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1998-09-22 第143回国会 衆議院 日本国有鉄道清算事業団の債務処理及び国有林野事業の改革等に関する特別委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十年九月二十二日(火曜日)     午後一時二分開議 出席委員   委員長 大原 一三君    理事 赤城 徳彦君 理事 衛藤 晟一君    理事 杉山 憲夫君 理事 牧野 隆守君    理事 小平 忠正君 理事 佐藤 敬夫君    理事 宮地 正介君 理事 江崎 鐵磨君       江渡 聡徳君    小野寺五典君       大石 秀政君    河井 克行君       木村 隆秀君    久野統一郎君       阪上 善秀君    実川 幸夫君       下村 博文君    萩山 教嚴君       細田 博之君    宮腰 光寛君       山本 公一君    渡辺 具能君       渡辺 博道君    北脇 保之君       木幡 弘道君    今田 保典君       永井 英慈君    鉢呂 吉雄君       細川 律夫君    赤羽 一嘉君       長内 順一君    木村 太郎君       青山  丘君    一川 保夫君       西川太一郎君    中林よし子君       平賀 高成君    伊藤  茂君       中田  宏君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 宮澤 喜一君         農林水産大臣  中川 昭一君         運 輸 大 臣 川崎 二郎君  出席政府委員         大蔵大臣官房審         議官      福田  進君         大蔵省主計局次         長       寺澤 辰麿君         大蔵省理財局長 中川 雅治君         林野庁長官   山本  徹君         運輸省鉄道局長 小幡 政人君  委員外出席者         衆議院調査局日         本国有鉄道清算         事業団債務処         理及び国有林野         事業改革等に         関する特別調査         室長      長尾 正和君     ————————————— 委員の異動 九月二十二日  辞任         補欠選任   岡部 英男君     小野寺五典君   一川 保夫君     青山  丘君 同日  辞任         補欠選任   小野寺五典君     岡部 英男君   青山  丘君     一川 保夫君     ————————————— 本日の会議に付した案件  日本国有鉄道清算事業団債務等処理に関す  る法律案内閣提出、第百四十二回国会閣法第  四六号)  国有林野事業改革のための特別措置法案(内  閣提出、第百四十二回国会閣法第四四号)  国有林野事業改革のための関係法律整備に  関する法律案内閣提出、第百四十二回国会閣  法第四五号)  森林法等の一部を改正する法律案内閣提出、  第百四十二回国会閣法第七八号)  地方自治法第百五十六条第六項の規定基づ  き、東北森林管理局及び関東森林管理局設置  に関し承認を求めるの件(内閣提出、第百四十  二回国会承認第二号)  一般会計における債務承継等に伴い必要な財  源の確保に係る特別措置に関する法律案内閣  提出、第百四十二回国会閣法第四三号)      ————◇—————
  2. 大原一三

    大原委員長 これより会議を開きます。  第百四十二回国会内閣提出日本国有鉄道清算事業団債務等処理に関する法律案国有林野事業改革のための特別措置法案国有林野事業改革のための関係法律整備に関する法律案森林法等の一部を改正する法律案地方自治法第百五十六条第六項の規定基づき、東北森林管理局及び関東森林管理局設置に関し承認を求めるの件及び一般会計における債務承継等に伴い必要な財源確保に係る特別措置に関する法律案の各案件を一括して議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。青山丘君。
  3. 青山丘

    青山(丘)委員 既に相当議論がなされていると思いますけれども、私からも、今回のJR追加負担は不当だということについて少し質疑をしたいと思います。  二十年近く前になりますが、私が最初に運輸委員会理事として選任されて、当時、国鉄改革は大変な状況でございまして、一体どうしたら国鉄改革ができるんだと、いろいろな人たちに聞いて回りましたし、私自身も、その当時相当研究してみました。  多くの皆さんが、三十六万人体制になれば国鉄改革できる、こう言われておったんですが、実はその当時、四十二万人の時代でございました。よし、まず三十六万人体制にしなければならない、そういうふうに努力してやってきたんですが、実は、三十六万人体制になっても国鉄改革はそう簡単な状況ではなかった。そして、二十七万人体制にまで持っていかなければということで努力をしてきたんですが、それでもだめだった。ようやく、昭和六十二年、二十万人近くでJRとして発足をする。その段階で、実は国鉄はよみがえった。はっきり言って、JRになって、利用者国民皆さん方からの評価というのは今非常に高いものがある。お客さんに対する態度も非常にいい、それからサービスもいい、車両も美しい、きれいになってきた、運賃の抑制にもその努力の跡がうかがわれるというような幅広い評価で、JRはよくやってきておる。  問題は、あの四十二万人体制から二十万人体制になるときに、それこそ国鉄を去ってもらわなければならない多くの人たちがあったわけです。一人、二人、五人、十人、千人、一万人、十万人、二十万人と去っていったわけですよ。その国鉄を去っていった多くの人たち気持ちの中には、それは自分たちにも幾らかの責任はあるかもしれないけれども自分たちはいわば政治犠牲者だと言って去っていっているんですね。政治は絶対に許せない、間違ったことをした、その被害を自分たちが受けた、こういう思いで国鉄を去っていった人たちがたくさんいたわけです。  そのことを思うと、今日のJR国鉄のよみがえりというのは、どんなに高い評価をしても評価をし過ぎではない。あのスタートを切るときに、分割・民営化は本当にできるのか、もしかするとできないんじゃないか。あるいは国鉄改革は、総理大臣の一人や二人はテロに遭うかもしれない。それはそうです、去っていく人たち気持ちの中には、政治は絶対に許せない、そういう気持ち国鉄を去っていった人たちもたくさんいたわけですから、政治責任は非常に重い。そういう意味で、あの国鉄改革基本理念を決めたときの精神は、やはりこれからも生かしていかなければならない。  その後起きた問題だということでしょうが、当時既に議論されておりましたよ、年金統合問題 は。そして厚生年金統合していかなければいけない。それには、鉄道共済財政は非常に悪くて、どうしても持参金が要る、移換金が要る。当時積み立ててあった二千七百億円、それから事業団負担JR負担を決めてきました。これが平成八年。この問題一つの重要な結論ですね。これは一つ決着がついた問題というふうに私は理解しておりますが、その点はいかがでしょうか。
  4. 川崎二郎

    川崎国務大臣 平成八年当時の決着問題でございますけれども共済年金から厚生年金への移換問題、この移換金問題につきましては、事業主としての立場、これは一つJRでございます、もう一つは旧国鉄というものの法人格、それを継承するのが清算事業団でございます、まさに事業主分担を決めたという理解をいたしております。その後、今提案をさせていただいておりますのは、その性格を引き継いだ国鉄清算事業団が、でき得れば十月一日に解散をしたい、そのときに年金移換金問題についてどう処理をしていくべきかという理解で今回お諮りをいただいておる、こういうように考えております。
  5. 青山丘

    青山(丘)委員 決着がついたから、JR負担部分は既に千七百億円、民間金融機関から借り受けをして支払いを済ましてきております。これが一点。  それからもう一点は、国鉄改革法等施行法改正法として提出をされまして、成立を見ておりますが、これは事業団負担部分の明記であって、国鉄時代負担ということで、きちっと決着がついた問題として明確に線が引かれたものだと私は思うんですね。その点はいかがでしょうか。
  6. 川崎二郎

    川崎国務大臣 これは、今も申し上げましたように、事業主負担ということでその当時分担が決まった。その事業主であります清算事業団解散されるというときにこの問題議論させていただく、このように考えております。
  7. 青山丘

    青山(丘)委員 そういう理屈をだんだんつけてやっていきますと、あの昭和六十二年のときに、三十七兆一千億円という大変な債務を抱えたままJRとしてスタートを切ることはだれが考えたって無理だ、だから、売り上げの四・五倍といえばそれはもう大変な負担だけれども、ここはJR負担してもらいたい、十四兆五千億という数字が出てきている。残りの二十二兆七千億は事業団において処理しようということでスタートを切ったわけですから、その後に年金移換問題が起きてきた、国鉄時代問題事業主としての負担だというのは、絶対にこれは違う。  なぜかといいますと、今のJR職員人たちは、厚生年金に移換されて年金掛金を払っていますよ。この保険料の率は高いのです。それは、前の人たち部分責任をとっていかなければいけないという部分で今支払いがあるのですが、この人たち掛金は、当然六十二年三月以前の国鉄時代にやめていかれた方々年金給付原資にもなっていくわけですから、六十二年以前の国鉄職員の方で今でもJR職員の方は将来JR職員として年金給付を受けるのだから、六十二年三月までさかのぼって、それ以前の共済組合組合員であった期間算定基準にして計算して、負担をしてもらうのはいいんだという発想は間違っています。今申し上げたように、今の人たちも前にさかのぼって、国鉄時代にやめられた方たち年金給付原資にもなっていく負担をしていっておるわけですから、今の人たちが以前の負担を求められるということは筋が通らない。  だから、私が冒頭申し申し上げたのは、昭和六十二年三月三十一日以前の問題と、きちっとあの段階で切り離してJRスタートを切ったという理念と、おととし厚生年金統合するというときに移換金分担割合を決めたこととの整合性一貫性から考えれば、六十二年三月以前にさかのぼってくるという負担を、ここでまたJRに持ってくるというのは絶対に筋が通らない、そう思いますが、いかがでしょうか。
  8. 川崎二郎

    川崎国務大臣 今御指摘いただきました統合前の在職期間分年金原資、これはもう青山委員おわかりのとおり、一つ厚生年金移換金でございます。もう一つは、今お話がありましたJR社員及びJR保険料。それからもう一つは、他の年金制度からの支援、これは厚生年金とか共済組合等から支援を受ける。これは約六兆円の支援を受ける。その中で統合前の話はやっていくという一つ結論でございますので、厚生年金移換金問題についてJRに全く責任がないんだということにはならないと私は思っております。
  9. 青山丘

    青山(丘)委員 きょうは台風が来るので、時間だけはきちっと守ってくれ、JRのダイヤぐらい正確に守ってくれと言われていますから、時間がありません。しかし、それでもここだけはきちっと申し上げておかなければならないのですが、国鉄改革法等施行法、これは事業団負担するということで決着がついているのです。だから、JR負担部分は、千七百億は移換金として負担しなさいよということで、事業主負担として支払いを既に済ませてきておるのです。だから、これは事業団負担すべきもので、そのうちの三千六百億をJRにもう一回負担してもらうというのは、だれがどう考えたって絶対に筋が通らない。  この法案があのときに、二年前に、これは一つ決着じゃない、やがてもう一回審議するのですよという暫定法案であればまた別ですよ。(発言する者あり)そうそう、議事録のどこにあるのですか、それが。あったら示していただきたい。あの議論のときが非常に重要なんですね。だから、これは一つ結論だ、あの段階結論だということをひとつきちっと受けとめていただきたい。そうでないと、第二の国鉄問題がまた出てくる。  例えが悪いかもしれないが、こういう妙な因縁を吹っかけて、また迷惑をかけていくというやり方をやりますと、それでは、あの六十二年三月三十一日以前の三十七兆一千億円という大変な長期債務は、本来はJR負担すべき問題だよと言いかねない話になってしまうのです。だから、ここが一つ決着だと思って、やせ我慢でも我慢して、事業団処理すべき問題ではないでしょうか。  もう一つ考え方をちょっと変えますと、せっかく大蔵大臣に来ていていただいて、私は先ほど大蔵大臣に、後ろの部屋で休んでおってくださってもいいですよと言いましたけれども、思い出してくださいよ、国鉄時代は毎年、七千二百億、七千億、六千四百億、六千億、政府国鉄補助金を出しておりました。それがなくなっただけでも、六兆円から七兆円の財源確保したような意味があるわけですよ、JRの成功というのは。JRが納めている税金も、今この資料にありますが、スタート段階までは余り納税できなかったのですが、突然、二千二百億、二千四百億、二千三百億、二千九百億、多いときは四千四百四十三億。三千億から四千億納税できる企業になってきているのです。トータルすると、この十年間で十兆円も国家に貢献しておるということを考えたら、妙な因縁を吹っかけるというような印象をJRJR職員国民に与えない方が、政府は得る利益がより大きいというように私は思うのですね。  これは、大蔵大臣よりもやはり運輸大臣ですが、どうでしょう。
  10. 川崎二郎

    川崎国務大臣 青山委員言われますとおり、六十二年度改革、そのときの、JR負担すべき分、また清算事業団として国が負担すべき分、この区分けはしっかり守っていきたい、もちろん、ここに改めてその議論を繰り返してはならないと思っております。  しかしながら、厚生年金への移換金問題については、まさに前から想定された、委員が言われるとおりでありますが、前から想定されておりましたけれども、八年にこの問題の解決をしなければならないといって議論をされ、そして事業主負担ということで決定をされ、その事業主である清算事業団のまさに最後の、解散という場面で、今この法案お願いを申し上げておる、そういうことでぜひ御理解を賜りたいと思います。
  11. 青山丘

    青山(丘)委員 ぜひ御理解できないところなんですが。(発言する者あり)  今申し上げておるように、国鉄改革の前にさかのぼって負担をかけるというのは、やはりどう考えても筋がおかしい。今のJR人たちJRにならなかった国鉄時代に退職された方々年金給付原資にもなるような保険金掛金をやるという意味、建前なのですから、その部分だけ今の段階になって戻って負担を求めてくるというのは絶対に筋が通らない。  それから、これをもしやったら、三島貨物経営がどういう状況になると思っておられるのでしょうか。いかがでしょう。
  12. 川崎二郎

    川崎国務大臣 JR三島、そして貨物経営問題でございますけれども、これは基本的に、ここで二、三回もう既に御答弁をさせていただいておりますけれども基金の積み立て、基金を積んである、そこから生まれる収益、これが今日極めて低い金額になってきておる。例えば、北海道であれば、百億程度減ってきておるというところに経営問題等があると思っております。  したがって、こうした問題、それから将来の上場問題ということを考えたときに、私どもは、例えば無利子融資制度、ことしは一千億ほど考えました。十一年度についてもまた改めて考えていかなければならないな、税制問題についてももう少し突っ込んだ議論をしてできるだけの努力をしなければならないと考えておりますけれども基本的には基金から出てくる収益というものが当初予想したより少なくなってきている。ここが最大の問題というふうに考えております。そして、今苦しいときですから、さまざまな手段を講じなければならない。  ただし、年金問題というのは七社に共通した問題でありますので、筋としてお願いを申し上げているところでございます。
  13. 青山丘

