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山本正和君
総理以下、大変御苦労さまでございます。後ほど
総理以下には御質問したいと
思います。
きょうは
発議者の
皆さんにはどちらかといったら要望という形でとどめておきたいと
思いますが、いずれにしても長い間本当に大変な、夜を徹しての御苦労を心から感謝いたします。御苦労さまでございました。
ただ、率直に申し上げますが、この
法案ができた、そして一番大きな
自民党、民主党以下の各党の協議の中でこれがまとまった。私は、その政党政治と我が
日本の国が憲法で二院制を定めているということの中で、実は自己矛盾を感じておるんです。そのことも少し
発議者の
皆さんにも申し上げておきたいと思うのであります。
というのは、国会というのは冒頭に両院の議を経て会期が決まります。したがって、重要
法案についてはそれぞれお互いの院の
審議を尊重しなきゃいけないと私は思うのであります。しかし、会期が明七日で終わるという本日、初めてこの案件が
審議されている。果たしてこのようなことでいかがなものかということを私は
思います。
そして、特にこれは与党側の
皆さんに申し上げておきたいのは、与党は
衆議院では過半数以上の議席を
国民から得ているわけです。したがって、与党としての
責任があるならば、これは正しいと思って出した
法案ならばそのことをきちんとただして、そして
衆議院としての議決は終わるべきだろうと私は思うんです。しかし、
参議院でこうだからということでもって御苦労を願うことの御苦労はわかりますけれ
ども、本来そういうことをしておったら
参議院は要らなくなるんじゃないか。大体二週間ぐらい向こうで議論したら、こちらも二週間というぐらいの余裕を持って送っていただくべきだろうと私は
思います。
また、
参議院は
衆議院と違いまして任期六年の
議員であります。それぞれ自分の専門について勉強もしている、
金融についても
経済についてもかなり勉強している者も多いわけでありますから、例えばこの種の非常に
経済にかかわる難しい問題、もう少し
参議院に議論の場を移してもよかったんじゃないだろうか、こういう気がしてなりません。
私も政党人でありますから、政党政治というものの重要性はわかりますけれ
ども、やっぱり今後はこういうことはお互いに
考えるべきじゃないだろうか。特に、今度は衆法ですから、
議員の
皆さんが
提案してここに持ってきておるわけですから、そのことも含めて冒頭に私の感想を申し上げておきたいと
思います。
それから二つ目に申し上げておきたいのは、本日の朝来ずっとテレビが入った
委員会でございます。そして、
国民の
皆さんはやっぱり
審議を見守っておられると思うのであります。その中で、専門家の議論でやる場も当然必要でありますけれ
ども、いかに
国民の
皆さんにわかりやすくみんなで議論しなきゃいけないかというのは国会
議員の義務だろう、説明をする義務がある、これが国会
議員の
立場だろうと
思いますので、そういう
意味で私は
総理以下に申し上げますけれ
ども、ひとつこれから
国民にわかりやすい形での討論を、御意見をぜひいただきたいと思っております。
今度の
法案について少し申し上げておきたいのであります。
一つは、この
法案の仮に可決成立によって
国民の間に
金融問題についての安心が生まれるだろうか、私は決して生まれないと思うのであります。いろんな不安を宿しながらこの
法案の決着を見ることになるんじゃないか、このことを私は大変心配しております。
そして、私も七十歳、余り年齢のことを言ったらいけないんですけれ
ども、いろんな連中をよく知っております。商売をやっているのもおる、全国の業界の副会長をしておる者もおる、いろいろおります、仲間の中には。いろんな話を聞くんです。そうすると、その中で出るのは、今の
日本経済で一番困るのは何かといったら、新しいベンチャーに
お金を貸そうという人がおらぬ。このベンチャーの育成ということを通産大臣は前から盛んに言っておられる。また一
総理以下内閣の
皆さんもそのことの重要性を恐らく思っておられるだろうと思うんです。しかし、今のような
日本の
経済で新しい企業を起こそうとしたときに金を貸してくれるだろうかという懸念は、これは絶対にもう今のままではだめだと私は思うんです。
そしてもう
一つ言いますと、私もいろいろ苦しい話を聞くんですけれ
ども、例えばタクシー会社がある。タクシーは今非常に苦しいんです。そのタクシー会社が資金の回転をするのにどうしても銀行から金を借りなきゃいけない。しかし、待てよと。今盛んに国会で議論している中で、うちの銀行は銀行が貸し付けている中でのどの分類に入るんだろうか、おまえさんのところは赤字だから第Ⅱ分類だよと言われたら、運転資金に困ってしまって倒産してしまうと。ホテルというのはこれはもう大変な設備投資して次から次に設備更新をしていかなければホテル業界の競争に勝ち残れない。旅館でもそうですね。銀行から金を借りなきゃいけないんです。
