運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1998-10-09 第143回国会 衆議院 建設委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十年十月九日(金曜日)     午前十時二分開議 出席委員   委員長 遠藤 乙彦君    理事 佐田玄一郎君 理事 谷畑  孝君    理事 原田 義昭君 理事 宮本 一三君    理事 鉢呂 吉雄君 理事 吉田 公一君    理事 井上 義久君 理事 青木 宏之君       飯島 忠義君    岩永 峯一君       小林 多門君    田中 和徳君       玉沢徳一郎君    西川 公也君       蓮実  進君    松本 和那君       目片  信君    山本 幸三君       山本 有二君    渡辺 博道君       石井 紘基君    鍵田 節哉君       小林  守君    畑 英次郎君       平野 博文君    松沢 成文君       山本 譲司君    遠藤 和良君       西野  陽君    辻  第一君       中島 武敏君    中西 績介君  出席国務大臣         建 設 大 臣 関谷 勝嗣君         国 務 大 臣         (国土庁長官) 柳沢 伯夫君  出席政府委員         国土庁長官官房         長       久保田勇夫君         国土庁防災局長 林  桂一君         大蔵大臣官房審         議官      福田  進君         労働省労政局長 澤田陽太郎君         建設大臣官房長 小野 邦久君         建設大臣官房総         務審議官    小川 忠男君         建設省建設経済         局長      木下 博夫君         建設省都市局長 山本 正堯君         建設省河川局長 青山 俊樹君         建設省道路局長 井上 啓一君  委員外出席者         建設省住宅局長 那珂  正君         参  考  人         (日本道路公団 緒方信一郎君         総裁)         参  考  人         (日本道路公団 黒川  弘君         理事)         建設委員会専門         員       白兼 保彦君     ――――――――――――― 委員の異動 十月九日  辞任         補欠選任   松本 和那君     渡辺 博道君   樽床 伸二君     松沢 成文君   畑 英次郎君     石井 紘基君   平野 博文君     小林  守君   市川 雄一君     遠藤 和良君 同日  辞任         補欠選任   渡辺 博道君     松本 和那君   石井 紘基君     畑 英次郎君   小林  守君     平野 博文君   松沢 成文君     鍵田 節哉君   遠藤 和良君     市川 雄一君 同日  辞任         補欠選任   鍵田 節哉君     樽床 伸二君     ――――――――――――― 九月二十一日  関越自動車道上越線暫定車線区間完成四  車線化早期実現に関する請願堀込征雄紹介  )(第一八三号)  同(小坂憲次紹介)(第二六六号)  同(北沢清功紹介)(第三三六号) 同月二十八日  住宅都市整備公団の公平・公正な価格政策の  実施情報開示に関する請願秋葉忠利紹介  )(第四四九号) 同月三十日  建築設備士に対する建築士に準ずる資格創設に  関する請願川内博史紹介)(第五八二号)  関越自動車道上越線暫定車線区間完成四  車線化早期実現に関する請願村井仁紹介)  (第六三六号) 十月一日  熊本県川辺川ダム建設事業促進に関する請願  (園田博之紹介)(第七〇一号)  同(東家嘉幸紹介)(第七五九号)  関越自動車道上越線暫定車線区間完成四  車線化早期実現に関する請願小川元紹介)  (第七五七号)  同(木島日出夫紹介)(第七五八号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 九月二十九日  四国地方の高規格幹線道路等整備促進に関す  る陳情書  (第一二九号)  九州地方高速自動車国道等整備促進に関す  る陳情書  (第一三〇号)  和歌山県の高規格幹線道路網等建設促進等に  関する陳情書  (第一三一号)  高速道路等通勤定期割引利用制度導入に関す  る陳情書外一件  (第一三二号)  紀淡連絡道路及び伊勢湾口道路並びに東海南海  連絡道整備に関する陳情書  (第  一三三号)  太平洋国土軸構想及び地域連携軸構想推進  に関する陳情書外一件  (第一三四  号)  有明海・八代海沿岸地域を環状に結ぶ広域的道  路を活用した同地域開発促進に関する陳情書  (第一三五号)  中九州連携軸構想推進に関する陳情書  (第一三六号)  九州西岸軸構想及び島原・天草・長島架橋構想  の推進に関する陳情書  (第一三七号)  地方振興に配慮した公共事業重点配分に関す  る陳情書外一件  (第一三八号)  水資源対策充実強化に関する陳情書外二件  (第一三九号)  吉野川第十堰の可動堰による早期着工に関する  陳情書  (第一四〇号)  公共下水道整備事業等都市基盤施設整備に関  する陳情書  (第一四一号)  道路整備予算確保に関する陳情書外一件  (第一四二号)  東九州軸の新たな九州地方開発促進計画への位  置づけと東九州自動車道整備等推進に関す  る陳情書  (第一四三号)  本州四国連絡橋建設促進に関する陳情書外一  件  (第一九八号) 十月一日  道路整備予算確保に関する陳情書外四十八件  (第二四二号)  高規格幹線道路網等整備促進に関する陳情書  (第二四三号)  太平洋国土軸構想及び日本海国土軸構想並び  に地域連携軸構想等推進に関する陳情書  (  第二四四号)  公共事業地方への重点配分に関する陳情書  (第二四五号)  治水・砂防事業予算確保に関する陳情書  (第二四六号)  水資源対策充実強化に関する陳情書  (第  二四七号)  那珂川築堤等早期完成に関する陳情書  (第  二四八号) は本委員会参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  建設行政基本施策に関する件  国土行政基本施策に関する件      ――――◇―――――
  2. 遠藤乙彦

    遠藤委員長 これより会議を開きます。  建設行政基本施策に関する件及び国土行政基本施策に関する件について調査を進めます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  両件調査のため、本日、参考人として日本道路公団総裁緒方信一郎君及び同理事黒川弘君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 遠藤乙彦

    遠藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――
  4. 遠藤乙彦

    遠藤委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。佐田玄一郎君。
  5. 佐田玄一郎

    佐田委員 質問をさせていただきます。  まず最初に、ハイウェイカード販売に当たりまして、先般の新聞等にも随分書かれておるわけでありますけれども、日本ハイカを中心とした事件が起きたわけでありますけれども、大変建設委員会としても遺憾に感じておる次第であります。この辺の事実関係について、まず御説明を願いたいと思っております。
  6. 緒方信一郎

    緒方参考人 当公団は、高速道路有料道路料金プリぺイドカードでありますハイウェイカードを発行いたしまして、日本ハイカ株式会社に対して販売業務委託しておるところでございます。  日本ハイカ株式会社は、直接カード販売いたしますほか、二千七百の者に対しまして販売委託いたしまして、全国二万七千カ所の店舗カード販売いたしております。  ただいまお尋ねがございました今回の事件でございますが、日本ハイカ株式会社カード販売委託をしておりました者と日本ハイカ株式会社との間におきまして、カード代金約二十七億円の支払い遅延をしているというものでございます。  具体的には、日本ハイカが、ケイエス・プランニング、現在の名前でございます、契約当時の会社名釜本スポーツ企画と申しておりましたが、にカード販売委託しておったのでございますけれども、平成七年九月分以降、ケイエス・プランニングから日本ハイカヘカード代金支払いが遅廷をするようになりまして、その後、任意交渉及び民事調停を進めてまいりましたが、本年八月四日に調停打ち切りになりまして、同日、日本ハイカケイエス・プランニング及びその連帯保証人を相手として、カード代金約二十七億円等の支払いを求めて民事訴訟を提起したというものでございます。  さらに、本年九月一日に東京地検によりまして、日本ハイカの元船場支店長ケイエス・プランニングの当時の実質的な担当者ほか一名が商法の特別背任の容疑で逮捕されまして、九月二十一日にその船場支店長ケイエス・プランニングの当時の実質的な担当者の二名が起訴されたというのが事件の概要でございます。
  7. 佐田玄一郎

    佐田委員 きめ細かい御答弁をいただきまして。  そういうケイエス・プランニング、要するに再販売店なんでありますけれども、この枠組みを見ますと、道路公団から民間でもある日本ハイカに、ここを見るとほとんど丸投げ状態であったのじゃないか、こういうふうに思われるわけであります。と同時に、要するにハイウェイカードをつくるときに、企画とかデザイン、それといわゆるエンコードといってお金を磁気テープに入力する、それとまた印刷であるとか加工、こういうことがあるわけでありますけれども、ほとんど丸投げ状態にあったということは、これは事実なんでしょうか。
  8. 緒方信一郎

    緒方参考人 丸投げという言葉はちょっとやや誤解を招きやすいかと思いますけれども、要するに、日本ハイカ株式会社に一括して、ただいま御指摘のありました製作それから販売のすべてをお任せしておったということは事実でございます。
  9. 佐田玄一郎

    佐田委員 そういう形を丸投げというのですけれども、いずれにいたしましても、ただ、私はここで一番感じておるのは、やはり日本ハイカがやって、その日本ハイカという会社自体がどういうふうな沿革というか成り立ちがあったか、この辺に私はいろいろな問題点があったのではないかと思うわけでありますけれども、この日本ハイカという会社自体がどういうふうな流れでできてきたのかを御説明願いたいと思います。
  10. 緒方信一郎

    緒方参考人 ハイウェイカード沿革にさかのぼるわけでございますけれども、ハイウェイカードというものが、キャッシュレス化によりますお客様サービス向上を図るために、昭和六十二年の十二月にまず常磐自動車道に初めて導入をいたしたわけでございます。以来、順次全国高速道路導入を進めてきた、そういう経緯がございます。  公団といたしましては、ハイウェイカード全国高速道路に順次導入を図っていくためには、さらなる強力な販売促進利用促進を図る必要があるということと、購買意欲のあるお客様への利便性を図るということで、全国的に幅広く販売の場所、販売店でございますが、を確保する必要があったわけでございます。  こういう販売促進公団がみずから直営で実施をするというのは、これは膨大な組織と人員を必要とするということに相なりますので、業務効率化観点から、ハイウェイカード販売に係る業務を外部委託化するということにいたしたわけでございます。当時はハイウェイカード販売業務に参入を希望する企業もなかったために、ハイウェイカード販売専門とする会社として設立されました日本ハイカという会社に、平成元年業務委託したということでございます。  それから、製作につきましては、平成六年度以降、製作業務について日本ハイカ委託をした、こういう経緯がございます。  参考までに、昭和六十三年にはハイウェイカードは約六十万枚で九十四億円の売り上げでございましたが、そういうわけで大変営業努力等々が相まちまして、平成九年度には約二千三百万枚で四千八百億円の売り上げに達しておる、こういう状況でございます。
  11. 佐田玄一郎

    佐田委員 今御説明がありましたように、要するに、高速道路利用者利便のために当初ハイウェイカードを考えられた。  当初、基本的にこれがどのぐらい市場に出回るのか、これはまだ非常にあいまいなところがあったのじゃないか、こういうふうに思うのです。本来であるならば、こういう例えばハイウェイカードというのは基本的にこれは現金です、はっきり言って。普通の商品とは違うわけで、現金でありますから、実際問題として、本来でしたらば道路公団の中でやる必要性もあったのじゃないか。しかしながら、これだけ大きくなってきて、利用者も非常にこれを利便性を認めておる。ただ、この組織の中で、今も御答弁ありましたようにこれを道路公団でやるという話になると、大変な、これは膨大な組織になってくる、これは事実だと思うのです。再販売店の数からしても相当な数、そしてまた都市部であるとか地方部、要するにこの割り振りの問題であるとか、かなりこれは組織的にやっていかなくちゃいけないのじゃないかと思うのです。そういう中において今回の事件があったわけでありますけれども、なかなか手が届かなかったという部分もあるのではないか、私はそういうふうに理解をしております。  と同時に、先般、前国会においては、ハイウェイサービスという会社がありまして、その会社が基本的に道路維持修繕をやっておったわけであります。こういう仕事というのも、皆さん方高速道路を通ってみるとわかると思うのですけれども、非常に危険な作業であります。物すごいスピードでみんな車は走っておるわけでありますから、そういうことを考えますと、必ずしも競争入札がこれに適合するのかどうか、こういう議論を前国会で私はしたと思うのですね。そして、皆さん方にもそういう御理解をいただきました。  私は、同じように、要するに安全性であるとか利便性とはまた別に、組織の中のあり方というところから、そのギャップにおいて事件というのが発生しておるのではないか。しかしながら、これだけの急激な伸び方をしておりますと、なかなかそれも追いついていかないという難しさが私はあるのではないかと思うのです。  そういう中におきまして、今道路公団の方で、「特殊法人等整理合理化について」、いろいろな改善計画がなされておるわけでありますけれども、これは十二月に閣議決定がされております。これはどういう状況で今進んでおるのか、御説明を願いたいと思います。
  12. 緒方信一郎

    緒方参考人 特殊法人といいますか公団及び関連法人改革ということで、平成九年の十二月に閣議決定がなされまして、現在まで順次その具体化を図ってきておるところでございます。  その中で、関連法人改革につきましては、一つには、高速道路サービスエリアにおきます道路施設協会独占占用というものが改められまして、地方公共団体出資をする第三セクター占用が可能になるというふうなことで、これは、道路局長通達平成九年の十月に改正をされております。現在、一部第三セクター占用主体になっておるというふうなことで、占用主体多元化というものが図られつつあります。  それから、道路施設協会自身を分割するということにつきまして、本年七月に財団法人ハイウェイ交流センターというものが設立されまして、さらに、道路施設協会財団法人道路サービス機構ということに名称変更して、十月一日から二つ財団によります事業が本格的に開始をされたところでございます。これによりまして、従来、道路施設協会単独で行っておりました仕事二つ団体で相互に競争し、サービス向上を目指すということに相なるわけでございます。  さらに、協会から公団に対します収益還元を拡充するという観点から、平成十年三月に道路法施行令改正されまして、平成十年度から占用料を引き上げまして、道路施設協会への収益をそれだけ公団の方に還元をするという改正が行われております。  それから、公益法人が保有いたします民間会社の株についても、平成八年九月の閣議決定によりまして処分をするということが決まりまして、処分期限平成十一年九月末ということになっておるわけでございます。従来、道路施設協会がいわゆる関連会社六十六社に出資をしておったわけでございますけれども、現在までに約八五%の株式の処分がなされておるというようなことでございまして、関連法人改革は逐次進められているという状況でございます。
  13. 佐田玄一郎

    佐田委員 李下においては冠を正さず、こういう言葉もありますので、ぜひこういう改革は速やかに行っていただきたい、こういうふうに思っておるわけでございます。  今お聞きしましたところによると、道路施設協会関係、これもやはりそういう危険な事業であるとか、本当に国民に対する利便性、安全の確保、こういうことも含めてやっていかなくてはいけないのではないか。それと、今回の問題も延長線上にあるのではないかなと私は思っておるわけでございます。  あくまでも日本ハイカは、確かにこれは民間企業であります。先ほど私もお話ししましたとおり、民間企業に対して、確かに大変な膨大な組織が必要ではありますけれども、こういう事件が再発しないように、例えばこれからちゃんと競争入札をするであるとか、ちゃんと資格を確認するであるとか、ぜひともあらゆる要件をつくって改善していっていただきたい、かように思っております。  今のこの問題について、ハイウェイカードについての組織改善策というのをお聞かせ願いたいと思います。
  14. 緒方信一郎

    緒方参考人 今回のハイウェイカード事件につきましては、公団自身が損害を受けているわけではないのでございますけれども、関係をしました取引先といいますか、販売代金支払い遅延事件が発生して関係者が逮捕されたというふうなことは、公団としても大変遺憾なことであるというふうに考えておるわけでございます。  こういうことが起こりました原因というのは、ハイウェイカードというものの販売額が非常に膨大なものになってきておるというものに対して、少し対応がおくれたということが一つあるのではないかということがあるわけでございますけれども、今回の事件にかんがみまして、二度とこういうことを起こさないということから、幾つかの改革をいたしております。  事件が発生しましたときに直ちにとりました、事件が発生しましたのは平成七年でございますけれども、それまで後払い方式というものを認めておったわけでございますが、原則全部前払い方式にする。現金最初に納めなければカードを交付しないというふうにその時点で改めました。後払いにする場合には、銀行保証等の厳正な取り扱いを確実に実施するということをその時点実施をしております。  今回、ことしになりましてからですが、この問題が大きく取り上げられてから、建設大臣からの御指示を踏まえまして、ハイウェイカードの作成、販売方法を抜本的に改正をするということにいたしました。  一つは、製作につきましては、先ほど先生が御指摘ありました、印刷加工エンコードというようなことを全部日本道路公団が自分でみずからやるということに、今年中にそういう体制に移したいというふうに考えております。したがって、でき上がったものを売ってくれと言って渡すという形にする。その点では、丸投げという、そういう疑われるおそれはそれだけ減るということになろうかと思います。  それから、販売につきましても、公団業務効率化を図りつつ、透明性競争性確保するために、一つは、信用力のあります大口販売者につきましては公団と直接販売委託をする、間にいわゆる卸売を通さないで直接販売委託をするということをやりたいと思っております。ただ、全体としては、二千七百の代理店が現在あって、二万七千の店舗でやっておりますので、全部直接というわけにいきませんので、それ以外のものについては代理店制をやはりとらざるを得ないだろう。ただ、それは複数の代理店ということにして、単独のものに任せるということはもうやめようということでいきたいと思っております。  さらに、そういうものを選ぶ場合には、第三者の意見を聞く仕組みを設けるとか、あるいは手数料率を下げるとか、あるいは前払い方式、または銀行保険会社保証保険による厳格な取引を行う等々の非常に厳格な取り扱いをしたいというふうに思っております。これは今年度中にそういう体制に移行したいというふうに考えております。あわせまして、チェック体制、これもちょっと甘さがあったのではないかという反省から、厳しくチェック体制を改めてまいりたい。  かような措置をとりまして、二度とこのような事件が起こらないように努力してまいりたいと存じております。
  15. 佐田玄一郎

