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1998-09-28 第143回国会 参議院 行政監視委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十年九月二十八日(月曜日)    午後一時三十分開会     ―――――――――――――    委員の異動  九月二十四日     辞任         補欠選任      小泉 親司君     須藤美也子君      石井 一二君     佐藤 道夫君  九月二十五日     辞任         補欠選任      佐藤 道夫君     石井 一二君  九月二十八日     辞任         補欠選任      須藤美也子君     小泉 親司君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         続  訓弘君     理 事                 大島 慶久君                 塩崎 恭久君                 鈴木 正孝君                 田村 公平君                 千葉 景子君                 渡辺 秀央君     委  員                 阿南 一成君                 海老原義彦君                 木村  仁君                 坂野 重信君                 馳   浩君                 山内 俊夫君                 脇  雅史君                 小川 敏夫君                 小宮山洋子君                 輿石  東君                 櫻井  充君                 長谷川 清君                 藤井 俊男君                 大森 礼子君                 松 あきら君                 岩佐 恵美君                 小泉 親司君                 富樫 練三君                 梶原 敬義君                 高橋 令則君                 石井 一二君    国務大臣        国 務 大 臣        (総務庁長官)  太田 誠一君    政府委員        内閣審議官        兼中央省庁等改        革推進本部事務        局次長      松田 隆利君        人事院事務総局        任用局長     森田  衞君        人事院事務総局        職員局長     佐藤  信君        公正取引委員会        事務総局審査局        長        平林 英勝君        警察庁生活安全        局長       小林 奉文君        警察庁警備局長  伊達 興治君        総務庁長官官房        審議官      西村 正紀君        総務庁人事局長  中川 良一君        総務庁行政管理        局長       瀧上 信光君        総務庁行政監察        局長       東田 親司君        防衛庁参事官   伊藤 康成君        防衛庁長官官房        長        藤島 正之君        防衛庁人事教育        局長       坂野  興君        防衛庁装備局長  及川 耕造君        外務省経済協力        局長       大島 賢三君        大蔵大臣官房総        務審議官     武藤 敏郎君        大蔵大臣官房審        議官       福田  進君        国税庁課税部長  森田 好則君        文部省体育局長  遠藤 昭雄君        厚生省生活衛生        局長       小野 昭雄君        厚生省医薬安全        局長       中西 明典君        厚生省年金局長  矢野 朝水君        社会保険庁運営        部長       川邊  新君        農林水産大臣官        房総務審議官   石原  葵君        農林水産省構造        改善局長     渡辺 好明君        農林水産省農産        園芸局長     樋口 久俊君        農林水産省食品        流通局長     福島啓史郎君        食糧庁長官    堤  英隆君        林野庁長官    山本  徹君        通商産業省基礎        産業局長     河野 博文君        中小企業庁次長  殿岡 茂樹君        海上保安庁長官  楠木 行雄君        建設大臣官房長  小野 邦久君        建設省都市局長  山本 正堯君        自治省行政局長  鈴木 正明君        自治省税務局長  成瀬 宣孝君    事務局側        常任委員会専門        員        田中 久雄君    説明員        文部大臣官房審        議官       銭谷 眞美君        会計検査院事務        総長官房総務審        議官       白石 博之君        会計検査院事務        総局第二局長   諸田 敏朗君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○行政監視行政監察及び行政に対する苦情に関  する調査  (派遣委員報告)  (行政監視行政監察及び行政に対する苦情に  関する件)     ―――――――――――――
  2. 続訓弘

    委員長(続訓弘君) ただいまから行政監視委員会を開会いたします。  速記をとめてください。    〔速記中止
  3. 続訓弘

    委員長(続訓弘君) 速記を起こしてください。  この際、総務庁長官から発言を求められておりますので、これを許します。太田総務庁長官
  4. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) 総務庁長官太田誠一でございます。  我が国の行政は、二十一世紀を間近に控え大きな転換期にあります。このため、中央省庁等改革基本法に基づきまして、行政機関の再編成、行政の減量・効率化事前規制型行政から事後チェック型行政への転換等を図ることが必要不可欠であります。  このような中で、政府部内の自己改善機能を担う行政監察は、時代の変化に即した、国民に信頼される、公正・透明かつ簡素で効率的な行政実現を図るという重要な役割を果たすことが求められております。中央省庁等改革基本法においても、行政評価監視機能政策評価機能充実強化を図ることが盛り込まれており、これまでにも増して行政監察機能の発揮に努めてまいる所存であります。  最近の行政監察の実績でございますが、今年度に入り、宇宙開発児童福祉対策簡易生命保険事業等について九件の勧告等を行っております。直近では、去る九月十八日に、厚生省に対し、厚生年金に関して適用業務適正化福祉施設事業見直し等勧告を行ったところであります。  また、今般、防衛調達適正化が喫緊の課題となっている状況にかんがみ、現在実施中の「防衛庁調達業務等に関する行政監察」については、今後、特に、調達実施本部における調達業務透明性公正性の確保という観点から、制度上、手続上の改善の余地がないかどうかという点について最優先で取り組んで調査を進めることといたしております。  国会における行政監視機能政府における行政監察機能が、それぞれの役割を十分に果たし、相携えて行政改善に邁進することが求められていると存じます。  私に与えられた職責の重大さを改めてかみしめ、誠心誠意職務遂行に当たる所存でありますので、委員長を初め、理事委員皆様方の格段の御指導、御鞭撻を心からお願い申し上げます。  どうぞよろしくお願いします。     ―――――――――――――
  5. 続訓弘

    委員長(続訓弘君) 行政監視行政監察及び行政に対する苦情に関する調査を議題といたします。  まず、派遣委員報告を聴取いたします。  第一班の御報告を願います。千葉景子君。
  6. 千葉景子

    千葉景子君 第一班につきまして御報告をさせていただきます。  去る十七日、仙台市において行われました地方公聴会概要について御報告申し上げます。  派遣委員は、続委員長鈴木理事木村委員山内委員櫻井委員岩佐委員高橋委員及び私、千葉の八名でございます。  まず、公述人意見概要について申し上げます。  最初に、宮城商工会連合会会長天野忠正公述人からは、景気長期低迷により中小企業は未曾有の危機に直面していることから、早期景気浮揚対策が緊急かつ最優先課題であること、また、中小企業資金調達のため、貸し渋り対策をあわせて早急に講ずる必要があること、創業・新分野への進出等資金調達に苦慮している小規模事業者新規開業を志す者を総合的にバックアップする支援策を講ずる必要があること、さらに、いわゆる町づくり三法の実効ある施行のために、市町村に対する指導体制づくりを行う必要があること等の意見が述べられました。  次に、宮城農業協同組合中央会会長官澤健一公述人からは、農業中心とした第一次産業への若者の就業増大に向けた政策展開に積極的に取り組む必要があること、補助事業内容簡素化等を図る必要があること、また、国の施策の要綱・要領を現場に早期に提示する必要があること、米飯給食への補助打ち切りを再考する必要があること、カントリーエレベーター行政単位を超えた利用を可能とするなどの施策を講ずる必要があること、森林・山村対策国土保全対策財政措置を十分に活用するために市町村への指導を強化する必要があること、安定した魚価を形成するために輸入量適正化を図る必要があること、むだな補助事業をなくすため、受益者意見を最大限取り入れる必要があること、輸入生食用カキにも国内の食品衛生法適用等規制を行う必要があること等の意見が述べられました。  次に、主婦連合会会長勝又三千子公述人からは、現行消費者保護制度の不備な点を十分検討し、消費者契約法早期に法制化する必要があること、現行の人権を無視した禁治産・準禁治産制度の欠点を改めるとともに、成年後見制度とあわせて任意後見制度等を創設する必要があること、税金の使い方を十分監視するとともに、消費税の税率を五%から三%に引き下げる必要があること、継続審議中の情報公開法案早期に成立させるとともに、個人情報保護に積極的に取り組む必要があること、公的介護保険制度については、地域の実態に合った弾力的な運用が可能なものにする必要があること、農水産物等食品安全対策として、企業への化学物質排出量報告の義務づけを早期に法制化する必要があること、男女共同参画社会づくりは、法律の制定だけでなく、その後も十分フォローする必要があること、高齢者障害者ひとり暮らしの人のためのケアつき公的住宅を増設する必要があること、学校教育の中で消費者教育を徹底する必要があること等の意見が述べられました。  最後に、宮城県政オンブズマン林屋禮二公述人からは、まず、県政オンブズマン制度導入経緯として、前知事及び県職員不祥事が生じたことから県政刷新一環として平成八年に制度導入したこと、県政オンブズマン制度機能について、第一に、県民利益救済機能として、県への是正申し入れ知事への勧告ができること、第二に、県政改善機能として、県の制度を改めるよう知事意見の表明ができること、また、オンブズマン制度の隠れた機能として、第一に、県職員意識県民の立場で考えるものにする機能、第二に、県職員緊張感を維持する機能、第三に、県政オンブズマンでは処理できないことがある場合でも県に情報を提供することでトラブルを事前に予防する機能を有すること等の意見が述べられました。  公述人意見に対して、委員より、金融機関の貸し渋りの現状対策新規創業・新分野進出に対する支援策中心市街地活性化策新規学卒者農業への就業対策食糧自給率あり方株式会社の農地保有問題、公的介護保険制度あり方ダイオキシン等環境汚染物質対策オンブズマン制度の限界と今後の課題など、多岐にわたる質疑が行われました。  また、当委員会への要望としては、行政監視委員会の設置は国民にとってうれしいことであるが、行政改革の美名のもとに弱い国民にしわ寄せが来ないよう国の行政を十分監視してほしいという意見日本全国を回って国民の生の声を聞いてほしいという意見請願制度以外に簡易な申し立て方法を採用する必要があるという意見、前国会で当委員会が行った「国家公務員による不祥事再発防止に関する決議」のような活動を今後も行う必要があるという意見請願地方公聴会だけではなく、新聞の声の欄なども取り上げ、積極的に問題を把握する必要があるという意見等が寄せられました。  会議内容速記により記録いたしましたので、詳細はこれにより御承知願いたいと存じます。  以上で第一班の報告を終わります。
  7. 続訓弘

    委員長(続訓弘君) ありがとうございました。  次に、第二班の御報告を願います。田村公平君。
  8. 田村公平

    田村公平君 第二班につきまして御報告をさせていただきます。  去る十七日、名古屋市において行われました地方公聴会概要について御報告申し上げます。  派遣委員は、大島理事渡辺理事藤井委員大森委員富樫委員及び私、田村の六名でございます。  まず、公述人意見概要について申し上げます。  最初に、社団法人中部経済連合会会長東海旅客鉄道株式会社代表取締役会長須田寛公述人からは、現在地域経済は金融不安、株安天候不順などで複合不安状況に陥り消費心理が冷やされているが、当分このような状況が続くと思われること、この解決には総合的な対策が必要であり、金融システム安定化のための枠組みの早期確立法人税軽減所得税住民税の減税による下支え、公共投資予算重点的配分等を速やかに進める必要があること、また、行財政改革の果敢な遂行、スリムな政府実現が必要であり、業務・権限の再配分総合行政志向市町村合併による壁のない行政実現すべきであること、現在凍結状態である首都機能移転行政改革そのものであり、現状打破起爆剤として国民的議論のもとに推進する必要があること等の意見が述べられました。  次に、日本労働組合連合会愛知連合会会長角田重和公述人からは、地方分権推進に当たり、国と地方税財源あり方に関する検討を行う必要があり、また、地方に重大な影響を与える事項を国だけで決定することには問題があること、さらに、分権の受け皿として、市町村合併特例法を見直し、適正規模市町村合併を推進する必要があること、郊外の休耕地市民農園への転用を図るため税制面法制面の整備、特に縦割り行政を見直す必要があること、情報公開を進め、国民政治参加を促し、アカウンタビリティーを高める必要があること、最近の日銀の低金利政策消費不況の一因であり、国民の声を余りに無視しており遺憾であること等の意見が述べられました。  次に、愛知中小企業団体中央会専務理事柴田茂公述人からは、中小企業は、金融システムの不安定、個人消費の低下、設備投資の鈍化、貸し渋りによる資金繰りの悪化により倒産件数も激増し、極めて厳しい状況に置かれており支援が必要であること、不良債権早期抜本的処理金融システム早期安定化要望すること、国の貸し渋り対策大綱を受けた中小企業信用保険法改正案審議金融法案審議でおくれているが、早期成立要望すること、赤字法人への課税につながる現在検討中の外形標準課税導入には中小企業者としては反対であること、中小企業承継保護するために、中小企業者事業承継をする場合の事業資産に対する相続税評価上の配慮、納税猶予特例措置分離課税導入取引相場のない評価について類似業種比方式純資産価額方式選択制導入要望すること、町づくり関連三法の拡充とともに、地元の声を反映した取り組みを要望すること等の意見が述べられました。  次に、愛知生活学校連絡会会長太田和子公述人からは、容器包装リサイクル法施行状況には財政面住民意識の差により自治体間に格差があること、公的介護保険制度を学習する機会が少なく、保険料の額、十分なサービスが受けられるのか、認定漏れ扱い等に不安が残ること、介護保険市町村格差を解消するために、自治体実施部門住民の声を入れ透明化を図るとともに、不服申し立てのためのオンブズマン制度がぜひ必要であること、文部省の指針により小中学校の空き教室の活用が進められているが、転用対象分別ごみストックヤード、公的な託老施設としての利用も考えてほしいこと、地元商店街維持活性化高齢者日常生活を支える点からも重要であること等の意見が述べられました。  公述人意見に対し、委員より、社会的規制経済的規制あり方、JRの追加負担問題、県下の中小企業赤字決算状況金融機関の貸し渋りの状況市町村合併推進に関する認識、地方文化施設あり方介護保険問題点等多岐にわたる質疑が行われました。  また、当委員会への要望としては、参議院委員会再編によりこのような民の声を吸い上げフィードバックする委員会を設け、また省庁間の壁を破るような構成にしたのは画期的なことであり、二院制意味を十分に生かしてほしいという意見国会行政緊張関係を保つことが重要であるので、このような委員会公聴会には意義があるが、事前に十分な準備期間を与えてほしいという意見意義のある委員会であるが、積極的なPRが必要であるという意見参議院議員には衆議院を監視し、律する責務も果たしてほしいという意見等が寄せられました。  会議内容速記により記録いたしましたので、詳細はこれにより御承知願いたいと存じます。  以上で第二班の報告を終わります。
  9. 続訓弘

    委員長(続訓弘君) ありがとうございました。  これをもって派遣委員報告は終了いたしました。  これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  10. 山内俊夫

    山内俊夫君 それでは、第一番目に質問させていただきます。  こういう機会を与えていただきました委員長並びに各委員には敬意を表しますとともに、一生懸命頑張らせていただきますので、よろしくお願いを申し上げます。  なお、太田総務庁長官におかれましては、このたびの御就任、まことにおめでとうございます。当委員会で初めてでございますので、どうかよろしくお願いをしたいと、また関係の皆さんには何分よろしくお願い申し上げます。  今回、私は総務庁には許認可問題関係、そして行政裁量問題関係、大きく分けて二つ質問させていただき、後半には、せっかくこのように第百四十二回国会において第二種常任委員会ということで新設されました行政監視委員会が初めて行いました公聴会、私は仙台班の方に参加をさせていただきましたが、仙台班の中で四人の公述人意見がございました。その公述人さんの意見の中で特に農業問題に絞らせていただいて質問をさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。  まず、最初でございますが、許認可問題関係については、実は平成五年度に、これは宮澤内閣時代だったと思いますが、当時は鹿野道彦長官ですが、規制緩和による総合的な景気対策一環として許認可問題を取り上げると、そしてその中で、国民にわかりやすいという意味で、その当時大体一万一千件以上あった許認可関係を一万以内に抑えようというような方向がなされました。それに基づいて、少しデータを見てみますと、平成五年度には一万一千四百六十二件あったものがその翌年には一万九百四十五、一万七百六十と徐々に少なくなって平成八年度は一万九百八十三と八年、九年はまた少し戻っているんです。  きょうの質問観点は、私自身の個人的な考え方なんですが、決して件数が問題じゃないと思っているんです。実は中身の問題だろうと思いますので、そういった中身の問題に関して、今までの許認可等の整理の推移というものをちょっと御説明いただけたらと思うんです。
  11. 東田親司

    政府委員東田親司君) 行政監察局におきまして毎年許認可等の統一的な把握を行っておりますので、この事実関係から御説明いたします。  先生指摘のとおり、許認可等件数につきまして、昭和六十年以降毎年一回、三月三十一日現在が原則でございますけれども、この時点を定めまして毎年一回、これまで十二回にわたりまして統一的把握を行っております。第一回目が昭和六十年の、この年は十二月三十一日時点でございましたが、一万五十四件というのが把握最初でございました。以降、御指摘のありました平成五年の三月三十一日まで増加方向でまいりましたが、平成六年、七年と減少に転じまして、例えば平成七年では一万七百六十件に一時減っております。その後、平成八年、平成九年と再び増加に転じまして、一番最近の平成九年三月三十一日時点におきましては一万一千三十二件というのが一番最新の数字となっております。  事実関係は以上でございます。
  12. 山内俊夫

    山内俊夫君 事実関係は大体わかったんですけれども、ちょっとデータなんかも私も見させていただいたんですが、規制緩和許認可件数相関関係が当初あると言われておったんですが、私は必ずしもそうは思っていないんです。  冒頭申し上げましたように、中身が問題であって、件数よりももう少し、届け出だけでいいものとか、本当に必要なものはきっちりと把握しておくということ、かなりめり張りをつける必要があるんじゃないかと思うんですが、相関関係が余りないであろう、件数中身について関係ないであろうと言われているところの説明を少しお願いしたいと思うんです。  白書も出ております。規制緩和白書というのが一九九八年の八月に出ております。一九九五年から九七年の間を旧の計画、それ以降の三年間を新計画という名称を変えた形で出されておりますけれども、そのあたりの説明があれば少しお額いしたいと思うんです。
  13. 東田親司

    政府委員東田親司君) お答え申し上げます。  規制緩和の態様についてまず御説明いたしますと、四タイプほどの類型に分かれようかと思います。  一点目は規制の廃止、二点目は規制対象範囲縮小、三点目は規制基準、例えば設備基準等でございますが、規制基準緩和、四点目は強い規制であったものを弱い規制緩和するといった四つの類型が主なものでございますが、さまざまな規制緩和タイプがございます。  一方、先生指摘許認可件数はどうなっているのかということでございますが、これは監察局で統一的に各省の協力を得て把握している際に、一件一件の単位法律の条の下の項、項を一件とするのを原則としてやるんだという、こういう画一的な基準に基づいてカウントをしているわけでございます。  そうしますと、規制緩和を行いまして、それに連動して許認可件数も連動して縮小する場合というのは当然あるわけでございますけれども、それだけかといいますと、そうでない場合もございます。  例えば、規制対象範囲縮小とか、強い規制から弱い規制緩和をしたというような規制緩和を行った場合には、許認可根拠条項が残りますので、必ずしも許認可件数減少には結びつかないわけでございます。また、あるいは逆に、今まで全部認可をしていたものを一部については届け出で済むように規制緩和したというような場合には、届け出根拠条項を新たに追加しなければならないということで、これは逆に許認可件数はふえてしまうということになるわけでございまして、規制緩和許認可件数の増減とは必ずしも相関関係にはないということでございます。  したがいまして、規制緩和につきまして、一概に許認可件数の増減のみをもって論すべき性格のものではない、そういう側面もあるということを御理解いただきたいと思っております。以上であります。
  14. 山内俊夫

    山内俊夫君 規制緩和という、本当に国民もこの件については非常に期待が高いわけでございます。特に経済関係においては、ややもすれば行政規制が経済の足を引っ張っているのではないかと、皆さん大体そう思われているわけなんです。中には規制によって守られている弱小の団体もございますし、そのあたりの兼ね合いというのは非常に私は難しいと、かじ取りも難しいんじゃないかと思うんですが、でもこの際思い切って、そこらのめり張りが私は必要だと思うんです。強化するものと緩めるものと廃止するもの、大きく分けてその三つをはっきりと今から仕分けをしていく必要があるのではないかなと思うわけです。そうすることによってこの行政監察とか監視というのがその視点からきっちりと確認できると思うわけなんです。  そういった意味から、特にこの行政監察機能というものが非常に大切なんですが、規制緩和における行政監察機能の活用例とか、今後の方策といったものも少しお聞かせいただけたらと思うんです。
  15. 東田親司

    政府委員東田親司君) 規制緩和における行政監察機能の活用例についてお答えいたします。  行政監察局におきましては、従来から規制緩和をテーマといたしまして省庁横断的な監察調査を累次にわたりやってまいりました。これが一つのタイプでございます。それからもう一つは、省庁横断的ではございませんが、一定の施策を監察する際に規制緩和観点に留意をして取り組む、こういうやり方もございまして、二つのタイプがございます。  それぞれの例を申し上げますと、省庁横断的な調査といたしましては、例えば平成六年七月の規制緩和推進要綱におきまして、規制緩和のフォローアップの充実のため行政監察機能を積極的に活用するというふうにされまして、これに基づきまして、これまで決められていた規制緩和方策のフォローアップの充実を図るため、平成六年以降毎年度規制緩和のフォローアップ調査実施いたしまして、改善状況を取りまとめて公表しております。  そのほか、こういう横断的な調査といたしましては、行政改革委員会の方から依頼を受けました事項につきまして実態調査いたしまして、三次にわたりまして当委員会意見に反映されております。  それから、もう一つのタイプ施策別の行政監察におきましても、規制緩和観点を踏まえて実施してきておるわけですが、最近の例といたしましては、海上運送事業、アルコール専売事業、農産物の検疫・検査等の勧告におきまして規制緩和に関する事項を個別指摘いたしております。  今後とも、先生指摘のとおり、行政監察機能を十分に発揮いたしまして、規制緩和を積極的に推進してまいりたいと考えております。
  16. 山内俊夫

    山内俊夫君 今度は大臣にちょっとお聞きしたいんですが、今まで確かに鹿野道彦大臣から流れがありまして、小里総務長官、前内閣の総務長官まで流れがあったんですが、今からが本番だと思うんですよね。まさに今、国民がこの参議院にも注目していただいておりますし、この新しくできた行政監視委員会の今後の進み方、それについては非常に注目されていると思うんです。ただ、まだ少し内外ともにPR不足でこの行政監視委員会が十分理解されていないんですが、その分だけまた長官の決意のほどをちょっとお聞かせいただけたらと思うんですが、よろしくお願いいたします。
  17. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) こうして私も初めて参議院行政監視委員会に出席をさせていただきまして、まさに新進気鋭、そしてまたベテランの先生方がお顔をそろえておられるところに参りますと、大変心強い思いがいたします。  このところ行革の話は世間の話題の中心からちょっとわきに行っているように言われるわけでございますけれども、そういうことを言う人に対しては、あなたがそういうことを言うからそういうふうになるんだというふうに言っておるわけでございます。  長期的に我が国が取り組まなければいけない最大の改革は、皆様方がここで取り上げられる我が国の国民政府関係、あるいは行政との関係でございますので、どこの国も一生懸命やっておることでありますので我々だけがさぼっているわけにはいかないわけでございまして、不退転の決意で、歴代の長官も頑張られたわけでございますけれども、一番の正念場に今来ていることは間違いがないわけでありまして、どうか委員長を初め委員各位の御協力をよろしくお願い申し上げたいと思います。
  18. 山内俊夫

    山内俊夫君 長官の多大なる決意を聞かせていただいたわけですが、中央省庁のいろんな権限を行使する場合、私は裁量行政行政の裁量権の問題を冒頭にテーマとして掲げさせていただいたわけですが、裁量行政問題で例えば中央省庁改革の焦点の一つであります省庁の権限規定の取り扱い方の見直しに対して、総務庁長官、どのようにお考えになっておりますか、そのあたりをお聞かせいただけたらと思います。
  19. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) 中央省庁改革は、法律から申し上げれば、まず内閣法の改正があって、そしてその次に国家行政組織法という一般ルールのような話がございまして、それと各省がつくる設置法があるわけでございます。  その中で、多くの方々から御指摘をされ、たしかこの委員会でもたびたび御指摘があったことと思いますけれども、設置法の中に権限規定を所掌事務とは別建てにしてたくさんの項目を立てて規定をしておるというところがあるわけでございます。それについてわざわざそういうものを明記する必要があるのかどうかということで問題提起がなされているわけでございまして、私どもも十分に御指摘の点について考えております。検討いたしております。そして、明日、中央省庁等改革推進本部の全体会合を開くわけでございますけれども、そのときにもそのことを念頭に置いて、権限規定においてどうするかということを整理するという方向でもって検討をいたしたいと思っております。  ぜひまた先生方の御議論、御意見も賜りたいと思います。
  20. 山内俊夫

    山内俊夫君 ここに実は小里総務庁長官平成十年六月に発表にもなっていた記事があるんですが、権限の中に通達行政というのがあるんですね。明確に通達行政がどうのこうのという規定もそんなにないようには思うんですけれども、例えば大蔵省から出る、銀行局から出る通達というのは、これは出す側は非常に軽く出しているというような認識なんですが、実は受ける側については非常に重く受けとめておるんですね。まさに通達じゃなくてこれはもう命令だというような受け方をいたしております。そういった通達について小里長官は、「中央省庁の再編を絶好の時機として、議員の意見を大事にしながら、通達行政については基本的に見直す。そして、より簡素でより透明性の確保ができるよう、裁量行政には極めて厳粛に対応したい」という発言があるわけなんですが、このことを受けまして、太田長官、通達等の見直しに対する長官の意見を聞かせていただけたらと思います。
  21. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) この通達という言葉、別のところでもお話し申し上げたのですけれども、通達という言葉は国家行政組織法上に大臣の権限として明確に規定をされております。したがって、法律の言葉を正確に使うならば、私の考えでありますけれども、大臣が行う通達以外のものは通達と呼んではいけないというふうに考えております。ところが、これは長年の言葉で、普通名詞として通達という言葉を使っておりますので、各省庁において実際には局長通達というようなことが言われたり、それぞれの外局の長の長官の通達、大臣ではない長官の通達という言葉も使われております。外局の長は法律上も通達をしていいわけでございますけれども、局長通達というのは一つの言葉の矛盾であると思いますので、なるべく早い機会に、言葉を乱用しないように、通達という言葉は大臣あるいは外局の長の長官以外は使わないようにということを政府の中で徹底をいたしたいと思っております。  その上で、行政指導ということになるわけでございますけれども、行政指導のことをしばしば通達と呼んだわけでございますから、それは今後、行政指導は通達ではないんですから、そこは厳格な取り扱いをしていただくとして、そこで今おっしゃった、言ってみれば行政指導にすぎないんだけれども何か法的な強制力を持っておるように錯覚をすることが従来ずっとあるわけでございますし、今でもそういうことはあるんだろうと思っております。それをどうやって正すかということで行政手続法というのが数年前にできたわけであります。しかし、行政手続法の精神は大変すばらしい精神でありますけれども、残念ながら十分に国民の隅々まで浸透しているとは言えないわけでございますので、むしろ行政の側が進んで、これは法的な根拠があって言っていることではなくて、いわば親切で情報を提供する、あるいは行政サービスの給付だということを言っている人自身がみずから自覚をしてみずからに言い聞かせながらやらなければいけないだろうというふうに思うのでございます。  そんなことで、まだまだそういう行政指導をする側の気持ち、自覚、親切にすぎないのである、あるいは情報提供にすぎないのであるということをよく自覚しておられるかどうかということもまだ徹底していないと思いますし、また受ける国民の側もお上の御意向であるというふうに、従わなくちゃいかぬのだというふうに思ってしまう。つい思ってしまう、ここのところを、風土をやはり変えていくのには粘り強い努力が要るのではないかというふうに思っております。
  22. 山内俊夫

    山内俊夫君 今の大臣の決意というものは、実は政府が二十五日に、「文書決裁、閣僚の手でやります」というタイトル、見出しが載っているんですが、政治家主導への第一歩ということでございますので、ぜひそのあたり、最終的に責任を持つのは政治家でございますから、そういったところからもやはり政治主導という、大臣の決意、本当に私も力強く思いますので、ぜひ頑張っていただけたらと思います。  そして、この件に関しての質問の最後でございますが、閣僚懇談会というものがあって、そこで合意を取りつけた省令等のいろんなものについて、大臣関与の問題というのがあるんです。果たして全部各省庁が大臣にそのあたりの確認をとった上で通達を出しているのか出していないか、これもちょっとほかの省庁のことでございますから十分把握されているかどうかわかりませんけれども、総務庁としてはそのあたりどのような実態になっておるか、わかる範囲で結構でございますから聞かせていただけたらと思います。
  23. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) 議院内閣制でありますので、それはどういうことかといえば、先生方も同様でありますけれども、国民が直接選んだ者が行政の上に立ってリーダーシップをとるということが、それがあらゆる意味において、言ってみれば統治される側にいる者の代表が統治するということになっておる各省庁のトップに立ってリードをするということはまことに民主主義の基本的な精神でございますから、それを我々はそのとおりに実行しなければいけないというふうに考えておるのでございます。  その中で、この大臣の権限の行使ということは、これは実質的にはこれまでもずっと大事なことについては各省庁とも局長も課長も大臣に相談をして決めているということは間違いがないと思うのでございます。実質的にはそういうことになっておると思うわけでございますけれども、じゃ事は実質的にそうなっていればいいのかといえばそうではないわけでありまして、きちんと形式がそうなっていなければいけないわけでございます。形式をおろそかにすることによっていつの間にかこれは重要である、これは重要でないということをそれぞれのずっとその省にいる局長さんや課長さんの主観によって勝手に分けてくる可能性があるわけでございますから、そこから議員がせっかく閣僚になって行っておるのに主導権がとれないでつんぼ桟敷に置かれるということが起きてくるわけでございます。  ですから、形式をきちんとするということを当面は重視いたしたわけでございます。形式は、各省とも呼び方は違いますけれども、文書決裁規定という言葉、文書決裁規則というふうな言葉になっておりますけれども、この文書決裁規則の中で、ほとんどすべての省庁では大臣自身が決裁をするということは閣議で決めること以外には全くなかったと言っていいわけでございます。形式上の大臣の決裁規定は事実上なかった。閣議はみんなで話し合うことでありますから、総理大臣と一緒に話し合うことでございますから独自の大臣の権限とは言えないわけでございます。閣議の議題以外のことについて果たして大臣が決裁規定の中に自分のことを書いておったかというと、それは実はほとんどなかったわけでございます。なかったということを実はみんな知らなかったわけであります。なぜならば、その文書決裁規定そのものが大臣の決裁事項じゃないから。永久にすることができないような仕組みになっておったということが文書決裁にかかわるまことに奇怪な慣例であったわけでございます。  それを正すべきであるということを初閣議のときに申し上げまして、その後たびたび、この間も、八月二十五日にも閣僚懇談会で注意喚起をいたしたところでございます。相当の省庁において既に改善をしたと。少なくとも、文書決裁規定そのものについては大臣の決裁にしたと、当たり前のことだけれども大臣の決裁に規定したというところが大半であろうと思っておりますが、ただそれについては言ってみればそれぞれの諸大臣のメンツもありますから、我々はその努力を見守っているところでございます。そして今月中にでも対応の状況を確認いたしたいと考えておりますので、機会があれば本委員会でも御報告ができればと思っております。
  24. 山内俊夫

    山内俊夫君 本当に大臣の力強い言葉をいただきました。この政治主導はもうまさに大臣の手腕にかかっているんじゃないかと思っております。どうぞよろしくお願いします。  それでは後半に入りますが、冒頭に言いましたように、今回の公述人からの意見陳述、それに対しての意見をこの委員会にどうしても持ち込むということが今回の行政監視委員会の大きな仕事の第一歩だろうと思いますのでぜひ述べたいと思うんですが、四名おいでになりましたのですが、その中でも宮澤さんという宮城県のJA中央会の副会長さんの意見を少し出させていただいて回答いただけたらと思うわけでございます。  その一つでございますが、農業問題の中で、これはもう農業に従事する人たちが大変頭を悩ませておりますし、なおかつ不安に思っているのが後継者問題だろうと思うんです。この必要就業者数というのは一・三三%ぐらいしかいないということなんですね。百人必要なところが第一次産業、特に農業に就業してもらえる人というのは一・三三という一%の世界になっているわけでございますが、こういった農業への就業を増大するために農水省はどのようなねらいがあるのか、またどのような施策をやられているのかというのが公述人の第一番目の質問だったんですが、それについてお答えいただけたらと思います。
  25. 樋口久俊

    政府委員(樋口久俊君) 新規就農に対する対策についてのお尋ねでございますが、今後我が国農業が持続的な発展を続けてまいりますためには、農業者の皆様方が自主性、それから創意工夫を発揮していただいて生産性の高いすぐれた経営を広範に展開していただくということが重要じゃなかろうかと思っております。また、それを続けていくためには、その経営を引き継いで実施していかれる新規就農者について、農家の子弟はもちろんですが、そういう皆さんを含めた多様なルートから確保する、入ってもらうということが必要であると考えております。  このため、農林水産省といたしましては、農家の子弟の皆さんはもちろんですが、都市で育たれた青年、あるいは他産業から農業に参入をされようとする中高年齢の方など、幅広い層の新規就農の促進を図っているところでございます。  その場合、具体的には三つほどハードルといいますか隘路がございまして、一つは技術などが十分に身についておられないケースというのがあるわけでございます。それから経営開始のためにはある程度まとまった資金の手当てを要するということがございます。それから経営基盤になります農地を確保されるということが必要であるわけでございます。  技術などの習得につきましては、現在、働きながら学んでいただいて、その後就農していただくという就農準備校というものを各地で開催いたしております。  それから資金の手当てにつきましては、就農前に技術を習得するための、簡単に言いますといわゆる研修資金とか、それから経営開始をされるための機械、施設の購入のための経営開始資金といった無利子の資金がございまして、そういうものを用意してございます。  それから農地の確保につきましては、地域にございます新規就農のガイドセンターというようなところでいろんな情報提供をしておりますし、逆に離農されたりあるいはもう後継者がいないという農地なんかもございますので、そういうところでは農地保有合理化法人というところで整備をされた上で、例えば新規参入の方にリースをする、そういう各種の施策を推進しております。  こういう施策もございまして、このところ新規に農業につかれる方の数は若干増加をいたしておりますが、農林水産省といたしましては、こういう施策を積極的にPRしょうということで新規就農者の確保に努めていきたいと思っているところでございます。
  26. 山内俊夫

    山内俊夫君 それでは次に、やはり農家は米づくりというのが一番やはり自分らの仕事であるという基本的なところがあるんです。その米づくりに対して、最近、米の生産調整等があります。きょうはもう米の生産調整がいいの悪いのという議論はいたしません。  ただ、米の生産調整に対して補助金が使われておりますけれども、例えば営農指導員というのがそれぞれ地域におります。その営農指導員が転作奨励をしていくということでいろいろ農家の人とやりとりをする、JAとも打ち合わせをしながらやるんですが、実はこの補助金が出るために、どちらかというとそういう営農指導じゃなくて、転作の補助金をもらうためのいろんな事務的な手続が非常に複雑で、膨大なエネルギーをとられるという実態があるようなんです。これも公述人さんからの意見なんですが、そのあたりの実態はどうなんでしょうか、ちょっとお聞かせいただけますか。
  27. 樋口久俊

    政府委員(樋口久俊君) 生産調整に対します助成金につきましての御質問でございますが、生産調整につきまして出ます助成金についてやや特徴的な点を二、三お話をいたしておきますと、一つは関係の農家の方々が大変多いということでございます。百万をはるかに超える皆様にそういう助成がなされるという点が一点でございます。  それから、転作の場合は、例えば麦に転作をする、あるいは大豆にする、それから野菜にする、花にする、いろんなタイプがございまして多種多様でございまして、しかもそれにあらかじめ計画をつくってきちっとした確認をする、明確に確認されないといけないということがございます。しかも、やや具体的で申しわけないんですが、個々の農家の中でも、一枚の田んぼでは例えば花をつくるけれどもこっちでは大豆をつくるというようなことがございまして、そういう計画づくりから確認までどうしてもやらざるを得ない手続というものがあるわけでございます。  それから、当然、今お話しございましたように、公的な助成でございますからきちっとした確認が行われないといけないという要請があるわけでございまして、私どもとしてはある程度の事務負担をしていただくことは避けて通れない、関係者がそういう事務に携わっていただくということはやむを得ない事情があるんじゃないかなと思っているわけでございますが、片方で事務の簡素化は必要でございまして、これまで長年やってきている経験もございます。また、そのたびごとにいろんな反省もございますし、関係者の方々といろいろな意見交換をしておりますので、できるだけ簡素化する方向で対応する、そういう心構えはずっと抱いているわけでございますが、片方で確実な執行までやらぬといかぬ、そういう両面をにらみながら実施しているという事情はひとつ御理解いただきたいと思います。
  28. 山内俊夫

    山内俊夫君 事務の簡素化で本来大事なことが手薄になって、えてして事務に時間をとられるということは、地方と中央のいろいろなお金の流れ、また許認可の流れの中でいくと、それがほとんど大きく占めておるようなので、ぜひそのあたりはよろしくお願いしたいと思います。  米の話が出てまいりましたので、三つ目になりますが、お米の給食というのが最近ずっとやられてきました。それに対する補助金も出しておりましたけれども、これが平成十一年度以降打ち切られるという話がございます。  確かに、時代の流れで仕方ない面もあろうかと思いますけれども、打ち切ってもお米の消費が減退しないかどうか、打ち切っても子供たちにもつと御飯を食べてもらえるようないろいろな施策が今考えられておるのかどうか、そのあたりをちょっとお聞きしたいんです。
  29. 堤英隆

    政府委員(堤英隆君) 今、学校給食用の米穀の値引き措置のことだと思いますけれども、これにつきましては、最近学校給食推進状況が停滞いたしておりまして、従来の手法だけでは米飯学校給食の推進に限界があるということが一つと、それから、この値引き措置によります保護者の負担軽減を見てみますというと、月一人当たり約百四十二円、一食に換算しますと十三円程度だというようなこともございまして、各方面から御指摘がございます。そういうことで、平成九年六月の閣議決定におきまして廃止の方向で見直すということで、昨年秋に段階的に廃止することを決めました。  ただ、御指摘のように、米の消費拡大の重要性、それから米飯学校給食の重要性、これは私ども十分認識をいたしております。したがいまして、従来の値引き措置にかわりまして炊飯設備等の助成の拡充、それから米飯給食環境の整備、それからもう一点は備蓄米の無償交付といった新たな視点に立ちました推進措置を講じたいということで平成十年度から実施をいたしております。  このことによりまして、米飯学校給食の御指摘のような重要性ということは私ども十分認識をいたしておりますので、その着実な推進方につきましては今後とも努力をしていきたいというふうに考えております。
  30. 山内俊夫

    山内俊夫君 それでは、もう一つ別の質問があったので、これも少し拾い上げておきます。  例えば、最近農協が各地域において県単位に一元化するとか県内で三つか四つに集合させていくとかいろいろな動きがあるわけなんですが、そういった場合、例えば今問題になっているのは、一緒になってもいいよ、でも一緒になっても、カントリーエレベーターなんか行政区域の中でつくられておりますけれども、それが一緒になった場合、今までこの分についてはあなた方は協力していないんだからこれは使わせないよとか、いろいろな問題が出てくると思うんです。現実にあるかどうかわかりません。  そういった行政の中で合併したときに、今まで使われておった予算を今度目的が変わるから使わせないよとか、名古屋の方にも一つ問題があったようなんですが、学校施設を一般に開放する場合、これは教育施設だから使わせないとかいろいろあると思うんですね。そういった場合、農水省の場合、カントリーエレベーター行政単位を超えた使用を可能にできるかできないか、また、できれば自由にそういった枠組みが変わっても使わせてやるということについて少し御意見をいただけたらと思います。
  31. 樋口久俊

    政府委員(樋口久俊君) カントリーエレベーターのいわば広域的な利用についてのお尋ねでございます。  御承知のとおり、カントリーエレベーターと呼ばれるものは、米麦の共同乾燥・貯蔵を行います大変大きな施設でございまして、生産性や品質の向上あるいは物流の合理化、それから収穫作業の組織化を通じて担い手の育成等々、大変多様な効果を有しておる大規模な施設でございます。  これは当然広域利用できるんですけれども、これを広域利用していただくことは、今申し上げましたような効果を広い範囲に波及させまして、地域におきます農業生産体制の強化、それから生産構造の改善に大きく貢献することになるという面もございますが、また大きな施設でありますことから、当然効率的な運営とか稼働率を上げる、そういう点からは逆に多くの農家に利用してもらって全体の幅を広げるということはまず必要なものであると私どもは認識をしているわけでございます。  農協などではそういういろいろなことを配慮をされまして利用計画を策定されるわけでございますが、必要がある場合には当然行政単位を超えた農協になっておればそういう利用計画をおつくりになるのではないかと思っておりまして、現実にもそういう利用をされているという例を私どもは多く承知しておるわけでございます。
  32. 山内俊夫

    山内俊夫君 ちょっと時間が足りなくなってまいりましたので、実は食糧の自給率の問題も出てきておりますけれども、きょうはちょっと質問を省かせていただきます。政府・自民党内部でもこの自給率問題というのは今検討中でございますので割愛させていただきまして、あと林業と漁業についてちょっと質問したいと思うんです。  自治省財源としては、例えば森林・山村対策とか国土保全対策というのは結構充実しているんですが、一方で市町村においては林業行政というのは非常にまちまちで、十分そのあたりが浸透していないという部分もあるように聞いているんです。ちょっとPR不足かもわかりませんけれども、そのあたりはどうなんでしょうか。
  33. 山本徹

    政府委員山本徹君) 先生指摘のとおり、林業・山村対策地方財政措置でも近年大変充実させていただいておるところでございますけれども一これらの十分な活用等のためにまだ市町村行政体制が必ずしも全国的に見て十分でないところがございます。  こういった事情にございますので、私ども今回国会にも国有林の改革法案と森林法の改正法案を提案させていただいておりますけれども、保育・間伐等の推進のために市町村の権限を拡大する等の法律上の措置も講じさせていただいているところでございますけれども、予算上あるいは地方財政上、法律上の措置とあわせて市町村行政体制の強化ということは今後とも必要であると思っておりまして、私ども市町村に対しては十分これらの行政の普及啓発、また自治省等とも御相談しながら市町村段階の林業行政の充実に努力してまいりたいと思っております。
  34. 山内俊夫

    山内俊夫君 漁業関係も三つばかり出ておったんですが、その中で、これは漁業者の被害者的な意味が少しあるかもわかりませんが、これは厚生省関係するものでございまして、生食用の生ガキ、これは火を通したりするものについては比較的自由に輸入もじておったんですけれども、生ガキというのはあたれば大変怖いということもあって、いろいろな雑菌もまざるということで国内では非常に厳しい管理体制で今までやられておったと思うんです。ところが、韓国産とかいろいろな外国産が最近入ってきているんですが、それらはかなり自由にやられているのではないかという、少し被害者的な意味があるかもわかりませんけれども、そのあたりの管理体制はどんなふうになつていますか。
  35. 小野昭雄

    政府委員小野昭雄君) 生食用のカキについてでございますけれども、食品衛生法の第七条に基づきまして成分規格、それから加工基準及び保存基準が定められておりまして、この基準を満たしていない生食用のカキの輸入販売等はできないこととなっているところでございます。  生食用のカキに関しましては、大腸菌群の数が一定数以下の海域からとれたものでなければならないといった基準がございます。これにつきましては輸出国側における管理が必須でございますので、輸出国と二国間協議を行いまして、日本国内と同様の管理ができることが確認された海域のみ輸入を認めているところでございます。また、輸出国におきまして生食用カキの生産海域に関します衛生管理が適切でないというふうに判断された場合には当該海域からの輸入は認めないということといたしておりまして、今後ともこういった点に十分配慮しながら安全性の確保に努めてまいりたいと考えております。
  36. 山内俊夫

    山内俊夫君 以上、公述人意見陳述を少しこちらにつなげさせていただいたんですが、今後とも行政監視委員会委員長のもとですばらしい委員会にしていただきますよう御要望を申し上げまして、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  37. 脇雅史

    ○脇雅史君 自由民主党の脇雅史でございます。  私も、この大変新しい委員会でございますが、重要な使命を持った委員会に所属をさせていただきまして、光栄に存じております。続委員長以下委員皆様方、そして太田大臣を初め政府皆様方とともに国民のために本当に役に立つ行政が行われますように私も努力をさせていただきたいというふうに思っておりますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。  大変新しい委員会でございますので過去の議事録もそれほど多くはないということで、新米として目を通させていただきました。行監委委員皆様方行政改善に対する決意のほどがうかがわれまして、読み進めていくうちに私も感激をいたした次第であります。  その委員先生方の御発言の中に、どうも少し不祥事再発防止といったようなことにかかわり過ぎているのかなと、やはりこの委員会の本来の使命は、各行政組織が本当に国民の皆様のために、いろいろな時代の動きの中で適正な行政がなされているのかということについてやらなければいけないのではないか、そういった御意見もうかがわれまして、私もまさにそのとおりだなというふうに感じたわけであります。  国民のために役に立つ本当に適正な行政が行われるためには、もちろん行政の組織あるいは法令その他がきっちりとしたものでなければいけないのは申し上げるまでもないわけですが、これも過去の委員先生方の御発言にあったわけでありますが、やはり組織は人である、よい国家公務員を確保せずによい行政をやろうと思っても無理だと。よい行政を持たなければ国民の不幸でございますから、やはりそのためにはぜひともよい行政マンを採用し、育てなければいけない、まさに私はそう思うわけでございます。  そこで、若干気になることがございまして、実は平成八年七月三十日の閣議決定でございますが、当時、国家公務員、特にⅠ種といいますか上級職といいましょうか、幹部が悪いことをした事例が数多くあったものですから、悪いことをするのは採用しなければいいんだという思惑があったかどうか、とにかく閣議決定におきまして過去五年間の各省庁の採用者数を今後三割減らすんだといったような決定がなされております。  ところが、これは私の私見かもしれませんが、よくよく考えてみますと、同じ数の公務員を採用するのであれば、Ⅰ種、Ⅱ種、Ⅲ種とそれぞれ分けて採用するのは合理的だと思うわけでありますが、Ⅰ種の枠を多く採った方が全体としては能力のある人がいっぱい採れるのではないかというふうに思えるわけでありまして、Ⅰ種を少なくしたからこれは国のためだと単に喜んでいていいのかなと私感じておりまして、率直に申し上げて、これから先、国の行政も小さくして人間も減らしていこうという方向は間違いはないと思うのでありますが、Ⅰ種、Ⅱ種、Ⅲ種、単純にⅠ種を減らせばいいというのはいかがかなと。  もちろんそんな趣旨ではないと思うのでありますが、閣議決定された事例でありますのでここでどうこう申し上げる気はないんですが、大変に行政をめぐる動きもさまざまに変化してまいりますので、ぜひ太田長官のこの辺に関します御意見をお伺いしたいと存じます。
  38. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) 行政改革を進める中で、例えば事前の調整から事後のチェックへということを言えば、それは事前の言ってみれば企画・立案部門の方が人が減って、後からそれがよかったかどうか、準司法的な部分がふえるというふうなことでございますから一概に行政改革を進めたらばともかく採用する数が減ってくるんだということにはならないかもしれません。  ただ、それはそれとして、部分的にはいろいろなことがあるんですけれども、一般の国民の方からいうと、全体がスリム化すると言っている以上、やっぱり数も減るんだろうというふうに見通されるわけでございまして、全体として減るのであれば1種の採用の方も減るんだろうというふうに思う、そういう国民の総体としての常識を踏まえて、そのときの感覚を踏まえて、必ずしも悪いことをしたから悪いことをする人は減らすということじゃなかったと思うんですけれども、たしか当時の梶山官房長官の御決断が内閣全体の意思になったということだと思います。  そこで、十三年度までに三割削減ということで、後ほど説明があるかと思いますけれども、そういうふうに方向が進んできているわけでございます。もちろん、今、脇委員のおっしゃいました入ったからといってところてん式に行くとかなんとかということ、どこまでは間違いなくたどり着けるというようなことはおかしいのであって、それは今おっしゃるように厳格な選別をしなくちゃいけませんし、それからまた、Ⅰ種だからもうその中で決めるんだということではなくて、Ⅱ種、Ⅲ種も含めて弾力的な大事にしていかなければいけないというふうに考えております。
  39. 脇雅史

    ○脇雅史君 今、長官からお話がございましたが、まさにⅠ種を絞ろうという考え方は、Ⅰ種で採った以上終身Ⅰ種だといういわば看板を背負って人事管理が過去になされてきたという実態があったからだというふうに思うわけで、私は少なくともⅠ種も、幹部になってもらう人を雇うわけですけれども、三倍とか五倍採用しまして、その中でいい人を選別していく、Ⅰ種で入ったけれども結果的にはⅡ種並みの扱い、Ⅲ種並みの扱いというのがもっと自由にあっていいと思うわけです。  そういう意味で、実はこの委員会で「国家公務員による不祥事再発防止に関する決議」というのがなされておりまして、その中にもあるわけでありますが、人事管理システムを考えていこうと、今申し上げたようなことも一つ入っていると思うわけでありますが、この辺につきましてその後人事院で御検討されていることがございましたら御紹介をいただきたいと思います。
  40. 森田衞

    政府委員森田衞君) お答えいたします。  先生指摘のように、公務員におきましては従来からⅠ種採用職員を本省庁の幹部要員として特別に育成する幹部養成システムがとられてきておるわけでございます。これにつきましてはいろいろと問題点の指摘がございますけれども、私どもといたしましては、高い資質を有します人材の確保、効果的な人材育成等の面で有効な方法であるという評価もございますので、今後どうするのかいろいろ検討してまいりたいと思っております。  御指摘のように、今後公務の一層の活性化を図りますためには一層の能力・適性に基づきます人事管理を徹底していく必要があると思っておりまして、現在、Ⅰ種職員以外のいわゆるⅡ種、Ⅲ種採用職員につきましては、能力を活用いたしまして、優秀な職員につきましてはⅠ種と同じように本省庁の幹部にも登用していくというようなことで鋭意検討を進めております。  御指摘のように、Ⅱ種、Ⅲ種に限らずⅠ種職員につきましても、これから同期が一斉に昇進していくとか、さらにⅠ種というものは本省庁等の幹部になれるんだという資格試験的なものの運用というものにつきましては見直しまして、能力・適性に応じた適正な育成、昇進管理を図っていきたいというふうに考えております。  ことしの人事院勧告の中の報告におきましても、Ⅰ種採用職員につきまして同一年次同時昇進等の固定的な人事管理を見直す、早い段階から能力・適性に応じた適切な育成・昇進管理を図っていくことが必要であるというふうに指摘しているところでございまして、今後とも各省庁等も含めましてこの方向に向かって努力してまいりたいと思っているところでございます。
  41. 脇雅史

