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1998-09-04 第143回国会 衆議院 日本国有鉄道清算事業団の債務処理及び国有林野事業の改革等に関する特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十年九月四日(金曜日)     午後二時三十八分開議 出席委員   委員長 大原 一三君    理事 赤城 徳彦君 理事 衛藤 晟一君    理事 杉山 憲夫君 理事 牧野 隆守君    理事 小平 忠正君 理事 佐藤 敬夫君    理事 宮地 正介君 理事 江崎 鐵磨君       大石 秀政君    岡部 英男君       奥山 茂彦君    木村 隆秀君       久野統一郎君    小坂 憲次君       佐藤  勉君    阪上 善秀君       桜田 義孝君    実川 幸夫君       下村 博文君    田村 憲久君       中谷  元君    萩山 教嚴君       細田 博之君    山本 公一君       渡辺 具能君    渡辺 博道君       安住  淳君    北脇 保之君       木幡 弘道君    今田 保典君       永井 英慈君    細川 律夫君       吉田 公一君    赤羽 一嘉君       長内 順一君    木村 太郎君       一川 保夫君    鰐淵 俊之君       中林よし子君    平賀 高成君       伊藤  茂君    中田  宏君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 宮澤 喜一君         農林水産大臣  中川 昭一君         運 輸 大 臣 川崎 二郎君  出席政府委員         大蔵省主計局次         長       寺澤 辰麿君         林野庁長官   山本  徹君         運輸省鉄道局長 小幡 政人君  委員外出席者         衆議院調査局日         本国有鉄道清算         事業団債務処         理及び国有林野         事業改革等に         関する特別調査         室長      長尾 正和君     ————————————— 委員の異動 九月一日  辞任         補欠選任   秋葉 忠利君     伊藤  茂君 同月四日  辞任         補欠選任   江渡 聡徳君     佐藤  勉君   河井 克行君     奥山 茂彦君   藤井 孝男君     小坂 憲次君   渡辺 博道君     田村 憲久君   北脇 保之君     安住  淳君   永井 英慈君     吉田 公一君   西川太一郎君     鰐淵 俊之君 同日  辞任         補欠選任   奥山 茂彦君     桜田 義孝君   小坂 憲次君     藤井 孝男君   佐藤  勉君     江渡 聡徳君   田村 憲久君     渡辺 博道君   安住  淳君     北脇 保之君   吉田 公一君     永井 英慈君   鰐淵 俊之君     西川太一郎君 同日  辞任         補欠選任   桜田 義孝君     河井 克行君     ————————————— 九月四日  日本国有鉄道清算事業団債務等処理に関す  る法律案JR追加負担撤回に関する請願  (肥田美代子君紹介)(第一三三号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  日本国有鉄道清算事業団債務等処理に関す  る法律案内閣提出、第百四十二回国会閣法第  四六号)  国有林野事業改革のための特別措置法案(内  閣提出、第百四十二回国会閣法第四四号)  国有林野事業改革のための関係法律整備に  関する法律案内閣提出、第百四十二回国会閣  法第四五号)  森林法等の一部を改正する法律案内閣提出、  第百四十二回国会閣法第七八号)  地方自治法第百五十六条第六項の規定基づ  き、東北森林管理局及び関東森林管理局設置  に関し承認を求めるの件(内閣提出、第百四十  二回国会承認第二号)  一般会計における債務承継等に伴い必要な財  源の確保に係る特別措置に関する法律案内閣  提出、第百四十二回国会閣法第四三号)      ————◇—————
  2. 大原一三

    大原委員長 これより会議を開きます。  第百四十二回国会内閣提出日本国有鉄道清算事業団債務等処理に関する法律案国有林野事業改革のための特別措置法案国有林野事業改革のための関係法律整備に関する法律案森林法等の一部を改正する法律案地方自治法第百五十六条第六項の規定基づき、東北森林管理局及び関東森林管理局設置に関し承認を求めるの件及び一般会計における債務承継等に伴い必要な財源の確保に係る特別措置に関する法律案の各案件を一括して議題といたします。  質疑の申し出がありますので、願次これを許します。佐藤敬夫君。
  3. 佐藤敬夫

    佐藤(敬)委員 きょうは、大蔵大臣訪米ということでございまして、こういう変則的な時間になりましたが、大変でございますがどうぞよろしくお願いを申し上げます。  しかし、八月三十一日のこの前の委員会だったのですが、実は、この委員会で最後のところが、大変委員会として緊張感の欠ける行動があったわけです。赤城委員質問、これには小渕総理大臣答弁は要らない、しかし、どうぞ後の防災会議がありますので御退席ください、ついでのところで大蔵大臣運輸大臣もどうぞと言ったら、これは冗談でありますが、宮澤大蔵大臣は、総理どうぞと言ったら、宮澤大蔵大臣の方が何か立ち上がるのが速いぐらいのスピードで実は退席をされました。  これは、この議事録を見まして、委員長理事会にもあるいはここにも諮っていないのですね。したがいまして、これはやはり委員会の仕切りは委員長職権とはいえども、この法案提出大蔵運輸農林という三省庁にまたがるわけでありまして、これは本当に注意をしていただきたい。  また、ここの中でこういう緊張感が途切れることが、あの日経新聞の社説のように、この委員会運びが前国会から与野党の怠慢で何にも進んでいないじゃないか、どう思っているのだなどという社説が出るような感じになってしまうのだと思うのですね。これは、三大臣から、この重要法案に対する認識を一人ずつお答えをいただきたいというふうに思います。この法案をどういう重要な法案だと思っているか、お答えをいただきたいと思います。まず、宮澤大蔵大臣からどうぞ。
  4. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 ただいまのことは、そういうつもりでございませんでしたので、大変失礼いたしました。  この法案は、殊に国鉄につきましては、一種の日切れのような感じのものでもございますので、長年の問題をここで、ひとつ国会の御審議を経て片づけさせていただきたいというふうに考えておりますので、私どもにとりましては、この国会で御審議中の法案の中で最も優先度の高い一つでございます。
  5. 川崎二郎

    川崎国務大臣 おしかりをいただきましたけれども、しっかり受けとめて、緊張感を持って頑張ってまいりたいと思います。  今大蔵大臣から御答弁のように、極めて重要な法案でありますし、十月一日ということで、清算事業団の解散の法案として提案をいたしているところでありますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
  6. 佐藤敬夫

    佐藤(敬)委員 たまたま中川農林大臣答弁をする必要があって残っておりましたので、しかし、この法案に対するお考え方をひとつお示しをいただきたいど思います。
  7. 中川昭一

    中川国務大臣 私ども国有林野改革関連法案につきましては、何としても十月一日から円滑に施行できますように、委員会での御審議をよろしくお願いいたしたいと思います。
  8. 佐藤敬夫

    佐藤(敬)委員 それでは、質問に入らせていただきます。  宮澤大蔵大臣の今国会での御答弁が、これまでの長い、宮澤大蔵大臣の姿をずっと、私も当選して十年にしかならないのですが、見ていて、あるいはマスコミ評論も、今回でのこの変身ぶりというのは一体何だ、とても自由で率直な御答弁が続く、こういうことで、特にこの間の経済誌の中で、大臣と大変身近の方がこんな評論を書いておるわけであります。  それはまさしく、「国会論戦を聴くと、宮沢蔵相の自由で率直な発言が目立っている。」余り質問時間がありませんので、八月十九日のある新聞に載った記事では、「大蔵省が適切な金融行政をしてこなかったという批判はそうだと思う。迅速な処理ができる機関であればよく、国会で十分な審議のうえ修正できればと思っている」。これを聞いて後ろ大蔵政府委員人たちが跳び上がったというところまで書いてある。「この発言は、金融行政独立機関に任せてもよいという趣旨だ。」こう解説もしているわけであります。  私は、やはりこの論調と同じように、この国会は本当にバブルの総括と行政責任の追及にある。ですから、この時期に首相、大蔵大臣を務めた方々が政治責任をはっきりと認める、そこから行政の役割というものに対しても責任を追及していく。この姿がきちんと見えないと、これからのあらゆる、金融特の問題であっても、すべての問題が、国民にとってまた不透明な状態をつくっていく、信頼を失っていく、こういうことになっていくのだろう、こう思っておるのです。大蔵大臣、難しい顔をしないで、褒められているのでありますから、少し明るい表情で対応していただきたい。  それで、きょうは一般でありますから、訪米をされます、アメリカへ参りましても自由で率直なお話をされてこられるのかどうか、できれば、どういうお気持ちで臨むのかということをお聞かせいただければありがたいと思います。
  9. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 就任いたしましてほとんどすぐに、ルービン財務長官から一遍話をしておきたいということがございまして、その結果がこの週末ということになったわけでございますが、基本的には、両方の考えでいることを話し合おうという、特に、この際何かの問題を解決するというようなことは考えておりません。  ただ、幸か不幸か、まことにたくさん問題がまた新しく出てまいりましたから、我が国のこれからの経済回復の道行きについて、政府考えております諸施策が話の一つになることはもう当然でございますけれども、と同時に、東南アジアあるいはロシア、またアメリカ経済についても、ちょっと今見えます変調はこれは一時的なものであるかどうかというような、そういうことにつきまして、結論はもちろんございませんが、お互いの意見交換をいたしたいというのが主たる目的でありまして、お話のように、率直に話をいたしてまいりたいと思っております。
  10. 佐藤敬夫

