○赤松正雄君 新党平和の赤松正雄でございます。
会派平和・
改革を代表いたしまして、先ほど来問題になっております
防衛庁最高
幹部による装備品購入をめぐる
背任並びに
証拠隠滅問題を
中心に、
総理並びに
防衛庁長官に問題点をただしたい、こういうふうに
考えます。
北朝鮮の危険きわまりない
事件に
日本じゅうが揺れているまさにそのときに、
防衛庁の
中心部が腐っているとしか言いようのない
事件が起こりました。
検察当局の
捜査の手が
防衛庁そのものに入った上、
証拠隠滅までやっていた
疑いが強いということは、二重、三重のショックを
国民に与えていると思われます。
額賀長官就任後の
証拠隠滅がもし事実とするならば、これは当然
長官の
責任問題に直結すると
思います。
自衛隊の最高
責任者である
総理に、先ほども答弁がありましたけれども、改めて、この
事態をどうとらえておられるのかをお聞きしたいと
思います。
ただ、この問題は、言うまでもないことでありますが、突然今に始まったことではありません。昨年、一部
報道機関のスクープに始まり、今日に至るまで、約一年間引きずってきた問題であります。しかも、この
事件の発端は、遠く一九八八年にまでさかのぼることができ、見ようによっては、十年越しの
防衛庁の病巣であると言っても過言ではありません。
といいますのも、大手通信機器会社四社が製造原価を水増しするなどして、約二十億円もの巨額のお金を過大に受け取っており、同庁
調達実施本部としてはそれを
返還させていたというものの、どうにも、その後の
捜査などを通じてわかる事実結果を見る限り、
水増し請求それ自体、双方了解の上ではないのかとの
疑惑が募るのであります。詳しくは
検察当局のこれからの
捜査にまたねばなりませんが、この一年間の
報道あるいは
国会審議などから知り得る情報は、まさにそういうシグナルを鳴らし続けていると言わねばなりません。
少なくとも、世間にこの問題がオープンになってからこの一年、
総理は、外相兼副
総理として、今また
総理として情報に接してこられたわけでありますけれども、どう
考えてこられたか、
お尋ねするものであります。
また、この問題は、事の起こりから始まり、節目節目が内部告発によって
進展しているものと思われます。新聞社のスクープ、その後の
報道のありよう、あるいは一般
国民からの投書によって、
会計検査院が検査に入ったり、また調本が伝票類を
大量焼却したという事実が複数の内部
関係者から明らかになったことなどが、それらを物語っているものと思われます。
まず、そういった点を認められるのかどうかということと、それなら、もしそういった内部告発がなかったなら、今日まで実態はわからずじまいで、うやむやになった可能性があるのではないか。先ほど
長官の答弁、聞いておりますと、結局、
防衛庁の後手後手の
対応が改めてはっきりした、こんなふうに言えると
思います。そういう
報道機関の
指摘を受けて腰を上げるということではなくて、なぜ、
防衛庁としてこれまできちんとした実態
調査ができなかったのかという点について、
防衛庁長官にお聞きしたいと
思います。
また、
防衛庁当局は、この問題について、当初は
企業側の単純ミスとしてとらえ、
返還させたから問題ないとさえしてまいりました。特に、前久間
防衛庁長官は、この六月の安保
委員会において、過払いした分を取り返すために、その金額について折衝して、一種の和解
契約でそれを取り返したということ、こういうふうに
発言をされ、今回の問題についての
防衛庁の
対応を一貫して正当化する
発言を繰り返されてきたことは、周知のとおりであります。
また、現
額賀長官も、就任以来既に一カ月半余りになっておりますが、去る九月十日の安保委
質疑におきましても、基本的には前久間
長官の答弁の域を出ず、まるで人ごと、自分には
責任がないと言わんばかりでありました。
その際に示された
報告書では、
平成九年九月に
調達実施本部に
原価差異事案対策特別委員会を設置し、原因分析を行い、
再発防止策を本年二月に発表したことが、唯一
防衛庁の
対応策として挙げられています。しかし、調本が犯した誤りを当の調本に調べさせたというのでは、限界があります。現に、その後新たな事実が次々と発覚しているではありませんか。
防衛庁の中に、調本とは別に、この問題の
徹底調査を行う新たな
組織をつくるべきだと
考えますが、いかがでしょうか。
東京地検の
強制捜査が行われる前に
証拠隠滅工作をしていた公算が強くなってきた今日、現
長官は、この反
国民的
行為をどうとらえられるか。
防衛庁そのものの
責任について、お
考えを聞かせていただきたい。
既に
政府は
防衛庁事務次官は更迭するとの
方針のようでありますけれども、政治の側の
責任はどうなるのか。
去る七月、
東京地検に対して、
東洋通信機の
返還額算定は適正な方法であったとする
上申書なるものが、
防衛庁の名のもとに出されたと言われております。この
上申書については、今、
委員会におきまして
資料要求が出されていますけれども、改めてその中身を
伺いたい。
そして、
防衛庁長官はこれにどう関与したのか。していたら、その中身への
責任が問われますし、していなかったと言われるならば、監督不行き届きの
