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1998-10-01 第143回国会 参議院 交通・情報通信委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十年十月一日(木曜日)    午後一時二分開会     —————————————    委員異動  九月二十四日     辞任         補欠選任      戸田 邦司君     渡辺 秀央君  九月二十五日     辞任         補欠選任      渡辺 秀央君     戸田 邦司君  九月二十九日     辞任         補欠選任      戸田 邦司君     田村 秀昭君  九月三十日     辞任         補欠選任      渕上 貞雄君     三重野栄子君      田村 秀昭君     戸田 邦司君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         小林  元君     理 事                 加藤 紀文君                 景山俊太郎君                 寺崎 昭久君                 森本 晃司君     委 員                 岩城 光英君                 鹿熊 安正君                 田中 直紀君                 野沢 太三君                 山内 俊夫君                 山本 一太君                 若林 正俊君                 川橋 幸子君                 内藤 正光君                 松前 達郎君                 筆坂 秀世君                 宮本 岳志君                 三重野栄子君                 戸田 邦司君                 岩本 荘太君     国務大臣        郵 政 大 臣  野田 聖子君     政府委員        郵政大臣官房長  高田 昭義君        郵政省放送行政        局長       品川 萬里君     事務局側        常任委員会専門        員        舘野 忠男君     説明員        会計検査院事務        総局第四局長   増田 裕夫君     参考人        日本放送協会会        長        海老沢勝二君        日本放送協会専        務理事技師長  長谷川豊明君        日本放送協会専        務理事      河野 尚行君        日本放送協会理        事        石渡 和夫君        日本放送協会理        事        酒井 治盛君        日本放送協会理        事        松尾  武君        日本放送協会理        事        芳賀  譲君        日本放送協会総        合企画室経営        計画局長    中里  毅君        日本放送協会経        理局長      笠井 鉄夫君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○日本放送協会平成年度財産目録貸借対照表  及び損益計算書並びにこれに関する説明書(第  百三十六回国会提出) ○日本放送協会平成年度財産目録貸借対照表  及び損益計算書並びにこれに関する説明書(第  百四十回国会提出) ○日本放送協会平成年度財産目録貸借対照表  及び損益計算書並びにこれに関する説明書(第  百四十二回国会提出)     —————————————
  2. 小林元

    委員長小林元君) ただいまから交通・情報通信委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  昨日、渕上貞雄君が委員辞任され、その補欠として三重野栄子君が選任されました。     —————————————
  3. 小林元

    委員長小林元君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  日本放送協会平成年度財産目録貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書日本放送協会平成年度財産目録貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書日本放送協会平成年度財産目録貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書の三件の審査のため、本日の委員会日本放送協会役職員参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 小林元

    委員長小林元君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  5. 小林元

    委員長小林元君) 日本放送協会平成年度財産目録貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書日本放送協会平成年度財産目録貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書日本放送協会平成年度財産目録貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書の三件を一括して議題といたします。  三件について、まず、政府から説明を聴取いたします。野田郵政大臣
  6. 野田聖子

    国務大臣野田聖子君) ただいま議題とされました日本放送協会平成年度平成年度及び平成年度財産目録貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書並びに監事意見書について、その概略を御説明申し上げます。  本資料は、放送法第四十条第三項の規定により、会計検査院検査を経まして国会に提出するものであります。  まず、平成年度財務諸表について御説明申し上げます。  貸借対照表一般勘定については、平成七年三月三十一日現在、資産合計は五千七百二十一億九千百万円、負債合計は二千二百六十三億四百万円、資本合計は三千四百五十八億八千七百万円となっております。  また、受託業務等勘定については、資産合計負債合計とも、六百万円となっております。  損益計算書一般勘定については、経常事業収入は五千六百八十一億五千百万円、経常事業支出は五千五百二十八億二千八百万円となっており、経常事業収支差金は百五十三億二千三百万円となります。これに経常事業外収支及び特別収支を加えまたは差し引いた当期事業収支差金は百五十二億七千二百万円となっております。  また、受託業務等勘定については、経常事業収入は五億三千五百万円、経常事業支出は四億三千九百万円となっており、経常事業収支差金は九千五百万円となります。これに経常事業外収支差金一千五百万円の欠損を加えた当期事業収支差金は七千九百万円となっております。  次に、平成年度財務諸表について御説明申し上げます。  貸借対照表一般勘定については、平成八年三月三十一日現在、資産合計は五千九百三十一億四千九百万円、負債合計は二千四百四十二億六千万円、資本合計は三千四百八十八億八千八百万円となっております。  また、受託業務等勘定については、資産合計負債合計とも、六十三万円となっております。  損益計算書一般勘定については、経常事業収入は五千七百八十三億八千三百万円、経常事業支出は五千七百二十六億三千八百万円となっており、経常事業収支差金は五十七億四千四百万円となります。これに経常事業外収支及び特別収支を加えまたは差し引いた当期事業収支差金は三十億円となっております。  また、受託業務等勘定については、経常事業収入は三億一千六百万円、経常事業支出は二億六千万円となっており、経常事業収支差金は五千六百万円となります。これに経常事業外収支差金八百万円の欠損を加えた当期事業収支差金は四千七百万円となっております。  引き続きまして、平成年度財務諸表について御説明申し上げます。  貸借対照表一般勘定については、平成九年三月三十一日現在、資産合計は六千六十一億七千九百万円、負債合計は二千五百五十億五千二百万円、資本合計は三千五百十一億二千七百万円となっております。  また、受託業務等勘定については、資産合計負債合計とも、二百万円となっております。  損益計算書一般勘定については、経常事業収入は五千九百六十一億九千二百万円、経常事業支出は五千八百八十九億百万円となっており、経常事業収支差金は七十二億九千万円となります。これに経常事業外収支及び特別収支を加えまたは差し引いた当期事業収支差金は二十二億三千八百万円となっております。  また、受託業務等勘定については、経常事業収入は三億一千万円、経常事業支出は二億五千五百万円となっており、経常事業収支差金は五千五百万円となります。これに経常事業外収支差金八百万円の欠損を加えた当期事業収支差金は、四千六百万円となっております。  以上について、監事意見書におきましては、平成年度平成年度及び平成年度とも、監査の結果、財務諸表は、日本放送協会財産及び損益状況を正しく示しているものと認められております。  何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。
  7. 小林元

    委員長小林元君) 次に、日本放送協会から説明を聴取いたします。海老沢日本放送協会会長
  8. 海老沢勝二

    参考人海老沢勝二君) ただいま議題となっております日本放送協会平成年度平成年度平成年度財産目録貸借対照表及び損益計算書並び監事意見書概要につきまして御説明申し上げます。  初めに、平成年度財産目録貸借対照表を御説明申し上げます。  一般勘定当年度末の資産総額は、五千七百二十一億九千百万円で、この内訳は、流動資産一千三百六十三億九千六百万円、固定資産四千百六十九億八千五百万円、特定資産百八十八億八百万円、このうち固定資産内容は、建物一千百六十一億四千五百万円、土地二百四十億二千百万円、機械及び装置一千二百三十四億四千四百万円、放送衛星百八十八億二千三百万円、その他の固定資産一千三百四十五億五千万円でございます。  当年度資産総額を前年度末と比較しますと、百七億六千二百万円の増加となっておりますが、これは建設計画に基づく衛星放送設備番組制作設備整備等によるものでございます。  一方、これに対する負債総額は二千二百六十三億四百万円で、この内訳は、流動負債一千三百七十七億三百万円、固定負債八百八十六億百万円、このうち固定負債内容は、放送債券三百九十一億八千万円、長期借入金百七十九億二千百万円、退職手当引当金三百十五億円でございます。  当年度負債総額を前年度末と比較しますと、四十五億一千万円の減少となっておりますが、これは長期借入金減少等によるものでございます。  また、資本総額は三千四百五十八億八千七百万円で、この内訳は、資本二千七百四十億五百万円、積立金五百六十六億九百万円、当期事業収支差金百五十二億七千二百万円でございます。この資本総額は、前年度末と比較し、百五十二億七千二百万円の増加となっております。  次に、受託業務等勘定について見ますと、当年度末の資産総額及び負債総額は、それぞれ六百万円でございます。  次に、損益計算書について申し上げます。  まず、一般勘定経常事業収支について見ますと、受信料等経常事業収入は五千六百八十一億五千百万円で、前年度と比較し、百十八億七千百万円の増加となりました。これは主として、受信契約維持増加に努めた結果によるものでございます。  なお、有料受信契約件数は、三十一万件増加し、当年度末には三千四百十二万件となりました。  次に、経常事業支出は五千五百二十八億二千八百万円で、この内訳は、国内放送費二千百六十九億二千七百万円、国際放送費四十五億七千六百万円、契約収納費五百十六億七千九百万円、受信対策費十六億二千九百万円、広報費二十六億六千四百万円、調査研究費七十二億四千六百万円、給与一千四百三十七億円、退職手当厚生費四百七十七億五百万円、一般管理費百三十二億七千五百万円、減価償却費四百七十五億九千三百万円、未収受信料欠損償却費百五十八億二千九百万円となっております。  これは前年度と比較し、三百一億四千万円の増加となりましたが、主として、放送番組充実に伴う事業運営費増加等によるものでございます。  以上の結果、経常事業収支差金は百五十三億二千三百万円となり、これに経常事業外収支及び特別収支を加えまたは差し引いた当期事業収支差金は百五十二億七千二百万円となりました。このうち、債務償還に充てた資本支出充当は百六億七千二百万円、建設積立金繰り入れば三十一億三千八百万円であり、事業収支剰余金は十四億六千二百万円であります。  なお、この事業収支剰余金は、翌年度以降の財政安定のための財源に充てるものであります。  次に、受託業務等勘定経常事業収入は五億三千五百万円で、経常事業支出は四億三千九百万円となりました。  その結果、経常事業収支差金は九千五百万円となり、これに経常事業外収支差金一千五百万円の欠損を差し引いた当期事業収支差金は七千九百万円となりました。  この当期事業収支差金につきましては、一般勘定経常事業収入へ繰り入れております。  次に、平成年度について御説明申し上げます。  まず、一般勘定当年度末の資産総額財産目録貸借対照表で見ますと、五千九百三十一億四千九百万円で、この内訳は、流動資産一千五百八十億一千五百万円、固定資産四千百七十三億七千七百万円、特定資産百七十七億五千六百万円、このうち固定資産内容は、建物一千百八十一億二千五百万円、土地二百八十五億五百万円、機械及び装置一千二百六十四億二千七百万円、放送衛星百四十三億一千百万円、その他の固定資産一千三百億六百万円でございます。  当年度資産総額を前年度末と比較しますと、二百九億五千七百万円の増加となっておりますが、これは建設計画に基づく衛星放送設備番組制作設備整備等によるものでございます。  一方、これに対する負債総額は二千四百四十二億六千万円で、この内訳は、流動負債一千五百五十一億六百万円、固定負債八百九十一億五千四百万円、このうち固定負債内容は、放送債券三百六十一億六千万円、長期借入金二百九億九千四百万円、退職手当引当金三百二十億円でございます。  当年度負債総額を前年度末と比較しますと、百七十九億五千六百万円の増加となっておりますが、これは長期借入金増加等によるものでございます。  また、資本総額は三千四百八十八億八千八百万円で、この内訳は、資本二千八百八十五億九千五百万円、積立金五百七十二億九千二百万円、当期事業収支差金三十億円でございます。この資本総額は前年度末と比較し、三十億円の増加となっております。  次に、受託業務等勘定について見ますと、当年度末の資産総額及び負債総額は、それぞれ六十三万円でございます。  次に、損益計算書について申し上げます。  まず、一般勘定経常事業収支について見ますと、受信料等経常事業収入は、五千七百八十三億八千三百万円で、前年度と比較し、百二億三千百万円の増加となりました。これは主として、受信契約維持増加に努めた結果によるものでございます。  なお、有料受信契約件数は、二十五万件増加し、当年度末には三千四百三十七万件となりました。  次に、経常事業支出は五千七百二十六億三千八百万円で、この内訳は、国内放送費二千二百七十五億一千百万円、国際放送費六十三億三千九百万円、契約収納費五百四十四億二千三百万円、受信対策費十八億円、広報費二十八億四千三百万円、調査研究費七十八億八千三百万円、給与一千四百五十億九千百万円、退職手当厚生費四百六十億九千八百万円、一般管理費百三十六億四千八百万円、減価償却費五百八億五千八百万円、未収受信料欠損償却費百六十一億四千万円となっております。  これは前年度と比較し、百九十八億一千万円の増加となりましたが、主として、放送番組充実に伴う事業運営費増加等によるものでございます。  以上の結果、経常事業収支差金は五十七億四千四百万円となり、これに経常事業外収支及び特別収支を加えまたは差し引いた当期事業収支差金は三十億円となりました。  なお、この当期事業収支差金は、翌年度以降の財政安定のための財源に充てるものであります。  次に、受託業務等勘定経常事業収入は三億一千六百万円で、経常事業支出は二億六千万円となりました。  その結果、経常事業収支差金は五千六百万円となり、これに経常事業外収支差金八百万円の欠損を差し引いた当期事業収支差金は四千七百万円となりました。  この当期事業収支差金につきましては、一般勘定経常事業収入へ繰り入れております。  引き続きまして、平成年度について御説明申し上げます。  まず、一般勘定当年度末の資産総額財産目録貸借対照表で見ますと、六千六十一億七千九百万円で、この内訳は、流動資産一千六百二億六千六百万円、固定資産四千二百七十五億五千九百万円、特定資産百八十三億五千二百万円、このうち固定資産内容は、建物一千二百四億三千六百万円、土地二百八十五億四千六百万円、機械及び装置一千二百六十八億六千六百万円、放送衛星八十九億八千五百万円、その他の固定資産一千四百二十七億二千五百万円でございます。  当年度資産総額を前年度末と比較しますと、百三十億三千万円の増加となっておりますが、これは建設計画に基づく衛星放送設備番組制作設備整備等によるものでございます。  一方、これに対する負債総額は二千五百五十億五千二百万円で、この内訳は、流動負債一千六百二十五億二千七百万円、固定負債九百二十五億二千五百万円、このうち固定負債内容は、放送債券三百四十八億八千万円、長期借入金二百五十五億四千五百万円、退職手当引当金三百二十一億円でございます。  当年度負債総額を前年度末と比較しますと、百七億九千百万円の増加となっておりますが、これは長期借入金増加等によるものでございます。  また、資本総額は三千五百十一億二千七百万円で、この内訳は、資本二千九百七十四億三千六百万円、積立金五百十四億五千二百万円、当期事業収支差金二十二億三千八百万円でございます。この資本総額は、前年度末と比較し二十二億三千八百万円の増加となっております。  次に、受託業務等勘定について見ますと、当年度末の資産総額及び負債総額は、それぞれ二百万円でございます。  次に、損益計算書について申し上げます。  まず、一般勘定経常事業収支について見ますと、受信料等経常事業収入は五千九百六十一億九千二百万円で、前年度と比較し、百七十八億八百万円の増加となりました。これは主として、受信契約維持増加に努めた結果によるものでございます。  なお、有料受信契約件数は、四十一万件増加し、当年度末には三千四百七十九万件となりました。  次に、経常事業支出は五千八百八十九億百万円で、この内訳は、国内放送費二千三百六十三億六千二百万円、国際放送費六十四億八千万円、契約収納費五百五十九億九千九百万円、受信対策費十九億六千四百万円、広報費二十八億五千九百万円、調査研究費七十八億八千八百万円、給与一千四百六十五億八千百万円、退職手当厚生費四百八十九億四千四百万円、一般管理費百三十八億九千二百万円、減価償却費五百十四億七百万円、未収受信料欠損償却費百六十五億二千二百万円となっております。  これは前年度と比較し、百六十二億六千三百万円の増加となりましたが、主として、放送番組充実に伴う事業運営費増加等によるものでございます。  以上の結果、経常事業収支差金は七十二億九千万円となり、これに経常事業外収支及び特別収支を加えまたは差し引いた当期事業収支差金は二十二億三千八百万円となりました。  なお、この当期事業収支差金は、翌年度以降の財政安定のための財源に充てるものであります。  次に、受託業務等勘定経常事業収入は三億一千万円で、経常事業支出は二億五千五百万円となりました。  その結果、経常事業収支差金は五千五百万円となり、これに経常事業外収支差金八百万円の欠損を差し引いた当期事業収支差金は四千六百万円となりました。  この当期事業収支差金につきましては、一般勘定経常事業収入へ繰り入れております。  以上について、監事意見書では、平成年度平成年度及び平成年度貸借対照表等とも、監査の結果、協会財産及び損益状況を正しく示しているものと認めるとされております。  これをもちまして概要説明を終わらせていただきますが、今後の協会経営に当たりましては、公共放送としての使命と責務を深く認識し、放送事業の一層の発展に努力してまいる所存でございます。  何とぞよろしく御審議のほどお願いいたします。
  9. 小林元

    委員長小林元君) 次に、会計検査院から検査結果についての説明を聴取いたします。増田会計検査院第四局長
  10. 増田裕夫

    説明員増田裕夫君) 日本放送協会平成年度、七年度及び八年度決算につきまして、検査いたしました結果を御説明いたします。  日本放送協会平成年度、七年度及び八年度財産目録貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書等は、六年度については七年七月四日、七年度については八年六月二十五日、八年度については九年六月十九日それぞれ内閣から送付を受けましたが、その検査を終えて、それぞれ七年十二月七日、八年十二月二日、九年十二月五日内閣に回付いたしました。  同協会決算につきまして検査いたしました結果、特に法律、政令もしくは予算に違反し、または不当と認めた事項はございません。  以上、簡単でございますが、説明を終わります。
  11. 小林元

    委員長小林元君) 以上で説明の聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  12. 山本一太

    山本一太君 自由民主党の山本一太でございます。  きょうは、初めて野田聖子郵政大臣質問をさせていただきます。ちょっと時間が三十分と短くて残念なんですけれども。  先日、大臣を同世代の議員六人で大臣室にお訪ねをいたしまして、一緒に昼食をとりながらいろんな懇談をさせていただきました。戦後最年少の大臣ということだし、小渕内閣の目玉ということでさぞかしプレッシャーの中でお仕事をされているんじゃないかと思いきや、もちろん陰では苦労していらっしゃると思いますけれども、表面的には野田大臣らしい自然体でお仕事をなさっている様子で一同大変ほっといたしました。人気の面では、筆坂先生から拍手があるぐらいですからもう申し分ないと思いますが、実績においても、新しい時代の流れをつかむそのすばらしい感覚を生かしていただいて後の世代に残るようなすばらしい仕事を一つでも残していただきたいと思います。頑張ってください。大臣の決意は目を見ればわかりますので、特に御答弁は求めません。  それでは、質問に入らせていただきたいと思います。  放送デジタル化というと、どうしてもハードの方に議論が傾きがちな気がいたします。例えば送信システムをどうしようとか、あるいはその負担のコストをどうしようとか、そういう議論がいつも中心になりがちですけれども、やはり同じぐらい大切なのがソフト面整備ソフト面充実だというふうに私は思っております。きょうは、そのソフト面の観点から幾つか質問をさせていただきたいというふうに思っております。  大臣の今までの御答弁をずっとお聞きをしておりましたけれども、マルチメディアの発達とかあるいはマルチメディア技術の普及というものの目的は、日本のどこにいても、あるいはどういう人たちであっても、日本と世界の情報について同じ機会でアクセスするチャンスがある、そういう社会をつくるというところを強調されているように思います。特に大臣は、先般出た郵便局バリアフリー化というような話もありまして、特に障害を持った方々に対する配慮については思い入れが強い。すばらしいことだと思います。ですから、最初は、視聴覚障害者方々、特に聴覚障害者方々のための字幕放送についてのお尋ねをさせていただきたいと思います。  昨年、放送法が改正になりました。私が覚えている範囲で言うと、免許制度が多少変わったということで、詳しくは覚えていないんですが、たしか今までは多重放送の免許とそれからテレビの免許と両方要るはずだったのが、今度はテレビの免許でいいというふうに少し簡易化したり、あるいは義務づけをたしかガイドラインとして出したというような記憶もございます。さらには、字幕制作費については助成制度を拡充したということで、これも去年だったと記憶しておりますが、一般会計からお金を引っ張り出してこれるようになったという記憶がございます。何か物すごく長ったらしい名前の基金で、衛星放送受信対策基金でしょうか、たしか数千億ありましたので、その利子と合わせて一・五億円ぐらいの規模の枠になったというふうにも伺っております。  まず最初に、その字幕放送の現状と郵政省としての今後のお取り組みについて大臣に伺いたいと思います。
  13. 野田聖子

    国務大臣野田聖子君) ただいまの山本委員の御質問にお答え申し上げたいと思います。  字幕放送は、御指摘のとおり、放送法の改正が平成年度にありまして、先生おっしゃったとおり多重放送の免許が要らなくなったり、または字幕放送の努力義務化というのが入ったことによりまして、また、行政上の目標としては、字幕放送の普及目標というのを策定することによって字幕の制作費用に対する助成措置をしているところであります。  その結果、実施事業者というのは大変少なかったんですけれども、NHKを初めとして地上民放テレビ会社百二十六社中十四社であったものが、おかげさまで百十三社まで増加しました。ですから、皆様方も、事業者も理解してそしてやっていこうということで大変気勢が上がっていますので、ますます字幕放送に取り組んでいく事業者の人たちにできる限りの支援とかをまたしてまいりたいと思っています。これは、ひとえに国会での国会議員の先生方のやはり大きな力ではなかったかと思って、改めて心から感謝を申し上げる次第です。  さらにもう一つつけ加えるならば、大臣になりましてからすぐに聴覚障害者の方たちがお見えになりました。実は、ここのところ、日本全国自然災害が相次いで大変不安な時期もございました。そんな折に、とにかく自分たちは不安でしょうがなかった、そういうのが頼りなんだと、そういう切実なお訴えも受けとめたところでございますので、今後とも、引き続き先生を初め皆様方の御指導を心からお願い申し上げたいと思います。
  14. 山本一太

    山本一太君 ありがとうございました。  引き続きこれに関してなんですけれども、聴覚障害者方々にとって、字幕放送の中で一番ニーズが高いのがやっぱり生番組とかニュース番組だと思います。  アメリカの例でいきますと、私が記憶しているところでは、アメリカのキー局ネットワークはすべてリアルタイムのニュースに字幕を導入しているように記憶しております。ヨーロッパでも、アメリカほどじゃないにせよ日本より進んでいるということで、イギリスも大体三割ぐらいは行っているんじゃないかな、こういう記憶があるわけなんです。  これはアルファベットと日本語の違いということも随分あるかと思いますけれども、このニュース番組等の字幕付与、つまりリアルタイムの字幕付与について郵政省としてどうやって取り組んでいるのかということを大臣に二問目として伺いたいと思います。
  15. 野田聖子