    佐藤(敬)委員 どうぞひとつ、お帰りになって、また国会でその経過の御報告をかみしめてお伺いしたいと思っております。  立て続けに大蔵大臣でございますが、特に国鉄長期債務の問題につきましては、六十二年の四月に、いわゆる再建という一つの大きなスキームの中で、三十七・一兆を六、四に、JRが十四兆五千億、そして後を引き継ぐ清算事業団が国の責任において二十二・六兆という大きなスキームをつけて、この解決に今日まで来ているわけであります。十年たってみますと、少なくとも、JRが抱えた十四兆五千億というものは、さらに一号債務、二号債務、三号債務を背負いつつも、八兆の金利を支払い、そして元金も処理をしながら今十年たった姿を見ると、間違いなくこれは普通の長期債務、こういうふうに見えるわけであります。  しかし一方、清算事業団という団体の仕組みを見ますと、まさに十年たってみたら、土地、株を売りつつ、最終的には国民皆さんに十三・八兆ぐらいの負担お願いをしなければならぬ、こう言いつつも、実はこのスキームが完全に壊れている、完全にこの清算事業団の方は普通の長期債務どころじゃない、約束したことすべてをほごにして、逆に当初よりもふえているぐらいのことになっているわけであります。  長く総理大臣やあるいは大蔵大臣を経験されて、この一連の流れの中で、昭和六十二年から平成九年までのこの国鉄長期債務における姿をどう大蔵大臣として分析されておられるか、お伺いしたいと思います。
  11. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 詳しいことは、また要すれば政府委員から御答弁をいたしますが一私が見ておりまして、当初はああいう不動産に対する国内の需要は非常に大きゅうございましたし、また価格も高騰しつつございましたから、あれだけのものを持っていれば、これは債務を完済して、あるいはおつりが来るかもしれないようなことを言われる方もあったぐらいで出発をしたわけでありました。  ところが、その後に非常な、今度はバブルがはじけるというようなことになっていく段階の中で、比較的早い時期に何とか地価を抑制したいという気持ちの中から、買い手も当時はあったわけでございますから、事業団不動産を売ることによって、レコードのような価格がいわゆる顕在化すれば、これはさらに土地ブームあるいは土地投機に輪をかけることになるであろうというような心配のもとに、事業団財産処分をいわば自粛してほしい、あるいはさらには、なるべくやらないでほしいというようなことになりました。  これは、国のそういう土地対策地価対策として起こったことで、恐らく当の事業団にとっては極めて迷惑なことであったに違いありません。持っている土地が、殊に目抜きの土地が多うございますから、余計そうであったろうというふうに思いますので、そのことがもしなかったとすればというのは難しい仮定でありますけれども、しかし、これによって事業団の資産の処分が極めて難しい状況になって、そして今日のこういう状況に到達した、そういうふうに見ております。
  12. 佐藤敬夫

    佐藤(敬)委員 それでは、事業団の十一年間の支出具体的内容大蔵の方で明らかにしてくれませんか。支出額は当初計画に比べてどうなっておるのか、大まかなところで結構です。そしてまた、これは運輸省じゃなくて大蔵の方に実は引き続き聞きたいんですが、債務増加最大要因は何だと思っておりますか。大蔵としての感覚をお聞きしたいんです。
  13. 寺澤辰麿

    寺澤政府委員 お答えを申し上げます。  具体的な清算事業団支出中身につきましては運輸省から御答弁いただいた方がよろしいかと思いますが、先ほど先生御指摘の、清算事業団国鉄から承継した債務及びその時点での十三・八兆の国民負担とされた物の考え方を若干御説明させていただきますと、御指摘のとおり、全体の国鉄債務のうちで二十五・五兆円を事業団承継をいたしました。この時点土地株式を売ったならば幾らで売れるだろうという計算をした残りが、国民負担として十三・八兆というふうに計算されました。  これは、御承知のように六十二年四月の時点ですべての土地が売れ、すべての株式売却をされたということで計算をされたものでございますが、その後、土地株式売却等に約十年を要し、まだ株式は全部売れておりませんが、その間に毎年おおよそ一兆円の金利の発生がある、それから年金負担等が新たに追加される等々の状況があった結果、現在のような姿になったというふうに理解をしております。
  14. 佐藤敬夫

    佐藤(敬)委員 いいですよ運輸省は、後で聞きますから。  そうしますと、今の寺澤さんのお話ですと、やはり当初計画の中に時間というもの、これを当然織り込んで計算はしていったわけですね、当初計画を立てるときに、何年までにこうしますと。ただそれが延びたということですか。——いいですよ、時間がかかるようでしたら。  要するに、いつどのように売却されるかとか、そういう計画を立ててきたけれども、時間もあったと。しかし基本的には、私は、これは最大理由というのは、やはり国鉄の二の舞をやってしまった、債務増加最大要因というのは、金利負担雪だるま式にふえたということに尽きるんじゃありませんか。  地価高騰問題に対処するために土地売却を見合わせたとか、収入が入らなくなったことが致命的だったということも、それも事実でしょう。しかし、土地売却を凍結している間、債務増加しないように財投金利を棚上げするとか、金利分をすべて補助金によって手当てをするなどの策を講じておくべきだったということは、これまでのいろいろな委員質問の中にも、皆さんの反省の中にもあるわけです。  では聞きますが、当時政府はただ手をこまねいていたのではない、こうおっしゃっておりますが、何か効果的な施策とか、この間の事業団補助金の額はどうなっています、売れない間にどんどん減っているんじゃありませんか。できたら補助金の毎年の、具体的に何ぼ出したかというところを具体的に明らかにしてみてください。十年間ですから。
  15. 寺澤辰麿

    寺澤政府委員 お答えを申し上げます。  先ほどちょっと時間がかかりましたので、その問題も補足させていただきたいと思います。  御承知のように、六十二年十月に、地価対策を行うということで、清算事業団の用地については競争入札を差し控えるという決定がされたわけでございます。そういうことを踏まえて、平成元年の十二月の閣議決定におきまして、いろいろ地価対策に配慮しつつ、しかしながら土地売却を促進する、そういった土地処分促進策によりまして、事業団土地処分については、平成九年度までにその実質的な処分を完了する、終了するというふうに決められたところでございます。  次に、毎年の清算事業団に対します国庫補助金額でございますが、六十二年度——毎年のを全部読み上げた方がよろしゅうございますか。(佐藤(敬)委員総額でいいです」と呼ぶ)総額でよろしゅうございますか。
  16. 佐藤敬夫

    佐藤(敬)委員 今申し上げた、本来は補助金である程度のところを思い切って出していかなきゃいけないところを、逆に、そういう状況になっているにもかかわらず、どんどん補助金の率は下がっているんじゃないのかということを聞いているんです。
  17. 寺澤辰麿

    寺澤政府委員 御指摘のように、六十二年度当初予算におきまして千六百六十八億円でございました。平成九年度におきましては四百一億円というふうに下がっておりますが、その間、昭和六十三年、平成元年には補正予算で追加したりいたしておりまして、この間、合計で一兆六千三百四十三億円の補助金を交付しておるところでございます。
  18. 佐藤敬夫

    佐藤(敬)委員 ですから私は、まだまだこれから大きな問題はたくさんあると思うんですが、債務増加しているにもかかわらず、補助金が毎年減少していったということの、いわゆるそのことは、政策として誤っていたんではないのか。ここでもう一度政府委員答弁お願いいたします。
  19. 寺澤辰麿

    寺澤政府委員 お答えを申し上げます。  毎年度の予算におきましては、補助金の額を決定するに際しまして、運輸省要求を受けましてその議論をするわけでございますが、それぞれの年におきます要求の中で、例えば株式売却が、JR各社上場基準に達し売却が見込まれる、そのことによって売却収入があるというような理由、それから土地ではこれぐらい売れるということで、債務が増大するような予算の中での査定をしているわけではございません。  しかしながら、結果としてJR株式売却ができなかった、土地予算で見込んだほど売れなかったということがあったことは事実でございます。
  20. 佐藤敬夫

    佐藤(敬)委員 いや、ですから、いつもそうなんですけれども、確かにそれは、土地とか株とかこういうものを処分するときに、自分が十年で売ろうと思ったけれども二十年かかっちゃうとか、あるいはストップして売れないとか、あるいは運輸省が売らせないとか、いろいろなこともこれはあるでしょう、市場も相手があるわけですから。だけれどもそれは、運輸省がそういうことを予測していろいろな補助金対応をしたけれども、現実振り返ってみれば、政策的にはそのときに、例えば借りかえをしたり、あるいは金利の下がる方法を考えたり補助金手当てをきちんとしておけば、今よりはもう少しましな形があったんじゃないか。だから、振り返ってみたらその政策がやはり間違ったということは事実じゃありませんか。もっと真剣な運輸省大蔵議論をしなきゃならないということじゃありませんか。  それから、私は閣僚をやったことがないのでわかりませんが、大蔵大臣閣議決定というのはどのぐらい日本のいわゆるこの行政仕組みの中で大きな意味を持つものですか、閣議決定ということは。
  21. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 我が国の国の歩みの中で行政がどれだけの影響力を持っておるかということはとにかく一応おくといたしまして、行政の中では、一つの事案が閣議決定に至りますまでの間には御承知のように次官会議というものがございます。その前段階で各省庁の間で調整が行われるわけでございますので、そういう意味では、一つの問題についての行政の最高の意思決定というふうに私ども考えております。
  22. 佐藤敬夫

    佐藤(敬)委員 運輸大臣にお伺いします。  さっきちょっと申し上げたんですが、八月二十七日の日経社説に、この長期債務審議を急げ、そしてまた、このことがずっと前国会から行われないでいるのは与野党の怠慢だ、こう書いてあるんですね。大臣は前に、私も存じ上げておりますが、自由民主党国会対策筆頭をやっておられて、この長期債務処理委員会運びについては十分かかわりがあったと思っておるんです。私は、野党は絶対に怠慢ではなかったと思っておるんです。この法案を、国対を通じ議運を通じて何度、一番早期に大事な問題だから委員会審議すべきだということは、恐らく大臣、ちょっとこの前のことでありますから御記憶にあると思うんです。  むしろこのことが今日まで、この臨時国会でさえ私は、この長期債務林野国鉄長期債務をかけるための大事な臨時国会だ、こう認識しておったら、また金融特が入りまして、今日のような後ろが、今さっき大臣が答えて十月一日には大変なことがありますからどうぞ早くやってくださいと言っても、さっぱり審議が進まない。そのときに、たしか運輸大臣に就任をされて官邸で御答弁だったか、どこかその辺の時期だったと思いますが、大蔵大臣の日程がとれないんで実はおくれたということをたしか言っておられましたね。そうでしょうか。  私どもは、例えば今度のことだって、やはりこれは、与野党を問わず大事な大事な法案だ、どうにかして林野の問題にしろ国鉄の問題にしろこの限られた時間の中で十分審議をして、そして本当の意味での、これは政治ロジックとか政党のロジック、あるいはもう一つ大蔵大臣も今度アメリカへ行けば、日本政府国際市場はどう見ているか、そういう意味からいって、市場ロジックというものを踏まえてこの法案をどれだけ大事に我々は審議を進めようとしてきたか。そのことをあなた自身がお考えになられたら、本当に、むしろ野党側の方が緊張感を持ってこの法案をどうすべきかと積極的に進めていても、現実に自由民主党対応は悪い。私はそういう認識なんです。  その意味で、私は日経に参りまして、記者クラブに行って、これは与野党の怠慢でこういう状況になっているんじゃない、むしろ与党の側のこの法案処理中身がさっぱり、これだけ運輸省だって国鉄長期債務の問題について平成八年の三月からずうっと議論しているじゃないですか。そしてその間いろいろな発言がありますよ、後から質問しますが。十二月の二日に運輸大臣が、JRの七社へ決まって、その後財政構造改革会議等々で強引にJR負担みたいな話が決まって、その辺の中からどうも自民党の中が怪しくなっているじゃありませんか。総務会やっても何やつても、これだけ筋を通そうという人たちの声がきちんと外にまで出て聞こえてきている。  ですから私は、何を申し上げたいかというと、与野党の怠慢でこの審議が進まなかったんじゃない。また、大臣自民党国対筆頭をやっておるときに、大蔵大臣の時間がとれないといろんなら六時過ぎにやったっていいじゃありませんか。あいているときを見て二時間ずつ細切れに重ねていってもこのことの審議に入れたはずなんですよ。どうですか、お答えを。
  23. 川崎二郎

