運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1998-09-17 第143回国会 参議院 外交・防衛委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十年九月十七日(木曜日)    午前十時開会     —————————————    委員異動  九月十日     辞任         補欠選任      藤井 俊男君     木俣 佳丈君  九月十六日     辞任         補欠選任      木俣 佳丈君     北澤 俊美君      続  訓弘君     益田 洋介君  九月十七日     辞任         補欠選任      北澤 俊美君     木俣 佳丈君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         河本 英典君     理 事                 依田 智治君                 吉村剛太郎君                 柳田  稔君                 高野 博師君                 小泉 親司君     委 員                 岩崎 純三君                 亀谷 博昭君                 佐々木知子君                 村上 正邦君                 森山  裕君                 木俣 佳丈君                 北澤 俊美君                 齋藤  勁君                 吉田 之久君                 益田 洋介君                 田  英夫君                 田村 秀昭君                 佐藤 道夫君                 山崎  力君    国務大臣        外 務 大 臣  高村 正彦君        国 務 大 臣        (防衛庁長官)  額賀福志郎君    政府委員        内閣法制局第一        部長       秋山  收君        防衛庁参事官   伊藤 康成君        防衛庁長官官房        長        藤島 正之君        防衛庁防衛局長  佐藤  謙君        防衛庁運用局長  大越 康弘君        防衛庁人事教育        局長       坂野  興君        防衛庁装備局長  及川 耕造君        防衛施設庁長官  萩  次郎君        防衛施設庁総務        部長       新貝 正勝君        法務省刑事局長  松尾 邦弘君        外務省総合外交        政策局軍備管理  阿部 信泰君        ・科学審議官        外務省アジア局        長        阿南 惟茂君        外務省北米局長  竹内 行夫君        外務省欧亜局長  西村 六善君        外務省条約局長  東郷 和彦君    事務局側        常任委員会専門        員        櫻川 明巧君    説明員        総務庁長官官房        審議官      塚本 壽雄君        会計審査員事務        総務第二局長   諸田 敏朗君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○外交防衛等に関する調査  (防衛庁装備品調達に関する件)  (北朝鮮弾道ミサイル発射に関する件)  (北朝鮮情勢日朝関係に関する件)  (在沖縄米軍基地問題に関する件)  (日ロ関係に関する件)  (横須賀米軍基地じん肺被害補償請求に関する  件)  (朝鮮半島エネルギー開発機構(KEDO)に  関する件)  (日韓間の犯罪人引渡条約の早期締結に関する  件)     —————————————
  2. 河本英典

    委員長河本英典君) ただいまから外交防衛委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る十日、藤井俊男君が委員辞任され、その補欠として木俣佳丈君が選任されました。  また、去る十六日、木俣佳丈君及び続訓弘君が委員辞任され、その補欠として北澤俊美君及び益田洋介君が選任されました。     —————————————
  3. 河本英典

    委員長河本英典君) 外交防衛等に関する調査を議題といたします。  まず、防衛庁装備品調達に関する件について、額賀防衛庁長官から報告を聴取いたします。額賀防衛庁長官
  4. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 前回、九月十日に本委員会におきまして調達実施本部の問題について御報告をさせていただきましたが、その後の事態の動き及びこれに対する防衛庁対応を中心に、ここに改めて御報告をさせていただきたいと思います。  今月三日に、東洋通信機事案に関連して、上野憲一調達実施本部本部長ほか企業側関係者三名が背任容疑で逮捕されるとともに、防衛庁内部部局及び調達実施本部東京地方検察庁により家宅捜索を受け、また翌四日には諸冨増夫防衛施設庁長官、元調達実施本部長背任容疑で逮捕されたことは前回報告をいたしましたとおりであります。  その後、十二日以来、本事案に関連して、調達実施本部において組織的に証拠隠滅を行っていたとの報道がなされたところであり、また十四日には、本事案につきまして再度当庁が東京地方検察庁家宅捜索を受けました。これらについては、我が国の平和と安全を守ることを任務とする組織への国民信頼を失墜させたという点で、一切の弁明の余地がないものと考えています。まず、この場をおかりいたしまして、委員皆様国民皆様方に対し心からおわびを申し上げる次第であります。  防衛庁といたしましては、報道されているような証拠隠滅が仮に事実であった場合、大変重大な事態であると考えており、検察当局の今後の捜査等の進展を見守ってまいるとともに、当庁といたしましても、みずからの自浄能力を発揮し、事実関係徹底解明に当たり、これを明らかにした上で、調査結果を踏まえた厳正な措置をとってまいる所存でございます。  当庁といたしましては、十二日の証拠隠滅報道後直ちに四社事案関連文書管理実態に関する調査委員会を設置し、検察当局捜査を妨害しない範囲で、昨日までに既に約八十名の関係部局職員事情聴取を行うなど、鋭意調査活動実施してまいったところであります。  さらに、昨日、現下の状況を踏まえ、右委員会の拡充を行うことにより調査徹底を図るため、委員長を事務次官とし、新たに参事官委員会に加えるなど、同委員会組織の強化を図ったところであります。  同委員会においては、報道されている昨年九月、本年五月における東洋通信機事案に係る関係書類組織的な大量焼却・処分や本年八月から九月初めの時期における関係書類執務室以外での保管等といった点を含め、現在事実の解明を急いでいるところであります。  なお、防衛装備品調達制度をめぐる基本的な課題について徹底的な検討を行うための防衛調達制度調査委員会及び自衛隊員の再就職に関する透明性の確保、規制あり方等の問題について検討を行うための自衛隊員の再就職の在り方に関する検討委員会の設置につきましては前回報告をいたしました。今回生起している問題は、防衛庁自衛隊の行政のあり方について問われているものと認識しており、今後、これらの委員会を通して、防衛調達自衛隊員の再就職に関する問題を鋭意検討してまいりたいと思っております。  最後に、今回の事案を深刻かつ重大な事態と受けとめ、今後は、国民信頼を回復すべく、綱紀の粛正、規律の保持を徹底するとともに、以上述べました諸施策の推進に全力を挙げて取り組んでいくことを申し上げまして、私の報告とさせていただきます。  各委員先生方には、御審議のほどをよろしくお願い申し上げる次第であります。
  5. 河本英典

    委員長河本英典君) それでは、これより外交防衛等に関する調査について質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 依田智治

    依田智治君 自由民主党の依田智治でございます。  私は、きょうは、ただいま防衛庁長官から御報告のございましたこの調達実施本部の問題、さらには北朝鮮ミサイル発射問題、その他若干の外交防衛上の問題について、防衛庁長官並びに外務大臣にお尋ねしたいと思います。  まず調本事件でございますが、私も防衛庁OBとして極めて残念な事件であると思っております。きのうは自衛隊で年に一度の高級幹部会同がございまして、総理大臣もこの問題について特に触れられて、徹底して事実関係解明してこのような事態が再び起こらないようにという強い訓示があったようでございますが、この事件はひとつ捜査当局によって徹底して解明されると同時に、ただいま防衛庁長官から話がございましたように、防衛庁としても本当に徹底した自浄能力を発揮してこの問題を解明していただきたい。各種委員会等をつくったようでございますから、それをもとに本当に真相を解明していただきたい。  と申しますのは、やはりこの装備品調達という問題は通常の市場原理だけで処理できない、要するに防衛上の特殊性というか、そういう面から種々制約というかいろいろあるわけでございまして、そういう中でいかに適正な価格装備品調達我が国安全保障の万全を期するか、こういう極めて重要な問題があるわけです。だからといって不正があってもそれを見逃すということは絶対あるべきことじゃないわけでございます。そのあたりの、防衛装備品調達特殊性防衛というもの、抗堪性維持とか防衛産業技術基盤維持というような面も含めたそういう必要性というような面からこういう問題が生じやすい一つ要素があるんだなということをつくづく感じておるわけでございます。このあたり実施に関するこの調達制度調査委員会とかこれも、証拠隠滅とかこういう問題はもう全然次元の違う問題になってきちゃうわけでございますが。  私はひとつ防衛庁長官に認識をお伺いしたいと思うんですが、防衛庁長官、今回の事案で就任以来いろいろ報告を受け、見てみて、防衛装備品調達という面での一般市場原理とは別の、非常な特殊性というか、我が国安全保障という基本を踏まえた特殊性、そういう面から、特にどういう点に留意しなきゃならぬのかなという点について、感じられた点をまずお伺いしたいと思います。
  7. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 依田委員から御指摘のとおり、私も防衛庁調達している装備品等には一般市場原理がストレートに働いて価格形成されている次元とは若干違う特徴があるというふうに思っております。  その特徴といたしましては、まず、航空機製造事業法武器等製造法等の法令の適用を受けるため製造業特定されているという状況があると思います。これは、相当な技術力を持っていなければならないということ、あるいはまた設備相当膨大になるというようなこと、そういうことから特別な法律をもって製造業特定されているようなところがあるということ、もう一つは、ライセンス生産をしておるところがありまして、外国企業技術援助契約を必要としているための製造業者特定が行われているということ。また、輸入品の場合においても外国企業との販売契約を結んでいるということで、今度は商社特定をされているということ。さらに、防衛庁調達している装備品等にはその特殊性から見て複雑な仕様があるため、技術経験とか、先ほど言いましたように生産設備とか等の問題もあって、非常に特定される面があるということがあります。  また一方で、外国と違って我が国の場合は武器等輸出武器輸出三原則によりまして厳格に規制をされておりますので、利用国内限定をされておりますから、生産規模製造業者の生き残りというようなことから考えて製造業者限定をされているところがあるということだろうと思っております。  言ってみれば、防衛装備品の多くは市場価格が存在せず、調達に当たっては価格構成要素を積み上げて原価計算方式価格形成をしている、予定価格というものをつくって、そして業者との契約を結んでいるというのが実情であろうと思っております。  例えば、具体的に申し上げますと、F15等の大規模ライセンス生産による調達を行う場合は、国内企業原価監査を行うほか、職員を派遣しまして外国メーカーにおける原価調査を行う、そしてお互いに総体的に比較して価格適正化を努めたりしているということであります。また、商社を通じて輸入する場合においても、外国メーカー見積もり価格を、前の時点ではどうなのか、あるいは類似製品価格はどうなのかということを比較しながら厳正に審査をして、適正な予定価格を算定して契約をしているというのが実態であります。  以上であります。
  8. 依田智治

    依田智治君 今、大臣からるる御説明がございましたが、やはり防衛装備品調達にはいろんな意味でそういう制約があると。しかし、だからといって不正が行われていいというものじゃないわけです。そこに今回のいろいろな問題がある。  そこで、前回委員会でもいろいろ各委員から指摘がありましたが、やはりこういう適正な価格の基準のあり方、それから、それを監査する体制あり方、こういうようなものが非常に重要になってくると思うわけでございまして、それらの点を踏まえてぜひともこれはしっかりした体制を確立しなければ、現時点中期防の今は三年目、十一年は四年目になるわけですが、その中にも大変な我が国産業の将来を決定していくような重要ないろんな問題がある。  例えば、航空機産業的な面で見た場合に、我が国の場合はいろんな面で撤退しておりますが、固定翼P3Cの後継機検討の問題、さらにはC1という輸送機検討問題、こういうような問題は中期防中に十分検討して必要な措置をとるということになっていますし、その他、空中給油機の導入の問題、F15の改修弾道弾等迎撃能力向上のためのペトリオットの改修能力向上とか、こういう問題等も含めて我が国安全保障にとって極めて重要な問題をこの中期防の後期には解決していかなきゃならぬ。  にもかかわらず、二十五兆数千億の中期防防衛計画費用見積もりも去年の財政構造改革の中で一兆円程度減額というような非常に厳しい状況の中で、こういう判断をしていかなきゃならぬ。そういう面で、少なくとも国民の目から見て何だかだぶだぶと適当な見積もりでやっているんだなというようなことは大変なことだと思うんです。  だから、重要性はわかりますが、極めて厳しい査定のもとに、防衛産業技術基盤維持しつつ我が国防衛目的を達成するという両面の目的からしっかりした結論を出すということが大変重要じゃないか。具体的事件につきましては今捜査中ですので、私はその点を強く要望しておきます。  それから、あと一つ、今回の事件でつくづく感ずるのは、組織的対応です。組織的対応というものの欠如というか。これは、支出負担行為というようなものはそれぞれ専門家がその契約について適宜やっているわけで、一々上層部には上がらなくて、そういう仕組みになっているにしても、このような重要な事案に発展してきた場合に、今大臣から報告があったように、防衛基本を踏まえながら防衛庁として適正なる価格というのはどうあるべきかという問題について、組織としてぴしっと対応してこれに結論を出しておけば、今回のように個人が背任に問われるというようなことはないんじゃないか。  あと官房長がきょう来ておりますが、何か防衛庁としての考えを上申書で出したと、これが捜査妨害だとか、いろいろあります。こういう防衛という特殊性を見た場合に、防衛装備品購入という面についてはこういう一面がある、それで今回の事案についてどういう上申書を出したのか。これは捜査にかかわることで明らかにされておりませんが、ぴしっとして防衛庁としての基本的見解司法当局に対しても述べるということが私は極めて重要なことであると感じていますが、この点、大臣、いかがでございましょうか。
  9. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) この点につきましては、東洋通信機事件が発覚、表面化いたしましてから、防衛庁として内部調査を進めてきたことは前の報告でも申し上げたとおりでございます。  その調査に基づいた防衛庁としての考え方とかあるいは評価について検察庁に、表現はどういう形だったのか、上申書と言われているいわゆる上申書を提出したというふうに聞いているわけであります。この点については、今、依田委員指摘のとおり、目下捜査中でもございますので、内容についてはちょっと控えさせていただきたいというふうに思っております。
  10. 依田智治

    依田智治君 防衛装備品調達特殊性という面、それから今回の事件について私は組織的対応という問題で、組織としてもっと真剣に対応して、真のあるべき調達価格ということで処理しておればこういう事案は起こらなかったと思っているわけでございまして、各種委員会とも通じましてしっかりした体制を確立していただくようにお願いする次第でございます。  この点につきましては以上にとどめまして、次に北朝鮮発射ミサイルです。  この問題、その後新聞紙上等によりまして拝見する限りでは人工衛星だったとルーピン報道官等が言っております。それにしても、我が国上空を通過し、かつ相当足の長いミサイルが開発されてきつつある証拠もあり、我が国の安全にとっての重要性は変わらないという評価日米はしておるようでございますが、現時点でこの点について、私が感ずるところは、何かアメリカは、一番この問題について影響を受けているのは日本ですね、それで日米同盟関係日米防衛協力関係の中で、日本ミサイルが強いと言っているときに、アメリカ人工衛星だったようだというようなことが言われておる。果たしてこれは日米でこの問題について連絡をして話し合ったのかどうか。  もうちょっと慎重に、この問題を協議してしっかりと共同で発表するようなことがあってもいいんじゃないのかなという感じ、疑問を持ったのですが、現時点における、これは外務省もかかわろうかと思いますが、アメリカからの情報提供、この問題についての協議というか、そして発表の経緯みたいなものはどんなぐあいになっているのか、お伺いしたいと思います。
  11. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 本件に関しましては米国側から種々機会情報提供説明を受けてきているわけであります。  十四日、ワシントンで開催された日米韓局長協議においても、米側としては引き続き本件について分析中であるが、北朝鮮が非常に小さい衛星を軌道に乗せようと試みたが、それに失敗したとの結論に達した旨の説明を受けているわけであります。  我が国におきましては、防衛庁の方で米側情報を含めてさらに分析中であるというふうに承知をしております。
  12. 依田智治

    依田智治君 防衛庁の方は、現時点防衛庁の持っておるいろんな情報等を含めてどのような判断をされておるのか、お答えください。
  13. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 今、高村外相からお話がありましたように、米国から、北朝鮮の打ち上げたいわゆる弾道ミサイル人工衛星ではなかったのかという発表があったことは承知いたしております。  もともと防衛庁といたしましても、米軍情報とか防衛庁で集めた情報を加味して総合的に検討してきた結果、北朝鮮の言うように人工衛星可能性は低い、むしろ弾道ミサイルであったのではないか、その可能性が高いというふうに公表をしてきたわけでございます。  この点については、私どもも引き続いて事実関係をフォローしていくことが大切であるというふうに思っておりまして、本日、防衛庁専門家アメリカに派遣して、その調整あるいは事実の追求をしていくことにいたさせたところでございます。
  14. 依田智治

    依田智治君 この点は、衛星の打ち上げにしろ日本への脅威は変わらないという点については官房長官談話等発表しておるわけでございますが、やはり我が国上空を、それで第一段、第二段ロケットのブースターみたいなものが日本海上に落ちたりいろいろしておる、太平洋に落ちたりしておるという状況、しかも全く警告連絡もなしにやっておるという状況はまさにミサイルを発射したと同一視してもよい状況だと。  したがって、脅威形成というものは変わらないと私も判断しております。この点については、今後ともアメリカとよく協議し、しっかりと詰めて、これに対する対応策というものを講じていく必要があるのじゃないか。第二弾ロケットが発射されるかどうかとかいろいろ言われておりますが、第二回目の商業衛星だと称してまた無警告で、今度はその残骸が日本の本土に落ちてくる、危険性は同じなものですから、よく提携してこれに対応していただく必要があると。  きのうですか、国連の方でこの問題について安保理で何か議長声明みたいなのが出されたというような話を新聞紙上で拝見しましたが、これは我が国外交努力の成果の一面かなと思っております。  この問題について、仮に衛星の打ち上げ失敗であったとしても、これは我が国安全保障にとって極めて重大な問題、そしてまたそれを発射するロケットミサイルというものは相当長距離のミサイルということですから、ミサイル拡散防止という見地からも、また北朝鮮の場合は中束等への輸出の懸念というかそういう問題もいろいろあるわけでございますので、この国連議長声明、さらに今後の国連場等を通じてのこの問題への対応というものを、外務省にお伺いしたいと思います。
  15. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 昨日の議長ステートメントを私が覚えている限りで要約して申しますと、ロケット推進物体を発射したことを懸念する、それから、それが無通告で行われたことは遺憾である、そしてこのことは地域の信頼醸成に逆行するものである、そして再発防止を求めると。ちょっと言葉は不正確かもしれませんが、そういった趣旨であったと思います。  こういったことは日本政府見解をそれなりに取り入れてもらっているわけでありますから、このステートメントを受けて北朝鮮が建設的な対応をするように日本政府としてもいろんなチャンネルを通して働きかけていきたい、こういうふうに思っております。
  16. 依田智治

    依田智治君 今後、いろいろ国連総会の場とかその他の機会を通じて、日米韓の間での話し合いとかその他いろいろ機会があるやに報道されておりますが、このあたりの場も十分活用して、一致してこの問題に対する対応策を講じてもらいたいと思います。  報道によれば、北の方は、我が国のいわゆる宇宙平和利用という面から権利は認められるというようなことを何だか北朝鮮は言っているようですね。いずれにしても、宇宙平和利用にしても、我が国に極めて危険な形で通告もなく実験が続けられるということは大変な問題ですから、これは絶対に防止するように、この点、外交努力の方をよろしくお願いする次第でございます。  北に関連して、この間最高人民会議というか、北朝鮮の第九期第七回がこの前、もう大分前の金日成さんのまだ生存中にあったのが、四年以上ぶりに今回第十期の大会があったわけでございます。このあたり、私も非常に懸念しておるのは、国家主席という制度を憲法で廃止したのか削除して、何か国防委員会委員長金正日氏がなり、外交の方は一切しないで軍事を握って国の最高権力者になっているというような報道になっています。  今回の北朝鮮のこういう改革、新体制特徴と、では今後我が国はどうやって外交をやっていくのか、今ミサイル問題で一切の交渉というのは中断というか見合わせておりますが、このあたり北朝鮮体制に対する評価と今後の我が国対応というものをどうしていくのか、この点、外務大臣からお伺いしたいと思います。
  17. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 我が国は、金正日総書記が今までも政府と軍を掌握してきていたと、こういうふうに思っておりますので、このたび国防委員長、これは再選でありますが、国防委員長に再選し、国家主席を廃止した、そういったことによって特に大きな変化が生じたとは見ていないわけであります。その点についてはそうであるわけでございます。  北朝鮮によるミサイルの発射を受けて、日朝国交正常化交渉の再開を当面見合わせる、あるいはKEDOについても、米韓等と協議の上、当面進行を見合わせる、食糧援助も当面見合わせる、こういうことでありますが、今先生がおっしゃったように、こちら側からすべての外交チャンネルを閉じているのではないわけで、むしろ、今外交チャンネルで何か言おうとすると、必ずミサイルのことについて我々は抗議しますから、逆に向こうが閉じているという感じであります。  日本とすれば、中長期的に言えば、第二次大戦後の不正常な関係を正す、あるいはそれが朝鮮半島の安定、平和に資するものであればいいなと、こういうことで中長期的には国交正常化ということはしていかなければいけない、こう思いますが、当面はこういうことでありますから、我が方では国交正常化交渉には応じない、こういうことでいく所存でございます。  特に、米韓との密接な連絡の上で、北朝鮮に無謀なことをさせないように連絡をとり合いながら日本外交を展開していきたい、こういうふうに思っております。
  18. 依田智治