    佐田委員 今、総裁の方からチェック体制という話がありましたけれども、私はその辺が一番大事なことではないかと思うのですね。  ですから、あくまでも日本ハイカというのは民間会社であります。こういう会社に対して、例えばいろいろな、先ほどの組織的な問題がありましたけれども、道路公団としては、発注をする以上は、販売条件であるとか、またそういうあらゆる条件であるとか入札制度の問題であるとか、こういうことをしっかりとこれからもチェックをしていっていただきたい、かように思っております。  高速道路も相当に日本全国網羅してまいりまして、私も地元に帰りますと、農家に行っても農業予算と言わないのですね。むしろ、道路を入れることによっていろいろな方々に中央である都市部から農村部に来ていただき、そして農産物を買っていただく、また、こういう基幹的な高速道路が発達することによって、要するにいろいろなものを都市部農村部との交流ができるということで大変喜んでおるわけであります。  そういうことを考えますと、ぜひとも、今高速道路も一万一千二百五十キロを目標としている中で、まだ六千四百キロしかできていないわけでありますから、こういう急激な状況も、一つのひずみとしてこういうことが起きてくるのであろうと思いますけれども、その辺の道路公団チェック機能をしっかりとこれから確保していっていただきたいと、心からお願いを申し上げる次第であります。  私ごとでありますけれども、うちの方も北関東横断道がありまして、うち地元の方も大変期待をしておるわけであります。できるだけ早くお願いします。  時間がだんだんなくなってまいりましたけれども、私はこの間新聞を見まして大変気になったことがありまして、それは、地方分権推進委員会が第五次勧告を、うわさによると十月ぐらいに出してくる。この中には、国道の一号から五十八号以外はほとんど地方道にしてしまう、または、都道府県をまたがる河川ダム以外は地方に移譲と。こういうことをした場合に、大変な混乱が生まれるんじゃないかと私は思っておるのです。  と同時に、では地方はどうかというと、この間聞いておりましたら、職員の退職金も起債でやるなんという大変苦しい地方自治体もあるということを聞いておる。そういう中において、地方分権推進委員会だけがどんどんどんどん先走ってやっていく。果たしてこれが同じベクトルで、今の景気も非常に低迷している中で、こういうふうに同じような方向でやっているのかどうか、ちぐはぐになっているんじゃないか。  このうわさはどうなのか、答弁をお願いいたします。
  16. 小川忠男

    小川政府委員 お答えいたします。  今、お話ございましたように、分権委員会からは、国道あるいは河川等々について、かなり大胆と申しますか、若干常識を逸脱したような感じでのボールが、提案がなされたのは事実でございます。それ以降、いろいろな形での議論を積み重ねてまいりました。  それで、現段階では、率直に申し上げまして分権委員会の方も、一回目の提案はやや行き過ぎであったというふうなことを率直にお認めになっているのではないかという受けとめ方をいたしております。ただ、そうはいいましても、それならばというふうなことで、どういうふうな形でのお考えがあり得るのかというふうなことを少し模索するという、次のステージに入りつつあるのかなというふうな状況でおります。
  17. 佐田玄一郎

    佐田委員 私は、決して地方分権が悪いということを言っているわけではありません。今小選挙区にもなって、むしろ地方分権が進み、本当の意味で政策の対立による選挙、そして国民の御理解を得ている。決して悪いことではありませんけれども、全く地方分権の本来の趣旨を逸脱したようなこういうことが言われて流布するということは、私は大変危惧をしておるわけであります。  勧告が閣議決定された場合に、これはひとり歩きをしてしまうわけですね。これは、例えば建設省についてどういうふうな拘束力を持つのか、御答弁願います。
  18. 小川忠男

    小川政府委員 これは閣議決定一般の性格だと思いますが、やはり私どもも政府機構の一員でございますので、中身の是非にかかわらず、閣議決定をされれば、それを役所としてはきちっと遵守して遂行するという立場にあると思います。
  19. 佐田玄一郎

    佐田委員 今皆さん方もお聞きになったと思いますけれども、これが閣議決定をされると、これは大変なことになるわけでありまして、その方向に向かって全体的に進んでいってしまう。私は、もっともっとじっくりこれは検討をし、政治の場もきちっと議論をして、そういう体制をつくっていかなくてはいけないんじゃないか、こういうふうに思っているのです。  と申し上げるのは、これは建設省のみならず、農林省もそして運輸省もすべてにわたっておるわけであります。なおかつ、これは文部省もそうなんです、実は。地方分権が進むということで、要するに、例えば文教関係で、本来でしたらば、私なんか思うのですけれども、教育委員会主導でしっかりとがっちりしてやっていかなくてはいけないところを、何かトラブルが起きたときにほとんど責任のない校長先生のみが責任をおっかぶせられる。かといって、では学校の中の先生方がすべて言うことを聞くかというと、そうではないんですね。そういうことを考えたときに、本当にまさに子供たちが離反をしていってしまう。しっかりと現状を把握して、地方分権のいいところ、悪いところをじっくりと議論して勧告していくような、やはり一つの枠組みをつくっていかなくてはいけないんじゃないか、こういうふうに思っております。  今、閣議決定という言葉が出ましたけれども、大臣、この辺で、こういうことを閣議決定されたらこれは大変なことになるわけでありますけれども、大臣の御所見を、こういうことはやらないということをぜひ言っていただきたい。
  20. 関谷勝嗣

    ○関谷国務大臣 地方分権推進委員会のことにつきましては、私もとにかくオープンに正直にお話をしていくということで、いろいろな場所で私の考え方を述べさせていただいておるわけでございますが、先般発表されましたように、佐田先生おっしゃるように、五十八号以外は云々というようなことは、とてもこれは常識で考えられる話ではないわけでございまして、やはり国道であるとか河川で直轄で行っておりますのは、これは日本の国づくりの基本的なもの、また広域的な事業に限ってやっておるわけでございますから、ですから、今建設省では、基準づくりをきちっと行うということで対処をしていこうと思っておるわけでございます。したがいまして、その基準で行いますれば、現在の情勢がほぼそのまま維持されるのではないかなと私は思っております。  それから、先生御指摘のように運輸、農林、水産、そして先生御指摘ございました文教のところもございましょうが、いずれにいたしましても、その各省がまとまりまして地方分権についての考え方を今まとめておりますので、また御支持、御支援のほどをお願いいたしたいと思います。
  21. 佐田玄一郎

    佐田委員 時間がなくなったのですけれども、最後に一問だけ大臣にお伺いしたいのであります。  先般八月二十六日に、福島県西郷村にある救護施設からまつ荘で死者五人を出す土砂災害が発生したわけであります。  こういうことを踏まえて、建設省の方で調べましたら、大変危険な箇所、土砂災害危険箇所が九千施設もある。要するに、そういう施設で九千施設もある。私はこれを見たときに、やはり政治の役目として、お年寄りの方々、体にハンディを持つ方々はなかなか逃げられないわけでありますから、こういうところを例えば今度の追加補正であるとか、これは緊急を要することです。人命にもかかわることであります。ぜひ、これは早急にしっかりと対処をして、こういう災害が二度と起きないようにお願いをしたいと思います。  これを一言だけお願いいたします。
  22. 関谷勝嗣

    ○関谷国務大臣 その件につきましては、厚生省と連絡を密にしながら、指定の場所を厳しく行って、弱者に対しては特段の対策を行いたい。今現在進めております。
  23. 佐田玄一郎

    佐田委員 終わります。
  24. 遠藤乙彦

    遠藤委員長 宮本一三君。
  25. 宮本一三

    ○宮本委員 宮本一三でございます。  きょうは質問に入る前に、公共事業に関して私が考えていることを最初にちょっと述べさせてもらいたいと思います。  御承知のように、今年度、平成十年度の当初予算では、平成九年度当初予算に比べて、七%ですか、七千六百億の減額になるというような事態、補正で訂正はしていますが、この事態は非常に深刻な問題だと思いますし、またそれが現在の非常に危機的な経済を引き起こした要因の一つでもあるというふうに思うわけでございます。  概して、どうも公共事業は悪いんじゃないかというような論調といいますか、かなりな識者までがこぞって大声で叫んできた時代があります。  その論拠をよく聞いてみますと、例えば一九九二年の八月の総合対策十兆七千億を皮切りに何回も打ってきた、公共事業で景気を刺激するための政策を打ってきたじゃないか、四十兆あるいは五十兆というふうな額の総合対策、その中で非常に大きな部分が公共事業でしたけれども、そういう対策を打ってきたのに経済は回復しない。例えば一九九二年度、平成四年度ですか、経済成長、実質で〇・四、それからまた九三年度も〇・五、それから九四年度も〇・七、こういったような実績を前にいたしまして、見てみろ、公共事業をやったって効果ないよ、加えて、入札に絡むいろいろな問題が出てまいったものですから、こういうものはやめるべきだというような声が非常に強くなりました。  私は、建設省の方で大変な御努力をして、そういった風潮を何とかとめようと努力されている姿を見ておりまして、本当に苦しい努力だったと思いますけれども、これは〇・四あるいは〇・五、〇・七といったような成長率にとどまったことは非常に残念だったけれども、それでは、もし公共事業をやらなければどうなったか、これは明らかにマイナス成長に突っ込んでいたと思います。  そういったことの認識がないがゆえに、何か公共事業を削ることがいいことだというふうなことになってしまったのが平成十年度の当初予算であり、またその前後に通過した財革法、これも非常に大きな間違いだったと言うべきだと思います。そういったことが今日の大不況をもたらしているわけでございます。  九五年の九月に実施しました十四兆二千億の総合対策は、これはきいてきました。そして、九五年度、平成七年度には二・八%の実質成長率、また九六年度は三・二%という非常に高い成長率を実現したわけでございますが、ここでやはり一息入れてしまったわけで、九五年の九月の総合対策を最後に、ことしの六月までほぼ三年間、そういった対策を打たないで、むしろブレーキを締めてきたというようなことであります。  私は、こういったことが今日のデフレになっておりますし、また公共事業に対する見方がここまで来てやっと変わってきた、やはり必要なんだということになったのだけれども、時既に遅しという感じが、今しております。  そういう意味で、これからも公共事業の問題は本当に国の礎を築くものでありますし、大変な大事な景気対策の機能も持っておりますし、しっかりとやっていかなければいけないということを最初に申し述べさせていただきます。  それと関連いたしまして、こういった不況に突っ込んでしまったものですから、これ以上下がるまいと思った土地がまた下がり始めているということでございます。そして、心配されたデフレスパイラルといいますか、これの入り口に来ているというか、もう片足を突っ込んでいるのかなと思うような現状にまでなってきておりますだけに、何としても早急に対策を打たなければいけない。特に地価の低下ということがこれ以上進みますと、金融面でも、またその他の面でも、ますます解決が難しくなってくるという事態でございますだけに、何とかこの土地の問題に重点を置いていただきたいと思います。  大臣に御質問をしたいわけでございますけれども、不良債権の処理、これは本当に必要でありますし、大いに進めているわけではございますけれども、銀行のバランスシート上の問題だけにとどまっておってはいけないのでございまして、実際の土地の流動化を推進するということが何よりも大事だと考えております。  土地の実質的な流動化のためにどのように取り組んでおられるか、大臣、ひとつよろしくお願いします。
  26. 関谷勝嗣

    ○関谷国務大臣 先ほど先生の土地の流動化の御質問の前に、確かに公共事業に対します我々政治家の考え方、あるいはまた一般の国民の皆さんの考え方も、当然、戦後五十三年たってきたわけですから、変わってまいりましょう。  そういう中にありまして、私は、やはり今のように、景気を喚起するためには、片や減税というものもいろいろございましょう。しかし、減税を行いましても、なかなか消費マインドを起こすような社会的な状況ではない。若い人は若い人なりに、非常に人生に対する不安感を持っている。年配の方は年配の方で、年金あるいは保険等についての不安感がいっぱいであるというようなことでございますから、どうしてもそれは貯蓄の方に回る傾向があると思うのです。  ですから、そういう中におきまして、やはり私は公共事業というものの経済効果、そういうものは第一だろうと思うわけでございまして、私は、ですから重点的な配分を行いたいということで、この公共事業の効果をなお一層大きなものにしていきたいと現在考えております。  それから、先ほどの土地の流動化の問題でございますが、これは債権債務関係の迅速な処理を図った上で、虫食い状態の地形のものを形を一つのものにする、整形を行う、それから集約化というようなことを行いまして、都市の再開発等を促進もしていきたい。  そういうようなことで、公的土地の需要を創出するということでやっていきたいと思っておるわけでございまして、いわゆる住都公団あるいは民間都市開発推進機構等々を大きく活動させまして、公共用地の先行取得などの施策もまたあわせて推進をしていきまして、土地の流動化ということをやっていかなければならないと思うわけでございまして、いささか、先生御指摘のように、デフレスパイラルの方向に多少行っているのじゃないかなというようなことを心配しておるわけでございます。ですから、土地の流動化のあらゆる諸策を今後行っていきたいと考えております。
  27. 宮本一三

    ○宮本委員 ありがとうございました。  それに関連する話なんですが、最近の金融情勢は非常に緊迫しております。それで、従来、日本の企業は間接金融中心でございまして、銀行から借りるというパターンが定着しているわけですが、こういうことになってまいりますと、そういった間接金融体系がこれからの新しい時代の中でうまく機能をするかどうかという心配が出てまいったわけでございます。  それだけに、企業としても資金調達の手段として不動産の証券化、こういったことが非常に大きな問題になってくると思うわけですが、都市開発などを進めていく上で、土地の優良資産の証券化ということが非常に大事だと思うのですが、その推進方策について建設省の方で何かお考えがありますれば、お願いします。
  28. 山本正堯

    山本(正)政府委員 お答えを申し上げます。  先生の御指摘のとおり、不動産の証券化等を活用した都市開発につきましては、債権や不動産の流動化あるいはまた不動産投資の活性化を図る観点から、その推進が大変大きく期待をされておるということでございまして、建設省といたしましても、中に委員会を設置いたしまして、不動産の証券化を活用した都市開発事業推進方策について検討を行っておるというところでございます。  専ら不良債権の処理のためというよりも、一般的に広く都市開発のために有効な手段であるというふうに考えておりまして、証券化によりまして、都市開発の資金調達が、今先生御指摘のように金融機関からの融資だけではなくて、市場から直接調達することができるようになる、あるいはまた、個人資産の運用手法としても証券購入による資産運用ができるようになるということで、非常にメリットが大きいというふうに考えております。  したがって、そうした点から不動産の証券化が期待されておるわけでございまして、そのためには、一つは、不動産の投資市場のインフラ整備ということが必要であろうかと思います。あるいはまた、二つ目には、不動産の証券化による都市開発事業に対するいろいろな支援策を講じていくことが必要である、こういうふうに考えておるわけでございます。  例えば、市場整備につきましては、情報開示項目を制定するとか、いろいろなそういうようなものの基礎の整備が必要でございます。あるいはまた、支援策につきましては、日本開発銀行でありますとかあるいは民都機構を活用した信用補完でありますとか事業参加といったようなことが必要でございますので、今後ともこうした施策の推進に努めてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  29. 宮本一三

    ○宮本委員 いろいろと方策を検討し、またそれを実施しようとしておられること、高く評価したいと思います。  さっきも申しましたように、公共事業を積極的に展開していかなければいけないということを申したわけでございますけれども、ただ、公共事業を積極的に展開するに当たりましては、どうしても入札制度あるいは契約制度、この問題の改革が不可欠ではないかと思うんです。  というのは、公共事業がウエートを持てば持つほど、やはり、一般の国民といいますか公共事業に直接携わっていない多くの市民から見ると、何か関係者がええことしているんじゃないかというような、そんなうさん臭い目で見られることが多々あるわけでございますし、またそういうことで不幸な摘発もあったわけでございます。  それだけに、公共事業の重要性を強調すればするほど、何としても、今後の入札あるいは契約制度、こういうものを本当に国民が納得してくれるような方向へ持っていかなければいかぬというふうに思うのでございますけれども、建設省の方でどういうふうに取り組んでいるか、ひとつ御説明願いたいと思います。
  30. 木下博夫

    ○木下政府委員 お答えしたいと思います。  先生お話がございましたように、経済対策の柱として公共事業を位置づけていただいておりますが、まさにそのとおりで、私どもそう思っておりますが、その際に、お話のございましたように、信頼性を確保しあるいは効率的な事業をやるということは、当然建設業界としても心せねばならないと思っております。  入札制度あるいは契約制度については、かねてより再々制度改革をやってまいっておりますが、この中でも特に、公共事業の多く、件数で申し上げますと約九割、額としては七割が公共団体でございますから、建設省はもちろんでございますが、関係省庁あるいは地方公共団体と一緒にこのテーマは取り組まなければならないと思っております。  内容的には、一、二御紹介させていただくと、本年二月の中央建設業審議会の建議でもいただいておりますが、技術力と経営力のすぐれた企業を育てたいと思っておりまして、入札とか契約の際に、技術の面からの提案をいただくような入札制度とか、あるいは技術者をしっかり配置していただけるような意味でのいわば不良不適格業者を排除するようなシステムとか、さらには経営事項審査と申しまして、各企業の経営内容を正しく評価するということで、今度の七月からは新しいそういう経営事項審査事項も取り入れたりしております。こういうことで、さらに我々としてはこの方向に向かって進ませていただきたい、こう思っております。
  31. 宮本一三

    ○宮本委員 ありがとうございました。  この入札、契約の問題は、本当に国民が大きな関心を持って見ておりますので、ぜひとも急速なすばらしい改革をやっていただきたい。お願いします。  最後の質問でございますが、ことしの四月から明石海峡大橋が供用になりまして、非常に予想を超える多くの方があの明石海峡大橋を利用しておりまして、そのことのもたらす周辺の経済効果というものが非常に大きいわけでございまして、こういったすばらしい成果を見ておりますと、やはりさらに紀淡連絡道路についても、ああいった形での大プロジェクトを進めていただきたいと思います。  これは特定の地域が潤うということではなくて、国土の利用であり、またある意味では、阪神・淡路大震災のような事故が起こったときの別の大動脈になり得るわけでございます。そういった観点からも、紀淡海峡の連絡道路に対して積極的な取り組みをお願いしたいと思うわけであります。  培われたすばらしい技術も温存しなければいけないし、またこれを海外にも発展させなければいけないと思いますだけに、ぜひともこの紀淡連絡道路について積極的な取り組みをお願いしたいわけでございますが、これは大臣、申しわけございませんが、ひとつ御答弁よろしくお願い申し上げます。
  32. 関谷勝嗣

