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1998-09-10 第143回国会 参議院 外交・防衛委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十年九月十日(木曜日)    午前九時三十分開会     —————————————    委員異動  九月九日     辞任         補欠選任      木俣 佳丈君     藤井 俊男君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         河本 英典君     理事                 依田 智治君                 吉村剛太郎君                 高野 博師君                 小泉 親司君     委 員                 岩崎 純三君                 亀谷 博昭君                 佐々木知子君                 鈴木 正孝君                 村上 正邦君                 森山  裕君                 齋藤  勁君                 藤井 俊男君                 吉田 之久君                 続  訓弘君                 立木  洋君                 田  英夫君                 田村 秀昭君                 佐藤 道夫君                 山崎  力君    国務大臣        国 務 大 臣        (防衛庁長官)  額賀福志郎君    政府委員        総理府賞勲局長  榊   誠君        防衛庁長官官房        長        藤島 正之君        防衛庁防衛局長  佐藤  謙君        防衛庁人事教育        局長       坂野  興君        防衛庁装備局長  及川 耕造君        法務省刑事局長  松尾 邦弘君    事務局側        常任委員会専門        員        櫻川 明巧君    説明員        会計検査院事務        総局第二局長   諸田 敏朗君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○外交防衛等に関する調査防衛庁装備品調達に関する件)     —————————————
  2. 河本英典

    委員長河本英典君) ただいまから外交防衛委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  昨日、木俣佳丈君が委員を辞任され、その補欠として藤井俊男君が選任されました。     —————————————
  3. 河本英典

    委員長河本英典君) 外交防衛等に関する調査のうち、防衛庁装備品調達に関する件を議題といたします。まず、本件について、額賀防衛庁長官から報告を聴取いたします。額賀防衛庁長官
  4. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 去る九月三日、上野憲一調達実施本部本部長ほか企業側関係者三名、前東洋通信機株式会社会長同社官公営業部長、元日本電気株式会社防衛事業推進室長背任容疑で逮捕され、防衛庁内部部局及び調達実施本部東京地方検察庁により家宅捜索を受けました。これに続きまして、翌四日には、諸冨増夫防衛施設庁長官背任容疑で逮捕されました。  装備品調達業務に従事した調達実施本部元本部長及び元副本部長背任容疑で逮捕されるという事態が生じましたことは極めて遺憾であり、残念であります。  事実関係につきましては、今後、検察当局捜査等により事態が究明されるものと考えており、我々としてはその推移を慎重に見守ってまいりたいと思っております。  本件につきましての経緯について簡単に述べさせていただきたいと思います。  調達実施本部は、平成六年二月、東洋通信機株式会社から提出された契約に関する原価計算見積資料等に問題があったことから、同年三月から四月にかけて特別調査実施いたしましたところ、加工費工数計算に問題があることが判明しました。  調達実施本部では、当該契約信義則に反して行われ、かつ同社もその事実を認めたことから、過去五年間の契約について、過払い分返還額に関するさまざまな試算を行うとともに、東洋通信機株式会社との折衝を進めたところ、最終的には、返還額は約八億七千四百万円で、かつ返還方法履行中の契約かち減額補正を行うことで合意したものであります。  なお、東洋通信機株式会社との契約のほかに、日本工機株式会社藤倉航装株式会社及びニコー電子株式会社との契約においても平成五年から平成七年にかけて工数計算に問題があったことが判明したため、これら三社から、それぞれ約五億八千五百万円、約三億五千五百万円、約二億九千七百万円の返還を受けているところであります。  本件事案につきましては、平成九年九月、これら四社との契約において過払い問題があったことがクローズアップされ、それ以来、国会においても御審議いただいておりますけれども防衛庁といたしましても、同月、調達実施本部原価差異事案対策特別委員会を設置し、このような事案が発生した原因などについて分析を行い、これを踏まえて平成十年二月、原価差異発見能力を高めるための制度調査拡充事案処理客観性適正性及び透明性確保を目的とした調達実施本部内における事案処理のための委員会設置等を内容とする原価差異事案再発防止策を発表いたしました。  それ以降、これらの再発防止策の着実な実施に努めてまいりましたが、再発防止策一つの柱である制度調査により、日本航空電子工業株式会社との契約において工数計算に問題があることを発見いたしました。現在、平成四年度分から調査を進めているところでありますが、関係省庁とも連絡をとりながら事案適正処理に努めてまいりたいと考えております。  今回の調達実施本部幹部等の逮捕を踏まえ、今後、防衛庁としてどう取り組むのかにつきましてその概要を御説明したいと思います。  今回生起している問題は、防衛庁自衛隊行政あり方について問われているものと認識しております。二十一世紀に向けまして、国民信頼され、魅力ある防衛庁自衛隊を確立するため、問題となった防衛装備品調達制度自衛隊員の再就職を初めとする防衛行政について、どうあるべきかを検討してまいりたいと考えております。  まず、防衛装備品調達行政につきましては、透明性公正性等が求められていることから、この際、防衛装備品調達制度をめぐる基本的課題について徹底的な検討を行うべく、私に今後の防衛調達行政基本的方向を提言していただくため、部外有識者から成る防衛調達制度調査委員会を近々設置することにいたしております。この委員会において、原価差異事案対処に関する統一的かつ明確な基準の策定、部外有識者による装備品調達契約及び履行に関する監視制度の導入、供給ソース多様化追求等課題につきまして検討していただき、できるだけ早く結論を得たいと思っております。  自衛隊員の再就職につきましては、その透明性確保、規制のあり方等の問題について検討を行い、私に基本的方向を提言していただくため、部外有識者から成る自衛隊員の再就職在り方に関する検討委員会を設置し、政府全体で行われている公務員制度調査会の退職の在り方に関する検討グループ検討状況を見ながら、できるだけ早く結論を得たいと考えております。  最後に、今回の事案を深刻かつ重大な事態と受けとめ、防衛庁自衛隊に対する国民信頼を回復するため、一層の綱紀粛正を徹底するとともに、以上述べました諸施策の推進に全力を挙げて取り組んでいく決意を示しまして私の報告を終わります。  何とぞ委員各位先生方の御指導をよろしくお願い申し上げます。
  5. 河本英典

    委員長河本英典君) 以上で報告の聴取は終わりました。  これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 吉村剛太郎

    吉村剛太郎君 ただいま今回の水増し請求問題について防衛庁長官より経緯説明と、また今後に対する取り組み、また反省の弁がございました。  北朝鮮のミサイルが飛来したり、いろいろと今国防問題、特に我が国安全保障に対して国民の意識も高いときでございますし、そういう折にこのような事犯が発生するということは大変ゆゆしい問題だと、このように思っております。ぜひ深く反省し、このようなことが二度と起こらないように今後大いに注意をしていただきたい、このように思っております。  そして、いろいろとこれから質問もさせていただきたいと思いますが、まず細かいことからちょっとお尋ねをしたいと思います。  今の御報告によりますと、メーカー側から出された原価算定の中に、調達実施本部検討したところ不明朗な点があったということでした。これはどういう端緒でその辺が調本の方でわかったのか、まずその辺はどうなんですか。
  7. 及川耕造

    政府委員及川耕造君) これは毎年見積もりを年々調本の方に各社が出しまして、そしてその年のレート等を決めてまいるわけでございますけれども、その中の契約を今後しようとするのを見ておりましたところ、それをチェックいたしましたのは今度逮捕されました上野元副本部長でございますけれども、彼のところに上がった段階で、その東洋通信機工数がどうも異様に多いのではないかということを彼が疑念に持ちまして、それで調査を命じたというのが発端でございます。
  8. 吉村剛太郎

    吉村剛太郎君 というのは、この原価水増し工数計算だけ、ほかにはなかったということなんですか。
  9. 及川耕造

    政府委員及川耕造君) さようでございます。
  10. 吉村剛太郎

    吉村剛太郎君 これについてメーカ側と、そのほか何社かあるいはあったようですが話し合って、メーカー側もその非を認めたということのようですね、私も新聞報道しかわかりませんが。そして、その過払いについてどう処理するかという話し合いが行われた。その原価過大計算が発覚した段階調達実施本部内だけで処理しようとしたというように私は今報告感じておりますが、その点について、調達実施本部というのは装備局の下にぶら下がっておるわけですね、そこに対する報告または防衛庁長官の方への報告はその時点ではなされていなかったということなんでしょうか。
  11. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 今、吉村委員がおっしゃるとおり、調達本部内で処理できる仕組みになっておりまして、内局には報告がなかったというふうに聞いております。
  12. 吉村剛太郎

    吉村剛太郎君 そしてその後、本年六月に会計検査院検査に入ったという新聞報道ですが、これは間違いありませんか。
  13. 及川耕造

    政府委員及川耕造君) 会計検査院が入ったというのは、恐縮でございますが、会社にでございますか。
  14. 吉村剛太郎

    吉村剛太郎君 同庁に立入検査実施したと。
  15. 及川耕造

    政府委員及川耕造君) 検査院のことでございますので、報道は存じておりますけれども、私からお答えするのはいかがかと思われます。
  16. 吉村剛太郎

    吉村剛太郎君 なるほど。それで、なぜ会計検査院立入検査に入ったかというのは、どうも何らかの投書内部告発かわからないんだけれども、そういう形から情報が入って検査に入ったという報道なんですけれども、その事実関係が答えられないとなると、ちょっと今後の質問がしにくいんだけれども、それ以上言えないのかな。会計検査院検査したことは間違いないんですね。
  17. 及川耕造

    政府委員及川耕造君) 恐縮でございますが、私どもの方に検査院の方から特にそういう御連絡等はございませんでしたので。
  18. 吉村剛太郎

    吉村剛太郎君 検査院の方から報告はないと。あったということはなかったということなのか、あったけれども報告がなかったということなのか。ちょっと非常に微妙な、重要な点なものですから。  といいますのは、このような事犯が発生した、調達本部内で上に上げないで処理しようとした、私はこれは一つの大きな問題だと思うんです。外部からか、また内部からか、告発投書か何かわかりませんが、会計検査院の方にどうも何らかの連絡があったようだと。それに基づいて会計検査院立入検査に入った。しかしそれについて、新聞報道にもあるので調達本部の方から問い合わせとかすれば返事がある、そうしたら事実関係ははっきりするわけですね。これだけの新聞報道がなされていて、これは当然記事は読んでおられると思うんだが、こういう報道があるけれどもどうだったんだという問い合わせはされなかったんですか。
  19. 及川耕造

    政府委員及川耕造君) 昨日の報道でございますので、昨日の段階ではまだ私ども問い合わせをいたしておりません。後ほどいたしたいと思います。  一言申し上げさせていただきますと、いわゆる発生して、調達実施本部の方でさまざまな作業をして、ある一定の成案を得た段階で当時の会計検査院の方には私どもから御報告はいたしております。その点だけは申し述べさせていただきます。
  20. 吉村剛太郎

    吉村剛太郎君 それはいつの時点ですか。
  21. 及川耕造

    政府委員及川耕造君) 平成六年の六月ごろでございます。
  22. 吉村剛太郎

    吉村剛太郎君 なるほど。今回このような事案が発生して、どうも調達実施本部の中で片づけようとしたというような印象を私は非常に持つんです。したがって、装備局の方にもまた長官の方にも報告をしなかったと。そして、今回の会計検査院検査に入ったことについての事実関係のコミュニケーションが、本来ならば即刻、これは新聞報道されているから電話一本すれば事実関係というのはすぐわかるわけで、それがきょうの時点でもまだはっきりしていない、確認はされていないというところに一つ大きな問題点があるんではないかなと、このように思っております。  そして、調達本部の方がそのようなことは知らなかった。そしてどうも会計検査院検査に入ったというその動機が、内部告発電話連絡投書か何か、そういう形だったと。防衛装備調達する組織というのは、お互いが信頼を持ち合ってやらなければならないという中で、どうもそういう形でこの事犯が表に出てきた。会計検査院検査に入ったのも投書か何かわからないがそういう形というのは、非常に組織雰囲気としては余り愉快ではない雰囲気ですね。だから、そういうものが潜在的にずっとあったのかどうか。組織は、組織図としてちゃんと紙に書いてあるから組織図はあるんですけれども、その中の雰囲気というものに問題はなかったのかなという感じがするわけなんです。  これについては、これは非常に微妙なことでお答えもできないであろうと思っておりますが、少なくともきょうの時点会計検査院検査が入ったかどうかの事実関係ぐらいは答弁できるような状態になってもらいたかったなと、率直にそのような印象を持っております。その辺について、細かいことは結構ですが防衛庁長官、御意見なり聞かせていただければと思います。
  23. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 先ほどの御質問の中で、内局への連絡があったかどうかについては、内局課長以上への連絡はなかったというふうにちょっと訂正をさせていただきたい。というふうに報告を受けている……
  24. 吉村剛太郎

    吉村剛太郎君 課長まで。
  25. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 課長以上のところにはなかったという報告を受けております。
  26. 吉村剛太郎

    吉村剛太郎君 課長まであったということですか。
  27. 及川耕造

    政府委員及川耕造君) 課長以上にはございませんでした。室長クラスにございました。それは事後的にございました。終わった後でございます。
  28. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) そういうことで御理解をいただきたいと思います。  それから、会計検査があったかどうかについて新聞報道があったということはお聞きしましたけれども、その実態について私掌握しておりませんが、検察当局捜査が入っておりますから、いずれその中で明らかになっていくものと思っております。
  29. 吉村剛太郎

    吉村剛太郎君 長官の今のお答えからいきますと、会計検査院検査が入った事実は把握されているということですか。
  30. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 新聞報道があったことは承知しております。
  31. 吉村剛太郎

    吉村剛太郎君 事実関係としてはまだ。
  32. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 会計検査院検査に入ったというような報道があったというのは承知しておりますが、その詳細についてはよく把握しておりません。
  33. 吉村剛太郎