    ○脇雅史君 ぜひとも柔軟な人事管理の実現お願いしたいわけでありますが、立派な公務員を育てていくためにもう一つ大事なことがございまして、やはり民間との交流といったことがある程度、自由にとは申せませんが、比較的簡単にできる仕掛けが要ると思うわけであります。  天下りという言葉に代表されますように、公務員が営利企業あるいは民間企業に行く場合に、非常にハードルが高いといいますか、何か悪いことをしているようなとられ方が随分多いわけで、一方通行だけで柔軟な人事はできませんから、民間から入れようと思えば出す方も自由にできなければいけないわけでございます。そういう意味で、営利企業への再就職ということが問題になるわけでありますが、これは諸外国でもすべてそれなりの規定がなされているようでございますし、我が国でもさまざまな規定がつくられて実際にそれが運用されているわけであります。  私、法治国家で不思議だと思うんですが、きちっと決められた規則の中で規則どおりやっていれば何もやましいことはないはずなんですけれども、それでも何か悪いことをしているように新聞で書いたり、一覧表なんてちょっと人権じゅうりんじゃないかと思うんですが、何であんなことになるんだろうかと。それは規則違反をして悪いことをしているのであれば捕まえるのは結構ですし、批判をされてもやむを得ません。だけれども、何でもないものをああいうふうにさらしものにするようなことについて私は非常に問題視をしておりまして、ぜひともきちっと規則を決めたら規則どおりにやることは真っ当なことだという常識を通していきたいというふうに思っております。  そこで、ぜひ公務員の再就職ということについても、もし規定が緩やか、悪いのであればそれを直すという方向で、直された規定に基づいて運用がなされる以上何も悪くないということで柔軟な公務員の人事管理が行われるように期待をするものでございます。  さて一ちょっと話を変えまして、さまざまな不祥事が起こったがゆえに服務管理について外部監視制度、どうしても中で監視をしていたのではうまくできないということがございまして、これは人情の上でもやむを得ないことだと思うわけでありますが、やはり外から服務を監視するという制度が私も必要だと思いますし、委員会決議の中でも触れているわけであります。そして、その検討状況をお聞きしたいわけであります。  あわせまして、悪いことをしたときに処分がなされるわけでありますが、これまではその処分は任命権者がやるということで、どうしてもばらつきがあったわけですね。悪いことをして罰を与えるということについてはさまざまな状況がございますからだれがやっても一緒ということにはならないんだろうと思うんですが、余りにも勝手な運用がなされては実際に処分される側にとってはたまらないわけでありますし、この委員会においても、どこかの県知事さんは飲酒運転即首だというような運用をされているといった事例もあるようでございますが、その是非は別として、同じようなことをしたら同じような処分がなされるということがやはり人事管理の安定性を高める上で必要だと思いますので、外部監視制度、そしてその懲戒処分の考え方についてあわせてお答えいただければと思います。
  42. 佐藤信

    政府委員佐藤信君) まず、懲戒処分につきましては、委員指摘のように、懲戒権者であります各省庁大臣、いわゆる各任命権者が国家公務員法に基づきましてその行為の動機だとか態様あるいは結果、あるいはその職員の職務内容やその処分が社会に与える影響など諸般の事情を総合的に考慮の上適切に対処するということになってきているところでございまして、個々の事情をしんしゃくして決定するという性格上、なかなか画一的な基準をつくるということについては難しい問題がございます。もとより、職員が不祥事を起こした場合には厳正かつ公正な処分を行わなければならないということは当然でございまして、人事院はこれまでも各省庁に対しましてそのように指導を行い、また昨年一月には職員局長通知を発出してその旨を改めて徹底いたしたところでございます。  ところで、最近までは今申し上げましたような形で各任命権者が調査を行う、あるいはそれに基づいて処分を行うということについてそれほどの御批判というものはお伺いしなかったわけでありますけれども、昨今の公務員不祥事においては、それがトップクラスの幹部職員に係るものがたまたまいろいろあったというようなこともございまして、内部でする処分で果たして十分なのかどうか、甘いのではないか、処分の厳正性が疑われるという批判が出てきているのではないかというようなことであろうかというふうに考えているところでございます。  昨今の深刻な公務員不祥事に対応いたしまして、公務員倫理を確立するために、現在、国会に公務員倫理に関する法律案が出されているところでございますけれども、この中で委員指摘のようなことに対応することになるであろう倫理審査会などの提案もなされているところでございまして、これら不祥事に対する懲戒処分のあり方も含めて御議論をいただきまして、早期に成立されるよう期待をいたしたいというふうに考えているところでございます。
  43. 脇雅史

    ○脇雅史君 どうもありがとうございました。  行政改革が進められる中で、その両輪の片一方といいますか、人事が円滑に進められるように人事管理についても一層の御検討をいただきたいと存じます。  ちょっと話題を変えまして、防衛庁の不祥事が最近マスコミその他をにぎわせておりますが、防衛庁に対しまして最近行政監察が行われたようでございますので、その結果等をここで、捜査中でございますので若干差しさわりがあるのかどうかわかりませんが、支障のない範囲で最近の状況を御報告いだだきたいと存じます。
  44. 東田親司

    政府委員東田親司君) 私ども行政監察におきましては、本年四月から、防衛庁の調達実施本部とそれから陸上自衛隊を対象といたしまして、主として調達コストの低減という観点中心にいたしまして、調達業務、補給業務、整備業務、これら全般について幅広く調査実施してきたところでございます。  具体的には、四月から七月にかけまして、私どもの出先機関が主として陸上自衛隊の各地の補給処等を調査してきたところでございます。ところが、今般、このような事件が起きましたので、新たに大臣から御指示がございました。それにつきましては、私が先で申しわけございませんけれども、大臣の方からお話しさせていただきます。
  45. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) 従来、監察をするときの監察の目的というのが、国民から預かった大切な税金を使うわけでございますから、いかに効率よく低いコストでもってやるのかということの観点から適切にやっておるかどうかを監察することであったわけでございますけれども、その観点とは別に、それこそ公正な形でもって調達が行われているか、あるいは透明なルールのもとで本当に行われているかどうかという点については四月からの調査ではウエートを置いていなかったわけでございますので、これはこういう機会にそういう透明性公平性の観点に重点を移してやるべきであるというふうに指示をいたしたところでございます。
  46. 脇雅史

    ○脇雅史君 それでは、次に防衛庁にお尋ねをしたいと思います。  今回の一連の不祥事と申しますものにつきまして、私どもも新聞、テレビ等で概要は聞いているわけでありますが、防衛庁の方から、どんな事件であったのか、概要を御報告いだだきたいと存じます。
  47. 及川耕造

    政府委員(及川耕造君) 大変長くなるかもしれませんけれども、簡潔に申し上げますと、防衛庁の調達実施本部におきまして、平成六年の二月でございますけれども、東洋通信機から提出されました契約に関する原価計算の見積もり資料等に疑義が発見されたわけでございます。その結果、同本部におきまして特別調査実施いたしましたところ、いわゆる加工費の工数、これは人時、マンアワーでございますが、この工数計算に問題があることが判明いたしました。したがいまして、調達実施本部におきましては過去五年間にさかのぼりまして過払い額約八億七千四百万円を返還させることといたしまして、平成六年度でございますが、履行中の契約から減額補正を行ったものでございます。  しかしながら、今般の東京地検によります東洋通信機の事案に関する起訴事実等を踏まえますと、今申し上げました返還額の算定そのものが適正ではなかったということでございまして、事案発生当時の返還金額の算定そのものが適切ではなく、依然として国損が生じているというふうに考えられるのではないかということでございます。  大づかみな概要は以上でございます。
  48. 脇雅史

    ○脇雅史君 非常に難しいことだと思うわけでありますが、今回の一連のそういった動きの最大の原因といいますか、幾つかあるのかもしれませんが、どんなことが原因だというふうにお考えになっておられますか。
  49. 及川耕造

    政府委員(及川耕造君) 起訴事実の要旨がなされておりますけれども、それによりますと、一つは被疑者におきます自己の責任問題、こういう大きな過払いがあったということに対する自己の責任問題に発展しかねないという危惧が一つ。それから、調本の退職者に顧問料等名下の全員の提供を受けさせるなどの目的を持って減額を行ったというのが起訴事実で明らかにされておるところでございます。  いずれにいたしましても、その原因につきましては今後の公判等において明らかにされていくものであろうというふうに思っておりますけれども、他方、私ども現在の調達制度そのものがもう制定されてから約四十年経過いたしております。こういったものが現在の時点でシステムが複雑化した現代に全くよく機能しているのかどうかといった点も踏まえまして点検していくべきではないかというふうに思っているところでございます。
  50. 脇雅史

    ○脇雅史君 ただいまお話がありました調達の手法ということがございましたが、もう少し時間がありましたら防衛庁において実際に行われておりました中身についても聞いてみたい気がするわけでありますが、きょうは差し控えておきます。  国民の税金を使って物品を調達する、そういう言い方が難しくて、単に買うと言えばいいのかもしれませんが、物を買う、その物を買うときに、価格がついている物を買うのであれば問題ないわけでありますが、潜水艦とか、航空母艦は知りませんが、価格はついていないわけですね。だれがそのお金をはじくんだと。だれもはじけないかもしれない。そういう、ちょっと考えただけでもわかりにくい、物を買うときに物の値段がこれだと言うことすら難しいものをどのように調達をするのか、これが実は非常に問題でございまして、いろんな役所でも同様のことが行われているんだと思うのであります。  総務庁の方にお願いをしたいわけでありますが、こういったものをどのように手に入れていくのが現在の行政のやり方として適切なのかということについて、各省ごとにいろんな問題を見つけるのも当然大事なわけでありますが、横断的なこのような事例というのはまさに総務庁としての非常に大事なポイントではないかというふうに思うわけでありまして、これについても、今後検討を進めていただきたいというふうに思っております。  私、建設省に過去勤めていた経験があるものですから、工事であれ物品であれ、いかに価格を決めて入札をしていくかということの実態はある程度存じているわけであります。昔から多くの契約をこなしてまいりましたが、やはりそれなりの試練に耐えていろいろな工夫がなされていると思うわけであります。特に、建設省におきましても、最近のさまざまな事例の中で、公平性、透明性ということについて工夫がなされてきたと存じておりますので、その辺につきまして少し建設省の方からお話をいただければと思います。
  51. 小野邦久

    政府委員小野邦久君) お答えを申し上げます。  私どもでは公共事業の実施という観点からサービスの購入あるいは物品の購入等、相当多くの契約をいたすことが多いわけでございます。そういう観点から、従来予定価格の決定でございますとか、あるいは業者の選定あるいは入札等においてどういうふうに公平性あるいは透明性を保っていくのかということが大変大きな課題でございました。  平成五年には一部の大手建設業者、いわゆるゼネコンでございますけれども、ゼネコンのいろいろな多くの不祥事が発生をしたということがございまして、中央建設業審議会でいろいろな御審議をいただきまして、平成六年に幾つかの改革を実施してまいりました。また、最近では平成十年にも中央建設業審議会からの答申に基づきましていろんな制度改善というものをやっているわけでございます。  平成五年のいろいろな事件を契機として実施をいたしました平成六年の改革では、何といっても大型工事につきましては一般競争を導入するとか、あるいは中小工事につきましてもより透明性の高い従来の指名競争に変えまして公募型の指名競争といったようなものの導入をしたり、あるいは入札監視委員会という委員会を設置をいたしまして、外部の方の意見を聞きながら制度改善を進めていくというようなこともやっております。  また、ことし、平成十年の中央建設業審議会の建議では、多様な入札方式ということで、少しでもコストを安くするための契約方式というものについて現在試行いたしております。具体的にはVEという入札時のバリューエンジニアリングを利用いたしまして、提案者からコンピューター等から提案を受け付けまして、その提案の方式、具体的には施工方法等に関する提案が多いわけでございますが、その審査をいたしまして、それでいいといったような場合にはその方法によって入札をしていただく、これによって少しでもコストを下げられないか、こういうような新しいVE方式というものの試行をいたしたりいたしております。  また、より以上に透明性を確保するために、例えば予定価格につきましても事後公表ということをことしの四月の一日から実施いたしまして、既に事後公表制に基づきまして契約入札後、どういうような予定価格に基づいてどういう企業の方々がどういう札を入れたかということをきちっとオープンにするといったようなこともやっておるわけでございます。  入札の問題で一番は、やはりきちっとした実勢価格と申しますか、本当のコストというものをどうはじくかということが大変大事な課題でございまして、ある意味ではお答えはなかなかこれだという決め手はないわけでございますが、あらゆる側面から少しでも的確な価格というものが把握できるようないろいろな制度改善を今後とも進めていく必要がある、こういうふうに考えているところでございます。
  52. 脇雅史

    ○脇雅史君 行政中身は何かというと、実際には予算をとって、その予算を国民のために使うというわけでありますから、いろんな場面で同様の状況が出てくるわけであります。  適正に国民の税金を使うにはどうしたらいいかということ、これは極めて大きな問題でございまして、一般に物を買うとか、あるいは工事をやるといったときに、余り国民の皆さんは中身を知らずにかなりいいかげんなことがなされているのではないかという危惧をお持ちの方が多いと思うわけでありますが、現実にはさまざまな経験を経て相当立派なものが事実ある部分もありますし、多くの役所もございまして、中にはないところもあるということで、先ほども申し上げましたが、全般的なレベルアップを図っていくということが、この委員会としてもそれを監視していくことが大事なことなのではないかなということでお話しをさせていただいたわけであります。官房長のお話の中、かなり専門的な話だったので聞き飛ばしてしまって、皆様のお耳に残っていないんじゃないかと思うので一つだけ強調をさせていただきたいのであります。  契約監視委員会というのがあるんですが、これは何かといいますと、建設省は各地方建設局という地方の支分部局があるわけでありますが、そこでやった契約をすべての契約について一覧表を外部の委員会、マスコミの方もおられます、弁護士さんもおられます、五、六名で成る外部の委員会の方にお示しをして、三カ月ごとにその委員会で今回はこのテーマとこのテーマとこのテーマについて中身を見たいと言われると全部の資料をお出しする、そういう仕掛けをやっておりまして、委員先生方はそれをごらんになるとこんなに大変な作業があったんですかといってびっくりされるわけであります。  そういうことをやっているわけで、私自身は一連の建設省のおやりになった契約のさまざまな改正の中でこれが一番、一番と言うとちょっと語弊があるかもしれませんが、国民にとってよかったことなのではないかなというふうに感じております。そういう制度が現実に建設省では既に動いているということだけは国民の皆様にも知っておいてもらった方がいいのかなという趣旨でございます。  この問題は極めてデリケートな問題でございまして、発注者と受注者、国民にとって本当にいいシステムは何かというのは、一つだけ答えがある、どこかの外国でやった例が最善で全部それにすればいい、そういう単純なものではないというふうに私は思っておりまして、国の文化そのものにかかわる部分もございます。これからもさまざまな改正をしていかなければいけない、これで終わったということはない問題ではないかなというふうに考えておりますので、私もそういった立場からこの委員会の一人の委員として今後とも注意深く見守っていきたいと思っております。どうぞ関係者の方々もそういうことでよろしくこの面で進歩が遂げられますように、我が国が世界に誇れるような仕掛けをぜひつくり出していただきたいというふうに思います。  最後に、これはこの委員会でふさわしいのかどうかわかりませんが、非常に気になっていることがございますので御披露させていただきたいのでございますが、地方分権第五次勧告というものが十月に出されるということで地方分権委員会から今さまざまな案が提出をされております。いわゆる直轄と呼んでおります国がみずからやる部分をできるだけ地方にお任せしょうということで、これはだれしも反対はしない、そういう方向で進めていただきたいというふうに思っているわけであります。  私自身も適正に地方でやっていただければいいと思うわけでありますが、特に最近出ましたたたき台なるものを見ますと、川と道路について言われているわけでありますが、河川は山の中のダムに関係した部分だけ直轄でやって、あとは都道府県が管理をすればいいというような案になっているわけですし、国道につきましては五十八号というはるか昔に直轄でやるべき道路とされました道路について直轄ということで、あとはすべて地方でやればいいのではないかといったたき台だそうでありますが、それで国民の皆様が本当によくなるのであれば私も何も心配することはないのでありますが、さまざまな場所に行って市町村長さんを初めいろんな方々、実際に管理をされている方々の御意見を伺って、この案に賛成する方は一人もいません。  しかし、マスコミその他論調によりますと、それに反対する者は族議員で悪いやつだということになっているようでありまして、これは極めて私はファッショではないかと。自由な議論を闘わす前に色をつけて、そういうことを言ってはいけないんだと、族議員だ、悪いんだということを植えつけてしまうような意味で、議論を封じるという意味でまことに問題だというふうに思っているわけであります。やはり、五十年、百年の大計を決めていくわけでありますから、開かれたさまざまな方の御議論が闘わされて、そしてその中で一番いいと思われる案を採用されていくような仕掛けで今後地方分権の話も進めていただきたいと思うわけであります。もちろん、こんなことは私が申し上げるまでもなく太田大臣はされているとは思いますが、もう一度その決意をお伺い申し上げた  いと思います。
  53. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) 地方分権のことにつきましては、一番今この時期にナーバスな問題になっていると認識をいたしております。その前にちょっと。  私、さっき山内委員の御質問に対する答えの中で不適切な発言があったということをみずから気がつきまして、取り消しをいたしたいと思います。よろしいですか。済みません、途中で。  そこで、地方分権のことにつきましては、先ごろ地方分権推進委員会というものがございまして、それは橋本内閣のつくられました行政改革会議の中のその部分を担っておる立派な委員会でございます。その論点の整理というのが発表をされまして、八月の中旬だったかと思いますけれども、その論点整理、ですから最終の答申ではございませんで、議論の途中経過だと思います。非常に、何といいますか、クリアカットといいますか、はっきりした、むしろ従来のあいまいなことよりもばっとはっきりしたもの、鮮明なトーンを打ち出したいというふうな意欲でもって論点整理をされたわけでございます。  そこで、私は直接的にはこれは内閣総理大臣に対する、行革本部長は内閣総理大臣でございますから、内閣総理大臣の方にこれから答申をされようとするところであり、そして事柄は、脇委員も今おっしゃいましたように、自治省と大蔵省と総務庁、この三つの省にまたがることでありますので本来は内閣官房長官がお答えになることだろうと思います。そして私自身は、七月三十日に任命されましたときに紙に書いてあったのは、中央省庁の再編成のことをやれというふうに言われておりましたので、私の場合、直接答えるというよりも、むしろ中央省庁再編成との絡みで事がうまくいけばいいがなというふうに傍らから心配をするという立場でございます。  ということを申し上げた上であえて申し上げたいわけでございますけれども、こういうふうに政府行政改革における地方分権推進委員会が大変力を込めてさまざまな御主張をされるということの背景には、去年の段階で、恐らく族議員という言葉は何かよくわかりませんけれども、特に建設省や、あるいはその他の公共事業に関係する省庁のリーダーシップをとっておられた方々の中からも地方分権をもっと進めた方がいいのではないかという意見が出ていたわけでございます。  私もあるところで確認をいたしましたけれども、地方分権を推進すべしということを、まさに今、公共事業の中でリーダーシップをとってこられた方々が言っておられるわけでございまして、それを受けて中央省庁等改革基本法の二十二条において地方分権を進めるということが明記をされております。それが一つの励みになってああいう論点整理が行われたものと思いますので、いずれにせよ理性ある方々あるいは大所高所から御判断される方々、御関係の方々がよくよく虚心に意見交換をし、相手の考え方を理解されれば、おのずから私は答えが出ると思っております。ぜひ、特にこの問題についてお詳しい脇委員にリーダーシップをおとりいただくようにお願いを申し上げたいわけでございます。
  54. 脇雅史

    ○脇雅史君 逆に励まされましたけれども、国民の目で、国民の視線でどんな管理のされ方が一番いいんだろうかということは物によって違うわけで、やはり冷静な議論がなされて一番いい格好でまとまるように私自身も努力したいと思っておりますし、長官初め皆さんも御努力をお願いしたいと思います。  ありがとうございました。終わります。
  55. 櫻井充

    櫻井充君 九月十七日に仙台市で地方公聴会が行われました。地元選出の議員ということもあり、私も参加させていただきました。その中で要望を受けた幾つかの問題について質問させていただきます。  まず最初に、中小企業等への貸し渋り対策についてです。  宮城県の商工会連合会会長より、中小企業の経営悪化や倒産件数増加している、その原因として、景気の悪化に加えて金融機関の貸し渋りによる資金繰りも苦しくなっているという報告がございました。特に宮城県の場合には、徳陽シティ銀行が破綻いたしまして、他の県と比較しても資金調達が困難になっているという指摘を受けました。  まず、宮城県における近年の貸し渋りの実態について何かデータがあれば教えていただきたいと存じます。
  56. 殿岡茂樹

    政府委員(殿岡茂樹君) 通産省が九月に行った調査によりますと、民間金融機関から貸し渋りを受けているとする中小企業の割合は三四・〇%ということでございまして、依然として高い水準にございます。大変に厳しい貸し渋りの状況が生じているというふうに認識しているところでございます。  東北地方につきまして見ますと、三〇・三%ということでございまして、全国から見ればやや低いところにございますけれども、厳しい状況については同様であるというふうに認識しているところでございます。
  57. 櫻井充

    櫻井充君 貸し渋りというのは大体いつごろから始まっていたものなのでしょうか。
  58. 殿岡茂樹

    政府委員(殿岡茂樹君) いろいろ見方があるかと思いますけれども、特に私ども厳しくなったと認識しておりますのは、先生今お話しございましたように、徳陽シティ銀行の問題を初めとする金融機関の破綻の問題が起こりました昨年の秋以降のことと認識しております。
  59. 櫻井充

    櫻井充君 そうしますと、政府が本年の三月に公的資金を貸し渋り対策ということで投入したかと思いますけれども、その効果というのはどの程度あるんでしょうか。
  60. 殿岡茂樹

    政府委員(殿岡茂樹君) 政府は累次の措置を講じてきております。  昨年の十二月以降、政府金融機関の一層の活用でございますとか、あるいは保証制度の運用の強化といったことを行っておりますし、また今御指摘のような措置も講ぜられてきているところでございますけれども、あわせて経済の状況が時に応じて大変厳しくなっていく中で、貸し渋りの状況というのは厳しくなりこそすれ緩和された状況にはないというふうに感じているところでございます。
  61. 櫻井充

    櫻井充君 そうすると、もう一度お伺いしますが、三月に政府が投入された公的資金では貸し渋りは改善しなかったと考えてよろしいんでしょうか。
  62. 殿岡茂樹

    政府委員(殿岡茂樹君) 三月の対策の効果について、これを現時点でどう見るかというのはなかなかほかのいろいろな要因が重なって難しいということではございますけれども、結果として、現状において当時に比べて貸し渋りの状況改善したかというふうな御質問であるとしますと、改善はしていないというのが私どもの認識でございます。
  63. 櫻井充

    櫻井充君 政府はこれまでずっと貸し渋りはないんだというふうに僕は話されていたように聞いておりました。僕らの認識でいうと、私のと言った方が正しいかもしれませんが、参議院の本会議のときに宮澤大蔵大臣が今は貸し渋りの時代ですからと発言されたのが初めてのような気がいたしますが、政府のこれまでの発言と中小企業庁のただいまの発言の内容の違いというのはどういうふうなことで起こっているんでしょうか。
  64. 武藤敏郎

    政府委員(武藤敏郎君) ただいま中小企業庁の方からお答えがございましたけれども、貸し渋りの現状ということについては私どもも同じような認識を持っております。  去る八月に中小企業等貸し渋り対策大綱というのが閣議決定をされました。この中で、民間金融機関不良債権処理が進む過程で発生する可能性のある中小企業等への信用収縮に備えまして、いろいろな施策を講じつつあります。  具体的には、信用補完制度の拡充でありますとか政府金融機関の融資制度の拡充といったようなことに取り組んでおりまして、この早期の効果が出てくることを期待しておるということでございます。
  65. 櫻井充

    櫻井充君 もう一度お伺いしたいんですけれども、要するに政府の発表とただいまの御答弁はちょっと内容が違っているような、つまりこれまでは政府の話では貸し渋りはなかったと、ずっとそういうふうに我々は認識しておりました。ただいま昨年の秋から貸し渋りがあったんだというような発言があったかと思いますが、その相違についてお伺いしているんです。
  66. 武藤敏郎

    政府委員(武藤敏郎君) 私ども貸し渋りがなかったというふうに申し上げたことはないというふうに考えております。  三月に例の公的資金の投入が立法化されましたけれども、まさにあのときには中小企業等の健全善良なる借り手に対する保護をするということが一つの政策の目的であったわけでございますし、先ほど申し上げましたことしの八月の貸し渋り対策におきましても、これは閣議決定をされておるわけでございますが、「昨年秋以来、累次の貸し渋り対策を講じてきたところであるが、依然として貸し渋りは解消しておらず、中小企業等を取り巻く資金調達環境は一層厳しいものとなっている。」というぐあいにこの閣議決定でも書き出されているところでございまして、私どもとしては貸し渋りの状況といいますのは中小企業庁の方から今御答弁がありましたとおり認識しておるところでございます。
  67. 櫻井充

    櫻井充君 余り言っても時間がないので、もう一度お伺いしたいんですけれども、結果的には今の状況でも全く貸し渋りは改善していないわけであって、今後どのような手だてで改善できるというふうにお考えなんでしょうか。
  68. 殿岡茂樹

    政府委員(殿岡茂樹君) ただいま大蔵省からお答え申し上げたところでございますけれども、先月二十八日に貸し渋り対策大綱というものが閣議決定されたところでございます。  この大綱におきましては、今後民間金融機関不良債権処理が進む過程で発生する可能性のある中小企業等への信用収縮に備えまして、信用保証について、特に二十兆円の保証規模を確保することを初めといたしまして、政府金融機関についても所要の資金量を確保することによりまして、資金規模で総額四十兆円を超える対応を可能にするというようなことを内容としておるものでございます。  具体的な対策といたしましては、民間金融機関から貸し渋りを受けた中小企業者に対しまして積極的な保証を実行するための特別の保証制度というものをこの十月一日を目途に創設するということにしておりますし、またあわせましてこの保証の中身でございます無担保保証あるいは無担保無保証の保証についての限度額を引き上げる中小企業信用保険法の改正案を現在国会に提出しておりますけれども、こうしたことを通ずる保証規模の拡大あるいは政府金融機関における貸し渋り関連制度の拡充、さらには現在政府金融機関について金利減免の措置というのを行っておりますけれども、これの一年間のさらなる延長といったとごろを盛り込んだわけでございます。  今後とも、中小企業の貸し渋り対策に万全の措置を講じてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  69. 櫻井充

    櫻井充君 その商工会の方からもう一点、中心商店街の空洞化が今深刻な問題になっていると、そういう指摘もございました。  商店街の活性化について、今どのような施策を講じられているのか、お教え願いたいと思います。
  70. 殿岡茂樹

    政府委員(殿岡茂樹君) 空洞化しつつある中心市街地の問題は大変私どもも重要な問題と考えております。このために、商業等の活性化、それから市街地の整備改善ということの二つを車の両輪としました中心市街地活性化法が七月二十四日からちょうど施行されたところでございます。  この中におきます商業対策としまして、これまで個々の商店あるいは商店街というものに着目しましたいわば点と線の対策というのを講じてきたわけでございますけれども、これに加えまして、広く中心街全体を一つのショッピングモールとしてとらえまして、いろいろな規模の商店あるいは業種あるいは業態の店舗を計画的に配置するといったタウンマネジメント的手法を活用した面的な対策というのにも新たに取り組みを始めようという状況に来ておるところでございます。  具体的には、中心市街地の活性化のためのさまざまなプロジェクトを運営管理する組織としてのタウンマネジメント機関に対しまして、リーダーづくりのための種々の施策あるいは町づくり専門家の派遣、あるいは調査研究事業への支援等々、ソフト・ハード面からの支援を行っていくこととしておりまして、今後とも中心市街地商店街の活性化策に真剣に取り組んでいくこととしているところでございます。
  71. 櫻井充

    櫻井充君 もう一点、景気の悪化が非常に深刻だと、そういう指摘もございました。  景気の悪化の原因というのは、いろいろあるかとは思いますけれども、特に個人消費の落ち込みが激しいというふうに言われておりますが、その原因についてどのようにお考えでしょうか。
  72. 武藤敏郎

    政府委員(武藤敏郎君) 御指摘のとおり、我が国経済は昨年の秋以降、アジアの通貨・金融市場の混乱あるいは金融機関の経営破綻などによりまして、家計や企業のマインドが大変慎重になっておりまして、景気は低迷状態が長引いているというふうに認識しております。  この背景には、金融機関企業不良債権の問題でありますとか、日本的な経済システムの制度疲労というのでしょうか、よく指摘されますのは系列の問題等々でございますけれども、そういう問題でありますとか産業の空洞化の問題といったもろもろの問題がございまして、これらが景気回復の妨げになっているというふうに考えておるわけでございます。  御指摘個人消費でございますけれども、御承知のように、雇用情勢は大変厳しくなっておりますので家計の収入というものも減少傾向にありますし、そのことから消費マインドも悪化しているということで個人消費が低調に推移しておるというふうに考えております。
  73. 櫻井充

    櫻井充君 そうしますと、その個人消費改善していくということに関してどのような対策をお考えでしょうか。
  74. 武藤敏郎

    政府委員(武藤敏郎君) これはまさに我が国の景気回復を一刻も早く実現するということを目的といたしますさまざまな財政・金融政策ということになるわけでございます。御承知のとおり、既に総合経済対策というものをこの春に実施いたしまして、現在その実行に全力を挙げているわけでございます。  さらにその上で、平成十一年度に向けまして切れ目なく施策を実行するということから、事業規模で十兆円を超えます第二次補正予算と来年度、十一年度の予算を一体のものとして編成するというのが第一点、第二点は税制につきまして六兆円を相当程度上回る恒久的な減税を実施するということでございます。これをスピーディーに実施していくことが肝要であるというふうに考えております。
  75. 櫻井充

    櫻井充君 恒久的減税というのは、特別減税をことし施行されているわけですけれども、それと比較したときに、八割前後の方々が来年度恒久的な減税を行われても結果的には収入はふえないというふうに言われているわけであって、個人消費、あくまで個人消費の問題に関して言えばこれだけの施策では不十分ではないかというふうに考えますが、いかがでしょうか。時間がありませんので早急にお願いします。
  76. 武藤敏郎

    政府委員(武藤敏郎君) 私どもといたしましては、この六兆円を相当程度上回る恒久的な減税と申しますものは、今までの四兆円の個人減税のほかにさらに法人税減税まで行うわけでございまして、それを恒久的に実施するということでありますので、その所得税減税の中身につきましてはこれから来年度税制改正の中で政府・与党の税制調査会において中身を詰めていただくわけでございますけれども、これがいろいろな面から消費に好影響を与えるものというふうに考える次第でございます。
  77. 櫻井充

    櫻井充君 国民の声の圧倒的多数は、恒久的減税をやられても消費マインドが上がっていく、そういうことは考えられないというふうに皆さんおっしゃつているわけですが、その辺も踏まえてこれで十分だとお考えですか。
  78. 武藤敏郎

    政府委員(武藤敏郎君) この所得税減税の効果というものがどういうものであるかということにつきましてはいろいろな議論があるわけでございますけれども、少なくとも今年度限りでありますとかそういう時限を限った減税というものの効果につきましてはいろいろ御指摘がございますが、恒久的な減税ということでありますれば、これは通常の経済の理論から考えましても国民の消費マインドには好影響を与えるだろうというふうに考える次第でございます。
  79. 櫻井充

    櫻井充君 申しわけないんですけれども、それはあくまで推論であって、国民はそうは言っていないということは認識していただければというふうに思います。  そして、国民からの声なんですが、主婦連の副会長さんからの要望としては消費税を五%から三%にしていただけないだろうかというふうな御提案がございましたが、この点について御検討いただけますでしょうか。
  80. 福田進

    政府委員(福田進君) 今、先生から御指摘ございましたように、前回の改正で国の消費税を四%に、地方につきましては一%相当の消費税、したがって合わせて五%への引き上げを含む税制改正を行ったわけでございます。この税制改正につきましては、少子・高齢化の進展という我が国のいわば構造変化に税制面から対応するものでございまして、我が国の将来にとって極めて重要な改革であると考えております。したがって、消費税率の引き下げは考えておりません。  なお、消費税減税が当面の景気に与える影響についてでございますが、税率引き下げ実施までの間に相当の買い控えが発生いたしますほか、経理システム、自動販売機、値札や商品カタログの再変更に伴います社会的なコストが生じるとそれが価格にはね返るといった問題があることに御留意いただきたいと存じます。
  81. 櫻井充

    櫻井充君 そうしますと、大蔵省の考え方としては個人消費の落ち込みには消費税の税率アップというものは関与していないというふうにお考えですね。
  82. 福田進

    政府委員(福田進君) 昨年四月から消費税率の引き上げを行ったわけでございますが、その前にこの消費税率の引き上げを含みます一連の税制改革が行われたわけでございます。この一連の税制改革が経済に与えた影響を考えるといたしますと、先行的に十六・五兆円の減税を実施しております。また、現在も続いている制度減税の効果を考えなければいけないと存じます。  それを踏まえた上で、御指摘のように、こういった改革が九年度の経済に与えた影響を私ども否定するものではございませんが、先ほどお話があったと思いますが、昨年秋以降、民間消費が低迷した原因につきましては、アジアの通貨・金融不安、いろんな要因がございます。こうした中で、家計、企業の景況感が悪化して国民の消費に慎重な影響を与えたということであろうかと思います。  そのことと、申し上げました消費税率の引き上げを含む税制改革、これは少子・高齢化の進展という構造変化に税制面から対応したものでございまして、極めて重要な改革であったというふうに私どもは考えております。
  83. 櫻井充

    櫻井充君 もう時間になりましたので農業、それから漁業の問題について残念ながら質問できなくなりました。  もう一度最後に一点だけお伺いしたいんですけれども、消費税の税率アップというものは景気の悪化に影響を及ぼしていないというふうにお考えなんですか。イエスかノーかでお答えいただきたい。
  84. 福田進

    政府委員(福田進君) 繰り返しの答弁になって恐縮でございますが、一つのみを取り上げてそれがどうかということの判断がなかなか私は難しかろうかと存じます。いずれにしても、いろんな要因があったということでございます。
  85. 櫻井充

    櫻井充君 どうもありがとうございました。
  86. 藤井俊男

    藤井俊男君 民主党・新緑風会の藤井俊男でございます。  私どもは宮城県、愛知県に地方公聴会に伺いましたが、それぞれ公述人から陳情、要望苦情等がなされまして、改めて私どもの行政監視委員会公聴会意義を強く感じたところでございます。まさに国政に対する納税者の方々あるいは市民の方々の生の声を承り、私たちはこの国民の声を省庁縦割り行政の壁を越えて国政に反映していかなければならないと強く感じたところでございます。また、参加した公述人からもこの参議院のすばらしい取り組みをもっともっとPRしてほしいと求められたところでございます。  いずれにいたしましても、公聴会意義については各地区で行うべきであるとの意見が寄せられているところでございますけれども、私たち委員もこれらの意見をお聞きする中で、全国的に各地を回り国民意見を承る機会を持つことが必要と私は思っております。  先ほど総務庁長官からも所信表明の中で、国会における行政監視機能政府における行政監察機能がそれぞれの役割を十分に果たし、相携えて行政改善に邁進ずることが求められると述べられております。まさに強い決意が示されたところであります。  そこで、総務庁長官参議院委員会改革の一環で誕生しました行政監視委員会並びに地方公聴会意義につきましてお聞かせを賜ればと思います。よろしくお願いします。
  87. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) 参議院行政監視委員会が設けられたということは、まさに大変画期的な出来事であり、私は本当に参議院機能がますます発揮されるようになったというふうに意義深く感じております。  行政改革というのは、行政の側は本来ならば変化あるいは自分自身のポジションというのをあるいは失うかもしれない話であるわけでございますから、積極的にそれを進めていくというのは難しいことだろうと私は思うんですよ。ですから、それは行政の中で、もちろん総務庁のような役所もあるわけでございますし、今は中央省庁の再編成のための改革推進本部もできているわけでございますけれども、その中だけで進めていくとどうしてももう一つ力が足りないわけでございます。  特に立法府は、こういう話の場合には国会国民全体の側に立って、そして政府の中で改革を進めようとしている力を応援していただかなければできないというふうに私は思っております。そしてまた、この行政監視委員会皆様方がまさにそのような存在であろうというふうに思っておりまして、大変心強く思っております。  これは、一つ一つの問題についてはいろんな御意見があります。例えば、六月に通った基本法を見ても、いろんなでこぼこがあって、ここはおかしい、あるいはここは足りないというところがたくさんございますけれども、総体としてやっぱり進めていかなければいけないというふうに感じるわけでございます。そういう意味において、それこそこういう話は、行政に対する監視というのはむしろ国会の方で主導権をとってやっていただきたいテーマだと思っておりますので、どうぞよろしくお願いします。  地方公聴会につきましては、先ほどお聞きをいたしまして、大変充実した御意見が開陳されておることに改めて感銘深くお聞きをいたしました。  なお、国民の全体の気持ちというものが大事でございます。ともすれば国民の一部の御意見を聞いて全体の意見であるように勘違いすることもございますので、あまねく広く地方にも出かけていってお聞きいただくことは大事なことだと考えます。
  88. 藤井俊男

    藤井俊男君 今後ともひとつよろしくお願いを申し上げます。  次に、地方公聴会公述人から指摘のありました関係につきまして質問したいと思います。  外形標準課税制度についてお尋ねをします。  現在、政府税制調査会で検討されておりますこの制度でございますが、法人事業税を利益ではなく従業員数や従業員規模で課税する制度ということでお聞きをいたしております。中小企業団体の代表である公述人から、この関係については絶対反対だということで、何としてでもきょうお見えの委員さんよろしく頼むと私どもに強い意見が述べられたところでございます。  そこで、私は大蔵省、そして自治省に対しまして、一つといたしまして政府税制調査会の検討状況、今後の見通しについてお聞かせを賜りたいと思います。二つ目といたしましては、外形標準課税制度導入の場合のメリット・デメリットについてもお聞かせを賜りたいと思います。
  89. 福田進

    政府委員(福田進君) 政府の税制調査会におきましては、本年の五月に地方法人課税委員会を設置いたしまして、法人事業税の外形標準課税課題中心地方の法人課税につきまして総合的な検討を行うために、この分野につきまして学識経験のある方々をメンバーに迎え、専門的、理論的観点から議論をしていただいているところでございまして、ちょうどこれまで五回の審議が行われております。  事業税の外形標準課税につきましては、既に総理が国会で御答弁されておりますように、平成十一年度の税制改正では見送られますが、今後の課題として引き続き検討されることとされております。  この課題をめぐりましては、平成八年十一月の法人課税委員会報告でも、これは政府税制調査会の中の小委員会でございますが、その小委員会報告におきましてもさまざまな検討課題を御指摘になっておられます。地方法人課税委員会におきましても、先生今御指摘のような中小企業の方々を含む納税者の視点をも踏まえた十分な議論がなされるものと私どもは期待しているところでございます。
  90. 成瀬宣孝

    政府委員(成瀬宣孝君) 事業税のあり方につきましては、従来より、事業活動が地域社会の中で行われるに当たりまして、地方団体から受ける種々の行政サービスに必要な経費について分担すべきであるとの考え方に基づきまして、事業の規模や活動量を示す外形基準により課税することが望ましいとされております。したがいまして、事業税について外形基準導入される場合には、ただいま申し上げましたような事業に対する応益課税としての税の性格が明確になること、また税収の安定性を備えた地方税体系が構築される、ひいては地方分権の推進に資するといった意見がある一方で、所得がない者に対しましても課税されることに対する抵抗感等もございまして、現在までさまざまな角度からの検討が重ねられてきております。  これにつきましては、今後導入のタイミングの問題等も含め検討を進めていくことが必要と考えており、引き続き政府税制調査会等におきまして、御指摘のあったような視点も含め、論点も含め専門的、理論的に検討が加えられるものと考えているところでございます。
  91. 藤井俊男

    藤井俊男君 この外形標準課税につきましては今年度は見送りということで確認をさせていただきたいと思っております。このための税制改革議論についてはこれから行われるところでございますが、中小企業団体等の意見を十分配慮することが求められておりますので、くれぐれもこの関係についてはひとつよろしくお願いしたいと思います。  次に、防衛庁調達実施本部の背任事件、先ほど脇委員からも質問がございましたけれども、平成十年度行政監察計画についてお聞きいたしたいと思います。この問題は連日新聞紙上で大きく取り上げられておりますけれども、今国会の外交・防衛委員会等でも大きな問題となっているところでございます。  総務庁行政監察プログラムでは、平成十年度は防衛庁調達実施本部と陸上自衛隊、そして十一年に海上自衛隊と航空自衛隊をそれぞれ取り上げることになっております。  まず、防衛庁関連の行政監察のスケジュールで現在の方針と進捗状況についてお聞かせください。
  92. 東田親司

    政府委員東田親司君) 防衛庁の調達関係行政監察のスケジュールでございますけれども、今年度は御指摘のとおり調達実施本部と陸上自衛隊の二つを対象に監察をする予定でございます。それから来年度、十一年度に残りの海上自衛隊と航空自衛隊を対象に監察をする予定でございます。  今般、調達実施本部調達業務につきまして最優先調査をするようにという大臣の御指示がございましたので、今年度の二つの対象のうち調達実施本部について全精力を投入してまず最優先に早急に取りまとめをいたしたいと思っております。その後、そのめどがつきましてから陸上自衛隊につきまして今年度の調査結果の取りまとめに入りたいと思っております。  したがって、今年度はこの二つの取りまとめで恐らく精いっぱいになるのではないか、したがって海上自衛隊と航空自衛隊につきましてはそうした状況から来年度にならざるを得ないであろうというふうに考えておるところでございます。
  93. 藤井俊男

    藤井俊男君 先ほど大臣からも調達業務につきまして通達をしたということでお聞きをいたしておりますが、まさに従来まで監察業務を重点に置いてきたと。  今度は公正、透明な関係にウエートを置いていくんだという答弁がなされておりますが、検察との関係でこれらについては今の段階でどうなされているか、当局として支障を来しているのかどうか、お尋ねしたいと思います。
  94. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) 先ほどの藤井委員の御質問でございますけれども、一つの監査をやるという場合に、事前の準備と申しますか、建物でいえば事前の設計みたいなものに相当の時間を要するわけでございます。私もここに来るまでは知らなかったんですけれども、事前の監察の設計といいますか、ここでは調査計画と言われておりますが、調査計画について準備をしないと、特に今度は私の方から指示をいたしまして監察の観点をコストの低減ということから透明性公正性というふうに変えたものですから、そこで設計が変わるわけです。設計を今入念にしておる途中であるというふうに理解をいたしております。  そこで、今、検察の方が捜査のためにたくさんの資料を持っていって、それで大丈夫かということの御質問だと思いますけれども、それは恐らく何も支障がないと言えばうそになると思いますけれども、やり方はいろいろあるということでございます。  すなわち、今ある資料で、つまりここが目的が違っておって、不正があったかなかったかということの調査対象となる資料とこの手続に公正性透明性ということからいって改善の余地はないのか、実際の運用について改善の余地はないのかというのは角度が違うわけでございます。こちらで必要とする資料が全部ないというわけじゃございませんので、あるものから逐次進めていくというやり方がとれるのではないかと思っております。その中で、もし検察の協力が得られたり早く資料が帰ってくるのであれば、さらにそっちの部分も手をつけられるのではないかと思っております。私は素人でございますので、補足をしてもらえばよくおわかりだと思います。
  95. 東田親司

    政府委員東田親司君) 大臣の御指示を受けまして、調達業務透明性公正性の確保という観点から、今の行政制度運営に問題がないかということに主眼を置いて調査するわけでございます。  その場合に、私ども調査の一番中心になりますのは、例えば予定価格の算定資料の審査が的確に行われて、またこれに対するチェックのシステムが有効に機能するものとなっているかというところが今度の調査中心的な調査項目であろうと考えております。  そういたしますと、今調べようとする項目に対する業務の実際の運営がどうなっているのかというところから相手省庁のヒアリングをさせていただきまして、そして相手省庁説明のとおりに個別の案件が運用されているかというところが次の段階に調べるべきことになろうと思っております。  その段階で、対象の項の契約資料がどの程度残っておるのかというところは現段階ではよくわかりませんけれども、いわば対象となる項の案件があるものから逐次やっていく、またそのうちに資料が戻ってきたらそれにも調査の手を広げさせていただくというようなことになるのではないかと思っております。
  96. 藤井俊男

    藤井俊男君 大変時間が求められてまいりますが、さて私は、防衛庁の背任事件につきまして、会計検査院はどうなっているのか、調達実施本部の検査、当初過大請求を見逃したのはどういうところか、お聞かせを賜りたいと思います。
  97. 諸田敏朗

    説明員(諸田敏朗君) お答え申し上げます。  東洋通信機に対します過払いの事態は、防衛庁調達実施本部平成六年二月ごろ独自の調査の結果事態を発見し、是正の措置をとったという旨の報告を会計検査院といたしまして平成六年の六月ごろ受けたわけでございます。  その際、調達実施本部説明では、本件は生産方式あるいは技術進歩等により生じた見積価格と実績価格との原価差異を補正するものであり、適切な措置をとったと考えているとの説明を受けたところでございます。その後、その報告内容につきまして会計検査院として必要な検査を行うなどして可能な限り事態の解明に努めたところであります。  しかしながら、今回の事態は原資料の保存が義務づけられていないというようなことなどもありまして、会計検査院として具体的な金額の検証が困難であったということでございます。
  98. 藤井俊男

    藤井俊男君 このたびの防衛庁で起こった過大請求問題については、総務庁行政監察だけではないと思います。会計検査院と連携しながら装備品の調達に当たっての透明性及び公正性の確保を図ることがぜひ必要と考えておりますので、最後に総務庁長官の御見解をお聞かせ賜りたいと思います。よろしくお願いします。
  99. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) 今の藤井委員のおっしゃるとおりでございまして、会計検査院の仕事は会計上の不正が行われていないかどうかということをチェックする仕事でございます。  一方、行政監察の方の仕事は一つの法律あるいは制度の目的というものに沿って物事が運営されているかどうかということの運用の仕方についての監察でございますから、そこは分野がちょっと違うわけでございます。しかし、そういう運営が適切かどうかという話と正しく行われているか行われていないかという話というのは、同じデータから、同じ事実から判断できることが多いわけでございますので、これはもっと会計検査院と行政監察の連携は密にしなければいけないというふうに、委員のおっしゃるとおりだと思っております。
  100. 藤井俊男

    藤井俊男君 徹底的に監査を要望して、質問を終わります。
  101. 大森礼子

    大森礼子君 公明の大森礼子です。私は名古屋の公聴会の方に参加させていただきました。その公聴会愛知県生活学校連絡会会長太田和子公述人の方から消費者の視点からの要望ということでお話がありましたので、その内容について質問いたします。  太田公述人は、要するに縦割り行政の弊害ということで指摘されたと思うんですけれども、一つはいわゆる食品の表示についてでございます。厚生省と農水省で異なっている、省庁によって視点が違うとは思いますけれどもと視点の違いを認識された上で、そうとは思うけれども統一的に見やすいものにしてほしい、私たちの視点にその表示というものを近づけてほしい、こういう要望がございました。私たちの視点というのは消費者のことであります。  そこで、まず総務庁の方にお尋ねするのですが、平成十年一月作成に係る総務庁行政監察局編「農産物の検疫・検査、規格等に関する行政監察結果報告書」、三十ページ、三十一ページのあたりでしょうか、この中で、天然果汁の例等を引きまして、いわゆるJAS法とそれから食品衛生法とで表示の義務づけに違いがあることを指摘しております。JAS規格が果たす役割も変化してきているということも指摘されているわけなんですけれども、この報告書で指摘された点の背景といいますか、それから問題の所在等、まず簡単に御説明願います。
  102. 東田親司

    政府委員東田親司君) お答え申し上げます。  本年一月十九日に農水省等に対しましてJAS規格の種類、品目の廃止・見直し等について勧告しております。  御指摘報告書の記載内容のポイントを申し上げますと、JAS規格は、食品衛生法に規定された基準を担保することは当然といたしまして、高品質の規格を制定し、規格に適合した製品の普及を通じて当該種類あるいは品目の農林物資の品質の向上を図ることを目的の一つとしていることもございまして、表示の義務については一般に食品衛生法と比較して見た場合により厳しい内容となっているという記述をいたしまして、その一例といたしまして天然果汁の例を取り上げて記載しております。  具体的には、天然果汁につきましてJAS規格で表示する表示項目は八項目ございますけれども、この中の三項目、果実名、果汁含有率、内容量、この三項目につきましては食品衛生法上は表示の義務がありません。そのような差異があるということを記述しております。  以上です。
  103. 大森礼子

    大森礼子君 記述しているんですけれども、じゃこれをどうしろという勧告なんですか。
  104. 東田親司

    政府委員東田親司君) この記述はJAS規格が食品衛生法に比べましてより厳しい内容になっているという説明をする際に対比したものでございまして、直接勧告におきましてこの天然果汁のことについてJAS規格を見直すようにという内容にはなっておりません。
  105. 大森礼子

