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1998-09-10 第143回国会 参議院 金融問題及び経済活性化に関する特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十年九月十日(木曜日)    午前九時三十分開会     ―――――――――――――    委員の異動  九月九日     辞任         補欠選任      小宮山洋子君     福山 哲郎君      直嶋 正行君     伊藤 基隆君  九月十日     辞任         補欠選任      福山 哲郎君     小川 勝也君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         坂野 重信君     理 事                 石川  弘君                 岩井 國臣君                 岡  利定君                 塩崎 恭久君                 江田 五月君                 齋藤  勁君                 森本 晃司君                 笠井  亮君                 山本 正和君     委 員                 岩城 光英君                 加納 時男君                 景山俊太郎君                 金田 勝年君                 木村  仁君                 佐々木知子君                 田中 直紀君                 林  芳正君                 日出 英輔君                 平田 耕一君                 松谷蒼一郎君                 三浦 一水君                 溝手 顕正君                 山本 一太君                 浅尾慶一郎君                 伊藤 基隆君                 小川 勝也君                 小川 敏夫君                 木俣 佳丈君                 角田 義一君                 福山 哲郎君                 峰崎 直樹君                 簗瀬  進君                 魚住裕一郎君                 浜田卓二郎君                 益田 洋介君                 池田 幹幸君                 緒方 靖夫君                 小池  晃君                 三重野栄子君                 村沢  牧君                 入澤  肇君                 渡辺 秀央君                 佐藤 道夫君                 水野 誠一君                 菅川 健二君    事務局側        常任委員会専門        員        小林 正二君    参考人        株式会社日本長        期信用銀行取締        役頭取      大野木克信君        株式会社日本        リース代表取締        役社長      岡本 弘昭君        日本ランディッ        ク株式会社代表        取締役社長    木村榮二郎君        取締役社長        エヌイーディー        株式会社代表        取締役社長    中島 省吾君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○金融問題及び経済活性化に関する調査  (日本長期信用銀行等不良債権問題に関する  件)     ―――――――――――――
  2. 坂野重信

    委員長坂野重信君) ただいまから金融問題及び経済活性化に関する特別委員会を開会いたします。  参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  金融問題及び経済活性化に関する調査のため、本日の委員会株式会社日本長期信用銀行取締役頭取大野木克信君、株式会社日本リース代表取締役社長岡本弘昭君、日本ランディック株式会社代表取締役社長木村榮二郎君及びエヌイーディー株式会社代表取締役社長中島省吾君を参考人として出席を求めたいど存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 坂野重信

    委員長坂野重信君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ―――――――――――――
  4. 坂野重信

    委員長坂野重信君) 金融問題及び経済活性化に関する調査のうち、日本長期信用銀行等不良債権問題に関する件を議題とし、参考人に対する質疑を行います。  この際、参考人方々に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多用中にもかかわらず、本委員会のために出席を賜りましてまことにありがとうございます。委員会代表いたしましてお礼申し上げます。  議事の進め方でございますが、まず委員長から各参考人に総括的な質問を行い、引き続き各委員から質疑をしていただきます。  それでは、まず委員長から各参考人に対してお尋ねをいたします。  本特別委員会は、金融問題及び経済活性化に関する調査を行うために先般設置されたところでありまして、本日は、現在緊急的な問題として浮上しております日本長期信用銀行をめぐる問題について参考人質疑を行うこととしました。  日本長期信用銀行は、八月二十一日、住友信託銀行との合併に向けて抜本的な不良債権処理リストラを含む経営合理化策を発表されました。あわせて、主要関連ノンバンクに対する債権放棄等支援策も明らかにしています。また、住友信託銀行から合併に向けて前向きに交渉を続けていくとの考え方が表明され、政府からも本合併構想支援していくとの方針が示されています。  そこで、まず大野木参考人お尋ねします。  日本長期信用銀行は、本年三月に千七百六十六億円の公的資金による資本注入を受けていますが、六月に入り経営不安説市場に流れ、株価が急落して額面割れするなど深刻な事態が発生しました。そして、今回住友信託銀行との合併前提公的資金の導入を要請するやに聞いておりますが、日本長期信用銀行がこのような事態に立ち至った事情について、またこうした結果を招いた経営責任についてどのように考えておられるのか、お尋ねをいたします。  それでは、大野木参考人、お願いいたします。
  5. 大野木克信

    参考人大野木克信君) 日本長期信用銀行大野木でございます。  お答えの前に、一言申し述べさせていただきます。  本日は、坂野委員長を初め各委員先生方には貴重なお時間をいただきまして、おわびとともに御礼申し上げます。また、今般世間を大変お騒がせし、皆様方には大変な御迷惑をおかけしました。この場をかりまして、深くおわび申し上げます。  今回、皆様方からいただいておりますいろいろの御批判は、経営を預かる者として真摯に率直に受けとめ、深く反省をしている次第でございます。しかし、仮に私どもがこの時期万一のことになりますと、国内では中堅・中小企業四千社を含む八千社のお取引がございますし、内外社会経済に非常な迷惑をおかけする、その影響ははかり知れないというのが実感でございます。こういう事態に至りましたことにつきましては反省し、その責任を痛感しているところでございますが、今般、公的資金をお願いしようとしておりますのは、このような状況を何とか回避したいという一念からでございまして、決して長銀が生き延びるためのものではないということはぜひ御理解賜りたいと存じます。  長銀にとりましては、やはり不稼働資産の前倒しの処理制度に頼る長信銀からの脱皮、この二点が基本課題であり、私も長銀頭取就任以来、九八年三月に至るまで、例えばグループ会社収益自転体制の構築とか、スイス銀行提携等最大限努力をいたしてまいりましたが、しかし市場の要求するスピードは我々の想定をはるかに上回り、それが一気に六月に噴き出して、株価が二百円から五十円に下落いたしました。こういったマトケット激変に適切な対応ができなかったことは深く反省いたしているところでございます。  このような難局を独力で打開することは難しいと判断し、かねてより各業務各層で親密な関係にあった住友信託銀行高橋社長に対し、同社に主導権を持っていただくことを前提合併検討の申し入れを行い、同意をいただいたものであります。  その際に、最も大きな課題は不稼働資産抜本処理であり、特にグループ三社につきましては、六月の市場激変から、時間をかけた処理は許されない状況に至りました。こうした視点から、当行としては、今般、不稼働資産の抜本的な処理、私も含め役員の総退陣、旧経営陣退職金返還要請を含む経営責任明確化海外業務撤退等を含む徹底した合理化を骨子とするリストラ策を発表させていただいたわけでございます。  今後、合併を実現することにより、不測の事態を回避するために徹底した経営リストラ策を実施し、過少になる自己資本の回復をすることが必要不可欠でございますので、国民の皆様には大変申しわけないことながら、公的資金をお願いしたいと考えた次第でございます。  この難局を乗り切り、これ以上金融市場を混乱させることがないよう、何とか住友信託銀行との合併を実現させていただき、新しい銀行の中で改めまして世の中のお役に立てるべく懸命に努力をすることをお約束いたします。  本日は、この場をかりまして、少しでも皆様方の御理解を賜りたくよろしくお願い申し上げる次第でございます。  以上でございます。
  6. 坂野重信

    委員長坂野重信君) 次に、岡本参考人木村参考人及び中島参考人お尋ねいたします。  今回の日本長期信用銀行経営合理化策により、各参考人会社に対して長銀から総額五千二百億円の債権放棄による支援が行われるということですが、このような支援を受けざるを得なくなったことの事情、そしてその経営責任をどのように考えておられるのか、また、長銀以外の債権者に対してはどのような形で支援を要請されているのか、さらに、各社の再建策についてはどのように考えておられるのか、それぞれお尋ねします。  それでは、岡本参考人木村参考人中島参考人から順次お願いいたします。
  7. 岡本弘昭

    参考人岡本弘昭君) 日本リース岡本でございます。  本日は、先生方におかれましては貴重なお時間をいただきまして、まことにおわびの申しようもございませんし、御礼申し上げる次第でございます。  また、今般、当社経営問題に関しまして世間を大変お騒がせしておりますこと、さらにあわせまして、取引金融機関百六十行に及ぶ皆さん方に御負担をお願いしていること、また、私どものお取引先中小企業中心にいたしまして七万社の皆さん方に大変な御迷惑をおかけしていることをこの場をおかりして心からおわび申し上げたいと、このように思う次第でございます。  ただいまの委員長の御指摘にお答え申し上げたいと思います。  当社は、まことに遺憾ではございますけれどもバブル期不動産貸し出しを急拡大させてまいりました。この結果が今日の問題になっているわけでございますが、私どもといたしましては、バブル崩壊後、この貸付業務撤退あるいは縮小というのを必死になって努力してやってまいりましたわけでございます。この結果、関係方面の御支援もございまして、九八年三月期、この三月期でございますが、ピーク時に比べまして使用総資本では約一兆円、そのうち貸出金は約四千億でございますけれども、圧縮いたしました。さらに、借入金につきましても約一兆円の幅で減少させて今日に至ったわけでございます。  このような対策の結果、私どもとしてはリース会社として自転できる体制に入りつつあるというぐあいに考えていたわけでございますが、この春以降、私どもメーン銀行でございます日本長期信用銀行殿の信用不安問題というのが出てまいりまして、私どもの資金繰りというのは当初考えておりました以上に窮迫してきたわけでございます。私どもとしましては、この事態に対して、取引金融機関の信認を回復していくためにはどうしても価格低落の著しい担保不動産に関しまして抜本的な処理をしていかなければいけない、このように判断せざるを得なくなりました。  そこで、八月に入りまして、私どもとしては、メーン銀行でございます日本長期信用銀行殿の債権全額放棄をお願いするほか、取引金融機関皆様方に債務の一部免除、または金利の引き下げによる御支援をお願いしているわけでございます。事態がこのような事態に入りましたことにつきまして、私どもとしては深く反省している次第でございます。  今申し上げました御支援をお願いする前提として、私どもとしては以下の諸施策をとっていきたいというぐあいに考えているわけでございます。  一つは、従来拡大してまいりました貸出業務あるいは海外業務から完全に撤退したいというぐあいに考えております。二つ目でございますが、リース業務会社として再生するために資源を集中的に入れたいというぐあいに考えております。三番目でございますけれども役員数の三分の二をカットする経営刷新をやっていきたいというぐあいに思っております。さらに、従業員数の二〇%カット経費の三〇%カット等をベースとする合理化をやっていきたいというぐあいに思っておるわけでございます。徹底した合理化をやっていきたいというぐあいに考えているわけでございます。  このようなことを背景にいたしまして、一刻も早くリース専業会社として再生させていただけるよう皆さん方の御理解と御支援をぜひ賜りたいというぐあいに思っているわけでございます。  このような皆様方に大変な御迷惑をおかけするに至った私ども経営責任といたしましては、極めて重たいものがあるというぐあいに受けとめているわけでございます。取引金融機関の御同意あるいは私ども経営体制刷新ができ次第、私は辞任するつもりでございます。さらに、私ども会社平成元年以降、代表取締役をやっておりました各氏には退職金返還を依頼しているところでございます。そういう格好で責任明確化をしていきたいというぐあいに考えている次第でございます。  どうぞ皆様方の御理解と御支援というのを賜りますようお願い申し上げまして、委員長の御質問お答えいたしました。ありがとうございました。
  8. 木村榮二郎

    参考人木村榮二郎君) 日本ランディック木村でございます。  本日は、坂野委員長を初め各委員先生方におかれましては、大変貴重なお時間を割いていただきまして御審議をいただきますことにつきまして、御礼おわびを申し上げる次第でございます。  今般の長銀問題の一因として、私ども会社財務内容が不健全であるということがいろいろと問題になっておることにつきまして、社長として非常に重く受けとめ、深くおわびを申し上げる次第でございます。  私ども会社は、昭和二十八年に長銀の直系の不動産会社として誕生したわけでありますが、その後、適正化措置等の御指導をいただきまして、昭和五十一年、長銀グループ九五%出資によって設立され、本日に至っておるわけであります。その間、賃貸ビル事業住宅事業中心といたしまして不動産事業を展開してまいったわけでございます。また、銀行系不動産会社として、いろいろと社会開発だとか遊休地コンサル等で積極的に取り組みまして着実な実績を残しまして、総合不動産会社としてそれ相応の御評価をいただくような会社になってまいったわけであります。  しかしながら、ちょうどあのバブル期でございますが、かなり積極的な経営政策と申しますか経営拡大策をとりまして、不動産担保金融業務に参入をしてまいったわけでありまして、その結果が極めて遺憾ながら大変な不良債権をつくってしまったということになったわけでございます。  私も、二年前に社長に就任いたしましてからこの不良債権処理最大限努力をいたしましてかなり改善をさせてまいったわけでありますけれども、きちっとした結果が出せず、本日このような状況を迎えましたことにつきまして、大変深くおわびを申し上げる次第であります。  つきましては、今般の長銀支援、これは千百億でございますが、をいただくことを機会に三年間の再建計画を策定いたしまして、今お取引先金融機関に残高の維持と、それから金利の若干の見直しをお願いいたしまして、その再建計画を策定しておるわけでございます。我が社自身も、今までの総合不動産会社というものから、賃貸ビル事業中心とした本当に小ぶりなビル賃貸事業会社として再生をしていきたいというふうに考えておりまして、収益拡大最大限努力を尽くす所存でございます。  そうすることによりまして、今後は、不動産会社として社会的責任を果たしつつ、本業でございますビル賃貸業に注力することによりまして、できる限り早期皆様方期待に沿える会社になるよう努力してまいる所存でございます。  また、社長の私といたしましても、今般、内外に対して多大な御心配をおかけし、また関係方面に御迷惑をおかけしたわけでございまして、その責任を強く受けとめまして、当社の方向をある程度確定した段階で早期社長辞任したいと考えております。  最後になりましたが、本日は各先生方の御質問に誠心誠意お答えしたいと存じております。どうぞよろしくお願いをいたします。
  9. 中島省吾

    参考人中島省吾君) エヌイーディー中島でございます。  当社財務体質が不健全な状況にありますことがひいては長銀の信用問題を引き起こすこととなり、結果として社会的な問題となりましたことは、つい先日まで社長として身を置いておりました立場としてその責任の重さを痛感いたしております。  当社は、一九七二年十一月に日本長期信用銀行中心として設立された我が国初民間ベンチャーキャピタルでございます。今日まで海外を含め約八百社に投資し、うち約二百社の株式公開を実現させております。一方、八〇年代に入り、投資業務に加え融資業務拡大し、さらなる業務拡大を図ってまいりましたことが、バブル崩壊とともに当社経営の大きな足かせとなってまいりました。  私が社長辞任した本年六月までの五年間は、バブル崩壊後に迎えた最初会社再建の時期でございました。その問最大限努力を行ってまいりましたが、現在に至るまで十分な結果を出すことができず、再び今回のような支援をお願いすることになりましたことにつきましては、深くおわび申し上げますとともに、この間の責任は極めて重大なものと認識しております。  今般、長銀はもとより、他の債権者方々の御協力を織り込んだ経営改善計画を策定し、抜本的な経営改善に取り組む所存でございます。具体的には、役職員の削減と給与の見直し本社移転と拠点の見直しによりさらに経費を削減すること、不良債権処理、回収を断固として進めることにより収益財務構造改善に全力を尽くす所存でございます。  これにより、今後はベンチャーキャピタルとしての社会的責任を果たし、研究開発型企業を初めとするベンチャービジネスの育成、支援を積極的に行うことにより、皆様方の御期待にこたえられる企業となりますよう最大限努力してまいる所存でございます。  最後になりましたが、坂野委員長を初めとする各委員先生方に貴重な時間を割いて御審議いただくこととなり、おわび御礼を申し上げますとともに、この機会先生方の御理解を賜りますようお願い申し上げます。  以上でお答えとさせていただきます。
  10. 坂野重信

    委員長坂野重信君) ありがとうございました。  委員長からの質問は以上のとおりでございます。  それでは、参考人に対し質疑のある方は順次御発言願います。
  11. 塩崎恭久

    塩崎恭久君 自由民主党の塩崎恭久でございます。大野木岡本木村中島参考人におかれましては、衆議院に引き続いて参考人聴取に参加をしていただきまして、まことにありがとうございます。  昨日、たまたま私は外国のプレス二社とインタビューがございました。それからEUの大使館の方々勉強会に呼ばれました。この三カ所で期せずして彼らの最初質問、そしてまたメーンのテーマはすべて長銀問題でございました。私も、ここまで海外方々心配をしている、こういう事態を肌身に感じて事の重大性を改めて認識をしたわけでございまして、皆様方におかれましても、本日の参考人聴取で、そういった世界が注目をしている重要な問題だということをひとつ腹にお入れをいただきましてお話を賜れればと思うわけでございます。  やはり日本経済を元気にするためには金融機関に元気になってもらわなければいけないわけでありますが、しかし、そこで過去の清算というものをきちっとしなければならない、経営者責任あるいは株主責任、いろんな意味で責任をきちっととりながら新しい金融というものが生まれてこなければ我が国の将来はないんじゃないか、こんなふうに思っているわけでございます。  日本長期信用銀行興長銀三行すべてそうでありますが、特異な役割を担いながら、そしてまた金融債というやや特異な資金調達方法を得て、そしてまた金利の面でも長プラが保証されているような形で長い間やってきたわけでございます。もちろん戦後の経済復興の中で大きな役割を果たしてきたことはもう十分だれでもわかっていることでございますが、しかし、なぜ今日のような深刻な事態に至ってしまったのか、その原因はどこにあるのか、だれの責任なのか、この点について大野木参考人お話を聞きたいわけでございます。  それに関連して、八月二十一日に改善策を発表になられました。その一つの柱は言うまでもなく不良債権処理であり、もう一つ経営改善ということで、その経営改善の中に退職金返還お話が入っておりまして、平成元年以降の退任代表取締役については退職金を返してもらおうじゃないか、こういう御提言になっていたと思うわけでございます。それからもう時間が大分たっておりますが、たしか岡本参考人は、衆議院参考人聴取のときにみずから返還する旨を出しておられたと私もこの議事録を読んで改めて認識したわけでございますが、その代表取締役代表権のあった方々が、どういう反応をして、今日までだれがどれだけ返すつもりになってきているのか、この点も含めて、ごく簡単にその原因、だれの責任だということを含めてまずお話をいただきたいと思います。簡潔にお願いします。
  12. 大野木克信

    参考人大野木克信君) お答え申し上げます。  確かに日本長期信用銀行は特別な法律に基づいて金融債発券の特典を持った銀行ということで、公共性がより高い、そういう存在として生まれてきたわけでございまして、高度成長時代、これはやはり制度にのっとった役割をきちんと果たしてきて、これで大きな成長を遂げたということだと思います。  ただ、やはり高度成長が終わりまして、そして金融の流れが間接金融から直接金融に移るとか、金融自由化がそれに伴って行われる、こういう時代になりまして、長信銀制度金融機関としての大きな壁に当たったということは事実だろうと思います。  そうした中で、バブルというものを迎えたときに、やはり本来の資金配分をやや外れましてバブル的な不動産中心融資に走ったという事実は否めないと思います。これが今日のいろいろな問題を起こしている基本的なポイントだろうと思います。  それから、退職金につきましてでございますけれども、八月二十一日に発表して以来、全対象者に連絡をとりまして、その中で数人の方からはもう応諾をいただいております。それ以外の方も基本的な趣旨は御了解いただいている、このようなところまで進んでおります。
  13. 塩崎恭久

    塩崎恭久君 額。
  14. 大野木克信

    参考人大野木克信君) 額は、数人の方は全額ということでいただいております。  以上でございます。
  15. 塩崎恭久

    塩崎恭久君 数人の方が全額を返すというお話でございますが、やはり国民が納得できる形でそういうことが行われないと、これからお話資本注入の話に移しますが、とても納得できないというふうに私は考えておりますので、今後とも御努力を願いたいと思います。  そこで、話題を資本注入に移したいと思うわけでございますが、実は去年の十二月に私ども自民党の中でこの資本注入のスキームをつくりました。私も、当時大蔵政務次官ではありましたが、党の方でこのスキームづくりに携わった一人でございますが、あのときに入れ方というものについては、大きな哲学だけを私ども決めました。結果として三月末に入れた。スキーム自体は、私は資本注入のスキームは必ず持っていなければ危機対応はできないと考えております。ただ問題は、どういうときにどういうふうに使うのかということが大変大事であって、十二月の私たちがつくったペーパーの中にはその哲学を入れたつもりであります。  しかしながら、私は、自民党で、また与党内不一致と、こうなるわけでありますが、三月末の資本注入のやり方というのは、そのやり方において私は納得ができない部分がたくさんあったなというふうに思っております。恐らく、このようなことを率直に認めなければ、やはりこれからの金融の再生をどうするのかということの答えが出てこないんだろうと思うんです。  実は今長銀資本注入をするということについて私はまだ国民の皆さんは納得はしていないと思っておりますので、きょうは資本注入のことについてできる限り率直に語っていただいて、なぜ必要なんだ、ほかには道がないのか、この点についてお答えをいただきたいと思うわけでございます。  そこで、一つは、今よく言われているのは、やはり株主責任ということが言われているわけでございます。この株主責任は減資でもってまず責任をとらせたらどうだという提案がよくあるわけでございます。ややテクニカルな話になりますが、当然減資を先にやるということになれば商法の規定で特別決議をやらなければいけない、株主総会を臨時に開かなきゃいけないことになるわけでございますが、果たして減資を資本注入前提にするということが例えば長銀の場合できるのかどうか、この点についてまずお答えいただきたいと思います。
  16. 大野木克信

    参考人大野木克信君) お答えいたします。  確かに、こういう状況になりました以上、株主の方には、経営者としてはまことに申しわけないことでございますけれども、やはり御負担をいただかなくてはいけないのではないかと考えております。ただ、その方法としては、やはりこれだけのサイズのものになりますと、やはり合併比率というものでそういう株主の御負担をいただくということで考えさせていただきたい、そのように今考えておる次第でございます。
  17. 塩崎恭久

    塩崎恭久君 それじゃ答えにならないんであって、減資を先に株主総会でテクニカルにちゃんと決めることが皆さんの株主構成などからして可能かどうかということについての御意見をちょっと伺いたい、こういうことでございます。
  18. 大野木克信

    参考人大野木克信君) お答え申し上げます。  現時点ではやはり最終的な合併、減資は考えておりませんで、最終的な合併比率ということで株主の御負担をお願いしたい、こういうふうに、ということでお許しいただきたいということでお願いしたいと思いますが。
  19. 塩崎恭久

    塩崎恭久君 テクニカルに私はなかなか難しいとは思っているんですが、国民から見れば経営者責任株主責任を明確にせよというのがメッセージだろうと思うんです。その株主責任を明確に事前にするのは減資しかないということでありますから、株主総会を開いてそういうことができるのかどうかをお尋ねしているので、合併比率の話じゃないんです。  技術的にちゃんとそういうことができるのかどうか、個人的なお考えでいいですからお答えいただきたいと思います。
  20. 大野木克信

    参考人大野木克信君) 減資につきましては、やはり債権者集会とかそういったいろいろなテクニカルなことを考えますと、この時間帯の中ではなかなか難しいかなという判断で、そしてそういった事実上の効果を合併比率で株主の御負担という形で持っていきたい、こういうふうに考えているということでございます。  以上でございます。
  21. 塩崎恭久

    塩崎恭久君 水かけ論をしていてもしようがないのであります。まあ難しそうだということでありますが、この辺についてはまだこれからできるかどうかということを政治家が詰めた上ではっきりしなければいけないことだと思っておりますので、お考えはお考えとして承っておきたいと思います。  長銀財務内容が要するに債務超過じゃないかと、こういう声が市場に満ち満ちているわけでありますが、この原因はもう言うまでもなく情報開示を今までちゃんとしてこなかったということであります。いろいろと細かい議論も衆議院の方で行われていたわけでありますが、今回特に七千五百億円を償却するということであります。我々は、仮に今回の資本注入を認めたとしても、今お話をいただいているこの七千五百億円を償却することによって果たしてこれで打ちどめになるのかどうか。特にきょうはノンバンクの皆さん三社がおいででございますけれども、いろんな衆議院の議論の過程で、とてもじゃないけれどもこの三社だけじゃない、たくさんほかにもあるんだということも天下に明らかになったわけでありまして、このリストラ案の中にも、中間決算において七千五百億をやるけれども下期に確定するんだと、こういうことであります。  そうすると、その資本注入が何ぼになるのか、それもお答えいただきたいと思いますが、果たして今我々が教えられているこの七千五百億円の償却ということだけで資本注入というのは本当にこれ一回で終わるのか、これで足りるのか、それですべてが解決するのか。それがわかちないと、なかなかこれは国民の皆さんも、わかった、では資本注入して合併に向かって頑張ってちょうだいということにならないんじゃないかと思うんです。  その点について、どんなお考えでございますか。
  22. 大野木克信

