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1998-09-25 第143回国会 衆議院 商工委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十年九月二十五日(金曜日)     午前九時四分開議 出席委員   委員長 古賀 正浩君    理事 伊藤 達也君 理事 小此木八郎君    理事 小野 晋也君 理事 岸田 文雄君    理事 大畠 章宏君 理事 松本  龍君    理事 太田 昭宏君 理事 西川太一郎君       江渡 聡徳君    遠藤 武彦君       小野寺五典君    岡部 英男君       奥田 幹生君    木村 隆秀君       河本 三郎君    新藤 義孝君       滝   実君    竹本 直一君       武部  勤君    野田  実君       林  義郎君    原田 義昭君       牧野 隆守君    村田敬次郎君       茂木 敏充君    矢上 雅義君       山本 幸三君    奥田  建君       近藤 昭一君    島   聡君       古川 元久君    吉田  治君       富田 茂之君    並木 正芳君       宮地 正介君    青山  丘君       江崎 鐵磨君    小池百合子君       大森  猛君    吉井 英勝君       横光 克彦君    河村たかし君  出席国務大臣         通商産業大臣  与謝野 馨君  出席政府委員         防衛庁参事官  伊藤 康成君         外務省経済協力         局長      大島 賢三君         通商産業省貿易         局長      佐野 忠克君         通商産業省機械         情報産業局長  広瀬 勝貞君  委員外出席者         防衛庁装備局艦         船武器課長   山内 正和君         外務大臣官房審         議官      田中 信明君         外務大臣官房審         議官      須田 明夫君         外務大臣官房審         議官      赤阪 清隆君         外務大臣官房外         務参事官    小松 一郎君         商工委員会専門         員       野田浩一郎君     ――――――――――――― 委員の異動 九月二十五日  辞任         補欠選任   奥田 幹生君     小野寺五典君   河本 三郎君     江渡 聡徳君   中山 太郎君     矢上 雅義君   牧野 隆守君     原田 義昭君   山口 泰明君     滝   実君   川内 博史君     近藤 昭一君   島津 尚純君     吉田  治君   渡辺  周君     古川 元久君   坂口  力君     富田 茂之君   中野  清君     並木 正芳君   小池百合子君     江崎 鐵磨君 同日  辞任         補欠選任   江渡 聡徳君     河本 三郎君   小野寺五典君     奥田 幹生君   滝   実君     山口 泰明君   原田 義昭君     牧野 隆守君   矢上 雅義君     中山 太郎君   近藤 昭一君     川内 博史君   古川 元久君     渡辺  周君   吉田  治君     島津 尚純君   富田 茂之君     坂口  力君   並木 正芳君     中野  清君   江崎 鐵磨君     小池百合子君     ――――――――――――― 九月二十四日  対人地雷製造禁止及び所持規制等に関す  る法律案内閣提出第四号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  対人地雷製造禁止及び所持規制等に関す  る法律案内閣提出第四号)      ――――◇―――――
  2. 古賀正浩

    古賀委員長 これより会議を開きます。  内閣提出対人地雷製造禁止及び所持規制等に関する法律案を議題といたします。  これより趣旨説明を聴取いたします。与謝野通商産業大臣。     ―――――――――――――  対人地雷製造禁止及び所持規制等に関す   る法律案     〔本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――
  3. 与謝野馨

    与謝野国務大臣 対人地雷製造禁止及び所持規制等に関する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  紛争地域に無差別に敷設された対人地雷紛争終結後も一般市民に重大な被害を与えるとともに、その地域の復興、開発障害となっている中、対人地雷全面的禁止に関する国際的な認識の高まりにより、平成九年九月に、対人地雷使用貯蔵生産及び移譲の禁止並びに廃棄に関する条約が採択されたところであります。我が国といたしましても、世界的な枠組みで対人地雷による被害をなくしていくことが国際的責務であることから、平成九年十二月にこの条約への署名を済ませております。  この条約につきましては、御承認をいただくために今国会提出されているところでありますが、我が国としては、この条約適確実施を確保するために、対人地雷製造禁止するとともに、対人地雷所持を規制する等の国内法整備を行う必要があります。  このような要請に対応するため、今般、本法律案提出した次第であります。  次に、本法律案要旨を御説明申し上げます。  第一に、対人地雷製造禁止することとしております。  第二に、条約で認められた目的のために所持する場合を除き、対人地雷所持禁止し、対人地雷所持しようとする者に通商産業大臣許可を受ける義務を課すとともに、対人地雷廃棄または引き渡しをする者に必要事項の届け出をする義務を課すこととしております。  第三に、所持許可を受けた者等国際連合事務総長が指定する者が行う検査の受け入れを義務づけることとしております。  第四に、報告徴収立入検査罰則等について所要の規定を設けることとしております。  以上が、この法律案提案理由及びその要旨であります。  何とぞ、慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  4. 古賀正浩

    古賀委員長 これにて趣旨説明は終わりました。     ―――――――――――――
  5. 古賀正浩

    古賀委員長 これより質疑に入ります。質疑の申し出がありますので、順次これを許し ます。奥田建君。
  6. 奥田建

    奥田(建)委員 民主党の奥田建でございます。一月前に補欠選挙で議席をいただきましたばかりですので、つたない質問等あるかもしれませんけれども、どうぞよろしくお願いいたします。  また、商工委員としてお仲間に入れていただきまして、与謝野大臣委員長を初めとしまして商工委員の皆様、どうぞよろしくおつき合いのほどお願いいたします。  それではまず最初に、ようやく法案が提示されておりますけれども、昨年の十二月、オタワ条約でのそのときの小渕外務大臣署名から現在まで、これが長いか短いかは各人の判断によりますでしょうけれども、党派を超えた議員連盟オタワ条約批准要望等のある中にもかかわらず、今日までこの法案提出が延びましたその経緯、あるいは理由といったものを述べていただきたいとお願いする次第です。
  7. 須田明夫

    須田説明員 お答え申し上げます。  このオタワ条約は昨年の十二月に署名いたしましたが、それ以来、この条約を締結するために、条約の詳細の検討はもちろんのことでございますが、我が国安全保障の確保のための手当てといったことですとか、また条約実施国内法整備、これらについて十分に検討を行う必要がございました。  さらに、この条約解釈そのものでございますけれども、多数国間条約ということで、主要国、特にNATO諸国等がこれに対してどういう解釈をとっているかということも参考にする必要がございまして、NATO諸国とも意見交換をするということもしてまいりました。  さらに、特に我が国にとりまして日米安保体制の運用にどういうふうに影響があり得るかということから、アメリカとも協議を重ねて慎重に検討してきたために、本日国会で御審議をお願いするということになったわけでございます。
  8. 奥田建

    奥田(建)委員 ただいま、安保あるいは条文解釈NATO考え方といったものが答弁に出てきましたけれども安保に絡みまして、在日米軍所持する地雷に関してですけれども、ヒアリングの中で、輸送協力、そういったものはできないという方向性を聞いておりますけれども米軍からの輸送費用負担要求、あるいは日米韓合同演習といった中での地雷の取り扱いに関する考え方といったものを聞かせていただきたいと思う次第です。
  9. 須田明夫

    須田説明員 在日米軍地雷扱いが非常に重要な点として、我々検討してまいりました。  在日米軍が有する地雷扱いにつきまして、貯蔵ですとか保有その他につきまして、この条約上は、我が国締約国としての義務は、自国の管轄または管理の及ぶ範囲内で条約禁止されている活動を防止し及び抑止するといった措置をとることを求めているということでございますので、在日米軍については、条約上はこれらを抑止、防止する義務は負わないということでございます。このことから、我が国といたしましては、在日米軍による対人地雷貯蔵保有等は、これは引き続き可能であるというふうに考えております。  他方条約上の義務とは離れまして、我が国自身国防土地雷使用することをやめるということから、我が国の政策的な判断といたしまして、在日米軍につきましても我が国の領域内で地雷使用開発生産をすることはやめていただくということで、米側と話をいたしました。  また、先生質問の、共同訓練共同行動関係でございましたか。
  10. 奥田建

    奥田(建)委員 輸送費用負担合同訓練に関して。
  11. 須田明夫

    須田説明員 この条約上、輸送条約上の保有に当たるということで、輸送締約国である我が国自身が行うことはできません。それからさらに、民間人でありましても、在日米軍地雷輸送するということは、条約上それを禁止しなければならないということになっておりますので、これもできません。   ・  他方、そういうこととの関係で、輸送のために我が国が直接的な資金的な協力ですとか、在日米軍協力をするということはできないというふうに考えております。
  12. 奥田建

    奥田(建)委員 続きまして、法案地雷に関する定義といった中で、きょういただいた資料には少し書いてありますけれども対人地雷は当然のこととしまして、混合地雷でありますとかブービートラップ、あるいはちょっと私も詳しくどんなものだか知らないのですけれども水際地雷といった種類の地雷に関して、適用されるもの、適用されないものといったことについて答えていただければと思います。
  13. 広瀬勝貞

    広瀬(勝)政府委員 お答え申し上げます。  法律の第二条で、条約を受けまして対人地雷定義をしておりまして、「「対人地雷」とは、人の存在接近又は接触によって爆発するように設計された地雷をいう。」ということでございます。したがいまして、今御指摘のございました、対戦車地雷と結合させて接触によって爆発するようになっております混合地雷といったようなものは、この接触または接近によって爆発するということに該当しますので、対人地雷に当たるというふうに考えております。  相手を認識してこちらからの指令によって爆発するといったような地雷ができるとしますと、それは、人の存在接近または接触によって無差別に爆発するわけではございませんので、この対人地雷にはならないというふうに考えております。
  14. 奥田建

    奥田(建)委員 続きまして、現在自衛隊所持しております地雷廃棄についての質問ですけれども、現在、大まかに百万発を所有しているというふうに聞いておりますけれども、その処理計画方法についてお答えいただきたい。
  15. 伊藤康成

    伊藤(康)政府委員 防衛庁では、仰せのとおり約百万個の地雷保有しております。  条約では発効後四年以内に廃棄をするということが定められておるわけでございますので、私どもとしましても、これまでもいろいろ廃棄方法等検討を進めてまいりました。基本的には、業者にお願いをいたしまして、廃棄と申しますよりも分解して、信管はもちろんでございますが、炸薬等分解する、そして地雷としての機能をなくすというふうに考えておるわけでございますが、当面、十一年度の概算要求におきまして約四億円のお金をお願いしているところでございます。  この四億円で全部できるわけではございませんで、これからさらに十二年度、十三年度と予算をお願いしていき、条約に定められた四年以内に廃棄を完了したいというふうに思っている次第でございます。
  16. 奥田建

    奥田(建)委員 四年間での全面廃棄分解というお答えですけれども、その予算に、全面廃棄まで二十億というお話を概略聞いておりますけれども、もう少し経済的な処理方法と申しますか、分解がなぜ必要なのか。一般の人のちょっと乱暴な考え方ですと、大きな穴を掘って、そこでダイナマイト処理でもして、コンクリートでも流し込んで、それで処理したと言えないのだろうかといった考え方もあるかと思うのですけれども、なぜ分解という方法にこだわらなければいけないかということをお答えいただきたいと思います。
  17. 伊藤康成