    依田智治君 私は、それは極めて米韓と認識を共通にしつつ北朝鮮政策というものをしっかりと進めていく必要があると思うんです。ただ、この間、いろいろと新聞紙上等で見ますと、米国北朝鮮との間のいわゆる米朝協議というのは着々と進んでいまして、いろいろ米朝合意なんかも発表されておるし、そのあたりのところをいろいろ見てみますと、地下の建造物、KEDO推進とかそういう形で、軽水炉提供によって核開発を断念させようということでやっている。  一方、北朝鮮には地下に核と疑わしいような建造物がある。これは実際にそこを見せてもらってアクセスしてそれを点検する必要があるというような問題もあるわけですし、またミサイルの再発射の問題も含めたミサイルの対策。さらに使用済み燃料の密封作業の問題とか、そしてまた我が国にとって拉致事件とか、これが全く解決していない、事実無根みたいなことを言われている。一方、アメリカは世界で七カ国あるテロ支援国家とリストに載せておるわけです。  テロ協議についても米朝協議では引き続き進めていこうということになっているわけですが、何か我が国が停止している間にこういう重要問題が我が国の肩越しに着々と進められているということは、非常に残念というか極めて遺憾な問題で、我が国は、しからばどういう状況があったら何らか話し合いを進めていくのか、それを我が国だけが言っていてもこれはどうにもならぬと思うんですね。  だから、同盟国といったらアメリカ、特にまた朝鮮半島の南の韓国、このあたりと本当に一致協力して北に対するしっかりとした政策を推進しなければ、こういう問題は着々とアメリカとの間で進められ、日本は停止停止と言っていながら、KEDO等でもいずれは金は出しますというようなことになり、拉致事件なんかはナシのつぶてというような中で、蚊帳の外で進んでいくというようなことにならぬか、非常に懸念しておるわけです。このあたりについて、外務省はどう考えていますか。
  19. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 拉致事件については、日本人のまさに生命、今の問題でありますから、これについてはあらゆる機会にあらゆる手段で解決しなければいけない問題だと、こう考えておりますが、極めて残念なことに、今これさえやれば解決できるというウルトラC級の手段がないということであります。  この米朝協議の中でテロ協議というのがあるので、そこにおいてこの問題をきっちりとした形で取り上げてもらうように、日本政府としては、今までも要請してきましたが、これからさらに強い形で要請してまいりたい、こういうふうには思っております。  そのほか核疑惑とか、先生が御指摘になったそれぞれの懸念は日本政府の懸念であると同時にアメリカの懸念でもある、あるいは韓国の懸念でもあるわけでありますから、これも日米韓外相会談その他あらゆる機会にこの点はきちんと連絡をとりながら、いやしくも日本の頭越しに日本の意思が全く通らないうちに何か決められた、そういうことがないようにしていきたい、こういうふうに思っております。
  20. 依田智治

    依田智治君 この北朝鮮問題は、我が国だけで何を言ったってこれはどうにもらちが明かないという問題だと思いますから、これは特にアメリカとしっかりと協調しながら対応策を講じていくことが大変重要じゃないかと思っております。  あと対米関係でいろいろ質問をしたいことがあるんですが、時間の関係で一、二。  この間、事務レベルのSSCなんかあって、今回のミサイル問題とか我が国の偵察衛星、そういう今後の問題についてアメリカ見解等もありましたし、あとガイドラインですね。それから、ガイドライン関連法の問題はまだ国会の審議が進んでいませんが、さらに外務省関連ではSACO、いわゆるACSAの協定をつくる問題。また、沖縄にはこの間防衛庁長官が行ってきましたが、SACO最終報告の着実な実施というような問題。  このあたりの問題が、我が国として日米安保共同宣言を受けて以来のアメリカとの信頼関係の中で実現がある程度進んでいかなきゃ、こちらからよろしく頼むとかいろいろ言っていても、日本は口先だけで実質的なことを何にもやらないんじゃないかということに私はなるんじゃないかと思うんです。  そういう点で、ガイドラインはこれは国会の問題でもありますし、きょうはちょっと時間の関係で割愛しますが、ぜひガイドラインと新協定、これは北朝鮮ミサイルに対する直接対応ができないという現状においては、日米安保協力体制の中で米軍によってやりの力を発揮してもらわなきゃならぬ場合もある。そういう場合の憲法の範囲における必要最小限の支援なんて当たり前のことですから、そういう点も含めて私はこれは対応する必要があると思っております。  沖縄ですね、この間防衛庁長官は沖縄へ初の訪問をしてこられたようですが、停滞しておる普天間飛行場の移設問題その他にどう取り組んでいく考えなのか、その点をお伺いしたいと思います。
  21. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 小渕政権になって防衛庁長官を拝命いたしまして、普天間対策の本部長も仰せつかっているものですから、できるだけ早く沖縄をこの目で見て、この足で踏みしめて実感をしてまいりたいというふうに思っておったのでありますが、なかなか時間がとれなかったのでありますけれども、この十五日に行ってまいりまして、沖縄本島の主なところをつぶさに視察をさせていただきました。  ヘリでぐるっと回らせてもらったときは、百三十万沖縄県民の思い、歴史の苦しみ、そういうことを念頭に浮かべながら、一方でまた日本全体の安全保障、あるいはまた日米安保条約に基づく日本ばかりではない周辺地域の安全と平和を保つ、そういうことを思いながらも、沖縄には在日米軍基地の七五%が集まっているという実態を目の当たりに見て、沖縄県民の願いである米軍基地の整理、縮小について、また沖縄県民の発展について、やはり政治家として決断をし、一歩でも前進をさせていくことが我々の責任ではないかという思いであります。  私は、この問題について、SACOの最終報告が出て県民の皆さん方の意見を聞きながら、しかもなおかつ真摯な日米両国の間でまとめたこの最終報告というのはやはり相当な努力の結果の成果であろうというふうに認識をいたしております。したがって、普天間基地の返還というのが象徴的になっておりますけれども、沖縄の理想主義は理想主義といたしまして、理想主義だからといってオール・オア・ナッシングでは一歩も前進しない、現状の固定になるおそれもあるので、やっぱりテーブルに着いて話し合いをして、意見交換をしながら積み上げていくことが大事ではないか、そういう思いをいたしました。  私も、この経験と成果を踏まえて全力投球で立ち向かっていきたいというふうに思っております。
  22. 依田智治

    依田智治君 大変な積み上げ努力の結果、橋本前総理を筆頭に本当に従来の常識を破るほどの大変な努力を重ねた結果でき上がったのがSACOの最終合意ですから、この実現以外に私は今この基地問題、そしてまた日米安保体制維持しつつアジア地域の安全、ひいては世界の安全に寄与していく方法はないと確信しております。そんなことで、ぜひともこの実現に向かって防衛庁長官としても御努力をお願いしたい。  最後に一問。ロシアの方もやっと新首相が国会で承認されたという状況でございますが、日露外相会談も何か月末にはニューヨークであるような話もございますが、いずれにしても、今回、首相が決まって共産党の力が非常に強くなっておるということで、経済に対する国の関与とか、せっかくG7、G8というような形で積み重ねてきた自由経済体制への努力というものに逆行するようなことになってくれば、これは世界の経済のみならず安全保障にとっても極めて重要な問題だと思います。  このロシアの経済困難等に対応して、我が国としてこれからどのように取り組んでいかれるのか。この月末に会談等もあるようでございますが、最後に外務大臣にこれについての御見解をお伺いして質問を終わりたいと思います。
  23. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) プリマコフ首相という極めて知日派の首相ができたということは、ロシア政局が安定の方向に向かっているということとともに、ひとまずよかったなと、こう思っているわけであります。  そういう中で、いろいろな人事とかそういったことから、今までの改革に逆行する方向に行くのではないかというような観測も一部ではされているわけでありますが、昨日、イワノフ外相と丹波外務審議官がモスクワで会ったときに、イワノフ外相の方から、改革は続けるんだ、市場経済はこれからもやっていくんだ、統制へ回帰するようなことは絶対にない、こういうことをはっきり言われたということであります。  また、日本との二国間関係についても、クラスノヤルスク、川奈、この流れを逆行させるようなことはなく、この流れを進めていこう、こういうことをまたイワノフ外相ははっきり言っておられたそうであります。その言葉どおりになるということを大いに期待しているわけであります。  我が国としても、ロシアの改革努力というのはこれは支援をしつつ、いわば歴史の流れとも言うべき二国間の動きを今後とも発展させていくように努力をしていきたい、こういうふうに思っております。
  24. 依田智治

    依田智治君 これで終わりますが、一点だけ。  ミサイルのところで質問し残したところがあって、質問ではなくて一言だけ触れておきます。  きのう参議院でも、私どもの党の中でこの問題に関連して情報偵察衛星の関連の会議があった。その際に、防衛庁外務省、内閣、経済企画庁とか各省それぞればらばらにいろいろ情報商業衛星からとったり、独自に解析度二・五メートル程度の衛星を上げようという計画を推進しようとしたり、いろいろ計画はあるようでございますが、少なくとも今回のミサイル事案、それから去年でしたか、日本海で重油が流れたなんというようなときにも、重油の流れ自体も予測できるような衛星を持っていないというような問題その他いろいろありますので、政府としても本当にこれは真剣に取り組んで、一致協力してしっかりした、独立国家としてしっかりした情報がとれる体制をつくること。国会決議の衛星平和利用という問題はありますが、少なくとも我が国のこれだけもう一般化した進んだ状況下ですから、我が国がそういうことについて安全保障面も含めた衛星体制を確立するということは全く私は問題ないことだと、こう思っています。  そういうしっかりした取り組みをするように要望して、私の質問を終わりたいと思います。  どうもありがとうございました。
  25. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 民主党・新緑風会の齋藤勁でございます。防衛庁調達実施本部の問題につきまして幾つかたださせていただきたいと思います。  先週の外交防衛委員会でも質問をさせていただきましたけれども、その後、報道を見れば見るほど、一体どうなっているんだ防衛庁は、政府は一体何をしているんだということを国民の総意として不満と不信、一国の安全保障をつかさどる防衛庁がこんなことをしているのだろうかということで国民の間に強い憤りが私は渦巻いていると思うんです。  ここで幾つか整理させていただきたいと思うんですが、きょうの長官のコメントもございますが、ここ一両日、秋山防衛事務次官の更迭、こういう政府の意向が明らかになったということが報じられていますが、このことは事実ですか、長官。
  26. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 齋藤委員の御質問でありますけれども、先ほど改めて報告をさせていただきました二ページ目のパラグラフ二つ目に、「さらに昨日、現下の状況を踏まえ、」調査委員会、これは文書の管理実態に関する調査委員会というのを設けて内部調査をしてきたわけでありますが、その調査委員会の「調査徹底を図るため、委員長を事務次官とし、新たに参事官委員会に加えるなど、同委員会組織の強化を行うこととしたところです。」というふうに書いてあるように、私は秋山事務次官に対しましてこの調査委員会のヘッドとして事実関係を明らかにすべきであるというふうに指示したところであり、そういうことは一切考えておりません。  まずは、これだけ防衛庁において国民の皆さん方に不信を招いたことについて事実関係を明らかにし、隠し事をしない、オープンにしていくことが信頼回復の第一歩であるというふうに私自身が思っておりまして、秋山次官にその仕事を命じたところであります。
  27. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 そうすると長官、報道は一紙だけでなく幾つか更迭という見出しが載っているけれども、今日まで政府として秋山事務次官の更迭について検討したこともないし結論も出していないということで、再度お尋ねいたしますが、そういうことですか。
  28. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 報道にありますように、東通案件で組織ぐるみで証拠隠しをしたとか、そういう事態が事実であるとすれば、これほど重大な問題はないわけでございまして、その事実関係をまず究明することが喫緊の課題であるし、私に課せられた仕事であるというふうに思っております。もし内部調査自浄能力を発揮して内部調査をした結果そういうことが事実だったとすれば、その時点で厳正な処罰を考えなければならないというふうに思っているところであります。
  29. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 私は、個人的に秋山事務次官の資質云々ということを申し上げるのではなく、事務方のトップとして今日まで仕事をされてきた者として、今日まその一連の調本問題の流れを見てきて、そのトップにあるリーダーとして、こういうような状況が起きたということについて直ちにその責任を国民の前に明らかにする、まずは先んじてそういうふうな姿勢をとるということが政府側の姿勢としてあるべきではないかというふうに思うんです。どうも今の御答弁は、数々報道は出ているけれども、自浄能力ということを言葉として出していますが、携わってきた人が事実関係の究明をしてもそれは国民から信頼されない、私はそういうふうに言わざるを得ません。  長官、今度の調本問題、とりわけ事実隠し問題で、いろいろ証拠隠したとか、あるいは前の施設庁長官が逮捕されたわけですが、今度の調本問題等で閣議で小渕総理から長官に何か指示、あるいは閣議でこのことについて何か協議をされた経緯があるのか、小渕総理から何か指示があったのかも含めてお聞かせいただきたいと思います。
  30. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 先日の閣議におきまして、私は、防衛庁自衛隊において一連の元本部長及び副本部長が逮捕されたりあるいはまた強制捜査を受けたりしていること、しかもなおかつさらに証拠隠滅等の疑いもあり強制捜査も受けるということに至った経緯につきましては、一切の弁明の許されることではない、国民の皆さん方に深くおわびをしたいと。  私といたしましては、まず捜査当局に全面協力をして真実を明らかにしていただくということが一つ。もう一つは、防衛庁といたしまして、自浄能力を発揮してみずからの力で事実関係を明らかにして信頼関係を回復していくことが私の責任であるというふうに御報告をさせていただき、防衛庁長官としてしっかりと事実関係を明解に徹底究明をしなさいということを総理からも言われております。
  31. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 今度の問題は、過去に企業ぐるみとかいろんな事件があり、企業ぐるみではないんだ、あれは個人ぐるみだなんという笑い話のような、そんな事件もございましたが、今回は、防衛庁すべてとはなかなか言い切れませんが、少なくとも中枢をも巻き込んだ大変な事件だというふうに思います。本外交防衛委員会でこれから中心的にいろいろ解明をしていくということは当然でありますけれども、小渕総理の委員会等への出席、外交防衛委員会のみならず予算委員会等で政府全体の姿勢を含めて徹底的に正していくということが院として当然あるべき姿だというふうに私ども民主党は求めております。これはまた別な場での対応になるというふうに思いますが。  そうすると、秋山事務次官の更迭、そのことについては全く考えていない、事実関係究明の先頭に当たる委員長を事務次官とする、秋山さんが、事務次官である委員長が今度の管理実態に関する調査委員会を全体的に主管をするんだということですね。  そうすると、当然のことながら、防衛庁長官は、今のるるの御答弁で、自分自身としても徹底究明を図っていきたい、その先頭に立っていきたいということですね。
  32. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) これは、新聞報道によりますと、昨年の九月とか、あるいはまたことしの五月とか、あるいは八月から九月にかけてとかということについていろんな証拠隠滅の疑惑があるとかいうことが報道されておりますから、一連の問題についてまず真相解明をするということ、もう一つはこういうことが再び起こらないようにするためにはどうしたらいいかということも当然考えていかなければならないわけでありますけれども、事務次官に徹底究明を指示したわけでありますから、私は、うそは言わない、それから隠し事はしない、透明性を持った形で国民の皆さん方に信頼を回復させていただきたいというふうに思うわけであります。
  33. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 長官、きょうの報告にもございますが、昨年九月、本年五月における「関係書類組織的な大量焼却・処分」あるいは「八月から九月初めの時期における関係書類執務室以外での保管等」「現在事実の解明を急いでいる」と、こういう報告がございました。これはそんなに時間がかかることですか。職員に聞けばすぐわかることでしょう。
  34. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 今、齋藤委員指摘の、昨年九月、本年五月、それから八月から九月にかけてというのは新聞報道になされていることでありますから、その事実関係をきちっとしていくために、一方で捜査当局捜査も進んでいることでございます、その捜査に影響を及ぼさない限り、全力投球で我々も内部調査を進めてきて、既に四日間で八十人ぐらいの職員事情聴取を行ったと報告を受けています。あと数十人の報告を聞かなければ関係者全体から事情聴取を受けたことにはならないとも聞いておりますので、できるだけスピードアップして早急に事情聴取をして、国民の皆さん方に明らかにするように全力投球をしたいと思っております。
  35. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 この四社事案関連文書管理実態に関する調査委員会というのは、これはどういうメンバーですか。どういうポジションの方々が入っているんですか。先ほどの秋山事務次官、これはよしあしは別としましてまた指摘しますが、調査委員会はどういう構成になっていますか。
  36. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 委員長が事務次官で、副委員長参事官調査員は経理局監査課長、人事教育局人事第一課長、長官官房総務課長、長官官房秘書課長、長官官房防衛審議官が言ってみれば枢要なメンバーになります。
  37. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 その方たちは、過去の人事の経歴の中でいわゆる調本に携わってはいないんですか。調達本部に携わった方は含まれておりませんか、一切。
  38. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) これは今、客観的に見て余り東通案件にかかわり合いのない人が担当していると思いますけれども、ちょっと官房長に。
  39. 藤島正之