    参考人大野木克信君) お答え申し上げます。  七千五百億を今計画しているわけでございます。この七千五百億の中には、五千二百億のノンバンク三社の処理とそれ以外の部分の処理二千三百億というのを考えております。現時点では、一応それをもってこの三社以外のものの引き当てということで充てていけるんじゃないかというふうに思っております。ただ、今後の金融監督庁のチェックとかデューデリジェンスがございます。そういったものを見ながら最終的な額は決めていかなくてはいけないと思いますが、現時点ではこの七千五百億の中で一応おさめられるのではないかというふうに思っているということでございます。
  23. 塩崎恭久

    塩崎恭久君 これからノンバンク三社の問題についてお尋ねもするわけでありますし、平田委員も後ほど債権放棄の問題について質問すると思いますが、このノンバンク三社の問題一つとってみてもどうも本当かいなというところが残ってしまう。そういう意味で私の今の印象では、後で御質問申し上げますこのノンバンク三社の例えば分類の問題などからしてみるとまだまだいろんな問題が出てきやしないかという心配をせざるを得ないという気がしてならないわけであって、そこのところはきちっと国民に開示をしていかなければ、私はこのスキームが成就することはないのじゃないかなというふうに思っているわけでございます。  そこで、ノンバンク三社の問題でございますが、全額放棄をするという話が今出ているわけでありますけれども、きのうアメリカで訴訟が起きた。何で全額放棄するんだ、けしからぬという株主からの訴訟が起きたやに報道がされております。我々もこれを聞いて最初に思ったことは、予算委員会でも随分議論しましたが、住専国会のときの住専の処理のやり方、つまり修正母体行主義というやや懐かしい言葉でありますが、この言葉を思い出したわけであって、あのときにたしか修正母体行主義というのはおかしいということになったような、私はそのときに予算委員会の理事をやっていまして、そういう印象を持っておったわけでございます。  今回聞いてみれば、日本リースさんも、あの有報などあるいはお出しいただいた資料なりを見ると会社として黒字なわけです。会社として黒字なのにもかかわらず債権全額放棄するというのは、なかなかこれは国民の皆様方には御理解いただけないのではないかなという気がしてならないわけであります。おまけにそのことが分類の問題にもかかわってくるわけでありますが、どうしてこの黒字会社に対して債権全額放棄しないといけないのか、そこのところをお答えいただきたいと思います。
  24. 大野木克信

    参考人大野木克信君) お答え申し上げます。  まず、関連ノンバンクでございますけれども、特に日本リース等につきましては、この三月以前にある程度の支援を終了いたしまして収益的に自転するという形にまで持ち上げたと、それが先生のおっしゃいました二百億という黒字になって出ている、こういうことでございます。  しかしながら、日本リース自身の財務的にはやはり九千億ぐらい処理しなくちゃならないいろいろな不良資産がございます。これを時間をかけて一応自力で処理していこうというのがこの三月時点での考え方だったわけでございます。しかしながら、この六月のマーケットの急変で長銀自身のマーケットの信頼が落ちてきたということとほとんど並行して、やはり日本リースもそういったものを抱えている以上この処理をそうゆっくりやっていられない、早急にやらない限りはその存続は許さないというのが、これが取引銀行からの言ってみれば資金繰りの問題として非常に強く出てきて喫緊の課題となったということでございます。  そういう意味で、この時点でそういった時間をかけて処理していくというやり方はもう日本リースには許されませんで、黒字会社であってもその持っている不良債権を一気に抜本的に解決しない限りこれは非常に重要なことが発生する、こういう事態になったということでございます。そういう意味でこの抜本的な計画処理というものがまさに必要になってきたわけでございますが、やはりこういった関連ノンバンクの処理が成立するかどうかということ自身が、これは当行の信用不安というものとまさに連鎖的な関係にございまして、当行の信用不安を払拭するために不可欠な要素であるということも言えたと思います。  それからもう一点は、こういった日本リースのケースの場合、抜本的な再建の計画の中で数多くの債権者からやはり債権の放棄をお願いしなくてはいけない、こういうスキームを会社が持ってきたわけでございますけれども、これを早期に各債権者の方を納得させていくためには、こういった形のある種のメーンバンクの負担といったものが欠かせないと、こういう判断を下したということでございます。日本リースのやはり早急な措置、これが万一の場合になった場合のデメリットということと、この再建策を計画どおり早急に成立させる、この必要性と、この辺の両者を我々としては判断したということでございます。
  25. 塩崎恭久

    塩崎恭久君 今資金繰りがどうのこうのというお話がありましたけれども、結局、その償却財源を考えようによっては公的資金で埋めるというふうにとれるわけでありますから、そこを国民に納得させるためには、よっぽどのきちっとした説明がないと難しいと思うんですよ。  例えば、日債銀の場合はクラウン・リースを清算しましたですね。ああいうやり方をやったときの負担と、こういうやり方をやったときの負担、あるいは回収の多さというか、これは債権を全部放棄しちゃうわけですから返ってこないんでしょうが、そのコストをきちっと説明した上で、こっちの方が社会的コストが低いんだということでも言わない限りは、私はこれは債権放棄といったって、それは訴えられたってしょうがないような理解しか得られていないんだろうなと思うんですよ。その辺はどうですか。
  26. 大野木克信

    参考人大野木克信君) お答え申し上げます。  まず、日本リースの場合には、取引をしている中小企業の数が七万社ある、それからお借り入れをしている銀行の数が百数十社ある、サイズがアセットベースで二兆を超えている、この大きさがいろいろな面であるわけでございます。第一に、この辺が万一破綻という形になった場合のその連鎖的な影響というものは非常に大きいということは言えると思います。  そういう意味で、日本リースだけが倒れて済むという話ではございませんで、その連鎖効果というものは非常に大きい。それからまた、日本リースのお取引している銀行群というのは非常に多岐にわたるわけでありまして、そこに与える影響も非常に大きいのではないかということでございます。
  27. 塩崎恭久

    塩崎恭久君 仮に債権放棄をするときに、無税でやるんですか、有税でやるんですか。
  28. 大野木克信

    参考人大野木克信君) この点につきましては、法人税通達に基づいて国税の方とこれから御相談してやっていくということになろうと思います。そのステップを踏んで決めていきたいと、このように考えております。
  29. 塩崎恭久

    塩崎恭久君 仮に無税でやるとしたら、それはよっぽどきちっと証明をしないとできないと思うんです。例えば債務者の無資力疎明をしないといけないでしょう。合理的な再建計画と認められるかどうか。今まで聞いている話では、例えば日本リースは黒字会社ですし、それから一部には不動産も無担保で持っている、処分できるものがある。そういうものがあったら、とてもじゃないけれども無資力疎明資料なんか集まらないんじゃないかと思うんです。  それは、今簗瀬さんが後ろで自民党がそういうのをやれるようにやったんじゃないかと言っているが、そんなことは全然ないのであって、今までと余り変わっていないんですからね、税の扱いという意味では。そこはまた後で議論をするとして。それは後でまたやりましょう。  だから、そういうことでありますから、そんな簡単には国民が納得できるような債権放棄ではないということをひとつ腹に入れてもらいたいと思うんです。  それで、さっき急に資金繰りが難しくなったとおっしゃったけれども、三月末、これは衆議院の方でも大分聞かれていますが、この三社向けの債権はどういう分類をしていたのか、リスク管理債権にはなっていたのかどうか、改めてお答えいただきたい。
  30. 大野木克信

    参考人大野木克信君) この三末でございますけれども、この三社の債権は要注意先という形でとらえておりました。  それから、リスク管理債権の範疇でございますけれども、これは日本リースとランディックにつきましては、一応終了して自転できるという体制までは来ておりましたものですから、この二つはリスク管理債権からは外しております。  以上です。
  31. 塩崎恭久

    塩崎恭久君 幾ら急に物事が変わったとしても、さっき不動産の担保価値が下がっていてロスが何千億かあってそれを処理しなきゃいけないと言っていますが、三月末にリスク管理債権になっていなかったものが債権放棄の対象になるというのは、ちょっとなかなかこれは理解できないんじゃないかと思うんです。だから、それは三月末の見方が非常に甘かったか、今やろうとしていることがややいいかげんか、これはどっちかじゃないかと思うんです。どうですか。
  32. 大野木克信

    参考人大野木克信君) お答え申し上げます。  三月と今やっていることの比較でございます。確かにこの六月のマーケットのいわば激変と申しますか、これはやはり当行の抱えております基本的な課題である不良資産の処理のスピードあるいは制度銀行からの脱皮、この点をやはりマーケットに鋭くつかれたということは否めないわけでございまして、この点につきまして私どもの対応がおくれたということは非常に反省しなくちゃいけないと思いますが、ただ現実の問題として、やはり六月の激変というのは、当行のいわばマーケットにおける基盤というものを本当に変えたということなんじゃないかと思っておるわけでございます。  したがいまして、例えば日本リースをとりましても、やはり三月では御指摘のように基本的な収益力で自転でき、うんと時間をかければ自力で償却していくという体制はできておったことは事実でございます。ただ、そういう時間をかけて不稼働の資産を処理していく、そういう存在を持ったメーンバンク並びに日本リース自身をマーケットが六月に非常に鋭くとがめてきた。ここで確かに短期間の間になぜかという御疑問はおありかと思いますけれども、やはりそういった予測につきまして我々が甘かったと言われて、まことにそのとおりかもしれませんけれども、そこで大きく対応を変えねばいけなかったということだけは御理解いただければと思います。
  33. 塩崎恭久

    塩崎恭久君 いや、どうおっしゃっても、土地の価格が三月末と今とむちゃくちゃ下がったということはないわけでありますから、抱えている不良債権は同じなわけですよ。資金繰りの問題だけはそれは多少あるのかもわからないけれども、しかし抱えている不良債権は同じなのにリスク管理債権に入っていなかったというのがやっぱりおかしいわけであって、まさにこれはディスクロージャーのあり方というものを考えてもらわにゃいかぬ。  ディスクロージャーはまた改めて議論するとして、お上のためにやるわけじゃないんですから、やっぱりマーケットのためであり、そして投資家のためにやるわけであって、皆さんが正直に正直なところを見せることによってマーケットに認めてもらうということが大事なんですね。ですから、金繰りが回っていて黒字会社だからリスク管理債権にしないだのいうような発想自体がおかしい話で、極めてスタティックな、もう金太郎あめみたいな考え方しかしていなかったということでありますから、今のようなやり方でおられて今回のこういうことでいくというのは、債権放棄するということは、やはりよっぽど説明しない限りは国民は納得できないというふうに思っております。  それで、さらに、これも衆議院の方でも随分聞かれておりました、個別の名前はもうあえて出しませんけれども、いわゆるペーパーカンパニーという会社にいろいろ飛ばしているじゃないかという話があって、例えば日本リースもよくバランスシートで見てみると、固定化営業債権として日本ビルプロヂェクトというところに五百八十億円計上されていると。聞くところによりますと、この日本ビルプロヂェクトという会社には、未成工事支出金、要するにまだ返ってこない、入ってこないというお金が二千億円あるというふうに知られているわけでございます。  今回、日本リース向けの債権を放棄するということは、こういういわばペーパーカンパニー、これは衆議院の方で頭取は、不動産の汚染から守り活性化するための会社だと、こういう定義をされておりましたが、このペーパーカンパニーの償却の原資まで公的資金で見るのかというふうにとられかねないようなお話でありますから、そこのところをよっぽど御説明をしていただかないといけないんだろうと思うんです。  きょうはまだ次にちょっと行きたいので、それと、先ほど三月末にリスク管理債権に入っていなかったという話でありますが、一体そうなると、そもそもリスク管理というのをどうしているんだろうかというところがちょっと心配になっちゃうわけです。つまり、三カ月や四カ月ぐらいでぼおんと債権放棄しなきゃいけなくなるほどのものをリスク管理債権としていなかった、Ⅱ分類、要注意債権ということであったようでありますが刀そうすると、引き当てなどをどうやっているんだろうかと心配になるわけであります。  そこで、個別の会社についての引き当て率をしゃべってくれと言ってもそれはまあ無理でしょうから、行内でⅡ分類、Ⅲ分類、Ⅳ分類、それぞれ恐らく銀行の方針としてどういう場合にはどのぐらいの引き当てをしなさいということが決まっているんだろうと思うんです。行内のガイドラインみたいなのがあるんじゃないかなと思うんですよ。そして、ざつくり言ってこの三社、それが大体どんな引き当てをしていったのか。Ⅱ分類とおっしゃったですね、さっき。ですから、それをどんなふうにやっていったのか、その辺をちょっと教えてください。
  34. 大野木克信

    参考人大野木克信君) お答えいたします。  まず、リスク管理債権から外れていたのがという点の問題をおつきになったと思います。まさに御指摘のとおりだと思います。  ただ、日本リースとか今回やった関連グループというのは通常の取引先ではございませんで、やはり当行のマーケットにおける信用不安というものがパラレルにそこの悪化につながる、そしてそれがまたはね返ってくる。そういう意味で、言ってみれば六月の信用不安の動きというものが一般の取引先とは別の形で起こってきている先だというケースだというふうに御理解いただければと思うわけでございます。  それから、自己査定でございますけれども、これは基本的には大蔵省通達とか会計士協会の実務指針というのがベースになっておりまして、これに基づいていたしております。そして、行内的にはほぼ七割方は個別チェック、あとの三割は統計的なチェックということで、非常にカバレッジを高く何層かに分かれて実施いたしております。  Ⅱ分類につきましては、貸し倒れ実績率をベースにやり、Ⅲ分類、Ⅳ分類については倒産確率とか回収確率とか、そういう一定のルールに従っていたしておりまして、会計監査人のチェックも受けている、こういうことでございます。
  35. 塩崎恭久

    塩崎恭久君 大蔵省の役人に聞いているわけじゃなくて、ルールを答えてくれと言っているんじゃなくて、行内でどうやってきたという、生きている銀行経営の話を聞いているので、この三社は大体ざつくり言うとどのくらいの引き当てをしていたんですか。
  36. 大野木克信

    参考人大野木克信君) 三社につきましては、個別の引き当てはちょっと御勘弁いただきたいと思いますけれども……
  37. 塩崎恭久

    塩崎恭久君 ざつくり言って。
  38. 大野木克信

    参考人大野木克信君) 非常にざつくりしたことで申しわけございませんけれども、この三社につきましては基本的にはこういうことなんですね。普通の会社の場合には債権があってそれに対して引き当てをやるわけでございます。ところが、この三社はやっぱり生かしていくという基本的なスタンスで臨んでいるものですから、引き当てよりはむしろ支援をして、そして自立回転させていこう、こういうことだったんです。
  39. 塩崎恭久

    塩崎恭久君 ということは、今度債権放棄をすればもろにロスが出るというわけですね。そういうことですよね。お答えは要りません。  そうすると、先ほどのペーパーカンパニーのことも含めて、今巷間言われているのは五千億から一兆ぐらいの間だろうと言われております。五千億に近いところの数字が流れておりますけれども、先ほどの三社の問題も含めて、あるいは分類の今までやってきたこと、そしてまた今おっしゃった引き当てのやり方、何度も言いますけれども、三社はもともと不良債権を抱え込んでいることはもう明らかで、何も変わっていないんですから、それは。それはもうリスクがあるに決まっているにもかかわらずリスク管理債権にもしていなかったということでありますから、それは幾ら仲間だってやっぱり腐っているものは腐っちゃっているわけですよ。それはおかしいのであって、そうなると、本当に今巷間言われているようなもので済むんだろうか。  それと、住信と一緒になったときにさらにまた要るのか、あるいはその前にもう一回要るのか、その辺どうですか。
  40. 大野木克信

    参考人大野木克信君) 日本リースにつきましては、今度六千億という抜本的な処理をするわけでございます。このためにはいろんな広範な金融機関から一部の放棄までお願いするわけでございますけれども、やはりこれで自立していけるというふうに見ております。  それから、あとの二社でございますけれども、これにつきましては、今般の処理で今後自力で賃貸リース会社あるいはベンチャーキャピタル等として生きていける、ここのところまでは持っていけたと思います。そして、今後はこの二社は自力で頑張って独力で生きていってもらう、こういうレベルにしょうと思っております。
  41. 塩崎恭久

    塩崎恭久君 資本注入の額を言っているので、生きていけるかどうかという話じゃないんですよ。だからそれをちょっと答えてもらいたいんですが、平田先生とまたかわりますが、その話をちょっと後で答えてもらいたいんですけれども資本注入の額、それから住信になってから要るのかという話ですね。  ちょっとも色の違う質問最後にいたしますが、デリバティブズの問題が今回のブリッジバンクの適用が大きな場合に可能かどうかという話になったと思うんですね。そこで、いわゆるISDAのマスターアグリーメントの中で、イベント・オブ・デフォルトにアドミニストレーターというのがそれに当たるということが議論されていて、政府案の金融管理人にしても巷間言われている金融整理管財人ですか、こういうものが該当するのではないかということが議論になっておりますが、それはともかくとして、普通株を取得して国有化した場合、この場合はイベント・オブ・デフォルトになるかどうか、この解釈を教えてください。
  42. 大野木克信

    参考人大野木克信君) 先生からきのりお伺いしたんですが、どうも私も専門家でないし、伝聞した範囲でということなのでございますけれども、やはり国有化そのものが直ちにデフォルト条項に該当するということじゃないかもしれない。  ただ、その場合に、先ほど先生の言われましたアドミニストレーターとかコンサーベーターとかいうこの概念の形のものが経営をする、つまり経営の自主性といったものがそっちの方のような形で実際行われるということになると疑義が出るかもしれないというようなことを、これは私の意見と申しますか、聞いてきたと言った方が正直なところでございます。  余りお役に立てないで申しわけございません。
  43. 塩崎恭久

    塩崎恭久君 最後にもう一回。  その資本注入の額というのはどういうふうに考えていらっしゃるのか、お答えください。
  44. 大野木克信

    参考人大野木克信君) 今回の新しくお願いする資本注入の額でございますか。
  45. 塩崎恭久

    塩崎恭久君 そうです。
  46. 大野木克信

    参考人大野木克信君) これは、実は今回の九八年九月期の決算、その前提としては、今やっております各社の抜本的な再建策が果たしてきちっとおさまるかどうかという問題もございまして、それからもう一つはその結果として九月の決算がどうなるか。これは先ほど御指摘がありましたように、税金の問題、有税処理か無税処理かの問題もございます。それから、先の住友信託銀行さんとの合併につながっていかなくちゃいけないわけでございますから、そういったもろもろの点をこれから検討させていただいて、考えていきたいと思っています。  今はまだ金額を申し上げる段階ではございません。
  47. 塩崎恭久

    塩崎恭久君 終わります。
  48. 平田耕一

    ○平田耕一君 自由民主党の平田です。  常識的に考えてちょっと疑問の点が多いので、確認します。  今、頭取から、三社は生かしていくんだというお話がありましたし、それから他の三社の参考人から、一社は三年計画の再建計画だとおっしゃいました。あと二社の再建が何年ぐらいでと、こういうことがちょっと明確でなかったものですから、二社の方から再建の年数についてお聞かせいただきたいと思います。
  49. 岡本弘昭

    参考人岡本弘昭君) お答え申し上げます。  日本リースの場合は五年の再建計画でございます。
  50. 中島省吾

    参考人中島省吾君) エヌイーディーの場合は三カ年計画でございます。
  51. 平田耕一

    ○平田耕一君 日本リースが五年、エヌイーディー三年、それから日本ランディックはそうすると三年計画とおっしゃいましたね。これほとんどの経営者が、日本に六百六十万の会社がありますけれども、恐らくほとんどの会社経営者が、五年、三年という形で再建できる会社債権を放棄するということについては非常に奇異に思っているというふうに思うんです。  これについて、先ほど頭取からこれまた大変いい御発言があったんですけれども、当初の再建計画はやっぱり三社から出てきた、それは余りにも支援要請先が多いということでメーンバンクとして放棄に向かったんだと、こういう御発言がございました。この再建計画、関連会社といえども大きな会社でありますから、自主的に立てられた当初の再建計画には債権放棄という案はないんですね。いかがでしょうか、三社にお答えいただきたいと思います。
  52. 岡本弘昭

    参考人岡本弘昭君) お答え申し上げます。  日本リースの場合、つくりました再建計画というのは五カ年計画で、総額六千億の処理をやりたいということでございます。そのうち、利益を含めまして、努力を含めて千二百を出していって、残りの四千八百という数字を長銀を含めました各金融機関さんに支援をお願いしているという数字になっております。
  53. 平田耕一

    ○平田耕一君 放棄を依頼されていましたか、当初から。
  54. 岡本弘昭

    参考人岡本弘昭君) はい、当初からそうでございます。
  55. 木村榮二郎

    参考人木村榮二郎君) お答えいたします。  私どもの場合は、前期、前々期と二期にわたりまして長銀支援を受けておりまして、懸案でございましたファイナンス関係の引き当てを大幅に行いまして、その時点でもうかなり、私どもは不動産業でございまして、本業の賃貸ビル事業を展開いたしておりますものですから……
  56. 平田耕一

    ○平田耕一君 再建計画だけについて。
  57. 木村榮二郎

    参考人木村榮二郎君) それで、大体そこの時点できちっと自転できる計画になっておりました。したがって、もう既にある程度の支援を受けておったわけであります。  ところが、先ほど大野木参考人が述べられたように、我々不動産業というのは大変資金を必要とするものでございますから、六月に資金的に非常に苦しくなってまいりまして、やはり切り込んだきちっとした、もう絶対にこれで大丈夫だというような計画を他行さんにお示ししないとなかなか金融機関の御支援は得られないんじゃないかということで、今回千百億の支援を依頼したわけであります。  以上でございます。
  58. 平田耕一

    ○平田耕一君 放棄は入っていましたか、最初から。
  59. 木村榮二郎

    参考人木村榮二郎君) 放棄は入っておりませんでした。
  60. 中島省吾

    参考人中島省吾君) お答え申し上げます。  従来の計画の中には、放棄の額は入っておりません。  以上でございます。
  61. 平田耕一

    ○平田耕一君 今先ほどの議事録を後で見ればわかると思うんですが、大野木参考人から、当初計画は放棄が入っていないという表現がありましたけれども日本リースさんは最初から入っている、あとの二社は入っていなかった。こんなものは、普通の会社なら頭から放棄してくれという経営者はいないんですよね。岡本参考人、もう一度どうぞ。
  62. 岡本弘昭

    参考人岡本弘昭君) お答え申し上げます。  私ども、先ほど大野木参考人からもお話がございましたけれども、この春以降資金繰りが窮迫してまいりましたし……
  63. 平田耕一

    ○平田耕一君 放棄が入っていたか、入っていなかったか。
  64. 岡本弘昭

    参考人岡本弘昭君) 放棄は入っております。
  65. 平田耕一

    ○平田耕一君 当初から。
  66. 岡本弘昭

    参考人岡本弘昭君) はい、最初から。
  67. 平田耕一

    ○平田耕一君 もう一度同じようなことを聞くんですけれども日本リースさんは放棄ということを当初から再建計画に入れていた、あとの二社は入れていなかったということであります。  入れていない再建計画というのは、長銀さんの債務はどのような計画でございましたか。木村参考人中島参考人お答えいただきたいと思います。
  68. 木村榮二郎

    参考人木村榮二郎君) お答えいたします。  どのような債権であったかという御質問……
  69. 平田耕一

    ○平田耕一君 債務をどのように処理する計画であったのか。
  70. 木村榮二郎

    参考人木村榮二郎君) これは、私どもは先ほど御説明申し上げましたように不動産会社でございまして、ビルの賃貸事業がございまして、約十一万坪ぐらいございまして……
  71. 平田耕一

