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1998-10-01 第143回国会 衆議院 石炭対策特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十年十月一日(木曜日)     午前十時開議 出席委員   委員長 高木 義明君    理事 金田 英行君 理事 佐藤 静雄君    理事 山本 幸三君 理事 吉川 貴盛君    理事 坂上 富男君 理事 島津 尚純君    理事 中野  清君 理事 鰐淵 俊之君       麻生 太郎君    大石 秀政君       大野 松茂君    木村 隆秀君       北村 直人君    熊谷 市雄君       御法川英文君    山口 泰明君       渡辺 具能君    渡辺 博道君       小平 忠正君    古賀 一成君       白保 台一君    桝屋 敬悟君       野田  毅君    児玉 健次君       中西 績介君  出席国務大臣         通商産業大臣  与謝野 馨君         労 働 大 臣 甘利  明君  出席政府委員         資源エネルギー         庁長官     稲川 泰弘君         運輸省港湾局長 川嶋 康宏君  委員外出席者         資源エネルギー         庁石炭・新エネ         ルギー部長   北畑 隆生君         労働省職業安定         局高齢障害者         対策部長    長谷川真一君         商工委員会専門         員       野田浩一郎君     ————————————— 委員の異動 十月一日  辞任         補欠選任   江渡 聡徳君     山口 泰明君   熊谷 市雄君     大野 松茂君 同日  辞任         補欠選任   大野 松茂君     熊谷 市雄君   山口 泰明君     江渡 聡徳君     ————————————— 本日の会議に付した案件  石炭対策に関する件      ————◇—————
  2. 高木義明

    高木委員長 これより会議を開きます。  石炭対策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。吉川貴盛君。
  3. 吉川貴盛

    吉川委員 ただいま委員長から御指名いただきました自民党の吉川貴盛でございます。  きょうは、幾つかの点について両大臣お尋ねをいたしたいと存じますが、かつて日本の国が遭遇したことのない大変な今の経済状況の中で、与謝野大臣甘利大臣におかれましてはそれぞれのお立場で御奮闘、御精励されておりますことに対して、まず心から敬意を表させていただきます。  我が国産業近代化を支えてきました石炭鉱業は、戦後の経済復興において基幹産業として大きな役割を果たしてきたものと思われます。ですが、昭和三十年代のころから本格化いたしましたエネルギー革命に伴いまして、国内炭需要の減少により、石炭鉱業は相次いで合理化閉山が進められてまいりました。国内最大炭鉱でありました三井三池炭鉱が昨年三月に閉山を余儀なくされまして、国内坑内堀炭鉱は、太平洋炭鉱と長崎の池島炭鉱の二鉱を残すのみとなったのであります。通産大臣も御承知のとおりであろうかと存じます。  こうした中にありまして、平成十三年度までの基準炭価等あり方やそれ以降の石炭鉱業あり方につきまして、一年以内を目途に結論を得るため、昨年の五月に石炭鉱業審議会のもとに企画小委員会が設置をされました。聞きますと、これまで九回の企画小委員会を開催して審議が進められてきたということであります。  昨年十二月に開催されました地球温暖化防止京都会議における国際合意に基づく環境対策や、経済構造改革の中での需要業界動向など、石炭鉱業を取り巻く環境の変化などから、この小委員会におきましては意見の一致を見ることができずに、平成十四年度以降の石炭鉱業あり方については、本年度中に開催される石炭鉱業審議会にゆだねられることになったと聞いているのであります。この結果いかんでは国内炭鉱の将来を決定づけられることとなり、あるいはこの太平洋炭鉱池島炭鉱も存亡の危機にさらされるのではないかと私は危惧の念を持つものであります。  御承知のように、石炭産出国も、採炭はこれまでの露天掘りから坑内堀りに移行をされてきておるようであります。我が国生産保安技術など、炭鉱技術者育成について協力が求められておるということでありまして、特に太平洋炭鉱では、海外からの研修生という形でありましょうか、オーストラリアとかインドネシアとかベトナムの方々が来て、技術者育成をされているようでもございます。  石炭需要は二十一世紀に向けて世界的にも一層増大することが予想されるのではないかと思いまするけれども、さらにはエネルギー安定供給観点からも、我が国最高水準技術を提供するなど、国際貢献が不可欠だと私は思っております。今後、現存炭鉱の果たす役割はますます大きなものとなってくると考えておりますし、石炭生産技術を持っているということが、すなわち海外炭買い入れ交渉にも役立つのだというふうに思っているものであります。  つきましては、このような石炭鉱業の厳しい実情を十分に御理解いただいて、我が国エネルギー政策上における国内炭の位置づけを明確にして、国内炭鉱長期存続の実現を図るべきであると私は考えておりますが、大臣のお考えはいかにございますでしょうか。
  4. 与謝野馨

    与謝野国務大臣 先生承知のように、国内炭鉱存続等につきましては、昨年六月より一年間、石炭鉱業審議会企画小委員会において御審議をいただきました。そして去る五月二十八日に、同小委員会報告書が取りまとめられたところでございます。  この報告書におきましては、国内炭鉱が存在すること自体は、海外炭安定供給確保を図るための必須条件ではないけれども、一つの要素であるということとされました。また、現在残っております二つ炭鉱からは、現行石炭政策が終了する平成十四年度以降において、トン当たり一万二千円程度までコスト引き下げを行うという旨の表明がございましたけれども、それでも海外炭との間で二倍程度価格差があるものと見通されております。この点については、国内炭鉱に係るその負担については、平成十四年度以降は完全な自由取引を求める意見と、何らかの形で国民経済的負担を求めるべきという意見とに分かれまして、さらなる検討が必要とされたというところでございます。  こうした状況を踏まえまして、去る六月に石炭鉱業審議会を開催し、現行石炭政策の円滑な完了に向けての進め方についての諮問を行いました。同審議会におきましては、現行石炭政策の円滑な完了に向けての石炭政策全体の論議の中で、本件についても議論を進めていただくこととしております。国内石炭鉱業あり方については、石炭鉱業審議会における今後の審議の結果を踏まえて、的確に判断して施策を講じてまいりたいと考えております。
  5. 吉川貴盛

    吉川委員 確かに、今大臣がおっしゃいましたように、国内炭輸入炭を比べてみますと、値段も、平成九年、トン当たり約二・九倍ということになっておりまして、ほかの資源と同様に自由取引にすべきである、そういう声もあるのでございますが、先ほど私が申し上げましたように、石炭生産技術を持っているということは、すなわちこれが海外炭買い入れのときの交渉にも役立ちますし、海外に対しての技術協力等々もございますので、十分、慎重審議の中で、現存炭鉱存続に向けて、大臣の御努力もひとつよろしくお願いを申し上げたいと思います。  次に、産炭地域振興実施計画実効性確保についてお伺いさせていただきますが、これは平成三年に産炭法が十年延長された際に策定をされたものでありまして、都道府県が原案を、厳密に言いますと道県でありますが、原案を作成して国が策定をされたものであります。この実施計画実効性確保するために、計画関連する個別具体事業の着実な推進を図ることが何よりも大切なことだろうと考えております。  通産省では、関係省庁間の連絡や協調を図りながら推進を図るとしているところでありますが、特に、第八次策による閉山からの日の浅い北海道空知地域というところがございますが、ここは依然として厳しい地域事情でございます。そのようなことを踏まえて、通産省を中心とする関係省庁取り組みが少し甘いのかな、私はそんな考えも持っているものであります。現在、産炭地域振興審議会産炭地域振興対策の円滑な完了に向けた進め方審議中と承知いたしておりますが、このままではいつまでたっても円滑な完了はあり得ないのではないのか、これが率直な地元の声でございます。  産炭地域は、言うまでもなく、炭鉱閉山による後遺症などの、ほかの過疎地域とは異なる特殊な事情がありまして、これはエネルギー政策を推し進めてきた通産省責任も大きいものと私は思っております。このため、通産省責任を持って個別具体事業推進に必要な予算を確保して、産炭地域振興実施計画実効性確保すべきと考えておりますが、見解をお伺いいたします。
  6. 北畑隆生

    北畑説明員 先生指摘産炭地域振興実施計画実効性についてのお尋ねでございますけれども、私ども通産省といたしましては、関係省庁地元自治体等との緊密な連携を図りながら、産炭地域振興臨時交付金等による地方自治体への財政支援産炭地域振興に資する中核的事業主体の設立及び産炭地域活性化基金造成、さらには地域振興整備公団による工業団地造成企業誘致推進、こういった施策から成ります産炭地域振興施策推進し、各種施策の着実な実施に努めてまいる所存でございます。  先生からお話がございました北海道空知地域につきましても、地元の市町村から、リサイクル産業でありますとか新エネルギー関係事業でありますとか、個別の具体的なプロジェクトについて御相談を受け、私ども、その御相談に乗っておるところでございます。こういう具体的なプロジェクト一つずつ積み上げてまいりまして、産炭地域振興に尽力をしてまいりたいと考えております。  また、こういった施策の法的な根拠になっております産炭地域振興臨時措置法でございますが、その失効が平成十三年十一月ということになっております。このため、本年六月に、産炭地域振興審議会に対しまして、産炭地域振興対策の円滑な完了に向けての進め方について諮問がなされたところでございます。本審議会におきましても、来年の夏ごろをめどに答申をまとめていただくということで、現在審議をしていただいているところでございます。  通産省といたしましては、同審議会答申をいただいた上で、これらを踏まえまして、法期限に向けて産炭地域振興対策の円滑な完了に万全を期してまいりたいと考えております。
  7. 吉川貴盛

    吉川委員 ぜひ産炭地域振興実施計画実効性確保していただきたいというふうに思います。  時間もありませんので、最後に、炭鉱離職者の再就職状況について一点お伺いをさせていただきます。  北海道最後炭鉱閉山がありましたのは、平成七年三月でございました。いわゆる北炭というところでありますが、再就職に向けて地元でも大変な苦労がございました。昨年の三月に閉山をいたしました三井三池炭鉱のその後の再就職状況をお伺いしたいのと、あわせて、最近特にこの景気動向でありまするけれども、私は、一部聞きましたらば、この再就職が大変困難をきわめているというふうにも聞いているのであります。その状況と、できましたら、労働大臣の今後の再就職に向けての決意等がございましたらばお披瀝をいただきたいと思います。
  8. 甘利明