    大森礼子君 今御説明ありましたけれども、食品衛生法が要求するものとそれからJAS規格の方で要求されるものとが違っているわけでございます。これについてはそれぞれ理由があるにせよ、消費者の側からしますとやっぱり基準が統一的でないというのは非常に不便なものであると思うんです。  それで、農水省にお尋ねするのですが、これは平成九年十月十八日付の読売新聞なんですけれども、「日本農林規格 表示抜本見直し」、こういう見出しで、十月十七日に農林物資規格調査会に基本問題委員会を設置し、消費者にわかりやすい基準に改める検討を農水省も始めた、こういう記事がございました。有機食品等が非常に浸透しているということ、それから加工食品の輸入量増加等に伴って市場が変化してきた、これに伴って消費者にわかりやすい基準に改める必要があるのではないか、こういう作業であると思います。  それで、この記事の中に「重複する食品も少なくないので、」、例えば食品衛生法とも重複するわけですが、この重複する食品につきまして「将来的に二つの法律を一本化できるかどうかも検討したい」と、こういう記事がございます。  この内容についてお尋ねするのですけれども、こういう検討というのは進んでいるのかどうか、また今後の取り組みというのはいかがなものか、お尋ねします。  それから、規制緩和要望といたしまして、百貨店協会の方も食品表示の一本化について要望していたというふうに聞いております。この百貨店協会の要望については彼らは何を問題としたのか、またそれについてどのように取り組んでおられるか、この点あわせてお尋ねいたします。
  106. 福島啓史郎

    政府委員福島啓史郎君) 今、先生から御質問がございましたように、最近におきます食品の表示、規格をめぐる状況の変化、具体的には輸入食品がふえてきたりあるいは有機食品とうたった食品等がたくさん見られるわけでございます。そうした状況の変化に対処しまして、今後の食品の表示、規格制度あり方につきまして検討を行うために、昨年来、農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律、いわゆるJAS法でございますが、に基づきます農林物資規格調査会、JAS調査会におきまして基本問題委員会を設置いたしまして検討を進めてきているところでございます。ことし五月には中間取りまとめがなされたところであります。  この中で、先生から御指摘がありましたように、今後の食品表示のあり方につきましては、品質、公衆衛生、栄養表示、不当表示の観点も包含し、かつ新しい表示事項のニーズにも対応できるような統一的な食品表示の枠組みの導入につきまして既存の法制度あるいは省庁の枠組みにとらわれることなく広い立場から検討すべきであるとの御指摘をいただきまして、そうした内容の中間取りまとめにつきまして広く公開いたしましてパブリックコメントを求めているところでございます。こうした統一的な食品表示の枠組みの導入に関しまして肯定的な意見が多数寄せられているところでございます。  農林水産省といたしましては、基本問題委員会の最終的な取りまとめを待ちまして、今後の望ましい食品表示のあり方につきまして関係省庁とも連携しながら検討を進めてまいりたいというふうに思っているわけでございます。
  107. 大森礼子

    大森礼子君 二つの表示を一本化するとなると、これはまた厚生省の方にもお尋ねしなくてはいけないわけであります。  先ほどの御説明で、「JAS規格は、食品衛生法に規定された安全・衛生上の基準を担保することは当然のこととして、」とありまして、それにプラスアルファの高品質の規格を制定したものであると御説明されたわけであります。  ただ、先ほど行政監察局の結果報告書で出ました天然果汁の例で言いますと、果実名、それから果汁含有率、内容量、これはJAS法では表示の義務づけがありますが、食品衛生法では義務づけがございません。それからもう一つの違いは、原材料名のところで、JAS法の方では使用原材料はすべて表示を義務づけておりますが、食品衛生法では食品添加物のみ義務づけとなっております。  少なくとも果実名、果汁含有率、それから内容量、これにつきましては、これがあろうがなかろうが、食品衛生法が予定する安全・衛生上の基準、これには関係ないんだと言われればそうなんですけれども、しかし買う側といたしましては、これぐらいの表示は食品衛生法の側からしても表示を義務づけても特に業者の負担にはならないんじゃないかと思うわけです。ですから、食品衛生法の守備範囲を余り狭く考えないで、プラスアルファの部分でありまして、そして消費者に与える情報として有用なものであれば、ここら辺の表示を義務づけてもいいのではないかと思うわけであります。  そこで、厚生省の方にもお尋ねするのですけれども、厚生省の方では消費者の側に立ちまして表示の一本化の検討というのはしておられるのかどうか、現実に一本化を求める消費者の声があるわけですが、これに対してどのようにお答えされるのか、これについてお尋ねいたします。
  108. 小野昭雄

    政府委員小野昭雄君) 先生の御質問の中に少し答えの部分も入っておりますが、多少重複をいたしますが、お答えをさせていただきます。  御存じのように、食品衛生法という法律は、飲食に起因いたします衛生上の危害の発生を防止するという法の目的を達成いたしますために食品の表示につきましても厚生大臣が基準を定めるわけでございますが、この基準がJAS法と若干性格を異にいたしておりますのは、この基準に違反をいたしました営業者に対しましては行政処分あるいは罰則といったようなものが科せられる制度となっているという点が異なっているという点を御理解賜りたいと思います。  このほかにも、食品の表示に関しましては、先ほど来お話のございますJAS法もございますし、あるいは公正な競争を確保する観点から行われております不当景品類及び不当表示防止法によります公正競争規約制度など、各法がそれぞれの目的に照らして必要な表示の基準を定めているところでございます。  私どもといたしましては、消費者の安全の観点からの規制と消費者の選択を支援するという観点からの制度を一つの法制度により行うことが果たして妥当かどうかという点については必ずしも意見がまだ一致をしていないというふうな状況にあると認識をいたしております。  ただ、食品の表示をめぐりましては、国民各界各層からさまざまな御指摘があることもまた承知をいたしておりますので、現在、食品衛生調査会に表示特別部会というものを設置いたしまして、食品衛生法に基づきます表示制度の全般について広く検討が行われておりますので、こういった点についてどう考えるかということについてもあわせ御議論いただきたいと考えております。
  109. 大森礼子

    大森礼子君 それぞれ法律規制対象となることはあると思うんですけれども、少なくとも表示というものは、これはだれに見せるか、消費者に見せるわけであります。その目的は何かといいますと、製品、商品についての情報を消費者に伝達する、これが目的なのであります。そうすると、消費者の側に立ちますと、ジュースでもJAS規格とそうでないものとありました場合に、買うか買わないか、まずこの判断、それからどちらを買おうか、この動機づけとなる情報が欲しいわけであります。それから、その表示内容によりまして購入した後のその商品の家庭における管理といいますか、これに資するという意味もあると思うわけです。いずれにしましても、買うか買わないか、この動機づけ、どちらを買うかの動機づけ、これをするためにはやはり比較可能な基準というのがないと意味がないと思います。  それから、先ほど食品衛生法は違反すると罰則があるとおっしゃいました。だからこそ、私が先ほど果実名と果汁含有率、内容量、この程度は業者の負担になりませんでしょうと申しましたのは、多分そういうお答えが来るだろうと思ってしたんですけれども、この程度のことであれば業者の負担にならなくて、そして消費者の要求にこたえることであれば何をためらう必要があるでしょうかということを言いたいわけであります。  まず手近な例で果汁の例、ここからでも結構ですので、表示の方を一本化する努力をしていただきたいと思います。  以上でございます。
  110. 松あきら

    ○松あきら君 私は、まず総務庁長官にお尋ねをいたしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。  平成十年五月に麻薬・覚せい剤等に関する実態調査結果報告書とこれに基づく勧告をお出しになっておられます。  私は、特に青少年問題と教育に力を注いでまいりました。薬物の乱用が最近低年齢化をしておりまして、非常に深刻な問題です。政府は、薬物乱用防止対策実施要綱を毎年策定し、啓発活動、取り締まり及び相談体制の強化、医療制度の充実等に取り組んでいるわけですけれども、しかし今第三次乱用期に突入したとも言われる状況があるわけです。  総務庁は実態調査を行い、また勧告を出したわけでございますけれども、平成九年には一万九千九百人に検挙者が達したこの現実をどう思われるのか、まず長官にお尋ねをしたいと思います。時間の関係で手短によろしくお願いいたします。
  111. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) 松委員が大変熱心にこの問題について取り組んでおられることに心から敬意を表します。  平成七年から連続して三年間増加を続けてきたわけでございまして、そのことを踏まえて実態調査をいたしまして、文部省厚生省など十三省庁勧告をいたしたところでございます。その内容については政府委員の方から答弁させますけれども、特に近年の我が国において深刻な問題となっておりますことはよく認識しておりますので、一生懸命取り組んでまいりたいと思います。
  112. 東田親司

    政府委員東田親司君) 平成十年五月十八日の勧告の項目を簡潔に申し上げます。  第一点は、学校における薬物乱用防止教育の強化につきまして文部省勧告しております。第二点目は、相談・医療・社会復帰対策の確立につきまして厚生省勧告いたしました。三点目は、取り締まりの強化につきまして警察庁、大蔵省、厚生省、運輸省に勧告しております。また、啓発活動の充実につきましても十三省庁勧告しているところでございます。  以上でございます。
  113. 松あきら

    ○松あきら君 それでは、一分間ずつぐらいでよろしいんですけれども、警察庁、海上保安庁、文部省厚生省、それぞれ取り組みを説明していただきたいと思います。
  114. 小林奉文

    政府委員(小林奉文君) 我が国で乱用されている薬物の大部分は覚せい剤でありまして、全体の九割以上を覚せい剤事案が占めております。この覚せい剤事案が、先ほども答弁がありましたように、平成七年から三年連続して増加し、今年に入りましても高い水準で推移しております。  警察といたしましては、こういった情勢を戦後第三回目の覚せい剤乱用期ととらえまして、薬物問題を治安の根幹にかかわる最重要課題の一つとして位置づけ、薬物の供給の遮断、需要の根絶、広報啓発活動等の総合的な薬物対策関係省庁と連携して行っているところでございます。  供給の遮断につきましては、海外からの薬物の密輸入事犯の水際検挙、暴力団等の密売組織の摘発、需要の根絶につきましては薬物乱用者の徹底検挙等の諸対策を強力に推進しているところでございます。  今回の第三次乱用期につきましては、特に少年たちの薬物乱用に対する罪悪感、警戒感が低下するなど、その規範意識の低下に特徴が見られるところであります。このような事情を背景といたしまして、少年、特に中学生、高校生による薬物乱用事犯が激増している状況にございます。こういった状況にかんがみまして、中学校、高校に対しまして警察職員を派遣して薬物乱用防止教室を開催するなど、薬物の害悪についての広報啓発活動に努めるとともに、薬物密売組織等、少年への薬物供給源に対する取り締まりの徹底、薬物乱用少年の早期発見、補導活動の強化等の諸対策を強力に進めてまいりたい、このように考えている次第でございます。
  115. 楠木行雄

    政府委員(楠木行雄君) 不正薬物のほとんどは船舶等を使用いたしまして海外から密輸入されていると見られておりまして、しかも巧妙かつ組織的な手口が用いられているのが現状でございます。海上保安庁といたしましては、内閣の薬物乱用対策推進本部において策定されました五カ年戦略、これを踏まえまして次のように対処しておるところでございます。  まず、やはり情報が一番大事でございますので、密輸入に関与している疑いのある船舶や人物に対する情報収集活動を推進しております。  また、そのやり方でございますが、薬物の流出するおそれのある中国、東南アジア等から入港する船舶に対する徹底した立入検査の実施、それから洋上積みかえの行われるおそれの高い沖縄、南西諸島周辺海域等における監視、警戒の強化を図っております。  また、その他の事項といたしましては、警察や税関等の国内取り締まり機関との連携の強化、離島、地方港湾等における海事、漁業関係者等に対する不審情報の通報の協力要請、海外関係機関との情報交換の推進を図りまして、薬物の密輸入の水際阻止に全力を挙げているところでございます。  以上でございます。
  116. 遠藤昭雄

    政府委員(遠藤昭雄君) 簡潔にお答え申し上げます。  勧告、それから五カ年戦略を踏まえまして、この六月に事務次官依命通知を出しました。ポイントは、全中学校、高校で薬物乱用防止教室の毎年開催に努めるということ、それからPTAなどと十分連絡、連携を図ること、そういったことを指導しております。  それから、予算面で申し上げますと、本年度は、昨年高校生用ビデオをつくりましたので、中学生用ビデオをつくる、あるいは都道府県レベルでモデル事業をする、あと研修会やパンフレットなどの普及啓発を行っております。十一年度はこれらの事業のほかに、新たに薬物乱用防止教室を推進するために指導者の養成、それから小学生用の教材作成、配布等々、もろもろの事業も行いまして、約三億円増の概算要求を行っているところです。  また、本年七月の教育課程審議会答申で小学校段階から薬物乱用防止について指導するよう盛り込まれましたので、学習指導要領の改訂作業を現在行っているところです。  今後とも、指導のより一層の徹底を図ってまいりたいと思います。  以上です。
  117. 中西明典

    政府委員(中西明典君) 厚生省におきましては、薬物乱用防止につき厳正な取り締まりを行うとともに乱用の危害について正しい知識の普及を図っていくという見地から、麻薬・覚せい剤禍撲滅運動あるいは「ダメ。ゼッタイ。」普及運動を主催しますとともに、各都道府県に覚せい剤乱用防止推進員を置き地域における啓発活動を推進するほか、麻薬・覚せい剤乱用防止センター等を通じて広く国民一般に対し啓発活動を行ってきているところでございます。  特に、最近中高校生の薬物乱用が拡大しているという問題がございますので、学校に対して麻薬取締官OBの派遣を行うほか、本年十月からは薬物乱用防止キャラバンカーを一台から四台に増設し、キャラバンカーを利用した啓発活動を全国的に展開していくことといたしております。  なお、先般の総務庁からの勧告も踏まえまして、地域における啓発指導体制、相談指導体制を充実するという見地から、精神保健福祉センターを中核として薬物依存乱用に関する相談指導充実強化を図っていきたい、かように考えております。
  118. 松あきら

    ○松あきら君 それぞれの御担当で防止に尽力されているわけでございますけれども、昭和四十六年から減少するどころか、先ほどもお答えにありましたように、ふえている、増加しているわけでございます。このごろは衛星を使って、瀬取りというんですか、そういうこともしているそうです。衛星航法装置の普及や携帯電話の基地局の拡大で日本海や東シナ海まで通話エリアが広がったりして、確実な情報がないと取り締まりも難しくなってきております。  何と新聞に、今、日本は世界最大の麻薬の消費地であるということです。「暴力団関係者などと結びついた海外の密造グループは、次々と新たな密輸ルートを開拓している」、世界最大の消費地に日本はもうなってしまったというわけです。  私は、もう水際で防ぐという段階じゃだめだと思うんです。麻薬の生産地にまでかかわっていかなければ、食べ物にハエが群がってくる、そのハエを手で払っているような施策では、悪く言えば予算を使って捕り物ゲームをしているようなものじゃないかと思うんです。  そこで、外務省にお尋ねをいたします。  東南アジアに対して政府開発援助、つまりODAをしているわけでございますけれども、これだけ日本は麻薬対策に悩んでいるんです。麻薬が入ってこないようにすればいいわけでしょうけれども、そうはいかない。そうしましたら、せめて生産地のことをしっかりと考えていただきたい。やっぱり私はこのODAの発想を変えていただきたいんです。これを生産しないと現地の生活が成り立たないというのでしたら、それこそ麻薬は日本の国に直接影響のあるものですから、現地の生活が成り立つような援助がもっと真剣に検討されてもいいんじゃないかと思うんです。  ペルーのフジモリ大統領が徹底して麻薬のシンジケートをたたきましたけれども、それはつまりその方たちが生活に困らないような、こういったODAの発想を変える、そういう対策をされておりますでしょうか。もしされていなかったとしたら、今後されるおつもりはあるんでしょうか、お尋ねをいたします。
  119. 大島賢三

    政府委員大島賢三君) 麻薬・薬物問題は東南アジアにとどまりませず地球規模の問題ということになっておるわけでございますが、六月の国連麻薬特別総会におきましてもただいま先生の方から御指摘のありました麻薬を生産している生産地における代替作物開発の重要性についても確認されたわけでございます。  そこで、ODAにおきましてもこの代替作物、すなわちヘロインでございますとその原料でありますケシの生産をしなくても生活ができるようにすることが解決になるわけでございますが、そういった代替作物をつくるように経済協力、開発援助の手段を通じまして努力がなされております。  日本政府がやりましたことは、例えばことしの三月に東南アジアのケシの代替作物開発に関する麻薬セミナーを開きまして、特に関係の深いミャンマーの政府、それから国連、日本政府の三者でセミナーも行いました。さらに、東南アジア、ミャンマー等の現地におきましては、特に国連の薬物統制計画というのが中心になって代替作物計画の推進を図っておりますけれども、こういった計画に対しまして側面的に支援をするというようなことをODAを通じましてやっております。  この代替作物計画は国境地域あるいは山岳地域対象でございますのでプロジェクトとしては大変に困難を伴いますけれども、やはり現地におきます。そういう人たちがよりよい生活をできるようにしていくことが最終的には、ケシの生産にかわる代替作物、例えば小豆とかソバとかコーヒーとかいろいろ代替作物が試みられておりますけれども、こういうことにつながりますので、そういう見地からODAを使いましてこれからもできる限り推進をしてまいるつもりでございます。
  120. 松あきら

    ○松あきら君 お伺いしたいことはまだまだたくさんあるわけでございますけれども、また文教で続きをいたしたいと思います。  さて、十月一日に先ほど厚生省の方からお話が出ました薬物乱用防止キャラバンカーを参議院の中庭に十二時より展示することになりましたので、長官を初めぜひ先生方にもごらんいただきたいと思います。実はこの四月に衆議院の中庭に入ったんですけれども、このときよりも数段、格段に中身がよくなっておりまして、プリクラなんかもありまして非常に人気が高くなっておりまして、ぜひこれを見学していただきたいというふうにこれは要望いたします。  次に、もう一問だけ、今度は防衛庁の問題に移りたいと思います。  朝日新聞の解説記事によりますと、「自衛隊装備品の価格を決める権限を持つ部局が、同時に企業に天下りをお額いする窓口でもある。そんな自己矛盾を抱える組織のあり方に、事件の本質が隠されている。」、このように書いてあります。二十五万人の自衛官、職員の再就職先の確保は大きな課題だ、こういうふうに書いてあるわけですね。「遊んで高給、忸怩たる思い 一人雇えば仕事五十億、安い」、こんなことも書いてあるわけです。しかし、東洋通信機六十億、日本工機、ニコー電子等々、この五社以外にNECもきょうの新聞では百億円を超える水増し請求の疑いが出てきたわけでございます。  先ほど脇先生が公務員の再就職先ということも考えなきゃいけない、天下りもすべてが悪いわけじゃないとおっしゃいました。確かにそういう面もございます。しかし、今回なぜこういう問題が起きてきたかといいますと、天下り先をきちんと確保してあげるわよ、そんなにたくさん仕事がなくてもいい給料を払ってあげるわよという自信があるからこのように過大な請求を平気でしていた。しかも、これが過去に見つかっても重い処分をしなかったりいろいろあったわけでございます。こういうことが根底に私は絶対にあるというふうに思います。  もちろん、今、いわゆる官僚制度、これはピラミッド型でございまして、本省から外部に三十代からもう、肩たたきじゃないですけれども、そう言ったら申しわけないですけれども、出されてしまう。このピラミッド型から円筒型に変えていく抜本的な改革がなければこの制度は大きな問題がある。それは私も、大多数の官僚の方は一生懸命に仕事をしていらっしゃる、安月給で夜中までまじめにやっていらっしゃる、よくわかっております。しかし、これは今抜本的に変えるといってもそんなに簡単に変えるわけにはいかないのですから、各省庁一つずつをきちんと見張るという言い方はおかしいですけれども、やはり悪いところを徹底して直すように指導していくのが長官の最大のお仕事だと思います。  これを伺って質問を終わりたいと思います。
  121. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) 松委員におかれましては、何もかもよくわかっていただいてありがたいことだと思っております。  それで、公務員全体について日ごろの服務あるいはモラルということについては、総務庁において責任を持って監視をしていくということだろうと思って新たな気持ちで取り組んでまいりたいと思います。
  122. 岩佐恵美

    岩佐恵美君 私は、まず防衛庁の背任事件について伺いたいと思います。  自衛隊の装備品の調達をめぐる防衛庁背任事件は、ついに前防衛施設庁長官が起訴されるという重大事件に発展をしています。防衛庁調達実施本部の幹部が軍需企業と癒着して、天下り枠の確保、拡大と引きかえに年間二兆円に及ぶ防衛庁の装備品調達をめぐって一部高級官僚と軍需企業国民の税金を私物化するというとんでもない事件です。しかも、これが明らかになると、昨年九月、ことしの五月、八月と三回にわたって防衛庁の組織ぐるみで大量の資料を隠し証拠隠滅を行うという前代未聞の恥すべき事件であります。  防衛庁は、返納額の算定が調達物資、物品等の予定価格の算定基準に関する訓令に反していた、そのことは認めました。この訓令による原価算定方式そのものに問題があるのではないかと思います。防衛庁の装備品等の調達の約八五%が特殊な原価計算方式で予定価格が算定され、随意契約で行われているわけですが、随意契約が多い理由は装備品の特殊性だとされています。しかし、例えば事務所の机やいす、あるいはちょっと一回問題になりました灰皿とかトイレなどまで必要以上に特殊仕様としているのではないかという問題です。アメリカでも、一九八〇年代後半に防衛整備品調達をめぐる一連の事件が発覚をして、その後随意契約は大幅に減らされたといいます。安易に特殊仕様として随意契約で調達していることがないかどうかへそれが質問の第一点です。  また、原価計算方式についてですけれども、結局、経費率などは企業からの資料に基づいて行われるため水増しは制度的に保障されている、そういうふうに指摘をされています。防衛庁の七月の上申書でも、訓令は一般的な基準を示しているにすぎず、担当者により計算値が異なると述べています。訓令で定めている原価計算方式あり方自体に問題があるのではないでしょうか。  その二点についてまず防衛庁からお答えをいただきたいと思います。
  123. 及川耕造

    政府委員(及川耕造君) お答えを申し上げます。  先生指摘のとおり、私どもの調達しております装備品の八〇%以上がおっしゃるとおり随意契約でございます。どうしても随意契約になりがちな背景といたしましては幾つかの点がございます。  武器という極めて特殊な仕様を要求するものでございますから、高度の技術経験とか生産設備が必要ということで製造業者が限定されることが多うございます。また、需要が国内、特に防衛庁にほとんど限定されておりますので、生産規模との関係でも製造業者というのはおのずと限定されてまいります。そのほかにもライセンスの生産でございますとか、輸入品であっても外国企業との販売契約が結ばれるということでございますので、どうしても特定の会社に限られてくるというような背景がございます。  ただ、まさに先生おっしゃるとおり、こういった特殊性を何とか市場価格というような形でできないかということで、私どもまさに原価計算の方式を積み上げて算定し契約を行っているところでございますけれども、これが現在、まさにおっしゃるとおり、特殊性が必要以上に強調されていないかという観点も含めまして再検討していくことが重要ではないかというふうに認識をいたしております。  私どもとしても、九月二十四日に第一回の会合を開催させていただきましたけれども、防衛調達制度調査検討会という、外部の有識者の方に御参集いただきまして、供給ソースの多様化でございますとか、契約の監視といった制度導入を含みます各般の課題について検討をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。  また、原価計算そのものが問題ではないかという御指摘がございました。原価計算規則自体は学問的にも多くの検討を経てそれなりに確立されてきている基準だとは存じますけれども、おっしゃるとおり、その基礎となります数値につきましては、企業側からの信義則に基づきましていただいた資料で我々計算せざるを得ないという問題もございます。  したがいまして、計算のやり方そのものというよりは、その徴集いたします資料そのものの信憑性等々をいかにチェックするか、そしてそれを適切に計算していくかという点を検討していかなければならないというふうに思っておりまして、これにつきましても、先ほど申し上げました調査検討会の方で御議論をいただければというふうに思っているところでございます。
  124. 岩佐恵美

    岩佐恵美君 総務庁は九一年に防衛庁の調達補給業務について行政監察を行っているわけですけれども、前回の監察にもかかわらず今回このような重大事件が起こっているわけです。今指摘したような点も含めまして、不正の構図を断ち切るしっかりとした監察を行うべきだと思います。  先ほどの答弁でも、手続を含めてしっかりやっていきたいということでしたけれども、再度長官の御決意を伺いたいと思います。
  125. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) 先ほども申しましたように、従来の総務庁行政監察はコストの低減が十分に図られているかどうかという観点であったわけでございますので、それを今回は調達が公正に行われるようになっているのかどうか、あるいは透明に行われるようになっているのかどうかということを監察するということで視点を変えたわけでございます。  したがって、今不正なことが起きた、それを見つけられなかったのはどうかというと、ちょっとそれは違うことだろうと私は思うんですけれども、十分にあらゆる角度から監察が行われるように今後とも改善を図ってまいりたいと思います。
  126. 岩佐恵美

    岩佐恵美君 しっかりやっていただきたいと思います。  次に、仙台公聴会でもちょっと触れられましたダイオキシン問題に絞って伺いたいと思います。  まず、大阪府能勢町の豊能郡美化センターの焼却場周辺の土壌から最高八千五百ピコグラムのダイオキシンが検出をされましたけれども、その後の詳細な調査でこれまでの汚染レベルをはるかに超える重大問題であることが判明をいたしました。  厚生省のダイオキシン対策技術専門委員会調査結果によりますと、排出ガスの洗浄水で三百万ナノグラム、三百万ナノグラムというと本当にこの世界では驚くべき数字なのです。冷却水で十三万ナノグラムと超高濃度のダイオキシンが検出をされました。この高濃度の冷却水が開放型冷水塔から飛沫となって飛び散りまして、そして屋上のちりで七千ナノグラム、周辺の土壌で八千五百ピコグラムという汚染になったわけです。  ダイオキシンは、知られているように、ごく微量で環境や生物に影響を与える毒性があります。今回の高濃度汚染は恐るべき事態だと思います。ほかにも同様の汚染が生じる可能性がある施設が三十六あるといいますけれども、一体対応はどうなっているのでしょうか、お答えをいただきたいと思います。
  127. 小野昭雄

    政府委員小野昭雄君) 開放型の冷却塔を持っております施設は、今、先生指摘のように、三十六でございますが、ただ炉の型式、焼却の仕方その他は豊能郡の今回のセンターとは異なっております。  ただ、開放型の冷却塔から飛沫が飛散をする、それが影響を与えるかどうかという点につきましては、そのうちの三施設は一応比較検討のために調べております。非常に低い濃度でございましたけれども、これがそれに限られた施設の話なのか、それともほかの三十六施設に何か問題が起こっているのかいないのか、これは当然点検をしなければなりませんので、九月二十一日の専門委員会報告が出まして、直ちに三十六の施設を有します都道府県に対しまして冷却水等の調査をするように所要の指示をしたところでございます。
  128. 岩佐恵美

    岩佐恵美君 土壌の調査もやるというふうに聞いていますけれども、どうですか。
  129. 小野昭雄

    政府委員小野昭雄君) いわゆる施設内の土壌、すなわち飛散をして下へ落ちる可能性のあるところの土壌というものについてもサンプルをとるように指示をいたしております。
  130. 岩佐恵美

    岩佐恵美君 今回の事態は、たまたま昨年五月の排ガスの調査測定で高濃度のダイオキシンが検出をされ、運転を中止して周辺土壌を調査したために発覚をしたものです。  排ガスをはかるときに、この施設もそうだったんですが、いろいろと燃焼方法を操作するなどが行われる、いわゆるごまかしが可能なわけです。本来だったら、私は全国的に焼却炉周辺の施設内のダイオキシン濃度の測定をする必要があるというふうに思っております。ただ、厚生省は現在のところはやる気はないというふうに言っているわけですけれども、その辺のやりとり、ちょっと時間が限られておりますので、そういうことではなくてちゃんとやるべきだということを指摘して、次に産廃の問題について伺いたいというふうに思います。  今、悪質な産廃業者の違法な野焼き、これが依然として横行をいたしております。  埼玉県所沢市のくぬぎ山周辺でひどい産廃の野焼きが行われていまして、私は五月の末に現地に行きました。ある施設なんですけれども、何か鉄板で施設を囲っているんです。これは前に行ったときに見たんですが、五月の末に行ったときには鉄板で二重囲いになっているんですね。それでその中に焼却炉があるんですが、焼却炉の煙突から煙が出ているだけではなくて、二重囲いの中からもくもくと出ている。つまり、焼却炉で燃しているだけではなくて、その横のところで野焼きをしているに違いない事態を目撃して、そばまで私は行ったんですけれども、本当に真っ黒い排ガスがばあっと来まして、ハンカチで口を押さえても苦しいんですね。それで青くなって飛んで帰ってきたわけです。  そういう事態は別にここだけに限ったことではないと思います。全国に行きまして私はそういう訴えを聞くんですね。  このような悪質な施設には立入調査をする、ひどい場合には産業廃棄物処理業許可の取り消しを含む断固たる措置をとるべきだというふうに思いますけれども、この点どうでしょうか。
  131. 小野昭雄

    政府委員小野昭雄君) 産業廃棄物の焼却をいたします場合には、廃棄物処理法に基づきます処分基準によりまして、従来からこれは焼却設備を用いなければならないとされているわけでございます。  御指摘のような場合につきましては、野焼きを行っている業者につきましては、これは廃棄物処理法に基づく処分基準違反でございますので、このような場合には廃棄物処理法に基づきます都道府県知事改善命令の対象となります。また、改善命令を守らない場合は罰則といたしまして一年以下の懲役または三百万円以下の罰金の対象となるものでございます。  当然、都道府県の職員は産業廃棄物処理施設に対しましては立ち入り権を有しておりますし、それから先生指摘の今のくぬぎ山の周辺の住民の方につきましては、私も二、三回お話をお伺いいたしまして、実際に今御指摘のように黒煙が出ていると。黒煙が出ているというのはもうもともと焼却基準の違反でございますから、そういった場合には直ちに保健所に御連絡をいただければ保健所から職員が急行するということになりますということで、なかなか改正法の趣旨を御理解いただけない業者がいらっしゃることも事実でございますので、住民の皆さんへの御迷惑を考えますと、保健所に速やかに通報をお願いしますということを何回かお答えしたことを覚えております。
  132. 岩佐恵美

    岩佐恵美君 厚生省として予算的にヘリコプターで監視をする、そういう予算もつけているということを聞いておりますので、とにかくしっかりとやっていただきたい、住民の命と健康を守っていただきたいということを申し上げておきたいと思います。  次に、公正取引委員会に伺いたいと思うんですが、六月にダイオキシン測定価格の談合疑惑で石川島播磨重工業など二十数社に、そして今月の十七日には焼却炉建設の談合で三菱重工、石川島播磨、NKK、川崎重工、荏原製作所、タクマ、日立造船など大手プラントメーカー十数社に立入検査に入っているというふうに聞いていますけれども、概要説明いただきたいと思います。
  133. 平林英勝

    政府委員(平林英勝君) ただいま御指摘ございましたように、ダイオキシンの測定業務、それからごみ処理施設につきまして、それぞれ入札談合ということで独占禁止法違反の疑いで立入検査をしまして、現在関係者から事情聴取を行っているところでございまして、今後とも引き続き鋭意審査を進めていきたいと思いますけれども、その審査の詳細等につきましては、現在ただいま審査中ということでございますので、当面は御容赦いただきたいというふうに思います。
  134. 岩佐恵美

    岩佐恵美君 地方自治体の焼却施設建設の発注額は年間で三千五百億円に及ぶと、その九割を大手メーカー十一社が受注していると言われています。  埼玉県所沢市の市議会の厚生常任委員会報告書によりますと、西部清掃事業所の問題で市議会に呼ばれた荏原製作所の参考人が「ダイオキシンガイドラインや厚生省通達などは絶好のセールスチャンスです」と公然と答弁をしているわけです。しかも、二十七億円かけてつくった焼却炉の修理に十年間で二十億円もかかっている、そういうことが市議会で問題にされております。  石川島播磨、タクマ、これは建設談合と測定談合の両方にかかわっています。また、三菱重工、荏原、川崎重工、NKKは一〇〇%子会社が測定業務の疑惑にかかわっております。このような大手メーカーが焼却炉の施設建設で談合をやる、そして修繕については一手引き受けで大もうけをする、そしてダイオキシンが発生すればダイオキシン測定業務で価格の談合をする、本当にとんでもないことだと思います。ダイオキシン測定価格についての公正取引委員会の立入検査後に三割も測定価格が下がったというではありませんか。  国民の今、環境を守る仕事の分野でこのような理不尽なことは許されないことです。公正取引委員会として細部には触れられないというふうに言われましたけれども、いずれにしても徹底的に調査をして、そして断固とした処置をとるべきだというふうに思います。地方自治体住民の負担というのは大変なものなのですから、そこの立場に立ってきちっとやっていただきたいというふうに思いますが、どうでしょうか。
  135. 平林英勝

    政府委員(平林英勝君) 私ども、先ほど申し上げましたように、現在鋭意審査を進めているところでございますので、御指摘の点も踏まえて引き続き実態解明に努めたいというふうに考えております。
  136. 岩佐恵美

    岩佐恵美君 このようなことが起こる根本は一体何なのかということを考えてみますと、日本ではごみの発生をもとで抑えない、出たごみをどう処理するかということばかり考えているんですね。しかも、その処理をほとんど焼却に頼っている、こういう事態になっています。  日本の一般廃棄物の焼却率というのは七五%に及んでいます。例えばヨーロッパでは、フィンランドは二%、スペインは五%、イギリスは八%、オランダ一〇%、フランス一八%、ドイツ二〇%と低くなっています。日本では厚生省が焼却中心のごみ行政を行っている、そこに問題があると思います。ダイオキシン対策一つとってみても、まず大切なことあるいはやるべきことはダイオキシンの発生要因を取り除くことだと思うんです。専門家は塩化ビニールの焼却が原因だと指摘をしています。  私は各地を回って見て思うのですけれども、焼却管理をよくすること、塩ビを初めプラスチック類を燃さない、そういうことで百トン未満の炉でも、しかもかなり使い込んでいる古い炉でもダイオキシンの発生を抑えている自治体がかなりあります。  塩ビは使うべきではないというふうに思いますけれども、少なくとも使う場合にはごみの分別の段階で分けられるように表示をさせるべきだと思います。これは多くの消費者の希望でありますし、分別を行っている自治体でもそういう要望が強いわけでございます。  それと同時に、塩ビ業界は農業用ビニールシートを回収して無害化処理をしていると言っています。電線用のビニール被覆を含めて実態を把握して、全量回収するよう指導すべきだと思います。  これは通産省に伺いたいと思います。
  137. 河野博文

    政府委員(河野博文君) お答え申し上げます。  まず、表示の件でございます。  御案内のとおり、一般廃棄物の中で廃棄されておりますプラスチック類、その中で、塩ビも含まれるわけでございますけれども、包装容器が大宗を実は占めております。  そこで、塩化ビニールを含みますプラスチック製の包装容器につきましては、容器包装リサイクル法に基づきまして、平成十二年から再商品化が本格的に義務づけられることになっております。そこで、プラスチック容器包装の再商品化を進める観点から、材質の表示についてもどういつだやり方が可能だろうかということで検討をいたしているところでございます。ただし、御指摘のようなダイオキシン削減対策観点からどうかということになりますと、科学的な解明をまず行う必要があるという状況にあろうかと思っております。  また、業界によります回収でございますが、確かに、御指摘のとおり、農業用のビニールにつきましては五割程度の回収を目標にいたしまして、現在四五%程度の回収が業界によって自主的になされているという状況にあると思います。また、管、継ぎ手につきましても二〇〇〇年までに七〇%の目標を立てて回収努力をしているという状況でございます。  したがいまして、こういった努力につきましては、先ほど御紹介いたしました容器包装についての平成十二年以降の全面的な再商品化の円滑な運用、あるいは技術開発等によりましてより一層の回収が可能になるような措置をとること、また御指摘のありましたような業界の自主的な取り組みと連携をいたしまして塩化ビニールのリサイクルの促進に今後とも努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  138. 岩佐恵美

    岩佐恵美君 やればできるのですから、しっかりとやっていただきたいというふうに思います。  私は、九五年の容器リサイクル法の審議の際にも衆議院の連合審査でダイオキシン対策として塩ピにはマークをつけて徹底した分別収集を行って燃やさないことが重要だというふうに言いました。ところが、厚生省は通常家庭から排出されるプラスチックの組成でありますと塩化ビニールの混入も一定の率でありますので特段の支障は生じないと答弁をしました。通産省も、焼却しても現在環境基準は十分満足されているのでそこまでやる必要はない、そういう答弁をしたわけです。わずか二年後には焼却炉の高濃度ダイオキシン汚染が大問題になった。これはもう皆さん御案内のとおりであります。私はこの答弁というのは本当に無責任だというふうに思います。  塩ビ使用の問題について、業界サイドも化粧品業界あるいは家電業界、スーパー、コンビニ、そういうところで自主規制が始まっています。この間、JRの東日本では、切符にも塩ビが使用されているということで、これを取り除く検討が始められているということも報道されているわけです。  いずれにしても、ダイオキシン発生のリスクをできるだけ抑えるためにも消費者に情報を正しく伝える、あるいは分別収集できる、そういうことを促進していくべきだというふうに思います。  いろいろこの点でやりとりすると、厚生省は塩ビを焼却するということとダイオキシン発生とは直接的な因果関係がまだはっきりしていないので規制できないと言うんですけれども、しかし九五年の国会でのやりとりの二年後の事態を見てもらっても、放置すればするほど事態は深刻になるわけですから、やっぱり一日も早く手を打っていかなければいけないというふうに思うのです。  そこで総務庁長官に、とにかく今こういうことをめぐっていろいろとやりとりがあるわけですけれども、国としてきちんと表示をさせていく、そういう方向で取り組んでいただきたいというふうに思うんですね。  実は地方の条例でどうかということでいろいろ検討をしている向きもあるんですけれども、都道府県段階だったら何とかやれるかもしれないけれども、やっぱり市町村段階にいくと無理だというような考え方もあるわけですね。市町村になればなるほど小さな炉で建てかえができにくいというような状況にあるわけですから、事は非常に深刻なわけですね。  できれば分別収集して何とかダイオキシン発生のリスクを抑えたいというふうに思っているわけですから、この点、塩ビの表示ということに絞って最初に長官にちょっとお答えをいただきたいと思います。
  139. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) 総務庁としては、そういう表示をするということを、厚生省がそのような判断をするということになったとした場合に、それがきちんといっているかどうかということをチェックするようなことになるんだろうと思うんですね。  政策判断を、そうした方がいいということはあるいはあるのかもしれませんけれども、ちょっと今どこまでが総務庁の仕事の範囲でどこまでが厚生省のことなのか、ちょっとにわかに判断がつきません。どうも済みません。
  140. 岩佐恵美

    岩佐恵美君 何かよくわかりませんでしたけれども、あわせてちょっと最後に伺いたいんです。  今、ごみの処理についていえば、上手に燃やせば塩ビなどを投入しても大丈夫だ、そういう方向でやるのか、それとも原因物質を解明して徹底した分別収集を行ってダイオキシン発生のリスクを抑えていくのか、そういうことが問われているというふうに思います。  厚生省がやろうとしている方向というのは焼却施設建設中心で、巨額な税金をそこに投入する。先ほどいろいろ公正取引委員会との間でやりとりがありましたけれども、新たな利権を生み出して、そして大型施設を二十四時間稼働させる。そのために、これは大きな炉をつくったところで深刻な問題になっているんですが、ごみを集めてこなきゃいけない、こんな事態も生まれているんですね、かき集める。その結果、地球温暖化の原因である炭酸ガスの排出もふえてしまう。最悪の道を今歩んでいるわけですね。  だから、ごみの焼却を減らす、資源の効率的な活用を図る、ダイオキシンの発生を抑える、ドイツやオランダ、北欧などでは既にそういう資源循環型でやっているわけですから、日本もその方向を目指すべきだというふうに思います。  総務庁として二〇〇〇年に廃棄物リサイクルについての行政監察をする予定だというふうに伺っていますけれども、早急にこういう観点も踏まえてきちっと監察をしていっていただきたいということを申し上げたいと思います。
  141. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) かんで含めるようにお教えをいただきまして、今のお話をお聞きする限りはそのように思えますので、ぜひきちんと調査をして各省庁とも連絡をとってみたいと思います。  ありがとうございました。
  142. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 持ち時間が十六分ですから前後を省いて中身中心に聞くようになると思います。  防衛庁の調達本部のあの事件ですが、今、及川装備局長がおいでですが、防衛庁の調達本部と装備局長との関係というのはどうもよくわからぬのですね。もう調達本部長が全責任を持っているような記事がどんどん出ますが、この辺は一体どうなっているんですか。
  143. 及川耕造

    政府委員(及川耕造君) 調達実施本部は、先生指摘のとおり、大臣に直結する、言ってみれば陸幕、海幕、空幕がそれぞれ大臣に直結するような形であります機関と同列でございます。ただ、私どもいわゆる内局と申しますのは大臣を補佐してそれぞれの業務に携わるということになっております。そのうち装備局が調達実施本部に関することを扱う、こういうことになりますので連絡調整等を私どもが行う、こういうことだと思っております。
  144. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 及川装備局長はこの前まで通産省の総務審議官で、装備局長で行ったということを後で聞きまして、いい人物が行ったなと私は思っていたんですよ。そうしたら次から次に出だして、恐らくそこらも読んでやっぱりあなたに掃除をさせるために送り込んだんじゃないかな、そんな感じをちょっと私は、うがった感じかもしれないけれども、持ちました。及川装備局長は、大臣を支えてこの問題を徹底して明らかにすると同時に、今後こういう問題がもう内部から起きないように、そういう体制をぜひしいてもらいたいと思います。  先ほど行政監察局質問をずっと聞いておりまして、質問通告しておりませんが、特に電子部品に問題が、東洋通信機やあるいはニコーですか、出ておるんですが、これはどっちかというと陸上よりも航空とかあるいは艦船、こういうところに組み込まれた部品が多いんですか、どうなんですか。
  145. 及川耕造

    政府委員(及川耕造君) 東洋通信機の主たる、非常に大きな防衛庁との取引の項目は味方識別装置というもので、敵味方を識別するというものでございます。電波を発しまして、そして向こうがそれに応じなければ敵だというふうに判断をするというようなものでございます。おっしゃるとおり、通信・電子関係でございます。  したがいまして、確かに電子部品が多いということかと存じますけれども、これは必ずしも航空だけではございませんで、ヘリコプター等にも搭載いたしますので陸、海、それぞれに関係いたすかと思います。
  146. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 ちょうどこのころイージス艦、いろいろ議論があったんですが、非常に高い電子装備をするイージス艦、識別するときに一番たくさん使うんでしょうが、こんなところにも相当入っているんじゃないですか。
  147. 及川耕造

    政府委員(及川耕造君) イージス、私も細かい点まで全部承知いたしておりませんけれども、イージスそのもののシステムというのはアメリカから導入をいたしまして……
  148. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 部品は。
  149. 及川耕造

    政府委員(及川耕造君) 部品等も恐らく大半は官給品という形で買っておりますので、それはほとんどアメリカから買ってきたものをそのまま据えつけるという形が圧倒的に多いのではないかと思います。もしあれでしたら、また修正させていただきます。
  150. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 それはアメリカからライセンスを買うようになっておるけれども、恐らく部品は国内で調達をしているケースが多いんじゃないかと思うんです。一回調べていただきたいと思います。  それで、問題は行政監察局長、私は質問を聞いておりまして、陸上よりも海上と航空に部品はたくさん使っていると、だから関係していると。だから、あなた方は陸上を先に行政監察をやるのじゃなくて海上と航空にウエートを早くかけてやるべきだと、質問を聞いておりましてそう思ったんですよ。いかがですか。
  151. 東田親司

    政府委員東田親司君) もう一度整理して申し上げますと、今年度は調達実施本部がやっている調達プラス陸上自衛隊がやっている調達、この二つを対象にして予定しているわけです。それから、来年度は海上と航空というふうに予定しております。  先生おっしゃるのは、例えばイージス艦等の大きなものにつきましては中央の調達実施本部が調達している中に入ってくると思われます。使い先は海上とか航空とかがあると思いますけれども、調達する主体がだれかということで考えたときには調達実施本部が調達主体であると思いますので、私どもの今年度の調査対象に入ると考えております。
  152. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 わかりました。  それで、会計検査院やあるいは行政監察局というのは、私も決算委員会や何かずっと大分やってきまして、会計検査報告行政監察報告というのをいただくわけですね。  今回の事件の問題というのは、過去のことだから会計検査院も行政監察局も全く素通り、後は警察、検察にお任せと、こうなるのか、もう一回再度調査をして決算報告にこの部分は追加をして検査報告みたいなものを出すのかどうなのか、会計検査院から先にお尋ねします。
  153. 諸田敏朗

    説明員(諸田敏朗君) お答え申し上げます。  確かに、現在司法当局が捜査中でございますので、その結果を待つということが第一だと思いますけれども、その結果は結果といたしまして、私ども先生今御指摘のような検査報告に掲記するかどうか現在鋭意検討しているところでございます。
  154. 東田親司

    政府委員東田親司君) 私どもの行政監察の立場は、今回の事件そのものの捜査なり解明なりを目的とするものではなくて、今度のような事件が起こった背景に行政上の制度あるいは運営に問題があるのではないか、行政上是正すべき余地があるのではないかというところを改革したいと思って行政監察テーマに取り上げているわけでございます。  大臣から調達実施本部の部分について最優先でやるべしという御指示をいただきましたので、まずはそこに全精力を注いで改善すべき事項を掌握したいと考えております。
  155. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) 私もこちらに来ましてから知ったんですけれども、海上自衛隊と陸上自衛隊、それぞれがそこでやっているものは非常に金額的に小さなものをやっておって、金目のものは調達本部に集中をしておるということらしいので、今おっしゃっていることはおおむねその調達本部で調達をするものだというふうに思います。
  156. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 中身のことはちょっとわかりませんが、防衛装備品の契約については、調達実施本部の支部については原価監査課、それから本部には原価管理課あるいは監査室、だからそれぞれ海上の分は海上の分で、あるいは航空の分は航空の分で調達本部に来るまでにそれぞれチェックして、そして本部に上がってくるんじゃないですか。本部が丸々、関係なく調達するんですか。
  157. 及川耕造

    政府委員(及川耕造君) ざつくりした言い方で恐縮でございますけれども、金額の大きいものは陸海空を問わず調達実施本部が、中央調達と通称しておりますけれども、契約を含めて調達をするということでございます。ただ、どうしても現地でなければなかなか、例えば食料品なんかが最も典型的な例でございますけれども、各基地で調達しなければならないもの、あるいは修理等、そういったものは金額がかさんでも各幕あるいは各補給処等々で行うことはございますが、大きな装備品等の購入、あるいは大量に購入しなければならないものは陸海空を問わず直接調達実施本部が行っております。
  158. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 それで、本部で調達するということになると、一体どこで内部チェックをやるようになるんですか。
  159. 及川耕造

    政府委員(及川耕造君) おっしゃる点が今まで必ずしも十分ではなかったというのが今回の私どもの反省点ではないかというふうに思っております。  一つは、今申し上げましたように、確かに大きなところは調達実施本部で行うわけでございますけれども、他方、各自衛隊の基地等々で調達あるいは修理いたしておりますものも相当な額に上っておるわけでございまして、それらを全部まとめて一社当たりどの程度の工数かというのをマクロ的に把握しチェックするというような体制がなかったのは事実でございます。そういった点を今後改めていかなければならないというふうに思っております。
  160. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 大臣、行政監察局とかあるいは会計検査院とかに全部任せるんじゃなくて、それは建設省もそうでしょう、お金を使う部署については内部のチェック体制がありますね、この内部のチェック体制をしっかりやらなきゃ、幾ら外からやったって事後になることが多いわけですね。そこのところはやっぱり総務庁としてしっかりもう一回見直して指導すべきじゃないかと思うんですが、いかがですか。
  161. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) 今、梶原先生がおっしゃるとおりでありまして、内部にそういうチェックのシステムがなければ、外部だけでやるということであれば何倍もエネルギーがかかるわけでございますので、そういうことを留意して、そのような内部のチェック体制が有効に機能しているかどうかということを重点にやらせていただきたいと思っております。
  162. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 これは要望ですが、会計検査院、あなたたちは権威ある検査報告を総理にいつも報告しておりますが、防衛庁の問題は過去にさかのぼって特別検査報告かなんかでやってもらいたい、これは強く要望しておきます。いいですね。
  163. 諸田敏朗

    説明員(諸田敏朗君) 十分検討させていただきたいと思います。
  164. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 次に、警察庁、お見えですか。  前の國松警察庁長官が狙撃をされてもう何年になりますか。三年半、四年ぐらいになるんですか。大変な事件ですが、依然として撃った人がまだ逮捕されていない。大変なショックを受けました。私らもよくここで長官と質疑をやった経験があるんですが、警察庁長官といったら警察庁のトップなんですよね。  狙撃をされて、それがいまだそのままになっておるというのは、警察に対する国民の信頼感というか安心感というか、任せておけば大丈夫だと、こういうところから見ると大変私はゆゆしき国家的な問題だと思うんですが、一体どういうことになっておるのか、しっかりやっているのかどうなのか、いかがでしょうか。
  165. 伊達興治

