運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1998-10-02 第143回国会 参議院 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十年十月二日(金曜日)    午後一時開会     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         立木  洋君     理 事                 佐藤 泰三君                 橋本 聖子君                 松崎 俊久君                 福本 潤一君     委 員                 海老原義彦君                 釜本 邦茂君                 鎌田 要人君                 中川 義雄君                 三浦 一水君                 森田 次夫君                 山内 俊夫君                 笹野 貞子君                 竹村 泰子君                 内藤 正光君                 風間  昶君                 木庭健太郎君                 小泉 親司君                 照屋 寛徳君                 田村 秀昭君    国務大臣        国 務 大 臣        (総務庁長官)  太田 誠一君        国 務 大 臣        (沖縄開発庁長        官)       井上 吉夫君    政府委員        内閣審議官        兼中央省庁等改        革推進本部事務        局次長      松田 隆利君        防衛庁防衛局長  佐藤  謙君        防衛施設庁施設        部長       守屋 武昌君        環境庁水質保全        局長       遠藤 保雄君        沖縄開発庁総務        局長       玉城 一夫君        沖縄開発庁振興        局長       襲田 正徳君        外務省欧亜局長  西村 六善君        文部省高等教育        局長       佐々木正峰君        厚生大臣官房総        務審議官     真野  章君        厚生省保健医療        局長       伊藤 雅治君        農林水産省構造        改善局長     渡辺 好明君        農林水産省畜産        局長       本田 浩次君        水産庁長官    中須 勇雄君        資源エネルギー        庁石油部長    今井 康夫君        運輸省運輸政策        局長       羽生 次郎君        建設大臣官房長  小野 邦久君        建設大臣官房総        務審議官     小川 忠男君    事務局側        第一特別調査室        長        加藤 一宇君    説明員        外務省北米局審        議官       田中 信明君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件沖縄及び北方問題に関しての対策樹立に関する 調査  (北方四島周辺水域安全操業に関する件)  (日ロ平和条約締結に関する件)  (北方四島ビザなし交流に関する件)  (沖縄県の生活環境に関する件)  (沖縄県の産業振興に関する件)  (嘉手納基地のPCB汚染問題に関する件)  (沖縄県の水資源開発に関する件)  (沖縄問題を一括所掌する官庁の設置に関する  件)     ―――――――――――――
  2. 立木洋

    委員長立木洋君) ただいまから沖縄及び北方問題に関する特別委員会を開会いたします。  沖縄及び北方問題に関しての対策樹立に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  3. 中川義雄

    中川義雄君 自民党の新人の中川義雄です。どうぞよろしくお願いいたします。  実は、私自身北海道出身なものですから、日ロ関係、特に北方四島問題というのは大変関心が多いわけであります。私自身道議会議員、その前に道庁の職員をしておりまして、北海道の将来にとって日ロ、当時は日ソ日ソ経済協力、これが北海道の将来にとってキーワードだということで北方圏構想というものを提唱しまして、今日までずっと関心を持ってきたわけであります。しかし、いろいろ体制の違いや領土問題その他がありまして、なかなかうまくいきそうでもいかなかったのが今日まででございました。  しかし、五五年体制が崩れ、そしてまた、世界も大きな大きな東西間の対立雪解けを迎えまして、そういう中でソ連邦ロシア連邦へと移行する。そういう中でロシア自身市場経済体制の中に組み込まれて、そして我々と対等な立場で自由な経済協力も進められるんだな、そういう期待が非常に多いわけであります。  しかし、その中でやっぱり領土問題というのは、これを乗り越えて平和条約を締結しなければ真の日ロ関係というのは展望されない、そういう意味からも領土問題の解決が急がれるわけであります。幸い、ここ二、三年の状況というものは、大変日ロ関係が深い、雪解けよりはもっと親密な関係に行ったかのような雰囲気がありまして、特に平成五年の東京宣言、そして昨年のクラスノヤルスクにおける首脳会談、ことしの川奈の会談等を通じて我々は大きな期待を寄せているわけです。  そういう中で、私たち北海道にとって最も関心を呼んでいたのは、すぐ解決していただきたいと思っていたのは北方四島周辺における安全操業の問題でありました。幸い、このような情勢を反映しまして、ことしの二月に北方四島周辺水域操業枠組み協定が締結されまして、それに基づいてことしの五月に北海道水産会ロシア当局との間で覚書が結ばれた、こう聞いておりますから、その概要について御説明いただきたいと思います。
  4. 西村六善

    政府委員西村六善君) 今、御議論がございました北方四島周辺水域操業枠組み協定は、先生がおっしゃられましたとおり本年の二月に署名が行われましたものでございますけれども、この協定日ロ双方の法律的な立場を害さないという大前提のもとで、長年の懸案でございました北方四島周辺の十二海里水域における安全操業を確保せんとするものでございます。それとともに、同海域におきまして生物資源の保存、合理的な利用及び再生産を確保するために日本ロシアの間で協力を進めるということを内容とするものでございます。  今、先生がおっしゃられましたとおり了解覚書というものが北海道水産会ロシア農業食糧省及びロシア国境警備庁との間で合意されておるわけでございますけれども、ここの了解覚書におきましては、安全操業において漁獲し得る漁獲量及び魚種について定めているものでございます。
  5. 中川義雄

    中川義雄君 実は、我々道民がこの問題に大きな期待を寄せているというのは二つ大きな理由がございまして、一つはもちろん安全操業は確保される、そしてその上に相互理解を通じて領土問題の解決にも寄与できると同時に、この地域、北洋における漁業資源の涵養といった意味からも秩序ある漁業体制が組み込まれなければならない、こう思っておるのです。  というのは、御承知のように日本ロシアとの間には大きな大きな所得格差があるものですから、近ければ近いほど、本当に近いところに大きな所得格差の国が存在するということは、これが無秩序経済交流を許すと例えば魚を乱獲して北海道へ入れる。北海道価格でそれが売れるということは、北方四島の島民にとってもまたその周辺に住んでいるロシア人たちにとってもこれは大変な所得になるわけでして、それはまた一方では乱獲につながるわけであります。ですから、一定操業秩序も必要ですし、また取引一定のモラル。  しかし一方では、今本当に国境の町と言われているところではそれが非常に乱れているような、それも社会問題になっていることも事実であります。そのことはきょうは特に触れるつもりはありませんが、そういう意味でちょっと心配なのは、覚書を締結しましたが、覚書によっていろいろと約束した。約束したが、やっぱり悲しいかな人間がやることですから、お互い違反したり、それを超えたいろんな誤解を生んだり、そこにまたトラブルのもとが起きるわけですが、このことを私たち心配しているわけです。  そのためにちょっと水産庁長官にお聞きしたいんですけれども、十月一日からこの覚書に基づいて操業が開始された。きのう一日実績があったはずでありますが、何か変なトラブルだとか、もう一日でも私はそのことが心配なので、ちょっとその点についてきのうの操業状態、何か報告があったらお聞かせいただきたいと思います。
  6. 中須勇雄

    政府委員中須勇雄君) ただいまお話のございましたとおり、長年の懸案というか悲願でございました北方四島周辺における漁業、昨日十月一日午前五時に船が二十隻出港いたしまして、まさに了解覚書等で定められた方法に従って一定の点で入域通告をして入っていくという形で操業、全くトラブルなく終了したというふうに一日目聞いております。漁獲量を参考までに申し上げますと、二十隻で十三・八トンの漁獲があった、こういうことでございます。続きまして、本日も操業が行われているわけでありますが、海上は若干しけ模様で、出た後早く帰ってきたというふうに聞いておりますが、漁獲量その他についてはまだ報告を受けておりません。  基本的に現段階で順調に動いている、こういうふうに理解しております。
  7. 中川義雄

    中川義雄君 今、聞きますと、本当にすばらしい船出であったと。これがずっと続いてくれればいいわけですが、今言ったようなトラブルが起きた場合、問題はこの協定違反したり覚書に触れた場合、その取り締まり権限はどこにあるかということが非常に大きな関心でありまして、その辺が我々も見えないわけであります。多分漁民もよく知らないで操業していると思いますが、その点について明らかにしていただきたいと思います。
  8. 西村六善

    政府委員西村六善君) この協定のもとで北方四島周辺水域において操業を行います日本漁船が、我が国法令のもとにおきまして北海道水産会が自主的に作成をいたしました指針に基づきまして操業を行います限りにおきましては、この協定違反というものは生じないわけでございます。この点は、ロシア側と非常にはっきりと明示的に了解している点でございます。  仮に我が国法令に照らしまして、そういうことはないわけでございますけれども、万一我が国法令に照らしまして違法な操業が行われた場合には、我が国当局におかれまして取り締まり国内法令に従って行われるということになろうかと思います。現実にはこの船が操業しております場所はロシア側が不法に占拠をしている領域でございますので、現実取り締まりにつきまして我が国の官憲の権限が行使されるというわけにはいかないわけでございますので、日本領域ないしは排他的な経済水域においてそれらの措置が行われるということに理論的にはなるというふうに思います。  しかしながら、何度も申し上げますとおり、この協定におきましては、指針に基づいて漁船におかれて行動されます限りにおきましてはこの協定違反は構成しないわけでございまして、その点につきましては累次にわたりまして漁業関係者の方々にその趣旨をよくよく御理解をいただいている、あるいは御理解をいただくために政府として最大限の努力をいたしたわけでございますしこれからもいたすわけでございますけれども、そういう前提でこの協定は運営されることになるわけでございます。
  9. 中川義雄

