運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1998-10-01 第143回国会 参議院 外交・防衛委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十年十月一日(木曜日)    午前十時開会     ―――――――――――――    委員異動  九月三十日     辞任         補欠選任      櫻井  充君     木俣 佳丈君      戸田 邦司君     田村 秀昭君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         河本 英典君     理 事                 依田 智治君                 吉村剛太郎君                 柳田  稔君                 高野 博師君                 小泉 親司君     委 員                 岩崎 純三君                 亀谷 博昭君                 佐々木知子君                 鈴木 正孝君                 村上 正邦君                 森山  裕君                 木俣 佳丈君                 齋藤  勁君                 吉田 之久君                 続  訓弘君                 立木  洋君                 田  英夫君                 田村 秀昭君                 佐藤 道夫君                 山崎  力君     国務大臣         外 務 大 臣 高村 正彦君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 額賀福志郎君     政府委員         防衛庁長官官房         長代理     伊藤 康成君         防衛庁防衛局長 佐藤  謙君         防衛庁運用局長 大越 康弘君         防衛庁人事教育         局長      坂野  興君         防衛庁装備局長 及川 耕造君         防衛施設庁長官 萩  次郎君         防衛施設庁施設         部長      守屋 武昌君         法務省刑事局長 松尾 邦弘君         外務大臣官房長 浦部 和好君         外務省アジア局         長       阿南 惟茂君         外務省北米局長 竹内 行夫君         外務省経済局長 大島正太郎君         外務省条約局長 東郷 和彦君     事務局側         常任委員会専門         員       櫻川 明巧君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件外交防衛等に関する調査  (防衛庁調達実施本部背任事件に関する件)  (防衛庁装備品調達に関する件)  (新バッジシステム関連資料外部流出に関  する件)  (北朝鮮弾道ミサイル発射に関する件)  (戦域ミサイル防衛TMD)に関する件)  (朝鮮半島エネルギー開発機構(KEDO)へ  の支援凍結解除に関する件)  (シビリアン・コントロールの在り方に関する  件)     ―――――――――――――
  2. 河本英典

    委員長河本英典君) ただいまから外交防衛委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  昨日、櫻井充君及び戸田邦司君が委員を辞任され、その補欠として木俣佳丈君及び田村秀昭君が選任されました。     ―――――――――――――
  3. 河本英典

    委員長河本英典君) 外交防衛等に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 吉村剛太郎

    吉村剛太郎君 おはようございます。  当外交防衛委員会定例日をほぼ一〇〇%使って毎回行っておるわけでございますが、それも、昨今、当委員会関連する事案が大変多うございまして、勢いこのように連日定例日を使うという形になっておるわけでございます。  そういう中で、防衛庁長官、就任以来大変苦労をされております調達実施本部の問題でございます。先般、前官房長更迭というような人事異動もありました。また、新たにニコー電子の問題も報道されております。そういう中で、先回のこの問題についての時点よりさらにいろいろと事態が変化してきておるなと思うわけでございますが、その後の経緯について、また対応について防衛庁の方から御説明いただければと、このように思います。
  5. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) おはようございます。  今、吉村委員の方からこれまでの経緯につきまして述べよということでございますが、東京地検背任の容疑で調達実施本部元幹部を起訴した事実及び当庁の一部関係者から返還額算定は適切なものではなかったという認識の提示があったことなどを踏まえまして、事案発生当時の返還金額算定は適切なものではなかったということで、私どもは依然として国損、国の損失が生じているというふうに考えておりまして、この国損分について東洋通信機に対しましてその返還を求めていく、そういうふうに今段取りをとっているところであります。  もう一つは、先月十二日以降、防衛庁において東洋通信機事案にかかわる証拠書類が組織的に大量に処分されたという報道がありましたが、これが事実だとすれば重大な案件であるという認識をしておりまして、私どもといたしましては、検察当局捜査によって真相究明されていく一方で、我が方としても自浄能力を発揮していくためにこの四社関連文書管理実態に関する調査委員会を設けまして、事実関係徹底究明について全力を注いでいるところであります。  私といたしましては、こうした事態が二度と起こることがないように、いわゆる証拠隠滅についての徹底的な究明を図るということ、もう一つは、調達行政をめぐるいろんな問題が課題となっているために、この調達行政をどういうふうに透明性を持って、しかもなおかつチェック体制をきちっとしていくためにはどうしたらいいかという根本的な対策検討に着手したところであります。  また一方で、中長期的には自衛隊員の再就職問題についても早急な検討が必要であるというふうに考えておりまして、近々この検討委員会も発足をさせたいというふうに思っているところであります。私といたしましては、それぞれ問題が発生したときに、現象的なことをこう薬張り的に対処していくだけでは、必ず五年なり十年なりたてばまた同じように起こる懸念があるから、原点に戻ってどういうところに問題点があるのかということをきちっと整理をしていく必要があるという問題意識から、この防衛調達制度調査検討会、それから自衛隊員の再就職の問題に関する委員会というものをつくりまして検討をしたり、あるいはこれから検討をしようというふうにしているところでございます。  いずれにいたしましても、そういうことを踏まえまして、私は防衛庁自衛隊における一連の案件に対する事実関係徹底的に究明して国民皆さん方に明らかにするとともに、二度とこういうことが起こることがないようにして国民皆さん方信頼関係を取り戻し、自衛隊防衛庁が自信を持って、希望を持って国家国民の安全のために精励できるような環境をつくっていかなければならないというふうに責任を感じているところであります。
  6. 吉村剛太郎

    吉村剛太郎君 ただいま長官の方から返納についてのお話もありました。当初、原価については七十億とか六十億とかというような数字が見えたし、その後二十何億とか、最終的にはずっと圧縮されたとか、どれが本当の原価かというのがよくわからないんですけれども、これから事件については司法当局捜査を待つしかない、おいおい事件実態といいますものは解明されていくと、このように思っておりますが、そういう具体的な原価金額についてはこれはどうなるんでしょうか。なかなか難しい原価計算でございますが、これは、一つ事件が解明された後という形になるんでしょうか。その辺をちょっと教えていただきたいんです。
  7. 及川耕造

    政府委員及川耕造君) 返還金額ということになろうかと存じますけれども、これにつきましては既に出されました起訴の中で地検の方から具体的な金額が示されているところでございますけれども、私どもといたしましては法務省のしかるべき当局等とも御相談をしながら返還額については早急に最終的な額を検討したいと、こういうふうに思っておるところでございます。
  8. 吉村剛太郎

    吉村剛太郎君 法務省計算が果たして正しいのかどうか、これはもう原価については専門家かどうかわかりませんから、双方がやはりよく検討しなければならないんだろうと、このように思っております。いずれにしましても、ここから出た事案でございますから、はっきりした数字的な根拠はぜひ確立をして対応していただきたい、このように思っております。  それと、長官から、この委員会でも何度も言われておりましたけれども、この事件再発を、このようなことが決して今後起こらないように、この際これを契機にして徹底的に真相究明すると同時に、やはり防衛装備品といいます特殊性の中からどうしても密室になりがちな取引という形になろうかと、このように思っております。これをなるべく明らかにしながらというその限度も当然あろうかと思いますけれども、そういう中でもきちっとしたシステムをつくっていただきたい、このように思います。これは要望として申し上げておきたいと思います。  続きまして、この調達の問題からとんでもない事件がまた我々の耳に入ったわけでございますが、それは御存じのようにNECからバッジシステム情報が漏れておったということでございます。私も軍事の専門家ではありませんから、そのシステムについて詳しくはわかっておりませんが、いずれにしましても日本の領空を侵犯した航空機の情報を全国のレーダーサイトで捕捉してこれを迎撃するために戦闘機ミサイルに指揮する、いわゆる我が国基本でございます専守防衛のまさに根幹をなすシステムだと私は認識をしておるわけでございます。そのバッジシステム情報が漏れておったということでございますが、これの概要について、今把握している状況を御説明いただきたい、このように思います。
  9. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 今、吉村委員指摘のように、私どもにとっては大変衝撃的な話が表ざたになったわけでありますが、この案件については平成二年の六月にフィリピンバッジシステム関連資料が発見されたとの情報が入手されまして、当庁において調査を進めました結果、秘相当資料一点を含むバッジシステム関連NEC内部資料外部に漏れていたということが明らかになったわけでございます。  したがって、防衛庁としては平成三年四月に調達実施本部からNECに対しまして文書をもって厳重に注意をいたしますとともに、再発防止にかかわる誓約書提出、具体的な再発防止対策提出、そしてまた再発防止策が実施されるまでの間の取引停止を指示してきたところでございます。  防衛庁は、これまでは秘密保全に関する訓令という規則があるわけでございますが、これに基づきまして企業との契約条項において秘密保全に関する規定を設けて企業秘密を遵守する、保全する義務を課しているわけでございます。定期的にその保全状況の検査を行ったりしてきたところであります。  今回、こういう問題が再び表に出たものですから、私どもといたしましては、契約企業に対しまして機密保全徹底を図るように改めて文書でもって通知を行うとともに、私どもとしては、企業における秘密保全体制に関する調査を充実させ、再点検をしていきたいというふうに思っているところであります。
  10. 吉村剛太郎

    吉村剛太郎君 今、防衛庁長官がおっしゃったのは、この事犯は一九九〇年六月か七月ごろ起きて、それが防衛庁の方に報告がありまして、それから八年たっておるわけですが、その事犯が判明したときにも手は打っておられると思いますが、今回さらにそのような通達をしたということですか。
  11. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 当時はNECに対しまして、先ほど申し上げましたようなそういう誓約書提出再発防止対策等を講じる一方で取引停止等も行ったわけでありますけれども、今回は問題の重大性を改めて認識をして、契約企業全般にわたって文書を発出するとともに、再点検をしたいということでございます。
  12. 吉村剛太郎

    吉村剛太郎君 これは新聞報道でございますからちょっと確認をしたいんですが、一九九〇年の六、七月ごろ、ある日本人がフィリピンにおいてこの資料をある組織に売り渡そうとしておった、それをフィリピン当局が捕捉をして御連絡があった。その資料NECから流出をしたというのはその前の八五年ぐらいじゃないか、このような報道がなされておりますが、その真偽のほどはいかがでしょうか。
  13. 佐藤謙

    政府委員佐藤謙君) 今、先生指摘がありましたように、本件は平成二年六月にフィリピンの方でそういった事案が発覚いたしまして、平成二年七月にその資料を私どもとしても入手いたしまして、防衛庁として分析、調査をいたしました。また、八月にはNECにも社内調査を実施させたところでございます。  その結果、平成三年の三月にNEC調査結果が報告されまして、それによりますと、NECの作成した資料流出したということでございます。それで、具体的な流出の経路とかなんとかというものは、実はその当時かなり徹底的に関係者を洗って追跡調査もしたわけでございますが、十分に解明はできませんでした。  ただ、そのときの判断といたしまして、流出した時期というのは、資料の作成時期等から見ますとどうも昭和六十年の夏ぐらいから六十一年の初めぐらいにかけてではないだろうか、こういうふうな報告と申しましょうか、こういうことを承知しているところでございます。
  14. 吉村剛太郎

    吉村剛太郎君 秘密種類というのは、説明がありましたように、防衛秘密庁秘、いわゆる防衛庁秘密というのがあるということでございまして、その秘密区分はそれぞれ機密極秘、秘というように分かれておると承っております。その中で、防衛秘密については米国政府から供与された装備品等の構造、性能及び使用方法に対する秘密、このようになっておりまして、これには罰則が十年以下の懲役ということで、さらに民間人にも及ぶ、このようになっておるようでございます。  そこで、NECがこのバッジシステム運用するようになりましたのが一九八九年ですか、ちょっと確認だけしておきたいんですが。
  15. 佐藤謙

    政府委員佐藤謙君) バッジシステム整備状況でございますけれども、まず全体的に申しますと、バッジシステムシステム整備昭和五十八年から六十二年にかけて行われております。それから、六十年以降、調整試験と申しましょうか、そういったことをバッジシステムについてはやっており、実際の運用開始平成元年三月末から、こういうふうな状況になってございます。
  16. 吉村剛太郎

    吉村剛太郎君 バッジシステムは一九六八年ごろから運用、この時点ではハードソフトアメリカからの提供に負っておった、このように認識しておりますが、間違いありませんでしょうか。
  17. 佐藤謙

    政府委員佐藤謙君) 今、先生お話しの年次でございますけれども、私、今ちょっと手元に資料がございませんのであるいは不正確かもしれませんけれども、第一次の旧バッジと申しましょうか、その段階状況だろうと思います。その段階では米側のいろいろな情報資料もとにして我が方としても構築していったものと思います。  先ほど申しましたように、今回はそれを更新するということで新たな新バッジシステムを構築した、こういうことでございます。
  18. 吉村剛太郎

    吉村剛太郎君 旧バッジの場合は、いずれにしましてもハードソフトアメリカからの提供にほぼ一〇〇%負っておったということであろう、このように思っておりまして、報道ですと一九八九年から新バッジについてはNECが独自のハードを開発して、それが採用になっておる、このような認識ですが、大まかこれでいいですか。
  19. 佐藤謙

    政府委員佐藤謙君) 具体的な契約の時期とかにつきましては、ちょっと私、明確に今記憶してございませんが、時期的には大体今おっしゃったようなそういった時期に新しい新バッジの導入が行われておりますので、NECについてもそういう動きがあったものと、こういうふうに思います。
  20. 吉村剛太郎

    吉村剛太郎君 それで、先ほどの御答弁で、NECからこの資料流出したのはどうも一九八五年ぐらいではないかというお話でありまして、その時代であると、これはハードソフトアメリカからの提供に負っておったという時代であろうと思うんですね。だから、その資料といいますのは、これは当然基本的な資料防衛庁からNEC研究資料として行って、それをもとにして新バッジを開発していったんだろうと、このように思うんです。  となると、基礎となるのは、当然これはその当時の日本の技術からいくとアメリカから提供されたハードソフト資料ではないかなと、ここは僕の推測だけれども。そうなってくると、先ほども言いましたように、防衛秘密に属する資料ではなかったのかなという感じがするんですよ、年代的に追っていきますと。流出したのは八五年ですからね。NECの独自の開発したものが八九年ごろから運用されて、大まかに。  それで、旧バッジと新バッジは全く異質のもの、私は専門家じゃないからわからないけれども、全く異質のものではないんではないかなと、こう思うときに、この秘密については庁秘に属するものだというお話でありましたが、その基礎となるのは、防衛秘密に属するものが相当含まれていやしないかなと。この辺の見解はいかがでしょうか。
  21. 佐藤謙

    政府委員佐藤謙君) 時期の点でございますが、確認的にもう一回申し上げさせていただきますと、新バッジ自体昭和五十八年から昭和六十二年にかけて整備が行われたというような状況にございます。実際の運用開始平成元年からと。  一方、この当該資料流出時期につきましては、これもなかなか明確にはできていないわけですが、いろいろな資料が作成された時期からしますと、六十年の夏から翌年の一月ぐらいまでだろう、こんなふうに見ているところでございます。  それから、今、この当該資料の中に、庁秘に相当するものということを申し上げているわけでございますが、平成二年の六月、それからまた七月に、我が方、七十一枚の資料を入手いたしまして、これを空幕におきまして実際のその内容等を分析していただきました。その結果、庁秘秘相当秘密を含む資料である、こういうふうにその時点専門家判断としてされたわけでございます。
  22. 吉村剛太郎

    吉村剛太郎君 ちょっとわかりやすく質問しますと、旧バッジハードソフト資料については、これは完全に防衛秘密に属されるものですか、トータル的には、その当時。
  23. 佐藤謙

    政府委員佐藤謙君) 恐れ入ります。ちょっと旧バッジ情報関係、私、今正確に資料を有しておりませんので、後ほどそれは御説明申し上げたいと思います。  少なくともあの当時、その専門部署空幕におきまして判断した結果、庁秘に相当と、こういうふうな判断を我々は得ているところでございます。
  24. 吉村剛太郎

    吉村剛太郎君 ちょっと細かい話になりますけれども、では、その秘密区分及び秘密種類秘密区分指定はどこでだれがどうやって、どういう資格でやっているんですか。
  25. 佐藤謙

    政府委員佐藤謙君) 秘密につきましては、防衛秘密、それから庁秘も含めまして、機密極秘、秘と区分がございます。それにおきまして、基本的に機密あるいは極秘というものにつきましては、官房長等ということでございますから、内局でありますと官房長あるいは局長、それから幕僚監部でございますと幕僚長、こういう立場の者が指定をする。秘につきましては課長等指定をする。こういうふうな仕組みになってございます。
  26. 吉村剛太郎

    吉村剛太郎君 時間がありませんので、聞きたいことだけ聞きますが、秘密漏えいについて、先ほど防衛庁長官も言われましたように、それぞれの対応をされておるということでございます。ただ、NECについては、取引停止わずか二カ月、それから部内については口頭注意ですか、その程度であり、全くその点について国民は何も知らされていなかった。当然、我々議会もこういう事犯が起こったということは全く知らなかったわけなんですね。幸か不幸か、庁秘というのが一、二ページあったということで、その内容がどの程度のものかわかりません。しかし、やっぱりバッジシステム、トータル的にはこれはまさに日本の国防の根幹をなすものであって、この機密がこのようにやすやすと漏れていくということは大変ゆゆしい問題だと、このように思うんです。  まさに、かつて数年前にスパイ防止法制定という世論が随分沸き上がりました。そのときはいろいろと意見が分かれておりまして、確かに、戦前のいわゆるそういうものに絡んでの人権抑圧というようなことを危惧するというようなことがあって、そのときは立ち消えになったわけでございますが、専守防衛という我々の基本姿勢の中で、諸外国、アメリカもイギリスもフランスも、また中国やその他の国々も、そういう問題については非常に厳しく法的にも対応しておると、このように伺っております。  防衛庁としてこういう問題について基本的にどのようなお考えを持っておるか、長官のお考えを聞かせていただければと、このように思います。
  27. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 吉村委員指摘のとおり、こういう秘事項がやすやすと簡単にというか、外部に漏れていくということ自体まことに、バッジシステム先生おっしゃるように我が国防空システム根幹であり、重大な問題であろうというふうに思っております。  防衛庁秘の場合は、自衛隊法自衛隊員は処罰を受けるけれども一般企業に対してはその罰則規定はありません。我々が徹底的な指導を行う以外はないというのが現実であります。したがって、我々は、今の法体系においては、こういう問題が起こったときにきっちりと文書通達をしたり、あるいは調査をしたり、点検したりということで再発防止を図っていくほかはないということであります。もう一つスパイ防止法についてでございますが、先生指摘のとおり、国会でも、あるいは各政党においてもいろいろと御議論をしてきた経緯もあると思いますが、国民基本的な人権にかかわる問題でもあり、今のところ国民全体のコンセンサスを得られていないというふうに我々も認識しておりまして、国民皆さん方の十分な理解が得られるように今後も議論を展開していくことが大事であろうというふうに思っております。
  28. 吉村剛太郎