    政府委員(藤島正之君) メンバーの中には、確かに過去に調達実施本部に勤めていた経験のある者も含まれております。
  40. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 私は、今回、政府全体の危機意識が全く感じられないですね。委員長を事務次官とする。報道ではもう更迭だと。それで長官は、究明に向けてがんばれという党内のいろいろな声があるということをきょう御披瀝いただいているんじゃないかと思うんですけれども、少なくともこれまでの長い間、これはもうきのうきょうの話じゃないんですね。これはたまたま私も五月にこの委員会で質問したときに、そのときは会社側の資料が非常に乏しいと。乏しいけれどもいろいろ書類を集約して今度の返還額を決めたんだというのが、当時の久間防衛庁長官と鴇田装備局長です。  それから先ほどの質疑上申書の例もございましたけれども、これも私は前回外交防衛委員会で言いましたけれども、背任罪という、背任容疑で逮捕されたということ。これはぎりぎりまで地検と防衛庁背任ではないんだということをやりとりしていたということで、上申書ということになった。  これはぜひ私は、この委員会でも、上申書捜査上なかなか内容については明らかにできないと長官はお話しになりましたけれども、上申書そのものについては無理かもわからない、それでは。上申書に書いてある事実、中身について、やりとりについて防衛庁として自信を持って地検に出したんでしょうから、これは国民の前に明らかにすべきですよ。ぜひ理事会でこの上申書の資料、場合によれば上申書と全く一〇〇%同じじゃなくてもいい、そのことも含めて私は資料要求をしたいというふうに思います。  防衛庁背任容疑じゃないということをずっと地検とやっていたわけですから、今度はその一方で書類を隠そうとするということ。それでは、五月の委員会のときに、いや、乏しい書類だったけれども苦労して返還額を決めたんだと。その乏しい書類を二回、三回にわたって書類を隠していくと。つじつまが合わないですよ、つじつまが全く合わない。背任でないということだったら書類を堂々と出せばいいじゃないですか、国民の前に、隠さないで。一方で隠そうとする。これはもう組織ぐるみにほかならないですよ。  しかも今度の調査委員会というのは事務次官、総理からいろいろ御指示もあったのかわからないですけれども、むしろ庁内のメンバーではなくて、庁外にこういう調査委員会をつくって徹底究明を図っていくというのが、もうこの段階じゃないんですか。今また庁内にいろいろなメンバーをこうやってお願いして、調査委員会をつくるなんということについての発想が出てくること自体が、私は信じられない。いかがですか。
  41. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) この問題については既に東京地検で捜査が入っておりますので、我々は捜査に全面協力をするつもりでありますので、東京地検でも真相を解明していくものと思っておりますし、我々もまたそれを期待するものであります。  一方で、私どもも国民の皆さん方に対して信頼を回復するために、みずからの力でこの内部の調査によって真実一事実関係を明らかにして、国民の皆さん方にオープンにもしていくと。それは私自身が先頭に立って事務次官に指示をしたところでございますから、うそはつかない、隠し事はしないということの前提でこれから作業を進めさせることにいたしたいと思いますので、御理解いただければありがたいというふうに思っております。
  42. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 長官、説明国民が聞いていても納得しないですよ、事務次官は今度の流れの中でずっとトップでやってきたわけですから。  その人が調査委員会のトップに立つということについて、それはまじめにやるかもわからない。しかしそれはその任から外してあげるというのがこれは普通、組織あり方として正当な考え方じゃないですか。それで、もしこの書類を隠したということがはっきりしたら、そのときにやめさせるんですか。私はどうも納得いかないですね。役所の調査委員会の任命の仕方は本人にとってもつらいんじゃないですか。こういう事実はもうあったわけでしょう。書類を隠す意図があったかどうかは別にして、書類を焼却した、別な場所に移したということについて事実は明らかなんでしょう。そのことについてはお認めになるんでしょう、意図があったかどうかは別にして。これはこれから捜査するんでしょうけれども、焼却をした、別な場所へ移転をしたんだと、保管場所を変えたんだということについてはお認めになるんでしょう、長官。
  43. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) これまでの報告の一端の中に、自宅に持ち帰っていたり保管場所を移していたりとかいう報告はありましたけれども、これが体系づけてどういうふうな形で、どういう書類がそういうふうになされたかということまでまだ究明されていないところがあるわけであります。ですから、これまでの調査、八十名の職員から聞いておりますけれども、全体的にこれを整理いたしまして報告をしなければならないというふうに思っております。
  44. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 事件解明に先頭に立って当たるという長官の答弁として、甚だもう心もとないですよ、本当に。今こういう機会に、可能な限りわかっていることを通じて公式な場で明らかにするということが政府の姿勢ですよ、長官、トップとしての。やはりそういう姿勢がなければ、まだ何かあるんじゃないかとか、何か隠しているんじゃないかと。この前の事務次官の記者会見でもそうでしょう、そういうことをやっぱり報じられるわけですよ。  それから、上申書について私は資料要求をしましたけれども、理事会で扱っていただきたいと思うんですが、委員長、その点、理事会で御協議いただきたいと思いますが、よろしいですか。
  45. 河本英典

    委員長河本英典君) 理事会で協議いたします。
  46. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 そうですか。  もう一つ、この上申書とまた別に、「自己弁護の内部文書」、起訴の裁量、これがあれば検察も背任報告済み、これは会計検査院も同罪だ、薬なら原価の百倍だとか、何かいろいろ出てきていますね。これはいわゆる証拠隠し疑惑とともに、常識外れな対応ということで、防衛庁調達実施本部の幹部だけに配付されたということで、ことしの七月中旬にいわゆる東通、この事件に関する現時点での評価についてという上申書を東京地検に提出しましたけれども、これをちょっとお尋ねします。  この上申書は発文はどこになっているんですか。防衛庁ということになっているんですか、官房長になっているんですか。どういうふうな書類の種類になっているんですか。
  47. 藤島正之

    政府委員(藤島正之君) 防衛庁でございます。
  48. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 防衛庁ですね。これはなおさら、先ほどの理事会での対応につきましても、防衛庁としての公式な書類ですので、そういう意味での扱いをお願いいたします。  これは十六日付の読売新聞ですけれども、「自己弁護の内部文書」、これもあるんですか、防衛の中に。
  49. 及川耕造

    政府委員(及川耕造君) 調達実施本部におきまして、この事案等に関して部内で議論をするに当たりまして、恐らく個人的なメモを含めてさまざまな形式の文書を作成したのではないかというふうに存じますけれども、それぞれの文書の位置づけでございますとか内容等については、防衛庁として、私ども内局として精査いたしておりません。したがいまして、現時点で事実関係について答弁することは差し控えさせていただきたいと思います。  いずれにしろ、新聞にございますような趣旨につきましては、私どもはそのような認識を同じくいたしているものではございません。
  50. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 この内部文書は、「仮に今回の事案背任行為というなら次の行為も背任となる」ということで、「検察の裁量で起訴不起訴を決められる「起訴便宜主義」」、「(検察には)便宜主義で起訴見送りの制度があるが、この制度自体も背任に当たるのではないか」と、こういうことが内部文書に書いてあるみたいですね。やっぱりこれは、防衛庁がここまで内部文書としてそういう位置づけをしてやっていくというなら、たびたび言っているように堂々と出せばいいんですよ。それで争えばいいわけですから、これはやっぱり内部文書もぜひ私は理事会で扱っていただきたいというふうに思います。  それから、たびたび今回のいわゆる証拠隠ぺい疑惑ということで質疑をさせていただいていますけれども、自宅へ置いたとかいうことについて先ほど答弁がありましたけれども、長官、焼却をした事実というのは御認識されているんですか。そのことについては答弁がないんですけれども。
  51. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) これは全体的な中での一報告でございますけれども、例えば五月ごろという新聞報道がありますけれども、四、五月というのは年度がわりで、不要な文書というのは一般的に焼却するケースが多いというふうに報告を受けております。そういう中で、今度の事案関係するものが含まれていたのかどうか、その辺は今調査中であるということでございます。
  52. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 長官、それが遠いところに離れていて究明をするというのなら別でしょうけれども、すぐそばにあるんでしょう、建物の中に。どの書類がどうしたかということについて、焼却したかどうかというようなそんないいかげんな話はないわけでありまして、公文書を意図してもし焼却したり廃棄をしたとしたら、これはまさしく犯罪ですよ。  この公文書の廃棄疑惑、いわゆる資料というのがもし、私も大学の法科を出ておりますけれども法律になかなか疎いものですから、刑法の公用文書の毀棄罪、これは法定刑は三カ月以上七年以下の懲役、証拠隠滅罪、二年以下の懲役または二十万円以下の罰金。これは重くなるんですね。  私は、これは大変な役所の方々のいわゆるモラルと申しましょうか倫理観の欠如、そしてそのことに対する問いも残念ながら今回までの御答弁では感じられない、そういうふうに指摘せざるを得ません。直ちに事実について明らかにして国民の前に公表するということが政府の姿勢じゃないですか。それがトップの、解明をしようという長官の姿勢じゃなきゃいけないんですよ、いかがですか。
  53. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 既に調査委員会で八十名前後の者から事情聴取をしている中で、断片的な問題については報告しているわけでありますけれども、あと数十人の職員から聴取をして、その上で総合的に整理をしていくことが大事であると思っていますし、その中で、例えば焼却をするということは公文書の問題になるという法的な御発言もありましたけれども、私が聞いている限りにおいては、例えばこの事案検察当局捜査に入った段階で必要に応じて防衛庁に対して必要な書類提供、任意の提出、文書の提出等が求められておったというふうに聞いております。  そういうときに、日常の仕事をルーチン的にか、あるいは必要な書類についてはコピーをして本文は検察庁に提出をするとか、そういうケースもあったやに聞いております。そういうときには不要になったものとまじり合ってかどうか知りませんが、その辺がどういうふうになったかどうかということも含めて、今きっちりと精査をしているということであります。  だから、齋藤委員、私は必ず国民の皆さん方にお約束をします。きちっと精査をして、うそは言わない、隠し事はしない、事実関係をきっちりと明らかにして、我々の力で自浄能力を発揮して、国民の皆さん方の信頼を回復するために全力投球をするということを先ほどから言っているわけであります。
  54. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 それは長官、決意はたびたび言われていますし、ここに文章が書いてありますから、これはもうそれはそのとおり聞いていますよ。今までの流れで信用できないからですよ。それから、防衛庁自浄能力といっても、防衛庁内部の職員によって委員会をつくったって、またそれはというクエスチョンマークがつくんですよ。私はこの時点で、この段階でまた内部で委員会をつくるなんということはおかしい。それに、トップに、更迭だという活字が載っている人がその委員会委員長になること自体、常識的感覚を本当に疑わざるを得ませんよ、そんなの。もう今事務次官ではなくて、毎日マスコミの見出しに載っているのは長官自身がという話じゃないですか、内部でも。いや長官自身はやっぱりトップで究明しましょうというのが党内の御意見としてあるというのは伺っていますよ。これからこういったことについては与野党でやるでしょうけれども、いろんな場で。  それから、今の調査はどのくらいのテンポで、仮に私どもの見解はあるにせよ、その委員会、四社事案関連文書管理実態に関する調査委員会、十二日の証拠隠ぺいの報道後直ちに設置をした、委員長を事務次官とした。これはこれからどういう進め方をして、今の決意でいうと自浄能力とおっしゃっているんだから、いつの時点で自浄能力を発揮されて国民の前に発表する、そういうお考えですか。
  55. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 今東京地検でも捜査推進して、進展させているわけであります。そういう捜査に影響を与えない、妨害しないという限りにおいて職員事情聴取を行っている。あと数十名聞かなければならないというふうに聞いておりますので、できるだけ早く、スピーディーにこの調査を終えて国民の皆さん方の前に事実関係を明らかにしていきたいというふうに思っております。
  56. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 冒頭このことを私は取り上げさせていただいたときに、我が党はこのことは外交防衛委員会でも引き続き究明させていただくと。しかし、一防衛庁だけではなく、一内閣全体、一政府、一国家の問題、大変な問題であるという認識をさせていただきまして、総理も出席していただく予算委員会等で私は徹底的にさまざまな角度からやるべきだということを、予算委員会質疑をしたいということを党として、会派として持っているということについて改めて表明させていただきたいと思います。上申書あるいは内部文書等について国民の前に、防衛庁がこういう考え方で歩んできたんだ、考え方なんだということについて明らかにして委員会の場で出していただき、それが審議できるようなそんな対応政府に、防衛庁にとっていただきたいということで、再度委員長にもお取り計らいをいただきたいと思います。  同僚の柳田理事がこれから質問をするんですが、もうちょっと。柳田先生、申しわけないんですがもう一点だけさせていただきます。一点だけです。  これはいわゆる国民の税金ですね、背任罪。こういうことで多額な税金を本来もっと返却させなきゃいけなかったという事件がありながら、一方で、神奈川県の横須賀の米軍の造船所で働いていた労働者がいわゆるじん肺の損害請求をして、それが時効だということで横浜防衛施設局から却下をされた、こういう事件がございます。時効だと。じん肺に時効があるんだろうかということで、じん肺というのは進行性の病気なんです。進行性の病気のじん肺、いわゆる石綿疾患にそもそも時効を適用するのは私は基本的に無理であるというふうに思います。  今回、このことは、ことしの五月だったでしょうか、二十名の損害賠償請求、総額二億数千万だと思いますが、二十名の方々が、じん肺によってお亡くなりになった方々、そして今なお進行形の方もいらっしゃいます、あるいは労災認定を受けた方もいろいろいるんですけれども、その方が請求して、これを速やかに私は政府として結論を出すべきだと。  その速やかにというのは、過去こういう事例があって決定まで四年もかかっている。四年もかかるのでは、亡くなった方もいる、そしてまた高齢だということで速やかにしてほしいということをお話をしましたら、当時の答弁ではなるべく誠意を持って速やかに対処していきたいという、こういう答弁がございまして、今日に至っておりますけれども、このたび、いやこれはいわゆる管理区分が行政決定をした以降三年だと、こういうようなことで申請が却下されました。この方たちは裁判に、訴訟に訴えると時間がかかる、だから直接日米地位協定に基づきまして損害賠償を政府にしたわけです。  私は、今回の決定の不当性というのは時効のとり方にあるというふうに思うんですけれども、この時効のとり方について説明をしていただきたいと思います。
  57. 萩次郎

    政府委員(萩次郎君) ただいま齋藤先生から御質問がありましたように、この四月二十一日ですか、二十名の方のじん肺被害補償請求が私どもの横浜施設局にございました。  先生おっしゃいますように地位協定十八条、それから民事特別法に基づいて行われるわけでございまして、ここのポイントは、従来からのじん肺訴訟でもいつも問題になりますが、まさに時効のとり方、これが司法上、従来から問題になっております。  じん肺法上の管理区分、これが時効とのかかわり合いということで問題になるわけですが、これにつきまして、平成六年の二月二十二日に最高裁判決が出されました。いわゆる長崎じん肺訴訟ということでございます。そういうことで、最高の判決ということで、ここの判決におきましてじん肺法上における管理区分の最終行政上の決定を受けた日から進行すると、こういう判例が出されまして、私どもその判例に従いまして判断をいたしますと残念ながら既に時効が完了していると、こういうことになりましたものですからこの請求を却下せざるを得なかった、こういうことでございます。
  58. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 これは、何でそうした時効がこれから三年になるんですか。私は、基本的に時効を適用するのが問題だということを言いながら、時効の起算点問題、じん肺裁判の判決では不法行為の短期消滅時効三年援用を乱用とし、債務不履行の十年の時効を慎重に援用しているというのがこの間の全体的な法の場の流れではないんですか。  この点について一点お尋ねをさせていただきまして、改めてこのことについて、私、また機会もあろうと思いますのでやりとりさせていただきますが、そのことだけ指摘し、御回答をいただいて私の質問を終わりたいと思います。
  59. 萩次郎

    政府委員(萩次郎君) 被害者救済という重要性は私どもも十分認識しております。ただ、私ども地位協定十八条五項に基づいて賠償金をお支払いするということで、事実、過去においてお支払いをしたこともあるわけですが、我が国が負担する場合においても事務処理に当たってはどうしても関係法令にのっとってやらざるを得ないという立場にございます。  したがって、今回の請求事案については最高裁判例に従わざるを得ない立場がございますので、そこからの判断として三年間の時効は既に完了してしまった事案であるということで、請求を却下せざるを得なかった事案であるということでございます。
  60. 柳田稔

    ○柳田稔君 長官に主にお伺いしたいと思うんですけれども、この報告の中で、「今回の事案を深刻かつ重大な事態と受け止め、」というふうに長官はおっしゃっておりますので、それをもとにしてお伺いしたいと思うんです。  多分、防衛庁に全幅の信頼を置いて今回の事態解明しょうと。全幅の信頼を置いてやれるとは私は思えないんですけれども、多分、長官がみずから率先していろんなこともやられているだろう、いろんな情報もお聞きになっているだろうと思うんですが、今回、十四日ですか、家宅捜査を受けましたね、防衛庁、どういう場所が受けられたんですか、家宅捜査を。
  61. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 調達本部、それから内部部局の関連するところと聞いております。
  62. 柳田稔

    ○柳田稔君 それですべてですか。
  63. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 全部についてはちょっと……。  家宅捜索を受けたということで、どこからどこまで受けたかということについて、今全部頭の中に入っているわけではありません。
  64. 柳田稔

    ○柳田稔君 では、今おっしゃったところ、それ以外もあるんですけれども、そこから報告は今回受けられましたか。どういう内容の家宅捜査とか、事情聴取を受けたとか、そういうことは長官みずからその担当に出向いていくかお呼びしてかどちらでもいいんですが、お聞きになったことはありますか。
  65. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 捜査に影響があるかないかにもよりますけれども、概要については聞いております。
  66. 柳田稔

    ○柳田稔君 今回、官房長事情聴取を受けられましたですね。その官房長がお隣に座っていらっしゃいますけれども、お話は、報告はお聞きになりましたか。
  67. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 官房長からは、検察に行って事情聴取を受けたという話は聞きました。捜査に影響を与えない範囲の報告は聞きましたけれども、詳細にわたっては聞いておりません。
  68. 柳田稔

    ○柳田稔君 では、捜査に影響のない範囲で報告を受けた内容というのはどういうことですか。どういう概要ですか。
  69. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) それは、今後の捜査にも、私の判断でそういうことが私の口から言っていいのかどうか、非常に私は今、言うべきではないと。これは、検察当局がこれから解明していくことになるであろう。何から何までこういうことを受けていたとか、そういうことの一般的な話の報告を受けただけでありますから、中身については聞いておりません。
  70. 柳田稔

    ○柳田稔君 今、長官は捜査に影響ない範囲で聞いたとおっしゃったんですよ。それで、その内容を教えてくれと言ったら、いや、これは捜査に影響するからお話しできませんというのはちょっと理屈が合わないんですけれども、どうでしょうか。
  71. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 捜査に影響を与えない範囲で私は聞きたいという気持ちでありましたけれども、藤島官房長は何時から何時まで事情聴取を受けておりましたと、そういう一般的な概要の話しか聞いておりません。
  72. 柳田稔

    ○柳田稔君 では、聞き方を変えます。今回、調査委員長をかえられましたですね、官房長から事務次官に。理由は何ですか。
  73. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) それは、内部調査をきっちりとしていくためには、既に検察庁事情聴取を受けた官房長がトップではきちっとした内部調査ができるかできないか等々の問題もあり、私自身が事務次官に命じたということであります。
  74. 柳田稔

    ○柳田稔君 事情聴取を受けた、それでかえると。どういう事情聴取を受けたか、内容を知らない限りはかえるということは理屈上合いませんよね。全般的に聞かれたかもしれないし、防衛庁の構成なり一般論を聞かれたかもしれない。そういう中身もわからずに委員長をかえる、事情聴取を受けただけでかえるというのはちょっとおかしな問題じゃないかなと思うんですが、そう思いませんか、長官。
  75. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) これは私自身の判断で、最高のトップである事務次官をして事実解明をさせることが最も適切であるという判断をしたからであります。
  76. 柳田稔

    ○柳田稔君 そうしたら、最初から事務次官にされたらいいじゃないですか。なぜ官房長にされたんですか。
  77. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) それはさまざまの問題、先ほども言いましたように、私は深刻かつ重大な事態と受けとめて、これは本格的に内部調査をしなければならないというふうに判断をしたからであります。
  78. 柳田稔

    ○柳田稔君 また別な角度で聞きますけれども、長官に就任されてからまだ二月たっていませんよね。ただし、この二月間にいろんな出来事が起きましたですね。大変御苦労が多かったと思うんですが、今回のこの背任事件でも長官在任中に幾つかの事実が出ましたね、新聞報道でも。長官は「今回の事案を深刻かつ重大な事態と受け止め、」とおっしゃるわけですから、そして先ほどの答弁を聞いていますと、先頭に立ってとおっしゃいました。  ちなみにお聞きしますけれども、具体的に長官、だれを長官室にお呼びして、どういう状況だったのかお聞きになったことはありますか。
  79. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 職員に対してはありません。事情について、事務次官なりを呼んでその実情について報告を受けました。そして、それぞれ問題によっては指示をしているところであります。
  80. 柳田稔

    ○柳田稔君 ということは、長官は事務次官と官房長からの報告のみということですか。
  81. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 今の時点で全体の中身が、全部内部調査の事情を聞いているわけではありませんから、あと数十人聞いた上で、体系的に総合的に中身が分類をされて、その上でどういうふうに判断をするかが私の仕事であろうというふうに思っております。
  82. 柳田稔

    ○柳田稔君 先ほどもおっしゃっていましたけれども、お聞きになっているのは長官なんですかそれとも別の方なんですか。
  83. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) それは私が聞いているわけではありません。
  84. 柳田稔

