○渡辺秀央君 ちょっとこの法案とまるで角度を変えるようなことですが、しかし全く
関係ないとは言えないと思いますので、私の日ごろの
考え方をこの
機会に申し述べて
総理の御
意見を承りた
い、そう思います。
今日までの
日本、アジア、
世界の経済的な危機的状態ということを非常に憂慮いたしてまいりました。それに対応する
考え方は、幾つかの私は私見がありますが、きょうは一つだけせっかくの
機会なんで申し上げて、
総理の感じを率直にお聞きしてみたい。これは私の方で一方的に申し上げます。
今や超デフレを是正して景気を立て直すには金融の問題を解決しなきゃならぬことはもう申すまでもありません。
我が国の金融問題だけでなくて、
世界、とりわけアジアの金融危機にも対応しないと、これからの
我が国あるいはまたアジアの危機と言われる国際的な経済不況、あるいはまた
我が国の金融機関の危機などもそこに連動してくるおそれもあると思うんです。
我が国としては、
日本とアジアの両方から、
国内の景気
対策、あるいはまた今長銀問題で追われている
総理にまことに御苦労と言いながらも、御慰労申し上げながらも、
国内だけの政策で果たしてやれるのかということを申し上げたいのであります。
やっぱりアジア政策とあるいは
世界政策と両方、とりわけアジアとの
関係を重視しないと、今
我が国の貿易額は東アジアで千九百六十億ドルにも上っておる、
我が国貿易全体の四〇%になっているわけです。資本
関係では
我が国のこれらへの投資総額は約二千億ドルと言われております。これらの国の経済不安はまさに
我が国の経済を悪化させ、企業経営にとってもゆゆしき事態を起こしている。
そこで、経済企画庁は本年六月にアジア経済白書をお出しになりました。東アジア諸国の通貨急落と経済の落ち込みについての原因を分析しているのであります。そこで、金融政策と金融構造に問題があった、明らかにこの経済企画庁の白書は分析をして結論を出している。大量に流入した短期資金が見せかけの成功の原因とも言われています。
このせっかくの分析があるのですから、この前も
与謝野通産大臣がアジアにおいでになられ、当
委員会においてもいろいろ、レイオフ回避補助金、貿易再保険の活用等によって一つの大きな成果をおさめられた。これはもう全く敬意を表しながら、それは私は本当にその
効果を認めるものでもあります。それはまことに結構だと思うんです。
しかし、そのことはややもすると日系企業の救済のための政策とも受け取られがちになるおそれがあるという感じがするんで、おそれです、これはあくまでも危惧であります。しかし、それは
各国は、マハティールさん初めとして大変感謝をされたという御報告でありますから非常に結構だったと思うんです。
しかし、私は、場合によってはそんなこともあり得る。だから大変恐縮ですが、この程度の、今までの政策の手直し的なことで果たしてアジアのこの経済危機を克服あるいはまた金融危機、ひいては
我が国に及ぼしてくる影響を回避できるだろうか、
国内だけの政策でやれるのだろうかということを考えてみたり、かつまた、昨年十二月に韓国にIMFと合意をして百億ドルに上る資金提供をした、これは非常に韓国からは感謝をされて、韓国の経済の再生がまさに今緒につかんとしつつある。だから、非常にそういうことは結構だったと思うんです。
しかし一方、これは
与謝野通産大臣もアジアに行かれてみてお聞きだったと思うんですけれども、私の知る限りにおいては、IMFの援助というかシステムというか、そういうものが余り評判が芳しくない。アジア的な金融システムの安定化策、さらにはアジア全体を包括できる経済安定化政策、私は、いわば社会政策的視点も加味した政策を外交の中心にして中進国政策、特にアジア政策を進めるべきではないのか。戦後五十年、いつまでも戦後処理に振り回されて陳謝外交を際限なくするのではなくて、新しい時代の要請に対応する必要がある。それこそまさにアジアの人たちが今求めていることではないのかというふうに思うんです。
その
意味からも、この際、アジア
開発基金とかあるいはまたアジア
開発銀行というようなものと違う、これらは最貧国に援助するとか金を出すとかいろんな条件があります。
承知しております。しかし、この際、もっとダイナミックな、骨太のアジア支援、
協力のための
我が国独自のアジア経済安定化ファンドを、
小渕ファンドと言ってもいいでしょう、そういうものをつくって、もちろん
アメリカやあるいはG7などとも協議をしながら、思い切った
措置を考える。内からと外からと両方からやらないと、戦後最大の危機、大恐慌、大デフレという方向に入っている。これがどうも私は見通しが立たなくなっていくのではないか。
戦後処理の一環としての位置づけであればこの負担の
国民の理解も得られるのではないか。財源にしてもいろいろ工夫すれば私は可能性はないことはないというふうに思うんです。私が申し上げたいことは、大胆なアジア経済復興のためのファンドというか、思い切ったものを一回お考えになってみられたらいかがかということをちょっと感じました。
その背景は、
国内だけの政策ではこれはとても今日の
日本の国の経済復興も金融危機も回復できない、両々相まってのことではないか。
世界全体でしょうけれども、とりわけアジアという
意味で一言申し上げて、
総理の一言で結構です、感じをお聞きしたい、こう思います。