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1998-09-17 第143回国会 参議院 国土・環境委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十年九月十七日(木曜日)    午前十時開会     —————————————    委員の異動  九月十日     辞任         補欠選任      福山 哲郎君     北澤 俊美君  九月十六日     辞任         補欠選任      北澤 俊美君     福山 哲郎君  九月十七日     辞任         補欠選任      福本 潤一君     加藤 修一君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         陣内 孝雄君     理 事                 太田 豊秋君                 松谷蒼一郎君                 小川 勝也君                 弘友 和夫君                 緒方 靖夫君     委 員                 市川 一朗君                 坂野 重信君                 長谷川道郎君                 山下 善彦君                 脇  雅史君                 岡崎トミ子君                 佐藤 雄平君                 福山 哲郎君                 加藤 修一君                 大渕 絹子君                 泉  信也君                 島袋 宗康君    国務大臣        国 務 大 臣        (環境庁長官)  真鍋 賢二君    政府委員        環境庁企画調整        局長       岡田 康彦君        環境庁自然保護        局長       丸山 晴男君        環境庁大気保全        局長       廣瀬  省君        環境庁水質保全        局長       遠藤 保雄君        外務省総合外交        政策局国際社会        協力部長     上田 秀明君        外務省経済協力        局長       大島 賢三君        厚生省生活衛生        局長       小野 昭雄君        林野庁長官    山本  徹君        通商産業省環境        立地局長     太田信一郎君        通商産業省基礎        産業局長     河野 博文君        資源エネルギー        庁長官      稲川 泰弘君        気象庁長官    瀧川 雄壯君        建設省道路局長  井上 啓一君    事務局側        常任委員会専門        院        八島 秀雄君    説明員        環境庁企画調整        局地球環境部長  浜中 裕徳君        資源エネルギー        庁石炭・新エネ        ルギー部長    北畑 隆生君     ————————————— 本日の会議に付した案件 ○理事辞任及び補欠選任の件 ○地球温暖化対策推進に関する法律案(第百四  十二回国会内閣提出、第百四十三回国会衆議院  送付) ○参考人出席要求に関する件     —————————————
  2. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) ただいまから国土環境委員会を開会いたします。  理事辞任についてお諮りいたします。  福本潤一君から、文書をもって、都合により理事辞任したい旨の申し出がございました。これを許可することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  この際、理事補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事弘友和夫君を指名いたします。     —————————————
  5. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) 地球温暖化対策推進に関する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 市川一朗

    市川一朗君 自由民主党の市川一朗でございます。  本法案につきましては、九月九日の本会議でも質疑がなされておるわけでございますが、その九月九日の質疑の際に真鍋環境庁長官それから小渕総理も御答弁の中で述べておられましたけれども我が国温室効果ガス排出量は、各種排出抑制努力にもかかわらず近年増加基調にあるということでございました。  そして、この法案定義を拝見いたしますと、第二条におきまして、「「地球温暖化」とは、人の活動に伴って発生する温室効果ガス大気中の温室効果ガス濃度増加させることにより、地球全体として、地表及び大気の温度が追加的に上昇する現象をいう。」、なかなか難しい表現でございますが、一応そういう定義がなされております。こういった定義なりあるいは御発言なりを通じまして、要は温室効果ガス排出量増加傾向は今の時点での地球温暖化問題のキーポイントになっていると、こう私は理解するわけでございますが、そういう意味も含めまして、この温室効果ガス排出量という点につきまして幾つかお尋ねしたいと思うわけでございます。  まず最初に、温室効果ガス排出量あるいは総排出量といったものをどうやって測定するのか、またどうやって算定するのかということにつきまして、できるだけわかりやすく御説明をいただきたいと思います。
  7. 浜中裕徳

    説明員浜中裕徳君) お答えを申し上げます。  御提案申し上げております法案の第二条第三項におきまして二酸化炭素メタンなど合計種類温室効果ガス定義してございますけれども、これらの総排出量測定あるいは算出方法についてのお尋ねでございます。  これらにつきましては、私どもといたしましては、一番わかりやすい例といたしまして二酸化炭素を例にとって申し上げますと、石炭石油天然ガスといった化石燃料使用量、こういったいわば人間活動の量に応じてどれだけの温室効果ガス排出されるか、こういうものを示しました排出係数を掛け合わせることによりまして、それぞれの燃料種類あるいはその排出をしてまいります発生源と申しますか、そういう単位ごと温室効果ガス排出量を算出する、こういうことでございます。  例えば、自動車からでございますと、これはガソリン燃料とするガソリン車と、それから軽油燃料とするディーゼル車というものがございます。それぞれにつきまして、自動車の例えば車種排気量別排出のぐあいも異なってまいります。こういったことを勘案いたしまして計算してまいるというようなことでございます。  それから、こうして得られる個々燃料種または発生源ごと排出量を合算することによりまして、我が国全体としての二酸化炭素あるいはメタンなどの排出総量を求める、こういうことでございます。  最後に、それぞれの温室効果ガスの持つ温室効果の強さをあらわした数値として国際的に認められました地球温暖化係数というものがございまして、これを各ガスごと排出総量に掛け合わせいたしまして二酸化炭素の量に換算したものとして合算する、こういうことで温室効果ガスの総排出量計算する、こういうことでございます。
  8. 市川一朗

    市川一朗君 今のお話をお伺いしますと、ちょっと大ざっぱな表現で恐縮ですが、我が国で使われた燃料その他の使用量、それを全部積み上げて、そして合計計算するという方法のように受けとめたんですが、一方では、例えば経済成長なんかの計算の場合にはもっとマクロ的に数字を押さえまして、それで一種の推計値を入れて計算する方法統計上はございますね。  今の御説明ですと、全部個別に積み上げていって計算するというふうに受けとめたのでございますが、そういうことでよろしゅうございますか。
  9. 浜中裕徳

    説明員浜中裕徳君) 二酸化炭素排出量の場合につきましては、我が国において既にエネルギー統計が整備充実されておりますので、こうした統計を活用いたしまして、実際の例えば自動車などで消費されておりますガソリンの量でございますとか、あるいは軽油の量も把握できるわけでございます。そういったものから算定をいたします。  もう一つ排出係数という形で申し上げましたのは、これは例えばガソリンを一リットル消費いたしますとそこから二酸化炭素がどのくらい出てくるかということにつきましては燃料種類ごとによってまた異なる実情にございますので、そういった点も考慮をして二酸化炭素排出量計算していく、こういう手順になるわけでございます。
  10. 市川一朗

    市川一朗君 今、後の方で言われました係数というのは、地球温暖化係数のことでございますか。
  11. 浜中裕徳

    説明員浜中裕徳君) 大変舌足らずで恐縮でございますが、私がただいま申し上げましたのは、これは排出係数ということでございまして、これは燃料種類によって、例えば石炭を一トン燃やすのと、それから石油を一トン燃やすのとでは二酸化炭素排出量については量が異なってまいります。石炭の方が多いと、こういうようなことでございまして、そういった意味での排出係数ということで申し上げた次第でございます。
  12. 市川一朗

    市川一朗君 実は、私も質問に立つ前から専門家とやりとりして、果たして私のわからない部分が解明できるかどうかほとんど自信がなかったんですけれども、かなり丁寧に答弁していただいておりますから、少しずつ私なりにわかってきたようには思います。  そのことと、先ほどの御答弁でも触れておられました第二条第五項の定義の中で述べられている地球温暖化係数と、その辺の違いも含めましてもう一度わかりやすく、地球温暖化係数というのはどういう数字なのか、御説明いただきたいと思います。
  13. 浜中裕徳

    説明員浜中裕徳君) 地球温暖化係数でございますが、これは二酸化炭素温室効果の強さを仮に一といたしますと、そのほかの温室効果ガス温室効果の強さをこれに比較いたしまして相対的に示した数値、これが地球温暖化係数でございます。それぞれの温室効果ガス大気中に存在する寿命が異なっておりまして、温室効果を見積もる期間の長さによって具体的な数値は変わってまいりますけれども京都議定書では百年にわたる期間にこの温室効果を積算いたしまして計算する方法が採用されております。  具体的に申し上げますと、二酸化炭素一に対しまして、例えばメタンにつきましては二一、それから亜酸化窒素という物質がやはり温室効果ガスに加えられておりますけれども、これは三一〇ということで、いわゆる化学で申しましてガスには分子というのがございますが、二酸化炭素の一分子の持っております温室効果に対しまして、メタンの一分子二酸化炭素分子の二十一倍の温室効果能力があるということでございます。
  14. 市川一朗

    市川一朗君 どうも済みません、いろいろ詳しいことを聞きながら、これからもそういう質問をしますので、今のようにわかりやすくお願いしたいと思います。  それで、この温室効果ガス排出量の問題に関しまして、法律でいきますと第三条第一項でございますが、「国の責務」という中で、大気中における温室効果ガス濃度変化状況を把握するための観測及び監視を行うというような表現がございますが、これはどういったところでどういうふうにして行うことが予定されているわけでございますか。
  15. 浜中裕徳

    説明員浜中裕徳君) お答えを申し上げます。  温室効果ガス大気中の濃度などを測定する場所の選定がまず大事でございますが、地球大気環境変化を正しくはかれるように、例えば人口密集地などから離れた地点でありましてなおかつ局地的な影響を受けないような、そういう地点を選ぶことが重要と考えております。何よりもこういう大都会におきましては、さまざまな自動車の走行でございますとか工場や発電所がありますし、いろいろなそういう影響を受ける可能性がございます。また、場合によりますと、人家から仮に離れておりましても、海岸で沖合に船舶が航行するだけでも影響を受けるというような、二酸化炭素の場合でございますが、そういう場合もございますから、測定地点を正しく選ぶということが非常に大事でございます。  また、測定方法につきましても、地上の測定局あるいは航空機や船舶を使った測定といったことも行われておりますが、それだけではなくて、例えば人工衛星などを使いましてリモートセンシングという形で衛星の上から地球大気濃度の状態を観測する、こういったような技術も開発されてきておりますから、こういったものも駆使をいたしまして総合的な地球環境のモニタリングを行うこととしております。  今後とも、私どもといたしましては、地球規模環境変化を正確に観測、監視するために総合的な地球環境観測体制整備強化を図ってまいりたいと、このように考えているところでございます。
  16. 市川一朗

    市川一朗君 それで、冒頭でも申し上げましたけれども政府側の御答弁として、我が国温室効果ガス排出量各種排出抑制努力にもかかわらず近年増加基調にあるということでございまして、常識的にもある程度理解はできるわけでございます。  この点につきまして、増加基調にある主な要因、そしてできましたらそれとできるだけ合うような形で今までの排出努力との関係、こういった努力をしているけれどもこの点がどうも改善されないために伸びているとかといったようなこともわかればお答えいただきたいと思います。
  17. 浜中裕徳

    説明員浜中裕徳君) お答えを申し上げます。  ただいま先生指摘のとおり、我が国温室効果ガス排出量は近年増加基調でございます。特に一番主要な温室効果ガスでございます二酸化炭素について見てまいりますと、一九九五年度の排出総量は炭素の量に換算をいたしまして約三億三千二百万トンというふうに推定されておりまして、これを国際的な基準の年度でございます一九九〇年度と比べますと約八・三%も増加をしている状況でございます。  これを部門別に見てまいりますと、まず産業部門でございますが、ここからの排出量は一九九〇年度以降ほぼ横ばいでございます。これに対しまして運輸部門民生部門からの排出量は近年一貫して増加傾向にございまして、一九九五年度は九〇年度比で両部門とも約一六%もの大幅な増加になっているところでございます。  そこで、これらの増加傾向推移というものと対策との関係についてという御質問でございますけれども、既に産業部門につきましては、第一次、第二次の二回にわたるオイルショックを経まして産業部門省エネ対策を非常に熱心に進めた結果といたしまして、我が国産業部門における省エネルギーエネルギー効率的利用の水準というのは世界最高のレベルでございまして、それ以降そういったことで九〇年以降も特段増加することもなくほぼ横ばい推移をしてきているということでございます。  他方、運輸部門につきましては、これも自動車それぞれの車種ごとにつきましては各メーカー省エネへの努力も行われておりますけれども、例えば一般の方々のマイカーの志向ということをお考えいただきますと、より快適なより能力の高いあるいは排気量の大きい車をお求めになるという消費者傾向もございまして、さらにそれから自動車使用量もふえてきていると、こういったことから排出量が大幅に増加をしてきているというふうに考えております。  また、民生部門の中でとりわけ一般家庭におきましても、やはり近年の快適な生活を求める国民の欲求といいますか、そういうことによりまして例えばエアコンがさらに普及をしてきている、あるいは冷蔵庫なども大型化してきているということでございます。個々家庭電器製品を見ますと、それぞれのメーカー努力によりまして省エネも進んできておりますけれども、全体としてはやはりそういった家庭電器製品普及が進んだことあるいは大型化などが進んだといったようなことのために、民生部門からの温室効果ガス、具体的には二酸化炭素でございますが、その排出量が大きく伸びてきているという状況にあるというふうに理解をしてきております。
  18. 市川一朗

    市川一朗君 今お話をお伺いしますと、やはり何か私ども日常生活といいますか、今のライフスタイルと言った方がいいのかもしれませんが、それの変化はある意味で我々は便利になったとか非常によくなってきたとかいったように受けとめている部分一つ要因になっているような印象も受けるわけです。そういう目で見ますと、やはり日本だけじゃなくて世界じゅうそういう傾向が出てきているんじゃないかなという感じもするわけでございます。  新聞報道等でもいろいろな情報がございまして、私も余り詳しく調べる機会がなかったのでございますのでやや蓋然的な知識しかないんですが、例えばアメリカ日本よりある意味でそういうライフスタイルが進んでいる部分があると思いますが、アメリカあたりはどうなっているのかという点で見ますと、かなりいろいろ厳しい状況であるようでございます。この地球温暖化対策取り組みという点で見ましても、日本よりももう少し政府といいますか大統領サイドと議会との対立が厳しくなっているような、そういう報道もございます。また一方で、ヨーロッパではかなり進んでいるところがあって、特にオランダはかなり効果が上がっているという報道もございました。  私もオランダにつきましては大分興味がありまして、昔からオランダ国土づくりとか都市づくりを研究させていただいてきたんです。今の自動車時代を想定したのかどうかわかりませんが、いろんな事情もあってですけれども、ああいう運河を非常に張りめぐらした国土づくりになっていまして、その結果として今のいわゆる自動車時代を迎えて、ある程度交通量を減らすということが成功しているというような感じがひとつしているんです。私も運河だけですと偶然かなと思っていたんですけれども、実は行ってごらんになるとわかるんですけれどもオランダ主要都市道路日本のように車道歩道があるんですが、必ず歩道車道の間に自転車道があるんです。それで、道路への照明は自転車道に集中しているんです。それで、できるだけ自転車を使ってほしいという政策をとっておる。  それから、最近日本でもニュータウンづくりで積極的に導入され出したんですが、ボンエルフといいまして、オランダの言葉なんですが、団地内に非常に便利だからといっていわゆる通過交通が入ってこないように、自動車が入ってくると通りにくいように段差を設けたりいろいろなことをやっている、あれもオランダなんです。ですから、オランダという国は地球温暖化の問題まで意識したかどうかわかりませんが、省エネという観点でいきますとかなり進んだ国じゃないかなと思います。そういう先入観もあって、ちょっと見ますとかなりオランダは進んでいるという話もございます。  それから、今回の京都会議等でも、京都議定書でも結局途上国は除かれているわけですけれども、しかし、いろんな国に行ってみますとかなり激しく煙もくもくといいますか、エネルギー消費が活発化しているという状況もございまして、いろいろな問題はあるんじゃないかなと思うわけでございます。  その点、若干のうんちくを傾けさせていただいたところで、専門的なお立場から諸外国の実態がどういうふうになっているか、御説明いただければと思います。
  19. 浜中裕徳

    説明員浜中裕徳君) 私どもが把握しておりますデータ、これは各国からこの条約気候変動枠組み条約と申しますが、この条約事務局提出をされた報告書がございまして、これをもとに計算をしたデータがございます。  これを見てまいりますと、先進国あるいは市場経済移行国、旧ソ連圏も含めまして、こういったいわゆる先進国の中で一九九〇年から排出量が減っておりますのは比較的限られた国でございまして、いわゆる西側先進国の中では、代表的な例といたしましてはドイツそれからイギリス、こういったところが減少を見ております。ドイツでは一二%減少をし、あるいはイギリスでは九%減少している、こういったような事情にございます。  これらの国につきましては、例えばドイツは御案内のとおり東西両独の統一というようなことがございまして、そして旧東独部分につきましては産業あるいは発電等の設備が大変古いものがございまして効率が悪かったわけでございます。あるいは褐炭という非常に効率の悪い石炭を使っておりまして、同じ石炭でも同じエネルギーの熱を得るために燃やす量が非常に多くなってしまいまして二酸化炭素排出量が多いという質の悪い石炭でございます。こういうものを大量に使っていたところをいわば併合といいますか合併をしたわけでございまして、そういったことから基準年における排出量が多かったということで、その後の近代化と申しますか、そういったことによりまして非常に効果が上がっているというやや特殊な側面がございます。  それからイギリスの場合には、やはりこれまで相当石炭に多く頼ってきたわけでございますが、これを近年は天然ガス等の他の燃料への転換を大幅に進めておられる。こういったようなことなどによりましてこの二つの国は減少しておりますけれども、おおむねその他の旧西側先進国増加をしているのが現状でございます。  ただいま先生から具体的に例が出されましたアメリカあるいはオランダにつきましても、オランダは確かに御指摘のとおり大変環境保全にも配慮した町づくりあるいは温室効果ガスを含めました環境保全対策についても企業の自主的な取り組みを進めるような、そういう政策を非常に意欲的に進めておられるんですが、それにいたしましても温室効果ガス排出量で見ますとふえております。  アメリカの場合には、やはり一九九〇年から九五年までの間に六%増加をしておりますし、オランダは一〇%増加、こういうことになっておりまして、それがオランダ政府そのものの非常に意欲的な政策とどういう関係になるのか、これは私どもももう少し真剣に研究してみたいとは思っておりますが、結果としてはそういう数字になっているわけでございます。  また、市場経済移行国は、御案内のとおり非常に現在市場経済への移行に伴っていろいろな政治的、経済的な混乱もございまして、全般には大きく排出量減少しておる。例えばロシアの場合には、三〇%ぐらい減少しているというのが現状でございます。
  20. 市川一朗

    市川一朗君 いろいろ詳しいお話があったわけでございますけれども我が国におきましても、これは私の手元にございますのは地球温暖化対策推進大綱でございまして、本年の六月十九日に地球温暖化対策推進本部で決定されたものでございます。  これは、本法案が成立いたしますとこの法律に基づく総合対策が決められていくというところでこの大綱が内容的には吸収されていくことになるんだと思いますが、拝見しますとかなり盛りだくさんといいますか、いろいろ現時点で考えられることといいますか、取り上げられる可能性のあるものはみんな書いてあるというくらいの大綱だと私は評価しておりますけれども、こういったいろいろこの大綱で書かれたような考え方あるいは方針に従って対策を講ずることによって、これからこの法案提出も含めた政策的効果を上げていくということになるんだろうと思います。  これは常識の世界でもあるんですけれども、改めてこの大綱を丁寧に見まして、そしてこれからの日本取り組みの姿勢を考えましたときに、やはり一番問題になりますのは、先ほど一人一人の生活のいわゆる民生部門の問題が大きいという指摘がございましたが、民生部門に提供されるいろいろな器具といいますか商品も経済活動から出てくるものでございますので、広い意味では産業経済活動といいますか、各種事活動への影響というのが一番大きなポイントになるといいますか、懸念される問題点でもあるわけでございます。それは恐らく我が国だけじゃなくて、アメリカも含めいろいろなところでこれからも議論される部分だと思いますし、国際会議でもいろいろとこれからの話題になると思います。  地球温暖化防止という人類共通のテーマで、しかも百年単位ぐらいの意識でもって取り組んでいくということからいたしますと、きのうきょうの景気の問題を議論するというのはまことに問題かもしれません。しかし、私はきのうも私の選挙区の経済人とお会いいたしまして、あした地球温暖化問題について質問するんだよと言いましたら、いや、この不景気のときに地球温暖化と言われてもかないまへんなと、私の方は東北ですが、かないませんなという言い方ですが、非常に緊張して受けとめているような雰囲気もあります。  目の前の問題と長期的な問題との取り組み方の問題ですから、その辺は私は、この法案の成立も含めましてしっかりとした対応をすることが我が国の国益にずばりつながるという認識は持っておるのでございます。しかし、やはり一面でそういったことに対する不安といいますか懸念と言った方が正確かもしれませんが、そういう懸念を強く抱いている者の一人でございます。  そういった産業経済活動あるいは事業活動に関しまして、一番直接の所管省である通産省の立場で、本当は政府のいろんなお立場の人にお聞きしたいんですが代表してお聞きしますので、そういった問題についてどういった考え方でどういう取り組みをしていこうとなさっておられるのか、御答弁いただきたいと思います。
  21. 太田信一郎

    政府委員太田信一郎君) お答えいたします。  地球温暖化問題、これに対する対応策を講じますに当たっては、やはり地球温暖化に限らず環境の保全ということ、それからエネルギーの安定供給、それから経済の健全な発展という三つの目的がやはりバランスのとれた形で達成されることが基本的に重要であると我々は認識しております。  例えば、地球温暖化問題の解決に資するため環境への負荷の小さな社会を実現していくというのが基本的に重要だと思っておりますが、そのためには企業と事業者が省エネルギー技術の一層の開発、新たな設備導入、あるいは今委員指摘のように新しい製品の開発をしていくためにはどうしてもお金が必要になります。そういうお金を調達するためにも、やはり我が国経済が引き続き活力を維持していくことが不可欠であるというふうに我々は考えているところでございます。  こういった認識のもとで、私ども通産省としては、委員指摘のように、ことし六月に地球温暖化対策推進本部において決定された地球温暖化対策推進大綱に基づいて、省エネ法の抜本的な改正、原子力や新エネルギーの開発利用の促進といったエネルギー需給両面における対策の強化、あるいは産業ごとの実態を踏まえた代替フロン等の排出抑制対策推進、さらには、これは長期的には地球温暖化問題を解決するためにはやはり革新的な技術開発を進めていかなくちゃいかぬ、そういう対策を我々は着実に実施していかなくちゃいかぬと思っております。  こういうことで、我が国地球温暖化対策については、繰り返しになりますが、健全な経済発展と両立させるべく、今申しましたような最大限の政策努力を積み上げることにより我が国温室効果ガス削減目標の達成に向け努力していくことにしているわけでございます。  他方、政策的支援等のもとで事業者が今申しましたような環境問題に積極的に対応していくことによりまして、国際競争力の維持向上、例えば二度にわたるオイルショックの後、懸命な省エネ努力をして、それが企業の国際競争力につながったということは記憶に新しいところでございます。あるいは環境ビジネスなどの新たな事業機会も生まれてくると思っております。こういったことで、経済発展につながるという道も開けてくるのではないかと我々は認識しているところでございます。
  22. 市川一朗

    市川一朗君 私も、やはり地球温暖化防止というのが世界的なコンセンサスを得る過程の中でそのために努力していく、そしてその結果生み出される新しい技術、新しい製品というのは、国際競争力という観点では、むしろ競争力が高まるという意味で後ろ向きにとらまえずに積極的にとらまえていくべきテーマであるというふうに思ってはいるのでございますけれども政府としてもそういう取り組み方をしていこうという前向きの考え方に対しましては私も賛同したいと思います。ぜひともそういう方向で取り組んでいただきたいと思います。  それにいたしましても、産業界はいろんな立場がございますのでそれとの調整、これはなかなか難しい問題だと思います。これはひとり通産省の責任で処理できる問題ではなくて政府全体挙げて取り組む問題であり、ひいては国民全員がそういった問題について共通のコンセンサスを持って取り組んでいかなきゃならない問題だと思います。  そういった観点について、本法案の所管省でもございますし、地球温暖化防止に関しまして責任ある立場で取り組んでおられます環境庁といたしまして、今の通産省と私のやりとりを聞いていただいて、なお積極的にこういうふうに取り組んでいきたいといった、特に産業経済活動との観点についての御所見をお伺いできればと思います。
  23. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) 地球温暖化対策を強化することが経済活動を停滞させるのではないか、あるいは我が国の経済にマイナスの影響を与えるのではないかという懸念が一部にあることは私どもも承知しております。  しかし、先ほど太田局長答弁にもありましたように、地球温暖化問題の対応ということを考えてみますと、物の生産からあるいは生活様式、さらには交通システム、都市の構造等に至るまで、社会システムそのものの構造変化を必要とするという面が他面にございます。こうした変革を実現するためには、例えば省エネ設備等への投資であるとか、新しいビジネスへの振興、低公害車等の技術革新の進展などが不可欠であるというふうに考えられます。  したがいまして、各種地球温暖化対策を着実に実施していくことは、一つはもちろん我が国二酸化炭素の削減目標の達成に資するということは当然あるわけでございますが、と同時に、二十一世紀の地球に優しい経済発展基盤の整備にもつながる、あるいはつなげていかなければならないというふうに考えております。  環境庁では、このような観点から、これまでも低公害車の普及促進等私どものできる領域のことについては取り組んできたわけでありますが、環境事業団を通じましてゼロ・エミッション団地の建設譲渡事業に取り組みましたり、また環境ビジネスの振興策を実施してまいってきたところでございます。  今後とも、環境への負荷の少ない社会システムの実現を目指しまして、なお一層強力に大綱の措置を講じてまいりたいと思っております。
  24. 市川一朗

    市川一朗君 既に第三回締約国会議を京都で開催することに成功しておりますし、恐らくこの京都議定書に基づく国内法のこういった制定という意味では世界的にも我が国がトップを走っているのではないかと思います。  そういう意味で、地球温暖化防止問題に関しましては日本世界のリーダーシップをとれるような段階で一生懸命頑張っておられると思います。しかし、やはり何といっても足元をしっかり固めないと、自分のところがうまくいかないで国際的なリーダーシップを発揮するといっても限界があるわけでございます。その足元をしっかり固めるという意味におきましては、自分で発言して我田引水に近いかもしれませんが、今御指摘申し上げました産業経済活動各種事活動、そして国民の生活といった問題のもろもろに当たる調和の部分がしっかりとれることが大事だと思いますので、これはひとり環境庁だとか、ひとり通産省だとかという立場ではなくて、既に大綱の精神にあらわれ、この法案の策定作業にもあらわれていると理解しておりますが、政府挙げて大きな目標に向かって頑張っていただきたいというふうに思います。  そして、この大綱をいろいろ拝見しておりまして、また環境庁の事務方の方からもいろいろ御説明いただきまして、私は日本の森林の問題について、今度災害もございまして、これはいろいろ問題があるなというふうに思っておりましたので、地球温暖化問題と森林の問題というのは、これは改めてしっかりと取り上げるべきテーマではないかなというふうに思っておるわけでございます。  本会議質疑を聞いておりまして、公明の加藤修一先生でしたでしょうか、森林の吸収源としての位置づけについて、必ずしも学問的には共通のコンセンサスを得られているとは限らないんだというようなお話もありまして、私もあれを聞いていてどきっとした記憶があるのでございます。そういう問題意識に立ちましていろいろ見ますと、「目標期間排出量から植林、再植林等による純吸収分を差し引くことにより、議定書上約〇・三%の削減が見込まれる。」とか、「また、二〇一〇年頃における我が国全体の森林等による純吸収量が三・七%程度と推計されるところ、」云々と  いうような表現が、よく御存じだと思いますが、大綱の三ページに書かれております。  そういった温室効果ガス排出量算定との関係ということなんでございましょうか、要するに森林というのは、私どもも子供のころ理科で習ったあれでいけば、炭酸ガスを最も吸収するのは樹木  の葉であって、光合成をするんだというふうに習っておりますから、常識的にはそこはそうなんじゃないかなと思うんです。一方で、炭素サイクルという観点でいけば、それは単に樹木に炭素が蓄えられるだけであって、燃やしてしまえばまた出てくるんだという、やっぱり百年とか二百年のスケトルで言うとそういうことになるんだなという感じもして、なるほどと思いながら、これからの取り組みというのはなかなか大変だなというふうに思うんです。  そういった意味で、森林の問題については非常に私も重要視しているわけでございますが、その大前提として森林の吸収源としての価値といいますか位置づけという面につきまして、部長さん、ちょっとわかりやすく説明していただけますか。
  25. 浜中裕徳

    説明員浜中裕徳君) 森林の二酸化炭素の吸収源としての役割ということについてでございますけれども、森林はただいまいろいろと御指摘のとおり二酸化炭素を吸収いたしまして植物体として固定する機能を持っておりますことから、二酸化炭素の吸収源としての役割が期待されているところでございます。  こうしたことから、京都議定書におきましては、二酸化炭素の吸収量を適正に評価をいたしまして、温室効果ガス削減量の算定に算入する、あるいは反映をすることになったわけでございます。具体的には、当面、一九九〇年以降に行われた新規の植林あるいは再植林等に限りまして、これらの活動による純吸収量を算入する、こういうことになったわけでございますが、さらにそれ以外の活動もさまざまございます。  例えば、森林の保全あるいは管理といったことを日常的に林業部門の方々はやっておられるわけでございまして、そういった活動でございますとか、また最近多くの途上国で見られますが、森林であるところを伐採いたしまして農地に転用する、こういったことになりますと、せっかくの森林、林地で吸収をしていたところが今度は逆に二酸化炭素大気中に出してしまうという排出源になってしまうわけでございます。そういう逆の面もございますが、今後はそれ以外のそうしたさまざまな排出や吸収に関係をいたします活動につきましても、その取り扱いをどうするかということについて国際的に検討することとされているところでございます。  こうしたことを受けまして、実はことし六月、気候変動枠組み条約のもとに設置をされております科学上及び技術上の助言に関する補助機関というものがございますが、SBSTAということで、これを私ども交渉担当者は略称でサブスタというふうに呼んでおりますが、この第八回会合におきまして、この問題につきまして、世界専門家が集まったIPCCという機関、気候変動に関する政府間パネルというものがございまして、そこに委託をいたしまして、二〇〇〇年半ばを目途に、土地利用変化や林業に関する特別報告書ということで、専門家から見たこうした森林などの吸収源としての役割あるいはその機能、こういったものについて現在の科学の知見を集大成したレポートをつくっていただきたい、こういうことでその委託をしたところでございます。  そして、条約の締約国会議といたしましては、そのレポートを受け取りまして、二〇〇〇年に開催を予定しております第六回の締約国会議、COP6というふうに呼んでおりますが、ここにおいて議論を行いまして、吸収源の取り扱いについて国際的な合意を得るように努めるということが既に合意をされております。  現在、それに向けまして第一のステップとして、このSBSTAというところとIPCCが連携をいたしまして、九月の下旬にローマにおきまして研究集会といいますかワークショップを開催いたしまして、この京都議定書に現在定めております先ほど申し上げました一九九〇年以降に行われた新規の植林や再植林、こういった現在既に具体的に算入することが決まっておりますこれらについて、それではその新規の植林とは具体的にいかなることであるか、あるいは再植林とはどういつだことかといった具体的な定義でございますとか、それからそういった活動によります吸収量の具体的な算定方法についての議論を本格的に始めることになっておるところでございます。  我が国といたしては、今後ともこうした吸収源に関する国際的な検討の推進に積極的に努めてまいりたい、そして科学的な知見に基づく適正な吸収量の取り扱いがなされるように努力してまいりたい、このように考えておるところでございます。
  26. 市川一朗