    吉村剛太郎君 折も折、北朝鮮ミサイル日本の領土の上を飛来して太平洋に落ちたということでございます。我が国といいますのはまさに専守防衛、それだけに、そういう情報漏れを防ぐと同時に、情報をできるだけ多く早くキャッチするということも防衛一つ基本ではないか、このように思います。  そして、ミサイルが八月三十一日の午後零時七分ですか、発射されたと。これはアメリカ衛星が既にもうその前から監視をしておったということでございます。当初は日本海に落ちたと、その後修正されて太平洋に、それも二段式で、一段、二段で弾頭が落ちたということでございまして、当初、情報自体も非常に混乱をしておった。  やはり今の日本情報収集システムというのはほとんどアメリカに負っておるなという感じがするわけでございまして、それだけに日本独自の情報システム、いわゆる偵察衛星監視衛星かというものも必要ではないかなと私は個人的に思っておるわけでございます。それに伴いまして、TMD開発についての日米のこれからの研究の推進というようなことの合意がなされたということも聞いておりますが、いずれにしましても、できるだけ自前の情報を我々日本国といいますものは持つようにしたいな、このように思っております。  このミサイルのときもほぼリアルタイムと言われておりますが、しかしそこには何分かの差異があるんですね。近代戦においてその何分かの差というのはまさに致命的なことにもなりかねない、このように思いますときに、日本情報収集についての基本的な考え方、長官考え方をお聞かせいただければと、このように思いますと同時に、TMDも含めてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  29. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) まさにこういう高度情報化社会におきまして情報をいかに多角的に収集してそれをどう処理していくか。したがって、我が国の安全を考える場合もハード面ばかりではなくソフト面が非常に重要視されていくであろうということは吉村委員の御指摘のとおりだと思っております。したがって、我々も情報収集のために、防衛庁といたしましては民間の商業衛星の画像を得てそれを購入して、それを分析したりしていろいろと情報収集あるいは解析力の蓄積をしてきているところであります。  もう一つは、偵察衛星とかいろいろと言われておりますけれども、これには技術力とか費用対効果等もありますので、これまではどちらかというと、日米安保体制のもとでお互いに情報交換を緊密化していくことによって日本情報収集の枠を広げてきつつある。この前の北朝鮮ミサイル発射につきましても、米軍からの情報が第一報であったわけでありましたし、そういうことも我々は極めて重要な要素であろうというふうに思っております。  一方で、独自の情報収集体制にも大きな関心は持っているわけでありまして、政府といたしましても、いろいろとどういう情報収集のための手だてを講じるか検討しているということでございますので、防衛庁といたしましてもこれに大きな関心を持って見守っていきたいというふうに思っております。  TMD、BMDにつきましても、これはそういう情報収集、あるいはミサイルが発射されたという情報に基づいて、これにどう対応するかということの大きな我々の対応がこれから検討されなければならないということにおきましては、日米関係の信頼性、緊密化が大事であると同時に、そういうことが技術的に実現可能性があるのかどうかということもこれから真剣に考えていく必要がある。そのために今回、2プラス2におきましては実施する方向で共国技術研究対応していこうという作業を今進めているところであるということでございます。
  30. 吉村剛太郎

    吉村剛太郎君 防衛関係についてまだいろいろとお聞きしたいんですけれども、きょうはせっかく外務大臣もお見えでございますので、ちょっと観点を変えます。  いよいよ行政改革がこれから本番に入るわけでございまして、スケジュール的には十一月の下旬ごろには計画大綱の事務局案、原案がまとまる、このように思っておりまして、年を越しまして計画案の大綱の本部決定、こういうことになってこようかと思います。  橋本内閣の時代から今日の小渕内閣にかけまして、基本的には官房及び局を百二十八から九十ぐらいまで減らす。課等については千二百から千に減らす。定員は十年間で十分の一、独立行政法人への移行によりそれを二〇%まで減らす。我が国が二十一世紀を迎えるに当たってどうしても行政改革というのは断行していかなければならない、これはみんな認識は一致するものだ、このように思っております。  しかしながら、これからいよいよ国際化する中で、外交力は一層強めていかなければならない、このように私は思っておるところでございます。外交というのはマンパワー、これはなかなか合理化できない分野の最たるものではないかなという感じがするときに、総論的には今のような大網はかぶります、各省庁に。かぶる中に、やっぱり省益を守るというようなことではなくて国益を守る、それも外交力を増強するということとこの行革とは非常にある意味では相反する面もあるのではないかな、このように思うわけです。そういう中で、一層外交力をつけていく、しかし行革は行革でやっていく、その辺、基本的に外務省としてはどのようなお考えを持っておるか。  場合によっては、外交力というのはこれから大変必要なことですから、特に何カ国もそれぞれの局が持っておる中で果たして今の国際社会の中で対応できるのかということは、実は私も行革推進をしなければならないという気持ちは十分持っておりますが、一方ではそういう面を心配するんです。それについてのお考えを最後にお聞かせいただきたい、このように思います。
  31. 高村正彦

    国務大臣(高村正彦君) 委員が御指摘になったように、行政改革を断行する必要があると思いますし、私も内閣の一員として一生懸命そういう方向でやっていきたい、こう思うわけであります。外交を担当する責任者といたしまして、二十一世紀の日本のあるべき姿、日本の国益を見据えて行政改革に取り組んでいかなければいけない、こう考えているわけであります。  今まさに激動の時代でありますし、グローバリゼーションの急速な進展を迎えているわけでありまして、我が国全体としての対外関係対応能力を大幅に強化して国内政策と外交戦略をよりバランスのとれたものにすることが強く求められているんだと、こういうふうに思っております。  こういった観点から、外務省の機能をさらに充実強化することが必要不可欠でありまして、これを実現できるよう自分としても最大限努力すると、こういうふうに思っているわけであります。
  32. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 最初に、両大臣いらっしゃるんで、2プラス2の話も出たんで、具体的な中身に入る前に今回の防衛庁調達実施本部をめぐる背任事件なんですが、とりわけアメリカに行かれたときに、アメリカ側からこの事件調達実施本部にかかわる背任事件について、提起をされたとか、話題になったとか、こちら側から説明したとか、あるいはアメリカ以外から、諸外国からこのことについて話題となって日本側として説明したとか、直接的には2プラス2のことが直近ですけれども、そういう事実があったかどうか、お尋ねいたします。
  33. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 2プラス2及び日米防衛首脳会談の場におきまして、この防衛調達をめぐる背任事件について話題になったことはありませんでした。
  34. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 日本側から説明することもしなかったと。
  35. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) いろいろなテーマが盛りだくさんでありましたので、この問題についてまで言及することはありませんでした。
  36. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 後ほど幾つか整理しながら究明していきますが、今回の事件というのは単に防衛庁調達本部だけの問題ではない、既に防衛庁総体のものであり、そして総理大臣も徹底究明ということを言ってあるわけであり、自衛隊の隊員の士気とか再就職の問題だけでなく、大変大きなこれは防衛全体の問題にかかわることであると。アメリカ側は日本に対していろんなことをおもんぱかって指摘しないということはあるかもわかりませんが、国内で起きていることについて防衛全体のものでありますから基本的な考え方を示すべきではなかったのかなと私自身は思いますが、外務大臣はそのことについて何か所感をお持ちでしょうか。
  37. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) その点に関して。  首脳会談とか2プラス2で話題にはなりませんでしたけれども防衛庁の駐在武官がおりますので、私は、アメリカにおける調達システム防衛産業、そういった問題についてよく調べて私に報告するようにというふうには言ってまいりました。
  38. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 今のやりとりの中ではそういう認識であったし、今も認識であるということでしか受けとめられないということで、引き続き私の方はそういう認識で今も長官は当たられているのかなということしかないんで残念に思いますが、幾つかここ最近になりまして政府の皆さん方の方が、先ほどの吉村委員からの御質問にお答えした部分も含めて大きな変化があったわけですが、このことについて整理をさせていただきたいんです。  これまで防衛庁がいわゆる四社事案、四社事案という言い方をされていますが、これにとってきた対応について適切でなかったということとか配慮に欠けていたとかという言葉、こういう言葉が出てくるんですね。適切でなかったとか配慮に欠けていたとか、このことはいつどの時点防衛庁として認識されて、そういうことを表明されたのか、お尋ねいたします。
  39. 及川耕造

    政府委員及川耕造君) 私どもといたしましては、東通事案に関します起訴、これは二十二日でございましたけれども、上野元副本部長に関します起訴が二十二日でございましたけれども、その二十二日を受けて、九月二十五日に防衛庁として従来の八億七千万等の計算を行ってまいりました根拠となります事実認識等の前提が覆ったということで、これまでの考え方について配慮に欠けた点があり、遺憾に思いますという点を発表させていただいたところでございます。
  40. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 となると、防衛庁は起訴された時点で、防衛庁考え方と違ったということで防衛庁考え方について改めたと。これは起訴されたわけで、これからいわゆる裁判、訴訟の段階へ入っていくと思うんですが、起訴された時点防衛庁考え方は間違っていたんだということなんですか。
  41. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) これは背任事件という、背任容疑で起訴されたという重い事実、それからもう一つは、当時の調達実施本部の幹部の中に当時の返還額算定は適正なものではなかったという意見の提示もこれあり、また、その前から予定価格、その返還額算定根拠として予定価格の訓令とかさまざまなことを検討してきた中で、一連のそういう司法当局の動き、それから当時の幹部の動き等々から、私ども事案発生当時の返還金額算定は適切なものではなかったというふうに認識を改めた次第であります。
  42. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 そうすると、起訴された事実と、当時の幹部の発言によってというのが二つ目ですね、今の長官の御説明ですと。その当時の幹部というのは、今逮捕されている幹部が事情聴取の中で明らかにしたということが報道あるいは別なルートを通じてわかったということ、いや、そうではなく当時の、何年何月にいた調本の幹部、それが独自の調査によって明らかになったということなのか、あわせてなのか、具体的にお聞かせいただきたいと思います。
  43. 及川耕造

    政府委員及川耕造君) その当時の関係者の一部ということでございますけれども、その方から私どもに対しまして国に対して損害を与えている状態が現在も継続しているという認識の提示をいただいたわけでございまして、それを踏まえまして大臣が申し上げたような形で私どもの前提が覆ったというふうに認識したところでございます。
  44. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 もう少し具体的に言っていただきたいと思うんです。このことは、長い間の調査をめぐって防衛庁の方が返還を求めた、そしてそれなりに解決を役所レベルではしていた。ところが、そうではないというような流れの中で、しかもことし七月にはいわゆる上申書というものが前防衛庁長官久間さんの名前で地検の方に考え方として示されているわけです。今の御説明は、上申書の考え方ともう根本的に違うということを言われているわけなんですよ。上申書の考え方と違うんですよと、違ったんだと、そういう受けとめ方でよろしいんでしょうか。
  45. 及川耕造

    政府委員及川耕造君) 御指摘のとおり、いわゆる上申書というものを私どもが御提示申し上げたときの事実認識というものと、先ほど申し上げました起訴事実あるいは一部の関係者からの私どもに対する認識の提示というものは、事実関係において全く違っておりましたので、御指摘のとおり上申書の当時の認識は間違っていたというふうなことでございます。
  46. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 上申書の考え方が起訴された事実とそして当時の幹部からの説明により間違っていたということをお認めになり、そしてこの間も防衛庁の方からは記者会見やあるいは衆参の委員会の中でこの上申書については間違っていた、そして地検に対して撤回をしていくということを公式発言していますけれども、既に撤回をされたんですか。
  47. 及川耕造

    政府委員及川耕造君) 私どもから直接ということではございませんが、公にされたということでございますので、当然伝わっているものだというふうに思っています。
  48. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 上申書の撤回、間違っていた、撤回をしたという事実の受けとめ方というのは、長官どのように受けとめられますか。
  49. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 当時は防衛庁内部で、そういう今から言えば過大請求、過大払いの案件についてどうやって素早く、できるだけ早く、国に与えた損失を返還させるかということについていろいろ議論をした結果返還額算定を行ったわけでありますけれども、当時の内部調査では強制権もないし、大変不十分であった。  その不十分な調査もとにおいて返還額算定されたということであり、私どもといたしましてはその後の司法当局捜査によってこれが間違いであったということが明らかになると同時に、また当時の調達実施本部の幹部の皆さん方も適切ではなかったというふうに言っていることでございますから、現時点におきましてはその損失をできるだけ早く返還するような手続をとることが大事であると、関係法令に基づいて今その準備をさせているということでございます。
  50. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 長官、今度の上申書の適切でなかった、配慮に欠けていた、撤回していく、間違っていたということについての方向転換というのは大変重大な問題だと私は思うんです。国務大臣久間さんの名前で七月十四日ですか、出されたということも明らかになっています。そうですね、上申書ですよ。
  51. 及川耕造

    政府委員及川耕造君) 久間大臣の名前ではございません。防衛庁ということで出させていただきました。
  52. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 防衛庁として出したと、当時の防衛庁長官は久間さんであったということであります。防衛庁として出したと、でも防衛庁の責任者は久間大臣だということはこれまた事実である。そして、今の橋本政権にかわる小渕内閣が七月三十日に発足をされて、今両大臣も御活躍されておりますけれども、この間額賀防衛庁長官も、上申書は就任後見ましたという話をしているわけですね、読みましたと。  これ以来、八月、九月と約二カ月間、国会の質疑があるんですけれども、この間のやりとりの中では、間違っていたとか適切でなかったとか撤回するということについてはなかったわけでありまして、先ほどの九月二十二日の起訴の時点以降この考え方が変わってきているわけです。私は、考え方が違ったんだ、上申書が間違っていた、撤回をすればということのような、そんな次元の問題ではない、大変重い、この上申書の考え方に対して政府として責任を持たなきゃならない重みのある内容ではなかったかというふうに思います。  普通ならばそういう認識に立たなきゃならないんですけれども、どうも先ほど来のやりとりを聞いていても、あるいはこの間の動きを見てても、例えば間違っていたということについて防衛庁長官が記者会見をして謝罪をするということについてもないし、政府として官房長官あるいは総理大臣に記者会見をしろというところまでは、これは政府自身がお考えなのかもわかりませんが、一つの役所の長として考え方を長年にわたりまして四社事案についてやってきている中で、地検に対して上申書を出していく、そして起訴をされた。普通ならばもう一つ考え方として、訴訟に向かって防衛庁として対抗していくという考え方だってあったっていいわけです、あり得るわけです。でも、そうじゃないと。大変重要な問題だと思いますよ、このことは。そういう認識、重みについては思われませんか、長官
  53. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 先ほど来お話がありますように、九月二十五日におきまして、これまで防衛庁が検察庁にこの問題に対する考え方、評価について申し述べてきたことについて起訴されたという事実、あるいは当時の実施本部の一部の幹部の方が適切ではなかったという意見を述べているということから、これらのことについて撤回をし、我々も調査が不十分であったということを認め、配慮に欠けていたことはまことに申しわけなかったという話をさせていただいたところであります。  したがって、これらについては今後公判の中で真実が明らかになっていくであろうというふうに思うのと同時に、私どもも内部調査においてこれらの問題についていろいろと調査をしていることもあり、とりあえずこの返還額については新しい算定基準を関係省庁の中で求めることによって国の損失をできるだけ早く返させていただこうという形になっているわけであります。  私どもといたしましては、そういう中で、内部調査をきちっとして徹底究明をした上でさらに厳正な処置を考えていきたいというふうに思っているところであります。
  54. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 事の重要性についていまいち、重大な問題であるという認識が若干欠けているんじゃないかということを私は思わざるを得ないですね。少なくとも、七月三十日に防衛庁長官に就任されまして、上申書については見ていると。そして、今日まで国会の中でのやりとりもあったわけでありまして、これはもう調達一つ契約のあり方について、当時のある意味では考え方を粋を集めて防衛庁としてまとめて検察庁に出したというふうに思うんです。  それが、起訴されました、事実ではなかったんだということ。これは内容が、しかもこれはもう背任事件として、あるいは証拠隠滅事件、さまざまな問題もこれ含んでおりますけれども国民の税金ですよ、これ、国益の問題ですから。これはもう今までの仕事は全部、防衛庁のやってきた調達本部の仕事というのは、今度の起訴なりで、あるいは一部の幹部の発言によって誤っていたんだということを認めたわけですから、大変なことですよ、これは防衛庁として。政府全体のものですよ、これは。そういう認識が欠けているんではないでしょうかということを言っているんです。  五月に、私は、この外交防衛委員会でも当時の久間長官とやりとりをいたしました。しょうがないとかいろんなことを言われておりました。これから捜査によっていろいろ解明されてくると思うんですが、私は、今度の額賀防衛庁長官の七月三十日の発足以来の対応、そして防衛庁が本当にこれを認めたということならば、内閣全体のものであるということをまず今の段階指摘をさせていただきたいというふうに思います。  それから先ほど、これも幾つもやりとりをされていますが、東通には国の損失分の返還を求めるということに決定したわけですが、金額については今後法務当局と詰めるということを相談していくということを先ほど答弁されましたけれども、そういうことなんですか、返還額は。
  55. 及川耕造

    政府委員及川耕造君) 返還額につきましては法的手続等についてきちっと詰める必要があろうかと思っておりまして、その点で法務省のしかるべき当局の方と御相談をさせていただきたいと思っているところでございます。
  56. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 防衛庁防衛庁で積算をして、そしてその決定に当たっては法務当局と相談するということですか。
  57. 及川耕造

    政府委員及川耕造君) さようでございます。
  58. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 それは法務当局からもそういう何か指示はあるんですか。
  59. 及川耕造

    政府委員及川耕造君) 指示等はございません。  ただし、当然返還請求でございますので、どのような形で今後展開するかということも念頭に置きながらやらなければいけないと思っておりますので、その御指示、指導を仰ぎたいというふうに思っているところでございます。
  60. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 私は不勉強でよくわからない部分もあるんですけれども、訴訟手続上これはすべて確定しているわけではないですね、このことについては。背任容疑で逮捕されて、捜査もされて、そして起訴されたということ、そういう過程の中でのことが、金額防衛庁と法務当局で相談し合って決定していくということ、そして会社に対して返還請求をしていくことということは法手続上あるんですか。
  61. 及川耕造

    政府委員及川耕造君) 私どもとしましては、先ほど申し上げましたような理由で国損が発生している、続いているという認識に立っておりますので、その額の確定並びに東洋通信機に対します請求のあり方等につきまして、いかなる法令に基づき、またいかなる根拠に基づいて計算をしてそして要求していくべきかという点について、まさにそういう法的な手続等に関します任務を担っておられると思います法務省の知見、指導を得たい、こういうことでございます。
  62. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 考え方が間違っていたということになれば、防衛庁自身が主体的に金額算定して、そして防衛庁自身が決定して請求していくということじゃないんですか。訴訟とは何か別の問題じゃないんですか、この訴訟上の問題とは。
  63. 及川耕造

