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1998-10-06 第143回国会 参議院 金融問題及び経済活性化に関する特別委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十年十月六日(火曜日)    午前九時三十分開会     ―――――――――――――    委員異動  十月五日     辞任         補欠選任      浅尾慶一郎君     柳田  稔君      角田 義一君     内藤 正光君  十月六日     辞任         補欠選任      柳田  稔君     浅尾慶一郎君      池田 幹幸君     橋本  敦君      村沢  牧君     大渕 絹子君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         坂野 重信君     理 事                 石川  弘君                 岩井 國臣君                 岡  利定君                 塩崎 恭久君                 江田 五月君                 齋藤  勁君                 森本 晃司君                 笠井  亮君                 山本 正和君     委 員                 岩城 光英君                 加納 時男君                 景山俊太郎君                 金田 勝年君                 木村  仁君                 佐々木知子君                 田中 直紀君                 林  芳正君                 日出 英輔君                 平田 耕一君                 松谷蒼一郎君                 三浦 一水君                 溝手 顕正君                 山本 一太君                 浅尾慶一郎君                 小川 敏夫君                 木俣 佳丈君                 小宮山洋子君                 内藤 正光君                 直嶋 正行君                 峰崎 直樹君                 簗瀬  進君                 柳田  稔君                 海野 義孝君                 浜田卓二郎君                 益田 洋介君                 池田 幹幸君                 緒方 靖夫君                 小池  晃君                 橋本  敦君                 大渕 絹子君                 三重野栄子君                 入澤  肇君                 渡辺 秀央君                 佐藤 道夫君                 水野 誠一君                 菅川 健二君        発  議  者  笠井  亮君    委員以外の議員        発  議  者  筆坂 秀世君    衆議院議員        発  議  者  保岡 興治君        発  議  者  杉浦 正健君        発  議  者  山本 幸三君        発  議  者  石原 伸晃君        発  議  者  池田 元久君        発  議  者  枝野 幸男君        発  議  者  石井 啓一君        発  議  者  西川 知雄君        発  議  者  鈴木 淑夫君        修正案提出者   保岡 興治君        修正案提出者   杉浦 正健君        修正案提出者   山本 幸三君        修正案提出者   北村 哲男君        修正案提出者   鈴木 淑夫君        修正案提出者   津島 雄二君        修正案提出者   石原 伸晃君        修正案提出者   池田 元久君        修正案提出者   枝野 幸男君        修正案提出者   石井 啓一君        修正案提出者   西川 知雄君    国務大臣        内閣総理大臣   小渕 恵三君        法 務 大 臣  中村正三郎君        大 蔵 大 臣  宮澤 喜一君        通商産業大臣   与謝野 馨君        労 働 大 臣  甘利  明君        国 務 大 臣        (内閣官房長官) 野中 広務君        国 務 大 臣        (経済企画庁長        官)       堺屋 太一君        国 務 大 臣        (国土庁長官)  柳沢 伯夫君    政府委員        総務庁行政監察        局長       東田 親司君        経済企画庁調整        局長       河出 英治君        経済企画庁総合        計画局長     中名生 隆君        経済企画庁調査        局長       新保 生二君        国土庁土地局長  生田 長人君        金融監督庁長官  日野 正晴君        金融監督庁検査        部長       五味 廣文君        金融監督庁監督        部長       乾  文男君        法務省民事局長  細川  清君        外務省経済局長  大島正太郎君        大蔵大臣官房長  溝口善兵衛君        大蔵大臣官房総        務審議官     武藤 敏郎君        大蔵省主税局長  尾原 榮夫君        大蔵省金融企画        局長       伏屋 和彦君        国税庁次長    大武健一郎君        通商産業大臣官        房審議官     岡本  巖君        資源エネルギー        庁長官      稲川 泰弘君        中小企業庁長官  鴇田 勝彦君        建設大臣官房総        務審議官     小川 忠男君        建設省都市局長  山本 正堯君        自治省行政局選        挙部長      牧之内隆久君    事務局側        常任委員会専門        員        小林 正二君    参考人        預金保険機構理        事長       松田  昇君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○債権管理回収業に関する特別措置法案衆議院  提出) ○金融機関等が有する根抵当権により担保される  債権譲渡円滑化のための臨時措置に関する  法律案衆議院提出) ○競売手続円滑化等を図るための関係法律の整  備に関する法律案衆議院提出) ○特定競売手続における現況調査及び評価等の特  例に関する臨時措置法案衆議院提出) ○金融機能再生のための緊急措置に関する法律  案(衆議院提出) ○金融再生委員会設置法案衆議院提出) ○預金保険法の一部を改正する法律案衆議院提  出) ○金融再生委員会設置法施行に伴う関係法律の  整備に関する法律案衆議院提出) ○金融機能正常化に関する特別措置法案筆坂  秀世君外一名発議) ○預金保険法の一部を改正する法律案筆坂秀世  君外一名発議) ○金融監督委員会設置法案筆坂秀世君外一名発  議) ○金融機能安定化のための緊急措置に関する法  律を廃止する法律案筆坂秀世君外一名発議)     ―――――――――――――
  2. 坂野重信

    委員長坂野重信君) ただいまから金融問題及び経済活性化に関する特別委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、村沢牧君が委員辞任され、その補欠として大渕絹子君が選任されました。     ―――――――――――――
  3. 坂野重信

    委員長坂野重信君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  債権管理回収業に関する特別措置法案外十一案の審査のため、本日の委員会預金保険機構理事長松田昇君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 坂野重信

    委員長坂野重信君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ―――――――――――――
  5. 坂野重信

    委員長坂野重信君) 債権管理回収業に関する特別措置法案金融機関等が有する根底当権により担保される債権譲渡円滑化のための臨時措置に関する法律案競売手続円滑化等を図るための関係法律整備に関する法律案特定競売手続における現況調査及び評価等の特例に関する臨時措置法案金融機能再生のための緊急措置に関する法律案金融再生委員会設置法案預金保険法の一部を改正する法律案及び金融再生委員会設置法施行に伴う関係法律整備に関する法律案、いずれも衆議院提出金融機能正常化に関する特別措置法案預金保険法の一部を改正する法律案金融監督委員会設置法案及び金融機能安定化のための緊急措置に関する法律を廃止する法律案、いずれも筆坂秀世君外一名発議、以上十二案を一括して議題といたします。  十二案につきましては既に趣旨説明を聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 石川弘

    石川弘君 自由民主党の石川でございます。  ただいま提案になりました法案、その周辺の問題について、発議者総理初め関係大臣に御質問をいたします。  衆議院皆さん方は余りお気づきじゃないと思うんですが、特別委員会ということで衆参同じ名前のようにお思いの方がいらっしゃると思うんですが、実はこの特別委員会衆参名前が違っております。衆議院は「金融安定化に関する特別委員会」でございます。当委員会は「金融問題及び経済活性化に関する特別委員会」でございます。若干思いが込められているということを御承知願いたいんです。  「金融問題」と書いたのは、どうやらあのトータルプラン以来、事柄の本質は金融問題なんだけれども、その周辺にある法制上の諸手続なんかも一緒にやらなきゃいかぬ、例えば権利調整問題とか、そういうようなこともあって金融問題という比較的ふわっとした言い方をしている。  もう一つは、「経済活性化に関する」ということが入っておりますのは、この現状、経済の大変な不況の中で金融問題の解決がこれを解決するための一番大事な問題点であることは皆さんほぼ合意していただけるんだけれども金融問題の解決にいろんな論議をしたその結果が真に経済活性化につながらないということになりますと、これは大変事柄として残念なことだと思っているわけです。  私、別に株の値段で世の中が全部説明できるというほど単純だと思っておりませんが、大変皮肉なことに、衆議院与野党合意をして関係法案が通過するというようなことが予測された時点、三十日前後のあのころ、実はバブル崩壊後の最安値というのが出てまいっております。次の日の一日はたしか店頭株の方の平均も最安値に、皮肉なことに、きのう一生懸命本会議をやり、いざこの審議に入ろうとしたときに、これまた一万三千円割れという、十三年ぶりというような水準だとか、そういうことが出ていることが非常に実は残念なわけです。  それと、これはけさNHKテレビでどうも放映したようですけれども、この法案をどう評価するかという問いに対しまして、修正案が成立することで日本金融システム安定化が今後どの程度実現されるかという問いに対して、十分できる、あるいはある程度できるというのを合わせまして三八%、余りできない、全くできないが六〇%というような、どうも私どもが思った以上にこの法案全体の見方自身に非常に厳しい話が来ている中で審議を開始するわけです。  私は、この法案内容のよしあしという問題もさることながら、残念ながら私どもが今審査をしております法案は、私どもの今までのいろんな検討の経緯の中で、何か大事な部分を置き忘れてきたとはあえて申しませんが、部分品が外れた状態で実は審議をせざるを得ない。私は、その審議をすること、この非常に短い会期の中で何とか仕上げなきゃならぬということでございますから一つ一つあげつらって言う気持ちはありませんけれども、今から考えてみますと、昨年の春以来、例のトータルプランというようなことを一生懸命勉強しておりましたプロセスではいろんな装置ができてきておったわけですね。  金融安定化のための二法案の話もありました。いろんな法案もあったんですが、その中で、やはり不良債権を現実問題として、単に帳簿の上に引当金を載せるというんじゃだめなんだ、それをちゃんと処理して動く形にしながらやらなきゃいかぬということから問題は発して、しかし、それを実行していこうとすれば必ずそこにいわば大きな、善良な借り手とよく言っておりましたけれども、そういう金融機関から金を借りている人の立場から見て非常にきつい結果が出てくるんではないかというようなことからあのトータルプラン検討が始まり、その他の周辺検討も始まったと思っているわけです。  その結果として、政府提案された法案と、それからその後野党皆さん方が英知を集めてつくられた法案が合体して審議されて、そして私どもの方に今来ておりますのは、その種の法案とある種のものが欠けているということ、例えば、例の不動産権利調整委員会法律は実はまだ私ども審議の対象になっておりません。もう一つは、今度の法律の中で、今盛んに言っております早期安定化のための資本の注入のような、よく十三兆というような金額で言いますけれども、そうじゃなくて、仕掛けとしてそういう世に言う破綻前という言い方なのか、それとも、破綻よりまだまだ前の段階でも資本全体が大変乏しくなって、そのことで貸し渋りに回るとか、いろんなことが起こる。そのための部分については、私どもが今いただいている案は、その部分が欠落するという言い方がいいのかどうかわかりませんが、そういう状態で来ている。このことが、先ほど言いましたこの法案に対する国民皆さん方の期待が大変、ある意味じゃ問題意識があるような回答が出ているんじゃないかと思っています。  発議者に伺いたいんですが、この欠落部分ということについてどのようにお考えなのか。新聞では何かあしたにも別のが出てくるとかいろいろ書いてありますけれども、その部分についていかがお考えになるのか。  余り時間がありませんからもう一つついでに言いますと、権利調整部分についての法案参議院の方に来ていない。逆に言いますと衆議院でも可決されていないという状態についてはどのようにお考えなのか、発議者にお伺いしたいと思います。
  7. 枝野幸男

    衆議院議員枝野幸男君) お答えをさせていただきます。  御指摘ございましたとおり、今回参議院で御審議をいただいております私ども提出いたしました法案、これは破綻状態になった金融機関あるいは破綻状態に限りなく近づいたような金融機関、それを放置いたしますと日本金融システム、そして経済全体に大変大きなマイナスの影響を与える、そうした危機を回避するために万が一の場合にはこういった形で混乱なく金融機関の整理、清算をすることができるというスキームをつくるという部分が基本でございます。  そうした意味で、今回できるだけ早くこの法案参議院でも御可決をいただきまして、万が一の場合でも混乱は生じませんという安心感国民皆さん、マーケットに持っていただくことがまずは喫緊の最重要の話であるというふうに思っております。  その上で、日本金融機関全体の体力が落ちている、不良債権処理が進んでいないというような指摘政府からも出ている中で、それに対する対応を早急に進めていくことも私どもに課せられた重要な責務であるというふうに考えております。しかしながら、現在の金融全体の体力をどうやって回復させていくかということの問題につきましては、これまたさまざまな議論のあるところでございます。  私ども提案の、野党側原案提出者考え方といたしましては、ことしの三月にいわゆる公的資金が一兆八千億使われました。このいわゆる安定化法スキームは、不良債権実態を隠し、不良債権抜本処理を先送りしたままで公的資金を導入したものでございまして、こうした形では結果として、この三月に注入いたしました優先株、劣後債などの価値が大幅に評価損が生じているということからも明らかなように、ある意味ではむだ金と言っても過言ではないような状態にしかならないし、金融の抜本的な改革にはならないというふうに思っております。  さらに言えば、公的資金を入れなければならないほど経営を悪化させた役員あるいは株主責任を問わずにお金を使うということは、モラルハザードを助長するだけでありまして、かえって金融全体の抜本的な体力を失わせることになるというふうに考えております。そうした視点から、私ども法案ではこの安定化法の廃止というものを同時にセットさせていただいております。  その上で、現在の金融状況をかんがみるならば何らかの対応が必要でありますが、その場合には、ここまで金融状況を落ち込ませてしまっている最大の原因であります不良債権、この不良債権実態を透明にしっかりと明らかにしていくこと、金融機関の現実の実質的な体力をしっかりと透明にしていくこと、その上で、これだけ落ち込んでいるのだから、だから例えば政治、行政の力でそれをバックアップしなければならないという話が初めて出てくるものでありますし、またそういった事実を明らかにすることでこれまでの経営の過ちなどが明らかになり、再生をさせていく方向での経営あり方の改善、経営者刷新等ということにつながっていくのだというふうに考えております。  残念ながらまだ国会に出ておりませんが、与野党間で、与党から提示をされております現在の早期健全化スキームと言われている部分につきましては、この経営実態経営体力のしっかりとした公開、あるいはそういった状況に追い込んでしまった経営者株主等責任の所在などについて明確さが欠けておりまして、こうした中で税金を使わせていただくということはもちろん納税者の見地から到底許容されるものではございませんし、また、そのお金を使ったからといっても、ことしの三月に使われたお金と同じように、金融機関体力をつけるどころか、むしろその本質的な部分を弱めてしまうというふうに私ども考えております。  なお、権利関係調整については北村議員の方からお答えをさせていただきます。
  8. 北村哲男

    衆議院議員北村哲男君) 今回の金融特別委員会提出された法案金融六法と言われまして、一つはいわゆる今問題になっている法律、それから先生が御指摘になった不動産権利に関する法律、それからあとは自民党の方から議員立法として出されたいわゆるサービサー法競売に関する三法というのがありました。私どもは、その五法のうち、権利関係に関する法律についてははっきり言って反対しております。そのほかについては、サービサー法については抜本修正を加えた上賛成してこちらに来ておると思うんです。  なぜ権利関係調整に関する法律を反対しているのか、また反対したからといって、衆議院自民党さんが多数ですから、通そうと思えばこちらに当然来ているんですが、何かどういうわけかお通しになっておらないわけです。  私どもは、先生の御認識と同じで、現下不動産処理についてこういう形の調停が必要なことは当然同じ認識でありますけれども、何も新しいものを行政の中につくらなくても、全国にある簡易裁判所そして地方裁判所でその組織を既に持っておって、しかも千人をはるかに超えるスタッフを抱えておる調停制度、そして何十年という実績を持っている裁判所調停制度をもってすればこれは足りるのではないかというふうに考えておるわけでございます。  それで、簡単に申しますと、政府案につきましてはあくまで合意に基づいて成立するという調停でありますけれども合意に基づくのであればこれは今の裁判制度と同じでありまして、これに強力な行政権限でもって仲裁制度あるいは強制仲裁とか、あるいは裁定とかというふうにあればまた別の考えなんですけれども合意に基づく以上は裁判所制度と変わらないと思っております。  また、債務内容変更とか担保関係変更その他の利害関係調整が必要なものとか、あるいは特定債務者の事業の再建を通じてその債務弁済可能性を高めるために行うという目的におきましても、このいずれの目的も今の裁判制度十分機能を果たせるものだと思っております。  そして、問題なのは、裁判所調停制度裁判判決と同じ効力を持っている既判力を持つことができるんですが、この政府案については既判力はない、むしろ弱まっているような感じがあります。  そういう問題がありまして、裁判所制度でいいんじゃないかと思うんですが、ただ一つ、この政府案については、調停の結果についてはいわゆる税制上の措置が、すなわち経済的利益損金算入債務免除益累積欠損金との相殺ということを法律上当然に認めておるということがあります。これは確かに裁判所制度ではだめなんです。  そういうことが大きな主な目的だと思うんですけれども、私どもは、税の無税償却に関しては恣意的要素が入るのではないか、一方的な、ある特定の企業に対して恣意的にやられるんじゃないかということの可能性があるので、はっきり言って余り賛成しないんです。しかも、この無税償却あるいは累積の問題については、既にことしの六月から適用というか施行をされております大蔵通達の九-四-一という全く同じものがありまして、それを法律化したわけです。そうであれば、裁判所調停でもそういうものを原則適用することによって可能ではないかというふうに考えております。  そういうわけで、現下不動産関係不良債権処理というのは喫緊の問題であるという認識先生と全く同じでありますけれども、既にある制度を強化活用することによって足りるというのが私ども立場でございます。
  9. 石川弘

    石川弘君 ただいまの前半分のお話に戻ってお聞きをしたいと思います。  提案理由説明の中に、一兆八千億という巨額のお金をかけて打った高価な栄養剤は全く効き目がなかった云々というのがあります。多分このことをおっしゃっているんだと思うんです。  そこで、今の状態をどのようにお考えかということなんですが、実はずっと長いプロセスで、どんな時点でどんな株価でどんな地価でどんな失業率でというのをずっとトレースしてまいりました。一々申し上げますと時間がありませんが、どんどん世に言う悪化の状態が続き、ついに昨日の一万三千円割れというような形の中で、どこか何か銀行が今までそういうことをしたんだから自分で頑張って始末をつけろというような論法、そういうことも一つの事実かもしれません。しかし、そういうことが経済の動きというものをとめようとしている。世に言うある種のデフレスパイラルといったようなところに向かってきている。  けさ新聞をちょっと見ましたところ、高名な経済学先生が、もうそういう段階に明らかに来ていて、個別金融機関のいわゆる経営あり方の問題を超えているんじゃないかというお話が出ています。  私どもは、そういうふわっとした話の中でみんなをつきまぜてはっきりしないなんというような意味で言っているんではなくて、世の中のいろんな経済運営の中で、特にこの間の日銀短観なんかを見ますと、今まではいい業種、悪い業種とか、あるいは業種の中でもいいもの、悪いものというようなことが言える状態だったんですが、現状はもうのべつ、べたにといいますか業種を問わず、企業の努力を問わずマイナスの数値がどんどん出てきている。こういう事態をどう見るかというところにやっぱり論点があるんではないかと思うんです。  私は、何か今までずるずる延ばしていたとか、あるいはそういうものを個別経営の中で努力しなかったのが悪いんだという論法を別に否定するつもりはありませんが、そういう個別案件の話の中で、このように日々いわばスパイラル状に悪い方へ向かっているというのをどこかで歯どめをかけませんと、それは恐るべき状態になるんではないか。しかもそれは、御承知のように、私は国際的にどうこう言われたからどうこうしろなんという気はありませんが、経済は今やグローバル化しておりますから、国際的な物の見方がそういう形になりますと、例えば日本に対する投資というものが引き揚げられればそういう条件はますますきつく出てくるわけです。  そういう全体の姿というものもやはり視野に入れませんと、世に言う、こういう状態になったのは金融機関がもっとしっかりしていないからだというような話だけで済むような状態を超えているんではないかと思いますが、このような考え方についてどうお考えでしょうか。
  10. 枝野幸男

    衆議院議員枝野幸男君) お答えさせていただきます。  御指摘のような経済状況認識そのものについては私ども全く同感であります。大変な状況の中にありまして、この金融のシステムを健全化させて信用を回復させなければいけないという強い思いを持っております。  ただ、ここで問われなければならないのは、今、日本金融が、例えば株が大きく下がっている、あるいは一部では、特に国際的なマーケットの中でなかなか資金がとれない、そういった状況経営がどんどん悪化をしている、そして貸し渋りが進んでいるということを言われているわけでありますが、なぜ株が下がり、あるいは資金がなかなかとれなくなっているのかといえば、それは一言で言えば、金融機関に対する信用が落ちているということにほかなりません。  なぜ信用が落ちているのかといえば、その経営実態についてマーケットなどが正確な情報を知り得ない。隠していて、ごまかしていて、実は公表されている数字よりもっともっと例えば不良債権が多いのではないか、もっと経営実態が悪いのではないかというような不信感がどんどん雪だるま式に大きくなっていきまして、したがって、株を持っている人たちもどんどん売りに回るし、あるいはマーケットでそういった金融機関お金を貸そうという人もなかなか貸し渋る。当然のことながら、その銀行は民間に対しても貸し渋りを生ぜざるを得ない、こういう状況になっているわけであります。  そういたしますと、そこを改善するために何が一番必要かといえば、当該金融機関の信用を回復させることであります。どうずれば信用が回復するのかといえば、その経営実態をきちんとマーケットに対して公表する、しっかりと査定をした上で公表する。いろいろと御心配をかけていますけれども不良債権をしっかりと引き当てて、最悪の事態が生じてもこれぐらいの自己資本は残るんですよ、あるいは今株が大変下がっていますからその株の評価損はいろいろありますけれども、それを全部見積もってもこれぐらいなんですよという数字をしっかりとマーケットから信用してもらえる形で公表していくということがまず第一になければ。  例えば、そういったものをうやむやにした形で税金を使って仮に自己資本比率を名目上さらに高めたとしても、この三月の段階で、国内の十九行と言われている銀行、長銀なども含めて、八%を大幅に超える自己資本比率という名目でございました。本来であれば、八%を超えている名目の自己資本比率があれば、マーケットからもお金もとれますし、株も下がるということは本来あり得ないわけですが、それが真実ではないだろうとみんな思っているから、そこに少しばかりのお金を入れても反応しないというようなマーケットの反応になっているんだと思います。  したがいまして、国民皆さんの貴重な税金を仮に使うようなことがあるとすれば、そういった不信感を一掃するということを片方でやった上で、そして、例えば自己資本比率が非常に低くて、本来は立ち直る力を持っているのに一時的にもたなくなるということがあれば、そこで一時的に税金をお借りしてということが初めて生じてくるのでありまして、きちんとした査定そして公表というものは今の状況を立ち直らせるために不可欠の条件であるというふうに思っております。
  11. 石川弘

    石川弘君 きのうの本会議、それから今の御議論を聞いておりますと、やっぱり若干私たちの気持ちとずれがあるんじゃないかなと思っているわけです。  といいますのは、例えば皆さん方の、この間の本会議の中で八%超えの優良行というような御発言がありました。今は八%だって中身がどうなっているかわからぬというようなお話もあるわけで、問題はそのパーセンテージのところが何か絶対な基準のように今論議をされておりますけれども皆さん方御承知のように原価法、低価法の話でも、あの採用の仕方いかんによってはうんと計算方法が変わる。例えば、今平均株価で百円下がれば二千五百億ぐらいの自己資本が動くことになるわけです。それに関連して言えば、三兆ぐらいの資金枠がこうなるわけです。  ですから、私の今申し上げたいことは、金融機関の健全性の話をしながらその背後にありますのは、今度のこの議論というのは、貸し渋りとかそういう格好で結果として金を借りて活動をしている、よくいい借り手とか悪い借り手とかというような言い方もありますけれども、そういうことじゃなしに、まさしくそういう資金を使って経済を動かしている皆さん方にそのしわをどうして寄せないようにしていけるか。先ほどの一兆八千億の話のときは、そういうのにきかなかったじゃないかという御趣旨だと思うんです。  だから、どうやってきかせようかという考え方であれば、それはお話し合いができるように思うんですけれども、こういうやり方じゃもうきかないと言うと、ということは、あの法律の中でそういうシステムを奪ったということは、世の中の目から見てそういう手法を断ったというようにとらえていると思うんです。私は、この手法を断ったということがいろんな意味経済に大きな影響も与えているし、さっきのNHKの調査が、別にこれだけがあれだとは言いませんけれども、そういうことにもなっている。  ですから、申し上げたいことは、特にきのうの本会議での御発言の中で、自民党提案で八%以上まで金をやるのがどうこうというようなお話もありました。私は、この話になったときに、個別行の優劣の話に焦点を置くのか、それともこのことによって融資枠を締めつけるとか、結果論としてそういうことが起こることをどうやって回避するかという考え方で議論の展開に相当な差があるように思うんです。私は、皆さん方の御主張はそれなりの御主張をなさっていることを否定してはいませんけれども、そういうことを続けている中で今のような現状に追い込まれたというのが実情じゃなかろうか。特に、平均的な株の下落のようなことを個別金融機関経営者の才覚の問題だけでは説明できません。ですから、そういうことをよくお考えをいただきたいと思っているわけです。  これから先は皆さん方発議者ということでお聞きしたいんだけれども、この問題に関してはまだ発議者というようなお聞きの仕方ができませんけれども、そういう面で私は、先ほど言いました八%超え優良行的な言い方が実はいろんな意味で誤解を招いているんじゃないかと思うので、そういう言い方の中には、何か大して努力もせぬし資本力もちゃんとあるのに公的な資金をつぎ込んでという、そっちの側面が強く出ているんですが、そういうところを通じて現に借りていらっしゃる方が、万一その銀行の信用力が小さくなったらどうやって我が身を守るか。要するに、今のBIS基準だか何だかの中に入り込もうとするかといえば資本を引き揚げる。新しく貸すのを渋るというだけですといいんですけれども、それ以上に既に貸しているものを吸い上げるというような行動に出たら、それこそ縮小型の経済に突入するに違いないんではないかと思っているんです。  そういうことを書きました同じ新聞記事で、きのうかおととい見ました「銀行は自己改革を急げ」というところ、ここは先生方の御主張と同じだと思います。私は金を出すから合理化しろとかなんとかというんじゃなしに、金融業自身、全産業界の中でリストラその他の点についてもっとやるべきだという声は非常に強いわけです。ですから、そういう意味で、この問題と関係なくというとおかしいですが、リストラなり合理化は進めなきゃいかぬわけですが、そういう銀行の自己改革を急ぎながら、「公的資金投入は早急・大規模に」という見出しがついている。  こういう種類の見出しの中には、私はこの見出しがこうだからこのとおりでいいという意味で言うんじゃなくて、要するに物の見方にそういう角度を変えないと、この問題は本当に永遠におまえが悪いからおまえが悪いからと、こう回っているうちにこの循環がとまらなくなるということを心配しているんです。  この問題ばかりやるわけにいきませんけれども、この点についてもう一度お考えを伺いたい。
  12. 枝野幸男

    衆議院議員枝野幸男君) 若干誤解があるのかどうかちょっとよくわからないんですけれども、例えば八%以上の金融機関公的資金を入れる入れないという議論がございますが、これは八%以上なのかどうかということをどういつだ査定のもとで行うかによって実は根本的に変わってまいります。  確かに現在のように、例えば第五分類に対する引き当てについて非常に緩い基準、貸し倒れの可能性がもっとあるのに、実は低い貸倒引当金しか積んでいないような状況の中で八%自己資本比率があります。現に、九月末の中間決算での速報値では、大手十九行ほとんどすべて八%を超えております、長銀は別といたしまして。こういった資産査定を前提として物を考えるのがいいのか。  それとも、実は八%以上名目今大手行ありながら、現実に貸し渋りが進んでいるし、それから融資の回収が進んでいるという実態がございます。これはなぜ進んでいるのかといえば、名目上は八%以上はありますが、実は例えば現在の景気の状況をかんがみて、貸出先が倒産などをして貸したお金が返ってこない可能性が現在引き当てているその数字以上に見込まれるというような可能性があることから、現在は名目上八%以上あっても、貸し渋りあるいは資金の引き揚げというような形に走っているのであります。  これは本来しっかりとした資産査定をやれば、つまり近い将来の見込みとして回収不能になる可能性というものをきちんと厳格に見積もれば、実は八%を切ってしまうというような実態があるからこそ、BIS基準の八%を超えなければならない金融機関は貸し渋り、資金の回収ということに走っているのであります。  ここで、そういったあいまいな緩い査定基準で、名目は八%を超えているけれども実態は八%以下なので資金の回収に回っているから、だからその分に資金をつけてあげて貸し渋りをとめるようにしましょうというやり方が本当にいいのか。特に納税者、税金を使わせていただく以上、そういった立場から見てそういったあいまいなやり方が本当にいいのか、それともきちんと査定をしていただく、きちんと査定をしていただいた上で八%を超えていれば、逆にここはBIS基準をクリアしているわけでありますから、資金の回収などに走る必要は本来全くないわけであります。  しっかりとした査定をした結果として八%を割るような金融機関が非常に多くなってくる、そしてそれを放置することが日本経済に対してあるいは地域経済に対して多大な影響を与えるような場合については、これは関係者の責任というようなことと同時並行しながら、これは一時的に税金を使わせていただくというようなことも十分に考えられると思っております。  しかし、その前提はやはりしっかりとした査定をして、貸し渋りをしている実態はどういう実態経営状況を前提にしているのかということを知らなければ、例えば幾らお金を入れたら貸し渋りがとまるのかということ自体、査定がいいかげんの中ではどれぐらいお金を入れたら本当に八%をクリアするのかということはわかりません。したがいまして、査定、そして厳格な引き当てというものが前提にあって、もちろんそれと同時に、それが低くなった場合には税金を一時使わせていただくというスキームをセットで用意する、これはばらばらにしてはいけないというふうに私どもは思っております。
  13. 石川弘

    石川弘君 最後におっしゃったばらばらにしてはいけないというのは、この法案とそういうスキームはばらばらにしちやいかぬということなんですか。
  14. 枝野幸男

    衆議院議員枝野幸男君) 私が申し上げましたのは、資産の厳格な査定とそれからいわゆる資本注入というものはばらばらにしてはいけない。この法案とそういった健全化のスキームにつきましては、それはできるだけ一体の方がいいのかもしれません。しかし、最悪の場合にも大混乱は起こしませんというこの法案をまずは動かせるようにしていただくということで、最悪の状態は回避できるという安心感をまず持っていただくということをできるだけ早くやっていただくことが必要だと思っております。
  15. 石川弘

    石川弘君 そういうことでみんなが安心するんなら、なぜ六割の方がこれでうまくいかぬなんて答えるかというのは、私はちょっと疑問なんですよ、本当に。  そういう意味で申し上げるんですが、まず角度を変えて言いますと、要するに査定云々の話は、十九行に対して金融監督庁は厳正な調査を今なさっているわけですね。これも信用できぬと言われれば困りますけれども、表へ出る時期がいっかは別だけれども、そういうことは同時並行的に行われているわけです。  ですから、私どもは何にもそういうことを調べもせずにどうこう言っているんではなくて、そういう体制を整備しながら、しかも今のように、例えばディスクロージャーの問題も、変なうわさを立てられて本当にこれじゃたまらぬと思うとみずから公表なさる企業もあります。そういうような中で、今申し上げたようなこういうスキームがやっぱり一緒についていかないことには、調査も何にもしなくてつかみ金を渡してどうこうしようなんということは一切申し上げていないわけですから、そういう状態の中でもなおかつこの部分だけを通せば安定をするとお考えですか。この部分、今の部分だけを。私は大変それは心配をしているんです。  衆議院通ったときと参議院通ったときというのは、これは違って、参議院を通りますと本当にそこで法律として動き出すわけです。科は、参議院を通った時点で完全にそれが安心し切って、これで皆さん安心してくださいと言えるかどうか、この点を伺います。
  16. 池田元久

    衆議院議員池田元久君) 石川委員は、早期健全化スキームの方を専ら重視されておっしゃっておりますが、この金融再生法案は、まさに今のマネーセンターバンクを中心とする影響の大きな破綻あるいは実質破綻に対処できるスキームでございまして、まずこれを通してセーフティーネットを確立することが何としても必要であると私は思います。  皆様方がつくられたブリッジパンク法案、これは結局のところ国際業務をやっている銀行には適用できないというのが定説になっておりまして、我々がつくった、野党がつくったこの金融再生法案、特に特別公的管理銀行という方式をまず準備することが必要であると私は思いますので、ぜひ御理解をいただきたいと思います。  あと、いろいろ世論調査のこともおっしゃっておりますが、国会は議論の場でございまして、いろいろありました。しかし、一言申し上げるならば、九月の半ばごろに実務者で合意しておりました。しかし、その合意をいつも後退させるような発言等が政府・与党の中から飛び出しまして結局半月ぐらいおくれたというのが、私が実務者としてやってきた感想でございます。
  17. 石川弘

    石川弘君 私は、今の法案のことを言っているんじゃないんです。こういうセットにしていないと問題ではないかと申し上げているんです。しかも、今の法案の方は選択肢を広げたんだから、広げたということはいろんな選択の可能性を持っているんだからいいことなんです。それが悪いと言っているんじゃないんですよ。しかし、今まであったそのシステムを法律の上あるいは論理の上から消すということが多くの方々の心配を招いているんじゃないかと申し上げている。しかも、どういうのにしたらいいというところまでまだ私、実は議論していないんです。
  18. 津島雄二

    衆議院議員(津島雄二君) 日本金融システム再生させ経済活性化を実現するためには、破綻をした金融機関や支払い困難になった金融機関をどのように処理するかというこの法律、これも大切でございますが、そればかりでなくて、不良債権を抱え、資本不足の状態になっている日本の銀行がその本来の目的を達成できるようにすることは緊急の必要性があると思っておりまして、その点では委員の御指摘、全くそのとおりだと思っております。
  19. 石川弘

    石川弘君 いや、同じことばかり言っていたってしょうがないんで、これはやっぱり議論を前進させなきゃいかぬと思うんですよ。  そこで、今から中身へ入るんですが、.要するに、さっき言った優良な銀行とかというような場合に、私はある大学の先生の書いたものの中で、この問題はまさしく預金をしている方々のこと、それから借りていらっしゃる方々のことを中心に考えて、真ん中にいる銀行のことについては、これは皆さん方おっしゃるように、バブルのプロセスの中でいろんなことがあった、それをどの程度きれいに整理できるかとか、あるいは今後の経営をきちっとできるかということを厳しく論議をしていけばいいんですが、預金の保護のところまではすっと来ますね、これ。  大体預金は、預金したものがパアになっちゃいかぬといって十七兆の話がばっと来る。そこから先の話になった途端に銀行の問題というのに問題が集中されて、銀行から金を借りている人の話がどうしても第一義的に出てこなかった。しかし、それは問題が起こらぬうちはよかったんですが、あえて数字をさっきから申し上げないと言ったんですが、例えば失業率を見るとか地価の動向を見るとか株価を見るとか、そういうものの中でそういうものがもろに今度は金を借りて経済を動かしている人たちのところに今向かっているんじゃないか。そういう条件の中で、破綻前というのは本当はおかしいんですね、破綻のおそれのあるところと破綻のところが今度はできましたから。その前に、要するに倒れてからどうこうするとか倒れる寸前にどうこうするんじゃなくて、金融機関がそれなりの経済活動を通じてその役割を果たすような仕事の部分について制度ないし考え方が空白になっているというところに私は問題がある。  それで、諸外国においていろいろ言いますのは、そういうことをある種の常識だと思っている人もいるんだと思うんです。しかし、私は外国が言っているからとは言いませんが、そこについてはこれ以上やっても、大体きのうの本会議のときにそういう感じもしましたけれども、私はやっぱりいろんな考え方が弾力的にあってしかるべきではないかと。私の言っている弾力的は、ごまかしてやあやあやれと言っているんじゃないんです。だからこそ皆さん方金融再生委員会というようなものをつくって現実の経済実態に合わせた行動をしてもらえる機関をつくろうとおっしゃっているわけですね。何か立法の場で二%だ四%だ八%だみたいな話ばかりしていますと、経済実態からだんだん離れていって、そのことが経済を現実に運営なさっている人は、国会はいろんなことを言っているけれども非常に形式的なことを言っているというようなことになりかねぬと思っておるものですから今までの議論を申し上げてきたわけです。  この議論はこの辺で。  それで、総理、大蔵大臣にもお伺いしたい。  要するに、今申し上げたことが私の一番の心配なわけです。  要するに、何はともあれトータルプランをやっている最中にはそういう装置が一応ありまして、今度の改正法案の中で選択肢が逆にふえた。我々は国営ということを余り初めから言いませんでしたけれども、それは中坊さんの例の住専横帯もそうです。初め皆さん方の案の中にも、例えばもっと公的性格の強いものというけれども、中坊さんおっしゃるように、ああいうものはやっぱり動きやすい民間組織がいいといって、今度は全額国の出資だけれども株式会社ですね。だから、そういうこともあって国営という手法じゃなくてブリッジバンク手法みたいな話が出てきたわけです。これが国営の手法と並んでいることは、その二つの選択肢ができたという意味で、対応するいわば武器がふえたわけですね。そういうことはいいことだったわけです。  しかし、今言ったところが欠けていることについて余り大きい認識の差があると、世に言うように、これまた与野党対決型になって通らないんじゃないかというと、また心配が起こるというような、これがきょうの現実じゃないかと思います。けさ新聞では大分そうでないのも出ておりましたけれども。  その点について、総理、大蔵大臣はどのようにお考えか、お願いをしたいと思います。
  20. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) この際、政府としては多弁は慎むべきだと思いますが、提案者のおっしゃいました制度のあるべき姿、それはそのとおりでございましょうけれども、今の我が国の現状、それは世界にも非常な影響を及ぼしておりますので、石川委員の言われましたことは多くの国民が心配をしていらっしゃることだと存じます。
  21. 石川弘