    伊藤(康)政府委員 地雷を処分、廃棄するというやり方は確かにいろいろあるのだろうと思います。一番簡単に考えられますのは、訓練場等で爆破してしまえばいいのではないかということがないわけではないと思います。ただ、現実問題といたしましては、そのような多量の地雷を爆破させますような演習場等も私ども持っておりませんし、当然のことながら、またそこでは演習場外に飛散する、破片が飛ぶというような問題等も生ずるわけでございます。  そういうことで、最も安全かつ確実に処分できる方法といたしまして、先ほど申しましたような方法を選んでおるということでございます。
  18. 奥田建

    奥田(建)委員 いろいろな解体方法はあると思いますし、あるいは海外での処理方法というものもありますので、またいろいろな方法検討していただきたいとお願いする次第でございます。  また、これは党の部会での意見でございますけれども、今、防衛庁調本の問題、毎日報じられておりますけれども廃棄契約について、ぜひとも随意契約というものを避けて、入札型とかいった形での競争原理を働かせていただきたいという要望がございます。  次に、地雷全面禁止という中で、防衛庁の方では代替手段といったものが検討されていると聞いておりますけれども、私の防衛庁の方からいただいた資料では、イラストが入っておりまして、指向性散弾あるいはその他の代替手段研究するというふうに書かれておりました。ちょっとイラストだけ見ますと、指向性地雷を少し改良したものにしか私の素人の目では見えない。アメリカでいえばクレイモア地雷というのですか、そういったものに、導火線といいますか、一つの長いケーブル式の引き金がついておるというものに見えるのですけれども、こちらの方にも研究開発費として六億の概算予算要求というものが要求されておると聞いております。  この研究開発状況というものを、秘密の部分もあるでしょうけれども、ここで明らかにできる部分だけでも答弁していただければとお願いする次第です。
  19. 伊藤康成

    伊藤(康)政府委員 地雷というものは、これまで私ども国土防衛という観点では非常に重要な兵器として位置づけておったわけでございますが、今般、こういう条約あるいはまた今御審議いただいております法律ということで、これから地雷は使えない。そうなりますと、我が国防衛上どうしていくかという問題は当然生ずるわけでございまして、先生今御指摘のように代替手段というものの研究をしておるところでございます。  先生指摘散弾というのは、実は代替手段一つではございますが、私どもがこれからやろうとしておるものとはちょっと違うわけでございます。今六億円の概算要求をしておりまして、これで開発しようとしておりますのは、センサーと申しますか、要するに目でございますが、それから爆薬、そういったものを組み合わせまして、要するに無差別市民に危害を与えるというようなおそれのない装置というものを開発したいということでございます。  これにつきましては、実は平成九年度の補正予算に若干のお金をいただきまして、以来いろいろ検討を続けておりまして、今回十一年度の概算要求でお願いしておりますのは、まさに、参考品購入と私ども申しておりますが、実体の装備品を組み立ててみまして実際に使えるかどうかというような検討を、これから二年間にわたってやっていきたいというふうに思っている次第でございます。  なお、これが完成するまでに若干の時間がかかりますので、その間は、今現在ございますまさに指向性地雷というものを、地雷部分を外しまして人間の操作だけでできるようにして、指向性散弾ということで、いわば代替措置ができるまでの間、この指向性散弾を少し調達して万が一に備えよう、こういうことでございます。
  20. 奥田建

    奥田(建)委員 続きましては、海外援助と申しますか、国際貢献の分野についての質問でございます。  外務省概算要求の方では、一応、小渕総理のお言葉では五年間で百億という数字、そして次年度には、除去に八億、被災者支援に十二億というものが新聞報道で報じられておりましたけれども、この数字内容について、使用方法といいますか、この予算の渡し方というものについて、内容が決まっておりましたら教えていただきたいと思います。
  21. 赤阪清隆

    赤阪説明員 お答え申し上げます。  ただいま、対人地雷についての国際協力の面での我が国の実績、今後の計画等について御質問がございました。これまで、我が国としましては、国際的な取り組みにおきます協力ということで、国連等国際機関等に対して約三千万ドルに上る資金を拠出しております。また、犠牲者支援につきましては累計約一億円の支援を、草の根無償及びNGO事業補助金により行ってきたところでございます。  ただいま先生指摘平成十一年度予算要求におきます外務省予算要求内容でございますが、御指摘のとおり、平成十一年度予算要求におきましては、対人地雷対策無償二十億円を新規に要求させていただいております。そのうち十二億円は、地雷犠牲者支援といたしまして、犠牲者に対する支援を積極的に進めるべく、無償資金協力により、地雷犠牲者を収容可能な病院、診療所リハビリセンター等の施設の整備及び機材供与を行うというものでございます。また、八億円を要求させていただいております地雷除去活動支援でございますが、こちらの方は、地雷除去探知関連機材及び周辺機材供与を行うことによって対人地雷除去活動自体に対する支援を行いたいと考えているものでございます。
  22. 奥田建

    奥田(建)委員 あと、技術的な支援の中で、地雷探知技術というものが各国にございます。日本の方もそういった技術は進んでおると聞いておりますけれども、カナダやフランスの装備なんかも大変すぐれたものがあると聞いておりますけれども日本のこういった地雷除去あるいは地雷探知技術というものを国際協力の中で使おうと思うときに障害があるのかどうか。また、そういった探知技術各国に対して提供する、そういったことを考えているのかということについて御答弁願えればと思います。
  23. 赤阪清隆

    赤阪説明員 ただいまの御質問技術の面におきます我が国協力見通しでございますが、この地雷除去に対する現時点での技術支援といいますのは、我々が承知しておりますところでは、手作業による除去が最も確実であるとされております。除去機械化を今後被埋設国がどの程度導入していくかにつきましては、まだ十分見通しが立っておりません。  と申しますのも、地雷除去作業状況埋設地状況は、それぞれ各国によって異なっております。それゆえに、ニーズもさまざまであり得ると思っております。ですから、今御質問我が国技術がいかに協力し得るかという面につきましては、具体的なケース・バイ・ケースで考えていかなくてはならないものと思っております。
  24. 奥田建

    奥田(建)委員 ようやく通産省管轄の方の条文の方の質問になりますけれども法律案の方の第十三条の「承継」という中におきまして「許可所持者について相続又は合併があったときは」という文面がございます。私の頭の中では、こういった地雷所持許可というものが相続されるというケースがちょっと思い当たらないのですけれども、この相続という言葉解釈とか、あるいはこういった場合に相続に当てはまるということを御説明願えればと思う次第です。
  25. 広瀬勝貞

    広瀬(勝)政府委員 法案の十三条で「相続」と確かにあるわけでございますけれども、これは、この法律に基づきまして所持許可を受けた個人が死亡した際の相続というのを考えております。  御指摘のように、なぜこういうのを書いているかということでございますけれども個人が死亡したときに、一時的に所持者が不存在ということになるわけでございます。許可を受けた所持者が死亡するというようなことになったときに、不存在ということになってしまうものですから、そうすると、その後の法律上の手当てがなかなかしにくくなるということで、こういう規定を設けているわけでございます。  一般に、許可制度を定める法令におきましては、こういった個人の死亡を前提とした相続という規定があるわけでございます。仮に、そうやって自動的に相続するわけでございますけれども相続人欠格条項に該当するような場合には、一たん相続した後、法九条によって許可が取り消されるというようなことが起こるわけでございまして、法律上の空白をなくすために相続という規定を置いているわけでございます。
  26. 奥田建

    奥田(建)委員 法律上の空白を埋めるためということで、自衛隊あるいは自衛隊関連といいますか、関係業者の方々に対する条文であって、あく まで個人に対するものではないと解釈してよろしいでしょうか。
  27. 広瀬勝貞

    広瀬(勝)政府委員 法人等につきましては合併等規定がございますけれども、これは、相続個人を想定をしております。例えば、廃棄のための技術開発といったようなことを個人が行う、そのために所持許可を受けているといったようなことがあり得るわけでございますから、そういう場合を想定しているわけでございます。
  28. 奥田建

    奥田(建)委員 また条文についての解釈に対しての質問でございますけれども、十七条、十八条の方で、「報告徴収」そして「立入検査」といって、通産大臣立入検査あるいは報告をさせることができるという条文でございますけれども、その中に「法律施行に必要な限度において」と、施行に必要な限度においてという言葉が、感覚的なものでございますけれども、何か無理やりねじ込まれておるような感じがしますのですけれども、必要な限度、あるいは必要以上の限度というものはどういうものか、少しお答えいただければと思います。
  29. 広瀬勝貞

    広瀬(勝)政府委員 恐れ入ります、これも大変技術的なことになりますけれども報告徴収とかあるいは立入検査に際しましては、私人の営業の自由等の権利を侵害しないようにしなければいけないということでございまして、法の執行に必要な限度というのはそういう意味でございます。したがいまして、例えば必要もないのに何回も報告徴収を求めたり、あるいは必要もないのに法とは関係のない場所に立入検査をするといったようなことは、この「必要な限度」という規定によって、国に対しては禁止をされているというふうに考えているわけでございます。
  30. 奥田建

    奥田(建)委員 質問の方は最後になりますけれども、第十九条、「自衛隊についての特例」といった文面がございます。法文でははっきりと書かれておりますのですけれども、この自衛隊についての特例といったものをわかりやすい言葉でちょっと説明していただきたいと思います。
  31. 広瀬勝貞

    広瀬(勝)政府委員 十九条でございますけれども自衛隊につきましては、条約義務を直接負う国の機関でございます。したがいまして、法律施行されますと、施行日以降は、対人地雷というのは、条約で認められている探知とか除去とかあるいは廃棄のための技術開発あるいは訓練、あるいは廃棄そのもののために所持しているということしか認められなくなるわけでございます。  それは条約から直接そういう義務が国の機関たる自衛隊には課せられるわけでございますけれども、そういう場合に、この廃棄とかなんとかで所持をしている場合に、その目的に沿う限りで自衛隊が持っていることはできるわけでございますけれども、その持っている場合に改めてこの一般的な所持許可を受ける必要はなくて、その場合には所持許可を受けたものとみなしますよというのが十九条の一項の規定でございます。  法案におきましては、通産大臣は、国連へ説明するために、対人地雷を取り扱う者等に対しまして報告を求めることができることになっているわけでございますけれども、この規定も、例えば自衛隊条約で認められた目的のために所持する対人地雷に関しましては、防衛庁状況を把握しているはずですし、あるいは把握していない場合でも、庁内で調査をすればいいわけでございますので、自衛隊には適用しないというのが十九条の二項の規定でございます。  それから、条約の定めによって国連が指定する者が、対人地雷を取り扱う施設に立入検査等を行うことができることになっておりまして、その場合には外務大臣とか通産大臣の指定する者が立ち会うということになっているわけでございますけれども、これも自衛隊に関して言えば、自衛隊の施設を管理している防衛庁長官の指定する者が入るのが適当であろうということで、ここのところは通産大臣ではなくて防衛庁長官というふうに読みかえているというのが十九条の三項の規定でございます。  そういった意味で、条約の的確な実施のために必要な限度で、しかし日本防衛庁というところがあるものですから、そこの、防衛庁の管理下にある自衛隊についての特例を置いたというのがこの規定でございます。
  32. 奥田建

