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小林(守)
委員 再評価の対象ということで、今年度において再評価の対象として
実施するというようなお話でございました。
そこで、まず再評価の視点について、今お話がございましたように、四つの視点で再評価を行うのだというようなことでありますが、
事業の進捗
状況とか社会経済情勢の変化、それから費用対効果、コスト縮減、代替案の立案、こういう
観点で再評価をするというようなお話でございましたし、また、
事業評価監視
委員会は関東地建に設置される
委員会において
実施されるというようなことでありますが、これらの評価に当たって、幾つかの
問題点を指摘させていただきたいというふうに思っております。
公共事業が国民的な合意のもとに民主的に進められるためには、何といっても情報の開示と住民参加のシステムが
確保される、いろいろな多様な参加の仕組みがあるのだろうというふうに思いますが、情報公開と住民参加の国民の声をしっかりと受けとめられる仕組み、こういうものをどう
制度化するか、そこにかかっているのだろう、このように思うわけであります。
もちろん、財政的な
状況を考えるならば、費用対効果の問題については、貴重な国民の税金を投入するわけでありますから、相当厳しい費用対効果の分析を国民に説得力のある形で示す必要があるだろう、このように私自身は思っているところでありますし、当然、そういうことを踏まえた上での再評価になるのであろうというふうに思うのです。
しかし、具体的には、例えば思川開発
事業については、
民間の研究者
団体などの
皆さん方、
専門家の
皆さん方から、過大な水需給予測に基づいた計画ではないのかというふうに指摘をされております。少なくとも、
昭和三十九年、ちょうど高度成長の始まりでしょうか、その
時点で計画、構想が発表されたというようなことでありますし、それ以来、構想発表から三十四年間たっている大規模
ダムであります。
そういう点で、国土庁も含めて、二〇〇〇年に向けてのいわゆるウォータープラン二〇〇〇というのが出されておりますけれども、私は、過大な水需給予測に基づいた計画ではなかったのか、そういう点での、社会経済情勢の変化というかそういうものがきっちりと再評価の視点として入れられなければならないのではないか、このように思います。
というのは、工業用水の需要の変化、これは水をたくさん使う重化学工業の産業構造から、できるだけ使わないような軽薄短小の情報産業とかその他の産業に構造が転換してきているという事実がございますし、また農業用水についても減反とか宅地化、そういう過程の中で、農業用水として使われる需要というものは減ってきていると言えると思いますし、もちろん国民の意識の中における節水意識、こういうことも高まっているというふうに言えるかと思います。
そういう点で、過大な水需給予測ではないのかという
観点からの見直しがまず必要だろうというふうに思いますし、もう
一つ、費用対効果の問題についても、積算単価というようなものを相当精査しないと、さまざまな積算単価の基礎になっている数値が実際の
民間における
取引よりも高い見積もりになっているのではないかというようなことも言われております。
そういう点で、この見直しの視点の中に、過大な水需給予測、それから単価の見直し、そして節水社会をつくるという視点からの国民意識の動向、こういうものもやはりきちっと押さえる必要があるだろう。もちろん人口動態という視点もありますね。一極集中という、高度成長時代に、我々は首都圏に位置しまして、労働力も含めて、東京を中心にどんどん人を流出させてきた
地域になるわけでありますけれども、今日ではその流れも変わりつつあると言っていいと思うのです。
ですから、とにかく水が足りないのだというだけの発想ではない時代になっているのではないか、このように思いますし、また、東京一極集中の是正という視点に立つならば、水が足りないのだから
ダムをつくって水を供給してくれということだけでやることは、一極集中をさらに助長するような仕組みをつくっていくことになるのだろうと思うのです。
そういう点で、確かに都市用水の中でも工業用水は安定化してきている、むしろ減少化傾向にある、しかし、生活用水についてはまだまだ増加の傾向にあるというのは事実だと思うのです。生活形態が非常にぜいたく化というか、水を使うような生活スタイルに変わってきておるというのもあるでしょう。しかし一方では、節水社会意識というかそういうものも高まっておりますから、これは社会意識を大きく転換していく中で抑えていける部分でもあるのではないか、このように思いますから、ただ単に水が足りないから
ダムをつくれという発想ではない時代を今迎えているのだろうというふうに思います。そういう
観点で視点の見直しが必要だと思います。
それからもう
一つ、東京の水を考える会という
民間団体があるのですが、この事務
局長であります東京都環境科学研究所の嶋津暉之さんという方、研究者、
専門家でございますが、この方の提言の中には、この思川水系の過去五年間の水量のデータを分析して水収支という計算をしたならば、五年の間に一年半は貯水がゼロになるときが出てきますよと。
これは、データに基づいて推定というか計算されているのですが、
民間団体の研究者、
専門家がこのような水収支で、貯水量がゼロになるときが五年の間に一年半ぐらいあるというようなデータを出されておりますけれども、要は、そういうさまざまな研究の成果も含めて再評価をするべきではないのか、このように思いますので、その再評価の視点について、ちょっとお聞きをしたいと思います。