    石川弘君 この問題が、実は私は、参議院でこれを審議して、しかも法案を通すときに一番の心配事なわけです。衆議院の通ったとき、それと参議院が通ったときが、単に院として衆参を通したというんじゃなくて、国会の意思として、この部分が欠落した状態にしておくのかどうかということは、私は本当に多くの方々が心配をなさっているんじゃないかということを思っておりますので、そのことについては、まだ提案者と申し上げるわけにいかぬのだけれども、この種のことにもかかわっていらっしゃる皆さん方にも十分お考えをいただきたいと思っております。  そこで、この問題の中身で、盛んにパーセンテージの問題が出たり、低価法とか原価法とかというのが出ているんですが、それに絡んで私一つ気になっていることを申し上げたいんですが、実は必ずそういう場合に銀行の責任の追及とかいろんなことがついてまいります。そのこと自身を決して否定するものではございませんけれども、どうもこれ、物事を求める側とそれを受ける側では感覚の違いが大変あるわけですね。こういうことをやるんだから厳しくやるぞというのは、求める個としては当然かもしれませんが、そのことが、例えば銀行経営者立場からすると、そういう難しいことを言われるのならと引っ込まれちゃこれは何にもならないわけですね。  それは、強制的にやれというようなことをおっしゃる方もあるし、あくまで申請に基づいてと。あくまで申請に基づいてというと、出てこなきゃじっとするというのはどういうことかといえば、資金を引き揚げるみたいな話になってこれは困るわけです。私は、そういう意味で、政策を求める側とその政策を受け取る側が、やはり本当にこれならよかろうということで一致をしないといかぬと思うんです。  そのためにいろんなことを考えてみておりましたけれども、つい数日前の新聞にもなかなか名案と思われるものがありますね。といいますのは、現状について何か改善しなきゃいかぬことを求めるわけです、リストラであったり経営態度であったり。それを、今それをしていないからおまえ退陣しろというようなやり方もあるのかもしれぬけれども、一定の期間を置いて、むしろ改善目標を定めさせて、それに向かって進めるように誘導するというやり方もあり得るわけです。  新聞に出ておりましたのは、たしかアメリカのシティパンクか何かの話が出ておりましたけれども、こういう条件が整わないからおまえは首だというやり方じゃなくて、こういう改善計画を使って何年までにそれを達成するように努力するからといって努力をさせて、その結果、よければこれは大変結構なこと、悪ければ責任をとってもらいますというようなことが書いてありました。  これは私、具体的にどういうようなことがそれになるか。例えば改善計画的なものを提示させて、それに対して執行者側が責任を持って自分の責任でここまでやり遂げるというようなこともその一つだと思います。これは常時トレースをしていませんといけないわけですね。どこかで約束だけつけさせて後は知らぬというのじゃいけませんから、常時それを監視するような体制がどうしても要る。しかし、それは今の金融監督庁検査その他の形によって私はトレースが可能だと思いますが、そういう点についてはぜひひとつお考えおきいただきたい。これは別にお答えは要りません。  私自身がこういうことだということを申し上げるんじゃなくて、要するに、いろんな責任をとっていただくというような言い方の中に、単に今の時点で過去からの責任を問うという話だけじゃなしに、これからの前向きの行動を誘導するようなこともぜひお考えをいただきたいと思います。
  22. 枝野幸男

    衆議院議員枝野幸男君) 今の御提案についてお答えをさせていただく前に、まず先ほど来、安定化法廃止によって何かすき間ができるような、破綻処理について何もなくなってしまうかのような御指摘をいただいておりますが、そもそもいわゆる破綻前、不健全な金融機関に対しては早期是正措置という制度がありまして、この早期是正措置で早目に不健全な経営状態を改善させるためにかなり強い指導力を発揮できるような仕組みができております。これを従来まで使ってこなかったということをまず第一に考えなければならない。その早期是正措置もさせないでお金だけつぎ込むということは、銀行救済をしようとしているんだという指摘を受けてもやむを得ないのではないかというふうに思っております。  それから、今御指摘がありました銀行経営者等の問題でありますが、確かに政策をつくる側とそれを受け取る側との関係、受け取る側の立場考えながらつくらなければならないという御指摘は一般論としては全く同意見であります。しかし、この場合、受け取る側の立場というのは、金融機関経営者と同時に納税者立場というのも同等以上に考えなければならないということを第一に指摘しなければならないというふうに思っております。  特に、ことしの三月、今回廃止をされます従来の安定化法で一兆八千億の公的資金が使われて、これが株価の低落、長銀に至っては大変な株価の低落によって評価損が大きく出てきている現実がございます。そして、このときにも実は安定化法の中では、例えばリストラをしっかりやらせる等の条件をしっかりつけたはずであります。しかし、現実にそこでつけられた条件の中でも、例えば元頭取が九億円もの退職金を受け取っていた話については何も手つかずであったとか、ようやく今回、長銀などについては、例えば今回の問題が出てきたところで賞与の半額カットなどという話が初めて出てきましたが、実はことしの三月に税金を使ったときにはこういった話は全く出てきておりません。  こうした従来の経緯というものを納税者立場から見たときには、税金を求めざるを得ないような状況経営状態を持っていった金融機関経営者責任等については、全くゼロのところからならばいろんな考え方があるかもしれませんが、従来まさに国民の信頼を裏切ってきたという現実、不十分なことしかやらずに税金を使ってきたという現実を前提に考えるならば、ある程度厳しい内容を設けませんと納税者の方の立場からは到底納得できないというふうに考えております。
  23. 石川弘

    石川弘君 別に論争を挑んでいるわけじゃありませんから。私は率直に言って、本当に国民が安心できるということを、今の仕掛けといいますか今の装置だけでできるとはなかなか思いにくいんです。ですから、そこについてはそういう思いがあることを申し上げておきます。  論点を変えまして、実は、こういうことになりますと余計本当に大事だと思う、世に言う委員会制度、これについて二、三お伺いをいたします。  この金融再生委員会というもの、私は余りこの問題は財政とか金融の分離の話で申し上げるんではなくて、三条委員会というものの今までのいろんな法律的な性格からいいますと、これは皆さん御承知のように、三条委員会というのはどちらかというと政治からも独立するとか、あるいは準司法的機能に近いとか、ある意味じゃ監督官庁からの監督もなるべく受けることを少なくという、そういう機関ですね。だから、かつてたくさんありましたけれども、どんどん整理されまして、残っているのは国家公安委員会だとか、あるいは典型的にはやっぱり公取ですね、公正取引委員会。そういうような機関にぴったりの機構なんです。  そこで、三条機関としての今度の金融再生委員会、これは担当国務大臣を議長というんですか、長にして五人で帯成されるという構成。このことがどちらかといえば、似ているとすれば国家公安委員会に似ているわけですけれども、国家公安委員会の場合でも、要するに会議をリードしてこっちへ持っていくとか、そういう性格ではないんですね、あれは。やっぱり合議制で一つの結論へ持っていく、その中に一人の国務大臣が入っていらっしゃると。  そのことについて、私は非常に新しい例になると思う。といいますのは、やりますことの内容が国家公安委員会のような問題ではないわけです。どちらかというとかなり行政的な判断も要するようなこと。  そこで、あの規定を読んでみますと、金融とかあるいは法務的なこととかいろんなことに経験のある方で選べという、両院の同意を得るというように書いてありますね。大変そういう意味じゃ、率直に言いまして、何か新聞記事によると、じゃどんな人と言われたら、なかなかだれも候補の人の名前を挙げがたかったというような話が出ておりますけれども、グリーンスパンさんのような方がいらっしゃれば非常にありがたいかもしれない。そういう意味では、今までの専門という感覚とはちょっと違うような方、これは国会の、両院の同意を得なきゃいかぬですから、我々自身がどういう人、どういう基準にするかということを議論しなきゃいかぬと思うんです。  この点については、具体的には、あそこに法文上書いてあることを超えてということまで言いませんが、何かイメージみたいなものがおありになるなら伺ってみたいと思います。
  24. 池田元久

    衆議院議員池田元久君) 金融再生法案一つの柱がこの金融再生委員会であります。  私は、初めから言っておるんですが、この金融再生委員会というのは、まず国務大臣を再生委員会委員長として金融行政に一元的な責任を負う、同時に三条委員会、合議制の委員会でございまして、公正さも同時に確保する、両方の長所を兼ね備えた組織にしなければならないし、建前として、仕組みとしてそうなっているということを言っておりました。  先生は国家公安委員会のことをおっしゃいましたが、私どもも発案の段階から国家公安委員会的な組織をイメージしておりました。特に、この委員の選任と事務局が大事であると私は思います。事務局については、再生委員会設置法の十四条で設置するとしています。そしてまた、再生委員会としてはほかの関係行政機関に資料の提出とか報告を求めることができるということで、しっかりとした事務局を置いておけば十分機能するものと思われます。  また、二〇〇〇年一月から金融行政が一元化されます。そうしますと、大蔵省に現在ございます国内金融の企画立案は当然のことながらこの金融再生委員会に統合されまして、全般的な国内金融の企画立案をあわせれば、ますます視野の広い行政を行えるものと思っております。
  25. 石川弘

    石川弘君 事務方の話も今からしょうと思っていたんですが、実は公正取引委員会なんかは独自のそういう訓練を経ながら時間をかけてスタッフを備えてきて今の公取ができているんだと私は思っています。これは、ある意味じゃ各省とちょっとニュアンスの違ったことをずっと積み上げてきていると思うんです。  そこで、私は実はうんと先の話を心配しているんじゃなくて、これから出てくるいろんな問題がこの委員会の議を経てといいますか、この委員会にかけて、例えば公的管理に移行する場合だとかなんとかみんなあるわけです。それには、本当にそれを判断するような事務的なスタッフがきちっとそろいませんと、偉い方ばかりで議論しろといったってこれはできぬわけです。そういうことを、現にある程度力を持っている人たち、今の国家公務員の制度の中にいる人たちとか、あるいは若干外部の方もあるでしょうが、これはよほど早く熟達した人を備えませんと、私は率直に言ってなかなか委員のなり手がないと思うんです。  それから、国会で同意大事にかけているぐらいですから、同意大事にかけてお任せしたら、その委員会委員さん方の行動に万全の信頼を置きまして、ああだこうだと余り口出しできないような運用でなければこれはなかなかできない。私は今までこの種のもので同意大事にかけるかけぬということと関係なしに、金融問題に絡んでいろんな方がこの種の角度は違っても委員になられたけれども、大変御苦労なさったと思っています。  したがって、この点についてはひとつこれは本当によくお考えいただいて、そのプランニングなさったことが本当に生きるような形で、ぜひ委員の問題、それからそれを支えるスタッフの問題を、これは与党とか野党立場じゃありませんから、つくり上げていかなきゃいかぬと思います。  その点を申し上げまして、実はもう少しいろんなことをお聞きしょうと思ったんですが、どうも同じところが長過ぎましたけれども、次の塩崎君に関連部分をやっていただきます。
  26. 坂野重信

    委員長坂野重信君) 関連質疑を許します。塩崎恭久君。
  27. 塩崎恭久

    ○塩崎恭久君 自由民主党の塩崎恭久でございます。石川議員に引き続きまして、関連で御質問させていただきたいと思います。  先ほども随分お話が出てまいりましたが、私も、昨年の十二月に三十兆円スキーム保岡議員を初め自民党の中でつくり、またトータルプランを四月からずっとやってまいりました。そういう中で、先週号でございましょうか、ロンドン・エコノミストに、ジャパン・ザ・アメージング・アビリティー・ツー・ディスアポイントという表紙になっておりまして、私もこれまでこの金融の問題にかかわってきたものの一人として、世界にそういった失望感を与えているのかなということで大変責任を感じているわけでございます。  そもそも金融の問題というのは、私は実は日本銀行に勤めておったわけでございますが、よく言われたことは、信用不安というのは大変微妙な問題だから軽々に口の端にのせるべきではないということを教わりました。昭和四十八年に、愛知県で、電車に乗っていた女子高生が豊川信用金庫のことについて発言をしたことが取りつけ騒ぎになったということがございましたけれども、その例を出して、軽々に金融機関の信用問題について語るべきではないというのが常識であったかと思うわけでございます。  ところが、今回、長銀の問題を中心に個別銀行の話を私ども政治家が、それもテレビにややあおられた感もあるわけでありますが、特別番組を組んでずっとそのことばかりについて破綻だ、やれ破綻じゃないんだ、そういう話をするというのはまさに異常な感じが私はしてまいりました。  やはり個別行の問題あるいはこういった金融の機敏にわたる問題というのはすぐれて行政の問題であって、今であれば監督庁であり、また破綻に関しては大蔵省、そして一部日本銀行、こういった行政責任で本来はやるべきことであるにもかかわらず、我々政治家がこういうような形で出てこなければならなかった理由というのも本当は振り返って考えなければいけない、我々政治家としての責任を感じなければいけないのではないのかなというふうに思っているわけでございます。  今回、野党案の丸のみだということで、私どもなどは自民党の中で大分苦しい立場であるわけでございますが、決してそんなことは私は思っておりませんで、これについてはまた金融企画局長にお尋ねをいたしたいと思いますけれども、その前に総理に、この間宮澤大蔵大臣がワシントンに行かれて、肌身で世界の方々の感じ方というものを受け取ってこられて、総理にもお伝えをいただいておるのだろうと思うのでございます。  先ほど石川議員からもお話があったように、私はやっぱり局面がすっかり変わってしまった、三月あるいは去年の十二月あるいは北拓の破綻した十一月、そういうところから見ても局面がすっかり変わってしまって、かねてから日本発の金融恐慌は起こさないということを言ってまいりましたけれども、ミスマネジメントをすれば、まさにそういうことすらも起きるかもわからないということを世界は懸念しているわけでございまして、これについての総理の現状の認識につきまして、まずお伺いをいたしたいと思います。
  28. 小渕恵三

    ○国務大臣(小渕恵三君) 日本政府といたしましては、言うまでもありませんが、日本が世界第二の経済的な大きな力を有しておるということでございますので、この日本経済をまず再生させていくということが基本的な課題だ。そのためには、やはり金融面におきまして、世界の目から見ましても大変日本のこの金融機関不良債権処理というものが遅々として進んでおらないという現状にかんがみまして、極めて厳しい目を向けられたと。そのために今日こうして対処をいたしておるところでございます。  そういう意味で、先般、大蔵大臣もG7に出席し、またIMFの総会等に出席をいたしまして、現下状況というものは、日本としての責任は果たしていきますが、同時に昨年の四月以来、アジアの金融・通貨不安に発しまして、その後大きな影響は、やはりロシアにおける状況も大きく変化している。加えまして、今南米その他、特にブラジルは大統領選挙の結果に極めて関心を持つところでありますが、そうした南米自身における金融問題のあり方、あるいはまた御案内のとおりに、ヘッジファンドを通じまして世界の実体経済とまた別の面でいろいろな市場に対する影響その他の問題が起こってまいりまして、今本当に看過し得ないような世界の大きな時期に来たっておるのではないかということでございます。特に、アメリカ経済におきましては、ずっと以前からアメリカ経済がただ一つ大きな成長を遂げておるといった経済状況も、これまた厳しい環境にあるということでございます。  我が国としては、我が国の責任を果たすということからいいまして、一日も早く今提案をされております法律案あるいはまた早期健全化スキームを通じまして金融機関を安定させていくということが我が国の政府としては現下なすべき最大の課題である、このように認識をいたしております。
  29. 塩崎恭久

    ○塩崎恭久君 ありがとうございました。  そこで、金融再生法案、セーフティーネットの仕組みでございますが、これについて、先ほど申し上げたように丸のみではないかという批判も一部あるようでございますけれども、セーフティーネットという意味では、ブリッジパンク、私ども政府そしてまた自由民主党の中で検討してまいりましたもの、これも生きておりますし、それから金融整理管財人、我々は金融管理人と言っておりましたが、同様の制度もございます。そして、一時国有化ということで、この点につきまして、実は私ども自民党の中で議論したときにも、私は公開買い付けで株は三分の二以上買えるようにしたらどうだという提案をしておりましたし、平場の自民党の中の議論の中でも、普通株を買っていくということについての支持は津島先生を初め多くの方々からいただいたわけでございますが、政府から出す内閣法として、憲法問題にかかわる、つまり株主権の問題で、この株主権をオーバーライドするということが果たしてできるのかどうかというところが最大の問題でございました。  結局、その問題については、憲法第二十九条の財産権についてなかなか閣法では難しいということであったわけでございますので、我々、管理人があって、それから公的ブリッジパンクになるということにしたわけでありますが、今振り返ってみると、こういった点については、ぎりぎりの選択というのは、議員がやはり立法府の政治生命をかけてやらなければいけないことなんだなということを改めて感じたわけでございます。  そういう意味では、与党案、野党案、その両方を合体したという形で今回のセーフティーネットはできたんではないかと私は思っております。  そういう意味で、本来破綻の担当でございます大蔵省の金融企画局長、今回のこの修正案についての現場の評価としてどのように考えておられるのかをお伺いいたしたいと思います。
  30. 伏屋和彦

    政府委員(伏屋和彦君) お答えいたします。  修正の金融再生法案におきましては、与野党で御協議されました結果、今、塩崎先生も言われましたように、金融整理管財人による管理、また、預金等の払い戻しを停止するおそれが生ずると認められる場合も含めました特別公的管理開始決定のほか、先ほど御指摘ありましたように、破綻した金融機関の業務承継、いわゆる公的ブリッジバンク制度及び金融機関等の資産の買い取りに関する緊急措置制度等もこれは整備されていると承知しております。  いずれにいたしましても、法案の速やかな成立を待ちまして、金融再生委員会金融監督庁との連携のもとで金融機能再生と安定に努めてまいりたいと考えております。
  31. 塩崎恭久

    ○塩崎恭久君 そこで、北拓のときにも大変問題になったのが、このⅡ分類債権をどういうふうにするのか、特に中小企業はかなりの部分がⅡ分類債権になっているケースが多いわけでございます。  そこで、これは大蔵省にと思っておりましたが、池田先生に怒られそうなんで、池田先生、もし構わなければお答えをいただきたいと思います。  要は、北拓の場合には引き当てを積み増す形で北洋に行っていただくということを考えているようでございますが、例えばアメリカでもあるいは南米のチリでも同じようなことがやられているんです。そしてまた直近ではタイの金融危機でも同じことが行われているのでありますけれども政府と受け皿銀行の損失分担、ロスシェアリングというのをやっているということであります。  これは、GEキャピタルが東邦生命を買ったときに似たようなことをやっています、アーンアウトという方式であるようでございますけれども。要は、言ってみれば見積価格でとりあえず取引をしておく、そしてその後、中の評価をもう一回やり直しながら、政府と受け皿銀行の間に一定期間に利回りの保証をしながらロスシェアリングをしょうじゃないかということをやっているようでございます。  それは一つは、資産評価するためのデューデリジェンスをやるのに物すごい時間がかかってしまって、Ⅱ分類のどれを持っていくのか持っていかないのかという話で中小企業が途中で大変困るわけですね。そこで、一挙にぽんととりあえず第正分類を全部持っていってもらう、そういう中で評価をし直してもらうというスキームがあるようでございます。  こういうことについて、私はもう前々から、どんな国がやっても、我々で使ってもいいようなものはどんどん使ったらいいじゃないか、どこか知らないような国でやったものはやらないみたいな話じゃなくて、あるいは外国でやったものは全部やらないんじゃなくて、やっぱりいいものはやっていけばいいんじゃないかと思っております。  そういう意味で、このロスシェアリング方式的な亜分類の扱いというものについての評価を、西川先生、よろしくお願いいたします。
  32. 西川知雄

    衆議院議員西川知雄君) お答えいたします。  Ⅱ分類、これが今現在、国民がその実態が一体どうなっているんだろうかということで大変危惧をしている、そしてまた、これが国際信用ということに非常にかかわってくるということは議員もそして我々も同じような認識を持っているわけでございます。  ところで、このような正分類、この実態はどうかということについて、例えばこれの細分化をする、またこれに対して一定の引き当て率を義務化してそれを法案に明示する、そういうことによって実態を明らかにしていく、そういうような方法も考えられております。  そこで、最も重要なことは、今、塩崎議員提案されました例えばロスシェアリングにいたしましても、その方法にいたしましても、国際的にまた国内的に理解を得られるものでないといけないというふうに考えております。  そこで、塩崎議員もこの法案をつくるときにいろいろ我々と議論をしていただいたところでございますが、そのときに資産の査定、特に第Ⅱ分類の査定についてやはり国際会計基準に合ったようなものをつくっていこうじゃないかということをこれは合意をされております。  国際基準に合ったということはどういうことかといいますと、各国で実際にやられたことということも十二分に勘案するわけでございますが、ちょっとコメントをいたしますと、例えば今株価の評価をしております。そのときに、低価法がいいのか原価法がいいのかというような議論がございます。低価法というのは、御存じのように、買ったときには五千円であった、今時価は期末で千円であったというときに、五千円ではなくて千円という数字で評価をいたしましょうという実態に合ったことでございまして、これが国際会計基準ということと全く合致をしているところでございます。これは先進国でも使われているところでございます。  したがいまして、今のロスシェアリングの考え方、そういうことも国際会計基準、その観点からして合うものであれば受け入れたいと思いますが、現在のところそういうような評価というものは私の考えるところではしていないということでございますが、しかしながら、この緊急事態においてそういう考え方もあり得るんだということを我々は理解しております。
  33. 塩崎恭久

    ○塩崎恭久君 議員おっしゃるように、評価の仕方次第だろうと思うんです。  やはり経済は生き物でありますから迅速にやるということ、そしてまた原則にのっとってやるということが大事であって、そして正分類、いろんな中小企業の方々も心配して私なんかにも言ってくる人がいますが、銀行が不幸にしてそういうふうになったときに、素早くちゃんと生き残るべきものは生き残るような手だてというものを、いいものはいいものとして我々も学んでいかなきゃいかぬだろうというふうに思っております。  そこでさらに、いろんなことで一番大事なのは、特にタックスペイヤーの問題、さっき枝野議員からもお話がありましたけれども、どうやって投入税額を少なくしていくかということが大事でありますが、今回いろんなセーフティーネットをつくりました。そして、その中で受け皿になるところが必ず出てこなければいけないわけでありますが、そのときにどういう方式でやるのか。今は例えば営業譲渡であるとか株式の譲渡であるとかいう形の言葉しかないんですが、私はそこで投入する公的資金を最小化するという観点からは、入札方式でできる限り高い値段で買ってくれるところに売ってもらおうじゃないかということがやっぱり大事だろうと思うんです。そういうやり方を導入することについての御意見を津島議員にお伺いをいたしたいと思います。
  34. 津島雄二

    衆議院議員(津島雄二君) 大変に魅力のある御提案だと思いますが、細部についてはいろいろ勉強しなきゃいかぬと思っております。
  35. 塩崎恭久

    ○塩崎恭久君 池田議員お答えを。
  36. 池田元久

    衆議院議員池田元久君) 塩崎議員がこの前我々との議論の中でタックスペイヤーの利益ということで、とにかく公的資金の投入を最小化しようということでいろいろ議論されました。受け皿銀行の選定の入札方式とか、それから日本版RTCが創設されますが、そこでの最小化原則といいますか、そういうことは当然一番重要な問題ですのでやっていかなければならないと思います。  金融再生法の六つの原則の中に一つが明記されていることも申し上げておきたいと思います。
  37. 塩崎恭久

    ○塩崎恭久君 ありがとうございました。  たくさん聞きたいことがあるので次に行きたいと思いますが、先ほど石川委員からも割合長い時間を割いて御質問申し上げた早期健全化スキームのことでございます。  私も最初から、今回ブリッジバンク法を出すときにも、セーフティーネットはもちろん大事だけれども、もっともっと大事なのは、そういうセーフティーネットを使わなくていいように早目早目に手を打つということが大事なんだろうということを考えておりました。  十三兆円スキームについては、今回二法が廃止ということになるわけでありますが、私はスキーム自体は正しかったと思っております、自分がかかわったということももちろんありますが。しかし、残念ながら、三月末の運用の問題については、党内でもいろんな議論がありますけれども、やり方においてやはり適正を欠いた部分があったんではないだろうかと私は個人的に思っております。  最初から、十二月の議論のときから、今回の例えば長銀がやるような大リストラをやるとき、ぎりぎりまでやるとき、それから合併をする、ぎりぎりの選択をするようなとき、こういう個別ケースにやっぱりやるべきなんだろうな、もちろんシステミックリスクにかかわるものでなければいけないと思いますが、そういうようなときにやるべきではないかというふうに私は考えておりました。  ただ、全く初めてのことということもあって、ああいうような形で十八行にべたっと千億ずつぐらいの感じでの注入をして、これはもう自民党の支持者から共産党の支持者に至るまで皆、銀行救済をしたのではないかというイメージを私どもがミニ集会なんかをやってみると持っているということがわかるわけであります。  そういう意味では、正しい資本増強策を伴った早期健全化策というものを早くつくるということが、先ほどすき間の話がありましたけれども、やっぱり一番大事なことであって、そしてまた、もう局面が変わってしまったということで、これは早くやらなければいけないというふうに思うわけでございます。  さっきちょっとお話が出ましたが、七月に私はニューヨークでコリガン元ニューヨーク連銀総裁に会ってまいりました。彼が、どこの銀行とは名前は出しませんが、ある銀行が苦しくなったときに彼自身乗り込んでいって、そして改善計画を、こんな分厚い改善計画を出させて、そしてそれをもとに毎月チェックして、それを守らなかった取締役の首は切っていったということを私は御本人から聞きました。  そこで、私は、きょうは金融監督庁を預かっていただいております官房長官に直接どうしてもお聞きをしたいということでお出ましをいただいているわけでございます。  実は、この早期健全化スキーム、いろいろ議論をしておりますが、資本注入の問題に至る前に十分現行の銀行法でやれることがあるんじゃないだろうか。かつては大蔵大臣の管轄下でございました。今は総理大臣、官房長官、監督庁、このもとで銀行法が運営されるわけでありますけれども、その中に、例えば第二十四条、第二十六条、二十七条、六十三条。この二十四条というのは、要するに報告または資料の提出が求められるということになっております。二十六条は業務の停止等もできる、そして二十七条は免許の停止もできる、そういう大変厳しいものであり、六十三条というのは罰則があるということでございます。  そういうことを考えてみると、これは実は今回の国会の冒頭に衆議院で代表質問したときに津島議員からもこの点については提案があったかと思うわけでございますけれども、こういった現在の銀行法でも十分、銀行に乗り込んでいってその計画を出させ、いわば常時監視体制に置くということができるんではないだろうか、津島議員も同じだったと思いますが、そういう意味で、こういった現行法で本来できることをもっともっとやるべきなんじゃないだろうかと私は思っております。  天下り条件つきの誤った裁量行政みたいなことで随分裁量行政がたたかれてまいりましたが、正しい意味の裁量行政というのは、やはりこれは国家の責任においてやるべきことだろう、むしろ積極的にやっていくことだろうと思っております。  そういう点において、官房長官、金融監督庁を預かっていただく大臣として、この点についてのお考えをお伺いしたいと思います。
  38. 野中広務

    ○国務大臣(野中広務君) お答えいたします。  委員指摘のとおり、現行法におきましてそれぞれ処置することが可能であります。したがいまして、今後、先般の与野党協議等を踏まえながらも、厳正にこの問題について積種的に対応してまいりたいと存じております。
  39. 塩崎恭久

    ○塩崎恭久君 大変力強い官房長官のお言葉でございまして、監督庁、きょう日野長官もおいででございますが、この法律をもう一回ひとつお読み直しいただきまして、正しい裁量行政をどんどんやってもらいたいというふうに思うわけでございます。  そこで、例の資本増強策の問題について先ほどは大分熱い議論がございましたが、低価法、原価法に代表される問題でございます。今、私はこの議論にかかわっておりませんのでどこまでいっているのかよくわかりませんが、新聞を読む限りは大分光明が先に見えてきたということで安心しているわけでございますが、私は二つの誤解があるのではないかなと思います、もう大分議論に出てきていることでありますが。  私は、何でもかんでも情報を開示せよというのは必ずしも合ってはいないのではないだろうか。これはお医者さんのカルテと同じでありますけれども、監督情報というのは、監督当局がこれは出すべきである出すべきではないと考える、判断をする裁量権を持っていいんだろうと思うんです。これは出したら危ないというものは出す必要はない、そんなものは当たり前だろうと思うんです。ディスクロージャーの問題はまた別途あって、これは市場の信頼を獲得するあるいは株主の信頼を獲得するという意味でディスクロはしっかりとやっていかなきゃいけない、こういうことだろうと思うんです。そこのところをちょっと誤解をされているのではないだろうか。  つまり、例えば自己資本比率がどうなっているかというのは先ほど枝野議員からも随分話がありましたが、やっぱりこれは徹底的に実力で見るべきなんだろうと思うんです。これは監督情報であって、別にそれは出してはいけないものは出す必要は私はないんだろうと思っております。  ただ、もう一つの誤解は、つまりこれは何を言いたいかというと、病人に例えれば糖尿病の方が病院で検査をする、そのときに朝一発インシュリンの注射を打ってくる、それから検査をしたんではやっぱり意味がないんだろうと思うんです。さっき時価会計の話がちょっと出ておりましたけれども、株価を時価で評価する、つまり今で言えば、低価法で評価するというのは実力をはかるという意味ではごくごく当たり前のことであって、またそれで見なければこの銀行の実力というのはわからない。そしてまた、マーケットはどっちの方法をとろうとも低価法でしか見ていない。これを我々は忘れてはいけないだろうと思うんです。  それがまず第一の誤解ではないだろうか。つまり、医者のカルテは必ずしも全部出す必要はないけれども、検査は何にもなしで率直に実態を見るということをやらない限りは、本当の意味の早期是正策はできないということがまず第一点だろうと思います。  それからもう一つは、そういうディスクローズすると貸し渋りの原因になっちゃうじゃないかという話がありますけれども、幾ら数字を取り繕ってやったところで、さっきも議論が出ておりましたが、やはり貸し渋りの最大の原因というのは資本不足であり、そのまた原因は何かといえば不良債権がたくさんあるんじゃないかということが原因であるわけでありますから、そこをやや貸し渋りをしないような計画を出させた上で資本注入をするというような案がきょうの新聞などにも出ておりますけれども、それは三月のときにやってしまった誤りを同じようにまたやってしまうということを私は思っているわけです。  土地の再評価益を四五%入れた、あるいは原価法で入れる、評価益を入れるというようなことはやはり取り繕うことであって、本来は監督情報で、そもそも早期健全化スキームというのはあくまでも監督当局がやるべきことの中身でありますから、本来は我々がこんなところで議論をしなくたって行政がきちっとひそかに正しくやっていただければいいことだろうと思うんですね。それが何とできていないがために我々がこういう議論をしなければいけないということになっているというふうに私は理解しているわけでございます。  そういう意味では、会計とディスクロージャー、この問題と早期健全化をやるときの自己資本比率とはやっぱり分けて考える。ディスクローズするとき、あるいは会計でどうやるかという問題はこれはまた別問題でいいわけであって、我々が今議論しているのはあくまでも実力がどうなんだ、それで何をするんだというお話だろうと思うのでありますが、その点について津島議員池田議員、そして西川議員お答えをいただきたいと思います。
  40. 津島雄二

    衆議院議員(津島雄二君) 大変立派な考え方の整理をやっていただいたと思います。  金融機関実態を把握する必要があって、そしてその実態把握に基づいて早く健全な形にする、これはだれも否定しない。それから、ある程度のディスクロージャーをやらないとマーケットは納得しない、これも事実。しかし、その間に格差がなければならない。それはなぜかといいますと、公開情報というのは一般の人が見ます。ですから、例えばある金融機関が非常にぐあいが悪いということを不用意に公開することでその銀行に対する大変な取りつけのような瞬ぎになるとか、あるいは資本比率が悪くなった銀行はやむを得ず貸し付けの回収に走らなきゃならない、回収に走った結果が大変なデフレを生む、デフレを生むことがさらにまた株式市場なりもろもろの価格の下落になる、まさにデフレスパイラルに火をつけるわけでございます。  ですから、我々は議論するときにそこのところをきちっとわきまえて、何が何でも公開しさえずれば世の中はよくなるというものではないということを踏まえ、監督行政を踏まえて、金融機関再生していくためにはどうやったらいいかということと、それからマーケットを納得させるための公開はどの程度がいいのか、その議論を私どもは本当に慎重に、真剣にやるべきだというふうに思っております。
  41. 池田元久

    衆議院議員池田元久君) 塩崎委員の今の整理された御議論、特に前半部分については私も全く同感であります。つまり、カルテが、あなたの言葉で言うカルテができていないわけです。十分な診察、要するに厳格な資産査定、そこからすべて出発しなければならないと思います。  それから、ディスクロージャーにつきましては、これはやはり納税者国民の利益、アカウンタビリティーという言葉もございますが、個別融資先を開示することではなくて、そこはできるだけディスクロージャーをするという基本的な考えでいくべきであると私は思います。  現在、現状から出してしまうと大変だからという議論があります。私も全くそれは否定いたしません。しかし、原則は金融再生法七条にあるように、やはりできるだけといいますか、金融機関責任としてそういった資産査定の結果等については出していただく、それによって議論する、それによって自己資本比率を確定し、過少資本についてはどうすると、こういう話の順序でなければいけないと私は思います。
  42. 西川知雄

    衆議院議員西川知雄君) お答えいたします。  ちょっと誤解があるようでございますが、何が何でもすべてのことを公開しなければならないということは我々も含めだれも言ってはおりません。しかしながら、今一番問題なのは、日本金融機関実態がどうなっているのかということを金融監督庁も当然のことのように公表しない、そしてすべて不良債権がどうなっているかということは想像でしかわからない、そしてその想像でしかわからないときに公的資金を導入しよう、そういうような実態が一方にある、こういうことは国民の目から見てどうしても納得できないし許すことができない。ここが基本にあるんじゃないかと思います。したがいまして、不良債権実態はどうなっているかということについて先ほども議論がありましたが、例えば株の評価においても、今原価法にした方がいいんじゃないか、低価法では景気に非常に影響を与え過ぎるんじゃないか、金融機関に影響を与え過ぎるんじゃないかというような議論がされています。  しかしながら、先ほども御説明いたしましたように、原価法というのは、五千円で何年か前に取得した株が今千円であるというときにも五千円だというふうに評価をして、そして自分の銀行はこれだけ健全なんだということを言っているということと同じでございます。したがって、国民の前に、そして国際社会の前に実態をあらわしていないということでございまして、こういうことをやればますます国際的な信用というものはなくなるわけです。  したがいまして、徹底的なディスクロージャーということは、きのうの参議院の本会議でも社民党の日下部議員の方からも当然法的な義務として置くべきだというような発言もありました。そういうようなことを当然のことのようにやはり皆さん考えていただかなければ、これは国内的にも国際的にも信用を得られないというふうに考えられます。  以上でございます。
  43. 塩崎恭久

    ○塩崎恭久君 いろいろお三方からお話がございましたけれども、宮澤大蔵大臣、きのうも本会議でこの点についてお触れをいただきましたが、今のお三方の御意見をお聞きになって御所見をいただければと思います。
  44. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) あるべき姿として今お話しになっていらっしゃることは私は全く異存がございません。  ただ、先ほどもどなたか提案者も言っていらっしゃいましたが、今の日本の銀行が八%とか何%とかいうときに、本当に実態はどういうことなんだろうかということを多くの方が思っていらっしゃるぐらい銀行の資本というのは実は弱いわけでございます。それは甚だ残念な状態だし、そうあるべきではないのですけれども、直さなければならないのですが、どの程度のスピードでどの程度の割合でそれを直していくかということは、やはり現実には貸し渋り等の問題があって、貸し渋りというのは実際中小企業がつぶれるということでございますから、そういうことは政策判断として考えていかなければ、政策当局者としてはそれは一つ考えるべきことだろう。  おっしゃっていることを否定するつもりはありませんで、早くそこへ行かなきゃならないということはもう同感でございます。
  45. 西川知雄

    衆議院議員西川知雄君) 短くお答えしますが、情報の公開で誤解のないように申し上げておきたいと思いますが、これは金融機関と申しましてもマネーセンターパンクから信金、信組と各種いろいろとございます。したがいまして、その公表内容とか公表時期等についても、中小企業に対する貸し渋り等がないように実態に即した措置、そういうものをやはりやっていくべきじゃないかと考えています。
  46. 塩崎恭久

    ○塩崎恭久君 先ほどの宮澤大臣のお言葉はそのとおりだろうと思いますが、そうなると今の局面というのはどういう局面なのかということを行政当局がどう判断するかということであろうと思いますが、私はもはや三月末のような状態では決してないし、一挙にやっていかなければならないそんな事態に来ているのかなということを個人的には思っております。  そこで、これは大蔵省なのか監督庁なのかあれですが、自己査定の結果についても監査の公認会計士がついているわけですね。しかし、どうもそれがいささか信頼性を欠く。そういう意味では監査法人に連帯責任というものを負わせないといけないんではないだろうかなというふうに思うのでございますが、いかがでございましょうか。
  47. 伏屋和彦

    政府委員(伏屋和彦君) お答えいたします。  今先生の御質問の監査法人との関係でございますが、監査法人は、自己査定の結果を前提に作成されます財務諸表に対しまして、証取法第百九十三条の二第一項に基づく監査証明を行うことによりまして刑事上、民事上、行政上の責任を負うことになるわけでございます。これによりまして自己査定の結果に対しましても間接的に現行制度では責任を問われる場合が出てくるというぐあいに考えております。
  48. 塩崎恭久

    ○塩崎恭久君 やっぱり監査法人がこれから果たすべき役割というのは非常に大きくなってくると思いますので、その点についてはまた我々も議員間でも議論しながら、そこの責任はきちっととってもらって信頼性を高めるということに努力したいと思います。  先ほど石川委員からも、責任追及は当然のことながら、銀行の経営者に早期健全化をやるときにやる気をなくさせてはいけないという面もあるんではないかというお話がありました。モラルハザードモラルハザードと言いますけれども、もう一つモラールハザードというのもあり得るんじゃないかなと。つまり、余りにも厳しくやり過ぎるがためにやる気をなくしてしまう。経営者は全部首切っていなくなったらいいんだというわけにもなかなかいかないときもあるわけであって、これは前向きの視点というのもやっぱり必要なんだろうなと私は思っております。先ほども随分石川委員からお話が出ましたのでもう質問はいたしませんが、やっぱり経営者のモラールの高揚、つまり経営者が死に物狂いで再建をする、そんな仕組みをつくっておくのも一つ大事なんではないか。  例えば、私ども地元に帰ると、私財を全部投げ出せ、銀行家に投げ出させろというふうによく言われるわけであります。しかし、株式会社は有限責任でありますから、それをやれと言ったってなかなかこれは難しい、民事、刑事でひっかかればまたいろいろ別なことが出てくるんでしょうが。そういうことであれば、例えば一定期間猶予を与えて、責任追及のパフォーマンスによって若干、免責まではいかないにせよ、アメリカのような司法取引的な仕組みも考え得ると思いますし、私財提供ということであれば、例えば私財でとりあえず自分の勤めている銀行の株を買ってもらって、もしその銀行がだめになったら自分の私財は全部飛ぶというような仕組みの一部でも使って、そういう場合には何か政府で手だてを考えるとか、いろんなことがあり得ると思うので、これについてはまたいろいろと議論をしていきたいと思っております。  それから、資本注入の問題について、なかなか手を挙げないんじゃないか、今の責任問題もありますけれども、手を挙げないんじゃないかということで、申請主義かどうか、強制なのかというような話があります。これについて、平和・改革の石井先生にお投げをしていると思うので、その点についてちょっとお考えを伺いたいと思います。
  49. 石井啓一

