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西山登紀子君 今の消費不況というのはやはり国民の消費力が非常に減っているということが一番大きなわけですから、なぜその国民の消費力が、購買力が落ちたのかということを直視する、それに対する正しい
認識がなければ私は対策も的を射ないと思うんです。
確かに経企
庁長官は、短期的には昨年の春から頭を打ったということをおっしゃったわけですけれども、
経済白書もこの不況の最初の頭打ちは去年の四月一日からこうなって、もちろん
大臣がおっしゃるようないろいろな不安な
状況も加味されてさらに加速されているということはあるとは思いますけれども、まずその購買力が減ってきたという不況の始まりは、昨年の四月一日、つまり何があったかと言えば、それは消費税の増税であります。そこを私は直視しなければならないのではないかと思っているわけです。
昨年の十月三日ですが、参議院の本
会議の代表
質問で私は橋本総理に、この深刻な不況の最大の原因、そのときももう既に起こりつつあったということで、最大の原因が消費税の五%への増税や、九月一日から医療保険改悪が始まって既に一カ月がたっておりましたので、そういうものが重なつて一挙に九兆円もの国民負担を押しつけたことにある、だから消費税をもとに戻すこと及び九月一日からの医療改悪をそれ以前に戻すということを求めたんです。ところが、そのとき橋本総理は、
日本共産党を代表しての私の
質問でございますけれども、その主張に対して、いいえ、それは必要な改革なんだということで、全く意に介そうといたしませんで、実行を続けました。
その後、不況はますます深刻になりました。そして参議院選挙があったわけですけれども、参議院選挙の結果、この橋本内閣の
経済政策の失敗に対する国民の厳しい指弾が示されたというふうに私は考えます。結局、橋本内閣は退陣を余儀なくされたわけでございます。
選挙中も、私自身、消費税を当面三%に下げて景気の回復をということを非常に強調いたしましたが、大きな反響がございました。選挙後も、例えば日経の世論
調査、八月四日付でも、景気の対策として消費税減税を求める、五四・七%とトップですね、消費税の減税。
そして、長官は著書の中でもはっきり述べていらっしゃる。今も述べていらっしゃる。消費税の引き上げや特別減税の停止など七兆円、医療費を含めると九兆円の増税を行った失政ということを認めていらっしゃる。私、非常に率直だと思います。その
指摘は私たちも正しいと思っております。その点では長官と意を同じくするものでございます。
そこで、その四月一日からの消費税の増税、それが国民生活にどのような影響を及ぼしているかということについて少し分析を加えて、きょうパネルを持ってまいりましたので、見ていただきたいと思います。(図表掲示)
これは、年間
収入階層別に見る駆け込み需要とその後の減少の実態ということで、既にこれはもう総務庁より発表されている数字をもとに分析を加えてみたものでございます。九七年の一月-三月期の駆け込み需要と消費税が導入された後の九七年四-六月期の家計消費減、これを比べてみたんです。それを
収入によって第一分位と第五分位にちょっと分けてみたんです。
そうすると、駆け込み需要とその反動減、予想を超えた反動減が起こったということをよく
経済白書でも言っていらっしゃいますけれども、この予想を超える駆け込み需要というのは、実は第五分位、非常に
収入の高い人たち、年収九百九十九万円以上という
収入の高い人たちががばっと駆け込みで需要をしたと。その反動減はじゃどれぐらい起こったかというと、わずかマイナス二・六なんです。
それで、うんと
収入の低い人たち、四百万以下の第一分位の人たちというのは、駆け込もうにも駆け込む資力がないということで、わずかです。そして、むしろどうんと落ち込んでいるんです。消費減の方がマイナス六・二%ということで大きいですね。
反動と言うなら、この駆け込み需要に対する反動、これを見なきゃいけないと思います。
収入の低い人たちは、むしろ駆け込みの反動減というよりも、もともと消費税が導入されたことによる直撃減といいましょうか、そういう影響がここに出ているわけでございます。
ですから、私は、とりわけ
堺屋長官が九兆円が非常に失政だ、消費税の増税も失政だというふうに率直に言っていらっしゃることについて、さらに検討を加える、こういうふうに私たちは言えるんじゃないか。決して反動減があったからということではなくて、まさに消費税増税五%が国民の、特に庶民の懐を直撃したんだ、そして今、消費の減が起こっているんだというふうに思います。
ですから、それだからこそ消費・購買力を上げるためには、消費税をもとの三%に戻すことや、医療保険の負担増をせめて九月一日時点に戻すということ、それがどうしても不可欠だというふうに思いますし、もしそのことを実行すれば非常に衝撃的な波及効果が起こるだろうというふうに考えるわけですけれども、
堺屋長官はごあいさつの中で、私、率直にそういう点が触れられるのかなと期待をしていたんですけれども、消費税という言葉すらないんです。長官のごあいさつや
与謝野大臣のごあいさつの中にも消費税という言葉すらありません。
消費税の影響についても全く触れられていないというのはなぜなんでしょうか。その点をお伺いいたします。