    市川一朗君 京都議定書で法的拘束力のある削減目標というのが各国定められたわけですので、それを達成したかしないかといったようなことも含めた、かなり専門的な計算の仕方も含めた御議論も含めての議論がこれからなされるというふうに今の御答弁をお聞きして受けとめるわけでございます。それはそれとして、やはり常識的にも地球温暖化と森林の問題というのは極めて密接に関連するテーマなのではないかなと私自身思うわけでございます。  また、先ほどもちょっと触れましたけれども、最近の災害の状況を見ますと、この森林の問題をもっとしっかりやらないとこの間のような、確かに記録的な豪雨が原因ではあるけれども、ああいった集中的な豪雨がどこへいつ来るかわからな  いというときに、森林だけではないわけですが、しかし広い意味での保水機能というのを日本国土はしっかり持つ必要があるというふうに思うわけでございます。  特に、この間の災害現場へ災害対策特別委員会でこの間行ってきたのでございますが、話題になっております太陽の国という福祉施設の裏の里山が鉄砲水になった形で土砂が流れてきてそれで被害を受けている状況を私なりに拝見いたしまして、ああやはりこういう里山対策というのも非常に大事なのではないかなというふうに思ったりした次第でございます。  そしてまた、基本的に水資源の確保という観点での国土の保水機能というのは重要なテーマでありまして、私自身がいろいろ御託宣を並べる時間が必ずしもあるわけじゃございませんのでこの辺でとどめておきますが、やはり地球温暖化問題に積極的に取り組むことになった我が国の立場も含めて、森林の育成、保全というのは二十一世紀の非常に重要なテーマの一つになっていくんじゃないか、またすべきじゃないかというふうに思うわけでございます。  しかし、実態は、.ああいう災害が出てみると、あんなに木が倒れて樹木が流れてくる、それから里山も崩れるというような状況でいきますと、私ども今から何十年も前になりますが、国土が荒廃したということでみんなで植林しました。その植林した植林の仕方がどうも必ずしもよくなかったんじゃないか。木が余り密集すると根が張らないために本当の意味のしっかりとした森林にならないんだという指摘もつとにされておったりしておりまして、この森林問題、やはりしっかり取り組む必要があるというふうに思うんです。  きょうは農林省の方をお呼びしていますが、代表して申しわけないんですけれども、これからの森林の問題について、私はそういうふうに非常に重要なテーマだと思うんです。ただ一方で、何か林野庁特別会計の採算ベースなどという次元でいろいろ議論されておりますが、それはそれとして重要な問題ですけれども、しかし森林をしっかり確保するというのははるかにそれを超えた国策ではないかなというふうに思いますので、十分応援団になり得ますので、ひとつしっかりした御答弁を聞かせていただきたいと思います。
  27. 山本徹

    政府委員(山本徹君) ただいま先生指摘のとおり、森林は災害防止等の国土の保全、また本委員会の主要なテーマでございます温暖化防止のための炭酸ガスの吸収源、水源涵養等さまざまな重要な役割を持っておるわけでございます。  木材の住宅であるとか家具等を利用するということ、あるいは本質系の燃料を利用するということは、これは化石系の資材あるいは燃料を使用するのと比べまして、先ほども燃したら炭酸ガス排出するという御指摘がございましたけれども、この炭酸ガスは、新しく植林する、また木が育つことによって樹木が吸収しながら育っていくわけでございます。また、成長いたしますと新しい資材あるいは燃料を提供するわけでございまして、いわば木材、森林はリサイクル型の資源であり、また多面的な公益的機能を持った施設でございます。  戦後、私ども戦中から戦後の非常に大量の木材の伐採の跡地に営々として植林を行ってきたわけでございますけれども、最近におきまして木材の輸入の増加、需要の低迷等で森林の保全管理、手入れというのがやや立ちおくれておりますのは先生指摘のとおりでございまして、昭和二十年代、三十年代から四十年代にかけて営々と植林してきました木材の保育、これは下刈りとかつる切りとか、特に現在間伐が重要でございますけれども、民有林等においてはこの間伐の実施率が五割程度でございます。これは木材の伐採、そういった森林の手入れというのが採算に合わなくなっているという点が背景にあるわけでございますけれども、こういった森林をきちんと手入れをし、また伐採した跡地にはきちんと植林をし、また耕作放棄地あるいは無立木地、荒れ地等にも緑を植えてしっかりとした手入れをするということが二酸化炭素の吸収や災害防止に大変重要な点でございまして、先生かねて御指摘のとおりでございます。  私どもはこのために、森林の整備のための予算あるいは税制、金融等各種の支援施策に努力しているところでございますが、そういった中でこのような二酸化炭素の吸収あるいは災害防止等の公益的機能をより十分に発揮できるような森林づくりというのは大変重要でございますので、そのために間伐の推進あるいは長伐期の施業、それから複層林の施業、また天然林の育成、こういったことを重視した森林づくりを推進することといたしております。先ほど御指摘の太陽の国、これも里山でございますけれども、里山についてもきちんとした手入れが行えるような支援措置というのを講じていきたいと考えているところでございます。  先ほど国有林のお話もございましたけれども国土の七割は森林でございますが、そのうち三分の一が国有林、三分の二が民有林でございます。国有林につきましては五割が木材生産を中心とした経済林でございましたけれども、現在衆議院で御審議いただいています国有林の改革法案におきましては、この国有林の八割を公益的機能を重視した森林として育成するという方針にいたしております。また、民有林につきましても間伐や天然林施業、長伐期施業、複層林施業といった公益的機能を重視した森林施業を推進するような法制度、また支援措置を私どもこれから確立し、また充実させていきたいと考えております。
  28. 市川一朗

    市川一朗君 今御答弁にございましたが、民有林ですね、これをやはりきちっとやっていくことが極めて大事だと思いますので、その取り組みをしっかりお願いしたいと思います。また、私も微力ながら応援したいなというふうに思っておりますので、頑張っていただきたいと思います。  最後に環境庁長官にお尋ねしたいと思いますが、私は今いろいろお尋ねしてまいりましたけれども一つの感慨を持って御質問させていただいております。  いよいよ地球温暖化対策は理論の段階から実行の段階に来たなというのをまざまざと感じておるわけでございますが、たまたま一九八八年、ちょうど今から十年前になりますが、私は全然別な用事でカナダへ出張しておりました。そのときにカナダのトロントで地球温暖化に関する議論がなされまして、あれは国際会議だったと思うんですが、後で資料を見ますとCO2の二〇%削減をその会議が提言したというふうになされておりました。その細かいことはともかくとして、そういうタイミングでカナダへ行ったものですから、その話で持ち切りでございまして、そういうことなのかなと。ちょうどそのころ環境庁でも検討会がつくられたのが一九八八年だったと思いますので、十年たっていよいよ国内法の整備まで来たなというふうに思うわけでございますが、先ほど来お話をお伺いしておりましても、私自身の実感といたしましても、やはりこの目標達成というのはなかなかそう簡単ではないのではないかというふうにも思う次第でございます。  しかし、京都議定書におきまして法的拘束力のある各国別の排出量というものを決められたわけでございまして、いよいよしっかりと本格的にそういう意味でも取り組まなきゃいけないし、また人類の一つの大きな共通のテーマとして取り組まなきゃならないということで、大変大きなテーマに現在長官は取り組んでおられるわけでございます。  その辺を含めまして、長官の御決意といったものを直接お伺いするいい機会でございますので、ぜひともお聞かせいただきたいと思う次第でございます。
  29. 真鍋賢二

    ○国務大臣(真鍋賢二君) 地球温暖化防止のためにあらゆる対策を講じていこうということで、昨年京都におきまして京都会議、COP3が開催されたわけであります。そこにおきまして、日本は六%、アメリカあるいはEUということで七、八%の削減計画を出したわけであります。その削減計画に基づいてこれから対応を急いでいかなきゃならないということで、実はきょうあすと日本におきまして非公式閣僚会議が開催されておるところであります。私もけさほど出まして議長を務めて、中座させていただいたわけでありますけれども、そういうふうに各国とも目標を立てて懸命な努力をいたしておるところでありまして、日本もその線に沿って精いっぱいの努力をしていかなきゃならない、こう思っておるわけであります。  私も環境庁長官になりましてから、私のノウハウを生かしてということで、自分の経験に基づいた策を環境庁に示したところであります。環境庁としても、ありとあらゆる対策を講じてその六%実現に邁進していこう、こう決意を新たにいたしておるわけでありまして、先般も自動車メーカーに参りまして低公害車の開発状況を見せてもらったわけであります。二酸化炭素をいかにして少なくするかということでメーカー自身も懸命に頑張っていただいておるわけでありまして、電気自動車であるとか天然ガス活用自動車であるとかハイブリッド車であるとか、いろんな面で開発を急いでいただいておるところであります。  実はきのう、あるメーカーの社長さんが参りましていわくでございますけれども、今排出しておる化石燃料二酸化炭素を完全にきれいな状態にする実験を今やっておるそうでございます。三年後にはそれが開発されますよと大変楽しみな提言もしていただいたわけでありまして、そういうような面の開発も急いでおるわけでありまして、これらの問題についても一緒になって頑張っていかなきゃならないと思っております。  私も、六%という目標がセットされたわけでありますから、その目標に向かって何が何でもこの目的を達成しなきゃならない、こう思っておるわけでありまして、先生方にもいろんなお知恵をお授けいただきまして一緒になって問題解決に当たってまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いをいたします。
  30. 市川一朗

    市川一朗君 真鍋長官の大いなる御活躍を御祈念いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
  31. 長谷川道郎

    長谷川道郎君 自由民主党の長谷川道郎でございます。  今、真鍋長官から本法の意義、それから長官の御決意についての御披瀝があったわけでありますが、引き続き長官にお尋ねを申し上げます。  今この地球温暖化に関するいろいろな諸政策は、いわば新しい産業革命というような言われ方をしておるわけです。産業革命においてつくり上げられた大量生産、大量消費という文明を、環境問題を考えた生産であり環境問題を考えた消費であるという新しい文明に転換しなければならない、そういう時期である。その新しい文明がどういう文明であるか私は定かにはわかりませんが、長官の御認識、また本法についての意義をお尋ねしたいと思うわけであります。  先ほどちょっと通産省の御答弁の中にありましたが、省エネ法によって企業競争力、国際的な競争力が強化をされ、それが新しいビジネスチャンスに結びついたというお話がありました。  一九六〇年代後半から七〇年代にかけて、米国のケネディ大統領が六〇年代前半に消費者保護を打ち出し、そして消費者運動の旗手と言われたラルフ・ネーダーさんが、自動車に対して非常に厳しい規制をかけていた。あの当時の規制を考えると、到底日本自動車産業はクリアできない、これで日本自動車産業は壊滅をすると言われたくらい大変な規制をかけられた。しかし、日本自動車産業は見事それをクリアし、恐らくそれが私は日本自動車産業世界的な産業になる一つのきっかけであり、ラルフ・ネーダーさんは日本自動車産業にとってはいわば恩人であると思うわけであります。  先ほど市川議員も若干お触れになりましたが、ただ今回のこの法案省エネ、省資源であって、経済的にはネガティブのもの、いわば経済的には後ろ向きの政策であり、経済を減速させる懸念があるという、若干そういう産業界からの表明もあるわけです。  しかし、先ほど局長からも若干御答弁がありましたが、この地球環境というふうな問題は単なる、単なると言っては語弊がありますが、個別の公害問題に対する個別の処理、対応ではなくて、地球のまさに環境を守るというメジャーな思考で発想の転換をしなければならぬというふうに私は考えるわけであります。  先ほど申し上げました、産業界から省エネ法も含めて本法案が後ろ向き、事によって経済的にはマイナスの効果を発生させるのではないかという懸念があるわけでございます。この点を含めて長官のお考えを承りたいと存じます。
  32. 真鍋賢二

    ○国務大臣(真鍋賢二君) 地球温暖化問題は、まさに人類生存基盤に深刻な影響を及ぼす重大な問題だと受けとめておるわけであります。今国会でこの地球温暖化対策推進法案が御論議いただけておるわけでありますけれども、これもやはりこれからの環境行政に対する大きな基幹をつくっていただいておるものと思っておるわけであります。  考えてみますると、環境行政を厳しくすることによって産業に悪影響を及ぼすのじゃないかという懸念もあるわけであります。確かにそういうことも懸念されるわけでありますけれども、また反面、新しい産業を創出するという意味合いにも解釈できると思うわけであります。先ほどお話し申し上げましたように、例えばオイルショックによって日本のオイルの消費量というのが大きく変わったわけでありますし、また省エネという面につきましては大きな産業を生み出したわけであります。  そんなことを考えてみますると、先生も御心配をいただいておるような点が懸念されるわけでありますけれども日本の経済また産業一つの大きな変革時期じゃないかと思っておるわけであります。変革の中に新しい産業が生まれてくるという、その見通しを立てながらこの問題に取り組んでいきたいと思っておるところであります。  きょうから開かれております非公式閣僚会議におきましてもその点が懸念されるわけでありますけれども、各国とも積極的な意見を出しながらこの問題の解決策を模索しておるところであります。私が思うのに、今回のこの問題を契機にいたしまして、日本はバブルのときも経験したし、また今日のように環境問題について世界の先進リーダー国にもなっておるわけでありますから、このノウハウを世界に与えることによって世界全体が新しいシステムに生まれ変わり、そこに産業が創出できるようになればいいな、こういう考えも持っておるわけであります。  残余のことは事務当局から御説明させます。
  33. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) 先ほどお答え申し上げたことでほぼ尽きておりますので、簡単に申し上げます。  ただいま大臣が申し上げたとおり、我々といたしましては、いろんな御懸念に対しても積極的に御説明もしていかなきゃいけないし、単なる説明だけではなくて具体的な取り組みでお示ししていかなきゃいけないというふうに思っておりまして、先ほども具体的な例を申し上げました。低公害車の導入促進だとか、あるいはゼロ・エミッション団地の建設譲渡だとか、こういうことを私どもとやってまいる、現にやっておりますし、これからも進めていきたい、こういうことを申し上げました。 私どもも具体的な取り組みでそうした懸念等の払拭に努めてまいりたいと思っております。
  34. 長谷川道郎

    長谷川道郎君 大変建設的な方向でのお取り組みということでありますが、先ほど市川委員の御質問にもございましたが、この問題は短期的、ショートレンジな問題ではございませんので、景気対策とリンクするというふうなことではないわけであります。しかし、エコビジネスですとか新しい産業の形成というもの、非常に私はそういうふうな誘導が必要であると思いますし、一番大切なのはやはり私ども生活を上昇させるという生活上昇志向、そういう観点でのお取り組みをぜひ私はお願い申し上げたいというふうに考えるわけであります。  続きまして、京都会議の六%目標設定と本法の関連についてお伺いいたします。  六%削減という設定でございますが、これは御承知のように九〇年基準であるわけでございます。しかし、本年度時点で既に九〇年時点から九%ないし一〇%の増加をいたしております。したがって、本年度で六%を削減しようとすると、一五ないし一六%九〇年基準に対して削減をしなければならない大変なとてつもない削減目標であります。新聞報道などでは、到底実現不可能な目標であるというふうな言い方をされております。  しかし一方、ネット方式で森林のシンクによって吸収される部分が三・五%、それから共同実施、CDM部分が一・八%、合計しますと五・五%が森林と共同実施によって削減される。そうなりますと、実質的には五%削減でしかないわけです。ここら辺がちょっとよく理解できないわけでありますが、この目標設定の六%、これについて環境庁はどういうふうにお考えになっていますか、お願いいたします。
  35. 浜中裕徳

    説明員浜中裕徳君) 先生指摘のとおり、我が国温室効果ガス排出量は近年増加基調にあるわけでございます。御指摘のとおり九六年度、これが今速報値ベースではございますが、一番新しいデータが得られている年度でございまして、この年度の二酸化炭素排出量の速報値を見てまいりますと、九〇年に比較いたしまして約九%の増加ということでございます。  このまま推移をいたしますと、ますます増加をいたしまして、六%削減目標との乖離が大きくなるということでございます。政府が現在見通しております推計結果によりますと、大体二〇一〇年ころには、一九九〇年に比較いたしまして二酸化炭素の量といたしまして約二〇%以上増加をするのではないかというふうに考えているところでございます。  こうしたことでございますので、私どもといたしましては、京都で目標達成に考慮することができると合意されました排出量取引でございますとか、あるいは吸収源の取り扱い、こうした点に関する国際的ルールの確立を待つことなく、現時点からとり得る対策を講じていくことによりまして、議定書の将来における履行の準備を進めていかなければならないと考えております。こうした考え方から、今般この法案を御提出申し上げ、御審議をお願いしているところでございます。  この法案によります取り組み、あるいはさきの通常国会で成立いたしました省エネ法の改正による省エネ基準の強化などの取り組み、あるいは技術開発でございますとか国民への普及啓発、こういった施策とが相まちまして着実に排出抑制が進むものと考えているわけでございます。  こうした取り組みによりまして、いわば二〇%以上増加する、例えば一九九〇年の水準を一〇〇といたしますと、二〇一〇年ごろには一二〇あるいはそれ以上になるわけでございます。これを六%減、九四に減らすわけでございますから、いわば三〇%近い削減が必要になるわけでございまして、そのうちの二〇%以上、実際には二酸化炭素メタン及び亜酸化窒素の三つの種類ガスで、最大限の努力によりまして九〇年に対しまして二・五%削減をするということでございますから、そういう二〇%以上の削減分につきましてはそうしたあらゆる努力によりましてこれを達成していこうということが現在の政府の考え方でございます。  さらに、これらに加えまして、御指摘のございました国際的ないろいろな仕組み、例えば排出量取引でありますとか吸収源の取り扱い、こういったことに関します国際的な検討の結果も踏まえまして、国内対策及び国際的な協調のもとでの取り組み推進を通じまして六%削減の達成のために万全を期してまいりたい、このように考えているわけでございます。
  36. 長谷川道郎

    長谷川道郎君 ただいまの御答弁で、二〇一〇年現在時点で二〇%アップというようなお話がありました。さっきちょっと私も申し上げた森林シンクの問題とCDMの問題、これは新聞の報道によりますと環境庁のマジックだという話がありますが、そうとは思いませんが、お話ございましたように十年後、二十年後の取り組みではなく、直ちにこの時点からの取り組みというお話もございました。ぜひそういうお立場でお取り組みをいただきたいと思うわけでございます。  この京都会議で六%削減という具体的な国際的な数値目標、国際公約が表明をされたわけでありますが、この法案の中に六%という規定がございません。本法案の最大のテーマは六%だと私は思うわけでありますが、この法案に六%という数値目標を掲げられなかったことはいかなる意味であるか。  また、今後、各種法案、法令の整備ということになるわけでありますが、本法の中に織り込まれていない六%という具体的な数値を担保するための法案の整備という作業がこれからあるわけであります。直ちにこの時点から取り組みをしなければならないというお話でありましたので、殊に私は、むしろ六%という厳然とした国際公約があるわけでありますので、この法案の中に六%という数値を盛ってもよかったのではないかなと思うのでありますが、本法案に六%という具体的な数字を設定しなかった理由、そして今後の関係法案、法令の整備についてどのようにお考えになるのか、お伺いいたします。
  37. 浜中裕徳

    説明員浜中裕徳君) お答えを申し上げます。  私どもといたしましても、京都会議におきまして法的拘束力を持つ排出削減目標を含む京都議定書が採択されましたことは、地球温暖化防止に向けて歴史的な一歩をしるしたものと評価しているところでございます。  しかしながら、先ほど御答弁申し上げましたとおり、この京都議定書におきましては、各国それぞれの国内における排出抑制対策に加えまして、国際的に協調してこれを達成する仕組み、排出量取引でございますとかクリーン開発メカニズム、さらには吸収源、先ほど来さまざまな御指摘がございます森林等の吸収源による吸収も参入をする、こういったことによりましてこの削減目標を達成していこう、こういうことでございます。  したがいまして、新たに導入されることになりましたこれらの仕組み、排出量取引等の仕組み、あるいは吸収源の取り扱いにつきましての具体的なやり方、取り扱いの仕方あるいはルール、こういったものにつきましてさらに今後国際的な検討を進める必要がございます。そうした結果を踏まえまして、初めて我が国にとりましては六%達成の具体的な全体像が明らかになる、このように考えているところでございます。  一方で、しかしながらそれを待っていたのでは我が国排出量は年々増加する、そういう勢いにございますから、その議定書の細目を定める国際交渉の結果を待つことなく、今日の段階から取り組むべき施策についてはこれを積極的に進めていく必要がある、このような考え方から京都議定書の将来における締結でございますとか、その履行の確保に備えて今後の対策の土台を築くという意味でこの法律案を提案させていただいたところでございます。  このような理由から、現在提案を申し上げております法律案におきましては、京都議定書の実施を直接担保するものとしては構成をしていない、こういうことでございます。  しかし、今後、ただいま申し上げましたようなさまざまな京都議定書の細目を詰めてまいります国際的な検討が進展いたしました段階で、いわば京都議定書の発効に向けた準備が整ってきた、そう判断される時点におきましては国会に京都議定書の締結をお願いすることになろうかと思います。その時点では、京都議定書我が国における実施を担保するための、そのような内容を伴いました法律案を改めて御審議いただくことになろうかと考えております。その段階ではもちろん六%達成ということを目的にしたそのような法案の内容になるのではないかと、このように考えている次第でございます。
  38. 長谷川道郎

    長谷川道郎君 これは国会の問題でありますが、今、議定書の批准の問題でありますが、環境庁内部のお考えでもちろん結構ですが、今後議定書の批准、国会の議決等についてはどのようにお考えでございますか。
  39. 浜中裕徳

    説明員浜中裕徳君) これは、現時点におきましてどのような形、あるいはいつごろになるかということにつきましてはなかなか見通すことが難しゅうございますが、現在、京都会議で宿題として私どもに残されましたさまざまな課題をできるだけ早くこなしていくために私どもも日々努力を重ねているわけでございまして、そのような努力の一環として、本日及び明日、先ほど大臣からも申し上げましたとおり非公式閣僚会議も東京で開催をしているわけでございます。  そうした努力をさらに進めまして、ことしの十一月に第四回締約国会議、いわゆる京都会議の次のCOP4というものも開かれます。そこでできる限りの議論を前進させてまいりたいと考えておりますが、実際問題といたしましては、このCOP4で、京都で残されました宿題のすべてをここで一挙に片づけるということは、なかなか現状、率直に申し上げまして困難な状況でもございます。  したがいまして、さらにその翌年のCOP5あたりを目指しましてさらに議論を重ねる。あるいは場合によって、先ほど森林の吸収の問題で申し上げましたが、森林の吸収の問題について、世界専門家による検討のレポートは二〇〇〇年に提出をされるというようなことで現在作業が進められようとしております。そういう意味では、さらにその先の、場合によってはCOP6というところまでかかるかもしれませんが、そのような国際的な検討をできるだけ早く促進いたしまして、一日も早く京都議定書が発効にこぎつけられるように私どもとして努力を重ねてまいりたいと思っております。
  40. 長谷川道郎

    長谷川道郎君 本法案は、いわば今後のための土台であるというような御説明でございましたが、今我が国で問題になっておる種々の政策、議論の中で一番の問題点は、政策のスピードということが大きく問題になっておる。これが多分目下の最大の、もちろんテクニカル的なことはいろいろありますが、一つのビヘービアとして、政治的な態度として政策のスピードということが今非常に問題になっている。  いろいろ問題はあるんでしょうけれども、いいことはすぐやる、早くやる、これが大切なことでありますし、ましてや六%の目標設定は厳然たる国際公約であるわけです。この法案になぜ盛られなかったかなという点は今の御答弁でもいささかちょっとまだ納得できないわけでありますが、ぜひ早急なお取り組みをお願い申し上げたいと思うわけでございます。  続きまして、政府取り組みと国民の協力ということでございますが、この法五条に「事業者の責務」という項がございますが、この責務を担保する裏づけ、拘束力は何かという点でお尋ねをいたしますが、責務というのと義務というのとどういうふうに違うのか私はよくわかりませんが、なぜ義務でなく責務であったのかという点が第一点。  それから、事業者や産業界に責務であるというふうな投げかけをした場合の逆に産業界のインセンティブは必要ないのか。ただこれは、産業界の皆さん、あなたたちの責務ですよと言うだけでは私はなかなか進展をしない、実効性があるとは思えない。そのインセンティブをどういうふうにつくられるのか、また政策的にどういう誘導をされるのか。恐らくさっき申し上げたように、責務ですよ、よろしくお願いしますだけではなかなか解決できない問題だと思いますから、一定の政策的な誘導が当然のことながら必要だと思うわけでありますが、先ほどもお尋ねをいたしました責務というものの意味、それからインセンティブ、特に政策的な誘導、これについて環境庁はどのようにお考えになっているのか、お伺いいたします。
  41. 浜中裕徳

    説明員浜中裕徳君) 事業者の責務ということについてでございますが、この法案におきましては、地球温暖化対策推進を図ろうという観点から、国から始まりまして地方公共団体、そして事業者、国民というあらゆる主体の役割、地球温暖化防止対策を進める上での役割ということを明確にしたいということで、法案におきまして第三条から第六条にわたりましてそれぞれの責務を定めさせていただいているということでございます。  この事業者に対します責務につきましては、まず第一点といたしまして、みずからの事業活動に関して温室効果ガス排出の抑制等のための取り組みをするということでございます。それからもう一つは、例えば燃費のよい自動車を製造し販売する、あるいは廃棄物を減量するといった消費者や廃棄物処理業者という他の者の取り組み、他の者の温室効果ガス排出量の抑制の取り組みに役立つ取り組みを行うこと、この二点を責務として定めているわけでございます。  そしてさらに、実は具体的には法案の第九条に「事業者の事業活動に関する計画等」という条文があるわけでございますけれども、相当程度排出量の多い事業者につきましては、その排出の抑制等のための措置に関する計画を作成し公表する、さらにその計画に係る措置の実施の状況を公表するように努めることを求めているわけでございます。  こうした事業者による計画の策定等につきましては、温室効果ガス対策、これは六種類ガスすべての対策でございますが、そうした対策取り組みはまだ緒についたばかりでございます。そうした実態を踏まえて一律に義務づけることはなかなか困難であるというふうに考えまして、本法案におきましては努めなければいけないといういわゆる努力義務という形で位置づけさせていただいたところでございます。  しかしながら、このように努力義務ではありましても計画の策定や公表を本法案をもってルールとすることによりまして、意欲のある事業者は積極的にその取り組みを公表し、国民に見える形でよい意味での企業問競争が生じるのではないか、そして創意工夫を凝らした計画の策定が誘導されていくものであるというふうに考えているわけでございます。さらに政府といたしましては、事業者のこうした自主的な計画の策定やその公表を促していくためにさまざまな技術的情報の提供をするなど、その支援を図ってまいりたい、このように考えているところでございます。
  42. 長谷川道郎

    長谷川道郎君 今お話にございましたように、努めなければならないという法でありますが、やはり強力な政策的な誘導が必要であるというふうに私は強く考えております。  今お話しのように、技術情報の提供等というようなお話がございましたが、私はもうちょっと踏み込んだお考え、政策的な展開が必要ではないかと思うんです。確かに、努めなければならない責務であるということで協力をお願いし、多分私は日本の企業経営者はモラルが高いレベルにあると思うのである程度の進展はあると思うのですが、政策的な誘導というものにぜひひとつ強力にお考えいただかなければならないと思うわけであります。  そこで、一種のインセンティブとしての炭素税、環境税、まだこれについて環境庁並びに長官は具体的にもちろん税金というようなことは一切おっしゃっておらないわけでありますので、庁としての御見解はなかなかまだお聞きするという段階じゃないと思うんですが、九七年七月、環境庁の環境に係る研究会最終報告というのが出されています。この研究会最終報告におきまして炭素税について結論を出されたということでありますが、どのような研究、協議をされ、いかなる結論を出されたのかが第一点。  第二点は、北欧や欧米の一部では炭素税、環境税が既に導入されて実施をされているわけでありますが、OECDが環境税の導入を強く勧める勧告をしたという報道がございます。これについていかがお考えになりますか。  研究会の報告についてはちょっとお聞かせをいただきたい。OECDの勧告についてはいかがお考えになるのか、この二点をお伺いいたします。
  43. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) 先生指摘のように、環境庁では環境税及び課徴金につきまして平成六年から環境に係る税・課徴金等の経済的手法研究会を設けまして検討をお願いしておりました。座長は一橋大学の石先生でありますが、お願いしておりまして、九年七月に最終報告をまとめていただきました。  この報告書では、先生今御指摘のありました北欧諸国等の炭素税の実施状況効果をチェックいたしますとともに、地球温暖化対策としての税の必要性について明らかにし、地球温暖化の防止を念頭に置いた環境税の具体的オプションを提示しております。例えば、どういう組み合わせにしたらどういう効果がある、あるいは高い税率にした場合と低い税率にした場合はどうかとか、こんなことを幾つかの例示を出しております。そうした上で、「今後、議論の一層の進展を期すためには、産業界等を交えた幅広い視野からの検討や意見交換が必要」でるというふうにまとめられております。   以上が御報告でございます。  また、OECDでは、御指摘のように昨年環境税とグリーン税制改革と題する報告をまとめて発表されております。この結論におきまして、環境税の導入を含む税制のグリーン化につきまして、各国はおのおのの国における経済、財政、環境の諸条件に応じつつ、その税体系のグリーン化の機会と可能性について検討すべきであるとしておるところでございます。  環境庁といたしましては、これらの報告やこれまでの議論を踏まえながら、さまざまな立場からの御意見をいただき、国民的な議論のもとでさらに環境税についての検討を進めてまいりたいと考えております。
  44. 長谷川道郎

    長谷川道郎君 OECDの勧告というか報告の中の今お話のございました税制のグリーン化の問題、これは先ほどから私が申し上げています企業や社会、もちろん国民生活も含めてでございますが、環境問題に対する環境ガス排出規制の動機づけ、インセンティブはやはり目に見える形でもってなければならない。そして、後で時間があればちょっと触れたいと思うんですが、いろいろな新しい環境対策、例えば車両それから新しいエネルギー源の開発等々に対する研究開発の資金の原資ということでも私は炭素税、環境税についてこれから、これから始めるのでは遅いかもわかりませんが、真剣に考えなければならないと思うんです。ただ、今新しい税金を創設するということについては政治的なタイミングの悪い時期でございますが、しかしそれとこれとはまた別問題であります。  冒頭申し上げましたように、この温暖化防止の諸政策生活の上昇そして新しい社会のスタイルをつくるという前進的な、前向きな、建設的な考えであるならば、私は炭素税、環境税というのは一定の理解を得られるのではないかというふうに考えておるわけでございます。  続きまして、この法案の中でもございますが、都道府県センターという規定がございます。国民や企業の協力を得るための一定の組織として都道府県センターを設置するという案でございますが、この規模と具体的な施策についてまずお伺いをいたします。
  45. 浜中裕徳

