせていただいたということを申し上げているわけでございます。  それから、厚生年金移換金について、我々の平成十年度の概算要求では、確かに全部特別会計に移換させていただきたいということをお願いいたしました。この際に、我々は財源については実は具体的なものを概算要求として示すことができなかったため、それにつきましては政府・与党の議論にまつということで調整事項として実は申し上げたわけでございまして、財源については具体的には財政構造改革会議の企画委員会において議論がされ、先ほど申し上げたような案が出てきたということでございます。
  50. 寺崎昭久

    寺崎昭久君 JR追加負担させることの不合理性については、財産権の侵害であるとか、マスコミがどう言っているとか、あるいは外国がどういうふうに見ているとか、株価にマイナス影響を与えるんじゃないかとか、いろんなことをここで申し上げることはできますけれども、それは別の機会に譲るとして、JR負担を半減したことについて、先ほど総理も若干言及されましたけれども、改めてこの修正はよかったと思われているのかどうなのか、それも伺いたいと思います。  また、これとの関係で、黒野事務次官は、半減されたらJRも本心では喜んでいるんじゃないかと。本当かどうか私わかりませんから、いずれの機会かで確かめたいと思いますけれども、そんな発言をされているように報道されております。  JRに最初は三千六百億負担させると言ったのを半分にして、千八百億に減額修正を衆議院でやったんです。そのことについて、黒野事務次官はJRも本心は喜んでいるんじゃないかということをおっしゃっているように聞いております。  それから、総理は減額したということについてどう思われているのか、それについてお尋ねしたい。半分にしたことの合理的な理由というんでしょうか、そういったものがあるのか。私は半分にしたって出させることには反対ですよ。
  51. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 冒頭も寺崎委員のお尋ねにお答えいたしたところでございますけれども、今回は本当にこの処理を一日も早く実施しなければならないという国家的、国民的要請におこたえをいたしまして法律案提案いたしたわけでございまして、それに対しまして衆議院におきましての修正がございました。  この修正に基づきまして国会の御判断をいただきまして、当面、元利返済にまで至りませんが、これは長年かけて行うことといたしまして、利子利子を生むという雪だるまの状況について一つの区切りをつけさせていただきたいということでございますので、ぜひこうした考え方基づきまして本法律案が成立することを心からお願いいたす次第でございます。
  52. 寺崎昭久

    寺崎昭久君 大蔵大臣にお尋ねいたしますが、政府JR各社年金負担の追加を求めるということをおっしゃっている一方、三島会社プラス貨物には無利子貸付制度を創設して、それを適用するというようなことを計画されているように聞いているんですが、それが本当なのかどうか。  なぜ大蔵大臣にお尋ねするかというと、無利子融資というのは、これは回収するという前提ですね。今大変苦しいという会社が本当に回収できるという見通しがあるのか、その上でお貸しになるのかどうかという問題。それから、この資金というのは鉄建公団の継承する土地、株式の売却資金の一部が充てられるわけですから、そんな余裕があるんだったら返してもらった方がいい。それからもう一つは、無利子融資を受けているような会社が本当に株式上場なんかできると考えているんですか、これが市場経済に合致したやり方だと本気で考えているのか、その辺を伺いたい。
  53. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 今、返還まできちんとお願いすることは無理で、しかし何かしてあげないといけないというようなことだと思いますが、ちょっと政府委員が今その辺のことを詳しく申し上げます。
  54. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) よろしゅうございますか。  例えば、JR北海道の例で昭和六十二年当時と今日を見てみます。そうしますと、営業損益は二百億円ほど良化の流れがございます。しかしながら一方で、経営安定基金は百七十億ほど実は果実が少なくなっている。この問題をとらえて、何とか無利子融資をすることにより安定した資金を得ることによって経営が良化していくだろう、こういう考え方でございます。  そういう意味では、経営安定基金と今度の無利子融資、それから税制的な援助をすることによって一日も早く上場を果たさせたい、こういう思いでやらせていただいております。
  55. 寺崎昭久

    寺崎昭久君 関連質問をお認め願います。
  56. 和田洋子

    ○和田洋子君 民主党・新緑風会の和田洋子でございます。どうぞよろしくお願いします。  週末に地元に帰りましてJRの皆さんとちょっと話し合いをさせていただきましたが、本当に国鉄改革の理念とか基本フレームに反するばかりか、能力的にも不可能だというお話をしておられました。JR国鉄改革により国家財政の重荷から貢献する存在に転換して、国鉄は年六千億円の補助金をもらっていたけれども、JRは年二千億円の納税をしている、直近の平成九年度は二千九百億円の納税をしたというふうに言っておられました。お帰りになるとき、こんなふうに叱咤激励して私たちがやってきたのが間違っていたのかなということをしみじみおっしゃったことにとても私も考えさせられたものですから、ちょっと一言申し上げます。  私は林野の問題について御質問をいたします。  国有林野というのは、国有財産法によって企業用財産と位置づけられて、昭和二十二年から七百五十万ヘクタールもの広大な国有林野を、国民のための公共用財産というよりは、むしろ国有林野事業特別会計法で独立採算制をとって利益とか収益の追求をしていく企業特別会計として位置づけられてきました。昭和三十年代の高度成長期に、求められるままに本来やらなければいけない伐採計画をも無視して過剰な伐採をしてしまった、そして職員を大幅に増員をしてきた。造林のための借金、その利子さえ払えなくなった。第一次改善計画昭和五十三年にできましたが、しかしその計画は抜本的なものではありませんでした。職員の大幅な削減とか利子払いを隠すといった会計処理の変更で問題を先送りしただけのものでした。  まず、農林大臣に、第一次から第四次までの改善計画についてどういうふうに思っておられますか。結果が評価されるというふうに思っておられますか。お答えをお願いします。
  57. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 今、先生御指摘のように、昭和二十二年から始まりました国有林野制度が、木材の輸入自由化とともにといいましょうか、高度経済成長で木材に対する需要が急速に伸びてまいりまして、一時的には国有林野事業が黒に転じる時期が短期間ございましたけれども、その後すぐに赤字に転落をいたしました。これがだんだんふえてきているという状況の中で、昭和五十三年以降四次にわたる改善計画をやってきたところであります。  先生が今御指摘のように、全体的に、オイルショックとかいろいろありましたけれども、景気が非常にいい、また住宅建築等も国民的なニーズのもとで非常に木材の需要も高かった。その結果、外材の輸入ということと、先生が今御指摘の過伐問題が大きな問題になったわけであります。また、その問の当初見込んだ収支計画の一環であります金利動向も予想を上回るような金利状態もあったというような状況でございました。  四回の改善計画の中でそれぞれ最善の改善計画をとった、スタートをしたという認識でございますが、先生が今御指摘のように、結果的には現時点におきまして三兆八千億円の累積債務を抱えるという状況になったわけでございます。  しかし、このままほうっておけばいいというものではなくて、公益的機能あるいは木材の財としての経済的機能等を考えますと、国民の共通財産であるということから、この国有林野事業の抜本的な改革につきまして当委員会、参議院におきましてもぜひとも熱心な御議論をいただいた上、この法案の趣旨にひとつ御賛同いただき、また国有林野の抜本改革の新たなスタートを切らせていただきたいとお願いを申し上げます。
  58. 和田洋子

    ○和田洋子君 昭和五十三年の当時に「職員の皆さんの理解のために」という「経営改善を進める国有林」というものが出て、全国の営林署の職員を鼓舞したというふうに皆さんはおっしゃっておられます。「今後、昭和七十年代の初めにかけての二十年間の森林の育成の時期を耐えぬけば、トンネルの向うには、やがて「緑の王国」が待っているのです。私たちは、このかけがえのない宝を、誇りをもって次の世代にひきつぐことができるのです。」とか、「二十年後には成長量の多い人工林への切り替えもほぼ終了し、さらに、昭和三十年代に積極的に造成した森林が成長することから、伐採量の増加が見込まれます。」とか、「二十年後には、必ずや、財政的にも自立し、しっかりした経営を築くことができると考えます。以上のような将来の明るい展望を確信しつつ、私たち自身の汗と知恵で地道な経営改善を着実に実施していきましょう。」というようなことで、全職員を叱咤激励をして、バラ色の林政が待っているというふうに言われた昭和五十三年の第一次改善計画、その二十年後というのはまさに今であります。地元の営林署、退職の皆さんも営林署の職員の皆さんも何だったんだろうというふうな思いでおられました。それも大変印象に残りました。  国有林野事業の累積債務が三・八兆円にもなってしまった、その原因と責任は何なんでしょうか。もし一般財源から繰り入れるならば、そのことをもっと国民に明らかにされて、その責任はどうだったんだ、どういうことだったんだということをしっかり国民の皆さんに開示してその責任を明確にするべきだと思いますが、総理大臣、いかがでしょうか。
  59. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 私から冒頭申し上げて総理の御答弁をいただきたいと思いますが、先生が今御指摘のように、そういうスタートを切ったわけでありますけれども、この四回の改善計画、いずれもその時点の伐採量よりも縮小した計画でスタートせざるを得ないという現状がございました。先生御承知のとおり、昭和三十年代、どんどん木を切ってまいりましたので、まだ伐採の適齢期に至っていないという状況でありますから、四回ともその時点での伐採量とその計画をスタートするときの伐採量が少ない状態でスタートせざるを得ないぐらいに資源が枯渇をしつつあった。それからまた、経済動向、金利動向等もございまして、したがいまして現実と計画とが大きく乖離をしてきたということでございまして、これを二度と繰り返してはならないということで五十年間の今度の計画をスタートしておるわけでありまして、今までの反省を十分踏まえ、また要員についても、過去も大変な御努力をいただいて要員の縮小に取り組んできたわけでありますけれども、今回もこの要員、前提条件はございますけれども、ぎりぎりの必要の要員でスタートをさせていただくということで御理解をいただきたいと思います。
  60. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 今、担当大臣から御答弁申し上げましたけれども、思いますに、この国有林野事業におきましては、これまで要員の合理化、事業の効率化、一般会計繰り入れの拡充等、できる限りの経営改善努力は行ってきたと思っております。  ただ、指摘いたしましたように、国際的な木材価格が、大変輸入等多くなりまして、したがって国有林の伐採をいたします価格が非常に低迷をする、こういうことが結局財務状況の予想を上回っての大変な悪化につながってきたところでございます。  一方、国有林野を含めまして、林野は災害の防止等の国土の保全、水資源の涵養等、公益的な機能の発揮を初めとする国有林野事業の使命を十分に果たしていけるよう、国民の御理解を得ながら抜本的改革に全力で取り組んでまいりたいと思っております。  具体的に、私の町はかつて営林署もございまして、戦後、国有林の伐採によりまして大変町経済、地域経済が大きく活性化いたしました。大変な量の木材が切られ、そして住宅建設にそれが効果を発揮したわけでございますが、その後は、先ほど申し上げましたように、いろいろ世界的な木材価格の動向等によりまして、いろんな努力は真剣に積み重ねてきたとは思っておりますが、残念ながらこういう経過になってきておるわけでございます。  改めて新しい事態対応して、将来にわたって本当に国有林野としてもろもろの役割を果たし得るように、この際はぜひ国民の御理解を得ながらこの計画を実施していくということでなければならない、こう考えましてこうした計画を打ち出させていただいた次第でございますので、ぜひ御理解のほどをいただきたいと思っております。
  61. 和田洋子

    ○和田洋子君 私は国有林野というものを大切にしたいというふうに思っています。三・八兆円という債務が出てしまったわけですが、企業特別会計が失敗してしまったからと言っておきながら、また一兆円を企業特別会計に残すということに私は大変な疑問を感じています。  二・八兆と一兆というのがどういう形で出てきたのか。当初、林野庁は五千億円ぐらいをというふうにおっしゃっていたそうですが、それが一兆円になった。それはどういうわけでそういうふうになったのか。本来、未来の子供たち、未来の世界に緑を残すという点で言えば、三・八兆円全部を一般会計からするべきだというふうに私なんかは思っておりますが、何で二・八兆と一兆なんというのが出てきたのか、それが本当に疑問です。  そういう一兆円を、今まで返せなかった企業特別会計は本当に返せるんですか。今、当分の間というのは五十年のスキームというふうなことで、五十年くらいが当分の間だというふうに大蔵大臣はおっしゃいましたけれども、五十年間で本当に一兆円を返せるようなスキームになっているのか。今までは売れたけれども今度は横ばいだ、横ばいとして内輪に見積もったなんというふうに言っておられますけれども、過去四回の改善計画が全部だめになってしまって、それで今度は横ばいだから、内輪に見積もったから一兆円は返せるなんて、それは甘いんじゃないでしょうか4そういうことについて、どういうふうにお考えでしょうか。
  62. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 三兆八千億円の負債をどういうふうに処理するかということの基本的な考え方でございますが、国有林野特会の立場からいえば、全部一般会計なりなんなりに承継していただければ、正直言ってこれほど楽なことはないわけであります。  しかし、これは今の財政状況、また林野特会がこれから行っていくべき事業、例えば先生も今御指摘になりました若齢期の林がやがて伐採適期になってこれから伐採量がふえていく、あるいはまたいろいろと土地等の資産の売却もこれから予想される計画としてきちっと立てることができるということでありますから、三・八兆を丸々我々の特会から外していくことによる、ある意味では自助努力の放棄ということは避けなければいけない。  できるだけやれる範囲できちっとした計画を立てて、これが五十年間で、今お話がありましたように売り渡し価格は低目に見積もりながらも、伐採量の増加あるいはまたいろいろな資産の売却等によりましてやっていくことができる剰余金が一兆円、その分を三・八兆の中から一兆円分としてお返しする。残り二・八兆はなかなか難しいことでございますので、一般会計にお願いをして承継して処理をしていただく。一兆円につきましては、五十年という大変長いタームでございますけれども、木のことでございますから、三十年、五十年という長いタームで考えてこの案をベストのものとして御審議をいただきたいと思います。
  63. 和田洋子

    ○和田洋子君 外材依存のこの日本の国で、そししてWTOの関税の引き下げなんかを考えながらやっていけば、そんな一兆円を返せるなんという見込みは私は全然ないというふうに思っておりますことを申し上げて、質問を終わらせていただきます。(拍手)
  64. 弘友和夫