    国務大臣野田聖子君) 今まさに御指摘のとおり、イギリスやアメリカなんかに比べますとまだまだ字幕放送は低い状況にあります。どうしてかといえば、やはり今先生御指摘のとおり、アルファベットと、私たちは漢字、片仮名、平仮名と大変たくさんのキャラクターを使う、そういう現実問題もあるわけです。あともう一つは、正確性というか、橋と箸とか、同じ言葉でも随分違う意味が生まれてきてしまうものですから、そういう正確性を期すためにもかなり高い技術が要るということで、なかなか字幕が進まない原因になっているということが言われています。  そこで、郵政省としては、そういう字幕をリアルタイムにつくっていけるようにということで、実は自動制作の研究開発を平成年度から五カ年計画で進めていまして、今年度ようやく試作品ができたところであります。  大変難しい技術なんですけれども、これからの普及の一つの道具としてぜひとも活用させていきたい、努めてまいりたいと思うと同時に、今後デジタル化が進む中で、デジタル化というのは単に絵がきれいになるとかそういうことではなく、コンピューターとの融合が容易になる。そういうコンピューターの頭脳を使ってまた字幕放送の推進が図れるのではないかということを期待しているところであります。
  16. 山本一太

    山本一太君 ありがとうございました。  今大臣からさまざまな技術の組み合わせによってリアルタイムで字幕をつくれるようになるんじゃないかというお話がありました。五カ年計画でやるというお話でしたが、それは恐らくかなり難しい話だというふうに私も認識しておりますが、そこら辺について郵政省の方から何かもうちょっと専門的にありますか。
  17. 品川萬里

    政府委員(品川萬里君) お答え申し上げます。  先生、大変専門的なところまで御理解いただいておりまして、NHKの方では音声を自動化する方法はないかということを研究されている。こちらの方は文字を読み取って字幕にできないかということでございます。いろんな分野でそれぞれ研究が進んでおりますので、そうしたいろんな研究の方法について総合して、できるだけ効率的な字幕放送制作のシステムというものをつくってまいりたい、かように存じております。
  18. 山本一太

    山本一太君 技術的には大変難しいと思いますが、それができると画期的なことだと思いますので、ぜひ引き続き政府としても御努力をいただきたいと思います。  それでは、NHKの方にもちょっとお聞きしたいと思いますが、字幕放送についてはNHKは民放に比べてかなり努力をされているということで、それは評価を申し上げたいと思います。手話を導入したり、あるいは、私もNHKの朝の連続ドラマを見ておりますけれども、テレビをつけて寝たままでも解説放送があれば、「朝、茶の間、お茶を飲む親子」とかいって、よく考えておられるなと思いながら聞いておるわけなんです。  総合テレビの方では六十年からスタートしたというようにお聞きをしておりますが、まだNHK教育とかあるいはBS2ですか、こちらの方では行われていないというのが現状のようなんですけれども、やはり公共放送として字幕放送についてはさらに積極的に進めていくべきかと思いますけれども、今のNHKの取り組みについて一言伺いたいと思います。
  19. 海老沢勝二

    参考人海老沢勝二君) 今お話がありましたように、字幕放送については、私ども、障害者あるいは高齢者に対して、人に優しい放送ということを目指しております。そういう面で、郵政省の指導もあり、この字幕放送等につきましては今一生懸命力を入れております。総合テレビの方はもう既に御承知のようにかなりやっておりますし、衛星第二の方も去年から本格的にやっております。  問題は、教育テレビをどうするかということで、教育テレビは来年が放送開始四十周年を迎えます。そういう機会をとらえて、来年早々から教育テレビでも字幕放送をやるように今準備を進めております。  それから、先生御指摘の、やはりテレビというものはライブといいますか生放送が命でありますし、ますます生放送時代になっております。そういうことで、私どももニュースをリアルタイムでやりたいということで、放送技術研究所でかなり研究を進めております。音声認識装置ということでしておりますけれども、これは大分進んで、あと二、三年で私は実用化ができるんじゃなかろうかと思っております。  詳しくは技術担当の方から答弁させます。
  20. 長谷川豊明

    参考人長谷川豊明君) 今、山本先生から御質問がありました、ニュースを字幕放送するというのは御要望が非常に高うございます。  それから、お話しのように日本語の難しさがございますが、今研究所で研究しておりまして、先ほど大臣が申しましたけれども、橋と箸の違いとか、そういう違いを識別する難しさがございます。基本的には放送ニュースに必要な辞書をいっぱいつくりまして、音声で読んだときにその「ハシ」が川にかける橋なのが食べる箸なのかというような認識をいたしまして文字に出す、こういう研究をしております。現状では、話した言葉に対して正しく文字が出るという認識率、これがまだ八〇%程度でございます。  それから、話した後にすぐ字が出てくるというためには処理速度を上げなきゃいけませんが、現在では十秒ぐらいかかります。これを二、三秒にしょうと。それから、認識率を少なくとも実用にするには九〇%に上げなきゃいけないということで、二、三年をめどにこういう研究を進めるということで、ことしの公開におきましても現在の八〇%の状況、これを皆さんにごらんいただいた状況でございます。  以上でございます。
  21. 山本一太

    山本一太君 ありがとうございました。  教育テレビの番組の内容については、来年ぐらいからでしょうか、例えば「中学生日記」とか「テレビ体操」、そういうものにも導入をされるということを聞いておりますので、ますますその拡充に努めていただきたいということを御要望申し上げたいと思います。  字幕の話はそのくらいにいたしまして、二問目に移りたいと思います。  最近青少年による犯罪の凶悪化とか残虐な犯罪が大変ふえているというのは御存じのとおりでございますけれども、この青少年の犯罪の増加、凶悪化とテレビの影響、すなわちテレビの暴力シーンとの因果関係ということがずっと問題になっておりまして、これについては私は早急な対応が必要ではないかというふうに日ごろから考えております。  ここに一つの条約の案文がありまして、これは国連の条約なんですけれども、児童の権利に関する条約、これは日本が批准したのはたしか九四年だったと思いますけれども、この中で、児童がきちっと情報にアクセスする権利を確保するとか、あるいは有害な情報から児童を守るとか、こういうことが明記をされているわけでございます。  やはり青少年の健全な育成ということにつきましては、放送の責任というのは大変重い、特に公共放送としてのNHKの責任は大変大きいというふうに思っております。放送法をちょっと見てみたら、四十四条に、良質な放送番組をとにかく提供して国民の要望にこたえる、さらには文化の向上に寄与するために最大限の努力をするというような趣旨も見つけたわけですけれども、こうしたことを踏まえて、今NHKとして青少年の健全な育成のためにはどういう取り組みを番組の上でされているのかということをお尋ねしたいと思います。
  22. 河野尚行

    参考人(河野尚行君) 今、山本委員御指摘のとおり、私どもも児童の権利に関する条約の趣旨はよくわきまえているつもりでございまして、NHKの国内番組基準の中にもそれを先取りするような形で書き込んでおります。  私どもとしては、次世代の子供たちに豊かな情操教育、それから健全な精神を養うような番組を、これまでもつくってきたつもりでございますけれども、昨今の子供たちのいろんな社会的な事件を思いますと、改めて私どもとしてはことしの三月に少年少女プロジェクトというものを全局挙げてつくりました。そして、今子供たちに起こっていることは前の世代のさまざまなツケがそこに集中的にあらわれているということもあると思いますので、単に子供たちの番組というよりも、すべての世代が取り組むような形にしたいというふうに思っています。  それには、子供たちがどういう悩みを抱えているのかということをきちんと探る番組、それからそれに基づいてディスカッションをする番組、学校の先生にも地域の親たちにも入ってもらいたいと思っておりますし、その上で、単に啓蒙的な番組だけでなくて、子供たちの心を揺さぶるような、本当に感動的なドラマなどもつくりたいというふうに思っていまして、NHKのあらゆる部局の力、それからNHKの関連団体及び学校の先生方や父兄の人たちの意見も聞いて、NHKとしては全力を挙げて子供たちの番組をつくっていきたいというふうに思っております。
  23. 山本一太

    山本一太君 私は、個人的にはこれまでのところ、NHKは番組をつくるという上では非常に高いクオリティーを持ったものを送り出していただいているんではないかというふうに思います。  公開番組になるのか、例えば「トップランナー」みたいないい番組もありますし、音楽について情報を得るのはいつも「ポップジャム」でありますし、ドキュメントも、昔やらせの問題もありましたが、非常にクオリティーが高いものを努力してやっておられるのではないかなと。今のところVチップは必要ないんじゃないか、このように思っているわけであります。  ドラマづくりについてもいろんな配慮をされているということで、あるドラマ制作担当者に聞いたところによれば、青少年に対しては、ドラマをつくるときに配慮をしている。暴力シーンについては、どの程度にするかいつも苦慮している。例えば、時代劇でも首切り、切腹、さらし首、こういう残虐な場面は残虐な感じにならないように苦労している。やくざや暴力団が出てくることについては、残虐なものは避けている。性描写については、男女が愛し合っている場面でもいたずらに刺激的な動きは出さないとか、家族がそろっているゴールデンアワーでは、おふろ屋の場面でも裸は見せないとか、現場レベルでもいろいろな努力をされているなということを思っております。  ちなみに、いわゆる大型時代ドラマみたいなものの中でも、「毛利元就」をずっと見ておったんですけれども、美伊が初めても利元就と一夜をともにするときも、ここと足の部分しか見えなかったということで、これも時代とともに恐らく変遷していると思います、十年前だったらあそこまでやらなかったと思いますが。こういうものは時代とともにスタンダードが変わっていくものだと思いますけれども、ぜひNHKには、やはりそこら辺のところはきちっといつも良識を持って、NHKのレゾンデートルといいますかクオリティーを守っていただきたいということを改めて要望させていただきたいというふうに思います。  さて、同様の質問ですけれども、この放送分野の青少年問題について、国としての取り組みを伺いたいと思います。
  24. 野田聖子

    国務大臣野田聖子君) 実は、先ほど山本先生からお話がありました条約につきましては、一九九四年に日本は批准をしているわけであります。しかし、ことしの六月には、この条約に基づいて設置されている委員会から、「視聴覚メディアの有害な影響、特に暴力及びポルノグラフィーから児童を保護するため、法的なものを含め全ての必要な措置をとるよう」、勧告を実は受けているところでございます。つまり、十分ではないだろうということでございます。  この私たちの答えというのは、国としての答えは二〇〇一年までに出さなければならないわけで、これにつきましては、郵政省だけではなくて、国の問題として、実は官邸においても次代を担う青少年について考える有識者会議とか、ほかのそれぞれの審議会で青少年の健全育成における放送とかさまざまな影響について今検討していただいているところです。  郵政省の方は、実はその前だったんですけれども、五月から青少年と放送に関する調査研究会というのを文部省と相談して、なるべく勝手にやらないで、教育の問題もありますからということでいろいろとアドバイスいただいて、その中に委員が入っていただくという配慮をしつつ今実は幅広い検討をしているところでございます。  これは、いろいろ情報収集とか、いろいろな意見があるわけでございまして、それを全部聞いて、できれば十一月に報告を出したい、そういうことで今努力していますが、やはり表現の自由ということ、そして青少年の健全育成ということ、さらには公共の福祉というこのバランスをきちっと図りつつ適切に対応していきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
  25. 山本一太

    山本一太君 今大臣のお話を伺いながら、大臣が児童ポルノの規制についての議員立法について大変御尽力をされた中心人物だったということを思い出したわけなんですけれども、諸外国でもこの点についてはいろいろな措置を講じておりますので、引き続き政府として十分な努力をお願いしたいと思います。  三番目のポイントに移らせていただきたいと思うんですが、番組の振興関係について少しお尋ねをさせていただきたいと思います。  放送デジタル化が進むとどういうことになるかといいますと、非常に多様な放送が可能になる、多様な放送ができる環境整備ができるということだと思います。しかしながら、この中で最も大事なことは、視聴者が本当に求めている、多様なものをつくれる状況に応じたバラエティーに富んだ番組づくり、これもソフトだと思いますけれども、これができるかということであるというふうに認識をしております。これについては、本格的なデジタル化時代を迎える前に、もう今から番組不足の懸念なんかもあるわけでございまして、正直言って我が国の番組供給体制というものは非常に脆弱であるというふうに私は考えているわけでございます。  例えば、供給体制については、今のテレビの制作プロダクションは各局の下請みたいな形になってしまっておりますし、特に流通の問題についてはとにかく権利関係が著作権を含め非常に複雑だと。アメリカの場合は、プロデューサーが比較的一括して管理するというシステムがたしかあるんですけれども、日本ではそういう体制整備ができていないので、かなりいろいろ苦労をされているというような話も伺っておるわけでございます。  先ほど申し上げたとおり、NHKは、こういう時代にあって良質な番組をその枠にどんどん提供していくということについては公共放送としてきちっとしたリーディングロールを果たしていかなければいけない、このように思うわけでございますが、番組の制作そして今私が申し上げた流通についてどういう取り組みをなされているのかお聞きしたいと思います。
  26. 河野尚行

    参考人(河野尚行君) それこそ、本格的なデジタル時代を迎えまして、NHKもこれまでの制作体制だけでいいのかということで総点検をしておりまして、新しい技術を導入し、人材育成をして番組の制作過程そのものを変えようとしております。来年から本格的に試みるつもりでございます。そのような過程の中で、いろいろ波もふえてきますので、一つの素材の中からいろいろ付加価値をつけて、年代別にもいろんな番組が展開できる、そういう多様なソフトをつくり上げようと思っております。  それからもう一つは、アーカイブといいますか、一度放送したものをどういう形で再利用するかということでございまして、これは今委員御指摘のとおり、日本の場合は著作権が複雑でございます。出演者の著作権、音楽関係の著作権。出演者の中にもいろいろございます。そういう意味合いにおきましても、著作権をどういう形で簡潔にクリアするのか、それで、二次利用した場合の権利をどういう形でシェアするのかについてもさらに話し合いをしながら、一度つくった番組がさらに有効に使えるようにこれからも工夫していきたいと思いまして、NHKでも著作権を担当する分野に力を注いで、著作権センターというのを今年度からつくりまして次の時代に対処しようと思っております。
  27. 山本一太

    山本一太君 ありがとうございました。番組制作、流通の問題というのは基本的には民間の問題であると思いますけれども、国としてもこのための環境整備をやっぱり整える必要があるというふうに思っております。  同じ質問ですけれども、デジタル時代の番組制作、そして流通についての国の取り組みについてお聞きしたいと思います。
  28. 品川萬里

    政府委員(品川萬里君) ただいま先生御指摘ございましたデジタル時代に備えての放送番組制作、流通でございますけれども、ローカル局におきましても、いわば番組の東京依存という体制から自主番組制作という方向に向かっておられますので、そうした自助努力にもおこたえすべく、いろいろ既に、本格的にまだ始まっておりませんけれども、スタジオをデジタル化していくということは可能でございますから、そうした面での税制上の支援あるいは財投の低利融資というような制度も用意してございます。  それから、補正予算におきまして、大容量アーカイブ制作、つまり番組保存のためには大変今までにない技術が必要でございますので、その辺の研究開発の予算も用意したところでございます。  今先生御指摘ございましたように、権利問題というのは大変複雑でございますので、今放送事業者の関係の方々中心に勉強会をつくっていただいて、文化庁、我々もそれにいろいろ協力させていただいておるところでございます。  それから、どこにどんな番組があるのかということも、今のところ十分情報が提供される体制がございませんので、放送番組のデータベースをつくろうではないかということで、関係者の方々と研究を進めております。  政府としてはいろいろやらなければならないのでございますけれども、実は今の放送番組は基本的に一次利用が原則になっておりまして、二次利用の割合というのは現在のところ二・九%という数字でございます。したがいまして、本当にデジタル放送時代のメリットを生かしていくために、原則一次利用じゃなくて二次利用を原則に放送番組を制作、流通させていくというふうに放送業界の方々の新しい番組流通についての考え方が形成されませんと、なかなか政府の支援というのも生きてこないのではないかと思いますので、そうした新しい取り組みというものを御期待申し上げながら、我々も支援努力を考えてまいりたい、かように存じております。
  29. 山本一太

    山本一太君 今お話にあったスタジオ設備のデジタル化というので思い出しましたけれども、スタジオ設備といいますか、スタジオのノンリニア編集機とかいうのがありまして、頭からじゃなくてどこからでも編集できるというような機械の話をちょっと思い出しました。これが導入されると随分効率化が進んでコストが削減されるというようなお話も伺っておるわけでございます。今のお話にあったように、さきの経済対策でも税制上の支援が認められたということなので、ぜひこの流れを引き継いでいただきたいと思います。  さらに、いろんな権利関係については、流通、制度の面では、単に郵政省のみならず、恐らく文部省とか文化庁とのいろんな意見交換が多分必要になってくると思いますし、またそういう意味で権利関係を把握するためにも情報のデータベース化みたいなのが必要となると思いますので、ぜひそこら辺の取り組みを積極的にしていただくようにお願いをいたします。  あと、スポーツ放映権の高騰の問題についてNHK、郵政省等お聞きしょうと思いましたが、あと時間が二分三十秒ぐらいしかありませんので、中途半端ですのでここで終わりまして、次のエースの岩城先生につなぎたいと思います。  ありがとうございました。
  30. 岩城光英

    ○岩城光英君 自由民主党の岩城光英であります。  私は、これまで市会議員、県会議員、そしていわき市の市長と十七年間地方の行政に携わってまいりました。今回はそうした体験から、地方の住民にとって身近な問題を主に質問いたします。  まず初めに、NHKの平成年度に行われました放送七十周年関連事業の「みんなで築こうボランティア社会」についてお伺いをいたします。  阪神・淡路大震災を契機にボランティアの大切さが改めて認識されました。もちろん災害時だけでなく、医療、保健、福祉、あらゆる分野でボランティアの活動が積極的に展開されるようになってきております。私は、町づくりは住民と行政との共同作業だ、そう考えております。そうした点からも、地域づくりのためにボランティアの果たす役割はますます大きくなってくるものと思っております。そしてまた、教育の面でも、子供たちにそういう体験をさせることはとても意義のあることだと考えております。ですから、そのためには、だれでも気軽にボランティア活動に従事できるようなそういった環境づくり、システムづくりが必要であろうと思っております。  市長時代、市民のみんなが安心してボランティア活動に従事できますよう、通称ボランティア基金を創設いたしました。そうした観点から、この事業については評価できるものであったと思いますが、その成果はいかがだったでしょうか。また、現在の取り組み状況、さらにパイロット局五局でスタートしたとされますNHKボランティアネットの現況についてお伺いいたします。
  31. 河野尚行

    参考人(河野尚行君) 岩城先生御指摘のとおり、NHKとしましては、平成六年に「週刊ボランティア」という番組を新設しました。これは、ボランティア運動が関心を持たれてきましたので、成熟する社会の中で人々がともに支え合う社会をつくるそのきずなとしての役割を果たそうという形で番組をまず立ち上げました。そうしますと、その翌年に阪神・淡路大震災がありまして、それこそ今どきのと言われた若い人たちが続々とボランティアで駆けつけました。  そういうふうな動きの中で、インターネットにも接続する。パソコンネットワークを利用したボランティアネットワークというものを平成七年四月につくりました。今ではここに百二十二のボランティア団体が登録しておりまして、ボランティアを求める側の情報、それからボランティアを供給する側の情報というものがここに日々新しい形で載っておりまして、一カ月平均で四十万件のアクセスがございます。  この間、去年の一月には重油が漏れるという事件が起こりまして、それにも多数のボランティアがこれを掲示板として書きつけました。ごく最近では、八月の末に台風四号が引き金になる大雨の洪水が、それこそ福島を中心とする東北、それから北関東、静岡にも及びました。このときも大変貴重なボランティア情報が載せられまして、延べ一万人を超えるボランティアの人たちが被災地に駆けつけたというふうに思っております。  NHKでも「週刊ボランティア」以外に新たに三つほどボランティア情報を載せる番組をつくっておりまして、そういう意味では、地味ではありますが、確実にボランティア社会に向かってNHKのこのネットワークと放送が役立っているのではないかというふうに思っております。
  32. 岩城光英

    ○岩城光英君 これからのボランティア活動の核となれるよう一層の御努力をお願いしたいと存じます。  次に、海老沢会長にお伺いをいたします。  会長は、昨年七月就任以来、「改革と実行」のスローガンを掲げ、NHK内部からの改革を訴えてこられました。平成年度予算をあえて改革元年予算といたしまして、デジタル放送への準備期間として本年を組織改革に取り組みながら確固たる財政基盤づくりを目指した年として位置づけられております。きょうは十月一日で、ちょうど半年が経過したわけでありますけれども、この間の成果また手ごたえはいかがなものだったか、お伺いいたします。
  33. 海老沢勝二

    参考人海老沢勝二君) 先生御承知のように、今世の中は世界的に市場経済に基づく自由な競争時代に入ったと。規制緩和されましたし、またデジタル技術が急速に進展する、いわゆる変革の時代を迎えております。私ども公共放送も二十一世紀に向かって、やはり公共放送は二十一世紀も国民にとって必要不可欠な機関だろう、そういうふうに私は自負しております。そういう中で、この公共放送をさらに維持し発展させていくためには、やはり内部改革、自己改革を進めてスリムな形で効率的に仕事をしなければ国民の支持を得られないだろう、そう思います。  また、受信料もそう簡単に国民にお願いするわけにいきませんし、できるだけ国民の負担を少なくするのが我々の役目だろう。そういうことで、まず内部の改革を進めようということで、平成年度予算に当たりましてはできるだけ経費の節減を図り、同時にまた受信料収入も公平負担という原則に基づいて対前年比二・二%、国の税収が一・二%を見込んでおりましたけれども、我々はそれを一%上回る二・二%、百三十億の増収を見込みました。経費の方の伸びを〇・八に抑えて、そして九十億の黒字予算を組んだわけであります。この九十億は債務償還に充てるわけでありますけれども、そういうことで、できるだけ国民に負担をかけない中で、またデジタル時代に向けての新しい設備投資、番組制作をしなければなりませんから、職員の意識改革と同時に、もっとやはり我々は汗を流そうということで改革に取り組んだわけであります。  今その成果が私は着々といい方向に向いてきているというふうに考えております。今後とも、受信料をできるだけ値上げしないように、内部改革を進めると同時に、またそれによって番組の質の低下を招いてはいけませんので、その辺の兼ね合いを十分に配慮しながらまじめに取り組んでいきたいと思っております。
  34. 岩城光英

    ○岩城光英君 次の質問は、NHKは新たなアイデンティティーとして何を目指しているのかという質問であります。  本年一月、「より豊かな公共放送のために」というビジョンをまとめられました。その九ページにこういう文章があります。「受信料によって成り立つ公共放送NHKにとって、視聴者の信頼は事業運営の根幹にかかわる問題です。NHKで働く一人ひとりが厳しく自らを律し、高い倫理を持ち続けることが求められます。」と、私もまさにそのとおりだと考えております。  NHKは、これまで公共放送として信頼性さらには堅実性を前面に押し出してそして国民の評価を得てきました。ただ、近年、国民の価値観やそれから生活様式がかなり変化してきております。メディアに対する期待も高まってきておりますが、その期待感の内容はそれぞれの世代によって異なっております。  公共放送でありますNHKにとりまして、最大公約数としての目標設定は難しいと思われますけれども、そんな中でも信頼や堅実という評価からさらに一歩前進するための新たなアイデンティティーが必要と思われますが、どのようにお考えでしょうか。
  35. 海老沢勝二

