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1998-10-01 第143回国会 衆議院 逓信委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十年十月一日(木曜日)     午前九時十分開議 出席委員   委員長 中沢 健次君    理事 浅野 勝人君 理事 小坂 憲次君    理事 古屋 圭司君 理事 山口 俊一君    理事 小沢 鋭仁君 理事 永井 英慈君    理事 石田 勝之君 理事 西田  猛君       今村 雅弘君    小野寺五典君       大石 秀政君    亀井 久興君       倉成 正和君    佐藤  勉君       菅  義偉君    園田 修光君       竹本 直一君    虎島 和夫君       仲村 正治君    松本  純君       山口 泰明君    伊藤 忠治君       吉田  治君    遠藤 和良君       神崎 武法君    石垣 一夫君       矢島 恒夫君    横光 克彦君       中田  宏君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 野田 聖子君  出席政府委員         公正取引委員会         事務総局審査局         長       平林 英勝君         郵政大臣官房長 高田 昭義君         郵政省郵務局長 濱田 弘二君         郵政省貯金局長 松井  浩君         郵政省簡易保険         局長      足立盛二郎君         郵政省通信政策         局長      金澤  薫君         郵政省電気通信         局長      天野 定功君         郵政省放送行政         局長      品川 萬里君  委員外出席者         参  考  人         (簡易保険福祉        事業団理事長) 五十嵐三津雄君         参  考  人         (簡易保険福祉         事業団理事)  大森 義夫君         参  考  人         (日本電信電話         株式会社常務取         締役国際本部         長)      鈴木 正誠君         参  考  人         (日本電信電話         株式会社常務取         締役人事労働部         長)      三浦  惺君         参  考  人         (日本電信電話         株式会社取締役         サービス運営部         長)      愛澤 愼一君         参  考  人         (日本電信電話         株式会社取締役         営業企画部長) 小出 寛治君         参  考  人         (日本電信電話         株式会社理事電         報事業本部長) 山森 隆俊君         逓信委員会専門         員       平川 日月君     ――――――――――――― 委員の異動 十月一日  辞任         補欠選任   江渡 聡徳君     山口 泰明君  吉田左エ門君     小野寺五典君 同日  辞任         補欠選任   小野寺五典君     菅  義偉君   山口 泰明君     松本  純君 同日  辞任         補欠選任   菅  義偉君    吉田左エ門君   松本  純君     江渡 聡徳君     ――――――――――――― 九月二十九日  地方における情報通信基盤整備推進に関する  陳情書外二件  (第一二七号)  郵便官署における公金収納手数料引き下げ及  び公金振替処理日数の短縮に関する陳情書  (第一九六号) 十月一日  地方における情報通信基盤整備推進に関する  陳情書  (第二三八号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  逓信行政に関する件      ――――◇―――――
  2. 中沢健次

    中沢委員長 これより会議を開きます。  逓信行政に関する件について調査を進めます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本件調査のため、本日、参考人出席を求め、意見を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 中沢健次

    中沢委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  なお、参考人の人選につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 中沢健次

    中沢委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  5. 中沢健次

    中沢委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。佐藤勉君。
  6. 佐藤勉

    佐藤(勉)委員 自由民主党佐藤勉でございます。  本日は、野田大臣には、大変お忙しいところ、またきのうでちょうど二カ月という節目を迎えて、大臣には大変さわやかな郵政行政を行っていただいているということで、日ごろ私どもも、一期議員として、私どもの星として輝いておる大臣を毎日拝見をしておりまして、非常に心強く思っております。いろいろな、重圧という言葉はいけないかもしれませんけれども、あるかとは思いますけれども、それにめげず、もっともっとすばらしい手腕を発揮していただくことを冒頭お願いを申し上げておきたいと思います。また、逓信委員会ということでは、大臣、初めての登壇ということで、私が初めに質問させていただくことを光栄に思っております。よろしくお願いを申し上げたいと思います。  大臣におかれましては、九月二日の逓信委員会所信表明において、経済再生郵政省の最重要課題として、先日発表した情報通信政策大綱においても、新規産業・雇用の創出を第一に挙げておられます。政策大綱の中でも、大臣が非常に得意としておりますインターネット市場拡大を第一に挙げておりますが、インターネットは、二十一世紀には電話と並ぶ情報通信基盤として大きな役割が期待されているかと思います。  インターネット市場拡大のための課題は何か、またインターネット普及拡大のために郵政省はどのような施策を講じておるのか、お考え方をまずもってお伺いをしておきたいと思います。
  7. 野田聖子

    野田国務大臣 小渕内閣での経済再生ということで、総理からは、即効性のあるものということがございました。一両年のうちに効果が上がるものを積極的に取り組めということで、今佐藤先生指摘インターネットというのは、日本のみならず世界じゅうで爆発的な普及が進んでいるということで、郵政省でも着目し、そしてその促進に向けて努力をしていきたいと思っているところであります。  ちなみに、日本でのインターネット普及というのは、平成十年度七月現在でホストコンピューターが百三十五万台、これは過去五年で三十八倍という伸びを示しておりますし、特にインターネットで最近目覚ましく進んでいるのが電子商取引と言われていますけれども、これも平成九年度の市場規模ということで八百十八億円、これは数字を挙げても仕方ないのですけれども、二年間でこの市場規模が百二十倍になっているという大変大きな伸びを示しているわけであります。  ちなみに、先に進んでいると言われるアメリカではこの電子商取引は一兆円規模を超えている、そういうことも明らかになっているところで、私たちとしましては、この電子商取引が、ただ単に一つ産業ではなくて、世界全体の産業構造を変える大きなものではないかということで位置づけて、私たちも積極的に取り組んで、市場拡大をしてまいりたいと思っています。  そこで、課題ということなんですけれども、今インターネットユーザーから承っていることは、日本においては、まだまだ遅いとか信頼性がまだ足りないのではないかとか、そんなようなことが言われているわけでありまして、私たちとしましては、インターネットの一層の普及のためには、そういう遅いものを速くする基礎技術開発を一生懸命やりまして、その上に立って、事業者方たち応用技術を進めていただくような、そういう土台づくりをしていきたいと思っています。これがいわゆる次世代インターネットに関する研究開発ということで、実は平成八年度から五カ年計画で、超高速で大容量のシステムをつくろうということで取り組んでいます。  そして、今申し上げた電子商取引にあっても、八百十八億をふやすためには、やはり多くの人たちがコンピューターを通じての売買に安心感を持っていただかなければなりません。そのためにも、その道具の一つである電子マネー、これはサイバービジネス協議会というところが推進しているのですけれども、九月二十一日からインターネットキャッシュということで、非常に安全性の高いものの実証実験が始まっているところでございます。  いずれにしましても、遅いと言われていること、信頼性を高めるということに全力を挙げて、インターネット普及に努めてまいりたいと思いますので、御支援のほどをよろしくお願いいたします。
  8. 佐藤勉

    佐藤(勉)委員 私も、野田大臣のもとで情報通信については二年間いろいろ勉強させていただいてきたわけでありますが、パソコンやインターネットは既に米国の技術に席巻をされてしまっているという現状があるわけであります。  情報通信における今後の成長分野での日本優位性を発揮できるものは何と認識をされているのか、そして、郵政省はこうした分野をどのように育成をしていくか、お伺いをしておきたいわけでありますけれども、昨年、まずは教育だろうということで、いろいろな予算の要望を私ども大臣と一緒にさせていただいた記憶がございます。そこで返ってきた答えは、非常に情けないような状況であったわけでありますけれども、こんな状況を踏まえてどんな考えを持っておられるのか、お伺いをしたいと思います。
  9. 野田聖子

    野田国務大臣 先生の御指摘のとおり、現在はアメリカが優位に立っているということは、これは紛れもない事実でございます。私もそういうふうに思っているところであります。  その理由としては、やはりインターネット自体、またはカーナビゲーションで使われているGPSにしても、それぞれ、アメリカ国防分野技術を民間転用した、そういう優先度合いがあるわけでございまして、また、その中において先駆けておりますから、当然、情報通信関連ベンチャー企業も随分以前からたくさん出ている、そういう事実があるわけでございます。  そこで、日本としては、今追いつくということよりも、むしろ次の世代で勝負をしようというふうに方向づけているところでありまして、例えばどういうことをしていくかというと、世界的にも最先端の技術をどんどん研究技術開発していこうという取り組みなんですけれども、例えば先ほど申し上げた次世代インターネットに向けての新しいシステムの構築とか、例えばギガビットネットワーク、これは超高速なんですけれども、これは世界でも日本が初めて取り組むことで、先生方の御協力を得まして一次補正から五百十億円いただいておりますので、これをさらに拡大していこう、そういう計画をしております。  特に日本が得意としておりますのが、ITS、高度道路交通システムといって、これは郵政省だけではなくて、建設省とか運輸省の皆さんと力を合わせてよりよい道路環境にしていこう、交通環境をつくっていこうということで、せんだってはVICSという、カーナビだけではなくてその上に渋滞情報みたいなのを載せてドライバーの方たちがスムーズに運転をしていただけるような、そういうものを実は実用化しているところで、引き続き、例えば有料道路などの料金の出入り口のところをドライブスルー化して渋滞緩和をするような実用化に向けて今全力を挙げて取り組んでいますし、放送デジタル化は既に諸外国で始まっていることですが、これも、その勢いにおくれることなく歩調を合わせていこうということで、前倒しで今急いでいるところです。  さらに、日本では普及が非常に多いと言われている携帯電話も、次世代の時代に入ってきました。世界どこでも通用できる次世代携帯電話開発も、全力を挙げて取り組んでいっているところでございますので、そういうところに焦点を当てまして、次世代は、今はおくれをとっているけれども、高い技術を持って、次世代にはアメリカと伍して技術開発をしていこうというところでございます。  今佐藤先生指摘あった学校インターネット、これは多くの国会議員先生からの御指摘があり、とにかく技術開発には何よりも人材なんだ、インターネットにせよ、情報通信高度化にせよ、そういう人材が育っていなければ、ベンチャーも生まれないだろうし、当然、人間がつくるものですから、高い技術も出てこないという観点から、一次補正のときに鋭意努力したんですけれども、さまざま不備な点があったということで、仕切り直しをしているところであります。  例えば、学校インターネット接続するときのネットワークを、前回は光化というか光ファイバーだけに固執したんですけれども、そうじゃなくて、高速であればいろいろな方法がとれるんじゃないか。光とか、例えば無線、さらには衛星、さらにはCATVと、いろいろなネットワークケース・バイ・ケースで利用することによって、現実に、一日も早く学校子供たちインターネット接続というものを提供したい。  あわせて、指導者の不足と言われております。学校にそういうものを置いたって、学校先生指導できないじゃないかという厳しい御指摘もありましたけれども、当然それは文部省の指導にお任せするところですけれども、私たちは、技術者皆様方ボランティア精神をちょうだいしまして、これまで情報通信産業にかかわってこられた方たちの善意の力で、とりあえず当面の措置ということで、そういう技術を持ったプロであった方たちが、地域子供たちのために技術指導をしてくれるようなそういう土台づくり等考えて、できるだけ早い時期に、学校、小中に関しては、インターネット接続に向けて取り組んでいきたいと思っておりますので、御理解いただきたいと思います。
  10. 佐藤勉

    佐藤(勉)委員 いずれにいたしましても、大切な分野だと思いますし、大臣におかれましては、御自分の専門だと思いますので、今後とも意を持って対処していただきたいと御要望申し上げておきたいと思います。  次に、NCCNTT相互接続のことについてお伺いをしておきたいんですが、当然、NCCがいろいろなことをやっていくのにはNTTの回線をどうしても使わなければならないという現況があるわけであります。そんなときに、接続料の算出は現在どのように行われているのか、NCCにとって合理的なものになっているのか、まずもってお伺いをしておきたいと思います。
  11. 天野定功

    天野政府委員 接続料についてお尋ねでございますので、お答え申し上げます。  NTT接続料につきましては、電気通信事業法におきまして、「能率的な経営の下における適正な原価に照らし公正妥当なものであること。」と規定されておりまして、これを受けまして、具体的な原価算定方法郵政省令で定められております。現在のNTT接続料原価につきましては、この郵政省令に基づき、接続に無関係な費用を除外することとして、NTT長距離部門NCCとの間において接続料同等性確保されるよう適正に算定されていると考えております。  この接続料を定める接続約款の設定の認可に際しましては、郵政省としましては、電気通信審議会に諮問しまして、その答申に基づいて行われております。その際は、NCCを含めまして、広く内外の意見を聴取しているところであります。  なお、接続料算定につきましては、より一層適正なものとするため、現在、本年の三月に閣議決定をされました規制緩和推進計画に基づきまして、接続料算定長期増分費用方式を導入するため、所要の検討を行っているところでございます。
  12. 佐藤勉

    佐藤(勉)委員 そこで、そういうお答えなんですが、NCC、この不況で大変収入伸び悩んでいるというお話を聞いておりまして、現在の接続料金で、今後NCCは果たして本当に生き残っていけるのかというふうな考え方を持っているわけでありますけれども、お考え伺いたいと思います。
  13. 天野定功

    天野政府委員 NTT接続料につきまして、最も一般的な接続形態としまして、おおむね県単位にあります中継交換機との接続、これはZC接続と一般に言われておりますが、これについて見ますと、ここ数年間にわたり、毎年着実に接続料金は低下しております。これによりまして、全NCC電話収入における接続料支払い額割合は全体的に低下傾向を示しているわけでありますが、具体的に見ますと、長距離系NCC三社につきましては、過去最大約五割の割合であったものが、昨年度は四一%に低下しているわけであります。  郵政省としましては、今後とも、先ほど申しました長期増分費用方式の導入など、接続ルールの見直しを行っていく所存でありまして、こうした公正競争条件整備される中で、各事業者経営改善市場拡大努力を行っていただき、事業が健全に発展していくことを期待しているところであります。
  14. 佐藤勉

    佐藤(勉)委員 いずれにいたしましても、ぜひともしっかりとした目で監視をしていただきたいというふうに思っております。  次に、KDDの、今後の我が国通信事業者のことについてお伺いをするわけでありますけれども、私の地元、小山市にはKDD施設があります。私が小さいころ、かなりの敷地の中にかなり電線が張りめぐらされておりまして、山の中に何でこんなに電線があって、本当に小さいころ非常に不思議に思った経緯がありました。各国の電波をそこで受け、そしていろいろな意味で、国の大事な通信に当たってきたというのは今になってみればわかるわけでありますけれどもKDDが完全に民営化されたわけであります。  そこで、フラッグキャリアとして国際通信ネットワーク整備してきたわけでありますし、小山市のKDD無線施設も、かつては国際通信送信所として大きな役割を果たしてきたわけであります。競争が進む中、KDD経営は決して楽なものではないと私は思うわけでありますが、アメリカのAT&TとかイギリスのBTが提携を七月に発表したり、KDDテレウェイの合併が合意されるなど、KDDをめぐる環境は大きく変化をしております。今後、国際電話ユニバーサルサービス重要通信をどのように確保していくのか、お伺いをしておきたいと思います。  というのは、どうしても、民営化ということになれば、当然利益を追求しなければいけない。その中で、今まで果たしてきた役割を忘れてもらっては困るわけでありますから、その辺の担保等々は、郵政省としてはどんなふうに考えておるのか、お伺いをしておきたいと思います。
  15. 天野定功

    天野政府委員 情報通信分野におきましては、近年、御承知のように、グローバル化動きが大変著しいわけでありまして、特に国際通信分野におきましては、各国事業者動きが活発に展開されております。こういった状況の中で、我が国におきましては、KDD法の廃止、あるいは国際公−専−公接続自由化を認めるといった規制緩和を進めておりまして、こういった国際的な動きに的確に対応できるよう努めておるところであります。  先生ただいま御指摘ユニバーサルサービス確保についてでありますけれどもKDDは、従来から年間数回の利用しかないようなところを含めまして、全世界二百三十五の国や地域との間で国際通信を提供してきており、これにより、我が国におきます国際通信分野におけるユニバーサルサービス確保されてきたところでございます。  他方、新規参入国際系事業者取扱対地数も近年急速にふえておりまして、KDDとこの新規参入事業者との取扱対地数は遜色のない状況にまで来ております。また、完全民営化後のKDDも、競争を行う中で引き続き対地確保に努めていただけるものと期待しておるところであります。  それから、ただいま先生重要通信確保につきましても言及されましたけれども、これにつきましては、電気通信事業法におきまして、すべての電気通信事業者に対しまして、天災、事変その他非常事態が生じた場合には、災害の予防、秩序の維持等のために必要な通信を優先的に取り扱わなければならないという規定がありまして、これにより担保ができているというふうに理解しております。  郵政省としましては、国際通信重要性あるいは公共性を踏まえまして、KDDを初め各事業者競争を行う中で切磋琢磨していただきまして、全世界と安定的につながる国際通信サービス確保が図られますよう市場環境整備に努めてまいりたいと考えております。
  16. 佐藤勉