    説明員浜中裕徳君) お答えを申し上げます。  この都道府県地球温暖化防止活動推進センターでございますが、このセンターは、国民による地球温暖化防止のための取り組みを促進するためには日常生活における温室効果ガス排出の実態を踏まえた適切な対応を行うことが重要であるという考え方から設置することを御提案申し上げているわけでございます。  こうしたことから、この都道府県センターにおきましては、住民に対する普及啓発等を継続的に行いますとともに、住民の生活実態に即したとい  いますか、いわば踏み込んだ相談などに応じられる機能を有するものと考えております。  具体的には、例えば住民からの照会、相談などを通じまして各世帯の電気の使用量でございますとかあるいはごみの排出量、こういったデータを収集しましてできるだけ排出抑制に高い効果を生むような取り組みというものを明らかにしてまいりたい。そして、そうしたこととともに、住民が使用する各製品の電力消費量等のデータをとりまして、それらから自動車やエアコンなどの使用に伴う二酸化炭素などの排出量について、全国センターというものを別途設けることにしておりますが、この全国センターによって算定された情報を、こうした自動車、エアコンなどの排出量についての情報を国民がこれらの製品を購入されるときに製品の選択あるいはさらに購入された後の使用方法等へ反映させていくというふうなことを効果として期待しているわけでございます。  こうした情報の収集に当たりまして国民の御協力が不可欠でございますので、環境庁を初め政府はもちろんのことでございますが、各都道府県センター及び全国センターにおいても情報を提供していただくことの必要性を各方面に十分に理解していただくように努めてまいりたい、そして国民に積極的な対応を促してまいりたい、このように考えております。  この都道府県センターは、地球温暖化対策に関する普及啓発等の事業を適正かつ確実に行うことができるものとして都道府県知事が指定する公益法人でございまして、その規模については、お尋ねがございましたけれども、各都道府県知事の判断によるものではございますけれども、ただいま申し上げましたような機能を十分に発揮できる能力が必要であろう、このように考えているところ  でございます。
  46. 長谷川道郎

    長谷川道郎君 国民からの情報を集めるというような効果が期待されるというお話であります。その情報については後でもう二点お伺いいたしますが、環境庁は地方に現場を持っていらっしゃらないわけでありますので都道府県センターというようなことになると思うんですが、経団連からこの点について指摘が出ておりまして、全国規模で事業を展開している企業にとって地域的に対応が違ってくるというようなことは全国規模の事業展開について困難を来すようになる、かえって推進に逆効果であるという指摘がございます。  例えば、埼玉県のセンターと群馬県のセンターの取り扱いが違うというようなことが、あるかどうかわかりませんけれども理屈の上では考えられる。そうなると、埼玉県と群馬県の両県にまたがる企業は対応が非常に困難になるというような指摘があるわけでありますが、これについてはいかがですか。
  47. 浜中裕徳

    説明員浜中裕徳君) お答えを申し上げます。  この都道府県センターは、あくまでも国民による地球温暖化防止のための取り組みを促進する、具体的には日常生活における温室効果ガス排出抑制を図る、そういうことを目的にして活動を行うものでございますので、基本的には先ほど申し上げましたとおり住民の照会や相談に応じていく、あるいは住民にいろいろな情報を提供していくというようなことが主な業務でございますので、企業活動との直接の関連はそれほど大きなものがあるとは考えておりません。  ただ、私どもやはり同じ目的を持って各都道府県に設置するものでございますから、相互の連携を十分に確保いたしまして、この都道府県センターに期待されます機能が十分に発揮されるようにしてまいりたい。そのために全国センターを中心として十分な連携が図られるように環境庁としても努力をしてまいりたい、このように考えているところでございます。
  48. 長谷川道郎

    長谷川道郎君 環境庁のこれに付随する政策の中で私はいいなと思った施策でありますが、現実に全く私は目にしたことがないものでお伺いしたいと思うんですが、エコマークについて。  環境保全に役立つ商品、例えば一〇〇%古紙のトイレットペーパーですとか廃木材を利用した商品等二千ほどのアイテムにエコマークというのがついているということでありますが、実は私はエコマークというのは一回も目にしたことがないんですが、これについて御説明いただけますか。
  49. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) 先ほど来経済と地球温暖化対策という御議論もありました。私どももそれについての取り組みをやっているということを申しましたが、一方で消費者の方々がどういうものを選択するか、あるいは環境保全型の製品に積極的にアプローチしてもらえるようになれば、それによってまた技術、サービスへの需要喚起というようなこともあるわけでありまして、そういう意味で国民のライフスタイルの転換ということも一面大事だというふうに考えております。  そういう意味でエコマークは、環境に優しいと認められる商品にエコマークをつけることを認めることによりまして環境保全型製品の普及を図る事業といたしまして財団法人の日本環境協会が平成元年以来実施しているものでありまして、先ほど先生も御指摘ございましたが、平成十年六月現在で七十二商品類型二千三百九十八商品が認定されております。  エコマークなるものは具体的にこういうものでございます。(資料を示す)ちょっと見、えにくいかもしれませんが、例えば環境庁の使っております袋、これは再生紙を使用しているということで、ここに小さくはございますが同じようなマークが掲げられておりまして、こういうマークをつけているものがいわゆるエコマークのついた商品という形になっております。  以上で御質問にはお答えしたかと思うんですが、ただ、エコマークのあり方につきましても私どももさらに今検討を進めております。  具体的には、これまでまずとりあえず地球に優しいということで認定基準をつくってやってきたわけでございますが、その後さらに製品の環境への負荷についてはもう少し広い視野で物を考えなきゃいけないんじゃないか。例えば原料採取、製造段階から流通、使用、廃棄に至る製品のライフスタイル全体にわたって考慮することが必要だろうということで、さらにエコマークの基準を現在見直しをしつつあるところでございます。  先ほどもちょっと触れたわけですが、今後も環境に優しい商品に関する情報をより多く提供し、消費者が活用できるようにするとともに、生産者にも環境への負荷の少ない製品の開発を促すことが重要であると考えておりまして、さらにこの取り組みを拡大し、環境保全型製品の市場育成に努めてまいりたいと考えております。
  50. 長谷川道郎

    長谷川道郎君 ありがとうございました。  エコマークを今拝見し、私は珍しくお役所のこういうビジネス関係政策としては非常にいい政策だと思うんです。ただ、今エコマーク拝見しましたけれども、字が小さくてデザインがダイレクトではない、何のマークかなという感じがいたすわけです。もしもおやりになるとしたら、ビジュアル的にやっぱりダイレクトに消費者の心に飛び込むということでないと、これは多分役所のどなたかがお考えになったマークじゃないかと思うんですが、もうちょっとビジュアル的にお考えをいただきたいというふうに思います。政策としては大変すばらしい政策でありますので、ぜひ強力に振興をしていただくべき私は政策であるというふうに考えます。  それから、先ほどのセンターのお話の中で、国民からの情報の提供、そしてそれは日常生活の中での情報提供、なおまた国民の皆さんからの照会や情報提供の要請に対してこたえるというお話がございました。資料を拝見いたしますと、環境庁では環境家計簿というのを既に第二版までつくっていらっしゃるということでありますが、多分先ほどの情報の照会、提供というようなことにこれが使われるのかなという感じがいたすわけでありますが、環境家計簿について御説明をお願いいたします。
  51. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) 先生指摘環境家計簿でございますが、電気、ガスなどの消費量をチェックすることで家庭生活から排出される二酸化炭素排出量が把握できる、そして、と同時にそれを小まめにチェックすることによって家計費の節約にもつながる、こうしたことで二酸化炭素を減らすことができる。そういう意味で、家庭における排出削減の取り組みのヒントを提供できる家計簿だということで、私ども環境庁といたしましては、平成八年度から作成いたしまして広めるような努力をしてきております。  他方、各地で独自のいろんな環境家計簿をおつくりになっているような団体等もございまして、こうした各地の独自の取り組みとあわせまして、全国的な普及を図るために環境家計簿運動というものを展開しております。この運動の一環といたしまして、昨年度には東京都、今年度は神戸市におきまして環境家計簿運動推進全国大会を行いまして、この運動への参加の拡大等につきましてさらに議論をして定着を図っておるところでございます。また一方、民間では環境家計簿のもうパソコンソフトというものも販売されているように聞いております。  私ども環境庁といたしましては、この環境家計簿運動を拡大していくとともに、できるだけ要は簡易な方法で家庭生活から排出される二酸化炭素排出量をチェックできるような工夫をさらに深めていきたいと考えております。
  52. 長谷川道郎

    長谷川道郎君 環境家計簿は、今の御説明のように日々の生活において環境に負荷を与える行動や環境によい影響を与える行動を記録し、必要に応じ点数化し、収支決算のように一定の期間の集計を行ったりする、消費者が楽しみながらまた家計費の節約を励みとしながら自然に環境に配慮したライフスタイルに変えていくことができるようにする、環境庁では既に第二版を一般に配布し活用を呼びかけているというお話で、今のお話のとおりであります。  先ほど私は、エコマークは大変すばらしい施策であるというふうに申し上げたんですが、環境家計簿というのは今のお話のとおりなんですが、これをお考えになった方はよほどの善意の持ち主か、余り世間のことをお知りじゃない方じゃないかと思うんです。普通余り最近の家庭では家計簿をつけるという習慣がない。家計簿をつけないような人が環境家計簿をつけるかどうか。私はうちの家内に聞きましたら、家計簿だって面倒くさいのに何で環境家計簿なんかつけなくちゃいけないのかと、そう言っておりました。多分、真鍋長官の奥様も、多分どころか間違いなく家計簿をつけていらっしゃらないと思うんですが、環境家計簿というような政策は、これは残念ながら私はお役所が頭の中でお考えになった典型的な施策ではないかと思う。それについてはもう触れませんが、そういうことも含めてひとつ前進的なお取り組みをいただきたいと思うわけであります。  続きまして四番目の質問でありますが、国際的なイニシアチブという点についてお伺いいたします。  昨年の京都会議日本がリードした初めての国際会議であり、そういう意味では非常に歴史的な意味のある会議であったと私は思うわけでございますが、国際的なコーディネーターとして期待が集まる日本が今後の問題についていかなる責任を果たすのか、これについてまずお伺いします。
  53. 上田秀明

    政府委員(上田秀明君) お答え申し上げます。  御指摘のとおり、昨年の京都会議気候変動枠組み条約の締約国会議を主催いたしましたわけでございますけれども環境問題につきましては、人類の安全保障あるいは将来の世代に対する責任というような観点から積極的に取り組んでおりまして、国際貢献の最重要分野の一つというふうに位置づけております。  ただいま大臣から御説明がございましたように、本日また明日と、京都会議のいわばフォローアップといたしまして、アルゼンチンで行われます締約国会議に向けた中間段階におきまして非公式の閣僚会議を主催して行っているところでございます。  今後とも、あらゆる面で、特に日本の積極的な国際貢献の分野ではODAの分野でもいろいろなイニシアチブをとっておりますけれども、引き続き環境外交と申しますか、そういう面でのイニシアチブを発揮して取り組んでまいりたいというふうに考えております。
  54. 長谷川道郎

    長谷川道郎君 先ほど長官からもお話がありましたが、本日と明日、東京において非公式閣僚会議が開催され、それがCOP4に向けての会議、調整であるというようなお話がありました。  ちょっと私、余計なことかもわかりませんが、きょうは環境庁長官、本委員会に御出席いただいて大変ありがたいのでありますが、そちらの方に御出席をいただかないと困るのではないかと思っていささか、心配いたしておりますが、本日の非公式閣僚会議の性格、それからCOP4に向けての取り組み、きょうの会議はどういうふうな関連で、取り組みの端緒というかリレーションになるのか、それについてお伺いします。
  55. 上田秀明

    政府委員(上田秀明君) 先ほど浜中部長からも御答弁ございましたように、京都会議ではいわゆる条約締結国の先進国を中心といたします国々の義務的な削減目標が定まったわけでございますけれども、それと同時に、さまざまな排出量取引でございますとか、クリーン・ディベロプメント・メカニズムでございますとか、共同実施でございますとか、あるいはまたいわゆる吸収源の取り扱いでございますとか、原則合意されておりますけれども、細目に、実施要領についていまだ合意を見ていない点がございます。  こういう点につきまして、アルゼンチンで行われますCOP4で話し合いが行われるわけでございますけれども、この京都会議でせっかく盛り上がつたと申しますか、弾みがついた気候温暖化問題に対する国際社会の取り組みを引き続き維持していくという観点から、今回の非公式閣僚会議におきましては、今申し上げましたような問題、それから途上国のかかわり方をどうするかというような問題につきましていろいろな角度から非公式に意見を交換していただきまして、何とかCOP4と申しますアルゼンチンで行われます締約国会議で京都会議の弾みが失われないように、それからなるべく多くの点で合意が達成されるように、いわば地ならしと申しますか、そういうような目的で開催をしているところでございます。
  56. 真鍋賢二

    ○国務大臣(真鍋賢二君) 長谷川先生には国際的規模に立っての御心配をいただいて大変恐縮に存じます。  私も、けさほど会議の議長として九時から議長職を務めたところでありますけれども、昨日来多くの国々の大臣並びにそれにかわるべき人たちと会談をいたしたところであります。  その人たちが異口同音に言うには、昨年の京都会議は大成功であった、やはり目標値を立ててお互いの国々が頑張っていくその連携活動が必要である。ですから、COP3のフォローイングをしながらも今年十一月に開かれるCOP4に対してもその期待感を高めていきたい、それがためには日本の知恵をかりたい、日本の実行可能な提案によって事を進めてまいりたいというのがい言葉でございました。  日本国としてはその期待にこたえるべく頑張っていかなけりゃならないわけでありますけれども、実はきょう審議していただいております地球温暖化対策推進法案はその基幹をなすものでありまして、この法案が通過しないことにはCOP4に向けての対策も講じられないと思うわけでありまして、ぜひひとつ法案の早期実現を図っていただきますようにお願いをいたす次第であります。
  57. 長谷川道郎

    長谷川道郎君 私はさっき余計な御心配を申し上げましたが、なぜ申し上げたかといいますと、京都会議やCOP1、2、3、4のそもそものスタートであった九二年のリオの環境サミット、恐らく今世紀で最大の元首級のサミットと言われた九二年のリオ・サミットに残念ながら我が国の宮澤総理が欠席をされました。あのとき、PKOでしたでしょうか、国会日程の都合で宮澤総理は御出席がかなわずビデオで出席をされたということがございました。もちろん外国の皆さんはそうおっしゃらないでしょうけれども、新聞の報道では、日本の総理が国内事情、日程により出席をせず失笑を買ったという報道もございました。  先ほどの私の話は余計なお世話でありますが、もしもそのような場合、国会、委員会に御出席いただくのも大変ありがたい話でありますが、国際的な責任という問題でございますので、ぜひリオのようなことのないようにお願いを申し上げたいと思うわけです。  なお、ODAの関係については既に御答弁をいただきましたので結構でございますが、国際社会で我が国が責任あるリーダーシップを果たすとしたら、もちろん食糧だとかインフラだとか、そういうことも大切ではありますが、当該国がなかなか手の届かない環境の問題、教育の問題、そもそもこういう分野に貢献をするということが私はODAの意義であるというふうに思うわけです。先ほどODAに関しては御答弁がございましたのでお伺いいたしませんが、ぜひそういうことでお取り組みをいただきたいと思います。  最後に、きょうは通産省においでいただいております。本法案並びに地球温暖化防止に関連して、省エネ法の意義についてお伺いいたします。  もちろん省エネ法はずっと前の法案でございまして、地球温暖化防止推進政策とリンクする法律ではないわけでありますが、しかし法律の中身としては結果的に環境ガス排出を抑制するという効果を持っておるわけです。省エネ法の規制が温暖化防止に重要にかかわってくるわけでありますが、この温暖化防止と省エネ法のリンクの問題、これはどのようにお考えになるのか。そして、産業界からの一つの懸念として、省工不計画を義務づけるというか責務とするというような、努めなければならないですか、本法案の規定と省エネ法と、ダブルスタンダードといいますか二重のチェック規制になるのではないか。  結果として、本来であれば省エネ法がエネルギー効率的な利用を目的としておったわけでありますが、効果としては同じような効果があるわけです。悪口を言う新聞には、これは役所の縄張り争いだというふうなことが書かれておるわけでありますが、省エネ法と地球温暖化防止推進政策とのかかわりについてお伺いいたします。
  58. 稲川泰弘

    政府委員(稲川泰弘君) お尋ねがありました省エネ法、エネルギー使用の合理化に関する法律は、エネルギーに関しましてその有効利用の確保を目的として、工場、建築物、機械器具について所要の措置を定めたものでございます。  この法律は、先ほど御指摘のございましたリオのサミットの後も改正を行っておりまして、省エネルギーを行うこと自体につきまして、いわゆるエネルギーセキュリティー、経済成長環境という三つのEを実現するという手段、考え方でこの省エネ法の措置を構成しているところでございます。  御指摘のとおり、二酸化炭素排出量の九割はエネルギー消費に伴うものでございます。したがいまして、京都会議での合意を踏まえた対策をとる上で、エネルギー使用の合理化の徹底を図ることは極めて重要でございます。そういう趣旨から今回も法改正を行ったものでございまして、個別事業者等に対しまして必要な規制の具体的措置をとってございます。  強化いたしました内容は、機械器具の分野ではトップランナー方式という新しい方式を導入いたしましたし、また工場、事業場における判断基準の中で、将来に向けての省エネのための設備投資の計画を義務づけるなどの措置を講じてございます。  一方で、御審議をいただいております温暖化対策推進法案は、国、地方公共団体、事業者及び国民という温室効果ガス排出する主体につきまして、温室効果ガス排出の抑制にかかわります責務を明らかにするとともに、その自主的な取り組みを喚起するための大きな枠組みをおつくりになるものでございまして、当然その間に二重規制という心配はございません。  むしろ、温暖化対策推進法案によります温室効果ガス排出抑制等に係る基本的な枠組みと省エネ法に基づき講じられます規制措置を含めた具体的措置が相まちまして、地球温暖化の防止が的確に図られるものと認識をいたしてございます。
  59. 長谷川道郎

    長谷川道郎君 わかりました。  環境問題は、当然のことながらナショナルプロジェクトでありますので、よもや役所の縄張り争いというようなレベルでのことではないと思うわけでありますが、通産省、エネ庁も当然のことながら地球温暖化防止という大綱の中で、ひとつ全省、国家的な総力でお取り組みをいただきたいということを申し上げまして、時間でありますので質問を終わります。  ありがとうございました。
  60. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時に再開することとし、休憩いたします。    正午休憩      —————・—————    午後一時一分開会
  61. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) ただいまから国土環境委員会を再開いたします。  この際、委員の異動について御報告いたします。  本日、福本潤一君が委員辞任され、その補欠として加藤修一君が選任されました。.
  62. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) 休憩前に引き続き、地球温暖化対策推進に関する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  63. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 日本共産党の緒方靖夫です。  日本共産党は、地球温暖化対策推進に関する法律案については賛成いたしますけれども、ただ推進を保障していく上ではやはり非常に多くの問題点、改善点がある、そういうふうに考えております。ですから、私たちとしては、独自に修正案あるいはまたほかの野党会派と共同してやはり実効性を持たせるような方向での修正案を出していきたい、そういうふうに考えております。  まず最初に、政府の基本的なスタンスについてお伺いしたいんですけれども、きのうきょうと非公式の閣僚会議が行われているということが先ほどからお話がありました。  そこで、先ほど大臣から、参加者の多くの方々から日本の知恵をかりたいと、これがい言葉になっているというお話もありました。私はそうかなということを思うわけですけれども地球環境の問題について世界から見て日本政府対策がどうなっているのか、そのスタンス、その位置、それを見きわめるということがやはり非常に大事だと思うんです。  ですから、それについて、こういう分け方というのは単純化のそしりを免れないかもしれませんけれども日本地球環境対策というのは先進的だと思われているのか、それともちょっとおくれているのかなと思われているのか、その辺について大臣の御認識をお伺いいたします。
  64. 真鍋賢二

    ○国務大臣(真鍋賢二君) 緒方先生の御発言は、白か黒かというような感じでとらえられておるような感じもいたすわけでありますけれども地球温暖化等の問題というのは、まさに大所高所、地球規模で考えていかなきゃならないわけでありまして、そういう割り切り方がなかなかできないわけです。  私も、世界各国の方々が今非公式閣僚会議でお見えになっておるわけでありまして、皆さんがどうお考えになっておるかということをきのうも歓迎レセプションがありましてお聞きしたところであります。お世辞もあるだろうとは思いますけれども、去年の京都会議が非常に効果をあらしめた、それがために日本もいろんな努力をしておることを仄聞しておる、ぜひひとつ日本の知恵もかりたいということで、先ほど御答弁申し上げたわけであります。  自分のことは自分でなかなかわかりにくいわけでありますけれども世界各国から見るとそういうふうに日本に対する期待感が非常に大きいんじゃないか。それをよくよく踏まえながら、ただ単に立派な国だというのではなくして、その期待にこたえていく言動をしていかなきゃならない、こう思っておるところであります。
  65. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 私は幾つかの国際会議に出て、そこで日本政府の代表が、日本経済成長をやり遂げてきた、それと同時にやはり公害克服をしてきたという発言をしていたのを何度か聞いたことがあるんです。やはりそういうスタンスで発言していて、聞いていると、結局、公害克服あるいは公害対策先進国という、そういう感じでの発言がある。  この問題というのは人権問題と非常に似ていて、法務省等々、日本政府は人権委員会などではよく日本は人権先進国だという発言をしてきたわけです。しかし、これは世界の人々からうさん臭いと見られてきた。NGOの人たちがそれに参加して、ちょっとこれは褒め過ぎじゃないか、実態は相当違うんじゃないか、やっぱり人権後進国じゃないかという、そういう見方が出てきたと思うんです。私は環境についても非常に共通したものがあるなということを痛感しているんです。  特に、私は別に根拠なしに言っているんじゃなくて、例えばリオ・サミットで宮澤首相がペーパーを送った、その中を読むと、こんなことが書かれているんです。「我が国は、国際的にも最も厳格な環境規制を実施してきました。企業の側も、技術革新などの努力を鋭意進めました。これらが相俟って我が国は省資源、省エネルギーの社会体質へと脱皮し、環境状況にはようやく顕著な改善が見られるようになりました。」と、こう述べているんです。この発言を聞いた日本のNGOの方々が、率直に言って驚き、そしてまた失望した、こういう現状があるわけです。  ですから、私はこの問題で、大臣に対して改めて、いろいろ褒めてくれる外国の代表もおるかもしれません、それも事実でしょう。しかし、我々の現状がどこにあるのかということをきちっと客観的に見るということが環境対策を進めていく上でも非常に大事な問題だということを最初に申し上げておきたいと思うんです。  それで、その点で少し具体的にお尋ねしたいんですけれども地球温暖化問題に直結するフロンガス対策、この問題では日本はどういう対応をしてきたのか、ほかの諸国と比べてどうだったのか、その点についてはどういう御認識をお持ちなのか、お尋ねしたいと思います。
  66. 廣瀬省

    政府委員(廣瀬省君) オゾン層保護対策についての御質問でございますがオゾン層保護法は一九八八年五月二十日に制定されましたが、特定フロンの規制についての規定はモントリオール議定書の発効と同日の一九八九年、昭和六十四年一月一日に施行されました。  我が国において、一九八〇年から、つまり先ほどの規制に先立ちまして、昭和五十五年からとりあえずの予防措置として当分の間フロン11及びフロン12の生産能力増加しない、二番目にエアゾール製品におけるフロン11及びフロン12の使用量を減らすとの対策を行政指導で実施しておりまして、それが先ほど申しましたモントリオール議定書の発効と同日の一九八九年、昭和六十四年に特定フロンの規制に入ったというのが経緯でございます。
  67. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 このフロンガス対策を国際的に見たときに、一つアメリカのローランド博士がフロンガスの問題を警告した、これが一九七四年です。そして七八年には、アメリカでスプレーなどの商品へのフロン使用、これを規制する、これをやった。そしてさらに、その後スウェーデン、カナダ、ノルウェー等々の国々がそういうことになったわけです。  今、局長が言われたけれども、一九八〇年に行政指導を確かに政府は出しました。しかし、それは効果がなかったんです、実際。それは数字が示しているわけです。八〇年に十万トン弱のフロンが八七年には二十万トンを突破した。ですから、そういうことをやったからそれまでに抑えたんだという議論はあるかもしれないけれども、ふえたわけです、他国が減らした中で。しかもウィーン条約、モントリオール議定書、これを調印、それから批准したのが結局八八年、批准は九月です。  ですから、そういうことを考えていくと、やはり国際的には先進国と比べて日本のフロンガス対策というのは、人によって評価は違いますけれども数年あるいは十年、いろいろ言い方はありますけれどもおくれたということはあるわけです。ですから、やはりそういう点も大臣、直視していただきたい、このことを述べておきたいと思うんです。  もう一つ、特に公害は終わったと言わんばかりの形で、特にCO、の大気汚染あるいはその他の要因大気汚染の問題で地域指定の問題がありますね、全国四十一カ所の、これが八七年に地域指定を終えているわけです。やはりこれも私は、今のこういう大気汚染の現状等々を考えるときに、公害は終わったと言わんばかりの形でこういう措置を続けることがいいのかどうか、そのことが問題だということを痛感しております。先ほどからいろいろ議論があります。私は、環境問題を考える上で一つの原則的な問題、一つ挙げたいと思うんですけれども、それは環境保護とそれから経済活動関係、これをどう考えるかという問題なんです。  確かに、環境基準を厳しくするとGNPが落ちるんではないか、いろんな議論があります。私はこの問題で、経済活動については環境基準を侵さない、そういうところで線を引くということが非常に大事だと思うんです。特に、他省庁とのいろんな関係があると思います。経済活動を優先したい省庁もある。その中で環境庁の役割というのは、そうした中でそういう物をはっきり主張して、そして環境を守っていく、そこにあると思うんですけれども経済活動とそれから環境保護の関係、それについて先ほども議論がありましたけれども、整理した形で大臣にお伺いしたいと思います。
  68. 真鍋賢二