    奥田(建)委員 質問の方は終わりますけれども、民主党といたしましても、この条約の方は、党派を超えた議員連盟の中あるいは一つの平和条約といった中での賛成の意見にまとまっております。こういった平和条約あるいはほかの経済対策におきましても、与野党を問わず迅速な対応もできるのだということをぜひとも多くの国民の皆様の前に示すことができますように、関係省庁並びに大臣の努力をお願いしたいと思う次第でございます。  それと、ちょっと話が変わって怒られるかもしれませんけれども、前回の中小企業信用保険法の法案もまだ施行はされておりませんけれども、こういった中で、では今貸し渋り対策とかが緩和されたかというと、まだそういった気配はないんだ。中小企業の定義の枠を少し大きくしてほしいという意見や、返済期限を少し延ばしてくれるだけでも助かるんだといった話なんかも耳にいたします。中小企業のみならず、中堅あるいは大企業の範囲に入る企業への支援策といったものも、ぜひともこの商工委員会で引き続き検討されることをお願いして、質問を終わらせていただきます。  どうもありがとうございました。
  33. 古賀正浩

    古賀委員長 太田昭宏君。
  34. 太田昭宏

    ○太田(昭)委員 新党平和の太田でございます。  まず、条約批准、国内法整備のおくれについて質問をしたいと思います。  対人地雷は、被害者の半数が死ぬという被害の残虐性、また被害の無差別性、さらに、今も毎日七十人、一年で二万五千人が被害に遭うという被害の永続性からいっても極めて問題点の多いもので、私は禁止は当然であろうというふうに思います。  しかし、まず初めに、私は釈然としない気持ちでこの場に立っているのですが、対人地雷禁止は、人道上の観点は当然ながら、日本の平和軍縮のメッセージを世界に送る、特に戦後、対人地雷日本使用もしていないし輸出もしていないわけですから、そうしたリーダーシップをとる立場にあるという、私はこれは非常に日本の外交にとって大事なことであろうと思います。  しかし、なぜこのような大事な法案が昨日の持ち回り閣議というようなことで決まって、私にはどたばた劇のように見えてならないのですが、九月いっぱいに間に合わなければ三月一日からできないのです、第一陣に入れないのです、こういうようなことで、きょうの質問も実はもっともっとさまざまな観点から長時間したいという希望は、私のみならず多くの人にあったと思います。しかしどうしてこんなにおくれて、私は、そこには政府の姿勢に非常に甘さがあったのではないか。真摯な態度が感じられない。  小渕総理が、八月七日の所信表明演説でわざわざ、対人地雷禁止条約については、できるだけ早い発効に向けて、我が国としても可能な限り早期の締結に努力しますと。私は、重要閣僚の一員として与謝野大臣審議過程とか、ここまでおくれてしまった、そして九月三十日までにお願いします、こうしたことについてどのようにお考えなのか。ある意味では、私は、大変真摯な姿勢がないということをまず指摘したいと思います。
  35. 与謝野馨

    与謝野国務大臣 対人地雷問題というのは、先生指摘のように、我が国条約署名に踏み切ったわけですから、条約の確実な実効を担保するために国内法を整備するという仕事があるわけでございます。しかしながら、一方ではこれは綿密な作業も必要でございまして、関連するいろいろな法律との整合性、あるいは各省間のいろいろな分野、こういうものを総合的に調整しながら、政府としては誠実にやってきたつもりでございます。ただ、先生が、少し遅いではないかという御指摘があるとすれば、それは故意に物事をおくらせていたわけではございませんで、鋭意調整をしていたということでございます。  早期に条約を批准し国内法を整備しなければならないという考え方は、一貫して政府は持っておりまして、ようやく各省間のいろいろな考え方の整理がつきましたので、取り急ぎこの国会条約の批准あるいは国内法の整備をお願いすることとしたわけでございます。国会の会期等ももちろん頭にあったわけでございまして、きょうこの日に間に合わせるためには、閣議等も持ち回り閣議となったことは大変やむを得ないことだったと私は思っておりまして、ぜひ先生の御理解をいただきたいと考えております。
  36. 太田昭宏

    ○太田(昭)委員 今大臣からの話もありましたが、各省庁間の調整とかに時間がかかったと。私は、そこのリーダーシップをとるのが政府である。総理自身がそれだけ熱意を入れてということであるならば、そこをもっと督促してやっていくというのが政府の役割であろうというふうに思います。各省庁の調整に手間取った。一体、何の問題と何の問題と何の問題が、どういう省庁間で、どういう問題であったかということについて、項目的にずばっと答えてください。
  37. 須田明夫

    須田説明員 お答え申し上げます。  この条約を締結するということは、我が国として履行しなければならない義務がいろいろ出てくるわけでございますけれども、そういった関連におきまして、まず関係省庁との御相談がいろいろ慎重に行われなければならないことがございました。そのためにも、まず第一に、条約そのものの解釈というものをはっきり決めなければいけないということが最初にございまして、そういう意味では、我々外務省の作業がまず先に来たわけでございます。  その際に、この条約解釈を固めるという点につきましては、我が国安全保障との関連ということもございます。それから、ほかの主要な条約の署各国がどういう解釈をとっているだろうかということについても確認をしていくということがございました。もちろんこれは各国解釈をそのまま日本がまねるということではございませんけれども条約解釈というものについてどのあたりが妥当なのかということにつきましては、特にNATO諸国条約解釈というものを参考にするという必要がございました。  それからさらに、日米安全保障体制の運用にどのような影響があるであろうかという観点からもこれは慎重に検討し、その点につきましては、アメリカとも何度も協議を重ねまして、その点を確認してきたという事情がございます。  そういった外務省における作業というものを踏まえまして、国内法の整備ですとかあるいは国内における安全保障のための対応といったことを各省庁に御相談し、お願いをしてきたということでございます。
  38. 太田昭宏

    ○太田(昭)委員 防衛庁も同じですか。
  39. 伊藤康成

    伊藤(康)政府委員 防衛庁といたしましては、昨年の十二月二日だったと存じますが、安全保障会議におきまして、この条約署名をするということの御決定をいただいております。それを踏まえまして、代替手段あるいは廃棄等の研究をしておったところでございます。  ただ、今のこの法案の作成に関しまして申し上げますと、私どもの方は、ただいま外務省からも御説明ございましたように、まず条約解釈ということがあるのではないかというふうに思っておった次第でございます。
  40. 太田昭宏

    ○太田(昭)委員 条約解釈安保との関係、こういうことについて時間がかかったということですが、全体の前提として、与謝野大臣、要するに対人地雷の軍事的有効性、専守防衛というこの日本において対人地雷は必要であるという論点に立つ人もいるわけですが、しかし、私があえて申し上げますと、世界の軍事評論家あるいは専門家は、対人地雷は軍事的有効性はゼロとは言わないけれども極めて少ない、あるいは湾岸戦争の時点でも、多国籍軍が、十八時間かかる、こう言われていた地雷原を二時間で通過したとか、あるいは最近の武力紛争では機甲部隊が主力で歩兵部隊というのはそうではないと。  対人地雷というのは、そういう意味では軍事的有効性はないという観点がこのものの中には私はあろうと思いますが、政府としてその辺については、防衛庁も含めて、対人地雷の軍事的有効性というものについてどういう共通の認識を持っていられるのか。私はこれは大臣に答えていただきたいと思いますが、大臣が考えられる間にだれか、だれでもいいです、答えてください。
  41. 伊藤康成

    伊藤(康)政府委員 防衛庁の立場からお答えをさせていただきたいと存じますが、確かに対人地雷についていろいろな御議論はあろうと存じます。しかし、日本のような非常に長い海岸線を持った国、また相対的には少ない防衛力で我が国土を守るという状況のもとにおきましては、実は私ども対人地雷というものはそれなりの有効な兵器だという認識を持っております。  しかしながら、既に、先ほども申し上げましたように、この条約署名するという決定が十二月に安保会議でなされたわけでございまして、その意味では、現在まさに対人地雷なしでどう守っていくかということを私どもは一生懸命研究しているというところでございます。
  42. 太田昭宏

    ○太田(昭)委員 大臣、どうですか。
  43. 与謝野馨

    与謝野国務大臣 兵器としての対人地雷の有効性、あるいは有効でないという議論、有効であるという議論、いろいろあるわけでございますが、太田委員が冒頭申されましたように、この被害の残虐性、また非戦闘員がこういうものに巻き込まれる、それから紛争が終わった後もそういう対人地雷が放置されたままということで、我々各地でそういう被害を実際見ることができるわけでございまして、兵器としての有効性、無効性以前に、やはり世界的な悲劇を生んでいるという観点に立って署名をしたわけです。署名をした以上は、この兵器が有効か無効かという以前に、やはり非戦闘員をも巻き込んだ非常に非人道的な兵器であるという考え方に立って署名をしたわけでございますから、署名した以上は、これを批准して、実際にこれを担保する国内法を整備するというのが私は政府の責任であろうと思っております。  もちろん、防衛論議をする方の中には、海岸線が長い日本においては対人地雷は有効だという議論をされた方ももちろんおります。そういうことも一つの物の考え方かもしれませんが、やはり非常に被害が広く非戦闘員まで及ぶ、また大変な悲劇を例えば紛争が終了した後も残しているという点では、世界に対する貢献として、私どもも踏み込んでやる必要があるというのが全体的な私は判断であったろうと思っております。
  44. 太田昭宏

    ○太田(昭)委員 そこで、在日米軍の問題ですが、在日米軍保有する対人地雷、基本的に、一国が対人地雷全面禁止を決めているのに、その国内にある外国の軍事基地がその禁止された武器を保持しているのは基本的な矛盾であろうと私は思います。米軍基地からの対人地雷撤去問題をどのように考えているのか、あるいは米軍対人地雷保有状況はどうか、そして米軍対人地雷撤去の申し入れをするという意思があるのか。  また、今回の法案提出に当たって交渉したわけですが、そこの経緯、合意点、これが、かくかくしかじかでできましたものですから今回の国内法の整備等の法律提出できるようになりました、批准の国会論議になりましたということは、極めて大事な交渉だったと思いますが、簡潔で結構ですから、それについてお答えください。
  45. 須田明夫

    須田説明員 幾つかの御質問でございますが、まず、在日米軍対人地雷扱いにつきましてアメリカとの間での協議をしてまいりまして、その内容、その結果を申し上げたいと思います。  アメリカ側に対しましては、我が国対人地雷禁止条約を締結し、これが発効した場合の扱いにつきましては、次のような説明を我が方からいたしました。  我が国は、対人地雷禁止条約上、在日米軍による対人地雷使用開発生産、取得、貯蔵保有及び移譲の活動を防止及び抑止する義務は負わず、在日米軍による対人地雷貯蔵及び保有等は引き続き可能である。  二番目に、ただし、この対人地雷米軍による貯蔵及び保有に関連いたしまして、自衛隊及び民間業者による在日米軍対人地雷輸送は、条約上認められません。  三番目に、他方におきまして、在日米軍我が国の領域内で対人地雷使用開発及び生産することにつきましては、条約を締結するという我が国の立場から、いかなる国によるものであれ、我が国の領域内でこのような活動は認められないということを説明いたしました。  これに対しまして、米側よりは、我が国条約上の義務及び関連する政策についてはこれを十分理解するという明確な返答を得ました。  それから、先生指摘の、在日米軍日本の領域内で対人地雷保有貯蔵していること自体問題ではないか、撤去を求めるべきではないかという点につきましては、政府といたしましては、在日米軍による施設・区域における対人地雷貯蔵は、朝鮮半島における安全保障を初めとします極東の平和及び安全の維持に寄与しておりますので、我が国として在日米軍による対人地雷貯蔵及び保有までをも認めないとすることは適当でないと考えております。  以上です。
  46. 太田昭宏