    佐藤(勉)委員 時間が参りましたので、質問をこれで終わらせていただきますが、ぜひともよろしくお願いを申し上げたいと思います。  ありがとうございました。
  17. 中沢健次

  18. 竹本直一

    竹本委員 おはようございます。自由民主党竹本直一でございます。  このたびは、野田大臣、御就任おめでとうございます。ぜひ小渕政権の一輪の花じゃなくて満開の桜となって咲き誇っていただきたい、そういう期待を込めて、多少厳しいことも含めて御質問させていただきたいと思います。よろしくお願いします。  先般、アメリカの商務省が「エマージング・デジタル・エコノミー」という報告書を出しましたけれども、私は、原文は読めなかったのですが、概略を訳したものを読みながらつくづく思ったわけでございますが、そこで述べられておるのは、これから二十一世紀にどういう社会が来るかということをある意味では示唆しているのではないかな、そのように思うわけでございます。特に、それに対して政府側取り組みがしつかりしているというような印象を非常に強く受けました。  どういうことかと申しますと、政府自身グローバル電子商取引の枠組みという一つのフレームを経済社会に示しておりますし、そして、そういった社会における政府役割はどこにあるのかということもこれまた割合しっかりと書いているような気がしたわけでございます一つまり、電子商取引成長に大きな影響を及ぼす可能性がある政府というのは、そういった電子商取引がやりやすいような透明で予測可能なグローバルな法的環境整備することが政府の義務である、そういう趣旨のことを書いておりまして、なるほど、これだなと私は思ったわけであります。  そういう意味で、対岸の火事とせずに、ぜひともそれを我が日本経済の、この苦境に立っている日本経済の救いの指針を与えるような方策を見つけ出していただきたい、そういうふうな思いを非常に強くするわけでございます。  特に、デジタルエコノミー、つまりデジタル経済がこれからやってくる。十進法から二進法に変わると言った方がわかりやすいのかもしれませんけれども、非常に大きい変化が予測されるわけでございまして、それに対するきっちりとした対応をしていかなければならない。  どういうことかといえば、全世界インターネット使用者が既に一億人に達しておるようでございます。また、アメリカの大手の書店のようですが、アマゾン・コムという本屋さんが、一九九六年、二年前には千六百万ドルしかインターネットで販売できなかったのが、一年たつと一・四八億ドル、だから約二百億円ぐらいの取引をやれるようになったということでありまして、わざわざ重い本を書店に買いに行くよりもインターネットで簡単に郵送してもらえる、そういうことが現実日常生活の中に入ってきた、こういうことが言えるわけでございます。  そういう意味で、今までのライフスタイルが大きく変わる、しかもその変わるスピードが非常に違う、非常に速いということもまたこの報告書の中に書いてございます。一例を挙げますと、かつてラジオが五千万人の人に普及するのには三十八年間かかっている。しかしながら、インターネットが五千万人に普及するにはたった四年しかかからなかった。このように、変化のスピードが非常に速いということが一つございます。  もう一つ、プロバイダーの有名な会社のようですが、UUネットというのがありまして、トラフィックが倍になるのにそんなに時間がかからないというようなこともまた書いてございました。したがって、ネズミ算方式にどんどん活動が拡大されているということが言えるのではないかというふうに思います。  そういう中で、このように変質するこれからの経済社会生活の態様を考えますと、やはり情報通信技術というものが経済社会に占める役割、ボリュームというのは非常に大きい。特に、今、日本経済は大変な苦境に立っておりますけれども、この苦境を救うのが情報通信を駆使したこういう分野産業ではないかな。そういう意味で、郵政省におかれましても、ぜひこの日本の苦境を救うのに情報通信技術を使って、政府がある一定の指標を示し、それに対して経済界を牽引していく、引っ張っていく、そういうような何がしかの指標を示してもらいたい、そういう期待が強くあるわけでございます。  したがいまして、従来までのことをやっておれば一輪の花で済むけれども、新しい、なるほどと思うような、こういう強引にとも言えるような手法でも構わないと思いますが、きっちりとこの経済社会を引っ張っていく、そういうような一つの手法を考えていただきたい。それは野田大臣に対する私の希望であります。  特に、一例を挙げますと、今大変な不況で、例えば公共工事の発注におきましても、九月末で八一・五%ぐらいの発注を予定しておりましたけれども、この間の新聞報道によりますと、直轄工事で一二%しか発注していない。地方単独事業に至っては一〇%だ。これでは、幾ら十六兆円の補正予算を組んでも、民間中小企業に工事が出てきた、仕事が出てきたという印象は全然ない。  ならば、この情報通信分野で、郵政省がもっと音頭をとって、そしてみずから発注しないまでも、関連の企業がたくさんあるわけでございますし、またそういった中できっちりとそういったところがどんどん設備投資するように、あるいはできるような環境を誘導していく。それこそが郵政省の今後期待される大きい役割ではないかな。まだ就任二カ月でございますから、急にそういうわけにはいかないかもしれないけれども産業界を引っ張っていく、そういったつもりでの政策展開をぜひお願いしたいなという気持ちが強くございます。  そこで、概略申し上げましたけれどもアメリカ社会におけるこのような動きに対して、海外の事情にも、またインターネット世界にも非常に精通しておられる野田大臣ですから、御自身のお考え、印象をひとまず聞いてみたいと思います。よろしくお願いします。
  19. 野田聖子

    野田国務大臣 先生指摘のとおりでございまして、不況だと言われる中、この国においても情報通信産業経済の牽引力として大変な頑張りを見せてまいりました。これから私たちが目標としなければならないことは、情報通信単体を伸ばすということよりも、高度化された技術を生かして新しい産業を引っ張り出していくことではないか。そこでよく例に挙げられるのが、インターネットを取り巻くビジネスであったり、さまざまな社会変化だと思います。  インターネットのビジネスが、先ほども申し上げたとおり、インターネットが爆発的に普及するとか、電子商取引政府の主導がなくてもどんどん広がってくる背景というのは、決してこれは偶発的なものではなく、やはりインターネットの持っている特徴、電話だったら一対一であるものがインターネットになると一対マルチになるということで、当然数がふえていくことは明らかであるわけでございます。  そこで、日本としましては、これをどう進めていくかということで、まずは一番消費者に対して、例えば電子商取引一つとっても、重ね重ねになりますけれども、安心なものである、信用できるものである、これは今先生指摘のとおり、グローバルな枠組みの中で、規制をするのではなく、やはり消費者を保護するということをしっかりと世界じゅうで約束していかなければなりません。  さらには、道具を使うに当たって、これまでも情報通信機器というのは、ある程度の臨界点が来ると自然にブレークするという現象がございました、携帯電話しかり、カーナビしかり。やはりこれからのインターネットでは、インターネットを使う情報通信機器の臨界点をきちっと踏まえて、一部では、世帯の四割をカバーできれば、そこから自然と産業界がインターネットを利用して自分たちの、今の書店の話ではないですけれども、利用する環境が整うのではないかということも一部言われているわけですが、そこまでの、臨界点までのインセンティブというのを、申し上げたように、安心感そして便利、速いとか大容量とか、そういうことの基礎研究郵政省全力を挙げて取り組んでいきたいと思いますと同時に、この情報通信というのは、高度化されればされるほど、国内にとどまらず、もう既にインターネットで経験されているとおり、世界が瞬時につながってしまう。  そういう中で、郵政省としましても、日本が今まで他国におくれをとったりとか、そう言われる中で、積極的にITUとかOECDの中で、さまざまな枠組みができる中での貢献を果たしてまいりたい、そういうふうに思っているところでございます。
  20. 竹本直一

    竹本委員 もう秋、十月になりました。やがて税制論議あるいは予算編成が始まるわけでございます。この大変な不況の中で、やはり公的部門に期待する国民の声も非常に強いものを感じるわけでございますが、郵政省におかれましても、今議論いたしましたような視点を踏まえて、予算編成、税制改正について、昨年も私はずっと立ち会ったわけでございますが、何か旧来のやり方に拘泥しているような感じを非常に強く受けました。ぜひ、飛び上がったような、それを離れても、時代を見据えた一つの発想というものを取り入れて、新しい一つの局面展開をぜひ図っていただきたいなというふうに思います。  例えば、インターネット云々につきましても、こういうことができる、ああいうことができるというような紹介がございまして、それに対してこれだけの予算が必要である、しかし、対前年度比でこれしかないから、そういう新しい仕組みを一、二個つくってみますという、モデル事業的な予算要求が非常に多いのです。そういうことは民間でもやろうと思ったらやれることでありますから、そういうことよりも、もっと定量的に、この日本の行政、政治の中で、これだけの装備をつくれば経済はこのように変わるんだ、したがって、そういった装備をどのようにつけていくのがいいのかというような、もっと行政的な視点での予算要求をぜひしていただきたい。そうすれば、我々も本気になって応援できるわけでございます。  なぜそういうことを私申し上げるかといいますと、昨年の行革論議の中で、一生懸命僕らは、情報通信省というようなものをつくりたいということで本気で考えてやったわけでございます。結果としては御承知のようなことでございますが、その気持ちに変わりはないわけでございまして、従来までのことを相変わらず繰り返しておるようでは余り変化がないんじゃないかというふうにさえ思うわけでございます。いいものは残し、そして新しい分野の切り開きをしてこそ、国民に期待される官庁なり、一つの行政なり、政治の姿だと思うわけでございます。今のように非常に世の中が暗くて夢がない、そういった時代に対しては、ぜひともこの情報通信分野でその明かりをともしていただきたい、そのように思うわけでございます。  そういう意味で、一つお願いしたいのは、民間のいろいろな技術開発、そういったことの紹介もさることながら、日本のこれからの経済社会変化、先ほどアメリカの報告で述べましたけれども、ああいうような、同じ社会日本が変わっていくという前提に立って、どういうふうな予算措置が必要であり、それを官がどれだけ負担し、民がどれだけ負担するかというような、きちんとした指標を指し示しながら行政を引っ張っていってもらいたい。そのような、抽象的で申しわけないけれども、具体に触れる必要もないと思いますので、ぜひそういった期待を申し上げておきたいと思います。  そこで、私は、今のそういった情報機器の中で、ケーブルテレビのことについて質問をいたしたいど思います。  と申しますのは、かつて、東京は多摩でしたか、三鷹でしたね、ケーブルテレビをつくり、関西では生駒でケーブルテレビをつくりました。なかなか採算がとれないという話を聞いておりまして、何とか生き残っておるようでございます。  片や、ケーブルテレビと類似した機能を果たすCS放送、これも私とっておりますけれども、実は私は目黒に住んでおるのですが、ケーブルテレビをつけようと思ったら、私の家族がそれを見たいと言うのでとろうと思ったら、マンションに住んでおるものですから、集合住宅にはアンテナはつけられない、要するにケーブルテレビは無理だ、それをやろうとすると二百五十万ぐらいかかるという話を聞きました。そうしますと、何でそんなにかかるのかよくわからないんだけれども費用がそれだけかかって、かつ、マンション居住者の四分の三の同意がないとだめだというような説明まで受けたわけでございます。マンション居住者はそれぞれ意向があるわけでございますから、こういう集合住宅に住んでいる者でも簡単にケーブルテレビがつけられるような工夫ということをぜひきちんとしてもらいたいという希望があるわけでございます。  昨日郵政省の方に聞きましたら、今ケーブルテレビが六百七十万台、難視聴対策を入れると千四百万台、大体全世帯の三〇%。しかし、実質、本当の意味でのケーブルテレビとなると一五%、世帯数で見て一五%ぐらいしか普及されておりません。アメリカのように国土の広いところであればケーブルテレビの重要性は非常に増してくるわけでございますが、もっともっと日本社会においてもケーブルテレビを普及させるような、もっとさせやすいような環境づくり、それをしてもらうといいのではないかなというふうに思うわけでございますが、このケーブルテレビの現状と、私が今申し上げたような問題点について、郵政省としてはどのように考えて、どのような対処をされる方針なのか、お聞かせ願いたいと思います。
  21. 品川萬里

    ○品川政府委員 お答え申し上げます。  まず、CATVの現状、普及状況でございますが、今先生もお触れになりましたけれども平成九年度末でいわゆる本格的なCATVの普及というのは六百七十二万世帯に普及しておりまして、これは対八年度で見ますと三四・四%という増加になっております。普及率を全世帯で見ますと、約一五%というふうな状況でございます。それから、いわゆる難視聴対策ということで、いわば自主放送はしませんけれども、受信に効果を発揮しているCATVが一千四百四十八万世帯、これは普及率で約三二%でございます。  ただいま先生の御指摘のいわば集合住宅におけるCATVの普及でございますが、これはもう先生専門でいらっしゃいますけれども、これまでのCATVは、ケーブルが引かれていないビルでこれを引くためには、建物の区分所有等に関する法律というのがございまして、ここで過半数ないしは四分の三の同意がなければ工事ができないというような規定がございます。したがいまして、ケーブルを引くことについては、基本的に住民の方とCATV事業者の間のいわば私的な契約の関係なんでございますが、実は先生の御指摘のような件は、昨今、私も直接間接に随分お話を承るようになりまして、いわば個別事象から社会事象に変わりつつあるのかな、それだけCATVなりあるいは衛星放送の需要がふえているのかなというふうに受けとめておるわけでございます。  御案内のように、これから地上放送も含めまして放送全体のデジタル化を進めていくわけでございます。そうしますと、CATVにおいても同様にその対策を講じなければならないわけでございますが、これを契機といたしまして、専門家の方々に集まっていただきまして、今先生の御指摘の点も含めて、総合的な検討をしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。  ただ、その検討をまつまでもなく、実は幾つか措置を考えておりまして、都市内で確かにCATVをビルの中に引くには、関係者全体の、ほぼ全員の同意を得なければならないけれども、それが難しいという場合には、無線を使いまして、希望される方のところにCATVの番組が行くようにという制度整備を今月中に終える予定でございまして、ささやかでございますけれども一つの解決策になろうかなというふうに思っております。  それから、CATVとCS放送の関係でございますが、実は昨今、通信衛星を使った衛星放送事業者の方々の社団法人ができました。衛星放送協会というのができたわけでございますが、実はこの座長にCATVの会社をやっておられた方がなりまして、いわば我が国においてはCS放送、衛星放送とCATVの関係では、確かに競合する面はありますけれども、どちらかというと共存関係と申しますか、お互いに伸びていこうという関係にございますので、そういったところにも着目しながら、都市あるいは山間地におけるCATVの普及にいろいろ施策を講じてまいりたい、かように存じておる次第でございます。
  22. 竹本直一

    竹本委員 ありがとうございます。  社会事象と言われましたけれども、それほどのうねりを持った要望が結構あるんだと思います。そのように、個々の問題ととらえず、一つのうねりだと考えていただいて、ぜひとも、新しい、そして簡便にケーブルテレビを見れるような仕組みを考えて、一般にそれを広報、宣伝していただきたい、そのようにお願いいたします。  もう時間がありませんので返事は結構でございますが、最後に、一消費者としてもう一つ御要望申し上げておきますと、今CS放送でも、ディレクTVとスカイパーフェクと二つありますけれども、あの番組案内がカラフル過ぎて、我々の年代にはとても、どのように申し込めばいいのかわからないのです。だから、民間のやっていることだからそのままやっておけば、わかりにくければ消費者が減るだけのことでございますけれども、二社しかないものに対して、もう少しわかりやすく注文できるような指導というか相談というか、そういうこともちょっとしていただきたい。何度読んでも私よくわからないのです。色がいっぱいありまして、十色ぐらいあってわからないのですね。もう少しわかりやすい方法考えるのも、これもまた行政の仕事の一つだと思いますので、ひとつよろしくお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  23. 中沢健次