    弘友和夫君 公明の弘友和夫でございます。  私は今論議されておりました旧国鉄長期債務処理を中心にいたしまして御質問をさせていただきたいと思うんです。  衆議院の論議も、また先ほど来のこの参議院での論議を聞いておりましても、本当に今回のこの旧国鉄長期債務処理、また林野にしてもそうですけれども、今、日本の置かれているいろいろな長期債務をどう処理していくかというこの考え方、これが一番私は問われているときだと思うんです。  しかし、この処理案を見ましたら、このスキームを見ましたら、そしてまた衆議院でのいろいろな答弁、また二分の一にしてみたり、いろいろ右往左往、それを見るにつけまして、今回この参議院での審議がいかに重要であるか、本当にこの法案というのは憲法問題にもなっている、そういう大事な問題でございますので、いかに参議院の審議が大事かと、この責任を痛感しながら私は質問をさせていただきたいと思うんです。  本来、国鉄改革というのは戦後最大の行政改革、こういうことで、破綻に瀕した国鉄鉄道事業を未来に向けてどう再生していくのか、そういう自主自立経営を基本理念としてこの分割・民営化が断行されたわけですね。そのときに処理すべき長期債務三十七・一兆円については、JRには負担能力のぎりぎりの十四・五兆円、そして残りの二十二・七兆円については国が責任を持って処理することと、こういうふうに決められた。JRはそれから一生懸命鉄道事業の再生、こういうものに向かってひたすら邁進をして今その債務返済に努めている。そしてまた、税金も納めている。そういう行政改革の手本ともいうべきJR各社努力によって今進められているわけです。  ところが、一方の清算事業団については、最初の二十二・七兆円が今もうまさしく二十七・八兆円ですか、これだけ膨大にその債務が膨らんだ。そういう中にあって、十一年かかって今これをどう処理しようかということで今現在があるわけです。  この提案理由の冒頭に、もう従来の処理スキームはもはや破綻している、こう言われていますけれども、今ごろになって、本来であれば政府責任を持って処理をしていかなければならないそういう問題を、十一年たって、もはやこの従来の処理スキームは破綻しているんだと、こういうようなことを言われても、そしてまたそれを、後で言いますけれども、民間会社であるJR等に負担をさせようという、政府責任民間会社に負担をさせようというスキーム自体が、またいろいろ先ほどからの論議にありますように、郵貯だとかたばこだとか、わけのわからないものに負担を求めるというスキーム、まさしくこれは、今からこの旧国鉄債務処理の仕方というのが、総理経済再生内閣だと言われているわけですから、今本当に哲学のある処理の仕方をしなければ、こういう処理の仕方では、ほかのことも全部やっていたんでは、まさしく日本はますます悪くなっていくんじゃないか、私はこういう思いでございます。  これは橋本内閣のときに決まったスキームですから、冒頭に、経済再生内閣、本当に今からやるんだと言われるのであれば、総理はこのスキーム見直してもう一度新しい処理法案を出すべきじゃないのか、このように思いますけれども、総理のお考えをお尋ねします。
  65. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 経済再生内閣は、言うまでもありませんが、現下の日本経済状況をあらゆる手法を講じて再生させていかなきゃならぬ、こういうことでございます。  そこで、今御指摘の新しい国鉄長期債務処理につきましては、積年にわたりましてこの問題については政府また国会も一体になりましていろいろと御議論もいただき検討してまいりましたけれども、いよいよもってこの約束の年限も達しました。この時期に当たりまして、利子利子を生むというような状況が今後続いてまいりますと、政府としての負担は行い得なくなるわけでございますので、今回このスキームをもって長年の懸案に一区切りをつけまして、先ほど来、元本返済の問題等につきましても御指摘いただきましたが、もちろんそれは今後の課題として十分検討するといたしまして、何はともあれ、大蔵大臣根雪とおっしゃっておりましたが、この問題はこの問題として、新雪をこの際どうしても取り除いて新しいスタートを切らせていただく。  このことは、先ほど御指摘のように、ひいては経済再生という問題にも大きく絡む話でございますので、ぜひこの機会に一つの区切りをつけさせていただきたい。そういう意味で、今般この法律案を出して御審議をいただいておるということで、ぜひこの点につきましては改めて御理解をいただきたいと存じております。
  66. 弘友和夫

    弘友和夫君 今回出されているものは、根雪をふやさないというか、新雪を取り除く、そういうことになっているわけです。そのこと自体は全面的に否定するわけじゃないんです。だけれども、そういうことだから、今やらなければならないから何でもいいというわけにはいかないと思うんですね。  そういう意味で、一番それが典型的にあらわれているのが民間会社に移行したJRへの追加負担の問題です。これはいろいろ今まで聞いておりますけれども、民間会社になったJR、しかも平成八年に決着がついた、そういうものを今さら取り出して追加負担をさせるというその根拠、何に基づいてそういうことをさせるのか、先ほど来の答弁でも全くわからないんです。明快にそれを、何に基づいてJR負担させていくのだということをお聞かせいただきたい。
  67. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) いろいろ御指摘の前段、まず六十二年度改革の趣旨、これはしっかり踏まえていかなければならない、これはお互い同じ意見だろうと思います。  ただ、その中で想定をされなかった年金問題が出てきた。平成八年でございます。共済年金から厚生年金に移換をする、そのときに、事業主でありますから旧国鉄の身分というものは清算事業団に残されております。ある意味では継続をいたしております。そして、JR、この事業主が負担をすべきだろうという決定がされた。そして、では清算事業団の分は将来どうするんですかというときに、いろいろ議論いただいておりますように、国が責任を持って処理をするという言葉が使われておる。まさに六十二年度改革でまず資産の売却を行う。そして、売却の見当がついた時点で、多分借金が残るだろう、当時は十三兆円という想定をいたしております。  その本格的な処理スキームをつくりなさい、これがそのときの御意見であった、清算事業団はまさにそのときに解散をすると。私どもは、その処理スキームをつくれという六十二年度改革の趣旨、そして平成八年のときに国が責任を持って処理をする、清算事業団が解散するときに処理をする、この二つを合わせまして今回のスキームとして提案をさせていただいておる。  そして、JR職員の年金をこれから払い続けるための費用でありますから、どうぞ御理解を賜りたいとお願いをしているところでございます。
  68. 弘友和夫

    弘友和夫君 それが全くわからないんですね。六十二年のものではない、途中で平成八年に移換金の問題は出てきたんだと、こう言われている。そして今、土地売却したり、いろいろ資産を処分して長期債務処理しないといけないという中に何で年金移換金の問題が出てくるのか。  それは途中で、平成八年に鉄道共済から移換するときに、これはもう大変な論議を経て統合されたわけですね。従来の鉄道共済年金が去年の四月に厚生年金と統合された。その統合されるときに、いろいろな年金関係者、有識者が長期にわたって検討してきたわけです。そして、その結果、九千四百億円の移換金が必要だと。持参金ですね、それが必要だと。その分担をどうするんだと。  それで、有識者なりがいろいろ論議をして、その分担を、これは今までの国鉄改革の基本フレーム、これに基づいて国鉄の時代は清算事業団が持ちましょう、JR債務部分JRが持ちましょうと、七千七百億円と千七百億円に負担区分を明確にした。そして、それを法律にまで明記しているんですよ。  それが何で、千七百億円はJR、七千七百億円は清算事業団、その清算事業団の分はどういうふうになるかわかりませんよ、だれの負担になるかわかりませんよなんという趣旨の、じゃ法律にそういうことが明記できますか。はっきりしなければその負担清算事業団が持ちますと、こう言っているわけでしょう。  何でこういうふうになっているのかということを見てみましたら、平成八年三月八日の閣議決定、これを読んでみますと、  事業団債務等処理については、昭和六十三  年一月二十六日の閣議決定「日本国有鉄道清算  事業団債務償還等に関する基本方針につい  て」により、「土地処分収入等の自主財源を充  ててもなお残る事業団債務等については最終  的には国において処理する」こととされている  ところであるが、移換金債務についても事業団  の既存の債務等と同様の取扱いをするものとす  る。こういうふうになっているわけです。  今までの審議を聞きましたら、「国において処理する」というのは国が処理するということじゃないんですよ、国がどういう処理の仕方をするか決めるんですよと、こういう一つの答弁でしょう。そしてもう一つ、「同様の取扱いをする」と。その「同様の取扱い」というのは時期を言っているんだと運輸大臣は言われています。長期債務処理するときに同様の取り扱いをする、それは処理をする時期を言っているんだと、こういうふうに答弁されていますけれども、間違いないですか。
  69. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 時期をということで明確な答弁をさせていただいております。
  70. 弘友和夫

    弘友和夫君 そうしましたら、この三月八日の閣議決定、この後に六月には年金の改正案が成立しているわけです。その以前の三月八日からこの六月の成立までの間に衆参の厚生委員会でいろいろな論議がされているわけですね。その中で、その当時八千億と言われているが、八千億をもう破綻に瀕している清算事業団に持たせても果たして大丈夫ですか、責任が持てるんですかと、こういうふうにみんな言っているわけです。そうしたら、運輸省大蔵省も全部、それは八年三月、既存の債務等と同様の取り扱いをする、すなわち最終的には国において処理するということを閣議決定されております、こういう趣旨の答弁が全部あるわけです。そうなると、果たして八千億を清算事業団に持たせて大丈夫ですかと、こう尋ねたのに対して、同様の取り扱いをするというから大丈夫ですと、こういう答弁をしている。  では、その時期だということになれば何で大丈夫ですか。処理する時期だということの解釈であれば、八千億大丈夫ですかと言われたら、同様の取り扱いをしますから大丈夫ですよと、こういうふうに答弁しているんですよ、みんな。それが何で時期だということになるんですか。それを答えていただきたいと思います。
  71. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 今御指摘いただきましたように、国鉄清算事業団にすべて負担をさせるというけれどもそれは大丈夫かと、こういう議論がたびたび出たところでございます。したがって、国が責任を持って処理いたします、処理スキームを考えます、検討させてもらいます、こういうことで答弁をさせていただいたところでございます。
  72. 弘友和夫

    弘友和夫君 そういう論議をされたんですか。そのときに、清算事業団処理の仕方について国が責任を持ってやりますと、こういう答弁は私の知る範囲ではどこにもないんですけれども。
  73. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 失礼いたしました。衆議院における私の答弁でございます。
  74. 弘友和夫

    弘友和夫君 いや、それは最近の話でしょう。厚生委員会のことを言っているんですよ、その当時の。今の話じゃないんですよ。三月八日に閣議決定をされて、六月に厚生年金法が改正される、そのときの論議を言っているんですよ。  私どもが主張しているのは、これは法案にも七千七百億と千七百億と明記されているわけですよ。それを変えて今やろうとしているわけでしょう。そのときの考え方が変わっているわけです、明確に。では、それは処理する時期だというんだったらこの答弁は成り立たぬわけですよ。清算事業団が解散するときの時期のことを言っているんです、こういうことでは成り立たないわけですよ。  まず、その閣議決定というのが三月八日にされているわけですけれども、閣議決定というのはどういうことなのか、ちょっと総理にお伺いしたいんです。
  75. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) この国鉄清算事業団債務につきまして、事業団発足当初から「最終的には、国において処理する」とされてまいりましたが、この文言は債務処理に必要な財源をすべて国の負担とすることを決定したものではない、こういうことでございまして、そうした考え方基づきまして、その閣議決定の趣旨を踏まえて今日こうした形の法律案提案させていただいた。  その段々の経過の中で、厚生年金移換金問題につきましても大きな問題であるということは承知をいたしておりますけれども、これは先ほど運輸大臣が答弁いたしましたような考え方基づいて処理させていただいた、こういうことでございます。
  76. 弘友和夫

    弘友和夫君 六十二年の長期の債務については、それは全部国がどうこうということじゃない、いろいろスキームをつくってやるということなんですよ。だけれども、先ほど来運輸大臣は、六十二年のとは違いますよ、平成八年のは新たな問題として年金統合の問題が出てきたんですよと。その新たな問題は、その当時いろいろな方がかかわって、委員会でも審議をされて、そして七千七百億と千七百億と決まったんじゃありませんかと。今回、清算事業団を解散するのに当たって、何でそういうものを持ち出されてくるんですかということなんです。  この閣議決定の解釈の仕方というのはみんなばらばら、それはちょっとどなたかにも聞きたいんですけれども、そういうことでいいのか。そして、事前に事務次官会議がありますね。この事務次官会議は、いい悪いは別にして、全省庁がオーケーしなければこれは閣議の場に上らない。これは今問題になっている。  では、大臣じゃなくて運輸省の方にお伺いしますけれども、その三月八日の閣議決定のときにそういう認識であったのかどうか。千七百億はJR、七千七百億は清算事業団、その清算事業団についてはまだJR負担しなければならない、そういう認識があったのかどうか。どうですか、事務次官会議で全員オーケーしているわけですから。  きょう事務次官を要求しておりましたけれども、事務次官。
  77. 中曽根弘文

    委員長中曽根弘文君) 速記をとめてください。    〔午前十時五十二分速記中止〕    〔午前十一時三分速記開始〕
  78. 中曽根弘文

    委員長中曽根弘文君) 速記を起こしてください。  弘友君の運輸事務次官の出席要求につきましては、既に理事会で協議をいたしましたが合意が得られておりません。引き続き理事会等で協議を行うことといたしますので、質疑を続けてください。
  79. 弘友和夫

    弘友和夫君 事務次官の出席については事前に私の方から通告をさせていただいておりまして、出れませんとか出れますとかいう返事は全くないわけですよ。当然、通告をしてそのまま返事がなければ来られるのは当たり前じゃないですか。今までだって例があるわけですよ。参議院だって、また衆議院だって、今まで事務次官が出られた例はたくさんありますよ。どこかに出張されているとかいうのだったら別ですよ。何で出られないんですか、総理は出られているのに事務次官が出られないというのは。今申し上げたこととか個人的な発言の問題もあるから、ほかの方がかわって答弁するわけにいかないんですよ、本人の気持ちですから。それをかわりにこういうふうに聞きましたとかなんとか言われたってどうしようもない。だから、来られないというのであれば、また後で理事会等でぜひ検討していただきたいと思います。  しかし、これはこの参議院の院の権威にかかわることだと私は思いますので、委員長におきましてはそういう思いで決着をつけていただきたい。
  80. 中曽根弘文

    委員長中曽根弘文君) 事務次官の出席につきましては、事務次官は政府委員となっておりません。したがいまして、出席の要求は金曜日の夕刻ございましたけれども、理事問で協議ができず、けさ協議いたしました。先ほど申し上げましたように、けさ合意が得られておりませんでした。  そういうことで、引き続いて協議をしていただきたいということでございますので、よろしくお願いいたします。
  81. 弘友和夫

    弘友和夫君 先ほどの、閣議で三月八日にこういうふうに決められた、この大きな解釈の違いがあるわけですよ。普通、常識的に考えれば、もう清算事業団決着済みで、その清算事業団移換金部分については同様に処理する、こういうふうに見るのが当たり前なんですけれども、全然違った考え方をしている。  では、その閣議の前の事務次官会議でどういうことで合意をしたかというのを私はお聞きしたいわけですよ。それは出席されておりませんのでまた別の機会にさせていただきたいと思います。  それともう一つは、JRはもう既に上場されているわけですね。平成五年にはJR東日本、平成八年十月にJR西日本、平成九年十月にJR東海と上場されているわけです。そのときに、私は今いろいろ論議になっております投資者の保護について、今回非常にJRは頑張っておるので海外の投資家も一〇%から二〇%ぐらいいらっしゃる。そういう方々が、全然情報も提供されずにこんな負担がどんと後になって来るというのは日本の中はどうなっているんだと、こういうふうになるわけですけれども、私は投資者の保護ということに関して、きちっと大蔵省でも証取法等のあれがあると思うんですけれども、それについてお伺いしたい、投資者保護のための法案とかいうのはどういうものがあるか。大蔵省ですよ。
  82. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) JR東日本を上場したときに、将来、年金負担があるということを書いていなかったんではなかろうかという御指摘なんだろうと思うんですけれども、そうですね。  五年の当時は、当然これはまだ先ほど申し上げた八年に想定をされた話でございますから、八年に出てきた話でございますから、五年当時、この年金移換金負担については何も記載はなかったということは事実でございます。
  83. 弘友和夫

