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1998-09-24 第143回国会 参議院 国土・環境委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十年九月二十四日(木曜日)    午前十時開会     ―――――――――――――    委員異動  九月二十四日     辞任         補欠選任      福山 哲郎君     北澤 俊美君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         陣内 孝雄君     理 事                 太田 豊秋君                 松谷蒼一郎君                 小川 勝也君                 福本 潤一君                 緒方 靖夫君     委 員                 市川 一朗君                 坂野 重信君                 田村 公平君                 長谷川道郎君                 山下 善彦君                 岡崎トミ子君                 北澤 俊美君                 佐藤 雄平君                 弘友 和夫君                 岩佐 恵美君                 大渕 絹子君                 泉  信也君                 島袋 宗康君    国務大臣        国 務 大 臣        (環境庁長官)  真鍋 賢二君    政府委員        防衛施設庁施設        部長       守屋 武昌君        環境庁企画調整        局長       岡田 康彦君        環境庁自然保護        局長       丸山 晴男君        環境庁大気保全        局長       廣瀬  省君        環境庁水質保全        局長       遠藤 保雄君        外務省総合外交        政策局国際社会  上田 秀明君        協力部長        農林水産技術会        議事務局長    三輪睿太郎君        林野庁長官    山本  徹君        運輸大臣官房総        務審議官     高橋 朋敬君        建設省建設経済        局長       木下 博夫君        建設省河川局長  青山 俊樹君        建設省道路局長  井上 啓一君        自治省財政局長  二橋 正弘君    事務局側        常任委員会専門        員        八島 秀雄君    説明員        環境庁企画調整        地球環境部長   浜中 裕徳君        外務省北米局審        議官       田中 信明君        文部大臣官房審        議官       銭谷 眞美君        林野庁指導部長  田尾 秀夫君        通商産業大臣官        房審議官     羽山 正孝君        資源エネルギー        庁石炭・新エネ        ルギー部長    北畑 隆生君        資源エネルギー        庁公益事業部長  奥村 裕一君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件 ○地球温暖化対策推進に関する法律案(第百四  十二回国会内閣提出、第百四十三回国会衆議院  送付)     ―――――――――――――
  2. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) ただいまから国土環境委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、福山哲郎君が委員を辞任され、その補欠として北澤俊美君が選任されました。     ―――――――――――――
  3. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) 地球温暖化対策推進に関する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 田村公平

    田村公平君 自由民主党の田村公平です。地球温暖化対策推進法質疑に入らせていただきます。  私、実は先週の委員会自分委員会と重なっておりましたので、会議録の詳細をつぶさには承知しておりませんけれども、ちょっと私なりの持論を申し述べさせていただきます。  私は、昭和二十二年生まれですから団塊の世代であります。子供のころは、いわゆる占領軍のジープが田舎にやってまいりますと、一生懸命その排気ガスのにおいを追っかけて走った世代であります。何といい香りだろうと。今思えば大変危険な行為をしておったわけで、今までこうやって元気で生きてきたのが不思議だなと思っております。私たちの子供のころは、土日になれば小学生であって毛里山に登り、薪を拾い、火吹き竹で火をおこし、もちろん水は谷川から竹を割った竹筒で引いてきておりました。断水になるのは台風が来たり大雨が降ったときに落ち葉や土砂がその水路をふさいだときで、子供水回りを確かめに行くのも仕事の一つでありました。  そういう中で車なんか一生持てないと思っておりましたら、車が持てるような時代になりました。車はどんどんつくる。つくるところの役所通産省型式認定を受けてナンバープレートをもらう、これは運輸省。そして、それで正式に車となってどんどん道路を走る。道路をどんどん走るものですから、それは建設省。これで大体三つ役所。そこで排ガスが出てくる、騒音が出てくる、こうなると環境庁。そこで事故を起こすとなると、人身事故があればパトカーが出てくるから警察庁事故があって人がけがをしたら救急車が来るから、これは消防庁。これで保険がどうだこうだという話になってくると、これは大蔵省。たかだか車一台について今思いつくだけで六つ役所縦割りの中でやってくる。  どんどん車がふえて困ったものですから、突如として軽四まで車庫証明が要る。あるいは今まで飛ばし、つまり車屋さんのディーラーは車庫証明をうまく都合してやって、車庫証明を偽造と言っちゃいけないんですが、そういうことをやっていて、それで今度は車庫を厳しくチェックする。オーナードライバーの方であればおわかりだと思いますが、今必ず何々警察署というステッカーが張られるようになった。そうすると今度は建設省がどういうことをしたかといいますと、これも太い迷惑であると思いますが、駐車場専門官というのを道路局企画課の中につくって、うちの高知県もはりまや橋というところがあるんですが、国道の下へ立派な地下駐車場をつくっていただきました。つまり、そういう後追い行政。  それから、もう一つ言わせていただきますけれども、今はやりの携帯電話、次から次へ新しいのが出てきます。最初は三十分ぐらいしかもちませんでした。その前の自動車電話というのは、取り外しがきくものはこんなでかい弁当箱三つぐらい重ねたもので、えらい重いものをショルダーホンと言って持っていましたが、やがてそれが携帯電話とコンパクトになって大変便利で私も重宝しております。しかし、新しい製品が出るたびに充電器がいません。だから充電器ごと買わぬといかぬ。たかだかプラス、マイナスリチウム電池を使おうと何を使おうと、それはコンパクト化するというのはわかるけれども、指のサイズ以上はコンパクト化できないわけですから、そういうところぐらいは、充電器だけは共用できるような英知を働かせればいいと思うけれども、これも個人的に郵政省にお伺いしましたら、民間がやっておることだからと。確かに、携帯電話の業界というのは大変大きな成長産業としてとらえられておりますけれども、その中で充電器の部分だけは大変むだな環境に優しくない構造になっております。そういうことを踏まえまして、今度この法案ができたということは少し前進したんじゃないかという気がいたしております。  そこで私は、公共事業に関する分野で関与していける、つまり環境問題、いわゆるCO2を含めた六つガスに対する対策がこれからもしこの法案が成立すれば講ぜられるということで、公共事業関連お話をお伺いさせていただきたいなと思っております。  というのは、いわゆるアイドリング中、車が低速になればなるほどCO2発生量は高くなります。経済速度で走ると大変少なくなります。この前もこの委員会で御議論があったように承知しておりますけれども、いわゆる首都高、万年駐車場と言われておりますけれども駐車場といいながら車は動いているわけですから、するとこの首都高環状線埼玉ナンバーも走ればここを通り抜ける人もおるわけですから、いわゆる東京都民含めて広い意味国民の皆さんが今そういう意味での迷惑を受けておる、これを何とかする方法があるんじゃないか。  実は、第十一次道路整備五カ年計画のときに、総額七十六兆円でありましたけれども、景観とかそれから自然にやさしい道づくり、単なるA地点からB地点まで可及的速やかに通行するだけでなくしてそういうことを考えるということで、のり面にも木を植えたり芝を植えたりとか、それから道の駅とか、そういうことをおやりになってきたことを承知しております。  第十二次の五計においては、いわゆるITSという考え方をお持ちになりまして、そして私の記憶が間違っておらなければ、たしか横浜の方でサテライトを使いましてカーナビとリンケージさせて、というのは宅配便のトラックはほとんどディーゼルなんですけれども、大体七割が空荷で走っておる。各社いろいろあるものですから、私が例えば何々という宅配便を頼む、するとちょっと離れておってもそこの会社の人が来る。しかし、人工衛星を使ってカーナビとリンケージさせて、宅配便の車が、私のところはまだ七割荷物を積む余裕がある、それは他の会社の分であるけれども行きましょうというのをコントロールする実験をやったということも聞いております。  そういう中で、つくばの研究所実験をしたときに、時速八十キロでいわゆる無人で、ドライバーはもちろんいるんですが、ITSサテライトも使って、時速八十キロですと車間距離を大体百メーターぐらいとれみたいな話になるんですが、それを限りなくゼロにしょうという実験走行が行われ、それが成功したというふうに聞いております。  建設省におかれましては、この法案ができたときにそういうITSを含めた、物流を含めた対応をどういうふうにお考えになっておるのか、お聞かせを願いたいと思います。
  5. 井上啓一

    政府委員井上啓一君) 今いろんな方面から道路について、環境にどういうふうなことを取り組んでおるが御指摘もございましたし、またどういうふうにこれからそういうことを道路行政の中で取り組んでいくかというような御質問もございました。  今、先生が御指摘のように、ITSという高度道路交通システム技術開発に積極的に努めておりまして、冒頭、首都高について全部首都中心交通が集まってくるようなことに対してどういうようなことを考えているのかというネットワーク整備についても御指摘がございましたけれども、そういうようなものについては環状道路整備を図りながら都心一極に集中しないように分散導入を図りながら整備していくネットワーク整備が大変重要だと思っていますが、そのほかに技術開発によりましてITS高度道路交通システム導入技術開発等を積極的に進めております。  そういうことで、交通情報をリアルタイムにドライバーあるいはそれを集中管理しているところにも提供するというようなことによって渋滞を避けた交通経路を選択できるような手段もこれから考えていけるのではないか。あるいは首都高のような、料金所を通るところでの渋滞も大いにあるわけでございまして、そういうようなところのノンストップの自動料金収受システム、これも技術開発が相当進んでまいりまして、来年度から実用化が図れるような状況に来ております。  それからさらに、走行支援道路システム、先ほど土木研究所相当研究が進んでいるのではないかというようなお話がございましたが、安全性を確保しながら一定速度一定車間距離を保って道路を走行できるようなシステム、これも自動車サイドでの研究、それからインフラサイドでの研究、両方あわせ持ってそういうようなことの実用化が図れるように今関係省庁と連携をとりながら研究を進めているところであります。  いずれにしても、そういうようなことによりまして渋滞の緩和をし効率的な自動車交通を確保することによって、相当程度環境に配慮しながら走行できるような体制が整えていけるというふうに思っております。そういうようなことで、ことしから始まります五カ年計画におきましても、大きい一つの柱にいたしまして技術開発を進めていきたいというふうに思っております。
  6. 田村公平

    田村公平君 私の田舎農業県でもありますし、また水産県でもあります。自分の家の前でつくったトマトナスピーマン、農道を通りまして市町村道を使い地方道を使い幹線国道を使い高速道路に乗り大田の青果市場に何時に競りにかけるかというその物流の点から考えても、何も環状線首都高だけの話じゃなくして、我々のところから東京都で、それは一部家庭菜園、趣味それから税金対策等でおやりになっている方は近郊農業としてあるかもしれませんが、通常は東京トマトナスピーマンは余り市場性があるとは思えません。我々がつくっているわけで、そういう意味でのコストのことを考えても、ぜひそういう整備をお願いしたいと思います。  それは日本国内の問題ですけれども、先ほど申し上げましたいわゆるITS、これは今金融ビッグバンだとかいろんなことをアメリカ中心にして言われていますけれどもグローバルスタンダードと言えば聞こえはいいですが、はっきり言ってメードイン・USAにしろという話であります。この二十一世紀は間違いなく少子・高齢社会であります。その中で産業構造が変わってくるわけです。冒頭申し上げましたように、ただ車もどんどんつくればいい、車をつくり過ぎるから車庫がない者まで買ってしまう、そういう時代産業が大きく変化する中で、ITS等においてもグローバルスタンダードメードイン・ジャパンが持たないと、EUやアメリカとの競争の中で結局知的所有権のところで我々は貧乏くじを引いてしまう可能性もあります。  温暖化防止というこの法律京都会議等アメリカ主導型であったという感じも私は受けておるものですから、そういう視点を政策官庁として、ましてや順調にいくかどうかは私は余り期待はしておらぬのですが、二〇〇一年一月一日に国土交通省というような、巨大官庁とマスコミが言っておりますがそれほど巨大でもないという気もしますけれども、もしそういう役所に再編していく過程の中でやはり国益というものを考え、そして世界の中で我々が少資源国であることは地政学的に事実でありますので、ITSのIはどっちのIだったか忘れましたが、せめてインテリジェンスだけは、そしてテクノロジーはきっちりやっていっていただきたいなということを思っております。  それに対して、道路局長、御決意のほどをお願いします。
  7. 井上啓一

    政府委員井上啓一君) 国際標準化に対して日本国の取り組み、またそういう中で国際的におくれをとらないようにという御指摘だと思います。  高度情報通信社会推進本部本部長内閣総理大臣でございますが、そういう中で基本方針を策定いたしまして、関係省庁警察庁通産省運輸省郵政省並びに私ども建設省、連携しながら道路交通車両分野情報化実施指針を策定しております。そういうような中で、今、国際標準化活動に真剣に取り組んでおりまして、これはアメリカヨーロッパ等も一生懸命取り組んでおります。そういうようなところにおくれをとらないように、私どもがつくっていこうと思っています標準世界的な標準になれるような努力をしていきたいというふうに思っております。
  8. 田村公平

    田村公平君 ぜひ負けないようにしていただきたいなと思います。というのは、その昔パリで国際会議があったときに、ITS絡みの話ですが、諸外国は閣僚クラスが全部出ておったのに日本からは閣僚クラスの方はだれも出ておらなかった。その時点で既に一歩出おくれている。このおくれというのは下手をすると周回おくれにつながる可能性もありますので、どうか国際社会にも目を向けながら、道路行政という意味だけではありません、国民全体、それは大都市圏だけでなくて我々のような災害襲県高知県にも関係してくる話でありますので、よろしくお願いしたいと思います。  ところで、愛知万博予定地について、いろんな方々が環境破壊だとかそういうことを言われましたけれども、実はあそこの予定地というのは瀬戸物を焼いておったところでありまして、どんどん焼き物をやるものですから、周りの山の木を全部切ってしまったもので大変荒廃地、荒れ山になりまして、実はあそこはほとんど砂防指定地域であります。そのおかげで、指定地域にして山どめをやったり植林をやったり山腹工をやったりいろいろやったものですから、名古屋市民だけではなくて愛知県民にとっても豊かな自然が回復したところであります。  古くは、織田信長比叡山を焼き討ちいたしまして立派な森がなくなって、当時はいわゆる土石流という言葉はなかったのですが、そこから土砂崩壊土砂災害がいっぱい起きました。そこでも、やはり植林山腹工をやることによって、今まさに立派な比叡山が復活しております。  あるいは、東京都民水源地でもあります多摩川上流地域江戸時代、当時の江戸世界でもトップクラスの大都市でありましたけれども、これは山の木を一切切るなと。私どもの生まれ育った高知県に清流四万十というのがありますが、ここの源流は入らずの山と言います、入るなと。山の神がいて恐ろしいぞと。私も何回か入らずの山と言われても入っておりますけれども、NHKでちょっと有名になり過ぎまして清流ばかりが強調されまして、この夏もたくさん県外から四輪駆動で遊びに来ていただきましたけれども、残していったのはごみばかりでありまして地元には金が落ちない。  実は、四万十川というのも増水しますと大変な暴れ川でありまして、そしていまだに川魚漁師もおります。そういう意味で、都会の人はつい自然が落ちついてきれいなときだけ、あるいは源流点は非常にきれいですから、サルスベリの原生林があったり、そこへお弁当箱を持ってというか自炊したりキャンプに来たりしてくれるのは決して不愉快ではありませんけれども、ただ自然があっていいなと。しかし、よく考えてみますと、山が持つ、森林が持つCO2を含めた空気の清浄作用というのは大変大きなものがあると私は思っておりますし、統計的にもそういうふうに出ております。  それからもう一つ、山があるということは、我が国日本列島全体が大変急峻な山国であります。ちなみに高知県は八四%が森林であります。そこの中に檮原町とか大豊町に象徴されるように、これは全国至るところに、ついこの間も新潟だったと思いますが棚田サミットが開催されたと思います。その山の棚田が、だんだん減反政策や、もう農業は要らぬみたいな話が出てくる中で放置されて、あるいは減反のために杉の苗を植えて、すると幾らかのお金がいただけるものですから、山の田んぼも荒れてきております。  しかし、今言ったように山、山の田んぼ、そういうところの水が集まって、それは一部農業用水を使っているかもしれませんが、一つの渓流をなし、その水がまたどんどんいろんな支川を集めながら幹川になって大海に注いでいく。そういう中で、特にCO2というのは水に溶けるわけですから、非常に上手な循環作用をしていると思います。  そういう意味では、この法律ができたときに目標を達成していく上で、山とかいわゆる水のダムと言われている田畑の中の田んぼ、それから湖とかそういうものの機能というのは私は非常に大事だと思っています。例えば、この夏も熊谷では四十度近い気温が出る、もし東京湾を全部埋め立てたら恐らくここらあたりは四十度になるんじゃないか。海を含めた水の持つ環境に対する効果というのはかなりのものがあると思いますけれども、そこらの数字は環境庁の方では把握しておりますでしょうか。
  9. 浜中裕徳

    説明員浜中裕徳君) お答え申し上げます。  水の作用についてお尋ねがございましたが、実は世界的にこの温暖化の問題につきまして、各国政府の方から推薦をされて世界の代表的な科学者専門家が集まっております気候変動に関する政府間パネル、IPCCという機関がございまして、そこが一九九五年に二回目の評価報告書、第二次評価報告書と呼んでおりますレポートを出しております。  その第二次評価報告書によりますと、海の吸収ということについて触れておりまして、海洋生物による吸収効果ども含めた総体としての海洋吸収源という形で働くということでございまして、全体としては、科学者の見積もりによりますと、世界的に見まして炭素の量に換算をして毎年二十億トンが吸収をされているということが言われているわけでございます。しかしながら、京都議定書におきましては、削減目標の達成に当たって考慮する吸収源としては森林などの陸上の吸収源に一応限定をしておる、こういうことではございますが、全体としてそういうことで二十億トンの吸収をしているということでございます。  なお、水そのものには二酸化炭素吸収源としての機能はないわけでありますけれども、御指摘のとおり例えば都市内の水面を確保することによりまして都市ヒートアイランド現象などを緩和させる。結果として、そういうことになりますとエネルギー使用が低減をするということで、二酸化炭素の排出を削減する効果も期待できるところであるというふうに考えているところでございます。
  10. 田村公平

    田村公平君 そこで、林野庁にも通告をさせていただいておりましたけれども、山の木というのはCO2の塊だと思います。私は化学を専攻したわけでも何でもないですから、アサガオにテープを張って光合成というのを習ったぐらいのその程度の知識しかありませんのでよくわからぬところがあります。  だから、山の木がどんどんCO2をためて、その木をこういう机とか材にしておけば、ここでずっとCO2がたまっているわけですから燃やさぬ限り大丈夫なわけで、そういう意味では五十年とか六十年の非常にいい循環型の資源だと思います。  ちなみに、私も分収育林五十万円分を秘書時代につき合わされまして、中村市の竹屋敷のホの十班だかに見に行ったけれども、まだどういう山かよくわかりませんけれども、山は大事だと思ってささやかな設備投資をしております。  森林の持つそういう機能、そして御案内のとおり今林野庁大変赤字を抱えておりまして、そういうわけでたばこを一生懸命私も吸っているわけじゃないんですけれども、そういう問題等のこともあります。それから先年ですか、秋田の八幡平、たしかあそこは国有林野のところで土石流が発生し、九つぐらいあった砂防堰堤の四つか五つ目で、温泉の方には大分被害が出たというふうに承知しております。  どうもここのところの災害を見ておりますと、山をうまく守り切っていないんじゃないか。私は急峻な四国の山から出てきたものですから、先般福島、栃木の方の災害地を災対委で見させていただいて、私から見ると、大変失礼な言い方ですけれども森のような感じなんです、里山というか。そこが崩れていることが私には大変ショックで、そして圃場整備の終わった立派な稲穂をつけた田んぼが全部ひっくり返っている、ああいうのを見たときに大変胸が痛む思いであります。  林野庁におきましては、そういう森林の果たす循環型の役割について、こういう法律が出てくる中でどのような取り組みをしていこうとしておりますか、教えてください。
  11. 田尾秀夫

    説明員田尾秀夫君) 森林の果たしている役割についてのお尋ねでございますけれども、御指摘のとおり森林は木材を供給しているわけであります。このほかに、今お話ございましたように山崩れでありますとか洪水などの災害を防止する働きも持ってございます。また、水源を涵養したり、保健休養や教育的利用の場としても利用されております。また、大気を浄化したり騒音を和らげたり、野生動植物の生息の場としての環境を保全する役割を持っているところであります。  お話のございましたように、昨年の十二月の京都会議では森林が持っております二酸化炭素吸収、貯蔵する働きが大変再認識されておりまして、森林が持っておりますこの地球温暖化を防止する役割の重要性がこれからますます高まっていくのではなかろうかなと思っております。  このような森林役割を高度に発揮させるためには、健全で活力ある森林整備推進していくことが何よりも重要だと考えてございます。このため、平成八年に閣議決定されております森林資源に関する基本計画に基づきまして計画的に整備推進していくこととしているところでございます。  特に、地球温暖化を防止する観点からは、再植林や耕作放棄地等における新規植林でありますとか健全で活力ある森林の造成に不可欠な間伐・保育の実施などの対策を総合的に進めまして、二酸化炭素吸収・貯蔵機能が高度に発揮されるよう、森林計画的にかつまた着実に整備していくこととしているところでございます。
  12. 田村公平

    田村公平君 ここのところまだ二人の方が行方不明のままですけれども高知県馬路村。ここの署長をやった方は大体高知営林局の局長をやって、最後は林野庁長官という大変優秀な営林署があったんですが、これがなくなることになりました。  テレビでごらんになった方もたくさんおられると思いますけれども、既にいわゆるアースアンカー工法で岩着させてのり面をきれいに防災工事をやっておったところがまた滑る、助けたくてももうどうしようもないところがいっぱいあります。だから、これは補助事業でいうところの治山、復旧治山も絡むと思いますから、建設省におきましては砂防部の傾斜地保全になるのかというところの境目、我々が普通に見たら林野庁がやるべきこと、建設省がやるべきこと、区別がつきません。  それからもう一つ、山の持つ機能はわかった、しかし、では具体的に山で人が暮らせるようにどういうことをするのか。極端なことを言いますと、外材の輸入を二割カットしていただければ、中山間地域というかはっきり言ってそこで住んで山の木を切って生活ができる。私は二割輸入をカットしていただければ宝の山になると思っておるんです。そういうことなしに、ただこういうところで、机上の空論とは言いません、霞が関の中でそういう機能もあって認識されておりますと言っても、そこで生活している人は実際都会並みの、マスコミも発達していますから、我が子はやっぱり大学へやって、ネクタイをつけて、楽な仕事とは言いませんけれども、しんどい仕事よりはと。なぜかというと、もうからないからです。  今、馬路村のことを何で言いましたかといいますと、山がだんだんだめになってきたものですから里山に近いところにはユズの木をいっぱい植えまして、ユズがとれ過ぎましてそれを何とかしょうということで、「ごっくん馬路村」という大変ヒットした、そういうふうに山の人も一生懸命生きるために自助努力はしています。しかし、自助努力だけではどうしようもない部分があるものですから、ぜひそういうところにも、歴代の林野庁長官が育ったところであります。だけれども、今入っていこうにも馬路村に入っていけないんです、唯一の道路がやられていますので。  そこで、実は今道路のことも言いました。それから、山の水のことも言いました。河川のことも言いました。入らずの山というは四万十川の源流であることも言いました。分権推進委員会の方では、第五次答申に向けて、国道で言えば一番から五十八番まで、河川で言うと都道府県というのでしょうか、今の一級河川も全部地方に任せたらいい、財源のことはほとんど議論されずにそういうことが言われている中で、やっぱり水も僕は循環していると思います。  そういう中で、河川局としては、公共事業イコール悪なりと言う人もいます。整備率、例えば砂防一つをとってもあと百年かかったつで危険箇所は絶対に解消されない。進捗率は今の予算をずっと続けてきたとしても年間で一%すら上がらないわけですから、そういう中で僕らは公共事業田舎の人間にとってありがたいと思っていますし、そして山を守ることが平野を守ることだと思っています。平野のみならず、宮城県では山を守ることが沿岸漁業を守ることだとまで言われております。  そういう中で、河川行政に携わる青山局長として、東北地建の局長もおやりになったものですから、山のことを含めてかなりの御経験を持っていると思いますけれども、この温暖化とリンケージした上でどういうふうにこれからの河川行政を展開していくか、お聞かせ願います。
  13. 青山俊樹

    政府委員(青山俊樹君) まず山の問題に関連しまして、砂防についてお話しさせていただきたいと思っております。今、先生お話しのように、砂防事業も山地等からの土砂の流出を防止して人命、財産を守るための事業であり、構造物設置のほかに、はげ山と申しますか裸地への樹木の導入等にも取り組んでまいりました。  先ほどお話が出ました瀬戸の万博会場のそばの、これは岐阜県に当たるわけですが、だんご山というようなところは昔、陶磁器生産のために非常に荒れた山にしてしまったわけでございますが、そこに木を植えまして、いわゆる山腹工と私ども呼んでおりますが、そういう対策をやっております。また、滋賀県の田上山のようなところも、これもはげ山だったわけでございますが、山腹工で現在はすばらしい山林に生まれ変わっているわけでございまして、こういった努力をしてきたわけでございます。  また、都市部におきましても、やはり都市を取り巻く樹林帯が防災のためにも環境のためにも必要だということで、都市山ろくのグリーンベルト整備事業というものも積極的に進めているわけでございます。  さらには、CO2問題に関連いたしましては、木を燃やしてしまえばこれは大気中にCO2が出るわけでございまして、砂防ダムなんかをつくる場合にも、型枠として木を使った場合には、それをそのまま撤去して燃やすのではなくて、修景用として砂防ダムに残しておくというふうな工夫もしているわけでございます。今後ともそういった観点でやっていきたいと考えております。  さらに、お尋ねがありました水循環関係でございます。これも非常に広くて大きな問題でございます。よく考えてみますと、国土といいますのは基本的に水と都市とでできているわけでございまして、健全な水循環系を構築するということは大変大切なことだというふうに認識いたしております。そのために、河川審議会の中の水循環委員会というところでいろんな御審議をいただいておりますが、特に国土マネジメントという概念が重要であり、さらにその中に水循環の概念を取り入れることは非常に重要だ。また、河川、流域、社会が一体となって水循環に取り組むべきではないか。さらには、水循環を共有する圏域ごとでその課題に取り組むのが重要であるというふうな御指摘をいただいております。さらには、関係省庁が集まりまして、健全な水循環系構築に関する関係省庁連絡会議というものもことしの夏に初めて発足させたところでございます。  基本的に、水循環というものにつきましては、行政区域としての都道府県というふうな視点ではなくて、流域というものを見据えた視点が極めて重要である、そのように認識しているわけでございます。さらに、その水循環系の根幹をなします施設は河川になるわけでございまして、その中枢をなします河川の管理は、水系一貫と申しますか上流、下流のバランス、左右岸のバランス等を考えながら、また環境をも配慮しながら総合的、統一的に行うことが非常に大切だという認識を持っておりまして、河川管理にかかわる事務は国の事務とした上で、河川の重要度に応じて国と県等の地方がそれぞれ河川管理者として役割分担をしながら今まで管理してきたところでございます。  また、河川改修につきましても、環境問題を見据えた対応策をとっていこうということで昨年河川法が改正されました。その目的の中に環境というものが治水、利水に並んで入ったわけでございまして、これからもそのような取り組みをしてまいりたいと考えております。
  14. 田村公平