    川崎国務大臣 まず第一に、先ほどからの長期債務処理についてこういう事態が想定され、もっと早く、早くという意味は、昨年でも一昨年でも抜本的な処理考えるべきではなかったか、この問題については謙虚に我々も反省をしたいと思っております。  第二番目に、国対の話が出てまいりましたけれども、この問題について、もちろん何から優先的に審議を進めるか、これは、議院運営委員会の場、また、私ども当時やっておりました国会対策の場でさまざまな議論がされます。その中において、当時は、やはり財革法の改正の問題、また補正予算の問題、また減税の問題、それがまず第一義的に優先されるべきである、こういう党全体、政府も含めた中での判断でそれを優先したということは事実でございます。そして、もちろん、今私運輸大臣という立場でありますから、この国鉄長期債務の問題が最大課題であります。  しかし、当時を振り返ってみますと、例えば情報公開法、日米ガイドライン、きょう本会議で採決になりました労働基準法の問題、それから地球温暖化防止法、また住民基本台帳法、こういう大変多くの法案が今国会に送られてきたことは事実でございます。そういった意味では、我々国会対策の役目として非力であったなと反省をいたしているところでございます。  どうぞよろしくお願いを申し上げたいと思います。
  24. 佐藤敬夫

    佐藤(敬)委員 与野党の怠慢でというところに実は私、物すごい怒りを感じたんですよ。私も、担当して前国会から本当に一生懸命これをやって、しかも私は、宮澤大蔵大臣のときの運輸政務次官でありますから、この中身についてはもう正直言って本当にいろいろな議論を当時からも重ねてきているわけでありまして、役所の人たち気持ちもつらい思いをされていることもよくわかります。しかし、もうここへ来たら、金の分配の論理じゃなくて、政治がきちんと決着をつけなきゃならぬというところまで来ているということを考えてみると、この法案の重要さというものを大臣ひとつよく御理解いただいて、今後の審議等々についても可能な限り御努力をいただきたいというふうに思います。  さて、どうもこの議論を進めていく中で、事業主でない一般国民を持ち出している論理のすりかえみたいなことを実は私感ずるんです。前の藤井大臣もそうだったんですが、鉄道局長なんかでも、よく移換金債務負担は、一般国民負担していただくか社員の事業主であるJR負担するかの問題である、この負担JR社員の福利厚生のための負担であるからJR負担をするのが当然であり、一般国民負担すべきものではないということを再三申しているわけですね。しかし、これは論理のすりかえではないかと思うのです。  何となれば、移換金債務負担というのは事業主がする、これは当然のことであります。一般国民負担するべき性質のものではないわけで、こんなことはよく知っております。しかし、この場合の事業主は国鉄清算事業団JRかという問題ではありませんか。したがって、一般国民というのは事業主ではないわけですね。  清算事業団負担増加が結果的に一般国民負担増になる場合があるということは、さっき寺澤政府委員の方からお話があった部分は含んでおる。ですから、それはもう次元の違う話でありまして、移換金債務負担国鉄から清算事業団承継した土地株式により補う、これは私は理解しているつもりです。  一般国民負担するという大臣の発想というのは、本来だれが負担すべきかという問題と財源問題とをうまく混同させてすりかえたものだろうと私は思う。いかに考えてみても、一般国民事業主とみなすことができない以上、一般国民負担JRかという選択はあり得ない。ですから、論理のすりかえをしないで、移換金債務負担の問題が要するに事業主である以上、選択は国鉄清算事業団JRであるということからこの議論をきちんと始めていかなければならぬ。  この点からいえば、平成八年六月の改正法が、国鉄勤務期間は清算事業団JR勤務期間はJRとしたのは最も合理的な分担の基準だと私は思っているのです。この合理的な基準によって清算事業団JRの移換金債務が既に確定しているのでありますから、しかもなおかつJRは千七百億を既に払っておりますね、それを変更する余地はない、そういうことになりませんか。  大臣は、この問題について、一般国民負担という考え方をもうこれから取り下げて、事業主である国鉄JRがどのような割合で負担するのが妥当かという立場で解決を図るべきではありませんか。
  25. 川崎二郎

    川崎国務大臣 前回からたびたび議論をされているところでございますけれども清算事業団負担、そしてJR負担、確かに平成八年に決められたことは事実でございます。しかしながら、国鉄清算事業団が今清算されるというときに、この年金の、厚生年金へ移換をされる、それに伴って生ずる費用について、清算事業団に八年決定をされたそのものの持ち合いについてどう考えるべきか、ここが議論だろうと思います。  私どもは、JT、たばこのとき、また年金、退職金等の支払い、こういう問題について、基本的にやはり事業主が負担をしていくという立場に立てば、JRが御負担をいただくのは筋だろうということで今回の結論に至ったと思っております。  それから、先ほど御指摘のございました、確かに党内でさまざまな意見がございました。また、それが政府として決定される過程の中において、運輸省からもさまざまな意見が出たことは事実でございます。しかしながら、結果として、いろいろな議論が出た中、一つのまさに閣議決定というものがなされ、党でいえば総務会というもので決定をされて出されているわけでありますから、その後については基本的には統一した意見で物事を進めている、このような考え方にあります。
  26. 佐藤敬夫

    佐藤(敬)委員 ですから、大変大きなスキームの問題ではありますが、正直言って、この法案がどこで大きく二分されているのかというと、この移換金の負担をどっちでするのかというところからそもそも発生しているわけです。それは平成八年の閣議決定、ここをもって、いわゆる七千七百億と千七百億できちんと決着をつける、もし運輸 省の今のようなあいまいな議論が進むとすれば、そのときになぜ、とりあえずですよ、今後全部の処理をするときにはもう一度話し合いましょうという条項はどこかにあるのですか。
  27. 小幡政人

    ○小幡政府委員 お答え申し上げます。  清算事業団平成九年に負担いたしました移換金の一部につきましては、清算事業団土地処分の手続がおよそつくと認められる将来、そういう段階において、ほかの六十二年から引き継いでおります長期債務全体と一緒に国において責任持って検討、処理する、こういう方針でございました。その意味で、その中身については、当時議論はされておりません。将来の課題として残した、こういうことでございます。
  28. 佐藤敬夫

    佐藤(敬)委員 それから、今大臣が、この間、JRの社員の退職金について、衛藤委員とそれから二見委員答弁しておられましたね。これは違うのじゃないですか、認識が。国鉄からJRに採用になった社員の退職金について、大臣が特別委員会のときに、衛藤さんには、既に退職手当についても、JR国鉄期間分を含めて自分の社員の分を負担することが国鉄改革の方針として決められているところである、二見議員には、福利厚生、給与の問題として、退職金についてはすべてJRの職員についてはJRが全額負担をする、こう答弁されておられるわけですね。これは間違いありませんか。
  29. 川崎二郎

    川崎国務大臣 そのように理解いたしております。
  30. 佐藤敬夫

    佐藤(敬)委員 ということは、JRが、JR社員の国鉄期間相当分を含めて全額退職金を負担している、そう理解してよろしいですね。
  31. 川崎二郎

    川崎国務大臣 はい、そのように思っております。
  32. 佐藤敬夫

    佐藤(敬)委員 それでは、JR各社がほかの日本の企業同様に将来の退職金の支払いに備えるための退職給与引当金を積んでいるが、発足当時に、言いかえるとJR各社の開始貸借対照表上にはこの引当金はあったのですか。
  33. 小幡政人

    ○小幡政府委員 額はちょっと念頭に、今数字を覚えておりませんけれども、ある程度のものは積んであったと理解しております。
  34. 佐藤敬夫

    佐藤(敬)委員 もっと正確に答えてください。金額の問題ではなくて、要するに、その退職金引当金の、国鉄の当時は引当金なんというのはあったのですか。
  35. 小幡政人

    ○小幡政府委員 恐縮ですが、国鉄時代の制度を私は存じておりませんのでお答え申し上げられません。後ほどお答えさせていただきたいと思いますが、JR発足時に、先ほど申し上げましたように、額はちょっと覚えておりませんけれども、退職手当引当金が用意されておったというふうに承知しております。
  36. 佐藤敬夫

    佐藤(敬)委員 ということは、JR社員の退職金のうち、国鉄期間分は発足時に既に退職給与引当金という形で積まれていたということになる。発足当初からあったのなら、JR負担ということにはならないじゃありませんか。
  37. 小幡政人

    ○小幡政府委員 制度的に申し上げますと、先ほど大臣答弁させていただきましたように、JR等の職員の退職手当につきましては、国鉄改革法の第二十三条七項の規定によりまして、承継法人は、職員の退職に際し、退職手当を支給しようとするときは、その者の国鉄の職員としての引き続いた在職期間を当該承継法人の職員としての在職期間とみなして取り扱うべきものとするとされまして、JR等が国鉄期間分も含めて支払うことが国鉄改革の方針として決まっておった、こういうことでございます。
  38. 佐藤敬夫

    佐藤(敬)委員 何を言いたいかというと、確かに、退職金の支払いそのものが、JR国鉄期間分まで含めて支払っているにせよ、またその国鉄時代に退職給与引当金が積まれていなかったにしろ、国鉄の期間分のもとでは、発足当初に退職給与引当金という形で設定されると同時に、これに見合う財産をJR国鉄から引き継いでいるのですよ。わかりますか、その意味。  つまり、実質的には、この引当金はJR負担しているのではなくて、国鉄から引き継いでいることになるのです。したがって、JR社員の退職金は国鉄職員時代を含めてJR負担をしているという川崎運輸大臣答弁は、明らかに誤りじゃありませんか。こんな、企業会計の基本中の基本を誤解するようなことは問題じゃありませんか。
  39. 小幡政人

    ○小幡政府委員 御答弁申し上げます。  先ほど御説明申し上げましたのは、要は、承継法人たるJRは旧国鉄期間分についての退職手当につきましても責任を有する形で発足したということを申し上げたわけでございます。
  40. 佐藤敬夫

