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市川一朗君 この日垣さんの論文も、最後は「冷静な危機感をもつべきときだ。」ということで、危機感自体は否定していないわけでございます。ただ、私がちょっと打たれましたのは、現
時点では
ダイオキシンによる被害よりも
ダイオキシン症候群による実害の方が非常に大きいんじゃないかという
指摘です。この辺は、私
ども政治に携わる者、そして行政に携わる人たちにとりましても、まさに二十一世紀、二十二世紀を見据えた
対応を考えていくという大きな
意味で、やはりこういった
観点からの
指摘も含めてしっかりとした政策、行政をやっていく必要があるというふうに思いまして、一応問題にしてみたところでございます。
それで、そういったいろんな問題があります中で、何といいましても関心がありますのは、
ごみ焼却施設から出る
ダイオキシンの問題につきまして、最近非常にいろんな情報もございますし、また
実態も出てまいっておりますので、大きな関心を呼んでいるわけでございます。
その中で、この論文にも出ているのでございますが、いわゆる
ごみ焼却施設から
ダイオキシンが出ないようにするという
観点も含めて、
ごみ焼却施設の高温化、大型化を進めるというのが今基本的にとられている政策の方向なのではないかという
指摘があるわけでございます。いろんな専門誌なんかを読んでみましても、基本的な解決策は、小さな
ごみ焼却施設をやめて高温処理のできる、そして二十四時間連続して燃やし続けることのできる大型
焼却施設に変えていくことが一番の基本であるという
指摘もされております。
この間も、偶然でございますが、テレビの
報道の中で、家庭の方に
ごみを
焼却するための
施設をむしろ積極的に補助金まで出して進めていった町が、今回のこういった問題に刺激を受けまして、それを逆に撤去して回っているという姿をテレビで拝見いたしまして、日本のこれからの都市づくりといいますか、町づくりの中にもかなり大きな影響を持ってくるテーマになりつつあるなという実感を持って見たわけでございます。
やはり、どういう専門書をひもといてみましても、確かに
ダイオキシンの持っている物理的な性質からして高温処理は、ある本では七百五十度と書いてありましたが、七百五十度以上なら分解できる、そしてその際、酸素の量が十分に供給されている、この二点がうまくかみ合えば、
ごみ焼却施設から
ダイオキシンが
発生するということは阻止できるんだと。
ところが、中小の
焼却施設の場合には、大体現在ありますのは十六時間操業とか八時間操業でございまして、二十四時間連続ですとずっと燃やし続けるわけですが、十六時間とか八時間操業ですと、一日の間に消したりつけたりという動作が入るわけでございまして、そのつけたり消したりする立ち上がりのとき、それから消す
時点、それからややくすぶっている
時点、そういった状態のときにいわゆる
不完全燃焼の状態が生ずるので、そこで
ダイオキシンが
発生する
危険性が非常に高いんだというような話が大体どうも定説のようでございます。また、小規模
施設の場合には、そういう問題があるほかに、もともと
燃焼温度も不安定でございますから、
内部的にまた
ダイオキシンが
発生する
危険性もある。こういった問題を解決するには高温・大型化を図ることが一番大事であるということに帰着するようでございます。
私も、そういうことで現在基本的な
ダイオキシン対策を進めるということについて一はっきりとそれに対して問題があるということを言い切れるような自信はないわけでございます。ただ、やはり
幾つかの点でかなり問題があるなというふうに思っておりまして、結論的には、要は
ダイオキシンが
発生しないようにして
ごみを焼けばいいわけですから、そういう
意味では、いわゆる中小
焼却炉でも技術開発を進めて
ダイオキシンが
発生しないようにするということが必要なんじゃないかというような問題意識を持つわけでございます。
といいますのは、皆さんも御存じと思いますが、これからの我々人間社会を考えます場合には、まさにライフスタイルを変えていこうという
意味で、大量生産大量消費といったようなことを変えていく過程で、リサイクル問題も含めて
ごみはできるだけ少なくしていこうということがあるわけでございます。
また、これからの
国土づくりを考えます場合には、日本は今まで過密過疎の問題を大きく取り上げてまいったのですが、日本と同じような
国土面積のイギリスの場合は、可住地面積は日本よりはるかに平野部が多いですから広いんですけれ
ども、人口は日本の半分ぐらいです。まさにイギリスは疎にして住む。そこで一人一人がゆったりと生活をして、田園生活を楽しんでいる。これが私
どもが二十一世紀に志向する
一つのライフスタイルなのではないかなというふうなことを私自身は考えているわけでございますが、そういうふうに考えますと、二十四時間フルに活動する
ごみ焼却施設をつくってそれがフルに回転するように
ごみを集めるとなると、これはなかなか大変なんじゃないか。
たまたま
資料を見てみますと、今回御
報告がございました
豊能郡の
美化センターも、
能勢町と
豊能町と二町のようですが、この
二つの町から集めてもやはり二十四時間フル回転できるような
ごみを集めることは不可能と。一生懸命集めなきゃいけない。そうすると、
ごみを集めるということは、そういった今申し上げたような問題だけじゃなくて、目の前にそれを運んでくる交通問題というのが生ずるわけでございまして、何か現
時点での科学的な水準からいきますと、高温化、大型化が避けて通れないテーマのように思います。
しかし翻って、別な角度からの
地域づくりといいますか町づくりという
観点からしますと、それでは大きな問題がかえって出ちゃうんじゃないか。そうしますと、解決するのは、
一つはそういう小さな
ごみ焼却施設でも
ダイオキシンが
発生しないような
施設を技術開発で生み出すという方向なのではないかなと私自身は思うわけでございますが、そういった点につきまして、
政府としてどういうふうに考えておられるのか。できれば、そういった点について前向きな
対応がなされておられれば、そういった点についての御紹介も含めましてお答えいただきたいと思います。