○
小林(守)
委員 民主党の
小林です。大畠
委員に引き続きまして、八月末に
栃木県の
北部そして
福島県南部を襲った
集中豪雨による水害の問題につきまして
質問をさせていただきます。
冒頭、
被災地の
皆さんに心からのお
見舞いを申し上げ、一日も早い
災害復旧と
生活再建に取り組んでいかなければならない、このように表明をさせていただきたいと思います。
また、この間、全国各地から温かい義援金を寄せていただき、また若いボランティアの
皆さん方が
被災地に入って家屋の中から土砂をかき出したり田畑に入ってしまった土砂やごみを撤去されている、このような姿に本当に感動を受け、また茫然自失としている
被災住民の
皆さんにとっては、本当に強い大きな励ましになっているというようなことを申し上げておきたいなと思っております。
死者・行方不明合わせて二十一名というようなことでありまして、特に
栃木県におきましては、
死者五名、現在行方不明二名というような
状況であり、
被害総額が現状では七百五十億から八百億近い
数字が出ているところでありますけれども、いずれにしても、行政は全力を挙げて
災害復旧と
生活再建に取り組んでいただきたい、このように思うところであります。
今回の
集中豪雨の特色というか、雨量等の問題を見ていきますると、まさに異常気象と言えるような
状況ではなかったのかな、このように思います。
ちなみに、
那須観測所における雨量によりますると、八月二十六日から三十一日の総雨量が千二百五十四ミリ、これは当
地域の年間
降雨量の三分の二に当たる。わずか一週間足らず、五日間の間に年間
降雨量の三分の二が降ってしまったというようなことであります。また、八月二十七日の未明、午前二時ごろの一時間当たりの雨量では九十ミリというようなことが記録されておるようでありますし、また、その日の二十四時間の総雨量が六百ミリというようなことでありますから、まさに異常と言えるような
降雨量であったのではないのかな、このように思うわけであります。
これは、一説に、温暖化による異常気象だというような指摘をなさっている専門家もいらっしゃいますけれども、いずれにしても、予測不可能な、百年に一遍どころか、もっと確率の低いというか少ない雨が局地的に集中的に降ったということだろうというふうに思います。そういう点で、今後の
災害復旧や防災
対策を考えていく上で、私は、大きな
教訓をこの
災害から引き出しておかなければならないのではないか、このように考えているところでございます。
実は、
地元の酪農家で
被災された方の談話などがありますので、ちょっと紹介させていただきます。
黒磯市の寺子というところで酪農を営んでいる佐藤さんという方の
お話でございますが、現在
避難所で生活中でございます。この方は、百四十頭の乳牛を
余笹川の濁流に失ったわけであります
が、その中でも何頭か生き残ったのがおるようでありまして、百四十頭のうち十九頭が残ったというようなことでありますけれども、これを元にまた営々と酪農をもう一回やり始めようというようなお気持ちになっておられるようであります。
八月二十七日の午前四時に、毎日の仕事ですから、目が覚めて牛舎の戸をあけていったらば、まさに牛舎では牛がひざまで水につかっておりまして、悲痛な鳴き声を上げていた。しかし、それまで気がつかなかったというか、もちろん牛舎と住まいの方は離れているでしょうし、すごい雨の音で牛の鳴き声などは全然届かなかったというようなこともあるのでしょう。突然、四時に毎日の仕事のつもりで牛舎の戸をあけたらば、まさにどうにもならないような状態になっていた。そして、要は、牛を救うどころか、自分たちの家族をたたき起こして逃げるのが精いっぱいだった、こんな状態で、茫然自失を余儀なくされてしまっているというような
状況であります。
その方がこう言っております。行政が
豪雨の情報を早く流してくれていれば牛は救えたのではないか。もちろん家族は救われたのですけれども、やはり牛を救いたかったというお気持ちを強く表明されておりました。少しでも早くその情報がわかっていれば牛を流さずに済んだ、殺さずに済んだというような思いだろうと思うのですね。
こんなことを考えるならば、今回の
災害の大きな特色として、記録的なというか未曾有の
降雨量であったということ、しかも、
早期の情報伝達システムとか
早期警戒や
避難を進めるための行政などのソフトの取り組みが不十分ではなかったのか、落ちている問題点がなかったのかということを指摘しなければならないというふうに思います。
もちろん、雨量観測のシステム、アメダスの設置場所はどうだったのかとか、それから
建設省の方の雨量観測のデータ収集の情報、気象庁と
建設省の情報交換はどうなっていたのかとか、それを集計して県を通して自治体に情報の流れがきちっとされていたのかどうか。もちろん情報は自治体までは行っていると思うのですけれども、行政から
住民に対してどのような
早期警戒や
避難のための情報が伝えられていたのかどうか。この辺に私は、この
災害における大きな
教訓があるのではないかなというふうに思うわけであります。
温暖化の問題は別にしまして、避けられぬ自然現象、当面このような異常気象というのはより激しくなってくるのではないか、私はこのように思えてならないのですが、避けられぬ自然現象であるならば、
被害をいかに少なくしていくのか、こういう観点に立って今後の
対策を立てなければならないのではないか、このように考えているところであります。
そういう点で、予知や観測体制のあり方、強化の問題、雨量観測体制はどうだったのか、そして防災行政無線の整備は
黒磯や
那須町ではどうだったのか、この辺についても確認をし、不十分であるならば早急に、少なくとも、あそこは危険ですよ、一定以上の雨量があると危険になりますよという危険な箇所とか危険な
地域とか、それから
災害の弱者、こういう人に対しては
地域防災計画の中にきちっと位置づけられている、なおかつ、防災行政無線をより
住民に直接的に知らせられるような
措置が
地域防災計画の中に位置づけられていなければならないのではないか、こんなふうに思えてなりません。
ただ、ある程度の危険
地域はわかっていても、
住宅をそこに建てて生業を営む、これはだめだということはなかなか難しいのではないか。これは、さまざまな建築
関係の方の規制とか都市計画上の規制とかありますけれども、しかし、
河川のそばではあっても、それが法律的に満たされているところであるならば、危ないから住んではいけないというような規制はできないところなのだというふうに思うのですね。
ですから、一定の自己責任を持ってもらわざるを得ないわけですけれども、しかし、おたくはこれ以上の雨が降ると危険になりますよということだけはよく知らせておく、知っておいていただく。そして、防災体制の中ではそこにはいち早く情報を流す。こんなことがこれから
災害において求められている問題ではないのかなというふうに思います。
一連の
質問、重なってしまいましたけれども、今回の防災
対策について、
災害についてどのような
教訓を受けとめているのか。それから自治体における初動の取り組み、一生懸命やってくれているのはわかりますけれども、しかし初動の体制はシステム的にどうだったのか。ソフトの体制はどうだったのか。
早期の情報伝達システムや防災行政無線の整備はどうだったのか。この辺をしっかりと総括していただきたいなというふうに思います。