    田村公平君 九一年にドイツのバイエルン州の方、それからチェコスロバキアとの国境に近いところまで、リンゲライという人口八百人ぐらいのところでありますが、ここへ持ってきたんですけれども、これは地元の新聞社がやった「山よ」というシリーズのドイツ編、私は取材に一緒に行ったものですから。  ドイツもやはり戦争に負けて戦後の復興期、河川、中小河川においても三面張りとか、それで生態系が崩れたというので、私なんか行ったときに、ちょうど三面張りをやめて昔のままの川になるだけしょう。それは、ちょうどあの九十一年ごろヨーロッパを低気圧が襲いまして風倒木がいっぱいできたものですから、その風倒木を昔でいう胴木、河川改修に使う、我々子供のころは水中眼鏡をつけて潜ったら、石を押さえるのに蛇かごじゃなくして胴木で石を押さえて、それで信玄堤だとかそういうのをつくっておったんです。水の中へつかっている限り絶対腐らないわけですが、鉄で編んだかごに入れると、これは酸化して、やがて布団かごもどすっと落ちてしまう。あの国は過去をちょっと反省してというか、もとに戻そうと。かといって地域住民に水害があったらいけないので、そういうことも相談しながら、そうすると生態系が非常によくなったという話も地元の人、それから行政の方々からもお伺いしました。  それで、非常にうらやましいなと思ったのは、リンゲライというところは産業が何もありません。私の田舎と同じように、牛を二、三頭飼っておって、民有林を持っておって、畑を持っていて、家族でいわゆる兼業農家みたいな、決して所得が高いとは言いません。したがいまして、デカップリング、いわゆる所得補償をやっております。だけれども、そこの村の売り物は空気がおいしいということで、二週間とか三週間、フランクフルトとかそういう大都市から、ドイツの場合は地方分権が進んでおりますから、大都市といっても百万人程度でありますけれども、家族連れでやってきて、ただひたすら散策している。私なんかせっかちですから、こんなことやって何がおもしろいのかなと思うけれども、非常に考え方が違うかもしれない。  けれども、その根幹の中に、実は林間学校というのがありまして、私がちょうどお邪魔したときにはダイムラー・ベンツの若い工員さんが、新入社員でありますけれども間伐から枝打ちから、それからシカが出てきて植えたものを食ったらいかぬものですから臭いものを塗ったり、山を守るというのはどういうことかと。そうすると、あなた方はダイムラー・ベンツの社員である、公害をまき散らす、そういうことで環境にちゃんと留意しなさいということを二週間ぐらいかけて、自炊しながら、もちろん栄養管理のために栄養士さんがいますけれども、そういうことをやっております。たまたま私が行ったときはダイムラー・ベンツの社員でしたけれども、通常は学校の、ギムナジウムを含めて十三、四、五ぐらいの方々にそういう研修をしております。  それはどういうことかというと、こういう環境の中で生きていますと。そして、そこに附属しておる、研究所というほどのことじゃないんですが、大学から大気汚染、森林学の権威が来ておりまして、私は今ここに七年おるんだ。なぜかというと、酸性雨の問題で研究している。日本の感覚で言いますと、大体そういうフィールドワークに五年ぐらい出ていくと大学べ帰っても教授のいすがない、もう後輩に追い抜かれている。あなたは大丈夫かと聞いたら、その大丈夫かと聞いた意味がよくわからない、これは当たり前のことであって。そういう取り組み方をしておる。やはり息の長いことだと。  もう一つ気がついたことは、人口八百人ですから、そこに小さな工場がありまして、間伐材を使ってヘアブラシとか、いわゆるブラシの柄をいっぱいつくっているわけです。つくった柄は大都市に送り返してそこでもを植えて商品として出すんですけれども、いろんな形があって、それを糸のこみたいなもので近在の主婦の人が切ってやっておったんです。プラスチックでやった方が安いじゃないか。いや、確かにそのとおりだ、しかしプラスチックは悪いんだ、溶けないしと。木でつくると確かに手間暇かかってコストは高い、しかしこれは環境に優しいんだというふうにそこの工場長みたいな人が言うものですから、そんなこと言ったって消費者が言うこと聞かないんじゃないかと言ったら、心配するなと、そういうことを小学校で教育しているんだと。小学校でそんなことを教育してと言ったら、いや、教育すればわかってくるんです、必要な対価は払うべきだと。そんなことをやっていたらヒトラー・ユーゲントみたいになるんじゃないかとちょっと冗談言いましたら、いや、大丈夫だ、ヒトラーも悪いということをちゃんと教えてあるからと言っておりました。事ほどさように、循環型、リサイクルというものが徹底しています。  飲み屋さんがリンゲライにはなかったものですから、役場のベーターさんという方の家に居候しておったんですが、酒屋はありまして、そこでワインを買ってきて、いっぱいボトルがたまって、ベーターさんに指示を受けて酒屋にその空き瓶を持っていくと一ドイツ・マルク返ってくる。瓶もそういうふうにしてやっています。  そういうことが本当の意味での地球温暖化防止につながると思いますし、そして我々は今確かに海に囲まれて島国といいますけれども、ドイツなんて全部陸続きですから、いわゆる東ヨーロッパの社会主義が崩壊した。どんどん酸性雨なんかがやってきて自分国土がやられておる。その中でどういうふうによその国と協力しながらその対策を講じるのか。そのためにはデータの収集も必要だ。随分徹底してやっておるのに感心をいたしました。  中国がどんどん工業化していけば、これは当然のようにジェット気流に乗ってきてここいらに落ちてくるわけですから。私ども高知県でも既に、確たる証拠があるわけじゃありませんが、酸性雨の被害が出てきております。そういうことを含めて、ネットワークがいかに大事か、循環型がいかに大事か。  るる申し上げましたけれども、私ども四国の命の早明浦ダムをお預かりしておる水源地の人間といたしましては、実は環境庁長官は香川県でございまして、大体四国四県、県庁所在地でついこの間まで渇水なんということはなかったんです。ところが、今や水源県である高知県でも高知市は渇水になります。これは何なんだろう。ここ二、三日異常に暑いですね。私はCO2がどうのこうのややこしいことはわからぬけれども、こんなに蒸し蒸し、九月といえばもう少しさわやかで、いまだに僕は夏服を着たままなんです。僕は皮膚感覚で、確かにこの国というか地球はおかしくなっているんじゃないか。これはやっぱり大変な問題だと思います。  我々の四国を例にとっても、ダム湖に沈んだ旧の村役場が出てきて、それをマスコミが写して。そうすると高知に観光客が来なくなるんです、水がないと思って。これは香川県も同じです。ダム湖に沈んだところを何か見られることが非常に情けない思いがあります。  そういうもろもろの思いを含めて、当時の早明浦ダムなんというのはグリーンベルトもダム周辺整備事業もなかったんです。建設省の開発課というところは、ダム一丁つくればダム湖はおれのものだ、少々地すべりがあってもどうということはない、濁水が出ようと関係ないぐらいの時代もあったんです。それは、それほど水事情が大変だったからだと思います。今はそういうことはないように周辺整備事業も随分やっていただいております。  るる申し上げました。長官、私ども水の供給源でございますので、環境について、今までのやりとりを含めて御見解をいただければありがたいと思います。
  15. 真鍋賢二

    ○国務大臣(真鍋賢二君) 田村先生のいろんな体験や、そしてまた実情を踏まえた御認識でもって環境行政の大切さを訴えられたわけでありまして、私も身にしみる思いで拝聴させていただいたわけであります。  何と言っても、四国の片田舎であってもそういう環境問題を抜きにしては生活できない、また考えられないような状態になってまいったわけでありますから、これは皆さんと一緒になって問題の処理に当たっていかなきゃならないと思っております。  各省にまたがった問題も多うございます。それだけに、我が環境庁としても調整省だけの力でなくして、やはり実行省としての力も出しながら問題解決に当たっていきたいと思っております。  貴重な御意見等賜りまして、感謝をいたしております。今後ともよろしくお願いいたします。
  16. 田村公平

    田村公平君 いろんな啓蒙団体あるいは市民団体等あります。そしてまた、ある意味でこの法案が通りますと地方自治体への新たな負担の危惧もあります。  そういうことを踏まえた上で、各省庁間の連携をとりながら、真に我々の子孫が誇りを持って安全で快適に住める国づくり、地球を含めた国づくりに邁進していただきたいと思います。  これで質問を終わります。
  17. 山下善彦

    ○山下善彦君 自由民主党の山下善彦でございます。  今回提案されております法案に関連して、数点質問をさせていただきたいと思います。  地球の温暖化が進む中で、世界の平均気温がこの百年間、十九世紀の末ぐらいから〇・三から〇・六度C上昇をしておると言われております。また、海面が十センチから二十五センチ上昇してきておる。このような現象は、御案内のとおり地球の気温の上昇に関連していると見られておるわけでございます。  このほか、最近の降雨量の増加。昨日も、私の地元でございます静岡県西部地区も大変な雨が降った。私はこの質問がありますので帰る予定が帰れなくなりまして、電話で連絡をとっておりました。大げさに言えば戦後最大の雨量かなと、そのくらいの状況。なかなか考えられないような降雨量の増加が世界各地で起きておる。  また、おとといでしたか、ニュースでも出ておりましたが、特にアフリカの干ばつ問題、これはテレビでしょっちゅう出てきているものですから我々自身ももうなれてしまっている。大変な問題がここに隠されている、こういうことでございます。  こういう意味におきまして、この気候状況の変化というのは世界各地で観測をされてきておる現状でございまして、気候変動に関する政府間パネル、IPCC、これは私は東京へ来て初めて今回、勉強不足でございましたが、こういう政府間パネルがあるということでございます。これによりますと、このまま温室効果ガスがふえてまいりますと二一〇〇年には地球全体の平均気温が今から二度以上上昇するであろう、こんな予測をされております。この気温上昇の影響によって地球上にはさまざまな被害が起きてくる、こんなような警告もこの中でしております。先ほども海面の話を出させていただきましたが、このままでいくと海面は約五十センチメートル上昇する。海岸部ではもう大変な地域があるんじゃないか。  私の地元でも、御前崎という地域がございますけれども、そこでこの十年間でどうも地震の影響か、地殻変動の中で地盤沈下というかそういう形の中で海面が若干、逆に海面からいえば上がってきたような感じがする。どうもその辺は、気温の上昇に関連したこのような問題もあるんではないかなと私は思っております。海面が五十センチも上がってまいりますと、大変な洪水が起きたり、また各地域で高潮の被害が大分出てまいると思うわけでございます。  また、熱帯地方、亜熱帯地方、現在も飢餓状態が続いておりますが、ますますこの飢餓がふえてまいる、マラリアやコレラなど伝染病が蔓延をしてまいる、人類の健康に重大な影響を及ぼす、こんな予測もされておるわけでございます。  このように、地球温暖化問題は人類の生存基盤にかかわる最も重要な環境問題の一つでありますが、言うはやすく行うほかたし、こういう言葉がございますが、一朝一夕には解決できない大変難しい問題でもあるわけでございます。  私はこの際、地球温暖化問題についていろいろ各委員からの質疑等でも環境庁からお答えがございましたけれども、この問題について改めて環境庁の基本的な認識、どんな点にあるか、まずお伺いをさせていただきたいと思います。
  18. 浜中裕徳

    説明員浜中裕徳君) 地球温暖化問題についての基本的な認識についてのお尋ねでございます。  先生ただいま御指摘がございましたとおり、IPCCの最新の報告によりましても、地球温暖化問題は人類の生存基盤に深刻な影響を及ぼすおそれのある極めて重大な問題でございます。これに対しまして実効ある政策を実施していくことが現下の最重要課題の一つであり、かつまた人類共通の課題でもあるというふうに認識をしているところでございます。  したがいまして、我が国といたしましては、この地球温暖化問題の解決のためにできる限りの国内対策を他国に先駆けて進めることがまず必要であろうと考えております。また、そのこととともに、国際的に協調いたしまして対策を進めるための制度づくり、これは気候変動枠組み条約という条約もございますし、先般の京都会議で採択をされた京都議定書もございます。そうした条約や議定書を実施していくためにさらに国際的な協議も必要でございます。そうした制度づくりでございますとか、あるいは途上国への環境面での協力などにつきまして、我が国の国際的な地位にふさわしい役割を積極的に果たしていくことが重要である、このように考えているところでございます。
  19. 山下善彦

    ○山下善彦君 基本的な認識ということでございますので理解をさせていただきました。  ただ、私は、この温暖化問題、特にいろいろ皆さん方が御苦労されて今日まで、今もお話に出ておりましたとおり制度づくり、今回もこの法案が提案をされているわけでございまして、システムというか処方せんというか、こういうものは比較的皆さんの議論の上で幾つも今日まで出されてきておるわけでございますが、きつい言葉で言えば、なかなかこういう地球環境の問題、特に温暖化対策が一向に進まない、こんないら立たしさも覚えるわけでございます。  なぜよくならないのかという結論は、これはきつい言葉ではございますが、はっきりしているんじゃないか、こんなふうに私は思うわけでございます。処方せんが幾つも出ている、そういう中で、これはもう処方せんどおりにしっかりまず実行をしていく、そういう決意がこういう難しい問題には非常に重要なことではないか、こんなふうに私自身思うわけでございます。  そんな意味で、今回も法案の各論部分ではいろいろこれから出てくるでしょうけれども、できるだけ環境庁が、ほかの省庁とのいろいろの関係、取引もあろうかと思いますが、その辺はびしっとした、毅然たる態度を持ってこの環境問題に進んでいただきたい、こんなことをお願いさせておいていただきたいと思います。  また、今申し上げておりますように温暖化対策を総合的に推進していくには、法律案が十分にまた機能をしていかなければいけないわけでございます。この法案の中で国、地方自治体それから事業者、こういう形になっておりますが、国並びに地方自治体は、低公害車の問題もそうですけれども、こういうふうにしましょうというと比較的スムーズに進んでいきますね、いろいろの問題で。ところが、これが事業者となるとそう簡単にはいきません。コスト高の問題とかいろんな問題がここに出てくるわけでございまして、ちなみに二酸化炭素一つで見ても、自治体とか国が排出する量というのは数%にすぎない。ところが、事業者の方、工場は五〇%近い二酸化炭素の排出量を占めている。そんな意味では、事業者に対する工場への義務化で促される排出抑制の意味というのはそれだけ大きいものがあるのではないか。  そんなことを思う中で、この事業者の取り組みについて、法案には努力義務とされておりますけれども、事業者の取り組みがスムーズに進んでいくように政府としてはどのような行動をとっていくのか、その点についてお伺いしたいと思います。
  20. 浜中裕徳

    説明員浜中裕徳君) 事業者の取り組みを促進していくための政府の取り組みについてのお尋ねでございます。  先生御案内のとおり、御提案申し上げております法案第九条におきましては、「事業者は、その事業活動に関し、基本方針の定めるところに留意しつつ、単独又は共同して、温室効果ガスの排出の抑制等のための措置に関する計画を作成し、これを公表するように努めなければならない。」としているところでございます。また、計画をつくりました事業者は、「基本方針の定めるところに留意しつつ、」「計画に係る措置の実施の状況を公表するように努めなければならない。」、こうされているところでございます。  そこで基本方針でございますが、同じ法案の七条におきましては、まず事業者がつくります計画でございますが、計画に関する基本的事項を基本方針において定めることにしております。ここにおきましては、まずこの計画の基本的な内容あるいは範囲、公表に努めることを求めておりますが、この公表の範囲や方法、こういったことが問題になるわけでございます。これらについて基本的な事項をここに定めることにしておりますけれども、私どもとしては、ここは事業者がまず自主的に創意工夫をもって取り組んでいくことが重要だと考えておりますので、この点については余り細かく規定をせず、事業者の判断にゆだね、事業者の柔軟な取り組みあるいは創意工夫を奨励することにしたい、そういう方向で考えているところでございます。  あわせまして、この七条の基本方針の中では、事業者が講ずべき排出の抑制等のための措置に関する基本的事項についても定めることとしているわけでございまして、ここにおきましては、各事業者が計画に盛り込むべき措置について事業者の理解が得られるよう、そして取り組みが活発になるように、例えばいろいろなわかりやすい例示を用いるということなどによりまして、具体的でわかりやすい、そういう基本的事項にしてまいりたい、このように考えているわけでございます。  こうした形で、事業者ができるだけ自主的かつ創意工夫をもって取り組みを積極的に進めていけるように、国としても努力をしてまいりたい、このように考えているところでございます。
  21. 山下善彦

    ○山下善彦君 ありがとうございます。  この法律案の中に、いろいろ公表とか自主的かつ創意工夫だとか、非常に言葉としてはそういうことで頑張ってくださいよという意図は感じられるわけでございますが、現実問題として、やはり一つ一つの、私も現場のいろんな姿を見ております。たまたま私の地元中の地元というのは工場都市というか工業都市でございまして、浜松市、昔からオートバイの産業の地。中小企業や零細企業が九十数%。産業一つの形をつくっているわけでございます。  たまたま私もこの参議院に当選させていただいたお礼参りというかそういう形の中で、各中小企業の組合をずっと回らせていただいたときに、今度環境関係委員会へ入りますので、そんなこともお話し申し上げながら回ったら、環境環境と言うけれども、そういうコストというのは親企業からは支払われてこないよ、今のシステムでは。そういう意味では、工場のいろいろな機械を設置するに当たってコスト高になってしまう。これからのコスト競争に勝っていくことができない。  そういう意味では、地方自治体なり国が環境問題に対して明確な指針というものをしっかり打ち出しておいていただく方が、例えば具体的に言えば、親企業へ行って公害対策費でこのくらいお金がかかります、これはコストの中に入れますのでということで話が通ればいいわけですが、なかなか現実にはそういう問題というのは難しい問題がございます。そんなことも含めて、自主的という言葉が出ておりますが、若干その辺はしっかりした骨格づくりというか、そういうものを盛り込んでいただいた方がいいのではないか、そんなふうに私はこの案を読ませていただきました。  それと同時に、先ほど申し上げました中で、工場のCO2の排出量が五〇%ぐらいということで、これは大変な意義があるよというお話を申し上げましたけれども、これをこのくらいに抑えないと罰金を取りますよというのも、急にはちょっとどうかなという感じもいたしますけれども、やはりその辺の誘導を自主的というよりもう少し踏み込んで、こんな点でこういうふうにしていただけたら税金をあと幾らおまけしますよ、そんなような形の税制問題等を含めて明確な対応を図っていくことが、最終的にはこういうCO2の削減の具体的な効果に顕著にあらわれてくるのではないかなと、私はそんなふうに思うわけでございます。  それと表彰制度もありますね、細かいもので言えば。おたくの工場はしっかりこの範囲内でやっていただきましたので環境庁長官の表彰状、こういうようなことも考えられると思いますが、そういうものを含めて、具体的に何かお考えがございましたら御答弁いただきたいと思います。
  22. 浜中裕徳

    説明員浜中裕徳君) お答え申し上げます。  確かに事業者の取り組み、これは工場は御指摘のとおり我が国の排出量の相当大きな部分を占めているわけでございますから、この事業者の取り組みを促進するようなさまざまな手だてを講じていくことが極めて重要であろうと考えております。  御指摘のとおり、そういう意味で税制でございますとか表彰でございますとか、そういったいろいろな形でこの取り組みを誘導してまいりたいと考えているわけでございます。既にさまざまな税制上の措置も講じさせていただいているところでございますし、表彰面におきましても、これは地球環境問題に積極的に取り組む企業の取り組みについて、アクションプラン大賞といったような形で毎年環境庁長官表彰でございますとか、いろいろな協賛をいただく団体からの表彰という形もあわせてでございますが、毎年数多くの企業を対象にしまして取り組みの実情を専門家に審査をいただいて、優秀なお取り組みをいただいたところに対しては表彰するというような形で進めてきております。  さらに環境庁といたしましても、今後、そうしたさまざまな形で経済的なインセンティブを強化していく、あるいは表彰もさらに拡充していくことが必要だと考えております。つい最近も、私ども大臣から、表彰制度というものについてももっと環境庁として拡充をしていくべきだという御指示をいただいたばかりでございますが、そういった御指示もいただきながら、私どもとしてそうした事業者の取り組みをいい方向に誘導していくべくさらに努力を重ねてまいりたい、このように考えております。
  23. 山下善彦

    ○山下善彦君 よろしくお願いしたいと思います。  次に、若干細かいところへ入るわけでございますが、この法律案の第三条の二項、この中に、最後の方でございますけれども、「温室効果ガスの排出の抑制等が行われるよう配意するものとする。」という言葉が使われております。私は不勉強で、配意という言葉がどういうふうに使われるのかということを承知しておりませんでしたけれども、こういう言葉、一般的に言うとこういう全体の文章でいくと、行われるよう配慮するものとする、この方が我々には理解をできるような言葉であるのですが、なぜ配慮ではなくてこの「配意」という言葉を使ったのか、教えていただきたいと思います。
  24. 浜中裕徳

    説明員浜中裕徳君) お答えを申し上げます。  御指摘の国の責務を定めた法案三条の第二項におきまして、「温室効果ガスの排出の抑制等に関係のある施策について、当該施策の目的の達成との調和を図りつつ温室効果ガスの排出の抑制等が行われるよう配意するものとする。」という条文がございます。この条文につきましては、私どもこの温暖化対策推進のためには非常に広範囲な施策を対象とすることが必要であろうと、そういう意味で温室効果ガスの排出の抑制等に何らかの意味関係のある施策ということで非常に幅広く対象にしているわけでございます。こうした関係のあるすべての施策を対象として温室効果ガスの排出の抑制という新たな要請について意を配っていただく必要がある、考慮していただく必要がある、こういうことでこの三条二項におきましては、国の責務として関係のある施策への配意という規定を置いたものでございます。  確かに、一般の方々の言葉の感覚といたしまして配意というのはなかなかわかりにくいということはおっしゃるとおりだと思いますが、法令上の用語としてはよく使われるわけでございます。  これに対しまして、御指摘のございました配慮ということにつきましては、例えば環境にかかわるさまざまな法令の基本的な法ということで位置づけられております環境基本法がございます。この第十九条におきましては、「環境に影響を及ぼすと認められる施策を策定し、及び実施するに当たっては、環境の保全について配慮しなければならない。」、こういう規定がございます。これはただいま申し上げましたとおり、環境に影響を及ぼすと認められる施策ということで、一定の範囲を限った施策を対象にしているわけでございまして、これらについては環境保全について配慮しなければいけない、こういう規定になっているわけでございます。  このように、今回の法案におきましては、温室効果ガスの排出の抑制に関係のある施策ということで極めてその範囲を広くとっておる。環境基本法の場合のように、環境に影響を及ぼすと認められる施策というように範囲を限ったものではございません。そういうことから、今回はさまざまな法令用語の中で、言葉の整理といたしまして、配慮ではなく配意という形にさせていただいたところでございます。
  25. 山下善彦

    ○山下善彦君 済みません、私は余りよくわかりませんけれども、時間の関係がありますので、またゆっくりそれは個人的にいろいろ調べてみたいと思います。  次に、昨年の十二月に開かれたCOP3で、世界の先進国が法的拘束力のある排出削減目標を約束した京都議定書に関して伺いたいと思います。  この議定書は、これからの地球温暖化防止のための大きな一歩であると私は理解しております。この中で、我が国は温室効果ガスを六%削減するという目標世界に約束したわけでございます。ここ数年の温室効果ガスの増加基調を考えてみますと、この数字というのは大変厳しいものだなと、そんな理解もしておりますが、この目標達成に向けては、それこそ国を挙げての取り組みが必要であると考えます。そういう意味におきまして、環境庁長官の決意を伺いたいと思います。
  26. 真鍋賢二

    ○国務大臣(真鍋賢二君) 先生から今お話がございましたように、六%削減の目標を立ててやっていこうということで京都議定書で決定を見たところでありますけれども、この京都議定書に盛り込まれた六%の削減は、もう確実かつ率先して実施していくということが必要なわけであります。  今般、この御審議をいただいております地球温暖化対策推進法案は、今日の段階から取り組むべき対策を講ずることによって、京都議定書の締結やその履行確保に備えた今後の対策の土台を築こうとするものであります。  具体的には、省エネルギーの推進や新エネルギーの導入国民のライフスタイルの見直し及びその支援、政府による率先実行、事業者の自主的な取り組みの推進等の各般の対策を本法案のもとで強力かつ着実に推進してまいりたいと思っております。また、将来の京都議定書の実施に当たっては、今後の議定書の細目についての国際的議論を踏まえ、総合的な法制度を整備していきたいと思っておるところであります。  いずれにいたしましても、地球規模の問題であり、また議定書にはEU並びにアメリカ等々の数字が示されたわけでありまして、我が国といたしましても、この目的に向かって万全を期していきたいと思っておるところであります。
  27. 山下善彦

    ○山下善彦君 ありがとうございました。  この京都議定書を着実に実施していくためには、今も長官からも決意がございましたけれども、国内的な問題はもちろんのこと、さらに排出量取引などの国際的検討も積極的に進める必要があると思います。この国際的取引の議論を進めていくのに、我が日本は議長国であるわけでございますけれども、国際的な調整者としての大きな期待が寄せられておる、こんなふうに思いますが、議長国としていかなる責任を今後の行動の中で果たされていくのか、その点について伺いたいと思います。
  28. 浜中裕徳

    説明員浜中裕徳君) 議長国としての国際的な責任をいかに果たしていくかというお尋ねでございます。  御指摘のとおり、我が国は京都会議の議長国といたしまして次回、第四回の条約締約国会議の冒頭で新議長が選出されるまでの間、引き続き議長国の責務を担うわけでございます。次回の会議は十一月二日からアルゼンチンのブエノスアイレスで開催される予定でございますから、それまでは議長国という責任があるわけでございます。  そこで、我が国といたしましては、京都で合意をいたしました議定書が早期に発効し、各国が協力をして地球温暖化の防止のための取り組みを推進することが重要であると考えておりまして、このような認識に立って今度の第四回締約国会議におきます議論を可能な限り進展させることが非常に重要であると考えているわけでございます。  例えば、先ほど御指摘のございました排出量取引その他の国際的に協力をして目標を達成するための仕組みを、真に排出削減につながるような形で具体化するために、適切な形でルールやガイドラインをつくっていく必要もございます。こうした京都会議で積み残された事項の交渉をぜひ進展させる必要がございます。  また、同時に、京都会議では具体的な合意ができませんでしたが、途上国の取り組みへの参加という問題がございます。途上国も含めた形で全世界的な取り組みを推進させる、そのために先進国として途上国に対してどのような協力をしていくべきか、こういう点についての議論も進展するように我が国として尽力をしていきたいと考えているわけでございます。  こうした観点から、我が国は、先週の九月十七日十八日の両日、主要な先進国、途上国二十二カ国から閣僚を含むハイレベルの参加をいただきまして東京で非公式閣僚会合を開催いたしました。交渉上の論点となっておりますこの排出量取引などのメカニズムや途上国の参加問題について議論をし、交渉の促進に貢献をしたところでございます。  また、それに引き続く先週の土曜日、日曜日でございましたけれども、九月十九日及び二十日の両日、アジア太平洋地域の二十一カ国からの閣僚などの参加のもとに行われましたアジア太平洋環境会議、いわゆるエコ・アジア98におきまして、アジア太平洋地域における地球温暖化対策推進のためのアジア太平洋地域での協力のあり方につきまして率直な意見交換を行ったところでございます。  今後とも、京都議定書の早期発効あるいは国際的な温暖化対策の強化に向けまして、第四回締約国会議及びそれ以降におきます交渉の促進を図るために積極的に貢献をしてまいりたい、このように考えております。
  29. 山下善彦

    ○山下善彦君 この温室効果ガスの削減のためにはさまざまな取り組みが求められているところではございますけれども、取り組みの一つとして、近年運輸部門において大量の二酸化炭素の排出量が増加している、そういう傾向があるわけでございますが、この点を考えて自動車の低公害車への代替をもっと強力に進めていくべきであると私は考えております。  何年前ですか、もう二十年近くなりますか、こういうところでメーカーの話は余り出せないものですから、うちの地元の方のある自動車メーカーですが、何とかというので低公害車の自動車を出しました。そのときはいろいろの側面的に新しいこれからの時代の車ということで注目されまして、今はどういうわけかその車もせっかくこういう環境問題がクローズアップされてきている今日の中でほかの車と余り変わりない。購入者にしてみると、値段があっちの方が安いからな、もっと走るからなと、こういうことで、せっかく自動車メーカーがそこで力を入れたそういうものも、入れていないとは言いませんが、ほかの車種と同等のような感覚で消費者にはとられてしまう。  そんなことを考えてまいりますと、やはりこれからの地球環境の問題、大変大きな問題が我々の肩にのしかかっている、こういうときこそ自動車の低公害車への代替をしっかり行っていくべきではないか。そういう観点から、今後の低公害車への代替についての課題はどんなところがあるのか、また今後の展望等についてお聞かせをいただきたいと思います。
  30. 真鍋賢二