    政府委員(伊達興治君) ただいま先生おっしゃいますとおりなんですけれども、この事件は治安に対する挑戦とも言うべき極めて重大な事件でありまして、何としてでも解決しなければならない、こういう決意のもとに現在警視庁において鋭意捜査を推進中であります。御指摘のように、事件発生以来三年半を経過しておりますが、いまだ解決に至っていないということはまことに遺憾と  いうところであります。  警視庁におきましては、現在、捜査体制をさらに再編強化しまして、これまでの捜査資料の見直しを行うとか、さらに新証拠の発見に向けまして地道な努力を続けているところでございまして、今後とも捜査の一層の推進を図っていかなければならない、こう考えておるところでございます。  また、全国警察におきましても、関連情報の収集に努めるのはもちろんのことでありますけれども、長官狙撃事件とオウム真理教との関係の解明を図るためにも、現在逃走中の三名のオウム真理教特別手配被疑者の検挙に全力を傾けて取り組んでいるところでございます。  冒頭申し上げましたとおり、発生後三年半を経過しながら解決していないということ、まことにじくじたるものがあるわけでありますけれども、警察としましては、この捜査を最優先課題の一つと受けとめまして、今後とも幅広い捜査を着実に推進して地道に一つ一つ証拠を積み重ねまして一日も早く犯人を検挙し、事件の全容解明に迫ってまいりたい、こう考えているところでございます。
  166. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 終わります。    〔委員長退席、理事大島慶久君着席〕
  167. 渡辺秀央

    渡辺秀央君 大臣、長時間どうも御苦労さまです。  時間の関係もありますから、余り重複しないように問題点を絞って、かつ先日の地方公聴会公述人の述べられた、先ほど御報告があった問題点の幾つかを抽出いたしまして、大体四、五点にわたって私自身の私見を述べながら見解をお聞きいたしてまいりたい、こう思います。  第一点は行政改革について、第二点は市町村合併統合について、三点目は地方公務員の定員管理、行革並びでありますが、四点目は休耕地市民農園などへの活用問題という問題について皆さんの見解をお聞きいたしたい、また私の考えを述べてみたいというふうに思います。二十四分の時間内でありますので、少しまとめて先に私の考え方を表明いたしながら問題点を申し述べたいと思います。  最初行政改革につきましては、先ほどの所信表明の中で行政改革を推進する強い決意が長官から述べられました。敬意を表します。  現在、中央省庁等改革基本法に基づいて、内閣に置かれた中央省庁等改革推進本部が、二〇〇一年一月一日の一府十二省体制発足に向け、来年春をめどに内閣法、国家行政組織法、各省設置法などの改定作業等を進めておられ、長官も副本部長として尽力しておられるという組織図になっております。  今回の省庁再編等が行政改革会議の最終報告の趣旨を踏まえたものであることは基本法の提出理由においても明らかにされておるところですが、ここではその最終報告の中でうたわれた「この国のかたち」、いわゆる再構築論に立ち戻って長官の行政改革推進に関する決意をひとつお伺いをしたいということであります。しかも、お聞きいたしますと、明日、省庁再編基本方針を閣議決定するという時点でもありますので、長官のお考えをお聞きしておきたい、こう思います。  行政改革会議における省庁再編論議の原点は、言うまでもなく、橋本総理が第二次内閣のときに総理大臣談話で述べたように、いわゆる時代の変化に柔軟に対応でき、複雑多岐にわたる行政課題に的確に対応できる体制に中央省庁を再編するということにあったと思われます。いわゆる時代に対応できる体制、ここが大事なところだろうと思うんですね。  行政改革会議の最終報告の中では「「この国かたち」の再構築を図るため、まず何よりも、肥大化し硬直化した政治組織を改革し、重要な国家機能を有効に遂行するにふさわしく、簡素・効率的・透明な政府実現する。」とあり、そのための改革を行う際には「われわれが特に留意しなければならないのは、国家百年の計に思いを致しながらも、常に時代の要請に機動的かつ弾力的に応え得る、柔軟な行政組織を編成することである。この国のわずか四半世紀の歴史が如実に物語るように、行政に求められる役割は時々刻々めまぐるしく変遷しており、半永久的な、堅牢な行政組織を構築することは、新たな硬直的行政を生ぜしめかねない。政策内容評価を行うがごとく、行政組織についても、不断の見直しを行い得るような仕組みを組み込むことが必要不可欠であろう。」と述べておられます。    〔理事大島慶久君退席、委員長着席〕  ちょっと引用が長くなって恐縮でしたが、大事なことなので、当然頭の中に入っておられると思いましたが、少し今までのことを振り返りながらちょっと申し上げてみました。  ここで私が強調したいのは、既に示された省庁再編の枠組みに固執する余り、国民の声あるいは情勢の変化を無視して、あるべき「この国のかたち」から離れた再編になるようなことがないようにしてほしいということであります。既に財政改革については深刻な経済状況を踏まえて、御存じのとおり、見直しされている現状である例もあるわけであります。  ここでは、基本法として承認した枠組みを抜本的に変えろと、そんなむちゃなことを私は言うつもりはありません。しかし、単なる看板のかけかえと言われるものにはしないよう十分に配慮していただき、特に今回の当委員会の名古屋地方公聴会でも公述人から、行政改革の推進を希望するが、旧内務省の復活のような事態を避けてほしいとの要望が出されたことは非常に注目をしなきゃならぬことだと思うわけであります。  例えば新設される国土交通省、ちょっと具体的に言って悪うございますが、別にこの省が悪いとか、あるいはそれを想定して言っているわけじゃないけれども、しかしそれは公述人のまた一つの懸念でもあったのであえて私はここではっきりと公述人のかわりに国民の声として申し上げたい、こう思うんです。国土交通省は、ある試算によると公共事業全体の八割、予算にして十兆円以上、人員五万一千人以上という超巨大な省になる。この批判に対して、本省とブロック単位地方整備局に分けるという内部組織改革による対応が予定されていますが、それでも一体として機能することには変わりはなく、公共事業のコントロールが一層困難になるという懸念が残ります。さっきも同僚議員が若干のことを質問し、建設省等も回答があったところであります。ほかに大蔵省の財政・金融の分離などなお解決済みとは言えない分野があり、法案化に際して十分配慮する必要があると思うのであります。  行政改革を側面から支える、あるいは副本部長としての長官にこういった問題点、これはもう絶えずこれから継続しながら、留意しながらこの行政改革をやっていくということであろうと思いますが、あえて新任長官の御決意を承っておきたい、こう思います。
  168. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) 渡辺委員にはかねがね御指導いただいておりまして、久しぶりに御尊顔をまた拝することができました。御指導をよろしくお願いいたしたいと思います。  今の委員の御質問になりました「この国のかたち」と題した行政改革会議の最終報告というのはまことに格調の高いものであって、そしてそれを極力反映するように基本法をつくって過ぐる通常国会で成立をいたしたわけでございます。そして、今おっしゃった行政に対するニーズといいますか、あるいは国民からの要請というのは時々刻々変わっていくわけであるので、それに対して臨機応変に対応する状態をつくっておくんだということは一つの大きな柱になっておると私も思います。  そして、じゃどうやってそれをするんだというときに、一つは省庁の大くくり化ということをやっておる。例えば、今御懸念の総務省のように三つの省庁を一つにしていく、あるいは国土交通省であればさらにそれよりも多いあるいは規模の大きい省庁を一つにまとめていくということになるわけでございます。それが一つのやり方であるというふうに基本法は主張をしておるわけでございます。  同時に、もう一つはいわば内閣総理大臣を中心とする内閣というものがみずからの意思を持って、当事者能力を持って全体を引っ張っていく、そして行政というのは結局はそこに内閣の顔のある、総理大臣なり閣僚なりが国民に対して責任を持って物事を進めていく中で、それに対して従たるものなんだから、したがって時代に即応していくというのはとりもなおさず内閣総理大臣及び内閣に対して力を集中していくことが時の流れに対してすぐに臨機応変に対応できることではないかというふうに言っておるように思えるわけでございます。  ですから、大きな官庁ができることの心配もしなければなりませんけれども、それよりも私は内閣機能の強化ということをもっと、議院内閣制でございますから、先生もかつてはそうでありましたし私も今そうでありますが、議院内閣制であって、国民の代表たる者が内閣総理大臣を選んで、そこが内閣を組織して、そこがスタートになって行政というものがスタートするんだというところをもっと徹底して進めていくことが先生の今の御懸念に対する答えにはなるのではないかと思っております。
  169. 渡辺秀央

    渡辺秀央君 ちょっと時間がなさ過ぎるので、いずれまたこの委員会でいろいろ意見を交わし合いたいと思います。  公聴会で出された二点目の意見の中に市町村合併についての意見がございました。あえて申し上げるならば、愛知県では三十年に一件も市町村合併がないということだそうです。国に推進を求める旨の要望が出された。この数カ月で国レベルでは市町村合併を図るべきという方針が明らかにされています。本年三月三十一日に閣議決定された「新・全国総合開発計画 二十一世紀のグランドデザイン」の中で市町村の合併推進が初めて掲げられ、四月二十四日には第二十五次地方制度調査会から市町村合併に関する答申が出され、五月二十九日に閣議決定された地方分権推進計画の中では地方分権の推進という総合的な施策一環として市町村合併の推進が位置づけられました。  地方分権が推進され地方の果たす役割が一層大きくなりつつある今日、市町村が合併により行財政基盤を強化し行政効率化を図るべきというのは、行革議論の中で私は最も大切な分野であるように思います。特に、不況の中で多くの企業が厳しいリストラを強いられている今日、また中央省庁も合理化、スリム化が推進されつつあることを考えると、市町村のみが無傷のままでいることは一体許されるのであろうかという、これは私自身も率直な実は疑問であります。  平成七年に合併促進法が改正されたにもかかわらず、それ以降合併の協議が進められているものは散見されるものの、全くもって三年間でわずか二件と聞いております。細かいデータを持っておりますが、時間がありませんので申しません。  まさに笛吹けど踊らずという状態で、自治省としては一体どのような対策を講じているのか、またどう考えているのか、これはまたいずれのときにか申しますが、いわゆる小選挙区制度導入するときの自治省の意欲というのは、言うならばこの小選挙区それぞれが行政区域としての方向性を将来目指してやっていくんだということを当時の自治省の幹部の諸君は言ったものであります。そういう観点からいたしまして、この問題はなおざりにできないのではないかなというふうに思っております。  その件についてまず先にお聞きいたします。簡潔にお願いします。
  170. 鈴木正明

    政府委員鈴木正明君) 市町村の行財政基盤の強化あるいは行政効率化を図るためには、市町村合併を推進することが重要であると考えております。  今お話に出ましたように、平成七年には合併特例法を改正いたしまして、住民発議によりまして合併が進められるような合併発議制度の創設、あるいは地方交付税の合併算定がえの拡充などを行ったところでございます。  地方制度調査会で行いましたアンケート、全国の市町村長さんあるいは議長さんを対象としたアンケートによりますと、三分の二の方がみずからの市町村合併検討が今後必要であるというふうに回答をされております  また、現在全国で十三地域で合併協議会が設置されておりまして、こうした動きがより活発になることが重要であると考えております。  今後、市町村合併をさらに推進するために、地方制度調査会の答申を踏まえまして、また閣議決定を見ました地方分権推進計画に基づきまして、自治省といたしましては、一つは合併の必要性やメリットなどに関する情報提供あるいは助言などを行うとともに、市町村合併の推進についての指針を示してまいりたいと考えております。  第二に、市町村合併の推進のための行財政両面からの方策を講じることといたしておりまして、必要な法律案を平成十一年の通常国会に提出することを予定いたしております。  さらに、市町村合併を推進する上では広域的な団体であります都道府県の役割地域の実情を踏まえてその役割を果たすということが重要であると考えておりまして、こうした観点から都道府県に積極的な対応を要請してまいることといたしております。  いずれにいたしましても、地方分権の成果を十分に上げるためには自主的な市町村合併を一層推進するということで、自治省としても積極的に支援してまいる所存でございます。
  171. 渡辺秀央

    渡辺秀央君 その自主的なというところが問題なんですよ。それは首長さんたちや議員の人たちが自主的になんということはなかなか容易ではない。私は住民が発議できるような、そういうことも考えていくべきじゃないかと。きょうは時間がありませんからより以上のことは申しません。  しかし、長官、いわゆる市町村合併、広域行政化は経費節減、能率向上という意味で国の行政改革にも資するものがあると思うんです。また、本当の行政改革というのは、私は地方市町村合併、いわゆる行政の簡素化あるいはまた地域における住民の経費の負担軽減・効率化等、いろいろあると思うんです。基本は本当はここなんですね。その件をどうぞひとつお考えの中でこれから、国、中央の統廃合もいいですけれども、地方に関してどういうふうなお考えを持っておられるか、自治大臣の分野かもわからぬが、しかし行革全体の副本部長として一言、一言でよろしい。
  172. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) 渡辺委員のおっしゃるとおりでありまして、行政の需要といいますか、行政を実際に実行するのは七割、八割地方でやることでございますから、行政の改革というのは結局は地方の第一線で行われなければ何もならないというか、そこが結論であるということはおっしゃるとおりであると思いますし、またお考えのことはよく踏まえてこれから取り組んでまいりたいと思います。
  173. 渡辺秀央

    渡辺秀央君 そこで、地方公聴会で出た問題として、一つは国家公務員は六十三年からまあ平坦にきているんだけれども、しかしそれから以後今日まで比べると、約五万二千人も地方公務員がふえているんです。これは少しおかしいのではないですかねということ、これに対して自治省はどういうふうに考えておられるか、一言でいいです。  そしてさらに、このことは少し本格的に取り組まないと余りにも野方図ではないかというふうに思いますよ。いかがでしょうか。
  174. 鈴木正明

    政府委員鈴木正明君) 定員の適正化については大変重要な課題であると、行革を進める場合の中心課題であるというふうに考えておりまして、スクラップ・アンド・ビルドの徹底を基本として取り組んでおります。  御指摘のように、六十三年からの十年におきましては、福祉の面、医療の面あるいは公共投資の増大ということで、それらの部門で増員を見ておりますが、税務、労働、農林水産関係では減少しているということでございます。  近年、この三年間ではこれまでの増加基調が減少に転じております。我々としてはそれをさらにその基調を強めてまいりたいと考えております。昨年の十一月に自治事務次官通知を出しまして、新たな地方行革に取り組むように指針を出しております。これに基づきまして数値目標を掲げまして行革大綱をつくり、また定員適正化計画をつくり、それに基づいて着実に実施していく、さらに目標を住民の方にも公表して進めていく、こういうことを要請いたしておりまして、私どもとしてもそれを積極的に支援してまいりたいと考えております。
  175. 渡辺秀央

    渡辺秀央君 私の感じだけ言っておきます。  実際に、この三年ぐらいは減っていても、総体的に五万人もふえている。自治省さんになぜこのことを私はあえて言うかというと、余りにもどんどんそうやってふやしている市町村の交付金などに関してはやっぱり厳正にしなきゃいかぬ、そういうことはあなたの役所はできるんだから、それが国民の立場に立ってやることです。そういう意味で、政治はあめとむちだ、行政だってそういう点は言えるわけです。どうぞその点を踏まえてこれからのことを気をつけていただきたい。非常に関心を持ってこれから見詰めていきたいと思っています。  最後に四点目として、時間がなくなって同僚議員に申しわけありませんが、高齢社会において老後の生きがい、これも公述人が申し述べられたんですが、老後の生きがいづくりは重要なテーマだと。年寄りが市民農園などに行って作業をする、楽しんで行くと非常に健康になる。ドイツに例があって、医療費が減ったというんですね。これは非常にいい発言をお聞きいたしましたので、このことについて私はちょっと申し述べてみたいと思うんです。  農林省、お見えでありますね。  全国一律三〇%の水田休耕地施策で国土保全、自然の美化は目を覆うようなものだと私は非常に慨嘆をいたしております。しかし、米がたくさんできることはよろしくないという国の方針のようだから、これはいずれ別のところでの議論になりますが、現実に休耕しているものに対して市民農園を普及させるというようなこと、あるいはまたこの休耕地を言うならば学校農園として文部省はどう考えるかというようなことをぜひ積極的に考えたらどうだろうかという感じがするんです。  時間がありませんから大ざっぱな言い方で大変恐縮ですが、しかしこれをやったときに一つの問題がある。それは、農地法の問題が一つありますし、休耕だからそこでもって土地を貸し付けるということによる借地料が入ってくる、それに対する農家の所得の問題として税の問題が出てくる、課税の問題が。そこまで考えてやらないと、これらのことは国土保全あるいは自然美化、自然保護というようなことになかなかなっていかないだろうというようなことから私は、国税だから税務署の関係、国税庁かなんか来ていると思うんですが、そういう意味では現実に借地公園をやっている地方自治体地方税は免税にしているところがある、国もそれぐらいのことをやったらどうですかということを申し.上げておきたい。  それからもう一つは、相続税は無税だけれども、しかし二十年以上やらないと税金を取るぞということになっていますから、こういうことについて、いわゆる国土利用ということを考えたら少し税に対するおもんばかりがあっていいのではないか、あるいはまたむしろそういう積極施策によりこういったことが普及されていく要因になりはしないかと。  税は公平なりと絶えず大蔵省の主税局は言ってきましたが、今や税は公平だという時代ではない、地域によって違ってもよろしい、あるいはまた時代によって変わってもいい、問題点によって違ってもいい、それぐらいの考えで国民からの税というのは、複雑多岐にわたる社会生活の中で、あるいは国民生活の中で一律課税対象、一律の税という問題について私は昔から疑問を持っていた一人です。そういう意味で、こういった問題ぐらいはせめて考えてやって、そしてこういう国土の問題についての、あるいは農政のある意味における失政の補いを国全体でやっていく、農家の人たちに対して安心した自分の財産保全も考えてやるというようなことがあっていいのではないかと思うんです。  ちょっと時間をオーバーしましたが、簡潔に感じだけ教えてください。
  176. 渡辺好明

    政府委員渡辺好明君) 先生の御見解、前半部分はそのとおりでございまして、遊休農地を市民農園あるいは学童農園の形で有効に使っていくということになりますと、都市と農村の交流あるいは都市住民農業者の交流ということを通じまして農業に対する理解あるいは地域の活性化ということにもつながります。  幸い、特定農地貸し付け法あるいは市民農園整備法という法律平成元年、二年と整備をされておりまして、市町村やあるいは農協が農業者から農地を借り受けまして、それを貸し出す、あるいは市民農園の形で整備をする、こういう事例が全国に二千弱ございます。私どもそのためのハードの整備あるいはソフト面での支援活動をしているところでございます。  それから、税制の面でありますけれども、これはやはり農業の継続という観点で、後継者もしくは自分の子供たちに農地を相続する、贈与する場合に、それぞれそれなりの税制措置が講じられております。これをうまく使うことで税制面でも恩典を受けられるという状況になっておりますので、この御活用を願いたいというふうに思っております。
  177. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) 建設省でございます。  都市公園の整備に当たりましては、先生御案内のとおり、第六次整備緊急七カ年計画で一生懸命都市公園の緊急計画的整備を行っているところでございます。今、農林省さんの方からございましたように、借地契約による公園整備につきましても従来から推進してきておるところでございまして、現在もう既に二千八百カ所ぐらい借地に基づいた公園をやっておるということがございます。そういう公園につきまして、一定期間以上のものにつきましては、施設整備費の助成でありますとか、先生の今御指摘のような相続税の減免でありますとか、そういう措置を講じているところでございます。  休耕地につきましても、市民農園等としての活用など、都市公園用地として利用することが適切であるものについては、私どもといたしましても、農林水産部局とも調整の上、積極的に活用していきたいというふうに考えておるところでございます。
  178. 銭谷眞美

    説明員銭谷眞美君) 先生指摘のように、農業体験などの自然体験学習を学校教育の場で行うということは、大変私ども教育的に意義のあるものと考えております。現在でも、小中高等学校におきまして、特別活動の勤労生産奉仕的行事という活動の中で、学校によりましては近隣の農家の田畑を借りて農業体験を行わせている例も見受けられるところでございます。今後とも、各学校がそれぞれの地域の特色を生かしました農業体験などの自然体験学習が活発に行われるよう指導してまいりたい、かように考えております。
  179. 渡辺秀央

    渡辺秀央君 ありがとうございました。
  180. 石井一二

    石井一二君 石井一二でございます。質問のラストバッターでございまして、皆さん方もいろいろ夜のお約束等があり、心ここにあらずの方もいらっしゃろうと思います。時間がずれ込んでおりますが、おしりを合わせて早く質問を終えたいと思います。  まず、総務庁は年金に関して行政監察を過去二回ほど最近行っておられますが、六月八日の監察を見ておりますと、高齢化社会に伴って年金受給者というものがどんどんふえておるが、しかし一方、少子社会という観点から年金納付者の減少という相反する困った現象が起こっております。そこへ加えて、本来年金を払うべき人の四分の一が払わない、滞納という状態になっておる、こういったことを踏まえて今後どうこういった問題に取り組んでいこうと思われるのか、背筋の寒くなるような話でありますが、長官の御所見をまず承りたいと思います。
  181. 太田誠一

    国務大臣太田誠一君) 石井委員の言われますとおりに、まさにこういう行政監察を行った結果、こんなに国民年金の未納者が多いということが確認をされたわけでありまして、まさに制度の空洞化が進みつつあるということであります。年金制度の存続そのものが危うくなっているということでございますので、これを放置しておくことはできないということで警告を発しているところでございます。  ぜひ厚生省の対処というものをエンカレッジしてまいりたいと思っております。
  182. 石井一二

    石井一二君 こういう悪い数字が出ている原因の一つに厚生省の体質、やり方にも問題があると、私はそのように思っております。例えば、二年間ほっておけば時効でもう払わなくてもいいという権利が出る。なぜ督促をして取り立てないのか。あるいはまた、学生もやがて年をとるわけですから入ってもらわにゃいかぬということですが、収入のない学生を野放しのままで対象者としておればますますこういった数字が悪くなる。考え方自体、また行い自体に問題がある。サボっておると言うとえらい怒られると思いますが、そういう面でちょっと厚生省のお考えを承りたいと思います。
  183. 川邊新

    政府委員(川邊新君) 前段の時効の関係でございます。  御指摘のとおり、ここ数年滞納処分ないしはその前提になります督促処分等を行っておりません。ただ、これにつきましては、御承知のとおり、国民年金制度は長い期間にわたって保険料を納付していただくということでございますので、何より重要なのは年金制度に対する理解を国民の皆様に深めていただく、そのための周知、広報の充実、あるいはできるだけ保険料を納めやすい環境をつくっていくというようなこと、そういう施策を私どもとしては重点的にやってきたところでございます。  それから、強制徴収そのものにつきましても、すべての者ということにはならないと思いますが、所得状況とか資産の保有状況、そういう滞納処分の対象者の選定ということにも困難があるということでございまして、結果的には滞納処分の実施についてはこれまで慎重になっていたというのが現状でございます。
  184. 石井一二

    石井一二君 今おっしゃったようなことを踏まえて、ひとつよろしく改善方についてもまたいろんな案も提起していただいて、我々も協力してまいりたい、そのように思います。  次に、会計検査院に一、二点お伺いをいたします。  昨今、防衛庁の背任問題等も起きまして、国民も暗い気持ちになっておりますが、会計検査院のやり方を見ておりますと、選択的検査対象あるいはまた必要的検査対象ということで、どうしてもやらなきゃいけない検査とやらなくてもいい、選択してやるというのがございます。例えば、選択的検査対象の中には五千四百十六件という多くの潜在的対象を抱えておる、こういった中で今後どのような方針でこういった特に選択的検査対象について取り組んでいこうとしておられるのか。どんどん行政中身は深くなり、また分野も拡大していくが、人数というものはリストラ的な考え方のもとにふやせない、こういう中で、今きょうここに来ておられる中の責任者の方、一番お偉い方、ひとつ決意のほどを述べていただきたいと思います。
  185. 白石博之

    説明員(白石博之君) お答え申し上げます。  会計検査院の検査につきましては、今、先生の御指摘にもございましたように、国の収入支出の決算を検査するほかに、法律で定める各種の会計経理を検査するということになっているわけでございますが、法律上必ず検査対象になっているといういわゆる必要的検査事項とこれに準ずるもの及び国の支出の検査の徹底のために手段となるものを必要に応じて検査できるようにしておくための選択的な検査事項というものがあるわけでございます。  それで、私どもといたしましては、この選択的な検査対象というものを検査するに当たりましては、本制度が国等に準ずるものについて検査を行うということでございますので、そういう趣旨を踏まえながら、財政援助や出資の目的及びその額など国の財政とのかかわりの程度、重要性等を勘案しながら検査を行ってまいっているわけでございますし、今後もそういうことで検査をしてまいりたいというふうに考えております。
  186. 石井一二

    石井一二君 まだまだ聞きたいことがありますが、本来終わるべき時間になっておりますので、これで終わりたいと思います。
  187. 続訓弘

    委員長(続訓弘君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後五時四十五分散会      ―――――・―――――    〔本号(その一)参照〕     ―――――――――――――    仙台地方公聴会速記録  期日 平成十年九月十七日(木曜日)  場所 仙台市 三井アーバンホテル仙台    派遣委員     団長 委員長      続  訓弘君        理 事      鈴木 正孝君        理 事      千葉 景子君                 木村  仁君                 山内 俊夫君                 櫻井  充君                 岩佐 恵美君                 高橋 令則君    公述人        宮城県商工会連        合会副会長    天野 忠正君        宮城農業協同        組合中央会副会        長        官澤 健一君        主婦連合会副会        長        勝又三千子君        宮城県政オン        ブズマン     林屋 禮二君     ―――――――――――――    〔午後一時開会】
  188. 続訓弘

    ○団長(続訓弘君) ただいまから参議院行政監視委員会仙台地方公聴会を開会いたします。  私は、本日の会議を主宰いたします行政監視委員長の続訓弘でございます。よろしくお願いいたします。  まず、私どもの派遣委員を御紹介いたします。  私の右隣から、自由民主党所属の鈴木正孝理事でございます。  同じく自由民主党所属の木村委員でございます。  同じく自由民主党所属の山内俊夫委員でございます。  次に、私の左隣から、民主党・新緑風会所属の千葉景子理事でございます。  同じく民主党・新緑風会所属の櫻井委員でございます。  日本共産党所属の岩佐恵美委員でございます。  自由党所属の高橋令則委員でございます。  次に、公述人の方々を御紹介申し上げます。  宮城商工会連合会会長の天野忠正さんでございます。  宮城農業協同組合中央会会長の官澤健一さんでございます。  主婦連合会会長の勝又三千子さんでございます。  宮城県政オンブズマンの林屋禮二さんでございます。  以上の四名の方々でございます。  さて、既に御承知のとおり、本委員会は、参議院改革の一環として、参議院に期待される行政監視機能を向上させるために、さきの常会から新たに設けられたものでございます。  本委員会に課せられております使命は、国権の最高機関である国会が、その機能を十分に発揮して、行政を恒常的に監視するということであります。  本日は、行政監視及び行政に対する苦情に関する実情調査に資するため、本委員会への期待と注文及び行政に対する意見要望について関係各界の皆様方から貴重な御意見を承るため、本公聴会を開会することとなった次第でございます。  この際、公述人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。  皆様方には、御多忙中のところ御出席をいただき、まことにありがとうございました。皆様から忌憚のない御意見を拝聴し、今後の調査の参考にしたいと存じております。  次に、会議の進め方について申し上げます。  まず、お一人十五分で順次御意見をお述べいただき、その後、委員質疑にお答えをいただきたいと存じます。  それでは、これより公述人の方々から順次御意見をお述べ願います。  御発言は御着席のままで結構でございます。  まず、天野公述人お願いいたします。
  189. 天野忠正

    公述人(天野忠正君) 参議院行政監視委員会の諸先生方、きょうは宮城県をお選びいただきまして、心から歓迎を申し上げます。  ただいま御指名ありました宮城商工会連合会会長で角田市商工会長の天野でございます。  御案内のとおり、私ども中小企業を取り巻く経済環境は、景気低迷が長期化し日々厳しさが増しており、特に本県内においては金融機関の経営破綻により倒産件数増加し、地域経済に及ぼす影響は極めて大きく、まさに未曾有の危機に直面しております。  政府は過去最大規模の総合経済対策実施しつつあるところでありますが、現下の逼迫した状況を一刻も早く打開するため、中小企業に対する次の三点について意見陳述をいたします。  第一点は、景気浮揚対策の早急なる実行であります。  今や、長期低迷を続ける景気早期に浮揚させることが現下の緊急かつ優先課題であります。中小企業にとりましては、物が売れない、工事等の受注がない状態が続き、もうリストラも限界に来ており、先行きの見通しが立たない状況まで追い込まれております。そのためにも早急な景気浮揚対策を実行いただき、地方経済に少しでも明るさが見られるようお願いをいたします。  また、地方中小企業資金調達が困難なため企業存続が難しい状況にありますので、民間金融機関の貸し渋り解消のための施策を講じていただき、早急なる実施をあわせてお願い申し上げるところでございます。  第二点は、創業・新分野進出対策であります。  中小企業は我が国産業に大きく貢献してきたところでございますが、しかしながら近年は、企業の開廃業率を見ると廃業する企業が多く、地域商工業者が年々減少傾向にあります。特に、小売業の廃業が年々増加傾向を示し、地方商店街は空洞化が進展し、町づくり地域活性化にも困難をきわめておる状況であります。  したがいまして、雇用の場の創出等地域に活力を与えることが多いことなどから、新規創業、新分野への進出等資金調達に苦慮している小規模事業者新規開業を志す者を広く支援するため、総合的にバックアップする創業支援施策お願い申し上げるところでございます。  第三点目は、中小企業指導団体に対する補助体系の見直しであります。  商工会等指導団体に対する補助金は、基本的に国二分の一、県二分の一という現行の補助体系を抜本的に見直し、万が一、県が予算化できなくても国の補助を可能としたり、または国が全額補助するなど、新たな補助の仕組みを構築することであります。  また、大規模の事業の実施等を可能とするため、複数年度にわたる事業実施を可能とする仕組みを新たに構築する必要もあります。  さらに、平成七年度から小規模事業指導費補助金は都道府県への一般財源化として補助されており、県の財政事情によっては従来のように国の中小企業対策が一律に指導できないような状況をかんがみると地域格差も出てくることも思料されることから、国として都道府県に対し中小企業対策について万全の強化指導を行っていただきたい。  また、本年成立いたしました大規模小売店舗立地法、中心市街地活性化法及び改正都市計画法のいわゆる町づくり三法について、実効ある施行が行われますよう市町村への指導体制づくりを行っていただきたい。  以上、三点を申し上げ、意見陳述を終わります。  ありがとうございました。
  190. 続訓弘

    ○団長(続訓弘君) ありがとうございました。  次に、官澤公述人お願いいたします。
  191. 官澤健一

    公述人(官澤健一君) JA宮城中央会の副会長をやっております官澤でございます。  第一次産業を代表いたしまして、農業部門、漁業部門、林業部門につきまして意見の開陳をさせていただきます。  最初に、農業部門が直面しております深刻な現象を御紹介申し上げておきたいと思います。これは、農業部門に限らず、第一次産業に共通して言えることだというふうに思います。  それは、新規学卒者農業就業が極端に少ないことであります。宮城県においても毎年三十三人前後しか就農者がいないという現実であります。この数字は、宮城県十万戸の農家が今後とも持続的に農業を続けていくためには毎年約二千五百人の新規就農者が必要でございますが、その必要な二千五百人に対しまして三十三人前後でございますので、わずか一・三三%であります。一般企業行政で毎年何十人、何百人と新卒者を採用し、事業なり業務の継続を図っておるのに対しまして、次の時代農業を担う後継者が必要な員数の一・三三%という数字は、このままでは農業部門の崩壊を意味しておるものであります。  それを如実にあらわしておるのが、農業就業者の急速な高齢化であります。農業就業人口の六十五歳以上の高齢化率は、一九八五年で二八・二%、一九九五年では実に四六・三%であります。多分、一九九八年、ことしの時点では五〇%を超えておるのではないかと思います。  最近発表になりました日本国人口の六十五歳以上の方々が二千万人を超えたと、比率にいたしまして一六・二%になったと報道されておりますが、一般企業で社員の半分が六十五歳以上なんてとても想像もできないというふうに思うわけでございます。しかし、それが農業部門では紛れもない現実なのであります。  このままでは日本農業が崩壊するのは火を見るよりも明らかであります。しかし、日本農業は、外国の農業と違って、食糧生産の役割だけではなく、国土保全、環境保全、文化の継承という大切な役割を担ってまいりましたが、二十一世紀は環境の時代とも言われており、農業役割を改めて見直さなければならない時代に入っておるだけに、農業の崩壊は即、日本国の土台を危うくするものであります。  先生方におかれましては、農業中心とした一次産業に若者が群がってくるような、そういう政策展開にお取り組みをいただきたいということをお願い申し上げ、同時に農林水産行政の諸施策をチェックしていただくようにぜひお願いを申し上げたいと思います。  前置きが少し長くなりましたが、農業団体では四点、森林団体関係では二点、漁業関係では三点、合計九点について意見を申し上げさせていただきます。  最初農業部門でございますが、二十一世紀に向けて農業がきちんとよみがえることができるように、現在答申されようとしております新たな農業基本法がその実効性を発揮できるよう、一つ一つの施策をチェックしていただき、若者が安心して農業分野に回帰してこられるようお願いを申し上げます。  第二点は、補助事業についてでございます。補助事業内容の簡素化と政策の早期提示についてお願いを申し上げます。  現在、一例を挙げますと、生産調整の手法として転作など七つの形態が示され、さらに各形態ごとにさまざまな要件が細かく規定されており、要件に合致すればおのおのの助成金を受け取ることができるということになっておりますが、この上にさらに団地形成など五種類の上積みの助成を行う等の仕組みになっておるわけでございます。これらに伴う事務処理は行政とともに長い間実施をしてまいったわけでございますが、その長い間の経験から、これはもっと簡素化できるのではなかろうか、簡素化することによってそういう事務にかかるコストの低減を図ることができるのではなかろうかということでございますので、補助金受領についての事務手続の簡素化をひとつお願い申し上げたい。  さらにはまた、今年度から新たな制度導入されましたが、国の要綱・要領の提示が大変遅いわけでございまして、末端での取り組みに大変支障を来しておるというような現状でございます。そのようなことでございますので、新たな要綱・要領の提示をできるだけ末端で余裕を持って検討できるような、そういう配慮をお願い申し上げたいということでございます。  さらに、生産調整の推進等における農協の役割、負担が非常にふえてきておるわけでございますので、これらのことについて何らかの助成措置を配慮していただきたいということでございます。  三番目に、米飯学校給食制度の維持発展についてでございます。  御承知のように、米飯の学校給食につきましては平成十一年度で補助金の打ち切りということが決定をされておるわけでございますが、やはり日本型の食生活の基本はあくまでも米飯でございます。そういうことでございますので、三つ子の魂百までという言葉があるわけでございますが、やはりそういう小さいときから御飯を食べるというようなことを習慣づけることがこれからの日本農業をきちんとしていくためにも大変大事なことであるというふうに思うわけでございますので、この学校の米飯給食については御一考をお願い申し上げたいということでございます。  四番目に、広域圏の行政施策の確立でございます。  これは、現在、農協がJAの組織改革ということで広域合併を進めておるわけでございます。宮城県につきましては十一の広域合併構想でございますが、そのうち八つの広城合併農協が誕生しておるということでございます。  その中で、農協が事業主体となって、国、県、市町村などから補助金を受けて建設しておるカントリーエレベーター利用でございます。これは、市町村では補助金を出しているので基本的には自分の町以外の農家の利用は好ましくないというような見解をとっておるわけでございますが、行政を超えて現在農協が広域合併をして一つの農協になっておるわけでございますので、その農協の中であるならば町村が違ってもカントリーエレベーター利用することができる、そういう行政的な対応をしていただきたいというふうに思うわけでございます。  次に、森林団体関係でありますが、このことにつきましては要望として二点ほど申し上げさせていただきます。  まず第一点目は、林野庁の予算が年々減少している中で、自治省財源による森林・山村対策国土保全対策として地方財政措置が充実されてまいっておりますが、林業行政面でそれが必ずしも十分に活用されておらない状況にあるわけでございますので、市町村等に対するそういう行政指導というものをぜひお願い申し上げたいわけでございます。  第二点目につきましては、林業と山村の活性化対策をなお一層充実していただきたいわけでございます。  近年、森林の有する国土保全、水資源の涵養や保健休養機能、さらには二酸化炭素固定など、さまざまな働きに対する国民の期待は年々大きな高まりを見せておるわけでございますが、これらの公益的機能を高度に発揮するために多様で質の高い森林の整備が強く求められておるわけでございます。  しかしながら、それを現実に支えておる林業、山村の現状は、木材価格の低迷、林業従事者の減少、高齢化に加え製品を中心とする外材の輸入増等で極めて厳しい状況にあるわけでございます。特に、極端な木材需要の低下により著しく林業収支を悪化させております。それで、関係する林業家あるいは関連産業は経営意欲を失い、林業生産活動に重大な支障を来しておるわけでございまして、山村の崩壊すら懸念されるなど危機的な様相にあります。  つきましては、森林を守りはぐくんでいる林業の振興と山村の活性化対策について、なお一層の充実を図っていただきたい点でございます。  以上、二点について林業団体からのお願いでございます。  最後に漁業団体でございますが、一つは水産業界の現在の最大の課題は総体的な魚価安でございます。  その原因は、景気の低迷もさることながら、需給の不均衡、すなわち無秩序な水産物の輸入増大にあります。特にマグロの価格の低迷はひどく、倒産、廃業が相次いでいるのが実態でございます。したがいまして、適正な自給率を確保するために、そして安定した魚価形成を図るために輸入量適正化を図る必要があります。  二番目には補助金制度でございます。  補助事業でございますが、これはややもすると、国の施策として講じられまして、実際事業をやる組織の意見というものがなかなか通らないというようなことで、その結果、むだな補助事業もあえてしなければならないというような傾向があるわけでございますので、補助事業につきましては、受益者の考え方、意見というものを最大限に取り入れて、ひとつ検討していただきたいということでございます。  三番目には輸入生食用カキ規制措置についてでございます。  今般、韓国産のカキがこれまでの加熱用に加えて生食用としても輸入が解禁されることになりました。それで、これまで衛生管理第一と考え、生産者みずからがつくり上げてきたいろいろな対策が崩れ、社会的にも問題が発生し、かつまた国内産カキも大きなダメージを受けることになります。よって、輸入生食用カキに対しても、国内食品衛生法の適用、あるいは業界が定めた規制を遵守するなど厳しく対処していただくようにお願いを申し上げたいと思います。  以上、第一次産業を代表いたしまして、九つの点について意見の開陳をさせていただきました。よろしくお願い申し上げます。
  192. 続訓弘

    ○団長(続訓弘君) ありがとうございました。  次に、勝又公述人お願いいたします。
  193. 勝又三千子

    公述人(勝又三千子君) きょうは、先に御礼を申し上げさせていただきます。わざわざ仙台までお出ましいただきまして私どもの声をお聞きいただくことに対し、大変感謝申し上げます。  それで、この参議院行政監視委員会というものがことしの初めからできましたということは、私は今回初めて知ったわけでございます。勉強不足といえばそれまででございますけれども、この監視委員会ができました経緯は事務局の方からたくさんの資料をちょうだいいたしまして見せていただきまして、私は本当にうれしいと思いました。  それは、やはり参議院の姿が、この五十年間、私ども国民にはなかなかわかりにくかったわけです。参議院は良識の府と言われながら衆議院と同じことをやっていらっしゃるのではないか、非常にそういう感じがいたしまして、私は身近なことにはなかなか感じられないでおりました。この資料を拝見いたしまして、オンブズマン的機能を備えたこの委員会を五十年の参議院の歴史の中から行政改革の一つとしておつくりいただいたということは、私ども国民にとりましては非常にうれしいことの一つでございます。  それで、実は、行政改革という美名のもとにいろいろな改革が行われておりますが、全部弱い国民の方にその改革のしわ寄せが来ているような感じがいたしますので、そういうことのないように、この監視委員会の皆様のお力をもちましてしっかりと監視をしていただきたいということでございます。そして、日本全国各地にこの委員の方たちがお回りくださいまして生の私どもの声をお聞きいただければ、ますます喜ばしいことだと思っております。  それでは、私の身の回りのことにつきまして、これからお願いを申し上げたいと思います。  実は、私ども主婦連合会を初めとしましていろいろな消費者団体が今取り組んでおります問題は、消費者契約法の中間発表がこの間ございました。釈迦に説法で、皆様はもうすっかり御存じだと思いますけれども、この契約法の中間発表を拝見いたしますと、やはりいろいろな懸念される問題点があります。例えば、消費者の自己責任ということが非常に言われておりますが、消費者というのは情報が不足ですし、それから力も企業と比べれば非常に少ないわけでございます。それで、対等な立場でこの契約法という法律の網をかぶせていただきまして、いろいろ対処していただくような法案にしていただきたいのです。  企業の方たちとお話をいたしますと、例えば訪問販売法とか、そういういろいろな個別の法律があるのでもうこういう契約法は必要ではないのではないかという声が出てまいります。やはり企業の方たちは頭がいいものですから、私ども消費者が知らないでおりますうちに次々と新しい商法をお考えになって、そしてその業界法と業界法のすき間をうまくすり抜けてうまい御商売をなさる、そこに無知な私ども消費者がひっかかるというようなことが出ております。どうぞこの法律の不備な点をよく御検討くださいまして、そして早期法制化をお願いしたいと思っているわけです。  中間発表を見ますと、いつでも私ども考えるわけでございますけれども、例えばセールストークとか広告の内容とか、それから親切ごかしにいろいろ私どもに勧めてくださるテクニック、その辺は法律には何かかかわりを持たないような、取り消しの原因にはならないようなことになっておりますが、そういうふうな誘いの段階から法律をかぶせていただけるならばよろしいのではないかと思っております。  それから、契約の内容適正化ということ、これも私は解約のできる一つの要因にしていただきたい。例えば、極端に小さな字で、わかりにくい言葉で書いてあるということは、それを読み分ける力がない方もいらっしゃいますので、その辺まで不正があった場合には網をかけられる。  それで、ここに出ておりますのは、例えばブラックリスト、グレーリストというのがあるんですが、そのあれもまだはっきりしておりませんし、ブラックとグレーの違い、その辺もよく国民にわかるような法律にしていただければ、これは弱い人たちが皆使う法律でございますので、できればつくる初めからそのようにしていただければと思います。  次は、成年後見制度についてちょっと意見を述べさせていただきたいんです。  これも皆様もう御存じだと思いますけれども、平成十二年の介護保険と同時に出発するわけでございますが、介護保険の陰に隠れておりまして、この成年後見制度という実態がなかなか私どもにははっきりと見えてこないということがございます。難しい制度でございますけれども、現制度の例えば禁治産とか準禁治産という言葉もおかしいんですけれども、これが全部戸籍に載りまして、そして親類縁者すべて公報に載って全部知られるという人権無視のような状態でございますが、これを改正するときにそういうような現在のいろいろな欠点をなくしていただきたい。  それから、任意後見という制度もぜひつくっていただきたいということです。これも出ておりますけれども、任意後見といいますのは、私どもの頭が碓かなうちに後見を決めるということでございます。今、ひとり暮らしとか結婚をしない人とか子供がいない人とか、いろいろな方たちがいらっしゃいます。そういう方が自分の後見を決めておいて、老後のためにそれを生かしたいというようなことでございます。それはぜひ取り入れていただきたい。それから、その後見人の後見をする方、弁護士さんでもいいですし、いろいろな社会福祉関係の方でもよろしいのですけれども、その後見をする人の後見をしていただかないと、財産問題とかいろいろなことで弊害が出てくるのではないかという話が出ております。  その次に、順序不同でございますが、税金の使い方の監視。  この監視委員会というお名前のとおりに、先ほども産業界の方から縦割り行政のいろいろ補助金のむだとかいうお話が出ましたけれども、皆様のお仕事の中に含まれております公務員の不祥事の防止ということ、この公務員イコール税金の、まあ一つのそれを使うというような役職でございますけれども、私どもは非常にまじめに働いてみんな一生懸命税金を納めているわけでございます。それで、その税金の使い方はいろいろあるんでしょうけれども、悪いところだけがピックアップされて出てまいりますと、非常にがっかりして、それが政治不信につながるというようなことになっております。それから、平成元年でしたでしょうか、消費税導入するときに不公平税制の見直しというようなうたい文句がございましたけれども、不公平税制がどのくらい見直されたかということも私どもにはわかってまいりません。  今現在、金融機関への税金の使い方とか、国有林野とか旧国鉄の債務とか、緊急に税金を大量に導入することが目の前にあるわけでございます。そういう税金の使い道がたくさんあるときにこんなことを申し上げるのも何ですが、実は、景気浮揚というお話が先ほどございましたけれども、私は景気浮揚をするためには消費税は三%にしていただきたいと思うんです。全部なくすというわけにはいかないと思うんですが、どうして三%にできないのか。  所得税とかいろいろな税金を安くするとか払い戻しをするとか、いろいろなことを今政府はやっていただいておりますけれども、この不況のときに三%にしていただくということが私どもの懐に直接に見えるわけでございます。すると、たんす預金をしないで皆買い物にこのお金を使おうと、安直なことでございますけれども、そのように私どもが思うのではないか。これは肌で実感することでございます。所得税が安くなりましても、これは振り込みとか何かですから余り実感としては受けとめ得ないということでございますので、どうぞこの辺もよろしくお願いしたいと思います。  その次に、情報公開法と個人情報のプライバシー保護ということでございます。  情報公開法は継続審議になっておりますが、また内閣がかわったりしますと廃案になりますね。これはぜひ早急に通していただきたいということです。なぜかといいますと、金融不祥事情報が流れてこないために全然私ども国民の目には見えてこないということで、つぶれそうだからとかどうとかで急に公金を入れるというような話になりますと、国民はなかなか納得できないわけです。情報をぜひ早急に公開していただきたい、公開法をつくっていただきたいということ。  それと同時に、個人情報が流れております。私どもが全然知らないところから私ども国民のプライバシーが流れているという現象があらわれております。インターネットとかいろいろ言われまして、ますますいろんなものに利用されるということがございますので、個人情報保護ということも力を入れていただきたいと思います。  それで、その情報公開法が成立するために、主婦連では八月二十五日に要望書を国会に提出してあります。これは、知る権利の保障とか行政の監視を、大変おこがましいことでございますが、私ども国民行政の監視、それから行政参加できるという意識を持つためにも、このような制度を早く通していただきたいというのがお願いでございます。  その次に、公的介護保険の運用に消費者の意見の反映をということでお願いを申し上げたいんです。  三百の政省令が出まして、今いろいろな県、各市町村でその公的介護保険の運用の細部を詰めているところでございます。宮城県でも実態調査をなさった結果がこの間出ておりましたけれども、県北では公的機関を余り利用したくないという方がたくさんいらしたそうでございます。公的介護保険では、六段階に分けられましてその介護の方法が決まるわけでございますけれども、各地方色を持たせていただきたいわけですね。全部国で枠をはめるのではなくて、各県、各市町村の実態に合ったような介護保険の姿を出していただきたいということがお願いでございます。  それから、四十歳からこの介護保険をいや応なく掛けさせられるということでございますけれども、四十歳以上の方でも、決められた病気がいろいろございますが、その病気以外に、例えばお産をした後の何日間の介護とか、それから急なけがの介護とか、そういうものもある程度お決めいただければ若い方も喜んで介護保険を掛けていただけるのではないか、年寄りにばかり使うということは何か若い方に申しわけないということも私どもでは話が出ております。  それから、農水産物等すべての食品の安全対策についてでございます。  宮城県と仙台市に対して食品安全行政充実強化を求める請願書というのを出しまして採択されたのでございますけれども、非常に私どもが今心配しておりますのは、化学物質が多くなりまして海や川や湖が汚染されているわけです。魚とか農産物とか、すべてそういうもので汚染をされているということで、この間の報道によりますと、通産省が化学物質排出量報告義務づけを企業に対して法制化する方針だということを知りました。環境汚染物質排出・移動登録制度というのだそうでございます。環境庁も同じような法案を考えていらっしゃるということですけれども、やはり早期にこれを実現して法制化していただきたい。この地球がというか、日本の近海とか周辺が非常に汚染されている。ダイオキシンとか、そのほか環境ホルモンとか言われておりますけれども、そういう不安を住民は非常に持っております。  それからもう一つは、男女共同参画社会づくりでございます。  労基法が改正されまして、来年に向けまして男女共同参画の基本法案というのが通るそうでございますけれども、これは法律が通りましてもその実態が伴わないとかいろいろな問題がございます。ですから、これは法律をつくって後がだめということではなくて、いろいろお力添えいただきたいということでございます。  公的住宅の増設、これはそのままお願いしたいと思います。高齢者とか障害者ケアつき住宅、日本は豊かな国と言われておりますけれども、非常に住宅面はおくれているわけでございます。先ほども話したように、ひとり暮らしの人とか障害者、そういう方に貸してくださる家はないわけでございますので、公的なものをぜひ増設していただければということでございます。  それからもう一点、学校教育に消費者問題を定着させていただきたい。  政府文部省がこの消費者教育に大変熱心に向かっていただいておりますけれども、現場の先生方はそのようではございません。私どもも副読本というのを、実は消費者のことにつきまして数年前にそれで話し合ったことがありますけれども、現場の先生は本立てに立てておくだけということで実際にそれをお使いになってはいないように、一部でございますけれども、お見受けいたしました。入学の厳しさとかということもあるかもしれませんけれども、やはり小さいときから契約する厳しさ、いろいろ契約法にもございますけれども、国民生活センターでは七六%ぐらい昨年度契約上の被害が出ております。若い人が多いわけですので、そういう方にはやはり消費者のいろんな契約の問題、そういうことを教えていただければと思います。
  194. 続訓弘

