○田英夫君 先ほど
小渕総理にも申し上げましたが、
対人地雷禁止条約を
考えるときに、もちろん現在
保有している
地雷を
防衛庁・自衛隊も
廃棄するという決断をされていますし、
貯蔵その他禁じられていることを守るということはもちろん重要なことでありますが、今の
国際情勢を見た中で
地雷を
考えますとへ既にカンボジアやアフガニスタンやソマリアや旧ユーゴというような紛争地にそのまま放置されている
地雷によって多くの
被害が現在、本日ただいまも出ている。この
状況を一日も早く
除去しなくちゃいけない。文字どおり、
地雷を
除去することによってその
状況をなくさなければいけない、このことこそが
その視点からすると、例えば
日本と一番関係の深いところで言えば、カンボジアの現状を見ると一向に
地雷除去が進まない、こういう
現実があります。私ごとですけれども、三十年ほど前に社会党の佐々木更三さんがつくられた
日本カンボジア友好協会、シアヌーク国王との間でつくられたものですが、実は私はその三代目の
責任者を今やっておりますので特に関心があるんですが、今カンボジアではCMACという組織、これは国連の組織ですが、これが
地雷除去の作業をやっております。ところが、そのスタッフはほとんどがオーストラリアとかカナダとかそういう国の軍人が中心でやっておりますから、さっきもちょっと触れましたが、常識として当然軍事的な観点からの
地雷除去ということが中心になっているように思うんです。
軍事的な観点ということは、軍隊が戦争をしているとき、敵の
地雷原を突破するということを
考えると、こちらの軍隊がそこを行進していける、突破していける、それだけの
地雷を
除去すればいいので、残ってもいいんですよ。
ところが、平和時におけるカンボジアのような状態のところの
地雷は一〇〇%ゼロにしなくちゃいけない。地中に潜ってしまったものもたくさんあるわけです。カンボジアのようなところは、雨季になるともう道路が川のようになる。
対人地雷は軽いですから、流れて移動してしまう。あの辺にあるなと思っても、それはまた雨季が過ぎてみれば全然違うところへ行く。しかし、水に流れて低地にどうしても集まってくる。こういうような
事情を
考えますと、
除去というのは容易なことではない。
ところが、CMACという組織がやっているのは、依然として金属探知器で
一つ一つこうやって探してそれを解体すると。これではいけないだろうということで、私の属している
日本カンボジア友好協会のメンバーの一人の若い人が、もともと技術者なものですから、カンボジアへ行ってずっと定住をしているうちに
考えついたのが
地雷除去機という、これ何でもないことなんですね、
考えてみると。
要するに、道路工事で皆さん御存じの、無限軌道がついたアームがあって先にパワーシャベルがついたあの機械そのものなんです。操縦席を防弾ガラスにして、そしてアームを少し長くして、八メートルありますが、その先についている。パワーシャベルをすきを逆さまにしたような大きなものに取りかえることができる、あるいは回転する耕すものにつけかえることができる。そういうことをやることによって、これで
地雷をやりますと、このすきのようなもので根こそぎ灌木も何も、全部爆破してしまう。そしてその後を耕す、そしてパワーシャベルで土を移動して、輪中のようなものをつくって田んぼにする。経過を申し上げると、長くなりましたけれども、こういうことなんです。
そこで、
考えなければならないことは、
一つ一つ今までのようなやり方でやっていたんでは何十年かかるかわからない。これを機械的にやるという技術を
日本は持っている。そしてそれを、今やっているのは二台持っていってテストしていますが、六百ヘクタールのところが今完全に
除去されて田んぼになりつつあります。約百ヘクタールは既に田んぼになって米がとれました。そういうところまで今テストは行っているんですが、問題はこれからなんですね。
つまり、カンボジアのようなところは、そうやってもし
地雷を
除去することができたとしても、一年間放置しておくと
たちまち一メートル以上の灌木が生い茂ってしまう、非常に温暖というか暑い多雨の地帯ですから。したがって、
除去したと同時に、すべてその先の農地にしてしまうというところまで連動してやっていかなければいけない。ですから、カンボジアに例をとれば、カンボジア復興プロジェクトというような、そういうものを一連のものとしてやらなければ行き着かない、成功しないへこういうことになるわけです。
実は、
大島経済
協力局長においでいただいていますが、もう既に以前に詳しく御説明したから御存じと思いますけれども、こういう
状況に対して
日本がどのくらい、どういう貢献ができるか、そういうことを
考えていただいているでしょうか。