    弘友和夫君 私はそういうことを聞いているんじゃないんですよ。  まず、投資者の保護のためにどういう法律があるか。もう時間がありませんので私の方から言いますと、証券取引法第五条、「その他の公益又は投資者保護のため必要かつ適当なものとして大蔵省令で定める事項」というふうにありまして、その中でいろいろと有価証券届出書、事業の概況、営業の状況、主な資産・負債、そしてまた企業内容等の開示に関する省令にも「投資の危険度に関する投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項を一括して分かりやすく記載すること。」というふうになっているわけです。  今、運輸大臣が言われたように、平成五年のときのJR東日本の場合はまだ当然この問題というのはなかったわけです。ところが、JR西日本になりましたら、もう既に六月には年金統合になっているわけですね。それは成立しているわけです、事前に。そのときに、年金と、先ほど来の運輸大臣の御答弁ではJRは千七百億ですよ、清算事業団は七千七百億ですよと。その七千七百億についてはまだ処理の仕方、JRにあとどれだけ負担させるとかなんとかいうことは決めておりませんということであれば、当然、上場するときに目論見書にそれが記載されていないと、投資家が判断するのはこの目論見書、これが唯一だ、こういうふうに書かれているわけですから、その中のどこに記載がされているかということなんです。全然ありませんよ。全然ない。  いいですか、JR西日本の場合は平成八年七月ですから、これは上場する直前です。これには、鉄道共済年金のところに、「平成九年度から鉄道共済を含む旧公共企業体の共済を厚生年金に統合する旨を内容とする「厚生年金保険法等の一部を改正する法律」が平成八年六月七日に成立しました。」、成立した後、厚生年金に移換すべき積立金は約一兆二千百億円と見込まれておりますが、政府における現段階の粗い試算では、積立金で充当できるのは約二千億、残りの約一兆円のうち二割を承継法人等が負担することになると見込まれておりますと。いろいろ終わった翌年九年の報告書にも同じようなことが書かれていまして、約一兆円のうち二割を承継法人が負担することになり、当社の負担は約五百億と見込まれております、この負担につきましては平成九年度より五年間で分割して費用に計上する予定でありますと。  こういうように、唯一投資家が判断する材料に一切そういうことが書かれていないじゃないですか。これに書いていなくて、そういう可能性があったんでしたら、清算事業団の七千七百億については後でJR等に負担させることがあるという可能性があるんだったら、当然これはこれに入るわけなんです。(「重要事項だ」と呼ぶ者あり)重要事項でしょう、今言われたように。  これは運輸省とも協議して書いているんです。国が清算事業団の株を放出するわけで、まさしくそれを隠していたということは、海外の投資家等もこれは詐欺に近いんだと。株が今大変な状況で、海外投資家も初めて、一昨日ですか、投資家の買っている方が少なくなっているようなことを書いておりましたけれども、とにかくそういう離れていく。こんなわけのわからない、だけれどもこれについてこれに書かれていない、それが。運輸大臣が言われたように、七千七百億、清算事業団を解散するときにそういう可能性があったんだったら、当然これに入らないといけない。そうでしょう。  当たり前のようにそういうことを言われるので、だから私は先ほど事務次官に聞きたかった。三月八日の閣議決定の前の事務次官会議はそんなことになっていないんだ。だからこそ、厚生委員会でも何でも、委員会でもそういうことは問題なくて、当然これは国で処理しますということでみんなが納得したんじゃないですか。それを、移換金については時期の問題ですとかいうような答弁なんというのは、全くこれは納得ができないんですよ。  虚偽の記載については規定があるんです、いろいろ。「虚偽事項記載等による賠償責任」、「重要な事項について虚偽の表示があり、又は表示すべき重要な事項若しくは誤解を生ぜしめないために必要な重要な事実の表示が欠けている目論見書その他の表示を使用して有価証券を取得させた者は、表示が虚偽であり、」云々と、こうある。「損害を賠償する責に任ずる。」と、こういう項目があるんですよ。それが、これだけ大きな負担を新たに負わせる。我々とで決着済み法律にちゃんと額まで明記しているわけですから、それを新たに負わせるという根拠。  そうしたら、株式届出目論見書にはそういうのが入っておりませんと。これは虚偽記載じゃないですか。大蔵大臣、どうですか。
  84. 小幡政人

    政府委員(小幡政人君) 過去の事実関係でございますので、政府委員から答弁させていただきたいと思います。  まず、先生お話しの平成八年七月の西日本旅客鉄道株式会社の株式売出届出目論見書についてでございますが、その証券情報の部の中で、鉄道共済年金につきましては、先生お話しのように、九千四百億円の移換金負担のうち千七百億はJR各社が、七千七百億につきましては清算事業団負担する、こういう負担区分がなされたことが記してございます。  その清算事業団負担いたしました七千七百億につきましては、その同じ証券情報の事業の概況等に関する特別記載事項の一のところの日本国有鉄道改革の概要の中で、この七千七百億円の清算事業団債務についてはほかの債務と一緒に「最終的には、国において処理するとされ、」ということが記載されております。この最終的に国において処理するという処理方策は、先ほど大臣から申し上げましたように、その後整理されて今回の案になっておるという時系列の議論でございます。  なお、東海の目論見書につきましては、平成九年の七月でございますけれども、このときには、一年後でございますので、先ほどの清算事業団が引き継ぎました移換金債務を合わせまして国において処理すると同時に、全体の清算事業団が抱えます債務処理につきましての説明のくだりがございまして、「財政構造改革の推進について」という平成九年六月の閣議決定を抜粋いたしまして、そういう議論がされておる、これからいろいろなその負担関係が決まるということが記されているわけであります。
  85. 弘友和夫

    弘友和夫君 それは何年のものですか、目論見。その上場するときにこれを書かないといけないと、しかも今よそのところに書いておりますというような話をしていますけれども、証券の企業内容等の開示に関する省令、これは「投資の危険度に関する投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項を一括して分かりやすく記載すること。」と、こうあるんですよ。一括してそこに書いておかないといけない。鉄道共済等年金部分には一切書いていないで、書いているというのもおかしいと私は思います。だけれども、上場するときにほかの部分で書いていました、そんな開示の仕方がありますか。「一括して分かりやすく記載すること。」と書いているじゃないですか。どうですか、それは。
  86. 小幡政人

    政府委員(小幡政人君) お答え申し上げます。  先ほど申し上げました西日本旅客鉄道株式会社の目論見書は平成八年七月の資料でございます。  なお、先ほど申し上げましたように、西日本鉄道株式会社が負担いたします共済年金については、具体的に、その時点において負担することについては鉄道共済年金の方に書いてございますけれども、清算事業団が分担することになりました債務処理につきましては、先ほど申し上げましたように、「最終的には、国において処理する」という方針が閣議決定されておりますのでそれを示してございますが、その処理方策についてはまだ決められておらない、決まっていないという状態でございますので、それについては記してございません。
  87. 弘友和夫

    弘友和夫君 だから、国において処理するということをどうするかということを論議しているわけですよ、先ほどから。だから、事務次官会議の内容を私が聞きたいと言ったのはそこなんですよ。閣議決定で「国において処理する」ということを決めた、全部後から理屈をつけているわけです。財政構造改革会議、去年の十二月に決まるまでは一切、運輸省だって大蔵省だってどこも千七百億と七千七百億のその負担割合を変えようなんて思ってもいないと思うんです。清算事業団は国において処理する、こういうことで厚生委員会もその法案が通ったわけですから。それをある日突然、この間大蔵大臣が言われたように、その処理の仕方のときに、たばこだとか郵貯だとかにお願いしないといけないと言われた。そのときに、当事者であるJRが全然負担しないのはおかしいじゃないか、そういうことから後でひっつけた理屈なんですよ。そんなことでは私は納得できない。後ほど理事会であれされて、事務次官の出席をぜひ実現していただきたい、このように思います。  余り時間がありませんので、そういうことでずっと論議がありましたこの処理の仕方、確かに総理が言われたように、根雪をふやさない、今これを処理しなければ大変なことになる、これはよく理解はできますよ。ただ、余りにも郵貯もたばこ理屈が通らないのは事実ですけれども、じゃこのスキーム全体を崩してしまったらもう大変なことになるという、私もそういう考えはあります。  そうなってくると、その処理の仕方でこういうことを大蔵大臣衆議院で答弁されておりますね。JR負担が削除されてもこの財源確保法のスキームは壊れないんですねということに対して、私の承知いたしておる限りでは郵貯にもたばこにもお願いしたいということは崩れないと思いますと、こういうふうに御答弁になっておりますけれども、もう一度。  野田郵政大臣、大変お待たせして恐縮でございますけれども、たばこと郵貯について、例えばJR負担が削除されたとしてもそれは条件じゃないんだと、今の段階になって、条件じゃありませんと大蔵大臣は言われておりますけれども、そういう意味で、たばこについてもJRの削除云々はこのフレームの条件じゃないという理解でよろしいのでございますか。
  88. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 法律上の条件かというお尋ねであれば、法律上の条件ではございません。長いこといろいろな交渉が行われましたから、その間おのずからいろいろな関係のようなものは生まれておりますけれども、法律上の条件かとお尋ねになれば、それはそうではないとお答え申し上げるべきだと思います。
  89. 弘友和夫

    弘友和夫君 郵政大臣、ひとつよろしく。
  90. 野田聖子

    国務大臣野田聖子君) お尋ねの国鉄長期債務処理に対して郵便貯金の特別会計から繰り入れる件につきましてですけれども、まず私たちは、これが国家財政の非常事態なんだ、そして将来世代に先送りできない国の重要な課題なんだと、そういう位置づけから、御承知のとおりほかの機関も協力するという取り組みの中にあって、私たち郵便貯金も国の機関でありますから、この際やむを得ず特例的に御協力させていただくということを決めております。  今般の措置につきましては、衆議院ではJR負担が二分の一になるというような変更もございましたけれども、今現在では当初の政府案どおりであるというふうに受けとめておりまして、御協力を行わせていただく、そういうことでございます。
  91. 弘友和夫

    弘友和夫君 ですから、たばこにしても郵貯にしても、納得のできない部分が非常にあると思うけれども、今こういう国の状態ですからということでございますので。  私はあと、だからこの修正で二分の一、二百四十億が百二十億になったわけですよ。これは金額の問題じゃないんです。やっぱりこれは後から民間会社に負担させるという理由、こんなことが許されるんだったら、今から国において処理するなんというのは信用ができなくなるんですよ。全部国において処理するというのは、どういう処理の仕方をするんですかということを全部決めておかないと先に進まなくなるんですよ。だから、これをぜひ考え直していただかないといけない。  二分の一の修正の案について、衛藤先生に来ていただいて恐縮なんですけれども、時間がなくなりまして申しわけございません、ちょっと省かせていただきますけれども、二分の一にした、さっぱり意味のわからない、だけれどもそういうことの論議の中であと百二十億。  総理、二分の一のときも理屈じゃないと、こう言われておるんですね。理屈じゃないとは言われていないけれども、各党問の話し合いの中でこうした決意を国会が御判断をされることにつきましては、それが最善のものとして考えていかなければならない、このように考えておりますと、このように総理は答弁された。また、運輸大臣も、私たちはいろいろ意見は挟みませんと。本当は挟めないんです、運輸省は、理屈がなくなったわけですから。これは政党問の議論の中で出されたものであります、まさに国会の審議の場を経ながら出た話でありますから、私は重く受けとめたいと、このように言われておるわけです。  ですから、たばこ、郵貯、これは条件じゃないと、そこまで譲っていただいておるわけでございますが、それをもう一度この参議院の場で議論をして、この修正案は絶対そういうふうな形になるのが私は一番いいと、このように思うんですけれども、もしそういう議論の中でそういう決定がなされたときに、この考え方は同じことだと思うんですけれども、どう総理は受けとめられるのか、最後にお聞きしたいと思います。
  92. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 既に御答弁申し上げておりますが、今般のこのスキームそのものは、これを成立させていただきませんと大変な事態が生じてくるということでお願いをしております。  衆議院でそうした形での修正がなされまして、今本院におきまして十分な御審議をちょうだいいたしておりますが、この御審議を通じまして、基本的にはこのスキームを生かすことのできるようにぜひお願いをいたしたいと思っております。
  93. 弘友和夫

    弘友和夫君 終わります。(拍手)
  94. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 日本共産党の宮本岳志です。  長期債務問題について質問いたします。  分割・民営化から十一年になりますけれども、旧国鉄長期債務は何ら解決されないまま今こういう大問題になっております。もう一つの問題として放置されてきたのが一千四十七名の解雇問題であります。当事者である旧国鉄職員の生活や家族の苦痛を考えれば、人道上も一刻も早い解決が求められている、こういうふうに私は思います。このことを申し上げて、質問に入ります。  旧国鉄債務二十八兆円の債務処理が大きな課題になっておりますけれども、事はそれだけの問題ではないと思うんです。まず、運輸省大蔵省にお伺いをいたしますが、これまで十一年間に土地や株の売却等で債務支払いに充ててきた総額は十四兆四千億と聞いております。今後の年金費用の支払い総額は六・七兆、そして今回免除されます無利子貸付分八・三兆円のこれまでの利子補給分が十二年間で四兆一千七百五十億円、これは事前に聞いたわけですけれども、間違いございませんか。イエス、ノーでお答えください。
  95. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 収入は十四兆四千億円、これに対して年金を含めた利払い等の支払い額は十五兆八千億円、結果として二十七兆七千億円ということでございます。
  96. 寺澤辰麿

    政府委員寺澤辰麿君) 一般会計昭和六十一年度及び平成九年度に旧国鉄及び国鉄清算事業団から承継いたしました債務に係ります平成十年度までの利払い累計額でございますが、四兆一千七百五十億円でございます。
  97. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 そういたしますと、仮に政府スキームどおりに事が進んだといたしましても、二十八兆円の債務のほかに既に支払った十四兆四千億、これから毎年四千百億円の利払いを六十年に及んで払い続ける。これは減るというふうに私は思いませんけれども、仮に二分の一にだんだん減っていくと仮定しましても累計で十二・三兆。年金の総支払い額が六・七兆。そして、私はこれは隠された債務だと思うんですけれども、無利子の貸し付け八・三兆円の補給利子分が今お話がありましたように約四兆。しかも、この無利子貸付分八・三兆というのは今回免除するということになっておりますが、国としては利払いは今後とも続いていくわけであります。一般会計から十三年とか六十年というスパンで利払いをするわけですけれども、これも仮に二分の一と見積もっても五・七兆という途方もない額になるわけです。合計すると七十一・一兆、まさに巨額に上るわけであります。  この間、JR年金負担等をめぐってさまざまな議論が行われてまいりましたが、中心問題はそんなことではないと私は思うんです。この途方もないと十兆を超えるような国民負担、これが本当に今押しつけられるのかどうか、このことが一番の重大問題だと私は思います。国民は今でさえ深刻な不況のもとで生活と営業は大変だと、このときに、少なく見積もっても七十兆円、このような莫大な額のほとんどを国民負担に押しつけていく。これはもう絶対に我が党は許せない、容認できないと考えますが、これを国民に総理は一体どう御説明になるのか、このことについて総理にお答えいただきたいと思います。
  98. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 現実にそういう事態になっておるわけでございますから、私としては、やはり我が国がこれから経済成長をしていきまして、多少時間がかかりましてもこういうものの債務を払っていかなければならない、そういうふうに申し上げたいと思います。
  99. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 国民に何も明確な説明ができないというふうに思うんです。国民は納得しないというふうに思います。  大蔵大臣は、元本償還についての本会議での私の質問に対して、「基本的にはお説のとおり」、「今根雪部分処理をするだけの財源調達ができないというのが現状でございます。」と、こうお答えになりました。  大蔵大臣償還見通し元本についてはないということですか。
  100. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) そうではありませんで、借りたものは返さなければなりませんから、財源をどうするかと今言えとおっしゃいましても、ただいまそれを国民負担にするわけにはまいりませんから、やはり六十年という中で払っていかなければならない、そういう意味でございます。
  101. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 結局、歳出歳入の努力以外何もない、抜本的処理というけれども実際は何の見通しもないということだと思います。  結局、この歳出見直し歳出努力というものは社会保障費を初めとする国民生活関連予算を切り詰めていくということにならざるを得ないし、また歳入の努力ということになれば、新たな国民負担、新しい増税ということになるのではないか。  昨年の財政構造改革会議で、今回の政府案のスキームのもとになった案が発表されたときに、新聞各紙はそのことを書きましたよ。例えば朝日新聞は「消費税増に道開く恐れ」と書いておりますし、東京新聞も「消費税増も」とはっきり書いております。これは国民の当然の不安だと思うんです。  総理、そんなことはない、そういうことはやりませんとおっしゃるのなら、今ここで、社会保障費へのしわ寄せばやりません、新たな増税は一切やりませんと約束できますか。総理、御答弁願います。
  102. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) そういうものでは私はないと思うのでございます。日本経済というのは、今こういう不振にありますけれども、底力を持っておりますから、これから何十年の将来を展望して、こういう債務はいずれにしても国民の御負担で払っていただかなければならないわけです。しかし、これだけの大きな経済がこれだけの債務を国民にそんなに新しい御迷惑をたくさんかけずに払えないか払えるかといえば、その点、日本の国債は私は世界的な信用を持っておると思います。
  103. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 今、国会で大激論になっている例えば金融の問題を見ましても、銀行救済に六十兆とか七十兆という議論になっています。私、先ほど計算しましたが、この旧国鉄債務も、いろいろ債務以外の利払いだとかつけ足せば七十兆というような額になってくる。まさにこういう負担を国民に押しつけるということは絶対に許されない、そういう大問題であるというふうに私は考えます。  次に、JR負担について質問したいんですが、本会議の時間の関係があるということですので、ここで私の質問をとめたいと思います。
  104. 中曽根弘文