    ○太田(昭)委員 適当でないと考えたので、そういう主張はしなかったということですか。
  47. 須田明夫

    須田説明員 主張はしませんでしたし、アメリカに対しては、貯蔵保有はできますというふうに説明いたしました。
  48. 田中信明

    ○田中説明員 ただいまの先生の御質問につきまして、一点、追加説明させていただきたいと思います。  それは、在日米軍保有する対人地雷の数ということでございますが、在日米軍対人地雷を施設・区域内に保管しているということは私ども承知しているわけですが、ただ、その数量等の運用上の詳細と申しますのは軍事上の機密に係る事項であるということから、米軍は明らかにできないという立場でございます。政府といたしましては、在日米軍のこうした運用に関する事項についてコメントする立場にはない、こういうことでございます。
  49. 太田昭宏

    ○太田(昭)委員 確認をしますが、今まで自衛隊日本の運送会社が輸送を担当した。特に、在日米軍には地雷の専門家がいないということを私は聞いているのですが、そうなりますと、この輸送というのは在日米軍が全部担うということになりますね。これは当たり前のことですが、確認しておきます。日本人は一切関与しないと。
  50. 須田明夫

    須田説明員 条約上、自衛隊及び民間人在日米軍対人地雷輸送することは禁じられているというふうに解釈しております。したがいまして、在日米軍保有する地雷輸送在日米軍みずから行うということになるかと思います。
  51. 太田昭宏

    ○太田(昭)委員 国内の運用上の問題についてお聞きします。  この法案の「目的」に、「この法律は、対人地雷使用貯蔵生産及び移譲の禁止並びに廃棄に関する条約適確実施を確保するため、対人地雷製造禁止するとともに、対人地雷所持を規制する等の措置を講ずることを目的とする。」こうありますが、対人地雷使用貯蔵生産及び移譲、この四つが国内法でどう担保されているのか、この法律の構成上の問題についてお答えいただきたいと思います。
  52. 広瀬勝貞

    広瀬(勝)政府委員 ただいま御審議をいただいております法律案は、いわゆる対人地雷禁止条約の的確な実施を確保するために必要な措置のうち、既存の法令では対応できないものについて新たに措置を講ずるという考え方で整理をしております。  したがいまして、今御指摘の点につきましては、まず、使用禁止でございますが、これにつきましては、爆発物取締罰則等によりまして禁止をされている。それから、生産開発禁止につきましては、この法律案により「製造」として禁止がされております。それから、取得、貯蔵保有につきましては、この法律案によりまして「所持」として規制をされております。それから、移譲でございますが、これは輸出入のことでございますが、これは、この法律案及び外為法によって規制をしているというふうに整理をしております。
  53. 太田昭宏

    ○太田(昭)委員 移譲という事項については、これは輸出入、そういう解釈でいいのですね。トランスファー、移動ではなくて。
  54. 須田明夫

    須田説明員 条約の第二条に定義規定がございまして、第二条四項で、読み上げますが、「「移譲」とは、対人地雷が領域へ又は領域から物理的に移動し、かつ、当該対人地雷に対する権原及び管理が移転することをいう。ただし、対人地雷の敷設された領域の移転に伴って生ずるものを除く。」ということでございまして、輸出入というものが権原とか所有権の移転を伴う場合に、それはこの移譲に当たるということになります。
  55. 太田昭宏

    ○太田(昭)委員 通産省、違いがありませんか、今の答弁と。
  56. 広瀬勝貞

    広瀬(勝)政府委員 そのとおりと考えております。
  57. 太田昭宏

    ○太田(昭)委員 防衛庁日本はどの程度地雷保有しているか。百万個と聞いていますが、どれだけつかんでいますか。
  58. 山内正和

    ○山内説明員 お答え申し上げます。  平成十年八月末現在で自衛隊保有しております対人地雷の総数は約百万個でございます。正確に申しますと、九十九万九千四百九十六でございます。
  59. 太田昭宏

    ○太田(昭)委員 地雷廃棄というのは非常に大事になるのですが、廃棄計画の概要、それからどれだけ残すのか、ここがあいまいであってはならないと思います。だれの手でどのように、どれだけ残し、どういう計画になっているのか。そして、廃棄に当たっては、情報公開、公開廃棄ということが極めて大事だと私は思いますが、それは担保されますか。どうですか。
  60. 伊藤康成

    伊藤(康)政府委員 まず、どのくらい残すのかということでございますが、条約で、訓練あるいは今後の技術開発等のために何がしかの地雷を残すことが認められておるわけでございます。これはまだ、これから私ども条約発効までの間に決めまして、百八十日以内に国連への通知が義務づけられておりますので、この間、間に合いますように詳細検討いたしたいと思っておりますが、現段階ではおよそ十年分といたしまして一万五千個ぐらいを残したいというふうには考えております。  それから、廃棄でございますが、これは基本的には専門業者の手によりまして、解体と申しますか、そういう形でやっていきたいと思っております。  これを公開するかというお話でございますが、実際の問題といたしましてかなり危険性等もあるのではないかと思いますので、ちょっと今の段階で私どもが、公開してできるのかどうか、これは当該業者ともよく検討しなければならない問題かと存じます。
  61. 太田昭宏

    ○太田(昭)委員 公開というのは、みんなの前で、ぽんと抜いているところとかというようなことよりも、情報の公開ですからね、情報の。その辺についての的確な配慮というか、そういう考えを持っているかどうかということが極めて大事なので、もう一遍答えてください。時間がないので短く答えてください。
  62. 伊藤康成

    伊藤(康)政府委員 失礼いたしました。情報の公開というのは当然だと思いますし、十一年度の概算要求におきましては二十二万発分、約四億円の概算要求をしているところでございます。
  63. 太田昭宏

    ○太田(昭)委員 条約についてちょっと触れたいと思います。  先ほどから、折衝の間の定義のところからありましたが、対人地雷定義の問題については、将来または現在、対人地雷と同じ結果を引き起こしながらほかの名称になっているとか、さまざまなそういうものがあろうと思います。クレイモア地雷のように、敵兵が近づいたときに電気信管を遠隔操作して爆発させる、あるいは代替として指向性散弾ということが言われたりするのですが、こ の辺の定義の問題と指向性散弾の問題、代替として何をどう考えているのか、これについてお答えください。
  64. 広瀬勝貞

    広瀬(勝)政府委員 対人地雷定義の問題でございますけれども、今御審議をいただいております法案上の定義から申し上げますと、クレイモア型地雷というのは、この法案定義にあるとおり、人の存在等によって爆発するように設計されたものということでありますので、対象になると思います。ただ、クレイモア型地雷であっても、目視による遠隔操作のみによって作動するというものは対人地雷とはみなされておりませんで、本法案の対象外ということになると思います。  混合地雷というのもございますが、これにつきましても、ワイヤで対戦車地雷と結びつけられておりまして、ワイヤで作動するということになっておりますので、これは禁止対象となるというふうに考えております。
  65. 太田昭宏

    ○太田(昭)委員 昨年の十二月三日、当時の小渕外務大臣は、対人地雷全面禁止条約署名に先立っ演説で、昨年三月に主催しました対人地雷に関する東京会議における東京ガイドライン、これを踏まえて、今後五年間を目途とした百億円規模の支援によって、地雷除去関連機材、技術供与犠牲者支援、カンボジアの地雷埋設国会議への積極的支援、さまざまなそうしたことを表明しているわけなんですが、この具体的取り組み、また我が国対人地雷問題の取り組みの柱である犠牲者に対するゼロ・プログラム、こうしたことについて、フォローアップの状況についてお答えいただきたいと思います。
  66. 赤阪清隆

    赤阪説明員 お答え申し上げます。  ただいま御指摘の、今後五年間をめどに百億円程度の支援を行うという政府の表明でございますが、具体的には、従来から行ってまいりました国連等国際機関に対する資金協力による支援、さらには草の根無償NGO事業補助金による支援等に加えまして、二国間援助を通じた地雷除去関連機材等の供与、医療や義肢製作、リハビリテーションにかかわる施設整備機材供与技術協力等を積極的に実施していく方針でございます。  これまでの実績としましては、地雷除去に関しましては、ボスニア地雷対策センターの立ち上げ支援としまして百万ドルを拠出いたしました。また、カンボジア、ボスニアに対するプロジェクト形成調査団の派遣を行いまして、案件の具体化に目下取り組んでいるところでございます。  また、地雷犠牲者支援といたしましては、平成十一年度予算概算要求におきまして無償十二億円を要求しているところでございます。
  67. 太田昭宏

    ○太田(昭)委員 地雷の撤去技術日本はかなり進んでいる、優秀である。モザンビークなんかでは、日本の三倍ぐらいの面積ですから、その三分の一が地雷原であるということは日本全体ぐらいが地雷原であるという話になるわけですが、その撤去技術というのが日本はどの程度のものなのか。  そして、この撤去技術ということが、そのまま機械が使用できるかどうかということだけでなくて、地雷除去に当たっては例えば草刈り作業みたいな前さばきが極めて大事である。これは武器でも何でもないわけですから。そういう点では、草刈り機なんかは例えば十メートル先の草をざっと刈るような、そういうことについても日本はなかなか優秀だ、こう聞いておるわけなんです。  この辺の、地雷撤去技術、そして草刈り機のような状況、これからそうしたことに貢献する意思があるかどうか、これについてお聞きしたいと思います。
  68. 伊藤康成

    伊藤(康)政府委員 まず地雷撤去技術という観点から、私の方からお答えさせていただきますけれども地雷の撤去と申しますのは基本的には手作業になるんだろうと思います。  これは、戦場のような場所で、いわゆる地雷処理と申しますか、とにかく爆破させてしまってもいいというような場合ですと、自衛隊の場合には例えば地雷原爆破装置というような機材も持っておるわけでございますが、平時におきまして、これから民間で使おうというような土地、あるいは民間の方々も通るというような土地でそういう兵器はちょっと使えないわけでございまして、基本的には最初に申し上げましたような手作業というようなことになるんだろうと思います。そういう意味で国際的にどのくらい我が国がすぐれているかということにつきましては、ちょっと私ども知見を有しておりません。
  69. 太田昭宏

    ○太田(昭)委員 最後になりますが、日本が今回の対人地雷の廃絶に向けて第一歩を踏み出したという意義は大変私は大きいと思います。大事なことは、そうしたことでさらに日本が世界にどういうアピールをし、また貢献をしていくか。そういう中で、アメリカ、ロシア、中国、インド、特にこうしたオタワ条約未調印国への働きかけ等は私は非常に大事だというふうに思っております。また、地雷の輸出国に対する自粛ということも非常に大事だと思います。  条約の実効性を高める上で、日本政府としてこれらについてどのような態度で臨むのか。積極的にやるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
  70. 与謝野馨