    甘利国務大臣 まず、再就職状況でありますけれども、離職者のうち千四百九十九名の方が求職申し込みをされておられまして、そのうち七百十九名の方が再就職をされております。就職率は四八%、約半分でありますし、残りの半分の方々に現在職業あっせん、あるいは職業訓練を通じて職務能力のバージョンアップを図っているところであります。  現在、福岡県あるいは熊本県の現地とも連携をとりまして、きめ細かな対策をとっているところであります。例えば求人開拓も特別に実施をしておりまして、具体的に、どこの地で、どういう業種で、どういう労働条件を望むかということをお一人お一人にアンケート調査をとらせていただいておりまして、それに基づいて就職の地のあっせん開拓をしているところであります。  ただ、今まで再就職をされました方々は、地元でなくてもいいとかという方々の方が比較的雇用機会は多いのでございまして、やはりどうしても地元でこういう職種につきたいという方々最後まで残ってしまうということでございます。今、省を挙げて取り組んでおりますし、合同就職面談会等も頻繁に開催をいたしまして、極力早く新しい就職先が見つかるように挙げて努力をしているところでございます。
  9. 吉川貴盛

    吉川委員 大いに御期待を申し上げて、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  10. 高木義明

  11. 島津尚純

    島津委員 民主党の島津尚純でございます。  きょうは、両大臣には、多忙な日程の中、お二人おそろいで御出席をいただきまして、まず感謝を申し上げたいと思います。  私は、きょうは二つに絞って質問をさせていただきたいと存じますが、まず一点は、今吉川委員の方からも多少お尋ねのありました、三池炭鉱閉山対策のその後の進捗状況が一点であります。もう一点は、今後の石炭政策について質問をさせていただきたい、このように存じておるところであります。  まず、三池炭鉱閉山対策についてでありますが、昨年の三月三十日に日本一であったこの炭鉱閉山をいたしたわけでありまして、私もその後、当委員会におきまして、幾度となくこの対策につきまして質問をさせていただいたわけであります。  もちろん、政府といたしましても、関連の十五省庁連絡会等々の強力な結束のもとに、ある意味では万全なシフトで閉山対策についてお取り組みをいただいたことに対しましては感謝を申し上げる次第でありますが、その後、つぶさにその対策進行状況を見ておりますと、大変うまく順調に進んだ対策もあるわけでありますが、逆に足踏みをしてなかなかうまくいかないというような分野もあったように私は感じるわけであります。  そこで、通産大臣お尋ねをしたいわけでありますが、この全般にわたる閉山対策につきまして、一年間の経過、その進捗状況をまずお尋ねをさせていただきたい、このように存じます。
  12. 与謝野馨

    与謝野国務大臣 先生御案内のとおり、昨年四月二十三日に産炭地域振興関係省庁等連絡会議を開催いたしまして、地元自治体要望等を踏まえまして、炭鉱離職者の再雇用地元商工業者経営安定等に係る緊急対策及び新規産業創造物流機能等整備都市機能整備促進等に係る重点地域振興対策を柱とする閉山対策政府として取りまとめたところでございます。  通産省といたしましては、この対策に基づきまして、これまでも関係省庁と緊密な連携をとりながら対策のフォローアップを行い、この対策が着実に進捗しつつあることを確認するなど、閉山対策に万全を期してきたところでございます。  今後とも、関係省庁等と緊密な連携をとりつつ、関係省庁等連絡会議を必要に応じて開催して対策進捗状況を把握し、閉山対策に遺漏なきよう万全を期してまいりたいと考えております。
  13. 島津尚純

    島津委員 ありがとうございました。  現地三池皆さん方にしますと、やはり閉山後一年半を経過し、そしてまた、日本にはこの長期不況の中でいろいろな大きな問題があるわけでありますので、我々の問題はそろそろ忘れ去られつつあるのではないかというような心配もされておるわけでありますが、どうか今後も粘り強く対策に取り組んでいただきますことをお願い申し上げたいと思います。  次に、閉山対策の中で最も重要であり、また困難な問題というのは、先ほど吉川委員の方からもお尋ねのありました雇用の問題であるというふうに思います。先ほど労働大臣の方からも若干お答えいただいたわけでありますが、いろいろな取り組みをしていただいたにもかかわらず、現在まだ半分ぐらいの再就職率であるというようなお話があったわけであります。それは、これだけの大動員をして、一年半たって半分だということはなぜなんだろうかということであります。  それは、前の委員会でも私は触れさせていただきましたが、三池離職者皆さん方平均年齢が四十八歳ぐらいで大変年齢が高いわけでありまして、求人をされる側は高い年齢皆さん方求人をされることが少ないというようなことがあったわけであります。数字を見てみますと、例えば四十九歳以下の皆様方就職率は、これは正確かどうかわかりませんが、八割を超えていると思うのですね。ところが、五十歳以上の皆さん方になると二七%、私の調べではそうなっておりまして、格段の差があるわけであります。  私は、以前の委員会でも何度も高齢者皆さん方就職対策に焦点を当ててやってほしい、このように申し上げてきたわけですが、なかなかその実が上がっていないために五〇%台にとどまっているということではないかと思います。なに、もう五十歳過ぎて、じっと我慢しておればやがて黒手帳がもらえるんだからいいんじゃないかな、このようにおっしゃる方もいらっしゃると思いますが、黒手帳の場合は恐らく十四、五万の月収にしかならないということで、とても家族、一家を支えるような所得にはならないということでありまして、皆さん方、やはり職につきたいという希望を持っていらっしゃるわけでありますので、その辺につきまして、ひとつ労働大臣政府委員皆さん方からお答えをいただきたいと思います。
  14. 甘利明

    甘利国務大臣 島津先生は、石田労政と言われた労働大臣政策立案に深く関与をされておられた。私の父親も石田先生のもとで勉強させていただきましたが、労政専門家でありますから、専門家にアマチュアがお話をするような思いでありますけれども、この炭鉱離職者の問題は特にそうでありますが、それ以外にも、今現在、中高年齢者の再就職状況が非常に厳しくなっております。  そこで、緊急雇用開発プログラム等の中で、特に中高年齢者については手厚く措置を行おうということをとり行っておりまして、特定求職者雇用開発助成金、つまり、中高年齢者を雇った企業については助成をするということの年齢層も、この緊急プログラムの中で十歳下げさせていただきました。  それから、特に今回議論をされております三井三池に関しまして、先ほども一部申し上げましたけれども、お一人お一人の状況アンケート調査させていただいておりまして、個別に一人一人のニーズを受けて、そして、職安の所長を初め職員がそれに見合った企業を戸別訪問させていただいておりまして、特にこういうところについて配慮してほしいということをずっと取り組ませていただいております。  先ほども申し上げましたが、合同面接会も開かせていただいておりますし、実はこの前段といたしまして、三井三池閉山が決まりましたときに与党で対策本部を設置いたしました。そのときに、不肖私は副本部長をさせていただいたわけでありますが、関係省庁と県、それから市、町、それから三井鉱山、すべて集めまして、連係プレーをとって対策実施しようということでスタートしまして、それをもって政府の方を叱咤してきたわけであります。  まだ残念ながら、先生指摘のとおり希望者のうちの約半数強の方が再就職ができないで苦しんでおられる状況であります。今までにも増して省を挙げて、関係省庁地元連絡をとりまして、再就職対策を叱咤していきたいというふうに思っております。
  15. 島津尚純

    島津委員 この再就職、特に高齢者皆さん方の再就職問題につきましては、どうぞよろしくお願いを申し上げたいと思います。  次は、質問ではなくて感謝を申し上げたいと思うわけでありますが、これはやはり労働省関連でございますが、住宅問題、住宅対策というのがこの三池の問題では大変重要な問題だったのです。閉山をしまして、皆さん方は社宅にいらっしゃる。その方たちが、いずれ一年かそこらして出なければならないというときに住む家がないという状況の中で、私たちは、雇用促進住宅を何とか大牟田にというようなお話をしておりました。その中で頑張っていただきまして、百二十戸の雇用促進住宅建設していただくというようなことであるわけであります。  来年の九月に完成し、入居するというような状況になっているのですが、入居するとき事前に受け付けをやるわけであります。これに対して受け付けの言うならば規定があるわけですが、それを大変柔軟に対応していただきまして、一年ぐらい前に仮受け付けをやるというような、そのような大変柔軟な対応をしていただいて皆様方は大変喜んでいらっしゃいますので、これは心から感謝を申し上げたい、このように思うところでございます。  次に、産炭地振興策についてお尋ねをさせていただきたいわけであります。  大牟田の町は、閉山に伴いまして、石炭のあった町から新しく新産業都市環境リサイクル都市というものを目指して再生の道を今歩もうとしておるわけであります。その中でその中心的な事業となってくるのが言うならばRDF発電事業であるわけでありまして、これは通産省や県の皆様方の大変な御協力をいただきながら現在進んでいるわけでありまして、この計画状況につきましてお尋ねをさせていただきたいと思います。
  16. 北畑隆生

    北畑説明員 お尋ね大牟田市のRDF発電事業進捗状況についてお答え申し上げます。  このプロジェクトにつきましては、平成九年度にNEDOによる補助事業といたしまして、環境調和型エネルギーコミュニティ形成促進事業という形で、福岡県がその導入の可能性について調査実施したというのが始まりでございます。その後、福岡県及び大牟田市がこの調査事業をさらに発展させまして、RDF発電事業を具体的な事業一つとして位置づけた、今先生指摘のとおりでございまして、大牟田市全体をエコタウンプランという形で計画策定したところでございます。このプランにつきましては、エコタウン事業ということで、私ども通産省及び厚生省より共同承認をこの七月に受けたところでございます。  大牟田市では、炭鉱の町から将来性のあるリサイクル環境型産業の町へと、このプロジェクトをてこにして脱皮をしたいというのが大牟田市の希望されておるところでございます。  RDF発電は、廃棄物の処理、リサイクル対策としてもちろん有意義であるということでございますし、また、新エネルギー普及促進という観点からも有意義でございます。さらには、今申し上げましたとおり、大牟田市の産炭地域振興の核となる重要な意義を有するものだと思っております。  現状は、福岡県、大牟田市、その他関係者具体化についての準備が進められております。私ども具体的な御相談を受けておりますので、関係者による検討結果を踏まえまして、関係省庁協力をしながら十分な支援をしてまいりたい、このように考えております。
  17. 島津尚純