    ○国務大臣(真鍋賢二君) 低公害車、低燃費車というものについての普及を図っていかなければならない、また京都議定書の中に盛り込まれた目標値を達成するがためにも何とか低公害車の普及に努めたいと思っておりまして、実は私も環境庁長官に就任いたしましてから、低公害車フェアとか、また低公害車を生産しておる会社訪問をいたしまして、じかに現場を見、また私も試乗してみました。大変騒音も低いし、また燃費の面においても低い立場で運転できるわけでありまして、私はその普及をぜひ図っていかなきゃならない、こう思ったところであります。  できますれば、電気自動車とかハイブリッドカーとか天然ガス車等々が今ございますけれども、そういうものの普及を図るがためにということで、政府といたしましてもその補助事業や減税措置を講じておるところであります。昨年も、政府といたしまして二%ほどの課税率を低めたところでありますけれども、その結果におきましては非常にいい結果が出ております。新しい産業を創出する意味においても、この低公害車の普及に努めていかなければならないと思っておるところであります。  それから、平成十二年度まで政府としても利用者をできるだけ多くしていこうということで一〇%の使用目標を立てまして、それがための対策を講じておるところであります。また、一般車にいたしましても、一応目標を平成十二年度までに三十万台という目標を立てまして、これまた頑張っておるところであります。その間に生ずるいろんな問題につきましては、御指摘をいただきながら改善を加えてまいりたいと思っておるところであります。  いずれにいたしましても、二酸化炭素を排出する今の車社会において、この弊害をできるだけなくする意味において、低公害車の普及に努めておるところであります。
  31. 山下善彦

    ○山下善彦君 長官からじきじきに御答弁いただきまして、ありがとうございました。  この低公害車を一般の方が買いかえる場合、今の値段、私もいろんなメーカーの会社のハイブリッドカーを見ていますと、非常に値段が高い。実際に自分でこれからそろそろ車を買いかえようかな、百万の車を持っていたといたしますと、せっかくこういう低公害車が出たから買おうかなと見てみますと大体五割高ぐらいの感がするわけでございます。これは、役所関係はいろいろ率先導入している、それについて補助金を出したりということで進んでおるような感じでありますけれども、一般の方が低公害車に買いかえる、その値段が高ければやめておこうということでなかなか手が出ないわけでございます。  そういう意味では、一般の方が低公害車を買いかえやすくする、これはもちろん車の値段が一番そこにはもろにあるわけでございますが、こういう点について、買いかえやすくするためにやはり何らかの措置というか考えを持って取り組んでいかなければいけないんじゃないか、こんなふうに思うわけでございますが、買いかえやすくするためにどのような取り組みをされていくか、お伺いしたいと思います。
  32. 真鍋賢二

    ○国務大臣(真鍋賢二君) 一般車と変わらない価格でもって低公害車を導入していただきたいということで、先ほども申しましたように昨年二%の減税措置を講じたところであります。  比較的好評を得まして、買いかえようという方もたくさん出てまいったわけでありますけれども、生産ラインがまだ確立しておりませんで、自動車のユーザーに間に合うような体制ができていないわけです。そこを何とかクリアしようということで、この間も自動車メーカーの方に参りまして量産体制ができないかというお願いもいたしたところであります。当然、量産体制に入れば価格が安くなる、こう思っておるわけであります。  その過渡的な段階でもひとつ安くしてもらおうということで、今年度の税制要求の中でハイブリッド車の免税措置をぜひお願いいたしたいと思っておるところであります。運輸省とか通産省と一緒に働きかけてこの解決に向かって頑張っていきたいと思っておるわけでありますが、そうしますると大体とんとんの値段になるんじゃないかなと思っているわけであります。若干高いところは、その他の対応策を講じることによってそれが達成できるんじゃないかと思っておるところでありまして、ぜひ先生の御協力をお願いいたしたいと思っておるところであります。  開発途上にある車でございまして、この対応の仕方によっては、先ほども申しましたように新しい企業の創出ということも考えられるわけでありまして、ぜひ世界の自動車メーカーとして日本の力、技術を示したいものだと思っておるわけでありまして、どうぞ御協力方よろしくお願いいたしたい次第であります。
  33. 山下善彦

    ○山下善彦君 この低公害車の問題は、すべて環境庁長官からじきじきにその熱意をお伺いしたわけでございますが、頑張って推進していっていただきたい、こんなことをお願いさせていただきたいと思います。  次に、フロンの回収問題、これについて伺いたいと思います。  温室効果ガスには代替フロンも対象となっているわけですが、特定フロンの回収のように代替フロンについても回収をしっかりする必要があると思いますけれども、代替フロンの回収について環境庁はどのように取り組んでおられるのか。現実に今どのように取り組んでおられるかをお伺いし、また今後どのように取り組んでいかれるのか、あわせて伺いたいと思います。
  34. 浜中裕徳

    説明員浜中裕徳君) お答えを申し上げます。  代替フロンにつきましては、これはハイドロフルオロカーボンなどの物質でございますけれども、オゾン層保護のための特定フロンの製造規制に伴いまして、近年冷媒などの分野で使用量が急増しておるわけでございます。他方、これらの物質は温室効果が非常に高い気体でございますので、京都議定書におきまして排出削減の対象の物質とされたところでございます。このために、ことし六月に政府といたしましては、地球温暖化対策推進本部におきまして地球温暖化対策推進大綱を決定いたしましたけれども、この中でハイドロフルオロカーボンなどの回収や再利用そして破壊などについて産業界の取り組みを計画的に進める、さらにその代替物質の開発も進めていこう、こういった方針が定められたところでございます。  ところで、環境庁はどういう取り組みをしているかというお尋ねでございますが、私どもにおきましては、今年度ハイドロフルオロカーボンなどの回収や破壊などに関して具体的にこれを検証する事業を実施しているところでございます。具体的には、回収したハイドロフルオロカーボンを例えば産業廃棄物焼却炉などを用いまして燃焼させて、完全な分解や除去が可能であることを実証しようというものでございます。三カ所において実施をする予定としております。  それから、回収、破壊等を行う現場あるいはその周辺におきまして、確実に分解や除去がされたかどうかということを確認するためのハイドロフルオロカーボンの大気中の濃度の監視、測定を行う手法の開発を進めております。  さらに、将来的には、このハイドロフルオロカーボンの主要な用途でございますカーエアコンや冷蔵庫につきまして、ガスメーカーや製品メーカー、販売店やディーラー、さらには自治体等の協力を得まして、ユーザーが持ち込んでまいりますカーエアコンや冷蔵庫を回収し、それを再利用あるいは破壊するシステムの実施の検証を行って、その実現をしていくためにどのような課題があるか、そうした課題に対してはどのような解決策を用意すべきか、こういった点についての検討も実施してまいりたい、このように考えているところでございます。  なお、本法案におきましても、代替フロン等の温室効果ガスを多量に排出する事業者に対しましては排出抑制のための計画策定を促すこととしておりますほか、国や地方公共団体に対しましてもその事務事業に伴って排出される代替フロン等について、これを抑制していくための実行計画の策定や公表等を通じて、これらの代替フロン等を使用する段階での排出抑制を求めることとしているところでございます。
  35. 山下善彦

    ○山下善彦君 それでは次に、NGOについて伺いたいと思います。  地球温暖化防止のためには国民一人一人の参加が大切であるということでございますが、現在のNGOの活動、私だけが思っているかもしれませんけれども、特に環境問題に熱心な方々、関心の高い人たちだけが行動しているように思えるわけでございまして、今後の地球温暖化問題が世界的問題になっている今日、もっともっと国民一人一人の参加が重要になってくると考えるわけでございますが、環境庁は現在のNGOの取り組みについてどのように評価をされておられるか、また今後NGOをどのように位置づけていかれるのか、この点について伺いたいと思います。
  36. 浜中裕徳

    説明員浜中裕徳君) NGOの取り組みについての評価あるいは今後どう位置づけていくかというお尋ねでございますが、これについてお答えを申し上げます。  私ども環境庁といたしましても、今後の地球温暖化対策を進める上では、国民総ぐるみと申しますか、やはり非常に広がりを持った形であらゆるところにおいて、各界各層において推進をしていくように働きかけていくことが非常に重要であるというふうに考えております。そういう意味で、NGOや企業など各主体の自主的かつ積極的な取り組みが非常に重要であると考えております。中でも、NGOの果たす役割は非常に大きいと認識をしておるところでございます。  現実に、昨年の京都会議に向けましても、我が国でさまざまな形で地球温暖化問題に取り組む民間団体、NGOを糾合する形で気候フォーラムという全国団体もつくられまして、政府としてもこうした京都会議に向けまして真剣に取り組みを進めておりました過程でいろいろな形で政策の御提言その他の働きかけもあったわけでございます。こうしたNGOの取り組みは我が国におきましても極めて重要な役割を果たしつつあるというふうに認識しておりまして、今後そうしたNGOの取り組みをこの地球温暖化防止対策の中で十分にその力を発揮していただけるように私どもも十分留意していかなければいけないと考えております。  そういう意味で、この法案におきましても、国のまず責務といたしまして、民間団体等の活動の促進を図るための措置を規定しているわけでございます。それから、都道府県知事が地球温暖化防止活動推進員という形で委嘱をいたしまして、住民に対する普及啓発あるいは地球温暖化防止活動に対する住民のそういう防止活動に対する助言を行う、こういった仕組みも設けたところでございます。また、都道府県知事が地球温暖化防止活動推進センターというものを既存の公益法人を対象にいたしまして指定し、そのセンターにおきましては住民に対する普及啓発を進める、あるいは先ほど申し上げました地球温暖化防止活動推進員の研修を行うといったようなことでございますとかさまざまな形でNGO、民間の活動を助ける拠点としてそのような推進センターを指定していくという、そういう制度を設けさせていただいたところでございます。  私どもといたしましては、こうした制度を活用しながら、国民の間で広がりを持った形で地球温室効果ガスの排出抑制のための自主的かつ積極的な取り組みが進められていくように努力をしてまいりたい、このように考えております。
  37. 山下善彦

    ○山下善彦君 ありがとうございました。  今、環境庁としては極めて重要だというような位置づけをされております。今、私自身申し上げたように、地方へ参りますとNGOの活動というのはなかなか見えにくいという意味で申し上げたんですけれども、この辺のNGO活動そのものも環境庁が極力バックアップをしていくようなお話が出ておりました。もう少しNGOの存在そのものもいろいろの、私ども環境庁からこういうものをいただくわけですけれども、その都度その都度その辺のコメントというか、NGOはこういう活動をしていますよというわかりやすいコメントを入れていただければありがたい。  それと同時に、地域の中でも一般の皆さん方とのいろいろの交流の会、実は私自身の静岡県は県議会議員で環境資源を考える議員連盟というのをつくったんです。全国でどこにあるかなと思っておりましたら余りないということで若干鼻は高いんですが、中身がこれは地球規模の話になりまして、どうも県議会サイドでいろいろやっていくとぶつかってくる壁があるということでございますが、やれるところからきっちりとやっていこうということで、各選挙区でいろいろ、先ほどのフロンの問題なんかもそうなんです。スプレーの製品の噴射剤なんというのは本当に三八%というフロンの量があるわけですけれども、こんなものをどうやって処理していくか。  いろいろ紙に理屈を書いても、なかなか知識の中では、まあそんなものはいいやと面倒くさくなってその辺へぽんとほうり投げる、こういうことがありますので若干その辺を我々は膨らませて、こんな危険がありますと。余り危険をあおるのもどうかと思いますけれども、その危険性というものをしっかり認識していただくPR文章というのはつくってきた、そういう実績も実はあるわけでございます。  そういう意味で、ぜひNGOのバックアップをお願い申し上げると同時に、環境庁としても温暖化、地球環境の問題についてもさらに啓蒙をしていただくようにお願い申し上げる次第でございます。  それから、先週行われた非公式閣僚級会議というんですか、これは先ほども若干お話が出ておりましたけれども無事幕を閉じて、関係の皆さんにこの場をおかりして御苦労さまを申し上げたいと、こんなふうに思うわけでございます。  この会議でのいろんな議論、どの新聞だったか忘れましたが、若干記事が出ておりました。先ほども、今後発展途上国の問題も絡んできて大変難しいなというようなお話も出ておりましたけれども、この会議では、新聞はざらっとこう出ているものですから、直接この会議に出席をされた方があるわけでございますが、どんな方向で議論が展開されていったのか教えていただきたいと同時に、今回のこの会合で、COP3以降こんな成果が出てきたというようなことがありましたら教えていただきたいと思います。
  38. 浜中裕徳

    説明員浜中裕徳君) お答えを申し上げます。  先週開催をされました地球温暖化対策に係る非公式閣僚会議におきましては、この地球温暖化問題の取り組みにおけるさまざまな課題、とりわけCOP4、第四回締約国会議に向けましてどのような展望を持って進めることができるか、こうした議題についてハイレベルで活発な議論が行われたわけでございます。COP3以降初めて、途上国を含めた閣僚の間で交渉上のさまざまな論点について討議が行われたわけでございます。  これまで第四回締約国会議を目指しまして、条約の下部機関、補助機開会合というものが準備会合として六月にドイツのボンで開かれたわけでございますが、なかなかその場におきましては実質的な議論が進みませんで、この第四回締約国会議においてどのように議論を進めることができるか、非常に問題が多かったわけでございますけれども、この非公式閣僚会議におきましては、極めて建設的で協力的な雰囲気の中で実質的な議論を行うことができたということでございまして、その点は大きな前進であったというふうに考えております。  具体的に申し上げますと、この会議では先進国、途上国それぞれ多くの国から、この第四回締約国会議国際社会温暖化対策を進めるに当たっての国際的検討の方向を定める主要な会議であって、この会議におきましては明確なタイムスケジュールを伴う行動計画について合意することが必要という意見が多数の代表から表明をされたわけでございます。  このように、第四回締約国会議での具体的な成果についての見通しについて共通の認識が形成されたという点で大きな成果があったというふうに受けとめております。  また同時に、多くの国から、京都会議地球温暖化対策を進めようという雰囲気が大変盛り上がったわけでございますが、こうした取り組みを進めようとする弾み、私ども英語で恐縮でございますがモメンタムと呼んでおります。こうしたモメンタムが最近低下してきているのではないかという指摘がございますが、こうしたモメンタムのやはり維持を図るべきである。そして、いろいろ先進国と途上国といった形で議論が対立しがちでございますけれども、まず合意可能な分野に焦点を当てて限られた時間で最大限の成果を得る必要がある、そして対立する意見を拒否することなくオープンに交渉すべきであるといったような形で、この第四回締約国会議におきまして建設的な交渉を行うことの重要性を指摘する意見が多く出されたわけでございます。  こうした第四回締約国会議を成功に導こうという非常に建設的な態度が閣僚レベルの間で確認できたということも、この会合の大きな成果だと考えているところでございます。
  39. 真鍋賢二

    ○国務大臣(真鍋賢二君) 非公式閣僚会議におきまして私は議長を務めたわけでありまして、議長という立場に立ってこの会議の成果を見ておったところであります。  各国とも当初は、COP3の京都会議が盛り上がつただけに、COP4に対しての余り活発な会議にならないんじゃないだろうかという若干の懸念を持っておったわけでありますけれども、例えばアメリカとEUとの関係においてキャップ制度の問題、いろいろ今まではわだかまりも、そしてまた議論の余裕も持っておったわけであります。しかしながら、この間の会議において、その点についても二国間でまた全体の会議の中で話が具体化しまして、いい方向でまとまってきたのじゃないかと思っておるわけであります。  そういうものを踏まえながら、京都で開いたCOP3が充実しておっただけに、COP4もひとつそれにつながる会議として盛り上げていこうじゃないかということで大方の合意を見たところであります。  発展途上国の問題も、その後行われましたアジア・太平洋環境会議においてもいろんな話が出たわけでありまして、そういうものを踏まえてぜひCOP4を成功させたい、こう思っておるところでありまして、日本もできる限りの協力、努力をしてまいらなければならないと思っておるところであります。
  40. 山下善彦

    ○山下善彦君 私の質問の最後で、COP4に向けて長官の決意を伺いたいということでございましたが、今続いての答弁の中で、相当の意気込みでこのCOP4に向けて長官が頑張っておられるということでございますので、この辺で私の質問を終わらせていただきます。
  41. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時に再開することとし、休憩いたします。    午前十一時四十九分休憩      ―――――・―――――    午後一時一分開会
  42. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) ただいまから国土環境委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、地球温暖化対策推進に関する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  43. 佐藤雄平

    ○佐藤雄平君 民主党・新緑風会の佐藤雄平でございます。  まず、きょうこうしてまさに人類の存亡にかかわる、ある意味ではそういうふうな中での地球環境問題について、当選して初めてこうして質問させていただく光栄、本当にありがたく思っております。  私は福島県出身でございまして、皆さん方御承知のとおり八月二十七日に福島県、そして栃木県、茨城県を中心にして大変な実は災害がありました。私も何度か被災地を訪ねてみました中で、おじいちゃんおばあちゃんたちがよく言っていることは、もうとてもこんな災害がこの西郷村に、この白河にあると思わなかった、百年さかのぼってもこんなことがなかったんじゃないだろうか。そんな中で、今までいわゆる安全地帯と言われていたところでの災害が起きて戸惑っているという状況でもあります。  私は、いろいろ書物を読んでいる中で、まさに地球環境が気候をも変えているのかな、最近の日本のいろんな災害等を見ていますと、同じよう左ことが随所に起きている状況を見ると、まさに環境問題がこれからの二十一世紀の大変な問題になる、ある意味では人類の存亡にもかかわる大変な問題になる、そんな認識をしているところでもあります。  そういう中で、戦後五十二年間、日本はまさに大変な世界に類を見ない経済大国になってきたわけでもあります。これは人間の生活に大事な経済活動の繁栄、さらにはまた、それと同時に産業革命というか産業の活性化ということが大きな原因となっていると思います。しかしながら、また他方、冷静に考えますと、一方では環境の汚染、さらにはまた環境の悪化とそれぞれ相対応しながらの中で問題であるのかなと。  そんな中でいわゆる京都会議があって、真鍋長官以下今全力で頑張っている姿に対して非常に敬意を表するわけでありますけれども、私はやっぱり危惧するところは、経済成長と環境問題、ある意味ではこれは所を変えながらあるのかな、そんな思いをしているところであります。まず、今度の第四回目の環境会議に当たって、さらにはまた京都での会議を踏まえながら環境庁が本当に日本行政をリードして、さらにはまた世界環境をリードしていく確固たる覚悟が必要であろうかな、そんな気持ちでおるわけでありますけれども、まず内閣の中で、日本の全体行政の中での環境行政に対するいわゆる基本的な考え方を真鍋長官にお伺いしたいと思います。
  44. 真鍋賢二

    ○国務大臣(真鍋賢二君) まずもって、さきの参議院選挙で御当選なさいました佐藤雄平先生に心からお喜びを申し上げる次第であります。また今回、環境問題にいろいろ取り組んでいただいて、イの一番にこの国土環境委員会の方で御質問いただく光栄に浴したわけであります。  地球規模での問題のとらえ方につきまして、先ほど先生から決意のほどをお聞かせいただいたわけでありますけれども、まさに私も同感でありまして、自分の地域の福島の災害にちなんでの問題に取り組む姿勢を示されたわけであります。このところ地球の変動は激しいものがあるわけでありまして、ある意味におきましては地球温暖化の現象じゃないだろうかと、こういう考え方もできるわけでありますし、またエルニーニョ現象による地域災害というものがあらわれておるのかなという感じもいたすわけであります。  今、先生から御指摘いただきましたように、日本の経済成長の中にはある程度環境破壊があってもいいというような気持ちが結果的にはあったんじゃないかと思うわけであります。しかしながら、日本はもう食うや食わずの時代を経験しただけに、その時期もあってしかるべきじゃなかったかと思っておるわけであります。経済成長がなされたそのツケ回しはやはりバブルの崩壊という形であらわれてまいったところであります。  バブルの崩壊後の日本の立場を考えるならば、世界的な立場に立って事の処理に当たるこの方策が求められておるところでありまして、日本も今後は地球に優しい環境をつくっていかなきゃならないということで、その面におきましてはある意味でアジアのリーダー国、そしてまた世界の中でも環境問題に取り組む姿勢としては先進的なところに行っておるんじゃないかと思っておるわけであります。バブルの崩壊とまた環境への取り組む姿勢というものを相両立させてきた日本であるだけに、その得がたい体験を生かしてこれからの環境行政世界的、地球的規模に立って事の処理に当たっていかなきゃならないと思っておる次第であります。  我が国の環境庁も出おくれた感があったわけでありますけれども、ようやくにして国民の認識を得まして、二〇〇一年からは環境庁が省に昇格するわけでありますから、その省になるゆえんを十分認識して事の処置に当たってまいりたいと思いますので、どうぞ先生初め委員の皆さん方の御協力、また御叱正をよろしくお願いいたす次第であります。
  45. 佐藤雄平

    ○佐藤雄平君 そういう中でのマイナス六%削減ということでございますけれども、これはまさに民生、公共団体それぞれが努力なさるという決意については承知しておりますけれども、どうしてもやっぱり四〇%から五〇%が産業ということにCO2がかかわってくる。そういう中で環境庁がそれぞれの産業に対してどういう御指導をなさっていくのか。  つけても今のそれぞれの省庁間、いわゆる霞が関の中ではそれぞれの縄張りというか垣根がございますから、そういうふうな中でいろいろ運輸行政とかそれからまた自動車行政の中で指導していくについて、本来ならば義務という言葉がよろしいのかと思います。しかしながら一最初、環境庁は義務という言葉で始まったんだけれども、いつの間にかそれが努力になってしまったということ、その辺の経緯がどういうことであったのか。  それと同時に、私どもなかなか理解できない言葉をそれぞれお役人の方がおつくりになって非常にお上手だと思うんですけれども、努力義務なんという言葉はわかるようなわからないような言葉なんです。この辺の説明を。  それから、今言った産業の指導のときに、それぞれの省庁とのいろんな御相談をしなきゃいけないことがあると思いますけれども、そういうときに当たっての省庁間の一つのルール。例えば、環境庁通産省が、環境庁運輸省がそれぞれ御相談をなさる。お互いの主張というのがぶつかり合う、しかしながらどこかでやっぱりそれをまとめなきゃいけない、そんなときの何か一つのルールでもおつくりになれればと、そんな思いをしているところでございます。  その三つの件についての所見をお伺いいたしたいと思います。
  46. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) お答え申し上げます。  まず、この法案作成までの過程でございますが、私ども先日の委員会でもお答え申し上げましたが、中央環境審議会でいろいろ議論を賜りました。その中間報告をちょうだいいたしまして、それをいわばもとにいたしまして本法案をまとめてきたわけであります。その過程ではいろいろ議論を重ねました。もちろん部内でも議論を重ねましたし、関係省庁とも十分な議論を積み重ねてまいりました。  それから、現実にいただいた中央環境審議会の中間答申をどういう形で法案にまとめると一番現時点での実効性が上がるか、こういうことも考えました。  現時点でのということをあえて申しましたのは、やや繰り返しになるかもしれませんが、去年の暮れに京都議定書が採択された。採択はされましたが、まだこれから詰めなきゃならぬ点が幾つか残っておる、したがってまだ締結に至るまでの間には時間がかかる、しかし締結に至るまでの間ほうっておくと、今どんどん二酸化炭素の排出量がふえているという状況をそのまま見過ごすことになる。  そうすれば、二〇〇八年から二〇一二年という第ーターゲットの期間は決まっているわけですから、残りの期間が短くなればなるほど取り組みが大変になる。今のうちから少しでもできることをまずやろうじゃないか。確かに、京都議定書が締結されているわけではないから、それに基づいてストレートな形での議論はできないとしても取り組むべきことをやっていこう。  そのために、この法案はどういうものであるかということを申し上げますれば、将来、議定書ができたときに恐らくもっとかちっとしたものをつくらなきゃいけない、そのときのための土台にもなるし、今現在取り組むべきことをやっていくんだ、こういうようなことで現在できることというのは何かということを考えたわけでございます。  そういう中で物を考えましたところ、先ほどお話のございました事業者の取り組みのところでございますが、これは実際にもう調べてみました。調べてみますと、大企業の中でもあるいは中小企業の中でも非常に熱心に計画をつくったり実際に公表を積極的にやっていただいているところもございます。ございますが、その数たるや全体的に多いわけじゃ決してありません。およそそういうものの取り組みをしていないところもございます。  他方、一方で省エネ法の改正もいたしましたので、これに基づいてエネルギー削減への取り組みというのを企業者は義務的にやらなきゃならぬ領域もございます。  一方にそうした背景もございまして、それらとあとは実際に計画をつくった取り組みをしていただく、そして公表をしていただく、言ってみれば国民みんなが見える中で透明性を持った形で取り組みをしていただく、こういうふうに持っていこうじゃないか。これが我々の気持ちではあるんですが、現実に現在そういう京都議定書のある現下の状況、それから実際の取り組みの現状がどうなっているか、そういうことを踏まえてみますれば、やはり先ほど努力義務と申し上げましたが、努力義務という形でみんなでやっていただくようにする。中身も自主的に取り組んでいただくのでありますから取り組みについても自主的にやっていただくんですが、そこはただやってくださいと言うだけでは根拠がなさ過ぎて私たちも働きかけもできません。そこでこういう形の条項をお願いしたわけであります。  それから、実際の働きかけにつきましては、もちろん各省庁と連携もとらなきゃいけませんし、各省の協力も必要であります。必要でありますから、そこは基本方針を作成するときに、基本方針は全省庁挙げてつくるわけでありますから、事業者の取り組みについても十分相談をしてまいりたい、そして働きかけをしていくというふうに考えているところでございます。
  47. 佐藤雄平

    ○佐藤雄平君 環境問題も産業問題というのも基本的には人類、我々の孫、子孫が未来永劫地球上で頑張れるという前提でそれぞれごうして議論しているわけだと思います。そういうふうな中で、こういうふうな議論が、小さな子供、保育所の子供から幼稚園の子供から、そういう子供たちが環境問題というのは大事なんだよ、こんなことを認識しなきゃいけない。これは本当に論をまたないと思います。  そういうふうな中で、かつて林野庁がやっているグリーンフェアというのを、これはもう十五年ぐらい前からおやりになっているんですか、たまたま日曜日にやっていまして、私も暇で子供を連れて日比谷公園に行きました。そうしたら、子供がのこぎりを持ったり、また木に親しんでいる状況を見て、やっぱりこれがある意味では自然を大事にすること、そしてまた環境を大事にすることにつながることだなとしみじみ思ったわけであります。  そういうふうな中での子供たちに対する環境の教育。環境庁も今度新しい予算の中で地方に学校の廃校跡にそういうふうなところをつくるというような予算提示をしているみたいですけれども環境庁だけじゃなくて、やっぱりそれには林野庁の皆さんも、さらにはまた文部省の皆さんも、それぞれ環境教育というのはこういうものだと教室で教えると同時に、実地体験、実態として教える、そういうふうな一つの取り組み方というのもうんとこれから大事ではないか。  そういうふうな中で、きょうは農林省の皆さん、また文部省の皆さんがお見えになっておりますが、それぞれ環境庁と農林省、文部省、子供たちに対する環境教育についてどういうふうに取り組むのか、その辺のお話をお伺いいたします。
  48. 銭谷眞美

    説明員銭谷眞美君) 先生再三御指摘のように、環境問題は人類の将来の生存と繁栄にとって大変重要な課題でございますので、学校教育の中で子供たちが自然に対する思いやりや自然を大切にする心をはぐくむとともに、みずから環境を保全し、よりよい環境を創造していこうとする実践的な態度を育成するということは極めて大きな教育的な意義を持つものと考えております。  現在の学校教育におきましては、環境教育は、従来から社会科や理科を中心に、小学校、中学校、高等学校を通じまして子供たちの発達段階に応じた指導が行われてきているところでございます。例えば、小学校五年生では森林資源環境というようなことで、子供たちが実際に森林の果たす役割などについて学びながら環境問題の重要性、国土保全の大切さといったようなことを勉強しているような状況にございます。  文部省としても、教師用の指導資料を作成したり、環境教育担当教員講習会を開催するなどさまざまな施策を実施してきているわけでございますけれども、この環境教育をより実りあるものにするためには、御指摘のように関係するさまざまな機関、特に環境行政を所管している環境庁と十分連携を図っていくということが大切だと考えております。  これまでにも、環境教育指導資料の作成や環境教育フェアの開催などに当たりましては環境庁の御協力を得ながら進めてきたところでございますけれども、さらに来年度、環境庁と連携をいたしまして国立公園における各種環境保全活動を子供たちがみずから体験する事業を計画しているところでございます。  いずれにいたしましても、環境教育は学校教育という場のみならず、さまざまな取り組みによって実効が得られるものでございますので、文部省といたしましては、今後とも環境庁を初め関係省庁との一層の連携協力のもとに環境教育の充実に努めてまいりたい、かように考えている次第でございます。
  49. 山本徹