    吉村剛太郎君 その点はそれで結構ですが、事の発端は、メーカーというのは民間企業ですから、ある意味では少しでも利益を上げたいということで、どうしても原価を高く算定するというような誘惑には駆られるであろう、このように思います。したがって、先ほどの説明にあったように、工数の数字に水増しをしたというようなことだったんだろうと。それを一方では、調達実施本部の方に原価計算する担当があるんですか、そこがそれを踏まえて独自にはじいていくんだろう、このように思っております。一般の車でも部品が二万ぐらいあると言われております。防衛装備品というのは飛行機から戦車までいろいろあって、これはまた車とは比較にならないような多くの部品から成っておるんだろうと。厳密に言えば、メーカー側はその一つ一つねじ一つ一つから原価をはじいていくんだろう、こう思うんです。それに対応できる調本側原価計算体制というのは整っているんですか。各部門、大体何人ぐらいでやっているんですか。
  34. 及川耕造

    政府委員及川耕造君) 原価計算に関しましては、調達実施本部に一課から五課までそれぞれ部門別にございまして、百三十四名の職員がこの計算業務に携わっております。そしてそれを統括する形で原価管理課というのが二十五名おりまして、合計で百五十九名がこの分野に携わっております。  先生おっしゃいましたように、万に達するような膨大な契約を毎年行っているわけでございますけれども、おっしゃるように個々企業一つの製品を積み上げるような形での原価計算ではなく、いわゆる予定価格訓令というものがございまして、そこで工場単位あるいは会社単位の場合もございますけれども、年間のレートというのを決めまして、そしてそれぞれの契約に必要とされる工数というのを出していただいて加工費を決めるというような形で、原価積み上げを一品一品行っていく、こういう形をとっております。したがいまして、個々部品等積み上げ計算での原価計算ではございません。
  35. 吉村剛太郎

    吉村剛太郎君 実際問題として、各社原価というのは企業秘密だからまずわからないと思いますが、その段階で若干の水増しが行われれば、これは調本ではとても把握できないということになりますね。
  36. 及川耕造

    政府委員及川耕造君) 御指摘のとおり、非常にたくさんの契約の中で、主として信義則のもとに私ども作業を進めているわけでございますけれども、もし非常に難しい工数計算というものについてごまかしたりされますと、これを発見するというのは確かになかなか容易なことではないと存じます。
  37. 吉村剛太郎

    吉村剛太郎君 それだけに相互信頼というのがやはり基本になければならない、このように思っておりますが、人間関係信頼だけでは済まされないものがあって、やはりそこには双方が納得した基準というのが当然あるんだろうと思います。今おっしゃったのは、その基準に照らして原価をはじくわけですか。
  38. 及川耕造

    政府委員及川耕造君) 申し上げましたように、予定価格訓令という一応準則がございまして、これに基づいてはじいていく、毎年のレート等を決めていく、こういうことでございます。
  39. 吉村剛太郎

    吉村剛太郎君 今後こういうことがないように、基本的には相互信頼というのをもとにして、技術的にこのような原価差異がなるべく起きないようにこれから努めていっていただきたい、このように思っております。  先ほど防衛庁長官からも御報告があったように、種々の委員会というのを設置してこれからチェックしていこうということでございますが、さっき発表があったほかに何か具体的な今後の対応策はあるんですか。
  40. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 私は、先ほど申し上げましたように、今度の調達本部をめぐる事案というものは、防衛庁自衛隊に対する行政あり方について問われているものと認識をしているわけであります。  この中で、大きく絞れば、一つ調達本部仕組みを、チェック体制をどうするかということ、これを学識経験者等意見を交えて、調達本部組織を含めた上で改革実施していくことが必要であるということであろうと思っております。  もう一つは、これから人口が減っていく中で、二十一世紀我が国防衛というものを、あるいは自衛隊員あり方というものをどう考えるかということを考えたときに、国を守る自衛隊存立基盤確保していくために、信頼関係とそれから自衛隊員を希望する誇りを持つ環境をつくり上げていかなければならないということから、自衛隊員の再就職あり方について透明性公開性を持って、国民皆さん方から認められるような環境づくりをしていく必要があろう。そういう中で、きちっとした改革の道をつくっていきたいというふうに思っております。
  41. 吉村剛太郎

    吉村剛太郎君 わかりました。  今までのは調達実施本部メーカーの間、そして原価の差額の返納について、これを今回のは率直に言って恣意によって圧縮をしてやったということですね。それについては今度は調達実施本部内の問題になってくるわけだと思うんですけれども過大請求があった、それを圧縮したと。その辺についてのチェック機能というのは、調達本部自身監査か何かチェック機能というのは持っていないんですか。
  42. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 今、装備局長がおっしゃったように、調達本部内のチェック体制はあるわけでありますけれども、実際問題として、企業側が提出しているさまざまな申請書類原価計算書類についくはっきり言えばきちっと見抜けなかったということでありましょう。だから、どういうふうに今後それのチェック体制をやっていくかということが一つあります。  それからもう一つは、私は、調達の中の契約は、大体言ってみれば競争ルールが働く部分競争ルールが余り働かない部分があるわけでありますから、競争ルールが働かない部分については集中的に監視体制を強化するとかあるいは信頼関係をきちっと構築していくとか、いろんなことを考えて、透明性を持ち信頼関係を構築していくことを今度の調達制度調査委員会に審議をしていただいて、提言をいただきたいというふうに思っております。
  43. 及川耕造

    政府委員及川耕造君) 恐縮でございます。ちょっとだけ補足をさせていただきます。  企業に対する監査体制は、調本の中に原価監査部門というのがございまして、ここが監査をいたしております。  ただ、吉村先生おっしゃいましたように調本内部監査はどうかとなりますと、確かにちょっと今回の事案を考えますと反省すべき点もあったのではないかということで、ただいま大臣申し上げましたように、今度の制度調査委員会におきまして外部方たちも入れた監視委員会みたいなものができないか、これを早急に議論いたしたい、こういうふうに考えておるところでございます。
  44. 吉村剛太郎

    吉村剛太郎君 この過大請求については既に防衛庁としては調本で把握しておったんですね。そしてその非についてはメーカー側も認めておったと。だから、これは過払い返納、それを圧縮したという事案ですね、これ。  そのチェックする部内監査というのは現在はどうなっているんですか。
  45. 及川耕造

    政府委員及川耕造君) 四社事案と我々称しておりますのが発生いたしまして以降、昨年の九月からその再発防止のための検討を行ってまいりまして、本年二月にその対策を一応発表いたしました。その中で、いわゆる先ほども申しました会社に対する制度調査、それから原価計算システム拡充を図る等々のシステムを導入して、そして内部における体制を整えている、こういう状況でございます。
  46. 吉村剛太郎

    吉村剛太郎君 その当時はなかったわけですか。
  47. 及川耕造

    政府委員及川耕造君) 当時はございませんでした。
  48. 吉村剛太郎

    吉村剛太郎君 なるほど。この事犯の発生の一つのポイントが私自身何となくわかってきたような感じがいたします。  この問題は別といたしまして今防衛庁長官から既に御報告がありましたが、今回の事案に関しましては天下り問題との絡みが云々されております。私自身は、国防という崇高な使命に携わる、制服も事務官も含めまして五十幾つかで退官をし、そしてなおかつ元気である人々が、やはり適正な再就職先を見つけてそこでまた社会のために貢献していただくというのは非常に大切なことであろう、このように思っております。  天下りということについては、今いろいろ世間で言われておりますけれども、現実問題としては再就職ということはこれはちゃんとしていかなければならない問題だろう、このように思っております。その辺について今長官からいろいろな御報告がございまして、非常に結構なことだ、このように思っております。  これは防衛庁のみならず、官僚、役人の方々が若くして退官をされてその後どうするかということは今後の大きな課題だろう、このように思っております。特に、防衛の衝に当たられた方々の再就職ということについてはぜひ今長官がおっしゃったものを基本にしていろいろと検討をいただきたい、このように思っております。  もう時間も迫っておりますが、いずれにしましても、我が国防衛というのは優秀な人材とそしてすぐれた装備が相伴って初めて確立されるもの、このように思っております。  戦前は、海軍であれば海軍工廠とか、それから陸軍であれば陸軍造兵廠とか、いわゆる装備品の製造また修理などを専門に担当した部署があったわけですが、これは終戦と同時になくなったわけでございます。  そういうものは別といたしましても、これから民間とよく協力して優秀な防衛装備品調達できるようにしなければならない、このように思っております。その点について防衛庁長官、お考えがあればちょっとお聞きしたい、このように思っております。  その前に、僕もよくわからないのだけれども、戦前の海軍工廠とか陸軍造兵廠について若干説明していただければありがたいのだけれども、どなたかわかる方いらっしゃいますか。
  49. 及川耕造

    政府委員及川耕造君) 私もほとんど存じ上げないので一言だけ申し上げますと、当時の陸軍、海軍はそれぞれの経理部に専門部署を置いていたというふうに、まさにおっしゃるようにこういう工廠監督等の部署だと存じますけれども、ただ、申しわけございません、具体的なシステムの内容については手持ちの資料がございませんので、別途調べさせていただきたいと思います。
  50. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 装備面から考える防衛力というのは、その国の工業力、産業基盤が原点であろうというふうに思っております。したがって、防衛力を安定的に整備して維持していくためには、一定の防衛産業がその生産力を維持していく経営基盤をきちっと持っていなければならないというふうに思っております。  今確かに財政的には極めて厳しい環境にあるわけでありますけれども我が国の安定的な安全を保っていくために適切に防衛産業の育成を図っていく必要があるというふうに認識をいたしております。
  51. 吉村剛太郎

    吉村剛太郎君 防衛産業というのはいろいろと制約を受けておる産業でございます。アメリカあたりは、民間が技術開発の競争をしながら、また輸出もしながらレベルを上げていくし、コストも下げていくというような形でございますが、日本はとてもそのような形のものはとれないと思っております。  しかし、今長官おっしゃったように、国を守るというのは精神力だけではできない、人材だけでもできない、やっぱり優秀な装備というのが大変必要だ、このように思っております。それだけ特殊でもあり、また秘密性といいますものも守っていかなければならないという、非常に一般の商品とは違う特質を持っておるわけでございます。今回の事犯もある意味ではそういう特殊性、秘密性の中で起きたという面も考えられるわけでございます。  その辺を十分に考慮しながら、今長官おっしゃったように防衛産業の健全な育成ということをぜひ検討していただきたい、このように思います。  これは要望しておきまして、私の質問を終わります。
  52. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 民主党・新緑風会の齋藤勁でございます。  法務省お見えでございますか。  最初に、この防衛庁調達実施本部をめぐる背任事件について、この被疑事実の要旨について法務省から御説明いただきたいと思います。
  53. 松尾邦弘

    政府委員(松尾邦弘君) 背任罪というのは構成要件がかなり複雑になっておりますので、被疑事実自体も相当長いものになりますが、ここではその概要ということで申し上げたいと思います。  被疑事実の要旨ということになりますが、被疑者五名、これは元防衛庁調達実施本部本部長上野憲一東洋通信機株式会社代表取締役伊藤伸一、同会社官公営業部長永元恭徳、同会社の筆頭株主である日本電気株式会社の元防衛事業推進室長新井秀夫、元防衛庁調達実施本部長諸富増夫、この五名になりますが、被疑者五名は、平成六年三月上旬ころ、防衛庁調達実施本部等と東洋通信機株式会社との間で過去に締結した味方識別装置等の製造請負契約において、契約金額の算定根拠となる工数の過大申告等により同会社が不正に過払いを受けていた事実が発覚し、同会社から国に返還すべき金額が数十億円もの巨額に上る見込みとなったため、被疑者諸冨及び同上野において、このような過大申告等を看過して契約を締結していたことが自己の責任問題に発展しかねないと危惧するとともに、被疑者伊藤らにおいて、株主総会等で責任を追及されるおそれがあることなどから、共謀の上、ひそかに返還金額を十億円未満に減額しようと企て、同年六月ころ及び平成七年三月ころの二回にわたり、被疑者らの保身及び東洋通信機の利益を図るとともに、同会社から同本部の退職者に顧問料等名下に金銭の提供を受けさせるなどの目的をもって、同本部が契約金額を修正して過払い相当額を東洋通信機から国に返還させるに当たり、被疑者諸冨及び同上野の任務に背き、国に返還すべき金額は利息込みで少なくとも約二十五億六千万円であったのに、これを利息込みで約八億七千万円と過少に確定させる契約を締結し、もって、東洋通信機をして本来返還すべき金額との差額約十六億九千万円の返還を免れさせて国に同額の損害を与えたというものでございます。
  54. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 ただいまの御説明の中で、これは刑法二百四十七条の背任罪で逮捕されたということの中での今回の被疑事実について御説明があったと思うんですが、公務員の背任罪適用をめぐりまして過去いろいろ歴史があるように私も拝見しているところです。  そこで、この背任罪ということで、「自己若しくは第三者の利益を図り」ということ、その前に、「本人に損害を加える目的」の「本人」というのは当然のことながら国であり私ども納税者、国民であるというふうに理解をしますが、この「自己若しくは第三者の利益を図り」ということについて、今回の被疑事実について再度ポイントとして御説明をいただき、加えて、損害を与える認識があったかどうかということが、会計法規に違反するという認識があっても国に損害を与える認識があったとは言えないというような、幾つかの過去の公務員の犯罪をめぐりまして、この背任罪適用をめぐりまして論争点があったようでございます。現在、この「本人に損害を加える目的」、いわゆる損害を与える認識、この二つのことについて、この事実について要点をお示しいただければ幸いです。
  55. 松尾邦弘