    島津委員 このいわゆるごみ発電RDF発電につきましては、これだけの本格的な発電所建設というのは全国でもまだないというようなことでありますので、今、都市部が抱えるごみ問題等々の解消にも大変な宣伝の効果ということがあると思います。これが一つの見本になってくると思います。  大牟田というのは、言うならば臨海部に広大な貯炭場を持って、そういうふうな跡地利用のために、恐らく八十ヘクタールぐらいの大きな土地を用意してこのような新産業創造というものに取り組んでおるわけでありまして、どうか強力なバックアップ体制をよろしくお願い申し上げたいというふうに思います。  次に、同じくこの産炭地振興対策の中で、雇用等々の問題からも大変大事だと思われる問題の一つに、現在造成が進んでおります大牟田テクノパーク造成建設の問題があるわけであります。  そろそろこの造成完了するというような時期になってきているというふうに思いますし、その間においてこのテクノパークに進出をいただく企業等々も幾らかは決まってきているというような状況もあるというふうに聞いておるわけでありますが、その辺につきましてお聞きをさせていただきたいと思います。
  18. 北畑隆生

    北畑説明員 大牟田テクノパークについてのお尋ねでございますが、この工業団地につきましては、平成十一年度の半ばに一部の分譲を開始するということで計画を進めてまいりましたものでございます。昨年の四月二十三日にまとまりました政府三井三池閉山対策におきまして、できる限り早期に産業基盤を整備し新しい雇用の場をつくるべきだ、こういう観点から、分譲開始を十年度末に繰り上げるという方針が決まりました。現在、造成工事が順調に推移しております。  それから、進出予定企業につきましては、本年の三月三十一日に、完成前になるわけでありますが、予約公募を開始したところでございます。現在のところ、進出予定企業が二社確定したというふうに聞いております。  今後とも、県、大牟田市、それから地域公団とよく連絡をとりまして、企業誘致努力をしてまいりたいと思います。
  19. 島津尚純

    島津委員 今二社程度の進出が予定をされているというふうにおっしゃっているわけでありますが、このテクノパークというのは、予定されている全体が決まった場合にはどのぐらいの雇用の創出が可能なのか、そして、現在予定されている、さらには今後見込まれる企業進出が、どのような国内雇用が見込まれるのか、その辺についてお尋ねしたいと思います。
  20. 北畑隆生

    北畑説明員 雇用の数につきましては、進出する企業の業種、業態によって変わりますので、何名と現状で申し上げることは困難でございます。  ただ、六十六・五ヘクタールという大変大規模な工業団地でございますし、高速道路から近いところに造成がされるということでございまして、ぜひ雇用につながる、雇用吸収力のある企業を誘致するよう、先ほど申し上げましたけれども、地域公団、県、市と企業誘致のための連絡会議、協議会などを設置いたしまして、誘致に努めてまいりたいと考えております。
  21. 島津尚純

    島津委員 今の質問に対してははっきりお答えをされることができないようでありますが、私の知るところでは、恐らくここのテクノパーク全体としまして、千四、五百人ぐらいの雇用は、もっと、二千人ぐらいまではできるのではないかなというふうに思います。  その中にありまして、言うならば完成が間もなくでありますけれども、その段階で二社、恐らくこれは五、六十人の雇用の規模じゃないかと思います。それからいきますと極めて心細い数字なわけでありまして、今までも大変熱心なお取り組みをしていただいたことはよくわかっておりますけれども、この方面での企業進出ということに対しましては、さらに関係当局の御努力をよろしくお願い申し上げたいというふうに思うわけであります。  次に、やはり閉山後の大牟田の再生の問題につきましてかなり目玉となる、中核的な問題といたしまして、三池港の改修整備の問題があるわけでありまして、運輸省の方にお尋ねをさせていただきたいと思います。  この問題、第九次の港湾整備計画がもう既に始まっておりますが、この大牟田市あるいは福岡県が幾度も要望しておりますのが、何としてもこの計画の中の新規事業として採択をしていただきたいというような要望であります。聞くところによりますと、これが平成十一年度の概算要求をお願いしておるというふうにも聞いておるわけでありますが、その辺につきまして見通し等々、お伺いをさせていただきたいと思います。
  22. 川嶋康宏

    ○川嶋政府委員 三池港の整備についてのお尋ねでございますけれども、三池港につきましては、三井鉱山の閉山を機にいたしまして、従来石炭を中心に取り扱っておりました港から、大牟田・荒尾周辺地域におきます新たな流通拠点港湾として発展を図ることとされまして、本年五月一日に三井鉱山株式会社の方から譲渡を受けました公共埠頭一バースをもちまして現在供用しているところでございます。港湾管理者であります福岡県におかれましては、今後の本格的な整備を図るために、今年度末を目途にいたしまして港湾計画策定すべく、今検討されているところでございます。  先生の御質問にございましたとおり、平成十一年度予算の概算要求におきましては、公共埠頭の利便性の向上を図るために、航路とそれから臨港道路に関連いたしました予算要求をしているところでございます。
  23. 島津尚純

    島津委員 この三池港の改修整備の問題は、産炭地振興だけでは大蔵当局もなかなかのめる話ではないというふうに思います。やはり、港湾が整備されて、そこを利用される企業というもの等々が確保されるという見通しが大事だと思うのですね。私は以前から、この広い臨海部の、言うならば三池港の後背地に、やはり企業の進出ということを働きかけるべきだというふうに申し上げてきました。そういうことは、産炭地関連省庁連絡会議等々で各省庁協力態勢をいただきながらやっていくということが、言うならば第九次港湾整備計画の新規事業として採択される道ではないか、このように思っておるわけでありまして、その辺の御努力についてはいかがでございましょうか。
  24. 川嶋康宏

    ○川嶋政府委員 私ども、港をつくりますときに、港を使っていただけるということが最大の眼目でございますので、港湾管理者であります福岡県と協力をいたしまして、できるだけお使いいただくような、私どもポートセールスというふうな言葉を使っておりますけれども、港をお使いいただきますような努力を重ねてまいりたいというふうに思っております。
  25. 島津尚純

    島津委員 今後も、ひとつこの辺の御努力をよろしくお願い申し上げたいと思います。  次に、最後の問題でありますが、平成十四年度以降の石炭政策について、お尋ねを申し上げたいと思うわけであります。  今の石炭政策平成十三年度で終了を迎えるわけであります。残すところあと三年半ということであります。しかしながら、いろいろな問題をつぶさに考えてみますと、産炭地振興の問題、あるいは今までの鉱害対策等々の問題につきましても、多くの問題がまだ残っておるという状況である、このように思うわけであります。  このような観点に立って考えますと、十三年度で石炭政策は一応ポスト八次が終わるとしましても、平成十四年度以降、やはり私どもは、何らかの形で一定の新しい石炭政策というものが不可欠である、このように考えざるを得ないのでありますが、その辺につきましてお尋ねをさせていただきたいと思います。
  26. 北畑隆生

    北畑説明員 現在の石炭政策でありますポスト八次策につきましては、平成三年に答申がまとめられまして、その中で、九〇年代を構造調整の最終段階というふうに位置づけをしておるわけでございます。これに伴いまして、産炭地域振興対策や、先生指摘の鉱害対策につきましても、法律上の期限であります平成十三年度末に向けて、施策の仕上げに向けた取り組みをしているところでございます。  現在、石炭鉱業審議会及び産炭地域振興審議会において、現行石炭政策及び産炭地域振興対策の円滑な完了に向けての進め方につきまして議論が行われておるところでございます。いずれにいたしましても、現行石炭政策を円滑に完了させるべく、平成十三年度までの間、石炭鉱業構造調整対策産炭地域振興対策、鉱害対策の着実な実施に努めてまいりたいと考えております。
  27. 島津尚純

    島津委員 平成十四年度以降の石炭政策でありますが、このことは、先ほども申されましたが、現在、最後に残っております国内炭二鉱の存続問題について大きく影響をしてくるわけでありまして、石鉱審の企画小委員会報告書を見ましても、我が国石炭関連技術というものは、国際的な協力の問題とか日本輸入炭安定供給の問題であるとか、あるいは炭鉱技術者育成の問題等々につきまして、一定の役割を果たしてきておるし、これからも果たすだろう、そのような評価をいただいてきておるわけであります。  このような観点からも、私どもは、現在残っております二鉱についての存続という体制を、ぜひ十四年度以降もとるような新しい石炭政策というものをつくっていただくべきではないか、このように思っているのですが、その辺はいかがでございましょうか。
  28. 北畑隆生

    北畑説明員 現存いたします二鉱山が世界に冠たる鉱山技術、保安を含めました技術を持っておるということは、先生指摘のとおりでございます。  先ほど大臣の方から答弁をしたところでございますが、石炭鉱業審議会企画小委員会が本年の五月にまとめました報告書でも、国内炭鉱が存在することは、海外炭安定供給確保を図るための必須条件ではないけれども、一つの要素であるという大変重要な指摘がされたところでございます。  ただ、今後コスト削減をしてまいりましても、なお内外価格差というものは残るわけでございまして、この点につきまして、本年六月に開始をいたしました石炭鉱業審議会で今後議論を深めていただきたいと思っております。その際には、これは企画小委員会報告書でも指摘されておることでございますけれども、エネルギー政策観点からの国の支援の是非、両炭鉱のさらなるコスト削減、地域・雇用対策等の観点からの自治体の支援等につきまして議論をしていただく、こういうふうにしておるところでございます。審議会の結果を踏まえまして対応してまいりたいと考えております。
  29. 島津尚純

    島津委員 我が国の唯一のエネルギー資源であります石炭産業存続させるということは、将来必ず我が国の国益につながってくることであるというふうに私どもは確信しておりますので、どうかこれからも我が国石炭政策の灯を消さないというような方向で御検討いただきますことをよろしくお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  30. 高木義明

    高木委員長 白保台一君。
  31. 白保台一

    ○白保委員 平和・改革の白保台一でございます。  さきのお二人の御質問は、産炭地域の切実な声を代表しての御質問であった、こういうふうに思うわけでございますが、私の地元は沖縄でございますが、沖縄におきましても、最近、電力における石炭利用が拡大してきております。こういったことで、まず、基本的な石炭エネルギーの活用の問題を中心に質問をしていきたい、こう思います。  沖縄電力の具志川発電所、そしてまた電源開発石川発電所、最近では金武町の方に沖縄電力が、電力の安定供給のための電源の多様化などに石炭エネルギーが重要な役割を果たしているということで起工をしました。そういうことで、非常に石炭エネルギーの活用が広がってきている状況にございますので、まず、貴重な国産エネルギー源である国内石炭産業の構造調整への取り組みについて伺っていきたいと思います。  現行石炭政策であるポスト八次策も、もう七年目を迎えました。平成十三年度末の円滑な完了、これに向けての取り組みがなされてきたところでございますが、とりわけ注目されるのは、国内炭鉱存続問題であります。石炭鉱業審議会において一年間かけて論議をされてきたわけでございますけれども、結論を得ることができませんでした。そこで、石炭鉱業審議会においてさらに審議が進められているということを聞いておりますが、現在の取り組み状況、そして結論時期の見通し、これについてまずお伺いをしたいと思います。
  32. 北畑隆生