    青山(丘)委員 三島貨物問題年金問題を一緒にするのは違う問題だという理解は私もしております。けれども完全民営化JRが、本州三社だけではなくて、三島も含め、貨物も含め、民営化できるのかどうかという大事な段階で、本州三社については大体の見通しが立った、けれども、今またここで新たな負担を課すことが三島貨物にとっては容易ならざる事態になってきて、事業の継続だって難しいかもしれない。もちろん、それは経営努力もあるでしょうし、政府公的助成も考えておられると思いますが、そういうようなことを、いつまでも手を差し伸べていくという考え方ではなくて、自分たちできちっと経営自助努力ができるような環境をつくってあげることが必要なときに、今また新たな負担を課すということは三島貨物経営にとっては非常に重大な問題で、これは後で関係者理解問題で少し触れさせていただこうと思います。  また、蒸し返しになりますが、先ほどの国鉄改革法等施行法第三十八条の二、この取り扱いを考えてみれば、もう絶対に事業団負担は明らかで、だれがどう考えたって、妙な小理屈をくっつけて、わけのわからないような政治にしないで、わかりやすい政治にしてもらうという意味でも、新たな負担というのはやはり筋が通らないと私は思いますし、これは一事不再議の原則からしても、絶対に受け入れてはならないことだろうと思います。その点はいかがでしょうか。
  14. 川崎二郎

    川崎国務大臣 たびたび御答弁申し上げておりますけれども平成八年の合意というものは、事業団JR負担を決めたということであって、国が負担をすると決めたわけではない、このように理解をいたしております。
  15. 青山丘

    青山(丘)委員 国において処理するというのは、国が負担をするという意味ではなくて、処理の仕方を国が決めるのだということを言われるのでしょうが、こういうことを政治がいつまでもやっていると、政治に対する国民信頼も、話が横へそれるようで実はそれていないのですが、政府が一生懸命景気対策をやっても、それに対して市場が十分反応しないというのは、反応しない市場が悪いのではなくて、反応を受けない政府政治姿勢信頼というものがないのではないのだろうか。  マハトマ・ガンジーが人間として犯してはならないとつの大罪の第一に原則なき政治を指摘していますが、原則を持った政治、そしてその原則に頑迷なまでにもこだわって、やせ我慢でも原則を貫こうという政治に対して国民信頼というのは出てくるのであって、妙な理屈をくっつけて負担をさらに求めていったって少しもおかしくないという発想は、政治に対する信頼を絶対なくしていくと私は思います。  恐らくこの点は水かけ論になるかもしれませんけれども、そういう本当に誠実な国民の声というものを、自分で言うのだから間違いない、誠実な国民の声というものをひとつぜひきちっと受けとめていただきたいと思います。——いや、異論があるというなら、また答弁をいただいてもいいのですが……  それから、運輸大臣与党党合意でも、関係者理解を得るのだという合意がなされておることはもう御承知だと思いますが、先般我が党の鰐淵委員が、関係者理解も得られていない法案提出したことは問題がある、引き続いてJR各社との話し合いを行うようにとただしたことに対して、運輸大臣からは、JR各社とは話し合いたい、話し合うのだという答弁をしておられますが、話し合われたのでしょうか。話し合われたとすれば、どのような内容であったのでしょうか。
  16. 川崎二郎

    川崎国務大臣 まず、事務レベルでの協議は行いました。その協議の中において、でき得れば私もお会いをしたい、この問題について双方の理解を深めたい、こう提案をしたことは事実でございますけれどもJR側からもう少しこの審議の行方を見守りたい、こういう御返事をいただいているところでございます。
  17. 青山丘

    青山(丘)委員 事務レベルのお話し合いというのは最も大事なことであろうと思うのですが、一度本当に心を開いて、大臣JR関係者、社長か会長か、ともかくその関係者と一度きちっと話し合いをしていただきたい。間違っても、昔の国鉄のときのように、お上の命令というような感覚ではなくて、相手は民間会社ですから、民間会社としての立場や尊厳、こういう立場をきちっと理解していただいてひとつ話し合いを進めていただきたいと思います。  要請しておいて、質問を終わります。
  18. 大原一三

  19. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 幾つ質問をさせていただきます。  本委員会においても何回も真剣な議論が交わされているわけでございますけれども、会期ももう長いことはございません。また、私ども前からずっと思っておりますけれども、やはりこの問題をさらに借金膨らましを含めて先送りするということは、政治責任としては、してはならないと思います。しかし同時に、今も議論がございましたが、関係者それから国民的な御理解が得られるものにしなくてはならぬということも、まことにそのとおりだと私は思います。ぎりぎりの、最大限のそういう努力をしなければということを大詰め近くなりました段階で思いつつ、幾つかの点について御見解を伺いたいと思います。  まず大蔵大臣に伺いますが、たばこ特別税、言うまでもなく当分の間ということになっております。  前に、財政金融の分離の問題のときでしたか、与党三党で徹夜の議論をしまして、当分の間とは何ぞやと議論をしまして、そのときにこういう事実関係に大変お詳しい知識をお持ちになっている竹下登さんに伺いましたら、何十年は何法律で何がどうという話を随分伺いましたことを思い出しますけれども、私は、こういう抽象的な言葉は、当分の間とかいうものは横文字で申しますと、いろいろな表現の仕方がありまして、国際的に余りなじまない言葉法律としてはなじまない表現だと思います。特に、悪く言いますと、当分の間イコール半恒久的みたいな面もあるわけでありまして、こういうことはあってはならぬ話だと思います。  それから、たばこ税関係から申しまして、地 方に一定の部分が行っている。今、厳しい地方財政にとりましては大事な財源一つということになっておりますし、地元に参りましても、たばこ地元で買いましょうと小売店に張ってあるというふうなことでございます。そうなりますと、国債整理基金特別会計に入る形での、こういうイレギュラーな形が長期固定化をするということは、税の仕組みとしても問題が起きるのではないだろうかというふうに思います。  全体の計画が六十年ということになるわけですが、今出ているさまざまな手当てというのはいわゆる根雪でなく新雪に関する部門でございますから、それぞれ短い期間、三年とか四年とか期限が付されて、ほかのことにつきましても財源手当てがなされている。ここだけ当分の間というのは非常におかしいし、また税の仕組みとして非常に問題を残すということではないだろうか、短い期間にけじめをつけるべきではないだろうかというふうに私は思いますが、当分の間とはいかなる意味でございましょうか。
  20. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 このたばこ特別税国債整理基金特別会計に入りまして、一般国債整理のための財源になるわけでございますから、この債務もそうでございますが、一般に国の債務が六十年という償還の規則でございますので、やはり財源としては六十年欲しい、こういう考え方基本であるとは存じます。  しかし、大変長い年月のことでございますから、そこはいろいろ、今から見えない事情もありまして、当分の間としたというふうに説明を受けております。
  21. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 頭脳明断大蔵大臣にしては非常にわからない御説明でございますけれども、私はこう思うのですね。  今さまざまな難しい議論をしております。経過は経過ですから、本当に将来を展望してどうするのかということを考えながら今後やっていかなくてはならぬというふうに思います。  それらを考えますと、全部解決するのに六十年かかりますから、やはり六十年間ということが念頭にあって当分の間というのではおかしいので、これから社会経済の変化もございますし、税制につきましても次の時代の税制のあり方について国民的な大議論をしなくてはならぬ。政府税調も昨年、二十一世紀の税制をみんなで考えましょうという中期報告を投げ出して、回答がないという現段階でございますから、私ども、真剣なさまざまな議論をしなくてはならない使命を今持っているということだと思います。  そういうことを考えますと、そういう悠長なことではなくて、やはりこの何年かのうちでも、問題処理をも含めて、あるべき税財政の姿は何だろうかというような議論をしょっちゅうやるという姿勢が大事なのではないだろうか。節目節目、何年かのうちにはそういうことをやりながら新しい努力をしていくというのが今の時代における当然の姿勢ではないだろうかというふうに思いますが、いかがでしょうか。
  22. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 おっしゃいますことも十分理のあることだと思って伺っているのですが、殊に六十年間というものを、いろいろなものが固定的に考えられるかといえば、なかなかそれはそう申せないところはあると思います。ただ、国債償還の六十年規則というものは、今の段階で考えておりますと、これ以外のことをまた言い出すわけにもいかないわけでございまして、そういう意味では六十年というのがやはり一応のめどであろうかなと。  ただ、全体がいつまでそういうことでやっていくのか。将来、ある機会にいろいろなことが見直されなければならないだろうという御議論は、私は決してあり得ないことだと思っていないのですが、今の前提に立つ限り六十年、こういうふうに考えておるというふうに御理解をいただきたいと思います。
  23. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 こういう激動の時代ですから、経済でも政治でも税制でも財政でも、日夜新たな努力をしなくてはならぬというのが、政府もそうでしょうし、私ども責任だと思います。さまざまな新しい知恵や新しい努力を追求しながら、現実の政治をやり、国民の御信頼をいただくという姿勢が、私は今の時代基本だろうと思います。  そういう気持ちから申しますと、六十年を念頭に置きながらということが基本になる大蔵大臣の御答弁というのは、非常に私はおかしいと思います。  例えば、たばこ産業についての配慮という与党合意が当時ございまして、この間大蔵大臣は過去形でおっしゃいました。私はこれから先を考えますと、たばこ産業、世界のビッグスリーのように、たばこと人類のおつき合いがいつまであるのか、スモーキング、ノースモーキング、健康問題、環境問題、いろいろな議論がございますから、やはり望ましいのは、ビッグスリーのように幅広いさまざまな分野で意欲的に社会に貢献する事業をする。今開発している薬品もございます、ドリンクもあります、いろいろなことをやりますがというふうな姿が望ましいことだろうなと私は思っております。極端に言ったら、いずれかの機会に株を全部売却して社名変更をやって、そういう時代になっていくのがむしろ世界の流れかもしれぬ。  そんなことを思いながら、こういう産業分野にどういう気持ちで対応するのか。何かJRと違って、いい子ちゃんで、はいと言ってオーケーするとか、そんな感じだけではだめなんで、やはりそういう産業の将来像を含めてやるのが、長年の専売時代からの関係を持ってきた政策の対応ではないだろうかというふうに思うわけであります。そういう政策、配慮ということの意味、それから今言った、とにかく六十年めどというだけの印象ではない、さまざまな政策の研究なり新たな努力なり、またいろいろな問題意識を議論してみる、節目節目、何年かで一遍ぐらいは節目をつくってやるという姿勢が、私は政策としては当然だろうというふうに思うのですが、違いましょうか。
  24. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 その点はあえて私は反論を申し上げる気持ちはありません。そういうことが必要であろう、実は常に必要であるし、やがては起こらなければならないことだとは思いますが、それがどういう形で起こるかが未定の間は、とりあえず今の制度に従って決めておくということ、どうもそれ以外に、決まらない制度を先取りしてここの部分だけいくわけにもまいらないということかなというふうに思います。
  25. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 決まらないことを先取りしろというふうに私は申しておりません。それはやはり、決めることは責任を持って決めなくてはならぬ、責任あることを決めなくてはならぬというのは当然のことでございます。ただ、常に次への改革への意欲と問題意識を持ちながら議論し合うというのは特に議会としての使命だろうと思いますので、その点は十分御理解をいただきたいというふうに思います。  いずれにしろ、当分の間ということで、今までの当分の間という法律用語の経験を、記録を更新するような姿勢であってはならぬだろうというふうに思うわけであります。  それにも関連をいたしまして、いずれにいたしましても、六十年、長期にわたる債務処理の事業をしなければなりません。先ほど同僚議員の質問にもございましたが、やはり国民理解、この間の反省、総括ということが当時の与党合意にも、冒頭にございます。私は、債務処理するという実務をやればいいだけだというようには思いません。この間の政策を振り返り、政治責任も総括し、みずからのやってきたこの十数年間を総括しながら次はどうするのかという心構えを持つのがこの法案の審議に当たる、また結論を出す立場でなければならぬだろうというふうに思うわけであります。そういう面では、先般の参考人をお願いしました加藤寛さんの話なんかは率直でございました。  確かに、この間にバブル、ポストバブルがございました。土地の異常な高騰がございました。総量規制がありました。また、公的な土地、JRの土地の売却禁止という措置など、いろいろなこと がございました。そのときはそのときでいろいろな措置をとったわけでありましたが、振り返ってみてどうだったのか、将来どうすべきなのだろうか、そういう政治責任などを振り返りながら、何も責任を追及するだけではなくて、この経過を振り返りながら、一体どうするのか。国鉄債務処理するということは、我々自身がと申しましょうか、政府が、また政治がやってきた経過を振り返りながら正直に総括をし、将来を考えるという姿勢がなければ国民理解は得られないものではないだろうかというふうに思うわけでございます。  大蔵大臣にもう一問だけ伺いたいのですが、そういう意味で考えますと、これから長い期間、この処理の仕事を国民にもお願いをし、仕事をしなければなりません。この間に、国の税制、国の財政、さまざまの新たな努力に挑戦をしなくてはならぬというのが事実であります。そういう意味で申しますと、例えば財政構造改革法につきましても、何か新聞で読みますと凍結とか廃止とかなんとか出まして、非常にけげんに思います。避けられない国の将来、国民の将来の大事なことでありまして、ある意味では、もう一遍議論をやり直すぐらいのファイトを持って次の時代のプランをつくる責任というのが政治にあるのだろうというふうな気持ちが私はいたします。当面大変だからと先延ばしというだけではない、そういう心構えがあって初めて将来を国民に語ることができるというふうなことだと思います。  そういう意味から申しまして、先般も申しましたが、交通問題につきましても、もう国土交通省になるからとかいうだけではない、これからの時代を考えますと、陸海空を含めました総合交通政策、あるいはそういう中で、もう長年続いている、これも当分の間で何十年続いているわけですが、特定財源、何も私は道路とか社会資本整備を否定しているわけではありません。大事なことはやらなくてはならぬ、将来の均衡ある国づくりのための仕事はしなくてはならぬというわけであります。しかし、長年続いた、また時代に合わなくなっているのではないかと言われるこういうものを、どう改革するのかということが必要ではないだろうかというふうに思うわけであります。  先般も質問しましたが抽象的な御回答でございましたので、そういう総合性を持った一つの会計とか政策という視点から考えてみる、やはりそういう視点を持ちながらこの問題の最終処理をするという努力が必要ではないかというふうに思いますが、具体性のあるプランを申し上げるあれはありませんから、お考えとしてはいかがでしょうか。
  26. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 前内閣財政の構造改革を、総理大臣が考えられて、その案の作成につきまして、ほぼ一年間、伊藤委員にも大変貴重な御高見をいただきました。それは、二十一世紀を展望して、殊に、生まれる人が少なくなる少子化の社会を考えますと、たくさんの長期計画は実は今まで考えたとおりには行い得ないということが極めて分明でございますから、それらについて、遅くないうちに新しい考え方を定めておこう、基本的にはそういう考え方でございました。  したがいまして、中にはそういう思想が制度の改変で具体化しつつあるものもおかげさまであるわけでありますけれども基本的な財政改革、つまり、赤字国債を減らしていく、ある時期に打ち切ろうといったような考え方、二千何年には毎年の財政債務がGDPの何%といったような、それ自身は考え方として間違っていないと思いますけれども、我が国のこういう異常な経済状態が到底現実にはそのすべてを実現し得ないということが、大変わずかの期間のようでありますが、現実になってしまいまして、したがって、財政構造改革の中のあるものは凍結せざるを得ないというようなことになりました。ある意味で、我が国が二十一世紀に向かって体制を整えようとする前に、解決しなければならないプラザ合意以降の問題が顕在化したというのが今の姿だと思います。  したがいまして、今のこの我々の経済、財政もそうでございますが、やがて落ちついた姿に戻らなければならない、こういう異常な状態が非常に長く続きましたら、二十一世紀に対応できないことすらございますから、早くこの状況を、まずまずバランスのとれた正常な状態にしましたときに、改めてまた財政改革というようなことを考えなければならない。財政ばかりではありません、もろもろの制度改革を考えなければならないだろう。そうでなければ、二十世紀にやっていたことをまだ続けてやるということにならざるを得ませんから、それでは新しい世紀を渡っていくことはできないだろうと私も考えていました。  伊藤委員が今も、総合交通課税というようなことも前から言っていらっしゃいますし、いろいろな制度あるいは考え方が二十一世紀向きに改められなければならない、その時期が残念ながら今の我が国の経済の弱い体質とちょっと合っていないというのが現在であると思います。  国際的な要因もございますけれども、我が国にとってそうであろうと思いますので、この状況を一年でも早く乗り切りまして、二十一世紀への制度の改変をしなければならない、そういう問題を私どもは近い将来に持っておるというふうに私も思っております。
  27. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 時間がなくなりましたので、運輸大臣に一言だけ伺いたいのですが、私どもが年来主張してまいりました中の一つに、社会問題としてのいわゆる国労不採用問題の和解、打開という問題がございます。私は、何も国鉄再建論争の是非みたいなことを今言うつもりはさらさらありません。また、今の労使問題がより健全化した、安定した姿になることを望んでおります。  ただ、社会問題として残っているこれらのことをやはりこの際打開すべきであろう、民間だったら当然やっていることだろうというふうに思うわけであります。その意味で、当時は、この協議をしましたときにも、与党責任として取り組みましょうというまとめにもなっているという経過でございますし、大臣御承知のことであります。何とか早く和解ができるように望んでおりますが、それが近日中に和解しました場合に、二つ問題がございます。  その中の一つは、やはりお金の問題。前の中労委の経過などからしましても、どの程度の金額になるのか私も想像がつきませんけれども、ただ、これはルールとして、法的にどうなるのかということが必要になるわけであります。その意味で申しますと、清算事業団がなくなるということになりますと、民間になった会社からお金を取るわけにまいりませんから、法的に、という問題になる。そうなりますと、この清算事業団債務等処理に関する法律案附則第二条というところがめどになる。これでやはり担保されるのだろうというふうに私は理解をいたしておりますが、そのように解釈してよろしいでしょうか。
  28. 川崎二郎