    ○国務大臣(真鍋賢二君) 先ほどから議論がございましたように、日本の戦後五十有余年の中でいろいろな経験をしてきたと思うわけであります。ですから、経済成長が非常に高いときにバブルの経験もいたしました。それから、その崩壊の経験もいたしました。当時は時代とともに移り変わった施策をなしていかなきゃならないわけでありまして、それがためにということで経済成長を優先したわけでありますけれども、今日になってみれば、その破壊したものを何とかして保護していかなきゃならないという立場に立って、その努力もいたしてきたところであります。  ですから、日本に対する期待感というのは、バブルの崩壊の経験もあり、また環境問題に真剣に取り組んだその経験もあるので、両方相まったところのアイデアを出してほしいというのが日本に対する期待じゃないかと、それが昨日の言葉になってもあらわれたんじゃないかと私は思っておるわけであります。  ですから、おのずから省庁別に言えば、通産省なんかというのは経済優先的な省庁でスタートし、また仕事もなしてきたところであります。環境庁というのはおくれて発足しましたけれども環境保護に力を入れてやっていこうということで、おくれた環境庁が保護省庁として、それから調整省として役割を果たしてきたところも私は効果は大きいと思うわけでありますけれども、今後は調整省庁でなくて積極的に政策を取り上げて環境行政をやっていくということが大切なことじゃないだろうか、かように思っています。
  69. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 いい答弁をいただいたと思います。  京都会議のときに開会の宣言の中で、橋本総理がこう言われているんです。   二酸化炭素の削減のために厳格なルールを定  めることは、経済に悪影響を及ぼすと考えられ  る方がいらっしゃるかもしれません。しかしな  がら、私は、きちんとしたルールの設定こそ  が、かえって、商品の品質向上や生産コスト削  減のためのイノベーションの引金を引く契機と  なると考えます。そして、それが、設備投資を  促進し、新たな需要を創出し、新規産業を生み  出し、更には、地球環境の保全と経済発展のト   レードオフを終結に導くのです。  私は、このあいさつは非常にいい中身だと思うんです。恐らく今、長官が述べたこととも通じるんじゃないかなと期待いたしますけれども、やはり環境庁として環境を保全するということを頑張り抜くという、他の省庁は非常に大きいから、また力もある、予算もたくさんとる、そうした中でつぶされないように、ぜひそういう立場で頑張っていただきたいということを述べておきたいと思うんです。  それで、次の問題ですけれども、私は今度の法案の中でも事業者の責任がどう書かれるかということを非常に注目していたわけですけれども、その関連について質問したいと思うんです。  京都議定書を受けて国内法をつくる上で講ずべき制度、考え方、こういう検討が中央環境審議会で行われて、そこで「今後の地球温暖化防止対策の在り方について」、中間答申の中で出されたわけですけれども、それが一九九五年度における二酸化炭素排出量の内訳、これが企業等部門が全体の約八割、それから家庭部門では約二割であると指摘しているわけです。大体どの数字を見てもそういうことが書かれているわけです。もちろんいろいろとり方によって違いはありますけれども、大体こういう比率で見てよろしいわけですね。
  70. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) 大くくりにいたしましてそういうことになります。逆に言いますと、実は利用者関係全体の八割と言うときには、やや細かく申し上げますと、国や自治体も含めておりまして、そういう意味でむしろ逆に家庭部門が約二割、残余が約八割と、こういうふうに御認識賜ればと思います。  それと、産業部門民生部門運輸部門等の区別にすると、産業部門は四五%というような位置づけになります。
  71. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 大体八割、二割ということですね。そういうことだと思うんです。  そうすると、CO2を一番排出している産業部門産業や運輸とかそういうのがあると思いますけれども、そこが一番多いわけで、そうすると今度の法案、それから六%達成、これを実効あらしめるためにはそこをどうするかということが切り札になると思うんです。  ところが、中環審の委員産業界の代表の方が中間答申の素案に、企業等部門は全体の八割、家庭部門は約二割、及び温室効果ガスは大量に排出するものに事業者が入っている、そういうことを取り上げて、結局国民の姿が見えてこない、これでは問題の本質について国民の認識あるいは世論をミスリードすることになりかねない、そう批判しているわけです。  私は、もちろん国民的な取り組み消費者取り組み、その自覚を高める、このことは非常に大事だと思います。しかし、やはり温室効果ガスを大量に排出するもの、それへの対策をきちっとするということ、このことは最も重要な問題あるいはその一つと考えるのは当然ではないかと思うんですけれども
  72. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) ただいま先生が御指摘の点については私ども全く異論はないところでございます。したがって、私どもも今回お願いした地球温暖化対策推進法案におきましても、努力義務という形ではありますが、取り組みをしてもらおうということでこういう位置づけをさせていただいたわけであります。  これでは生ぬるいではないかという御議論はおありかと存じます。もちろん、我々はいろいろ中央環境審議会の御議論もずっと伺わせていただき、全体としては中間報告に沿った線の法案にまとめたというふうに考えておりますけれども個々に見ればいかがかというふうにもし言われれば、もっと厳しい規制の仕方があるじゃないか、こういう御議論はあるだろうと思います。  ただ、その点についてもしお許しいただいて言わせていただければ、現に企業の中でも環境に対する取り組みの非常に熱心なところ、例えば立派な環境リポートを出している会社、あるいはCO、の排出量等についても、単に自分のところの製造段階だけではなくて、原料段階から製品の輸送段階までについて調べた上でのレポートを書いている企業、いろいろございますが、そういう先進的な取り組みをしているところもございますが、必ずしもみんながみんなまだそういうふうになっているわけではない。また、今度の温暖化対策が六ガスに広がったということ、六ガスを対象にしているということもややもう一つ要因としてございまして、二酸化炭素だけではない。そういうふうに取り組みをしてくださっているところもあるけれども、まだ必ずしも多くはない。  一方で、六ガスに対象が広がった等々のことがありまして、要するに自主的な取り組みをこれからどうやってやってもらうか。まさに事業者に頑張ってもらわなきゃいかぬわけですが、事業者がその気になってもらわなきゃいかぬ。要するに、自主的な取り組みをどうやってまず第一歩としてこの法案で取り組んでいけるような仕組みがっくれるか、これに私ども腐心いたしましてこういう形にさせていただいたところであります。
  73. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 生ぬるいのじゃないかという、そういう議論もあるということをお認めになっていますけれども、私は特に中間答申の素案、これも読ませていただきました。この素案の中には非常に大事なことが書かれておりまして、「目標の達成には、実質的なコストのかからない範囲を超えた厳しい対策を実施することが避けて通れない。」と書かれているわけです。ところが、「実質的なコストのかからない範囲を超えた」というのは厳し過ぎるという意見が産業界の委員から出されて、これが結局中間答申では削除された。そういう経過があるわけです。  ですから、中環審の議論そのものの中にも事業者に対してどういう対応をすべきかということについていろんな議論がある。その中で一番弱いものが結局書かれて、そして法案の中でも努力義務と言われましたけれども、そういうものになった、それが経過ではないかと思うんです。ですから、そういうことを考えていったときに、やっぱり今局長答弁されたようなことで済まない内容を持っていると思うんです。  さらに言えば、この中間答申の「基本的な考え方」の最後の結論部分のところがあるわけですが、ここに結論として非常に大事なことが書かれている。これでいうと三十二ページです。  国が事業者の努力を誘導するガイドライン的な  基準を策定し、都道府県知事等の指導や助言や  支援の下で、事業者が自らの取組の計画を策定  することや、その計画に基づいて取り組んだ成  果を都道府県知事等に報告し、公表することな  どにより、事業者の取組を全体として一層実効  あるものとする仕組みにするのが適当である。  さらに、都道府県知事等が、事業者による計画  の実施について、上記ガイドラインに照らしつ  つ指導、助言、そして必要に応じて勧告を行う  ことなども、実効性を一層高める方策として考  えられる。と書かれてあるわけです。  私は、中間答申の中でこれは非常に大事な部分だと考えるわけですけれども、これが実際には法案に生かされていない。中環審の議論、それからこういう中間答申の中で書かれた大事な部分法案に至るまでに落とされてしまった、その経過は一体どうなっているのか、お尋ねいたします。
  74. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) 先生指摘のように、確かに中間答申の中で「以上を要約すると、」以下のところは今お読みいただいたとおりでございます。  一方、私どもも、このちょうだいをした中間答申をもとに、どういうふうな法案にすべきかということについて随分いろいろと議論いたしました。事業者の取り組みのところについてもいろんな議論をいたしました。いたしましたが、先ほど申し上げたことにまた戻るわけでありますが、要するに現在どういう取り組みがなされておる現状にあるか、それをこの段階でどこまでの取り組みを義務化できるか。  それから、もう一点実は申し上げなければならない点は、省エネ法の方で計画的な計画を提出してもらい、一方でエネルギー削減計画を出すというのがある。それとの二重規制を排除しろというのも一方でこの中間答申にも掲げてある。  そういう実現可能性の問題、それから二重規制の排除等々を勘案いたしましてこういう案にさせていただいたわけであります。
  75. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 環境庁が三月に作成したこの法案の原案、それには事業者への排出抑制計画の作成、公表の義務づけ、それから都道府県知事等の指導や助言、勧告の内容が盛り込まれていた、そういうふうに聞いています。それは間違いないと思うんですが、それが何で落ちちゃったんですか。
  76. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) 厳密に申し上げますと、それは環境庁の原案と申すべきものというふうに私は思いません。  それはなぜかと言いますと、私は実際にずっと案をつくることをやってまいりましたので その点についてはそう申していいと思います。我々としても、中環審の答申をそのとおりの条文にしたらどういうものになるかというのはいろいろ検討いたしましたので、そういう検討をしなかったとは申しません。さはさりながら、それが環境庁の原案だというふうな位置づけでもないと思っています。
  77. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 納得できませんけれどもね。しかし、そういう経過があったということは頭からは否定されなかった。  ですから、先ほど大臣が非常にいい答弁をされた。経済成長に走る省庁に対して環境庁も存在感を示していくという、やっぱりここが、こういうところが環境庁として頑張りどころだと私は思うんです。それが簡単にそういう形でほかの力ある省庁に組み伏せられてしまった、私はそういう印象を受けるんです。ですから、それも今回の一つの反省材料としていただきたい、そういうふうに思います。  そのことに関連して、昨年の十一月十四日の衆議院の環境委員会での参考人質疑です。平田東大名誉教授が座長をしている環境庁の地球温暖化対策技術評価検討会の報告書をまとめた内容、これが地球温暖化対策案に反映されていないということを述べて、それが抜けたのは残念でありますということを述べているんです。  私はきょう議事録を持ってまいりましたけれども、ここで我が党の藤木議員の質問に答えて、事業者への対応がなぜ落ちたのかということを聞かれて、平田参考人が、「そういう意味で、先ほど負けたと申しましたが、残念ながら最後の提案には反映されなかったのです」。そして、「実は、大事なことは、エネルギー転換の部門産業部門が全体の八割だと申しておりますが、この部分が、今回の提案というか、合同会議の結論には消えてしまっているというか、隠れているんです」と述べているんです。中環審の中で非常に指導的な役割を果たしている中心的な方がこういう形で負けたと表現している。私は、今回の法案の問題の本質的な部分一つというのは実はここにあると思うんです。  ですから、環境庁が産業界の圧力に屈服した、私はそう言っても決して言い過ぎではない、そういう経過がこの中にあるのではないか、そういうふうに思います。  合同会議の中で、私たちちょっと議事録を見ましたので、そこで気がついたことを幾つか述べておきますと、産業界の人からこんなことを言われているんです。「新たに法律はいらない。」、「環境庁の法律は、明らかに事業者規制が中心であり、」、これで環境庁の原案は何かわかるでしょう。「中心であり、屋上屋を作ることとなる。」、「環境庁の法律は二重規制を排除すべきであり、都道府県による指導、監督はすべきではない。」、それから「事業所規制はやりやすいが、それをやると、事業所に都道府県ごとに総量規制をかけるようなものであり生産の機動性が失われる。」、こういうことを産業界の代表はみんな言っているわけです。これはちゃんと議事録に載っている。あなたもよく御存じでしょう、大臣は御存じかどうかよくわからないけれども。  そういう言いたい放題なことを言って、産業界の圧力に負けて外したと。だからこの五条、九条は努力義務だと言うのです。それが経過です。  ですから、こういう問題を改めて見直す、このことが数値の目標を達成する上でも大事だし、それから今世界で進めている、今会議をやられているわけだけれども、そこでやっぱり世界に向かって日本が胸を張れる、そういうことをつくっていくことも肝心だと、そういうことを私は痛感するわけです。  産業界の人たちはいろんな意見を言っていますが、ひどい意見もいろいろあるんです。よくこんなことを言うなと思うことがあります。  例えば、紹介しておきますが、合同会議の議事録に出ているわけですけれども、計画の提出先を都道府県知事とするのは従来の公害対策の発想である。二酸化炭素温室効果ガス排出規制を都道府県が管理することになれば、全国的に事業を展開している企業にとっては機動的な生産量の決定や立地などが困難になりかねない。事業者の自主的取り組み法律上の措置として位置づけるこ  とは自主的取り組みの長所である自主性、柔軟性、効率性が失われることになり不適当である。万が一行き過ぎた対策を講じた場合には産業の活力を失い、そして結果的に新たな技術開発、設備投資等による環境汚染効果を低下させる。  これは最初に私が述べた橋本総理のあの開会宣言とも違うと思うんです、筋がね。ですから、そういう筋に立って環境庁が産業界に対してもはっきり物を言う、あるいは通産省等のほかの省庁に対してもはっきり物を言う、このことが肝心だと私は思うんですけれども、大臣、今の御議論を聞かれていていかがですか。
  78. 真鍋賢二

    ○国務大臣(真鍋賢二君) 先ほども申しましたように、やはり問題の処理に当たっては、その時々の時代の変化があると思うわけであります。その変化を見ながら事の処理に当たっていかなきゃならないと私は思っております。  例えば、今の世の中というのは、ある意味では消費者保護であろうと思うわけであります。やはり行き過ぎた点に対する是正面での施策というのは消費者に向けて発せられておると思っておるわけであります。戦後の日本の中で、前半の部分をいえば生産者が第一義的に考えられたわけでありまして、それがためにということでジェトロなんかは輸出振興というような形で盛んに仕事をなしたわけでありますけれども、今は反対の輸入促進というような形で行動しておるわけでありますから、その一省庁の仕事をとってみましても、そういう変化のありようというものがうかがえるわけでありますから、やはり背景というものをよくよく考えて事の処理に当たらなければならない。  先ほど緒方先生からいろんな指摘がありますけれども、絶対的に悪だ善だというような形でなくて、その背景を受けながらこの政治の世界というものは歩んでいかなきゃならないと、こう思っています。
  79. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 余り意味が鮮明でない答弁だと思いますけれども、私は産業界に対してどういう態度をとるかということについてはごみ問題も似ていると思うんです。  私、ちょうど議事録を持ってまいりましたが、五月十二日に当委員会で質問したときに、廃棄物問題で、結局一般廃棄物については環境庁、厚生省はいろんな形でチェックするわけです。かなり行き届いています。実態もつかんでいます。産廃はどうかと聞いたら、産廃はつかんでいないというんです。調査もしていない、わからない。当時の大木国務大臣が、産業廃棄物というのは非常に量も多いし内容もいろいろ問題がございますから、その調査を強化するのは当然だと思いますけれども、予算措置が進められるかどうかと言いながら、しかしその方向でやっていくと言わざるを得なかったんです。私はそれと共通する問題があると思います。ですから、そういう点できちっとやっていただきたい。  そして、私は政府・自民党に物を言うことになるんだけれども、そういう産業界に対してはっきりした態度をとれない、もう少しきっぱりした指導がやり切れないということについては、やっぱりお金の癒着があるのかなと思うんです。政治献金です。  政治献金については、ちょうど自治省が去る十一日に発表いたしました九七年の政治資金報告書によると、企業・団体献金というのは百六十億余りです。九・六%前年比で減っているんですが、その中で唯一ふえているのが自動車業界なんです。建設、不動産を押しのけてトップに躍り出て、そして額で言うと四億円余りの献金を自動車業界で行っている。トヨタを初め自民党に対する献金が数千万円ずつ行われているわけです、日産、三菱、本田、いすゞ等々。こういう献金、それとこういう自動車業界に対する指導も含めた問題、これはやっぱり切っても切れない関係があると思うんです。  ですから、これは政府・自民党としてということになりますけれども、私はこの機会にこういう種類の献金、それはお断りするという、そういう態度表明をすることがしかるべきだと思いますけれども、大臣の考えをお伺いいたします。
  80. 真鍋賢二

    ○国務大臣(真鍋賢二君) 政府といたしましてはと、今はこういう場でありまして、党としての献金問題に触れるということは越権行為だと私は思っておるわけであります。  ですから、今この法案の審議中でございますので、それに対する答弁は御遠慮させていただきたいと思います。
  81. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 最も答えづらい問題だと思いますが、やっぱりこれをやめていくという方向が必要だと思います。  それで、次に地球温暖化防止行動計画、これは九〇年につくられて、それから直近のものもつくられておりますけれども、その中身についてこれでいいのかと思うことがあるわけです。それを質問したいんですけれども、九七年度の実施状況、ここにありますけれども、これを見ますと予算執行額の総額、これが十一兆七千百十三億円になっているわけです。そのうち八兆四千三十二億円、実に全体の七二%、それが道路整備費になっているわけです。実際、建設省の平成九年度の予算を見ますと、まさに八兆何がしかの額、これは道路関連の予算丸ごとなんです。丸ごとここに書かれているわけです、温暖化対策の行動の予算として。  ですから、道路建設にかかわることでCO2を減らすことに貢献することは幾つかのところではあるかもしれない、しかしそれが全部温暖化防止になる。何でこうなるのか、端的にお伺いいたします。
  82. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) 地球温暖化防止行動計画につきましては……
  83. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 簡潔に。
  84. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) はい、簡単に申します。  要は、道路につきまして今先生がおっしゃったような効果があるということで、どの部分がどうということが切れないものですから全額が計上されている、こういうことであります。
  85. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 ですから、常識的に言ったって、道路をつくり、そして車をふやせばCO2の排出はふえる、これは常識です。だから、道路建設で環境に特に配慮した、この部分については温暖化対策効果になる、そういう理屈はわかります。だけれども道路予算全部を合わせて、高規格幹線道路から何から全部合わせて、それで温暖化対策になる、その理屈がどうしてもわからないんです。しかも、先ほど言っている中間答申の中でもこう書かれているわけです。この行動計画について、結局借用的な施策を列挙したものにすぎない。非常にこっぴどく中間答申の中でもこういうやり方について批判しているわけです。  ですから、ほかにもいろいろおかしいことがあるけれども、最もおかしなことは道路建設の予算がすっぽり温暖化防止の計画に入る。これは常識の頭で考えて、その中の一部、例えばこうこうこうだから入れますと。確かに切るのは難しい。私も建設省を呼んで話を聞きました。それからまた、渋滞からスムーズに走ればそれだけCO2の排出が減るとか、いろんな理屈を言っていました。それはそれで一つ一つわからないこともないけれども、しかしいずれにしても道路予算がすっぽり入って、それが温暖化防止の何で対策になるのか。大臣、おかしいと思いませんか、国民の常識の頭で。大臣、いかがですか。
  86. 真鍋賢二

    ○国務大臣(真鍋賢二君) それがために環境庁としては低公害車を普及しなきゃならないということで今日頑張っておるわけであります。ですから、CO2を少なくする対応をしていかなきゃならぬと思っております。  例えば自動車でございますけれども、一九九〇年には五千八百万台であったわけでありますけれども、五年間で一千万台の増車がなされ、そしてまた今日では七千三百万台ぐらいになっておるわけです。ですから、そのふえた分だけの排気ガスを削除しなきゃいかぬわけですから、それを削減するために今回の法案というものは議論、審議されておるわけです。  ですから、CO2をいかにして少なくするかということについては、先ほど申しましたように低公害車、天然ガスとかハイブリッド車とかいうものの普及を急いでその排気ガスが三分の一とか半分とかいうような削減が現在されておるわけでありますから、その面においての努力をしていく。だけれども、先ほど建設省の道路関係の方が言われた意見も一つの意見だと思っておるわけでありますが、環境庁としてはそういう考えでもってやっていっております。
  87. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 全然理解できないんですね。やはり自動車地球環境あるいは地球環境負荷、これは今大きなテーマです。  今、私の手元に森口祐一さん、近藤美則さん、この両氏は環境研究所の方ですが立派な論文を書いております。「自動車地球環境負荷を考える」、これを読むと非常に説得力があるわけです。これは読まれていますか、大臣や局長。この中で私はなるほどなと思ったことは、一台のガソリン乗用車を廃車まで十万キロ走行させるとするとCO2の排出量というのは八・三炭素トン、その内訳は車両関係が二〇%、道路関係が一〇%、走行燃料が七〇%、そういう分析をしているわけです。非常に説得力があります。  ですから、いずれにしても地球温暖化防止と称して、道路予算全部をすっぽり対策に充てる、額は多くなるかもしれませんけれども、そういう考え方というのはこの機会に次の年から改める必要がある、そう思いますけれども、それについて検討していただきたいと思うんですが、大臣いかがですか。
  88. 真鍋賢二

    ○国務大臣(真鍋賢二君) いや、私はそうは思っていないわけであります。  だから、先ほど来低公害車の開発を急がなきゃならないということを申し上げておるわけでありまして、道路関係予算、環境庁予算でCO、対策を講じておりますと、そんな考えでは事を処理しておりません。
  89. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 しかし、こうやって地球温暖化防止のためにこれだけの予算を計上して、十一兆何がしやって、八兆は道路対策でやっておりますというとそういうことになるわけです。ですから、これはおかしいので、やっぱり検討していただきたい、このことを要求します。  それから最後に、もう時間がなくなりますので一点。  私は、先ほども言いましたけれども自動車ガスによる健康被害の問題、これは非常に大きな問題になっていると思うんです。特に、川崎公害訴訟で横浜地裁の川崎支部での判決、もうこれは承知のとおりです。私は、あの判決を厳粛に受けとめる、このことが大事だと思うんです。  環境庁が出した当時の判決についてという声明を見ますと、大気汚染物質と健康被害との因果関係が認められたため、損害賠償請求については、国、建設省の責任が認められましたということを、事実をそう書いております。  私、この問題で今一つ思うことは、先ほど申しました地域指定の解除、この問題なんです。この問題で当時の議事録をひもときますと、八七年九月十人目、参議院の環境特別委員会で当時の中曽根首相が、解除はするけれども、しかし、「科学的調査をやりまして、その結果事態が著しく悪化しまして憂慮すべき」「事態になった場合には再指定を行うということも辞するものではない、」、こういう答弁をされているわけです。私は、今そういうことを考える時期だと思うんです。  ちょうどきょうの東京新聞には、「排ガス公害は終わっていない 川崎市、地域再指定提案へ」ということが出ております。国の考えもあるけれども、勇気を持って川崎市はそういう方向に乗り出そうということです。川崎市だけではなくて、今度来月の三十日、名古屋市で行われます公害補償地域連絡協議会でそういう方向を関係の自治体とともに出していこうという方向を出されているわけです。ですから、私は今こういうことに関連しても、この問題を改めて見直していく、当時の中曽根首相が述べたような方向で検討する、このことが求められていると思いますけれども、その点で大臣の御見解を伺いたいと思います。
  90. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) 簡潔にお願いいたします。
  91. 真鍋賢二

    ○国務大臣(真鍋賢二君) 川崎公害問題については、最高裁の方の対応が急がれておるところでございます。  私は、先ほど来申しておりますように、自動車の幅員を広げたり、また信号機等を削除したり高速化したり、いろんなことを講じていかなきゃならないわけでありますけれども、それは現段階の問題であって、自動車が出す排気ガスをいかに少なくするか、これを環境庁としては考えていかなきゃならないということでございまして、先ほど来低公害車の開発、低燃費車の普及というようなことに力を入れていきたいということを再三申しておるところであります。
  92. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 公害指定の解除の問題を最後に。それで終わります。
  93. 廣瀬省

    政府委員(廣瀬省君) 現在、川崎の問題は控訴をしている最中でございまして、この問題についてでありますが、先ほど大臣申したとおり、指定解除というよりも現在ある状況をいかによくするかということに力を注ぐということで集中してまいりたい。大臣の指導のもとで低公害車対策、それから交通量の問題、そういうものを具体的に考えてまいりたいというふうに思っておりまして、なるべく成果の上がるような努力を続けてまいりたいというふうに思っております。  まず、それが第一義というふうに思っております。
  94. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 終わります。
  95. 小川勝也

    ○小川勝也君 民主党・新緑風会の小川勝也でございます。  先国会から、いつ来るかいつ来るかと待っておりました法案がやっと参議院において審議できるようになりました。この法案が閣議決定されて以降、いろんな声を耳にしております。京都会議が終わったばかりということで市民の方々の関心も高く、特に高い関心をお持ちのNGOのグループの方々からは、こんな法律であればつくらない方がましだ、こんな話も聞いておりました。さはさりながら、与野党が一致協力いたしまして、この法案の心を体して少しでも立派なものにしていこうということで、衆議院におきましては修正議決されたところでございます。  先ほど午前中の議論にもございました。我々の社会のシステムや個々人のライフスタイルまでをも変えるという法律だ、そういう自負もおありになるでありましょう。しかしながら、我々には目標がございます。そして、その目標の達成が本当にできるかどうか非常に心配なところでもあります。その目標を定めつつ、どのようにその目標を達成していくかというふうに考えていく場合に、その目標達成の曲線をどう描くかということもまた大事な問題だと思います。  話を聞くところによりますと、九二年を原点といたしますと、我々の温室効果ガス排出量はふえております。そうしますと、目標が例えば平成二十年あるいは平成二十二年といたしましても、マイナスしてからスタートする、こういう厳しい状況に置かれていることも大きな問題であると思います。  この法案のことについていろいろお伺いをしていきますけれども、まずさきに行われました衆議院での修正、このことに対する評価をお伺いしたいと思います。
  96. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) お答え申し上げます。  衆議院におきまして目的規定の一部が追加されたことによりまして、地球温暖化対策推進を図る上で考慮に入れるべき長期的な目標がより具体的になり、またすべての者の自主的かつ積極的な取り組みが重要であることがより明確になったと考えております。  また、市町村も都道府県と同じく実行計画を策定するものとした修正につきましては、公的主体である地方公共団体が率先して温暖化対策に取り組む姿勢を示すこととなり、地域住民の取り組みを促進するものとなると考えております。  ただ、この点につきましては、実は私どもの原案では努力義務というふうにさせていただいておりました。これは、努力義務でやらなくてもいいという意味ではございませんで、我々できるだけやってもらいたいということが前提なんですが、市町村の中には非常に規模の小さなところもある、果たして同じように一律に義務とすることが本当に妥当かということを考えまして努力義務といたしたところであります。  衆議院の議論におかれまして、要するに公的セクターということにウエートを置いて物を考えるべきだと、そのかわり中身で無理なものまでやらせることはないだろう。だから、御提案になった先生のお言葉をかりれば身の丈に合った形の計画というのがあるだろうと、こういうような御示唆をいただきましたので、しからば政府としても小規模な町村の行政能力も考慮して計画策定に関するマニュアル等をつくりまして技術的な支援を行えば、こういうような町村にとっても過重な負担にならないような形での計画づくりというのをやっていただけるかと、こういうことで修正をさせていただき、かつそれについての取り組みを積極的にやらせていただこうというふうに考えているところであります。
  97. 小川勝也

    ○小川勝也君 修正が行われました。そして、先ほど来英知という言葉も耳にしておりますが、この法律案を上げることが目標ではなくて、その法律案の中身にある目標を達成することが真の目標だということを考えたときに、法案提出者としての政府の役割は当然あるでしょうけれども、この立法府においての与野党の議論を通じての英知、これにもう少し御期待をいただいてもいいのではないか、そんなことを考えさせていただきました。  この法律案を実のあるものにする、あるいは法律案の目標を具現化するために大きく二つのことが考えられると思います。緒方委員指摘にもありましたとおり、それは国民個々人の努力あるいはライフスタイルの変更と呼ばれるいわゆる民生の部分であります。そしてもう一つは、大きな排出量のシェアを占めます事業者の部分であります。  まず、このことでございますけれども、国民一人一人が地球温暖化対策に興味を持ち、生活のさまざまな部分でこのことを想起する、これが大切なことだと思いますし、今回のこの法律を通す大きな目的でもあると思います。この法律をステップといたしまして、国民一人一人が地球環境の問題、とりわけ温暖化対策の問題についてどのように理解を深めていくか、環境庁の方針をお伺いしたいと思います。
  98. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) まさに、地球温暖化対策を進めていく上で、国民一人一人の御理解をいただき取り組んでいただくことが最重要課題だと考えております。  したがいまして、本法案におきましても、地球温暖化防止活動推進員による地域住民に密着したきめ細かい普及啓発を推進するということをまず掲げておりますし、また地球温暖化防止に関する普及啓発を継続的に行うための拠点といたしまして都道府県地球温暖化防止活動推進センターを指定し、その活動推進していく。また、さらには全国地球温暖化防止活動推進センターでは、都道府県地球温暖化防止活動推進センターの間の連絡調整等を行いまして全国的な活動推進していく、まずこんなような位置づけで構成をしております。  その次に、さらにまた先ほど来ときどき出ておりますが、去る六月十九日に決定されました地球温暖化対策推進大綱におきましては、地球温暖化防止に関するシンボルマークを公募し広報活動に活用する等の広報活動推進するとか、さらには地球温暖化防止に向けた国民各層の取り組みを促すための地球温暖化防止月間の創設等といった、政府による国民への広報の強化を行うこととして  いるところでもございます。
  99. 小川勝也

    ○小川勝也君 今御答弁の中にありましたセンターの活用については、後ほど福山委員の方からまた質問があるかと思います。  先ほど市川委員質問の中で、オランダにおける自転車道路の話がございました。この温暖化対策につきましても、諸外国でいろんな工夫がなされていると思います。規制であるとか法律であるとか、さまざまなところがあると思います。日本でも見習えるような、あるいは見習いたいような、そんな例があればお聞かせください。
  100. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) 私ども法案を考える上で幾つか各国の状況も調査いたしました。率直に申し上げまして、国の成り立ちも違い、歴史も違い、文化風土も違うという点がございますから、直ちにそれがストレートに日本に移せるかどうかということは別といたしまして、各国でどんなことをやっておるかという点について我々が把握した点の一端を御披露申し上げます。  まず、地球温暖化の防止を主目的とした法制度、今私どもここで御審議をお願いしているこうした法制度そのものは、まだ法律を持っている国はございません。ございませんが、スイスが法案を国会に提出してもう既に一年余になりましょうか、まだそのまま審議の途中にあるように伺っていますが、まず自主的取り組みを促進するんだと、それでもなお二酸化炭素排出が抑制されない場合には炭素税を導入することを骨格に据えた法案を連邦議会に提出しておるように聞いております。案文も入手しております。  それからまた、部分的な取り組みを定める法制度といたしましては、イギリスでは一酸化二窒素の排出に関しまして抑制措置が講ぜられているとか、米国では大気の浄化法に基づきまして特定フロンからの代替としてのHFC等の使用に関して抑制措置が講ぜられている等々の措置がございます。  また、事業者が二酸化炭素排出の抑制に自主的に取り組むことについては、法的根拠を持っているわけではないようでございますが、オランダドイツ等におきまして産業界が政府と協定を結ぶ、あるいは産業界が政府に対して一方的に宣言を行うというような形で進められているというようなケースがあることを承知しております。
  101. 小川勝也

    ○小川勝也君 今の御答弁の最後の方にも出てきましたが、核心部分といたしましては、やはり事業者にかかわるところだと思います。緒方委員質問にもございました。この法案の原案ではないというふうに局長はおっしゃっておりましたけれども、審議会の答申を受けた後の法案の原型の部分、そこから事業者にかかわる部分のトーンが弱まっておる、そんなふうに私どもも認識しております。  この法案が衆議院から参議院に送られてくる以前から、通産省の方々もよく私どもの部屋を訪ねられております。先ほどの議論の中に二重規制という言葉もございました。環境庁として事業者がどのように温室効果ガスを削減するか、非常に大きな興味を持っている現状とこれからの状況の中で、通産省という事業主体、産業界を主管する官庁が存在している中、環境庁としてはどのようにコミットメントしていこうとしているのか、その辺がなかなか見えてこないわけでございます。  先ほど来の議論にもありましたとおり、我が国は殖産興業が盛んで、国としていろんな産業をどんどん推進してまいりました。その名残が今もあると言っても過言ではないと思います。しかしながら、この法律を具現化させていく我々の未来の中においては、そのあり方も少しずつ変わっていくのではないかな、そんなことを考えております。  環境庁として、産業界との関係のあり方として、通産省を交えてどのような未来像をお持ちなのか、お伺いをしたいと思います。
  102. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) 端的に申しまして、環境保全を直接の目的とする規制あるいは自主的取り組みの促進といったものは、産業界に対するものであれ国民にお願いするものであれ、環境庁が直接担当するのが基本だとまず認識しております。  ただ、一方で、環境政策産業政策が相互に関連する分野というのもまたございます。また、個別具体的な規制措置につきましては、その切り分けが難しいという場合もまたございます。このような分野におきましては、相互に連携調整を図り環境の保全に十分を期していかなきゃならない、そういう領域もございます。したがって、そういうところは相互に連携調整を図り、私ども環境の保全に十分を期す立場が貫けるように十分の調整をする、こういうことになると思います。  今回、御審議をお願いしている地球温暖化対策につきまして申し上げれば、先ほどから申し上げましたように、省エネ法との二重規制の問題等々、これは中央環境審議会でも二重規制は避けるべきだというような指摘もございました。そうした点もいろいろあったのでその点は考えましたが、ともかく総合的な地球温暖化対策の基本的方向等を明らかにする基本方針の中に、それぞれ新エネであれ省エネであれ、そうした二酸化炭素排出の抑制に資する施策も当然位置づけてまいるわけでありますし、また省エネルギー対策等の施策の実施に関しまして環境庁長官から必要な協力を求めることができるという規定も置かせていただいておるわけでございます。  そうした形で環境庁が、エネルギー対策としての目的から講ぜられる事業者に対する規制につきましても、地球温暖化対策に資するものとして位置づけた上で必要な連携調整を図り、場合によっては協力を求めていく、こういうような体制をつくったわけであります。
  103. 小川勝也

    ○小川勝也君 ちょっと確認をさせていただきたいんですが、環境庁が温室効果ガスの削減に例、えば方針を示す、産業界に対してこの方針に従ってくださいということを直接指導するのか、できるのか、もう一つお伺いをしたいと思います。
  104. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) これは、ただいま現在御審議願っている法案との関係で申し上げれば、そういうものを直接的には考えておりません。  それは、もちろん考えていないといって、およそ考えていないかといいますと,例えば先ほど来お話が出ておりますところの事業者の努力義務でございますけれども、これらも実際に先ほど申し上げましたように非常に先進的な取り組みをしているところもあるわけですから、そうした事例を模範事例としてお示しするとか、あるいはそういう立派な取り組みをしているところは環境庁長官の表彰をするとか、私ども現にもう既にやっております。  そんな形でも、いい意味での環境配慮というのが事業者として必要なんだという、いい意味での競争が起こるような土壌をつくっていきたいというのが私どもの考えでございますので、そういう意味では私どもも働きかけをいたしてまいりますが、ストレートな規制という意味は本法案にはございません。ただし、環境庁自身は大気汚染防止法であるとか水濁防止法という規制手法を現実に持っており、専管でやっておりますから、やらなきゃならぬことはきちっとやっていると申し上げていいと思います。
  105. 小川勝也

    ○小川勝也君 目標というのがございますが、私はこの目標の達成が非常に難しいと思います。いわゆる六%の削減の目標、これを達成するのが非常に難しいと思いますが、先ほどの質問にもあったかと思いますが、もう一度御答弁をいただきたいと思います。
  106. 真鍋賢二

    ○国務大臣(真鍋賢二君) 先ほど来も答弁いたしましたように、我が国は京都会議の議長国として京都議定書に盛り込まれた六%の削減を確実かつ率先して実施していかなければならないわけであります。  そこで、今般御審議をいただいております地球温暖化対策推進法案は、今日の段階から取り組むべき対策を講ずることにより、京都議定書の締結やその履行確保に備えた今後の対策の土台を築こうとしておるわけであります。  具体的には省エネルギー推進や新エネルギーを導入したり、国民のライフスタイルの見直し及びその支援、政府による率先実行、事業者の自主的取り組み推進等の各般の対策を本法案のもとで強力かつ着実に推進してまいりたいと思っておるわけであります。  また、将来的に京都議定書の実施に当たっては、今後、議定書の細目について国際的論議を踏まえ、総合的な法制度を整備してまいりたいと思っております。
  107. 小川勝也