    北畑説明員 石炭鉱業審議会審議状況についてのお尋ねでございます。  本年六月に、通商産業大臣から石炭鉱業審議会に対して、現行石炭政策の円滑な完了に向けての進め方について諮問がなされました。この諮問を受けまして、六月十七日に石炭鉱業審議会の総会を開催し、九月二十四日には総会のもとに設置されました政策部会の第一回の会合が行われたところでございます。第一回会合では、我が国における石炭需要動向と見通し、今後の審議進め方等について御議論をいただいたところでございます。  審議会におきまして引き続き精力的に御審議をいただきまして、来年の夏ごろをめどに答申を取りまとめていただけるよう、私ども事務局といたしましても努力をしてまいりたいと考えております。
  33. 白保台一

    ○白保委員 ただいまるる説明があったわけですが、ほぼこの一年間議論をして結論が出ませんでした。あと一年先延ばしにしているわけでございますけれども、今度はまさに結論が得られる、こういう確信を得ておられますか。
  34. 北畑隆生

    北畑説明員 審議会の会長、部会長には、来年の夏ごろまでにぜひお取りまとめをいただきたいということでお願いをいたしております。  先生指摘のとおり、昨年の企画小委員会では結論が出なかったという事情がございます。来年の夏にはぜひ取りまとめをしていただきたい、私ども事務局としてはそういただくよう万全の努力をしたい、このように考えております。
  35. 白保台一

    ○白保委員 このことを申し上げているのは、要するに、さきのお二人の質問にもありましたように、これ以上のおくれというのが許されないぎりぎりのところまで来ているのじゃないか、こういうふうに感じております。特に設備投資計画など、あるいはまた石炭業界や電力業界双方にそれぞれの御計画もあるわけでございますから、そういった面でこれはもうぎりぎりのところであろうとは思っておりますが、皆さんは、来年の夏ごろには結論を出されるという考えでおられるということですけれども、タイムリミットですね、今の双方の計画を見ておられてどういうふうに感じ取っておられるかということについてお伺いしたいと思います。
  36. 北畑隆生

    北畑説明員 現行石炭政策は十三年度末で完了するという前提でまいりますと、残すところ三年半しかないわけでございます。昨年の企画小委員会では、国内炭の引き取りをしております需要業界とその他の委員との間で意見の集約ができずに一年先延ばしをしたというのは、先ほどから御説明をしているとおりでございます。  先生の御指摘のとおりでございまして、いずれも大規模な設備投資をする産業でございますので、将来のことを考えますと、来年の夏にはぜひとも大きな枠組みにつきまして御答申をいただき、それを受けて、私ども、必要な法律改正等の措置を講じなければいけないということを考えますと、来年の夏には取りまとめていただくということが先生の御指摘のタイムリミットということになるのではないかと思います。  もちろん、審議会先生方の御審議のいかんでございますが、事務局としましては、夏ごろに取りまとめをいただくということで万全の努力をいたしたいと思います。
  37. 白保台一

    ○白保委員 平成十三年度末の施策の円滑な完了に向けて、産炭地域振興や鉱害対策についても同時に当然検討が進められているわけであります。残された政策期間は先ほどお話がございましたようにわずかでありますから、こういったわずかな期間と、同時にまた限られた予算の中で、産炭地域振興や鉱害対策、こういった問題を完了しなければならないわけでありますけれども、その対策に対する達成の目途についてどのように受けとめておられるか、お聞きしたいと思います。
  38. 北畑隆生

    北畑説明員 鉱害対策産炭地域対策についてのお尋ねでございますけれども、これも石炭政策全体と同じでございまして、それぞれ法期限平成十三年度末に向けまして最後取り組みをしておるところでございます。  鉱害対策につきましては、農地関係事業が今年度ピークを迎えるということでございまして、関係のNEDO、それから私ども通産局で鋭意取り組んでおるところでございます。  産炭地域振興対策につきましては、今年度、八つの圏域につきまして五十億円の基金をつくるという大きな事業が完成をしたところでございます。これで十分かどうかにつきましては産炭地域振興審議会議論をしていただいておりまして、残されました三年半の期間に万全の対策を講ずべく努力をしてまいりたいと考えております。
  39. 白保台一

    ○白保委員 そこで、大臣に、今さきにお二人も議論をされました。私も幾つか基本的な問題をお伺いしたわけでございますが、来年の夏の審議会答申、これを諮問されているわけでございますけれども、答申をまつまでもなく、政府としても、国内石炭産業の維持の問題について、存続について、何らかの決断を大臣としてもなさらなきゃならない、そういうときではないか、こう思うわけでございまして、大臣の所感をお聞きしたいと思います。
  40. 与謝野馨

    与謝野国務大臣 先ほどもお答えを申し上げたのですが、先生の御質問国内炭鉱存続についてお答え申し上げますと、昨年六月より一年間、石炭鉱業審議会企画小委員会において御審議をいただいてまいりました。去る五月二十八日に同委員会報告書が取りまとめられたところでございます。  この報告書においては、国内炭鉱が存在すること自体は、海外炭安定供給確保を図るための必須条件ではないが、一つの要素であるというふうにされたわけでございます。  また、二つの残っております炭鉱からは、現行石炭政策が終了する平成十四年度以降において、トン当たり一万二千円程度までコスト引き下げを行う旨の御表明がございましたが、それでも海外炭との間で二倍程度価格差があるものという見通してございます。この点については、国内炭鉱に係るその負担については、平成十四年度以降は完全な自由取引を求める意見と、何らかの形で国民経済的負担を求めるべきとする意見とに分かれ、さらなる検討が必要であるとされたところでございます。  こうした状況を踏まえまして、去る六月に石炭鉱業審議会を開催し、現行石炭政策の円滑な完了に向けての進め方についての諮問を行いました。この審議会においては、現行石炭政策の円滑な完了に向けての石炭政策全体の議論の中で、本件についても議論を進めていただくこととしております。  国内炭鉱石炭鉱業あり方については、石炭鉱業審議会における今後の審議の結果を踏まえて、的確に判断してまいりたいと考えております。
  41. 白保台一

    ○白保委員 今の御答弁は先ほどもお聞きしました。  私は、政府としては、諮問して答申を得て、それによってということであろうと思いますが、私は、大臣自身のエネルギー政策の基本的な認識をお聞きしたいな、こういうふうに思っておりましたが、よろしいですか。
  42. 与謝野馨

    与謝野国務大臣 石炭というエネルギー源は、世界的な埋蔵量からしますと、実はなかなか有望なエネルギー源でございます。  現在も国内炭は、全エネルギー消費、日本人の消費のうち〇・七%を国内炭は担っておりますけれども、石炭自体が全体のエネルギーの中でどういう位置を占めているかといいますと、一つは、実は石炭火力というのは非常に盛んでございます。それから、製鉄業においても石炭の消費量が非常に多いということで、石炭というのは、輸入炭国内炭とを加えますと、日本エネルギー消費の約一六%ぐらいを占める大変重要なエネルギー源であるというのは、比較的よく知られていない事実でございます。  そこで、そういう中で日本国内炭をどういうふうに位置づけるかという問題であります。  雇用の問題から考えてどうかと申しますと、雇用の問題から考えますと、石炭産業が盛んなころに比べますと、石炭が現在雇用しております総雇用の人員は、数千名というオーダーまで参ったわけでございます。しかし、雇用政策も大変大事でございますから、雇用政策からも石炭産業考えていかなければなりませんし、また、地域振興という面からも石炭産業あり方考えていかなければならないと思います。  そして、もう一つ大事な視点は、やはり経済的な合理性という面から考える、あるいはトン当たり幾らという経済計算の上で物を考えていくという視点がございます。  しかし、一方では、国内炭を掘り続けているということが、ある種のエネルギー源の多様化でもあり、また安定供給源であるという考え方もございまして、そういうものを総合的に判断をして、国内の残った二つの貴重な炭鉱をどうするかということを、その存続についてはそういう総合的な観点から判断していくことが必要になるのだろうと私は思っております。  先生指摘のように、先生のお地元でも石炭火力が盛んだという冒頭の御発言がありましたように、石炭というエネルギーは、実は余り意識はしないのですが、日本エネルギーを支える大変重要な源だという意識に立って、今後とも政策を遂行してまいりたいと思っております。
  43. 白保台一

    ○白保委員 大臣の所感を伺いました。  実は現在、沖縄電力あるいは電源開発が石炭を使ってやっているというだけではなくして、私の地元の方に西表島というのがありまして、西表島にはかつて炭鉱がありまして、非常に栄えた時代があったのですね。そういった過去の歴史も踏まえて、この重要性ということはよく理解しておるところでございます。  最後になりますが、先般、この委員会委員から成る欧州エネルギー事情調査団が派遣されました。そして、その派遣されたメンバーは大変精力的に調査をされて帰ってこられたわけでございます。そういった中で、関係する、石炭産業を有する欧州各国の、我が国同様に輸入炭との間で格差があるということで、そちらの方も大変に工夫をされながら対応されておる。そういった問題について、最後になりますが、政府はどのように把握されているか、そのことをお伺いしたいと思います。
  44. 北畑隆生

    北畑説明員 本年の七月に衆議院で、欧州エネルギー事情調査のための議員団が派遣されたわけでございますが、私どもも担当課長が、ヨーロッパ各国の石炭産業の現状と政策について、調査に同行をさせていただきました。  その結果、詳細は報告書のとおりでございますけれども、ドイツ、英国、フランス等の欧州の産炭国では、我が国と同様坑内掘りということになっておりまして、生産コストが高いことから国内炭輸入炭についてかなりの内外価格差があるということは事実でございます。  この問題をどうするかということにつきまして、ドイツにおきましては生産者に対する補助金の交付、英国では電気事業者による引き取りの協力、フランスにおいては国内炭鉱を保有する石炭公社に対する政府の赤字補てん等を行っている、このように聞いております。
  45. 白保台一

    ○白保委員 時間が参りましたので終わりたいと思いますが、いずれにいたしましても、石鉱審の審議の模様というか推移というのは、みんなが極めて関心を持って見守っておるところでございます。先ほど大臣からも答弁がございましたように、大変重要なエネルギーでございますし、その重要なエネルギーを守っていく、そういった方向で私どもは見守っていきたい、こう思っておりますので、よろしくお願いいたします。  以上であります。
  46. 高木義明