    中川義雄君 政府として、今の現実の問題にあってそういう非常に苦しい話になると思うんです。ですから、お互いに約束した秩序を守ってやって、そこで問題が起きなければ一番いいわけですが、問題はそうでない場合もある。  私自身も、その地域漁民だとか何かにどうしてそういう問題がすぐ出てくるのかという話をすると、やはり人間のさがみたいなものがあって、生活に追われて、たくさん魚がいる、魚を夢中になって追っているうちに気がついたらどうしてもというような、これは許しがたい話なんですがそういうこともあったり、また絶対違反していないと思っているがロシア側からは違反していると言われて唖然とするというような話もじかに聞いたことがあるんです。  こういう友好親善に基づいて、協定覚書に関することですから多分そんなことは避けられると思っていますが、現実にそのことが起きたことを考えますと、私はそれによって日ロ問のいろんな感情的な対立が起きたりすることがまた四島問題の解決から見ても大変問題だと。  ですから、問題は、我が国立場に立ってこの秩序を守らせるための措置というものをしっかりさせぬとならない。例えば、北海道にも知事権限で、取り締まり船だとか何かを持っております。そういったところと業界との話し合いの中で、できれば北海道知事権限のもとに秩序ある操業といったものも考えていただきたいものだ。このことは今ここで答弁してもまたはっきりしたことは言えないと思いますので、十分知事とも調整をとって、そのことをお願いしたいと思います。  水産庁長官、もしこのことについて何かありましたら感想でも結構ですが言っていただいて、何か非常に忙しいそうですから、それが終わったらどうぞ退席して結構でございます。
  10. 中須勇雄

    政府委員中須勇雄君) ただいま先生から御指摘のありました点は、私どもも十分心得てやっていかなければならない、そういう基本的な問題だろうと思っております。  なお、具体的には、今回、この四島周辺水域操業を開始するに当たりまして、北海道では、北海道海面漁業調整規則を改正いたしまして出漁、その水域操業する船については北海道知事承認を要する水域というふうに定めまして、あわせていろいろ守るべき事項についてはその知事承認の際の条件として明確に付する、こういうようなことを行いまして、万が一にも違反ということが起きないようにいろいろの努力をしているところでございます。
  11. 中川義雄

    中川義雄君 じゃ、北方四島周辺安全操業に関する話はこれで終わらせていただきたいと思います。  では次に、去年の十一月にクラスノヤルスク日ロ首脳会談が行われ、その際、橋本エリツィンプランを決定したというような話を聞いているわけですが、その合意された内容等について説明していただきたいと思います。
  12. 西村六善

    政府委員西村六善君) 橋本エリツィンプラン内容につきまして御説明をさせていただきます。  橋本エリツィンプランと申しますものは、日本ロシアの間におきまして経済協力あるいはその他の広い意味での経済面協力を推進するための一つ枠組みでございます。七つの柱を持っておりまして、全体といたしまして、我が国からロシアに対する協力、それに対しますロシア側受け入れ体制、それからロシア日本との同レベルにおける協力といったようなものを推進するための基本的な合意枠組みを構成するものでございます。  第一の柱は、投資協力イニシアチブと称するものでございまして、日本からロシアに対しまして投資を促進するためのいろいろな手段、措置を講ずるように努力するということを合意しているわけでございます。具体的に申しますと、投資保護協定を現在ロシア側交渉している最中でございますけれども、一つにはそういったものが大きな柱でございます。さらに、科学技術センターを通じまして、国際科学技術センターというものがございまして、そこにおきましてロシアソ連時代において開発をしてきた科学技術を民生のために活用する仕組みをつくっているわけでございますけれども、そういった側面における日ロ間の協力といったようなことを掲げております。  第二に、ロシア経済国際経済体制への統合の促進という柱を立てているわけでございますけれども、これは、ロシアが貿易、投資などを通じましてロシア国内の諸制度を国際的なスタンダードといいましょうか基準に近づけるために日本ロシアと一緒になって協力をするという基本的な考え方でございまして、例えばWTOにロシアが参加するに際してそのための条件についてノウハウを提供したり協力したりするといったようなことを内容といたしております。  三番目に、改革支援の問題でございますけれども、ロシアは、一九九一年にソ連体制から現在のロシア体制に変わったわけでございますけれども、それに伴いまして経済改革を諸般の分野において行っているわけでございますけれども、そういう改革を支援するために、具体的に主として技術支援でございますけれども、市場経済中小企業の育成それから個別のインフラストラクチャーの分野近代化といったようなものに協力をするものでございます。  四番目といたしまして、企業経営者養成計画に対する協力がございます。ロシアは、現代的な市場経済を推進するために企業経営者が非常に不足しているわけでございまして、五千人の企業経営者を二年間で養成するという大きな計画を持っているわけでございますけれども、それに対する協力を柱として掲げているわけでございます。  五番目に、エネルギー対話でございますが、エネルギーの将来的な可能性、それから日本ロシアにおける協力可能性につきまして具体的な対話をするということにいたしておりまして、政府間でそれを行っております。  最後二つは、科学技術関係原子力関係でございますけれども、原子力平和利用のための協力がうたわれております。  最後の七番目は、日本ロシアの間におきまして宇宙協力についても協力をしていこうということになっておりまして、その分野協力について言及しているものでございます。
  13. 中川義雄

    中川義雄君 このプランによりますと、多岐にわたって将来に希望の持てる内容が非常にたくさんあるわけであります。これから我が国もそのことに大変期待しているわけでありますが、この先鞭をつけるいろんなまたプロジェクトがあったわけであります。  それは、ソ連時代には日ソ経済委員会ソ日経済委員会との間で民間ベースで話し合って、主にシベリアの極東の資源開発協力の話が進んでいった時代があったんです。その中で、例えばシベリア森林開発につきましては、既に契約も行われて円満な取引が行われたと。  その第二段階としまして行われたのがサハリンオハにおける石油天然ガス開発協力の問題でありまして、これはサハリンオハ天然ガスをパイプラインで北海道まで持ってきて北海道に供給するという壮大な構想でありまして、これがほとんど解決したと思われるぐらいまで進展したんですが、ソ連側から一方的に、資源に自信がなくなったからやめるという通告一本でやめた事実があったんです。  そして、その後に出てきたのがSODECOサハリン石油開発協力株式会社というのを日本側につくりまして、SODECOソ連側石油開発公団との間で協定を結んで探鉱作業が行われました。北海道としましてはそれに大変な期待を寄せて、SODECOに対して北海道からも出資を仰いでその実現に大きな期待を寄せていたんですが、これもなかなかうまくいかないうちにソ連邦は崩壊してロシアという時代に入りまして、大変な混乱の中で、一体だれを相手に話をし、多額の投資にだれが責任を負うのかという話になったわけであります。これもなかなかうまくいかないうちに新SODECO構想アメリカエクソン、そしてソ連との合弁による石油開発石油天然ガス探鉱事業に入ったと、こう聞いているわけですが、これは通産だと思いますが、従来のSODECOと新しいSODECOの間の関連、そしてその債権債務関係についてできるだけわかりやすく説明していただきたいと思います。
  14. 今井康夫

    政府委員今井康夫君) 先生指摘サハリン石油ガス開発については長い歴史がございますので、簡単に御紹介させていただきますが、最初石油危機のときでございます。一九七〇年代初めでございますけれども、石油安定確保ということで、日本国官民挙げて石油開発プロジェクトナショナルプロジェクトということで進めてまいりました。その一つがこのサハリン石油開発プロジェクトでございます。  当初一ソ連は、自分領域の中で外国企業操業するということを認めませんでしたものですから、最初の旧SODECOという案件融資買油契約、こちらから、日本側からお金を貸して、ソ連側探鉱して当たった場合には日本側に油でお金を返してもらうという案件でございます。また、一定の報酬もこちらがいただくという案件でございました。  それで、一九七四年でございますけれども、サハリン石油開発協力、いわゆる旧SODECOでございますけれども、これと石油公団及び民間企業、これは十七社、石油公団民間企業十七社がつくったのが旧SODECOでございますけれども、それをつくりまして、ソ連側に二・七七億ドルの融資をいたしました。そのお金を使いましてソ連側探鉱作業をやったわけでございます。  それで、探鉱作業は八三年まで続きました。十年近く続きましたけれども、その過程一定の油とガスが出たわけでございます。当たったわけでございますが、実は、当たった後、今度は生産に移行するという議論をして評価をしておりましたときに、いわゆる逆オイルショックということで石油価格が半分になってしまったということがございました。それで、その生産にいっ移行するかとずっと議論をしてまいってきたわけでございまして、融資しました二・七七億ドルはそのままになっておったわけでございます。  その後、その過程ソ連が崩壊するということになりまして、今度はロシアにこの案件が引き継がれたわけでございます。その後、ロシアは新しい体制自分石油鉱区を開放する、海外企業にも開放するという政策をとりましたので、そこで日本側の旧SODECOロシアとの間で交渉を開始いたしました。探鉱開発地域をもっと広げるということ。それから、これは寒いところで作業をいたしますのでそういう技術力が非常にすぐれたエクソンを入れる、アメリカのメジャーを入れるということ。それから、融資買油契約というのを改めまして、よその国で行われているのは生産物分与契約というのがございます。みんなが入っていって成功して生産した場合は三対三対四、この場合は日本が三、エクソンが三、ロシアが四でございます、生産を分けてもらうという契約を結ぶように交渉をいたしたわけでございます。その結果、それが功を奏しましてロシア側との間で合意が行われました。  そのときに旧SODECOは、従来、ロシアが二・七七億ドル債権を、うまくいったらという債権でございます、探鉱が成功したらという債権を持っておりましたが、これを放棄する、そのかわり鉱区をいただくという契約をいたしました。その契約を今度は具体的に実行するときに、先生おっしゃられましたように新SODECOが出てまいります。旧SODECOは今までやってきたわけですけれども、新しい鉱区をもらって探鉱するとまた非常に大きなお金がかかるものですから、古い株主の中で新しいお金を調達して新しいプロジェクトお金を出すのは大変だという企業が出てまいりましたので、新しい会社をつくりました。それで、新しい会社エクソンに旧SODECOが持っております権利をいわば売ったわけでございます。  それは、二・七七億ドルソ連に貸しておったものを放棄しましたので、二・七七億ドルを新しい新SODECOエクソンからそれがうまくいった場合には将来返してもらうという契約にいたしました。それでエクソンもそれを了承し、新SODECOも了承して、現在、新SODECOサハリンプロジェクトということで探鉱をしているところでございます。  今、探鉱に入ったところでございまして、私ども聞いておりますのは、まずまずの成績が出ておるというふうに聞いております。  以上でございます。
  15. 中川義雄