    中沢委員長 小沢鋭仁君。
  24. 小沢鋭仁

    ○小沢(鋭)委員 民主党の小沢鋭仁でございます。  まず野田大臣、御就任おめでとうございます。私どもの、ある意味では若い仲間が大変な要職におつきになった。それもまた、ずっと逓信行政といいますか、この逓信委員会で一緒に仕事をしてきた仲間でありますから、しっかりと話がわかる大臣が生まれた、こういう意味では私としても期待をさせていただき、そしてまた、いろいろないい仕事を一緒にさせていただきたい、こういうふうにお願いを申し上げたいと思います。  そこで、私の持ち時間、十五分でございますので、きょうは一点に絞りまして、行政のあり方というか、逓信委員会ですから、それに関連して郵政省のワンストップ行政サービスに的を絞って質疑をさせていただきたいと思います。  なぜこういう質問をするかということでありますけれども、これはもう皆さん方御承知のとおり、最近行政の不祥事というものが続発をしているわけであります。テレビのニュースを見ると、ここのところ、防衛施設庁の問題だとか、あるいはちょっと前までは大蔵省の問題だとか、そういったスキャンダルというか不祥事が続発をしている。国民からは、一体何をやっているんだろう、行政も政治も何をやっているんだろう、全く信頼できない、こういう気持ちになるのも当然だと思うのですね。そういう中で、そんな不祥事というのはもってのほかだと思います。  同時に私は、行政の皆さんたちがすべてがそういう人たちばかりではなくて、まじめに真剣にやっていただいている人たちも、多いというよりも大部分がそういう人たちだ、こういうこともわかっているつもりでおります。しかし、現状はそういう国民の不信感がある。  さらに加えて、今の不祥事はもってのほかの話なんですが、大臣も御承知のように、お役所仕事という言葉があります。これは不祥事ではありませんけれども、基本的に行政のやる仕事というのは効率が悪い、こういうことの、ある意味では別な呼び方なのかもしれません。こういった話も、やはり行政に対する信頼というか期待を裏切っているのも事実だというふうに思います。  そこで、そのお役所仕事みたいなことを考えたときに、では一体何なんだろう、こう詰めていきますと、それは縦割り行政システム、こういう話につながっているのではないか。役所の縄張り争い、縦割り行政システム、そういったものがあるからなかなか、あっちへたらい回し、こっちへたらい回しみたいな話で効率が悪い、こういう話があるのではないか。それからもう一点は、お上の仕事、こういうのがあると思います。要は、役所の仕事というのは上から教え諭すようなものであって、決してサービスを提供するなどという意識ではないのかもしれない。  そういったお役所仕事あるいはお上の仕事みたいなことに象徴される話を考えたときに、そういったものを改善して、国民の皆さんの期待と信頼にこたえていくために必要な話が、まさにこのワンストップ行政サービス、こういう話につながっていくんだ、こういうふうに思うのです。  なぜそこがつながるか。私は従来から、行政サービスステーションという言い方で、私個人あるいは民主党は言わせていただきました。まさにその縦割りシステムを横にくし刺しをして、今の縦割り行政システムにそれぞれなっているのを横にくし刺しをして、そして、国民の皆さんたちにとっては一カ所ですべての行政のサービスが受けられる、それも、私たち行政サービスステーションということでサービスという言葉を使ったのは、まさにそういうサービス意識というか、サービス提供の意識を役所に持ってもらいたいからだ、こういう思いで行政サービスステーション、こういう言葉を使わせてもらったのですが、今回郵政省の方ではワンストップ行政サービスという言い方で統一してやっていただいているのは、サービスという言葉も入れていただいて、そのとおりだ、こういうふうに思っているところであります。そういった意味で、こういう意識改革が物すごく重要だと私は思っています。  そういう中で、政府が行政情報化推進基本計画、こういったものをつくってやっていらっしゃる、これも承知をしています。ただここは、大事な話は、今申し上げたことからすれば、情報化というのはあくまでも道具立てであって、情報化というのはツールであって、今申し上げた縦割り行政を横に貫く、あるいはサービスを提供する、そういった意識改革の方がはるかに重要だと私は思っているわけでありますが、そういった現在の政府のお考え、本当は政府全体のお考えをお聞きしたいのですが、郵政省もそのところに入っていらっしゃるわけでありますので、とりあえず郵政省から見たところで結構でありますが、そういった行政のあり方ということに関してのお考えをお聞かせいただきたい、こういうふうに思います。
  25. 濱田弘二

    ○濱田(弘)政府委員 お答え申し上げます。  もう先生、ワンストップ行政サービスにつきましては、かねて非常に御造詣が深いということはよく存じ上げておるところでございます。  最後の方で、政府全体の取り組みの中でという御指摘がございましたが、これも先生よく御案内のように、最近のところにつきましても、この平成十年度におきまして、政府で行政情報化の取組方針というのを定めておるわけでございますけれども、行政サービスの質的向上のためということで、短いのでちょっと読ませていただきますと、「総務庁において、ワンストップサービスの対象分野、サービス項目・内容、実施手順等について、制度・技術面を含め、その実現に向けた検討を進めるとともに、」というふうにございまして、次に、「郵政省において、郵便局におけるワンストップ行政サービスの実験等を行う。」ということで、政府全体の中でも、郵便局におきますところのワンストップ行政サービスが位置づけられておるのは御案内のとおりでございます。  この郵便局におけるワンストップ行政サービスが実現いたしますと、郵便局、全国津々浦々に存在するわけで、国民に最も身近な国の機関ということでございまして、ここで、一つの窓口で行政サービスが言ってみれば完結するとなりますと、先生指摘のように、縦割り行政を窓口でもって一つ解消するという効果も当然ながらあるわけでございます。  それからまた、現実に、今過疎地におきまして、法務省の方で登記所が閉鎖されておるわけですが、住民の方にできるだけ御不便をおかけしないために、郵便局が登記所の肩がわりをするということで、ファクシミリを使いまして、登記簿、謄抄本の申し込み等、郵送が行われているのも、これまた先生御存じのとおりでございます。  今後とも、関係省庁と自治体とよく連携をとりまして、ワンストップ行政サービスの実現に向けて積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
  26. 小沢鋭仁

    ○小沢(鋭)委員 そこで、今基本的なお考えは聞かせていただいたのですが、具体的に、現状の進捗状況と、それから、例えば来年度予算あたりでどういうことを計画しているのか、お聞かせいただきたい。  ついでに、ちょっと時間も詰まってきておりますので、そういうことに関して進めていくに当たって、今までやってこられて、推進を妨げるような要因というのは一体何なのか、その辺もあわせてお聞かせいただきたい。金なのか、いわゆる役所の権限争いなのか、そこも含めてお聞かせいただきたいと思います。
  27. 濱田弘二

    ○濱田(弘)政府委員 問題が大変大きいのですが、できるだけ簡潔にお答えさせていただきたいと思います。  九年度、十年度と実験をしておるのは先生御案内のとおりでございます。  九年度の実験、特に沖縄の竹富島におきましては、竹富町の役場が石垣島にあるということで、そこまで逐一船で出かけていかなければならなかったわけですが、郵便局のワンストップ行政の端末によりましてオンラインでヘルパーさんの申し込みなどができるということで、非常に好評だということでございます。  十年度は、この実験をさらに拡大をしていくということで、一つの市町村完結ではなくて隣接の市町村にも申し込みができるようにしたいと思いますし、それから、技術的な側面で、先生今御指摘ありましたところで、やはりこれからのブレークスルーしなければならぬ問題として技術的なところと制度的なところがあるわけですが、電子認証技術の実験を本格的に始めたいというふうに思っておるところでございます。  それで、十一年度は、さらにこの実験の充実ということを図ってまいるわけですが、さらに新しいものといたしまして、郵便局に自治体の方で情報端末を置いていただく。その情報端末というのは、住民票とか印鑑登録証明、こういうのが自動的に発行できるような情報端末を置いていただくというような予算要求をしておるわけでございます。二百台を要求いたしております。これは先生の最後の御質問に関係するわけでございますが、やはり制度的な問題というのがございます。自治省の方で通知がございまして、そういう情報系の端末というのは市町村の管理、支配下にあるところでないと設置ができないということで、そこで郵便局に置くことについてデッドロックに乗り上げております。ただ、これも、自治省としても検討の場には出るということで、私ども今事務的にこれからさらに折衝を続けていきたい、そういうふうに思っておるところでございます。一例でございます。
  28. 小沢鋭仁

    ○小沢(鋭)委員 鋭意お取り組みいただいている姿勢は評価いたしますが、現実的に考えたときに、今の濱田局長のお話にもありましたように、平成九年度、台東区、岡崎市、竹富町、それぞれ観光案内資料請求、学習講座等の申し込み、ホームヘルパー派遣申請。先ほど申し上げたようなあらゆる行政サービスを国民に提供するということから考えますと、まだまだ足りないのではないか、こう感じるわけです。来年度の概算要求のところは少し認証制度の話なども入れていただいたようでありますが、さっき言ったような話で考えたときに、もっとスピードアップしてやらなければいけないのではないですか。これこそ本当に行政改革なんですよ。まさに国民にとってありがたい行政改革なんですね。  そこで、大臣大臣の方が今回指示を出したということで、情報通信政策大綱を概算要求に当たっておつくりになった、これは私も見せていただきました。御指示の適切さも評価いたしますし、また内容も「政策目標」、「政策効果」というのが最初にばんと出ておりまして、大変わかりやすいものになっています。  そこは評価するのですが、では、そういったことで、このワンストップ行政サービスがどこに入っているかというと、確かに「二十一世紀の発展基盤の整備」のところで「電子政府の基盤となる一云々というところに入っているわけです。しかし、大臣、まさに大臣の仕事というのは、各省庁のいろいろな行政の縦割りを、それぞれの大臣と一緒に話をして国民の期待にこたえるところにあるのですね。そのために閣議というのはあるわけですね。今の局長のお話でもありますが、自治省が悪いとは言いませんが、これは、悪いのではなくて、今まで権限がそうなっている。少なくともこのワンストップ行政サービスという観点から見れば、そこのところをまさに大臣の力で突破していくというのが期待される話だと思うのです。  だから、そういった話を野田大臣に私は期待したいと思うし、そのお考えをお聞かせいただきたい、こういうふうに思います。
  29. 野田聖子

    野田国務大臣 ありがとうございました。  結論から申せば私も同感でございまして、ワンストップ行政サービスを今回軽く見ているわけではなくて、もう既に、電子政府をまずきちんとつくろう、高度情報通信社会推進本部の中で、今先生指摘のとおり、これは郵政省だけが進めていっても、ほかの役所がついてこなければ全く利用者にとっては意味のないことでございまして、副本部長として、総理が本部長でございますけれども、そういうことで鋭意、一生懸命取り組んでまいりたいと思いますし、これはまさに、郵政省の仕事ということではなく、それぞれ政治家が地域において国民利用者の立場に立った、行政改革の極めてわかりやすい新しい理念の形だと思いますので、先生方からの御支援をいただいて、全力を挙げて大胆に取り組んでいきたいと思いますので、よろしくお願いします。
  30. 小沢鋭仁

    ○小沢(鋭)委員 持ち時間も終わりましたので、改めて野田大臣には、まさにそういったところで奮闘していただくのが政治家の役割、こういうお言葉もありました、やっていただきたいと思います。  野田ビジョン、こういうお話も新聞紙面等では聞こえてくるのですが、例えばその野田ビジョンの中で、いつも申し上げるのですが、アメリカはゴア副大統領がかつてスーパーハイウェー構想、こういう構想を立てた。そして、不肖私は、例えば光ファイバーで日本じゅうを張りめぐらすという意味では光の国、ジパング、こういうことを申し上げた。また、他党ではありますけれども、このネットワークに関して網の文明と白川勝彦代議士はかつてそう言った。  そういったまさにきちんと国民の皆さんにも説得力を持つコンセプトを打ち立ててやっていただいて、それが野田ビジョンだ、こういう話にぜひしていただきたいし、そのためには、まさに行政改革、郵政省ができるところからまずやる、こういう話でやっていただきたいと思いますし、そういった観点では民主党も行政改革は一生懸命やらせてもらいますから、そんなことを申し上げて私の質問とさせていただきます。  ありがとうございました。
  31. 中沢健次

    中沢委員長 吉田治君。
  32. 吉田治

    吉田(治)委員 野田大臣、八月一日の毎日新聞によりますと、「私が大臣在任中は、郵貯、簡保資金での株価買い支えば絶対しない。一こういうふうに発言されたというふうに出ております。ということは、指定単運用というのですか、これはたしか私どもの手元資料によりましても株式や債券に運用すると。これはもともとの出どころというのは、大臣は政務次官もされたからよく御承知のとおり、資金運用部からのお金。資金運用部のお金というのは、まさに郵便貯金であったり簡易保険のお金であったりするわけです。ということは、指定単というふうなものの中において、株価の買い支え、つまり株式に使うための指定単というものはなされないというふうにこれは判断できるのでしょうか。
  33. 足立盛二郎

    ○足立政府委員 指定単というものでございますが、これはいわば資産運用の一つの商品といたしまして信託銀行にお金を信託いたしまして、信託銀行の判断によりまして、それぞれ株式、債券、あるいは場合によっては土地といったようなものに運用してもらうものでありまして、いわゆる郵貯、簡保のお預かりいたしました資産運用としては、昭和六十二年からこの制度が認められて現在まで行っておるところでございます。  いわゆるPKO、株価操作といったような観点から私どもは運用しているものでありませんで、あくまでお客様等からお預かりいたしましたものの有利、確実な運用方法として実施しているものでございます。
  34. 吉田治

    吉田(治)委員 じゃ大臣、そのお話の中で大臣が発言をなさった郵貯、簡保資金というふうなものは、これは指定単ではなくしてという意味ですか、それとも、それはどういうふうな意味で御発言をされたわけですか、七月三十一日ですか。
  35. 野田聖子

    野田国務大臣 記者会見でお答えしましたのは、そういうような疑われるような行動を郵政省はしてこなかったし、これからもそういうことをしないように努めていくというような発言だったと思います。
  36. 吉田治

    吉田(治)委員 余り大臣の発言に入ったくないんですけれども、その疑われるようなというのは、それは何を疑われるということですか。
  37. 野田聖子

    野田国務大臣 一部報道で、株価PKOのようなアナウンスメント効果があるのではないかと一部の政治家の方々がおっしゃったことに対して、それと郵政省がやっていることは全く違うことであるということを明確にしたがったわけです。
  38. 吉田治

    吉田(治)委員 じゃ、その指定単のことについてちょっとお聞きをしたいんですけれども、今局長は有利、確実と言われた。有利、確実というのは、有利、確実に利益が出るということ、それとも有利、確実に収益が見込まれるということ、それはどういうことですか。
  39. 足立盛二郎

    ○足立政府委員 簡易保険あるいは郵便貯金の資金運用につきましてはそれぞれの運用原則がございまして、有利、確実な運用を行うということでありまして、この本指定単につきましても株式等が組み込まれておるわけでありますけれども、株式といいますのは基本的にはいわば経済成長に応じまして収益力が上がってくるものでありますので、そういうようなことなどを期待してこの指定単というものを現在私ども運用しておるところであります。
  40. 吉田治

    吉田(治)委員 もう始められて、簡保が昭和六十二年度から、たしか郵貯が平成元年度からですけれども、今局長言われた経済成長担保にした収益率、当時からたしか日本経済成長は五%も六%もなかったですね。この十年近い中で、じゃ有利、確実と言うならば、どれだけ有利、確実で、どれだけのものをつぎ込んで、どれだけ利益が出て、含み損益を含めてどうなっているのか、ちょっと教えてください。
  41. 足立盛二郎

    ○足立政府委員 現在指定単で行っておりますもので、まず簡易保険が行いましたのが昭和六十二年からであります。昭和六十二年から行いまして、現在、平成九年度末で約十二兆円の資金を投じておるところでありますが、これに対しまして、現在のところ、始めた当初は非常に経済成長の波もあったわけでありますが、近年のバブル崩壊後の御承知のような経済情勢等もありまして、平成九年度の決算では単年度四百四十一億円の黒字を計上いたしました。しかしながら、その前約五年ほどでありますけれども、赤字がありまして、平成九年度で先ほど申し上げました利益が出たといたしましても、現在、累積欠損金が三千二百三十七億円あるところであります。  ただこれは、先ほど確実、有利というお話をいたしましたけれども、株式といいますのは基本的に企業の成長力を示すものでありますので、長期的に保有いたしますと必ず経済成長に応じて伸びていくであろうということで私ども運用しているものでありまして、そういう意味では、少し長期的な視点からこの問題に対応していく必要があるだろうというふうに考えておるところであります。  なお、郵便貯金の分野でもこの指定単運用タやっておりまして、郵便貯金につきましては、平成九年度末で総額七兆六千四百億ほどの資金を投入いたしまして、平成九年度では単年度利益が二百三十八億円、累積で三百十四億円の黒字ということになっております。  以上でございます。
  42. 吉田治

    吉田(治)委員 じゃ足立局長は、日本経済成長はこれからずっと続くと。たしか今、金融再生法等々さまざまな部分、また、きょうの朝のニュースによりますと、IMFの日本経済成長率の見込みはマイナス二・五%だというふうな見込みが、これから先日本経済成長が高度経済成長のように伸びないという中においても、まだ局長というか郵政省というか、指定単に対しては先々伸びるから安心なんだ、確実なんだ、有利なんだと言い続けられるということですか。
  43. 足立盛二郎