    ○関谷国務大臣 紀淡連絡道路につきましては、明石海峡大橋とともに大阪湾の環状道路をつくっているわけでございまして、大阪湾臨海地域の一体的な発展に寄与する道路である。また、この紀淡連絡道路は、ことしの三月に閣議決定されました新しい全国総合開発計画の中にも調査推進が決まっておりますので、今後進めていきたいと思っております。  調べてみますと、この紀淡海峡は水深が大変深いようでございますので、地形的条件が厳しい地域ではございますが、多くのそういう技術的な課題というものも解決できないものではございませんので、そういうようなことを解決しながら進めていきたいと思っておるわけでございます。  明石海峡大橋の、属を支えております中間の長さが千九百九十一メーターでございますが、この紀淡海峡になりますとそれが二千三百メーターになるということですから、それまではやはりそれなりの技術的な開発もやっていかなければならないと思っておりますが、この紀淡連絡道路ができましたら、その周辺の経済的な効果というのは私は想像以上のものがあると思っておりますので、鋭意前向きで進めていきたいと思っております。
  33. 宮本一三

    ○宮本委員 ありがとうございました。ぜひよろしくお願いを申し上げます。  これで質問を終わります。
  34. 遠藤乙彦

    遠藤委員長 蓮実進君。
  35. 蓮実進

    ○蓮実委員 蓮実でございます。  私は、景気対策として公共事業の重要性が今指摘をされておりますが、それだけに公共工事の発注について、むだな事業が非常に多いとか、あるいは談合によって工事そのものが割高になっているとか、国民から厳しい批判があることも事実であります。すなわち、公共事業に関して、今どうしてもこの大規模プロジェクトを実施する必要があるのかとか、あるいはこれに多くの国民が税金を使うだけの必要性があるんだろうかとか、そのような声が大きくなっているのも事実だと思っております。  建設省はこのことについて、もちろんいろいろとお考えになっておると思いますが、例えば事業一つ一つを情報公開することによって、国民のできる限りの理解を得ながら公共事業を行うにはどうするか、だれにでも事業実施をわかりやすくして、公共事業者の説明責任といいますか、果たしていく必要があるのではないか、こう思っております。この点について、建設省のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  36. 関谷勝嗣

    ○関谷国務大臣 先生御指摘のとおりでございまして、説明責任を果たしていくということが重要なことでございまして、よりわかりやすく丁寧な情報提供を行っていくということが大切だと認識をいたしております。  したがいまして、今後、入札制度のことであるとか、あるいはまた事業の評価制度導入なども行っております。ですから、いつまでたってもダムの工事が進捗しないとか、あるいは道路が、土地が買収できなくて進捗しないとかいうようなこと、そういうようなことも全部情報として流して、国民の信頼を得た上での公共事業を力強く進めていくということでなければならないと思っておるわけでございまして、本年の九月でございますが、公共事業のアカウンタビリティ向上委員会というものを発足させておりまして、国民の皆様方に、なお一層説明責任を果たす取り組みを行っているところでございます。  公共事業を今後進めていくためにも、すべて情報を提供いたしまして、地元の方々の協力というものをいただかなければならないと思っております。そういう角度から、私は重点配分をまた今後進めていきたいと思っておりますので、また御指導をいただきますようにお願いいたします。
  37. 蓮実進

    ○蓮実委員 今大臣が、お話がありましたように、説明責任というのですか、アカウンタビリティー、これをぜひやっていただきたい。そういうことをすることによって広く国民の理解を得られることができますし、理解だけではなくて、国民一人一人の協力も得られるだろうというふうに思っております。  建設省の役割は、二十一世紀に向かって、新しい国土づくりの大きな役目があるわけであります。公共事業について具体的に説明責任を果たす上で今後どのような取り組みをしていくのか、その考えをお聞かせいただきたい。
  38. 小野邦久

    ○小野(邦)政府委員 お答えを申し上げます。  先ほど大臣からお話がございましたとおり、現在、アカウンタビリティ向上委員会というのをつくりまして、全体としてどういうような方向で説明責任を果たすことが必要か、あるいは望ましいか、妥当であるかということから、いろいろな検討を加えております。  事業にはいろいろなものがございますので、事業ごとにそれぞれ多少の内容も変わってくるわけでございますけれども、公共事業は、およそ金額で七割が公共団体のお仕事ということもございますので、国、公共団体あわせて、そういう説明責任をどうきちっと構築をしていくことが事業の遂行に一番有意義であるか、こういう観点から検討を加えているところでございます。  具体的には、透明性ある入札・契約制度改革もそうでございますし、あるいは事業の効率性を高めるための新しく事業を採択するときの評価制度、あるいは大規模な事業等につきましては大変時間がかかるわけでございますが、途中でやはり一度立ちどまってみてその事業自身の有効性について評価をしてみるとか、あるいは完成した後もどうそれが利用されてきたか、こういったような評価制度の取り組みも必要だと思っております。  あるいは価格の点で、コストが大変高いというような御批判もございますので、そのコスト縮減についていろいろ取り組みをしているわけでございますけれども、こういうことにつきましても、より以上に情報を国民の方々に開示して、どういう構成によって公共事業が行われているのかということをきちっと国民の方々にお示しすることも大変重要な説明責任ではないかと。いろいろな取り組みをしたいというふうに思っておりますし、従来からやってきたものを、より以上に進めてまいりたいと思っております。
  39. 蓮実進

    ○蓮実委員 国民が公共事業に対して持っている疑問に対して、よりわかりやすい説明をお願いしたいというふうに思っております。また、その結果として国民の誤解を解くことができますし、直すべきところは直しながら公共事業を進めていっていただきたいと思っております。  建設省では、公共事業費の積算について、予定価格の事後公表を建設省の直轄事業で始めたというふうに伺っておりますが、このようなことは大変よいことだと思っておりますので、一層進めていっていただきたいと思いますが、建設省のお考えをお聞きしたいと思います。
  40. 小野邦久

    ○小野(邦)政府委員 お答えを申し上げます。  先生御指摘のとおり、ことしの四月から、公共工事につきまして、入札後に予定価格を公表することにいたしました。すべての工事というわけではございませんで、二百五十万円以下といった少額の工事を除きまして、原則としてすべての工事について、入札後に、どういう形で予定価格を組んだか、いわゆる予定価格の積算内訳でございますけれども、これも含めまして公表をするということにいたしております。  積算内訳の方は、若干四月から時期がおくれまして、十月からそういう公表制度に踏み切ったわけでございますけれども、いわゆる積算の内訳自身も示すことによって、積算内容の適正化にも大変意味がございますし、あるいは、いわゆる歩切りといったような行為を抑制することにもなります。あるいは、元請、下請関係における適正な取引をきちっと構築するということにも大変大きな効果があると思っておりまして、この方向はきちっと、公共団体も含めて、的確に実施していきたい、こう思っております。
  41. 蓮実進

    ○蓮実委員 大変いいことだと思っております。公共事業について、説明責任を果たしていくために積算基準の面でもいろいろな取り組みを行っていることをお聞きいたしまして、大変結構だと思っております。引き続き頑張っていただきたい、そう思っております。  一方、必要なときに必要な事業を進めないと、将来に禍根を残すことになることも事実であります。八月の豪雨災害の際に、栃木県北、福島県南部、那須町を中心に大きな災害がありました。今後、同じような被害を受けないようにするためには、何といっても必要な対策を思い切って行う必要があるだろうと思っております。  例えば那珂川上流の余笹川、これは河川がはんらんすることによって、家屋、農地、道路、橋が甚大な被害を受けました。復旧に当たって抜本的な対策を講じておられると思いますが、そのことについてお伺いいたしたい。
  42. 青山俊樹

    ○青山政府委員 今お話ございましたように、余笹川では、記録的な集中豪雨によりまして現在の能力をはるかに超える規模の洪水が生じましたために、広範囲にわたり激甚な被害をこうむったものでありまして、通常の災害復旧では十分な効果は期待できないと認識しております。  この復旧に当たりましては、築堤、河道の拡幅や橋梁の改築など抜本的な対策につきまして、現在、栃木県の方で検討中でございますが、実施に当たりましては、農地、橋梁等の関連復旧事業との緊密な連携をとりつつ、また地元の地権者の方々の御理解、御協力を得ながら対策を進めてまいりたい、かように考えております。  いずれにしましても、建設省としましては、県の復旧計画が十分抜本的なものになるように指導するとともに、県と一体となってその対策を図ってまいりたいと思っております。
  43. 蓮実進

    ○蓮実委員 このことについては、関谷建設大臣、また国土庁長官にも現地の方においでをいただきまして、よくよく見ていただいたわけでありますが、私は、農業関係の農地の災害、こういうことに対しては、非常に合理的といいますか機敏な処置をされておる。例えば、被害に対して九五%前後は対応する。各自、今までの保険や何かの問題もありますけれども、農地が流された、あるいは復旧に対して、九五%前後は農林大臣も大丈夫だ、また事実そういう方向で、今進んでおります。  ところが、那須町の災害、これ例えばですが、あそこは百四、五億ぐらいの一年間の予算なんですね。それで、税収が五十二億ちょっと。そうすると、私は今までわからなかったのですが、激甚災害というのは、要するに町の一年間の税収を上回らなければ激甚災害にならない。実は、いろいろ調べますと、近隣の市町村、那須町の場合は百四、五億の予算で税収が五十二、三億。これは極めて優秀な財政、市町村だそうですね。普通、二十億か三十億ぐらいだそうですよ、那須町ぐらいの場合。ところが、五十何億。  それで、現在、全部精査して復旧にどのくらいかということに対して、県と町と相談をしていろいろ調査しまして、六十二億円ぐらい復旧費にかかるだろうと。それを県を通して国土庁に出しておられる。国土庁は大蔵省と建設省と相談をして、恐らくきょうあたり現地に調査に行くのかと思っているのですが、私は、これが仮に、巷間伝えられるところによると、大蔵省で八掛けだとか七掛けだとか言われている、仮に六十二億円が八掛けだということになると、これは計算すれば約五十億になるのですよ。そうしますと、五十二億、切れちゃうのですよ、二億円。二億円切れることによって激甚災害の指定が受けられないということになると、これは大変なことになるのですね。  それで、実はきょうの地元新聞を見ますと、きのう那須町の議会でもって十二億円の補正予算を、二次補正を組んだ。十二億円の補正予算に対して、歳入の見込みがどのくらいあるかというと、一億円なんですよ。一割に満たない。それで、また暮れになって第三次の補正予算を組まなければならない。那須町の財政は、極めて悪化が必至であるというきようの新聞なんですね。  自分が好んで災害を招いたわけじゃない。そういうことに対して役所が、大蔵省、建設省、よく協議してもらわなければならぬわけですが、八掛けじゃなければならぬとかそういうことは、これはもうやめてもらいたい。そんなことで災害復旧をやられては困るので、そのことに対して、国土庁長官、ぜひひとつ叱咤激励をして、これは困った市町村、今非常に厳しいのですね。そういうことで、きのう、おとといも実は現場へ行きまして、いろいろ住民や何かと話をし、町議会とも話をし、非常に心配しておるのです。町がみんな挙げて心配しておる。ぜひひとつ国土庁長官の考え方を伺いたいと思います。
  44. 柳沢伯夫

    ○柳沢国務大臣 蓮実先生御指摘のとおり、激甚災害の指定というのは、農業施設と公共土木施設は異なる基準でもって行われるということになっております。概して言うと、農業施設の場合の方が激甚災害の指定を結果において受けやすいというか、特に本激か局激かというとき、その区分についても、どちらかというと本激の指定が受けやすいというようなことに結果においてなっている。こういう感じがするということは、御指摘のとおりかなという感じがいたします。  さて、そこで公共土木施設の方ですけれども、これについてはまさに御指摘のルールに従って行われるわけでございますけれども、地元の災害復旧の要望を、建設省の役人とそれから、これを立会官と称しているのですけれども、担当所管地域の財務局の役人が現場に相ともに行きまして、県の説明を聞きながら、これを一体どういうふうに見るべきかということを査定するという作業が行われます。  これ国別に八掛けになるとかなんとかというような指示を財政当局が出しているわけではありませんが、概して言うと、要望の方は割と、要望という言葉にあるように、望ましい姿の復旧をするというようなことになりがちでございまして、現在の災害復旧の原則は原形復旧というのが原則ですので、それには一体幾らかかるんだということを客観的に査定すると、若干そこに差が出てくるということでございます。別に、一定のめどを立てて、要望に対して何掛けぐらいの査定額になるようにやれなんというようなことは、これはもう、私、実は昔そういうことをやっていたことがあるわけです、よく知っているのですけれども、そういうことは一切ない。客観的にやるということになっております。  ちょっと申しますと、実は、その現場に行きますと、例えば、これは申し上げるのはどうかと思うのですけれども、私が何十年も前に経験したことですけれども、この場合には、例えば学童の通学路などというものについてはかなり実は優遇した、改良復旧的なことも認めるというようなことで、温かい目で査定が行われているということをぜひ御理解いただきたい。その結果においてどうなるかということは、これはもう数字の問題ということでございます。
  45. 蓮実進

    ○蓮実委員 ぜひひとつ、温かいかどうかわかりませんが、実情に合わせて、やはり今までのままではまた災害が起こる、少しでも今までより前進した改良をしませんとまた再び起こる、そのこともぜひ御理解をいただいて対処していただきたい、心からお願いを申し上げて、終わります。
  46. 遠藤乙彦

  47. 山本譲司

    山本(譲)委員 民主党の山本譲司でございます。  まず冒頭、今蓮実議員から質問のありました、ことし八月末の集中豪雨の問題について若干触れさせていただきたいと思います。  大変ことしの夏は天候不順でございまして、それに追い打ちをかけるように台風四号が接近をし、関東から東北にかけての広い範囲を豪雨が襲ったわけでございます。そこで、中でも関東北部栃木県あるいは東北南部福島県の被害というのは甚大だったわけでございますが、現時点での被害状況、そして今後の復旧計画とその費用概算というのはどのようになっていますでしょうか。
  48. 青山俊樹

    ○青山政府委員 那珂川におきましては、那須郡の黒羽町、湯津上村より上流が県管理区間、また……(山本(譲)委員「ちょっと聞こえにくいです」と呼ぶ)はい。那須郡の馬頭町、小川町より下流が、那珂川の場合、直信管理区間となっておるわけでございますが、那珂川におきます直轄管理区間の方の河川施設にかかわる被災内容といたしましては、堤体の漏水、河岸洗掘等八十二カ所、約百八十五億円の被害があるというふうに報告されております。  また、これらの箇所のうち、破堤等のおそれにより緊急的な復旧の必要のある九カ所につきましては、九月十二日までに堤防護岸等の緊急復旧事業を完了しておりまして、その他の箇所につきましても、間もなく現地査定を行い、早期復旧を実施することといたしております。  また、上流部の県管理区間におきまして、河川施設にかかわる被災といたしましては、甚大な被害を受けた余笹川等での堤防決壊、河岸洗掘など三百六カ所、約三百六十二億円の被害報告を受けているところでございます。  これらの被災箇所のうち、緊急的な復旧の必要のある九十四カ所につきましては、応急復旧工事を実施しているところでございますが、本格的な災害復旧に当たりましては、県からの災害申請を支け次第、速やかに災害査定を行いまして、早期の復旧を図るべく指導しているところでございます。現地での災害査定は、栃木県につきまして十月五日から実施中で、十二月中には完了するという予定でございます。これからも、余笹川、黒川での抜本的な治水対策についても進めてまいりたい、かように考えております。
  49. 林桂一

    ○林(桂)政府委員 それでは、八月末豪雨におきます被害状況について、全体的な状況につきまして御報告申し上げます。  平成十年八月末豪雨につきましては、八月二十六日から三十一日にかけまして大変な記録的な豪雨となったわけでございますが、全国各地で被害をもたらしております。  被害状況といたしましては、人的な被害としては、死者二十名、行方不明二名、重傷者十名、軽傷者五十一名でございます。  また住家の被害といたしましては、全壊家屋八十四棟、半壊家屋九十五棟、一部損壊二百五十棟、床上浸水三千七百七十六棟、床下浸水一万一千三百二十九棟等となっているところでございます。  また公共施設等の被害といたしましては、第一に、主な河川の被害につきましては、先ほど河川局長の御報告にもありましたが、阿武隈川水系、那珂川水系、利根川水系などで破堤、堤体決壊等の被害が生じております。  また道路の被災状況といたしましては、国道、県道、高速自動車国道等の通行どめ約六百四十五カ所といった被害でございます。  鉄道につきましては、東北本線、上越線で盛り土崩壊等の被害、また農作物の被害につきましては、水稲を中心といたしまして、面積約二万一千六百ヘクタール、また電力、通信関係といたしましては、停電約二万戸、電話のふくそう、不通等の被害が出ているところでございます。  被害の金額につきましては、現在それぞれの機関で調査中でございますけれども、一例を申し上げますと、現時点における被害額として、建設省所管の公共土木施設の被害は約二千二百億円となってございます。農地、農業用施設あるいは農作物などの農林水産関係の被害は約九百二十億円となっているところでございます。  政府といたしましては、関係省庁によりまして被害状況の把握をした上で、被災地の速やかな復旧に今全力を尽くしているところでございます。
  50. 山本譲司