    与謝野国務大臣 条約に参加している国、また参加していない国があるわけでございますが、条約の非締結国に対する参加の働きかけというのは外務省が今後とも中心となって進めていくと私は理解をしております。  対人地雷禁止条約を真に実効性あるものとしていくためには、我が国において国内の実施措置を的確に行うこととあわせて、対人地雷使用生産保有等を行っている諸国の参加を確保することによりまして、条約の普遍性を高めていくことが極めて重要であると考えております。今後、我が国条約を締結した後も、他の締結国と協力しつつ、これまで条約への参加を表明していない諸国に対し、本条約への参加を呼びかけることにより、条約の普遍性と実効性を高める努力を行い、条約の目的である対人地雷全面的禁止に向けて積極的に貢献していきたいと考えております。
  71. 太田昭宏

    ○太田(昭)委員 ぜひともその辺の積極的な役割を果たしていけるよう要望して、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  72. 古賀正浩

  73. 西川太一郎

    ○西川(太)委員 自由党の西川太一郎でございます。  早速お尋ねをしたいのですが、まず冒頭に防衛庁外務省にお伺いをするわけでございますが、このたびの条約を批准することによって、我が国の国防力はどのように変化をするのか。平和に対する貢献、また国防という二つの面で、この条約を批准させて国内法を整備することはどういう意義があるのか、御見解をまず承りたいと思います。
  74. 須田明夫

    須田説明員 対人地雷によります世界における人的な死傷者ですとか犠牲の問題ということは、これは世界的な大きな問題になっておりまして、我が国といたしましても、将来対人地雷のない世界を目指して、国際的な努力に我が国としても参画していくということで努力してまいりました。このたびできましたこの条約は、そういった目標に向かって、全面禁止ということを明確に打ち出した条約といたしまして、人道的な観点から極めて重要な条約であるというふうに考え、我が国といたしましても、できるだけ早期にこれを締結いたしたいというふうに考えてまいった次第でございます。  我が国の国防との関係につきましては防衛庁の方から御答弁があるかと思いますが、安全保障という観点からは、米国と我が国との日米安保体制の運用にこれが支障を来さないということにつきましては十分注意を払って、アメリカと協議をしつつ、この作業を進めてまいった次第でございます。
  75. 伊藤康成

    伊藤(康)政府委員 我が国防衛力という観点でございますが、万が一我が国に対します侵攻というものがあったということで仮定いたしますと、そういう場合におきましての対人地雷を含む地雷の戦術上の意味合いというのは非常に大きい ものがあると思います。しかしながら、今般条約にも署名をし、さらに発効する、批准するということでございますので、私どもは、その代替措置開発等によりまして防衛に遺漏なきを期したいというふうに考えている次第でございます。
  76. 西川太一郎

    ○西川(太)委員 当委員会は国内法の整備にかかわる審議をする場所であることは重々承知でございますが、国会議員の一員として、国を守るということは、これはもう至上命題、いずれの日にか世界連邦でもできて全面軍縮でも可能になるまでは、そういうことについてもなおざりにしていけないことは言うまでもないわけであります。  ただいま両省の御見解を伺いましたところ、私の尋ねていることに何にも答えていない。つまり、私の聞き方が足りなかったのかもしれませんからもう一度申し上げますが、専守防衛を憲法で義務づけられている我が国が、近隣を見てください、地雷大国、特に輸出までしている中国。そして、日本に対して最近、ミサイルだか衛星打ち上げ用のロケットだか存じませんけれども、いやしくも領空の上を飛んだものを発射した北朝鮮。こういったところ、またロシア、どこも加盟していないじゃないですか。なぜ日本はそういう状況の中でこれにあえて加盟しなければいけないのか。それが一点。  特に、ジョディ・ウイリアムズさんという人がICBLということでノーベル平和賞をもらった。途端に、日本はそれまでは慎重姿勢であったのに、急に傾斜をしてこの条約を締結するという事実は、これは否定できないと思うのですね。それがきっかけじゃないとおっしゃるかもしらぬけれども、少なくとも世間はそのように、各種報道または評論、論評のたぐいはみんなそういうふうに口をそろえている。  これはオタワ・プロセスで、亡くなられたダイアナ妃のこともあり、そしてボスニア・ヘツエゴビナの問題もあり、いわゆるカンボジアの問題のようにどこに埋設したかわからないような管理の不備とか、そして大勢の方が亡くなったりけがをされたり、それも深刻な状態になっているということは重々承知しています。したがって、既に一億一千七百万個でしたか、何か世界じゅうに敷設されている、エジプトには二千三百万個あるとか、そういうようなものを除去することこそ大事であって、我が国の国防のために一番ある意味では安全な確実な兵器であると私は思うのですね、地雷というのは。  それをなぜ犠牲にしてまで、くどくて申しわけありませんが、周りの国がどこも加盟しないのに、なぜこれをあえて廃棄をして、そして、しかも廃棄をするだけじゃなくて、それにかわるものを開発しようというわけでしょう。廃棄に要する費用は四億円、新しいものを開発する経費が六億円だと。四年以内にそういうものを開発できるのかと聞いたら、開発できるとお答えになりますか。私は、それができるできないは言えないという非公式な返事を防衛庁からいただいておりますけれども、それができますか。  その辺を、私は、日本安全保障と国防力という点で、これがほかにかわるべき手段をきちっと確保して、しかる後に近隣諸国も巻き込んで同時に――あくびしている人がいるけれども、何だ、君。無礼な政府委員だな。何あくびするんだ、人が質問しているときに。委員長、厳重に注意してください。もう質問やめますよ、そんなことじゃ。その窓際に座っている人だよ、後ろの。人が質問しているときにあくびするとは何だ、君。出ていけ、無礼者。
  77. 古賀正浩

    古賀委員長 神聖な議場ですから注意をしてください。
  78. 西川太一郎

    ○西川(太)委員 官姓名名乗って出ていけよ。だれだ、君は。――もういい。それほど真剣にやっている問題なんだよ。それは夜遅くまでやったからそうだろうと思うから、そこのところを今しんしゃくして許すけれどもね。みんな頑張っているんだから。  第一、私らが不満なのは、太田先生もおっしゃっておられたけれども、余りにも官僚側は乱暴ですよ。自分たちは長い間時間をかけて審議をしてきたかもしれない。しかし、少なくとも野党である私ども説明があったのは四日前ですよ。そして、急速、このことを月内には上げてくれと。そんな乱暴な話ありますか。審議軽視というか委員会軽視も甚だしいですよ。それをみんな我慢して審議しているんだから、そこのところはよくわかってもらわなければ困るのです。  私は、今申し上げたように、そうした国防、安全保障政策上、これは欠かすことのできない兵器だというふうに思う。それを犠牲にしてまでこの条約を締結し、それに従ってこの国内法を整備するその理由というのは何なのか。つまりもっと平たく言えば、国民の大丈夫なのかという不安に対して、国防の衝に当たる役所として心配するなということをきちっとおっしゃればいいと思う。  それから、もうついでに言いますけれども日本がもし自分のところで地雷を持って、それをきちっと敷設して監督して、万一の場合ですよ、有事の場合ですよ、平時とは言っていませんよ、そういうことに使えるならば抑止力になるんじゃないでしょうか。  できるかできないかわからない、何かバルカン砲みたいなものをとりあえずは暫定的にして、そして四年後にはお利口さんな地雷を考えるというのでしょう。地雷と一緒ですよ、四年後に出てくるやつは、爆発するんだから。だから、そういうむだなことをしない方がいいんじゃないかという意見がありますよね。あります。しかし、そういうマイナスを承知の上で、これをやらなければいけないという理由を、我々が納得する理由を出すべきですよ。  それを私たちが聞いたら、四年後にはそういうものができているかどうかもわかりませんとか、そんなことをちゃんとした立場の人が答えているのですよ。名前だって出してもいいですよ。役職を申し上げてもいいけれども、ここでそういう迷惑をかけたくないから。自由党に対する勉強会でお見えになった御庁の高官が歯切れの悪いことおびただしいのですよ。  それから外務省にも伺いますけれども、日米安全保障条約で、アメリカがこれに批准していない、加盟していない。したがって、アメリカ日本における基地で地雷保有していいことになっている。何のために持つんだと私聞いたわけですよ、日本に使えなくなるんだから。そうしたら、そのときに外務省の高官は、これは朝鮮半島有事の際に、韓国で保有している地雷に敵国からの攻撃が加えられてそれが使えなくなったときに、後方支援するために使うんだと、こう言うむそれならば、それが我が国にあるということは、これだけ国会でこうやってみんな知っているぐらいですから、敵国にだって、仮想の敵国に、仮の話ですけれども、知れて、そこからこっちが攻撃を受けるという話にだってなるじゃないですか。そうでしょう。違いますか。  だから、私が言いたいことは、日本国内にある地雷在日米軍も含めて全部撤去しなければ、さっきから言っていることを犠牲にしてまで加盟する意味はないでしょうと。私はそうしろと言っているんじゃないですよ、そういう議論になるんじゃないかと言っている。少なくとも、在日米軍我が国の中で日米安全保障条約や憲法にのっとって活動する場合には、米軍が使う地雷にまでかせをはめちゃいかぬと思うのですね、平時ではないのだから。この条約のねらいというのは、新たな地雷の敷設も大事だけれども、既に一億一千万発もあるものが無事の民を傷つけるようなことのないようにすることがねらいではないですか。  だから、そういう議論をもっと時間をかけてやるべきだと思うのですが、それが一つもなされていないということは、きのう各党にいろいろ御迷惑をかけた自由党としてはまことにこのことは残念なのですよ。もっともっとたくさん情報を届け、オープンな議論をして、しかる後にこういう審議ということをやらなければいけないのに、おとといかきのうか説明に来て、あしたは上げてください、緊急上程だ。議会を何だと思っているの だ、こういうことですよ。  これについて、いろいろ一人でしゃべったけれども、感想を聞かせてください。防衛庁外務省、両方。
  79. 須田明夫

    須田説明員 先生指摘のとおり、非常に短い審議時間で、このような急いだ形で御審議をお願いしておりますことは、我々といたしましても申しわけなく思っております。  この地雷の意義、日本がぜひ早期にこれを締結したいということにつきましては、先ほども申し上げましたとおり、対人地雷を世界からなくそうという、これは将来そういう目標に向かっての世界的な努力の一環ということで、日本といたしましては、積極的にこれにリーダーシップをとっている一つの国としてこれまで努力してきたわけでございます。  先生指摘のとおりの地雷の撤去、これはまた極めて現実の問題といたしましても重要なことでありまして、このための貢献ということも一方では行ってきたわけでございますけれども、やはり将来に向けては、地雷をなくすというためには、これから新たにはつくらない、それから輸出入等もこれからは行わないということで、すべてを禁止していくという条約というものはやはりそれなりの大きな価値があるのではないかと思いまして、これを締結することが重要と考えている次第でございます。  他方、当然のことでございますけれども、この条約に入りまして、対人地雷我が国使用できなくなるということのあり得る影響ということにつきましては、これは先ほどから防衛庁の方からも御説明のありますとおり、慎重に検討してきたものと承知しております。  在日米軍との関係につきましては、先ほど申し上げましたとおりでございますが、一つだけつけ加えさせていただきますと、米国自身が、対人地雷禁止条約には今まだ署名していないけれども、将来、二〇〇三年までにはまず朝鮮半島以外でのすべての対人地雷使用を中止する、それから二〇〇六年までには朝鮮半島での対人地雷の代替兵器の開発を目指す、この代替兵器の開発が成れば二〇〇六年までにこの条約署名するということを、政策を明らかにしておりまして、米国といたしましても、この条約の意義というものは認めているというふうに我々理解しております。  失礼いたします。
  80. 伊藤康成