    中川義雄君 もっとこの問題は掘り下げて聞きたいんですけれども、時間がもうなくなりましたので、私から一つだけ。  旧SODECOの主体になったのは石油開発公団、今有名になっている石油開発公団です。日ソ経済委員会の中の開発協力民間ベースでほとんどやられていました。今、最後に言われたPS方式でやっていたものですから、民間が直接投資してそしてその対価をいただくというような、そういうPS方式でやっていたんですが、SODECOのやつは御承知のように探鉱という問題だったものですから、リスクマネー、出るか出ないかわからないからリスキーなマネーじゃないとだめだということでリスクマネーを提供できる石油開発公団だと、こうなったと聞いているんですね。そのほかに協力した企業北海道も含めてありますから、その辺の債権債務がどうなっているか本当は興味を持って細かく聞きたいんですけれども、これは後の機会に譲ります。  要するに、さきにこんなプロジェクトの推進もあって、橋本エリツィンプランというものも現実性を帯びてくるわけでありまして、ですから、さきのこういったプロジェクトを大事にすることがこの新しい時代の幕あけにとって大切だということだけは指摘をさせていただきたいと思います。  話をもっと前進しまして、この四月に行われた川奈会談におきまして、この参議院の資料の中を見てみましたらこういう資料が出てきたんです。エリツィン大統領から締結を目指している平和条約の名称を一層広い問題を話し合うための平和友好協力条約とすることの提案があったと。非常に具体的な条約の名前の変更みたいな話が出てきて、これはもし差し支えなかったらこの内容について御説明いただきたいと思うわけです。
  16. 西村六善

    政府委員西村六善君) 川奈におきます首脳会談におきまして、ロシア側エリツィン大統領から平和条約内容、対象とするものを広げるべきではないかという意見があったのはそのとおりでございます。  ロシア側と協議をいたしまして、来るべき平和条約二つの要素、一つは四島の帰属の問題を解決する部分でございますけれども、東京宣言の第二項に基づきまして四島の帰属を決めるということを一つ内容とします。それからさらにもう一つ、二十一世紀に向けまして日ロの友好協力に関する原則などを盛り込むということで合意をいたしたわけでございます。  条約の名称をどういうふうにするかということは、これからロシア側と協議をしなければいけない事項でございまして協議をすることにいたしておりますが、実質的に結びます平和条約ないしはどういう名前になるかは交渉次第であるわけでございます。  その内容におきまして、四島の帰属の問題とそれから二十一世紀において日本ロシアがどういう協力をするか、どういう精神と原則で協力をしていくのかということを盛り込むことにつきましてはロシア側日本側合意をしている次第でございます。
  17. 中川義雄

    中川義雄君 また、川奈会談におきまして橋本総理から平和条約を結ぶ大前提として、要するに国境が明らかにならない限り平和条約というのは結べないと。ですから、国境をどこに線引きするかをしっかりしなければならない。そしてその際、択捉島の北にある程度の国境を認めて、それをお互いに認めた上でこれからいろんな経済協力その他の話をすべきだというような話をしたということを新聞等の報道で聞いているわけですが、その点につきまして、わかる内容で御説明いただきたいと思います。
  18. 西村六善

    政府委員西村六善君) 川奈の会談におきまして四島の帰属の問題について話を行ったことは事実でございますが、我が国の態度、基本的なこの問題につきまする姿勢は既にいろいろなところで明らかにしているとおりでございまして、あの四島の帰属の問題を両国の間で解決するということが九三年に結ばれました東京宣言の第二項において明確にうたわれているわけでございますので、その帰属の問題を解決すべきであるというのが私どもの基本的な姿勢でございます。  その姿勢に基づきまして、一定の提案をロシア側に対して行ったところでございまして、その提案に対しまして、ロシア側は現在何らかの回答を十一月に小渕総理大臣がロシアを訪問されますときにしたいということを述べているというのが現状でございます。
  19. 中川義雄

    中川義雄君 そしてまた、ロシア時代市場経済体制ロシアが入った中で、非常に進んだのは日ロの合弁事業。数はたくさん出たんですが、その多数が惨たんたる結果になっている場合が非常に多いわけであります。わけのわからない理由で一方的に権利を放棄させられたり、そういう日ロ間の友好親善にマイナスの話を随分聞く中で、非常に私たちが明るい材料として持っていたのは、ユジノサハリンスクにおけるサンタリゾートホテルの合弁事業でありましたが、これも最近の情報では、ロシア側のパートナーとの間に何かトラブルが起きて裁判になって、一方的な裁判が行われて、ロシア側がその経営権を独占すると。日本側は大変困惑しているという話を聞いたんですが、そのあたりについて御説明いただきたいと思います。
  20. 西村六善

    政府委員西村六善君) 今、先生最初におっしゃられました幾つかの投資案件につきまして、いろいろな問題が起こっているという側面についてまず最初にお答えさせていただきたいと思います。  もとよりそういう事実はございますものですから、私ども日本政府といたしましては、かねてからでございますけれども、ロシア側に対しまして政府間の貿易経済委員会その他あらゆるチャンネルを使いまして問題を指摘いたしてきているわけでございます。そういったような状況を改善するために、制度や法律の整備改善、法律の正確な正当な執行が必要であるということをロシア政府に対して累次にわたりまして申し入れてきているところでございます。  今御議論のございましたユジノサハリンスクのサンタリゾートホテルにつきましては、おっしゃられましたとおりの状況が生じているわけでございます。このサンタリゾートホテルは、ロシア側サハリン船舶公団とそれから日本側からは大陸貿易という会社の合弁会社でございまして、九三年から営業を開始していたわけでございますが、ロシア側サハリン船舶公団が、公団自身が行いました融資金の返済請求をロシアの法廷に持ち出したわけでございます。返済を求める訴訟をサンクトペテルブルグの裁判所に持ち出した次第でございます。これに対しましてこの裁判所は、サハリン船舶公団の主張をほぼ全面的に認めまして、ホテルの所有権を融資の代物弁済に充てるという決定をいたしたわけでございます。その結果、サハリン船舶公団はこのホテルの所有権を現在自社のものにしているという状況でございます。  これに対しまして、日本側の大陸貿易は、ユジノサハリンスクの裁判所にこの移転登記の無効・取り消し訴訟を行ったわけでございますけれども、九月二十一日の判決によりますと敗訴しております。しかしながら、大陸貿易の方では控訴する予定にしておりまして、その措置をこれからとることになるというふうに了解しております。  この問題は、今先生がおっしゃられましたとおり非常に象徴的な重要な案件であるわけでございまして、政府といたしましても、その重要さに着目をいたしております。それに基づきまして、ロシア側に対しましてこういう問題が存在しているんだということを累次にわたって問題提起をしている次第でございます。
  21. 中川義雄

    中川義雄君 時間が参りましたが、大臣、いろんな大きな世界の流れの中で、やはり何としても四島問題を解決して日ロ平和条約を結ばなければなりません。そういった意味で、四島問題というものは非常に大事なことでありまして、この解決に向けての大臣の御決意をお聞かせいただきたいと思います。
  22. 太田誠一

    ○国務大臣(太田誠一君) 今、中川委員の方から具体的な、しかも私どもの知らないようなことを次々と御質問いただきました。  今、国民運動として北方領土返還に向けてさまざまな試みがなされているわけでございますけれども、いずれにしても平和な時代に平和的な手段で領土を返還するということは、何よりもまず国民全体が一つになってそのような気持ちを持たなければならないことが第一でございます。そういうことに向けて努力を続けてまいりたいと存じます。
  23. 中川義雄

    中川義雄君 終わります。
  24. 松崎俊久

    ○松崎俊久君 民主党・新緑風会の松崎でございます。  沖縄といえばすぐ基地の問題ということになりがちでありますが、私は、この基地を背景としてその重圧のもとに生活をしている沖縄県民の実態、生活の問題、健康の問題について伺いたいと思います。  二十万以上の住民を戦争で失った沖縄、復興が目覚ましいものがあるかのように見えますが、その中身を点検してまいりますと、かなり解決されない問題が残っていることに気がつきます。沖縄といえば観光、さらにその観光の背景には美しい海とそれから長寿の島というイメージがあります。しかし、沖縄の女性は終始一貫高いずば抜けた長寿を維持しておりますが、沖縄の男性の寿命は一九八五年までには第一位を示したものの、以後他県に続々追い抜かれて第五位、第四位というところに低迷し始めました。  この問題について、厚生省はどのような御意見をお持ちでございましょうか。伺いたいと思います。
  25. 真野章

    政府委員(真野章君) 先生指摘をいただきましたように、都道府県別の生命表によりますと、沖縄の男性の平均寿命は昭和六十年金国一位でございましたが、平成二年第五位、平成七年第四位というふうになっております。女性の平均寿命は、先生おっしゃられたとおり、ずっと全国一位でございます。  平均寿命の都道府県ごとの違いというのは、なかなか一概にこれだという理由は難しゅうございますが、先生昨日御指摘をいただきました肺がん並びに自殺という点につきまして、平成七年の都道府県別の年齢再調整死亡率、これによりますと、気管支及び肺の悪性新生物は、沖縄県では男子が人口十万対五十八・八ということで第一位でございます。女性は十五・五ということで第二位でございます。また、自殺につきましては、男子は三十五・七ということで全国第二位、一方女性は六・三ということで全国一番低い、そういうような数字になっております。  ただ、これもそういう状況を御説明するうちの一つでございまして、全体としての気候などの自然環境、食生活生活水準、衛生水準、そういういろんな要素が複雑に絡み合って平均寿命というものが決まってきているのではないかというふうに考えております。
  26. 松崎俊久