    佐藤(敬)委員 答弁になっていないけれども、このように退職金についても、国鉄改革の前後で国鉄JR責任というのは明確に区分されているわけですよ。今回の移換金について、JR社員の国鉄期間相当分をJR負担させるという理由にならないじゃないですか。
  41. 小幡政人

    ○小幡政府委員 お答え申し上げます。  先ほどは退職手当についての継続について申し上げましたけれども、年金につきましても、昭和六十年七月の国鉄再建監理委員会の意見でございますが、この中で、旅客鉄道会社等につきましては、年金につきましては当面現行の共済制度を適用することとして、「当該業務は現在の国鉄共済組合が行う。」ということが明記されておりまして、この方針に基づきまして、国鉄改革では法的にも日本国有鉄道改革法等施行法附則第十五条第一項の規定によりまして、国鉄共済組合は昭和六十二年四月一日に鉄道共済組合となりまして、同一性を持って存続しておるわけでございます。
  42. 佐藤敬夫

    佐藤(敬)委員 時間がありませんので、またこの次の一般質問のときに詳しくはいろいろとさせていただきますが、もう私が、杉山筆頭の方からも、おまえ十分ぐらい時間余してやめろ、五時で帰る人がいるから、こういうことで、大蔵大臣も五時にお帰りにならないといかぬということで、はしょりますが、もう一つだけ聞かせてください。  この鉄建公団の年金勘定の部分のところですが、この投入期限の確認をちょっとしたいと思うのです。  これは、きょう欲しいと言ったら持ってきてくれたのです、運輸省の方から。鉄建公団に設けられる年金勘定に対して運輸省補助金が毎年六百五十億投入されることになっています。これは運輸省の自助努力分も含むものだと思いますが、郵貯やたばこから助けてもらうのだから、まさにこの補助金は途中で打ち切るということはないのでしょう。
  43. 小幡政人

    ○小幡政府委員 平成十年度で六百五十億の補助金を用意してございますが、これは、今後年金収支の見通しがつくまでは継続するという考え方でございまして、その後は、年金収支について将来見通しが立ちました段階で元本償還の財源に回す、こういうことになっておるわけでございます。その意味で、この財源については先行き、使い方が決まっておるというふうに理解しております。
  44. 佐藤敬夫

    佐藤(敬)委員 ちょっと待ってよ。それはもう本当にそんなこと、黒字に転換したところから、もう後は運輸省は関係なくなるのですか。そんなこと、収支がバランスとれたところで打ち切るというのはどこかに書いてあるのですか、これは。
  45. 小幡政人

    ○小幡政府委員 この考え方は、昨年十二月に政府・与党の財政構造改革会議で決めていただきましたスキームの中で記してございます。
  46. 佐藤敬夫

    佐藤(敬)委員 これは年金勘定の中で、もう一般会計、いわゆる国民負担なんという部分はこの運輸省のここしかないのでしょう、実際。あとはみんな、財産のあるとかと決まっておるわけでしょう。  この年金の支払いは、少なくとも、運輸省だって共同体でもってここまでやってきたのだとすれば、平成五十年ぐらいまで続くのは当たり前じゃありませんか。一緒に、例えばJRにそこまでの負担お願いするのだったら、運輸省だって平成五十年ぐらいまで続けるというのは当たり前の話じゃありませんか。郵便貯金から毎年二千億ず つ、五年間で総額一兆円、たばこからは半永久的に毎年二千億円以上出させているのに、張本人である運輸省が毎年六百五十億しか払わずに、しかも途中で逃げ出そうというのは、それはもう到底許しがたい。少なくとも平成五十年ぐらいまで投入することを考えたらどうですか。
  47. 小幡政人

    ○小幡政府委員 先ほど、年金収支の見通しがつく段階まで運輸省からの補助金を入れていくということを申し上げましたけれども、これはいろいろの試算のケースがございます。平均的なところで見ますと平成二十六年ぐらいという試算がございますけれども国鉄負担していただきますものも今後十九年間ということでございますので、同じぐらいの期間は年金の方に運輸省関係の予算も回させていただく、その後につきましては先ほどの元本償還の方に回していただくという計画でございます。
  48. 佐藤敬夫

    佐藤(敬)委員 だけれども、これはもしJRの株とか土地が、もうあなたたちが想定するスキームの一番最高のところでいけば、五年ぐらいで終わるという話じゃありませんか。違いますか。
  49. 小幡政人

    ○小幡政府委員 お答え申し上げます。  鉄建公団が預かることになります資産、そのうち土地株式等につきまして、過去の最高値というのは、非常に好条件で売れた場合について試算させていただきますと国庫補助金の納入期間は五、六年ぐらいという試算はございますけれども、これが見込めるかどうか。今後の状況でございますので何とも言えない、こういう試算でございます。
  50. 佐藤敬夫

    佐藤(敬)委員 これもまた後からゆっくりやらせていただきますが、逆に言うと、そんなに早く累積赤字がなくなるというなら、年金勘定には余裕があるということじゃありませんか。JR追加負担がなくても十分資金繰りはつくということじゃありませんか、この表を見たって。  そこで、三十一日の特別委員会で宮地先生が御質問されたように、やはりこれはおかしいですよ。あなたたちは今までどういう発言をしてこられておりますか。私も運輸行政の中で仕事をさせていただいてまいりましたから、これは十月十一日の朝日新聞ですよ。小幡さん、あなたが、いろいろな質問の中で、「民営化時の債務の振り分けで、将来の年金負担清算事業団に持たせることが法律で決まっている。筋論からいえば、民間企業であるJRにこれ以上の負担は求められない」、こう発言しておるでしょう。これは言っていますね。言ったか言わぬかはいいよ、答えなくていい。  それから、十月六日、これはさかのぼります。これは交通新聞の中で、ポイントのところを申し上げると、「昨年、法律で一回きちんと(事業団長期債務に含めると)仕切りをしたから、JRは黒字なのだから追加負担させるべきだというのは、今の段階では非常に難しい」。しかも、このときにはもう既に財政構造改革審議を進めていく中で新税を検討ということになっておるのですね。  しかも、なおかつ事務次官は、この間にもいっぱいあるのですよ、いろいろなところで言っているのです。このJRへの追加負担は「正しい選択ではない」。「JR本州三社株のかなりの部分が一般株主に渡っており、JR負担を求めるのは正しい選択ではない」と言っているのですよ。「運輸省としてはJRに(新たな)負担を求めるのは正しい選択ではない」、ここまで言い切っている。  要するに、私から言わせれば、そういう皆さんが、進めるべき事務当局が、全く筋の通らない負担であることということを事務当局が認めてきたんじゃありませんか。  もう時間がないから一方的にここは言いますが、そういう意味を含めて、さっき宮澤大蔵大臣が、行政における閣議決定というのは重要なものであるよと。これを、平成八年の三月に決めたこのスキームというところの原点、ここから我々は議論を進める。そこへ戻しなさい。したがって政令で、三十八条の二、ここを、今度の新法の第九条におけるJRの追加負担の三千六百億を削除しなさいよ。答弁
  51. 小幡政人

    ○小幡政府委員 まず、事実関係から御報告させていただきますと、平成九年の十月の朝日新聞の記事、あるいは平成九年十月二十九日の交通新聞の事務次官の記事でございますけれども、これは読んでいただきますとおわかりのように、実は国鉄改革時、十年前、六十二年の話としてお話しさせていただいておるわけでございまして、年金は年金でございますけれども、年金の将来負担、現在三・五兆円の分、これについて申し上げておるわけでございまして、これも清算事業団が引き継いでおりましたけれども、これについては監理委員会考え方に明確に、国で、公的なところで持つということが決まっておりますので、今回もそういう措置にさせていただいているものでございます。
  52. 佐藤敬夫

    佐藤(敬)委員 そんな答弁は、そうじゃなくて、大臣、私が申し上げたこの新法における第九条、この三千六百億をJRに追加負担させる、この一項を削除しなさいということを私申し上げているので、大臣からの答弁を。
  53. 川崎二郎

    川崎国務大臣 先ほども申し上げました、政府内でさまざまな議論が交わされたことは佐藤委員指摘のとおりでございます。また、党内でさまざまな議論があったことも事実でございます。しかしながら、そういうものを経ながら、総務会を通り、また閣議決定をされて、今法案として出させていただいた。今現在これがベストの案だと考えております。  ただ、御指摘いただいているように、さまざまな議論委員の中から出ております。各政党間の議論というものを十分勉強もしてまいりたい、このように思っております。
  54. 佐藤敬夫

    佐藤(敬)委員 どうも立ち上がりから、きょうは本会議も時間が押したり、与党の杉山筆頭の方からいろいろなオーダーがあったりして、ばたばたしているみたいで、しかも、なおかつ質問時間を十分前にやめろということでありますから、この後私の同僚の吉田公一委員の方にバトンタッチをいたしまして、私の質問は終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  55. 大原一三

  56. 吉田公一

    吉田(公)委員 今佐藤理事からもいろいろな点で質問がございましたが、要するに、十一年間放置をしてきた。しかも、金利というのは当然考えられるにもかかわらず、金利の対策も考えてこなかった。したがって、国鉄清算事業団法という法律ができて、十年間で償却をするということになっている。それが倍になっている。そのこと自体がおかしな話なんですよ。その点について、金利も含めて倍になっていた。法律までつくって償却をすると言っていながら、今になって、ああでもない、こうでもない、これを、税金取ればいいじゃないかなんという話はとても通用する話じゃない。  したがって、これについては、今まで責任の明確化ということはなかなかありませんでしたけれども責任の明確化ということがまず第一で、それからの解決策だ、私はそう思っているんです。  したがって、歴代運輸大臣におかれましては、そういう重大な国鉄清算事業団という爆弾を抱えていながら、そのまま放置して、八月三十一日に委員会をやって、きょう二日目の委員会をやって、それで十月一日までに何とかしろなんという話はめちゃくちゃな話なんだ。その点について、運輸大臣、まず御答弁をいただきたい、こう思うのです。
  57. 川崎二郎

