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1998-09-07 第143回国会 衆議院 日本国有鉄道清算事業団の債務処理及び国有林野事業の改革等に関する特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十年九月七日(月曜日)     午前十時開議 出席委員   委員長 大原 一三君    理事 赤城 徳彦君 理事 衛藤 晟一君    理事 杉山 憲夫君 理事 牧野 隆守君    理事 小平 忠正君 理事 佐藤 敬夫君    理事 宮地 正介君 理事 江崎 鐵磨君       大石 秀政君    岡部 英男君       木村 隆秀君    久野統一郎君       河本 三郎君    阪上 善秀君       実川 幸夫君    下村 博文君       中谷  元君    萩山 教嚴君       細田 博之君    御法川英文君       八代 英太君    山本 公一君       渡辺 具能君    渡辺 博道君       石井 紘基君    北脇 保之君       今田 保典君    鉢呂 吉雄君       細川 律夫君    赤羽 一嘉君       上田  勇君    長内 順一君       西川太一郎君    鰐淵 俊之君       中林よし子君    平賀 高成君       伊藤  茂君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 宮澤 喜一君         農林水産大臣  中川 昭一君         運 輸 大 臣 川崎 二郎君  出席政府委員         大蔵省主計局次         長       寺澤 辰麿君         大蔵省理財局長 中川 雅治君         農林水産大臣官         房長      高木  賢君         林野庁長官   山本  徹君         運輸省鉄道局長 小幡 政人君         自治省税務局長 成瀬 宣孝君  委員外出席者         衆議院調査局日         本国有鉄道清算         事業団債務処         理及び国有林野         事業改革等に         関する特別調査         室長      長尾 正和君     ————————————— 委員の異動 九月七日  辞任         補欠選任   江渡 聡徳君     河本 三郎君   河井 克行君     八代 英太君   中谷  元君     宮腰 光寛君   藤井 孝男君     御法川英文君   木幡 弘道君     石井 紘基君   木村 太郎君     上田  勇君   一川 保夫君     鰐淵 俊之君 同日  辞任         補欠選任   河本 三郎君     江渡 聡徳君   御法川英文君     藤井 孝男君   八代 英太君     河井 克行君   石井 紘基君     木幡 弘道君   上田  勇君     木村 太郎君   鰐淵 俊之君     一川 保夫君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  日本国有鉄道清算事業団債務等処理に関す  る法律案内閣提出、第百四十二回国会閣法第  四六号)  国有林野事業改革のための特別措置法案(内  閣提出、第百四十二回国会閣法第四四号)  国有林野事業改革のための関係法律整備に  関する法律案内閣提出、第百四十二回国会閣  法第四五号)  森林法等の一部を改正する法律案内閣提出、  第百四十二回国会閣法第七八号)  地方自治法第百五十六条第六項の規定基づ  き、東北森林管理局及び関東森林管理局設置  に関し承認を求めるの件(内閣提出、第百四十  二回国会承認第二号)  一般会計における債務承継等に伴い必要な財  源の確保に係る特別措置に関する法律案内閣  提出、第百四十二回国会閣法第四三号)      ————◇—————
  2. 大原一三

    大原委員長 これより会議を開きます。  第百四十二回国会内閣提出日本国有鉄道清算事業団債務等処理に関する法律案国有林野事業改革のための特別措置法案国有林野事業改革のための関係法律整備に関する法律案森林法等の一部を改正する法律案地方自治法第百五十六条第六項の規定基づき、東北森林管理局及び関東森林管理局設置に関し承認を求めるの件及び一般会計における債務承継等に伴い必要な財源確保に係る特別措置に関する法律案の各案件を一括して議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。長内順一君。
  3. 長内順一

    長内委員 おはようございます。新党平和の長内順一でございます。  平和・改革の会派を代表いたしまして、今回の旧国鉄債務処理法案中心とする各法案について質問をさせていただきたいと思います。  まず初めに、今回の国鉄債務の問題に入る前に、宮澤大蔵大臣大変御苦労さまでございました。国会の大変厳しい日程を縫ってアメリカルービン長官と、まさに世界一の経済大国世界第二番目の経済大国財務担当者が直接お会いになってサンフランシスコで会談をされたわけでございます。  特に、報道によりますと、今回は通訳なしでやられたのでしょうか、それから記録者もいなかった、大使を同席させたのも異例である。まことに異例ずくめで、まあ裏を返せば、日本で言うところのひざを交えてといいますか、率直な意見交換があったと思います。この点についての御報告をいただければありがたいと思います。
  4. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 先週、出発に当たりまして、当委員会から御審議上大変御配慮を賜りましたことを厚く御礼申し上げます。  両国ともお互いの事情はかなりよく知っておるわけでございますし、常時事務方の行き来はございますので、別段意外性のある会談ではございませんでした。そのような意味で、むしろルービンさんと私とが、一般的な両国関係はもとよりですが、世界経済について自由に意見交換をすることが大事だろうと思いまして、アジェンダも設けませんでしたし、ノートテーカーも別に入れなかった、そういう趣旨での会談であったわけでございます。  したがいまして、別段意外性というものはございませんが、私からは、今我が国の当面しておる問題、来年度の予算編成に当たっての態度、あるいは来年度に予定している減税、当面の金融問題等々について話をいたしました。  先方は大体のことは無論知っているわけでございますが、ちょうど昨年東南アジアに起こりました通貨危機がそろそろアメリカ経済に影響を与え始めているというときに、ロシアの状態が御承知のようなことでございますし、また、最近になりまして、ラテンアメリカ、ブラジルあるいはメキシコ、ベネズエラ等々の経済に変調が生まれてき ておりまして、これはいわばアメリカにとっては自分のところの目の下の問題でございますから、それらの国の大蔵大臣が、たまたま私どもの会談の前日でございますか、ワシントンに集まってルービン長官に窮状を訴えたと申しますか、そういう問題の討議をしたということがございました。  他方で、御承知のように、これらとの関連もあろうと存じますが、ウォールストリートの株価がここへ来ましてかなり落ち始めている。いつかはという話はございましたけれども、とうどうなのかどうか、そういうかなり緊迫した状況で、それをルービン長官は一人で背負っているような感じでございますから、どうしても、先ほど委員の言われましたように、第一の経済大国が、第二の経済大国にもできるだけのことをしてもらいたいという大変切迫した気持ちがあることは、私も理解ができるところでございます。  したがって、先方の申しますことは、具体的に何と申しますよりは、日本の今やろうとしております三つのことはよくわかるんだけれども、できるだけ早く頼みたい、もういわばしりに火がつくような気持ちでいるんだろうと思いますが、それはわかったが、もう一刻も早くそれをやってもらいたいということが全体の話の雰囲気でございました。  私も、小渕内閣発足以来、これらの政策決定は比較的早くやったつもりである、ただ、予算にしましても、税法にいたしましても、これらは国会の御審議の事項でございますから、行政府だけでやるわけにはもとよりいかない、金融法案にいたしましてもそのとおりだという話をいたしまして、そこは先方は、そうでもあろうができるだけ早く頼むというような、そういうやりとりの話でございました。総じて、別に意外性があったことではございませんけれども、まあお互いそうもあろうかということを意見交換してより深く認識した、そういう場であったと思います。  なお、私とルービン長官会談の前に、両国事務当局の間での討議が一時間半ほどございました。それから、ルービン長官と私との会談は一時間半ほどでございますが、その後、晩方になりまして、夕食をともにいたしましたところへアラン・グリーンスパン連邦準備会議の議長も参加されまして、夕食は三時間近く——ここではいろいろな問題、雑談と申しますか、特に結論を求めないままにいろいろな両国の問題あるいは世界経済の問題を自由に話をいたしましたので、それはそれなりに収穫があったと存じます。  以上でございます。
  5. 長内順一

    長内委員 意外性のある会談ではなくて、ある意味で、両方それぞれの立場がよくわかった上での話し合いだということでございます。  ただ、今大臣もおっしゃったように、世界通貨状況金融状況はまことに厳しいものがありまして、ルービン長官も、大臣がくしくもおっしゃったように、私は日本経済責任を持てばいいけれども、あなたは世界のことを面倒を見なかったら大変だなんというような報道もされておりましたけれども、来月でしょうか十月、G7も前にしておりまして、非常に大事な時期だと思うのですよ。  それで、一点だけ、大臣が今おっしゃったように、我が国経済に対してもルービン長官は大変御心配をされておった。宮澤大蔵大臣は一生懸命やっていますよということをおっしゃっているわけですが、そのままお伝えいたしますと、要するにルービン財務長官の方は、日本対応について緊急性が伝わってこないというようなことをおっしゃっていまして、質、量、スピードにおいて世界納得するような、そんな対応をお願いしたい、こんなこともおっしゃっているようですが、これは私もこのとおりだと思います。きっと大臣も同じ気持ちでいらっしゃると思うのですが、この後の、こういうことに対する、特にスピードということでしょうか、どのようにお取り組みになるのか、決意の一端を御披瀝いただければありがたいと思います。
  6. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 かなり日本を知っているアメリカ人が一様に言うことでございますけれども、日本は大変な経済的な不況にある、ある意味危機にあると彼らは思うわけですが、日本に行ってみると大変に静かで落ちついていて、何か危機感というものが感じられないということは多くの人が一様に言うことでございます。それはしかし、国民性も違いますし、また我々としては全く日々好日と思っているわけでは別にございませんが、きっとあの人たちから見ると、何かもっと緊迫しているというふうに思うわけだと思います。  それで、ルービン長官の言っていることも、それに加えまして、アメリカがリーダーとして、あちこちに悪い材料が出てきて、ウォールストリートもどうも不安であるというところから、さらにその焦燥感が私はあるのだと思う。それは理解ができます。センス・オブ・アージェンシーという言葉を彼が言うわけですが、それは別に彼だけが言うことではなくて、今日本に向けられている一般的な見方であろうと思います。  しかし、我々も、御承知のように、お互いのんべんだらりとしているわけではありませんで、わあわあ言わないままに危機感は持ってこの処理に当たっているわけでございますから、別に私は弁解もいたしませんし、それは向こうも考えてみればわかることであるような気がしております。  政府といたしましては、ただいまさしずめの問題は金融関係の諸法案でございますが、各党でいろいろ御提案もしておられますので、何も政府案だけがいいというわけのものでもございません。また、イデオロギーがたくさんある法案でもございませんから、なるべくいいところはお互いにとり合って、ここで一つ成案を、なるべく早い、この国会でお願いをしたい、こういう気持ちを持っております。  また、ある意味で、ただいま御審議願っております法案につきましても、委員会として何かこういうことがいいのではないかというお話がございますれば、これは与野党間のお話でございますから、私がそれ以上申しますのは出過ぎたことになりますけれども、しかし、政府としては、与野党間の合意がございますれば、それはまた大事にしていかなければならない、この問題もちょっと時限がございますので、なるべく早く解決するということが大事だというふうに考えております。
  7. 長内順一

    長内委員 この問題についてもまだまだ実は議論をしたいところなんでございますけれども、この委員会国鉄長期債務林野債務の問題が中心でございますので、そちらへ質問を移させていただきたいと考えます。  もう既に随分多くの皆さんが旧国鉄長期債務の問題については議論をされたところであります。そして、この委員会も八月の三十一日に開催されまして、それぞれの委員からやはり議論がなされていたところでございます。まとめてみますと、今回の提出した法案は、やはりJRの追加負担だとか、またたばこ税財源になっていたり、郵便の特会が財源になっていたり、どうもよくわからない、説明がなかなかしにくい、そんなスキームになっているということが一つ共通の点ではなかろうかと。それから、今、宮澤大蔵大臣がくしくもおっしゃいましたように、これは政府としてはベストな案ではあるけれども、いろいろな議論の中から十分これから柔軟に修正に応ずる、そういう考えがありますよということもお話をいただ  いたところでございます。  私、やはり今回の問題をいろいろ考えてみまして、随分これは時間をかけ過ぎたのではないかなというような気がするわけです。もっともっと早くにこういうことに対応できるのが、いつの間にかずるずる先送り先送りになって、そして債務をふやし続けて、昨年、処理案がようやっとでき上がったというような印象を受けるわけでございます。  今回のこの処理策提出するに当たりまして、運輸省の方で、この処理スキーム提出する経緯といいますか、記述されたものがございますけれども、この中に、日本国有鉄道清算事業団の「資 産の売却収入等によって毎年の金利及び年金等負担を賄いつつ債務償還等を行うという従来の処理スキームはもはや破綻している。」これは昨年の時点でありますが、みずから破綻をしていると言うわけですね。私らにしてみれば、何で今ごろ破綻しているのがわかったんだ、こんな気持ちが率直な気持ちでございます。  まず冒頭に、破綻認識したというこの一項目でありますが、大臣、いつごろ、何をもって運輸省としてはこの処理スキーム破綻したのだというふうに言えるのか、この点について初めにお伺いしておきたいと思います。
  8. 川崎二郎