    高木委員長 鰐淵俊之君。
  47. 鰐淵俊之

    ○鰐淵委員 私、自由党の鰐淵俊之でございます。  私も以前、石特で堀内前通産大臣に御質問をいたしておるわけでございますが、再度同じような質問与謝野通産大臣にしたい、このように思います。  と申しますのは、今白保委員からもるるお話ししておりましたが、私、いつも一つ不思議に思うことがございます。それは、国の場合は、各省庁においていずれも審議会というものがあるわけであります。審議会審議している間はなかなか省庁の、行政のいわゆる責任者、大臣を初め各局長、部長、審議会審議をしている最中はそれを一歩も出るような、出るというか、結論めいたことをするわけではないのですが、例えば通産省であれば通産省としてかく政策を考える、あるいは考えていく方向であるとか、こういうようなことが一切述べられない。審議会答申が出れば、それで決めていく。一体政府政策立案能力と政策決定能力というのはあるのか。実はそれは審議会委員長にあるのではないのかと思うのですね。  ですから、私は、政策の重要な決定については、もちろんやはり通産省が十分過去考えてこられているわけでありますから、審議会を越えて、審議会審議の邪魔になるようなことを言うことはできませんけれども、このようなことはこのように考えておるということをしっかり通産省としては持っておられると思うのですが、どうも委員会では出てこない。これは審議を進める上で、私は実は大変不思議に思っていることでございます。  したがって、前回、堀内大臣にも申し上げましたが、構造調整は最終段階である、ポスト八次が終わりましたらどうするかということを石鉱審において審議していただいて、本当ならば本年中に結論を出すという話だったのですね。ですから、私どもも待ち遠しくしておりました。ところが、さあ、経済ベースでいくべきだ、あるいは、いやもう少し、石炭というものについてはそれぞれまだ評価すべきものがあるので存続することも必要ではないのかということで、結論が出ない、両論併記になってしまった。両論併記というのは、一体これは審議会としての役目を果たしておるのか。審議会がそれだけ重要な政策決定に占める判断をするということであるならば、やはり一定の結論をきちっと持っていかなければならない。しかも、この問題については、閉山をするかあるいは存続するかという二者の岐路に立った重大な問題なのでありますから、これが先送りになって一年おくれるということは、後々これは重大な影響を及ぼしてくるわけであります。  したがって、一つは、まず部長におかれましては、これから石鉱審においてどのようなスケジュールで、いつまでにはっきりこの問題を決着するのか。  それから大臣におかれましては、堀内前大臣も申されましたが、一つは、需要側から見ると、もうあくまでもマーケットは自由取引したいということでございますから、高い石炭は引き取れないということであります。そういう立場からすると、炭鉱存続しない。  しかし、先ほど言いましたように、今の存続する炭鉱につきましても、いわゆる技術の問題ですとか研修の問題ですとかあるいはもろもろ、これから日本は世界最大の石炭の輸入国です。一億三千万トンくらい将来輸入するであろう。確かにその中におけるシェアは微々たるものであるけれども、世界に冠たる維持保安管理等の技術を有している日本、こういったことに関して一定の評価をしていいのではないかという観点から、十分考えていく必要がある、ひいては政治的な見地からも十分考えていく必要があるということが前大臣の答弁でございました。この点につきまして、大臣の所感をひとつお願いしたいと思います。
  48. 与謝野馨

    与謝野国務大臣 審議会というのは各省とも持っておりますが、専門性の高い分野の議論をしたり、あるいは異なった利害を持った方々意見を公平に伺ったりという意味では、審議会の重要性というのは、今も私は変わらないのだろうと思っております。  そこで、二炭鉱存続問題をどういう角度から考えていくのかということが大変大事になってまいるわけです。現在は、先生承知のように、明らかに国内炭海外炭の価格よりはるかに高くなっております。したがいまして、仮に日本石炭のユーザーが国内炭を捨てて海外炭にいきますとかなりのメリットがあるということは事実でございますが、電力会社を中心にこの石炭をきちんと引き取るという仕組みはできております。これをいつまでも続けられるかどうかという問題は、幾つかの観点から考えなければならないと思っております。  一つは、やはり雇用の問題、それから、炭鉱が実際にございます地域の経済、地域の振興という問題、観点、それから、先生から御指摘があったように技術の温存という面、こういうものもございますし、それでは経済性の問題はどうなのか、また、エネルギー安定供給、供給源の多様性の確保という観点、こういうもろもろの、場合によっては相異なる要素を全体として判断をして存続するかしないかということを決めざるを得ない。これはなかなか難しい判断でございまして、すっぱりと切るように物事が決定できないという事情先生にも十分御理解をいただきたい。ただ、そういう全体としての総合的判断が必要なことであるということだけはぜひ御理解をしていただきたいと思っております。
  49. 北畑隆生

    北畑説明員 お尋ね石炭鉱業審議会のスケジュールについて申し上げます。  去る六月十七日に石炭鉱業審議会の総会を開催いたしまして、この場で政策部会の設置が決まったわけでございます。石鉱審の各部会の部会長にも御参加をいただいて審議を進めるということにしておりまして、九月二十四日に第一回の会合を開き、審議をしていただきました。その場では、我が国における石炭需要動向と見通し、今後の審議進め方について御議論いただいたわけでございますが、繰り返しになりますが、来年の夏ごろをめどに答申を取りまとめていただくということになっております。  私ども事務局として、的確に対応してまいりたいと思っております。
  50. 鰐淵俊之

    ○鰐淵委員 それでは、審議会のやり方等についてはほぼわかりましたが、また一年たったら両論併記、こういうことの絶対ないようにしていただきたい。両論併記というものを来年また一年やって出すようでは、何をその審議会はやっておるのだと。両論併記ということは結論を出さないということですから、結論を出さない審議会の結論をもらったってこれはどうしようもないわけですね。それであれば、もうはつきり新エネルギーできちっとつくって、通産大臣がこうやろうということをはっきり政策決定しなければ、いつまでたっても今のような状態が続いていく。続いていくと、今言ったように、もう時限立法、平成十三年には、二〇〇一年ですか、時限立法になる、すべて臨時措置法ですから、すべて行政が後手後手に回っていくということで、この問題については、私は、混乱を来すということになるので、ぜひこの次の石鉱審にはきちっとした結論を出していただきたいというのが私の考え方です。  二つ目は、もう時間がありませんので、この石特が行かれた諸外国の、私もこれ十分読ませていただきました。その中で日本と大きく違うのは、先ほど部長からもいろいろお話がございましたが、日本は、石炭に対する予算というのは、関税等の財源をもって石特会計、いわゆる特別会計をつくって、そして石炭対策をやっている、難戦者の対策をやっている、それから、鉱害対策もやっている。諸外国はちゃんとした、国が補助金等においてお金を出している。そういうところからの関税のお金を持ってきて出すというようなことではなくて、いわゆる一般会計から支出しています、きちっと。電力用炭の引き取りで差額があればその差額を埋めるとか、ここにいろいろ書いてありますから、皆さん読んでいただいたと思いますが、私もきのうじっくり読んだら、日本とやはり相当違います。  そういうことを考えましたときに、この諸外国での、もちろん傾向としては、石炭に対する政策というのはだんだん縮小ぎみであることは事実であります。しかし、私は、今日本で残された太平洋炭鉱池島炭鉱、この二つ現存する炭鉱をゼロにしてしまったら、またこれを再編しようとしたら大変なお金がかかってしまいます。そして、現実に、私もずっと、今までの産炭地閉山したところの自治体すべての資料を集めました。  結論的に言えば、その産炭地域は、まず人口のヒストグラムからいきますと、高齢化です。ほかの地域から見たらはるかに高齢化が進んでいる。だから、高齢化が進むということは、介護保険を初めそういう社会的費用が非常にかかるということですね。それから、失業率も多い。それから、財政から見ると経常収支率が非常に高くて、もう弾力的な財政になっておらない。公債費率は莫大に高い。高いところはもう二五、六%。そうなりますと、起債は、もう自分がやりたくてもこれは自治省からとめられています、二〇%を出ると。単独起債は認められません。そういうような状況産炭地域は非常に多い。  いわんや、この稼行炭鉱がまた閉山ということになれば、少なくとも労働集約産業ですから、それだけの人がまた今雇用でき得るような場所というのは、この経済情勢の中では非常に難しい、失業者がどんどんふえているような状況の中では難しいというぐあいに私は思います。  それから、新規産業あるいは新しい産業の移転ということも言われておりますが、これはなかなか難しい。やっても、相当大きな雇用をするような仕事は見つからない。いい仕事であれば、もうとうに産炭地域ではなくても普通の企業はやっておるのですよ。ですから、これも非常に難しい。  そうなりますと、社会的政策の中の効果も含めて、本当にこの炭鉱をなくしてしまうことが日本の将来にとっていいことか悪いことかという見地から、私は、もう真剣にひとつ議論をしていただきたい、このように思います。  そこで、諸外国における、一般会計からきちっとお金を出し、ある程度国内炭鉱について保護しているということについて、日本で、特別会計ではなくて、やはり政府がもう少しイニシアチブをとって、一億三千万トンを将来使うであろうユーザーに何らかのお願いができないものだろうか。全くこれはできませんというのであれば、ある意味で、この石炭産業存続できないわけですね。ですから、そういうユーザーに対しての理解を求めることが可能なのか。  それから、今の実際やっている炭鉱は、血の出るような労使の努力によって、今、トン一万二千円、C重油の価格まで落とすということですから、なおかつ、それによって将来の円相場が、為替相場がどうなるかもこれはわからない。そういうことになれば、場合によっては二倍を切って一・五倍とか、ごくわずかなところにくる可能性だってないとは言えない。そういう意味で、実際にやっておる炭鉱努力をして、できるだけコストを削減する、それから、ユーザーに少しやはり努力していただく、それから、炭鉱のある自治体あるいは国がそれについてイニシアチブをとるような政策を盛り込んでいく、そういうことによってぜひ存続をしていただきたいというのが私の願いですが、その点についての大臣の御見解をいただきたいと思います。
  51. 与謝野馨

    与謝野国務大臣 先ほども申し上げましたように、いろいろな要素を総合的に判断するという必要があると思います。  その中で、先生が今言われましたように、地域社会に対する影響の面を今多分強調されたのだろうと思います。これは、新規産業と申しましても、先生指摘のように、なかなか花開くというところまでいくのは大変でございまして、地域の経済、地域の振興、福祉等を含めて、先ほど申し上げました経済性の問題、エネルギー安定供給の問題、技術の温存の問題等々、もろもろの要素をすべて加味して総合的に判断していくということが正しいのであって、経済性のみから物事を判断するというのは、企業を経営する点からは正しいかもしれませんが、もろもろの社会的な影響、地域に対する影響等、もろもろの要素を加味してその時点で総合的に判断するということが、私は正しい判断のあり方だろうと思っております。
  52. 鰐淵俊之