    政府委員及川耕造君) 御指摘のとおり、私どもで言ってみればこれこれであろうという積算あるいは試算をいたしまして、そしてそれが適切であるかどうか等の御相談を法務省等にいたしたい。  なお、それで東洋通信機との交渉に入るわけでございますけれども、それがうまくいかなかった場合等は当然訴訟的な手続等も考えなければいけませんので、それらも念頭に置いて法務省のしかるべき当局と御相談をしたい、こういうことでございます。
  64. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 このやりとりを聞いていると、もう何か法務省から全部コントロールされてやった方がいいんじゃないかというふうに思ってしまうような、質疑を聞いていますと、防衛庁の主体性はどうも見失っているというふうにしか見受けられないですね。  私は、何も上申書をずっとかたくなに、そのことをずっとその路線でやれということじゃないんです。そんなことを言っているわけじゃない。誤りがあればみずからが正して、みずからが決定してそういう行動に立っていくべきだということを私は指摘しているわけであります。  そうすると、今度のいろいろ事案が出てきていろんな談話が出されまして、私ども外交防衛委員会にも十日、十七日に長官から報告がございました、幾つかの何とか委員会、何とか委員会をつくりますということで。今度の上申書を、考え方を全部否定されたといいましょうか、考え方が間違っていたという立場に立つと、新しい契約とか何かについての考え方についての方向、方針についても大変大きな影響を与えますね、これからの調達契約について、さまざまな部品契約について。これは今例えばどういうような内部としては指示をされているんですか。
  65. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 今この問題については制度検討会を開きまして、処理基準をどういうふうにしていくか、そういうことについて勉強してもらっているところであります。
  66. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 適切なものじゃなかったとか、そういう表現で私もずっとやりとりしておりますが、たくさんあるんでしょう上申書の中身というのは。間違いであったということを認めているわけですが、主にどういう点が間違いだったんだということを少し、上申書を資料でということで出したんだけれども残念ながら出てこないので、どういう点ですか。
  67. 及川耕造

    政府委員及川耕造君) 上申書の中身に触れる点は御容赦を願いたいと存じますけれども、私ども認識の最大の撤回すべきポイントは、八・七億円という計算をいたしまして、それが国損額であるというふうに認識をしたわけでございますけれども、その根拠となります事実関係、要するにそれは交渉によってそういうふうに決まったものだというふうに思っていたわけでございますけれども、御案内のようなさまざまな事実が出てきているということ。そういたしますと、その八・七億というものを積算した根拠というものは崩れた、こういうふうに考えざるを得ない、こういうことでございます。
  68. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 今回の東通以外も三社あるいは四社以外もございますね、そして新聞にたびたび報道されている会社以外にもさまざまな会社と契約をされていると思うんですけれども防衛庁としては今回の考え方の方向転換によってあらゆる契約について見直しをするというそういうスタンスに立たれるんですか。
  69. 及川耕造

    政府委員及川耕造君) あらゆる契約をというところまではあれでございますが、大きく申しまして、私ども今回の事案の反省に立ちまして、まず主要な企業二百八十社につきまして制度調査ということで、かかる東通のような事案がないかどうか徹底的な調査をいたしたいというのがまず第一点でございます。  それから、どうしてもチェック体制というものにこれまで限界があったということが明らかになったわけでございますので、それにかかわりますさまざまな論点、一つはやはり競争条件が必ずしも整備されていない点でございますとか、大臣が先ほど申し上げましたように、こういった案件に対する処理の基準というのが準則として明記されていない等々につきまして、現在、調達制度調査検討会という外部の有識者の方の御意見をかりながら検討したいというふうに思っているところでございます。
  70. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 長官、改めてお尋ねしますけれども、今度の上申書が間違っていたということに関して、いわゆる防衛庁考え方が全面的に改まったんですが、責任問題についてはどういうふうに認識をされていますか。
  71. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 上申書というか、今まで私ども考え方とか評価について申し述べてきたことにつきましては、先ほど来話をしておりますように、究極的に、簡略に申し上げればへ言ってみれば国損としての返還額八・七億円を算定した基準が適切ではなかったということに尽きるわけでございます。  したがって、その根拠について全部撤回をしたわけでありますが、この算定基準をつくり上げた背景については今後公判を展開される中で明らかになっていくことが一つ。  もう一つは、我々の内部調査でいろいろと調査をして事実関係を明らかに徹底究明しようということにしておりますので、その事実関係が明らかになった時点で厳正な措置をとるということと、あわせて、再びこういうことが起こることがないように我々が対応措置をきちっとしていくということが国民の信頼を回復することにつながるというふうに思っておりまして、私が当面やる責務はこの二つであるというふうに思っております。
  72. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 長官の最高責任者としての言葉はもう一、二点あってもよろしいんじゃないんですか、責任問題について。今度の上申書問題というのはもう根本的に流れが変わったわけですよ、流れが。  上野氏とか諸冨氏とか、これはまた天下り問題だとかいろいろありますね、背任に至った、もう一つ背任事件を立証するに当たっての。今度の契約についての、返還するかどうかということについて、長年にわたって防衛庁として積み上げてきた考え方というのが、今度の事件によってすべて防衛庁考え方が間違っていたということですから、防衛庁の最高責任者として、国民に申しわけない、こういう方法でやってきた仕事というのは誤りだったんだと、今までずっとやってきたことは。そういう責任のことが何にもないじゃないですか。  前の長官、その前の長官、私は来たばかりだからそんな細かいことはわからなかった、なかなか言えないかもわからないけれども。何のための仕事をしているんですか、国民のための仕事ですよ、国民防衛の仕事ですよ。そういう責任ということが一言も出てこないじゃないですか。ただ真相究明について新しい何かルールをつくっていくというようなことは、それはどなたでもお話しになることであって、まず考え方をここで明確に改めたということを表明されているわけですから、その時点長官としてあるいは政府として国民に対して謝罪、責任をとるということがなければ、これから新しい方式だと言ったって踏み出せませんよ。いかがですか、その点について。
  73. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 二十五日に新たな見解表明をした際に、先ほど述べましたような経緯、それから強制権を持っていない内部調査に基づいて考えた積算根拠が極めて不十分であったということで撤回をさせていただくという声明とともに、こういうことになった結果については、大変配慮に欠けたことであり、国民皆さん方に御迷惑をかけ遺憾に思っているというような話をさせていただき、そして、こういうことが起こった背景についてきちっと明らかにして厳正な措置をとる、そして、しかもなおかつこういうことが起こらないようにしていくということが私の責務であるという話をさせていただいたわけでございます。  今この問題について、私は何回かお話を申し上げましたけれども、みずからをむなしくし、私情を挟まないできっちりとした対応をしていくことによって信頼関係の構築に寄与していきたいというふうに思っているところでございます。
  74. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 この前までの質疑と同じですよ。配慮に欠けていたとか遺憾だとかいう言葉について。これから同僚議員の質疑もあるだろうし、きょう衆議院の予算委員会でもこのことがあるんでしょうけれども、今私たちに語っている言葉というのは国民、納税者に対して話している言葉ですから、そういう言葉として本当に真剣に受けとめて話しているんだろうかということについてどうも信頼できないですね、本当に、長官。  長年ずっと何十年とこういう仕事をしてきたんでしょう、こういう仕事を、調達本部は。それで、捜査が入る、証拠隠滅だ、書類を隠していくと。仕事のやり方が間違っていたんだということを認めているんですから、間違っていたということを率直にまず謝罪すべきじゃないですか。  七月十四日、防衛庁長官の、具体的にお名前が出ていなくて、防衛庁として、役所として今捜査に入っている過程の問題についてこういう考え方で防衛庁としては仕事をしてきたんだと自信を持って防衛庁として出したんでしょう。それがそうじやなかったんだと。大変な問題ですよ、これは。私は、そういうような不適切だったとか何かという言葉を羅列されてもそれは納得できません。  長官、それ以上の言葉はきょうは用意されていないんですか、気持ちは。責任の問題ですよ、責任の問題。
  75. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 先ほど来述べておりますように、それまで防衛庁がみずからの調査で国の損失額は幾らであるかという算定基準についてはわかりやすく言えば間違っていたと。したがって、これは改めて返還額算定し直してやっていきたいと。  この間違っていたということについては、不十分な調査であり、大変申しわけないという話を二十五日にさせていただいたわけでございます。間違っていたということはきちっと認め、そして国民皆さん方に、遺憾であり、申しわけなく思っているという話をさせていただきました。その上で、こういうことが再び起こることがないように事実関係を明らかにし、対応策をきちっとしていくことが私の当面の責務であるという話をさせていただいたわけでございます。
  76. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 防衛庁考え方を改めたということについては、内閣あるいは閣議とか総理とか官房長官、それらにはお伝えをしてあるんですか、説明をされているんですか。
  77. 及川耕造

    政府委員及川耕造君) 内閣官房等々には御連絡を申し上げました。
  78. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 そのときはどういう内容だったんですか、やりとりは。ただ伝えたということでしょうか。
  79. 及川耕造

    政府委員及川耕造君) お伝えをしたわけでございます。
  80. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 ちょっと違う角度からお尋ねさせていただくんですが、過日の十日付で防衛庁長官が私ども委員会報告した中で、「日本航空電子工業株式会社との契約において工数計算に問題があることを発見いたしました。」「平成四年度分から調査を進めているところでありますが、関係省庁とも連絡を取りながら事案の適正処理に努めてまいりたい」と。この日本航空電子工業株式会社の調査状況は今どういう状況でしょうか。
  81. 及川耕造

    政府委員及川耕造君) 日本航空電子につきましては、御案内のとおり、平成四年度分から工数計算等において問題があるのではないかということで調査を進めているところでございまして、現在関係省庁とこの事案の処理についてどのような形で処理するのが適正かという御相談をさせていただいているところでございます。  なお、すべての工数等について調査をいたしますのは大変時間がかかる可能性がございまして、したがいまして、どのような形でやるのが最も早期かつ適正かという点について先ほど申し上げましたように関係省庁と御相談をしたい、こういうことでございます。
  82. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 日本航空電子工業については、既に幾つかの調査のうち確定をして返還を求める金額はありませんか、その部分について。あるんじゃないですか。
  83. 及川耕造

    政府委員及川耕造君) 平成九年度末につきましては、いわゆる確定分の監査つき契約、監査をして額を確定する契約でございますけれども、これにつきましては、確定作業を行った結果当初の契約金額から約十億円の減額を行っているところでございます。
  84. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 約十億円と言ったんですか。
  85. 及川耕造

    政府委員及川耕造君) はい。
  86. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 今、調査をされているのはそれにとどまらないということで、どういう対象の契約であり、そしてこれは遡及できるのは五年間ですか、五年間遡及できるということになりますが、いつ確定する見込みなのか、他の部分についても。それらの内容について、今の状況についてお尋ねいたします。
  87. 及川耕造

    政府委員及川耕造君) 一応、三つのカテゴリーがあろうかと思っております。一つは今申し上げました監査つきの確定契約、それから一般確定契約と申しまして、価格を決めてしまいますと契約終了とともにその価格で終わる契約、一般の普通の契約でございます。それから、下請として同社が他のプライムメーカーから受けた分についてもそういった問題があるのかどうかということで一応、一応というか対象にはいたしております。  ただ、これらを全部一件一件やることは大変な時間を要しますので、これらをどのように処置すればいいかということで先ほど申し上げましたように関係各省のお知恵をかりているということでございますし、また、かかる事案につきましては、今回の東通案件等におきます教訓、反省を踏まえまして最も適切な処置をとるべきであろうというふうに思っているところでございます。  いずれにいたしましても、早急に国損額を確定すべきだというふうに思っておりまして、可及的速やかに処置したいと思っているところでございます。
  88. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 これは、会社側の方はこの間のやりとりの中で主張している点があるんですか。
  89. 及川耕造

    政府委員及川耕造君) もちろん会社は会社なりの立場を私どもに伝えてきてはおりますけれども、ちょっと内容につきましてはこの場では御容赦をいただきたいと思います、これからのやりとりになりますので。
  90. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 私どもは細部は本当にわからないわけでありまして、この間の報道というのはある意味では非常にショッキングに入ってくるわけであります。十億円という金額について目にする報道と、さらに過大請求というのが百億ほどに上っていくんだと、こういうこの会社に対してあるわけでありまして、今局長からお話しになりましたいわゆる監査つき確定契約についての部分については約十億ということでしょうけれども、一般確定契約等きちんと調査をすることによって、報道がされました百億ということ、過大請求が五年間で百億円、そういう内容になっていくわけでありまして、速やかな調査と、そしてまた、返還請求に向けましての取り組みをお願い申し上げたいと思います。  続いて、ニコー電子についてお尋ねいたします。ニコー電子についての防衛庁としての対応は今どういう状況でしょうか。
  91. 及川耕造

    政府委員及川耕造君) ニコー電子につきましては、もう御案内のとおり、連日さまざまな報道をされておりますことは私ども当然承知をいたしております。  これにつきましても、従来の計算等が適切であったかどうか、再度内部で検討いたしておるところでございます。
  92. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 これらは法務、検察、地検の、いわゆる捜査も当然並行してされているのでしょうけれども地検捜査を待ってということではなくて、みずから防衛庁内部として契約した分について自浄能力と申しましょうか自助努力で明らかにしていくという姿勢はおありですね。
  93. 及川耕造

    政府委員及川耕造君) 御指摘のような気持ちでやってまいりたいと思っております。
  94. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 先ほどの日本航空電子の、いわゆる返納させていくということについては今後実務的に進めていくのでしょうけれども、例の証拠隠滅問題なんですけれども、その後幾つか明らかになっていくんですが、日本航空電子の資料も別の契約伝票も別の場所に運び込んだというような、そんな報道もされているわけですけれども、今一番新しい時点防衛庁内部で証拠隠滅や、いわゆるさまざまな書類隠し問題についての調査状況について、どういう状況になっているのか明らかにしていただきたいと思います。
  95. 伊藤康成

    政府委員(伊藤康成君) 四社事案関連文書管理実態に関する調査委員会というものを私ども設けておりまして、昨日までの段階で二百名程度から個別にいろいろ聞き取り調査を行っております。その中でいろいろな事実関係が出てきておるわけでございますけれども、これらの聞き取りの相互間の関係あるいはその信感性等いろいろこれからまだわかってないところがございます。現在そのようなことをやっておるところでございます。  そこで、個々のところということでございますが、直近のことで申し上げますと、本年の八月から九月にかけましていろいろな書類を自宅に保管したりとか、あるいはほかの建物へ持ち込んでいるとかいうような聞き取りの結果はございます。また、これらがいかなる理由、またはいかなる状況下で行われたかとか、そういったことにつきましては、先ほども申し上げましたように、数多くの聞き取りの結果の相互の関係等を今精査しておるという状況でございます。
  96. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 長官、この間の報道とそれから質疑の中で明らかになっているんですが、いわゆる大量に、組織的に証拠隠滅が図られたということで、報道されたようなことが何回あって、そしてそれがいつの時期を対象にして今調査をされているのか、ちょっと具体的に事実を教えてくれますか。
  97. 伊藤康成

    政府委員(伊藤康成君) 一般に報道等で言われておりますのは昨年九月ごろ、それから本年の五月ごろ、そして強制捜査が入ります直近のこの八月から九月初めにかけてというようなことが言われておるわけでございます。  私ども、まだ調査の結果というものが、先ほども申しましたように、最終的なことを申し上げる段階ではございませんが、昨年の九月ごろというところで申し上げますと、当時東京地検からいろいろ事情聴取あるいは書類の任意提出というようなことが予想されまして、それに備えてのコピーとりとか、そういったことについての聞き取りの結果はございますが、その際書類を焼却したかどうか、そういったような点についてはなお調査中でございます。  それから、五月の点でございますが、この時期は実は年度がわり、出納整理期間が終わった直後ということでございまして、一定の保存期間の過ぎた書類を大量に焼却してまた新しい年度の書類の保管に備えるというのが通例でございます。そういうものは私どもももちろん聞いておりますし、恐らくことしの五月もあったのだろうというふうに承知しておるわけでございますが、本件に関します重要書類というようなものを大量に焼却したかどうか、その点についてはまだ現在確認できておらないという状況でございます。  なお、八月から九月にかけての状況につきましては先ほど申し上げたとおりでございます。
  98. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 九月二十六日のある報道によりますと、何か青山墓地でこっそり積みかえた、こういう報道が出まして、まあ何たることかと思ったんですが、例えばこういうことはすぐ調べて、そういうことの事実があったかどうかというのはわかっているんですか。
  99. 伊藤康成

    政府委員(伊藤康成君) それぞれ聞き取り調査あるいは自主申告と申しますか、言葉が適当かどうかわかりませんが、自分の方でこういうことをしておったというようなことで調査委員会の方に申し出たケースがございます。そういうケースの中で、青山墓地云々というのはさらに調査したいと思いますけれども、車で他の場所に移したというようなケースについては聞いております。
  100. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 大変いろいろ手の込んだことをされているなということしか、さまざま不愉快な気持ちはありますけれども、語るのにも何も言葉が出てこないほどです。  今回、前半の質疑の中で私は上申書を中心にやりとりをさせていただきまして、長官の責任問題について申しわけないという言葉を発言されましたけれども、私は、内閣の一員として内閣全体としての国民に対する責任のある答弁ではないということを言わざるを得ない。  そして、今もまた、長官が就任して以降、この証拠隠滅にかかわる問題が今防衛庁の内部の調査委員会をみずから設置してやっている最中に、つい最近の捜査に入る前にまた行われているということについて、これはもう大変な問題であって、私は改めて長官自身の責任そして内閣全体の責任を私ども党・会派としてももちろんこれからも追及していきたいと思いますが、何よりも国民に信頼される防衛庁として、法務省からとかいろいろなところじゃなくて、自浄能力自浄能力と言っているんですから、やっぱりこの自浄能力をきちんと確立するための取り組みをお願いしたいと思います。  時間ですので終わりたいと思います。
  101. 高野博師

    ○高野博師君 防衛庁の問題の前に北朝鮮の問題について何点かお伺いいたします。  先日、中国の唐家 外相が、これはアメリカのオルブライト長官との共同記者会見の中で、北朝鮮の、ミサイルではなくて人工衛星だと判明した以上は冷静かつ慎重に対応をすべきだ、そして朝鮮半島の平和と安定に有害であってはならないという日本側を牽制するような発言をしているんですが、これは外務大臣はどのようにとらえておられますか。
  102. 高村正彦

    国務大臣(高村正彦君) 日本国政府の立場とすれば、ロケットの先端にたまたま衛星がついていようとそんなに違う評価をすべきものだとは思っておりませんが、日本政府とすれば今までも冷静かつ慎重に対応してきているつもりでございますし、これからも冷静かつ慎重に対応していきたい、こう思っております。
  103. 高野博師