    ○平田耕一君 長銀の債務についてだけお答えください。
  72. 木村榮二郎

    参考人木村榮二郎君) 長銀の債務につきましては、金利は短期金利を適用していただいておりますし、これによりましてある程度きちっと収益を上げて繰り回していこうという考えでおりました。不動産事業というのは非常に時間がかかるものでございますから、ある程度時間をかけてビルのオキュパンシーを上げるだとか、また賃貸料の改善をお願いするとかいうことで、長銀の債務につきましてもきちっとあれしていけるというふうに考えておりました。  以上でございます。
  73. 中島省吾

    参考人中島省吾君) お答え申し上げます。  過去五年間に長銀からは千二百億の支援をもらっております。ですから、計画というよりは単年度でその都度御相談して支援をもらっていく、こういう形で進めてきたわけでございます。  以上でございます。
  74. 平田耕一

    ○平田耕一君 長銀の債務はそのままにしていくのか。
  75. 中島省吾

    参考人中島省吾君) 放棄してもらっております。収益支援という形でちょうだいしているわけでございます。
  76. 平田耕一

    ○平田耕一君 よくわからないです。
  77. 中島省吾

    参考人中島省吾君) 長銀から借りている債権を、元本を放棄してもらっているという、そういう形で支援してもらっている。
  78. 平田耕一

    ○平田耕一君 もう放棄していたわけですか、既に。それは幾らですか。
  79. 中島省吾

    参考人中島省吾君) 正確な形としては、支援金という形でございます。
  80. 平田耕一

    ○平田耕一君 済みません。時間がないものですから、たまにちょっとぞんざいな言葉で御無礼いたします。  エヌイーディーさんは長銀から幾ら借りているんですか。
  81. 中島省吾

    参考人中島省吾君) この六月末で千六百億借りております。
  82. 平田耕一

    ○平田耕一君 再建をしようというときに、その千六百億についてはどのような支援をいただく内容になっておりましたですか。
  83. 中島省吾

    参考人中島省吾君) 今回策定いたしました改善計画上ではその千六百億円については長銀から支援をもらう、こういう織り込み方になって、先ほどお答えしたのは、それより前につくった計画については織り込みをされていないということでございます。
  84. 平田耕一

    ○平田耕一君 再び、大野木参考人。そういうことにつきまして、債権放棄というのは大野木参考人長銀側から放棄ということなのか、三社から合わせてこれは放棄してくれということなのか。あるいは他行との取引にもかんがみて、相談をした上で、こことここは放棄だとか金利減免だとか、その辺の様子を、なかなか債権放棄というのは異常なんですね、ちょっと経緯があればお教えいただきたいと思うんです。
  85. 大野木克信

    参考人大野木克信君) お答え申し上げます。  三月時点までと今回行いましたこととちょっと私どもの回答で混同があったかと思いますけれども、いずれにしましても、この六月以降、七、八の時点ではやはり三社、抜本的な手を打たないと立ち行かなくなるという事態でありまして、それぞれ三社がそれなりの再建計画をつくってきた、こういうことでございます。  日本リースは、先ほど岡本社長から申し上げましたような形で、私どもに他行の一部債権放棄ということを前提債権放棄の依頼があったということです。  それから、ランディック、エヌイーディーでございますけれども、これにつきましては今後自力で業容を維持し、何とか自分で事業展開をしていく、そのために必要な措置として当行の債権放棄を依頼してきたわけでございまして、こういったことをベースに、他の取引金融機関には金利減免とか貸出残高の維持とか、そういうことをお願いして自力で生きていくということでございます。  私どもとしましては、やはりここでこの二社が万一の形になりますと、その関係している子会社、そこでの連鎖、この辺が非常に大きいと思いましたので承諾したわけでございます。
  86. 平田耕一

    ○平田耕一君 債権放棄質問の仕方というのは、衆議院議事録を見ましたけれども、また今までの経過からいきましても同じ答弁をいただいているんです。債権放棄について質問をするからなんだけれども、これは再建するに当たって別に放棄しなくても一部金利減免もあわせた元本の棚上げということは全然考えられないことなんですか。大野木参考人、いかがですか。
  87. 大野木克信

    参考人大野木克信君) この時点におきましての三社の抜本的な再建、このためにはやはり債権放棄が必要であり、得策であると判断した次第でございます。
  88. 平田耕一

    ○平田耕一君 そこに無理があるから国民みんな納得しないわけです、もう御承知ですけれどもね。普通の再建というのは、抜本処理策というのは、最大譲って元本棚上げ、金利は低利にして払うということなんですね。もうちょっと譲って、金利も減免、もう御承知、釈迦に説法なんですけれども。その辺の御検討なしに一気に債権放棄に行く。  普通、債権放棄は、反対なんですよ。我々が債権放棄しなさいしなさいと言いながら、逆に大野木参考人が、嫌だ嫌だ、債権放棄したくないというのが世間の常識なんです。こういう議論に入ってきてみんながちょっと錯覚を起こしているんだけれども、逆の議論をしているんで、まるで参議院のこの参考人質疑の場は下手をすると国民から全く乖離した議論になってしまっている。逆だという、そういう御認識はございますか、参考人
  89. 大野木克信

    参考人大野木克信君) 御指摘のとおり、債権放棄というのは本当に最後最後の判断であるべきことであるということは十分に認識しております。  ただ、こういうことをしなかった場合に起こる不測の事態、これが問題だと思っているわけです。
  90. 平田耕一

    ○平田耕一君 再建効果としては、元本棚上げ、金利減免を再建計画の間やるということと、三計におかれましては同じですね。債権放棄と全部棚上げたということと、再建計画の間だけとれば再建する会社経営者としては同じですね。岡本参考人、いかがですか。
  91. 岡本弘昭

    参考人岡本弘昭君) お答え申し上げます。  債権放棄をちょうだいすることによって、債権放棄益というのが出てまいりまして……
  92. 平田耕一

    ○平田耕一君 債権……
  93. 岡本弘昭

    参考人岡本弘昭君) 放棄益。私どもは益を受けるわけでございます。それをベースにしていろんな資産処理をやっていくことができるというぐあいに考えております。   以上でございます。
  94. 平田耕一

    ○平田耕一君 これは架空のものですよ。全く架空のものだと思いますね。それは議論のための議論の話で、後で冷静にお考えをいただきたいというふうに思っております。  これは、合併債権放棄と、それから公的資金の導入、公的資金の導入は私はまんざら反対するわけじゃないんですけれども合併債権放棄公的資金の導入、これを三つ一遍に言っているから全くおかしな議論になってしまうんで、債権放棄の部分をぜひともひとつみんなが納得できるように一時棚上げをやって、そしてわずか三年、五年で再建するんですから、株主のためにも顧客のためにもその利益を長い間かかってでも還元してもらおうという考え方が長銀経営者としての当然の考え方じゃないかと思うんですが、いかがでしょうか、大野木参考人
  95. 大野木克信

    参考人大野木克信君) 三社のある意味では相当追い込まれた状況、それからの立ち上げということの必要性、これはそれがすなわち長銀自身の信用力の回復、長銀自身のいわば生き抜きということにも関連してくるということでございましたものですから、あえてこの形をぎりぎりの選択としてさせていただいたということです。
  96. 平田耕一

    ○平田耕一君 いとも自然に私が長銀の頭取に質問をしてこの審議は進んでいるんです、こういう立場も逆転していますけれども。他三社と頭取も、こちら側が何とか債権放棄してくれと、大野木参考人は、いや、それはできないんだと。もしかしたら三年待ったら利益が返ってくる、少しでも還元される、そういうことを逸失するという取締役義務違反だとか、株主に対する利益の放棄だとか、いろんな形で損があるかもしれないこともあえてと。全く逆で、そんなに強く放棄を要請されていない、経営する側として、債権放棄益なんてこんなものは全然でたらめな話だと思いますけれども、逆の話。  本当に、そういう放棄してもらわなきゃならぬということではなくて、三社、子会社経営されてみえた方は非常に恥ずかしい思いでそういうことを言わなきゃならぬということは百も御承知で、譲っても棚上げたろうと思うんですが、大野木参考人がそこまで債権放棄にこだわられるというのは全く納得がいきません。  やっぱり公的資金注入というのはいろんなこと、これは関連会社でも何でもない、あなたの会社が出しているその情報公開誌にも何にも載っていない、要するに連結決算会社でないということなんだろうと思うんだけれども、そういう形でこういうことが起こるのであれば、そのすべての可能性のある会社に対して情報公開をしてもらわないと、公的資金はとても注入できないという状況になってしまいますから、よくお考えを賜りたいというふうに思っています。  それから、なぜ情報公開をしてもらわなきゃならないかということと、なぜ大野木参考人はそこまで債権放棄にこだわるかということをひとつ御質問申し上げます。  そんなに新しい話じゃありませんけれども、新井将敬議員が亡くなって、その前に私、蒲田駅ビルのことでいろんな話があるんだと、こういう話をちらっと聞いたことがあるわけですけれども、その駅ビルが現実に現大田区役所になる前に、KBKですか、ちょっと名前違っているかもわかりませんけれども、そういう会社長銀の出資もあって存在をした、現在も存在をするんじゃないかと思うんですが、それについて大野木参考人は御承知ですか。
  97. 大野木克信

    参考人大野木克信君) お答えします。  桃源社と取引のあることを、一件あるということだけは存じておりますが、済みません、詳細は存じておりませんので、失礼いたします。
  98. 平田耕一

    ○平田耕一君 ですから、桃源社に対しては、当初長銀は二百八十億の枠を設定していて、興銀が二百八十一億、きょうその興銀の黒田さんがそれにかかわる裁判でもって一時から裁判所に出廷されますんですよ、証人として。そういう問題もあるわけなんです。  そういう一連のことからして、やっぱりこういう公的資金を受ける際にはすべてのそういうことを断ち切っておきたいという思いから債権放棄をする。そして、これだけ債権放棄にこだわっていくというので、さっき一言あったんだけれども、他行の一部債権放棄というお言葉がありました。これはどこを指すのかということが非常にかぎになるんじゃないかなというふうに思うんですけれども、そういう絡みもあって何か今までおっしゃったこと以外に根本的に債権放棄をしなきゃならぬ理由があるのならお聞かせをいただきたいというふうに思います。
  99. 大野木克信

    参考人大野木克信君) 私が債権放棄について非常につたないまた御説明で申しわけなかったわけでございますけれども、今まで申し上げたこと以外は特にありませんと思います。
  100. 平田耕一

    ○平田耕一君 終わりますけれども、とてもこれは納得できることではないということはもう皆思っております。数ある経営者の中でも皆さんだけだろうと、債権放棄をここまでお進めになるのは、ということを申し上げまして、終わります。  ありがとうございました。(拍手)
  101. 江田五月

    ○江田五月君 民主党・新緑風会の江田五月です。参考人の皆さん、きょうは大変御苦労さまでございます。  自民党のお二人の方の質疑でもあれほど厳しいんですよね。これは本当に今やっぱり国民みんなが許せないという思いを持っているんですよ。ですから、与党の方でもどうしてもああいう質問になってくるんですね。  私は、もうかれこれ二十年近く、毎週月曜日の朝に、私の選挙区は岡山ですけれども、岡山の駅前で街頭演説をして、それから東京へ出てくるんです。この月曜日も街頭演説したんですけれども、車の上でやっていましたら、下で私のスタッフに対して初老の紳士が何か一生懸命どなっているんですよ。街頭演説をうるさいと言ってどなっているのかと思って、申しわけないなと思って下へおりたら違うんですよ。長銀を死刑にしろと一生懸命どなっているんです。私は死刑廃止論者だと言ったら、じゃ無期懲役にしろと。いや、本当にこれは笑い事じゃないので、庶民の怒り、国民の疑問、そういうものが今皆さんに向けられているということなんです。  大野木参考人、あなた自身の報酬やあるいはこれからおやめになるときの退職金のことや、あるいはこれまでの役員の方の退職金のことを今お話しになりましたね。与党の方からの鋭い質問があったんですが、それならば、自民党に対する政治献金もひとつ返してくれ、そのくらいのことをおっしゃったらどうかと思いますが、おっしゃいましたか。
  102. 大野木克信

    参考人大野木克信君) 従来、政治資金規正法の範囲の中で応分のことをさせていただいていたわけでございますが、少なくとも、こういう情勢でございますので、今年度につきましては御遠慮申し上げるということを今考えております。
  103. 江田五月

    ○江田五月君 また何か債権者と債務者といいますか、こちらとあちら、何か混同して、御遠慮申し上げるという話はないと思うんですがね。ちょっと嫌みな質問をして申しわけありませんが、つまり自民党の皆さんが幾ら鋭い質問をしてもそういう関係があるんですよ、国民はそこを忘れていないんですよということを申し上げたわけです。  私はきょうの質疑のあり方について一言ぜひ遺憾の意を表明しておきたいと思うんです。いろいろあったんですけれども、今は皆さんもう合併前提にしてお話をしておられるようですが、だけれども、本当に住友信託と合併できるのかどうかというのも、これも実は大変な問題だと思っておるんです。高橋社長にぜひ参考人で来ていただきたかったんですが、そしてまた同時に今の皆さんのそのお答えの表情、口調、そこまで含めて国民の皆さんにぜひ逐一テレビで見ていただきたかったんですが、そういう国民の知る権利というものをテレビの放映という形で実現できなかったというのは、私どもも含めてこれは力不足で反省をしておりますが、ぜひ今後この点は委員長におかれても努力をしていただきたいと思っております。  さて、今私ども民主党・新緑風会も、何か最近の政府・与党の長銀公的資金を新たに注入していくんだと、これを容認したとか合意したとか黙認したとかいろんな報道がされておりますが、そんなことは全くないんです。政府がみずからの責任長銀に再度公的資金を投入すること、これは政府がおやりになると言っているんですから、どうするのか知りませんが、それが可能であるのかどうか、あるいはそのことによって本当にこの危機が打開できるのかどうか、私たちはそのことも疑問に思っておりますが、決して容認とか黙認とかはしていない。  むしろ、これは反対であって許せないと思っておるので、昨日も私どもの緊急金融経済対策本部事務局長の伊藤英成さんの名前で長銀についての資本注入については反対である、容認、黙認したりするものではないという談話を出しておりますので、このことはここでまず明確に申し上げておきたい。  そうではなくて、私たちは、大変申しわけないけれども長銀は実質破綻状態にある、そのような長銀に十三兆の枠の中から公的資金を投入することはあってはならない、そのやり方は問題の抜本的処理を先送りするものでしかないと考えていまして、そうではなくて野党三会派提出の金融四法案をベースにしたスキームの中で、長銀問題を抜本的に処理することが我が国金融システムの再生のために最もよい方法だと考えておるんですが、前置きはちょっとそのくらいにしまして、大野木頭取に伺います。  宮澤大蔵大臣は国会答弁の中で、公的資金の投入がなければ長銀は破綻するんだ、こう言われておるんです。まあ言葉はいいですが、例えば八月二十七日の衆議院金融特で、「ここで長銀から公的資金の導入の申請があって、それをしなければ恐らく長銀というのはそこで破綻をいたさざるを得ないと思います、」、そういう言い方をされておられますが、これは大野木さんはどういうふうにお考えになりますか。
  104. 大野木克信

    参考人大野木克信君) お答えいたします。  今回の合理化策をいたしますと一応自己資本が予定どおりでございますと千五百七十億ぐらいになるということでございまして、これはある意味ではかなりの過少資本という形になります。この資本金、このレベルで今後三月に向けて業務運営していくということは、精いっぱい努力をしたいと思っておりますけれども、やはり確かに運営は苦しい運営をしなくてはいけないことになるのではないかと、その辺のことをおっしゃったのかなというふうな感がいたしております。
  105. 江田五月

    ○江田五月君 もう少しはっきりとお答えをここはいただきたい。なかなか答えづらいところだろうとは思いますけれども。  数字がいろいろあるんですけれども、数字の見方あるいは置き方。皆さん方からすれば、銀行が実際まだ生きている、動いている。動いているときの数字とそれからもうとまってしまったときの数字とはおのずと数字の置き方が違うから、だから、例えば株式にしても原価法と低価法がある。生きているときにもうとまってしまったときの計算の仕方の数字を置かれても困りますよと。だから、生きているときの数字を置けばこうなるんですよというそういうおっしゃり方で一生懸命数字を挙げてここまであるから大丈夫だとおっしゃるんですが、しかし、宮澤大蔵大臣は資本注入をしないと破綻するんだと言っているわけですよ。  それは、経営が苦しくなるということをそういう言い方でおっしゃったんだと思うということなんですか。それともそうじゃなくて、もうそこまで来てしまったらマーケットは見捨てる、そして、そうするととまった状態になる、そのときにとまった状態の数字を置いたらこれはもう債務超過になってしまう、そのことを宮澤さんは言っているんじゃないかと私は思うんですが、いかがですか。
  106. 大野木克信

    参考人大野木克信君) 今回の結果、やっぱりゴーイングコンサーンとしてかなり過少資本になるということだと思います。この過少資本で乗り切れるかどうかということがポイントだと思います。我々としては、やはりそこに公的資金を注入していただいて、そして合併にこぎつけていきたいということでお願いしているということでございます。  そういう状況にあるということで御理解いただければと思います。
  107. 江田五月

    ○江田五月君 あなたにとっては銀行の破綻という言葉はどういう意味にとらえられますか。
  108. 大野木克信

    参考人大野木克信君) 今の資本状況からいきますと、やはり破綻という、これはもう本当に仮定の話ですからお答えしにくいわけですけれども、やはり銀行としての支払い機能といったものができなくなる状況を破綻というということだろうと思います。  そんなことでよろしゅうございますか。
  109. 江田五月

    ○江田五月君 いや、よろしいかよろしくないかと私に聞かれても困るんだけれども。  まあ認定破綻とかあるいは申請破綻とかあるいは資金繰り破綻とか、債務超過になる、債務超過のおそれがある、あるいは債務超過になっていなくても資金繰りができなくて支払い停止になる、いろんな場合があるんでしょうが、破綻というのはもうそんなに漠然とした言葉じゃないんですね。どうも経営がなかなか苦しいとかいう話じゃなくて、そう漠然とした言葉じゃない。そのはっきりした言葉を宮澤大蔵大臣はおっしゃっているんですよ。  そうじゃないんだと言うんだったら、なぜ一体大蔵大臣に抗議とかなんとかされないんですか。
  110. 大野木克信

    参考人大野木克信君) 私どもとしては、やっぱり破綻ということはこれはもう絶対に避けなくてはいけないことでございますし、そのためにいろんな意味で努力をしているということでございます。そういう意味で、私どもの懸命な努力といったものをぜひ御理解いただければということで、御勘弁いただければと思います。
  111. 江田五月

    ○江田五月君 いや、苦しい気持ちはよくわかります。わかりますけれども資本注入というのは国民の金なんですよ。どこか、だれかに民間ベースでお金を融通してもらうという話じゃないんですよ。したがって、国民に明確にそこは説明をしなきゃいけない、国民の納得を得なきゃいけない。  今の金融安定化法で十三兆用意してある、そのお金から資本注入をするという、これは破綻した金融機関にはできないんですよ。そして、宮澤さんはもう資本注入しなきゃ破綻すると言っているんです。それで、あなた方はこれから資本注入の申請をされるんですよね。  これ、違法な申請をされるという認識はあるのかないのか。
  112. 大野木克信

    参考人大野木克信君) お答えいたします。  私ども、今度の公的資本の申請でございますけれども、やはり基本的には、破綻ということではなくて、「審査基準」の健全銀行に対する審査基準の二の一と申しますか、「申請金融機関等が内外金融市場において資金の調達をすることが極めて困難な状況に至ることとなる等により、我が国における金融の機能に著しい障害が生ずるおそれがある場合」、このことでございます。先ほど来資本が過少になっていろいろと業務の運営に苦労していると申しましたのは、このところを言いたかったということです。
  113. 江田五月

    ○江田五月君 そういうものを読んでいただいても、もうよくわかっているんです。それはどうでもいい。どうでもいいと言うといけませんけれども。そういうことじゃないんですよ。  あなた、三月に千七百六十六億資本注入を受けましたね。そのときにお出しになった「経営の健全性の確保のための計画」、いわゆる健全化計画、これはもちろん頭取ですからお読みになってお出しになったんでしょうね。,
  114. 大野木克信

    参考人大野木克信君) もちろん読みまして提出いたしました。
  115. 江田五月

    ○江田五月君 読まれて、これはこのとおりだとお思いになりましたか。それとも、いや上手に書いているなということですか、どうですか。
  116. 大野木克信

    参考人大野木克信君) 提出した時点では、まさに私ども、何と申しますか、真実を語り、それについての厳正な御審査を受けたということでございます。
  117. 江田五月

    ○江田五月君 私どもは、それは上手にいいところだけをとらえたらここまでなるほど言えるのかなということかと思いますが、随分いいことばかり書いていまして、何かもうトップクラスの銀行だと。しかし、今考えてみると、もうこのときから実態はこんなものではなかったんじゃないか、そして金融危機管理審査委員会の審査も実におざなりだったんじゃないか。そういうこともこれからちゃんと追及をしていかなきゃならぬと思っておるんですが、書かれていることと当時の実態とのこの落差、これを考えれば、今あなたがおっしゃっていること、今の長銀の実態とこれも相当開きがある、こう断ぜざるを得ないんです。国民は皆そのことを見ているし、マーケットも見ているんだと思いますよ、それははっきりと。  一つ二つ具体的なことをお伺いしたいですが、合併をされると、合併で住友信託の方は非分類の債権といいますか健全な債権しか引き受けないというようなことを言っているとか、そのあたりもこれから詰めなきゃいけませんが、金融債、これは住友信託の方は引き受けることになるんですか、ならないんですか。
  118. 大野木克信

    参考人大野木克信君) 金融債業務につきましては、いわゆる合転法というのが、合併転換促進法でございましょうか、あの法律に基づきまして当分の間ということでございますが、これは事実上かなり長期間にわたって金融債発行業務は承継できるというふうに考えております。
  119. 江田五月

    ○江田五月君 合併ということで住友信託が金融債発行業務あるいは既に出してある金融債も引き受けてその償還をしていくとか、そういう業務をやっていくと。しかし、住友信託は合併等と、こう常に言っていまして、全部そういうものも含めて合併で引き受けるかどうかということは、実は余りはっきり言っていないんじゃないかという気もするんです。  いずれにしてもその金融債ですが、これは預金保険法によって保険の中で保障されているという認識ですか、そうではないんですか。
  120. 大野木克信

    参考人大野木克信君) 厳密な預金保険法の対象、私詳しくは、言葉が正確じゃないかもしれませんけれども、千万円までは保護する、こういうのがございましたと思います。それじゃなくて、預金法の改正で附則がございまして、たしか二〇〇一年までのペイオフというものについての特則みたいなものがあったと思うのでございます、そこの対象ではないかというふうに考えておりますが。
  121. 江田五月

    ○江田五月君 もう一つ金融債については保険料はお払いになっていますか、なっていないんですか。
  122. 大野木克信

    参考人大野木克信君) 金融債については払っておりません。
  123. 江田五月

    ○江田五月君 保険料を払っていないものが保険でカバーされるというのは常識だと思いますか。
  124. 大野木克信

    参考人大野木克信君) お答え申し上げます。  あくまでこれは二〇〇一年までの特則で、千万円を超えるものまでもカバーするとか、そういうものの範疇ではないかと理解しておりますが。
  125. 江田五月

    ○江田五月君 保険でカバーされるものは、保険料を払っていてそれでカバーされる。それで足りないところはどうするこうするという手当てはするんですけれども、あなたが今おっしゃっている預金保険法の附則十六条というのは資金援助というものであって、これは金融機関が破綻して、そして破綻金融機関と救済金融機関合併する、そういうときに足らざるところをそれこそ国民のお金で資金援助をして何とか救済していこう、そういう規定で、そこでは確かに金融債もカバーされると。しかし、それはそういうケースを想定しているんですね。  ところが、あなた方がお出しになったこの新聞の広告、ここにあるんですけれどもごらんになりますか。いいですか委員長、ちょっと見せて。(資料を示す)
  126. 坂野重信

    委員長坂野重信君) どうぞ。
  127. 江田五月

    ○江田五月君 これはコピーなんですけれども、ことしの六月二十三日にある新聞の朝刊で、「そしてワリチョー、年〇・六〇三%。」と非常に宣伝をされておるわけです。そこに「金融債も預金と同様に全額保護される仕組みができています。」と書いてあるんです。これは御存じですか。
  128. 大野木克信