    委員長中曽根弘文君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午前十一時三十七分休憩      ―――――・―――――    午後一時開会
  105. 中曽根弘文

    委員長中曽根弘文君) ただいまから日本国有鉄道清算事業団債務処理及び国有林野事業改革等に関する特別委員会を再開いたします。  日本国有鉄道清算事業団債務等処理に関する法律案外五案件を一括して議題とし、休憩前に引き続き質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  106. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 午前中、私は七十兆円を超える大問題だということも指摘をしたわけですけれども、七十兆円といえば年間の国家予算に匹敵する額ですので、やはりこの問題は、私たちは国民負担を新たに押しつけることなくきちっと解決をしていく、このことが大切だというふうに思うんです。  次に、JR三社の長期債務についての負担を求めるということを私どもの党は求めておりますが、これについて少し考えてみたいと思います。  運輸大臣は、本会議での私の質問に対して、「六十二年改革当時の原則というものは守っていかなければならない、」、こうお答えになりました。だから、追加負担は妥当でないということだったと思うんですが、では六十二年改革当時の原則と当時の承継債務決定のルールというのはどのようなものであったのかということです。  JR債務承継額は国鉄改革法の十三条、それから閣議決定をした基本計画、これに基づいて当初五年間においておおむね営業収入の一%の利益を保証するという計算をやられたと思うんです。一%の経常利益は保証する、それを超えるそれ以外の分はぜひ債務利子で払ってくれ、その利子に見合った債務を各社が持ってもらうと、こういう議論だったと思います。  だからこそ、赤字の会社には経営安定基金を与えて、こちらもその基金からの受取利子を合わせれば赤字を埋めてちょうどぴったり一%の利益が出る、こういう計算になっていたと思うんですね。  運輸大臣、こういうことですね。いかがですか。
  107. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 御指摘のように、国鉄改革時におけるJR東日本、東海、西日本、そして貨物、この四社につきましては、各社が最大限の効率的経営を行うということを前提にしながら、当面収支が均衡し、かつ将来にわたる事業等が健全かつ円滑に進められる、一%程度の利益を上げられるということを前提にしながら算出いたしたものでございます。
  108. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 では、例えばJR東日本と東海について、一九八七年度の実際の営業収入と経常利益をそれぞれお答えください。
  109. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 今、東日本と東海と西日本と貨物のことを申し上げましたので、四社のことをお答えさせていただきたいと思います。  JR東日本は七百六十六億の経常利益、四・八%、JR東海は六百七億の利益、六・九%、JR西日本は八十億の利益、一%、JR貨物は五十九億の利益、三・四%でございます。
  110. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 そうしますと、六十二年の閣議決定のルール、つまり一%の経常利益ということから見て、JR東日本で見ればまさに営業収入が一兆五千六百五十七億円、その一%なら保証すべき経常利益というのは百五十七億円という計算になると思いますが、今お話にあったように五倍ですよ、.四・八%。また、JR東海で言えばその六・九倍、六・九%ということで、大きくずれてきているわけですね。西日本は一%とおっしゃいましたけれども、これは初年度だけの話でして、私はその後もいろいろ見てみましたけれども、その後は何倍にもなってきていますよ。  そこで、私は、このときに債務承継のルール、債務承継額を決定するに当たって運輸省が当時国会に出された「昭和六十二年度以降五か年間の旅客鉄道会社経営見通し」、この表をもとに、この見通しと実際この五年間とがどれくらい食い違ったかということを一つ一つ計算してみました。  つまり、閣議決定で決めたルールに照らして実際はどうなったか、予測に対して、ということをやってみました。一%程度ということですから、これは大体あなた方の見積もりも年度ごとに見てみると一%と決まっていないです、一・九九とか二%とかというところもあります。だから、これは二%で計算をしてみました。一%より高く見積もって計算をしてみました。つまり、実際の営業収入の二%の経常利益を保証するという形でこのルールどおりに債務を分けたら、実際に国鉄改革時に各JR、特に本州三社が承継した債務とどれぐらいの差が出るかということを計算してみましたら、東日本で九千九百十四億円、これは五年間の平均をとってみましたけれども九千九百十四億円、東海では一兆一千七百億円、西日本では三千八百三十九億円、トータルで二兆五千億円も承継すべき債務が少なかった。つまり、予測と実績とを比べたら、一%というルールだったが、二兆五千億円も債務は少なく承継されているということになります。  私たちは決してこの二兆五千億を単純に機械的に今から追加負担せよと言うわけじゃないですよ。しかし、少なくとも当初定めたルールに照らして、二兆五千億円、これは過少であったと。運輸大臣、このことについてはお認めになりますね。
  111. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) バブルの時期に売上高が予想された以上に相当上がったということも事実であります。また一方で、民間経営という手法の中でそれ以上の努力をされたということも事実だろうと。一方、貨物は逆に時代の変化の中で極めて厳しい経営状況になることも事実だろうと。そういったもろもろをあわせながら、国会で御審議いただいて結論が出た、そしてその大原則というものはやはり守り抜かなければならぬだろう、こう思っております。
  112. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 この時期にJR各社が頑張った、特別の努力をしたというお話もありましたが、私はJRの職員の皆さんが頑張ったことを決して否定いたしません。  しかし、この時期は、運輸大臣の御答弁にもありましたように、国内運輸はあらゆる業界であらゆる分野で伸びているわけです。例えばJRは八七年からの五年間に二〇%伸びていますけれども、航空は五〇%、貨物でもトラックは三三%の伸び、内航海運は三〇%です。つまり、この時期はバブルの影響もあって軒並みぐんと伸びた時期だったわけですよ。  だからこそ、運輸省が出している九〇年版運輸白書でも、「ここ数年拡大基調にあった国内運送は、元年度に入っても増加傾向を続け、旅客、貨物ともに大きな伸びとなった。」、こう言っているわけで、全体はそういう伸びをどの分野も示したということですから、特別な努力の結果と言い切れるものでもないだろうと思うんです。  ただ、そうしたら、見積もりが低かったのじゃないか、予測が低過ぎたのではないかというふうに私は思うんです。だから当然、予測と実際との間に開きが出てきているということは運輸省はもうすぐに気づかれているはずですから、毎年毎年のJRの決算が出れば、一%というのを超えているということははっきりしていたと思うんですよ。なぜその時点でこれを見直すということをされなかったのか。ここはいかがですか。
  113. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 御指摘のように、当時バブル経済の中で大きく需要が伸びて利益が上がっていたことは事実だろうと。しかしながら、国鉄改革議論していく中で、当初、本当に利益が出るだろうか、こういう御心配もいただきながら一つ結論を得てスタートいたしたわけでありますので、まさに経営努力というものを評価していきたい、こういう目で見させていただいたというふうに解釈をいたしております。
  114. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 閣議決定に照らして、一%というこのルールに照らして少ないという私の指摘、これについては否定はできませんでした。  同時に、じゃなぜこれを見直さなかったのかということを私は質問したわけであります。結果論だ、後になってみたらそうなっていたと言うかもしれませんけれども、例えば赤字の会社、先ほど説明しましたように、赤字のところにも経営安定基金を積んで、その受取利子を含めれば一%という計算をされたわけですよ。赤字のところには、その後もくろみが狂って赤字が一層大きくなったらさまざまな支援策を講じておられるじゃないですか。こちらの方は見直してきているじゃないですか。追加支援はやるのに、なぜ予測よりも上回った本州三社に対しては追加負担を求めなかったのか。いかがですか。
  115. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 追加負担の要求をすべきという御議論だろうと思いますけれども、その当時の国鉄改革決定された方々、私もその当時当選いたしておりましたけれども、そのときは、本当に民営化をしてうまくいくだろうか、こういう不安の中でのスタートであったと思っております。  結果で経済が伸びたことも事実でありますけれども、順調な経営をされている、お互いに安堵の胸をおろして、よかったなという思いであったというように思っておりますし、正直申し上げて、まだまだJRも長期の負債は抱えたままでございます。そういった意味では、一層の経営努力をしてもらって早く、まさにJRが抱えられた長期債務も何とかお返しいただくように御努力をいただきたい、こういうふうに考えております。
  116. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 予測はあくまで予測なわけですから、当然予測に照らして現実がどう進んでいるかということを見きわめて、それに対してきちっと見直しをするというのは当然の政治責任であると私は思います。  JRの経常利益が予測から大きく離れていることは既に八七年、八八年当時からわかっていたわけですから、これを見直していくと。しかも、このときなら、この当初五年間でなら私は見直せたと思うんですよ。なぜなら、このときにはまだ政府は、国は一〇〇%株主でしょう。だから、本当に国がその気になって話を持ちかければ、これは見直すことはできたんですよ。ところが、そういうこともやってこなかった、知っていたのに正さなかった、やるべきこともやらなかったと。ここに私は政府の政治責任が問われているというふうに思います。  大蔵大臣にお伺いしたいんですが、元本償還財源もなかなかないという御答弁もありました。そして、当時この一%というルールを決めた閣議決定大蔵大臣として参加された大臣ですから、ひとついかがですか。
  117. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 今そうおっしゃれば何とも申し上げようがありませんが、先ほど運輸大臣の言っておられたとおり、実際、新幹線というのはどういうことになるか、それはかなり当初はいろいろに考えられたものでございますから、成功してよろしゅうございましたが、当時としては、まあそこらあたりがというのがあれでありたんではないかと思います。
  118. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 全然私の聞いた趣旨と違うんですよ。この当初の予測から大きく離れている、そしてそれを見直してもこなかったということについていかがですかと。責任は感じないのかということを。
  119. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) それは早く気がついてそうしたらよかったろうとおっしゃればどうも何ともお答えのしようもないわけですが、まあまあ順調にいってよかったと思っております。
  120. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 まさに順調でないから、今こうして国民の負担の方は七十兆円になろうとしているわけです。  JRはそういう形で、過少な債務で結局見直しもされずにやってきた。そして、今ここに残った二十八兆円と、そして利子も加えれば七十兆というのがまさに国民負担にかけられようとしているわけですから、私は本当に政府責任、政治の責任が問われているというふうに思います。最後に、総理、いかがですか。
  121. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 大蔵大臣並びに運輸大臣が御答弁申し上げましたように、当時として、JR発足以来、民営化の努力を継続してまいりまして、その時点におきましては一%の負担ということで精いっぱいということだったんだろうと思います。以降、JR努力されまして、数字的にはあるいは御負担できる数字だったかもしれませんけれども、各般の情勢を考えれば、政府として最初にお約束した数字でJRの協力を求めていくというのが当時としては至当であったんだろうと思います。
  122. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 私ども日本共産党は、JRが今もうかっているからとれ、こういうことを言っているわけじゃないんです。政府が閣議で決めた当初のルールに照らしても債務は過少だったのではないか、そのことを本当にお認めになるならば、国民にすべて押しつけるというんじゃなくて、きちっとこの長期債務についてもJRに応分の負担を求めるべきである、このことを主張しているわけです。違いがわかった時点で見直すのは当然だったし、今からでもこれは求めるべきであるというふうに思います。しかも、JRが不当に優遇されてきたのは十一年前の債務承継時だけではないんです。  JR土地売却について次にお伺いをいたします。  総理は、本会議での私の質問に対して、「JR各社の所有する土地は重要な経営資産」だと、こうお答えになりました。では、旧国鉄用地をどういう考え方基づいてJR清算事業団に区分けしたのか。これはまさに運輸大臣のおっしゃる六十二年改革当時の原則を確認しておきたいと思うんです。  そもそも十一年前の分割・民営化時、債務処理国民負担をできるだけ少なくしよう、軽くしよう、そのためには旧国鉄の用地はできるだけ売ってお金にかえて、この債務をできるだけ減らして国民負担を減らそうではないかと。そのために、JRには鉄道事業に必要最小限の不可欠な土地だけを承継させましょうと。そして、それ以外の土地は全部事業団に受け継いで、清算事業団がこれを売って債務を減らしていく一これがこの当時の議論だったというふうに思うんですが、運輸大臣、これも間違いないですね。
  123. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 御指摘のとおりでございます。  国鉄改革時における旧国鉄用地に係る清算事業団JR各社の承継については、JR各社には原則として鉄道事業を適切かつ円滑に運営する上で最小限度必要となる用地及び関連事業用地のうち駅ビル敷地等関連会社に現に使用させているものを承継させ、それ以外の用地、これはJR総研等に係る用地を除いてでございますけれども、清算事業団に承継させることといたしております。
  124. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 ところが、JRはその土地売却しているんです。本会議でも質問いたしましたように、面積で東京ドームの一千三百倍、六千百万平方メートル、金額で一千七百億近い売却を行っています。  JR西日本について、幾つか事実を運輸大臣に確認しておきたいと思うんです。  第一に、平成九年三月二十四日、尼崎駅構内の用地を尼崎市、同土地開発公社に売却したときの簿価と時価ですが、これは簿価が百二十五万五千円の土地売却額二十六億六千六百万。次に、平成九年六月十六日、神戸の鷹取工場用地を神戸市に売却した。これは簿価が六千四百五十七万円を売却額五十六億三千万円。第三に、平成八年十二月十日、明石駅構内の用地を明石市に売却した。これは簿価が五十八万円、それを売却額十三億九千百万円。  西日本のこの九三年以降の土地売却ですけれども、六件、九万五千平米、簿価で四徳一千万のところを売却額が二百十三億一千二百万、こういうふうにお伺いしておりますが、これは間違いないですか。
  125. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 三点ほど申し上げます。一つは、尼崎駅構内、面積一万二千平米、譲渡価格が二十六億七千万円、簿価が百三十万円です。明石駅構内、面積二千平米、譲渡価格が十三億九千万円、簿価が六十万円でございます。鷹取工場用地、これは神戸市に売却でございますけれども、面積四万平米、譲渡価格が五十六億三千万円、簿価が六千五百万円でございます。  ただし、この三件とも土地収用対象事業として地方自治体に協力したものであり、鷹取は、今細かい数字を持っておりませんけれども、現実、工場用地を売り払いましたので、他の工場用地を取得いたしているところでございます。  二百四十億円程度と聞かせていただいております。
  126. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 まさに今確認させていただいたように、尼崎や明石駅では簿価の二千倍という値段で売却をしております。また、鷹取工場も五十六億円という差額がJRにもたらされているわけであります。  本会議で私がこれを質問いたしましたら、先ほども御答弁になったように、土地収用法ということもおっしゃって、好んで売却したものではないと御答弁になりましたね。こんなほろもうけ、二千倍なんというもうけなんですから、これは本当に好んでやっているに決まっていると私は思いますが。  同時に、じゃ自治体の要請があったということについてもどうなのかということをお伺いしたいと思うんです。例えば、このJR用地を使ってJRの会社自身が土地活用でもうけるんだという方針を持っているわけですよ。  私、実はきょうこのJR東日本の平成九年度事業計画というのを持ってまいりました。この中にはこう書いてありますよ。「駅・駅周辺等の経営資源を有効活用した新規の事業開発、」その中には都市計画事業への積極的な参画、この都市計画事業への積極的な参画というのは、まさに区画整理事業等々、この間大臣が土地収用法に基づくというふうに答弁されているものでしょう。つまり、嫌々そういうものにとられているというんじゃなくて、みずから積極的に参画すると言っているじゃありませんか。まさにこういう土地売却によってぼろもうけをしている。  どうですか、運輸大臣、お答えください。
  127. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) その部分は私も承知いたしておりませんけれども、町全体の活性化、駅周辺の活性化、その中で市とJR等が話し合いになり、何も土地をどんどん売りたいという話ではなかろう、地域全体の活性化の中でお考えいただいたものだろうと考えております。
  128. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 それは確かに自治体の方から要請があったかもしれません。しかし、要請があって決して嫌々無理やりということではなくて、みずから積極的に加わって、本来売るべきものでなかった、売却するべき目的で受け継いだものではないJRみずからの用地をこうして簿価の二千倍あるいは何百億というもうけのために使っている、ここが本当に大問題だというふうに私は思うんです。  総理、本当に少しでもこの国民負担を減らそうと、私も七十兆ということも言いましたよ。しかし、本当に御負担というものを減らそうというふうにお考えになるんだったら、鉄道事業に必要最小限だどいうことでこの土地は簿価でJRに受け継がせたわけですから、売却ができる、つまり自治体の要請があったとしても、もう手放していいということになったら鉄道事業に必要不可欠でなくなったわけですから、その場合には、当然この土地売却代金というか売却額というものはやはりきちっと長期債務返済のために活用する。つまり、一度清算事業団に戻させて、そして清算事業団売却をして長期債務返済に充てる、これが当然の道筋だと思うんです。  総理が本会議で「JR各社の所有する土地は重要な経営資産」だというふうにおっしゃいましたけれども、これは決して売り飛ばすという意味での経営資産じゃないんでしょう。やっぱりそうやってきちっと土地の問題もやるべきだと思うんですが、いかがですか。
  129. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 私、JR各社の社長に成りかわって答弁する立場でございませんが、JRとしては、そうした土地その他の資産を通じまして、民営化した意義によりまして結果的には利用者に還元をしていくという立場でそうした土地利用というものも考えておるのではないかと。したがって、JRがただみずからの会社の利益を増そうということでなくして、その結果は結局国民の足、こうしたものに対して会社、企業として経営の安定化をさせる意味がありましてそうした活用をしておるのではないかというふうに思っております。  また、先ほど来いろいろ出ました土地につきましては、先ほど運輸大臣が御答弁いたしましたように、それぞれの自治体その他からの御要請も受けて、JRとして社会的、公共的責任においてそうした土地についても地域社会に貢献していこうという趣旨で処分をしておるのではないか、私はこう考えております。
  130. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 私は、六十二年改革当時の原則に立っても、やはりJRの承継債務は少な過ぎた、そしてその後も土地売却その他で大もうけをしてきた。そういうことをしっかりと見るならば、六十二年改革当時の原則を守るからこそJR長期債務の応分の追加負担を求めるべきである、このことを強く主張して、私の質問を終わります。(拍手)
  131. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 社民党の渕上でございます。  中曽根委員長、大変御苦労さまでございます。国鉄問題をやるときはお父さんの方がやられて、出口の始末のところは息子さんがやられるということでございますが、そういう意味では、どうかひとつこの長期債務問題はきっちり委員長指揮のもとやっていただきますように、よろしくお願いを申し上げておきます。  さて、この長期債務問題でございますけれども、私どもとしては、基本的にこの問題は先送りすることはできない、したがって何とかここで解決をしなければならない、ではどうするかということでいろんな議論を重ねてきたわけでございますが、やはり基本的にこういうふうになってきた経過というものを明らかにし、その責任というものを明らかにした上で、一体これはどういうふうに処理をしていくかと。そのときには、関係する方々、同時に国民に再度負担をさせない、こういう原則のもとにきちっと今回のこの処理法案というのはすべきであろう、こういうふうに思うわけでございます。特に、政府はこれらの処理に当たって、国民に対する理解を具体的、積極的に求めていく姿勢というものが非常に大事ではないかというふうに私自身考えているところです。  したがって、具体的になりますけれども、二十三兆五千億円は国鉄清算事業団から一般会計に移換する、こういうふうになっているのでございますけれども、その返還財源については二〇〇〇年度まで先送りするようになっているところです。その財源の方途について具体的にどういうふうにするのか、何回も答弁ございましたけれども、やはりどのようにして財源確保していくかということなどをきちっと説明することを通じて、このスキームに対して国民からの信頼が得られるようにしなければならないというふうに思っているところです。  あわせて、今多くの同僚議員の方からも御質問いただいておりましたし、同時に御批判をいただいているわけでございますけれども、今後、今回のようなJR負担というものについてJRJRなりに民間企業として一生懸命努力している、その上なおかつ負担を求められていくようなことが二度と再びあってはならないと思うのであります。  したがって、こういうところは政府としてきちっと説明をした上でJRに対して納得いただけるような状況というものをつくり出さなくてはならないと思っておりますので、大蔵大臣並びに運輸大臣に御質問を申し上げます。
  132. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 渕上委員にお答えをいたします。  清算事業団の解散に当たっての卸議論を今いただいているところでございます。先ほどからも議論が続いておりますけれども、まず六十二年に決定をされました国鉄改革の本旨、これは守り抜かなければならないだろうとまず第一に考えております。  第二の問題として、共済年金から厚生年金への移換金の問題が出てまいりました。  この問題について、今回JRという事業主、国鉄清算事業団という事業主、その事業主の片一方であります清算事業団が解散をされるということにつきまして国なりJRなりまた鉄建公団の負担というものを決めていただこうということで御審議をいただいているわけでございます。  旧国鉄の身分を引き継ぎました清算事業団がここで解散をされるということでありますから、JRに今後新たな考え方が出されるということは私はないと考えております。  また、一部、後でもお話があると思いますけれども、採用の問題について少し議論されています。そういった問題について鉄建公団が後の処理という問題で引き継ぐということはあり得るだろうと考えております。
  133. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 次に、本法律案以外の元本償還方策でありますけれども、当面は一般会計歳出歳入にかかわる努力による対応ということを何回も質問があってお答えになっておられるようでございますけれども、では具体的にこういうことをやっていきたい、こういうふうにしたいという努力をしようとしていることについてお伺いをしておきたいと思います。大蔵大臣、どうぞ。
  134. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) しばしばそういうお答えを申し上げておるわけでありますが、現在の国民負担状況の中でたばこ特別税であるとか郵政特別会計にお願いをするとかいうこと以外に、特別にこのための大きな国民負担をお願いするということはできない状況であります。しかし、そういう我が国の今の姿というのは、今後とも我が国がこういう状態を長く続けていることは恐らくあり得ないことであって、必ず経済が正常化するであろう、そう考えるのが常識であろうと思いますので、この際、将来の一般の国の債務一つとしてこれを長期的に返済していく。無論そういう長い年月の間に我が国経済は恐らく正常化をしてさらに発展をしていくでございましょうから、そういうことを期待することは決してないものに望みをかけるわけではないというふうに長期的に考えているわけでございます。
  135. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 既にこの法案衆議院でも御議論願ったところでございますけれども、長期債務処理法案の附則第二条第一項の質疑において大臣は鉄建公団がそのすべてを扱うと答えられておりますけれども、先ほど今回このような負担はさせてはなりませんよというふうに申し上げましたところ、その後の採用問題等々の扱いの中から鉄建公団の方が負担することはあるだろう、こういうふうに述べておられます。  したがって、今係争中でもございますけれども、JRの不採用事件にかかわる、例えば途中で和解が行われたとした場合の扱いとして、そういう金銭的な面は出てくるかもしれません。そういうものも含んでおるというふうに理解をしておいていいでしょうか。どうでしょうか。
  136. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 今お尋ねいただきましたのはJR発足時の職員不採用問題でございます。ことしの五月二十八日、東京地裁からJR側全面勝訴の判決が出されました。二審で係争中でありますけれども、こうした状況の中で、自由民主党、社民党、さきがけ三党の中で政治的な解決ができないだろうかと議論が重ねられておることは承知いたしております。その中におきまして、渕上委員が今申されましたのは、JR相手のこの裁判が現実に清算事業団という形に変わっていったらどうなるのかということで、そのとき清算事業団がないからどうなるのかと、こういう御質問だろうと思います。  長期債務処理法案附則第二条第一項において、政府が承継する債務以外の国鉄清算事業団の一切の権利及び義務は同事業団解散のときにおいて鉄道建設公団が承継するという規定を書いております。したがって、清算事業団の解散後は鉄道建設公団が行うということになると考えております。
  137. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 労働大臣にお伺いしますけれども、債務の財務関係についてはわかりましたが、千四十七名の不採用問題については、ただ単に労使問題だけではなくて、人道的、社会的な問題に今日十一年経過してなってきているわけであります。しかも、それは労働者の裁判と言われるような地労委、中労委の命令を基本的に無視をするような形でJRが採用をやっていない。せっかく中労委として命令を出しておきながら、それに従っていない。もちろん争うには争うだけの理由があると思いますけれども、やはり中労委や地労委が出した命令には従っていくべきではないかと思っています。  今後、労働委員会のあり方が大きくこれで問われるようなことにもなると思うのでありますが、所管官庁であります労働省の見解と今後の対応についてお聞きしておきたいわけでございます。  本問題は先ほど申し上げましたように係争中でありますけれども、今答弁がございましたように、三党間における協議等々が進んでいき和解が進行していくという状況が生まれてきた場合に、三党間の協議の中で若干上告等に対する問題等が出されて議論をした経過がございますので、その係争中の扱いの問題について和解ができた場合に、一体どういうふうに労働省としては考えておられるのか、御見解をお伺いしたいと思います。
  138. 甘利明