    川崎国務大臣 今お尋ねいただいたのは、JR発足時の職員不採用問題でございます。  お話のとおり、伊藤委員が中心になりながら、自民党、社民党、さきがけ、裁判の結果を受けながら、何とか政治的な決着ができないだろうか、そういうような形で御努力をいただいております。私ども運輸省といたしましても、できるだけのことを、見守りながら、もしできることがあればなしたい、こう考えております。  今、長期債務処理法案の附則第二条第一項でございますけれども政府が承継する債務以外の国鉄清算事業団の一切の権利及び義務は、同事業団解散のときにおいて鉄道建設公団が承継するということでありますので、もしJR方ではなくて、仮に国鉄清算事業団にというようなお考えになれば、鉄建公団がそのすべてを扱うことになることについては間違いがございません。
  29. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 終わります。ありがとうございました。
  30. 大原一三

    大原委員長 鉢呂吉雄君。
  31. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 私は、前回に引き続きまして、国有林野改革法案に絞って、農水大臣を中心に御質問申し上げたいと思います。農水大臣、御苦労さま でございます。参議院とかけ持ちということで、よろしいでしょうか。  今回は、法案の条文に即して質問をいたしたいと思っております。  まず、特別措置法の第五条関係、公益的機能についての関係であります。  大臣の率直な感想でよろしいのですけれども、昨年末の京都国際会議におきまして、森林の持つ地球温暖化防止に果たす役割について国際会議があったわけでありますけれども、この地球温暖化防止についての森林の役割について、大臣の率直なお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  32. 山本徹

    山本(徹)政府委員 森林はさまざまな公益的機能を持っておることは先生も御案内のとおりでございまして、災害防止、国土保全、水源涵養、貴重な動植物の生息の場等々、また最近は、先生御指摘のように、地球温暖化防止のための炭酸ガスの吸収の施設としても大変森林の役割がクローズアップされているわけでございまして、こういったさまざまな公益的機能を発揮していると考えております。  五条で国土保全というのを例示として出させていただいておりますのは、今申し上げましたようなさまざまな公益的な役割がございますけれども法律規定する文言は可能な限り簡潔にすべきであるという法技術上の要請から例示を一つにとどめたにすぎないものでございます。かつ、最近温暖化防止で、今申し上げましたように、炭酸ガス吸収機能が大変クローズアップされたように、また時代によってさまざまな重要な公益的機能が評価されるようになっておりまして、機能の例示を幾つか並べるということは、むしろ機能の範囲が限定されて解釈されるというようなおそれもございます。アンケート調査等によりますと、七割の国民評価されておる国土保全というのを代表的な例として法案に挙げさせていただいているところでございます。
  33. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 委員長答弁者には質問に対する適切な答弁をしていただくように注意を喚起していただきたいと思います。  私は、そういう御答弁を全然求めていないわけであります。大臣に率直に、地球温暖化防止に対する森林の役割について聞かせていただきたいと言っているわけでありまして、条文の「その他」についてどうとかということは言っていません。
  34. 中川昭一

    中川国務大臣 率直な意見をという鉢呂先生の御質問でございますから、今長官から申し上げたような地球温暖化、広い意味の地球環境を守る、あるいは我が国の国土を守るという意味で、森林の果たす役割というのはもともと大きかったわけでありますけれども、これに世界的な公式の評価を与えたという意味で、温暖化防止条約とか、最近、特にいろいろな国際会議等でも確認されているところであります。  特に、我が国は、御承知のとおりの非常に細長い急峻な地形の国土であります。しかも、雨が非常に多いという国土条件であります。今回、大変な豪雨災害がありまして、大変な被害が出ましたけれども、仮に日本の山が丸裸だったならばと思うと、その被害は想像を絶するものがあったであろう。災害が出て被災された方にはちょっと失礼な言い方かもしれませんけれども、森林があったからこそ、ぎりぎりまで森林としての機能であの豪雨を、ある意味では、あれだけの被害ではありますけれども、少ないところでとめたのではないかなとすら思うこともあるわけでございます。  そういう大切な山であり、また日本は木の文化と言われておるような国でありますから、森林あるいは山、木の重要性というものを、我々が認識するだけではなくて、我々の次の世代の国民たちにもその価値観、大切さというものを共有してもらいたいという気持ちも私は持っておるわけでございます。そういう意味では、日ごろからの家庭あるいは学校、社会での子供たちに対する教育も含めて、森林の多面的な機能、公益的な機能、あるいは世界の環境保全のために果たす機能というものを、我々日本人として、特に世界の中でその意識を強く持ち、その意識の世界的な先導役になっていきたいなというような位置づけで、我々もこれからの森林行政に取り組んでいきたいというふうに思っておるところでございます。
  35. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 今大臣が御答弁されたとおりであります。特に、ことしもこういう台風ラッシュ、災害の連続的な被害、午前中も農林水産委員会がありまして、出てきたわけでありますけれども、まずもって二十一世紀に地球が本当の意味で自然のメカニズムをどう取り戻すか。そういう視点で、一つは、地球が温暖化することによって海水が上がったりということが出てくる、もう一つは、本当に気象の異常が普通のような形になっておりますけれども、例えば二、三日で一千ミリを超える雨量を記録するなんということは信じられないわけであります。そういう意味で、森林が地球の温暖化を含めて果たすさまざまな役割があるのではないかということを国際的に認知し合って、具体的にそれを始めていこうということになったのだろうと思っております。  同時に、午前中の委員会でも、今大臣言われたように、森林がなかったら大変なことになっただろう、もちろん一千ミリを超えるものであるから限界もあっただろう。同時に言われたことは、私どもも、我が党でも調査に行っておりますけれども、流木が河川をせめぎ合って、この被害が極めて大きい。きょうの午前中も、何か根なしの木になって、そのことが、河川に入って被害を大きくしたのではないかという、逆の意味の、いわゆるきちっとした植林をした中で、保育管理をして、間引きをして、正常な木に育っていないのではないかという厳しい御指摘もあったところであります。そういう点では、森林あるいは林業というのを今後どうするかというのは極めて大きな課題だというふうに思っています。  そういう中で、例えば、地球温暖化防止のためには何をなすべきか。CO2等々の吸収を森林が果たすということで、そのためには植林、再植林というものをすべしということがこれから義務づけられる、そういうことになるだろう。一九九〇年を基準として二〇〇八年から一二年、毎年、九〇年に比べて〇・三%のCO2等の吸収を森林が果たすべきである、このように言われておるわけでありますけれども、私どもの統計では、例えば、森林全体、これは国有林も含めてでありますけれども、一九九〇年に二千五百二十一万二千ヘクタール、これが、九五年のデータしか今ないのですけれども、二千五百十四万六千ということで、実数にしまして六万六千ヘクタール、実は森林の面積が減ってきております。同じように国有林野も一万七千ヘクタールほど減ってきておる。それに対して植林、再植林というのはどの程度なされたのか。これはちょっと古い資料もありまして、例えば昭和五十三年、今から二十年前ですけれども国有林野は四万五千ヘクタールの植林をしておりました。それが平成二年、一九九〇年には一万七百ヘクタール、そして平成八年には三千三百ヘクタール、これはもう極端に減ってきております。  林野庁の事務当局に聞けばまたいろいろな理由を付されるのかもわかりませんけれども、林野自体の面積の減、それから植林、再植林が極めて減ってきておる。これは民有林も同じようなことです。昭和五十三年に十四万五千ヘクタール、平成八年に三万七千ヘクタールしか植林をされておらないということで、今日的な課題として、前回も質問いたしましたけれども、林野の土地売りをそんなに、三千六百億も二十五年間でやるということが地球温暖化防止の観点からいって果たして可能になってくるのか、あるいはまた、逆に、植林、再植林という観点で極めて重要な事業ということが出てくるのではないかというふうに思うわけでありますけれども大臣の率直な御感想をまたお聞きいたしたいと思います。
  36. 山本徹

    山本(徹)政府委員 事実関係について御説明させていただきます。  先生御指摘のとおり、造林面積は減少しておりますけれども、この理由は、材価の低迷等に基づく伐採量の減少、特に国有林については、三十年 生前後が多くて伐採適期にまだ至っていないこと、それから、公益的機能を重視するために国有林、民有林を通じて長伐期施業、複層林施業を指導し、奨励、推進していること等の理由がございますが、私どもは、できるだけ、こういった中で、炭酸ガスの吸収機能が高まるような森林を健全にすくすくと育てるような森林の育成に努力しており、先生先ほど御指摘のような炭酸ガスの吸収機能が十分発揮できるような国有林、民有林として育ててまいりたいと考えております。
  37. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 どういう事実関係かよくわからなかったのですけれども、私の言った面積は正しいと思っております。  そこで大臣、法文上は、条文上は「国土の保全その他」ということで公益的機能をうたっておるわけであります。聞くところによりますと、ほかの省庁との協議が必要であるということで「その他」というくくり方をせざるを得なかったというのが実態だというふうに聞いておりますけれども、やはり今言ったような形で、国土の保全以外にも、極めて森林の役割は多面的にあるということで、具体的に、水資源の涵養ですとか、自然環境の保全ですとか、国民の保健休養、それから地球温暖化防止に対する寄与ということを明記して、もちろん「その他」というものをその以降につけ加えることは一向に構いませんけれども、私どもは、今日的な時点に立てば、国有林野並びに森林の役割をきちんと具体的に例示をすることが、先ほど大臣が言われた国民理解を求めることにもなる、私はそういうふうに考えます。  同時に、平成十一年、来年度の予算の概算要求を見ても、皆さん農水省自体が、この地球温暖化防止に寄与する森林、国有林野の役割について、極めて具体的にそれを目玉にして概算要求をしておるわけでありまして、私はそういった意味からいっても、法律的にきちんと整備をしておく、このことは極めて大事だというふうに考えます。したがって、私どもも、これは基本になるところでありますから、ぜひ、林野庁、農林水産省を応援するつもりで、この条文については加入をすべきであるというふうに考えますし、大臣のこの点についての御答弁お願いいたしたいと思います。
  38. 中川昭一