    ○鰐淵委員 大臣としての御答弁はそのようなことになろうかと思います。  私は、やはりもうわずか二つしか残っていない、そういう意味では、相対的に一億三千万の中の言ってみれば四百万トン程度であれば、セキュリティーということについては、ほとんどこれは役割は少ないと思います。しかし、現実にこの二つ炭鉱があることによって、やはりノウハウの蓄積は今までしてきましたし、それから、世界に冠たる技術を持っていることも事実であります。したがって、発展途上国の皆さんがいろいろ研修に来られる、あるいはJICAの皆さんも来られる、そういったことによって、将来の日本が非常に、世界一の輸入国である日本の立場を考慮すれば、ここに稼行炭鉱を持っているという意義は非常に私は大きいと思うのであります。  そこで、一点部長さんにぜひお願いしたいと思いますし、御答弁もいただきたいと思いますが、やはり圧倒的に使うユーザー、電力、鉄鋼を初めとしたユーザーが一億三千万トンという膨大な石炭を使うわけですね。だから、そういう石炭を使う方々に対して、稼行炭鉱も血のにじみ出るような努力最後のところまでしていくのだ、国も、やはりそれに対して、諸外国でやっておりますようなところの最大公約数日本でやっていくのだと。ユーザーだけが、私は知りません、知りません、とにかく自由競争です、同じ値段ならとりますというようなこと一点張りでは、これは石鉱審何ぼ開いたって、政策部会開いたって一致するところないと思うのですね。  ですから、そういう意味で、ユーザーに対する理解といいましょうか、こういったことに対して、今後どうやって取り組んでいこうとされているのか、あるいは全然そういうことはしないのか、その点について部長の答弁をいただいて、終わります。
  53. 北畑隆生

    北畑説明員 現在、国内炭の引き取りをお願いしておりますのは電力業界だけでございまして、現在の炭価で比較をいたしますと、年間三百数十億の負担をいただいておるということになります。これが、二鉱山が一万二千円までコスト削減をする、こう表明しております。それが実現をし、現状と同じ程度輸入炭の価格で推移をしたという場合でも百数十億の負担になろうかと思います。  それから、先ほどは特定財源の御議論がございましたけれども、現在の石炭対策をやっておりますのは原油等関税でございまして、これは石油業界に御負担をいただくということでございまして、いずれも最終的には国民の皆様に御負担をいただいている、こういう形になっております。それから、産炭地域振興対策等では自治省を通じた地方交付税、それから公共事業関係ではそれぞれの省庁で補助率のアップということで、そういう意味では一般会計の負担をしていただいているわけでございますし、最近は二鉱山の地元の自治体でも鉱山の支援措置をするということで、いろいろな御負担をいただいているというところでございます。  審議会では、この内外価格差につきまして、先生指摘のユーザーの御負担というのが今後継続できるのかどうか。これは、電力業界の方からいいますと、電力業界が石炭業界、一つの業界が一つの業界に負担をするというのはおかしい、こういう議論があることも事実でございます。ユーザーの負担、それから、国内鉱山の御議論がございました政策的な位置づけと関連をいたしますが、国の支援ができるか否か、それから二鉱山のさらなるコスト削減努力、それから地方自治体、こういう四者の中で審議会で御議論をいただくものかと存じます。
  54. 鰐淵俊之

    ○鰐淵委員 これで終わりますが、今部長のお話を聞きますと、まだちょっと異論があるのですが、私は、やはり知恵を出して、お互い、引き取る者と出す者とが対立するのじゃなくて、今言った社会的なあるいは国家的な見地から、国会等でも理解を求められてやっていくような知恵を出してこの政策が進められるように、ぜひひとつお願いをしたいということを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  55. 高木義明

    高木委員長 児玉健次君。
  56. 児玉健次

    ○児玉委員 日本共産党の児玉健次です。  池島炭鉱太平洋炭鉱が過去五年間に受け入れた海外技術者の総数、その中で、アジアの中国、インドネシア、フィリピン、ベトナム、これらの国の国別受け入れ数をまずお示しいただきたいと思います。
  57. 北畑隆生

    北畑説明員 御指摘太平洋炭鉱池島炭鉱、両鉱での海外技術者の受け入れ実績について御説明を申し上げます。  九年度の実績で申し上げますと、両鉱で合計二百十四名でございます。このうち太平洋炭鉱が百五十九名でございまして、国別の内訳で主なものを申し上げますと、中国から八十五名、インドネシアから十八名、ベトナムから八名、こういったところでございます。もう一つ池島炭鉱で申し上げますと、全体で五十五名でございまして、一番多いのがインドネシアからの二十七名、それからトルコから五名、中国とフィリピンがそれぞれ三名、こういう実績になっております。
  58. 児玉健次

    ○児玉委員 通産大臣にも今の数字はぜひ御着目いただきたいのですが、私が承知しているところでは、今のお話は昨年のケースですけれども、過去五年にさかのぼれば、二つ炭鉱で総計六百七名を受け入れていますね。そして、なぜそれだけ多くの方が真剣に日本石炭技術を学ぼうとなさっているか。この点で興味深く拝見したのが、通産省がおつくりになった、昨年十一月十九日の「石炭鉱業審議会企画小委員会これまでの審議内容について」、そこで日本石炭技術の世界的水準の特徴について三点述べています。  時間もありますから簡単に言いますけれども、一点は、「炭層は断層等で分断されているうえ軟弱であり、地質条件の変化に合わせた坑道展開を図る必要があり、機動性があり小型で小回りの利く高効率で多様な掘進機械が開発されている。」これは重要なことだと思うのです。二つ目は、一言で言えば「高度な選炭技術が採用されている。」三つ目は、日本の地層の特徴ですけれども、「天盤が軟弱、地圧が高い、ガスが多い、自然発火しやすい等、採掘条件が決して恵まれていないことから、厳しい保安・環境規制がなされており、世界有数の高度な保安技術が発達している。」私はこのとおりだと思うのですね。  調べてみると、このところ、特に中国とインドネシアからの技術者のこの二つ炭鉱での留学というか、技術の習得が急増していますね。一九九五年中国は二十八人、九六年八十一人、九七年八十六人です。インドネシアは、九五年が十二人、九六年三十二人、去年四十五人、一気にぐっとふえていますね。それは、恐らく、今中国ではもう坑内掘りが主力になっている、インドネシアでは近く露天から坑内掘りに主力が移っていく、そのことと深い関係があると思うのですが、この点、通産省いかがでしょう。
  59. 北畑隆生

    北畑説明員 中国、インドネシアにつきまして、研修生の受け入れば先生の御指摘のとおりでございます。  その背景につきましては、推測でございますけれども、二つの国では、国内に豊富な石炭資源を抱えておる、経済発展の中で、片方、石油につきましてはもう輸出をする能力がなくなってくる、輸入国に転じつつある、こういうことがございます。そういった意味で、国策として、石炭を開発し、国内エネルギー源として使っていこうという背景があろうかと思います。その過程で両国が特に我が国に注目をいたしましたのは、先ほど先生引用されましたけれども、我が国石炭鉱業が持つ優秀な採掘、とりわけ保安技術、こういったところに注目をしている結果ではないかと推察をいたします。
  60. 児玉健次

    ○児玉委員 企画小委員会の文章は、それに続いてこういうふうに述べている。恐らくこれは小委員会の内部で意見の対立はなかったと思うのですが、世界的な採炭技術の高速化、大型化の中で掘進のおくれとガス湧出が大きな課題、日本炭鉱技術は世界的に信頼されている、こういうふうに述べていますね。  現在の日本炭鉱技術が世界的に信頼されている理由は何か。日本炭鉱技術の水準維持にとって、たとえ、池島と太平洋炭鉱という二つ炭鉱、少数ではあっても現に石炭生産している炭鉱が存在している、このことと不可欠の関係があると思うのですが、いかがでしょう。
  61. 北畑隆生

    北畑説明員 日本石炭鉱業技術の水準が高いことに対する信頼というところでございますけれども、それを端的にあらわしておりますのは、保安の、事故の件数ではないかと思います。  百万トン当たりの死亡者数という数字が国際的に既定の統計がございます。日本の場合は百万トン当たり〇・一四九という数字でございます。これに対しまして、中国の場合は四・三七六、非常に高うございます。インドネシアはまだ露天掘りが少々ございますので事故はそう多くはないのですが、それでも〇・二四三という数字でございます。  両国とも、これから日本が主力であります坑内掘りが主力になる、その坑内掘りもこれから深さが深くなる、奥部に行く、こういう事情があるのではないかと思います。
  62. 児玉健次

    ○児玉委員 今の御答弁のとおりだと思うのです。中国でいえばもう坑内掘りが主体になっている、そしてインドネシアも露天から坑内に移る。そのとき、世界の炭鉱技術でどこをもって模範とすべきか。やはり日本が、近くにあるという条件はもちろんありますけれども、最も適当である。日本で炭を掘ることをやめたら、現在日本が持っている高い炭鉱技術は過去の知識になってしまって、生きた知識にはならない、ここのところが本問題を考えるときの一つのかなめだ、それを私は一つ強調しておきたいのですよ。  次は、石炭のことを考えるときに、いわゆるエネルギーの温室効果、その問題が論点になりますね。私は、ことしの七月の本委員会の欧州エネルギー事情調査に参加させていただいて、大変多くのことを学びました。  イギリスで、IEAコールリサーチのブローベント所長から私たちがいろいろ伺ったときに、クリーンテクノロジーという場合に一つのポイントは、高効率石炭燃焼技術を開発することだ。今は大体効率が平均三九%です。それを五〇%に接近させ、さらに突破していく、その点で、今世界では、具体的に石炭ガス化複合発電、この方向に進んでいるというお話を承って非常に意を強くしました。  昨年六月、この委員会で私は、今の石炭ガス化複合発電について質問をした。そのとき通産省は、この方式の優位性を非常にわかりやすく御説明いただいた。そして、先ほど言った現在の発電効率の平均三九・五%、これは一昨々年の数値ですが、二割以上アップする可能性がある、こういうふうに述べられた。二割ふえるということは、燃やす石炭が二割減るということです。そして、CO2の発生もその分減るということです。  そこで最近の動きですが、日本の電力各社が通産省支援も受けながらこの方式、すなわち石炭ガス化複合発電について実用化に向けて一歩踏み出した、こういうふうに承るのですが、その内容と、そしてどのような可能性を持っているか、いつごろまでにそれが具体化の運びになっていくか、この点、通産省の答弁を求めます。
  63. 稲川泰弘