    ○団長(続訓弘君) ありがとうございました。  次に、林屋公述人お願いいたします。
  195. 林屋禮二

    公述人(林屋禮二君) 宮城県政オンブズマンの林屋でございます。  私の場合は、前の方々と違って、国政への意見要望ではなくて、宮城県の県政オンブズマン制度概要について話をするようにというお話でございますので、その点から申し上げます。  宮城県の県政オンブズマン制度というのは平成八年十一月に導入いたしました。これは、前の知事の汚職に始まりまして、官官接待、空出張といろいろ不祥事が続きましたので、県政刷新一環ということでオンブズマン制度宮城県が導入したわけであります。  オンブズマンは二人でありまして。私のほかに日向さんという、今、仙台家庭裁判所の調停委員などをしておられる女性の方がもう一人おられます。二人でありますけれども、単独制でありまして、一人で事件を担当する。宮城県の県庁の一階にオンブズマン相談室というのを設けております。  このオンブズマンは、例えば川崎市のような場合には条例でつくられているのでありますけれども、宮城県の揚合には県の要綱、行政機関のルールである要綱でつくっております。これは、県政刷新の対応を早くしなければならないという事情がありまして、条例へ持っていきますと時間がかかりますので要綱でつくったというふうに聞いております。そのために、条例ではないだけに、私どものオンブズマンの権限は幾らか制限されております。  条例でつくったような場合には、県で申しますと県政監視機能というのがあります。ですから、私どもがいろいろ新聞などを見ておりまして、これはおかしいぞと考えたようなところは直接調査に入るというようなことが県政監視機能があればできるわけでありますけれども、それは今の宮城県政オンブズマンにはありません  じゃ、どういうことをするかと申しますと、お手元に差し上げてあります資料の「県政オンブズマン制度機能」というところに書いてございますが、まず一つは県民のための利益救済機能というのであります。  これは、県民の方が、自分の権利や利益を県の行政行為によって侵害されたというふうに考える場合に、その救済をオンブズマンのところに申し立ててくる、こういうことになります。申し立てがありますと、オンブズマンは、その申立人の方からよく事情を聞く、それと同時に県の担当者、それからその担当の課の課長補佐とか課長を呼びまして事情を聴取するわけであります。場合によりますと、やっぱり現場に行って見てくるということが非常に重要でありますので、私どもとしましては煩をいとわず現場に行って調査をするようにいたします。その上で、県民が申し立てているような県の行政行為に適正でない点があったかどうか、それを判断するわけでありますが、その判断をする場合には、私どもは県民の立場に十分考慮いたしまして、しかも公平な見地から判断をする、こういうふうにしております。  その判断の結果として、県の行政行為が適正でなかったというふうに考えますときには、県に対して直すように是正の申し入れをいたします。もし県がその是正の申し入れに従わないときには、オンブズマンとしては、この場合はこのようにすべきであるという勧告知事に対していたします。オンブズマンから勧告があったときには県は最大限の尊重をしなければならない、こういうことになっております。  そこで、お手元に差し上げております資料でありますが、「宮城県政オンブズマン制度概要」というのを差し上げてございます。オンブズマン制度についてのポイントはそこに書いてあります。  二つ目に、「宮城県政オンブズマンの相談状況について」というのを差し上げておりますが、これはできました平成八年十一月からことしの八月末までの相談状況についての数であります。  これについてちょっと御説明いたしますと、「苦情」という欄があって、その一番端の小計、それの一番下に六百三十五という数字が出ております。これは、平成八年十一月から平成十年八月まで、一年十ヵ月の間に県民の方から寄せられた苦情の総数が六百三十五件ということです。  その左の方に「相談(b)」で対象内、対象外とありますが、オンブズマンが扱えることと扱えないことがありますので、扱えることが対象内、扱えないのが対象外、そう考えていただいて結構であります。対象内のことでありましても、相談をしてそれでいいと言って県民の方が帰られる場合があります。それが百五十六とあります。そうではなくて、やはり苦情申立書をきちんと出すということで、それを受け付けたのが百七十件でおります。  そのわきに(57)という数字が出ておりますが、これは、宮城県も広いわけでありますからみんなが苦情を県庁のオンブズマン相談室まで持ってくるというのは大変でありますので、宮城県では大河原とか古川とか築館、迫、石巻、気仙沼、そういった六ヵ所の合同庁舎に県政オンブズマン地方相談員というのを設けておりまして、そういう人たちがその近くの人たちの申し立てを受け付けるというシステムをとっております。そういうような地方相談員を経由して私どものオンブズマンのところへ来たのが五十七件であります。これは百七十件の内数であります。  そういうことで、苦情申立書を受け付けたのは百七十件、それでことしの八月までに処理が完了したのは百四十八件でありますので、八七%ぐらいの処理率であります。  その百四十八件のうちで、オンブズマンが調査をして、それで申立人へ通知、回答をしたというのが九十六件。これは県の問題だと、例えば県道の問題だということで持ち出されたんですけれども、調べていきましたらこれは町道の問題だ、あるいは市道の問題だというようなことでオンブズマンとして処理ができないものもあるわけでありまして、結局オンブズマンとして調査して回答したのは九十六件。その九十六件のうちで申立人の意向に全部沿ったというのが三十件、それから申立人の意向に一部沿ったというのが二十三件でありますから、合計いたしますと五十三件であります。九十六件の中で五十三件は申立人の意向に全部あるいは一部沿っている、すなわち五五%ぐらい、半分以上は申立人の意向に沿った回答になっております。  先ほど申しましたように、もしオンブズマンが県に是正を申し入れて県が従わなければ勧告ということになるわけであります。この五十三件というのは県の方の行為が適正でなかったということですから、オンブズマンは県に対して是正を申し入れているわけでありますが、現在のところ、オンブズマンの申し入れには県は全部従っております。ですから、勧告の例は今のところ一件もない、こういう状況であります。  オンブズマン制度ができる前にも、もちろん県民の方は県の行為について問題があると考えたときには不服を述べていくことはできたわけでありますけれども、そういう場合にはやっぱり県はあくまでも県の立場でまた判断をいたしますから、恐らくこういう五五%までの県民の不服が認められるということはなかっただろうと。そういう点から考えますと、オンブズマン制度ができたということで県民の利益の救済にはかなり役立っているのではなかろうか、こんなふうに思っておるわけでございます。それが第一の県民のための利益救済機能。  それからもう一つは、県民のための県政改善機能であります。  これは、例えばAさんから問題が持ち出された、それで調査して調べてみたらやっぱり問題がある、しかしこれはAさんだけの問題じゃなくてBさんあるいはCさんについても同じく問題になる、こういうような場合には制度を改める必要があるわけでありまして、そういうときにはオンブズマンが意見の表明を知事に対してすることができるようになっております。オンブズマンから意見表明が出たときには県はそれを最大限尊重しなければならない、こういうことであります。  それで、意見表明としましては、ことしの五月に公共事業・土地収用について意見表明をいたしました。それはお手元に差し上げてあります三番目の資料でありますが、「公共事業・土地収用をめぐる問題」。これは、一年半ちょっとやってみまして、県民の方からの苦情申し立ての中で公共事業に関する、特に土地収用に関するものが多かったものですから、それでこの際ひとつ意見表明をしておこうというふうに考えたわけであります。  ここで書きましたのは、例えば公共事業で道路をつくる場合、道路計画に当たったところの土地を持っている人あるいは建物を持っている人は動かなければならないわけでありますが、そういう場合にどうも県の人たちは、土木関係の人も県民のことを考えて注意しながらやっているようでありますけれども、なおかつやはりいろんな苦情が来る。それはどこにあるのか。  それは憲法二十九条と関係するわけでありますが、憲法二十九条では第一項で国民の財産権の保障を定めております。財産権を尊重しなければいけない。しかし、近代の初めのように所有権絶対ということでありますと、いろんな公共事業もできなくなります。そこで二項で所有権者であっても公共事業のために協力しなければいけないという規定がある。どうもその二項のことが非常に県庁職員の頭にありまして、県民というのは当然公共の事業に協力すべきだという考え方が出てくる。その財産権の尊重ということ。  それからもう一つ、公共事業に協力する場合にも、今住んでいるところを移すということはもう県民にとっては大変なことであります。新しい土地を探し新しい建物を探し、また今住んでいる家を新しいところへ移す、これはもう大変な作業で、それぞれ仕事などを持っている上にそれをしなきゃならなくなる。そうなりますと、道路ができれば大勢の人は便利になりますけれども、何人かの人が犠牲にならなければなりません。だから、そういう人たちのために憲法二十九条三項は正当な補償をするようにと言っているわけでありますが、どうも一項と三項が必ずしも十分に県庁職員の態度に出てこないものですから、いろいろトラブルが県民との間で起こる。  だから、やっぱり憲法二十九条全体の構造をきちんと頭の中に入れて、そして県民の立場に立って、みんなのために動く人の不利益を考えて、親身になって県民のために県庁職員は考えて対応しなきゃいけないんじゃないかという総論的なことを書いて、そして、今まで問題が出てまいりました十近くの事柄を、だからこういうふうにすべきだということをここで言っているわけであります。  私どもの県政オンブズマンの公式の機能は、そういった県民のための利益救済機能と、それから県民のための県政改善機能でありますが、そのほかに隠れた機能というものを幾つか申し上げることができると思います。  まず第一は、県職員への意識改善機能であります。  さっき申しましたが、申立人から申し立てがありますと、私どもは県職員を呼びまして話を聞くわけでありますけれども、どうも聞いておりまして役人意識の強い人がいる場合がある。そういうときには、私などはすぐに地方政治のあり方について話をするわけであります。  国の政治は民主主義で、国民国民による国民のための政治として行われる。それと同じで、地方政治も県民県民による県民のための政治として行われるのである。県民のというのは県民地方政治のあり方についての最終決定権者だということだと。しかし、県民が全部地方政治に関与するわけにいきませんから、代表者を選んで県議会でもっていろんなルールをつくる、これが県民によるという意味であります。  そして、そこの議会でつくられたルールに従って県の政治が行われる。その県の政治を行うために職員が県に雇われる。それはどういうことで雇われるのかというと、県民のための政治をするために雇われるんだと。だから、県の職員は県民のための政治をするために雇われているんだということを常に念頭に置かなきゃいけない。  では、県民のための政治というのはどういうふうにするかといえば、これは県民に親切に、そしていろんな場合に自分の目の前にいる県民が、自分がもしその立場にいたら何をしてほしいと思うかということを常に念頭に置きながら、しかも全体の奉仕者でありますから、その角度から考えて判断していく必要があるんだ、こういうふうに言うわけであります。  私どもは、そういう県職員の個別的な意識改善ということが大事だと思ってやっておるわけでありますが、同時に県も今非常に職員の意識改革の必要性を感じております。それで、私どもが一番県民と接触しておりますので、その体験を通じて県職員あり方について話をしてほしいということをいろいろ県が言ってきます。  それで、昨年の春は知事、副知事以下部長クラスの二十何人にそういう職員のあり方について話をいたしました。それから夏には、主幹クラスの人、二百人ぐらいでありますが、県の職員研修センターがありますので、そこでオンブズマンが二人で話をしました。それから冬には、六ヵ所に所長クラスの会議がありますけれども、そこでもまた話をするようにということでいたしました。オンブズマンの体験からいろいろ県職員あり方について話をしております。  そういうオンブズマンがいるということで、ほかの方から伺いますと、やはり県職員の間にかなり県庁の中で緊張維持機能が果たされていると。何かあればすぐオンブズマンのところへ来ますから、それでオンブズマンがすぐ対応しますので、何かあると大変だということで、かなり緊張維持の働きはしているということであります。  それから次に私ども考えておりますのは、県職員への情報伝達機能ということでありますが、これはオンブズマンのできることとできないことがあります。できないことの場合でも、そういう情報だけは県に流しておくということをしております。  例えば、こういう場合がありました。公立病院の正門の前にバス停があるんです。そこでもって病院の患者さんたちはおりて病院へ行くわけです。ところが、五、六分あるんですね。近所の人たちが、患者さんたちが夏はバス停でもってみんな座り込んでいる、それから雨の日は傘を差して困っている、だから何とかバス停の上に屋根をつけてあげられないだろうか、そういう申し立てがありました。しかし、これは県民が自分の権利、利益を県の行政行為によって侵害されているという場合ではありませんので、オンブズマンとしては扱えない。  しかし、これは県の方へ流そうということで情報を流しておいたわけであります。そうしたら、それを見た県の職員が何とかしてあげようということで、すぐに県の病院管理課だとか、それから病院、さらにバス会社と話をしてくれまして、結局そのバス停にバスがとまってから、今度は病院の正門の中へ入って本館まで行って、本館の前にバス停をつくって、患者さんたちが乗りおりできるようになった。それでまた正門を出てもとのルートに戻る、去年十月から新しいルートができたわけであります。  こういうようなことは、オンブズマンが投げたボールをうまく県の職員がキャッチしてくれまして、連係プレーでオンブズマンのできないことをしてくれたという例であります。  県庁の中にも、県民のための政治をしなきゃいけないということを随分考えている職員もいますし、さっき申しましたように、県職員意識改善もいろいろ図ってきておりますので、この連係がうまくいくようになりますと地方政治もよくなる、県職員県民のためにやってくれれば県民と県との間のトラブルも少なくなる、すなわちオンブズマンが本来しなければならないような権利、利益の救済機能についても予防的な働きをすることになるだろうと。ですから、そういう意味で私どもは隠れた機能も重要だというふうに思ってしておるわけでございます。  ちょっと時間を超えておりますが、参議院行政監視委員会の方への注文というのもございましたので項目だけ申し上げますと、せっかくこういう行政監視委員会というのができましたので、これが大いに利用されるようになることを私も望みたいと思います。その場合に、請願ということになりますと、これは国会法との関係参議院議員二人の推薦とかいうようなことがあるようでございますが、なかなか参議院議員の方を二人探すというのも大変なことで、使われるためにはひとつ簡易な申し立て方法ができるといいのではないかと。  それから二番目には、国家公務員に対する意識改善、後でいろいろ送っていただいた情報によりますと、国家公務員による不祥事再発防止に関する決議というようなものをしておられます。これは大変結構なことだと思いますので、この線でひとついっていただきたい。  それから同時に、参議院行政監視委員会をステップにして国のオンブズマン制度の方へ結びつけていただけるとありがたい。御存じのように、スウェーデンから北欧、そして西ヨーロッパ、北米、さらにアジア太平洋圏と国のオンブズマン制度が発展しておりますけれども、日本にはないわけでありますから、ぜひこれもひとつつくるように、参議院行政監視委員会がステップになって発展するようなことになれば大変結構だと、そんなふうに思っております。  ちょっと時間を超過して、失礼いたしました。
  196. 続訓弘

    ○団長(続訓弘君) ありがとうございました。  以上で公述人の方々の御意見の陳述は終わりました。  それでは、これより公述人に対する質疑を行います。  質疑のある方は、挙手の上、団長の指名を待って御発言を願います。  なお、質疑及び御答弁は御着席のままで結構でございます。
  197. 鈴木正孝

    鈴木正孝君 自由民主党の鈴木でございます。  きょうは本当にお忙しいところ、こうして公述ということで地方公聴会においでをいただいて貴重な御意見を拝聴いたしまして、大変ありがたく、心から感謝申し上げたいと思います。  私は最初に手を挙げさせていただいたわけでございますが、先ほど来、中小企業あるいは農業関係、また主婦あるいは消費者の立場で、そしてまた学識経験豊かなオンブズマンの立場でということで、いろいろと大変貴重な御意見を拝聴したわけでございます。今の社会状況を大勢の方が非常に心配もし苦労もし、そしてまた悩んでもおられる景気関係に絡みまして、先ほどもお話ございましたけれども、貸し渋りというような状況、言ってみますと東北最大の都市周辺でどういう実情なのかなというようなこと、昨年の拓銀の破綻以来、この東北・北海道方面、大変苦労されているということはよく承知しておりますけれども、最近の特にその辺の状況をお聞かせいただければと思います。  中小企業信用保険法の改正、無担保無保証あるいは有保証人というような形で一生懸命政府の方も頑張っておるし、近々衆議院の方で実質的な審議というような形になりつつあるわけでございますが、その辺を天野公述人からちょっと状況を具体的にお聞かせいただければありがたいし、また創業、開業の対策に対しての税制的なあるいは補助的な措置を含めまして、大変大事なことだというふうに思いますし、私も先般予算委員会でそのような話も通産大臣といろいろとやりとりをいたしましたけれども、その辺の具体的な知恵をお聞かせいただければ大変ありがたいというように思います。  それと、官澤公述人農業就業者の数が非常に少なくなっているということで大変御心配をされておるわけです。これも私どもよくその実情というものはわかるような気もいたします。自給率を上げる、そのための目標値の設定のあり方など今真剣に議論をしているところでもあるわけでございますが、少子・高齢化という状況を考えてみますと、若い人たちだけではなくて、ある程度熟年世代といいましょうか、そういう方々へのアプローチということもまた現実問題として大事なことかなというような気もいたします。そんな中での御意見をいただければありがたいというふうに思います。  そしてまた、勝又公述人から消費税のお話が出ましたけれども、この五%問題、非常にいろんな意見があることはよくわかります。天野公述人、そしてまた官澤公述人に、中小企業あるいは農業関係分野から幅広く見ましたときに、五%という問題を生活感覚としてどのようにお感じになっておられるのか。五%は高い、三%あるいは半分のニ・五%、そういうようなことも選択肢としてあるのではないかというような、そういうお考えがひょっとしてあるのかもしれませんし、その辺の生の感覚を聞かせていただければ大変ありがたいというように思います。  ちょっと長目の質問でございますけれども、よろしくお願いをいたしたいと思います。
  198. 天野忠正

    公述人(天野忠正君) 景気浮揚対策でございますが、先ほど陳述をいたしましたとおり、第二次基準の徳陽さんが経営破綻というふうなことで、数字がここに出ているわけでございますが、徳陽絡みじゃなくてここのピーク時は七月が一番多かったわけでございます。東北全体では倒産が一八六%でございます。それから宮城県につきましては一六八・二%、これは全国平均の一二八・五%から見るとこの東北、宮城は大分高い数値になっております。八月に入りまして沈静化いたしまして、前年同月対比、宮城の場合は八九・五、東北六県では八八・二というふうな数字になっております。  それから、徳陽絡みでございますが、これから大分そういうふうな倒産件数が出てくるであろうという予測はしております。これは五月二十五日から九月二日まででございますが、徳陽関連で十一件の倒産がございます。業種別では建設関連業が十件、それから水産業が一件、負債額が百八十六億というふうな数字でございます。これは一企業当たり十六億九千七百万という中堅どころの企業が倒産しているわけでございます。これで終わればいいんですが、これから先もっともっとそういう心配が出ているわけでございます。東北六県と比較して宮城は比較的低いのでございますが、数字の方は東北全体の二分の一を占めているというのが実情でございます。  それから、創業・新分野進出対策でございますが、政府の方からもいろいろと御配慮はいただいておるのでございますが、微々たる研修費で終わってしまうということなものですから、もう少し創業支援策につきましてはお力をかしていただければと。特に新規開業を志す者については、よその国では、財産もなし力もなし、ただその新規事業につきまして前途有望であるというふうなことであればどんどん、お金も貸すのだそうでございますが、日本はまだそこまで行っていないようでございますので、その辺もひとつ御配慮いただければと、こんなふうに思っているところでございます。  それから、消費税の五%から三%につきましては、消費の低迷が続いておりますので、この辺で三%にしていただければ大変売り上げにもプラス要因が出てくるのではないかなと、率直にこんなふうに感じておるところでございます。  以上です。
  199. 官澤健一

    公述人(官澤健一君) ただいま鈴木理事さんの方からお話があったとおりでございまして、今までの日本農業の基本は家族複合経営の農業形態だったわけですね。そういう意味で、必ずしも若い人たちだけだということじゃなくて、年配の方々もその体力に合わせたやり方で農業分野に取り組んでいただくということは非常に結構なことだと思うんです。ただ、現在想像以上に本当に極端に新規学卒者農業就業が少なくなってきておるというようなことでございますので、基本的には若い方々が農業について希望を持って将来自分の仕事、職業としてやっていけるだけの魅力のある農業がやれるような、そういう土台をつくり上げていくのが先決ではなかろうかというふうに思います。  それから、御承知のように日本農業は大変零細経営の農業なんですね。全国平均で一戸平均一ヘクタールということでございますので、大体七〇%近い方々が第二種兼業農家ということで、いわゆる専業農家は一六%前後だというふうに言われておるだけに、その農家の大部分の方々が二種兼業であるということを考えた場合、今までやられておる農業経営のあり方、仕組み、これがそのままでいいのかどうかという、そういう視点に立ってこれからの日本農業の再構築を図っていかなければならないのではなかろうかということでございます。  実は、十年以上前に宮城県の中央会の方で集落農業構想というのを出したわけなんです。これは、一戸一戸の農家は本当に零細で、しかも個々の農家が大農機具を持つというような非常にコストの悪い農業をやっておったわけで、それを個々に持つのじゃなくて、集落単位にお互いにそれぞれの分野で分担して農業経営をやろうというようなことで、県の方からも助成金とかそのほかいろいろな御協力をいただきながら構想を展開したわけなんですが、なかなかそれがうまく乗ってこなかったというようなことでございます。しかし、日本農業の将来を考えた場合に、やはり集落農業的なそういう視点で新しい農業の再構築をやっていかなければならないのではなかろうかというふうに思っております。  幸い、ことし東北経済連合会で東北農業の再構築に向けてというようなことで提言をしていただいたわけなんです。その内容は、先ほど申し上げました集落農業的なものでございますが、地域農業という視点でそういう形態をそれぞれの地域でつくってやっていくというようなことで、いわゆる土地所有と土地利用を区分しながら、土地を出し合って稲作は稲作、花は花、野菜は野菜というふうに地域を決めて、そしてその地域単位農業経営をやっていったらどうだというような提言などを受けておるわけでございます。私もやっぱりその方向以外に日本農業の残れる道はないのではなかろうか、そういうことを感じさせられております。  以上です。
  200. 鈴木正孝

    鈴木正孝君 消費税の五%の農業団体から見たところの感覚をちょっとお話しいただけますか。
  201. 官澤健一

    公述人(官澤健一君) これは、個人的にも買い物をして五%取られるというのはどうも抵抗を感ずるわけです。これは昔のようにないにこしたことはないのではなかろうかというふうに思います。消費税を安くすることによって消費意欲というのは出てくるのじゃないかというような、そういう感じはします。何か税金を払うごとにぶつぶつ政府に悪口を言いたくなるというような感じです。
  202. 千葉景子

    千葉景子君 きょうは、それぞれの公述人の皆様に大変貴重なお話を伺わせていただきまして、ありがとうございます。  何点かこの機会にぜひ御意見を聞かせていただければ、また私たちの議論の参考にもさせていただけるかと思いますので、よろしくお願いをしたいと思います。  まず、天野公述人と官澤公述人にちょっと御意見をお尋ねしたいと思いますが、先ほどの最初の御意見の中で、それぞれ補助金の問題に触れておられました。多少それぞれニュアンスが違われるのかなという感じがいたしておりますけれども、天野公述人の方でも、中小企業に対する補助金が非常に地域格差などが出てくるのではないか、これについてきちっとした指導をというようなお話もございました。それから官澤公述人の方からは、今度は逆なのかもしれませんけれども、非常に体系や交付のあり方が複雑であること、あるいはちょっとむだなこともやられているのではないかという御指摘などもございました。  全体として、税金を効率的に使っていく、むだなくという意味ではどうでしょうか、補助金のあり方のようなものに何か御意見がございましたらそれぞれお聞かせをいただきたいというふうに思います。  それから勝又公述人、女性あるいは消費者ということで、それぞれの問題に私も共鳴をさせていただいたり、あるいは一つ一つの課題で何日もまた御意見をお聞かせいただきたいというような問題がたくさんございますが、きょうはせっかくですので……。  今、男女共同参画の社会づくりというのが進められております。これは本当に一省庁あるいは一議会あるいは一分野ということではなくて、社会全体のことであろうかというふうに思っているんです。  例えば、国の制度として基本法策定の動きもございますが、なかなか地城の中でもあるいはそれぞれの分野の中でもこの男女共同参画への流れというのはいろいろと障壁もあろうかというふうに思うんです。それぞれの分野で女性も男性と一緒に責任を持って活躍をしていくという方向づくりには勝又公述人のこれまでの御経験からどんな仕組みなり取り組みが必要か、お考えがございましたらお聞かせいただきたいと思います。  林屋公述人にも大変貴重な御意見をいただきました。この行政監視委員会がオンブズマンのような一定の機能を果たせるかどうかというのはこれから大変責任が重いところでございますが、ひとつこれまでのお取り組みの中からオンブズマン制度宮城県としての何か限界とか悩みとか、あるいは今後の課題のようなものがございましたらお聞かせいただきたいというふうに思います。  それと、国にもオンブズマンをというお話でございましたが、オンブズマン制度というのがすべてを網羅するものでもないのかなという気もいたしますが、国にはオンブズマンも含めて、行政をチェックしたりするために仕組みが幾つかやっぱり必要であろうかというふうに思うんですが、そんなところに御意見がございましたらお聞かせいただきたいというふうに思います。  それぞれよろしくお願いいたします。
  203. 天野忠正

    公述人(天野忠正君) 県連会長が今回所用で出られなくて私が代理で出させていただいたんですが、商工会の役員というのは大変勉強不足なもので、先ほど朗読したところをひとつかいつまんでもう一回朗読させていただきます。  商工会等指導団体に対する補助金は、基本的に国二分の一、県二分の一という現行の補助体系を抜本的に見直し、万が一、県が予算化できなくとも国の補助を可能としたり、または国が全額を補助するなど新たな補助の仕組みを構築することであります。  また、大規模の事業の実施等を可能とするため、複数年度にわたる事業実施を可能とする仕組みを新たに構築する必要もあります。  さらに、平成七年度から小規模事業指導費補助金は、都道府県への一般財源化として補助されることとなり、県の財政事情によっては従来のように国の中小企業対策が一律に指導できないような状況もかんがみると地域格差も出てくることも思料されることから、国として都道府県に対し中小企業対策について万全の強化指導お願い申し上げたいというふうなことで、宮城県はそういうことはないのでございますが、よその県ではぽつぽつそういったことがあるやに聞いております。
  204. 官澤健一

    公述人(官澤健一君) 補助金のことなんですが、二つございまして、一つは、これは税金を補助金という形でいただくわけですから、やはりきちっとしたそういう書類を作成しなければならないということはわかるわけなんですが、ただどうもその書類が非常に複雑で煩雑であるというのが現場の方々の偽らざる声なんです。もう少し簡単にわかりやすい形での書類の作成ができないものだろうかということなんです。  特に、最近の米関係、いろんな形で生産調整に絡んだ補助金などがあるわけなんですが、非常に理解するのに大変だというような話が聞こえてくるわけで、そういう点、何か補助金をごまかすとかなんとかということのないような形で簡易な書類作成で済むのならそれにこしたことがないということなんです。  特に、農協の営農指導員は、そういう生産調整に絡む補助金関係に仕事の大部分をとられて、本当の肝心かなめの営農指導に当たる時間が少なくなってきているというような話があるので、そういう面で書類関係の煩雑さ、複雑さ、そういうものを検討していただければということが一つです。  それからもう一つは、特にいろいろな事業をやるとき、受益者が本当に必要なものだけで済むんだったら自己負担も少なくて済むんですが、ややともするとセットという形で、こういう事業についてはこれとセットですよというようなことになりますと余り必要としないものまで導入するという、そういうむだなんですね。  ですから、そういう補助事業については、受益者が本当に必要なもの、受益者の声を聞きながらその補助事業内容について決定できるなら非常によろしいのではなかろうかというふうに思っております。
  205. 勝又三千子

    公述人(勝又三千子君) 私どもの会で、男女共同参画社会の実現を目指してということで、主婦連だよりというのを毎月出しておりまして、女性の委員の方はごらんになっていただいたことがあると思うんですが、男女平等基本条例とか基本法、今、主婦会館の理事長をしております中村紀伊というのがおりますが、それが入りましていろいろその基本法をつくることにも参加させていただいて意見を出させていただいているんです。  この主婦連だよりでまとめたのがここにございますが、国に対しては、法制上とか人の配置、それから財政、そういう措置を国の責務としてきっちり明確にしていただきたい、女性の問題に関して。それから推進体制、各省にまたがる女性の施策とか法案の総合調整、それから勧告ができるようにする。それから、女性にかかわり深い法律とか施策内容について意見を言うことができる、一般の女性が。それからオンブズパーソンを置く。  そういうようなことで、いろいろ女性は妊娠とか子育てとかがございますので、そういうことに対しまして、やはりそのことが今、女性の肩にかかる率が多いということで、妊娠、育児のあたり、その辺で非常に女性が社会参加しにくいという現実でございます。ですから、そういう施策のビジョンといいますか、そういうものを殊に女性議員の方たちがお示しいただけますと私ども勇気づけられるのではないかと。  実は、主婦連合会じゃなくて、私、「政治を考える女性の会」というのもやっておりますが、そこで仙台市と宮城県の女性が審議会に参画している数のおおよそをちょっと調べたことがございます。今きちっとした数字はちょっとございませんけれども、一〇%前後だったと思います。  それで、市の御当局とお話ししましたら、来年、再来年あたりまでに二〇%ぐらいにしたいと。県では三〇%にしたいという目標をお立てになりまして、宮城県の場合は、公募をいたしまして、教育をしていただきまして、その中から女性の審議委員をつくるというような方向で行っておりますけれども、私どもが調べると、女性が参加して意見を申し述べることができて行政を動かしていくことができるということは、やはりそういう委員になることがまず第一歩、自分たちに力をつけることが一番大切ですけれども。  そういう委員を選ぶということは、やはり何々の長とか行政の女性の管理職、そういうような方とか、いろいろ各町内とかそういうようなところの指導者とか、そういう方たちから選ぶわけです。県も市も女性の管理者が非常にふえてまいりましたけれども、まだまだ数が足りないということがございますね。きょうお見えの議員さんも女性の数が少ないということでございますけれども、何か政府の方も野田聖子さんという方お一人だけということでございますね、大臣が。  やはりどう見ても女性が少ないということになりますと、今、男性は非常にいい女性向けの施策もしてくださいますし、立派なことをおっしゃっていただくんですけれども、やはり女性は女性の肌で感じた意見が一番だと思うんですね。男性の目から見たのとは全然違うということでございますので、女性の国会議員に頑張っていただきたいということがまずこの男女共同参画の社会をつくる上では一番大事ではないか、そういうふうに思っておりますので、よろしくお願いいたします。
  206. 林屋禮二

    公述人(林屋禮二君) 県政オンブズマンの今までの限界、悩みとか今後の課題でありますが、まだ宮城県の県政オンブズマンは、さっき申しましたように、平成八年の十一月からでありまして、第一期も終わっていないというできたてなわけであります。それから、県のレベルでは沖縄が一番最初でありまして、宮城県は二番目なんですね。それから高知県があって、今、北海道がつくろうとしておりますが、何せいろいろな要旨をつくるということから挑戦しなければならなかったわけでありまして、今のところは与えられた仕事をする上でどうしたらいいかということでそれほど限界とか悩みというものまでは感じておりません。  ただ、限界があっても、できるだけ背伸びをしてやっていこう、やれることを少しでも関係づけられるならそれを進めていこうということで割と積極的に乗り越えていきたいと思っているわけです。  それで、これからの課題でありますが、先ほど申しましたように、宮城県の県政オンブズマンは要綱でつくられております。これは、先ほどから申しておりますように、県民県民による県民のための政治という観点からいいますと、やはり県民の意向をきちんと反映するオンブズマン制度にしていきたい。それではどうするか。それはもう条例によってつくるようにしていく。最初につくるときにはどんなものができるかわかりませんから、まず要綱でつくってみて、そしてこんなことをやっているということを県民の方に見ていただいて、それならこうしようというようなことを判断していく上でも要綱でつくったということにも一つの意味があるだろうと思いますので、さらに条例でこれをバックアップするようにしていきたい。特に、沖縄も要綱でありますし、それから宮城県も要綱だというようなことで、どうも行政の面を見ておりますといろんなものをモデルにしてどんどんつくっていくんです。このままでいきますと要綱でみんなつくるようなことになっても困る。  市の方は川崎市が最初オンブズマン制度をつくりました。これはかなりきちんとしたものをつくっているんです。条例でつくっている。そうすると市の方は割と条例でいっているんです。だから、それだけに県の方もきちんと条例でもってオンブズマン制度をつくっていくようにしたいと思っておりますので、そういうことが今後の課題の一つになるだろうと。  それから、先ほど申しましたように、条例との関係もあるわけでありますけれども、宮城県の県政オンブズマン制度県政監視機能を持っておりません。ですから、これも県民の皆さんが判断をして、そして条例の中に反映していただくわけでありますけれども、県政監視機能をやっぱり持つべきだということであれば、これは持っていくことが必要だろうと。  オンブズマン制度というのは、やってみまして、これはかなり意義のあるもののように思うのであります。例えば、県庁の中の常識というようなものを、私が県庁の一階に行ってみてまずびっくりしたのは、申立人から申し立てがあると今まで県がその申立人にどういうふうな対応をしていたか、いろんな調書が来るわけです。そのときに、例えば県民コウノタロウというふうにいいますと、コウノタロウ何々についての件というようにコウノタロウと呼び捨てなんです。これはやっぱり県民、すなわち主権者、政治の最終決定権者である県民を呼び捨てにするというのは非常に問題だろうと我々なんかすぐ思ったわけであります。  そのときに、東京都はまだオンブズマン制度はありませんけれども、東京都の職員の人たちがオンブズマン的なこともやっていまして、宮城県にオンブズマンができたからということですぐ調べに来ました。それで、ちょうど来たものですから、東京都では都民を呼び捨てにしているんですかと聞きましたら、やっぱり東京都でもそういうことを問題に考えて、それで政治の最終決定権者、主権者である都民を呼び捨てにするのおかしいという意見が出てきて、最近ではコウノタロウさんというようにさんづけをするようにしていますと言っておりました。  こういう意識、今までは当たり前になっているんです、コウノタロウと。やっぱり権力意識が非常に強い。それが高圧的、威圧的な態度に出て、そして県民との間のトラブルも起こったりする。ですから、あるところにいるともう平気になっている、それを市民感覚でもって入っていって、いろいろこれはおかしいんじゃないかというようなことを言う立場のものができるということは、特に国民のための政治あるいは県民のための政治というのをしていく上では必要だろうと。そういう意味オンブズマン制度というのは、やってみてこれは意義のあることではないかと。ですから、私は、都道府県四十七、それから政令指定都市にはやはり地方自治体のオンブズマンというものをつくっていくことが日本の地方政治を本当に民主化する上で必要じゃないかと。  私も、さっき県民県民による県民のための政治ということを申しましたけれども、そういう言葉が一体どの程度今まで使われているのかなと思ってみたんですけれども、余りないんです。人民の人民による人民のための政治、国民国民による国民のための政治、それはもちろんあるんですけれども、県民県民による県民のための政治というような言葉が余りないんです。これは本来ならば地方自治法の第一条にそれが書かれていなければならなかったことだと。それが書かれていない。どうも今まで余り県民県民による県民のための政治という意識が薄かった。それで今まで自治体の中で職員に対して県民や市民たちが反感を持っていた。そこへ今回のような官官接待、空出張というようなものが起こったものですから、今は一気に不信感が蔓延しているわけです。だから、その不信感に対して自治体の方はきちんと信頼を回復しなければならない。  そういったことのためにもこのオンブズマン制度というのは必要ではないかというふうに思っておりますので、そういう充実を今後宮城県だけの問題としてではなくて日本の地方自治体の問題としてこれから考えていくべきだろうと。そういうことで、オンブズマンが今できているところなんかでも、これから協議会みたいなものをつくってお互いに切磋琢磨していく、いろんな問題、各地で共通のことがたくさんあるわけでありますから、そういうこともしていこうというふうに思っております。  そしてさらに、先ほどもお話にありました国のオンブズマン、こういうものができればいいと思いますが、これも今の我々の県のレベルでのオンブズマン、これが国のオンブズマンの方へ拡大していくというような形で考えられるのではなかろうかと。ですから、その意味では国政監視機能を持つ、それから国民が国の行政機関によって権利、利益を侵害されているという場合にはその救済を図るということがあり、それから隠れた機能としては、国民のための政治をするんだという意識を公務員の中に徹底させていくと。今、いろんな出てきた不祥事でも、あれは国民のための政治ということをきちんと理解していないことからいろいろ出てきていると思います。公務員の人はいろんな権限を持っておりますが、これは本来国民のための政治をするための権限、許認可などの権限であったわけですけれども、その権限を持っているということでいかにも自分が力を持っているように思ってしまう。そうするといろんな人が近づいてきて、こうしてくださいというと収賄にひっかかったりなんかしていくわけでありまして、本来国民のための政治をするんだという頭がきちんとしていればそういう方向へは動かないはずのものなんです。  ですから、その意味でやはり国民のための政治という意識が非常に希薄になってきている。だから、日本の戦後の民主政治の原点に立ち返って、これから新しい国民のための政治ということをしていかなければいけないんじゃないかと。そういう意味では、国のオンブズマンみたいなものが、それもきちんとやる、そして国の機関の中に緊張維持機能が果たされていくと。ですから、先ほど申し上げました宮城県の県政オンブズマンが拡大した形で国のオンブズマン制度というようなものも考えられるのではなかろうか、そんなふうに思っております。
  207. 山内俊夫

    山内俊夫君 私、香川の山内と申しますけれども、ちょっと時間の都合で先に質問させていただきます。  きょうは、公述人の皆さん、本当に御苦労さまでございました。すばらしい意見をいただいておりますけれども、一点ずつだけお聞かせをいただき、参考にさせていただけたらと思います。  天野公述人さんに一点ちょっとお聞きしたいんですが、新規創業に関して、日本の金融そのものが比較的土地本位制というんですか担保制度というのが最優先課題になっておりますから、どうしても人物本位じゃないというところがあるんです。アメリカあたり、聞きますと、非常に本人の意欲また倫理観とか道徳観、いろんなものを総合的に二十数項目審査をして、彼はなかなかやるぞという頭取の認定があれば思い切った投資もしていただけるということなんです。日本はそういう制度になっておりませんものですから、それにかわるものとして、県あたりが持っております信用保証あたりがやったらどうかという意見もあるんですが、そういった保証制度の機関を持っている県あたりがやった場合、いいのか悪いのか、またほかに何かいい案があればちょっとお聞かせいただけたらというのが一つでございます。  それと官澤公述人さんにちょっとお聞きをしたいのが、新しい基本法という今動きがありますが、確かに世界の人口というのは一九九〇年代で約五十億と言われておりまして、二〇〇〇年には約六十億になるだろうと言われておったんですが、思ったより早くて、何か最近の情報ではもう既に六十億を超えたんじゃないかと言われております。この経緯でいきますと、あと五十年しますと百億人というようなことを言われているんですが、ある社会学者はとんでもないよと、思い切った代替エネルギーができない限りまず八十億ぐらいが限度じゃないかと。それは原因は何かといいますと、当然食糧であると言われております。そういったところを、今我が国の農業基本法に関してガイドラインを設けたらどうかという自民党の調査会の中でもいろいろ意見がありました。それが五〇%であるのか四六%であるのか、その数字については別なんですか、その数字について自給率の基本的な考え方というのを、現実性との絡みなんですが何%ぐらいあったらいいだろうか、それに基づいて政府もいろんな効率のいい補助行政もやっていかざるを得ないだろうと思うんです。  といいますのは、今現在、地方の食糧を供給しているところと中央の消費をしているところのお互いのギャップがかなり拡大され、考え方のギャップが大きくなってきていると思うんです。そういった意味から、やはり食糧を供給する地方農業政策について、農業側としてのこれぞという数字を希望があればちょっとお聞かせいただけたらと思います。  それと勝又公述人さん、大変いろんなすばらしい案を出していただいておりまして、また本当に、先ほどの千葉先生の方からの御意見もあって、いろいろ議論をしてみたいなということがあるんですが、一点だけ。  公的介護保険の運用について各地の実情に合ったものにするという意見をいただいておるんですけれども、その反面、これは当然地方に裁量権を与えるということになってくると思うんですね。そうなってくると、その裁量権をどこに置いたらいいのか。そうしないと、いろいろ我々も議論をしておりましたら、町村長はもうぜひこらえてほしいよ、サービス合戦になるぞ、隣の町の町長さんは非常に認定がいいんだ、うちは悪いんだと、こうなってきますとどうしても、選挙というものを控えておりましたら、サービス合戦になってきたらそれこそ制度は困ってしまうんだというような議論がありますので、こういったものを県とかもう少し大きな圏域で六段階の認定をやってほしいという意見があるんですが、そのあたりについてちょっと御意見をいただけたらと思います。  それと林屋さんにちょっとお尋ねしたいんですけれども、市、町については行政相談員というのは置いておりまして大変すばらしい活動をされておりますのですが、県サイドでこの行政相談員というような形でオンブズマン制度が運用されてきた場合、お二人でこの百七十件というものを処理されておいでになりますが、その判断基準というのはどこに置かれておりますか。また、その判断するための、将来的にはかなり複雑多様化してくる要望に対して公平に対応するとしたらどこかで何らかの基準を将来つくっていかなきゃいけないんだろうかなと思うわけなんですが、そのあたりどうだろうかと。  それと、私も県議をやっておりました関係で、この参考事例の中にありましたように、土地収用に関してやはり要望がある。県道を拡幅するのに、地権者との話し合いはある程度中和する役目は果たせるんですが、最終的にやはり金銭的なところが納得できない、公共の福祉か個人の権利なのかというそこらの兼ね合いというのがあると思うんですが、知事に対して勧告する場合、そのあたりの基準もどういうところでやられるのかなと。  非常にはしょったような質問になって恐縮でございますけれども、お一人ずつぜひ意見をいただけたらと思います。  以上です。
  208. 天野忠正

    公述人(天野忠正君) 新規創業ということについてなんですが、今、空き店舗の現状というふうなことで毎月全国で二千五百店舗ずつ閉店をされていっております。そういう現状で、これは宮城県の調べでございますが、商工会議所の地区、それから商工会地区と二つに分けまして、空き店舗というのは約一一%なんですね。これは商店街の形成されているところの数字でございまして、それ以外の商店街の形成されていないところにつきましてはもっと数字が高いんじゃなかろうかと、こんなふうに思っております。  そういうふうなことで、今、中心市街地の活性化をいろいろ言われておりますが、この問題は通産省主導型の大型店の規制緩和というふうなことでどんどん出たということと、それから車社会ということでこういうことに相なっているんじゃなかろうかなと。こういうふうに一ヵ月二千五百店舗の閉店ということになりますと、これからは新規産業、ベンチャー事業というふうなことになろうかと思いますので、国といたしましてひとつ総合的にこの創業、ベンチャー事業に対しバックアップをお願いできればというふうなことが先ほどのお願いでございました。  以上でございます。
  209. 官澤健一

    公述人(官澤健一君) 御承知のように、今、国内の食糧の自給率というものはカロリーベースで四六%、穀物では二九%というような状況でございまして、現在、日本の耕地面積大体五百万ヘクタールぐらいだということでございますが、今の日本が輸入大国ということで外国から輸入されておる農産物を栽培面積に換算しますと、ちょっとど忘れしたんですが、千二百万ヘクタールか二千万ヘクタールということのようでございます。  そういうことをいろいろ考えた場合、やっぱり一〇〇%自給というのはちょっと大変なのかなというような感じがするわけなんです。せめて土地利用型の作物である稲作とかあるいは麦類、大豆類、これらについてはこれからいろいろ努力をして、米はもちろん一〇〇%ということですが、少なくとも大豆類、麦類等についても半分ぐらいに自給率を高めるというような施策がないと、今生産調整をやりまして麦とか大豆をつくっても、なかなかそれがうまく販売ルートに乗っていかないというようなことでございますので、その辺のところをやっぱり国産の麦類、大豆類の消費拡大を図りながら、半分ぐらいまでは自給率を高めていくというようなことが必要なのではなかろうかと。  おっしゃるように、今約六十億の人口なんだと、それが百億になるのはもう目前に控えておるというようなことを考えた場合、それから世界の農業生産の状況を見ますと、いわゆる輸出大国のアメリカとかカナダあるいはアルゼンチンなどにしても、かなり土壌を無理な形で使って生産を上げておるというようなことでございますので、そういう外国の現在の農業生産状況、環境問題絡みの中で考えた場合、やっぱり国内で持続可能の農業の仕組みというものを構築してやっていく必要があるのではなかろうかというふうに考えております。
  210. 勝又三千子

    公述人(勝又三千子君) 介護保険について実はことし、平成十年の二月十五日に全国の集まりを主婦連でいたしました。北海道から九州まで代表者が集まりまして、そこで女性の国会議員さんたち五人、各党からお出ましいただきまして、介護保険の中間報告が出た後でございましたので、それについてのいろいろ御感想とか、議員さんとしてのお立場からどのようにお考えになるかというお話をいただきました。  そこで、非常に参考になったんですが、その五つの各政党の女性議員の方たちは異口同音にこれは不備であると。不備な内容であるという御意見をいただきました。その後どのようにその不備が正常になるのかなと私どもは期待をしていたのでございますけれども、施行は決まったものの内容は政省令で決めるというようなことでございますので、本当に不安を持っているわけです。  これからみんな年をとっていくときに、六つの段階に分ける。私は何人かと県と市の介護対策室というところに行きまして、今どのような現状かということを伺ってまいりましたけれども、国では七十三項目で一次審査をするということですね。六つの段階の介護度を決めるために国で決めた七十三項目の認定をする。そのほか市、県ではまたそれにプラスして、仙台市の場合は仙台市で介護度の認定をするわけでございますけれども、政令都市だからということではなく各市町村並びだそうですけれども、そこに仙台市としての特色を持った何かを何項目か加味してくださって、まず第一次認定はコンピューターで認定をする、その後介護認定審査会というところがそれぞれの専門の先生方で一件一件するというわけなんです。  今、仙台市には一万二千人の介護を控えているというか、即介護認定をしてもらわなければいけない人がいるわけです。その人を一月二千人ずつ認定をしていくという話なんですね。大変な仕事だと思うんです。どのくらい充実したというか、ちゃんとした認定をしていただけるかなと私どもはまず不安でございます。  先ほどの御質問にありましたように、仙台市は仙台市だけで認定するわけですけれども、そのほかの市町村は六つぐらい、大河原とか気仙沼とか、各保健所がございまして、そういう一つ一つのブロック、圏域で認定をするというお話でございました。  それで、私が国会議員の方たちにお願いをしたいと先ほどちょっと申し上げましたのは、その地区に合ったということは、新聞報道されましたように、例えば宮城県の場合、親あるいはお年寄りは家族が見るものだという認識がまだまだございます。都市圏に行きますとそういうこともないと思うんですけれども、そういうような圏域のところには介護手当というものをお渡しいただくような法律をしていただければよろしいのではないかと。  今、仙台市の場合は月一万円という介護手当を出しております。それを出したために非常にお年寄りが気持ちよく介護してもらえるというものではございませんけれども、やはり気持ち的に非常に、郡部になんか行きますと農業をしながらあるいは漁業をしながら病人を介護する、それでなおかついろいろな施設に頼むとかホームヘルパーを頼むというようなことをしないで抱え込んでいるお家がいっぱいあるわけです。ですから、そういう人たちに対しては、そういう地区は日本全国いっぱいあると思うんですけれども、画一的に介護手当をなくするのではなくて、そういう方策も残しておいていただきたいということ。  それから、現在の福祉措置、税金でする福祉措置を全部なくするとこの間発表がございましたけれども、寝ついてしまう前の老人というのがいっぱいいるわけですね。そういう人たちに対してのホームヘルパー派遣とか、そのほかいろいろ家事手伝いとか、そういうようなことを今は福祉措置でやっておりますけれども、それが今度介護保険の認定、介護度Iの場合は虚弱ということで、これは認めるとか認めないとかいろいろそういう話がまだはっきりしておりませんけれども、そういうふうなこともきめ細かくしていただきたい、そういうことでございます。よろしくお願いいたします。
  211. 林屋禮二

    公述人(林屋禮二君) 県のオンブズマン二人でいろんなことを判断する場合の判断基準ということでございますけれども、これはかなり難しいことです。結論的には県民の大勢の人が考える県民の常識によって判断する。  これは、例えば法律もまさにそうなんですけれども、ゲルマン時代のような非常に古い時代に裁判するときにどうしたかと申しますと、ドイツ語でフンデルトシヤフト、英語ではハンドレッドになるわけですが、百人組、一つの村落が百人ぐらいの単位だったわけです。それで何か裁判をしなきゃならないときには村長が百人集めまして、その中の一人に、今こういう問題か起こったけれども、この裁判をするに当たっての我々の法は何であるかということを尋ねたわけです。例えば、人が殺された、裁判をしなきゃいけない、どうするか。そのことを聞かれたAならAという人は、これは重大なことだ、そういうような場合にはその犯罪を犯した者を死刑に処さなきゃいけないというようなことを言う、それをみんながそうだそうだと、それが自分たちの法だと言ったときにそれが法になる。  すなわち、法というのは大勢の人の頭の中にある共通した意識だと。英語でコモンセンスというのは常識ですけれども、みんなの頭にある共通した意識、これが常識だと。ですから、みんながそっぽを向くような法じゃ社会の規律ができない。だから法というのは人々の常識に支えられている。もっとも、いろんな問題についてみんなが一致するということはないわけで、結局、民主的な考え方からいえば、大勢の人が考えるところの共通した意識、これが常識で、それが法の基礎になければならない。  それと同じように、やっぱり県民の常識ですね。この問題について考える場合に、この場合にはかくあるべきだと考える県民の大勢の人の頭の中にある共通した意識、それが何であるかということを考えて、それに基づいて判断をするというふうに私たちは考えているわけでございます。ですから、県の職員が考える常識と県民が考える常識の間にはギャップがあります。そのギャップを埋めていくのが我々の仕事だろうというふうに思うわけであります。  それで、先ほどの土地収用の金銭的な補償というような問題も、これは非常に難しいことです。  例えば、もう三十年もたった家だと、これが道略計画にぶつかった、それで移さなきゃいけない、そういう場合にその家屋が引っ張れるものならば県は引き家ということで計算するんですね。しかし、県民の立場から申しますと、自分が動くというのじゃなくて無理無理動かされるんですね。そのときに、もう三十年もたっていればそろそろ限界に来ているわけです。県民としては新しいものをつくりたいというふうに考えるわけです。三十年前と今とで家族の構成なんかも違っているわけです。そうすると県民としては、どうせつくり直すならば、引っ張っていくのじゃなくて再築ということを考えたいというふうに思うわけでありまして、これはもっともな点があると思うんです。県としては引っ張れるものは引っ張るとかいろいろありますので、それを我々が県民の常識の立場に立ってこれはこうすべきではないかというような埋め合わせをしていって、それが金銭的な補償の数学につながっていくと。  ですから、私たちはあくまでも県民の常識の立場に立って考えると。なるべく県民の皆さんが、例えば土地収用なんかの場合には、あのときに移ってよかったなと、移らざるを得なくて非常に迷惑を受けたけれども、しかしあのときこういうふうになって家もきれいになってよかったなと思えるくらいになるのが望ましいのではないか。社会のために尽くしてくださる方ですから、そのくらいのことを考えて県の職員もやってほしい、そういうようなことを言ったりしております。
  212. 岩佐恵美