    参考人海老沢勝二君) 今先生御指摘のように、だんだん世の中が複雑になり、また世界的にも何が起こるかわからないような時代、世紀末を迎えてそう言われております。しかし、やはり人間の本質というのはそれほど変わらないという面もあります。変わるものと変わらざるもの、不易流行という言葉もありますけれども、そういう中で、私どもはやはりこの地球号といいますか、地球はだんだん狭くなっておりますし、民族の融和といいますか、そういうことにもやはり気を配らなければならない時代だろうと思っております。  そういうことで、基本的には、価値観の多様化あるいは個性化が言われておりますけれども、本質は人間変わるものと変わらないものをうまく組み合わせながら我々も質の高い国民に知らせる番組をつくることが基本であることは言うまでもありません。  これからますますデジタル化になりますと、いろんなこれまで放送に関係のなかった外国の資本日本に参入してきておりますし、また総合商社なり電機メーカーも放送事業資本参加するというような中であります。そういう面で、公共放送NHKというものはどういう時代になってもやはり守るべきは守っていかなきゃならぬ、そういう信念でいるわけであります。  そういう中で、何と申しますか、番組、先ほど青少年の問題がありましたけれども、やはり若い人たちも年寄りもみんなが情報を共有するといいますか、私は情報に格差がないようにするのが公共放送のまず大事な使命だろうと思っております。だんだん多メディア多チャンネルになりますと、いわゆるスポーツの独占化とか、あるいは非常に視聴率が高いとみんな同じような番組がそっちに流れていく、いわゆる番組の画一化というような弊害も出てきます。そういう中で、報道、教育、教養、娯楽という我々四つの分野でつくっておりますけれども、それを総合的にバランスよく編成して、そういう共通のよりどころとして我々公共放送はいるわけでありますから、そういう立場でバランスのいい質の高い番組を常に前向きにつくっていかなきゃならぬだろう、それはいつになっても私は変わらないと思います。  そういう中で、やはり新しい技術を取り入れたいろんなこれまで我々が及びもつかなかったような若い発想でつくっていく人材も出てくると思います。そういう面で、我々は、そういう時代時代に応じて人材の育成を図りながら、また新しい番組に取り組んで視聴者の多様なニーズにこたえていくのが我々の使命だろう、そう思っております。
  36. 岩城光英

    ○岩城光英君 実は、先般ある経験をいたしました。と申しますのは、参議院選挙の前に政見放送の録画撮りが行われました。私の場合、テレビ局はNHKのほかに民放三局、合わせて四局で録画撮りを行ったわけですが、それぞれ一時間の与えられた時間がありまして、そこで収録を行うわけでありますけれども、民放とNHKの違いを感じたんですね。と申しますのは、民放の三局の場合には、それぞれ一時間の与えられた時間の中で私が気に入るまで何回撮り直してもいいということなんですが、NHKの場合は、一回リハーサルをして、二回目は本番だと、そこで間違った箇所があっても訂正はできない、時間が延びてしまったら、それはNHKさんの方で自分の方で勝手にカットして時間に合わせるからと、こういうお話をされたのです。そこで、意識の違いといいますか、感覚の異なる部分があるなというふうに感じました。  こういった点で、これから柔軟性とか適応性とか、そういったことを考慮しながら意識の改革を図っていただければと、こんなふうに思っております。  次の質問に移ります。NHKと地域とのかかわりについて何点か質問をさせていただきます。  まず、NHKの特徴を生かしたローカル番組に取り組んでほしいということでございます。全国それぞれの地方自治体が持っている特性、それから置かれている環境、それを十分に生かして個性と魅力あふれる地域づくりが行われることが必要だと思っております。あわせまして、その地域の歴史、伝統を生かして新たな地域の文化を創造していくことが大切だと思っております。  全国に三千二百三十二の市町村がありますが、私は、その自治体がそれぞれ元気を出すことが日本の国土の発展につながっていくものと考えております。そういった意味では、地域からの情報の発信など放送メディアの果たす役割は非常に大きなものがあろうと思っております。  さて、地域とメディアという観点からいいますと、地域に根差した民間メディアが優位性を発揮しているということはこれは事実であろうと思っております。しかしながら、地方と地方をつなぐシステム、これはNHKにおいて一番確立されておるわけでありますので、そういった特徴性を生かしたローカル番組をどうお考えになっているか、お伺いいたします。
  37. 河野尚行

    参考人(河野尚行君) 民間放送も頑張っておられますが、NHKも地域の放送局の連合体がNHKだというふうに考えておりまして、一つの地域に七十年近い地域の放送局の歴史がございます。そういう意味では、地域社会の中でどういう役割を果たすのかというのは極めて大切だと思っておりまして、毎日の放送時間帯でそこの放送局が地元の放送局で地域に向ける放送時間をまずふやすことをこの二、三年やってまいりました。来年度もその方向で検討いたします。  それから、今委員御指摘のとおり、それぞれの歴史、文化を背負って生活圏があるわけですから、そこの特徴をその地域以外のところに発信するというような番組についても力を入れてきたつもりでありますし、これからも入れるつもりです。  例えば、この一年ぐらい、地域発全中番組が七つも八つもふえました。そしてそれは大変好評を得ております。四国は八十八カ所の札所に再び力を入れる、東北は地方に多い温泉に特に力を入れてそれを紹介する。それは観光資源の開発にも役立つということで、それぞれの地域の特色、文化、自然を生かした番組をつくっておりますし、今後も、先生御指摘のとおり、そういうことをやることがNHKの地域社会に対する信用を博することであるというふうに思っておりますので、力を一層入れていきたいと思っております。
  38. 岩城光英

    ○岩城光英君 ただいまのお答えに関連するわけでありますが、いわゆる県際地域、またブロックとブロックの境、隣接地域間の情報の提供ということについてお伺いいたします。  これからの地域振興を考えました場合に、交流と連携、これがキーワードだと私は思っておりました。そうした視点から市長時代も施策の展開を図ってまいりました。とりわけ、いわきを取り巻く周辺の隣接した市町村との連携を図り、交流を図り、例えば災害時の総合応援体制を組むとか、あるいは観光のネットワークの確立を図る、そういったことに取り組んでまいりました。  そこで、困ったことが一つあったんですけれども、いわきにはかつて勿来の関がございました。品川局長はそのすぐ近くでお育ちになられたわけでありますけれども、いわば東北の玄関なんです。  そこで、私の考えから、茨城県の北部、北茨城市、高萩市との交流、連携も積極的に図ってきたんですけれども、情報がマスコミを通して伝わらないわけです。例えばNHKのニュースでも、我々は県内のほかの市町村、それから東北ブロックの遠く離れた青森とか秋田のニュースは聞くんですけれども、ブロックが違う隣の北茨城のニュースは全然入らないということです。これが非常に私としては困った点であります。ブロックは違いましても隣同士ですから縁組がある、親戚関係がある、あるいは通勤通学の行き来は多いわけでありますし、さまざまな交流があるわけです。まして気候、風土、言葉なども、いわきの場合は同じ県内の会津、中通りよりもむしろ北茨城にすごく近寄っている、そういったこともあります。  こういうことは全国にも例があるものと思いますが、こういったブロックのはざまにあります隣接地域の情報といったものをどうお考えになっていらっしゃいますか、お伺いします。
  39. 河野尚行

    参考人(河野尚行君) 御指摘のとおり、NHKも県域放送とブロック放送というのがございます。ただ、これも長い習慣で、例えば福島は東北ブロックということになっております。ところが実際の経済の動きその他はそういうある時期のブロックとは離れた形で展開しております。御指摘は非常によくわかっておりますし、これからもそういう形で努力したいと思います。  例えば、高松と岡山の関係とか、下関と北九州の関係とか、それこそブロックは違うんですが、お互いに情報を共有したいというところがほかにもございまして、いわきと北関東もそのとおりだと思います。  NHKでは、天気予報などですと、既に茨城、栃木、群馬の各天気を日常的に福島放送局でやっておりますが、おっしゃるとおり、いろんな経済的な動きとかそういうことについても放送局同士が連絡をとって、北関東の取材したものを福島放送局で放送し、福島放送局、それからいわきの支局で取材したものを東京の首都圏センターで放送するというふうに、今もやっているつもりですが、これからは一層そういうインターブロックといいますか、これまでの行政的な大きな歴史的な区分けでない形の、実際の人々の生活にフィットするような形の放送サービスを心がけていきたいと思います。
  40. 岩城光英

    ○岩城光英君 ありがとうございます。とりわけニュースにつきましては、毎日とまではいきませんでしょうが、一週間に一度ぐらいは定期的に流していただくことも御検討いただければと思っております。  次に、「NHK全国のど自慢」と肩を並べるような、そういった番組を考慮していただきたいという質問をさせていただきます。  のど自慢はもう半世紀の歴史をお持ちです。多くの人々に親しまれ、また楽しみにされている番組です。地域にとりましてもその町のPRにもなりますし、また情報の発信という面でも効果があります。住民の意識の一体化を図る、そういった効果もあるわけであります。  私も市長時代、平成年度でございましたけれども、市制施行三十周年の記念にのど自慢を公開していただきました。この場で改めて感謝を申し上げたいと存じます。  ところが、これがそういうように非常に人気があるものですから、全国の多くの自治体から要望があるんですね。私も実はこの委員会になったものですから、早速県内の三つの町村長さんから、来年ぜひとも声をかけてと頼まれているような状況であります。そうは言っても年間五十回弱という回数ですから、これはとても無理な話であろうと思います。  ですから、私が言いたいのは、のど自慢以外にもちろん地域密着型の番組があることはあるんですが、その地域の方々が参加して、いわゆるイベントとして非常に効果がありますのはやっぱりのど自慢にかなわないわけでありますので、こののど自慢の番組と肩を並べられるような地域に根差した番組を新たに考えていただければと思いますが、いかがでしょうか。
  41. 海老沢勝二

    参考人海老沢勝二君) 本当にのど自慢は全国からぜひお願いしたいという要望がひっきりなしに来ております。ただ、御承知のように、毎週一回でございますから五十回前後しかできないという制約があります。  そういう中で、私ども、「歌謡コンサート」とかそういうものを地方に出したり、あるいは「ふたりのビッグショー」なり、あるいはまた前の「小朝が参りました」とか、今、「欽ちゃんとみんなでしゃべって笑って」というような番組がありますし、また「ふるさと皆様劇場」とか、いろんな派遣番組を地方に出しております。そういう中で、昔、宮田輝さん司会の「ふるさとの歌まつり」という番組があつくこれも非常にのど自慢と肩を並べるぐらい人気がありました。  そういうことで、地域の人たちがみんな一緒になって楽しめるような番組を開発しようということで、今月、衛星第二でまず富山県を、「おーいニッポン」ということで一日十時間ぶつ通しでその県を取り上げようと。そして何千何万の方が番組に参加してみようという番組を企画しております。これは毎月一回ということでやって、十数県そういう要望が来たところを今リサーチしております。それを将来は総合テレビにも回す時代が来るかと思いますけれども、とりあえず長時間にわたって、衛星ですから、一時間、二時間じゃなくて十時間というような時間で衛星第二放送でやってみようということであります。  そういう面で、私どもは「改革と実行」と同時に「公開と参加」ということで、視聴者に親しまれ信頼される放送局として、地域の皆さんと一緒に番組をつくるんだ、視聴者国民のための放送局という位置づけでいろいろそういう番組開発もしておりますので、できるだけ皆さんの意見を聞きながら、また新しい番組の開発を進めたいと思っております。
  42. 岩城光英

    ○岩城光英君 話が飛ぶかもわかりませんが、関連しまして、例えば地域で行われるスポーツ大会等に目を向けるのはいかがでしょうか。  例えば、全国各地でランニングのロードレースとかが開かれております。また、私が福島県の会長を務めておりますトライアスロン、こういった競技も全国で百五十回ぐらい行われております。これは地域の活性化のためにも役立っており、例えば地域の住民がボランティアで活動することによって交流が深まる、またその地域のすばらしい美しい自然や何かをPRできる、そういった観点から実施されている市町村も多いわけでありますが、そういったものを順番に放映することも一つの方法だとは思うんです。  もちろん、スポーツの全国的な規模の大きな大会、これを放映されることは非常にすばらしいことでありますけれども、いわゆるマイナーなといいますか、一般国民が気軽に参加しているようなそういうスポーツの大会を地域の振興も含めて取り上げていただければありがたいなと、こんな気持ちもあるわけでありますので、あわせて御検討いただければと思います。
  43. 海老沢勝二

    参考人海老沢勝二君) スポーツのイベントにつきましても、私ども、今日本体育協会に加盟している団体の日本選手権というようなものは総合、教育等の波を使って全部網羅しております。そういう中で、またいろいろ地域のそういうスポーツ関連のものをぜひ放送してという要望もたくさん来ております。特に、最近はサッカーが非常に各県とも熱心でありますので、サッカーにつきましては、毎年正月にやります全日本サッカー選手権、これに向けて各都道府県ごとにいろいろ試合をやっております。これはNHKも主催団体に去年から入りまして、だんだんそういうものもローカルで中継するように今しております。  それと同時に、これは全国大会になるんですけれども、四十七都道府県対抗の駅伝競走、京都と広島で女子、男子やっております。あるいはまた、来年の四月には、ことし長野オリンピックが非常に成功しましたので、長野市、長野県がJOC、オリンピック組織委員会の許可を受けて五千人前後の参加者を募ったオリンピック記念の長野マラソンをやりたいというような要望も来ております。  そういうことで、私どもはできるだけそういう地域の要望に耳を傾けながら、全部やるわけにはいきませんのでその辺は難しいわけでありますけれども、できるだけ要望にこたえるような編成を考えなきゃならぬだろうと思っております。
  44. 岩城光英

    ○岩城光英君 次の質問に移ります。  NHK文化センターについてでありますけれども、NHKは、全国に共有する人材や組織をお持ちでありますが、放送以外の分野でもその役割が求められているものと思っております。これまでも文化、健康、生涯学習、そういった面で地域に貢献するという視点から四十八カ所にわたります文化センターを設置されてこられました。今後もさらなるその事業の拡充が必要と思われますが、いかがでしょうか。
  45. 酒井治盛

    参考人(酒井治盛君) お答えします。  私どもの関連団体の文化センターの活動を評価していただいて、心強く感じる次第でございます。文化センターは、先生御指摘のとおり、全国四十八カ所で教室を開いております。それをさらに充実してはどうかと、こういうことでございます。  文化センターは、関連団体とはいいましても株式会社でございますので、新たな教室を開設する場合、企業としての採算性も度外視するわけにはまいりません。しかし、先生おっしゃるように、各地の教室の活動はそれなりに地域に密着して地域の活性化に役立っているわけですので、文化センターの側にはそうした点も十分踏まえて教室の開設の検討に取り組んでほしいと願っておりますし、今御指摘のあった点、十分私どもとしても文化センター側に伝えて善処したいというふうに考えております。
  46. 岩城光英

    ○岩城光英君 ありがとうございます。  次の質問に移ります。  きょうからいよいよ世界のほぼ全地域に向けましてテレビの国際放送が始まったと伺っておりますが、放送のグローバル化が進展する中、今後より効果的な国際放送を行う必要があると思っております。  従来、国はラジオの国際放送についてのみ交付金を交付してまいりました。しかしながら、音声よりは映像の方がよりインパクトがあるわけでありまして、日本状況を世界に発信し、また在留邦人に情報を提供する上でも効果的だと考えております。  そこで、郵政省にお尋ねいたしますけれども、テレビの国際放送にも交付金を導入してその一層の促進を図ってはいかがかと思います。よろしくお願いします。
  47. 品川萬里

    政府委員(品川萬里君) お答え申し上げます。  先生御指摘のように、ただいまNHKを通じての国際放送につきましては、音声につきましては交付金をお渡しして放送していただいているわけでございますが、映像国際放送の方は平成七年以来すべてNHKの受信料をもって放送されているわけでございます。  この件につきましては、NHK側におかれて、音声につきましては国のお金で放送するというのが一つのあれになっているけれども、映像放送についてはいろいろまだ検討すべきではないかというお考えもお持ちでございます。私どもといたしましては、それは一つの留意すべき点ではあろうかと思いますけれども、まずは私どもの事情といたしましては予算事情これあり、なかなか実現していないわけでございますが、今後、NHKの経営の財政状況がどうなるか、あるいは映像国際放送についての国際的な受けとめ方といったもの、こういったことを総合的に勘案しながら、財政的な面についても国としてどのようなことを講ずるべきか十分検討してまいりたい、かように考えております。
  48. 岩城光英

    ○岩城光英君 最後の質問にさせていただきます。  会計の情報開示についてでありますけれども、NHKは受信料により賄われています公共放送でありますので、それにふさわしく積極的に財務資料を公開すべきであろうと思っております。この場合、地方に住む住民でもその内容を知ることができるという視点が大切だと思っております。  そこでNHKにお伺いしますけれども、現在予算書あるいは決算書、これらは全国の各放送局に備えて閲覧ができるようになっていると伺っております。  さて、地方からのアクセスの容易さという点では、例えばインターネットでの経営情報の公開なども考えられると思いますが、地方の視聴者でも手軽にその内容を知ることができるようにすることも必要かと思われますが、いかがでしょうか。
  49. 酒井治盛

    参考人(酒井治盛君) 私どもNHKは、視聴者の皆さんに直接負担をしていただく受信料によって支えられていることから、やはりNHKの行う事業だとか財務内容、そういったものは十分説明し、理解していただく必要があるという認識を持っております。  今先生の御指摘いただいたインターネットの活用でございますけれども、これにつきましても徐々に手がけてきておりまして、業務報告書については平成八年六月から、それから財務諸表につきましてはこれも平成九年六月から、インターネットそれからパソコン通信でも情報の公開を行っております。  やはり、情報公開は御指摘のように時代の大きな流れでありまして、特に地域によって情報の質だとか情報の量に隔たりが生じないようにすることも大きな課題だと我々は認識しておりまして、今後も引き続きでき得る限りの努力を重ねていきたい、こういうふうに考えております。
  50. 川橋幸子

    川橋幸子君 民主党・新緑風会の川橋幸子でございます。六十分時間をちょうだいいたしておりまして、長丁場の質問になりますがよろしくお願い申し上げます。  本日の委員会審議は、平成年度、七年度、八年度、大分過ぎた昔のことになってしまいました決算でございますが、私自身の反省の意味も含めまして、こうした決算審議はもうちょっと迅速に時宜を得て行われるべきであると考えておりまして、これからの委員会運営等につきまして委員長外皆々様の御協力をいただきたいと思います。  それでは質問に入らせていただきます。  決算そのものについては異存がございませんが、やはり最近、地上デジタルの問題が非常に大きゅうございますので、その問題とVチップの問題、この二点に絞らせていただいて質問をしたいと思います。  今年六月に郵政省の地上デジタル放送懇談会が中間報告をお出しになりまして、今十一月の最終報告に向けて鋭意作業を続けていらっしゃるというふうに伺っております。十一月の最終報告も、中間報告の趣旨、内容とそれほど変わらない方向で作業が進んでいるやに伺っておりますけれども、六月の中間報告を読ませていただきまして、いま一度郵政省のお考え、野田大臣のお考え、あるいは会長の方のNHKの対応等について伺わせていただきたいと思います。  さて、三月の予算審議のときもそうでございましたが、地上デジタルの問題に各会派を通じまして質問が非常に集中しておったわけでございます。三月の段階の審議を思い出しますと、やはり地上デジタルの問題はなかなかまだ一般にはその必要性がそう十分に認識されているわけではない。ですけれども、何かしら、その後の中間報告を拝見いたしますと、非常に急がなければならない課題ということで、地上デジタルを急いでいらっしゃるように拝見いたします。  地上デジタルを急ぐ理由、あるいは急がなければならないような状況日本が置かれているという事情、これをひとつ先に総括的に伺いたいと思います。
  51. 野田聖子

    国務大臣野田聖子君) ただいま放送デジタル化を急いでいるんじゃないかという御質問でございました。  実は、私が郵政大臣をさせていただいて二カ月たちますが、小渕内閣は経済の再生ということで、とにかくできる限り経済の再生に寄与できるものを優先順位を高めて取り組んでいこうということで、私どもも宿題をいただいているところでございます。  そこで、私どもは政策大綱をつくりまして、サブタイトルに「デジタル革命」とかなり大げさなサブタイトルをつくってしまったんですけれども、デジタル革命というと誤解を生じやすいなと後で気がついたんですが、革命という言葉は今すぐ何か瞬時に変わるようなイメージがあるんですが、実は日本の国においてデジタル革命というのはもう既に長らく浸透してきており、私たちの暮らしの中に、取り巻いているというか自然と気がついたらデジタル化されているものが随分多いわけでございます。  例えば、コンピューターは当然デジタル技術を持ってやっている。さらには電気通信、電話もデジタル化されている。そして、放送においても、CSとかBSという衛星放送、さらにはケーブルテレビということでデジタル化はどんどん進行している中で、いわばこの日本の国がデジタル化をする最後のとりでというか、それが地上波デジタルではないか、ようやく順番が来たのではないかという感じがしておるところでございます。  実際にこの放送デジタル化については、世界各国が集まるITUというところでは、一九七二年ですからはや二十六年前から検討が始まっている問題であります。どうも急いでいる風情に思われるけれども、必然的にはこういう状況に来ていて、なおかつ実は経済の再生という問題を抱えているから、デジタル技術がより通信やコンピューダーと融合することによって新産業を生む可能性があるし、あわせていろいろなビジネスにつながっていく可能性を秘めているという、試算にも出てきているわけですけれども、そういうものを秘めているだけに、前倒しを、若干の前倒してはありますけれどもするべきではないかという判断から進めているところでございます。  あわせて、正直、デジタルというものがキーワードになっているわけですけれども、これは日本が望む望まないにかかわらず、世界じゅうのさまざまな情報通信の一つの共通言語がデジタルということになってきています。ですから、外国に言われてやるのではなく、むしろこれからの子供たちが社会人になったときにハンディを背負わないために、やはり国の中でもデジタル技術をきちっと浸透させてデジタル化された情報通信社会をつくっておきたいというのが今の大人である私たちの願いではないかと思っているところであります。
  52. 川橋幸子

    川橋幸子君 経済再生が非常に大きな課題であることは、これは行政だけではなくて本当に一般の一人一人の国民の胸にも大きな期待があるはずのことでございますし、それから世界的に技術革新が進んでデジタルが共通言語というような状況になりつつあるということも私自身は薄々とは感じておるのでございますけれども、しかし、今までの作業から拝見いたしますと、初め、電通審の答申でございましたか、九六年五月、このときは二〇〇〇年から二〇〇五年の間にデジタルの導入を目標とするというようなそんな書きぶりであったのでございますが、今回は、中間報告によりますと、終期が設定されるというんでしょうか、二〇一〇年にはオールデジタル化が完了するようにしたいというような、そんな御意思で受けとめられるわけでございます。  最終報告も多分こういうラインになるのかなと想像いたしますけれども、もし何かありましたらそれは後ほどお答えいただくといたしまして、NHK会長にお伺いしたいと思いますのは、NHKの予算審議の段階では、一月に出されたNHKビジョンでデジタル化に対しますNHKの取り組みが報告されている。国会にもですし、もちろん視聴者の皆さんにも折に触れ報告されているんだと思いますが、このビジョンによりますと、二〇〇〇年からまず衛星のデジタル化を進めますと。  会長のお言葉だったと思いますが、一人の人間が二つの橋を渡るわけにはいかないので、物には順序があるので、地上波のデジタル化につきましては長期的に段階的な計画を策定して進めてまいりたいというような、そのようなお答えだったかと思います。この六月の中間報告、あるいは海老沢会長、デジタル懇のメンバーでもいらっしゃると思いますが、デジタル懇の最終報告に向けてこのNHKビジョンというのはどのようにこれから修正なさるのか、どのように整合性を保っていかれるのか、会長の御見解を伺いたいと思います。
  53. 海老沢勝二