    ○松崎俊久君 今のお答えの中にありました肺がん及び自殺の問題、沖縄はどの病気も本土より低いからこそ長寿なわけでありますが、ただ本土より突出しているものがあります。それは男の肺がん、女の肺がん、さらに男の自殺であります。  この問題がどこから来ているかというのは大変興味のあるところでありますが、肺がんの問題を特に男に限って追求してまいりますと、ある一定の年齢に固まっていることがわかります。こういう現象は他県には見られません。現在、六十五歳から八十四歳までの間の男性はずば抜けた日本一の肺がんの死亡率を示しております。ということは、恐らくこれは、沖縄が特に大気汚染がひどいとかあるいはたばこが特に多過ぎるとかというような証拠はどこにもございませんし、むしろ大気は本土よりもはるかにきれいであります。となりますと、何らかの環境的要因というものがこれにきいているものというふうに考えざるを得ません。  それで、私は長年この問題についていろんな角度から見てまいりましたが、学校、公共建築物、米軍基地並びに大きな建物の建設が焼け野原の沖縄に新興したわけでありますが、当時いわゆる建築労働者としてこの工事に関連した世代に非常に肺がんが多い、もちろん一対一の関係を追求したわけではありませんが。そうなってまいりますと、これは一応やはりアスベストを疑わざるを得ません。となりますと、アスベストの規制というものあるいは建築規制というものが恐らく琉球政府のもとではかなり本土とは違った形であったろうと思われます。復帰後もかなり本土よりもおくれたものと考えざるを得ません。  この問題について、建設省でしょうか、開発庁になりますか、アスベストの規制などについて、いわゆるいつごろからというようなことがもしわかりましたらお教えいただきたい。
  27. 小野邦久

    政府委員(小野邦久君) お答え申し上げます。  先生指摘の官庁等公共的施設におけるアスベストの問題でございますが、昭和四十八年に、作業者の健康安全上の観点から、すべての工事についてアスベストの吹きつけを行わないということにいたしました。これは先生御案内のとおりだと思います。  昭和六十二年には、空気中に浮遊するアスベストが執務者の中に大変大きな影響を及ぼすというようなこともございまして、既存の官庁施設におけるアスベスト吹きつけ材の使用状況を全国的に調査をいたしました。沖縄県内の所掌施設につきましては、三施設についてのみその使用が判明をいたしました。これら三施設につきましては、そのときの建物の劣化の状況とかいろいろな観点から対応を考えたわけでございますが、緊急に改修を必要とする一施設につきまして改修を行ったわけでございます。  現在ではアスベストの吹きつけは、先ほどお話をいたしましたとおり、もう一切の吹きつけを行っていないわけでございますけれども、それ以外に、吹きつけでなくてもアスベストが混入されているような材料といったようなものを使うということは、これはある意味では避けるべき事柄でもございますので、そういうアスベストが混入されていない材料等の供給体制の促進状況を見きわめつつ、昭和六十年から、例えばいろいろなそういうものが入ったタイルの採用を禁止しそれ以外のものに転換をするとか、あるいは非飛散性のアスベストについても原則使用禁止にしているとか、これは昭和六十二年でございますけれども、いろいろな対策を講じてきておりまして、今後もこの方向についてきちっとやっていきたい、こう思っているところでございます。
  28. 松崎俊久

    ○松崎俊久君 肺がんの問題は男と女両方に関連しておりますが、その次の、日本で一、二の自殺率が高い沖縄、これは皆さん案外知られておりません。  この背景には、日本一高い失業率、それから日本一低い所得日本一高い離婚率、こういうようなものが恐らく社会的背景として存在するからだろうと思いますが、とにかく男の自殺率は働き盛り、二十五歳から四十五歳の間、ここに集中しております。低いところの年齢と老人の自殺は断然低いんです。働き盛りだけが特に多いというこの問題の裏には、失業率、生きがいのなさ、こういうふうなものが沖縄県民の苦しみとして自殺率に表現されているのではないかというふうに私は思っています。  そういう意味では、雇用の促進ということは大変重要なことでありますが、過日、昨年ですか、一昨年だったか、NTTが沖縄北部に一〇四の交換センターをつくられたために沖縄の雇用に非常に明るいものを与えました。今後とも雇用というものが、あそこに重工業が進出するわけではなし、そうなりますと観光業以外にはやはり情報産業の移転しかないのではないかというふうに思います。そういう意味で、開発庁が今後いろいろな予算の要求の場合に具体的に情報産業の進出を頭に置いて、ぜひ沖縄の雇用問題に一石を投じていただきたいというふうに思います。  その次に、民力水準についてちょっとお尋ねします。  朝日新聞がつくっております民力水準は沖縄は全国一〇〇に対し七五、所得は全国一〇〇に対し五五・〇という数字が出ております。政府から出されております数字は七十幾つという数字になっておりますが、調査法によって違うのでしょう。とにかく、このように異常に低い数字というもの、これをやはり何とかしなければいけません。そのためには、沖縄というところが特殊的に地上戦に巻き込まれ、現在も軍事基地の重圧下にあるという事情にかんがみて手厚い援助を行わなければこの問題は解決しないと思います。  その中でちょっと気になりますのは、出生率が第一位、子供が日本で物すごく多いところ、日本の現状とは逆行する。ところが、学校の校舎面積は最悪、全国四十七番目、それから進学率も最低。こういうような事情は、やはり離島という条件もありますでしょう、航空運賃という問題もありますでしょう、しかし何よりも経済が背景にあってこういう事態になっているのではないかと思います。しかも、子供がいっぱいいるのに家屋面積一人当たりはやはり最悪という状況であります。  こういうような沖縄県の状況に対して、開発庁はどのように、ことしの予算の概算要求などを拝見しましたが、非常にここら辺が薄いという感じを受けておりますが、いかがでございましょうか。長官、お願いします。
  29. 井上吉夫

    ○国務大臣(井上吉夫君) 松崎議員から大変広範な角度から沖縄の置かれていろいろんな問題を御指摘いただきました。  私は、この中で用意をいたしておりましたのは、とりわけそれが影響いたします一戸当たりの住居面積というくだりについては私が答弁する内容と思っておりましたが、その前に雇用の問題があるなと。そしてそのためには、二次産業がそんなにあるわけでもないので、観光であるとか情報産業であるとか、沖縄で新しく雇用を創出できる期待の持てるそういう分野にうんと力を入れる必要があるなということもお触れいただきました。私もそのように考えます。  したがって、法律の改正によって、御承知のような形で特別自由貿易制度あるいは情報産業関係あるいは観光の振興対策等については全国に例のない特別の税制の制度を用意して、できるだけこういうことが実現できるように進めつつあるところであります。まだそれがかなり実を結んだという段階に至っておりませんので、そのことを目指して全力を挙げて頑張っていきたいなと思います。  そういう中で、指摘のありました一世帯当たりの住宅の面積でございますが、昭和四十八年に五十三・七平方メートルでありましたのが、平成五年には七十四・五平米と一・三九倍にまで一世帯当たりの住宅面積が伸びました。しかし、これは全国平均に比べればまだ八割ぐらいであります。それから、学校との絡みでいう学校建築も、いずれもお話しありましたような沖縄が抱えるもろもろの問題の理由の一つであることは間違いないと思います。  したがって、今お話のありましたようなことを含めて、住宅建設につきましては第七期の住宅建設五カ年計画で公営住宅を二千七百戸、それから沖縄振興開発公庫の融資によります住宅を含めまして公的資金によって三万五千八百戸を予定いたしております。これは全国平均のいわば公的住宅の伸び率よりもかなり手厚く計画を組んだつもりであります。  こういうことを、新しい五カ年計画の目標を達成するために全力を挙げて頑張っていきたい。追加補正などを含め、平成十一年度に向けましても、今ほどお話しございました各問題点の認識の上にいろんなことを勉強させていただきました。しっかりやっていきたいと思います。
  30. 松崎俊久

    ○松崎俊久君 最後に、農水並びに厚生省に質問をいたします。  沖縄の子供を見ておりますと、いまだに戦後が続いているという印象を私は強く受けております。その理由は、日本四十七都道府県の中で唯一いまだに粉ミルクが学校給食に支給されているという現実であります。  こういうような例は沖縄だけでありまして、それにはいろいろな原因があるだろうと思います。徐々に少しずつ生乳をまぜて、今五〇%か六〇%になってきたらしいのですが、こういう手間をかけてまで何で粉乳をいまだに。その結果、私は本土の十数カ所並びに沖縄の三カ所の高等学校で全女生徒の牛乳に対する好き嫌い、飲用率、実際に飲んでいる率を調べますと、学校給食が外れた途端に、おいしくない粉ミルクを飲まされてきた沖縄の子供たちは牛乳嫌いになって、このことがいわゆる育ち盛りの子供に牛乳を飲ませない場合には、将来、必ずこれが骨粗鬆症の対象者となることはもう学問的にもはっきりしております。骨粗鬆症になるかどうかは高等学校のときに決まると言われているぐらいであります。それを考えますと、やはり重大な問題であろうというふうに思います。  それからもう一つは、牛乳をあそこで大量に生産しようと思えば乳牛に対する暑熱対策というものがあの亜熱帯の土地では必要であります。この暑熱対策にはやはりほかの九州、北海道よりもはるかに多くのお金がかかるわけでありますから、当然これは農水省としても酪農家に対する補助という問題が必要かと思います。そういう問題をどのようにお考えになるか。  それから最後に、時間がありませんのでもう一つ質問申し上げますが、沖縄が本当に観光という面で収入を得たいと思うなら、従来のような観光のやり方ではなく、寒い土地の東北農民を三カ月ないし四カ月間沖縄へ移すこと、私はそれを前から考えてきて、沖縄県も最近はそれを真剣に追求しております。いわゆる長期滞在型保養施設であります。こたつに半年いて、体をみすみすだめにしていく雪国の老人たちをそっくり移していく、そのモデル事業を私は既に試験的に二つの自治体を結んでやっております。それに対して農水が別な、それに似た名目でありますが、いわゆる農村・都市交流という名目で調査費めいたものを出していただきました。  いよいよこれを実践段階に移し、近い将来これを実行に移す予定でおりますが、そのためには、いわゆるハードの設備を長期的な目で国が出していただかなければなりません。ところが、農水省の予算の内容を拝見いたしますと、いわゆる都市と農村の交流というだけで、寒い国の老人たちの健康、そしてその生活費が沖縄にそっくり落ちるという、こういう相対的なものを考えていないわけでありまして、こうなりますと、厚生省がやはり国民の健康という視点からぜひともこの問題について考えていただかなければなりません。この点についてお伺いいたします。
  31. 本田浩次