    ○高野博師君 九月二十八日に米朝のテロ防止協議という会議があったと思うんですが、その中で、アメリカ側が北朝鮮に対して日本人の拉致疑惑について取り上げたと、これの真相解明を求めたんですが、これについては北朝鮮側が本国に持ち帰るという対応をしたと思うんです。この問題、アメリカ側が取り上げたということは非常に評価できると私は思うんですが、この拉致問題について恐らく北朝鮮側はまた否定してくるような回答が予想されるんですが、この問題についてこれから日本政府はどのように対処していくんでしょうか。
  104. 高村正彦

    国務大臣(高村正彦君) まさに、このテロ協議で拉致問題についてしっかりと米側が取り上げたというふうに承知しておりますし、日本の期待とすれば、北朝鮮がその言動を改めて建設的な対応を行ってほしいという期待はしているわけであります。  この拉致問題については、まさに我が国国民の生命の安全にかかわる問題であるわけでありますから、今後とも北朝鮮側の真剣な対応を求め、解決に向けて最大限の努力を払っていきたい。これは日本がさまざまなルートで言うと同時に、まさに米朝テロ協議で取り上げてもらったとか、そういうあらゆる場をとらえてやっていきたい、こういうふうに考えております。
  105. 高野博師

    ○高野博師君 いろんなルートを使ってということではありますが、中国も使うということは考えておられますか。
  106. 高村正彦

    国務大臣(高村正彦君) そういうことも将来の課題として考えてまいりたい、効果が少しでもありそうなことはあらゆることを考えていきたい、こういうふうに思っております。
  107. 高野博師

    ○高野博師君 では、そのあらゆる可能性の中で、例えば国交正常化の交渉あるいはKEDO支援の凍結解除というふうな中で、その一つの条件にこの拉致問題の真相究明というようなことは条件として出すことはできますか。
  108. 高村正彦

    国務大臣(高村正彦君) KEDOの問題は、また、単に日本北朝鮮を支援しているという話の側面だけではなくて、北朝鮮の核開発をやめさせるというこれは国際的な取り組みでありますから、そういった観点も考えると、何か一つのことを絶対的な条件としてKEDOと絡ませるということは、それは非常に難しいと思うんです。  ただ、ほかのことについても、それを絶対的条件にするかどうかはともかくとして、私たちはそういった問題について強力に北朝鮮側に働きかけていくということははっきり言えるということであります。
  109. 高野博師

    ○高野博師君 私は、絶対的な条件にしろと言っているわけではありませんが、これまでの食糧援助とかいろんな形での日本側の対応の中で強く言ってこなかったんではないかという感じがあるわけです。  そういう意味で、この問題はアメリカも取り上げたということもあってかなり表に出ている話ですから、出た以上は強く求めていく必要があるんではないか、国家主権の侵害という問題あるいは人権という問題にかかわる非常に重大な話だと思いますので、しかもこの拉致された疑いのある家族は大変な苦しみを味わっているわけですから、国としてもぜひ積極的に取り組んでいただきたいと思うんですが、もう一言お伺いしたいと思います。
  110. 高村正彦

    国務大臣(高村正彦君) 委員と全く同じ感じを持ちながら、一生懸命取り組んでいきたい、こう思っております。
  111. 高野博師

    ○高野博師君 それでは、この米朝のテロ協議の中で、よど号事件の元赤軍派メンバー、この送還についてですが、アメリカ側がテロ支援国家の指定から外すという条件の中に北朝鮮からの元赤軍派のメンバーの送還ということを要求していると思いますが、これはもし今北朝鮮にいる元メンバーあるいはその家族が日本に帰りたいという意向を示した場合には日本側は受け入れるんでしょうか。
  112. 高村正彦

    国務大臣(高村正彦君) 本事件の犯人たちは国際手配されているわけでありますから、受け入れるというのはどういう意味かよくわかりませんが、帰ってきて日本にいれば当然法律に基づいて厳正な措置をしていく、こういうことでございます。
  113. 高野博師

    ○高野博師君 受け入れるというのは、要するに日本で彼らが犯したその犯罪については日本の法律に服させる、しかし身柄を含めてそれは受け入れる、そういう用意があるという理解でいいんでしょうか。
  114. 高村正彦

    国務大臣(高村正彦君) 日本人でありますから、日本に帰ってくれば、北朝鮮日本に送還するというのを受け入れないという、受け入れないというのはよくわかりませんが、帰ってきたら法律に基づいて厳正な措置をする、こういうことでございます。
  115. 高野博師

    ○高野博師君 それでは次に、KEDOの資金拠出の凍結解除についてお伺いいたします。  報道によれば、解除をする方針だと、あるいは解除する方向で今考えているということですが、これについて解除する理由は何でしょうか。
  116. 高村正彦

    国務大臣(高村正彦君) 我が国はKEDOの進行を米韓等と協議の上で当面見合わせることとしているわけでありますが、今後の対応、特に凍結解除の時期については、内外の種々の要素を総合的に検討して決めていく必要があると考えているわけであります。  私は、これまでの方針、解除に踏み切ることを明らかにしたというつもりはないわけでありまして、今まで委員会等であるいは記者会見等で言っていることをまとめて言ったらそういうふうに言われたわけでありますが、当初から、当面見合わせるということと、それからKEDOの枠組みは維持するということを言い続けているわけです。KEDOの枠組みは維持するということはいつか解除する、論理的にそういうことなんです。  国際社会の感覚が、当面凍結したことについては日本政府として当然だろうなという、こういう理解はあったと。だけれども、いつまでやっているのかな、こういうような感じがだんだん出てきているということもまた客観的な事実でありますから、日本政府としてもそう長く続けられることではないですよということを記者会見で聞かれて申し上げたつもりでございます。
  117. 高野博師

    ○高野博師君 これは、凍結は北朝鮮ミサイル発射実験に対する一つの対抗措置だということでありますから、当面凍結というんですが、その当面の間に何らかの事態の進展あるいは変化がなければ凍結解除をする理由にはならないんじゃないでしょうか。
  118. 高村正彦

    国務大臣(高村正彦君) 戦術的に北朝鮮に対して強いメッセージを送るということで私は意味があったことだと思いますし、そうだからこそ国際社会の理解がその点について得られているんだろう、こう思います。  そういう中で、解除するとか、いつ解除するとか、まだそういう方針を決めたということはありませんけれども、そういつまでも解除しないで済む話ではない。そういう中で総合的にどういうことが出てくるかな、こういうことは、検討しているのか検討していないのかとよく言われるんですが、検討しているといえば、検討という言葉を広くとらえればですよ、凍結を決めた日から検討を、個人の頭の中ではどういうことになったらするかなと検討はしているわけでありますが、それをみんなで持ち寄って、じゃ、いつごろしようということで具体的な検討に入ったということはまだありません。
  119. 高野博師

    ○高野博師君 よくわかりませんが、何かそういうあいまいな対抗措置というのは効果がないんじゃないか。要するに制裁の一種でありますから、何らかの、例えば北朝鮮側の謝罪とか、あるいはもう二度とこういうことはやりませんというような何らかの成果を上げなければ、一体何だったんだと、これは。そういうことになると思うんです。  要するに日本のそういうあいまいな対応というのが逆に北朝鮮側に乗ぜられる結果になるんじゃないかと私は思うんですが、これはやっぱりきちんとした成果が出るという、当面の間何らかの事態の進展があったということでなければほとんど意味がないと思います。したがって、意味のない対抗措置はやるべきじゃない、単なる感情的な反発にすぎないと。どうでしょうか、その点は。
  120. 高村正彦

    国務大臣(高村正彦君) 単なる感情的な反発だったら国際社会は理解しなかったと思います。アメリカも韓国も少なくとも当面進行を見合わせたことについては理解をしたわけであります。そして、それはそれなりに強いメッセージとして北朝鮮側に伝わっている、こういうふうに思っております。私は、大変意義のあったことだと、こういうふうに思っております。
  121. 高野博師

    ○高野博師君 その意義について、私は大変疑問を持っております。この点はまた別の機会にやりたいと思います。  それでは、背任事件について防衛庁にお伺いいたします。  内部調査の中間報告がおくれているということでありますが、先月中に出すという予定だったんですが、これはなぜおくれているのか、今国会会期中に出るのか出ないのか、見通しも含めてお答えください。
  122. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 高野委員指摘のように、私は、この内部調査を事務次官をヘッドにして再スタートさせた時点で、できるだけ早く調査を進行させるようにというふうに指示をしたわけであり、しかも、自分の個人的な考え方としては先月中に、月末をめどに一定の中間報告を出すようにという方向づけも言っておったわけでありますけれども、これまでに二百人余りの職員から聞き取り調査をしてきた。それぞれの言い分、あるいは相互の関連性、そしてまた新しい証言があればその裏づけもしなければならない、しかも、なおかつ内部調査できちっと報告を出す以上は正確を期さなければならない。  そういうことから若干時間がおくれたことでございまして、大変申しわけないと思っておりますけれども、休日も返上して一生懸命取り組んできたということをぜひわかっていただいて、御理解をいただければありがたいというふうに思っております。  できるだけ早く国会、国民皆さん方に明らかにできるように全力投球で取り組みたいというふうに思っております。
  123. 高野博師

    ○高野博師君 二百人前後の職員から事情聴取をすれば相当の事実関係はわかっているんだと思うんですが、それが何にも出せないということは非常に問題があるんではないか。いろんな職員のいろんな発言あるいは話の食い違いがある、矛盾がある、当然あると思うんですが、証拠隠滅をやったのかどうかとか、いろんな報道が出るこの事実関係、これはある程度もう出さなければかえって何かまた隠ぺいしようとしているのかというような疑いを持たれると思うんです。したがって、少なくとも中間報告ですから中間的に、最終報告じゃありませんから早急に出すのが当然じゃないかと思うんですが、休日を返上してやっているのはわかりますが、それはもう当然のことだと思うんです。  防衛庁自浄能力が疑われる、捜査当局との食い違いが相当出れば自浄能力が疑われるというようなことを恐れているのかもしれませんが、それはそれとして、できるだけのやった成果はある程度出すべきだと思うんですが、どうでしょうか。
  124. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 高野委員指摘のことを踏まえて頑張りたいというふうに思っております。
  125. 高野博師

    ○高野博師君 それでは、証拠隠滅した疑いのある資料の中に、石附前副本部長が特捜部対策のためにつくったいわゆる青本が含まれていたとか、あるいは過大請求の年表というかスケジュール表をつくった巻紙、こういうものが含まれていたというような報道がありますが、これは事実でしょうか。
  126. 伊藤康成

    政府委員(伊藤康成君) 先ほど来申し上げておりますように、約二百人という人たちからの聞き取りでございまして、その中にはいろいろな話があることも事実でございます。ただ、現在そこをいろいろ整理しているところでございますので、個々の事実と申しますか個々の聞き取りの結果につきまして整理せずに御説明することはちょっと、申しわけないんですが、控えさせていただきたいと存じております。
  127. 高野博師

    ○高野博師君 青本と巻紙があったかどうかなんて整理する必要ないんですよ。事実関係だけ教えてもらいたいんです。
  128. 伊藤康成

    政府委員(伊藤康成君) そのような新聞報道があったことは私も承知しておりますし、我々もいろいろ調査をしておりますが、一体どういうものを青本と称しあるいは巻紙と称しているのか、またその中身が何であったのか、そういったことにつきましてももう少しお時間をいただきたいと存じます。
  129. 高野博師

    ○高野博師君 ちょっとそれは話になりませんね。何を青本と言っているかわからないようじゃ、調査をやっているんですか、あなたは。巻紙が何を意味するかわからない、そんな話はないでしょう。これは防衛庁の中では常識でしょう、こんなことは。事実関係だけ、あったのかないのか、教えてください。
  130. 伊藤康成

    政府委員(伊藤康成君) 大変申しわけございませんが、固有名詞でもないと思いますけれども、青本とか巻紙とかと先生おっしゃいましたけれども、それは何人かの者があるいはそういうことを言っているのかもしれません。しかしながら、私どもは、それが何か、どういう内容のものでどういう性格のものであるか、またどの程度その部数があったものかとか、そういったこともやはりきちんと調べなければいけないと存じております。  そういう点で、事実関係先生はおっしゃいますが、そこも含めまして、できるだけ早く報告という形できっちりとさせていただきたいと存じております。
  131. 高野博師

    ○高野博師君 休日も返上してやっていて、そんな程度の答弁しかないんでしょうか。どこまで一体調査をやっているんですか。さっぱりわかりませんよ、そんなことじゃ。少なくとも国会会期中にきちんとしたものを出してください、国会だって国政調査権があるんですから。長官、どうでしょうか。
  132. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 高野委員指摘の方向で全力投球の努力をいたします。
  133. 高野博師

    ○高野博師君 それでは、前回もちょっと取り上げましたが、藤島官房長の更迭問題について。  長官は、職務遂行に支障が生じないように、停滞が生じないように万全の体制でこの人事を決めた、職務の遂行に支障を来すおそれがあるからということで人事を行った、そういう発言をされていましたが、何らかの支障が生じたということでなければこういう人事行政のやり方というのはおかしいんじゃないか。あなたは将来的に何か支障になるかもしらぬ、だからやめてもらうとかかえるとか、そんなことをやったらもう恐怖政治になりますから、これは人事行政上僕は非常に問題のある言い方だと。何らかの問題が起きて支障があってその責任をとらされて更迭されたというのはわかりますが、おそれがあるからということで大事なんて動かすことはできないと思いますが、どうでしょうか。
  134. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 高野委員指摘のとおり、九月二十九日、藤島長官官房長につきましてはその職を免じ、参事官、つまり事実上の官房付にし、調達実施本部の中で総務担当の石附副本部長、それから通信機関係契約原価計算第一担当の田中副本部長につきましては官房付にする人事を行ったわけでございます。  これにつきましては、官房長及び総務担当副本部長につきましてはそれぞれ内部部局あるいは調本における文書管理の総括責任者的な立場であります。また、契約原価計算第一担当副本部長は東洋通信機事案の担当課を所掌する直接の責任者であり、その文書管理も行っているわけであります。本来ならば、いわゆる一連の背任事件あるいは新聞で報道されているようないわゆる大量組織的な証拠隠滅の疑惑について事実解明をしなければならない立場にあるわけであります。  ところが、こうした言ってみれば幹部が、新聞にも報道されておりましたけれども東京地検から事情聴取を受けたということがあり、これを私も確認をいたしましたので、自浄能力をきちっとした上で事実関係を明らかにすると言った手前、私といたしましては、この一連の事実解明の作業に影響があってはならないということが一つ。  もう一つは、こういう立場の方々が持っている職務の重要性というものを考えた場合、本来業務にも支障を来すおそれがあってはならない、そういうことからいろいろと考えまして、このままにしておくことは国民に与えた不信をぬぐい去ることはできないというふうに判断をいたしまして私は今度の人事を断行したということでございます。  以上です。
  135. 高野博師

    ○高野博師君 統括責任者であるから、人の職務も重要であるからまさにその責任をとってやめさせたということでないとこれは全く理解できません。同じことを繰り返したくないので、これはこれにとどめます。  もう一つ防衛企業の約二百八十社の調査、これはどのぐらい進んでいるんでしょうか。
  136. 及川耕造

    政府委員及川耕造君) 制度調査に関するお尋ねだと存じますけれども平成八年度に五社、平成九年度に十四社を対象に実施したところでございます。  今後の予定といたしましては、一般確定契約を主体といたします御指摘の二百八十社を調査対象といたしまして、五年間ですべての調査を終了したいと思っております。  なお、本年度、平成十年度につきましては三十五社四十事業所について実施する予定でございます。
  137. 高野博師

    ○高野博師君 五年間もかかるんではこれはちょっと気が遠くなるような話じゃないでしょうか。
  138. 及川耕造

    政府委員及川耕造君) 各社に伺いまして、そして膨大な書類等を精査させていただくことになります。私どもの現在の調達実施本部ではこれを直接担当する職員というのはおりませんので、彼らのルーチンワークの時間を割いてやらせておりますので、本年度等は相当の負担をかけざるを得ないというふうに思っております。したがいまして、来年以降、人員の配置等抜本的に拡充をいたしました上でこの機能を高めたいと思っているところでございまして、業務量が大変多うございますので御理解を賜りたいと存じます。
  139. 高野博師

    ○高野博師君 なかなか理解できません。  そこで、日本航空電子工業が東京地検に上申書を出していた、調達システムを批判する内容があって、これを水増ししなければ赤字になる、水増しは氷山の一角だ、そういう上申書を出していたという情報がありますが、これは御存じでしょうか。
  140. 及川耕造

    政府委員及川耕造君) 日本電気ではございませんか。日本航空……
  141. 高野博師

    ○高野博師君 日本航空電子。
  142. 及川耕造

    政府委員及川耕造君) 恐縮でございます。私はちょっと日航電が出したという報道を見ておりませんが、NECが二十八日の月曜日に、過大請求は制度に問題があるという報道は存じておりますが、恐縮でございます。
  143. 高野博師

    ○高野博師君 それは調本でしょう、NECが調本に出した意見書の中で。それとは別途、これは新聞報道にありましたけれども、要するに東京地検に上申書を出したと。要するに、水増ししなければ赤字になる、これはNECも九六年ごろ調本に意見書を出したと。調達システム自体に問題がある、調本の仕組みどおりにやれば赤字になる、だから過大請求が起きるのはもう制度自体に問題があるんだと、その制度を批判するような意見書を出しているという。
  144. 及川耕造

    政府委員及川耕造君) NECにつきましては、恐縮でございます、報道等ございましたので私どもで調べさせていただきましたけれども、九六年ごろそういう意見書が出されたという事実は聞いておりません。  日航電につきましては、恐縮でございます、ちょっと私の手元に今ございませんので、調べてまた御報告をさせていただきます。
  145. 高野博師

    ○高野博師君 ぜひ調べてください。  それでは、時間がありませんので。財団法人の防衛装備協会、この協会が燃料の検査を独占していたということで、実際の仕事はメーカーにやらせておきながら年収三億円程度の収入を上げていた。これは調本の方針に基づいてやっていたと。防衛庁がこの財団法人、公益法人に事業を独占させるということは公益法人の本来のあり方からいうと問題があると思うんです、本来の趣旨に反する。不特定多数の公益、これを図らなくてはいけない財団法人に対して調本が事業を独占させていたと。  要するに、民間の競争原理も何もない、独占的にこの事業をやらせていた。そのことによって三億円の収入があった。しかし、その三億円というのはこの検査が入ったおかげで高くついていると。要するに、それだけ余分な予算を使っている、税金をつぎ込んでいる。もとをただせば、これは国民の税金が財団法人に天下りしている職員も含めて財団法人にそっくりそのまま行っているのと同じ仕組みですから、このあり方は大変問題があると思うんですが、どうでしょうか。
  146. 及川耕造

