○
栗本委員 ありがとうございました。
具体的なことを申し上げたいと思います。
概算要求に関しましては、既にお出しになられました。今申し上げましたように
大変不満な面がございますけれ
ども、こうなりました上は、この
概算要求を第一次
内示で、つまり世に言う一発
回答で
満額をぜひ獲得するために職をかけていただきたいと思います。
過去のことをレクチャー申し上げる気はございませんが、
文部省内部からもちゃんとレクチャーがあると思いますけれ
ども、不安でございますので改めて繰り返しますれば、各
年度の
概算要求と獲得されている
予算額との間には毎年ドラマがございました。一次
内示、二次
内示とちょびちょび出したりしているのですね。その
数字も大体毎年同じ比率であって、
数字的にも、今はちょっと忘れましたが、六、三、六だとか何か並べて、マージャンのような
数字を出してきて、
最後に
大臣折衝でそこそこのものをとるということになっているけれ
ども、そのパーセンテージも同じである。
冗談じゃない。昨
年度は、
財政当局の御理解も賜りまして、賜りましてというとおかしいですね、ようやくさせまして、何しろ別の角度からいえば、八百億だ七百億だというのは田舎の
空港一つの
金額であります。
私の選挙区に、三千数百人の住民の住む
小笠原村がございます。この
小笠原村に
空港をつくらなければならないということで長年やってまいりました。
小笠原は
東京二十三区から一番遠いところなんです。つまり、行って帰ってくるのに十日かかる。こんなところは全
世界で、ネパールだろうとチベットだろうとございません。それで八百億
程度である。これは非常に重要なことだからやめろといってもらっては困るので、
文部省にも応援していただきたいわけでありますけれ
ども。
それを、全国の
高校以下の
助成でそれに到達しないというのはおかしいではないかということ。それで、毎年交渉させて
最後に出してくる、どうせ出すのなら
最初から出しなさい、昨年はそのようになりました。ことしも、ぜひそれ以下に定めないように、
国立大学の
総長であった以上、例年の二倍御活躍いただいて、そうかな、何とかあれなのかなと。
先生は、
東大の
総長の後、法政
大学にも奉職されたことがあると思いますけれ
ども、余りにも期間が違います。ぜひとも、
東大のことはすべてさておいても法政のために頑張っていただきたいというふうにも思うところで、どうしても
満額回答を一発で出していただくようにということ。
それから、今後も、
景気対策あるいは
補正予算等で、どうしても建物とか施設のハードの
部分だけをお
考えになりがちでありますけれ
ども、いい頭を振り絞っていただいて、
実質経常費補助に当たるようなことがないのだろうかということをお
考えいただきたい。それによって初めて、ああ
私学のこともお
考えなんだなというふうに我々は
評価することになると思います。
それで、今のはいきさつのことであります。毎
年度予算の、結果だけじゃない、途中のこともあるので、ぜひともことしは
満額を、昨年並みに最
初からとっていただきたいということを申し上げます。
それからもう
一つ、この
私学助成の問題は別の視点、
問題点がございまして、それは、
大蔵省の論理というのは、この
私学助成というのは、国が
私学をやっているものじゃないのだから、そもそも国がやるべきことであるかどうかに大きな問題があるというふうなことを言いかねません。それはそうではないという
お話を今いただいたと思っておりますけれ
ども。
大体そんなことを言うのならば、
日本長期信用銀行、
民間の会社であります。金を投入しようなどということを
考えるのは既におかしいことでありますし、八百億円やそこらで済まないことを何か言っているわけですね。
冗談じゃないと。
それはもう十分理解していただいている、大蔵もあきらめていると思いますが、しかし、
一般財源化されるという方向の中でもこの
削減が行われた。そうすると、具体的には手当てしてあるじゃないか、鹿児島県でも神奈川県でもと。だけれ
ども――私はたまたま
東京選出の
議員であります。
東京都は
地方交付税の不
交付団体でありまして、もっとも、きょうの
産経新聞の報ずるところ、既に我々も前から知っておりますけれ
ども、
東京都も