    川崎国務大臣 破綻認識でございますけれども、長内委員承知のとおり、昭和六十三年の閣議決定において、まず土地資産、株の売却を進めなさい、そしてその売却が進んでおおよそ見当がついたら、その本格的処理のために必要な財源措置についてそこで考えろ、こういう決定がされているところでございます。  しかし、現実問題、処理を進めてまいりましたけれども、これはもう委員会で何度も御答弁申し上げておりますけれども、資産売却凍結、そしてバブルの崩壊、阪神・淡路大震災、こういうものが重なって、当時考えておった収入を得ることができない。結果として借金の方がふえてしまった、こういう状況下の中で、やはり基本的に少しでも借金を減らした上で本格的な処理考えなさいというものが破綻をしたという認識をいたしました。  具体的には、一昨年の平成八年十二月に、「平成十年度より、国鉄長期債務等本格的処理を実施する。」「このため、その具体的処理方策の検討を進め、平成九年中にその成案を得る。」を閣議決定いたしました。それに基づいて今回法案を御提出させていただいて、御論議をいただいているところでございます。  この八年が遅いのではないか、もっと早くしっかりすべきでないかということについては、これもたびたび申し上げておりますけれども、謙虚に受けとめなければならないと思っております。
  9. 長内順一

    長内委員 早い遅いもありますけれども、この中身は、当然、今大臣おっしゃったように、いろいろな外的条件はあったと思います。しかし、政治は結果ですから、結果として、このような形で今この処理策議論しなければならないということは、私は、担当大臣としてやはり謙虚にこれは受けとめていただかねばなりませんし、それから、少なくとも、ここまでずるずる引っ張ってきたんですから、今回の処理策というのは、ある意味で、国民納得のいくもの、そして大方の皆さんが、ああ、これなら処理策としてなるほどなというような形のもの、そういうスキームにしませんと、結局は、先送り先送りでやってきた、さあ出てきた処理案はどんな処理案かといったら、何かわけのわからないものが、説明が非常にしにくい、また納得のしにくい、こういうものが出てくる、これではいけないと私は思います。ですから、今の大臣の反省とともに、やはり今回の法案についてはきちっと、ある意味説得力のある、納得性のあるものにしなければならないと私は思うわけでございます。  そこで、今回清算事業団が、昭和六十二年に、いわゆる国鉄改革のときでございますが、二十五・五兆円から現在二十七・七兆円まで増大してしまった長期債務、しかも国民負担については、当初は十三・八兆円と言われていたのが、何と二十三兆円ぐらいまで膨らんでしまっている。だから、結局は、今この仕組みというのは同じなんですよ。もう一つ委員会金融委員会で、銀行が破綻したときどうするんだ、それについては、国の失政であろうが何であろうが、経営破綻はその借金を税金で賄っていくということが一つ議論になっているわけでありますけれども、最後ツケが結局国民に行ってしまうというところに今の日本が抱えている大変難しい問題があると私は思うのでございます。  そんな意味では、当初、六十二年のスキームでは二十五・五兆だったものが、何で今ごろ二十七・七兆円になってしまったのか、そして、先ほど申し上げましたように、国民負担が何で大きく膨らんでしまったのか、この原因。そして、今の政治の中で一番非難されているのは、当事者責任をとらないということなんですよ。民間会社でも何でもそうですけれども、いろいろなことでトラブルが起きる、そして、結局は国民皆さんにしわ寄せといいますか、負担をお願いする、しかし、だれも責任をとらない。  私は、いろいろあるかもしれませんけれども、今回のこの問題についての原因をきちっとする、結果責任をとっていく、今の金融の問題も全く同じだと思います。情報公開という形で原因を明らかにしていく、そして当事者の結果責任を明らかにしていく、ここからスタートしませんと、もうやり放題好き放題で、そして後のツケだけは国民に負わせるという行き方では政治に信頼は戻ってこない、私はこんなふうに思います。  そんな意味で、今回の問題の原因責任について、運輸大臣にお尋ねしたいと思います。
  10. 川崎二郎

    川崎国務大臣 まず、資産売却が思うようにうまくいかなかった、これは長内委員も言われたところでございます。そこへ、共済年金負担金厚生年金移換への負担金等、新たな要素も加わってきたということで、借金がふえてまいったことは事実でございます。これは、先ほども御答弁申し上げましたように、もう少し早い時点でこの問題を見切って財源論に入るべきではなかろうか、こういう御指摘だろうと思います。  またもう一方で、財源論についてもさまざまな御指摘をいただいております。交通税がどうであろう、また、道路財源を使ったらどうだろうか、こういった議論も重ねた結果として、今日、今政府・与党として今回の法案をまとめさせていただいて御提案をさせていただいているところでございます。  まず第一に、清算事業団国鉄の法人の性格を引き継いだ事業団でございます、これを解散するという一つのけじめをつけなければならないだろう。それから第二に、当初三十七兆円の債務をどういう形で処理をするかということで議論が重ねられて、今日までやってまいりました。もうこれ以上、清算事業団を存続させながら今までのスキームを継続することは不可能であるという決断において、今日提案をさせていただいているところでございます。どうぞよろしく御審議を賜りたいと思います。
  11. 長内順一

    長内委員 私は、経緯については前段の部分でお伺いをいたしましたので、原因と、それからもう一つ所管大臣として責任をどうするのかということについてお尋ねをしております。もう一度お願いしたいと思います。
  12. 川崎二郎

    川崎国務大臣 責任のとり方としては、やはり今回こうして法案提出いただいて、そして各党の御論議をいただいた上で法案をしっかりまとめ上げるということで責任を果たしてまいりたい、このように思っております。
  13. 長内順一

    長内委員 所管大臣としては、今出された法案をもって処理をしていくということは当然のことであります。しかしながら、責任というのは、先ほど私、申し上げたように、まず一つは、国民に対して、今回御負担をお願いする、しかもこれは運輸省の、これまでさまざまな御努力はいただいたかもしれない、しかし、外的な条件だけではないと思うのですよ。運輸省としても、ここまで引っ張ってしまったその責任に対しておわびがあって、そしてその上で、こういう形でお願いしますというのが本来の筋論ではないかな、私はこんなふうに考えます。  ちょうどこの当時、先ほどおっしゃいましたように、実はバブルの時期に入ってまいりまして、土地売却、株の売却、こういうスキームがどんどん破綻していくわけですね。それで、当時の運輸大臣でありますが、橋本運輸大臣が、競争入札をストップさせる、いわゆる緊急土地対策要綱というのを閣議決定するわけです。これによって、従来の売却スキームが崩れていくわけですね。私は、きっと皆さんの方は、売却がストップした けれども、土地神話がまだ残っている時代ですから、二年か三年ぐらいたったら土地の価格はまた復活してくるぞというふうに考えていた、要するに、見通しの甘さがそこにあったのではないか、こんなふうに思うわけであります。  そんな意味では、宮澤大臣、当時の大蔵大臣でございましょうか、この凍結宣言をしたときは、中曽根総理橋本運輸大臣宮澤大蔵大臣であったように記憶しておりますが、大臣、今私が申し上げました原因責任についてどのようにお考えになるでしょうか。
  14. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 詳しいことは今運輸大臣が言われましたとおりでございますけれども、長内委員のように一つ離れた立場からこれをごらんになれば、結局こういうことになるのだったら、もっと早くやっておけばコストは少なかったじゃないかとおっしゃることは、世間に時々そういうことがございますが、やはりこれはその一つのケースである、それはどうも認めざるを得ないと思います。  ただ、とこへ来るまでに、事業団運輸省も、大蔵省もそうでございますけれども、いろいろな努力をしたことは確かでありまして、じんぜん日を送っていたわけではございません。しかし、いろいろ努力をしてみたがどうもここまで来てこれしかないと申しますのは、御提示しております案がみんなに迷惑をかける案になっておるわけでございまして、早くこれができるというほど一般会計が豊かでございませんでしたから、こういう苦肉の策というものが最後まで来なければなかなかできない、関係方面納得させることができないという問題がございましたのも、一つこうやっておくれた理由だと思います。したがって、ごらんいただいておりますものは、エニータイム、いつでもこういうことができるほどうまい考えではございませんで、かなり御迷惑をかける、苦しい策であることは認めざるを得ません。  そして、その上で、今冒頭のお尋ねであったわけですが、事業団としては、当初はあれだけの財産を持っておれば、この債務を払ってもおつりが来るのじゃないかと考えられたような時代もございました。それが、経済が急変をした、その急変する中で、国としては、事業団に対して、なるべく売らないでくれというようなことを言わざるを得ないわけでございましたから、事業団からすれば、それはルールが変わった、ゲームのルールが変わって、それではやりようがないじゃないですかという感じを持たれたのは私は無理もないと思います。  ただ、あの段階で、政府土地のスペキュレーションに対して銀行にいろいろな通達を出しましたり、あるいはついには土地そのものの取引についてかなり制約的な申し合わせ、規制をせざるを得なかったのは、それなりに国民経済から見て恐らく理由のあったことである。恐らく理由のあったことでございますから、言ってみますと、事業団としては、それは国には国の理由があったろう、しかし自分にとっては、ゲームのルールが変わってしまったのだから、変わってしまってそのままやれと言われたって、それはやれないじゃないですかというお気持ちは恐らくあったに違いありません。  今度の処理の中で、一般会計が相当苦しい中で、これはやはり持たざるを得ないと考えました遠因には、政府がほかの大局的な目的からああいう規制をしたことについて、事業団にそういう意味での損害を与えたといいますか、迷惑をかけたといいますか、そういうことはやはり一般会計が一半の責任を負わねばならないという思想が出ておると私は思います。その上に、あちこちにまた御負担をかけることになりましたが、今の日本の財政の事情からすれば、それもわかっていただけないものかということであったと思います。  ですから、冒頭の御質問に対しては、確かに政府があの段階で大きな意味での国益からああいうことをいたしました。いたしましたが、それは事業団が当初考えていた状況を大変に変化させてしまった。そのことは、事業団に対してやはり政府はそういう意味で迷惑をかけたというふうに私は率直に思っています。
  15. 長内順一

    長内委員 いや、大蔵大臣、私が言っているのは、当時、バブルの時期に入りまして、凍結宣言をするわけですよ。それで、その当時の運輸大臣はだれかというと橋本前総理大臣だったわけです。それで、当時の大蔵大臣宮澤大臣だったのではないですかと。そんな意味では、凍結宣言をした、政治は結果ですから、結果としてこういう事態になりましたよと、この責任、そしてまず当事者として、それは先々のことはわかりませんし、いろいろなことがあったかもしれませんけれども、先行きを見誤ったそのおわびと反省、ひとつ宮澤大臣、あってもよろしいのではないか、このように私は質問したわけでございます。もう一度お願いします。
  16. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 私が大蔵大臣でございました時期に確かにかかっております。何度も銀行局長通達を出したりして、とにかく土地の取引をディスカレッジしよう、そういうことを一生懸命いたしました。  私は今長内委員の御質問にはそのとおりですとお答えしたつもりであったのですが、それがこの清算事業団の当初の計画に非常な影響を与えたということはもうそのとおりでございますから、清算事業団に迷惑をかけた、私はそう思っています。
  17. 長内順一

    長内委員 次に進みたいと思います。  いわゆる今回のスキームの中で、やはり一番の問題になっているのは、何といってもJRの年金の追加負担が焦点になっているのではないかと思います。この間から議論があるのですが、この問題についてはもう平成八年の時点で決着済みである、細かいやりとりの中で、さまざまな意見の中で、私もそのように思うわけでございます。  当時、年金を移換するに当たって、その負担の総額がたしか一兆二千百億円ありまして、それで鉄道共済組合の積立金を全部合わせたら二千七百億あったわけでございます。この差し引きがいわゆる九千四百億、つまり九千四百億というのは不足分です。これを八年度の時点でJRが一千七百、それから国鉄清算事業団が七千七百という形で区分けをいたしました。  これをまた、今回はさらにこのJRの追加分を三千六百、そして国鉄清算事業団は十月一日で廃止という予定でございますから、それを受け継ぐ鉄建公団で四千百億というスキームができ上がったわけです。どうも世の中のいろいろな議論を聞いてみても、この処理策では、JRの追加負担、これを一生懸命負担させようとして運輸省考えておるわけでありますが、JRは負担したくないと言っている、この辺の乖離が非常にあるわけですね。  私は、この一連の議論を通じて、運輸大臣、この追加負担というのはどうも理論的に無理があるのではないか。ですから、冒頭に申し上げましたように、もしこれから与野党で修正の場があるとしたら、やはりこの追加負担の部分を修正する、私はカットすべきではないかな、こんなふうに考えております。これはここの段でいろいろ議論しようと思ったのですが、あの二回のこの委員会で相当議論されておりますから、これはちょっとカットさせていただいて、結論だけ私は申し上げますけれども、そんなふうに私は考えておりますが、運輸大臣、いかがでしょうか。
  18. 川崎二郎

    川崎国務大臣 議論の繰り返しになりますけれども、国鉄清算事業団国鉄の法人としての性格をそのまま引き継いだ組織だと思っております。平成八年の共済年金から厚生年金へ移換をする、そのときに、JRと清算事業団で持ち分が一つ決定をされた。しかし今日、国鉄清算事業団、まさに国鉄の性格を引き継いだものが解散をされる。鉄建公団というのは、そういう意味では性格が違うと思っております。  国鉄清算事業団国鉄の性格を引き継いだものがまさに解散をされるときに、この新たに生じた共済年金から厚生年金への移換金という問題についてどう議論すべきであろうか。その中で、やはりJR負担にすべきもの、また鉄建公団に移しかえをして国として責任を持っていく分、この持ち 分比率を分けたということで御理解を賜りたいとお願いをしておるところでありますけれども、どうぞ各党間でも議論をいただければありがたいと思っております。
  19. 長内順一