    山本(譲)委員 亡くなられた方には冥福をお祈りするとともに、今後、速やかな復旧作業を急いでいただきたいと思います。  ところで、この那珂川ですけれども、これまで台風が接近するたびに同じような被害が繰り返されている。特にこの那珂川のはんらんで、例えば水戸市では多くの家屋が浸水をしたわけでございますが、十二年前の台風でもやはり同じような、同じ家屋が浸水をしている。十二年たっても、結局改善されてないのじゃないか。この間、この那珂川の河川整備あるいは管理の計画というものは一体どのようなものだったのか、また、これは国だけではなくて、県でありますとか自治体なども絡んでくるのか、その辺の役割分担はどうなっているのか、伺いたいと思います。
  51. 青山俊樹

    ○青山政府委員 今お話ございましたように、那珂川の水戸の部分、これは直轄管理区間でございまして、六十一年八月五日の大洪水で浸水して、また今回浸水したというのも先生御指摘のとおりでございます。  この区間につきましては、六十一年の浸水被害以降、河川激甚災害対策特別緊急事業、いわゆる激特と呼んでおりますが、そういった事業それから床上浸水対策特別緊急事業等によりまして鋭意整備を進めてきたところでございます。ただ、地権者の数、移転戸数等が非常に多うございまして、海に向かって右側の右岸側の方の堤防はでき上がったわけでございますが、左岸側の方はまだ用地交渉が全部終結しておりませんので、完成しておりません。そういった状況で今回の浸水被害を受けたということでございます。
  52. 山本譲司

    山本(譲)委員 細かく完成率がどれぐらいだとかは聞きませんが、先ほど、こういった災害のおそれがある地域についての情報公開等も必要だというような議論もございました。  治水というのは、やはり古来より社会資本整備の基本と申しましょうか、治世全体の基本と言っても過言ではないと思います。確かに今回の水害が予想をはるかに超える雨量がもたらした災害だったとしても、その地域地域に、それぞれの河川整備計画の現状、整備状況がどうなのか、これは国だけではなくて、県や市町村あるいは地方建設局、そういったところが持っているインターネットですとか、そういったものを駆使して、ぜひ積極的な情報開示をしていただきたいと思います。  その情報提供に当たっても、例えば那珂川だったら、連続何ミリまでには耐えられるあるいは総雨量どれぐらいまでなら耐えられる、そのための護岸整備を何年を目途に行っているのだとか、そういったところまで含めての情報開示を積極的にやっていただきたいと思います。  そういった情報開示についての必要性、これについて大臣から所見を伺いたいと思います。
  53. 関谷勝嗣

    ○関谷国務大臣 私、今の立場になりまして、二つのことを基本に今後は事業をやっていきたいと思いました。  一つは、先生御指摘のようにすべてのことをオープンに、透明度を一〇〇%にして、情報を、その事業を行う地域の方々に前もってオープンに、あからさまに報告をして、そこに両者の信頼度ができまして、地元の方の協力も得ることができますから、私は、これは進めていかなければならないと思いました。それともう一つは、やはり自然環境と共生できる、そういう事業でなければならない。  私は、この二つを大きな柱として進めていきたいと思っておりますので、先生御指摘の情報公開ということは徹底してやっていきたいと思っております。
  54. 山本譲司

    山本(譲)委員 今回、災害が起きて、避難までにかなり時間を要して、その結果人的な被害が拡大をしたというような側面もあるかと思いますので、ぜひ情報公開を徹底していただきたいと思います。  続きまして、やはりこれも情報公開が必要な、先ほど来議論のあります公共事業の問題でございます。  私も、公共事業はすべて悪だというぐあいには当然考えておりませんし、どうも今日本で行われている公共事業がむだがあるのじゃないか、あるいは費用対効果というのをちゃんと見込んで経済効果が上がる公共事業なのかどうなのかよくわからない、不透明だ、うさん臭い、そんなところからマスコミや、また私どももこの間国会の中でさまざまな指摘もしてまいりました。  そこで、まず最初に伺いますが、昨年の四月に関係閣僚会議で決定されました公共工事のコスト縮減に向けての行動指針、これに沿って建設省でもこのコスト縮減に取り組まれているようでございますが、建設省が実施している道路河川あるいは公園などの整備についてのコスト縮減の取り組みと、そして具体的な実績、これを伺いたいと思います。
  55. 小野邦久

    ○小野(邦)政府委員 お答えを申し上げます。  先生御指摘のとおり、平成九年四月に関係閣僚会議で、公共工事コスト縮減対策に関する行動指針というのを決定していただきました。これは、平成九年、十年、十一年、三カ年間にわたりましていろいろな取り組みをした上で、一〇%以上のコスト縮減を図ることを目的としております。  現在、関係省庁が連携をしながらいろいろな施策を推進しておりますが、平成十年になりまして、平成九年度の成果というものを取りまとめてみたわけでございます。お尋ねはこの点だと思うわけでございます。  建設省の直轄の事業あるいは建設省関係公団事業で、コスト縮減が平均三・三%の効果を持っているというふうに私ども計算をいたしました。事業別には、道路事業ではおよそ三・五%、河川事業では三・三%、都市公園事業で二・九%の縮減の成果を得ているというふうに考えて、これは既に発表いたしておりますけれども、三年間で一〇%ということでございますので、九年度から始まった取り組みとしてはまあまあ初年度のそれなりの目的を達したのではないか、こう思っているところでございます。
  56. 山本譲司

    山本(譲)委員 よく、基本的なコストが諸外国と比べてもかなり高かったんじゃないか、こんな指摘もあります。よく会計検査院からも道路工事などでも大変むだがあるんじゃないか、こんな指摘もされておりますが、例えば、欧米と比べましたら、我が国の社会資本整備のコスト水準、これは例えば資材がございますね、それから労務費そして用地取得費あるいはその他間接費、そういったものを含めて、大体欧米と比べたらどれぐらいの水準にあるのか、これをデータで示せたらよろしくお願いいたします。
  57. 小野邦久

    ○小野(邦)政府委員 お答えを申し上げます。  私ども、平成六年にアメリカ、一部欧州も含めまして調査団を派遣いたしまして、当時、大変内外価格差が大きいではないかという御指摘に対して、徹底的な調査をいたしました。同じような工法で同じような積算のもとで、工事をアメリカでやった場合と日本でやった場合、どのぐらいの差があるかということでございます。  平成六年の時点では、米国における工事単価を一とした場合には、我が国の工事価格というのは一・一三から一・四五ということでございますので、一三%から四五%は高かった、こういうことでございます。ちなみに、このときの為替レートは一ドル百十一円、こういうことでございました。平成十年の七月に経済白書が発表されたわけでございますが、経済企画庁の方で、平成六年にやりました私どもの調査結果を引用いたしまして、日米の内外価格差の比較評価をされておられるわけでございます。  これによりますと、その後相当円安に振れておりますので、現時点では、アメリカの工事価格を一とした場合に〇・九七から一・二七ということでございます。平均をいたしますと我が国の方が一割高いのではないか、こういうことを経済企画庁では言っておられるわけでございます。このときの円レートは、平成十年一月から四月の平均で一ドル百二十九円ということでございまして、これが計算の基礎でございます。したがいまして、為替レートによって相当変動する、こういうことが実態ではないかというふうに思っております。
  58. 山本譲司

    山本(譲)委員 計算方式の説明の仕方で、具体的なデータというのは余り出てこなかったと思うんですが、いずれにしても、建設省の出されております建設白書などでも、やはり建設コストの内外価格差というのはいろんな方面から指摘をされているというような認識をされているようでございます。  さらに、当然、一概に資材のコストを下げれば何とかという話だけではなくて、やはり、例えば談合の問題ですとかいろいろ、そういうさまざまなシステムが招いているコスト高というものもあると思いますので、入札制度の改善でありますとか、先ほど来言われておりますさまざまな改革をぜひ推し進めながら、同時にコスト縮減に取り組んでいただきたいと思います。コストの縮減に関しても、先ほど小野官房長は情報開示、アカウンタビリティーというものが必要だというようなお話もございました。大臣、この件についての情報開示はどのようにお考えなのか、ぜひ大臣の所見をお伺いしたいと思います。
  59. 関谷勝嗣

    ○関谷国務大臣 本年の四月から工事費の予定価格の事後の公表を開始いたしましたし、続きまして、十月からは予定価格の積算内容の公表も開始したところでございます。こういうようなことで、公共工事コストに関する情報の収集とか公開を適切に進めていきたいと考えております。  それからコスト縮減には、先生御指摘のように、やはり私は、システム自体も確かにあると思うわけでございまして、そういうようなところはなお洗い直して、いわゆる入札制度もいささか手を入れていかなければならないときに来ているんじゃないかと正直私は考えておるわけでございまして、したがって、その一つとしても規制緩和ということもいろいろ行っておりますから、なおコスト削減のために努力をしたいと考えております。
  60. 山本譲司

    山本(譲)委員 公共事業でやはりもう一つ大きな問題というのは、どうも一度決まってしまったら、社会環境が変化をしても、あるいはその事業自体の価値が少なくなったあるいはなくなったと言われるようになってもなかなか見直しができないというところに大きな問題があるんじゃないかというような指摘もございます。当然、公共事業、社会情勢の変化によって適宜見直しを行われるべきだと思いますし、そして、新規事業を採択するに当たっては、ぜひ費用対効果というものもきちっと、これも透明な手続でやっていただかなくてはならないと思います。  そこで、よく地方自治体、例えば北海道の時のアセスなんというのは有名ですが、既に幾つかの道府県で、自治体ではこういった公共事業の評価を見直す制度というものを取り入れているように伺っております。たしか建設省も平成七年に、大規模な事業については再評価をするというような制度を取り入れられていたと思います。今、実際再評価システムというものが具体的に動き出して、それ自体は大変私も評価しているんですが、この平成七年からの大規模事業に対しての再評価制度、これはどんな実績があったんでしょうか。
  61. 小野邦久

    ○小野(邦)政府委員 平成七年の大規模な公共事業についての見直しのシステムでございます。  これは一番大きな課題は、実はダム事業でございまして、大変大きな事業でもございますし、大変時間がかかるということもございまして、特にこの代表的な例としてのダム事業についての評価システムというものを平成七年に私ども構築をいたしまして、これに基づきまして具体的な事業について事業評価委員会というのをそれぞれ事業主体ごとにつくりまして、そこへ第三者の委員の方々に御就任をいただいて事業の見直しをしてまいりました。  その結果、御意見として当然事業を休止をすべきものという御意見をいただいたものもございますし、引き続き事業実施すべきだという意見をいただいたものもございます。幾つかの具体的な事業ごとに評価委員会をつくりまして、そこで第三者による御意見の提示を承り、事業主体として判断をしてその後の事業展開に鋭意意を用いた、こういうことでございます。
  62. 山本譲司

    山本(譲)委員 そこで、今、建設省所管公共事業の再評価実施要網というのを、これは三月に出されているわけなんですが、確かに、先ほども申し上げましたように、率先して建設省が事業評価監視委員会というものを設けていくということを、これ自体私は評価をするのでございますが、ぜひこれが有効に機能して、また、この委員会自体も透明度を高めていかなくてはならないと思っております。  まず、この事業評価監視委員会の設置の考え方についてちょっと伺いたいと思います。
  63. 小野邦久

    ○小野(邦)政府委員 事業評価監視委員会の考え方でございますけれども、先ほど御報告、御説明をいたしました平成七年の大規模な公共事業についての事業評価委員会でございますが、これはあくまでも大規模なダムとか高速道路とかといったようなものだけを対象としておりました。  今回の、ことしの三月につくって四月から運用しております事業評価監視委員会は、それ以外の事業も含めまして再評価の見直しをする、こういうことでございます。具体的なその役割といいますか、設置のねらいでございますけれども、客観性という観点から第三者の意見を聞くシステムという形でこの事業評価監視委員会を取り入れたわけでございます。  具体的には、再評価の実施主体が作成した対象事業に対しての対応方針というのをまず御説明をして御審議をいただく、これによって、それぞれ事業評価監視委員会で具体的な改善すべき点があれば、それについて御意見を伺うとか、必要なら意見の具申を行っていただくというようなことが、最大のねらいと申しますか、効果ということで設置をしたものでございます。
  64. 山本譲司

    山本(譲)委員 平成七年はダムなど大規模事業に関してということですが、今回は例外なくということでよろしいのですか。
  65. 小野邦久

    ○小野(邦)政府委員 具体的な事業でございますけれども、再評価を実施する事業でございますが、これは事業採択後五年間を経過した時点で未着工の事業でございますとか、あるいは、事業採択後十年間を経過した時点でなお継続中の事業完成をしていないという意味でございますが、あるいは、事業採択前の準備、計画段階で五年が既に経過をしてしまっている事業といったような観点から、こういう事業について再評価をしたいということで決定をしたものでございます。
  66. 山本譲司

    山本(譲)委員 これは、今言われた項目に当てはまる事業についてはすべてこの監視委員会で再評価をするということでしょうか。
  67. 小野邦久

    ○小野(邦)政府委員 再評価を実施します事業につきましては、先生御指摘の事業評価監視委員会でいろいろ第三者の立場からの御意見も聞くということでございます。
  68. 山本譲司

    山本(譲)委員 この監視委員会ですけれども、その委員の人選などはどういうぐあいに決められるのでしょうか。
  69. 小野邦久

    ○小野(邦)政府委員 例えば、地方建設局に設置をいたします事業評価監視委員会を例にとって御報告を申し上げますと、委員会は、管内でどのぐらいの数の都道府県を所管しているかということももちろん勘案をいたしまして、委員は全体として五人から十人程度で組織をしたいということで、現にそういう方向で開催をしているわけでございます。委員は、地域の実情に精通をしたような公平な立場にある有識者のうちから選定をいたしておりまして、選定に当たりましては管内の都道府県知事の意見を聞くなど、透明性、客観性の確保に努めて選任をしている、こういうことでございます。
  70. 山本譲司

    山本(譲)委員 この委員会は議事録などは公開をされるのでしょうか。
  71. 小野邦久

    ○小野(邦)政府委員 透明性観点からは、会議で用いた資料とか議事録の取り扱いというものにつきましては当然公開をするということでございますが、これは事業評価監視委員会自体で決定をしていただくということにシステムとしてはなっておりますけれども、資料あるいは議事録というものにつきましては、公開をしているのが一般的でございます。
  72. 山本譲司

    山本(譲)委員 ぜひ、この委員会が、単なる計画追認でありますとか、ましてや予算確保の手段になるような委員会にならないように、透明性あるいは客観性というものが担保できるような、そんな委員会運営をしていただきたいと考えております。ぜひ、この審議過程もすべてオープンにし、また、その人選に関しても、わかりやすく、もっとオープンに、これこれこういう人たちをこういう手段で選びましたよというような運営をしていただきたいと考えております。同じようなことが都計審なんかでも言えるわけでございますが、これも、時間がありませんので。  今、建設省ではパブリックインボルブメントをやられている、これも私は評価をいたしますが、しかし、やはり何といってもこれ以前にきちんと情報が伝わっている、情報が伝わらないと、意見を言えといっても、行政の莫大な情報量に対して素人考えで言ってもなかなか受け入れられないところもあるでしょうし、議論がかみ合わないこともありますので、ぜひこういった公共事業の評価の内容についても積極的に例外なく情報公開をしていただきたいと考えております。  その辺についての認識を最後に大臣に伺いまして、質問を終わります。
  73. 関谷勝嗣

    ○関谷国務大臣 いろいろなそういうチェック機関、私はこの人選も大変重要だろうと思いますし、ただ、そういう意見交換の場をそのままオープンするとなりますと、各委員の方々が正直なことが発言できないということもあるようでございますから、そのところはまた考えさせていただきたいと思いますが、その出ました意見等々を後ほど閲覧を自由にしていただくということは、私は当然やっていきたいと思っております。
  74. 山本譲司

    山本(譲)委員 終わります。
  75. 遠藤乙彦

  76. 石井紘基

    石井(紘)委員 最初にお願いしておきますが、時間が少ないので、ひとつ答弁は簡略にお願いをいたします。  一つは、都市政策あるいは建築政策にも関連すると思うのですが、東京の中心部に最近大きいマンションが建つ傾向がありまして、例えば二四六沿いの駒沢二丁目にいきなりワンルームだけの、高さ百メートルに近い、戸数もワンルームが二百九十戸近い一そういうものを突然建てるというこの業者はマルコーという破産管財会社でありまして、近所には住民が、この日影の影響を受けるものだけでも八百世帯にも上ろうかという、ふだんでしたら大変静かな、比較的住宅も密集した地域の、二四六沿いですから、道路際に、つまり南側にどんとそういうものを建てようという計画があるということで、近所の地域一帯の住民の皆さんは、これはもういたたまれずに大変これを危惧しておるということがあるわけであります。  一つ二つそれに関連して伺いたいのですが、具体的な事例に触れられれば結構ですが、大体、一般的に言いまして、どこの地域でも、その地域に長年住んでいる住民というものはそれなりに自分たちのそれぞれの地域の生活を支え合い、そして文化を築き上げているわけでありまして、そういう中によそからどんとそうした異質物が入ってくるというようなことというのは、ただ単に法律だけの問題を超えて、町づくりなりあるいは都市のあり方なりそういったものにやはり大きな問題点を投げかけるものだと思いますが、これについてお考えを伺いたいと思います。
  77. 小川忠男

    小川政府委員 お答えいたします。  今提起されました問題、非常に制度的にも現実的にも難しい問題を内包していると思います。既存の秩序があるところに、世の中が変わろうとするときにいろいろなあつれきが生ずるというふうなことだろうと思います。  ただ、その場合に、やはり今必要なのは、法律制度としてきちっとした手続、根拠に基づいて行う制度と、それから通常のいわゆる行政指導というふうなものはきちっと峻別して考える必要が私どもはあろうと思います。よく語られるのは、建築確認なのか確認でないのかわからないまま手続が一体に進むというのは世上間々あるわけでございますが、やはりきちっとした規制を行うならば、都市計画、建築基準法に基づいて地区計画あるいは建築協定等々の法的な制度を十二分に御活用いただきたいと思いますし、それを超えてなおかつというふうな場合であるならば、やはりその根拠、手続、基準を条例で明定するなどなどの配慮というふうなのは必要であろうかと思います。  いずれにいたしましても、両者をうまく駆使して、変化に対してきちっと対応する知恵が求められているのだろうと私どもは思います。
  78. 石井紘基