    川崎国務大臣 先ほど宮澤大蔵大臣からも御答弁がありましたけれども清算事業団発足時、土地の資産売却、これについて凍結しろ、こういう議論が出てきたわけであります。もちろんそのときに、国民負担を軽減するという目的からすれば、一日も早くこの資産を売却して、そしてそれを減らすことができれば、まさに金利負担もなくなってくるわけでありますから、そこを早くやるべきだ、こういう議論が強かったことも事実であります。  しかし一方で、やはり国会、マスコミ等で、今資産の売却をすべきではない、これはマスコミの記事もございますけれども、資産売却を急ぐべきではないという意見の方が大勢を占めた。この結果によって処理がおくれてきたことは事実であります。バブルの崩壊、株が思ったような形で上場できない、そんなことも重なってまいりました。  そういった中で、今委員の御指摘は、もう少し早くこの問題に対処すべきでなかったかという御指摘ならば、まさに謙虚に受けとめなければならないだろう、反省をしなければならないだろう、このように考えております。
  58. 吉田公一

    吉田(公)委員 私は、この問題を二年前に大蔵委員会質問したことがある。そのときには、答弁がたしか、要するにバブルの崩壊だと。当時は国鉄用地を売るとむしろバブル土地の高騰に拍車をかけるから売るなと政府に言われたと。したがって、売らないでいたら、バブルが崩壊して、今度は途端に土地が売れなくなっちゃった、だからなんだ、こういう説明をされた記憶がある。  だけれども政府は、売るなと言ったんだから、じゃ、売らないでしょう。土地を売って、十年間で償却をするということは大原則だから、だから売るなと言った以上は対案がなきゃおかしかったわけだ。しかし、その対案も示さないまま、そのままずっと今日まで来ちゃった。だから、政策なしの放置をした結果ですよ、これは。  つまり、大蔵大臣、売るなと政府は決めた。閣議決定したのかな、売らないように。じゃ、売らないなら売らないで、収入がないわけだから、その間はどうするんだ、金利はどうするんだ、元本をどうするんだというほかの政策があってうまくいくわけでしょうよ。それが何もないんだから。  その点、大蔵大臣、いかがなんですか。
  59. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 それはごもっともな仰せだと思いますが、その結果として、政府としては、やはりかなりの部分を国が承継をするということになってまいったのだと思います。
  60. 吉田公一

    吉田(公)委員 国の責任処理をするということにもちろんなっていますよ。だけれども、たばこに転嫁したり、JRに転嫁してみたり、郵貯に転嫁してみたり、これでは国の責任において処理をするという話とは全然違う。  私もたばこを吸うけれども、冗談じゃないよ、そんなわけのわからない話でたばこ代値上げされちゃった日には。それで、電車に乗れば、汽車に乗れば全部今度は禁煙席になっちゃって、そんな割の悪い話はないのです。どうしてたばこと国鉄債務と、よく思いついたのがいるんだろうと思うんだな、これ。だれが思いついたんですかね。発起人はだれなんだか、ちょっと言ってくださいよ。
  61. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 これは財政再建の会議を一年間いたしました中で、やはり非常に難しい問題になりましたものですから、幾つかの部会を設けまして、その中で、この問題をどうすべきかという討議を大変にいろいろいたしたわけでございます。  それで、大きなものは一般会計承継しなければならないことはもちろん明らかでございますが、それだけでは十分財源がそろいませんので、国税としてのたばこにたばこ特別税を設けて、比較的どちらかといえば嗜好品であり、価格の中の税金分もだんだん少しずつ低下しておりますから、たばこを嗜好とされる方に負担をしていただこう。これは、直接たばことこれとが関係があるわけではございませんで、一般会計の歳入を、いろんな税が歳入を形づくっておるわけでございますから、その一般会計の歳入に貢献するたばこ税、そういう意味お願いをしようということになったわけであります。
  62. 吉田公一

    吉田(公)委員 もともと国鉄改革というのは、要するに、国鉄というのは政治路線もあったり、そして成績は上がらない、運賃を上げたっていつまでたっても赤字は直らない、それじゃ分割・民営化して、JR責任を持たせて民間企業として利潤を追求する、そのことによって国鉄債務がなくなるだろうという発想で始まりたのが国鉄改革でしょう。そのときに、JR負担分、そして国鉄負担分、つまり国の責任だ、それが国鉄債務はそのまま国鉄清算事業団へ行ったわけだから、国の責任処理をするということになっているので、今さらJRに、思いつかないものだから、たばこを吸う人に金を出せなんて言っているようだから、これはJRにも少し金を出させなきゃ世論は納得しないだろうというような思いつきで、しかも、国鉄のときには全然赤字でもってもうからないのにJRになったらちゃんと利益が出てきている、それに目をつけたんじゃないの。その辺どうなんですか。
  63. 川崎二郎

    川崎国務大臣 JR負担につきましては、先ほどから議論をいたしておりますとおり、六十二年の国鉄改革、三十七兆円の債務、この問題とは全く無縁の問題でございます。要は、共済年金から厚生年金へ移換をする、そのときに生じた移換金をどう処理していくか。平成八年においてはJR清算事業団に分担が決まった。その清算事業団が今日解散をされるときにどのような考え方をすべきであろうか、その議論の中で出てきた問題でありますので、どうぞ三十七兆円の債務とは分けて御議論を賜りたいというように思います。
  64. 吉田公一

    吉田(公)委員 移換金というのは、国鉄改革では予定されていない負担だ、そして、今大臣がおっしゃったように、国鉄改革の枠組みとは無関係、こう言うのだけれども国鉄職員の年金問題については国が責任を持つのは当然の話じゃないの、そうでしょう。それを、JRの民間企業に国鉄の職員の分まで払えなんという話は筋が通らない。それは国の債務なんですよ、清算事業団が引き継ぐはずなんだから。だから、国鉄職員の分はちゃんと国で面倒を見なきゃおかしいんだ。それを今度はJRにまで負担を出せなんて言うから話はややこしくなっちゃう。いずれにしても、これは思いつきの解決策だからいろいろなところでほころびが出てきちゃう。  そして、移換金は国鉄改革にあっては予定されていない負担だ、そういうことで言われておりますが、それは民事裁判で、そんなこと予定されていないじゃないか、はっきり言ってないじゃないかなんていって民事訴訟じゃやるかもしれないけれども、少なくとも国の発言としては、予定されていない負担であるなんということは、それは責任逃れなんですよ。ちゃんとこれは、予定されているもいないも負担負担としてツケが回ってくるわけだから、そのことについてはきちんと、今になって予定されていない負担であるなんということは、これは川崎大臣、言い逃れにすぎない、私はそう思っている。その点いかがですか。
  65. 川崎二郎

    川崎国務大臣 確かに、吉田委員指摘のとおり、国鉄改革がなされた共済年金として職員の年金については継続をしていく、しかし、いずれかの時期に厚生年金に移換しなければならないだろうという議論はあったことは事実であります。そういう意味では、一つの流れの中の議論ではあったろう。  しかし、移換金問題が正式に出てきましたのは八年でありますので、その問題について、JR側と清算事業団の間の分担なり、また今度の、清算事業団が解散されるに当たってどう分担をすべきかという議論がなされるのは当然のことであろうと思っております。
  66. 吉田公一

    吉田(公)委員 つまり、国鉄勤務時間の分は国鉄の地位を承継した清算事業団が払う、こんなわかりやすい話はないと思うのですよ。そして、JR勤務時間にかかった人はJRが年金の支払いをする、これもちゃんとした話だ。だから、やはりこの際は、国鉄改革のこれは原点なんだから、当然、国鉄改革するときには国鉄職員だった人たちに年金を払わなきゃならないなんということはもうわかっている話だから、それは清算事業団で払いますというのが当たり前の話だ、私はそう思っているのですよ。そのうちの国鉄勤務時間分の年金移換金については、さっき申し上げたように、国の責任でもって処理するのは当然。  それから、平成八年の閣議決定大臣が言った閣議決定でも、事業団の既存の債務等と同様最終的には国において処理するということがはっきり明記されているということなんだから、ちゃんとこれは大原則に基づいてやっていかなきゃならない問題だ、そう思っているわけです。  そして、重要な法律案でも、もう最近は凍結だの先送りだのとはやっているから、閣議決定もややもすると無視される可能性がある。閣議決定というのは大変大事なことであって、だって、町でもって建築確認を出したって、閣議決定がこうなっていますからなんて言われることがあるんだから、区、市町村にまで。閣議決定というのは重要でしょう。その閣議決定をきちっと遵守するということが、まず国鉄のこの問題の大事な原理原則だと私は思っている。  その点では、閣議決定について原理原則でやっていくということについてはどうなんですか。
  67. 川崎二郎

    川崎国務大臣 清算事業団負担をする、閣議決定で決められた。そして、国において将来清算事業団の解散の場合考えるという考え方のもとで、国において処理するという考え方が決められたと思っております。したがって、その時点で、清算事業団に行ったものがすべて国が負担をすると決定をされたものではないと考えております。
  68. 吉田公一

    吉田(公)委員 それは大原則を曲げた解釈だ、私は実はそう思っているのです。  よく、最近どこでも、五兆円だの十兆円だのなんて豆腐みたいなことを言って、簡単に人の金だと思って言うけれども、一兆円というお金は、暇な人が計算したのがいるんだよ、一日百万円使って、一兆円というと三千年かかるんだよ、三千年。運輸省の人、ちょっと暇な人は後で計算しておれが言ったことが合っているかどうかちゃんと言ってもらいたいと思うんだが、そのぐらい大事なんだよ。それで、減税だ減税だと言っていながら、後から後から、林野事業もそうだけれども、長銀もそうだけれども、こうやって税金をどんどん注入されたんじゃ、減税も何もないじゃないの。そういう意味では、減税効果なんというのはどこまでが減税効果になるかわけがわからない、そう思っているんですよ。  それで、たばこに間接税で、国鉄清算事業団を助けるためにお金を出すんだけれども大蔵大臣、NTT株というのは五百万株残っているんですよ。大蔵省が持っている。私は大蔵委員会で聞いたんです、NTT株を売ったらいいじゃないかと。額面五万円ですから、NTTの株を、もう五百五十万株が町に出ちゃっているから、あと五百万株残っていると思うから、鳴り物入りで二百八十万だの百八十万だのなんて買ってみんな損しちゃって持っているわけだ。銀行はみんなそうでしょう。今百万円ぐらいかな、NTTの株は。それを、五百万株だから、額面で五万円というと二千五百億だ。二千五百億円を国鉄債務に充てたらいいじゃないか。JR株だって売ったらいいじゃないですか。  まず自分たちの方でそうやっておいて、それから国民負担を求めるというならいいが、要するに、NTT株、売れないものを政府が五百万株持っているということは、不良債権を持っているんだよ、売れないんだから。今どき五百万株なんか放出したって買う人いないでしょう、もっと下がってしまうから。だから、これは株価対策にもなる。  大蔵大臣、NTT株をNTTに引き取らせて、二千五百億円をこの財源に充てるべきだ、私はそう思っている。株だってよくなりますよ。大蔵大臣、五百万株政府が持っていると思うからNTTの株は上がらないんだよ。だって、一石二鳥じゃないですか。大臣、突拍子もない話だと思うんですけれども、いかがでございますか。
  69. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 いえ、それは決して突拍子もない話とは私は思っておりません。何にせよ、国が財産を持っておればそれを処分して財源をつくるわけでございますから、それはそう思いませんが、NTTの株式は、まさに適当な時期に売り払わなければならないとただいまも思っております。ただ、この収入は国債の償還に充てるということになっておりますので、一応、それはそれとして考えなければなりません。  それから、余計なことですが、JR株式清算事業団が持っておりますが、この売却収入は、今このスキームの中でも土地株式売却収入等の自主財源というところに入っておるわけであります。  それで、たばこを吸う人に負担をかぶせたという、そのことに違いありませんけれども、たばこ税も一般会計収入を入れますところの税の一つでございますので、それにお願いをしたということでございます。  NTTの売り払いも、これも同じく、仮に国債の償還に充てるとしても財源になりますから、それらは総合的に考えていくべきことであろうと思っていまして、決してとっぴなお尋ねだとは私は思いませんけれども、それはやはり国債償還の方に使わせていただきたい、こう思っております。
  70. 吉田公一