    政府委員(松尾邦弘君) まず、背任罪の適用につきまして、具体的事件が現に捜査中でございますので、それに触れた形で申し上げるのは今の段階では難しいということを御理解いただきたいと思います。  背任罪の構成要件は、先生今御指摘のように、大きく分けて四つに分かれるわけでございますが、「他人のためにその事務を処理する者」という一定の資格といいますか身分といいますか、そういうものをまず要求しております。  その者が、「自己若しくは第三者の利益を図り又は本人に損害を加える目的で、」、内容的にはこれは三つに分かれますが、自分自身の利益、あるいは第三者に利益を供与させる等の第三者の利益を図る、あるいは本人に損害を加える目的ということになります。この場合の「本人」というのに公的機関が入るのかという問題が先生御指摘のとおりありますが、これは従来の判例でも、国も含めまして地方公共団体等公的な機関もこの「本人」に含ましめられるということになっております。  その三番目の要件は、「その任務に背く行為」というものがございます。これはさまざまなケースで具体的に、千差万別ということになろうかと思います。  さらに最後に、本人に財産上の損害を加えるということが認識されているということが四番目の要件でございます。  抽象的な説明に終始して申しわけありませんが、以上でございます。
  56. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 刑事局長には衆議院の方の委員会があるという中でいろいろ御都合をつけて出席をしていただいたんですが、なお捜査中であり、今後のいろいろ捜査の進展もあろうと思うんです。これは私も今回の事件、まだほんの一角しか分析をしておりませんが、この背任罪ということをめぐり、これまでも逮捕をめぐっていろいろな経緯があった。そして、このことも今度、起訴そして裁判等に当たって争点になっていくんではないかということを率直に思ったところでございます。  今後、なかなかこれも申し上げられないのかもわからないんですけれども、いわゆる立証をしていくということについて十分自信がおありなんですか。
  57. 松尾邦弘

    政府委員(松尾邦弘君) なかなか難しいお尋ねなんですが、検察庁は現に先ほど申し上げました被疑事実で五名を逮捕、勾留して捜査を継続しているところでございます。必要な捜査を遂げて検察官としての任務を尽くすものと私は考えております。
  58. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 刑事局長、結構です。  防衛庁長官に以下お伺いいたしますけれども、今回、上野憲一そして諸冨増夫、元防衛庁幹部がそれぞれ逮捕されました。とりわけ私自身、諸冨前長官については旧内閣委員会でも質疑をし、沖縄問題でもさまざま論戦をした、ついきのうのように記憶に残っていまして、びっくりしております。  今回の事件、とにかく国民の貴重な税金を適切に使っていくということが公務員の本来の任務であり、そしてまた会計検査院も当然のことながらそのことをきちんとしなきゃならないという任務があり、そこがこれから国会の中でもさまざま同僚議員からも克明に分析をされて明らかになっていくというふうに思います。  そこで、私は、国民の納税者の立場に立ち、そしてまた防衛庁に勤務する第一線の隊員の方々の士気に著しく影響を与えているというふうに思います。今回の事件に対するこのことの認識がどうであるのかというのが一番スタートになると思うんです、事件に対する認識が。ということで今私は刑事局長にも来ていただきまして被疑事実、今度の犯罪は背任罪だということで、それらについて捜査中でありましても改めてお聞きしたわけでございます。  このことについて、もう既にいろいろコメントを述べられておりますけれども、この背任罪で逮捕されたということについてどういうふうな認識をお持ちですか。
  59. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 今、齋藤委員が申し上げておりますように、私も防衛庁長官になって一カ月と少しでありますけれども、まずこの調達問題をめぐる案件について御報告を受け、そして間もなく前の本部長及び副本部長が逮捕されていくという事実に対しましてまことにショッキングな思いをいたしましたし、今深刻に受けとめているわけでございます。  この背任罪についてどう受けとめるかということでございますけれども、犯罪そのものは今個人の方々が逮捕されて事実関係が究明されようとしているというふうに思っております。  私といたしましては、再びこういうことがないように万全の体制をつくっていくことが大事であるし、失われた国民信頼をどういうふうに取り戻していくかということが防衛庁あるいは自衛隊行政に問われた課題であるというふうに受け取っております。
  60. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 ことしの百四十二回国会、さきの通常国会ですが、本院の外交防衛委員会及川さんの前の装備局長、鴇田さんが、東通の減額報道について、この時点まで、いわゆる現時点までの調査では八億七千万という金額は適切なものであったのではないかという認識を持っていると。五月二十一日の外交防衛委員会で、東通の減額報道について八億七千万という金額は適切なものだという認識を持っていますという答弁をされています。  今回の逮捕は、先ほど刑事局長、言うまでもなく、この減額というのはそうじやなかったんだ、もっと多かったんだよと。約十九億に近い。いわゆるまけているわけです。これは明確に逮捕事実と時の鴇田装備局長の答弁が食い違うわけです。新装備局長さんあるいは防衛庁長官でもいいんですけれども、今は五月から三、四カ月たっていますけれども、現時点での調査というのは、今もこの八億七千万という金額は適切なものであったという認識は変わらないですか。
  61. 及川耕造

    政府委員及川耕造君) 前任がお答えした時点におきましては、今回の事案が生起してしまうということが考えられますような事実関係は、残念ながら十分把握できておりませんでした。  したがいまして、当時におきましては不適正ではないという判断をして御答弁を申し上げたものでございますけれども、残念ながら防衛庁は強制調査権もございません。調査におのずと限界があったところでございまして、その点ぜひ御理解を願いたいと思います。  現在まさに当局の捜査が進められているところでございますので、その処理が最終的にどのような御判断が下るか、推移を見守ってまいりたいというふうに思っているところでございます。
  62. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 これ大変な問題なんですね、実は。ここの事実認識がどう立つかによって、これからの防衛庁あり方国民に対する姿勢、全部違っちゃうんですよ。ここがスタートだと思うんですよ。  何で外交防衛委員会をこのときやったかというのは、既に報道でこの概要が明らかになっているからるるやりとりして、いや私どもは正しいですということだったというふうに思いますし、なおかつこの問題が発生して以来、防衛庁内部調査委員会をつくって、対策委員会ですか、それで決定した金額ですね、これ。  平成六年二月に見積もり資料等に疑義があり、以下特別調査実施して、また返納額の算定作業をし、六月に返納額を決定。そして、さらにずっといろいろ新聞報道が出てきて、三年後、九年九月に原価差異事案対策特別委員会を設置して、さらに防止策を発表して、それからことしの八月に政策を発表してくる。こうなっていくんですが、こういうずっと経過の中で八億幾らというのは正しいんだということですよ。相当長期にわたってこのことについて事実究明をしてきて、認識をしているわけです。今回はそうじゃないと。だから、そうじゃないならそうじゃないと、これから防衛庁背任罪、これは問題なんだということで争わなきゃならないんじゃないですか。
  63. 及川耕造

    政府委員及川耕造君) 先生おっしゃるとおり、私どもなりに、先ほど先生も御指摘のとおり調本の中に調査委員会を設置いたしまして、それで事実関係の把握を行ってきたわけでございますけれども、残念ながら背任というような証左を発見できるまでには至らなかったわけでございます。  ただ、まさに現在こういう事態になっているわけでございますので、捜査の内容に何らかの予断を与えるようなことはここではコメントは差し控えさせていただきたいと思いますけれども、大臣からお話がありましたように、私どもとしては深刻に受けとめ、そして何らかの形での改善策というものを全力を挙げて取り組まなければいかぬ、こういうふうに思っているところでございます。
  64. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 上野氏が逮捕され、そして諸冨氏が逮捕され、それぞれ防衛庁が三日付、四日付でコメントを出していますね。全文は省略をいたしますが、とりわけ、元副本部長背任容疑で逮捕されたときに、「当庁が司法当局による強制捜査の対象となるという事態が生起したことは誠に遺憾であります。」と、今後の捜査の進展を見守っていきたいと、これが三日。そして、次の諸富前長官、これは「トップの立場にあった者が逮捕されるという事態に至ったことは、極めて遺憾であり、残念であります。」と。  長官、遺憾というこの日本語、遺憾という言葉はどういうふうに御認識されていますか、大変失礼な聞き方かもわからないけれども
  65. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) そういう事態が起こったことについて、厳粛に受けとめ、そして反省すべきは反省をし、そして正していかなければならないという思いが込められているということと思います。
  66. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 長官に大変恐縮な質問だったのかもわかりませんが、役所というのは遺憾という言葉をよく使うんですね。たびたび、いろいろの質疑でもこのことは例示を出されますが、悔しいとか心残りだとか気の毒だとか、こんなことが辞書では出てくるというふうに思うんです。率直に今、反省という言葉が出ましたけれども、謝っているとか申しわけないとか、そういうことは出てこないんですね。謝罪じゃないんですね。  ところが、きょう官房長官にも御出席いただきたかったんですが、なかなか残念ながら実現できなかった、また別な機会もあろうと思うんですが、この官房長官の三日夕方のコメントは、このような国民信頼を裏切るような事態が発生したことはまことに残念、申しわけなく存ずる次第だと、単に防衛庁だけではなく、今後、すべての部門にわたって事犯を謙虚に受けとめ、点検をし、信頼にこたえるよう、税を使う立場の人間として謙虚にこの問題をとらえてまいらなきゃならない。幾つかの言葉をとりたてて何か例示するというのは余り私は好きじゃないんですけれども、官房長官は率直に税を使う立場の人間として申しわけなく思っているというふうに、推移を見守るといえども、これは謝罪していますよ、国民に対して。  ところが、防衛庁のコメントというのは、この遺憾という言葉以外に出てこなくて、ということは、私は、今までもこれからも、逮捕された上野氏、諸冨氏、これはやっぱり法務省、司法と争っていく、そういう姿勢であるということをどうも考えざるを得ない。背任罪なんというのはとんでもないんだと。  申し上げさせていただきますと、これは事実これからも明らかにしていただきたいなというふうに思うんです。今回これまでずっと一連の報道が出てきて、防衛庁幹部は、返納額算定はあくまで行政裁量の範囲内のはず、会計検査院にもきちんと報告をしており、その金額が背任に問われるならもう仕事はできないということを報道に語っている。副本部長を事件にするならぜひ詐欺容疑での立件をお願いしたい、だめなら贈収賄で何とか。捜査が本格化したことし五月以降、東京地検に対し異様とも思える陳情を繰り広げた。地検検事は背任容疑での立件だけは勘弁してくれという意味ではないかということで、調本の正規手続を経て了承された返納額自体が罪に問われることになり、組織全体が国家への背任行為に加担したことになりかねないという危機感を防衛庁は持っているということで、これはずっと全国紙に報道されています。  これは、国民はこういう流れで見て、受けとめているわけです。すると、国民に対して、防衛庁として、政府として、きちんと明らかにする責任があると私は思うんですね、責任が。そういうことを私は、コメントの例とか遺憾という言葉も出しながら申し上げさせていただいているんです。捜査中というのはわかります。防衛庁としての姿勢はどうなんですかと。先日の外交防衛委員会で、八億数千万というのは正しい認識だというふうに前の装備局長は答えられているわけです。しかし、この前逮捕されたんですよ。どういうふうに御答弁されますか。
  67. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 私が報告を受けておりますことは、調達をめぐって企業側過大請求、それを見抜くことができずに過剰に支払いをしていたと。しかも、債権債務が消滅をしておったので、どうしたら過大払いを取り戻すことができるかということをまず先に考えて、また企業側も非を認めておったので、お互いの話し合いの中でどれくらいの額を返すことが適切であるかということを相談して、私契約的に和解的な話をまとめたと。それは、そういう事案が出てきたのは初めてのケースであって、前例がないためにお互いの話し合いで決めたというふうに聞いております。  それが、企業側あるいは調達本部側の幹部の中に、一定の目的、意思を持ってそういう契約を結んだかどうかということについては当時はわからなかったし、そういう意思が働いていたかどうかについては、我々は強制調査権も持っていないし、強制捜査をすることもできないわけですから、恐らくなかなか真実が明らかにできないところがあったんではないかと私は推察をいたしておるわけであります。そういう中で、今度こういう事案が出てきたわけでございますから、ここは司法当局、検察当局できちっと明らかにしていくことによって、私は国民の前に真実が明らかになっていくというふうに思っております。  私自身といたしましては、今、齋藤委員がおっしゃるように、この事件をこうしてほしいとか、ああしてほしいとかいう経緯があったことは聞いておりません。今私が考えておりますことは、国民信頼を失墜したことをどうやって取り戻すか、そのことが一番考えていることであります。  国民皆さん方に対しては、国の安全を守る防衛庁あるいは自衛隊においてこういうことが起こったことは、自衛隊と言うと大変失礼でありますが、防衛庁内でこういうことが起こったことは、私も二度とこういうことが起こってはならないということをすることによって、国民皆さん方にお許しをいただきたいというふうに思っております。また、こういう騒ぎをしたことは、防衛庁としても、大変私は責任を感じておりますし、申しわけないという気持ちもあります。
  68. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 御答弁いただいているんですが、私は率直に言って答弁になっていないと思うんですね。  国民に対して疑問になっていることが答えられていないということを言わざるを得ないですね。地検と防衛庁にやりとりがあったはずですよ。それはやっぱり明らかにした方がいいんじゃないですか、きちんと。聞いていないと言ったってまたすぐ出てくるはずですよ、大方の報道に出ていますから。余り断片的にこの場で防衛庁長官が、私は聞いていないとか、そういうことはなかったんじゃないかとかなんか言われると、またそのこと自体が問題になりますよ、これは。  だから、防衛庁防衛庁としての見解があるなら、それでずっとやってきた、それはここできちんと出してもらって、いずれにしろ、これから司法の場というか、地検も立証に向けてやるんでしょうけれども、見解が違うなら見解が違うというようなことを出さなきゃ、確かにスタート点に立たないんですよ、何を改めていくんだということについて。というのが私は一番問題だというふうに思います。だから、私は開き直れと長官に言っているんじゃないんですよ。これだけもう長い間国民の注目するところにあるんですから、防衛庁としてのきちんとした見解を出すべきだと、国会にも答弁をしているわけですから。  そこで、時間もなくなりましたので。返還請求は実務的には終わっているわけですね、返還請求の手続は。そうすると、今度は逮捕によって、そうじゃないんではないかと。金額もふえているんですが、これはきちんとした裁判、決着がつかなければ、もっと多額な、今度は金額がふえるわけですけれども、いわゆる国としての損害、国民の税金、会社に対して支払い請求というのはどの時点でするお考えですか。あるいは全くそれは考えてないとか。
  69. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 先ほどの齋藤先生の御質問についてですが、私が承知をしていないと言ったのは、防衛庁側で背任だけは取りやめてくれとか、贈収賄でやったらどうだとか、そういった御意見も齋藤委員おっしゃっておったので、そういうことを具体的には聞いていないということを申し上げました。  ただ、防衛庁といたしまして、この東洋通信機案件につきまして、東京地検に対しまして、防衛庁内部調査をしてきたこと、そしてまた防衛庁の考え方、あるいは防衛庁がどういうふうに評価をしているかということについて一定の報告書を出したということは聞いております。しかし、その中身は、今司法当局で捜査に入っておりますので、明らかにすることはその成り行きにも影響しますので、控えさせていただきたいというふうに思います。
  70. 及川耕造