    長内委員 どうもこの間からの委員会議論を聞いていまして、川崎運輸大臣の御認識がちょっと違うのではないかなというふうに私は思うわけであります。いわゆる現在のJRと旧国鉄の間、ここには全部を継承しているのではなくて、きちっと線が引かれているということが違うのではないかなというふうに私は考えます。  例えば、大臣、先般の三十一日の委員会において、たばこの特別税になぜ課税をするのだという衛藤議員かの質問がありました。また、細川議員の方からもたしかそんな意味お話がありました。大臣は、いわゆるたばこ、JTも全額負担しているのですよ、だから、言うなればJRも負担するのは当然だというような答弁でございます。  ただ、これは大臣承知のように、JTは包括承継をしているわけですから、財産、借金、職員、すべて一切合財、丸々、専売公社からJTの方へ移管をしているわけであります。しかし、今回のJRの場合は、最低限必要な財産、負担能力ぎりぎりの借金、それから事業運営できる社員、こういうふうに限定して承継をしております。日本専売公社の場合は包括、全部の承継であり、国鉄、いわゆるJRの場合は限定の承継になっているわけであります。この辺が、この間からの大臣お話、ちょっと御認識が違うのではないか、たばこもやっているんだからJRも当然なんだと。  それから、この間は、佐藤議員がたしか先般の委員会で御質問になっておりましたけれども、退職金の話をされておりました。これも何か国鉄時代の退職金を引き継いでJRで持っているかのような、そういう御答弁がありましたけれども、そうではなくて、それはきちっとあのときの佐藤議員の議論で、分かれているんだ、国鉄時代は国鉄時代ですよ、それからJRはJRですよ、ただし、退職のときにいただく退職金を計算する年次は国鉄時代を含めて通算したものになるんですよというのは、たしか鉄道局長の御答弁、そのとおりだと思います。  しかし、原資というのは、この間お話がありましたように、退職給与引当金がありまして、そしてその中にはきちっとその人方に見合うだけの財産を国鉄の方から継承している、その中で退職金を払うんですよと。ここがいわゆる違いだと思うのですよ。ですから、大臣は何度か、年金の負担については、これは厚生年金なんだから当事者が払うのが当然だとか、いろいろなお話をされておりますけれども、私は、認識がちょっと違うのではないかということを申し上げておきたいと思います。  それで、いわゆる厚生年金の負担の問題でありますが、こういう中でいろいろな議論をしても、この後、これは時限のあることでありますから、そしてこれだけ先送り先送りで来た案件でもありますから、私は、今回は何としてでもこの国会でこの問題には決着をつけるべきだというふうに考えております。今、私が御指摘申し上げた点も含めて、大臣、この国会でいわゆる年金のJRの負担問題について修正に応じるお気持ちがあるのかないのか、イエス、ノー、ひとつお答えいただきたいと思います。
  20. 川崎二郎

    川崎国務大臣 最初に、御意見いただいたことについて若干申し上げます。  NTTの場合は、共済年金から厚生年金への移換金、これは組合が積み立てをしておりますので、支払いをいたしました。  それからJTの場合は、共済組合の積立金が不足しましたので、これは全額を事業主であるJTがお支払いになられた。  国鉄、JRの場合は、御承知のとおり、もちろん経営形態の問題また労働問題、これについては確かに国鉄と分かれております。しかし、職員の福利厚生の年金の問題は共済年金として継続をしていくということで今日まで来て、平成八年に一つ考え方が出されて、そのときは事業主同士で分けましたよと。今度は事業主がなくなるという事態の中でどう考えていきますかということで、JTと同じようにせい、NTTと同じようにせいということではなくて、こういうケース、こういうケースがございます、そして二百二十億共済年金にお支払いになっていたという実績もありますので、そんな問題を考えながらということで申し上げたつもりでございます。  それから、退職金の問題についても、要はどのぐらいのものを用意してあったかという議論であろうと思います。退職金は全部JRが払うということはもうお互いに認め合って、事実であろうと思います。しかしながら、その退職金支払いのためにどのぐらいのものが積み立てられたかということは一つ議論であろうと思います。これは後で鉄道局長から少しお話をさせていただきたい。  それから、先日私が御答弁申し上げましたのは、各党間で話し合いがあり適切な意見というものが出されるなら我々は真剣に受けとめて勉強したい、こういうふうな答弁をさせていただいております。
  21. 長内順一

    長内委員 ちょっと時間がありませんので、次へ進みたいと思いますが、こういう負担議論なんでございますけれども、さまざまなものがあったというふうに伺っております。この間お話しになったような揮発油税の問題、自動車重量税の問題もたしか出ていたと思いますし、それから交通利用者全体に負担をさせるべきだというような、そんな議論もあったかのように伺っております。私はもうちょっとゆっくりこの辺のことを議論する予定だったのですが、時間の配分から、私の意見だけ申し上げたいと思うのです。  一つ大蔵省にちょっとお伺いしたいと思いますけれども、いわゆる納税の問題でございます。現在、JR総体としては、税金、例えば法人税、当然あるでしょうし、それから固定資産税もあると思いますが、どのぐらい納税されているのでしょうか。昨年の実績で結構ですから、お願いしたいと思います。——通告はしておいたはずですけれども。  私の方の資料でちょっと昨年の分、九年度分が抜けているものですからお伺いしたのですが、この資料によりますと、約二千六百億納税になっております。その前が平成八年で二千六百、その前がやはり二千六百、その前が二千、その前が二千五百という形になっておりまして、これは、いわゆる旧国鉄時代は逆に補助金でたしか五千億から六千億のものを出していた。ですから、私は、いろいろな議論の中で、民営化になったさまざまな評価の中で、どうもこの辺のことが欠落しているのではないかというふうに考えるわけですよ。  二千五百億、税金を払っていますが、この中身で法人税というのはどのぐらいの割合になりますか、ちょっと資料がないものですから。
  22. 小幡政人

    ○小幡政府委員 お答え申し上げます。  平成八年度、ちょっと古い数字で恐縮でございますが、国税、法人税でございますが、全体で九百二十八億と承知しております。
  23. 長内順一

    長内委員 そうですね。ですから、どなたでもおわかりのように、きっと固定資産税がほとんどではないかなと思うのですが、いずれにしても毎年毎年二千五百億。こういうことがひとつ今回のこのJRの長期負担財源にならないだろうか、こんなことを考えるわけでありますが、宮澤大蔵大臣、いかがでございましょうか。
  24. 寺澤辰麿

    ○寺澤政府委員 お答え申し上げます。  国鉄清算事業団長期債務の最終処理に当たりましては、財政構造改革会議の場であらゆる財源について議論をされたわけでございます。御指摘のようにJRが負担をしている法人税を充ててはどうかという議論もございましたけれども、法人税と申しますのは我が国の企業がひとしく負担するものでございまして、この納税をもってJR社員の福利厚生のための費用である厚生年金移換金の負担にかえることはできないという理解のもとに、この法人税を充てるということにはならなかったと理解しております。
  25. 長内順一

    長内委員 筋論からいくとそういうことだと思 います。しかしながら、全く関係ないたばこだとか郵便だとか、ここから持ってくるということと何らかわりはないのではないか。  逆に、JRとして納税した、一般会計に入っちゃうからその使い方が大変なんでありまして、例えば、特定財源、特定会計をつくってそこで処理をするだとか何かということも考えてもいいのではないかな、こんなふうに私は思うわけでございますが、いかがでございますか。
  26. 寺澤辰麿

    ○寺澤政府委員 お答え申し上げます。  どのような財源をこの清算事業団長期債務処理に充てるかという検討に当たりましては、将来世代に過重な負担を残さないという趣旨から、るる議論をされたわけでございます。  その中で、当時の景気情勢等を踏まえまして、元本と利子について、これの財源を探すことはできない、少なくとも、一般会計が承継をいたしました債務の利払いに充てる財源について、いわば新雪が根雪にならないように、利子の財源は最低これを確保しなければならないということで、まず、利払いの負担を軽減するために資金運用部、簡保の繰り上げ償還を認めていただく。その上で、先ほど御指摘ございました、郵貯からの毎年二千億、五年間の御負担をいただく。さらに、足りないものについて、これも御議論ございましたけれども、あらゆる方策を検討した中で、国民に強制感のない負担をお願いするという趣旨から、たばこにお願いをする。たばこの税負担をお願いするに際しましては、たばこ税負担割合の低下を回復する趣旨から、特別税ということでお願いをしたわけでございます。
  27. 長内順一

    長内委員 私が聞いているのはそういうことじゃありませんので、長々と答えられても困るわけでございます。  それで、もう一つ大蔵省にお伺いしたいと思いますが、国有財産の売却ということが最近話題になってきてございます。これは、JRの負担のためというより、どちらかというと、前回減税論が出たときの、財源をどうするかという中で、国有財産を売却してはどうかと。これもさまざま、使っていないものからいろいろあるようでございまして、総体としては九十一兆円というふうに、これは新聞報道でございますからどこまでかわかりませんけれども、あると。これなんかも、これから売却をしながらさまざまな財源に充てていくというようなことも伺っているわけでございます。  大変時間がなくなって、雑駁に聞いてしまって本当に申しわけないのですけれども、この国有財産売却、そしてそれを財源に充てていくというようなことはいかがでございましょうか。その方針だけでも決められないでしょうか。
  28. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 一般的に、国有財産は、処分できるものはもうできるだけ処分をしなければならない。現に、この内閣も、発足の最初の閣議でそういう指示が総理からありまして、ただいま各省庁でそのための懇談会を設けようとしております。  ただ、それは恐らく、考え方としてはやはり一般財源になるべきものであって、国有財産をどこかを処分してこのためにというふうな考え方ではなく、一般会計がかなりのものを承継いたしますから、国有財産処分からの収入一般会計のプラスになっていく、こういうふうに考えています。
  29. 長内順一

    長内委員 さまざまな財源については、これまでのままでいきますとなかなか適用はできないと思います。しかし、たばこの特別税から持ってきたり郵便から持ってくる、ここまで大胆に踏み込むのであれば、もっともっといろいろなことを考えていいのじゃないか、今私が申し上げたようなことも筋論からいくと十分考えていただいて結構なのではないか、こんなふうに考えるところでございます。  もう時間がありませんので最後になろうかと思いますけれども、実は今回のJRの負担問題の中で私が危惧をしているのは、本州の三社、ここはある程度の経営基盤ができまして、それで負担にたえられる、そういう形になっているかもしれませんが、私は北海道選出の議員でございますが、JR北海道を初めいわゆる三島会社、それから貨物、こういうところの負担は大変に大きなものがあるわけでございます。特に、私どもの北海道は、先般拓殖銀行が破綻をいたしました。その影響で地域の経済が死滅状況であるという中で、今回またJR北海道が負担を大きくすることによって、地域に対する影響も出てくるのではないかなと。例えば、採算が成り立たない赤字路線は切ってしまうだとか、いろいろなことが、本当に経営だけのことを考えるとこれからなされてしまうのではないか、私はこんなふうに考えるわけでございます。  そこで、このJR北海道、四国、九州、いわゆるJR三島会社、それから貨物、こういうところに対する支援策というのはどのようにお考えになっているのか、明らかにしていただきたいと思います。
  30. 川崎二郎

    川崎国務大臣 まず、運輸省としての認識でございますけれども、昭和六十二年発足当時、そして今日の状況、これは単純に営業利益だけで見ますと、赤字ではありますけれども、経営改善の方向へずっと進んできておるということは事実であります。  しかし、そこへ、経営安定基金というものを積みました。この金利が、当初予定されたような数字が出てこない。そういったことの中から、今大変厳しい経営状況にあるという認識をいたしております。そこへ、北海道の場合は、特にことしは雨でなかなか、景気の問題も出てきておるように思っております。そういった意味で、経営安定基金が我々が思っていたようにしっかり機能すれば、かなり仕事をしていけるのではなかろうか。  しかし、現実は今出ないわけでありますから、どう我々としてその支援策をとれるかということで、まず、無利子融資というものを考えさせていただいた。既に一千億の枠をつくりましたけれども、来年度以降、足らなければもう少し考えてまいりたいと思っております。それから、税制問題等、できるだけの支援はしてまいりたい、このように思っております。これが、基本的に三島の立場になろうと存じます。  ただ、貨物につきましては、もう少し根本的に経営努力をしていただかなければならない段階にあるのではなかろうか、こういう認識にございます。
  31. 長内順一

    長内委員 今、無利子の貸付制度のお話がございましたけれども、私は、一千億と言わずに、やはり枠を大きくしてそれで対応していかなければ本当にこれは大変な問題である。  平成十三年にいわゆる株式を上場するということで、JR北海道なんかは大変な経営努力をされて、皆さんがそこへ希望を託して御努力をされてきた。途中から、もうそういう経営計画が成り立たないような負担を強いることになるわけですから、私は、特段の御配慮をお願いしたい。  それで、私聞いていましてちょっと、今のような経営安定基金、七・三%で運用予定だったものが、金利が下がっていて今予定どおりいっていない。いわゆる経営の根っこの部分もありますけれども、青函トンネルのメンテナンス、これで一千百億ぐらいのものをこれから見込んでいくわけでございます。これなんかも、ひとつ、運輸省では、確かに本州と北海道をつなぐトンネルだからJR北海道の負担がということは、わからない話ではありませんけれども、こういう状況の中でぜひ御配慮をお願いしたいなというふうに思うわけでございます。  それから、この間吉田議員もここでお話しになってございましたけれども、清算事業団、この業績といいますか評価といいますか、大臣、時間がありませんので、端的に、どうお考えですか。この場に来まして、清算事業団の評価をどのようにされていますか。
  32. 川崎二郎