    ○小川勝也君 今の問題、重ねて局長にお伺いしたいと思います。  先ほど来、長谷川委員質問の中にもございました。九二年からスタートいたしまして目標を達成するまでの間に、今もうマイナス点に来ているわけです。マイナスから目標を達成するということで、数字の上でもいろんな操作はありますけれども、私は現実問題として非常に難しいと思います。そして、この法案の中で事業者にかかわる部分のトーンが弱くなっていると私は指摘をいたしました。規制とかそういう言葉はなるべく使わないようにしたいと思いますが、事業者の部分のさまざまな部分がもっと充実しないとこの目標が達成しにくいというふうに考えております。  先ほど来の議論の中で、経済を優先させるのか、CO、を初めとした温室効果ガスの削減を重視するのか。私は、これは二者択一じゃないと思うんです。どういう目標達成へのグラフを描くかということはまた別問題でありますが、私はこの二点は二律背反することではないと思います。  特に、いろんな議論の中でもございました。私どもはオイルショックも克服してまいりました。例えば私が子供のころは、自動車の排気ガスというのは真っ黒でございました。これは日本の技術革新がそうさせたのでありましょうが、今、日本の車は世界に比べてきれいな排気ガスを出しておると思います。そのときは苦しかったかもしれないけれども その後ではすぐれた技術として財産になっておる、そんなことがたくさんあると思います。例えば電化製品、耐久消費財の中にもそんなところがたくさん見られると思います。  ですから、今我々が温室効果ガスの削減を思い切ってやろうとするから産業界や経済界がだめになる。そうではなくて、その調和を目指していくのが先ほど申し上げたこの国会での議論だと思うわけであります。  局長にこのことをお伺いしたいと思いますが、いかがですか。産業界を発展させることと、我々がもっと温室効果ガスの削減を急ピッチで進めようとすることは二律背反することではなくて、英知を結集してやればできないことではないという  こと、御答弁をいただきたいと思います。
  108. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) 御指摘の点については全く異論がございません。午前中の私の答弁の中でもそういう趣旨のことを申し上げたつもりでありまして、時間を使わず概略を言わせていただきますと、二つ申し上げました。  まず、物の生産から生活様式、交通システム、都市の構造等に至るまで、経済社会システムそのものの構造変革を必要とするものでありますから、一つはこの変革を実現するためには省エネ設備等への投資、新しいビジネスの振興、低公害車等の技術革新の進展が不可欠である、そういう意味での一方がございます。  それから、もう一つ私が違う局面で申し上げたのは、一方は事業者の方を主体にした言い方になりますが、今度は逆に言うと、消費者の側でも地球温暖化に積極的に取り組んでいただけばそのライフスタイルというのが変わってくると思うのであります。そうすると、環境保全型の機器を積極的に使っていただくというようなことが起こってきます。そうすると需要サイドの方からもそういう可能性は大いにあるわけでありまして、供給サイド、需要サイドともども経済に対して悪くない、むしろ場合によったはいい影響を与えながら地球温暖化対策というものを進めるようなそうした道を極力探していくべきだと、努力していくべきだと思っております。
  109. 小川勝也

    ○小川勝也君 局長に御答弁をいただきました。  そして、もう一つ気になる御答弁がございました。環境に配慮する、あるいはとりわけこの法案の趣旨を体して努力している事業者あるいは企業があるという御答弁をいただきました。私はそのことは非常に大切なことだと思いますし、そういう企業があるんだから、できれば全体としてこの意識を底上げしていくように持っていきたい、そういうふうに考えているわけであります。  例えば、今すぐに事業者に温室効果ガス排出に対して規制をするなんということを行いますと、いわゆる経済活動に支障を来すのは当然であると思います。例えばタイムラグを置いたり、数年の据え置き期間があったり、あるいは努力義務から緩やかな義務、そして目標を達成すべき強い規制と、こういうふうに段階的に進んでもいいかと思います。  今後、将来にわたってこの事業者の排出量削減が行われないと目標が達成できないという観点に立ちますと、もっと次には別な法律の改正あるいは追加とかさまざまな手を打たなければならないと思います。次の見直しにはどんなことをなさりたいのか、このことを踏まえて御答弁をいただきたいと思います。
  110. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) 先ほど大臣が答弁を申し上げた中で、将来的に京都議定書の実施に当たっては、今後、議定書の細目についての国際的議論を踏まえ、総合的な法制度を整備してまいりますと、こういう御答弁を申し上げたくだりがあったと思います。  これは何を申し上げるかというと、要すれば私ども今御審議願っておりますところの地球温暖化対策推進法案は、先ほど来申し上げているように、まだ京都議定書が十分中身が詰まりきっていない中で、先ほど先生もおっしゃっているように温暖化のガス、特に二酸化炭素ガスなどがどんどんふえている。議定書が詰まるまで待っていたんではどんどんこのままの傾向が進むだろう。これを何とかともかく一刻も早く、せめて方向を変えていけるように持っていく。確かに京都議定書が十分詰まりきっておりませんので、現時点で具体的にどういうふうにしたりというぎりぎりのことまではまだやり切らぬ面がありますが、そうは言っても今からでもできるものはやりたい。  そういうことで、この法案は何だといえば、将来に向けての土台だと何度か答弁で申しておりますが、土台たるゆえんは、まさに第一歩をまず手がけよう。その上で議定書等が固まってきて、もっとやるべきことがあればきちっとしたものをまた考えていこうということでございまして、今の御質問に戻りますが、要はどういうことを考えているんだということであれば、本当に議定書が決まって、我々の取り組みについてきちっと物の考え方ができるようになれば、恐らく全般的な見直しが必要になると思います。どの部分ということではなくて、というふうに考えております。  そのためにも、そのときまでにこの法案を少しでも実効性あるものにして、みんなにそういうような、雰囲気ではちょっと気分が軽いかもしれませんが、要するに取り組みの姿勢が定着していくような準備をこの法案でぜひさせていただきたいと思っています。
  111. 小川勝也

    ○小川勝也君 先ほどの緒方委員質問にもございました。事業者に係る部分のトーンダウンがなされていると。私は次回の改正においてはそれを復活していただくことが非常に大切な問題だと考えます。局長、いかがでしょうか。
  112. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) それは今御答弁申し上げたことで私はお答えしたつもりでありますけれども、ある特定の分野についてどうとかということではなくて、恐らく本当に全体の見直しが必要になるだろう。それで全体の見直しになるまでに、それぞれの主体、別に事業者だけについて申しません、すべての主体についてさらにもっと取り組みを強化してもらわなきゃならぬようなとき、それまでにこの法律を通していただいて、それで早くウオーミングアップをさせていただく、こういうことをお願いしたいわけであります。
  113. 小川勝也

    ○小川勝也君 全般的な見直しをしていただくということは聞いているわけであります。その事業者の部分の失地回復した部分を次回の改正でやっていただけるかどうかということをお伺いしているのであります。その点についてお答えください。
  114. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) 私どもとしては、現在これがどうしてこうなっているかということについては再三御答弁でも申し上げましたが、まだ事業者の取り組みも、進んでいる方もいらっしゃるけれども全体的には緒についたばかりだ。これを一挙にというわけには難しいので、今回こういうようにさせていただいた。  先進的な取り組みのところをできるだけ模範にしてみんなに取り組んでもらうように、私どもとしてもこの法案を通していただければ働きかけができるというふうに思っていますし、また企業の方も、先ほど来申し上げているように、いい意味での競争的な意味で対応してもらえるようなふうに持っていけるのであろうと思っておりまして、それはそうした土壌ができればなお私どもとしては次なるステップに進みやすいということは申し上げられると思います。
  115. 小川勝也

    ○小川勝也君 私を含めた何人かの人は、この温室効果ガスの削減に対しまして、八割の影響力を持つ事業主体の方々に経済的にそごを来さない範囲でタイムスケジュールを組んで努力をしていただいた方が、この二十一世紀の我々の国あるいは地球にいいのではないかという観点から御質問をさせていただいております。全般的に見直しをしていただくのはわかりました。  私どもは、今現時点で局長は、苦しい、今回はさまざまなことがあってトーンダウンをした、こういうふうに言っておられると思います。それが次回には必ず回復をするようなことが実現しないと、私は、いろいろなその議定書の中身の問題もありますけれども我が国の目標が達成されないのではないかな、そういう懸念をいたしております。  何はともあれ、この法律だけ通せ、そういうふうに言われても、ここは審議の場でございます。この法律の中に見直し条項もちゃんとあるじゃないですか。何をどういうふうに見直すのかということを聞いているんですから、もうちょっとまじめにお答えをいただきたいと思います。
  116. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) 二点申し上げさせてください。  まず第一点は、私としてはまじめに答えているつもりであります。  二点目。トーンダウンをされたと先ほど来御指摘があるんですが、再三申し上げておりますように、ある意味では、我が日本のこれまでのいろいろと文化の中で、自主的取り組みを企業にやってもらってそれの公表をやってもらおうというこうした取り組み、あるいはこうした法制そのものが相当ユニークなものだろうと思っています。こうしたものを、言ってみればまさに国の方では今情報公開法の議論がされているわけですからそうしたものがありますが、本当に企業にそうした努力を求めていくという法律というのは、そういう意味では相当ユニークなものだろうと思っています。  ユニークなものであるがゆえに、これを私どもとしては一挙に二階三階にぽんと飛びついて義務というわけにはいかぬだろう。さはさりながら、先ほど来くどいように申し上げておりますが、現実に取り組んでくれているところもあるわけですから、そういうところを模範にしながらそういうものを定着させていきたい。そのためにはやはり努力義務という形で据えて、私どもが実際にそのお取り組みを一生懸命お願いし、この輪を広げていくということの努力をしたいということであります。以上でございます。  それから、見直しの点につきましては、先ほど来申し上げているとおりでございまして、私どもとしては、五年以内と書いてございますが、別に五年にこだわっているわけでもございませんし、先ほど大臣の答弁にもございましたように、議定書が締結されるとか、新たな動きがある、あるいは国民的にまた取り組みもさらに進んでくる、こういうような情勢があれば五年を待たずにいつでも、むしろ早く全般的な見直しをしたい、これはまじめに思っております。
  117. 小川勝也

    ○小川勝也君 もう一度お伺いをいたします。  今最初のステップというふうにお答えがござました。私が考えている点はもう局長理解をいただいていると思います。次回の見直しには次の階段に上れる予定なのか、上りたいのか、もう一度お伺いをしたいと思います。
  118. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) 私どもは上りたいとか上らせたいとかというよりは、そうした取り組みが普通に皆さんに思ってもらえるようになるように、この法案を通していただきましたらそうした土壌定着に向けて努力したいと思っております。
  119. 小川勝也

    ○小川勝也君 なかなかお答えいただけないようなので、それでは別の「国の責務」における部分、「配意」という言葉が余り耳なれない言葉でございます。配慮するというのはよくわかるんですけれども、配意するというのはどういう意味なのか、別な言葉じゃいけないのか、お伺いをしたいと思います。
  120. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) 御指摘の条文、恐らく三条の二項にございます「国は、温室効果ガス排出の抑制等のための施策を推進するとともに、温室効果ガス排出の抑制等に関係のある施策について、当該施策の目的の達成との調和を図りつつ温室効果ガス排出の抑制等が行われるよう配意するものとする。」というところのことであろうと思いますが、これは実は私ども、恐らく今先生指摘になりましたわかりやすい言葉として申し上げれば、環境基本法の十九条には「配慮」という規定がございます。環境基本法の十九条の規定は、「国は、環境影響を及ぼすと認められる施策を策定し、及び実施するに当たっては、環境の保全について配慮しなければならない。」。要は、特定の施策を、環境影響を及ぼすと認められるもの、そういう施策をストレートに引っ張ってくるときは「配慮」という整理の仕方をしております。  私ども、実はこれをいろいろと議論をしたときに、ストレートに限定して物を考えて配慮しなさいという論理の整理というのはある程度できるわけでございます。できるんですが、ここは私どもはどちらかといいますと、国の施策の中では、直接それを全然目的としなくても温室効果ガス排出の抑制等に関係のある施策、あるいはそれこそ考えてもらえば結果的に資するものというのは随分広くあるはずでございます。それは公共事業の実施一つとっても影響があるわけでありますから、そういう意味でいろんな施策をできるだけここの三条の二項のところで取り込んでいきたい。おれは関係ないんだというふうに言ってもらいたくない。そういうことで、できるだけ広くここに持ってくるために、「温室効果ガス排出の抑制等に関係のある施策」ということで緩くかつ広くとっております。  そうしたことがあるものですから、先ほどの環境保全のようにストレートに物が来る場合の「配慮」というよりは、少しニュアンスとしては言葉が緩いかもしれませんが、「配意」という言葉で整理させていただいたということでございます。
  121. 小川勝也

    ○小川勝也君 次に、COP4に向けてのことについてお伺いをいたしたいと思います。  COP3のときから世界各国の意思であるとか状況、いろいろうわさが流れておりまして、本当かどうかわからないままいろんな情報を耳にしておりました。今度はブエノスアイレスで行われるわけでございますけれども、各国の考え方や取り組みについて、この国はこんなことを考えておるようだというのが、もしわかりましたらお伺いしたいと思います。
  122. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) お答えいたします。  ブエノスアイレスで開催される第四回締約国会議につきましては、現在それに向けての取り組み、先ほど来申し上げたきょうあすの会議も含めましていろいろ議論をされているわけでございますが、現在までのところ、例えば排出量の取引のメカニズムの問題だとか吸収源の取り扱いの問題とかいろいろ議論があるわけでございますが、そうした問題ではどちらかといえば技術的な点に交渉が続けられている。一方で、途上国取り組みの問題というような大きな問題があるんですが、こちらについては、それを求める先進国とこれに反発する途上国の間で大きな対立がある。こんなような大きく言うと二つの取り組みと大きな流れがあると御理解いただいていいと思います。  各国の国内取り組みといたしましては、EUが京都議定書で定められました排出削減目標を踏まえた域内各国の負担割合を定めるとともに、欧州委員会としてEU各国に共通する自動車からの二酸化炭素排出削減目標や新エネルギーの導入目標の設定等の取り組みの検討を開始しておりまして、また米国では国内対策強化プログラムを京都議定書前に発表したものでございますが、それをそれぞれ京都議定書で定められた目標達成に向けてその取り組みを強化している、そんな状況にございます。
  123. 小川勝也

    ○小川勝也君 私は、月並みな表現ですけれども、こういった国際協調の中でそれぞれの地域や国が目標を達成していくという中で、例えばあの国もやっていないからいいじゃないか、この問題の場合はその方策はとるべきでないと強く思っております。途上国途上国なりの事情があると思いますし、途上国が目標を達成していないんだから我々もちょっとぐらいいいじゃないか、そういうことを考えるべきではないと思います。  ですから、会議会議、そして議定書は議定書、そういう中で我が国我が国の独自の取り組みを信念に基づいてやるべきだと思います。自分たちが目標とした排出量削減を果たしていくことが我々の国あるいは地球の将来に向けて非常に大事なことだと思います。  先ほど来、局長とのやりとりの中でございました、今回は世界に先駆けてつくる法律で非常に重要な意味のものだ、ですから一〇〇%ではない、あるいはほんのワンステップかもしれないけれども非常に大事な問題だ、そのように聞いたと私は確信をしておりますが、この法律が最終的に我々の目標を達成できるように、次のステップにはまた確実な歩みができるように、さまざまな努力をしていきたいと考えております。  最後に、長官にお伺いをしたいと思います。  この問題を含めまして、当然のことでありますけれども環境庁が扱う問題、あるいは環境問題というのは非常に重要性が増している。例えばダイオキシンの問題であるとか環境ホルモンの問題、あるいは大昔にPCBが使用禁止になったとか、大事な問題であるのと同時に非常に速度が要求される行政だと私は思うのであります。ですから、今回のこの温室ガスの削減の問題も重要な問題であるということは当然の御認識でありますけれども、速度が大事だと思います。そんなことをお考えいただきながら、長官の御決意をお伺いして、私の質問を終わらせていただきます。
  124. 真鍋賢二

    ○国務大臣(真鍋賢二君) 先ほど来、小川先生の卓見をいろいろとお聞かせいただいたわけであります。まさに今回の法案の大切さ、また必要性ということをるる例を挙げてお訴えしておられたその真摯な様子を見まして、私も全く同感でございます。  また、スピードを求められるということでございましたが、環境ホルモン戦略計画のSPEED98というのもございますし、またダイオキシン対策の五カ年計画という法案もございまして、それぞれの場を生かしてこれらを活用してまいりたいと思っております。  いずれにいたしましても、多岐にわたる環境行政でございます。地球温暖化の問題、ダイオキシンの問題、環境ホルモンの問題、本当にたくさんの問題を抱えた環境庁でございますけれども、皆さんのまさに英知を結集していただきましてこれらの問題に取り組まさせていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いをいたします。
  125. 福山哲郎

    福山哲郎君 民主党・新緑風会の福山哲郎でございます。さきの参議院選挙で初当選をさせていただきまして、実は本日、初めての質問でございます。やや緊張しておりますが、どうかよろしくお願い申し上げます。  まず、真鍋長官にお伺いをしたいと思います。  私は、昨年、民主党のCOP3担当としてドイツのAGBM8、ボンにまで行かしていただき、また地元の京都でCOP3があったということで、大変この問題に関しては今、思い入れを熱うしております。  現実に、そのCOP3の状況の中で議定書が採択をされました。その議定書というのは当時の環境庁長官でありました大木長官、それから環境庁の皆さん、そして関係各位の大変な御努力によって採択をされたということも私も目の当たりにしております。  しかし、その期待を込めた京都議定書はこれからどう動いていくのか、また国内でどういう対策をされるのかということがやはり国民にとっては大変関心事でございますし、これだけ不確実性を前提とする環境問題の中で、この時期にあの大木環境庁長官の次に御就任をされた長官の御決意と、私もつい二カ月ほど前までは一般の国民とし  て環境問題に関心を持っておりましたので、国民、またNGO、NPOの皆さんに御決意とメッセージをまずはいただければというふうに思います。
  126. 真鍋賢二

    ○国務大臣(真鍋賢二君) 福山先生がまさに初めて取り組んだという御意見でございましたが、そうでなくて、COP3にも大きく関心、関与を持たれたわけでありますから、私以上の知識を持つておられるわけであります。  そういうことで、昨年のCOP3が大変成功裏に終わったということは先ほど来私からも申し上げたところでありますが、そのフォローイングをしなきゃならない、幾らいい案をつくり上げてもその後の経過がスピードダウンしたのではだめだということで、きょうあす、非公式閣僚会議でございますけれども東京で会議を持ちまして、前回議長をしました大木先生にも出席をしていただきましてその意見を賜っておるところであります。私も心残りであったわけでありますけれども、けさの開会のごあいさつだけにして、今日この法案審議のために出てまいったわけであります。確かに、きょうの非公式会議も重要であるわけでありますけれども、この法案がいかに重要であるかという認識はそのことによってもお知りをいただきたいと思っておるところであります。  そんなことで、COP3が成功したからは、それはCOP4に何としてもつないでいかなきゃならないということで、実は昨夜、歓迎会をやったわけでありますけれども、皆さんがこういうことを申したということを申し上げたわけでありますけれども、やはりCOP4を成功させなんだら3で成功してもだめなんだという気持ちを皆さんが持っておりまして、それで今回COP4が開かれるブエノスアイレスの議長さんも、環境大臣も参りまして、一生懸命に成功を期しておるわけであります。  ですから、ひとつこれを継続していって、これからの地球温暖化問題対応をしっかりとやってまいりたいと思っております。私も浅学非才でございますけれども、皆さんの御支援をちょうだいしながら、本当にこの問題に真剣に取り組んでまいりたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。
  127. 福山哲郎

    福山哲郎君 長官の御決意を聞きまして、私も含めてよろしくお願い申し上げます。  それでは、具体的な質問に入らせていただきたいと思います。  まず、温暖化防止行動計画についてでございます。  九〇年、温暖化防止行動計画がつくられまして、その第三の「行動計画の目標」のところに「官民挙げての最大の努力により、」という表現が使われまして、二酸化炭素の削減について表現がされました。それにもかかわらず、先ほどからお話が出ていますように九五年レベルで実は八・三%も二酸化炭素増加をしている。この官民挙げての努力をすると言っているにもかかわらず八・三%ふえてしまった、削減につながらなかった理由は一体何であるか。  それからまた、その行動計画の第四には「見直しを行い、」ということが表記をしてあるんですが、実際にこのような状況はこのままでは減らないということがわかっていたはずですから、その状況の中で見直しを実際に行われたのか。また、行ったとすれば、その中身はどういうふうに行われたのか。そしてまた、もし行われていないんだとすれば、それはなぜ行われなかったのかについて、簡潔にお答えをいただきたいと思います。
  128. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) お答えいたします。  行動計画に掲げられました国の施策が、既存の施策の運用の改善の範囲にとどまっておったということ、また事業者等の取り組みについての方針が示されずに自発的な取り組みが進展しなかったこと等が問題だというふうに考えて、この行動計画が十分機能しなかった大きな問題点だというふうに考えております。  このため、本法案におきまして、国、地方公共団体、事業者及び国民が地球温暖化防止に向けた取り組みを進める枠組みを定めているところでございましてこれに基づき対策推進を図ってまいりたいというのが現在の気持ちでございます。  一方、見直しの規定についてでございますが、政府におきましては、毎年地球環境保全に関する関係閣僚会議を開催いたしまして、この行動計画につきまして関係省庁から対策の実施状況の報告を受けるとともに、なお一層の推進に向けて行動計画のフォローアップを行ってきております。フォローアップは行ってきていますが、行動計画の見直しまでには至っていない。もちろん、フォローアップで毎年のそうしたプロセスを経てきた。  そうして、各省庁おのおのにおきまして計画に盛り込まれなかった各種対策推進について検討を行い、実施に努めてもらうという形で取り組んできたわけであります。したがって、端的にお答え申し上げれば、見直しはやってきておりません。
  129. 福山哲郎

    福山哲郎君 今なぜ達成できなかったかというところに対しまして、自発的な取り組みが進展をしなかったことというふうにお答えいただいたと思います。それから、フォローアップはしたけれども見直しはしてこなかったというふうにお答えをいただいたと思うんです。  そうしますと、今回のこの法案におきまして、先ほどから何回も出てきております事業者の件に関しては、これは自主的な運用をお願いしているわけですね。行動計画の自主的なものに対しては自主的な取り組みが進展をしなかったから目標ができなかった。それから、今の話ですが、この法案も五年以内での見直しということを言っているんですが、フォローアップをしたけれども見直しはしてこなかった。  というような状況になれば、この行動計画と法案が同じような結果を導くような危惧があるのではないかというふうに普通なら考えるんですが、そこの点についてはどうお考えでしょうか。
  130. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) お答え申し上げます。  先ほど事業者等の取り組みについての方針が示されていなかったというふうに申し上げました。今回私どもが御審議願っている法案におきまして、事業者の取り組みは先ほど来お答え申し上げているとおりでありまして、どういうことに取り組んでいただくかということについては、基本方針を定めることによりましてまずお示しをしようと考えております。  それからもう一点は、繰り返しになりますので簡単にいたしますが、要するに事業者のお願いしている努力義務というものも輪を広げていく努力を私どももしますので、事業者の方々にそれに取り組んでもらえるような土壌づくりをしていきたいと先ほど来申し上げているところでありまして、極めて日本型社会の中では、先ほどユニークと申しましたが、新しい取り組みのものだと考えておりまして、これをうまく機能させれば従前と同じような失敗にはならないというふうに考えております。
  131. 福山哲郎

    福山哲郎君 ぜひ失敗なさらないようによろしくお願いしたいと思います。  ではその次に、今お話をしました九〇年の行動計画があります。それから、本年六月十九日に決定をされました地球温暖化対策推進大綱というのがございます。それから、この法案が通りますと国は地球温暖化に対する基本方針というものをつくらなければいけないということになります。そうすると、さきの行動計画と地球温暖化対策推進大綱とこの基本方針の法律上の位置づけというか、それが一体どういう関係になっているのかということがちょっと僕は理解が今できないので、ぜひ教えていただければというふうに思います。
  132. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) 若干戻りますが、一九九〇年に策定されました地球温暖化防止行動計画は、気候変動枠組み条約に先駆けまして、二酸化炭素の総排出量を二〇〇〇年以降一九九〇年レベルで安定化させることを目標にいたしまして、政府の講ずべき対策を取りまとめたものでございました。  それから次に、地球温暖化対策推進大綱京都議定書を受けまして、これも政府として緊急に推進すべき施策を取りまとめたものでございました。当時の六月十九日の段階では、ただいま御審議いただいている温暖化対策推進法案はまだ審議の途中ということでございましたので、その中には早期成立を図る、その上で法律の着実な施行を図る、こういうような記述が大綱の中になされておりますが、別途、今度は本法案の基本方針は具体例を用いつつ、各主体の講ずべき、各主体は国も地方公共団体も事業者も国民にお願いすることも含めてになりますが、各主体の講ずべき温暖化対策への取り組みの基本的事項、政府及び地方公共団体の実行計画に関する基本的事項、排出量の相当程度多い事業者が定める計画に関する基本的事項等を定めまして、今後の総合的な地球温暖化対策の方針を示すものでございます。  本法案の成立後には、この基本方針のもとで地球温暖化防止行動計画や地球温暖化対策推進大綱に盛り込まれた施策を初め、各般の施策が総合的に着実に推進されるものと考えております。
  133. 福山哲郎

    福山哲郎君 ということは、国民や地方公共団体や事業者は、基本的には今回の法案で出てくる基本方針、その後国がつくる基本方針にのっとって行動していけばいいということですね。
  134. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) お答えいたします。  先ほど来議論があり、お答えも申し上げておりますように、ただ基本方針をつくればいいというわけにはまいりませんでしょうから、いろんな働きかけが必要ですし、一人一人の国民の皆さん方の御努力もお願いしなきゃいけない、そういう相互関係のものではありますが、基本方針を定めることによって各主体の取り組みが明らかになっていくということは御指摘のとおりでございます。
  135. 福山哲郎

    福山哲郎君 では、次の質問に移りたいと思います。  先ほど申し上げました大綱によりますと、現状での日本政府のCO、の削減目標というのは三ガス、三つのガスで二・五%というふうに今表明をされていると思います。六%の削減目標を掲げたところの中で三ガスが二・五%、それから代替フロンに関しては残念ながらプラス二%、森林による吸収が三・七%削減、排出量等で残り一・八%という目標が掲げられていると思うんですが、私が知るところによりますと、COP3の前に日本政府が提案をした状況の中でもこの三ガスに関しては二・五%の削減の目標だったような気がしています。  ということは、六%削減をするということを議定書の中に盛り込みました。ところが、会議後に出てきている政府の方針もマイナス二・五だ。会議前に言っているのも三ガスについては二・五だということになると、たくさんの方の努力の結果何と日本は六%まで頑張るんだということを表明したんだと国民はみんな思っているわけです。  でも現実問題として出てきている中身は、三ガスに関しては二・五%と変わらなくて、あとはこれからブエノスアイレスで、COP4でいろんな中身が決まってくる、森林の吸収源とか排出量取引等にゆだねられるという話なわけで、現実にそうなると、大変うがった見方で失礼な話なのかもしれませんけれども、では六%を納得して議定書を採択したときに、日本政府は、もう会議前の姿勢とは根本的には変わらない、できないものはできないんだ。三ガスでは二・五%は変わらないけれども、ほかのがいろいろ出てきたので、ほかのいろんなものを活用して六%にすればいいから、とりあえず会議前も会議後もとにかくできないものはできないんだから、三ガスでは二・五だろうという話なんでしょうか。  要は、そこで会議前も会議後も同じ三ガスで二・五%の削減の目標が掲げられているということに対して少し納得ができない部分があるんですが、お答えをいただきたいと思います。
  136. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) お答えいたします。  我が国温室効果ガス排出量は先ほど来お話しありますように増加基調が続いておりまして、このまま推移すれば二〇一〇年には二酸化炭素排出量は一九九〇年に比べて二〇%以上の増加を見てしまうだろうというふうに考えられております。  そこで本年六月、先ほど申し上げた内閣の地球温暖化対策推進本部が決定した大綱におきましては、当面緊急に推進すべき国内対策を強力に進めるんだということで、そのときに二酸化炭素等の三ガスにつきましては二・五%削減を達成するということをうたっておるところであります。その限りではおっしゃるようなことになろうかとも思いますが、これは六月十九日時点でそういうふうにとにかくそれで一歩でも二歩でも進めようということで定めております。  一方、政府といたしましては、京都議定書で新たに加えられました代替フロン等の対策推進するとともに、吸収源の取り扱いだとか排出量取引の具体的なルールにつきましては、現在取り進められていますところの国際的な検討の結果を踏まえて、植林の推進排出量取引等のメカニズムの活用を図ってまいります。これも大綱でもうたっているところでございまして、それがただいま現在の政府の方針ではございます。  それから一点、大変恐縮ですが、先ほど私、大綱の中での法案の位置づけにつきまして早期成立という趣旨のことを申したかと思いますが、大変失礼いたしました。私、記憶で申しておりましたので、「地球温暖化対策推進に関する法律案に基づく対策を円滑に推進するための基礎を直ちに整え、その成立後速やかに以下の取組を進める。」という記述でございましたので、おわびして訂正いたします。
  137. 福山哲郎

    福山哲郎君 もう一度だけお伺いします。  ということは、会議前に日本は三ガスではマイナス二・五はやりましょうと言っていたことと、会議後六%ということを採択した、残りの三・五はほかでやるということで、基本的なスタンスは変わっていないと見ていいわけですね。
  138. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) 六月十九日の大綱に定めたところの考え方は御指摘のとおりだと思います。
  139. 福山哲郎

    福山哲郎君 わかりました。時間がないので次に進めます。  次に、その問題の吸収源の三・七%という目標に関してなんですが、もともと日本政府は吸収源に対しては算定基準があいまいだからやめておこうということをずっと主張していて、そこは日本政府の姿勢として大変評価をされていたにもかかわらず、三・七%を見込んでおられる。  この三・七%というのは正直申し上げまして、これからCOP4でいろいろなことが詰まっていくんですが、先ほどの大綱によりますと、「今後の国際交渉において必要な追加的吸収分が確保されるよう努める。」と書いてあるんです。「確保されるよう努める。」という表現があるわけです。「努める。」と表記されているということは、これはもしそれが確保されない場合には、このもともと言っている森林による吸収の三・七というのが大変絵にかいたもちになる可能性があるというふうに思うんですが、いかがでしょうか。
  140. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) これは若干議定書の中身にさかのぼりまして御説明させていただきたいと思います。  京都議定書の第三条の三の規定では、一九九〇年以降の植林、再植林等に起因する二〇〇八年から二〇一二年までの間の温室効果ガス排出の量及び吸収の量の純変化に限って数値目標の達成に用いられるというふうにされておりまして、この方式では一九九〇年の温室効果ガス排出量の〇・三減と見込まれているということは御承知のとおりであります。  一方、議定書の三条の四というのがございます。ここで土地利用変化及び林業等にかかる部門に関連する人為的活動については、IPCC及びSBSTAでの検討等を考慮し、吸収源に算入し得る活動としてどのようなものを取り上げるか、またどのようにしてその吸収量等を算定するかについて議定書の締約国の第一回会合以降において決定するというふうにされているところでもございます。  要は、仮に我が国のすべての森林等を対象として二〇一〇年ごろにおける我が国の全体の森林等による純吸収量を推計すると、先ほどのお話のような三・七%という程度で見込まれておるということではございます。今後の国際交渉において必要な追加的吸収分が確保されるよう適当な方法論等の確立を図っていくこととされているのもそのとおりでございます。  我が国といたしましては、要は吸収源の取り扱いをめぐるさまざまな課題を科学的総合的に検討した上で、法的拘束力のある削減目標に抜け穴とならない形で、温暖化防止に意義のある形で吸収量を算入することについての国際的合意が形成されることが重要だと考えており、こうした会議に積極的に参加しているところでございます。
  141. 福山哲郎