    吉田(公)委員 もっとも、大臣、たばこの方へお金をかける方が突拍子もない話だ。私の話の方がむしろまともな話です。たばこへお金をかける方が突拍子もない話。よく意味がわかったかどうかわからないけれども、いずれにしても、まず検討していただきたいと思うんですよ。  だって大臣、五百万株なんて売却できませんよ、今の株式市場では。売れないんだから、五百万株なんて。第一、株式市場では処理ができませんよ、五百万株なんというのは。全部売りだから。買いなんていう人は少ないんだから。だから、まずそういうのをチャンスを見て、売るなんというのじゃなくて、NTTに額面どおり引き取ってもらうんですよ。それが一番。だって大臣、御専門だからわかるけれども、銀行がNTTの株を持ってみんな損をしてしまっているんだから、鳴り物入りでつり上げられてしまって。きょうは株の話じゃないから、この辺にしておきます。  次に、大臣、ガソリン税というのがありますね。道路目的税ですよ。この見直しということも言われております。今レギュラーで一リッター八十六円ぐらいだ。ハイオクで九十五円か六円ですよ。だけれども、そのうちの半分以上がガソリン税ですよ。その上に消費税が五%かかっているんですよ。それは、大蔵省はタックス・オン・タックスなんて言っているけれども、二重課税なんですよ。したがって、ガソリン税だけで二兆六千億もあるけれども、つまり、そのうちの五%の消費税分だけで一千三百億ぐらいあるんですよ。その一千三百億円の消費税分をちゃんと国鉄清算事業団に入れたって、最終的には国民の税金を投入するんだから同じことなんだけれども、しかし、筋からいけば、たばこを値上げしておいて国鉄清算事業団の借金を返すなんという話よりも、やはりまともな償還方法というのを考えていただきたい、私はそう思うのですよ。  JR負担をさせろ、たばこは値上げする、郵貯からはやるなんて、全く思いつきの話だからだれも納得しないんですよ。もっと筋の通った、あるいは、運輸省責任あるんだから——理事長というのはどこから来ているんですか。まずそれをちょっと答弁してください。
  71. 小幡政人

    ○小幡政府委員 清算事業団理事長でございましたら、運輸省からでございます。
  72. 吉田公一

    吉田(公)委員 委員長、これだけの赤字を出していて、運輸省から天下ってみんな理事長をやっている。高い報酬取って、退職金取って、こんな赤字をほったらかしておいてやめていった人というのは何人いるんだ。資料を出してもらいたい。委員長理事会で資料を出してくださいよ。それが責任だよ。  今までだってそうだよ。金融問題だってそうだよ。だれも責任をとらない。果ての果てまで徹底して一銭なりともなんて言っていたって、だれも責任をとった人はいないんだ。こういうことになったら責任をとらされるぞと。天下りとしていいポストだから行こうなんという話はこれからは通用しないんだ。  だから、委員長理事会に、歴代理事長の出身、それから報酬、退職金、十一年間分ちゃんと出してくださいよ。それが出たら、今度はまたもう一回私は委員会質問しますから。  それで、そういう状況で、運輸省そのものは要するにどういう責任のとり方をしているんですか。例えば、運輸省予算を削ってこれに投入するとか、そういうことはあったんですか。
  73. 小幡政人

    ○小幡政府委員 平成十年度予算で合計六百五十億を充ててございます。
  74. 吉田公一

    吉田(公)委員 一年だけですか、六百五十億というのは。
  75. 小幡政人

    ○小幡政府委員 最終的には各年度ごとということになりますけれども、物の考え方としては、財政構造改革会議処理スキームの中に示されましたように、当分の間は年金財源として投入する、その後につきましては元本償還の財源に充てる、こういう考え方でございます。
  76. 吉田公一

    吉田(公)委員 それは毎年、元本返済までずっと運輸省予算を削ってやるんですか。ずっと最後まで、これがなくなるまで。それで、それはどこの予算を削るんですか。
  77. 小幡政人

    ○小幡政府委員 六百五十億円のお話ですが、運輸省の内部の予算のやりくりでございまして、一つは、一番大きいのは四百一億円でございますが、これは、従来清算事業団に対する補助金がございましたので、これを振りかえてございます。それから、残余の二百五十億につきましては、鉄道関係予算を中心に省内的に捻出したというふうに認識しております。
  78. 吉田公一

    吉田(公)委員 いや、私が聞いているのは、国鉄清算事業団がちゃんと債務処理が終わるまで運輸省予算を削って続けていくんですかということを聞いているわけだ。
  79. 小幡政人

    ○小幡政府委員 これは先ほど申し上げましたように、当分の間は年金、それからその後は償還財源として使うということでございますので、償還財源は六十年間ということになっておりますので、そういうふうに認識しております。
  80. 吉田公一

    吉田(公)委員 次に、清算事業団に子会社があります。電話で問い合わせたら、六社から五社になったと。まず、この子会社の任務、そして何をやっているのか。こんなに赤字を出して、金利だけで年間一兆円も出して、そしてにっちもさっちもいかないで、こういう事態になっているのに子会社をつくって、この子会社にまたどこからか社長か何か天下りしているんですか。何の任務をしているんですか、この子会社というのは。
  81. 小幡政人

    ○小幡政府委員 お答え申し上げます。  清算事業団は、土地株式処分を行うわけでございますが、土地処分につきまして、先ほど大臣の方からるる御説明申し上げましたように、実は非常に制約された条件のもとで土地を販売するということになったわけでございまして、具体的には、建物つきの土地販売方式であるとか、信託方式であるとか、実はいろいろな方法を用意することが必要になったわけであります。そういう具体的な土地売却の事務を行わせるために実は子会社方式というものを用意したわけでありますけれども、そういう意味での子会社を有してございます。  ですから、その業務というものは当然なくなってくるわけでございますので、それに合わせまして、我々、廃止あるいは縮小というようなことの計画のもとにやらせていただいているという状況でございます。
  82. 吉田公一

    吉田(公)委員 申しわけないんですが、委員長、これも資料を要求しておきたいと思いますが、五社の会社名、社長名、出身別、そして社員数、これを次の理事会でぜひお願いしたい、こう思うんです。
  83. 大原一三

    大原委員長 はい、今のは理事会で諮らせていただきます。
  84. 吉田公一

    吉田(公)委員 それで、この子会社が土地をいろんな地域に分けて、関東なら関東、東北なら東北、北海道なら北海道と分けて土地売却してきたと思う。この間新聞に土地の公告がありました。だけれども、売れそうもないような値段で売っているんです。とてもじゃないけれども、町場へ出したらそんな値段で買う人はいない。だけれども清算事業団の人は、売れなくたって別に問題ないから、入札やって応募者なし、三回やってなし、売れませんでした、それで済んじゃっている。  その土地価格の設定というのはどうやってやっているんですか。
  85. 小幡政人

    ○小幡政府委員 事業団用地の売却につきましては、一般競争入札ということを原則としておりますけれども、地方公共団体等に随意契約で売却する場合がございます。この場合には時価を基準とした価格によって売却するということにしておりまして、具体的には、公正な第三者、不動産鑑定士によります鑑定価格を基準にして売却するというようなことにしております。
  86. 吉田公一

    吉田(公)委員 それで今まで何%ぐらいそういう方式で土地売却することができたんですか。
  87. 小幡政人

    ○小幡政府委員 これまでの土地処分実績でございますが、全承継面積が九千二百四十二ヘクタールでございました。平成九年度までの累積の処分面積は七千七百七十三ヘクタールでございまして、全承継面積の約八四%というところでございます。
  88. 吉田公一

    吉田(公)委員 そうすると、清算事業団が持っている土地というのは、売却しなきゃならない土地というのはあと一六%ということですか。
  89. 小幡政人

    ○小幡政府委員 申し上げましたのは平成九年度末でございますので、十年度も手当てをしてございますが、おおむねそういうものが残っておるということでございます。
  90. 吉田公一

    吉田(公)委員 そうすると、土地売却等をもって償却するということになっていますが、残りを仮に一六%とすると、全部完売したとしても二十八兆円の金なんか絶対出てきやしないよ。あとはどうするの。
  91. 小幡政人

    ○小幡政府委員 現在事業団に残っております用地の資産額をこの十年度首で推計いたしますと、約五千億円というオーダーでございます。
  92. 吉田公一

    吉田(公)委員 これじゃ全部売ったって金利の半分にもならない。これはもう末期症状だね。土地はもう売ったって、どうにも金利の半分にもならない。  そういう状況の中で、今まで放置をしてきて、金利は年間一兆円、社員は抱えて、そういう年金をどっちが払うなんという話じゃないね、もうこれは。移換金をどっち側が払うなんという話じゃないじゃない。末期症状で、これはもうどうしようもないね。どうしようもない状況にあって、まだ何とか思いつきでやっていこうなんという場当たり的な——だって、私ここに各新聞社の社説全部、これだけ持っているよ、何十枚と。全部、賛成の社説なんかないんだから。審議尽くし法案修正、国鉄債務で奇策を弄するな、道路財源に踏み込むときだ、つじつま合わせの旧国鉄債務処理案。みんなこうやって、各社、一社とか二社反対をしている社説を書いているというならまだともかく、私が集めた新聞の社説全部、全社とも反対だよ。  そういう突拍子もないことをやっているということだけはよく認識した方がいい。ぜひお願いしますよ。もう絶対こんなの、十月一日に期日が参りましたから何とかしてくださいなんという話じゃないよ。私は先にそう言っておきますから。これは絶対反対だ。  終わります。
  93. 大原一三