    川崎国務大臣 まず第一に、青函トンネルの問題については、三十年間で一千百億程度の工事をしていかなければならぬ、その中でもちろん、例えば線路、こういうものについてはJRにお願いをしなければならぬだろう、これは当たり前の理 屈であります。しかし、国としてやれるところがあればきちっと援助してまいりたい、そういった意味では、来年度予算要求をいたしてまいりたいと思っております。  それから、清算事業団の職員につきましては、資産売却等、もうちょっといい方法があったのではないかという御指摘もいただいたこともあります。しかしながら、バブル崩壊後の土地売却が極めて困難な中で努力をされてきたものと私は受けとめており、この方々の再雇用、再就職先という問題については全力を挙げて責任を負ってまいりたい、このように思っております。
  33. 長内順一

    長内委員 質問時間が終了いたしましたけれども、清算事業団については確かにそういう評価、一般の職員の方が一生懸命汗を流して取り組んだ評価、これはこれとして、やはりこの間吉田議員の方からも御指摘がありましたけれども、理事長初め運輸省から天下った方の報酬が高過ぎます。民間会社では考えられません。破綻したような事業団でボーナス、これもそうです。賞与というのはもともと仕事の評価に対して出されるものでありまして、私はこの辺はいかがなものかというふうに思います。理事会で何か資料提出されることになっておりますので、またその件については議論をさせていただきたいと思います。  私は、結論から言うと、先ほどから申しておりますように、この負担金の問題については、どこから議論したってもう答えの出ている問題を蒸し返した、こういうふうにしか言えないと思います。そんな意味では、今回のこの議論を通じて、ぜひともこの負担問題、削除といいますか、修正の中でこれは見直していくべきだというふうに私は考えておることを申し上げまして、質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  34. 大原一三

  35. 鰐淵俊之

    鰐淵委員 私は、自由党の鰐淵と申します。  大変御苦労さまでございます。時間も四十分ということでございますので、本当に質問は簡潔にいたしたいと思いますし、また答弁も簡潔明瞭にお願いしたい、このように思います。  私はまず、本題に入ります前に、国鉄長期債務という問題がなぜに今日こういう問題になってきておるかといったことについて、私の所感を若干述べさせていただきたいと思います。  私は、三十年ほど前、ある地方の市会議員をやっておりました。昭和三十七、八年はちょうど市役所に奉職しておりまして、そのころから国鉄はどうも赤字になったわけであります。以後一遍も黒字になったことがない。ずっと赤字であります。  私は、三十年前、国鉄の各事業所回りもやったことがございます。そのときにいつも目についたものは何かと申しますと、非常に労使の間がぎくしゃくしているということであります。一つは、御案内のとおり、国鉄の汽車はいたずらでびっちり書かれておる、紙がどんどん張られている。組合の人が来て紙を張る、当局が来てはがする。はがしたり張ったり、はがしたり張ったり、お客さんは置いてきぼり、こういうような労使の状況でございました。  あるいはまた、本州地域では、民間と国鉄と比較しますと、民間の方は汽車もきれいたし、スピードも速いし、サービスもよいし、運賃も安い。国鉄はその逆であります。したがって、そういう状況の中で、国鉄で働いている方々は非常に働いている時間が少ない、実労働時間が少ない。しかも、お互いに駅、その他の職場ではどういう運動をやっておったかというと、当時の組合と当局の間ではお互いにあいさつをしない運動。あるいはまた、組合の方では、駅助役や駅長に対してあいさつしない。冠婚葬祭はもちろん行かない。あるいは、引っ越しするといっても手伝わない。したがって、駅長や助役は引っ越しするということになれば大変なことだった。これは私どものごく近くの駅でもそうだったし、私の親戚にもそういう鉄道の者がいました。幾ら当局から、もうそろそろあなたは助役になってもらう番なので、ぜひ助役を受けてほしいと懇切丁寧に当局から何回も来ますけれども、やはり助役になるのを恐れて、とても助役はできません、そういうすさんだ労使状況。  そういう状況の中で、国鉄の経営というものはどんどんどんどん雪だるま式に赤字が転がっていった。しかも、赤字路線は政治路線とも言われるのでしょうか、採算を度外視してトンネルを掘ったり、橋の橋げたをつくったり、途中で線路をやめてしまう、こういうようなことを繰り返しておるわけですから、国鉄なんというのは当然、私はそのときに、ああこの会社は早晩なくなるであろう、まだわずか私、三十歳のころでしたけれども、既にそういった予感をしておりました。それから何十年たった後に国鉄改革、こういう問題ができ上がってきましたが、その間でも、国鉄改革をしようとする人、あるいは守旧派というのでしょうか、いやいやこのまま守っていこうという人、そんなことで行ったり来たりしたことも御案内のとおりだと思います。  したがって、私は、そういうことを考えて、赤字が出た、その赤字をなぜに国民負担しなければならないのか、当局、運輸省は管理監督にあるわけですから、国あるいは国鉄、こういった方々がもう少し責任感を持って対処しておれば今日のような事態にならなかったと私は思うわけであります。それが、先ほど来からいろいろ言われている、先送りにも示されているとおりであります。そういったことに関しまして、まず当面の運輸大臣の所感をお願いしたいと思います。     〔委員長退席、牧野委員長代理着席〕
  36. 川崎二郎

    川崎国務大臣 一つは公社制度の問題、また全国一本で運営を行っていく、余りにも大き過ぎる、こういう問題、また今鰐淵委員から御指摘いただいたように労使間の問題、経営者の資質の問題等々いろいろございました。その中で、三公社というものが改革をされる。電電公社、たばこ専売につきましては、ある意味では、すべて民営化に移行して、まさに国に対して利益として返ってきておる、成果としても上がってきておる、こういう認識であろうと思います。  国鉄の問題については、やはり御指摘いただいた国の責任というものを考えて、三十七兆円の借金について一つの結論があの当時出された。一番悪い部分というものを除去しなければならぬ。その中で、民営化、分割という決定がされて今日まで至った。そして、今本州三社については利益を計上するようになった。先ほど御指摘いただいたように、大きな成果を上げておる、このように認識をいたしております。
  37. 鰐淵俊之

    鰐淵委員 今の大臣のお考え方はほぼ私も理解できますが、ただ問題は、いわゆる国の責任においてといって金を出すのは、これは税金なんですね。私はまず、国民納得できない税金、今言ったように労使の関係から、今言った政治路線から、何かわかりませんが、初めからもう採算がとれないものをやっていく、こういうような当事者の怠慢といいましょうか、そういうものが積もり積もって赤字になったものをなぜに国民負担しなくちゃいけないのか。やはりそのときの為政者がもっとしっかりしておれば、こんな膨大な累積債務にならないのです。  清算事業団の点につきましても、これは過去私も所掌しておりまして、随分私は清算事業団から市長のころ買いましたが、清算事業団といっても、官僚的で、お役人で、もう私は激怒したことがある。何十億とこちらはお金をかけて、権利も渡って、所有権も移転しているんですね。移転して人の土地になっているにかかわらず、清算事業団は、さあその計画を変更すれば買い戻しをかけますよ、これをすればだめですよ、あれをすればだめですよと、まあ細かい、丁寧にいろいろな注文をつけてくる。物を売るのにそんな注文をつけてどだい売れるわけがない。  しかも、地方公共団体というのは、市には議会もありますから、そんなむちゃなことは首長、やらないんですよ。ただ、予算の関係から二年でやるというものが三年になるかもわからない。そういったことについても何ら参酌をしないといいましょうか、その当時の清算事業団の方々のかたく なな物の考えがある。これでは土地は売れるわけがない。国鉄に聞けば、ある自治体でどこか横流ししてしまった。それは、たくさんの自治体があるから、一つや二つの例があるかもわからない。しかし、一つか二つの例をもって全国の自治体にそれをさせる、そういうぐあいにしてしまうということはいかにもお役所人的な発想であり、土地を売るなどという姿勢でない。  それから、先ほど宮澤大蔵大臣も申されておりましたが、バブルでもって一時凍結をし土地を売らなかった、売ろうと思ったらもう既にバブルも崩壊してほとんどもとの値段で売れない。これは防衛庁のあれも、たしか六本木の土地もそうだと思います。みんなタイミングを失しちゃっているわけですね。そういうことによって膨大な赤字が盛り上がってきている。  こういった反省について、大臣いかがでしょうか。
  38. 川崎二郎

    川崎国務大臣 まさに経験から言われた言葉でありますから、重く受けとめたいと思っております。  ただ、土地売却についてはおおむね見当がついてまいりましたので、もし許されるならば、今日までの売却実績、そして今後の見通しについて局長の方から説明をさせたいと思っております。
  39. 鰐淵俊之

    鰐淵委員 いや、それはいいです。  それではいよいよ本題に入ってまいります。  そういうことで、今、序論は、私は、国鉄が赤字になるべくしてなっていったということを皆さんに言いたいわけであります。したがって、そういった責任というものは、国民一人一人にツケを回すのではなくて、やはり本当に当局がもっとしっかり対処しなければならない問題だ、そのように私は思います。  それで、本題ですが、私は、結果として国鉄が民営化成ったことは大変いいことだと思います。国鉄当時より、今民営になって、先ほど長内議員の質問にもありましたとおり、既に会社が二千五百億とかあるいは二千億とかいう税金をもう納めるようになった。それから、国鉄時代は八千億とも言われる補助金、こういったものも、補助金も出さなくてよくなった。やはりこういうメリットがあるわけです、株式会社。ですから、株式会社になった以上は私は余り政府の政策介入はすべきでない、原則すべきでない。やはりその法人の自主的な運営に任せていくことが一番大事なんだ。株主がたくさんいるとすれば、株主がこの会社について、将来もうければまた国は政策介入でもって金を持っていくよ、こういうことになったら、利益の出ない会社ということになって、幾ら株を売ろうと思っても株の値は上がらないし、株は売れない。そんなことはもう民間では常識の話であります。ですから、私は、運輸省はそういったJR各社に対する政策介入というものは余りすべきじゃない、このように思っております。  しかしながら、先ほど言いましたように、北海道など三島、貨物含めて、私は、経営状況が芳しくない、このように思いますが、このJRの経営実態について、およそで結構でございますので、赤字、黒字ということでお示しいただきたいと思います。
  40. 小幡政人

    ○小幡政府委員 平成九年度決算で御報告申し上げますと、JR北海道は経常損益で三十六億円の赤字、JR東日本は経常利益八百七十二億円、JR東海は経常利益が六百十四億円、JR西日本は経常利益四百八十三億円、JR四国は経常利益一億円、JR九州は経常利益十億円、JR貨物は経常損益八十七億円の赤字、以上でございます。
  41. 鰐淵俊之

    鰐淵委員 今の報告でもおわかりのとおり、三島、貨物含めて、移換金を徴収しますと、なかなかこれ、黒字の体質になっていかない、やはりこの移換金はかなり重く将来的にのしかかってくるということは、今の数字でも明らかだと私は思うわけであります。  問題は、改革当時、清算事業団国鉄が推定二十何兆ですか、それからJRに十四・五兆負担させて、お互いにこれは分担をした、きちっとすみ分けをした。やはりこのすみ分けをずっと継続してきて、二年前はこの移換金の問題が出て、そのときも七千七百あるいはまた千七百というぐあいにすみ分けをした。ですから、恐らくJR各社はその時点で、あの閣議の文言からいきますと、あとは政府責任においてきちっとこれを処理するというぐあいに私はJRの方は考えていると思うんですね。そこが当局とJRとの行き違いもいろいろあるのではないか。  だから、法案提出するまでに、そういった対立関係を持続したまま法案を出してくるということは、法案の形態はいいかもわかりませんが、出す環境は未熟であると言わざるを得ない。法案を出す以上はやはり、相手もここまで納得する、それではこの法案は我々も協力するという形で出てくることが一番いいのであって、国会が法律をつくるということは強制力を持ちますから、幾ら反対しても、法に従いましたからさあ従いなさい、こういうことになりますので、先ほど来、修正があるのか、あるいはどうするのかという話になっているわけでございますが、JR各社との話し合い、たしかこれは橋本前総理大臣のときにJR各社の社長を集めてやったのはニュース、新聞で見ておりますが、そのときも何も結論が出ていない。そういった話し合いがなぜ十分なされ得なかったのか、この点について、御答弁お願いします。
  42. 川崎二郎

    川崎国務大臣 JR各社との協議につきましては、前藤井大臣中心に、当時官房副長官だった額賀副長官、こういう方々を中心にたびたび持たれてきたことは事実であります。また、御指摘のとおり、まだ合意に至ってないということもまた事実でございます。  こうした論議が続く中で、私も、許されるならばJR各社と話し合いを持つ機会を持ちたい、このように思っております。
  43. 鰐淵俊之