財政再建団体に転落をするという
可能性というか
危険性があると言われているのですが、とりあえず今のところ不
交付団体であります。そうすると、
東京都は、勝手におまえのところ富裕だろうという話になつちゃう。
交付税を受けていないと富裕なんだ。そんなことは、
世界最大の
自治体東京都の
財政の
中身を見た場合には全然言えないのですが、そうなっている。
そしてまた、御
承知だと思いますけれ
ども、特色のある
私学、つまり、ベースが比較的大きい、
地域が人口に比べれば狭いという中で、
私学の展開は現在は大都市に比較的集中せざるを得ないというような、本来もっと
地方に広げていくべきなんですが、状態になっています。この
東京都を直撃するのだということなんですね。ですから、このことに関しまして、
一般論として、結論としては、その
一般財源化というのは、それはだめなんだというふうにぜひともしていただきたいということ。
それから、
ロングタームの話といたしましては、今、
財政の方で
PFIということが言われている。
PFI、プライベート・ファイナンス・イニシアチブ、何も
英語で言うことじゃないか、
英語だか何だか、アルファベットで言うことはないじゃないかと思いますが、それがはやりであります。そうなっている。
そこで、
日本の
学校制度の成り立ちを
考えますと、御
承知のように、
大学制度が
整備されるはるか以前に
小学校の
制度ができました。これはほとんどは
民間で、村長さんがつくったり
地域の
篤志家がつくったりして、それをまた
文部省も認め、最終的に今は
公立学校になっていく
流れがあった。これがまさに
PFIの
本当の姿でありまして、今
日本で言われています
PFIは、
民間も金を出せよ、
政府の方もちょっと金を出しておいてやる。それは先行きの利権の先鞭になるよ、とは言っていないと思いますけれ
ども、うっかりするとそういうことになるような種類の
PFI。
PFIという言葉の本場は
イギリスですが、
本当の
PFIではないわけですが、
日本の
小学校はそうだ。
今
大学で言うと、
一つの例として慶応義塾
大学の
湘南キャンパスの中に
国立の
設備がございます。このように
相互乗り入れを今後やっていって、
国立大学のいいところ、
私立大学のいいところ、
相互補完し合って、一
世紀もたってみれば
国立、
私立というものの区別というものがいろいろな
意味でなくなっていく。国の
財政補助はぜひしてもらいたいけれ
ども、なくなっていくというふうになると思いますが、そういう
流れにあったのです。
ですから、今ここで議論しておりますのは、
一般論の次はいきなり
私学助成、
お金の話になります。
高校以下のちまちました話になりまして、
満額獲得しても八百何十億円という話になります。その間に、そうじゃなくて
私学自身を、まさに
民間の英知を結集し、
民間の
社会の力で
学校教育を築き上げていくという、そういう地点にもう一度立ち直っていくような大きな
方針を、
私学助成の
予算獲得は当然のこととして、ひとつ御在任中に旗を振っていただきたい。そうすることによって、ようやく
東京大学総長であったことが
文部大臣として免責されるかなというふうに思っておりますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。
これはもうお答えいただかなくて、何かございましたら一言、違うとか――じゃ、頑張っていただけるということで了解いたします。
時間がございませんので、次の問題に移ります。
大学のことであります。
先生も私も
大学教授でございました。私は学長じゃなかったのですが、でございました。そしてまた、
大学の
評価ということに関しては、たまたま私も
先生も、
議員になる前に
一緒にお仕事をしたこともあったと思います。
そこで、現在、実は
文部省の方でいろいろなことをお
考えになっている。ここに九月十六日付の
産経新聞の朝刊がございますが、「
研究水準で
大学格付け」と大変大きな見出しで
国立の
評価機関を新設するんだということが報じられているわけであります。
イギリスではHEFCという公的な
国立の
評価機関がある。この
中身は、七段階で
研究の
評価をしているということであります。こういったことを