    衆議院議員石井啓一君) 前提といたしまして、早期健全化措置につきましては我が党はまだ検討中でございますので個人の見解ということでお答えを申し上げたいと存じますけれども、私ども金融機関不良債権実態をきちんと開示する、また適切な引き当てを行って不良債権の償却を進める、こういうことが金融不安を解消する前提となるであろう、このように考えております。  その際、自己資本比率が大きく低下した金融機関に対しては資本増強の命令を発する、こういうことになると思いますが、これが市場でみずからの努力で資本が調達できればそれはそれで結構なわけでございますけれども先生指摘のように、自己資本比率の算定を厳しく行えば恐らく自己資本比率が大きく低下する銀行が多くなるであろう。そういった場合はなかなか市場からの調達というのが現実的には難しくなるというふうに考えますので、その場合は実際的には資本注入を銀行が申請せざるを得なくなる状況になるのではないか、こういうふうに考えておりまして、強制適用か申請かという問題よりは、むしろこの前提となる自己資本比率の算定をどのように厳しくとるのかどうか、これによって結果として申請せざるを得なくなるということが左右されるのではないか、このように考える次第でございます。
  50. 塩崎恭久

    ○塩崎恭久君 私も全く同感でありまして、先ほど申し述べましたが、原理主義などと呼ばれるときもありますけれども、やっぱりあそこは監督者の見る目は厳しく、医者と同じようにインシュリンを打たずに、検査をするということが大事だと思いますので、そういう意味では申請か強制かというのは余り意味がなくなってくるのかなというふうに思っております。  時間がございませんので次の話題に行きますが、今度日本版RTCというのができます。不良債権が生きた銀行からも入ってくるわけでありますけれども、中坊さんのやっていらっしゃる住管機構などの回収の能力について世の中では高く評価されているわけでありますが、私はこれからいろんな形の不良債権がこの日本版RTCに入ってくるんだろうと思います。既に今も住管機構や整理回収銀行それからCCPCにも入っているわけでありますけれども、ただ回収に追っかけ回していくということではなくて、いろんな形でやり得るんではないだろうか。  その最大の座標軸は何かといえば、投入する公的資金を最小化する、ある一定期間のうちに最小化された投入資金でこの処理をしていくということが大事なんだろうと思いますし、今回、三会派での覚書の中にもそういうことをきちっと入れているわけであります。  例えばアメリカのRTCの場合は、あれは住宅もありましたけれども、例えば商業不動産担保つき不良債権処理の手法を見てみますと、六割が一括売却、バルクセールというものでありました。それから、三五%がエクイティ、パートナーシップという方式での処分でありました。残り五%が債権一本一本を入札で売却していくというやり方でやっていたようでございます。  このエクイティーパートナーシップというのは余り聞きなれないわけでありますが、リミテッドパートナーシップというのがアメリカにありますが、日本でいえば匿名組合と呼ばれているものに近い仕組みではないかと思いますけれども、公的機関からの不良債権または担保不動産の現物出資をして、そこに政府の信用補完をつけて民間主導の再開発を行うという手法であったようであります。  私もこの四月からずっとトータルプランで議論をする中で建設省と議論を詰めてきているわけでありますけれども、民間企業がいわばRTC、日本版RTCが今度やれば、受け皿となる法人、SPCでもいいわけでありますが、土地の現物出資あるいは債権担保つきの現物出資を行って、民間企業が無限責任の営業者となるということになって再開発をやってもらうわけでありますから、いわば民間企業が国から担保不動産を借りて、それを再開発して収益を上げていくということでも、日本版RTCの言ってみれば返りがふえていく。  そしてまた、なおかつ一番大事なのは、今の景気の状況を見てみても、担保不動産が銀行などがじっと持ったままで不動産市場に出てこないというところが最大の問題でもあったわけでありますから、こういったことは特に小渕総理が唱えていらっしゃる生活空間倍増計画にもかかわってくる大事な新しい手だてではないだろうか。そこに何らかの信用補完、政府による信用補完をつけるというところが私は大事だろうと思っておりまして、少しの公的資金を今使うことによって、それをやらないでほっておいて先に行ってからたくさんのお金を使わなきゃいけないよりは、今少し使った方が私は賢明なんじゃないか、こう思っているわけであります。  仕組みがやや建設省のジャンルになりますので、この点について建設省の基本的なお考えだけ簡単にお答えをいただきたいと思いますが、お願いいたします。
  51. 小川忠男

    政府委員小川忠男君) お答えいたします。  一連の問題の根底には、やはり担保土地が現実に流動化され、有効利用が促される、これが非常に重要な側面だろうと思います。ただ、実態を見ますと、比較的小規模な土地が多いとか、マーケットに出すにはいろんな意味での付加価値をつける作業が必要になるケースが多いと思われます。  ただ、その意味では民間企業の力を大いに活用する、これが非常に重要だと思いますが、民間とのいろんな連携の仕方についてはいろんな組み合わせがあろうかと思います。御提案のように、現物出資と民間企業の資金調達に対して公的な信用補完を組み合わせるというのも非常に重要な一つのポイントであろうと思います。  ただ、いずれにいたしましても、先ほど申し上げましたようにいろんな組み合わせ、いろんな工夫の仕方がございますので、御提案の点も含めまして積極的に検討させていただきたいと思います。
  52. 塩崎恭久

    ○塩崎恭久君 積極的に検討するというお言葉でございますので、また我々とぜひ議論を深めていただいて、早急にこういった新しいスキームをひとつ一緒につくっていこう、そんな気持ちでいるところでございます。  そこで次に、昨今新聞紙上で、どこの銀行とどこの生保が提携するとか、どこの銀行と外国のどこの銀行が提携するという話が連日のように出ているわけであります。これはある意味では、ビッグパンをやろうといった目的に合致した新しい再編の動きと生き残り策ということで、私は大変歓迎すべきことではないかと思っているわけであります。  もともとヨーロッパは、御案内のようにユニバーサルバンキングをやっておりますから、一つの組織体で銀行も証券も生保もみんなやれる、アメリカは持ち株会社形式で同じように総合金融サービスを提供する。もちろんファイアウォールは工夫をしているわけでありますが、だんだんそれも下がりつつあるという中で、我が国の法制がまだ十分そういうものを達成するに至るようなインフラ整備ができていないのじゃないだろうかということがかねてから言われていたわけでございます。  特に言われていることは、純粋持ち株会社というのがやっとできるようになりました、この間。ところが、抜け殻方式だとか三角合併とかいろんなやや変形的なやり方で今法律を通していて、かねてから株式交換方式による親子会社法制というのが必要だということが言われておりました。法制審で基本的なラインはいいのじゃないかということがたしか新聞に出ていたようでございます。  これが何しろ今申し上げたようにいろんな組み合わせで再編が行われる中で、持ち株会社を法律が通ったってどこもやらないというのは、やっぱり今の法律が十分使い勝手がよくないということだろうと思っているわけでありまして、この株式交換方式による親子会社の法制の導入を私としてはぜひ次期通常国会の頭に出してもらえたらなと思っているわけであります。この間、倒産法制もたしか事務方は平成十四年とかなんとか言っていたのを来年度に出すと言った中村法務大臣でございますから、恐らくこの点についても問題意識を十分お考えいただいて、極めて前向きなことを言っていただけるのではないかと思っておいでをいただいておりますので、この点についてのお答えをいただきたいと思います。
  53. 中村正三郎

    ○国務大臣(中村正三郎君) 塩崎委員指摘の株式交換方式による親子会社ができるようにするということは、今金融関係のことを例に挙げましたけれども、一般の企業についてもこういう制度が導入されれば経済活性化に非常に役に立つことだと思っております。そういうことから検討を急いでおりまして、次期通常国会に商法の改正案を提出できるように準備を進めております。
  54. 塩崎恭久

    ○塩崎恭久君 冒頭というお言葉がなかったので大変寂しい思いをいたしましたが、ぜひ大臣のイニシアチブで次期通常国会の早い時期にお出しをいただいて、日本の再活性化のインフラでありますから、あって当たり前の話がなかったということでありますから、とこをひとつ、法務省もいろいろお忙しいと思いますが、事務方にひとつハッパをかけていただいて頑張っていただきたいというふうに思っております。  そういう意味でもう一つ、最近、生保会社との提携問題も出ておりますが、御案内のように、日本の生保会社はほとんどが相互会社形式でございます。この間の法律ではやや逆さまのような持ち株会社をつくれるような形にいたしておりますけれども、やっぱりこれを株式会社にするということがかつてアメリカでもやられ、そしてかねてからこれをやろうということで今議論が進んでいるやに聞いているわけでございます。  大変いろんなパターンがあって難しいと聞いておりますが’これについての検討状況と、いつ法案が出てくるのか、大蔵省からお答えをいただきたいと思います。簡単にお願いいたします。
  55. 伏屋和彦

    政府委員(伏屋和彦君) お答えいたします。  相互会社から株式会社への組織変更の規定につきましては、資金調達手段の多様化等の観点から転換を模索する諸外国の動向とか業界の意向を踏まえまして、新保険業法において導入されたところでございます。  この規定に用いました組織変更は、これまでのところ事例はまだ出ておりませんですが、保険審議会の報告においても今後検討していくことが適当であるという趣旨のことを受けておりまして、今言われましたように今後の検討課題として十分認識しております。
  56. 塩崎恭久

    ○塩崎恭久君 通常国会に出るのかどうかというのはいかがでしょうか。
  57. 伏屋和彦

    政府委員(伏屋和彦君) 今後進めてまいりたいのでございますが、時期的にはちょっとまだ現段階では申し上げられないことをお許しいただきたいと思います。
  58. 塩崎恭久

    ○塩崎恭久君 ぜひ通常国会に出していただきたいと思います。  最後に、連結納税制度というのが今申し上げたような話では必ず議論になって必要になってくるということでございます。時間もないので、グループ企業内の損益通算も含めて、この連結納税制度の導入、この点について、津島議員自民党の税調の小委員長をお務めいただいてこの年末の税制改正で中心になってやっていただくわけでございますので、基本的なお考えをお聞きしたいと思います。
  59. 津島雄二

    衆議院議員(津島雄二君) 金融問題の議論を進めます過程におきましても、連結納税制度についていろいろ工夫をし制度整備を図らなきゃならない、税制上もこれをサポートしなきゃならないという強い意見が出てきておりますが、これをどのようにするかはこれから党税調及び政府税調において御議論を進めていくことになろうかと思います。
  60. 塩崎恭久

    ○塩崎恭久君 もう少し踏み込んだお答えがいただけるかと思いましたが、大蔵大臣、今の点いかがでございましょうか。
  61. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) 今としては、津島さんが税制の小委員長でいらっしゃいますから、少しその辺の税調の中の御意見を見てまいりたいと思っています。
  62. 塩崎恭久

    ○塩崎恭久君 どうも最後が余りしっかり締まらなくて残念でございますけれども、問題の重要さは十分認識していただいていると思いますので、党そして政府そろって日本経済活性化のために一緒に頑張っていきたいと思います。  以上で終わります。(拍手)
  63. 江田五月

    ○江田五月君 民主党・新緑風会の江田五月です。  きょうは、テレビを通じて多くの国民皆さんに今、国会で与党と野党が当面する我が国の金融危機、そして経済危機に対して一体何をどう議論しているかということをわかっていただくそういう非常にいい機会ですので、まず、私たち民主党のこの国会に臨む基本的な考え方というのを申し上げておきたいと思います。  七月の参議院選挙で国民皆さん、当時の橋本内閣に対して、特にその経済政策に対して不信任のレッドカードを突きつけたわけですね、自民党が大敗。その結果、橋本総理は退陣をする。そして小渕さんが自民党総裁になられ、衆議院では小渕さんが総理大臣に指名をされる。しかし、参議院の方はちょっと違っておりまして、私たち民主党の菅直人代表が多くの野党皆さんの協力をいただきまして、百四十二票対百三票というかなりこれは大差、こういう大差で菅直人さんが総理大臣に指名をされるということになりました。  憲法の規定で衆議院の方で指名された小渕さんが国会の指名ということになり、内閣をおつくりになるということになったわけですが、今の国会の状況は、衆議院の小渕総理大臣と参議院の菅直人総理大臣と二人の総理大臣がいるというそんな感じになっている。したがって、私たちは次の衆議院の総選挙までの間に、小渕チームともう一つの菅チームとこの二つのチームが国民の前でどちらの方が本当に政権担当能力があるのか、どちらの方が本当に国民に信頼して政権を任せてもらえるのか、その競争をする、信頼獲得競争をやっている、そういうときだと思っております。  そういうわけで、私どもも従来の野党とは違うと、政権獲得競争をしているんだから、今の小渕チームがお出しのものに対して単に反対という態度じゃなくて、それなら菅チームならどういうことをやるのかということを堂々と示していく、そういう立場で対案を出し、議論を尽くし、そして結論を出していく、そういう方針で今日までやってきているわけでございます。  特に、今焦点になっている金融問題について、これは我が国だけでなくて世界の重要問題になってきている。しかも、極めて短時間のうちに誤りのない正しい結論を出さなければならない。随分おくれて、この国会もあすが会期末でございますが、やっときょうからこの委員会での実質審議が始まったということでございます。しかし、私ども参議院の側でも、これはそんなに時間はないんだ、だらだらやっているわけにいかない、こういうことは十分我々は認識をしてやっていきたいと思っているわけです。  しかも、それはこれまで失敗を重ねてきた政府の従来型の考え方を改めて、新しい原則のもとに確立される、そういう政策でなきゃならぬ。なかなか大変な議論の結果、結局政府案はまだ取り下げてはいないんですかね。しかし、政府案はわきに置いて、野党三会派の案にみんなで手直しをして衆議院を通過させて今参議院に来ている、そういう状況。  つまり、この野党三会派の案にみんなで手直しというときには、あそこにおられる津島さんにも、あるいは先ほど御質問なさっておられた塩崎さんにもいろいろ加わっていただいて英知を集めたというふうに聞いておりまして、私はこれはなかなかいい政治の動きになっていると思っております。ポイントは、内閣が責任を持って出した法律案を内閣がみずから引っ込める、そして野党の方がみんなでまとめた案をみんなで手直しをして成案にしていく、そういう時代になっているということなんです。  ちょっと前置きが長くなりましたが、なかなかここに来るまでに時間もかかりました。その時間のかかったことについては、私ども政府自民党はなぜもっと早く結論を出してくれないんだ、こう言いたいところですが、これはほかの見方もあるいはあるかもしれません。  しかし、いずれにせよそういう過程で時間がかかりましたが、時間をかけてここまで来たことについては成果も随分あった、なかなかいい案ができたとか、あるいはそのほかにもこのプロセスの中でこんなことができましたよという、いろんな成果が上がっているんだと思うんです。  民主党の提案者の方に、簡単で結構ですが、この間の総括といいますか、こういういい点があったということを、ぜひ国民皆さんにわかりやすくお話しいただきたいと思います。
  64. 池田元久

    衆議院議員池田元久君) お答えをいたします。  まず、この金融再生法案審議といいますか、作成、提出審議、修正、いずれの段階でも今回は政治主導でやることができたのではないか。もちろん、修正協議の段階で直接の当事者の陰の方には多少役所の影が見えないことはなかったんですが、おおむね政治主導を貫くことができたということがまず一つ挙げられると思います。  それから、現在の大変な金融危機に対して、私たち三会派としては、とにかく本格的、包括的な危機対応策を立てようということで提出をしたわけでありまして、政府提出のブリッジバンク法案と異なりまして、本格的、包括的な処理スキームができたことが二つ目に挙げられるのではないかと私は思います。  それから、現在の金融行政はばらばらです。預金保険機構は大蔵省の監督、そしてその中に金融危機管理審査委員会がある、そしてもともと大蔵省には金融企画局がある、それから金融監督庁はできましたが主務大臣は総理大臣、等々ばらばらでございまして、この危機に当たって、金融行政の一元化へ向かって大きく前進できたということが第三点であると私は思います。  以上三点、とりあえず挙げさせていただきました。
  65. 江田五月

    ○江田五月君 三点挙げられました。政治主導、それから包括的な本格的なスキームができた、さらに金融行政の一元化、財政と金融の分離と言ってもいいかもしれませんね、そういうものについて道筋が描かれた。  私はさらに、この間、確かに野党もしつこく抵抗、抵抗ばかりじゃないんですが、それじゃだめだと強く言ってきた面もあって、臭い物にふたというのがなかなかできなかった。そのためにいろいろ、ふたがとれてきて、例えば長銀はどうであったか日本リースはどうであったか、そういうものが明らかになってきた。明らかになってくることによって、これではいけないというので、銀行の中でも自助努力という芽が次第次第に出てきているんじゃないか。今までの護送船団でとにかくもう大蔵省にすがっておけばよろしいということではだめだという、そういう感覚というのが次第に銀行、金融機関の中でも出てきているんじゃないかという気がします。  あるいは、例のこの三月の安定化法による資本注入十三兆円、まことに国民から見たらけしからぬというスキームが廃止をされる方向がちゃんとできてきた。それにかわって、十三兆円の安定化スキームの換骨奪胎の早期健全化スキームになったんでは次のスキームはいけないので、ああいうものの欠陥をしっかりと補って、本当に意味のある早期健全化スキームをみんなの責任でつくらなきゃならぬ。ただ、どうも津島先生が換骨奪胎という言葉を使われて物議を醸したようですが、換骨奪胎風のことが今行われているんじゃないかとちょっと心配ではありますが、そういう状況で、私はこのみんなでつくった案というのはなかなかよくなってきていると思うんです。  ちょっとパネルを示します。(図表掲示)こういう案なんですね。金融再生委員会というのがありますが、これをつくる。ここが中心になって、その中に金融監督庁も入り、この委員会委員長は国務大臣。この金融再生委員会が、こっちにあります破綻金融機関、これは被管理金融機関であるとかあるいは特別公的管理銀行とか、そういう方向に移していく。それだけでなくて、破綻のおそれという、この下の方にありますが、こういうものについても特別公的管理に移していく。そして、公的ブリッジバンクというのも入れて整理していく。整理してだめなものはきれいに整理を済ませて清算に向かっていく。ちゃんと生き残るものは生き残るで民間の金融機関に渡していく。不良債権は整理回収機構、この辺にありますか、こちらへ全部集めて回収していく、こういう案。これはどこでも出ているわけですが、きょうは国民皆さんによくわかっていただこうと思ってつくってきたんです。  こういう案になってきたということ、これはなかなかいい案になってきたなと、総理、いかがですか、そう思われますか。それとも、泣く子と地頭じゃなくて泣く子と野党にはかなわぬというので筋が曲がってしまったなと思われますか、いかがですか。
  66. 小渕恵三

    ○国務大臣(小渕恵三君) まず、ただ一人の内閣総理大臣として、責任を持ってこれから全力を挙げて努力をさせていただきたいと思っております。  現下、憲法によりまして両院がございまして、すばらしい衆参両院の議院の中で政治が行われている現状を十分認識しながら対処していく必要があろうかと思っております。  そこで、段々の経緯はございますけれども、党首会談を行いまして、その結果、今回それぞれ大変御苦労をいただきまして修正案が出てまいりまして、こうした形での御審議をいただいておるということでございます。  政府といたしましては、当初提出をいたしました法案はそのままの形に相なっておりますけれども、現在提案されております衆議院で通過いたしましたこの案につきまして、一日も早くこれが成立をさせていただきたいと心から念頭いたしておりますと同時に、あわせまして早期健全化スキーム、これまた極めて重要なことだと心得ておりますので、ぜひ与野党ともこの問題につきましての熱心な御論議もいただき、これまた政府といたしましては通過させていただいて、ともどもに一日も早く金融の安定を行い、日本から少なくともこうした金融の問題に発しての世界に対してのメッセージを明らかにしていかにやならぬ、このように考えております。よろしくお願いいたします。
  67. 江田五月

    ○江田五月君 まことに私は残念なんですね。  ちょっとごめんなさい。今の小難総理のことは後回しにして一つだけ。  宮澤大蔵大臣は、前の政府案に比べて今のこの案はよくなったというふうにお思いですか、それとも筋が曲がったとお考えですか。
  68. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) もともと衆議院法案を御審議いただきました冒頭に、私は政府案が必ずしもベストとは申し上げません、新しい状況でございますから、いろいろお知恵が出て、その結果いいものができるという可能性は十分ございますので決してこだわりません、イデオロギーもございませんしと申し上げておりましたので、御審議の過程で確かに非常に有益な御指摘もありましたし、その結果として衆議院の多数の御意思としてできましたので、これは尊重して立派にこのとおりやっていかなければならないと思っております。
  69. 江田五月

    ○江田五月君 大蔵大臣、所用だそうですからどうぞ御退席ください。  総理大臣、じゃ伺いますが、私は先ほどは確かに菅総理ということを言いましたが、現実に小渕さんがただ一人の総理大臣であることを否定しているわけじゃ全くありません。だからこそしっかりしていただきたいんですが、どうも今のお答えを聞くと、内閣が出された案は結局わきへ置かれて、そして野党三会派の案をもとにみんなで修正してここまで来ている。それはよくなったというふうに思われるのか、それともねじ曲がったと思われるのかということを聞いたのに、いっぱいいろんなことをお話しになりましたが、その肝心なことにはお答えになっていないんですよ。もう一度答えてください。
  70. 小渕恵三

    ○国務大臣(小渕恵三君) 議会制民主主義のもとでは国会における御意思が最もたっとぶべきものだと心得ておりまして、政府といたしましては御提案はいたしておりますが、その後の段々の経過の中で与野党も真剣にこの問題にお取り組みいただきまして、衆議院におきましてこれが通過をして本日参議院で御審議をいただいておるわけでございますから、その内容につきましては、私自身も政府責任者とし、かつまた自由民主党の総裁として、党の立場でのこの問題に対しての対処につきましてはこれを一任して御審議をいただいてきたことでございますので、その結果生まれましたことはこれはすばらしいことであるというふうに考えております。
  71. 江田五月

    ○江田五月君 すばらしいことであると言われましたが、すばらしいものであるとはどうも言われなかったんです。  津島さん、率直にお答えください。いいものになったと思われますか。
  72. 津島雄二

    衆議院議員(津島雄二君) 先生の絵と同じようなものを私ども描いておりますが、今びっくりしたのは、ほとんど全く同じように描いてあります。  それで、私は、でき上がったものは大変立派なものになった。そして、この勉強の過程で与野党が本当にこれだけ真剣に議論して、それぞれ学ぶところが多かったと、かように思っております。  以上でございます。
  73. 江田五月

    ○江田五月君 そういうことだと思うんですね。やはり、そこは率直にみんなでお互い話を交わさなきゃいかぬと思うんです。  私は、本当にこれまでの政府金融問題に対する政策というのは失敗の連続だったと思うんですよ。住専問題から始まって昨年の山一証券、北海道拓殖銀行、今年三月の大手十九行に対する横並び公的資金注入、いずれもその場しのぎであって一貫した原則、ルールがない。六月の金融再生トータルプラン、ブリッジパンク構想、これはすぐに大手銀行に使えないということが明らかになってしまう。  何が問題だったかといいますと、やっぱり今の金融情勢に対する認識の甘さですよ。例えば三月のときに、どの銀行も破綻のおそれはないといってずっとやっていくわけです。しかし、実際はそんなことはなかったんじゃないか。六月の段階では、もう本当に日本金融の危機はかなり進行していた。それなのに、まさか大手が破綻するなんてことは夢にも思っていなかったんでしょうね。大手の破綻というのを想定しない。したがって、それに使えない、そういう案を出してこられる。それが今度の金融再生法案というか政府の方の案です。  八月に、私ども野党三党で、これではいかぬというので我々の対案を出した。その前の三月のときにも、私どもは、そういうやり方は違う、今の金融状況というのはそんなものじゃないということで批判をした。そして、九月十八日には党首会談で合意がなされた。ところが、やはりその基本にある今の危機についての認識というものがかなり食い違っていたのか、政府自民党の方からはいろんな不規則な発言が出てきたわけです。  今やもう大手も倒れるということが起き得ると。あるいは、国際社会の中で本当に日本の銀行の資金調達が苦しくなっておる。ジャパン・プレミアムというけれども、ジャパン・プレミアムを払ったってもう調達できないというような事態が起きておるとか、日銀総裁が週末にワシントンで開かれた一連の国際金融会議で、日本の銀行の状況は大変だ、四%を下回る大手銀行もあるとか、いろいろきょうの新聞も、あるいはロイターでしたか通信社もそういうことを報じておるわけです。  この事態をしっかり認識してちゃんと対応策を立てるということが今までずっとなくて、今も一体小渕総理にそういう認識があるのかどうか私はいささか疑問に思っておるんです。  今昭和の金融恐慌以来の危機だと。昭和の金融恐慌は我々だれも経験したことがない。それが今来ているので、これはもうすべての知恵を集めて乗り切っていかなきゃならぬということが言われているわけです。私は、例えば戦後改革、これはやはり大きな日本の改革だったわけです。軍国主義から平和主義へ、あるいは全体主義から民主主義へ、国家主義から基本的人権へと新しい原則を打ち立てて、私どもはあの危機を乗り切ってきたわけです。今、事は金融の問題だけじゃなくて、例えば財政のことでも行政のことでも地方分権のことでも、そういう新しい原則のもとに新しいものをつくっていかなきゃいけない。  堺屋長官に質問は通告しておりません、質問じゃありませんが、十六年体制と言われる、あるいは一九四〇年体制と言われる、それを変えていくという、それだけの大きな原則を持った金融改革というものを今やらなきゃならぬ。恐らく、堺屋さんは同じようなお気持ちをお持ちだろうと。うなずいておられます。質問はしません。  そういうことで、もう一つパネルをつくってまいりました。(図表掲示)こういう従来の原則というのをこちらに書いておりますが、大蔵主導で護送船団で情報非公開、責任追及はない、問題は先送り、破綻の場合はその場しのぎ、これでずっとやってきた。それを変えなきゃいけない、その原則を変えなきゃいけない、これがこちら側にあります金融再生委員会主導。これはもちろん政治が大いに関与していくわけです。あるいは、護送船団でなくて自己責任、情報は公開をしていく。もちろんそれはいろんな縛りはあるでしょう。しかし基本は、情報は開示をしていく、責任追及はするんだ、原則で迅速な処理をする。破綻については公的な管理をして、ちゃんと国が責任を持っていろんなシステミックリスクその他につながっていかないようにやっていくんだという、そういう原則の大転換をやらなければいけない、そういうときに来ているということだと思いますが、今度の野党共同案に対する共同修正案というのは、まさにそういう原則を打ち立てたということで私は画期的なんだと思っております。  参議院野党が多数だということもございますけれども参議院野党が多数だからその力でこういうふうになってしまったんだというんじゃなくて、従来の政府案というのは、今申し上げたような大蔵主導、護送船団云々という、こういう古い原則があった。しかし、今必要なのは新しい原則に基づいたものをつくっていくんだ、それが野党三会派案だったんだということで、私は、参議院の多数ということもさることながら、そういう原則の大違いということで政府案がわきに置かれ、この野党の案が今、日の目を見ようとしている、その必然性があるんだ、そう思いますが、小渕総理、いかがですか。
  74. 小渕恵三

    ○国務大臣(小渕恵三君) 現下金融問題、再生問題、これが喫緊の問題であることにつきましては、私とて、江田先生を初め諸先生方と人後に落ちるものでないという認識をいたしております。さればこそ、この内閣を組閣いたしまして以来、最大の課題では経済再生であり、経済再生をするためには景気を回復しなきゃいけない。景気を回復するためには現下日本金融システム安定化させていかなければならない。すなわち、体の中で最も心臓部分である金融機関、これを流しておる血液たる金融、こうしたものが健全化しない限りにおいては真の日本経済の回復はあり得ないという認識のもとにおいて、政府として法案提案させていただいて、この八月にも国会を開いて御審議をちょうだいしてきたわけでございます。  そういう過程の中で、今回、与野党の話し合いによって今日こうした事態に対処しておるわけでございますので、先ほど来申し上げておりますように、一日も早くこれらの法案を成立させていただき、できる限り早くこの問題に対する日本側の姿勢というものを明らかにしていかなきゃならない、このように考えております。
  75. 江田五月

    ○江田五月君 小渕総理、この野党の共同案に対する修正ができた。この案が間もなく参議院で成立します。そして、あなたはこの一番重要なところ、総理大臣なんです。あなたは総理大臣。わかりますね。いいですか。この野党三会派案にみんなで手直しをしたこのスキームをあなたはちゃんと動かす、そういう気概をお持ちですか。もしお持ちでないなら私たちは別の運転手をつくらなきゃいけない。いかがですか。
  76. 小渕恵三

    ○国務大臣(小渕恵三君) 今法案の御審議をちょうだいしておるところでございますので、法律案法律案でなくして法律として話生いたしますれば、それに基づいて政府行政責任を負い、その行政の最高責任者は内閣総理大臣、このことは十分心得て対処いたします。
  77. 江田五月

    ○江田五月君 私どもは、野党みんなで知恵を集めて最初の案を出し、それを基礎にして自民党の若手の皆さん方にも知恵をかり、立派な車をつくったと思っています。しかし、その運転手がだめだったらこれはどうしようもないので、ひとつ本当にしっかりしていただきたい、だめならかわっていただきたい、そのことを申し上げて、午前の質疑を終わります。(拍手)
  78. 坂野重信

    委員長坂野重信君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午前十一時五十五分休憩      ―――――・―――――    午後一時二分開会
  79. 坂野重信

    委員長坂野重信君) ただいまから金融問題及び経済活性化に関する特別委員会を再開いたします。  この際、委員異動について御報告いたします。  本日、池田幹幸君が委員辞任され、その補欠として橋本敦君が選任されました。     ―――――――――――――
  80. 坂野重信

    委員長坂野重信君) 債権管理回収業に関する特別措置法案外十一案を議題とし、休憩前に引き続き、質疑を行います。  ここで答弁者の各位にお願いがございますが、議事の進行上、答弁は極力簡潔かつ明確にお願いしたいと思い、一言お願い申し上げておきます。  質疑のある方は順次御発言順います。
  81. 江田五月

    ○江田五月君 民主党・新緑風会の江田五月でございます。午前中に引き続いて質問をさせていただきます。  パネルをちょっと。(図表掲示)午前中、このパネルをお示しいたしまして小渕総理にお伺いをしました、こういうものができますよと。これは、総理が内閣を代表してというか、お出しになったのは大蔵大臣でしょうか、内閣がお出しになった法案をわきに置いて、野党三会派の案にみんなで手直しをしてつくったものでございまして、こういう言ってみればすばらしい車ができた。運転手が本当にこの車を乗りこなせる運転手じゃなきゃ困るわけで、小渕総理、あなたが今運転手ですから。もし運転手がこの車を下手に動かしたら、私たちは運転手をかわりなさいと言わなきゃいけないのですが、それについて覚悟のほどはいかがですか。
  82. 小渕恵三

    ○国務大臣(小渕恵三君) 先ほども御答弁申し上げましたが、今この参議院におきまして御審議をいただいておるわけでございます。各党問でお話がまとまり、法律が制定されれば、それに基づきまして行政府の長といたしましてその責任を十分果たしていきたい、このように考えております。
  83. 江田五月

    ○江田五月君 それで、長銀のことについて具体的に伺いたい、日本長期信用銀行、長銀をどういうふうにこれから処理していくのかについて。  私どもは、このできたスキームで、ちょうどここのところに書いてある特別公的管理銀行というのがありますが、長銀はもうここへ移っていくしかないんではないかと思っております。また、党首会談のときにもそういう合意になっておると理解をしておるんですが、例えば総理のきのうの本会議の答弁を聞かせていただいても、与野党で一緒につくった新しい枠組みが早くできることを期待する、さらに長銀については適応可能な新しい法律処理をすると、そういうようなおっしゃり方で、どうもそこがひとつあいまいなんです。  長銀はこのただいまお示ししたスキームで特別公的管理銀行として処理をするということでこれはよろしいんでしょうね。確認をしておきます。
  84. 小渕恵三

    ○国務大臣(小渕恵三君) 本会議でも申し上げたと思いますが、長銀問題につきましては、与野党合意において、これに適応できる特別公的管理の枠組みを確定し、新しい法律で規定した上で対処することとされたところでございまして、政府といたしましては、与野党合意を踏まえた修正された新法が成立されることを望みますとともに、新しい利用可能な枠組みの中で対処いたしていく、こう御答弁申し上げておりますが、そのとおりでございます。
  85. 江田五月

    ○江田五月君 そのとおりというのは私が申し上げたとおりということでよろしいんですね。つまり、一番最後にこれに適応できる新しい枠組みというのがちょろっとつくと、それは何か別のことを考えているような、この間随分やりとりが、どうも微妙なところでいつも食い違いが起きて、それが後々議論になるということがあるものですから、そこをあえて重ねてもう一度確認しておきます。
  86. 小渕恵三

    ○国務大臣(小渕恵三君) これは重ね重ね申し上げますが、今御審議をいただいておりますので、これは与野党で話し合った過程で、参加された政党もございますし、そうでない政党もあるかと思います。したがいまして、本院で決定されましたその法律に基づいて対処するということでございます。
  87. 江田五月

    ○江田五月君 そうしますと、総理は、ちょっとくどいようですが、九月十八日の党首会談の後一も、長銀については債権の放棄をし、そして住友信託銀行との合併という形で処理をするということをその後もおっしゃったことがあるんですが、しかし日本リースのああいう状態などを考えるともうそういう道はないと、これは確認できますね。
  88. 小渕恵三

    ○国務大臣(小渕恵三君) これは今提出者がそれぞれお答えをされておりますが、そうしたことのお答えの中で本委員会でも最終的な話し合いがまとまり、その法律によりまして対処するということでございます。
  89. 江田五月

    ○江田五月君 長銀が関連ノンバンクに対して持っている債権を放棄するということは、もうこれは国民的にも許されないし、官房長官もそういうことはもうできない、国民にも支持されないということをおっしゃっているし、そうしたことはないんだと私は理解をいたします。どうもそこがまだすきっと答弁をいただけないんですが、そう理解をします。  さて、新しい原則の中でも最も重要なものは、やはり情報公開といいますか情報開示だと思います。幾ら処方せんのメニューがそろっても、どうも検査結果のデータがちゃんと出てこないと診断のしょうがない。午前中にもいろいろそういう議論がございました。  もう一枚パネルを実は用意しておりまして、これはこういうパネルなんです。(図表掲示)十月一日付の日本経済新聞の記事の一部をパネルにしてみたんですが、「大手十八行の自己資本比率」、本年九月末の速報値ということでございます。この括弧の中は三月末のもので、これは公表されております。  これで見ると、日本の大手銀行はすべて国際基準を満たしておる、すべて健全であるということになるんです。どうも私たちとかあるいは世界の人々の認識とは大分違うように思います。  これについて、宮澤大蔵大臣、先日、十月一日でしたか、衆議院の予算委員会で、我が党の鳩山由紀夫議員のこの点についての質問になかなか微妙なお答えをされておって、こういう数字は、まあ各行それぞれのやり方でやっているんだけれども、十分金融監督庁の検査の結果を見てみないとこれでいいかどうか、これが正しいかどうかわからぬ、これならそれはもう全然心配ないんだけれども、果たしてそんなものかなと、そういうふうに聞こえるような答弁をされているんですが、こういう数字をごらんになって、これはこういう認識でいいということですか、これは違うということですか、どちらですか。
  90. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) ただいま御紹介くださいましたようなことを鳩山委員に実は申し上げました。九月中間期の決算はまだ出ていないはずでございますから、それはある程度推測をしたのかもしれませんが、一般的な常識として今の日本の十九行の姿がああいう姿だというふうにはどうも正直言って思いにくいので、それであのように実は申し上げたわけでございます。
  91. 江田五月

    ○江田五月君 いや、だから本当に困ったものだと思うんです。こういう数字で見ますと、これ三月のときの数字と、中にはよくなっているものもあったり、ほぼもう同じなんです。ところが、三月から九月までの間、経済状況は随分変わってきている、株価も随分低落した、景気あるいは企業実績悪化、倒産はふえている。数字がほとんど変わっていないというのはどういうことなのか。  こういう自己資本比率ですと、それは確かに早期健全化スキームを急がなきゃなりませんけれども、しかし、きのう、きょうあたりの与党の方の焦りぶりといいますか、もう一時間を焦るというようなことではどうもない。しかし、あるいはひょっとしたらこうじゃなくて、もっとぐっと悪いのか。  金融監督庁長官、この数字をごらんになってどうお感じですか。
  92. 日野正晴

    政府委員(日野正晴君) ただいま江田委員がお示しになっているのは日経新聞の記事であろうかと思いますが、世評いろいろなことが報じられていることは承知しております。ニューヨークタイムズの一面ではもっと悪いようなことが報じられていることも承知しておりますが、各行の平成十年九月期の中間決算についてはこれから確定作業を行うこととなっておりまして、当該中間決算を踏まえた九月期の自己資本比率については、現時点では公表している銀行はございません。通常、中間決算の概要というのは、各行多少まちまちでございますが、十一月下旬ごろに各行から公表されることになりますので、その結果きちっとした数字が出てくるだろうと思います。  私どもとしては、今現在、自己査定結果を踏まえました外部監査によるチェックを経て公表された本年三月期の決算では、主要行の自己資本比率はいずれも八%が確保されているものと承知しております。
  93. 江田五月