    石井(紘)委員 今の答弁にありますように、そうすると、法律だけではそうした地域の秩序というようなものを万全に守って開発、発展というものを必ずしも進められない場合が多い、そういう場合には、地域地域によって条例なり、あるいはもっと小さな自治体という単位になりますと、例えば行政指導、その一つとして例えば指導要綱などというのがあるわけでありますが、そういうものが尊重されるべきだという趣旨だったと思いますが、一言、それでいいかどうか。
  79. 小川忠男

    小川政府委員 お答えいたします。  後者の部分について、いわゆる要綱というのは、基本的には条例というふうな形で、根拠、手続、基準をきちっとした形で定めるべきであろうと思います。根拠がはっきりしない指導要網というのは、私どもが語るべき事柄でないかもしれませんが、国民あるいは住民に対して事前にきちっとした判断基準が明定されている、ある意味では行政の手続がきちっとしている、透明であるというふうな要請の一環として、やはりきちっとした条例によるべきであるというふうに思います。
  80. 石井紘基

    石井(紘)委員 条例というようなものができない自治体もあるわけでありまして、それぞれの市町村あるいは特別区等に建築に関する指導要綱というようなものがありますね。今私が挙げました事例は東京の世田谷区でありまして、これは指導要網の改正をごく最近行いまして、二百何十戸も三百戸もどでんと大きなワンルームマンションができるということは、やはり地域の生活に多大な悪影響を及ぼすということで、そういうような声も非常に強くなっております中で指導要網が改正されたものであります。  これには、例えばファミリー型住戸の併設というようなことで、計画戸数が二十五戸以上の場合はその戸数の三分の一以上を五十平米以上にしてください、つまりワンルームばかりというのじゃだめですよということを、これは九月一日に施行でもって指導要網の改正が行われているわけであります。  そうしたことは、やはりこれは地域の住民の基礎的な意識を反映したものであるということで、こういった指導要網というようなものは、それぞれにやはり十分尊重をされていかないと、都市計画なりあるいは開発計画なりというものがスムーズにいかないというふうに思いますが、いかがですか。
  81. 小川忠男

    小川政府委員 お答えいたします。  くどいようでございますが、いろいろな問題があるという現実はあろうかと思います。ただ、その場合に、行政をきちっと遂行するためには、法律あるいは条例というふうな形で根拠、手続、基準がはっきりしていなければいけないだろうというふうなことを繰り返し申し上げたわけでございます。  その意味で、今直ちに、いろいろな意味での要網があるのを、あすからすべて行政上必要がない、あるいはなくすべきだというふうに断定するつもりはございませんが、ただ、行政の今後の姿を見た場合には、やはり条例というふうな形できちっとした体系を構築すべきであるというふうにお答えしたのが一つ。  それから、もう一つは、現状において要綱を一〇〇%否定を主張すべき立場に私どもはないとは思いますが、ただ、建築確認というふうな観点で絡ませることについては、確認の対象にはなりません。これは法制上の議論としてはっきりせざるを得ないと思います。(石井(紘)委員「いや、当たり前のことは言わないでいいんだ。要網についてどうなんですか。尊重すべきなのか、全く無視すべきなのか」と呼ぶ)  要綱については、長い目で見れば、私どもはきちっとした法的根拠を明確にする方向に行くべきであろうと思います。
  82. 遠藤乙彦

    遠藤委員長 石井委員に申し上げます。  発言するときは挙手をしてください。
  83. 石井紘基

    石井(紘)委員 条例とかなんとか言っていない、今、指導要網のことを聞いているのだから。尊重すべきなのかあるいは無視するものなのか、あなたの言い方ははっきりしないじゃないですか。
  84. 小川忠男

    小川政府委員 繰り返してございますが、私が要網についてシロである、クロであるというふうに権威を持って断定すべき立場にはございません。ただ、いろいろな意味で行政に携わっている者として、要綱については基本的には法制上の根拠を明確にする方向に行くべきであるというふうな問題意識を繰り返し申し上げているわけでございます。
  85. 石井紘基

    石井(紘)委員 地域の特別区というようなところが、区民のいろいろな意識を反映してこういうものをつくっているものだとあなた思わないの。あなた、もうちょっとまじめに答えなさいよ。
  86. 小川忠男

    小川政府委員 そういう問題があるというのは私は否定しているつもりは全くございません。そういうふうな政策を実現する場合の方法論として、きちっとした条例に根拠を求めるような方向に行くべきであろうというふうなことを申し上げているわけでございます。
  87. 石井紘基

    石井(紘)委員 もう少し住民のあるいは市民の意識というものをきちっと反映する、尊重する、やはり住宅局、そういう姿勢に立たなきゃだめですよ。時間がないから道路公団の問題に移ります。この問題は、引き続き、こうした地方自治体の意思を無視するような態度というものは今後も追及していきます。  日本ハイカというのが、これは問題が大きく取り上げられているわけでありますが、何しろこれは丸投げ団体ですね。こんなものは、何のためにこういうプリペードカードというようなものを丸投げする会社というものをつくってきたのか。これほハイカだけじゃないです。それを、二千七百というような小売店にただ流すだけというような会社をつくってきた。  それで、このハイカの株を道路施設協会が三分の一持っていたというか、道路施設協会がつくったのです、この会社を。結局、その株を処分したそうですが、これは、幾らでどことどことどこに売却したのですか。
  88. 井上啓一

    井上(啓)政府委員 道路施設協会日本ハイカの株式を所有していたわけでございますが、その株式を所有している会社等二十社に対しまして、時価、要は配当還元方式により、簿価の約三倍の値段で売却したというふうに聞いております。  二十社でございますが、常磐ハイウェイ・サービスとか東名ハイウェイサービス、東日本ハイウェイ・パトロール等の二十社でございます。
  89. 石井紘基

    石井(紘)委員 今三つか四つ会社の名前を言われたけれども、これは後で全部出してくれますね。  それらの会社は、大体、道路公団のファミリー会社じゃないですか、全部、そうでしょう。
  90. 井上啓一

    井上(啓)政府委員 道路施設協会が株を持っていた六十六社、管理業務を行っていたような会社が主でございます。
  91. 石井紘基

    石井(紘)委員 大体、道路施設協会出資してつくったような会社に、それぞれ二十社に少しずつみんな分けて、それで幾らになったかというのはあなた今言わなかったけれども、幾らになったのですか。
  92. 井上啓一

    井上(啓)政府委員 先ほどお答えしたつもりだったのですが、簿価が五千万円を一億五千万、約三倍の値段で処分しております。
  93. 石井紘基

    石井(紘)委員 言ったのだったら、失礼しました。  その他、日本ハイカに限らず、道路施設協会出資をしている会社で、これまで整理した会社は何社あって、それぞれについて、どこにその株を売ったのか。
  94. 井上啓一

    井上(啓)政府委員 道路施設協会で持っていたものにつきましては、平成八年の閣議決定公益法人の設立許可及び指導監督基準において、公益法人は原則として営利企業の株式保有をしてはならないということで、平成九年十二月十六日の閣議決定でもそういうふうになっているところでありまして、既に道路施設協会は、六十六社に対しまして総額三十五億円出資しておりましたけれども、今の閣議決定に従いまして、公団の管理業務を受託している五十六社の株式をこの九月三十日までに処分しております。現在は、現時点で、出資会社十社、総額二十六億円でございます、残っている会社が。六十六社のうち八五%、五十六社を処分済みということでございます。
  95. 石井紘基

    石井(紘)委員 どこにその株を引き受けさせたのかということを聞いたのですよ。
  96. 井上啓一

    井上(啓)政府委員 処分先につきましては、五十六社の処分先でございますが、百七十四社に処分しております。先ほどお話がございました協会関連会社が五十三社、非協会関連が百二十一社という状況でございます。
  97. 石井紘基

    石井(紘)委員 ちょっとごめんなさい、売ったのは幾らだったっけ。それはいいや、もうさっき谷えたから。総額で幾らでしたか。(井上(啓)政村委員「三十六億六千万」と呼ぶ)  もともと出資は総体で三十五億ぐらいだったでしょう。それで、今十社まだ売っていないのがあるというのだけれども、五十六社を売って大体出質と同じぐらいの金額じゃない、それじゃ。五十六社で三十六億というのだったら。  大体、この道路施設協会というのは、財団法人として国の保護を受けながら、公益法人というのは不特定多数の公益に資するための、そういう団体であるべきなんだ。それがこういう構造になっていた。大ざっぱに言ってしまえば、これは税金だ。税金を使ってどんどん高速道路をつくってきた。つくるのは国民の金でやるんだ。つくるのは国民の金でやる。そして、そこででき上がったものを利用してもうける。利益を上げる。これはみんな、この財団法人がつくった企業を初めとするファミリー企業で果実は全部とってしまうということでやってきたんだ。そうでしょう。  言ってみれば、一生懸命、荒れ地を買って耕して、そして土地を肥やして、そこに手を入れて種をまいた。木が大きくなった。そこまでは国民の税金でやったんだ。そのなった果実をとるのはみんな私的にやっているわけだよ。そのことは私はもう三年も四年も前から指摘して、この道路施設協会というようなものは解散すべきだと言ってきたわけですよ。全部ことごとく随意契約でやってきて、そして太りに太ってきたわけだ。  道路公団事業というのは、年間四兆、五兆あるでしょう。五兆以上あるかな。そういう中で、関連のもうかる事業というのは一兆ぐらいあるわけですよ。そういうものをあなた方は全部私的にやってきた。国の法律では、人のものをとっちゃいけないとなっている、公的なものを私してはいけないとなっている。しかし、ところが道路公団はあるいは建設省は、住都公団もそうだよ、住都公団もそうだけれども、そういう公のものを持ってきてもいいというようなことを勝手にいつの間にか決めて、それでそういうことをやってきたわけだよ。違うかね。これが間違っていたら私は大きな責任を負わなければならぬ。違うのかね、言ってみなさいよ。
  98. 井上啓一

    井上(啓)政府委員 施設協会は、公的資金によらずに民間資金を活用して機動的なサービスを行うために四十年に設立されて以来、高速道路等の道路サービス施設の整備、運営を行い、また、高速道路にとって不可欠な利用者サービスについて、道路公団にかわってアウトソーシングによって提供して、道路管理の一翼を担ってきたというふうに理解しております。  そういう中で、施設協会、今回二分割いたしまして、サービスエリア、パーキングエリアの運営内容に関する二つ財団の間で競争を促進することによって、利用者サービス向上を図るとともに、顧客ニーズに即した機動的な運営を実現しようというふうに思っています。  それから、昨年十月には、第三セクターによるサービスエリア、パーキングエリアへの占用も可能としたところでありまして、道路サービス施設が高速道路に不可欠な公共性の高い施設であること、それから、これから交通量の少ない路線についても一定のサービス水準を維持していく必要があるというようなことで、競争性確保しながらやっていきたいというふうに思っておるところでございます。
  99. 石井紘基

    石井(紘)委員 競争性というのは、民間の市場経済で言う言葉なの。財団法人が競争性というのはあるのかね。あなた、そういうでたらめにでたらめを積み重ねるような、そういうようなことをやっていて、道路公団はえらいことになりますよ、そういうことをやっていたら。住都公団と同じだよ、住都公団のように、あなたのところだって今訴えられて、詐欺的な行為をやっているじゃないか。そうでしょう。よほどこれは考え直さなければだめだよ、あなたたちは。  それで、その株を、そうやって一生懸命国民の金でつくった、税金を使って会社をつくってきた、そしてその会社にふんだんに仕事をやり、天下りを全部送り込んで、人も出し、金も出し、仕事も出し、そしてその子会社、孫会社を大きくしてきた。それを、ただ資本金を回収しただけじゃないか。こういう会社をそれぞれ資産を全部整理して、そしてそこで実った果実を、まあ施設協会がつくったわけだから施設協会なり道路公団なりに回収してこなきゃだめじゃないですか。  施設協会は、こういう競争をやるなんて、民間仕事を徹底的に奪っていくような、そういう会社があるからこういう経済状態になっているんだ。そういうものはあなたたちだけじゃないのだ。圧倒的にたくさんあるから、そうなっているんだ。そういうものを、施設協会のようなものは解散して、それを国庫に入れなきゃならないじゃないですか、何兆円、何十兆円という金を。どうなんですか。
  100. 緒方信一郎

    緒方参考人 ちょっと別の観点から御説明させていただきます。  ただいま先生が御指摘になっているものの中には、道路施設協会そのものの問題と、それからいわゆる関連企業といいますか関連会社というか、業務委託している会社の問題とがまざっていると思います。(石井(紘)委員「よくわかっています」と呼ぶ)そうですが。
  101. 石井紘基

    石井(紘)委員 私の質問に全然直接答えない。大変問題は深刻だと思います。  大臣にちょっと聞きます。大臣、今私が申し上げたことはよくお含みください。十分検討してもらわなきゃならない。十月一日からその問題の道路施設協会のようなものをもう一つつくった、それで競争させる、こういうことをやっているわけですから。これは、前大臣のときにもう決められたことです。今の大臣は、これについて正しいのか正しくないのか、それをきちっとやはりもう一回考え直していかないと、大臣のまた責任ということになってまいりますから、よくお含みをいただきたい。  それから、さっき住宅局長が、あの人はもういつも答弁をはぐらかす人ですが、地域の自治体で決めるということは、少なくとも、民主主義の上からいけば、そこに地域の意思を反映したものというふうに見なきゃいけないわけですよね。だからそういう中で、大きな建築物を建てる等々については、こういう方向が望ましいというような意味で指導要綱というようなものをつくるわけですから、この指導要綱というものはやはりそれなりに地域の自治体が決めたものとして尊重をしながら法律を運用していかなきゃならぬということは違いますか。
  102. 関谷勝嗣

    ○関谷国務大臣 二つの質問でございまして、まず一つは、ワンルームマンションの建設に関しまして自治体の指導要綱をどのように考えるかということでございまして、私は、その指導要綱というものも十分にといいましょうか、理解をしてやっていかなければならないと思っております。かつまた、今の法律のもとでそれがいろいろな条件が整っておってその建築確認を出したとするならば、そのこと自体は決してまた誤りではないわけですから、先生御指摘の指導要綱を何ら考慮しないということは私は間違っておると思いますから、それは頭に入れて、その両々相まって解決をしていきたい、そのように私は思います。また、私はそのように指導をしてまいります。  それから、道路施設協会のことでございますが、これはそういうようなことで、持っておりました株等々も逐次他の企業販売もしていっておるというようなことで、先生の御指摘の線に沿って私は徐々に改善をされていると思うわけでございまして、今直ちに先生御指摘のものを一〇〇%私の仕事ですぐやれというわけにもいきませんが、先生の御指摘のこと、私も理解できる部分もたくさんありますから、私もいつまでこの立場におれるかどうかわかりませんが、おる間は先生の今の問題についてはきちっと頭に入れて対処をしてまいりたいと思います。
  103. 石井紘基

    石井(紘)委員 大変さすがに大臣の前向きなお答えをいただきました。  繰り返しますけれども、この道路施設協会がやっていることはやはりそれは横領まがいのことですから、これは本当に深刻に考えてもらわなくちゃ困る。株を売却するというようなことで済ませるんじゃだめです。これは、資産評価でもって、今までさんざん税金を使ってつくり上げてきた莫大な資産を、これをただ、当初何十年か前に資本金として入れた、それだけを返してもらうようなことをやったんじゃ、これは大変なまた問題になるということは私は厳しく警告しておきます。  それから、住宅局長のようなああいう、人の質問に対してはぐらかすような局長というものは、私はもうこういう人は答弁させるべきじゃないと思います。それはぜひ……(発言する者あり)審議官。大変失礼。こういう問題もぜひひとつ大臣、やはり含んで、大臣のイニシアチブを大いに発揮していただきたいと思います。  ありがとうございました。
  104. 遠藤乙彦

  105. 鍵田節哉

    鍵田委員 民主党の鍵田でございます。  私は、国がつくりました、建設業で働く、本当に恵まれた一部の本社職員以外の、下請、孫請、そういう人たちの、労働者の福祉のためにつくられました建設業の退職金共済制度につきまして、実は先日、政府に質問主意書を出させていただきまして、九月二十五日に答弁書をいただいたわけでありますが、若干まだ不十分なところがございますので、それらについてお尋ねをしたいというふうに思います。  まず最初に、建設大臣もいらっしゃいますし、労働省からも来ていただいておりますので、この制度につきまして、昭和五十八年の第百一国会から百三十九国会までの間に十五回も衆参両委員会で質問をされておるわけでございます。その内容は、証紙を建設業者が購入をして、そして労働者が働いた場合にその証紙を張りつけるということをして、それに基づいて退職金が支給されるというふうな制度でございますけれども、それがどうも適正に張りつけがされておらない。そして、未加入者も大変多い。こういうことについて改善を求める質問でございました。それについて建設省も労働省も、指導を徹底したい、こういう答弁を繰り返されてきておるわけでございます。一しかし、まだいまだに、公共工事に現場管理費の一部として積算されております共済証紙が積算に加えられた金額どおりに購入されておらない、その間に大きな格差があるのではないか、こういうふうなことでずっとマスコミなどでも今報道されておることは御承知だというふうに思います。  民間民間のことでありますと、それは関知しないということになるのかもわかりませんが、国がつくった、そしてこの建退共というシステムは法律で定められて、共済法という法律があるわけでありますから、それによって運用されておる。それが国民の税金で賄われておる公共事業、そういうものに積算されて支払われておるにもかかわらず、それが適正に張りつけされておらない、言ってみればルール違反ということになるわけでありますが、そういうことが一向に改善されておらない。  加入者はもちろん年々ふえてきておりますけれども、この十年間ほどで百九十九万人ぐらいトータルとして今被共済者がおるわけでありますが、建設労働者というのは六百万人ぐらいいるというふうに言われておるわけでありますから、それから見ますとまだまだ不十分ではないかというふうに思っております。  そういうことで、常に適正な運営をということで質問されてきましたそういうことにつきまして、建設省も労働省も、これらにつきましてどのような改善策をとられようとしておるのか、また、そのお考えがあればお聞かせをいただきたいというふうに思います。  大臣にぜひともお願いしたいと思います。
  106. 関谷勝嗣