    大原委員長 安住淳君。
  94. 安住淳

    安住委員 民主党の安住でございます。  私も時間が三十分しかございませんが、特に今の国鉄の問題について、昭和六十二年の経緯にさかのぼって、行政がやってきたことが一体何であったのかということを、特に宮澤大蔵大臣は折々に触れて大蔵大臣であり、また内閣総理大臣としてこの問題にも深くかかわっていらっしゃったわけでありますから、その経緯についてお伺いをしたいと思います。  昭和六十二年の四月にJRがスタートしました。そのときのスキーム清算事業団債務の二十五・五兆円、私はそのこと自体、例えば土地や株の売却を除いた国民負担分の十三・八兆、このことについても実は後で、見通しの甘さというか株式売却益を過小に評価をしていた等々いろいろな問題があると思いますが、しかし、とりあえずこの十一年間の間に国民負担は十兆円ほどふえるということになります。  まさに戦後これほど特筆すべき行政、そしてこれにかかわった行政また関係者、政治家の恐るべき怠慢といいますか、国民に対して十兆円に上る負担をかけたということに、まず私は、率直な反省と謝罪があってしかるべきであり、また同時に、これは今後我が国行政の運営、政治のあり方を含めても、これまでの十一年間何がそうさせたのかということをやはり検証していく必要があると思いますので、まず、宮澤大蔵大臣川崎運輸大臣に、この国民負担を十兆円ふやしたことに対する感想といいますか、御見解をただしたいと思います。
  95. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 他の機会にもあるいは本会議でも申し上げたと思いますが、一九八五年のプラザ合意以降円が急騰をいたしました。その間の経緯を今から考えますと、結果として日本経済はこれに対応したわけでしたが、非常な過剰流動性が生まれて、いっときはブームになり、そしてそれが破れる。ある段階政府がもっと早く金融を引き締めることができたはずではないかという御批判は、非常に難しい問題であるし、多少の混乱を招いたかと思いますけれども、しかし、結果としてはこの責任はやはり今に及んでおると申し上げざるを得ないということは、いろいろな機会に申し上げました。     〔委員長退席、牧野委員長代理着席〕  それでこの問題も、したがって、そういう大きな意味での経済政策の運営、それがよりベターに行われるべきであった、そうでなかったことについての結果であるということは、これは否定できないと思います。  殊にその間、政府が、かなり具体的に土地の取引について価格の高いのが顕在化することを心配いたしましたから、事業団に売ることを自粛をしてもらい、あるいはいろいろな工夫をして売ってもらったりいたしましたが、結局、簡単に申しますと、売るチャンスを逃したということになりますから、そのことは政治責任だとおっしゃれば、それは私は結果的にそう申すしかないと思いますが、そのこととして、しかし、一般会計が今かなり大きな負担をやはりしなければならない。それも、政府施策の結果を一般会計で受けとめる、こういう意味合いを持っておるかと思います。
  96. 川崎二郎

    川崎国務大臣 六十二年当時の話でありますけれども一つは、土地が高騰する、当然供給をふやした方が土地の値段が下がるのではなかろうか、もっと言えば、やはり国民負担を減らすためにも早く土地を売れ、こういう意見があったことも事実でございます。しかしながら、先ほどから御答弁いたしておりますとおり、国会での議論、またマスコミ等の議論は、土地売却を焦るべきではないというのがそのときの大方の意見であったと思っております。  しかしながら、その後バブルの崩壊、土地の資産が落ちてくるという中で、先ほど局長から答弁させましたけれども、残りは五千億の資産だけになりました。今日考えられるだけの手段を講じなければならないということで法案として取りまとめて、御審議をいただいているところでございます。
  97. 安住淳

    安住委員 今の川崎運輸大臣の話には、現実認識はありますけれども国民負担を十兆円ふやしたことに対する運輸省責任者としての反省というのはないわけですか。
  98. 川崎二郎

    川崎国務大臣 これも先ほどから申し上げておりますけれども、このような資産売却が順調に進まないという中で、もっと抜本的な処理策を早く出すべきではなかろうか、こういう御批判については謙虚に受けとめたいと思っております。反省もしていかなければならないと考えております。
  99. 安住淳

    安住委員 昭和六十二年の閣議決定の内容というのは、宮澤大蔵大臣は、その当時は大蔵大臣をおやめになった直後の話ではありますけれども、直前まで大蔵大臣をしておられました。閣議決定のときは、これは緊急土地対策要網という形で出されておられますけれども、確かに、地価の異常な高騰の鎮静化までこれを見合わせるというのがあります。  しかし、それでは伺いますけれども、先ほど宮澤大蔵大臣は、閣議決定というのは内閣の最高意思決定であるというお話をなさっておられましたね。であれば、このときの閣議決定の(3)、運輸省及び日本国有鉄道清算事業団地価を顕在化させない土地処分等について検討を進め速やかに結論を出すという閣議決定も、実はこの表の裏といいますか、にあるわけです。これに対しては、これは運輸大臣かもしれませんが、実際、具体的にこの最高意思決定に対してどういう結論を出されたんですか。  つまり、地価の高騰を見合わせるということは一方であったと思いますけれども、しかし、JR売却をただ凍結しろとこのときは言っているわけではないのです。速やかにその対策を考えて早急に結論を得るというのも閣議決定で、実は大臣御存じかどうかわかりませんけれども、もう一方であるんですよ。これをなぜやらなかったか。やった形跡がどうも見られないものですから、このことについて御説明いただけますか。
  100. 小幡政人

    ○小幡政府委員 お答え申し上げます。  土地対策閣僚会議等々の申し合わせで、一般競争入札等々で非常に制約がかかったわけでありますけれども、その趣旨は地価を顕在化させないということにありましたので、その地価を顕在化させないという処分方法につきまして、清算事業団に用意してございます資産処分審議会等で議論いただきまして、その答申を平成元年二月にいただいております。これに基づきまして、さまざまな方式での販売を開始したということでございまして、この方式につきましては、それぞれ準備期間等もございましたので、すぐにとはいきませんでしたけれども、徐々にそういうところから構想しまして、相当程度のものが販売できたということでございます。
  101. 安住淳

    安住委員 私は率直に、工夫が足りなかったのではないかと思うのです。  例えばあの当時も、マスコミ報道は、確かにおっしゃるとおり、当時の東京都の鈴木知事の発言等もあって、全体の世論もまさに土地を売るべきではないという話はありました。  しかし、今冷静に考えればということを前提に申し上げれば、例えばJR土地だけに関していえば、最高上限価格をきちっと決めた上で売却をする方法等々、政策的にこの問題を、つまり国民に対して負担をより少なくするために何をするかということをもっと真剣に考えてこなかった、そして、土地の高騰や諸般の情勢というものに任せて、いわばこの問題は厄介だから先送りをどうしてもしょうやという意思というか、そういう雰囲気というか、そういうものが実はあった。  そして、先ほど我が党の佐藤委員質問宮澤大蔵大臣お答えになっておられましたけれども、高騰する土地の値段と、それから株式が三万九千円まで株式市場で上がった、その時点では、むしろ政府内部には、それを売却して土地も売ればもっと余分なお金が入るというような非常に甘い見通しを持たれておったから、こうした土地を何が何でも処分しようという意思というか、そういうものをお持ちでなかった結果が今日に至っているのではないかと私は思うのですけれども、これは大蔵大臣川崎運輸大臣に御感想といいますか、この考えについてどうお考えになっておられるか、お伺いをしたいと思うのです。
  102. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 確かに昭和六十二年にそういう決定がございまして、今委員の言われますように、事業団としては、不動産返還ローンだとか、あるいは上限価格つきの競争入札だとか、国鉄事業団土地処分方法というのを詳しく決めて、その経緯もここに残っておりますが、いろいろ苦労しておられるのですね。ですが、それはもっと工夫があったろうとおっしゃればそうでございましょうが、何しろ基本的に手を縛ってしまいまし たから、手を縛った上で工夫してみろといっても、それはなかなかやはり限界があったろう、そういう感じを私は持っております。
  103. 川崎二郎

    川崎国務大臣 確かに、私も初当選から十八年たちました。振り返ればいろいろなことがございました。あのときに、やはり供給をふやした方がよかったのではなかろうか、こういう議論、本当に今でも思い返しをいたします。まさに安住議員のように若い方々から、おまえら先輩として何をやっていたんだ、特に私は与党の時代が長うございますから、そういう御批判を受けるということについては、率直に受けとめておきたいと思います。
  104. 安住淳

    安住委員 これは、その当時の運輸省の関係者はもう既に退官をなさっておられますし、私は、そこに行政責任を問うという難しさがあると思います。  例えば政治責任というのは、私が言うまでもなく、憲法六十六条において明確に規定をされていて、ここには、行政内閣の中で連帯して国会に対して責任を負うというのがあるわけであります。見通しが甘かった、申しわけないで十兆円もの負担を結果的には強いる、六十年償還をする、六十年間にわたって国民にそのツケを払わせるというのは、これは犯罪に等しい行為だと実は私は思っています。  そこで、当時のことを少し検証させていただきますが、六十二年の時点でのスキームがありました。つまり、国民負担は十三兆八千億円。しかし、この十三兆八千億円は本当にどうだったのかということが私は実は気になっていまして、特に、今、宮澤大蔵大臣川崎運輸大臣がお述べになっておられるのは土地のことでございます。確かに、土地はそういうことで清算事業団が売りたくても処分できなかったという経緯があることは、これは理解できます。  しかし一方で、それでは株式はどうだったか。これは当時の試算でいうと、株を売っての収入については、当初一兆二千億円の試算がされておりました。つまり、これはどういうことかというと、JR株の売却収入が約五千億円、それから帝都高速度交通営団の出資持ち分の売却収入が七千億円で一兆二千億円となっているのですね。しかし、これは果たしてどうだったかというと、まさに今現在ですら、株を売って放出をした時点では、株式収入というのは実はこれよりもはるかに多いわけであります。  こうしたことを考えると、あの当時のスキームでさえ、まあ会社がスタートしてどうなったかわからなかったと言われればそれまでかもしれませんけれどもね、運輸大臣。しかし、そのときの株式処分というものだけでもせめて急いでおれば、私は、その当時ですら、十三・八兆円のスキームは、一千億円でも、いや、一兆円でも、本当はスキームとして国民負担は少なくできたのではないかと思っております。  今現在ですら株式はすべて放出しているわけではなくて、私は、その株式の上場については、これは宮澤内閣当時に宮澤総理もたしかかかわったと思いますけれどもJR日本株式の上場問題というのは、これもまた土地と同じように、非常に政治的なというか諸般の影響があって、なかなか売却のタイミングがつかめなかった。しかし、これだって、きちっと対処していれば、株式市場は今ほど悪くなかったわけでありますから、それを売却することによってかなりの国民負担を減らすということも、結果としては私はできたと思うのですけれども、それもやってこなかった。私は、これに対しても実は運輸省は大きな責任があると思うのですけれども川崎大臣、いかがでございますか。     〔牧野委員長代理退席、委員長着席〕
  105. 川崎二郎