    ○足立政府委員 日本経済がこれからどういうふうに展開していくかということにつきまして私ここで詳しく予想することはできませんが、いわゆる資産といたしまして株式といったようなものは、基本的に、過去の長期のレンジで分析してみますと、必ず経済成長に応じたそれなりのいわば収益を出していく資産であるということは言えると思います。  また、短期的な観点から見ますと上がったり下がったりの変動があるわけでありますが、これにつきましては、他の違う種類の資産とあわせて運用することによりまして、それぞれ株式も持つあるいは債券も持つといったような、組み合わせる、分散することによってそういったリスクというものを吸収していくことができるだろうというふうに考えております。
  44. 吉田治

    吉田(治)委員 どうも局長、それを、同じことを経企庁長官の堺屋先生に聞いたらどう言うかと。そんな考え方をあなたは持っているんかと。あの人ははっきりと、これから先、日本経済はよくないと言い切っているお方でしょう。それがいつまでも過去のレンジ——じゃ、過去のレンジとあなた言うんだったら、昭和六十二年以降十年以上も指定単をやっていて、含み損が、累積損が三千二百億もある。じゃこれから先十年間、前と同じようにいけばもっと損益ふえるということじゃないですか。  指定単というのはそろそろ見直すべきときに来ているんじゃないですか。過去のレンジで、長期のレンジと言いますけれども、過去を見て将来をやっているから日本の政治はおかしいんだとよく言われています。霞が関の皆様方もそれを変えなければというふうに言われているんでしょう。それを同じことで、過去が伸びていたからこれから長期も大丈夫だ、だからまだ金を突っ込むんだというふうに言い続けるというふうにとらえていいのね、局長
  45. 足立盛二郎

    ○足立政府委員 現下の経済情勢が非常に厳しいわけでありまして、将来を必ずしも楽観するということは許されないと思いますが、一般的にこの株式というものは、先ほど申し上げましたとおり日本産業成長力をあらわす一つの印であるということから、将来長期的に見れば、経済成長に応じてそれだけの収益が上がってくるだろうというふうに考えておるところであります。
  46. 吉田治

    吉田(治)委員 これはもう基本的な発想が全然違うのでこれ以上お話ししても、これは局長に大変申しわけないんですが、ほかの委員会で言ったんで、局長ももうそろそろ満期で、あとは退職金もらって、第二の職場があるのか事務次官になるのか私は知りませんけれども……(発言する者あり)私はこれから先まだまだあるのですから、その辺の発想の違いというのはやはりある。これははっきり申し上げておきたいと思います。  今、局長が損失云々と言いましたけれども、このお金は、スキームによりますと、大蔵省資金運用部から郵貯が借り入れ、それを寄託という形にしておりますけれども、借り入れするときには利息を払うのですね。寄託した場合には簡保事業団から利息をもらうわけですね。そのパーセンテ——ジはどうなっていますか。
  47. 松井浩

    ○松井政府委員 お答え申し上げます。  貯金に限定したお話をいただいたようでございますので、私の方から答弁させていただきますが、私どもは、全体の資金のうちの二割弱の資金を、一度大蔵省の資金運用部に預託したものをまた同じ金利で借り入れるという形で運用させていただいております。ですから、同じ金利なんですが、先ほど簡易保険局長から答弁させていただきましたように、郵便貯金の勘定におきましては累積で三百十四億円の黒字を計上しております、平成九年度末でございますが。といいますと、これはコストの財投金利よりも高い実績がある、つまり財投に預けていたよりも、預託しているよりも高い収益を得ているということであります。これを今私は誇らしげに申し上げているわけではございませんが、運用利回りで申し上げますと、利回り的に申しますと、財投にやっているよりも運用利回りが高かったということになります。  数字で申し上げますと、私どもでいいますと、一般の金融自由化対策資金では四・五八%、こちらの方も累積で何千億かの積立金を持っております。三千億以上の積立金を持っていますけれども、指定単で申し上げますと、私どもは四・九一%の運用利回りに平成九年度でなっております。ということで、私どもに関してはそういう申し上げ方ができると思います。
  48. 吉田治

    吉田(治)委員 今局長、大蔵省の資金運用部から預託利率と同じ利率で借り受けたんですね。私がお聞きしているのは、その資金を簡保事業団に幾らで貸しているのかと。
  49. 松井浩

    ○松井政府委員 私どもも同じ金利ということになります。つまり財投金利でございます。
  50. 吉田治

    吉田(治)委員 それはおかしいですよ。私の手持ち資料によりますと、同じ利率で借り受けたものを年利一%程度の低利で簡保事業団に寄託しているとなっているのですけれども、それはどういうことなんですか。そうするとどこが違うのですか。
  51. 松井浩

    ○松井政府委員 私どもの資金につきましては、申し上げましたように、根っこで財投金利で借りているわけです。それを指定単という形で簡保事業団に寄託しているわけです。ですから、コストが回収されなければなりませんので、同じ金利で簡保事業団に寄託しているということになっております。
  52. 足立盛二郎

    ○足立政府委員 吉田先生、ただいま一%程度の金利でとおっしゃいましたので、それは、簡易保険が簡保事業団を通じて行っている現在の、運用寄託という方式による指定単を行っておりますが、これは平成六年度からそういう形でやっておりますが、それにつきましては現在一・三四%、株式の配当利回り程度の金で簡保の場合には寄託しているところであります。  これは貯金と違いまして、簡保資金は郵政大臣みずからが運用するということでありますので、資金運用部に預けたものを同じ利率で借りてくるという貯金とは違いまして、郵政大臣みずからが貸し付けておるということでございます。
  53. 吉田治

    吉田(治)委員 これは勘違いしていました。郵貯は大蔵省資金運用部から来てそのまま出す。簡保は、じゃ、反対に言うと、簡保で一%のものを貸しているのになぜそれだけ損を出すのか。それだったら、簡保資金というものをほかに回す方法があるのではないか。たしか簡保の利率もそういう安い金額では入ってこないはずではないですか。その辺はどうなんですか。
  54. 足立盛二郎

    ○足立政府委員 昭和六十二年から簡保の指定単を始めましたが、六十二年から平成五年までは財投金利で簡保事業団に貸し付けておりました。しかし、この指定単というものの資産の内容を見ますと、株式というものが大きな比重を占めますので、実際、株式の配当利回り程度の利率で貸し出す方が簡保事業団としても長期的な視点で運用ができるであろうということから、平成六年度から運用寄託制度ということで、貸付利率を財投金利から株式の平均配当利回り程度のもので、現在は一・三四%程度で行っているものであります。  そうすることによりまして、簡保事業団としては長期的な視点で指定単運用を行うことができる。財投金利のような高い金利で借り受けますと、常にその利息の返済のために益出しをしなければならないといったようなことで、株式のように長期に保有することによって収益が上がる資産運用というものがそれだけやりやすくなるということでございます。
  55. 吉田治

    吉田(治)委員 局長、それだったら、こういうふうな整理ができるわけですか。  郵政大臣として運用できないから簡保事業団を通じて、つまり簡保事業団というふうなものを一つのトンネルと言ったら語弊があるけれども、通して簡保のお金を運用している、そのために一%という安い利率でしているんだ、それについては長期的に見てくださいと言いますけれども、よく長期長期と言いますけれども、これはどこで一遍切るのですか。ずっとやり続けるということですか。指定単をずっとやり続けるのか、いや、やはりこういう株式の低迷時代、きのうからでも四百円下がる、これから先の経済成長力、いろいろ考えたときに、例えば平成何年度をめどに一応指定単の運用については見直しをするとか、また、自主運用という形でさきの国会におきましても法案改正がされましたし、大臣自身も記者会見の中で、いや、これから自主運用するのだからという強い言葉もあるのですが、その辺はどういうふうにされていくわけですか。
  56. 足立盛二郎

    ○足立政府委員 現在百六兆円ほどあります簡保資金をどういうポートフォリオで運営していったらいいのかということは、確かにその時々の経済情勢というものを十分見きわめて見通しをつける必要があることだと思います。そういう立場に立ったといたしましても、私、指定単というものを通じまして株式にも運用の道を開くということは、我が国のこれからの経済発展等を考えましても必要な商品ではないかなというふうに思います。  しかし、今度、いわゆる財投改革等に伴いまして全額自主運用等の、根本的に私どもの資産運用について考える機会もありますので、そういったときにも改めてこの資産運用のあり方につきまして評価を行いまして、検討してまいりたいというふうに考えております。
  57. 吉田治

    吉田(治)委員 きょうはお忙しい中、参考人として簡易保険福祉事業団の五十嵐理事長、また大森理事においでいただいておりますけれども、この指定単のことをもう少し詳しく聞くために、この流れの中で、簡保事業団から信託銀行に指定単として流れる、委託をされるということですけれども、この信託銀行というのは何行ぐらい委託をし、それぞれ委託額というのですか、どういうふうに運用をそれぞれ銀行等がなされているのか、ちょっとお答えをいただきたいと思います。参考人の方にお願いしたいと思います。
  58. 足立盛二郎

    ○足立政府委員 現在、信託銀行、内外ありまして、約十六社ぐらいにお願いをしておるところであります。そして、個々の信託会社ごとにどのような内容で契約をしているかということにつきましては、これは個々の契約内容に立ち入ることになりますので、公表することは御容赦いただきたいというふうに思います。
  59. 五十嵐三津雄

    ○五十嵐参考人 今先生お尋ねの点でありますが、局長の方からお答えがありましたように、私どもと信託銀行との契約内容、額等については守秘義務が契約上課されておりますので、それは差し控えさせていただきたいというふうに存じますが、ほぼ十六行程度の信託銀行との間でいわゆる指定単の契約を行っているというのが実態でございます。
  60. 吉田治

    吉田(治)委員 守秘義務と言われましたけれども、なぜ守秘義務がかかるわけですか。どういう意味合いでつけているのでしょうか。
  61. 足立盛二郎

    ○足立政府委員 郵貯、簡保といいますのは、非常に規模の大きい投資家でありますし、また公的な立場にある機関であるということから、市場は非常に私どもの投資行動に注目をしておるわけであります。  そんな中で、例えばA社にはどのくらいのものを発注したとか、そういったことなどは非常に市場に対しても影響を与えますし、また影響を与えますと信託銀行といたしまして行動を制約されるというようなことにもなりますので、契約上そのような形にしておるところでございます。
  62. 吉田治

    吉田(治)委員 それを聞くと、理論はわかるのですけれども、では自分たちのいわば簡保だとか郵貯、私もしていますけれども、そのお金がどこでどういうふうに運用されているのかわからないところでなされていると。二十三兆円ですね、総額的に言うと。そういうことが、ではしっくり納得できるのかというと、いやお任せしたきりでと。まあ国だから安心だ。しかしながら、実際上数字を見ると損がいっぱい出てきている。では、いっそれを損切りというか、どこでめどをつけるのかという確実な御答弁もいただいていない、投資先がわからない。  これははっきり言って、十六行だったら、日本じゅうの信託銀行、それはできないでしょうけれども、お呼びしてそれぞれ幾つかと聞く必要もこれはひょっとしたら出てぐるのかなという感じを強く受けていますけれども、それでも守秘義務と。それであるならば、これから郵貯、簡保の自主運用ということになってくると、これはもう全然表に出ない。見えないところの巨額な資金をこれから自主運用していくということと同じになりますね、それよりも何倍も大きい資金になってくる。その辺の整合性というのはどういうふうにとられるのですか。
  63. 足立盛二郎

    ○足立政府委員 私どもがどういう信託銀行を選んでどのくらい契約をするかということでありますが、この辺は実に私ども資金運用を預かる立場として重要なことであるわけであります。  まず現在やっておりますのは、例えばその信託銀行のパフォーマンスをよく測定するということであります。そしてまた、当該信託銀行の運用体制、あるいはその投資判断に至る運用プロセス等につきまして、十分当該会社からも事情聴取いたしますとともに、評価専門機関等の力もかりまして、各信託銀行の評価を行った上で決定しておるところであります。  なお、現在行っておる運用について、今後どこで損切りをしたりあるいはもっと拡大していくのか、そういった判断はどうするのかということでありますが、そういった個々の会社ごとの評価等を私ども内部で十分行いまして、この資金運用の責任を果たしていきたいというふうに考えておるところであります。
  64. 吉田治

    吉田(治)委員 時間がないので、ほかの質問もいっぱいしたかったのですけれども、何とも言えない、煮え切らないというか、ではいつとかそういうことは答えられずに、先ほど無礼なことを言うのじゃないというやじもありましたけれども局長はやはり十年も二十年も局長をこれからやられるわけでもない、次の方にちゃんと引き継がれると思いますけれども^今月この日が終われば後はないのかなというふうな、では後どういうふうにこの指定単というのがなされていくのか。その辺を含めて、大臣、せっかくおいででございますので、そういう言い方は失礼でございます、ぜひとも大臣の責任あるお言葉をお聞きしたいと思います。
  65. 野田聖子

    野田国務大臣 経済情勢が悪くなっている中での御心配だと思いますけれども、国務大臣の一人として、まずはこの経済情勢をよくしていくという取り組み先生方の御指導をいただいて全力を挙げて取り組んでまいりたいと思います。  また、局長を初め、それぞれ郵政省の担当者は責任を持ってそして継続性を持ってその仕事に努めているわけでございまして、確かに守秘義務等情報公開できない部分もあるわけですけれども、だからといってそれぞれが適当にやっているわけではない。そして、それをしっかり私は監督しているわけでございまして、これは引き続き行政にあっても継続されるべきものであり、また、今後指定単につきましても、私としますれば、全額自主運用の話が出てまいりまして、実際に今研究会を開いております。これには、広く各界各層、学者、または実際にそういう金融関係で最前線におられる方、さまざまな方々の御意見を聞きまして、利用者の方たちに不安がないように、そういう形で運用の方向性を御検討いただく、そういうことで鋭意努力しておりますので、御理解いただきたいと思います。
  66. 吉田治

    吉田(治)委員 せっかく参考人がおいででございますので、守秘義務の件ですけれども、これはちゃんと契約書か何かの中に、これについてはこうこうこうだというふうなのが文書に明記をされている、その文書については公表がなされているのか、いや文書の公表すらも守秘義務で出せないのか、それはどうなんですか。
  67. 五十嵐三津雄

    ○五十嵐参考人 銀行との間の契約内容につきまして、その金額が幾らであるかとかいうことについての守秘義務は、契約書の内容になっております。契約書の内容自身はこれも公開しないということでやっております。事実として申し上げますと、以上でございます。
  68. 吉田治

    吉田(治)委員 やはりどこかであるものを公表してもらわなければ、例えば、今週刊誌を見たら、もう毎週のようにどの銀行はマルだとかペケだとか、AからEでとなっていて、では郵貯は十六行、行名を明かすことはできるわけですか、それもできないのですか。
  69. 五十嵐三津雄

    ○五十嵐参考人 先ほどから申し上げておりますとおりに、特定の銀行との契約関係でありますので、そういう意味では、十六行程度と私申し上げましたが、銀行名についてもこれは公表しないということにいたしております。
  70. 吉田治

    吉田(治)委員 時間で終わらせていただきます。ほかに質問を用意しておりましたけれども、それぞれの方には申しわけございません。この問題についてはこれからも続けたいと思います。  以上です。
  71. 中沢健次

    中沢委員長 遠藤和良君。
  72. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 九月二十四日から二十五日にかけまして、高知県で記録的な集中豪雨がありました。  二十七日の日曜日でございますが、関谷建設大臣が現地を緊急視察されるとお伺いしまして、私も同行させていただきました。朝六時に徳島の自宅を出まして、高知県の国会議員の皆さんと一緒に同行させていただきまして、地元の知事さん、あるいは市長さん、あるいは町長さんのお声を直接聞いたり、あるいは被災された現場も見てまいりました。東京の方は、高知のことでございますから余り大きな報道がなかったようでございますが、現地に参りまして、余りのひどい惨状に絶句いたしたわけでございます。  きょう、私、若干地元の高知新聞のコピーを持ってきているのですけれども、写真だけでもちょっと見ていただきたいと思いますが、これは、土讃線という線路が、下が全部流されて線路だけ浮き上がっている、こういう状況です。あるいは、これは水が引いた後ですけれども、車の上に車が乗っかっているとかヘリコプターで救助している、こういう状況ですね。それから、ちょうど県立美術館で秋の展覧会、県展をやっていた最中なんですけれども、ここにも水が来まして出品作品が全部水没している、こういう状況でございます。  亡くなった方が六人おりまして、十六歳の方が一人おりますが、あとは全部高齢の方でございます。本当にかわいそうだなと思いましたのは、九十一歳のおじいちゃんと八十七歳のおばあちゃんが二人で生活をしていて、八十七歳の奥様の方は足が悪かった。その看病をしていたわけでございますが、一階が、水がだんだん上がっていきまして、二階におじいちゃんの力ではお連れすることができなくて、そのまま、おじいちゃんの腕の中でお別れぞねという言葉を残して、おばあちゃんが水の中で息を引き取っていった。こういうこともお伺いいたしました。  きょうはこの水害について、特に郵政省関係に限って質問をさせていただきたいのでございますけれども大臣に最初に、この高知の水害に対する、今若干写真等もお見せしたのですけれども、御感想がありましたら、一言最初に伺っておきたいと思います。
  73. 野田聖子