    鰐淵委員 私自身の経験では、私も市長を二十年近くやっておりまして、対立法案を出す場合、やはり相手を十分納得させて、余り市議会で混乱しない、こういう形で持ってくるのが普通なんですね。国会で対立させるような法案というのは、なるべくこれは出すべきではない。十分担当者とあるいは対象先と話し合いをしながら、やはり理解を求めて出してくるというのが私は筋だ、このように思うわけでございます。  先ほど私、申し上げましたが、民営成ったことは、実に私、歓迎すべきことだと思うのですね。やはり自助努力によって自分なりに利益を上げ、それを株主に還元し、また一生懸命頑張れば頑張るだけかいがある、賃金も高くすることもできる、設備もできる、私はこの方向は正しい方向だった、先ほど言ったとおりであります。そんなことで、政府としても、先ほど来、助成金はなくなる、あるいは税金は上がってくる、こういうことでございますから、国鉄改革の成果というものは、もうはつきりこういうぐあいに出てきているわけであります。  したがって、私は、今この移換金の問題でぎくしゃくした関係、そしてこれがどうも閣議の内容からいってもすっきりしない。運輸省運輸省考えると、運輸省考えでいることが幾分妥当なような説明になる、JRを入れて考えると、もうそんなのは既に国が持つということになっておるんだ、今さら持ち出すのはおかしい、こういうぐあいの話になってくる。どうも、対立関係でございまして、こういうことが再三再四起こると、国鉄改革意味がなくなってくるんですね。一生懸命頑張ってもうければ、もうけたらまた国が介入して金を持っていく、これではもう株式会社の意味がなくなってくる。  そこで、ひとつここできっぱり言っていただきたいのは、まず、今後JRに関して、この長期債務に関しまして新たな負担というものはもう国として考えないということを断言していただきたいと思います。
  44. 川崎二郎

    川崎国務大臣 まず、昭和六十二年の国鉄改革の趣旨、そして、当時三十七兆円の債務、これを負担を分けたのはもう御指摘のとおりでございます。そして、この問題について新たなJRの負担を求めるということはあり得ない話、またあり得 ないと言って私どもは主張をしてまいったところであります。  しかしながら、共済年金だけは継続という形で参りました。JRと国鉄というものは、経営形態、また労使関係、こういうものはしっかり切れておる。しかしながら、年金だけは継続をしてきた、これは当然であります、福利厚生の問題でありますから続いてきた。そして、平成八年において、当時の事業主であります国鉄の法人格を引き継ぎました清算事業団とJR負担の持ち分が決められた。しかしながら、今度は清算事業団というものがこれで解散をするという事態のときにこの移換金問題をどう考えていくか、福利厚生の問題をだれが負担すべきか、こういう議論をしておると思っております。ここは今まで申し上げたところであります。  さてそこで、鉄建公団と国というものが、昭和六十二年以来の債務の問題、それから移換金の問題を引き継ぐということになります。したがって、鉄建公団という、もう国鉄の性格ではありません、清算事業団と明らかに異なる鉄建公団という永続的な公団が引き受けるということに決定をされる。また国としての負担も決まる、またJRの負担というものも決まる。決まれば、これはある意味では全く切れた状態になるという理解をいたしておりますし、そういった趣旨の中から、JRに今後負担を求めるということはあり得ないと思っております。     〔牧野委員長代理退席、委員長着席〕
  45. 鰐淵俊之

    鰐淵委員 今の答弁を了といたしたいと思いますが、問題は、今の大臣お話にもありますとおり、その辺がちょっとJR各社とまた違ったニュアンスにとられているところがあるのではないか。  結局、大臣は、福利厚生の面の年金はずっと引き続いて継続しておるものなんだと。片や国鉄改革時は、やはりそれなりに応分に、話し合いをして十四・五兆でしょうか、それのお金はJRが引き継いで、それは返しているわけですね。それから、二年前は、七千七百、千七百ということですみ分けをして、これも返しているわけですね、JRは。その時点で、この七千七百億というものが、その閣議のときに、年金は継続して、さらに負担を求めるんですよということは言っておらないと思うんですね。その辺がちょっと何かグレーゾーンになって、ぼやっとして、いまだに解釈が違ってきている、ここが問題なんです。ですから、そういうグレーゾーンの問題が国会に出てくると非常にややこしくなってしまうわけですね。その辺、私は非常に危惧をしているわけでございます。  さて、時間もありませんので、次に移ります。  先ほどJRの経営状況お話を聞きましたが、その中でも、若干の黒字は出ておりますけれども、ちょっと考えてまいりますと、やはりJR北海道など三島、貨物というのはどうも将来の経営の安定性が余り考えにくい、こう思うわけであります。その中で、先ほどの長内議員にもありましたが、JR等に対して、私は、今回の長期債務が終わればもうすべて国としては終わりよということではなくて、やはりJRとしては、民営、今言ったように、なかなか黒字にならないJRがずっと続くわけですね。また、この移換金を取りますと、何かJR北海道でも年間にすると十四、五億だというのですから、また一遍にこれは赤字になっちゃうのですね、ずっと赤字になっちゃう。  あるいはまた、青函トンネルなどという膨大なトンネルがありますが、あれとてもう着工から二十七年経過して、保守点検しないと危ない状態だ。だから、ランニングコストはいいかもわかりませんが、あんな膨大な施設を、さあそれを補修して使いなさいといったら、もう年間、場合によっては百億、二百億単位の金がかかってくる。そうすると未来永劫、JR北海道は黒字にならない。株式会社にした意味がなくなってくる、そういうものを全部負担させると。  そういったことに対して、運輸省としてはどんな軽減策といいましょうか、あるいは助成策というのでしょうか、それを持っておられるか、その点について答弁をいただきたいと思います。
  46. 川崎二郎

    川崎国務大臣 先ほども長内委員質問に少しお答えいたしましたけれども、経営安定基金からの運用益、一番多いときで四百九十八億でございます。現在、平成九年度で三百二十四億、百七十億ほど減っております。一方、四百九十八億運用益が出ていましたときに営業損益が五百三十八億でありましたけれども、平成九年度は、努力の結果三百七十一億、マイナスですけれども、赤字三百七十一億でございます。  要は、営業的な努力というものが積み重なってきて、かなりの成果を上げる段階を迎えておる。しかしながら、経営安定基金による運用益というものが当初予定されたように上がらない、この差が、残念ながら、今、九年度、三十六億のマイナスということに結びついておると思っております。  したがって、やはり、無利子融資というものを一千億、枠をつくりましたけれども、これを十一年度にはまたふやすことも考えていかなければならぬなと思っております。それから、やはり税制面での支援というものをどうやっていけるかということも考えてまいりたいと思います。  それから、青函トンネルにつきましては、もう委員の御指摘のとおりでございます。これから三十年で一千百億という大きな投資を、更新工事をいたしていきませんと使えないことになります。つくられた趣旨、そして歴史的な経過というものを考えていったときに、もちろんJRが直接お使いになっているものはやはりJRに御負担をいただく以外にないだろうと思う。しかし、国がある意味ではやるべき部分というものをやはり少し分けながら来年度の予算要求でできるだけのことをしてまいりたいな、このように考えております。
  47. 鰐淵俊之

    鰐淵委員 今の大臣お話でその点はわかりました。やはり、JRの運営の中で、どうしても黒字になり得ない、今言ったようなものがのしかかってきますと、万年赤字で、株式会社になる意味がない。もちろん、そうなるとJR北海道だっていつになったって上場もできませんし、株主に対して配当もできません。それではもう会社としての体裁をなさないわけです。したがって、早く、JRが民営化して実を結ぶような支援は国としてしっかり行っていただきたい、こういうぐあいに思うんです。  そこで、運輸省はそういうように思っておりますが、これはもう特例措置をやるということになると、必ず税金を免除するとか軽減するという形になります。そうすると、これは地方税になります、固定資産税は。法人税ともなりますと、これはまた法人事業税は都道府県になります。そんなことを考えた場合に、やはり自治省がしっかりとそれをサポートできるのかどうか、あるいはしなければならないと私は思いますが、その点について、自治省の見解をお願いしたいと思います。
  48. 成瀬宣孝

    ○成瀬政府委員 お答えをいたします。  JR北海道などに係ります固定資産税の特例措置につきましては、国鉄改革後も引き続きその事業を維持存続させますことが、国土の均衡ある発展とともに住民の交通を確保し地域の発展に寄与することにかんがみまして、平成十三年度までの経過的な措置として設けられているものでございます。  なお、お尋ねの、こうした地方税法において講じられました特例措置につきましては、普通交付税の算定上、その減額相当分につきましては基準財政収入額に算定されないこととなっておりますので、交付税の配分を通じまして、当該地方公共団体に対して一定の財政上の配慮がなされているところでございます。
  49. 鰐淵俊之

    鰐淵委員 ぜひひとつ自治省としましては、運輸省でその特例措置をとった場合に、いやしくも市町村に負担にならない、そういうことでしっかり対応していただきたいと思います。  それから、十一年度で、例えば先ほど言ったように、青函トンネル、本四架橋とか関門トンネル、いろいろあると思いますが、そういった場合に、補修していくということになればJR北海道の予 算だけではできないわけですね。そういったときに、運輸省としては大蔵に対して予算を要求することになります。そういう場合について、大蔵省としてはそういった運輸省の要求に対して必ずこたえる、こういう答弁ができるのかどうか、ひとつ答弁をお願いしたいと思います。
  50. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 北海道が非常な苦境にあるということは、先ほど長内委員も言われましたし、また鰐淵委員も御出身でございますから、そのとおりと思います。  そのことは私どもはしっかり理解をしておりますけれども、それがこの問題の背景である、そこはわかりますが、その背景によって、いろいろこういう処理が地域地域に異なってくるというわけにもまいらないものですから、そういう背景がなければ、恐らくこれは、それはどうも私企業でございますからと、こう申し上げることになってしまうと思うのですが、運輸大臣が、しかしやはり何か考えないと、これは非常に大きな施設でございますから、それに保守点検というのはいつまでもほうっておくわけにもいかないというのも事実である。こういう問題に主計局も今までぶつかったことは実はないらしいんでございまして、どういう予算要求になるのか、仮に公共事業ということにでもなるんでしょうか、ちょっとどういう考え方をしていいか、初めてのことでございますので、一生懸命研究をしてみたいとは申しております。
  51. 鰐淵俊之

    鰐淵委員 どうもありがとうございました。今主計局次長にお願いしようと思ったら大臣に出ていただいて答弁していただきましたので、大臣の見解がそうであろうと思いますので、ぜひ運輸省等と協議をしていただいて、せっかくの国鉄改革の成果が片方では生きるけれども、片方で今言ったものを引きずっていきますと、いわゆる民営の意味がなくなってしまうわけですね。したがって、民営の意味がなくなってしまうと、どうもこのJR、全国の中で、今言った北海道など三島とか貨物というのは、非常に経営が苦しくなってきて脱落していく、これでは本来の意味国鉄改革でないと私、考えますので、十分これは政府間で協議をして、ぜひ民営化した成果というものを上げ得るように検討していただきたい、このように思うわけでございます。  さて、終論になりますが、先ほど来お話ししておりますとおり、どうも本問題は、JRさんと運輸省との見解の違いといいましょうか閣議の解釈の違いといいましょうか、そういった行き違いがあって、その行き違いのまま国会に来てしまったからどうもややこしいことになっているわけでございます。できれば、これからでも遅くないわけでありまして、大いにひとつJR各社とも十分相談をされて、やはり運輸省としてももっとベター、ベストの方向に持っていければこんないいことはないと思うんです。これを政治問題化して対立だけを深めていくというようなことでは、かつての国鉄が、労使の不毛の論争によってこんな赤字をやってきて、この処理皆さんが困っているわけですから、またいっか来た道へ戻るようではいけないのであって、ぜひそういったことでJRとの話し合いも詰めていただきたい、このように思います。  それからもう一つは、先ほどから質疑いたしてまいりましたとおり、JRの民営の中でもなかなか経営の厳しいところについてはやはり運輸省もしっかり目を配って、早くひとり立ちでき得るように支援をしていくということでないと、民営化の果実は出てこない。  それから、立派にやっているJR各社については、利益を上げた、上げたからということで政策介入でその利益をまた別に今のような形で拠出をいただくということになりますと、それこそ私は株主に対する説明もつきませんし、会社としての体裁もつかない。やはりそこの会社がもうかっていくということが、希望が将来あるから株価も上がっていくし、株も売れるわけですから、少なくともそういった民の論理に水を差すような政府のやり方には余り賛成できない、私はこのように思うわけでございます。  いずれにいたしましても、この膨大な借金の始末をそれなりに今日まで努力されて一定のスキームをつくったということは、時期は遅かったにしても、もうこれ以上遅くさせることは私はできないと思うわけでございますので、ぜひこういったスキーム努力が実っていくように皆さん努力をひとつ御期待いたしまして、ちょっと時間が早いんですが、私の質問をこれで終わらせていただきます。ありがとうございました。
  52. 大原一三