    伊藤(康)政府委員 日本有事の場合に地雷が非常に有効な兵器であるということは、先ほど私もちょっと申し上げましたし、今先生るるおっしゃったとおりだろうと思います。しかしながら、この地雷禁止条約と申しますのはまさに人道の見地から出たものでございますし、確かに我が国は少なくとも戦後この地雷をみずから使用したことはないわけでございますけれども、仮に使用した場合にはやはり無差別被害を与える兵器であることは事実でございます。  そういう観点から申しますと、私どもとしては、代替手段というものを開発することを条件にと言うと言葉がおかしゅうございますが、開発して日本の安全を担保してこの条約に加わっていくということは、大変有意義なことだと考えている次第でございます。
  81. 西川太一郎

    ○西川(太)委員 私は、個人的には世界平和を願い、軍事力を増強するとかそういう方針には反対の立場です。それだけは申し上げておきます。しかし同時に、国を守るということにはいささかも手抜きがあってはいけないという気持ちです。それなかりせば、いたずらに力の真空状態をつくることによって、むしろ世界平和にあしき貢献をしてしまうということになるからだというふうに思っております。  今、御両所の御見解を承りましたけれども、まだ納得できません。というのは、そういう論理に立っている人たちを説得するだけの説得力が、残念ながらお二人の答弁にありません。例えば、もし地雷を撤去したら、兵員は今よりも三五%以上死傷率が上がるというアメリカのディフェンス・ニュースの記事を御存じでしょうか。そういうことも実際にあるのですね。地雷があればけがをしなくて済んだ人、民間ではないですよ、これは兵員の話ですよ。そういう計算も一方であるのです。  それから、今外務省の審議官の御答弁では、二〇〇六年までに朝鮮半島でもアメリカはこれを使わない、さらに、この条約の精神をアメリカも認めているとか評価しているとかというお言葉がありましたけれども、それなれば、なぜ日本はそれまで待たないのですか。そういう議論も出てまいりますよ。  私は、それをここで御答弁いただこうとは思いません。そういうような論理、理屈に対して明確に御答弁をいただけるだけの準備と周到な議会への対応といいますか、そういうものがあった方がよかったんじゃないか、そういうふうに私は思います。これは意見として、本当は答弁欲しいところですけれども、ここは外務委員会じゃありませんから、これ以上やるとあれですからやめておきたいと思いますが、そういう意見もあるということを、これは肝に銘じていただきたいと思います。  そこで、国内法の中で一点だけ通産大臣に伺いたいと存じますけれども、罰則規定が設けられているわけでございますが、これは通告してありませんでしたから事務方で結構です、罰則規定の中身について、つまびらかにできるようでございましたらお願いをしたいと思います。
  82. 広瀬勝貞

    広瀬(勝)政府委員 御審議をいただいております法律案の罰則は、第六章、二十二条以降に規定しておりますが、一つは「第三条の規定に違反した者」ということでございまして、これは製造禁止規定でございます。これにつきまして、未遂罪を罰するということにしております。これは、この条約及び条約実施するための法律案につきましては、対人地雷本体を罰則の対象にしておりますけれども、これによりまして、部品をつくって実際の製品にまで仕立てる過程での行為といったようなものも罰することができるというようなことが出てくるのではないかというふうに考えております。  それから、二十三条で、「対人地雷をみだりに所持した者」という規定がございます。この「みだりに」という言葉がちょっと通常とは違っておりますけれども、これは所持について全面的に禁止をしているわけではございませんで、一定の場合には所持ができるということになっておりまして、そういう例外規定のことを頭に置いているのが一つ。それから、次の条にも関連するわけですけれども、国外犯についても適用することになっているものですから、その国外犯の適用につきまして、これも何から何まで国外では所持すると処罰するということではなくて、これも特定の場合には処罰しないという意味でこの「みだりに」というのを使っております。  二十四条は、刑法三条の例に従うということで、国民の国外犯を規定したものでございます。  このあたりが、この罰則規定の特徴ではないかというふうに考えております。
  83. 西川太一郎

    ○西川(太)委員 これで最後の質問といたしますが、通産大臣に伺いたいと思いますけれども、先ほど来私が申し上げました国防の観点、安全保障の観点、これはかなり多くの人がそのように思っている、私は決して特殊な議論ではないというふうに思っています。  平和を求めながら、現実の世界でいかに国を守りながら有効な手段で一日も早い世界平和というものを実現するかという、この二律背反的なような考え方の中でいろいろなことをやっていくためには、時には我が国の国防力に若干の影響があるということも、むしろそれによって周辺国が我が国に対する好印象を持つならば、これは大きな意味での戦争抑止力になるということも理解できるのでございますが、重ねて大臣に伺いたいのは、このたび国内法の整備の御担当大臣とされても、やはり、閣内に連なる閣僚のお一人として、我が国防衛とこの条約整備がどういうふうに結びつく のか、御見解を、御一端をお聞かせいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
  84. 与謝野馨

    与謝野国務大臣 先生指摘のように、この論議の過程では、やはり国防上の観点というものも随分議論をされましたし、また安全保障上の立場を損なうというようなこともいかがかという議論も随分されたわけでございます。それはそれなりの論拠を持った議論だったと私は思いますし、また、先生がただいま展開されました議論も一つの有力な議論であったと私は思います。  しかしながら、一方では、人道上の観点から、日本としてはある種の踏み切りをしたわけでございます。条約署名をしたということは、そういう政治決断をしたということでございまして、政治決断をした以上は、それを担保する国内法の整備ということはやむを得ないことであるし、また当然の義務だろうと思っております。.やはり、安全保障上のいろいろな議論というのは避けて通れないものでございまして、そういうものは正面から議論をするということが、国民に対する、安全保障に対する理解を深めるということからも私は大切だと思っておりまして、先生が言われたいろいろな論拠については、なるほどと思いながら伺ってまいったわけでございます。
  85. 西川太一郎

    ○西川(太)委員 もう時間もありませんが、質問は以上でございますけれども、最後に一言だけ我が党の立場を申し上げさせていただきたいと思います。  賛否については後ほど明らかにさせていただきますが、私どもは、議会のルールにのっとってこの問題の処理に協力をしてまいりましたことは御承知のとおりでございます。したがいまして、我々としては、今後もあり得ることとして、特に政府にお願いをしておきたいことは、十分に議会に審議をさせる、そういう情報開示と時間的なゆとり、そういうことに対しては、いやしくも議会の審議を軽くするような方向に行かないように、これはぜひ強く政府に対して求めていきたいと思います。  そして、本日採決を行い、また外務委員会でも同じように聞いております。しかし、私どもは、本会議でこれを緊急上程ということにはならないように御理解をいただき、二十八日に安全保障委員会で、きょうの採決の結果が出ているにもかかわらず、やはり今大臣のお言葉のとおり、国防の問題は避けて通れないということで議論をすることを提案しました。  自民党初め各党も御了承いただいたようでございますけれども、何が言いたいか。その後に結論を出してしかるべきものを、議事に協力をする、議会のルールにのっとって協力をする、多数決に従う、こういうことで私どもやっておりますけれども、やはり筋は、そうした手続を、国防に深く関係することでございます、私は人道的なものを排するという立場では絶対ありません、どうぞそこのところを、なればこそもっと丁寧な対応が望まれたということを、何度もくどくて恐縮ですが申し上げて、質問を終わりたいと思います。  我が党の態度はただいま明らかになりまして、賛成をさせていただくことになりましたので、それも申し添えさせていただきます。どうもありがとうございました。
  86. 古賀正浩

    古賀委員長 吉井英勝君。
  87. 吉井英勝

    ○吉井委員 日本共産党の吉井英勝です。  私は、先ほど太田議員からも、今西川議員からもお話がありましたけれども、やはり私も、今回のこの法律案扱い方というのは本当にちょっとひど過ぎると思っているんです。  昨日、持ち回り閣議で決定されたということで、本当にきちっとした閣議を開いて、そして議論もして通すべき内容だというふうに思っているんですよ。そして、九月三十日までにということで、実は当初は、きょうの昼から本会議を開いて緊急上程するから、午前中時間が余りないんだと。全く審議の面でもどたばたなんですね。  そして、そういう急な話になってきたものですから、一昨々日でしたか、私どもの党の方でも、急な話ですということでいろいろ資料をいただいたり調べることにかかったんですが、当初は、この条約の方の英文と仮訳の方についてさえ、いや、まだお出しできるものはございませんというような話になっていたりとか、正式にいただいたのは昨日なんですよ。  ですから私は、これは非戦闘員、子供や妊婦の方たちも含めてたくさんの犠牲者が無差別に生まれている、そういう中でこの非人道兵器を禁止する、これは当然のことでもありますし、ICBLとその代表であるジョディ・ウイリアムズさんがノーベル平和賞を受賞されるなど、国際的にもこれは平和への貢献ということで評価もされ、そういう中での条約であり、国内担保法なんですからね。私はやはり、きちっと野党の側も国会で議論できるように本来準備をされるべきものであったと思うんです。  逆に見れば、こういうことになるというのは、本当に余りにも軽い扱いじゃないかという印象を持たざるを得ないんですが、最初に大臣、一言でいいから、やはり、こういう法律をこんな軽い扱いでいいのだろうかというこの点について、私は大臣から一言お聞きしておきたいと思うんですよ。
  88. 与謝野馨

    与謝野国務大臣 きょう、外務委員会が開かれております。そこでは、条約の持っている本来の目的等々議論がされていると思います。  当委員会は、条約実施する上で必要な法律整備するという観点からの委員会でございますが、仮に十分皆様方に御検討の時間がなかったという御不満があったとすれば、今後はそういうことにも十分留意をしながら法案提出をするということは当然のことだろうと思っております。  しかし、この法案が持つ人道上の重要性等々にかんがみまして、先生方にあえて大変忙しい御審議をいただくということになったことについては、大変残念なことだったと思っております。
  89. 吉井英勝

    ○吉井委員 これは実は準備期間は十分あったわけですから、本当に時間がどうしようもなかったというものであれば、ある程度そういうふうに見なきゃいけないときもあるのですが、ずっと時間があつくどたばたになって非常に軽い扱いに、なっている。こういうことは、どんな法律でもそうですから、立法府としてそんな軽い扱いで私たちはやっているわけにはいきませんから、そこは政府としてきちっとした対応というものを今後考えていただきたいと思います。  次に、在日米軍対人地雷扱いについてお聞きしたいと思いますが、この法律を適用することについては、在日米軍については適用除外とするということですが、その法的根拠は何なのか、これを伺いたいのです。
  90. 須田明夫

    須田説明員 この条約は、締約国に種々の義務を課すものでございますが、在日米軍につきましては、我が国管轄、管理のもとにないということで、この条約禁止されていることを我が国在日米軍に対して防止し抑止する義務は負わないということが条約上の解釈としてございます。
  91. 吉井英勝

    ○吉井委員 ですから、それの法律の名前と、その何条に該当するのかです。その法律上の根拠というのはきちっとしていないとおかしいわけですね。それはどこにあるのですか。
  92. 小松一郎