    参考人大野木克信君) 事後的にちょっと聞きましてチェックいたしました。
  129. 江田五月

    ○江田五月君 合併の発表をされたのは六月二十六日ですか、この新聞広告が出ているのは二十三日なんですね。破綻して合併するというようなことになるときには確かに預金保険法附則の十六条、これが働くでしょうけれども、このときはまだそんなことを考えて、いたんですかね、ひょっとしたら。
  130. 大野木克信

    参考人大野木克信君) たしか合併の発表時点でも申し上げたかと思いますが、二十六日に合併を検討するということで合意したと。その発表の一週間ぐらい前に正式に合併検討についての申し込みはいたしました。
  131. 江田五月

    ○江田五月君 私が問題にしているのは、そうじゃなくて、金融債も預金と同様に全額保護される仕組みができていると、国民の皆さんにこういう広告をして、そしてワリチョー応募を求めておる。しかし、その仕組みというのはどういう仕組みだと。保険料を払ってちゃんと保護されるような、全然そういう仕組みじゃないんですよ。  国民のお金もあなた方の経営の中で使っていくお金も、頭の中で一緒になっているんじゃないですか。
  132. 大野木克信

    参考人大野木克信君) 確かに今の点は、預金保険法の附則の仕組みについての記載をしたつもりだつたというふうに聞いておりますけれども、やはり不適切であったと思いまして、すぐその広告は取りやめにいたしました。申しわけございませんでした。
  133. 江田五月

    ○江田五月君 不適切というよりも、もっと根本的な何か頭の切りかえをしていただかなきゃならぬという問題だと私は思うんです。  さらに、日本ランディック長銀からの債務が今年の三月から七月にかけて随分ふえていますね。(パネルを示す)三月が八百二十九億円から七月には一千六十三億、二百三十四億もふえている。これは、日本ランディック木村さん、どうしてですか。
  134. 木村榮二郎

    参考人木村榮二郎君) お答え申し上げます。  私、先ほど申し上げましたように、我が社の資金でございますが、他行約四十行、農林系統の単位の共済を入れますと八十行になるわけでございますが、借り入れておりまして、そういう他のお取引金融機関からの、相当こういう、我が業界は不動産業界ということもありますし、また長銀の信用力の問題もございまして、返済の御要請を非常に強く受けまして、そのあたりの資金を長銀に依頼いたしまして貸し出しを受けたものでございます。  以上でございます。
  135. 江田五月

    ○江田五月君 そういうことなんですね。  大野木さん、既に八百二十九億も貸している日本ランディックに、これはどうなんですか、どんどん追い貸ししていけばそのうち日本ランディックが立ち直ると思ってわずか四カ月で二百三十四億も追い貸しをしたということなんですかね。
  136. 大野木克信

    参考人大野木克信君) その時点でランディックに今御指摘のございました融資をしない場合には、やはりランディックの資金繰り倒産といったものが予想されたものでございますので、やはりそういう意味で支援したということでございます。
  137. 江田五月

    ○江田五月君 いや、これはここ一つだけなんで、私はほかにもいっぱいそういうことがあるんだと思うんですが、この一つを例にとってみても、けさの朝日新聞だと、頭取代行ですか、鈴木恒男さんが登場しておられて、そこでも、他の金融機関融資を引き揚げたり、担保を積み増すなどして、資金調達が困難になったからだと。  つまり、どういうことかというと、日本ランディックがいっぱいいろんな銀行から、あるいは銀行だけじゃないでしょう、さまざまな金融機関からお金を借りていらっしゃる、今何行かおっしゃいましたね。そういうほかの金融機関の債務を長銀が肩がわりしているんですね。そういうことになるんでしょう。どんどん幾らでも長銀はほかの金融機関の債務を肩がわりして自分のところで全部抱えて、そして債権放棄、そして国民の税金をつぎ込む。それはわかっていらっしゃったんですか、どうなんですか。
  138. 大野木克信

    参考人大野木克信君) やはりその時点におきましては、ランディックから資金繰りが非常に苦しいということで、やはりメーンバンクとしてここは助けなくちゃいけないということで融資をしたということでございます。
  139. 江田五月

    ○江田五月君 いやいや、それは通り一遍の説明はそうなんですよ。だけれども、今申し上げた意味はわかりますか。ほかの銀行がいっぱいあって、それが日本ランディックに貸し込んでいる。それを全部長銀が引き受けて、全部かどうか、まだまだいっぱいあるのかもしれません、引き受けておいて、そして債権放棄をして、そこへ公的資金を入れると。そういうことを全部あなた方が仕組んでおられるとしたら、これは特別背任か何か。どう思われますか。
  140. 大野木克信

    参考人大野木克信君) 申しわけございませんけれども、やはりこの四月、五月、この時点では、一応三月以降ランディックの自力の立ち直りといったものを期待して、ただ他行からの引き揚げもあったことは事実でございますから、その辺を銀行として見たということでございます。
  141. 江田五月

    ○江田五月君 これそれだけじゃないんですよ、やはりそういう、いっぱいほかにもあるはずなんですよ。  きょうは、我々参議院の方の金融特別委員会の冒頭で参考人の皆さんに来ていただいてこういう質問をしているんですけれども、皆さんもう少し、どうでしょうね、それは銀行経営のことですから、普通に進んでいるときは余り何もかにも全部明らかにというわけになかなかいかないところあるでしょう。しかし、今公的資金を注入してくれと。これは申請はもちろんされるんでしょうね。そのことは聞かなくても当然だと思いますけれども、そういう公的資金をこれから注入をしてくださいと、そういうときに、今のような通り一遍の説明で国民のお金を入れてくださいというのをなぜ一体言えるか。  私は、やっぱりここは相当皆さんに説明をして、説明をしていただけばいただくほど、これはやっぱり無理だと、今の安定化法のもとでも違法な注入になる、そういうことが明らかになっていくと思いますけれども、今後私どもの方で小委員会もつくって、次に質問します簗瀬さんが小委員長調査をしてまいりますが、皆さん方もさらに出てきていただかなければならないし、それからさらにまたさまざまな資料などもちゃんと出していただかなきゃならぬ。銀行業務の特殊性ゆえ勘弁してくださいということは許せる話ではないと思いますが、そういうことをお約束願えますか。お約束いただけますか。
  142. 大野木克信

    参考人大野木克信君) 確かに公的資金の投入ということは、まことに、国民の皆様方の御負担をお願いすることでございます。江田先生のおっしゃられたことに対しましては、できる限り御協力させていただきたいと思っております。
  143. 江田五月

    ○江田五月君 先ほども聞いていまして、例えば日本リースにしても、取引先が何万もある、関係銀行が百幾つかあると。そして、それを破綻させるよりも債権放棄で救済していく方が長銀にとってもロスが少ないと。長銀にとってロスが少ないという話と国民の金を入れるという話は違うんですよ。しかも皆さん、じゃ、日本リースがそういう破綻をしたら、まさか日本リースが破綻したらシステミックリスクになってしまうなどということをおっしゃるんじゃないと思いますが、本当にこれは国民は怒りを持って今見ているわけで、そういうことを肝に銘じていただきたい。  次の簗瀬議員の質問にかわります。(拍手)
  144. 簗瀬進

    ○簗瀬進君 それでは、私の方から質問をさせていただきたいと思います。  衆議院から参議院へと舞台は移ってまいりましたけれども、私、共通して気になる論調がございます。それは、大野木参考人のお言葉の中に、六月になってすべてが変わったような、そういう説明の仕方が頻繁に出てくるんですね。確かに六月になって長銀株価は大変下がってくるということでございまして、確かに六月というのは長銀にとってもターニングポイントであったかもしれません。ただ、そのお言葉の中に、すべてをマーケットに責任を転嫁しているんじゃないのか。六月になって一部投機筋が長銀に対して仕掛けをしたから、うまいぐあいに経営再建をしようと思っていたのが大とんざを来した、こういうふうな御認識がうかがわれるんです。  はっきりと言うとそれは誤りです。市場は、まさに長銀の実態を知っているから敏感に反応しているわけであって、長銀市場によって追い詰められたわけではないんですよ。その起承転結といいますか、因果関係を全然逆転をし、聞きようによっては何か長銀市場の犠牲者になったのではないのかな、こういうふうな印象すら受ける。まさにそういう感覚だからこそ長銀が現在の危機を迎えているのではないのか。護送船団方式の中で生まれてきた、自分たちは正しくてマーケットに超然としているといったそういう感覚が現在の長銀の危機を呼んだのではないのかなと思っておるんですけれども、いかがですか、御感想は。
  145. 大野木克信

    参考人大野木克信君) 先生の御指摘は、まさに私ども反省しなくちゃいけない点であろうと思っております。  マーケットが六月に激変したということは事実でございますけれども、例えばグループ会社不良債権処理のテンポの考え方とか収益体制をつくって時間をかけてとか、こういうやっぱり考え方の甘さといったものがマーケットにつかれたという点は否めなかったことじゃないかというふうには思っております。  以上でございます。
  146. 簗瀬進

    ○簗瀬進君 先ほども自民党の塩崎議員からお話があったように、土地が六月になって急激に下がったわけじゃないんですよ。担保価値は急激に六月で低下したわけではないんです。そういう意味ではまさにお得意のゴーイングコンサーンは続いているんですよ。まさにそういう意味では、例えば先ほどお言葉の中にあった日本ランディック、追い貸しをしなければ資金繰り倒産の危険があったというようなことを御自身のお言葉の中ではっきりとお認めになった。  しかも、衆議院金融特の方で提出をされました日本ランディックのいろんな資料がございますけれども、ランディックの経営が悪くなったというのはもう三年ぐらい前からじゃないですか。例えば当期利益というのは、例えば平成六年は一億八千三百万、平成七年でちょっと上がりました、二億三千九百万。ところが、二億三千九百万円の当期利益が平成八年度では五千三百万円に、四分の一まで減ってしまう。それから、平成九年度は三千百万円ですよ。さらに下がる。こういうふうなもう二年越し、三年越しにランディックの危機はあったじゃないですか。六月に変わったんじゃない。これどう思いますか。
  147. 大野木克信

    参考人大野木克信君) 先生おっしゃいましたランディック自身の問題ということはっとに認識しておりまして、それゆえにことしの三月期までにランディックに対してかなりの支援をし、その支援をした結果としてこの四月からは立ち直って自力でいけるんじゃないかというふうに思ってやったわけでございます。  ですから、ランディックに対する意識というのは急に出てきたわけじゃなくて、その前からあり、三月までにある程度の支援は続けて、これならばというふうに思った。これがやはり今から思えば見方としては甘かったという御指摘だろうと思います。  以上です。
  148. 簗瀬進

    ○簗瀬進君 質問を次に移させていただきまして、衆議院から本院に至る間にシステミッククライシスといいますか、システムの危機ということが長銀をめぐってよく言われました。長銀を破綻させてしまうとシステムの危機がやってくるんだ、こういうふうなお話でございますけれども、私はどうもその言葉、信じられないんです。衆議院の方で提出をされました「特別委員会殿」という名前である、これは長期信用銀行が出されたものでございますけれども、この中に「貸出シェアがそれぞれ次のシェアである貸出先数」というのがあります。言うならばメーンバンクの数、長銀メーンバンク率といいますか、そういうことに連なってくるような数字がございます。  まず、システミッククライシスというふうに言った場合に、国内的なクライシスの方を考えてみようと。言うならば預金者は守られています。借り手がどうなるのかということです。借り手が、例えば長銀が急激に破綻をするという形になると、善良な借り手が次の資金繰りの相手方が見つからないという形で倒れていくという、これが言うならば危機と言われている実態だと思います、システミッククライシス、国内版です。  それで見たときに、この資料からいいますと、例えば貸し出しシェアが五〇%以上、言うならば長銀メーンバンクになっているのが四百四十四で、二五%以上五〇%未満という非メーンというのが五百六十四ということであるんです。だからメーンバンクの率から言えば、実体経済に及ぼしている、長銀メーンバンクというよりもサブの位置づけの方が多いんじゃないのか。そしてメーンバンクになっているのは、先ほど言ったように、言うならば不動産融資のためにつくったあなたの関連会社メーンバンクなんだ。それ以外は違うじゃないですか。この点、どう思いますか。
  149. 大野木克信

    参考人大野木克信君) 確かに、私どもメーンよりもサブの方が多いということは事実であります。ただ、相対的に少ないメーンの中にも必ずしも関係会社ばかりではなくて、一般の事業会社も相当数あることは事実でございます。
  150. 簗瀬進

    ○簗瀬進君 まさに今お認めになったようにメーンの数は少ない。ということは、善良な借り手が迷惑をかけられるというのはそんなに多くはないということですよ。また、ほかにかわり得る代替の銀行というようなものも当然あり得る、私はこのように判断します。  それからその次に、国際的なクライシスということでよく言われておりますデリバティブ。デリバティブについて、「有価証券報告書」、頭取、これ長銀のものですね。ここに、六十五ページ以下に「取引の時価等に関する事項」というようなものが出てきております。長銀のデリバティブ、売り建てと買い建てがあったり私も細かいことはなかなかわからないんですけれども、現在はかなり優秀な成績をおさめているというふうなお話を聞くんですけれども、いかがですか。
  151. 大野木克信

    参考人大野木克信君) デリバティブの前に言だけちょっと先ほどの補完をさせていただきたいと思いますが、メーンバンク、確かに大企業にしては少ないんですけれども、中堅企業中小企業、これはやはり八百社ぐらいございます。ここのところが一つ気になるところでございます。  それから、デリバティブでございますけれども、今縮小してたしか四十兆ぐらいまでの規模にしておりますけれども、何と申しますか、その九割ぐらいを顧客からの需要に応じて、それをベースにしてマーケットにつないでいるという形で行って、きちんとやっていると。
  152. 簗瀬進

    ○簗瀬進君 成績はどうなんですか。
  153. 大野木克信

    参考人大野木克信君) 非常にマクロの話でございますけれども、お客様のヘッジをマーケットでつなぐということをしていまして、自身のトレーディング、ここが成績が問われると思いますが、これはほとんどやっておりません。一割にも達していないという状況になっております。
  154. 簗瀬進

    ○簗瀬進君 デリバティブ、よく言われるんですけれども、名目として言われている四十兆、例えば国内でいいますと東京三菱銀行が一番多くて五百兆円を超えるとかという話があるんだけれども、実際はその決済をする段階になってまいりますと、四十兆だとは言われてもその一%ぐらいの金額で決済が行われるという話を聞くんです。という形になりますと、デリバティブで四十兆とはいっても、四十兆の迷惑を世界にかけるというよりも、実際その決済の部分で行われる一%の部分で言うならば混乱が起きる、このように見た方が正しいんではないのかなと思うんですが、いかがですか。
  155. 大野木克信

    参考人大野木克信君) 私もデリバティブの専門ではございませんし、素人のあれでございますけれども、まず、デリバティブの世界が始まってからやはりこういうような清算したということは過去において実績がないものですから、どういう形が起こるかというのは何とも予測できないのでございます。  ただ、確かにネッティングしますと先生のおっしゃいましたように非常に小さくなる。ただ、このネッティングだけですべてが終わるかということじゃなくて、やっぱり改めて契約の相手を探してやっていく。お客様から見れば長銀にヘッジしたつもりがなくなつちゃうと。そうすると、やっぱり同じ取引をもう一回ほかのどこかとっくり直していくというようなことが相当行われるんじゃないか。そうしますと、必ずしもこれはネッティングの世界だけで割り切れるものじゃないんじゃないかなという気がします。
  156. 簗瀬進

    ○簗瀬進君 デリバティブの場合は、例えば先ほどの四十兆というのを想定元本と言い、今の決済の場合をネッティングの話というようなことになるわけで、一般的にその辺が知られていない部分がありまして、やたらとシステミッククライシスというようなものが虚像化してひとり歩きしているような感じがする。私は、そういう意味では、今のお話の中で、政府がよく説明の中でお使いになる長銀破綻の際のシステミッククライシスというのは、かなり誇大妄想的な部分があるんじゃないのかなということを強調させていただきたいと思います。  その次の質問に移ります。  モラルハザード、倫理観の欠如。バブルの中で知らず知らずの中に、皆さんが悪いことをやろうと思ってやったわけじゃないけれども、結果的にはいわゆる金融の常識が麻痺されていく、その中でモラルハザードに陥っていくというのがよくあるわけです。  例えば今回の退職金、杉浦さんを初めとする皆さんの退職金についてはそれが典型的にあらわれているので、ついでにこれは聞かせていただきたいと思うんですけれども、やはりこれも衆議院において我が党が請求をして出てきた資料の中に書いてありますが、実は杉浦さんが退職をなさったのは九二年六月、そのときに九億三千万円の退職金が払われていますけれども、何とその後も、取締役退任後も杉浦さんに対していろんなお金を支払っているという記事が出ているんですね。九二年七月から九八年三月まで報酬という名目で一億五千五十万円、それから九二年七月から九五年六月まで賞与という名目で一千五百万円、これ一体何ですか、中身は。
  157. 大野木克信

    参考人大野木克信君) 杉浦相談役と申しますか、取締役を退任された後、相談役あるいは顧問として、ちょっと期間はよく覚えておりませんけれども、相当期間在任されたわけでございます。  この相談役、顧問というのは一応各行ともある制度で、私どもは最近これを廃止いたしましたけれども、いずれにしても今となれば確かに御指摘のようなことだろうということでまことに反省しているところでございますが、当時としてはそういう相談役、顧問にそれなりの報酬をお出ししていたということが今の数字だと思います。
  158. 簗瀬進

    ○簗瀬進君 まさにバブルの失敗の原因をつくった最高責任者ですよ。しかも、九二年七月、もうバブルがはじけて相当皆さんが経営にお苦しみになっているそういうときに、例えば報酬だけで、相談役でも、これは一億五千万を六年で割れば数字が出るように、年間二千五百万円ぐらいの報酬を払っているわけですね。  そういうふうな感覚がまさにバブルのときに狂ってしまった、その名残といいますか、まさに反省のなさというふうなもの、バブルの本質というようなものの失敗を痛切に感じていないからこういうことになるんではないのかな、私はそのように思うわけであります。  それから、その次の質問に移らせていただきますけれども、これは皆さんからの質問の中にもございますが、住友信託との合併長銀側としてはこれはもう決まり切った所与の前提であると、このような感覚でいられるようであります。  私、試みに住信のホームページを開いてみました。  そうすると、例えば九八年六月二十六日付の「ニュースリリース」というのがこれは「新着情報コーナー」という住信のホームページに出ております。そこの記載を読んでみますと、「日本長期信用銀行合併することについて、検討に入ることを決定いたしました。」。それから、七月十七日付で「合併検討に関する特別チームの発足について」というのが出ています。それで見ますと、「長銀合併に当って継承する正常債権の精査等のデュー・ディリジェンス」、最近出てきている言葉ですけれども、「(重要事実把握のための事前調査)について、弁護士・公認会計士等の専門家で構成する特別チームを設置します。」、こういうふうに記事が入っておりまして、そこでも検討をするということで、検討をするというところまでは住信は言っているんですよ。  もう合併委員会をおつくりになっていろんな議論をなさっていると思うんですけれども、まず現在までの合併委員会の進捗状況、何回ぐらいどの程度の内容の会合をやったのかということをちょっと手短に答えてください。
  159. 大野木克信

    参考人大野木克信君) 御指摘のとおり、現時点では検討段階で、これからデューデリとかそういったことを踏まえて基本合意に持っていくと、こういう段階でございます。  それで、現在に至るまででございますけれども、これはかなり頻度を高くしてやっておりますが、基本的にはまだデューデリとかそういったことを踏まえてのことでございますので、やはり相互の過去における経営のあり方とかそれから歴史とか、そういう何と申しますかソフトの部分の相互の理解を深めていくということと、それからやはりこの三社を中心とする資産の中身の問題とか、そういったことについての、いわばかなりある意味ではインフォーマルな打ち合わせというのが中心になっているということでございます。
  160. 簗瀬進

    ○簗瀬進君 一番のポイントは、どうも両行の合意がしっかりとできていない部分があるんじゃないのか。いわゆる引き継ぐべきとされている正常債権、ここにも、いわゆるデューデリジェンスというのはまさに正常債権を精査するために住信側が調査をしっかりとする、しかも、それも外国の会計監査法人とか日本の渉外事務所とか、そういうところを使って実に外部的にしっかりとやる、そういうふうな内容になっているわけですね。  ここに言う正常債権ということについて、両行の側でしっかりとした内容の合意はできているんですか。
  161. 大野木克信

    参考人大野木克信君) お答え申し上げます。  内容の合意につきましては、これから金融監督庁の検査、それからまさに今先生の御指摘いただきました先方のデューデリジェンス、こういったものを受けて基本的には両者で相談して決めていくということですから、これからの話でございます。
  162. 簗瀬進

    ○簗瀬進君 ということは、場合によっては住信側も合併をしないという結論に達する可能性もあるということですか。
  163. 大野木克信

    参考人大野木克信君) 私としましては、今申し上げましたようなプロセスを通じて合併に向かっていくというふうに信じております。
  164. 簗瀬進

    ○簗瀬進君 お答えがなかったということで、その可能性もあるということを御示唆なさったものと私は理解をさせていただきます。  その上で、その次に私は、これは国民のお金を千七百六十六億円、三月に入れたわけですね。そのときの、ここに特別委員会へ提出された健全性の確保のための計画書の中に、優先株についてこう書いてあるわけです。配当は「収益計画に基づき年度配当利益は十分に確保」。これは三月の言葉です。  ところが、その後、八月二十一日に出されたいわゆる経営改善策の実施について、そこにその部分で簡単にこう書いてある、「普通株・優先株ともに無配とさせていただきます。」と。三月に「配当利益は十分に確保」、こういう計画書を出しておきながら、もうその五カ月後には「ともに無配とさせていただきます。」と。  しかも、これは国民のお金を入れたそれに対する配当ですから、まさにそういうことを再建計画の中で憶面もなくぺろっと言ってくる。まさにこれは国民に対する背信行為です。しかも、そうせざるを得ないような会社状況というのは、まさに無配という状況の中で実質破綻を御自身でお認めになっているんじゃないんですか。いかがですか。
  165. 大野木克信

    参考人大野木克信君) 三月に入れていただきました公的資金、この優先株につきまして無配とせざるを得なかったということについては、本当に申しわけなく、心からおわびする次第でございます。
  166. 簗瀬進

    ○簗瀬進君 実態認識を聞いているんです。
  167. 大野木克信

    参考人大野木克信君) 実態としましては、やはり今回の七千五百億の処理でとりあえず九八年九月の決算に向けて走り、その後、できましたら金融システムの混乱を除くというような趣旨からもこの過少資本を救っていただければと、こういうふうに今願っているということでございます。
  168. 簗瀬進

    ○簗瀬進君 債権放棄のことについて移ります。  まず、冒頭聞かなければならないのは、これは塩崎さんからもいろんな御指摘がありました。まさに、今回の債権放棄というのは全くこれは納得がいかないといいますか、これは是認できないです。適法でもないし、当然妥当性も欠いている、私はそう思わざるを得ない。  ちょっと時間がなくなってきたので非常に残念なんですけれども、まず冒頭聞かなきゃならないのは、三月期で自己資本が七千八百億円しかないところに五千二百億円もの債権放棄をやる、そして足りなくなったから資金注入をしてくれと、こういうふうな感覚、認められると思いますか。まさに、これはみずから破綻を認めている、そして資金注入なしてはやっていけないということの宣明なんじゃないのかなと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  169. 大野木克信

    参考人大野木克信君) 今回の三社に対する五千二百億の債権放棄というものが確かに私ども合理化策の結果として過少資本になっていったということは御指摘のとおりでございます。  ただ、六月末から七、八にかけての状況からいたしますと、やはり三社を、それぞれ別々の要因でございますけれども、こういった形で再建策を持ってきたわけでございますが、それをぎりぎりのところで受け入れていかないと、これは三社もそうでございますし、それといわば事実的にリンクした信用の連鎖の関係ということで当行自身も非常にこの信用回復に懸念が生じてくるというようなことで、まことに申しわけございませんがこういうふうにさせていただいたということでございます。
  170. 簗瀬進