  53. 中林よし子

    ○中林委員 日本共産党の中林よし子でございます。  私は、国有林野法案の関連についてのみきょうは質問させていただきたいと思います。  今回出された法案、これは日本の山を二十一世紀に向けて守っていくのか、それとも荒廃の一途をさらにたどっていくのか、まさにそのことが、国が国有林をどうするかという方向づけで決まる非常に重要な問題だ、このように考えております。  そこで、今回幾つかの法案があるわけですけれども、国有林野事業改革のための特別措置法案の第十一条、それから国有林野事業改革のための関係法律整備に関する法律案の第五条に基づくということで、七月十三日、当委員会でも問題になりましたけれども、営林署の統廃合の具体的な名前が発表されました。全国二百二十九ある営林署が九十八に統廃合されるということで、具体的な名前が挙がって、関係自治体を初め、多くの批判の声、そして怒りの声が今上がっております。日本共産党は、昨年来から国有林問題の全国調査をしてまいりましたけれども、この営林署の統廃合の発表があってからの、その廃止対象と名が挙がった営林署、自治体、これらのところからの怒りというのは本当に大きなものを感じてまいりました。  そこで、日本の国有林の四割を占める北海道なんですけれども、そこの根橋営林局長が私どもに対して、今回、廃止対象を選択したその基準はどこにあるのか、こういう問いに、営林署の存廃は、地元の協力度、林業への取り組みの熱意などで判断した、こういうふうに回答をいたしました。地元の協力度、これが廃止対象の基準だということになれば大変な問題です。  私どもが訪れました北海道の廃止対象になる浦河営林署管内、ここでは、平成四年の営林署庁舎移転に際して、地元浦河町が庁舎の跡地を四千百万円で買っております。今、自治体は大変な財政事情にもかかわらず、これだけで買い取っているわけですよ。それから、この管内で襟裳岬の治山事業、ここに山の緑を復活させて魚を戻そうという取り組みが実は昭和二十八年から始まっているのを御存じでしょうか。二十八年から始まって、昆布が帰り、魚が帰り、本当に山と川と海は一体なんだということを北海道では実績を上げてまいり、北海道漁連では、「百年かけて百年前の自然の浜を!」ということで「「お魚殖やす植樹運動」十周年」、こういうものをつくっているわけですね。まさに「三十六万本 浜の母さんが植えました」、漁協の婦人部が中心になって、実はそういう植林も手がけて魚を海に戻している、こういう協力をやっております。だから、今度の廃止対象を、地元の協力度だとか林業への熱意だ、こういうことは全く当たらないのではないでしょうか。  私どもが訪ねました夕張市長も、あるいは芦別市長も、浦河町の助役も、もう何の相談もないままに一方的な発表で大変だ、このように言いましたけれども、そこで、大臣にお伺いするわけですけれども、北海道の営林局長が言ったように、今回廃止対象になったのは、協力度だとか林業に対する熱意、これを尺度としてお決めになったのでしょうか。
  54. 中川昭一

    中川国務大臣 今回の営林署を森林管理署等に変更していく手順というのは、今回御審議いただいております国有林野改革法案が大前提にあるわけでございます。そして、この法律は、御承知のとおり、先生も冒頭おっしゃいましたけれども、日本の国土、森林、山を守っていくということに 一層力を入れようということで、国有林の機能の八割をそういう多面的な機能、公益的機能にしていく、残り二割程度をいわゆる販売関係にしていくというふうに、今まで五五対四五で販売の方がウエートが高かったわけでありますけれども、八割を公益的機能にしていこうということであります。そして、いろいろと、造林、伐採、林道等につきましては全面的な民間委託ということになりましたので、国有林に従属する機能というものが重要であり、新しい機能もふえると同時に、また営林署の抜本的な合理化というものも必要になってこざるを得ないわけでございます。  そこで、先生御指摘の、この二百二十九を七月十三日に九十八の森林管理署にして、しかも、この計画の実施はできるだけ早くやっていかなければならない緊急性を要する重要な課題だと思っておりますので、一月一日からぜひ、法案が上がったという前提での話でございますけれども、そういうふうにしていきたいということでありますが、今回の七月十三日に発表された森林管理署の設置の基準については、先生も御承知だと思いますけれども、七月十三日付の文書で基準がはっきり書かれております。  国有林の分布状況、管理運営の効率性を基本としつつ、流域管理の推進、民有林行政との連携、地域の林業、林産業の状況等地域の特性等を総合的に勘案したものである、この三点が今度の森林管理署設置の基準でございます。これ以外のものはございません。したがいまして、北海道営林局長が地元の協力度も判断基準の一つであるかのように受けとめられるような発言をしたことについては、正確さを欠いたものであるというふうに理解をしております。
  55. 中林よし子

    ○中林委員 北海道営林局長の答弁については、それは間違いだとお認めになったと思うのですが、それにしても、今大臣お話しになった判断基準、これも実は整合性がないと私は思います。  しかも、今回、突如と言っていいほど七月十三日を選んでの発表について、先般、当委員会で、鉢呂議員に対する大臣答弁で、今まで全国の都道府県の意見、地元市町村の御要請も聞き、森林管理の効率性を基本として作業を進めてきた、いずれの市町村からも森林管理署として存続の要望があった、この時点で個々の意見を聞いていると混乱を招いて御迷惑をかけるおそれもあると判断し、林野庁みずからの決定として公表した、こういう御答弁をされております。しかし、今回、地元、廃止対象になる県あるいは市町村、ここの怒りを買っているのは手続の問題です。  高知県でも橋本知事にお会いしました。大変怒りをあらわにしておられましたが、橋本知事は、事前の説明がないまま閉鎖的な中で進められ、発表は極めて唐突に行われました。行政の民主性が問われ、情報公開の時代にこのような手法がとられたことに驚きを覚えます、国有林は、これまで中山問地域の人々の支えによって守られ、一方、地域の生活と経済国有林野事業に大きく依存してきました。そういう意味で、国有林はひとり林野庁だけの問題ではなく地域問題でもあります。中山間地域の生活と経済が守れなくては森林を守ることはできません、こういう申し入れ書を林野庁長官に持参したと聞いております。  林野庁は、発表直前の七月三日に高知県から意見を聴取されているはずですね。県は魚梁瀬営林署存続を具申しております。私どもは、この高知県の魚梁瀬営林署廃止問題で、現地に入って調査をいたしました。魚梁瀬地域というのは、大臣御存じだと思うのですけれども、実は馬路村という村の中にありまして、人口二百九十三人、そのうち営林署の職員と家族が四十五世帯九十五人、つまり三分の一を営林署の職員と家族で占めております。村には青年団がございまして、団員は十六、七名なんですが、そのうち林野関係者が十三人、もう大半を林野の職員で占めております。こうなりますと、営林署がなくなれば一体どうなるかというのは予測がつきます。関連の製材、土木業者も打撃はもちろん受けます。また、農協支所や郵便局さえも存続できるかどうか、こういうことを大変心配しておられました。  しかも、この魚梁瀬営林署には歴史がございまして、昭和三十九年の魚梁瀬ダム建設によって村が水没いたしました。このときも、実は魚梁瀬営林署は残すよということで水没に同意をしております。それから、昭和五十四年の馬路営林署と魚梁瀬営林署の統合問題が起きた際も、営林署の永久存続を条件に地元の同意が得られました。  現在、小中学校の児童生徒が三十二人、その中で営林署関係が十六人。小学校入学がゼロになって廃校の危機が迫った昨年から、子供だけではなくて親子での山村留学制度をつくって、現在全国から七家族二十八人が来ております。ことし三月には、自治大臣から実は表彰を受けているのですよ。ことしですよ。こういう、表彰状のコピーなんですけれども、実は、この自治省からの表彰というのは「まちづくり一般部門」ということで表彰を受けるほど、つまり、そこの集落挙げて営林署と一緒になって村を発展させてまいりました。だから、今回の突然の発表というのは、批判を食らうのは当たり前のことではないでしょうか。  実は、八月の二十八日付の日本農業新聞ですけれども、ここで、「事前に成案の情報が漏れて政治介入を許し、混乱することを避けたかったということで唐突に発表したのだと。しかも、どんな決め方をしても半分からは嫌われる、修正を受け入れたら収拾がつかなくなる、見直しには一切応じない方針だ、こういう林野庁のコメントが載っております。  こういうことを、まだ法案審議がされない、この法案が通らなければ、これも実行はされない問題です。私は、そういう非民主的な手続、これは全く地元の状況を無視した非民主的なやり方であるし、この委員会国会を軽視したものだというふうに思うのですけれども、いかがでしょうか。
  56. 中川昭一

    中川国務大臣 私は、非民主的でも国会を軽視したものでもないと思っております。  冒頭申し上げましたように、前国会での継続法案でございますから、しかも重要性、緊急性からいって、できるだけ早くその御審議をしていただき、御成立をお願いしたいという立場でございますけれども、そのためには、法案審議に資するような情報というのをできるだけ出して審議に資していきたいという方針で、この抜本的改革の一環として、この森林管理署等の新しい配置について、七月十三日に、林野庁内部で作業が完了いたしましたので、これをお示ししたわけであります。これは、あくまでも法案の御審議の中の資料といいましょうか、法案が成立した後に初めてこのことができる話でございますので、これも踏まえて、十分御審議をお願いいたしたいと思います。
  57. 中林よし子

    ○中林委員 地元の意見だとか、そういうものを本当に聞かないでやって、しかも今事例を発表いたしましたけれども、まさにその集落、村の存続にかかわる重要な問題ですよ。それを聞かない。  だから、今この廃止対象になっている市町村から、町ぐるみ、村ぐるみ挙げて反対の決起集会が起きたり、九月三日にも、馬路村の村長さん以下林野庁を訪れて、撤回を求めるということになっているのじゃないでしょうか。それを全く聞く耳を持たないというようなやり方、本当に許されないことだというふうに思い、私は、この二百二十九を九十八の営林署にするという、これを撤回することを求めて次に移りたい、このように思います。  そこで、今資料をお配りしております。大蔵大臣もぜひごらんになっていただきたいというふうに思います。  累積債務の発生状況、今日までどうなっているのかということを、これは林野庁の資料なんですけれども、財務状況の一覧がこの資料には出ております。これを見ていただきたいわけですけれども、実は財政投融資から林野のお金を借りるのが始まったのは、昭和五十三年よりも前ですね。昭和五十一年、一九七六年から始まっております。  ところが、それでも財務状況がよくならなくて、ここに書いてあります最初の年、昭和五十三年、一九七八年、初めて実は全体の中での欠損金を出 す。九百六十一億円、初めての欠損金が出てまいります。これからずっと見ていただければわかるのですけれども、改善計画が立てられますけれども、実は自己収入というのは年々減っていくし、借入金は年々ふえていくし、したがって利息も債務残高も累積欠損金もふえる一方をたどっております。一九八七年、昭和六十二年の年号を入れておりますけれども、そのときから実は借金が余りにも多くて返せないということで、財投の方の借りかえ償還もここから始まっております。結果的には、九年度の末で自己収入は半減しております。それから、債務残高並びに累積欠損金はそれぞれ十七倍から十八倍に膨れ上がっております。  大蔵大臣、専門家にお聞きするわけですけれども、こういう事態になった原因、それはどこにあるとお考えでしょうか。
  58. 中川昭一

    中川国務大臣 林野特会の状況についてどう思うかということですから、まず私からお答えさせていただきます。  御承知のとおり、戦後復興の中で木材需要が非常にふえまして、そして今から考えると計画以上の木を伐採して産業復興のために役立てたということで、そのときの位置づけとしてはそれなりの役割を果たしたと思いますけれども、木というのは、御承知のとおり、五十年、七十年という長いタームの生き物でございますから、それによって切る木がだんだん少なくなってきた。現時点でも、まだ若い木、伐採期に達していない木がたくさんあるという状況がございます。  それから一方、そういう木材不足の中で、外材輸入がだんだんふえてまいりました。特に、変動相場制になって、一貫してトレンドとしては円高でございましたから、輸入材の値段が下がってきておるということによる価格差の問題もあったと思っております。  さらには、いわゆるバブル崩壊の後には、景気低迷ということで、木材の一番大きな需要の一つであります住宅需要の低迷、さらには昨今の非常に金利が低い状態というものも、過去に高い金利を借りておることとのバランスにおいて、経営を悪化していったというような要因が主に考えられまして、これらが重ね合わされまして、長期借入金利子、元本利子合計ですか、これがふえていったというふうに理解をしております。
  59. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 今ちょうだいした資料を拝見しておりますけれども、基本的には、今農林大臣が言われたような外側の事情があると思います。「うち林産物収入」、かなり激しく減っております。木材の自由化があったとか、木材の価格が下がったとか、あるいは森林資源の減少とか、いろいろあるかと思いますが、まず収入が、殊に自己収入の減が非常に大きゅうございますね。  それに対して、しかし、国はほうっておったわけではないようでして、一般会計よりの受け入れがかなり、今、九年は六百九億円となっておりますけれども、これは八七年あたりからずっと漸増しておりますから、一般会計はほうっておったわけではないように思われます、十分でなかったかもしれません。  それから、あと、借入金は資金運用部が主なものと思いますが、資金運用部自身は預託金利と同じ金利でお貸ししておるわけですから、それとしては一番優遇されているレートであったろうと思います。  この会計の問題は、過去において、既にかなり前から改善計画を策定して、要員の削減、組織の合理化、一般会計の繰り入れ等、一生懸命やってきて、国も一生懸命支援をしてきたということでございますから、やはり基本的には、農水大臣の言われますように、木材価格が低迷した、あるいはそれに輸入の自由化も関係あるかもしれません、あるいは森林資源の減少等、国鉄のケースとは違いまして、かなり合理化努力というものがなされ、国もそれに対して支援をしてきたわけでございますから、結局、この表の一番下に書いてございます、八七年から九七年までの長期借入金利子合計は一兆六千二百八十五億円、こういうところに計数的には問題があるのではないかというふうに思います。
  60. 中林よし子