    政府委員(山本徹君) 先生御指摘のように、森林あるいは木材を活用した環境教育というのを私ども大変重視いたしておりまして、環境庁また文部省とも連携をとりながら、例えば国土の七割森林でございますけれども、そのうちで数万ヘクタールを自然休養林という形で、これは国有林でございますけれども、広く教育の場等に提供し御活用いただくようにいたしております。  また、民有林についても同じように教育の場として御活用いただけるように、そこで実際にキャンプをしたりあるいは山村で宿泊したりするための施設を整備したり、また実際に木を植えるあるいは木材を加工して、これも環境に優しい資材でございますので、木材をできるだけ大切にかつ有効に利用するというための体験学習なども行っていただけるような施設を整備するように努力いたしております。  先生御指摘のように、温暖化を初め国土保全等のために森林は大変重要でございますので、森林の重要性、また森林を守り育てるために木材の消費拡大も重要でございますので、こういった点について小中学生の皆さんを初め国民に広く教育の場として御活用いただけるように一層努力してまいりたいと思っております。
  50. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) 地球温暖化問題につきましては、国民一人一人の生活と深くかかわっておりまして、環境教育、環境学習が非常に大切でありますので、今も御答弁がありましたが、私どもも農林省あるいは文部省とも連携して取り組みをしているところございますが、とりわけ子供に焦点を当てまして、重複を避けまして環境庁の取り組みについても御報告申し上げます。  まず一つは、こどもエコクラブ事業というものを行うことによりまして、小中学生の自主的な環境学習を支援しております。それから、これは林野庁の方ともまさに重なる領域になるわけでございますが、国立、国定公園における自然との触れ合いということを促進するということに取り組んでおりまして、私ども環境庁におきましても施設整備等に取り組んでいるところでございます。  それから、文部省との関係では、既に文部省の側からの御答弁で環境庁との連携について言われましたが、若干補足しますと、あと私ども、例えば小学校、中学校それから高校にはそれぞれ子供用の環境白書をお配りいたしております。それから、環境庁と文部省では合同で昨年から三カ年の予定で環境教育の総合的推進に関する調査を実施しておりまして、本調査によりまして明らかにされた環境教育の現状や課題を踏まえて、今後とも文部省との緊密な連携を図っていくということでもう取り組みを始めているところでございます。
  51. 佐藤雄平

    ○佐藤雄平君 いろいろ質問はあるんですけれども、何か時間も迫ってきたようでございますが、二つほどまたお伺いしたいんです。  一つ法案の名称の推移なんですけれども、最初は、これは地球温暖化防止法案という名前だったんですか、それが地球温暖化対策推進法、この経緯。防止と対策推進では印象としてはもう全然違う。しかしながら、推進というふうな法律案になっていながら、今度センターが温暖化防止活動センターということになって、何か整合性というか、どうせなら一貫性があった方がいいのかなと思うんですけれども法案の名称の変化とその辺についての御質問。  それから、きのうきょうとまたこれは新聞等でいろいろお出になっておりますけれども、やはり国際協力の中での排出量の取引、これまた日本、かつてはエコノミックアニマル等々言われた中で、この辺もある意味では先進国と途上国との間のいろんな因果関係が出てくるのかなと憶測するところでありますけれども、そういうふうな中である意味では環境問題というのは基本的には自国の環境問題であって、みずからの国を律するというところから発するのが最も肝心なところかなと、そういうふうなことを思いますと、やっぱりこれについても上限でも決めればさらなる環境問題が前進するのかなと、そんなところでございますが、その件についてのお伺いをしたいと思います。
  52. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) お答え申し上げます。  まず前段でございますが、私ども当初、確かに法案を考える過程で、法案の名称で地球温暖化防止法あるいは防止のための対策に関する法律案とか等々、防止ということを正面に置いた案を考えたことがございました。これは、もっとも考えたというのはあくまで中で考えている段階ではございましたが、それは括弧仮称という形で私どもが外にそういう御説明をしたこともありますので、そういう名前をおまえら考えておったのではないかと言われれば、そういう時期があったことは間違いございません。  ただ、その後これは各省庁、必ずしも一般の行政府だけじゃありません、内閣法制局まで含めましていろいろと議論いたしましたところ、要は京都議定書、先ほどの話にもやや重なるんですが、京都議定書がきちっと固まって、それに対してがちっとした対策法案というような場合であれば防止法という言い方がとり得るだろう。ただ、先ほど申し上げた現時点で取り組めることをまずとりあえずやるんだ、将来の土台にするんだという位置づけの法案として防止法というのは一言で言いますと名前に対して中身との関係ではおこがましいと、そういう議論になりました。それで対策推進法案という形に落ちついたわけでございます。  それから、二点目につきましては、恐らく御質問の趣旨は、京都議定書の中ではまだこれから今後検討課題となっておりますところの国際的な取り決めの問題あるいは吸収問題の検討等々残っているものがございます。そういうものについてどういうふうに考えるんだということとやや関連しているんではないかというふうに私は質問を伺いながら思ったのでございますが、この点は、もともと京都議定書の中でもそうしたものは補足的なものというふうに位置づけられておりますので、そういうようなことで、決してそういうものの議論の中でしり抜けになるというような形でない形での実効が上がる議定書の中身の詰めになるように、今後国際会議等できちっとその辺の主張はしてまいりたいと思っています。
  53. 佐藤雄平

    ○佐藤雄平君 私の質問はこの辺で終わらせていただきますが、いずれにしても地球、いわゆる人類の存亡、これにかかわる大変な環境問題でございますので、真鍋長官以下環境庁の皆さんは腰を入れて、本当に日本環境行政はすばらしいと世界からまねがされるような環境をつくっていただいて、後の日本民族が、日本の人が本当にあのときの京都会議から四回目の会議が今日の日本、こんな環境のすばらしい日本、住みやすい日本をつくったのだなと言われるような環境行政に全力で取り組んでいただくことを期待しながら、岡崎議員にかわらせていただきます。  ありがとうございました。
  54. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 まだかまだかと待っていた法案がやっと来た、この法案の審議が始まります初日の日に私どもの党の小川理事はそう言って質問を始めました。私は、これがもう二週間前で、きょうは最後の質疑だということなんですが、最初の質問ということで佐藤雄平議員、地球環境問題、人類の存亡にかかわるということで大変な思いを込めて質問をされましたので、私もそうした思いを大事に胸に秘めながら個別の質問をしてまいりたいというふうに思っております。よろしくお願いいたします。  衆議院でも比較的長い時間審議されておりまして、この法案の問題点についての論議はもうほとんど出尽くしたかなというふうに思っておりますが、その割には議論をどれだけ建設的な方向に進めることができたのかなということを考えると大変不安な気持ちになります。これまでの議論を通じて私が強く感じてまいりましたのは、この地球温暖化問題に対する危機感というものが市民と政府との間で共有されていないのではないか、政府部内でも危機感の感じ方に相当大きな開きがあるのではないかということなんです。例えば、これから国の温暖化対策の目的はただ京都議定書を守るということだけにあるのではなくて、温暖化を防ぐということにあるはずです。それなのに具体的な国内対策については京都議定書の内容が明らかにならなければ決められない、こういう議論が何度も聞かれました。確かに、国際制度等ほかの国との協力関係が前提となる制度については、世界のルールを明らかにすることは大事だというふうに思っております。しかし、京都議定書そのものを温暖化を抑えるという観点から見ますと十分なものではないのですから、初めの一歩にすぎない今回の審議が京都議定書を守ることを究極的な目的のように、そこから一歩でも先に進んでしまうと何となく損をするような議論の仕方は何か大きな間違いではないかなというふうに私は思っております。  私は、IPCC、気候変動に関する政府間パネルの第二次評価報告書を新たに読み返して、改めて問題の深刻さ、解決のための課題の大きさを実感いたしました。この報告書を踏まえて京都議定書が策定されたのだと私は理解しておりますけれども、政府はこの報告書の深刻さをどう考えているのか、疑問に思っております。  きょうは、最初に環境庁通産省にお伺いいたします。  この報告書に書かれた記述を前提として、地球温暖化対策の立案、実行に当たっての議論をされているんでしょうか。
  55. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) お答え申し上げます。  IPCC報告書は、世界の第一線の科学者によりまして、例えば大気中の二酸化炭素濃度の上昇に伴って気温がどの程度上昇するかといった最新の科学的知見を集大成したものだと考えております。  したがいまして、IPCC報告書は、地球温暖化防止のための政策を検討するに当たりましては重要な科学的基礎だと認識しております。
  56. 羽山正孝

    説明員(羽山正孝君) 御説明申し上げます。  通産省といたしましては、IPCCの第二次評価報告書を地球環境問題に関する包括的で権威ある科学的なレポートであると受けとめておりまして、また地球温暖化問題は人類の生存にかかわる重大な問題であると認識をしております。
  57. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 ありがとうございました。  認識を共有しているということを私も踏まえまして、以下質問をさせていただきたいと思います。  今回の法案は、中央環境審議会の答申から後退した内容になっております。環境庁の原案はもっと積極的だったというふうに思いますけれども、他の省庁、わけても通産省との交渉が終わった後からずるずると後退してしまったという観測もあるようです。おとといの参考人質疑のときにもそのことが指摘をされておりました。  環境庁通産省もそれぞれに一定の社会集団を代表している側面もあるかと思いますから、一概に省益のために行動して国益をないがしろにしたという批判は妥当ではないかもしれません。しかしながら、先ほども確認させていただきましたように温暖化の危機が差し迫っている、そしてドラスチックな対策をとらなければならないということを前提とするならば、環境庁通産省も一致して地球温暖化対策を積極的に進める方向で努力するのが普通の感覚だというふうに思います。  この点について、環境庁通産省の両方に現状の認識、今後の対策についてお考えを伺いたいと思います。
  58. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) 私の方から一、二お答え申し上げたいと思います。  まず一つは、繰り返しをできるだけ避けるようにさせていただきますが、先ほど来後退というお話をいただいておりますが、私どもは中環審の答申、実は答申の中にも取り組みについていろいろこうすべきだということも書いていただいておりますが、一方では、こうした京都議定書がまだ確定していない段階としては自主的取り組みを慫慂するような形を考えるべきだということの記述もありますし、さらには、これまでのように規制を中心としたものではない物の考え方をとるべきだということを掲げたりしてございます。それらを全体的に踏まえてみれば、私ども中央環境審議会の答申に即した形で法案をつくれたというふうに思っております。  なお、各省間との調整で云々というお話がございましたが、私どももちろん各省間の調整も当然いたしたわけでありますが、要は現時点で何ができるか、何をしてもらうべきか、どういう法案をつくったら一番実効が上がるか、こういうことを中心に考えた結果でございます。  要するに、早く取り組まなければいけないから、この法案を早く出させていただいて、御審議願って成立をお願いしているということについては、私ども再三申し上げているとおりでございます。
  59. 羽山正孝

    説明員(羽山正孝君) 御説明申し上げます。  地球温暖化対策推進法案につきましては、あらゆる主体が参加をした幅広い取り組みが不可欠であり、国、地方公共団体、事業者、国民の責務を明らかにし、その自主的な取り組みを喚起するための枠組みを定めるものとするとの政府内の共通認識のもとで、通産省環境庁を含め関係省庁の間で合意されたものでございます。  我が国の地球温暖化対策につきましては、内閣に設けられました地球温暖化対策推進本部におきまして、省エネルギーの徹底、新エネルギー、原子力の推進、代替フロンなどの排出削減などの各政策分野における対策を盛り込んだ地球温暖化対策推進大綱を策定したところでございます。  今後、通産省といたしましては、環境庁を初め関係省庁と適切な連携を図りながら、この大綱に盛り込まれました各般の対策の着実な推進を図ってまいりたいと考えているところでございます。
  60. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 他の省庁との連携を図りながらというところは大変大事だと思いますけれども縦割り行政の問題点を解決するために既にいろいろなことが提案されているというふうに思います。  特に、今問題とされております観点からいえば、環境に関する法律案を策定する段階で省庁間の議論はどんなふうになっているのかということについて情報公開を行う必要があるというふうに思いますので、環境庁通産省はどうお考えになっていらっしゃるか、お願いいたします。
  61. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) 政策立案のプロセスにおける関係省庁間でどういう議論がなされたかということについてのお話でございますが、政府部内での情報公開の扱いにつきましては、私ども現在検討がなされておる情報公開に関する制度に基づいて今後我々として対応を考えていくべきものだと一般的には考えておりますが、とりあえず今それ以上に申し上げるお答えを持ち合わせておりません。
  62. 羽山正孝

    説明員(羽山正孝君) 御説明申し上げます。  ただいま法案策定過程におけるさまざまな議論の情報公開についてお尋ねでございますが、現在、政府におきましても、こういった政府関係の情報についてどういう形で公開していくかということについて議論し、またいろいろな対策を考えているところでございますので、そういった対策を踏まえながら私どもとしても検討してまいりたいと考えているところでございます。
  63. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 今、環境庁は情報公開の方向なんだとおっしゃって、通産省は努力だ、そういう検討をしていきたい、検討という言葉をお使いになりましたけれども、情報公開をして何かまずいことがありますか。
  64. 羽山正孝

    説明員(羽山正孝君) 御説明申し上げます。  私が申し上げましたのは、今後の情報公開に関しましての一般的な考え方を申し上げたところでございます。
  65. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 ぜひ情報公開の方向で考えていただきたいというふうに思っております。  それでは、法案の中身について質問いたします。七条に規定があります国の実行計画に関連して伺います。  この実行計画がどの程度踏み込んだものになるかという本会議での私の質問に対して長官は、「政府みずからの事務及び事業から、直接排出する温室効果ガスの排出の抑制等のために講ずる措置を定めたもの」だというふうに答弁をされました。私は、国の予算で行われる事業すべてによって排出される温暖化効果ガスの量を抑える具体的な措置を実行計画に盛り込むべきだというふうに考えております。  そこで、建設省に伺います。  例えば、公共事業について温暖化対策の観点から二酸化炭素排出量などの基準を盛り込んだ事前と事後の事業評価を行う制度を導入すべきと考えますが、いかがでしょうか。
  66. 井上啓一

    政府委員井上啓一君) 道路整備におきまして新規に事業を採択する際に、そういうような費用対効果分析はやっておるところであります。ただ、二酸化炭素の排出についてということでは、地球全体としての削減が必要とされるもので、個々のプロジェクトについてそれぞれの二酸化炭素排出量を算定することは現在行っておりません。道路整備総体として定量的に効果を推計しているところであります。  ただ、今後、道路整備を実施することによる環境面の効果についても分析し明らかにすることが必要であるというふうに思っておりますので、そういうような点について、これから方法についての検討を進めていきたいというふうに考えております。
  67. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 財政再建と景気対策を同時に行って、公共事業のあり方の組みかえというのが緊急の課題になっておりますので、いずれにしても厳密な事業評価ということとその結果の公表は私は必要だというふうに考えておりますので、前向きな検討をお願いしたいと思います。  続いて、外務省にODAについて伺います。  ODA白書を拝見いたしましても、地球環境問題や地域の公害問題を意識した取り組みが目立つようになってきていることを感じます。これを一歩進めまして、ODA予算を使って行う事業、特に発電所等が念頭にあるわけなんですけれども、こうした事業を行う際には、地球温暖化防止の観点から具体的な基準を設けて、その基準をクリアした事業だけ行って、公共事業について伺ったと同じように事業評価を行う形にすることが望ましいと考えておりますけれども、どうお考えでしょうか。
  68. 上田秀明

    政府委員(上田秀明君) 環境の重要性という観点から、ODAの実施に当たりまして、環境に配慮した基準、環境ガイドラインというふうに申しておりますけれども、そういう観点から個々のプロジェクト、それからJICAの行います技術協力あるいはOECFが行います円借款の場合に、環境ガイドラインに基づいて環境的な側面を必ずチェックしてからプロジェクトを推進するといっところはやっているところでございます。  今お尋ねのような、さらにそれを絞り込んで温室効果ガスの点をも含めて基準を設けていったらどうかというお尋ねでございます。現在、途上国との間で行いますクリーン・ディベロプメント・メカニズムにつきまして、目下関係国問で話し合いが行われているところでございまして、話は多少は進んでおりますけれども全面的に合意に達している状況ではございませんので、どのような形でそれが国際的なルール化されるかということにも関係してくると思いますので、そういった合意の推移を見ながら、また今後の検討課題にさせていただきたいというふうに考えております。
  69. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 積極的な取り組みに期待をいたしておりますので、よろしくお願いいたします。  次に、モーダルシフトについて伺います。  地球温暖化問題の解決に向けてのモーダルシフトの重要性は既に常識になった感さえございますが、おととい参考人としてこの委員会に出席された京都大学の佐和隆光教授は、モーダルシフトを、さして不便を感じることなくできるというふうに政策の例の一つとして挙げていらっしゃいました。しかし、現実には、車社会から公共交通を主体にした交通システムへの転換というのはなされていないというふうに私は思っております。  そこで、各関係省庁に伺いたいと思いますが、現在のところどのような対策がとられており、今後どのような方針で臨まれるのか。初めに運輸省から、関係省庁との協議が今どのように行われているのかを含めてお話しいただきたいと思います。
  70. 高橋朋敬

    政府委員(高橋朋敬君) 運輸省の施策について申し上げます。  運輸省といたしましては、地球温暖化対策推進要綱におきまして、二酸化炭素の排出抑制策として鉄道、内航船舶による貨物輸送の推進ということで物流の効率化が挙げられております。運輸省といたしましても、現在取り組んでおりますこのモーダルシフトの施策をさらに推進しまして、一層の物流の効率化を図っていくというふうに今進めているところでございます。  具体的に申し上げますと、鉄道貨物輸送のためにインフラ整備、大部分は旅客線でございますけれども、一部旅客線を貨物列車が走行できるように工事をいたします。それから内航コンテナ船、それから内航ロールオン・ロールオフ船、つまり荷台に貨物を積んだままトラックが船に入って、そのまま輸送し、出られるということでもって、ロールオン・ロールオフ船でございますけれども、この整備。それから道路輸送と海上輸送の複合一貫輸送ということで、これに対応しました港湾や駐車場整備といったこと。それから道路と鉄道の複合一貫輸送のために、コンテナデポとかコンテナとかあるいはフォークリフトに対する整備といったことにつきまして、これを推進するための措置を計画的に今進めておるところでございます。  特に、内航あるいは内航海運、鉄道の利用の促進を図るためには港湾などへのアクセス道路整備も必要でございます。建設省等、関係省庁とも連絡をとりながら、今後とも効果的なモーダルシフト施策を進めてまいりたいと考えております。
  71. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 建設省もお願いします。
  72. 井上啓一

    政府委員井上啓一君) 旅客輸送におきます自動車分担率、日本の場合、大都市圏では鉄道分担がかなり高いというようなことで、欧米諸国に比べてかなり鉄道分担率が高いような状況になっております。そういう中ではありますけれども環境問題とか交通渋滞に対応するために、道路と鉄道、空港、港湾、他の交通機関と組み合わせた輸送が効率よく行われるよう、相互に連携を確保、改善することが重要であるというふうに思っております。  今年度から始まりました新道路整備五カ年計画におきましても、幹線道路ネットワーク整備推進するほか、運輸省を初め関係省庁と協力しながら空港、港湾などの交通拠点のアクセス整備、駅前広場などの交通結節点整備推進しております。また、公共交通機関の使いやすさの向上を目指しまして、バスレーンでありますとか都市モノレール、新交通システム整備道路事業費によって推進しているということであります。  また、九年度からは、警察、運輸省と連携いたしまして、公共バスの利用の向上を図るというようなことでオムニバスタウン構想というようなものもつくりまして、建設省ではその中で、バスベイでありますとかバスの上屋あるいはバスレーンのカラー舗装化、さらに平成十年度では路面電車の軌道敷を道路改築事業で整備できるような採択基準を新たに設けまして、そういうようなことで公共交通機関の利用促進を図っていきたいというふうに思っております。
  73. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 例えばある町で、市電を有効に機能させて、そして交通量を減らそうと思えば、都市計画全体と連動させなくてはならないというふうに思います。そうした方向で本格的な政策転換を行うというためには、縦割り行政の解消と都市計画制度そのものにおける地方分権というものを一層進めていかなければいけないというふうに思います。  自治省に伺いたいと思いますが、そういう観点からも中央省庁再編、地方分権の議論が今後重要だと思います。当面の努力として、積極的な取り組みをしようという自治体に対しては国が財政面の支援を行っていくことも考えられると思います。関係省庁が一応前向きな姿勢を示したということですので、自治省は今後地方債のメニューなどによる支援を行うことを検討していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  74. 二橋正弘