    福山哲郎君 今の話を受けまして、実はきょうの日経に「温暖化ガス排出権購入へ基金 対ロ投資を拡大 世銀構想」という中で、日本政府に世銀が温暖化ガス排出権の購入を要請したというような話が出てきたり、九月十三日の日経にも「途上国排出枠売却権」ということで、日本政府条約事務局に共同実施もしくはCDMに対しての提案をしたというような記事が出ております。  この提案の内容をまずはお聞かせいただきたいということと、今お答えいただきましたように抜け穴をなるべく少なくするという話の中で排出権取引に関していうと、上限を設ける形の方が国際的には納得を得られる可能性が高いと思うんですが、今の日本政府としてはどのようにCOP4に向かわれるつもりなのかをお聞かせいただければ。手短にお願いします。
  142. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) まず第一、そのような提案を日本政府がしているということはございません。  それから二点目でございますが、あとは私ども排出量取引だとか共同実施等につきましても、要は京都議定書においてもともとこれらは国内対策を補足するものとされておるところでございまして、そうした先進国対策の抜け穴ではなくて、先進国全体として五・二%の削減という枠の中で、相対的に排出削減費用の小さいところからより効率的な排出の削減が進められるようにするものであるというふうに考えておりまして、こうした観点からこれらの制度を透明性が高く効率的なものとすることが重要だと考えております。
  143. 福山哲郎

    福山哲郎君 そうしたら、この日経の、条約事務局日本案として提出したということはない、そういう事実はないということですね。
  144. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) いろいろ議論はしているわけですから、いろいろな意見を言っているということでは何も言っていないという意味ではございませんが、そういうふうに途上国を絡めたような提案をしているということはございません。
  145. 福山哲郎

    福山哲郎君 時間がないので次に行かせていただきます。法案の中身について二、三点お伺いしたいと思います。  まずは、衆議院の御努力で修正をいただきまして、市町村が努力義務から義務規定に変わったと。その条文の中で、市町村と都道府県に関しては総排出量を公表するべきという表記がございます。ところが、努力義務規定になりました事業者に対しては、温室効果ガスの総排出量を含むという表記が入っておりません。八条のところで都道府県と市町村は実行計画を策定し公表しなければならないというところに「温室効果ガスの総排出量を含む。」とあるのですが、事業者のところは、私は今これを義務規定にしろという質問をしているのではなくて、この温室効果ガスの総排出量を含むということはどちらにしても努力規定なので、追加をしていただいてもいいのではないかというふうな気がしているんですが、なぜここは事業者のところでこの温室効果ガスの総排出量を含むというのが入っていないのか、理由をお聞かせいただければと思います。
  146. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) 事業者に対しましては、基本方針に定めたところに留意して、みずからの事業活動に関し、温室効果ガス排出の抑制等のための取り組み、これがまず一つですが、それのみならず燃費のよい自動車の製造、販売であるとか、あるいは廃棄物の減量といった消費者やあるいは処理業者という他の者の温室効果ガス排出量の抑制に役立つ取り組みについても計画を作成し公表するように努めるように求めております。要は、自分の排出削減だけじゃなくて、トータルとして排出削減に結びつくような取り組み、これももちろん当然取り組みとしてやっていただきますよということを言っております。  また、実は事業者の能力や業態が多様でありますから、排出削減の取り組みもまた六ガス全部ありますとそれぞれのガスへの対応のしぶりというものも違う。また、さらには植林等による吸収まで極めて広い範囲にわたりますので、具体的な計画の内容や範囲、公表の範囲、方法については法律上細かく規定せずに事業者の判断にゆだねる、自主的な取り組みの創意工夫を奨励する、こんな観点からそういう同一のような規定を置いていないところであります。
  147. 福山哲郎

    福山哲郎君 もう少しお伺いしたいんですが、次に行かせていただきます。  さらに、全国温暖化防止活動推進センターについてお伺いしたいんですが、これは民法三十四条の法人を都道府県知事が指定をするというふうに書いてあるんですが、「申請により、」ということは、複数の者が申請をしたときは、これはどういう審査基準でどういうふうに指定をされるのか。もしくは、例えばWWFジャパンのような民法三十四条法人が申請を行って地球温暖化防止活動推進センターとして名乗りを上げてきた場合に、そういうことも実際は想定をされているのかどうか、お答えをいただきたいと思います。
  148. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) 地球温暖化防止活動推進センターにつきましては、まず一つは、地球温暖化対策に関する普及啓発を行うこと等により地球温暖化の防止に寄与する活動の促進を図ることを目的として設立された民法第三十四条の法人であることというのがございます。第二に、法律で定める業務を適正かつ確実に行りことができると認められるものであること、具体的には財産の状況だとか人的体制、実績等が業務を行う上で十分であるかといった要件を満たすことが必要になるだろうと考えております。
  149. 福山哲郎

    福山哲郎君 そうしたら、複数の申請があった場合には、この条件にかんがみて知事が指定をするということですか。
  150. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) 一つに限るとなっておりますので複数の場合はそういう形になろうかと思います。
  151. 福山哲郎

    福山哲郎君 もう一つ、温暖化防止活動推進員というのがやはりあります。これに対してはどういった選出方法や選定基準を考えられているの  か、お聞かせをいただきたいと思います。
  152. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) 推進員にお願いするに当たりましては、地球温暖化対策に関する専門的な知識を有し、普及啓発等の活動について豊富な経験を有する方に住民の身近なところにおいて地球温暖化対策についての啓発や助言等を行うことをお願いするものでありますので、その選定の具体的な方法につきましては、地域の実情に応じた各都道府県の判断にゆだねるところだと考えております。
  153. 福山哲郎

    福山哲郎君 ということは、その条件にかなつた方なら、例えば一般の市民とかNPOで環境問題に対して大変造詣の深い方等が推進員に選定されることもあり得るということですね。
  154. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) もちろんであります。
  155. 福山哲郎

    福山哲郎君 最後でございますが、附則の第二条、「法律の施行後五年以内に、この法律の施行の状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。」というところなんですが、一つ、この法律地球温暖化を防止しようという大きな意味合いから含めて、私はこの法律の施行の状況についての検討というよりも、地球温暖化の防止に対して全般について検討を加えていこうというような、やはり法律の施行の細かいことに対する検討を加えて見直すということではなくて、地球温暖化に対しての全般の見直し、それを見直してこの法律を見直そうというような大きい枠でこの法律はとらえられないかなというふうに一つ感じておること。  もう一つは、施行後五年といいますが、先ほど来お話がありますように議定書の発効等の時期がいっかわからないですが、それが来れば、先ほど言われたみたいにもう一つ重要な法案をつくっていくということもあるでしょうが、この法律を見直して一つ一つ積み上げていくというのも一つの考え方だと思うので、二点、法律の施行の状況についての検討というのを地球温暖化全般についてもう一回見直すというような状況とか、それから議定書が発効し次第この法律を見直してさらにいいものにしていこうというようなことはお考えはございませんでしょうか。
  156. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) お答え申し上げます。  二点でございますが、「法律の施行の状況について」というのは、もちろんこの法律の施行の状況そのものと同時に、周囲の環境との相対的な関係というのは当然入ってくるわけでございます。したがいまして、もちろん増減の要因を分析した上で必要に応じ施策の強化が必要になるとなればまた五年以内ということで、私どもとしては少し幅をちょうだいしておきたいということで五年以内ということにさせていただいているわけですが、一方で以内としているのは、本法案の施行状況はもちろんですが、御指摘京都議定書の発効といった国際的な状況の進展次第といった点もございますので、五年よりもっと早く必要な措置を講ずることもあり得るという意味で五年以内とさせていただいているところでございます。
  157. 福山哲郎

    福山哲郎君 時間になりました。大変誠実にお答えいただきまして、本当にありがとうございました。
  158. 加藤修一

    加藤修一君 公明の加藤でございます。  まず最初に、私は大臣にお伺いしたいんですけれども、非常に基本的な質問でございます。IPOCの報告書には、いわゆる大気中の温室効果ガス濃度安定化に向けた分析的アプローチというところがございますけれども、その中で、炭素循環モデルによれば、CO2を現在のレベルで安定化るためには、その排出を直ちに五〇から七〇%削減し、さらに削減を強化していく必要がある、こういうふうに報告されているわけでございますけれども、こういうことに関して、昨年の十二月に京都会議があって京都議定書が作成された。この中の成果について、今IPCCの報告書の中身について申し上げましたけれども、その観点から京都議定書の意義についてどのようにお考えをお持ちですか。
  159. 真鍋賢二

    ○国務大臣(真鍋賢二君) 加藤先生のお尋ねでございますが、IPCC報告は、世界の第一線の科学者によって、例えば大気中の二酸化炭素濃度の上昇に伴って気温がどの程度上昇するかといった最新の科学的知見を集大成したものであり、地球温暖化防止のための政策を検討するに当たり重要な科学的基礎となるものであると考えております。  そこで、京都議定書は、IPCCの報告書の内容を踏まえた上で、地球温暖化による悪影響を防止することに向けて第一歩となる国際的取り組みとして、先進国は率先して法的拘束力を伴う厳しい対策を行う等強い決意のもとに合意したものであり、地球温暖化防止を図る上で極めて意義深いものと認識をいたしております。
  160. 加藤修一

    加藤修一君 京都議定書で決まったのは先進国の五%削減ですが、IPCCの内容に比べればそれは当然不十分なんですけれども、この辺のギャップについてもう少し具体的に認識している中身についてお示ししていただきたいんです。
  161. 浜中裕徳

    説明員浜中裕徳君) お答えを申し上げます。  確かに先生指摘のとおり、IPCCの第二次報告書におきましては、温室効果ガス濃度を現在の水準で安定化させるためには直ちに排出量を五割あるいは七割削減しなければならない、こういうことが言われております。他方で、それでは温室効果ガス大気濃度増加によりまして地球温暖化がどの程度進行し、人間生活、人類の生活やあるいは生態系にどのような悪影響が生ずるかということについても他方詳細な検討を加えておるわけでございまして、現在までの二酸化炭素濃度が例えば倍になったときにどのような影響が出るかというようなことを種々検討した上で、そのようなレベルになることはやはり避けた方がいいのではないかと、このような大方の判断であろうかと思っております。  この倍増というのはいろいろ解釈がございまして、産業革命前に二酸化炭素濃度が大体大気中では二八〇ppmぐらいでございました。そういったことを考慮いたしまして、大気濃度は五五〇ppmぐらいであろうかというような議論もあるところでございます。これは必ずしも世界専門家の間で明確な一致があるレベルではございませんけれども、おおむねそのあたりが念頭にあろうかと思います。現在はちなみに濃度は毎年少しずつ増加してきておりますが、およそ三六〇ppm台でございます。  したがって、IPCCが指摘しておりますのは、現在のレベルで安定化させようとすると、いきなり排出量を五割ないし七割削減しなければいけないということでございますけれども、実際に深刻な影響が出てくるレベルというのは必ずしも現在の濃度レベルということではありませんで、むしろ専門家の間では五五〇とかそういうような数字が念頭にあろうかというふうに考えているわけでございます。  いずれにいたしましても、先ほど大臣から申し上げましたとおり、京都議定書地球温暖化による悪影響を防止することに向けまして第一歩となる国際的な取り組みとして非常に意義があるものだ、こういうふうに考えているわけでございまして、このような評価は例えばことしの四月に英国で行われましたG8、環境大臣会合においても同様の認識が共有されたところでございます。
  162. 加藤修一

    加藤修一君 最近のIPCCの報告の一つによりますと、二一〇〇年の温度上昇の予測値を二度から二・五度へ上方修正する見通しであるということも伺っているわけですけれども、これについては今どういう見解でいらっしゃいますか。
  163. 浜中裕徳

    説明員浜中裕徳君) お答えを申し上げます。  確か、そのような報道がなされたことを私も承知しております。しかしながら、この点につきましては現在、正確に申し上げますとIPCCの内部における専門家レベルの検討、まだ政府として公式に関与しておりません専門家レベルの検討におきまして、従来温暖化の予測の前提としてとらえてまいりました世界温室効果ガス排出の今後の推移についてのいわゆるシナリオというものでございますが、それを見直す必要があるということで、専門家の間で検討が進められている段階でございます。  この中におきましては、温暖化をもたらすのは二酸化炭素などの温室効果ガスでございますが、他方で冷却化作用をもたらすような物質がございます。これは、例えば酸性雨の原因になる硫黄酸化物が大気中に排出されますと上空でエアロゾルというものになりまして、これが太陽光を散乱させ冷却作用を及ぼすということでございます。従来は、この硫黄酸化物が原因となりますエアロゾルの排出が今後途上国の経済発展などに伴ってかなりふえるであろうという予測をしておりましたけれども、そういうことになりますと酸性雨問題などによる被害も深刻化するであろうということで、それらの対策も結構今後進むのではないかと、専門家の間では徐々にそういう認識が高まってきたようでございます。  現在は、従来予測されておりましたものよりは、そういった硫黄酸化物が原因となって起こりますエアロゾルの大気中のレベルは従来よりも低くなるのではないかという下方修正の動きにあるというふうに聞いております一もしそのようなことになりますれば、当然冷却化が弱まるわけでございますからどうしても温度の上昇が強まる、つまり温暖化の予測は上方修正されることにならざるを得ないということであろうかと理解しております。  いずれにいたしましても、先ほど申し上げましたとおり、これはまだ政府が関与しておりません全くの専門家レベルでの検討の段階にあるというふうに承知をしております。
  164. 加藤修一

    加藤修一君 昨年、京都会議の以前においては、国内対策として二・五%の削減目標数値を決めたわけですけれども、私はこれが非常に唐突に出てきたなという印象を受けておりまして、当時の報道によりますと、霞が関で密室協議的に決めて、与党も知らないうちに二・五%が出てきたというふうに私なんかは聞いております。  昨年、九七年の省庁間の覚書の開示ということで、エネルギーあるいは環境関連で五十数件の覚書の公開ということがなされているわけですけれども、この二・五%を決める経緯の中で覚書も当然あったと思うんです。それについて公開していただけませんか。
  165. 浜中裕徳

    説明員浜中裕徳君) 私自身は、確かに政府部内におきます京都会議前の我が国としての削減目標の提案の政府部内検討に環境庁の立場から関与しておりましたけれども、私自身が記憶しております限りで、この件に関して政府部内で何らかの覚書があったというふうには理解しておりません。
  166. 加藤修一

    加藤修一君 全くないですか。
  167. 浜中裕徳

    説明員浜中裕徳君) 繰り返しになって恐縮でございますが、私が承知しております限りそのようなものは存在しないというふうに考えております。
  168. 加藤修一

    加藤修一君 では、覚書のたぐいに関するものはないですか。
  169. 浜中裕徳

    説明員浜中裕徳君) そのようなものも含めまして存在していないというふうに考えております。  政府部内の検討結果につきましては、いろいろ御批判もございますけれども、十月六日にその内容を公表させていただいているところでございます。
  170. 加藤修一

    加藤修一君 京都会議前と京都会議後では、当然ですけれども削減数値目標が変わったわけで、三・五%アップした。それにもかかわらず、エネルギー起源のCO、排出量は九〇年比でゼロ%削減ということなのですけれども、これ自体普通の常識で考えると、六%になった、これを変えないで、いわゆるゼロ%安定化というのは国の方針として明確に固まってしまった、これ以上に変更する考え方はさらさらない、そういうスタンスですか、今の段階は。今の段階というか、将来も含めて。
  171. 浜中裕徳

    説明員浜中裕徳君) お答えを申し上げます。  先ほども同様の御趣旨のお尋ねが別の委員からございまして、局長からお答え申し上げたとおりでございます。  昨年、京都会議前に検討いたしました経緯、内容を恐縮ですがもう一回振り返らせていただきたいと思いますが、現在、温室効果ガス排出量増加基調にございまして、このまま推移いたしますと、二酸化炭素排出量で申し上げまして、二〇一〇年ごろには一九九〇年の水準に比べ約二〇%強増加をすると見込まれているわけでございます。これに対して、各省庁上げてぎりぎりの検討、努力をいたしました結果、二酸化炭素メタン及び亜酸化窒素につきまして可能な限りの対策を積み上げました結果、二・五%の削減までは我が国として実施をしていこうじゃないかという合意をしたものでございます。そういう意味では、放置すれば二〇%以上の増加になるところを二・五%マイナスまで持っていこうということでございますから、トータルとして二〇ポイント以上の削減幅になる、これは大変な努力を必要とするものであるということを申し上げたいと思います。  その後、京都会議の交渉の場におきまして、各国間のぎりぎりの交渉の末に、こうした各国の国内的な努力に加えまして、各国間で協力、協調をしまして目標を達成する仕組みも導入しようということが合意され、かつまた森林等による吸収についても算入をしようということが合意されたわけでございます。  こうした合意を前提といたしまして、我が国としても六%削減という高いレベルの目標にも京都会議を成功させるために合意すべきである、約束すべきであるということで合意をしたという経緯があるわけでございます。そういう事情を踏まえまして、先ほど来御議論になっております地球温暖化対策推進大綱におきましても、そうした方針を確認させていただいているということでございます。  いずれにいたしましても、例えば吸収源についても、今後の国際交渉の結果を見ませんと、最終的にどの程度の削減を見込むか、まだ必ずしも明確に見通しがついているわけではございません。そういうことでございますから、最終的に我が国といたしましては六%の目標を確実に達成できるように、足らざる削減量につきましてはあらゆる既存の対策を見直していくことが必要であろうというふうには考えておりますが、当面の私どもの考え方としてはこの大綱に示されたとおりであるというふうに考えております。
  172. 加藤修一

    加藤修一君 それについては後でまた触れるといたしまして、環境政策エネルギー政策はある意味で密接不可分な関係にあると私は思っていますし、それは恐らく環境庁もそうですし、通産省もそうだと思います。  通産省にお伺いする前に環境庁にお伺いしたい点は、いわゆる通産省の関係で長期エネルギー需給見通しがございます。これは本会議でも質問いたしましたけれども、なかなか得心のいくような答弁がございませんでしたのであえてまた聞きます。これは見通しと言いながらも、実は非常に国の将来のエネルギー政策を規定する重要なものだと思うんです。審議会で決定し、さらにいろんな仕組みの中で最終的に決まっていくとは思うんですけれども、審議会で決定する前に、例えば環境庁が意見を言える場所というのはあるんですか。言える機会というのがあるんですか。
  173. 浜中裕徳

    説明員浜中裕徳君) 本件に関しましては、代替エネルギー供給目標というものを政府として決めるわけでございまして、その決定過程において私どもは、ただいま御指摘のございましたとおりこれは閣僚会議において決定をされるわけでございますから、その前段階において協議を受ける立場にあるというふうに理解しております。
  174. 加藤修一

    加藤修一君 その代替エネルギー関係で、決定過程において意見を言う場所があるとか言う機会があるという話ですけれども、具体的にどういうことですか。
  175. 浜中裕徳

    説明員浜中裕徳君) ただいまちょっと閣僚会議ということで申し上げましたが、閣議でございます。申しわけございません、誤っておりました。閣議にかけられる前に、当然閣議案件でございますから事前に正式の協議があり、そこで必要な意見を申し上げる、こういう形になっておるわけでございます。
  176. 加藤修一

    加藤修一君 私の当初の質問の意図というのは、長期エネルギー需給見通しの審議会の前の段階で環境庁が意見を言える機会があるのかという話なんですけれども、その辺はどうですか。
  177. 浜中裕徳

    説明員浜中裕徳君) その点についてお答えを申し上げますが、私が申し上げましたのは、環境庁としてそれに関連して意見を求められる機会と  いうのは、代替エネルギー供給目標の閣議決定に際して意見を求められる。その際に、長期エネルギー需給見通しは参考資料ということでつけられてくるということでございますので、そのお尋ねの審議会の審議の段階で意見を求められるということではないというふうに理解しております。
  178. 加藤修一

    加藤修一君 要するに、審議会の前とか審議している最中に環境庁が意見を求められることは全くないということですね。そういう理解でよろしいんですね。
  179. 浜中裕徳

    説明員浜中裕徳君) 審議会の審議の過程で意見を求められるということではない、閣議決定の前に意見を求められるということであるというふうに理解をしております。
  180. 加藤修一

    加藤修一君 閣議決定の話が出てきますけれども、閣議決定の前というのはどの時点ですか。どういう会合になりますか、ちょっとしつこいんですけれども。前とかそういうことについて明示的な名前で言ってほしいんです。どういう会合なのか、協議会とかそういうのがあるのかどうなのか。  私は、閣議でやるというのはある意味で当たり前の話であって、その中で意見を言う言わないというのは当たり前の話だと思うんです。その前の段階というのはどういう段階ですか。
  181. 浜中裕徳

    説明員浜中裕徳君) お答え申し上げます。  これは、通常政府部内におきまして、閣議に諮られる案件が事前に協議をされるという……
  182. 加藤修一

    加藤修一君 次官会議ですか。
  183. 浜中裕徳

    説明員浜中裕徳君) いや、そういうことではございませんで、事務的に事前に協議をされる、その中で通常のルールに従って協議を受けるということでございます。
  184. 加藤修一

    加藤修一君 通常のルールというのはどういうルールになりますか。
  185. 浜中裕徳

    説明員浜中裕徳君) お答え申し上げます。  通常は閣議決定の二週間前に協議を受けるとい、りことであるというふうに理解をしております。
  186. 加藤修一

    加藤修一君 そうすると、今までそういう通常のルール、二週間前に云々、打ち合わせしていますと、当然それの議事録はあるわけですね。そういうようなものを出していただけますか。
  187. 浜中裕徳

    説明員浜中裕徳君) お尋ねは、閣議決定前の政府部内協議においてその議事録があるのではないかということを前提にされたお尋ねであろうかと思いますが、私ども通常はそういう各省間の協議に際して議事録というものは作成していないというふうに考えております。
  188. 加藤修一

    加藤修一君 では、議事録でなくていいです。メモでも何でもいいです。要するに、協議した内容については何かどこかにあるわけですね、協議している、話し合っているということですから。それについて我々がわかるようなものを出してほしいという意味合いで私は申し上げておるのです。
  189. 浜中裕徳

    説明員浜中裕徳君) 議事録というものは特に作成していないということを申し上げましたけれども、同様に後ほどの備忘録的な意味で議事内容を記録するというようなことも特に行っていないというふうに考えております。
  190. 加藤修一

    加藤修一君 要するに、特にメモする必要がないわけですね。協議してないんじゃないですか、審議会で出てきた内容とそれから石油代替の関係で出てきている数値というのはほとんど同じですから。だから、環境庁がいわゆる環境政策とかエネルギー政策、それが非常に密接不可分の関係にあるということは前々からも認めている話であって、環境庁もやはり言う権利があると思うんですね、いろいろな意味で、エネルギー政策に対して。それを協議しているという。  協議したというのは、ではどういう中身なんですかということを我々としては聞きたいんです。
  191. 浜中裕徳

    説明員浜中裕徳君) お答えを申し上げます。  私どもとしては、当然ながら環境保全の観点から十分に検討をいたしまして、必要な意見を申し上げてきているところでございます。
  192. 加藤修一

    加藤修一君 堂々めぐりをやっているわけじゃなくて、要するにそういうふうになっていないということなんです。私は、環境庁としてはそういう姿勢はあるかもしれません、気持ちもあるかもしれませんが、実態はそういうふうになっていないんじゃないですかということを言っているんです。わかります、環境庁が一生懸命やっているということは。いろいろなバリアがある中を一生懸命やっているという気持ちはわかります、姿勢もわかります。しかし、実態としてはそういうふうになっていないということを私は言いたいんです。  だから、私はそういう意見を交換するというか協議するシステムをつくってほしい、つくるべきだと、そう思いますけれども、どうですか。大臣、その辺どのようにお考えですか。
  193. 真鍋賢二

    ○国務大臣(真鍋賢二君) 加藤先生の御指摘のように、そういう機関があって、いろんな意見交換をし、また必要なものを収集していくというのは大切なことだと私も思います。  ただ、新しい慣習の中に環境庁がどの程度まで組み込まれておるのかなという心配は今持っておるところであります。これは事務方の方の衝でありまして十分なことが私にはわかりませんけれども、後ほど聞いてみようと、こう思っております。
  194. 加藤修一

    加藤修一君 どういうふうに組み込まれているかわからないという話、そういう実態なんでしょうけれども、よくわからないんです。要するに、審議会で長期エネルギー需給見通しをつくって、その中の数値そのままが代替エネの関係数値になっているわけですから。では、環境庁は一切かんでないという言い方だってできなくはないんですね。非常に大きな問題だから私はしつこく言っているんです。  私は、これは質問通告してなかったかもしれませんが、考えていた質問が全部前の方で出てしまったので急速こういう話をしているわけです。いずれにしましても、その辺の件については検討をして、明示的になる仕組みをつくってほしい。わかりやすく、いわゆる長期エネルギー需給見通しについて、環境庁もこういった立場で言っています、例えば今回はこういう形で言いましたと、そういうシステムをつくるべきだ。検討してくれませんか、通産は嫌がると思うんですけれども
  195. 浜中裕徳

    説明員浜中裕徳君) お答えを申し上げます。  当然のことながら、環境庁といたしましては、石油代替エネルギー供給目標の策定に当たりまして、十分環境保全に留意しつつ目標の達成をしていただくという考え方が重要であろうと考えておりまして、そのような考え方に基づいてこうした石油代替エネルギー供給目標が達成されるように、そのような形で調整を図ってまいりたいという姿勢でございますし、今後とも引き続きそういう方向で努力をしてまいりたいというふうに考えます。
  196. 加藤修一

    加藤修一君 いや、従来の検討じゃだめだから私は言っているんです、従来の検討じゃだめだと。前向きにその辺のことを通産省と一生懸命考える、意見を出し合う、そういうことはできませんか。  通産省はどうですか。
  197. 稲川泰弘

    政府委員(稲川泰弘君) 今回長期エネルギー需給見通しの改定を行いましたが、これのベースとなりましたのは、昨年の夏以降各省の御協力をいただきながら、また官邸で開かれました合同審議会でいろんな議論をした上で需要面、対策面の議論を重ねて積み上がったものでございます。その後、総合エネルギー調査会需給部会に関係各方面の委員の御参加をいただいた上で、環境問題のほかエネルギーセキュリティーあるいは経済問題も含めて多方面の議論をして主には供給面の答えを出し、今回の改定に至ったわけでございます。  こういう経緯からもごらんいただけますように、環境庁とはいわゆる行政庁との問のいろんな相談を繰り返すのが普通でございまして、これは環境庁のみならず建設省、運輸省、警察庁、それぞれ御相談を去年の夏以来繰り返し、また政府対策本部においてもこうした議論を繰り返してきたものでございまして、環境庁の御意見その他はこの基礎的な議論の経緯の中で十分組み込ませていただいているものと思っております。  また、具体的な総合エネルギー調査会での議論はことしの一月から始まっておりますが、この議論の結果としまして法律上必要な、例えば閣議決定を必要とするようなもの、先ほど代替エネルギー目標というのがございましたが、これは法律上の閣議決定として形式的な協議を別途行っているものでございます。
  198. 加藤修一

    加藤修一君 多方面の意見を聞くとか相談、議論をずっとやってきたという話ですけれども、そういう努力はわかります。その相談をやってきた、議論をやってきた。ではどういう相談をやってきたのか、議論をやってきたのか、その辺のことがもっと明確になるような、特に環境庁との間でそれが明確になるようなシステムをつくるべきじゃないですかということなんです、私の言わんとしていることは。
  199. 稲川泰弘

    政府委員(稲川泰弘君) 昨年来の議論は、環境庁を含め各省との相談を繰り返した中身はいろんな機会にプレス発表のようなことで官邸の方でも行われたと思いますが、また総合エネルギー調査会の議論そのものは全部公開をいたしてございまして、公開の場で資料も公開をし、各界の代表者を通じて意見を集めてその集約化を図ったものと理解いたしてございます。  したがいまして、環境庁との間では随時行政庁としての相談は去年の夏以来続けておりますし、環境庁のみならず政府のベースで、政府内部で情報交換、意見交換はしているものと御理解を承りたいと思います。
  200. 加藤修一

    加藤修一君 時間がないですから別のところに行きますけれども、いずれにしても明示的なシステムをつくるべきだということを私は要求して、別の質問に移りたいと思います。  それで、私はずっとスキップしてしまいます。厚生省の方にも来ていただいておりますけれども、申しわけございません、そこまで行かないと思います。  それで、建設省にお願いしたいんですけれども、先ほど来から地球温暖化防止行動計画の話が出ております。平成三年からずっと総額十兆円を超えるものが、平成九年も十一兆七千百十三億円ということで、道路関係予算が七二%ということなんですけれども、これは果たして地球温暖化防止に寄与している内容になっていますか。
  201. 井上啓一

    政府委員(井上啓一君) 地球温暖化防止行動計画関係施策の実施状況について環境庁において毎年取りまとめておられますが、予算執行額については平成九年度、今お話しのように総額十一兆七千百十三億円、うち道路関係八兆四千億円としておりますが、これは地球温暖化防止行動計画に関係します施策について、地球温暖化防止を主目的とはしないけれども副次的に資するようなものを含めて広く取り上げるという考え方のもとに関係予算を積み上げているということであります。  道路事業につきましては、バイパス等の道路建設が道路交通の円滑化につながりまして、走行速度の向上に反比例して二酸化炭素排出量減少するという特性がありますので、そういうことで行動計画に関係する施策として道路事業費全額を計上しているものでございます。  道路事業におきましては、道路ネットワークの整備とあわせて物流の効率化、交通需要マネジメント施策の推進、高度道路交通システムの推進、公共交通機関との結節点整備等を通じまして円滑な自動車交通を確保して、エネルギー効率の高い走行環境を実現したいと考えておるところであります。
  202. 加藤修一

    加藤修一君 この関係については、平成九年度ですか、二百三十三件中いわゆる温暖化防止効果の計量的試算がなされているものは八件、その中に建設省はありますか。
  203. 井上啓一

    政府委員(井上啓一君) 入っておりません。
  204. 加藤修一

    加藤修一君 私は基本的にはやはり費用対効果をすべきだと思います。もちろん一つ一つの事業というのは多くの評価基準があるわけですから、地球温暖化防止、そのためにだけやっているわけでないことは十分わかっておりますけれども、建設省の道路広報センターになりますか、「環境と調和のとれた道づくり」というふうなものがございます。その中で、四番目の項目として、「地球温暖化の防止に貢献する道路整備をめざします。」と書いてあるんです。  先ほど来のお話もわかります。しかし、私が言いたいのは「道路交通に関する二酸化炭素排出量抑制策の推進」と書いてあるんです。その中に「体系的な道路網整備の推進」とか「マルチモーダル施策等の推進」と書いてございますけれども、これについてのケーススタディーとかそういうのはないんですか、どうなんですか。
  205. 井上啓一