    政府委員(本田浩次君) まず、学校給食の牛乳の問題についてお答えをいたします。  御案内のとおり、従来から学校給食用の牛乳供給事業によりまして、原則として生乳を一〇〇%使用している牛乳を学校給食で供給してきたところでございます。しかしながら、先生指摘のとおり、沖縄県におきましては生乳生産が十分でなかったということもございまして、生乳使用割合が比較的低い水準にあった、粉ミルクも使っていたというのが実態でございます。  このために沖縄県におきまして、平成八年三月に学校関係者、生産者団体の皆さん、それから乳業者の参加をいただきまして、生乳使用率の引き上げを目的といたします検討委員会を開催して、生乳使用率一〇〇%を平成十三年度までに段階的に達成する計画を策定したところでございます。本年度には計画どおり六〇%を達成する、このようにお聞きしておるところでございます。  私どもといたしましては、今後とも学校給食用牛乳供給事業の適切な運用を図りますとともに、特に暑熱による生産低下の問題がございますので、畜舎にスプリンクラーでありますとか送風機を設置するような事業なども行いまして、暑熱によります生産低下への対応を含めて酪農振興のための各種施策の推進に努めてまいりたいと考えておるところでございます。
  32. 渡辺好明

    政府委員(渡辺好明君) 今のお話の中で出ました交流の問題でございます。  土なりあるいは生物に触れ合うことによって心や体にいい影響があるというのは、もうこれは当然のことでありますし、私どもも重要視をしております。そういう意味で、先生が御紹介されました農と農の交流というのも一つ大事なことなんだろうと思うんです。  ただ、私どもの守備範囲といいますか領域で今一番重要視をしておりますのは、都市と農村あるいは都会の方々と農業者というところでございますので、そういった滞在施設型の農業というのも、いわゆる短い期間の滞在を前提にした市民農園といいますか日本型のクラインガルテンというのが事業の対象になっておりまして、これにつきましては、ソフト事業もまたハードの面でも農業構造改善事業や山振でやっております。今お話があったような農業者と農業者を結びつけるというのはこれからの検討課題ではないかと思います。  なお、福島県と沖縄県の間で食と農の連携をする、沖縄のすぐれた食生活を福島県にもという事業につきましては、ソフト事業でございますけれども、今年度実施をすることになっていると聞いております。
  33. 伊藤雅治

    政府委員(伊藤雅治君) 北国の高齢者の農民を冬季に沖縄県に長期間滞在させて農業にいそしんでいただくという構想につきましては、閉じこもりがちな高齢者の方々の運動不足の解消を初めとする健康増進ですとか生きがいづくりの観点から非常に貴重な御提言ではないかと考えております。  私ども、今厚生省としましては、このような点につきまして計画づくり等につきましては若干のお手伝いができる制度的なものはございますけれども、ハードを含めて本格的なということになりますと現行の制度ではなかなか困難なのが現状でございまして、特にそれらの点につきましては沖縄県等から具体的な要望などがあれば研究させていただきたいと考えているところでございます。
  34. 松崎俊久

    ○松崎俊久君 終わります。
  35. 福本潤一

    ○福本潤一君 公明の福本潤一でございます。  北方の問題また沖縄の問題、時間は短うございますが、両方させていただこうと思います。  最初に外務省に、北方領土関係の問題でございますが、九月に前総理が訪ロされて、また十月から高村外相が訪ロされる。今回、いよいよ日ロ平和友好協力条約に向けて十一月の小渕総理の公式訪ロというふうに外交が続いていくわけでございます。  我々、今世紀の問題は今世紀中に、また戦後もう五十三年たって、現在もう既に北方領土を故郷とするロシアの方々があそこで生活されているという現状も見てきております。そうしますと、今回十一月に予定される小渕総理の訪ロの外交スタンス、特に私今まで何回か質疑させていただいた中で、日ロ平和友好協力条約という形でするにしろ、今世紀中にということになりますと、もう一九九八年でございます。この二〇〇〇年に結ばれる予定の条約の中に北方領土返還プログラムを具体的に入れていただく、また外交のリーダーシップをとっていただかないと、いつまでも中間領域とかそういう形になっていく。外交の継続性の上からも、十一月の小渕総理訪ロの外交スタンスを聞かせていただいて、今の北方領土返還プログラムもその条約の中に入れる交渉をできるのかどうか、それをお伺いしたいと思います。
  36. 西村六善

    政府委員西村六善君) 昨年の十一月にクラスノヤルスクにおきまして橋本総理大臣、エリツィン大統領が一つ合意をしたわけでございます。この合意におきましては、二〇〇〇年までに東京宣言に基づいて平和条約を締結するために全力を尽くすということになってございます。  東京宣言には何と書いてあるかと申しますと、御承知のことでございますけれども、四島の島の名前を正しく列挙いたしまして、領土問題はこれらの四島の島の帰属の問題であるということを規定しているわけでございます。  したがいまして、東京宣言に基づきまして平和条約をつくるということからいたしますと、四つの島の帰属をはっきりさせるということが一番の眼目でございまして、そのために、先生も今おっしゃられましたとおり、外務大臣の訪ロ、それから小渕総理大臣の訪ロが十一月でございますけれども行いまして、それらの間断ない対話を続けることによりまして今私が御説明をいたしました問題を解決いたしたい、そのために全力を尽くしたいということで努力をいたしている次第でございます。
  37. 福本潤一

    ○福本潤一君 ぜひとも北方領土返還プログラムを具体的に条約の中に入れる形で推進していただけるというふうに期待しております。  また、今回、私も立木委員長も含めてビザなし交流をさせていただきました。そのとき、そこに住んでいる色丹の方々は、私は二度目の訪問でございますが、前回行ったとき以上に経済的にも深刻な状態、またある意味ではロシアからも見捨てられているような状態で、日本の微々たる人道援助、また経済、産業もない。いわば環境的には自然のまま残しておいたらこういう形になるのかなという状況で生活しております。ことしの冬が越せるのか。  本土のロシア側からも、金がある人は帰ってきてほしい、金がない人は帰れないままということで、住民も日本になってもいいから生活できるようになりたいという状況、現在、地震の後かなり多くの人が亡くなり、またロシア本土に帰っているという状況を見させていただきました。総務庁長官自身の名代のような形で政務次官も現地に行かれて見られたのでお聞きになっていると思います。  そうしますと、七年のビザなし交流、また国会議員も地震の後四年も行っているということになりますと、今までの交流の成果とまた今後の進展ということを考えないといけない段階ではないか。いわば北方領土に住んでいるロシアの方にとってはビザなし交流一つの大きな産業になって、それが生活の糧。また、本土から給料もないまま生活しているという状態でございます。  先ほども同僚委員から言われましたけれども、日本漁業安全操業漁民が風穴というふうに書いています。このビザなし交流の今後の進展も含めて、一つの風穴をあける形に持っていかれないものかと思っておりますので、その点についてお伺いします。
  38. 太田誠一

    ○国務大臣(太田誠一君) 七年間のビザなし交流の成果というものは、特に福本委員にもまた委員長にもお越しをいただきまして、本当の島民の方々の声を今お話しのようにお聞きをしていただいてまいりました。そして、既に双方とも五千三百人の訪問者を超えたわけでございますけれども、領土問題も含めて双方の理解を得るために相当の成果があったと思っております。  今後ともこのような運動をずっと続けていって、今我々が目指しております目標に近づいていくことが当面の目標であろうかと思っております。
  39. 福本潤一

    ○福本潤一君 特にあちらに経済的な援助をしようと思っても、あそこは日本領土でございますので、そこに日本からロシア人に経済、共同でやるといっても無理な状態というのが現在の状態でございます。あそこへ行くときに、同僚の議員から外国に行くことになるんでしょうと言われたときに、いや違います、あそこは日本領土ですと。さらには、そこをロシアが占領、占拠している状態ですというままで我々戦後生まれの人間はずっと続いているということでございます。  総務庁も含めて、また外務省も含めて本格的に本腰を据えて、これは十一月の訪ロのときには平和友好協力条約、特に、平和というのは四島帰属だけれども、ロシア側から提案があって友好協力というふうについたのは、むしろ経済の援助を求めているぐらい本国も大変な状態になっているということもありますので、強力な外交リーダーシップをとっていただけることと思います。  続きまして、時間も余りありませんので、沖縄の話をさせていただこうと思います。  先ほどから民主の質問の中にもありましたけれども、沖縄の産業というのは非常に偏っている。第一次産業と第三次産業だけであると思います。二次産業が弱いというのは、ちょうど本土の方が高度経済成長だった昭和三十五年から四十七年までアメリカに占領されていたという状態でございますので、基本的に高度経済成長ができる要因がなかったわけです。そのときは基地に覆われていて、第二次産業が非常に弱い。これは一次のもの、また最低のものが際立って沖縄に生まれているということが松崎議員の方からありましたけれども、二次産業というのをやはり生育させていく必要も同時にあると思います。  沖縄振興策というのは、先ほど言われた観光、情報が全部入っているような状態でございます。ですので、それ以外の二次産業にかかわる振興がどういう形でやれるのかというときに、私も何度も沖縄へ行ったときに、与那国で、あそこはムー大陸かという新聞宣伝にもなりましたけれども、この前、台風九号が来ているときに有名になった与那国というところに海底資源と文化遺跡が現在生まれて、アメリカ映画の沈没したタイタニック号の撮影班が来て、こんな大変な資源があるということで台湾経由で那覇、石垣、与那国というふうに来ておりました。  そういう意味では、陸地面積は少なくても、海洋資源というのは非常にたくさん望まれるのではなかろうかと思います。与那国のような文化遺跡、また海底の資源、こういったものを考えたときに、私などは、石油、油田でも出てきたときには、環境問題も含めて考えた上で精製工業等々が進出しないと自立といってもなかなか難しいのではなかろうかというふうに思っています。  開発庁、長い間沖縄で取り組まれておりますので、その沖縄の海底資源開発に関してはどういうふうに考えておられるか、お伺いします。
  40. 井上吉夫