    ○小松説明員 お答え申し上げます。  この条約は、我が国が締結して我が国がその義務を負うわけでございますが、先ほどから答弁がございますように、米国につきましてはこの条約を締結していないわけでございます。したがって、米国の国家機関である在日米軍につきましては、この条約義務から外れているわけでございます。  また、我が国条約実施上の義務という観点からいたしますと、九条にその義務が書かれておりますけれども、ただいま答弁がございましたように、我が国管轄または管理のもとにあるという範囲内でこの条約実施を確保するという義務日本に課されているわけでございますので、この条約を締結していない米国の機関である在日米軍の行為までは規律するということを求められていないということでございます。
  93. 吉井英勝

    ○吉井委員 ですから、在日米軍が適用除外となる、日本のその根拠となるものは、何において適用除外とするのかということを聞いているのです。
  94. 小松一郎

    ○小松説明員 お答え申し上げます。  ただいまは、条約上の義務という観点から御答弁を申し上げました。  次に、先生の御質問は国内法上の観点からの御質問というふうに解釈させていただきましたけれども、これは安保国会以来繰り返し政府側より御答弁申し上げているところでございますけれども一般国際法上、同意をもって駐留をしている外国軍隊にはその接受国の国内法の適用はないということでございまして、そういう観点から、この国内法上の義務につきましても在日米軍への適用はないわけでございます。
  95. 吉井英勝

    ○吉井委員 次に伺いたいのですけれども、周辺事態法案では物品の輸送が挙げられているわけですが、そうすると、在日米軍地雷自衛隊また民間業者等日本国内や領域内で輸送に当たるということは、今度の条約禁止される。これはそういうふうに理解していいわけですね。
  96. 田中信明

    ○田中説明員 お答え申し上げます。  現在、政府が国会にお諮りしている周辺事態安全確保法案及び日米の防衛の指針、ガイドラインにおきましては、自衛隊は、米軍に対する後方地域支援の一環として米軍の武器弾薬の輸送等の協力を行うことができるとされておる点は、先生指摘のとおりでございます。他方において、我が国対人地雷禁止条約を締結しますれば、我が国は、対人地雷輸送等、同条約禁止する行為を行うということは禁止されることになるわけです。したがいまして、周辺事態安全確保法に基づく後方地域支援として、自衛隊が、対人地雷輸送等、条約禁止された行為を行うということはないわけです。  また、お尋ねの民間業者につきましては、これはガイドライン法案の外枠の問題でございましく条約及び本件法律によって規定される問題だと理解しております。
  97. 吉井英勝

    ○吉井委員 念のために防衛庁に確認しておきたいのですが、ですから、この条約によって在日米軍地雷輸送防衛庁は行わないということですね。これだけ確認しておきます。
  98. 伊藤康成

    伊藤(康)政府委員 我が国につきまして、条約が発効した後には、自衛隊によります在日米軍対人地雷輸送は認められないというふうに承知しております。
  99. 吉井英勝

    ○吉井委員 次に、在日米軍については、先ほど来これは法の適用除外だということでお話があったわけですが、在日米軍米軍基地の内部において、先ほどもありましたように、どこかわかりませんが仮に米軍基地に攻撃等が加えられるとかということでもって対人地雷米軍基地内に敷設する、このことは禁止されるのかされないのか、どういうことになりますか。
  100. 須田明夫

    須田説明員 条約上は、在日米軍対人地雷貯蔵保有等のみならず、使用等をすることについて、我が国がこれを抑止ないし阻止する義務は負いませんけれども我が国の政策として、在日米軍我が国領域内において対人地雷使用開発生産することは認めないという立場をとっております。この点は、米国側にも明確に伝えておりまして、米側も理解しているところでございます。その場合、この領域内というのは施設・区域の中も基本的には含まれるというふうに理解しております。
  101. 吉井英勝

    ○吉井委員 もう一度確認しておきたいのですけれども、つまり、条約参加国でないから、そして治外法権という扱いになりますから、米軍基地内部は法律上は敷設可能。しかし、日本法を遵守する、尊重する義務が生まれるということで、アメリカ条約に参加するまでの間は、安保の上に立っても、日本政府に対して日本国内では地雷を敷設しないと、政府の方はそれをアメリカに期待もしということなのですが、敷設しないと確約をもう得ているわけですか。ここのところ、どうですか。
  102. 須田明夫

    須田説明員 日本の領域内において、在日米軍と申しますか、いかなる国によれ、地雷使用することは日本政府としては政策として認めないということを米側に明確に伝えまして、米側は、それも含めて日本のこの条約上の義務及びこれに関連する政策は十分理解するというふうに明確に答えておりますので、我々の立場を米側は理解し、了解してくれているものと考えております。
  103. 吉井英勝

    ○吉井委員 アメリカは、条約に参加しないにしても、朝鮮半島と日本以外では、アメリカ国内に保有するものを含めて地雷廃棄する意向だということは、先ほど来紹介もありました。  それなら、在日米軍対人地雷について、日本国内での貯蔵禁止、撤去を求める、敷設はもとより貯蔵禁止、撤去を求める、このことをやるべきだと思うのですが、そのことはアメリカ政府に対しては求めているのですか。
  104. 須田明夫

    須田説明員 条約上は、締結国は、自国が所有、占有または自国の管轄、管理下にある対人地雷廃棄義務づけておりますが、我が国は、在日米軍貯蔵する対人地雷について、これを貯蔵したり保有したりすることを阻止する義務は負っていないということでございます。  他方我が国といたしましては、在日米軍による施設・区域における対人地雷貯蔵は、朝鮮半島における安全保障を初めとします極東の平和及び安全に寄与しているものと認識しておりますので、我が国として、在日米軍による対人地雷貯蔵及び保有まで認めないとすることは適当ではないと考えております。したがいまして、米側に対し、これを撤去を求めたということもございません。
  105. 吉井英勝

    ○吉井委員 結局、国内担保法として本法案をつくるわけですが、しかし、在日米軍対人地雷貯蔵日本国内で敷設することについても法律上は可能、これでは実効性にやはり問題を残すと思うのですね。また、国際的にも信頼されない国になってしまうと思うのです。ですから、ここはアメリカ政府ときちんとした交渉を持って、日本国内では在日米軍対人地雷についても無条件に地雷禁止条約とそして日本の国内担保法が適用されるように、私はそれをやっていくべきだと思うのですね。これは私は内閣の責任だと思うのですよ。ここは大臣に伺っておきたいと思います。
  106. 須田明夫

    須田説明員 先ほど来申し上げていることでございますけれども条約上は、在日米軍我が国対人地雷貯蔵保有することを我が国が阻止する義務は負わないということでございます。  それでは、先生がおっしゃいますように、我が国の政策として、条約禁止しているようなことは在日米軍に対しても法的にそれを求めていくという御趣旨かと思いますけれども、これも申し上げたことでございますが、在日米軍我が国保有している対人地雷は、朝鮮半島の安全保障を初めとする極東の平和と安全にとって大きな役割を果たしていると我々は認識しておりますので、我が国政府として、そのようなことを米側に対して求めることは適当ではないと考えております。
  107. 吉井英勝

    ○吉井委員 アメリカアメリカ国内においてどういう政策を選択されるかというのは、これはアメリカ自身の問題なんです。しかし、我が国の国土の中での問題なんですね。  せっかくこの条約我が国は参加して、批准もし、国内担保法もつくろうというときに、しかし米軍の方は治外法権にあります、米軍の方は条約に参加していないから保有することも自由、敷設することも法律上は可能と。私は、そういう状態では、朝鮮半島を云々されたけれども、そういうことを理由に持ち出したら幾らでも何でもできるということになってしまうわけで、私は、やはりここは政府として、アメリカ国内でどういうことをされようとそれはアメリカの問題なんですよ、しかし、我が国土に関しては、在日米軍対人地雷についても、この条約日本の国内担保法のもとにきちっとした対応をしてもらいたい。  私は、これは内閣としてやはりきちっとアメリカに言うべきことだと思うのですが、大臣、どうですか。
  108. 与謝野馨

    与謝野国務大臣 先ほどから繰り返し事務当局から答弁をしておりますように、在日米軍については本法の適用外であるということは御理解をいただきたいと思います。一般国際法上、駐留を認められた外国軍隊には、特別の取り決めがない限り駐留軍の受け入れ国の法令は適用されず、このことは、我が国に駐留する米軍についても同様でございます。したがいまして、本法案については在日米軍には適用されないということになっております。
  109. 吉井英勝

    ○吉井委員 私は、せっかくいいことをやろうというときですから、国を挙げて、我が国土に関してはやはり世界から信頼されるという道を真剣に追求していくべきであるし、私はそういう点で、相手がアメリカであれどこの国であれ遠慮をしないで、そこはびしつと物も言って貫いていくべきだというふうに思います。  それで、自衛隊には、先ほど来議論ありましたように、百万個ほど対人地雷があるということですが、法十一条により、自衛隊保有している地雷を四年以内に廃棄するという義務を負うことになりますから、当然この廃棄計画をつくることになると思うんですね。その内容はどういうものなのかということをお聞きしておきたいし、自衛隊対人地雷の破壊は、だれがどのようにしてこれを確認するのか。  例えば立会人を決めるとか、写真によって爆破したことを確認するとか、あるいは爆発時の振動のチャート紙を添付することによって確認するとか。民間業者に委託するとすれば、どこでどのようにしてこれをやるのか。あるいは、解体して、鉄などはスクラップにして再利用とか、火薬は詰め直して工事用のダイナマイトに使うのかどうかは知りませんが、どういうふうな再利用をするのか。その辺の廃棄計画というものをやはりきちっとやることが必要だと思うのですが、これがどのように進んでいるのかということをお聞きしたいと思うのです。  もう一点、対人地雷については部品にしてしまうとわからなくなってしまうわけですが、部品の製造と輸出についても日本はこの法律の精神にのっとって禁止するという、この点の明確な意思を持っているはずなのですが、そこを確認しておきたいと思います。
  110. 伊藤康成

    伊藤(康)政府委員 ただいま自衛隊保有しております地雷につきましては、これは四年以内に廃棄するということでございまして、現段階ではとりあえず、その約四分の一ぐらいに相当しますが、二十二万発の廃棄分の予算平成十一年度の概算要求でお願いしているところでございます。以後、十二年度、十三年度ということで予算をお願いしてまいりたいというふうに思っている次第でございます。  それから、どのように廃棄をするかということでございますが、これは民間業者に発注をいたしまして、実質的には解体ということになるだろうと思います。その残った鉄なりをどう利用するかというのは、これは民間の問題になってくるのだろうと思いますし、恐らく、炸薬等は多分もう使えないのではないかというふうに聞いております。  輸出の関連につきましては、通産省の方からお答えがあると思います。
  111. 広瀬勝貞

    広瀬(勝)政府委員 廃棄について、法律上確認を行うようにすべきではないかということでございますが、御指摘廃棄の確認は、法律上も立入検査等によって行われることになっておりますので、その的確な運用を図っていくということではないかというふうに考えます。  それから、部品についての御質問がございましたけれども、部品につきましては、この地雷禁止条約そのものもそうでございますけれども、したがってこれを受けた法律でも、部品そのものを規制の対象にしておりません。ただ、それによってこの条約及び法律の実効性が減殺されるということになってはいけませんので、例えば製造の未遂といったような規定を設けまして、製造を目的として部品を製造したり所持する場合等には処罰の対象になるというようなことで手当てをしているところでございます。
  112. 吉井英勝