    ○簗瀬進君 申しわけないでは済まないんですよ、本当に。それは国民の公的資金がそこに入るわけですから。私たちに申しわけないじゃなくて、国民に申しわけないという、こういう感覚を持ってもらわなきゃ困るんです。  それで、有価証券報告書の中に担保が出ています。それで、「貸出金の担保別内訳」で、土地建物がここでは二兆一千億円担保にとっている、これは全部の話。それから債権の方で二兆一千五百九十億と、こういうふうな担保の明細がそちらから提出された有価証券報告書の中にあるんです。  そこにいらっしゃっているリース、ランディック、エヌイーディーのこの三社に対して、それぞれの債権に対して担保がどうなっているのか、そしてその担保について、債権放棄について、債権放棄をされた後その担保はどうなるのか、もしこの担保をいいかげんにするんだったら、まさにそれは株主の利益も損なうわけです。どうですか、数字を教えてください。
  171. 大野木克信

    参考人大野木克信君) 担保でございますが、エヌイーディー日本ランディックについてはたしか担保留保だったと思います。それから日本リースにつきましては、長期資金につきましてリース債権の譲渡予約という形の担保だったと思います。
  172. 簗瀬進

    ○簗瀬進君 担保でカバーされている率はどれくらいですか。
  173. 大野木克信

    参考人大野木克信君) 日本リースの長期貸し出しにつきましては……ちょっと失礼します。
  174. 岡本弘昭

    参考人岡本弘昭君) お答え申し上げます。  私どもは二千五百五十七億日本長期信用銀行からお借り入れしておりますけれども、平均的に約六割が長期資金でございますので、多分長銀の場合も六割だと思います。その分につきましてはリース債権の譲渡予約という格好で、リース債権を担保に入れております。  以上でございます。
  175. 簗瀬進

    ○簗瀬進君 時間がなくなりましたのでもう質問はこれ以上できませんけれども、とにかく今お話にあったように、担保もしっかりとカバーされているということであるならば、まずは放棄をする前にしっかりと回収する努力をするというのはこれは当たり前のことです。その努力を棚上げにして早速国民の公的資金注入をお願いしたいというのは、これは通らない話であります。  それからまた、先ほど来ランディックの例が出ておりますけれども、ランディックの場合はもう七月の時点で資金ショートで倒産と。そういうようなものにさらに国民のお金が原資になった債権放棄をする、それによって救済をすることはできるんでしょうか。これは単なる先送りだけ、あるいは住信の合併を目前にして長銀の内容を少しでもよくしようという厚化粧直しなんですよ。それを私たちはやっぱり許すわけにはいかない。今後はいろいろと小委員会でさらに突っ込んだ調査をさせていただきたいと思います。  以上でございます。ありがとうございました。(拍手)
  176. 岡本弘昭

    参考人岡本弘昭君) ちょっと一言。今数字をちょっと逆に申し上げました。
  177. 坂野重信

    委員長坂野重信君) 簡単に。
  178. 岡本弘昭

    参考人岡本弘昭君) 長銀からの借り入れ二千五百五十七億で、長期が約七百で残りが短期でございます。ちょっと数字を逆に申し上げましたので。済みませんでした。
  179. 坂野重信

    委員長坂野重信君) 午前の質疑はこの程度といたします。  午後一時に再開することとし、休憩いたします。    正午休憩      ―――――・―――――    午後一時開会
  180. 坂野重信

    委員長坂野重信君) ただいまから金融問題及び経済活性化に関する特別委員会を再開いたします。  委員の異動について御報告いたします。  本日、福山哲郎君が委員辞任され、その補欠として小川勝也君が選任されました。     ―――――――――――――
  181. 坂野重信

    委員長坂野重信君) 休憩前に引き続き、金融問題及び経済活性化に関する調査のうち、日本長期信用銀行等不良債権問題に関する件を議題とし、参考人に対する質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  182. 益田洋介

    ○益田洋介君 大変お忙しい中、四人の参考人方々、御苦労さまでございます。  長銀は、ことし二月に成立いたしました金融安定化法のもとで、健全行として、三月末に千八百億円の公的資金の注入を受けたわけでございます。七月には株価が額面割れしまして、そして八月十一日には三十七円まで下げた。実に、三月末に長銀と同様に公的資金の注入を受けた銀行は二十行、合計で二十一行、金額にして一兆八千億円公的資金を注入して、その後半年もたたないうちに長期信用銀行は再び五千億以上の、七千五百億とも今言われておりますが、公的資金を必要とする状況であって、私はこの三月に認定した、健全行であるとした政府と金融機関のまやかしが今露呈されたのではないかという印象を強く持っております。旧来の護送船団方式が全く変わっていない、それが日本の今の金融界の現状である、政府との癒着である、そのように考えますが、大野木参考人の御意見を伺いたいと思います。
  183. 大野木克信

    参考人大野木克信君) お答え申し上げます。  ただいま益田先生の御指摘のとおりの事態になっておりまして、この点につきましてまず心からおわびしたいと思います。  ただ、三月の時点でございますけれども、やはり三月の決算は、一応適法な決算をいたしましてそれなりの決算をいたしているわけでございますが、そういった点から見まして、三月の時点では関係会社状況も含めて一応申請の基準に合うものとして審査委員会に申請をし、その審査を経て御承認を得たということでございます。  この八月に至るまでの経緯は、特に先ほど来申しているように、私どもグループを含めた不稼働資産処理のテンポの遅さ、この辺をつかれましてこういう状況になりました。これに伴う金融システムの不安を除去すべく今リストラ計画を出させていただいて、これから御審議いただいていると、こういう状況でございます。  以上でございます。
  184. 益田洋介

    ○益田洋介君 非常に長銀の場合は不透明な部分が多くて、先ほど来議論されているように、当然これは国民が納得できるような状況ではないと私は考えます。特に、私は、長銀及び関連ノンバンクが持っている関連企業経営状態、また財務状態が全く明らかにされていない、この点を明確にするのがまず先決である、私はそのように強く主張するものでございます。  例えば、関連ノンバンク三社の共同出資による新橋総合開発、日比谷総合開発、有楽町総合開発というのは、ある民間シンクタンクの調査結果によると、それぞれ九四年、九五年に設立された不良債権の受け皿会社であるとされているが、この点はいかがですか。そういう認識でよろしいですか。
  185. 大野木克信

    参考人大野木克信君) 先生のただいま御指摘になった会社は、設立の経緯はそのとおりでございます。そして、いろいろな債権債務の入りまじっているそういったものから、汚染から物件を守り、それを純粋化し、そして活性化し、そしてより物件の価値を高めていこうという、そういう目的のために設立されたものと聞いております。
  186. 益田洋介

    ○益田洋介君 この三社はそれぞれ港区新橋三丁目一番地十一というビルの中に入っている。実態はわからない。私は、この三社が引き受けた負債、不良債権、そうしたものの件名とそれぞれの引き受けた金額の一覧表を当委員会に提出していただきたい。いかがでしょうか。
  187. 大野木克信

    参考人大野木克信君) それぞれ独立した個別の企業でございます。財務内容はそれぞれの業種に応じた内容の報告がなされているかと思います。その辺は取り寄せまして御報告申し上げたいと思っております。  以上でございます。
  188. 益田洋介

    ○益田洋介君 提出できるんだね、じゃ。
  189. 大野木克信

    参考人大野木克信君) それぞれの会社が出しております資料を御提出いたします。
  190. 益田洋介

    ○益田洋介君 そのほかに、例えば第一ファイナンス、これは借入金が約二千三百億、これ九五年三月末の数字ですが、現在幾らになっていますか。
  191. 大野木克信

    参考人大野木克信君) ちょっと恐れ入りますが、個別の企業の残高までは存じておりませんので失礼します。
  192. 益田洋介

    ○益田洋介君 これも提出してください。  さらには、ジャリック、虎ノ門五の二の六、借入合計千二百七十五億円。底なしだね、これ。それから、もちろん日本ランディックは借入合計が五千億とされている。さらに、エヌイーディーが持っている会社ですが、ティ・エフコーポレーション、プロクセル、ユニベスト、日本ビゼルボ、コーポレックス、ベストーネ、何だかこれ読んでいるだけでどこの国の会社だかさっぱりわからなくなったけれども、全部これペーパーカンパニーとされている。そういうことでよろしいですか。
  193. 大野木克信

    参考人大野木克信君) エヌイーディーの子会社まではちょっとつまびらかにしておりませんので、エヌイーディー社長の方から御報告させていただきます。
  194. 中島省吾

    参考人中島省吾君) お答え申し上げます。  ただいま名前を挙げていただいた会社は、エヌイーディーが九一年から九三年ぐらいにかけて設立いたしました不動産の受け皿会社でございまして、先ほど長銀の頭取からも御説明したように、不動産の活性化を主に図るために設立した会社でございますけれども、このリストラの中で全部清算する予定でございます。
  195. 益田洋介

    ○益田洋介君 全然実態が明らかになっていないわけですよ、こういう会社は。だから、この今言ったエヌイーディー関係の六社について、やはり財務状況の報告書、借入金の状態、それから持っていらっしゃる、今抱えていらっしゃる不良債権、件名と金額、これの一覧表を提出していただきたいと思います。
  196. 中島省吾

    参考人中島省吾君) それぞれ三月末までには清算する会社でございます。また検討して御報告させていただきます。
  197. 益田洋介

    ○益田洋介君 要するに、私は実態を知りたいんですよ。たくさん抱えた子会社の、長銀本体だけじゃなしに、三社の会社が抱えているこの子会社の実態。相当財務内容が私は悪いんじゃないかと思いますよ。これらを合わせれば債務超過になる可能性が出てくる。債務超過になったら十三兆円なんか使えませんよ。ですから、その点をまずつまびらかにしていただきたい、国民の皆さんの前に。  それからさらに、日本リースレックという会社、これは日本リースの子会社で、借入金が九五年三月末で一千四十三億もある。これは現在幾らになっていますか。
  198. 岡本弘昭

    参考人岡本弘昭君) お答え申し上げます。  総額ではございませんけれども、私どもの残高は八百七十億です。
  199. 益田洋介

    ○益田洋介君 ということは、九五年三月から負債が減ったということですか。
  200. 岡本弘昭

    参考人岡本弘昭君) 私どもの残高は横ばいでございます。
  201. 益田洋介

    ○益田洋介君 じゃ、これもよくわかるような書式で、書類で当委員会に提出してください。
  202. 岡本弘昭

    参考人岡本弘昭君) 承知しました。
  203. 益田洋介

    ○益田洋介君 さらに、都地所という会社がございます。これはどこの子会社になりますか。
  204. 岡本弘昭

    参考人岡本弘昭君) 日本リース関係会社でございます。ただいまビルを経営しております。
  205. 益田洋介

    ○益田洋介君 この会社の住所は、中央区日本橋蛎殻町一の三十二の七。実際に行ってみました、昨日。何にもないんです、ポストがあるだけ。電話もない、従業員もいない。何をしている会社ですか。
  206. 岡本弘昭

    参考人岡本弘昭君) 先ほども申し上げましたように、芝大門でオフィスビルを経営している会社でございます。本社所在地は蛎殻町にございます。
  207. 益田洋介

    ○益田洋介君 何にもないのを自分の目で見てきたんですよ、私は。何でそんなことを言うんですか。何でこういうぞろぞろと幽霊会社をたくさん持っているんですか、日本リースは。
  208. 岡本弘昭

    参考人岡本弘昭君) お答え申し上げます。  私どもバブル崩壊後、債権保全とそれから物件の流動化を高めるために幾つかの別会社をつくりまして、そこで物件の処理あるいは債権処理をやってまいりました。  今、先生御指摘の都地所もその一つでございまして、その代物弁済を受けた物件等で芝に、芝大門でございますけれども、ビルを経営している会社でございます。  以上でございます。
  209. 益田洋介

    ○益田洋介君 経営の実態はないんですよ、この子会社は。ですから、ペーパーカンパニーなんですよ。それで、ペーパーカンパニーを通じてお金の出入りがあるんです。飛ばしと言われているのはこういう会社のところに債権を、不良債権を押しつけているんです。そうじゃないということが言えますか。  私は、三社の社長さんにお願いしたいんですが、岡本参考人木村参考人中島参考人に、お持ちの子会社財務内容、借入金、一切明らかにしてもらいたい。一覧表にして提出してください、この委員会に。さっぱりわからない、こんな実態じゃ。こんなことをしていながら公的資金を受けるなんてとんでもないですよ。国民は怒るよ、今に。いいですか、三人の参考人の方。
  210. 岡本弘昭

    参考人岡本弘昭君) 先ほども申し上げましたとおり、私ども、代物弁済等で会社をつくりまして、そこで処理してきているのが実態でございます。今先生がおっしゃった、各行で会社をたくさんつくって処理してきたことも事実でございます。  その件につきましては、今おっしゃった会社につきまして、私どもとしては出させていただきます。
  211. 益田洋介

    ○益田洋介君 それから、金融債についてですが、平成八年度は七千億から一兆円あった残高でございますが、これが急激に減って、本年に入ってからは二千四百億程度、実に四分の一になっている。  それで、要するに、債券が売れなくなってしまっているんですね。昨年の実績では二百三十八億円。これは、一説によると大蔵省の資金運用部が代がわりして買っているんだと、こういう事実を認めますか。
  212. 大野木克信

    参考人大野木克信君) 確かに先生の御指摘のように、昨年の十一月以降、やっぱり金融システムの不安というものの影響で落ちておりますし、それから、私ども海外資産を中心としたバランスシートを縮小していくという方向で全体の債券発行のボリュームは落ちております。  ただ、その中で、個別の引受先等につきましては、これは相手先への影響もございますので御勘弁いただきたいと思います。  以上でございます。
  213. 益田洋介

    ○益田洋介君 資金運用部が買っているということは認めないんですか。こういう点も明らかにしてくださいよ。  もし、資金運用部が御社の金融債を毎年買っているとすれば、――さっきの数字を訂正します。十年六月期で二千三百八十億、一番多かったときは八年の十月で一兆二百九十二億円もあった。四分の一になっている。資金運用部で買っているとすれば、引き受けたとすれば、これは公的資金を導入していることになるんですよ。違いますか。はっきりしてくださいよ。取引先取引光って、政府じゃないですか、相手は。大変な問題ですよ、これ。はっきり答えてください。
  214. 大野木克信

    参考人大野木克信君) 大変申しわけございませんが、金融債の引受先につきましては一切公表を避けておりますので、ぜひ御勘弁いただきたいと思います。
  215. 益田洋介

    ○益田洋介君 今そんなことを言っている暇はないと思いますよ。これも事実関係を明確にしてください、特に大蔵省の資金運用部に関しては。よろしいですか。
  216. 大野木克信

    参考人大野木克信君) 同じ答弁でまことに申しわけございませんが、御勘弁いただきたいと思います。
  217. 坂野重信

    委員長坂野重信君) 速記をとめて。    〔午後一時十九分速記中止〕    〔午後一時三十一分速記開始〕
  218. 坂野重信

    委員長坂野重信君) 速記を起こしてください。  ただいまの益田洋介君の質問に対して大野木参考人から再答弁を求めます。  ちょっと申し上げますけれども、これは証人喚問じゃありませんから、参考人に意見を聞く場合には、参考人が答えたくないものは答えなくてもやむを得ない、そういうことでございますから、その辺ちょっと……(発言する者多し)  速記をとめて。    〔速記中止〕
  219. 坂野重信

    委員長坂野重信君) 速記を起こして。  じゃ、前言を取り消しますが、参考人の再答弁を求めます。
  220. 大野木克信

    参考人大野木克信君) お答え申し上げます。  まことに申しわけございませんが、金融債の引受先を個別に申し上げることは、やはり相手先への影響もあり、購入者の個々の名前の発表は一切いたしておりませんので、ぜひ御勘弁いただきたいと思います。申しわけございません。
  221. 坂野重信

    委員長坂野重信君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  222. 坂野重信

    委員長坂野重信君) 速記を起こして。  大野木参考人、もう一度答弁願います。
  223. 大野木克信

    参考人大野木克信君) ただいまの御質問でございますけれどもお答えを申し上げることは控えさせていただきたいと思います。
  224. 益田洋介

    ○益田洋介君 これは委員長、ゆゆしき問題なんですよ。個々の投資家の名前を明かせなんということは一言も言っていないんです。ただ、政府が、巷間伝え聞くように、もし資金運用部が、大蔵省が購入していた、引き受けたということになれば、これはプライベートの問題じゃないです。既にもうこの段階で公的資金の投入が国民のわからない形で裏取引をされている、投入されているんだ、既に。だから、私はこれは明らかにしてもらいたい。国民の前にこれはきちっと明確にすべき事柄だと私は思います。  理事会預かりで協議していただけますか。
  225. 坂野重信

    委員長坂野重信君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  226. 坂野重信

    委員長坂野重信君) 速記を起こして。  それでは、ただいまの件につきましては理事会において協議することといたします。
  227. 益田洋介

    ○益田洋介君 次に、九八年三月期の決算での上位の貸出先でございます。これは日本リースについてでございますが、日本リースレックに対しては八百七十億、これは全部言っている時間がもったいないので大きなところを言いますと、先ほど出ました都地所については二百六十億。エー・エル・エー、またちょっとわけのわからない名前の会社が出てきましたが、これは二百十億。そして、この決算書におきましては貸出金額が六兆四百十二億ということになっておりますが、これは間違いございませんか。
  228. 岡本弘昭

    参考人岡本弘昭君) 私ども、使用総資本が二兆二千でございまして、今の六兆という数字がちょっと理解できないのでございますが。
  229. 益田洋介

    ○益田洋介君 これは公に発表されたものですから、数字の御確認をお願いして、後日、報告をしてください。  次に、政治献金についてですが、自由民主党の国民政治協会というところに平成四年、これは自治省が発表した政治資金収支報告書というものでございますが、平成四年分は八千九百六十二万五千円、平成五年分、八千二百三十四万円、平成六年、四千六百四十八万円、平成七年、四千二百九十一万円、平成八年分は一千八百五十万円、実に多額の献金を続けていらっしゃるわけですね。九年分はあした十一日に発表になる。どうしてこんなに献金をしてこなかったらいけなかったんですか、今まで。
  230. 大野木克信

    参考人大野木克信君) 政治献金につきましては、確かに御要請がありました場合、政治資金規正法の範囲内で、その都度私どもで判断して行ってまいりました。先生御指摘のように、平成八年、九年、全体の業況をかんがみまして金額を下げております。  以上でございます。
  231. 益田洋介

    ○益田洋介君 経営状況が悪化してきた時期においてもこういうふうな献金を続けてこられた、私はこれも不可解な点であると思います。  さらに、個人については長銀だけじゃないんです、献金をしているのは。日本ランディック衆議院自由民主党東海比例ブロック選出、金子一義さん、飛友会、平成八年、平成九年と献金をしておられる。エヌイーディーも同様に平成八年、平成九年と献金をしておられる。第一証券、自由民主党堀内光雄さんに対して献金をしている。それから、自由民主党村田敬次郎さんの敬山会というところにも献金をされていらっしゃる。  私は、長銀本体、それから三参考人会社の政治家に対する政治献金、協会に対してもそうだし、あるいは後援会、個人に対して献金したもの、これを平成七年、八年、九年、十年、四年間にわたって一覧表を提出していただきたい。よろしいですか。
  232. 木村榮二郎

    参考人木村榮二郎君) お答え申し上げます前に、委員長、ちょっと私、午前中の御審議につきまして、平田委員の御質問についてちょっとあれを取り違えたようでございまして、ちょっと訂正をさせていただきたいと思うのでありますけれども。(発言する者あり)失礼します。  債権放棄があるのかないのかという、これは他行に対して債権放棄があるのかないのかという、そういう私、取り違えまして……
  233. 坂野重信

    委員長坂野重信君) 簡単に。
  234. 木村榮二郎

    参考人木村榮二郎君) 当然債権放棄は我々、それが主体になった再建計画でございますので、その点御訂正をお願いいたします。  それではお答え申し上げます。益田委員お答え申しますが、私どもは法律の範囲内で、常識的な範囲内で政治献金を今まで若干いたしておりましたけれども、それにつきましては本年度からはもうお断りをいたしております。  以上でございます。
  235. 益田洋介

    ○益田洋介君 私がお願いしているのは、常識的な線だとか法律の範囲内だとかということじゃないんです。長銀と三社がしている、第一証券もお願いしたいわけですけれども、政治献金の一覧表を出していただきたい、提出していただきたい、当委員会に、そのことをお願いしているんです。
  236. 大野木克信

    参考人大野木克信君) なるべく先生の意に沿うように検討させていただきたいと思います。
  237. 益田洋介

    ○益田洋介君 検討するだけじゃなくて、今こういう段階に立ち至っているわけですから、ぜひとも国民の前に明らかにしてください。政治献金をそれだけ団体とか後援会とか個人にすることができるのであれば、余裕があるのであれば、何でそんな公的資金の投入なんてことをお願いするんですか。考え方が逆ですよ。まずつまびらかにしてください、その点を。  次。日本リースに対して農林の系統金融機関から三千五百億融資されている。これを公的資金で相殺しようということになるのであれば、これは農林系の金融機関の救済になるのではないかと、そういう声がちまたでは上がっています。これについてどう思いますか。
  238. 岡本弘昭

    参考人岡本弘昭君) お答え申し上げます。  私ども再建計画をつくっているわけでございまして、その中で債権残高が八〇%を占める各金融機関さんに放棄をお願いしております。そういう意味では、農林関係の方にも無理をお願いしているというぐあいに考えております。  以上でございます。
  239. 益田洋介

    ○益田洋介君 三千五百億、全額これは放棄してもらうんですか。そういう約束ができているんですか。
  240. 岡本弘昭

    参考人岡本弘昭君) 今申し上げましたとおり、金融機関の残高が八〇%以上の各行さんにお願いしているのが放棄でございます。それから、残りの各金融機関さんにお願いしているのが金利の引き下げでございます。  以上でございます。
  241. 益田洋介

    ○益田洋介君 私は思い出すんですよ。住専問題で随分いろいろ議論しましたけれども、最終的には六千八百五十億円というのを、税金を投入しました。だれを救ったか、農協系の金融機関を救ったんです。それと同じ方程式だよ、これは。違いますか。
  242. 岡本弘昭

    参考人岡本弘昭君) 私どもとしては、各金融機関さんにできるだけ公平に分担していただくということで案をつくらせていただきました。
  243. 益田洋介

    ○益田洋介君 ありがとうございました。終わります。(拍手)
  244. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 日本共産党の池田幹幸でございます。  私は朝からずっと聞かせていただいたんですけれども、どうもきょうの参考人方々、当事者としての責任も誠意も私にはどうも感じない。確かに国民の皆さんにおわびするとおっしゃるけれども、その日の裏で、長銀が破綻したら大変なことになる、日本経済が大変なことになると言うわけです。公的資金を投入することが最善の策だとおっしゃるけれども、これじゃまるで国民に対するおどしじゃないですか。国民の皆さんはそんなこと感じていないんですよ。そうは考えていません。つい最近、民放のテレビのアンケート調査がありましたけれども、そこでは八割の人が長銀問題の処理公的資金を投入することには反対と言っているんです。何で長銀の乱脈経営のしりぬぐいを国民がしなければならないのかと、こう言って怒っているんですよ。  結局、こういう声、あなた方はどう感じているのか。これだけ多くの国民の声があっても、やはり長銀公的資金を投入することが日本経済を立て直す最善の策だと今でも考えられるのか。やっぱりこれだけ多くの国民が反対しているんだから考え直さにゃいかぬのかなと、反省する気持ちがちょっぴりでもおありなのかどうか、まず伺いたいと思います。
  245. 大野木克信