    野田国務大臣 初めに、今度の高知の水害でお亡くなりになられた方々に心からお悔やみを申し上げますと同時に、被災者の方々にお見舞い申し上げます。  ことしは各地域でいわゆる天災、水害、台風の被害が多いわけでございまして、実は、私の地元でもそういう水害での犠牲者がございました。自然の脅威とはいえ、まざまざとその恐ろしさを感じつつも、また私たち一生懸命知恵を出しているけれどもそれを乗り越えてしまう、そういう力に対して、やはり謙虚に、そしてまたこういうことを教訓にしまして、さらに今後はそういう被害を抑えていけるようなことを、郵政省でできることもしっかり、この際先生方の御指導をいただいて取り組んでまいりたい、そういう気持ちでおります。
  74. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 特に電話の不通という問題なんですが、本当に、いざというときに救助を求めようと思っても電話がかからない、こういう状態が長く続いたという話を現地で聞いてまいりました。  この際お聞きしたいのですが、通信関係の被害の状況並びに通信サービスが十分にできなかった、こういった状況について、郵政省はどのように把握しておりますか。
  75. 天野定功

    天野政府委員 お答え申し上げます。  今回の高知県の水害は大変規模が大きかったわけでありますが、NTT電話回線につきましては、五千七百回線が被害を受け不通になったと報告を受けております。しかしながら、この不通になりました回線は、九月二十九日には四千九百回線が復旧いたしまして、さらに、残された回線も昨日の夕刻までには全面復旧したというふうに承っております。それから、一番期待されております携帯電話につきましては、落雷、浸水、中継回線の切断によりまして、高知県で九つの基地局、愛媛県では一つの基地局が停波しましたが、二十八日までにすべて回復したと聞いております。  次に、ふくそう状況でございますけれどもNTTでは、九月二十五日に午前七時から高知県内及び全国から高知県への着信においてふくそうが発生したということでありますが、同日午後十一時には回復しております。この間、最大で五〇%の発信規制の措置をとっております。携帯電話でも、事業者によりふくそうが発生しておるわけでありますが、最大で七五%の発信規制の措置をとったということであります。ふくそうの実情は事業者により異なるわけでありますが、トラフィックは平常時の一・二倍から六・五倍程度というふうに報告を受けております。
  76. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 高知県の年間の降雨量が約二千ミリで、この日降ったのが大体年間の三分の一といいますから、四カ月分ですね。四カ月分の雨が三時間で降った。二十四日の深夜から二十五日の未明にかけて三時間で降って、非常に急激な浸水が続いたわけです。大体水深が一番多いところで三メートル。ですから、二階まで水が上がったということですね。非常に急激なスピードで来た。今もお話がありましたが、ほとんど電話がかからない状態が二十五日の朝から続いていた、こういう状況なんですね。  それで、通信設備が被害を受けたことについて、これを直すということは大事なんですけれども、逼迫の状況ですね。逼迫といいますか、込んでだめだというものですから、ふくそうの問題ですね。このふくそうというのは、要するにキャパシティーを大きくしておかなければいけない問題だと思うのですが、これに対する有効な方法というものをどのように考えているのかということを中心にお伺いしたいのです。  例えば、そういうふくそうが起こるであろうということが事前に予知される、こういう緊急な災害に対して、例えば中継局を持った自動車をそこに持っていってふくそうを最小限にとどめる。こういうふうな対策、緊急災害用のネットワーク確保というものをきちっとやるべきではないのか、こういうふうに思いますが、どのように考えておりますか。
  77. 天野定功

    天野政府委員 お答え申し上げます。  通信回線の設備につきましては、事業者がいろいろな経営的な判断でまず決めるわけでありますが、その際、御指摘のように、平常時ではない特殊な状況に災害時になりますので、そういった状況、経験則から照らしまして、一定規模の余裕のある設備を平素から備えておくというのは当然かと思っております。  それからまた、最近は、そういう多少の余裕は持っていてもどうしてもふくそうが起こりまして、それを回避する手段としまして、新しいサービスでございますけれども伝言ダイヤルサービスというものを開発しておりまして、いわゆる一七一サービスと言っておるようでございますが、こういった形で、被災地と遠方の親類の方々と直接つながなくても、ダイヤルにメッセージを登録しておきましてそれを聞くといったような手段でふくそうを回避できるといった方法も新しく開発されているようでございます。
  78. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 きょうはNTTの方にも来ていただいているのですが、ただいまお話がありました災害伝言ダイヤルというものがあるのですけれども、周知徹底されていなくて、実際にこういう緊急のときに使われていない、この周知徹底をどうするのかという問題があります。  それから、テレビなどで道路情報をここに電話して聞いてくださいというふうに流すのですけれども、実際、そこに電話をかけたら不通でつながらない、こういう状態が続いたわけですね。あるいは一一〇番とか一一九番に電話をしても通じない、こういう状態が具体的に続きました。こういうことに対してどう対処したのでしょうか。
  79. 愛澤愼一

    愛澤参考人 NTTサービス運営部長の愛澤でございます。  お答えいたします。  まず、災害用伝言ダイヤルでございますが、これはもう御承知のようにことしの三月三十一日からサービスができるようになりましたシステムで、阪神・淡路の大震災を教訓に開発したものでございます。  これの利用方法の案内につきましては、ことしの三月の電話料金請求書への周知リーフレットの同封とか、本年六月発行分からの電話帳への掲載、それからインターネットによるNTTホームページでの紹介、自治体やテレビ・ラジオ局への紹介用ビデオの配付、それから自治体が発行しております防災誌への掲載依頼、それからテレビ・ラジオ局の特別番組での紹介、取り上げのお願い、さらに地域の防災演習、防災セミナー等でのパンフレットや携帯用リーフレットの配付、それから各地の防災演習での実際の利用体験というような幅広いPRの方法を現在とっております。例えば高知県、それから高知市、安芸市、土佐清水市での防災演習の際にもこれのデモンストレーションをさせていただいております。  しかしながら、ただいま先生が御指摘のように、必ずしもまだ十分に浸透しているとは言いがたいということで、引き続き以上のようなことを、なるべく多くの方に定着を図れるよう多くのチャンネルを活用しまして、またできましたら先生方のPR等もお願いいたしまして、多くの方に知っていただくということに力を入れていきたいというふうに考えております。  それから、テレビで道路情報が電話で聞けるというような案内があったけれどもそれが聞けなかったのではないかということにつきましては、先ほど郵政省様からお話がありましたとおり、ネットワークが大変混雑していたということと、それからその道路情報を流している電話回線数そのものの容量もございまして、その両方が相まってつながりにくくなったのではないかというふうに思っております。  以上、御回答申し上げます。
  80. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 郵政省携帯電話とか加入者電話から一一〇番とか一一九番へ優先的に接続する、こういう仕組みはっくれないものでしょうか。
  81. 天野定功

    天野政府委員 災害時の優先接続につきましては、電気通信事業者は、災害の救援・復旧、あるいは秩序維持等のために必要な重要通信確保するために.警察、消防機関等から発信する通話につきまして優先的に取り扱うことにされているところであります。しかしながら、ただいま御指摘の一一〇番あるいは一一九番の優先的な接続につきましては、現在の設備では通話の内容や通話先を個々に識別して規制していくことが難しいような状況にありまして、これを改修するにも相当なコストがかかるという事情から、一部の電気通信事業者を除きほとんど行われていないという実態にございます。  郵政省といたしましては、災害時における一一〇番あるいは一一九番通報の重要性から、それらの優先的取り扱いにつきまして、積極的に取り組みを今後関係の事業者に働きかけてまいりたいというふうに考えております。
  82. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 緊急時に電話が通ずるということは非常に大事な、ライフラインなんですね。ですから、少なくとも、一一〇番、一一九番にかけたときにつながらないというのでは危機管理体制ができていないということになりますから、これはぜひ実現をしていただくようにお取り組みお願いしたいと思います。  それからNTTにお伺いしたいのですが、衛星を利用いたしました衛星移動通信システムというのがあるのですね。これは車が千台ぐらいあるというふうに聞いているのですが、今回の高知の水害に対して、この車の出動はあったのですか。
  83. 愛澤愼一

    愛澤参考人 お答え申し上げます。  結果といたしまして、今回は道路が非常に決壊しておりまして、車を使うということはできませんでした。しかしながら、公民館等、避難所等には十五カ所に無料で使える電話を設置するというようなことはいたしております。  NTTの災害対策、基本的には三つの柱がございまして、一つ目は、何しろ災害に遭わないように強い設備をつくるということで、一例を申しますと、ネットワークを複数ルートにしていくとか、あるいは水害に強いところに局を選ぶとか、あるいはケーブルを地下化していくというようなことがまず災害に強い設備のつくりでございます。  それから、不幸にして災害に遭った場合の対策がまた二つございまして、一つは、重要通信をぜひとも確保するということでございます。これのためには、公共機関等への災害時の優先電話を置かせていただいておりましたり、また先ほどの、被災地の避難所等に無料の電話を置かせていただくどか、それから災害用の伝言ダイヤルサービス、こんなものがございます。  それから、最後に、これの早期回復ということがまた重要でございまして、こういうときには、先生指摘の車載の衛星それからポータブルの衛星、こういうようなものも用意して日ごろの備えを行っているところでございます。  以上、お答え申し上げました。
  84. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 せっかく衛星を利用したそういう移動通信システムがありまして、車も全国に千台と聞いていますから都道府県で単純に割ると二十台ずつぐらいはあるのだと思うのですね。それが今度の高知の水害で活用できなかったという問題点については、これは道路の状況というふうにおっしゃいましたけれども、幸い高速道路は全く無傷でありましたから国道の代替として今使っておりますし、生活道路の方も、確かに決壊したところはそんなに多くはないのですね、交通の渋滞等はあったわけでございますが。したがって、もう少し現地でこういう体制、せっかくあるものが使えなかったというのは残念なことでございますから、よく今後の善後策をとってもらいたいと強く要望しておきたいと思います。  それから、携帯電話もだめだ、加入者電話もだめだというと、もう衛星の携帯電話しかないのじゃないかという声が強いのでございますね。ところが、衛星の携帯電話普及状況は大変まだ我が国では少ないし、コストも高いという状況になっているのですが、これをもっと普及いたしまして、コストも安くなる、こういう見通しはっけているのでしょうか。これは郵政省に聞きます。
  85. 天野定功

    天野政府委員 御指摘の衛星携帯電話でございますけれども、現在、NTTドコモ及びインマルサットを利用したKDDによるサービスがございます。NTTドコモのサービスの加入数は本年八月末現在で二万二百七加入、それからKDDのサービスの加入数は五百五十七加入で、まだ多いとは言えない状況でございます。  普及がそれほど進んでいないというのは、やはり料金面で割高になっておるということでありまして、例えばNTTドコモにつきますと、基本の使用料が月額一万九千九百円、そして固定電話への通話料が三分間二百八十円、こういった実態、それからKDDにつきましては、基本使用料が月額二千円で、固定電話への通話料が三分間九百円といった状況でございまして、今後、普及のためには、さらに料金等低廉化を進めていく、そういったことが必要かと思っております。
  86. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 阪神・淡路大震災の後、こうした災害のときに通信手段を確保するということの議論がなされてきたわけでございますが、高知の水害を例に挙げますと、余り阪神・淡路大震災の教訓は実際には生かされていないのではないか、こういうふうな心配をするわけでございます。  そこで、大臣、お伺いしたいのですが、やはり災害時の緊急通信というのは、ライフラインの中でも一番大切なものだと思うのですね。水道とかガスとか電気の確保と同じ、あるいはそれ以上に、安否の確認等も含めまして大切なものでございますから、災害が起こることを期待するのではありませんけれども、今後災害がありましたときには、こうした高知のような状態ではなくて、本当に電話が十分にかかる、通信網が確保されている、こういう状態を必ず日本全国各地で整備をしていく、こういうことをぜひ郵政省としても取り組んでいただきたい、こういうことを要望しまして、このことに対する大臣の所感を聞きたいと思います。
  87. 野田聖子

    野田国務大臣 遠藤先生が現場を御視察されまして、その被害状況をつぶさにごらんになった上での、本当に私としても教訓となるお言葉の数々でございました。おっしゃるとおり、いわゆる電話というのはライフライン、正確でそして迅速に情報がとれる、行き渡るということで、改めてその重要性を認識したところであります。  実は、郵政省も、いろいろな災害があった教訓から、取り組みがあったことは事実です。災害時における緊急の通信手段として、全国に十一カ所ある地方の電気通信監理局には、さまざまな無線設備とか携帯電話を置いておりまして、そういう災害のときには市町村にお貸し出しをするということもやっておりますし、またこれは電気通信事業法ですけれども事業者皆様方にはそういうときのためのさまざまな義務づけをお願いしてきたところであるわけです。また、そういうことに対しても、税制面とか金融の支援措置もしてきたということですが、率直に申し上げまして、今の先生のお話を聞いたところ、まだまだ至らない部分は、実際にそういう災害があって初めて気がつき、そして手直ししていかなければならないというところを確認させていただきました。  先ほどの周知の徹底にしましても、事業者の方だけにお願いするのではなく、例えば郵政省ならば二万四千六百の郵便局があるではないか、そういうところで、常時地域住民の皆様方に、そういうサービスがあるということを御報告することができるのではないかとか、さらには千台あって使えないとか、例えば地方電監では余りに遠過ぎる、そんなようなことの際にも、いつも先生方に御支援いただいている郵便局ネットワークが、これから安心の拠点ということでいろいろな防災への取り組みをしていくわけでございますので、今不備のあった点についても、何か知恵を出して具体的に進めていきたいなということを率直に感じているところでございます。また引き続き御指導をよろしくお願いいたします。
  88. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 では、この問題はこれで終わりたいと思います。  きょうはNTTにお越しいただいておりますのでもう一点お聞きしたいのですが、先月、九月一日、中国の瀋陽市で国際会議がありまして、私出席をさせていただいたのです。今中国、全地域でございますが、大変なスピードで携帯電話普及しております。しかし、日本のものは全くございません。これは非常に今高いのですね、中国の携帯電話は。お聞きしましたら、一個十万円とおっしゃっていましたから、所得換算すると、大体一年間ぐらいの所得、収入ですね。それでもお買いになって、普及がすごいスピードで進んでいるわけでございます。確かに、加入者電話のような線を引く必要がございませんから、アンテナをつくればいいのでございますから、非常に奥地の地域でも携帯電話普及しております。  ここに対して何でNTTが参入できなかったのかと私は非常に残念に思うわけでございます。中国、一番近いのは日本でございますから、しかも携帯電話は大きいのですね。もっと小さな、コンパクトな日本製の携帯電話が、中国を初め東南アジアの諸国に普及していれば、もっと低廉な価格でサービスを提供できたのではないか、このように理解をするわけでございます。今まで何で進出できなかったのかというと、NTT法があったからできなかったのだということになるので、それは国会の怠慢ではないのかという逆のお答えもあるかもしれませんけれども、今はNTT法も改正されまして、進出が、参入ができるということになったわけでございます。これから東南アジア諸国に参入する計画をお持ちかどうか、あるいは東南アジアばかりではなくて国際的な戦略のビジョン、それをどのようにお持ちであるかということをお伺いしたいと思います。
  89. 鈴木正誠