    ○柳田稔君 そうですね。ということは、だれかがお聞きになって、その人がまた報告書をまとめて、それを長官に報告に行くわけですね。とすると、その話を聞いてまとめる人は今回の一連の事件に、近い遠いにかかわらず関係した人も入っている、先ほどもおっしゃいましたからね、そういう人たちが話を聞いて長官に報告に行くわけですね。それを長官はすべて真実だと思ってうのみにして、防衛庁の姿勢をはっきりさせるというふうに受けとめてよろしいでしょうか。
  85. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 先ほど調査委員会を強化したというのは、委員長に事務次官、副委員長参事官をし、調査員に何人かを配置をいたしまして、職員に話を聞かせているところであります。  その上に立って、それを整理していただいて、また逐次私は次官なり副委員長から話を聞いて適時適切に指摘をしたりすることにしたいと思いますし、また整理された段階でいろいろと問題点を把握して、最終的な報告の内容を決めさせていただきたいというふうに思っております。
  86. 柳田稔

    ○柳田稔君 もう時間なのでやめなきゃならないのですけれども、先頭に立ってとか、事案を深刻かつ重大な事態と受けとめとおっしゃる以上は、長官、私は言葉どおりやってほしいなと。  我々は、今防衛庁組織的にやってしまったんではないかと。それ以外の方というと長官しかいらっしゃらないのですね。その長官がすべて防衛庁組織のおっしゃることをうのみにされて、それがすべてですとおっしゃるならば、ちょっと先頭に立ってという言葉は使えないのではないかなと、一般的な言葉としてですけれどもね。できれば長官がみずからいろんな人を呼んで、お話を聞いて、そして長官なりの考えをまとめて、それと事務方から上がってくる報告書と比べながら防衛庁としての考えを決めてもらいたいなと、私はそう思うんですが、いかがでしょうか。
  87. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 議院内閣制の大臣でありますから、私は国民の代表の一人でもあります。行政庁のトップでもありますけれども、行政のあり方をチェックする、そういう立場でもあります。行政を行うと同時に国民的な視点に立って行政がどう行われるべきかということも考えなければならないという問題意識で今防衛庁長官としての仕事をやらせていただきたいと思っております。  委員の御指摘等も参考にしながら、今後国民の皆さん方に御理解を得るように、透明性を持ってきっちりと御報告ができるように万全の体制をしいていきたいというふうに思っております。
  88. 高野博師

    ○高野博師君 防衛庁背任事件について防衛庁長官にお伺いいたします。  ただいまの質疑の中で、秋山事務次官の辞任については何もまだ決まっていない、検討もされていないということでありますが、長官の責任について、長官は一切の弁明は許されない、国民におわびするということをおっしゃっているんですが、長官の責任についてはいかがでしょうか。
  89. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 私の責任につきましては、今おのれをむなしゅうして、私情を挟まないで事実関係をきっちりと明らかにすることである、それが国民信頼を回復する第一歩である、そういうふうに考えております。したがって、捜査には全面協力をし、東京地検が真実を明らかにすることを期待したいと思います。  また同時に、先ほど来私が言っておりますように、自浄能力を発揮して内部の調査徹底的に行って、そして真実を明らかにしてまいりたいというふうに考えております。
  90. 高野博師

    ○高野博師君 野中官房長官が、防衛庁長官の責任について、時期的に関係ないということで政治責任についてはこれは問われないというような趣旨の記者会見の発言がありました。この点について、背任事件があった時点では時期的に合わないかもしれませんが、証拠隠滅ということに関しては、これは防衛庁長官の在任中に当たるわけですが、この点についてどういうふうにお考えでしょうか。
  91. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 野中官房長官がそういう発言をしたということは聞いておりません。  また一方で、私は、東通事件に関連をいたしまして証拠隠滅のために大量に焼却をしたりとか隠滅を図ったという新聞報道があって、これは事実だとすれば大変なことであるという、衝撃的なことでありましたから、調査委員会を開いて、この内部調査を行っているところであります。したがって、私はその事実関係がどうであるかということを明快に究明をしていくことが私の責任であるというふうに思っております。
  92. 高野博師

    ○高野博師君 事実はこれから解明されると思いますが、証拠隠滅の事実が明らかになった場合、長官はこの事実を知っていたとしたらもう共犯だと、知らなかったとすれば監督不行き届きという点で責任は免れないと私は思いますが、この点について一言お伺いいたします。
  93. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 今、私はおのれをむなしゅうして事に当たる、それ以外自分の責任を果たすことはないというふうに思っております。
  94. 高野博師

    ○高野博師君 それでは、具体的にお伺いいたします。  調達実施本部証拠隠滅の疑いということで当局の捜査を受けているんですが、証拠隠滅の場合は刑法第百四条で規定されている。公文書等の毀棄ということで、焼却した事実がわかれば、これも刑法二百五十八条が適用されると思うんです。調達実施本部が、総務課とかあるいは原価管理課の担当官が大量に処分をした、あるいは移管をしたというようなことが言われている、また職員の供述報告書、これも隠していたと、こういう報道がされております。官房長はここにいらっしゃいますが、官房長と前官房長事情聴取をされたということでありますが、差し支えない範囲で、何を聞かれたのかお聞きしたいと思います。
  95. 藤島正之

    政府委員(藤島正之君) 申しわけございませんけれども、今地検が行っている背任捜査の一環にかかわってくるわけでございますので、御答弁は差し控えさせていただきたいと思います。
  96. 高野博師

    ○高野博師君 警察庁出身の総務担当の副本部長、これが証拠隠滅の関与の疑いがあるということでありますが、課長クラスを集めて強制捜査を受けた際の心構えとかあるいは注意事項を話したというようなことも報道されております。文書処分も指示したのかどうかを含めて、これが事実だとすれば、これはもう大変なことだと思うんです。これは警察の信用にもかかわる問題だと思うんですが、この点について長官はどういう認識をされていますか。
  97. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 九月一日に調達実施本部内で、家宅捜索を行われる際に、言ってみれば注意事項的に、業務遂行上必要な書類があればコピーをとらせていただくようにしなさいとか、あるいは自分の私物も捜査対象になりますよとか、そういう話のことを注意書き的に行ったということを聞いております。身辺の書類を処理するというふうに指示をしたということは確認をしておりません。
  98. 高野博師

    ○高野博師君 いない。  これまで関係部局の職員約八十名ぐらい事情聴取を行ったということでありますが、この八十人もの多くの職員から事情を聞いた今の段階で、これらの証拠隠滅等についてあるいは公文書の焼却等について、かなりの事実はもうつかめていると思うんですが、その点いかがでしょうか。
  99. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) これは断片的な話であり、それをどういうふうに考えていくか、またこれからも、事情聴取というと語弊がありますけれども、話を聞いていかなければならない職員が多数残っておりますので、それを総合的に聞いた上で判断をさせていただきたいと思うし、またこれはいずれ、高野委員、私はきっちりと隠し事はしないという形で皆さん方に報告をさせていただくということで御理解をいただきたいというふうに思います。
  100. 高野博師

    ○高野博師君 先ほども質問がありましたが、東京地検に上申書防衛庁として出していたと。法務省にも出していたという報道がありますが、これは事実でしょうか。
  101. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 私は、検察庁に出したということを聞いております。
  102. 高野博師

    ○高野博師君 法務省に出したという事実は。
  103. 及川耕造

    政府委員(及川耕造君) 御参考までに法務省の方にもお届けをいたしております。
  104. 高野博師

    ○高野博師君 それはどういう意図で法務省に出したんでしょうか。
  105. 及川耕造

    政府委員(及川耕造君) あくまで御参考ということであります。
  106. 高野博師

    ○高野博師君 法務省を通じて東京地検に圧力をかけるというような意図はなかったんでしょうか。
  107. 及川耕造

    政府委員(及川耕造君) ございません。
  108. 高野博師

    ○高野博師君 それから、上野容疑者が退職直前に大手の通信電機メーカーの総利益率、これをアップさせたと。もともと総利益率を一%下げるということが決まっていたのをまたこれは〇・五%にしたということで、〇・五%上がっただけで一社相当の利益が上がる、数億の利益が上がるということでありますが、そもそも総利益率というのは幾らなんでしょうか。
  109. 及川耕造

    政府委員(及川耕造君) 経費率の水準と申しますか、絶対額そのものにつきましては、各企業ごとの原価の内訳であります総利益率を示すこととなりますので、商議等に差しさわりが生じるおそれがございます。したがいまして、その点は御答弁を御容赦願いたいと思います。
  110. 高野博師

    ○高野博師君 この利益率による各企業の収益の増減というか増収に合わせて天下りの数を決めていたということも言われていますが、この点いかがでしょうか。
  111. 及川耕造

    政府委員(及川耕造君) 承知いたしておりません。
  112. 高野博師

    ○高野博師君 それでは、NECの幹部も、今回の逮捕に関して何の罪か理解に苦しむ、防衛産業が続く限り天下りは受け入れる、こういう発言を記者会見でやっているんですが、防衛庁検討委員会で天下りの見直しについて検討を進めていると理解しています。今まで東洋通信機への天下りは三名いるんですが、ほとんど出勤をしていなかったということであり、出勤をしていなかったということは、給料だけもらっているということは資金提供を受けていたということでありますから、これらの企業が水増しをやって、その分、当然返納しなくてはいけない分のお金で防衛庁のOBを受け入れて給料を払っていたと。  本来、国に返納すべき金で雇っていたということでありますから、これは非常に重大な問題だと思うんですが、長官はどういう認識をされていますか。
  113. 藤島正之

    政府委員(藤島正之君) ユニホームはかなりおったわけですけれども、事務系のOBが三名在職しておったことはございます。現在は三名とも退職しております。  その三名の勤務状況についてはそれぞれ別々だったというふうに私ども認識しておりますが、いずれにしましても細かい出勤の形態につきましてはそれぞれ個人と会社で結んでいるものでございまして、私どもとしては、まことに申しわけございませんけれども、コメントは差し控えさせていただきたいというふうに考えております。
  114. 高野博師

    ○高野博師君 それでは次に、財団法人の防衛装備協会について伺います。この公益法人ですが、簡単に言うと何をやるところなんでしょうか。
  115. 及川耕造

    政府委員(及川耕造君) 防衛装備協会は、装備品の生産に関します正しい理解と知識を広める、また装備品の研究と生産技術の向上について奨励、助成するといった点が目的でございまして、したがいまして今申し上げたような点に関します刊行物の発行、講演会、研究会等の防衛思想の普及活動、あるいは防衛装備品の自発的な研究とその生産技術向上に関する報奨あるいは生産技術者の研究活動の支援並びにISOの9000の審査にかかわります品質システムの審査登録機関としての業務等々を行っているところでございます。
  116. 高野博師

    ○高野博師君 役員が六名いるんですが、有給の役員はほとんどが防衛庁出身でありますが、理事長の給料は一千三百五十万、専務理事が一千二百万、それから理事が一千万、これは間違いありませんか。
  117. 及川耕造

    政府委員(及川耕造君) 申しわけございません、多分そうだろうと思いますが、手元に資料がございませんので後ほど確認して、先生に。
  118. 高野博師

    ○高野博師君 これは防衛庁からもらった資料です。
  119. 及川耕造

    政府委員(及川耕造君) 恐縮でございます。
  120. 高野博師

    ○高野博師君 そこで、この防衛装備協会が事業の中で、装備品等の生産調達について顕著な功労のあった企業に対して防衛調達功労企業表彰を行うということが事業内容の二番目に挙げてありますが、問題になっている四社、五社、これは表彰されているんでしょうか。
  121. 及川耕造

    政府委員(及川耕造君) 防衛調達功労企業表彰というのが昭和五十三年に日航電、それから昭和六十年に日本工機、平成元年にニコー電子株式会社というところが受けてございます。
  122. 高野博師

    ○高野博師君 水増し請求をして問題のあるこれらの企業が防衛装備協会によって表彰されているということで、この財団法人、そしてまた防衛庁の天下りを含めて、関連企業とのなれ合いというか癒着の構造は非常に明らかに出ているんではないかということを指摘しておきたいと思います。  次に、会計検査院にお伺いいたします。  会計検査院は一千二百人の職員がいて、実質的には九百人の職員がいろんな検査、七十兆を超える国家予算を検査しているわけですが、防衛庁関係は何人ぐらい携わっているんでしょうか。
  123. 諸田敏朗

    説明員(諸田敏朗君) 防衛庁関係では、防衛検査一課、二課、三課で検査を行っておりますが、その調査に携わっている人員は約七十名でございます。
  124. 高野博師

    ○高野博師君 七十名の専門家がこの問題についてなかなか見抜けなかったというのはどこに限界、問題があるんでしょうか。
  125. 諸田敏朗

    説明員(諸田敏朗君) 七十名おりますけれども、すべてがこの検査に従事しているわけではございません。大半は各陸上、海上、それから航空、そういう幕僚監部あるいは各部隊等も検査しておりますので、七十人が全部この調達に関して検査しているというわけではございません。  そういう前提におきまして、今回の件につきましては、一般確定契約が大半であったということから、伝票類の基礎的な資料が入手できなかったため事実の解明が困難となっていたということでございます。
  126. 高野博師

    ○高野博師君 報道によりますと、上野容疑者が東洋通信機の返納額減額を部下に指示した際に、会計検査院幹部の名前を挙げて、検査院は押さえてあるから大丈夫だというような話をしていたと言われていますが、検査院の影響力を誇示していたということでありますが、この点についてはどういう認識をされていますか。
  127. 諸田敏朗

    説明員(諸田敏朗君) そのような報道があったということでございますけれども、その内容の真偽については私どもとしても見当はつきませんし、また、事実とした場合ですけれども、どういう意味でそういうことを言われたか、それについては私どもとしては全くわかりません。  いずれにいたしましても、検査は厳重にやっております。
  128. 高野博師

    ○高野博師君 もう一つ。東京地検も今の点について調達本部の関係者のメモを既に押収している、検査院関係者から事実関係について説明を受けたと、事情聴取とは言っておりません、説明を受けたというようなことが言われていますが、これは事実でしょうか。
  129. 諸田敏朗

    説明員(諸田敏朗君) 地検の関係でございますけれども、捜査の内容にかかわることなので答弁は差し控えさせていただきますけれども、一般的に言えば、会計検査院の組織、権限等について説明することはございます。
  130. 高野博師

    ○高野博師君 それでは、総務庁の行政監察局にお伺いいたします。  行政監察局が平成三年に防衛庁調達実施本部の監査を行ったということで、その結果として勧告をしていると思うんですが、簡単に勧告の内容についてお伺いします。
  131. 塚本壽雄

    説明員(塚本壽雄君) 御指摘の勧告でございますが、対象範囲としては防衛庁調達、補給、整備、各業務を見ております。そのうち調達につきましては、例えばその経済性の確保あるいは業務の合理化、効率化という点から調達の競争契約方式の拡大あるいは中央、地方調達の品目の見直し、このような点について指摘をいたしたところでございます。
  132. 高野博師

    ○高野博師君 この効率的運用ということで、随意契約が金額で言うと八五%を占めている防衛庁のこの契約一般競争にもっと移すべきではないかというような勧告、あるいは防衛庁仕様をもっと一般スペックにすべきではないかというようなことでありますが、会計検査院も去年の段階で同じような指摘をしているんですが、防衛庁は全くこういう勧告を無視してきたんではないか。平成三年にこういう勧告があったときにもっとこの調達の仕組みとかあり方について前向きに対処していればこういう問題は起こらなかったんではないかと思うんですが、その点についてはいかがでしょうか。
  133. 及川耕造

    政府委員(及川耕造君) 先ほど大臣からも御答弁を申し上げたことでございますけれども、防衛装備品につきましてはさまざまな特殊なスペックでございますとか背景がございますので、調達し得る企業がなかなか多数に上ることがないわけでございます。  したがいまして、防衛庁といたしましても、監察を受けまして調達の懇談会を開いたり、あるいは最近はこの六月に取得改革に関する考え方をまとめまして、今、先生御指摘のような点につきましても極力競争的な条件を取り込めるよう努力いたしているところでございます。
  134. 高野博師

    ○高野博師君 それでは、北朝鮮問題についてお伺いいたします。  先般、日米防衛のハイレベル協議が行われたんですが、このミサイル発射事件についてアメリカがどういう認識をされていたんでしょうか、簡単にお伺いいたします。
  135. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 米国政府は、依然分析中としながらも、先般の北朝鮮の行為につき、非常に小さい衛星を軌道に乗せようと試みたが失敗したものであったとの結論に達した、こういうことでありました。
  136. 高野博師

    ○高野博師君 人工衛星を乗せて失敗したということですが、これが五千三百キロとかあるいは六千キロ以上も飛ぶ、そういう能力を持ったものであったということで、北朝鮮ミサイル技術が相当進んでいる、そういう認識はされなかったんでしょうか。
  137. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 五千三百キロ云々というのは公式に伝えられたというふうには聞いておりません。  ちょっと政府委員から補足させます。
  138. 竹内行夫

    政府委員(竹内行夫君) 先ほど来、高野委員御質問の日米安保高級事務レベル協議でございますけれども、これは先週の土曜日十二日の段階で開かれたものでございまして、防衛局長と私北米局長等が出席いたしましたが、その段階におきます米側分析ということが伝えられたわけでございます。  したがいまして、そのときの米側の認識といたしましては、北朝鮮ミサイルの技術能力というものが相当高いものであったということと、それから射程も長いものであったという可能性があるけれども、まだ分析を続けている、こういうことでございました。その後、またいろんな分析結果が出てきていろんなことが明らかにされてきている、こういうことでございます。
  139. 高野博師

    ○高野博師君 この件については、近隣諸国及び米国も含めて驚異だという認識はしていたんでしょうか。
  140. 竹内行夫

    政府委員(竹内行夫君) この点につきましては、まさしく米側の方も、日本及び韓国のみならず米国、さらには北東アジア地域諸国にとっての重大な事態であるというその点での懸念は日本と同様であるという認識が示されておりました。
  141. 高野博師

    ○高野博師君 そこで、アメリカ側はこれはミサイルではなくて人工衛星だと結論づけたという報道がありますが、これについて額賀長官は人工衛星だとは断定できない、こういう発言をされているんですが、アメリカ以上の情報をもってアメリカ側の出した結論を覆すのはかなり難しいと思うんですが、根拠は何でしょうか。
  142. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 私どもが米軍情報と我々自体で得た情報に基づいていろいろと総合的に分析をいたしました結果、弾道ミサイル可能性が強いというふうに分析をし、公表をさせていただいたところでありますけれども、アメリカ側で人工衛星が失敗した可能住が強いということの公表があったことは承知しておりまして、率直に言って、いろいろな監視衛星とか偵察衛星を持っているアメリカの方が情報量が多いことは間違いがないのであって、そこのところを我々としても事実関係をきちっとフォローしていくことが大事であるというふうに思っております。  我々は人工衛星可能性は少ないというふうに分析をしてきたので、専門家を派遣していろいろと意見調整をさせたいというふうに思っております。
  143. 高野博師

    ○高野博師君 その結果によっては、ミサイルではなく人工衛星であったというように結論づけることもあり得るということでしょうか。
  144. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) それは、アメリカ分析と我が方の分析との意見交換の上で考えられることであって、今の時点で申し上げることはできません。
  145. 高野博師

    ○高野博師君 このミサイルあるいは人工衛星については二段ロケットだと防衛庁はずっと言ってきたんですが、実際には三段ロケットだったというアメリカ発表ですが、防衛庁情報収集能力あるいは分析能力に問題があるんではないでしょうか、それが事実だとすれば。
  146. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 我々が情報収集をした独自の情報、それからアメリカ情報も兼ね合わせて我々の分析結果を可能性が高いという表現で、人工衛星可能性は少なく弾道ミサイル可能性が高いということで報告をさせていただいたわけでございまして、その点についてアメリカと共有の情報を持っていたことも事実でありますから、そこのところを意見調整してさらに事実関係を追求するという意味で専門家を派遣したわけであります。
  147. 高野博師