    ○国務大臣(井上吉夫君) 福本委員のおっしゃいましたように、沖縄は確かに第二次産業が極めて脆弱である、これが産業の組み合わせの中で一番の問題だというのが現状でございます。  ところが、それでは今どういう第二次産業をここで興せるのかということを考えてみましても、すぐ手品みたいに第二次産業が興るということは考えられませんので、手順としては、御承知のとおり、沖縄振興開発特別措置法の改正によって有利な条件でどんどん入ってくるであろう新規の企業立地を第二次産業的部分を含めてやってほしいなということが一つあります。  それから、御質問の中で地下資源の面に触れられました。沖縄で地下資源といえば石灰岩、石灰石の鉱山が九十何ぼありますが、これとても量の面ではそう大きな比重ではありません。これは既に相当古い時代からずっと操業が続いておりますので、さらにこれを数量の面あるいは雇用の面でふやすというほどの対象ではありません。したがって、現在あります鉱山が隣の鉱山との境界問題等もあったり入れ込んだりということなども出てまいりますから、そういうあたりの調整をしっかりやりながら、引き続き少なくとも現状を維持できるようにやっていく必要があるなというのが鉱山のマイニングの面での沖縄の問題だと思います。  もう一つ言われました海の関係でございますが、地下資源の面で海底資源のくだりについて言うならば、御承知のとおり、賦存する油関係は尖閣列島周辺でありますので、したがってここでは領土帰属の問題あたりが、簡単に今直ちに日本あるいは沖縄の手によってこの開発に着手するということは容易に実現性はないと思いますが、当然これは先々中国なりあるいは台湾との帰属の問題あたりも、外交的手段等によって何とか円満に解決するなりあるいは一緒になって開発するなりということを含めて十分視野に置いて考えていきたいなと思います。  先ほど申し上げましたように、産業の組み合わせの中でもう少し二次産業を沖縄では伸ばしたいなということを絶えず考えながら事業の進展のためにやっていきたいと思いますが、今やれる仕事、そういうことをしっかりと伸ばしながらお説の点についても視野に入れて頑張っていきたい、このように考えておるところです。
  41. 福本潤一

    ○福本潤一君 特に今回経済振興策でかなり大きな予算がっくとはいえ、これも基地問題とリンクになってなかなか経済振興策、さまざまな計画があるわけでございますが、スムーズに進展していない、また公共土木事業に頼って、基地の存在することによる基地経済に頼ったあり方という状態がいつまでも続いている状態で進展していっております。  今さっき言われた石灰岩もある意味では資源でもあると同時に、水が硬水になって飲み水としてなかなか適さないという問題も含んでおります。ですので、経済振興策という形でリンクする話だけではなくて、私は自立というならばやはり二次産業も本格的に考えた上での取り組みを開発庁にはしていただきたいというふうに思います。  続きまして、現在存在する資源、これをまた生かすということも大事だと思います。  琉球大学、私も学者だったときの仲間がおりますのでしばしば寄りますが、あそこに海洋学科というのがあります。東海大学に海洋学部とかあります。琉球というところを見ますと、やはり海が広大だ。私も行ったときは、沖縄は小さいところだと思っておるんじゃないですかと最初言われまして、いえいえ沖縄は大きいと思っていますと言いながら心ではやはり小さいところだなと思っておりましたところ、沖縄の方からは、海を入れたら九州よりでかいのです、飛行機の飛ぶ距離から見たら日本全体に匹敵するぐらいなんです、昔は琉球王国でしたからという言い方をされます。ぜひとも海洋学科というのを海洋学部という要望もありましたけれども、学部昇格は簡単ではないでしょうけれども、文部省に、地元の大学研究機関を育成する意味でもそういう方向性というのは考えられないか、お伺いします。
  42. 佐々木正峰

    政府委員佐々木正峰君) 国立大学の整備でございますが、これにつきましては従来から地域の特性も生かしながら、学問分野の進展、人材の需要あるいは各大学の人的物的諸条件等を総合的に勘案しながら大学側の要請を待って整備充実を図っておるところでございます。  琉球大学につきましても、本年度海洋環境学専攻を設置するなどの措置を講じてきているところでございまして、今後とも大学の要望等を踏まえつつ適切に対応してまいりたいと考えておるところでございますが、先生指摘なさいましたように、国立大学の学部を新設することにつきましては極めて厳しい財政事情にあるということについてぜひとも御理解を賜りたいと存じます。
  43. 福本潤一

    ○福本潤一君 沖縄の振興に関しましては、経済振興にとどまらず、さまざまな形でまた視野を広げて進めていっていただければと思います。海洋環境センターという形、また海洋、海を大事にした上での地元振興を考えていただければと思います。  と同時に、私も石垣とか与那国、与那国ではその海底遺跡もスキューバダイビングをして現地で一緒に調査団と潜らせていただきましたけれども、石垣というところに観光はあるんだけれども観光を推進する人たちを育成するような形のものができないかという要望がかなり上がってまいります。本島の方には視点が行っておるわけですが、西表島もすぐそばにあって、西表、石垣合わせると本島の面積の半分近くになるぐらい大きい面積でございます。こちらの石垣市での観光関係、大学とまでは言わないですけれども、それに対して運輸省どういう形のことが考えられるか、お伺いします。
  44. 羽生次郎

    政府委員(羽生次郎君) 今、先生指摘のございました観光関係の高度の教育機関でございますが、この件につきましては、平成七年六月に観光政策審議会で「観光に関する国内外の政策等について総合的な研究を行う観光大学のような高等教育研究機関の整備を行う。」との答申をいただいております。  運輸省といたしましても、観光産業における人材育成の重要性については十分認識しているところでございますので、この答申等を受けまして平成八年度から観光産業における人材育成等に関する研究会というものを設置いたしまして、問題の所在あるいは関係教育機関、関係業界、地方自治体等からヒアリングを重ねております。そして本年度中に観光産業における総合的な人材育成システムのあり方についての結論をいただくこととしておりますので、それを踏まえて今後どのような育成方針をとるかということを決めることになるかと思います。  ただ、その観光大学と申しますと、先生ただいま御指摘いただきましたように、現下の財政状況、不況状況からいたしまして、単科の大学というものが直ちにできるかどうかということは疑問がございます。しかしながら、中長期的な課題として見る一方、既存の大学の中にも観光学部等の設立がどんどんできておりますので、そういったものの活用等を中期的には考えながら今後ともこの問題に対処してまいりたいと考えております。
  45. 福本潤一

    ○福本潤一君 観光関係もそういう人材育成も含めて対応していただければ、地元の要望としては、日本で観光業のトップリーダーになるためにはむしろハワイとかイギリスに行って大学へ入って研修して帰る必要があるということでございますので、大いに人材育成を含めて観光業の進展を考えていただければと思います。  と同時に、運輸省来ていただいていますので、これはお答え要りませんけれども、タイタニックの撮影班、台湾に一たん入りまして、それから与那国に行くとき目の前に見えるんですけれども、一たん那覇に飛んで、那覇から与那国がありませんので石垣に飛んで、石垣から与那国に来てという形で、かなり機材もたくさんあるものがなかなか容易に、与那国まで行くのに時間がかかって、飛行機で行くのに二日間ぐらいかかってということがありました。  これは需給の関係があると思いますのでなかなか難しいと思いますけれども、ある意味では台湾自体が一国かどうかという問題もあると思いますけれども、その航空ルート開通に関してもまた特段の御配慮をいただければと思います。  これで私の質問を終わらせていただきます。
  46. 小泉親司

    ○小泉親司君 日本共産党の小泉でございます。  私は沖縄嘉手納基地のPCB環境汚染問題について質問をいたします。  この問題は、もう御承知のとおり、一九六〇年から七〇年代にかけて沖縄の嘉手納米軍基地に有害物質でありますPCBを含んだ変圧器のオイルが基地内に投棄されてありまして、これが近くの海に流れ込んだというような事実が明らかになつて、沖縄の県民の方々に大変大きな不安を与えております。  この問題というのは、単なる沖縄の方々の不安にとどまらないで、これからの将来の沖縄開発や発展、それから県民の方々の命や健康を守るという点で大変重要な問題で、こういった土壌汚染や海洋汚染、大気や水質の汚染が繰り返されるならば、沖縄の大変深刻な問題に発展する重要問題だというふうに私は思います。  その点で、まず初めに、沖縄開発庁長官に御認識をお伺いしたいというふうに思います。
  47. 井上吉夫