    中川国務大臣 今先生御指摘の、例えばと言わせていただきますけれども、水源涵養とか自然環境の保全及び形成、公衆の保健、地球温暖化の防止等への寄与その他というようなことも当然、私も先生も一致する林野の公益的機能であろうというふうに思っております。  そしてまた、それだけではなく、先ほど私からも、教育的な面とか日本の文化にかかわる部分とか、いろいろな面もございますので、そういう意味で、いわゆる、文字どおり多面的な、公益的な機能が一つ二つではなくて、もう挙げれば切りがないぐらいにいろいろな機能があるということでございます。率直に申し上げますならば、一々ごもっともであるだけに、例示をしていけば切りがないぐらいに多面的機能があるということで、あえて多面的機能、公益的機能ということで、それをもって全体のいろいろなものを、それぞれの方がそれぞれの気持ちあるいは思いを込めて、山を愛し、木を育て、そして国土を守っていく、その象徴、統合的なイメージとして、法文上はこういうふうに書かせていただいたという気持ちでございます。先生のお気持ちは十分わかるわけでございますけれども、例示としては、挙げていけば切りがないほど森林の果たす公益的役割は数多いという意味でひとつ御理解をいただきたいと思います。
  39. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 例示として一つにとどめるわけにいかないということなんですけれども、今回初めて、公益的機能を国有林野の木材生産にかわる重点とされたわけであります。まさにそういう意味では転換をした。これは国有林野にとどまらないというふうに、林政審の答申でもそのようにうたっておるわけでありまして、ここは「その他」ということであれば、その「その他」を明確に、このような国会答弁ということではなくて、法律条文上も明瞭にすることが、私は今後の国、政府の施策に大変大きな役割を果たすというふうに考えます。  その証拠に、私は党の建設部会長もやっておりますけれども、建設省でも都市林というのを今回大きな目玉として、これも地球温暖化防止という視点で取り上げております。私は、政府というものが一つであれば、もっとその辺は調整をしながら、建設部会でも、皆さんは都市林を取り上げるのはいいけれども、あるいは防災という、今後災害を未然に防ぐための手だてをつくるというのはいいけれども、上流、中流、下流という一体的なものとして省庁の枠を超えて取り組まなければ、ただ部分的な取り組みでは災害というものを本当に未然に防ぐということにならないのではないかということを強く言っておるわけであります。そういった意味でも、私は条文に書き込むことが極めて大切であるということを申し上げておきたいというふうに考えます。  それから同時に、皆さんは、公益的機能に重点を移して、その証拠として水土保全林というような形で国有林野を編成がえをしたというふうに言っておるわけであります。  そこで、一つ問題点は、現状の平成十年度を見ましても、これは計画でありますけれども、全体五百十九万一千立米を木材生産することになっておりますけれども、その五五%はいわゆる公益的機能に重点を移したという水土保全林を伐採して生産する、二百八十万立米はそこから生産することになっています。私は、言葉だけが先行して、本当に水上保全林、いわゆる木材生産循環林を二一%に限定すると言いながら、私どもの実際の調査でも、ここはどういう地域なんだと言ったら、これは保安林です、保安林というのは切らないのかいと言ったら、いや、切るんですと、立派な木が生えているんです。したがって、本当に水土保全林を、長伐期施業とか複層林施業という言葉は出ておりますけれども、本当にそれが名実とも木材生産というところから環境、公益的機能に移転する、重点を移すのかということを明瞭な形で示していただきたい。それが一点であります。  同時に、栃木県のヒアリングでもわかったんですけれども、公益性を重視して複層林施業とかあるいは択伐をしていくということになりますと、コストは一斉に伐採するよりも三割以上もかかるということを現実に言っておりました。また、必ずしもこれらの施業が、マスターしてこの方向に行ける——まだ試験的なものであるというような言い方でありまして、果たして三割もコストがかかる問題について、将来、この一兆円をこういう方式の中から返済していくという形でありますけれども、本当にそれができるのかなというふうに疑問視をせざるを得ないわけでありまして、そういう点についても、今すぐ全部がきちっとできるようにはならぬと思いますけれども、早急に公益的機能に基づく木材生産について明瞭にしていただきたいものだなというふうに考えます。     〔委員長退席、牧野委員長代理着席〕
  40. 中川昭一

    中川国務大臣 具体的には、先ほどの五百五十万立米、二百八十万立米の数字については後ほど長官の方から答えさせますけれども、保安林だから切らないということではないわけでございます。保安林であるからこそ、山としての機能を果たし得るために保安林地区として指定をして、その中で伐期に達した木については、公益的機能を持つ林野だからといって切らない、売らないということではなくて、それについては、もう伐期に達した、それを切っても保安林としての機能を損なうことはないということであれば、それは切ることも当然あるわけでございます。  また、複層林あるいは長伐期施業がコストが三割かかる。かかるかどうかについても後ほど林野の方から答えさせますが、私も多分コストは若干高くなるんだろうと思います。しかし、複層林施業の目的というのは、切った後に引き続き、山を一たん丸坊主にするのではなくてとかいろいろな形で、文字どおり複層的に、山を一部切りながら回転的に山を維持していくというようなメリットもあるわけでございますし、また、長伐期で切れ ばコストは若干かかるかもしれませんけれども、その分、材としてはよりいい価格で売れるということもございます。  いずれにいたしましても、今度の五十年計画のために何が何でも安いものをやろうということではなくて、公益的機能あるいはまたいろいろなコスト計算も一方ではしながら、その両方相まちましての今度の計画、法案提出でございますので、その辺の御趣旨も御理解をいただきながら、先生の御指導もいろいろいただいて審議を進めていきたいというふうに思っております。  長官から具体的なことは答えさせます。
  41. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 いや、よろしいです。時間がありませんから。  委員長がかわりましたので、この前の問題についてはまた後ほどにしたいと思っておりますけれども、順番を変えまして、第七条の民間事業者への業務の委託について御質問をいたします。  条文上は、「集中改革期間終了後できるだけ早い時期に、当該実施行為のすべてを民間事業者に委託」をするということになっております。そこで、本年度の林業白書においても、地域の実情等を踏まえながら、民間委託になじまないものについては国で実施をするというなお書きがございます。あるいはまた、ことしの二月十二日の当時の与党国有林野事業改革に関する合意の二番目に、現場業務については、地域の実情等を踏まえつつ、民間委託になじまないものについては国で実施するなど適切に対処するというふうに、柔軟な書きぶりが目立つわけでありますけれども、この条文との関係でどのように大臣はお考えか、白書と与党合意についてお聞かせを願いたいと思います。
  42. 中川昭一

    中川国務大臣 白書の文章は、御承知だと思いますけれども、「国の業務は保全管理、森林計画、治山等の業務に限定し、伐採、造林等の事業の実施行為は、全面的に民間事業者に委託を行う方針の下で民間委託を推進する必要がある。なお、」こういうふうになっておるわけでございまして、この「なお、」が、地域の実情を踏まえて、民間委託になじまないものについては国でするということでございます。  したがいまして、我々、提出して御審議いただいている法案におきましても、国有林の現業部門は基本的に民間に委託をする、特に伐採、造林、林道の開設等については、従来からも民間主体ではございましたけれども、これからはこの三事業につきましては民間に一〇〇%委託をするという方針でございます。そして、委託される側の民間の方も、委託にたえ得るような林業事業体として強化育成を図っていくことも一方では重要なことだろうと思っております。しかし、これ以外の、現場業務になじまないものにつきましては、地域の実情等を踏まえつつ、民間委託になじまないものについては国で実施することもあり得るということで、その辺は適切に対処してまいりたいと考えております。
  43. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 確認をしておきますけれども、これ以外のものというのは具体的にどういう事業のことを言っておるのでしょうか。
  44. 山本徹

    山本(徹)政府委員 例えば森林の見回り、こういったことは国が実施いたしますが、その際に、委託する規模に至らないような、例えば非常に小規模な森林のたまたま崩落があったとか林道が一部破壊されていた、あるいは育成途上の樹木が何らかの理由で枯れ、枯死していたというような場合に、それを補植したりあるいは整備するというような事業は委託するまでもなく国が直接に実施する。委託する程度の規模に至らないような事業がこういったものに該当するかと思います。
  45. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 全国の民間事業体の実態は、極めて零細な規模でありまして、例えば一事業体当たりの就業者数は三・八人。あるいは、素材生産量二千立米というのは極めて小さい方なんですけれども、これが全体の事業者数の七〇%を占めているということ、また、林業就業者の動向を見ますと、平成七年ですけれども昭和六十年当時に十四万人いた就業者数が九万人に減少しておりますけれども、六十歳以上が三〇%、あるいは五十歳以上を見ますと六九%。七割が五十歳以上で、まさに他産業に比べますと極めて高齢化、小規模あるいは零細性が非常に高いということであります。  大臣も御案内のとおり、日本は非常に生産性が低く、これは非常に狭隘な、傾斜の厳しいところで仕事をするということで、日本独自の林業機械の開発をしておるわけであります。したがって、それを民有林も含めて日本に普及するという役割も、林野庁は極めて大きいものがあるというふうに言われています。  そういう中で、あるいはまた社会・労働保険の加入も極めて低い、雇用関係も零細だということで、この与党合意なり林業白書にも書いてありますけれども、今長官が言われたそういう小さな仕事はできるのでありまして、きちっと請け負いするには、五年という猶予期間はありますけれども、むしろ地域によっては、労働力確保あるいは事業体の資本装備も含めて、現状でなかなか難しい地域もある。こういう点については、法律条文はすべてをという形で、あるいはこの林業白書なり与党協議は弾力化をするという書きぶりになっておるわけでありますけれども大臣、この点を十分踏まえて、実際の事業実施あるいは委託をやっていただきたい。この点についての御答弁お願いいたします。
  46. 中川昭一

    中川国務大臣 先ほども申し上げましたように、既に伐採約七割、造林約六割がもう民間委託になっておるわけでございますが、今回、三兆八千億の長期債務を分けて、国有林として五十年かけてこれを、一般会計からの繰り入れもいただきながらやっていこうというわけですから、相当な努力というものが林野庁を初め必要になってくるわけでございます。  しかし、我々といたしましては、先ほども申し上げましたように、この民間委託する事業につきましても、今、ただぽんと全部投げるということではなくて、その受け皿となる林業事業体の育成強化というものとセットで、山の中での作業を民間の仕事としてやっていただくということを基本としているわけであります。  先生先ほど申されましたように、林業機械の導入等も大いに必要だと思いますし、特に日本の場合には、欧米の林業機械、優秀なものがあるのでしょうけれども、とにかく日本の林地というのは急傾斜で、比較的密集して狭くてというような感じでございまして、日本に合う林業機械を一層導入すること等とも相まちながら、基本的には伐採、造林、林道については全面的な民間委託、それ以外のもので状況に応じては、直用といいましょうか、国で作業をやっていくということの役割分担基本として進めさせていただきたいと考えております。
  47. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 大原委員長が来ませんけれども、前回私、質問をいたしました——来ますかね。それでは、もうすぐ来るということで、別の質問をさせていただきます。  今回の法案では、借入金の発生について……     〔牧野委員長代理退席、委員長着席〕  それでは、大原委員長が着席をされましたので、前回私が指摘をしました営林署の統廃合について、参議院選挙直後の、この法案が一切審議をされておらない段階で、林野庁が決定という形で箇所、区域等の決定をされたわけであります。私どもは、国会の審議を軽視するものであるという視点から、ここで若干の時間論議をして、委員長にも理事会等で協議をしていただきたいというふうにお願いをし、委員長もそのことをわかりましたということになっておりまして、その後の状況について、委員長の方からまずお伝えを願いたいと思います。
  48. 大原一三

    大原委員長 私から御説明をいたします。  鉢呂議員から、特に林野の決定が唐突であったという御意見がございまして、きょう理事会でお諮りをいたしまして、林野庁長官からいろいろ答弁がありました。  本件については、理事会のお互いの共同の意思として、どうか質問においてその点をひとつ御議 論をいただいて林野庁の意見を確かめていただきたい、こういうことになりましたので、唐突であったことについては私もお認めをし、そうして質問の中で林野庁の意見を確かめていただく、こういうことになりましたので、どうかひとつ先生から御自由に、もう一回この件について御議論をいただきたい、かように思います。
  49. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 ありがとうございます。  委員長におかれましては、私の北海道からも、町長さん初め議会の議長さん、あるいは林業の森林組合の組合長さん等から、実情も委員長さんに御要請を申し上げた経緯もございます。そういうことで、中川農林水産大臣、この件についてもう一度、大臣としての見解をお伺いいたしたいと思います。
  50. 中川昭一

    中川国務大臣 理事会における林野庁長官説明要旨を踏まえた上で改めて答弁をさせていただきます。今回の五十年ぶりの国有林といいましょうか林野行政の大改革、しかも、三兆八千億円という長期債務を抱えて、正直言ってにっちもさっちもいかないという、過去四回のいろいろな努力が実現できなかった中で、もうこれで最後、最終最後の抜本的な改正をしないと、この後孫子の代に無用な、無用なといいましょうか、ただただ借金だけを残し、場合によっては山が荒れていくというようなことになっては大変だということで、今回抜本改革法案提出させていただいたところでございます。  それで、幾つかあるわけでございますけれども、今鉢呂先生からの御質問は、この森林管理署あるいは森林管理局、特に森林管理署が、七月十三日という我々にとりまして大変慌ただしい時期に林野庁において発表されたことについて、前回も先生から御質問、御指摘があったところでありますが、全国二百二十九ある現時点の営林署、私のところもそうでありますし、同じ北海道の鉢呂先生のところもそうだろうと思いますけれども、全国いずれも、我が町我が村に山を守るための営林署を残してもらいたいという要望に尽きたと思います。要らないよというような町は、私は多分なかったであろうというふうに思います。それぐらいに山と町と営林署というものの結びつきが深いということを改めて我々も実感するわけであります。  しかし、一方では、そういう抜本的な改革を伴うということでございまして、そういう中で、この法案で御審議いただいております国有林野に関する特例法案、その中での、営林局を森林管理局にする、営林署を森林管理署にするという法律改正、あるいはまた、これは予算措置でございますけれども、全国二百二十九を全体的な林野行政のもとで九十八の森林管理署にする、そして、それを具体的にどういうふうにしていくかということは、省令マターでございます。したがいまして、七月十三日に発表されたあの九十八の森林管理署は、あくまでもこれは林野庁内部としての決定事項であって、対外的には、現時点におきましても何ら効力を持つものではございません。  しかし、この法律を御審議いただき、成立をさせていただきましたならば、先ほど申し上げました森林管理署あるいは森林管理局という名称の変更が法律によって決定され、そして、予算との絡みもございますけれども、全国の森林を見据えてぎりぎりどこに存在させるのが必要かということで森林管理署というものを設置していく。それが結果的に九十八ということになって、私のところにどこどこ、鉢呂先生のところにどこどこという形で九十八が発表されたわけであります。  法律が成立をしましたならば、それに基づきまして、農林水産省令に基づきまして、九十八の、七月十三日に内定させていただいたものを正式の省令として国会あるいは国民に対して発表することによりまして、先ほど申し上げたように、なくなるところあるいは変更になるところ、私のところもそうでありますけれども、大変つらいものがあるとは思いますけれども、抜本的改革の中での、全体的な見直しの中での林野庁の内部作業に基づく決定を最終的に法律、そして省令に基づいて来年一月一日から決定をさせていただきたいということで、この法案の審議を通じて、この森林管理署の再編についてもぜひとも御理解をいただきたいと思います。
  51. 大原一三