    ○稲川政府委員 御指摘のございました石炭ガス化複合発電は、石炭と空気を高温で反応させましてまず可燃性のガスをつくり、このガスをもってコンバインドサイクル発電を行う技術でございます。  前回も御説明したかと思いますが、この複合発電は、石炭を利用する発電としては最高の熱効率を得られる技術でございまして、今我々の得ている情報では、微粉炭で通常得られる熱効率を四〇・五と置きますと四七・五%ぐらいまで上がる。また、炭酸ガス排出削減の観点から見ますと約二割が削減できるというのは、先生指摘のあったとおりでございまして、これまで、五十八年以来、パイロットプラントをつくり、フィージビリティースタディーをやり、またこれを運転し、要素研究について取り組んできたところでございます。  この技術につきましては、平成十一年度から、各電力会社共同での出資も行いまして、三十万キロワット級、日ごとの消費量で石炭二千トンベースというものの実証段階の研究開発に着手すべく、現在予算要求中でございます。この研究は、二〇〇七年に実証研究が終わって、さらに次のステージに移るというもくろみで現在やっておるところでございます。
  64. 児玉健次

    ○児玉委員 昨年六月の私の質問に対して通産省は研究開発途上とおっしゃったけれども、今長官の御答弁は、私は非常に重要だと思うのですね。大体もう年次に入り出して、そして二〇〇四年までに実証試験用の発電所建設し、今のお話のように二〇一〇年より何年か前に一歩踏み出す、ここに向けての通産省のさまざまな支援を強く要望したいと私は思うのです。  その上で、もう一つ温暖化との関連で言いますと、ことしの八月二十一日に札幌で北海道石炭研究会講演会というのがありまして、そしてそこで、日本エネルギー経済研究所の小川芳樹先生が、「供給段階を考慮した化石エネルギー源の温室効果の評価」という研究論文を発表なさいました。それを私読ませてもらったのですが、その中で小川氏はこういうふうに言っていらっしゃる。  化石燃料の地球温暖化に対する影響を考える場合に、消費の段階だけ見たらだめだ。消費というのは燃やす段階ですね。例えば、火力発電所石炭を入れて燃やす、そこだけ見たのでは全体の影響をつかむことができない、あくまで化石燃料の採掘から。例えば石炭に比べてはるかにクリーンだと言われる天然ガスなども、ガスを掘り出すときに大量のメタンガスを空中に放出しますからね。それで、メタンガスというのは、百年単位でいえばCO2の二十一倍の温室効果があるわけですから、そういう採掘の段階、輸送の段階、加工の段階、そしてプラント、そこから燃焼に至るまでをトータルでとらえないと、温室効果の正確なものは出てこない。  そして、小川先生はそれをこういう数値で言っていらっしゃる。  燃やすときだけに着目したら、真発熱量ベースですが、天然ガスを一〇〇とすれば、石炭が一八九、石油一三一、LPG一一二。天然ガスの一・九倍ですね。ところが、今言った、採掘から輸送、加工、燃焼までをトータルで見たらどうなるかというと、LNGを一〇〇とすれば、石炭一四〇、石油一〇四、LPG九六と、その差がぐっと縮小されるのですね。一・九倍から一・四倍に縮小される。  小川先生は、御自分の論文を要約された部分で、燃焼過程の炭酸ガス排出の大小を論拠にエネルギー選択の幅を大きく狭めることは拙速の議論である、こうおっしゃっていますね。この点について通産省のお考えを聞きたいと思います。
  65. 北畑隆生

    北畑説明員 エネルギー別のCO2排出量を、消費段階、供給段階だけではなくて、その最初の採掘から燃焼までのいわばライフサイクルアセスメント的手法、こういう観点から議論すべきだということは、先生指摘の小川先生以外にも、国際的にもそういう指摘があることは事実でございます。私の手元に持っている一つの試算でも、先生の数字とそう変わりませんが、八割増しぐらいのものが、ライフサイクルベースで計算をしますと五割増しぐらいのところまで縮小するという試算も私ども持っております。ただ、ここまで縮まりましても、天然ガス、LNGに比べて発生量が多いというところはまだ克服できないのだろうと思います。  こういった議論は大変有益な指摘だろうと思いますが、ただ、残念なことに、現時点では統計上の問題がございます。それから、国際的にこのことをどう評価するかということについてまだ枠組みが定まっておらないという問題がございまして、今後検討すべき課題であるかなと思っております。
  66. 児玉健次

    ○児玉委員 通産大臣に私、今部長の答えとも関連してぜひ御意見をお聞きしたいのですが、石炭火発のこの後の可能性というのは相当なものですよ。平均脱硫率が今九三・五%までいっています。それから、脱じん装置について言えばほぼ一〇〇%になっていますね。そこをもう一歩進める。それから先ほど石炭ガス化複合発電、これに代表される高効率の燃焼技術の研究開発。  そして、何より各エネルギー資源の賦存状況、換言すれば、あと何年それがもつのか。北海の天然ガスのことについてイギリスのエネルギー庁の責任者は、あと何年もつかと聞いたら、笑いながら、私が生きている間はもつだろうと言いましたね。拝見すると大体五十歳後半ぐらいの方でしたね。それに比べて、石炭の賦存状況が極めて豊富であるということは御存じのとおりです。  それで、私たちの特別委員会は、昨年十二月十一日、石炭政策の確立に関する件について決議をいたしまして、これはもう全会派一致です。今述べたようなさまざまな観点を踏まえて、政府は大所高所の観点から国内石炭鉱業を評価する、そういうふうに私たちは決議をしたのですが、この点について大臣の所見をお聞きしたいと思います。
  67. 与謝野馨

    与謝野国務大臣 経済性の面からだけ物事を論ずるということは、長期的に考えれば物事の判断を誤る可能性があります。石炭コスト自体は、先ほど質問の中にございましたけれども、海外炭の値段というのは、その時々の海外エネルギー需給あるいは為替レート、そういうものによって上下いたしますし、そういうものを固定的にとらえて物事を比較していくということは必ずしも正しいことではない。  しかし、経済性を無視して物事を決めるということも正しくないだろうということで、先ほど申し上げましたのは、石炭技術が、今先生が御指摘になられましたように、実は進展しているという側面があります。石炭の利用技術というものが進んでいるということもありますし、先ほど何人かの先生から御指摘があった地域社会との関係雇用政策との関係、こういうものもございます。  そういうことでございますから、二炭鉱存続の問題というのは、やはり総合的に物事を判断していくということが正しいのであって、一つの断面からのみ物事を判断するということは正しくないのだろう、私はそのように思っておりますし、先生が次々と御披露されました脱硫技術、あるいは石炭の熱効率を上げる燃焼方法等々もあわせまして、石炭の将来ということを考えていく必要がある。  それと同時にもう一つ重要なのは、石炭の埋蔵量と申しますか、世界の各国に賦存している量というのは石油に比べましてはるかに、確認埋蔵量だけでも大変大きなものでございまして、人類は多分石炭というエネルギー源を今後将来相当長きにわたって捨てることはできないだろうというふうに私は考えております。
  68. 児玉健次

    ○児玉委員 恐縮ですけれども、労働大臣に一言だけ伺わせていただきたいのですが、昨年閉山した三井三池、皆さんの大変な御努力がありました。関係自治体や関係者の御努力があった。にもかかわらず、解雇者千五百六十九名で、約二分の一が未就職ですね。今の雇用失業状況の深刻さは大臣が一番よく御存じです。そういう中で、新たな失業者を出さないために労働省として最大限の努力をしていただきたい、この点を要請して、ぜひお考えを伺って終わりたいと思います。
  69. 甘利明

    甘利国務大臣 雇用の安定は、社会の安定の重要な要素であります。我が省といたしましても、今の雇用失業情勢を大変深刻にとらえております。一刻も早く改善をしますように、省を挙げて、あるいは他省と連携をとりながら取り組んでまいります。
  70. 児玉健次

    ○児玉委員 ありがとうございました。
  71. 高木義明

    高木委員長 中西績介君。
  72. 中西績介

    ○中西(績)委員 昨年の三月閉山をいたしました三井三池炭鉱のその後の経過を一、二お聞きしたいと思います。  現状、大変な雇用情勢にあるわけでありますけれども、特に、新しいのを持ちませんが、六月の全国有効求人倍率〇・五一、さらに福岡で〇・四二。そして、これは七月になるのですけれども、大牟田の場合におきましては〇・三七、これはパートを除きますと〇・二七ということになっております。こういう状況の中で、先般お聞きしたところでは四五・六%の再就職確保したと言っておりますけれども、現状いかになっておるかをお聞かせいただきたいと思います。
  73. 長谷川真一

    ○長谷川説明員 三井三池炭鉱離職者対策の現状ということでございます。  三井三池炭鉱閉山によります離職された方々の再就職状況につきましては、平成十年九月一日現在で千四百九十九名の方々求職申し込みをされておりまして、そのうち七百十九名の方々が再就職をいたしました。就職率は四八・〇%ということでございます。  閉山から一年半たっております。この間さまざまな対策を講じてきておるわけでございますが、なお半分の方が未就職という状況でございまして、この方々が一日も早く再就職できるよう努力してまいりたいと考えておるところでございます。
  74. 中西績介

    ○中西(績)委員 さきの五月一日現在で四五・六%であったものが、今七百十九人ということになりますと四八%くらいになると思いますが、特に四十五歳から五十歳以上が大変厳しい条件の中に置かれておるということを考えるときに、これからなおこのことは続くであろうと考えます。  ということになりますと、この間、わずかであったけれども就業できたという、このことと、今やられておる、雇用のための職業訓練等を含めて、これらとのかかわりだとかいうものが少しでもわかればと思っておるのですけれども、こうした点についての分析等はなされておりますか。
  75. 長谷川真一

    ○長谷川説明員 先生指摘のとおり、現在未就職でおられる方は、四十五歳以上、また五十歳代前半の方が大変多いという現状にございます。  職業訓練につきましては、現在までも、離職者に適合した訓練、訓練コースをつくるといった対策を講じてきてございますが、先ほど大臣から御答弁申し上げましたように、一人一人の未就職者の御希望あるいは現状といったものをアンケート等をとりまして把握いたしまして、そういった方に対応した就職機会、求人開拓でありますとか、あるいはそういった方に応じた訓練コースを考えるといったようなことを今後とも考えていきたいというふうに思います。
  76. 中西績介