    ○高野博師君 この日米防衛ハイレベル協議の中で、日本側が偵察衛星を持つということについてアメリカ側の同意が得られたような報道がありますが、多目的にしてもあるいは偵察衛星にしても、これは国際法上あるいは宇宙条約との関係で全く問題ないんでしょうか。
  148. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 宇宙条約の第四条が禁止しているのは核兵器等の大量破壊兵器の配置であって、これ以外は禁止しておりませんので、その点は問題がない、こういうふうに思っております。
  149. 高野博師

    ○高野博師君 それでは、この宇宙条約に基づいて六九年に国会決議を出して、宇宙利用は平和の目的に限るということを決議されているんですが、これに抵触するということはないんでしょうか。
  150. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) いろんな考え方があり得ると思うんですが、例えば多目的ならいいのではないかとか、あるいはその場合多目的というのはどのくらいなのかとか、あるいはそうではないとか、いろんな考え方があり得ると思うんですが、国会の決議でありますから、有権解釈といいますか、どの範囲を禁止しているものだと最終的には国会が決められるものだ、こういうふうに思っております。
  151. 高野博師

    ○高野博師君 この平和の目的に限るという解釈については二つあると。一つは、使用態様限定説というのがあって、これは平和的使用、すなわち非軍事的な使用に限るという考え方と、平和的目的限定する使用目的限定説ということで、目的によっては軍事的な使用も許されるという解釈があるわけですが、国際的基準としては後者の方、要するに平和目的であれば軍事的な面も使い得ると、これについて、政府はこれに近い考えでしょうか。
  152. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 宇宙条約の解釈ではなくて国会決議の解釈ということであれば、最終的な有権解釈は国会がされるものだ、こういうふうに考えていると。ただ、我々としても、いろんな考え方があるなと、そういう検討はそれなりにさせていただいておる、こういうことです。
  153. 高野博師

    ○高野博師君 時間がありませんので簡単にお伺いしますが、防衛体制を整備するということは重要なことだと思うんです、これは現実的な対応が必要だということで。しかし、北朝鮮との関係でいくと、将来的にどういう関係を構築するのかということが非常に重要ではないかと思うんです。ですから、ミサイルがあった、これに対抗して偵察衛星あるいはTMDとかBMDとか、こういう力をもって対抗するという考え方で、それだけでいいのかどうか。  特に、KEDO事業の支援凍結というのは当面だと、当面凍詰だということでありますが、アメリカは非常に重要な政策として、北朝鮮の核開発を阻止するという点からこのKEDO事業については継続してやっていくということであります。韓国も、ここで北朝鮮を孤立化させて核問題が再浮上することの方が怖い、脅威だ、こういう認識をしていると思うんですが、これについて今後政府として何らかの対応を考えるんでしょうか。
  154. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) KEDOの枠組み自体は、これはまさに委員が今おっしゃったように、北朝鮮の核開発を阻止するためでもございますし、現実的で有効なただ一つの手段と言っても言い過ぎではないようなものでありますから、これを日本政府が壊すというようなことは考えていないわけであります。  ただ、従来からるる言っておりますような、北朝鮮ミサイル発射によって、その点に日本の安全が害されたような状況が出てきている。こういうところから、少なくとも当面は進行を見合わせるということを米韓とも相談した上で決めた、こういうことでありますので、その両方の要請を種々検討しながらこれは今後どうするのかということを考えていきたい、こう思っています。
  155. 高野博師

    ○高野博師君 これで終わります。  軍事的、防衛上の観点からこの対北朝鮮問題に対応するのではなくて、もっと幅広い政治とか経済あるいは外交を含めた対応というのが求められて、この北東アジアの平和あるいは安定のために北朝鮮とどういう関係を持っていくかというビジョンを示すべきではないか、あるいはビジョンを考えながら対応すべきではないかと思うんですが、一言大臣の御意見を伺って終わります。
  156. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) ビジョンというのがどういうことをおっしゃっているのかよくわかりませんが、日本政府とすれば、中長期的に考えれば、国交正常化の問題、これは第二次大戦後の不正常な関係を正す、そしてそのことが朝鮮半島の平和にも資する、こういう観点から、米韓とも相談しながらこのことを進めていくことは大切である。それはあくまで中長期的な観点からそういうふうに考えているということを申し上げておきたいと思います。
  157. 高野博師

    ○高野博師君 終わります。
  158. 河本英典

    委員長河本英典君) 午後一時に再開することとし、休憩いたします。    午後零時十分休憩      —————・—————    午後一時六分開会
  159. 河本英典

    委員長河本英典君) ただいまから外交防衛委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、外交防衛等に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  160. 小泉親司

    ○小泉親司君 日本共産党の小泉でございます。  防衛庁背任事件について質問いたします。  今回の事件は、御承知のとおり、装備品調達に当たって水増しの請求があった、それについていわゆる返納額を決めたわけですが、この返納額が圧縮されていたという背任事件であったわけですが、それが発展をして、防衛庁のいわゆる証拠書類を大量焼却する、大量に隠ぺいするというような事件に発展した大変重大な事件であって、国民に対する背信行為だというふうに私は思います。  その点で、今回のこういうふうな証拠隠滅といいますか証拠隠ぺいといいますか、この種の問題というのは、厚生省でも例えばエイズ問題などでありました。しかし、焼却したりしてしまうというのはこれは前代未聞の事件で、こういうことが許されれば単なる刑法の処罰という問題にとどまらないで、国が国民関係する予算上の行為を焼却してしまっても構わないというようなことにつながる事件でありまして、この点では、ある学者の方が国家の統治行為そのものを根幹から危うくする重大事件だと新聞で指摘をされておられましたが、私もそう思います。  その点で私は、先ほどから同僚議員がいろいろと質問されておられますが、単なる新聞に報道されておりますような事務次官の更迭問題などで済まされない重大な事件であるというふうに考えておりますが、まず防衛庁長官からそのみずからの責任についてお聞きをしたいというふうに思います。
  161. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 今、小泉議員御指摘のとおり、この問題について、東通事件に関連をした証拠隠滅的なものが大量に行われていたということが新聞の報道のとおり事実であったとすれば、これはまことに私も、先ほどの御報告で申し上げておりますとおり、重大な案件であるというふうに受けとめておるわけであります。  したがって、早速文書等の管理に関連する調査委員会を設けまして、自浄能力を発揮するという形で今鋭意調査を進めているということであり、必ずこの事実関係を明らかにして国民の皆さん方の前にオープンにして、そして信頼回復の第一歩を踏み出さなければならない、それがまず私の大きな責任であるというふうに思っております。
  162. 小泉親司

    ○小泉親司君 長官の決意は先ほどからもるるお聞きしておりますが、問題は、私は具体的に本当に解明する意思がおありなのかどうかという点だというふうに思います。  その意味でまずお聞きしたいのは、長官の冒頭の発言ですと約八十名について意見を聞いたということでありますが、どういう部局のどういう人たちに意見を聞いたのか、この八十人の内訳について答えていただきたいというふうに思います。
  163. 藤島正之

    政府委員(藤島正之君) 調達実施本部関係者を主として聞いておるわけでございますが、総務系統、それから原価管理課系統あるいは原価計算課系統、こういうところの職員を中心に今聞いておるところでございます。
  164. 小泉親司

    ○小泉親司君 いわゆる資料の焼却、隠ぺいというのは、長官が御報告されておりますように三回あったわけですね、昨年の九月と、五月と八月と。それについて、それぞれについて調べておられるんですか、それとも一緒にまとめて調べられておるんですか。
  165. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 三回あったというふうに断定ができるわけではありませんけれども、それは新聞報道によるとそういう報道がされておりますので、そういう事実関係があるかどうかについて調べをしているということであります。つまり、三回にわたってやらせてもらっているということでございます。
  166. 小泉親司

    ○小泉親司君 先ほどもお話がありましたように、二回は前防衛庁長官、一回は、つまり八月から九月にかけては額賀防衛庁長官の就任の期間ということになりますが、額賀長官の就任以降のいわゆる焼却ないしは隠ぺい事件そのものについても現段階で何もわかっていないんですか。
  167. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 今のところ、しっかりとした情報がまとまっているわけではありません。今、累次事情を聞いているという最中でございます。
  168. 小泉親司

    ○小泉親司君 少しの事実はあったんですか。
  169. 藤島正之

    政府委員(藤島正之君) 本年八月から九月にかけまして、種々の書類を自宅保管したり、あるいは他の建物に持ち込んで保管したことがあるかと、あるという聞き取り結果は得ておるわけでございますが、どういう理由で、どういう状況下でそのようなことが行われたか、また、今回の元調本長らの背任容疑事件に関する書類が含まれていたか否かといった点については現在確認作業を行っていると、こういう状況でございます。
  170. 小泉親司

    ○小泉親司君 理由はともかく、そういう事実はあったということなんですね。
  171. 藤島正之

    政府委員(藤島正之君) 聞き取り調査では、そういった他の建物に持ち込んで保管したといったようなことがあるというような表現もあるということでございます。
  172. 小泉親司

    ○小泉親司君 そうすると、それはどこの建物なんですか。報道では、いわゆる海幕のところも一部あったと、そういう事実も入手しておられるわけですね。
  173. 藤島正之

    政府委員(藤島正之君) その辺、持っていった趣旨とかいうのに絡んでくるわけでございまして、今そういう点も含め、まだ調査中と、こういうことでございます。
  174. 小泉親司

    ○小泉親司君 理由は関係ないんですよ。事実を究明すると長官は言われているんですから、事実を出してくださいよ。理由はともかく、つまりこれは証拠隠滅という意思があったかなかったかというのは関係ないんですよ。そうでしょう。だから、その事実をまとめて、現段階のものを出していただけますか。
  175. 藤島正之

    政府委員(藤島正之君) 現在、私が調査の結果聞いているところでは、そういったことまでしかそれは聞いておりません。
  176. 小泉親司

    ○小泉親司君 それはどこからの情報なんですか。つまり、調本契約一課なんですか、原価一課なんですか。つまり、どこからそういう情報が得られているわけですか。
  177. 藤島正之

    政府委員(藤島正之君) まことに申しわけありませんが、そこまで私のところへまだ報告が入っておりませんで、今申し上げたようなまとまった形で他の建物に持ち込んだというような聞き取り情報があるというふうに今聞いている段階でございます。
  178. 小泉親司

    ○小泉親司君 私も六本木に行っていますけれども、あんな狭いところで官房長のもとに資料が、情報が来ないなんというのは大変異常で、防衛庁が一体何をしておるのかということをやはり私は示す問題だというふうに思います。  これだけやっていますと時間がありませんので先に進みますが、次に、上申書の問題を質問したいというふうに思います。  先ほど官房長は、上申書のいわゆる差出人、これは防衛庁だとおっしゃいましたが、ということは、これは久間防衛庁長官が了承した文書なんですか。
  179. 藤島正之

    政府委員(藤島正之君) 大ざっぱな概要といいますか考え方といったようなものは、当時報告をして御了解いただいたというふうに認識しております。
  180. 小泉親司

    ○小泉親司君 やはりこの上申書の問題というのは、防衛庁の姿勢を示す上で私は大変重要なものだというふうに思います。  そこで、実際には多くのマスコミでこの問題は取り上げられて、中身も取り上げられているわけですよ。その点で私は防衛庁に資料の名前、上申書の名前と日付、それから差出人ということを要求いたしましたが、差出人だけは委員会で明らかになりましたが、これはどういう題名で何月何日に地検に、つまり何月何日付で出ているものですか。内容を聞いているんじゃないんですよ。
  181. 及川耕造

    政府委員(及川耕造君) 日にちは七月十四日でございます。
  182. 小泉親司

    ○小泉親司君 題名。
  183. 及川耕造

    政府委員(及川耕造君) 題名は、「東通事案に対する現時点での評価について」ということでございます。
  184. 小泉親司

    ○小泉親司君 この文書は、額賀長官は、前長官の文書でありますが、お読みになりましたか。
  185. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 全部は読んでおりません。概要について、概要というか要旨というか、そういうものを読ませていただいております。
  186. 小泉親司

    ○小泉親司君 いや、それがおかしいんですよ。これだけ問題になっている問題で、上申書がこれだけ取り上げられているのに、防衛庁長官が概要しか知らないということは、私は重大な問題だというふうに思います。  それでは、防衛庁長官に聞きますが、概要をお読みになったということですが、内容は結構ですから、御感想をお話しください。つまり、このことは非常に正しいことを言っておるのか、正当なことを言っておるのか、それともちょっとこれはうまくないという内容が書いてあるというのか、この点はっきりさせていただきたいと思います。
  187. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) この問題は東京地検にありまして背任事件として捜査がなされているわけでありますから、この問題に支障が起こることにもなりかねないので、ここは遠慮させていただきたいと思います。
  188. 小泉親司

    ○小泉親司君 私は内容を聞いているんじゃないんですよ。長官がお読みになった感想について述べていただきたい。
  189. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 感想も控えさせていただきたい。
  190. 小泉親司

    ○小泉親司君 私は大変重大だというふうに思います。私も私たちの独自の調査で持っておりますが、内容は、先ほど装備局長が言っているように、「東通事案に対する現時点での評価について七月十四日防衛庁」と。この内容はどういうことを書いてあるのか、ちょっと読みますと、「唯一絶対の客観的数値を求めることは不可能」であるということを前提にして、「予定価格算定の訓令は、一般的な基準を示しているにすぎず、具体的案件についての算定に当っては、確定要素とともに様々な不確定要素があり、一義的に唯一絶対の客観的数値というものを計算することは不可能に近く、担当者により、計算値が異なることもやむを得ないものと考える。まして、基準のない原価差異算定にあたっては、唯一絶対の客観的数値を得ることは不可能に近い。」と。つまり、背任事件で逮捕をされた調本の方々、その人たちの、本当にこれが正当なんだと、つまり最後には担当者の裁量の範囲なんだと、この問題は。  こう言ったら、長官、この問題は、重大なのは、あなたが訓令に基づいている、基づいていると言っても、訓令だってそんなことはできないんだとこれは言っているんですよ。それを読んでいないというのは、私は、長官としては非常に責任が問われる問題だというふうに思います。
  191. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 読んでいないのではなく、要点はよく読ませていただきました。
  192. 小泉親司

    ○小泉親司君 もう一つ、中には安全保障上の問題への考慮というのがあるんですよ。それは、いわゆる防衛装備品は、これが代替できないから、供給に支障を来したら自衛隊の部隊活動に重大な影響があるんだと。だから、本件東洋通信機の場合、味方識別装置等の防衛装備品の供給を専ら請け負っており、これが供給停止という事態になれば航空機等の装備システムの円滑な運用ができなくなるおそれがあった。このため、安全保障上の観点から、深刻なジレンマを抱えた状況にあったと思料されると言っているわけです。つまり、安全保障上の見地からすれば、東通の供給停止はやっちゃならないんだということが書いてあるんですよ。  実際に東通は取引停止になっていないんですよ。そうでしょう。しかも、国の安全保障というのは私はやはり国民の財産を守るものだというふうに思います。  ところが、今回の事案国民の税金、つまり予算を食い物にしたという事件ですから、それを私は安全保障上の見地からこういうことはやってもいいんだということは大変間違いだというふうに思います。その意味で、この事案そのものは、このことそのものはこの委員会でも繰り返し装備局長が答弁されていることなんですよ。つまり、防衛庁としてはこの上申書の見地から全然前進していない、つまりこれがずっと防衛庁見解だったということを言っているわけですから、この点で私は重要な問題だというふうに思います。その点はどうなんですか、長官。
  193. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) この問題については東京地検の捜査の対象になっている問題であります。したがって、事実関係捜査によって明らかになっていくことを期待いたしますとともに、私どもも今後いろんな調達制度委員会を設けてチェック体制とかあるいは処理基準だとかさまざまなことを考えていきたいということで検討をさせているところでございます。
  194. 小泉親司

    ○小泉親司君 ということは、上申書は依然として防衛庁長官は正しい、正当な防衛庁の見地だというふうにお考えなんですか。
  195. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) その時点における当庁の調査においては、今回の事案が生起してしまうと考えるだけの事実関係を把握していなかったことから、過去の国会の答弁というのはその時点までの調査等に基づいて行われてきたものというふうに考えざるを得ないと。  防衛庁は、言ってみれば強制権を持っておらないためにおのずと限界もあるかと思いますけれども、今は検察当局によって元本部長及び副本部長が逮捕されるという事態が起こったことでありますから、それを重く受けとめて今後の推移を見守ると同時に、今後の調達制度については改めて国民の皆さん方に納得できるような形をつくっていきたいというふうに思っているわけです。
  196. 小泉親司

    ○小泉親司君 いや、この上申書というのは、調達本部、つまり本部長、副本部長が逮捕された、その人たちを一つは弁護している弁護論だというふうに思います。  もう一つは、防衛産業の、いわゆる兵器産業原価査定に当たって、それについての防衛庁見解、つまり先ほど述べましたように、非常に客観的数値をとることは困難なんだ、不可能なんだということを言っているわけですから、防衛産業が出した言い値、つまり交渉ですべてが片づくのであって訓令では片づかないということを言っているわけですから、ということは、実際には私はこれ自体は兵器産業を弁護する論理立てたというふうに思います。  その意味で、これ自身は大変重要な文書ですので、委員長、ぜひ当委員会にも公式に私は提出をしていただきたいというふうに思います。その点は先ほど同僚委員からも要求がありましたので、私どもからも要求していきたいというふうに思います。  それからもう一つお聞きしたいのは、やはり防衛庁防衛産業との癒着の関係であります。  私、ある雑誌で通信・GM懇話会という、防衛庁が定期の会合を持っておるというような資料を見ました。たしか七月十七日、これは及川装備局長がグランドヒル市ケ谷というところで通信・GM懇話会というのに出席されております。この通信・GM懇話会というのはどういう組織でどういう団体が参加している組織なのか、この点まずお答えいただきたいというふうに思います。
  197. 及川耕造

    政府委員(及川耕造君) 通信・GM懇話会は社団法人の防衛装備工業会が主催をしておりまして、私ども装備局の幹部が通信・GMというのはミサイル関係でございますが、その主要企業の方たちと定期的に意見交換をする場として設けているものでございます。
  198. 小泉親司

    ○小泉親司君 どういう企業が参加しているんですか。
  199. 及川耕造

    政府委員(及川耕造君) 企業数は十四社でございます。ちょっと全部読みますか。十四全部名前を……
  200. 小泉親司

    ○小泉親司君 いや、簡単でいいですよ。
  201. 及川耕造

    政府委員(及川耕造君) はい。富士通でございますとか日立、NEC、それから今話題の東通も入っております。それから、もちろん防衛装備工業会の方々、それから東芝、三菱重工、こういった方々等十四社でございます。
  202. 小泉親司

    ○小泉親司君 防衛庁側はどういう方が参加しているんですか。
  203. 及川耕造

    政府委員(及川耕造君) 私以下幹部が出席させていただいております。
  204. 小泉親司

    ○小泉親司君 この通信・GM懇話会というのは、これは日本防衛装備工業会の年鑑がありますのでそこに出ておりますが、もう一つ武器等懇話会という二つの懇話会があるんですね。これは防衛庁と企業がやっているんですよ。つまり、平成五年三月以降隔月に定期会合をやっているわけです。実際に例えば、装備局長がお答えをしたように、この中には、これは九年度でありますが、会員というのが今度の事件関係しております日本電気、いわゆるNECの理事・支配人の長澤弘氏、それから東通、これも参加しておりますね。しかも、これは平成五年からですから、つまり価格の圧縮問題が大変緊迫していた平成五年二月、三月にもこの会合がずっと定期的に開かれているわけです。  一体この目的は、どういうことの目的でやっておられるのか。これ自体は、証券スキャンダルのときにも大蔵省と証券業界が定期会合を持っていて癒着の関係じゃないかということで非常に重要な問題として国会でも取り上げられたことがあるんです。その後証券スキャンダルでこの定期会合をやめたんですよ。これはやはり大蔵省が銀行業界や証券業界と関係したいわゆる防衛庁版の護送船団方式だというふうに私は思うんです。何でこういう定期会合をやる必要があるのか。  しかも、東通みたいな不正事件があった、ないしは日本電気みたいな不正事件があったさなかにもこういうものがずっと続けてやられているというのは非常に重要な問題で、その点では私はこういう非常に不明朗な定期会合はやめるべきだというふうに思いますが、防衛庁、いかがですか。
  205. 及川耕造