    ○江田五月君 大蔵大臣、これは善意に解釈すれば、各銀行のそれぞれこういう自己査定というものにいろんなやり方があって、そこが統一されていない。そして、金融監督庁がこういうことでなきゃならぬよというものにも合っていない。合っていないままで今日まで来ているから今こういう数字になっておるけれども、それは今後金融監督庁のしっかりとした基準でやっていけば、それが十月になるのか十一月になるのか、これより今回はがくっと下がるかもしれない。しかし、その後はまたずっと信頼できる数字で続いていくので、今回はちょっとそこのギャップがあるからこれだけ差があるんだというようなことかなとも思うんですが、いずれにしても事態が全く不透明なんですよ。こういう不透明な事態をそのままにしていわゆる早期健全化だ何だと言ったって、なかなか国民に十分説明できない、説明責任を果たせないという状況ではないかと私は心配をいたします。  金融監督庁も、随分何か長いのでもう終わったというような話も聞いておるんですが、まだ本当に検査をやっているんですか。
  94. 日野正晴

    政府委員(日野正晴君) 大手十九行に対する検査のうち、金融監督庁といたしましては、第一勧業銀行等九行につきましては既に立入検査を終了しております。具体的に細かいことをいろいろ申し上げてもあれですが、八月二十七日には興銀、中央信託の立入検査を終了、二十八日には東洋信託、三十一日には住友信託、九月二日には第一勧銀、富士、安田信託、九月十六日には日債銀、九月三十日には長銀の立入検査を終了しております。  しかし、立入検査を終了しているところは以上でございますが、それに基づきまして検査結果の現在取りまとめを行って精査を尽くしているところでございまして、検査は当該金融機関に対する通知をもって終了いたしますので、そういった意味ではどの銀行についてもまだ検査は終了していないということになるわけでございます。その後始めております東京三菱銀行等五行につきましても九月二十一日から立入検査をしておりますし、日銀の方でも住友銀行等五行について立入考査を終了しており、現在、考査結果の取りまとめをしております。いずれそう遠くない時期に全体の検査結果の内容というものがおのずから明らかになるものと思います。
  95. 江田五月

    ○江田五月君 今るるお答えいただいたわけですが、九月三十日に長銀の立入検査を終わっておる。しかし、結果の通知についてはこれから先まだどのくらいかかるのか、いろいろネゴシエーションをやるというような話も前からお聞きをしたりしているわけですが、もうそうではなくて、ここまで来ているんですから、総理、これはひとつ、立入検査を終わったからすぐ出せとは言いませんよ、だけれども、やはり可及的速やかといいますか迅速にこの検査結果をまとめて公表するという、節目節目にみずから決断でしたかね、この節目にひとつ総理みずから決断して、そして金融監督庁早くやりなさいということをおっしゃったらいかがですか。
  96. 小渕恵三

    ○国務大臣(小渕恵三君) 長官から御報告のような検査が終了しておるということでございます。大変、検査結果の公表ということに相なりますと、これは十分な精査をしなければならないかと思いますから、早急にそれを急がせるように努力をいたします。
  97. 江田五月

    ○江田五月君 何か迫力が伝わってこないんですね。  もう一つ預金保険機構理事長お見えですね。  三月に佐々波委員会審査を経て資本注入されました一兆八千億、この議事録というのはどうなっていますか。
  98. 松田昇

    参考人松田昇君) お答えをいたします。  先生御案内のとおりでございますけれども、現在施行されている法律では、審査委員会が適当と認めて定めた相当期間が経過した後に委員長が公表する、このように定まっておりまして、相当期間のありようについて現在いろいろ議論を審査委員会でいたしておったところでございます。  なお、これは私が申し上げるのが適当かどうかわかりませんけれども、現在御審議中の新法によりますと、附則九条の関係で、同法の施行前に作成された金融安定化法第五条一項の議決に係る議事録の公表については、審査委員会にかわりまして機構が適当と定める相当期間経過後に機構の理事長が公表すると、このようなことで今御審議をいただいているように承知をいたしております。  そのような場合になりましたら、私といたしましては、情報公開の重要性をよく踏まえまして、審査委員会のメンバーにもよく諮りまして、それで諸外国の例とかこれまでの国会の御議論とか、あるいは委員の発言の確保の問題とか、本来の信用秩序への影響とか、十分に参酌いたしまして適切に対応してまいりたい、このように考えております。
  99. 江田五月

    ○江田五月君 ということは、要するに三月の議事録はまだ作成されていないということですね。
  100. 松田昇

    参考人松田昇君) 法律で公表することが予定されている議事録は作成いたしておりますけれども、相当期間がまだ定まっておりませんので公表に至っていないということでございます。
  101. 江田五月

    ○江田五月君 私がきのう事務局の方に聞いたときには、まだ作成が終わっていないというふうに答えておられましたがね。それはいいです。  次に、「審査委員会が適当と認めて定める相当期間経過後に、これを公表しなければならない。」と。「適当と認めて定める相当期間経過後」、これはあらかじめちゃんといついつまでと定めるという規定だと思いますが、こういう定めはできておりますか。
  102. 松田昇

    参考人松田昇君) こちらで答弁させていただきます。  この「相当期間」そのものがいろいろ議論の的でございまして、現在審査委員会において議論を始めて検討しているという段階でございます。
  103. 江田五月

    ○江田五月君 三月からもう半年以上ですね。どのくらいの期間を置いて公表するかのその期間の定めさえまだつくっていない。議事録はつくっているかつくっていないか、これもどうも定かでない。そして、いよいよもうあとわずかで金融危機管理審査委員会は幕を閉じようとしているんですよ。  さて、修正案提案者にちょっと伺います。  九条ですが、ちょっと細かなことで恐縮なんですけれども、「この法律施行前に作成された旧金融機能安定化法第五条第一項の議決に係る議事録の公表については、」云々、この今の定めに従って公表しなきゃならぬというこの規定は、「なおその効力を有するものとする。」という規定がありますね。これは施行前に作成された議事録の公表についてですね。  したがって、当然もう作成されていることを予定してあるんじゃないか。三月ですから、もう当然それは作成されているのは、予定されるのは私は立法者、修正案作成者として何の落ち度もないと思うんですが、いかがですか。
  104. 池田元久

    衆議院議員池田元久君) 私も衆議院委員会で江田委員と同じように、この議事録はもう半年近くもたっておりますので、速やかに公表するように求めました。  今お尋ねでございますが、我々提案者としてもそこはもう六カ月近く経過しておりますので、当然作成しているものという理解でありました。  なお申し上げますと、私たちは情報開示の徹底という観点から、提案者としては相当期間というのは六カ月程度というふうに考えております。  ことし三月に資本注入を行ったわけであります。しかも、一・八兆円という資金を投じたわけでございますから、これはもう可及的速やかに公表すべきであると考えております。
  105. 江田五月

    ○江田五月君 金融監督庁の監督は総理でございます。  総理、今お聞きになってどうですか。六カ月ですよ。どのくらいたったら公表するという、その期間の定めもまだしていない、議事録はつくっているかつくっていないかわからない。  総理、ひとつこれはこの委員会審議の終了までにやはり定めをつくってもらう。そして、公表はもう私はしてもいいと思いますが、せめて定めぐらいはつくり、そして議事録はちゃんと作成し、そして例えば預金保険機構に引き継ぐなら引き継ぐ、そこまでのことぐらいは、総理、やってもらわなきゃ、私はこれはとても情報開示に熱心だなんて到底言えない、そう思いますが、いかがですか。そういう決断をされたらいかがですか。総理総理。――委員長、これはやっぱり総理に答えてもらわなきゃいけない。総理に答えてもらわなかったら、これはちょっと質疑続けられませんよ。あと一分。
  106. 小渕恵三

    ○国務大臣(小渕恵三君) 現行法によりますと、預金保険機構につきましては、その中における一般的に言う佐々波委員会、これは大蔵大臣、日銀の総裁も入っておりますが、そこの預金保険機構につきましては、先ほども御答弁を申し上げておりますとおり、本件について内閣総理大臣として指示をするという立場ではございません。
  107. 江田五月

    ○江田五月君 だって、預金保険機構の最終責任者は総理でしょう。それに国政全部。預金保険機構じゃありません、金融監督庁の。  じゃ、ちょっと大蔵大臣。
  108. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) 実は、どういう事情でおくれておられるか私もつまびらかにいたしておりませんけれども、少なくとも、今公表するしないではなくて、何カ月後にはそうするということあたりは委員の方々の御相談によって決めていただけるものではないかと思いますので、私よく事情存じませんが、そういうことを申し上げてみることにいたします。
  109. 江田五月

    ○江田五月君 確かに、直接の監督責任は大蔵大臣の方ですから、今の大蔵大臣のお答えでひとつぜひこれをやっていただきたいんですが、総理も国政の最高責任者としてそこはしっかりと節目節目の御みずからの決断をお願いいたします。  後は直嶋委員から質問いたします。(拍手)
  110. 坂野重信

    委員長坂野重信君) 関連質疑を許します。直嶋正行君。
  111. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 民主党の直嶋でございます。それでは江田議員に引き続きまして、質問させていただきたいと思います。  それで、質問に入る前にちょっと委員長に一点お願いがございます。  昨年破綻いたしました北海道拓殖銀行でございますが、これの与信調査委員会から報告書が出ています。一部もう新聞等でも報道されておりました。ぜひこの報告書を当委員会提出していただきますよう取り計らいをお願い申し上げたいと思います。
  112. 坂野重信

    委員長坂野重信君) 後で理事会で協議いたします。
  113. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 それじゃ、本題の方に入らせていただきます。  けさほどの質疑の中にもあったわけでございますが、例の金融安定化緊急措置法に基づく十三兆円のスキームでございます。これは今審議をいたしております金融再生法案が成立すればなくなることになるわけでございますが、しかし政府の方は本年三月にこの十三兆円のスキームから約一・八兆円の資金を大手銀行中心にもう既に投入をされております。けさもその話がございました。この公的資金の投入については、この後の健全化スキームともあわせましてさまざまに議論を既にされているわけでございます。したがいまして、私は実際にこの使われた一・八兆円についてきちっと評価をしておく、このことはこれからいろいろ議論を進めていく上で大変重要な問題だというふうに思っております。  それで、まず大蔵大臣にお伺いをいたしたいのでありますが、大手銀行中心に投入した三月の一・八兆円、これはどのような効果があったというふうに御認識をしておられますか。  衆議院でいろいろ議論がありまして、例えば最近の株価の下落によってもう半分以上が評価損として消えてしまった、全く効果がなかったんじゃないか、こういう御指摘もあるわけでございますが、大蔵大臣の御見解をお伺いいたしたいと思います。
  114. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) 御記憶のように、昨年の十一月ごろから金融界に変調がございまして、その後に東南アジアの為替変動、為替の乱調というものが我が国にも影響を及ぼすようになりました。そういう中で、我が国の金融機関の対外的な信用が急激に落ちてまいりまして、そのこと自身心配する状況でございましたが、現実には我が国の銀行が海外でドルを調達いたしますときのジャパン・プレミアムというものが実はかなり高くなったばかりでなく、銀行によっては調達ができないという状況になりました。  そういう中で、これは我が国の金融システム全体に対する危機だというふうに私ども考えまして、各行に対して、資本強化を望まれるところに対しては一様にと申しますか、条件はいろいろ違いますけれども公的資金を使うことが日本金融システム全体に、三月という決算期、年度末を迎えまして必要であろうという判断をいたしました。その結果投入をいたしたわけでございますが、同時に、これによって貸し渋りが多少改善するのではないかというふうに言われたものでございます。ただ、それは副次的な効果として言われたものでございましたけれども一結果としては貸し渋りは好転いたしませんでした。  それは、いろいろ理由はあるだろうと思います。その後に、東南アジアからの不良債権であるとか国内の新しい不良債権であるとかいろいろございますし、またこれがなければもっと悪くなっていただろうという議論も考えられますけれども、貸し渋りにプラスに、現実の問題としてそれが改善したということにはなっておりません。しかしながら、その間に年度末を迎えての我が国の金融システムに対する不信というものは一応解消された、そういう意味合いはあったと思っております。
  115. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 実は、貸し渋りの部分についてはこの後お聞きをしようと思っておりました。今大臣お答えになったんですが、ということは、いずれにしてもさっきおっしゃったように、資金をとりづらくなっていたいろいろな状況があったので年度末に入れたと、こういうことで、そういう状況を切り抜ける上では効果はあった。  ただ実際に、大臣が今おっしゃった、例えば我が国銀行の資金の問題にしても四月以降もそんなに改善されていない、あるいは今も非常に厳しい状況にある、こういうことを考えますと、本当に大臣が今おっしゃったような効果があったのかどうかというのは、私はむしろ年度末の決算の自己資本比率等の関係もあって一種の決算対策的にお使いになったんじゃないかという感じはちょっとしておりますが、この点について申し上げておきたいと思います。  それから、今お話しあった貸し渋りの問題なんです。これは先に大臣の方が貸し渋りについては余り効果がなかったというふうにおっしゃられた。ところが、実はこの貸し渋りということが大変議論になったのは、もう既に昨年の暮れぐらいからです。その中で、金融機関の貸し渋りがとりわけ中小企業の経営に大きな悪影響を及ぼしているということで言われてきたわけであります。最近になると、これが中小企業からさらに中堅企業もそうだ、あるいは大企業すらと、こういう状況になっているわけであります。  たしか、十三兆円スキームでこの一・八兆円を投入するときにいろんな議論があったわけですね。大臣は今、いわゆる資金をとったりシステムを守るためがメーンで、貸し渋りは副次的な期待だったというようなことをおっしゃったんですけれども、実は十三兆円のスキームというのは貸し渋り対策のためにつくるんだ、あるいはそのために三月末に使うんだ、こういう受けとめというのは実は世の中では結構多いんです。現実に、例えばあのときに銀行の方から申請があった額は約二兆円です。実際は一・八兆円使った。しかし、その二兆円申請があったときにも与党の幹部の方なんかも、いわゆる百分の八の逆数、つまり二兆円入れれば二十五兆円資金を貸し出しできる枠ができるんだ、こういうようなこともおっしゃっていたわけです。  そういう意味で、私は今の大臣のお話のように貸し渋りにそんなに効果がありませんでしたということでは、非常に恐らく……(「納得できない」と呼ぶ者あり)今、後ろから声が出ましたけれども国民皆さんの納得は得られないんじゃないかと思うんですが、この貸し渋りについては残念ながら全く効果がなかった、こういうふうに整理をしてよろしいですね。
  116. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) それは、余りお時間をいただかないように努めますけれども、今不良債権と言われている非常に大きな金額は、かつてはこういう問題がないまでは優良債権だとみんなが思って、その上に日本経済が築かれておったわけでございますから、それがずっと縮小しなければならない。  それに対応して日本経済は、例えば地価とかなんとかいうものが縮小しておりますけれども、全体が同じように縮小しておりませんから、やっぱり非常に大きな貸し出し、七百兆ぐらいと思いますけれども、それを非常に小さな資本が支えているということに違いありません。そして、資本の方がリストラを続けていきますからますますその比率は悪くなっていくというのが大きな姿であろうと私は思っていまして、したがってリストラをすればするほどこの状況は悪くならざるを得ないというのが現実だろうと思うのでございます。  したがいまして、今の日本の銀行は恒常的に過少資本ということにどうもなっていざるを得ないんだろう、それをしかし直していかなければならないというのが問題であろうと思います。ですから、ことしの三月手前ごろに八%銀行なら十二・五倍、四%なら二十五倍ということは、正直を申して日本経済の過少資本状況というものを十分見詰めていなかったというふうに申し上げざるを得ないかと思います。
  117. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 今、大蔵大臣、率直に反省もされたんですけれども、私はやっぱりこの種の議論というのはきちっと整理した上でやらないと、今現実に皆さんなかなかお金が借りられなくて困っている。そうすると、政府が何か大きなお金を使って金融機関に入れてくれれば資金の回りがよくなるんだ、こういうある種幻想と申し上げていいような期待を抱かせることになるんじゃないか。私はこれからの議論も、けさもちょっとありました、ここのところは非常に注意をしてきちっと議論しなきゃいけないんじゃないか、このように申し上げておきたいと思います。  それから、これは通産大臣にちょっとお伺いをしたいんですけれども、これは今の通産大臣のころではなくて、さっき申し上げた三月末ですから前の通産大臣のころなんですが、あのときも今申し上げたような議論の中で、公的資金を銀行に入れても結局は不良債権処理お金が回ってしまうんではないか、こういう議論がありました。そのときに、ちょうど金融機関が横並びでといいますかまとまって申請をしたそのころだったと思うんですが、堀内通産大臣が、本当に貸し渋り対策ということで考えるなら大蔵省に銀行をきちっと指導してもらわなきゃ困る、こういう趣旨のことを当時の橋本総理に要請をされた、こういうことも私ちょっとマスコミ情報で伺っておりました。  今回のこのスキーム、一・八兆円の資金投入に対して、通産省の方から見て、いわゆる今議論しています貸し渋り等についてどのような見解をお持ちでございますか、ちょっとお伺いしたいと思います。
  118. 与謝野馨

    ○国務大臣(与謝野馨君) 三月の資本注入がどのぐらい貸し渋りに効いたかということは、はっきりした数字とかそういうことではお答えできませんが、少なくともマイナスに働いたというふうには考えられないと私は思っております。  現在の貸し渋りの状況ですが、昨年の北拓の破綻、あるいは三洋証券、山一証券の破綻等から特に信用収縮が起こったということは先生御承知のとおりだと思います。その結果、いろいろ調査をしてみますと、通産省では毎月調査を実行しておりますが、中堅・大企業ではやや貸し渋りが改善されたかなと、ややですが改善されたかなと思いますが、中小企業が資金を調達することは相変わらず苦しいというのはことしの初め以来ずっと続いております。  日本経済を支える非常に大事な部分がそういう資金調達難に陥っているということは、これは看過できないことでございますので、先般、国会でもお認めをいただいた法律改正等を総合いたしまして、政府としては四十兆に上る貸し渋り対策というのを十月一日から始めたわけでございます。  そういうことでございますが、今後とも、やはり政府系の金融機関も、またあるいは保証協会も、そういう中小企業に対して親身、親切な対応をして、実際にお金が出ていって経営の一助となる、そういう具体的な対応を現場でしていくということが必要だというふうに思っております。
  119. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 今通産大臣の方からもお話があったんですが、この四月以降、お話しあったとおり、特に中小企業を中心にして資金事情は一段と逼迫しています。私たち議員もそれぞれ地元の選挙区へ帰りますと、今はもうこの話ばかりと言ってもいいくらいやはり皆さん困っておられるわけです。今通産大臣からもるるお話がありましたように、できるだけ政策的に、銀行に資金を投入してそれを貸し渋り対策につなげるという、こういう発想ではなくて、中小企業、中堅企業の資金手当てをいかに円滑にしていくかという視点に立って思い切った対策をお考えいただきたいと思うんです。  最近、私なんかも聞いていますと、例えば公的金融機関の開銀なんかでも、場所によればちょっと担保が足らないからということでなかなか貸してもらえない、こういう話もあります。これはいろいろ事情があるのかもしれませんが、ぜひ思い切った政策の展開をお願い申し上げておきたいと思います。  それから、今の一・八兆円、十三兆円スキームお金の使い方で私がもう一つ驚いたといいますか問題だなというふうに思ったことは、この三月の段階金融機関が申請するわけですね、これだけを優先株なり劣後債でお願いしますということを申請する。この申請が、実は大手十八行すべてが申請をした。この大手銀行の申請を見ると、ほぼずらっと横並びで申請をされている、似たような金額で。これは申請そのものもそうでしたし、あと認められた実際の投入額もやはり似たような、一部さっき大蔵大臣が言われたように条件がちょっと変わっているとかございますが、似たようなことが起こっている。  私もちょっと振り返ってみたんですが、大手金融機関がこぞって申請するとかほとんどがそれをもらうということは、私はこの国会の議論のときにもこんなことは想定していなかったと思うんです。  さっきも与党の方が午前中に、こういう問題だったら個別行の状況を見てというお話をされていましたけれども、この十三兆円というお金を使うのがいいのか悪いのか賛否は別にして、大手金融機関にこぞって横並びで似たような金額を入れる、こういうことは国会の中でも全く念頭に置かずに議論してきたんじゃないかなと思うんです。  また、ここであえて言えば、さっき金融機関のリストラのお話も出ましたけれども、これは簡単に言えば、経営努力をしてもしなくても決算期になって困れば政府がいろいろ配慮してくれるんじゃないか、こういう気持ちを持たせてしまう、そういう面もあるんじゃないかと思うんです。  これはちょっと総理にお聞きしたいんです。さっき江田議員からも、これからの基本的な考え方はこうでしょうというお話があったんですけれども、いかがでしょうか。横並びで申請してみんなこぞって似たような金額を入れてしまう、こういうお金の使い方は私はおかしいと思いますし、当初考えてもいなかったので、いかがでございましょうか。
  120. 小渕恵三

    ○国務大臣(小渕恵三君) 三月時点における大手行に対する注入というのは、審査機関を経ましていたしましたことでございます。  しかし、委員お説のように、金融機関における体質あるいはまた状況等がそれぞれ一律でないという意味で、一般的に見られてどうであったかという評価はあるかと思いますが、当時におきましては、三月期決算もあり、そして副次的な意味で貸し渋りの問題につきましても効果があると考えて決定いたしたことだろうと思っております。
  121. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 今総理も貸し渋りとおっしゃったんですが、これはさっきお話し申し上げたように効果がなかった。私は、これはやっぱりやり方が間違っている。  それで、今のお話なんですが、実はこれは大事な部分なのでもう少しお話し申し上げたいと思うんです。  実は、これは三月六日、ちょうど大手十八行が公的資金を申請した、このときの記事なんですが、これはある新聞の記事なんです。似たような記事がいろんな新聞に載っていました。要するに、せっかくこの十三兆円スキームをつくったのに二月の中ごろになってもどこの銀行からも申請がない。実は、せっかく党が全力を挙げてこういうシステムをつくったのに大体だれも使わないというのはおかしい、これは党としての威信にかかわる話じゃないか、こんなやりとりがあって、自民党の方から大手金融機関に、申請をせよ、こういう圧力をかけたという、これは真偽のほどはわかりません、マスコミにそういう記事が載っていました。  そういうことを踏まえて、振り返りますと、ちょうどそのころ、例えば上位銀行のうちのどこかはその前に、私どもはこういう資金は必要ありません、こういうことを新聞で発表されたとか、あるいは幾つかの銀行は、海外で社債等を発行して資金調達をします、ですから私どもは使いません、こういうようなことがマスコミでも報道されていました。つまり、比較的業績のいい上位の銀行はそういう方向を検討していたのではないかと思うんです。  ところが、今度は別のサイドから、しかし全部じゃなくて一部のところだけが申請したら、申請したところは悪い銀行だ業績が余りよくないんだ、こういうふうに受けとめられてしまう、だから結局やるなら全部やってくれ、こんな話もあったというふうに聞いています。  ですから、このお金の出し方は、そういう意味でいいますと、さっき大蔵大臣は信用システムを守るためだ、いろんなことを考えて必要があってやったんだ、こういうふうにおっしゃったんですが、結局、運用の段階でそれが全くゆがんだものになってしまった、全部横並びで。  さっき総理は三月末で必要だったんだとおっしゃっていますけれども、こういう経過を見るとそうじゃないと思うんです。実はここに今の、銀行もそうですし、行政の、あるいはあえて言いますと政府・与党の問題もやはりあるような気がするんです。私は、こういうことは本当にこれから反省しなきゃいけないと思うんですが、いかがでございますか、総理
  122. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) あのときは、一月十二日でございますか、非常に早く国会をお願いしたりしたような、大変この問題は緊迫しておりましたし、年度末に実際どうなるかということをお互いに思ったわけでございます。  実際、それはしかし、日本の信用システムというのはジャパン・プレミアムにもあらわれますように非常な危機にあったことは確かでございますから、あのこと自身は私は無意味だと思っておりませんけれども、その過程において委員の今お話しになりましたようなことがいろいろに言われましたことは、私も外から見てあるいは聞いておりまして存じております。みんななかなか依頼に来ないので、この上で悪いところだけがもらうんじゃないかというようなことがあったりしまして、そういうこともございました。  全体として金融システムの危機は救われた、そこまでは確かでございますけれども、それがああいう形で一斉に、ちょっと右へ倣えのようなことで行われたのには、私どもの党の中にも批判が実はございますので、世間的にいろんな批判があったことは私も気がついております。大変にそういうピンチであったことは確かでございましたけれども一つの今後の参考になることだというふうには思っております。
  123. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 こういうことが起きたときに横並びで対応していく。結局これが、海外からこういう姿を見ると、日本の銀行というのは十八行あってそれぞれ本当は特色があるはずなんです、それぞれ経営も違うはず、実態も違うはずなんですが、何か皆同じように見えてしまう。だから、ジャパン・プレミアムという言葉に代表されるように、邦銀はと、こう言う。最近は海外の方でもそうですよ。日本の銀行はと、こう言う。日の丸をつけて全体をまとめて言われる。ここら辺が私は誤った情報を発信してしまっているんではないか。  やはりこれから、さっき江田議員からもあったように、自助努力ということが重要になるわけでございますから、これからこの公的資金をどうしていくかという議論はまだまだこれから議論されると思います。私、この席でこれ以上今の問題について申し上げませんが、結局こういう使い方を、今大蔵大臣おっしゃったように、これからやはり心していかなければいけないんじゃないか。  次に、もう一つここでお伺いしたいんですけれども、今のやりとりの中にも、十三兆円スキームはやっぱり必要だったんだ、あれがあったから危機が乗り越えられたんだ、こういうお話があったんですけれども、今申し上げたように、個別の銀行に大変な経営努力を求めるということでもなくて、何か横並びで無原則にこういうお金を入れてしまう。結局、このことが私はいろんな問題の先送りにつながってきているんではないかと思うんです。この十三兆円スキームということを考えました場合に、この問題、今申し上げたようなところが今回のお金の使い方の大きな反省点ではないか、このように思うんです。  提案者の方にお伺いしたいんですけれども、今回、冒頭申し上げたように十三兆円スキームは廃止をされることになった。私も、もしこれからいろんな状況の中で公的資金破綻前の銀行に使っていくとしても、今回のような使い方はしちやいけない、こう思っているわけでございますが、今回、特にこの十三兆円スキームの廃止について強調された衆議院の実務者協議の方のお考えをちょっとここで、いわゆる公的資金というものについてのお考えをお伺いしたい、このように思います。
  124. 枝野幸男

    衆議院議員枝野幸男君) お答えさせていただきます。  公的資金、最終的には国民皆さんの税金を使わせていただくことになるかもしれない、そういったお金を使わせていただく場合でありますので、当然のことながらきちんとした根拠、理由、そしてそれに伴う責任等がはっきりしなければいけないという基本的な原則に立って私ども考えてまいりました。  そうした意味で、言うまでもなく預金者保護のために債務超過部分を埋めなきゃならない、これは二〇〇一年まで預金は全額保護しますというお約束をしてきております以上、ここはやむを得ないところであるということでありますが、そこから先の部分、いわゆる貸し渋り対策あるいは金融システムを守るという部分につきましては、本当にそういったことが必要なのか、そして本当にそういったことのために役に立つのかということがしっかりと精査されない形で、ただお金だけが使われるということがあってはならないという立場に立って考えてまいりました。残念ながら、ことしの三月の税金の使い方は、そういった点についてのしっかりとした精査がなくお金が使われたと私は考えております。  実は、不思議な話でありまして、三月の金融危機を公的資金を入れたことによって乗り切ったというような大臣の答弁が先ほどございましたが、ことしの三月の決算期のときの各大手銀行のバランスシート、自己資本比率はいずれも八%を大幅に上回っておりました。長銀もそうであります。そうした中で株主皆さんに配当までいたしております。この決算書を見る限りにおいては、どこが危機であったのかということになります。危機であるということは自己資本比率が大幅に下がっている、過少資本であるから危機なわけでありますが、ことしの三月、結果的に公的資金を入れていなくても八%を大幅に超えていた決算書を出しています。  それから、先ほど江田議員どもお出しになっていましたが、ことしの九月末の中間決算、長銀を除いた十八行はいずれも八%を上回り、二けたの自己資本比率を持っているところもあります。  それでありながら、一方では過少資本状態であって危機でありますということは、まさに二枚舌ということを言われても仕方がない、どちらかがうそをついている。つまり、現在危機であるということがうそであるのか、それとも現在八%以上の自己資本比率があると言っている銀行の決算がうそであるのか、どちらかがうそでなければこれは両立し得ない話であります。  こうした状況の中で、金融システムを守るとか貸し渋りを防ぐとかという形でお金を仮に使ったとしても、まさに何のためにそのお金が使われていくのかは全く明らかになりません。もちろん貸し渋りを防ぐということで、例えば私ども野党からも信用保証協会の保証の充実というような法案衆議院で既に出ております。そういった形の対応はしなければなりません。また、状況に応じては、日本の大手金融機関の自己資本比率が本当に下がっているという実態が明らかになって、それが日本金融を守るために本当に必要であるという状況が存在しているということであるならば、これは税金を一時使わせていただくという決断もしなければならないと私は思っております。  しかしながら、今のような銀行から公表されている数字と、政府や日銀などが国民を不安に陥れるような過少資本状態、過少資本状態と言っている二枚舌の状態の中では幾ら使っていいのかわかりませんし、幾ら使ったら本当に立ち直って健全になるのかもわからない、これが三月の資本投入の失敗であるというふうに考えております。  今回、早期健全化スキームという呼び方で破綻処理ではない部分での税金、公的資金の使い方について議論が始まっておりますが、私はこの二枚舌の状態を解消する、つまり本当の金融機関の決算の状態、自己資本状態がどうであるのかということが私ども自身も、そして国民皆さんにも十分に二枚舌の状態ではないと確認ができる、そうした仕組みが前提にならなければ、公的資金、税金を使わせていただくことは許されないというふうに考えております。
  125. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 今提案者の方から答弁があったんですけれども総理大蔵大臣、こういう答弁があってはっきりお話があったように、三月の公的資金の投入は明らかに失敗だった、こういう御指摘もあったわけですけれども、ちょっと今までの議論を総括して御見解をお伺いしたいと思います。
  126. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) その点は先ほど江田委員もおっしゃったことでございますけれども、今度初めてやや厳格な意味での銀行の検査、監査というものが監督庁によって行われるわけでございます。今までそういうものはございましたけれども、先ほどから御指摘のように、各行がかなり自分なりのいわゆる分類と引き当てをしているわけでございますから、それはおのおのの立場において行われていた。それを二枚舌とおっしゃると私は少し酷だと思いますけれども、それまでの銀行行政が厳重でなかったとおっしゃるんなら、それは私は甘んじてそう申さざるを得ないと思います。  今度初めて金融監督庁が一つのスタンダードによって監査、検査をしておられる。恐らくそれは今後マニュアルになって、必要なものは公表されて、そのマニュアルが各行の一つのスタンダードになっていくんだと私は思います。そうしますと、同じスタンダードでどこがいい悪い、早期是正ということができるようになりますから、恥ずかしいようですが、これから初めて各行が同じスタンダードで優劣というものを今度は競うわけになりますから、そういうことになってくるんだというふうに私は考えています。  ですから、今までやったことは効果がなかったというふうに、あるいは二枚舌だと言われますと、それは少し酷です。少し酷ですが、みんな銀行が自分自分のスタンダードで自分の評価をしていた、それを一遍そのままのんでいたということは行政としてはルースではないかということは私も反省しています。
  127. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 今のかかわりでもう一点ちょっと議論させていただきたいんですが、けさの議論の中でもちょっとお話があったんですね。いわゆる情報公開の話に絡んで、情報を公開しても結局それを見るのは一般の人が見るんだ、だからいわゆるパニックになってしまう、こういうような議論がありましたし、あるいはけさ、るる例えば株式の原価法と低価法の話もありました。今のように、情報公開してもこれは一般の人が見るからよくわからないんだからパニックになってしまうと大変だと、こういう言い方をよくされるんですが、私はそれは大変大きな間違いをしていると思うんです。  といいますのは、例えば原価法、低価法の話もそうなんですが、今の最大の問題というのは、今大蔵大臣もちょっとおっしゃったんですけれども、要はこれは二枚舌なのか何かは別にして、金融機関実態がよくわからないところにあるんですね。ですから、いろんな憶測を呼んでしまう。  それで、知らないということなんですが、一般の人がわからないと、こういうことになります。大蔵大臣もごらんになったことがあると思うんですが、今例えば証券アナリストとかいろんな経済の専門家の方が、非常に不十分なんだけれども既に発表された情報を使って、日本の銀行の実態はこうですよとか、あるいは実際は不良債権これぐらいあるんじゃないかですとか、こういうものがたくさん出ています。  こういうものは関心のある方はごらんになっているわけですね。もちろん、それぞれのものを見ますと数字はそれぞれ違う、確かに違いはあります。しかし、押しなべて言うと、ああやっぱり今例えば大蔵省なりが公式に発表されている、あるいは銀行が自分で発表されているこういうものよりもかなりひどいんだなと、こういうことはもうみんな、大体そういう数字を類推すれば言えるわけですね。ですから、信頼されていない、こういうことになると私は思うんです。  ですから、今ちょっと反省の弁もあったんですけれども、私は、朝の議論を受けて申し上げますと、やはりルールをきちっとして公表していく、このことが大事だということを改めて申し上げたいと思うんですけれども、大蔵大臣、御見解があれば。これはきのう通告いたしておりません。けさの議論を受けてちょっと今やらせていただきました。
  128. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) 昨年の十一月に金融の変調が始まりまして、そういう問題が私は急速に実は変わってきていると思います。つまり、かなり短い時間の間ですけれどもディスクローズすることの方が得だという、そういう考え方がかなり金融機関にすら私は出てきているように思います。  今までの護送船団行政というものは終わりまして、そして自分たちが立たなきゃならない、不良債権は多い、外国からは競争が入ってくる、また法律も厳しくなったということの中で、生き残るのはどうも隠すことではなくてディスクローズすることの方が得だと、少なくともいい銀行はそう思い始めている。悪い銀行が問題なのでございまして、しかし、どうもディスクローズしないと悪いんじゃないかと今度は言われる。そしてまた市場も、いい銀行はいい商品を出しますし、悪い銀行は余りいい商品が出せない。それでハイリスク・ハイリターンとかということにまたなってくるのかもしれませんが、それで商品がおのおの別になってくる。そういうことで、優劣がもう生まれつつあるというふうに私は見ております。  殊に、今度金融監督庁の検査が一巡しますともうそれは大変はっきりしてまいりますので、ようやくここでその革命が銀行の中でも起こりつつあるというふうに私は見ています。  今回も、衆議院から本院を通じての法案審議の中でかなりきつい御意見が出たりまたきつい規定を盛り込まれたりしていまして、それは片方で貸し渋りにつながるのではらはらする点もありますけれども、しかしやっぱり本当のところへ金融行政を持ってくるのにはそこはどうしても回避することができない、そこを通らなければならないのだろうというふうに思っております。
  129. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 今大蔵大臣から御答弁があったんですが、ぜひ総理からも、ディスクロージャーといいますか実態をきちっと明らかにしていく、このことをやはり最優先でやっていくということで、もしそうでしたらお考えをおっしゃっていただきたいんですけれども
  130. 小渕恵三

    ○国務大臣(小渕恵三君) 信頼をいたしております大蔵大臣がさように申し上げられました。  極めて重要なことだと思いますが、私も過去の経過は経過として、いろいろございましたが、これから本当に金融再生をして国際的に信頼されるためにはやらなければならぬことの一つだと認識しております。
  131. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 それで、この問題に関して、私はあと一点総理にお願いがございます。  どういうことかといいますと、けさも議論がございましたが、今、金融健全化対策ということで与野党でいろいろと議論がされております。先ほど来申し上げていますように、そういう議論をきちっとやっていく上でも、この三月の一・八兆円の公的資金の投入について政府みずからが一応の総括をして御発表いただく、御報告いただく、こういうことがやはり大事ではないかというふうに思うんですが、ぜひ総理にそれをお願い申し上げたいんですけれども
  132. 小渕恵三