    岩佐恵美君 きょうは、公述人の皆様にはお忙しいところ、ありがとうございます。  先ほど勝又公述人からは女性の議員に激励をいただいたということで、大変ありがとうございます。  天野公述人最初に伺いたいんですけれども、先ほどとちょっとダブるかもしれませんけれども、あっちこっち歩かせていただいて、まず商店がシャッター通りになってしまっている。それから、大工さんだとか建設業の方が去年の暮れから仕事がなくなってしまって、大工さんを五十年やった方が全く仕事がないのは本当に初めてだとか、あるいは貯金を食いつぶして今生きているけれども、これから先どうしていいかわからないというような声があるんです。それがちょうど去年、九七年の四月、消費税が五%になってからかなりそういう傾向か強くなっているという訴えがあるわけですけれども、改めてここではそういう実態がどうなっているのかということを伺いたいと思います。  それから、大型店の出店が規制されない、もう自由に出店してくるということによって皆さんの今後の影響か、大変不安だろうというふうに思うんですけれども、その点について率直にどう考えておられるのか、伺いたいと思います。  それから、官澤公述人に伺いたいんですが、先ほど言われたように、一億二千万の私ども日本人の食糧、七千万人分が輸入に頼っているわけです。それで、消費者としても非常に不安なわけです。それだけではなくて、遺伝子組みかえ食品などの輸入食品で本当にいいんだろうか、やっぱり国産の安全な大豆を食べたいという、そういう声も非常に強くなってきているわけです。  先ほどのお話の中で、農業、農村が国際化、規制緩和政策のもとで市場原理に基づく経済合理性の追求に偏重した政策が展開されている、そして今多くの問題を抱えているというふうに言われているわけですけれども、消費者も何とか国産のものを食べたいと考え、そして農業の方も未来ある農業をやっていきたいというふうに考えておられる。それなら、そのために一体何をしたらいいのか。一番今やってほしい、例えば輸入について、これだけはちゃんと規制してほしいとか、あるいはこういう作物については何とか国の援助が欲しいとか、そういう端的なものがあれば伺いたいというふうに思います。  それから、先ほど千葉議員の質問に対して答えられていたんですが、セットで出てくると大変なんだというお話でしたけれども、セットで出てくる補助金ですか、具体例があればちょっと教えていただきたい。要するに、受益者の希望が入れられないで、これとこれというので抱き合わせみたいな感じに聞こえたんですけれども、そういう実態があれば教えていただきたいというふうに思います。  それから、林業の問題なんですが、地方財政措置が充実してきたけれども十分に活用されていない、市町村林業行政の拡充強化を願いたいというふうにあるんですが、これがちよつと具体的によくわからなかったので教えていただきたいと思います。  それから、勝又公述人には、具体的に公述の中ではなかったんですけれども、ダイオキシンの問題と、それから遺伝子組みかえ問題が消費者の間ではかなり大きな話題になっているんですけれども、このことについてお考えがあれば伺いたいというふうに思います。  それから、林屋公述人には、実際にお二人で頑張っておられるということですけれども、仕事の量から見てお二人で足りるのかどうかという問題と、それからスタッフがどうなっているのかということです。事務所は県の中にあるというふうに伺いましたけれども、スタッフほどうなっているのか、それから調査について限界が今の体制であるのかないのか。その点についてあれば時間も迫っていますので短目にお答えをいただけたらというふうに思います。  よろしくお願いいたします。
  213. 天野忠正

    公述人(天野忠正君) 空き店舗と大型店問題、だれが聞いてくれるのかなと思ったら岩佐委員が聞いてくれました。  この空き店舗につきましては、先ほど御説明しましたような、これは全国レベルでの調査なんですが。毎月二千五百店舗以上の閉店をしているというのが現状でございます。  先ほど申し上げたように、この原因は大型店の乱立、これは通産省主導型でございます。それから、車社会というふうなことで中心市街地がまず寂れて、やっと今になって中心市街地の活性化というふうなことでいかがなものかなと、私はそんなふうに受けとめているわけでございますが、そういうふうなことで新規開業、ベンチャービジネス、ひとつ支援お願い申し上げたいというふうなことでお願いをいたしました。  それから、大工さんでございますが、私の住んでいるところは角田市というここから南のところでございますが、人口三万五千の市でございます。ここで平成八年度の確認申請と平成九年度の確認申請で約六八%、三二%の減でございます。したがいまして、平成八年度と九年度の比較でございますから、平成十年度については恐らく半分近い確認申請じゃないかなと、仕事が半分に減りましたよというふうなことじゃなかろうかなと、こういうふうに思っております。  それから、消費税につきましては、これは平成九年の四月一日から線を引いたようにお店も売れなくなりましたし、サービス業も飲食業も昨年の平成九年四月一日から線を引いたように売り上げが落ちてきております。これは業種を問わずのようでございます。  それから、大型店の問題なんですが、今度町づくり三法がいよいよ二年後に施行されるわけでございますが、これにつきましてもざる法的なものがいっぱいあるようでございます。ここで御説明すると長くなりますか、市町村への指導体制をしっかりとひとつやっていただきたい。  宮城県の場合でございますが、商業地域とか工業地域とか、用途指定がまだ七十一市町村の中で三十一市町村きりございません。郡部に入ると二年間でこれができるのかなというような心配もございます。この町づくり三法についてはひとつ市町村への的確なる御指導方をお願い申し上げたい、こんなふうに思います。  以上です。
  214. 官澤健一

    公述人(官澤健一君) 三点ほど御質問があったわけでございますが、第一点目は輸入の問題でございます。  これは何と申しましても、我々農業者サイドからしますと、かなりきつい生産調整をやりながらミニマムアクセスで八十万トンの外米を輸入しなければならないということについては、組合員は、農家の方々はみんな非常に不信感を強めているわけなんですね。  そういう意味で、いろいろ国際的な約束事もあるということのようでございますが、ミニマムアクセスによる米の輸入ということは、やはり今、日本の稲作農業がどうなるかというようなことで若い方々が農業に見切りをつける最大の原因になっているのではなかろうかということでございますので、ミニマムアクセスとはいえ、この米の輸入については全く賛成できないということですね。  それから、外国から輸入される農産物についてはかなりポストハーベストということで、農薬処理がされておるというようなことで、その辺の消費者に対する教育と申しますか、そういうことを今後いろいろやっていただきたいものだというふうに思います。  それから、この輸入問題については、今度タスマニア産のリンゴを火傷病のおそれがなくなったから輸入すると。しかも、今まで外国からのリンゴの輸入は日本では過去のものになったゴールデンデリシャスとか、そういうものか大半だったんですが、今度タスマニアから入ってくるのは「ふじ」だということですね。日本の「ふじ」と真っ向からバッティングをするというようなことで、やっぱりリンゴ栽培農家は非常にこのことについて心配をしておるわけでございますので、その辺のことなども、ちょっとした調査でいいんだということで簡単に輸入をされますと、あと何かそういう火傷病とか日本のリンゴ産地か大きな痛手を受けるということのないようにひとつお願いを申し上げたいものだと。  それから、補助金なんですが、具体例というお話でございますが、最近余りそういうことに直接タッチしておらないので何とも申し上げられないんですが、かつて地元の農協にいたとき、そういう補助事業をやろうとするとセットだということで必要でないものも購入しなければならなかったというかつての事例がございますのであえて申し上げたわけでございます。  それから、林業関係、これについては例えば平成十年度の宮城県に対する国からの配分金額というのは五億三千七百万ほどあるわけでございますが、そのうち市町村段階で利用されたというのがわずか四千二十万二千円というようなことでございまして、その差額約四億九千六百万というものがせっかくの国の予算があっても活用されておらないと。  その原因は、市町村行政の中でそういうものを取り入れて事業を起こしていこうというような、そういう意欲が欠けているのではなかろうかというふうに思うわけでございますので、やっぱり市町村行政につきましても、こういう補助金の制度というものをきちんと理解をしていただいて、それを活用するような国からの御指導をいただければというようなことでございます。
  215. 勝又三千子

    公述人(勝又三千子君) ダイオキシンの問題でございますが、これは目に見えないものですから、私ども母乳からダイオキシンが出たということを伺いまして非常にショックがあったわけですね。  かつて魚に水銀が入っていたというイタイイタイ病がございましたけれども、今、産業廃棄物とか、そのほか焼却場の近くの土壌に大変ダイオキシンが多いというようなことも聞いております。それが川を汚したり海を汚したりということでお魚に入ってまた私どもの口に入るということで、目に見えないものに対する不安というものを非常に感じているわけでございます。  それで、今、仙台市では家庭で燃やしますごみの焼却炉を無料で回収しております。ダイオキシンが出る出ないはともかくとして、私どもはやはり家庭で、紙しか燃やさないとは言うんですが、紙だからいいのではなくて、それでも何か間違っていろいろ入ってはいけない、塩ビのものが入らないようにということで運動はしていたんですけれども、その焼却炉をなくすということで仙台市は今取り組んでおります。  それから、私どもは塩ピのラップ類の生産、これをやめてほしいということは申し入れをしております。非常に企業は使い勝手が悪いという理由で、一社だけがそれをつくっていただいているそうですけれども、この前東京で話をいたしましたら、それはある大きな会社が買い占めてしまって、一般家庭にはなかなかそのラップ類が回ってくる数量がないというお話をいただいたんですね。ですから、そういうところも議員の方たちに働きかけていただきたいということでございます。  それから、行革の名のもとにそういう大事なところの研究体制が弱くならないように、体制の強化といいますか、そういうことをきちっとしていただきたいと思うんです。例えば神奈川県の例を申し上げますと、県だけが消費生活センターというのがあって、各市ではそれを廃止するということで、名称も生活とか文化とか、そういう名称になるというようなことで、何か消費者というのは時代の遺物なのかなというような感じも持っておりますけれども、消費者行政ももっともっとわからない点がいっぱい、目に見えない危険なものもございますので、そういう体制を私は強化していただきたいと思うんです。  それから、遺伝子組みかえにつきましては、私どもの団体でも署名活動をしまして要望書を提出したんですけれども、二百の消費者団体から要望書を出しまして、一千の地方議会からの意見書、それから約百万人の署名が提出されているということでございます。  それで。この遺伝子組みかえというのは、アメリカの方から入ってきて、別に何にも分けて食べなくても危険はないというようなことを農水省もおっしゃっておりますけれども、私どもは、危険とか危険でないとかはまず後の問題として、これを選ぶことができるための表示というものは絶対にしていただきたいと思います。消費者は選ぷ権利があるということでございますので、どうぞこの点よろしくお願いしたいと思います。
  216. 林屋禮二

    公述人(林屋禮二君) 仕事の量は、かなりあります。スタッフはオンブズマン二人と、それから事務局員が三人であります。事務局長と主査、それから非常動の女性と三人であります。ですから、五人で今切り盛りしております。  年間の受件数、実際に調査していくのが百件ぐらいあります。川崎市の場合は百四十件あるんです。  ところが。川崎市の場合には、オンブズマン三人。それから調査員というのが一人のオンブズマンに二人ずつおりますから調査員が六人いて、それから事務局員がいるんですね。オンブズマン一人と調査員二人、それから事務局員一人、四人で一つのグループができていているわけです。  それに対して宮城県の場合には、オンブズマン一人と、それから事務局員が一人でやっております。ですから、事務局員が調査員も兼ねるという形なんです。  実は、私どもの事務局員は、最初だったせいか、非常に有能な人を県の方が割り当ててきてくれておりましたので、これで今乗り切っております。  しかし。今後一体どうなるかなという感じもする。その点で私はやはり川崎市のような調査員というものをきちんとつけるということが必要だと思っております。川崎市なんかの場合は、大学の大学院の学生なんかがその調査員になって調査しているわけですね。それで、そう思っておるんですけれども、何せ県の財政が今極めて豊かでない、非常に困った状態なものですから私たちとしてもなかなかそれを言いかねておりますが、その辺のことは大いにこれから手当てをしていかなきゃいけないだろうと。今のところはこれでやっているという状況であります。
  217. 高橋令則

    高橋令則君 今回は本当に広いいろいろな御意見をいただきまして、ありがとうございます。  最初に、天野公述人にちょっとお聞きをしたいんですけれども、中小企業団体の補助の問題で幾つかございました。  これを見ていますと、国の制度地方に回って、そういうことによってちょっと弱っている、何といいますか、切られていくというようなことを心配しているようですけれども、必要性があれば国であろうと地方であろうと変わりがないと思うので、特に地域の実態をわかっている県あるいは市町村がむしろ必要性といったものを感じているのであれば、それによって弱くなっていくということはちょっとわからないなというような気持ちもありますので、少し立ち入ったお話をいただければありがたいと思います。  それからもう一つ、創業支援についてさまざまな案も今まで出てきているわけですけれども、今までの体制では不十分だろうというふうな御意見だろうと思いますが、もしそういった面についてこういったものが必要ではないかという点がありましたら御意見をいただきたいと思います。  それから、官澤公述人には、ひとつ恐縮ですが、一つは新しい新規学卒者の問題です。  これは相当前からいろんな対策をやってきているというように聞いておるわけですね。しかし、なかなかふえてこないというふうな実情でございますので、これについてその原因、それとともにその対策についてもう少し具体的な提案がいただけるのでしたらありがたいというふうに思います。  それから、補助事業の中で農林漁業、いずれについてもその事業の結果について会検、それから行政監察あたりでいろんな農林漁業関係補助事業の効果についてよく議論が出るんです。したがって、これについてどういうふうな認識をお持ちであるか、それをちょっとお聞かせいただきたいと思います。  それから、勝又さんにお尋ねしたいんですけれども、公的介護の問題です。  これは非常に面倒な問題だと思うんですが、いわゆる認定の問題があるわけです。これはもう大変だと思うんですが、それと同時に、今の出す方のあれと同時にいわゆる財源の問題です。今のシステムは御存じのように保険システムなんです。これについても議論があるのかなというふうに思うんですが、国保関係も今いろいろ問題があるわけです。したがって、制度的には今できているわけですけれども、今の保険システムという形での議論はないものだろうかというふうに思うんです。これについてちょっと御意見をいただきたいと思います。  それから、林屋先生には、今の岩佐先生と同じでございますけれども、ちょっと事務的にとても大変ではないかなというように拝聴しました。いろんな資料を拝見しますと、事実上、先生ともう一人というような形でおいでになるようですが、そういう実務的な同じようなことを今後やっていくためには、例えば国でもやったらどうかなというふうな御提案がありましたが、仮に国がやるとすればこういった点に留意したらどうかなという点があればお聞かせいただきたいと思います。  以上です。
  218. 天野忠正

    公述人(天野忠正君) この件について先ほどもちょっと朗読させていただいたのですが、この件につきましては、国から予算がつけられても県の御事情で予算が出ないというふうなことになると国からの補助金が受けられないというふうなこと、宮城県ではそういうことではないんですが、東北にも何カ所かそういうふうな県があるんだよというふうなことをお聞きしているということを先ほども申し上げたのですが、そういうことでございます。でも、宮城県ではそういうことはないんですよ。宮城県は出していただいているんです。
  219. 高橋令則

    高橋令則君 具体的に言いますと、私も地方におりましたので実務をやったんですけれども、国がやっているものをやらないというケースはちょっと記憶がないものですから、そういうことがあると大変だなというふうに思ったと同時に、そういう地域の必要性といったものは国よりもある意味では地方の方が切実なはずで、したがって地方の方から必要だというのであれば国に対してむしろもっとくれということがあってしかるべきではないかというふうに思ったものですから申し上げたんです。
  220. 天野忠正

    公述人(天野忠正君) 都道府県の御都合により、国の補助は受けられるんだけれども県の方はいっぱいで出せないというふうな場合は国からもその予算がストップしてしまうんだよということなんです。そういうことのないようにひとつ御配慮をいただきたいと。宮城県はそうじゃないんだけれども、近くの県にもうぽつぽつそういうふうな県もあるようだと。こういうふうなことです。
  221. 官澤健一

    公述人(官澤健一君) 二点ほど御質問でございますが。一つは新規学卒者の少ない理由とその対策について何か具体的な考えがあるかというような御質問でございます。  新規学卒者農業就業か少ない理由は、やっぱり農業の将来に非常に不安を感じて一生の仕事として選択していいのかどうかという、そういう思いが非常にあるんじゃないかというふうに思うんです。一般の企業なりあるいは行政で職員採用試験をやりますと何十倍というような応募がある中で、農業分野については新卒者が必要量の一・三三%なんてとんでもない数字ですが、やっぱり理由はその所得が不安だということが最大の原因ではなかろうかと。  それともう一つは、最近は農業によっては非常に格好いい農業もあるわけなんですが、稲作を中心にした土地利用型の穀物生産農業についてはやっぱりはたから見ると非常に格好悪いと、友達がネクタイを締めていろいろ仕事をやっているときに野良着姿で自分はやらなきゃならない、そういう思いがあるんじゃないかといふうに思うわけで、その対策については、基本的には農業というのを職業にしても一生安心して家族を養っていくことのできる、そういう所得の上がるような農業経営、農業の再構築をやっていかないと根本的な解決にはならないのではなかろうか、そういう思いがいたしております。  それから、補助事業についてでございますが、会計検査等いろいろ指摘事項などもあるということでございます。そういうマスコミで報道されていることもあることは事実でございますが、それはやっぱりそんなに多くないんじゃないか、大部分のそういう事業をやった方々はその補助金を有効に活用して農業経営の改善のために役立たせておるのではなかろうかというふうに考えております。
  222. 勝又三千子

    公述人(勝又三千子君) 公的介護保険と申しましても、先生おっしゃるように、保険制度でございますので、例えばこういう場所であれもしてほしい、これもしてほしいというふうにサービスのお願いをいたしますと、それがみんな保険料にかかってくるんだから余り言うなというふうに私は言われるんですけれども、やはりきちっとした最低のところはしていただかないと私ども安心して、これから老境に入る者たちは、若い方もそうですけれども、その最後のきちっとした保障かあれば少し財布のひもも緩むのではないかというような感じを持っております。  例えば、保険制度でいろいろ国会の議員さんたちに改革をしていただかなければいけない問題点がたくさんあります。もちろん皆様御存じだと思いますが、病人が、国保でも何でもいいんですけれども、入院いたしますと三ヵ月で出される、車いすでまだまだ体が不自由なのに出されるのほどうも納得いかないということをこの間もテレビでやっておりましたけれども、これは医療制度のせいだというようなことで、その点も私どもは非常に不安を感しているわけです。  介護保険ももちろん保険ですから、こういうふうにしてほしい、ああいうふうにしてほしいという場合、横出し、上乗せの部分が多くなるだろうということです。認定を六段階にしていただきまして、私たちが例えば介護度Ⅰとなった場合に、Ⅰだけれどもこういうこともしてほしいというようなことを申し上げたときに、それは横出しの部分だとか上乗せの部分だと。一割負担以外に私どもは負担をしていかなければいけない。そうしますと、現在の福祉措置制度よりもずっと劣ったというかサービスの質が落ちる、そういう不安を私どもは持っているわけです。  先ほど申し忘れましたけれども、生活保護の人たちに対してはこの保険料というのは生活保護費の上に上乗せをしてお渡しするということが決まっているようでございますが、低所得者の方、その方が例えば老夫婦の場合、年金しか収入がないという場合、二人分の保険料ということになりますと非常に困るわけです。ですから、この辺のこともきめ細かく考えていただきたい、先ほど申し上げましたように、福祉措置制度でそこの部分を残していただきたいなというふうに思っております。  それから、もちろん保険のシステムですから相互扶助の精神だということはわかっておりますけれども、若い方たちの間から非常に不満が漏れているということは健康保険料と一緒にそれも差し引かれるということで、企業が何分の一か負担するということもまだはっきり決まっておりません。ですから、子育ての最中の方、四十代という方たちは非常に教育費や何かがかかるときでございますので、そういう方から強制的にそれを取るということはやはり財布のひもをかたくする理由の一つになるのではないか、そういう不安を持っております。  もう一つ、保険についてですけれども、六十五歳以上の医療保険、今は息子の健康保険に入っている者がまた独立して一人ずつの保険になるというようなうわさも出ております。そうしますと、老人は介護保険のほかに医療保険も自分で掛けなければならない。今まで子供のところに入っていたのに今度は自分一人で掛けなきゃいけない、そういう不安も持っているわけでございますので、その辺を何とか私は弱者救済の方策をよろしくお願いしたいと思っております。
  223. 林屋禮二

    公述人(林屋禮二君) 確かに、宮城県の県政オンブズマン、事務的には大変であります。これは、宮城県でいろんな不祥事が起こりまして、信頼回復をしなきゃいけないと知事以下皆真剣に取り組んでおりますので、私も引き受けた以上はきちんとしなきゃいけないだろうと。しかも最初なものですから基礎づくりという意味でやっておりますので、オンブズマンというのもこれはなかなかいいかげんな気持ちでは取り組めないことだと思います。  それで、国が今後なさるときの留意点というお話でございましたが、やっぱり調査員をきちんと整備すること。前にいただいた資料でも「委員会行政監視機能を十分に発揮するため、調査スタッフの充実・強化を図る。」と書いてあります。これはもうそのとおりだと思います。いろいろな問題が出てまいりますので、いろんな分野調査員が必要になってくる。私たちは直接行って事務局員の人と一緒に調査をしておりますけれども、そういう調査員の人がきちんとした調査をしてくれて、その材料の上に判断をすることができるということになれば合理的に運営することかできるだろうと思います。  そのときに、さっきちょっと申し上げたわけですけれども、請願を受ければというだけじゃなくてもっと積極的に問題をつかまえていただく。こういう場はもちろんそうでありますし、それから新聞なんというのも声の欄などを通じてかなりいろいろな国民の声が出ております。しかし、それがそのままになっている場合が多い。ですから、それをもっと定期的に集めておいて、そして取り上げられるもの、取り上げられないものをセレクトして、取り上げるものは政策に反映していくというようなことができるのも大変結構なんじゃないかと。  それで、私一つ申し上げさせていただきますと、実は最高裁判所が、民事の判決原本というのが今まで永久保存だったんですが、それを裁判所でたまる一方なものですから全部廃棄するということに平成二年にしたのであります。五十年間という保存期間を決めて、それを過ぎたものはもう平成六年以降捨てるというふうに言ったんです。ところが、捨てられるのは明治初年から昭和十八年までなんですが。明治、大正、昭和という日本の社会の近代化の過程でトラブルを通じて起こった日本の社会のいろんな諸相がその判決の中に書いてあるんですね。こんな貴重な資料を捨てられたら大変だということで、我々国立大学の民法・民事訴訟法法制史の人たちが「判決原本の会」というのをつくりました。それで、私に代表になれというのですから代表になって最高裁と話をしまして、それで結局、最高裁は国立大学が欲しいというなら国立大学には渡そうと、最高裁からは捨てるけれども国立大学が拾うならいいということで、それで私は八つの高等裁判所近辺の国立大学の法学部長に手紙を書いて、こういうことで国立大学が拾うならいいと言ってくれているんだから何とか三、四年の間保管してくれないかということを頼んだわけであります。そうしたら、十の国立大学でもって引き受けましようと言ってくれたので、それで全部捨てられるはずの判決原本は、今、十の国立大学が法学部で保管しているわけであります。  これを今度恒久保存施設に持っていかなきゃいけない。もう国立大学も本がいっぱいですからとても長い間持っていられない。私は三、四年の間というふうに頼んだわけですが、その四年目というのが来年来るのであります。ですから、もう何とかして国立の司法資料館というようなものをつくるか、あるいは国立公文書館みたいなものに入れるかしなければならない。もう世界各国はみんな国がやっているわけで、これは国の仕事なのであります。それを我々がしなきゃいけない。それがなぜそうなったかというと、最近、大蔵省の接待のことなんかを見て、やっぱりああいう接待なんかをされればどうしても人間ですから心が動いていくわけです。裁判所なんというのはそんな接待をしませんから裁判所予算というのはいつもふえない。そうすると、その中でもってやっていかなきゃなりませんから必要なものでも捨ててしまうという発想が出てくるわけであります。  こういうようなことも朝日、読売を初めみんな社説でもって取り上げてくれて、参議院では亀谷議員なんかが新聞を見て今一生懸命やってくださっているようでありますけれども、こういうようなことをどうかひとつ新聞などを通じて取り上げるべきものは取り上げて国の政治に反映していただく。これはほかの国との関係でも、司法資料館一つないというのは残念なことで、立法資料というのは国立国会図書館に入る、それから行政資料は国立公文書館に入る。しかし、司法資料館がないんですね。  ですから、そんな問題もありますので、こういう委員会ができたのを伺いましたので、どうか大いに国民のための政治に力を入れていただければと思うわけであります。
  224. 木村仁

    木村仁君 地元櫻井先生には最後にゆっくり時間をかけて、もう時間が押しておりますから、私は一問ずつ簡単に。  天野公述人お願いいたします。  十月一日から制度金融関係の枠が大きく広がりますし、また信用保証の条件が大幅に緩和されます。しかし、これが十分に中小企業の皆様に周知徹底されていないとまた窓口がかたいというようなことで苦情が出てくることは必然だと思います。政府も頑張るだろうと思いますけれども、商工会等でどのようなお考えでいらっしやるか、お聞きいたしたいと思います。  それから、官澤公述人でございますが、今、農業基本法の改正問題について株式会社の農地保有を認めるか認めないかということで大変議論があります。私はそのことについて自分の意見はまだ決めておりませんけれども、町村部に行きますと、町の役場には大勢若い人が勤めます。農協の事務所にも大勢若い人が希望します。ですから、農村地帯にも農業を専門とする株式会社があって勤務時間が決まっておる、土日は休みで代休がとれる、豊作であろうと凶作であろうとボーナスはある程度はくれる、毎月現金収入がある、そして仕事が終わったらさっぱりした背広姿で町に遊びにも行ける、そういう職場があったら若い人がどんどん就職して町が元気になるんじゃないかなという気もいたします。そういうことについていかがお考えでしょうか。  それから、勝又公述人お願いしますが、こういうのほどうでしょうか。男女共同参画型社会、第一条、法律または条例に特別の規定がある場合を除き本市における審議会の委員は男女同数の委員をもって構成する。第二条、市長は第一条によりがたい事情がある場合には委員の任命に当たってその理由を公表しなければならない。これを直接請求で条例化されたらいかがでしょうか。  それから、林屋公述人お願いいたしますけれども、監視権を持とうというお話がちょっと出たように思いますが、私はオンブズマンというのは監視権を持つべきではないと考えております。監査委員があり、その制度が今度拡充されました。これは行政を監視するところでありますから、監視する機構が幾つあってもしようがないだろうと。  イギリスのオンブズマンの実例を見ておりますと、例えぱおぱあさんが公営住宅に入った、そうしたらその公営住宅には幽霊が住みついておる、だから何とかしてくれと。これはオンブズマンがちゃんと何とかしてくれて新しい家にかわるんです。かわったら、また苦情を言ってきて、今度は幽霊も一緒に転居してきたから何とかしてくれと。それは精神科医のカウンセリングの問題ではないかと。オンブズマンというのはそういうこともやってくれるということでありまして、それが本当の値打ちではないかと。  そして、県、市町村すべてにオンブズマンができればいいのでありますけれども、オンブズマンの数が例えば宮城県で百人になったらもう何の値打ちもないと私は思います。だから、二人で頑張っていただくのがよろしい。そして、町村から町村のオンブズマンの機能も委託を県がお受けになってやってくれれば非常にいい制度になる。そして、余り役人の調査員を多く雇うとだめだと思います。ですから、先生ももう退官されたことでございますので、一生懸命おやりになって本当に日本にいいオンブズマンができる前例をおつくりになったらいかがかと思いますが、いかがでございましょうか。  そして、委員長お願いしますけれども、四人に公述人と申し上げましたが、私ほどうも「人」というのが言いにくいです。口述員とか、何かそういう言葉にしていただけたら非常にありがたいです。  答えほどうか短くお願いします、櫻井先生が残っておりますから。
  225. 天野忠正

    公述人(天野忠正君) 先生のお説のように、国の資金を大変今利用させていただいておりますし、県下の商工会にも指導しているやさきでございます。  一番困ったのは対象外の、例えば徳陽さんの問題でも、これは不良債権でよその銀行さんが受け付けないわけです。そのために倒産、倒産、こういうふうになってくるわけです。裏づけのあるものほどんどん貸してくれるんです。その辺の境目が大変だということです。
  226. 木村仁

    木村仁君 そうだと思います。  だから、新しい制度ができて、そして耳早のよくない債務者、借り手が早く行っておかしなことをやると窓口がかたくなって、善良な借り手が行ったときにまたかたいというのは困るから、どうかひとつ善良な方にも周知徹底をお願いしますということでよろしくお願いします。
  227. 天野忠正

    公述人(天野忠正君) 大変助かっております。そういうふうな指導をさせていただきます。
  228. 官澤健一

    公述人(官澤健一君) 新しい農業基本法の中の一つの争点になっております株式会社の農地取得の問題、これは我々は絶対反対でございます。  というのは、株式会社の農地取得ということになりますと、ややともすると農地が投機の対象にされてしまう、せっかく新しい基本法をつくりまして農業の振興を図っていくということに逆行するような、そういう状況になるのではなかろうかというようなことでございますので、そのことについては我々は反対です。
  229. 勝又三千子

    公述人(勝又三千子君) 木村委員のようなお考えを持っている方がたくさんいらしていただくと私どもも運動のやりがいがあるんですが、実は五○%にしてほしいということを市の方にお話ししたことがあるんです。そうしたら、そんなのは夢だよと、二○%がせいぜいだというふうに私に言った人が女性の管理者なんです。ですから、その辺の意識の改革をもう少ししなきゃいけないなと私は思っております。  それから、皆様方お願いしたいのは、企業や官庁の女性の登用、採用から管理職、そういう方をどうぞ多くつくっていただいて、やはりそのポストにつきますとそのような器になってまいりますので、どうぞそういうふうにお育ていただきたいと思います。そのためには女性の教育ということ、女性がいろいろな問題について勉強しなきゃいけないというのは私たちの原点でございますので、よろしくお願いしたいと思います。
  230. 林屋禮二

    公述人(林屋禮二君) 監視権、監視の権能、これはできるだけ簡易な形で申し立てて監視してもらえる、そういうことを考えておりまして、議会なんかの場合にほどうしても請願だとか、そういうことになってまいります。  県のオンブズマンなんかはカウンターのところへ来ればいいわけですね。ほかのものはいろいろ手続を踏んでいかないと、それが議決されなければだめだとかいろいろなこともありますので、なるべく簡便なものということで申し上げているわけでありますが、これはいろいろな議論がありますので、いろいろ検討できる。  それからオンブズマンも、私は宮城県に百人なんてことはとても考えておりませんで、これはもう二人でいい。
  231. 木村仁

    木村仁君 市町村がみんなつくれば百人になるんです。
  232. 林屋禮二

    公述人(林屋禮二君) ですから、そういうものは小さいところはつくる必要はないという考えです。おっしゃるように、余りたくさんつくっても、船頭多くして船山に登るということになってしまいますので、適度なところで日本の地方行政を円滑にする、そのためのオンブズマンの数というふうに考えております。
  233. 櫻井充

    櫻井充君 きょうは貴重な御意見、本当にありがとうございました。県選出の国会議員としては、本来こういうふうな業務を私がやらなければいけないんだろうなというふうに思って、反省させられているところです。自分自身も、今いろんな団体を回って御意見を伺うというようなことをやっておりますので、この場をかりてちょっと言わせていただきますと、うちの事務所の方に連絡をいただけますれば、私の体があいている限り、行って、お話はお伺いさせていただいております。  まず最初に、天野公述人にお伺いしたいんですけれども、もう本当にぷっちゃけての話ですが、景気浮揚対策ということで政府の方から十六兆円なりの対策が今打ち出されておりますけれども、これについてどのようにお考えなのか。そして、もしほかの案がございましたらその点について教えていただきたいというふうに思います。  それから、官澤公述人には、僕も株式会社の参入ほどうなのかなというふうなことをお伺いしたかったんですけれども、それが一点。  それと、今、米は余りつつあるというふうに考えていいのかどうかわかりませんが、今後日本の人口がどのぐらいになって、自給率をどのぐらいの程度を目指していくのかということによって米の生産量というものが決まってくるんだろうというふうに考えます。そうした米の生産量から考えたときに、果たして今の耕地面積をすべて確保しなけれぱいけないのかどうかという問題点が一点あるかと思います。そして、その耕地面積が米としてつくらなきゃいけない部分、田んぼとして残さなければいけない部分というのがもし出てくるのだとすれば、これを他の作物に転換していかなければ結果的には生き残っていけないんだろうというふうに思います。仮に他の作物に転換するとしたときに、今現在の問題点というふうなものがあれば教えていただきたいと思います。  それから、生産調整関連の補助事業内容の簡素化というふうなことがございましたが、簡素化をする具体的な案がおありでしたらば、ちょっと現場の人間ではなくてはっきりわかりませんので、その簡素化、こういうふうにすればいいのだという現場の声を具体的に教えていただければというふうに思います。  それから、勝又公述人にお伺いしたいんですが、先ほど消費税ということがありました。実を言いますと、私も選挙に出る前は三%に戻した方がいいというふうに考えて出ておりましたし、つい最近までは三%に戻した方がいいと思っておったのも事実です。ただ、国民負担というふうなものを見てきたときに、実際は社会保険だとか国民年金だとか、そういうふうなものの負担の方が今ははるかに多いということも現実なわけです。  仮にですけれども、消費税というものを目的税として・例えば年金なら年金に充てますよという形の目的税的なものとしてとらえる、そういうふうな目的税として消費税利用するというふうになればその消費税に対していかがお考えか、その辺を教えていただければというふうに思います。  もう一つは、今の税制というのははっきり言って税金も保険料も結局ごっちゃになっているわけですね、収入として。ごっちゃになって、ごっちゃに出ていって、何がどういうふうに使われているかわからないというところがあって税体系の見直しをしている最中なので、そういうふうな意味合いで今後どういうふうにしていったらいいのか、我々ちょっと参考にしたいので教えていただければというふうに思います。  それから、林屋公述人にお伺いしたいんですけれども、まず一つは県民が今の県政のオンブズマンというものの存在をどの程度知っているのか、そして機能というふうなものをどの程度の人たちが今理解しているのかということをお知りでしたら教えていただきたいと思います。そして、今米ている苦情内容について、どういうものが主に多いのかということ、そしてこういうオンブズマンというものを立ち上げたことによって苦情というものか改善されているのかどうかということについてお伺いしたいと思います。  それともう一つは、県職員意識改善機能とか緊張維持機能というふうなものがあるというふうにおっしゃっておりますが、これはあくまで、例えば意識改善というのはオンブズマンが存在することによって、ただ単純にいるからもうこれはやらないといけないといって変わっているのか、それともいろんな意見を酌み取って県の職員の対応が変わっているのか、その辺について先生なりの御理解がありましたら教えていただきたいと思います。
  234. 天野忠正

    公述人(天野忠正君) 与野党一丸となって一日も早い景気対策の道筋を示してほしい、このことだけでございます。
  235. 官澤健一

    公述人(官澤健一君) 米は余っておるということでございますがこれは余っているんじゃなくて余らせられていると……
  236. 櫻井充

    櫻井充君 ちょっと表現がまずかったかもしれません。済みません。
  237. 官澤健一

    公述人(官澤健一君) 転作作物の件なんですが、やっぱり農作物で一番手がかからないのは稲作なんです。それからあと、米価もある程度安定しておる、最近下がってきていますけれども。ところが、麦類、大豆類になりますと、かなり低所得になるわけなんです。そういうことで、できるんだったらそういうものはつくりたくないというのが農家の心情なんです。  だけれども、やらなきゃならないということで今やられているのは、ブロックローテーションということで地域ごとに何十ヘクタールというふうに、ことしはここに麦、豆をつくったら来年はこっちというふうにいろいろやっておるというような状況で、やっぱり知恵を働かせながら転作作物に取り組んでおるということでございます。  それから、補助事業の書類関係の簡素化ということなんですが、これは何が何ということはなかなか言いにくいわけで、実際それを担当している農協の営農指導員あるいは行政の経済担当の職員に言わせますとかなり大変な作業なんだというようなことなので、具体的にどこがどうということについては、これは改めて担当している方々の意見などを聞きながら必要であれば後日御回答をさせていただきたいと思います。
  238. 勝又三千子

    公述人(勝又三千子君) 消費税について申し上げますと、五%になるときにー%は地方交付税だというような御説明がありました。それから、三%導入のときには福祉に使うからというような話がございました。けれども、現在の五%のうちのー%は地方交付税でしょうけれども、あとの四%の使い道は私どもの目には見えてこない、そういうことで不満かございます。  ですから、例えば全部目的税にしていいというものでもないと私は思うんです。というのは、流動的に使えないという欠点かあります。日本の場合、何か目的税にしますと、使わなくてもいいところにまでそれを使っちゃう、全部使わなきゃいけないみたいな、そういう制度があるとかというふうに聞いておりますので、やはり全部を目的税にするのではないけれども、素人考えですけれども、例えばこの中のー%は将来の年金、若い人たちの負担を軽くするための年金に積み立てておくんだよみたいな、そういうふうなことがあれば喜んで納めていくのではないかと思っております。ただ、今の消費が非常に低迷しておりますときには、やはり私は何はともあれ三%にするということが私どもが買いやすい一つの方策、段階的にそこら辺は変えていただければ一番いいのではないかと思っております。  やはり国民は将来が見えないんです。結局、消費税を五%にしたからいいのかなと思っていると、今度介護保険が出てきてまたお金を取られる、それでなおかつ年金がだんだん滅っていくというような、そういうふうに何かだんだん悪い、取られるものは多くなるけれども給付されるものは少なくなるという非常にわかりにくい構造になっておりますので、税金についても国民にわかりやすく御説明をいただければみんな文句を言わないで出すのではないか、非常にあいまいですから。その辺をお願い申し上げたいと思っております。  以上です。
  239. 林屋禮二

    公述人(林屋禮二君) 県政オンブズマンの存在や機能がどれだけ理解されているかということでありますが、仙台の場合には市民オンブズマンという弁護士さんたちの団体がありますので、これと随分混同されているわけであります。今でも恐らくその区別がわかっていない人もいると思いますが、以前に比べますと、オンブズマンとして知事に年度の報告をしたりなんかしますと新聞に載りますし、それから意見表明するとかそういうことになりましても新聞だとか県政だよりに載りまして、県政だよりというのはかなりいろんな人が読んでいるようであります。その結果、県政オンブズマンがいて、それでこういうことをやっているということは大分わかってきてくれているように私は思います。  それで、インターネットなんかに載っておりまして、この間も女性の方が七、八人来て、みんなそのインターネットから引き出したプリントを持って、そして赤線なんかを引いて、これはこのとおりですというようなことを言ったりしてくれておりますので、だんだん普及してきているだろうと。この制度を本当に県民のためのものにするためにはさらに我々もこれが県民の皆さんに理解されていくようにしなきゃいけないだろう、そういうふうに思っております。  それから、苦情内容はやっぱり土木事業とか福祉関係が多い。  その苦情改善されているかということでありますが、意見の表明などをしておりまして、土木関係の人たちはかなり神経質になっていて、今までも随分気をつけてきていますけれども、さらに気をつけて県民の方と接触したいというふうに言っております。それから、前に聞いたところでは、一度オンブズマンに呼び出された課はもう二度と呼び出されないように努力しているという、これは課の方から聞いた話でありますが、そういうようなことであれば一層緊張してくれるんじゃないかと思います。  それから、意識改善がそういうようなことですが、随分我々も言いましたし、それから県の方も意識改善ということを言っております。これは県民へのアンケート調査の結果、やはり県庁職員の意識改善というのが九十何%で最高位だったんですね。ですから、やっぱり県民は県の職員の意識改善というのを求めている。ですから、県も一生懸命それをやっている、オンブズマンもやっているということなので、県民のための政治をしなければならないということは県の職員の皆さんの頭にはもう十分入った。だけれども体でわかっていない、頭ではわかっているけれども体でわかっていないという点がまだあると思います。ですから、それをひとつ体でわかってもらうようにするということをこれからさらに努めていきたいと思っております。
  240. 続訓弘

    ○団長(続訓弘君) 質疑は尽きないようでございますが、予定の時間が過ぎておりますので、以上をもちまして公述人に対する質疑は終了させていただきます。  なお、公述人の方に申し上げます。あるいはこれとこれは言い足らなかった、こういう点がございますれば、短い時間、お受けしたいと思いますけれども、何かございますか。――それでは、この際、公述人に一言お礼を申し上げます。  公述人の方々には、長時間にわたり有益な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。派遣委員を代表いたしまして、重ねて厚く御礼を申し上げます。  また、本地方公聴会のために種々御尽力を賜りました関係者の皆様方に厚く御礼を申し上げます。ありがとうございました。  これにて参議院行政監視委員会仙台地方公聴会を閉会いたします。    〔午後四時十五分閉会〕         名古屋地方公聴会速記録  期日 平成十年九月十七日(木曜日)  場所 名古屋市ホテルナゴヤキヤツスル    派遣委員     団長 理事    大高座久君        理事    田村公平君        理事    渡辺秀央君              藤井俊男君              大森礼子君              富樫練三君    公述人       社団法人中部経       済連合会会長       東海旅客鉄道株       式会社代表取締       役会長     須田 寛君       日本労働組合総       連合会愛知県連       合会副会長   角田 重和君       愛知中小企業       団体中央会専務       理事      柴田 茂君       愛知県生活学校       連絡会会長   太田 和子君 ─────────────    〔午後一時開会〕
  241. 大島慶久

    ○団長(大島慶久君) ただいまから参議院行政監視委員会名古屋地方公聴会を開会いたします。  私は、本日の会議を主宰いたします行政監視委員会理事大島慶久でございます。よろしくお願いをいたします。  まず、私どもの派遣委員を御紹介いたします。  私の右隣から、自由民主党所属の田村公平理事でございます。  公明所属の大森礼子委員でございます。  次に、私の左隣から、自由党所属の渡辺秀央理事でございます。  民主党・新緑風会所属の藤井俊男委員でございます。  日本共産党所属の富樫練三委員でございます。  次に、公述人の方々を御紹介申し上げます。  社団法人中部経済連合会会長・東海旅客鉄道株式会社代表取締役会長の須田寛さんでございます。  日本労働組合連合会愛知連合会会長の角田重和さんでございます。  愛知中小企業団体中央会専務理事の柴田茂さんでございます。  愛知県生活学校連絡会会長太田和子さんでございます。  以上の四名の方々でございます。  さて、既に御承知のとおり、本委員会は、参議院改革の一環として、参議院に期待される行政監視機能を向上させるために、さきの常会から新たに設けられたものでございます。  本委員会に課せられております使命は、国権の最高機関である国会が、その機能を十分に発揮して、行政を恒常的に監視するということであります。  本日は、行政監視及び行政に対する苦情に関する実情調査に資するため、本委員会への期待と注文及び行政に対する意見要望について、関係各界の皆様方から貴重な御意見を承るため、本公聴会を開会することになった次第でございます。  この際、公述人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。  皆様方には、大変御多忙中のところを御出席いただきましてまことにありがとうございました。皆様から忌憚のない御意見を拝聴し、今後の調査の参考にさせていただきたいと存じております。  次に、会議の進め方について申し上げます。  まず、お一人十五分で順次御意見をお述べいただき、その後、委員質疑にお答えをいただきたいと存じます。  それでは、これより公述人の方々から順次御意見をお述べ願います。御発言は御着席のままで結構でございます。  まず、須田公述人お願いいたします。
  242. 須田寛

