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山口参考人 山口です。
一番最後になりまして、
加藤先生以下いろいろな方の御説を拝聴しまして、そのことについて私の
意見を含めてのお話を申し上げたいと思います。ただ、時間が少ないので、できるだけ要約的に申したいと思います。
私は、やはり今度の
長期債務の問題、特に
JRの問題につきましては、その民営・分割がどういう理由でなされたかというところにさかのぼって考える必要がある、そんなふうには考えております。ただ、時間がありませんので要約的に申し上げれば、破産
状態、こういうふうに言われておるのですけれ
ども、これは当時の
国鉄の
職員の方からいえば、やはり残念だと思っていると思います。
あのときに、御説のとおり、
国鉄の方では何度も
改善計画をやっておりまして、最後の
改善計画というのを実施している最中でした。そして実際に、六十一年度を見ますと、赤字も減っておりますし、いろいろな
財政状況はよくなってきている
わけです。傾向的に
国鉄自身がよくなっているところで、破産
状態ということで民営・分割された。ここの悔しい思いというのはあるんじゃないかというふうに感じております。
特に、赤字の原因になっているのは、このことを特に監査報告書で強調しておりますが、上越、東北
新幹線で膨大な資本費がかかったわけでありまして、これが六十年度で四千億円であります。それから、今お話しになりました、例の終戦直後に満鉄やあるいは出征をしていた軍人が帰ってきて、
社会政策的にたくさんの
国鉄職員を受け入れたのがちょうど定年になりまして、その特定
年金、特定退職金が非常にふえておりまして、これは六十年度で特定退職金が七千六百億、特定
年金が三千五百億、こういうふうになっております。これがピークになっておりまして、その後減っていくわけでありますが、そういう一番赤字がふえるところで
国鉄は破産
状態だ、こういうふうに言われまして、そして中曽根さんの行革の中で、前の橋本さんが運輸大臣という中で分割・
民営化されていったわけでありまして、そこには非常に問題があったと私は考えております。
さらに、いわばその分割・民営の、今はやりの
言葉で言えばスキームにも大変問題があったと思います。
加藤先生がここにおられますけれ
ども、ちょっと不思議なのは、分割・
民営化した初めの年から、いわゆる三島、貨物を含めましてすべての民営会社が黒字になる、こういう奇跡的なことを行ったわけであります。そんなことはあり得ないわけです。今までは破産
状態であった旧
国鉄が、一夜明ければ翌年にはすべて黒字になる、これは何かと。
要するに、
一つの
言葉で言えば、不必要なものは全部清算
事業団に棚上げしてしまって、自分
たちのところはすべて利益にする、こういう
政策をとられました。これは、御
承知のとおり、売り上げに対してすべての会社が一%の利益が上がるような仕組みをつくりました。それから、後に配当できるように資本金利益率が五%になるようにという、そういうスキームの中で、そしてしわ寄せば結局、そうすると支払い利息はこのくらいにとどめるべきだろう、そうしたらやはり
債務はこのくらいにしておくべきである、あとは全部清算
事業団だという形で、私からいえば、膨大な
長期債務が清算
事業団に棚上げされてしまって、その結果、
民営化されたすべての会社が黒字になった。
こういう状況でありますので、やはりこの
長期債務、清算
事業団の請け負った
長期債務は極めて大きいわけでありまして、これを
解決するということは大変なことになっているということは同情すべき点がある、そんなふうに考えているわけであります。
ところが、そのいわば同情すべき清算
事業団の棚上げされた
長期債務につきまして、今だから申し上げられるかもしれませんが、大変問題があったのは、その預けられた
長期債務について、弁済方法は一応できておりますけれ
ども、期間の損失について全然
配慮がなかった。つまり、その膨大な
債務のうちで、特に
財政投融資については、御
承知のとおり、当時多分七・五%ぐらいという、今からいえば高利ですね、うらやましい高利で借りているわけで、その支払い利息が膨大にかさむのは当然であります。七・五だと十年で恐らく倍になりますよね、利息を含めて倍になる、そういうことを容認した。
今
加藤先生がおっしゃったのですけれ
ども、まあそのときに、きっと安易だったと思いますね。いわゆる土地が膨大にある、それから株も売却できる、いわば時価で土地を売却し、株を公開すればそこで相当稼げる、それを見た上でその残った
債務処理について考えよう、そういう
考え方だったと思います。しかし、途中で土地の売却を凍結してしまったわけでありますから、ここで大きく清算
事業団のスキームが変わったわけでありますから、その時点で土地も売れないんだ、株式も下がってなかなか公開できないんだ、そうしたら
一体どうしたらいいかということを考えるべきであったけれ
ども、そこでお考えにならなくて、結果的にきように来てしまった、ここにやはり大きな問題があるだろう、そんなふうに考えざるを得ないわけであります。