    ○国務大臣(井上吉夫君) この前の予算委員会のときでしたか、照屋議員からこの問題にかかわる環境庁長官などへの御質問がございまして、私は早速、嘉手納基地についての所管の関係もございますので、水質ということになると環境庁、基地の問題ということになるとどうしても防衛庁なり外務省とかかわるなということを感じましたので、私のところは中心は沖縄開発ではありますけれども、今お話しのありましたように、これはずっと影響をしてまいります。  住民の不安をできるだけなくするということに全力を傾けなけりゃならぬという立場もありまして、環境庁長官にもすぐこれへの対応を、答弁だけではなくて、やれるだけのことをやってほしいということを申しました。外務大臣にも防衛庁長官にもそれぞれのやれる範囲のことをやってほしいということを申したわけですが、私のところの下地政務次官が御承知のとおり沖縄の出身なものですから、彼はこのことについて特に気を配りまして、既に二回にわたりまして関係の皆さん方に御回行いただいて嘉手納に参って、米軍関係も含めていろんな要請もしてくれておるようであります。  ただ、第一回は九月九日に沖縄開発庁と外務省、防衛施設庁、環境庁の担当官が嘉手納基地に入って米側に事実関係調査を依頼し、そして九月二十八日に再度嘉手納基地に入って米側の回答と説明を求めるということをやりました。その報告を受けました。  その報告によりますと、アメリカ側からは過去三十年間の書類なり写真あるいは関係者の証言によればため池の存在は確認されておらず、PCBの投棄の事実も確認できなかったというのが、下地政務次官から二回にわたって現地に参りましての報告でありました。  ただ、これはこれですべて終わりじゃありませんので、米国の国防省を初め関係機関で構成される環境汚染にかかわる専門家チームが組織をされて、さらにサンプルの採取等の調査を行うということなどを要請して、次の段階調査にかかるということの報告を受けましたので、それらの成り行きをしっかり踏まえながら、御懸念の点については沖縄県民の皆さん方、特に、地元の関係者の問題ということだけではなくて、これから先の沖縄のいろんな問題にかかわってくる、そういう認識で対処をしたいなと思っておるところです。
  48. 小泉親司

    ○小泉親司君 沖縄の評価はいろいろと新聞でも出されておりますが、この下地調査団ですか、これの結果というのは、そういう意味では米側が嘉手納基地の記録や聞き取り調査でやっているもので、実際に科学的な根拠という点では非常に乏しいというようなことが共通の評価でありまして、やはりこの点はきちんと私はもっと徹底した科学的な調査をするべきだというふうに思います。  その点で、日米防衛外務首脳会談で、2プラス2で米側の調査団が入るやにというような報道がありますが、この調査団というのは、基地内のボーリング調査ですとか土壌や地下水の汚染などとか、そういう問題についても調べるという計画になっているんですか。
  49. 田中信明

    説明員(田中信明君) 御質問の点でございますが、昨月、九月二十日、日米安全保障協議委員会、2プラス2と呼ばれているものですが、それがニューヨークで開催されました際に、報道されているような嘉手納飛行場におけるPCB汚染地域、これが本当にあるのかどうかということを調査するために、国防省の専門家チームを現地に派遣するという説明がありました。  この派遣チームは、長官が今おっしゃられた下地政務次官が沖縄に行かれた際に、先方、アメリカ側から、十月中旬に派遣される予定である、詳細については検討中であるというふうなことがありましたが、私どもが承知している限り、このチームは調査の一環といたしまして、嘉手納基地内、それからその周辺に在住する沖縄の住民及び米国市民、これに対する潜在的な健康への危険についても調べる、それから、このチームはサンプル採取の記録の検証を行って、適当な場合には大気、地表水、飲料水及び地表土壌のサンプル採取を行う、同地点においてさらなる措置がとられるかどうかについては、同チームの調査が終了した後に決定される、こういうふうになっていると承知しております。
  50. 小泉親司

    ○小泉親司君 ボーリング調査とかそういうものもやるんですか。その点はいかがですか。
  51. 田中信明

    説明員(田中信明君) 今後、国防総省の方において、専門家チームの具体的な調査内容というのはいろいろと詰められていくものと思いますが、現時点におきましては、先ほど答弁いたしましたとおり、適当な場合には大気、地表水、飲料水及び地表土壌のサンプル採取、これを行うということでございますので、その限りにおいて行われるものだと承知しております。
  52. 小泉親司

    ○小泉親司君 この嘉手納の汚染は、実際に嘉手納基地にある二十二の井戸から、これは県議会の答弁書ですが、平成九年度実績で日量二万二千立米の地下水を取水しているという、県民の飲み水にかかわる大変重要な問題であります。  先ほどもお話しありましたが、実際にアメリカでも、私は九六年度国防報告を持っていますが、国防報告でもわざわざ章立てをして環境上の安全保障の問題ということを最近は掲げているわけですね。つまり、海外のいろんな基地で今PCB汚染の問題、重金属の問題、もう全世界のあちこちで存在している、しかもアメリカの国内でも存在しているわけですよ。  だから、ここで何と言っているかといえば、環境面の安全保障というのは国防上の任務の最優先課題だと、死活的な課題だとまで言っているわけですね。しかも、その汚染防止には、例えば、重金属を使わないような、PCBなどの有害物質を使わないような兵器システムに変えることだとか、国防総省の有害物質の環境基準を変えることだとか、そういうことまで言っておるんですね。ですから、その点ではアメリカの国内ではそういうことを実際にやっておるわけですよ。  だから、ぜひこの点では、やはり土壌汚染という問題も含めて、ボーリング調査などの科学的な調査を私はきちんと外務省を通じて米軍などに開発庁としても求めていく必要があるんじゃないかと思いますが、長官いかがでございましょうか。
  53. 井上吉夫

    ○国務大臣(井上吉夫君) 冒頭申し上げましたように、この問題の所管は、御承知のとおり直接にアメリカともろもろの交渉をする窓口は外務省でありますし、あるいは施設については施設庁というかかわりがありますから、必要か否かというそこだけを議論すれば、確かにこれから先のこの種の自然の問題ということはこれほど大事なことはないわけですから、このことを特に十分気をつけてやってほしい、また、不十分な面についてはさらに調査を求めるべしということは開発庁としてもそれぞれに要請してまいりたいと思っています。
  54. 小泉親司

    ○小泉親司君 今まで防衛施設庁は、日米地位協定で立入調査ができないということを中心にして、しかもいろんな国会議員の方を含めて立入調査の要求については拒否をされておる、これは外務省も関係しますが、拒否をされておる。さらに、この問題というのは、同じ地位協定で今度は米軍基地が返還されたときのその補償はアメリカ政府は負わない、つまり米軍は負わないということが決められておるわけですね。  ところが、この土地というのは幾ら管理権が米軍にあっても、実際、私たちは地位協定の反対を、安保条約の反対を唱えておりますが、この土地自体はこれから将来返還される可能性が非常に高いわけですから、この点では、これからの将来の問題を考えてもやはりきちんと立入調査、特に人体に非常に影響を与えるものについては立入調査を強く要求するというのが大変私は必要だというふうに思います。時間がないので、同時にその点を御答弁いただきたい。  それから、施設庁の萩防衛施設庁長官が九月十一日の記者会見で言っておられるのは、これまで法的に問題にならなかったものが規制が厳しくなって問題があるものも出ている、だから、ある程度のルールを決めて、日本側調査をする必要があるのか米側で調査をする必要があるのか、要するにどういう方法があるのか、通知方法はどうするかなど相談することはいろいろある、いわゆる調査の問題でもそういう日米間のルールをつくった方がいいんじゃないかということをここで提起されておるわけですね。  その点では、私は、言いましたような立入調査権も含めて、日米がそういう点できちんとルールを決めて、この問題というのは特にこれからの将来の問題にもかかわりますし、人体に大変大きく影響する有害物質の問題なんですから、立入調査等そういった日米のルールを決めて、日本側もこういう科学的な調査が専門家を入れてできるような、そういうきちんとルールを確立すべきだと思いますが、その点施設庁にお聞きをいたします。
  55. 守屋武昌

    政府委員(守屋武昌君) 環境にかかわる問題につきましては、今、先生から御指摘がございましたように、地元の方々の安全やその市民生活への影響に対する不安感を生じやすいという問題であります。報道されている嘉手納飛行場のPCB投棄問題のような事案が生じた場合には、私ども、日米両政府は透明性を持って対応することが必要ではないかと考えておるところでございます。  こうした観点から、合同委員会の枠組みの中で環境保全対策について私どもは日米双方がルール化を図ることが必要であると考えているところでございまして、先般アメリカで行われました2プラス2、防衛首脳会談におきまして、私どもの額賀防衛庁長官から、米側からの情報提供と日米協議の上での実態調査の実施、汚染が判明した場合の措置、それから周辺住民への開示が必要であることを説明しまして、米側の協力をお願いしているところでございます。
  56. 小泉親司

    ○小泉親司君 終わります。
  57. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 井上開発庁長官におかれましては、沖縄の振興開発のために昼夜分かたぬ御苦労、御奮闘をいただき、心から敬意と感謝を申し上げます。  きょうは時間が少ないですので、適宜要領よくまいりたいと思います。  まず、泡盛産業の件でございますが、申し上げるまでもなく沖縄の伝統的な地場産業でございます。私は、井上長官がこの泡盛産業の現状についてどういう御認識を持っておられるか。また、これから泡盛産業の振興を図っていかなければならないと思います。  とりわけ、琉球王朝の時代からタイの国から原料米を仕入れて世界の銘酒である泡盛をつくってきたわけでありますが、旧食管法、現在の新食糧法によって原料米が国家統制を受けておるという状況にございます。私はその原料米をもっと安くすべしという考え方に立っておりますが、この点についても、ぜひ長官、食糧庁などへ開発庁として原料米を安くしろと、こういうひとつ力強い働きかけをお願い申し上げたいと思いますが、いかがでございますでしょうか。
  58. 井上吉夫