    国務大臣(甘利明君) この問題は先生も大変御苦労をされまして、私も頭が痛いところなんですが、基本的には当事者間で自主的な努力をしていただいて解決の道を探るというのが一番いいわけであります。そして、過去に労働大臣や運輸大臣が双方にいろいろ働きかけもしてきた経緯がございますけれども、いかんせん双方の距離があき過ぎていて、話し合いのテーブルにすらのってこないという状況がずっと続いているわけであります。  私といたしましても、さきの国労大会での補強方針については多少なりとも期待をしておったのでありますが、執行部の御努力もありましたけれども、しかしなかなか全体の理解が得られないということで、無理に通せば否決ということになったのでありましょうか、棚上げということになりまして、膠着状態が続いてしまっているということであります。何らかの前へ進むような糸口が出てこないものか、選挙前の与党三党の協議会、今現在も形は若干違ってくるんでしょうが続いていると思いますし、そこで何らかの環境整備の方向が出てこないものだろうかということをかすかに期待しているところであります。  労働省といたしましても、運輸省と連絡をとって、多少なりとも事態が動き出すということであるならば、できることはやってみたいと思っております。  いずれにしても、膠着状態が続いたままですと、なかなか今までやってもどうにもならなかったということもありますし、何らかの変化が生じてほしいというふうに考えております。
  139. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 それでは、あと関連質問を同僚の村沢さんにお願いします。
  140. 村沢牧

    ○村沢牧君 社民党の村沢牧であります。  昭和五十三年に国有林野事業改善特別措置法が制定され改善計画が実施されましたが、この計画がうまくいかなくて、五十九年、六十二年、平成三年に法律を改正、実施計画を修正しました。  私は、この法律の制定のとき、その後の三回の法改正の国会審議で、国有林の半分は国立公園、保安林だ、こういうところで独立採算の経営は無理がある、こういう指摘をいたしまして、社会党は法案に対する修正案を出したり、あるいは改善計画提案してまいりました。林野庁が私たちの要請を受け入れた面もありますけれども、依然としてこうした独立採算が続いておりましたので、国有林の木は大幅に伐採をする、また土地は売り払う。反面、経費を少なくするために組織機構の合理化で、営林署は五十三年のとき三百五十一の営林署があったんですが、この法律改正で九十八になる。また、要員は六万五千人が一万三千六百人、このようなことをやってまいりましたけれども、借金は五十三年に二千二百億、今日は三兆八千億になる、やがて四兆円になるところでありまして、収支の均衡はもとよりのこと、国有林そのものが崩壊寸前という状態になってきた。私は非常に残念だと思います。残念だとも思いますし、同時に私自身が二十年以上もこうした問題に取り組んできてこうした結果になったことはまことに申しわけないというふうな気持ちでいっぱいであります。  さて、五十三年のこの計画を立てた農林大臣は中川農林大臣の御尊父の中川一郎さんです。なかなか立派な人でありまして、信念を持って国有林を改革するとおっしゃっておりましたけれども、そのスキームの内容は別として熱心に取り組まれた。その後二十年間に農林水産大臣は二十七人かわっているんです。私はだれが真剣にこれをやったのかといって指折り数えたんですけれども、二十一世紀の国有林の後始末を息子の中川さんがやらなきゃならなくなった。まことに世の中は皮肉だというように思います。  そこで、総理にお伺いいたしますが、今まで進めてきたような改善計画では国有林の真の改善はできない。今度の法律も依然として組織機構の合理化を打ち出しているんですが、これだけでは真の改革はできない。これからの国有林野会計をどうするのか。国有林が果たすべき役割を実行するためには、国が資金も投入しなければならない。そして、事業は民間に委託をするとしても、民間ではなじまない仕事については国がやらなければならぬ、私はそのように思いますが、総理の見解を伺いたい。
  141. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 多年にわたりまして林野問題に大変御苦労されてこられた村沢先生のお尋ねでございますし、我々も、この国有林のみならず、戦後の林野行政のあり方につきましていろんな角度から勉強もさせていただいてまいりました。しかし、結果的に今日の国有林野事業というものが大変厳しい環境下に置かれておることは言うまでもありませんで、そうした意味で、要員の合理化や事業の効率化を図りながら経営改善を行っていかなければならない、こういう状況に至っておるんだろうと思います。  林野の大切さにつきましては今さら申し上げるまでもないことでございますので、ぜひこの機会に抜本的な改革を行い、日本の国土を守ると同時に、林野行政をきちんと定めながら将来にわたって新しい展開ができるように考えていきたい、こう考えたのが今回の法律だと考えております。  いろいろ御指摘をいただきながら、この状況を乗り越えていくために、国会の御意思等も承りながらぜひ努力をいたしていきたい、こう考えておるところでございます。
  142. 村沢牧

    ○村沢牧君 社民党はこの法律国会に提出したときには与党でありました。したがって、総括的な問題については私ども論議をしておりますが、この委員会でもって特に詰めておかなければならない具体的な重要な問題がありますので、以下、何点かにわたって質問してまいります。時間がございませんので簡潔に御答弁をお願いしたいと思います。  まず、要員問題でありますけれども、中川大臣は衆議院特別委員会で、我が党の伊藤茂議員の質問に対して、労使関係に十分配慮し、組合の皆さん方とも論議を尽くし、十分意思の疎通を図り、ともに同じ目的に向かって進んでいけますよう、先生にも御指導いただいた合意もありますので、それを踏まえて頑張っていきたいと答弁されています。私も何回も大臣に要請していますけれども、改めて決意を伺いたいと思います。
  143. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 先生御指摘のように、今回の国有林野関連法案のポイントは、先生のだれよりも詳しい過去の経緯を踏まえた上で、抜本的に公益的機能重視、あるいはまた三兆八千億の債務を分けまして、独立採算は外しましたけれども……
  144. 村沢牧

    ○村沢牧君 それは知っているから、要員問題について簡潔にやってください。
  145. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) そういうポイントの一つの中に要員問題があると私は思います。  必要最低限の事業をする、そのために必要最低限の職員を確保するという一方の要請があると同時に、現在における国有林に従事されている職員の皆様の、言葉を正確に申し上げますと、意思に反したような形にはしないという三党の確固とした合意を踏まえて必要最低限の職員を確保していく。一時期、数字が出た時期もございますけれども、私自身は、三つの形容詞を前提にしての一つの目安にすぎない、目標ではない、あくまでも作業の過程における一つの目安にすぎないということで、労使の議論あるいはまたやりとりを最優先にして取り組んでいきたいと思っております。
  146. 村沢牧

    ○村沢牧君 時間がありませんから、内容は私も理解しているつもりでございますから簡潔に御答弁願いたい。  そこで、大臣は労使関係を尊重して決めるというふうに言っているんですが、時々、平成八年の一万五千人の三分の一程度を基本としつつと答弁しておりますけれども、どこでそんなことを決めたんですか。だれが三分の一と決めたんですか。簡潔に答弁してください。
  147. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 平成十年度の概算要求を決める時点の八月の段階でそういう数字が出ていたことは事実でございますけれども、その後の三党間の協議の中で、その言葉は予算書等々から一切消えているということでございますから、一万五千人の三分の一という数字は現時点ではないということでございます。
  148. 村沢牧