    参考人海老沢勝二君) 世の中、世界の流れといいますか潮流はデジタル化の方向へもう進んでいくことは言うまでもありません。そういう中で、我々放送事業者としてどういう段取りで、国民にできるだけ負担を少なくしながら、国民的な合意を得ながらこの事業を展開するかということを考えてきたわけであります。  そういうことで、当初、衛星の方をデジタル化しましょうという話が具体化してきました。この衛星の方のデジタル化は二〇〇〇年の末から、つまり二〇〇〇年の十二月にBSAT2といいますかBS4後発機を打ち上げると、そういうスケジュールが設定されたわけであります。これと一緒に地上デジタルをやるということは、非常に財政的にも、また放送内容をどうするかということも十分に論議しないまま進んでいきますと、これは非常に混乱を招きますし、また新たな国民負担を強いるだろうと。そういうことで、私は、まずBS4後発機を打ち上げ、そうした中で段階的に次に地上デジタル放送へ入った方が得策ではなかろうかという考えを述べたわけであります。  いずれにしても、世の中は遅かれ早かれそういうことになることはもうそこのNHKの将来ビジョンにも書いてあるわけであります。そういう中で、私ども段階的に着実にやっていきましょうと、そういうことで私も地上デジタル放送懇談会の一員として私の意見を申し述べてきました。  技術の革新は非常にどんどん進んでおりますし、そしてまたいろんな意見の中で、来年から地方局、三百五十億の緊急対策支出がありましたものですから、全国七つのブロックごとに一拠点五十億、合わせて三百五十億でNHK、民放、いわゆる事業者、あるいは郵政省も加わって共同実験をするという方向になったわけであります。それと同時に、東京では間もなくいわゆる実証実験とかあるいはサービス実験とかということを一緒になってやっていこう、まず実験段階から進めていこうと。そして、その実験を重ねることによって、この中間報告にありますように、二〇〇三年の末までに放送ができるようにしましょうということであります。ですから、二〇〇〇年から本放送を始めるのではなくて、いろいろ実験なり試験放送をやっていこう、そして事業化するのは二〇○三年の末ごろからというのがこの中間報告であります。  それと同時に、二〇〇三年末というのは首都圏、中部圏、近畿圏の三つの大きな電力圏、ここをまずやっていく。そして、そのほかの地域は二〇〇六年の末までという一つの目安でやっていきましょうということです。そして、二〇一〇年にはオールデジタル化、アナログ放送をやめていったらどうかという一つの目安ができてきたわけであります。  ですから、そういう一つの段取りができたものですから、それならば我々も十分それに対応できるだろうということで私もこの案に賛同して、そういう方向でひとつ大きくまたかじをとっていこうと、そういうことになったということであります。  ですから、BS4の後発機を二〇〇〇年の末にやりまして、それを十分に運用して、そしてその後、二〇〇三年の末でありますから三年近くあります。そういう中で、これから、来年ですかへ地上デジタル放送の技術方式なりチャンネルプランがまとまりますので、そのまとまった段階でまたいろいろ段取りを考えていきたい、そう思っております。
  54. 川橋幸子

    川橋幸子君 そうしますと、二〇一〇年のオールデジタル化の目標に向かって、その目標はNHKの方もお認めになられる。ですけれども、今まで御主張になっておられました段階的に着実にと、その御主張は貫かれて、放送事業者と政府の間の合意ができているというふうに考えてよろしいのでございましょうか。
  55. 海老沢勝二

    参考人海老沢勝二君) 民放も含めて私ども放送事業者としては、いろいろな意見がありましたけれども、そういう段取りならばそれに対応できるだろうと、そういうことで意見の一致といいますか、そういう方向を目指していこうということであります。  ただ、これからそういう周波数の確保なりいろんな課題がまだたくさん残っております。これをどこまでクリアできるかがこれからの一つの正念場だろうと思いますけれども、いずれにしても、そういう大きな流れの中で、我々もいろいろ実験なり研究をさらに重ねてそういう方向を目指していこうという一つの大きな目安、方向へ合意に達してきたということであります。
  56. 川橋幸子

    川橋幸子君 そうしますと、この一月段階のNHKビジョンよりも一歩前に踏み込まれたように私は受けとめますけれども、その間のそうした説明ですね、このビジョンを具体化させる何かまた報告をお書きになるおつもりはありますか。
  57. 海老沢勝二

    参考人海老沢勝二君) この地上デジタル放送懇談会の最終報告が今月にまとまるというように伺っております。その段階で私どももいろんな考え方を国民の前に説明しなきゃならぬだろうと思っております。それと同時に、またそういう方向に向かって平成十一年度の事業計画なりあるいは予算の中に反映させなきゃならぬだろう。そして、やはりこの地上デジタルの場合は、もう先生御承知のように四千五百万世帯、ほとんどの世帯に影響する問題でありますから、そういう面では、我々はなぜ地上デジタル放送をやるのか、どういうメリットがあるのかということを十分に説明して、やはり国民のコンセンサス、合意がなければこの事業は成功しませんし、ある面では私は国家的な事業だろう、そういう認識でありますから、そういう面でこれまでも段階的にやっていくべきだという慎重論を言ってきたわけであります。  そういう面で、いろいろ議論の中でそういう一つの見通しが立ってきたものですから、それを少し具体的にこれから織り込んでいかなきゃならぬだろう、そういう認識でございます。
  58. 川橋幸子

    川橋幸子君 十一月ではなくて今月中にも最終報告ということのようでございますが、中間報告を拝見いたしますと、デジタル化のメリットがるる書かれております。ですが、なかなかわかりにくい。一番わかりよいのは経済波及効果のこの部分でございます。数字で示されているから一見わかりやすい。それから、先ほど野田大臣おっしゃいましたように、事情変更の一番大きなものは、やっぱり金融問題から始まります日本の経済の再生、何とかして景気を上向かせたいという、これが国民総意の願いであるとすれば、そこらあたりが一番大きなねらいどころなのかなというふうに私なんかも、これは反対じゃなくて賛成はするわけでございます。  しかし、経済波及効果の項目を拝見いたしますと、インフラ整備に全部で十八兆ばかりかかるのでございますか、そのうち送信側の設備投資が、一方五千局も日本はある。これが英米と非常に大きく事情が異なる部分で、コスト高になる要因だと言われているようでございますけれども、親局、中継局を足しまして一万五千ばかりの局がある。そこの設備投資、やり直すので一兆円弱。  それに、何といっても大きいのが一億台のテレビの買いかえ需要、これが十七兆というふうに計算されています。投資のうちの一番大きな部分は国民が負担するという、こういう経済効果の算定ですね。二〇一〇年までですから、今すぐということではないにしろ、一番最初の投資は、一人一人の国民が納得して受像機をちゃんと買いかえてくれるかどうか、デコーダーを買うか。何かデコーダーは、この秋デジタル化したイギリスの例ですと日本円に換算して大体四万七千円ぐらいとか、かなり高いものになっております。そういう負担を国民が納得してやってくれるかどうかがこの経済効果を生むかどうかの一番の火つけ役になるわけです。  それから、逆に、このごろ環境問題等々言われるわけでございますが、私なんか考えますと、ああ一億台のごみが出るんだな、そのごみの処理は通産省の方では考えていらっしゃるのかしらとか、こんなことまで考えてしまうわけでございますけれども、この経済波及効果、少し計算がラフ過ぎないかという感じがいたします。  そのほかにも、放送市場が拡大する、つまり広告収入が上がるとか、有料放送の経済効果が上がるとか、それから新規ビジネスが出てくるとかということが書かれておりますけれども、こんなにうまくいくものなのかというのが、私、経済の専門家ではございませんけれども、今のこの不景気の中で、まず一人一人が買いかえてくださる、ここが火つけ役になるような、しかも新規ビジネスチャンスができるといっても、それは全体の景気が上がらなければ、広告をもっと出そうとか、それからちょっと手広くやってみようとかというよりも、既存の放送業者はむしろ設備投資の方にあっぷあっぷしてしまうというような、こういうことがある。  経済効果を言うなら、何かちゃんと種火になるようなもの、そういうものをもっとプランしていかれないと、余りにもバラ色の面ばかりで、少し詰めが甘過ぎるように私には思われます。いかがでしょうか。
  59. 野田聖子

    国務大臣野田聖子君) 確かに、その経済波及効果というのがラフじゃないかというお話があるわけですけれども、まず初めに、デジタル放送にすることのメリットというのをやはりきちっとNHK初め事業者の皆さん、また郵政省で国民にお伝えしていかなければならないなという必要性は感じています。  例えば、放送だけをとるとするならば、デジタル化することによって、チャンネルがふえるということはもう何度も言われていることではございますけれども、それだけ視聴者の選択の幅が広がるというのが視聴者にとっての第一のメリット。あとは、デジタルという技術を使うから今までよりも画質がきれいになる。これも随分以前から言われていることであります。またさらには、車の中にテレビを持っている人がいるわけですけれども、移動中の電波障害で見にくいケースが多いわけですが、デジタルではそういうことがなくなる。また、先ほどの山本先生の御質問にありましたとおり、字幕放送もこれからどんどん進めていかなければならない一つですけれども、デジタル技術によってこれが飛躍的に進んでいくだろう。  また、あわせて、問題なのは、放送デジタルだけでとらえるのではなく、先ほども申し上げたように、コンピューターとの融合というのは今回デジタル化するための大きなポイントになるのではないか。つまり、例えば川橋先生も大変お忙しい、朝から晩までお仕事をしておみえになります。見たいテレビがあったとすれば、今までは恐らくビデオでタイマー録画をしておられたと思います。今後、デジタルテレビで考えられることは、そういうこともせずに、デジタル技術によって蓄積ということが可能になって、例えば、家に帰って、簡単に「川橋」と検索すれば、きょう一日出ていたニュースが瞬時に出てくるとか、そんなような付加価値も当然含まれた上で、デジタルテレビというのが非常に魅力的であるということはこれから少しずつ皆様方に御理解いただかなければならないのではないかと思っています。  テレビの買いかえにつきましてですが、これも国が強制するものではありません。一年間に大体一千万台が買いかえられていると言われています。テレビの寿命は、調べましたところ、それぞれ家庭によって違うんでしょうけれども、今平均十年と言われています。ですから、一気呵成に十七兆円じゃなくて、買いかえていく人たちができればデジタルの魅力を十分理解した上で順番に新しい受像機を自然発生的に買いかえていく、その十年がその十七兆円ではないか、そういうふうに私としては理解しているところで、決して御無理を言うつもりはないわけでございます。  これからもNHK初め放送事業者の皆さん、さらに郵政省で知恵を出して、なかなかデジタルを口でいいねと宣伝するのは難しいものですから、今申し上げたことのデモンストレーションとかを、NHKなんかの技術研究所ではもう既にあるわけですから、そういうものを多くの人の目に触れていただけるような場所を私も設けていかなければならないなということを感じて、努力していきたいと思います。
  60. 川橋幸子

    川橋幸子君 テレビを買いかえるかどうかというのは、それだけのメリットがあるかどうか視聴者がはっきりわかればということが期待されるわけでございます。今既に野田大臣からメリットの御説明があったわけでございますが、ちなみに、前自見郵政大臣は、はっきり・くっきり、これが一番。二番目がいつでも缶をあければ放送の番組が取り出せる缶詰。それからゴーストに強い。移動に強いというんですか、こんなことをおっしゃっていました。  はっきり・くっきりは、今でも結構画像はきれいですよね。これ以上はっきり・くっきりというのはどんな画像になるのか、本当に見なければわからないといえばわからないですが、それほど望む人がいるのかなというふうに思います。番組の缶詰も、先ほど大臣がおっしゃったように、私は、VTRをとってもVTRを見る時間がない。もう既に缶詰はあるわけです。それから移動に強いといったって、携帯電話でも運転中はかけるなというようなお話があるときに、移動に強いというのがそれほどセールスポイントになるのかなという感じがするわけでございます。  何か、野田大臣がおっしゃると、自見前郵政大臣よりは何となくだまされないで誠実に言ってくださるのかなというような感じはいたしますけれども、別の表現はおありでいらっしゃいますか。いや、パスでもいいですけれども。
  61. 野田聖子

    国務大臣野田聖子君) 大体自見前大臣内容は同じで、表現の仕方の違いだと思いますけれども。  確かにそれではまだ魅力が足りないよと言われてしまえばそれまでなんですけれども、私は、デジタルの可能性、やはり今まではテレビはテレビでしがなかった、そして電話は電話でしがなかった、コンピューターはコンピューターでしがなかった。それぞれが勝手ばらばらにそれぞれの機能を持って使われていたけれども、これがデジタル化して統一されることで思わぬいろいろな利便が生まれてくるのではないか。これはやはりこれからの技術者に、いろいろなコンテンツなりまたは技術にお願いするところも多いわけですけれども、やはりそういう夢をデジタルにかけていきたい。  そして、自見前大臣のはっきり・くっきりというのも、実はこの間の鹿熊先生の御質問で、デジタルというのはようわからぬというお話で、例えばの例で体温計を出したわけですけれども、そのはっきり・くっきりというのを見て初めてああきれいだなと。実際はこれで十分じゃないかと思っていても、またいいものがあるとああこれにしてよかったなというのは現実の人間社会での理解ではないかと思っております。  ただ、今利用者が望むことは、何かそういう自分たちの生活に潤いがあるもの、何か付加価値があるかもしれないというものに期待を寄せていただきたいということで、さらにデジタルテレビの可能性、何ができるんだろうかということをもっともっと研究し、取り組んでいきたいと思いますので、また先生の方でもお知恵がございましたらお教えいただきたいと思います。
  62. 川橋幸子

    川橋幸子君 私の方も余り知恵がない人間で、それはおわびしなければいけませんけれども。  海老沢会長に伺いたいと思うんですが、メーカーとかソフトの制作者といいますか、そちらの方のメーカー側のメリットというのは、受像機の買いかえとかVTRの買いかえとかがある。非常に直接的にわかるわけでございますが、放送事業者の場合、特に公共放送であるNHKの場合は、これによってビジネスチャンスがふえるわけでもない。番組の内容充実しますと言われましても、番組のよしあしというのは、この間の黒澤明の死去に際して、フランスでもイギリスでもヨーロッパ各地であるいはアメリカでもあれだけ黒澤明を惜しむ報道があるわけでございますけれども、どうもデバイスとか材料とかの話ではなくて、ジャーナリストなりあるいは番組制作者、プロデューサーのそういう人的な資質にかかってくるもののような気がいたしますのですけれども、公共放送であるNHKにとってのデジタル化のメリットというのはどんなものでございましょうか。
  63. 海老沢勝二

    参考人海老沢勝二君) デジタル化のメリットはいろいろあろうかと思います。一つはチャンネルがふえる、要するに自分が見たいものの選択の幅が広がる。もう一つは、高画質高音質といいますか、非常に映像がきれいであるし、音声が非常にいい。あるいはまた、多機能を持ったと。つまり多機能の方は、インターネットとかいわゆるコンピューターに接続できる、またそれによってデータ放送がいろんな角度から活用できるとか、いろんなメリットはあります。  そういう中で、地上波が現実問題として二〇〇三年の末ごろから始まった場合にどういうサービスができるかということで、今我々もいろいろシミュレーションといいますか勉強しております。  その中の一つは、御承知のようにハイビジョンの場合は一つしかとれません。それから、普通の今の標準テレビの場合は三つのチャンネルが活用できる、そういうメリットがあります。そういう面で、総合テレビの方はオールハイビジョンで二十四時間にしたいと私は考えております。  もう一つの教育テレビの方をどうするか。御承知のように、今これだけ多メディア多チャンネルと言われながら、教育を専門にやっているチャンネルはNHKの教育テレビ一つなんですね。先ほど先生方から御質問ありましたように、青少年の健全な育成のための番組を強化すべきだという御意見もありますし、また高齢化社会を迎えての生涯学習・教育といいますか、そういうものを重視しなきゃならぬという御指摘もあります。  そういう中で、私は、地上デジタルになればこの教育テレビを三つのチャンネルにして、一つは乳幼児向けの専門チャンネル、そしてもう一つは小中高といいますか学校放送、あるいは語学教育というものに充てたい。もう一つは高齢者、障害者向けの学習番組。そういうふうにいろいろ活用ができるだろう、そういうメリットがまず一番大きいのでなかろうかと思っております。  それに向けてどういう、やはり先生御指摘のように問題はソフト、コンテンツといいますか内容なんです。やはりいい内容でなければ国民は見てくれません。同じような番組を何本当してもそれはもう国民に支持されません。そういうことでなくて、やはり我々はあくまでも質のいい番組をどれだけ多くつくるかが我々の一つ使命だろうと思っております。  そういう面で、そういう新しい番組の開発、それと同時に、もう一つはデジタルになりますとデータ放送ができるものですから、このデータ放送、いわゆる文字放送、あるいは双方向の活用とかいろいろなことがあります。そういうものを加味しながら付加価値のついたデータ放送によってかなりのサービスができるだろう、そういうふうに見ております。  ですから、世の中どんどん技術の進歩によっていろんな放送内容のものができるわけでありますから、そういう面で私どもは飽くなき挑戦といいますか、いろいろなものにチャレンジしながら新しい番組を開発して、国民にとって便利で非常に役立つ、そういうソフトをつくるメリットがあるんじゃなかろうかと思っております。
  64. 川橋幸子

    川橋幸子君 結局は、投資費用との見合いでメリットがあるかどうかというのが非常に大きなものではないかと思います。今会長がお話しくださいましたように、データ放送ができるといいましても、国民が必須で知っていないとならないデータって一体何だろう。天気予報ならどこか出かける人あるいはどこかで農作物をつくっているその関係者が有料で買ったっていいじゃないかと思いますし、株価なんというのもまさにそれは有料で買えばいいじゃないか。NHKが必須のデータ放送で何をお流しになるのか、まだぴんとこないのでございますけれども、それはきっとすばらしいものをやっていただけるものと期待させていただくとして、投資費用との見合いで考えなければいけないんだと思います。  さて、一兆円弱の送信者側の設備投資、このうちNHKが多分かかるであろうと言われてお答えいただいているのが三千億というふうに伺っております。この三千億の投資費用を一体どうやってNHKのつつましい予算の中からひねり出されるのか。  きょう三カ年間の決算を拝見しますと、単年度の剰余金といいましょうか収支差金は二十億台でございます。十年ためたって二百億で、けたが違うという感じがしますし、それから、二〇〇〇年までは料金値上げはしないという、これは大変好感を持って視聴者から迎えられておられますけれども、会長の御決意もあります。料金値上げの話は二〇〇〇年までの話しかしていないのでこれから先は別よとおっしゃるのかもわかりませんが、そろそろ段階的に着実に計画的にお進めになるとすると、その資金計画の方もあわせて段階的に着実に計画的にお示しいただかないとなかなか国民の側は納得しないのではないかと思いますが、いかがでございましょうか。
  65. 海老沢勝二

    参考人海老沢勝二君) 今の送信設備、NHKだけで送信所が総合、教育合わせて七千局、民放が八千局、合わせて一万五千あります。これをどうするかという問題。あるいは、送信設備なりいろんなものを全く新規にやっていきますとNHKだけで三千億という試算をいたしました。そうこうしているうちに、各局がそれぞれ独自につくるということは非常に非効率的でありますし、やはりこれはNHKと民放がそういう送信所なりいわゆるアンテナを共同で使うとかあるいは土地を共同で借りるとか、そういう面で、これからできるだけ私は経費の節約という意味で民放さんと共同でできるものは共同でやっていくべきだろうという考えを持っております。  それと同時に、私ども、財政安定化資金というものを、これまでずっと値上げをしない中で、今四百五十六億の財政安定化資金をためてあります。これをさらにこれからも少し積み立てをしながら、段階的にそういうデジタル設備の方へ使っていきたい。  それと同時にまた、それだけで本当に間に合うのかどうか、また新たな負担を国民にしてもらわなきゃいかぬのかどうか、その辺は非常に悩ましいところでありますけれども、私はできるだけ、先ほど言いましたように、改革ということで経費の節減をしながら、それから新しい技術の開発によってできるだけ設備投資が余りかからない方法をひとつ編み出さなきゃいかぬだろうということで考えております。  そういう面で、これから具体的に年次計画をつくっていかなきやなりません。この中間報告が出ましたけれども、最終報告が出た段階でまたいろんなシミュレーションをしながら年次計画をつくっていきたいというふうに考えております。
  66. 川橋幸子

    川橋幸子君 郵政省に伺います。  ちょっと議事録で確認しておりませんけれども、たしか三月の委員会審議のときに、品川局長の御答弁の中で、もしデジタル化というものが日本として進めなければならないそういう政策課題であるとすれば、国の支援策というんでしょうか、放送事業者の方は、特にNHKの方は、公共放送で受信料で賄うという原則から国からはお金を、支援を受けないというような、どちらかというとそういう哲学があったように思いますし、民放も含めまして放送業界は言論の自由を担保するためにも余り財政支援を受けないというような、自分の方からは欲しいと言い出せない、ちょっと言葉が適当ではないかもわかりませんけれども、要求できないというような状況の中で、むしろ品川局長の方は、国として必要なことならばやらなければならないというような水を差し向けるような御発言があったように私は記憶しておりますけれども、国は一体何をすべきなのでしょうか、お考えを聞きたいと思います。
  67. 品川萬里