    政府委員及川耕造君) 御指摘の、将来何らかの判決かあるいは起訴とかの中でさらなる国損という額が確定したらば支払うかどうかというお話でございますが、今捜査中でございますので、私どもどうするかということは控えさせていただきたいと存じますけれども、当然何らかのしかるべき措置というのは捜査の進展に合わせて考えていかなければいけないというふうに思っております。  時期等は御容赦いただきたいと思います。
  71. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 私の持ち時間がなくなったので、また別な機会にしたいと思いますが、大変不十分、不十分過ぎるなんという言葉はないんですが、大変不明朗である、このことを言わざるを得ません。  それから、先ほど天下りの問題が出ましたけれども、朝刊のコメントにもありますが、これも会社は天下りを押しつけられたということを明らかにしていますね。そんな中で、基本的方向、再就職について提言していただくため、そのあり方に対する検討委員会をこれから今設置するんでしょうけれども、こういうようなことだけでいいんだろうかと。このことに対しては、押しつけられたのかどうかということについて、きちんと事実を調べればわかることなんで、私は防衛庁として直ちに見解を明らかにすべきだというふうに思います。  時間が来ましたので、終わります。
  72. 高野博師

    ○高野博師君 それでは、この防衛庁背任事件について何点かお伺いいたします。  先ほど同僚委員からの質問もありましたように、この報告書というか、長官報告を伺っていても、当事者としての意識が薄いんではないか、この問題に対する自覚が足りないんではないかというふうに私は感じております。そもそもこの事件に対して、この報告書を見ると、原価差異事案と言っているんですが、これは全く他人事の表現でありまして、原価が違っていた、そういう案件ですと、こういうことなんです。  これは事件ではないかと。まさに背任事件であって、水増し請求事件であって、詐欺事件なわけです。それに対してこういう事案というような言い方をすると、真実というか実態をあいまいにする。この中には犯罪という意味合いは全く入っていないと思うんですが、その点について長官、どうお考えですか。
  73. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 私は、先ほども述べましたけれども、この問題については、確かに企業側の過剰請求、それから国の過大払い、言ってみればそういうことを見抜けなかった防衛庁としての体制が問われているというふうに思っておりますから、その意味では、司法当局が介在したので、今後これが明らかになっていく過程で、我々もそれを見守りながら、二度と起こらないようにしていきたい。そして、国民信頼をかち取っていくということに全力を傾注したいと思っております。  原価差異事件、案件というのについて、私もなかなかストレートにのみ込めない問題でありますけれども、実際問題としては水増し請求案件であるというふうに思っております。私もかつて新聞記者で、事件記者もやりましたが、これが逮捕の案件までなったものですから、これは一つの事件というふうにとらえてもいいと思っておりますが、真実は、これは検察庁が明らかにしていくことであろうというふうに思っております。
  74. 高野博師

    ○高野博師君 北朝鮮のミサイル発射事件、こういうのがあって、安全保障上の問題があるということで国民も大変不安に思っているわけです。そういう中で、一方で国の防衛に責任を持つ防衛庁の中でこういう事件が起きているということで、国民信頼は失墜しているということは大臣も先ほどおっしゃったとおりですが、政治生命をかけてこれに取り組むという決意がなければ、これは信頼回復なんというのはほど遠いんじゃないかと私は思うんですが、いかがでしょうか。
  75. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 私は、先ほども述べましたけれども、これは防衛庁及び自衛隊自衛隊員の二十一世紀におけるあり方を問われる、防衛行政あり方が問われている課題であると。だから、防衛庁内の改革を断行することによって国民信頼をかち取る以外にはないというふうに認識をしております。これは事務局にも日曜日に私は指示をいたしまして、それぞれの再就職問題、それから調達システムの透明化、公正化を図るための準備というか体制を整えろということを指示したところでありますから、高野委員のおっしゃるように、政治生命をかけてこれに取り組んでいきたいというふうに思います。
  76. 高野博師

    ○高野博師君 今、防衛庁内の改革を断行するとおっしゃられましたが、そうしますと、今回の事件は個人的な問題ではなくて防衛庁組織的な問題があるという認識でしょうか。
  77. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 組織的な問題ということで受けとめているということではなくて、この事件が組織的な案件であるということではなくて、我々は防衛庁として、こういう不祥事、こういう事件を生み出したということについて責任を感じる必要があると。だから、どこに原因があるのか、そしてどういうふうにすればそれが除去できるのか、そういうことを考えていくに当たって、防衛庁が総ぐるみで取り組んでいく必要があるという意味であります。
  78. 高野博師

    ○高野博師君 明快じゃありません。  個人であってもそれは組織内の人間ですから、組織全体として一定の責任があることは間違いない。そして、防衛庁長官はその長ですから、これは当然政治的なあるいは道義的な責任があると思うんですが、そこについての認識はいかがでしょうか。法的な責任は司法当局がやるにしても、長官としていかがでしょうか。
  79. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 事実関係は司法当局が明らかにしていくものと思っております。それに伴う行政あり方あるいは今後の行政あり方について、いいところと悪いところ、原因、結果をきちっと追求して、再びこういうことが起こることのないようにすることが私の責任であり、そうすることによって国民信頼を取り戻していくことが私の責任であるというふうに思っております。
  80. 高野博師

    ○高野博師君 今回のこの事件は、国防というもの、あるいは国防にかかわる予算、それは税金でありますが、これを食い物にしているという、こういう問題だと思うんですが、こういう防衛庁に本当に自国の安全保障を任せられるのかというのが恐らく国民の率直な気持ちではないかと私は思っております。  そこで何点かお伺いしますが、今回の過大請求の問題はこの四社だけなのか、あるいはほかにもあり得るのかどうか、これはもう徹底的に調査すべきだと思うんですが、これは氷山の一角にすぎないのかどうか、この辺はいかがでしょうか。
  81. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 今、この事案が発覚してから、再びこういうことが起こらないように、防衛庁に参加をしている企業、登録している企業について制度調査という形で、その会計部門について一つ一つ、一企業ずつ点検をしているところであります。向こう五年間で二百八十社を点検させていただきたいというふうに思っております。
  82. 高野博師

    ○高野博師君 これからやるということですね。
  83. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 今やっております。
  84. 高野博師

    ○高野博師君 やっているところですね。  それでは幾つかお伺いします。会計検査院は来ておられますか。——会計検査院は、この問題について防衛庁との間でいろんなやりとりがあったというような報道がありますが、一つは、この新聞報道によると、会計検査院防衛庁からのいろんな働きかけがあって、例えば就職のあっせんとか天下りとかあるいは接待とかこういうことがあって、この事実関係を隠ぺいしようという工作をやったという報道があるんですが、その辺の事実関係はどうでしょうか。
  85. 諸田敏朗

    説明員(諸田敏朗君) 昨日の毎日新聞によりますと、検査院への懐柔策が次々とあるというようなことが出ておりましたけれども、私どもといたしましては、懐柔されたという認識は持っていないところでございます。
  86. 高野博師

    ○高野博師君 就職のあっせん、天下り等についての何らかの働きかけがありましたか、防衛庁から。
  87. 諸田敏朗

    説明員(諸田敏朗君) 特にそういう形ではございません。
  88. 高野博師

    ○高野博師君 接待を受けたというような事実はありませんか。
  89. 諸田敏朗

    説明員(諸田敏朗君) 私としてはそういう事実は確認しておりません。
  90. 高野博師

    ○高野博師君 あなたのことじゃありません。会計検査院の幹部あるいはしかるべき担当官、これについてはどうでしょうか。
  91. 諸田敏朗

    説明員(諸田敏朗君) そういう事実はないと思います。
  92. 高野博師

    ○高野博師君 ありませんか。
  93. 諸田敏朗

    説明員(諸田敏朗君) はい、と思います。
  94. 高野博師

    ○高野博師君 わかりました。  それでは、この東洋通信機の問題について、会計検査院検査はどういう形でやったんでしょうか。あるいはやらなかったんでしょうか。
  95. 諸田敏朗

    説明員(諸田敏朗君) 調達実施本部の方から平成六年の六月に水増し請求といいますかこういう事案があったという報告がございまして、その後、平成七年の一月に調達実施本部に対して東洋通信機のこの関係について検査を行っております。
  96. 高野博師

    ○高野博師君 七月ですか。
  97. 諸田敏朗

    説明員(諸田敏朗君) 平成七年の一月でございます。
  98. 高野博師

    ○高野博師君 七年の一月。  それで、その結果はどうだったんでしょうか。
  99. 諸田敏朗

    説明員(諸田敏朗君) 東洋通信機の金額の詳細あるいは返納方法の考え方の説明を求めたわけでございますが、本件工数のずれあるいは原価差異を是正させたもので水増してはないということで、金額計算の裏づけとなる資料や説明は得られませんでした。そして、正確な金額の算定はできなかったわけでございます。  返納方法につきましては、その妥当性について疑問を述べましたが、水増してはないとして当局は処理の正当性を説明しております。その後約一カ月間にわたり調査しましたが、結局、東洋通信機の肩越し検査を必要とするような疑問を持つまでには至らなかったということでございます。
  100. 高野博師

    ○高野博師君 平成六年六月に防衛庁から報告があったということですが、この報告は義務づけられているんですか。
  101. 諸田敏朗

    説明員(諸田敏朗君) 特に会計検査院法に規定されたものではございません。特に義務づけられているものではございません。
  102. 高野博師

    ○高野博師君 では、この報告は義務づけられていないけれども報告があったから検査をやらなかったということでしょうか。
  103. 諸田敏朗

    説明員(諸田敏朗君) ですから、ただいま申し上げましたように、平成七年の一月に調達実施本部におきましてこの件について調査しております。
  104. 高野博師

    ○高野博師君 ですから、その一年の間はどうしていたんでしょうか、検査院は。
  105. 諸田敏朗

    説明員(諸田敏朗君) 報告平成六年の六月でございます。それから、最終的な調達実施本部として金額を確定したのがたしかその後でございます。したがいまして、その処理が終わったことを見てから平成七年の一月に検査を行ったということでございます。
  106. 高野博師

    ○高野博師君 新聞報道によると、調達本部東洋通信機の間で、会計検査院にこの事件が発覚した場合に対処するための覚書をつくっておいたというようなことが報道されております。これは、計算方法とか補正方法などについては翌年度以降見直すというようなことで覚書ができていたということで、言い逃れの覚書をつくっていたということなんですが、この事実関係防衛庁会計検査院はつかんでおりますか。
  107. 及川耕造

    政府委員及川耕造君) 私どもにはそういう報告はまだ来ておりません。存じ上げません。
  108. 高野博師

    ○高野博師君 会計検査院はどうですか。
  109. 諸田敏朗

    説明員(諸田敏朗君) 会計検査を免れるといいますか、そのために覚書を交わしたというようなことは私どもとしても確認はしておりません。
  110. 高野博師

    ○高野博師君 この覚書が事実だとすれば、これは覚書をつくった諸冨前長官、あるいは東洋通信機の方でこの問題について不正ということを認識していたということは明らかだと思うんですが、これもいずれ当局によって明らかにされると思います。  会計検査院防衛庁のいろんな金の動きをきちんと検査しなければだれもチェックできない、これが今の現状だと思うんです。その会計検査院がこの検査について、予算についてきちんとチェックする体制ができていなければこういう事件はほとんど我々は知り得ない、そういうことになるんですが、どうも会計検査院検査そのものが非常に甘いのではないか。新聞によってこういう懐柔策を受けたとか懐柔策があったとか、あるいは就職のあっせんを受けたとか、こういうことが出ること自体が非常に会計検査院信頼性を損なっていると私は思うんですが、いかがでしょうか。
  111. 諸田敏朗

    説明員(諸田敏朗君) 先生御指摘のとおり、そういう報道がされるということについては我々としてもやはりよく考え、また、もしそういうようなことがあるとするならばそれは当然直していかなきゃいかぬと思っております。  したがいまして、今回のこの事案につきましては、現在、さらにどういうところに問題があったかというようなことについては検査院内でも十分検討しているところでございます。
  112. 高野博師

    ○高野博師君 会計検査院のOBが防衛関係企業あるいは防衛庁が主管の財団法人、こういうものに天下りしていますか。
  113. 諸田敏朗

    説明員(諸田敏朗君) 財団法人に役員ポストとして勤務している者は、現在四つの財団法人に四人おります。
  114. 高野博師

    ○高野博師君 四つですね。
  115. 諸田敏朗

    説明員(諸田敏朗君) はい。
  116. 高野博師

    ○高野博師君 企業はどうでしょうか。この東洋通信機あるいは問題になっているニコー電子、あるいは四社についてはいかがでしょうか。
  117. 諸田敏朗

    説明員(諸田敏朗君) 四社に関しましては本院のOBは就職しておりません。
  118. 高野博師

    ○高野博師君 OBの子弟はどうでしょうか。
  119. 諸田敏朗

    説明員(諸田敏朗君) それにつきましては、現在だれがいるのかということで調査しておりますけれども、はっきりしました段階でまた御報告させていただきたいと思います。
  120. 高野博師