    政府委員(二橋正弘君) 自治省といたしましては、従来から地方公共団体が公共交通の確保のためのさまざまな施策を行っておりますことに対しまして、それぞれ必要な財政措置を講じてきておるところでございます。  今お話のございましたような新交通システムでございますとかあるいはガイドウェーバスシステム整備、こういったことに関しましては、走行路盤でありますとかあるいは橋脚といったようなところのいわゆるインフラ部分については道路事業として実施する必要がございます。それに伴いまして地方公共団体の負担が生じてまいります。これにつきましては、従来から地方債や地方交付税によります財政措置を適切に行っているところでございます。  また、地方団体が直接公共交通を行うという場合には交通事業として特別会計を設けて運営することになるわけでございますが、その経営基盤を強化するという観点から一般会計がその交通事業に出資する、その出資の際の地方債でありますとかあるいは償還の交付税措置といったような措置を講じておるところでございまして、これからも引き続きそういう必要な財政支援は積極的に行ってまいりたいというふうに考えております。
  75. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 次に、地球温暖化防止行動計画の総括をきちっとして今後の対策に生かさなければならないということは再三申し上げてまいりました。同僚議員も参考人の先生方も繰り返し指摘をされておりました大切な反省の一つは、フォローアップの重要性だというふうに思っております。  例えば、都道府県別に毎年度温暖化効果ガス排出量を計算して公表して、検討材料とか都道府県の取り組みのインセンティブとして活用することも提案されておりますけれども環境庁のお考えを伺いたいと思います。
  76. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) お答え申し上げます。  本法案におきましては、地方公共団体自身の事務及び事業については実行計画に基づく措置の実施の状況あるいは温室効果ガスの総排出量を計算し公表することを義務づけておるところでございますが、今のお尋ねは、さらにそれを例えば都道府県単位で全排出量についてというお尋ねであろうと思います。この点につきましては、実は二点申し上げられると思います。  技術的に正確なものを求めるには現在極めて難しい状況にあるというのが一点。具体的に申し上げますと、地球温暖化ガス等の中の排出量につきましても、例えば二酸化炭素の場合ですとある程度の把握は可能ですが、どうしてもネックになりますのが最後に自動車でございます。自動車につきましては、都道府県の管内のガソリンスタンドでどれだけガソリンが売れたか。燃種ごとのガソリンのそれはある程度の把握は可能なのでございますが、実際はそれがどこで二酸化炭素ガスを排出しているかということについては相当大胆な想定を行わなきゃならない。それから、国全体で見る場合には燃種ごとのきちんとした、例えば産業用の場合でありましても燃種ごとについて国全体でやれば相当正確なデータがとれますが、都道府県別になるとなかなか十分なデータがそろわないという点が相変わらずございます。  それから、二酸化炭素以外の場合になりますと、さらに今度は発生源から積み上げていくという手法しかできませんので、この点相当程度難しくなる。そういう意味で、厳密さを求めれば相当難しいという点は一方にございます。  他方、しかしながら地方公共団体によっては現にその厳密さ、正確さということに関しては議論があっても、やはり地域の取り組みを推進するために、今先生がおっしゃったようにその目安として数字を把握してみたいというふうにして意欲的に取り組んでおられる都道府県もございます。もちろん、実際にはそんなことがございますので、例えば隣り合わせのA県とB県が仮に同じようにそういうものをつくった場合に、A県とB県と比べてA県の方がその数字が仮に出たとしまして、A県よりB県の方が本当に多いのかどうかということは、正直言って正確さにおいて今いろいろな議論がありましたように問題がありますのでそこまではわかりませんが、少なくともあらあらな姿で取り組んでいくという目安にはなるじゃないか。  そういう割り切りをしていただいて取り組んでいるところがございますので、私どもとしましても、そういうふうな公共団体につきましては地球温暖化対策地域推進モデル事業費補助等によって支援をして取り組みの促進をお願いしているところでございます。
  77. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 次に、事業者に対して伺いたいと思います。  規制措置や義務規定がないことは中環審の答申から後退したと批判される大きな点の一つで、たびたびこれは議論されてまいりました。少なくとも、一部の規制措置や義務規定については省エネ法と二重規制になるのではないかという議論もされたようでした。事業者に関連する規定についての政府の立場はこれまでの審議で明らかですのでそれは切り離して伺いたいと思いますが、温暖化対策推進法案は省エネ法とは目的が違う法律なので二重規制にはならないと理解しておりますが、それでよろしいでしょうか。
  78. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) 全くそれで結構だと思います。
  79. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 次に、センターのことについて伺いたいと思いますが、地球温暖化防止活動推進センター、これがあることによってどういう利益が市民にもたらされるのか伺いたいと思います。  センターに対してはさまざまな行政情報を積極的に提供したいという答弁を本会議でもいただきまして、これは評価いたしております。例えば、既存の図書館で得られるような行政情報以上のものがセンターで得られるようでなければありがたみは半分でございますので、環境問題にかかわる範囲において、今審議中の情報公開法を使って得られると想定されている程度の情報のアクセスは認められるでしょうか。
  80. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) 地球温暖化防止活動推進センターにどういうものがアクセスできるかというお尋ねでございますが、地球温暖化防止活動推進センターが収集した情報につきましてはできるだけ多くの方々に提供されることが当然必要がと考えておりますから、パンフレットや情報誌の作成あるいはインターネットによる電子情報、市民相談や研修の実施といった活動が必要と考えております。これらを通じて情報が幅広く普及されるものと考えております。  しからば、どういう中身を考えているかということに今度なるわけでございますが、私どもといたしましては、身近な都道府県地球温暖化防止活動推進センターの場合でありますれば、例えば市民が自分たちの地球温暖化ガス、特に今市民の場合ですと、通常は二酸化炭素中心になると思いますが、どういう削減努力ができるかというようなこと。例えば、その地域の家庭における電気使用量だとか、ごみの排出量等のデータというものも当然ありましょうし、それから一方で、国の地球温暖化防止活動推進センターの方からいろんな情報提供をしようということで今考えておりまして、そうしたところからのものを、例えば自動車、エアコン等の使用に伴う二酸化炭素の排出量に関する情報、具体的に言えば冷蔵庫なら冷蔵庫の型式、大きさ、容量によって随分違いますが、容量ごとにどういう製品はどれぐらいの二酸化炭素の排出量があるというようなことが全部一覧できるようなものをつくろうというふうに考えておりまして、そうしたものも提供できるようにしよう。  そうすることによりまして、製品選択や使用方法等における温室効果ガスの排出の抑制に効率的に取り組むことができる、こんなようなものを今考えておるところでございます。
  81. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 これからも市民の方からこういう情報が必要だという、情報公開法でぜひ必要だということについてこたえるような、そういう関係はこれからもできていくということで確認させていただいてよろしいですか。
  82. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) 要は、市民あるいは国民が積極的な取り組みをしていただけるような情報提供をするということですから、できるだけ前広、前向きに対応を考えていきたいと思っています。
  83. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 次に、関係ある施策の配意ということについて伺いたいと思いますが、この委員会でも衆議院でも何度かこれは質疑が行われておりますが、既に指摘されておりますように環境其本法の第十九条では「国は、環境に影響を及ぼすと認められる施策を策定し、及び実施するに当たっては、環境の保全について配慮しなければならない。」という、この「配慮」という言葉が使われております。  環境庁の説明では、温暖化対策推進法案環境基本法で問題にする施策よりも広い範囲の施策を対象とするために配慮よりは弱い配意という言葉を使った、そういうふうに理解をしているのですけれども、冒頭確認させていただきましたように温暖化の危機が迫っているという認識がありますと、ここはどうあっても配慮だ、十分配慮であるべきだと私は考えますが、改めて環境庁のお考えを伺いたいと思います。
  84. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) お答え申し上げます。  まず最初に、配慮と配意についてでございますが、これは私ども法案をつくっていく過程で配慮と配意にどう違いがあるかということも議論いたしました。配慮と配意で具体的に何が違うかというのは、正直申してそんなに何が違うという大きなあれがあるわけではないと思います。多分、恐らくはニュアンスの問題というのが大きいのかもしれません。配意といっても、意を配ることとあります。辞書を引いていただいてもそれほど差があるようには思えません。  ただし、これまで私どもが提案しておりますのは、法律の言葉の整理として申し上げますると、要するに先ほど来お引きになられました環境基本法第十九条もそうでございますが、ストレートに対応関係が明確なものの場合に配慮という言葉を使っておる例が通常でありまして、それから今時は、一方で幅広く対象を取り込んでいこうという、今回の私どもの三条二項の規定というのはまさにそういう規定でございまして、とにかく関係するものは何でも対象として広くつかまえるよという、まず入り口を広くつかまえるものですから、そのときに同じようにストレートに結びついているところのような配慮という言葉ではない配意という言葉を使わせていただいた、そういう整理をさせていただいておるということでございます。  この点はややわかりにくい点があろうかと思いますが、そういうふうに法律をつくる上での言葉の整理を、要は対象を広くとる、要は逃げ道をつくらないで、むしろ関係の施策についてはみんな地球温暖化対策推進法案の規定というものに、あるいは地球温暖化ガスの排出削減に気をつけてもらうんだということを全部大きくつかまえるために逆に配意という言葉を使わせていただいているという点については、御理解賜りたいと思います。
  85. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 ただいまのお話を伺ってもなお一般の人たちがわかる配慮ということでいいなというふうに思いますし、官僚のひとりよがりでこれとこれと区別するというようなことがかえって伝わってきまして、何か本当に暗たんたる気持ちになってしまうんですけれども、本当に大きな違いがないということであれば、配慮という方が各方面にいろんな範囲に十分伝わってくる言葉だということについて言わせていただきたいと思います。  見直し期間についてもいま一度お伺いしたいと思いますが、法律案で五年以内になっていることについて、やはり私たちは五年間という期間が本当にあるんだろうかというふうに心配をいたします。実行が達成されれば、五年以内なんだからいいだろうということをたびたび環境庁の方に伺ったと思いますけれども、最初からやはり三年というふうに決めて、その目標に向かって国全体で市民と一緒になって努力していこうというふうにはならないんでしょうか。
  86. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) お答え申し上げます。  もうこれも再三お答えしていたことになるわけでありますが、要は温室効果ガスの排出実績の推移を把握し、この増減の要因を分析した上で必要に応じ施策の強化を検討する、私どもとしては検討するということは施策を強化するということしか考えておりませんので当然強化するということを考えるわけですが、そのためには両方の理由からやはり五年以内という期間の定め方をさせていただく必要があるという判断をしました。  両方というのは二つ申し上げますが、まずその前に、五年以内という規定の仕方そのものがないわけじゃありませんが、恐らくそんなにたくさん事例があるわけじゃないと思います。例えば五年程度を目途にとか五年を目途にとか、そういうふうな規定は結構いっぱいございます。五年以内ということをそもそも私どもが最初から書いた気持ちのゆえんといいますのは、私ども五年を待つつもりがあって五年と言っているわけじゃないということでございます。その点は先ほども先生がおっしゃいましたので繰り返しません。  要は私ども、本法案で二つの点を申しました。一つは、この法案を通していただいて、実際にこれで一生懸命我々としても関係省庁みんなに協力してもらってやっていく。やっていった場合に、やっていってこの法律でまだ十分ではない、もっと強化しようじゃないかというふうなことを見きわめるのに一体どれぐらいの期間がかかるかというのが一点。  それから二点目は、先ほど来申し上げておりますように、京都議定書そのものが要するに排出権取引の問題だとか吸収源の取り扱い等によりまして国際交渉でまだこの後、中身を埋めていかなきゃならぬという状況がございます。こうしたものの進展状況がどれぐらいで見きわめがつくような状況あるいは国内でそれが締結できる状況になるのか、あるいはそれに基づいて国内でこうした法案をさらに強化の方向で見直しができるようになるのか、ここら辺については正直申してできるだけ早くと私どもは願っておりますが、これは交渉事なものですから正直わかりません。  そういう国内外の両方の取り組みを考えまして、私どもとしてはできるだけ早くやるんだという気持ちを込めて五年以内とさせていただいたところでございます。
  87. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 その気持ちを込めるなら三年目標なんです。その決意を言うのであれば五年じゃなくやっぱり三年でというふうにしていかないと、何かどうも本当に五年あるから余裕がないというふうに私なんか思っておりまして、その目標を、そういう決意を語っていただきたいなというふうに思うんです。
  88. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) できるだけ繰り返しは避けますが、以内というところに私どもの気持ちをお酌み取りいただければ大変ありがたいと思います。
  89. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 三年でもいいんだよねというのを何か時々環境庁の方から伺っていて、本当に問題はないんだ、五年でも三年でも同じようなものなんだけれどもというのであれば、その努力のみんなの決意を決めていく意味で三年というふうに私は希望いたします。
  90. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) さらに一言だけ申し上げさせていただきますと、私どもも先ほど来申し上げておりますようにできるだけ早くと思いますが、しからば本当に三年でそういう状況が来て見直しができるかということについて、逆に大丈夫だと言い得る状況に私どもはないというのも一方の事実でございます。
  91. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 それほど大変だということを認識しながら進めていかなければいけない、共同歩調をとっていかなければいけないものだなというふうに思っておりますけれども、頑張りましょう。  さて、京都議定書を守るということは最低限の条件であるということを先ほども申し上げました。それを超える対策をとっていかなくてはならない、その実績を持って京都議定書の次に来るべき世界との約束づくりには世界を引っ張る役割を果たしてもらいたいというふうに思います。  そうはいいましても、これまでの政府の姿勢を拝見しておりますと、議定書を守るということすら危ないのではないかという危惧を抱かざるを得ないわけなんですけれども、今審議中の温暖化防止法案では京都議定書日本が守っていけるということを担保することはできないので、京都議定書の批准に向けて国内法を準備しているというふうに伺いました。それに当たっては総合的な制度づくりが必要ということを言っていらっしゃるわけなんですけれども、国内法の整備にはどのような基本姿勢が望まれるんでしょうか。
  92. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) 先ほど来申し上げておりますように、この法律京都議定書を担保する法律という位置づけまで至ったものではないということについては御理解賜っている前提でのさらなる御質問だと思います。  京都議定書を締結する際には、京都議定書の内容及びその時点での我が国における温室効果ガスの排出量の動向を踏まえまして締結に必要な総合的な対策のあり方について本法の見直しを行うというのがまず私どもの基本的な考え方でございます。  しからば、その際どういうことかということになりますと、京都議定書に定められました各種制度の具体的な実施方法等につきまして現在行われている国際交渉の結果をどのように国内法制度に反映するか、あるいはまた六%の削減目標を達成するための担保措置をどのように定めるかといった点がその段階での最も大きな検討課題になろうというふうに考えております。
  93. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 さらに、事業所の努力規定、それから義務化。当然にこれは検討課題になるだろう事項のリストが既にあるかと思うんですが、今後の日本の取り組みについてはどうでしょうか。国内法の整備の取り組み、これが入っておりますでしょうか。
  94. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) 一点まず申し上げますと、今、先生は既に今我々の頭に何かその次の法案の準備があるかのように言っていただいたんですが、正直申して私ども今土台法であるこの法案をつくりこの法案の御審議を願うことだけで精いっぱいでございまして、この法案を認めていただきますと、この後私ども基本方針をどうやつてつくっていくかとか、そちらに主力を置いてまいりたい思っておりまして、今の御質問の準備の中身はどうかということについてはまださらにその後ということにさせていただきますので、今現在具体的なものを持ち合わせているわけではございません。  ございませんが、先ほど六%の削減目標を達成するための担保措置をどのようにするかが一つの大きな柱だろうというふうに申し上げました。それは事業者だけの問題ではなくて、国や自治体やあるいは国民の方々にもどうお願いするかという広範なものになると思いますので、先般のどなたかの御質問のときもお答え申し上げましたが、事業者だけについてどう考えるかという言われ方も逆に言えばまた私どもも今答えにくい。要するに、全般的な相当程度の見直しをしなきゃならなくなる可能性は大いにあると思っておりますので、どの分野についてどうというようなことを考えるわけにはいかないだろうというふうに現在思っております。
  95. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 それでは、全般的に三年ないし五年以内に見直されました内容は必ず議定書の担保法と言えるものになるんですね。
  96. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) 要は、担保法というときの定義が必ずしも明確ではありませんからそこははっきりはまだ申せませんが、少なくとも京都議定書を締結してそれに対応した法案というものを考えるときには当然それが担保されるべきものでなければならないというふうに認識しております。
  97. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 さて、本会議でも総理にNGOや国会議員を政府の代表団に加えるということについて提案をさせていただきました。政府はNGOを政府団に加えることについてさまざまな心配をされているようでしたけれども、余りはっきりとした御答弁がいただけなかったというふうに思います。  これまでもNGOと国会議員がオブザーバーという形で国際会議に参加した例は幾つもございます。一九九四年のカイロで行われた国連の国際人口開発会議の際にはNGOが正式に政府代表団に加わっておりまして、いずれも国会議員、NGOが加わってよかったというふうな評価があるというふうに思っております。  こういう利点がありながら、COP4の政府代表団にNGOが加われないというのはなぜなんでしょうか。なぜ外国はできるんでしょうか。
  98. 上田秀明

    政府委員(上田秀明君) COP3の際は、政府関係者だけじゃなくてNGOや国会議員の皆様方あるいは学識経験者の皆様、さらにはいわゆる一般市民の方や企業の関係者、その他たくさんの方々にさまざまな形でかかわっていただきまして、そのことで全体として大いに効果が上がったというふうに考えております。  しかしながら、今先生が御指摘になりましたけれども、今度アルゼンチンで行われます会議気候変動枠組み条約第四回締約国会議でございます。締約国としての権利義務関係を責任を持って担当するのは政府でございますので、それは政府代表団ということになろうと思います。しかしながら、それぞれの会議の性格によりましてオブザーバーとしての、あるいはまたその他の学識経験者としての参加が許される会合がもちろんございますので、そういう際には国会議員の皆様方も含めていろんな形でかかわっていただく、そういうことはあろうと考えております。
  99. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 今度の会議にNGOが政府代表団に加われるという方向で検討したことは一度もないんですか。
  100. 上田秀明

    政府委員(上田秀明君) 今、COP4の、まさに締約国会議でございますので、締約国会議においてどのような形で政府代表団を構成するかというようなこともまた各国の動向も見ながら検討してまいりたいと思っております。  現在、私どもが承知しております限りでは、それは国によって多少の違いはあると思いますけれども、政府代表団は先ほど申し上げましたような条約の権利義務関係を責任を持って担当する政府関係者で構成していくのが適当ではないかというふうに考えておりますけれども、オブザーバーとしての御参加を得ることが適当であればまたそれはそういう形で検討させていただきたいというふうに考えております。
  101. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 京都で行われました会議のときには、NGOの本当に大勢の皆さんにロビー活動をしていただいて前向きの検討がされていったということはもうどなたも御存じで、前段の大木長官もその評価を大きくされておりました。本当は真鍋長官にもお話を伺いたいところでございましたけれども、一言御決意を伺って私の質問を終わりたいというふうに思っております。
  102. 真鍋賢二

    ○国務大臣(真鍋賢二君) 大木前長官の後を受けての参加でございます。もちろん大木長官も直前まで議長としての職務を遂行するわけでありまして、しっかりとしたバトンタッチを受けて私もCOP4に臨んで全力を尽くしてまいりたいと思っております。よろしくお願いします。
  103. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 ありがとうございました。
  104. 福本潤一

    ○福本潤一君 公明の福本潤一でございます。  今、岡崎委員の方からもさまざまな質問がありましたし、これまで長時間にわたって参議院また衆議院でも質問してきております。  その中で、京都会議でIPCC、気候変動に関する政府間パネルに基づいて政府は六%の削減という形で国際的な取り決め、契約をしたということになりますと、IPCCの中で今後温暖化していくというときに将来の予測をしていく場合、さまざまな形で今までにも予測というものは気候以外でも出てきております。  例えば、一九六〇年にローマ・クラブが「成長の限界」ということで、今後今のまま文明、文化が発達していくと将来人類の成長の限界が来る、大変な時代が来る。一九八〇年にも、これはアメリカ合衆国政府が大統領に対する報告書として「西暦二〇〇〇年の地球」。例えば人口、資源、食糧というものが、このまま現代文明が発展していくと資源はどの程度大変になるか、人口はどんなにふえていくかというようなことも予測して、もう既に二〇〇〇年が近づいてきているという段階に入っている。  さまざまな質問を聞いておった中で、特にこのIPCCの一つの最終報告、これを政府はどういうふうに踏まえておるかというのを聞いておきたいと思うんです。  というのは、逆に言いますと本当に地球は温暖化するのかという話も出きております。先ほど田村公平委員も、身の回りの環境を見るとだんだん生きにくくなっている。例えば、異常な気象とかいろいろ感じる、また若いころ生活された高知と比べてかなり深刻な状態になっているような生命的な実感があるというような話もありました。  とすると、本当に温暖化するというふうに思っておられる根拠がIPCCに基づくだけならば、これはシナリオa、シナリオb、シナリオc、シナリオdというふうに四つのシナリオを描きながら書いておりますので、環境庁としてはどういうふうに考えてこういう地球が温暖化するという根本原因を決められたかというのをまずお伺いしたいと思います。
  105. 浜中裕徳

    説明員浜中裕徳君) 地球温暖化そのものの予測についての根拠の判断についてのお尋ねでございますけれども、私どももただいま御指摘のございましたIPCCの報告書は極めて重要な科学的な基礎をもたらしているというふうに考えているわけでございます。  具体的に申し上げますと、IPCCが一九九五年に発表いたしました第二次評価報告書におきまして、温室効果ガスの排出がこれから世界でどのように推移するであろうかという点につきまして、ただいま御指摘のございましたように六通りの実はシナリオを用意しているわけでございます。  それぞれのシナリオにつきましては、社会的な条件、経済的な条件、例えば世界人口の増加がどのように進むか、これにつきましては世界銀行の予測がございまして、二一〇〇年までに百十三億人に達するというような値を用いているわけでございます。  それから、経済的な条件、例えば経済成長率はどう推移するであろうかということでございますけれども、これにつきましては、各国平均的なものといたしまして、二〇二五年までに年率二・九%の伸びで推移をする、それから二一〇〇年まではその後年率二・三%の伸びになる、こういうような前提を置いているわけでございます。  さらに、今後太陽光発電などについてはコストが大分下がるであろう、具体的にはキロワットアワー当たり七十五セントぐらいになるのではないだろうかと、こういうことでございます。さらに生物燃料と申しますか、バイオマスエネルギーについてもコストが下がるであろう、こういったようなさまざまな観点を加味いたしましてシナリオをつくっているわけでございます。  最もあり得べきシナリオとしてIPCCが考えておりますのがIS92aと呼んでおりますものでございまして、私どももこれが現在のところIPCCが用意いたしました六つのシナリオの中では最も重要な妥当なものであろうかと考えております。それがただいま申し上げました人口の仮定であるとか経済成長の仮定など、IS92aというシナリオがそういう仮定を用いているわけでございます。  さて、こういった条件を考慮いたしまして二酸化炭素などの排出量がどのようにふえるであろうかということを計算いたしまして、それをもとに長期的に地球温暖化がどのように進行するかをコンピューターを用いた、実は気象学者などが申しております全球気候モデルというモデルでございますが、これで膨大な計算を実施するものでございまして、先ほど申し上げました中程度の排出量となるシナリオを用いた計算結果によりますと、二一〇〇年までに一九九〇年よりも気温が二度上昇する、こういう予測になっているわけでございます。  こうした予測の根拠といたしましては、もちろん先ほど排出量をそのシナリオを用いて予測すると申し上げましたが、その結果として大気中の二酸化炭素濃度が年々増加をいたしまして、先ほどのIS92aシナリオに基づきますと、二一〇〇年までに産業革命前のレベルの二八〇ppmの約二倍に相当する五五〇ppmというレベルまで到達をするというふうな予測になっているところでございます。  したがいまして、こういったことによりまして地球の平均気温が二度程度上昇するという予測につきましても妥当なものである、これらを地球温暖化対策の根拠として前提に置くことが妥当であるというふうに考えているところでございます。
  106. 福本潤一

    ○福本潤一君 今のIPCCの報告、六つのシナリオの中で、やはり温暖化するという前提を立てられて、今回、京都議定書並びにこの法案の提出になったということだろうと思うんです。  そうしますと、私も一九八〇年の合衆国政府が大統領に報告した翻訳をずっとやった経験がありまして、なかなか将来の計画、シナリオを予測するのは、四段階とか今回は六段階というふうになりますと簡単ではないなというふうに思います。予測ですから、ノストラダムスの予言のような、例えば一九九九年、来年の七月ですか、人類は滅亡するというような話も含めてさまざま取り扱われたりしますけれども、こういう根拠に基づいて、ある意味では科学者の予測が非常に大きく取り入れられたわけです。  京都会議で、環境庁は基本的に最終的に二・五%でいこうと思ったところが六%になった。並びに、アメリカ合衆国政府も英断として〇%を七%にしたという結果が生まれたわけだと思います。ゴア副大統領も地球温暖化の成果というのは非常に大きく取り上げていますけれども、この二・五%に臨もうとしたのを六%というふうに最終的に日本政府がのんだということが、今の最も深刻なときに、二一〇〇年には二度C温度が上がり、また二酸化炭素産業革命以前の二倍になる。六%に英断したんですから、それを実行しようとは思っておられるんでしょうけれども、六%を述べた根拠といいますか、具体的に今後やっていくんだというそこのところをお伺いしたいと思います。
  107. 浜中裕徳

    説明員浜中裕徳君) 六%の達成が必要だということでございますけれども、地球温暖化との関係について申し上げますと、やはり世界全体でどの程度排出量が減っていくのか、また減らしていくのか、こういうことによるわけでございます。京都議定書におきましては、御案内のとおり先進国それぞれによりまして目標値は異なるわけでございますが、先進国全体としては平均で五・二%の削減、一九九〇年の水準に比較いたしまして二〇〇八年から一二年の期間におきましては平均で五・二%の削減を進めていく、こういうことで合意をされたわけでございます。  これは、この五・二%の削減で果たしてIPCCが先ほども御説明申し上げましたような形で温暖化が進行するのを食いとめるのに十分であるかどうかという点が確かに問題になるわけでございます。これにつきましては、IPCCの第二次評価報告書におきましても、例えば産業革命前の二倍程度の濃度で安定化をさせるためにはどのような取り組みを進めて、どのような世界の排出量の推移をたどらなければいけないのか、こういった点についても計算をしているわけでございます。  その結果に基づいて見てまいりますと、二一〇〇年までに排出量はふえていく趨勢にはございますが、最終的には二一〇〇年段階で現在の排出量と同程度かそれを下回る程度にまで排出量を減らしていく、そして二十二世紀におきましてはその後さらに低下をさせていく必要がある、こういうような検討の結果になっているわけでございます。そうした排出量の推移と申しますか、それをたどっていくためには京都会議で決められた目標が十分かどうかということが判断されなければいけないわけでございます。  現段階においてその点の判断については、例えばIPCCを初め世界科学者において定まった見解があるわけではございませんが、ただ京都会議の結果を世界がどう受けとめているかということにつきましては、これは地球温暖化の究極的な防止に向けた非常に意味のある第一歩である、こういうような評価がなされている、これが世界の大方の評価であろうかというふうに受けとめているところでございます。
  108. 福本潤一

    ○福本潤一君 そういう意味では六%の今後の実現というものが二一〇〇年における予測を変える具体的な行動になる第一歩と。これはあくまで一九九〇年に比較して六%でございますから、現在それ以上、九%上昇した上での六%削減ということになりますと一五%、約ですけれどもほぼ一五%削減を今後していかなければいけない。  私がこういう基本に戻ったような質問をさせていただいているのは、環境庁はあくまで土台法だと先ほど言われました。また、担保法は今後実行していくんですねと言ったら、それもまだ考えておるようないないような状況であるという御答弁がありました。そうしますと、なかなかこの法案自体が一つの土台であり、基本であり、理念であり、具体的な京都の一五%削減に向けて動いていく流れにどの程度寄与するかというのが非常に疑わしいということになると思うんです。  それでもう一つ、基本的な話で聞かせていただきたいと思いますのは、例えばゴア副大統領等が中国で大変な異常気象、洪水が起こる、また各地での異常気象が起こる、そういうことに対して、これはやはり地球温暖化の影響である、大気にかなりの気象変動の大きな影響を与えている。もちろん、もう一方でエルニーニョの影響とかラニーニャの影響とかいろいろな話が出ますけれども、異常気象がさまざま起こっております。今回、日本国内でも起こっております。これが地球温暖化関係があるというふうに思っておられるのかどうか。合衆国政府は即座に対応してそういうメッセージを出したりしますけれども日本の方はそういう発信がほとんどありませんので、この際そこのところを聞かせておいていただきたいと思います。
  109. 浜中裕徳

    説明員浜中裕徳君) お答えを申し上げます。  本件につきましては、先日の当委員会におきましても同様の御質疑があり、気象庁から個々の異常気象現象と地球温暖化との関連につきましては必ずしも現段階で明らかにはなっていないという趣旨の御答弁があったかと思います。  実は先日、仙台で私どもが開催をいたしましたアジア・太平洋環境会議、いわゆるエコ・アジア98におきましても、一方でバングラデシュのようなところからは大変洪水が起こっておって、国民の間にもこれは地球温暖化関係があるのではないかということで将来に対する非常に大きな不安が出ているということで、対策推進に関する非常に緊迫した雰囲気といいますか、緊迫感を持って対策を進める必要があるという御指摘がございました一方で、中国の代表からは、中国で現在起こっている大洪水と地球温暖化との関係については必ずしも明確ではないというような御指摘もございました。  このあたりにつきましては、アメリカのゴア副大統領の御発言があったかもしれませんが、世界の指導者たちの認識もさまざまであろうかと思いますし、科学者の間では、ただいま申し上げましたように必ずしも個々の現象と温暖化との関係は明確ではないというのが今日の科学者の判断であろうかと思います。  私どももそのようなことを踏まえまして、現段階において個々の現象と温暖化との関係、必ずしも明確には申し上げられないわけでございますが、しかし地球の温暖化の進行を現在放置しておきますと、やはり将来非常に深刻な事態になるということで、一日も早くこの対策を進めていく必要があるだろう、こういう基本的な認識でございます。
  110. 福本潤一

    ○福本潤一君 今言われたように、具体的な現象とそういう将来予測が完全に一致して判別が明確にできる分野ではないと思います。  日本の洪水でも、大変な大雨の記録が観測以来だとかいろいろありますけれども、実際上日本でも江戸時代、またそれ以後の時代、今以上の洪水が起こっております。中国におきましても、今回大変な大きな河川ですから洪水としては大きいようでございますけれども、古文書によっては中国では一つの洪水でもう五十万人以上の死者が出たこととか、あと例えば河川が四メートル、日本では一瞬でございますけれども、四メートル以上の高いところの水位が何カ月にもわたって続いているというようなこともありましたので、単純にこれだけで地球温暖化の影響と言うのは難しいと思います。  ただ、基本的には、先ほどの予測のシナリオでいろいろ言っていただいたように、今後今のままの状態で続いていったらいろいろ深刻なことが温暖化の中で起こるという基本的な方向性が一致している中でこの法案がつくられたんだろうというふうに認識しております。  とはいえ、もっと大きなスパンでいくと、例えば氷河期とか一時は暖かくなった方がいいのではないかというような御意見もあった中でつくられていったわけでございますので、こういう大きなスパンの中で考えるとしたら、これは法案も大事でありますけれども、担保法でないということになりますと、余計私は現在の日本二酸化炭素を固定化する研究がどの程度、どのレベル進められているのかという方がもう一方気になるところでございますので、できれば環境庁通産省、こういう方面の研究がどのように進んでおるかということの御報告をいただければと思います。
  111. 浜中裕徳

    説明員浜中裕徳君) 二酸化炭素の固定あるいは貯蔵、吸収といった研究についてでございますが、まず最初に現在の地球環境保全のための研究の政府全体の推進体制を申し上げさせていただきたいと思います。  政府におきましては、毎年度地球環境保全に関する関係閣僚会議というものを開催いたしまして、その場で地球環境保全に関する調査研究等の総合推進計画というものをつくっております。これに基づいて関係省庁一体となった調査研究推進を図っているというのが現状の体制でございまして、我が環境庁におきましても、この政府としての総合推進計画のもとで地球環境研究総合推進費という経費を活用いたしまして、関係省庁、国立試験研究機関と連携をしながら温暖化を初めとした地球環境問題に関する研究に取り組んでいる現状でございます。  このうち、お尋ね二酸化炭素の固定、貯蔵あるいは吸収といったことに関連する研究といたしましては、平成十年度にはまず温室効果ガスの人為的な排出源、吸収源に関する研究と題しまして、土地利用の変化に伴う二酸化炭素の排出や吸収の収支に及ぼす影響の検証、これは通常森林二酸化炭素吸収することが期待されるわけでありますけれども、これを伐採して土地利用を転換いたしますと逆に排出源ともなり得るということから、こういう影響についての研究でございます。また、温帯林や亜寒帯林における炭素蓄積量の計測といったような研究などを実施しております。  他方、もう一つ二酸化炭素海洋固定化に関する研究、こういうことにつきましても運輸省通産省の関連国立試験研究機関に実施をしていただいているところでございます。陸上で燃料を燃焼するということによって二酸化炭素が発生をいたします。それを回収いたしまして、そうした回収した二酸化炭素を深海に貯留する方法がいろいろございますが、その評価。それから、二酸化炭素海洋処理技術がございますが、そういう技術を用いた処理法の開発、こういったような研究を現在実施しているところでございます。
  112. 羽山正孝

    説明員(羽山正孝君) 御説明申し上げます。  二酸化炭素の固定化などの革新的な技術開発は、地球温暖化問題の究極的な解決に向けまして積極的に進めていくことが必要であると考えております。  このような観点から、通商産業省といたしましては、メタンなどと反応させることにより二酸化炭素を固定化する技術開発ですとか、二酸化炭素海洋に放流し大気から隔離、貯留する技術開発などの革新的な技術開発を国際的な研究協力体制などを組みながら、地球環境産業技術研究機構などにおいて強力に推進しているところでございます。  これらの技術につきましては、これまでの研究におきまして、例えばメタンと反応させて得られるメタノール合成の達成度が不十分であることですとか、二酸化炭素海洋貯留に関しましては二酸化炭素海洋への最適な貯留方法や海洋環境への影響を明らかにする必要があるといったような解決すべき課題が判明いたしてきております。  今後はこれらの課題の解決に向けた研究を進めることなどによりまして、二酸化炭素の固定化技術などの具体化に向けて引き続き努力してまいりたいと考えているところでございます。
  113. 福本潤一

    ○福本潤一君 今、通産、環境両省からかなり具体的な革新技術の御説明をいただきました。田村委員の方から緑地、林地または水の温暖化緩和の効果等々に関しても御質問また御意見を開陳いただいたりしております。  ある意味では温暖化に関して、例えば最初に環境サミットということでブラジルであったときにも、ブラジルの現地の人からは、先進国はかなり技術開発して二酸化炭素をたくさん排出しているのに、我が国にこれだけの森林があるということで低開発国に押しつける気かというような御意見も逆にあったように聞いております。ですので、私としては、こういう地球温暖化を防止するための二酸化炭素に代表されるガスを固定化する技術も大いに開発していくという側面からの対応も必要ではないかと思います。  特に、テレビでかなり温暖化の説明をしていますと、私どもから見るとヒートアイランド現象というのがありますね。都市化している部分で、大都市圏では冷暖房をかなり使います。室内で冷房、どの家に行っても一家に一台以上冷房機があります。そうすると、暖気が屋外にばんばん出ていきますと、そこにおるだけでかなり生活実感としては、大変な冷房、空調をするために外にさまざまな温暖化の要因のような局所的な部分ができ上がるというふうに考えています。  ですので、ヒートアイランドという大都市圏東京、特に関西、名古屋また地方中核都市、都心部ではその全体を高温が覆っている。むしろ地球温暖化以上に身近に感じるような現象が起こっておるわけでございますが、これに関して環境庁もどういうふうな対応策、またとらえ方をしておられるかというのも同時にお伺いさせていただきます。
  114. 浜中裕徳