    ○関谷国務大臣 鍵田先生、この問題は私も今まで何度となくいろいろな御質問で答弁をいたしましたが、これはどうもちょっと専門的なことでございまして、私もこの共済制度というものをここへ来るまで知らなかったのでございますが、伺ってみますと、これは一日分が今三百円ということでございますが、その証紙を張っていくわけでございます。  ですから、建設省といたしましては、これは伺いましたところでございまして、詳しくは後で局長から答弁をしていただきたいと思っておりますが、この普及徹底にずっと努力を行っておるということを伺っておるわけでございまして、まことに申しわけないのですが、私の今の知識ではここまでの答弁しかちょっとできませんので、あとは局長が詳しく報告すると思いますが、よろしくお願いします。
  107. 木下博夫

    ○木下政府委員 お答えいたします。  先生おっしゃったように、建設業に従事する労働者が安定した収入なり退職後の心配のないようにする、これは当然でございます。その制度としてこの建退共制度を我々も従来から大変重視してまいりまして、御紹介がございましたが、三十九年に発足したときの関係する業者が一万六千に対して、現在は十五万でございますし、それから関係する被共済者の数が当初九万三千から今二百十万になっております。  お話ございましたように、全体的には四百五十五万と言われております技能工を念頭に置きますと、まだその普及率がいささか不足している感もないわけではございませんけれども、これは関係の労働省とかその他のところともよく相談しながら、これから制度を改善していきたいと思います。  まずはやはり制度のいわば普及に当たって十分認識していただくこと、それからやはり張りやすいような仕組みをつくっていくこと、それから恐らく御指摘があったと思いますが、先ほどお話がございましたように積算等に見込んでおりますが、徐々に機械化等も進んでまいりますので、そういう意味では現時点に合った目安といいますか、そのあたりもこれから関係方面ともよく相談しながら調査をし、実態に合った積算をしていただくような努力もしていかなければいけないと思っております。
  108. 澤田陽太郎

    ○澤田政府委員 お答え申し上げます。  先生御指摘のうち、特に問題になっております証紙の購入、適正貼付の点について申し上げますと、建設業退職金共済制度を真に実効あるものにするには、被共済者となっています労働者が働いた日数に応じて証紙の貼付を確実に受けられるように、事業主の方が証紙を適正に買う、貼付の履行を確保するということが不可欠の大前提であります。  そうしたことで、勤労者退職金共済機構におきましては、証紙の購入と履行確保につきまして、業界団体、元請等々に機会あるごとに指導しておりましたが、御指摘のように、一部に適正な履行がなされないという状況があることについてはまことに残念なことだと思います。  私どもも、今回の事態にかんがみまして、今月一日から、毎年でございますが、建設業退職金共済加入促進月間というものを設定しておりますので、この十月に合わせまして、建設業団体、五十弱でございますが、お集まりいただいて、履行の確保、加入促進について特に説明会を開くというようなことも予定しております。  今後とも、制度の円滑な運営には最大限の努力をしてまいりたい、かように思っております。
  109. 鍵田節哉

    鍵田委員 何か、十数年間委員会で質問をされてきたことと余り前進をした答えが返ってきておりませんので大変残念でありますが、これからちょっと具体的に質問主意書に基づいて聞いていきたいというふうに思います。  平成八、九年度に発注された十億円以上の国の直轄事業うちに、一枚も証紙が購入されていなかったという工事が百二十三件ほどあります。その中で建設省所管が八十四件あるわけですが、その掛金の中で、建退共と中退金、中小企業退職金共済法と両方に入っておられるわけでありますが、その割合が、六が建退共、四が中退金ということになっておるわけであります。  そういうことで計算をしてみますと、建退共の掛金の総額というのが約七千万ぐらい積算額から計算が出てくるわけでありますが、それが一枚も証紙が購入をされておらない。結局、その七千万円がどこかへ行ってしまっておるわけですね。積算されて支給されているはずなのに、それがどこかへ行っておるということでございます。  その理由として、いや、そこには証紙を張るよな労働者は一人もいなかった、いわゆるゼネコンの自社でほとんど作業してしまったために、季節労働者だとか、そういうものを一人も雇わなかったのだというふうなことを答弁されているところが非常に多いわけでありますし、さらには、本社で一括をしておるからと言って契約しておる事業者が買っておらないとか、それからまた、他の工事なんかと一緒になって一括して購入しているのだとかというふうな理由で説明をされておるようですが、それは何か、そういう積算されて支給されておる費用をどこかへ流用しているということにもつながるわけでありまして、これはやはり大変問題なのではないかなというふうに思うわけでございます。  制度の趣旨というものをゆがめた流用になるのではないか、こういうふうなことにつきまして、建設省としてどのようにお考えになっておるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  110. 小野邦久

    ○小野(邦)政府委員 お答えを申し上げます。  先生の御趣旨、二点あると思いますけれども、建設省直轄工事で十億以上で、共済証紙の購入がされていない件数が八十四件あるという御指摘でございますが、質問主意書でもお答えを申し上げましたけれども、そのとおりでございます。  八十四件の内訳を私ども当然もちろん調べたわけでございますけれども、具体的には、例えば期間雇用者を使用しないという例もかなりございます。例えば設備工事でございますとか、あるいは設備工事の場合に電気設備工事等では、電気工の方は一般的に日々雇用というよりはきちっと経常的な雇用関係に基づいて雇われている方が多いわけでございます。  あるいは、橋梁の上部工といったような場合には、これは工場製作が主体でございまして、鉄鋼会社で工場製作をする場合には、その工場で働いておられる労働者の方は日々雇用というよりはきちっと継続的に働いている方が多いというようなことがございまして、具体的な工事をそれぞれ見てまいりますと、必ずしも期間雇用者という方だけじゃなくて、継続的な労働者を使って仕事をしているというような場合の工事もたくさんあるわけでございます。  それからもう一つは、その雇用形態でございますけれども、具体的なこの八十四件の中で、確かに、雇用して証紙を一つも購入していないという報告があることは事実でございますけれども、これはその時点での購入をしていないということで、具体的な工事が始まりましたら後で購入して使っていくというようなケースもあるわけでございます。  ただ、先生御指摘のとおり、工事の現場においてどういう雇用形態であるかというのは、残念ながら私どもでは必ずしも実態を全部つかみ切れないわけでございます。期間雇用者がゼロだという回答も、本当に果たしてそのとおりかどうかということは残念ながら不明でございまして、そこまでは追及ができないわけでございます。当然、そういうところまで追及をして、公共工事でございますので、きちっとやっていくことが望ましいという面もございますけれども、現場の実態では、発注者サイドとしてそこまではなかなか難しい、こういうような点がございます。  それからもう一つ、具体的な積算との乖離の問題で、公金の流用ではないか、こういう御指摘があったわけでございますけれども、具体的な積算の、当然これは実態の調査をいたしまして、どのくらいの証紙の購入が通常的、標準的な工事でされているかということをきちっと実態調査を踏まえて確定をいたしまして、それによって積算をするわけでございます。  その積算の結果、ある工事ではそれより多い場合、あるいは少ない場合と、いろいろなケースがございます。これは、建設労働者の退職金のこの建退共の問題だけじゃなくて、資材とかいろいろな問題についても同じような過程がございまして、あくまでも標準的なものということで積算をしておりますので、それと違った形で結果が出ましても、それが即税金の流用というような形ではないのではないかというふうにも思うわけでございますが、より以上に、実態につきましては、そういうようなことのないような指導を徹底してまいりたいというふうに思っております。
  111. 鍵田節哉

    鍵田委員 今言われたように、確かに、機械を購入するとか、人でない、そういうものに対する費用というのもあるのはよくわかっております。しかし、たくさんの工事の中には、そういうものを一たん買えばもうずっとそれが使われる、だからほかは人もたくさん使うというふうな、実態としてはあると思う。  実際に、マスコミの報道でも、明石海峡なんて全然そういう人を使っていないと言いながら、調べていったらたくさんの労働者を使っておったという実態もあるわけですから、要は、そういう労働者を使っているか使っていないかということが十分把握できないというところにこの制度の根本的な問題があるというふうに僕は思うわけです。だから、制度そのものを抜本的に変えないといけないのじゃないかというふうに思うわけです。  次に、労働省、時間がありませんので、ちょっとお聞きします。  土木工事については積算金額千分の三・五とか、それから建築が二・五、こういうふうになっているのですが、答弁書によりますと、国の直轄事業の積算にはそのまま用いられないで、そして何か購入された金額に応じて積算をするとかいうふうなこともちらっと聞いておるわけであります。  そうすると、労働省の機構が積算の目安にしておる金額と、実際に積算されておるということとの間に大きな乖離が出てくるのじゃないか、これはやはり制度上非常に問題があるのじゃないかというふうに思うのですけれども、これらにつきましてどのように労働省の方は把握されているのでしょう。
  112. 澤田陽太郎

    ○澤田政府委員 先生御指摘の、退職金共済機構が関係事業主にお示ししております目安、これは、機構が独自に実情を踏まえて基準を設定しお願いするものでありまして、各事業主がこれにそのまま従わなければならないという、そういう法的性格を持ったものでないことは先生御承知だろうと思います。  そうは申しましても、この目安につきまして、国の直轄事業であっても、積算根拠として建設省の方でお示しをなされているものに基づいた証紙の購入と、この目安に基づいた、先生質問主意書等で御指摘の計算額について乖離が出ることは、今建設省の官房長の御説明にありましたように、入札という問題がある以上、ある意味ではやむを得ない面があろうと思います。  ただし、私どもといたしましては、この目安について実情と合っていない面があるじゃないかという御指摘があることは十分承知しております。したがいまして、今後、今ある目安が現に果たしております機能、役割も踏まえながら、また、関係者の御意見を十分聞きながら、目安について検討が加えられる必要があるのじゃないかという点については、先生と認識が一致しております。
  113. 鍵田節哉

    鍵田委員 労働省が出しておるその目安は、建設省が示した目安に基づいて出しておるということでありますが、これは双方がそういう目安について合意の上でやられているはずなので、労働省もいいかげんな数字をやっているわけじゃなしに、ちゃんとこういう機構のパンフレットに載っておるわけですから、建設省が認知をされているからこういうことになっておるわけですから、これはやはりできるだけ整合性のあるものにすることが望ましいわけであって、それが大きな乖離があるということは、やはり問題があるわけでございます。  それで、時間もなくなりましたので、最後にちょっと幾つかまとめて労働省と建設省にお答えいただきたい。  証紙の張りつけを、立場の非常に強い建設業者と、また、立場の非常に弱い季節労働者の当事者間にゆだねるということじゃなしに、何か、名前を出してあれなのですが、例えば全建総連などというふうなそういう季節労働者ばかりを組織した労働組合なんかもありますから、そういう人たちを一枚そこにかませて、そこに委託するということも一つの方法としてはあると思うのですけれども、そういう委託をするとか、また、その運営について意見を聞けるようなシステムをつくるとか、今全く建設労働者の声がそれに直接反映するようにはなっておりません。  それから、この制度を任意じゃなしに強制加入にする。建設省は、ちゃんと積算をしてお金を出すことになって、建設労働者の福祉のために役立てようとしておるわけですから、これはやはり、制度を強制加入とするということも必要なのではないかというふうに思います。  また、張りつけた証紙の一定割合の金額については、退職準備金として中途でも支給できるような制度ができないかどうかということ。  さらには、この証紙を張るという制度そのものに非常に煩わしさがあったりなんかしまして、十分徹底しないということになると思いますので、例えばICカードなどを持っておれば、現場で機械にそれを通せばもうすぐに登録ができるというふうなシステムに変えていく、こういうことで何か検討されたということも聞いておりますので、そういうことに早急に変えていくということもいかがなのでしょうか。  それから、監督署などでこういう制度についての相談窓口を設けるということも、非常に効果的な運用という面ではいいのではないかというふうに思います。  そういうふうなことを含めまして、この改革とか改善についてどのようなお考えがあるのか、また、その改革をしていくことについての時期とか、そういうめどをひとつ示していただきたい。  建設省に対しましても、入札の際の元請業者の評価基準というものを設け、そして下請とか孫請業者までこれを広げていく、そういうことが必要なのではなかろうか。そして、未加入業者への加入促進を徹底していくことが大切なのではないか。  そしてまた、大阪府が実はこの建退共の運営につきまして指導要網をまとめておりますけれども、こういうふうなことを建設省もぎちっとやっていただくということが大切なのではなかろうかというふうに思います。建設省、見ておられなかったら私お渡ししますけれども、その辺についてどのようにお考えになっておられるか。
  114. 遠藤乙彦

    遠藤委員長 鍵田君に申し上げます。持ち時間が終了しておりますので、よろしくお願いします。
  115. 鍵田節哉

    鍵田委員 はい。そして、この改革や改善についての具体的なめどなりも建設省からもお願いをしたい。そういうことをひとつ、建設省それから労働省、両方からお聞きをしたいと思います。よろしくお願いします。
  116. 澤田陽太郎

    ○澤田政府委員 先生御指摘のうち、まず、全建総連のような労働者の組織する団体委託したらどうかという点でありますが、中退制度事業主と退職金共済機構がやっております契約で、労働者は当事者としては出てまいりませんので、なかなか難しい面があろうかと思います。  それから、強制加入の点でありますが、最低労働条件を決めております労働基準法でも、退職手当については支払いを義務づけておりません。そういうこととの平氏等を考えますと、任意の制度であるこの退職金共済制度については、今の姿がいいのではないかと思っております。  それから、中途で一時払いをするという点でありますが、中退制度は、皆さんからお預かりした掛金を長期に運用して、長く勤続すれば有利な支払いを受けられるという数理計算でやっておりますので、中途で払い出しが出てまいりますと、そうした制度自身が揺らぐというおそれもございまして、これは極めて慎重な検討が必要であろうと思いますし、個々の労働者のニーズもよく調べてみなければならない、こう思っております。  それから、ICカード方式につきましては、確かに過去検討をしてまいりました。その中で最大のネックは、その後管理コストが非常にかかるという点と、個々の労働者なりがICカードを紛失してしまう、破損してしまうというような事態に対してどうするかと、いろいろ問題点がございまして、なお中長期課題として検討をしていくものとして今考えております。  それから、労働基準監督署に相談窓口を設けるという点でございますが、このための特別の相談窓口を設けることは適当ではないと思いますが、労働基準監督署自身、各種相談員というものを配しておりますので、そうした相談員の方に個々の労働者が相談をするということは現在でもやっておりますので、そうした面で対応をしていきたい、こう思っております。
  117. 遠藤乙彦

    遠藤委員長 小野官房長。答弁は簡潔に願います。
  118. 小野邦久

    ○小野(邦)政府委員 簡潔にお答えを申し上げたいと思います。  元請が使わぬ下請、孫請業者を加入の条件とするということは、これはなかなか難しい制度ではないかというふうに思います。もともと、元請が契約をいたしますときには、下請業者が決まっていないのが現状でもございます。  それからもう一つ、普及促進は大変大事なことでございますけれども、大阪の例を先生御指摘になりましたけれども、確かに、大阪でマニュアルをつくられて御努力されていることを私も存じ上げております。具体的な制度あるいは運用の場合に、これがどこまできちっと把握できるかというような点もございますので、そういう点、難しい、余り複雑な追及を果たしてどこまでできるかという課題もございますけれども、大阪府の新しい取り組みを参考としながら、具体的な方策については、今後、実効性の担保の問題も含めて検討してまいりたいというふうに思っております。  以上でございます。
  119. 鍵田節哉

    鍵田委員 どうもありがとうございました。
  120. 遠藤乙彦

    遠藤委員長 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時三十三分休憩      ――――◇―――――     午後一時開議
  121. 遠藤乙彦

    遠藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。小林守君。
  122. 小林守

    小林(守)委員 民主党の小林守でございます。  きょうは、建設委員会の一般質疑に際しまして質問の機会をいただきましたことを、まず関係者に感謝を申し上げたいと思います。  それから、冒頭でございますけれども、八月の末に発生いたしました福島県南部、そして栃木県那須地方北部の集中豪雨による水害に対しまして、発生直後に、建設大臣を初め国土庁長官には、真っ先に現地に駆けつけていただきまして御調査をいただき、そして災害復旧に全力で取り組むというような意向を伝えていただきましたことを心から感謝を申し上げ、激甚災害の指定を含め、鋭意災害復旧に御尽力をいただきますように御期待を申し上げ、お願いしたいと思います。  きょうは、私の質問は、公共事業にかかわる再評価システムについて、具体的な事例に沿ってお聞きをしておきたい、このように思うわけであります。せっかくの機会でありますので、私自身の地元の問題に直接かかわっておることにつきまして触れさせていただきたいと思うわけであります。  午前中の質問の中でも、山本譲司委員の方から、関連する同じような趣旨での質問がございましたけれども、私も、平成十年の四月一日から導入、施行されました、建設省所管の公共事業の再評価実施要領、これに基づく再評価システム、これについて質問させていただきます。  この評価システムにつきましては、いわゆる公共事業の持っている社会的、経済的な大きな影響、そしてまた、財政上のさまざまな問題にかかわるわけでありまして、北海道や東京都におきましても、近年、時のアセスメントというような観点から、公共事業のあり方についての見直しが進められているところであります。国におきましても、長良川河口堰の問題について、このようなアセスメントというか、社会経済状況の変化に対応するような柔軟な公共事業の見直しというシステムを導入すべきであるというような流れになってきているのではないかというふうに思いますし、今回の建設省の導入につきましては、一定の評価をさせていただくというふうに考えているところであります。  御承知のように、この再評価システムの目的は、いただいた資料によりますると、公共事業の効率性の向上、その実施過程の透明性の一層の向上及び事業継続についての適否の判断をして、不適当な場合、不適な場合には、その事業の中止または休止をするというような目的であります。  そこで、この評価システムを具体的な事例に沿って、先ほども申し上げましたけれども、私の地元にかかわる思川開発事業を事例に挙げまして質問させていただき、一つ一つこの効果や機能について検証していきたいなと思っているところであります。  そういうことで、まず皆さん方にも共通理解というか、一定の共通理解をしていただく意味からも、思川開発事業についての概要と今日までの経緯についてお聞きをしたいと思いますし、また、この思川開発事業、いわゆる南摩ダム建設問題について、この再評価システムではどのように再評価がなされ、実行されるのか、これらについて取りまとめてお伺いをしたいと思います。     〔委員長退席、谷畑委員長代理着席〕
  123. 青山俊樹