    ○鈴木参考人 NTTで国際部門を担当しております鈴木でございます。  お答え申し上げます。  昨年、NTT法を改正をいただきまして、国際通信サービスにつきまして、別会社により進出することが許されまして、以来数々の対策を打ってまいっております。特に、今先生指摘いただきましたように、アジア地域での私どもの活動というのは、NTTの国際事業の根幹といいますか、戦略的に見ましてもやはり中心的な命題になるのではないかというふうに考えておりまして、何よりもまず、アジア重視ということでやってまいりたいというふうに考えております。  具体的には、法改正の際にも御議論をちょうだいしましたが、企業向けのデータ・コンピューター通信というのが先行しております欧米の大キャリアが一番力を入れている点でもありますし、また技術的にも先進性がありますし、マーケットとしても急速に伸びていく分野でございますので、ここに主力を注入するということが一つでございます。  それから、二つ目には、やはりアジア地域は一ネットワークの建設、ただいま先生指摘のようなセルラーサービスといいますか、携帯電話も含めましてネットワークの建設がたけなわといいますか、まだまだそういう需要がある分野でございますので、この分野に私どもの協力できる分野はないかということで、積極的に機会を求めていきたいという姿勢を持っております。  それから、三点目といたしまして、やはり将来に向けてマルチメディアの分野で私どもがお手伝いできるところは多々あるのではないかということで、こういう点につきましても、技術的な援助あるいは経営的な御協力というようなことで広範にひとつやってまいりたい。重ねて申し上げますが、アジアを中心に今のような活動をやりたいというふうに考えておるわけでございます。  それで、中国はどうかというお話でございますが、確かにNTT自体は法律上いろいろ制約がございましたのでこれまでできませんでしたが、NTTインターナショナルという子会社が、民営化以降設立してもう十年以上活動している子会社がございますが、これが、中国の第二電電系といったらよろしいのか、ちょっと適切な表現ではないかもしれませんが、その一部の地域携帯電話サービスの建設事業に携わっております。部分的ではございますが、そういう形で私どもも一部そういう活動に参加をしてきたということはございます。  ただ、全般的に申しまして、中国はやはり外資に対しましてある規制といいますか制約を設けておりますので、全面的に事業運営に参加するということはどの外国企業にも許されておりません。したがいまして、私どもは、ちょっと携帯電話とは離れますが、中国のかつての郵電部、現在の情報産業部、電信総局とは密接な事業上の協力関係を結ぶべく、いろいろな分野で既にジョイントベンチャーを立ち上げるとかやっておりますので、中国も私どもにとっては大切なビジネスのパートナーであるという位置づけで、ひとつこれからも大いに頑張ってまいりたいというふうに思っております。  どうもありがとうございました。
  90. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 NTTの御健闘を期待したいと思います。  あと、放送についてちょっと二点ばかりお伺いしたいのですが、一つはBS放送ですが、放送大学というのがあります。放送大学は全国展開ということが設立当初からの目標だったわけでございますが、ことしの一月、CS放送を利用しました展開ができましたし、学習センターというのを全国都道府県につくっているのですが、先日、私どもの徳島県で全国掉尾を飾りまして開設されましたものですから、一応日本全国で展開することになったわけでございます。放送大学の趣旨からいって、やはりCS放送ではなくてBS放送で行うのが本来の筋ではないかという議論も当初からあります。今後の課題として、放送大学のBS放送に対する郵政省の見解をどう持っているかということを確認したいと思います。  もう一点、これから放送が、デジタル化が大変進みまして多チャンネル化になるわけですが、大変心配をいたしますのは地方の民放でございます。経営規模が小さいわけでございまして、経営規模あるいは資本の論理でデジタル放送というものの自由化が突き進みますと、地方の文化とか情報の中心である地方の民放の放送局が淘汰されるのではないか、こういう心配があるわけでございます。デジタル放送、これは衛星も地上波も含めてでございますが、あるいは放送の多極化という中で、自由競争を本来とするのか、あるいは秩序のあるものを期待するのか。放送というのは、報道の自由だとかそういうものがありますから、公権力が中身に入ることはできないのでございますけれども放送事業のあり方というものについて、余り資本の論理ばかりが暴走していくのは好ましいことではないのではないか、このように思うわけでございます。  この二点あわせて、現時点における郵政省の見解をお伺いして、終わりたいと思います。
  91. 品川萬里

    ○品川政府委員 お答え申し上げます。  まず、一点目の放送大学の関係でございますが、先生の御指摘のように、通信衛星を使いまして衛星放送という形でこの一月から始められております。今、この取り扱いをしておりますスカイパーフェクTVという顧客管理代行会社がございますが、この加入者が八十万ございますので、もしこの加入者が全部放送大学を視聴したといたしますと、八十万の放送大学の学生が誕生するということでございます。  このような衛星放送可能性を活用すべく、もう既に関西系の二つの私学で衛星放送を使った大学講座を開設すべく準備を進めておるという状況にございます。したがいまして、これからの学校教育といわず社会教育といわず、いわば在宅学習、遠隔教育上、この衛星放送のメディアというのは大変効果的なメディアとしてこれから活用されるべきものだと考えております。  お尋ねの衛星放送、BS4後発機の件でございますが、これも仮に放送大学でこのチャンネルを使いますと、一挙に八百万、既にこの放送衛星のアンテナは、受像機器は普及しておりますので、一挙に八百万の方々が受講可能になるという大変大きな可能性を秘めたメディアでございますけれども、今回、放送大学学園側あるいは文部省側においていろいろ検討されたようでございますが、今回は申請に至らなかったということでございます。  今後でございますけれども、実はこの通信衛星を使った衛星放送につきましても、BS放送と同じように、例えばハイビジョンもできるような技術基準と申しますか、サービス基準に変えるべきではないかということで、今審議会で御検討をいただいております。したがいまして、これから放送大学及び関係者に、衛星放送あるいは通信衛星を使った放送がどのようなことができるのか、よく情報も差し上げて御相談にあずかってまいりたいと存じております。  それから、二点目のデジタル化に伴う新しい放送の秩序でございますが、確かにローカル放送局はどうなのかということでございますけれども、実は、放送デジタル化ということを一つの契機にいたしまして、新しいローカル放送のあり方というものを模索する動きが既に見られております。  先生指摘のように、ローカル情報なり番組が弱体化する、あるいは淘汰されるのではないかという御懸念でございますが、今動きを見ておりますと、逆に、このデジタル化を契機に、より地方の発信機能を高めようではないか、あるいは番組交換をして、地方からの全国発信を強化しようではないかということで、私どもとしては、情報の多様性ということから見まして大変いい方向に向かっているのではないかと思っておりまして、こうしたローカル局の御努力、確かに設備投資努力あるいは経営努力を要しますけれども、こうした動きを御支援申し上げるようにいろいろ予算面で検討してまいりたいと思っております。  そうした実態面も踏まえながら、今後の放送のあり方でございますけれども、条文を引くような形で恐縮でございますが、放送法第一条に、放送というのは健全な民主主義のための役割を果たすべきということが掲げられております。また放送法におきましては、いわゆる集中排除の原則ということで、できるだけ多くの人が放送の機会を得、またできるだけ多くの人が表現の自由を確保する、いわば情報提供の多様性を維持するということが民主主義においても大事なんだということが原則で示されております。  したがいまして、私どもといたしましても、放送法の趣旨からいたしますと、これはアナロブ放送の時代もデジタル放送も大事にすべき原則でございまして、新規参入のあり方、あるいは放送事業者間の関係、それから放送分野全体のあり方につきましても、競争か秩序かということではなしに、まさに放送の多様性を維持するということ自身が秩序の一部である、そういう意味での競争というのがやはり期待されているのではないかというふうに考えております。この民主主義の健全な発達に資する放送のあり方という観点からいたしましても、情報の多様性が維持できる放送行政というものをこれからも追求してまいりたい、かように存ずる次第でございます。  以上でございます。
  92. 中沢健次

    中沢委員長 遠藤和良君に申し上げますが、先ほどの地元の新聞、御希望があれば、野田郵政大臣にお届けをすることを許したいと思います。
  93. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 では、差し上げます。終わります。
  94. 中沢健次

    中沢委員長 石垣一夫君。
  95. 石垣一夫

    ○石垣委員 まず最初に、平成九年度の決算に基づく郵便の種類別収支がきのう報告されました。これに関連して御質問したいと思うのですけれども、いわゆる第二種郵便のはがきが四年ぶりに三十三億の赤字だ、前年度百五十二億の黒字から大きく転落した、こういう報道があって私もショックを受けたのですけれども、例えば第一種郵便物にいたしましても、前年比三百四十六億のマイナス、こういう大きな収支悪化の状態が報告されております。  ここ三年間の郵便の種類別収支の推移についてお伺いしたいと思うのです。
  96. 濱田弘二

    ○濱田(弘)政府委員 簡潔にお答えさせていただきます。  先生から、平成七年度、八年度、九年度というものでございますけれども、通常郵便物につきまして、平成七年度千百四十七億円の黒字でございました。これが八年度千五十億円ということで、少し下がりました。そして、九年度は先生指摘のとおり大きく下がりまして、三百七十六億というところでございます。通常郵便物、このようなところであるわけでございます。  一種、二種につきましても、一種につきまして、千二百三億円の七年度の黒字でございますが、千百五十四億円と八年度少し下がりました。そして、九年度八百八億円に下がったということでございます。ただ、一種は先生指摘のように黒字でございます。二種につきまして、七年度、八年度、百六十二億あるいは百五十二億という黒字でございましたが、今回三十三億というふうに下がったところでございます。  三種、四種は、石垣先生よく御案内のように、これは社会政策料金ということで、赤字覚悟の料金設定をしなさいというふうに法律上もなっておりますところから、七年、八年、九年と大幅な赤字でございまして、特に九年度におきましては、もう三百五十億近い赤字になっておるところでございます。  あと幾つかございますが、逐一の御説明はよろしゅうございましょうか。(石垣委員「トータルは」と呼ぶ)トータルといたしまして、七年度千百七十億円の黒字、八年度、一千億を少し割りまして九百六十三億円の黒字、九年度が大きく落ち込みまして三百一億円の黒字となっておるところでございます。
  97. 石垣一夫

    ○石垣委員 今、過去三年間の推移を報告いただきましたけれども平成七年度から八年度にかけて二百七億の減収、それから八年度から九年にかけて六百六十二億という減収の実態なんですね。八年から九年にかけて大幅に悪化した理由、特に第二種のはがきですね、百八十五億という大きなマイナス、ここらも含めて、その寄って来る原因は何ですか。
  98. 濱田弘二

    ○濱田(弘)政府委員 御指摘のところに即して申し上げますと、九年度につきましては、先生よく御案内のように、消費税率の改定がございましたけれども、郵便料金につきましては、企業でのみ込むということで、実質値下げの措置をやらせていただきました。四百億円でございます。値上げの規模にいたしましては、値上げしたとすればそれだけの規模ということで、税率に即して言いますと、先生御案内のように二百数十億ということでございます。  それから、あとの経費増もあるわけでございますが、収入面でも、昨年度下半期から急速にやはり日本経済のGDPなんかが落ちてきたということも受けまして、景気の影響等により収入面でも落ち込みまして、トータルとして利益幅が大きく減少したということで、これが、今先生指摘の二種を含めまして、種類別に見ても収支が全体的に昨年度より悪化した基本的な理由であるというふうに考えておるところでございます。  二種についてさらにちょっと敷衍して申し上げさせていただきますと、消費税率改定に伴う負担増、これを二種も相当かぶるわけでございます。それから、郵便番号七けた化の実施関連経費増、これも相当額あるわけでございます。こういった経費を二種も相当かぶったということで、あと二種特有の問題もあるわけですが、こういうことで、二種についても今回赤字になったというところでございます。  繰り返すようでございますが、トータルとして収支が悪化した、それが全部の種類の郵便物にそれぞれ分担をされた、それからまた、各種別の郵便物につきましては、それぞれの要因も加わっておるというところが包括的なところでございます。
  99. 石垣一夫

    ○石垣委員 今、消費税を大分かぶったということで、それが大体二百七十億ということで、これを引きましても大体三百九十億、平成七年から八年にかけての二百七億のマイナスに倍しておる、約四百億ですね。非常に収支が悪化してきている、顕著に悪化のスピードが早まっておる。こういう状態なんですね。  これは、今景気の状態が非常に悪い、こういうことでおっしゃったのですけれども、では、今の景気の動向というのは、これはますます悪くなっていくと私は思うのですね。そうすると、来年度の収支見込みについても非常に厳しいと私は判断するのですけれども、例えば、政府は九八年度のいわゆる実質経済成長率を当初のプラス一・九からマイナス一・八程度に大幅下方修正する、こういう報道がなされておりますね。また、先ほど話もございましたが、IMFは、九八年度の日本経済見通しはマイナス二・五だ、こういうふうに報道されている中で、郵便の収支の悪化を食いとめるためには容易ならざる対策が必要だろう、私はこう思うのですけれども、これに対する現時点における対応策はどうお考えですか。
  100. 濱田弘二

    ○濱田(弘)政府委員 先ほども申し上げましたけれども、郵便の物数の動向というのは非常に景気の影響を受けるところ大でございます。先生よく御案内の海の向こうのアメリカでは、非常に景気が好調だということで、アメリカの米国郵便庁、国営でございますけれども、郵便物数も相当伸びて、この三年間十億ドルを超える利益が出ておるというような状況でございまして、私どもと少し対照的なところがございます。  景気の影響を受けるということで、これからも厳しい状況というふうなところもあるいは覚悟をしなければならないかもわかりませんが、しかし、いずれにしても景気景気とばかり言っておれません。こういうような厳しい郵便事業状況を踏まえまして、現在増収対策として、かってなかったわけでございますが、郵政本省が旗を振りまして、郵便事業を挙げまして郵便増収強化キャンペーンをこの九月、十月期で取り組んでおります。これからさらに十一月二日には年賀はがきを発売させていただきます。年末始、そしてまた年度末に向けて増収対策を職員一丸となって推進をしていきたいということでございます。もちろん、増収だけではなくて、そしてまた情報化、効率化を中心といたしまして、経営基盤の強化もあわせて推進して、現在の危機を打開していく必要があるというふうに私ども事務方も考えておるところでございます。
  101. 石垣一夫

    ○石垣委員 増収作戦とか営業努力とか、いろいろと対策を打たれると思うのですけれども、全くこれは景気の動向と綱引きなんですね。景気が一段と悪化すれば、これは当然郵便物、郵務についても大きな影響が出るということははっきり数字が示しているわけであります。  ところで、郵便局ビジョン二〇一〇では、二〇〇五年までのいわゆる手紙、はがき料金の据え置きを一応答申をいたしておりますね。これにこたえて当局も、二〇〇五年までは現行料金を据え置くのだ、こういうことを打ち出しておるのですけれども、この方針は変わりませんか。
  102. 濱田弘二

    ○濱田(弘)政府委員 先生指摘の、郵便局ビジョン二〇一〇ということで、昨年六月に郵政大臣あて答申されたものでございます。  この中で、私、現物を持ってきておるわけでございますが、先生指摘に係るところについて申し上げますと、二十一世紀初頭、例えば二〇〇五年までの手紙、はがきの料金据え置きということで、「現在の安定的な経済状況を前提に、」というような形でもって提言をされておるところでございます。もちろん、郵政省といたしましては、審議会の答申でございますので、これを真摯に受けとめるというのは当然でございます。  一方、先ほど来申し上げておりますように、郵便事業財政は、審議会自身も留保をつけておられますように、経済情勢の影響を大きく受けるというのも事実でございます。特に、先ほど来申し上げていますけれども、昨年後半からの郵便業務収入の低下傾向も景気の状況によるところが大きいというふうに考えておるところでございます。  しかし、いずれにいたしましても、私どもといたしましては、ただいま申し上げましたけれども、情報化、効率化などの経営基盤の強化を図っていく、そしてまた国民の皆様に現在大きな理解と御協力のもとに推進しております新郵便番号制の推進、これを着実に推進していく、こういう努力をする中で、もちろん増収と経費節減に努めまして、できる限り現在の料金を維持できるよう努めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  103. 石垣一夫

    ○石垣委員 今も答弁がございましたように、「現在の安定的な経済状況を前提に、」と、ここが大きなみそなんですね。これをつくられたときは安定的な経済状況だったんですけれども、まさに今現在はデフレスパイラルです。非常に見通しは暗い。ますます景気が悪化していくと思うのですね。こういう前提条件が狂ってくるわけです。こうなったときに果たして二〇〇五年までの郵便料金の据え置きが可能なのか。大臣、いかがですか。
  104. 野田聖子

    野田国務大臣 今局長からもお話がありましたとおりです。正直、先生がおっしゃったとおり、前提は崩れております。経済情勢というのは当時の予測とは大きく崩れておりますが、しかし、それであきらめるわけにはまいりません。今できることは、むしろもうがけっ縁にいるという状況で、今まで見直してこなかったさまざまなむだとかそういうものを今見直す時期が来ているのだということで、先ほど申し上げたような経費の節減、さらにはこれからの郵便のあり方、いかに多くの多種多様な消費者のニーズ、利用者のニーズにこたえていくか、そういう売れるものを営業として取り組んでいこうということで日々必死の努力をしておりますので、御理解いただきまして、できる限り値上げをしないということで全力を挙げてまいりたいと思います。
  105. 石垣一夫