    ○中林委員 今、農水大臣大蔵大臣、それぞれ理由を挙げられました。自由化の問題あるいは木材そのものが不足している問題、それから借入金の問題など、そういうものを原因として挙げられたのですけれども、これはいわば全部政府がとってきた政策なんですよ、自由化の問題であれ財投資金の投入であれ。それから、不況が何か自然に発生したんじゃなくて、不況をもたらす原因そのものも政府がつくってきました。  私ども日本共産党は、こういう債務状況になるということを見越しておりましたから、実は、独立採算制と財投依存、これはやめなさい、それから木材輸入自由化が今回の低迷をもたらしているんだから、これも規制をしなさい、こういう指摘を一貫してしてまいりました。  改善計画が始まった一番最初の法案審議のときに、我が党の津川衆議院議員が、国民の共有財産であって、その役割からいって一般会計から投資してくるのが当然で、財投からの借金では、将来、元金利息償還のためにまた新たな借入金が必要になると、いち早く警告を発しております。  また、一九八七年の国有林野事業改善特別措置法改正に当たっては、藤田スミ衆議院議員が次のような修正案を提案して、実現のために奮闘してまいりました。  この修正案、国有林野の持つ公益的機能が最高度に発揮させられるのは、政府の進める民営化路線ではなく、国が森林を所有し、直接経営する国有・国営形態によってこそ保障される、そういう立場から、国有林野経営の公共性を具体的に保障するためには、現在の独立採算制をやめるとともに、財投資金等の借入金による経営は全面的に改める。また、入山料等の国民への直接の負担収入確保目的の林野土地等の売り払いはやめ、公共性の発揮に必要な財源は国の一般会計から繰り入れて公共勘定とし、経理を明確にする。また、これまでの長期債務は、整理計画を立て国の一般財源をもって別途処理を進める、国有林野経営の公共性を貫いていくために、国有林野の管理経営は国が責任を持って直接行う、こういう内容の修正案を提出いたしました。  大蔵大臣も今指摘をされましたけれども、実は私どものこの修正案をお聞きになって実行されていれば——これを提案したのが一九八七年の時点なんです。このときの債務残高が一兆六千九百八十億円なんですね。だから、このときに財投の借り入れをやめておれば、そこから私どもは利息だけ計算し、大蔵大臣指摘をされましたように、この間の借入利息合計一兆六千二百八十五億円ということになるわけですから、ちょうどそのときの債務残高に匹敵をするということになるわけです。  ですから、本当にそのときにちゃんとやっていれば利息は要らなかった。ところが、高利の財投からずっと続けてきたものですから、この間、債務残高があれから倍に膨れ上がった、こういうことになるわけですけれども、大蔵大臣、このことについてはいかがでしょうか。     〔委員長退席、杉山委員長代理着席〕
  61. 中川昭一

    中川国務大臣 この後、大蔵大臣から御答弁いただければと思いますが、昭和五十三年以来過去四回にわたりまして改善計画をつくってまいりました。率直に申し上げて、いずれもうまくいかなかったわけでありますが、これはやはり急激な円高とか、あるいは景気がいいときもありましたし、オイルショックとかいろいろなこともありまして、予測不能な部分も多々あったということであります。そういう中で、特別会計は、原則というのはやはり独立採算でもってきちっとやっていくということが本来の一番あるべき姿ではないか、そこが出発点だろうと思うわけであります。  その中での四次にわたる計画でありましたが、三兆八千億円にも上るこの債務を何とか早急に抜本的に処理をしていかなければならないということで、今回初めて、一般会計に二兆八千億を承継し、そして一兆の国有林特会につきましても一般会計からの繰り入れも含めましてやっていくこと によって、五十年という長いタームではありますけれども、その中できちっと収支を、借金も含めてお返しをしていこうという計画に踏み切ったわけでありますから、二十年前にやっておけばよかったじゃないかというのは、ある意味では結果論ではないかと私は思っております。
  62. 中林よし子

    ○中林委員 大蔵大臣、もう一問して一緒に答えていただきたいというふうに思います。  実は今大臣が、二十年前にやっておけばねということで、それは結果論だと。私どもは指摘をしたわけですよ。やればこうなりますよということをもう一貫して指摘をしたのを、耳をかさなかった。まさに政府責任、そこにあると言わなければならないと思います。  これは、私ども日本共産党だけが言っているのではありません。この問題に一番深くかかわられた、一九八四年から八六年まで林野庁長官をなさっていた田中恒寿氏が次のように述べておられます。  国有林事業は赤字になり、それを利子の高い財政投融資で穴埋めするようになったのです。それでも独立採算であるから、借金を返済するために無理をして木を切らなければならない。切るべきでない若い木まで切らざるを得なくなり、切っている私たちも気がとがめました。日本の国有林の荒廃を招いた独立採算制は、実は、世界でもまれなものでした。天然林輸入がふえ、木材価格が低下しては、国有林野事業で高い金利の財政投融資の借金を返せるわけがありません。これまでは、返済能力に疑問を持っていても選択肢がない中で、財政投融資から借りるしがなかった。利子が利子を生んでどんどん借金が膨らんで、後輩たちに申しわけないという恐怖感を持ちながらみんなやっていました。返せるわけがないとだれもがのどまで出かかっても、当面のお金を借りるためには言い出せなかった。そんなことは大蔵省もわかっていたと思います。こう述べているわけです。  大蔵大臣、これまでの政府責任大蔵省責任、それについてはどのようにお考えでしょうか。
  63. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 それは、そう簡単には私はいかないと思いますね。  私も、林野のことは随分前からいわば頭痛の種でありましたから、多少のことを知っておりますけれども、独立採算である限り、やはり独立採算であるための努力というのは十分になされたのかということも申し上げなければなりません。  あるいは、今になってみると、もはやそういう状況の変化によって独立採算ということがある段階から無理になっていたということは私は言えるかもしれないと思いますけれども、独立採算である限りは、その合理化の努力というのはやはり十分になされなければならなかったのではないかということを、私は自分でこの会計をしたことがございませんので、第三者的であるかもしれませんけれども、経営改善計画等についてそういう感想を持ちます。政府も、しかし全くほうっておいたわけではございませんで、先ほども申し上げましたように、一般会計から次々繰り入れをいたしておるわけでありますから、ただ一方的に難きを強いたとは私は思いません。  その間に、さっき農林大臣が言われましたように、環境の変化がいろいろありましたが、この会計は、いわゆる国土の保全、環境とかいうことがございますから、やめてしまうわけにはいかない。経済的に苦しくても、やはりこれは持っていなければいけないというのが認識でございますから、そういう意味で、ここに来て、独立採算ということは放棄をせざるを得ないが、しかし、この仕事はやはり続けていかなければならないという判断になったというふうに私は思っておりますので、それはおっしゃいますように、資金運用部の金を早くどうかしてしまえばよかったとか、早く一般会計が全部とればよかったとかいうことは数字の上では言えますけれども、何らの努力が行われてこなかったということは全く事実と違いまして、随分努力一般会計としてもやってきたというふうに私は思います。
  64. 中林よし子

    ○中林委員 努力という面でいえば、四次にわたる改善計画が出されました。実は、この四次の改善計画で何が改善されましたか、大臣
  65. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 詳しくは農水大臣からお答えいただきましょう。
  66. 中川昭一

    中川国務大臣 四次にわたる改善計画では、今大蔵大臣もおっしゃいましたけれども、やはり国土を守る、あるいは材を供給するという基本的な視点に立ちながら、経営収支を、独立採算の特別会計でありますから、きちっとした経営状態に戻していくということでさまざまな努力、要員も随分縮小いたしましたし、また、いろいろと知恵を出して、もっと国産材を売れるようにしようとか、いろいろなことをやって、目的としては、収支を改善して、本来の国有林のあるべき使命を果たしていきたいというための努力を種々してきたつもりでございます。
  67. 中林よし子

    ○中林委員 結局、改善された部門というのは、国民の側からは何一つないと言わざるを得ません。それは、組織を縮小した、それから人員が、改善の始まるときは六万五千人の体制でした。それを五万人減らしました。今一万五千人。結局山から人を撤退させてきたわけでしょう。独立採算制であるがゆえに、本来国有林が守らなければならない国土の保全、あるいは自然を守る、酸素の供給、いろいろな意味合いがあるわけですけれども、そういうことは、どんどん人が撤退することによって実はおざなりになっているのが今の現状です。御存じですか。国有林はそうめん立ちをしている、民有林の方がよく育っている、一目瞭然だ、このようにも言われております。  この改善計画によれば、財務状況は去年で大体回復しておかなければならなかった。ところが、一番最後の四次の計画によると二〇一〇年に回復するんだ、こういう計画を、その都度その都度変えてまいりました。だから、結局四次の改善というけれども、改善された部門は、人を減らし、山から人を撤退させ、そして山を荒らしてきた、こういう結果だと思わざるを得ません。  そこで、私は、実は法案に沿って、今回の法案がさらに大変な状況になるという点をお話しさせていただきたかったわけですけれども、時間の関係でそれは省かせていただきます。結局、今回独立採算制は基本的にはやめる、一兆円だけ特別会計で残すんだ、こういうことになりますけれども、それとて五十年で返す当てはないというふうに私は思います。したがって、これまでの独立採算制が間違ったんだ、これは破綻したんだということは、今回法案を出される背景ははっきりしているというふうに思います。  そこで、国有林の持つ意味合いというもので、林野庁の試算でも、九一年度に森林の公益的機能を代替法によって評価をされておりますけれども、三十九兆円の値打ちがある、こういうふうに言っております。森林について、国民の八割が、森林は経済効率に合わなくても国土保全などの役割を重視して整備すべき、こういう回答をしております。だから、今言われたような財務状況だけ、経済効率、収益追求だけで国有林は語れない、こういうふうに思うのですね。だから、国全体の予算の中からむだを省いて、人も金も出して国有林はしっかり守る、これは、今材価の低迷にあえいでいる森林をめぐる全体の状況をよくして、二十一世紀の日本を、森林をしっかり守っていく、そういう方向になるんじゃございませんか。大臣、いかがですか。時間が来ましたので、大臣、御答弁してください。
  68. 中川昭一

    中川国務大臣 今回の計画は、人減らしと収益の帳じり合わせでは決してございません。本来の国有林のあるべき姿を、さっきも申し上げましたように、業務量の八割を国土の保全と、それからいろいろな、都市の人たちに山でいろいろと憩いのときを過ごしてもらうとか、そういうような機能を中心的にしていこう。  先生御指摘のように、ある試算によると、森林の果たす公益的機能はお金に換算すると三十九兆円という試算も私も存じ上げておりますけれども、今回も大雨がありましたけれども、あくまでも治山であり、造林であり、そして林道整備、林 道も林産関係の道ではなくて、まさに生活道路としての位置づけも高いわけでございますから、そういうものを充実をさせていき、そして公益的機能を果たしながら、しかし一部では木材販売等の役割も残していくということが主目的でありまして、それを、きちっとした自助努力をぎりぎりまでやっていくことによって、結果的に五十年で一兆円の債務を含めてきちっと収支とんとんになっていくというのが今回の計画でございます。
  69. 中林よし子

    ○中林委員 質問の時間が参りましたので終わりますけれども、私どもは、今回の法案は今大臣がおっしゃったその方向に逆行しているのだということで、法案の撤回を求めて、終わります。
  70. 杉山憲夫