    ○国務大臣(小渕恵三君) 当時、三月期におきまして政府としてそのような対応をいたしましたが、これは当時の金融危機管理審査委員会の議を経て、そして内閣としてそのような決定をしたわけでございます。しかし、今委員からもいろいろ御指摘がございました。これは、世間的に見ますると護送船団方式的な資金の投入ではなかったかという批判もあることも承知をいたしております。  しかし、総括と言われましても、どういう形で総括できるのかということもあろうかと思います。したがいまして、その効果その他につきましての評価等もございますが、先ほど来御答弁申し上げております。その時点におきます注入におきまして、それぞれの金融機関も、御指摘のように確かにBIS規制を超えておるような金融機関でありましても、そうした資金の注入によりましてさらに強固な金融機関の体制が整ったという意味での国際的な評価もまた一方ではあったのではないかと思いますので、いずれの形で評価ができるものかということも含めまして検討してみたいと思います。
  133. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 ぜひ早期に御検討いただきまして、与野党の議論にも役立たせることができますように御提出をお願い申し上げたいと思います。  それでもう一点、これからいろんな議論をしていく上で大事なことがあると思うんです。それはどういうことかといいますと、今回の我々が今議論をしていますこの法律案も、例えば金融再生委員会というのは二〇〇一年三月末までの時限的な機関になるわけですね。それで、延々と議論しています今のこのいわば緊急的な金融対策、あるいはさまざまなことがすべて二〇〇一年三月末ということを大体頭に置いて議論しておると思うんです。  といいますのは、二〇〇一年の四月以降はもうビッグバンが本格的になるし、競争も激しくなるし、それまでに日本の銀行も国際競争にたえ得るものにしなければいけないし、もっと申し上げれば二〇〇一年の四月以降はペイオフが始まるわけですね、今の決め方でいきますと。つまり、これは預金者にもどの銀行がどういう経営をしているかということが明確にわかっていただけるような仕組みをそれまでにつくらなければいけないんです。私はこういう議論というのはそういうものだというふうに理解をしているんです。  ですから、例えば今世上でもソフトランディングだとかハードランディングだとか、こういう議論もありますが、絶対に避けなければいけないのは、今は確かにそれは楽かもしれない、いろんな問題があって利害関係者も痛みを感じるようなことは避けたいかもしれない。しかし、それは時間がそんなにあるわけじゃなくて、さっき申し上げたようにあとわずか三年足らずぐらいの間にいろんなことを解決していかなきゃいけない、私はこういう前提に立たなければいけないと思うんです。そうすると、この法案一つ破綻あるいは破綻前のスキームができ上がる、それから今度は破綻直前のスキームですか、これから新しいスキームを議論する、こういうときもおのずからそういうものを前提にして我々は考えていかなければいけないと思います。  残念ながら、私、最近見ていますと、政府・与党の幹部の中にはこのことをどうも念頭に置いていらっしゃらないんじゃないか、こういう思いすらすることがあるんですけれども、これはいかがでしょうか、大蔵大臣。こういう前提でやはり考えていかなきゃいけないと思うんですが、どうでしょうか、御見解をお伺いしたいと思います。
  134. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) 今国会でも一、二度そういうお尋ねがございましたけれども、私はそれを変えるつもりはございません。締め切りを延ばしましたら怠けるだけでございますから、それは絶対変えてはいけないと思っております。
  135. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 今の大蔵大臣のお答えどおりだとすると、先ほど来議論しています例えばディスクロージャーの問題にしてもあるいは金融機関経営の評価の仕方にしても、三年ないという前提でぜひそれを考えていくとすればおのずから方向は決まっているんじゃないか、私はこのように思っておりますことを申し添えたいと思います。  それから最後に、私、以前からちょっと総理一つだけお伺いしたいと思うことがございました。今からお伺いしたいと思います。  それはどういうことかといいますと、今我々はこの法案を議論しています。また、新しいスキームも今議論されているから、これもセットでなんというお話がありました。この金融問題のためにいろいろ受け皿を用意していくというのはもちろん大事なことなんですが、今のこの金融経済情勢を考えますと、私は、金融問題と同時にもっと大事なのは、やはりマクロ経済をどうやってよくしていくかということだと思うんです。  実は、総理自民党総裁におなりになったのは参議院選挙のすぐ後でございます。つまり七月でございます。国会も七月末から始まっています。しかし、私がそのとき思ったのは、総理は、例えば七兆円以上の制度減税だとかいろいろお話しされていますね。ああいうものをおまとめになってなぜこの国会にお出しにならないのか。そうすれば金融経済政策セットできちっと議論できて、随分国際的な評価も変わると思うんですよ。もちろん、それはできない理由はたくさんあるかもしれません。しかし、こういう今の危機的な状況考えますと本当はそうすべきなんです。私は前からこのことが不思議だったんですけれども。今やちょっと国会を前倒しして、次に何か補正予算がどうという議論が出ているやに聞いておりますが、総理、こういうことをお考えになったことはなかったんでしょうか。  最後にこの点をお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
  136. 小渕恵三

    ○国務大臣(小渕恵三君) 総裁選挙に出ますときの公約は、総理になりましても当然これは引き継いでまいらなきゃならぬことだと思っております。  御指摘のように、税制改正、恒久的減税も含めましてこれを申し上げております。と同時に、補正予算につきましてもいたしております。長くなりますからあれでございますが、既に新しい十年度の予算の執行と税制が進行中でございます。  したがいまして、できる限り早くこれを行うためには、税につきましては政府、党の御理解も正式に得なきやなりませんので、今鋭意努力をいたしまして、できる限り早くこの問題について関係者の意見の一致を見るべく努力をさせていただいております。  それから、補正予算につきましても、現在十六兆円の第一次補正予算をいたしておりますが、この効果というのを十分見詰めながら、さらに必要なものは必要だということでこれから対処いたしていきたい、このように考えておるところでございます。
  137. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 終わります。(拍手)
  138. 浜田卓二郎

    浜田卓二郎君 私は、現在無所属でありますけれども、公明会派に属させていただいております。公明会派を代表して、現下金融問題、そして金融法案並びに経済全般について、小渕総理、そして宮澤大蔵大臣の御見解並びに提案者の皆様の意見を拝聴いたしたいと思います。  初めて野党としての立場の質問でございまして、しかも小渕総理、そして宮澤元総理自民党時代大変私は尊敬を申し上げ、また宮澤総理を実現したいということで一生懸命頑張ってきた立場でございまして、今は野党という立場で、極めて今の政策運営に私は不満を持っておりますので、厳しく御注文も交えながら申し上げなければなりません。こういう立場での初質問、いささか胸がどきどきしておりますことを率直に申し上げるわけでございます。  それは前置きでございまして、第一に私は宮澤大蔵大臣にお伺いをしたいわけですが、長銀処理に手間取ってまいりました。当初たしか、正確な言葉ではございませんけれども、大蔵大臣は、この長銀の処理を誤れば大変な事態になる、世界経済にとおっしゃったかどうかわかりませんが、大きな影響も及ぼすであろう、そしてこの処理をするためにはどうしても公的資金の投入が必要である、そして住友信託との合併が必要である、そういう認識を吐露されておられたわけであります。  昨日はダウが一万二千円台にとうとうなりました。きょうは、小渕総理けさ経済対策の指示を好感してということのようでありますが、若干戻しておりますけれども、私は今未曾有の危機である、そう認識をいたしておりますが、大蔵大臣の御認識を承りたいと思います。
  139. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) 我が国の経済の殊に金融の変調が顕著になりましたのは昨年の十一月でございますが、そのころになりますと、東南アジア、さらにはやがて韓国というふうに外からの影響も加わりまして、今年の三月が非常に一つのピンチであったと考えておりました。  なお、今日の世界の情勢は、申し上げるまでもなく、その後にロシアの問題があり、やがてブラジルも心配される、あるいはアメリカ自身に先ほど総理の言われましたようなヘッジファンドの問題もある、内外まことに危機であると思います。それは少なからず我が国がその一方の火元であるというふうに世界から見られておりますから、総理のおっしゃる世界の金融不安の日本が源泉になってはいけないという意味におきましても、我々としては非常に気の許せない難しいところであるというふうに思っております。
  140. 浜田卓二郎

    浜田卓二郎君 つまり、長銀処理がうまくいかなければこうなるぞと予測された危機に既になっている、そうお思いですか。
  141. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) こういうふうに申し上げたらいいのかと思いますけれども、このたびの金融の異常事態の解決のために、政府といたしましても与党といたしましても幾つかの御提案をこの国会にいたしました。また、野党においてもいろいろ提案をされたわけでございますが、その御議論を願っておりますときに長銀の問題というのが実は大変に質問者の御注意を引くようになりまして、この法案審議と同じぐらいのウエートが長銀の問題の解決にかかってきた。それはそれなりに理由のあったことでございますけれども、そういうことで全体の処理が大変に複雑な経緯をたどりました。結局は野党案をベースに各党の御提案衆議院ではまとまった。それは非常に結果として結構なことでありましたのですが、勢い大変長い時間がかかってまいりました。そのことは、何と申しますか、長銀の問題がこういうふうに複雑なことでなければ、いずれにしてももう少し早く全体の結論を国会で得ていただけたのだろう、こういう思いがいたします。  長銀の問題がしかしどこでそんなに御批判を仰ぐようになったかといいますと、それはやはりいわゆるノンバンク三つをめぐりまして五千二百億円の債務免除をするというあの部分、これが、それは結局は公的資金によって債務免除をしたのではないかというそういう御議論を誘発いたしました。このことは実は長銀と住友信託銀行との合併契約に基づくものでございましたから、それを金融監督庁としても云々される立場にはないし、私も、それは私契約でございますから、そうであろうと考えておりましたけれども、実際にはノンバンクの内容が余り芳しくないということを皆様がおっしゃるようになりまして、そこを債務免除するということは、それは結局公的な資金につながる、こういう御批判はやはり私はおっしゃる方もごもっともだという部分がある。ただ、そういう契約の上に合併が考えられておりましたから、それを云々するということになれば契約そのものが壊れると、そういう問題であったように今時間がたちますと考えております。
  142. 浜田卓二郎

    浜田卓二郎君 私は、今のノンバンクの問題、これはもうほとんど周知のことであったと思います。合併の構想が世に出ましたのはたしか参議院選挙の前だったと思います。ですから、私は、何でこういう経過をたどらざるを得なかったのか、それが残念でたまらないんです。  政府は、現行法でも、もし資本注入が本当に必要であって、そして合併をさせなければならない、それがなければ危機になるということが正確な認識としてあればできたはずであります。私は、それをしないで場にさらした野党責任というのがありますから、問題がさらされれば、本当にそれは国民の目から見て許されるかどうかという議論に当然なります。原理原則論から出ます。ですから、この経過は起こるべくして起こったんです。そういう問題の提出をしたからであります。  ですから、私は、今の危機というのは大変な危機だと思います。まあしょうがない、一万三千円を割った。しかし、少し前は一万四千円を割ると大変だと言っていたんです。一万三千円を割れば大変だと言っていました。既に割りました。もう割るかもしれない。さらに金融機関内容は悪くなるではありませんか。私は、なぜそうしなかったのか。  それからもう一つ。大蔵大臣は、この現在提出された法案、これは野党法案に取りかえられてしまいました。いわば実質廃案であります。その法案をベストなものではないとお考えになって出されたというふうに答弁されております。私はこれも残念だと思います。  それから、金融監督庁は金融検査を延々と続けております。十九行一斉に始めたのが不幸だったのかもしれません。しかし問題は、これだけ長銀の問題が議論されながら、政府の答弁というのは、要は多分債務超過ではないでしょうと。官房長官は、債務超過であるという報道には、報道とはさすがにおっしゃいませんでしたけれども、報告には接しておりませんと、そういう趣旨の答弁をしております。問題のこの長銀問題、これが長引く原因になった、事態をさらに悪化させた、あるいは今既に危機に入っているかもしれない、そういうときに、まだ長銀の検査結果すら出されない。  私はこの全体を見て、残念ながら、尊敬する宮澤大蔵大臣でありますけれども、今の小渕内閣、そして宮澤蔵相、今の危機に対処する資格がないと、私はそう思わざるを得ない。残念ながらそう思わざるを得ない。ひとつそれについての御感想をお述べいただきたいと思います。
  143. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) 長銀がそれ以外でも何か公的な方法で救う方法があったとおっしゃいますけれども、どうも私どもが見ております限り、長銀自身は、六月ごろでございますが、ある雑誌の報道がもとになってだんだん苦しくなっていったわけです。その間に、長銀は結局住友信託銀行という相手を見つけて合併によって、当然長銀自身はもう役員以下退陣をする、あらゆる意味で海外の活動はやめる、いわば唯一の吸収合併と申しますかレスキューを求めたということでありますから、そういうことで事態を解決しようとした、それは私は間違っていないと思うんです。  その中で、先ほどの部分、ノンバンクの部分は、両行の立場からいえばそれは恐らくそれが一番効率的なことであったろう、第二次の破綻を起こさないという意味におきましても、またリース会社は恐らくやっていける立場でございましたでしょうから、それが一番経済的な私は処理であったろうということは今でも疑っておりません。ただ、それが甚だ芳しくないノンバンクでありましたし、その末が、結局債務免除をしていくと、どこかで公的な援助にそれがつながると。それも間違いではありませんでしょう。  そういうことを、両行の私企業としての合併案というものとその点とがたくさんの議員が御審議の間に疑問を持たれた、こういうことでありましたので、ですから長銀をその間に別の方法で救う方法があったかというと、私はそうは思いませんので、これしか方法がないなと総理大臣も判断をされたのはそういう意味であったと思います。
  144. 浜田卓二郎

    浜田卓二郎君 私は、結論はこれでよかったと思っているんです。破綻寸前のものはそれにふさわしい処理をしていく、この結論でよかったと思うんです。  しかし、ここに至るまでの過程が余りにも稚拙に過ぎたと思います。しかも危機に対処するわけですから、これは未曾有の危機です。ですから、大蔵大臣の御決意というのは、たとえ野党が何と言おうとも本当に必要だと思ったらやる、それが私は与党の、内閣の、そして所管大臣の政治責任の問題である、そう感じてならないものですから申し上げるわけであります。  ヨーロッパで最も権威あると言われている格付機関のIBCA社が、ごく最近、日本のほとんどの邦銀の格付引き下げを発表いたしました。御承知かどうかわかりませんが、その格付引き下げの理由を読みますと、英語でありますから日本語に直して簡単なところだけ申し上げますと、政治的要因に端を発した邦銀を取り巻く環境の変化が邦銀の位置づけを格付せざるを得ないという理由を出しているわけであります。  つまり、日本の銀行は信用がならないというだけじゃなくて、この政治のもとにおける銀行だから余計信用がならない、そうなっているわけです。結果として日本金融機能が落ちる、結果として国民経済に現在のような多大な深刻な影響を与えている、そう思うわけであります。これはまことに残念なことである、そう思います。  ですから私は、危機に対応する能力というものを今の内閣に期待するのは無理だと。そして同時に、残念ながら野党も五つにも、共産党を入れれば六つです、社民党もあります、さきがけもあります、分かれ過ぎている。これも残念でならない。  そしてもう一つ、あえて言えば、大蔵省あるいは金融監督庁はこの立法作業にほとんど関与しておりません。私は、それは成果ではないということをあえて言いたいんです。つまり、大蔵省の影響を排除できた立法であるからいい立法だという理由にはならないわけでございます。  自民党もあるいは野党も官僚機構の中に蓄積された情報や知識、経験というものは生かすべきであります。役所に使われる政治であってはならないわけですけれども、同時に役所を使いこなす政治でなければならないわけでありまして、これだけ多くの、ちょっと処理を間違えば未曾有の危機を生む、そういう専門的な、そして高度な政策の問題です。私は、大蔵省の役人、金融監督庁の役人を与野党とももっと使いこなして生かす、そういうことも必要だということを今回の経過で強く感じてまいりました。  私が演説していてもあれですから、次のテーマに移ります。  もう一つ私が申し上げたいのは、なぜ今日の金融危機が生まれたかということです。  私は、それは護送船団と言われた金融行政の失敗の結果だというふうに総括できると思いますけれども、大蔵大臣の御見解を伺いたい。
  145. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) 私も同様に考えます。
  146. 浜田卓二郎

    浜田卓二郎君 つまり、銀行には本当の競争をさせないできました。私は、これは大蔵行政金融行政の最大の失敗だと思っております。結果的に国際競争力がつきませんでした。そして、行政経営に介入するから銀行の経営に自己責任の原則が貫徹されなかった。これが無責任経営を生み、バブルを必要以上に膨らませたわけであります。その結果がこの不良債権累積であります。  まさに金融正常化というのは護送船団行政からの脱却でなければならない。それはそのとおりなんです。そして今護送船団は解体されつつあります。大蔵省の役人はぶったたかれました。ある意味ではやむを得ない、当然のことであった、私は残念ながらそう思います。そして今大蔵省は解体されつつあります。参議院には大蔵委員会はなくなりました。私も久しぶりに出てきて大蔵委員会がないのでびっくりしたわけでありますけれども、なくなりました。今まさに金融、財政の分離がもっと鋭く論じられております。つまり、官僚機構は責任を問われたわけであります。  しかし、この護送船団の船長はだれだったんですか、あえて大蔵大臣に御答弁をお願いいたします。
  147. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) 恐らく護送船団は護送船団の意思で動いておったと思います。官僚機構がそれを面倒を見ておったということであったと思います。
  148. 浜田卓二郎

    浜田卓二郎君 私はもう少し政治には権威があると思っている一人なんですけれども、護送船団を是認してそれを動かしていた本当の責任者、これは政治家だと思うんですよ。自民党政治であり自民党政治家だと思います。そうお思いになりませんか。
  149. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) そう申したいところですが、どうもそうも感じられません。
  150. 浜田卓二郎

    浜田卓二郎君 そうすると次の私の質問につながらぬものですから。  私は、護送船団の最終責任者は自民政治であり自民党政治家だったと思っております。大蔵大臣がその最先端であったはずであります。そして、護送船団が解体された、されつつある、しかし自民政治は形だけであるけれどもまだ残っている、これが現状だと思います。  私は参議院選挙を、公明、新党平和、改革クラブ、自由党、民主党、五党推薦で戦いました。五党が獲得した票は二千五百万票です。自民党の獲得した票は千四百万票です。残念ながら小渕内閣は直近の民意の基盤を持っていないわけであります。  しかも、今回の金融法案処理そして長銀の処理、いずれを考えてみても、まだ護送船団的発想から離脱できていない、それが今の内閣であり、残念ながら大蔵大臣の大蔵行政である、そう思うんです。  例えば長銀処理であります。情報を開示しないまま公的資金を入れようとなさいました。あるいはあいまいなまま住友信託との合併を急がれました。これは結局今までの手法であり、問題を不明確にする、先送りすることになる、私にはそう思えるんです。ですから、護送船団的発想から離れられない内閣、自民党に、私は今の金融危機を乗り越える、それを指揮する資格がない、そう思います。  そして、護送船団から障れるということは、マーケットに身をゆだねるということです。先ほどは江田さんがパネルを示されましたけれども、まさに情報開示というのが命になるわけです。情報開示したら倒産するところが出る。しかしそれはためていたものを突然開示するからそうなるんです。やはり情報開示というのが基本にあって、マーケットを通じた判断が正確になされる、そのルールに乗せていかなければ私は金融の新しいルールというのはでき上がらない、そう思います。  ですから、繰り返しになって恐縮ですが、今回の長銀処理に当たっても、これだけの論議を重ねながら、監督庁の説明はまだ調査が終わっておりませんと。調査が終わっていないのならば、長銀だけでも一日、二日かけてやってもっと正確な情報を国会に私はやはり出さざるを得ない、出すべきだ、そう思いますけれども、いかがでございますか。
  151. 日野正晴

    政府委員(日野正晴君) 先ほどの御質問にもお答えしたと思いますが、立入検査は九月三十日に長銀は終了しております。現在、立入検査が終了した後いろいろ精査しておりまして、長銀に対する検査結果の通知の準備をしているところでございます。  個別行の検査の内容につきましては、これはいつも申し上げていることで大変恐縮でございますが、長銀に限らずどの銀行につきましても検査の内容を私どもの方から公表するということは、銀行の取引先のみならず金融システム全体の安定にとって阻害となる要因が非常に大きいと思われますので、個別の検査内容の開示については消極的でございますが、全体が終了いたしましたならば、例えばそれぞれの銀行ごとではなしに、全体としての自己査定とそれから私どもの行う検査との乖離でありますとか、あるいは指摘内容あるいは引当率の内容等につきまして総合的な御報告ができるのではないだろうかなというふうに考えております。
  152. 浜田卓二郎

    浜田卓二郎君 いずれにせよ、護送船団行政は失敗したわけでありまして、新しい金融のルールをつくり上げていかなければいけない。そこにおける情報開示というのは今までのレベルと同じレベルでとらえられる問題ではない、それはきちんと頭を切りかえていかなければいけないと思います。  提出者の石井議員一つ質問させていただきますけれども、私は抽象的に新しい金融のルールということを申し上げておりますが、今回、提出者の皆さん、一生懸命議論なさっている中で、多分それはいろいろな判断の基準になったでしょう。ですから、新しい金融あり方について提出者を代表するようなお気持ちでお話しをいただき、かつ今回の野党修正案なるものが新しい金融行政のルールのあり方に照らしてどうなのか、その点についても御意見を伺いたいと思います。
  153. 石井啓一

    衆議院議員石井啓一君) お答えをいたします。  まず、これからの金融行政あり方でございますけれども、今委員指摘のとおりでございまして、従来の金融行政は、いわば金融機関の一挙手一投足に口を出す、がんじがらめの規制をかける一方で、金融機関に対しては競争をさせない、情報を出させない、そして弱い金融機関を守っていく、まさに護送船団方式そのものであったわけでございますけれども金融ビッグパンの到来を迎えたこの時代にあって、こういったあり方がもはや通用しないことは明らかでございます。  私どもは、今後の金融行政あり方といたしましては、やはり行政はまず事前のルールづくりをきちんとやる、そしてそのルールを金融機関が厳守しているかどうかを監視し検査する、いわゆる事後的な規制に徹することが私は肝要である、このように考えております。  今回の法案でございますけれども、今委員指摘のとおり、まず金融機関の情報開示、これを大前提で考えておりまして、金融再生委員会の規則に従い、資産の査定、すなわち不良債権の分類を行いまして、それをさらに公表の義務を課しております。これが従来の情報開示とは格段に透明性が向上したところでございまして、この金融機関経営実態の情報開示をきちんとルール化した、これが大きな特徴でございます。  その上で、この情報開示の結果、市場から信頼を失って預金等の払い戻しを停止せざるを得なくなってしまった、あるいはそのおそれがある等の場合には、この法案に基づきまして金融整理管財人による管理、あるいは特別公的管理に入る、こういうことになっておりまして、まさに今後の金融行政あり方にのっとった、そういう法案の中身になっていると、このように申し上げることが一できると思います。
  154. 浜田卓二郎

    浜田卓二郎君 実は、護送船団ということを申し上げましたが、これは金融の分身だけではないんですね。例えば農業問題、農業行政というのはもっとすごい護送船団です。建設業界もそうです。ゼネコンさんが力を失ってきつつあるのは護送船団方式のやはり失敗だ。サービス業しかり。私は、もっと言えば、この日本全体が護送船団的手法で、せっかくいい素質を持ちながらここまでしんどくなりつつある、そう思います。  だから、まさに今我が国が問われていること、そして政治が問われていることは、この護送船団方式からの全体としての脱却であり、それは簡単なことではありません。金融の分野でこれだけの大瞬ぎになっているわけです。私は、それは同時に自民政治そのものだと。私は自民党におりました。そういうことを強く感じてまいりました。ですから、自民政治ではない、そう判断した理由の一つはそこにあるわけです。日本全体の護送船団を破壊していく決意が小渕総理になければ、私は今政権を担当する資格がない、そう思うわけですが、総理の感想、御答弁をお聞かせいただきたいと思います。
  155. 小渕恵三

    ○国務大臣(小渕恵三君) 金融行政における護送船団方式につきましては、私も同様の考え方をいたしております。  そこに至る間、長々申し上げませんが、戦後、敗戦によって日本経済が全く崩壊した中で、経済に対する資金を提供できるもの、すなわち日本銀行を中心にして、そうしたものを中心にしてまいりました。でありますから、かつてはそこの総裁が法王とまで言われた時代もありました。そのことが結局、金融による経済を動かしてきたという経過の中で、行政の中でも金融機関を大切にしていく、そしてまた同じように扱っていくという形での護送船団方式が生まれてきて、その中で今日を迎えて、これが破壊をされていかなきゃならない、そういう状態が来ているということは承知をいたしております。  実はその大いなる大転換期といいますか変革期という事態を迎えておるわけでございまして、しかるがゆえに、今回の法律のいろいろ制定過程におきまして御議論ありましたのも、その中で極めて熱心に御討議いただきましたのは、ある意味の苦しみ、呻吟といいますか、そういうものがあってこういったことになったんだろうと思っております。  そこで、すべてのシステムを全部破壊しようということになりますと、これは日本の今日までとってこられました社会のあり方その他も含めてすべてこれを破壊するということは私は難しいことではないかと思います。したがいまして、よきところは残しながら、そして同時に、一言で言えば自己責任社会というものを確立していかなければ国際的な社会の中で我が日本も生き抜いていけない。かつて日本日本としてのよき純風美俗の中で取り入れてきた行動そのものも、大きなグローバルなスタンダードというものの中でどうして生きていくかということになりますと、かなり大きな大転換を図らなければならないシステムも私はあるというふうに認識をいたしております。  でありますが、すべてを混乱させていくということではできませんで、そういう中で大きな転換を図ることは当然のことではございますけれども、でき得べくはそのコストをできる限り少なくし、またある意味で大きな血を流し犠牲を行うことなく、スムーズな形で大転換を図るということが実は我々に与えられた任務ではないかというふうな認識をいたしまして、個々それぞれの問題につきましては、より真剣に対処いたしていかなきゃならぬと思っております。
  156. 浜田卓二郎

    浜田卓二郎君 総理、破壊じゃないんですね、破壊じゃないんです。より生かすためにルールを変えるということなんです。それを延ばせば延ばすほどつらくなるんです。これが今の金融じゃありませんか。護送船団方式云々というのは、もうはるか昔から議論されておりました。不良債権累積をしたのは、バブルがつぶれた直後からであります。バブルがつぶれ始めて不良債権累積をし始めたんです。今までなぜつらいことに手をつけないできたのか。  残念ながら、私は落選をしておりました。国会で演説できないから駅前で演説をうんとやってまいりました。何をやっているんだ、今この不良債権処理を含めていろいろな仕組みを、ルールを変えていかなかったらおくれるぞと。この問題意識は今始まったことではないんです。ですから、今の総理としての責任は、私はこれを破壊するという認識であっては果たせない、破壊という問題ではない、そう思っております。  残念ながら、しかし野党も、先ほど申し上げました、わかり過ぎておりますよ。今回の処理についても野党の中の議論も大分手間取られた。私は早く参議院に来ないかと、いつもそう思っておりました。ですから、小渕政権に今の日本金融の危機を、あるいは日本の危機を打開する資格がない、私は申しわけないけれどもそう思わざるを得ません。しかし同時に、それにかわって野党が今政権の受け皿を準備できない、野党もまた責任を果たしていない、そう思わざるを得ないんです。  もし、御答弁いただければ、どなたかどうぞ。石井さん、さっきの続きで。
  157. 石井啓一

    衆議院議員石井啓一君) 浜田委員お答えをいたします。  大変重要な問題でございまして、一議員立場お答えするのはなかなか難しい問題であるかと存じますが、個人の見解ということでお許しいただきましてお答えをさせていただきたいと思います。  確かに、野党の三会派をまとめるに当たりまして、八月六日から実務者協議を始めまして、八月二十五日には合意が得られたわけでございますが、実際に法案提出は九月三日ということでございましたので、約一カ月弱の時間がかかったことは確かでございますけれども、やはり立場の違うそれぞれの政党が合意をするということでございますから、ある程度時間がかかるのはやむを得なかったのかな、そういう考えもございます。  しかしながら一方で、今委員指摘のとおり、野党が結束して当たっていこうというのは、私はやはりそのとおりだと思います。特に、今回のこの実務者協議に携わったそういった立場から申し上げますと、今回の法案作成あるいは修正案の協議の中で培われてきた野党間の信頼関係、こういったものはやはり大切にしていかなければいけない、こういうふうに思っております。
  158. 浜田卓二郎

    浜田卓二郎君 時間が大分たちましたから中身に一つ、二つ入らせていただきたいと思います。  今回の法案は、借り手保護といいますか、金融取引をやっている相手、そして経済界、そういうものに対するマイナス影響を最小限に食いとめようという、そういう意味のセーフティーネットを張るものだというふうに理解をしております。既に預金者保護のセーフティーネットは、これは二〇〇一年まででありますけれども政府が完璧に張られたわけでありまして、二つセーフティーネットが張られた。目的不良債権処理です。不良債権処理は、これは急がなければならない。金融機関が人間の体に例えれば血管みたいなものですから、血管を詰まらせておってはいつまでも経済が元気になりません。不良債権処理がこれの目的であります。そのためのツールに、道具立てにすぎない、今回の法案はそうです。この二つのセーフティーネットが張られることによって、これをツールとして生かしながらどの程度の不良債権をいつごろまでに消化していけるのか。  二〇〇一年にペイオフが始まるわけですね。二〇〇一年にペイオフが始められる条件というのは、やはり混乱を来さずに始められる条件というのは、それまでに不良債権処理が相当進んで、そして金融機関は健全であり安心できるという信頼感を再びつくり出さなければならない。いわばデッドラインというのが私は二〇〇一年だというふうに思っておりますけれども、この法案を成立させていよいよ本番の不良債権処理に入る。どの程度の見通しを持っておられるか、お伺いをさせていただきたいと思います。
  159. 日野正晴

    政府委員(日野正晴君) お答えいたします。  金融機関不良債権の問題につきましては、ただいまいろいろ御指摘がございましたが、これまで各金融機関におきましては、それぞれの経営合理化などによりまして業務純益の積み増しあるいは内部留保の取り崩しなどによって積極的に取り組んできたと思われますが、その後の実体経済の悪化に伴う不良債権の増加などから抜本的な解決に至っていないわけでございます。  金融監督庁といたしましては、今後、この金融機関経営に対しまして、市場規律を徹底することによりまして不良債権の早期処理の促進を促すということにしております。  具体的には、不良債権のディスクロージャーの拡充、あるいは本年四月から導入されました早期是正措置の枠組みのもとで、金融機関に対して不良債権処理に徹底して取り組むことを求めていきたいと思っております。  また、これらの枠組みに加えまして、競売手続の迅速・円滑化あるいはサービサー制度の創設、共国債権買取機構や金融機関の自己競落会社の機能の拡充など、債権流動化のためのいろいろな措置が相まちまして不良債権のバランスシートからの抹消が進むものというふうに考えております。
  160. 浜田卓二郎

    浜田卓二郎君 それに関連して、これから破綻前のというか、健全化、早期是正のスキームが議論され、また早期成立を目指すということになるわけでありますけれども資本注入、公的資金の注入というものをどう考えるか。これは金融機関が悪いことをしたから公的資金を入れて、そして罰しながらやるんだという発想だけではないと私は思うんです。  つまり、金融全体に対する不安感というのが高まっておって、一つ一つの銀行の経営責任を超えて資本調達がコストが高くなる、難しくなる、そういう状況があるわけでありますし、しかも、公的資金といってもこれは貸し付けですね。ですから、有利子資金である、有償資金であるというんです。健全性さえ確保できれば回収は可能だし、うまくいけばもうかるという話もあるわけですが、つまり即税金ではないわけであります。ですから、健全化スキームの入り口をやたら厳しくするというのは、私は制度をつくって生かさないことになる、そう思っております。  ですから、要は対象をしっかり選別して、しかし、その選別をすることは大事ですけれども、そこにはやはり実行可能な形で公的資金を入れていくということだというふうに思います。  この公的資金の入れ方についても、全く情報開示とそれから申し出という組み合わせだけでやれるのかどうか。そこも若干、例えば分類を行政の方でしてしまって義務的に入れていくという方法もあるんではないか、そういうふうにも言われておりますけれども、これは手短に、どうでしょうか、提出者に一分ぐらいで答えていただきたい、あと国土庁長官に最後にお聞きしたいことがあるものですから。
  161. 石井啓一

    衆議院議員石井啓一君) 破綻前の処理スキームについてでございますけれども、これも今後私ども党内、平和・改革の中で結論を出すという問題でございますが、私自身は、午前中の質疑のやりとりでもございましたけれども、やはり今金融農閑の実態をきちんと明らかにする、これが前提であろうと思います。不良債権実態をきちっと開示する、そしてその不良債権の償却を適切に行う、これがやはり大前提でなければならないと存じます。  また、午前中の議論の中でも、そういった折に過少資本に陥った銀行に対する公的資金投入ということで、そういったこともあり得るかと思いますが、その際の条件として、例えばある一定の信予期間を設けて、その間銀行の自己改革を促したらどうか、そういった御提案もございました。そういったことも確かに検討課題かと存じますけれども、私は、あくまでもやはり国民皆さんが納得するような、そういう条件でなければならない。一般的ではございますけれども、こういう感想でございます。
  162. 浜田卓二郎

    浜田卓二郎君 最後に、柳沢長官においでいただいているものですからお伺いしたいんですが、不良債権処理というのは、考えてみれば不動産の処分なんですね。不動産が動かなければ、これは整理回収機構にがらくたが積み上がると言うと言葉が悪いわけですが、絶えずしかもそれは損切りの世界ですから不動産マーケットには売り圧力が働く、これは悪循環がまた再生産されるわけです。ですから、私は、まず経済活性化、これは総理けさの決意に期待をしたいと思うんです。思い切ってやってほしいと思うわけです。  しかし、もう一つ不動産をもっと流動化するということを積極的に考えていいんではないか。例えば、バブルをつぶすためにやった土地取引の届け出制、まだやっているんです。長官は御存じかどうかわかりませんけれども、まだやっているんです。それから、やっと不動産関係譲渡所得課税の税率を初めて旧に復したのはこの四月一日からです。  ですから、私は、土地を流動化する、やってもむだだということじゃなくて、やることはやれと、私はそう言いたいんで、就任のごあいさつを私は拝聴していまして、流動化するぞという決意を述べておられたから、これは名長官だろうと思うものですから、最後に、不動産流動化についてどう考えられるか、どういう手だてを打つおつもりか伺って、質問を終わりたいと思います。
  163. 柳沢伯夫

    ○国務大臣(柳沢伯夫君) 浜田先生の御高見を久しぶりにお聞かせいただきました。  私、今国土庁を預からせていただいておりますので、直接御質疑お答えしなきゃいけない、こう思いますけれども、今先生おっしゃった流動化という言葉はいろいろ多義に使われているんでしょうけれども、私どもは、金融機関に塩漬けになっている、つまり抵当権になっている不動産を、早く権利をお互い譲り合って調整して市場に出すということが大事じゃないかということで権利調整法案を出していることは御案内のとおりでございます。  これについては、今野党皆さんの御理解がまだ得られておりません。司法に調停制度があるんだからそれによったらいいというようなのが理由のようですけれども、もしそれが本当に野党皆さんが言われるように機能しているんだったらこの悩みはないわけでありますけれども、その悩みが依然としてあるということは、我々が提案している制度がなお必要だということをいわば裏書きしているということだと思っております。  それから、もう一つお答えしたいのは、今度は実需ですね、実需をもっと喚起しろということだろうと思うのです。本来の有効利用をするという人に不動産をやれということだろうと思います。このことについては、今住宅ローンの控除制度であるとかあるいは企業の設備投資に対する信用保証もお願いしたいといったようなことで、いろいろこれからもこの制度を創設すべく検討してまいりたい、このように考えております。
  164. 浜田卓二郎

    浜田卓二郎君 ありがとうございます。  終わります。(拍手)
  165. 笠井亮

    笠井亮君 日本共産党の笠井亮です。  今、不況に苦しむ国民や中小業者を救わずになぜ銀行に税金投入なのか、国民の怒りが渦巻いております。  これまで野党は、政府自民党に対して、長銀に税金投入するな、そのもとになる十三兆円の銀行への資本注入の仕組みは廃止せよと言ってまいりました。ところが、今回の自民、民主、平和一改革三党による修正案ではそれがどうなるのか、この問題であります。  そこで、具体的に伺いたいと思います。  今回の修正案によって、銀行の破綻認定なしに破綻前の銀行に対しても株式を国が取得して特別公的管理、一時国有化することが可能になった。提案者に伺いますが、こういう修正だというふうに理解をしてよろしいですね。
  166. 枝野幸男

    衆議院議員枝野幸男君) 衆議院委員会でもかなり議論になったんですが、破綻という言葉の定義、人によっていろいろな使われ方をしております。預金保険法で言う破綻の定義ということであるならば、預金保険法の言う破綻には該当しない段階で特別公的管理に入るということになりますが、そもそも修正前の野党の原案でも、預金保険法破綻の定義に入っておりません債務超過のみの状況の場合についても特別公的管理に入るということになっております。
  167. 笠井亮

    笠井亮君 はっきり言っていただきたいんですが、枝野議員衆議院の最後の締めくくりの中で、破綻認定をしないまま破綻処理をするということがこの修正案の基本的な中身だとはっきり言われているわけですから、そのことを私は確認したかったわけです。それでよろしいですね。
  168. 枝野幸男

    衆議院議員枝野幸男君) 預金保険法に言う破綻認定は行いませんが、いわゆる一般的な言葉で言われている破綻処理、つまり整理、清算の手続を行うということでございます。
  169. 笠井亮

    笠井亮君 今、破綻前の銀行に対しても破綻認定なしに一時的に国有化するということがこのことによっても可能になる、そういうことでよろしいですね。
  170. 枝野幸男

    衆議院議員枝野幸男君) ですから、破綻の認定というのは、破綻の認定という言葉自体は預金保険法にしかございませんし、これは預金保険法と別の話でありますので、特段いわゆる預金保険法上の破綻認定はなくても、いわゆる破綻状態に陥っているような金融機関については一時国有化するということでございます。
  171. 笠井亮

    笠井亮君 そういうことです。つまり、あの問題の長銀に対しても今言ったようなことで対応できることになる、そう修正されたということであります。これによって、長銀はいわゆる破綻の認定なしに一時国有化をされて、特別公的管理銀行になって、国が責任を持っていわば身ぎれいにしてあげる、その上で住信なりに、受け皿銀行、そういうところに引き取られるように処理される。  大蔵大臣に伺いますけれども、こうやって両者を合併させる仕組みが今回の修正によってできるというふうに理解なさっていますか。
  172. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) その点は、立法者の御意思をよくは存じませんけれども、恐らく処理の後にどこがそれを受け継ぐかということは、常識的には例えば競売とかなんとか、そういうことの方が経済の常識かもしれません。そういう意味で申し上げれば、そこに住友信託銀行がいるんだというふうには私は必ずしも考えられないのかな、こう思いますが……(「そのとおり」と呼ぶ者あり)そのとおりだそうです。
  173. 笠井亮

    笠井亮君 そのとおり、いいですね。  じゃ、これがどういうことになるか、私、パネルにしてまいりました。(図表掲示)比較的シンプルなパネルにしましたけれども、上が長銀処理がどう行われるかということで政府自民党考えていた案であります。下が自民、民主、平和・改革三党の修正案による、どういうふうに処理されるか。  この上段ですけれども、もともとの処理案、国が預金保険機構を通じて長銀の不良債権の償却で足りなくなった資本を注入する、そしてそれを身ぎれいにして住信と合併をしていく、その住信にも資本が足りなくなるということで資本を注入する、端的に言えばこういうことでありました。  下の段が自民、民主、平和・改革、この修正案の仕組みで長銀を処理した場合どうなるか。国がこれも預金保険機構を通じて長銀の株を全部買い取る、そして運転資金やあるいは損失が出た場合、営業に伴うロスが出た場合については資金を援助する、さらに不良債権を買って身ぎれいにしてあげるためにこういう形で公的資金が投入される、そしてこういう形で長銀を身ぎれいにして子会社化をして、住信とは限っていないかもしれないけれども住信とも言われている、こういう受け皿銀行に渡されていく、そしてこの受け皿銀行にも資本が注入される、こういう形になるということだと思います。  提出者に伺いますけれども、もともと政府考えていたそういうことと私は基本的に同じようなことが今度の修正案によってやれることになったんじゃないか、こういうふうに思うんですけれども、どうお考えですか。
  174. 枝野幸男