    政府委員及川耕造君) 防衛装備協会につきましては、先生指摘のとおり、航空タービン燃料そのほか幾つかの品目につきましての品質検査を国にかわりまして実施しているところでございまして、確かに、検査は国が直接検査いたします直接検査方式と、それから契約の相手側が国の機関等に依頼をいたしましてその機関等が作成いたしました品質保証の資料もとに品質の確認をする資料検査方式と二つあるわけでございます。  どちらの方式で実施するかは契約の相手方が選択することができるわけでございますが、直接検査、まさに国が行います場合には、全国に相当数の人員、職員を配置いたしまして、そしてその検査を行うということになります。これはまた別の意味で大変行政コストがかかる形になるわけでございます。したがいまして、企業側としては、全国に現在検査員が配置されております防衛装備協会に検査を委託する方が業務遂行上効率的ではないかということで判断の上、同協会に品質検査にかかわる資料作成を委託しているのではないかというふうに考えているところでございます。なお、御指摘の品質検査手数料として約三億円の収益を上げていることは事実でございますが、これは対価を伴う公益事業として計上されているところでございます。
  147. 高野博師

    ○高野博師君 時間がないので終わりますが、行政コストがわざわざかかるシステムをつくっているのではないかと思うんです。そこに問題があると。したがって、こういう財団法人をつくってそこに天下りをさせて、そこに収益が上がるようなシステム防衛庁がつくっているのじゃないかと、そういうことを指摘して、今回は終わります。
  148. 河本英典

    委員長河本英典君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時に再開することとし、休憩いたします。    午後零時三分休憩      ―――――・―――――    午後一時開会
  149. 河本英典

    委員長河本英典君) ただいまから外交防衛委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、外交防衛等に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  150. 小泉親司

    ○小泉親司君 日本共産党の小泉でございます。前回の委員会に引き続きまして、防衛庁背任事件に絞って質問をさせていただきます。  まず、防衛庁長官にお聞きします。まず藤島官房長の問題でありますが、今回の委員会でも処分の理由は一体どういうものなのか、こういう質問がありました。  そこで私はお聞きしたいんですが、今回の事件は幾つかの段階があると思います。一つ段階は、いわゆる水増し請求問題があったということ。続いて、水増し請求に対しての返納額を圧縮したという問題があること。三つ目は、その圧縮は正当であったといういわゆる上申書などを提出して、防衛庁が組織ぐるみで地検に対して行動をとったということ。四つ目は、証拠隠滅という問題があるというふうに思います。  今度の藤島さんのいわゆる処分、この点については、これら四つの段階のどの時点の問題の責任が問われたのか、防衛庁長官はどの責任を問うて処分をされたのか、その点をまずお聞きしたいと思います。
  151. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 小泉委員にお答えいたします。  九月二十九日に、私は藤島長官官房長の職を免じ、参事官、いわゆる事実上の官房付にし、また調本の総務担当の石附副本部長、それから通信関係契約原価第一担当の田中副本部長も本部長付にしたわけでございます。  これらにつきましては、本来、官房長及び総務担当副本部長は、内部部局、それから調本における文書管理の総括責任者であります。また、田中副本部長は東通案件文書管理の責任者でもあるわけであります。本来ならばこの責任者は、いわゆる証拠隠滅報道等に対する事実解明の先頭を切らなければならない立場にあるわけでございます。  残念ながら、その後東京地検かち事情聴取を受けたという報道もあり、私もその後それを確認いたしましたので、自浄能力を示すということで内部調査を展開していることから考えれば、どうしても私は人事を行って、そして自浄能力で事実関係が明らかにできるような体制にしなければならないということ、それからそれぞれ重要な立場で責任を持っているわけでありますから、もともと本来業務にも支障が起こるようなことがあってはならないということ、また一連の国民に与えた不信を免れることはできないということ等々を考えてこの人事を行ったということでありまして、これは、小泉議員は処分をしたというふうにお考えでありますけれども、そういうふうに受け取られてもいたし方ないところがあるわけでありますけれども、私は、一連の内部調査をきちっとした上で、事実関係が明らかになった上で厳正な処置をとるということが私どもの処分であるというふうに思っております。
  152. 小泉親司

    ○小泉親司君 私がお聞きしているのは、長官証拠隠滅問題に限ってお話をされているようですが、それだけの責任が問われたということなんですか。
  153. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 東京地検から事情聴取をされたという事実を確認いたしましたので、私は、内部調査をする立場からいっても、これは自浄能力を発揮する立場からこのままでいいのかということを考えさせていただいたということが一つであります。それから、もちろん本来業務に支障があってはならないということでございます。
  154. 小泉親司

    ○小泉親司君 いや、私が再度お聞きしているのは、それでは官房長証拠隠滅で事情聴取を受けたという御認識なんですか。
  155. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) いえ、その中身はよく承知をしておりませんが、事情聴取を受けたという事実を確認いたしましたので、本来ならば官房長といたしましては文書管理の総括責任者として一連の問題について事実関係を明らかにしていく立場にあるわけでございますから、私といたしましては、自浄能力を発揮する意味からもこの人事を行って、そして国民皆さん方に対して不信を免れないところから事実関係を明らかにする体制をとったのと、もう一つは、本来業務にも支障が起こってはならないということからこの人事を行わせていただいたということであります。
  156. 小泉親司

    ○小泉親司君 一番初めに防衛庁に強制捜査が入ったのは九月三日なんですね。このときには、防衛庁の方は認めておるかどうか私はわかりませんが、新聞報道では官房長室と装備局長室に強制捜査が入ったというふうにお聞きしております。次に第二回目の強制捜査に入ったのは九月十四日、これはいわゆる証拠隠滅問題に関係した二度目の強制捜査というふうに言われているわけです。  だから、実際に官房長室が強制捜査に遭ったのは証拠隠滅事件のその前の問題があるわけで、ただ単なる証拠隠滅問題ばかりではなくて、上申書の問題とか、そういう点も問われているというふうに認識してよろしいんですね。
  157. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 官房長文書の総括責任者として本来ならば一連の問題について真相究明をしていく立場にあるわけでございますから、事情聴取を受けたという立場でそのままにしておくことが適切であるかどうかということを考えたときに、私は事実解明の作業に影響を及ぼしてはならないということでこの人事を行ったということであり、特定のことについてのことで考えたわけではありません。
  158. 小泉親司

    ○小泉親司君 ある社説には、三人の更迭を単なるトカゲのしっぽ切りに終わらせてはならないというふうな主張も出ております。私も同様と思いますが、その点長官にお聞きしたいと思います。
  159. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 先ほど来申し上げておりますように、私ども東京地検捜査あるいは公判の成り行きによって真相解明がなされることを期待すると同時に、みずからの手で事実関係を明らかにしていくために徹底究明をしているということであります。そしてまた、再びこういうことが起こらないようにしていきたいということもあわせて考えているわけでございます。  そういう徹底究明のためにこの人事を行ったというふうに理解していただくと同時に、あわせて本来業務に支障を来さず、しかもなおかつ防衛庁内部の改革も進めていかなければならないということからこの体制をつくったということでございます。
  160. 小泉親司

    ○小泉親司君 続いて、証拠隠滅の問題でありますが、先ほども午前中の質疑で同僚委員からもお話がありましたが、やはりこの証拠隠滅問題は、実際にもう既に第二次の捜査が入ってから二週間、初めの捜査が入ってから一カ月かかっているわけです。大変遅々として進まない。先ほども官房長代理がおっしゃったのは、いかなる理由いかなる状況かを今精査しておるんだとおっしゃっておるわけです。  私も参議院予算委員会で質問いたしましたが、刑事局長おられますけれども、刑法上もこの証拠隠滅というのは単なる隠したというばかりじゃなくて顕出するのを妨げるという行為も証拠隠滅に当たるわけで、この点は予算委員会で刑事局長にお認めになっていただいたところのものでありますから、そういう意味で、いかなる理由いかなる状況かということを理由に現在の調査状況を何ら公表しないというのは、先ほども出ましたが、私は新たな事実隠しというか新たな証拠隠滅につながるものだと。  一体何を恣意的に入れるのか。実際こんな問題も恣意的に入ったから背任が問われたわけで、そういう点では、私はこの証拠隠滅問題の調査というのは、先ほど長官からもお答えがありましたが、会期中ということになりますと現段階では七日ですから、七日までにははっきりするということなんですね、長官
  161. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 我々は、内部調査委員会を設けましてから、先ほど来話しておりますように、二百人余りの方からさまざまな聞き取り調査をしてきている。その中で正確を期すためにいろいろと整理をさせていただいている。できるだけ早く中間報告をするのが私は国民に対する責任であるというふうに思っておりまして、九月いっぱいごろをめどに考えなさいということを指示してきたのでありますけれども、さまざまな相互連関性とか裏づけとかいろんなことで時間がかかっているということでございます。  先ほども申し上げましたように、国会中には報告ができるように最大の努力をしようということを申し上げた次第であります。
  162. 小泉親司

    ○小泉親司君 きょうは時間厳守になっておりますので、午前中のような答弁は結構でございますから、申しわけございませんがお聞きする点だけお答えいただきたいと思います。  会期中ということは七日まででございますね。
  163. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 全力を挙げて努力をさせていただきたいと思いますが、さまざまなことで整合性がとれて正確を期すということも大前提でありますから、努力目標にさせていただきたいというふうに思います。
  164. 小泉親司

    ○小泉親司君 やはり自浄能力発揮とおっしゃられておるわけですから、その点はぜひ約束をしっかりと守っていただきたいというふうに思います。  続いて、NECの水増し請求の問題に入ります。  先ほど同僚委員からもお話がありましたが、まず上申書をめぐる問題であります。  九月二十五日の私の参議院予算委員会の質問に長官は答えられて、上申書の内容は間違っていた、撤回すべきだということをお答えになりました。私は、やはりこれは撤回して済む問題ではないというふうに思います。その点で、刑事局長、一問で大変恐縮でございますけれども、依然として、この上申書は今回の事件を立件する上での、大変重要というとまたいろんな言葉の差異がございますが、一定の証拠の重要な資料であるという御認識の点は間違いございませんね。
  165. 松尾邦弘

    政府委員(松尾邦弘君) 具体的な事件における個々の証拠の評価につきましては、まさに捜査内容そのものでございますので、私からとやかく申し上げることはできないわけでございますが、一般論として申し上げれば、上申書というのは、その事件に関する事実といいますか、あるいはその当事者の主張を取りまとめた文書、申述した文書ということになるかと思います。それが撤回されたか否かによってその証拠の価値の消長を来すものではない、一般論として申し上げればそういうことになろうかと思います。
  166. 小泉親司

    ○小泉親司君 お答えのように、私はこの上申書問題というのはその内容はまだ生きていると思うんです。  私が幾つかお聞きしたいのは、まず、私の質問に対して官房長は、今度の上申書は久問前防衛庁長官の了解を得て行われたものだということをおっしゃっておられました。  ところが、きょうの毎日新聞の久間さんのインタビュー、お読みになりましたか。こう書いてあるんですよ。「防衛庁は7月に反論の「見解書」を出したが。」という質問に対して、「前長官 当時、私は参院選で忙しく、文書のことは後で知った。しかし内容には疑問だった。とくに「(返納を求めるなどの措置は)裁量権の範囲内」と言い切ったのは、いくら何でも言い過ぎだ。」と、こう言っておられるわけですよ。  実際に了解を得て出したと言っても事後了解で、しかも内容的には何ら示さないで出されたということは、これは毎日新聞の久間前防衛庁長官の答弁ではっきりしているじゃないですか。それを了解を得て出したんだというのはまずもって私はおかしいと思いますが、その点どうですか。
  167. 及川耕造

    政府委員及川耕造君) 確かに当時久間長官は大変お忙しかったわけでございますので、口頭にてこうこうこういったものを出させていただきますというお願いを申し上げ、そしてその御了解のもとに出させていただいたことは事実でございます。したがいまして、長官文書でその場でお示ししたということではなく、事後的に御了解をいただいたことに、文書は事後的になったかと思います。内容について口頭で御説明を申し上げたところでございます。
  168. 小泉親司

    ○小泉親司君 ですが、上申書の最も重要な内容である裁量権の範囲内、つまり担当者の裁量権の範囲内というのは前長官自身は了解していないということなんですよ。そういうことでしょう、毎日で言っておられるのは。  そこでお聞きしますが、防衛庁は、先ほど同僚委員の質問でも出ましたが、「東通事案の起訴を受けた防衛庁の見解」というのを、九月二十五日、及川装備局長が発表されておられます。  この理由は二つあるんですね。一つは、まず起訴を受けたからなんだと、今回の問題について国への返納額を認めたのは、一つは起訴を受けたからなんだ。二つ目の理由は、これは日本語の文章が、どなたがお書きになったかよくわかりませんが、非常に不可解なんですが、二つ目の理由というのは、「当時の関係者の一部からも、東洋通信機の工数の過大申告等による不正事件の処理は、法令の適用に問題があるのを認識しながら行われたものであり、」と、つまり主語は当時の関係者の一部からそういう意見が出たからなんだというふうに言っているわけです。それじゃ当時の一部の関係者というのはどなたですか。
  169. 及川耕造

    政府委員及川耕造君) これは公判に影響があるかと思いますので、お答えは御遠慮させていただきたいと思います。
  170. 小泉親司

    ○小泉親司君 ということは、容疑者の一部だということですか。
  171. 及川耕造

    政府委員及川耕造君) 公判にかかわりますので、お答えは御容赦願います。
  172. 小泉親司

    ○小泉親司君 おかしいじゃないですか。だって防衛庁の見解で二つの理由を挙げておられるんですよ、そうでしょう。一つの理由は、国への返還額を決定したのは要するに起訴がされたからなんだと。もう一つの理由は、関係者の一部からそういうことが行われたんだと。  さらにこの文書の不可解なところは、関係者の一部がですよ、「一部からも、」と書いてありますが、関係者の一部が、いいですか、「関係法令に基づき返還手続をとる必要があるとの認識が当庁に対して示されました。」と。つまり、あなたが会見されたと言われるからお聞きするんですが、ある関係者の一部があなた方に返還した方がいいからどうぞ返還しなさいと言ったということが書いてあるんですよ、これ。どこかのどなたかがあなた方に圧力をかけてこういうことをやれと言ったわけですか。そういうことをあなた書いているんですよ、あなたの文章は。あなたが会見をやった防衛庁文書にはそういうことが書いてあるんですよ。だから、当時の関係者の一部というのはどなたかというのが明確にならないと、その方があなた方に返還した方がいいですよと勧告したわけですから。そういうことなんでしょう。
  173. 及川耕造

    政府委員及川耕造君) 御指摘ごもっともでございますけれども、このあえて当時の関係者の一部というふうに書かさせていただきましたのは、再三申し上げておりますように、公判に影響を与えてはいけないということでございますので、特定することはぜひ御容赦をさせていただきたいと存じます。
  174. 小泉親司

    ○小泉親司君 私はおかしいと思いますよ。それだったら、こんな文章を私は要求もしていないのに私の部屋にファクスで来ましたからね、皆さん方、議員さんにもこれは来たかと思いますよ。ところが主語が全然不明確で、実際に返納することを決定したのは防衛庁じゃないんですよ。起訴をしたのは法務省ですからね。  それで、しかももう一つは、関係者の一部が返還しろと言ったと。それじゃ防衛庁は何にもやっていないということを書いているんですよ。装備局長、そうでしょう。だから私はどなたがお書きになったのかと質問してもいいぐらいなんだけれども、実際にそういうことが書いてあるんです、この文章は。主語は防衛庁じゃないんです。法務省関係者の一部なんです。だから関係者の一部ということを明らかにしなかったら、返納の意思を示したのは防衛庁じゃないじゃないですか。
  175. 及川耕造

    政府委員及川耕造君) 文章の不手際等ございましたらお許しいただきたいと存じますが、防衛庁の見解と言ってお示ししました文は、一つが起訴事実が明らかになりましたと。もう一つは、先生が今おっしゃっているような関係者の一部の方から認識が当庁に対して示されたという事実、それを踏まえて、私どもとしては、私どものこれまで申し上げてまいりました見解の前提が覆ったということで、防衛庁がこれまで申し述べてまいりましたことについては配慮に欠け、遺憾に思っておりますと、こういうことでございますので、私どもがそう判断したというのは第三番目のパラグラフで申し上げているかというふうに思います。
  176. 小泉親司

    ○小泉親司君 私は、これは大変不明確だというふうに思います。  そこで、この問題についてもう少しお聞きしますが、この文章の中では、今度の東洋通信機の問題は「法令の適用に問題があるのを認識しながら行われた」、つまり法令をきちんと適用しなかったことに原因があるんだと言っておられるわけです。会計法ですとか予決令ですとか訓令ですとかそういうものを適用しなかったから問題なんだということを起訴状も言っているわけです。いいですか。  四社事案のうち、つまり東洋通信機日本工機、藤倉航装、ニコー電子、この四つのうち訓令を適用して今度の水増し請求の返納額を決めたのはどこの会社で、それ以外はどこの会社だったですか。
  177. 及川耕造

    政府委員及川耕造君) 四社事案はそれぞれ比較のもと捜査等なされているかと思いますので、どういう形で算定したかという具体的中身については、この場では差し控えさせていただきたいと思います。
  178. 小泉親司

    ○小泉親司君 そんなこと聞いているんじゃないんですよ。訓令を適用して、あなた方が言う原価差異、水増し請求の返納額を決めたのはどことどこなんですか。
  179. 及川耕造

    政府委員及川耕造君) したがいまして、ただいま申し上げましたように、それぞれの計算、それぞれの観点から実施しておりますけれども、個々の比較をいたしますこと自体捜査一つの中身ではないかというふうに考えておりますので、できれば答弁は差し控えさせていただきたいと思います。
  180. 小泉親司

    ○小泉親司君 いや、これが答弁されませんと話は進まないんですよ。だって、上申書の中には、日本工機は訓令を適用してやったんだというふうに書いてあります。これは間違いなく書いてあります。それじゃ、あとの三つ。まず、東洋通信機は訓令を適用しなかったんです。だから罪に問われたわけでしょう。それじゃ、あと二つ。ニコー電子と藤倉航装、この二つのうち訓令を適用したのはどこで、訓令を適用しなかったのはどこの事案なんですか。それをはっきりしてもらわなかったらおかしいじゃないですか。だって、東洋通信機の方は訓令を適用しなかったということははっきりしているんですよ。日本工機は適用したと言っているんですよ。適用したのとしなかったのがあるんですよ、四社の中に。あとの二つは訓令を適用したんですか、適用しないんですか。
  181. 及川耕造

    政府委員及川耕造君) 四社それぞれございまして、いわゆる上申書の中でどういうふうに書いているかということはここでは差し控えさせていただきたいと思いますが、先生指摘のとおり、訓令をベースに計算したもの、それからいわゆる和解交渉の結果という形で私どもが理解したもの、それぞれがあるということでございます。それがどれということは、先ほど申し上げましたような観点から、ちょっとこの場では答弁は差し控えさせていただきたいと思います。
  182. 小泉親司