    大原委員長 ちょっと鉢呂議員、よろしいですか。  私から農林水産省に申し上げますけれども、どうかひとつ、鉢呂議員の御意見にもありましたように、市町村に対する説明を十分にお願いをしたい、こういうように考えますので、よろしくお願いいたしたいと思います。  どうぞ、農林水産大臣
  52. 中川昭一

    中川国務大臣 大事なことを言い落としました。  今、委員長そして鉢呂先生からも御指摘があったと思いますが、これについてはいまだにこの委員会でも御質問いただいているところでありますから、これからも今まで以上に関連市町村に対して林野庁、農林水産省を挙げて御理解をいただくべく最善の努力を尽くさせていただきたいと思います。
  53. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 委員長からの御指摘もいただきまして、ありがとうございます。  私も、大臣が言われるように、なくなってよいという、その当該する営林署が存在する地方自治体の首長さんはいないと思います。  ただ、今回いろいろ聞きますと、もちろんそれなりの営林署の役割等について林野庁の出先が聞き取りを全くしなかったということではありません。しかし、それが極めて不十分か、その当該する首長さんあるいは国有林野関係者、さまざまいらっしゃるわけでありますけれども、まさに林野庁が国民のための国有林、国民による国有林ということを大きなったい文句にして今後の国有林野行政を進めていくという視点に立てば、極めてかかわり方が弱かったのではないか。  首長さん方も、行政改革についての趣旨は理解できるというふうに言っていらっしゃる首長さんもいます。ただ、住民の皆さん関係者皆さんに全く説明できない。私どもも、調査をした段階で、ある現場に行きましたら、どういう組織再編が検討されているのか、現場の署長にはどういう形になるのかわからない、しっかり管理しなければと思うが十分な管理ができる要員・組織にしてほしいと。これは大っぴらに大きな声では言いません。しかし、我々が調査に行った段階でありますけれども、ある署長さんでも、今四十余名の署員が三分の一で、例えば十五名で業務を、二カ所が一森林管理署になるわけですけれども、業務をやれるかといえばどうかなという感じを持つという率直なお話をしておるわけであります。  そういう点で、今委員長も言われましたように、まず第一に、住民の皆さんや当該する関係者皆さんに徹底して説明をして、あるいはその流域単位で説明していただいてもいいと思います。そういうものがなければ、やはり、今後山はなくなるわけではなくてまさにそこに存在をして、いろいろな形で国民皆さんが主体的にむしろ取り組んでほしいというぐらいの、今後の林野行政を考えているわけですから、そこのところの、行き違いといいますか、意思疎通をちゃんと図ることが私は極めて大事だというふうに思いますから、どこに言ったって賛成できる人はいないから泥をかぶったんだ、林野庁はというような考えでなくて、率直なところの対応をしていただくことが大事ではないだろうかなというふうに思うわけであります。  そこで、中身を見ましても、例えば北海道では一森林管理署は十四万ヘクタール、これは平均でありますから、一番多いのは中川農林水産大臣の帯広が一番多いように私は受け取れますけれども、二十万を超える、一森林管理署。しかし、平均では十四万ヘクタールになります。道外を一くくりにしますと、平均して五万ヘクタールです、私の計算でありますけれども。小さいところは、森林管理事務所という言い方ですけれども、局直轄の事務所、四千ヘクタールを持つ。先ほど府県が五万と言いましたけれども、北海道で一番小さ いのは六万三千ヘクタールであります。六万三千ヘクタール以下の所管の営林署は道外のところで何カ所あるかというと、五十一カ所、七十七森林管理署のうちその過半が、北海道の一番小さいところよりもさらに小さいというのが五十一森林管理署もあるわけであります。  これほど、ある人に聞けば、いや、北海道は大規模粗放林業だ、府県は農業でいえば手のかかるという言い方をしますけれども、このほかに民有林あるいは市町村の行政も含めて流域単位で考えるということからすれば、四千ヘクタールですとか、あるいは森林管理署だけ見ましても、大分西部の一万四千ヘクタール、佐賀の一万五千、徳島の一万六千、伊豆森林管理署の一万六千というように、その差がもう十倍以上の極めて大きな差がある森林管理署になるわけでありまして、そういう点からも、小さいところがだめだと言っているわけではありませんけれども、九十八、十四というのが先にあって、それにいろいろはめ込んだのが実態でないだろうか。  こういう民主主義の時代ですから、いろいろ皆さんの、直轄の森林管理事務所というものをつくってその分を、九十八、十四を別の方に割り振りをしたとかいう御苦労は聞いております。しかし、やはりもう少し、国有林野だけでなくて民有林も含めて、今後の森林についての指導的な役割を森林管理署が果たしていくという基本からいっても、そこはもう少し、一つ例を挙げても、この面積においてもこれだけ違いがあるわけでありまして、十分検討をしていただきたい。このことについての御答弁は要りませんけれども、この面積が差があるから正当なんだというところの理由は聞きませんけれども、もう少しそこの辺の対応ができるのではないか。  その証拠に、その証拠と言ってはおかしいのですけれども、森林管理局の統廃合問題与党合意をしておる中で、これは本年の三月三十日に与党合意の中で、平成十六年四月以降について、地域の実情等を十分踏まえ、その機能の維持について最大限の措置をするものとするということで、この最大限の措置ということは柔軟な対応をするというような与党合意がございます。あるいは、平成十年二月十二日の国有林野事業改革に関する合意の中の三番目に、組織機構については、地域の実情、管理の実態等を踏まえ、適切に対処をするという言い方で、集中改革期間後も、十六年以降も、若干のそれなりの弾力的な対応について、与党がそういう考えで臨もうというふうに合意をしておるのでありますけれども、その点は、政府として、農林水産大臣としてどのように受けとめておりますか。
  54. 山本徹

    山本(徹)政府委員 御指摘の合意等、これは、地域の実情あるいは森林管理の実態等を踏まえて組織の再編を行うようにという考え方であると私ども理解いたしておりまして、こういった考え方基づいて、森林管理局の設置また森林管理署の配置を検討させていただいたわけでございます。  私ども、このたびそういった考え方で、管理局及び七月十三日には森林管理署の考え方を公表させていただきましたのは、これについて、できるだけ早く国民の皆様方また当委員会での御審議の便に供するために具体的な考え方をお示しさせていただき、私ども考え方を御説明し、また御理解していただくという趣旨に基づくものでございます。  先ほど北海道と内地の関係等ございましたけれども、例えば具体的に申し上げますと、これまでも同じような傾向がございました。北海道の森林については、天然林のウエートが大きい、あるいは概して北海道の国有林がなだらかな地形で一団地当たりの面積が大きい、境界線が相対的に面積当たり短い、そういったような傾向がございまして、これまでの管理の実態等を踏まえまして、今回の案を取りまとめさせていただいた次第でございます。
  55. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 長官は今過去形でしゃべっていますけれども平成十六年四月以降について最大限の措置をするものとする、まさに将来にわたっても最大限の措置をするというふうに与党合意はなっておるわけでありますから、十分検討をしていただきたいものだなというふうに考えております。  時間がありませんから、次に移りますけれども、要員問題でございます。  これは法律事項ではございませんけれども、今年度の予算の概算要求時点で、職員体制については、平成八年度末一万五千人を十五年度末三分の一程度にしていくということでありますけれども、具体的に三分の一程度という言い方で今後の業務がやっていけるのか。現地に赴きますと、責任ある方が、果たしてこれでできるのかなと。前回も申し上げましたけれども、行政改革は私どもも進めていかなければならぬと思っていますが、この累積債務処理とのかかわりで余りにも唐突に、業務についてどの程度必要かということから、その積算根拠を明らかにせずして三分の一程度というふうになってきておるわけでありますけれども、具体的に今後どの程度のものとしていくのか、その積算根拠の大まかなものを含めて御答弁願いたいと思います。
  56. 山本徹

    山本(徹)政府委員 これからの要員規模につきましては、先生御指摘のとおり、平成八年度末の要員一万五千人のおおむね三分の一程度を基本として、森林管理の現場の実情、雇用身分の問題等を考慮しつつ検討してまいります。この具体的な考え方といたしましては、まず、森林の保全管理、それから森林調査、森林計画のための要員はおおむね現状程度として算定いたしますとともに、民間に委託した森林整備の指導監督等のための要員は、事業量の見通し等を勘案して算定させていただくことにいたしております。  次に、総務、経理、厚生等の間接的な業務、いわゆる間接要員につきましては、現状における全体の要員に占める間接要員の比率をもとに算定する等により試算しているところでございます。この結果を踏まえまして、一万五千人のおおむね三分の一程度を基本に、森林管理の現場の実情を考慮しつつ検討を進めているところでございまして、御案内のとおり、事業実施の形態を民間委託を基本とするということで大きく変えてまいりますので、こういった要員の縮減で十分適切な国有林野の管理運営は行えると考えております。
  57. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 一番問題でありますのは、森林事務所といいますか出先の、今長官が言われました公益林を管理する職員、これは事務所自体は全国千二百五十六カ所現状あるのですけれども、現状でも、併任をしておるとか、一千二百五十六人はいないのでありまして、そこのところが業務推進上、単独で、一人配置でいくというような形で聞いておりますけれども、極めて業務推進上支障があるのではないか、現地調査へ行っても、かなりそのことを言われるわけであります。  北海道では、大臣も御承知のとおり、今も盗伐をしたとか境界線の問題で、先般も新聞に、国有林野を盗伐した事業体が起訴されるとか、そういう問題が起きていまして、国民の大切な財産である国有林野の管理について適切な面を欠いてはならぬと私は思いますけれども、この点について、果たして現状、今長官が言われた形ではやっていけないのではないか。昨年、三分の一程度という形で決まったようでありますけれども、その後の動きは、与党あるいは政府の間でも、これはこういう形ではなかなかできないぞというふうになってきたと聞いておりますけれども基本的にどういう考え方大臣は臨むのか。職員数の適正化に関する事項というのは、この法案がいつできるかはわかりませんけれども、十月一日施行ということであれば、その時点で閣議決定をしなければならない問題である、そういう点では間近に迫っておるだけに、大臣基本的な考えを聞かせていただきたいと思います。
  58. 中川昭一

    中川国務大臣 まず、先ほどから申し上げておりますように、五十年ぶりの大改革を、三兆八千億円をああいう形にして、五十年計画で一兆円を何とか自己責任でなくしていこうということでありますから、相当の努力が必要になってくるわけであります。二割の伐採を主な目的とした国有 林、そして八割は公益林として先ほどの国土保全のための山として残す、そして現業部門といいましょうか、それはさっきの三部門については少なくとも一〇〇%民間に委託するというようなことで、ぎりぎりやっていくと大体どのぐらいかかるのか、今長官からお話があったとおりであります。それが、平成八年の一万五千人のおおむね三分の一程度を基本としてという、かなりいろいろな形容詞がついた表現になっております。  つまり、一方では実態としてこれをやっていって、本来のやるべき仕事、新しい仕事をやっていって、そして、それがこの計画でうまくいかないということも当然考えられないわけではないわけであります。そこで、今回の法案におきましても、例えば事業の実施や将来、要員を含む管理経営に関する基本計画を五年ごとに定めるとか、その実施状況を毎年公表するということで、国民あるいは国会に対して御報告をするということになっておるわけでございます。  それから、もう一方の基本的な考えは、これは三党合意でも確認されているところでありますが、いわゆる本人の意に反して職を失わせることはしない。いわゆる労使間でこれからも絶えず論議、そして意思疎通をしながら、お互いに厳しい状況ではありますけれども、山を守り、そしてまたお互いの立場で協力をしながら、この抜本的な改革を何としても成功させていかなければいけないということで、労も使も腹を割って話し合って、お互いにいい方向に行くように努力をしていこうということがもう一方の柱でございます。これからスタートするわけでありますから、今申し上げたようなことがうまくスタートをしていって国有林の抜本改革に資するように、何としても一日も早くこの法案を成立させていただきたいと思います。
  59. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 もう一点、個別のことでありますけれども国有林野事業を企業的に運営するということでありますと、国営企業労働関係法が今現在も適用されております。しかし、造林、伐採等の肉体的な労働というものがなくなるということになりますと、この適用、四要件の一つが崩れるわけであります。したがって、国営企業労働関係法の適用からの除外というのはいつからなされるのか。  また、給与法適用の一般公務員としての位置づけというものを明確にすべきであるというふうに考えますけれども、この点について、簡単にお答え願いたいと思います。
  60. 山本徹

    山本(徹)政府委員 国労法の関係でございますけれども、私どもは、今回の改革案におきましても、今後とも木材を生産し、必要な造林等の投資も行うという事業運営を継続いたします。また、五十年間に生ずる剰余金で一兆円の債務を円滑に処理する必要があるために、特別会計において企業的に国有林を運営してまいります。さらに、本人の意に反して退職はさせないという考え方に立っておりますので、定員外の職員の方も、少なくとも当分の間は残ることになります。  こういったことを勘案いたしますと、国労法の適用は当面は可能であると考えております。また中長期的な問題については、労働省その他関係方面と慎重に検討してまいりたいと考えております。
  61. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 時間が来ましたけれども、私ども、例えば一兆円の特別会計に置いた累積債務についての処理問題、必ずしも確実に五十年かけて返済できないのではないかということからいきますと、例えば五年ごとにこの累積債務処理の状況を見直しをすべきところは見直しをして、必要な措置をとるべきであるという法律としての修正をぜひお願いいたしたいし、先ほど言いました地球温暖化防止に対する寄与、あるいは公益的な機能の役割ということについて、必ずしも森林法、別に今森林法が審議をされておるわけでありますけれども、その中にも明確でございません。あるいは、そのほかの林業基本法においても、旧来と同じ手法で国有林野を見ておるというところが見えますから、地球温暖化防止に対するものも含めて、必要な措置は法律改正という形ですべきである。そのことを附帯条項できちっと法律の体裁を整えて、政府がこれを確実に行うということについても求めたいと思います。そのことはまた後日論議をさせていただきたい、このように思っておるところでございます。  以上で終わらせていただきます。
  62. 大原一三