    政府委員(品川萬里君) お答え申し上げます。  今回の地上放送デジタル化につきましては、先ほど来大臣からも申し上げておりますように、例えばこの委員会もインターネットで中継されているというような時代、オールデジタルネットワークの時代になってきておりまして、むしろ地上放送がそうしたネット社会あるいはデジタルエコノミーの中できちんとした役割を果たしていくためにこそデジタル放送になっていくことが必要ございます。  したがいまして、我が国の全体の中で、ネットワーク社会の中にうまくこの地上放送もネットワークの一部としてきちんとした役割を果たしていくということは国全体として大変大事なことでございますので、国としてのいろんな支援策も講じてまいりたいというのが基本的考え方でございました。  そうは申し上げましても、限られた予算の中でございます。今民放各社からも、税制面でございますとかあるいは政策金融の面でのいろんな支援策の要望もございます。それから、何よりも、まだ我が国ではデジタル放送について、機器というのはこれから開発するわけでございます。それから、どのようなソフトがあるのか、あるいはどのような実際上の送信の際に考慮しなければならないのかという、いわば理論値ではございませんで経験値を得なければならないわけでございまして、そういった点から、先ほど海老沢会長の方からも大いに活用しようじゃないかということで御発言がありました既に成立されております三百五十億円での七カ所の共同実験でございますとか、それから近々スタートいたします東京におけるパイロット実験、こういったことでデジタル放送に必要な知識とノウハウ、それから資金的な面での御支援が大いにできればというふうに考えておるわけでございます。  なお、NHKにおかれて三千億円、あるいは民放で六千億円という数字もございますけれども、先ほどNHK会長の方からもお話がございましたように、現在、この一万数千局の送信局も、実は鉄塔で数えますと五千四百三十二と、ちょうど何かそろえたような数字になってございますが、この送信鉄塔から送られております。しかも、我が国の地理的条件もございましてたくさん送信機が必要なのでございますけれども、親局からの電波で相当範囲が、七割をカバーできるというような都道府県も少なくございません。そういったところをよくきめ細かく見ながらいろいろ支援措置なりも考えてまいりたい。  専門用語で恐縮なんですが、共建、共同建設というようなこともこれまでもなされておりますが、鉄塔の共同利用でございますとか共同建設でございますとか、そうした御工夫もいろいろいただきながら、それからまたデジタル化といいますのは、例えばいろいろな条件がありますけれども、一般的に申し上げますと、同じ放送範囲ですと要するエネルギーが十分の一で済む、電力が十分の一で済むというような面もございます。それから、放送制作に要するコストもいろいろ効率効果もあるということでございますので、そうした経営上の効果、そしてまた政策的な支援と、両々相まって段取りよくこのデジタル放送が実施に移されるように配慮してまいりたい、こういうふうに考えております。
  68. 川橋幸子

    川橋幸子君 最終報告に向けてそれぞれ考え方はまとまりつつあるかと思います。また、資金計画につきましては現実に現場を当たってみて積算してみなければ答えが出ないということもあるのかもわかりませんけれども、少なくとも物の考え方は、国がといってもそれはいずれば国民が負担するものでございます。イニシアルコストだけ逆にまとめて国が見た場合に、後で視聴者といいますか国民に戻るというようなことも考えられるわけでございますので、事業者だけではなくて直接国民を対象にしての負担、だれがどのようなテンポでどれだけ負担するのかということも考えていただければありがたいと思います。これは要望をさせていただきます。    〔委員長退席、理事寺崎昭久君着席〕  さて、NHKといいますとどうしても、NHKさん御自身が非常に苦しんでおられるんだと思いますが、料金制度の見直しの問題があるかと思います。  規制緩和の報告では、NHKのBSの有料スクランブル化が提案され、郵政省の方もどちらかというと料金制度の見直しという形で示唆があって、そして、ことし三月の委員会ではそれらを踏まえまして海老沢会長は、BSの有料スクランブル化というのはデコーダ負担を考えると現実的にはまず不可能というようなお答えがあったやに記憶しております。そうした、とりあえずBSの有料スクランブル化、この話で結構なんですけれども、お考えは変わらないでしょうか。
  69. 海老沢勝二

    参考人海老沢勝二君) 三月の当参議院の委員会でも述べましたけれども、その考えは変わっておりません。  いろいろ政府の方からの検討の指摘でありますから私どもも引き続き検討しておりますけれども、アナログの放送が受信料で、デジタルが有料となりますと非常に混乱を招きますし、また根本的に受信料でやっておる公共放送が一部といいながらも有料になりますと、NHKの存在そのものの問い直しが必要だろうと思っています。そういう面で、私は公共放送NHKとしてはあくまでも受信料を基本に運営していくのが適当だろうと思っております。  イギリスのBBC放送も、いろいろな意見がありましたけれども引き続き受信料制度を維持しながらやっていくという方針をとっております。ヨーロッパなり、隣の韓国等では国営放送から公共放送になり、その公共放送になった段階で受信料と広告放送を併用してやっている企業が多くなっておりますが、いずれにしても、CMあるいは有料になりますと、どうしても質の低下を招き、いろんな問題が生じているようであります。  そういう面で、私は、公共放送NHKは今後とも受信料を基本に運営していくのが最も日本にとってふさわしい制度だろう、そう思っております。
  70. 川橋幸子

    川橋幸子君 行く行くは料金問題も、公共放送NHKのあり方も長期にデジタル化の中で改めてお考えいただくとしまして、もう一点、当面の話でございますが、受信料の免除制度の見直しという話がございます。  この委員会でもそうした決議をやっておりますけれども、来年学校関係の施設でこの免除の見直しをNHKは要望されているやに伺っておりますが、これはいかがでございましょうか。
  71. 芳賀譲

    参考人(芳賀譲君) NHKでは、主として放送の普及という見地から受信料の免除措置を実施してまいりました。この免除措置は、しかし結局は一般のお客さんの負担によって成り立っているものでございます。その普及という目的につきましてはおおむね達することができたんではないかというふうに考えておりますし、施設についての免除については行政で負担すべきだという国会での御指摘もございまして、昭和五十三年度以降、大学、高等学校で逐次免除措置を廃止させていただいております。  多チャンネル時代を迎えまして放送界を取り巻く環境が大きく変わってまいりまして、その中で公共放送の役割をどう果たしていくかということになりますと、先生御指摘のとおり、財政基盤の安定が何より重要なことだというふうに考えております。ただ、現在こういう厳しい経済状況の中で、国民の皆さんに新たな負担を求めるということにもいかないのではないかというふうに認識をしているところでございます。  こうした考えに立って、コンパクトな業務運営を進めるということはもちろんでございますが、と同時に、受信料の公平負担の徹底を期すという意味から、学校とか社会福祉施設に対する免除措置も今後段階的に廃止をさせていただいて、電気料でありますとかガス、水道などほかの公共料金と同様に行政に御負担をいただきたい、こういうふうに考えているわけであります。  もちろん、NHKとしては、公共放送として、放送サービスによって教育でありますとかあるいは福祉に貢献することは大切な責務であるというふうに考えておりまして、今後とも、教育関連番組とか社会福祉関連番組については力を入れてまいりたい、こういうふうに考えているところでございます。  先生お尋ねの、当面来年は、こういうことでございますが、来年度につきましては、学校の校長室及び職員室の免除措置、これを除外させていただきたい、こう考えておりまして、現在関係機関の理解を求める活動を続けているところでございます。  十二年度以降につきましては、残りの普通教室等につきましても、ただいまはカセット教材をビデオでお使いになるとかいろいろ昔のように生の放送をそのままお使いになるという使い方ではない使い方も多くなっているということでございますので、その使用実態の調査を行った上で、どれだけが本当に受信契約の対象となるのか、その辺につきまして関係機関と十分な協議を重ねた上で実施してまいりたい、こういうふうに思っております。  なお、生活困窮者等に対する個人免除措置は今後とも継続をしてまいりたい、こう考えております。
  72. 川橋幸子

    川橋幸子君 校長先生のお部屋と職員室、これはリーズナブルな免除制度の見直しかと思いますが、先ほど多チャンネルになったときには、義務教育とおっしゃいましたか、小学校とかあるいはお年寄りとか、年齢階層別にもチャンネルの波の活用を考えて、付加的な放送内容公共放送の使命というような感じのお答えがあったわけでございますが、やはり基本的には公共放送が学校の教室からテレビがなくなるような事態というのは私は好ましくないと思っておりますので、公共放送の役割としてのそうした長期の中で守るべきものは守ってもらいたいということを思っております。抽象的な質問ですのでお答えも抽象的で結構でございますが、会長から一言伺いたいと思います。    〔理事寺崎昭久君退席、委員長着席〕
  73. 海老沢勝二

    参考人海老沢勝二君) この公的施設の免除については長い歴史があります。そういうことで、今学校等だけでも百億の受信料の免除ということになっております。そういう面で、NHKも財政が厳しくなっておりますので、できるだけ電気、ガス、水道のようなほかの料金と同じように公的負担をお願いしたいという考えを今とっておるわけでありますが、いずれにしても、義務教育あるいはそういう高齢者向けの施設等につきましてはいろんな影響がありますので、これから関係方面のいろんな意見も聞きながら慎重に対応していきたいと思っております。
  74. 川橋幸子

    川橋幸子君 そこで、改めて公共放送の意義というものをお考えを聞きたいと思います。  デジタル時代になってもNHKというのは公共放送としてあり続けてほしいと思いますし、そうなさりたいという御決意かと思いますが、公共放送と商業放送の違いがだんだん境目がなくなってくる。料金の問題も含めまして、公共放送も有料にしてもいいではないかとか、あるいはもう既に商業放送でもWOWOWのような有料放送が始まっできますと、料金体系、事業運営面から公共放送と商業放送の境目がなくなってきているというのが現実だと思います。  それで、これからのデジタル化の多チャンネル時代になりますと、チャンネル数が多くなればなるほどもう物理的に公共放送というかNHKさんのチャンネルのシェアは低下するだろうと思うわけでございます。そうした中で、理念としては公共放送の役割をずっと遂行したいという理念を持ち続けるにしても、具体的に事業運営というのは非常に難しくなってくるのではないかなというふうに思います。  私の察するところ、NHKの場合は今その岐路に立って非常に知恵を絞る時期におありかと思うわけでございますけれども、NHKが保有する波のうち、最も基幹になっていくのは何なんでしょうか。衛星なのか地上波なのかラジオなのか、さまざまな波がありますが、何が一番中心になっていくというふうに考えればよろしいでしょうか。
  75. 海老沢勝二

    参考人海老沢勝二君) このように世の中が非常に価値観が多様化し個性化してきますと、どの波が一番いいのかどうかというのは非常に難しい課題だと思います。ただ、私はやはり基本は地上波の総合、教育だろうと思っております。これは今ほとんどの世帯、全世帯というほど普及しておりますし、これが国民にとっては生活上欠かすことのできない一つの情報源だろうと思っております。それと同時に、やはりラジオというものが非常に今改めて見直されております。災害時、緊急時におけるラジオの役割というものは阪神・淡路大震災でも証明されましたように、やはり災害報道、あるいは今「深夜便」という夜の放送もしておりますけれども、いろんな面でラジオの効用といいますか利用価値は高まっております。そういう面で、私は総合、地上波とラジオの役割は依然として続いていくだろう、二十一世紀も同じであろう。  ただ、衛星の場合にどこまでこれが普及するのか、全世帯に衛星放送が普及するのかとなりますと、我々いろいろ研究機関等の調査なんかを参考にしますと、全世帯にこれが普及するということは非常に困難だろうと見ております。それと同時に、今衛星の中でCS放送という、スクランブルをかけて有料放送をしておりますけれども、これもやはり三百万から五百万が限度だろう、そうなればそれだけでペイする、それ以上の普及は困難ともいわれております。  衛星放送というのは、御承知のようにNHKが世界に先駆けて開発し運用したものであります。そして、今千三百万世帯まで普及し、そのうち九百十一万件の契約をとっております。これは、やはり一つは難視解消といいますか、非常に日本は山国でありますので見えない地区が多いということでこういう開発をし、そういう中でまたこれまで地上波でできなかったいろいろ文化性の高いものあるいは外国の情報を衛星でやっている、あるいはスポーツを長時間にわたって放送する、非常に利用価値といいますか支持を得るチャンネルだと思います。  そういう面で、基本は地上波といわゆる音声、ラジオ波は変わらない、そういう中でまた国民のニーズにどうこたえるかという意味で衛星がそれを補完する、そういう役割だと思っています。
  76. 川橋幸子

    川橋幸子君 地上波のデジタル化が始まっていくわけでございますけれども、地上波の総合テレビ、私はこれをNHKの命でしっかりいいものにして維持していただきたいと思うんです。  デジタル懇の中間報告によりますと、終期が二〇一〇年というふうに、一応目安と言われていますが書かれている。二〇〇〇年以降デジタル化を進めるとして、二〇一〇年ぐらいには多分八五%の世帯にデコーダーを含めましてデジタル受像機が普及しているだろう。そこまで、二〇〇〇年以降二〇一〇年ぐらいまでは同時並行でデジタルとアナログの同時サイマル放送をやる。だけれども、二〇一〇年に多分八五%ぐらいの普及になればアナログはやめてもいいのではないかというようなそういうくだりがあるわけでございます。さまざまな条件句はついておりますけれども、今まで同じ視聴料を払ってきた人間が、受像機を持たないがゆえにあとの一・五%は命ともいうような地上波が見られなくなる、こんな事態が心配されるわけでございますけれども、お答えをいただければありがたいと思うんです。
  77. 海老沢勝二

    参考人海老沢勝二君) この問題については、私どもも地上デジタル放送懇談会でいろいろ意見を述べております。私ども、やはり公共放送としては、一〇〇%の人がデジタル化の方へ機械をかえてもらうのが一番好ましいわけであって、できるだけそれに近づいてもらいたい、その段階でかえてもらいたいという考えであります。  ただ、その場合に、いつまでもそれをずるずるとやっていってしまうのかというような意見もあり、一応八五%という一つの目安ということで来ているわけであります。そのために、その時点でいろいろまた見直しの条項もあります。その辺は郵政省当局の方のお考えあるいはほかの先生方のお考えがあるかと思いますけれども、私はできるだけ一〇〇%に近づいた段階で切りかえるのが望ましいだろうと思っております。  ただ、その場合、あるいはまたどういうふうにそれをカバーしてやるのか、その辺はいろんな手だてが、逆にいい知恵が出てくるかどうかわかりませんが、いずれにしても私の立場としては一〇〇%ということを望みたいという考えであります。
  78. 小林元

    委員長小林元君) 時間でございます。
  79. 川橋幸子

    川橋幸子君 八五%の段階であとの一五%を機械的に切ることはないというふうに御決意を受けとめさせていただきます。ありがとうございました。  私の持ち時間はあと一分で、Vチップまでたどり着かなかったのですけれども、ほかにもあったのですけれども。  一点御紹介したいのは、また公共放送の話でございます。日本と非常に似通った公共放送の機構を持つイギリスBBCの場合は、デジタル化に対して非常に大胆な措置をとったと同時に、視聴者への約束、政府と約束あるいは女王陛下と約束だけではなくて直接国民との約束、これをはっきりさせて、どんなサービスをやっていくのかということを発表されました。そういうアカウンタビリティーをこれからのNHKにはぜひ発揮していただきたいという要望だけ一点つけ加えさせていただきます。  あと三十秒ぐらいありますので、最後はVチップ問題で野田大臣に。  三月の逓信委員会で、当時は逓信委員として御発言なさいまして、アメリカだって四十年もかけて議論している問題を、Vチップに飛びつくのはいかがなものかという趣旨の御意見を私は議事録の中で拝見し、大変うれしかったわけでございます。今もお考えが変わらないことを願って、一言お願いします。
  80. 野田聖子

    国務大臣野田聖子君) 大分以前、逓信委員のときからこのVチップを個人的に研究してまいりました。そのときにはなかなか相手にされなかった話なんですけれども、昨今急激にVチップということで議論されていますけれども、一番大切なことはVチップを導入すればすべてが解決するということではないということで、その前にやはりいろいろな検討、幅広い意見を聞かなければならないということがあるということを踏まえて、Vチップが最終的にゴールになるかもしれないけれども、その前にいろんなことも考えていかなきゃならないということを再度川橋先生には御報告申し上げたいと思います。  どうもありがとうございました。
  81. 川橋幸子

    川橋幸子君 終わります。
  82. 森本晃司

    ○森本晃司君 公明の森本でございます。  一時から始まって二時間半たっておりまして、海老沢会長を初め多くの参考人の皆さんに長時間お座りいただいているところでございます。私がもし主宰するのであれば、この辺でNHKのラジオ体操でも始めてみんなリラックスした方がより充実したことができるのではないだろうか、そんなことも先ほど来思い続けているところでございます。大変御苦労さまでございます。質問に入る前に、どうぞそういう意味でラジオ体操の時間だと思ってリラックスして聞いていただきたいと思うわけでございます。  NHK公共放送は、よい番組を全国民にあまねく提供する、これはNHKの持っている大変な使命だと私は思っております。私の少年時代、私はNHKのラジオによって育てていただいたと今も感謝しております。私が人の前で話すようなことになったのも、その少年時代のNHKのラジオのおかげだと思っているんです。  この間、NHKの職員の方とお話しする機会がございまして、私の小さいときは、ほかに何の楽しみもない、河原やいろんなところで遊ぶだけが唯一の楽しみだった時間、だけれども日曜日の十時十五分になると必ず家に帰ってラジオにしがみついたんです。そのときに流れてくるのは、「子供のための話」というのがいつも流れていました。いまだそのテーマソングもしっかりと覚えておりまして、「子供のためのお話を ラジオは次に報ずるよ 遠い世界へ連れていく 夢のお国へ連れていく」という、本当は歌いたいんですけれども、委員会で歌うとまた何をやるんだということにもなりますので節はっけませんが、鮮明に覚えているんです。そこで「耳なし芳一」とかというのがラジオでずっと放送された。  この間、NHKの方に、そんな番組があっていまだ忘れることができないんだ、そのテーマミュージックはないかなと言ったら、調べていただきました。そうしたら、昭和二十四年に放送開始されているということ、それから作詞家と作曲家も調べていただきました。残念ながら、作曲家の方はお亡くなりになったようでございまして、連絡が十分にとれなかったのでその曲は手に入れることができないんです。  それで、昭和二十四年ですから、私が七つのときです。三つ子の魂百まで忘れずということがありますけれども、七つのときに聞いたNHKのそのラジオ番組は、五十六になっても忘れていない。芳賀理事は十五年生まれだからちょうど同じような世代で、恐らく芳賀理事も聞かれたんじゃないかなと思うんですが、それほど公共放送というのが少年に与える影響というのは物すごく大きいですね。  それから、夏休みに入りますと、ラジオ体操をNHKはやっている。印鑑をもらうのも一つの楽しみだったけれども、朝早く村の広場に集まってみんなで体操をして、今日のこの激しい政界の波に耐えることのできる体はNHKのラジオ体操によってできたものだと私は思っています。同時に、そこで集まったメンバーのお兄ちゃんやあるいはおばちゃんたちと一緒に体操をして、終わった後コミュニケーションを図る場になった。そういうこともNHKは提供されていた。あの戦後の、日本の国がみんなどうしようかと思う時代に、私は子供に夢と希望を与えてくれたのではないかな、今もずっとそのことを思っています。  少年少女プロジェクトがあるという話、先ほど山本一太さんの質問のときにそういう御回答もいただいたようでございますけれども、私は、どうぞ少年少女に向かっていい番組が提供いただけるように、それから同時に、デジタルとか、あるいはBS放送、CSとか、ハイビジョンだとかいろんな話が出てきますが、基本はやっぱりラジオの中にあるんではないかなという気もするんです。ともすれば、デジタルの方の議論が、また私もこの後やるんですが、そういった意味で、先ほど会長もラジオ放送は大事にしていくとおっしゃっていただきましたが、どうぞその点も、どんどんデジタル化が進めば進むほど一方でラジオ放送も大事にしていただきたい、よき番組を提供いただきたい。  ゆうべ、私は寝ようかなと思いつつも十一時四十五分からNHKの「トンボになりたかった少年」という番組がありまして、あれを見ながら感動しましたね。もうずっと私は最後まで見ていまして、僕が子供だったらあんな夢を自分はかなえたいなという気持ちになる非常にいい番組だったと私は痛感しています。  それから、八月八日の「原爆の詩十二編」、吉永小百合さんが朗読されましたね。これも私はすばらしいものであった。映像が発達すればするほど、映像の持つ操作というのもあるんですが、同時にいろんなことを自分が想像できる、そういった番組もこれから大いに御提供いただいて、いろいろと今番組の質の問題が問われておりますが、NHKはどうぞよき番組を提供し続けていただきたいと思うんです。  リラックスして聞いていただいていたんですが、だから難しいお答えは要りません。ちょっと所感を会長の方から。
  83. 海老沢勝二

    参考人海老沢勝二君) 今、森本先生から少年少女に夢と希望を与えるような番組をどんどんやっぱり公共放送はつくるべきだという御指摘がありました。また、先生の貴重な経験を踏まえての発言、非常に私も感激して拝聴したわけであります。  いずれにしても、私どもは二十一世紀を担う子供たちが健全に育つことが我々の使命だろうと思っています。そういう面で、この三月に、改めて少年少女へのメッセージということで局内に少年少女プロジェクトをつくって、これからの少年たちが本当に元気で勇気を持って二十一世紀を生きていくような、そういう夢と希望を与えるようなひとつ番組を大いにつくっていこうと、そういう意気込みでプロジェクトをつくったわけであります。そして、今いろんなドラマも「愛の詩」というシリーズでつくっておりますし、また来年の四月からはテレビの方で連続テレビドラマというものを少年少女向けにつくろうと思っております。  そういうことで、少年たちもいろんな番組を望んでいると思います。それにこたえるような質の高い番組を我々は目指すべく、さらに努力していきたいと思います。  貴重な御意見、ありがとうございました。
  84. 森本晃司

    ○森本晃司君 それでは、決算の方に入らせていただきたいと思うんです。  平成六年、七年、八年、三カ年間の決算をきょうはこの委員会でやっているわけでございますけれども、平成六年というのは阪神大震災のあった年でございまして、NHKもそのことによって大変な影響を受けられた。それでも放送の大事さということで大変な努力をされました。その被害の影響を受けながらも予算に比べて収支改善ができた理由は何であったのかということ。さらにまた、平成年度は当初二十六億円の赤字ということでありましたけれども、決算では三十億円の黒字となった。また、平成年度も当初四十八億円の赤字予算であったけれども、決算では二十二億の黒字となっている。  こういう決算報告を見まして、私は率直に、NHKさん、受信料を集めつつ、なおかつ非常に頑張っていらっしゃるなという印象を持っているのでございますけれども、このように収支改善ができた、大変な御努力があったと思いますが、その理由についてお聞かせいただきたいと思います。
  85. 海老沢勝二

    参考人海老沢勝二君) 平成年度平成七年の一月に阪神・淡路大震災が発生し、我々NHKも総力を挙げてこの取材に当たりました。阪神・淡路の人たちにかなりの被害が出たことはもう御承知のとおりと思います。  そういう中で、受信料の免除というものを長きにわたって我々はいたしました。ですから、発生から三年間受信料収納ができなかった、また、阪神・淡路のための取材で合わせて百二十億の収入減になったというふうに我々ははじいております。百二十億の被害をNHKも阪神・淡路大震災でこうむったということであります。  そういう中で、今先生御指摘のように、この三年間赤字を出さないで黒字に転換したことはどういう理由だということであります。  私ども、やはり受信料収入を確かなものにする、つまり公平負担の原則に基づいて、この阪神大震災にめげず全職員が受信料収入に駆けずり回った、そして増収を図ったという点。それからもう一つは、やはり我々自身が、私は「改革と実行」ということを掲げておりますけれども、NHKは公共放送としてできるだけ国民に負担をかけないということが原則でありますから、受信料を値上げしないためには、やはり経費の節減、番組の効率的制作、そういうことを当時から心がけてまいりました。そういうことで、各現場現場で一人一人が自分の足元を見直しながらやってきた成果がここにあらわれたというふうに私は思っております。  そういう精神で、今もそういう効率的な仕事、スクラップ・アンド・ビルドという一つの精神に基づいて自助努力、自主判断、自己責任ということを掲げて、職員の意識改革を進めながら、そういう財政基盤の確立といいますか、その方へ向かってさらに努力をしているということであります。
  86. 森本晃司