    ○石垣委員 大臣の御答弁で、できるだけ努力する、これはよく理解できるのですけれども現実問題、平成七年の千百七十億から平成九年度の三百一億と約四分の一に収益が低下しているわけです。こういう急角度の収支の悪化について、私は並大抵の企業努力ではいかないだろう。いろいろと打たれる点はあると思うのですけれども、今おっしゃったように、やはりこの提言にありますように、少なくとも二〇〇五年までの郵便料金については据え置く、こういうことについて省を挙げてひとつ努力されることを期待いたしております。  次に、質問を変えまして、いわゆるATM、CDの保守点検に関連して私は前委員会において質問いたしました。日本オンラインがいわゆる独占契約をしている、こういうことについて、これはけしからぬということで御質問申し上げまして、これを是正するよう私は主張申し上げたのですけれども、その後、東西に二分割する、こういう発表がありました。これについては、経営内容を一層透明化するため、経営情報の公開等も含めて取り組むのだと話があったのですけれども、前回の委員会のやりとりの中では、当時の貯金局長は、今の独占契約がベストなんだ、これは絶対崩しません、こういうふうに答弁しているのですね。  これは委員会議録を読みましょうか。時間がありませんので省きますけれども、私はそれはけしからぬ、この問題については時間がないので改めて追及する、こういうふうに申し上げたのです。ところが、それが一月たった後、こういうふうに二分割するということになったのですけれども、これはどこでどういうふうに変わったのですか。局長答弁がどこで変わったのですか。
  106. 松井浩

    ○松井政府委員 お答え申し上げます。  前回の郵便貯金及び預金等の受払事務の委託及び受託に関する法律案の当委員会での審議の際に、石垣先生からこのATMの保守点検体制につきましていろいろ御指摘いただいたところでございます。  その節、前任の貯金局長が申し上げたと思っておりますけれども、私どものATM、CD、これは郵便貯金だけではなくてATMそのものは金融機関にたくさんあるわけでございますけれども、私ども政府でございますので、政府調達の協定の対象になっております。それに基づく契約になっているわけでございますが、調達の際に複数のメーカーが完全な競争で入ってくる。金融機関の場合ですと一つの種類だけ、あるいは合併の場合は二種類ということになったりすることがありますが、そういう事情がございますので、かつ、その配置が全国津々浦々二万カ所という……(石垣委員「そんな中身は要らないよ」と呼ぶ)はい、わかりました。  それで、今石垣先生からより短絡にするようにという御指摘をいただきましたからそのように申し上げますが、御指摘の趣旨は、やはり透明かつ公正な契約にというふうな御趣旨だったのだろうと思っております。その場合に、前回、五社の複数の機器が入っているものを一括して保守点検していく必要があるという観点で前任の局長は答弁させていただいたと思います。  しかしながら、その時点におきましては、当然日本オンライン整備一社しかなかったわけでありますので、そういうことができる体制があるところがそうであったわけでございますが、やはり競争契約にした方がより一層公正、透明性が増すという議論がございます。そのためには、前提としてやはり保守体制、そういうことのできる会社が複数化されなければならぬということが前提になりますので、そういう議論を省内でしました。  そういう議論の過程の中で、日本オンライン整備株式会社、現在保守点検を担当しております会社の方から、その自主的取り組みといたしまして、みずから会社を分割して、先生御案内のように東西に分割して、そして役員に民間企業の人材を招くなど、あるいは経営情報を概要等で紹介したり、あるいは官報等で公告を出したり、そういった努力をするというお話がありまして、それはそれで、そうなりますと、保守できる会社が複数存在することになれば、私どもとしては、競争契約による調達に切りかえることができるということになったわけでございます。
  107. 石垣一夫

    ○石垣委員 答弁は簡潔に願います。  これは、東西に分割したといっても、日本オンライン、同じ会社を二つに分けているわけです。それで何で公正な競争入札になるのですか。民間会社、全然別個の会社を入れて競争をやるのはわかりますよ。同じ身内じゃないですか、東西同じ会社を。これは何が競争入札ですか、何が透明性ですか。こんな発想はまさにおかしい。こちらの趣旨に沿ってないよ、これは。目先をごまかしたといっても、透明じゃないですよ。こんなおかしいやり方ないですよ。やるんだったらきちっと競争会社を入れなさい。局長答弁のように、一社の方がサービスが徹底するんだという主張だったら主張で通しなさいよ。その方針を変えたあげくに、こういう、同じ会社を二分割、それで競争やらすんだ、これが透明になるんだ、こんな理論は通りませんよ。どうなんですか、これは。
  108. 松井浩

    ○松井政府委員 ちょうど申し上げようと思いましたら、短絡にという話でひるんでしまいましたのであれですが、私ども、今まで随意契約ですから、そういう意味では余地がなかった、意思があっても余地がなかったということは言えると思いますが、競争契約になりましたら、私どものATMの機器を一括して保守できる技術力がある会社、また体制も必要になりますけれども、そういう発意があれば、それはウエルカムでございますので、契約の中に入っていただけるということがまず間違いなく違っております。  ただしそれを、今先生きっと、実際にこういう価格競争という形ですぐに形ができるかどうかに関してはちょっと時間がかかるのではないだろうかと思いますが、いずれにしろ、私どもとしては、そういう受け入れる体制ができているということでございます。
  109. 石垣一夫

    ○石垣委員 これは根っこが一つじゃないですか。同じ会社を分割するというんですよ。それで競争させるんでしょう。こんなばかな話ないですよ。そうじゃないですか、常識的に考えて。やるんだったらやはり根本的に改革するのが改正じゃないですか。これはもう改正になりませんよ。目先、言うたら、追及を避けたということだけの話じゃないですか。  これは現状をこのまま踏襲するんですか。とりあえず二分割したけれども、将来はもっと広く民間から公募して競争をやらすんだという前提条件があれば私は了解しますよ。どうですか。
  110. 松井浩

    ○松井政府委員 先生指摘のように、将来、もちろん仕組みとしてオープンでございますし、それから、そういった参入は一切制約ございません。そういう体制で考えております。
  111. 石垣一夫

    ○石垣委員 では、次に公正取引委員会にお聞きしたいと思うのですけれども公正取引委員会は、昨年東芝とNECのいわゆる郵便読み取り区分機の談合問題について調査に入ったと思うのですけれども、その後郵政省の方から、参考人あるいはまた事情聴取、いろいろと資料提供をされたと思うのですけれども、現況はどうなっておりますか。
  112. 平林英勝

    ○平林政府委員 お答えいたします。  石垣先生からは、この件につきまして五月にも質問をいただいたところでございますが、先ほどお話がございましたように、私どもといたしましては、昨年十二月に郵便区分機の入札談合の疑いで立入検査をしまして、以後関係者からいろいろ事情聴取を重ねておりまして、現在も引き続き鋭意審査中ということでございますので、できるだけ早く結論は出したいというふうには考えておりますが、いましばらくお時間をいただきたいというふうに考えております。
  113. 石垣一夫

    ○石垣委員 これは昨年十二月でしたね、調査に入られたのは。それからもう十カ月になろうとしているわけですね。そんなに複雑なんですか、その調査内容が。これはいろいろデータも全部おとりになって調査されたと思うのですけれども、現況は、前回、五月の委員会で報告をいただいた報告と一個も中身、今答弁、前に出てないわけです、これはいかがですか。
  114. 平林英勝

    ○平林政府委員 お答えいたします。  私ども、事件の審査をいたしますと、通常半年から一年、こういう大型の事件になりますと一年くらいを要しておるのが実情でございまして、五月の時点からいろいろまた関係者から事情聴取を引き続き重ねておりますので、先ほど申しましたように、いましばらくお時間をいただいて、できるだけ早く結論を出したいというふうに考えております。
  115. 石垣一夫

    ○石垣委員 では、この調査に入られたが、案件の根拠は何ですか。私は、ずっとこれによりますと、談合問題、こうなっていますけれども、入札状況を調べますと、大分二社の寡占状態にある、この業界が。こういうことについても私は当然調査の対象としてお調べになっておると思うのですけれども、これはどうですか。
  116. 平林英勝

    ○平林政府委員 事件のきっかけといいますか、端緒につきましては、それはやはり私どもの審査に支障を生ずるおそれがありますので、どういうきっかけであったかということはちょっと答弁は御容赦させていただきたいと思いますが、二社の寡占状況にあるということは、当然その業界の実態としまして私どもそれも踏まえた上で審査を続けているところでございます。
  117. 石垣一夫

    ○石垣委員 今、二社の寡占状態にあるということを初めて答弁になったのですけれども、これは割と、そこまではっきりしているわけですからね、談合問題と寡占状態がはっきりしているわけですからね、この問題の基本的な案件は。それでなおかついまだに結論が出ないということについては、もちろん慎重にやるのは結構なんですけれども、じゃ、いつをめどに結論を出されるのですか、これは一体。
  118. 平林英勝

    ○平林政府委員 まだ現在、先ほど来申し上げておりますように審査を継続しておりまして、できるだけ早く結論を出したいとは思っておりますが、いつまでにというふうにはちょっとまだ申し上げるような状況にはございませんし、また、そういうふうに申し上げるべきものでもないように思っております。
  119. 石垣一夫

    ○石垣委員 やりとりしておっても時間がありませんので、これはもう早急に国民が納得いく結論をお出しいただける、このように期待をいたしております。  そこで、郵政省にお聞きしたいのですけれども、今寡占状態という事実がはっきりしたわけです。その中で、東芝とNEC、これが今日まで過去三年間、応札の状況はどうでした。
  120. 高田昭義

    ○高田政府委員 応札の状況でございますが、本年度で申し上げますと、一社応札が十七件、それから二社応札が二十四件となっております。
  121. 石垣一夫

    ○石垣委員 平成十年度になってやっといわば二社応札という問題が浮かび上がってきたわけですよ。過去三年を調べてみますと、ほとんどが一社応札である。まさにこれは寡占状況ですね。だから、当局としても、いろいろの指摘があって、そして、これではまずいということで、応札状況を見て複数の応札をお認めになったというのですけれども、いまだに十七件の一社応札が残っているわけです、平成十年度の区分機の契約実績の中で。  私は、こういう状況は好ましくない一やはり幅広く多くのメーカーから応札を受けるという状況に体制を持っていくべきだ、こういうように思うのですけれども、いかがですか。
  122. 濱田弘二

    ○濱田(弘)政府委員 新型区分機の開発担当のところから、事実関係を一言だけ申し上げさせていただきたいと思います。  日立製作所につきましては、平成四年の新郵便番号制の構想の段階から、私どもとしては、ぜひこれに参画をしていただきたいということで、日立製作所の方としても相当な対応をしていただいておったわけでございますけれども先生も御案内のように、日本の場合に、数字を読むだけじゃなくて、漢字とか平仮名のあて名を読むところのOCRのところを中心として非常に難しい技術があるということで、一定の水準に日立製作所が到達されたのがやっと去年の十一月なんですね。十一月にやっと到達をされたということで、それを踏まえて、この十年二月そして十年六月の入札から参加をされてきたということでございます。  私ども、そういうことで日立にも今まで、私どもの区分機の開発にぜひ参入していただきたい、それから、日立だけじゃなくてIBMとか外資系にもお願いしておるのですが、とにかく技術的に難しいということで、現在まだ三社というような状況にあることを、事実関係、一言つけ加えさせていただきたいと思います。
  123. 高田昭義

    ○高田政府委員 私ども調達する立場といたしまして、一般競争入札を取り入れている趣旨は、先生の御指摘のとおり、できるだけ多くの企業の方に応札をしていただきたいという期待からでございまして、そういう意味で、競争環境整備ということで引き続き努力をしてまいりたいというふうに思っております。
  124. 石垣一夫

    ○石垣委員 最後に、NECの読み取り機で確認したいのですけれども、NECは今、防衛庁の調達問題で、いろいろと水増し請求ということで話題になっておりますね。こういうメーカーでございますから、同じ官公需の原価計算においてそういうような疑いはないのか、この際確認をしておきたいと思います。
  125. 高田昭義

    ○高田政府委員 このたびの先生指摘の事件を契機にいたしまして、内閣として各省庁に物品調達等の予算執行手続きの見直しをさらに厳格に実施するようにということで、私どもも先月の末からその見直し作業に着手しておりまして、予定価格の積算等についてより厳格に行える体制をつくっていきたいということで現在取り組んでおります。
  126. 石垣一夫

    ○石垣委員 終わります。
  127. 中沢健次

    中沢委員長 矢島恒夫君。
  128. 矢島恒夫

    ○矢島委員 私、きょうは、持ち時間の関係から、またNTT参考人の方々に御出席いただくということから、NTTの再編成問題を中心に質問していきたいと思います。  きょう、二つの大きな分野でお聞きしたいと思いました。一つユニバーサルサービスの問題、もう一つは雇用や労働条件の問題。  実は、宮津社長がおいでいただけるものと思って、昨年の当委員会におけるいろいろな論議の中の社長の答弁等についての確認などもしたかったわけですが、残念ながら、どうしても出席できないという御返事でございました。ぜひ、出席された参考人の皆さん方に、ひとつ社長にかわって誠意を持ってお答えいただきたい、こんなふうに思います。  再編成、いよいよ来年の夏に迫ってまいりました。そういう関係で、NTTとしても、スケジュールをつくって、ことしじゅうにはいわゆる再編各社の枠組みをつくっていこう、あるいは一月一日の定期人事のときには新しい体制づくりのための人事異動もしていこう、そういうようなことで、七月編成へ向けてスケジュールを進めていると思うのです。  そこで、最初に私、野田大臣の方にお聞きしたいのですが、実は、昨年、NTTの再編法案が審議されたときに、六月十二日の参議院の逓信委員会のことですが、当時の堀之内郵政大臣が、我が党の上田議員の質問に、特に雇用、労働条件の問題、これについての質問に対して答弁されております。  大臣の方には最初にユニバーサルサービスをやってということで質問通告しておいたのですが、社長がいらっしゃらないということなので、急速順序を変えますので、御了解いただきたいと思います。  こんなふうな答弁をしていらっしゃいます。   社員の雇用及び労働条件につきましては、N  TTにおいて検討される問題でありますが、基  本的には、今回の再編成において、社員は持ち  株会社及び事業会社のいずれかに所属すること  と考えておる次第であります。   なお、事業会社への社員の移行に当たって  は、営業譲渡という形で現行の労働契約が承継  されるものと考えております。こういうお答えになっています。  このことについて、野田郵政大臣、どのようにお考えか。ひとつお考えをお聞きしたい。
  129. 野田聖子

    野田国務大臣 ただいまは当時の堀之内大臣の御答弁を聞かせていただきましたけれども、まさに私の答弁も元大臣のお言葉を承継するもので、変わりございません。
  130. 矢島恒夫

    ○矢島委員 NTTに聞きますが、分割再編によって社員の雇用というのは確保される、こういうふうに理解していいか。現在、在籍出向の社員、約七万人いるかと思うのですが、それも含めてお答えいただきたい。
  131. 三浦惺

    ○三浦参考人 NTTで人事労働を担当しております三浦でございます。ひとつよろしくお願いいたします。  今の御質問でございますけれどもNTTといたしましては、先ほどの大臣の御答弁にもありましたとおり、同様の考え方でございまして、私どもといたしましては、再編成に当たりまして、社員は、それぞれ四社のいずれかに現在の担当する業務を中心に移行する考えでございます。  したがいまして、労働契約も承継しますし、労働条件も現行のものを引き継いでいきたいというふうに考えております。
  132. 矢島恒夫

    ○矢島委員 情報通信産業というのは、まさに二十一世紀へ向けてリーディング産業として、経済の面だけではなくて、雇用の面でも非常に期待されている部分だろうと思うのです。雇用確保だけではなくて、いろいろとリストラ、合理化の方向が進んでおりますけれども、そこに期待しているのは、日本経済が今日のような状況の中で、雇用不安というのが大きく広がっている状況の中で、むしろ、そういう産業が大いに雇用拡大の方向を目指してやっていかなきゃならない、そういう立場にあろうかと思うのです。そういう意味では、ぜひ、確保だけじゃなくて、拡大という方向を目指して頑張ってもらいたいと思うのです。  さて、そこで、もう一つの問題でお聞きいたします。  単身赴任の問題でお聞きしたいのですが、今現在、NTTの社員で単身赴任をしておる人たちは何人ぐらいいるのか。それからまた、その単身赴任の人たちの期間、全部をおっしゃっていただくわけにいきませんから、最長期間はこれくらいだとか、あるいは、平均が出ていれば平均でも結構ですけれども、お答えいただきたいと思います。
  133. 三浦惺