    大原委員長 木村太郎君。
  63. 木村太郎

    木村(太)委員 大分質疑の時間も経過しておりますので、質問する趣旨の方もダブる点もあろうかと思いますが、大臣初め皆様方の御答弁をよろしくお願いしたいと思います。  まず、私も真っ先に、国有林野関係の方に主に視点を絞って質問をしていきたいと思います。三兆八千億円の債務、これに至った要因というもの、そしてまた、これに至るまでの迅速で適切な対応がされてきたのかどうかということを、国民に対して改めて大臣から御答弁いただければと思います。特に、今審議されておりますこれをもって着実に問題が解決されていくというその根拠と、また、大臣みずからの決意というものを御披露いただければと思います。
  64. 中川昭一

    中川国務大臣 改めまして木村先生から、今回の国有林野の抜本改革についての決意ということでございますが、何千年と連綿として日本の国土を守ってきた森林、そしてそれを国が半分以上管理をするという状況が五十年、現体制が続いてきたわけでありますが、その間、木材の輸入自由化がどんどん進んでまいりました。一方、戦後復興の中で木材需要というものも非常に、戦後復興とともに需要の伸びが急ピッチであったわけであります。  高度経済成長を三十年代に迎えたわけでありますが、順次木材製品は関税化されてまいりまして、昭和三十九年が関税化の完成した年でございます。その年を境にして、これはまことに奇妙なことでありますけれども、国有林事業が赤字に転じるということになってきたわけであります。そして、昭和五十三年から国有林野の改善計画というものを策定してきたわけでありますけれども、都合四回やってまいりましたが、数年のうちに計画が、実行、予定どおりにならないということになってきたわけであります。  直近の計画は、先生も御承知のとおり、平成三年から十二年まで、十三年から二十二年と二段階に分けて国有林の赤字を全部なくそうという計画をスタートさせたわけでありますけれども、特にここ、平成に入りましてからの最後の四度目の計画につきましては、自由化がこれほど進んできた、御承知のとおり、日本の木材の自給率は二〇%程度でございます。八割が外材の輸入ということであります。先生のところにも大変すばらしい木があるわけでありますけれども、何といいましても、円高あるいはまた関税の引き下げによる安い価格の材がどんどん入ってくる。一方では、景気がよかったということもありまして、輸入がどんどんふえてくる。あるいはまた、その間、国有林の方の経営は悪くなる一方でございましたから、借入金利、つまり金利コストがだんだんだんだん重たくなってくるというような状況が、二重、三重と負担を大きくしてきたわけであります。  そして、ここ数年、数年といってももう七、八年になるわけでありますけれども、いわゆるバブル崩壊とともに不景気になって、例えば、木材でいえば住宅着工件数の問題でありますとか、あるいはいろいろな形での需要が低迷をしてくる、そういう状況で、いよいよ三兆八千億円がにっちもさっちもいかないという状況になったわけであります。  しかし、これをいつまでも孫子の代に残すということはなりませんし、木材というのは三十年、五十年というものが一つの生産タームでございますから、今この時期に思い切った改革をして、孫子の代にこのツケを安易に押しつけるということはしてはならないということで、いろいろと御議論をいただいた上で、今回出させていただいた法律でやるわけであります。  基本的な枠組みは先生もう御承知のとおりだと思いますので、今回に至る経緯ということで、何としても、私といたしましては、一日も早く、実はタイムリミットがこの法案にはあるわけでございますけれども、十月一日からスムーズにスタートをさせていただくことによりまして、より負担が少しでも軽くなるということもあるわけでございます。もうあとわずかでございますけれども、我々としては、とにかく一日でも早くこの法案を実行させていただくことによりまして、本当に一円でも節約できるような体制スタートをして、五十年かけて我々が背負っておる一兆円というものを何としてもお返しをして、そして健全な、先ほどの御議論にもありましたように、国土を守り、日本の国土発展のために大いに資する山づくりのための林野行政を推し進めていきたいという決意で、何とぞ、御審議そして御賛同をいただきたいと思います。
  65. 木村太郎

    木村(太)委員 私、単純に考えますと、先ほど大臣から答弁がありましたように、過去四回改善計画というものをやってきたのですが、それが効果もなかった。では、過去の四回、改善するに当たって、今審議しているこの抜本的な案というものがなぜそういうときに少しずつでも考えとして打ち出されなかったのか、あるいはまた実行しようとしなかったのか、こういったことも私は単純に思いするところであります。  また現実に、たしか今から三年ぐらい前ですか、一九九六年の十二月の時点で、会計検査院が国有林野の破綻というものを宣告している。そして、今現在こうやって我々は抜本的なことだということで審議しているわけでありますけれども、この間でも五千億円の債務が膨らんでしまっている、これも事実だと思います。では、なぜ過去の四回の中で、こういった今審議しているようなことがアイデアとしてなかったのかどうかということを単純に思いするわけであります。  現実に三兆八千億円という債務があるわけでありますが、今大臣からの答弁もありましたが、社会情勢の変化や輸入材の拡大とかいろいろなことが、諸情勢の変化、予測しなかったこともたくさんあったのも事実だと思います。だとすれば、では今回のこの抜本的な改革が今後どんな変化があっても対応できていくのかどうか、今現在予測しないことが起こった場合でも対応することができるのかどうか、そういったことを私は過去の四回の改善効果がないという事実を踏まえても、特に今大臣に根拠あるいはまた決意というものを伺ったわけでありますが、そういった言い方をした場合に、それでも大丈夫というふうな思いで今臨んでいると思いますけれども、もう一度その点、もしありましたら、御答弁お願いしたいと思います。
  66. 中川昭一

    中川国務大臣 例えば一兆円の余剰でその一兆円の債務をお返しするという中で、五千億が土地、林野等で五十年かけて売ることによってやっていく。五千億で五十年ですから年間二百五十億円ぐらい平均になるわけですが、これは過去の例を引きますとかなり低く見積もった数字で、抑え目の数字で平均二百五十億円。ここ数年五、六百億円なんという時代もありましたし、もっと多い時代もあったわけでありますけれども、二百五十億円平均で五十年ということで五千億円。これなんかは、これから、今ちょうど伐採というか、材として売る時期の端境期的な状況でございまして、昭和三十年代ぐらいに植えた木が大分大きくなってきておりますけれども、いわゆる長伐期で、より価値のある材として売るにはもう少し時間がかかる。これから、いわばあと数年たつとそれが十齢とか十一齢とかいう形で伐採期に達してくるわけでもありますし、今がいろいろな意味で計算上非常に厳しい時期ですから、かなり厳し目に見てこの一兆円という数字を五十年かけてお返しをしていこうということであります。  しかし、何といいましても、三兆八千億円のうち引き受けるのは一兆円でありまして、二兆八千億円プラス利子等は一般会計の方でお世話になるわけでございますから、我々はこれ自体を果たさなければいけない。これまでにある意味では身軽にしていただいたわけでありますから、何としても、これを歯を食いしばって、本当に労使一体となって実現をしていかなければいけないという相当ぎりぎりのところに追い込まれておるわけであります。この委員会の冒頭、総理が文字どおり最終的な改革だみたいなことをおっしゃいましたけれども、まさにその気持ちで我々はこの問題に取り組んでおるわけであります。  大変厳しく見積もっておるわけでありますけれども、しかし一方、金利動向とか経済動向とかいう不確定要素も、当然五年、十年、五十年を見据えた計画でございますから、どうなるかわからない。逆に言えば、物すごく収支がよくなってしまうこともあれば、そうでないこともあるわけでございますので、そこはもう五年先、十年先を見通すのはなかなか難しい話ではございます。しかし、かた目に見て、そして抜本的な最後のぎりぎりの改革を一兆円という世界の中でぎりぎりの努力をしてお返しをしていくということでありますから、何としてもこの目標を実現するように頑張っていくという決意を改めて申し述べさせていただきたいと思います。
  67. 木村太郎

    木村(太)委員 さまざまな予測しないこともあり得ると思いますけれども、いい意味での予測しないことがあればそれはいいことでありますけれども、ただやはり我々は、現実を見て判断もしていかなければならないというふうに思っております。  具体的に法案の方に入っていきたいと思いますが、ここで宮澤大蔵大臣にお尋ねしたいのです。この三兆八千億のうち二兆八千億を一般会計に承継処理する、そしてまた、はっきり言いますと、国有林と関係ないというふうに私は思うのですけれどもたばこ特別税に頼ろうとする考え方、こういったことを考えた場合に、国民が納得できる説明というものをここで私は大蔵大臣からいただきたいと思います。
  68. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 いつぞやも申し上げたかと思いますけれども、この場合、たばこ税は一種の一般会計に入ります歳入として考えたわけでございますが、なぜたばこにということは、いわば財政物資と申しますか、財政収入になる一つの比較的嗜好性の高い、景気に余り左右されない、しかも価格の中における税分の割合がどちらかといえば価格の上昇に従って低下するわけでございますから、そういう物資としてのたばこの課税を選んだというふうに、そういうことが御説明になると思います。  本来、どうしてたばこの愛好家がこの負担をしなければならないかということは、一般会計としてこれをしょってまいります上にいい財源がない、その中で比較的受け入れやすいということもないでしょうが、愛好的な品物への課税を選んだ、こういうことであると存じます。
  69. 木村太郎

    木村(太)委員 今の答弁を聞きますと、なかなか現実には、たばこを吸う人から見るとまだまだ納得できないというのが私は実情じゃないかなというふうに思うわけであります。もちろん、皆様方もいろいろ考えに考えた上で判断したということも背景にはあろうかと思います。  そこで、大蔵大臣からもありましたけれども、その前に、先ほど中川農林水産大臣には全体的な意味での根拠と決意ということをお尋ねしましたが、残りの一兆円ということ、これに目線を変えて考えた場合に、一兆円の返済は本当に大丈夫なのかどうか。  単純に計算しても毎年二百億円余も剰余を出さなければならない。しかし、現実には毎年二千億円もの債務を累積した国有林の姿があります。二千億円の債務をふやしてきているこの国有林、それに対して二百億円以上の剰余を出さなければならない。私みたいな者が単純に考えても、本当にこれは現実的なことなのか、一兆円の返済は本当にできるのかどうかということを心配するわけですけれども、それこそ血のにじむような収支の改善努力というものがここでは求められてくると思います。  九日の参考人陳述の中でも、非現実的だというような趣旨の御意見もありました。一兆円返済というと、先ほど大臣からもちょっとありましたけれども、いま一度、返済についての具体的な根拠というもの、また確実性、実効性というものをどう説明されるのか、答弁お願いしたいと思います。  また、あわせてここで聞きたいのは、それをもし進めるとすれば、これから国会に対しても債務処理の状況というものを報告するということにもなっているようでありますけれども、定期的に詳しく点検するような体制というものを、ちゃんと債務が減っていっているのか、一兆円の返済がきちんと進んでいるのかどうかということを、きちっと点検しながら報告できる体制をどう考えているのかということもここでお聞かせいただきたいと思います。
  70. 中川昭一

    中川国務大臣 まず、平成十年十月一日からスタートをするという前提で、平成六十年までの五十年という気の遠くなるような、木村先生はお元気でしょうけれども、私は多分もういなくなるわけでありますが、しかし、この計画、五年ごとではございますけれども、一応の計画について我々はかなり、先ほど申し上げましたように、低目のというか、厳し目の、マトリックスといいましょうか、スケジュール表的なものをつくっております。  端的に申し上げますと、林産物収入がこれからどんどんどんどん上がっていく、そして支出の方では利子・償還金がどんどんどんどん減っていくということの差し引きの中で五十年間で一兆円の剰余が出ていく、単純に一言で言えばこういうことであります。細かいことをもっと説明しなければいけないのでありましょうけれども、資料として先生にも後ほどごらんいただければと思いますが、そういうことで、借入金がどんどん減っていく、林産物収入あるいはまた貸付金等々の収入がどんどんふえていく、そして利子・償還金がどんどん減っていって、途中からはもうゼロになっていくというようなことで、最終的に収支差がどんどん広がっていきまして、最終的なトータルの収支の差が一兆円の黒ということになるということでございます。  それから、一兆円の債務に対する点検、一兆円といいましょうか、これから始まるスキームの点検でございますけれども、今度の国有林改革特別措置法の第十七条に、債務処理に関する施策の実施状況を毎年度国会に報告するということになっております。したがいまして、毎年毎年この国有林野特別会計の収支状況、そして累積の収支状況については、国会に御報告をし、また御審議をいただきたいと思います。
  71. 木村太郎

    木村(太)委員 私は、間もなく平均寿命百歳という時代も来ると思いますので、中川大臣もそのころはまだ御健勝だと思っておりますし、それをお祈りしたいと思います。  今御答弁がありましたけれども、ただ、俗に、国の公益的な機能重視への転換を基本的な部分で図るんだという考え方、そう考えた場合に、現行でも木材の生産林の面積が五四%ある姿から二一%に減るということになると思います。従来五割程度だった国土保全のための公益林、これが八〇%、八割を占めるという姿になれば、先ほどあった返済のための木材販売なんかの収入を考えた場合に、ある面ではそこに矛盾が出てくるような感じもするわけであります。公益林の面積を、また機能をますます高める、しかし一方で、木材の販売なんかを柱にしながらも返済をしていくんだ、何かその辺に矛盾というものを感じるのですが、その点はいかがでしょうか。
  72. 山本徹