    説明員浜中裕徳君) ヒートアイランド現象についての取り組みのお尋ねでございますけれども、私どももこのヒートアイランド現象につきましては、その結果として例えば冷房需要が増大をして二酸化炭素の排出増加につながっているというふうに考えております。  したがって、政府といたしましても、ことし六月に地球温暖化対策推進本部において決定をした地球温暖化対策推進大綱におきまして、このヒートアイランド現象の緩和に積極的に取り組むために緑地の保全あるいは緑化の推進都市の中における水面の確保、あるいは雨水の地下浸透の推進といったようなことを取り上げているわけでございます。  私どももこうした取り組みが積極的に進みますように関係省庁と連携をしながら、また地方公共団体にもさまざまな形でこれを支援しながら具体的な取り組みの推進を図ってまいりたい、このように考えております。
  115. 福本潤一

    ○福本潤一君 私も都会と松山、田舎と往復していますと、高知と同様にかなり緑が豊かにありますし、逆に地球温暖化のために木を一本切ると何か温暖化が始まるということで、公共土木事業は木一本切れないというような事態が起こったりしているわけです。  と同時に、自然環境保護の運動をしている人自身も自動車に乗って動くだけでそれが温暖化に寄与しているということで、ある意味ではこういう幹なのか枝なのか葉なのかというのが、オーダーで言うと地球全体の規模の問題、国全体、また地域、また木一本というような話まで、ある程度区分けも明確にしないと議論が錯綜して混乱するということもかなり起こっておるようでございます。こういうヒートアイランド現象と地球温暖化の話、ひとつ区切った上で明確にして、今後教育啓蒙も進めていっていただければと思います。  と同時に、六%削減、担保法ではないとはいいながら今回予算も計画され始めているところだろうと思います。この地球温暖化対策に対する予算、どういうことを考えておられるか、これを具体的にお伺いしたいと思います。
  116. 浜中裕徳

    説明員浜中裕徳君) 地球温暖化対策の予算についてのお尋ねでございますが、これまで私どもは、平成二年に地球環境保全に関する関係閣僚会議で決定をいたしました地球温暖化防止行動計画に基づいて行われております政府の施策を毎年取りまとめているところでございますが、ことし開かれましたこの閣僚会議に報告をいたしました平成九年度の政府全体の地球温暖化対策の予算執行額は十一兆七千億円余りでございます。  この調査は、地球温暖化防止を主目的とする施策のみならず、これに限定せずに行動計画関係のある施策を幅広く対象としているという観点から、例えば道路整備関係あるいは森林の保全整備関係といったような予算も含んでいるところでございます。いずれにしましても、全体で十一兆七千億円余り、施策の数といたしましては五百十六の施策が実施をされており、この中で約八十余りの施策が九年度に新たに実施されるようになっている、こういうような実態でございます。
  117. 福本潤一

    ○福本潤一君 十一兆七千億円と大変な金額が防止行動計画でやられているということで、私も事前に資料をいただいた中でお伺いしたいと思うのは道路予算。公共土木事業関係もこの地球温暖化の絡みで入っているという、予算案の中の一つにありましたけれども、十一兆というとかなり大きな額でございますので、どういう関係道路関係含めて、民生、産業、運輸というところで運輸の方に絡むんでしょうけれども、どういう論理立てでこれが地球温暖化防止一つの予算になるのかというのを御説明いただければと思います。
  118. 浜中裕徳

    説明員浜中裕徳君) 道路関係予算の中で、例えばバイパスを建設する、こうした施策によりまして道路交通の円滑化が実現される、こういうことで自動車の走行時の燃費を向上させるということでこうしたものが含まれているということでございます。また、そのほか環状道路の建設ということもございまして、現在都市内におきまして大変交通渋滞が深刻で、この緩和が極めて重要な課題になっているところでございます。  したがいまして、円滑な自動車走行を確保するためのバイパスや環状道路整備、さらには連続立体交差事業あるいは交差点の立体化、こういったようなことによりまして道路相互の交差を円滑に、交差点における渋滞を回避したり鉄道と道路との交差によります交通渋滞の緩和を図ろう、こういった事業がこの中に含まれているということでございます。
  119. 福本潤一

    ○福本潤一君 私も、民生、産業、運輸の運輸の中にこういう形で道路計画をつくられた、さすがに日本の官僚の方々は優秀だなと思いながら見させていただいておるわけでございますが、一つの地球温暖化防止というのが、逆に今回土台法だけということになりますと、ある意味ではお祭り的にこれが予算を獲得できる一つの大きなテーマというか課題として浮かび上がってきて、さまざまな実行しやすい、道路計画がだんだん難しくなったところで推進するのに利用されておるかなというふうに思う面もあるわけでございます。  そうしますと、先ほどの岡崎委員の最後の段階で出てきた、担保法をこの後計画しているんですから、今回は土台法、基本法だからこういう段階で通してくださいという折衝があったときがありますけれども、担保法を同時に考えておられるのかと聞いたら余り考えておられないと言われたところにもう一回戻らせていただきたいと思うんですが、それは考えていないんですか。それともそういう計画を具体的に提示できるほどのものがないということなのか。そこのところを明確にお願いいたします。
  120. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) お答え申し上げます。  今の先生の分類で申し上げれば後者の方、要するに取り組みはすべきでありますが、現時点においてはまだそこまでの準備ができていないという意味で御理解賜ればと思います。
  121. 福本潤一

    ○福本潤一君 そうすると、担保法ができるから、今回の場合はともあれ基本法、理念法みたいなものですからというのは、なかなか通しにくい話になってくるんです。  通産省の方、この削減計画ですね。私は通産省の資料でさまざまな温暖化に対する対策の資料を見させていただいた中に、通産省の中には六%削減に向けてこういう対応策でやるというようなものを見たことがあるんですけれども、それを御説明いただけますか。
  122. 羽山正孝

    説明員(羽山正孝君) 御説明申し上げます。  地球温暖化対策についての産業界の取り組みに関する通産省の施策といたしましては、まず第一に二酸化炭素の排出削減対策としてでございますけれども、前通常国会で御承認をいただきました改正省エネ法により、産業界における省エネルギーのさらなる徹底を図ることとしております。改正省エネルギー法は来年四月一日から施行することといたしておりまして、現在関係審議会において、エネルギー使用の合理化に関する判断基準ですとかトップランナー方式の導入に伴います基準の変更などについて御審議をいただいているところでございます。  次に、鉄鋼、化学、自動車など二十六の事業者団体が作成をいたしました二酸化炭素排出の削減に関する例えば製造工程の改善ですとか生産設備の効率化、またさらなる新たな技術の導入などの内容を含みます自主行動計画につきましては、本年六月、産業構造審議会など関係審議会の場においてフォローアップを行ったところでございますが、今後ともその自主行動計画の実施状況を点検することによりまして計画の実効性を確保することとしております。  また、省エネルギー型技術の研究開発ですとか、その技術を活用した設備の導入普及に対する支援というものを行うことといたしております。  またさらに、クリーンエネルギー自動車の導入に対する支援を行っておりますが、こういったものに加えまして、低燃費自動車の一層の普及促進のための支援を検討しているといったようなことをしております。  また次に、ハイドロフルオロカーボンなど三ガスの排出抑制対策についてでございますけれども、これも代替フロンなどを製造使用しておりますエアコン製造業ですとか半導体製造業といったような十九の事業者団体が作成いたしました漏えい防止ですとか回収、破壊の取り組みを内容とする自主行動計画につきまして、本年六月、関係審議会の場においてフォローアップを実施したところでございますけれども、今後ともその実施状況を点検することにより行動計画の実効性を確保することとしております。  また、この現在の代替フロンなど三つガスにかわります新規代替物質の開発ですとか代替システムの開発を図るためにいろいろ支援を行っているところでございます。  通産省といたしましては、産業界におきます温暖化対策への取り組みが確実に効果を上げるよう、今後ともこれらの対策を着実かつ積極的に推進してまいりたいと考えているところでございます。
  123. 福本潤一

    ○福本潤一君 通産省は今の削減計画の取り組み、特に産業界、監督官庁だからやっていかれたわけでございますが、環境庁はやはりこういう形での民生、運輸がまたもう一つありますけれども、各省庁にかかわる削減計画が必要なときには、せっかく六%という形で英断されて大木長官時代にこういう形で出てきたものですから、やはり早急にこの担保法にかかわる、こういう形で削減計画目標に向かってやろうと思うんだという形でやっていく必要があると思うんです。  そうしないと、具体的に六%、念仏的にとりあえず数は出してあの京都会議はクリアしたけれども、早速もうCOP4が待っているので、ぜひともこの理念法、日本で画期的な法案だから通してくださいというようなことになっても、具体的な法案の中身を、担保法を次の法で出すという形の動きがないまま、一つの念仏が京都であったというような形の話に終わりかねないというのが私の感想でございます。特にあのときは議長国ということで、大木長官は京都の駅まで行かれていたのを引き返されて再度会議に臨まれたという熱心な取り組みをやられたこともあるわけでございますので、ぜひとも今後早急に対応していただきたい。  といいますのは、今ちょうど私もダイオキシン対策本部という公明の党の中でより深刻な問題が起こっている問題をずっと扱っていきますと、今回はCO、以外にも六ガス全部にわたって六%削減ということになりますと、PRTRというような一つのきちっと、産業界どういう形で使ってどういう形で排出しているのかというのをきちっと押さえておかないといけないというものがあった上で初めてこういう将来計画というのができてくるというのがあります。このことに関しましても、ちょうど環境庁通産省が両省とも、環境庁は新法をつくりたい、また通産省は旧法の改正でいきたいということで調整が、今後うまくいくんだろうとは思いますけれども、この両省の力関係もあるのかもわかりませんけれども、スムーズにいっていない、またいってほしいという問題がたくさんあります。  これはまた次の設定としまして、ぜひとも同じ四国の豊島を控えられておる香川から環境庁長官出られましたので、この地球温暖化に向かってぜひとも取り組む姿勢を最後に聞かせていただいて、私の質疑を終わらせていただきたいと思います。
  124. 真鍋賢二

    ○国務大臣(真鍋賢二君) 福本先生の御指摘を私は先ほど来拝聴しておりまして、もっともだという考えで意見の一致を見たところであります。  と申しますのは、私も長官になりましてから、この六%削減をどうしたら達成できるかというマニュアルをつくってみろということで環境庁にもハッパをかけまして、その計画づくりを急いでおるところであります。ですから、例えばCO2を自動車の排気ガス関係では二〇%とか、その排出権の問題ではこの程度とか、いろんなことを想定しましてやっておるところでありまして、環境庁が何にもやっていないというわけではないわけでありまして、今の段階ではこの法案をぜひ通していただいて、その土台をしっかりつくってお願いしたいというところであります。  そこで、私も、この問PRTRのあの世界会議日本で開催されまして、それでOECD関係やまた環境庁からも協力し合ってやったところでありますけれども、これも決して通産省主導でやるんでないということは明確にいたしておるところでありまして、環境行政の介入というものをしっかりとやらなきゃならぬということで通産省にも働きかけて、両省間で十分な話し合いをしてからだと、最終的には大臣決裁で処理をするからということで、今局長段階で話し合いをいたしておるところであります。決して環境庁はこの両省間の問題に対してある意味では逃げ腰的な存在ではないと、これはもう積極的に話し合いをして両省問でまとめられるものであるという認識に立って話し合いを進めておるところであります。ですから、両省問の話し合いの中で背景がおのおの違っておるわけでありまして、その間の意見の相違はあるものの、最終的にはこのPRTR法案というものはどういう形で収拾させなきゃならないかと、そこに思いをいたして両省間でまとめていくつもりでございますので、どうぞ今後とも御支援をいただきたいと思います。
  125. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 地球温暖化問題は、本会議でも申し上げたように人類の生存基盤にかかわる最も重要な環境問題であり、政府は究極的課題というふうに言われていますが、私たちは待ったなしの課題だと考えております。きょうは、CO2発生源の二〇%を占める運輸部門、その中でも八八%を占める自動車の問題について質問したいと思います。  最初に、自動車排ガスによる健康破壊の問題から伺います。  去る八月五日に川崎の公害裁判で原告被害者の全面勝訴の判決が出ました。判決は、自動車排ガスの有害性、NO2、SPM、浮遊粒子状物質と健康被害との因果関係を認め、さらにその被害が現在進行形として存在している、そう認定しました。被害者の自動車排ガスによる今までの被害はもとより、現在も被害は進行している、そういう重要な判断が示されたわけです。  被害者の皆さんは十六年間もの長きにわたって、その問百五十人が亡くなられる、そういう困難の中でまさに生死をかけた裁判闘争に取り組まざるを得ませんでした。それは私は、国が国民の命と健康第一で行政を進めてこなかった、そこに大きな原因がある、そういうふうに思います。その意味で国の責任は重大だと言わなければならないと思います。まず、その点について大臣のお考えを伺いたいと思います。
  126. 真鍋賢二

    ○国務大臣(真鍋賢二君) 多くの国民が暮らしている大都市環境をよりよいものにしていくということは、これはもう環境庁の重要な使命であることは言うをまたないわけであります。そこで環境庁におきましても、大気の汚染について望ましいと考えられる基準を定め、その基準の達成状況を調査してきておるわけであります。現在のところ、大都市におきましても二酸化硫黄などについての基準をほぼ完全に達成しておりますが、その一方、二酸化窒素などの基準の達成は依然として低い状況にあるわけであります。  なお、先ほどの川崎判決の問題でございますけれども、この問題につきましてはいろいろと考えられるわけであります。当時の状況、また現在の状況との比較、変更、変遷もあると思っておるところであります。地裁におきましては先般のような判決が出たわけでありますけれども、これがまた高裁に参りましてということで八月十八日に政府としての控訴の手続をとったところでありまして、これはもう高裁の判決を仰がなきゃならないと思っておるわけであります。  実は、私も先般、あの川崎公害地区を私的な面ではございましたけれども調査してまいりました。いろんな取り組みをいたしておるところでありまして、これでという一つの大きな解決策はないわけでありますけれども、皆さんが知恵を出し合ってこの問題に取り組んでおられるその姿を見て、やはり思いは一つでありまして、何とかこの地域をよくしていこうという気持ちじゃないかと思っておるわけであります。それがための対策はいろんな形で講じていかなきゃならないと、こう思っておるところであります。
  127. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 先ほど申し上げたように今度の判決は、被害者が過去のことではなくてまさに被害が現在進行形ですから、これからもこのままの状況であれば被害者がふえていくということになるわけですから、非常に重大だというふうに思います。  判決は、現段階での最高水準の医学的、科学的知見に基づいて二酸化窒素単体での被害を認めました。さらに浮遊粒子状物質、SPMについてもNO2等との相乗で影響がある、そう認めているわけです。  ところで、九六年度の自動車排ガス測定局で環境基準の達成率はどのぐらいなのでしょうか。それから、首都圏あるいは大阪、兵庫など大都市の達成率はどういう状況になっているのか、御説明をいただきたいと思います。  あわせて、達成率が改善されていると考えておられるのかどうか、その点も伺いたいと思います。
  128. 廣瀬省

    政府委員(廣瀬省君) 最近の例で申しますと平成八年、全国で三百七十三の自動車の排出ガスの測定局がございまして、そこで二酸化窒素の測定が行われておりまして、この達成率は六四・六%、三百七十三分の二百四十一局となっております。  次に、大都市関係でございますが、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、大阪府、兵庫県の自動車排ガス測定局に限定しますと、三八・一%、百八十一局中六十九局が達成しております。  そして、この流れについてでございますが、平成六年、平成七年、平成八年という推移の中でいきますと、平成六年が達成率が全国で六七・四、平成七年が七〇・五、それから平成八年が六四・六と先ほど申したとおりでございまして、流れ的には横ばい的な流れを持っているかというふうに思っております。
  129. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 横ばいというよりも悪くなっている、そういう面もあるのではないでしょうか。  今言われた資料、いただいたのをちょっと見ているわけですけれども、例えば東京について言えば、自排局の二酸化窒素の場合、前年よりも七%悪くなっているわけです。それから大阪の場合には、一六・二%前年よりも悪くなっているということで少しもよくなっていないし、全体として非常に深刻な状況にあるということがこの統計数字から言えるのではないかというふうに思います。  ちなみに、自排局の調査の仕方について私なんかは大分問題を指摘してきたわけですけれども、例えば非常に高いところではかってみたり、余り自動車排ガスが来ないような、一般局の場合は緑の深い神社の中ではかってみたりとか、いろいろ問題があるようなはかり方をしながらも、こういうふうによくならないところか悪くなっているという状況が非常に大きな問題だというふうに思います。  次に、浮遊粒子状物質、SPMについてはどうでしょうか。
  130. 廣瀬省

    政府委員(廣瀬省君) 浮遊粒子状物質の環境基準の達成状況でございますが、平成八年度、全国二百二十七の自動車排出局で浮遊粒子状物質の測定が行われております。環境基準達成率は二百二十七のうち九十五局、四一・九%というふうになっております。  それから、大都市、先ほどの埼玉、千葉、東京、神奈川、大阪、兵庫県の自動車排出ガスの測定局に限定すれば、環境達成率は一八・四%、これら六都府県は百二十五測定局持っておりまして、そのうち二十三局が達成されております。  以上です。
  131. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 これも非常に悪いわけですね。  それで、国内の自動車保有台数の伸びについて伺いたいと思いますが、八〇年と比較して現在どのぐらいふえているか。それと、ディーゼル車の台数の伸びについて御説明いただきたいと思います。
  132. 廣瀬省

    政府委員(廣瀬省君) 四輪自動車の保有台数の推移は、八〇年、昭和五十五年、三千七百六十三万台でございまして、九六年、平成八年、六千八百三十一万台となっておりまして、約丁八倍に増加しております。  このうちディーゼル車は、昭和五十五年、一九八〇年ですが、三百六十一万台で九・六%、三千七百六十三万台のうちの九・六%という意味でございます。そして、九六年、平成八年は一千二百七十三万台で一八・六%、六千八百三十一万台のうちの一八・六%となっておりまして、台数でディーゼル車は三・五倍になっております。  また、自動車全体に占める割合では九・六%から一八・六%に動いておりますので、約二倍に増加しているということになっております。
  133. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 結局、車の台数がふえている。その中でもディーゼル車がふえている。  ディーゼルというのは自動車総数の一八%を占めているわけですけれども、NOx排出量で言えば七五%を占めているわけですから、そういうディーゼル車がふえるということは環境に大変大きな負荷を与えるということになると思うんですけれども、その点いかがですか。
  134. 廣瀬省

    政府委員(廣瀬省君) 環境基準未達成の問題で、自動車の激増ということとその中に占めるディーゼル車の問題点ということの御指摘でございますが、大都市地域を中心に大気汚染の改善がはかばかしくない主たる原因は、単体規制の強化等の効果自動車交通量の増加やディーゼル車の伸展等により相殺されて、自動車からの排ガスの総量の削減が思うように進んでいないことにあると考えております。  このような状況を踏まえて、地域全体の自動車排出ガスの総量を抑制する方策について検討した結果、平成四年に自動車NOx法が制定されたところでございまして、自動車NOx法に基づいて、単体規制に加えて新たに使用車種規制を導入しました。そして、自動車NOx総量削減計画を策定して、物流対策それから人流対策、マイカーをやめて公共のバスに乗ってもらうというような対策による交通量の抑制や低公害車の普及等の諸施策を総合的に推進してきたところでございます。  そしてまた、最近の環境庁の調査によりますと、全国でディーゼル車の保有台数、先生が御指摘のところでございますが、台数は自動車全体の約二割であるにもかかわらずその排ガス量は窒素酸化物で全体の四分の三を占めている。それから、ディーゼル排気微粒子ではほとんどすべてを占めている状態という考え方でございます。  そして、ディーゼル車の単体規制については、中央公害対策審議会の平成元年答申で示された長期目標を達成するため、車種により、平成九年から十一年にかけて規制強化を実施しているところでございます。  さらに、現在、中央環境審議会大気部会でディーゼル車の新たな排出ガス低減目標について御審議をいただいており、年内を目途に答申をいただく予定でございます。この中で、窒素酸化物やディーゼル排気微粒子の規制強化について御審議もいただいているところでございます。
  135. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 自動車の対策については後でまた議論したいと思います。  公害問題についてもう一つ伺いたいんですが、公害患者の実態ですけれども、公害健康被害補償法の改悪がされてから、国の認定患者は八九年の十万七千二百七人から九六年には七万四千百九十五人と三万三千十二人も減ってしまっています。ところが、東京都条例による患者は二倍になっています。二十三区は三・四倍、川崎でも一・八倍、大阪では四・六倍と激増をしています。大都市圏での大気汚染の悪化、これが患者を増加させていることは明らかだと思います。その原因が自動車の排ガスにある、それが今回の判決での指摘であるわけです。  川崎市は今月末に開かれる公害補償地域連絡協議会で公害指定地域の再指定を求め、川崎市自身も被害者の対象を拡大するということを検討中と言われています。国は汚染の深刻化の実態をリアルに直視して、公害指定地域の再指定をすべきだと思いますけれども、大臣、この点いかがでしょうか。
  136. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) お答え申し上げます。  公健法の旧指定地域の地方公共団体の中に、保健福祉的な観点からぜんそく等の患者の認定を行い、医療費等の助成を行っている自治体があることは先生今御指摘のとおりでございます。  ぜんそく等の患者数は全国的に増加しておりますが、ぜんそく等はさまざまな要因によって発症するものでございまして、患者数の増加の主たる原因が大気汚染であるということができない状況にあると考えられます。具体的には、先ほど申し上げましたように増加傾向というのは全国的なものでございまして、本当に大気汚染がおよそ考えられないような状況下においてもぜんそくの患者さんがふえているというような状況もあるわけでございます。  現在の大気汚染の状況からは、公健法による地域の再指定が必要とはそういう意味では考えられませんが、今後とも大気汚染による健康被害の予防に万全を期してまいりたいと考えております。
  137. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 従来の答弁の域を出ないわけですけれども、そういう姿勢だからなかなか公害はなくならないということなのではないでしょうか。  被害者の健康と命を守るために、新たな犠牲者を出さないために、先ほどいろいろと対策を言われましたけれども、何はともあれとにかく車の総量規制ということが今必要なのではないかというふうに私は思うんですが、その点どうですか。
  138. 廣瀬省

    政府委員(廣瀬省君) 先ほどNOx法についてのお話をしておりますが、その関連とあわせて総量規制について御説明申し上げます。  大気汚染の改善を図るために、先ほど申しました単体規制ということで自動車一台ごとの排出ガスの規制の強化を進めていますが、自動車交通量の増加ということとディーゼル化が進むということで相殺されているという考え方を持っております。このような状況を踏まえての平成四年の自動車NOx法という形で自動車排出ガスの総量を削減するために考えられた一つの手法でございまして、自動車NOx法に基づいて知事が策定する自動車NOx総量削減計画において低公害車の普及や物流の合理化等による交通量の抑制等の施策が盛り込まれておるわけでございます。  環境庁としては、関係省庁、地方公共団体と連携をとって、自動車NOx総量削減計画推進を強く進めていくというのが今与えられている仕事というふうに思っております。
  139. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 実は、九〇年十一月に出された「窒素酸化物自動車排出総量抑制方策の在り方について」という中間取りまとめがございます。  この中では、工場とか事業場に係る自動車排出ガスの総量規制が必要、あるいは自動車の使用車種規制等が必要だというふうに述べていて、そしてそれは、削減目標、規制対象等を定めた自動車排出総量削減計画を策定する、計画に基づいて総量規制基準をつくる、そして管理者はその総量規制基準を遵守しなければならない、規制対象工場、事業場は、自動車の種類及び台数、排出総量削減計画等を届け出るものとする、総量規制基準の遵守義務違反については勧告、改善命令を行うことができるものとする、届け出義務違反、命令違反等については罰則を設ける、これが九〇年十一月の中間取りまとめなんです。  それが最終報告になりますと全く緩くなってしまって、「対象事業者は、事業に係る自動車利用からの窒素酸化物排出を抑制するための計画を策定し、都道府県知事に提出しなければならないこととする。」というふうに、それだけになってしまっているわけです。だから結局、今のような基準を達成できないような状況が生まれているというふうに思うのです。  そこで、道路建設について個別なことを伺いたいんですが、大都市部においては特別の対策が必要だどいうふうに思います。川崎の地域では、今判決が出ている地域ですが、さらに高速川崎縦貫道や横浜環状道路などの新たな道路計画がメジロ押しです。従来、渋滞解消の名目で道路の新設、拡幅がされてきたわけですが、渋滞が解消されるどころか、なお一層自動車交通量がふえ、渋滞と大気汚染を引き起こして公害被害者が苦しむ、そういうことが今度の川崎の判決でも認められているし、また西淀川などで起こってきていることです。今でさえ公害患者が苦しんでいるのに、この上被害を広げる、そういうことは許されないと思います。新たな道路建設、これについては私はやめるべきだというふうに思います。特に、そういう大都市対策としてこの点は考えていかなければいけないというふうに思います。  先ほど大臣が、あれこれ大気汚染対策をとっているということを言われました。確かにそれはやられていかなければいけないと思いますけれども、やっぱり道路をふやす、自動車をふやす、水道の蛇口をひねりっ放しにして幾らふいたってそれは間に合わないわけです。そういう点で、私はこの地域、特に大都市圏におけるこういう道路建設については考え直していかなきゃいけないというふうに思うんですけれども、その点いかがでしょうか。大臣の回答をいただきたいと思います。
  140. 廣瀬省

    政府委員(廣瀬省君) まず先生の最初に言われました平成二年の十一月のNOx総量規制が後退したという考え方についてなんですが、これについては平成二年十一月の中間取りまとめで、自動車から排出される窒素酸化物総量を抑制する方式のあり方についてより具体的な検討を行うための素材として示されたものと、これに対して寄せられたさまざまな意見及び法制度の検討結果を十分踏まえた上で最終報告が今回のNOx法の中に盛られた、平成三年十月に取りまとめられてこれがまとめられたものでございます。  これで平成十二年度に環境基準のおおむね達成に向けて一つの基準を設けられているということで、この総量削減の基準が設けられていることにあわせて、私たちとしては、先生のおっしゃられた平成二年の答申を平成三年の最終報告では少なくとも緩くして通したのではないかという考え方ですが、その前にとりあえず今決められている総量削減計画目標数値というのがございますから、それにあわせてとりあえずいろんな施策の中で全面的に努力をしてまいる、そしてそれにあわせてしっかりした結果を出すような努力を続けることが一番の仕事かというふうに思っております。
  141. 真鍋賢二

    ○国務大臣(真鍋賢二君) 関係省庁局長会議が先般開催されまして、当面の高濃度の汚染地域における道路環境対策について、地元における検討と連携をしつつ重点的にやっていこうということに相なっておるわけであります。  私も現場を見まして、どうしたら一番ベストな対策が講じられるだろうかということで、ない知恵を出し合っていろいろ模索しておるところであります。今、蛇口をひねりっ放しにしてやったのではだめじゃないかということでありますけれども、決して出しつ放してはないわけでありまして、そういう検討を加えていっておるわけでありまして、また先生方の方からもこういう方法があるぞというようなことがあったらお教えをいただきたい、こう思っておるわけです。
  142. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 蛇口のひねりっ放しというかあけっ放しということの意味は、今新しい道路が次々とあの地域で計画をされている、そういうことですから、その問題をきちっと見直していかないとなお一層深刻な事態になるということで申し上げたわけで、その点も含めて御検討いただくということで理解をさせていただきまして、次の質問に移りたいというふうに思います。  最近、SPMのうちディーゼル車の排ガスに含まれる微小粒子、PM二・五が大変大きな問題になっております。早急に環境基準を設定すべきだと思いますけれども、その点いかがですか。
  143. 廣瀬省