    ○小泉親司君 私は、何でこれを公表できないのかおかしいと思いますよ。先ほどの装備局長の答弁の中で、ニコー電子の問題について計算等が適切であったかどうか検討しているとおっしゃったんです。  じゃ、あなたがおっしゃらないのなら例えばのお話にしますが、ニコー電子が訓令を適用しないで今度の原価差異の返納額を決めたとしたら、計算するしないにかかわらないで、計算の前提が違うわけですから、いいですか、私の質問はおわかりになると思いますが、そういうことになるでしょう。だから、ニコー電子計算するしないにかかわらず、前提が違うんですから、もう実際に水増しの返納額の算定が狂っていたということになるんですよ。違いますか。
  183. 及川耕造

    政府委員及川耕造君) ニコー電子先生のおっしゃるような形でどうかというのは、ここではもう少し検討させていただいた上でお答えもすべきかと思いますけれども、私ども認識では、確かにニコー電子のこれまでの計算というのには問題があるのではないかということで現在検討させていただいているということでございます。
  184. 小泉親司

    ○小泉親司君 そうすると、訓令は適用してなかったということですね。
  185. 及川耕造

    政府委員及川耕造君) ちょっとその中身についてはお答えは御容赦願いたいと思います。
  186. 小泉親司

    ○小泉親司君 どうもそれじゃ話が進まないと私は思うんですよ。実際にニコー電子の問題ではもう二億円以上の膨大な水増しがある、返納額の差額があるということがいろんなところで報道されているわけですから、実際にそれではこの国会の中にあなた方が自浄能力を発揮して今の根拠を示したということにならないと私は思うんですが、今のお話をお聞きになっていて防衛庁長官どうですか。明らかにこれは訓令を適用して原価の差異をやったところと、訓令を適用しなくてやったところと不平等があるんですよ、ここの中には。  それで、日本工機は訓令を適用したんです。これが合っているかどうか知りませんよ。ただ、適用したんです。東洋通信機の方は適用しなかったから、今度の返納額に差額があったということが認められて問題になっているんですよ、いいですか。  じゃ、ニコー電子と藤倉航装、残ったものはどうだと言われたら、装備局長はどっちもお答えできない、捜査上の問題でと。じゃ二つが訓令を適用してなかったら、実際二つとも完全にいわゆる返納額の水増しがあったということは明確じゃないですか、前提がそうなんだから。そこをはっきりしてくださいよ。
  187. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 先ほど来の議論、それから起訴されたという事実、その前提からすると、返還額の算出の根拠について、予定価格の訓令に基づくものか、ほかの算定根拠に基づくものかという中で、起訴事実の中身あるいは我々の見解というものは、予定価格の訓令に基づいて算定された方が適切ではなかったかという考え方が正しいというふうに理解をしておるわけでありますけれども、その点については、今後の捜査の中できちっと整理をされて、あるいは公判の中で整理をされていくことではないでしょうか。
  188. 小泉親司

    ○小泉親司君 私は、証拠隠滅問題でも今回の問題でも、自浄能力を発揮すると幾ら長官が口でここで何遍言ってみてもけりはつかない問題で、実際にやはりこのことを実行、つまり態度で示さないことにははっきりしないと思うんですよ。  ニコー電子の問題は、私自身は非常に重要な問題だと思うんですけれども、そういう問題になると、いや、それはもう捜査の問題だと言ったら切りがないわけで、これは事実関係なんですから、適用したのかしないのか、ただそのことを聞いているのに、いや、それは捜査の問題だと言って、何でそういうふうに話が行ってしまうのか、私は非常にその点では納得できません。  時間がありませんから、最後に若干お聞きしたいのは、先ほども長官は会期中の努力目標というふうに述べられましたが、それこそ自浄能力を発揮していただくように、もう一度私はお聞きいたしますが、やはり今会期中にわかったことを中間報告として発表するということを約束していただいて、私の質問を終わりたいと思いますが、お約束をお願いいたします。  以上です。
  189. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 小泉委員、私どもも国会でも答弁をしておりますし、全力投球でやっているんです。しかし、表に出す以上はこれは正確を期さなければならないということもあるし、そういう整理をしなければならないということもよく御理解をいただけるものと思っております。  したがって、私の気持ちとしては、九月中にまとめたらどうだと言って叱咤したわけであります。だから、それに引き続いてできるだけ早くと。国会中であるかないかということは一つの目安であるから、できるだけそういう努力目標に向かってやりたいということであります。
  190. 小泉親司

    ○小泉親司君 最後ですが、そこはさっきも繰り返し皆さん方が要求しておられるわけですから、きちんと私はその点を実行していただきたいということを強く要求して、私の質問を終わります。
  191. 田英夫

    ○田英夫君 私は、TMDの問題について質問をしたいと思います。  九月二十日にニューヨークで開かれました日米のいわゆる2プラス2でTMDについて共国技術研究を進めるということで合意をしたと言われているわけですが、この合意ということ自体について、実は政府の中でもいろいろ表現が違うようであります。実際はどういうことなのか、要するに共同研究日米でやっていく、こういうことを決めたということでいいんですか。
  192. 高村正彦

    国務大臣(高村正彦君) いわゆる2プラス2でありますが、その共同発表において共国技術研究を実施する方向で作業を進めていくということを表明したわけであります。これは共同発表そのものに書いてあることであります。2プラス2において日米間で一部に伝えられているように、了解覚書が署名されたというような事実は全くありません。日米間で約束したということもありません。
  193. 田英夫

    ○田英夫君 そうすると、今までも実は予算にも計上しておられますから、研究日本もやっていたと思いますが、今までとどう違うことになるんですか。
  194. 高村正彦

    国務大臣(高村正彦君) 正確には防衛庁からお答えいただいた方がいいんだろうと思いますが、日米で共国技術研究をする、一緒に技術研究まで入るということであります。
  195. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 今、高村外務大臣がおっしゃったとおりでございまして、今まで総合的な調査をしてまいりましたけれども、共国技術研究を実施する方向で作業を進めたいということを表明させていただいて、今政府部内で調整を図っているということであります。
  196. 田英夫

    ○田英夫君 今までよりもより積極的に日米共同で技術研究をやっていこうというふうに受け取られるわけですが、アメリカは既に独自に、主として地上発射の迎撃ミサイルを中心にした技術を開発しようとしていた、実際実験もやっている、こういう状況のようです。なかなかそれがうまくいかないということが言われておりますが、アメリカ研究状況というのをどういうふうにとらえておられますか。
  197. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) お答えをいたします。  米国は、大量破壊兵器及び弾道ミサイルの拡散が冷戦後の安全保障に対する一つの大きな脅威であるとして、ミサイルの拡散防止に向けた一層の努力を行うとともに、この弾道ミサイル防衛の能力向上を図っているというふうに思っております。湾岸危機における経緯等から、海外駐留米軍や同盟国を戦術・戦域弾道ミサイルから防衛する戦域ミサイル防衛を最優先するというふうに聞いております。  具体的には、TMD構想においては上層、下層の二層から成る防衛システム考えているようでありまして、パトリオットシステムやイージスシステムといった今の防空システムの能力向上を図る一方で、THAADといった新しい地域防衛というか防衛システムの開発も行っているというふうに聞いております。
  198. 田英夫

    ○田英夫君 最近、国防総省の弾道ミサイル防衛局のレスター・ライルズ局長がなかなかうまくいかないということを発言しているようでありますが、その中で、過去五回今おっしゃったTHAADのミサイル実験に失敗をしている、こういうことを認めているようであります。  アメリカ自身も迎撃のミサイル実験がなかなかできないということは、TMDあるいはBMDを含めての弾道ミサイルを打ち落とすという、そうした技術については大変困難な状況にあると言わざるを得ないんですが、あえて今度日本政府が共同研究に踏み切られたのはどういう理由ですか。
  199. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 田先生は御理解いただけると思いますけれども、今アメリカでそれぞれ努力していることについて、その評価についてはコメントを差し控えさせていただきたいと思います。  我々が今度共国技術研究を実施する方向で作業を進めていくという考えの中には、一つは、海上装備の上層システムというか、どういうセンサーをするとかあるいは軌道修正をどうするかとか、幾つかの点で研究をしたらいかがかという話を日米首脳会談でさせていただきましたけれども、これは、これまでのイージス艦システムとか実績の上に立って改良を加えて蓄積を伸ばしていこうではないかという、言ってみれば実現可能性を持ったものではないかという形で、そういう中で進めていくことがいいのではないかということで一つ判断をさせてもらったということです。
  200. 田英夫

    ○田英夫君 ということは、アメリカは主として地上発射の迎撃システムを開発し、日本は海上のイージス農を中心としたシステムを開発しようというふうに役割分担したというふうに受け取っていいんですか。
  201. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 役割分担というよりも、これも日米間で協調して共国技術研究をしていくということでございますから、役割分担ということに当たるのかどうか。
  202. 田英夫

    ○田英夫君 つまり、戦域ミサイル防衛TMDの構想というのは、一つは相手の弾道ミサイルを探知しなくちゃいけない、このシステムと、これはイージス艦などはその機能を持っていると言われているわけですが、もう一つは先ほどから出ている迎撃ミサイルを、非常に高性能なものを開発しなくちゃいけない。そこに今アメリカも壁にぶつかっているという意味で言えば、地上であれ海上であれ、迎撃ミサイルの方は同じ困難にぶつかるんじゃないんでしょうか。そこはどうですか。
  203. 佐藤謙

    政府委員佐藤謙君) 若干技術的なことでございますので、私の方から御説明をさせていただきたいと思います。  現在、アメリカ研究を進めておりますTMD、これにつきましては、大別して上層で対応するもの、下層で対応するもの、またそれぞれについて地上配備、海上配備、こうございます。  田先生先ほどおっしゃいました、必ずしも実験がうまく進んでいないのではないかというのは、その中でTHAADという地上配備型の上層システム、こういう部分でございます。私どもがこれから日米の技術協力を行って、その開発に向けて研究を進めてみようかというようなことを検討しておりますのは海上配備型の上層システムでございまして、これにつきましてそれぞれの克服すべき技術課題というものを取り上げ、それに対して現在の技術基盤からいってそれが解決可能なものかどうかというのをいろいろ調査いたしました。  そういう調査を踏まえますと、確かにそれぞれが高度の技術ではございますけれども、現在の技術の水準から見ますと一般的な技術基盤というのはできているのではあるまいか、こんなふうに考えている次第でございます。
  204. 田英夫

    ○田英夫君 ミサイルは要するにロケットの技術がもとになるわけですから、その意味でいうと、日本は民間のものを含めますと、いわゆる人工衛星を打ち上げることも既にやっているわけで、HⅡなどというロケットは、今度の北朝鮮が打ち上げたと言われているテポドンに比べればはるかに性能のいいロケットだと言われているわけで、そうした技術を持っている日本が弾道ミサイルを迎撃するロケット、つまりミサイルを開発することは技術的に可能だと、こう考えておられるわけですか。
  205. 佐藤謙

    政府委員佐藤謙君) 具体的な共国技術研究の中身というのはこれからさらに詰めていくことになろうかと思いますけれども、私どもといたしまして、今、日本側として寄与し得るといいましょうか、そういう部位といたしましては、迎撃をいたしますミサイルの中で、ノーズコーンという部分、それからキネティック弾頭という部分、それから赤外線シーカーという部分、それから第二段ロケットモーター、この四つの項目が候補になり得るのではないか、こんなふうに考えているところでございます。
  206. 田英夫

    ○田英夫君 もう一つ、このTMDについての難点といいますか問題点は、いわゆる費用対効果の問題、非常に多額の開発の費用がかかるし、いわんやそれが成功したとして、今度は配備するとなればまた多額の費用がかかる。  これも、先ほど申し上げたレスター・ライルズ弾道ミサイル防衛局長という肩書の人が最近記者会見で話しているところによると、最終的には開発に数百億ドル、つまり日本円に直せば数兆円の費用がかかるということを述べているんですけれども、これは日本政府の方はどう考えておられますか。
  207. 佐藤謙

    政府委員佐藤謙君) 私どもとして今現在検討しておりますのは、まさに総合的調査研究ということで、その技術的な可能性とか、こういうことを研究している段階でございますので、具体的に経費面でどうなるかというところまでは申し上げられないと思います。  ただ、御参考までにお話しさせていただきますと、これから我々が、仮にさっき申し上げましたような部位について共国技術研究をするということでございますと、これは多分期間的には四、五年の期間がかかるのだろうと思いますが、この四、五年の期間全体、トータルでこの調査研究に要する経費というのは二、三百億円ぐらいの金目ではないか、こんなふうに見積もられるところでございます。
  208. 田英夫

    ○田英夫君 初期の研究はそうかもしれませんが、本当に完成するまでは、専門のアメリカの担当局長がこういうことを言っているので、費用対効果の点で私は非常に疑問があると思います。  TMDが突然また技術研究を積極的に進めるということになった直接のきっかけは、今度の北朝鮮のテポドンの打ち上げということがきっかけであることは言うまでもないわけであります。そうなると、北朝鮮の問題というのを関連づけないわけにいきませんけれどもアメリカも中国も韓国も各政府は、この北朝鮮のテポドン打ち上げは人工衛星の打ち上げたと言う北朝鮮の発表、北朝鮮はそれに成功したと言っているわけですが、アメリカ以下は失敗したと。しかし、人工衛星だと言っている中で、日本だけがまだ弾道ミサイルだと、こういうふうに言っておられる、この違いの根拠というのは防衛庁長官どこにあるんですか。
  209. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) アメリカ側で人工衛星の失敗ではなかったかというコメントがあった直後に、防衛庁といたしましてはミサイル専門官にアメリカに行っていただいて、いろいろと意見交換をし情報交換をしていただいたわけでございます。  その結果、防衛庁といたしましては、アメリカが当初は第二段ロケットと言っていたのが第三段ロケットではないのかという見解をお示しをしているようだと、この点についてはさもありなんという気配はないわけではないけれども、しかし確定できるものはない。一方で人工衛星というふうに認めるきちっとしたデータもない。  どちらかというと、日本側の分析からすれば、それは当初から言っておりますように、北朝鮮で言っているような二十七メガヘルツの放送も聞こえてこない、それから米国を含む国際機関が人工衛星確認しているわけではない、それからロケットの速度がやっぱり人工衛星になるためには一定以上の速度が必要であろう、そこまでには届いてはいないのではないかというようなことから、いまだ人工衛星の失敗だったというふうにも断定はしていないので、引き続いて日本側のデータと、それからアメリカ側のデータをもってきっちりと防衛庁で分析をしなさいというふうに言ってあります。
  210. 田英夫

    ○田英夫君 確かに、人工衛星にするためには秒速七・九キロ以上と言われているわけですね。それから、本当に宇宙を回るためには秒速十一キロ以上、これは日本が打ち上げた当時から私はそういうことを覚えております。  ここに北朝鮮が発表した労働新聞とか朝鮮中央通信とか、そういうところのものを全部まとめた文書がここにありますが、これをどこまで信頼するかということになるかもしれませんけれども、減鏡北道の無水端里というところのロケット基地から打ち上げたんだというようなことも含めて、地球の自転から考えて東に打ち上げるのがいいんだ、赤道の上から真っすぐ東に打ち上げれば一番自転の速力、秒速四百何十キロというのを利用できるからいいんだとか、いろいろそういう理由まで挙げて発表しているのがあります。  いずれにしても、このTMDの問題というのは、日本防衛問題あるいは外交も絡んだ問題としてまことに私は重要だと思うので、大変時間が短くてこれ以上質問を続けるわけにいきませんけれども、どうぞひとつ政府も、この問題については防衛庁長官には昨日社民党の考えを申し上げましたからよく御存じと思いますが、慎重にこの対応をしていただきたいということを申し上げて終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  211. 田村秀昭

    田村秀昭君 今回の防衛庁装備品調達の不正問題については一日も早く国民の信頼をかち得るようなことをしないといけないと思っております。防衛庁自衛隊は非常に意気消沈しておりますので、余り戦闘集団が意気消沈していたのではどうにもならないので、防衛庁長官にもぜひ早く決着をつけて国民の信頼をかち得るようにしなきゃならないと思っております。  この件について若干、船舶とか戦車とか飛行機とかそういうものは、私は原価計算専門家じゃありませんのでよくわかりませんが、調達実施本部の専管事項で今まで防衛庁自衛隊ができてからずっとやってきておられると思うんです。ここ十年来、通信情報関係の装備品が非常にふえてきたと思うんです。それで、今問題になっている東洋通信機ニコー電子は何を防衛庁に納めているんですか、ちょっと御説明願えますか。
  212. 及川耕造

    政府委員及川耕造君) 主要なものを申し上げますと、東洋通信機は味方識別機、それからニコー電子は……
  213. 田村秀昭

    田村秀昭君 何ですか、味方を識別するんですか。
  214. 及川耕造

    政府委員及川耕造君) はい。  それから、ニコー電子は符号変換機、暗号の符号ですね、これが防衛庁に納入しております主要な装備品でございます。
  215. 田村秀昭

    田村秀昭君 そのほかにそういうものをつくっている会社というのは何社ぐらいあるんですか。
  216. 及川耕造

    政府委員及川耕造君) 味方識別装置につきましては国内に製造会社はございません。他方、符号変換機に関しましてはあと一社ほどあるようでございます。
  217. 田村秀昭

    田村秀昭君 そうすると、今、世の中は市場主義的な考え方で動いているわけです。そうすると、市場原理というのは全然導入されていないと。もちろん、それをよその国に売るわけにもいかないし、そういう状況なんですね。
  218. 及川耕造

    政府委員及川耕造君) 東洋通信機の製造しております味方識別機につきましては、ライセンスの国産品でございますので、ライセンス権の問題から現在国内で製造できる会社はございません。したがいまして、市場原理が働かないわけでございます。  他方、ニコー電子が製造しております符号変換機は国産品でございまして、先ほど申し上げましたように、他にも製造できる会社がございますので、これは指名競争入札を行っております。ただ、これまでの結果、恐らくニコー電子が最もすぐれているということで当該の会社が落札しているものでございます。
  219. 田村秀昭

    田村秀昭君 そうすると、もしそこが背任というか詐欺事件を起こしたときには、一社しかないから、それを取引停止すると部隊の要求に間に合わない、調達するところがない、こういうことですか。
  220. 及川耕造