    ○国務大臣(井上吉夫君) この前、沖縄からもお見えになりまして、お土産に泡盛をいただきましたつその際も、今お話がありましたように、できるだけ安くつくるためには原料米をもっと下げられぬかというのも一つの項目でありました。幾つかの要素がございますが、最近泡盛の売れ行きも平成四年から今日までだんだん右肩上がりでよく伸びておるようであります。  問題は原料米の話でありますが、御承知のとおりこの所管は食糧庁でございます。輸入される米の品質なり国内での市場価格なり加工原料用の米穀の価格との整合性を全体として勘案しながら原料米の価格を決めているようでありますので、泡盛の原料米だけをもっと下げてということは、なかなかすぐにそう要求するよというお答えを言ってもいいかげんになりますから、やる以上は、確かにこれはどうしてももっと下げないと泡盛産業に致命的打撃だということをしっかり認識したら交渉をしたいなと思います。  ただ、他の原料米として食糧庁が払い下げる価格よりも泡盛原料米はどちらかといえば割と安いところでランクされているようでありますので、それらとも十分比較をしながら、お話のありましたように、泡盛が沖縄にとって伝統的アルコール飲料としてもっと伸ばすべき分野だという認識は持っておりますので、今のところその程度で御了承いただいて、しっかりと食糧庁とこの関係の決め方なり実態を調べた上で対処したいなと思っています。
  59. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 長官のお国にもしょうちゅうがございますが、ぜひ長官在任中は泡盛一辺倒でひとつお願いをいたしたいと思います。  それで、私はこの旧食管法、新食糧法を通じて、いわばそれは食糧統制を通じた、泡盛はウチナンチュが飲んで日本政府がもうかるなんというのはひどい話で、それを還元して泡盛博物館をぜひつくってもらいたい。沖縄振興にも役立つと思いますが、いかがでしょうか。
  60. 井上吉夫

    ○国務大臣(井上吉夫君) 今の博物館の話というのは私も初めて聞きましたので、突然のことで、直ちにお気に入るような即答はできかねると思います。  これらの博物館というのは、現段階では答弁することは難しゅうございますが、本来からいえば、業界の皆さん方、あるいはその地域を含めてどうしてもつくらなきゃならぬというような合意を得てつくっていかないと、ここのやりとりで泡盛博物館を、おれが質問したら開発庁長官はつくるべしと言ったよということを言ってしまうと、政治の進め方というのが何となく余りにも軽くなると思います。  泡盛を沖縄における伝統的アルコール飲料として伸ばしていく、そういう基本的認識の上でどうしても博物館的なものが必要であるとすれば、皆さん方と相談をして対応したいなと思いますが、今直ちのこの問題に対してのやりますという返事は御勘弁ください。
  61. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 沖縄水資源開発というのは大変大事な課題でございます。国も開発庁を挙げて多様な水資源開発に取り組んでまいりましたが、その中における地下水の開発についてどういう考えを持っておられるか。  それともう一つは、PCBで大騒ぎになっております嘉手納基地周辺、あるいは嘉手納基地の地下部分というんでしょうか、あそこには沖縄でも有数の嘉手納井戸群と呼ばれる非常に豊富な地下水脈があるというふうに言われておりますが、この嘉手納井戸群の分布や水量、開発可能性はいかがなものか、あわせて質問をいたします。
  62. 井上吉夫

    ○国務大臣(井上吉夫君) 照屋議員よく御承知のとおり、沖縄の土壌は保水力が余り全般的に強くありませんね。したがって、地下水脈というのが、水全体の供給の中で調べてみますと、一〇%地下水でとれるのかな、あとは地下ダムであるとかいろんな方法によって必要な水を確保するという形になっていることは御承知のとおりであります。  なお、豊富な地下水脈があるとすれば、これはもう本当に沖縄にとっては宝でありますから、それをしっかり保水するということは大事なことだというぐあいに思いますから漏れなくやっていきたいと思います。沖縄の水の全体から見ますと、ダムからの取水、あるいは河川水の取水、地下水等の取水、あるいはごく一部でありますが海水の淡水化によって全体の水を確保しているという状況でありますので、最も大事な地下水がなおいい水脈としてあれば、これはまた御指導いただきながらしっかり確保に向けて努力をさせたいと思います。  今のところ全体の水の需要については、ダムによる取水が主力でありますが、河川水も含めましてまずまず確保はできておるようであります。  後段にありました部分については、これは事務方の方から実情関係報告をさせます。
  63. 襲田正徳

    政府委員襲田正徳君) 嘉手納井戸群についての部分について御説明申し上げますと、これは御案内のように、県の企業局が市町村の上水道に給水するための水源として開発しているのでございまして、嘉手納基地内に分布する二十二カ所の井戸から成り立っているわけでございます。取水量でございますが、平成九年度の実績では一日当たり平均約二万二千トンでございます。  この井戸群につきましては、県の企業局といたしましては、今後新たに井戸を掘削いたしまして取水量をふやす予定はないということで、開発可能性について特段の調査は行っていないというふうに私どもは聞いているところでございます。
  64. 田村秀昭

    ○田村秀昭君 予定の時間が大分過ぎておりますので、質問は一つだけにさせていただきます。  御承知のように、昭和二十年六月に海軍壕で大田少将は、沖縄県民よく戦えり、後世沖縄県民に特段の御高配あらんことをという電報を大本営に打って自決されて、それ以来五十四年、沖縄県民は苦渋の連続であったと思います。私は、歴代の内閣が沖縄県に対して配慮はしてきたけれども、特段の配慮がなされてないんではないかというふうに思っております。  それはどういうことかと申しますと、二十一世紀、沖縄県はこういうふうにするんだという青写真を描ける省庁がどこにもないということです。  例えば、基地問題について申し上げますと、沖縄開発庁は、在沖米軍基地の存在が沖縄の発展の障害になっていると認識している、基地の返還は所管にあらずと、こう言っていますね。外務省は、安全保障上の観点から基地の存続は不可欠。防衛庁は、防衛上の観点から基地の存続は不可欠。沖縄県は、基地反対、基地撤去の立場からの要求はするが、基地との共存、整理、縮小の現実的な絵は描けないと。したがって、第三次振興開発計画は進んでおりますが、それは、沖縄県をこうしよう、二〇一〇年にはこうしたいという青写真を描いてやっているわけではないんです。これは、事務は一生懸命やっていますが、政治の責任だと私は思っております。  それで、例えば今度の普天間基地の問題にしても、個人的な見解ですが、海兵隊を今出ていってくれなんということを幾ら言っても、朝鮮半島の問題が解決するまでは、その平和と安全を確保する責任のある米軍はヘリコプター部隊を移転するなんということはできないわけです。これは沖縄の県民の意思にかかわりない。軍事的用語で申しますと、緊要地域ということなんですが、それは無理なんですね。ちょうど冷戦の時代日本列島が非武装中立になり得なかったのと一緒です。  したがいまして、私の個人的な見解なんですが、戦後ずっと政治が軍事を避けて通ってきた、軍事的なことというと常に避けて通ってきた。しかし、沖縄の問題というのは軍事の問題なんですね。そうすると、例えば普天間のヘリコプター部隊を嘉手納基地に移す。それで嘉手納の空軍を、これは空中給油ができますから、沖縄以外の日本の基地に移すということを考えれば、問題はそんなに難しい問題ではないと。これはミリタリー・ミリタリーの話ができるんですが、そこが欠如しているわけですから、そういう調整をする部署がないわけですから、2プラス2でいきなり言っても、部署同士が話してないとそれは話にならない。  そういうことも考えて、今回、省庁再編もございますので、そういう点についてどういうふうにお考えなのか。依然として同じような一元的な所管業務をやらないでいくのかどうなのか、沖縄開発庁長官と総務庁長官にお伺いして、もう個人的なお考え方でも結構ですから、質問をさせていただいて終わりにいたします。
  65. 井上吉夫

    ○国務大臣(井上吉夫君) 詳細はまた総務庁長官からお話をいただくとして、御承知のとおり、今のお話のように、現在中央省庁の再編が議論をされておるところです。  沖縄対策につきましては、歴史的、地理的条件や米軍基地の存在などの特殊事情を踏まえ、地域の発展のための諸課題に対応するとともに、県民のためのきめ細かな施策を総合的、一体的に推進することが国政上の重要課題であるとの行政改革会議の議論もあり、最終報告及び中央省庁等改革基本法において、内閣府に沖縄対策担当部局を設置し、担当大臣を置くこととされました。  今後、この最終報告及び基本法の内容に沿って、沖縄対策に係る企画立案及び総合調整の機能が十分に発揮されるよう、その具体化に努めてまいりたいと思っております。  この前も沖縄に私参りましたとき、中央省庁の再編が沖縄の現地の部局の仕事の内容にどう変更があるかという中で、基本的には担当大臣が置かれる、沖縄開発庁長官という名前じゃないかもしれぬが、今までずっとやっている関係の事業を総合的な企画立案を含めて一体的にやっていくという部分については今までと変わりなく続いていくはずだから、そのつもりで頑張ってほしいと申し上げました。  今、田村議員がおっしゃいました、そのほかの外務省あるいは防衛施設庁それぞれのかかわりにつながってまいります基地との問題、それもあわせてやるべきではないかということについては、この省庁再編の中でどういうぐあいに考えていくべきなのか、私もおっしゃる意味はわかります。すべてが一体として管理される方がぐあいがいいなという点が多々あるということは同感でございますが、この機構の再編がどういう扱いになるかということについては、どちらかといえば総務庁長官の方が直接的な受け持ちだと思いますので、お答えいただきたいと思います。
  66. 太田誠一

    ○国務大臣(太田誠一君) 今の井上長官のお話のとおりであります。したがって、担当の大臣をそこに置くということと内閣府に沖縄を担当する部局を置くということが決まっているだけでございますので、これから内閣府は他の省庁よりも上、一ランク上といいますか、他の省庁の一段上に位置づけられるものでございますから、相当の調整能力をここで発揮するということが期待されております。だからといって今、先生が提起されましたあらゆる安全保障上の問題、外交上の問題について、それじゃ外務省や防衛庁と協議をしないでいいかということじゃないわけでございますから、そこはまた一層お知恵をお出しいただきまして、省庁再編成の結果、これがうまく機能するようにいたしたいと思っております。
  67. 立木洋

    委員長立木洋君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後三時四分散会      ―――――・―――――