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政府委員(伊藤雅治君) まず
最初の水際での
対応でございます。
この点につきましては、現在
検疫という
制度があるわけでございますが、この
検疫につきましても、現在は黄熱と
コレラとペスト、この三つの病気を
対象にしておりますが、今回の
検疫法の
改正によりまして、一
類感染症に分類されるものをこの
検疫の
対象といたしまして水際及び事前の海外からの
情報により
対応していくという、そういう
制度の
改正をあわせてお願いをしているところでございます。
それから
検査でございますが、従来の
対策といいますのは、お医者さんから届け出があって初めて伝染病
対策が動き出すという
制度になっていたわけでございますが、今後は平素から
発生状況を監視、これは
発生動向調査と言っておりますが、監視をいたしまして、そしてその
発生状況に応じていろいろ
情報を
国民及び
医療機関それから
検査機関などに
提供いたしまして的確に
対応していくというのが基本的な考え方でございます。
したがいまして、
感染症の
発生動向調査におきましては、それぞれの
医療機関なり
検査機関できちっと
病原体の
検査ができるという
体制をつくることが重要になってくるわけでございまして、今後、国立
感染症研究所を中心にいたしまして地方衛生研究所それから保健所におきます
感染症の
検査体制を、機器整備も含めまして十分能力を
向上させるよう
対応していきたいと考えているところでございます。
それから三番目でございますが、
専門家の養成について御
指摘があったわけでございます。
現在、
専門家につきましては、我が国は特に
感染症の専門医というのは他の分野の専門医に比べて非常に少ないわけでございまして、この数をどのように養成していくかということが非常に大きなテーマでございます。
平成九年度から、この
感染症の問題が再び大きな厚生行政の課題になったということから、新興・
再興感染症を
厚生省の研究事業の柱に据えまして、そしてその中で、約四億円でございますが、人材の養成、それから
外国から
専門家を呼んできて一緒に研究をすることでございますとか、若手研究者の育成事業でございますとか、そういう
感染症対策を
推進するための事業を九年度から進めております。現在それぞれの分野におきまして、例えば
外国へ、
平成九年度では、非常に短期間のものも含まれておりますが、
日本人の研究者の派遣というのが二十二名になっております。そのほか、
外国から
日本に
専門家が来ていただいたのが十八人というような実績になっております。いずれにしましても、これらの
制度を活用いたしまして
感染症の
専門家の養成に取り組んでいきたいと考えております。
また、海外におきます
厚生省からの在外公館におきますアタッシェなどについてもお尋ねがあったわけでございますが、現在十九名が在外公館にアタッシェとして派遣されているところでございます、このほか、在外研究員を三名派遣しておりますが、この在外研究員につきましては研究目的で大学院等に派遣しているものでございまして、特定の行政目的の任務を受け持たせるというのは若干
制度の
趣旨にそぐわない点もございますが、私どもといたしましては、在外公館勤務のアタッシェなども通じまして必要な
情報収集に努めてまいりたいと考えているところでございます。
そのほか、在外公館以外にも、WHOでございますとかCDCでございますとか、いろいろ主要なところに
日本人職員を現在派遣しておりまして、それらのところからも必要な
情報を得ているわけでございます。
最後の五点目でございますが、現在いろいろ諸
外国に対しまして
感染症分野の協力をしております。
二国間協力といたしましては、日米
医学協力計画によりまして、これは十分野があるわけでございますが、十分野のうち八つの分野が
感染症でございまして、これは日米が協力いたしまして、特に東南アジアに、アジア地域に
蔓延している
疾病について研究を進めていくということでございまして、具体的にはエイズでございますとか結核、ハンセン、肝炎、優性疾患、寄生虫、
コレラなどが行われております。
そのほか、二国間関係といたしましては、現在
厚生省が直接関与するものといたしまして
感染症のプロジェクトが十一件ございまして、例えば中国におきますポリオ
対策でございますとか、インドにおきます下痢
対策、ネパールにおきます結核
対策、グアテマラの熱帯病
対策、それからアフリカではケニア、ザンビア、ジンバブエなどで
感染症対策のプロジェクトを
実施し、相手国に協力すると同時に、我が国にとっても
情報収集という面でも稗益しているというふうに理解をしております。