    政府委員(井上啓一君) 先ほど申しましたように、走行速度のアップとともに反比例してCO、が削減されて……
  206. 加藤修一

    加藤修一君 それはマクロ的な話でしょう。
  207. 井上啓一

    政府委員(井上啓一君) はい。それで二〇一〇年までに交通量がふえるということで炭素換算で一九九〇年、五千八百万トン出ておりますが、それが二〇一〇年には三千三百万トンふえるということで九千亘刀トンになるということでありますが、道路整備を行うということによりまして全国で炭素換算にして八千百万トン、千万トンを抑制する、さらに道路ネットワークの整備とあわせ物流の効率化とか交通需要マネジメント、高度道路交通システムそれから公共交通機関の促進等で千三百万トン抑制してトータルとして六千八百万トンにするというふうに見込んでおるところであります。
  208. 加藤修一

    加藤修一君 そういうふうにおっしゃっていることはよくわかるんですけれども、ただ実態はそういうふうになっていないという話なんです。  地球温暖化防止行動計画のうち七二%です、構成率は道路関係予算が。それで、では具体的に定量的にやっているかというと何もやっていない。今のお話はある意味で定量的な話ですけれども、施策ごとにやれるものについては私はやるべきだと思うんです。あるいはケーススタディーぐらいはやってほしい。  ですから、例えば高規格幹線道路とか地域高規格道路とかさまざまな施策がありますけれども、そのうちこれをやってみました、あれをやってみましたというそういう具体的な例を示してほしいと思うんです。そうでないと、平成九年度で八兆円を超える道路関係費を使っていながらなかなかCO2の削減につながっていない、こう皆さんも先ほどから言っているわけなんです。具体的にどうしたらいいかというのはやっぱりケーススタディーを一つはやるべきだと思うんです。我々としては明示的に何もないんです、手元に。先ほどのマクロの話しかないんです。
  209. 井上啓一

    政府委員(井上啓一君) 二酸化炭素排出量について地球全体として削減が必要ということで、なかなか個々のプロジェクトに対して切り分けることは非常に難しいわけでございますけれども、今のようなお話で大都市圏におきまして環状道路の整備等を行うことによって現状の走行速度を現在十九キロぐらいの平均速度に対しまして二十五キロまで上げる、あるいは地方都市において二十三キロを三十キロまで上げるというような目標を立てております。  そういうようなことで、先ほど申しましたような削減計画が達成できるというふうな試算をしておるところであります。
  210. 加藤修一

    加藤修一君 私はケーススタディーをやってほしいと言うんですが、それについてはどう思いますか。
  211. 井上啓一

    政府委員(井上啓一君) 今のようなことを勉強しているということで、それが先生のおっしゃるケーススタディーに当たるものかどうかちょっとはっきりしませんけれども、いずれにしてもそういうようなことで効率的な道路交通環境をつくっていきたいというふうなことで、そういうような勉強はしております。
  212. 加藤修一

    加藤修一君 道路局にはたくさんの情報があると思います。実際に道路計画をやるわけですから、交通計画をやれと。発生・集中、分布交通量を出したり、配分交通量を出したり、そういうものを計画的にやっているわけです。パーソントリップ調査もやっている、OD調査もやっているわけです。だから、基本的に計算する数値は僕はあると思うんです。  その高規格道路云々にしても、あるいは橋をかける場合にだって、ソード、リンクを設定して交通量を推計して、果たしてそこにどのぐらい通るかとか、そういうシミュレーションを全部やっているわけじゃないですか。そういったデータをもとにして、あるいは常時交通量観測している地点だってたくさんあるわけですね、ピーク交通量なんかも出しているわけですから。そういったことから出せることだと思います。要するに、ケーススタディー的にはできる。一つの施策について、温室効果ガスに対して削減するような方向になるかどうか切り離して考えることができないと一方的にそうおっしゃいますけれども、そんなことはないと思います。
  213. 井上啓一

    政府委員(井上啓一君) 先ほど申しましたのは、個別プロジェクトについてそういうことを切り離して考えることがなかなか難しいということを申し上げたんですが、今言われるように、走行速度を上げることによる効果等については先ほど申しましたように出しております。  そういうことで、先生の言われるケーススタディーというのがどういうようなものか、またよく勉強した上でお答えさせていただきたいと思います。
  214. 加藤修一

    加藤修一君 いや、例えば「マルチモーダル施策等の推進」の中には、「空港、港湾等へのアクセス道路整備」ということで、アクセスが変わった場合にはどういうふうになるのかというのは計算できるわけですね。そう思います。  それからもう一つは、SAはサービスエリア、PAはパーキングエリアだと思いますけれども、「高速道路のSA、PA、道の駅等において、電力の供給施設や融雪等にソーラーエネルギーを活用する設備の積極的な導入を図ります。」、こういうふうに書いているわけですけれども、こういうことが実際に具体的な数値として、あるいはこういう報告書として、こういうふうになりましたというようなことがないわけですね、その温暖化防止行動計画の中身に関しては。ただ道路関連整備それ一本ですから。もっと具体的な施策の名前も含めて出してほしいという話なんです。  そういうことはどうですか。それと、今言った件についてもそうですけれども
  215. 井上啓一

    政府委員(井上啓一君) ソーラーエネルギー等の活用によってなるべく温暖化のためのガスを出さないような施策というようなことで、定性的なことはやっておりますが、それが定量的に今どれだけになるかというようなことは現状ではっかめていないという状況であります。どれだけこういうものを進展させるか。  ただ、いずれにしても、こういうようなことを勉強しながら地球温暖化に役に立つような施策を推進していこうというふうに考えているところであります。
  216. 加藤修一

    加藤修一君 ここに東洋経済の本があります。「道路投資の社会経済評価」ということで、例えばイギリスとかアメリカとかドイツとかはさまざまな投資効果分析をやっているわけです。その方法もあり、評価システムが完成されている。その中には温暖化に関しての項目もあるわけです。そういうことに対して、積極的に建設省道路局もアプローチすべきだと私は思うんです。  我々としては非常にわかりづらいんです、この温暖化防止行動計画の中身をこういうふうに示されても。何がどうなっているのか。もっともっと明確に我々にプレゼンテーションをしてほしいという要求なんです、一つは一どうですか。
  217. 井上啓一

    政府委員(井上啓一君) 今のようなことに関しましては、勉強しながら努力していきたいというふうに思っております。
  218. 加藤修一

    加藤修一君 どうも大変ありがとうございました。時間が参りましたのでここで終わりにいたします。
  219. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 それでは、御質問をさせていただきたいと思います。  まず、環境庁長官、この法律案は、中央環境審議会に対して環境庁長官が諮問をし、その答申に沿ってつくられた法律というふうに認識をしておりますけれども、今回の中環審の位置づけはどういうふうに考えておられるか。ということは、同じように他省庁が携わる法律の中で環境アセスメント法というのがあったわけですけれども、そのときは内閣総理大臣の諮問によって中環審の答申がなされておるということを踏まえて、今回のこの中環審の答申というものの位置づけについて、まず長官にお伺いをいたしたい。
  220. 真鍋賢二

    ○国務大臣(真鍋賢二君) 中環審の答申においては法制化の考え方を示したものであり、法案の具体的な内容の検討については政府にゆだねられたわけであります。  御指摘の事業者による計画の策定等については、温室効果ガス対策取り組みは緒についたばかりという実態を踏まえて、現時点では一律に義務づけることは困難なことから努力義務と位置づけたところであり、全体として答申に即したものとなっていると考えております。
  221. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 位置づけについてお聞きをしたわけですけれども、次の問いにまで答えていただいております。私自身はその今の答弁に沿って、そうしますと今回の中環審答申は軽んじられている  のではないかというふうに思うわけですけれども、その点いかがでございましょう。
  222. 浜中裕徳

    説明員浜中裕徳君) 答申が軽んじられたのではないかと、こういうことでございますが、先ほど来から類似の、同様の御質問もございましたが、私どもは、中央環境審議会におきまして種々の御審議をいただいた結果を十分踏まえさせていただきまして政府部内の法案の協議を進めてまいったわけでございます。  先ほど大臣から申し上げましたとおり、中央環境審議会の答申は法制化の考え方を示しております。また、いろいろな、さらに中央環境審議会独自の御意見として、オプションとしてこういうことも考えられるというような形での示唆もいただいているところでございますが、いずれにいたしましても、法案の具体的な内容は政府にゆだねるという形でまとめられているところでございます。  したがいまして、その精神を踏まえまして私ども鋭憲政府部内協議をしてきたところでございまして、決して答申の内容が軽んじられたものではないというふうに考えているところでございます。  なお、現在の事業者の取り組みの実情にかんがみまして、一律に計画の策定等を義務づけることは困難であり、そのような考え方から努力義務ということにさせていただいたところは大臣が申し上げたとおりでございます。
  223. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 通産省にお尋ねをいたします。  事業者の取り組みの義務づけについて、真鍋長官は本会議答弁の中で、事業者の温室効果ガス排出抑制などのための対策は緒についたばかりで、現段階ではこれを義務づけることは困難であるため、本法案においては努力義務としたところでありますというふうに述べられております。省エネ法には合理化に関する将来の計画の提出を義務づける措置がとられておりますし、また代替フロンにつきましても、今年の二月二十三日、「産業界によるHFC等の排出抑制対策に係る指針」、そして同じく五月二十九日には「代替フロン等の排出抑制対策の方向と関係者の役割」という報告書の中で通産省の取り組みというのは明快に示されている。地球温暖化に対して、事業者も含めて通産省も挙げてこのことには取り組んでいくんだという姿勢というのは明快に示されているわけです。  それにもかかわらず、その地球温暖化の防止に対して最大限の役割を果たしていくこの法律案の中にその通産省の意気込みというのが削減をさせられているという部分、義務づけがなされていないということに対して私は非常に残念に思うわけですけれども、通産省側としてはこのことをどのように受けとめていられるんでしょうか。
  224. 河野博文

    政府委員(河野博文君) お答え申し上げます。  先生よく御存じのとおりで繰り返しになるかもしれませんが、HFCのような代替フロン、いわゆる三ガスについて特にお答えを申し上げますけれども、これらは冷媒あるいは発泡剤、エアゾール、洗浄剤、半導体のエッチング剤等々、非常に幅広い産業に使われているのは御承知のとおりでございます。  しかしながら、一方で、有効な本格的な代替物質がまだ開発されていないというのもまた事実でございまして、こうしたガスが生産時あるいは使用時あるいは機器の廃棄のときなど各段階で排出されるということでございますので、事業者が講ずる排出抑制対策、これもさまざまなものがあるということでございます。  そこで、先生まさに御指摘のとおり、通産省といたしましては本年二月の告示によりまして、技術的あるいは経済的に可能なできる限りの取り組み産業界にも促してまいりました。産業界といたしましても、個々の実態に応じまして、さまざまでございますけれども排出を極力抑制するような具体的な対応策を伴った行動計画をつくり、公表し、また私どもも報告を受けたという状況になっております。  行動計画におきましては、具体的な数値目標を掲げた産業も多いわけでございまして、こうした努力を積み重ねることになっております。また、その結果につきましては審議会などの公開の場を通じて実施状況を点検していく、フォローアップしていくということになっておりますので、こうした措置によって代替フロンの三ガスについても所期の排出抑制目標を達成できるというふうに考えているところでございます。
  225. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 ぜひ通産省におかれましても、こうして環境庁側が提案をする法律に対して通産省で最大限やれる、そしてやらなければ地球温暖化の防止ができないという観点に立ったときには、多少無理でもきちんと義務づけの法律を受けて立つぐらいの意気込みがなきやなりません。  私は、予算委員会の中でも、小渕総理大臣に対しましても、環境と通産が対立した場合は環境庁の意見を採択する内閣でなければならないということを強く申し上げてきたわけでございまして、この法律はまさにそこの部分が明快になってきているところというふうに思います。  通産省側の努力は認めますけれども、できることからやっていくという状況では、今の温暖化は私は防ぐことはできない。しっかりと努力目標を掲げて、そこに必死になって努力をしていく行政側の姿勢があらわれなければ私は達成できないんじゃなかろうかというふうに思いますので、ぜひ御努力をいただきたいというふうに思います。  そして、そのことともう一つ、これは先ほど来ずっと質問の中に出てきているわけですけれども、九〇年につくられました地球温暖化防止行動計画の、二〇〇〇年にCO2の排出を九〇年レベルに安定させるという目標はもう困難な状況になっているというのは御答弁の中でもあるわけでございます。国民一人当たりのCO、排出量は、一九九〇年レベルでは二・四トン、一九九六年実績で二・七トン、約八%の上昇です。  この行動計画が失敗した原因について真鍋長官は、これも本会議質疑の中で答弁として、国の施策が既存施策の運用の改善の範囲にとどまっていたこと、事業者の取り組みについて方針が示されず自発的な取り組みが進展しなかったことなどの問題があるということを答弁しています。この反省に立つならば、CO、の全排出量の八四%がエネルギーや運輸、生産部門かち排出をされているという現状を看過することはもうできない状況にあると思います。  この事業者の排出抑制計画の作成と公表の義務づけなど、法的措置を講じなければならないということは、もうこれはだれもが明白にわかるわけでございますから、ぜひこのことに対しましても長官がさらに強いリーダーシップを発揮していくことを私は望みますが、いかがでございましょうか。
  226. 真鍋賢二

    ○国務大臣(真鍋賢二君) 先生の力強い御支援をいただいて、私は何としても努力してまいらなきゃならないと、こう思っておるわけであります。  私なりの考えも、このところ関係省庁内に披瀝しまして、それが実現可能なような努力をしてもらいたいということでやっておりますので、どうぞ今後ともよろしくお願いいたします。
  227. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 COP3後にとられた一連の対策、いわゆる地球温暖化対策推進本部の内閣における設置、省エネ法の改正、地球温暖化対策推進法案、この法案ですね、それからさらに地球温暖化対策推進大綱なるものができていますけれども、この関連性についてお伺いをいたしたいと思います。  いずれこの大綱に基づいた強力な温暖化防止法の制定を目指しているのかどうかというところまで含めてお答えください。
  228. 浜中裕徳

    説明員浜中裕徳君) お答えを申し上げます。  この御提案申し上げております法案は、国、地方公共団体、事業者、国民の各主体の温暖化対策への取り組みの枠組みを定めようとするものございまして、この法案の成立後には、この枠組みのもとで、御指摘大綱に盛り込まれました各般の施策が着実に推進されるものというふうに考えているところでございます。  先ほど来たびたび申し上げておりますとおり、この法案は京都会議におきまして京都議定書が採択されたことが大きなきっかけにはなってございますけれども、同時に京都会議におきましては、そこで導入が合意をされた排出量取引などの国際的に協調して目標を達成する仕組みでございますとか、あるいは森林などによる二酸化炭素の吸収の取り扱い、この詳細については今後の国際交渉にゆだねられているところでございます。  こうした目標達成に当たってやはり重要な役割を果たすようなこういう方式について、今後の国際交渉の進展も踏まえながら、私どもといたしましては、この京都議定書の締結の時期が参ります段階におきましては国際交渉の結果も踏まえながら、我が国として六%の削減目標が確実に達成できるような、そのような法案を検討し御提案を申し上げることとしたい、このように考えている次第でございます。
  229. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 その法案をつくり上げる過程の中で、今通産省が所管をしております石油代替エネルギーの開発及び導入の促進に関する法律あるいはエネルギーの使用の合理化に関する法律、そして新エネルギー利用等の促進に関する特別措置法など、いわゆるエネルギー関連の法律があるわけでございますけれども、まず抜本的な法律をつくっていく過程の中では、この法律もその温暖化防止法の中に組み入れていくぐらいの取り組みがなされなければ、本当に六%削減の法律というのはっくり上げていくことはできないというふうに思いますけれども、そういう御決意があるのかどうか、通産省そして環境庁にもお尋ねをしたいと思います。
  230. 北畑隆生

    説明員(北畑隆生君) 御指摘エネルギー政策に関する三つの法律でございますが、それぞれ目的規定で「内外の経済的社会的環境に応じたエネルギーの安定的かつ適切な供給」あるいは「燃料資源の有効な利用の確保に資する」ことを目的としております。この「内外の経済的社会的環境に応じた」という文言の部分でございますけれどもエネルギーの安定供給の確保を図るということのほか、地球環境の保全にも配慮をするといったことが含まれているものだと考えております。  先生指摘のとおり、我が国の温暖化効果ガスの大宗を占める二酸化炭素の約九割はエネルギー起源でございますから、これら三法に基づく措置は地球温暖化対策を進める上で重要な柱であるというふうに考えております。  他方、我が国エネルギー政策においてはエネルギーの安定供給、環境保全、経済成長を同時に達成すべく御指摘の三つの法律を運用し、代エネ、新エネの開発、導入の促進、省エネ推進等を図っていくことが求められており、環境の保全に努めることのみにとどまることではございません。したがいまして、代エネ法、省エネ法及び新エネ法を地球温暖化対策関連の法案に統合することは困難であると考えております。
  231. 浜中裕徳

    説明員浜中裕徳君) お答えを申し上げます。  御指摘エネルギー関係のもろもろの法律がございますけれども、この点につきましてはただいま資源エネルギー庁から御答弁のあったとおりでございまして、それぞれの目的を持った法律でございますので、それらを温室効果ガス排出の抑制を目的とした制度として一本化するということは困難ではないかと考えております。しかしながら、これらのエネルギー関係法律は、その効果として、エネルギーに起因する二酸化炭素排出の抑制に資するものであるというふうに考えております。  そこで、今回御提案を申し上げました法案におきましては、総合的な地球温暖化対策の基本的方向などを明らかにする基本方針におきまして、その中に省エネあるいは新エネの施策も位置づけるということともに、その推進については環境庁長官から必要な協力を求めることができることとしておりまして、地球温暖化対策推進の観点から総合的な対策を講じることができることとしたものでございます。  今後さらにその議定書の締結に当たりましてどのような制度を考えていくべきかという点につきましては、またその段階において十分政府部内で検討をさせていただきたいというふうに思っております。
  232. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 地球の温暖化対策を優先させていくのか、さらに便利な国民の暮らしを優先させていくのかという観点に立ったときに、どちらが本当に将来にとって必要なことかということをきっちりと熟慮していただきながらこれからの対策を立てていただきたいということを申し上げておきたいというふうに思います。  今回の法案をつくるに当たりまして、日弁連や環境NGOなどから、この温暖化防止法制定に向けて数多くの提言をいただいておりますけれども地球温暖化の防止対策実施のためには包括的な権限を環境庁に統合しなければここはなかなか実現が難しいのではないかということを言われておりますけれども、この件に関してお伺いをいたします。
  233. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) お答えいたします。  地球温暖化対策につきましては、地球温暖化の防止を直接の目的とはしないものの、その効果として温室効果ガス排出の抑制等に資する施策が多数ございます。このため、今回の法案におきましては、総合的な地球温暖化対策推進に関する基本方針の中にこれらの施策を位置づけるとともに、温室効果ガス排出の抑制等に資する施策の推進について環境庁長官から必要な協力を求めることができるとしているところでございます。  環境庁といたしましては、これらの規定を十分に活用することによりまして、地球温暖化対策の責任官庁としての役割を果たしていく所存であります。
  234. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 NGOの位置づけについて、どのようにお考えでしょうか。
  235. 浜中裕徳

    説明員浜中裕徳君) NGOの位置づけについてのお尋ねでございますが、私ども地球温暖化対策推進に当たってはNGOを含む国民各層の果たす役割が非常に重要であると考えております。この法案におきましても、事業者、国民のそれぞれの責務として明らかにしたところでございます。  具体的に申し上げますと、基本方針の策定に当たりまして、私ども中央環境審議会の御意見をいただきながら案の作成を行うことが必要だというふうに考えております。NGOなどの御意見はその審議を経る中で適切に反映してまいりたい、このように考えております。  また法案の中に御提案申し上げております地球温暖化防止活動推進センターにつきましては、市民の地球温暖化防止活動を支援、促進する活動を行うこととしておりまして、センターの活動をより効果的なものとしていくため、市民やNGOの意見あるいは提案を適切に反映できるように、その運営において市民やNGOの参画が得られるようにしていきたい、このように考えているところでございます。
  236. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 今回のこの地球温暖化防止の議論をしていく中で、従来のODAのあり方そのものを変えていく必要があるのではないかという議論がなされていますけれども、外務省ではどのような検討が進められておりますか。
  237. 上田秀明

    政府委員(上田秀明君) ODA全般の中で環境ODAと一くくりにしておりますけれども、それが非常に重要であるということはかねがね我が国のODAの施策の中で位置づけられております。  先生案内のように、一九九二年のリオデジャネイロでのいわゆる地球環境サミットの際に、日本は五年間で九千億から一兆円のODAを環境方面に行うということを約束したわけでございますけれども、五年間で一兆四千億円の達成を見たところであります。昨年六月のこのリオデジャネイロ・サミットのフォローアップでございました国連の環境開発特別総会におきましても、さらにODAを中心とした我が国環境協力を二十一世紀に向けた環境開発支援構想という形で発表いたしております。  このうち、なかんずくこの温暖化対策の面につきましては、この構想をさらに具体化いたしまして、昨年十二月の京都におきます気候変動枠組み条約の第三回締約国会議におきましていわゆる京都イニシアチブという形で発表しているところでございます。今後ともこのイニシアチブに沿いまして、人づくり支援でありますとか、それから温暖化分野へのいわゆる最優遇金利による円借款の供与でありますとか、それから技術、経験の移転というようなことに力を注いでまいりたいというふうに考えております。
  238. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 CO2の吸収源である森林に対して、単一樹種栽培を変えていこうというようなことでNGOの皆さん方がモンテビデオ宣言なるものを出しておりますけれども、そのことを御存じでしょうか。
  239. 上田秀明

    政府委員(上田秀明君) まず単一樹種の栽培という点についてお答えいたしますけれども、今申し上げましたODAの関連いたしますさまざまなプロジェクトの中で、例えば円借款によります植林でございますとか技術協力によります林業プロジェクトなどにおきましては、既に我が国といたしましても持続可能な森林の利用、それから現地の植生とか成長の速さとか住民の皆さんの収入への影響というようなことも総合的に勘案いたしまして、途上国側の政府とも十分協議いたしまして、原則として複数の樹種を植えるようにいたしております。  NGOの皆様方の方でそういうことを進めるべきだという御提案があること、詳しい内容は存じませんけれども、その点のみ承知いたしております。
  240. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 それでは、クリーン開発メカニズムというのが今回の京都議定書の中で、その削減の方法、やり方として認められたということになっていますけれども、このこととそのODAの関係はいかがでしょうか。
  241. 上田秀明

    政府委員(上田秀明君) 先ほど来、環境庁の政府委員の方から御答弁がございますように、京都議定書におきましては、締約国の先進国におきますCO2等の削減目標とともに、いわゆるクリーン開発メカニズムと申しておりますけれども途上国との間で協力しながら削減努力を行うこのメカニズム、あるいは排出量の取引、それから先進国同士での共同実施というこの三つのメカニズムがあわせて原則合意されております。これらを総合的に進めることで目標を達成するというわけでございます。  クリーン開発メカニズムにつきましては、その実施の細目と申しますか実施要領といいますか、そういうものがまだ合意されておりません。実は、本日、明日と東京におきまして関係諸国の非公式閣僚会議が行われておりますけれども、その場におきましても途上国側からもまた先進国側からも、このクリーン・ディベロプメント・メカニズム、クリーン開発メカニズムが重要であるという点は指摘がされておりまして、今議論が進んでいるところでございます。  このメカニズムを働かせていくためには、官民双方の努力が必要かと存じます。民間資金も大いに必要でございましょうが、何しろ途上国との間のことでございますので、やはり政府開発援助、ODAあるいはまたその他の政府資金によりまして、この事業をいわば導くといいますか地ならしをするといいますか、そういうことも大いに活用されてしかるべきというふうに日本としては考えておりまして、その旨今いろいろと諸外国と図っているところでございます。
  242. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 先進国がその抜け道づくりにこの三つの仕組みを使うのではないかという途上国の懸念というのは強くあるわけでございます。その先頭に日本が立って、よい知恵を出したというようなことが言われないようにぜひ気をつけていただきたいというふうに思います。  橋本前総理は、この温暖化防止対策をつくるときにロシアとの共同実施について指示を出したという答弁をなさっています。今度ロシアを訪問されますけれども、この共同実施に対するロシアとの交渉ということは今回の訪ロの中には入っておられますでしょうか。これは通告してありませんけれども、いかがでしょうか。
  243. 上田秀明

    政府委員(上田秀明君) 今訪ロしておられます橋本前総理、外交最高顧問の訪ロの目的の中に今先生指摘の点が入っているかどうかつまびらかにいたしません。  しかしながら、日本とロシアとの間でいわば将来の共同実施を念頭に置いて、試験的と申しますか少しいろいろと探ってみようということでいろいろな話が行われ、あるいはまた計画がなされているということは事実でございます。
  244. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 終わります。
  245. 泉信也

    ○泉信也君 自由党の泉信也でございます。  朝からの各委員の議論を聞いておりますと、この法案が、表現は悪いかもしれませんが生ぬるいというか手ぬるい、こういう観点からのお尋ねが多かったように思います。私もそう認めざるを得ない法案になっておるのではないか、こんな思いでございます。  そこで、先ほど同僚議員からのお尋ねもございましたけれども、衆議院の方で目的規定が追加をされております。環境庁というお立場でこれを評価するということはなかなか難しいことだと思いますが、どのように受けとめておられるのか、お答えをいただきたいと思います。
  246. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) 先ほどもお答えいたしましたが、衆議院におきまして目的規定の一部が追加されたことによりまして、地球温暖化対策推進を図る上で考慮に入れるべき長期的な目標がより具体的になったこと、またすべてのものの自主的かつ積極的な取り組みが重要であることがより明確になったものと認識いたしております。
  247. 泉信也

    ○泉信也君 この追加された文言の中には枠組み条約の目的の一部が加えられておるわけですが、今局長答弁されましたように具体的になったと受けとめておられるとすれば、これに続く条項をさらに手直しする必要があるとかあるいは追加をしなきゃならない、そういうことはなかったんでしょうか。
  248. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) 御答弁申し上げましたのは、考慮に入れるべき長期的な目標がより具体的になったと申し上げました。これは、まだ私どもこの修正の中でも京都議定書という言葉は、まだ議定書に我々は締結もしていない状況なものですから、京都議定書という書き方もまだこの中に持ってくるわけにいかない、そういう中で、経過ということで、それがよって来るゆえんがわかるような形で修正をしていただいたということでございます。  さらに具体的に、今先生の御指摘は、恐らくそこまで来たのならばもっと議定書に即したものを考えろ、こういう御指摘につながっていくのではないかと思われますが、先ほど来ずっと一貫して申し上げておりますように、この法案そのものは要するにまだ議定書が締結される前から、とにかく今の段階でできるものをやりたいという気持ちのあらわれでお願いしているものです。  その姿はいずれにしても変わっていないということから申し上げれば、目的のところが変わったんだから中身も変わってこないのかという先生の御指摘については、そこまでは変わってまいりませんと申し上げることになると思います。
  249. 泉信也

    ○泉信也君 今局長お答えになりましたような考え方を仮に了解したといたしまして、そういうことでありましても、本来目的をいじればそれに続く条項が何らかの形で変わってくるのが一般的ではないかというふうに私は思っておりますので、後ほどお尋ねいたしますが、附則の問題のところでもう一度環境庁のお考えを聞かせていただきたいと思います。  そこで、この法案の中で七条の基本方針というところに関連しますことを少しお尋ねいたしますが、政府は、「基本方針を定めなければならない。」、こう書いてございます。八条は「都道府県は、基本方針に即して、」、九条は事業者の部分ですが、「基本方針の定めるところに留意しつつ、」という都道府県と事業者の使い分けがしてございます。  このことについては、本会議それからこの委員会でも長官初め政府委員の方からの御答弁もございますが、先ほど来これも出ております審議会の答申と違う形で法案がつくられたというのは環境庁内の議論でなされたのか、あるいは各省協議の中で行われたのかをお答えください。
  250. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) 先ほど来御議論がございましたように、中環審の中間答申の中では、例えば事業者のところについてはいろいろ都道府県、市町村の直接指導だとか助言だとかということの記述もございました。恐らくそういう点を踏まえての御質問だと思いますので、その点に従ってお答え申し上げます。  私ども先ほど来申し上げていますように、これは私どもの中で議論すると同時に、政府としてこの法案をまとめ国会に提出させていただくに当たりましては各省庁との調整も当然いたしました。そして、要は政府案がまとまった、こういうことでございますので、私自身が例えばどこかに何かを言われてどうこうしたというような無責任なことも申しません。私どもの判断で法案としてまとめさせていただいたということでございます。
  251. 泉信也

    ○泉信也君 環境庁としては独自の判断ということをおっしゃって、それは結構なことでございますが、せっかく答申をいただきながら後退する法案をつくるというのは私はやっぱりとるべき態度ではなかったんじゃないか、つまみ食いをしておられるのかなと。  逆に言いますと、それでは答申よりもより厳しくこの法案の中に盛り込まれた部分がございますか。
  252. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) お答えいたします。  全体としては答申に即したものになっていると思いまずが、特に具体的に厳しくなっている点があるかといえば、今直ちに思いつくものはございません。
  253. 泉信也

    ○泉信也君 恐らくこの審議会の答申というのは各分野の方々の英知を集めて出されたものです。それをすべて取り上げなければならないということではないと私も思います。しかし、後退してはならない大切な部分が後退しておるということについては大変残念なことだと言わざるを得ません。  そこで、もう一つこの法律に絡みまして、先ほどもお尋ねがございましたけれども、各都道府県に、民法三十四条の公益法人を指定することができる、こういうふうになっておりますが、現在各都道府県にこれに類するものが既にあるんでしょうか、それともこれから改めておつくりになるんでしょうか。
  254. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) お答え申し上げます。  要は、目的、機能を十分果たし得る、これを充足するものがあれば新たにつくっていただく必要はないわけでありますので、それはその都道府県におかれての状況の御判断になろうかと存じます。
  255. 泉信也

    ○泉信也君 環境庁としては現状を押さえてはおられないということでしょうか。今の局長お答えはよく理解をいたしますけれども現状はどうでしょうか。
  256. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) 悉皆で調査をしたというわけではありませんが、私どもなりに調べてみますと、該当するものを既にお持ちの都道府県もあればそういうものは現時点ではないという都道府県もあるようでございます。
  257. 泉信也

    ○泉信也君 この十一条に書いてございます内容から見ますと、私は公益法人をつくってこういう業務をやっていただくという必要性はないんではないか、むしろ都道府県の本来業務として自治体自体がこうしたことに取り組むべき事柄ではないか。なぜこれを第三セクターと申しますか公益法人をつくってやらせようとしておられるのか、私には理解できないわけです。  行政改革とかいろんなことはございますけれども環境部門こそ充実をしていかなきゃならないということは国も地方も私は同じだと思うんです。ですから、天下りとかそんな下世話なことを申し上げるつもりはございませんけれども、私としては、これからの行政の目指すべき方向としてはこれは少し違うんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
  258. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) お答え申し上げます。  御質問の中で、例えば住民に対する地球温暖化対策取り組みについての普及啓発といったような点に限定すれば、恐らく都道府県でやれないかと言えばやっていただける領域というふうに言えるんではないかと思います。  ただ、私どもが考えましたのは、さらにそれを超えまして民間団体等の草の根の活動によるきめ細かな取り組みが大きな効果を期待できるんじゃないか。そうした民間団体をも活用した普及啓発等の拠点として新たな都道府県センターの制度を設けたい、こういうことを申し上げたわけであります。  したがって、先ほど来の御質問の中でも民間の力をおかりする、あるいはNGO等の蓄積の力をおかりするということをるる述べておりますのもそうした観点から申し上げている点でございます。
  259. 泉信也