    ○村沢牧君 三分の一という数字は消えておる、私もそのように思います。  そこで、法律提案するについては、各省の要求したものを与党の了承を得て閣議決定をする、そして国会に提出するという順序であろうというふうに思いますが、本年の二月、国有林関係を国会に提出するための閣議了解、決定がなかなかできない、これはやっぱり組織機構の問題があったわけであります。そこで、与党三党は何回か慎重に検討した結果、次のような合意をいたしまして、政府がこの決定基づいて閣議決定をし、国会に提出した経過があります。  その我々三党の合意の骨子を申し上げます。一つは、本人の意思に反して退職させないという考え方のもとで、雇用、身分等に係る労使交渉経緯を踏まえて適切に対処しなさい。一つは、いろいろと事業を全面的に民間に委託するとしても、民間の委託になじまない事業については国でやりなさい。組織機構については、地域の実情、管理の実態等を踏まえて適切に対処しなさい、こういうことでありますが、私はこれは常識的なことであって国民の皆さん方にも理解をしてもらえるというふうに思うんです。  そこで、農水大臣、こういう三党合意を踏まえて、今までも交渉してまいり、今後も交渉していく、そのことをお約束できますか。
  149. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) あの経過から申し上げまして、三党合意を踏まえて今後の作業を進めさせていただきたいと思います。
  150. 村沢牧

    ○村沢牧君 国有林の要員問題について大事なことは、定員とともに、やっぱり森林事務所に職員を配置しなければいけないと思うんです。ということは、先ほど申しましたように、三百五十一あったのが二百二十九になって、やがて九十八になるんですね、営林署が。そこで、やっぱり国有林の実態を知っている森林事務所に現場を知っている職員をきちんと配置していく、こういう配慮が必要だと思いますが、大臣はどう思いますか。
  151. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 森林事務所における職員のあり方についても、今後、労使の間でも議論することを前提にして検討させていただき、適切に措置してまいりたいと思います。
  152. 村沢牧

    ○村沢牧君 林野庁長官に伺いたいが、要員問題については、今まで申し上げてきたような経過もあり、与党合意もあります。それから、国会審議もぼつぼつ最終の段階になっておるというように思います。今の段階、労使の協議はかなり煮詰まっているというふうに思いますが、どうですか。
  153. 山本徹

    政府委員山本徹君) 要員問題につきましては、昨年より労使問で鋭意論議、意思疎通してきているところでございまして、先生御指摘のとおり、認識は相当煮詰まってきている状況にございます。
  154. 村沢牧

    ○村沢牧君 農水大臣、労使の協議は、森林事務所問題も含めて、国有林を守るという同じ目的で信頼関係によってかなり進んでいるというふうに私は理解をするんです。  労使の交渉事項でありますから、私は法案が成立する前にここでどのぐらい煮詰まっているのか、数はどうかというようなことを発表しろということは言いません。皆さんも答えにくいというふうに思います。しかし、法律が制定されたならば、今までの交渉あるいは労使合意のもとで正式にこれを決定して、この法律規定基づいて早急に閣議決定を求めるべきだというふうに思いますが、その決意を伺いたい。
  155. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 今回の特別措置法の中にも、農林水産大臣は職員数の適正化の目標について決定をしなければならないという条文があることは先生御承知のとおりであかます。先生御指摘のとおりの議論を踏まえて、閣議におきまして適切に決定させていただきたいと思います。
  156. 村沢牧

    ○村沢牧君 今質問いたしましたように、この法律が成立をする、採決の結果がどうなるかわかりませんが、しかし成立したならば今まで進めてきた労使の合意を決定事項にして閣議にその承認を求めていく、そういうことでいいですね。
  157. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 今回の法律の目的に沿う形で必要最低限の職員の確保、そしてその職員のお一人お一人の意思に反することはないという幾つかの前提を踏まえて、適切に決定させていただきたいと思います。
  158. 村沢牧

    ○村沢牧君 この際、大蔵大臣にもお聞きしておきたいんですが、過去の例から見まして、林野庁は要員の将来目標を決定することについて農水大臣が決める前に大蔵省に相談するというふうに思います。私は過去にそういう例を幾つも見ております。今まで私が申し上げてきましたような経過で当時の与党合意を踏まえて労使が真剣に協議していく、農水大臣の責任と権限で決めることでありますので、大蔵大臣としてもこれを尊重してもらいたいと思いますが、どうですか。
  159. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) ただいまの段階を承っておりますと、折衝がかなり進んできておるということでございます。そうでありますれば、農水大臣あるいは総務庁長官も御関係になると思いますが、そういうところで閣議決定の原案をつくられて、私どもの方にも御相談があるのだと思います。  今そこに至る前の段階でございますから、私が先を飛び越して申すことは差し控えますけれども、御苦心のある決定になってくるのでございましょうから、ただそれをぶつ壊せばいいというような立場は私はとるつもりはございません。
  160. 村沢牧

    ○村沢牧君 閣議で尊重してもらうことは当然のことでございますが、私が冒頭申し上げたのは、大蔵省の官僚の皆さん方は決定する前にいろいろ言うんですね。これはどうなった、三分の一がどうなった、私はそういうことは大臣が決めるんですから余り注文をつけてもらいたくない、そういうように思いますが、どうでしょうか。
  161. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 御趣旨はよくわかりました。
  162. 村沢牧

    ○村沢牧君 よろしくお願いいたします。  最後に、総理、こういう経過でございますので、一つ要員の問題だけでは私は終わりません。あといろいろ問題がありますから後日また質問いたしますが、今の問題についてもぜひ閣議で早急に決めていただきますようにお願いしておきたいと思います。御答弁願いとうございます。
  163. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 重要性は十分承知をいたしておりますので、閣僚各位と十分相談をいたしまして決定いたしてまいりたいと思います。
  164. 村沢牧

    ○村沢牧君 ありがとうございました。
  165. 戸田邦司

    ○戸田邦司君 自由党の戸田邦司でございます。  本日議題となっております問題で、我々の立場を最初にはっきりさせておきたいと思います。自由党の立場としましては、この国鉄長期債務問題の法案につきましてはもろ手を挙げて賛成というわけではありません。しかし、現実を考えますと、今後これを先送りすればさらに金利がかさんで債務が膨らんでいく、そういうような現実を認識した上で、今求められるベターな方法は何であろうかというようなことからこの修正案を我々が提出し、これで国会の御承認を得るべきではないかという考え方であります。  問題の中身を申し上げますと、相当いろいろ問題があり過ぎますね。それで、最初に一言申し上げておきたいと思いますが、この国鉄長期債務がここまでかさんできた最大の原因といえば、この問題を真っ正面からとらえて、常々それにどう対応していくかという対応策を考えて適切な対応をしてこなかった。つまり、六十二年以降、国鉄改革を実行しながら、本当にベストの道はどういうことであろうかというようなことを真剣に模索してきたとは私には思えません。  要するに、当初の計画であれば、最後に十三兆円だけ残って、それを国民の負担でお願いしたいということであったはずでありますが、現実には二十八兆円に膨らんできている。土地を売れなかった、また株が順調にはさばけなかった、そういうことがあったのは事実でありますが、しかしそのほかにもこの計画が挫折した原因があります。  例えば、それだけのものがさばけなかった場合にどういうような状況になっていくかということについて、当初の計画見直していない。端的に申し上げますと、金利負担だけ見ましても十兆円に上る。しかし、当初の計画に十兆円の金利負担が入っていない。そういうようなこともありまして、問題はやはりずっと先送りされてきたということではないかと思います。  そこで、この一年間の国会の審議状況など振り返ってみますと、去年の今ごろは財政構造改革法の仕上げに血道を上げていた。この財革法は四月になって改正しなければならなかった。さらに、今度は凍結するのか廃止するのかわかりませんが、そういう手当てをしなければ予算の編成ができない。来年度予算、さらにことしの第二次補正を考えますと、現在の財革法に照らしてそういうような予算を正当に組めないということに相なっているかと思います。  ですから、四月に補正予算を組んだときも、官僚はすべてこの財革法に反しているなと思いつつ予算編成の作業を進めてこなければならなかった。さらに、これから来年度予算の編成に入るわけですが、それに十五カ月予算ということを考えますと、今の財革法に照らしても、はまらない予算になってくる。そうすると、役人は、いや、ああいう法律があるけれども、あれには抵触するけれども、そういう作業を進めなければならないと。  いまだかつて、現行法に反した予算編成を役人がしなければならない、予算編成作業を進めなければならないということはなかったんじゃないかと思います。そういったことも役人の士気にかかわっていないかなということを私は考えております。  総理、その点についてはどういうふうにお考えになっておられますでしょうか。
  166. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 来年度予算編成につきましては、私も内閣を組閣させていただきまして以来、現行の十年度予算の第二次補正の問題あるいはまた税制改正等々、なし遂げなきゃならない課題がございます。その過程で、委員御指摘のように、既に財革法につきましても凍結ということで意思を明らかにいたしておるわけでございます。  したがいまして、私自身が内閣を維持しております限りにおきましての十一年度予算につきましては、その方針に基づいて、大蔵省、予算編成権を持つ政府の中でのお仕事はその路線上できちんとされておると思います。私はその任に当たっておられる方には何の矛盾なくこの方針に基づいて対処していただけるものと確信しております。
  167. 戸田邦司

    ○戸田邦司君 例えば今年度の歳入、これは成長率が著しく下がるということを考えますと、相当の歳入欠陥が出てくることもまた明らかであります。  そこで、大蔵大臣、この財革法を早く時宜に合ったものにするというか、我々はああいう財革法など要らないと主張してまいりましたが、今後の日程としてどういうようなことで運んでいくおつもりであるか、お聞かせいただきたいと思います。
  168. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) おっしゃいますことはごもっともなことでございますが、小渕総理自身が財革法は凍結するということを就任早々に言われまして、その後に私の方から来年度の予算編成、概算要求の編成方針を閣議に提出してお決めを願いました。  時期的には凍結を先に総理が言っておられまして、したがいましてその後概算要求が行われましたが、これは容易に御想像いただけるとおり、各省とも財革法がありますから要求は遠慮しますなんというところはどこもございません。もう財革法は凍結になっているとみんな思って概算要求をしてこられております。  それで、現実にはしたがって差しさわりはございませんが、来年度の予算案を国会に提出すると同じ時期に、財革法の凍結でございますか、そういう法案が出ればそれで法律的には整合していると思います。それから、事実上、事務的にもその点は了解されておるということでございますので、別に機会がなければ、来年度の予算提出と同じ時期に財革法の凍結が国会の御承認を得るために提案されればいい、それより早い時期がございましたら早い方がいいのかもしれませんが、その時期で問題はないように考えております。
  169. 戸田邦司

    ○戸田邦司君 現実はそういうことなんだろうと思いますが、あの財革法というのは本当は内閣が強い意思を持って、強いリーダーシップを持って進めれば閣議決定で済んだんじゃないかと私は思っております。  つまり、行政府がこういうことをやりたいというときに、わざわざ立法府まで巻き込んで、しかもそれに二度も手を加えなければならない、相当短時間のうちにそういうようなことが起こってしまう先行きの見通しの悪さ、このためにとられた時間が私は非常に貴重だつたんじゃないかと思っております。これだけの時間があったら、本当に国鉄のこの問題だってもっと早く相当前広に議論ができたんではないかと思います。ここまで来てもうどうにもならないというところで、我々が今度の修正のようなことを考えないと物事がおさまらないところが私はおかしいと思っております。総理大臣、いかがですか。
  170. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 橋本内閣の六大改革、その中で、特に五百五十兆をさらに超えていこうというような大きな赤字国債を抱えているという中で、一つの大きなテーマとしての財政改革ということがうたわれました。そのための法律を、委員御指摘のように、あるいは内閣の責任においてということもあったのでありましょうけれども、当時としては国会すなわち国民を代表する皆様方のお考えも十分受けとめながら国を挙げてこの問題に取り組もう、こういうことでいたしました。  以降の経過につきましては、我が国自体のみならずほかの国々の状況も踏まえまして、なかなか我が国経済が活性化していかない、こういうことの中で、財革法すなわち財政改革といいますか、将来にわたってその負担を後世に求めないという形での方針そのものがなかなか困難な状況になりましたので、私はこの内閣をお引き受けいたしました段階で、その考え方を一たん凍結いたしましても今の経済を再生することが道である、こういう考え方に変化してまいったわけでございますので、この問の状況につきましてはぜひ御理解をいただきたいと思います。
  171. 戸田邦司

    ○戸田邦司君 今、六大改革の話が総理大臣の答弁の中にありましたが、私は改革というのは相当思い切って経済を浮揚させていなければできないことではないかと思っております。もう宮澤大蔵大臣はよく御承知のことではないかと思いますが、思い切って経済改革を進めるというようなことを考えますと、特に産業界について規制緩和などを進めるということになりますと、必ず改革デフレといいますか、一時的にそういうようなことが出てくるわけですから、やはり経済が浮揚していないとそれもできないということではないかと思っています。  この問題だけいつまでも議論しているわけにはまいりませんので、国鉄債務の問題に戻らせていただきます。  先ほど申し上げましたように、土地売却の凍結を閣議で決めた。それはバブルの相当激しい時期だったということもあったかと思いますが、私はバブルが崩壊しかけてきたときの対応などでもっと迅速果敢なやり方がなかったのかなという気もしております。いずれにしましても、そういった過去の政策の誤りについて現政権は一切責任がないのかとなると、これはもう甚だ議論がしにくくなるし、国民の一人としても非常にむなしい感じになります。  小渕総理大臣、この国鉄改革が成功しなかった責任というものはどこにあるとお思いでしょうか。
  172. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 現内閣としては、どうしても今回この法律案を御審議いただいて、まさにこの段階でこの法律が成立いたしませんと国民に対して責任を負えないという立場でお願いをしておるわけでございます。  過去の責任と言われますと、それは政府を預かってきたそれぞれの内閣におきましてもその段階におきましては精いっぱいの努力をいたしたのでありましょうが、委員も御指摘のように、例えば国鉄用地の売買にいたしましても、今顧みますると、当時の新聞その他を拝見いたしましても、土地売却につきましては国鉄用地に限ってこれを処分することは大変無謀であるというような御議論がかなりたくさんございまして、そうした世の中の意見にも従わざるを得なかったという点で、ある意味土地売却につきましても適時適切であったかどうかについては反省する必要がある、こう考えております。
  173. 戸田邦司

    ○戸田邦司君 この国鉄長期債務の清算について、やはり一番大きな影響を及ぼしたのは土地売却ができなかった、これが一番大きな原因ではなかったかと私は思っております。  先ほども申し上げましたが、金利負担というものを一切考えていなかったのは、土地さえうまく売ればそのようなものを計上しなくても立派に先ほどのような十三兆円という結論が得られると自信を持っていたに違いないと思います。それが一遍に挫折してしまった。  六十二年十月の緊急土地対策要綱でありますが、この中では、公用、公共用に使うということが確実な場合等を除いて、その地価の異常な高騰が鎮静化するまでこれを見合わせると。異常な高騰が鎮静化するのはいつまでかというのは、これもなかなかわからないから、一切そこは手が出せなかったところではないかと思います。  一方で、運輸省及び国鉄清算事業団は地価を顕在化させない土地の処分方法について検討を進め、速やかに結論を得るようにと。  今読み上げました部分は、言うなれば売ってはいけないよ、しかしこういうことをやれば売ってもいいと思うんだけれども、やり方を考えてねと、極めて無責任な条項ではなかったかと私は思っております。  そこで、この土地売却国鉄長期債務の清算に関する問題を考える場合に最大の誤りではなかったかと思いますが、大蔵大臣は当時もう既に大蔵大臣をおやめになっておられたときだったと思います。与党の枢要な地位におられた政治家として、この問題を現在どう評価しておられるか、お答えいただければと思います。
  174. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 昭和六十二年十月十六日の閣議決定にまさにただいま仰せになりましたようなことが書いてございまして、国鉄用地につきましては、最後のところで、「地価を顕在化させない土地の処分方法について検討を進め、」と。  これは何か土地そのものを信託するとかなんとか、いろいろ値段が出ないようにしてやれというようなことを言っておったわけですけれども、そのときに運輸省も、今のお話の問題がございますから、一方的なそういう土地売却を制限するという閣議決定には異論を持っておられました。おられましたが、地価の高騰を、特に都市部で急激になっておりましたから、防ぎたいという国家的な緊急課題であるということで、不承不承と申しますか、そのとおりしていただいたということだったと思います。  もちろん今の御指摘の問題の一番大きな原因はこのとき以来土地が売れなくなったということ、それはもう疑いもございません。まことにそれは清算事業団にはお気の毒なことであった、私は全く間違いなくそう思っておりますから、理屈で申しましたら、そうしたら清算事業団計画は崩れるではないか、それをどうするんだということが、今から言いましたらそういう御主張があってそれへの答えが出なければならなかったではないかと、論理は私はそのとおりだと思います。  しかし、たまたまその問題は何となくみんなが知りながらいろいろな事情の中で議論されずに、昨年財政改革議論しましたときに、国が今持っているほかの長い債務は何だというときにこの問題だの林野が出てきて、そこで初めてさあどうするかということになった。もっと早く、土地を売るのをとめたときに、それならこっちの問題はどうしてくれるんだというのは提起されるべきであったではないかとおっしゃれば、そのとおりだと申し上げるしかありません。このことが一番大きな今日の問題の原因であったということは、私はまことにそのとおりだと思っています。
  175. 戸田邦司