    ○森本晃司君 ぜひよき番組とよき財政でNHKも今以上にまた頑張っていただきたい、こう思います。  次に、私もまたデジタル化質問になっていくわけでございますが、私の予想以上にこのデジタル化というのはどんどん進められているように思います。NHKの方も万全の体制でデジタル化時代を迎えよう、こういうふうに取り組んでおられると思いますが、平成七年に発表した中長期経営方針を修正して、本年一月に「より豊かな公共放送のために デジタル化時代へのNHKビジョン」というのを発表されました。その中で、「デジタル化で、放送は「より便利で、より豊かに」」というぐあいに書いております。  放送関係者あるいはこの委員会の先生方はよく勉強していただいているので、「より便利で、より豊かに」ということはある程度想像がっくかと思うんですが、多くの国民はまだほとんどデジタル化というのはどういうものであるかを御承知ないのではないかなというふうにも私は思っているわけであります。今ある家のテレビがデジタル化になったらどうなるんだろうかとか、ある意味で余り関心もまたないかもわかりません。  それで、いろいろな人に話をしましたら、デジタル化、それ一体何のこっちゃい、こういう質問が出ます。何が便利がええのかどうかは知らぬけれども、要するに料金を上げへんのやな、こういう話になるんです。便利になってええようになる、内容はわからないけれども料金上げられたら困るんやないか、こういうのが国民の実感であるかと僕は思うんですが、どのような手順でどのような放送サービスを行おうとされているのか、御説明をお願いしたいと思います。
  87. 酒井治盛

    参考人(酒井治盛君) お尋ねのありましたデジタルヘの取り組みでございますけれども、私どもとしましては、まず二〇〇〇年を目途にBSで衛星放送、これでデジタル放送を開始することを目指して準備を進めているということでございます。  サービスとしましては、ワイド画面、高精細、きれいだ、それから高音質、音がよく聞こえる、こういったデジタルハイビジョン放送、これを充実するということと、データ放送による新しいサービスについても検討を重ねておるところでございます。  例えば、番組がテレビ画面で一目でわかる電子番組表だとか、これと連動して番組内容を案内する情報サービスだとか、見たい番組を自動録画するサービスあるいはニュース・番組関連情報サービス、こういったことを想定しております。  あるいは、デジタル化によって開発が期待されておりますデータ放送のサービス内容につきましては、公共放送にふさわしい情報サービスを検討しておるところでございます。  例えば、阪神・淡路大震災のような非常災害時に、名簿の情報だとか安否情報あるいはライフラインの情報など、より詳しくいつでも見られるように提供する、そのことを考えておるところでございます。それから、お年寄りや障害者の方にもより便利で役立つ情報、字幕サービスの充実、こういった人に優しいサービスも検討しているところでございます。  一方の地上放送デジタル化ですけれども、これを全国的に進めるにはまだまだ周波数をどう確保するか、解決すべき課題が多いということで、こちらは手順を追いながら、国民視聴者の皆さんの合意を得ながら、無理のない段階的な推進を図っていきたい。  いずれにしましても、視聴者の意向を踏まえながら、視聴者が放送デジタル化のメリットをあまねく低廉に利用できるように提供していくことが重要であるというふうに考えておりまして、今取り組んでおるところでございます。
  88. 森本晃司

    ○森本晃司君 NHKのいろいろな機会を通じまして、デジタル化はこういう便利なものになる、例えば今の御説明でも、災害のときの名簿がざっと出るとかという話を聞きましても、そんなの今のアナログでもやっていたやないか、こういう話になるんです。何がデジタル化でよくなるかとか、お年寄りに便利になります、何が便利になるのやと。アナログかデジタルかというのはなかなか目に見えるものではありませんから、それだけに国民の皆さんにNHKの目指しているすごいものをよく理解いただけるように、PRと言えばおかしいですけれども、いろいろな機会を通じて目指すものをきちんと国民の皆さんに伝えられることが極めて大事ではないかと思います。  そこで、大臣、郵政省として、NHKに対してどんなことを期待されているのか、お伺いしたいと思います。
  89. 野田聖子

    国務大臣野田聖子君) 先ほど森本先生から大変すてきなお話をしていただきました。  少しだけお時間をいただいて、私もNHKで忘れられない歌があります。それは「ひょっこりひょうたん島」という歌で、これも小さいときにきょうだいで仲よく見た、そういう思い出があります。  これからデジタル化されるわけで、そして多チャンネルになる、そしてコンテンツもいろいろと可能性がふえていく中にあって、やはり一番影響を受ける子供たちのことを考えていただけるようなそういうNHKであってほしいということを、個人的になるかもしれないけれどもまず最初に申し上げた上、NHKというのは、御承知のとおり、放送法によりまして、先ほど来先生がおっしゃっているように、公共の福祉のためにあまねく日本全国において受信ができるように、豊かでよい放送番組による国内放送を行うこと、二つ目には、放送及び受信の進歩発達に必要な調査研究を行うこととされているわけであります。  つまり、先ほど来先生がおっしゃっているように、公共の福祉のため、少年少女のためにすばらしい作品をつくることも当然だけれども、もう一方、やはりこれから放送において先駆的な技術革新をどんどんやっていきなさいという放送法での定めというかあれがございます。  今までも、確かにカラー放送とか、白黒からカラーに移る、または先ほど海老沢会長のお話があった衛星放送とか、それぞれNHKが主導的役割、先駆的にどんどん進めてきたものであります。ハイビジョンもその一つだと思いますが、今回のデジタル化についても、今までの経験、蓄積、実績を持っておるわけですから、ぜひとも積極的にリーダーシップをとっていただきたいということを私は心から願っているところでございます。
  90. 森本晃司

    ○森本晃司君 次に、衛星デジタルの受託会社のことについてお伺いしたいと思うんです。  BS4後発機によって二〇〇〇年十二月ごろから始まる衛星デジタル放送なんですが、この間の法改正によりましてNHKが国内で委託放送事業を行えるようになりました。それで、委託放送事業の免許を受けた株式会社放送衛星システム、これは現在NHKが五九%の出資率を占めていると聞いているんですが、BS放送のハードとソフトの分離が制度化されたにもかかわらず、事実上NHKが委託放送事業者と受託放送事業者を兼ねていることになる、五九%の出資ですから、ということが言えるのではないかと思うんですが、この点、郵政省の認識を伺い、またNHKは今後委託と受託の放送関係をどうしようと考えておられるのか、お伺いします。
  91. 品川萬里

    政府委員(品川萬里君) お答え申し上げます。  今先生御指摘の受委託制度につきましては、まず一般論で先に述べさせていただきますけれども、衛星を使いました放送につきまして、多数の放送事業者の方がデジタル化の効用を発揮しましてたくさんの放送会社が参入の機会を得るというためには、やはり受委託制度をとっていくことが必要だろう、その方が調達コストを負担せずに放送ができるようになるということでこの受委託制度を設けたわけでございます。  加えまして、しかし、そのように複数の放送事業に参入機会を得ましても、受託する側が委託放送の自由な放送法に基づく放送ができないのではいかぬわけでございまして、その辺、受託放送事業者側が委託放送の自由な放送を阻害しないような形のいろんな制度的担保も設けておるわけでございまして、その限りにおいて、例えば一般論としましては受託放送会社が委託放送をあわせ行っても問題はないわけでございます。これが制度の趣旨でございます。  今お尋ねの、俗称BSATと称しておりますけれども、この会社は確かにNHKが五九%出資しておりますけれども、現在BS4先発機の管理運用会社の機能を果たしております。その会社が受託放送をやりたいという申請がありまして、詳細にわたりましては時間の関係もございまして省きますけれども、この会社が受託放送をやることが適当ではないかということで認定したわけでございますが、免許したわけでございますけれども、これはあくまでNHKとは別な会社でございます。確かに五九%出資してございますが、これはBS4先発機の管理運用のための出資ということでございまして、そのことから同じBSAT4の管理運用をしておりますBSAT会社がたまたまこのBSATの受託放送も行うどいうことでございまして、それが直ちにNHKが行っているというふうには考えにくいのではないか。そのようにとらえずに、素直にこのBSAT放送なり、NHKとしてはBS4先発機の業務を行わせている会社だと、このように位置づけておる次第でございます。  今後、NHKが受託放送事業をやるかどうかにつきましては、やはり公益目的に沿っているかどうか、これは仮定の話でございますけれども、もし申請がありました場合にはそのような観点から審査させていただく、かように存じております。
  92. 酒井治盛

    参考人(酒井治盛君) 先生御指摘のとおり、NHKはBSAT社に対しまして、衛星放送のトラポン中継機の利用割合に応じまして約五九%の出資を行っております。ただしかし、今回BSAT社が後発機の受託事業者に選定されましたのを機に増資を行うことにいたしておりまして、これによりましてNHKの出資比率というのは五九%から約三五%ということになります。  それから、法制度の上からいいますと、受託、委託の放送事業者は出資比率の割合に関係なく、特定のほかの事業者を支配したり差別的に取り扱ったりすることができないということになっております。私どもNHKとしましては、そのような態度をとるつもりは全く考えておりません。  いずれにしましても、私どもとしては新しいハード、ソフ十分離の制度のもとで、ほかの放送事業者の皆さんと一致協力しながら、でき得る限りBSAT社と緊密な関係を引き続き保ちながら、デジタル衛星放送の安定運用、あるいは確実な業務の遂行といったものを支援していきたい、こういうふうに考えております。
  93. 森本晃司

    ○森本晃司君 次に、デジタル化の費用について、先ほど川橋先生の方から御質問がございまして、一部重なるところがあるかと思いますが、その設備投資費用というのは約三千億円という先生からもお話がありました。それほどかかるということでございます。デジタル化をどんどん進めていかれる、同時にまた地上の放送も続けなきゃならない、従来の放送もやらなきゃならない、サイマル放送としていろいろ行っていかれるわけでございますけれども、その費用もかかります。  NHKは、平成年度で六千二百五十億の事業収入、これを事業運営の効率化だけで賄うというのは非常に厳しい問題です。二〇〇〇年まで現行受信料を据え置くということを決めておられるようでございますから、非常にこれまた大変な問題になってくると思うんです。  そこで、具体的に聞かせていただきますと、この費用を賄うために二〇〇〇年以降やはり受信料を大幅に引き上げることになるのか。これが一つ。二つ目は、有料放送を導入されるのか。それから、CS放送への参入や保有ソフトの販売などの副次収入を増大させるのか。英国のBBCのように送信施設を売却されて、英国の場合には放送法でどうこうされているという問題ではないんでNHKの場合とちょっとケースが異なってくるかもわかりませんが、例えばそういったことを考えられるのか。これは、いずれにしてもNHKは経営面でいろいろ考えなきゃならないと思います。  先ほど会長が、川橋先生の質問で、財政安定化資金で、それから設備投資はかからない方向でとおっしゃっていただきましたが、ちょっとそれだけじゃ私は大変なことだなと思っております。今ちょっと具体的に伺わせていただきましたが、そのことに対してお答えをいただきたいと思います。
  94. 海老沢勝二

    参考人海老沢勝二君) 先ほどからいろいろ御指摘されておりますけれども、この設備投資、デジタル化するためには膨大な金がかかるわけでありまして、我々もそういう面で、これからの経営計画を立てる中でいろいろ具体的論議をしなきゃならない課題であることは言うまでもありません。  そういう中で、私は、増収の中で今BSの普及促進ということを大きな柱に掲げております。平成年度は、今七十万件の契約収納を考えておりますが、それだけでは七十億でありますからとても賄い切れない。そういう中で、二〇〇〇年以降衛星デジタル放送をする場合にどこまで弾みがついて大きく衛星放送が伸びるのか、その辺を今勉強しているところであります。ですから我々は、この一、二年は買い控えといいますか、それと同時に、またCSの方が非常に宣伝等をしてCSも伸びている段階でありますから、そう急激にBS放送の受信料収入が大幅にふえることは期待できません。  そういう中で、今経費の節減といいますか改革を進めているわけであります。それでも非常に資金がショートする、不足するのではないかという御指摘であります。そういう面で、私どもは、経済情勢が二〇〇一年ごろからどうなるのか、非常に判断しにくい事態だろうと思っております。とりあえず二〇〇〇年までは視聴者国民に新たな負担をかけない、つまり受信料を値上げしないということを公表いたしましたが、二〇〇一年後はどうするんだということでありますが、本当に景気が回復してくればまた衛星が伸びるということもあり、そういう中で、受信料をどうするか、その時点でまた考えなきゃならぬと思います。  いずれにしろ、私は、悪性インフレといいますか、本当に物価が上昇し悪性インフレになる、そういう事態になれば、またこれはもうすべての公共料金等いろいろ論議されるわけでありますから、それはさておいて、私は、できるだけ新たな負担、受信料を値上げしないように努力しなきゃならぬという、そういう精神論だけしか今述べる立場ではありませんが、いずれにしても、これから新しい設備をするわけでありますから、そういう面で、あらゆる角度からどういう方法が公共放送NHKを維持し、さらに発展させるのにはいいのかどうか、もう少し時間をおかし願いたい、そういう中できちっとした年次計画を立てていきたい、そう考えております。
  95. 森本晃司

    ○森本晃司君 大臣にちょっと伺うんですが、二〇〇〇年といっても、もうことし一九九八年ですから、あと二年です。これまた先ほどの質問とリンクしてくるんですけれども、デジタル化といったってなかなか国民の皆さんにわからない。それで、あと二年たって、極端に言うとある日突然受信料がぽんと上がることになったら、これは、デジタルを都会の人はわかっていて田舎の方は知らぬとは、そういうことは申し上げませんけれども、田舎のおじいちゃん、おばあちゃんが、ある日突然、二年だったらばんと料金が上がって、え、なんでやねん、ということにもなりかねないですね。デジタル化を進めるということは物すごく大事なんですが、一方そんな危惧もまたあるわけです。これは放送技術の発展という意味でぜひやっていかなきゃならないのですけれども、必ずしもひとり暮らしのじいちゃん、ばあちゃんがそんな何チャンネルもデジタル化になったから見なきゃならないへそれで料金がぽんと上がったということにならないように努めなきゃならないと思うんですけれども、大臣の所感を。
  96. 野田聖子

    国務大臣野田聖子君) 先生の御指摘のとおりだと思います。  情報通信が高度化してさまざまな機器ができてきました。実はそれらはできるまではそんなものというようなイメージのものが多かったと思います。例えば携帯電話にしても、公衆電話があるからそんなもの要らないのじゃないかと。しかし、携帯電話が実際に実用化され持ち出すと、一たん持ってしまうと放せなくなる。同じように、今若いドライバーまたは運転の苦手な女性にはカーナビゲーションというのは大変便利だと言われるようになってきています。  ですから、デジタルテレビも、そうやって現物が出てきて利用されるようになって初めていろいろな便利さが理解できる、そういう一つのものなんだろう。それを、これから実験もありますし、そういう中で多くのモニタリングをしてPRすると同時に、海老沢会長、非常に効率化をNHKの中でも推進しておられます。誠実に仕事に取り組まれておられますので、それがすぐに受信料にはね返らないように、そういう創意工夫は郵政省も相談し合って、事業者が望む御要望にできるだけ支援に回ってまいりたい、そういう思いで今後この数年頑張ってまいりたいと思いますので、かえってあれですけれども、先生方の御支援も心からお願い申し上げたいところでございます。
  97. 森本晃司

    ○森本晃司君 時間が参ったようでございます。  海老沢会長は、就任以来、「改革と実行」、どこかの党の目指しているようなもの、あるいは「公開と参加」、こういったスローガンを掲げられまして一生懸命頑張ってくださっている。そして、デジタル化を目前にしてこの巨大な戦艦NHKをどうしていくのか、また公共放送としてどうしていくのかということにいろいろと御苦労をいただいておるところでございまして、私も心から敬意を表しているところでございます。  デジタル化を進める、あるいはよき番組を送るのにいろいろと御苦労も多いことかと思いますが、どうぞ、NHKの持っている役割を果たすためにもぜひ御健闘いただきますことをお願い申し上げまして、私の質問を終わります。
  98. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 私も、まず最初に受信料問題についてお伺いしたいと思うんです。  先ほども話がありましたように、九四年から六年度の三カ年、予算では赤字想定をこのうち二年間はされたわけだけれども、黒字になった、三カ年とも。これはもちろん、先ほど会長もおっしゃったように、いろいろな経営努力があったんだろうと思うんです。  同時に、特に衛星放送、この受信契約を結ぶ、これがふえる要因というのもあったと思うんです。例えばアトランタ・オリンピックがあった、長野オリンピックがあった、サッカーのワールドカップがあった、最近ではマグワイアの七十本の本塁打もあった。ぜひ見たいというので、ふえる要素というのが随分あったと思うんです。しかし、次のワールドカップ、オリンピックというのは二〇〇二年ですから、しばらくないわけです。したがって、私は、今までのように順調に契約件数が果たしてふえていくのだろうかということがまず一つ、心配になります。同時に、いま一つ、二〇〇〇年から衛星放送デジタル化による機種の買いかえ、あるいは現在アナログの受像機では五万円あるいは十万円とも言われるデジタル受信用のアダプターをつけなければならない。これはやはり契約件数をふやしていく上でマイナス要素として働いてくるのだろうと思うんです。  こういうもとで二〇〇〇年までは受信料の引き上げはしないと。今、森本委員からも質問があった、これ以降どうするのかというのは、今の段階では会長は精神論しか言えないというふうにおっしゃったわけですけれども、やはりこれは真剣に考えていく必要があるというふうに思うんです。  その場合に、受信契約というのはいわば収入の方ですね、NHKにとっての収入の方をどうするか、どうふやすか。もう一つは、同時に支出をどう削減していくか。やっぱり両面の努力、検討が必要になってくるというふうに思います。  そこで、問題のデジタル化です。先ほど来話を伺っていまして、私はど素人ですけれども、この前の委員会ときょうの委員会で幾らかわかってきたんですが、これだけ長時間聞いておっても、さっきの森本委員の話と一緒ですよ、わからないんです。一つは説明が下手なのかなというふうにも私は思うんですが、もっとうまい説明ができないのだろうかというふうに思います。  いずれにしろ、これは技術の進歩ですから、デジタル化というのは避けて通ることはできないと思うんです。しかし、それをやるためにはNHKでも三千億円ぐらいかかる、民放で六千億円以上かかる。合わせれば約一兆円弱今の試算でもかかるというふうに言われています。一方で、受信料はなかなかそう簡単に伸びないだろう、しかし支出は確実に出ていくということになれば、これは出てくる答えとしてはやはり受信料の引き上げという問題に早晩直面するのじゃないだろうか、こういう大変懸念を持つわけですけれども、いかがでしょうか。
  99. 海老沢勝二

    参考人海老沢勝二君) 我々にとっても受信料をどうするかというのは最大の課題であることは言うまでもありません。そういうことで、先ほどからもお話がありましたけれども、我々はまず収入を確かなものにする。それには私どもが推進しております衛星放送の普及促進を一段と強化する、充実する、こういうことであります。  そういうことで、平成年度は対九年に比べて七十万世帯の新しい契約をとろうと。金額にして六十数億になります。本当は八十万、九十万ということをしなきゃならぬでしょうけれども、今非常に景気も停滞しておりますし、それと同時にまたCSの方もそれぞれ独自の視聴者獲得競争をしておりますし、そういう中で非常に苦戦を強いられておる。しかし、ことしは長野オリンピックあるいはワールドサッカー、アメリカ大リーグのホームラン競争とあってずっと追い風でありましたけれども、その追い風を、現場にハッパをかけてできるだけひとつ目標を超えるようにということでいろいろ今檄を飛ばしているところであります。  そういう一方で、先ほど言いましたように経費の節減も図る、それに相まって黒字体質に持っていきたい。そしてできるだけ二〇〇一年以降も受信料の値上げをしないで済むような財務体質にするのが我々の使命であります。  ただ、先ほどから出ておりますように、この三千億の設備投資をどうするかということになりますと、非常にこれはまた悩ましい問題であるということは言うまでもありません。そういう面で、そのときの、これから二〇〇一年以降の経済情勢がどうなるか、あるいはまたさらに技術革新によって三千億の設備でなくてもっと安くできるのかどうか、その辺も見きわめなきゃならぬと思います。  いずれにしても、私は、やはり一日一日といいますか、毎年度事業計画、予算を組んで、当委員会にも審議を願って、先生方の意見を賜りながら計画を立て、またおかしいところは修正していく。そういうことで一つ一つ着実にやってできるだけ国民に新たな負担をかけないように努力していきたい、そういう気持ちでいっぱいだということで、その後どうするんだということになりますとなかなか今難しい点があるということを御承知願いたいと思います。
  100. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 本当に大変だと思うんですよ。この間のNHKの収入を見ますと、衛星契約の伸びで大体毎年百億円程度収入がふえているんです。しかし、例えば今後十年間で三千億円の投資をやっていこうということになれば、これは単純計算で年間三百億、もう少し短期にやろうということになれば四百億、五百億の新たな設備投資が必要になってきます。  したがって、会長が言われたように、衛星放送を大いに進めてその契約件数をふやしていくというのが、これは大事な収入源の確保だと思うんです。しかし、それだけでは賄い切れないというのも数字をちょっと見ただけでも明らかだと思うんです。  ですから、その点では、デジタル化は必要だけれども、その進め方については、今会長もおっしゃったように、本当に可能な限り国民負担を抑えていくという方向でぜひ御努力を願いたいと思います。  いま一つ、これは九六年十二月十六日の行革委員会で、「地上放送と一括した受信料制度を見直し、有料スクランブル放送化を図るべきである。」、こういう答申が出ております。九八年三月三十一日の規制緩和委員会の方針でも衛星放送の有料化というのが打ち出されています。  その理由というのは、NHKだけが受信料であるというのは競争上不公平だ、民間の放送業者は有料放送でやっている、公平な競争条件ということからも必要なんだというのがこの答申が出された趣旨だというふうに思うわけです。  しかし、私はちょっと違うんじゃないか。受信料制度というのは、やはり一つは公平な放送ということで、国からも不当な干渉は許さないということで、財政的な自立を図っていくというところに受信料制度の一つの意味があったと思うんです。もう一つは、やはり商業主義に陥らない、ただ視聴率だけ上げれば後はもう野となれ山となれというふうにもならない、そこにNHKの公共放送としての役割があったわけで、先ほど会長がおっしゃったように、NHKがNHKたるいわば核心がこの受信料制度にある。  ですから、私は、市場原理だ、市場主義だということだけでこの有料スクランブル化を導入するというのは、やはりNHKの本来の役割に照らして問題ありというふうに思うんですけれども、大臣と会長に一言ずつ御答弁いただければと思います。
  101. 海老沢勝二