    山本(徹)政府委員 先生御指摘のように、木材生産を主目的とした国有林は、約五割から二割に下がります。八割が国土保全あるいは水源涵養等の公益的目的を中心にした国有林になるわけでございますが、こういった公益林につきましても木材は一切伐採しないわけではございません。伐期は長伐期化したり複層林施業という形をとって、公益的機能の発揮に留意しながらも、ある時期になりますと、例えば長伐期、これまで四十年で伐採していた杉も八十年くらいになると伐採するということになります。これをずっとそのまま余り長期間放置いたしますと、いわゆる老齢過熟林ということでかえって公益的機能が発揮されない森林になるおそれもございますので、適期に伐採するということも重要でございます。  これによる伐採収入というものが、先ほど大臣から御説明申し上げましたように、今、国有林は、大規模に戦中戦後に伐採された跡地に植林した木が育っておりまして、三十年生くらいが中心でございますけれども、これがこれから二十年、三十年、四十年とたつと伐期に到達いたしますので、数量的には大量の伐採が期待できるわけでございます。大臣から御説明がございましたように、しかしながら価格については慎重に見ておりまして、オイルショック以前は右上がりで価格は上がっておりましたけれども、オイルショック後約二十五年間ずっと横ばいでございます。価格については今後五十年間も横ばいで推移するという想定のもとに木材収入を算定いたしておりまして、私どもとしては、十分慎重な算定であると考えております。
  73. 木村太郎

    木村(太)委員 私、特に心配するのは、公益的機能重視、大変聞こえがいいわけでありますが、逆にこれが裏目に影響を及ぼしてはならないというふうにも思います。  現実に今でも、国有林に関しても乱伐、過伐というものが山の高い位置にあるということも私なりには承知しているわけですけれども、そういったことを、これから国有林の公益的機能重視ということを考えた場合に一つの心配として、今現在でも、すべてとは言いませんが、しかし、現実にはまだやはり乱伐というのが全国に散見されているように私は思っております。こういったことにならないための対策というか考え方はどのようにお持ちでしょうか。
  74. 山本徹

    山本(徹)政府委員 今御指摘の過伐あるいは乱伐が起きないようにするために、今回の法案におきましては、流域ごとの国有林の地域管理経営計画というものを策定させていただくことにいたしております。  これにつきましては、案の段階で一カ月公告縦覧いたしまして、地域住民を初め国民の皆様方の御意見を承ることになっております。これに沿ってこの計画を決定させていただいて、適正な国有林の施業、すなわち適正な伐採、適正な管理、適正な育成を行うことにいたしておりまして、広く地域住民、国民の皆様方の御意見を承りながら、八割の公益林を中心にして、公益的機能を大事にしながら国有林を管理運営してまいりたいと考えております。
  75. 木村太郎

    木村(太)委員 もう一つ確かめたいんですけれども、今月の一日だったと思いますけれども、管理経営基本計画というものの骨子をまとめたようでありますが、この計画の方向性というものはどうなのか。また、今我々議論しておりますこの国有林野事業との、これから進めようとする改革との位置づけというものをどう考えているのか、少しお尋ねしたいと思います。
  76. 山本徹

    山本(徹)政府委員 御指摘の管理経営基本計画は、先ほど御説明申し上げました流域地域ごとの、百五十七流域になりますけれども、この地域ごとの管理経営計画のいわば基本をなす全国の国有林の管理経営基本計画でございます。その内容は、国有林の管理経営に関する基本方針、また林産物の販売、国有林の管理経営のための事業の実施体制、これは要員等でございます。それから長期的な収支の見通し等々、国有林管理の基本になることを定めることにいたしておりまして、五年ごとに農林水産大臣が十年を一期として立てる計画でございます。  この計画も、案の段階で一カ月公告縦覧いたしまして、広く国民の御意見を承ってこれを決定させていただき、計画は策定後遅滞なく公表させていただくとともに、毎年度、経営計画の実施状況について広く国民の皆様方に公表させていただくことといたしておりまして、国有林の適切な管理 経営状況について広く皆様方に御理解をいただき、また御意見を承る機会を得たいと考えております。
  77. 木村太郎

    木村(太)委員 その基本計画の中では、たしか、国有林をこれから効率的に運営するために、国の業務というのは保全管理などに限定して、伐採や植林等は民間に全面的に委託するということもうたっているかと聞いております。  そこで、お尋ねしたいんですけれども、現在の民間事業の姿がどうなっているのか。また、今後国が行う業務と民間が行う業務との振り分けというものをどのように具体的に考えているのかお尋ねしたいと思います。その中で特に私は、各地域にあります森林組合、これをどのように国としてこれから位置づけて、森林組合にこういう点で頑張ってほしいということを考えているのかどうか、御答弁お願いしたいと思います。
  78. 山本徹

    山本(徹)政府委員 新しい国有林の管理経営基本的な考え方は、御案内のとおり、伐採、造林等の事業につきましては全面的に民間に委託し、さらに立木の材積等を確定するための収穫調査業務についても、民間の信用できる指定調査機関に委託する等、可能なものは民間委託化を進めることにいたしております。造林、伐採等につきましては既に委託化を進めておりまして、具体的には、平成九年度で、伐採の七一%、それから造林の五九%は既に民間に委託いたしておりまして、民間の事業体も、最近では若い方の就業がふえる等、徐々にではございますけれども育ってきておると考えております。  また、森林組合もこういった民間事業体の一つとして、今後、伐採、造林等の業務の受託機関として私ども大変期待しているところでございます。現在も国有林の委託事業につきましては、伐採について約一〇%森林組合が請け負っておられますし、また造林については二一%請け負っておられまして、今後、伐採、造林等の全面委託に伴い、森林組合の事業の発展を期待いたしております。
  79. 木村太郎

    木村(太)委員 民間に対して委託する、この方向性を私否定しませんが、ただやはり、それが民間に対しての負担になってはならない。あくまでも民間のよさを最大限生かす、また伸ばすという考え方で、そこはやはり行政、国の、また林野庁のリーダーシップというものがここで大事かと私は思いますので、その点にも留意されて、民間のよさというものを今後も大事にしていってほしいということをお願いしたいと思います。  また、先ほど来答弁にもありましたけれども、公益的機能をもう少し突っ込んで考えますと、森林整備方針の転換に伴いまして、今回財政的にも措置として、例えば公益林の管理費、人件費なんかも入ってくると思いますけれども、これを二百五十億円とする、そしてまた事業の施設費を二百七十億円とする、これを一般会計から繰り入れをすることにしょうとしているわけでありますが、先ほどいろいろ答弁はありましたけれども事業そのものを一つ一つきちっと見直しする、チェックするということがやはり大事だと思います。今までの一般会計繰り入れ対象経費と、これからやろうとする新体制における公益林管理費あるいは事業施設費というものは、今後どういう違いが出てくると説明いただけるのか、御答弁お願いしたいと思います。
  80. 山本徹

    山本(徹)政府委員 新しい国有林の管理経営体制のもとでは、公益林の適切な管理等のための恒久的な一般会計の繰り入れを予定いたしておりまして、特別会計により自助努力によって経営はいたしますけれども、独立採算制は廃止することになります。  こういったもとで、従来のいわゆる造林、林道等の事業施設費や一般行政経費の繰り入れに加えまして、公益林の管理費、これは人件費でございますけれども、これについて一般会計の繰り入れの制度を創設し、また事業施設費のうちで水土保全森林整備に必要な経費に対する一般会計の繰り入れの割合の拡充、これは、これまで二分の一でございましたのを三分の二にするといったような制度の拡充措置をとることにいたしております。これによって公益機能を重視した国有林の管理経営を進めてまいりたいと思っております。
  81. 木村太郎

    木村(太)委員 持ち時間が大分経過しまして、通告をしてきたことはたくさんあったんですけれども、大分また、既に質問でもありましたので少し飛ばしたいと思いますが、ぜひここをお聞きしたいと思っていたんです。  少し視点を変えて見た場合に、先ほど鉢呂先輩もおっしゃっていましたけれども、公益的機能を重視するんだ、今後の日本の森林の姿ということを考えた場合に、そのことと環境の面、CO2、温暖化に対しての考え方整合性をどう考えているのかということをもう一度私からもお聞きしたいと思います。  また、もう一つ。山村、山手の地域においての国有林の今までの位置づけというものは、その地域においては大変重要性があったと思います。そういった点での、今後の国有林の改革と山村振興という視点で考えた場合の整合性というものをどのように考えているのか、御答弁お願いしたいと思います。
  82. 山本徹

    山本(徹)政府委員 地球温暖化防止、すなわち炭酸ガスの吸収という機能は森林の公益的機能の重要な役割として、昨年の特に京都会議以降大変クローズアップされております。このために、私どもは、適切な森林の管理育成、すなわち、間伐、保育を適切に実施し、森林が健全な形ですくすくと育つように国有林の管理を進めてまいることにより、地球温暖化防止に役立てる、すなわち、木材が健全に育つということは炭酸ガスが木材の中に固定されるわけでございます。こういった森林を育ててまいりたいと考えております。  それから、地域振興との関係でございますけれども、これは今回の法案でも地域振興という点を引き続き重視しておりまして、こうした観点から、造林、伐採等の事業は全面的に地元の民間事業体または森林組合に委託することになります。さらに、公益林の重要な役割の一つとして、都市と山村の住民の方々との交流、例えば、野外教育、林間学校あるいは健全な野外のレクリエーションの場等、地域のさまざまな要請あるいは都市住民の要請に応じた多様な利活用の場として活用していただく等により、地域の振興に役立つ国有林として私ども育てていきたいと考えております。
  83. 木村太郎

    木村(太)委員 もう一つ視点を変えて聞きたいのですけれども、実は、私の地元、あるいはまた江渡委員地元は青森県でありますが、我が青森県というのは全国でも一位の国有林の比率が高い地域であります。そういった個性、特性があります。また、日本三大美林の一つでありますヒバ林も有している地域でもありますし、世界遺産に登録されました白神山地もあります。これは青森県の例でありますけれども、各地域の山の特色、個性、こういったことを考えて、その地域性を考えての対応というものは、国有林あるいはまた林野という改革を進める中でどのようにお持ちでしょうか。お尋ねしたいと思います。
  84. 山本徹

    山本(徹)政府委員 先生御指摘のように、青森県も大変立派な日本を代表する国有林がございますが、こういった国有林を守り、また、国民の、あるいは地域住民の方々に本当に役立つような形、農村と都市の住民あるいは子弟との交流の場等に役立つような形で育てるために、流域ごとにきめ細かく地域の森林管理計画を策定させていただくことにいたしております。先ほども申し上げましたように、これは、地域の住民の方の広く御意見を聞いてこの計画を定め、これに沿って、地域住民に、また国民に期待される国有林として守り、育てていきたいと考えております。
  85. 木村太郎

    木村(太)委員 時間が来ましたので、最後に一つだけお尋ねしたいと思います。  通告ではもっとあったのですが、先ほど来質問があったとおり、例えば、組織の見直し、人員の見直しなどもぜひ慎重な上に対応していただきたいということを要請したいと思います。  最後にお聞きしたいことは、これは大蔵大臣に対してでありますが、冒頭、農林水産大臣から根 拠あるいは決意というものを聞きました。大蔵大臣にお聞きしたいことは、今こうやって審議している中で、国有林に関係しての今のこの改革の案、考え方、これはもう大丈夫ということを、大蔵大臣財政を預かる立場から、また二兆八千億円を一般会計に頼るということから、私はこの時点で最後に確認したいと思います。  というのは、これから改革していこうとするときに、財政当局、あのときに大蔵大臣が大丈夫だと言ったではないかというふうになるのか、やはり大丈夫だと言ったように改革されていったと、方向性は二つに一つでありますので、財政当局、大蔵大臣からの大丈夫かどうかということをこの時点で最後に聞いて終わりたいと思います。
  86. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 林野あるいは土地の売り払い収入、林産物収入、それから一般会計の利子補給がございますから、先ほどから農林大臣が言っておられますとおり、五十年というのは大変長い期間でございますけれども、しかし、御努力があればきっと一兆円の債務を返済していただける、お貸しした方も大いに期待をいたしております。
  87. 木村太郎

    木村(太)委員 ありがとうございました。
  88. 大原一三

  89. 中林よし子

    ○中林委員 前回、国有林野法の問題質問をさせていただきました。国有林が現在のように三兆八千億円の累積債務を生み出したその原因が、独立採算制に固執しながら高い金利の財投に依存せざるを得なかった、このことは政府自身もお認めになったと思います。そこで、この三兆八千億円をどう処理していくかということで、今回の法案が出たわけです。政府が言っている、国有林はこうあるべきだという姿になる、それがこの法案で果たしてなっていくのだろうかということで、私は、具体的な問題質問をさせていただきたい。大変危惧するものですから、そうはならないのじゃないかということを思わざるを得ませんので、具体的な現場での問題をお聞きしたいというふうに思います。  その第一点は、営林署の統廃合、そして労働者が一万五千人からおおむね三分の一に減らされるという問題がどういう事態になるかということです。  先ほどから北海道の国有林の問題が随分出ました。日本全体の国有林の四割を北海道が持っているということで、私自身も夕張の営林署に出かけていきました。この夕張の営林署では、今、巡視をしている森林官が一人大体一万ヘクタールを受け持っている、こういうふうに聞きました。今回、夕張営林署、林野庁の方針では廃止の方向に打ち出されております。そうなると約二倍、二万ヘクタールを一人で受け持たなければならない、こういうことになるわけですね。北海道は、私も行きましたら、クマの表示があるとかハチも出る、自動車事故にも遭うだろう、いろいろな事故も想定されます。現にこの間、全林野の委員長の方から、青森で、先般、亡くなって八時間後でないと発見できなかったという大変痛ましい事故の話も出ました。そうなると、たった一人で二万ヘクタール巡視することで本当に山の管理ができるのだろうか、労働者の安全は守られるのだろうか、このことが危惧されるわけです。  さらに、この夕張営林署管内には、天然記念物ユウパリコザクラというものも存在しており、これも営林署が守っております。こういう大切な、貴重なものが、果たして今回の計画で守られていくのだろうかということで、これが守られなければだれが一体、責任をとることになるのでしょうか。
  90. 中川昭一

    中川国務大臣 北海道の例をお挙げになりました。北海道はもちろん広いわけでございますが、広いけれども一人で何万ヘクタールを担当するというものではございませんで、現在の営林署、あるいは一月一日以降法律が成立した後であれば森林管理署の組織として与えられた担当の森林を守っていくということでございますので、一人が倍になるとかそういうことでは決してございません。  それから、貴重な動植物を守る、まさにこれも公益的機能という今回の改正の大きな柱の一つだと理解をしております。
  91. 中林よし子