    参考人大野木克信君) お答えいたします。  ただいまの先生のお言葉、これはやはり私ども本当に真摯に受けとめなくちゃいけないと思っております。  ただ、これは長銀のためではなくて、やはり長銀公的資金を導入していただいて住友信託の合併というような形を導いていただく、そういうことで日本金融システムというものが維持されるということにつきましては、やはりぜひ、これは長銀のためということじゃなくて、お認めいただけないだろうか、ひたすらそう願っているわけでございます。  ただ、そういうことをお願いするにつけて、私どものたたずまいとかそういったものにつきまして非常に行き届かない点があって、先生のような国民の方の御指摘になったんだろうと思います。この辺につきましては、これからも深く考えて行動を進めていきたいと思っております。
  246. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 真摯にとおっしゃるわけですけれども、やっぱり具体的な言動にそれがあらわれてこなければ、とても国民、我々納得できるものではないわけです。  そこで、私はやっぱりもう考え方をひとつ抜本的に変えてもらわなければいかぬ。そういう声は銀行業界の中にも出ているんです。ことしの三月、これは、この三月というのは一兆八千億円の公的資金注入をやられたときですけれども、そのときにある銀行経営者が週刊東洋経済の中でこういう話をされているんです。  今の日本銀行は「公的存在ということを隠れみのにして、非常に怠惰な社会的存在になってしまった。」と言っているんです、まず。これは私企業としての自覚、自己責任、その意識が欠如しているということですね。  それから次に、「失敗してもだれかが救ってくれる、しかも「救ってくれる」ではなくて「救うべきだ」という論理になってしまっている。」というんです。さらに、これを「ディスクロージャーで裸になることが、実はいちばん安全だということを、日本経営者も企業人ももっと認識しないといけない。」と、こう言っているんです。これは正論です。  さらに、その上で結論づけてこう言っているんですよ。   銀行はもはや特権を許される存在ではない。  そのことを銀行経営者、銀行員みなが認識す  る。そのうえで銀行であるがゆえに課されてい  る公共的使命を果たす。それで割りが合わない  と思うのであれば、銀行員を辞める、銀行免許  を返上することで責任をとる。   結果を他人のせいにするな、行政、中央銀  行、政治のせいにするな。自分の足で立て。こ  の単純な原理を今、明確に認識すべきである。こう言っているんです。  これを言っておられるのは、御存じと思いますけれども、長期信用銀行の常務取締役の小西龍治さんとおっしゃるんですか、この方が言っているんです。どうもきょう大野木参考人の言を聞いているのと同じ銀行の常務の小西さんが言っているのと大変な違いを私は感じるんですが、どうですか。  まず、小西さんのこういう考え方に大野木さんは賛同できるのですか、できないのですか。
  247. 大野木克信

    参考人大野木克信君) お答え申し上げます。  ただいまの元小西常務、私、昔からよく知っている仲でございます。彼の意見の中には、私が足りないところ、これから十分傾聴して取り入れていかなくちゃならない部分、そういった点も多々あると、そう思っております。
  248. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 この小西さん、三つの点を言っているんですね。銀行は救済してもらって当然という考え方をまず捨てろと。それから、ディスクロージャーすべきだと、自己責任の原則を貫けと、こういうことなんですよ。これは全く正論でして、今、大野木参考人おっしゃったけれども、多々賛同するところがあるのであれば、この公的資金を投入してくれというそういう再建策をなおかつ貫くという考え方にはならないんだと私は思うんですが、それでもなお公的資金は投入を要請するんだと、こうおっしゃるわけですね。  顧客に迷惑をかけない、日本経済にその影響を及ぼさないようにするとおっしゃるならば、それでは、そういう考え方に立って長銀がどこまで努力してきたかという具体的な問題で私はお尋ねしたいと思うんです。  まず、朝から論議になっていますように、今長銀再建策が第一にやったことは、ノンバンク三社、関連会社、これに対する債権放棄五千二百億、これだったんですね。八月二十一日に政府に提出した経営改善策によりますと、もう既にそれまでに四千八百十七億円この三社に対して支援しておりますね。そして、それに加えて五千二百億円の債権放棄と、こういうことになるわけですが、確かにこの関連会社は助かるでしょう。あなたが朝からおっしゃっておった四千に上る中小企業とそれに関連する下請等々、これに迷惑をかけないとおっしゃったけれども、それじゃこういったあなた方の再建策でこれら四千以上の中小企業に迷惑をかけないことになりますか。
  249. 大野木克信

    参考人大野木克信君) 今度のリストラ計画、トータルで考えますと、私ども八千社のうち四千社の中小企業取引がございます。それから、日本リースは、これは小口でございますけれども七万社の中小企業取引がございます。こういったものが、もしお許しをいただければ、ぜひそういったところに万一の場合の連鎖的なごとが起こらないようにということを今考えてお願いしているということでございます。
  250. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 それはそれで結構だと思うんですが、それよりも貸し渋りという現実に目を向けて、既にずっと続けてきたこの貸し渋りをまずやめることじゃないか、改めることじゃないかと私は思うんです。  そこで、今の中小企業向けの融資について見てみたいんですが、果たして、再建策を出す、提出した時点、それからそれ以後、中小企業向け融資状況というのはどうなっているか、お話しいただけますか。
  251. 大野木克信

    参考人大野木克信君) 九八年三月時点で私どもの国内融資約十六兆、そのうちの四八、九%ぐらいが中小企業向けであったと思います。その後、残念ながら私どものいろいろな事情で貸し出しの量自身は申しわけございませんが落ちていると思います。ただ、中小企業さんのウエートは、これは正確な数字をとっておりませんが、全く落ちていない、横ばっていると思います。  こういうときですから、一生懸命やらせていただいているつもりでございます。
  252. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 そうおっしゃると思ったんですが、しかし違うんですね。例えば九七年三月末で中小企業に対する貸付割合は四五・四八なんですよ。それで、三月に例の健全化計画をお出しになった、例の三月の一兆八千億の公的資金注入を要請する際、そのときに見込みとして出されたのが四八・一四に上げますというんですよ。四五・四八から四八・一四%に上げますという見込みを出した。ところが、実績はどうだったかというと四六・二六。昨年の末よりは少しは上がっているけれども。  ところが実際にその貸出額はどうかというと、ぐんとおっこちているんですね。見込みから比べて七千三百六十八億円おっこちているんですよ。これを悪く見れば、公的資金注入を受けるときにはこういう形で中小企業への貸し渋りを解消しますという気持ちをあらわしておいて、実際ふたをあけてみるとこうやって減らしている。それからさらに引き続いてまた六月に向けても減っていっているんですね。この実態があるわけですよ。  これを本当に改めるということがあって初めて中小企業に迷惑をかけないということが言えるんで、これから一々頭を下げて回りますでは間に合わないんじゃないですか。
  253. 大野木克信

    参考人大野木克信君) お答え申し上げます。  やはりこの五月ぐらいから御承知のようなマーケットの状況になりまして、債券の発行自身が先ほどございましたように落ちています。したがって、トータルなアセッツも海外中心にとは思っておりますけれども、抑えざるを得ない状況になっているわけでございます。  ただ、全くの希望でございますけれども、今回のようなリストラ計画を成功させまして、結果として少しでもそこら辺がもっとお役に立てるようになれないかと、そのようには念願しているところでございます。
  254. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 かみ合わないんですが、五月からマーケットが大変なことになった、これから経営が悪化したとおっしゃるんですね。だけれども、この貸し渋り実態を見ますと、先ほど申しましたように一年間でどんと減らしておりまして、三月末で見ますと一年間で一兆四千億円も減らしているんですね。そこをやっぱり見なけりゃいかぬということ。それから、六月以降、経営が急に悪化したとおっしゃるけれども、がんと長銀に対する信用がおっこちたのは六月以降だけの話じゃないということは午前中の質問でもありました。  私は二点言いたいんですが、それはまず一つは、長銀長銀の設立趣旨から反してともかく産業界に対する長期安定資金を供給するんじゃなしに投機に走ったと、これが一つです。こういうことで本来の任務を放棄した。それから二つ目は貸し渋りです。これはともかく中小企業に対する融責任務を放棄したわけでしょう。こういったところで信用がおっこちてきているんですよ、もう既にその行為によって。そこを反省していただかなければならないと私は思います。  そこで、中小企業問題についてさらに伺いたいんですが、この合併によって中小企業はどうなるのかという問題です。先ほどの答弁にもありましたけれども中小企業の多くが第Ⅱ分類に分類されているんですね。それについて、その実態をまず見た上で、じゃ中小企業はどうなるんだ、第Ⅱ分類に仕向けられている中小企業は一体どうなるんだ、住信にちゃんと引き継がれるのかと、このことはどうですか。
  255. 大野木克信

    参考人大野木克信君) お答え申し上げます。  詳細な数字は覚えておりませんけれども、当行の貸出先、大体中堅・中小企業も入れて八千社でございます。そのうちⅡ分類に分類されているのは千社以下でございます。ですから、七千社は正常先債権ということでございますので。そういう状況でございますので、ちょっと先生のお答えになっているか、直接中小企業だけ取り出したわけじゃございませんけれども、数からいえば圧倒的に中小企業の数が多いということは申し上げられるんではないかと思います。  以上でございます。
  256. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 私が聞いているのは、その第Ⅱ分類にカウントされている中小企業はどうなるんだということですよ。迷惑をかけないとおっしゃっているんだから、きちんと面倒を見るんですか。
  257. 大野木克信

    参考人大野木克信君) お答え申し上げます。  第Ⅱ分類は千社弱でございますけれども、そこら辺につきましても、これから金融監督庁の検査とかそういったことを経てからの話でございますけれども合併銀行と鋭意打ち合わせ、そして必要であれば手当てをして、できるだけ生かす方向で考えていきたい、今のところまだそんな状況でございますが、気持ちとしてはできるだけ生かしていきたいと、こういうことでございます。
  258. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 住信と合併前提とした計画になっているんですね。そこで、それじゃ住信と合併した時点でこの第Ⅱ分類はどうなるんだということは今大変大きな問題になっているわけですよ。  ですから、合併が発表された六月二十六日の記者会見で住信の高橋社長が答えているんですけれども、もう明確なんですよ。第Ⅱ分類債権は絶対に引き取らないのかと、こう聞かれて、どこが引き取るかはわからないが、私どもは引き取らない、日本のシステムの安定が注目されている中で、政治や行政は十分に問題処理能力があると思うと。要するに、こういった第Ⅱ分類に属するところについては不良債権として処理しろと、それも税金で処理してこいと、やらせようじゃないかと。悪く見れば、長銀と住信が示し合わせて税金でこれ処理しようと、おいしいところだけ住友信託に渡しましょうというふうにしか見えないわけですね。  ともあれ、第Ⅱ分類に属している一千社の中小企業はこれはもう見捨てられる、切り捨てられる、こういうことじゃないですか。
  259. 大野木克信

    参考人大野木克信君) 今の点につきましては、金融監督庁さんの検査の結果等も踏まえまして、住友信託さんとこれから鋭意できるだけ前向きに協議していきたいと、このように考えているということが現時点での考え方でございます。
  260. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 そうなりますと、合併のことについて伺いたいと思うんですけれども、ちょっと時間がなくなってきましたのでこれ後に回しまして、時間があれば伺いたいと思います。  それでは、一番きょう問題になっております関係会社、親密会社ですね、そういった問題について伺いたいんですが、日本リース日本ランディックエヌイーディーという三社、これは関係会社というふうに言われておりますけれども、このような長銀関係会社、親密会社は何社あるんでしょうか。
  261. 大野木克信

    参考人大野木克信君) 私ども関係会社、関連親密会社として押さえておりますのは二十九社でございます。
  262. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 これは今若干わかっている名前、それ以外には有楽町リゾート開発とか日本ビルプロヂェクトとか、これも入る。そうですね。それは違うんですか。そういうものも含めて二十九社全部名前を公表する用意はありますか。
  263. 大野木克信

    参考人大野木克信君) いろんな意味のこれだけの公的資金の申請をいずれいたすわけでございますから、そういうようなときに向けて、審査委員会の要求とかそういったようなことも考えながらできるだけディスクロージャーについては前向きに考えていきたいと思っております。
  264. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 それでは、この委員会にその二十九社、名前を出していただけますか。出していただくようお願いします。  それで、時間が余りないので、一つ一つ聞きたいんですけれども、ちょっとまとめて聞きますが、その二十九社の貸出残高、これは幾らあるのか。それから、それぞれの貸し出しについて担保はとっているのかどうか伺いたいと思いますが。
  265. 大野木克信

    参考人大野木克信君) 申しわけございません。そこまでの詳細は私持っておりませんものですから……。
  266. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 それでは、私、先日、昨日ですが、おたくの総合企画部長さんに、おいでいただいている方ですけれども、伺いました。そこで、丸めたラフな数字ではあるがということで二十九社に対する貸出残高約一兆円ちょっとと。一兆余りということですね。それから、それぞれの貸し出しについて個別に担保をとっているというお答えだったんですが、これ確かめていただいて答弁いただきたいんですが。
  267. 大野木克信

    参考人大野木克信君) 長期の融資につきましてはもちろん担保をとっております。短期はちょっと私よく承知しておりません。
  268. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 長銀法の七条で担保はとらなければいけないことになっているわけですからとっているのは当然だと思うんですが、じゃそれは全部登記しておられますか。
  269. 大野木克信

    参考人大野木克信君) ちょっとそこまで私わかりません、申しわけございませんが。
  270. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 これは衆議院で我が党の木島議員が大野木参考人に伺ったときに、既に幾つか名前出して登記していないところもあるという話があったので、もうお調べいただいているんだと思ったんですけれども、結局その場終われば知らぬ顔ということなんですかね。  ともかく登記しているところもしていないところもあると。していないところは結構あるんですよ、していないところがある。何で登記していないのかということ。これまた登記しているかしていないか知らないんだからお答えいただけないでしょう。私、長銀の方に伺った話を言いますと、ともかく登記しないのは、大体グループ会社、仲間だから登記しなくても大丈夫なんだ、こういうことなんです。これはないですね。しかも、そう言いながら、最近ここで参考人として呼び出されるということになると、途端にあっちこっちで沖縄のリゾート開発ホテルとか登記し始めて、やり始めているんですよ、今。しかし、まだやっていないところもある。これは何でこんな登記しないのかということなんです。  さっき言ったように、仲間内だからと言うけれども、しかし皆さんはプロですから、不動産というのは登記して初めて第三者に対する対抗要件が生まれるんでしょう。こんなのイロハのイでしょう。もしここでやくざまがいの会社がおどかして仮登記なり登記なりしちゃったらどうですか。もうあなた方対抗できないですよ。こんなおかしなことをやりながら、その片っ方では債権放棄をして、そしてその穴埋めに公的資金、これじゃ全く国民は納得しないと思います。  こういった点について考えてみますと、こんな危険を冒してまでやるんだから恐らく何か裏があるんだろうと普通国民は感じますよ、当然のことながら。やっぱり飛ばしかなと疑うのは当然でしょう。当然と思いませんか。
  271. 大野木克信

    参考人大野木克信君) 飛ばしというような事実は私の聞きました限りにおいてはございません。  それから登記の件でございますけれども、これも私の考え方でございますけれども、やはり先生のおっしゃいましたように、担保の汚染とかそういったもののリスクのあるときは多分やっているということなんじゃないかと思います。ちょっとその辺につきましても、そういう、言ってみれば気持ちとしては必ずそういうことをやっているだろうということで私は聞いております。
  272. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 具体的なお答えをいただけないんで、これ以上やったって仕方ないんで次に進みます。  二十九社の担保の含み損が幾らぐらいかということで、これもおたくに伺ったんです。今どうせ御存じないだろうから私の方から言いますが、大体二割から三割だというお答えでした、担保の含み損が。としますと、二十九社への貸出残高は大体一兆円余りでしょう。それで含み損がおよそ二、三割ぐらい。まだ十分に担保回収すれば回収能力あるわけですね。回収できるんですよ。それを放棄すると。とんでもないことじゃないか。  さっきたしか岡本参考人が、債権放棄益をベースにして立て直しを図るんだということがありましたね。恐らくこのことを言っていると思うんですが、ともかく債権放棄してもらうと、それでもってもう長銀には返さなくていいわけですから、担保価値残っておる、これを回収すれば、日本リースなりランディックなりエヌイーディーの利益になるということで、そういうことだと思うんですけれども、これじゃ国民はたまったものじゃないですよ。債権放棄して身内は助かる。その穴埋めを、自己資本比率を上げるためということで資本注入を税金でやる。国民はもう踏んだりけったりじゃないですか。こんなことは許せるものじゃないと思うんです。  そこで、債権放棄益、つまり債権を放棄してもらってそれでもうける、それは一体どれぐらいになるのか。三社それぞれ一言ずつ、言えれば言ってください、時間ありませんから。言えなければ結構です。言えませんね。日本リース
  273. 岡本弘昭

    参考人岡本弘昭君) お答え申し上げます。  私ども再建計画では六千億の清算損を処理していこうとしておりますけれども、貸付金に関するやつは五千五百億でございます。海外撤退が五百億。  以上でございます。
  274. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 ちょっと違うことを答えられたと思うので。  私ちょっと時間がなくなってきたので、もう幾つかお聞きしたいので、ここでお願いをしておきます。お願いといいますか、要求です。  きょうお話ししたやつについて、長銀から聞いた話ですから確かですが、改めてまず二十九社、これはまだ名前が出されておりません、名前を出していただくこと。それから、貸出残高の正確な数字。それから、それぞれについて担保はどの程度とっているかということです。とっておるということになるのであれば、登記しているかどうかということについてのリスト。それから、二十九社の担保の含み損、これについてそれぞれ出していただきたい。それから債権放棄益、これは三社です、これを明らかにしていただきたいと思うんですが、出していただけますね。
  275. 大野木克信

    参考人大野木克信君) 今後の公的資金の申請あるいは合併とか、そういった節目節目に向けて必要なディスクローズはさせていただきたいと思っております。
  276. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 ほかの三社についても出していただきたいと思います。  それで、今るる伺ってますますはっきりしたわけだけれども長銀法の七条というのは担保をちゃんととりなさいだけじゃないんです。とる目的があるわけですよ。その目的というのは、要するに債権を保全する、きっちり回収する、そのためにやれということですから、保全して回収しなけりゃいかぬのですね。  その点から考えると、今あなた方のやっていることは、私は長銀法に違反しているんじゃないかと思うんですよ。だって、債権放棄して、そして身内の関連会社はそういう形で助けていくということですから。その一方で、公的資金注入を要求する。これじゃとてもじゃないというふうに、国民にとってはもう踏んだりけったりですから、こういったことについてはやっぱり今の再建計画を考え直すというところに立ってもらいたいというふうに思うんです。  時間がなくなってまいりましたので申し上げますけれども、要するに今の再建計画というのはどう見たってノンバンク三社を中心とする関係会社を助ける、債権放棄等で助ける。そこでその穴があきますね、自己資本比率がおっこちる。これを公的資金注入で助けるということですから、どう見たって長銀救済であり長銀関連のノンバンク三社救済なんですね。こんなことを税金でやる必要は全くないということを改めて申し上げたいと私は思います。  こんなことをやりますと、しかも今申し上げましたように担保の保全もしなければ回収もしないわけですから、これもう日本国じゅうモラルハザードになっちゃいますよ。その先端を切っているのがあなた方ということになるじゃありませんか。  ですから、先ほども出ましたけれども、昨日の夕刊に出ておりました。要するに、あなた方提訴されたんでしょう、賠償請求を起こされた。要するに、ノンバンク三社にまだ返済能力があるのに三社に対する債権を放棄すると発表したため株主として損害をこうむったとして訴訟を起こされているんですね。  ですから、だれから見たって、まず今の当たり前の資本主義のルールから見てもやっていることはおかしいと指摘せざるを得ないんです。  このことについて、大野木参考人の、最初に伺いましたけれども、これだけ聞いた後でもなおかつ変わらないのかどうか、改めて伺いたいと思います。
  277. 大野木克信

    参考人大野木克信君) 本日、この貴重な会議でいろいろと私どもの問題点の御指摘、肝に銘ずるものがございます。  しかしながら、先ほど先生に申し上げましたように、本件は長銀のためというよりか、ぜひ全体の影響のためにもお進めいただければど思っているわけでございます。  さらに、その上で、ただいま御指摘のアメリカの件でございますけれども、これは確かに訴訟を受けたことは事実でございますが、詳細につきましては、コメントすることは訴訟への影響もあり、その事実はあったということだけを御報告してお許しをしていただきたいと思います。
  278. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 時間が過ぎております。終わります。(拍手)
  279. 山本正和

    山本正和君 朝以来大変御苦労さまでございます。  私は、実は大変皆さん方もいろいろと頭を痛めて苦しんでおられると思うんですね。  ただ、ちょっと冒頭に申し上げておきたいんですけれども、おととい、実は私が昭和三十年代の高校の教師のときに教えた子が、ちょうど皆さん方と年が一緒なんですよ、その子がやってきまして、先生、十二年前は大変お世話になりましたと。金繰りがつかぬで金融機関から見放されて、そしてパンクしたわけですよ。何代も続いた家なんだけれども、墓を残して家出して、一家ぐるみで心中まで考えたと。その子がやってきまして、どうやら年商一億ぐらいの仕事を今やっています、頑張っていると、こういう話なんです。  要するに、そのときに私も銀行と随分いろいろと話をした。そうしたら、銀行の諸君が言うのは、先生のお気持ちはよくわかります、彼もまじめな人です、しかし銀行というのは人から預かった金を何としても大切にしなきゃいけない任務があるんです、どうしても先生の御要請には応ぜられないと。立派な男なんですよ。実力もある。しかし、それに対してすらそういうことをかつての銀行員は厳しく言われてやってきた。それを私はいつも思い起こすんです。  だから、あなた方が今ここで、例えば当委員会でも坂野特別委員長のもとに小委員会をつくった。まことに情けない名前なんですよ。長銀不良債権調査に関する小委員会という名前。本当に情けないと私は思うんだ。  そういう中で、大野木さん以下いろいろと議論されて、そしてこの問題の解決のために今お考えになっている案が、公的資金を国からもらって、それで処理をして、そして住友信託と合併して対応していこう、こういう案を今お考えになっているわけですね。  大野木さん、率直に聞きますが、この案しかないと、こう今思われますか。まずそこのところ。
  280. 大野木克信

    参考人大野木克信君) 現在の率直な気持ちとしては、先生の御指摘のとおりでございます。まことに御負担をおかけして申しわけないと思いますけれども、そういうことでございます。
  281. 山本正和

    山本正和君 もう少しそのことを聞きたいんですが、その前に、これは全く長銀の中でこれしかないという判断があったのか、それとも、例えば大蔵省あるいは関係筋からのサジェスチョンがあってこの案を考えついたのか、それともその両方なのか、その辺はどうですか。
  282. 大野木克信

    参考人大野木克信君) 六月中旬から後半にかけて御存じのようなパニック的な状況になりましたときに、やはり長銀の場合、これは業際を超えた合併でスコープを広げて新しい展開を遂げるしかないんではないかということで、かねてからいろんな層であるいは業務で親しくしておりました住友信託の高橋社長に私から御連絡して、それで検討を開始しようという運びになったわけでございます。私ども住友信託銀行さんとの話でスタートしたということでございます。
  283. 山本正和

    山本正和君 はっきり言ってもらった方がいいんですけれども、要するに、ぽんと手を打ったらどっちが音がしたかわかりませんよね。しかし、長銀としてこれを解決しなきゃいけないという思いに駆られていろいろ取り組んだろうと思うんですよ。そのことでもって長銀の方から働きかけをして、それは大蔵省の了解もとるあるいは住友信託等の了解もとるという形で進んだのか、それともそうでないのか、そこのところを聞きたいわけだ。
  284. 大野木克信

    参考人大野木克信君) 御返事がはっきりしなくて申しわけございませんでした。お答えします。  私どもから住友信託銀行さんの方に合併の検討はできないだろうかということでお話ししたと、こういうことでよろしゅうございますか。
  285. 山本正和

    山本正和君 政府の方は。
  286. 大野木克信

    参考人大野木克信君) 政府はその時点では関係ございません。
  287. 山本正和

    山本正和君 そこで、長銀株式会社ですから株主がたくさんおるわけです。また大株主も随分おられる。かなり立派な会社が株主になっておるんですね。その株主の皆さんとの相談はされたんですか、ここは。
  288. 大野木克信

    参考人大野木克信君) 本件、やはりある種のインサイダーの話でございます。したがいまして、たしか六月二十六日の夜に発表させていただいたと思いますが、その前までは申しわけなかったんですけれども当然のこととしてこういうお話はしておりません。ただ、その発表の日を置かさず、大株主それから主要取引先には手分けして御了解を得ている、こういうことでございます。
  289. 山本正和