    公述人(須田寛君) それでは座らせていただきます。  中部経済連合会の副会長をいたしております須田でございます。  お手元に簡単なレジュメをお配りしてございますが、これは後ほど御参照いただくといたしまして、私の言葉でいろいろ御要望を申し上げたいと存じますので、その点をお許しいただきたいと存じます。  三点申し上げたいと思うのでございますが、最初は、当地の現時点におきます企業経営から見ました場合のいろんな問題点とその解決策等について御要望を申し上げたいと存じます。第二点目でございますが、国政全般に対する少し次元の高いと申しますか、あるいは長いと申しますか、そういう長期的な課題についてお願いを申し上げたいと存じます。それから三点目といたしまして、当行政監視委員会に対するお願い、この三つに分けてお話を申し上げたいと存じます。  まず最初に、当地方企業経営から見た状態をちょっと簡単に申し上げますと、一言で申し上げまして、ここへ来て大変厳しい経済情勢下にあるということを申し上げざるを得ないと存じます。生産動向あるいは有効求人倍率、それから所定外労働時間、そういったような指標が幾つかございますが、そのいずれもがこの春ごろから一段と厳しい値になっておりまして、企業経営者が大変苦労をしながら経営に当たっているところでございます。  生産動向につきましては、当地は輸出産業のウエートが比較的高いところでございましたので、これまで円安効果その他を受けまして比較的輸出産業が好調でございましたので余り目立たなかったんですが、ここにまいりましてから欧米の不況が非常に輪をかけてまいりまして、この点について非常に厳しい状況が見えてまいりました。三月以降、毎月前年割れの数値が製造業でも続くというふうな大変厳しい状況になっておりまして、工業生産にも落ち込みが見られます。  次に、有効求人倍率でございますが、これも三月以降各月、逐次悪化をいたしておりまして深刻なものがございます。また、所定外の労働時間のデータをとりましても各月二けたで前年割れになっておりまして、このあたりもはっきり申し上げて非常に生産活動ないしは商業活動が低迷しているということがわかるわけでございまして、かなり深刻な事態だというふうに認識をいたしております。  次に、消費動向でございますが、金融不安、株安それから天候が非常に不順だったということもございまして非常に低調でございます。特に、高額商品あるいは住宅着工戸数、それから自動車の新規登録と申しますか新車の発売台数、こういったものが非常に低迷をいたしておりまして、当地の消費動向に非常に暗い影を投げかけているという状況にございます。  特に、最近におきましては、東海道新幹線を私ども担当させていただいておりますが、新幹線のお客様につきましてもこの三月あたりから非常に前年割れが目立っておりまして、特に五月、六月、七月と非常に低調に推移をいたしました。現在もまだその状況から脱却し切っておりません。新幹線のお客様は、これは遅行指標でございまして、景気の動向から大体半年ぐらいずれて響くと言われておりますので、まだ当分この状態が続くのかなというふうな感じがいたしております。  ところで、見通しでございますが、これはいろんな見方があると思いますけれども、幸い四月に政府がいわゆる十六兆円の総合経済対策というものを発表なさいました。それから、十五ヵ月予算を編成されるというふうなお話もございます。そういったこともございますので、秋には期待をかけているところでございますが、現在まだその兆候が見えない、そういう状況でございます。今の状況では、金融不安、消費動向の低調、生産動向の低調さらに国際情勢の低迷という問題がございまして、はっきり申し上げると複合不安といいましょうか、そういうふうなものが非常に消費者心理を冷やしている、こう申し上げざるを得ないと思います。  そこで、これからの対応、対策ということでお願い申し上げたいことがございます。  一つは、やはり金融システムの安定ということを法的な面も実務面も含めまして早急にお取り上げいただき、強力に実現をしていただきたいということがまずあろうかと存じます。  次に、税制上の措置でございます。減税が既になされておりますけれども、さらなる法人税の減税ないしは税制改革を含めた所得税住民税のー層の減税、そういったことをお願いいたしまして消費の下支えをしていただけないかという要望を持っております。  それから、あとは公共投資でございますが、これもいろいろ対策はなされておりますけれども、特にお願いいたしたいのは、重点的な配分ということをお願いをしたい。総花ではもはや効果がございませんので、重点的な配分お願いしたいということを特に申し上げたいと存じます。  そこで、大切なことは、今の金融システムの不安解消にいたしましても、税制にいたしましても、公共投資にいたしましても、総合的かつ重点的に、しかも適時適切に速やかにお願いをすることが大事でございます。逐次投入方式ではなかなか効果がございませんし、断片的な施策では効果がございません。複合不安でございますから、何とかそういう施策を総合的におとりをいただきまして、複合安心と申しますか、総合安心が得られますような、そんなような総合施策を特にお願いしたいと存じます。  この中部地方というのは、我が国の非常に大きなへそとも申し上げるべきつぼに当たる地域だと存じます。私どもは、この中部地域に公共投資を重点的にお願いすることができ得れば、この効果を非常に全国に発揮するにふさわしい場所だと存じております。また、産業構造の変革にいたしましても、この地域は非常に物づくりの町として産業構造について先端的なものを持っておりますので、そういうところに産業構造の変更というふうな新しい施策をとっていただきますと、それの全国への波及効果が非常に大きい。産業構造の面でも、それから今申し上げましたようなインフラの面でも、公共投資の面でも、この地域は全国のへそにふさわしい地域だと存じます。ぜひとも当地域に重点的な施策お願いいたしまして、なるべく早く全国的に今の効果が波及をいたしまして複合不安が複合安心になるように御高配を賜りたい、このように思う次第でございます。  最近の経済動向、経営動向から見ました問題点とその課題お願いは以上のとおりでございます。  次に、一般的な国政への長期的な要望を申し上げたいと思います。  今、私ども国民が一番政府に期待をいたしておりますことは、行財政改革の果敢な実行ということであり、スリムで効率的な政府実現していただくということに尽きると存じます。そのための着眼点を二点に分けて申し上げたいと存じます。  一つは、まず権限と申しますか、業務の再配分の推進ということでございます。それから二番目は、壁のない行政実現というこの二点について特にお願いをしたいと存じます。  まず最初業務ないしは権限の再配分実施ということについて申し上げるべきことは、国として将来残すべき仕事、国がやっていただく仕事は何なのかということについて原点に立ち返って総洗いした議論をしていただきたい。  今、省庁の再編成がいろいろ議論されておりまして、十二省庁というふうな議論がございます。それはそれで一つの方向であろうかと存じますが、それを今申し上げましたような権限ないしは業務の再配分を念頭に置かずに実施をいたしますと、単なる問題点の拡散にすぎなくなってしまう、あるいは数字合わせにすぎなくなってしまうことを恐れます。まず、政府として国として、何が最低限のなすべきことなのか、それをお決めいただくということについて、もう少し突っ込んだ国民的な論議を国会あたりが中心になられてお願いをしたいと思うわけでございます。  簡単に例を申し上げますと、例えば市場原則になじむものはすべて民間に渡したら一体どういう問題があるのか。問題はあると思います。その問題があることはもちろん国で留保していただかなきゃいけないんですが、仮にそういう前提に立ったら一体どういうふうなアプローチがあるのか。  もう一つは、国と地方役割分担について、一番住民に身近なところで政治を行うことが望ましいことは言うまでもございませんので、すべて住民に身近なところで、市町村段階、都道府県段階へ政治を落としていった場合に、どういう問題がどうしても国に留保されなきゃいけないのか。恐らく、外交とか防衛とかは間違いなく残るでありましよう。それ以外もありましょうが、そういう原点からした発想というものはどうしても必要じゃないんだろうかと。  従来の延長線上で権限移譲という言葉がございますが、あれはあるものを分けてやるという発想でございます。それから、地方分権というのは、国が中心になっていてその一部を地方に分けるというのが分権でございます。そうじゃなくて地方主権あるいは民間主導と、そういうことになって国に何が一体残らなきゃいけないんだろうかな、そういう発想というのはもう一つ私はまだ突っ込んでいないような気がいたします。ぜひそのようなことを突っ込んでいただきまして、スリムな政府とは一体何なのか、それをお決めいただいた上で十二省庁に仕事の配分をしていただきたいということを重ねて経済界としてもお願い申し上げたいと存じます。  規制緩和ということも言われますけれども、これも民間との仕事の再配分の議論にほかなりませんし、地方分権とかそういう議論もやはり国と地方の権限分担の議論であろうと私は存じます。ぜひそのような議論を原点に立ち返ってお願いをしたい、このように考える次第でございます。当然、財源の配分についても同じような議論が必要になってまいろうか、このように思う次第でございますが、ぜひそのような権限とそれから業務の再配分について御議論をいただきたい。恐らく、規制緩和についてはそこでおのずと結論が出てまいる問題かと存じます。  次に、第二点でございますが、壁のない行政実現についてお願いいたします。  壁には二つの壁があります。一つは省庁別の壁であります。いま一つは府県、市町村別の壁であります。  前者につきましては、省庁別の壁を破るということは総合的な行政を志向することであろうかと存じます。後者につきまして、府県、市町村別の壁を破るということは広域行政が必要だということに相なろう、このように思うわけでございます。現在、この壁の存在のために非常に行政効率が落ち、かつまた非常に国民の方から見ますといら立たしさを禁じ得ない面が幾つかございます。ぜひこれを省庁統廃合のきっかけにしていただいて、このような壁を破っていただきたいと思うわけであります。  特に、省庁別の壁で私どもが痛感をいたしますのは、十二省庁に再編成をされるのは結構でございますけれども、あの中に今の省庁の壁がそのまま入っていったらば、いわゆる局あって省なきがごとくなれば、これはむしろ今よりも状態は悪くなると存じます。また、非常に強大な官庁ができる。国土交通省なんというのは物すごい大きな官庁になろうと思います、総務省もそうだと思いますが。そういったようなものがこの壁を持ったままできますと、言葉は悪いですけれども、戦前の内務省やそういったものが再び復元する可能性だってゼロではないと存じます。したがって、壁を破るという発想に立って、先ほどのスリムな政府と組み合わせて行政の再配分お願いすることがまず必要でございまして、総合的な見地に立って行政をやっていただくということではないかと存じます。参議院省庁別の壁を破られて委員会制をおつくりになっておられることは、その意味で非常に高く評価申し上げる次第であります。  次に、市町村別の壁についてもいろいろ問題がございます。非常に市町村の数が多い。数千の数かある。人口何百万という市からわずか二万人しかいない市まであるというような状況でございます。都道府県をとりましても、何千万という人口を有する東京都から六十万しか人口のいない島根県、鳥取県に至るまで、同じような組織があり、同じような県庁の庁舎があり議会があります。果たして、そういうことが適切なのかどうか。東京でいえば世田谷区の半分しか人口のないところに一つの県があるというふうなことは、一体これはどういうことなのかというふうなことを考えますと、もう少し広域的な行政ということがそこに必要になってまいる。  理想としては、もちろんこれは市町村の合併ということだろうと思います。簡単にその市町村の合併というのが実現しないとすれば、事務組合をつくるとか、あるいは都道府県同士の横の連携をつくって道州制にならないまでもブロック的な行政を行うとか、戦争の末期に一部そういうことが行われまして地方行政協議会というのが開かれたことがありますが、そういったものをもう一遍現代風に考えてみることも私は一つの課題じゃないかと思うのであります。そういう非常に狭く細分化された市町村行政の壁をどこまで破れるか、これがやはり非常に大きなこれからの行革のかぎを握っているのではないかと存じます。  当地に豊橋地区、三河地区という地城があります。この地城は愛知県でございますが、隣の浜松との連携が非常に密接であり、エネルギーの供給等も浜松と豊橋が一体になって供給事業が行われているそうでございますが、これが間に県境が入っておるために大変事務の疎通に難点があるということを現地の人から聞いております。通産局の所管も、県が違うために東京と名古屋と違っている。そこの連絡だけでもう一日かかってしまう、そんなことが現実にあるわけであります。もう少し広域的な行政が行われるように、市町村の壁を破るにほどうしたらいいかということにつきまして、国会レベルでも国民的な御議論をお願いしたいと存じます。  今申し上げました二つの壁、つまり省庁別の壁、そしてまた都道府県別の壁を破るために大事なこと、一つの大きな起爆剤になる施策があると存じます。それは現在論議が進んでおります首都機能移転であります。  私どもは非常に不幸なことだと思いますが、首都機能移転が凍結されるというふうな議論が行われました。これは首都機能移転というのが、やはり昔の土建行政的な次元での議論、公共投資の配分論だというふうに誤解をされていたからこそああいうふうな議論が出たものと存じます。  首都機能移転というのは、あくまでさっき申し上げましたスリムな政府をつくり、また行政の壁を破るための大きな起爆剤であったはずであります。行財政改革の、むしろ一番最初に行うべき基礎的な課題であったはずであります。凍結というのは、私は本末転倒の論議ではないかとさえ思います。もう一度首都機能移転というものを原点に立ち返った議論をしていただいて、今申し上げましたような行政の権限の再配分それから行政の壁を破るための一つの大きな起爆剤として、その基本的な施策として首都機能移転を御推進いただくことが私は最も今緊急ではなかろうかと存じます。首都機能移転の場所として、この中部地区がふさわしいことは言をまちません。  最後に、きょうわざわざ御臨席をいただきました行政監視委員会皆様方に対しての御要望を申し上げます。  先ほども申し上げましたように、省庁の壁を破るという意味におきまして、参議院委員会制度が全面改正されて非常にスリムなといいますか、仕事の流れに応じたシステムかつくられたことについてまず敬意を表したいと存じます。そしてまた、行政監視委員会というものができ、このように地方において我々の意見も聞いていただけるということで、民の声を吸い上げると申しますか、そういう意味合いで御活躍が始まっているということについて非常に敬意を表し、かつまた御礼を申し上げる次第でございます。  しかし、これを実効あらしめるためには、参議院省庁を超えた横断的な委員会組織というものが十分に機能するというためには、私は、この監視委員会の活躍というものが大きなかぎを握っているものというふうに存じます。したがいまして、参議院の新しい改革、委員会制度の改革のかぎを握っているものはこの行政監視委員会なんだという気概を持って行政監視委員会の活動をお進めいただきたいと存じます。そして、いろんな議論につきましていろんな面から国民の声を吸い上げていただき、それを国政に反映させていただき、またこの行政監視委員会の活動が国政にフィードバックされていく、そういうふうなことを期待いたしております。そのような勇気ある、そして気概を持った行政監視委員会の活動に我々国民は心から拍手を惜しむものではない、このように考える次第でございます。  行政監視委員会先生方のますますの御健闘それから御活躍、そしてまた国政における今のような民の声の反映につきましてこれからも御尽力いただくことをお願い申し上げまして、僭越ながら私の発言を終わります。  ありがとうございました。
  243. 大島慶久

    ○団長(大島慶久君) ありがとうございました。  次に、角田公述人お願いをいたします。
  244. 角田重和

    公述人(角田重和君) 連合愛知で政策担当の副会長をしております角田です。よろしくお願いします。  連合愛知の政策委員会を若干紹介させていただきますと、連合愛知は五十二単産五十二万人の構成組織で組織しております。いろいろな取り組みを行っているところですけれども、とりわけ政策課題については重視しておりまして、専従のスタッフを三人配置して取り組んでおるところです。毎年七月から八月には愛知県あるいは名古屋市に対して各種の要望だとか要請事項を提出して、年明けにも担当部課の皆さんといろいろ懇談する場を設けております。県下の十二地区に連合の地区協議会というのを設けておりまして、それぞれの地区協議会でも自治体当局と定期的に懇談する場を設けておるということで、そういう場でも勤労者の立場からいろいろな御意見あるいは御要望を申し上げているところです。  本日は、参議院行政監視委員会地方公聴会公述人ということで指名していただき、こうした場で意見を述べさせていただくことに深く感謝を申し上げるとともに、これまでの連合愛知の取り組みを通して感じたことを中心にして幾つかの点で御意見、御要望を申し上げたい、そんなふうに思います。  まず第一に、行政監視委員会への期待と注文ということですけれども、連合は、国会が立法機能とあわせて政策、制度が正しく遂行されているのかということを国民に成りかわってチェックする機能も大切であるというふうに考えております。そういう意味から、昨今のいろいろな不祥事続きに対しては非常に残念に思っております。国会行政緊張感は非常に大切であり、その意味で、参議院でことしからこうした委員会を設置されたことに対しては私自身も大変意義のあることではないか、そういうふうに思っております。  しかし、冒頭に感謝申し上げながらこうした注文を申し上げるのは大変恐縮に思いますけれども、実はこうした公聴会を行うに当たって、もう少し余裕を持って日程を設定していただけたらなというふうに思いました。  私自身も、連合愛知の事務局からこうした会があるから出席するようにと聞いたのが九月四日の金曜日でして、その日も、行政監視委員会というのはどういう性格のものでどういう役割を果たすのか、どういう内容のものかということについて正直言って知らなかったんです、大変申しわけないんですけれども。そんなことで、九月七日の日にようやく行政監視委員会というのはこういうものですよということを聞いたわけです。それからいろいろ事務局から資料をいただいて、私が見たのが実は十日でして、それできようを迎えたということです。こうした公聴会を開く場合、やはり一ヵ月ぐらいの余裕を持っていただけたらということで、この場をかりてお願いを申し上げたい、そんなふうに思います。  次に、地方分権の推進に関して意見を申し上げたいと思います。  御案内のように、地方分権推進委員会は第四次にわたる勧告を出しまして、五月二十九日には政府地方分権推進計画の閣議決定をしました。次期通常国会でいろいろな関係法案が審議されるということで、私ども労働界としても、行政が一層身近なものになるという観点で大いに期待しているところです。  連合愛知としても、この間、自治体の長の皆さんともいろいろな意見交換をしてきたところですけれども、共通して心配されておるのはやはり財政問題じゃないか。権限が移転されても、財源がどう負担してどうなるのかということで非常に心配されておりまして、私自身もそういうふうに思っております。  地方分権が進めば進むほど財政的な裏づけが必要になるんじゃないかというのはこれは当然でして、今後、やはり国と地方税財源問題のあり方をぜひ再検討していただいたらどうか、そんなふうに思っております。  ちょっと話は変わりますけれども、昨年の秋でしたか、橋本総理が突然三兆円の特別減税を実施するということを言われました。連合としても減税は大変歓迎するところですけれども、三兆円のうち約八千億円近くは地方税じゃないか。七千七百億円ぐらいだったと思うんですけれども、これはそのうちの地方税だということですね。自治体にとってこの減税分は、地方交付税の交付団体は起債で補てんすることができますけれども、不交付団体は減額のままということになるかと思います。  愛知県下の自治体の場合、不交付団体か二十一団体ということで、これは全国で一番多いわけですから、愛知県下の場合は減収のままという自治体もかなり多くなったという実態で、自治体側もかなり困惑しておったというふうに我々も聞いております。  そういう意味で、地方分権時代と言いつつ、国で突然地方のことまですべて決めると。地方自治体は、あれあれという間に、自分たちの意見を言う前に国で決まったんだからしようがないということになるわけですけれども、果たして地方分権という時代にそういう決め方が本当にいいのかどうかということも含めて、自治体の皆さんもそういう御意見が多かったわけです。私自身もそういうことを思うものですから、そういうことで御意見を申し上げたいと思います。  次に、須田会長も先ほど述べられたんですけれども、自治体の再編統合ということについても述べさせていただきたいと思います。  最近、国が政策の先取りをして、地方がそれについていけないという状況が多々見られるんじゃないかと思っております。  例えば、二〇〇〇年の四月から実施されるという介護保険の問題、あるいはごみの減量、リサイクルをしようということで、二、三年前だったと思うんですけれども、容器包装リサイクル法案が国会を通りまして今各自治体も取り組んでおるかと思うんです。私ども連合愛知としても、これまでごみの減量だとかごみのリサイクル問題に取り組んできたわけですけれども、こうした国の政策決定には私はそれなりに評価をしております。しかし、実施する自治体がそういう体制にあるのかどうかという点になると、難しいところもかなりあるというふうに思っております。実施することができない自治体の理由もいろいろあるかと思うんですけれども、大きな理由は、やはり自治体の規模が小規模なところほど難しいんではないか、そんなふうに思っておるわけです。  これまでも、個別の課題は広域的にということで、水道だとか消防だとか、あるいは清掃関係については一部事務組合ということでいろいろ対処してきたわけですけれども、一部事務組合というふうになりますと自治体間のエゴがまともに出てきて、清掃なんかは特にそうですけれども、私のところは絶対要らないといったらもうそれっきりだと、自治体は対等、平等だというあれですから。そういう意味で、エゴがむき出しになるケースも多々見られるわけです。  今後、分権が進むにつれて自治体の能力が問われることに必ずなるというふうに思っておりますから、そういう意味でも適切な規模への再編統合を促すような対策は必要ではないか、そんなふうに思っております。  ちなみに、愛知県下ではこの三十年近く自治体間の合併は一件もないという状況でして、ちまたで言われるように、合併しない理由は何かといったら、補助金や交付金も合併しない方が結果的に余計もらえるからと。一例を挙げれば、竹下さんのときに一自治体一億円ですか全部くれたものですから、数が多いほどもらえるという意味も含めて、そういうことからいえば合併しない方が自治体にとって得するんじゃないか、そういうことも言われておるわけです。そんなことで御意見を申し上げます。  それからもう一つは、縦割り行政ということになるかちょっとわかりませんけれども、一件申し上げたいと思います。  市民農園というか家庭菜園ということについてちょっと述べさせていただきたいと思います。  愛知県は、御案内のように産業県ということで、昭和三十年代の後半から四十年代の高度成長時代に県外からたくさんの人が就職して愛知県内に見えたということです。ちょうどそのころの人たちがこれから定年を迎えるという時代になるわけです。今後十年以内には大量の定年者が出るんじゃないかと思っております。こうした人たちの多くは団地なんかに住んでおられるわけですけれども、定年後は家の中でごろごろということにもなりかねぬじゃないかと思って我々自身も大変心配しておるわけです。  一方、愛知県の場合、一歩郊外に出れば非常に最近目につくのが荒れ果てた農地ですね。休耕地です。県外から見えて定年を迎える皆さんは、生まれあるいは育ったところは大体県外であれば田舎が多いものですから、そういう意味で子供のころはみんな土になじんだ経験があるんじゃないかと、そんなふうに思っております。こうした休耕地市民農園のような形で開放できないものかというふうに思っておるわけです。そういうことをすれば、家庭菜園を私もぜひやりたいという人がかなり出るんじゃないかなと、そんなふうに思っております。  最近、県下の自治体でもぼつぼつこうした取り組みをしておるところもありますけれども、法制面だとか税制面がネックになっておって、例えば相続税で言うと営農の納税猶予は二十年間継続してやらないと打ち切りになる。ですから、市民農園のような形で貸すと今度はもうそれが打ち切りになるということで、貸したいけれども貸せないという人もかなりおるんじゃないか、そんなふうに思っておるわけです。  ドイツでは市民農園がかなり発達しておるということを聞いておりまして、高齢者の医療費がかなり減ったということも聞いておるわけです。環境面でも、荒れ果てた農地が少なくなったり、土に親しんで自分でつくった作物を自分で食べる、そういう喜びを感じることができれば、農地でとてもやれないという人も愛知県下にかなりおるものですから、そういう意味で第三者が入って市民農園というような形でやっていければ、これはもう一石三鳥ぐらいになるんじゃないかなと。経費もそれほどかかると思えないものですから、そういう観点でひとつ市民農園みたいなそういう制度をぜひお願いできないものかなと。  市民農園というのは、お聞きするところによるとどうも建設省の所管だということを聞いておるわけです。私もちょっと確定的なことを調べてこなかったんですけれども、農地法の関係も若干問題があるのかなという気もしておるんです。その辺で、ぜひこういう観点でも是正をできればお願いしたい、そんなふうに思っております。  それからもう一つ、情報公開について述べさせていただきたいと思います。  情報公開は二つの側面を持っておるんじゃないかと思っております。一つは不正防止のための抑制力という意味での情報公開、二つ目は住民参加を促進するための情報公開ということです。最近マスコミをにぎわしている、不正の告発などの不正を防止するためのオンブズマン的な機能も私は大切ではあるというふうに思っておりますけれども、国民が政治あるいは行政参加することを促すという観点も一つ大変重要な問題じゃないかと、そんなふうに思っておるわけです。  今後、地域社会をどうしていくのか。これは正しい情報でよりよい議論を推進していく観点がより大切になっていくのではないかなと思っております。地方分権が進む中で、都市計画だとかあるいは交通網の計画、福祉あるいは予算の配分なんかも行政のアカウンタピリティーという観点で、そういうアカウンタビリティーを高めるためにも情報公開がもっともっと重視されてもいいのじゃないかなと、そんなふうに思っております。  最後になりますけれども、ちょっと日銀の金利政策について述べさせていただきたいと思います。  日銀のこれはもう公定歩合も含めて専決事項だから、こうした場で言うのが適切かどうか私はわかりませんけれども、九月九日の日に日銀は金利のあれを決定したわけです。私は、余りにもこれはもう国民を無視しておるんじゃないかと、そんなふうに思っておるわけです。  今日の消費不況も、GDPの中のかなりの割合を占めておると思うんですけれども、この不況の原因も、一つは三年も続いたこの超低金利政策が一因じゃないか、私はそんなふうに思っておるものですから今回の引き下げを聞いたときにもういいかげんにしてくれぬかという感しがしたものですから、このことを申し上げまして私の方からの発言とさせていただきます。  どうも御無礼申し上げました。
  245. 大島慶久

    ○団長(大島慶久君) ありがとうございました。  次に、柴田公述人お願いいたします。
  246. 柴田茂

    公述人(柴田茂君) 私、愛知中小企業団体中央会の専務理事をしております柴田でございます。どうぞよろしくお願いをしたいと思います。  私、この三月まで行政に携わっていた公務員でございまして、こういうオンブズマンだとかあるいは行政監視委員会だとか、いろんなものから行政が監視されておるなと、だから大変だなということが実感でございます。  しかし、私もこの委員会が設置をされておることを実は知らなかった。それで、県庁の職員の方にも聞いたんですけれども、余り知られていないというようなことでございますので、やはりこのPRをよくする必要があるんではないかなということが一つ感じられました。  また、資料を送っていただいて、その中を見ますとオンブズマン的な性格もあるということでございますけれども、もう一つは、行政機関へのいわゆる施策要望等もこの委員会でよく審議をしていただいて上に上げていただくというようなことも行っていただきたいなということでございます。  私ども中央会は、中小企業等協同組合法あるいは中小企業団体の組織に関する法律商店街振興組合法というものに基づきます組合を現在千四百程度指導させていただいておるわけでございます。したがいまして私は本日、中小企業の方々がいわゆる国だとかあるいは行政に対して要望をしたいというようなことを思ってみえることについで述べさせていただきたいと感じております。  先ほど須田公述人から発言がございましたように、我が国の経済は依然として景気が非常に低迷しております。それによりまして、中小企業倒産件数もこの一月から七月まで見ますと五百五十九件ということで、前年を見ますと四百五十一件ということで百件近くふえておるというようなことでございまして、かつて経験したことのない危機の状態となってございます。  この景気の低迷というのは金融システムの不安あるいは個人消費の不調、設備投資の鈍化また企業の売り上げ、受注力の低迷というようなもの、また一方では民間金融機関の貸し渋り等から資金繰りが悪化したというようなこと、あるいは規制緩和によりまして競争が激化しておるというようなことで、極めて深刻な問題に直面をしております。中小企業を取り巻く経営環境は極めて厳しい状態が続いております。だけれども、一方におきましては、中小企業の中でも持ち前の機動性あるいは創意工夫を発揮されまして、健全な発展を遂げるように懸命に今努力をされておるというようなことでございますが、やはり国あるいは行政支援がなければならないというようなことでございますので、私は、レジュメにもございますように三点について具体的に要望をさせていただきたいと存じます。  一つは、景気対策についてでございます。  景気の回復には、現在問題となっておる不良債権の抜本的な処理の促進を早く図っていただきたいということと、金融システムの安定を早急に図っていただきたいということが必要ではないかなと感じております。  次に、中小企業に対します金融の貸し渋り対策として、国におきまして今回貸し渋り対策大綱というものを設けられましたが、その中に信用補完制度の拡充について、今般臨時国会中小企業信用保険法の改正案が提出されておりますけれども、現在の金融法の審議によっておくれております。なかなか進まないというようなことで、実は政治法案になっておりますので非常に困っておるというようなことでございますので、一日も早く議決をしていただきたいと願っております。この内容は、無担保保険及び特別小口保険の保険限度額を引き上げるというようなことの法律になってございますので、ぜひこれを早く議決していただきたいということでございます。  また、十一年度の予算編成については、厳しい経済環境における中小企業の経済基盤の強化を図るために通産省におきまして意欲的に取り組む概算要求を出しておりますけれども、どうかよろしくお願いをしたいと思います。  次に、税制改革についてでございます。  税制についていろいろ要望がございますけれども、主なものとしましては、一つは法人事業税で、現在検討がされております外形標準課税導入についてでございます。この税金は利益に対する課税ではなくて、従業員数だとかあるいは資本金だとか売上高、事業の規模を示す指標をもって課税をするという方式と聞いております。赤字法人でも課税されるというようなことから、導入について中小企業者としては断固反対をいたしておりますので、よろしくお願いをしたいと思います。  次に、中小企業の経営者の事業承継についてでございます。  中小企業の経営者にとって大きな問題は、事業継承に相続税負担への懸念が大きくなって中小企業者の活動を阻害しておるということでございます。そこで、事業承継を行う観点から、相続税法上の評価事業承継財産であるという理由によって、その評価に何らかの配慮をしていただきたい。事業用資産に対する租税の納税猶予の特例あるいは分離課税方式導入を図っていただきたい。また、取引相場のない評価について、現在中小企業評価純資産価額方式の一本しかないわけでございますので、これを大企業と同じような類似業種比方式あるいは純資産価額方式のいずれかを選択することができるようにしていただきたい。  次に、町づくり対策についてでございます。  町づくりに関連する三法は、地域が直面をする中心市街地の空洞化問題等に対応するものであり地域が主体となってその特性を生かして進める町づくりに役立つことが必要でございます。したがいまして、この三法の施行、運用に当たっては、中心市街地あるいは商店街活性という視点から各法の整合性に十分配慮することか必要でございます。そのためには行政間、国、県、市というものの調整が必要になってきますので、その調整がうまくいくように、また予算、金融、税制等の各面において大幅な拡充をお願いしたいということでございます。  以上、中小企業者の方々の声として要望をさせていただきます。
  247. 大島慶久

    ○団長(大島慶久君) ありがとうございました。  次に、太田公述人お願いいたします。
  248. 太田和子

    公述人太田和子君) よろしくお顧いいたします。  私は、愛知県生活学校連絡会という会の代表でございますが、皆様方には耳なれない会かと存じます。その会のいきさつについて話させていただく前に、今回、政府の経済政策への不信とか、金融機関不良債権問題とシステムの不安などが消費の低迷を深刻化させていると言えるのではないでしょうか。消費者といたしましては、政府景気回復に対する指導力で一日も早い活性化が図られることを願うものでございます。  また、本日はこの参議院行政監視委員会におきまして、このような発言の場を与えていただきましたことを冒頭に厚く御礼を申し上げます。  さて、私どもの活動の内容に入らせていただきます。  私ども愛知県生活学校の活動目標といたしまして、新しい住みよい地域社会を築くことを目的に、身近な生活環境や地域課題に関して企業行政、団体との対話をしていく、そして実践したり活動していくことによってそういうトラブルを解決していく団体でございます。現在までに私どもが取り組みましたような問題といたしますと、河川の汚濁の問題とか食品の安全性、省資源・省エネルギー問題など、こういう観点でかかわってまいりました。  また、今回ここで述べさせていただきます第一に挙げました環境問題についてでございますが、近年は、私ども地域社会の中で非常にごみの量が多いということで、私たち自身が自治体の中のごみを減量化させること、それから私どもが排出する問題についていかにそれを考えていくか、そういう取り組みをこの生活学校連絡会が、県下にございます私どもの学校といたしまして三十六市町村三十九の組織、二千名余の会員で年一回統一事業としてアンケート調査をいたしております。そのアンケート調査は、私どものごみの減量とリサイクル構築に対してということで身近な問題を取り上げております。  地域皆様方からいただきましたその結果に基づきますと、ごみの減量というのは、皆様方それこそ御承知のごとく、今までの大量生産、大量消費そして大量廃棄ということで、これの悪循環が今日に至っているわけです。容器包装リサイクル法施行されまして、この四月からスタートをしているわけですが私どもは施行を前にそういう地域状況把握して、企業それから自治体、私どものメンバーそれから流通の関係、いろんな方々との対話を進めました中で、私たちは、特にごみの中でPETボトルというのが大きな問題になっており、一番これがごみの大きなネックになるということで業界の方と話し合いをいたしました。そしてその中でぜひそれを減量させるためには素材を統一化するようなシンプルなものにしてくれ、それから私たちとしては、さらに皆様と連携を図りながら、ストックヤードの問題だとか市町村における分別収集、排出に対するそういう問題を次善としてとらえて私どもの訴えをしたわけでございます。  そして、ことしのちょうど四月から容器包装リサイクル法施行されてスタートしたわけでございますが、先ほど来出ておりますように、自治体格差というものが大変顕著に見られると思っております。これはやはり自治体の財政の問題もあると思いますし、また私どもの住民意識の問題もある、そんなふうに思っております。  我々がこうした取り組みをしておりますのは本当に草の根の運動でございますので、こういう中から、行政さらには今回こういう場で私どもの取り組みのささやかな声、主婦のつぶやきというものをお聞きいただいて、どうぞ今後大きなそういうテーマの中に組み入れていただけるような、会として取り上げていただけるとありがたいと思っております。  さらに私どもは、そういった容器リサイクル法施行と同時に、それを循環させてリサイクルさせる、ごみが資源であるということを認識づけていくために、我々の活動として日常生活の中で私どもが着衣をしています衣服に観点を当てました。  大阪にございますあるメーカーが、PETボトルを再生利用してそれから繊維をつくっているということで、その工場へ視察に参りまして見学をした結果、やはりこういったリサイクルするものについてぜひそれを再生利用していかないと、何のためにこれを回収しているのかということで、ごみでなく資源として有効活用させていけるように、私どもも地域へ戻りまして、その繊維、譲り受けましたもので私どもの着衣といいますか洋服などをつくりましてファッションショーをしてみんなにPRをしたわけです。  まだまだ地域の中では、容器包装リサイクル法施行されても分別に対する意識というものが薄い感がございます。それをさらに啓蒙啓発させていく一つの手だてとして私どもがそういったファッションショーを開催したことで、地域住民がやはりごみを排出するのにはきちっと分別をしなければいけないPETボトルはごみではなくこれは資源であるという認識を持ってくれたと思っております。  そういうようなささやかな活動でございますが、消費者のそういった活動をぜひこれからも私どもは続けていきたいと思いますが、何分にも省庁は、先はどより出ておりますように、自治体におきましても縦、横の流れというのが非常に悪うございます。そういった面で私たちもそれを克服していかなければならないと思っておりますが、行政のそういった視点からまた新たな視野でいろいろな御指導がいただけたらと、そんなふうに思っております。  それから、私どもは、高齢者の問題を身近な私どもの問題としてとらえております。年々ふえてまいります要介護の高齢者を社会的に支える施策として国では公的介護保険制度というものを導入されて、二〇〇〇年の四月からこれが施行されるわけでございますが、私どもは、この保険料を支払う側、さらに保険料を使う側、それから保険料を判断する側、サービスを提供する側、それぞれが異なる思いでいると思います。  この保険の仕組みが本当に利用者側の必要とするものであるか、そういうものに厚くなっているのかどうか、保険料が十分に保障されているか、この制度をうまく使うために私たちとして学んでいかなければいけないと思っております。されど、なかなかまだまだこの法制度に対してのそういった機会というものが一般の中には設けられていくことが少のうございます。これからまだまだそういった機会をとらえていらっしやることとは存じますが、市町村行政のそういった関係者、さらには指導する職員外にもそういった面で私どもが得る機会を与えていただけたらと、そんなふうに思っております。  人材確保、個々に当たったケアマネジメントなんかをどう策定していくのか。私たちは、保険料を支払ってサービスなしと言われるようなそういう介護保険制度であってはならないと、そんなふうに思っております。公平な認定がなされるのか、認定に漏れた人たち高齢者への対応はどうするのか、市町村によってサービスの格差というものがかなり出てくるそれは果たして是正されていくのか、現金の給付に対してはどうか、いろいろ私たちは本当に疑問に思っていることがございます。  介護保険制度は、私どもも当然受けていかなければならない問題でございますので、支払う側としても、それに対して見合ったものを必ず得られるようなそういった制度としておとらえいただけたらと、そんなふうに思っております。それには、介護に関する事業が企業化されますときにしっかりしたチェックをする機関というものをつくっていただきたいと、そんなふうに思っております。  それとさらに要望といたしましてはこういったものをこれから申請していく場合に不服申し立てをする者が必ず出てまいると思います。そうした異議申し立てをできるオンブズマン的な制度のようなものをぜひ必要としたいと思っております。そういったことも考慮に入れていただけたらと、そんなふうに思っております。  さらにこの二点に関連いたしまして、空き教室の活用についてということで、これは出生率の減少などによって小中学校の学級数というものか特に都市化の中で減少をしておると思います。減少してそういう空き教室が増していると思います。  文部省では、施策の中に学校施設のリニューアルまたは余裕教室の活用指針を出しておられます。私どもの生活学校では、先ほど述べました二点の中でも、ごみ問題の取り組みの中で、特にストックヤードの確保ということが都市化の中で問題になっております。そういったものをぜひ今回はこの空き教室の中で利用ができるような何か策、手だてはないのか。また、福祉施策におきましても、地域の中で公的な介護を受けられるもののほかに、身近に空き教室利用して託老施設のようなものに活用していく、そういった場というものか大事であると、そんなふうに思っております。高齢者が元気で長生きができることが大事でありますし、地域と家族と生きがい、この三位一体となった暮らしというものが理想的だと思っております。それには、都市における高齢者のそういった施設在宅の中での託老の施設の開設など、私どもはぜひ活用ができればと、そんなふうに思っております。  最後に、今回参議院行政監視委員会という会を私も初めてこの機会を与えていただいて知りました。こういった機関が設けられましたことは大変画期的なことであると思って、私ども県民といたしまして、市民といたしましてはそれを有効に使っていく場であるというふうに思っております。されど、これのPRというのがまだまだ行き届いていない感に存じております。ぜひこういった場を活用できるようなPRをしていただいて、私どものつぶやき、声を反映させていただけることかこれからの私どもにとっての要望でございます。  諸般もろもろ申し上げました。本当に主婦のささやかなつぶやきでございますが、きょうのこの場でお聞きいただけたことに感謝をすると同時に、ぜひ今後もこういった会を多く設けていただきますことを念願いたしまして、私の公述を終わらせていただきます。  以上でございます。
  249. 大島慶久

    ○団長(大島慶久君) ありがとうございました。  以上で公述人の方々の御意見の陳述は終わりました。  それでは、これより公述人に対する質疑を行います。  質疑のある方は、挙手の上私の指名を待って御発言を願います。なお、質疑及び御答弁は御着席のままで結構でございます。
  250. 渡辺秀央

    渡辺秀央君 渡辺秀央でございます。  大変どうも本日は御多忙の中、御苦労さまでございました。ただいまはまたありがたく御意見を拝聴させていただきまして、大変参考になるところかつまた得るところが多々ございましたことを冒頭に御礼を申し上げておきたいと思います。  幾つかあるんですが、皆さんそれぞれ御質問もあろうと思いますので、だれか言い出した方が後がしゃべりやすいでしょうから私が先に、大変おこがましいんですが、連合愛知の角田さんにちょっと御質問をさせていただきたいと思います。  それは、全般的にまことに同感の由でございますが自治体の再編統合のところで須田公述人と同じように、地方分権と同時に地方自治体がそれにたえ得る体力、体質あるいはレベル等々が求められているというふうに大変率直におっしゃったことに敬意を表しながら、かつここで、地方自治体の適切な規模の再編が必要だということを述べられたことを私は非常に実は驚きと感激をいたしました。  特に、副会長は自治労の御出身であられるのに、地方自治体の合併というのはどうしても公務員の数の問題が出てくる。私も実は、須田さんおられますけれども、JRそして専売、それからNTTの行政改革を、当時中曽根、後藤田、私と三人で官邸でやりましてなかなか容易でないということを体験した一人なんです。しかし、国家公務員はあのころの行政改革で定員法で実は抑えていますけれども、地方公務員の数がここ四、五年の間に御存じのとおり約二万人以上ふえているわけです。そういう、一方においては非常に忠実にやられているけれども一方においてはその間隙を縫うというようなことがあり、かつこれがまた地方自治体地域住民の税の負担にもつながっていることもある。  そういう中で、地域住民のサービスを落とさずに、かつ行政の効率を上げて、そして小さな自治体ということよりも適正規模自治体、こういうことでありましょうが、これは日本の行政改革全体、中央がやっても何にもならないというお話をさっき須田公述人はおっしやいましたが、地方と中央と一体でないと行政改革の実は上がらない。すなわち、国民の負担が軽減されないということでありますから、ぜひ角田さんから何とぞ一層の御理解をいただいて、地方自治体統合の推進、もうこれ以外にないと私は思っていましたので、納得とまさに賛成の感で申し上げさせていただき、かつ組合としてそういうことはやむを得ないというような指導者としてのお考えなんでございましょうか、あるいは意思はそういう方向に既にもう大体統一されている、そういうことなんでございましょうか。  そういう意味で、私は感激しながらちょっと質問をさせていただきました。
  251. 角田重和

    公述人(角田重和君) 実は、私は連合の副会長をしております。出身は自治労の愛知県本部の委員長をしておりまして、今、渡辺先生からお話がありましたように自治労の見解と連合の見解ど若干違うんです。  私もこういうことを言うに当たって、正直言って自治労の立場から言うといいのかなということもありましたけれども、やはり現実問題を見ておりまして、例えば容器包装リサイクル法案ができまして、今、太田さんがおっしゃったように一ヵ所に集めるところをつくらなきゃいかぬ。これも三十万規模で一ヵ所つくりなさいということになっておるんですけれども、これは三十万規模となると一つの自治体でできないわけですね。愛知県の場合、豊橋だとか豊田、岡崎だとか、そういうところは三十万規模で自分のところでやれるんですけれども、五万だとか二、三万の市になると、二、三万の市はないんですが、町村になりますと、これはどうしても広域的にやらないとできないんじゃないか。いろいろ法律はできるんですけれども、実態はなかなか進まないと。  ある愛知県下の地区でも、清掃の問題、焼却場の問題、ごみの焼却場になるとこれは大変でして、一部事務組合でやっておるところが多いんですけれども、自分のところはとにかく要らない、とにかくよそでつくってくれということも多々現象を見ております。  私は、これから地方分権というのがかなり進んできますと、官僚の皆さんからいうと、地方分権したんだけれどもやっぱりやれなかったじゃないか、地方に任せてだめだったじゃないか、そういうことを言われる時代になっちゃいかぬと思っておるんですよ。やっぱり受け皿は、それなりに地方分権が進むに当たって、自治体としての能力もつくっていかなきゃいかぬじゃないかなと思っております。  我々労働界の中でも私も地方公務員だったものですから、本当に地方に任せて大丈夫かと、地方公務員に任せて大丈夫かとよく言われるわけですけれども、本質的に国家公務員の皆さんと地方公務員の皆さんとそんなに違うものじゃない、そんなふうに私は思っておりますし、結局権限があるかないかでかなり違ってくるのじゃないかなと。それには、やはり自治体としての機能もある程度ないとまずいんじゃないかと。  先ほども申し上げましたように、私もちょっと県の方に、この三十年間市町村合併なんかはどういうふうだったのですかと聞いたんですけれども、三十年間一件もないわけですね。合併促進法ですか、十年の暫定のあれもあるんですけれども、そういう効果も全く発揮されていないというふうになりますと、これから分権が来年の通常国会で五百本近くの法案がいろいろ出されるということを聞いておるんですけれども、それにはやはりそれなりの自治体の規模が必要じゃないかと。  一部事務組合というのは、これは本当に市民の皆さんも住民の皆さんも余り聞きなれない言葉でして、ここの議会が管理者がどなたで議員はだれかやっておるかなんということをほとんどの皆さんは知らない。しかも、どういうことをやっておられるのかもほとんどわからないということですから、そういう意味から言えば一部事務組合、今清掃にしても消防にしてもいっぱいあるんですけれども、やはり一部事務組合をまとめればこれは全部事務組合、イコール合併なんですね。  そういう観点でやっていかないとまずいんじやないかなと。そうしないと、自治体としての分権時代に対応できないようになってしまうのではないかなと、そんなふうに今思っておるものですから、これは私が思っておるということで御理解願いたい、そんなふうに思います。
  252. 渡辺秀央

    渡辺秀央君 ありがとうございました。大変心強いですね。
  253. 富樫練三

    富樫練三君 最初に須田さんにお伺いしたいんですけれども、先ほど業務、権限の再配分のところで民間主導、市場原理ということをおっしやいました。なるほどというふうに私も伺っていたんですけれども、私どもは前もってレジュメをいただいておりまして、これはレジュメの方も大変わかりやすく書かれておりますので、ちょっと教えていただきたいと思うんです。  これは規制緩和の徹底というところで情報通信、流通などの分野はそれなりの成果が上がっているけれども、しかし医療、福祉、農業、教育などの分野は非常に立ちおくれていると。そうだと思います。その上で、一刻も早くこれらについても市場原理でそういうシステムにしたらどうだろうか、こういう御提案だと思うんです。  そのために、社会的規制はやむを得ませんが、経済的規制については原則自由にしていただくことがいいのではないか、こういうふうにレジュメにはあるんですけれども、確かに医療や福祉や農業、教育の問題というのは市場原理そのものではなかなかなじまない側面もあるんだろうと思うんです。したがって社会的な規制ということもおっしやっているんだと思いますけれども、この社会的規制中身経済的規制、それぞれもうちょっと具体的にどういうことをおっしゃっているのか教えていただければというふうに思うのが一点です。  もう一点は、柴田さんに教えていただきたいわけなんですけれども、私どもは皆さんの貴重な御意見を伺いながら一緒に勉強させていただいているわけなんですけれども先ほど税制改革のところで、外形標準課税についてこれは導入してもらっては困る、こういう御意見がございました。私も基本的にはそういう立場に立っているつもりではあるんですけれども、ここで実態をもしおわかりでしたら教えていただきたいんです。  今、不況の中で中小企業は大変厳しい状況だと思います。かなりの部分が赤字決算をしているのではないか。私も地元では調査をしているんですけれども、半数以上の中小企業赤字決算なんですね。ですから、そこの地方自治体には法人税の減収という形になってあらわれているわけなんですけれども、もしこの外形標準課税導入された場合に赤字でも納めなけれぱならないという事態が発生してくるということで、これはもう今の不況に追い打ちをかけるようなものになってしまうんじゃないかという危惧の念を実は持っているわけなんですね。  ここで、愛知県下で中小企業の決算の状況がどうなのかということ、もしおわかりでしたら数字等も教えていただければありがたいと思うんです。  もう一点は町づくりのところで、例の町づくり三法の施行に当たっての問題で、これも実態を伺いたいと思うんですけれども今、中小商店が閉店をしたり転業したりというのが大変ふえているわけなんですね。一方では、郊外型の大型店がどんどん進出する。九〇年代に入ってから大店法が何度か見直されまして、ついにこれがなくなるという状況の中で、町の商店街が非常に寂れるという事態になっていて高齢者の生活が大変になっているんですね。郊外型ですとやっぱり車で買い物に行くということになりますので、高齢者世帯の場合は近所でお魚とか野菜を買うという、こういう状況がなくなってくると大変だという状態なんですね。大型店の出店の状況と中小商店の転廃業の実態など、もしわかりましたら教えていただければというふうに思います。  それから三つ目は、太田さんに教えていただきたいと思うんですけれども、先ほど介護保険の問題、現場からのというか生活者からのというか、そういう心配な点が幾つか出されました。保険あって介護なしだとか、サービスの格差とか、認定基準の問題であるとか、幾つか出されましたけれども、もし今の状態で介護保険が実行された場合にこういう点が本当に心配なんだという点、わかりましたらもうちょっとリアルに教えていただければというふうに思います。  以上でございます。
  254. 須田寛

    公述人(須田寛君) 社会的規制という先生の御質問に対してお答え申し上げますが、私は二つあると存じます。一つは安全にかかわる規制でございます。それからもう一つは公益性、シビルミニマムとあるいは申し上げた方がいいかもしれませんが、その規制だと思います。  少し敷衍して申し上げますと、安全というのは、もうこれは当然かと思いますけれども、例えば人命にかかわるようなことが行われてはなりませんので一定の基準が要る。  ちょっと私どもの関係の交通機関で例を申し上げますと、例えばバス事業というものが今認可制になっております。これをもう少し参入を自由にして規制緩和をしようという動きがございますけれども、その場合、一つやはり忘れられないのは安全上の規制です。例えば、そのバス会社が安全な運行にたえるかどうか、それは厳重にチェックなされなきやいけません。例えば、交通機関としては定員制の遵守だとか安全基準の確保ということ、これは言うまでもないことでございます。そういうふうなものは今後とも規制が残らざるを得ない分野だと存じます。  その次はシビルミニマム、公共性の問題だと思います。  例えば、バス事業の場合でも参入退出規制が今度はなくなる。現在は参入もできないかわりに退出も自由ではありません。バスをあしたからやめますというようなことは許されないわけでありまして、都道府県の同意書を持ってこいとか、いろいろそういうことが指導上行われています。そういうことも全部やめるというのが、今の規制緩和の一応原則だと思うんですね。そうした場合に、採算がとれない路線からパスが全部撤退していった場合にシビルミニマムはどう確保するのかという議論があります。これは国民的な世論にまつものだろうと思いますけれども、ある程度の規制という概念がそこに残り得る余地は私はあると思うのであります。  ただ、ここの場合大事なことは、今の安全はともかくといたしまして、シビルミニマムの公共という言葉は非常に厳格に解釈されなきやいけません。したがって、今申し上げましたように、公共性から見てどうしてもシビルミニマムの輸送を確保しようということであるならば、例えばその費用は公共団体が分担をする、地元住民が分担をする、そういうふうなそこに行政的な指導がなされなきゃいけませんし、あくまで市場原理を透徹できるように努力をするということは念頭にありますか、やはり一定のシビルミニマムということについては、むしろこれは規制というよりも自主的な企業の努力というものは必要かと思いますけれども、そんなような二つの点はやはり配慮されなきゃいけない。それを除けば一切市場原理で確保すると。  社会的規制の中でも、極力今の市場原理の中で公共性が確保されれば一番いいということですから、これは企業者の努力だと思いますけれども、私はやはり大きいのは安全の問題であり、そして今の公共性をどうするかという議論になると思います。後者の方は、若干これから事業者との間で考えなきゃいけない問題、こんなふうに思っております。
  255. 柴田茂

    公述人(柴田茂君) 赤字法人状況ということでございますけれども、私どもは組合のいわゆる指導ということで、私のところの下に組合があるわけです。その組合に各企業がおるという格好になるものですから、その辺の状況というのは正直な話上がってきておりません。おりませんけれども、やはり組合なんかにお聞きしますと、赤字の企業がかなりあるんだということでございまして、数までちょっと把握はしてございません。  それから、大型店の出店の状況についてはちょっと今資料を持ち合わせておりませんので、後にでもと思います。
  256. 太田和子

    公述人太田和子君) 介護保険の関連に関しまして私ども一番懸念をいたしておりますのは、介護、要介護を認定委員に扱っていただいた場合、私自身というよりも、受ける側のその者が果たして思っているサービスが受けられるのかどうか。これは判定の基準によってやはり受けることができないということもあろうかと思います。そういった場合、保険を掛けるに当たってその人の受ける側のサービスの質というものが違ってくると思いますし、私たちはやはりそういった面で、だれもがある程度自分の意思が通じるような保険導入というふうであってほしいと思っておるんです。  それから、認定をされる場合と、今まで例えば介護を受けていた人が今度の新しい法によって施設を出されるようなケースも間々出てくると思います。そういったことが私どもにとってはまだまだなかなか複雑でこの制度に対してのまだそういう認識というのがみんな薄いと思っております。そういう点をもっと熟知させるような形にしていただきたいと、そんなふうに思っております。
  257. 富樫練三

    富樫練三君 ありがとうございました。
  258. 藤井俊男

    藤井俊男君 委員藤井俊男でございます。貴重な御提言、また御指摘等いただきましてまことにありがとうございます。  順次一つずつお聞かせを賜りたいと思うんです。  須田公述人さんには、断片的ではなくということで、国の金融政策を御指摘いただいておりますが、今非常に不況そのもの、深刻そのものでございます。断片的ということで、十六兆円の公共投資等も行っておりますが、どんな形で、具体的にお示しいただければ幸いと思っております。  もう一点は、須田さんにつきましては東海の方の鉄道の関係会長さんをなされているという点で一つお聞かせ賜ればと思うんですが、旧国鉄債務の関係で、触れてはおりませんでしたけれども、JR負担でニ十八兆円の負債があったということの中で、新たに三千六百億の関係等、今議論になっております。端的には、それぞれのJRが二百四十億程度求められると。こういう点についてはいかがお考えを持っておるか、率直な意見をお聞かせ賜ればと思っております。これが一つであります。  それからもう一つは、角田公述人さんですが、今、私のお隣の渡辺先生の方からも御指摘がありましたけれども、市町村の合併の問題です。一部事務組合の広域行政の合併、確かに大変な面で、ダイオキシン等発生をいたした中でのそれぞれのごみの問題、焼却の問題、産廃の問題あろうかと思うんです、いろいろ取り組み等が。そういった中で各自治体、今三千二百三十二ほど四十七都道府県の中で市町村ありますが、その自治体が個別に努力してそれぞれ運動を展開しておると。大変な努力をされている点もあろうかと思うんです、反面で。  そういった中で、どうしてもこれは欠かせないということの中での事務組合あるいは広域合併ということで私は非常にこの愛知県へ来てうらやましいと思っておるのは、愛知県は名古屋市を中心といたしまして政令指定都市になっております。私は埼玉県に住んでおります。埼玉県は九十二市町村ですが、四十三市三十八町十一村ございまして、それぞれの自治体がそれぞれ頑張ろうということで頑張っております。この広域合併の問題で今浮上しているのが、浦和、与野、大宮という市があるんですが、合併をすべきとすべきではないといういろんな意見が出ております。これはどこにあるんだろうということで、私ども、政令指定都市からの交付金等もあるのではと、いろいろあるんですが、なかなか難しいものがあります、これは。  そういった意味で、御当地におきましては、先ほど二十一の不交付団体かあるということを御指摘がありましたけれども、この市町村についての合併問題が浮上しているのかどうか名古屋市以外に、こういう点をお聞かせを賜ればと思っております。  それから、柴田公述人さんですが、中小企業団体の専務理事さんということで大活躍をされておりまして、一千四百ほどの組合を統括しておられるということでございますが、非常に中小企業が今まさに厳しい状況下に陥っております。先般は小渕総理も埼玉の川口市を訪れまして、中小企業の実態をつぶさに調査をしております。  そういった状況の中で、私は、中小企業に向けた融資制度等、先ほど無担保の関係と保険の問題が話されておりましたけれども、これらの融資制度についてはどんな形で御当地についてはやられていて、あるいは緩和策などをとっているのか、あるいは事務的に非常にやりやすいようにやっておるのかどうか、その辺もお聞かせを賜ればと思っておるんです。非常に借りる方も多くてどうしようもないとかいろいろあると思うんですね。この辺の融資の関係等をお聞かせ賜ればと思っております。  それから、太田公述人さんですが、大変恐縮ですが、介護保険の問題確かに二〇〇〇年の四月からですから平成十二年、もう間近になっておりまして、ゴールドプラン等も来年の関係が一応ピリオドになっておりますが、これらの各自治体、それぞれまた市町村が取り組みがまちまちだろうと思うんです。このまちまちはどこが原因で起きているのかと。私は、国の方で、国、県、市、この関係の中ではやっぱり財政面を、かなり金もかかることですからいろいろな意味配分をやっていかなければ、市町村それぞれが介護保険についてアンバランスで取り組みができないのではないかという気がしておりますので、この辺のお金の点はどういうふうに生活学校さんではとらえておられるか、率直な意見等も承れればと思っております。  よろしくお願いします。
  259. 須田寛