    政府委員(廣瀬省君) 浮遊粒子状物質は十ミクロン以下の粒子ですが、PM二・五は二・五ミクロン以下ということで、特にディーゼル排ガスの中で寄与しているのが一番大きいわけです。  これについての先生の環境基準の設定についてでございますが、まず人為的に発生されるということで、この寄与割合が大変大きいということで、今申したとおりディーゼル車の問題ということを考えております。  そして、特に二・五ミクロン以下の大気環境濃度と健康影響との関連性ということに着目して、具体的にはアメリカは二・五ミクロンの排出抑制を目的とした、規制というのはまだ実施しておりませんが、環境基準をつくって昨年七月に設定されておりますが、これで具体的にモニタリングをどうしていくか、そしてその設定の方法、測定について検討するようになってきております。そういうことも頭に置きながら、我が国において平成九年度よりPM二・五の測定方法に関する調査を実施してまいりました。これに並行してPM二・五を含む粒子状物質の健康影響に関して基礎的研究、検討を行っているところでございます。  なお、一般大気環境におけるPM二・五の暴露量と健康影響との関連を明らかにするための疫学的な検討を行うことを目的として、平成十一年度予算の要求に入れてございます。そして、この中では子供の呼吸器系の疾患との関連を含めて疫学的に検討すること、そして動物実験との関係を含めた研究も含めてきちっと仕事を進めていくというふうに考えておりまして、これらの調査を踏まえてPM二・五の環境基準の設定について検討を進めてまいりたいというふうに思っております。
  144. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 アメリカでは大問題になっているということですね。今の御説明では随分のんびりしているのではないだろうか、本当にその点急いで環境基準の設定をしてもらいたいというふうに思います。  時間がなくなってきているので聞き苦しいかもしれませんけれども、私の方から、総量規制をどうしてしなければいけないかということでいろいろ政府が出しているデータをもとにあれこれ考えてみましたので、それをちょっと長くなりますけれども説明いたします。それに対してお考えを伺いたいと思います。  まず、運輸部門の炭酸ガスの排出量の増加率、これは一九九〇年度から九五年度で二八%、一番高い比率になっています。これを削減しないと炭酸ガスの排出は減らないということでございます。ですから、きょうこの場で取り上げているわけですけれども、運輸部門、特に自動車からの排出をどう削減するかということですが、走行量を削減しないで達成は難しいというふうに思います。ところが、実際には削減どころか二〇一〇年の自動車走行量を、一九九二年の六千二百八十六億台キロから二〇一〇年には八千八百六億台キロと一・四倍に増加させるということを決めています。  そのことについて関係審議会合同会議は、これらの対策により二〇一〇年のエネルギー消費量を九五年とほぼ同様の水準に抑えることができるが、九〇年度から九五年度までに既に二八%増加したCO2排出量を削減することまではできず、二〇一〇年に九〇年比一七%の増加が予想される、こう指摘をしているわけです。それから、円滑な自動車走行が温暖化防止対策となるということで、地球温暖化防止対策費のうち道路予算が十一兆七千百十三億円のうち八兆四千億円占めていることについて、一昨日の委員会で参考人の方から、このことが世界の物笑いの種になっているという指摘があったわけですけれども、自動車走行量をふやしても混雑緩和にはならないということについてですが、これは過去の経緯から明らかだというふうに思っています。  一九九〇年と九四年の交通センサスによりますと、この間、高速自動車国道都市高速道路の車線キロ数は二万五百三十二キロから二万三千八百二十一キロヘと一・一六倍ふえていますが、自動車の走行台キロはそれを上回って丁二七倍となっていて、平均走行速度が八十・六キロから六十六・六キロに大幅に低下をしています。一般道路を見ると、その間に直轄国道でも車線キロの伸びが一・〇七に対して走行台キロの伸びは一・〇九、平均走行速度は三十六・八キロから三十四・九キロに低下をしているわけです。その他の国道、主要地方道のいずれを見ても同じ結果になっているわけです。  つまり、自動車専用道路中心とした道路建設を幾らしても、結局自動車の走行量の増大を招くだけで渋滞の解消にはなっていないんじゃないか、そういうことが言えると思います。  それから、幹線道路の混雑区間もふえています。一九九〇年度から九四年度までに高規格幹線道路の供用延長は五千四十七キロから六千二百四十九キロへと二三%ふえました。この間に一般国道の混雑度一以上の区間は、一万五千三百八十二キロから一九九四年には一万八千七百九十六キロ、つまり三千四百十四キロ、二二・二%ふえています。混雑度一・五以上の区間は三一・二%もふえています。やはり都道府県道を含めて皆増加している、そういう状況です。ですから、これもまた自動車専用道路網の建設では渋滞解消にならないということになると思います。  また、燃料の消費量も大変ふえているということで、一九九〇年と九五年を比べますと、自動車によるガソリン消費量は七千九百九十六キロリットルふえている。軽油の消費量も八千三百五十九キロリットル増加をしている。炭酸ガス排出量に換算して千百十五万トンも増加をしているということであります。この間も道路建設や物流効率化対策あるいは公共交通機関の利用促進、先ほどいろいろ論議がありましたけれども、あれこれやっていますということはあるわけですね。ところが、実際はこういうふうな状況になっている。  それで、自動車対策、「運輸部門における今後の温暖化対策のあり方」、こういう検討があるんですけれども、これを見ると、警察庁通産省運輸省郵政省建設省環境庁はないんですね。私は、やはり環境の面から、CO2を減らすために運輸部門の対策をどうするかということで環境庁がしっかりと考えていく、こういう基礎数字も積み上げてちゃんと検討していく、これならできるじゃないか。先ほど大臣が、運輸部門で例えば二〇%と言われましたけれども環境庁自身としてそういう数字を明示することが必要だというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
  145. 真鍋賢二

    ○国務大臣(真鍋賢二君) ただいまのお話でございますけれども、自動車の走行量の削減のための物流の効率化や公共交通機関や自転車の利用促進とかいうようなことは一方では言われるわけでありますけれども、片方では、私はやはり低公害車の開発を急いでいかなきゃならない、こう思っておるところであります。  環境庁としましても、天然ガスとか電気自動車、メタノール車等々の開発を急いでほしい、またハイブリッド車によって低燃費にしたり、化石燃料を使わないような方策を講じていこうということでありまして、そういうものが開発されると今の状態でも公害が半減する計算ができるわけであります。  そういうことでございますから、ぜひ私は低公害車の開発に努力してまいりたいということで、今各省庁にも呼びかけまして、各省庁に低公害車を一〇%導入してほしいということの依頼を先般の閣議でもいたしたところであります。そしてまた、それの普及のためにということで、税制面での優遇策であるとか、他の燃料による削減計画であるとか、いろいろ講じておるところでありまして、それが達成できればという気持ちを持っておるわけであります。  環境庁としましても、今回のこの法案を通すことによって、温暖化の防止策の土台をつくって、その上にそういう低公害車を開発することによって目的を達成してまいりたいと思っておるわけでありまして、決して環境庁は手抜きをしておるわけではありませんで、これはもう積極的に我が環境庁として意見を出しておるところであります。
  146. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 低公害車の問題について、私もフェアに行ってまいりましたけれども、技術面での進歩を否定するわけではありませんけれども、すぐに切りかわるということではないわけですね。なかなか時間のかかることであります。  今問題になっているのは、とにかく渋滞緩和が排出効果になるんだということで道路だけはどんどんつくられている。低公害車が普及できないままでそういう事態が進んでいるというところに問題があるわけであって、OECDは一九九五年に都市交通と持続可能な開発というレポートを出しています。この中で、現在用いられている各種の施策について検討した結果、過去に道路建設が公共交通環境整備政策を減退させたケースは驚くほど多い。同様に、道路整備や自動車排ガス削減目標と逆の方向に作用することがある。交通システムの容量増大のプロジェクトは、すべて結果的により多くの移動を誘発させる、そう指摘しているわけです。  私は、そういう考え方に基づいて、今の道路拡大政策がいいのかということを本当に真剣に見直していかなければいけない、そういうことでいろいろと具体的なデータを示して今議論をさせていただいているわけです。そこのところをしっかり大臣にとらえていただいて、そしてどうするのか。やっぱり今抜本的な見直しをしていかなきゃいけない、そういう時期に来ているんだということについて、しつこいようですけれどもお考えをいただきたいというふうに思います、その点に絞って。
  147. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) 時間が参っていますので、簡潔にお願いいたします。
  148. 真鍋賢二

    ○国務大臣(真鍋賢二君) 御指摘を踏まえて検討をさせていただきたいと思っておるわけでありまして、私も決して今日まで道路関係予算で環境庁が対応してきたことには満足感を覚えていないわけでありまして、一生懸命やってまいりますので、よろしくお願いします。
  149. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 「六%の削減目標の当面の達成方策について」というところで、大変くどいようでございますけれども、もう一度聞かせていただきたいというふうに思います。  京都議定書の三条三項に基づく計算方式では〇・三%という数字が出ているにもかかわらず、この目標の中でマイナス三・七%と記入をし、そして三条四項に新しいレビューとして検討課題としてこれから推進をする、その不確定な数字をマイナス三・七と入れた中でのマイナス六%の削減というのは私は納得ができないわけですけれども、この三・七%を示そうとする計算方式というのは、いわゆる京都会議においては各国から否定をされた計算方式ではないのですか。
  150. 浜中裕徳

    説明員浜中裕徳君) 吸収源対策で三・七%を見込んだということについてのお尋ねでございますが、ただいま先生御指摘のとおり京都議定書第三条三項の規定では、一九九〇年以降に行われた植林や再植林に原因がある二酸化炭素の排出や吸収の量のネットの変化、純変化に限って数値目標の達成に当たってこれを算入することができるとされておりまして、この方式に基づいて我が国に当てはめまして計算をいたしますと一九九〇年の温室効果ガス排出量の〇・三%に相当するわけでございます。一方、京都議定書三条四の規定におきましては、今後、土地利用変化及び林業等に関する部門で人為的活動に伴ってどの程度二酸化炭素吸収量を考慮していくべきか。この点につきましては、今後、議定書の締約国の第一回会合以降において検討した結果、決定をするということになっております。これに向けまして、現在、各国の専門家の間でも検討が始まっているわけでございます。  そういうことで、まだ扱いが決まってはおりませんが、私どもの理解では、三・七%と申しますのは、仮に我が国のすべての森林を対象にいたしまして二〇一〇年ごろにおける我が国全体の森林等による純吸収量を推計いたしますと、九〇年の温室効果ガス排出量の三・七%程度ということで計算をしているわけでございます。こういうことで、現在まだ取り扱いについてこれから検討が国際的になされるわけではございますけれども、そうした三・七%の計算の根拠になった考え方については、これは可能性があるというふうに私ども考えております。  ただ、いずれにいたしましても、これは吸収源の取り扱いをめぐるいろいろな課題がございまして、これが科学的にも基づいたものでなければならないと思いますし、また法的拘束力のある削減目標に抜け穴とならず、温暖化防止に意義のある形で吸収量を算入する必要がございます。そういった点についての国際的合意が形成されることが重要だと考えておりますので、今後そうした国際交渉にそういった観点から参画をし、そして適切な合意が形成されるようにしてまいりたいと考えております。  そういった中で、我が国といたしまして六%削減はいずれにしても達成しなければならないわけでありますから、国際協議の結果といたしまして当初見込んだ三・七%というものが仮にその分を全部算入することはできないということになりましたならば、他の手段も含めまして全体として六%の削減を達成していかなければいけない、これが現在の政府の考え方でございます。
  151. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 それでは確認させていただきます。  この三・七%というのは不確かな数字であるということと、この三・七%がもし計算式として認められない場合はほかの方法で六%削減の道があるということですね。それは確認させていただいていいですね。今そうおっしゃいましたよ。
  152. 浜中裕徳

    説明員浜中裕徳君) 失礼をいたしました。  不確かな方法だと申し上げたつもりはございません。これはこれまでの考え方で三・七%を見込める可能性はあると考えておりますが、いずれにいたしましても、これから国際的な協議でございますから合意がなければそこまで見込めるかどうかは現段階で確言はできないと、そういう意味で申し上げた次第でございます。
  153. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 それでは、政府は日本が木材を輸入している状況をどんなふうにとらえますか。  今は木材の自給率は二〇%ですね。世界じゅうから輸入をしなければならない状況がありますが、この輸入されてくる八〇%の木材の吸収源は当然そこの産出国の協力なしには得られないわけです。IPCCの科学者たちは、新しいガイドラインをつくって貿易の効果が含まれる計算方式を検討しているというふうに聞いていますけれど、も、こういう検討がされている中で、日本が三・七%のこの削減を出せる計算式を出した場合、真っ向から対立してくるのではないですか。
  154. 浜中裕徳

    説明員浜中裕徳君) 木材貿易との関連でございますけれども、現行のIPCCのガイドラインによりますと、木材は伐採が行われた場所あるいは国において排出量として算定をされる、切ったところで排出がされる、こういうやり方になっております。ところで、京都議定書においては、こういった伐採についてIPCCの現在のガイドラインによる方法を採用するのかどうか、これは必ずしも明確な規定はございませんけれども、これまでの国際交渉の経緯に照らしますと、こうした考え方で行うのではないかと解釈をしております。ただ、御指摘のとおりIPCCにおきましては、これまでのそういった考え方でいいのかどうかということについての再度見直しの検討も行われているように聞いております。  ただ、同時に、伐採後の木材の取り扱いにつきましては、木材製品が実際には消費されるところに持ってこられまして、例えば輸出をされて日本に持ってこられる、そういうことになりますと、例えば住居でございますとかさまざまな木材製品に使われて、長期間炭素のストックとして使われていくという役割もあるわけでございますから、これらを含めてどう評価するか。日本に輸入した時点ですぐ大気中に炭素が出るわけではございませんから、そういった点をどのように考慮していくか、これはIPCCにおいても今後の大きな検討課題であるというふうに認識をしております。  私どもといたしましては、そうした専門家による検討結果も十分踏まえまして、今後の適切な取り扱いを検討してまいりたいと、このように考えております。
  155. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 そういういろいろな観点からの考え方がある中で、この六%の削減目標の中で、二〇一〇年における日本の全森林の数量でマイナス三・七という基準の中で六%が積算されてきていることに私はすごく問題があるんだろうというふうに思います。  だから、〇・三%の計算に成り立つその議定書三条三項の基準に基づいて、日本の政府はその範囲内での主張にとどめておかなければならないのじゃないかというふうに思うわけですけれども、今お答えの中ではいろいろな検討課題があり、これからも協議をしていかれるということですから、そのことも私の主張も踏まえてやっていただきたいというふうに思います。  さらにもう一つ申し添えておきたいのは、ドイツのボンにおきます地球変動アドバイザー会議科学者たちの発言の中にも、差し引きできる再植林は、一九九〇年に全く森林がなかった地域で行われた再植林のみに限定するべきではないかという勧告もなされているということもぜひお含みおきをいただき、日本が主張しようとしていることが世界から受け入れられる可能性というのは極めて私は少なくなってくる、途上国側の主張も恐らく強くなってくると思いますので、日本政府が主張しようとする方向というのは極めて難しい方向になってくるのではないかというふうに思っています。  林野庁の方、来ておられますか。恐れ入ります。  吸収源の強化対策として今まで日本の国内では民有林、国有林合わせて非常に原野を切り開いて植林をしてくるという、いわゆる人工林に変わってきているわけです。この規制がされます二〇〇八年まであとまだ十年あるわけですけれども、今育ててきた人工林を伐採して、そして新たに植林してこの基準年を迎えるというような状況をつくっていけば、議定書のこの三条三項の部分の計算式に新たな吸収源としてのプラスが図られていくのではないかと思いますけれども、その考え方に対してどうお考えでしょうか。
  156. 山本徹

    政府委員(山本徹君) 吸収源として算定されるあの議定書の方式といいますのは、一九九〇年を基準年にいたしまして、それ以降に目標年次の二十年後でございます二〇一〇年前後の時点で、一年間に平均して炭素を、新たに一年間で年輪一つ増大いたしますけれども、これによって新たに炭素を吸収固定する量が幾らかということで算定する方式になっております。  それで、伐採する量をどう計算するかというのは、私ども全国の森林計画を持っておりまして、標準の伐期等を、あるいはその途中では間伐も御案内のとおりいたしますけれども、そういうものも全部組み込んだ上で目標年次の四年間でございますけれども、平均的にその時期に日本にある森林が一年間で新しく炭酸ガスを、年輪が一つふえる、成長することによってどれだけ吸収するかということで算定するというふうに理解しております。
  157. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 先ほど輸入材が非常に多いということを指摘しましたけれども、輸入材が多いのは内外価格差によって国内の木材が需用に供せられないという状況があって非常に輸入材に頼らざるを得ないという、その分日本の山々は荒れている状況にあるということはもう御存じのとおりなんです。  それを改善していくためにも日本の木材の自給率を高めていく、いわゆる日本の国産材に比重を移していくという状況で世界森林を荒らさないという方向も極めてはっきりしてきますし、輸入に頼らない状況もつくり出していけるということですけれども、とりあえず価格差を是正させていくためには、輸入規制が撤廃をされましたね。あの規制をもう一度復活させるような、いわゆる輸入制限がこの温暖化の問題に関して必要な時代に入ってきたのではないかというふうに思うのですけれども、その考え方に対して林野庁、どう思いますか。
  158. 山本徹

    政府委員(山本徹君) 現在、木材の輸入については御案内のとおり全面的に自由化されておりまして、丸太については関税がゼロ、それから一部の製材品等の加工品については一〇%前後の関税が賦課されております。  この全面的な自由化の結果、現在自給率二〇%でございますけれども、これを先生御指摘のように輸入規制すべきではないかという点でございます。今の国際的な貿易の秩序のもとで、木材について輸入制限、輸入規制を行うというのは基本的に困難だと考えておりますけれども、別途環境を守るという観点からの御議論はあると思いますので、私どもこれは持続的に経営される森林から伐採された木材のみを貿易の対象にすべきであるというような議論が今あることも承知いたしておりまして、私どもそういった国際会議に参加し、世界森林がきちんと健全に守られるということも大変重要な価値でございますので、そういった会議に積極的に参加し、日本の主張を行っておるところでございます。
  159. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 環境庁お尋ねをいたしますけれども、今度のこの京都議定書が発効して共同実施やクリーン開発メカニズムなどが実行される段階になった場合、例えば日本の製紙産業などが海外で大規模な造林を行います。そしてその大規模な造林を日本の輸出の材料にさせていただく、そこには当然日本のODAも参加をしながら開発していくというような状況が起こったときに、その森林吸収源というのは我が国にカウントされるんでしょうか。
  160. 浜中裕徳

    説明員浜中裕徳君) お答えを申し上げます。  御指摘のとおり、クリーン開発メカニズムあるいは共同実施につきまして、具体的なルールをどうするかということについて現在COP4を目指し、あるいはそれ以降も時間がかかるかもしれませんが鋭意国際的な検討を煮詰めているところであります。その中で、共同実施においては森林を造成したり保護したりということによる吸収の事業は対象になることが議定書上明確になっております。  一方、クリーン開発メカニズムについて、これが対象になるかどうかということにつきましては必ずしも議定書上は明確ではございませんが、現在関係国の間で対象となるべき事業がどういう要件を備えるべきかということについて議論を行っているところでございます。  我が国の主張は、この議定書の規定に沿って、例えば先ほど来御議論がございます一九九〇年以降に行われる新規の植林あるいは再植林、こういったことについては当然クリーン開発メカニズムの対象事業になるべきではないかという主張をしているところでございます。いずれにいたしましても、そうした国際的な議論を経て結論が出てまいりますと、途上国なり外国で行われる例えば植林の事業ということで我が国がその植林の事業に投資をするというような形で適切に行われたもので吸収された量については、我が国の目標の達成に当たって算入することができるということになるというふうに考えております。
  161. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 そういう考え方が非常に私は不公正なものだというふうに思うんです。先進国のエゴに見えてくるのではないかというふうに思うんです。  先ほどの科学者たちの発言の中にも、今削減目標が提示をされない途上国の吸収源についてはそのまま温暖化防止の政策としてきちんとそこはその国のものとしてカウントしていって、そして削減を必要とする国々は自国の努力によって削減していかなければ、本当に温暖化というのは私はつくり上げていけないんじゃないかというふうに思いまして、今度のこのクリーン開発メカニズムとか共同実施とかという状況の中で、その吸収源であるとかあるいは大気そのものが売り買いをされるような状況というのは本当にこれでいいのだろうかという思いがあるわけでございます。ぜひ、検討の中にも含めておいていただきたいなというふうに思います。  時間がないので飛ばさせていただいて済みませんが、エネルギー庁さん来ていらっしゃいますか。  それでは、エネ庁は温暖化防止のために今後原子力発電所を二十一基建設する計画を立てています。この二十一基の資料をいただいたわけですけれども、この中に新潟県の巻一号というのが着工準備中という形で書かれております。この着工準備中というのは、どういうところまで行っていることでございましょうか。
  162. 奥村裕一

    説明員(奥村裕一君) お答え申し上げます。  巻原発につきましては、電源開発調整審議会というところで、この着工といいますか推進につきまして政府としてこれを推進していこうということを決定したという意味でございます。
  163. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 巻では、既に御存じのように住民投票なども実施をし、これはもう完全に不可能ということで私たちは判断をしていますけれども、そういうところまでも着工準備中というようなことで、二十一基があたかも二〇一〇年までにはできていくんだというような方針の中で、温暖化防止対策の第一号のような形で出てくることに対して私は非常に不愉快でございます。  これからも原子力政策、私は今ある原発については安全性を見きわめながら稼働させていく分には仕方がないというふうには思いますけれども、これから先の放射性廃棄物の処理等々の問題が環境に及ぼす影響のことを考えていきますと、この温暖化の問題と匹敵する、極めて人類の生存に対して問題のある政策であるというふうに思うにもかかわらず、この温暖化防止対策として原発が挙げられていることに対して極めて間違った政策だというふうに思うわけです。  この原発建設の予算を、ソフトエネルギーやその他の新エネルギーの開発に充てていくという確かな方向づけを環境庁としては示していくべきではないかと思いますけれども、長官いかがでございますか、その件に対して。
  164. 浜中裕徳

    説明員浜中裕徳君) まず、事務的なことをお答え申し上げたいと思います。  もちろん新エネルギー対策や省エネルギー対策を進めなければいけないということについては、私どももそれを温暖化対策の観点からもその推進を図るという必要性は十分認識しておるわけでございます。一方、原子力につきましても、発電をいたしますときに二酸化炭素を排出しないエネルギーでございまして、地球温暖化対策推進大綱におきましても、確かに一方で高速増殖炉等をめぐる一連の事故及び不祥事により損なわれた原子力に対する国民の信頼の回復が必要でございますが、さらに安全性の確保に徹底して努めることを大前提として原子力立地に対する住民の理解と協力を求めていくというふうにされているところでございまして、環境庁といたしましても、このように安全性の確保の徹底を大前提としてその開発、利用に取り組んでいくことが必要である、このように考えております。  もちろん同時に、冒頭申し上げましたとおり温暖化対策として必要な新エネルギーや省エネルギーの開発、普及についても、環境庁としても関係省庁と連携しながらあらゆる努力をしてまいりたい、このように考えております。
  165. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 もう一つ、エネルギー庁にお聞きをしますけれども、炭素税の導入についてどのような見解を持っておられますか。
  166. 北畑隆生

    説明員(北畑隆生君) 直接の担当ではございませんけれども、炭素税につきましては、産油国との関係、それからいろんな負担をする方の公平関係から必ずしも適切なものではないというふうに考えております。
  167. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 環境庁はどうでしょうか。短くお願いします。
  168. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) 環境基本法及び環境基本計画で、今日の環境問題を解決していくための一つの手法として環境税を初めとする経済的措置について明記されているところでございまして、地球温暖化問題に対応する炭素税等の環境税の導入の是非につきましては昨年の中央環境審議会等でも議論がなされ、引き続き検討が必要とされたところでございます。  私どもは、これまでの議論を踏まえまして、さまざまな立場からの御意見等をいただきながら、国民的な議論のもとでさらに環境税についての検討を深めてまいりたいと考えております。
  169. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 本法律案もそうなんですけれども、規制による措置で温暖化防止推進しようとしているわけです。しかし、それは極めて難しい時代に入っているということは一昨日の本院本委員会での参考人の御発言の中にも、この際経済的措置を導入して炭素税とか環境税を導入しながら措置をしていかなければ温暖化の防止には実効性がないんだというような発言もいただいているところでございます。  そこで、石油エネルギー源の価格とそれから消費の今までの経過についてちょっと申し上げていきたいというふうに思うわけでございます。  いわゆる日本の高度成長期、五八年から七三年あたりを高度成長期と言いますけれども、そのとき経済成長率は年平均九・二%、そのときのエネルギー消費伸び率は年平均で一一・八%。これを計算いたしますと、経済成長率を一%上げるのにエネルギー消費伸び率は一・二八%。エネルギー消費伸び率が高いのは当然のように考えられておりましたけれども、第一次オイルショックを迎えて、一九七三年以降、経済成長率は三・九%と落ちるわけですけれども、エネルギーの消費伸び率は〇・九%。一%押し上げるためのエネルギー消費伸び率は〇・二三%。本当に格段の相違になっていくわけです。  さらに、第二次オイルショック、これは七三年当時と比べますと、一バレル当たり三十六ドル、当時は三ドルですから約十二倍ぐらいになっているわけなんですけれども、そのときの経済成長率が三・六%、このときのエネルギー消費伸び率は何とマイナス〇・四%とマイナスの数字をあらわしています。  そしてさらに、一九八六年以降、原油価格が急落をするわけですけれども、原油価格の急落と同時にエネルギーの消費伸び率というのがだんだんと上がっていきまして、八六年から九一年では経済成長率が四・八%、そしてエネルギー消費伸び率は四・一%に上がってしまっているんです。そして、一%上げるためのエネルギー消費伸び率は〇・八五ということで現在推移をしてきているわけなんですけれども、この数字で見るように価格が上がったときには消費量が本当に落ちている、省エネになっているんです。  この数字を見た中で、今のこの時代に炭素税を導入して、そしてその税収入は新たな国民の生活の向上に資するための財源にしていけばいいですし、そしてさらにエネルギーの消費を抑えて温暖化を防止するというこのことに非常に役立っていく政策の一つだろうというふうに私は思っているんです。  それで、環境庁環境基本法の中にも推進をするように明記されているわけですから、ぜひこのことをきちんと踏まえていただいて、環境税、炭素税の導入に対して前向きに取り組んでいただきたいというふうに思うわけですが、長官のお考えをお聞かせください。
  170. 真鍋賢二

    ○国務大臣(真鍋賢二君) 先生の構想そのものに対して、私は疑問を持つわけではございません。  ただ、新税の導入についての論議は理解を深めてなしていかなければならないという気持ちでいっぱいであります。  いずれにいたしましても、炭素税という一つの目的税であるわけでありまして、その必要性については御指摘のとおりではないかと思っております。
  171. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 終わります。
  172. 泉信也

    ○泉信也君 一昨日の委員会で、参考人の先生方から貴重な御意見をちょうだいいたしました。  その中で、幾つかの点につきまして、きょうは環境庁お尋ねをいたしたいと思います。  まず、この法律の七条の二項の二号のところに「温室効果ガスの排出の抑制等のための措置に関する基本的事項」というのがございますね。これは、大体どんなことを想定しておられるんでしょうか。基本的事項というのはどんなことを今の段階では考えておられるのか。
  173. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) お答え申し上げます。  国、地方公共団体、事業者及び国民のそれぞれがということで考えておりますので、それぞれの主体に積極的な取り組みをしていただくためにどういう考えにしたらいいかということのまさに基本方針を定めるというものでございます。したがって、実はその中身についてはそれぞれ事業主体によって違ってくるという面があると思います。  例えば、国、地方公共団体の場合と、それからまた事業者と国民の場合、それぞれの責務との関係からずっとまいりますし、現実にこの法案で今の取り組んでいただくべきものというところを基準に物を考えて、それぞれ的確なものをつくっていきたいと考えております。
  174. 泉信也

    ○泉信也君 確かに、国、地方、事業者、それぞれ立場が違って、定めるべき基本的事項も変わってくるとは思います。  そこで、これは先回のこの委員会でも質問をさせていただきましたが、公益法人を設立しようということがこの法律に書かれてございます。このことにつきましては、青山参考人からも手厳しい御意見がございました、局長もお聞きになっておったかもしれませんけれども。  そこで、この各県ごとに設けられる公益法人が行政の言うならばお手伝いをするというような色合いが私は強いように思いますけれども、公益法人の活動の中に、逆に行政に対する意見を具申する、NGOとかその他一般の方々の思い、考え方、そうしたものを吸収して行政に対して方向を示す、あるいは今行っている行政の情報公開が不足しておるとか、そんなことも含めて行政の手足としてお手伝いをしていただくことと同時に、行政側に対する国民の意見を吸い上げていくという機能を持たせることは考えられますでしょうか。
  175. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) お答えします。  もともとこのセンターにつきましては、いろんな目的、例えば民間団体による普及啓発等の拠点整備という意味合いを非常に重く持っておりましたので、もともと情報提供等をどうやったらうまくいくかということを一番念頭に置いて考えております。  それは、またもちろん逆に言いますれば、ボランティアで参加していただく、あるいはその推進員の方々の拠点にもなるということでもございますから、いろいろとまた地方の都道府県ごとのセンターと国が指定するところのセンターとの間のお互いの情報交換もございますし、それぞれそこにおいてまた現実にそれぞれの市民の方々が接触している中で、こういうような問題意識で取り組んだらいいといったような指摘等々をいただければ、これはまた我々の方でも行政面でのそれを活用していただけるというような場面は出てくるものだと思っております。
  176. 泉信也