    ○青山政府委員 今お尋ねのございました思川総合開発事業でございますが、思川沿川等の洪水被害の軽減、思川や利根川における流水の正常な機能の維持と増進、都市用水の供給並びにかんがい用水の補給を目的として行う事業でございます。  このため、利根川水系の思川の支川の南摩川に南摩ダムを、また行川に行川ダムを建設いたしまして洪水調節を行うとともに、これらのダムと大谷川、黒川、大芦川を導水路で結ぶことによりまして、各河川の流量が豊富なときに、既得用水に支障なく、かつ河川環境の保全などを維持するのに十分な流量を残して取水をし、その水を一たんダムに蓄えまして、逆に渇水のときには、各河川に導水トンネルを通して必要な水を補給するという計画でございます。  事業は、昭和四十四年に実施計画調査、五十九年に建設事業に着手いたしております。また、利水の計画につきましては、利根川水系におきます水資源開発基本計画、いわゆるフルプランでございますが、これにおきましては、昭和四十五年の変更で思川開発事業が位置づけられまして、平成六年の変更におきまして行川ダムが追加されているところでございます。  また、治水上は、利根川水系の工事実施基本計画におきまして、昭和五十五年に本事業が位置づけられました。平成六年には、閣議決定の環境影響評価実施要綱に基づく手続を終えまして、主務大臣である建設大臣より水資源開発公団事業実施方針の指示を行っているところでございます。  その後、地元地権者等を中心に事業説明を行いまして、平成九年十月に、南摩ダム水没地にかかわる住民の方々全員から用地補償調査の了解を得まして、現在、用地補償調査等を実施しているところでございます。  以上が概要でございます。  これと再評価システムとの関係でございますが、この思川開発事業につきましては、本年三月に策定いたしました建設省所管公共事業の再評価実施要領に基づきまして、本年度、再評価を実施する対象事業となっているわけでございます。事業再評価は、事業の進捗状況事業をめぐる社会経済情勢等の変化、費用対効果分析、コスト縮減や代替案立案等の可能性等の視点から行うこととしております。  思川開発事業の再評価の実施主体は水資源開発公団及び関東地方建設局でございますが、再評価に当たりましては、関東地方建設局が設置いたしました関東地方建設局事業評価監視委員会に諮ることといたしております。
  124. 小林守

    小林(守)委員 再評価の対象ということで、今年度において再評価の対象として実施するというようなお話でございました。  そこで、まず再評価の視点について、今お話がございましたように、四つの視点で再評価を行うのだというようなことでありますが、事業の進捗状況とか社会経済情勢の変化、それから費用対効果、コスト縮減、代替案の立案、こういう観点で再評価をするというようなお話でございましたし、また、事業評価監視委員会は関東地建に設置される委員会において実施されるというようなことでありますが、これらの評価に当たって、幾つかの問題点を指摘させていただきたいというふうに思っております。  公共事業が国民的な合意のもとに民主的に進められるためには、何といっても情報の開示と住民参加のシステムが確保される、いろいろな多様な参加の仕組みがあるのだろうというふうに思いますが、情報公開と住民参加の国民の声をしっかりと受けとめられる仕組み、こういうものをどう制度化するか、そこにかかっているのだろう、このように思うわけであります。  もちろん、財政的な状況を考えるならば、費用対効果の問題については、貴重な国民の税金を投入するわけでありますから、相当厳しい費用対効果の分析を国民に説得力のある形で示す必要があるだろう、このように私自身は思っているところでありますし、当然、そういうことを踏まえた上での再評価になるのであろうというふうに思うのです。  しかし、具体的には、例えば思川開発事業については、民間の研究者団体などの皆さん方専門家の皆さん方から、過大な水需給予測に基づいた計画ではないのかというふうに指摘をされております。少なくとも、昭和三十九年、ちょうど高度成長の始まりでしょうか、その時点で計画、構想が発表されたというようなことでありますし、それ以来、構想発表から三十四年間たっている大規模ダムであります。  そういう点で、国土庁も含めて、二〇〇〇年に向けてのいわゆるウォータープラン二〇〇〇というのが出されておりますけれども、私は、過大な水需給予測に基づいた計画ではなかったのか、そういう点での、社会経済情勢の変化というかそういうものがきっちりと再評価の視点として入れられなければならないのではないか、このように思います。  というのは、工業用水の需要の変化、これは水をたくさん使う重化学工業の産業構造から、できるだけ使わないような軽薄短小の情報産業とかその他の産業に構造が転換してきているという事実がございますし、また農業用水についても減反とか宅地化、そういう過程の中で、農業用水として使われる需要というものは減ってきていると言えると思いますし、もちろん国民の意識の中における節水意識、こういうことも高まっているというふうに言えるかと思います。  そういう点で、過大な水需給予測ではないのかという観点からの見直しがまず必要だろうというふうに思いますし、もう一つ、費用対効果の問題についても、積算単価というようなものを相当精査しないと、さまざまな積算単価の基礎になっている数値が実際の民間における取引よりも高い見積もりになっているのではないかというようなことも言われております。  そういう点で、この見直しの視点の中に、過大な水需給予測、それから単価の見直し、そして節水社会をつくるという視点からの国民意識の動向、こういうものもやはりきちっと押さえる必要があるだろう。もちろん人口動態という視点もありますね。一極集中という、高度成長時代に、我々は首都圏に位置しまして、労働力も含めて、東京を中心にどんどん人を流出させてきた地域になるわけでありますけれども、今日ではその流れも変わりつつあると言っていいと思うのです。  ですから、とにかく水が足りないのだというだけの発想ではない時代になっているのではないか、このように思いますし、また、東京一極集中の是正という視点に立つならば、水が足りないのだからダムをつくって水を供給してくれということだけでやることは、一極集中をさらに助長するような仕組みをつくっていくことになるのだろうと思うのです。  そういう点で、確かに都市用水の中でも工業用水は安定化してきている、むしろ減少化傾向にある、しかし、生活用水についてはまだまだ増加の傾向にあるというのは事実だと思うのです。生活形態が非常にぜいたく化というか、水を使うような生活スタイルに変わってきておるというのもあるでしょう。しかし一方では、節水社会意識というかそういうものも高まっておりますから、これは社会意識を大きく転換していく中で抑えていける部分でもあるのではないか、このように思いますから、ただ単に水が足りないからダムをつくれという発想ではない時代を今迎えているのだろうというふうに思います。そういう観点で視点の見直しが必要だと思います。  それからもう一つ、東京の水を考える会という民間団体があるのですが、この事務局長であります東京都環境科学研究所の嶋津暉之さんという方、研究者、専門家でございますが、この方の提言の中には、この思川水系の過去五年間の水量のデータを分析して水収支という計算をしたならば、五年の間に一年半は貯水がゼロになるときが出てきますよと。  これは、データに基づいて推定というか計算されているのですが、民間団体の研究者、専門家がこのような水収支で、貯水量がゼロになるときが五年の間に一年半ぐらいあるというようなデータを出されておりますけれども、要は、そういうさまざまな研究の成果も含めて再評価をするべきではないのか、このように思いますので、その再評価の視点について、ちょっとお聞きをしたいと思います。
  125. 青山俊樹

    ○青山政府委員 今、水需要のお話でございますが、私どもの認識といたしましては、首都圏を初めとする関東地方におきましては水資源開発施設の整備が人口集中におくれまして、そういった原因から、現在でも、全体の取水量の約三六%が、河川水が豊富にあるときだけ取水が可能な不安定な取水に依存しているというのが現状だというふうに認識いたしております。  思川開発事業におきましても、開発水量の七・一トンのうち事業による水開発を前提として、まだダムはできていないわけでございますが、既に栃木県、茨城県において約〇・六トンの暫定取水、河川水が豊富にあるときだけ取水が可能な取水を行っている状況でございます。  また、近年は全国的に少雨化傾向にあるということでございまして、渇水傾向を二層助長しているという認識も持っております。  さらには、地盤沈下が関東平野北部で非常に著しい状況になっておりまして、こういった場合、地下水源、地下水のくみ上げが原因でございますが、この地下水源の代替が必要であるという認識も持っております。  最近数年間をとってみましても、首都圏におきましては、平成六年の夏、平成七年の冬、平成八年の夏、平成九年冬など、ほぼ毎年と言ってもいいほど渇水が発生しておりまして、現在の水資源開発計画が過大なものとなっているとは考えておりません。  ダム事業の再評価を行うに当たりましては、利水者の事業や計画について直接評価の対象としているものではございませんが、渇水被害の状況、またその社会的影響、利水事業状況等につきまして、資料を整理しまして事業評価監視委員会に提示するとともに、必要に応じて、利水事業者の協力を得ながら事業監視委員会説明することといたしております。
  126. 小林守

    小林(守)委員 今の説明では、過大な水需給予測ではないというような視点で進めるのだということになるのだろうというふうに思いますが、決してそればかりでなく、上流における水没者の生活実感からいっても、これだけ水が欲しいのならば、なぜ一極集中是正という国策の中でこちらに来てくれないのかというような視点もあるわけですね。そんなことで、やはり国全体の、国土の均衡ある発展とかそういう視点からも水の利用というもの、それから水の循環的な仕組み、こういうものを見直していかなければならない時代を迎えているのではないかなというふうに思います。  地盤沈下の問題も、地下水のくみ上げを無規制にどんどんやらせてきた、そういうところに大きな原因があるわけであって、その県なり市の行政上の問題もあるのではないかなというふうに思います。ただ代替水源としてダムをつくれば、では地下水はくみ上げをしなくなるという保証はどこにあるのか。大変多額な水道料金を払わなければならない高コストの水源開発になるのだろうと私は見ています。地下水は少なくとも一定の、これは規制なしでくみ上げてしまうわけでありますからただですね、本来ただであってはおかしいのだと思いますが。そういうことを考えるならば、やはりどんどんくみ上げていくという無規制の地下水くみ上げが地盤沈下の大きな原因であって、だから、地盤沈下するのだからダムをつくれという話に即行くこと自身、問題があるのではないかなというふうに私は思うのです。  問題を起こしておいて、その原因をきちっと直すための対策をとらずに、別のところに代替方法を見つけていくという今日までの水行政のあり方に大きな欠陥があるのだろう、私はこのように指摘をさせていただきたいと思います。  そこで、再評価監視委員会の性格とか委員の構成でございますけれども、どのようになっているのか。そして、少なくとも先ほども申し上げましたように、住民団体とか環境関係団体とかそういうNGOの皆さん方、これは本当に専門的に研究されている皆さんが非常にレベルの高い時代を日本も迎えてきたのかなという感じがするのですが、そういう人たちを、ただ単に反対するから入れないんだとか、そういう排除する論理ではなくて、やはり大きな役割を果たしてきているし、そういうNGOの団体皆さん方も、政策提言型の市民運動、そういう形で、少なくとも科学的にまた政策論的に問題提起をしてくるような進め方に変わってきているのだろうというふうに思うのですね。一定の成熟化が進められているのだろう、このように思いますし、特に温暖化の問題などでもNGOの皆さん方が大変な役割を果たしたというのは、国自身が評価をして認めている状況になっておるわけであります。  そういう点でも、日本でもようやくそういう時代が来つつあるのかなというふうに思うのですが、いわゆる河川行政とか建設省関係のいろんな審議会があるんだろうと思いますが、こういう事業評価の監視委員会の中でそのような民間団体の代表の方々がどう位置づけられていくのか。私は不十分ではないのかなと思えてならないのですが、いかがでしょうか。
  127. 小野邦久

    ○小野(邦)政府委員 事業評価監視委員会の一般的な客観性、透明性確保についてのお尋ねということでございますので、私の方からお答えをさせていただきますけれども、事業評価監視委員会委員の構成でございますけれども、これは学識経験者等の第三者から構成される委員会、こういう位置づけでございまして、その意見を最大限尊重するということにしているわけでございますが、委員地域の実情に精通した公平な立場にある有識者のうちから選定をする、選定に当たっては都道府県知事の御意見を聞くなど透明性確保に努めていきたい、こう思っておるところでございます。  具体的に、住民の方々の御意見あるいは第三者の意見の聞き方等でございますけれども、これにつきましては、例えば大規模な公共事業につきましての評価委員会システムというものもこの再評価システムの中に明確に位置づけられているわけでございますけれども、必要に応じて公聴会を開催というようなことによって住民の意見を聞く仕組みもございます。あるいは、そういうものでなくても事業評価監視委員会自体、第三者の外部の方の御意見を聞くということは必要に応じ、やっていくシステムといたしております。
  128. 小林守

    小林(守)委員 住民の意見を聞くことができるというか、やる気になれば、必要があればできるんだよということだろうというふうに思うのですが、関東地建の現在の事業評価監視委員会委員名簿もいただきましたけれども、地域の事情に非常に明るいというふうに言えるかどうか。確かに学者、先生方それから関係市長会の代表の方とか町村会の代表の方とかおります。知事の意見を聞いてというようなこともあるようでありますが、実際に直接かかわる水没地域の自治体の代表それから住民代表あたりが入っていないということ自身、本当に地元の事情がわかるのかということを私は言いたいと思うのです。その辺についてはいかがでしょうか。
  129. 小野邦久

    ○小野(邦)政府委員 これも一般的なこととしてお答えを申し上げますけれども、地域の住民の方々の代表としては、当該公共団体の市町村長さんというような方々が入っていただくことによって地域意見も代弁をしていただけるのではないか、こういうふうに考えているところでございます。
  130. 小林守

    小林(守)委員 ダム等審議委員会というのもありますね、ダム審というのですが、これらの委員構成についても、マスコミを含めて一般的に我々のところに聞こえてくる声は、知事や建設省お気に入りのというか肝いりの方々で構成されているのではないか、要は推進のためのお墨つきを与えるような審議委員会ではないのかというような御批判が強く出ているのは事実であります。そういう観点に対して、私は残念なことだと思いますし、やはり国民的に合意を形成してやっていくことが正しいことなのだろうというふうに思うのですね。  そういう点で、ここでは大臣に、このダム審の問題にしても今回の事業評価監視委員会委員の選考にしても、やはり基本的に客観性、科学性、中立性というか、それが本当に確保できるような人選になっているのかどうか、私は疑問なんですよ。一番地域の人たちの気持ちそれから利害関係が代表されるようなことであるならば、賛成の人も入っても結構でしょう、しかし反対の人も入れなければならないのじゃないでしょうかね。そういうことも含めて、大臣の御見解をお聞きしたいと思います。
  131. 関谷勝嗣

    ○関谷国務大臣 るる小林先生のこの公共事業の再評価に対するお考え方、そしてまた思川開発事業、現にあります。そのことに結んでのいろいろなお考え方、本当に私は、この公共事業の再評価についてすばらしい御理解をしていただいておると先ほどから敬意を表しておったわけでございます。  再評価、この十年の四月からスタートしたわけでございますが、これは私は画期的な委員会ができたと思っておるわけでございまして、これは先生今おっしゃいましたように、推進派から見てもいいだろうし、また反対の側、それを進めたくないという反対の方から見ても、私はこの再評価の組織というのはいいことだろうと思うのです。ですから、まず、先ほどの先生の御質問の、委員のメンバーは推進派だけではないかというような御注意がありましたが、私は、当然その地元の方々の、何も前もって反対する人を入れろということではなくして、現地の方を必ず入れる。それは今局長答弁いたしましたが、地方公共団体の長ではなくして、もちろんその長も入れるのも結構でございましょうが、やはりダムであれば水没をしてしまうその地域の方などを入れるというのは当然やっていかなければならない。それが、私がねらっております、すべての事業をやるときの透明性にもつながってくるわけでございますから、私はそういうような考えで指導をしていきたいと思っておるわけでございます。  それとこの組織委員会ができたというのは、私は非常にいいと思いますのは、今までだとどうしても、そういう事業を行った方が、何という間違った事業を発案したのかというように指弾されるというような考えもあったのだろうと思いますが、先生御指摘のように、戦後もう五十三年たってきたわけでございますし、あるいはいろいろな事業というのはずっと長い間進捗していないというのは、その間には利水の状態も変わってくるわけでございます。本来その周辺に工業団地が来るということで、工業団地で水が必要だということで開発しようとしても、実際に今のような不景気で工業団地に企業が全然来なかった、そうしたら当然水は必要なくなるわけでございますから、治水の方の予算は続けていきますけれども、利水の方はそれでは中止しようというようなことを現に行っておるわけでございますから、そういう意味で、私は偏った委員会にはしないように指導をしていきたいと思っております。
  132. 小林守