    ○杉山委員長代理 伊藤茂君。
  71. 伊藤茂

    ○伊藤(茂)委員 幾つか質問をさせていただきます。  私の気持ちをまず一言だけ申し上げたいのですが、同僚の議員の皆さん、真剣な議論を闘わせておられます。それらを伺いながら思うのですが、この国鉄債務林野債務、巨額に上る深刻な状況でございまして、質問される方々のお話を伺っておりましてもこれは共通だと思いますが、先送りは許されない、何とかここでしなくてはならぬというのが今置かれている状況だと思います。同時に、率直に申しまして、今政府から出されていることで関係者あるいは与野党を含めた全体の理解と合意が得られるかとなりますと、これも非常に難しいという状況だと思います。  実は、私どもの党も、この原案づくりの作業の段階のときには与党でございましたから、さまざま参加をさせていただきました。まあ頭の痛い議論を随分やったという思いでございます。同時に、私どもの考えから見て幾つか問題が残されておりますので、それらのことは、政府が法律を閣議決定し、国会提案をする時点で書面で明らかにいたしまして、たしか当時の与党三党の政策責任会議のサインを入れた合意という形で六項目確認をしている。それらのことを審議の中でどう深め、また合意をしてやっていくのかということが大事なので、その時点では賛否は留保しますという扱いになっているわけであります。もちろんですが、この間、与党であった期間の問題、また、私も短い時間でしたが運輸行政を担当させていただきまして、それらのことについての政治家としての責任を免れるつもりはございません。  と同時に、やはりこの段階ですから、もう時間との競争みたいな面もあるわけでありまして、そういう面では、真剣な議論とまた真剣な協議などの努力を通じて理解の得られるいい結論が出るように、経過なども振り返りましてそんな思いを深くしている次第でございます。そういう気持ちを前提にしながら、短い時間ですからたくさんのこととはまいりませんので、三大臣に一、二点だけずつ御質問をさせていただきたいと思います。  まず、大蔵大臣に伺いますが、金融特別委員会やらルービンさんとの会談やら、いろいろなことでまことに御苦労さまなことだと思いますが、二つ伺いたいのです。そのうちの一つは、この原案をつくる議論の中で、大論争といいますか、非常にこれも難しい議論だったのですが、これらの局面を打開するための財源について幾つかの柱を立てた議論がございました。その中の一つに特定財源の問題がございまして、私もメンバーの一人で議論したのですが、ついに結論が出ないということになったわけでありまして、努力不足を含めまして実は振り返るわけでございます。     〔杉山委員長代理退席、委員長着席〕  私は思うのですが、これから考えますと、後ほど運輸大臣にも見解を伺いたいと思いますが、やはり総合交通政策あるいは総合交通会計と申しましょうか、一挙にそういうスキームになるかどうかは別にして、そういう視点を真剣に考えなければならないというのがあると思います。  と同時に、財政構造改革法の問題がございます。凍結とか、いや廃止とか、何かいろいろな議論もあるようですが、そんな概念では困るので、今は景気対策と経済活性化に全力を挙げなくてはならぬ。しかし、これから先そう遠くない時期に、先々どうするのかということは真剣な議論をしなければならない。その真剣な議論一つにやはり公共事業改革もあると思います。  私は、この前の財政構造改革法というのは、何か一歩をつけたというだけで、本当の意味での二十一世紀時代にあるべき発想というものを全面展開したというには残念ながら至っていないという気もするわけであります。したがいまして、これから先の国家的、国民的な課題を考えますと、廃止とか凍結とかという言葉で言われているというのはいかがなことかなという気もいたします。そういうことを考えますと、二十一世紀時代の日本の国づくり、その目標もやり方もいろいろなことを含めて新しい発想を出さなければならない。こういう意味で、何も道路、公共事業の否定論ではもちろんございませんから、大事な事業を効率的にするというのは当然のことでございますから、そういう視点からそういうものを考えていくということが必要ではないだろうか。  これは、この議論のございましたいわゆる根雪論、新雪論の根雪論にかかわることかもしれませんが、そういう視点を持ちながら、やはり何かここで決めて、これから三十年あるいは六十年これでやるんだという視点と知恵の出し方というものを考えることが必要ではないかというふうに思いますが、いかがでしょう。
  72. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 まず、この案の作成の段階におきまして、伊藤委員から財政改革会議の本委員会あるいは企画委員会におきまして、大変貴重な御意見をいただいておったことをお礼を申し上げたいと思います。そのお立場から、でき上がりましたものが必ずしも十分ではないということでございましたら、それは私どもの努力が足りなかったと申し上げなければならないかと思いますが、まず御参加をいただきましたことを感謝いたします。  そして、この問題を検討していただいている中で、いろいろな財源議論になりました。揮発油税であるとか自動車重量税であるとか、いわゆる目的税的なものを全体としてこの際取り入れることはできないかということは、大変に魅力のある、しかも意味のある考え方ではございましたが、何といっても今のように、既得権と申すと言葉が悪いかもしれませんが、はっきりそれらのものは使途が決まっておって、こういう新しいことに投入することには大変な抵抗がございました。  そういうことの中で、しかしそれだったら、総合交通政策というものがあって、そういう総合交通政策の中で片っ方にニーズがあり、片っ方にいろいろな財源がある、それを両方総合的に考えるべきではないかという御意見がございました。  それは、普通に考えますと、まさにそうあるべきであろう。ただ、一種の既得権化しております現状の中でそういう財源を新しい立場から見直して配分をしていくということには、国民理解納得と申しますか、もう少し率直に申せば、そのおのおのの分野における携わっておられる方々の総合的な理解納得というものがやはり必要であろう。しかし、今回も、こういう法案を御審議いただいているときに、なぜたばこが登場するのか、なぜ郵貯特会が登場するのかということは、もっともっと広い立場から全体の問題が検討されて結論が出ておればということを、確かに御批判としてはそういうことを言っておられるのではないかなということは私も思っております。
  73. 伊藤茂

    ○伊藤(茂)委員 運輸大臣、この点はいかがでしょうか。宮澤さんが既得権化している現実という表現をなさいましたが、私ども、現実政治ですから、現実の経過があるのは事実です。では未来に向けてどうするのかということを政策的にやはり冷静に掘り下げてやらないと、二十一世紀時代を語れないという現実だと思います。  行革基本法では国土交通省。私のときにも、同じ建物の中に運輸省、建設省一緒ですから、また、同じ党の友人でしたからしょっちゅういろいろな議論をいたしましたし、また、これから先総合的な交通のあり方、道路も含めてどうなのか、局を超えて課長さんに集まってもらって自由討論会を 時々やったり、いろいろなことをやって楽しい思い出がございますけれども、やはり陸海空、さまざまですね、いずれにしたって、行革基本法からいっても、そういう意味での発想の努力というものを次の時代考えなくちゃならぬ、そうでないとさまざまな問題が出る。そういう議論があって、宮澤さんがさっきおっしゃいましたが、この問題についての各界の議論の中でも、交通問題についての経過、十一年前の経過、その間の責任はいろいろとございます。現実に発生して借金が雪だるま式に大きくなったわけですから、それはございます。それらの率直な反省なども含めて、何か新たな発想でもって、また、国民的な合意が得られるいい方法ではないかという提言もいろいろとございます。一挙に今すぐここで決められるかどうかは私は決断がつきませんが、そういう意味でのやはり努力の方向で国民皆さんの大方の御理解がいただけるようなことを、これからやっていく問題意識というものは持たなければいけないのじゃないかと思うのですが、川崎大臣、いかがでしょうか。
  74. 川崎二郎

    川崎国務大臣 行革の議論を今伊藤委員がされましたけれども、まさに、昨年でしたでしょうか、私は、情報交通省をつくるべきという論陣を張っておった一人でございますけれども、与党の最終段階での議論、伊藤委員がその責任者として入られ、国土交通省を決定された、このように理解をいたしております。そのときの議論として、今、新交通政策、これをきちっとやり遂げるには、我々は、運輸省、建設省、お互いに窓口を開きながら議論をしておるとは思っておりますけれども、しかしながら、やはり一つの省になって、その中で総合交通政策というものを立てて、それをより効率的にやっていくべきだ、こういう理論構築の中で国土交通省というものはでき上がったと思っております。今まさにそれを現実に法律にすべく努力をいたしているところであります。  そういう意味では、総合交通政策をよりわかりやすく早く打ち立てて、空港と道路の問題、また鉄道の問題、国民に訴えろという御指摘であろうと思います。大きな課題として十分努力してまいりたい。  ただ、特別会計議論ということになりますと、もう私も何遍も答弁いたしておりますけれども、負担者である自動車を運転される方、そしてその負担によって道路がつくられておる、国民にはある意味でわかりやすいという議論もあるように思っております。そういった面で、十分勉強はさせていただきたいと思っております。
  75. 伊藤茂

    ○伊藤(茂)委員 お二人の大臣から与党時代のあれを言われますと、ちょっと私も悩ましいのですが、今は野党のポジションにございますので、野党間の協議にも誠実に対応しながら打開の努力をすべきではないかというふうに思っているところでございます。  また、川崎大臣がおっしゃいましたが、私も前に、ドイツの国鉄総裁でしたか、責任者などとお会いしましていろいろな議論をいたしまして、ああゲルマンらしい本当に合理的な方法だなというふうに思いました。やはり大きな転機にある日本ですから、そういう道筋を広く考える、そういう中でこういう悩ましい問題も考えていく視点も私はもっとお持ちになるべきではないだろうかというふうに思っているわけでございます。  大蔵大臣一つ伺いたいのですが、たばこの問題でございます。先ほど申し上げました三座長合意の中に、たばこ特別税の創設に際して、「たばこ生産、たばこ販売等、関係者にしわ寄せが生じないよう遺漏なきを期すること。」最終、何か、閣議決定させていただきますというときにもこの趣旨のことを実は確認をした経過がございます。  社会的には、スモーキング対ノースモーキング、大きな議論でございまして、人類とたばこのつき合いがあと一世紀あるのかどうなのかわかりませんが、いろいろな意味でこれは社会的に議論なされるべきことでございます。それは別にして、やはり話の筋として一体通るのか通らないのかという意味ではまことに疑問があるわけでございまして、JTとJRと双方関連する気持ちだろうというふうに私は思います。まとめるときにそういう経過確認などございましたが、これらについて何か具体的に方策かお考えかあるでしょうか。
  76. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 この問題を財政改革会議審議しております過程並びに結論におきまして、幾つかの文書が残されております。  一つは、この問題についての三党の、三座長の合意、山崎、秋葉、水野の合意がなされております。「たばこ生産、たばこ販売等、関係者にしわ寄せが生じないよう遺漏なきを期すること。」という趣旨がございます。  また、財政構造改革会議の企画委員会の十二月十七日の会議におきまして、加藤座長は、「タバコについては、与党三党としてもJT、耕作者、販売業者への配慮を行うよう改めて政府に対し要請する。」となっております。また、JR追加負担につきましては、「未解決であるが、運輸大臣には最後最後まで努力していただきたい。しかし、全体のスキームを崩すわけにはいかない。」云々というようなことになっております。  ですから、この会議の意思、殊に伊藤委員の今おっしゃっていらっしゃることは明らかに文書として残っておりますから、その後の政府の作業におきましても当然私どもが配慮をしなければならない問題でございました。それが結果として十分であったかなかったかということになりますと、必ずしも十分であったとは申し上げられないかもしれません。  しかし、かなりいろいろな考え方の中から、結局たばこというのは嗜好品である、余り景気に消費が左右されない、また、価格に占める税の割合も漸減にあるといったようなことから特別税を導入することになりまして、値段を上げるわけですから、どうしたってそう皆さんが喜んでいただけるような話にはなりませんのですけれども、耕作者あるいは販売者等々には、いろいろ価格の上で政府なりの配慮をいたしたつもりではございます。  また、郵政につきましては、郵政事業が比較的順調でございますし、また将来もあるということでございますから、郵便局あるいは銀行間の相互送金であるとか、民間金融機関とのATM、CDの相互利用の実現等々、そういう意味ではこれからも支援をしていく道がいろいろにあるだろう。また、独立採算ではございますが、貯金者の利便を確保していきながら健全な経営ができるだろう。これは、いろいろな意味でこれから支援をすることがあるのではないかというふうに思っています。どっちにいたしましても、税金をふやす、あるいは積立金をもらうということでございますので、喜んでいただく問題ではないことは確かでございますが、あのときの企画委員会等々の御意向は、とにかく一生懸命何かしなければならないという気持ちでは作業をいたしてまいりました。
  77. 伊藤茂

    ○伊藤(茂)委員 宮澤さん、いたしてまいりましたと過去形ではなくて、本当に努力はこれからも進行するわけですから、過去形ではなく、将来志向も含めまして、そのお考えをやっていただきたいと思います。  もう時間ですから、農水大臣、一言だけ伺います。先ほども何か同僚議員の議論がございましたが、長い長い苦労した苦労した経過があって、国有林野の問題はずっと続いてきました。長い議論であり、関係者は本当に真剣な議論をしてまいりましたし、労使間でも非常に汗を流して努力をしてきたというのが経過だと思います。この際、やはり何か先の展望が出る節目にしなくちゃならぬというのが今置かれている政府責任であり、また政治責任でもあろうというふうに思います。そうなりますと、これから、国有林野会計独自のさまざまな負担の展望の問題、何としましても、いろんな意味で節目となる新しい知恵を絞らなくちゃならぬ。  私の持論なんですが、やはり国民資産ですから、私ども都市の市民からしたら、緑、山なんというのは貴重な魅力ある大事なものですから、もっと国民的に活用できる、しかも経理にはプラ スする、それを審議会とかなんとか役所の中で考えるんじゃなくて、やはり有識者から広く集まってもらって、いろいろな提言をいただくとかいうことをオープンに、大胆にやるとかを含めてやるべきではないだろうか。その間に、当然ですが、私ども長年言ってまいりましたが、労使関係も大事ですから、労使の合意ということを大切にやるようにという気持ち、希望をしたいのですが、いかがでしょうか。
  78. 中川昭一

    中川国務大臣 今の伊藤先生の前段のお話は全くそのとおりでございます。今回の災害も、山で大雨が降って都市部で大被害、特にごみがぼわっとたまっちゃったというような事態なんかを見ても、川上、川中、川下一体となってきちっと整備をしていかなきゃいけませんし、また、山のことは山のことだけでじゃなくて、国民的な理解と協力、また国民にとっても非常にプラスになるような山づくりというものをこれからも十分配慮をしていきたいと思います。  この法律を御審議を通じ成立をさせていただきますならばその作業を進めていくわけでありますけれども、その大前提には、労使関係というものに十分配慮をいたしまして、組合の皆さん方とも論議を尽くし、十分意思の疎通を図って、ともに同じ目的に向かって進んでいけますように、先生にも御指導いただきました合意もございますので、それを十分踏まえて頑張っていきたいと思いますので、よろしく御指導お順いいたします。
  79. 伊藤茂

    ○伊藤(茂)委員 時間ですから終わらせていただきますが、冒頭申し上げましたように、いずれにしろ重要な問題です。今のままでは合意と国民理解は難しい。どうするのか。私どもも置かれている立場で、突っ込んで思い切った真剣な努力をしたいという気持ちだけ申し上げまして、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。     —————————————
  80. 大原一三

    大原委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  各案件審査のため、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選、日時等につきましては、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  81. 大原一三

    大原委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時四十四分散会