    衆議院議員枝野幸男君) 幾つか誤解をしておられるのかなというふうに思っております。  一個一個具体的にお話をさせていただきますが、まず特別公的管理に入りますときには長銀の株を強制収用いたします。  ただ、この強制収用の費用でございますが、これは法律上の文言できちんとありまして、純資産額を基礎としていたします。したがって、長銀が債務超過の状態でありますれば限りなくゼロに近いお金ですので、そこにはお金は使われません。そして、特別公的管理に入りました銀行はもう長銀ではございません。これは整理、清算をする会社であります、企業であります。  例えば、破産申し立てをした株式会社は破産管財人の管理のもとで、法人格は残った形で破産処理が行われます。会社更生法が適用された企業も、更生会社として法人格だけは残りますが、これはいずれも要するに整理、清算のプロセスであります。私どもは、特別公的管理に入りました段階で整理、清算をするという言い方を言っております。  そして、従来の長銀が抱えておりました不良債権は、これはどこかがきちんと回収をしなければ不公平になります。借りた者が借り得で逃げてしまってはいけません。したがいまして、従来の長銀では回収することがあたわなかったものを、強力な権限を持ちました現在の中坊機関を平行移動させるような形でつくります日本版RTCが買い取りまして、ここできちんと債務者を逃げられないようにいたします。  この場合の不良債権の買い取り価格につきましては、これはわざわざ法律上の条文を書きまして、「回収不能となる危険性等を勘案して適正に定められたもの」ということといたしまして、単に時価と書いた場合には貸し倒れの可能性ということも含めた価格ということで誤解される可能性もありますので、RTCでは絶対に損が出ないという金額にしようということにしております。  また、その上で受け皿銀行という言い方をしておりますが、金融機関破綻処理をする、整理、清算をしていく過程の中では、当然のことながら優良な貸出先あるいは預金等が存在をしています。その部分については全部例えば回収をして処理をしていくのか、それとも優良な貸出先については一部分を第三者に売り払うという形でそこで現金化をして整理、清算をしていく、二つの方法。これは普通の破産処理の場合でも存在をしております。破産処理の場合と同じように、優良な資産については第三者に売って現金化をして、そして債務の弁済に充てていく、これは通常の破産処理の場合と同じです。  したがいまして、上のような仕組み、金融機関を存続させて、そして受け皿銀行に引き継がせる話とは全く違う、むしろどこに近いのかといえば、破産法に基づく破産処理に近い形を私ども法案ではとらせていただいております。
  175. 笠井亮

    笠井亮君 大分むきになって御答弁されたようなんですけれども、私は今具体的にそのコストの話ということについてはこれから伺うんです。私は仕組みを聞いているんですね。私が伺ったのは、基本的に長銀がどういうふうに処理されていくか、同じような仕組みになっていくんじゃないかと。結局、長銀に対して公的資金を使いながら、そして身ぎれいにして住信なり受け皿銀行に引き継がれていく、このことは変わらないでしょうと伺っているのに、それが違うということだと違うんです。それから、長銀について、これは大蔵大臣もおっしゃっていました、政府案の議論の中で、長銀もなくなるんです、あなた方もなくなる、同じじゃないですか。  いいですか、もう一度パネルを見てください。(図表掲示)今度の修正案の仕組みでは、どういう形でこの長銀を処理するか、公的資金のルートがどうなっているか、見ていきましょう。  まず、仕組みについて見ていきたい。私はそのことを議論しているんです。  株式取得と言われました。そのために公的資金が使われる、これが第一のルート。そして、運転資金などのあるいはロスが出たときの資金援助をする、これは二つ目のルート。三つ目に、不良債権買い取りをする、その資金やそのロスが出たときのそのためのお金の流れ、公的資金。そして四つ目に、受け皿銀行に対して、枝野議員も言われました、ちゃんと資本注入する一こういう道がある。四つのルートがある、こういうことじゃないですか。  結局、四つのルートで今度の仕組みでは長銀の処理に税金が投入できる、そのことはいいですね。いいですか。そのコストがどうだということは後で議論しましょう。その仕組みについてはいいですね。
  176. 枝野幸男

    衆議院議員枝野幸男君) それは違います。
  177. 笠井亮

    笠井亮君 どこが違うんですか。
  178. 枝野幸男

    衆議院議員枝野幸男君) きちんと丁寧に説明をさせていただきますが、まず、長銀に対していわゆる資金援助ができる場合というのは法律上の条文でもきちんと書かせていただいておりまして、七十二条のところに書いてございます。資金援助ができますのは「預金者等の保護のため、その必要の限度において、」という要件をつけております。私ども、そこは共産党さんと当初から一貫してもともと違う意見でありますが、預金者保護のために必要な費用については公的資金を使わせていただく、これはもう一貫して申し上げてきております。  まず、長銀に対して資金援助という矢印の部分はそういった部分でございますので、したがって、長銀が債務超過の存在になっていなければ当然みずからの財産で預金者に払い戻しができますので、その資金援助は存在をいたしません。  それから次に、整理回収機構に対する資金等でございますが、先ほども申し上げましたとおり、五十六条で「当該資産が回収不能となる危険性等を勘案して適正に定められたもの」というふうに条文でわざわざ明確に書かせていただいております。したがいまして、ここのところでは、融資はRTCに対してしなければなりませんが、そこで損は出ない、RTCは必ず利益を出す価格でないと買い取ることができないということが法律上きちんと担保をされておりますので、ここに資金等、税金が使われるということは理論上あり得ません。  それから最後に、受け皿金融機関に対する資本注入の話でございますが、ここが先ほどちょっと間違えましたけれども、六十条の十一号と六十三条であわせて読みますと、書いてありますとおり、長銀が債務超過であった場合、債務超過銀行の金融機関から営業譲渡等を受ける受け皿金融機関につきましては、これは私ども当初の原案から資本注入ができるということになっております。債務超過の金融機関の中の営業のうまくいっている部分についてはどこかに引き継いでいただいた方が、これは債務処理破綻処理そのもののコストとしても安く上がりますし、それから当該金融機関と取引をしていた健全な借り手にとっても便利な話でございます。  したがいまして、そうした場合、債務超過金融機関から営業譲渡を受ける受け皿金融機関に対する資本注入を、当該受け皿金融機関が営業譲渡等を受けた結果として自己資本比率が下がった分を限度といたしまして資本注入できる、これは当初から私どもの原案にあったとおりの内容を改めて確認的に今回の修正の中で織り込ませていただいたという内容でございます。
  179. 笠井亮

    笠井亮君 債務超過だったら破綻処理をすればいいんですよ。ただ債務超過ということで、そこのところで結局今度の長銀ではあいまいな形でやっている。そうでしょう。結局それ実態がわからないと言っているわけですから、わからないままにやるという処理なんです。そして、三十七条でわざわざそういうおそれが生じる場合ということまで言って、今回の長銀に適用するそういう道を開いた。法律に書いてあるんですよ、この四つのルート。ルートがあるということについて認めないというのは、私大変に心外であります。法律にちゃんと、六十条に書いてある。この四つのことがやれるようになっている。そうでしょう。六十一条、六十二条、六十三条、そういう形でこの法律をよく読ませていただきました。長銀に対してこういうことが適用できないということは書いてないんです。適用できるようになっている。いいですか。  今、返ってくるかもしれないとかあるいはこういう条件があるとかいろいろ言われました。テレビを見ている方もなかなか早口で言われたのでよくわからなかったかもしれませんけれども、そういう形で言われましたけれども、今この仕組みとして長銀の処理にこういう四つのルートがあって、そのルートを使って処理することが客観的にできるようになっている。このことについては、これは法律を見る以上はっきりしているじゃありませんか。  今までは二つのルートだったと、政府案です。それに対して、今度は四つのルートで長銀に対して公的資金を入れて、そしてそれに基づいて長銀を処理する、こういうことが可能になったということだと思うわけであります。  八月の段階政府の長銀処理策では、住信との合併を前提に十三兆円の公的資金枠から資本注入をするということを言って野党も大反対をして問題になってきました。今度は、そういう意味では、この法律の仕組みからいって、もっと公然と公的資金を使って長銀を処理して子会社化するなり合併をする、こういう道が、政府案以上の仕組みができたということを言わざるを得ないと思うんです。だから、自民党の森幹事長がこの経過を見てはっきり言っています。名を捨てて実をとる、実際には大事なところは一つ一つ自民党の主張をきちっと全部入れてあります。さもありなん。(「ばれたか」と呼ぶ者あり)ばれたかとおっしゃいました。自民党が丸のみしたどころか、それ以上の大改悪だと、このことはきちっと認めていただかなければこの法案を出された責任とれないじゃないですか。  さらに問題なのは、公的資金の規模であります。  先ほどコストの問題とかいろいろ言われました。昨日の本会議で民主党の池田議員は、この仕組みによって長銀処理公的資金が幾らかかるのか、こういう質問に対して、例えば不良債権の買い取りでも理論的には損は出ない、このように言われました。理論的にはということは、現実的にはどれだけになるかわからないということだと思うんです。  さっき株の問題いろいろ議論しましたが、私はっきりしていることを申し上げたい。長銀のいわゆる回収に注意を要する第五分類の債権、二兆四千億円ぐらいあると思うんですけれども、これは発表されている中で、自己査定ですか、この中には善良なものもあれば不良債権もあります。第Ⅲ分類、ほとんど回収の見込みがない、四千数百億円あったと思いますけれども、この中には当然、不良債権というのがかなりある。そして、そういう中に入っていない日本リースの事実上の倒産、これに伴って日本リースが幽霊会社とかペーパーカンパニー、これはもう野党皆さんも追及されているのを私、衆議院でやっていらっしゃるのを拝見しました。こういうものを抱えている不良債権もある。こういうものも買っていくわけですね。  加えて、正常な債権というのが十五兆円ぐらいある。これが長銀の言うように本当に正常であれば、それを全部引き取ってもらう住信なりそういうところが最低必要な資本注入額、大体計算してみますと、自己資本比率八%とかということを踏まえながらやると一兆円はかかるのかなというふうに思います。この二つだけでもわずか長銀一行に兆円単位の公的資金が必要になる可能性がある。このことについては否定はなさいませんね。
  180. 池田元久

    衆議院議員池田元久君) 今議員の質問を聞いておりまして、まず長銀処理がどう行われるか。長銀と書いてありますけれども、それは長銀じゃありません。長銀に株主責任をとらせて経営者を一掃して新しい国有化銀行になるわけですから、長銀は誤りです。  それから、受け皿銀行は住友信託銀行だけではありません。ワン・オブ・ゼムでございます。  それから、政府自民党案と、もっと悪いようなそういうことをおっしゃいますが、それは単なるお金のルートが二つでこちらが四つだとおっしゃっています。とんでもない話でありまして、普通は破綻の場合そのような資本注入といいますか資金ルートはあろうかと思いますが、長銀及び国有化銀行につきましては、まずそれは整理回収機構に対する融資ですよ。それから、受け皿銀行への資本増強ですよ。  そういう非常に大げさなことをおっしゃっておりますが、もともとの長銀の処理、我々三党案に沿って長銀を特別公的管理でやる場合を比べてみますと、政府自民党は御存じのように、密室の協議の上、逐次資本注入をして情報公開といいますか、不良債権も隠ぺいしたままやろうというのと、我々の特別公的管理銀行の方式でもし仮に長銀を処理した場合のやり方とは全然違います。  明瞭に、まず経営陣や株主責任をとらせた上、長銀を国有化銀行として処理して債権を二つに分けて、そして正常債権で国有化銀行の経営を維持した後、その後、営業の譲渡や株式の譲渡によって受け皿銀行の方に移行する、こういう極めて公正な処理を進めるという形になっておりますので、誤解のないようにお願いをいたします。
  181. 笠井亮

    笠井亮君 質問に答えてください、質問に。
  182. 枝野幸男

    衆議院議員枝野幸男君) こうした国有化の処理に仮に長銀が入った場合に幾らぐらいの金額が必要になるのか。これは金融監督庁が正確な検査結果を開示してくれておりませんので、正確な金額は残念ながら申し上げることはできません。   ただ、理論的に、長銀が債務超過でないならば、これは基本的には一銭もかからないというふうな理解をいたしております。そして、長銀の債務超過の額が小さければ、預金以外の債権者の権利が侵害されるだけでありますので、これも理論的に一銭もかからないという結論になります。  債務超過の額が預金にまで食い込む、長銀の場合は金融債がございますが、金融債等にまで食い込んだ場合、その食い込んだ損失の部分というのが必要になる金額でありまして、ここは一貫して共産党さんとは私ども立場が違いますが、預金者等を保護するためには公的資金を使わせていただくこと、これはやむを得ないことということで、従来から共産党さん以外はすべての政党が認めているところでございます。
  183. 笠井亮

    笠井亮君 全然もうごまかしなんですね。情報公開なんて当たり前なんですよ。責任をとらせるのは当たり前。それをきちっとやらせるというのは当然なんです。  それから、このグラフについては、表については、括弧して住友信託と括弧がしてあるんです。これは長銀の処理ということで、ここに何も書かなかったら名なしの権兵衛でわからない。そんな揚げ足取りみたいなことをされて、私は、このような法案に基づいて長銀を処理するとしたらこうなるじゃないですかときちっと聞いているのに、それに対してごまかすようなことをされては困る。  しかも、その問題で今幾らかかるか。大変びっくりしました。債務超過でなければ一銭もかからないと。不良債権処理をこうやってやる、それに伴ってかからないと言えるんですか。
  184. 坂野重信

    委員長坂野重信君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  185. 坂野重信

    委員長坂野重信君) 速記を始めて。
  186. 枝野幸男

    衆議院議員枝野幸男君) 不良債権処理に際しましては、従来の不良債権処理に係って二次ロス等が発生をすれば、これは原則的にそこに融資をしている公金が損失をかぶることになります。  こうした過去の自民党政府のとってきた政策の誤りということを踏まえまして、今回の修正法案では、五十六条でこの日本版RTCが不良債権を買い取る場合の価格についてきちんとした限定を加えております。それは、「当該資産が回収不能となる危険性等を勘案して適正に定められたものでなければならない。」というふうに限定を加えました。  したがいまして、例えば時価などという言い方で二次ロス等の危険をはらんだ金額、高目の金額で買ってもらっては困る。何があっても損をしない、非常に安い価格で買っていただくということを前提といたしております。  したがいまして、整理回収機構、日本版RTC、ここは初代の社長として国民皆さんからも信頼のある中坊さんになっていただくというような人事的な担保も含めまして、ここで買い取る価格についてロスは生じないというふうに考えております。
  187. 笠井亮

    笠井亮君 債務超過でなかったらとにかくもう自己責任でやる、債務超過だってこれは銀行の自己責任でやるんですよ、預金者保護だって。それが大原則だということを言っておきたいと思います。  それから、今安くすると言いました。じゃ、安くしたら本当にこれできちっとそういう不良債権処理して投入したお金が返ってくるのか。時価で買うということをきのう池田さんは言われました。時価で売れるなら不良債権処理なんというのはもう本当に簡単に済んでいるんです、この世の中で。ところが、不良債権の多くは今土地、不動産ですけれども、現実には売れないから山のようにたまっている。土地白書だって私は見ましたけれども、土地が動かずに売れなくて大変に困っているのが実態だ。  そして、あなた方の法案の五十六条、これで見ますと、「金融機関等の資産を買い取る場合の価格は、当該資産が回収不能となる危険性等を勘案して適正に定められたものでなければならない。」、このように書いてあります。最初から、「回収不能となる危険性等を勘案して」というんですから、これ損が出ることが当然あり得るということを勘案して決めなきゃいけない、こういうことになります。  実際、私は建設省にいろいろ聞いてみました。不良債権対策のために不動産を買い上げる仕事をする民間都市開発推進機構、民都機構というのがあります。財団法人です。この機構が買い上げる物件には税制上の優遇措置が適用されるので、金融機関やゼネコン、不動産会社などがこぞって物件を持ち込んでおります。  建設省に伺いますけれども、この民都機構に対して持ち込まれた相談案件数というものの総件数、そして総面積。その中で契約された実績、件数、面積それから金額。さらに、そのうち実際に活用されたところ、譲渡済みというのが何件あるか、面積は幾らか、お答えいただきたいと思います。
  188. 山本正堯

    政府委員山本正堯君) お答えさせていただきます。  民間都市開発推進機構の土地取得、譲渡業務の実績につきましては、平成十年の九月末現在でございますが、今御案内の機構に土地取得の相談が持ち込まれた総件数は千百四十九件、その総面積は二千七百六十七ヘクタールでございます。その中で契約いたしました総件数が八十五件、総面積は約百三十ヘクタール、金額にいたしまして約四千三百四十五億円でございます。このうち具体的に実際に活用され土地が譲渡されましたのは、最近でございますが、件数で二件、面積は一・七ヘクタールということになってございます。  以上でございます。
  189. 笠井亮

    笠井亮君 鳴り物入りでつくられた、四年前ですけれども、九四年から今日までの間にわずか七・三%の実績ということで、しかも今ありましたように実際に売れた物件数が二件しかない。八十五件のうち八十三件を四年間いまだに抱えている。この民都機構が扱う物件というのは権利関係が整理されているということで、そういう意味ではかなりやりやすいということが言われております。  今度、この長銀の問題で整理回収機構に持ち込まれる。さらに、野党の方々が追及されていたように大変なものがいっぱいあるということでありますから、幾ら適正に価格を設定する、あるいは安く設定したとしてもこれは売れなければ全く意味がありませんね。それはそうですね。
  190. 枝野幸男

    衆議院議員枝野幸男君) 売れないという可能性も含めて、トータルとしての金額を査定いたします。したがいまして、物すごい低い金額になる可能性も、売れないような不動産を抱えていた場合には限りなくゼロに近い可能性も含めてあるというふうに考えておりますので、ここでロスを生じさせることはない、法律上担保されていると考えております。
  191. 笠井亮

    笠井亮君 中坊さんのことも言われましたが、住管機構が頑張っても回収実績は約二〇%。整理回収銀行の実績も一九・三%の回収です。共国債権買取機構の場合も二割程度。そして、外資系が安く買ったということが最近も新聞に報道されましたけれども、買ったけれどもこれは暴力団絡みでどうしようもない、困っているということがあったと。適正に買っても売れなければ回収できない。そして、まさにゼロ価値になるものもあると枝野さんも衆議院で答弁されていました。  結局、理論的にということを言われるけれども、現実をリアルに見ると、公的資金を投入してそして買い取りをする、これは返ってくる保証が全然ないですよ。とんでもない仕組みだということを言わなきゃいけないと思うんです。  大体、何で長銀がこんなことになったのか。バブルの時代に乱脈経営を重ねて、担保もとらずに何千億円単位であちこちに貸して莫大な不良債権を抱えてきたからにほかなりません。実体のない幽霊企業に不良債権をつけかえた疑いもあるということで追及もされてきたことであります。その後始末に兆円単位の税金を使うということになれば、これはもう道理が全くないということを言わざるを得ないと思うわけでございます。  もう一つ問題なことがあります。  公的資金による不良債権の買い取り、長銀以外の問題、これを言います。  三野党の原案では、日本版RTC、整理回収機構は破綻後の金融機関からの不良債権買い取りに限定されていた、このことは間違いないですね。原案です。
  192. 枝野幸男

    衆議院議員枝野幸男君) まず、その前の点からお話ししたいと思うんですが、とにかく売れない可能性を勘案して金額を決めるのでありますから、売れなかったとしてもトータルとして損は出ない金額でしか買わない、そういうふうに申し上げているので、そこのところでは損は生じさせません。  それから、今のお尋ねにつきましては、当初の原案では一般金融機関からの買い取りは入れておりませんでした。
  193. 笠井亮

    笠井亮君 そんなことをしたらただで買うのと同じでしょう。もう限りなくそういう意味では確実な金額というのはゼロになっちゃいますよ。そんなことじゃ処理にならないでしょう。だれがそんなこと言うんですか、ただで売るなんて話は。そういう問題があると思うんです。  そして、今の問題は、破綻後ということで、当初の原案にはなかったということは確認されました。  それでは伺っていきたいんですけれども、今回の修正案で、五十三条であります。「金融機関等の資産の買取りに関する業務」、この対象として、イロハニとあります。まずイとして、これはわかりやすく言えば破綻した銀行、ロとして、それを引き継がれる銀行、いわゆるブリッジバンク。ハとして、一時国有化した銀行。こういうことが書いてある。いずれもそういう意味では特定をされております。  その上で、イロハニの二としまして、「イからハまでに掲げる金融機関以外の金融機関」等というのがあります。これはよく法律読ませていただきますと、要するに対象は全部じゃないか。金融機関等であれば破綻していようといまいと不良債権公的資金で買い取ってもらえる。私はこんな野方図な規定はあるのかというふうに大変驚いて見ました。大体、もっともらしく列挙する必要はないんじゃないかと私は思うんです。すべての金融機関等と書けば済むと思うんですけれども、これはどこが違うんですか。
  194. 枝野幸男

    衆議院議員枝野幸男君) すべての金融機関等で列挙するやり方でも構わないと思います。私自身は、法制局との作業の中ではそういった書き方でいいのではないかということを申し上げましたが、原案から、その他の議論の経緯から考えますと、あえてわかりやすく、基本的には破綻金融機関から破綻処理不良債権の買い取りをしていくことが原則にあるけれども、特に現在の緊急な状況考えましたときに、一般金融機関不良債権処理を一刻も早く進めていくという趣旨で、例外的、特例的に一般金融機関にも拡大するという趣旨をわかりやすく書いた方がいいだろうということで、あえて別建てにしてこうやって並べたというふうに理解をしております。
  195. 笠井亮

    笠井亮君 金融機関となればどこでも不良債権を買い取ってあげると。一番わかりやすいのはすべての金融機関等と書く方がわかりやすいと私は思うんですけれども、このイからハまでに掲げる以外の金融機関、つまり一般の金融機関不良債権買い取りの対象にするという規定は、もともとの政府・与党の原案あるいは三野党の原案にあったんですか。
  196. 枝野幸男

    衆議院議員枝野幸男君) 原案にはございません。
  197. 笠井亮

    笠井亮君 私は、これはとんでもないことだと思うんです。だれがこれを持ち込んだんですか。
  198. 枝野幸男

    衆議院議員枝野幸男君) 与野党間の、いわゆるマスコミ的には実務者協議と言われている協議の中で、一刻も早く現在の金融危機の状況から脱却するために、与野党間で合意ができる部分についてはできるだけきちんと入れ込んでいこうという中で持ち上がってきた新しいテーマでありました。
  199. 笠井亮

    笠井亮君 実務者協議、いわゆる密室協議で出てきた、こういうことじゃないですか。  民主党に伺いますけれども、あなた方の当初の案では、もともと破綻した銀行からしか不良債権を買い取ることはできないということになっていた。なぜそれ以外の金融機関からの不良債権も買い取りができるようにということを入れることに賛成されたんですか。
  200. 枝野幸男

    衆議院議員枝野幸男君) 現在の金融状況問題点は、バブルの崩壊によって多額の不良債権を抱えてしまって、これがバランスシート上に載っかっていて自己資本比率を下げたり、そういったことで経営を苦しめているということはほぼ共通の認識だというふうに思っております。  その不良債権処理というものをできるだけ迅速に進めていくこと、これは必要であるという共通認識のもとで、ただ無条件に一般の金融機関から不良債権の買い取りということを認めますと、御指摘のように、いわゆる不良債権の買い取りという形を通じて金融機関を救うためにお金が流れるということになってしまいかねないということで私ども慎重に対応しておりましたが、先ほど来申し上げております条文を置くことによりまして、回収不能になる可能性まで含めた、安い金額でも不良債権処理してしまいたいというようなことであるならば、これは税金で金融機関を救うという形にはなりませんので、この買い取り価格の条文をセットにすることで我々の懸念は払拭され、なおかつ不良債権処理を迅速に進めることができるということでこういった条文を入れることにいたしました。
  201. 笠井亮

    笠井亮君 不良債権処理を迅速に進めるといって全部をやっちゃうというふうになると、これは中小企業なんかも大変なことになります。迅速に処理すべきものと、きちっとその中では善良な借り手を保護する、ここも仕切っていかなきゃいけない。そういう問題があるわけでありまして、不良債権処理、バブルのときにあったこれを迅速にやらなきゃいけない、だから、こういう仕組みで例外的、特例的にと言いますけれども公的資金を使う道が開かれる。これでは銀行業界の責任、銀行の責任が追及されない、こういうことになるじゃありませんか。しかも、例外的にと言いながら法律上はイロハニで並べて、その他のところから一般機関にもやれるようになれば、一般の金融機関へも不良債権処理のために公的資金を投入できる、こういう道が開かれるわけであります。  しかも、危機管理ということを言われました。私、その言葉を伺っていて、ちょっと前の議論で政府自民党が言われていた理屈とうり二つじゃないかという感じがするんです。今税金を投入しなければ金融システムの危機を招く、こういう口実はしきりに言われておりますけれども、これがもう成り立たないことは衆議院の議論の中で決着つきました。債務超過でなければ債務不履行はあり得ない、もし一時的に資金がショートする、こういうことになっても日銀が特融、特別に融資すればきちんと税金を使わなくても済むということを日銀総裁も答弁されました。これをやらなければ金融恐慌が起きる、あるいは危機だということは、私は国民へのおどかしに乗ってしまうことになるというふうに思わざるを得ません。  これまであなた方は、破綻した銀行の預金者保護の範囲において公的資金はやむを得ない、投入はやむを得ないと言ってこられましたけれども、今度の修正案で、破綻していないところか、例えば東京三菱のような銀行からも不良債権を買い取るとなれば、これはもう預金者保護とは関係ありません。そういうことができないという仕組みにはなっていない。我々は預金者保護という銀行の最も大事な仕事について、税金を投入せずに自己責任でやるべきだと考えていますけれども、今度の案では預金者保護の名分すらなくなっている、拝見していてそのように思います。  消費税増税や医療費改悪の上にこんなことをしたら、景気もよくならないし、不良債権処理自体も進まない。我が党は先週末、消費税減税法案を、三%の減税法案を共同で提出いたしましたけれども、銀行への税金投入をやめて消費税減税せよこそ国民多数の声だということを改めて申し上げておきたいと思います。  さて、次の問題伺っていきたいんですけれども、住管機構の中坊社長が文芸春秋の十月号でこのように書かれております。「住専をゴミ箱のように利用しておきながら、自分たちで始末できずに国民の税金で償ったことなどはすべて無視している。」、そういう銀行側のモラルハザード、倫理欠如を批判しながら、新聞紙上や国会の議論について、「その問題を曖昧にしたままで、三十兆円の公的資金を導入すれば、再び罪なき国民がそのツケを負わされることになりかねない。」、このように述べております。  日本共産党提出金融機能正常化特別措置法の四法案提出者に伺いたいんですけれども、これまでの議論に関連しながら、銀行の自己責任という問題についてどのように考えているか、答弁をお願いしたいと思います。
  202. 筆坂秀世

    委員以外の議員筆坂秀世君) 笠井議員の御質問にお答えします。  一つは、今の不良債権の問題の議論を聞いておりまして、もしRTCがただ同然で不良債権買うとするなら、それは破綻した銀行であったなら、これは本体の方でそれだけロスがたくさん出るということだけであります。ですから、それによって税金の投入額が減る、公的資金の投入額が減るということにはならない。あるいは健全銀行であったなら、ただ同然で不良債権をRTCに渡すような銀行はどこもないでしょう。だって、ただでやるなら、それはみずから処理できるわけです。ですから、ただ同然というのがこれはまさに空理空論のたぐいだと私は言わざるを得ないと思います。  私たちが自己責任、自己負担の原則を重視するのは、一つは、もともと銀行の不良債権というのは国民のもたらしたものじゃない。中坊さんは罪なき国民に押しつけるものだとおっしゃったけれども、まさにそういうものになる。これが第一です。  ただ、それだけじゃない。例えば何をやっても最後は税金で後始末ということになれば、私も国会で取り上げましたけれども、北海道拓殖銀行の場合に、都市銀行がみずからの持ちたくない債権を全部拓銀に押しつける、なぜなら拓銀処理は最後は税金処理だから、こういうことになります。銀行というのは預金者を保護する、与信融資業務、決済業務、これは銀行が銀行たるゆえんです。本来の責任です。この責任をあいまいにすることになる。  三つ目には、よく最小化コストということが言われます。しかし私、これはアメリカの例、本当に教訓的だと思うんですけれども、九一年にFDICIA、預金保険公社改善法によって商業銀行の破綻処理にはもう税金を使わない、この原則を確立しました。このときにアメリカの会計検査院の総裁だったバウシャーさんは、それによって資本市場からアメリカの金融業界が好意的な反応を受けた、そして銀行経営者が自分たちの直面する問題に正面から立ち向かうようになった、そして悪い銀行があればこれは銀行業界みずからがそういう銀行は退出させよ、こういうことで自己規律が働くようになったと。私たちは、この立場から今度の四法案を出しているということを御理解賜りたいと思います。
  203. 笠井亮

    笠井亮君 不良債権処理金融機関破綻処理のコスト、これは私はやっぱり銀行業界自身が持ってこそ、金融業界の中に自己規律を生み出して、最も少ないコストで、しかも内外の信頼を回復しながら速やかに対処できる、そういうことになるんだというように思います。このことを重ねて強調しながら、質問を終わりたいと思います。(拍手)     ―――――――――――――
  204. 坂野重信

    委員長坂野重信君) 委員異動について御報告いたします。  本日、柳田稔君が委員辞任され、その補欠として浅尾慶一郎君が選任されました。     ―――――――――――――
  205. 山本正和

    山本正和君 総理以下、大変御苦労さまでございます。後ほど総理以下には御質問したいと思います。  きょうは発議者皆さんにはどちらかといったら要望という形でとどめておきたいと思いますが、いずれにしても長い間本当に大変な、夜を徹しての御苦労を心から感謝いたします。御苦労さまでございました。  ただ、率直に申し上げますが、この法案ができた、そして一番大きな自民党、民主党以下の各党の協議の中でこれがまとまった。私は、その政党政治と我が日本の国が憲法で二院制を定めているということの中で、実は自己矛盾を感じておるんです。そのことも少し発議者皆さんにも申し上げておきたいと思うのであります。  というのは、国会というのは冒頭に両院の議を経て会期が決まります。したがって、重要法案についてはそれぞれお互いの院の審議を尊重しなきゃいけないと私は思うのであります。しかし、会期が明七日で終わるという本日、初めてこの案件が審議されている。果たしてこのようなことでいかがなものかということを私は思います。  そして、特にこれは与党側の皆さんに申し上げておきたいのは、与党は衆議院では過半数以上の議席を国民から得ているわけです。したがって、与党としての責任があるならば、これは正しいと思って出した法案ならばそのことをきちんとただして、そして衆議院としての議決は終わるべきだろうと私は思うんです。しかし、参議院でこうだからということでもって御苦労を願うことの御苦労はわかりますけれども、本来そういうことをしておったら参議院は要らなくなるんじゃないか。大体二週間ぐらい向こうで議論したら、こちらも二週間というぐらいの余裕を持って送っていただくべきだろうと私は思います。  また、参議院衆議院と違いまして任期六年の議員であります。それぞれ自分の専門について勉強もしている、金融についても経済についてもかなり勉強している者も多いわけでありますから、例えばこの種の非常に経済にかかわる難しい問題、もう少し参議院に議論の場を移してもよかったんじゃないだろうか、こういう気がしてなりません。  私も政党人でありますから、政党政治というものの重要性はわかりますけれども、やっぱり今後はこういうことはお互いに考えるべきじゃないだろうか。特に、今度は衆法ですから、議員皆さん提案してここに持ってきておるわけですから、そのことも含めて冒頭に私の感想を申し上げておきたいと思います。  それから二つ目に申し上げておきたいのは、本日の朝来ずっとテレビが入った委員会でございます。そして、国民皆さんはやっぱり審議を見守っておられると思うのであります。その中で、専門家の議論でやる場も当然必要でありますけれども、いかに国民皆さんにわかりやすくみんなで議論しなきゃいけないかというのは国会議員の義務だろう、説明をする義務がある、これが国会議員立場だろうと思いますので、そういう意味で私は総理以下に申し上げますけれども、ひとつこれから国民にわかりやすい形での討論を、御意見をぜひいただきたいと思っております。  今度の法案について少し申し上げておきたいのであります。  一つは、この法案の仮に可決成立によって国民の間に金融問題についての安心が生まれるだろうか、私は決して生まれないと思うのであります。いろんな不安を宿しながらこの法案の決着を見ることになるんじゃないか、このことを私は大変心配しております。  そして、私も七十歳、余り年齢のことを言ったらいけないんですけれども、いろんな連中をよく知っております。商売をやっているのもおる、全国の業界の副会長をしておる者もおる、いろいろおります、仲間の中には。いろんな話を聞くんです。そうすると、その中で出るのは、今の日本経済で一番困るのは何かといったら、新しいベンチャーにお金を貸そうという人がおらぬ。このベンチャーの育成ということを通産大臣は前から盛んに言っておられる。また一総理以下内閣の皆さんもそのことの重要性を恐らく思っておられるだろうと思うんです。しかし、今のような日本経済で新しい企業を起こそうとしたときに金を貸してくれるだろうかという懸念は、これは絶対にもう今のままではだめだと私は思うんです。  そしてもう一つ言いますと、私もいろいろ苦しい話を聞くんですけれども、例えばタクシー会社がある。タクシーは今非常に苦しいんです。そのタクシー会社が資金の回転をするのにどうしても銀行から金を借りなきゃいけない。しかし、待てよと。今盛んに国会で議論している中で、うちの銀行は銀行が貸し付けている中でのどの分類に入るんだろうか、おまえさんのところは赤字だから第Ⅱ分類だよと言われたら、運転資金に困ってしまって倒産してしまうと。ホテルというのはこれはもう大変な設備投資して次から次に設備更新をしていかなければホテル業界の競争に勝ち残れない。旅館でもそうですね。銀行から金を借りなきゃいけないんです。  そうすると、例えば本年度の決算が赤字だった、第Ⅱ分類にしますよと言われたらどうなるんだろうか。しかも、もしもこれを公表されて、私の会社が第Ⅱ分類ということでどこそこの銀行に出されたらうちは一遍に信用を失って仕事ができなくなりますよと、これ実感で言うんです。  国会で盛んに議論をしていただいているのはよくわかりますけれども、企業があって、そして一生懸命働いて、そこに働く人もおって税金を納めて国家の運営ができている、だから何とか仕事ができるようにしてほしい、こういう話を私のところへ来てよく言うわけであります。  私は、発議者皆さんに大変御苦労を匿いながらできた法案でありますし、我が党も我が党の主張を衆議院段階でいろいろ入れていただいたようでもあります。したがって、当面乗り切るためには一日も早く問題を解決しなきゃいけませんから賛成の立場をとっておりますけれども、私自身はこのままじゃいかぬと思っている。ちゃんと直さなきゃいけない、こう思っております。  特に申し上げておきたいのは、少なくともこの法案の問題をめぐる議論の中で貸し渋りがふえる印象を与えるような議論は何としても避けていただきたい。一番心配なのはそこなんです。  そしてもう一つ申し上げたいのは、あの法案の中で、私は衆議院の諸君に言ったんです、何だおまえはこれを聞いてと。十三兆円のあの部分を廃止すると書いてある。廃止した後どうなるか何にも書いていないんですね。そうして聞いたら、早急に新しいものをつくって今国会中に成立させますと言うものだから、それなら仕方ないなと、こういうことで私も黙ったんです。  だから、いずれにしても経済というものは動いているんですから、動いている中でみんなが日本の国の政府を信頼してやっているんですから、そういう多くの一生懸命働いている、経営して苦しんでいる皆さんの気持ちを大事にしながら、国会というものの運営、あるいは法律審議あるいは提案というものをしなきゃいけないんじゃないか、こういうことを思います。これからまた発議者皆さんも恐らく新しいスキームについて、破綻前の問題ですか、そのスキームについての議論をされると思いますから、その辺はひとつ十分慎重に配慮されながら、何があっても大丈夫ですよ、本当にしっかり頑張っている会社、企業、そこで働く人たち、安心してくださいよということを言いながら議論をしていただかなければということが気になってなりません。  銀行は確かにいろいろ問題がありました。そこで、私がもう少し申し上げておきたいのは、本来からいえば長期信用銀行や拓殖銀行なんというのはあんなになるはずはないんですね。長期信用銀行が設立されたおかげで今日の日本経済を発展させて大変な貢献をしている、これはもう大蔵大臣が一番御承知であります。設立当初の目的は何であったか、どういう役割を果たしたか、大蔵大臣が一番御存じであります。あるいは北海道拓殖銀行でもそうであります。北海道の開発のためどれだけ重要な役割を果たしてきたか、大変な役割を果たした。その二つの銀行がつぶれてしまった。大変なことであります。  しかし、私が思うのにこれは政治の責任だろう。国策として日本の国のあるべき姿はこうですよということを提示し得なかったところに問題があるような気がしてなりません。これは後ほど申し上げます。  その前に、ぜひこれはひとつ発議者皆さんにちょっと念のためにお伺いしておきたいと思います。質問をしないと言ったんですけれども、ちょっと一つだけ。  それは、今度の法案の中での一つのポイントは再生委員会ですね。その再生委員会、ちょっと申し上げますが、衆議院ではどうか知りませんけれども参議院では答弁席では一切不規則発言をしたらいけないことになっておりますので、質問中につい、よっしゃとかオーケーとか言わないでくださいね。黙ってうなずく程度にしてください。  再生委員会というのは三条委員会だ。どちらかといったら政府から独立した要素が強い。ところが、今のこの金融あるいは日本経済ばかりでなく国際経済は随分動いていますから、そこで何が起こるかわからない。いろんな問題が出ます。三条委員会委員皆さんがいろいろ議論される。その束ねが国務大臣だと、こうなっているわけです。その国務大臣に本当に強力なリーダーシップを持つ方がおられるかおられないかは大変なことになると私は思うんです。  これは発議者にも、それから総理にもお伺いしておきたいんですけれども、これだけ大きなまさに日本金融が国際的な状況になっている中では、再生委員会委員長になる国務大臣は、少なくとも総理が一番大事な、よっしゃ、もう任せたと、おまえさんが言うなら、よし、おれがやってやるというぐらいの、副総理ぐらいの人がなってもらわぬといかぬ、副総理格で位置づけてもらわなきゃいけないと思うし、その人選はまさに日本政府として国際社会に対して責任を持って、この人を大臣にしましたよということを言える人を選ぶべきだというふうに私は思うんですけれども、まずこれについて発議者の方は、再生委員会委員長についてはどういうふうなお考えで大臣というふうにされたのか。そしてまた、このことについてだけは総理の御所見をお聞きしておきたいと思います。
  206. 池田元久

