○赤羽
委員 私は、平和・
改革を代表し、ただいま
議題となりました
政府提出の
森林法等の一部を改正する
法律案に賛成し、その他五
法案に反対、また、
民主党、平和・
改革提出の
日本国有鉄道清算事業団の
債務等の
処理に関する
法律案に対する
修正案に賛成し、自民、自由、社民
提出の
日本国有鉄道清算事業団の
債務等の
処理に関する
法律案に対する
修正案に反対する立場から討論を行います。
今回の
法案を成立させることは、行財政
改革の模範的モデルである国鉄
改革に大きく傷をつけてしまうものであります。
そもそも、旧
国鉄長期債務は、抜本的な行財政
改革の一環として
処理すべきものであるはずであります。本
法案のように、理屈も何もなく、
負担させやすいところに
負担を強いることは、国鉄
民営化の意義を風化させてしまうばかりか、内外から信用を失墜させかねない悪法であります。
以下、それぞれの
法案に反対する
理由を申し述べます。
まず第一に、何よりも、今回の
法案によって莫大な財政赤字を抱え込むことになるにもかかわらず、それを
国民が納得するに足るような行政
改革、歳出削減については見るべきものが何もないという点であります。
旧
国鉄債務の
処理について、巨額の財政赤字をふやしこそすれ、ほとんど減らさないままに
一般会計で引き継いだ上に、
政府関係機関並びに与党の当事者のだれもがみずから
責任を明らかにせず、ただ
負担を
国民及び民間に求めようとする、そうしたことは到底納得できるものではありません。
理由の第二は、
JRに
追加負担を求めている年金移換金の問題であります。
移換金
債務の九千四百億円の
負担に関しては、
平成八年当時の厚生
委員会において
議論がなされ、野党各
委員より、七千七百億円もの
負担に国鉄清算
事業団はたえられるのかとの懸念が表明され、大変激しい論戦が展開されました。が、結局、旧国鉄期間分の七千七百億円は国鉄清算
事業団が、
JRになってからの期間分の一千七百億円は
JR各社が
負担することが
決定されました。また、将来
返済できずに終わる移換金
債務については、
事業団の既存の
債務と同様に、最終的には国において
処理するとの
決定がなされ、あくまで国の
債務として、
JRに
負担をかけないことが決められたものであります。
このような経緯の末に
決定されたにもかかわらず、二年もたたぬうちに、へ理屈を並べてその
負担区分を
変更し、
JRに
追加負担を求めているのが今回の
法案であります。これは当時の
議論を全く無視した
国会軽視そのものであり、余りに御都合主義が過ぎるものであると思います。
理由の第三は、民間企業に追加強制
負担を求めていることがいかにグローバルスタンダードに適合しないかということであります。
JR各社の年間利益が二千億円強しかない
状況で、急に三千六百億円もの追加借金を背負わせることは、業績の悪化につながり、
JRという企業の経済価値を下げ、その結果、
JR株の下落を招くことは必然であります。
JRの株主の合理的な予測を超えた理不尽な
追加負担を株主総会も開かずに
決定することは、株主代表訴訟の対象になることが予想されます。
また、株主、投資家への裏切りとも言える民間企業
JRへの
追加負担を国が政治主導で行うことになり、我が国の
民営化がこうした方針で行われるのならば、今後の株式の公開に重大な影響をもたらす懸念を強くするものであり、内外の市場からの反発を危惧するものであります。
理由の第四は、
郵便貯金特別会計からの特例繰り入れについてであります。
郵便貯金の黒字と
国鉄長期債務処理との間には因果
関係は全くありません。郵貯に黒字があるからといってそれを持ってくるというのでは、財政の論理と節度を無視するものだと言わなければなりません。
理由の第五は、
たばこ特別税の創設についてであります。
国鉄長期債務処理に、
たばこ特別税を創設することは何の因果
関係も持ちません。しかも、
一般会計の税収とせずに、直接、国債整理基金特別会計に直入することによって
目的税的に使おうとするのは、税理論上どう
考えてもつじつまがいません。
目的税として
処理するには、それなりの合理的な因果
関係が必要なことは言うまでもないことであります。
最後に、
理由の第六として、
政府・与党の
責任が全く明らかにされておらないことであります。
今日の事態に至らしめ、問題を生じせしめたのは、
政府・自民党の積年の運輸行政、財政運営の結果であり、そうした
責任、
政府・自民党の採算を無視した旧国鉄への利権関与によってやみくもに線路が延長され、膨大な借金を積み残した
責任が、今日に至るも全く追及されていないのであります。
また、さらには、
国有林野においてはなお一兆円の
債務が残っておりますが、その詳細な償還計画とその具体的な可能性についても、明確なものは何ら明らかにされておりません。
こうした旧国鉄の長期
債務や
国有林野の
累積債務を
一般会計が承継したことによって、我が国の
債務残高は急膨張することになり、国際的な信頼の
低下を招いております。財政投融資対象機関には、第二、第三の旧国鉄及び
国有林野に陥ろうとしている機関も少なくないと伝えられております。にもかかわらず、その対策が講じられようとしているとの話は全く聞いたことがありません。
自民、自由、社民
提出の
修正案に関しても、その
内容は、
JR負担分を縮減するだけで、私がこれまで
指摘した幾つかの問題点が解消しているわけではないことから、反対であります。
民主、平和・
改革提出の
修正案は、
政府提出法案の問題点を踏まえ、かつ今回の
法案が
提出されるに至った経緯をかんがみて、最重要な問題点だけについて
修正することを目指したものであります。
委員各位の御
賛同を賜りますようお願いし、私の討論を終わります。
以上です。(拍手)