    ○三浦参考人 昨年度末、本年三月時点で単身赴任の数は約五千九百人ございます。全体の社員に対する比率でいいますと、約四%に相当するというのが事実でございます。  なお、個々の期間につきましては、さまざまな期間がございまして、具体的には事業所の方で管理しておりますので、現在トータル的な数値は把握しておりません。
  134. 矢島恒夫

    ○矢島委員 単身赴任という問題は今非常に社会的な問題になっているわけですね。特に、教育の問題も含めて、あるいは家庭崩壊の問題などなど、いろいろ出されております。  それで、NTTはそれぞれ地域に単身赴任のための寮を設置していると思うのです。しかも、静岡や岐阜ではさらに単身赴任の寮を今つくっていらっしゃるということをお聞きしましたが、私、単身赴任をどんどん増大させるというのではなくて、むしろ、赴任地で家族が一緒に暮らせるような社員寮、そういう方向を目指して取り組むべきだと思うのです。単身赴任、この問題については、これから減らすことがゆとりある国づくりだということ、国の一つの施策でもあるわけなんですね。   労働省が研究会の報告書を出しております。「転勤と単身赴任」というものです。この中に、「第一に、企業における異動の必要性から転勤が避けられないものであるとしても、勤労者生活との調和が図られることが基本とされなければならない。」ということ、「第二には、勤労者の転勤に際し、家族帯同のための条件整備を図ること」「第三には、止むを得ず単身赴任をせざるを得ない場合について、援助施策を充実することである。」こういうのが出ております。ほかの、例えば単身赴任について書かれておる岩波ブックレットのナンバー四十の文章などを読みますと、「欧米では、特殊な仕事以外、単身赴任者をみることはほとんどない。」こういうような記述もあります。  つまり、私が言いたいのは、五千九百人という数が多いのか少ないのか、全体の割合をおっしゃられましたが、一般的にはやはり多いです。相当の人数が単身赴任で各地へ行っているんだなということ、このことの事実は間違いないと思うのです。  そこで、こういう方向で今国の施策として進めている以上、今後単身赴任を減らしていくという方向こそ今求められておると思うのですが、いかがですか。
  135. 三浦惺

    ○三浦参考人 私どもも、単身赴任が決して望ましいことではない、むしろ、異動する場合には家族帯同が望ましいというふうに考えておりまして、そういう意味で、条件整備といたしましては、家族寮、家族の社宅でございますけれども、こういったものの充実もあわせてやっております。  しかしながら、万やむを得ず、家庭の事情を含めまして単身赴任によらざるを得ない場合も生じますので、その場合にも、単身赴任に当たりまして、手当の問題、単身赴任寮、そのほかいろいろな条件整備をあわせてしてまいりたいということを考えております。
  136. 矢島恒夫

    ○矢島委員 次に、長時間通勤の問題でお聞きしたいのですが、通勤に一時間半以上を要する人たちは何人ぐらいいるか、県をまたがって他県へ通勤していらっしゃる方がいるか、その辺の調査結果を教えていただきたいと思います。
  137. 三浦惺

    ○三浦参考人 通勤経路の問題につきましては、具体的には所属長の方で管理させておりますので、何人一時間半というのは把握しておりません。しかしながら、一時間半以上通勤時間がかかっておる社員がおることは事実でございます。  我々といたしましては、通勤時間の問題も非常に大きな問題と考えておりまして、万やむを得ず長時間かかるような者に対しまして、例えば新幹線通勤を認めるとか、いろいろな制度の充実を含めましてできるだけの対応はしておるところでございまして、今後も同様の考え方で対処をしてまいりたいというふうに考えております。
  138. 矢島恒夫

    ○矢島委員 人数の点ではそれぞれ各地域の問題ですからわかりにくいかと思いますが、もし調べられたらで結構ですから、後で御報告いだだければと思います。  私が調べた範囲では、いや、これは一時間半ですよと言うのですが、乗りかえなければならないのがあるんですよ。バスを待たなければならないんですよ。歩かなければならない。そういうところが全部カットされて、これは一時間半なんですよ、大丈夫ですよ、こういう説明を受けたのですが、そういうのもあるかもしれませんから、そういうのも含めてちょっと調べていただければと思います。  それから、こういう非常にたくさんの単身赴任者あるいは一時間半以上の通勤者、人数はともかくもいらっしゃるわけです。その点で、私は、社長が見えていないのでお聞きするわけにいきませんが、「「再編成構想」語る」という、通信興業新聞に社長がいろいろ書いているのですが、これを読みますと、単身赴任や長時間通勤が一層強まるのではないかなという懸念を感じたのですが、それは私の懸念ですから、次に社長がいらしたときにでもお聞きすることにします。  再編成に向けての人員削減だとか、あるいは異職種配転というのがありますね。今まで一〇四だった人たちがまた別の職場へ行く、あるいは一一五の人がまた違う職場に行くという配転もある。あるいは出向もあるし、今言ったような単身赴任や長時間通勤。こういうものが社員の皆さん方の体だけではなくて心もむしばんでいるという状況を私は調べてきたのですが、ひとつ、この一年間で在職死された方、在職中に亡くなられた方、その中で自殺者は何人いらっしゃるか。
  139. 三浦惺

    ○三浦参考人 在職者トータルの死亡数はちょっと本日持っておりませんけれども、直接的な御質問でありますいわゆる自殺の数でございますが、昨年度トータルで十七名でございます。そのうち単身赴任者が二名となっております。  以上です。
  140. 矢島恒夫

    ○矢島委員 一年間で十七名。一月に一名以上の割合で自殺者がいらっしゃるのですね。このことを私も調べてみました。それぞれ事情はいろいろですよ。一つ一つの事情はそれぞれ原因があろうかと思います。その理由、状況も私は聞いてまいりました。もちろん、単身赴任の方は休みがとれずに地元へ帰れないからとか、あるいはもう一人の四十八歳の単身の男性の方は、五月の連休に帰省したのですが、その翌日自殺されたという事故もございました。そのほかの方を見ますと、過労とか、相当いろいろな精神的な重圧があるというようなことが見受けられるような原因もあります。しかも、そういう方々は、課長さんだとか、あるいは主任、いわゆる中間管理職の人が多いのですね。これはやはり精神的ないろいろな問題もあるのかなという感じを持つわけです。  NTT、主な原因、それとこれに対する対処、こういう点でありましたら、お答えいただきたいと思います。
  141. 三浦惺

    ○三浦参考人 自殺の原因につきましては、必ずしも特定できるという状況にはございません。しかしながら、我々としましては、この問題も会社としても大きな問題と考えておりまして、従来の肉体的な健康管理だけではなくて、メンタルヘルスといいますか、精神衛生上のいろいろな管理が必要だろうというふうに考えておりまして、現在、全国各地にカウンセラー、それから衛生関係の専門医師を配置するなどして、家族、本人、上司、できるだけいろいろな者が相談できる体制をつくるなど、そういう意味でメンタルヘルスに重点を置いて管理していきたいというふうに思っております。
  142. 矢島恒夫

    ○矢島委員 時間がなくなってきて、ユニバーサルサービスの方へもう入らなければならなくなりました。  そこで、時間の関係で、大臣に二つの点でまとめてお聞きしたいのですが、一つは、今NTTとやりとりをして、こういう事態が進んでおります。私とNTTのやりとりで、長時間通勤の問題や単身赴任の問題や自殺者の問題で、何か御感想がありましたらということで。主題はユニバーサルサービスの問題です。  私、昨年の五月十四日の逓信委員会で、国民へのサービス向上につながらない分割再編というものはやってはならないという立場から大臣に、この分離分割というものによって、国民利用者に対するサービスというものは絶対に低下させることはないんだということをひとつ国民に約束してもらいたいという質問をしたのです。当時の堀之内郵政大臣は、今回の再編成によって、国民に対するサービスあるいは利便性、こういうことが低下しないように、これはもう極力我々も指導していかなきゃならないと思いますと。  このことについて、野田大臣のお考えをお聞かせいただきたい。
  143. 野田聖子

    野田国務大臣 最初の単身赴任等に関する問題ですけれども、これは、郵政省または郵政大臣としてではなく、やはり国全体の大きな問題ではないか、そういうふうに受けとめたところでございます。私はまだ世帯を持っておりませんけれども、仮に自分がということを想像したときには、やはり、先生がおっしゃったような、家族仲よく暮らせることが望ましいし、ただ逆に、働く女性にとってはなかなか、相手の赴任地に自分のキャリアを捨ててまで行くという、実はそういう勇気がないということも実態としてあろうかと思います。  また、自殺につきましては、実は私も、大臣、ようやく二カ月たったところですけれども、自分自身もこの重圧に非常に苦労することがございます。やはり、どんな人でも、仕事に対してのストレスとか重圧の中で悩み苦しむわけですから、周りの環境がきちっとそういうところを、きょうの場合はNTTですけれども、会社挙げて取り組んでいただきたい。私自身もそういうことがないわけではない、関係ないわけではないということで受けとめさせていただきました。  さて、ユニバーサルサービスにつきましては、これも、私が政務次官のときにお仕えしました堀之内大臣の御答弁がございましたが、まさにそのとおりでございまして、むしろ、東西に分けることによって公平な競争が生まれ、そこから私たちが望むサービス、サービスの一つには料金が安くなるとかそういうこともあるわけですけれども、それが進んでいくことが大切なのでありまして、ただし、その大前提というのは、ユニバーサルサービス確保される、そういうことでございます。  よって、NTTにはみずから努力していただくことはもちろんのこと、私たち郵政省としてもしっかりと注視し、また指導申し上げてまいりたいと思います。
  144. 矢島恒夫

    ○矢島委員 NTTにお聞きしますが、実は、先ほどちょっと私触れましたが、日経新聞などで宮津社長が、いわゆる東西会社間の料金の格差の問題でいろいろ発言をされているのです。  時間がありませんが、結論だけ二つお聞きします。一つは、再編成以後、東西間の料金において格差が生じるのか生じないのか。もう一つは、西日本料金値上げということが起こるのか起こらないのか。その二点です。
  145. 小出寛治

    ○小出参考人 NTT料金を担当しております小出でございます。よろしくお願いします。  お答えいたします。  先ほどの御質問でございますが、NTTとしましては、今回の再編成に当たりましてお客様のサービスを低下させないということを基本にしております。したがいまして、東西地域間で格差が生じないように、再編成に当たって基本的な電話サービスに格差が生じないように努めていく考えでございます。  ただ当然のことながら、将来にわたっていろいろなことが出てまいります。競争も進展してまいります。したがいまして、そういうような努力を続けながら競争にも対応していきたいというふうに思っているところでございます。  以上でございます。
  146. 矢島恒夫

    ○矢島委員 料金格差をつくらないというのは宮津社長の国会での答弁でもございますので、そのことをきっちりと守ってやっていただきたい、このことを申し上げて、質問を終わります。
  147. 中沢健次

    中沢委員長 中田宏君。
  148. 中田宏

    ○中田委員 中田宏でございます。早速お尋ねをいたしたいと思います。  既に他の議論の中で出てきていたことでありますけれども、郵便料金の問題について、二〇〇五年まで郵便料金の凍結というのは、これは郵政省のある種公約であったはずでありますから、そのことについて、ぜひこの公約を守れるような、私はあえてこういう表現をしますが、企業経営努力をしなければいけない、そう思うのですね。  郵便事業の収支見通しは、来年度も八百億の赤字だと。今年度の二百九十五億も恐らく現状だと厳しい。赤になるんじゃないかという予想の方が多いでしょう。そうなりますと、九七年度末の累積黒字である二千五百四億円を今年度、来年度の二年でほぼ食いつぶす。半分ぐらいまで食いつぶすんですかね。そして、二〇〇〇年、二〇〇一年というぐあいになると、ちょうど省庁新体制がスタートするかなというころに、今までの感覚でいうと値上げをせざるを得ないのかなという気がいたしますが、大臣、いかがでございますか。
  149. 濱田弘二

    ○濱田(弘)政府委員 確かに、昨年度後半から郵便業務収入、かつてないと言ってもいいぐらい厳しい状況にございます。そういう中で私ども、ただ、景気の影響によるところが大きいわけですが、そうも言っておれないということで、増収対策として郵便事業挙げて現在取り組んでおるということでございます。  もちろん、効率化の方も私どもとして積極的に取り組んでおるし、先生の御指摘にもございましたけれども、これからも引き続き取り組んでいく必要があるというふうに考えておるところでございます。
  150. 中田宏

    ○中田委員 私が経営感覚を持って切り詰めろと言っても、書生論だと言われるケースが多いので、さっきの、経済状態、経済状態と言っているので、それで思いついて、さっき議員会館まで一冊の本をとりに行ってまいりました。  JR東日本最高顧問の住田正二さんの「役人につけるクスリ」というものですね。ぜひ皆さんに薬をちょっと御披露しておきたいのですが、  公共料金に関する法律は、料金を認可する基準として、適正な原価と適正な利潤を賄うことを挙げている。適正原価とは、必要な経費の積み上げであり、そこに企業努力の影は薄い。 一方、  民の発想は、目標設定である。他の企業との競争上、価格はいくらに設定するか、今年の利益目標をどの水準にするかなどを検討し、それを達成するには何をすべきかと考える。原価計算的な積み上げ方式は、民間ではまず使わない。 このことは非常に重要だと思うのですね。  皆さん、経済状態が悪い、だからだというふうにまず一義的におっしゃるかもしれないけれども、一方で、民間の宅配業者は一生懸命やっています。結果として、最近私のところに来るちょっとしたカタログ類などは、もうそっちですね。なかなか郵便で発送しなくなっている。全国的な規模の通販業者もだんだんそうなっている。そういう意味では、わざわざさっき議員会館までとりに行ってきましたので、今のことをぜひ申し上げておきたいと思います。  それから、私の場合は質問時間が短いものですから、先に言うだけ言って、大臣に最後に御答弁をいただきたいと思うわけです。  郵便事業、今このように私も申し上げたわけですが、いわゆる民営の話というものがいろいろ出てまいります。私、きょうは大臣にこうやって、御就任されて初めて質問をさせていただく機会でありますので、大臣の哲学をひとつお聞きしたいというふうに思うわけであります。  私は、基本的には、民間ができるサービスは民間がすべきだ、ただし、民間ができないサービスで、かつ国民の大多数が望んでいるニーズがあるならばそれは公がやるべきであるというふうに、基本的な国の方針というものを分けて、そしてその中で対応を考えていくべきだと、私はみずから一つの哲学として持ち合わせております。  大臣はその点いかがなのかというところをお伺いしたいわけであります。ユニバーサルサービスだとかいろいろな大臣の御所見もおありだと思いますけれども、そのことについてちょっと御答弁をいただけますか。
  151. 野田聖子

    野田国務大臣 今の先生のお話では、民営化できるものは民営化させて、できないものをしっかり国営で受けとめるべきだというお話でしたけれども、そうなりますと、国がやるものはすべて採算がとれないもの、要は、すべて税金に転嫁されるということになってしまうわけであります。  現在、郵政三事業、郵便局の仕事は国営でありますけれども、税金を一切使わずに、いわゆる国家公務員だけれども事業というマインドを持って、とにかく営業を重ねる中で、税金には御厄介にならないで、なおかつユニバーサルサービス確保しているというところの御評価もぜひしていただきたい、そういうふうに思います。
  152. 中田宏

    ○中田委員 もう時間が参りましたので、最後に一言だけ。  私も、そのバランスがまさに大事だと思っています。すべて国は赤字の分野にのみやって、それを税金で集めるという形で、決してそれがすべていいとは思いません。ただし、今の現状でいきますと、民間はいろいろな努力をしています。結果として、郵便事業に占める八割は法人ですし、その法人がどんどん民間の活用などをし出すことになれば、ますますそれは値上げという悪循環に入り、二割の個人の方にその負担がかかり、結果として、また今度は需要が減りということになりかねなくなっていきます。  そんな意味では、この住田さんの本の中にもいろいろ載っていますが、国鉄も何度も再建案を出しているのですね。郵政はもちろん再建案ではありません。今は黒字で、単体で回っている、そのことは十分尊重した上で、しかしながら、国鉄が追い込まれていったのは、積算根拠というのが、収入を高く、そして支出を少なく見積もって、何とか国会だけをうまく切り抜けることばかり考えておった。そういうことではないようにして、今、薬と大変失礼な言葉を申し上げましたけれども、二〇〇一年に、あるいはそれより前に、二〇〇五年の達成が経済が悪くなったから私たちはだめでしたというぐあいでは多分民間企業は成り立たないわけでありまして、その点、ぜひ民間と同じような発想、マインドでやっていただきたいということを申し上げて、終わりにさせていただきたいと思います。
  153. 中沢健次

    中沢委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時二十二分散会