    政府委員(及川耕造君) 誤解をちょうだいいたしたとすれば、大変申しわけございません。  ただ、本懇話会につきましては、むしろオープンな形で関係の主要企業が全員同じテーブルに着く中で、そしてそれぞれの立場の意見を自由に言い合おうということで、むしろ個別の非常に後ろ暗いようなことを思わせるようなそういう形ではなく、すべての会員企業が集まってそこで意見交換をしょう、あるいは私どもの政策について周知徹底をしていただくという趣旨でやっているものでございまして、そのような談合とかなんとかという商売の話は一切いたしておりません。
  206. 小泉親司

    ○小泉親司君 装備業界の年鑑に何と書いてあるかというと、その目的、これについては「官民の意思の疎通を図るとともに、困難な時期における防衛装備業界の適切な対応に資するよう努めている。」、これが目的なんだ、つまり装備業界の適切な対応に役立つようにやっているんだと。  防衛庁は、私たちはそうではないと言うと思いますが、あなた方は国民防衛防衛と言いますけれども、実際にそういうことじゃなくて、あなた方が防衛しているのは防衛産業じゃないですか。そういう防衛産業の適切な対応に資するというふうなこういう定期会合は私はやはりやめるべきだというふうに思います。その点、長官、いかがでございますか。
  207. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 私は今この通信・GM懇話会の存在について残念ながら初めて聞いたわけでございますけれども、一般論からいえば、私はスマートな形で第一線で防衛産業に携わっている方々の意見を聞くことは間違いではないというふうに思います。  しかし、これがゆがんだ形で商売だとか不正なことにつながっていくことは許されない。そういう意味で、これはよく精査をした上で今後考えていきたいというふうに思います。
  208. 小泉親司

    ○小泉親司君 私は、ゆがんだかどうか皆さん方が具体的にお話しにならないからわかりませんが、実際にいわゆる不正の水増し事件を起こしたようなそういう企業と定期的な会合を持つという形は、この装備工業会の年鑑でも、装備工業会が具体的な部会をたくさん設けていますよ、あなたがよく御存じのように誘導武器とか水中武器とか。工業会が部会を設けることは一向に差し支えないんです、だってこれは別に公益法人がやることだから。何でそこに防衛庁が一緒になって定期的に会合をする必要があるのか。これはあなた方がどんな権限でやっているのか。これは行政指導じゃない、懇話会と言って懇談しているわけですから、これ自体はやはり兵器産業防衛庁の癒着の関係を示すもので、こういう不明朗なものはやめるべきだというふうに私は思います。  先に行きます。日本航空電子の過大請求問題についてお聞きします。  この事案は、実際二十三億円の監査つき契約が、それを調べてみたら実際は十三億円であった、つまり十億円が不正な水増しの内容であったという事件であります。実際に防衛庁発表では二月の調査でこれが発覚したということでありますけれども、今どういう段階の調査まで行っているのか、この点を明らかにしていただきたいと思います。
  209. 及川耕造

    政府委員(及川耕造君) 現在、当該企業との契約には監査つき契約一般確定契約等の契約がございます。これをすべてやらなければなりません。したがいまして、平成四年度までさかのぼりまして調査中でございます。さらに、少しずつ資料がまとまってきておりますけれども、トータルが出ないことにはその全体の計算に入れないわけでございますが、御案内のとおり、本件処理、東通事案自体がどうなるか、その推移も見守らなければなりませんし、他方、御案内のとおり現在処理基準がないわけでございますので、したがいまして法的問題の整理でございますとか、返還額の算定方法等につきまして関係省庁と御相談しながら進めている、こういう状況でございます。
  210. 小泉親司

    ○小泉親司君 監査つき契約でなぜ十億円もの誤差が起きるのか、これが非常に重大な問題で、実際に今度の問題は六十件の中に十億円が不正に隠れていたわけです。実際に六十件に十億円が隠れていたといったら、これは確信犯で、連続的な監査つき契約における不正事件でしょう。そこがどういう認識なのか、そこら辺は防衛庁どうですか。
  211. 及川耕造

    政府委員(及川耕造君) 先生おっしゃいましたように、九年度末の確定分の件でございますが、先ほど申し上げましたように、平成四年度からさかのぼって全体がどうであるかというのを現在作業中でございまして、それらすべてを踏まえて法的措置も含めてどのような処置をすべきがいいかというのを現在関係省庁等と御相談している、こういう状況でございます。
  212. 小泉親司

    ○小泉親司君 おっしゃるように、九年度だけで十億円の不正なものがあったんでしょう。だから、六十件の十億円という不正があったということ自体私は非常に重大な問題だというふうに思いますが、そういう御認識はおありなのかということをお聞きしているんです。
  213. 及川耕造

    政府委員(及川耕造君) この一つだけを取り上げて、九年度だけを取り上げて全体を今私がどうかというのは、まだ調査が進んでおりませんので、最終段階に至っておりませんので、最終的な結果を待った上で判断をいたしたいと思いますので、御容赦いただきたいと思います。
  214. 小泉親司

    ○小泉親司君 だってあなた方、この日本航空電子についてはあなた方の報告書の中にあるように取引停止にしたんでしょう。ということは不正があったということじゃないですか。私も防衛庁にお聞きしたら不正があったかどうかわからないとおっしゃるけれども、実際にあなた方は取引停止にしているんですよ。だから、不正な事件があったことは間違いないわけで、実際にはそういうものですが、それでは取引停止をしないということの中に、真にやむを得ないものについてはこれによらないということがありますが、この真にやむを得ないものというのは日本航空電子の取引の場合どういうものが入るんですか。
  215. 及川耕造

    政府委員(及川耕造君) その前に、恐縮でございますが、その不正があったかどうかというのは軽々にまだ判断できないわけでございます。その点だけは私ども、確かに見積もりに非常に大きな誤差がある、誤差というか違いがあったということは事実でございますし、それは好ましくないということで取引停止の処分にしました。ただ、それが法的にどうなのかという点については今関係省庁と検討中でございますが、そういう趣旨で不正かどうかはわからないということだということを御理解いただきたいと思います。  それから、御指摘の取引停止の対象じゃないものはどういうものかということでございますけれども、例えば日航電から調達したものの修理を行わなければいかぬといった場合にはどうしてもこれは日航電でなければ恐らくできませんので、それが一つあろうかと思います。それから、日航電自体がライセンスを海外から取得したりいたしておりますと、それについては他の社がライセンスを持っていないものですから、それをどうするか等々ではないかというふうに思います。
  216. 小泉親司

    ○小泉親司君 ということは、真にやむを得ないものというのは安全保障上やむを得ないものと理解してよろしいんですね。
  217. 及川耕造

    政府委員(及川耕造君) 部隊運用にどうしても欠かせなくなる場合には、かつ日航電しか供給者がない場合にはそうせざるを得ないこともあろうかというふうに思っております。
  218. 小泉親司

    ○小泉親司君 最後にいたしますけれども、(「もう時間ですよ」と呼ぶ者あり)失礼。この日本航空電子は九一年にもイランに武器輸出をやって、国内の取引は停止されなかったわけでしょう。
  219. 及川耕造

    政府委員(及川耕造君) 国内取引は停止いたしております。
  220. 小泉親司

    ○小泉親司君 やはり私はこういう点ではきちんと防衛庁防衛産業の癒着の関係を正すべきだということを申し上げて、時間が参りましたので私の質問を終わります。     —————————————
  221. 河本英典

    委員長河本英典君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、北澤俊美君が委員辞任され、その補欠として木俣佳丈君が選任されました。     —————————————
  222. 田英夫

    ○田英夫君 私もまず、防衛庁背任証拠隠滅という、この問題について簡単にお聞きしたいと思います。  前回も申し上げましたが、事実関係については同僚委員からいろいろだだされましたので、別の視点から聞きたいんですが、きょう防衛庁長官の御報告の中で防衛調達制度調査委員会(仮称)をつくる、こういうことが出てまいりました。前回委員会で私が申し上げた軍産複合体ということになりかねないではないか、制度そのものにメスを入れる必要があるんじゃないか、その原因もいろいろ申し上げましたから繰り返しませんけれども、まさにこういうものをつくる必要があると私も思います。  そこでお聞きしたいのは、まだ仮称になっていますが、いつ本格的にスタートさせるのか、そしてメンバーはどういう人たちで構成するのか、その点をお聞きしたいと思います。
  223. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) この調達制度調査委員会につきましては、今メンバーについて了承を得ているところでございまして、ほぼまとまりつつありますので、でき得るならば今月中に一回やらせていただきたいというふうに思っております。
  224. 田英夫

    ○田英夫君 このメンバーの選択というのはそう簡単ではないと私、実は思うんです。問題が問題ですから。  つまり、防衛上の機密に当たるというところに触れてくる可能性がある。そういうものをチェックする、制度をチェックするためには、納入する武器に触れてこないわけにいかない。すると機密の問題が出てくる。それにタッチする人ということになるわけでしょうね。制度あるいはその値段が正しいかどうかということまで触れてくるんでしょうから。この点は、防衛庁長官どうお考えですか。
  225. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 田委員おっしゃるとおり、この問題が起こってきましたのは、調達制度をめぐる過払いだとか過剰請求だとかということでありますが、その背景には、言ってみれば装備品の生産基盤、そういう問題とも絡んでくるわけでございますから、当然多方面にわたっていろんな意見を聞く必要があるというふうに思っております。
  226. 田英夫

    ○田英夫君 今情報公開法が、まさに法案が衆議院から一本化して審議に入るか入らないかというそういう状況にあるわけで、この情報公開ということは非常に重要なことですし、同時に、しばしば官庁の問題については、透明性とかガラス張りとかいうことが言われますが、この問題は、その点についてはどう考えても一定の壁があるというふうに思わざるを得ない。完全に透明にすることができるかどうかというところが非常に問題です。  しかし同時に、今度のようなことがあったから、国民の皆さんにとっては市民感覚からすればもうできる限り透明でなければならぬという、このところ、きょうはこの程度にとどめますけれども、十二分に御記慮いただいて、特に官僚、お役人だけで構成するというようなことであってはならないんじゃないかという意見を申し上げておきます。
  227. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 貴重な御意見として承っておきますが、我々としては、契約システムのチェック体制とか供給体制にどういうふうに競争原理を入れることができるのかとか、そういった形で対応していきたいと思っております。
  228. 田英夫

    ○田英夫君 この問題はその程度にいたします。  次に、北朝鮮の、人工衛星ミサイルかということで呼び方も難しいんですけれども、この問題に入りたいと思います。  このところ大変目立ちますのは、既に同僚委員からも出ましたけれども、アメリカ、韓国と我が国政府との間に、北朝鮮の打ち上げたものについてかなり解釈、理解に違いが出てきているという、こういう問題です。  一つは、もちろん人工衛星弾道ミサイルかということに煮詰めればなるんですが、もう一つ、政治的な、外交的なといいますか、そういう姿勢自身が非常に違うということも言わないわけにはいかない。  米朝合意というものの内容が発表されております。新聞にも出ております。これは、政府の方から、外務省発表によっても、アメリカ北朝鮮は米朝関係改善のために死活的に重要である、こういう表現を使って、つまり、今まで米朝間で合意されてきた枠組みというものは米朝間の関係改善のために死活的に重要であることに留意して、今度のことはあるけれどもこういう態度をとるぞというのが合意されているんですね。  それで、例えば今まで合意された枠組みが死活的に重要だからということで、アメリカ北朝鮮に重油を五十万トン供給するとか、それから軽水炉建設に、これは二基つくるわけですが、これも進めるとか、そういうことを従来の約束どおりやっていきますよ、こういうことで合意しているというふうに思います。この点は、政府外務省としてはどういうふうに理解されますか。
  229. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 日本アメリカの間にそんなに大きな差があるとは考えていないわけで、日本政府としても、KEDOの枠組みというのは北朝鮮の核開発を凍結し阻止するためのものであるから、これは大切だ、こういうふうに考えているわけであります。  それから、北朝鮮が、先生、呼び方が難しいとおっしゃいましたが、日本政府の今の立場でいえばミサイルを発射したその日に、持ち回りで軽水炉についての資金支出を決めることになっていたわけでありますが、これも日米韓合意で取りやめているわけです。何も日本だけがやめよう、こう言ったわけではないんです。そして、ただ、日本アメリカあるいは韓国、若干事情が違うのは、日本列島をミサイル、あるいは人工衛星にしても、国連の表現で言えばロケット推進物体が飛び越えていった、無警告、無通告で飛び越えていった、こういう状況があるわけでございますから、そういう日本の立場にアメリカも韓国も相当の配慮を払っているわけでございます。  確かに、北朝鮮との間では、KEDOの枠組みが大切だから今までの約束どおりやりましょう、こういうことは言っておりますが、それはそれとして、じゃ現実に軽水炉の支出、いつ出すのかとか、そういったことについてはこれから日米韓で話していく、話し合っていくということをアメリカもきっちり日本に言っているわけであります。大きな考え方として、そんなに差があるとは考えておりません。
  230. 田英夫

    ○田英夫君 大変ソフトに言われてしまうと、そうかなと国民の皆さん思うかもしれません。  思い出していただければ、つい先日、先月の三十一日にこのミサイル人工衛星が飛んだ直後、政府がお決めになったことは、実は、国交正常化交渉はしばらく見合わせる、それから食糧援助も見合わせる、KEDOについても進行を見合わせるという表現ですけれども、こういう全部見合わせてとめちゃう、これが日本政府の公式発表ですよ。今、アメリカと違わないとおっしゃったけれども、アメリカとは明らかに違う、市民感情でいえばそう受け取らざるを得ない、そういう状況ですよ。
  231. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 私がアメリカと違わないと言うのは、KEDOについての話を申し上げたんで、全体について、まさに日本列島の上をミサイルが飛び越えていった、無通告、無警告であった。そういった状況から、日本独自の反応がその限りであることは、私はそれは当然のことなのではないか、こういうふうに思っております。
  232. 田英夫

    ○田英夫君 KEDOについては、前回のこの委員会で、いいんですかという意味の質問をしたんです、こんな進行を見合わせるというようなことを決めちゃっていいんですかと。これに対して、特にきょうのような御答弁はなかった。  私は、当初日本政府がそういう態度をお決めになったときに、本会議の質問の中で申し上げましたけれども、この問題はアメリカが非常に積極的に進めてきた計画であって、北朝鮮に核疑惑というものがあった、その核を開発させないための重要な方策であるということからすると、これをディスターブする、これをとめるということはいかがなものかという意味の質問をしたんですが、確たる御答弁がなかったんです、本会議では。  その意味で、きょう前回に続いてこの点を、今既に言われていますが、明快に政府のKEDOについての態度をはっきり示していただきたい。やめるならやめる。あるいはこれは別で、一応は見合わせると言ったけれども、本来、九月一日に決めるべきこの十億ドルと言われている分担金を決めるその文書に調印、署名いたしますよというならはっきりしていただきたい。
  233. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) KEDOの進行を見合わせる、現実に署名すべきときに署名しなかった。そのことは米韓とも相談した上でやったことで、その時点でも差はなかったと思いますし、現時点で私は米韓とも相談しながらこれからどうしていくか、もろもろの条件を考えながらやっていく、こう申し上げているんです。  そして、田先生にどういうお答えを前回したかよく覚えておりません。まことに申しわけない。いろんな方から聞かれましたから、いろんな答え。ただ、私は一貫してKEDOの枠組みを壊すつもりはないということをかなり早い時点から言っていたつもりでございます。
  234. 田英夫

    ○田英夫君 この問題は、今言われた枠組みを壊すつもりはないということをはっきり伺ったということにしておきたいと思います。  もう一つお聞きしたいのは、北朝鮮という国の性格といいますか民族の性格も含めて、今度日本対応について米韓に対しては言わないのに日本に対しては集中的に反発していることは御存じのとおりです。  きのうの発表ごときは、放送ですけれども、日本との関係は戦争の瀬戸際にあるという表現を使っています。北朝鮮発表は朝鮮総連を通してファクスで受けることができますから、それを私の部屋は受けております。そういう表現を使っている、戦争の瀬戸際という。これは大体いつも北朝鮮政府は非常に厳しいそういう言葉を使いますから、それはそれで一つの言い方として受け取っていいかと思いますが、政府はどう受け取ったんですか。
  235. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 北朝鮮側がそういうことを言ったということは私も知っておりますが、無警告、無通告日本列島を飛び越える、国連の言葉をかりればロケット推進物体を発射しておいて、そしてそれに対して毅然たる態度をとった我が国に対して、おまえが悪いんだ、戦争の瀬戸際だ、こういうことを言うというのは困った国が近くにあるものだなと、こういう感じを持っています。  それは何も日本が変わっているんじゃなくて、やっぱり北朝鮮が変わっているんだろうと思います。それは国連の安保理で日本を含む十五カ国が一致して昨日の議長ステートメントを出した、そういうことからも日本の考え方が普通の考え方であって北朝鮮が普通の国ではないんだと、こういうのが国際的常識だと私は考えております。
  236. 田英夫

    ○田英夫君 もう時間がなくなりましたが、北朝鮮が変わった国だということは私も全く同感なので否定をするつもりはありません。  ただ、政府外務省は、そういう変わった国だというその変わり方、反応の仕方、今度の金正日氏の就任問題なんというのも、あれをめぐる一連の動きなんというのもなかなか普通の常識では考えられない、そういう意味で変わったところです。  一つ申し上げておきたいのは、もっと政府北朝鮮についていろいろな意味で情報をとり勉強していただきたい。私もそんなに知っているつもりはありませんし、けんかをしてしまったこともあります。十年間音信不通にされたこともあります。そういう大変扱いにくいことは事実です。  もう大分前の話ですが、つい昔話になりますけれども、一九七五年に私はアメリカへ社会党代表団の一員で行ったときに、国務省でこの朝鮮半島問題で大激論をしました。相手はハビブ国務次官補。そのときハビブさんに、私は思わず、あなたはもっと朝鮮問題について勉強してくださいと言ったら、物すごい勢いで怒りました。それは当然なんで、彼は直前まで駐韓国大使だったんですから、国務省きっての朝鮮通と思っていたところを私ごときにそういうことを言われましたから大変激怒しました。しかし、以来、大変仲よくなったんです。  途中は省きますが、今アメリカ国務省、そしてアメリカのブルッキングス研究所というようなシンクタンク、そういうところにも北朝鮮専門家が非常にふえている、朝鮮半島。そして率直に申し上げると、日本外務省よりアメリカの国務省の方が今や北朝鮮については詳しい、こう言わざるを得ないという気がするんです。それは日本外務省よりもはるかにアメリカ国務省は直接話し合っていますからね。  ですから、前回申し上げたように、ぜひ、けんか腰でやるのではなくて、あそこの国とは一定のあれを持ちながら窓口を開いておく、接触の。課長級じゃなくてもっと大使級の窓口を、せっかく任命をされているんですから活用されて、いつも対話ができる、そこではけんかをしながらも意思疎通ができるというルートをいつも開いておいた方がいいんではないかということを申し上げて終わりたいと思います。一言どうぞ。
  237. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 現実に北朝鮮というのは我が国の近くにある国ですから、先生おっしゃるように、あらゆるルートでいつでも話し合いはできるようにしておきたいと思います。  それから、私自身は朝鮮通じゃありませんので、先生の言葉を素直に受けて、私自身はもうちょっと勉強したいとは思っております。
  238. 田英夫