    ○高野博師君 けさの新聞によると、返納金の減額でこの上野容疑者が四つの条件をつけたと。その中に、会計検査院OBの受け入れとか幹部子弟の関連企業への採用等が入っているという、非常にこれは問題のある条件だと思うんですが、時間がないので、これはまた別の機会に追及いたします。  そこで、先ほどの長官報告の中に、このぺ一パーの中の七番目に自衛隊員の再就職に関してという報告があるんですが、自衛隊員の再就職問題と今回の事件はどういう関係があるんでしょうか。因果関係があるんでしょうか。
  121. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) この問題について、一つ調達本部仕組み透明性の問題、その背景に企業との関連についてマスコミ等で御指摘をされているところもあるし、また我々、自衛隊あり方を問題にしておりますことは、やっぱり自衛隊員の若年定年制という問題を抱えておりますので、定年になった後のライフサイクルを考えたときに、さまざまの企業にお世話になっていることもあるので、そういうことをもうちょっとスマートに透明性にしていくことが大切であるという問題意識でございます。
  122. 高野博師

    ○高野博師君 よくわかりません。  これは非常に大事な話だと思うんです。この防衛庁防衛産業、企業との関係あるいは水増し請求、こういう問題が起きてくる背景に自衛隊員の再就職問題があるとすれば、これは非常に構造的な問題であると思うんです。  しかし、事件そのものと自衛隊員の再就職とは全く関係ない話だと。もし因果関係があるというとらえ方をしているのであれば、これは自衛隊ができたときから構造的に、組織的に問題があるんだと思うんですが、そこのところをもう少し明快に答えてください。
  123. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) だから、私はこの問題は、二十一世紀防衛庁……
  124. 高野博師

    ○高野博師君 結構です。二十一世紀の問題じゃなくて、自衛隊員の再就職問題について聞いているんですよ。これが今回の事件とどういう関係があるのか、なぜ報告の中にこういう言い方をしているのかと、そこを聞いているんですよ。
  125. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) だから、私は二十一世紀防衛庁自衛隊行政あり方が問われている課題であるというふうな認識のもとにこの防衛装備調達の問題と自衛隊員の再就職の問題をとらえて、将来にわたって国民信頼をきっちりと確保していくためにこの問題を取り上げさせていただいたということであります。
  126. 高野博師

    ○高野博師君 ということは、それは事件と何らかの関係があるということですね。
  127. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) いえ、それは自衛隊員のこれからの、あるいは将来、人口が減っていく中で安心して国の、奉仕する活動に参加してもらう環境づくりをしていくための問題として取り上げたわけであります。
  128. 高野博師

    ○高野博師君 全然事件とは関係のない話をしているわけで、それは次元の違う話だと思うんです。  二十一世紀自衛隊をどうするのか、防衛庁をどうするのかという話と今回の事件とどういうかかわりがあるのか、直接的な因果関係があるのかないのかということを私は聞いているんですが、全然すりかえた答弁をしてもらっては困ります。
  129. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) それは、今まで私が申し上げてきましたように、この事件に直結するのは調達仕組み透明性にするということでございます。  しかし、もっと将来のことも、展望を踏まえて何が問題であるかということを考えたときに、この自衛隊員の再就職の問題があるから、私はきっちりと問題提起をさせていただいたということであります。
  130. 高野博師

    ○高野博師君 自衛隊員の再就職の問題等については、きちんとその待遇とか給料とかそういう部分で手当てをすべきであって、今回の事件の背景にそれがあるとすれば、自衛隊員の問題については根本的に変えなくてはまたこういう事件が起こり得るということになると思います。  時間がありませんので、これで終わります。
  131. 小泉親司

    ○小泉親司君 防衛庁背任事件について質問をいたします。  先ほど法務省からも御説明がありましたように、今回の事件は、四兆八千億円という膨大な防衛予算を持つ防衛庁調達実施本部元本部長と元副本部長が、東洋通信機の代金水増し請求返還を不正に減額して国に約十七億円の損害を与えたということでの背任容疑で逮捕されるという、前代未聞の重大な事件であるというふうに思います。私は国会の場でこの真相を徹底的に究明することが必要であると思いますが、私自身は、今回の事件は単に上野憲一容疑者や諸冨容疑者の個人的な事件にとどまらないで、防衛庁防衛庁ぐるみでこの問題について対処してきたという大変重大な事件でもあるというふうに思います。  そこで、まず防衛庁長官にお聞きしますが、先ほど長官のこの委員会での御説明の中で、背任容疑で逮捕されるという事態が生じたことは極めて遺憾でありますということをお話しになっておりますが、これは金額を減額した、つまりこの事件の背任容疑の約二十六億円近くを払うべきを約十七億円減額したという事実についても遺憾であるということですね。
  132. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) それは、これまで報告あるいは私が先ほども申し述べましたように、この水増し請求事件について、それまで一定のルールがない中でどうやってその過大に払った分を取り返すかということで、それなりに合理的な計算をして返還をさせていたという認識があったと思いますが、今度の事件発覚によって、それが背任という容疑で今度の事件が起こったものですから、大変にショックを受けたし、遺憾に思うということであります。  今後、この問題については検察当局が事実関係を明らかにしていってくれるものと思っております。
  133. 小泉親司

    ○小泉親司君 背任容疑の内容は遺憾ではないんですか。
  134. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) これは、内容については検察当局がこれから事実関係を明らかにしていってくれるものと思っております。
  135. 小泉親司

    ○小泉親司君 今回の問題は、そもそも外部からの情報で調査をして、結局不正が、つまり防衛庁が言う原価差異が発覚してその返還額を査定した、しかしその査定が圧縮されていたということですね。  問題は、先ほども同僚議員がお聞きしましたが、一番重要な問題は、八億七千四百万円という東洋通信機のこの査定の返納額、これがどういう根拠でどういうふうに査定されたのか。ここは防衛庁が自浄作用で、つまり自浄能力でできる部分なわけですから、どのような根拠でどのように査定されたのか、私はそこを明確にしていただきたいというふうに思います。
  136. 及川耕造

    政府委員及川耕造君) 八億七千万円の算定に当たりましては、企業の公的資料であります損益計算書をベースといたしまして、いわゆる決算報告書の中の損益計算書の中から防衛庁向けの売上高を算定いたします。さらに、その決算報告書等から売上原価、一般管理費、販売費、利益等、おのおののコストに当たるものを算出いたしまして、これらを合算して修正計算価格というのを算定いたしました。その差額分につきまして過払いというふうにしたものでございます。  ただ、先生御指摘のとおり、そこにおきます原価の構成要素というものをどうとるかというところで、容疑事実の中には疑義があるというふうに私ども承知いたしておるところでございます。
  137. 小泉親司

    ○小泉親司君 この返納額、八億七千四百万円は、平成元年、つまり八九年から平成五年、九三年までの金額を合計したものというふうに説明されておりますが、間違いございませんね。
  138. 及川耕造

    政府委員及川耕造君) 八億七千万、積算をされた期間ということでございますと、さようでございます。
  139. 小泉親司

    ○小泉親司君 八億七千四百万円の、それでは年度別に幾ら原価差異があったのか、その点をお答えいただきたいと思います。
  140. 及川耕造

    政府委員及川耕造君) 年度別の計算というのは、実は金利計算でございますとかそういうことで最終的にマクロ的に合算をいたしておりますので、算出いたしておりません。
  141. 小泉親司

    ○小泉親司君 おかしいじゃないですか、それは。いいですか、鴇田装備局長は五月二十七日の衆議院安保委員会でこう言っているんですよ。あなたが言うように、「企業において最も信頼性の高いとされております」「決算資料、損益計算書をもとに、対防衛庁向けの各年度の売り上げ、各年度の原価コスト、そういったものを包括的に計算をさせていただいて、各社ごとに計算をしたわけでございます。」と言っているわけでしょう。  私は、あなたが言っているように、決算資料や損益計算書でこのような原価差異返納額が決まるというふうに思っておりませんが、しかしあなた方が言っていることですから、各年度のその額を示せないというのはおかしいんですよ。なぜおかしいかといったら、それでは皆さん方の四社の会社はすべて五年単位の損益計算書をつくっているんですか、年度別でしょう。だから、その年度別であなた方がそういう調査をしたというのであれば、年度別に出ないなんというのは、あなた方の説明からしてもおかしいんですよ。
  142. 及川耕造

    政府委員及川耕造君) おっしゃいますように、それぞれの年度で差額をまず出します。差額を出した上で金利計算、税等々をあれいたしますので、最終的に八億七千万が各年度別にどうなるかというのは、合算が違ってくるということでございます。
  143. 小泉親司

    ○小泉親司君 では金利はいいですから、その前の、あなたがおっしゃっている一番初めの額は出せますか。
  144. 及川耕造

    政府委員及川耕造君) 今ちょっと手元にございませんので、後ほど検討させていただきたいと思います。
  145. 小泉親司

    ○小泉親司君 いや、それは出せるんですか。
  146. 及川耕造

    政府委員及川耕造君) 現在、そういう微妙なところの数字でございますので、捜査当局等に影響を与えるかもしれませんので、その辺も配慮させていただきまして検討させていただきたいと思います。
  147. 小泉親司

    ○小泉親司君 いや、何の微妙でもないじゃないですか。私は司直の手が入ってからの話をしているんじゃないんですよ。あなた方が以前からずっと説明していることをお聞きしているだけなんですよ。そうでしょう。全然微妙なものじゃないじゃないですか。おかしいじゃないですか、それは。各年度別のいわゆる返済額、そこを明確にしていただきたい。  つまり、あなた方は、それでは今まで防衛庁が八億七千四百万という返納額を、そういう数字、これについて先ほども同僚委員からお話がありましたように、鴇田装備局長は八億七千万円という金額は適切なものであるという認識を持っていると言っているわけです。官房長もそういう記者会見をしているわけです。あなた方は今までずっと司直の手が入るまでは適切だ適切だと言ってきたんです。ではなぜ適切なのか、そこを明確にしていただかないと私は困るというふうに思うんです。  ここは重要な問題ですから、本当に年度別のものを出せるのか。いいですか、実際に二十六億円あったわけですから、ひょっとするとその八億円、本来の返納額の計算は合計二十六億円だったかどうかわからないわけでしょう。それから、八億七千万円が恣意的にあなた方はやられたと言っているわけですから、その八億七千四百万円をどのように算定して、それが各年度にどのような金額であって、しかもどういうものであったかということを示さない限り、あなた方が適切だと言っているんだから、その説明にならないじゃないですか。その点はどうですか。
  148. 及川耕造

    政府委員及川耕造君) 先生、大変恐縮でございますけれども、恐らくその算出方法というものが現在適切だったかどうかという点が捜査の焦点になっているのではないかと思うわけでございます。したがいまして、ここでそれに関する資料等を提出させていただくことは、捜査に予断を与えるのではないかということで御容赦願えればと、こういうことでございます。
  149. 小泉親司

    ○小泉親司君 いや、司直の捜査の話をしているんじゃないんですよ。あなた方がこれまで国会でずっと適切だ適切だと答弁してきているが、子供みたいに適切だ適切だと泣き叫んでもこれは片づかない問題なんですよ。あなた方が適切だと言っているんだから、このように適切なんだと説明しない限り、事は司直の問題じゃないんですよ。  防衛庁長官どうですか。装備局長じゃちょっとらちが明きませんから、その点、防衛庁としてその金額を明確に年度別に、しかもその内容も深めて提出いただきたいと思いますが、いかがですか。
  150. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 私といたしましては、これまでどういうふうに受け取ってまいったのかというと、こういう水増し案件請求事件が起こって、それをじゃどういうふうに国の損を解消していくために一定のルールがない中で企業調達本部で話し合う中で返還の額を決められていったと。そこには合理的な算出方法と思われるものがない中で、お互いの話し合いで決められていったという意味で適切であったという表現があったのかもしれません。  今後、これが検察当局から問題ありというふうに指摘されているわけでございますから、これは検察当局が事実関係を明らかにすることによって我々も対応を考えていくことにならざるを得ないということであります。だから、そこの一定の算出方法あるいは算出額についても、当然司法当局の捜査の明らかになる過程で私は国民の前にさらけ出されるものと思います。
  151. 小泉親司

    ○小泉親司君 新聞報道では、この減額査定について例えばへ理屈でいいんだと、つまり適当な金額を見積もればいいんだという報道もあるんですよ。つまり、これは減額査定、減額査定といいながら実際は防衛庁がつかみ金でやっていた、そういう疑惑すらも持つ問題でしょう。だからここを、あなた方が適正だと言うのならそこを明確に示すべきだというふうに思います。それを示せないというのであれば、これはつかみ金だと言われても仕方ないじゃないですか。  それで、官房長にもお聞きしますが、新聞報道では、防衛庁は八億七千四百万円という返納額についてその処理の正当性を主張する見解を東京地検に送っていた、こういう報道があります。官房長のコメントもございますが、それは事実ですか。
  152. 藤島正之

    政府委員(藤島正之君) 先ほど来話のありました上申書に関する件だと思いますけれども、あの件につきまして先ほど御答弁したとおりでございまして、詳しい内容につきましては、今まさに捜査当局がやっている捜査関係する部分もございますので、控えさせていただきたいと思っております。
  153. 小泉親司

    ○小泉親司君 一言で言えば適切であったということを言っているわけですか。それぐらいはいいでしょう。
  154. 藤島正之

    政府委員(藤島正之君) 当時の我々が知り得た事実の中からしますと、ああいう考え方もあるんだというようなことが内容の一部にあるわけでございます。
  155. 小泉親司

    ○小泉親司君 もう一つ会計検査院にお聞きします。  会計検査院の方は、昨年の十一月の衆議院決算委員会調本計算した過大請求額について、「著しく実情に沿わないものとは認められなかった」という御答弁をされておりますが、これは事実でございますか。
  156. 諸田敏朗