    政府委員及川耕造君) もし長期にわたりますと、部隊運用に支障が出ることはあり得たかと思います。
  221. 田村秀昭

    田村秀昭君 そういう通信情報分野の装備品が非常にふえて、防衛庁も必要としてきたちょうどそういう時期に、また再就職の問題も戦後派の人たちがここのところたくさん出てきたと。それで、今までは戦中派の人が多かったから、市場原理だけで防衛庁のOBを就職させるということはしないで、昔のよしみで採ったところもあるでしょうけれども、これからたくさん出てくる人たちは五十四歳、五十五歳で、総監は六十歳ですけれども、就職しなきゃいけない、それで軍人恩給もない、そういう問題がこの背景に私はあるような気がするんです。  自衛隊員というのは、自衛隊員になるときに「隊員は、わが国の平和と独立を守る自衛隊の使命を自覚し、一致団結、厳正な規律を保持し、常に徳操を養い、人格を尊重し、心身をきたえ、技能をみがき、強い責任感をもつて専心その職務の遂行にあたり、事に臨んでは危険を顧みず、身をもって責務の完遂に努め、もって国民の負託にこたえることを期するものとする。」というのにサインして、防衛庁長官もこれにサインされたと思うんですが、国会議員でサインされているのは防衛庁長官だけと承っておりますが、非常に今の世の中から見ると市場主義的な内容ではないんです。全く隔離した集団だということが言えると思うんです。こういうことを五十年も自分の徳としてきた人たちなわけです。ところが、今、受け入れる方もこういう考え方の人たちがいるわけじゃないんです。ですから、インドやパキスタンの核実験とか、北朝鮮ミサイルの問題もみんな市場原理外の出来事なんですね。  防衛庁自衛隊の人たちというのは市場原理と全くかけ離れたところに住んでいる人たち。その人たちが五十四歳、五十五歳になって定年を迎えてやめる。それで、多分防衛庁もいろいろお世話していると思うんですが、六十歳になったらもう第二の定年を迎える。今、私の知り合いなんかも会社の寮長さんみたいなのを希望して一生懸命職安に通っている人もいる。それで、世の中は市場原理とグローバルスタンダードということを盛んに言っている。グローバルスタンダードを唱えるならば、こういう人たちに対しても国を守る人たちに対する国際的な水準のような面を与えるとか、世間が、国際社会がやっているようなことをしないと、自分たちのところだけグローバルスタンダードと言ってもだめなんです。そういうのは、国家としてどういうふうにこれから、この問題が片づいてから一番重要な問題だと思うんです。  それで、情報通信分野の装備品を調達するというのはどういう基準でするのかということもきちっとしないといけない、そういうものも踏まえて今後どのような対策をおとりになるのか、防衛庁長官の決意というかお考えというか、もうちょっと具体的なお考えを聞かせていただきたいと思うんです。
  222. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 田村先生は大変な御精通でありますから、問題がどこにあるかは御存じのとおりであります。  私も防衛庁長官を拝命いたしまして、この一連の調達問題等に直面をして、即座に、この問題は防衛産業と調達の仕組みである、もう一つは中長期的には自衛隊員の再就職の問題である、この二つにメスを入れて、きちっと原点に返って政策をつくっていかなければ、対症療法的では必ず後にまた問題が起こってくるという問題意識を持ちまして、先般、防衛調達制度調査検討会をしまして、学者の先生方とか報道、マスコミの方とか大学教授だとか、いろんな人の意見を聞かせてもらいましたけれども、これはこれまでの経緯についてよく点検をしてみるということ、それからもう一つは、海外でどういうふうになっているのかということ、そういうことをよく精査した上で考える必要があると。これは防衛調達の問題であります。  それから、もう一つは再就職の問題でありますけれども、各省庁はそれぞれ所掌事務をしている業界を抱えております。防衛庁はそういうものはありません。だから、そこは環境が一つ違う。天下りを認めるわけではないけれども、そういう背景が違います。もう一つは、若年定年制とかそういうものがありますから、ここは今までのように天下りだとか就職の面倒を見ていくことができないということであれば、制度的に国の税金で面倒を見ていくような仕組みをつくらなければ、やはり二十一世紀において国を守るというようなシステムはだめなのではないか、そういうことを政府部内で真剣に考えていく必要がある、それにはちょうど今がいいきっかけであるという認識をしております。
  223. 田村秀昭

    田村秀昭君 これは事前に通告はしておりませんが、防衛庁長官のお考えだけをお聞きしたいんです。  どこの国でもいわゆる自衛官、軍人のような人たちの給与体系とか、どういうふうに処遇するとか、そういうのは第三者機関が決めているんですね。我が国の場合は、人事院が公務員と並列にやっているんです。そこが一番僕は問題だと思っているんです。  二十一世紀に本当に国を守る、私は前々から国防省にしなきゃいけないと言っているんですが、そういうきちっとした国として、それこそグローバルスタンダードというんですか、どこの国でもやっている。それは特殊なことなんだから、特殊なそういう人事の体系あるいは給与の体系を人事院じゃなくて第三者機関がきちっとやる必要が私はあると思うので、私は言い続けてきているんです。長官、ぜひ二十一世紀へ、今そういう御決意であれば、そういうのもきちっとやっていただきたいなというふうに思うんですが、いかがですか。
  224. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 自衛隊員の再就職を検討する委員会で当然そういうものを取り上げて、各国相対的に比較し、我が国の制度はどういうふうにするかということを考えるべきだと思っております。国が面倒を見ていくことが前提だと思います。
  225. 田村秀昭

    田村秀昭君 それでは、外務大臣に一件だけお聞きしたいんですが、官房長官だと思いますけれども我が国の領土にミサイルを撃ち込んできた場合には、我が国は海空防衛力をもって発射基地を攻撃する権利を持っているというようなことを言われたような気がするんですが、それは外務省としては北朝鮮に通告されているんですか、していないんですか。
  226. 高村正彦

    国務大臣(高村正彦君) それは特に通告したということはありませんが、これはかなり古い時代の国会答弁でそういうことが出てきていますし、それは当然のことだと私たちも理解していますし、このたびのミサイル発射に関連して国会のやりとりでそういうことが公になっていますから、北朝鮮は当然知っているとは思っています。
  227. 田村秀昭

    田村秀昭君 それでは、またそういう危機が近づいてきたら、外務大臣としては北朝鮮にそれを言うというふうに思っていてよろしいですか。
  228. 高村正彦

    国務大臣(高村正彦君) そういうことを通告することが、法的に権利があるということをわざわざ通告することがいいことなのかどうなのか、そういう能力があるのかどうかということも含めて、それはそのときの外交判断として決めることだと思っています。
  229. 田村秀昭

    田村秀昭君 質問を終わります。
  230. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 最初に防衛庁長官にお尋ねいたします。  先般の当委員会で、私はこの九月十日付の防衛庁長官の当委員会に対する報告書に基づいて少しく質問させていただきました。  若干繰り返しになりますけれども、この報告書によりますると、東洋通信機関係で水増し請求があって、結局八億七千万余りを返還させた、こういうことがまず記載してあります。これは東京地検捜査をして実は水増し額は二十数億円であって、そのうち八億余りに返還額を縮減したのが背任だ、こういうふうに今現在言われて、これはもう起訴もされておるようであります。  そこで私は、その下に書いてある日本工機、藤倉航装、ニコー電子、それから次のページに書いてあります。日本航空電子工業、これについてもしかるべき所要の額を返還させる、あるいは手続を進めておる、こういうふうになっておりまするので、これはだれが見ましてもこの四社については東洋通信機と同じような何か背任まがいのことが行われたのではないか、その点を実ははっきりさせてほしいということで前回お尋ねいたしたわけでありまするけれども調査するようなしないような、はっきりしないままうやむやのうちに終わったような気もいたします。本日は、また小泉議員もその点をとらまえましてしきりに尋ねておりました。これはだれが考えましても同じことが行われたのではないかと。  それで、先ほどいろんな計算の方法があるんだということがありました。それはわかりますけれども、いずれにしても東洋通信機関係は、これは検察当局がもう断固背任であるというふうに結論づけておるわけでありますから、これと同じようなやり方をしたものについてはもう背任だというふうに考えていいわけですよ。裁判所で最終的に無罪になるかどうかわかりませんけれども、今現在は司法当局に持ち出せばこれは背任の疑い濃厚なりということになるわけですから、この四社のうちで東洋通信機のような基準を当てはめて考えてみると、犯罪の嫌疑濃厚であるというのはこれとこれとこれ、しかしこの関係は絶対これはもう我々が自信を持って犯罪とは一切関係ありません、我々だけの判断で信用できなければ内閣法制局あたりの意見も聞いてみまして、それは犯罪にはなりませんよと言うなら、それは堂々とそういう見解を述べていただいていいわけであります。  この報告をなされたのは九月十日なんですね。私ら新聞記事に基づいてこれはどうだ、この点はどうだ、犯罪になるかならないかとか、そんなことを言っているんじゃないのであって、防衛庁がわざわざ当委員会にこういうことを報告しましたから、これはちょっと中途半端な、そしゃく不十分なままですから、一体この四社の関係東洋通信機と同じに考えていいのかどうか、その辺ぐらいはきちっと説明してほしい、また説明すべきではないのか、こういうことを私は言っているわけであります。小泉議員の先ほどの質問も結局同じことだろうと思うわけであります。  何か大企業の八十社あたりを取り上げて今鋭意調査しておるとかなんとか言っておりましたけれども、そんなことはどうぞゆっくりやってください。今問題になっておるこの報告書に掲載されておる四社の関係だけにつきましては、これは不十分な報告書としか言いようがありませんから、マルなのかバツなのか、犯罪の嫌疑濃厚なのか濃厚でないのか、それぐらいは明らかに答弁してもらいたい。  それから、そこにおられる局長さんはすぐに何か捜査に支障があるとかなんとか言いますけれども捜査に支障があるかないかを考えるのは法務省や検察庁ですから、あなたは聞かれたことに答えられればよろしいわけで、それが重大な国家機密にかかわるといえば、そういう理由を挙げてお答えを忌避されればよろしいわけですから、どうか余計なことは言わないで、私の今の質問に長官の方から答えてください。  今の疑問は長官も当然原案を見た際に思われたでしょう。一体この四社はどういうことになっているんだ、東洋通信機とどこが違うんだ、こういう質問をしたと思いますよ。それに基づいて、なるほどわかった、これとこれはシロだな、これとこれは限りなくクロいのか、こう考えられたと思うので、長官の答弁をまず求めたいと思います。
  231. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 先ほど来議論がありますように、四社のうち、言ってみれば予定価格の訓令を中心にして算定された返還額企業との間の和解契約に基づいて返還額算定された企業があります。  起訴事実の中身は予定価額に基づく算定が不適切ではないかということを示唆しております。だから、これからの公判の中で真実が明らかになっていくでありましょうから、それを見ながら我々もきちっと整理をしていきたいというふうに思います。
  232. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 恐縮ですけれども、私はそんなことを尋ねているのじゃないのでありまして、この四社にマル・バツをつけてほしいと。防衛庁の現在の考え方に立てば、このケースとこのケースは東洋通信機と同じ、検察が背任の容疑ありとして捜査に乗り出してもやむを得ないと考える。それからこれとこれとは我々は確信を持って一切犯罪とは関係ないと。そういう会社名を挙げてきちっと答えてください。結論だけでも結構です。
  233. 及川耕造

    政府委員及川耕造君) 先ほど小泉先生にも、大変失礼だったかもしれませんが、お答えしかねるということで申し上げたところでございまして、同様の御趣旨の御質問かと思いますので、大変申しわけございませんけれども、どれがシロでどれがクロかというのは今の段階では私どもからお答えできないわけでございますので、その点御理解を賜りたいと思います。
  234. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 お答えできないというのは、わからないというのか、先ほど来言っているように捜査に支障があるから言えないというのか、どちらですか。わからないといえば、こんな怠慢な話はないのであります。これは七月来から問題になっているケースであって、新聞もしきりに報道をしておる、それから国会に対する報告は九月十日付でなされておるわけですから、その結論はどうだと、議員である以上は当然こう聞くでしょう。東洋通信機は司直の手にかかって起訴されておる、じゃ下の四社はどうなんだということを聞くのはこれは当たり前のことなのでありまして、それに対する答えがわからないというのは、こんないいかげんなことはないでしょう。はっきりさせてください。
  235. 及川耕造

    政府委員及川耕造君) おしかりを受けるかもしれませんけれども、私ども調査をこれまで重点を置いてやっておりましたのは東洋通信機が中心でございました。他の三社については若干調査が不十分な点は、大変申しわけございませんけれども、認めないわけにはいかないわけでございまして、なおそれなりの検討を進めなければいけないのではないかと思っております。  あわせまして、類似の案件ということで四社事案という形にしておりますので、それぞれの関係等につきまして、当然のことながら捜査当局の方においても比較検討等されるものだろうと思いますので、そのことを考えまして、捜査への影響を考え控えさせていただきたい、こういうふうに申し上げた次第でございます。
  236. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 今現在、防衛庁に対する国民の信頼はゼロだと言ってもいいと思います。防衛庁はあんないいかげんな役所かとみんな思っていると思いますよ。ですから、この機会を利用いたしまして、きちっと調査をすることは調査をし、出すべきうみは出し、泣いて馬 を切るという言葉がありますけれども、もし犯罪の疑いがあってそれに関与した職員がおるとすれば、断固として告発をして司直の手にゆだねる、それぐらいの毅然たる態度をとることによって、国民も、防衛庁もしっかと反省しているな、こういうふうな考えを持つのだろうと思います。  あなたみたいに、よくわからぬ、そのうち捜査当局がやってくれるでしょうと。私は捜査のことを聞いているんじゃないのでありまして、責任官庁としてこの問題について必要な調査を迅速に行って、その結論がどうなのかということを国会の場で今報告してほしい、こう言っているのであって、よくわからないとか、そのうち何とかなるでしょうと。植木等じゃあるまいし、そんな役所が日本にあるんですか。大変情けない思いがしますけれども長官いかがでしょうか、これ。
  237. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) お答えをいたします。  言ってみれば、当初防衛庁がいろいろと返還額算定するに当たりまして、いわゆる予定価格の訓令を基準にした場合と、あるいは企業との和解契約に基づいて算定した場合と、そして今度和解契約的に算定したものが背任事件として起訴されるまでに至ったということでございますから、そういう件については、予定価格の訓令に基づく方が正しい算定額のはじき方だったというふうに思っているわけでございますが、これについても、東通案件は今公判中でありますが、ほかの三社については我々も今までやってきたことについて検討をし直して、そして国に損失が起こっておれば一日も早く返還をさせるように努力をしなければならないというふうに思っております。
  238. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 何かこれから検討をいたしましてというふうに聞こえたのでありまするけれども、もう少し迅速にかつ勇気を持って、物事をシロかクロか、国民というかこの国会も結論を待っておるわけでありますから、きちっとした報告を、少なくともこの四社の分、これは我々が好んで取り上げているのじゃなくて、あなた方の方からこの四社にも同じような問題がありましたよというものですから、じゃ犯罪の成否その他の関係はどうなるんだということを聞いているだけなんですから、余計な問題を掘り起こしているわけでも何でもないのでありまして、これについてはきちっとやはり速やかに報告してもらいたいという気がいたします。  それから次は、やはり防衛庁の今回の問題に関連して、シビリアンコントロール、文民統制の問題を取り上げたいと思うのであります。  まず、九三年に日本工機の過剰請求が発覚をして、実は当時の畠山次官が断固として告訴しろということで大変お怒りになったということがありました。それから翌年、東洋通信機の過剰請求が発覚いたしまして、何か新聞によると、次官に上げるとうるさいことを言われるから内々で済まそうやとか言ったんだという話もありますけれども、事の真偽はわかりません。そして九四年の正月ごろに東洋通信機の問題で減額を決定した。それから九五年の五月に、今度はニコー電子とか藤倉航装とかの過剰請求が発覚して云々と。  この関係が私不思議でしょうがないのは、一切長官報告されていないようなんですね。一体、防衛庁長官というのは存在しないんだとしか思えないわけであります。これはたかだか千万、二千万の金のインチキがあったとかそういう問題じゃないんですよ。防衛庁の存在にかかわるような大きな、金額的にいきましても何十億、そういう単位の話なのであります。もう即座にこの問題は長官のところに報告を上げまして、どういたしましょうかと。  そこから先は私は政治判断だろうと思うのでありまして、それはもうけしからぬ、告発をしろ、それからあの業者とは一切取引をするなという一つ判断もありましょう。少なくとも水増し請求の全額を返還させろ、国民に対して申しわけないというのも政治の判断だろうと思います。最低の場合には話し合いでぼちぼち解決するかと、これだってやっぱり一つの政治判断があろうかと思いますけれども、そういう結論を出すのは政治でありましょう。  シビリアンコントロールと言いましたけれども国民統制と言ってもいいと思うんですよ。国民は国会を通じて、国会は内閣を通じて、内閣総理大臣は防衛庁長官を通じて防衛庁をコントロールする、それがシビリアンコントロールなんだろうと。何もあそこの国と戦争をする、こっちの国と戦争をする、それを防衛庁が勝手にやってもらっては困る、それがシビリアンコントロールだと。そんなことをシビリアンコントロールと、もちろん言ってもいいわけですけれども、こういう重要な事務の処理についてもやっぱり一々国民がコントロールをする、それが文民統制だろうと思うんですけれども、この話が一回たりといえども長官報告されていない。不思議でしょうがない。  そんなに防衛庁長官というのは軽い存在、吹けば飛ぶような存在なんでしょうか。そうとも思えない、かなり大物がその間に防衛庁長官をしておりまするから。一体何なんだろうか。こんな役所が日本に存在するんだろうか。役所とも言えないんじゃないか。まあ言ってうるさいことを言われるのもかなわぬし、言ってもなかなか理解してくれぬだろうから内々で処理しようや、こういうことがずっと行われてきたのが防衛庁の現実なんでしょうか。大変ある意味では恐ろしいことなんですよ。そのうち、北朝鮮と戦争でも始めるかといえば反対されるだろうから我々だけでやろうやというようなことにならないとも限らない。一事が万事でありまして、不思議でしょうがない。  そこで、長官にお尋ねいたしますけれども、この問題を長官が聞かれまして、私と同じ疑問をすぐ持ったと思うんです。歴代の長官にこれは報告したかと、いや、しておりません、なぜしなかったか、こう聞かれたと思いますよ。それに対して事務当局はどういう答えをされましたか。それをまずお教え願いたいと思います。大変大事なことだと思います。
  239. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 当時、これは内局ですね、調達本部でどこに連絡をしたのかという話を聞きましたときに、全部定かに覚えてはおりませんが、調達本部の中に会計法か何かに基づいて支出担当官というのがありまして、一定の支出額はそこに任せている、だから報告の義務はないというか、報告システムが一定限度以上でなければ上がってこないという仕組みになっているということを聞きました。したがって、それは法律に基づいているというか、一つの、会計法によるのかどうかははっきりしませんけれども、そういうシステムになっておると。  そういうことで、結果的に調達本部が裁量権を持ってやっているような形になってしまっているということを聞きましたので、私はそういうことも含めてこの調達制度の仕組みを抜本的に変えていく必要があると。だから、今後はそういう報告義務等々も上部に上げていくような仕組みをつくっていかなければならないんではないかというふうに思っております。
  240. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 大変申しわけないけれども、どうも物事の本質を理解されていないようであります。  これは、最初にまず水増し請求ありなんですね。ですからこそ、九三年の六月、当時の畠山次官が、これは詐欺ではないのか、すぐ告発をしろ、こう言ったと。そういう報道が九月八日付の朝日新聞でなされておるわけでありまして、これは当然長官のところにも、天下の朝日新聞ですからこれを見ないとは言わせません、ごらんになったと思いますよ。なるほど、水増し請求は詐欺だと、こういう大事なことは当時畠山次官から長官報告なされているだろう、そして適切な指示を受けただろうと。一体どういういきさつだということを、畠山さんはもう亡くなられておるようですけれども、聞かれたと思うんですよ。お聞きになったでしょう、長官であるならば、この新聞記事に基づいて。
  241. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) もちろん、今の感覚でいえば、新聞を見て、この事実はどうだと、報告せよというふうなことは当然やるわけです。
  242. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 いや、この新聞を見て、当時の次官が激高するぐらいの問題であった、これは容易ならぬ問題であるということで、若干なりとも事実関係を聞いて、一体この案件は当時の大臣に次官から報告をされたのかどうか、当時の官房長あたりを呼んで聞けばすぐわかるわけですからね。あるいは当時の防衛庁長官に、あなた、次官から報告を受けたかとお聞きになればわかるわけですから。そういうことはお調べにならなかったですか。
  243. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 当時の大臣までは報告が行っていなかったと聞いております。
  244. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 そうですが。報告しなかった理由は何なんですか。出入りの業者である、これは日本工機か、何かいずれにしろ何億という水増し請求をした、当時の防衛次官がもう告発を考えるべきではないかと、そこまで言った話を大臣に上げなかった理由は一体何なんだということを大臣として下の者にかなり厳しい口調でお聞きになるのが普通だと思うんですけれども、君たちそれほど大臣をばかにしているのかという言葉を使うかどうかは別といたしまして。いかがなんでしょうか。ああそうかと、それで終わったんですか、その話は。
  245. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) だから、私といたしましては、この調達本部をめぐる話が原点である、だからそこのところのチェック体制とか仕組みを変えていくことが大事であるというふうに考えまして、いろんな制度調査会を行っているということであります。
  246. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 全然問題を理解しておられない。  私は、シビリアンコントロールの問題としてこれを取り上げているんですよ。大臣がつんぼ桟敷に置かれていることを同じ政治家としてどう考えたのかと。何か再発防止のため何とか委員会をつくるとか、そんな瑣末なことを聞いているわけじゃないのでありまして、防衛庁に対する国会の管掌、その先端に立つ大臣がそんなことでいいのかどうかと。そういう観点から私は問題を提起しておるわけであります。  もう少し厳しく、できましたら当時の関係者、次官、官房長、何とか本部長を呼んで、どうしてこれを政治の場に、大臣のもとに上げなかったのか、その理由は何なんだということを問いただしまして、そして当委員会で、申しわけありませんがこういう理由でした、これはこれで納得できる理由でありますと、そういうことならそれでいいんですけれども、そうでなければ、関係部局に反省を求めましたというぐらいの報告はしていただきたい、こう思うわけでありますが、いかがでしょうか。
  247. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 当時のことについて改めてよく調査をします。
  248. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 最後になりましたけれども、今度の官房長の更迭に際しまして、検察の事情聴取を受けたことが理由だという新聞報道が大きく出ておりました。あれが理由なのかどうか先ほどの答弁を聞いていてもよくわかりませんけれども、検察は必要があれば、例えばある省で大きな不祥事が起こればいろんなことで官房長とか次官を呼んで事情を聞いたりするわけですから、そのたびに次官や官房長が更迭されたのでは次官、官房長のなり手もなくなります。あれではないきちっとした理由があるんだとすれば、できるだけそれを明らかにしていただきまして、単に検察に呼ばれて事情聴取を受けた、よってもって更迭されたというふうに今国民は思っておりまするから、どうか誤解を解くべくしかるべき御努力を願えればと思います。  以上をもって終わります。
  249. 山崎力