責任があるのではないか、このあたりをどう
考えるのか。また、
上申書の撤回を含めて、今後の
対応について、
総理に改めてお聞きをしたいと
思います。
さらに、
一連の
捜査、
報道の中で浮き彫りになってきましたのは、これら企業への
防衛庁OBの再
就職問題、いわゆる天下りの実態という点であります。
返還額を圧縮した見返りに天下りの大幅受け入れを要求したとの
疑いが
指摘されていますけれども、もしこれが事実とすれば、一国の
防衛にまつわる装備品の
調達をめぐって、企業と
防衛庁との癒着構造という、本来あってはならないことが堂々と行われていたわけであり、ゆゆしき一大事と言わねばなりません。
この問題について、従来、
防衛庁は、特に
自衛隊の
就職の場合は、各部隊に至るまで、早く若くしてやめるものですから、地連なんかを通じまして、みんなが非常に努力をして
就職援護活動をやっておるわけであります、だから、むしろそういう形で全国的にお願いをしているものですから、各企業などの名前を出すことによって、今後そういうような
就職活動に支障を来すということになると実は大変困るわけであります、こういうふうに弁解をしてまいりました。現
長官も、ほぼ同じ
考えを、民放の番組やさきの
安全保障委員会においても表明されています。
しかし、これは、かえって事の本質をごまかすことではないのかと私は
思います。国の
防衛という重要な職務につかれた方々の再
就職先についての現状を隠すということそのものに、今日のような
事態を招く温床があったのではないかとさえ
指摘せざるを得ません。
むしろ、そういう再
就職を隠密裏に運ぼうとする
防衛庁長官の卑屈な姿勢が問題であります。企業との癒着などないならば、堂々と名を明かす方が、お互いにとって、また
国民にとっても、重要な
情報公開になると思われますけれども、
防衛庁長官のお
考えをお聞きしたい。ともに、この際、
防衛庁からの再
就職先の一覧を公表する
考えはないかどうか。
また、先ほども問題になりましたけれども、従来、
自衛隊法第六十二条で、
退職後二年間は、直前五年以内にいた役職と密接なかかわりのある
防衛関連企業の役員かそれに相当する地位には再
就職できないと定められているけれども、
防衛庁の場合、特に制服の場合は、体力的な点から早目にやめざるを得ないという場合、従来どおりの規定ではきついということがあるのかどうか。あるのなら、ほかの省庁とは違う規定があってもいいのではないかと思うが、どう
考えられますでしょうか、お聞きをしたい。
一方、内局の方はむしろもっと厳しくてもいいのではないかと
思います。今回のケースのように、顧問やコンサルタントについては規定がないとされていることを盾に、権限を遺憾なく利用するというのでは、極めて悪質と言わざるを得ません。
今日まで、
防衛関連予算について、私たちは、事あるごとに
防衛庁当局の方から、人件費がかさばり、装備の充実に
予算を割けないという苦渋の現状を聞かされてきたものであります。そのこと自体は決してうそ偽りのないものと信じたいと存じますけれども、今回のような
事件が起こりますことは、余計な不信感を
国民の間に醸し出すことになります。
再発防止に向けて、先ほど来
長官の方からも繰り返し出ておりますけれども、
防衛調達制度調査委員会あるいは
自衛隊員の再
就職の在り方に関する
検討委員会、こういった二つの
委員会をつくり、
検討しますということでありますけれども、学者、
有識者任せだけであってはなりません。
国民の代表としての与野党政治家、なかんずく野党の意見を聞くべきだと
考えますが、いかがでしょうか。
総理自身のお
考えをお
伺いしたい。
あわせて、この際、
自衛隊の
装備品調達についての基本的な問題についての
考え方をお聞きしたいと存じます。
装備品の経費が高いということが
指摘されるたびに出される問題に、
日本は武器輸出三原則で武器の輸出を禁じているために、どうしても生産
調達価格が高くなるという点が挙げられます。一部に、この原則を緩めるべきだとの主張があるやに聞きます。しかし、この原則は、非核三原則にも比べられる、重要な、世界に誇ってよい、
日本の
防衛にまつわる自制心のあらわれだろうと
思います。このあたり、今日の
自衛隊の装備品開発をめぐる課題について、どう
考えられているのか、この際に
長官に改めて確認をしておきたい。
さらに、従来からの武器輸出三原則は、共産圏の崩壊から、ココムは九四年三月に解消されており、第一の原則の前提が崩れてしまったとも見られます。変形された三原則としてこのまま堅持するのかどうか。私は、この際、むしろ武器輸出禁止原則と名を変えて、三つの原則から一つの原則へと整理統合するべきだと
考えますけれども、これについて、改めて
総理にお
考えをお聞きしたい。
装備品開発という問題は、一にも二にも
国民の理解が大切だと
思います。何でも隠そうとする
防衛庁ではなくて、もっと
国民に開かれた、
思い切った
情報公開をしていける
防衛庁、
自衛隊に変身せねばなりません。これが可能となって、初めて今回の恥ずべき
事件を教訓にでき、
国民から
信頼される
防衛庁となることを強く訴えまして、私の
質問といたします。(
拍手)
〔
内閣総理大臣小渕恵三君
登壇〕