    ○泉信也君 十一条の規定を読む限りは、今局長のお答えいただきましたような機能を持つことは余り実は期待できないように私は思うんです。ですから、私自身は本来こうした業務は環境行政の仕事としてやっていただくことが大切だというふうに思っておりまして、公益法人の設立については否定的な見解を持っておるわけです。  しかし、それでは全部必要ないかと言えば、その状況に応じてやはりこうした組織をつくることも必要になってくると思いますが、できるだけ今私が申し上げましたような機能もあわせ持つように関係都道府県を御指導いただきたい。この規定を変えろとまでは私は申し上げるつもりはございませんけれども、多くの方々の環境行政に対しての心配は、本当に環境庁が御心配をいただいておることが素直に理解されていない面もあるかと思いますが、国民の思いと違うところで物事が決まっていっているのではないかということだと思うんです。  先ほど来のいろんな先生方の御意見も、やはり思いに少し違いがある、役所のペースでこの温暖化問題に対処しておるという疑念を払拭できないところにあるように私は思いますので、今申し上げました点について、環境庁としても都道府県、自治体を御指導になります場合にぜひお含みをいただきたいと思いますが、何か局長ございますか。
  177. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) 御意見は承りましたし、できるだけそうした形で有効にセンターが機能するように私ども努力してまいりたいと思います。  一言だけ付言させていただきますと、先般もお答え申し上げましたが、センターはできるだけ既存の公益法人を指定するということを念頭に置いておりまして、決してこうした行革の時代に例えばどんどん指定法人を新たにつくっていくということを念頭に考えているわけではないことを一言添えさせていただきます。
  178. 泉信也

    ○泉信也君 もう一つは、参考人の御意見として京都大学の佐和先生からお話がございました。今も先生方の質問の中にも二、三出てまいりました。  佐和先生の御発言は、排ガスの抑制ということに関して経済的な措置で対処するというのが一番いいのではないか、このことを強く主張されたと私は思っております。局長はお聞きになっておられなかったかもしれませんが、ドイツのある市での太陽電池で発電された電力をどういうふうに取り上げていくか、要するに環境に優しいと申しますか、そういう発電の方式に対しては電気料金の十倍の値段で買い上げるというようなことを制度化して環境対策をとっておる、こういうことを指摘されました。  市場を尊重する政策、施策が有効ではないか、こういうお話でございましたけれども、このことについてはどう受けとめられますか。
  179. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) お答え申し上げます。  昨日は私もここで拝聴しておりましたので伺っておりましたし、佐和先生は中央環境審議会の委員でもあられて、その関連の著作もございますが、先生の御主張でございますからもう以前からお伺いしているところであります。  まず、市場原理を通じて経済的なインセンティブを与えることにより排出削減などを実現しようとする経済的措置というものは、先ほども若干答弁で触れましたが、環境基本法や環境基本計画にも位置づけられておるところでございまして、その活用は温室効果ガスの削減を進めるに当たっても一つの政策オプションであり得るというふうに考えております。  そういう観点から、これまで私ども部内の勉強会を諸先生方に御協力いただきまして積み重ねてきておりますが、そしてその間には報告を取りまとめたりもしていただいております。九年七月には環境に係る税・課徴金等の経済的手法研究会での最終報告もいただいたところでありまして、こうした報告やこれまでの議論を踏まえまして、さまざまな立場からの御意見もいただきながら、先ほども申し上げましたように国民的な議論のもとでさらに検討を進めさせていっていただきたいと思っております。
  180. 泉信也

    ○泉信也君 先ほどお尋ねがございましたけれども、炭素税については各方面の意見を聞きながらというお話局長は答弁されました。日本の経済全体あるいは輸出輸入の分野にまで大変影響することですので単純な結論は求められませんが、大体収れんする方向に行っておるんでしょうか、どちらに収れんするかが問題ですけれども。  炭素税の議論は、いただいております調査室の方で準備していただいた資料にもメリット、デメリット、区分けをして書いてございますけれども、どういう方向に行きつつあると考えたらよろしいんでしょうか。
  181. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) お答えいたします。  先ほども申し上げましたように、私ども六年八月に環境に係る税・課徴金等の経済的手法研究会というものを先生方の御協力で立ち上げまして、その間、北欧諸国の炭素税の実施状況と効果等の分析をしたり、それから地球温暖化防止を念頭に置いた環境税のオプションがどういうふうになったらいいかということの議論を積み重ねてまいりました。ただ、これはどちらかといいますと経済学者の先生方を中心にした議論でございまして、今申し上げましたようになお広くいろんな立場の方の御意見を伺うというようなところまでは来ておりませんでしたものですから、こうしたいただいたものをもとにさらに議論を深めてまいりたいというのが私どもの気持ちでございます。  その間には、昨年の十一月十八日の中央環境審議会の中間取りまとめの中でも、あるいはその直前に開かれました地球温暖化問題への国内対策に関する関係審議会合同会議におきましても、地球温暖化対策における経済的手法の活用の問題の議論がありまして、とりわけ炭素税導入の是非について議論が行われ、今後の状況に応じて引き続き検討が必要というふうにされたところでありまして、私どもの検討課題としてさらに今後議論を深めていくようにするのが私どもの仕事だというふうに思っております。
  182. 泉信也

    ○泉信也君 資料を見せていただいただけで詳しいことはわかりませんが、北欧を中心に炭素税に類するものが既に取り入れられておるというような資料がここにございます。外部不経済を内部化していくという考え方というのは私は環境問題にとっては特に大切じゃないかというふうに思っておりますので、どういう形であれぜひ早く結論を出すように御努力いただきたいと思います。  もう一つ、昨日の新聞ですか、運輸省環境に絡んで低燃費の車ほど税を安くするということを運輸政策審議会に諮問されたということが載っておりましたし、また石炭ガスの発電の話もたしかけさの新聞に、これも環境問題を意識した発想だったと思いますが、出ておったように思います。  こうした事柄に対して、環境庁はどういう絡み方をしておられるんでしょうか。運輸省とかあるいは通産省とはどんな連係プレーをしておられるのかを教えてください。
  183. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) お答え申し上げます。  今の通産省の方の話というのは、まだ私はきょうの新聞を見ていなくて申しわけありませんが、運輸省の話について申し上げますと、これまで運輸審議会の方でそういう取り組みをされるということを私ども運輸省からも聞いておりましたので、私どもとしてもこれはいい取り組みであるから一緒に協力してやっていきましょうということで、私どもそういう問題意識を持っております。現に、ことしまとめました環境白書の中でも、運輸省の審議会の方でこういう取り組みをするということを掲げさせていただきました。  もちろんそれには協力してまいるということなんですが、別途大臣の方からの私どもに対する指示で、そうしたものを一生懸命一緒に共同していくのもいいが、とにかく来年度すぐにやれることをまずやるというのが優先じゃないかということで、先ほど来大臣の御答弁にもございましたように、例えば低公害車についての取得税の軽減措置を去年決めましてことしから実施したわけでございますが、これを軽減ではなくて免税にするというようなことをもっと早く取り組むべきだという大臣からの指示を受けまして、その辺につきましても運輸省の方とも協議、相談して来年度の税制改正の要望で出すというようなことをもう既に決めたところでございます。
  184. 泉信也

    ○泉信也君 この法案は、環境温暖化対策に対する礎石だという御説明をいただいております。まさにこれから本格的な取り組みをしなきゃならないことだと思います。他省庁との調整もございましょうけれども、ぜひ環境庁、積極的に進めていただきたい、このお願いを申し上げまして質疑を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  185. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) 一言済みません。  ただいま大臣から、おまえの答弁の仕方ではまだ緩い、もっと積極的にやると言えと言われましたので、現に積極的にやっているつもりでありますが、さらに積極的にやってまいります。
  186. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 鹿児島から沖縄にかけて、サンゴ礁がその海域で白く漂白している状況になっているというようなことで、いわゆる白化現象が起きているということで新聞やテレビで報道されています。この状況が数週間も続いていくとサンゴが死滅するという状況になるということで、非常に私ども深刻にこれをとらえております。  申し上げるまでもなく、沖縄県を初めとする南西諸島において、サンゴは漁業や観光資源としての基調であるだけでなく、地球の自然環境を守る上で非常に重要であると考えております。  そこで、環境庁に対してその現状及び原因、そして今後の対策をどのようになさるお考えか、お伺いしておきます。
  187. 丸山晴男

    政府委員(丸山晴男君) お答え申し上げます。  サンゴ礁の白化現象でございますけれども、最近主として海水温の上昇ということが原因だと言われておりますけれども、サンゴ礁のリーフがありましてその中にサンゴが生息するものですから、どうしてもその中は海水の循環が弱くなるということで、特にことしの夏は台風も来ませんでしたことから海水の交換ができなくて、しかも大変浅い海に生息するサンゴでございますので、海水温が大変上昇したということが原因だと指摘されております。先生お話しのとおり、熊本県天草から鹿児島の奄美諸島、また沖縄本島を含む南西諸島、また八重山諸島までの比較的広い区域でのサンゴ礁の白化現象が指摘をされたところでございます。  現在は海水温が徐々に下がってきておりますために、さらに被害が拡大する可能性は少ないというふうに言われておりますけれども、これまでのところこの白化現象につきましては、比較的新しい現象でございますので必ずしも十分な知見がございません。通常の水温に戻れば早い場合には数週間で復元するということが指摘されておりますので、当面のところは水温が下がるにつれてどの程度まで復元回復するかということを見極めたいというふうに考えております。  これまでのところは、八重山諸島に財団法人の海中公園センター八重山研究所がございまして、私どもの沖縄地区自然国立公園・野生生物事務所とその研究所が連携しながら、また地元などの大学や研究機関との情報交換を行いながら調査してまいったところでございますし、また現在、石垣に国際サンゴ礁研究・モニタリングセンターを整備中でございますけれども、これの稼動を早めて来年度からはこのセンターを活用して情報収集に努めてまいりたいと考えております。  この現象は広く世界的な傾向、カリブ海からオーストラリアまで広域的に問題になっておりますので、ちょうど国際的なサンゴ礁の連携組織がございまして、たまたまでございますが、十一月にはオーストラリアで国際会議、ワークショップも予定されております。私どもできますならばそこに研究者あるいは職員等を派遣して、そういった米国やオーストラリアにおける白化現象への対応状況の調査もしながら意見交換も進めてまいりたいと考えておるところでございます。
  188. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 沖縄を中心としたサンゴ礁への影響というのは、非常に白化現象が進んでいるというふうなことについては十分把握しているようでありますから、そのオーストラリアの研究体制というものをしっかりと踏まえた上でぜひ対応するように。  先ほど台風の影響で循環がないというふうなお話がありましたけれども、台風の来ない影響といいますか、そういったふうなものも考えられますか。
  189. 丸山晴男

    政府委員(丸山晴男君) 造礁サンゴと言われるサンゴ礁のリーフの中におきますサンゴ礁といいますものは、褐虫藻という光合成をして養分をサンゴに与えるそういうものといわば共生しておりまして、それは大変海温が上がりますとそのサンゴから逃げ出していくということであります。  たまたまことしの夏は、一部屋久島を経由した台風が最近ございましたけれども、夏の問とりわけ台風の通過がなかったということもございまして、海水の攪拌がされずに、それが原因となって白化現象が起きたのではないかという研究者の指摘もあるところでございます。
  190. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 どうもありがとうございました。  問題は変わりますけれども、先日の日米安保協議委員会で、沖縄県の米軍嘉手納基地内で発生したPCB汚染問題で米国が調査団を派遣することが決まったとのことであります。  そこで、まずそのいきさつについて外務省、防衛庁なり。
  191. 田中信明

    説明員(田中信明君) お答え申し上げます。  ただいまの委員からの御質問でございますが、六〇年代から七〇年代にかけまして嘉手納の飛行場の中のある地点にPCBが投棄されていたという旨の報道が流れまして、これを受けまして私ども外務省としては直ちにアメリカ棚に対しまして事実関係の照会を行うとともに、きちっとした適切な対応を行うよう申し入れてきたわけでございます。  先般二十日にニューヨークで日米安全保障協議委員会、いわゆる2プラス2というのが行われましたが、その際にアメリカ側から日本政府からの要請を真剣に受けとめているということがございまして、報道されているような嘉手納の飛行場におけるPCBの汚染地点、そういうものが本当にあるのかどうか、ぜひそれを調査するために国防省の専門家チームを派遣したい、こういう申し出がありました。米側からそういう申し出があったわけですが、これは沖縄の地元の方々の不安感を解消するという意味で大変に有意義でございますし、私どもアメリカ側のこういうような姿勢を歓迎するということでございます。  アメリカ側の説明によりますれば、本住専門家チームというのは、報道されているような嘉手納の飛行場におけるPCBの汚染があるかどうか、ないかもしれないわけですが、あるかどうか、それについて調査を行って、また調査の一環として嘉手納飛行場内及びその周辺に在住する沖縄の住民の方々、それからそれのみならず自分たちアメリカ人に対する潜在的な健康への危険というものについても調査するということを言っておりました。  派遣調査団の専門家チームの詳細でございますが、これについて特にまだ詳細は明らかになっておりません。今後詰めていく話でございますが、できるだけ早く派遣されることを期待しております。
  192. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 そうすると、米国側がどういつだメンバーで調査団として加わってくるのかということは、まだはっきりしないわけですか。
  193. 田中信明

    説明員(田中信明君) 今の段階では、その構成とか来日のタイミングとか、そういうものは明らかになっておりません。今後とも米側と協議しつつそこいら辺を詰めていきたいと思っております。
  194. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 その際に、日本側の立場として、米国の調査団に同行して立ち会いをし、あるいは参加をして共同調査するというふうなお考えはありますか。
  195. 田中信明

    説明員(田中信明君) アメリカ側はまだ調査団といいますものを派遣するということしか述べておりません。今後、その調査団に対してどういうような対処ぶりをするか、もちろん調査団を派遣していただくのは大変結構なことで歓迎しているわけですが、今後私どもは米側と協議しつつ適切に対処してまいりたい、かように思っております。
  196. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 その適切に対応するということなんですけれども、私は具体的に質問しているわけですから、日本政府として責任あるお答えをいただきたいと思います。
  197. 田中信明

    説明員(田中信明君) これはアメリカ側の調査団でございますから、まずはアメリカ側が自分で施設・区域内における責任を履行するというのが地位協定における考え方であります。その場合に日本側がどういうような立場をとれるのか、ここいら辺は今後アメリカ側と詰めていきたいと思っております。
  198. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 そうすると、それはいつごろになるかということはまだ明らかじゃないんですか。
  199. 田中信明

    説明員(田中信明君) 調査団の派遣自身がいつごろになるのか、そこいら辺は今の段階ではまだ明らかではございません。  したがいまして、外交ルートを通じ、またいろんなルートを通じましてアメリカ側と調査団の具体的な対応について詰めてまいりたい、また日本政府としてその調査団に対してどういうような対応をするのか、それについても詰めてまいりたいと思っております。
  200. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 ぜひ早目にそれが実施されるように要望しておきますけれども、一番の関心事は、もし調査の結果これが汚染されているという場合に、アメリカ側の責任で浄化するのか、日本側で浄化するのか、その辺の対応について政府としてはどういうお考えですか。
  201. 田中信明

    説明員(田中信明君) 国防省のこちらに対する通報ぶりによりましても、まずは調査団を派遣する、その調査団の目的というのは、PCB汚染地域があるかどうかを判断するために専門家チームを派遣する、それからこのチームはサンプル採取記録の検証を行い、適切な場合には、これは適切な場合にはということになっておりまして、大気、地表水、飲料水及び地表土壌のサンプル採取を行う、同地点においてさらなる措置がとられるかどうかについては同チームの調査が終了した後に決定されると、こういう報告でございました。  したがいまして、まずはアメリカ側の調査団というものがどういうような活動をするのか、そこを見きわめないと余り仮定の話をしてみても生産的ではないのではないか。私どもとしては、いずれにせよしかるべく米側と協議していきたい。もちろんできるだけ早く調査団を派遣していただくこと、その結果については沖縄の方々も私どもも非常に関心があるということ、そういうことを踏まえてしかるべく対処していく所存でございます。
  202. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 この問題は一九七六年、昭和五十一年五月に問題化しているわけです。あれからもう相当たっているんですけれども、私はここで政府の対応について非常に怠慢であったのではないかというふうに指摘せざるを得ないんです。  したがって、これがもし調査の結果、あるいはまた一緒になってアメリカと調査して、この浄化については完全に県民に不安を与えないような対策を政府がとるべきだというふうな問題について、どういうふうに取り組んでいかれるか、その辺についてお知らせいただきたい。
  203. 田中信明

    説明員(田中信明君) 政府の取り組み方が生ぬるいのではないかという御指摘でございますが、これにつきましては、環境庁の協力も得て、また沖縄県の方におかれましても主体的に取り組まれて、嘉手納飛行場の周辺及び施設・区域内、双方におきまして従来から汚染状況があるのかどうかというサンプル調査を含めた調査を行ってきておるわけです。したがって、ずっと続いているわけですが、正確に私は何年続いたという資料を今持ち合わせておりませんが、相当長期間調査をやってきておりまして、その結果何ら環境基準に照らして問題がないというふうに今までの調査では結論づけておるわけです。  したがいまして、政府といたしましては、そのような嘉手納におけるいろんな汚染の可能性ということにつきましては、過去におけるいろんな事例というものも念頭に入れた上で関係省庁の協力も得て、また沖縄県の協力も得て調査をやってきているわけでございまして、私どもとしてできる限りのことをやってきたということは言えるのではないかなと思っております。
  204. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 今まで調査した結果何も異常はなかったというふうなことですけれども、県民に対して皆さんの調査結果というものが余りにも伝わっていない。ですが、こういったものが起きたということが新たな問題として県民は非常に不安がっていますから、それは県民に十分知らせた上で、調査の結果何でもなかったというふうなこと、おっしゃったようなことが本当に結果的にそうであればいいんですけれども、もしこれが調査の結果やはり問題があったということになれば、私はさっき言っているように政府は怠慢じゃないかというふうなことを申し上げたわけです。よろくお願いします。  それから、返還されて恩納通信所に放置された米軍のPCBについてお伺いいたします。  その現状について、数量、管理状態がどうなっておるのか、そして今後どのように対策を立てていくのか、その辺についてお伺いいたします。
  205. 守屋武昌

    政府委員(守屋武昌君) 御質問の件でございますけれども、平成七年十一月三十日付で恩納通信所というのは全部返還となっておるわけでございますが、ここの土地は民有地でございますから、所有者に引き渡すため、私どもの那覇防衛施設局におきまして建物等の取り壊し工事を実施中のところ、汚水処理槽内の汚泥から基準値を超えるPCB及び水銀が検出されたものでございます。  この当該汚泥の処理につきましては、返還された施設でございますので、日米地位協定第四条に基づきまして日本側において処理する責任がございます。しかし、PCBの処理につきましては、平成十年六月十七日に施行されました廃棄物処理法施行令改正で、新たなPCB分解技術が処理方法として位置づけられたという経緯がございますけれども、これらはトランス用、コンデンサー用の絶縁油等に利用されている廃PCB及びPCB汚染物を対象としておりまして、この恩納通信所のようなPCB等を含む汚泥の処理についてはいまだ国内的に処理技術が確立されていない状況にございます。  こういう経緯がございましたので、このことから、私どもは沖縄県、恩納村と調整を重ねた結果、現在那覇防衛施設局において、そのそばに航空自衛隊の恩納分屯基地、レーダーサイトがあるわけでございますが、その施設内に設置しました一時保管施設、ここに当該汚泥をその環境基準の法令に基づき保管しているところでございます。  保管量でございますけれども、ドラム缶で約七百本の数量に上っております。  この処理につきましては、先ほど私が申し上げましたようにPCBの汚泥処理の技術開発状況を見きわめる必要があると考えておりまして、関係機関と調整を行いましてできるだけ早くこの処理ができるように対応してまいりたいと考えておるところでございます。
  206. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 浄化槽の中にそのPCBをわざわざ外から持ってきたような形跡もあるわけです。これは大問題ですね。そういった軍用地が返還されるような状況になったときに浄化槽にほかから毒物を持ってきたというふうなことでありますから、県民をばかにするのも甚だしいというふうに思っております。したがって、これはアメリカがむしろ処理すべき問題であって、日本政府が第四条によってそれをやるんだというふうなことについては本末転倒じゃないかというふうに我々は考えております。  そのようなことで、地位協定四条の見直しも含めて、これはもっと真剣に考える必要があるんじゃないかというふうに思いますが、どうですか。
  207. 守屋武昌

    政府委員(守屋武昌君) 先ほど外務省の田中審議官にも先生の方から御質問があったわけでございますが、私ども防衛施設を預かる防衛施設庁といたしまして、防衛施設の安定的な使用は周辺住民の方の理解と協力のもとに支えられているという認識で日ごろ仕事をいたしております。  今回、嘉手納で働いておった従業員の方から、過去に不法投棄したという報道がなされたときも、私どもの方はそういう基地周辺の住民の方の不安を速やかに除去するという観点から、同日付で米側に積極的な事実の解明を求めたところでございます。  この問題につきましては、具体的な対応ということで私どもの方もアメリカ側といろいろ調整をしているところでございますけれども、やはり周辺住民の方の不安をなくすという観点からは透明性の確保が一番大事じゃないかと考えているところでございます。  その枠組みといたしましては、日米合同委員会のもとに環境分科委員会という場があるわけでございますから、この環境分科委員会で米側からの速やかな情報を我々日本側に提示してもらうということがまず第一点必要ではないかと考えておるところでございます。  それから、その結果、必要な場合には日米間で実態調査を実施する。場合によっては、アメリカ側が必要でない場合でも、住民の理解と説得のためには日本側が実施する場合もあって私はいいのではないかと考えているところでございます。当然、その結果は公表するということでございます。  それから三番目、土壌等の汚染が判明した場合には、日米協議の上、関係法令、環境基準にのっとったしかるべき措置の実施をすべきだと考えております。  四番目は、この三つのプロセスの中で基本はやはり住民の方の不安を極力少なくするという観点から、以上の各過程における透明性を確保する観点から対外公表を積極的に行っていくべきものでないかと考えておりまして、この場で外務省ともども米側と協議を始めているところでございます。
  208. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 地位協定の問題は。
  209. 田中信明

    説明員(田中信明君) 先生お尋ねの地位協定との絡みでございますが、先生十分御存じのとおり地位協定の四条一項というものにおきまして、アメリカは施設・区域の返還に際しては、原状回復の義務またはそれにかわる補償義務というものを負わないということになっておるわけです。専ら、返還された後の原状回復の問題は、日本政府とそれから個々の地主との間で処理されるべきものであるというのが地位協定の仕組みそのものでございます。  私どもはその点について、特に地位協定を変えるというような考えは今持っておりません。しかしながら、先生御指摘といいますか御懸念の点というのは、そういう返還前にもやはりその施設・区域の中でアメリカ軍がきちっとした対応を行うべきじゃないかと、こういう御関心の向きだと承知しておりますが、もしそうであるとすれば、アメリカ軍も地位協定の中におきましては、接受国の公共の安全に妥当な考慮を払うというようなこと、それからまた関連法令を遵守するというような、いわゆる地位協定の三条とか十六条に挙げられているような義務を負っているわけですから、したがいまして私どもは、そういうことについて常にアメリカ側に注意を喚起するということはやっていきたいと思っております。  仮に、具体的な問題が生ずる場合には、合同委員会なり、施設庁の守屋部長が今申しましたとおり、合同委員会等の場を通じましてアメリカ側としかるべく対処していくということになると思います。  他方、なお環境につきまして、では在日米軍は何も考慮を払っていないのかと申しますと、そうではないというふうに私どもは承知しております。  以上のような私が申し上げた国内法令の遵守というような義務、そういうものを踏まえましてアメリカ軍は日本の国内法令及びアメリカの国内法令、アメリカ環境基準といいますのは時として多くの場合日本環境基準よりも厳しい場合がございます。したがいまして、そういうような両方の環境基準を照らし合わせましてアメリカとして最も適切な環境基準をつくってそれで環境管理行動をとっているというふうに承知しておりますので、私どもとしましては、そういう米軍であるということを考慮の上、また合同委員会等で対処してまいりたい、こう思っております。
  210. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 今の恩納村の問題は、三年前に返還されたんです。三年前の話を今のような状況説明では、外務省おかしいですよ。適切に環境基準に合わせてやっているというふうな御答弁を今なさっていますけれども、三年前にやったことが今、問題になっているんです。  私はこの前の委員会で、今、普天間飛行場の返還がやや煮詰まりつつありますけれども、返還前に県としては文化財の状況を把握したい、同時にあちこち、嘉手納でもあるし返された恩納通信施設にもPCB等があるわけですから、当然のこととして、嘉手納の先ほどの話にもありますように、やはり普天間飛行場の問題だってPCBが恐らくあるんじゃないかというような県民の不安があるわけです。  そのために、県は主体的に文化財とそれから環境汚染の問題で調査したいというふうなことを米軍側に、あるいは外務省にもそれから防衛施設庁にもそのことを要請していると思いますけれども、今のような答弁からすると、当然のこととして県の立入調査というものは、事前調査という意味では当然あってしかるべきじゃないか、また許可してしかるべきじゃないかというふうに思うんです。それは環境庁も含めてひとつ御答弁願いたいと思います。両方、どういうふうに県の立場で皆さん方が対応していくのか。
  211. 田中信明

    説明員(田中信明君) 私どもは先生御指摘のような、例えば恩納村のPCBの問題とか、もちろんそういう問題が出てきたこと自体非常に問題だと思っておりまして、そういうものはきちっと対応するように私どもは努力したいと思っております。  ただ、私が一般論として申し上げれば、アメリカ軍にも日本の国内法令をきちっと遵守する義務があり、そういう意味で同盟関係といいますのはやはり信頼ベースというのが根底にありますので、もし問題があればそれは合同委員会等の場を通じまして解決するために努力していくということではないかと思っております。
  212. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 いや、その県の調査に対して皆さんはどう考えるんですか。
  213. 田中信明

    説明員(田中信明君) いわゆる施設・区域と申しますのは、我が国の管理あるいは管轄下にあるというところではございませんので、そういう意味におきまして私どもアメリカ軍の主体的な判断というのがまずあると思います。したがって、そこと相談しつつ適切に対処していくということだろうと思います。
  214. 守屋武昌

    政府委員(守屋武昌君) 今の御質問の件でございますけれども、当時私は担当で、県の方からの要望がございました。そのときは先生の言われているような環境調査というのじゃなくて、文化財とかその跡地を利用するために事前に調査したい、こういう申し出でございました。  それで、あの当時の判断としましては、返還というものに対する、地元の頭越しに行わないということが政府の方針でございますから、それについて沖縄県側の対応がはっきりしていない段階で、基地の中に立ち入りしてそういう文化財を調査することはいかがなものか。これはどういうことかと申しますと、普天間飛行場というのは現に米軍が使っておるものでございますから、そういうものに対応しまして、その米軍の運用とかそういうものに制限を加えまして調査をするためには機が熟していないという判断をしたものでございます。  それから、今御指摘のような仮に普天間飛行場について環境汚染の事実があるとか、あるいは嘉手納の飛行場の場合のように前に働いておられた方がそういう危険な物質を不法に処理していたというようなことがあれば、私どもとしましては、先ほど来申し上げているように周辺住民の方の不安を解消するというのが基地の安定的な使用のためにも、あるいは周辺の住民の皆様の生活を守るためにもぜひとも必要なことでございますから、私が先ほど申し上げた考え方に従いまして日米合同委員会の枠組みの中でアメリカ側に積極的にその対応を求めていく、こういう考えでございます。
  215. 遠藤保雄

    政府委員(遠藤保雄君) 一般論でございますけれども、基地周辺部の環境調査につきましては、これは日本国内でございますので、環境庁及び沖縄県がいろいろ連携しながら取り組んでまいりたいと、こう思います。
  216. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) 時間でございますので、簡便に。
  217. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 ちょっとだけ。時間で、あと質問事項がありますけれども、やむを得ないと思います。  とにかく沖縄の基地は、今の状況では県民はひどく不安な状況ですから、ぜひその不安解消のために各省庁とも努力していただきたいということを要望して終わります。  ありがとうございました。
  218. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時五十五分散会