    ○中林委員 確かに、民間委託もしながらそういう人たちも連れてという話は当然あるわけですけれども、現実、今でさえもそれが十分できないというのが現場の声になっております。夕張営林署がなくなれば管轄範囲が広がるのは当然のことで、しかも森林官そのものは減っていくわけですから、当然一人の担当範囲は広がっていくということで、今大臣おっしゃいましたけれども、私は、これは山の管理にとってあるいは労働者の安全性の問題にとって大変危惧をされる、このように思います。  そこで、今回の法案で、国の管理といいましょうか、国が国有林に携わる中では必要最小限にとどめるのだ、こういうことで、あとは民間委託だという話になっております。そこで、国が行う業務と外部委託にする業務の仕分けについての検討案というのが、実は私の手元に資料として入りました。  委員長、ちょっと大臣に見ていただいてよろしいでしょうか。
  92. 大原一三

    大原委員長 はい、どうぞ。
  93. 中林よし子

    ○中林委員 それを見ますと、国有財産です。そこの中で、非常に重要だと思われる境界の問題、境界の検測、境界測量、境界標の設置ですね、標識の設置問題、一体国はどれをやり、民間はどれをやるか、検討中ということでありますので、今はどういうふうに仕分けをされているのか、そこを明らかにしてください。
  94. 山本徹

    山本(徹)政府委員 境界の巡検のことでございますけれども、これは国有林野管理の基本でございます、境界を確認する、また境界の標識の異常の有無等を確認する業務でございまして、この境界の巡検というのは今後も国みずから行っていくことといたしております。
  95. 中林よし子

    ○中林委員 いや、ここを今わざわざお見せしたのは、境界検測の場合、検測の実行はこれまでは国がやっていたのだけれども、今度は委託というふうになっているでしょう、これは委託されるのですか、それとも国がやるのですか。
  96. 中川昭一

    中川国務大臣 境界管理ですね。(中林委員「だから、境界管理なのだけれども、実際にやるときはだれがやるのか」と呼ぶ)境界の管理は国がやります。
  97. 中林よし子

    ○中林委員 それでは、標識を打ったり、それから境界の何か印があるのをちゃんと確認したりする実際の業務も全部国が責任を持ちますね。
  98. 中川昭一

    中川国務大臣 まさにそれが今回の国有林における国有林職員の仕事でございます。
  99. 中林よし子

    ○中林委員 それでは、それは私、この委員会で確認しましたので、国有財産の一番基礎の問題ですので、ぜひ守っていただきたいというふうに思います。  さらに、今回、あと五十年かけて、木が育てばそれを売って収入にするのだということで、立木販売の問題、これも非常に重要な問題だと考えます。  そこで、立木販売箇所の収穫調査、これを今回は公益法人に委託して行うということになっているわけですね。ただ、この公益法人に切る木を指定する極印まで渡すということに、私、林野庁から説明を受けたわけですね。こんなことは外国でも私は例がないというふうに思います。これでは本当に国が責任を持って国民の共有の財産を守っていくことができるのか大変不安です。なぜ公益法人にこんなことまでさせなければならないのか、この点はいかがでしょうか。
  100. 山本徹

    山本(徹)政府委員 これも、実際の業務は民間の、これは御案内のとおり、法案にございますように、公益法人で、国の監督のもとにこれを実施する機関として指定されるわけでございます。実際の業務は実施いたしますけれども、これは十分な国の監督のもとに実施するわけでございまして、また、作業の結果についても十分審査いたしますので、この指定調査機関の業務については適正かつ確実な調査が担保されると考えております。
  101. 中林よし子

    ○中林委員 実際切る木の極印は渡すのでしょう、公益法人に。その点はいかがですか。
  102. 山本徹

    山本(徹)政府委員 極印は渡しますけれども法案にございますように、この機関は公益法人でございます。かつ職員の身分は公務員とみなす規定がございまして、公務員に準じて厳正中立、適正に業務を実施するように指導監督、また制度上の担保がございます。
  103. 中林よし子

    ○中林委員 そうであるならば、わざわざ公益法人などつくる必要はないのですよ。国がちゃんとおやりになればよろしいじゃないですか。公務員に準じなければならないという重要な問題ですよ。だから、私どもは、公益法人をわざわざつくる必要はない、こういう国民共有の財産、しかも収入を得るという非常に重要なときに、極印まで公益法人に渡すということで、公務員に準ずる罰則などがこれに当てはまるから大丈夫だということでは済まされない問題だと考えます。  こういうぐあいに、非常に今回の法案国民の共有財産そのものが危うい状況になるのではないかということを指摘し、次に、三兆八千億円の実際的な債務処理についてお伺いしたいというふうに思います。  先ほどからいろいろ、どうやって返すかという説明はありましたが、これまた非常に無責任説明だと私は思います。まず、一兆円のうち、林野・土地等売り払いで五千億円を捻出するということになっているわけですが、本当にそれができる土地だとか林野があるのかという問題ですね。具体的に挙げられますか。  ここに実は新聞報道がありまして、中国新聞なんですけれども、八月十四日付なんですが、「林野庁は国有林野十四カ所を売却しようとしたが買い手がつかず、とん挫している。」というぐあいに、今さまざまな経済状態の中から売れないというのが一般的な状況になっております。それでは、どうやって五千億円を土地と林野を売り払って捻出できるか、具体的な案があれば、数値は出ていますけれども、どこをどういうふうに売るということで、その裏づけを説明していただきたいと思います。
  104. 中川昭一

    中川国務大臣 まず前提条件としては、五十年間で五千億円を林野・土地あるいは土石等で収入を上げるということで、毎年平均二百五十億円ということになるわけでありますが、その根拠は、ここ数年、大体五、六百億円ぐらいの年間の売り上げの実績がある、しかし、ここにきて若干下がりぎみでもございますし、こういう経済情勢でございますから、非常にかた目に見て二百五十億円。  それでは、土地はどこにあるのかといえば、いわゆる目玉的な東京の一等地の何とかという一時のようなものも国有地としてあったこともありますし、あるいはまた山の中の土地もいろいろありますし、また地方の営林局等々の土地もありますし、また林地もいろいろございます。今どういうものを挙げてみろと言われても、これはまた一つの商行為になるわけでございますから、具体的に挙げることは差し控えさせていただきたいと思います。
  105. 中林よし子

    ○中林委員 今の答弁でも、実は具体的には挙げられないと思うのですね。とらぬタヌキの皮算用とさっきも委員席の方で話がありましたけれども、まさに、だろうということでスタートしていると言わざるを得ないというふうに思うのです。  残りの五千億円の問題は、林産物の収入で五十年間かけて返すんだ、こういうことになっているのですが、この前提条件を見ましても、木材価格が立米当たり三万六千円、これでずっと五十年間推移していくであろうという前提条件なんですね。林野庁から資料をいただきました。三万六千円というのは平成八年の価格ですよ。ずっと前を見て、三万六千円を上回っている年というのは平成二年と平成元年だけ、後はずっと下がって、昭和五十五年ぐらいは確かに高い時期もありました。だけれども、もうずっと下がりっ放し、今も林業関係者人たちが、このまま木材価格が推移していくなんということは考えられないというふうに言われているし、多くを占める杉材などはもう一方七千円、一万六千円、こういう状態があるわけですね。これを一つとってみましても、私は、前提条件がこれでは崩れていくに違いないと思わざるを得ません。  それから、先ほどから指摘が出ていて、矛盾があるという話がありました。それは、今回、生産林を五四%から二一%に縮小して、公益林のところを広げていくんだ。この転換によって、今国有林は保育、間伐をして育てていく時期になってきている、もう切るようなところが少なくなっているんだ、これから育てなければならないところに、人も減らし、それからお金も減らしていって、本当に育てるだけの手が入るだろうか。二〇%を生産林にしていくということになると、実際皆さんがもくろんでおられます、これだけ蓄積量が広がるであろう、五十年先には今の収入の三倍を見込んでいらっしゃるわけですけれども、果たして日本の国有林、それだけの蓄積量になるということの確証、これはどうしてそういうことが言えるのか。値段の問題と蓄積量、これについてお答えいただきたいと思います。
  106. 山本徹

    山本(徹)政府委員 まず値段の問題でございますけれども平成八年度の実績単価をもとに、これを今後五十年間横ばいで推移すると見通しておるところでございます。これは戦後の価格の動向を見ますと、オイルショックまでは木材の価格は着実に上昇しておりましたけれども、過去二十五年間で見ましても、短期的な変動はございますけれども長期的には横ばいでございまして、平成八年の三万六千円・立米で推移するというのは、長期的には横ばい傾向でございますので、これで今後五十年推移するというのは十分に堅実な推計であると考えております。  それから材積でございますけれども、材積につきましては、林野庁で測量して、何年生のものがどの程度あるというのはわかっておりまして、現在、三十年前後、戦中戦後の大量の伐採の跡地に植林されたものが比較的多うございます。これを、公益的機能を重視しながら、長伐期施業または複層林施業等に留意して育成し、今後、二十年、三十年あるいは四十年後に相当の伐採量が見込めるわけでございますので、そういった長伐期施業等を前提に、伐採量、当面、ここ十年程度はむしろ収穫量は減少いたしますけれども、現在の三十年生が、今後六十年、七十年と育っていくにつれて相当量の伐採を見込んでいるところでございます。
  107. 中林よし子

    ○中林委員 今蓄積量の問題、森林調査簿に基づいてちゃんと計算すればそうなるんだというふうにおっしゃいましたけれども、その森林調査簿そのものが実は正確なのかどうかということを、現場の人たちは、とても正確ではない、自分たちは全体を見て回れるわけじゃないんだから、それは非常にアバウトな数字だということを行く先々でおっしゃっております。しかも、二十年、三十年、四十年と、こうやりて五十年先までの推計をしていくためには、ある係数をお掛けになって、こうなるであろう、それは、保育をし、間伐して育ててこそなる、そういう予測。私は、ある係数をお掛けになって出されるものであろうというふうに思うのですね。今でさえも手が入らない状況の中で、今林野庁が計算をされているような蓄積量の収入が得られるようなことは到底私はできないというふうに思います。  大蔵大臣も聞いておいていただきたいのですが、農水大臣答弁を求めます。もしこの前提条件が崩れて、これだけの損益計算ができないような状況になれば、だれが責任をどういうふうに持っていくのでしょうか。民有林なんかの予算にこれがしわ寄せになるというようなことはないでしょうね。
  108. 山本徹

    山本(徹)政府委員 森林の蓄積の把握、これは森林調査簿に数値が出ておりますけれども、国有林の森林計画の樹立時に五年ごとに営林署が中心となって樹立いたします。航空写真、それから現地調査等によりまして、おおむね八ヘクタールほどの広さの林小班ごとに行われておりますほか、 日常業務の中で現地の森林官等によって的確な把握に努めております。  また、育成が重要だとおっしゃいましたけれども、そういった保育、間伐等につきましても、民間に事業を委託し、きちんと国有林の森林を育ててまいりたいと考えております。  また、先ほど来御説明申し上げましたけれども、全国の森林管理計画、また百五十七流域ごとの地域の森林管理計画、これを案の段階で広く国民の皆様方に公告縦覧いたしまして、御意見を承り、計画を策定し、きちんと私ども、国有林を公益的機能を重視した立派な森林として、今後この法案を成立させていただければ、新しい体制のもとで育ててまいりたいと考えております。
  109. 中川昭一

    中川国務大臣 我々は、この法案が五十年先という非常に長いタームのものであり、確かに幾つかの前提条件、パラメーターを置いた試算ではありますけれども、これがベストなものであると思って提出をし、御審議をしていただいているところでございますので、五十年先にだれか責任をとれと言われたら、私、中川昭一がとらせていただきます。
  110. 中林よし子

    ○中林委員 それは大変明言だと思いますね。ちゃんと記録に残ると思いますが、いらっしゃれば責任をとっていただきたいというふうに思いますが、それさえもわからないでしょう、どんな事態になるかわからないのですから。今、非常に無責任な御答弁だというふうに私は思います。結局中途半端なんですよ。独立採算制でもう破綻したんだから、国民が、公益林、今の森林の持つ意味合いはみんな納得しているんだから、これは本当に国全体で見ていこうというふうに転換をされた方がよろしいかと私は思います。  そこで、今、山の問題で一番の問題は、民間委託に回すのだから大丈夫、育てられると長官はおっしゃいましたけれども、民有林を持っている人たちも含めてですけれも、材価の問題を一番心配しているわけです。この材価低迷の最大の原因は木材の輸入自由化です。  新聞報道を見ますと、九月十七日に、アメリカから我が国に対して林産物、水産物の関税撤廃の要求があったということですね。中川大臣はこれは突っぱねた、私は、高くその姿勢は評価したいというふうに思うのですが、それにとどまらず、もうこれ以上の関税を撤廃するなどというのはとんでもない話だ、もっと上げて木材の輸入自由化を制限していく、これこそが日本の山を守る道だと思うのですけれども、いかがでしょうか。
  111. 中川昭一

    中川国務大臣 先週、アメリカのバーシェフスキー通商代表が来られまして、近々開かれるAPECで林産物の関税をさらに引き下げるようにという強い要請がありました。我々は、あのウルグアイ・ラウンド交渉、国内的に大変厳しい生産者の皆さんの御要望、あるいは過去における林産物の引き下げの中で、本当に関係者皆さんに御努力というか御苦労をいただいて、その上でのウルグアイ・ラウンドの結果であり、それを現在一生懸命、厳しいけれども、林産物の関税の問題に取り組んでおるわけでございますから、その段階でバーシェフスキーさんから、そのルールを前倒ししろとかAPECの場で約束をしろとかいうことは、全く筋違いの問題であると思っております。  それと同じように、先生の御質問で今上げた方がいいというのも、今我々が努力しているウルグアイ・ラウンドの、苦しいけれども努力をしていることと違う方向の、まあ上げるか下げるかということでは全く正反対でありますが、やはり議論の流れとしては同じ方向だというふうに言わざるを得ません。
  112. 中林よし子

    ○中林委員 時間が参りましたので終わりますけれども、私どもは、大臣も言われましたように、今回は五十年ぶりの大改悪だ、こういうふうに思うのですね。それだけに、二十一世紀の日本の山をどうするか、国有林がどうなるか、これは全国民が注目していると思います。そういう意味では、本当に、十二兆円も国有林は収益を上げていると参考人の先生もおっしゃったわけですから、しっかりと山を守っていく、日本共産党はそのために全力を挙げるということを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  113. 大原一三

    大原委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時二分散会