    川崎国務大臣 一つは、阪神・淡路大震災、これはJR西の話でありますけれども、大きな災害に見舞われたことも事実でございます。  それから、JR東の株の問題についても、安住議員が言われておりますとおり、いつどういう形でやるか、いろいろな判断があったことは事実でございます。結果として、それは判断間違いではなかろうか、こういう御指摘をいただいているわけでありますけれども、そのときなりの努力はされたものと理解をいたしております。
  106. 安住淳

    安住委員 それでは具体的に、この土地と株の問題についてもう少しお伺いをします。  これは通告はしていませんけれども、数字は皆さんもう存じ上げておりますから、基本的に聞きますけれども、仮の話で、平成二年の四月当時……(発言する者あり)もし売れば十五兆円近い、そういう数字を運輸省ははじいておられますよね。
  107. 小幡政人

    ○小幡政府委員 平成二年四月時点での事業団用地の資産額の推計でございますけれども、約十五兆円と推計しております。
  108. 安住淳

    安住委員 それでは、宮澤大蔵大臣が総現在任中でも、運輸省からいただいた、清算事業団からいただいた資料では、これは土地売却すれば実は十二兆円ほどあったと言われています。過去のことを言ってもしょうがないというやじもありましたけれども、過去を検証するからこそ次の過ちをしないわけであって、過去をほおかぶりしてこの問題を見過ごしてきて、今のスキームだけでやったら、また二十一世紀に我が国行政は同じような失敗を繰り返す可能性が私はあると思うのです。だからこそ、ちゃんとここは検証することが必要だと思います。  大蔵大臣、当時のこと、大変恐縮でございますが、内閣総理大臣でいらっしゃったときに、この株の売却、それから土地処分について具体的な検討をなさらなかったですか。
  109. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 大変に明確には記憶しておりませんけれども、このJRの株が上場基準——上場基準というものがございますが、これを達成しましたのは平成二年でございますので、それより前に上場という問題はなかった。平成三年から市場は悪くなりまして、平成四年には最近までの最低値をつけるということでございましたから、上場基準が成就したときには既に市況が非常に悪くなっていたというのが実情だったように私は記憶しております。  弁解をするつもりで申し上げておるのではございませんが、そういう意味で上場の機会を逸したという事情だったと思います。
  110. 安住淳

    安住委員 平成四年の八月二十八日の総合経済対策で、実はJR日本株式会社の平成四年度の売却の見送りを確かにしております。しかし、その後、日経株価は二万円前後を往復して、結果的には平成五年の十月二十六日にJR日本株を上場したわけであります。  しかし、大蔵大臣、私、感じるのですが、つまり、六十二年から十一年間あったわけです。十一年間あって、国民負担をより少なくするという観点からいえば、その間も実はJRは頑張っていらっしゃって、黒字を出して、西日本を含めてもっと株式売却を進めておくべきではなかったか。つまり、今現在でも四〇%近い株が——もちろん北海道等を含めて上場していない会社もたくさんあります。しかし、私は、そういう努力をすることによって、それこそ一円でも一銭でも国民負担を少なくするという姿勢が見えない限り、やはり国民は簡単に納得する話ではないと思いますよ、今度のスキームは。そのことを実は申し上げているのですけれども、いかがですか。
  111. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 土地につきましては先ほど申し上げたような事情がございましたが、株につきましては別にそういう、特に事情があったわけではなくて、ただ、いつでも上場できるわけではありませんから、上場基準を達成するのにそれだけの時期が必要であった、それが平成二年でございます。そこから株価水準は悪くなりまして、平成四年には一万四千三百幾らという、まさに今のようなことになりましたものですから、上場はしたいといつも関係者は考えておりましたので、土地とは違います。したがいまして、その後で上場することになりましたが、上場基準達成までの時間がかかったこと、そしてそれが成就したときに株価が崩れ始めたという、この二つが数年を空費した 理由であったので、これは土地と違いまして、なるべく売ろう売ろうとしたことは確かでございます。
  112. 安住淳

    安住委員 運輸大臣にも同様の質問をさせていただきます。  六十二年当時のことは私も何度も説明を伺いましたけれども、後半、もっと努力をするタイミングやチャンスというのは実はあったというふうな気がします。  例えば土地売却のことについても、今株のことは大蔵大臣に伺いましたけれども、どうもお話を聞いていると、確かに土地処分というのは平成元年以降徐々に始まるわけです。しかし、実態や数字としては確かにそうなんですけれども、実は、よく調べてみると、この売却の中には、目玉となるというかメーンとなる一番高く売れそうなところを、例えば汐留駅なんかもそうなんですけれども、一番いいタイミングで放出していないのですよ。結果的に最後まで残ってしまったという事実があります。  私は、やはりそこに、先ほどから申し上げていますけれども国民に対して申しわけないという気持ちが全く欠落しているから、一円でも一銭でもという気持ちがどうも行政の中にあらわれてこない結果が、清算事業団土地売却するときにもこうしたタイミングを逸する結果になったのではないかというふうに、実はここの過去の経緯を見て思っておるわけでございますが、いかがでございますか。
  113. 川崎二郎

    川崎国務大臣 六十二年以降の、その当時の資産売却凍結については御理解をいただいた。しかし、その後のときにもうちょっといい売り方があったのではなかろうかという御指摘でありますけれども、私は、清算事業団の職員は大変な苦労をされたと思っております。バブル崩壊後、土地売却、これは極めて困難な状況の中で、できる限りの努力をした結果この売却になってきた、私はこのように思っております。
  114. 安住淳

    安住委員 そうはいっても、結果的には政治は結果責任だとするならば、結局は二十三兆円に上る国民負担になってしまった。そこで今回のスキームというものが待ったなしで出てきたわけであります。  私は財政の専門家でないからよくわかりませんが、ここで宮澤大蔵大臣にちょっとお伺いをさせていただきますけれども大臣、例えば財政構造改革会議での経過について、私は新聞等から拝借をしておきますけれども、たばこを含めた今回のスキーム、ちょっとその前に、前提として財政支出をするときには哲学が必要だということを、私が記者時代、宮澤総理を回っているときに少しそういう話を聞いたことがありまして、私は、この哲学というのは多分あるべきなのだし、あるのだろうと思うのです。それからいうと、どういう哲学に基づいて今度のスキームはできたのでしょうか、そこをわかりやすく教えていただきたいのです。
  115. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 たばこの点につきましても、あるいは郵便貯金の基金の話にいたしましても、理由としては申し上げました。また、JR負担をしていただかなければならないという、その辺の理論の詰めも運輸大臣の方からお話がございました。しかし、非常に大きな部分は結局国が、一般会計が今持っております国債の上に積んでこれを負担するということになりまして、それは構造改革会議でいろいろ部会まで設けて検討をされた、大変に苦労のある結論であった。  それを財政の哲学から説明せよと仰せられますと大変に説明のしにくいことで、やはりどこかで持ってもらわなければならない、最終は一般会計でございますけれども。そういうことで、あちこちに、できるところはひとつ一般会計の、つまり国民一般負担を減らすために御協力をいただけないか、こういうベースの話であったというふうに思っております。
  116. 安住淳

    安住委員 なぜこういう話をしたかというと、国鉄再建監理委員会でこのJR負担の話をしたときに、当時の会長代行の加藤寛先生が、国民負担というふうな言い方を簡単に言うけれども国民負担というそもそもの定義を明確にしないでスキームをつくってはならない、当時亀井会長もそういうことをおっしゃっていたということを私は何かの雑誌で読んだのです。それは、大蔵大臣、私はもっともなことだと思います。  つまり、政府負担、それとも国民負担、それとももっと大きく広い税金の投入なのか、それとも関係者である例えばJRを含めたそこでより多くの負担をするのか。つまり、この議論を全くしないで、大変失礼な言い方ですけれども、そこから財源をこうこうこう、スキームを持ってきて、それで六十年で、はい、償還ができますと。それではやはり国民はなかなか納得をしないのであって、JRが抱えた赤字というのは、もちろん戦後、経営の収支を度外視したような、例えば復員兵の方を雇用したり、それから政治的に採算の合わないところの面倒を見たり、それは、私は日本国民は広くそのことは認識はしていると思うのです。しかし、この負担をどういうふうに持ってもらうかということに関して言えば、今、私は哲学なんということを言いましたけれども、そこにきちっと説明をするような哲学を持ってスキームを示して、何が負担をするのかということに明確に答える義務というものが大蔵大臣運輸大臣には実はあると私は思います。  時間がありませんので、最後にそのことについての感想をお伺いして私の質問を終わりたいと思いますので、大蔵大臣運輸大臣、簡潔にお答え順いたいと思います。
  117. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 先ほど申し上げたことを繰り返すようでございますけれども、国がこれだけのものを引き受けて、なおあちこちから支援を、支援と申しますか御負担を願わなければならなかったということは、本来、国の財政が豊かであれば避けられた事態かもしれないと思いますが、現在のような財政で、これをもって将来いわゆる根雪が大きくならないようにという処置をさせていただいた。財政が豊かであれば別の方法があったろうという思いはいたしますけれども、そういうことでございますので、御理解を各方面にお願いいたしたいということかと存じます。
  118. 川崎二郎

    川崎国務大臣 先日も御答弁いたしましたけれども、無利子国債の議論、道路財源の議論、また交通税等の議論、さまざまな議論が重ねられて、結果として、今日考えられるベストの案だということで今御提案をさせていただいているところでございます。  いろいろ御議論いただきましたけれども、いずれにせよ、この長期債務の問題は、やはりここでしっかり結論を得なければならないということで御提案をいたしております。どうぞいろいろな御議論を賜りたいというように思います。
  119. 安住淳

    安住委員 終わります。
  120. 大原一三

    大原委員長 次回は、来る七日月曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時三十七分散会