    ○田英夫君 終わります。
  239. 田村秀昭

    ○田村秀昭君 ちょうど北朝鮮ミサイル事件とほぼ同時に防衛調達背任事件等が生起して、防衛庁も大変苦慮されているというふうに思います。この防衛調達の問題は一日も早く不正を正して、国民の理解を得られるように努力しなきゃいけないと私は思っております。  ただ、自衛隊というのは日本我が国の唯一の戦闘集団ですから、こういう問題が起きると非常に意気消沈して元気がなくなる。戦闘集団が元気なくなったら、本当に国民の生命、財産をいつでもどういう不正事件があろうと守らなきゃいけないわけですから、そういう元気がなくなるということは非常に私は憂慮すべき事態だというふうに思っております。  よく一般的に非軍事でいろいろ話し合いをする、経済的にもいろいろ援助する、そういうことは当然外務省もおやりになっているだろう。ただ、軍事力というのはほかの機能をもって代替できないという特質があります。もうそういうふうになってしまってミサイルが飛んできちゃったら話し合いもへったくれもないわけです。そういう機能を持ったものが軍事力、武力、これは矛をおさめると書いて武力と読みます。もちろん使わないのが一番大切なことですけれども。そういう集団が意気消沈をしてしまうという状況を一日も早く元気な集団にするのは政治の責任だと私は思っておりますが、長官の御意見をお伺いさせていただきます。
  240. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 田村委員指摘のとおり、私も一連の事件が表面化をいたしましたときに、防衛庁自衛隊というのは、言ってみれば国民の皆さん方の生命、財産を守り国の安全を確保するために日夜汗を流している人たちであると。そういう中でこういうことが起こったことはまことに私としては一切の弁明の余地はない。一日も早く事実関係を明白にして、そして二度とこういうことが起こらないようにすることが私に課せられた責任であるというふうに思いました。  一方で、我々も全面協力をして、東京地検の方で事実解明、真相解明をしてくれることを期待する。そういうことによって国民の皆さん方の信頼を回復していきたいというふうに思っております。
  241. 田村秀昭

    ○田村秀昭君 長官の進退についていろいろ意見を言われている、同僚議員からも言われておりますが、基本的に長官の進退は御自身がお決めになることだと私は思っております。  一般の意見として、防衛調達の不正事件が長官の在任中になかったから責任はないという意見があるようですけれども、私はそれは非常におかしいと思います。もう長官になられたときから防衛庁自衛隊の最高指揮官であるわけですから、すべての責任は長官にある。もちろん長官はおのれをむなしゅうしてとおっしゃっておられますが、そういう話じゃなくて、長官に着任されると栄誉礼で自衛隊は長官をお迎えする、これは最高指揮官に対する隊員の心からの敬意の表明であると私は思っております。その人が在任中であろうが在任中でなかろうが現在の防衛庁長官でありますから、長官のときに起こった事件じゃない、前の長官はもうおやめになっちゃっている、じゃ政治が責任をとらないのかという話になっちゃうわけですから、その話はおかしいんではないかと私は思っていますが、長官はいかがお考えですか。
  242. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 今お話をいたしましたように、一連の問題について国民の皆さん方の前に隠し事はしないうそはつかない、そういう考え方のもとに事実関係を明らかにし、そしてまた二度とこういうことが起こらないようにしていく、そういうことが私の最大の責任である。事実関係を明らかにして、そして言われているようなことが事実であるとすれば厳正な措置を考えていかなければならないというふうに思っております。
  243. 田村秀昭

    ○田村秀昭君 防衛調達の方で一つ、先ほども小泉同僚議員から質問がありましたけれども、いろいろな会社との懇談会ですか、懇親会があるというのはやめた方がいいじゃないかという意見があったようですけれども、基本的に戦前は陸軍、海軍がみずから設計、製造、修理をしていたんです。ところが、それは陸軍と海軍が両方やっていたんじゃ非効率だから、新しい自衛隊は民間にそれを依存しようということで、防衛計画の大綱にも書いてあるように、中曽根長官のときの次官通達にも書いてあるように、ユーザーが設計者に対してこういう性能を持ったものが必要なんだということを言わないと設計者はつくれないわけです。ですからそういう懇親会とか懇談会というのは基本的に今の防衛庁自衛隊にはなくてはならないものだと私は思っているんです。それは癒着と全然違います。  それを言わなかったら、新しい装備品というのはできてこないわけですよ。民間はこういうものが必要なんだという運用要求を出してこういうものをつくるわけですから。そこのところが非常に誤解されていて、一般の省庁の物をつくるものと一緒に考えているわけです。それで、買い手は防衛庁しかないわけですよ、輸出できないわけですから。そういうところで、そういう懇親会を頻繁に開かないと本当に欲しいものがユーザーは得られないという問題があるわけです。これは国家がそういうことを決めたわけですから、自衛隊発足のときに。自分のところでつくれといったら、今は自分のところでつくっているはずなんです。そういう基本的な問題があるから、そういう懇親会とか懇談会とか、意見交換の場所がなかったら全然自分たちの思ったものがつくってこられないわけです。  それで、私は一つだけ質問しますが、民間に開発してもらわなきゃいけないんです、開発には非常にお金がかかるんですね。そういうのは今防衛庁は、防衛計画の大綱に書いてあるように、適正に開発力を民間に育成すると書いてあるけれども、育成しているんですか、していないんですか、どっちですか。
  244. 及川耕造

    政府委員(及川耕造君) まず、先生お話ししました、業界との個々の懇親会で何かプロジェクトをやるというようなことは、それは先ほど小泉先生がおっしゃったようなものでありますGM懇話会等ではやっておりませんので、その点だけちょっと。  ただ、おっしゃるように、防衛庁の場合は仕様を決めて、それで企業に発注しなければなりませんので、商議としての意志疎通はそのルールにのっとって整々とやらなければいかぬというものであろうかと思います。  おっしゃるように、戦前のように国がみずから兵器廠を持っておりませんので、私どもが民間企業による開発、生産に主力を置くということで、したがいまして技術開発に関する予算等につきましては比率は大変低うございますけれども、この減る中で少しずつでも伸ばしてその基盤をつくっていきたい、こういうふうに思っているところでございます。
  245. 田村秀昭

    ○田村秀昭君 防衛庁長官にちょっとお尋ねしますが、北朝鮮ロケット物体というんですか、これはミサイルなんですか人工衛星なんですか、防衛庁見解をお聞きしたい。  それで、私は米国情報に振り回されているんじゃないかなという感じがしているんですけれども、防衛庁ミサイルなんですか、どういうふうに認識されておられるのか、そしてそれはこれからもころころ変わっていくのか、いかないのか。
  246. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) これまでの経緯はもう田村委員御承知のとおり、防衛庁としては米軍情報と我が方の情報を合わせて、これは弾道ミサイル可能性が高いというふうに公表をさせていただきました。それはどこの機関でも人工衛星というものの回っているのを確認していないということがあったわけでありますが、人工衛星可能性は低いのではないかということから弾道ミサイル可能性が高いと。  今度アメリカロケット物体という形で人工衛星の失敗ではないかという見方が出てきたわけでありますが、アメリカ日本情報を共有しているところもありますから、専門家を送り込んできっちりと意見交換して、そのフォローを今させているところであります。
  247. 田村秀昭

    ○田村秀昭君 北朝鮮のいろんな画像を見ていますと、人工衛星が上がったといってみんな物すごく歓喜して喜んでいるんですね。それで、テレビの放映を私は見たんですが、もし北朝鮮の言うように商用人工衛星だったら、それはもちろん無警告というのはとんでもない話ですけれども、外務大臣、これからいろんな制裁措置もだんだんと解除され、KEDOにももちろん財政支出するようになっていくと思うんです。  それで、私は北朝鮮に対して一番日本政府が毅然たる態度をとっていないのは、横田めぐみさんを初めとする拉致問題だと思うんです。こんなことは主権国家としてあり得ないですよ。それに対して国際社会に、国連に今の外交の方針でもっと熱心におやりにならないと、ここをきちっとしないといろんな問題が北朝鮮のペースで運んでこられると思うんです。ただ何も関係ない人が向こうへ拉致されている、そういうのを許しているというのが本当に国家なのかどうかと私は思うんですが、外務大臣の御意見をお伺いいたします。
  248. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 先生御指摘のように、日本国民が拉致されたわけでありますから、まさに日本人の生命の問題、今の問題であります。これに対して、あらゆる手段を使って本人の安全をできるだけ確保しながらもとに戻す、取り戻すように努力をしたい、こういうふうに思います。  今、米朝協議の中でテロ協議というのがあるわけでありますが、この拉致問題については、日本側から米国側に十分説明をし、米国側もそれについて十分理解をしている。こういう中で、次のテロ協議の中でこの問題が取り上げられるということは大いに期待していますし、そのように今までも要請してきていますが、今後も要請してまいりたい、こういうふうに思います。  私もこの問題をどうしたら一番いいのかということはいろいろ考えるわけでありますが、これさえすれば取り戻せるというウルトラCみたいなものがなかなかなくて苦慮しているところですが、それこそあらゆる機会、あらゆる手段を使ってそのように努力をしてまいりたい、こういうふうに思います。
  249. 田村秀昭

    ○田村秀昭君 防衛庁にお尋ねしますが、防衛庁は今まで方針として対ミサイル防衛ということについて余りしていないんじゃないかと思うんですね。何か起きたときにまずミサイルが飛んでくるんだという発想ではなくて、まず着上陸とか飛行機で来るんじゃないかというような考え方で今日まで来ていたんじゃないかなと私は推測するんです。  これはちょっと専門的な質問になりますので防衛局長にお答え願っても結構ですが、例えばF15がミサイルを撃ってくる、今はTMDがありませんから、人工衛星もないし自分のところで情報をきちっととれないし、結局相手の基地をたたく以外にないんです。  それで、今防衛庁はたたけますか、まず。法的なことは別問題として、能力的にたたけるか。
  250. 佐藤謙

    政府委員佐藤謙君) 現在F15の能力ということでございますけれども、これが実際有効な軍事的な行動がとり得るかということは、いろんな条件によっても変わってきますのではっきりした申し上げ方は避けたいと思いますけれども、現在は実際の行動をとるためのいろいろな周辺の対応といいましょうか、それが用意されておりませんので有効な軍事的な活動をとることは難しかろう、今申しましたように敵基地を攻撃するようなそういった有効な活動をとることは難しかろう、こんなふうに思う次第でございます。
  251. 田村秀昭

    ○田村秀昭君 有効な手段がないわけですね。人工衛星を上げ、それで地上とのデータリンクもやる、そしてTMDもやる。その段階まで、ぜひF15を対地攻撃訓練に持っていったらどうか。しかも今はF1ですね。F1のASMは対潜ですね、これはミサイルの基地をたたくんじゃないわけですから。巡航ミサイルも開発されていない。ですから、それまでの間、もしそういうことがあった場合には防衛庁自衛隊国民の生命、財産を守る責任を有するんだから、何もありませんと言っていられないんじゃないかということだけを強く申し上げて、私の質問を終わります。
  252. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 それでは、最初に防衛庁にお尋ねいたします。  九月十日付、先般の長官報告書についてでありますけれども、この中の2の部分、一ページ目の2というところです。特別調査実施した、加工費の工数計算に問題があることがわかった、いろいろいきさつがあって東洋通信機から結局のところ八億七千四百万円を返還させたと、こういうことになっております。これは水増し請求があってそれは本来なら二十数億であるところを八億にまけてやったことが背任だ、こういうことで捜査が今行われているんだろう、こう思います。その次に、「なお、」といたしまして、東洋通信機以外にも日本工機、藤倉航装、ニコー電子においても問題がありまして、これも調査をした結果、「それぞれ」というのは日本工機は五億八千五百万円、藤倉航装というのは三億五千五百万円、それからニコー電子というのが二億九千七百万円、返済させたと、こう書いてあります。  そこでお伺いしたいんですけれども、普通に考えますと、東洋通信機について水増し請求があってそれを結局のところ八億まで縮減したのではないか、こう言われておりまするから、ほかの三社につきましてもそういう問題があったのではないかとだれでもそう思うわけですよ。やっぱり十億ぐらいの水増し請求があってそれをるる折衝の結果五億までまけてやったのではないか、そういう疑問があるわけでありますけれども、これは調査の結果何ら問題はないというふうにお考えでしょうか。
  253. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) この問題は、水増し請求事件について背任容疑で当時の諸冨元本部長、それから上野副本部長が逮捕されていることでありますから、これにかかわる問題でございますので、その捜査状況を見守っていきたいというふうに思っております。  捜査の結果を見た上で考えていかなければ、必要があれば考えていくことになろうかと思います。
  254. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 新聞等によりますれば、現在検察が捜査しているのは東洋通信機の関係だというふうに我々は聞いておりますけれども、私が今お尋ねしているのは、ほかの三社について同じような問題があるのかないのか、防衛庁内部調査でどういうことになっておるのか、そういうことです。
  255. 及川耕造

    政府委員(及川耕造君) これまでは集中的に東通事案を私ども調査してきておりまして、御指摘の三社については特に精力を傾注しているというわけではございません。  長官がお答えいたしましたのは、恐らく東通の事案に関して、さまざまな方法論も含めて起訴事実の中に明らかになってくるだろう、それらを踏まえて他の案件についても適正かどうか考えていきたい、こういうことでございます。
  256. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 法務省も来ておられるので私から要望しておきますけれども、これは東洋通信機だけでこういう問題があるとは普通に考えては思えませんので、やはりほかの三社につきましても同じ問題があるんだろうと思いますから、この点についても重大な関心を抱いて捜査をするように検察に伝えていただければと思います。回答は要りません。  それから、この報告書にも出ておりますけれども、「加工費の工数計算に問題がある」、こういう言葉が使われまして、どうも防衛庁のサイドでは計算ミス、計算の様式の違いからこういうことになったんだということを強くアピールしたいと。九月十日になりましても、やはり国会に対してこういう言葉を使っておることは、そういう魂胆があるんだろうと私は勘ぐるわけでありまするけれども、いいか悪いかは知りません。しかしいずれにしろ、計算上のやり方の違いで数億もあるいは数十億もの差が出る、そんなものはもはや会計法則とは言えぬのじゃないか。  しかし、大変難しいんです、一概にそう言えませんということをさっきから聞いていると言いますけれども、それなら担当者がかわったら、担当者によって計算の仕方がまるっきり違ってきたら、あっという間にその価額がはね上がったり下がってみたりする、そんなずさんないい加減なやり方はありませんから、苦労してでもいいから担当者の手引となるようなきちっとした会計準則をつくるべきではないのか。当たり前のことなんです、こんなことは。防衛庁の歴史だってもう五十年近いと思いますので、今までほうっておいたのがおかしいくらいですから、この点大臣、いかがでしょうか。
  257. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 佐藤委員のおっしゃるとおりでございまして、これを機会に的確に、調達制度調査委員会をつくっておりまして、処理基準等、捜査の結果を参考にしながらつくっていくことが適切であろうと思っております。
  258. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 それから、次は本日の報告の分でありまするけれども、十二日に証拠隠滅関係報道されたので委員会を設置して八十名余りから事情を聴取したと。本日はもう十七日ですからね。これは一体いつまでかかるのか。先ほどもそういうことを問われておりましたけれども、一体これはそんなに難しい問題なんですかというんですよ。  防衛庁だって立派な役所。しかも、組織体、組織の強さ、上下関係の強さというのは恐らく日本の役所じゅうで防衛庁が一番強いんだろうと思います。下の末端の職員が自分の判断で大事な書類を勝手に燃やしてしまうとか隠匿してしまうことは絶対にあり得ないわけです。課長からそういうことを言われたとすれば、課長に対して、いざという場合課長さんが責任をとっていただけますねということを暗に言って、書類を焼却するとかどこかに隠す。そして、これこれの書類は課長さんの言われるとおりやりましたよということできちっと上にメモか何かを上げておく。課長は課長で、それをまた部長報告する。部長は次長、本部長報告する。部長本部長でとまるような事柄じゃないんですよ、これは。必ず官房長、次官にこの話が行きまして、結局のところあの課とあの課とあの課でこれこれの書類をいつ幾日焼却いたしました、これを報告いたしておきますと、これが役所の当たり前のことなんです。  長官は役所のことは余り御存じないので、下の言うことをそのままで受け取っておられるのかどうかわかりませんけれども。ですから、この問題は何も委員会をつくって調査するようなことじゃないのであって、次官、官房長の手元に、官房長はそこにおられるようですけれども、必ず下から上がってきた報告メモがあるはずですよ。  ですから、この委員会なんかに、これは私をして言わしめれば、証拠隠滅一つの犯罪だとすると、犯罪団の首魁は次官ですからね。それを補佐しているのは官房長ですから。その次官に、おまえ、長となって実態調査しろと、犯罪団の首領に犯罪の実態調査を命じているようなことであって、これは漫画としか言いようがないわけなので、長官みずから次官を、帰られましたら呼び出して、ということをきょう国会で聞いてきた、すべてはおまえわかっているんだろう、きりきり白状せいと、こう言えば一発でこの問題は解決する。そういうことが役所なんですよ。これは当たり前なんです。何かもう一人一人てんでんばらばら勝手なことをやっているから、数が多いから調べにはもう何日かかるかわからぬと、そんな感じでありましょう。もう少ししっかりしていただきたいと思うんですけれども、いかがですか、長官。
  259. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 秋山次官を信頼し、事実関係をはっきりと究明させていただきたい。そして早急に、できる限り早く国民の皆さん方に明らかにしていきたいというふうに思います。
  260. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 一つだけお尋ねをしておきますけれども、この問題を次官や官房長に聞いたでしょう、本当に組織的に証拠隠滅をやったのかと。彼らはどういう返事をしておりましたか。私は全然知りませんでした、下の者が勝手にやったんです、防衛庁というのはそういう役所ですから、長官辛抱してくださいよ、こういう返事だったんですか。
  261. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 事実関係を全部調査をして明らかにしてほしいというふうに私が指示をしました。
  262. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 はっきり申し上げて、それは信じがたい話ですから、必ず彼らの手元には一切が報告されておりますから、役所というのはそういうものですから、そのことはくれぐれも忘れないようにお願いいたします。  それからもう一つ、長官が御就任されたのは七月でありまして、そのころはこの件はもうあちこちで報道もされて、国会でも取り上げられ、検察の捜査も入っておる、そういう時期でありますものですから、長官は当然のこととして、自分の手で全容を解明して、行政としてやれることはやって、そして二度とこういうことはないようにしたい、そういうかたい決意を持って防衛庁に乗り込まれた、こう思っておりまして、そういう指示をいろいろと出されたと思うんです。  ここに八月三日付の毎日新聞がありまして、「主要閣僚インタビュー」という欄に額賀防衛庁長官が登場しておりまして、今回の不祥事について聞かれた際に、新聞などで不祥事が発覚したことは承知している、実態調査、把握して再びこのようなことのないようにきちんと対応していきたいと。新聞で知った、こう言っておるんですね。まさか、本当でしょうかね。  国民としても、長官ですら何も知らされていない、一体防衛庁という役所は何なんだ、こう思うわけであります。多分何かいろんな理由があって内部的な報告はなかった、新聞でしか知らなかったんだ、こう言われたとするならば、そんなことはしかし逆にまた言っていない、こうするならば、これは大変明白な誤報でありまするから、厳重に毎日新聞に抗議したと、こう思われるんですけれども、そういうことも聞いていないので、多分こういうことをおっしゃられて、何か比較的のんびり構えていたことは間違いないんじゃないかなと。  そういうことで、長官が御就任されてから、八月、九月、本日の報告書にもありまするけれども、証拠隠し的なことが行われた、書類を何か保管場所からほかに移したということがきょうの報告書に出ておりますけれども、これまた役所のことを御存じないと思いますけれども、役所が理由もなしに、例えば契約一課が保管する書類をあっちに持っていく、絶対あり得ないんですから、こんなことは。そんなものは役所じゃないと言ってもいいくらいですからね。移すにはそれなりの理由があるわけですから。こんなことも簡単に聞けば、なぜあそこに持っていったんだと、それは証拠隠しですということを言わざるを得ないんだろうと思います。  この点も、何か委員会調査を待って解明したいなんという、のんびりしたことじゃなくて、移したという課があるはずですから、そこの課長を長官みずから呼ばれて、あるいは電話でもいいですよ、何でおまえあそこに移したんだ、動機、目的は何だ、こう言えばかくかくしかじかと、まさかうそは言えませんから、上の命令で証拠隠しをやりましたと、こういうことになるんですよ。そういうことをおやりになったらいかがでしょうか。
  263. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 毎日新聞のインタビューでありますが、これは七月三十一日の深夜、私が防衛庁長官を拝命いたしまして、防衛庁本庁に参りまして、深夜記者会見をしたときに、記者団から質問を受けたことの会見の中身でございます。したがって、私が初めて防衛庁に入ったときにこの質問があって、この問題については就任前から新聞も読んでおって承知をしている、今後こういうことがあってはならない、だから、きちっと信頼を回復するために頑張りますというインタビューをしたわけでございます。
  264. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 またああいうことをおっしゃるけれども、役所は大臣がかわりますと、事前レクチャーというのをやるんですよ。しかもこの問題が今最大の防衛庁の問題だと言っていいわけですから、詳しい事前の説明があって、長官みずからいろんな質問を発したんでしょう。それが当たり前のことなんです。それから、前任の久間長官からも、これはこういう問題があるんだ、大変大事なことだと引き継ぎがあったはずですよ。そういうことで記者会見に臨まれるわけですからね。それを新聞で知ったなんという、国民がこれを見て何だろうかと、こう思いますよ。
  265. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) これは七月三十一日の深夜のことでございまして、久間防衛庁長官との引き継ぎはその後で行いまして、防衛庁長官からは概要を聞きまして、しっかり頼むぞというふうに言われまして、今日に至っているということであります。
  266. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 事前レクチャーもなかったらしいですな。防衛庁というのはそんな役所なんですか。答えは結構です。  それから次は、防衛庁じゃなくて、外務省と法務省にお尋ねいたします。問題はがらり変わりますけれども、日本と韓国の間の犯罪人引き渡しのことであります。  日本と韓国、朝鮮というのは昔から一衣帯水、すぐそばにある国ということで、人の往来も盛んであるし、今日でも我々も行きますし、向こうからも遊びに来たりいろんな人がやってきたりする、友人、知人もおられるという人が多いと思います。そして、例えば韓国で犯罪を犯すと、まず考えるのは日本に逃げよう、友人、知人を頼って日本に逃げようと、日本で犯罪を犯した者は韓国に逃げようというようなことが幾らでもあり得る話だろうと思います。  現に最近の例とすれば、新聞でも報道されていました許永中なる者が裁判中に韓国で行方をくらましたということがあります。それから、これは大変な問題になりましたけれども、宅見組組長の射殺事件、その犯人の中野会の会長らが、これが犯人だと言われておりますけれども、ソウルのマンションで怪死したと、自殺か他殺かよくわからないということが報道されておりまして、要するに重要犯罪者というのは日韓をまたにかけてあっちへ行ったりこっちへ行ったりしている。  ですから、犯罪人引き渡し条約を結ぶというのは大変焦眉の急だと私は思うんですけれども、なぜそういう事態がありながら二十年も三十年も放置されてきたのか、何か下の方で協議が続けられているのかわかりませんけれども、その理由をわかりやすく説明していただければと思います。  まず、外務省からお願いいたします。
  267. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 私も担当者になぜ結ばなかったと、こう聞いてみまして、いろいろ言われたんですが、その理由に私は納得しませんでしたので、けさでありますが、この作業を急いで法務省と協議して、そして韓国とも相談の上こういうものをつくったらどうだと、きょう、けさ指示をしたところでございます。
  268. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 まさに質問した意味がありました。ありがとうございます。そういう方向で頑張っていただければと思います。  法務省はいかがでしょうか。何か問題ありますでしょうか。
  269. 松尾邦弘