    衆議院議員池田元久君) お答えをいたします。  再生委員会の構成で、これは三条委員会委員会でございます。それに委員長が国務大臣となっています。  なぜこのような形にしたかと申し上げますと、まず現在の金融危機は大変な状況でございます。やはり国務大臣を置いて責任を負わせる必要があります。同時に、これからビッグバン時代になりまして、金融行政はできるだけマーケットに任せる、中央省庁等改革基本法にも書いてありますが、行政の関与は、非常時は別ですけれども、できるだけ少なくする必要があります。三条機関はやはり公正さを確保する意味において適当な組織であると思います。両者を兼ね備えた組織として、委員長を国務大臣とする金融再生委員会を設けることにしたわけでありまして、ぜひ御理解を賜りたいと思います。  そしてまた、委員指摘のとおり、この大変な金融危機の中にありまして、まさに司令塔の役割を果たすべき組織でありますから、当然組織の長は専任の大臣を充てるべきであると私は考えております。その任に当たる方につきましては、当然経済法律に通じた、できるだけ決断力に富む人材を充てるべきであると考えております。
  207. 小渕恵三

    ○国務大臣(小渕恵三君) 冒頭よりの山本先生お話、まことに肝に銘じて拝聴いたしておりました。特に、金融再生委員会の仕組み、あるいはまた専任、これは委員長となります大臣につきましては、この三条委員会の機構がまことに大きなものであり責任を負っているという考え方をいたしますと、お説のとおりだろうと思います。  これが成立の暁におきましては、今委員指摘のような最もこれにふさわしい人を選任することが、現下の問題を処理するのみならず、日本の将来にとっても大変大切なことだと認識をいたしておる次第でございます。
  208. 山本正和

    山本正和君 ひとつよろしくお願いしたいと思います。  そして、今後の問題がまだございますので、発議者皆さんもいろいろと討論に参加され、御意見の交換があろうかと思いますから、ひとつくれぐれも国民が安心するような形での今後の対応を要望しておきたいと思います。  では、本委員会金融問題でもありますが、あわせて我が国の経済活性化という問題についての議論が本委員会に与えられている任務でございます。冒頭、石川理事の方からもお話がございました。私もそれを思うんです。  そこで、国民が何か寄ってたかってちょっと一杯飲んで話すときも暗い話が出てくる。どうなるんだろうか、景気悪いなと。タクシーに乗ったら運転手さんがざっぱりですというふうな話をする。しかし、これは私はおかしいと思うんだ。日本の国は、私は絶対大丈夫だと思っているんです。少なくとも、ここ十年の間にちゃんと輝ける我が国になると私は思っているんです。ただし、それをやるのに一つの方向を、我が国のこれから動く方向を政治が指し示さなければやっぱり国民は安心できないと思うんです。  私は、こんなに小さな島国で人口がひしめいておって、そして山が多い、何も資源がない、何でこれが世界二番目の経済大国になっているんだろうか。これは経済企画庁長官が在野の時代にいろいろな格好で論文等もお書きになっていますけれども、私はこの国が今のこんな金融問題ぐらいで負けるはずがないと思うんだ。  そして、もう一つ言いますと金融問題、いろいろ言いますが、特にグローバルスタンダードとかなんとかいう妙な名前を持ってきて日本の国をかき回しちゃう。まだもっていますけれども、アジアは全部やられちゃったんですね。何か知らぬけれども、私は思うんです。お金というのは本当はそのお金を動かしていろいろなものをつくる、世の中をよくするために使う、そのための回転をしなきゃいけないお金がばくちの世界になってしまっている。今の世界の金融市場というのは、ばくち屋が一番もうかるような仕組みになっておった。ちょっとつぶれかかってきたですけれどもね。そんなものは許さぬよということを我が国は宣言するべきだと私は思うんです。  もっと言えば、日本の国が今まさに持っている国民金融資産、千二百兆と言います。これは預金もしているし、いろんな資産に切り変わっています。しかし、日本国そのものが持っている資産、これはフローも含めたら大変なお金なんですね。そのお金を、本当に日本の産業構造をこうしますよ、地球社会をこうよくしますよというところへ目を向けて、そこへ向かって一生懸命やりましょうということを言えば、必ずよくなると私は思うんです。  私は、もうここで予算委員会以来ずっと、しょっちゅう言っているんです、こんな小さな島国だけれどもだれにも負けないものを持っていますよと。それはお日様です、太陽ですよ。太陽がさんさんと注いでいる、自然に恵まれている、台風も我々に対する恵みですよ。  そういうものの中で、今から二十五年前にあの石油ショックで世界が大変なことになったときに、我が国もサンシャイン計画というのをつくったんですよ。すばらしいんです、あれ。通産省がつくった最大の傑作だと私は思う。ところが、そのサンシャイン計画をもしも原子力発電と同じように、原子力発電は今もって毎年我が国の国家予算から一兆円金を出しておるんです、補助金を。それでも廃棄物の処理でまだ金が要ります。もっと金が要るかもしれないですよ。  しかし、もしも自然エネルギーの開発を過去三十五年間我が国がやってごらんなさい。世界でエネルギーの最大の先進国になる。この前も言いましたけれども、屋根がわらから壁材から全部今太陽光発電をし得る技術はもうできている。しかも、バッテリーが弱いと言われたけれども、バッテリーもナトリウム電池の開発で今までの三倍も五倍もできている。  そういうところへ国策を向けて、日本の国は太陽エネルギー、自然エネルギーを立派なものにつくって示せますよ、それを世界じゅうに輸出しますよと。貧しいと言われているアフリカの人たちもバングラデシュの人も、みんな太陽の恵みの中で頑張っていきましょうということを我が国がやりますよということで、新しい産業を興せると私は思うんです。興せる力はだれが持っているかというと、政治なんですよ。  午前中に二人の総理大臣の話があったけれども日本国の総理大臣、小渕総理が宣言することによって私はできると思うんです。小渕総理は、それは与党、野党ありますが、与党も野党も含めて我が国の総理大臣なんです。だから、我が国の総理大臣に対して私は物を申すわけです。ですから、総理の決断で、我が国の産業構造をこういう方向へ転換します、皆さん安心してください、これからはこういうことをやる中で必ずよくなりますよということを言っていただきたいと私は思うんです。  私は事前通告いたしましたけれども総理はどちらかといったら寡黙な方ですから余りおしゃべりにならないけれども、この際はやっぱりそう言っていただくべきだろうと思うんです。我が国の二十一世紀は大丈夫ですよということを言っていただきたい。そしてまた、大蔵大臣も、金融皆さん心配していますけれども日本の国は大丈夫ですよということを言っていただきたい。通産大臣は、我が国の産業はこうです、大丈夫ですと言っていただきたい。経済企画庁長官は夢を語っていただきたい、そう思うんです。  そういう意味で、時間が十六分しかありませんのでまことに恐縮ですけれども、本当に二、三分ずつしかありませんけれども、テレビを通じてきょうは国民皆さんにそれぞれひとつ決意を表明していただきたいと私は思います。総理大臣から。
  209. 小渕恵三

    ○国務大臣(小渕恵三君) 私自身、日本人の持つ大きな力というものを信頼すればこそ、政治の道に入っていささかなりともその努力を傾注してきたつもりでございます。あの戦後だけを考えましても、荒廃し焼け身原になった日本をこれだけ大きな世界第二の経済大国にまで押し上げてきたものは日本人の持つすばらしいエネルギーと努力の結果、また創意工夫であったというふうに思っております。この力をもっていたしますれば、必ずや日本再生すること間違いないという確信のもとに対応しておる次第でございます。  ただ、現下、当面の経済問題を考えますと、何といっても日本経済の中でかつてない落ち込みをいたしておりまして、これが原因を尋ねればやはり金融問題、これがございまして、そういった意味でこれをまずは打開しなければならないということで今対応しているんだろうと思います。  先生今御指摘のように、日本人の持てる資産、外貨保有高あるいはまた日本人自身の持つすばらしい教育の力、あらゆるものを考えましても、私は世界に大きな指導性を持ってしかるべき国民だというふうに認識をいたしております。特にイノベーションの問題等につきましては、いろいろな問題が海外で発明、発見されましても、これを十分消化して日本経済を大きくしてきたことでございますし、また、産業面でも物をつくる力というものもほかの国に負けないものを持っておると思います。したがいまして、政策よろしきを得れば、必ず私は再生できるものと思っております。  重ねて申し上げますが、現下経済が十分な働きをしておらないことにつきましては、これは必ずしも我が国だけの状況ではなくて、経済が大きく世界にグローバル化している中ではやむを得ないことでございますが、しかし我が国としてなすべきこと、この第一歩は今御審議をいただいておることだろうと思います。必ずこうした難関を突破いたしまして、そして新しい産業を創出して、また創出する能力も我が国は存在しておると思います。国民の英知を結集いたしまして、ぜひこの状況を打開し、世界に尊敬される日本国をつくり上げる、このために全力を尽くしていきたいと思っております。
  210. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) 戦後、先進国に追いつけ追い越せという目標で追いつくことができました。追いついたときに、しかしこれから前を走るランナーはないわけですから政治が方向づけをしなければならなかった、それを我々が怠ってきたというふうな思いがいたします。恐らく、追いついた時点はプラザ合意、一九八五年ごろだったと思いますが、それから実は我々が方向づけを怠って、むしろ役人を責めるような結果に今なっていますが、それは私は政治の責任が大きかったというふうに思います。  それで、これから先進国をいよいよ追い越す、そのときのやはり私どもの政治の目標は恐らく消費者の利益ということではないか、広い意味で、一人一人の国民が消費者として、自分にとって意義のある、あるいは社会に意義のある生涯を送り、時間を持つという、そういう意味でのクリエーションをするということが私は自分の国の理想でございますが、そういう消費者の利益になるための経済であり、行政である、そういう国になっていかなければならない、我々にはそれだけの力があると思っておりますから、そうありたいと思っております。
  211. 与謝野馨

    ○国務大臣(与謝野馨君) 私は、日本というのはいまだ大変高い潜在能力を持っている国だと思っております。当面直面している金融危機あるいは経済危機というのはここ数年の話でございまして、これで日本沈没ということにはならないと思っております。  やはりそういう短期的な直面する問題ももちろん国会あるいは政府を挙げて取り組まなければならないと思いますが、我々現代に生きる人間の責任は、二十一世紀もまた豊かな世紀にするというのが我々の責任であり、そのために教育はどうあるべきか、技術開発はどうあるべきか、産業構造はどうあるべきかということを今の現代の人間が考えて、二十一世紀もまた豊かな世紀にする。豊かであれば少子・高齢化社会の中で必要な、いろいろな大事な政策もまた推進できる。私は、豊かさというものを二十一世紀も再び日本人の手にするということが大事な方向性であり、また現代を生きる我々の責任でもあると思っております。  また、冒頭、先生が心配されました、今ここにかかっております金融再生関連法案に関しましては、多分大変頭のいい方がつくられたわけですから私はうまく動くと思いますが、これが実際に適用するときに無用な社会的な混乱を起こしたり、あるいは信用収縮を起こしたりということにならないように、我々は運用というものについては十分過ぎるほどの注意を払わなければならない、そのように思っております。
  212. 堺屋太一

    ○国務大臣(堺屋太一君) ただいま先生の御指摘になりましたサンシャイン計画、二十三年前に私が担当しておりまして始めたものでございますけれども、おかげさまでかなり大きく育っております。原子力ほどではありませんが、日本がかなり先端的な技術を持つまでになっております。  先生の御指摘のとおり、日本の国富は七千四百兆円に達しておりまして、大変巨大なファンダメンタルズを持っております。私は、今、日本が直面しているこの経済の困難、金融の問題、これは大変重病でございますけれども、経過すべき一つの困難であって、これを越えますとさらにすばらしい日本が生まれるに違いないと考えております。  今、日本が直面しております最大の問題は、やはり少子・高齢化でございますが、これも労働人口といいますか労働適正年齢というものがどんどんシフトしていくことを考えますと、そんなに恐れることではありません。  今から三十年ほど前には、一九六〇年代には、六十歳から六十九歳までの人が七十数%職業があったんです。今それがずっと減っているんです。だから、昔のように皆が働けるような状態をつくることはそんなに難しいことではありません。これを労働力が、若い人がふえたからむしろ年寄りが押し出されたところがございます。これをまず打ち立てること、それが第一であります。  第二番目には、土地が値下がりしていることが今の金融問題ですが、これはむしろ日本の国土を広く使える。だから、今まで労働集約的で土地を節約していかなきゃいけなかったのが、これから非常に土地を豊かに使って、生活空間も広げ、レジャーの空間も広げ、大変豊かな条件が生まれてくる。それの産みの苦しみが今の金融問題であり、経済問題だと思っております。  したがって、ここしばらくは苦しいときが続きますが、これを乗り越えましたら日本は今まで以上に楽しみのある、発展する国になれると私は信じております。
  213. 山本正和

    山本正和君 四人の大臣から、何としても日本の国を立派なものにしていきたいという御決意を伺いました。  私は、そこでまたもとへ戻った話をするつもりじゃありませんけれども、貧しかった日本の国を再生するために一番大事な問題はやっぱり金融問題だったと思うんです。  長期信用銀行がなぜできたか。長期的に資本を投入して国力をつけていこうという目的だったと思います。今二十一世紀を控えて、二十一世紀における我が国の産業をどうするんだと。その産業を育成するために今一番いわゆるベンチャーの問題が言われています。今、堺屋長官も言われたし、通産大臣もおっしゃった。  日本の産業構造の改革を、今のような状況のままでいいのだろうかと。恐らくだれも思っていない。みんなが心配なのは、何ぼ言ってももし石油が断たれたら、「油断!」という小説をお書きになりましたけれども、一体日本の国はどうなるだろうという心配がある。  今の少子・高塩化の問題がある。そこへもってきて、今度、世界一金持ちだと思っておった自分たちが、実は預けておった銀行がえらいことだというのでみんなが真っ青になっていると。ですから、新しい企業は起こせないし、雇用は減るし、とにかく遊ぶ金もだんだん減ってきたということで、しゅんとなっているんだろうと私は思うんです。しかし、実はそうは言いながら、じゃ国民皆さん、本当にこのままでいいんですか、頑張りましょうという形で提案をしたら、私は国民はよっしゃ頑張ろうということになると思うんです。  かつて池田総理が所得倍増を言われた。みんな、何を言っているんだ、ばかみたいな、夢みたいなことを言うなと、こう言った。見事に所得倍増になったでしょう、あれは。国策をもって経済、あれは自然に企業の自由に任せたんじゃないと私は思うんです。国が一つの方向をつけたと思うんです。  いろんな意味で、そういう格好で、必要なのは金融なんですよ。その金融が緩んでいる。緩んでいるというよりもおかしくなっている。そのおかしくなっていることを今こそ逆に政府が国策銀行をつくるべきだと私は思うんですよ、もっと言えば。長期信用銀行が果たしたような、北海道拓殖銀行が果たしたような、興銀が果たしたような役割を持った銀行がありますよと、逆に言えば、そうすべきだと私は思うんです。もちろん、現在十九行ある銀行はそれぞれ世界の中でいろいろ頑張っていますからそれぞれの役割を持っていると思うんです。しかし、それだけの銀行がなぜ今ここで日本の国で新しい産業を興そうとするときにお金が出せないんですかという、その状況の不安が私は経済不安につながっているというふうに思えてならないんです。  だから、本来からいえば、逆にもしも十九行のうちのある二つなら二つの銀行が物すごく丈夫ですよというのならば、その丈夫な銀行に国策銀行を背負わせて、資本を百兆でも構わぬからほうり込むぞと、極端なことを言ったら、というぐらいのことをやってごらんなさい、一遍に元気になると私は思うんです。そういう発想がなぜ浮かばないんだろうかというのが、どうも私は経済の素人ですからあれなんだけれども、どうでしょう。宮澤大蔵大臣は実は本当の話、私は思うんです、私どもから言わせれば経済のもう大恩師であったはずなんです。  何とかそういう格好での新しい我が国が開発や産業をやろうにも、お金を出す出資者がおらぬからできないんです、銀行がなければできないんです。それだから、銀行の今の問題、これは破綻銀行の話とつぶれそうな悪いことをやった銀行の話ばかりしているから暗くなるので、しかし何とかその中でいい銀行をつくろうという発想には転換できないんだろうかということが思えてならないんですけれども、この辺については、大蔵大臣、いかがでございますか。
  214. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) 私もよくわかりませんけれども、護送船団というものがなくなりますと、各銀行とも特色を持たなければやっていけないことになってまいります。したがいまして、今、山本委員のおっしゃいましたような、おのおのの銀行がただもう土地を担保にとって金を貸すのではなくて、どういうベンチャービジネスを育てたいという銀行であったり、あるいはもっと違う意味での、環境でございますとかエネルギーでございますとかのいろいろ特色を持った銀行がこれから恐らく護送船団の後はできてきませんと、同じことをみんなやっていたのでは生きられないはずでございますから、そういう可能性は高いと思います。  それでもしかし、民間の銀行ではできない仕事、例えば今輸出入銀行がやっております仕事でありますとか、あるいは地域の開発、すぐ開発銀行がいいかどうかはわかりませんけれども、でございますとか、そういう半官と申しますか、そういう幾つかの銀行は、今全部おるものが要るとは思いませんけれども、幾つかはそういう使命を持って新しい分野に進んでもらうことが望ましいのではないかと思っております。
  215. 山本正和

    山本正和君 それから最後にまたもう一つ一当面は大蔵大臣だと思います、金融監督庁も若干関係するかと思いますが、いわゆる投機資本、もう外国からの投機資本でもって云々される、日本の国際優良株がばあんと値下がりしちまった。まさに投機ですよ、これ。そういうさまざまな対象がどんどんされていくと、いわゆる日本の国の一般の投資家は怖くて株はもう見るのも嫌になるという状況があろうかと思うんです。ですから、国際的なそういう投機に対して、それは日本ではだめよという、実力をもってですよ、妙な格好で自由市場を妨害するんじゃなく、実力をもってやる知恵が私は我が国にもあると思うんです。  そういう意味で、これも時間になりましたので御答弁は要りませんけれども、ぜひともひとつ御検討をいただきたい。日本の一般投資家が安心できる株式市場にしてもらうような工夫をぜひお願いしておきたいということを要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。(拍手)
  216. 入澤肇

    ○入澤肇君 自由党の入津でございます。  冒頭恐縮でございますけれども、大蔵大臣、通告しないままちょっと質問をさせていただきます。  実は、きょうの日経新聞、朝日新聞に大きく取り上げられているんですけれども、五日付のアメリカのニューヨーク・タイムズが、速水日銀総裁が米国のルービン財務長官とグリーンスパン連邦準備理事会議長に対して、「大手邦銀十九行の自己資本がここ数カ月で危険なほどの低水準に落ち込んだと説明した」というような報道がございます。「さらに日本政府当局者の話として、海外業務の展開に当たり八%以上の自己資本比率を求める国際決済銀行(BIS)規制が厳格に適用されれば、大手邦銀は海外展開ができなくなる可能性があるとした。また、同総裁の発言は一部の大手邦銀の自己資本比率が国内業務に必要な四%をも下回ることを示唆しているとも指摘した。」と、これに対しまして、日本の大蔵省当局は反論したということなんです。  私は、ずっとこの金融の問題を聞いていまして、また衆議院の議事録も十分拝見させていただきました。非常にデリバティブズのことは、舌をかむような言葉ですけれども、発言を除いては日銀総裁は慎重に発言されておりました。国内では大変慎重な発言をされているのに、どうして海外に行ってこんなふうに発言されるのかよくわかりません。  この大手邦銀十九行の自己資本が大変な低水準になっているということにつきまして、大蔵大臣はどういうふうにお考えですか。
  217. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) 日銀総裁の御発言がどうしてそのような報道になりましたかは、ちょっと私帰ってきたばかりで、その間の経緯を存じませんが、ニューヨーク・タイムズがそういう報道をしたということは私も日本新聞で読みました。  日銀総裁は、記者会見に際してこういうことを言われようとしておられました。今、日本金融機関全部の貸し出しというのを総合すると恐らく七百兆とかそれに近い数字になる。それに対して、資本というものをきちんと計算すると非常に小さなものであって、平均すれば四%とかなんとかということになるのではないだろうか。それは結局、今の不良債権はかつては不良債権ではなかったわけでございますから、そういう大きなものが日本経済を支えておりましたが、バブルが破裂しまして不良債権がどんどん切り捨てられていく。日本経済も、土地や建物は非常な減価をすることによってそれと調子が多少合っていますけれども、大部分はそのときの経済の規模がございますから金と経済の大きさとが合わない、いわば非常な過少資本状態になっているということを前提に言われるわけでございます。  それで、この過少資本をどうして直すかといえば、増資ができればこれは問題がないが、今国内で増資は難しい、外国の資本といっても限りがある。そうすると、銀行が、金融機関経営をちゃんとしながら融資をしていくためには、だれかが資本の増強をしなければやっていけないはずである。そのだれかというのは日本の場合にはもう政府しか残らないではないかということを日銀総裁は記者団に説明をされました。  つまり、された意味は、貸し出しが非常に大きいのにそれを支える資本というものが非常に小さい、仮に平均すれば四%ぐらいであろうか。ですから、それでは本当に国に必要な資金というものはこのままでは供給できないんだという意味で、総裁は、いわゆる普通に経営できる銀行には資本を強化しなければならない、日本の場合にはそれは公的資金しかないではありませんかということを強く主張しておられたのを私は聞いておりました。  そこで、そんたくいたしますと、貸し出しの大きさと厳密に考えました自己資本というものをとらえて、その比率が仮に四%に及ばないというようなことになりますと一それでは日本の銀行はそんなに過少資本なのかな、BISの基準に合わないのかということになったのかなと、推察でございますが。ただ、日銀総裁はその場合の自己資本というのを非常に厳しくとらえておられますので、今普通に考えられている自己資本はもっと狭い範囲でとらえておられるかもしれませんけれども、しかし総裁の主張されようとしたところは、今でも随分甘いという御指摘があるんですから、自己資本を本当に厳しくとらえれば、全体のアウトスタンディングの貸し出しの現在高は確かに非常に重いものをしょっている、それを直さなければならない。こういう主張がどういつだことかでそういう受け取られ方になったのかもしれない、想像でございますけれども、そう思います。
  218. 入澤肇

    ○入澤肇君 先ほどパネルがありまして、大手行の自己資本比率、三月の時点と今日の時点の比較の表がありまして、大蔵大臣は、どう考えているかという御質問に対しまして非常に慎重でした。  私は、この数カ月で危険な低水準に落ち込んだというふうな説明は、かなり監督庁の検査結果を踏まえた発言じゃないかというふうに邪推したくなるのでございますけれども、日野長官、十九行の検査は先ほど終わったと言ったけれども、一体検査の対象期間は何月から何月までだったんですか。
  219. 日野正晴

    政府委員(日野正晴君) 基本的には、今回大手十九行に一斉に入っております検査というのは、今年の三月期の自己査定に対する検査でございます。  ただ、銀行の中には、その後いろいろ事情が大きく変化してきたようなところがございます。例えば長銀などがその代表的な例でございますが、そういったものにつきましては、さらにその自己査定を手前の方に倒しまして六月、あるいはまだ終わったばかりですけれども、九月末現在での自己査定とそれからの状況をチェックしているということでございますが、今一体何月期から、いつからいつまでかという御質問に対しましては、三月期の決算が基準ということにしております。
  220. 入澤肇

    ○入澤肇君 今お話がございましたけれども、私は、この日銀総裁の発言というのは、日本政府、大蔵省それから金融監督庁、それぞれ連係プレーのもとにこの法案の促進を促すというふうな意味も込めて言われたのかなという邪推もできなくはない。あるいは、検査結果について内々にその情報を知って、外で気が軽くなって漏らしたという邪推もできなくもない.、  これにつきまして、改めて日銀総裁に来ていただいて、具体的にその真意をお聞きすることが今後の日本経済のために必要じゃないかと思いますので、参考人としてあすでも時間があれば呼んでいただきたいと思います。
  221. 坂野重信

    委員長坂野重信君) 後で理事会で検討いたします。
  222. 入澤肇

    ○入澤肇君 そこで、きょうもたくさんの議論がございました。金融の問題は非常に難しい。私もこの法案をじっくり読ませていただきました。あるいは、今度の親しい修正案スキームを読ませていただきましたけれども、なかなか条文とこのスキームの表が一致しない。大蔵省の皆さん方に来ていただきまして、首をひねりながら、これはこういう考え方だなというふうなことを確認した次第でございますけれども、こういう難しい問題を議論するときに、やはり原則がはっきりと確認されていなければいけないんじゃないかと思うんです。  その意味では、私は自由党の考え方、この原則が一番世の中に明快で理解されやすいんじゃないかと思いますので、自由党の原則というのを今ここで確認して、さらにそれにつきまして、同僚の議員でありまして、また一部の法案発議者であります鈴木議員にコメントをいただきたいと思います。  私ども金融安定化システムについての基本的な考え方は、まず第一に、破綻処理方策と金融システム安定策は別問題である、破綻した金融機関が整理、清算されるのは当然だと。これはモラルハザードの問題もありますし、それから健全な資本主義を育成していくという当然な自由民主主義国家、自由と民主主義国家を推進する上でも必要でございます。  さらに、二番目としまして、債務超過の疑いの強い長銀に対して、これを健全な銀行だというふうに想定して今までの十三兆円の枠を使って救済することは反対である、これが第二番目。  それから第三番目に、破綻処理、これも大事だけれども、最も大事なことは前向きの姿勢を示すという意味金融システム安定化策、今早期健全化システムという言葉で議論されておりますけれども、これを早くつくることが大事である、これが第三番目。そのときに大事なことは、オーバーバンキングの状態にあるという我が国の金融の構造問題、この構造問題をきちんと解決することだ。したがって、個別行の救済ではなくて金融機関全体の再編、合理化を目指すことだ。  これに関連して、問題がありましたら預金者の保護あるいは健全な借り手の保護に万全を期す、これが終始一貫して選挙戦におきましても主張して戦ってきた自由党の基本的な考え方だと思うんですけれども、これについてのコメントをしていただきたいと思います。
  223. 鈴木淑夫

    衆議院議員鈴木淑夫君) 自由党の鈴木淑夫でございます。  入澤委員指摘のとおり、私ども自由党の基本的な考え方というのは、市場経済において平等な機会を与えられた上での自由競争が基本であって、そこでは自己責任に基づく自助努力で各企業、金融機関を含めて努力する。その結果、やはり競争でございますから競争に敗れて市場から退出する金融機関も出てくるでしょう。しかし、市場から退出するときに金融システム全体あるいは預金者といった国民皆さんに何か迷惑がかかるようなことが起きてはいけない、そういうセーフティーネットをしっかり張った上で機会均等、自由競争、そして自己責任で敗れたら退出、こういう考え方でございます。  委員もおっしゃいましたように、セーフティーネットのナンバー灣は何といっても預金者保護の預金保険制度ですね。ここには基金が足りなくなった場合に備えて既に十七兆円の公的資金が用意されております。二〇〇一年三月までペイオフしないということでございますから、日本のあらゆる預金者は元本をきっちり保証されている。ですから競争で金融機関破綻しても預金者には絶対迷惑がかからない仕掛けができています。  第二のセーフティーネットというのは、先週まで衆議院で議論し、今ここで先生方に御議論いただいている金融再生関係の法案でございます。ここの最大のねらいというのは、金融機関破綻して退出するときに、もし金融システム全体が連鎖的な支払い不能なんといってがたがたしちゃったら大変でございます、我々日本国民の決済システム、預金のシステム構造までがたがたする、あるいはマーケットががたがたしたら大変でございますから、そういうことが起きないようにするために整々と法的に処理して退出させる、あるいは非常に大きな影響が出そうなときは公的管理下に置く等々の準備をしたわけです。これも参議院で通していただくと形ができます。  そうしますと、まさに委員指摘のとおり、もう一つ大事なことが残ってはいませんかと、そのとおりであります。それは、破綻する金融機関が迷惑をかけないようにするセーフティーネットはいいが、大部分の生きている金融機関、その生きている金融機関が背負っている日本金融システム、これが今がたがたじゃないか、どうやってこの日本金融システムを立て直すか、この大事な問題がいま一つ残っているわけです。それがまさに先生のおっしゃる金融システム早期健全化スキームであるわけであります。  我が自由党の健全化スキームについての考え方は、目的金融システムそのものの健全化であって個々の破綻銀行の処理の話じゃないよ、システムの健全化が目標だよと。そして、手段は何かといったら、個々の金融機関、なかんずく破綻した金融機関不良債権処理の話じゃない、生きている全部の金融機関不良債権を一挙に適正な引当率で引き当て処理しようよ。そして、その結果どんと資本が減ります。資本が減った結果、資本がマイナスになちっちゃう、債務超過。あるいは、たった一、二%しかもう自己資本比率ないよという金融機関は、これはもうやっぱり市場から退出していただく。整々と退出していただくということだと思いますが、そうじゃない国内行なら一%以上ぐらいでしょうね、国際的に活動しているのは二%以上ぐらい。どんとおっこちたけれども、自己資本は減っちゃったけれども、何とかここで頑張っている、これに対して全面的に資本注入をして支援するということでございます。  この資本注入、公的資本の注入は、今までの破綻処理公的資金注入と全く性格が違うということを最後に申し上げたいんです。今までは、破綻した金融機関債務超過でお金が足りなくなるから公的資金を入れる、これは返ってきません。だから、納税者の負担になるという意味で税金をどんと入れることになります。しかし、これからやろうとするシステムの立て直しのための資本注入は、生きている金融機関を健全化するためでありますから、これは健全化したら、入れた資本はもしかしたら株価が上がれば倍になって返ってくるかもしれない。そういう全然性格が違う。片方は税金注入、片方は融資だと。この点も、私ども自由党は強く訴えていきたいと思っております。
  224. 入澤肇

    ○入澤肇君 もう一点、わかりやすくコメントしていただきたいところなんですけれども、いろんなところから電話がありまして、自由党はどうして自民党、民主党、平和三党の法案審議に加わらなかったのか、かたくなに我を通しているんじゃないかというふうな意見や電話がさんざんあるんです。  そこで、私は、自由党の立場というのを私なりに理解したことをもう一度鈴木委員にコメントしていただきたいと思うんです。  実務者の話し合いの中で、自民党の実務者の一部が、長銀は生きたまま公的管理して、そしてきれいにして生きたまま出していくんだというふうに発言されたと聞いております。  今回の法案を見ますと、まず破綻直前の金融機関をも特別公的管理するということで、従来、破綻した金融機関を対象としている公的機関の窓口を広げてしまった。  それから、十七兆円の枠がございますね。これを破綻した金融機関の預金者を保護するためのお金として用意したものであるんだけれども破綻直前といっても破綻していない金融機関には使わないという約束が守られなかった。  それから、例えば出口のことなんですけれども、仮に住友信託が長銀の合体の相手先となるとして、住友信託が長銀を買い取るためのお金、そのためにも十七兆円と。それから、先ほども議論がありましたけれども、これから予算措置される金融再生勘定ですか、こういうものを使っていくんだということで、要するに長銀のいろいろともう議論されております債務超過の穴を埋め、合体する長銀の買い取り資金を面倒見るんだと、こういう税金を使った個別行救済のシステムというのは我が方の反対するところであって、それが修正協議に加わらなかったということなんですけれども、これについてはいかがでしょうか。
  225. 鈴木淑夫

    衆議院議員鈴木淑夫君) 簡単にお答えいたします。  御承知のように、私ども、当初はいわゆる三野党合意政府自民党に対する対案を出したわけです。それで、この対案について政府自民党と協議が始まって、私ども一番問題にしましたのは、この政府自民党さんと協議ででき上がった新しい修正案で、長期信用銀行を破綻処理しないで、破綻宣言しないで、生きたまま公的管理下に入れて、きれいにして生きたまま出すということはしないでしょうねと、これを一番気にしました。  したがって、御指摘の最初の実務者協議、法案ができた段階で、自民党さんの実務者と自由党の実務者、私も入れて三人、話し合いをしましたところ、自民党さんの実務者は明確に、これは長銀は生きたまま公的管理に置いて、長銀という単体がきれいになってそのまま出ていくスキームになっていますと明言をされたものですから、では私ども加われないなということで引いた次第でございます。  なお、党首会談のときに、もう一点、長期信用銀行の例の子会社、ノンバンク、日本リースなどに対する長銀の債権を放棄するというようなことは絶対許せないよと言ったら、これもその段階ではもごもごというふうにおっしゃっていたものですから、これも三党から抜けたもう一つの理由です。  しかし、それは御承知のように、その後、幾ら何でも国民の支持が得られないということでおやめになったのですが、最後までとげのように、骨のようにのどに突っかかってしまったのは、今申し上げました、生きたまま長銀を処理して生きたまま出すスキームが入りましたという自民党の実務者の明言でございます。
  226. 入澤肇

    ○入澤肇君 時間がありませんので局面を変えまして、金融システムの安定も大事でありますけれども、さらにこれとあわせて大事なのは景気対策でありますので、きょうもNHKの報道を見ていますと、経済閣僚懇談会ですか、協議会の後のいろんな数字の発表もございました。大変深刻な状態に陥っております。  これにつきまして、我が党は新進党の時代からずっと主義主張は一貫しておりまして、消費税を三%にするべきである、それから住民税、所得税は半減する、法人税も国際水準に合わせるんだ、徹底した行財政改革をやって冗費を節約して、そして資金も捻出していくんだと、各般の政策提言をやっております。早くそういう政策が実現していればこんなにならなかったんじゃないかという気持ちがあるんですが、十一月にも新しくまた臨時国会で第二次の補正予算を議論するというふうなことが言われておりますので、幾つか先取りして、せっかくでございますので提言をしてみたいと思うんです。  まず地方財政も非常に逼迫していまして、公共投資を幾らやってもなかなかきかない。私のところにも地方の自治体の皆さん方が陳情に来たりして、なかなかお金が十分に、国から予算割り当てが来ても地方で予算の手当てができないというふうなことを言っています。いっそのこと、一定の期間、補助率を一律に五%とか一〇%とか上げる政策をとって、国の負担割合を上げて地方の負担割合を低くするという政策をまずとったらいかがでしょうか。それが一つ。  それからもう一つ、公共事業を全国何万カ所とやっておりますけれども、いずれもちまちました予算を張りつけてなかなか受益の効果が上がらない。したがって、今回やる特別の補正予算は、具体的に重点的に受益の効果を発揮する、あとこの部分だけ手当てをすれば道路が開通する、あるいはこの部分だけ手当てすれば橋が開通する、そういう受益の効果をいち早く発揮する、そういうところに重点的に配分することを義務づける、そういうふうな方針をとったらいかがかと。土地改良なんかを見ましても平均工期が十数年、だんだん縮まってはきましたけれども十年を超えています。それから、恐らく建設省関係の工期も相当な延伸であります。こういうことをほっておいてだらだらやったのでは、なかなか人心も公共事業をやってもらってありがたいなという気持ちが起きません。  そこで、重点的に配分すると同時に、完成地区がなければ新規採択は行わないというぐらいまで踏み込んでやっていただいたらどうかというのが二点目。  それから、地域振興立法はたくさんあります。山村振興法だ、陸島振興法だ、半島振興法だ、過疎対策措置法だとか二十数本あるんです。いずれもそういうふうな特別な振興立法で振興しながらも、地方は不景気であえいでいる。この地域振興立法の効果を見直しまして、具体的にこれから五年なら五年でこの地区では道路を何キロ延長する、この計画ではこの道路を何キロ延長する、橋をつくる、そういうふうな具体的な、金額じゃないですよ、量的な計画を打ち出して民間の設備投資の促進を促したらどうかというのが第三点目。  それから四つ目は、これは堺屋長官もいろんなところで言っていますけれども、私は視点を変えまして、住宅公団とか住宅供給公社とかに公的な老齢狭小住宅というのが東京都内の二十三区だけでも二十三万戸もあります、これは賃貸住宅であります。私も昔、三十三平米の官舎に十年住んでおりました。こういうものがまだ東京都の二十三区内だけでも二十三万戸もあります。  去年の一定の計算で一戸当たりの建設費用を掛けてみますと、大体四兆円ぐらいのこれだけでGDP効果がある。しかも土地問題は解決している。公的な住宅だけ先にやるとプライベートセクターなんかが問題になるというふうなことになります。しかし、このときに居住条件を同じにして、とにかく四階建てを八階建てにする、そして周辺整備もするというふうなことで、公的老齢狭小住宅の解消計画というのをきちんと打ち出してはどうか。それが四点目であります。  それから五点目。木材産業も林野も疲弊しております。しかし、全国で公共施設の建設計画というのは毎年八百から千あります。こういうところに木材を一定割合以上使用しろという方針をきちんと出すと。それに対しては、この際ですから補助率の上乗せをするというふうなことも考えていいんじゃないかと思うんです。グランドデザインをかくとか、あるいはマクロとして何兆円出すとかいうこともいいんですが、今やそういうことを言っている時間がないので、具体的にこれをこうするというふうな案を出していただかなければ、私は民間の方も白けちゃってついてこないと思うんです。  土地の流動化につきましても、先ほど話がありましたけれども、なかなか動きません。二兆三千億円の金をつぎ込んだんですが、金利が低いものだから土地を売って預金する気が起きないので土地を売らないというんですね。そういう状況でございます。  今の提案につきまして、時間が来てしまったんですけれども堺屋長官から御意見をお伺いさせていただきたいと思います。
  227. 堺屋太一

