○矢島恒夫君 私は、日本共産党を代表して、本補正予算に反対の
討論を行います。(
拍手)
初めに、
政府・与党は、本日午後二時にいきなり補正予算案を
国会に
提出し、本
会議での財政演説も行わず、予算
委員会の
審議もたったの二時間足らず、その上緊急上程を強行するなど、
国会無視の暴挙として厳しく指摘し、強く抗議するものであります。
本補正予算案に反対する第一の
理由は、
銀行の不始末やさらなる体力
増強のために、
国民の血税をさらに大規模に
投入して、露骨な
銀行支援を行おうとするためのものであるからであります。
本補正予算案に定める
政府の
債務保証の対象は、
金融再生勘定及び
早期健全化勘定とされております。
金融再生勘定は、
破綻前の
金融機関に対する一時国有化の枠組みに対する公的支援でもあり、これによって、
株式の取得から運転
資金や営業損失などの穴埋め、
不良債権の
処理、受け皿
銀行への
資本注入まで、さまざまな形での
公的資金の
投入の道が開かれたのであります。
金融機関が
債務超過でなく
破綻していないのなら、
預金者保護も善良な借り手保護も自力でできるはずであります。
国民に負担を負わす道理はどこにもないのではありませんか。それどころか、最後は国が面倒見てくれるということによって、
金融機関に一層の倫理観の欠如、
モラルハザードを招くだけであります。
早期健全化勘定は、
現行の
金融機能安定化のための十三兆円の
資本注入枠が廃止されるかわりに創設されるものですが、
現行よりはるかに巨額でかつ包括的な
制度であって、廃止したはずの十三兆円スキームが単に復活しただけでなく、大きく肥え太ったものになっているのであります。
自己資本比率八%を超える健全
銀行から、八%以下の
過少資本、著しい
過少資本、特に著しい
過少資本と、どんな
銀行にも
資本注入できる仕組みとなっています。とりわけ、
破綻寸前
銀行、すなわち
自己資本比率が限りなく〇%であっても注入可能ということであって、健全
銀行のみとしていた十三兆円スキームの建前とも大きな逸脱をしたものであります。
こうした新たな仕組みに対する公的支援策は、結局、
銀行業界による自己
責任原則を破壊し、無
責任体制をさらに助長することになりかねません。
第二の反対
理由は、健全
銀行が合併をする場合にも
資本注入を受けることができることとした問題であります。
これは、
金融ビッグバンのもとで、巨大
銀行がさらに巨大化するための
金融再編のためにも、
公的資金によって自己
資本の
増強を行うことを意味しており、
公的資金投入の論拠の新たな拡大を図っているからであります。
国民の税金である
政府保証をこのような使途に拡大すべきではありません。
法案によれば、
破綻金融機関と合併を行った受け皿
銀行だけでなく、健全な
銀行が合併する場合でも
資本注入を可能としているのであります。
金融ビッグバンのもとで、国際的な
金融機関の再編が進められている中で、これに対応するために巨大
銀行同士が合併する場合にも
資本注入を認めるわけで、
公的資金をつけてさらなる巨大
銀行への再編を促進しようとすることになります。
政府がこれまで
公的資金投入の論拠としていたのは、第一に
預金者保護であり、さらに善良な借り手保護とか
金融システムの維持などが加えられました。私たちの記憶に新しいところであります。ところが、今度の
金融再編という論拠は、これまでの論拠を大きく踏み越えるものであり、文字どおり、露骨な大
銀行支援策そのものではありませんか。
第三の
理由は、今度のスキームは、
早期健全化で二十五兆円、
金融再生で十八兆円、これに従来からの特例
業務勘定の十七兆円を加えて、実に空前の六十兆円へと
公的資金枠が膨らみ、回収に穴があいた場合には、
国民負担が巨額となる危険性があるからであります。
この巨額の
公的資金に穴があくかどうかという問題で、
法案提出者は、
委員会答弁の中で、
資本注入資金は返ってくるし、株が高く売れて、よりもうかる場合もあるかのような
説明をしばしば行ってきました。しかしながら、こうした楽観的な
説明というのは、十年前の旧国鉄の長期
債務のときにも同じでした。ところが、今はどうでしょう。
債務半減のはずが逆に膨らみ、何と二十八兆円もの巨額
債務ではありませんか。
銀行支援への
公的資金が巨額の損失につながる可能性がないとだれが言えるでしょうか。
破綻銀行の損失補てんはもとより、
株式等の買い取りや
不良債権の買い取りについても、損失が発生すれば、丸々
政府が肩がわりせざるを得ません。
今回の六十兆円スキームは、これまでの三十兆円スキームと比較して、
限度額が二倍になっているだけではありません。
資金の使用ルートも格段に拡大されており、しかも対象が、健全
銀行から
破綻寸前
銀行、
過少資本銀行へと広げられており、回収困難の危険性はますます増加しています。
さらに、バブルへの反省のない大
銀行が、
公的資金でげたを履かせてもらった上で投機的国際市場に出ていって、新たな
不良債権をつくらないという歯どめはどこにもありません。バブルのツケを
国民に回すだけでなく、新たな
銀行甘やかしのツケを
国民に回しかねません。こうした税金の使い方自体が根本的に間違っているのであって、
国民の理解を到底得られるものではありません。
日本共産党は、このような
銀行甘やかし策に貴重な
資金を
投入するのではなく、景気回復につながる
国民の消費購買力の支援策が今こそ必要であることを強調して、
討論を終わります。(
拍手)