    説明員(諸田敏朗君) このように答弁したことは事実でございます。
  157. 小泉親司

    ○小泉親司君 これはおかしいじゃないですか。もともと防衛庁自身がそれ自体も明確な資料が示せない段階で、どのようなあなた方検査をして、著しく不正な請求はなかったというふうに断定されたんですか。それは重大な問題ですよ、あなた。
  158. 諸田敏朗

    説明員(諸田敏朗君) 今、こういう答弁をしたかということでして、そういう答弁をしたと言ったんですけれども、実は会計検査院が指摘する場合には、契約ごとに原始伝票等の数値をチェックして算定する方法をとっております。しかしながら、今回の件におきましては、調本において契約ごとの個々の伝票類について整理保存されていないということから、今回の処置は決算書等に基づいて金額を算定したと説明しておりました。  いずれにせよ、金額につきましては個々の伝票類を検証できないため、正確な算定を行うことは困難な状況でありました。したがいまして、当時調達実施本部計算した金額についてこれを否定するということができなかったということでございます。
  159. 小泉親司

    ○小泉親司君 否定することができなかったということと「著しく実情に沿わないものとは認められなかった」というのは、全然違いますよ。あなた方はそういう事実はなかったということを言っているんじゃないですか、これ。
  160. 諸田敏朗

    説明員(諸田敏朗君) ですから、私は、正しいということじゃなくて、あくまでも確認はできなかった、それを否定することはできなかったという意味で答弁しているわけでございます。
  161. 小泉親司

    ○小泉親司君 新聞報道では、さすがに最近はないが、以前は調本幹部が検査院課長クラスを年に数回懇親会に連れ出した、飲み代は検査の重点対象になった企業が払ってくれる、六本木では目立つから企業の工場所在地にある料理屋などを使ったと、こういう報道もあるわけですよ。これはあなた方、この問題を明確にしない限り、実際に防衛庁自身が不明確な資料しかないのに、あなた方が検査をして、その検査したものが著しく実情に沿わなかったものとは認められなかったという判断をしたというのは、私はこれは検査院の仕事としては非常に重大だというふうに思います。  時間がないので、先に進めさせていただきます。  もう一つは、いわゆる天下りの問題であります。  今回の事件の報道では、東洋通信機について諸冨元調達実施本部長がうちの人間を役員に採るようにとして、減額と引きかえにいわゆる天下りを要求してきたことが明らかになっております。私は、防衛庁がこの点でも防衛庁ぐるみでこの天下りを進めて、関連企業との癒着を深めているというふうに思います。  そこでお聞きしますが、東洋通信機で受け入れたとされる元防衛庁参事官は五月二十一日の毎日新聞のインタビューで、「当時の官房長から「過請求などの問題があるので行ってくれ」と言われた」というふうに答えております。当時の官房長はこういうふうな事実を知っていたんですか、知らないんですか。その点は防衛庁調査をされておられますか。
  162. 藤島正之

    政府委員(藤島正之君) 確認はいたしておりません。
  163. 小泉親司

    ○小泉親司君 報道でも資料でも、防衛庁の天下りというのは、防衛庁の登録会社の天下りでも過去十年間で千三百二十一名あるんですね。そのうち役員として天下った人は二名なんですよ。あとほとんどはつまり非役員ですね。このことはもう防衛庁の資料ですからおわかりになると思いますが、つまり二年間はまず役員以外に天下りさせる、そうすれば法の網にかからない。役員もまず自分の命までの過去の仕事と関係ないところに行けば、これも法の網にかからない。  だから、例えば自衛隊法第六十二条で防衛庁は天下りの規制をやっているというふうにおっしゃっておりますが、この中では、例えば天下りをする上で企業と密接な関係がある場合には審査会で審議をしてこの天下りを認めるということになっておりますね。この審査会の対象になった天下りの件数というのはこの審査会ができてから何件ありますか。
  164. 坂野興

    政府委員(坂野興君) この審査会ができましてから、離職者就職審査会に諮って承認したという件は一件もございません。
  165. 小泉親司

    ○小泉親司君 全く野放しということなんですよ。全くないということでしょう。つまり、自衛隊法六十二条で天下りの規制をやっていると言いますけれども、実際規制は全くないんですよ。だから、今度の上野憲一容疑者のように、実際に防衛生産管理協会といういわゆる公益法人に天下りをする、その一方で、自分たちが関係してきた今度の四社事案、いわゆる防衛庁の言葉でありますが、四社事件の一つ企業である藤倉航装からコンサルタント契約も結ぶといったようなことで、実際にはそういう仕組みがやはり私は温存されているというふうに思います。  時間がないから先に行きますが、その意味で、これは朝日新聞の報道でありますが、防衛庁はこれまで三百社以上に天下りをしているため、OBの就職状況という資料を持っておられるというふうに聞いておりますが、防衛庁はそれは持っているんですか。
  166. 坂野興

    政府委員(坂野興君) 資料と申しますと、調達実施本部の方でいろいろ会社の協力を得たりしながら作成している資料ということかと思いますが、そういった資料があるということは事実でございます。
  167. 小泉親司

    ○小泉親司君 新聞の報道によりますと、防衛産業の主要企業百三十五社に約千四百二十人に上る防衛庁OBが天下っているというデータが「防衛庁OB就職状況」と題した名簿に明らかになっていると。この中では、いろいろと言われているけれども、例えば退官五年前までに従事した部署とかかわる企業の役員にならないために顧問や嘱託の形で入社しているなどと言われているというような指摘がありますが、この就職状況と題した名簿を提出することは可能ですか。
  168. 坂野興

    政府委員(坂野興君) これは会社の御協力を得ながら作成したということで、また、その名簿そのものに記載されている方々も既に民間人ということでございますので、プライバシーということもございまして、提出は差し控えさせていただきたいというふうに思います。  それから、先ほど先生の方からお話がございましたが、全く規制がないんではないかということでございますが、現在の規制のあり方のよしあしについてはいろいろ御議論はあろうと思いますし、そういった点を踏まえまして、長官からも先ほど御説明がございましたように、再就職あり方について検討したいということでございます。  現在のところは現在の規制の仕組みに従って再就職をしているということでございまして、規制が全くないということは不正確ではないのかなというふうに理解しております。
  169. 小泉親司

    ○小泉親司君 時間が参りましたので最後にいたしますが、やはり私は今度の事件で、先ほども質問いたしましたが、防衛庁が十分な根拠も示せないままにこの事件をうやむやにするというのは私は間違いだというふうに思います。  これからの対策をとるためにも、きちんとやはり真相究明がなされなくちゃいけないということが第一点。もう一つは、やはり天下りの規制の問題でも、規制があると何か最後にもおっしゃいましたが、実際に庁内で問題を片づけるというんではなくて、この問題というのは非常に重要な問題でありますし、これから防衛庁企業とのいわゆる関係を規律していく上でも非常に重大な問題でありますので、その点では国会にきちんとそういう点を、名簿などもしっかりと出してきちんとやはり国会の場でも規制していくということが必要だというふうに思います。  その点、最後に防衛庁長官にお聞きして、時間が参りましたので質問を終わります。
  170. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 今度の調達本部事件を契機に、防衛庁それから自衛隊に対する行政あり方が問われているという認識をしております。その解決をしていくためにどうしたらいいかということの一つは、調達本部仕組みをどうするかということであり、また自衛隊員皆さん方に将来に向かってやっぱり希望を持ってもらう、誇りを持ってもらうという意味で、再就職の問題も取り上げて検討してまいりたいというふうに思っております。
  171. 田英夫

    ○田英夫君 今回の事件の事実関係については同僚委員から既にいろいろな角度で質問が出ておりますので、私は、やや視点を変えてこの問題について考えてみたいと思います。  今回の事件を見てみますと、この仕組み自体を検討し変えていかないと今後もこの種の事件が起こり得るというふうに考えざるを得ないんですが、以前にアメリカで一時非常に問題になった軍産複合体という言葉があります。これに類するような状況自衛隊あるいは防衛庁を中心にして日本の軍事産業界と既にできつつあるんじゃないかという気さえするんです。  軍産複合体というのは、百科事典を引いてみましたら、軍部と巨大軍事産業が癒着した連合体によって外部からの統制がきかなくなったそういう体制をいうという言葉がまずありまして、実際にこれが問題になったのは一九五六年にアメリカの社会学者のC・W・ミルズという人が書いた本で、「パワー・エリート」という本でこの点が鋭く指摘されたと、こう書いてあります。その紹介の中で、天下りの人的なつながりが生ずるという大変今回のことにもつながるそういう指摘が既に行われております。  そして、一九六一年にあのアイゼンハワー大統領がやめるときに、離任の演説で、アメリカに軍産複合体が存在するということをはっきりと認めたわけですね。それで、これは大変歴史に残る名演説と言われた演説ですが、アメリカのしかも軍人出身のアイゼンハワー大統領が軍産複合体の存在を認めたということで大変ショックを与えたわけですけれども、話が少し大き過ぎるかもしれませんが、日本でもそれに類するそういうものがもしできつつあるとするならば、これはゆゆしきことだと、こういう視点を防衛庁長官、お持ちになりませんか。
  172. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 今の軍産複合体というお話につきまして、いろいろな活字ではそういう文字を見たことがあったなという程度の印象でしかありませんでした。  今、田先生からいろいろお聞きをしましたが、我が国防衛産業の場合、それでは、この巨大な我が国の経済規模の中でどの程度を占めているのかというと、ここ最近のデータだと〇・六%である、それから防衛産業各社の総売上高に占める防衛生産の割合というのも大体数%であるというふうに聞いておりまして、これはいわゆる軍産複合体ということにはなっていないんではないかというふうに私は認識をするものです。
  173. 田英夫

    ○田英夫君 実は私もその点調べまして、今、長官おっしゃったと同じ〇・六%という数字をつかんだんですが、つまり日本のこの大きな産業といいますか経済の中で、防衛庁自衛隊に供給される部分というのは〇・六%、一%にならない、それは事実です。そういう意味で、私はやや大げさかもしれないと申し上げたんですが、規模は小さくてもそこに軍産複合体的な結びつきが防衛庁と兵器産業の間にできつつあるんじゃないかということを警戒しておかなくちゃいけないんじゃないか。アメリカの場合は明らかに現在も私はあると思っています。  例えば、私は反対しているんですが、今、防衛庁でTMDの研究費というようなことがこの間の北朝鮮の弾道ミサイルを契機にかなりはっきり出てきておりますが、一部ではこのTMD構想というもの自体アメリカの軍産複合体の発案ではないかという、そういう指摘もあるんですね。SDIがだめで、次にお金のかかるものは何だというような発想があるんじゃないか。もちろん軍事的に弾道ミサイルというものが非常に新しい撃破困難な兵器として出てきたから、それに対してという軍事的なことはもちろんあり得るわけでしょうけれども。  もう一つ指摘しておきたいのは、軍産複合体というものはそんなに強固なものではないという論拠として、ベトナム戦争が終わった後、アメリカは大変大幅な軍縮をやって、いわゆる戦艦などはほとんどなくなつちゃったというようなことができたのは、実は軍産複合体というものがアメリカで強大な存在なら軍縮なんてできなかったんじゃないか、こういう論なんです。しかし、昭和の初めに日本でも同じようなことがあって、大軍縮を不況の中でやって、そしてこれは軍部の台頭を許す一つの原因になった、こういう苦い経験もありますね。ですから、よほど軍産複合体ということを、規模が小さいからといって無視しない方がいいんじゃないか。  具体的なことをちょっと伺いたいんですが、今度の事件を調べてみると、防衛庁調達のやり方あるいは相手方の産業、そういうこととの関係で見ると、まず契約のやり方というのは何種類、どういう形であるのか、まずそこからお聞きしたいと思います。
  174. 及川耕造

    政府委員及川耕造君) 調達実施本部におきます契約方式は三種類ございます。一般競争契約、それから指名競争契約、それと随契でございます。
  175. 田英夫

    ○田英夫君 おっしゃるとおりなんですが、私の持っている資料で、金額の点で見ますと、何と随意契約が八五・七%、一般競争契約とか指名競争契約、これが一般的には官庁では大部分であるはずなんですが、これは極めて少ない、金額でいうと。件数で見ると、実はほとんどイーブンなんですね。でもそれは、一般の官庁に比べると随意契約がやっぱり多いですね、三四・九%、件数でいうと。どうして件数では随意契約が三四%で金額では八五%なんだろうと。これは何かお気づきの点がありますか。
  176. 及川耕造

    政府委員及川耕造君) 詳しく分析をいたしておりませんので、もしかしたら間違っているかもしれませんけれども、随意契約の多くはやはり大きなプロジェクトのものが多いということだろうと存じます。何年国債でございますとかあるいは継続費といった、大きな船あるいは飛行機等々は皆随契でございますので、件数の割には金額がかさばるということではないかと存じます。
  177. 田英夫

    ○田英夫君 私もおっしゃるとおりのことに気がついたわけです。だから、なおさら問題だと思うんですよ。  それから、もう一つ調べてみますと、問題なのは、日本で武器を買うというところは防衛庁しかない。つまり、買い手は一人しかいないということですよ。それから、相手のいわゆる兵器産業といいますか、そういうところも極めて少ない。長官の冒頭の発言の中で会社の名前が幾つか挙がっておりますけれども東洋通信機以外に日本工機株式会社藤倉航装株式会社ニコー電子株式会社というようなものが出てきたという御発言がありました。  例えば藤倉航装というのはパラシュートを納めている。パラシュートの需要なんというのは、もちろん飛行機を飛ばすときには必要なわけですが、ほとんど大部分自衛隊じゃないですか、防衛庁じゃないですか。そういうふうに限定をされている。製作する方も限定されている。買う方は一つしかない。こういう極めて異例な経済。  普通、経済は、競争入札にして、何社もあってその中から競争させる、それで、できるだけ安いものにするというのが当たり前なんですけれども、競争原理にした市場経済の原理が働かない状況になっているという、このことを長官どういうふうにお考えですか。
  178. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) これは、航空機に関するあるいは兵器に関する法律がありまして、確かに膨大な設備投資が要るとか技術力が要求されるとか、そして需要も一定の枠内である、供給体制が競争原理を働かせてむだな投資をして企業の存続に重大な影響を与えかねないということもあり、ここのところはやはり一定のほかの汎用品とは違う原理が働かざるを得ないところがあるかなという感じを抱いております。
  179. 田英夫