我が国も
考えるべきではないかとお
考えになっている。
また、この記事の中では、ここがなるほどなと、実は私は、
議員であると同時に、今言いましたように、
大学の
評価自身をやっている人間でもありますので、いわば
専門家でございます。
日本の
大学の
関係者の中にこういう
意見があるんだ、
大学が受験の
偏差値で
序列化される
一因は
大学の
評価システムが未熟なことだという
意見があるので、未熟じゃなくてしっかり国でやろう、こういう話なんですね。ちょっと待っていただきたいと。
私個人のことは言っても言わなくてもいいのですが、
週刊朝日と
一緒になりまして、
朝日本紙はそれを批判しておりましたが、
週刊朝日・
栗本式と自分で言ったり言わなかったりする
大学の
評価をしている一方、河合塾及び
東洋経済あるいはその他その他のものが、今
幾つかの
大学評価が
民間から出てきています。私はそれは大変いいことだと思うのですね。
イギリスというのは、大体モデルにしてはいけないのです。
大学の質というか
意味が違います。数が違います。
大学に進んでいく
学生たちの
社会的位置づけが違います。
日本が一番似ているのはその点で
アメリカであります。多数の
大学がある。
アメリカは下手な
大学はつぶれていくし、
日本は下手な
大学をつくっても今のところつぶれないという格好になっているのですが、
アメリカでは
大学評価システムがたくさんあって、
相互に批判し合って、おまえのところの
評価の仕方はおかしいとか、
大学側も反論をしたりしてやっているわけであります。別に
アメリカ政府が、クリントンが、これが正しいよとか言っていない。あんなやつが言ってもだめですけれ
ども、言っていない。にもかかわらず、
日本でそういうことを言うというのは、私はすごくおかしい。
というのは、
偏差値で
序列化される
一因は、
東大をトップにするところのハイアラーキー
システムがあるかのように思われて、そこに行くことが目標になっていると言える。あらゆる
部分で
東大が
ナンバーワンであるかどうかというのは、これはもう
大臣自身がよく御存じのところだと思います。なかなかすばらしい
大学だと思いますが、あらゆる
部分で
ナンバーワン、特に
研究の点でも全部が
ナンバーワンじゃないというのは明らかだと思いますが、にもかかわらず、
偏差値では圧倒的に一番になっている。
それは、
大学の
評価システムなんかが
日本にないときからそうであって、それに対する相対的な
ものを
社会的に、受験生の諸君にというのはとりあえずは目先のことですが、出していこうじゃないかというのが、私だけじゃない、ほかのところの
評価システムの出してきた
出発点。それはまだ二年か三年、私
どもが始めた一番
最初のころから見ても六年、七年だから、未熟なのは当たり前じゃないですか。だから毎年変えています。
私が
議員になった後も朝日新聞は
大学ランキングというのを毎年版で出しまして、それは
大学の
序列もその中で変わっていますけれ
ども、まず今のところこういうことなんですね。トータルな
序列は出していません。
幾つかの
評価基準をどんどん細分化してふやしていっています。就職のためにどれがいいとか見ていただきたいとか、
社会に対する還元、特にマスコミを通じてならここだとか、
大学全体でやるか学部でやるか、毎年変えている。だから私は未熟じゃなくて
発展途上だと思いますし、
後発国でありますので、既に
アメリカの
システムに対して、中から、
大学教授からの批判があったりすることも全部踏まえてやっておりますから、そんな未熟なものだと思わない。恐らくこういう
意見は、
社会的にはまあま
あと言われているけれ
どもどうも私
たちの
評価ではだめだと言われたところが、まあ、だから長銀みたいなものですね、
大蔵省だけの
評価にしてくれというふうに言っているように見えるし、現実にそうなのであります。ちょっと長くなりました。
大学の格付はどんどん議論があっていいし、中にはかっとするものもあってもいいけれ
ども、それを国がなけなしの
予算でやっていく、
私学助成の金、足りないのにやっていくというような話になるのは、どうもおかしいのじゃないかと思っているのですけれ
ども、
大臣の一般的な御見解をお伺いしたいところです。