そうすると、例えば本年度の決算が赤字だった、第Ⅱ分類にしますよと言われたらどうなるんだろうか。しかも、もしもこれを公表されて、私の会社が第Ⅱ分類ということでどこそこの銀行に出されたらうちは一遍に信用を失って仕事ができなくなりますよと、これ実感で言うんです。
国会で盛んに議論をしていただいているのはよくわかりますけれ
ども、企業があって、そして一生懸命働いて、そこに働く人もおって税金を納めて国家の運営ができている、だから何とか仕事ができるようにしてほしい、こういう話を私のところへ来てよく言うわけであります。
私は、
発議者の
皆さんに大変御苦労を匿いながらできた
法案でありますし、我が党も我が党の主張を
衆議院段階でいろいろ入れていただいたようでもあります。したがって、当面乗り切るためには一日も早く問題を
解決しなきゃいけませんから賛成の
立場をとっておりますけれ
ども、私自身はこのままじゃいかぬと思っている。ちゃんと直さなきゃいけない、こう思っております。
特に申し上げておきたいのは、少なくともこの
法案の問題をめぐる議論の中で貸し渋りがふえる印象を与えるような議論は何としても避けていただきたい。一番心配なのはそこなんです。
そしてもう
一つ申し上げたいのは、あの
法案の中で、私は
衆議院の諸君に言ったんです、何だおまえはこれを聞いてと。十三兆円のあの
部分を廃止すると書いてある。廃止した後どうなるか何にも書いていないんですね。そうして聞いたら、早急に新しいものをつくって今国会中に成立させますと言うものだから、それなら仕方ないなと、こういうことで私も黙ったんです。
だから、いずれにしても
経済というものは動いているんですから、動いている中でみんなが
日本の国の
政府を信頼してやっているんですから、そういう多くの一生懸命働いている、
経営して苦しんでいる
皆さんの気持ちを大事にしながら、国会というものの運営、あるいは
法律の
審議あるいは
提案というものをしなきゃいけないんじゃないか、こういうことを
思います。これからまた
発議者の
皆さんも恐らく新しい
スキームについて、
破綻前の問題ですか、その
スキームについての議論をされると
思いますから、その辺はひとつ十分慎重に配慮されながら、何があっても大丈夫ですよ、本当にしっかり頑張っている会社、企業、そこで働く人たち、安心してくださいよということを言いながら議論をしていただかなければということが気になってなりません。
銀行は確かにいろいろ問題がありました。そこで、私がもう少し申し上げておきたいのは、本来からいえば長期信用銀行や拓殖銀行なんというのはあんなになるはずはないんですね。長期信用銀行が設立されたおかげで今日の
日本の
経済を発展させて大変な貢献をしている、これはもう大蔵大臣が一番御承知であります。設立当初の
目的は何であったか、どういう役割を果たしたか、大蔵大臣が一番御存じであります。あるいは北海道拓殖銀行でもそうであります。北海道の開発のためどれだけ重要な役割を果たしてきたか、大変な役割を果たした。その二つの銀行がつぶれてしまった。大変なことであります。
しかし、私が思うのにこれは政治の
責任だろう。国策として
日本の国のあるべき姿はこうですよということを提示し得なかったところに問題があるような気がしてなりません。これは後ほど申し上げます。
その前に、ぜひこれはひとつ
発議者の
皆さんにちょっと念のためにお伺いしておきたいと
思います。質問をしないと言ったんですけれ
ども、ちょっと
一つだけ。
それは、今度の
法案の中での
一つのポイントは
再生委員会ですね。その
再生委員会、ちょっと申し上げますが、
衆議院ではどうか知りませんけれ
ども、
参議院では答弁席では一切不規則発言をしたらいけないことになっておりますので、質問中につい、よっしゃとかオーケーとか言わないでくださいね。黙ってうなずく程度にしてください。
再生委員会というのは三条
委員会だ。どちらかといったら
政府から独立した要素が強い。ところが、今のこの
金融あるいは
日本の
経済ばかりでなく国際
経済は随分動いていますから、そこで何が起こるかわからない。いろんな問題が出ます。三条
委員会の
委員の
皆さんがいろいろ議論される。その束ねが国務大臣だと、こうなっているわけです。その国務大臣に本当に強力なリーダーシップを持つ方がおられるかおられないかは大変なことになると私は思うんです。
これは
発議者にも、それから
総理にもお伺いしておきたいんですけれ
ども、これだけ大きなまさに
日本の
金融が国際的な
状況になっている中では、
再生委員会の
委員長になる国務大臣は、少なくとも
総理が一番大事な、よっしゃ、もう任せたと、おまえさんが言うなら、よし、おれがやってやるというぐらいの、副
総理ぐらいの人がなってもらわぬといかぬ、副
総理格で位置づけてもらわなきゃいけないと思うし、その人選はまさに
日本政府として国際社会に対して
責任を持って、この人を大臣にしましたよということを言える人を選ぶべきだというふうに私は思うんですけれ
ども、まずこれについて
発議者の方は、
再生委員会の
委員長についてはどういうふうなお
考えで大臣というふうにされたのか。そしてまた、このことについてだけは
総理の御所見をお聞きしておきたいと
思います。