○前田(武)
委員 関連して緊急に、短時間でございますが、
質疑をさせていただきます。
台風七号は風台風でありました。
皆さんはテレビ、新聞で見ていただいたと思うのですが、あの優雅な室生寺が損傷を受けました。近畿の文化財、室生寺を初め数多くの文化財が損傷を受けたわけです。もちろん農作物も大変な被害でありました。大和の名産のカキであったり、長野のリンゴ、東北のリンゴ、そのほか米の方も相当の被害が出ております。もちろん山林の方も大変な被害を受けたわけでございます。引き続き雨台風、高知県の方も大変悲惨な
状況になりました。それに先立つ台風四号以降の被害も随分とありました。
ここに、被災を受けられた方々に衷心よりお見舞いを申し上げるとともに、全国で今そうやって災害復旧に立ち上がっておられる方々、
支援をされる自治体を初め
関係の方々にぜひ頑張っていただきたいというふうに思うわけですが、
政府においても、先ほどの
補正予算も含め、この
状況に対して迅速な力強い
支援を講じられるように、まず冒頭、要請いたします。
そこで、時間が余りありませんので、続けて文化財
関係、そしてまた、国土保全の根幹である森林の保全といいますか、そういったことについて農林大臣に、それぞれ一点ずつ
質疑をいたします。
あの室生寺というのは、千二百年前に創建された、女人高野と言われる非常に優美な、貴婦人が凜として立っているというような感じでございます。私も
現地に参りましたが、本当に損傷を受けて痛々しく、しかし気高い姿で立っているわけであります。そのほか、吉野山の蔵王堂あるいは春日大社、法隆寺あるいは京都の知恩院、滋賀県の延暦寺、近畿一円の文化財が軒並み損傷を受けております。
そして、これの修復というものは、伝承されてきた伝統的な技術、そういったものがないと修復ができません。もちろん、奈良、京都等関西にはそういった技術の伝承があるわけですが、その継承というのは非常に難しい
状況になっております。また、ひわだぶきの材料そのものも確保するのは非常に難しいような
状況でもあるのですね。そのほか、和紙の問題、いろいろな材料の問題もあります。
ここで、文化財の行政に対して、こういったきちっとした技術の継承、そういった伝統的な材料の継承、育成、そういったことも含めまして、文化財保護行政というものは今転機にあるのではないか、こういうふうに思います。そういった
意味において、
日本の価値観の集大成である伝統的な文化の継承について文部大臣の心構えをお聞きしたい、これが一点でございます。
続けて、農林大臣に御質問をいたします。
この室生寺が損傷を受けたのは、樹齢七百年ぐらいの杉の大木が根こそぎひっくり返ったわけなんですね。近くの境内の杉が何本もひっくり返っておりました。これを見てもわかるように、この風台風、風が通り抜けたところは各地で、樹齢百年、二百年という先祖伝来育て上げてきた名木と言われるようなものが軒並み、根返りといいますか、斜面に、根の方がひっくり返って天に根を向けて、一面に倒壊しております。また、戦後営々として植林してきて、やっと伐期に迫ったものも倒壊していっているのですね。
平成三年には、大分を中心に大変な風台風で被害がありました。あれから既に何年か経て、山村は軒並み高齢化が進み、また過疎化が進み、山林の担い手がどんどん少なくなり、高齢化しているわけですね。片一方で、COP3で言われるように、森林の大きな
役割というのが地球環境
時代に評価されるようにもなってきているわけであります。
しかし、
日本の森林行政においては、今、もちろん
政府においても大きな転機を迎えて森林行政のあり方を根本的に問い直そうとしているのは
理解はするわけでございますが、余りにも
対応が遅くて、この事態は激甚災等に指定してもちろん手厚い復旧への
対応をされることと思いますが、それだけではもう森林家、林業家が意欲を持って取り組めない、もう後継者も来てくれないというような
状況でありますので、これはむしろ、
日本の環境を守る山村そのもののあり方について、
政府においてどういうような
考えで取り組もうとしているのか。もっと端的に言えば、こういった被害を受けた山というものは、このまま放置すると、今続いている雨でさえ二次災害が起こるおそれが随分あります。このままこの山村を放置しておりますと、
日本の国土は崩壊いたします。
したがって、そういう
意味におきましても、具体的に言えば、そういう山林をもっと公有林化していって、きちっとした国土管理というものを、山村、地域共存、そういう自治体を含めてきっちりと
対応していくだとか、そういった方向も含めて農林大臣の御所見を伺いたい。
この二点質問をして、終わります。