    ○山崎力君 法務省の方おいでになっていますか。――最初にお聞きしたいと思います。  先ほど来同僚議員から、四社事案の、東洋通信機はともかくほかの会社はマルなのかバツなのかというようなことのあれがありましたが、私もそれに関連して、大きな法律的な問題として浮かんできているのは、今、前の佐藤先生からも出ましたけれども、この一般会社における水増し請求というものが詐欺に当たるんではないか、そこが本件ではないかと。そこがはっきりしないから、逆に言えば、今回の、東洋通信機以外の会社に対する対応も、防衛庁側も何かうじうじというかはっきりしないものが出てくる、このように感じているわけでございます。  釈迦に説法で、私の方が答弁される中身を先取りするかもしれませんけれども、もちろん今法務省として、検察当局として捜査中でありまして、その辺のところを視野に入れての捜査は当然なされていると思います。  そこのところがはっきりするというのは、法律的にいえば恐らく今回の、起訴されておりますから初公判における検察側の冒頭陳述、ここのところで結論が出るということで、それまで待ってくれというようなのが私は法務省の態度だろうと。私が担当者なら逆にそう答えるだろうと思うわけですけれども、しかしながら、本件の場合、まさに分離できない状況なわけでございます。  ですから、このことの結論というのは何カ月後になるかわかりませんが、どうせ初公判の冒頭陳述で明らかになるわけでございますから、その点を踏まえた上で、もし仮に法務当局としては詐欺で起訴はしないんだということが決定された時点において、国会の方にその理由ともども報告していただきたいと願うものですが、いかがでございましょうか。
  250. 松尾邦弘

    政府委員(松尾邦弘君) 現在捜査中の事件につきましては、先生まさにお述べになりましたように、検察側がこれをどうとらえているかということの詳細は公判の第一回、あるいは冒頭陳述の中で明らかにされるものと、あるいはその可能性が非常にあるというふうに申し上げられると思います。  ただ、あくまで一般論として申し上げますと、一連の事実をどうつかまえるのか、あるいはどこで切り取るのかという問題によって被疑事実が変わってくるわけでございます。背任として立てたり、あるいは詐欺として問擬したりするということになると思いますが、それは捜査機関が収集しております証拠等を総合して判断いたしまして、その立て方の一番適切なものとして何がいいのかという判断をしまして捜査を進めているということになろうかと思いますが、検察はこれまでにもそうした立場で、そういった判断で適切に対処してきているものと承知しております。
  251. 山崎力

    ○山崎力君 釈迦に説法を承知の上で申し上げさせていただければ、今回の事案、もし仮に詐欺として立件できないのであれば、水増し請求というものが可罰的違法性を持ったことではないということを明らかにするわけでございます。これは一般国民に対して、このようなことを行えばこのような罰を受ける、このような法律に、刑法に該当するということをあらかじめ示しそれを定型化するというのは、刑事政策上、近代法治国家における政府の大きな役割であると思います。  今回、このような一つ事案ということで、一つ典型的に出てまいりましたけれども、明らかに故意を持った水増し請求というものを可罰的な違法性を持たないものであるというふうに、今回もし仮に詐欺で立件できないということになれば、そのような解釈をするのが一応法律をかじった人間からすれば当然であると思います。その辺のところを踏まえた上での対応を私はお願いしたいと思います。  そうでなければ、今回こういったもので水増し請求があっても、そのことに対して、詐欺にもならぬ、民間人同士と同じような単なる貸し借りの問題だ、不当利得の問題だ、不当利得、これは計算ミスとかそういった過失によったことで生じる場合もあるわけですけれども、故意があったにもかかわらず、それを単なる不当利得で、それは当事者間の話し合いで解決すればいい、訴えるならば民事裁判に訴えろ、こういうふうな形に私はなりかねない問題だろうと思っております。  何か私の判断指摘について、専門家として問題点といいますか、解釈の相違、今までの法律上行われてきたことについて問題点があれば御指摘願いたいと思うわけですが、いかがでしょうか。
  252. 松尾邦弘

    政府委員(松尾邦弘君) 具体的な事件内容についてここで立ち入るということはなかなかできかねるところでございますが……
  253. 山崎力

    ○山崎力君 私はあくまでも一般論として申し上げているわけでございます。
  254. 松尾邦弘

    政府委員(松尾邦弘君) 一般論といたしまして、捜査機関が捜査中の事実についてそれをどのように評価しているかという問題は、いずれ刑事事件の公判で逐次国民の前に明らかにされることと思いますので、本件につきましても、刑事事件あるいは民事事件も付随してあるいは起こされるかもわかりませんが、そうした経過の中で、この事実を捜査機関としてどう評価したか、あるいは国としてどう評価するかということも逐次明らかになっていくものと思われます。
  255. 山崎力

    ○山崎力君 やっぱり裁判所を相手にする検察という形、裁判を相手にする検察という形の御答弁だと思うんですが、少なくとも法務省の一員である限りは行政庁の一面を持っているということをお忘れないようにしていただきたい。少なくとも裁判で明らかにすればいいというだけではなくて、もちろんそれは一般国民からすれば、裁判の経過をよく読んでそれを参考にしなさいということは言えるわけですけれども、行政上、政治の場においてこれを明らかにしていくということが何倍も国民に伝わる、刑事政策上そちらの方がむしろ有効であるということは私なりに感じておりますので、その辺のところを法務省、検察庁にお願いしたい、このように申し添えて次の質問に移らせていただきます。  次は、今回のNEC機密漏洩事件バッジシステムに関することなんですが、これはもう古い時代で、点検したけれどもよくわからなかったというのが報告でございます。ということは、逆に言えば、これはわかったんだけれども公にできないという部分もあるかもしれません。それはともかくとして、次に絡んでくるんですが、このバッジシステムもともとの開発というのはアメリカから入ってきてそれを応用したわけですけれども、古くなれば一般化するわけですけれども、今後の、次のミサイル防衛その他に関しても、肝心のところは、こんな漏れていて究明もできないような国に渡せるかというのが一番究極の信頼性の失墜につながるものだと思うんですが、その辺について防衛庁はいかがお考えでしょうか。
  256. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) これは山崎委員指摘のとおり、我々も我が国防衛根幹であるバッジシステムについて、民間企業からであれ秘密が漏洩をしたということは重大な案件であるというふうに認識をしておりまして、そういう認識もとに、改めてこれから契約企業皆さん方文書をもって秘密保持の徹底を図ると同時に、我々も点検をしていきたいというふうに思って、信頼関係を維持していきたいというふうに思っております。
  257. 山崎力

    ○山崎力君 言葉じりではございませんで、私は漏れたことに対しての重大性を申し述べているんではないんです。もっと重大なことが、もっと機密管理の厳しい当時の米ソ冷戦時代の両大国から盗まれたということは幾らでもあるわけで、ただそれを繰り返さないために両国がいかなる、防諜体制というと大げさかもしれませんけれども、それをとるか。そして、それがあったときにそれをどう点検していくかというノウハウが信頼性の根幹にあると私は思っているんで、今の長官の御発言からはその視点が抜けているような気がいたします。要するに、漏れたことが問題じゃなくて、どうして漏れたのかということが点検できなかった体制が問題だということを私は申し上げたいわけでございます。  そこで、その次の問題として出てくるのが、先ほどの北朝鮮ミサイル発射の問題なんですが、それに絡んでTMDあるいは偵察衛星、こういった問題が出ております。  そこで、私が考えておって非常に問題だなと思うのは、例えば偵察衛星一つにしても、我々がいかにお金をかけ年月をかけたにしても、現行のアメリカの体制を超えるものをつくるのは並大抵のことではないということを考えれば、今の現行程度のものでアメリカから情報提供がどの程度あったのかという問題、アメリカが全部こちらに、北朝鮮と限定していいわけですけれども、よこしてくれれば我々は偵察衛星も何も必要ないわけです。  そこのところで、今回の北のミサイル発射に関して、これは防衛庁、外務省両方にお伺いしますけれども、どの程度情報提供を申し出てどの程度情報が来たのか、もちろん機密に関する部分はあるでしょうけれども、その辺の御認識を伺いたい。いかがでしょうか。
  258. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 今回の北朝鮮ミサイル発射に伴って、八月の中旬ごろからそれぞれ情報をいただいて警戒態勢をしいできたところであり、三十一日の場合も早期警戒情報をもらったわけでございまして、日米安保条約の信頼性に基づいて緊密な連絡体制をとったというふうに思っております。
  259. 山崎力

    ○山崎力君 外務省、同じようなあれでよろしゅうございますか。
  260. 高村正彦

    国務大臣(高村正彦君) 同様の認識でございます。
  261. 山崎力

    ○山崎力君 それではお伺いしますけれども、少なくともミサイル発射基地の詳細な写真、ある程度解像度は落としているんでしょうけれども、それの事前入手はされているんでしょうか。  それからもう一つ偵察衛星におけば、まさに発射時点での赤外線センサーの発射のダイレクトの探知というのは当然アメリカは、NORADかどこか知りませんけれどもやっていると思うんですが、それを発射した時点で間髪なく我が国にその情報をよこすという体制はとられていたんでしょうか。
  262. 高村正彦

    国務大臣(高村正彦君) おわかりいただけるだろうと思うんですが、情報収集活動の性格上、どういうものが来ていたとかそういうことは詳細に申し上げることができないんだということを御理解いただきたいと思います。
  263. 山崎力

    ○山崎力君 そういうふうなお答えだろうと思うんですが、それならばもう少しいい対応ができてよかったんではないか。むしろそういう本来なら黙って内緒でもらうべき情報が入ってきていなかったんじゃないか。だからこそ、アメリカは頼りにならぬから偵察衛星を持たなきゃいかぬとか、いざとなったらアメリカは何するかわからぬ、非常にある意味じゃ反米的な国粋主義的な発言が今度の偵察衛星の開発の背景にあるんじゃないか。  むしろ、もちろんアメリカとしてその辺のところをどこまでやっているかということを隠すということの問題点はありますけれども、逆効果としてこういうふうな議論が出てくる。そこのプライオリティーを、どっちをとるかというのが外交防衛両当局者のまさに政治判断になるところで、その辺のところをはっきりさせていただかないとこの議論というのは延々と続く。隠すことによって、はっきりさせないことによってミスリードされることが十分あり得る、私はそのように感じているんですが、その辺の御見解はいかがでしょうか。
  264. 高村正彦

    国務大臣(高村正彦君) 米側からは最大限の情報を得てきていた、こういうふうに思っております。それと同時に、独立国としてみずからできるだけの情報を収集できる体制をつくりたいと思うのは当然のことだと思います。
  265. 山崎力

    ○山崎力君 それはそれとして、問題はその辺のプライオリティーの問題、不十分だから欲しいとしか思えないわけで、アメリカが十分な情報提供してくれるなら高いお金をかけてわざわざ偵察衛星をつくる必要はないし、その分を別に振り向けた方がいいというのが私の考え方でございます。それをどこで判断するか、それを明らかにしていくのがやはり国民主体の政府の判断だろうと。隠すところは隠すかわりに、説明のつかないことは絶対しないというのがこれからの姿勢であってほしいと思うわけでございます。  最後になりますけれども、今回の問題でいえば、発射探知、これは衛星からの問題、それから軌道計算、これは衛星はむしろ自由でありまして、衛星から受けた地上レーダー群における弾道計算、弾道探知、それに対しての迎撃態勢の問題、いわゆる迎撃誘導、その手段としてのミサイル、こういうふうな手順で弾道ミサイル防衛というのは成り立っているわけです。  問題は、今度のTMDの場合、我が国がいろいろやっているのは、どうもミサイル関係の開発の方が主体でありまして、ミサイルがどこに飛んでくるか、地上においてどうやるかというところのいわゆるレーダー的な、電子計算機に基づく弾道計算、この部分についての協力の度合いがいま一つ見えてこない、どこまで要求されているのか。これがなければ、どこが欠けてもTMDが有効性を発揮しないわけですけれども、その辺について、防衛庁はどういうふうにお答えできる状況にございますでしょうか。
  266. 佐藤謙

    政府委員佐藤謙君) 今おっしゃいますように、弾道弾に対する対応措置を考える場合には、まずそれを把握し、それでいわば武器の割り当てを行い、それに従って具体的にオペレーションが行われる、こういうことになろうかと思います。  そういう中で、当然のことながら全体のシステム考える場合に、C3Ⅰと申しましょうか、そういったもの、あるいはバトルマネジメントというもの、こういったものを当然あわせて考えていく必要があると私ども認識しております。  ただ、今回、アメリカとの間で共国技術研究ということで検討の対象になっておりますのは、先生お話しのように、迎撃ミサイル研究という面での議論をしている、こういう段階でございます。
  267. 山崎力

    ○山崎力君 そういう意味で、アメリカが不得手なところに日本の金を出させるという意味のことにならなければいいなと思っております。  時間がありませんので最後の質問になると思いますが、昨今、この問題で、費用対効果の問題もあると同時に開発期間の問題があるということで、間に合わぬのじゃないかということが言われています。現実に、過去米ソ冷戦時代からモスクワ防衛のために、ごく少数ではありますけれども弾道弾、ICBMの対抗、アンチ・ミサイルミサイルと言われているんですか、アンチ・バリスティック・ミサイルだからABMですか、そこのところでやっていた実績を持つソ連、今のロシアが、S300Vシステム、これはNATOのコードネームだそうで、現実にはSA10の改良型だと言われていますが、現実にパトリオットのPAC2以上、PAC3に相当するものをもう開発済みであって配備されている。しかもインドに輸出が決まったというふうに報じられております。  その点についての、もし本当に北朝鮮ミサイルが脅威であるというならば、アメリカとの外交関係をある程度犠牲にしても、ここのところの導入を純軍事的に見れば図らなきゃいかぬ。少なくとも最低限、どのような性能を持っているのか、どのような価格なのかということの検討は国の防衛責任官庁としてしなければならぬと思うんですが、そこのところの現状はどうなっておりますか。
  268. 佐藤謙

    政府委員佐藤謙君) 確かに、ロシアで開発されておりますS300というもの、地対空ミサイルにつきましては、私どもとしても関心を持って情報収集等を行っているところでございます。確かに、いろいろな資料では、限定的ではありますが弾道ミサイルに対する対処能力ありと、こういうふうに言われているところでございます。  ただ、先生が今おっしゃいましたように、いろいろな情報ですと、パトリオットのPAC2を上回る能力があるんではないか、あるいはPAC3までいかないんではないか、いろいろな情報はあるんですけれども、正直のところ、なかなか具体的な性能をこうだというふうに確認するまでには至っていない、こんな状況でございます。
  269. 山崎力

    ○山崎力君 これは、もし今後緊迫の度が加われば当然考慮に入れなきゃならぬことですので、情報だけは、今これだけ売りに出している状況です、かつてと違って。公開情報、接触することによっての情報アメリカは嫌な顔をするかもしれませんが、そこを防衛庁として、いざというときにはすぐそこのところの対応ができるような体制をとっていただくように、これが国民に対する一つの説明にもなるし、ある意味ではアメリカに対するいい意味での牽制にもなると思いますので、期待を申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。
  270. 河本英典

    委員長河本英典君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後二時四十五分散会