    ○中西(績)委員 私、こういう雇用情勢にあるときに、失業者を排出する企業責任というものは大変なものがあろうと思っているのですね。特に、この石炭というものは相当の国からの助成金によって賄われておったという条件の中で、この三井の場合におきましては、こうした失業者に対する関心の度合いというのが余りにも低いのじゃないかという気がしてならぬわけです。就業者の数からいたしましても、三井関係の受け皿というのは一〇%をわずかに超えた程度にしかなっていない。ここら辺を含みまして、やはりこれから後の労働行政として、失業者を出す企業に対するこれからの強い指導というものは当然なされなくちゃならぬと思うのです。この点は回答は要りませんから、ぜひ今後強めていただくように要請をしておきたいと思います。  次に、六月の石炭対策特別委員会におきまして、その質疑の際に私の方から問題提起をいたしておりました産炭地域振興策でございます。  前の石炭部長は、所要の成果をおさめつつあるが、地域格差もあるので細かく見ていく必要があるとして、法期限失効まで数カ月となったもので、石炭鉱業審議会ともども産炭地域振興審も審議を開始するということを言われておりましたけれども、具体的にはどうなるのですか。
  77. 北畑隆生

    北畑説明員 産炭地域振興審議会審議状況についてお答え申し上げます。  本年の六月に、通産大臣から産炭地域振興審議会に対しまして、産炭地域振興対策の円滑な完了に向けての進め方について諮問がなされたところでございます。これを受けまして、六月十七日、八月二十八日に産炭地域振興審議会総会が開催されまして、産炭地域の現状、産炭地域振興対策の成果とその評価、今後の審議進め方について御議論いただいたところでございまして、この点は、前部長がお答えをした視点から議論をしていただきました。  また、同審議会では、委員の皆様に産炭地域の現状をつぶさに見ていただくということで、現地視察のスケジュールを組んでおりまして、昨日から明日にかけて北海道、十月七日から九日につきまして九州の現地視察をしていただくことにしております。北海道につきましては、稼行鉱山の一つであります太平洋炭鉱のある釧路、それから、既に閉山をいたしましたけれども、空知地区の産炭地域各市町村を御視察いただくことにしております。  また、九州につきましては、もう一つの稼行鉱山であります池島炭鉱のあります長崎県の外海町とその隣接の市町村、それから、平成九年に閉山をいたしました三井三池のありました福岡県の大牟田市と熊本県の荒尾市、それから、現在鉱害対策を集中的にやっております筑豊地区の各市町村、このあたりを、今後の審議に資する形での現地視察をしていただきたいと思っております。  今後の予定でございますけれども、来年の夏ごろに答申をまとめていただくということで審議予定をしておりまして、総会を今後数回、必要に応じ回数をふやしてまいりまして審議を行っていただくつもりでございます。
  78. 中西績介

    ○中西(績)委員 日程はわかりましたけれども、この産炭地域振興審議会の皆さん、三十数名の人員で構成をされておるようでありますけれども、審議をするに当たって、先ほど評価等がされたということを言われておりましたので私はお聞きするわけでありますけれども、私が前回も指摘をいたしましたように、私、筑豊なものですから、筑豊における状況等を見ましても、三圏域に分けま してやっておりますが、いまだにアクセス道路そのものが完成されずに、まだ十年から二十年かかるだろうと言われているのですね。  ところが、この法律は、一応平成十三年末にはということになっておるわけでありますから、その間には、アクセスも十分なされていない、こういう条件の中で、では産炭地域をどう振興していくのか、こうした問題をどのように評価し、そして総括をしていったかというのが大変問題だろうと私は思っています。このことなしに、皆さんがいろいろなところを見て回って、表面だけ見てやられたのではかなわぬと私は思います。  これ、なぜ私が申し上げるかというと、例えば、産炭地域などの研究会あたりでいろいろ出されている資料などを見ますと、舗装率がどれだけあるとか、あるいは上下水道がどうなっておったとか、こういう資料を見て論議していくわけですから。  ところが、産炭地のあれを見ていただくとわかるように、上水道一つとってみても、どうなっておるかといったら、ほとんど炭鉱から、だから今から三、四十年前にもう既に設置されておった水道を引き継いでいるわけです。そうすると、鉄管でやっているわけですから中は全部腐食をしてしまって、漏水の率というのは物すごいでしょう。だから、今度これを新たにしなくちゃならぬ、こういう条件というのは全然見ないわけですよ。それに対する財政的な措置だとかいろいろなものがたくさんあるわけですね。ですから、単なる資料をうのみにしてやられる、そのことによってどうだこうだということにはなりにくいと思うのです。  なぜ私はそのことを申し上げるかといいますと、今私の住んでおるこの筑豊、特に田川等におきましては、失業率は一〇%を超えていますね。それから、有効求人倍率は八月で〇・二五なんです。ちょうど炭鉱閉山をした直後の一番惨たんたるときと全く同じ条件の中に置かれておるというこの実態の中で、どのように産炭地振興を果たしていくかという問題を論議していかなければならぬ。しかも、地方財政というのは物すごく今逼迫してきたわけですね。これは、私が今ここで申し上げる時間はございませんので指摘はいたしませんけれども。  ところが、さきの委員会でも指摘をいたしましたように、内陸部にある、これは北海道もそうなんですけれども、そうした旧産炭地域の問題というものを考えるときに、例えば、福岡二つの自動車産業、しかも、両方合わせると目標にしておるのは八十万台と言われるのですから、一つの県ですると最高に近い状況に置かれている。ところが、筑豊にあるトヨタなんかの実情を見た場合にどうなっているかといったら、そこに住んでおる従業員の数というのは百二、三十人しかいないのです、その町に住んでいるのは。それから、その町で採用しておる人たち、二十人しかいないのですよ、千九百人近くいる従業員の中で。  そういうことを考えていくと、では今度は工場誘致、工場団地をつくりまして工場誘致をするということが産炭地振興の中心的な課題になっていますけれども、今言うようにそこには住んでいないし、ほとんどが三号線、海岸に住んでいるわけですね。では、中小企業の部品の企業はどれだけおるかというと、宮田にはわずか三社ぐらいしかいないんじゃないでしょうか。いても五社ぐらいですよ。あとは全部縦貫道沿線に配置されていますよ。佐賀県までずっと延びていますからね。  こういう状況であるなら、では、産炭地振興というのは何なのか、こういうところあたりを本当に総括したかどうかという、このことなしには、私は今度の審議会を開くに当たっての論議は大変な空論になってしまうのじゃないかという気がしてなりません。  それで、地方の人たちのいろいろな状況を聞いたある研究会の委員の皆さんの御意見を聞いてみますと、大変だ、大変だということだけは言っています、ところが、そういう実態が自分たちに十分認識できるようなものを与えていただけなかったということを非常に不満に思っているということを私に言われたのですね。  ですから、こういうことを考え合わせてまいりますと、今これからやろうとしておるこれらの問題については、ぜひそうした問題を抜け目なく総括をしていただいて、やはり基本的な方針というものを一つ持っていて、先ほどから審議会の問題を云々しておりましたけれども、そこいらをやっていかないと、十分な目的なり、あるいは何のための審議会であったかということになってしまうだろう、こう思いますので、これらについて、もし、皆さんの方で総括がされたかということと、方針が果たしてあるのか、そしてこれからの決意等があればお聞かせをいただければと思っています。
  79. 北畑隆生

    北畑説明員 産炭地域振興についてのお尋ねでございますけれども、先日開催いたしました産炭地域振興審議会の総会で、まさに先生指摘のような意見が出たわけでございます。  産炭地全体の統計的な数字で幾ら改善をしたかとか、あるいは産炭地以外の過疎地域も同じように苦労しているのだけれども過疎地域と比べて産炭地域がどうかとか、こういう議論が片方であったわけでございますけれども、そういう統計的な数字ではなくて、個別具体的な議論をすべきだという大変強い御指摘もございました。今後、そういう御意見を踏まえながら、また先生の御指摘も踏まえまして、来年の夏まで、具体的な審議審議会お願いしたいと思っております。  それから、産炭地域審議会には地方自治体の代表も入っておるわけでございますけれども、市町村の単位で地域振興考えるということにはやはり限界があって、広域で考えるべきだという御意見が出ました。それは、必ずしも雇用地元で発生しないという面もございますけれども、逆に、隣に大きな市町村があれば、その関係産炭地域が助かるということもありまして、広域的な視点も持って議論すべきだ、こういう御意見がございました。  それから、通産省がやっておるさまざまな助成に加えて、道路とかといったインフラの整備、これが重要であって、そのインフラも広域、長期に考えなければいけない、こういう意見も出ておりました。  私どもの産炭地域振興対策は、確かに十三年度末を期限ということで、全力を傾注しておるわけでありますけれども、関係省庁あるいは通産省のほかの一般の施策は引き続きあるわけでございまして、そういった関係省庁、他の施策とも連携を図りながら、産炭地域振興施策について議論を深めていただきたい、このように考えております。
  80. 中西績介

    ○中西(績)委員 ですから、法律とのかかわりだけで期限を切って論議をしていくということのあり方が、これから後、本当に今まで注いできた通産の産炭地域に対する情熱、そういうものを、むしろ最後になって、いい結果でなしに批判をされる結果になるような結末を生まないようにぜひしてほしいというのが私の願いです。  したがって、これらについてはまた後日討論をさせていただきますが、最後に、平成十三年終息をめどにいたしまして、鉱害事業団とNEDOが統合されました。  この目的は、行政改革の中で、この鉱害事業の活性化を目指すと同時に、鉱害事業団職員の身分の安定化を図る、こういうことを目標にしてやられたと思うのでありますけれども、私たち、ちょうど当時特殊法人を与党協議の中で担当しておったということもございまして、統合時において、確認したことと異なるようなことをさきのNEDO理事長が発言をいたしました。  こうした問題をめぐって、私の方から問題指摘をしておりましたけれども、これに対応する措置と現状がどうなっておるのか。  特に、私、もう時間が限られましたので、要請を含めて申し上げますけれども、そうした協議の中におきましても、労働組合への対応は十分されるようになっておるのですけれども、これらについてどうなっておるのかをお答えいただきたいと思います。
  81. 北畑隆生

    北畑説明員 御指摘の点でございますが、NEDOの鉱害本部職員の雇用の問題だと思います。  この点につきましては、私ども、NEDOの理事長を初めとする幹部、それからNEDOの職員組合、この人たちと十分な情報交換をしておりまして、雇用の安定につきまして万全の対策を講じていくということで努力をしているところでございます。
  82. 中西績介

    ○中西(績)委員 終わります。
  83. 高木義明

    高木委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時九分散会