    ○田英夫君 残念ながらもう時間なんですが、長官がおっしゃった防衛調達制度調査委員会を既に計画されているようですけれども、先ほどから問題になっているような技術的といいますか、そういう調達の技術的な問題だけでなくて、今の極めて基本的な、原理的な、もっと突き詰めて言えば、最後は軍産複合体というところまで含めて有識者から意見を聞いていただきたい、そういう中で調達透明性がある本当に正しい調達のやり方を考え出していただきたいということを申し上げて、終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  180. 田村秀昭

    ○田村秀昭君 今回、こういう刑事事件が発生したということは、私は防衛庁自衛隊の出身者として非常に残念であるし、早く司法当局によって解明されるように期待しております。  こういう問題がなぜ起きたのかということについて、私は政治が軍事を戦後避けて通ってきたからだというふうに思っております。行政だけの責任ではありません。今、自衛隊員の子供というのは、小学校のときは、君のお父さんは何している、自衛隊員、こう胸を張るわけですね。中学の後半から高等学校に入ると、君のお父さんは何していると聞くと、防衛庁と答えるんです。それで、大学に行くと、君のお父さんは何していると言うと、公務員、こう答えるんです。これが現在の大体自衛隊員の息子さんの、国家が防衛に対してきちっとした位置づけを与えていないために、こういうよその国ではあり得ないような現象を来していると私は思うんです。  それで、私は何回も総理大臣にお尋ねしているんですが、自衛隊は一体軍隊なのか、軍隊じゃないのか、何なんだと。防衛庁長官しかきょうおられませんから、軍隊なんですか軍隊じゃないんですか、もう一度簡単にお答えください。
  181. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 我が国自衛隊の場合は、憲法上の枠内で自国の安全を守る、専守防衛、攻められてきたとき国民を守り、平和を維持していくということでありますから、その意味では欧米諸国の軍人とは若干違うんじゃないかという印象を……
  182. 田村秀昭

    ○田村秀昭君 だから、軍隊でないんですね。軍隊でないわけです。  ですから、自衛隊の任務は崇高なものと言いながら、ここ五十年、何ら自衛隊員に対して実体の伴う措置をとってきていないんです。だから、新聞とか同僚議員もおっしゃっていましたけれども、天下りというのはほかの省庁と全然違います。ほかの省庁は、特殊法人、公益法人の理事長として入って再就職をして、退職金をもらってまた次のところに行くというのがほかの省庁のキャリアの皆さんのやっておられること。  我々の同僚で司令官や何かやった人が、今現在パートナーの米軍の軍人がリタイアする、自分もリタイアする。向こうの家族が日本に来る。そうしたときに、手紙が来てぜひ会いたいと向こうが言ってくる。そのときに何と答えているか。来たときには会食しなきゃいけません、お金を払わなきゃいけません、そういうお金がありません。だから、私はちょうどその期間東京におりませんという手紙を書いて、全くこんなことじゃ日米友好にもならない。そういうのが現実なんです。  再就職というのは生きるために、生活するためにやっているんです。だから、国家が七十歳まできちっとそれを保障してください。そうすりゃこんな問題は絶対起きない。(「だからといって悪いことをしていいというもんじゃない」と呼ぶ者あり)いやいや、原因を言っているんです。これを悪いことだと言っているわけです。だから、原因を、なぜそんなことが起きたんだろうかということを私は今問うているんです。  ですから、そういうことで十分だというふうに防衛庁長官はお考えなのかどうか、お答えください。
  183. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 今度の事件をきっかけとして防衛庁自衛隊行政について考えましたときに、やっぱり基本的に考え直す必要があると。どういうふうにしたら問題解決になるかということの一つとして自衛隊員の再就職の問題を取り上げて、これを広く議論して考え方をまとめてみたいというふうに思った次第であります。
  184. 田村秀昭

    ○田村秀昭君 それともう一つは、こういう防衛調達の、いわゆる旧軍では工廠を持って陸軍、海軍が設計、製造、修理をやっていたんです。自衛隊になってから、両方やると非常に国家的に非効率だから民間にそれを依存しようということで、防衛計画の大綱あるいは中曽根長官のときに適切な国産化を通じて防衛生産、技術基盤の維持に努めるという国家の方針を出したんです。  そういう意味で、私はなぜそういう詐欺事件、水増し請求をしたのかよくわかりませんけれども、現在、防衛庁としてはきちっとしたそういう防衛の基盤を育成するという立場に立ってその会社が新しい研究開発もできるような、そういう措置をおとりになっているんですか、なっていないんですか。
  185. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 日本の防衛力を支えるものの一つは、生産基盤をきちっとしておくことも大事なことであるから、健全な適切な防衛産業育成のために意を注いでいるということは従来も、これからも考えていくべきであると思っております。
  186. 田村秀昭

    ○田村秀昭君 私は、非常に防衛庁、国の方針が適切に防衛基盤を育成するようになっていないんじゃないかというふうに思っています。  それで、きょうは総理府から来ておられますが、先ほどの自衛官あるいは防衛庁の職員の皆さんの位置づけというものが非常におかしいという一つの例として、在日米軍司令官というのは一、二年在職して勲一等をもらいます。統幕議長経験者は勲二等になっています。階級は在日米軍司令官は中将です。防衛庁の統幕議長は大将です。軍隊じゃないから、大将とは言わないけれども。それに匹敵するやつです。どうしてそれが勲二等になっちゃうんですか。アメリカには一等を上げて、階級の高い人が二等なんですか。よく御説明ください。
  187. 榊誠

    政府委員(榊誠君) 在日米軍司令官に対しましての叙勲の考え方でございますが、我が国防衛に関します功績を考慮いたしまして、皆さんが任務を終えまして離任するわけでございますが、ちょうどその機会をとらえまして叙勲の対象としておりまして、儀礼的な性格をもあわせ持つものでございます。  これに対しまして、自衛官を含む公務員の方に対する叙勲の考え方でございますが、この方の公務員としての職歴とか長さを中心にいたしまして、全生涯にわたります国家、公共に対する功績を総合的に勘案して叙勲をするということでございます。統幕議長を含みます自衛官につきましても同様な考え方で叙勲を行っているところでございます。
  188. 田村秀昭

    ○田村秀昭君 叙勲一つとってみても、国内的に見ても非常に防衛庁自衛隊は低いということはもう自明の理であります。したがって、国民の生命、財産を守る、そういう人たちというものを低く取り扱っているんだ。これは政治の責任でもあると私は思っていますが、そういう状況の中でこういう問題、詐欺事件が起きた。これは徹底的に解明していただきたいと私は思います。  最後になりますが、もっと、つまり自衛隊を軍隊として認知する、あるいは有事にちゃんと動けるような有事法制を整備する、殉職者の遺族に対しては手厚く特別年金を給付するとか海外に出動する隊員には特別な加俸を与えるとか、戦える自衛隊改革しなければ、小さなところで修正しても根本的に本当に国民に期待される有事のときに精鋭な部隊にはなり得ないと私は現状を見て思っておるんですが、最後に防衛庁長官の御見解を伺いたいと思います。
  189. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 田村委員の御見識あるお話を今伺いまして、私といたしましては自衛隊員皆さん方が、こういう事件が起こって大変国民皆さん方にも申しわけないという気持ちを持っておりますし、この信頼を取り戻すためには自衛隊員が我々と一緒に信頼回復のためにどうしたらいいかということを、きっちりとやっていくことから始める必要があるというふうに思っております。  そのために、先ほど申し上げましたように調達本部仕組み、それから将来の自衛隊員あり方、そういうことを一つ一つ改革していくことによって国民信頼を取り戻し、そして自衛隊員の生気ある活動に結びつけていきたいというふうに思っております。
  190. 田村秀昭

    ○田村秀昭君 終わります。
  191. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 今回のような不祥事、これは絶対に二度とあってはならないことだ、もう言うまでもないことでありますけれども、そう考えております。自衛隊の名誉のためにも、防衛庁に対する国民からの信頼確保するためにも、絶対に再発を防止する、大変重要なことだと思います。  そういう意味で、どうして今回のような事件が起きたのか、起きざるを得なかったのか、原因がどこにあるのか、その対策はどうかということについて今回の事件を材料としてお互い議論をしていく、これが一番大切なことだろうと思っております。  そういう観点から二、三の点についてお尋ねいたしたいと思いますが、最初のお尋ねは、東洋通信機から水増し請求があった時点調達本部の経理がなぜその水増し請求を見抜けなかったのか、発見できなかったのか、こういうことであります。  経理というのはその道のプロでありますから、朝から晩までこの仕事をしておって、それで飯を食っている。どこの役所に行きましても、会計というのはそういう連中が頑張っておって不正を見抜く、発見するという仕事をしているわけであります。防衛庁だけ特別だということは一切ないんです。  ところが、今回のケース、後になって調べてみましたら、何か百億もいくんじゃないかとか六十億いくんじゃないかとか、最終的には先ほど法務省の説明では二十数億でそれを八億に減額したというところが問題になっておる、こういうことでありますが、たとえ仮に百歩譲って八億の不正だった、水増しだったと、こういたしましても、八億というのは膨大な額であります。たかだか千円を見逃したとか百万円見逃したとか、そういう問題じゃないのであります。  先ほど伺いますと、百数十名の職員がおる。皆経理のプロですから、請求書を見ればこれはちょっとおかしいな、同僚と議論してこれはこれでいいんだろうかと。彼らの間で結論が出なければすぐ課長、部長、場合によっては次長、調達本部本部長にまで問題を持ち上げて、これはどう対応すべきか、水増し請求であるからしてきちっとこれは反省を求める、そういうことが当たり前の経理処理として行われているんだろうと私は思いましたけれども、どうもそうではなさそうなんです。  勘ぐれば、勘ぐりなんですけれども、もう面倒くさいから持ってこい、おれたちはめくら判を押してやる、幾らでも適当なものを持ってこいというような感じでずっと防衛庁の会計事務、調達本部の経理事務が処理されてきたのかなという疑問すら抱いておるわけであります。水増し請求というのは別にこれに限らないようで、あっちの会社こっちの会社皆あったというようなことでありますから、なぜその段階でまず経理担当者がこの水増し請求を見抜けなかったのか、その点どう考えられておるのか、ちょっと説明してください。
  192. 及川耕造

    政府委員及川耕造君) まさに先生おっしゃるとおりで、大変残念なわけでございますが、先ほども議論ございましたように、防衛装備品というのは一社かせいぜい二社ぐらいしかその物がつくれないような産業構造になっておりまして、したがいまして他の会社と比較してこれがどうもおかしいとかいうのがなかなかできない点がございます。特に、工数というのは、昨今のように非常に難しいばらばらの多様な装備品の中で、これがどのぐらいかかるものなのかというのはよほどの専門的知識と経験がないとできないことも事実でございます。  ただ、それをチェックする手法が幾つかあるのではないかというふうに思っておりまして、例えば今、先生も若干御示唆をされましたように、全会社工数を集めてみれば、それが水増ししていればトータルで彼らが申請してくる数字と違うはずでございます。ただ、残念ながら防衛庁の場合、調達実施本部だけが契約しているわけではございませんでして、各陸幕、海幕、空幕等々もやっているわけでございます。それらを全部集計して定期的にこの会社についてはこの程度、どうも最近多いんじゃないかというようなことがチェックできればダブルチェックができたんじゃないかと思っております。そういう点につきまして今回の委員会等で御議論いただき、そのチェックするシステムをつくりたいというふうに思っておるところでございます。
  193. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 どうも説明を聞いておりますと、特殊な部門であるからして不可抗力に近いようなおっしゃり方をするんですね。そうすると、また同じようなことが起きます、起きざるを得ないんではないかという気もいたすわけであります。先ほど私は経理のプロということを言いましたけれども、プロというのは何も特別な才能を持っているわけじゃないんであって、その分野での専門家、それで飯を食っているわけですから、これを見なきゃ、ほかのやつと対応してみなきやわからぬとか、情けない限りだなと思うんですよ。  恐らく研修などでも徹底してやっておるんでしょうけれども、大体その道のプロともなればちらっと見ただけでこれはおかしいぞというような感じがしてくるわけですよ。そういう専門家がいるのかいないのか、大変不安です。また、これからも起きざるを得ないのじゃないかなという気がしますよ。  それから、内部告発があって調査をして、八億余りの過払いがあった、それを返還させるというような結論に到達したと。なぜ最初の請求を受け付けた段階で見抜けなかったのか。それは徹底して調査をしたと思うんです。一体だれに責任があったのか。経理担当者はその請求書を見てめくら判を押したのか。徹底して研究した結果、これでやむを得ない、これがいいんだということで支払いを認めたのか。それは内部議論をしたと思うんですけれども、どういう議論をしてどういう結論になったのか。何年か前の話ですけれども、お調べになっていると思いますので、明らかにしてください。
  194. 及川耕造

    政府委員及川耕造君) まず、これを発見いたしましたのは、今回逮捕されました上野本人でございます。彼は確かに原価のプロでございまして、彼のところに上がってきた段階でこの工数はおかしいのではないかという指摘をしたところから調査が始まっております。したがいまして、彼の指示に従いまして関係の工場等に行き、特別調査実施し、そして工数の差異を把握した、こういうことでございます。
  195. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 八億の調査をして算定を出しました、それと並行してなぜ水増し請求を見抜けなかったのかという観点から調査をなさったでしょうと、こういう質問なんです。  そうして、一体、窓口で一番に受け付けたそういう係官に問題があったのか、それを指揮監督する課長、部長が見抜けなかったのか。その辺もやっぱり再発防止という観点から十分な研究をし、調査をし、議論をしただろうと思いますので、そのことを私は伺っておるんです。
  196. 及川耕造