    ○国務大臣(堺屋太一君) いろいろといいヒントをいただいたと思っておりますけれども、個々の具体的な問題につきましては、建設省なり東京都なりが担当することでございますので論評の限りではございませんが、確かに目に見える、国民を本当にやっているなと思わせるような公共事業に重点を置いて、すぐ完成するようなものを今やる必要がある、その点はお説のとおりだと思います。どうもありがとうございました。
  228. 入澤肇

    ○入澤肇君 時間が参りましたので終わります。(拍手)
  229. 佐藤道夫

    ○佐藤道夫君 朝から熱心な白熱した議論が続きまして、テレビの前の国民各位もさぞお疲れだろうと、率直に申し上げますと、わかりにくくて退屈しているのではないか、こういう感じもしないわけではありません。  そこで、私は経済の技術的な専門的な問題を離れまして、わかりやすい一般的な基本的な問題を取り上げて、小渕総理それから宮澤蔵相の見解を承れればと、こう思います。わかりやすい問題ですから、どうか正面から受けとめて堂々とお答えいただきたい、こういうふうに思います。  最初の質問は、国家の威信、権威、尊厳というものにつきまして小渕総理はいかにお考えか、こういうことであります。この九月二十二日、小渕総理は訪米し、ワシントンでクリントン大統領と日米首脳会談を開きました。その結果がどうなったかといいますと、クリントンさんが言うには、日本経済危機はまことに深刻、金融システムの安定を図るために、破綻前といえども必要かつ十分な公的資金の投入を行うべしと、こうおっしゃったということが新聞その他でも報道をされております。  おやおや、これは内政干渉そのものではないか。一国の指導者が相手国の指導者に対して、内政問題に踏み込んで具体的政策、これをやれあれをやれと言うのは、これは明らかに内政干渉でありますから、小渕総理といたしましては、余計なことは言わぬでくれ、我が日本はやるべきことはやっておる、これからもやるつもりであるとお答えになったかと思うと、どうもそうではなさそうであります。一体国の権威というものをどうお考えなのか。  これは、実は、五月に橋本総理が日米首脳会談を開いたときも同じことがありまして、クリントンさんは、金融システムの安定を図るために不良債権、これを断固として早急に解決をせよと、こういうことをおっしゃったらしいんですね。それで、やはり橋本さんも抗議したかと思いますと、抗議した雰囲気は一切なくて、倉皇の間に引き上げてきて、アメリカもこういうことを言っているから早急に不良債権処理政府・与党の検討会を開こうといって検討会を開いて、その結果が今我々がこういう法案にお目にかかっている、こう言ってもいいわけであります。  アメリカから見ると日本はいつの間に属国になったのか。かつて帝国主義時代に大国の指導者が小国、属国の指導者を呼びつけまして、あれこれ、おまえのところはこうやれああやれと言った、それを何か彷彿とさせるような状況でありまして、日本国の権威というのは一体どこにあるのか。  実は、これは私だけが言っているのではありませんでして、四月十日付の新聞で、外務省の柳井事務次官が、来日した米国務次官ピカリングさんに対しまして、会談した際に、日本経済について最もよく認識しているのは日本人自身であると、米側が具体的施策について対外的な発言をすると日本の中での健全な議論を損ねるおそれがある、注意してほしいと不快感を示した。これは明らかに内政干渉めいたことはやめてほしいということを言っているわけでありまして、これは外務次官が米国に対して物を申す際に自分の判断でやっているとは思いませんから、必ず外務大臣に相談いたしまして、その指示を受けて、こういう発言をしますから御了承くださいということで発言していると思うわけであります。  そのときの外務大臣というのは現在の小渕総理でありまして、外務大臣とすれば、それは内政干渉断固としてはねのけよと、こう言っておきながら、自分が総理になりますると、今度はクリントン大統領のそういう要求というのか発言というのか、それをまともに受けとめまして、持ち帰って、アメリカもこういうことを言っている、やはり破綻前の公的資金の投入は必要ではないのかというふうなことになっていく。先ほども言いましたとおり、日本国の権威、尊厳はいずこにありゃと、こういうことでお尋ねいたすわけであります。どうかよろしくお答えください。
  230. 小渕恵三

    ○国務大臣(小渕恵三君) この職にありまして、国家の尊厳と権威というものを守るべく努力いたしていくことは当然のことだと思います。  御指摘にありました日米首脳会談におきまして、米国大統領といろいろお話をいたしました。その中で、米国としてもかつて一九八〇年代に御案内のSアンドLの処理の問題をめぐりましていろいろ苦労もしました。その後、大手の銀行も破綻の危機に瀕したときに対応を適切にとられた、こういう経験則をお話しされまして、現下、我が国におきましての問題の認識をされたわけでございます。  これを内政干渉ととるか善意ある御忠告ととるかということでございますけれども、米国といたしましては、やはり世界第一の経済大国、また我が国は第二の経済大国、合わせますれば世界の四〇プロになるような大きな国同士がお互いこういった問題で悩み苦労しておるときにはお互い理解し合って協力することも必要じゃないか、こういう趣旨でお話ししたことでございます。それに対して、私といたしましても、現下状況の中で国会を開かせていただいて、こうした問題に全力を挙げて対応しておるしという事情の説明も申し上げて、そして相協力して世界経済を守っていこうと、こういう趣旨をいたしたわけでございます。  そうした意味では、いたずらに物を申されて唯々諾々としてこれを受けとめてきたということは絶対ございませんで、お互い相協力して世界的な責任を負っていこうという話をしたことでございますので、御理解いただきたいと思います。
  231. 佐藤道夫

    ○佐藤道夫君 クリントン大統領が日本経済についてどれほど知識をお持ちなのか私もよくわかりませんけれども公的資金の投入とか不良債権の問題とか、こういうことまで知識があったとはゆめ思わないわけでありまして、ある政治評論家に言わせますと、これは日本が仕掛けたやらせである。要するに、クリントンさんにそういうことを言ってもらって、その結果を持ち帰って、まあ率直に言いますと外圧を利用する、そういうふうなことなんですよと言う評論家もおります。  私はそれは信じませんけれども、何か世間から見ておるとそういうふうな印象も受け取れるわけでありまして、クリントン氏が不良債権処理について強い態度を示したとか、公的資金の投入を破綻前といえども行うべきであるとか、何か本当に新聞を読んでいる我々国民といたしますれば、日本政府はアメリカの言いなりになっている。経済問題が非常に大事なことはわかりますけれども、その前に国として見失ってはならない権威、威厳というものがあるんだろうと私は思います。  信義なき国家は滅ぶということを言ったのはアリストテレスかプラトンかだれかだったと思いますけれども、いずれにしても物事の筋道を見失ってはならないと。たとえ、いかに大事なことがあろうとも国の基本というものは守らねばならないということでありますので、どうか、これからもアメリカがかさにかかって、これに味をしめまして防衛問題その他いろんなことでまた言ってくる可能性もないわけではないと思いますので、はねのけるところは毅然としてはねのける。  それから、事務当局同士がいろんなことで情報、意見を交換し合って、それを持ち帰ってお互いの上司に上げまして、アメリカはこういうことを言っていますからこういう方向で検討しましょうかとか、そんなことまで私は拒否しようと言っているわけじゃないのでありまして、首脳会談というのは最高の舞台でありますから、そこでの発言というのはお互い慎重にも慎重を期していただきたい、こういう気がいたすわけであります。  次は、やはり今回の法案提出に係ります小難内閣の責任ということであります。  私も実は内閣法制局や法務省で法案を何百回つくったという経験がありますが、役所というのは法案の作成にある意味では命をかけているわけであります。それがどんなつまらない法案、何だそんなものはと言われても、担当者は本当に真剣に取り組んでおる。  そして、今回の法案は極めて重要な法案でありますから、関係省庁は本当に議論に議論を重ねる、血と汗と涙でこういう成案を得る。その間におきましては、もちろん政府・与党の意見も聞く、それからいろんなパイプを通して野党の意見も聞くし、有識者の意見も聞くし、いろんな試行錯誤を重ねた末にようやくにして一つの成案を得まして、これだ、これがすべてだ、これ以上の案はないはずだ、これに命をかけようというぐらいの気概を示すのが官僚であり、役人であり、役所であるわけであります。まあ、こんなものはベストでないからちょっと出しておけ、取りかえてほしけりゃいつでも取りかえましょう、先ほど何か大蔵大臣はそんなふうなおっしゃり方をしたようでありますけれども、私とすれば絶対に理解できないことであります。  しかしながら、提案した法律はどうなったか、こう言いますと、いっとはなしにたなざらしになりまして、その下の方で与野党の話し合いが進みまして、野党案の丸のみだということで案ができ上がりまして、それを今我々が審議しておる。肝心の政府案はどうなったかといいますと、衆議院のある委員会でぶら下げられておりまして、かわいそうなことにいずれ立ち枯れになるんだと。  普通ならば相反する法律が二つ委員会にかかっておる場合には、こちらについては否決、こちらについては可決ということで処理されるわけでありますけれども、悲しいことにこの政府案というのは否決までも至らなかった、相手にもされない、ただぶら下がっているだけでいずれは立ち枯れと。一体、こんな法案を出した責任をどうお考えになるのか、私はそれを承りたいんです。  大蔵大臣は、いやベストとは思わなかったんだと。本当でしょうか。大蔵大臣はもう三十年、四十年、役人の経験がありまして、たくさんの法律を手がけた経験もおありでございましょう。とてもあんな発言は私は了承できないと思いますが、それはそれとして、これだけ重要な法案が廃案同様の扱いを受けた、否決までも至っていないということになりますと、小渕内閣の政治責任はどういうことになるのか。私は、率直に言いまして内閣総辞職ものではないか、こういう感じすらしておるわけであります。少なくとも所管大臣は辞表ぐらいもう当然お出しになっているのであろう、こう思いますけれども、どうもそういう雰囲気もなさそうなので、一体この政治責任についてどうお考えなのか、わかりやすくお答えいただければと思います。
  232. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) 残念ながら所見を異にいたします。  御承知のように、今、小渕政府、私ども政府衆議院では多数でございますけれども参議院では少数でございます。したがいまして、両方多数であれば政府案というのは常に通過をいたしますけれども、現在はそういう状況ではございません。残念なことですが、これは事実であります。  そこで、私がこのたびの提案衆議院で申しましたときに、それだけの理由では実はございませんが、政府案がベストだと実際私は考えておりません。今度の事態は全く経験のない事態でございますから、官僚が頭をひねってもベストだという案が出てくるような状況ではないと私はもともと考えています。ですから、与党も案を出しました。野党もお出しになった。それで、この中から国会の多数党、少数党との間の討議でいい案が出るといえば、それはやっぱり国会、議会政治の一つあり方だろうと、私は心からそう信じております。今度そういう意味衆議院野党案をベースに修正が行われた、それは一つの修正の仕方のテクニックの問題でもございますけれども、各党の間で合意ができて案がともかくまとまったということは、私はそうあって少しも不思議ではない。メンツがつぶれたとかつぶれないとかいうことを私は全く考えておりません。
  233. 佐藤道夫

    ○佐藤道夫君 そういうことでしたら、最初からもう政府提案は投げられたらどうなんですか。与党、野党で話し合ってください、そしてベストの案を議員立法でやってください、政府はただそれを眺めておりまするからと言った方がよほど楽でしょう。また、そういうお考えだから今のような答弁になるのかなという気もしないわけではないのでありまして、立案者としての責任を全く放棄しているとしか思えない発言であります。  時間がありませんので、この問題はこれだけにしまして先に譲ります。  それから、次は政治のモラルの問題でありまして、銀行協会から政治献金が政府・与党である自民党にまだ行われているようでありまして、あれをやめた、やめるという話は聞いておりません。これほど銀行のために政府が一生懸命頑張っておる、国民サイドから見れば、ああ政治献金をもらっているからあの業界を救おうとしているのかな、銀行の連中も連中だ、余分な金は一銭もないはずだ、献金するぐらいの金があればそれは預金者保護に回すべきではないのか、あるいは銀行が破綻した場合の引当金にでもすべきではないのかと、こういうふうに国民考えるわけでありまして、私は金額のことを言っているんじゃない。  それから、政府・与党一体でありますから、与党に対する献金というのは政府に対する献金と見てもいいわけでありまして、これは普通の政党とは全然違う、率直に言いますと贈収賄そのものではないかという感じすらするわけであります。どうかこの場で、政治献金はもうやめた、受け取らないとおっしゃるか、あるいはまた何か理屈を考えてどうしても受け取るんだとおっしゃるか、はっきりさせていただきたいと思います。
  234. 小渕恵三

    ○国務大臣(小渕恵三君) まず、政治資金につきましては、これは私は、現在国民にもお許しをいただきまして、それぞれの企業においてまた個人において、政党、個人に対しての政治献金は許されるものだという前提でありまして、贈収賄的なものでは決してありません。  そこで、金融機関といいますか銀行に対しての政治献金でございますが、現在自民党としては銀行協会、銀行からの政治献金は自粛をいたしておるところでございます。  ただ、今まで自民党としてお借りをしておるものについて、これの献金について今までお願いをしてまいりましたが、今委員指摘のように、やっぱり一般的国民の意識もございましょう。こうしたことを勘案いたしますれば、冒頭申し上げましたように政治献金全体を否定することではありません。ありませんが、今般の銀行その他の問題をめぐってこうして国会で御議論になっておることでございますので、現在のこの借財に対しての返済部分について、現在自民党としてはこれの献金をお願いしておるところでございますが、この点につきましては、私から自由民主党幹事長に対しまして、これを自粛することができないか検討を命じたところでございます。
  235. 佐藤道夫

    ○佐藤道夫君 最後になりますが、前回の長銀の参考人質疑の際に頭取にちょっとお伺いしたんですけれども、この六月、長銀は株主配当百四十億をしているわけですね。この三月に佐々波委員会の認定で千二百億か何かの注入を受けた、そのうちの一割は株主配当に回っている、一体これは何だろうかと。今、株主責任を追及すべしという声も起きているようですけれども、あの段階でもう長銀は大変な状態にある、もう株主配当はもらわないということを株主さんたちは決議でもしたのかと思ったらそうじゃない。しかも、その中には役員株主というのがいっぱいおるんです。彼らが皆もらっておるんです。頭取に対して返しなさいと言ったら、頭取さんは、返せと言うなら返しますけれども、いましばらく検討させてくださいとはっきりしない返事でしたが、その後返したという回答が私のところに来ていないものですから多分返していないと思う。  これにつきまして、一言だけでも、経営者のモラルにつきましてどうお考えなのか、お匿いしたいと思います。
  236. 日野正晴

    政府委員(日野正晴君) お答えいたします。  長銀の元取締役などの返還につきましては、現在長銀において取りまとめ中でございまして、まだ返されたといったような状態ではございません。  それと、確かに平成十年三月期の当期未処分利益は二千七百十六億円の赤字でありまして、これでは配当ができないわけでありますので、任意積立金のうちから二千九百九十五億円を取り崩しましてその差額の二百七十九億円、これは黒ですが、ここから一二%、百四十三億円の中間配当を行ったということは事実でございます。  こういったことが通常であれば、確かに金融機関の意思決定機関である株主総会で決定されたということで配当政策の範囲内ということも言えるかと思いますけれども、こういった事態になっておりますので、この株主総会の決議というものが今後株主株主責任を追及されるといったようなことで、さかのぼってこの株主総会の決定そのものがどういうものであったかということが恐らく株主責任の追及ということによって賄われるといいますか、そういうことになろうかというふうに考えております。
  237. 佐藤道夫

    ○佐藤道夫君 終わります。(拍手)
  238. 水野誠一

    ○水野誠一君 私は、宮澤大蔵大臣それから堺屋企画庁長官に御見解を伺いたいと思うことがございます。  現在の日本金融界の状況というのはまさにカオス、これはいわゆる混沌の状態ではないかと思うわけであります。個々の金融機関にとどまらずに金融システム全体が破綻しかけている、あるいはそのシステミックリスク一歩手前にまで来ているということからであります。しかし、カオスというのは混沌ではありますが、抜け道のない無秩序さとは違う。まさに宇宙の創成期がそうであったように、そのカオスの中から新しい秩序が生み出されていく、こういう期待を一方では持っているものでございます。  混沌とは何かということで、私もいろいろ考えてみましたところ、中国の古典であります荘子の中におもしろい話を見つけました。この荘子という人は、人生というものは、あるいは実在社会というものはそもそも混沌だ、こういうふうにおっしゃる。そして、その中にこんなエピソードが出ております。それは、ある人が人間の常識を超えた化け物である混沌の姿を哀れみまして、かわいそうだからということで人間並みに目とか鼻とか口とか耳をあけてやった、そうしたところがその混沌という生き物は弱って死んでしまった、こういうエピソードが出てまいります。  私は、従来の常識では解決できないのが混沌の混沌たるゆえんだと思うわけでありますが、同時に、その死せる秩序よりも生きたカオスの中にこそ再生の期待が持てる、こういうふうにも読んでとれるのではないかと思います。  いささか前置きが長くなってしまったんですが、私が申し上げたいことは、かってだれも経験をしなかった金融界のカオス、これを従来の常識的な秩序に無理やりはめ込もうとすると、この混沌の中から逆に新しい秩序が生まれずに終わってしまうんではないか、こういう点であります。  そもそも、今回の金融再生スキームというのは、今御検討なさっております早期健全化スキームと同様に対症療法ではあると思いますが、その対応が急がれていることも事実であると思います。しかし、その先に本当の金融システム改革が目指されているのか、つまりそれを目指すものであるのか、そして今回のこのスキームというものがそれに資するものであるのか、ここにおいては私たちは絶えず大きな問題意識を持って見守っていかなければいけないと思うのでありますが、この点について、宮澤大蔵大臣、堺屋長官の御見解を例えればと思います。
  239. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) 一九八五年にプラザ合意がありましたころは、日本の銀行にとってはベストの時代、アメリカの銀行にとってはワーストの時代でありました。そのころ、日本の銀行は世界の十の銀行の中のほとんど全部を占めておった時代がございます。それがしかしバブルが壊れた。その時代は日本のバンカーというのは非常にある意味で意気軒高でありまして、いい目を見ておられたと思いますけれども、それがバブルが壊れましたと同時に、同じ時期に実はグローバリゼーションが参りましたものですから、今その二つのことを解決しなければならないというところに来ていまして、しかも幾つかの不祥事がございましたことも手伝いました。また、いろいろな立法において世間も国会もかなりきついことを言うようになりました。  かつてナショナル・シティが一番悪いときには一株ハドルになったことがあると思いますが、その後百八十ドルまで回復しました。そういうことがナショナル・シティにもあって、そして今のリードという頭取はもうやめることを覚悟で改革をして、それが奇跡的に、政府も随分手伝いましたが、御承知のように回復した。そういう奮闘の歴史があって今のナショナル・シティあるいはアメリカの銀行がリストラクチャーされたわけですが、日本の銀行も、同じ意味ではありませんが、同じような苦労を今しておられるのだと思うんです。  ですから、結局のことを言えば、銀行の経営者方あるいはその後を継がれる方々の資質によると、無礼な言い方ですけれども、私はそう申し上げるしかないと思います。しかし、今まで日本の銀行がやってこられた仕事から見れば、そういう資質は恐らく持っておられる。ただ、非常に楽な世界、経営を歩まれてきましたから、それだけ今のお苦しみは大変だろうと思いますけれども、拝見していますと多くの金融機関はきっとこれを勝ち抜かれる、生き抜かれるだろうというふうに私は思っています。  いろいろ貸し渋りとかいうことを私ども思いますので、余りいろんなことをすべて厳しくしていただきますと、国民経済全体のこともございますものですから、そういうことも時々国会にもお願いいたしますが、しかしやはり銀行の経営者方はかなりここで苦しい経験をおやりになって、私は必ず多くの銀行は勝ち抜かれると思います。
  240. 堺屋太一

    ○国務大臣(堺屋太一君) 宮澤大蔵大臣は大変上品な言い回しをされたんですけれども、私は日本の銀行ははっきり言ってこの二十年ほど前から銀行でなくなっていたのじゃないかという気がします。それはなぜかといいますと、一つは護送船団方式によって競争意識がなくなった。もう一つは、土地がどんどん上がったものですから、土地担保さえとっていればよかった。金融というものは、そもそもハイリスク・ハイリターンなものでございまして、どんな事業がいいか、どの経営者が優秀か、そういう人間なり事業なりを審査する能力こそが金融でありました。  ところが、護送船団方式でみんなが同じ金利だったら、危ないのに貸したら損をする、できるだけ安全なのに貸したい、できるだけ安全だというと担保を持っている大企業に貸せばいい、そして担保に土地さえとれば絶対に安全だというので審査能力を失って、土地評価能力一担保評価能力で銀行ができるようになってしまった。これが、ある日突然土地が値下がりしたものですから、担保評価能力が全部裏目に出たわけです。銀行がみずからリスクをとらずにみんなが横並びで土地に依存して、いわゆるリスクの社会化という、みんなでみんなが持つという形です。この結果、一たんバブルがはじけますと、日本の銀行はほとんどみんな不良債権を持った。その中で、遅日にたくさん土地に融資したところがひっかかったというような形になっております。  私は、今この再生法案を通していただいて、日本の銀行の中で、もちろん淘汰されるのもあり生き残るのもあるでしょうけれども、今度は本当に審査能力を持って日本に新しい産業を興すような立派な金融機関が生まれる今チャンスだと思っております。そういう意味では、ここはかなり銀行の方々には厳しいことになるかもしれませんが、ぜひこの再生を実現して、そして本当にハイリスク・ハイリターンに挑戦するような、そういった競争的金融界を日本再生させたいと思っております。
  241. 水野誠一

    ○水野誠一君 個々の金融機関再生するということと同時に、日本金融システム全体がどういう形で再生していくか、それが二十一世紀にふさわしい形として再生していくかということは、私たちは大きな問題であるというふうに思っております。また、この点は後日継続して論じていきたいと思うわけであります。  次に、発議者の方々にお尋ねをしたいと思うんですが、今回のスキーム、これは理論的にはいろいろ御説明いただく中で理解ができました。しかし問題は、果たして本当に効果を持つものか、実効性のあるものなのか、その運用上問題があるのか。そういう実務的、実効的な視点から検証していく必要があると私は思っております。  そういう中で、お尋ねしたいこと幾つもあるんですが、時間の関係もありますので、ひとつ絞ってお尋ねしたいと思います。  一般銀行が特別公的管理に置かれた後の資金調達、これはどうなるのか。例えば長銀において申し上げれば、金融債の償還によって資金が減少していった場合、継続していくべき優良な融資のための原資をどのような方法で調達するつもりなのか。市中から資金を求めるということであれば、例えば格付を受けるといった方法で市場の信頼を得ることができるのかどうか、こういう視点からお尋ねをしたいと思います。
  242. 池田元久

    衆議院議員池田元久君) 特別公的管理銀行すなわち一時国有化でございまして、委員御存じのように国が全株を取得する。要は国が株主でございまして、これ以上の信用力を付与するものはないと我々は考えております。そのもとに正常債権不良債権の仕分け等をするわけですが、その資金は我々もいろいろ考えました。そういった国家信用の裏づけのある国有化銀行ですから市中から資金を調達できるであろう、また日銀貸し出しも受けられるであろう一そういうことを想定しながらこの経営をやっていくべきものと考えております。
  243. 水野誠一

    ○水野誠一君 国営だから果たして信用が確たるものになっていくかというところにポイントがあると思います。と申しますのは、日本金融機関とりわけ銀行が国際金融市場で資金調達を行うことが大変今厳しくなってきているという報道がございます。これは、御承知のようにジャパン・プレミアムが七カ月前の水準にまで上がってしまったというようなニュースもあるわけでありますが、インターバンク市場での調達資金が下手をすると逆ざやになってしまう、こんな危険性すらある、こういう報道もございます。  そういう中で、実情というのは今どんな状況になっているのか、この点について大蔵省からお答えをいただければと思います。
  244. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) 先ほど申しました、日本金融に変調がございました昨年の十一月ごろからでございますが、十二月には一ポイントになったと聞いております。これは異常な高さでございますが、それで資金導入などをいたしまして、その後、〇・三ぐらいでございました。ただ、これはそれだけ出せばだれでも借りられるというわけではございませんで、借りられる銀行と借りられない銀行がある。借りられるとして〇・三ぐらいでございましたが、ごく最近〇・五になったということを聞いております。
  245. 水野誠一

    ○水野誠一君 日本リースの破綻後、〇・五ぐらいまで上がってしまったということもございますが、一方で農林中金など比較的格付の高い金融機関、ここがインターバンク市場で資金を調達して一般銀行に振り分けているなどという話も聞くのでありますが、こういう事実はございますでしょうか。
  246. 伏屋和彦

    政府委員(伏屋和彦君) 全体のお話は大臣が御答弁されたとおりでございますが、御質問の農林中金のことに関しましてはちょっと今データを持っておりませんので、お答えをできません。お許しください。
  247. 水野誠一

    ○水野誠一君 また後日でもお答えいただければと思います。  それから、もう一つ長銀問題についてお尋ねしたいと思うんです。今回、資本注入を見込んでいた当初の再建計画が困難になる、そこに盛り込まれておりました債権放棄が不可能になった結果と申し上げていいかと思うんですが、各金融機関から日本リースへの債権保全の動きが始まったということで日本リースが破綻をいたしました。こういった金融機関の大手融資先が破綻することから倒産が連鎖的に起こる、いわゆるシステミックリスクの可能性政府は従来より危惧をされてきたわけであります。  この日本リースの破綻が現実のものとなってしまいました現在、本当にシステミックリスクが起こる可能性があるのか、またそういった状況のもとで特別公的管理スキームというものが実効性を持つものなのか、この点について御見解を例えればと思います。
  248. 日野正晴

    政府委員(日野正晴君) 長銀が日本リースに対しまして債権放棄をすることによって日本リース全体としての存在を生かしていこうという考えで最初は計画しておりましたが、諸般の事情から会社更生手続の申し立てをせざるを得なくなった。そこでその結果、倒れた分のはね返りがどのぐらいか、これはまだ推測、推定の域を出ませんが、恐らく債権放棄分と余り変わらないんじゃないだろうかという今のところの見通しでございます。  それから、日本リースの会社更生法適用申請に伴って、その債権者、一番大口の債権者は長銀でございますが、ほかの債権者である金融機関経営に及ぼす影響につきましては、現在、貸し倒れの金額とそれからそれに伴います税効果などを計算して、いろいろ財務内容等によって区々でございますので一概には申し上げられませんが、現在の時点では、政府としてはそういった問題が生じるような金融機関があるとは考えておりません。しかし、いずれにいたしましても、金融システムの安定に支障がないようにこれからも万全を期していきたいと考えております。  それから、長銀問題についてでございますが、これはまだ法律としてでき上がっておりませんので、私どもとしてはこれについて何らかのコメントをする立場にはございませんが、仮に、現在御審議いただいているような形で特別公的管理の枠組みが確定した上では、政府としても与野党合意でできました、修正された新法が成立した暁には、新しい利用可能な枠組みのもとで適切に対処してまいりたいと考えているところでございます。  これは一般論で大変恐縮でございますが、最初私どもに与えられておりましたツールというのは預金保険法だけでございました。それに対しまして、トータルプランに基づいてブリッジバンク法案提案され、さらにそれを合体するような形でこのたび新しく特別公的管理といったようなものができましたので、これは一般論でございますから破綻後のスキームになりますが、オプションとしては非常に広がった形になったものというふうに理解させていただいております。
  249. 水野誠一

    ○水野誠一君 終わります。(拍手)
  250. 菅川健二

    ○菅川健二君 改革クラブの菅川健二です。最後でございますので、もうしばらく御辛抱いただきたいと思います。  金融再生に関連いたしまして幾つか御質問申し上げたいと思います。  まず、金融再生法案につきましては、衆議院段階におきまして与野党が協議され、事実上は野党案の丸のみに近い形で決着されたわけでございますが、政府案に比べましてより情報開示が進んでおること、責任が明確化されたこと等を私は評価いたしまして、この間の関係議員の皆様方に敬意を表したいと思うわけでございます。  ただ、朝から議論がございますように、この法案につきましては、金融再生の車の両輪の一輪でございまして、もう一つ破綻前の金融の健全化のためのスキームをつくり上げていくということによって初めて車の両輪ができ上がるんじゃないかと思うわけでございます。  そういったことから、今与野党が協議されております早期健全化スキームにつきましては、できるだけ早く成案を得ていただき、そして、従来の十三兆円の枠組みでございます公的資金注入のための金融安定化法の廃止と同時にこの新たなスキームが成立することを期待いたしたいと思います。  そこで、早期健全化スキームにつきまして若干留意すべき点についてお伺いいたしたいと思います。  先ほど直嶋委員からも御質問がございましたけれども早期健全化スキームを作成する場合に、その前提といたしまして、この三月に金融安定化法に基づきまして二十一行に一兆八千億の資本を注入いたしたわけでございますが、これが所期の目的でございます貸し渋りには全然役立たなかったということでございます。この点は先ほど大蔵大臣も御答弁になったわけでございます。また、経営内容そのものにつきましても、ほとんど審査がおざなりで、横並びで決められておるというような実態ではないかと思うわけでございます。  そこで、この安定化法に基づく三月時点資本投入は失敗であったという反省の上に立って、新たなスキームにおきましては、目的、ねらい、効果等を明確な形で組み立てていただきたいと思うわけでございますが、大蔵大臣、いかがでございましょうか。
  251. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) このたびの、今国会における法案審議あるいは金融機関についてのいろいろな御質問、御意見等を伺っておりまして、今まで私ども経営者に対してもっと厳しくあるべきであった、あるいはディスクロージャーが十分でなかったということにつきましては、確かにそのとおりであったということを感じております。  したがいまして、このたび早期健全化問題につきましてもそういう御意見も入れながら、この資本投入を承認するに当たっては、リストラであるとか経営責任株主責任等々、そういうことの健全化計画を提出し、その履行状況について定期的にチェックをするといったようなことも新たに加えまして、御指摘のような問題が起こりませんように注意をいたさなければならない。ただいま私どもの党の方でそのあたりを、御意見を伺いながら最後の検討をいたしておるようでございます。
  252. 菅川健二

    ○菅川健二君 早期健全化スキーム考えます場合に、私は北風と太陽のイソップ物語を思い出すわけでございますが、余りにも厳しい北風を金融機関に当てますと、マントを厚くいたしまして、貸し渋りが起こりあるいは信用収縮が起こってくるわけでございます。また、強烈な太陽を当てますとモラルハザードを起こしかねないということでございまして、その両者の関係というのは大変難しいわけでございます。  しかし、現下の大変な不況の時期でございまして、銀行の体力強化と、そして信用デフレの問題、こういったものを起こさせないという観点からしますと、十月の秋の空の中で、きょうはちょっと天気は悪うございますけれども、さわやかな風のもとで太陽がさんさんと注いでいくような状況というのが必要ではないかと思うわけでございます。  小渕総理には、早期健全化のスキームにつきましての基本的な認識をお聞きいたしたいと思います。
  253. 小渕恵三

    ○国務大臣(小渕恵三君) ただいまの委員の御発言をお聞きいたしておりまして、私自身も、早期健全化スキームという形でこの問題を処理しなきゃならぬということはそのとおりと考え、現在、野党皆さんともお話し合いを始めさせていただいておるということでございまして、お話にありましたイソップの例などは非常にそのことをよくあらわしておるのではないか、こういうふうに認識をいたします。
  254. 菅川健二

    ○菅川健二君 また、早期健全化スキーム考えます前提といたしまして、金融機関全体が護送船団行政のもとにおいてオーバーキャパシティーにあるという状況ではないかと思うわけでございまして、やはり金融再編を促進するものでなくてはならないと思うわけでございます。  特に、国際業務を行う銀行につきましては、国際金融に大変な影響を与えるわけでございます。そういったことを考えますと、厳しく選別されなければならないと思うわけでございます。現在、早期是正措置導入後においても、我が国では四十五行ほど国際金融業務をやる金融機関があるようでございますが、アメリカでも十五行程度、そしてドイツでも四、五行程度というような状況のようでございます。  そのためには、まず金融監督庁におきまして早期是正措置を厳格に適用し、自己資本比率が仮に八%を切るということになった場合に、将来それが回復する見込みのあるというものは別といたしまして、将来も八%の基準を達成する見込みのない銀行に対しましては早期に国際金融業務から撤退をさせるべきである、国内に隔離させるべきではないかと思うわけでございますが、金融監督庁長官、いかがでございましょうか。
  255. 日野正晴

    政府委員(日野正晴君) お答えいたします。  国際業務を行う金融機関につきましては、バーゼル銀行監督委員会合意文書によりまして、自己資本比率が八%以上を維持すべきものとされておりまして、各国の金融当局もこれに従って金融機関の監督を行っているところでございます。  我が国におきましても、銀行法十四条の二の規定に基づく自己資本比率を定める告示によりまして、海外営業拠点を有する銀行の自己資本比率の基準は八%以上とされておりまして、本年四月から導入された早期是正措置におきましても、国際統一基準適用行が八%未満に陥った場合には監督当局は当該金融機関に対しまして経営改善計画の提出並びに実行等を命ずることとされております。これによりまして、当該銀行において国際業務の見直しを含めた検討が行われることとなるわけでございますが、現在では、このBIS基準の八%以上に該当している銀行が、主要十九行の中では十七行、地方銀行六十四行の中では二十六行、第二地方銀行六十四行の中では二行、先ほど御指摘がございましたように合計ちょうど四十五行ということになっております。  今後も、この自己資本比率が八%未満となった金融機関は、これから経営改善計画を提出してもらいまして、八%以上に回復させるための合理的な計画を出すか、あるいは国際業務からの撤退について計画を提出してもらうこととなるものと考えます。  したがいまして、八%以上を確保することができない金融機関につきましては、これからは資金調達の面からいいましても、実際上は国際業務から撤退せざるを得ないような状況に陥ることが考えられると思います。
  256. 菅川健二

    ○菅川健二君 ひとつこの点は厳しく対応していただきたいと思います。  ただ反面、存続可能な銀行につきましては、必ず将来に資金が回収できるという見込みの立つ場合には、厳しい銀行の再編戦略とリストラ計画の提出を条件といたしまして、公的資金による優先株の購入等ある程度弾力的に認める道を開く必要もあるんではないかと思うわけでございますが、大蔵大臣、いかがでございましょうか。
  257. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) 先ほど監督庁長官が言われましたように、早期是正のいろいろ話し合いの中で、確かに銀行として将来についての具体的な計画を持ち、またそれだけの意欲を持っているという場合にそういうことは考えられることだと思います。
  258. 菅川健二

    ○菅川健二君 また、今度は国際業務を行わない国内の専門銀行でございますが、具体的には、地銀とか信用金庫、信用組合等の金融機関でございます。これらの金融機関は中堅・中小企業の主要なる資金を担当いたしておるわけでございます。これ以上の貸し渋りをさせるということについては、さらに景気をどん底に陥れ、中小企業を破滅に陥れるという状況になりかねないわけでございます。  したがいまして、将来的には国際的なグローバルスタンダードに合わせていくということは当然でございますが、当面の措置といたしまして、いわゆる第五分類の灰色債権につきましては、引き当て基準を画一的、一律ではなくて、それぞれの事情、地域の事情に応じて弾力的に対応するとか、あるいは情報開示につきまして時期や内容について特別に配慮するとか、そういったことがあってもいいんではないかと思うわけでございます。  この点につきまして、大蔵大臣と、情報開示についていろいろ発議しておられます西川議員にお聞きいたしたいと思います。
  259. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) 確かにおっしゃるようなことがございます。私もそれは十分考えなきゃならないと思っておりますが、現実の行政におきまして金融監督庁で、殊に地域との関連もございますし、厳格でなければならないのはもう確かでございますけれども、一律でない、ある程度その地域なりなんなりのことも考えていただくということは、科は大事なことではないかと思います。
  260. 西川知雄

    衆議院議員西川知雄君) 今回の金融再生関係法案では、その資産の査定をいたしましてそれを公表するということは法律上義務規定になっております。しかしながら、今、菅川議員がおっしゃいましたように、この金融機関の中にはマネーセンターバンクから地銀、信組、信金までございます。したがいまして、それぞれの規模等に応じまして公表内容、例えば引き当て率をどうするのとか、また発表の時期をどうするのとか、そういうことは実情に応じて貸し渋りのないように対応していくことが必要であるというふうに我々も考えておりまして、これは最終的には金融再生委員会規則で定められることになりますが、そのような方向性で定められるものと考えております。
  261. 菅川健二

    ○菅川健二君 先ほど来お話をお聞きいたしたわけでございますが、私は、国際業務を行う金融機関と専ら国内の業務を行う金融機関につきましては当面対応に差異があってもいいんではなかろうか、やむを得ないんではないかと思うわけでございます。  国際業務を行う銀行につきましては、当然グローバルスタンダードにきちっと合わせまして、そして国際金融界の信任を得るということが必要であろうかと思います。反面、専ら国内業務を行う金融機関につきましては、将来方向としてはグローバルスタンダードに合わせるように向かうといたしましても、当面の経済状況対応して、地域の実情とか貸し渋り対策を優先的に考えて、弾力的な対応をしていただきたいと思うわけでございます。  以上申し上げまして、私の質疑を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
  262. 坂野重信

    委員長坂野重信君) 本日の質疑はこの程度にとどめます。     ―――――――――――――
  263. 坂野重信

    委員長坂野重信君) この際、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  債権管理回収業に関する特別措置法案外十一案審査のため、参考人出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  264. 坂野重信

    委員長坂野重信君) 御異議ないと認めます。  なお、その日時及び人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  265. 坂野重信

    委員長坂野重信君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  明日は午前九時三十分に委員会を開会することとし、これにて散会いたします。    午後五時五十五分散会