    ○吉井委員 最後にいたしますが、条約に参加していない主要な国は、大量に持っているし、大量生産能力も持っているし、輸出しているところもあるわけですね。そこが参加していないということで、条件が整えば参加するというようなことじゃなくて、この問題は無条件に参加させてこそ効果が上がると思いますので、私は最後に、この条約に参加させていく日本としての取り組み、大臣にこの点の決意を伺って、質問を終わりたいと思います。
  113. 与謝野馨

    与謝野国務大臣 まだこの条約に参加していない国がたくさんあることは先生御承知のとおりでございますが、やはりこの条約に多数の国が参加をして、実際の対人地雷禁止に向けて動いていくということが非常に重要でございます。  これは、この対人地雷禁止条約を普遍的な存在にするということ、また、条約に参加したということとその条約内容を実行できるような実効性の問題と、二つ私はあると思うわけですが、外務省を中心にいろいろな世界の国々に参加を呼びかけていく、また国内法の整備をお願いするということは、一般的な外交努力として、私は今後とも必要だろうと思っております。
  114. 吉井英勝

    ○吉井委員 終わります。
  115. 古賀正浩

    古賀委員長 横光克彦君。
  116. 横光克彦

    ○横光委員 社民党の横光克彦でございます。  今回の対人地雷全面禁止条約の批准の承認、そしてまた本委員会に付託されております国内関連法案の成立、これは大げさでなく、私は全人類の平和に向けての画期的な第一歩である、このように信じております。  先ほどから各委員のお話、また通産大臣政府委員の方々のお話にもございますように、この対人地雷は、核兵器同様、悪魔の兵器であり大量殺りく兵器であるわけです。子供や民間人や女性や軍人や、あるいは敵味方の区別なく行える無差別殺りく兵器であるわけです。さらに、被爆の後遺症同様、一度敷設された対人地雷は、戦争が終わって平和になっても、五十年あるいは百年その爆発力を保持しているという恐ろしい兵器であるわけです。  私は、この対人地雷問題は、もう防衛政策上の問題を超えて、緊急を要する人道上の問題であり、また、国の建設、再開発、こういったものを妨げる環境上の問題でもあると思っております。そういった意味から、核兵器同様、この対人地雷を人類の脅威から根本的に取り払うためにはこの地球上から廃絶するしかない、このように考えております。  ちょっと話がそれますが、世界の巨匠と言われました、そしてまた今回国民栄誉賞の受賞が決まりました黒沢明監督が、先日お亡くなりになりました。この黒沢監督の数多くの名作の中に「生きものの記録」という作品がございます。  広島、長崎に原爆が投下されてから約十年後の昭和二十九年、アメリカによるビキニ環礁の水爆実験が行われました。第五福竜丸が被曝したわけですね。これを契機に日本でも原水爆禁止の声が高まったわけですが、その翌年の昭和三十年に、黒沢監督はこの「生きものの記録」という映画を監督し、世に問うたわけです。これは、核におびえる庶民の生活を描いた作品で、黒沢作品の中では唯一とも言える反戦映画なわけです。  この映画の中で、非常に印象的なシーンがあるのですね。それは、主人公に扮する三船敏郎さんが、このビキニ環礁の水爆実験を報道している新聞を引きちぎりながら、ばかなものをつくりやがってと吐き捨てるように言うせりふがあります。そして、真っ赤に燃え落ちる夕日を見て、ああ、地球が燃えている、地球が燃えていると気がふれたように言うシーンがあるのですね。ばかなものをつくりやがってというのと、地球が燃えている、この二つの言葉に集約されたこの「生きものの記録」というのは、私は、黒沢明監督が全世界に向けて核廃絶を訴えたメッセージ、これを映画という手法で発信したのではないか、このよう に思います。  あれから四十三年たつのです。半世紀たつ。しかし、核軍縮、あるいは核の脅威は薄れたでしょうか。私はそうは思いません。数年前のフランス、中国の核実験、またことしの五月のインド、パキスタンの核実験、ますますその脅威は広がっているような気がしてなりません。  そういった中で、先日、二十三日にパキスタン政府が国連において、核実験全面禁止条約、CTBTに来年度署名する意向を初めて明らかにいたしました。これも大変画期的な私は決断だと思うのですね。このことによって、隣国であるインドも、パキスタンがそのようなCTBTに参加するならば、やはり同じような道を選んでくれると私は信じて期待しているわけです。  そういったいい形が一つできたにもかかわらず、同じ日に、今度はアメリカが臨界前の核実験を行う、それもあした行う、このように発表しました。それはCTBTには違反しないかもしれませんが、大変これはCTBTの精神に反するわけですね。なぜ、パキスタンがCTBTに署名する意向を示したのに、アメリカでは臨界前の核実験をやらざるを得ないのか。日本政府としては、ここを強く私は抗議すべきだと思いますが、まずそのことをお聞きいたしたいと思います。
  117. 須田明夫

    須田説明員 未臨界実験と申しますのは、現存する核兵器の安全性の確保等のために行われているものであると理解しておりまして、先生おっしゃいましたとおり、これは、包括的核実験禁止条約、CTBTにおいては禁止されていないというのが国際的な認識であると考えております。ただ、我が国といたしましては、核兵器のない世界を目指すという立場から、このような実験の取り扱いにつきましては、今後の核軍縮の全体的な取り組みの中で検討していくべき問題ではないかと考えております。  アメリカに対して抗議を申し入れてはいかんという御指摘でございますが、抗議というわけではございませんけれども我が国といたしまして、アメリカに対しまして、実験の目的、その内容等は照会してまいりたいと考えております。
  118. 横光克彦

    ○横光委員 たとえ同盟国とはいえ、本当に核軍縮の方向に水をかけるような私は行動だと思いますので、日本としても毅然としてやはり抗議すべきは抗議してほしい、このように思います。  今回のこの条約締結に至る国際的な潮流を形成する上で大きな役割を果たしたのは、私はNGOではなかろうかと思うのですね。要するに、地雷除去活動等を行ってきたXGOが非常に大きな役割を果たしてきたと思っております。また、そういった中で、国会でも超党派による対人地雷全面禁止推進議員連盟が結成されて、政府等に働きかけてまいりました。そういった中で、小渕総理が当時外務大臣のときに、大きな政治決断として条約署名に踏み切られたわけです。私は、この小渕総理の決断は大変すばらしいものである、大英断である、高く評価しなければならないと思っております。  そういった中で、この法案について、ちょっと確認の意味も込めてお尋ねいたします。  日本業者が、日本国内では当然のことですが、海外でも対人地雷及びその部品の製造にかかわることをこの条約では禁止されていると思いますが、そのとおりでよろしいのでしょうか。
  119. 広瀬勝貞

    広瀬(勝)政府委員 お答えいたします。  対人地雷製造それから所持につきましては、国外犯も処罰することになっております。そしてまた、この製造には未遂罪も適用されることになっております。そういった意味で、海外製造の未遂に当たるような部品の製造をやるということになりますと、これは罰則が適用されるということになるわけでございます。
  120. 横光克彦

    ○横光委員 在日米軍が、このオタワ条約禁止された対人地雷を事前通告なしに日本の領土や領海を通過することは、オタワ条約、この禁止条約では認められないと考えておりますが、この点はいかがですか。
  121. 須田明夫

    須田説明員 この条約におきましては、在留の外国軍に関しまして、この条約禁止している使用生産保有あるいは貯蔵といったようなことを防止し抑止する義務我が国は負っておりません。かつ、米国はこの条約締約国ではございませんので、在日米軍がこの条約の適用を直接受けるということもないわけでございまして、したがいまして、在日米軍対人地雷貯蔵保有することができるということでございます。  貯蔵保有が認められるということでございますから、この貯蔵あるいは保有された地雷輸送することについて、事前通告を条約上求めているということはございませんし、我が国としてそのようなことを米軍に求めることは考えておりません。
  122. 横光克彦

    ○横光委員 今回の条約により対人地雷禁止へ一歩を踏み出したわけですが、しかし、ほかの大多数の兵器、武器、これについては、その生産や輸出により莫大な利益を上げている大国あるいは死の商人というものが依然として存在するわけです。そのことが小国の対立をあおっているという現状でもあるわけですね。  日本が提唱している武器輸出登録制度、この確立への状況はどのようになっているか、お聞かせください。
  123. 須田明夫

    須田説明員 日本が提唱して導入されました国連軍備登録制度は、主要な武器輸出入国のほとんどが現在参加しておりまして、軍備の透明性を高める上で大きな役割を果たしております。我が国といたしましては、今後とも、こうした通常兵器の軍備管理の分野で積極的な役割を果たしたいと考えております。  ちなみに、対人地雷につきましても、このオタワ条約のみならず、より多くの国が加入できるような何らかの合意がさらに必要ではないかということで、現在、ジュネーブにおける軍縮会議におきまして、輸出入の禁止を中心とする合意づくりの努力も行っているところでございます。  またさらに、自動小銃等の小火器の問題もございますが、これにつきましても、日本は主導的な役割を果たしまして、国連の場を中心として検討を進めているところでございます。
  124. 横光克彦

    ○横光委員 今回の条約によって、今お話ございましたように、本当に日本が主導的な役割を持って全面的な武器生産、輸出の禁止に向けた努力をしていただきたいと思っております。  最後に、大臣にちょっとお尋ねいたします。  世界の現状は、いまだ、対人地雷除去する一方で新たな埋設が進んでいるんですね。毎年十万個が除去されていると言われておりますが、逆に毎年二百万個ペースで埋められている。イタチごっこですね。これが現状であろうと思っております。  今回の対人地雷禁止条約は、これまでのような使用方法の制限ではありません。対人地雷全面禁止への第一歩なんです。しかし、残念ながら、先ほどからお話ございますように、アメリカやロシアを初め中国、インドなど地雷製造大国等は、いまだに加盟に至っていないわけですね。対人地雷禁止の実効性を高めるには、これらの諸国条約加盟等、対人地雷禁止への取り組みを促していくことが必要であろうと思います。  平和国家日本として、我が国も積極的に関与していく必要があるのではなかろうかと思っておりますが、政府を代表いたしまして、通産大臣に政府の今後の決意をお聞かせいただきたいと思います。
  125. 与謝野馨

    与謝野国務大臣 この対人地雷禁止条約がうまく動いていくためには、やはり多くの国が参加していませんと、実は意味がないことでございます。したがいまして、こういうもの、こういうことがいまだこれに参加していない国々によって受け入れられる、受け入れていただくということのためには、日本を初めとして多くの国々が外交努力を払っていかなければいけないことは当然のことだと思っております。  一般的な外交努力として、日本が今後とも多くの国々に参加を呼びかけていく、これは非常に大 事な点でございまして、外務省が中心になって今後ともこの努力を続けるということは当然のことであり、また必要なことだろうと私は思っております。
  126. 横光克彦

    ○横光委員 終わります。どうもありがとうございました。
  127. 古賀正浩

    古賀委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     ―――――――――――――
  128. 古賀正浩

    古賀委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  内閣提出対人地雷製造禁止及び所持規制等に関する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  129. 古賀正浩

    古賀委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  130. 古賀正浩

    古賀委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――     〔報告書は附録に掲載〕     ―――――――――――――
  131. 古賀正浩

    古賀委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午前十一時三十分散会      ――――◇―――――