    山本正和君 私が不思議に思うのは、筆頭株主が第一勧銀だったかな、住友信託さんとも長い関係がある。だけれども、そういう中でこれだけ大きな問題を、しかも単に銀行同士での合併だとかお互いの助け合いなら別ですけれども、国家財政にこれはお願いしようという話の段階では、やっぱりもっと本腰を入れたものがなかったらおかしいと私は思うんだけれども、その辺はどうですか。やっぱりインサイダーだから、中できちっと議論した上でのこの流れで、それで差し支えなかったと今お思いですか。
  290. 大野木克信

    参考人大野木克信君) あくまでこれは私ども住友信託銀行さんとの話し合いでまいりまして、大株主の方とか政府とかは関係なしに話を進めた。ただ、検討でスタートするというその時点からはいろいろと大株主さんの御了解とか御指導、御支援といったものはいただきたいという形でのアプローチはもちろんしておる、こういうことでございます。
  291. 山本正和

    山本正和君 午前中も出たと思います、先ほども出たと思うんだけれども、減資の話を恐らく皆さん方は避けておられるんですね、減資の問題は。これは当然株主総会の問題があるから、法律上もいろいろあるということで考えておられると思うんだけれども、正直言いまして、例えば住友と合併したにしても株主に対する損害は相当あるわけです。現実にまた株主には相当大きな損害を与えておるわけです。そういう企業とは別に個人の株主もおるわけですよ。  そういうふうなことを含めて考えたときには、その株主に対して長銀が自分たちの不良債権問題を処理するについてのこの方式というやつは大変な影響があるんだということで考えたら、本来やっぱり筆頭株主だとかいろいろな人たちには当然話すべきだろうと私は思うんです。  アメリカで銀行問題やその他の問題で一番もめたのは何かといったら、株主に対する対応でしょう。株主訴訟の問題にどう対応するかということだったんですよ。今のお話を聞いていると、株主に対する責任感というのは全くないような気がしてならないんだ。それは資本主義の大前提が、経営者というものは株主に対する責任がある、労働者に対する責任がある、そうでしょう。そこのところが抜けた議論が進められているような気がするんだけれども、それはいいです、また後で考えればいいんですけれども。  私がここで大野木さんにお話ししておきたいと思うのは、そうはいっても今のあなたのお話で、これしか道がないと今思っておられる。それなら、これしか道がないのならば、どうやったら国民の皆さんの理解を得られるかという立場に立たぬといかぬわけでしょう。ところが、どの新聞を見ても、あるいはテレビ等の報道を見ても、長銀の解決問題について今の方式で国民の支持を問うたら、圧倒的にもうだめと言うんですよ。なぜなんだろうか。これは、きょうも朝からずっとあったけれども、情報を開示しないからです。このとおりです、もう助けてください、ストリップいたしました、これしか皆さん方に対して最後責任を果たす道がありませんということならば、情報開示しなければいけない。情報開示せずに何とか税全くれと、こう言っているように見えて仕方がないものだから心配なんだけれども、その情報開示の問題については、頭取、どういうふうにお考えですか。
  292. 大野木克信

    参考人大野木克信君) 確かに先生の御指摘のようなことになっておると、この辺はまことに私ども至らないところだと思っています。  情報開示につきましては、やっぱりこういう状況でございますからできるだけ積極的にいたしたいと思っておりますが、とりあえずは公的資金の申請をする段階、このところで多分どういう形のディスクロージャーが必要か、そして我々としては、本当にアクションをとるわけでございますから、こうじゃなくちゃ御納得いただけないんじゃないかというような工夫をしてみたいと、そんなように考えているわけでございます。
  293. 山本正和

    山本正和君 ちょっとおしまいの方がわかりにくいんですが、だから、私の方からきょうの参考人に申し上げておきたいことは、これしか道がないと思ったら、その道がないためにもう本当に誠心誠意ぶつかるということをしなければ、これはもう国民の信頼を得られないし、恐らく国会でこれ否決しますよ。あるいは、政府に対して何らかの勧告をせざるを得ない。これはだめだと言って、公的資金は一切まかりならぬという国会決議も上げねばならぬ、そうなってきますよ、これは。そうすると、あなた方の判断からいったら大変なことになるというわけでしょう。ひょっとしたら世界じゅうが大騒動になるというようなことになってくる。それにしてはちっとも気合いが入っていないと私は思うんだ、心配しているんですよ。  だから、本当に解決しようと思ったら、皆さん方が、これしかありません、これは我が社の問題ばかりじゃありません、日本経済です、世界の経済ですと言うのなら、それなりの決意がないといけない。どう見てもきょうの一日のお答えを聞いておって、そこのところがわからない。国民もわからないんですよ。私は、日本人というのはよく話したら一番わかりやすい国民性を持っていると思う。隠そう隠そうとしてやるから余計おかしくなるのです。  もう一つ問題に今出ているのは、盛んに言っておられるのがゼネコンとの関係です。長信が今取引されているゼネコンの中での一番大口の会社会社名は言わぬでいいですけれども、ゼネコンに対してどれぐらいの取引高か、ちょっと言ってくれませんか。
  294. 大野木克信

    参考人大野木克信君) 建設業向けの貸出金は九八年三月期で四千億円でございます。
  295. 山本正和

    山本正和君 私が心配するのは、その会社がとかく巷間で大丈夫ですかと言われている会社である、こんなことも不信の原因一つになっているわけですね。  それから、あわせて今の岡本参考人以下三人の会社に対してもさまざまな議論が出ているんですけれども、私が思うのは、三つの会社は本当は大丈夫じゃないかといったら言い方はおかしいけれども、取り組みようがあるんじゃないかという声が盛んにあるんですよ。それは今の形以外には取り組みようがもう本当にありませんか、お三人の参考人はどうですか、おたくの会社をちゃんとやっていくためにですよ。
  296. 岡本弘昭

    参考人岡本弘昭君) お答え申し上げます。  私ども日本リースといたしましては、これがベストの仕方だというぐあいに思って、メーン長銀中心に各行にも同じお願いをしているところでございます。
  297. 木村榮二郎

    参考人木村榮二郎君) お答えいたします。  私どもも不動産業でございまして、資金的にきちっと各銀行さんの御支援をいただいて三年間で再生を図りたいというふうに考えておりまして、それのためにはこういう形での再建計画を立案する以外にはなかったということでございます。  以上でございます。
  298. 中島省吾

    参考人中島省吾君) 私どももこれ以外の方法はないというように考えております。
  299. 山本正和

    山本正和君 これはいろいろな情報がありますから、データバンクで岡本参考人以下のお三人の会社についてもちょっと見てみたんです。例えば、日本リースだったら九七年にはこれだけの売り上げがあってこれだけの利益が上がっている、従業員数がこれだけである、こうなっていますね。同じようにそれぞれの、ランディックもあるいはエヌイーディーも今までなかなかしっかりやってきているんですよ。  それが、債権を放棄してくれというふうな企業としては一番恥ずかしい言い方でもって長信にぶら下がるというのは、皆さん方は本当にそれしか知恵がないんですか、本当の話が。私はそれが不思議で仕方ないんだけれども
  300. 岡本弘昭

    参考人岡本弘昭君) お答え申し上げます。  私どもは先生御指摘のとおり利益を上げているわけでございますが、先ほど冒頭に委員長先生の御指摘等で申し上げましたとおり、非常に資金的に逼迫してきているというのが事実でございます。この資金的な面をクリアしていかなければ現在の利益というのは確保できないわけでございます。  したがって、先ほど冒頭にも申し上げましたように、リース会社として再生強化していくためにはどうしてもこれをクリアしていく、その前提といいますか、それをやっていくためにぜひお願いしたいということで申し上げてきたわけでございます。  以上でございます。
  301. 山本正和

    山本正和君 そこで、きょうの質問の中でもあったように、それぞれの三社の財務諸表がどうなるんですかということになるわけですよ。だから、そこまで含めてこうなんですよということでの議論を国会の場でするのならば、それは公的資金が必要か必要でないかという議論になるんだけれども、正直言って、みんながこれだけの会社であって、しかも月給のことは私は知りませんけれども、決して低くない給与ですよ、三つとも。公務員と比べてごらんなさい、国家公務員と。大蔵省のまさにきちっとした試験を受けて入ってきた役人と比べても、おたくらの会社は決して恥ずかしくないですよ。その会社が一体本当なんですかと、こういう不信感が生まれる。  だから、先ほどの質問でもあったように、すべて財務諸表はこのとおりでございますと、それは会社の中でどうしても出せないものはありますよ。しかし、このとおりでございますということをきちっと国民に明示するだけのものを出さぬことには、これは議論にならぬと私は思うんです。  その辺で、情報開示についてはお三人はそれでいかがですか、国民に説明できるだけの資料を用意できますか。
  302. 岡本弘昭

    参考人岡本弘昭君) お答え申し上げます。  私ども日本リースは、昭和四十二年から有価証券報告書を作成して、有価証券報告書をして必要とするのを一切開示させていただいております。  先ほど申し上げましたいろいろな資金繰り的に対応していくために事業を撤退していきたいというぐあいに考えているのが先ほど申し上げました再建計画でございます。これもディスクローズさせていただいております。
  303. 山本正和

    山本正和君 岡本さんのところで私が一番わからぬのは、株主が、リコーが筆頭で、それで次は長信で、それから東京三菱で、東海銀行で、住友信託でしょう。これだけ立派な株主を多く持っている。そして、取引銀行でもみんなしっかりした銀行を持っているわけでしょう。今まで出ている内容というものは随分しっかりしているんですよ。それが債権をチャラにしてくれと、これはどう考えてもみんなわからないんです、そこのところが。  だから、債権を消してくださいよということを言う理由を、なぜかなら日本リースという会社はこのとおりでございますと、しかしどうしてもこれだけお金が債権をチャラにしてもできませんよという理由を国民に明確に示すだけのものを出せますかと、そのことを聞いているんですよ。
  304. 岡本弘昭

    参考人岡本弘昭君) お答え申し上げます。  先ほど申し上げましたとおり、私ども、今度の資金繰りの問題等に端を発しまして再建計画というのをやっておりますが、これは各行さんにもお話しして中身を出しております。  以上でございます。
  305. 山本正和

    山本正和君 今のお話じゃなしに、もっと具体的に説明できるものをお出しになる気持ちはないかということを聞いているわけ。今の言葉だけではいかぬわけよ。具体的にそれを説明するためのさまざまなものを提供する、あるいは提供するために努力する気持ちがあるかないかを聞いておるわけです。
  306. 岡本弘昭

    参考人岡本弘昭君) お答え申し上げます。  当然のことながらお出しするつもりは、検討させていただくつもりはございます。
  307. 山本正和

    山本正和君 いろいろありますが、私がずっとお三人の答弁を聞いておっても、何か逃げていくような、逃げ腰みたいに見えるものだから余計逆に不信感しか生まれぬので、そこはもうちょっと積極的な物の言い方をしてほしいと私は思います。  それで、もう時間がありませんから、簡単に一つだけこれは大野木さんに聞いておきたいんですけれども、デリバティブの問題です。これはいろいろなことを言っているんです。影響はないと言う人もおる、大変なことになると言う人もおる。しかし、大野木さん自身は、現在デリバティブが全体として長信は例えば期末の計算でこうですよ、これの影響はこうだと思いますと、それを最後にちゃんと聞かせてください。
  308. 大野木克信

    参考人大野木克信君) お答えします。  ざっくり言って、四十兆あるわけです。四十兆がこっちに行ったりあっちに行ったりして、それを両方清算していきますと確かに小さくなります。ですから、この額だけをとれば、それはそれであるいは対応できるのかもしれないんです。  ただ問題は、私どものこの四十兆というのは、お客様が自分の財産をあるいは負債をヘッジすると申しますか、するために来たやつで、私どもが好きこのんでやっているなら、これはもうそれで済むんですけれども、そうじゃなくて、お客さんから来たのを出している。そうすると、お客様がネットベースのあれができるかどうか、これは非常に疑問がございます。まして、さらに言えば、国際間の銀行同士もやっぱり単純なネットだけじゃなくて、例えばもとの方をもう一度組みかえるということをしなくちゃいけないということもあろうかと思います。そうすると、それはネットではできないだろう。  これだけの規模のあれが起こったことがないものですから、なかなか実験的に検証されない点で妙に恐怖感をあおっているというような誤解もあろうかと思いますが、実際に実務を私聞いてみますと、やっぱり本当にこれは本音で怖いなという感じ、特にお客様のお取引が四十兆の九割ということを考えると、思います。その辺また、逆に言うと、そういうことを引き受けたところがこういうことになっちゃいけないんです。そこら辺はまことに申しわけないと思います。
  309. 山本正和

    山本正和君 時間ですから終わります。
  310. 入澤肇

    ○入澤肇君 短い時間ですので、端的に質問しますから端的にお答え願いたいと思います。  金融機能安定化緊急措置法の十三兆円、この導入につきましては、同法の二十三条第二項第二号で、「金融機関等が破綻する蓋然性が高いと認められる場合でないこと。」と書いております。    〔委員長退席、理事石川弘君着席〕  一昨日の衆議院金融安定化特別委員会で大蔵省の伏屋金融企画局長も、注入結果とか注入の前とかそういうことに関係なく、そもそもの経営状況が破綻する蓋然性が高いと認められるかどうかということだけで、高い場合にはだめだというふうに言っているわけであります。  したがいまして、公的資金の導入を申請される方々は、当然のことながら破綻の可能性が高くないということを内外に明確に表明しなくちゃいけない義務があると思うんです。これは、公的資金を導入するその前提であります。そういう視点から衆参両院のいろんな議論、それから本日の午前中からの議論を聞いておりますと、どうもよくわからない。端的に申しまして、私、三つのブラックボックスがあるような感じがしているんです。  一つは、長期信用銀行自身の経営状況についての情報が開示されないことに伴う不信感。二つ目は、長期信用銀行のノンバンクであります日本リースなどの経営状況なり融資状況あるいは担保の保有状況、こういうものが非常に不明確である。三つ目は、飛ばしたとか不良債権の隠しのためにつくっているんじゃないかと言われる多数のペーパーカンパニーなど、これの中身も明らかでない。  きょうは、公的資金を導入するということを申請すると言っていますので、ぜひ破綻の蓋然性が高くないということを証明するために、私は経営情報の公開を促すという視点から幾つかの質問をいたしたいと思います。  まず第一に、長銀は健全行として本年三月末に千七百六十六億円の公的資金が導入されました。通常でありますと、これだけのお金を導入する場合には、会社側で経営陣刷新であるとかあるいは海外からの業務撤退であるとかあるいは人員の削減だとかそういう方針を決定するはずでありますけれども長銀はそういうことをなされなかったのはどういう理由でありますか、お聞きしたいと思います。
  311. 大野木克信

    参考人大野木克信君) 簡単にお答えいたします。  経営陣刷新ということに当たりますかどうかは御批判を受けるところでございますが、私どもこういった公的資金の導入を受けまして、四月一日から役員数を、取締役の数を大幅に減らして経営と執行を分離して、それで公的資金導入後の銀行にふさわしいような経営体制をつくろうということを実際実施いたしました。  それから、海外撤退でございますが、その時点までに、実はその一、二年前から海外については徹底的に合理化しようということで、例えばヨーロッパはロンドン支店に集中する、証券業務はUBSに任せるとか、その他、余り時間をとるといけませんけれども、スリム化は徹底的にやっていたということで、今回はそれの最後の仕上げというような感じでございました。  以上でございます。    〔理事石川弘君退席、委員長着席〕
  312. 入澤肇

    ○入澤肇君 次の質問が一番大事な点だと思うんですけれども、それから六カ月いたしまして、今新たにリストラ計画を発表いたしまして、追加的に間もなく、金融監督庁の検査が終わってか終わらないかわかりませんけれども、一定の段階で公的資金導入を申請すると言っておりますが、その理由として頭取は、経済環境が激変したからだというふうに記者会見で言っておられますけれども、この経済環境の激変というのは具体的にどういうことなのか。先ほどから、長銀株価が額面を割ったとか、いろんな条件についてはお話がございましたけれども、現在長銀が持っている各種の保有株の含み損益、これがどういうふうに変化したのか、あるいはワリチョーなりリッチョーの債券の発行の条件あるいは償還の現状がどうなのか、それからまた、発行条件がこの六カ月問でどのように変わってきたのか、ここら辺についてお聞きしたいと思います。
  313. 大野木克信

    参考人大野木克信君) 今先生が御指摘いただいたいろいろな項目がございます。一番私の考え方、基本だったのは、長銀自体の株価でございます。これが六月の初め二百円、六月末には五十円、特に中旬以降、今でも動いておりますが、十七日以降これはもう出来高が従来の数倍に膨らんだ上、いろんなうわさが飛び交って一気に落とされていった、これが要因です。  ただ、決してそれは、先ほど来御指摘を受けていますように、マーケットが悪いということじゃなくて、やはりそういう弱みを、不良債権処理のテンポの遅さとか都市銀行業務の立ち上げの遅さとか、そういう時間の余裕を許されなかった我々の経営責任が基本にはあると思いますけれども、現象としてはそういうことだったと思います。
  314. 入澤肇

    ○入澤肇君 株価が下がったということですが、単に経営の仕方が悪かっただけじゃなくて、三月末の検査結果、この中身につきまして、恐らく同じような金融機関がお互いに金融機関内部の情報を分析し合っている、それが的確にマーケットに反映したんじゃないかということも言えるんじゃないかと思うんです。  とにかくその中で第Ⅱ分類債権、この扱いが非常に私は問題だと思っているんですけれども、三月の末からこの六カ月間の間に第Ⅱ分類債権がどのように第Ⅰに行ったり第Ⅱ、第Ⅲに行ったり変化したのか。先ほどちょっと質問がありましたけれども、特にゼネコンに貸し付けている金額、さっき四千億という話がございましたけれども、一社だけでも二千億とかいう話がございます。それから、流通業に大変多額な金額が貸し付けられています。これらは第Ⅱ分類に入っているのか入っていないのか、あるいは第Ⅱ分類に入っている場合にきちんとした不動産なりなんなりの担保をとっているのかどうか、ここら辺についてはいかがでしょうか。
  315. 大野木克信

    参考人大野木克信君) 御指摘のように、不動産、流通の量は多うございます。先ほど、たしか建設業四千億と申し上げたかと思います。そのうち必要なものはもちろん分類しております。そこは、この三月に自己査定で実務指針とか会計士の検査を受けて分類すべきものは分類させていただいております。  ただ、建設業等につきましても、一応生きている会社でございますから、第Ⅱ分類までが中心だと思います、分類としては。
  316. 入澤肇

    ○入澤肇君 午前中の質問にもございましたけれども合併先である住友信託は第五分類債権を引き受けないと言っています。そうしますと、大変大口の債権である、融資先であるゼネコンとか流通業、これは非常に、私は見方によっては健全に発展する会社だと思うんですけれども、これが第Ⅱ分類債権であれば当然のことながら合併先に行かないというふうなことも考えられますが、いかがですか。
  317. 大野木克信

    参考人大野木克信君) 正常債権のみとおっしゃっているわけですが、これは必ずしも分類の概念ではなくて、やはり合併銀行としてふさわしいアセッツ、貸出資産という意味だと思います。したがいまして、そこには営業政策、企業の将来性とか業種的な分類とか、そういったことは当然働いてくると思います。ポリシーマターが相当その中でこれから議論されていくことになろうかと思います。
  318. 入澤肇

    ○入澤肇君 先ほど御説明を求めました保有株式の含み損益だとか、それから債権の発行条件だとか、こういう資料については今すぐ説明してくれと言ってもなかなか難しいかもしれませんけれども、後日資料をきちんと提出していただきたいと思います。  そういうことを確認したいと思いますが、どうですか。
  319. 坂野重信

    委員長坂野重信君) ちょっともう一遍、済みません。
  320. 入澤肇

    ○入澤肇君 先ほど質問をしたんですけれども、例えば長銀の持っている保有株式だとか保有株式の含み損益の動向、あるいは債権の発行とか償還の現状とか発行条件がどうなったかということの答弁がないんですが、これは後ほど資料を提出していただきたいと思いますが。
  321. 坂野重信

    委員長坂野重信君) 答弁してください。
  322. 大野木克信

    参考人大野木克信君) お答えします。  できるだけ前向きに対処します。
  323. 入澤肇

    ○入澤肇君 その次に、第二のブラックボックス、日本リースなどのノンバンクなんですけれども、特に日本リースにつきましてお尋ねしたいと思います。  私の手元に非常に公的な機関が調べた大口貸付先上位三十位の融資金額、それから事業内容等の資料がございます。この資料の非常に不可思議なところは、同じ番地に幾つもの会社が存在している。先ほども午前中質問がありましたけれども、職員もいるかいないかよくわからないということなんです。例えば日本リースレック八百七十二億四百万、これは九八年の三月末時点の融資の数字でございますが、それから都地所二百五十五億七千八百万、エー・エル・エー二百六億四千二百万、あるいは葛西不動産百八十一億八千三百万、この三社は特に長銀との関係が強いというふうに言われていますけれども融資金額については現時点においてどのように変化しているか、教えていただきたいと思います。
  324. 岡本弘昭

    参考人岡本弘昭君) お答え申し上げます。  けさほども申し上げましたが、まず第一に日本リースレックでございますが、私ども不動産事業の子会社といいますか、関連会社でございます。現在、残高は八百七十二億ございます。現在やっておりますのは賃貸マンションの経営と立体駐車場の経営、それから大規模開発物件についての取得をやっております。これが第一点でございます。それから第二点、都地所でございますが、これもけさほど申し上げましたけれども、ビリーヴ芝大門というビルを芝大門で経営しております。これはビルの賃貸業をやっている会社でございます。それから葛西不動産でございますが、これは現在開発途上の物件を赤坂に持っているわけでございます。  けさほども申し上げましたけれども、私どもとしてはいずれも貸付債権の代物弁済をそれぞれの会社で取得して物件をつくって売却する、あるいは物件の収益で弁済をやっていくという格好で従来から運営してきたそれぞれの会社でございます。  以上でございます。
  325. 入澤肇

    ○入澤肇君 そのほかたくさんの会社がありますけれども、仮に銀行に倣ってこの日本リース債権を第Ⅰから第Ⅳに、あるいは非分類等を含めて分類するとしたらどのような説明ができるか、もし現在資料がないとすれば後日計算をして資料を整理して出していただきたいと思いますが、いかがですか。
  326. 岡本弘昭

    参考人岡本弘昭君) 私ども銀行ではございませんものですから分類というあれはやっておりませんけれども、固定化債権というのと普通の債権というのに分けて計上させていただいております。現在、固定化債権というのはこの三月末で三千五百億ございます。普通の債権というのが六千五百億という分類をやっております。  以上でございます。
  327. 入澤肇

    ○入澤肇君 これは金融行政の一つの指導指針にかかわるものであるとは思いますけれども、ノンバンクにつきましても、いわゆるブラックボックス的な不透明な感じを払拭するためにはやっぱり銀行と同じように、同じ金融業をやっているわけでありますから、第Ⅰ、第Ⅱ、第Ⅲ、一定の基準のもとにきちんと分類して、そして債権を管理するということが私は必要だと思っているんです。  五千二百億にも上る多額の債権放棄をやるというわけでございますから、中身を明らかにするためにも、ぜひこれを機会銀行と同じような基準で債権の分類をして公表していただきたいと思いますが、いかがですか。
  328. 岡本弘昭

    参考人岡本弘昭君) お答え申し上げます。  私どもとしてもできるだけそういうぐあいに考えていくように努力したいと思います。
  329. 入澤肇

    ○入澤肇君 先ほどペーパーカンパニーの数で長銀関係が二十九社というふうな数字がございましたけれども、別の資料によりますと六十二社であるとか、これはサンデー毎日に出た数字でございますね、六十二社、あるいはその他の資料によりますと六十八社。一体どれが正しいのかよくわからない。もし二十九社にこだわるんであれば、二十九社が正しいということであれば、既に発行されている公の雑誌でございますから、ぜひサンデー毎日等の数字をチェックして、どちらが正しいかということをもう一度点検の上、資料をお出しいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  330. 大野木克信

    参考人大野木克信君) サンデー毎日にそういう記事が出たということは記憶しておりますけれども、その詳細はまだ見ておりませんので、そこら辺を見ましてまた先生と御相談させていただきます。
  331. 入澤肇