    参考人海老沢勝二君) 今先生御指摘のように、私どもは政治的に公平であるということ、それと同時に、商業主義にいたずらに陥らない、国民に情報をひとしく提供するという大きな役割があると思います。それと同時に、日本の伝統文化を守り、また新しい文化を育てる。それと同時に、社会福祉の向上に尽くすんだというのが放送法に決められた我々の使命だど思っています。  そういう使命から申しますと、この有料スクランブルというのは本当に公共性を守るときにいいのかどうか非常に疑問だということで、できるだけ受信料制度を維持しながら、そういう中でNHKは国民のための放送局だ、国民みんなの共通のよりどころの機関である、そういう信念でやっていくべきだろうというふうに思っております。
  102. 野田聖子

    国務大臣野田聖子君) 私も会長と、また先生の御意見に近いものがございまして、規制緩和万能ではないと思います。やはり社会規制なり公共の福祉とかユニバーサルサービスというのはきちんとこの国の中で担保されなければならないという中で、NHKは放送法のもとその役割を果たしてきてもらえたわけでございます。  先ほどもこれからの衛星契約について御心配もありました。確かに他力本願ではいけないわけですけれども、二〇〇〇年にはまたオリンピックが来る、その二年後には日韓のワールドカップがある、次の二年後にはまたオリンピックがある、そういう意味では継続性があるイベントが続きますし、その空間、これは会長が考えるべきことなんですけれども、一つの考え方としては、さっき岩城先生から御質問があったとおり、衛星を単に海外のものを見るためだけの道具にするのじゃなくて、地域周りの、例えばさっきの富山県の話じゃないですけれども、そうやって富山県の長時間番組をやりますよということで地域の人に衛星を紹介して契約をしてもらうとか、むしろそういうコンテンツをどんどん工夫していただくことが大事なんじゃないか。  もう一つ、前に戻りまして、デジタル化説明が下手くそだと。これはひとえに私の不徳のいたすところでございまして、確かにできていないものを説明するというのは大変難しいことがございます。自分もこうやって前回の参議院、そしてきょうの参議院の間にまたいろいろとデジタル化の効用というのを学んできて、川橋先生の御質問に対して少しは前回よりはまともな答弁ができたのかなと思うけれども、まだまだだと思います。  実は私、手元にNHKが出しているイメージの絵があるんですけれども、こういうのはじゃんじゃん配っていただかないと困るなと。特に委員会の先生方のところには事前にお届けしていただかないと困るなと。やっぱり広く啓蒙していく地道な活動が大切じゃないかと思っておりますので、また会長と御相談して頑張って努めてまいりたいと思っています。
  103. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 大臣説明が下手だと言ったんじゃないんです。もっと違った角度から発想を変えた説明が必要なんじゃないか。  私は全然素人ですから、ひょっとしたら間違っているかもしれないが、僕きょう聞いているだけで思ったのは、さっき例えば被災された方の名簿がずっと出てくるとおっしゃったでしょう。そういうときに、例えば見たいところでストップさせることができるとかということでしょう。恐らくそうなんだろうと思うんです。つまりそうすると、聞いている側が、視聴者の側がアクセスできるようになるというのが一つデジタル放送の場合にはあるんじゃないんでしょうか。ずっと僕はこの前の委員会ときょうの委員会を聞いたけれども、そういう説明は、あったのかもわからないんですが僕が記憶する限りでは余り聞いた記憶がないんです。  ですから、やはりデジタル化というのがどういうことなのかというのを、はっきり・くっきりじゃ、これはやっぱりだめなんですよ。はっきり・くっきりじゃ、うちのテレビははっきり・くっきりしているということになってしまうので、だからやっぱりもっと中身のある説明を私はデジタル化についてはやるべきだというふうに思います。  衛星放送の件数を上げるためには、来年は八十本ぐらい打つバッターが出てくるとかいうことも私は大いに期待したいと思うんですけれども、デジタル化を進めていくという場合に、その負担をどうするのかというのは、これはやはり大事な問題だと思うんです。  例えば、民放連の氏家会長は、これは三月二十五日の日経ですけれども、「政府が早急に進めたいのなら、公共投資など財源を投入すべきだ」、公共投資の具体策について「放送設備をのせる電波中継用の鉄塔ぐらいは対象にしてもよいはず」、地上波の「デジタル化の設備投資は全体で約六千六百億円に上る」というふうにおっしゃっています。放送局にやれと言ったって無理だということですね、国が公共事業としてやれと。  しかし、公共事業としてやるということは、最終的には国民負担になるということなんですよ。それで例えば有料テレビにはならなかったとしたって、受信料が上がるということになれば、これも国民負担になるということなんだ。だから、先ほど経済波及効果の議論がありましたけれども、やはり直接テレビを購入する、アンテナを購入するというだけにはとどまらない、もっと国民の負担は幅広くあるんだということだと思うんです。  国民の側から見れば、放送局に対しては公共事業で電波塔を建ててやる、国民に対しては郵政省は何をしてくれるんだということにもなると思うんですね。ですから、やはりこの国民負担のあり方というのは郵政省としても本当によく検討していただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  104. 品川萬里

    政府委員(品川萬里君) お答え申し上げます。  ただいま先生にデジタル放送の効用の一端を、大変私もなるほどと思って伺うような、ありがとうございました。  実は、このデジタル放送というのはいわばテレビ受像機がコンピューター機能を内蔵する、つまりコンピューターの使い方と似ているところがございまして、上手に使いますと大変な効用を発揮する、余り上手に使わないとアナログテレビと変わらないというところがあるかもしれません。  したがいまして、そういう意味では視聴者が受け身で視聴する態勢から積極的に選択的な視聴する、あるいは上手に使って番組を視聴するということで、そういう意味ではちょっと視聴者もいろいろ努力しなければならない放送がデジタル放送の特徴かもしれません。  大臣からもただいま御指示がございましたのでいろいろ研究したいと思いますが、そういう意味では、今家庭でパソコンが眠っておるといいますけれども、やはりこれはネット社会においていわばパソコンというのが必需品になっていくということになりますと、パソコンがこれからいわば家庭の情報化の設備投資でございますように、テレビの受像機もこれも情報化投資の一つということで受けとめていただくのがよろしいのかなと。  したがいまして、その投資に見合うだけのいかにすばらしい番組ソフトが流れるか、また視聴者もその投資を還元するだけのテレビの見方、使い方をいかに習得していくかということで、メディアリテラシーという言葉が言われますけれども、こういった点について政府としてできるだけのことをしなければならないというふうに考えております。  それからもう一つは、設備投資の事業者側、あるいはこの受像機もそうでございますけれども、あの数字は今の技術水準を前提に試算したものでございます。既にいろいろ個別にこれからの投資額を算定しておられる会社もございますけれども、相当投資額は縮減できるのではないかという話も承っております。  それから、ハイビジョンの例を見るまでもなく受像機も、これは先ほどの十七兆円というのは大体単純に計算しますと一台十七万円という計算でございますけれども、ハイビジョンができたときは四百万円でした。今十数年で十分の一になっております。アメリカで、ソニーさん、会社名を挙げてなんでございますが、既に売られている受像機は六十万ないし七十万でスタートしておりますので、ハイビジョンほどは高くない形で受像機もスタートするんではないか。  私どもができることは、確かに今予算制度では個人利用のものについて補助金というのは基本的に認められない制度でございますけれども、できるだけ技術革新の面あるいは設備投資の面でいろんな支援体制というのをこれは可能でございますので、そういった意味で結果的に受像機あるいはデジタル端末をお買いになるコストができるだけ低廉なものになる、そういう面で政府の役割があるのかなというふうにとらえております。  以上でございます。
  105. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 次に、子供とテレビの問題についてお伺いしたいんですが、さっき野田大臣のお話を伺っておって、ああそうだったのか、とてもよぐ専門家だということを私初めて知ったんですけれども、私も実はある本を読んでいてああそうなのかと思ったのは、アメリカではテレビと暴力に関する調査研究というのは一九五〇年代からやっているんです。ですから、やっぱりここまで到達するには四十年間の歩みがあるわけです。そういう調査研究を踏まえてVチップであるとかいろんなレーティングだとかいうのが出てきたわけです。  ですから、私はVチップを導入することに絶対反対とか、反対とかいうわけじゃないんですけれども、やはり導入するに当たってはそれだけの調査なり研究を踏まえてやらないと、例えばこういうことだってあるんですよ。Vチップが導入されたんだからもう俗悪番組をつくったってVチップで規制すればいいんだからというので、肝心のつくる側は全く野放しになつちゃうということだってこれはあり得ることなんです。ですから、やはりそういう点では十分な調査そして議論が必要だと思う。  例えばカナダでは、一九八九年に無差別銃撃事件が大学であって、これがきっかけになってテレビのあり方というのが研究されるようになったわけですけれども、やはりカナダではいろんなレベルでの調査研究があったと同時に、市民レベルでも、つまり国民レベルでもいろんな議論がされる、そういう国民的なまさに合意のもとでVチップの導入がされるという経過があったようです。  ですから、私はその議論を抜きにして結論だけを借り物で持ってくるというのは、これはやはり非常に危険な側面を持っているというふうに思うんですけれども、大臣の見解はいかがでしょうか。
  106. 野田聖子

    国務大臣野田聖子君) 確かに日本の子供たちというのは、世界の子供たちに比べてメディアにおける暴力とかポルノに対して非常に守りがないというか、基本的に国としてこういうことをするということは今まで取り組んでこなかったと思います。むしろ放送の自由というのがありますから、事業者の皆さんのモラルにお任せしておりまして、でも、この間もPTAの方から随分アンケート調査によって子供にはとても見せられない番組がある、そういうことを再三再四御協議があったことも承っております。  しかし、Vチップというのは突如として、アメリカでやったからということで、その言葉だけが今正直先行しているんじゃないか。今先生がおっしゃったように、私自身もアメリカへ出向いて調べたんですけれども、かなりのやっぱり議論の積み重ねがあって初めて、放送事業者の方でボランタリーとしてレーティングみたいなものをしていただき、なおかつそこにVチップが乗っかっているという、その積み上げというのをやはり私たちは理解しなきゃいけない。  と同時に、逆に、二番目にやるという、パイオニアじゃないという立場を利用しまして、アメリカは一番最初に取り組んだから一九五〇年から一九九〇年まで何十年もかかってしまったけれども、私たちは諸外国の蓄積をデータとして集めることができますので、むしろそういうものを有効利用してなるべく、やっぱり守るべきは青少年の健全育成だということで、やらなくてもいいということではなく、合理的にそして効率よく議論をまとめていきたい、そういうふうに思っています。  さらに、Vチップに関してばいい悪いということで議論をしてほしくないな、むしろそこまでどうするかということを決めた上で、親にもさまざまな生き方があると思います。私はまだ母親になったことがございませんけれども、例えば私のようにフルタイムで仕事を持っている母親からすると、本来ならばしっけの段階で家庭の中でこの番組は見ちゃだめよと、また家におれば見せないような努力はできるけれども、実際フルタイムで働いている母親からすると、そういう子供たちに手が届かないという現実の問題もある。そこでのあくまでも補助的役割を果たせないかどうかという、逆にそういう親の選択肢の一つとしても否定するわけではない。  ですから、先生はもちろんのこと、多くの人たちにとにかく今の段階、早いうちにいろいろな意見を出していただくこと、それが今国に与えられた課題ではないかと思っております。
  107. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 私も四十年、五十年かけようということを言っているんじゃなくて、おっしゃるようにある時期にある結論を出すということはこれは当然必要だと思うんです。同時に、しかしその結論というのはこの種の問題ですから完璧ということはまずあり得ないですね。やっぱり暫定的な措置というふうな性格を持たざるを得ないと思うんです。  そこで、私はNHKの海老沢会長にも伺いたいんですけれども、アメリカでは九四年から四大ネットワークと全米ケーブル事業者連盟が、実際にこれまで放送された番組について、それぞれ暴力シーンの量的測定というだけではなくて、どのように描かれているかというふうな分析も含めて大規模な調査を大学に委託研究させるということがやられているようです。  放送業界自身でいろいろやるというのもこれは必要だろうけれども、郵政省やNHKや民放連というところから全く離れた大学のようなところでこういう問題について系統的に研究してもらう、そしてある時期ある時期にやはり報告なりレポートを出してもらうということは子供とテレビの関係を正しいものにしていく上で私は必要だと思うんですけれども、そういう検討をされてみてはいかがでしょうか。
  108. 海老沢勝二

    参考人海老沢勝二君) 子供とテレビの関係は、テレビが昭和二十八年から放送が始まって以来いろいろ論議を呼んできております。  御承知のように、去年からことしにかけて少年犯罪が非常に多発したということで、にわかにVチップ問題が論議されてきました。三月の委員会でもVチップ導入について意見を聞かれましたけれども、私は、NHKとしてはこれまでもそういう暴力の過激な場面とか、あるいは性的描写、刺激的な性描写は私たちはつくっておりませんし、今後もつくらないのが我々の使命でありますと。したがって、今直ちにVチップ導入については大きな疑問もある、つまり賛成できないという立場を表明してきました。  そういう中で、今郵政省の中で青少年とテレビの問題を研究する場面ができました。私も民放連会長と一緒にこの議論に加わっております。そういう中で、いろんな方のいろんな意見が出ております。やはりVチップは必要だという意見、あるいはまた、もっと論議を重ねて慎重にとらえるべきだといういろんな意見が出ております。私どももそういう意味で子供とテレビとの関係についていろんな意向調査、世論調査もしてきておりますし、またそういう面での先生御承知のいろんな番組もつくって、子供たちの言い分あるいは母親たち、親御さんの考え、あるいは学校の先生方の意見もお聞きしております。いろんな今データといいますか蓄積をしております。  そういう中で、青少年の健全育成のためにどうすべきかという番組づくりも新たな視点で今考えております。これはもういつの世でも今の若い者は、今の子供たちはという批判は当然出てくるんであって、それと同時に、そういう中でまた子供たちがそれを克服して新しい人生を歩むといういろんなあれがあります。  そういう面で、今第三者による調査研究機関を設けたらという御提言であります。一部そういう意見も我々も陳情を受けております。私は、直ちに今Vチップを導入してもすぐ効果が上がるのかどうか、やはりいろいろな疑問もありますし、アメリカでも一応そういうことを決めましたけれども、実際に受像機が普及しているわけではありませんし、そういうことをやることによってまたそれが抑止力になるという面もあります。ですから、論議をし、いろんな意見をやることがまたいろいろな面で次への展開になるということもわかっております。そういう面で、そういう調査研究をするということについては私も賛成をいたしますが、どういう形でそれをつくっていくかということは、まだこれから考えなきゃならぬ問題だろうと思っております。
  109. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 最後に、字幕放送の拡大についてお伺いしたいと思うんです。  昨年、放送法が改正をされて、字幕放送を拡大していくというので取り組みが行われてきました。昨年十一月十七日に、郵政省から「字幕放送普及行政の指針の策定」というのが発表されました。  この指針の内容というのは、字幕付与可能なすべての放送番組を対象にするということですね。逆に、字幕付与可能とされない番組というのがニュースであるとかスポーツ中継であるとか、生番組、音楽番組、外国語番組。郵政省の資料によれば、字幕付与可能とされない番組というのが大体六割近く占めている。そうしますと、四割だけっければいいという、この指針が逆に四割が上限だということになっていかないのか。特に、ニュースなどは多少不十分さはあってもこれはやはり知りたいという要求は非常に強いと思うんです。  ですから、これはもちろん技術的な問題がありますから、先ほど山本一太先生も質問されていたように、そう簡単じゃないということはよくわかるんですけれども、しかしこれはあくまでも上限ではないんだということを明瞭にしておく必要がある。そして技術的な可能性が広がれば、大いにニュースであるとかスポーツについてもやっていくんだという方向をきちっと出しておくということが大事だと思うんですけれども、この点いかがでしょうか。
  110. 品川萬里

    政府委員(品川萬里君) お答え申し上げます。  先生の御指摘、全くそのとおりでございまして、放送事業者サイドにおきましても、これでやるだけでいいんだというふうには理解されておりませんで、今の字幕放送の技術なりノウハウからしますと事実上可能なのが四割でございまして、それだけやればいいというふうな受けとめはされておりませんで、積極的に取り組んでいただいております。  ですから、先ほども申し上げましたけれども、自動制作の技術開発をいたしますれば、この四割が六割、七割というふうにふえていく可能性もございますので、そうしました場合には、二〇〇七年に四〇%じゃなくて七割までできるのではないかということで、より志高く、この字幕放送の推進ができるわけでございますので、先生の御指摘いただいたとおりで我々やっておりますけれども、さらに誤解のないようにその趣旨を徹底したいと思います。
  111. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 最後に同じ問題で、十一月十八日付の朝日に、二〇〇七年までに生番組を除く全番組に字幕導入という報道が出たんです。去年の話ですが、これに対して聴覚障害者、高齢者から、二〇〇七年、つまり今後十年間は生番組はだめなんだというふうに受けとめる向きがあるわけです。ですから、これは今の問題と一緒だと思うんですけれども、十年間はもうだめだということになったんじゃ、ちょっと夢なくなっちゃいますから、これは新聞の報道ですからこれが本当にそうなのかどうなのか私知りませんけれども、やはりこの点もできるだけ前倒しでやっていくんだという方向をきちっと出しておくことが必要だと思うんですけれども、最後にこの問題をお伺いして終わりたいと思います。
  112. 品川萬里

    政府委員(品川萬里君) お答え申し上げます。  今回この努力目標を設けました趣旨は、基本的にはやはり字幕放送放送事業者の方々にやっていただくわけでございますから、主体的にやろうという意欲といいましょうか、そういう点も大事にしてあげなければいけないと思います。放送法改正の趣旨にのっとりまして放送事業者の方も大変意欲的に取り組んでいただいておりますので、そうした意欲的取り組みというものが、字幕放送を一日も早く待っておられる方々に制度の趣旨なりそうした推進状況なりについて十分正確にお伝えできるように我々は工夫してまいりたいと存じます。
  113. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 終わります。
  114. 三重野栄子

    三重野栄子君 三重野栄子でございます。  今ずっとデジタル化についての御質問、御答弁等々ございましたが、私は、テレビの国際放送に関連をしながらデジタル化の問題についてお尋ねしてまいりたいと思います。  九八年三月までのテレビ国際放送の配信はこういうふうな状況だったそうでございますが、(資料を示す)ことしの九八年九月現在ではこのように黄色の部分までもうずっと広まったという状況でございます。(資料を示す)  最近私は、女性と子供の教育事情の調査でネパールに参りましたんですけれども、そのときも大変ネパールの皆さんから評価をされたところでございますが、デジタル化によるどのようなメリットを国際放送についてお考えであるのかお示しいただきたいと存じます。
  115. 河野尚行

    参考人(河野尚行君) 今、三重野委員から国際放送の地図を示されたんですが、デジタル化することによりまして、今は円安の問題がございますけれども、国際回線がかってのお金で三倍のサービスができるというふうなことになりまして、NHKも衛星回線、三つの衛星を借りて放送サービスをすることになりました。  十月一日から、まさにきょうから正式にサービスを始めるんですが、これによって例えば日本から世界に出ていって活躍している邦人の九八%の人たちをカバーできる、そういう意味ではデジタル回線が安くなったということが最も大きなメリットでございました。
  116. 三重野栄子

    三重野栄子君 ところが、デジタルの受信機がネパールでは二十万円ということで、大変高価でございます。世界の百九十の国・地域の中で、今も御説明ございましたけれども、百七十四カ国と地域でNHKの国際放送が受信できるというのでございますけれども、世界で最下位と言われるネパールを初めといたしまして発展途上国では非常に視聴できにくいということでございました。  NHKでは、九月十八日にカトマンズでネパール、インド、パキスタンと日本の関係者とこのデジタルの問題をお話しされたというふうにも伺っているんですけれども、今伺いましたように九八%だと言われるけれども、実際このネパール、インド、パキスタンの皆さんとお話しなさったときの現状をどのように把握されているでしょうか。
  117. 河野尚行

    参考人(河野尚行君) NHKが関係しております国際放送には二つございまして、一つはワールドTVという原則として無料で見ていただくというものと、それからNHKから現地の放送局ないしCATVに電波をお届けする、それは実はスクランブルがかかっているんですが、そういうワールドプレミアムという二つがございます。  それで、ワールドTVの方は現地で五万円程度のチューナーを買っていただければ、これはいろいろな国によって違いますし、関税の問題がありますから一概には言えませんが、そうしますとNHKのニュースを中心とする一日十八時間のサービスがごらんになれます。アンテナの場合は、例えば先生が行ってこられましたネパールでは、CNNとかBBCと同じアンテナで受けられるということでございます。チューナーだけ買っていただければワールドTVが見られるということです。  ただし、もう一つの方は、NHKとしては現地のCATVに送ってネパールのCATVで配信していただくようにお話し合いを一度したんですが、まだうまくいっておりませんので、今後も現地の放送局、CATVとお話を続けて、なるべくそういう設備的には安いもので見ていただくというふうにしたいと考えております。
  118. 三重野栄子

    三重野栄子君 そういう状況だろうとは思うんですけれども、実際にネパールにいらしてお話を聞かれたときに、ではそういうふうにある放送局、CATVですか、が積極的にNHKと提携して見れるようにしましょうというふうになるのだろうか。お感じになったでしょうか。  二十万円のチューナーを取りつけられないという理由といたしましては、私の想像ですけれども、公務員の一カ月の給料は現在三千円です。八〇%が大変貧農の国でございますから、そういう業者があったとしても、なかなかこれらの手続をとる、あるいは料金を払って皆さんが見れるようにするということは大変難しいのではないだろうかというふうに私は思います。  一方、年々日本人も増加をしているわけでございますけれども、大使館の中で見るのはいいけれども自分の家に帰ってチューナーを買ってまで見るということはもう大変厳しい。特に二、三年ごとで交代もございます。そうですし、それからまた企業でお出になっている方もずっとそこにいるわけではない。そういう大変厳しい状況仕事をしておられるわけでございますので、そこらあたりを考えての何かの措置をお願いしたいわけでございます。  在留邦人はニュースとか情報とか番組だけではなくて、やはり子供番組とかドラマとかNHKスペシャルも見たいでしょうし、一方、ネパールの国民の皆さんも、日本に親しみ、日本語の学習もどんどん盛んになっている状況でございます。最近は、日本の国内では、ネパールのヒマラヤの状況だとか子供たちの問題、女性の問題あるいは男性の問題等々、ネパールとかインド等々のドラマにしろ記録にしろ映像が非常に多くなったというふうに思いますけれども、逆から言いますと、ネパ一ルにおられる日本人の皆さんはそういうことさえも見れないという状況でございます。  そういうことをお考えになりますと、郵政省として、何とかこれらの課題を前進させる方法というのはないものかどうかということでお伺いしたいと思います。
  119. 品川萬里