    公述人(須田寛君) 今、先生の御指摘のございましたまず最初の、私が断片的と申し上げたことについてちょっと御説明をしなきゃいけないと思うのであります。  若干断片的という言葉は適当でないかもしれませんが、十六兆円の四月になされた施策というのは、確かに私は総合施策であったと思います。ただこれは減税と社会資本投資ということについてなされた総合施策でございますが、問題は、その前に何度かやはりそういう施策が行われてきたんですが、兵力の逐次投入のような感じがあって、ようやくここに来て深刻化して総合施策になりました。総合施策になったんですが、その前がどうも私は断片的な印象があったということを申し上げたかったんです。  もう一つ申し上げますと、最近金融不安が起こりました。これは長銀問題があって新しい金融不安が起こったわけです。既に北拓の問題が過去にあり、いろいろ起こっていたわけです。したがって、この十六兆円の対策のときに金融対策も一緒に合わせた総合的な経済対策としてもう少し金融に踏み込んであれば、またちょっと違った私は精神的なニュアンスがそこにあってもう少し国民が安心できたのかなと思います。  そうは申しましても、しかしここまで来たわけでありますから、とにかく早い対策が必要でございますので、ぜひとも今の金融法案なりなんなりの御審議を早くお願いして対策を整えていかなきゃいけませんが、若干今反省してみると、もう少し先の方を見ていただいて一緒にやっていただいておれば、もう少し総合不安にならなくて済んだのかな、複合不安にならなくて済んだのかなと、そういう意味で申し上げたわけでございますので、若干言葉が過ぎたかもわかりませんが、そんなニュアンスでございます。  それから、もう一つの国鉄の債務問題でございます。  きょう私は、実は国鉄の代表ではないつもりで参ったものですから申し上げませんでしたが、御質問でございますので、若干私見的なこともあるかもしれません、申し上げますけれども、私どもが、国鉄がJRになりました際にいろいろ経営のフレームを、当時の、ここに渡辺先生よく御存じでいらっしゃいますが、決めていただきました。それでスタートをしてまいったわけであります。その後、このフレームには若干の修正がございまして、今問題になっておりますところの共済組合のJR負担も実は変更がありまして追加負担がございました。それは私どもなりに応じてまいったわけであります。  その後、我々は株式を上場いたしました。本州三社は上場いたしました。その際に、株主に情報開示をいたしましたのは、今回の施策の前のところまでの情報開示をして三社は上場したわけです。その後起こってきたのが今度の問題でございます。いずれ長期債務問題というのが清算事業団の解散のときに起こることはわかっておりましたけれども、JR負担がこういうふうになるということは最近まで、この法案ができるまでは私どもは知らなかったわけです。  したがって、上場いたしまして、これまで株主に情報開示をしていない内容のものが非常に大きなJRの長期的な負担として出てまいりますと、私どもの会社だけでも三十数万の株主がおいででございますので、やはり株主に対して私どもは、そうでございますか、結構でございますとはどうしても申し上げにくい。したがって、やはり株主もおられて我々はこれまでこれで情報開示して枠組みを決めていただいてやっておるのでございますから、ひとつ何とか新しい負担は、株主に対しても私ども説明がつきませんので、経営者としては御勘弁いただきたいと申し上げざるを得ませんというのが私どもの姿勢でございます。一部の会社は強い口調でそれを申しておりますけれども、私どもは謙虚にそういうふうに申し上げておるわけでございます。  ただ、ここで一つお願いしておきたいことは、いろいろ御議論がありましょうけれども、やっぱり国も一つの案をおつくりになったわけでございますから、大事なことは、この問題はタイミングがございます。この問題、今の時期を外して先送りされますとまた新しい問題を含みまして余計複雑になりますので、何とかやっぱり今度の時点においてこの問題には決着をつけていただきたいという気持ちは非常に私ども強く持っております。ただし、負担は御勘弁いただきたい。しかし、国にもいろいろお考えはもちろんこれはあることは承知いたしておりますので、そこは国民の代表でございます国会の諸先生方に慎重な審議お願いいたしたいというのが私どもの立場でございまして、私どもは今冷静に国会の御審議の成り行きをかたずをのんで見守っておる、こういう心境でございます。  ひとつ国鉄の債務問題というのは非常に緊急の課題でございますので、ぜひとも今の時点で何らかの決着をつけていただきたいということをここで重ねてお願い申し上げますが、中身につきましてはそのようなことでございますので、私どもは株主に対する一つの建前として、結構でございますとは申し上げにくいというのが私どもの現在の姿勢でございます。  よろしゅうございますでしょうか。以上でございます。
  260. 角田重和

    公述人(角田重和君) 藤井先生からの愛知県下でのそういう合併の動きがあるかという御質問なんですけれども、愛知県下ではそういう動きはありません、聞いておりません。  ただ、愛知県というと、ちょうどカニのようになっておるんですけれども、半分、名古屋から西の方は尾張、東の方が三河なんですけれども、三河の刈谷、安城、碧南、知立、高浜という五市が研究会というか、具体的なあれじゃないんですけれども、将来に向けて合併したらということで、研究会だとか、そういうことはいろいろやられておるということは聞いておりますが、それはまだ合併だとかそこまでは行っていないんじゃないかと。そういうことはちょっと聞いておりません。研究会という程度じゃないかな、そんなふうに記憶しております。
  261. 柴田茂

    公述人(柴田茂君) 今の資金の貸し付けというかそういう状況でございますけれども、国の発表しました総合経済対策で、中小企業庁が八つぐらいの貸し付け条件の緩和だとかあるいは新しい融資制度を設けられた。そのパンフレットを国の方から、各中小企業に隅々まで周知をしてくれ、こういう話がございましたので、この資金についてもし借りられる方が見えればどうぞというような格好で周知はしました。  それから、中央会として県に対して要望をいたしたのは、経営の安定と雇用の確保のために長期金利の融資制度を創設してくれという問題と、中小企業の資金の円滑化を図るために融資条件の一部緩和をしてくれということで、雇用創出のために資金の新しい制度を設け、また経営の安定化のための条件として売り上げの低下したものに対してお貸しするという制度を県で設けていただいたということで、それによってやっておるわけでございますけれども、全体として仕事の量が余りないというようなこともあって、聞いてみますと余り借りられていないような状態にはなっておるんです。  私ども、情報連絡員というのを持っていまして、そういう方から一般の金融機関の貸し渋りはどうかというようなことも聞いたわけですけれども、三七%ぐらい貸し渋りがあるとかいうことです。それは、内容的には担保が不足しておるから貸せないというようなことになって断られた、こういうような状態はとらえておるわけでございます。  以上の状態でございます。
  262. 太田和子

    公述人太田和子君) 介護保険自治体における格差ということでございますが、私どもが考えておりますのは、やはりこれから保険料というのが移譲されてそれぞれの自治体へ入ってくるわけでございます。これは、かなり膨大な経費になってくると思うんですが、その辺の透明性というか、やはり私たち住民ができることは、これから介護保険計画を立てていく中で審査会などへ住民の声を入れていって、どのようにそのお金が使われていくか、透明なそういう場を設けていかないと、これはやはり首長たる方の考えによって財政面は割り振られてしまうと思います。私どもがやはり地域で声を出して、そして首長、自治体とともに保険制度の中へそういう格差がないような組み入れをしていくような姿勢をとっていかないとこれはだめではないか、そんなふうに考えております。
  263. 藤井俊男

    藤井俊男君 ありがとうございました。
  264. 大森礼子

    大森礼子君 公明の大森礼子です。  きょう、角田公述人の方から、この公聴会の連絡についてもう少し日程に余裕を持ってという、こういうお話がございました。この行政監視委員会では苦情処理も受けつけるということで、まずこれが苦情処理の第一号になるのではないか、こういうふうな気がいたします。  それから、市民農園につきましても、本当にこういう御意見をいただくことはとてもありがたいことで、高齢者、定年後の方に生きがいを与える、そのことによって、先ほどドイツの方ではこれを採用することによって医療費も減ったということは、これは非常に示唆に富む御意見であると思います。  女性というのは、後で太田さんにもお伺いしょうと思うんですけれども、いろんなことを考えて、時々男性の方から何考えているんだと言われることがあるわけですけれども、この自由な発想が女性の命かなと思うんです。  実は先日、私のうちにも犬が迷い込んできました。飼えないから保健所へ連れていくと殺される、どうしよう、かわいい犬だと思ったときに、例えばお年寄りの方が話し相手もいなくてだんだんぼけていく、そうであればこういうホームで、保健所で薬殺処分しないで、かわいい犬をそういうところで飼ったら、犬も生き残るしお年寄りの方も生きがいができてお互いにいいんじゃないかなんて、実はこんなことも話したりするわけであります。こういう現実的な、本当に効果がある御意見をこれからもいただければというふうに思っております。  それで、柴田公述人にお伺いいたします。  先ほど中小企業信用保険法の改正の審議がおくれているという御指摘がございましたけれども、さきの通常国会で実は中小企業信用保険法、中小企業金融公庫法等でまず中小企業の枠を拡大するという改正を行いまして、それが第一段階で、今度の改正が第二段階になりますので、私たちとしても早く審議を進めたいと思います。  それで、柴田公述人にお伺いしたいのは、例えば須田公述人からは、まず規制緩和ということをどんどん進めていただきたいという自由競争の原理といいますか、取り入れることによって経済活動を活性化するという、こういう御意見が出ます。これはもう当然その流れにあるわけでありまして、それは進めていかなければいけない。ただ、これを進めていく上で私たちが特に気をつけなければいけないのは、やはり中小企業の方、零細の方がどうなるかということです。自由競争ということは、やはり力のあるところが最後には生き残るということがございまして、資金力、資本力のあるところが生き残るという半面も持っているわけですね。  そういった意味で、一方で規制緩和を進めながら他方で中小企業に対する配慮も十分していかなければいけないと思うわけですけれども、こういう流れの中にあって、特に中小企業の方が国側にどういうことに注意してほしいという、公述人のもし具体的な御要請がございましたら教えていただきたいと思います。  それからもう一点、太田公述人に特に女性の御意見をお聞かせいただきたいんですけれども、先ほどささやかな活動とか主婦の声と非常にささやかに表現しておられましたけれども、私は、こういう動きというのはその価値から見ると全然ささやかではない、非常に大切なことだと思います。PETボトルで繊維をつくっているところで、この衣服でファッションショーをして地域住民の方に認識させる、啓蒙するという、このファッションショーという発想がまさに女性でありまして、男性であったらまたビラか何かを配って済ませるのかなという気がいたします。  そして、太田公述人行政監視委員会についてPRももっとすべきじゃないかというので、そこでお伺いしたいんですけれども、この行政監視委員会はできたばかりですが、PRする必要があると思います。その一番PRになるのは存在感を示すことであり、例えばきょうの公聴会でこういうことを聞いてすぐこれが実現したとなると、これは一番大きなPRになるのではないかなと思います。  そこで、先ほど太田公述人は、自治体の中で縦、横の流れがスムーズによくいかないという、こういうことをおっしやいました。そこで、これまでの経験の中で、もしここのところはこういうふうにしたらすっとうまくいってすぐ実現するのになという、こういう点がございましたら何か教えていただけないでしょうか。それを即実現することによって、やはりきょうの公聴会意味があった、行政監視委員会意味があったとPRできるのではないかと思いますので、何でも結構ですからヒントを教えていただきたいと思います。  以上でございます。
  265. 太田和子

    公述人太田和子君) 例えば私どもは、こういった環境問題とか高齢者の問題とか、それぞれ取り組みは異なりますけれども、一例を挙げますと、これはちょっと環境、高齢の問題と外れますが、以前に私ども、食生活の中での安全性ということだとか成分表示とかという点での問題点をとらえておりました。これはたしか成分表示などにも、厚生省と農水省の関連でよく似た刊のものが発刊されているように思います。それで私どもとしては、そういったものを縦割り的な省庁の中でなく、やはりそこで統一して私どもが見やすいものをつくっていただきたいというようなことを申し上げたことがございますが、何かそのままの形になったような感がございます。  本当に簡単なことでございますけれども、そういった行政間の中での、私どもから考えると、なぜそこがうまくバランスが図れないのか。もちろん、厚生それから農水のそれぞれの視点、力点は違うとは思いますが、その辺、私どもの考えにできるだけ近寄ったものをそんな形で示していただけたらなということを思ったことがございます。  その他にも、やはり何か物事を行いますときに、担当の部局が、うちはここまでですが後はということで手続的なような形になりましても、具体的に今何というふうには申せませんが、そういうケ-スというのは今までも間々ございます。
  266. 大森礼子

    大森礼子君 もう一回、後でわかりましたら教えていただきたいと思います。後日でも結構です。
  267. 柴田茂

    公述人(柴田茂君) 規制緩和についてでございます。  今、委員が申されましたように、自由競争の世の中であるのでそれはやむを得ぬではないかということ、全くそういうことでございますけれども、やはり規制緩和によって多くの競争がかなり出てきたということで実際中小企業者としては困っておるという、それが一つの問題に直面をしておるということでございます。ただ、これはどうだという具体的なものはちょっと持ち合わせていないものですから。
  268. 田村公平

    田村公平君 四人の公述人の皆さん、本当にきょうはありがとうございます。  共通して言えることだと思いますけれども当委員会の存在をよく知らなかった、そして大変申しわけない話ですが、大変短い時間で事務局の方から案内が行った。  実は、我々来ております委員皆そうでございますが、私だけでも委員会、四つ所属しております。きょうも実は地球温暖化に関する法律審議、私は国土・環境委員会で六十分質問に立つ予定であったのですが、こちらの方に来させていただきました。  私は高知県という選挙区から上げてもらっていますけれども、割かしマスコミも予算委員会とか切った張ったというか、そういうところはよく報道し、国民にPRというんでしょうか、知らしめてくれるんですけれども、地道にまじめにやっているのはほとんど書かない。当たり前にやっていることは評価してくれない。この一年間とっても、各委員皆さん同じだと思います。  私自身も、実は議員会館の食堂あるいは議員食堂で昼飯食ったのはたった四回です。カップラーメンを秘書に頼んで、委員会抜けて、カップラーメン入れておいてくれと言ってラーメン食って、ひどい場合は、さっきも申し上げましたように、本会議があって法案がおりてくる、大臣確保せんといかぬ、政府委員確保せんといかぬ、その中でとなってくると昼休みしか委員会開けませんよと、そういう実態があります。労働三法というよりも、完全に私なんか三六協定も何もあったものじゃない。全く時間外手当もない。まあそれは好きでやっているんだからいいだろうと言われるとそれまでかもしれませんが、そういう状況にあるということも御理解をしていただきたいなと。  というのは、今いろんな御意見出ましたけれども私、本質的に思うのは、これは私の全く個人的意見であります。ひどい場合は、盆休みの切符がとれないからとってくれ、受験シーズンになると宿がとれないから宿とってくれ、それで受かったとなると今度は下宿探ししてくれ、これが今の日本のレベルなんですよ。  ですから、これは須田公述人一番御存じだと思いますが、例えば全国知事会は都道府県会館、壮大なピルが間もなく完成します。同じ地方六団体である町村会館、これはもう立派なものが自民党本部の横に建ちました。なおかつ総理官邸は、これは官邸機能強化というかまた新築すると言っている中でどうして首都移転ということを今やっているのか。あるいは、人事院ピルも超高層に建てかえています。そういうことについて、何でこんなばかなことをやっているのか。もし本当に須田公述人が御希望の、例えば愛知に首都が来た場合に、バブルがはじけて、あそこいらは国有地ですからどこかに貸すといったってだれも借り手はいないと思います。そういう矛盾、これをどうやって一つ一つ解決していくか、大変そういう意味で責任の重さを感じています。  そういう中で、我々の委員会が一体どういうふうに位置づけていけるのか。国会法やその他関連する法案との関係、そういうことも今逆に、この委員会一月十二日にできたばかりの委員会でありますので、その方向づけをあわせてしていきたいと思っております。  そこで、四人の皆さん方それぞれいろんな御意見がありましたけれども、一体国会というものあるいは国会行政府をどのように見ておられるのかというのをお教えいただけたら、非常に大きいテーマであれですけれども、それぞれのパートで結構です。
  269. 須田寛

    公述人(須田寛君) 突然大変大きな話でございまして、きょうの話がゆとりがないどころの騒ぎじゃない大きな話で、一月ぐらい時間をちょうだいしなければいけない問題でございます。  若干私見を申し上げますと、私、国鉄に長くおりましたので、正直言って国会に大変お世話になっておりました。毎日国会委員会に参上いたしまして、お答えをしたりおしかりを受けたりいたしておりましたのでよくわかるんですが、当時と今と私は非常に違う点が一つあると思います。  当時は、国会議員の先生方というのは、族議員という方々が与野党とも非常にはっきりされておりまして、各省庁の何か代弁のようなことをしているようなところもあり、非常に国会で、お役所がそのまま引っ越してきたような場面がありました。今、拝見しておりますと必ずしもそうではありません。例えば、財政問題、金融問題を議論している中で大蔵省の権限をなくするような議論が今平気で出ておりますけれども、ああいうことは昔は絶対あり得ないことだったと思います。恐らく、野党の先生方もあんなことは昔はおっしゃらなかった。今、非常にそれが変わってきた。逆に言うと、これは非常に私は一つのいい兆候でもあると思います。  国会国会で、一つの府とおっしゃる。ただ、そこで大事なことは、国会政府というのはある程度私は議論を闘わせるべきことがあっていいと思うんです。それは国会の下に政府があるのかもわかりませんけれども、議院内閣制ですから。しかし、いろいろな施策面については政府にも専門家がいるわけです。国会先生にも御専門の方がいらっしゃるし、いろいろ政治的な御判断がある。そういうものの議論が国民の前で、国会で議論が闘わされるというような、そんなような国会だったら私はおもしろい国会になるんだろうなと思います。  今までは、政府施策を代弁して与党は通すことをお考えになる。野党の方はそれに反対をなさる。その中で一つの取り引きがあっていろんな現実の施策が生まれるという過程ですから、最終的には野党の先生方も、一部の例外を除けば大体省の利害というのは念頭に置かれて反対されていますね。今私は、そういうせりふはないような気がするんです。その意味で、これをうまく導けば非常によくなります。ただ、下手に導いたらこれは混乱しか後に残らないと思います。  したがって、今の政府国会とのいい意味での緊張関係というのを混乱にしないように、いい意味で導いていただきたい。国会政府というものが、国民政府という次元で議論が自由に闘わされるような一つのフリーな国会というものができれば、これはおもしろいものになるなという気がいたします。  それともう一つは、衆議院は依然として省庁縦割り型の委員会がつくられておりますね。参議院はそうではありません。これから法案が衆議院から参議院へ移っていく場合に、昔でしたら衆議院の運輸委員会で上がったものは参議院の運輸委員会に行く、似たような顔の先生方が同じようなことをなさっていくんですが、今度は交通・情報通信委員会か何かに上がるんですね。そうなるとまた違った角度から御議論がある。これが私は二院制だと思うんですね。  衆議院と参議院が同じである必要は決してないと思うんです。衆議院が参議院のまねはまずしないと思いますけれども、同じようにならずに、参議院というのはやっぱり委員会の構成も違うんだと。したがって、衆議院とは違った角度から、逆に違った切り口からいろんな法案が審議されるという意味において、この今の制度というのは非常に私はおもしろいと思います。  郵政省の人に聞きますと、郵政省の所管事項か何か三つか四つの委員会に分かれているんでしょうか、参議院では。非常に御当局というか、あれがふえて大変だと言っていますけれどもそれはしかし、大変かもしれないけれども違った切り口から議論される。例えば運輸の先生方が逓信の議論ができるようになっているわけですね。そういうふうな意味合いで、非常に私は画期的なことだと思います。  したがって、要約してお願い申し上げるならば、今出てきたような、昔なかったような政府国会緊張関係というのをいい意味で伸ばしていただきたい。決して、悪い混乱の方に導かないで伸ばしていただきたい。これは与野党の先生方の御協力の中でそれはできると思います。  それから、せっかく参議院省庁縦割り型の委員会から脱却されたんですから、あくまでやっぱり衆議院と違った角度から御議論をしていただきたいなという気がいたしております。  従来、私は衆議院、参議院を拝見しておりますと、違うのはどこかといいますと、委員長のお言葉が違うだけなんですね。「これより会議を開きます。」と言うか「ただいまから運輸委員会を開会いたします。」というのが違うとか、「質疑の申し出がありますので、順次これを許します。」とおっしゃるかと思うと「質疑のある方は順次御発言を願います。」とおっしゃる。それぐらいしか違わないんですね。あと同じなんです。それじゃ意味がない。ようやく私は、ここで参議院というものが一つの存在価値を高らかに宣言され、たと思っております。大いに御期待を申し上げますので、よろしくお願い申し上げます。  大変僣越なことを申し上げまして、お許しください。
  270. 角田重和

    公述人(角田重和君) 冒頭、生意気に一ヵ月ぐらい余裕をくれと言って、苦情のつもりじゃないんですけれども、実は、私自身も大変気が小さいものですからきょう出るに当たって、やっぱりいろいろ私なりに勉強せにゃいかぬ、あるいは資料もそろえにゃいかぬかなと、準備をせにゃいかぬと。やっぱり、ここでやるなら余り見苦しいことになってもいかぬじゃないかということで、それにはそれなりにもう少し資料も含めてきちっとしたものが本当はできたらもう少しあれかなと、そんな感じで申し上げただけでして、それ以上の他意は全くありません。  国会行政府ということで、私も仕事柄というか、自治労という自治体関係でやっておるものですから、最近、介護の問題にしても容器包装リサイクル法案の問題にしても、それからとりわけ分権の話も、我々自治労の中でいろんな運動しておることも、連合も一緒ですけれども、そういうことが国会の中でいろいろやられていくということについて、非常に身近な問題が国会で取り上げられて、そういう意味では、国会はかなり我々の感じからいうと身近になったなという感じがしております。  例えば外交だとか、いろんな問題になると私も余りわからない点も多いものですから、そういう意味でちよっと距離を置くケースになるかと思うんですけれども、こういう地方自治体、身近な問題が国会でいろいろ、先ほども申しましたように国会の方が早く進んでおるような状況で、地方自治体がなかなか追いつかぬ。追いかけるような状況になっておりますが、私もある程度やむを得ぬじやないかと思っております。こういうことかきっかけになっていろんなことが進んでいくんじゃないかな、そんなふうに思っておるものですから、そういう意味では国会行政府をどう思っておるかと、田村先生のお話ですが、非常に身近に感じておりますということで、お答えになったかどうかわかりませんが、お願いしたいと思います。
  271. 柴田茂

    公述人(柴田茂君) 私も長く公務員をやっていまして国会へいろんな陳情に参ったわけですが、率直な話、非常に緊張して、偉い方に会うので非常に恐ろしいなというような感じでお邪魔したんですけれども、最近はやはり、こういうような地方へ出てくるだとかいろんなことで、大分いわゆる国会運営というか、そういうものも身近になったなという感じをしております。  それからもう一つは、現在、金融法なんかで野党、与党で綱引きやっておる。これは議論されることはいいんですけれども、一番迷惑するのはいわゆる国民でございますので、手柄を上げるとかそういうことじゃなしに、何とか早く議論をしていただきたいなというようなことなんですね。どうも国民を無視したような格好で、ましてや今非常に経済が困っておる状態の中で、一日も早くやらなきゃいかぬ問題が進まないというようなことになっておるものですから、そういうことを含めて、身近になったことは身近になったんだけれども、そういうことまでどうも身近になってきたような感じがするものですから、国会は国権の最高機関でございますので、そのようなことじゃなしに早くいろいろ解決をしていただきたい。
  272. 太田和子

    公述人太田和子君) 私は、国会の傍聴というのはわずか一回というか、議員会館へ参りましたのも本当に数回といった経験しかございません。女性ですと、なかなかそういった場を与えられることというのは少ないと思います。ぜひそういう、私はまず機が、女性でももっといろんな面を積極的にのぞかなければいけないということを痛切に参りましたときに感じました。  先ほど先生方からも出ておりましたように、大変皆さんお忙しくしていらっしゃるという状況委員会とか開催中のときにかいま見させていただきまして、私どもが本当に身近にそういう場を見させていただきますと、国のため、私ども民のためにいろんな面での施政をしかれているんだなということを感じさせていただきました。やはり百聞は一見にしかずで、そういった場を見させていただいたことが私にとってはとてもよかったと、そんなふうに思っています。  なぜならば、テレビ放映などで時々、場面としては余り見場のよくないようなところなんかも私どもは見させていただいていることがございますので、そういうところが現実であるかというふうに解釈してしまいがちでございます。私は、そういう機を自分に持ったということかとてもよかったと、そんなふうに思っております。  それから、参議院先生方におかれましては、衆議院をまさに監視というと言葉が悪うございますが、またそういうお立場の中で律していただくという責務を持っておいでだと存じますので、私は、本当にそういう先生方がそれぞれの力を発揮していただいて国会の運営をよくしていただく。先ほども出てまいりましたように、綱引き状態のようなことというのはできるだけ避けていただいて、国民が納得するようなそういった場でありたい、そんなふうに願っております。  以上でございます。
  273. 渡辺秀央

    渡辺秀央君 私が一番最初、口切りをやったものですから質問は一つだけにさせていただいてと思って、はかってみますと、随分実は時間がまだあるんです。しかし、別に長時間だらだらというよりは内容濃く短時間にというのも、お互い多忙の身でありますからーつだろうと思います。  ただ、私、実はちょっと特異な存在でして、十七年衆議院議員をやって参議院に初めて来たんです。この委員会を皆さんと同じで、私も初めてこの存在を知りまして、これは非常にいい、参議院らしい委員会だと。ほかの委員会は悪いというんじやないですよ。私は、きょうも経済・産業委員会というのをやっておりまして、田村さんと同じように質問の時間を割いてこちらに伺ったんですが、それはこの委員会をみんなでひとつ、大事に育てると言ってはおかしいんですけれども、私ども議員だけじゃなくて国民の皆さんからも一緒に育ててもらおうと。それにはやっぱり地方公聴会、角田さんの別にお言葉のあれをとるわけじゃないので実は、非常に短兵急に決まってしまいまして、合間を縫っているんです。特に今度、臨時国会なものですから期間が短うございまして、これは大変申しわけなかったと思うんです。  それと、私、こうやってみますと、いずれ理事会あるいは委員会で反省の会があると思うんですけれども、公述人の皆さんも、四人よりは五人でも六人でも、大勢の皆さんからいろいろお聞きするのがいいのかなと。ここは各政党が自分の政党を宣伝する場ではないのでして、本当はむしろ皆さんからお話を聞くということの場であると、私はそう思って、とりあえず角田さんに、行革が非常に印象的だったものですから非常にありがたく承ったんです。そういう意味でお聞きをしたということです。  この委員会は、ぜひひとつこういう地方に出て直接国民の皆さんと一緒に意見交換をしていきた`い。代議士あるいは参議院議員が、それぞれ選挙区でやるというのとまたちょっと違いますので、非常に有意義だなと思います。  それから、ぜひこの委員会の後、私もこれから勉強のためにあえて申し上げさせていただいて、この公聴会が終わりました後、皆さんから御意見がありましたら、もう少しこうやったらどうだというようなこともぜひ委員長あてあるいは団長あてで結構でございますので、これはまだ公聴会実は一回目なんです、この委員会がつくられて今回が一回目です。これを積み重ねていくことが非常に二院制度、参議院、先ほど須田さんおっしゃったように物すごい価値の委員会に育っていくだろうというふうに思いますので、何とぞ、生意気なようですが、私も皆さんのいろんなそういう御意見を、きょうのお立場での陳述、公述とは別の意味でぜひひとつ御意見を承らせていただきたいというふうに思いました。  それから、大変恐縮ですが、ちょっと私は角田さんにだけお話を承ったのであれですが、柴田さん、私もずっと実は中小企業問題、通産関係やってまいりまして、信用保証協会の問題というのは、各県の中小企業団体連合会と信用保証協会、これはもう非常に大事な密接不可分の関係ですよね。信用保証協会にも県のOBの皆さんが必ず大体おいでになっている。この信用保証協会のところで、今度のこの経済大恐慌の私はあえて大と言うんですが、大不況、大恐慌に入っていると思うんですよ。そういう中で、保証協会の皆さんと中小企業団体連合会の皆さん、商工会あるいは商工会議所、もっとやっぱり積極的なお話し合いをされると。  これは正直言いまして政府なんて、私もこの間まで自民党にいたんですからね、与党の人たちに対して変な意味で言うんじゃなくて、参議院はもう与党じゃないんですよね。参議院は野党が多いわけなんです。ですから、単独政権なんというんじゃなくて、みんなが力を合わせて何とかやっていかなきゃならぬというふうに、だから金融問題なんかは今、かつては反対だけを言っていたのが対案を出して、具体的に案を出して野党の方も与党と詰め合わせている。与党というのはなかなか変えがたいんです。変えられないんです、現状を、私も経験しましたけれどもね。そういう中で、国会の方は衆参両院で本当に今懸命になってやっていて、決して、ただ時間稼ぎ、綱引きなんというそんなけちなことでとてもやっていません。本当なんです、これは。  だから、それはひとつぜひ理解をしていただいて、中小企業の皆さんが物すごい今困っておられる。そのときに私どもが、今あえて私どもという国会議員全体としての立場で申し上げますが、信用保証の補完制度を、例えば五兆円でもぶち込んだら百兆円の貸し付けのあれができるんです。それによって、中堅企業までこれは貸し渋りという問題がなくなるんですね。  そういう、政府でここは急場をしのがなきゃどうしようもないだろうということで大変な取り組みをしているということをどうぞひとつ理解していただき、かつまた中小企業三団体あるいはまた保証協会等を入れて四団体とでもいいましょうか、これはおたくの愛知県だけじゃなくてもう全国的にも私は申し上げているんです。中小企業団体連合会やそういうところに申し上げているんですが、ぜひひとつ御理解をいただいて、御協力というかみんなで頑張っていかなきゃいかぬというふうに思っておりますということを申し上げておきたいと思います。ぜひ、この委員会に対する御意見をお聞かせいただきたいと思います。  須田会長には大変本当にありがとうございました。JRの負担問題はおっしゃったとおりで、私は全くそう思っているんです。これは本当に清算事業団の、それから大蔵省の怠慢ですよ、そういう意味では。私は、今一政治家として発言をする場じゃないものですからあえて申しませんけれども、ぜひ自由株式市場というのをやっぱり大事に、日本の経済市場は今大事なとき、金融市場も大事ですけれども一般のこの自由経済市場というのも大事な場面、株式市場というのがその大きな柱ですし、そういう意味では、その企業をせっかく六年間努力をしてここまでの企業にされた皆さんに、社長や会長あてに株主訴訟などが起こらないようにしていくべきだろうと、私はそう思いますね。  大変な御苦労をされて成果を上げられたことに敬意を表しながら、ちょっと関東の方はこれは立場があって、東京は国会に近いから東はぎゃんぎゃん言っているようですけれども、まあむべなるかなという感じはしますがね。ぜひ東海さんも関西さんも、やっぱり東さんを頑張って応援してやってほしいと。私は、結果はどうなるかわかりませんよ、わかりませんけれども、そんな感じがいたしました。  しかし、あとのことはもうここに要約されたことに全く同感だということをあえて申し上げさせていただいて、大変恐縮でしたが、私のまあ発言とでもいいましょうか、おこがましゅうございましたけれども、ぜひいろいろな御指導をこの委員会お願いしたいというふうに思います。  ありがとうございました。
  274. 大島慶久

    ○団長(大島慶久君) 一通り、我々派遣委員からの質問をさせていただきました。  今申し上げましたように、せっかくきょうは時間設定をなるべく多くということであらかじめとらせていただきました。ふだんの公聴会よりも多目の時間をあえてとらせていただきましたので、こういう今までの一巡、型どおりの質疑じゃなくて結構でございます。  我々せっかくこういった、今渡辺先生の方からもお話をいただきました、できるだけ広く国民皆様方行政にどういう視点で目を向けていただいているのか。請願制度という形の中で、我々はそういったことに従来おこたえをしてまいりましたけれども、これは決して十分とは言えません。苦情請願という形でもっときめ細かに全国の国民の皆さん方の声を反映していこうと、こういう趣旨がこの委員会には強くあります。  テーマを絞り切らなくて結構でございますから、公述人の皆さん方からも挙手をしていただいて、指名をさせていただきましたら再度いろんな御意見をいただきたいと思います。またその意見に対して我々委員の方からも質問のある方は質疑をしていただく、こういう形でしばらく過ごさせていただこうと思いますので、遠慮なくどうぞ挙手を願いたいと思います。
  275. 柴田茂

    公述人(柴田茂君) 先ほど角田公述人から言われたのに若干関連するわけですけれども、私は県におるときに文化関係行政をやった。その段階で各市町村が競って文化施設を建てられ、実際それで使う段になりますと余り使わないと。それはもっと県の方に指導しろと、こういうような意見が出るわけですね。だから、そういう文化施設なり大きな施設というのは、やっぱり市町村が二、三寄ってつくるとか、こういうようにしないと、何か文化施設だとかいろんなものがないと、いわゆる市として町として立派なものではないというような理解をされるかわかりませんけれども、競っていいものが建てられる、だけれども使う段になって非常に困ったというような話が出るわけですね。  だから、その辺がさっきの一部事務組合じゃないんですけれども、そういうものでやるような文化施設はどこの町が建てるとか、何はどこが建てるとか、体育館はどこが建てるというような割り振りをしてやらないと、なかなか今の財政の問題からいっていわゆる行き詰まりかあるんではないかなというようなことを中におって非常に感じたわけです。それが統合というようなものにつながるかもわかりませんけれども、ただ、逆に今度は市民から見ると、あの施設がないといかぬとかこの施設がないといかぬとかというようなことになるわけですね。だから、市民側のいわゆる考え方というか、そういうようなものも若干変えていかないと、やっぱり統合というのは難しいんではないかなという感じはしております。ただ、そういう施設についてはなるべく話し合ってつくるべきではないかなというようなことを感じたわけです。
  276. 藤井俊男

    藤井俊男君 柴田公述人さんから今御指摘ありましたけれども、もっともだろうと思うんです。ハード部門からソフト部門に、そしてまた箱物行政から福祉行政と、こういうことで、これはやはり一つの時代の私は流れだろうと思うんです。  これまで、やはりどの自治体あるいはどの都道府県においてもそれぞれの文化施設を競い合って建ててきたと。そういう中から、今まさに少子・高齢化社会に突入いたしておりますので、そういった中で先日も十五日に敬老の日を迎えましたけれども、六十五歳以上の人が一六・二%ですね。二千四十九万人に達しているということで総務庁からも発表しましたけれども、そういうまさに日本全土が今高齢化社会の渦になっているということの中で、これはソフト部門の方に今後やはり施策を転換していく、こういうことは確かにおっしゃるとおりだろうと思います。
  277. 須田寛

    公述人(須田寛君) 先ほど来、ちょっと先生方からお話しございました例の首都移転問題でございます。  さっき田村先生もおっしゃられましたけれども、私どもから見ていると非常に腑に落ちないことが余りにも多過ぎる。それからもう一つは、政府がおつくりになった五全総ございましたですね。あれも最終報告には若干入りましたけれども、中間報告には何ら触れておられませんでしたし、最終報告もどうもげたをあちらへ預けた格好で軽く触れたにすぎない。そうなりますと、あの議論が宙に浮くのかなという気が最近私してまいりまして、非常に不安を持つわけです。  現時点においていろいろ検討してみますと、私どものように候補地を持っているところ、この地域と東北ですね。そこは非常に熱心なんです。東京も熱心なんですね。これは反対の意味で熱心なんです。したがって、反対の人と賛成の人のあるところだけ熱心で、あとの大部分の人は無関心なんですね。  首都というのは国家百年の計でございまして、その国の将来を決めるのにかかわらず、これでは場所をどこかに決めたとしても、それはむなしいと思うんですね。やっぱり、何か国民的論議を沸き起こすと。そして、やらないならやらないという一つ選択肢はあるかもしれません。私どもは、北へ行くのはどうしてもまずいと思いますけれども、やらないという選択肢があるならそれもーつかもしれません。  その辺の議論を国会レベルでお願いをして、促進をしていただくならやはりどんどん促進をしていただくと。あらゆる施策を整合性を保って、国会移転というものを念頭に置いた施策をとっていただくと。そういうことを、やるかやらないかの議論をぜひ一回今の首都移転審議会の候補地が絞られる段階でお願いをしないと、このままでは中途半端な姿で、答申は出たけれども結局宙づりになると。そうすると、候補地になっているところは、いつまでたっても来ないので非常に中途半端な姿でまたスプロール状の開発がそこで行われていくとか、思惑で土地だけ上がるとかという不毛な結果が後に残るような気がしてならないんです。  これこそは、まさにこの行政監視委員会が、あらゆる分野にわたることでございますから、ぜひともひとつ一回そういう点については目を光らせていただいて、この首都移転の問題の今後の推進について、ひとつぜひともまた監視をしていただき、我々にもフィードバックをしていただきたいなと、こんなふうに思います。  大変失礼なことを申し上げました。
  278. 藤井俊男

    藤井俊男君 まさに今、国会等の移転が出されました。  これは視点が若干違いますが、国の一極集中是正という状況の中でこれを何としてでも是正をしていかなければいけないということで、今、埼玉に四十七・四ヘクタールを新都心ということで、そこに十七省庁機関、二〇〇〇年までに移動の関係で取り組んでいます。これは郵政局を初めとする財務局もそうですが、全部移転する。三十一階建てのビルを建てて、やはり埼玉のそこに分散をさせるということでも一例あるということだけ報告をさせていただきたいと思っております。
  279. 須田寛

    公述人(須田寛君) 今藤井先生がおっしやられたのは大変結構なことだと思いますが今のはどちらかといいますと、それは国の出先とか附属機関のようなものでございますよね。私どもが申し上げるのは、省庁の方であります。そして、埼玉というのは首都移転の対象にはならないんですね、六十キロ以内ですから。  したがって、やはりその議論はその議論でもちろんやっていただかなきゃいけませんし、それも首都移転の、首都の過密状態を防ぐ非常に大きな施策だと存じますので御推進いただかなきゃいけませんけれども、本体の方についてやはりもう一回ここで議論を整理してやっていただかないと、いろんなものを見ておりますと、本当にやるんですかという感じがしてくるんですね。  これは与野党通してこの議論はお進めいただいた議論のはずですから、もう一回原点に返っていただきたい。行政監視をやっていただく上で、最も私はいいプロジェクトじゃないかとも思うものですから、今の藤井先生のやつは当然これはもちろんお願いしなきゃならぬ、そんなふうに思います。
  280. 渡辺秀央

    渡辺秀央君 御見識ですね。本当にそう思いますよ。私も、実は金丸さんとやり始めのころからのメンバーでして、村田先生、一生懸命やってもらってきたんですけれども、確かにこの時期にむしろという御意見は本当に納得できる面がありますね。  同時に、この行政監視委員会は、行政面もあるけれども、国会決議で相当いろんなことをやっているやつを一回精査してみなきゃいかぬ。そんな感じも、僕は、きょうお話聞いておりまして、さっきそう思ったんです。時間がなかったら黙って帰ろうと思ったんですけれども時間があるようなので。  国会決議というのは随分あるんですよ。あるんですけれども、それが一体どうなっているかということ。それから、もうおっしゃっておられる、遅い遅いと。国会は遅いじゃないか、遅いじゃないかと見えるでしょうけれども、昔から見れば随分早くなっているんです、これでもね。だけれども、遅いですね。  何なんだろうということですよね。やっぱり行政の方にあります。要するに、役所の方にあります、その問題点は。皆で知恵を絞って日本の政治を効率化しなきゃいけませんね、本当に。
  281. 田村公平

    田村公平君 今、ちょっと須田公述人からもお話ありましたが、柴田さんのお話にも関連すると思いますけれども私、実は国会議員になる前にNHKの芸能局で音楽担当のディレクターをやっておったものですから、全国いろいろ「のど自慢」とかいろんな番組持っていっていて、箱物をつくっているところ、ほとんど全部だめなんです。唯一と言っては語弊がありますけれども、成功している例で、例えば富山県の利賀村それから静岡県、これはもう本当に知事さん含めて大変なスタッフで、これは成功例です。ぜひそういう先進県に学んでいただきたい。これは首都の移転の問題も同じなんです。  八百億円という国費をつぎ込んで東京オペラシティーというのをつくった。ところが、舞台監督があほと言っては悪いですが、全然無能なんです。だから、オペラにならないんです。サントリーの佐治さんという方がいわゆる企業メセナとしてサントリーホールをおつくりになったときに、そこのサントリーホールの総支配人は東京芸大の器楽科を出たそしてイタリア賞という映画でいうアカデミー賞を二回も日本人でとったNHKの渡壁輝というのを強引にヘッドハンティングして、つまり世界から音楽家を呼べる、通年でそういう運営ができる。あるいは、宮崎もすぱらしい。宮崎県の県産品を使った音楽ホールがありますけれども、これはN響の理事長を引っ張ってきた。  そういうまさに今我が国がやっておることを地方自治体含めて、箱は建てたけれどもハンドリングできる人がいないんですよね。それは、だから勢い貸し席業なんですよ。何とかの歌手を呼んで、お金取って、それが文化だと。そういうところを本当に、だから先ほどとちょっと重複しますけれども、総理官邸も新築する、どんどん各省庁のビルは建て直す。それに付随する町村会館や都道府県会館はすばらしいというか、もう超高層のビルつくって、本当に一体首都はどこに行くのかなと。  そういう我が国が抱えている矛盾を本当に政治が責任を持って整理して、あるべき姿、そういうことをやっぱり政治が責任を持ってというのは、国民とともに、そういうことも選挙のときの政策論争の中に入ってきてもいいんじゃないかなという気がしております。
  282. 柴田茂

    公述人(柴田茂君) 今の件でございますけれども、愛知県に私どもとしては、立派なオペラハウスというかコンサートホールも含めてあるわけですね。従来は、文化会館という格好で貸し家を専門にしておった。従来は、お貸しするという格好でやっておった会館というのがほとんどなんですね。だけれども、現在は、自分のところでいわゆる事業を企画し演出するというものと、公共の建物でございますので、お貸しするといって貸してやる、この二通りだと思うんですね。  ただ、今愛知県の場合にはやはりマスコミ六社がみえますので、ほとんどいわゆる外国の有名な音楽それからオペラを含めて、来てやっている。それから、愛知県が企画してやっておるものもある。だけれども、愛知県が企画してやるんですが、オーケストラを置くわけにいかない、それから合唱団を置くわけにいかない、バレエ団を置くわけにいかないというようなことで、そういうものは借りてきてやるというような格好でやっておるんですね。だけれども、市町村へ行きますと、自分のところで企画してやっても財政的な問題からいって非常にだめだと。じゃ、それで今度貸すものを見ると、余りいわゆる興行師というか、そういうものも借りてやらないというようなことで、本当に使われてないような状態です。それが、先ほど言いましたように、県、何か企画してやったらどうかとか、こういう話が出るものですから、やはり建てるときに考えて建てなきゃいかぬだろうということを思っています。
  283. 大島慶久

    ○団長(大島慶久君) 私から、ちょっと質問をさせていただきたいと思います。  実は、総務庁の方に行政相談制度というのが従来設けてございまして、行政相談委員という方をこの愛知県でも配置がなされているんです。きょうせっかく各界の代表の皆さん方お越しでありますから、行政にかかわるそういう機関があるということは御存じか御存じないかわかりませんけれども、そういったことにかかわって、きょう御出席の皆様方みずから、あるいは関係者の皆さん方がそういう相談に行った、とこういうようなもし事実があればどうですかということをまずお聞きをしたいのと、あったとすればその結果の効果というんでしょうか、成果はいかがなものであったのか。私、お聞かせをいただけたら今後のこの委員会の運営にもいろいろと参考になるような気かいたしますので、お尋ねをいたします。いかがでしょうか。――経験はございませんですね。  冒頭にPR不足というお言葉をちょうだいいたしましたが、やはりせっかく総務庁としてそういういい制度ということで設けておりますけれどもなかなかこれだけ各界各層から代表の方をお呼びしましてもそういう事例が引かれてこないということは、我々のこの委員会も、せっかく先ほど須田公述人からも大変力強い御評価の言葉をいただきましたけれどもなるべくそんなふうにならないように全国に浸透し、PRもさせていただきながら運営をしていきたいと、改めてそう申し上げたいと思います。  ありがとうございました。
  284. 太田和子

    公述人太田和子君) せっかくの機会でございますので、本日、柴田公述人からも中小企業関係商店街関係のことが出てまいりました。  私どもも、もう高齢者予備軍としてこれからの高齢化社会を迎えるに当たって、やはり今まで身近にございましたそういった商店街が、このところ特に不況のあおりもあって、シャッター通りだとか、もう本当に店を閉めてしまうところが多うございます。町の美観も当然損なわれてまいりますし、やっぱり活力的なものもなくなってしまいますし、現実に、高齢者で独居の方なんかが買い物をなさるのに大変不便をしていらっしゃるわけです。私ども、モータリゼーションの中でまだ大型店を利用できる者はよろしゅうございますが、いずれ自分もそういった面で悲哀を感じなければならないときが来るのではないかと大変危惧をいたしております。  なかなか中小企業のそういった面での振興策というのは大変だということはわかっておりますけれども、逆に言うと、地域住民もそういった商店街を買い支える面での何か役割をしていかないと、これはなかなかそういった立場だけでは存続をすることが本当に無理じゃないかというふうなふうに私は感じさせていただいているんです。  現実にそういったお買い物一つもなかなかできない方かいらっしゃいます。このところ、宅配業界なんかがそういった方のところへ着目をして、大型でかさばるようなものとか重いものとかというようなものをお届けになっていらっしゃるのも、またこれは新たな業界の参入だと思っておりますけれども、やはりそれだけでは済まない。毎日私どもが食生活をしていく上でとか日用品というのはなかなかそういうものでは補えませんので、ぜひこういう問題についてもっと本当にいろんな角度から考えて、高齢化社会が本当に住みよい町になっていかないといけませんし、高齢者にとって豊かな生活ができる、そういう場づくりをしていかないといけないと思っておりますので、ぜひそういった面での御識見高い皆様方からアピールをしていただきたいと、そんなふうに思っております。
  285. 藤井俊男

    藤井俊男君 今、太田公述人さんからありましたけれども、まさに私はそのとおりだと思うんです。  高齢化社会に突入をし、あるいは障害を持ってきたという状況の中で、車いすで歩ける町づくりをやはりやっていかなけれぱならぬであろうと。それには、やはり道路の段差解消、段差があってそれを是正をしていく、バリアフリーと言うんですが、これを道路行政市町村ではそこを進めているところがかなりあるんですね。  そして、国会の場においては、非常に運輸部門におきましては、エスカレーターとかエレベーター、これらの設置を各私鉄等においてもぜひ取り組んでほしいということの中で、予算もかなり計上をされてきたのは事実でございますが、おっしゃるとおり、そのような高齢化社会に向けた対応は急務だろうと思います。
  286. 富樫練三

    富樫練三君 今の問題は大変深刻なんですね。私、地方自治体にもおりましたし地方議会にもいたんですけれども、どこでも共通の問題になっていると思うんです。この問題は、中小商店や中小企業支援するという側面だけではなくて、地域住民生活全体を見るという角度から、実は経済問題という方向も大事なんですけれども、もう一つ町全体をどうするかという角度からの接近をしていかないとなかなか問題の解決にならない、こういうことなんだと思うんです。  この間、ずっとバブルの時期も含めて、地方町づくりというのは大体共通しているのは、駅前の再開発事業が中心になって、それまでの中心的な商店街というのが駅の真ん前、駅広と、その次に大きなビルができて、大型店がそこに入って、その裏側にかつての商店街があるということで、その商店街がむしろお客さんが来ないようになって寂れていってしまうという状況もこれは各地に共通して見られる傾向なんですね。ですから、駅前の再開発を考える場合も、もちろん大型店を否定するものではなくて、大型店とその地域商店街が共存できる方策をもっともっと知恵を出す必要があるということで、私どもも随分研究してきたところなんですね。  もう一つは、郊外型の大型店と住宅地をどうリンクさせるかという問題も含めて、町全体のバランスのとれた発展という角度からの町づくりというか、この辺は大いに住んでいる方々の皆さんの意見行政に反映できるように、ここが大事なんだと思うんです。ともすれば、私もお役所の人間だったんですけれども、お役所の方が机上のプランで図面に線を引いて、強引にそれを持って住民を逆に説得するような形の町づくりというのがまだまだ実際には多いんだと思うんですね。そうではなくて、住んでいる人たちの意見に基づいて町をどうするかと、ここを逆転していかないとなかなか問題の根本的な解決にいかないだろうと。もう一つ、法律上の整備の問題もあるというふうに思っているんですけれども。  大いにそこは知恵を出して、安心して高齢者が長生きできるような環境づくり、商店の皆さんも安心して商売ができる、今、農業後継者が少ないということは随分前から言われていましたけれども、商店の後継者がもういなくて後継ぎがいないというのが大変深刻な問題になっているぐらいですから、そういう経済活動、商業に展望が持てるような環境づくりや制度づくり、ここは一つの大きな課題だろうというふうに私も率直に思っているところですので、ぜひまた教えていただければと思います。
  287. 大島慶久

    ○団長(大島慶久君) いろいろと貴重な御意見をいただきましてありがとうございました。  以上をもちまして、公述人に対する質疑は終了いたしました。  この際、公述人皆様方に一言御礼を申し上げます。  大変お忙しい中を公述人皆様方、長時間にわたりまして極めて有益な御意見を賜りまして、大変ありがとうございました。派遣委員を代表いたしまして重ねて厚く御礼を申し上げます。ありがとうございました。  また、本地方公聴会のために種々御尽力を賜りました関係者の皆様方にも、改めて厚く御礼を申し上げたいと存じます。  これにて参議院行政監視委員会名古屋地方公聴会を閉会いたします。    〔午後三時三十三分閉会〕