そして今の
政府案になっております。御
承知のとおり、今後はたばこ税でその
財源を得る、あるいは
JRに
年金部分については
負担をさせる、そういうような話が出ているわけで、しかし、たばこ税というのは余り、直接清算
事業団債務には
関係がない、こういうことは当然であります。しかし、私は、
JRにつきましては、これは当然
負担すべきだと考えております。
今こちらの
小林さんは
憲法上疑義があるとおっしゃったけれ
ども、私は、会計学をやっておりますと、親会社、子会社の
関係がありまして、そこで五〇%基準とか二〇%基準で親子会社を
規定するということをやっておりましたが、現在の潮流は実質基準ですね。実質的に親子
関係があるのは一緒に連結して発表しなければだめだ、こういうのがあるわけです。そこから教訓を得ているんですが、実際、実質的に見て、やはり清算
事業団の
債務というのは、それはもう
JRの
負担を負っているわけですね。これはもう紛れもない事実であります。その
職員のほとん
ども旧
国鉄から継承しているわけであります。
これは
憲法上はそうだとおっしゃるのだけれ
ども、やはりその点で、もう一人の
加藤さんがおっしゃったような論理が展開できれば、私は、もう
JRが
負担すべきであるし、それは
年金部分でなくて、もっと包括的に考えてみて、いわゆる自分
たちの
債務を棚上げしたものであれば、やはりもうけがあればそれは、その
部分について、応分という
言葉だけではなく、相当な
部分は
JRがこれを
負担して、そして清算
事業団の
債務を
解決してやるというのが、これがまあ私から見れば当然なことだ、こんなふうに考えております。
しかし、それだけではなかなか
財源が足りないので一般
財源に依存せざるを得ない、こういうことになってきますと、やはり私はどうしても総合交通体系ということを考えざるを得ない、そういうふうに考えております。
地方ローカル線が減ることによって、恐らく地方の方は、不便な中でなけなしの金でバスに乗り、あるいは自動車を買い、こういうような形になっていきまして、自動車会社は大もうけしているわけであります。これは御
承知のとおり、トヨタ、ホンダは今国際的にももうけております。だから、こういうところから税金を取ればいい。直接取れなければ、消費税の際に
軽減されました物品税、あれは自動車に多分一五、六%の物品税をかけておりましたけれ
ども、あれがいつの間にかなくなりまして、消費税五%の方に近づけられていって、今はそうなっているかもしれませんね。だから、やはり自動車に課税すべきだ、そういうふうに私は考えております。
それから、それと関連して、やはり自動車は公害を起こしております。騒音公害あるいは大気汚染、いろいろな公害を起こしておりますので、やはりガソリン税、揮発油税あるいは重量税、いろいろと問題があることは知っておりますけれ
ども、そういうようなものの収入を含めて
財源とした
部分かちこの清算
事業団の
債務を
処理する、こういうことが必要ではないだろうか、そんなふうに考えております。
それから、私、
国有林野特別会計の赤字問題についてもごく簡単に申し上げたいことがありまして、資料を一々説明できませんが、一番最後に、私が自分で、
国有林野がどのくらい大きくこの
日本の自然環境をよくし、あるいは公害をなくするために役割を果たしているかということを書いておきました。いわゆる
国有林のベネフィットは毎年十二兆円ぐらいある。いわゆる酸素の供給、大気の浄化、水資源の涵養、土砂流出その他、十二兆円もある。しかし、それはなかなか収入という形であらわれないわけですね、ベネフィットですから。そういう中で赤字が累積してきているわけであります。
そういうことを考えた場合に、もうその
国有林野特別会計を独立採算的に維持することはできな
い、こういうふうに考えておりまして、その点で、
政府案は、いわゆる公益的
機能を重視するという形に変わってきておりますから、大いに歓迎をしております。
しかし、やはり最後の一兆円につきましては、独立採算的に運営して自分
たちで返せというのだけれ
ども、これはなかなか難しいだろう、初めからそんなことを申し上げてあれなんですが。だから、これももうそういう形のものでないものに改めていく必要がある。結果的に言えば、
国有林のそういう公益的
機能ということにかんがみまして、これについては経済性は考えるけれ
ども、収支予決算でいった方がいいと思いますね。
そして、支出超過については
一般会計からこれを補助していく、そして
森林の調査簿をきちんとして、これがなかなか今できていないようですが、
森林資源をきちんと守って、
日本のかけがえのない
森林資源を
管理保全してふやしていく、こういうことのためにぜひ
政府の方は
努力をしていただくということで、ひとつこの赤字問題を
解決していただければ非常にありがたい、そのことを切に
お願いして、私の話を終わらせていただきます。
どうもありがとうございました。(
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