    ○戸田邦司君 土地の問題だけいつまでもやっているわけにはまいりませんが、私は、あるときに土地の売買を凍結してしまって、それではどうしたらいいんだと。これは役所だけで解決できる話ではありませんから、やっぱり強い政治のリーダーシップがないとどういうような対処をしたらいいかというようなことさえ出てこない。役所としては、相当大きな虚脱感を持ってこの問題を見守っていたということではないかと思っております。もちろん、清算事業団その他、現場においては相当の努力はされたと思いますが、しかしそれぐらいのことで解決するような問題ではなかったと思っております。これはひとえに政治の責任ではなかったかと思っております。  そこで、土地の売買について、その後平成四年ごろから少しずつ、順調にというのは適切ではありませんが、ふえてきた。それはそれなりの努力があってということであったわけですが、私はもっと早く手当てをしていればいろいろな手法があったんじゃないかと思っております。  そういう手法を追求することについて、政治がそういうことをやりなさい、考えなさいということを強力に言わないと、やはり役所だって一生懸命目先のことでやっているんで、なかなかそういうことに力を結集してやるわけにいかないということではなかったかと思いますが、土地売却の促進について、そういうような余地がなかったかどうか、運輸大臣にお伺いしたいと思います。
  176. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 緊急土地対策要綱で地価を顕在化させない土地の処分方法、こういう御指摘をいただいて、事業団がマンションを建設してその土地と建物をセットで販売する建物つき土地売却方式、それから先ほどお話あった信託、こんなことを考えたことは事実でございますし、推進してまいりました。また、地方公共団体に売却を進められないだろうかということで努力をいたしたことは事実でありますけれども、当初予想されたような金額にならなかったということは間違いなく御指摘のとおりでございます。  平成九年までの十一年間で七千八百ヘクタールの土地売却し、売却金額は六兆五千億でございます。
  177. 戸田邦司

    ○戸田邦司君 こういうような難しい問題といいますか大きな問題というのはやはり政治サイドが非常に機動的に対応しないと問題解決できない、そういったぐいの問題じゃないかと思っております。  この問題はこれぐらいにしたいと思いますが、次に国鉄改革時にJRが十四・五兆円の債務負担をしたという問題があります。  先ほど共産党の方からこの金額は少な過ぎるというような指摘もありました。一般的に言われていることは、国鉄長期債務のうちのかなりの部分JR負担してそれを順調に返している、この十四・五兆円をしっかりと返し続けてきているというようなことに相なっているわけですが、それでは、共産党の指摘ともあわせ、この十四・五兆円というのはどういうような性格の金額で、どのように算出されたか、お答えいただきたいと思います。
  178. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 十四・五兆円の算出根拠でございますけれども、国鉄改革時の債務につきまして、JRは最大限の効率的経営を行うことを前提に、当面収支が均衡しかつ将来にわたって事業等が健全かつ円滑に運営できる限度の長期債務等を負担する、これは基本的に当時金利を七%程度で予測いたしました。そして、債務に対して金利を支払っていく、それを支払ってもJR三社が一%の利益を上げられるということを一つの想定にしながら輸送量等をかんがみて計算をいたしたところでございます。共産党の御指摘は、そのとき輸送量が思った以上に伸びたんではなかろうか、また経営努力の成果も上がっているんではなかろうかと、こういう回答を私どもはいたしましたけれども、その辺の認識の違いが少しあったということになると思っております。  いずれにせよ、JR三島につきましては経営安定基金というものを設け、それからの果実によって堅実な運営ができるようにしていく、そして本州三社については金利支払い元本を返していく中で一%の収益を上げられる、これを想定にしながら十四・五兆円という額を決定いたした次第でございます。
  179. 戸田邦司

    ○戸田邦司君 運輸大臣JRの経営面からの見方を述べておられますが、役所としても恐らくそういうことを大前提にしながらこの金額をはじき出したに違いないと私は思います。  前提は、例えば民間会社でしたら会社更生法で会社を更生する場合に資産見合いの債務を新しい会社に残す、これは一般的には基本的な常識になっていると思います。ですから、私は、JRについても多分性格としてはそういうようなことで十四・五兆円をJR負担してもらう、そういうことではないかと思いますから、必ずしも借金のそれを山分けして国とJR負担しているという性格の話ではないんじゃないかと思っております。こういうことをきちっと返しているからといって立派とか立派でないとかいう情結論は私はやめた方がいいんじゃないかと思っておりますが、巷間時々そういう議論が出てくるということもあります。  そこで、今回の問題で一番大きな問題になっております厚生年金への統合問題でJRに新たな負担を求めるということですが、国鉄共済からこの新しい年金に移っていく、そのためのメリットというのは相当大きなはずなんです、安定性あるいは長期的な面から考えても、またその支給額その他を考えても。そういったことを考えて、平成八年の国会でそのことは既に議論されて、千七百億円をJR負担してこれでおしまいではないかということになっていたわけですが、私は、この千七百億円さえ払えばもうこれで済んだんじゃないか、何で今新たにそういう負担を求められているのかということについて一般の人は全然理解できない問題ではないかと思います。ここが一番の問題だと私は思っています。  ですから、新たな年金に移るための負担というのは、受給者がそれだけのメリットを受けるための新たな負担でもあり、また本来だれが負担すべきであったか。国鉄は国有鉄道ですから、国が一〇〇%責任を負うというところもあるかもしれません。しかし、それが破綻してしまって清算母体だけが残った、そのときに、民法上の問題として考えても、いつまで国にというか清算母体に負担を求められるかということは、すぐれてこれは法的な問題ではないかと私は思っております。  そういったことから、この点について国側が明確に答えられない限りはこの問題に対する回答が出てこないということではないかと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
  180. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 先ほどの議論を整理していただいたようでございますけれども、まず六十二年度の国鉄改革の趣旨、ここはしっかり守っていきたい。それから、共済年金から厚生年金に統合される、このときに生じた移換金問題については、先ほどからお話し申し上げておりますとおり、事業主である国鉄清算事業団、これは国鉄の身分でございますが、それとJR各社、ここに御負担をいただくことに決定した。そして、今回、六十二年からの長期債務の問題を解決するときに、年金問題も清算事業団が解散するに伴って解散をしよう。そして、いずれにいたしましても、これからJRの職員が安定して年金を支給してもらう、そのために必要な移換金JRに御負担いただきたいという議論をいたしているところでございます。
  181. 戸田邦司

    ○戸田邦司君 時間も過ぎましたのでこれで終わらせていただきますが、問題はたくさんありますので、また改めてお伺いしたいと思います。(拍手)
  182. 西川きよし

    西川きよし君 よろしくお願いいたします。  私の方からも清算事業団債務問題についてお伺いいたしたいと思います。重複するところが多々あるかと存じますが、私なりにまた理解をしたいものですから、どうぞよろしくお願いいたします。  これまでの議論の中で、総理を初め大臣から繰り返し答弁がございました。資産売却の凍結、バブルの崩壊、こういうものが重なって、その結果これまでの処理スキームが破綻をした。そして、この破綻を認識した時期はいっかという問いをいたしますと、運輸大臣は、債務本格的処理平成十年より実施するという平成八年の閣議決定の時期という御答弁でございます。また、そのことに対する批判は謙虚に受けとめなければいけない、こういうふうにあわせて答えていらっしゃいます。  先日来、衆議院で、そしてまた本院の本会議議論も伺わせていただきました。やはり政府に対して、今日までこういう結果を招いたことは本当に責任は大だなというふうに私自身も強く思いました。  そうした反省点あるいは今後の対応策について、私も順次質問させていただきたいと思うわけですけれども、その前に、私の質問の最初にまずお尋ねしたいのは、清算事業団の第一線で本当に懸命に取り組んでいらっしゃいます蔵員の方々のことでございます。  この方々の労をねぎらいたいという気持ちで私はいっぱいでございますけれども、総理大臣の方からも、今現在皆さん方に対してどういうお気持ちを抱いていらっしゃるのか、冒頭にお伺いしたいと思います。
  183. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 国鉄清算事業団は、国鉄改革に伴い残された膨大な長期債務償還のために、土地、株式の処分、不足する資金の調達、国鉄が残した訴訟問題の処理など、大変困難な業務を遂行してまいってきたところでございます。そして、昭和六十二年の土地売却の凍結、バブル経済の崩壊、その後の不動産市況の低迷など厳しい状況のもとで、平成九年度まで十一年間に七千八百ヘクタール、六兆五千億の土地売却するととともに、JR三社の株式の売却により二兆円の処分収入確保したところでございます。  こうした実績を上げた事業団職員の活動につきましては、厳しい状況下でよく頑張ったと評価し、その努力に対し改めて敬意を表したいと思いますが、今申し上げました数字そのものは大手の不動産それぞれの会社を上回るような土地売却の面積でございまして、特に土地が低迷する中でこの処分をするということはなかなか困難な仕事であろうと率直に思います。  また、土地をめぐっての紛争その他はなかなか大きないろいろの問題を引き起こしておるさなかでございまして、そういう中で、本当に何としても土地売却することによってこうした困難な状況を乗り越えようと一人一人が積極的に取り組んだ結果がこうした数字でございまして、そういう意味では改めて敬意を表したいと思います。
  184. 西川きよし

    西川きよし君 ぜひこういう方々のお気持ちを理解して、ひとつよろしくお願い申し上げたいと思うわけです。  昨年二月の日経新聞で、職員の方々の悲喜こもごもが連載されました。  事業団九八年度整理、そして事業団転職対策、職員の半減、自宅で開いた朝刊の紙面にこんな見出しを見つけた。どきりとすることがふえてきた。事業団が旧国鉄から巨額の長期債務を引き継いだ分割・民営化から十年。またか、あのときと同じだ。当時の不安がまたよぎってくる。新聞を置いて出ていきました。妻も新聞を見たはずだが帰宅をしても何も言わない。こちらも特にその話題には触れない。今後どうなるか自分でも全くわからないのに話をしてみても心配をかけるだけだからと。  わずか数行でありますけれども、職員の方々の今の置かれている状況というものが本当に伝わってまいります。  事業団職員の職員数、平均年齢、現況、そして再就職の対策、政府は今どのようなお考えなのか、具体策をひとつ簡潔にお答えいただければと思います。
  185. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 西川委員にお答え申し上げます。  平成八年度当初のプロパー職員、千八百七十二名でございました。その中で、JR各社、各省庁、特殊法人等に多数の採用申し出をいただき、五百名以上が再就職をいたしました。結果として、平成十年度当初の職員数は千百七名でございます。  なお、御指摘のとおり、千百七名の職員の八五%が五十歳を超えておるのが現状でございます。  そして、その八百名の今後の対策でございますけれども、第一に、清算事業団が解散されるということが決定いたしましたら、この法律を成立させていたださましたら、まず全職員の就職先を内定させたい、こういうふうに思っております。そして、その上で出向をしてもらって、今の業務、なれておりますので、まだまだいろんな業務が残っておりますので継続してやっていただきたい、このように考えているところでございます。  委員御指摘のように、私も十月一日に事業団に、職員の皆さん方に御説明に上がってきたところでございます。  実は私は春は国会対策の責任者の一人でありましたので、なぜ春の国会でこれをきちっとした処理ができなかったのかと、こういう御質問も衆議院で賜りました。耳に残っておりましたので、十月一日で解散という形にはならなかった、事前準備が皆さん方にできないということで大変迷惑をかけることになった、しかしながら国会での審議の状況というのを御報告させていただいて、どうぞいずれにせよ頑張っていただきたいとお願いをしてきたところでございます。
  186. 西川きよし

    西川きよし君 この時代の背景、本当に大変だと思います。これまでに職員の方々に対して再就職先の希望のアンケートが実施されたわけですけれども、その結果、ほとんどの方々が自治体や特殊法人など公的部門への再就職を希望されているわけですけれども、そうした中で、一方では行政改革が迫られている。また、雇用情勢が本当に厳しい状況の中で、大臣も今おっしゃいましたように、平均年齢が五十歳を超えているということでございます。再就職については大変に厳しい状況にあると思います。  平均年齢が五十歳、私は五十二歳ですけれども、本当に大変だと思います。夏の選挙が終わりまして、自分はこれから食べていくことはこちらでお世話になる、六年間はこれはもう安心できるなと。でも、そんな気持ちを、本当に皆さん方のためにここで一生懸命働かせてもらわなければいけないなというふうに痛切に感じております。  現時点での決定状況、そしてまた再就職の決まっていない職員については事業団の解散後どのように対応していかれるのか。国鉄改革を完結させる、少しでも国民負担を減らす、そういった使命感のもとでこれまで苦労された今お願いをしております職員の方々、そして僕は何よりも思うんですけれども、この委員会に入るというのが発表されてからいろんな方々に陳情されました。今、自分は本当に賛成をしていいものか反対していいものなのか、無所属の一人の議員としては大変悩んでおります。しっかり勉強もさせていただきますけれども、その強い決意を総理大臣から今度はお伺いしたいと思います。
  187. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 今、運輸大臣が御答弁いたしましたとおり、私も同じような気持ちで、この国鉄清算事業団で長年御苦労された方々の身分の問題につきましては、あらゆる角度から考慮し御希望に沿いたい、そのために努力をいたしたいと思っております。
  188. 西川きよし

    西川きよし君 ぜひよろしくお願い申し上げます。  私は公務員の経験もありませんし、サラリーマンの経験もないわけですけれども、土地売却を担当したあるベテランの職員の方は、こちらの新聞に載っておりますが、担当した三年間に手がけた売却収入が何とこの方お一人で百七十億円。しかし、一日当たりの利払いが三十六億円。これだけ頑張って五日分の利子にも満たない。私の三年間は一体何だったんだろう、ふと考えると本当にむなしくなると。こうした方々が本当に路頭に迷うことのないよう、しっかりとお取り組みをいただきたいと思うわけです。  残ります時間はあと十一分ですが、自分なりに納得をしたいと思いますので、今日のこの状況に至るまでの経緯をお伺いしたいわけです。  いろいろ論議の中でも、これまでの間に返済計画見直しが行われなかったことに対して、総理からも運輸大臣からもたびたび反省のお言葉は聞いておるわけですけれども、これだけの負担を国民が今後長年にわたってしていかなければならないわけです。なるほど、そういう事情があったのか、それはやむを得ないなと、全国の方々が聞いて、そして読んで、見て理解を示す、そういう御説明があればというふうに我々はいつも思うわけです。そういう意味におきまして、できるだけ具体的な皆さん方の御説明をいただきたいと思います。  昭和六十二年に策定をされました処理計画に対して、それが適切であったのかどうか、それからまたその処理計画見直しが今日までなぜ行われなかったのか、そういう点についてもお伺いしたいと思います。  今から六年前、平成四年の日経ビジネスの九月七日号でありますけれども、当時の石月清算事業団理事長がこういうふうにおっしゃっておられます。   八七年に策定した当初の返済計画では、事業団債務のうち十三兆八千億円は国民が負担するということがはっきりうたわれていた。しかし、その後、バブルが発生して、土地も株も上がつた。国民負担なしに返済できるのではないかというムードが世間に急速に出てきた。そんなわけで、当初の国民負担の話がうやむやになってしまった。  そもそもの仕組みに若干無理があるんですよ。だから、私どもとすれば、頑張って売れるだけ売って、残った時点でどうするか考えましょうというのが、大ざっぱな言い方なんですね。その意味で我々の返済計画は非常にラフになってしまう。こういうふうにおっしゃっておられるわけです。当時策定された返済計画は非常にラフであったのではないかという点について、こちらは運輸大臣にお伺いしたいと思います。
  189. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 今、御指摘いただきましたように、国鉄清算事業団債務として引き取りました、同時に資産も引き取った、その売却を進めていくごとによって十三兆円まで借金が減るだろう、こういう想定をしたことは事実でございます。  しかしながら、先ほどから総理また大蔵大臣から御答弁のように、政策判断として、土地の高騰をあおるべきではない、ある意味では運輸省と対立いたしたこともあったのかもしれません。しかしながら、最終的には決定をされて、そして土地売却が思うように進まない、同時に阪神・淡路大震災もございました、株の売却もおくれた、それに先ほど御指摘いただいた金利金利を呼ぶという状況になってきて、大変多額な借金を抱えるに至った。先ほど言いましたように、当初はある程度土地が売れた時点で残りの十三兆円なり十四兆円を国民負担の中でどう処理すべきかということを国がきちっと責任を持って考えろというスキームであったわけでありますけれども、さまざまな情勢の変化の中で今日こういうことを迎えた。  御指摘いただいておりますとおり、もう少し早くこの抜本的処理というものを考えるべきではなかったのかという御指摘には、もう謙虚に受けとめる以外ないというのが今日の姿勢でございます。
  190. 西川きよし