    政府委員(品川萬里君) お答え申し上げます。  先生御指摘の点は、一つはネパールの在留邦人に対する課題と、それからネパールの方々へということかと存じます。  前者について申し上げますと、実は今回のインドネシアの政変に際しまして、NHKの国際放送がいわばライフラインであったという評価がなされておりまして、私どももその重要性を再認識したわけでございますが、伺いますと、在インドネシアの方々もいろいろ工夫をしてチューナーを手に入れておられる、利用しておられるということでございますので、そうしたノウハウといいましょうか生活の知恵と申しましょうか、そういう点につきましてインドネシアの実情につきまして再度よく勉強いたしまして、また、ネパールの件についてもいろいろ御相談にあずかれればと存じます。  この点はNHKの方がより情報をたくさんお持ちでございますので、NHKさんと両方、それぞれできることを分担しながらやっていきたいと思います。  それから、後者のネパールの方々へのお話でございますが、これは言うところのODA対象国でありますと外務省案件ということになろうかと思いますが、実は今まで余りそれぞれの国の放送普及についてどうするかということについては必ずしも私ども十分な力を注いできておりません。JICAベースの技術協力で放送の技術について専門家の教育をどうするかとか、そういった点にはいろいろ力を注いできた経過もございますけれども、そもそも受像機を普及させるにはどうしたらいいのかということについては、例えばネパールのような国の場合にどうしたらいいかということについては必ずしも十分な研究の蓄積もございませんので、先生の御質問を機会にいたしまして、受像機の普及というのはこういった国々に対してどうしたらいいのか、よく研究をさせていただきたいと存じます。
  120. 三重野栄子

    三重野栄子君 ぜひ前進をさせていただきたいというふうに思います。  ある企業の上位の方に伺いましたのですけれども、ネパールなんかにいろいろそんなことをやったって非常にレベルが少ないから日本としては余り利益がないからねなんということを、それはある会社の一人の方ですけれども。  こういう問題につきまして、何か経済的に日本の収入になるといいましょうか、とかくそういうことが重点に考えられそうでございますけれども、文化の交流を通じて日本の影響を広めることができたらというふうに思いますので、ぜひとも今お話しいただいたことにつきまして、前進するようにお願いいたしたいと思います。  国際問題につきましてはそのところで終わりにいたしまして、先ほどから国内のデジタル化を非常に進めたい、進んだらどうなるかということもございましたが、改めまして地上放送デジタル化の意義といいましょうか、そういう問題についてお伺いしたいと思います。
  121. 品川萬里

    政府委員(品川萬里君) お答え申し上げます。  デジタル放送の意義ということにつきましては、大きく日本の社会経済という点から見ますと、先ほど来お話を申し上げておりますように、デジタルエコノミーと申しましょうか、あるいはインターネットを基本とした社会、ネット社会と申しましょうか、デジタル技術をベースにしたいろいろな社会システムができていく。そういう中で、地上放送がデジタル社会において効用を発揮していくためには、むしろデジタル化することが地上放送の基幹放送としての役割を果たす道ではなかろうかというふうな位置づけをしておるわけでございます。  そういう中で、デジタル放送の機器もパソコン機能を備えたテレビができるわけでございますけれども、当然パソコンを使うようにそうしたものが十分使いこなされて、そしてまた、先ほどNHKの会長からもお話がございましたように、デジタル端末の使い方によっては非常にたくさんの生活に役に立つ情報を役に立つタイミングで入手できるということでございますので、その辺の、よく言われますようにほこりをかぶったパソコンということにならないように、デジタル受像機が十分活用されるように、我々が今知り得る限りの情報をできるだけわかりやすく国民の皆様に御理解いただけるように情報提供をしてまいりたいと思います。  特に、これは遠隔診療とか、あるいは先ほど御紹介ありましたように、話速変換と称しまして話のスピードを高齢者の方にむしろいい、役に立つ放送というのも可能でございます。それから、大臣から先ほど触れていただきましたけれども、字幕放送とかあるいは手話放送等につきましてもデジタル放送というのは大いに効用を発揮するわけでございますので、そうした点についてもできるだけわかりやすく、かつできるだけ早く情報を提供申し上げ、デジタル放送の円滑な普及に努力してまいりたいと存じます。
  122. 三重野栄子

    三重野栄子君 大変希望が持てるお話でございました。  そこで、デジタル化には、メリットを今伺いましたけれども、やはり何事もメリットばかりではありませんで、新たな設備投資が必要だとか、先ほどからもいろいろと費用が増大するのではないか、あるいは受信料が高くなるのではないかというようなこともございました。  それで、そういういろいろデメリットがあると思いますけれども、NHKはそれらを含めて地上波のデジタル化にどのように今後取り組んでいかれるのか、先ほどもいささか伺いましたけれども、もう少し詳しくお話をいただければというふうに思います。
  123. 海老沢勝二

    参考人海老沢勝二君) 地上デジタル放送をどうするか、いわゆるスケジュールでありますけれども、ようやくこのスケジュールが今おぼろげに出てきたという段階だと思います。  といいますのは、先ほど議論がありましたように、郵政省の中に設けられました地上デジタル放送懇談会の中間報告、そして今月ですか、最終報告が出まして、そういう中でこれから放送の方式といいますか技術方式がどうなるのか、あるいはチャンネルプランがどうなるか、これらも来年ごろには大体決まってくるでしょう。そういう中で、我々はそれに基づいてどういう放送サービスをしなきゃならぬのか、また衛星デジタルと違ったものを考えなきゃならぬのか、それはこれから本格的に作業を進めようという段階であります。  先ほどからデジタルのメリットに対する説明が非常に不十分だ、もっとわかりやすくできないかとの御指摘がありました。私どもも、御承知のように放送技術研究所でかなりの研究が進んでおります。これが直ちに今視聴者国民にそのまますぐ提供できるのかといいますと、やはり値段が高い、また簡単な操作でできない、非常に複雑だ。それをもっとできるだけ簡単に便利に使える、そしてまたそれが安くならなきゃ普及しませんので、今そういう研究を急いでおります。やはり普及させるのには便利で簡単で安くなけりゃ普及しませんので、その辺の研究を急いでいるところでございます。  それと同時に、またソフトの方もどういうサービスをすれば視聴者国民の皆さんが喜んでデジタルの方へ切りかえてくれるのか、今その辺の作業を急いでいるところであります。  そういう面で、先ほど言いましたように、それを段階的に着実にやっていきませんと混乱を起こすのでなかろうか、そういう意味合いのことを申し上げているわけであります。私ども、これから最終答申を踏まえて、具体的に放送の新しいサービスのあり方、内容について国民に十分に説明をして、そして国民的な合意を得ながら進めていきたい、そういう考えでいるわけであります。
  124. 三重野栄子

    三重野栄子君 大変期待をいたしておりますので、よろしくお願いします。  なお、もう一つの問題としては、九八年度の要員純減が百八十人、八〇年以降四千人の要員が減ったというふうに記録を見せていただいたんでございますけれども、今もいろいろお話がございましたように、近年のNHK業務はもう衛星放送のチャンネル化だとかハイビジョンだとかさまざまな問題、それから二十四時間放送だとか、そういう状況の中で大変お仕事が忙しくなっている。そうしますと、NHKで働いておられる皆さんの労働条件といいましょうか、そういうものは一体どうなっているのか、私いささか心配でございますけれども、そこのところをちょっと御説明いただければと思います。
  125. 松尾武

    参考人(松尾武君) お答えいたします。  三重野委員の御指摘のように、NHKは昭和五十五年から四千百人の純減をしてまいりました。この純減に当たっては、絶えず労働条件というのをその根底に置いて、視野に入れて行っております。したがって、現在の状況も、決して組合を含めて悪化した状態ではございません。  今後でありますが、先ほども出ておりますデジタル化時代に向けて新しい機器の導入、システムの開発、それからさまざまなNHK外の専門集団、そういうものを一部利用しながらアウトソーシングするものはしつつ、現在の職員の労働条件を十分踏まえてさらに一定の効率化を図っていきたいというふうに考えております。  以上でございます。
  126. 三重野栄子

    三重野栄子君 ぜひそのようにお願いいたします。  ネパールばかりで恐縮ですけれども、これはネパールのホテルにありましたテレビの案内ですけれども、残念ながら日本はないんです。先ほども申しましたけれども、できるだけこの中にも日本の番組が載るというようなことになればいいなと思っております。  最後に、二十一世紀に向けまして国際放送充実について、非常に国内外ともに想像以上の期待がされているのでございますが、大臣のお考えを伺いたいと思います。
  127. 野田聖子

    国務大臣野田聖子君) 三重野先生、大変国際放送に御理解、御支援がございまして、本当にうれしく思います。  先ほどもNHKの方または品川局長からも話があったとおりでございまして、まさに本日、NHKの映像国際放送放送地域が拡大しまして、ほぼ全世界に向けて放送することができた。それによって多くの在留邦人の方のライフラインになることはもちろんのことですが、海外の人たち日本とは何かというものを映像を通じてリアルに受けとめていただく大変大きな意味での国際交流をなし得ていくのではないかと思っています。  先ほどのネパールのように、逆にそういうお国ではなかなかそういう設備が調えられない。これに関しては、先ほどの品川局長答弁のとおり、ぜひとも外務省のODAを通じて私たちも貢献できるようなことはしてまいりたいと考えております。
  128. 三重野栄子

    三重野栄子君 どうもありがとうございました。  終わります。
  129. 戸田邦司

    戸田邦司君 自由党の戸田でございます。  始まってもう四時間にもなりました。野田大臣、海老沢会長、また御出席の皆さん、大変お疲れさまです。始まって三時間半ぐらい過ぎできますとへだんだん緊張の糸が切れてとは言いませんが、疲れが出てきてなかなか大変なものです。私もそちら側に座ったことがありまして、大臣のささやきを隣で聞いていて質問を聞き落として、質問者が大変親切な先生でもう一度質問してくれたということがあります。緊張しながら質問をきちっと聞いて答えていくというのもなかなか骨の折れることではないかと思います。  NHK問題ですが、私はNHKは公共放送として非常に立派にやっておられる、こう思っております。技術的な問題を考えても、これは国際的なレベルで見てもやはりトップランナーでなければならない。それなりに相当の技術開発の投資もしていかなければならない。また、番組の質ということを考えた場合に、民放との競争の中でやはりNHKの特色というものをきちっと出していかなければならない。BSあり、普通のテレビの放送)それにラジオと。ラジオに関しましては余り注目されないかもしれませんが、私はラジオ放送も相当重要であると思っております。特に車に乗って走っている人などはそうかもしれませんし、また病を得て病院に入っている方々などにとっては特にFM放送などは非常に楽しみにされている。そういう点ではいい番組を送っていただいていると思っております。  また私、知人もおりましていろいろ話を聞きますが、現場での番組をつくる士気といいますかやる気、いろいろな工夫をしてそれで頑張っておられる。そういう点から考えましても、私は、NHKはこれからもそういう点で問題はないんじゃないか、また将来に期待を寄せていいんじゃないかと、こう思っております。  私が質問通告しておりました点につきましては、もう既に議論されておりまして、答弁もお伺いしております。要は、例えば学校とか福祉施設、こういうものについて聴視料を免除しているというような問題については、NHKは国と立場が違うということですから、もらうべきところからきちっともらえばいい、私はそういうことではないかと思っております。  そこで、先ほどからデジタル放送の問題が出ておりますが、CS、BS、それからCATVのマルチチャンネル時代を迎える、それは当然有料放送になってくる。有料放送とそれから聴視料をいただいているNHKの立場、そういったことを考えた場合に、NHKにとっては公共放送であるという非常に重い任務があるということではないかと思いますが、それを貫きながら放送界でリーダーとしての立場を維持していかなければならないということではないかと思います。  その場合に、立法府とのかかわりあるいは行政府とのかかわり、もっとかみ砕いて言いますと、郵政省の規制のあり方を含めて、これから時代が大きく変わっていくわけですから、そのあり方もおのずと変わっていくだろうと思います。ですから、今まで戦後ずっとNHKと立法府あるいは行政府とのかかわりというものが維持されてきているかもしれませんが、これからやはりそういう時代に入っていくということになりますと、それはそのままでいいとはとても私には思えません。ですから、そういうことをまず基本とし、念頭に置かれてこれからの行政を進めていただきたいと思いますし、またNHKとしてもNHKのあり方というものを考えていただきたいと思います。  これにつきまして野田大臣とそれから会長さんの御感想をお伺いして、私は質問はこれだけで終わりたいと思います。よろしくお願いします。
  130. 海老沢勝二

    参考人海老沢勝二君) これから市場経済に基づく競争時代、我々放送業界もそういう時代に今突入したわけであります。そういう面で、私どもの公共放送としての使命と責任は非常に重いものと私は受けとめております。  こういう競争に生き延びていくためには、やはり豊かで質の高い番組を一本でも多くっくることがNHKを維持できるものだろうと思っております。そういう面で、番組の質を低下させないように、本当に国民に信頼される番組をさらにつくり続けていくことが大事だろう、そういう認識を持っております。そのためには、やはり専門性があり個性豊かな人材をどれだけ育てることができるかが非常に大きな課題だろうと私は思っております。  それと同時に、また受信料制度は国民の信頼なくして成り立ちませんので、そういう面では常に国民のニーズにこたえるような事業運営、非常に透明度の高い会社の経営といいますか、そういうのにも心がけなきゃならぬだろうと思っております。  それと同時に、我々はいつも政治に公平であり、また全員の国民から支持される、そういう志を高く持つといいますか、そういう立場で今後もやらなきゃならぬだろう、そういうふうに思っているところであります。
  131. 野田聖子

    国務大臣野田聖子君) NHKの皆様方は高い志のもと、公共の福祉に資するということで自発的にすばらしいコンテンツ、番組づくりに取り組んでいただいていると思い、心から敬意を表しているところでございます。  今規制緩和とか市場がすべてだみたいな風潮がある中で、やはりそういう公共放送という使命を全国あまねくだれに対しても公平に、そしてさらには映像の与えるいいこと、例えば、なかなか海外には出れない人が映像を通じて美しい世界の国々を見ることができる、さまざまなことを知ることができる、そういう映像の持つすばらしさを存分に発揮していただきたい、私たちはそれを傍らで応援をしていきたい、そういう気持ちでいっぱいでございます。
  132. 戸田邦司

    戸田邦司君 結構です。
  133. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 しんがりを務めさせていただきます無所属の岩本でございます。  ただいまの戸田先生の御質問で何かきょうの委員会はおしまいのような雰囲気でございますが、もうしばらくおつき合いをお願いいたしたいと思います。私もできるだけ簡単に切り上げたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。  私は、NHKというのは大変いい番組を放送するということで、今まで大変ありがたいものと思って見せていただいているだけでございますので、そんな経験しか持ち合わせておりませんので余り突っ込んだ質問はできないんですが、一つ、NHKの大河ドラマなどの連続ドラマ、これが地域の観光振興あるいは地域の活性化に大変大きな役割を果たしている、そのようなことについてちょっと質問をさせていただきたい。  この点に関しましては、先ほど岩城先生が地方の活性化ということでいろいろ御質問されました。私も聞かせていただいて大変役に立つ質疑があったと思っております。NHKさんも大変いろんな面で配慮されているなというようなことで、ありがたいことだと思っております。  このNHKの大河ドラマ、申すまでもなく、昭和三十八年の「花の生涯」が始まりでしたか、ことしで三十七作目だそうです。それと同じような帯ドラマとしては朝の連続テレビ小説、これはもっと前の三十六年からというわけで、ずっと長い人気を持っているわけでございまして、そういう番組をおつくりになったNHKには心から敬意を表する次第でございます。  一年間とかそういう期間にわたって放送するということからかもしれませんが、それと人気があるということで、いわゆるドラマの背景となります歴史的な背景あるいは文化的な背景、あるいは修景、そういうものが大変視聴者に強い印象を与えて、そこに行ってみたいなというような旅行意欲をかき立てる、それがひいては地域の観光振興に貢献している、このような図式があるというのは私だけの解釈でない、皆さんも同じだと思います。  もちろん観光振興あるいは地域の活性化、地域の活性化は公共放送としての使命かもしれませんが、観光振興がドラマ本来の目的でないということはわかりますが、現実にはそうではない、無視できない事実でございまして、そういうドラマというのが見方を変えれば一級品の観光案内ではないかなというふうな感じもするわけでございます。  特に、今のこの不景気、私の地元は観光産業が非常に大きなものですから、特にこの不景気の中で受ける観光産業の痛手というのが非常に大きい。したがって、こういうものに対する期待といいますか、こういうものが非常に大きいんですが、こういうような実態についてNHKさん、こういうようなというのは要するに観光振興に番組が資するということについての受けとめ方あるいは御認識等、まずお聞かせをいただきたいと思っております。
  134. 海老沢勝二

    参考人海老沢勝二君) 今先生から御指摘のありましたいわゆる大河ドラマあるいは朝の連続テレビ小説、我々この二つをNHKの看板番組と言っております。  今御指摘のありましたように、大河ドラマは昭和三十八年から放送が始まりましたけれども、これが観光開発なりあるいは地域経済の活性化につながるようになったのは、もう先生御承知と思いますけれども、二十五回目の昭和六十二年ですか、「独眼竜政宗」のときから非常にこの大河ドラマが観光開発あるいは地域の活性化に役立つということになったと私は記憶しております。私もエンタープライズの社長をやって四本ほど大河ドラマにかかわった経験があります。  そういう中で、この大河ドラマが、これをやることによってその地域を紹介するあるいはまた新しい物産を開発、販売する、それと同時に、またそれによって観光客がふえるものですから、交通機関なりあるいはホテル、旅館等が非常に潤うというふうなことで、今各地域から私どもの方にこういう大河ドラマをやってほしいという要望が相次いでおります。現在、私の手元に二十数県から来ております。全部すべて要望にこたえるわけにいきませんし、それとまた現場の意欲の問題あるいはそれを書く脚本家なりあるいは作家の先生方の意欲の問題、いろいろありまして、その中でやはり今日的な世相とどういうふうにそれが結びつくのか、あるいはまた地域の活性化あるいは地域振興に役立つかどうか、その辺も十分加味しながら総合的に判断して決めているというのが現状であります。  去年やりました「毛利元就」等につきましても、十数年前から地元から要望があり、なかなかいい本がないということでありましたけれども、その後、永井路子さんの「山霧」をもとに内館牧子さんに脚本をお願いしてあのようなドラマになったわけであります。これによって地元も数百億の経済効果があったということで、非常に地元の経済あるいは地域振興に役立ったというように我々は思っているわけであります。  そういう面で、今後とも私どもは、先ほど申しましたようにNHKは国民の信頼の上に成り立っているわけでありますし、また国民の受信料によって成り立っている企業でありますから、できるだけ地域の活性化なり振興に役立つような番組をやっていくことはもう当然のことだと思っています。そういう面で、できるだけ地元の要望を聞きながら、そしてまたそれにふさわしい題材ならば大いに取り上げていきたいというふうに思っております。
  135. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 次に質問しようと思ったことを会長お答えいただきましたのであえて質問申し上げませんが、私の地元であります石川県でも加賀百万石、これはなかなかドラマになりづらいというような性格があるようでございますけれども、そんな中でいろんな工夫をして、ぜひともということで研究会などもできております。そのほかでも今会長がお話しになりましたようにたくさんできていると思うんですが、そういう地元の熱意というものをぜひしっかりと受けとめていただきたいと御要望をさせていただきたいと思います。  それと、私は、郵政省さんに、こういう面、番組制作とは関係ないと思ったので発言通告をいたしませんでしたけれども、こういう地方の活性化という意味で、行政の役割でもあると思います。私、前回の質問のときも、地方の活性化というのはやはり日本の国をそれだけ広く使えるんだということで大変有意義であると思いますので、その辺の地方に対する目配りをお願いいたしたい、これは要望だけさせていただきます。  それから、ドラマつくりの観点から一つだけ今の点と関連して質問させていただきますが、コンピューター時代のドラマ制作をする場合に、何かコンピューターグラフィックを使う非常に有効な方法があると。コンピューターを使って画面の組み合わせをいろいろできるということで、何か聞くところによりますと、古典ドラマなんか非常に効果があるというような、バックをつくらなくてもできるというようなこともお聞きしますけれども、またある意味で、制作をする場合にいろんな検討をするのにも役立つのではないのかなと。  そうした場合に、そういう観点から見ますと、地方に一々出歩いていかなくてもいろんな想定のもとにドラマの検討ができるというようなことが考えられると思うんです。したがっていろんなドラマの選定をするに当たって、条件が今までよりも広くなって非常に有効であると思うんですが、その辺についてNHKさんはどのようにコンピューターグラフィックを今後活用されていくのか、その点についてお話を伺いまして、私の質問はそれだけにしたいと思います。
  136. 河野尚行

    参考人(河野尚行君) 先ほどからデジタル技術のお話が出ておりますが、そういう意味ではデジタル技術の最も有効的なものの一つがコンピューターグラフィックでございます。映像表現の極めて有力な一つだと思っておりまして、NHKも早い段階から研究しております。例えば、最近有名になった映画「タイタニック」などもコンピューターグラフィックの技術を使っておりまして、NHKの大河においてもタイトルバックその他で使っております。今後もなかなか再現、実写が難しい大規模なダイナミックなものの背景などはコンピューターと実写を組み合わせてそういうドラマなどで対応をしていきたいというふうに思っております。  例えば、今NHKで「海」というシリーズをやっております。これなどもコンピューターグラフィックを使っておりますが、ただ、これはうまくつくり過ぎると本当の現実とがかえってあいまいになるので、その辺はきちんとむしろわかるようにしたいというふうに思っております。ドラマの世界はある意味では夢に酔ってもらうということもありますから、今後も大いに研究していきたいと思います。  しかしながら、やっぱり実物の撮影は撮影の味があって、地方に出かけてその地方に残っている、町の小路なんかに残っている古いたたずまいみたいなものはやっぱりコンピューターグラフィックではなかなか出ないというものがありますから、地方に出かけて実際にそこで俳優さんが演技するということもやっていきたいと思っております。そういう意味ではテレビの表現としてデジタル技術、コンピューターグラフィックは我々の幅を広げると、上手に使っていきたいというふうに思っております。
  137. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 念のために。私は、ドラマそのものを安易につくっていただきたいということではないので、要するに、検討される場合にいろんな条件、いろんなところが組み合わせられる、その点で地方の取り上げ方にも工夫ができるんではないか、この点でお話をさせていただいたものですので、念のため。  これで質問を終わらせていただきます。
  138. 小林元

    委員長小林元君) 他に御発言もないようですから、三件に対する質疑は終局したものと認めます。  これより三件について討論に入ります。——別に御意見もないようですから、これより直ちに三件の採決に入ります。  まず、日本放送協会平成年度財産目録貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書について、これを是認すべきものと議決することに賛成の方の挙手を求めます。    〔賛成者挙手〕
  139. 小林元

    委員長小林元君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって是認すべきものと決定いたしました。  次に、日本放送協会平成年度財産目録貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書について、これを是認すべきものと議決することに賛成の方の挙手を求めます。    〔賛成者挙手〕
  140. 小林元

    委員長小林元君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって是認すべきものと決定いたしました。  次に、日本放送協会平成年度財産目録貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書について、これを是認すべきものと議決することに賛成の方の挙手を求めます。    〔賛成者挙手〕
  141. 小林元

    委員長小林元君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって是認すべきものと決定いたしました。  なお、三件の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  142. 小林元

    委員長小林元君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時二十一分散会