    政府委員及川耕造君) 当時、その点につきまして先生おっしゃるような形での検討を深めたという形跡は必ずしも十分見当たりません。ただ、現在私ども、まさに先生おっしゃる点が問題だろうと思っておりまして、調本の方で二月に発表いたしました再発防止策におきまして、職員の資質の向上、意識改革、あるいは民間、他省との交流、公認会計士の方たちの活用等を再建策の一つの大きな柱として打ち出しているところでございます。
  197. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 これだけの問題が起きましたら、どこの役所でも対策委員会というのをすぐつくりまして、そして徹底して原因は何だ、どこに責任があるんだと。八億もの過大な水増し請求を見逃した、こういうことになれば、担当の課長、部長もただでは済まないと思いますよ。それから、場合によったら調達本部長官というんでしょうか本部長というんでしょうか、その人たちの進退問題も起きてくるような問題です、これ八億でありますよ。  そんなものは防衛庁全体の予算から見たらごくわずかだ、余り先生気にしないでくださいよ、そういう腹があるのかどうかわかりませんけれども国民サイドから見れば八億もの水増し請求を見逃していたのか、一体何をやっているんだろうという気を持つのは当然だと思います。  検察に言わせると、いや八億じゃ済まない、二十数億だと、新聞に言わせると、いや百億近いんだと、そういう話も出ておりまして、一体法律を、会計準則を守れない防衛庁が、自衛隊が国を守るなんという大きなことを言わないでくれという人もいるかもしれません。まず、そういう細かいことを、細かいかどうかわかりませんけれども一つ一つ守っていって初めて我々は国を守っているんだという気概、気迫を持って返答できるんじゃないか、こういう気もするんですけれども、どうも余り会計準則上の遵守ということ、これを守っていないような気がしてしようがない。  そこで、先ほども議題に出ておりましたけれども、この七月に防衛庁から検察当局に対して上申書が提出されたという話でありまして、その中身の要点、新聞によりますれば、この問題の解決には安全保障の観点からの総合的な判断が必要だと、それから幾ら減額してやるかということは行政裁量の問題だと。要するに、司法当局の介入するような問題じゃございませんよということを言いたかったんだろうと思うんですけれども、これは防衛庁の名前で出されている上申書ですから、当然次官、大臣の了承も得て検察当局に出されたものだろうと私は考えております。あの時点での防衛庁のすべてがあそこに凝結されていると考えていいと思いますけれども、これ、安全保障上の観点からなんてそんな大げさな話じゃないんですよ、会計準則だけの話ですからね。  そんなことを言い出せば各役所皆同じことを言いますよ。建設省だって大変重要な仕事をしている。いかほどのことをやるのか、これは行政裁量の問題だとか、特に防衛庁だけが大変な仕事をしているわけじゃないんですから、会計準則を守っているかどうか、それから計算してみたら、それが八億になるのか二十何億になるのか知りませんけれども、裁量でまけてやるとかまけてやらないとかそんな問題でもないのでありまして、防衛庁長官はこの上申書を恐らくごらんになっていると思いますけれども、今私が申し上げたような観点から、防衛庁のこういう考えが通用する話なのかどうかもう一度内部で議論をしていただきたいと思います。  多分、議論をいたせば、私が今申し上げているようなこんなものは会計処理だけの話なんだ、大げさなことではないんだと、やっぱりきちっと一つ一つ基準を守っていく、それが我々の務めなんだということになろうかと思いますので、その点をお約束できるのかどうかお願いしたいと思います。
  198. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 今の佐藤委員の御指摘のとおり、やっぱり一つ一つきちっと解決をしていくことが大事であるというふうに思っております。そういうことをやっていくことによって国民信頼が回復されていくものという意味では、佐藤委員と全く同じ考え方を持っております。  いわゆる上申書についてでございますけれども、これは後で私も知ることになるわけでございますけれども、先ほど言いましたように、この事件が発覚して、そして防衛庁としての考え方というか評価について検察庁に報告をしたというふうに受け取っております。
  199. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 最後に、今回の事件は、ある意味では、防衛庁のこういう問題に対する今後の対応、姿勢を考える上で反省材料を提供する意味で結構なことであったというふうに私は考えておりますので、どうかこれを反省材料、教育の資料、素材として大いに活用して十二分に検討して再発防止に努めていただきたい、こう思います。  以上で終わります。
  200. 山崎力

    ○山崎力君 最後になります私の質問、今までの委員の中にも出てきているんですが、重なるところも多いと思うんですが、二点、重点的に質問させていただきます。  個人の背任の構成要件の問題、これは言語道断だということであれなんですが、田先生から始まった契約、そして今の佐藤先生の話の中にも入ってくるんですが、結局この問題というのは、根本的に言えば、防衛庁が装備品の調達を適正な価格で買っているんだろうか、むだな税金を払っているんではないだろうかという国民の根本的な疑問にどう答えるかということだろうと思うわけです。  その点で、計数のプロそれぞれの人たちがチェックする、しかし企業側からしてみれば適正な価格というのは何なんだという、商品の価格形成のらち外にあるような製品であると。その辺のところをどうやって高く買ってもらうか。これはもうある意味では商売上の駆け引きの部分も当然出てくるわけです。それをどこで具体的な金額を決めて、適正なものとして税金を使って装備していくか、その仕事が本当に国民の目から見て適正に行われているかどうかということに対してどう防衛庁信頼回復の手段をとるか、これが一番の問題だろうと私は思っております。  そこの中で今具体的なことで言えば、今回の過大請求額が幾らなんだ、適正かどうかというところが今ポイントになっているわけで、そこのところが内部的に計算したよりもまけて八億にしたと、ここが背任になっているわけですけれども、そうすると、まけたのかまけていないのかということは一つの大きな今度の裁判上のポイントになります。ですけれども、これは今訴えられて被告となっている人たちの問題でありまして、役所としてみれば、別のそういったものと離れて、この金額が幾らだったのか、本来ここから納入して支払うべき金額が幾らだったのかということを再吟味して金額をコンクリートするという作業を裁判と関係なしにしなければいけないものだと私は思うんですが、その点はどうでしょうか。
  201. 及川耕造

    政府委員及川耕造君) まさに現在検察当局の方でどういう事実関係があるかをお調べでございますが、恐らくその事実関係の解明とともに私どもがなすべき作業というのも明らかになってくるだろうというふうに思っておりまして、それに即して資するべき作業はしていくというふうにいたしたいと思っております。
  202. 山崎力

    ○山崎力君 僕はそれがちょっと違うんじゃないかと思うわけです。  まさに皆さん方の先輩、前任者がやられた計算がおかしいということで今司直の手を煩わせているわけです。それがおかしいかおかしくないか、自分たちの今の体制で再検討して、それで八億の今のまけたと言われている金額であれば、やはり我々の方としてはこれが正しかったんだ、彼らはまけたわけではないと。まあ吹っかけて駆け引きの材料にしてやったということはあるかもしれませんけれども、ところが計算してみたらやっぱり二十何億だとか、いや五十億だということもあり得るわけです。  今までのお話を聞くと、その違いはどこから出たかというと、計数の水増したというわけですよ。要するに、一つ工数が幾らかある、それで一つ工数に掛ける金額を幾らだと計算すると、その掛け算のもとの金額は決まっているけれども、掛ける数字自体を向こうが水増ししたからこっちのコストが高くなって全体的に水増しになったんだ、こういうふうなお話をしているわけです。そうしたら、その工数を幾らだと認定したということがなければ、八億だろうが二十何億だろうが数字は出てこないはずなんです。  そこのところを自分たちが幾つの工数として認定したということは関係者なら把握していなきゃいかぬはずですよ。そこのことを今やらないで、裁判が終わって、裁判所がこの工数でこれだけやったと、それじゃきっとそうなんだから我々もそれにのっとって計算し直しましょう、私にはそういうふうな御答弁に聞こえるんですが、その点はいかがですか。
  203. 及川耕造

    政府委員及川耕造君) 確かにおっしゃるとおり、水増しの背景にございましたのは工数の差異でございます。ただ、先般御説明申し上げましたように、原価差異計算いたしましたのは、実は原始伝票がなかったという報告を受けておりましたので、損益計算書をベースに計算を行っておりました。したがいまして、工数の差異によって原価差異をはじく方法論はとらなかったわけでございます。  したがいまして、先生おっしゃいましたように、当然わかっていた工数の差異をベースにして計算しろと、確かにおっしゃるとおり、それでありましたら個々契約ごとにやるということで比較的わかりやすい計算が出るわけでございますが、それに必要な資料がなかったということで先ほど申し上げましたような方法論をとったと。  したがって、その方法論自体がよかったかどうかというのは多分今後の捜査の過程でさまざまな要因とともに明らかになってくる。したがいまして、その明らかになってくるものに合わせて私ども作業をし直すべきかどうか判断すべきだろう、こういうことでございます。
  204. 山崎力

    ○山崎力君 その辺のところの問題を伺っているわけですけれども、なかったということが、要するに探そうとしたんですか、それとも探したんだけれども見つからなかったんですか。厚生省みたいに後からそういう伝票が出てくるということはないんですか。
  205. 及川耕造

    政府委員及川耕造君) それも恐らく捜査の過程で明らかにされるだろうと思いますが、私どもが受けております報告は、会社の方からそのような資料は提出できませんという連絡があったというふうなことでございます。
  206. 山崎力

    ○山崎力君 そうすると、そういった会社報告ができないということは、もう破棄したのか、それとも企業秘密に属するので出せないというのか、どちらですか。
  207. 及川耕造

    政府委員及川耕造君) なかったというふうに聞いております。
  208. 山崎力

    ○山崎力君 その辺のところの内部規約あるいは法律上どのような形で資料を残さなきゃいかぬかという問題は、これはこの際時間がありませんのでとめ置きますけれども、その辺のところが極めて私は重要なポイントだということを指摘したいと思います。  もう一点。このいわゆる水増しの請求が詐欺に当たるのではないかという問題が私はあると思います。要するに詐欺の場合、これは考えてみれば納税の際の節税対策なのか脱税なのかというところで、片方は節税だと思ったんだけれども税務署は節税として認めないで脱税だと認定したというような話も聞くわけです。非常に似た感覚でございまして、これだけごまかしてもうけてやろうと明らかに思っていれば、これは最初から詐欺なわけです。  ただ、単純に工数計算間違いをしてやればこれは過失の問題です。中間に、このくらいのことは商慣習上認められているな、別にだますつもりじゃないけれども、ほかでもやっているし今までもやってきたしいいなという気持ちであったところが非常に難しい、過失の詐欺みたいな感じで難しいところだと思うんですが、その辺のところを防衛庁としてはどういうふうに会社からの水増し請求に関して判断されたのか。
  209. 及川耕造

    政府委員及川耕造君) 発見された時点では、恐らく詐欺的な要素もあるのではないかという検討はされたのではないかと類推いたしますけれども、ただ問題は、先ほど来御議論ございますように、防衛装備品の供給者というのは限られていることがございまして、もしそれを詐欺罪で告発いたしますと、その間の価格契約ができなくなってしまうわけでございます。したがいまして……
  210. 山崎力

    ○山崎力君 要するに、つき合う相手が、装備品を出す相手が限られているからそいつは詐欺者であってもつき合わざるを得ない、こういうふうに考えてよろしいんでしょうか。
  211. 及川耕造

    政府委員及川耕造君) 当然のことながら、当時の状況として先方は信義則に反したということで非を悔いて返還をいたしますと言っていたわけでございますので、それに基づいて和解類似の交渉をした方が、その方が国益的にもよいのではないかというふうに考えたのではと思います。
  212. 山崎力

    ○山崎力君 この問題はまた次の機会でも質問させていただきます。  最後に防衛庁長官にお伺いしたいんですが、やはり先般の佐藤先生からの話にもありましたけれども、犯罪人と国家はつき合うんですかということになるわけです。それを国益のために、本来法律が求めている司法告発をしないでやるというまでの裁量権を防衛庁はお持ちなのかどうかという点についてお伺いしたいと思います。
  213. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 私といたしましては、私が報告を受けている範囲でお答えを申し上げますと、一定のルールに基づいてこういうふうに解決すべきであるというパターンがなかったときにこの問題を解決していったと。その東洋通信機問題が出てきたときの前例としてはただ一つ日本工機の問題があったものですから、それに倣って一つの解決策をお互いの話し合いの中で見つけ出していったのではないかというふうに考えております。  私は、今度の背任という形で事件になったことを契機に、この問題についても、先ほど来言っておりますように制度調査委員会を設けてきっちりと透明性公開性を持って国民皆さん方から信頼される調達システムを構築してまいりたいというふうに思っております。
  214. 山崎力

    ○山崎力君 その辺のところの結論というか、政治的な判断になるんですが、少なくともまさに相手方が詐欺の故意を持って契約に臨んだ、入札あるいは随意契約では契約に臨んだといった場合は、その場合、ある程度認定されたといいますか、それが明らかになった場合、過失かどうかの認定すら、重大な過失の場合も司法当局にゆだねるべきだと私は思いますけれども、明らかに今回みたいに先方も認めた場合はこれは役所として訴える、詐欺として訴えるというような形を約束されてもいい時期ではないか。そのくらいやらなければ今の国民のこの装備品調達に対する信頼性を回復することはできないんではないかと思うんですが、その辺についての御見解をお伺いしたいと思います。
  215. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) そういう強い疑惑、犯罪性のあるような企業に対しては毅然たる態度で臨むのが当然であるというふうに思います。
  216. 山崎力

    ○山崎力君 終わります。
  217. 河本英典

    委員長河本英典君) 本調査に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。   本日はこれにて散会いたします。    午後零時十六分散会