    ○入澤肇君 もう時間がありませんので最後に。  アメリカの株主が長銀を提訴したというニュースが入っております。アメリカの投資会社のサードアベニュー・バリュー・ファンド、本社がニューヨークにございます、このマーチィン・ホイットマン氏が八日、日本長期信用銀行日本国内で系列ノンバンク三社の債権約三十九億ドルを放棄する決定を下したことについて、長銀合併相手の住友信託銀行を相手取って米連邦地方裁判所に提訴したことを明らかにしました。この事実は御存じですか。
  332. 大野木克信

    参考人大野木克信君) お答えいたします。  訴訟を受けたことは事実でございます。ただ、これ以上の詳細につきましてコメントすることは、訴訟への影響もございますので、この場では御容赦いただきたいと思います。
  333. 入澤肇

    ○入澤肇君 問題とした理由としまして、貸付債権を何の補償もなく放棄する銀行が世界に存在するとは信じられない。要するに、日本リースなどの三社への貸付金五千二百億円を放棄したということが提訴の理由であります。  放棄をして公的資金をこれから要求するということであれば、当然のことながらこの訴訟については十分に事実を確認した上で今後の方向ということを社として明示しなくちゃいけないんじゃないかと思いますけれどもいかがでしょうか。
  334. 大野木克信

    参考人大野木克信君) いろいろ考え方はあると思いますけれども、ちょっとこの場でのこれ以上のコメントは、やはり訴訟を受けた事実がございますので、御容赦いただきたいと思います。
  335. 入澤肇

    ○入澤肇君 時間が来ましたので、これで終わります。(拍手)
  336. 佐藤道夫

    ○佐藤道夫君 私からは、大野木参考人に二、三お尋ねいたします。  最初に、長い間長期信用銀行にお勤めになりまして、この長銀なるものの目的、性格、法律的にどういうふうに御理解していたか、こういうことでございます。  長銀というのは普通の銀行とは違います。長銀、興銀、日債銀、長期信用銀行法に基づきまして昭和二十七年に設立されたわけであります。簡単に申さば、基幹産業に対して長期の金融を行う。二十七年というと戦後の復興期でございますから、当時の基幹産業というのは石炭、鉄、造船、その後電力とかガスとか石油とか、そういうのが加わってまいりましたけれども、要するに国策企業と言ってもいい、それに対して長期融資を行う国策銀行だというのが法律上の位置づけでありまして、普通のその辺にあるような銀行とは違うわけであります。  ところが、どういうわけか、その目的、性格を忘れたのかどうか、もう普通の銀行以上にサービス業あるいはレジャー産業だとか金貸し、金融業だとかにのめり込んでいって多額の焦げつきが出てしまった。そういうふうに目的変更するについては行内で真剣な議論があったと思うんですね。うちの銀行はこういうことで設立されたんだと、もう大体目的は果たしたから監督官庁とも相談して免許は返上しようとか、あるいは法律を改正して普通の銀行と同等になって、そして普通の銀行のやっているようなことをやっていきましょうと、そういうふうな真剣な議論があったと思うんですけれども、その辺につきまして大野木頭取の御認識を承れれば、こう思うわけであります。
  337. 大野木克信

    参考人大野木克信君) お答え申し上げます。  確かに先生御指摘のとおり、昭和二十七年以来長銀公共性ということでまいったわけでございますけれども、やはり高度成長が終わった段階で長信銀の生きていく道というのはいかがあるべきかという議論は長銀の中で絶えず行われてきたと思います。その中で、当然のことながら法の許す範囲でいろいろと新しい資金需要を求めてきたり、あるいは自由化の中で子会社を通じて業際的な展開を進めてきたということでございます。  ただ、いわゆるバブルの時点でそういう意味で今日の禍根をつくりましたような方向に資金配分をしたという点につきましては^結果としては非常に責任を感じておるところです。
  338. 佐藤道夫

    ○佐藤道夫君 法律には立法趣旨というのがありまして、どういういきさつでこの法律ができたのか、法律を解釈するためにはその立法趣旨の枠内で議論をしていくわけでありまして、それを飛び越えてもう時代時代だからいろんなことをやっていいんだと、そうはいかないわけであります。  先ほども言いましたけれども、当然監督官庁の大蔵省の意見を求めたと思います。大蔵省はどういう意見でございましたか。何をやってもいい、やりたいことをやれ、もうけろと、こういうことを言っておりましたか。
  339. 大野木克信

    参考人大野木克信君) その時点でどういう監督官庁との指導とか意見の交換をしたかというのはつまびらかにはしておりませんけれども、監督官庁の定期的な考査も受けておりますし、そういうことを通じて御指導を受けていたんだろうと、そのように推測しております。
  340. 佐藤道夫

    ○佐藤道夫君 法の枠を飛び越えてそういう国策銀行のやってはいけないようなことまで手を出していって、案の定武家の商法で今日の悲劇を招いたと、これが現実だろうと思うのであります。  公的資金を投入してほしいとかどこそこと合併するとか、そういうことの前に自分たちが一体どうしてこういう悲劇を招いてしまったのか、法律は一体何を考えていたのか、自分たちのやる範囲はどこまでだったのか、そういう深刻な反省が問題解決の始まりだと思うんですけれども、どうもその辺があいまいもことしておりまして、合併しますよ、公的資金を注入してくださいよ、不良債権は勝手に放棄しますよと。どうも余りにも安易過ぎるのでありまして、日本人らしくないな、こう私は思っておるんです。いかがでしょうか。
  341. 大野木克信

    参考人大野木克信君) 決して安易に考えているわけではございませんけれども、先生のような御指摘は、これは重々深く受けとめていかなくてはいけないことだろうと思っております。  それから、やはり先生御指摘のように、こういう形に至りましたその辺のいわば後代的な反省と申しますか、そういったものはきちんとやりたいと思っています。
  342. 佐藤道夫

    ○佐藤道夫君 次は、関連ノンバンクに対する何千億という債権の放棄の問題、先ほどからもいろいろお尋ねのようでありまするけれども、その点についてお伺いいたします。  これは、債権の譲渡でしたら取締役の一存であるいはできるのかもしれませんけれども債権の放棄でありますから、こういう重大な問題を決めるのは最終的には株式会社であれば株主であります。会社のオーナーである株主総会、これで決める。何しろ一文の得にもならないのに人にくれてやろう、こういうことでありまするから、そう簡単には話は進まないわけです。  別におどかすわけじゃありませんけれども、取締役の任務は何かと、不良債権を一生懸命取り立てをする、あらゆる法的手段を講じて。関連ノンバンクといいましても、全然法人格は別でありまして、たかだか長銀は四%ぐらいの株式を持っているだけでございましょう。全然別人格ですから、そう簡単に関連ノンバンクが危ない、長銀が危ない、そういう問題ではないのでありまして、債権を放棄するためにはやっぱり株主総会の意見を聞かねばならない。  それを無断で放棄してしまって、会社に損害を与える。これは、ですからおどかすわけじゃないと言っておるのでありますけれども、商法上の特別背任と言いまして、七年以下の懲役に処せられるわけであります。そのお覚悟がおありかどうか、それをはっきり申してください。
  343. 大野木克信

    参考人大野木克信君) 法律的な点でございますけれども、今回の措置につきましては、私ども弁護士の先生と相談しながら進めておるところでございます。
  344. 佐藤道夫

    ○佐藤道夫君 率直に申し上げますと、その顧問弁護士さんも共犯の疑いが出てきますよ。もう少し慎重に検討してみてください。きょうの私のこの問いかけに基づきまして、そう簡単に財産を放棄するなんということは会社役員の一存じゃできないことになっておりますから、商法を知らない顧問弁護士なんか即刻解任してくださいよ、そういうふうにお願いいたします。  それから、最後になりましたが、この三月、株主に対して配当を行っておりますね。これに使われた配当金が百四十億というふうに聞いております。少なからざる額でありまして、会社がもう破綻するかどうかという瀬戸際に、普通の株主ならばもう遠慮しようということを言うはずだと思いますけれども、やっぱり何をおいても銭金の問題、くれるものならもらっておこうということで皆さん方受け取られたのかどうかわかりませんが、この株主の中に銀行役員の方が皆入っておるんですね。大野木参考人も数万株所有しているやに聞いておりますが、そのほかの役員の方も皆数万株、それから一番多い役員の株主は元頭取であった杉浦何とかという方でありまして、あの方が十数万株を保有しておって、配当金もこの役員さんの分を合計するとばかにならぬのではないか。  それにしても大したことはありませんけれども、しかしやっぱり公的資金を投入してもらう、国民の税金でという以上は、額の問題じゃない、姿勢の問題だと私は思うのでありまして、なぜあの段階で役員の株主さんの立場として配当金はもう我々は要らない、これはもうたとえ公的資金を投入してもらう、少しでも少ない方が国民のためになるわけですから、そうしようというふうになったのかならないのか、結論だけでも結構でございますから、お教え願えればと思います。
  345. 大野木克信

    参考人大野木克信君) お答え申し上げます。  正直申しまして、ただいまの先生の御指摘、ぜひ私どもで受けとめて考えてみたいと思っております。  役員のあれとしては、確かにそういう先生の抗議ですね、受け取った配当をこういうリストラの中でどういうふうにやるべきかということだろうと思います。またぜひ先生の御意見を伺わせていただきたいと思います。  はっきり申しまして、少なくとも私ども現役の経営者は、この受け取った配当金を返戻するということは検討したいと思います。残念ながら、この六月末の株主総会の時点では、まことに至らぬあれでございましたけれども、先生のようなお考え、まことにお恥ずかしいのですが、思い及ばなかったということでございます。
  346. 佐藤道夫

    ○佐藤道夫君 私は別に返済を強要しているわけでも何でもありません。社会に対する寄附、ボランティアというのは自発的にやって初めて意味を持つものですから、先生がおっしゃるのてしょうがないので返しておきますよというのならおやめになった方がよかろうか、こう思います。  以上で終わります。(拍手)
  347. 水野誠一

    ○水野誠一君 私たちの番になりますと大半の質問というのはもう出尽くしておりましていつも大変苦慮するんですが、大筋の部分について、今回の長銀救済が、そしてそれに公的資金をつぎ込むということがいかに納得されないことか、国民にとってもそして我々にとってもなかなか理解できないことかということは、もう既に各委員からの質問、これは与党、野党問わず皆さん一致してそのポイントにおいては同じ立場から御質問が続いたと思います。  そういうこともございますので、私は幾つかポイントを絞って御質問をさせていただきたいと思います。  まず一つは、デリバティブ取引の問題であります。これも既に簗瀬委員あるいは山本委員から御質問があった部分でありますが、ここのこの問題について、私は、このデリバティブというものは、言ってみれば金融界の一種のゴーストのようなものであって、これによってベアリング証券のようにつぶれることもあると。大きな証券会社がつぶされることもあれば、また逆に言えば、今回の長銀の問題のように、これを盾につぶせなくなることもあるという、大変そういう大きなお化けであるわけでありますが、にもかかわらず、その実態というのはよく理解をしている人は大変少ない。  今回の議論の中でも、この四十兆円のデリバティブ取引というものが、言ってみれば、これが大変な影響があるという意見もあれば、いやいやそうではない、中身をつぶさに点検していけばそんなに大きな影響のあるものではないんじゃないか、こういう議論もあるわけです。確かに、想定元本四十兆という金額だけを聞くとその影におびえてしまうということもあるんですが、それではいけないというふうに思います。  そこで、一つお尋ねをしたいんですが、このデリバティブ取引、これが私の知るところでは九七年度前というのはバランスシートに載っていなかった。これが九七年以降、注記という形で欄外に載るようになった、こういうふうに承知をしておりますが、それ以前、大野木参考人銀行を、長銀という大変大きな金融機関を運営する中で、経営判断としてこのデリバティブというものをどういうふうに御理解をなさっていたか、そしてどういう形でその実態を把握しておられたか、この点についてお尋ねしたいと思います。
  348. 大野木克信

    参考人大野木克信君) お答え申し上げます。  やはりデリバティブというのは新しい新金融技術という形で、ここ数年と申しますか、そのぐらいの感じで大きく出てきたんだろうと思います。  このデリバティブ取引、私ども取引先は、割と国際活動とかあるいは国際的な財務上の活用、外貨借り入れとか、結構そういうのが多い先がございましたわけです。その方たちがやはり為替とか金利とかというものに対してヘッジの手段のないままに昔からやっていたというケースがいろいろ、いいケース悪いケースあったのは先生も御存じのとおりであったと思います。そういうことに対するヘッジ活動として、やはり私どもが仲介してデリバティブをやるべきだと。一言で言えばそういう実需的なものを中心にして、そういうものがあれば積極的にやったらいいかということでやってまいりました。  それで、報告は、ちょっとこれははっきりしていませんが、二年ぐらい前から例のバリュー・アト・リスクを取り入れて内部的に管理していたかと思いますが、VARという、ちょっとあれになりますけれども、要するにリスク管理を欧米並みにかげながら、トータルのリスクを抑えてなおかつお客様の要求にこたえるような形で進めてきたということでございます。
  349. 水野誠一

    ○水野誠一君 私は大事なことは、経営者として、そういうリスキーなことが一担当者なりの判断で行われていく部分というのも随分あるわけですね、デリバティブ取引の場合は。そういうときに経営者のとるべき態度というもの、これはどういうふうにお考えになっていたかということなんですが、時間がないので次に進ませていただきます。  そこで、これはデリバティブといっても為替スワップあるいは金利スワップ、そして期限も三カ月から一年とかいろいろな種類があるわけでありまして、今四十兆六百二十七億というふうに言われておりますが、実は三月末では五十一兆五千二百七十八億円あったという報告があります。  短期間のうちにこれだけ減少してきているということは、これは御行が積極的な手じまいをされたのかあるいは自然に減少したのかということ、これもあると思いますし、これからさらに海外業務撤退されていくという中で、このデリバティブの残額と海外業務撤退関係というのはどうなるのかという点、これをお答えいただければと思うんです。
  350. 大野木克信

    参考人大野木克信君) デリバティブの残高に対する考え方でございますけれども、やはりどちらかというと縮小する方向でこの春ぐらいから進めてまいりました。その結果、三月五十一兆が七月四十兆になっているということでございます。これはデリバティブの背後にどうしても外貨資金の調達の問題が絡まっておりますので、そういうこともあって下げていったということです。  それから、スワップの件数は六千五百件、それで外資系相手がその半分です。それから長期物が、その中で半分以上がたしか一年を超える取引で、この辺がちょっと大変かなという感じでございます。  それから、デリバティブ、スワップというのは、必ずしもニューヨーク、ロンドンだけじゃなくて、東京でも結構やっておりますので、海外撤退イコールデリバティブ撤退ということでもないということも反面ございます。  それでよろしゅうございますでしょうか。
  351. 水野誠一

    ○水野誠一君 今、口頭でお聞きしてもなかなか把握できることでもないんですが、このデリバティブの内訳、そういった期間の問題、それからあと数カ月でどういう変化をしていくのか、あるいは海外業務終了後も残るべきデリバティブというのはどれくらいあるのかというあたりをやはりきっちりと公開していただかないと、本当に影におびえるということだけで実態がつかめないままに議論が進むということではいけないと思うんですが、この内訳の公開というのはしていただけるものなんでしょうか。
  352. 大野木克信

    参考人大野木克信君) できる範囲でいたします。  これは、今後のあれにつきましては、住友信託さんとの関係で、そちらに移していくものとか何かというのはこれから協議しなくちゃいけないので、その辺がやや複雑になるかと思いますが、できるだけ先生の方向で努力したいと思います。
  353. 水野誠一

    ○水野誠一君 それはぜひ資料をお示しいただくということでお願いをしたいと思います。  次に、関連ノンバンクの債権放棄についてお尋ねをしたいと思いますが、先ほど冒頭で塩崎委員がこの関連三ノンバンクに対する貸し倒れ引き当てはされていたのかという御質問をされました。このお答えでは、私の理解したところでは、救済をし生かしていこうと考えていたので引き当てはしていないというお答えだったというふうに理解をしたんですが、その理解でよろしいでしょうか。
  354. 大野木克信

    参考人大野木克信君) 第五分類、いわゆる要注意債権という方にこれらを分類しておりまして、公認会計士の実務指針等に基づきまして過去の貸し倒れ実績、そういったものをもとに必要な引き当てを行っております。これが第Ⅱ分類一般についてでございます。
  355. 水野誠一

    ○水野誠一君 もう時間がなくなりましたのでこれ以上質問いたしませんが、これについても私はやっぱりはっきりとした金額、内容等をお示しいただきたいと思うんです。といいますのは、ここが経営責任を問う上で非常に重要な要素である。つまり、この答えがイエスでもノーでも非常に矛盾に満ちた話が私はこの中には内在していると思います。  したがいまして、やっぱり今の国民の疑問を晴らしていく、あるいは我々のきょういろいろな質問の中で出てきました疑問を晴らす上でも、ここの一点というのは非常に重要なかぎを握るような気がいたしますので、ぜひこの点についての情報開示もお願いをしたいと思います。  終わります。(拍手)
  356. 菅川健二

    ○菅川健二君 改革クラブの菅川健二です。大変お疲れのところでございますが、最後質問でございますので、もうしばらく御辛抱いただきたいと思います。  先ほど来話があるわけでございますが、先般のテレビのニュースステーションの世論調査を見ましても、七八%の者が長銀への税金投入を支持しないという結果が出ておるわけでございます。また、実は私、昨日地元に帰っておったのでございますけれども、ある会合に出ておりますと専らやはり長銀問題が話題になっております。  先ほど佐藤委員の方からも話がございましたけれども長銀は二十年代から高度成長に向けて大変な役割を果たされたわけでございまして、大変栄光の時代ではなかったかと思うわけでございます。その後、長銀役割が、金融間接金融から直接金融時代になってきたというようなこともありまして、バブル期を迎えたときに一周おくれのバブルへの参入といいますか、そういった状況の中ではば抜きのばばを引き抜いたのがその当時の長銀と、それから差しさわりがございますが農協金融であったのじゃないかというような冗談もあったわけでございます。いずれにしても、長銀は既に役割を終えたのではないかという意見が大半であったわけでございます。  それにつきまして、頭取の率直な御意見をお聞きいたしたいと思います。
  357. 大野木克信

    参考人大野木克信君) お答え申し上げます。  先生御指摘のように、長期信用銀行制度というものに完全に乗った形の制度金融機関、そして対象先もいわば高度成長時代日本の産業を担った先という製造業中心融資、こういった形の長信銀役割というのは、やはりある時点でなくなったと申しますか、どんどん直接金融とか国際金融とかに移っていくという形で、そのままではなくなった。ここはやはり何らかの形で脱皮しなくちゃいけないというのは、先生の御指摘のように課題でございました。
  358. 菅川健二

    ○菅川健二君 朝からずっと厳しい御指摘があったわけでございまして、私もほぼ同意見でございますけれども、鬼の手で大変厳しい解明がされましたので、私自身、若干仏の心を出しまして、落ち穂拾いを少しさせていただきたいと思います。  先ほどのテレビの世論調査の中で、なぜ支持しないのかという理由の中で一番多かったのが、企業救済になるからというのが四〇%でございます。それから税金は破綻後に投入されるべきであるというのが三二%、それから原則があいまいであるというのが一九%であったわけでございます。この長銀問題を考える場合に、やはり守るべきものは何か、問われるべきものは何かということのけじめをきちっとつける必要があるんじゃないかと思うわけでございます。  そこで、御案内のように守るべきものは預金者であり、健全な借り手であり、あるいは従業員の雇用ということであろうかと思います。反面、問われるべきものは経営責任であり、株主責任であり、さらに長銀という一つ銀行は事実上もう解体するんだ、消滅しちゃうんだ、そういった企業救済ではないんだよ、守るのはシステミックリスクを守るんだよという形の整理をされる必要があるのではないかと思うわけでございます。  そこで、一つ、これも午前中質問があったわけでございますが、経営責任はもちろんのことでございますが、株主責任を明確にするためにはきちっとしたやはり減資をしていくということが重要ではないかと思うわけでございます。減資につきまして再度考慮されるおつもりはないか、お聞きいたしたいと思います。
  359. 大野木克信

    参考人大野木克信君) いろいろな責任についての先生の御指摘はまことにそのとおりだと思います。  ただ、現時点で株主の責任を明確にするということの手段としては、やはり合併比率で、減資は考えないで合併比率ということにこだわりたいと思っておりますので、お許しいただければと思います。
  360. 菅川健二

    ○菅川健二君 減資につきましては法的手続を簡素化するような動きも国会等でございますので、その点また再考をしていただきたいと思うわけでございます。  それから、システミックリスクにつきましては、これも午前中から議論があったわけでございますが、抽象的に、長銀が破綻した場合には大変な影響があるよ、システミックリスクがあるよと言われても国民はわからないわけでございます。かつて住専問題について、やはりこれは金融のシステミックリスクを回避するために住専処理をやるんだということで、いつの間にか無理やりこういう措置がとられたという経過があるわけでございます。  今回の場合、やはり具体的にそれじゃどういう影響があるのかということについて、健全な借り手がどういつだ対応でどういつだ規模でどういつだ内容であるのか、それが救済されない場合はどういう事態が起こるのか、具体的な事態についての明快な説明が要るのではないかと思うわけでございますが、この点について具体的な説明を何らかの形で早急におやりになるおつもりはないかどうか、お聞きいたしたいと思います。
  361. 大野木克信

    参考人大野木克信君) 先生の御指摘のことはぜひ努力いたしたいと思っております。  やはり現時点で一番気になっていますことは、一つは先ほど来出ている国際的な取引もございますが、やはり国内八千社、中小企業四千社、そしてここにおります関連グループの持っているそれぞれの取引先中小企業の数、例えば日本リースでいうと七万社、こういうところが連鎖を起こしてどんどんいきますとちょっと非常に怖いという、そういう意味が一つございます。  それから、もちろん金融機関内の取引についてもございますが、もう少し先生の御指摘の点、きちんとしたいと思っております。
  362. 菅川健二

    ○菅川健二君 それから、公的資金の申請の額については、今のところ精査しておるんだということでございますけれども、国際業務はやめるということになりますと、八%基準はクリアしなくてもいいけれども、国内基準からしますと四%はクリアしなくちゃいかぬということではないかと思うわけでございます。  そういった面から、最低どの程度の資本を新たに注入しないと銀行として機能しないのかどうか、その点の額について数字を教えていただきたいと思います。
  363. 大野木克信

    参考人大野木克信君) 国に申請してお願いする額につきましては、先ほど申し上げましたけれども、今回の決算とか、あるいは新しい銀行の今後の財務政策、そういったものに非常にかかわってくる問題でございます。  長銀が単独でずっといくということでしたら、それは確かに四%でよろしいわけですけれども、新銀行は国際業務は当然やることになるわけでもございましょうし、ただその中で、全体のどういう財務政策をもって新銀行がやっていくのか、量の拡大を追うのかあるいは量を抑えていくのかとか、いろいろその辺は新しい銀行との話し合いとかそういうことにかかわってくると思いますので、そういう意味でもう少し御猶予をいただきたい、こういうことでございます。
  364. 菅川健二

    ○菅川健二君 なかなか具体的な数字は明らかにされないようでございますが、御行の今の予定ではいつごろ公的資金の申請をされるつもりか。その後、住友信託銀行との合併協議はどのように進めていこうとされるのか、今後の予定をお聞きいたしたいと思います。
  365. 大野木克信

    参考人大野木克信君) そもそも、額について、先ほどお答えしましたように新しい銀行の財務政策とかそういったことに非常に関連してくる、そのためには、やはり監督庁の検査、それから住友信託さんのデューデリジェンス、こういったものが終わって、大体基本契約が事実上固まるというところから手続的には進めていくということになろうかと思っております。
  366. 菅川健二

    ○菅川健二君 時間でございますので質問はやめますけれども最後にちょっと申し上げておきたいのは、先ほど来の話の中で、公的資金の導入の際にはきちっとした情報を開示するよということを言われたわけでございますが、それは大変私は遅いと思うわけでございます。  国会の今の段階できちっと情報を率先して開示していただいて世論形成をされないと、今のままでは公的資金はノーという世論が形成される可能性がございますので、その点を御注意申し上げて積極的な情報開示を速やかにやっていただきたいと思います。  以上でございます。(拍手)
  367. 坂野重信

    委員長坂野重信君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人方々には御出席いただきありがとうございました。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時三十七分散会