    ○泉信也君 やや細かいことをお尋ねして恐縮ですけれども、これは財団法人ですか、社団法人ですか。そして、平均的な規模としてはどの程度のことをお考えになっておるんでしょうか。その法人が経営できるような収入源というのはどんなことを考えておられますか。
  260. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) 民法法人と申しておりますので、財団、社団は私どもで問うところではございません。
  261. 泉信也

    ○泉信也君 その法人を運営していく上で公益活動と収益活動というふうに分けざるを得ないと思いますが、この公益法人が本当に自立していけるような、経営の面から見て大丈夫なんでしょうか。県が相当の調査費というか何かを出さなきゃならないとか、そういう事態に陥ってくるんではないかと私は心配するわけですが、その点はいかがですか。
  262. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) お答え申し上げます。  私どもがここで考えましたのは、一つは拠点整備ということを中心に考えました。それからまた、推進員の方々に御協力をいただくということも考えておるわけで、推進員の方も基本的にはボランティアでお願いするということにしておりまして、およそお金がかからないというふうには言えないと思いますが、そんなに多くのお金を必要とするというようなことを考えているわけでもございません。
  263. 泉信也

    ○泉信也君 これ以上お尋ねしてもお互いの認識が若干違うところがあるようでございますので、できるだけシンプルな形で機能を発揮していただけるように各県の御指導をしていただきたい、このように思います。  それから、この法律に直接的に書き込まれておるわけではございませんけれども排出されるいわゆるガス観測でありますとかあるいは調査というようなことをこれからもより精度高くやっていただかなければならないと思いますが、環境庁としてはどういう取り組みをこれからの現実の観測体制あるいは監視体制というようなものでなさる御予定でしょうか。
  264. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) お答え申します。  午前中の御質問でも一部お答えしたと思いますが、私ども取り組みといたしましては、現在環境庁の国立環境研究所におきまして定点観測をしているのが二カ所ございます。それは、沖縄県の波照間島及び北海道の落石峠、根室の近傍でございますが、二カ所の測定所を設置いたしております。  それから、この点は午前中もお答えしたと思いますが、航空機を利用したシベリア上空における調査を実施しておるほか、日本とオーストラリア及びカナダ間の船舶定期航路を利用したモニタリング調査を実施しているところであります。  なお、本法の趣旨に照らしまして温室効果ガス濃度等の観測・監視を適切に行っていくことが重要であると考えておりまして、条約事務局初め関連の国際機関、各国政府との連携を確保しながら今後とも国内の関係機関と協力して総合的な地球環境観測体制整備強化を図ってまいりたいと考えております。
  265. 泉信也

    ○泉信也君 国際的な関係を緊密にしていただくということは大変重要なことだと思いますが、国内の問題だけに限ってさらにお尋ねをいたしますと、この種の事柄につきましては気象庁が重要な役割を果たしていただかなきゃならない立場にあるんではないかというように私は思っております。  気象庁としては、この新しい法案が通ってこれから本格的な温暖化対策に取り組んでいく、そのベースのデータを出していただく、あるいはガスの温暖化に対する科学的な分析をやっていただくという非常に広範な役割を背負っていただいておると思いますが、どういう取り組み方をなさる御予定でしょうか。
  266. 瀧川雄壯

    政府委員(瀧川雄壯君) 地球温暖化にかかわる観測・監視につきましては、国連の一専門機関でございます世界気象機関、これはWMOと呼んでおりますけれども、そこが全世界的な観測ネットワークを構築しております。気象庁もその観測ネットワークの一翼を担っておりまして、気温等通常の気象要素の観測から気候変動の監視も行っておりますし、それと同時に、二酸化炭素メタン、フロン等多種類にわたります地球温暖化にかかわる物質の観測を地上において、あるいはまた上空において、さらに海洋等において実施しているところでございます。  さらに、気象庁はこの温室効果ガスデータ世界各国から収集しております。そのために、先ほど申し上げましたWMOの温室効果ガス世界資料センター、この役割を担っております。そこでもって世界じゅうの温室効果ガスデータを収集いたしましてデータベースを構築しております。さらに、それを用いました解析結果等を国内外の関係機関に提供しているところでございます。  また、気象庁が行っておりますこれら気候変動にかかわります観測・監視等の成果につきましては、気候変動監視レポート、こういうものを毎年取りまとめて公表しているところでございます。さらに、それは関係省庁との連絡会議等を通じまして情報を提供しておりますし、またその情報交換等につきましてもそういう場を通じて努めてきているところでございます。  この地球温暖化問題にかかわります温室効果ガスや気候変動の観測・監視は、これは非常に長期間にわたりまして継続した、かつ広い範囲の全世界的なデータが必要でございます。そういうことから気象庁といたしましては、引き続きまして世界気象機関等と連携しながら確実な観測を行いますとともに、観測・監視や情報提供の充実強化、そういうものを図りまして我が国及び世界的な地球温暖化対策推進に貢献したいと、このように考えてございます。
  267. 泉信也

    ○泉信也君 環境庁にお尋ねいたしますけれども環境庁でなさっておられる先ほどの定点観測あるいは航空機、船舶等からのデータ、今、気象庁長官お答えいただきましたもろもろのデータは一元的に環境庁が管理をされるという仕組みになっておるんでしょうか。恐らく大学とかその他の機関でもこの種の観測等がなされておるんではないかと思いますが、どこが管理をするというか掌握しておられるんでしょうか。
  268. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) お答え申し上げます。  ただいまのところ、先生指摘のような形には相なっておりません。なってはおりませんが、しからばまるでばらばらになっているかということについてもまたそうではありませんで、私ども地球環境モニタリングシステムの全球大気監視計画等々もろもろのものがございますが、そうしたモニタリングについて全体的な調整を図りながら、アジア太平洋地域における観測の円滑な実施を図るというようなことの取り組みの調整役をやらせていただいております。
  269. 泉信也

    ○泉信也君 なかなか各省それぞれのお立場があるから一元化は難しいところもあるかもしれませんが、来年度の気象庁の概算要求の中身を見せていただきますと、気候変動・地球環境対策の強化という項目の中で、温室効果ガス観測体制の強化という項目と地球温暖化予測技術の高度化に関する研究という、私なりに理解しますとこれが温暖化対策一つのテーマになるのかな、項目になるのかなと思って見せていただきますと、実は最初に申し上げました項目が、今年度が八千四百万で来年度要求が九千二百万、そしてもう一つ申し上げました高度化に関する研究は、今年度が二千三百万で来年度も二千三百万なんです。  このことは、COP3が行われて本格的に取り組もうと言っておるときに余りにも少ないのじゃないか。例えば、環境庁で予算をとられてある一部を気象庁に配算する、そういう仕組みか何かあるんでしょうか。
  270. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) ずばり、ただいまの観測に関してのそういう予算はございません。  もちろん、およそないかといいますと、地球温暖化についての研究ということについては、私ども調整費的なものをちょうだいして各省庁と協力するというので、研究についてはやっておりますが、観測についてはそういう予算を持ち合わせておりません。それが現状でございます。
  271. 泉信也

    ○泉信也君 長官、細かなことで恐縮ですけれども、いわゆる温暖化に関して気象庁として何か来年度へ向けて、私が今申し上げた二項目以外にお考えいただいておるようなことがあるんでしょうか。
  272. 瀧川雄壯

    政府委員(瀧川雄壯君) 来年度の予算につきましては、これから大蔵省の方にお願いする立場でございまして、今この時点で細かいお話はちょっと申し上げかねます。
  273. 泉信也

    ○泉信也君 とにかく、気象庁の予算というのは、大臣も御承知のように非常に人件費が多いということで、機器の更新すら思うようにいかないような状態で、新たなこういう温暖化の問題に取り組んでいただくとすれば、ぜひ環境庁で国全体のこの問題に関するセンターとしての機能を果たしていただくような事柄もお考えいただきたい、このように思います。  それから、せっかく気象庁長官がお見えですので、もう一つ、この法案関係はございませんけれども、ことしの異常気象、このことについて長官の専門的立場からどのようにお考えでございましょうか。豪雨であったり乾燥地ができてきたりというこの状態が異常気象の中で起きてくるのか、長い二百年、三百年のサイクルの中ではこういうことが過去にも起きたということなのか、どんな御見解でございましょうか。
  274. 瀧川雄壯

    政府委員(瀧川雄壯君) 異常気象の発生につきましては、これは非常に予測も難しゅうございますし、なかなか前もって見通すことはできません。  問題は、通常の気候状況と申しますか気象状況というのは、これは年々変動しているものでございます。毎年毎年変わってございます。そういう中で、例えば今回のような非常に集中的な豪雨が降るということは確かに起きております。これは、たまたま今回は前線がかなり長い間停滞しまして、そこに台風の影響が加わったということで非常に大量の降雨があったということでございます。  しかしながら、こういうものが、例えば今問題になっております地球の温暖化と関係あるのかどうか、こういうことにつきましてはまだ十分に解明されていない、そういうふうに理解しております。
  275. 泉信也

    ○泉信也君 それでは、最初にちょっと申し上げました事柄についてお尋ねをさせていただきます。  附則の二条のことについて、先ほど局長は、法律の施行状況そのほか周辺環境、まさにその他のもろもろの状況を考えて必要な措置を講ずる、こういうふうにこの第二条は読むんだというふうにお答えになったと思いますけれども、それでよろしいでしょうか。
  276. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) 基本的にそう御理解いただいていいような御答弁をしたと思います。  要は、法律の施行の状況というときは、この法律自身の施行の状況、言葉どおりのものと、それから今回の本件につきましては国際的な情勢の変化だとか、例えば議定書が締結されるとかそういったような外部的な要素と、この法律とのいわばマッチングみたいな面もあわせて考える要素があるという意味で先ほどのような御答弁をさせていただきました。
  277. 泉信也

    ○泉信也君 私は法律専門家じゃありませんのでよくわかりませんけれども、今局長は、幅広くその変化状況を踏まえてということをお答えいただきましたけれども、そういう趣旨を明示するようにこれを変えさせていただく、あるいは先ほど来出ておりますような、事業者に対する関与の仕方が大変緩やかであるという思いを最初に申し上げましたように私も思っておりますので、そういうことも含めて、この第二条を書きかえるというようなことをこの参議院側で仮に行うとしますと、それは立法された趣旨と離れてしまいますか。
  278. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) まず申し上げますと、私どもは中身につきまして申し上げれば、ここで考えているものはある特定の分野について具体的にどうするかということよりは、恐らくこの後の取り組みをもっと強化しなきゃいけないとか、あるいは議定書締結が現実に行われて日本としての取り組みをもっと明らかにしていかなきゃいかぬとか、そうした局面はいろいろ出てくると思います。そうしますと、この法律を全体的に相当程度大幅に強化するのか、あるいは新たな法律をつくり直さなきゃいけないのか、その辺まで踏み込んだ議論が必要であろうと私ども実は率直に思っております。  そういう意味では、特定分野についてこうだとかというのは、ちょっと私どもの今の申し上げたような考えからいくと、平仄が合わないかなという感じがいたします。
  279. 泉信也

    ○泉信也君 この地球環境問題に対するスタートの法律でございますので、我々としては十分議論をさせていただいて、参議院としての考え方もまた出させていただきたい、各議員の先生方と一緒に考えたいというふうに思っております。  時間が参りましたので、終わらせていただきます。
  280. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) 一言おわび申し上げます。  先ほど、私、落石峠と申したようでございますが、落石岬の間違いでございます。どうも失礼いたしました。
  281. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 二院クラブ・自由連合の島袋宗康でございます。  大変遅まきながら、真鍋環境庁長官、御就任本当におめでとうございます。環境問題はこれから重要な課題として位置づけられておりますけれども、ぜひ二十一世紀に向けて間違いのないような環境の保全、そして取り組みをぜひ強化していただきたい、このように念じております。よろしくお願いします。  まず、今回の法律案については、国、地方公共団体、事業者及び国民、それぞれが地球温暖化防止のために取り組みを行う責務を定めることとしている。その責務の法的性格はどのようなものなのか、それをまずお伺いしたいと思います。
  282. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) お答え申し上げます。  地球温暖化対策につきまして、先ほど来申し上げましたように、当面できることを国民総ぐるみの取り組みでやっていきたいというのが、本法律案におきまして国、地方公共団体、事業者、国民といった各主体の責務を規定しているそもそもの物の考え方、出発点でございます。  したがいまして、他方、ここでの取り組みには相当程度自主的な取り組みを促進するといった側面も多々あるものですから、それぞれの責務につきまして法的な強制力を有するというものでもございません。  しかしながら、これを明らかにすることによりまして、初めて各主体の取り組むべき地球温暖化対策の方向を明らかにすることができるといった意味で、各主体の積極的な取り組みが促進される出発点を規定するものとして効果があるというふうに考えております。
  283. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 国民の日常生活において発生する温室効果ガス排出の抑制等を促進するため、都道府県知事が委嘱する地球温暖化防止活動推進員はどのような権限を有し、具体的にはどのような方向で推進するのか、その辺についてお伺いします。
  284. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) お答え申し上げます。  地球温暖化防止活動推進員につきましては、地球温暖化対策に関する専門的知見を有する方で普及啓発等の活動において豊富な経験を有する方に、住民の身近において地球温暖化対策についての啓発や助言等を行うことをお願いすることを考えておるわけであります。  例えば、地域の環境学習等において各家庭でもできる地球温暖化対策についてのアドバイスを行うとかというようなことで、国、地方公共団体などでは難しいきめ細かな普及啓発活動を行っていただくことを期待しているわけであります。
  285. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 そこで、国及び都道府県が指定する地球温暖化防止活動推進センターはどのような活動をするのか、あわせてお伺いします。
  286. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) お答え申し上げます。  国民によります地球温暖化防止のための取り組みを促進するためには、日常生活における温室効果ガス排出の実態を踏まえた適切な対応をとることが重要だろうとまず考えています。  このために、都道府県センターにおきましては、住民からの照会、相談等を通じまして、各世帯の電気の使用量だとかごみの排出量等のデータを収集し、高い効果を生む取り組みはどうしたらいいんだろうか、こういった点を明らかにしていただくようなことがまず考えられますし、また、今私ども全国センターで自動車やエアコン等の使用に伴う二酸化炭素等の排出量に関する情報を整理して都道府県の推進センターの方にも流すということを一つ考えておりまして、いわばこうした情報を活用して住民の製品選択や使用方法への反映等に使っていただける、こんな点も考えておるところでございます。
  287. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 京都議定書において採択された我が国温室効果ガスの六%削減の目標は具体的にはどのようなプロセスで推進あるいは達成するのか、質問もあったようですけれども、再度御答弁お願いします。
  288. 真鍋賢二

    ○国務大臣(真鍋賢二君) 島袋先生には先ほど来激励の言葉をいただいてありがとうございました。一緒になってこの温暖化防止のために頑張っていきたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。  京都議定書の件でございますが、我が国は京都会議の議長国として京都議定書に盛り込まれた六%の削減を確実に率先して実施していかなければならないと思っております。  それで、今般御審議いただいております地球温暖化対策推進法案は、今日の段階から取り組むべき対策を講ずることにより、京都議定書の締結やその履行確保に備えた今後の対策の土台を築くものと思っております。具体的には省エネルギー推進や新エネルギーの導入、国民のライフスタイルの見直し及びその支援、政府による率先実行、事業者の自主的取り組み推進等の各般の対策を本法案のもとで強力かつ着実に推進してまいりたいと思っております。  また、将来的には、京都議定書の実施に当たっては、今後、議定書の細目についての国際的論議を踏まえ、総合的な法制度を整備していきたいと思っております。  具体的なことはまだまだ考えておりますけれども、またの機会にそれを発表させていただきたいと存じます。
  289. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 そこで、環境庁長官関係行政機関の長に対し、地球温暖化対策推進について必要な協力を求めることができるという規定がございます。  私は、むしろこれは協力を求めるというよりは命令等もっと厳しい対策が必要ではないかというふうに考えておりますけれども、その辺についてお伺いいたします。
  290. 岡田康彦

    政府委員(岡田康彦君) 温室効果ガス排出の抑制等に役立つ施策につきまして関係行政機関に一層推進していただくことにつきましては、その長に環境庁長官が協力するというこうした明確な規定を置いていただくことによりまして十分効果を上げられるというふうに考えております。
  291. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 大体わかりましたけれども、実は沖縄県の米軍普天間飛行場の返還に伴って、御承知のように名護の海上基地があるキャンプ・シュワブ沖にその普天間飛行場の代替施設をつくるということでございますけれども、その海上がサンゴ礁あるいはジュゴンが生息していまして、そこで多くの環境団体がそこを調査した結果、そこが絶えずジュゴンが遊泳をして、いわゆる生息の状況が確認されているわけです。そういうところにSACOの合意によって普天間飛行場の代替施設をつくる、いわゆる海上基地をつくるというふうなことについて実は大問題になっておりますけれども、これは御承知のように名護市民投票まで持ち込んで、市民の多くの方々がこれに反対して、そして海上基地まかりならぬと。  同時に、今の大田知事も、去る二月六日に、この多くの県民の海上基地建設反対だというふうな意を体して、二月六日に海上基地反対の意思表示をしたわけです。ところが、今なおいわゆる政府と沖縄県とのこの海上基地に対する乖離がありまして、まだそこは解決されていないわけです。  そこで、こういうふうなジュゴンが生息をしている非常にすばらしい海に海上基地を新たにつくるということが私はどうしても納得いかない。そういう将来あるいは国際的な保護を必要とするジュゴンの生息する場にいわゆる海上基地をつくるというそのものが我々は非常に納得いかないんですけれども環境庁としてこのことについて具体的にどういう取り組みをしているのか、将来展望をお聞かせ願いたいと思います。
  292. 丸山晴男

    政府委員(丸山晴男君) お答え申し上げます。  各種の開発行為を行う際の環境調査といいますのは開発事業者が行うということがいわば大原則でございます。  今先生お話しのジュゴン、海洋生物でございますけれども、既に水産資源保護法の規定に基づく保護、また天然記念物として指定をされておりますけれども、その生息環境につきましては大変資料が乏しゅうございまして、いわば環境庁で取り組むとすれば海上ヘリポート予定地域といったような小地域ではなくて、我が国の領域内の生息可能域についての調査をするといったようなことが考えられるわけですけれども、残念ながら調査手法がまだ確立をされておりません。したがいまして、直ちに私どもとしての調査を実施するということは大変困難でございます。  御質問の海上ヘリポート計画予定地におけるジュゴンの調査につきましては、海上ヘリポート計画が進められる場合には事業者であります防衛施設庁におきまして環境影響評価が実施される予定と聞いております。環境庁といたしましても、その際に自然環境などの環境保全の観点から環境影響評価の適切な進め方について防衛施設庁と協議をしていきたいと考えているところでございます。
  293. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 これは国際的に大きな問題になりますから、日本政府として、そして環境庁としてこのことが非常に問われる大きな課題だと私は思っていますから、そのことは環境庁が主体的に行政の立場からぜひ調査をしていただいて、そして環境庁としての立場を主張していく必要があるというふうに私は思っております。これは、今の答弁では私は納得がいきません。いわゆるジュゴンが写真、新聞等で既に現実の問題として生息しているというふうな状況ですから、そういうところに海上基地をつくるなんということは、環境庁として行政上の立場からは私は絶対許してはならない。  そういうふうな意味で、やはりもっとしっかりした事前の調査をして、環境庁としてこういう立場をとるんだというような姿勢を見せないと、それは国際的に問題になるというふうに私は認識しておりますけれども、もう一遍再度御答弁願いたいと思います。
  294. 丸山晴男

    政府委員(丸山晴男君) どう言いましょうか、開発行為を行う際の環境調査といいますのは、私どもでやっております調査といいますのは、主として例えば海域ですと航空写真を活用するといったような国土の海域全体についての調査を基本にいたしております。それに対しまして、いわば環境アセスメントのスタートになります環境調査といいますのは、例えば必要に応じて具体的に潜水調査するとかいったようなことで、大変具体的な調査も含めて実施いたしております。  私ども国土全体の自然環境を把握するという立場からの仕事といたしましては、言ってみますれば、人間の体に当てはめますとレントゲンの間接撮影みたいなものでございます。それに対して、環境アセスメントのスタートとなります環境調査といいますのは、いわば内視鏡検査みたいなものでありまして、非常に精緻を極める調査をまず事業者として実施をすることになるわけでございます。  あわせまして、環境影響の回避とか低減の方策も含めてその調査で行っていくというものでありまして、いわば環境アセスメント制度の基本として、やはり事業者の調査ということが大原則であるということで御理解いただきたいと存じます。
  295. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 その辺がかみ合わないんです。いわゆる国際的な環境保護団体が既にそこに入って、調査結果をまとめて、そして新聞報道等もされているわけです。今おっしゃるように、事業者が環境アセスをちゃんとするというふうなことでは、日本環境を守っていくという立場の環境庁としては少し生ぬるいんではないかというふうに思っているわけです。  したがって、ジュゴンがそこに生息しているという状況調査というものは、これはもう世界的な天然記念物として指定されておりますから、そういった意味で自主的な判断でそこを調査して、その調査結果をちゃんと公表して、そして全世界環境保護団体に日本環境制度はこういうふうなところまでやっているんだというようなことを、権限というものをある意味でもっと拡大して、それこそ拡大解釈してもいいですから、ちゃんとしたものを調査していくべき必要があるんじゃないかというふうな観点に立って、あえてもう一遍ちゃんとした調査をすべきじゃないかということについて、再度御検討をお願いしたいと思います。
  296. 丸山晴男

    政府委員(丸山晴男君) 先生お話の点につきましてはこれからの大きな課題でございますが、いわゆる国の政策の構想段階あるいは計画策定段階で環境配慮を徹底する手法として、戦略的な環境アセスメントという方法が国際的にも論議をされておるところでございます。  私ども環境庁といたしましても、こういったような手法の具体化ということが今後の課題でございますので、十分検討してまいりたいと考えているところでございます。
  297. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 再度要望しておきますけれども、先ほど申し上げたような具体的な環境庁としての調査は私は絶対必要じゃないかと思います。そういったふうな、これから事業者がちゃんと環境アセスをやるだろうというふうな期待感では、国民の多くの方々がここの場所というのが大変貴重なジュゴンの生息地であるというふうなことを認識しているわけですから、やはり環境庁として積極的に沖縄へ行って調査をするということは、ある意味では当然の環境庁としての務めではないかというふうな観点から申し上げたわけですので、よろしくお願いしたいと思います。  それで、先般、那覇防衛施設局から在沖米軍に対して、米軍基地の環境調査の実施と、汚染が判明した際に米軍の責任で浄化を果たすように求めたというふうなことで、要請書が防衛施設局長から米軍四軍に対して、要望といいますか要請、求めております。  その件について、環境庁として承知されているのか。これは日米地位協定の問題とも関連いたしますけれども環境庁としてはそういう米軍施設に対する環境問題について、あるいは返されるであろう軍事基地に対して、もし汚染された場合には米軍は本当に責任を持ってやるのか、日本政府がやるのか、そういったことも定かではないわけです。日米地位協定によると、米軍には責任がないというふうなことのようでありますけれども、しかし事前に米軍が調査をして、そして汚染がある状況が詳しく報告されれば、当然その問題については両政府がどのように対策をするかということはこれから事前の策としてぜひ考える必要があるというふうに思っておりますけれども、まずその辺についてお伺いしておきます。
  298. 遠藤保雄

    政府委員(遠藤保雄君) まず御質問の第一点でございますけれども、那覇防衛施設局が在日米軍に返還後の基地の環境調査の実施及び汚染が判明した場合の浄化の要請をしたかどうか、環境庁は了知しているかということでございますけれども、私ども本年六月三日付の琉球新報に掲載の本件報道は承知しておりました。  それで、第二点でございますけれども、返還基地の浄化の問題につきましての環境庁の見解でございますけれども、まずこれは米軍の施設・区域の返還前の問題と返還後の問題に分けて考えなければいけないと思います。  返還前の問題でございますけれども環境浄化の必要性が生じた場合には、その都度日米合同委員会などの枠組みにおきまして日米間で協議しつつ対処すべき問題であると考えております。  次に、米軍の施設・区域の返還後の扱いでございますけれども環境問題を含めまして、先生指摘のとおり、原状回復の問題は専ら日本政府個々の地主との間で処理されるべき事項となっていると承知しております。
  299. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 この件に関して、アメリカ会計検査院、GAOがことしの三月に出した報告書によりますと、「沖縄における米軍のプレゼンスの影響、削減に関する問題」では、施設局の文書について、米国が調査を行い、存在するすべての汚染を特定し、将来の返還に向けて計画的に基地の環境を浄化することを要請しているというふうにアメリカの会計検査院は分析しているわけです。したがって、SACOの合意のもとでの土地返還も影響を受けるだろうというふうな指摘をしております。汚染が発見されたら日米のどちらが費用を支払うのかを決定することが必要になってくるというふうに指摘しております。したがって、施設局長名で四軍に対して先ほど言ったような汚染浄化問題についてどうするかというふうなことの要請をしているけれども、それについては三月の時点ではまだ米政府の回答がない。しかし、アメリカの会計検査院は既に調査をして、このことが非常に重要になってくるんだというような指摘をしているわけです。  やはりそれは先取りをして、沖縄の基地問題をどうするかというふうなことを真剣に考えてもらわないと、私はもう本当にこれは今の状況ではどうしようもないというふうに思っておりますけれども、もう一遍。
  300. 遠藤保雄

    政府委員(遠藤保雄君) 今のアメリカの会計検査院、GAOの一つの見解、報告でございますけれども、それは米側の一つの機関の考え方であろうかと思います。  ただ、先生指摘の返還後における環境浄化の扱いについては、先生案内のとおり日米地位協定四条に関連する非常に根幹的な問題を含んでおりますので、すぐれて外交上の問題と考えておりまして、私ども環境行政をやる者といたしましては、ちょっとここではコメントは差し控えさせて  いただきたいと思います。
  301. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 ただ、こういう法案の審議の中で、沖縄問題の、特に例えばいわゆる恩納通信所が返還されたけれども、そこからPCB、カドミウムとかいったような有害物質が発見された。そして今、そのPCBというものは持ち出し禁止とか移動禁止とかいろんな制度があってこれを移動することはできないけれども、それをたまたま七百本のドラム缶に詰めて、そしてこれは米軍が本当は処理すべきであると、当初はそういうふうになっていたそうですけれども、何かどういう手違いか知らぬけれどもこれが全部日本政府の、いわゆる施設局の責任において処理しなきゃならない、だからドラム缶に詰めて今七百本を恩納分屯地に置いてあるわけです。それはいつ処理されるかまだわからない、そういうふうなものが実はあるわけです。  だからこそ環境庁はもっとしっかりしていただいて、この問題が起きないように、そしてどの政府が責任を持って処理するんだ、金はどこが出すんだというようなところまで詰めてもらわないと、これは単に防衛施設局とかあるいは外務省の責任だというふうなことでは私は逃れられないと思います。やっぱり環境庁を預かる皆さん方としては、沖縄の将来の返還された土地の汚染の問題、それはぜひ関係省庁と詰めてその対策を講じていただきたいというふうに思っております。
  302. 遠藤保雄

    政府委員(遠藤保雄君) ただいま先生が御指摘になりました恩納基地のPCB問題、これは返還された後の問題でございます。したがいまして、返還後の問題については日米地位協定四条という一つのフレームワークがございまして、環境問題も含めまして原状回復の問題は専ら日本政府と地主との関係での対応、こういうことになっているということでございます。他方、返還前の米軍の施設・区域の環境浄化の問題につきましては、先ほど申し上げましたとおり日米合同委員会等の枠組みで個々具体的に対処していく、こういうことになっておりますので、そういう枠組みの中で適正に対応していきたいと思っております。
  303. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 それは外務省とかあるいは防衛施設局というふうな関連が多いわけですから、むしろ向こうの方が主管じゃないかと思います。  例えば普天間基地が近々返るというふうなことになれば、当然のこととして、重要文化財というふうなものがございますので、返還する前に、事前にそこの調査をさせていただきたい。環境の問題についても本当にないのかどうか、あるいは実際に返された後からいろんな有害物質があるというふうな状況じゃ困るので事前に調査をさせていただきたい、文化財に含めて。そういったことを言っているけれども一なかなかこれが米軍側としては許可されていないというふうな状況であります。  こういった文化財あるいは環境浄化の問題が将来起きてきまずから、そういう有害物質がある、あるいはないというふうな結論をやっぱり返される事前に調査をする必要があるというふうに思っております。その辺は関係省庁と十分調整をされて、今の恩納村みたいな、こんなばかげた話があるかというふうな状況では、これは県民の怒りを買うだけで本当に日本政府は何しているかというふうなことさえささやかれるぐらいですから、そういったことがないように、返される事前に県の立場としても調査をさせてほしいと言っているわけですから、そういったことは環境庁が中に入って、ぜひそういったことの悔いのないような形で基地返還がなされるように希望しておきたいというふうに思います。  終わります。
  304. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) 本日の質疑はこの程度にとどめます。     —————————————
  305. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  地球温暖化対策推進に関する法律案の審査のため、来る九月二十二日、参考人の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  306. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) 御異議ないと認めます。  なお、その人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  307. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時五十九分散会      —————・—————九月十一日本委員会に左の案件が付託された。  一、関越自動車道上越線の暫定二車線区間の完   成四車線化早期実現に関する請願(第一一九   号)(第一二〇号)(第一八七号)     —————————————  第一一九号平成十年八月二十八日受理関越自動車道上越線の暫定二車線区間の完成四車線化早期実現に関する請願   請願者  長野県小県郡丸子町生田五、〇〇        四ノ一 金井浩正   紹介議員 村沢  牧君  関越自動車道上越線の碓氷軽井沢インターチェンジから小諸インターチェンジ間の四車線化及び中郷インターチェンジから上越ジャンクション間の工事が進められているが、小諸インターチェンジ以北は一部区間を除き暫定二車線の供用となっている。現在、小諸インターチェンジから更埴ジャンクション間の一日当たりの平均交通量は約一万六千台に達し、また、全線開通による更なる増加が予想されることから全線四車線化が期待されており、安全確保を図る面からも早期実現が求められる。  ついては、残る暫定二車線区間の完成四車線化を早期に実現されたい。     —————————————  第一二〇号平成十年八月二十八日受理関越自動車道上越線の暫定二車線区間の完成四車線化早期実現に関する請願   請願者  長野市小島田町一、八〇〇 倉田竜彦   紹介議員 今井  澄君この請願の趣旨は、第一一九号と同じである。     —————————————  第一八七号 平成十年九月二日受理関越自動車道上越線の暫定二車線区間の完成四車線化早期実現に関する請願   請願者 長野市大字南長野宇幅下六九二ノ       二 金子松樹   紹介議員 野沢 太三君この請願の趣旨は、第一一九号と同じである。