    西川きよし君 国鉄改革時の債務処理方策においては、土地売却収入が七兆七千億円、株の売却収入が一兆二千億円、そして新幹線保有機構に対する債権が二兆九千億円、残る十三兆八千億円が国民の負担と見込まれたわけですけれども、その返済計画に無理があると政府認識されたのはどの時点だったのでしょうか、改めてお伺いしたいと思います。
  191. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 正式に認識しましたのは平成八年ということであって、もう少し前からわかっていたんじゃないかという御指摘をいただけば、まさにそのとおりでございます。
  192. 西川きよし

    西川きよし君 そこで、なぜ今日まで抜本的な処理計画見直しがおくれたかということでございますけれども、この点について少し読ませていただきます。これもそのころのものなんですが、   七月のあるテレビ番組で、資産処分審議会の  亀井正夫会長が、「事業団債務は、国が返済  すれば年間一兆何千億円ずつ三十年かかる」と  いうような趣旨の発言をした。それは過去の再  建監理委員会報告にも書いてあることなんです  が、今、政府としては触れてもらいたくない。  国の借金じゃないですか。「こんな膨大な借金  を何でほったらかしにしておくんだ」、そうい  う議論が野党から出るでしょう。返せと言われ  ても、金があるわけではないですからね。   運輸省は現実には政治の要請整備新幹線や  ミニ新幹線常磐新線など実現しなければなら  ないものがたくさんある。だから、あまり事業  団の債務返済の話ばかりすると、前向きの金を  つけてもらえなくなる恐れがある。私が債務返  済の話をしても、「まあ、あんまり言わんでく  ださい」ということになってしまう。じれった  いという気持ちは猛烈にありますよ。言いたい  ことはいっぱいあるわね。   実際問題、どうやって返済していくのか。赤  字国債を発行する、国鉄再建税をつくって国民  から徴収する、JRの運賃を値上げして、その  一部を事業団に戻す、そんなことを考えるしか  ないでしょう。実現はできないと思いますが…。  というふうな当時の記事があるわけです。  こういったことも理由にありまして今日までその処理計画見直しが行われなかったということであれば、そのことについてもやはり説明とそれに対する見解というものを真摯に語っていただきたいと思います。その上で改めて負担をお願いするということでありましたら、負担をする側が疑念を、また不信を抱いたままでは、理解そして納得をして負担するということにはならないと思います。  ここはぜひ運輸大臣に一人の政治家として御答弁をいただきたいと思うわけですけれども、よろしくお願いいたします。
  193. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) もう先ほどから御指摘のとおりでありますけれども、計画どおりいきましたとして十四兆円の借金のスキームをつくらなければならなかった、これは間違いない事実だろうと思います。それが先ほどからの事情の中で考えられないような二十八兆円という借金になってしまった、もう少し早く処理策検討すべきではなかったかと、こういう御指摘をずっといただいております。  また一方で、運輸省の予算の問題を少しお触れになりました。例えば、借金の回収のために運輸省予算でやるべきではなかろうか、今回六百五十億毎年出すわけでありますけれども、いや、鉄道局の予算でやるべきではなかろうかと。一千九百億ぐらいの予算でございます、全部の枠が。  しかしながら、一方で整備新幹線の問題、常磐新線の問題、また例えば東京におきましては地下鉄の対策の問題、大阪においても同じでございます。それから、中部におきましては今度中部国際空港との連絡の鉄道を新設したい、こういう地域の事情というものがあるであろうと。政策判断として、すべてのものをやめてしまって借金返しに使うのか。やはり今日、政策としてモーダルシフト、鉄道というものをもう一度見直しながらやるべきことをやっていかなければならないというのも当然の議論としてあるんだろうと思います。そのいろんな政策決定の中で今日処理スキームというのが出てきたと。その中でたばこの御負担、また郵貯の御負担というものをいただき、同時に年金問題については、先ほどからお話し申し上げておりますとおり、これからJRの職員に安定的に年金を支給するための原資でありますので、どうぞJRに御理解を賜りたいとお願いいたしているところでございます。  以上でございます。
  194. 西川きよし

    西川きよし君 明日は引き続き土地問題の御質問をさせていただきたいと思います。本日はこれで終わります。  ありがとうございました。(拍手)
  195. 加藤紀文

    ○加藤紀文君 自由民主党の加藤紀文でございます。  総理を初め関係大臣、きょうは早朝からいろいろな問題に対して真摯にお答えいただきまして、まことにありがとうございます。いろいろ議論がありましたので、私はなるべく重複しないように視点を変えて若干のお尋ねをさせていただきたいと思うわけであります。  まず第一番目は国鉄改革であります。  国鉄の経営は、御承知のとおり昭和三十九年度に赤字に転じて以来、年々ますますその度合いを深めていきまして、そのために、その後数次にわたる再建策を立てたにもかかわらず毎年度巨額の赤字を発生させ、膨大な債務を累積させるに至りました。国鉄改革は、このような事態を解決し鉄道事業の再生を図ることを目的として、昭和六十二年四月一日に実施されたものであります。  そのときの国鉄改革の基本理念は、国鉄事業の破綻の原因が公社制度による全国一元的な経営にあるとの考え方基づいて、分割・民営化によって効率的で地域の実情に即し、かつ責任ある経営を可能とすることとして、これにより国鉄事業の再生を図ろうとするものでありました。  この国鉄改革が行われた結果、現在に至るまでJR全体としては大変御努力もあったわけでありますが、高い生産性のもとで鉄道輸送サービスの向上が図られるとともに、収支状況も改善しており、我が国鉄道事業の再生という点からは極めて順調に推移しているものと思います。  しかしながら、その一方で、清算事業団に残された国鉄長期債務本格的処理の実施を初めとして、厳しい経営環境に置かれているJR北海道、四国、九州、そして貨物を含めたJR各社の完全民営化ということが課題として残されたままであります。  国鉄改革を完遂するためには、これらの諸問題を全力を挙げて解決しなければなりません。特に、この特別委員会で審議されております清算事業団債務処理問題は約二十八兆円にも上るものであります。極めて重要な問題であります。また、この債務処理処理がおくれると利子利子を生むことになり、その解決は一刻の猶予も許されるものではありません。  そこで、この事業団についてまずお尋ねいたします。  この事業団平成十年十月一日に解散する予定でありました。当初予定されていなかった債務償還支払いが現在発生しておるわけであります。つまり、当初の予定では清算事業団債務を承継した一般会計償還を行うはずだった債務償還について清算事業団支払いを行っているわけであります。平成十年度予算においてこの支払い分については当然見込まれていなかったわけでありますから、清算事業団支払い能力が不足することが懸念されます。  現在のように我が国全体の金融システムの強化の必要性が国際的にも国内的にも強く求められる中で、政府機関が支払い不能に陥る状態が生じることは許されません。  そこで、運輸大臣にお尋ねいたしますが、今申し上げました清算事業団平成十年十月一日に解散する予定であったために、当初予定されていなかった債務償還等の支払いをどのようにしているのか。つまり、現在の状態では清算事業団の資金繰りがつかず、まさに支払い不能になるのではないかと思うわけでありますが、どう対応されているのかをまずお尋ねいたします。
  196. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) まず、事業団の借り入れにつきましては、政府保証が約六カ月、予算で書かれているところでございます。しかしながら、九月二十九日の支払い以降、これが保証されていないという問題になりました。九月二十九日に一千九百九億円、十月二日に二千六百五億円、合計で四千五百十四億円、十月中すべて合わせて六千五百億円ぐらいの資金ショートを起こすことになる。事業団民間から借りたお金を返せないという状況になりますれば、今の金融情勢から考えても大変な状況になる。  やり方は当時二つあったと思っております。一つは、民間借り上げというのができないだろうか。再度民間から少し延ばしていただいてお借りするという方法がないだろうか。しかし、これには最低でも二週間の期間を必要とする。一方、衆議院の委員会で連日御審議をいただいている中でございました。私ども政府側が、いつ上がるかわからぬから今からお金を借りますよというのを九月の中ごろから宣言するわけにはまいらないだろうと。また、それを宣言いたしましても、現実問題、借り上げできるかどうかはまさに入ってみなければならない課題でありました。  そんなことから、資金運用部資金のつなぎをしていただくということで御理解をいただいて、今事業団の資金調達のため弾力条項というのを発動してもらいましてやらせていただいているところでございます。借りております資金運用部資金は年〇・八%、借りる期間は二カ月でございます。  こうした事情でございますので、何とぞ御審議のほどをよろしくお願い申し上げたい、このように思っております。
  197. 加藤紀文

    ○加藤紀文君 今の大臣のお答えで、現在の対処が極めて緊急異例の措置であることがよくわかりました。このような異例な措置をこれ以上続けていくのは、金融システムの安定化、国際的、社会的観点からも何としてでも避けなければなりません。  そこで、総理にお尋ねいたしますが、このような事態はまさに異例の状態であります。一刻も早く是正すべきと考えますが、総理はどのようにお考えになっておられるか、お聞かせいただきたいと思います。
  198. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) まさに一刻も猶予することのできないことでございますので、今回この法律を成立させていただきまして、それに伴いましてすべての施策を講じていきたい。国としてのデフォルトに近いこういう状況というものは内外の信頼をますます失うことになりますので、ぜひお願いをいたしたいと思っております。
  199. 加藤紀文

    ○加藤紀文君 ありがとうございました。  それでは次に、JR負担問題についてお尋ねいたします。  先ほど来いろいろありました。要は、JRの社員の年金確保するための移換金負担についてだれかが負担しなければなりません。今問題になっているのは、これを事業主であるJR負担するのか、それとも一般国民が負担するのかという気がいたします。JRという特定企業の社員のための年金の原資を全く関係のない国民にすべて負担を強いることは、国民の立場に立てば無理があると言わざるを得ません。また、一般サラリーマンや一般企業等には、JRの社員の年金確保するため、今後とも年金制度を通じて四十年にわたり毎年一千五百億円、総額六兆円という多額の負担を強いること、鉄道共済が厚生年金に統合された結果、JR自身は従来の企業負担が半減されるに至ったことなどを考慮すれば、やはりJRにもある程度負担を求めなければならないのではなかろうかなと思うわけであります。  そうはいっても、今回のこの処理案によってJR負担が生じるのは事実であります。この負担JR七社全部に対して生じるものでありますが、同じJRでも経営が順調で毎年多額の利益を上げておりますいわゆる本州三社はよろしいでしょう。しかし、JR北海道、四国、九州、そして貨物の四社は経営が極めて厳しい状況にあります。  これらの会社の果たしている社会的役割の高さを考えると、今回の負担によって厳しい状況にあるこれら四社の経営に支障を生じないようにしなければならないと思うわけでありますが、運輸大臣、今回の処理案に対して、この四社の負担がどの程度になるか、またこれら厳しい四社の経営に支障を与えないようにどのように支援といいますか、施策を練っていただけるか、お尋ねいたします。
  200. 川崎二郎

    国務大臣川崎二郎君) 共済年金から厚生年金への移換金でございます。その中で、JR七社、JRの職員のためでありますので、経営の内容によって分けることはならないと思っております。したがって、一定の考え方の中で御負担をいただく。そして、今回の修正案はJR負担というものを国民とJRで分けろという形で衆議院で修正案が提出され、御可決をいただいたところであります。  そこで、本州三社を除く三島、貨物の問題でございます。これは午前中にもお話し申し上げましたけれども、経営安定基金というものを置いて、一兆三千億でございますが、それから生まれる果実によって、北海道、四国、九州等、経営の厳しい問題については、その果実を加えて収支均衡、一%程度の利益ができるように、こういうセットがされているところでございます。  六十二年から今日までの努力、各社見させていただきますと、例えば北海道の場合は大体営業利益的には二百億ほど改善の余地があります。赤字ではございますが、改善をずっと続けてきております。しかしながら、経営安定基金から生まれる果実は百七十億ほど減っておる、結果として大変厳しい経営状況になっておると。改革当時に、経営安定基金からどのぐらい出るかと。先ほどから予測の話ばかりさせていただいているんですけれども、この予測がもう少し出るだろうと。今日のような経済情勢を実は予想していなかったものですから、大変厳しい状況になってきていると。  したがって、無利子融資制度というものをつくって、その中で資金を供給することによって経営安定をできないだろうかということで考えさせていただいておる。それから、税制問題についても考えさせていただいておる。  北海道のことを申し上げましたので触れますれば、青函連絡トンネル、これから補修をしていかなきゃならぬ問題が出てまいります。この問題についてもどう考えていったらいいか。できるだけのことを私どもはしていかなきゃならぬ。その中で経営が安定し、一日も早く上場ができるように努力をしてまいりたい、このように思っております。
  201. 加藤紀文

    ○加藤紀文君 ありがとうございました。  それと、今回JRがこれまでの負担に反対している理由一つとして、一度このような負担を受け入れてしまうと、将来、次から次へと負担を求められるのではないかと懸念していることがあるのではないかと思うわけでありますが、この点について確認をしておきたいと思います。  総理、この清算事業団債務処理に当たって、JR負担は今回の措置で最後であり、これ以上の負担JRに対して求めることはないものと考えてよろしいんでしょうか。
  202. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 国鉄清算事業団債務年金負担のうち、今回JR負担としないものにつきましては、その最終的な負担者を国及び鉄道建設公団決定し、JR負担とはしないことを明確に決定するものであることから、御指摘のとおり、政府としては将来JRにその一部を負担させることはあり得ないと考えております。
  203. 加藤紀文

    ○加藤紀文君 冒頭申し上げましたように、この債務処理問題は、これ以上債務を増加させないためにも、また現状のように事業団の資金手当てについて極めて異例な措置を講じている状態を脱するためにも、一刻も早くこの問題を処理する必要があると思います。もはや先送りの許される問題ではありません。  この問題を一刻も早く処理しなければならないという点については、与野党を問わず同じ考えであろうかと思います。国会として、良識の府として、この問題の早期処理を図るためにも、現在審議されているこの法案を早期に成立させる必要があることを強く申し上げ、私の質問を終わります。  ありがとうございました。(拍手)
  204. 中曽根弘文

    委員長中曽根弘文君) 本日の質疑はこの程度といたします。     ―――――――――――――
  205. 中曽根弘文

    委員長中曽根弘文君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  日本国有鉄道清算事業団債務等処理に関する法律案外五案件の審査のため、明十三日午前九時に、参考人として千葉商科大学学長加藤寛君、日本学士院会員・東京大学名誉教授大内力君、毎日新聞社編集局特別委員兼論説委員玉置和宏君、日本大学商学部教授桜井徹君、全林野労働組合中央執行委員長吾妻實君及び名古屋大学法学部教授加藤雅信君の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    (「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  206. 中曽根弘文

    委員長中曽根弘文君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  次回は明十三日午前九時に開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後三時七分散会