    政府委員(松尾邦弘君) お尋ねの二国間の逃亡犯罪人引き渡し条約につきましては、法務省も現在の段階ではその締結する必要性が高いと認識しておりまして、今外務大臣御発言のとおり、外務省等の関係機関とも現在協議をしておりまして、前向きに法務省も検討するということでございます。
  270. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 大変恐縮ですけれども、一応のめどぐらいは外務省、法務省の方から承れればありがたいと思います。大体いゆぐらいをめどに頑張りたいと、こういうことであります。
  271. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 韓国という相手もあることでありますし、それから今初めて、今初めてというのは、今まで反対だったという意味じゃなくて、法務省と話をしたことが私自身なかったので、今法務省も積極的であると聞きましたので、けさ作業を急げと指示したばかりでありますので、今めどといっても時間的にはちょっとわかりませんが、そういうことでありますので、できるだけ早く進めていきたい、こう思っています。
  272. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 小渕総理自身も地雷条約の締結につきまして格段の御努力があったことは私よく承知しておりますので、小渕内閣の一つの功績として、歴史に残るような立派な引き渡し条約を日本と韓国の間でつくっていただきたいと思います。韓国側にもいろんな理由があろうかと思いますけれども、私が聞いている限りは少なくとも何もないと、何か日本の出方がいま一つはっきりしないからこのままになってきたんだというふうなことらしいので、はっきりはいたしませんけれども、どうか日韓一つの協力体制の一環としてこの問題を手がけていただければと思います。  以上で終わります。
  273. 山崎力

    ○山崎力君 最初に北朝鮮ミサイルに関して外務省にお尋ねしたいと思います。  私最後の質問になりますが、今までずっと来て、田村委員からも若干似たところがあったんですが、外交上、今回のことについて言えば、弾道ミサイルなのか人工衛星の打ち上げロケットなのかというようなことで言われておるんですが、この用語ですね、意味するところが外交上違っているんでしょうか、それとも同じと考えていいんでしょうか。
  274. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 御質問の趣旨がちょっとよくわからないんですが、例えば……
  275. 山崎力

    ○山崎力君 ちょっとそれじゃ、要するに新聞報道その他を見ますと、弾道ミサイルというと非常におどろおどろしいような印象を国内的には受けるし、あるいは人工衛星打ち上げのロケットだといえば若干平和利用的な部分も入ってきて薄まるというふうに日本語では印象を受けるんですが、これが外交上そういった日本語的な使い分け、そういったものが影響してくるのかこないのかと、こういう点です。ですから、大臣というよりも、むしろその任に当たる方の方がその辺の実情はわかっているのかなという気もしますけれども、いかがでしょうか。
  276. 阿部信泰

    政府委員(阿部信泰君) ロケットという場合には推進装置に着目しましてロケット推進ということでございまして、ミサイルの場合はこれは武器に着目してミサイルですということで、現実にはロケットミサイル推進に使われる場合もありますし、あるいは巡航ミサイルなどはジェットエンジンを使っているわけであります。したがって、全く同じロケットが場合によっては民生用の人工衛星打ち上げに使われる場合もあるし、軍事用のミサイルに使われることもあるということで、外交的と申しますか、一つ国際的なレジームとしてミサイル輸出管理レジームというのがありますが、そこで輸出規制は、まさにこれは両方に使えるということで、ミサイルであれロケットであれ同じように規制しています。
  277. 山崎力

    ○山崎力君 私も若干勉強させていただいておりますので、その辺のところ、余り外交上といいますか、国際上は関係ないよということだろうと思うんです。国によっても同じものをロケットと呼んだりミサイルと呼んだりということが、違いがありますから。  そこで、私がそれに関連してお伺いしたいのは、今回はともかくとして次回あるとした場合、北側が衛星打ち上げを国際的な問題とされている点、すなわち事前通告警告、あるいは危険区域の設定、そういったものをして打ち上げた、ただし日本上空を通過すると、こういった場合、国連の安保理が今回のような対応をとってくれるのかどうか、けしからぬと。我々はけしからぬと思うんだけれども、国際連合がとってくれるのかなというのが私の現時点での疑問なんですが、ちょっと質問通告の関連ではずれているかもしれませんが、お答えいただければと思うんです。
  278. 阿南惟茂

    政府委員(阿南惟茂君) 恐縮でございますが、今、先生の御質問は、今度北側がきちんと通告をして人工衛星を打つという……
  279. 山崎力

    ○山崎力君 ええ、そう、当然。
  280. 阿南惟茂

    政府委員(阿南惟茂君) これはそのときの態様にももちろんよるわけでございますが、人工衛星打ち上げの国際的な慣例に従った通告等をする限りにおいて、それはそれでどの国も人工衛星を打ち上げられます。  ただ、今回の北側の場合には、今現在も北側はまだ上がっているということになっておりまして、ですからそういう点できちんと……
  281. 山崎力

    ○山崎力君 時間がありませんので、私の質問に答えていただきたい。今回は抜きでということで、次回のことで私質問しておりますので、済みません。  それでは、今回の事件防衛庁の方にちょっとお伺いしたいんですが、いろいろ細かいことを言っております。難しい点もあるのは重々承知の上で時間の関係で端的にお答え願いたいと思うんです。  今回の東洋通信機、敵味方識別装置、IFFの問題、機密性の極めて高い、戦術的といいますか兵器的に見れば非常に大切な機密度の高いものをライセンス生産していて、一カ所だけで云々と、そういったときに価格の問題が今回非常に大きな問題になっているわけですけれども、これはアメリカとの共通性を考えてみても、当然アメリカからのライセンス製造になっているわけですが、そのアメリカで同じようなものがどの程度の価格だということは当然比較されていると思うんですが、その辺はいかがでしょうか。
  282. 及川耕造

    政府委員(及川耕造君) 例えば、アメリカのIFF装置との価格の比較等でございますと、最近直近の例でございますと、現在開発中のSH60J改に搭載いたしますIFF装置については比較等を行っております。結論は余り大差がないと。
  283. 山崎力

    ○山崎力君 そうすると、今回問題となった東洋通信機の機材、具体的なのは承知しておりませんけれども、それはかなり差があったということで考えてよろしいんでしょうか。
  284. 及川耕造

    政府委員(及川耕造君) 五年にわたるさまざまな物品でございますので、それぞれの費目について米国との比較はいたしておりません。
  285. 山崎力

    ○山崎力君 最終的な報告の場合はぜひそれをやっていただきたいと思います。  そこで問題なのは、そういったものが適正な価格なんだということを判断するのが極めて難しい、機密度も高い、そういった中で国として、会計検査院の方はおいでになっていらっしゃいますか。それでは、会計検査院としてそういったものが適正か否かというものを判断する材料を今までお持ちなのか、それともどうだったのかという点はいかがでしょうか。
  286. 諸田敏朗

    説明員(諸田敏朗君) お答え申し上げます。  非常に機密性の高い調達品につきまして私どもが価格の妥当性を調査するということは非常に困難でございます。
  287. 山崎力

    ○山崎力君 ですから、非常にこの問題というのは国家の安全保障で、ブラックボックスでやらざるを得ない部分がある。そこのところで今回こういった背任の問題が出てきたという意味では、一般に代替のきく入札あるいは競争入札、そういったものを想定したものでは非常に困難な、そういう意味ではそういう状況を奇貨として行為を行ったということでは極めて悪質だというふうに言わざるを得ないと私は思うわけでございます。  そういった中で、ただこればかり言っていてもしょうがないんですが、ちょっと広く目を持ちまして、過日佐藤道夫委員からも出たんですが、これは現在背任ということでやっております。これは取り過ぎたんじゃないか、水増しした、返せと。その返す部分が少なかったから背任だということなんですが、法務省の方にお伺いしたいんですけれども、もしそれに気がついて請求しなかった場合、まあいいや、次の製品で予算もぎりぎりで赤になるかもしれぬからその穴埋めにしてくれというような形で請求しなかった場合は、これは背任になるんでしょうか。
  288. 松尾邦弘

    政府委員(松尾邦弘君) 先生お尋ねの事項につきましては、現在東京地検の特捜部を中心に刑事事件として捜査をしております。したがいまして、その具体的内容にかなりかかわる事項ということでございますので、その性格上ちょっとお答えをいたしかねる事項でございます。
  289. 山崎力

    ○山崎力君 一般論としてもでしょうか。公務員が、いわゆる犯罪に二種類ありとするかどうかの問題はあるんですけれども、水増し請求があった、気がついた、これをまずどうやってやるか。司法に訴える手はある。あるいは話し合いで返還させる手はある。黙認する手はある。司法に訴えればこれは問題ないでしょう。恐らく、先ほど言った刑訴法の二百三十九条絡みで問題ないでしょう。  それで今回の場合は、そこのところを民事的にというか示談的にといいますか、そういったことでやったこと自体ちょっとお伺いしたいんですけれども、その辺の判断を、それではこれは長期的な観点から見てこのくらいの金額だったら取らないで目をつぶってやる、こういうことは防衛庁に限らずどこの省庁でもあり得ることですけれども、そういった場合は背任の形、逆に言えば、今回目をつぶれば、ある意味では二十何億のお金が余分に向こうへ流れた。それを八億にまけた、それでも八億が国に返ってきた、それでも背任だと。では、全額目をつぶったらこの人は背任になるんですか、ならないんですか、理論的にはどうなんですか。
  290. 松尾邦弘

    政府委員(松尾邦弘君) 繰り返しになりますが、具体的な事案にかかわる形でのお答えというのはなかなか難しいわけですが、一般論としては先生御指摘の刑訴法の二百三十九条の二項には、古めかしい言葉ですが、「官吏又は公吏は、その職務を行うことにより犯罪があると思料するときは、告発をしなければならない。」という定めがございます。  この趣旨はおよそ、行政が適正に行われるためには国または地方公共団体における各種の行政機関が相互に協力することが必要でしょう、全体として一体として行政機能を発揮することが重要であるとの認識のもとにつくられた規定と理解されますが、犯罪の捜査についても同様でございまして、各種の行政機関の協力が必要であるという見地からはこの二項の規定が置かれております。  ここに規定してありますような要件を満たす場合には、一般的に言えば官吏、公吏は原則として告発義務を負うものと理解されるということになろうかと思います。
  291. 山崎力

    ○山崎力君 お答えがちょっとずれていると思うんですが、確かに難しい点はあると思うんです。これは一種の義務規定でありましょうし、ただしそれには恐らく罰則がついていないわけです。だけれども罰則がないから、その訓示規定に、犯罪がありと思料して、国家あるいは地方公共団体に金銭的な損害を与えたということが明白であって、これは明らかに刑事処分をしなきゃいかぬと思ったときに、それを何らかの思惑でやらなかったという公務員に対して背任がかかるのかかからないかというのはある意味では法律上極めて重要な問題だと思うわけで、その辺についてのお答えがいただけなかったということもちょっと残念なんです。  もう一つ言えば、そこのところで、これは司法に対する問題ですけれども、これはどこにお尋ねしていいのか、法制局の方に投げかけたまま、はっきりした担当がわからないんですけれども。こういった場合の裁量権、要するに国ないし地方公共団体その他の公務員絡みの、予算執行絡みのときに不当なお金が流れ出た、一種の不当利得が相手方に生じた、それに対していわゆる行政側とすればどうやってこれを回復するか。一つは、確かに今言ったような犯罪の思料を得た場合という形で訴えることもできるでしょう。あるいは示談的な形でやりたいということで、今回みたいな形で返還させるということがあるでしょう。それが果たして刑事罰に相当するのか、それとも行政内部でやっていいのか。  前にも私質問で言いましたように、納税のときの、これは節税対策であるとか、いや脱税であるとかということで修正をさせる、あるいは新たに課徴金といいますか多くの金をかえって取る、あるいは脱税で訴える。これは一種の行政判断として、もちろん司法当局との相談の上でしょうけれども、大蔵なら大蔵の国税がそれをやっているわけですね。そういったことを各省庁でやっているはずなんです。そのときの判断基準がどこで行われているか。そこのところの裁量権はまさにそれを担当したところのセクションの人間でしかわからないわけです。  その辺について、さりとてその辺の裁量権を公務員に与えたという根拠法も見当たらない。ある意味においては、ある省ではここのところは訴える、ある省では訴えない、ある省では返還させる、ある省では黙認する、こういったことでばらつきが出てくる可能性も理論上あり得るんですが、その辺についてのお考えがあれば伺いたいと思うんです。
  292. 秋山收

    政府委員(秋山收君) お尋ねでございますが、やはりある程度具体的な個別の事例を想定してのお尋ねだと思いますので、この場合には恐らく国が調達をするという民事契約を結ぶということに関連しての、その結果生じた不当利得の債権、これをどう扱うかという問題でございますので、まず、そのような債権の管理を所管する担当省庁においてどのような判断でそういう措置を講じているのかということをお答えいただくのが適当なのではないかと考えます。
  293. 山崎力

    ○山崎力君 ということは、それぞれの省庁のこれまでの慣例によって、違っていてもそれを統一的に運用すべしという法体系にはなっていない、こういうふうに考えてよろしいんでしょうか。
  294. 秋山收

    政府委員(秋山收君) 民事上の問題でございますので、民事上適切な処理が民事のルールに従ってなされるということであろうと思いますが、冒頭申しましたように、何らかの個別の事案を想定して考えざるを得ない問題であると考えますので、法制局としてお答えすることは差し控えさせていただきたいと存じます。
  295. 山崎力

    ○山崎力君 そうすると、今の法制局の御答弁だと、今回の問題というのは、まさに民事上の問題を、これは背任の部分は別として、民事上の不当利得を防衛庁の担当者が、担当部局が、一種の話し合い、示談によって返還させた、こういうふうに受けとめられるんですが、防衛庁いかがでしょうか。
  296. 及川耕造

    政府委員(及川耕造君) 恐らくそういう点に関する御議論というのもあるのかもしれませんので、まさに捜査そのものの論点になっている可能性もございますので、ちょっと私の方からお答えは控えさせていただきます。
  297. 山崎力

    ○山崎力君 そうすると、捜査の問題とおっしゃるんだけれども、これは背任捜査をしているんですよね。要するに、民事上、今回のような事案が生じたときに、防衛庁として、相手方の不当利得に対して民事訴訟を起こしなさいというのか、示談をしていいんだ、話し合いでやりなさい、あるいはある場合には黙認してお金を取らなくてもいいと、この程度のことであれば。その判断は、少なくとも防衛庁、今回においては防衛庁のその担当者の、もちろん上の許可は要るんでしょうけれども、その人たちの裁量権があるんだということになると思うのです。  これは、減額したから背任容疑になっているわけで、減額しないで満額やった、先ほどのあれでいえば、東洋通信機以外のことが適正に処理されていたとすれば、まさにそのところで防衛庁は今までやってきた、恐らくはかの省庁もそうだろう、私はそう思うんですが、その点についていかがお考えでしょうか。
  298. 及川耕造

    政府委員(及川耕造君) 恐縮でございます。その点についても論議があるかと思いますので、御容赦願いたいと思います。
  299. 山崎力

    ○山崎力君 論議があるかどうかはわかりませんけれども、少なくとも、これは防衛庁一つだけでなくて、国の行政、金を扱う部分について共通の問題だと思うんです。  その辺のところを、どこも今までやってきていないというのは、国家として金の使い方、それからその金が不正に使われた場合、不正というか不当に使われた場合の回復についてのシステムができていない、統一されたシステムができていない、私はそう考えざるを得ないんですが、最後に法制局に振って申しわけないんですが、政府の法律を最終的に判断するところとして、こういう疑問を持つことについていかがお考えでしょうか。
  300. 秋山收

    政府委員(秋山收君) 現行法に何か不備がある、あるいは現行法上改善すべき点があるということで担当の各省庁がそういう立案をするということになりましたら、私どもとして相談に乗るかあるいは審査するということになる、私どもはそういう立場でございます。
  301. 山崎力

    ○山崎力君 わかりました。  法制局としてはそういうお答えだと思うんですが、簡単に言うと、やはりこの問題というのは、行政府の方から自分から手を縛るような法律は出てこない。ということは、むしろ我々立法府の方の問題ではないだろうかというふうに私自身改めて認識したいということで、時間ですので私の質問を終わらせていただきます。
  302. 河本英典

    委員長河本英典君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後二時五十五分散会