    小林(守)委員 大臣の答弁の方向で、ぜひ進めていただければというふうに思います。  それで、その再評価の結果、一定の評価がされますけれども、公表について、できるだけ具体的に細かく公表するというような仕組みを、委員会が公開かどうかということは、いずれにしても会議録は公開されるということになるでしょうから、要は再評価の結果についてあらゆるメディアを通しても見られるような、例えばインターネットあたりにもずっと出すとか、そういう形で今いろいろな公開の仕方があると思うのです。そういうことを含めて、国民に再評価の結果はできるだけ情報公開、開示をしていくということでやってもらわなければ意味がなくなってしまうのだろうと思うのです。それもぜひ努めていただければ、ありがたいというふうに思います。  そこで、次に、このダムの問題なんですが、本年の九月十一日に本事業については水資源開発特別措置法に基づくダム指定が閣議決定されました。この過程の中で、私が疑問に思ったのは、この思川開発事業における南摩ダム、行川ダムということなんですが、要は、水没地域は鹿沼市の南摩ダム地域である、しかし、水を取水して一時ためておくところは行川ダムというところがあるんです。これは今市地域になります。今市地震があったところでもあるんですが、日光の手前の市なんですけれども、ここでは、市長も含めて市議会全会で反対の決議を、反対の意見を知事や建設大臣国土庁長官、環境庁長官にも出しています。これは昨年の六月に既に出しておりますし、もちろん三十何年前に計画が発表された時点でも反対の決議をしているんですが、改めて決議の意見書を出している経過がございます。今市はダム指定にはならない地域なんですね、水没地域ではございませんから。  要は、南摩ダム地域は水没者がいるからダム指定になって、地域整備計画という形で、補助金の補助率のかさ上げというか、そういう形で地域整備ができるということになるんでしょうが、この南摩ダムは、冒頭お話があったように、いわゆる流域変更、鬼怒川水系から思川水系に、大谷川の水を取って、取水して、思川水系の南摩ダムにためる。しかも、ためる水の量のうち八〇%近くは、今市の大谷川、日光から流れてくる大谷川の水に依存しなければダムの機能が果たせない、貯水できない、そういう導水管事業にかかわる事業なんですね。  ですから、今市はみずからの大谷川の水を取水される立場である、しかもダム指定にならない地域であるということを考えるならば、私の地元は鹿沼なんですが、鹿沼がダム指定を早くやってくれという形で、知事を経由して国に、建設大臣国土庁長官にそのダム指定の要望書を出すということについて、大変自治体間でも、鹿沼は自分たちのダムを早くつくってくれという市長の意見が知事を経由で出された。知事は一カ月後にすぐに国に出しちゃった。しかし、同じ県内の自治体であるお隣の今市では議会が全部反対している、住民も反対同盟、強いのがあります。こういうのがありながらも、随分勝手な話じゃないか、中身はうちの方の水を取らなければできないダムじゃないかということで、住民感情からすれば、非常に心を逆なでされるような気持ちになってきているわけですね。  そういう点で、国としては、ダム指定をしてくれという要請書が出た時点、それと、もちろん参議院選挙前だったから現域の大臣はお聞きしていないと思うんですが、引き継ぎはあるはずであります。今市から出ている議会の、中止を含め見直しをしてくれという意見書について、少なくとも国の段階ではやはり、自治体ではどうだったんですか、知事さん。知事から来ているわけですから。栃木県としては、今市の方はどうなんですかという問い合わせがなかったら、これは閣議決定するのには、極めて地域の事情とか社会経済情勢を反映していない決定の仕方になるんではないかというふうに思いますし、手続的に極めてこれは問題のある決定になるんではないか、そういうふうに思うんです。  直接大臣にお聞きしたいんですけれども、そのときおれは大臣じゃなかったと言われればちょっとぐあいが悪いものですから、担当の方からひとつお願いします。
  133. 久保田勇夫

    ○久保田政府委員 事務的なことにつきまして、官房長から御説明をさせていただきます。  今、御承知のように、水特法、いわゆる水源地域対策特別措置法は、ダムの建設によりその基礎条件が著しく変化する水源地域について、まさに鹿沼ですが、生活環境、産業基盤等を整備すること等により、関係住民の生活の安定と福祉の向上を図る等を目的としたものでございまして、お話のございました南摩ダムは、七十九戸の住宅、五十ヘクタールの農地が水没するダム、これはもう先生御承知のとおりでありまして、そういうことで、ダムの建設に向けて、地元鹿沼市の関係住民の大部分の御理解を得られまして、先ほどお話ございました、栃木県知事及び鹿沼市長より水源地域対策特別措置法に基づくダム指定について御要望をいただいたこと等を踏まえて指定したものでございます。  これによりまして、南摩ダムは、今後、水源地域整備計画の決定等の手続が行われ、水源地域の生活環境、産業基盤等の計画的な整備が図られるとともに、水源地域整備計画に位置づけられた事業の国庫補助率等のかさ上げを受けることができる、まさにそういうことでございます。  それで、実態関係につきまして、その後のいろいろな議論があったではないかということでございますが、これはちょっと事務的なことで、私から御説明いたしますが、鹿沼市の御要望あるいは今市市議会の意見書の提出という状況におきまして、栃木県がどう御判断されるかということは非常に大事であるという考えはあるわけでございまして、そういう意味では、先ほど御説明ございましたように、栃木県知事によりましてダムの指定に関する要望書が提出された後に、今市市議会において、思川開発事業の見直しや水源地域対策特別措置法に基づくダム指定の凍結に関する意見書が採択されました。確かに、私ども受け取っております。  このため、私どもといたしましても、皆様方の意見等は非常に大事だということでございまして、栃木県に再度、南摩ダムダム指定について意見を確認する等行いまして、十分協議した上でダムの指定を行ったものでございます。
  134. 小林守

    小林(守)委員 今の答弁によりますならば、我々は、県議会において知事に対して厳しい姿勢で臨まなければならないということになるんだろうというふうに思いますが、いずれにしても、今後もこの問題については、さらに住民のやはり意向をどう受けとめていくのかという、情報公開と住民参加という形の中で、公共事業の持っている非常に大きな社会的影響の問題を踏まえて取り組んでいきたいなというふうに思いますし、少なくとも、ダム審の中で、ダム事業の評価監視委員会の中でも、社会情勢の変化の中に地元情勢の変化ということをきちっとやはり押さえながらやってもらいたいというふうに思いますね。  今市市の住民は被害者と言っていいかどうか、とにかく水をくれる立場の方ですし、それが実現しない限り南摩ダムはできません、ダムとしての機能は果たせないんですから。だから、できないのは具体的にはっきりしているんですけれども、それを無視して、反対しているんだから、水をもらう方だけが早くダム指定しろという話はないんですね。これは非常に失礼な話ですし、関係住民の今市市としては、地下水の問題が大変心配だということが具体的にありますし、行川ダムの震源地の問題の心配もあります、地震の災害が昭和二十四年にあったところなんですが。  そういうこともありますし、住民としては、今ようやく住民代表、議会も含めて市長も含めて、市が設置したんですが、客観的に冷静に、ダムについての、思川開発事業についての大谷川取水対策協議会という会をつくって、いろいろな調査研究をしている段階なんですよ。ことしの三月に中間発表を出した時点なんです。さらにこういうところを研究する必要があるとかそういうことで、非常に冷静な研究活動が住民団体も含めて始まったところに、そんなことを無視してぽんと、早くダム指定しろという形の要請書が出ちゃったものですから、大変なこじれをまた生み出したというふうに言えると思うんですね。そんなことで、我々としても、非常にけしからぬ話だというふうに思っているところであります。
  135. 柳沢伯夫

    ○柳沢国務大臣 小林委員から、地元の実情、しかも御出身のところはむしろ今度は受益者のような感じになったところだというふうに聞いておりますけれども、広い視野に立ったいろいろな御意見の御開陳をいただきました。  ただ私ども、ここに私二つほど申し上げておきたいのは、今度の閣議決定というのは、ダムそのものをこれから始めますよ、ここで工事を始めますよということではなくて、ダムをやることはもう既定の方針なんだけれども、それで水没をしてしまう等の水源地域対策の指定ということであったということでございます。したがいまして、この点についてはぜひ御理解をいただいておきたい、このように思います。  それから同時に今市市の方の水についての心配については、今後水資源公団が、いろいろ微妙な調整も要るようでございますので、それらについては十分相談に乗って、今市市市民の、あるいはその下流域の皆さん方の御心配のないように計らってまいりたい、このように考えておりますことを申し述べておきたいと思います。
  136. 谷畑孝

    ○谷畑委員長代理 質疑時間が終了いたしましたので、よろしくお願い申し上げます。
  137. 小林守

    小林(守)委員 はい、わかりました。
  138. 谷畑孝

    ○谷畑委員長代理 井上義久君。
  139. 井上義久

    井上(義)委員 初めに、公共事業についてお伺いしたいと思います。  公共事業をめぐりましては、その効率性、効果性に国民各界から厳しい指摘があることは大臣御承知のとおりだと思います。特に、バブル崩壊以降の公共投資については、当面の景気対策という色彩が極めて強くて、一定の景気の下支えの効果はあったと思いますけれども、土木を中心としたばらまき、こういう批判が極めて強いわけでございます。公共工事をやっているときはいいけれども、投資がとまった途端に失業がふえてもとの状態に戻ってしまう、こういうことを繰り返してきたわけでございます。  本来、公共投資というのは、時代のニーズにこたえながら、社会資本ストックを形成し、経済の成長を高め、国民生活の質の向上を目指すということが期待されているわけでございまして、貯蓄投資バランスを考えても、この十年間が積極的な公共投資のチャンス、このように考えているわけでございます。  であればこそ、透明性を高めるとかあるいはむだをなくす、こういうことは当然でありますけれども、やはり時代のニーズにあった戦略というものが公共投資に明確になければならないのではないか。特に、国民の側から見て、ここにこれだけの投資をしたらこういう効果があったのだということがやはり明白になるような公共投資のあり方がこれから必要じゃないか、そういうふうに思うわけでございまして、今後の公共投資のあり方について、大臣の基本的なお考えをお伺いしたいのが一つ。  もう一つは、当面の景気を考えましても、やはり十分な総事業費、これを確保するということは非常に大事なことだと思いますので、九八年度、今回の景気対策臨時緊急特別枠も含めてどの程度の事業規模になるというふうに見ていらっしゃるのか。それから、九九年度、これもやはり継続的な事業費を確保していくことが極めて大事だと思いますので、その辺の大臣の御決意をお伺いしておきたいと思います。
  140. 関谷勝嗣

    ○関谷国務大臣 先生御指摘の公共事業に対しますいろいろな評価、これは他の先生の御質問にもございましたが、今の経済情勢、社会情勢等を考えましたときには、全く今までと同じようなやり方での公共投資、公共事業というものはいささか改善していかなければならない点も多々あろうとは思いますが、私は、今の社会全体を覆っております不安感、そういうような状態のもとではやはり減税だけでは、あるいは減税よりも公共事業の方が景気回復のインパクトは大きい、また効果も非常に大きなものがあると考えております。  そういう中にありまして、先生御指摘のように、これからの十年間が私はやはり公共事業のその財があるときだろうと思うわけでございます。  一定の仮定のもとに推計した一覧表があるのでございますが、二〇一〇年までは貯蓄超過であるが、以降は貯蓄が減少して、二〇一五年には投資超過に転じることになるのではないか、そこを先生が御指摘なさっていらっしゃることだろうと思うわけでございまして、この十年間に、ぜひ私は、社会資本の整備というのを強力に推進をしていかなければならないと思っておるわけでございます。  そういう中にありまして、高規格幹線道路整備あるいはまた高齢者向けの公共賃貸住宅整備であるとか、あるいは二十一世紀を見据えたそういう意味での戦略的な社会資本整備というのをこの十年間に進めていきまして、物流の効率化というものも早く達成をしていきたいと思っておるわけでございます。  それから、今後の予算でございますが、御承知のように特別枠もございます。これも大いに活用したいと思っておりますし、来年度の一般会計におきましては、ことしの当初の六兆円の四六%ということでございますから、九兆二千億円ばかりの事業費を得ることができると思います。ですから、強力に公共事業を進めていきたい。  そして、進めていくときには、私はよく言っておるのでございますが、重点的な配分をやっていきたいと思っておるわけでございます。それは効果の大きなもの、そして緊急度、重要度、そして再評価の委員会のことが先ほど出ておりましたが、やはり地元の協力というものがなければならないわけでございますから、地元が協力できるかどうかというものも勘案して重点配分をやっていきたい。あわせて、自然環境と共生のできる状態で私は開発をやっていきたい、そのように考えております。
  141. 井上義久

    井上(義)委員 やはり国民の目に見える形で、ここがこういうふうに変わるのだと、道路が何キロ延長しましたとかいうような言い方じゃなくて、この十年間で国民生活はこういうふうに変わるのです、やはりこういう目に見える形の国民に対する理解というのが私は大事だと思いますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。  それからもう一点、我が国産業における最大の雇用の担い手であります建設産業が極めて厳しい状況にありまして、現在五十数万社、就業者数七百万人と言われているわけでありますけれども、昨年は五千四百四十六件の倒産がありましたし、ことしに入ってから毎月四百件を超える倒産が相次いでいるわけでございます。業界の体質や産業構造にも問題が多いわけですが、ただ、現状を放置して自然淘汰にゆだねるということでは、やはり雇用問題を含めて社会問題になる可能性が強いわけでございます。雇用調整を見据えつつ建設産業の構造改革をどう進めるか、建設就業者の生活を守りながらどう業態を近代化させていくか、一人一人の生活がかかっているだけに、大変重要な問題だと思うわけでございます。  この建設産業の構造改革について、建設省としてどのように取り組もうとしていらっしゃるのか。基幹産業の一つであって、やはり一定の適切な政策誘導、産業振興策というものが私は必要じゃないかというふうに思うわけでございまして、その点についてお伺いしたいと思います。
  142. 木下博夫

    ○木下政府委員 お答えいたします。  先生、お話にございましたように、いわば公共事業を支える建設業の状況からいきますと、大変厳しゅうございます。結論的には、この中で建設業だけが繁栄するというのはなかなか難しいと思いますが、他産業との関連も十分考慮しながらでございますが、お話ございましたように、建設業を取り巻く状況の中では、建設投資が平成四年当時八十四兆あったわけでございますが、平成九年はそれと比較いたしますと一一%減ということで、いわばパイそのものも減っておるわけでございます。  利益率も、ちょっと細かくなりますけれども、平成三年、これは最近では一番営業利益率が高かった年でございますが、五%の営業利益率を上げておりましたのに対して、平成八年で二・一%ということで、四〇%ばかりに下がっております。  こういう厳しい環境の中で、お話ございましたように、建設業者数は年々ふえております。業者数のふえる背景といいますのは、中核的な業者がふえているというよりは、いわば中小零細企業が大分分裂していって新しい業者になっていくというのも実態でございます。  いずれにせよ、お話ございましたように、公共事業はこれからいろいろな局面を迎えるわけでございますが、それを支える、あるいは日本の基幹産業としての建設業をどうしていくかということでは、やはり技術力とかあるいは経営の力を持った業者をいわば仕事につかせるということでございますので、今までにも入札制度については種々の検討もしておりますが、一方では、正しい企業の評価をしていくということでのいわば情報公開等もやっていく、公表もしていく必要があろうかと思っております。我々としても、金融面とかその他の面の諸環境もなかなか厳しい中でございますけれども、今申し上げたような入札制度あるいは経営力に対しての支援体制をこれからもとってまいりたい、こう思っております。
  143. 関谷勝嗣

    ○関谷国務大臣 局長からも御答弁があったわけでございますが、確かに構造改革ということを私はやっていかなければならないと思いますし、今地方の公共団体公共事業を今のような補助金とか助成金的なもので出していって、それがなければなかなか地方の経済が維持できないというのも、これも私は、先生御指摘のように、そんなことができるのも、まあここ十年がつついっぱいじゃないかと思っております。そんなことがいつまでもできるものではないと私は思っておりますから。  そういうようなことをまたいろいろ研究して考えていかなければならないと思うのですけれども、ことしの二月の中央建設業審議会の建議もございまして、やはり技術と経営にすぐれた企業が伸びていくことができる建設の市場をつくっていく、あるいはまた、先ほど局長も言っておりましたが、入札とか契約制度競争性、そして透明性向上、あるいはまた、不良なあるいは不適格な業者の排除というのは、これはまた私は徹底してやっていかなければならないと思うわけでございまして、違法なことを行った企業も、いわゆる入札の停止なんというのが二カ月とか三カ月なんというのでは、私は何のパニッシュメントにもならないような気もするわけでございますが、そういう不適格な業者の排除というものも徹底的にやっていく。  ですから、経営力と技術力の強固な企業が生きていけるような、そういう建設業の構造改善というものもやっていかなければならない。そういうもとにあって、やはり私は、契約の制度の、後からの予定価格の公表というようなこともやっていって透明度というのは高めていかなければならないと思っております。  それと、私は、先生御指摘がございましたが、やはりそういうようなことで、努力もしない企業までを助けていくというようなことはできませんから、やはりいささかは自然淘汰的な余地も残して、やはり努力した者が生き残っていけることができる建設業界というものにも、私は、いささかちょっときつい表現になるかもしれませんが、やっていかなければならない。私はいささか甘えた経営姿勢のところもあると思っております。
  144. 井上義久

    井上(義)委員 次に、住宅政策についてお伺いしたいと思います。  長期化する不況で、失業や賃金カットによって住宅ローンの返済が困難になる世帯が増加しております。ローン破綻に追い込まれ、やむなくマイホームを手放す例も急増しているわけです。一方、住宅着工件数は十九カ月連続で前年を下回っておりまして、業界では、年間着工戸数百万戸割れというような声も聞かれるわけでございまして、私どもとしては、本年六月二十四日に経済対策に関する緊急提言を発表しておりまして、この住宅ローン利子減税の創設等の住宅減税あるいは住宅ローン返済困難者に対する支援対策等を政府に要請したわけでございます。  具体的に、まず一つは、住宅ローン利子減税制度の創設でありますけれども、御案内のようにアメリカでは、二軒までの住宅並びに敷地に対して、百万ドルを限度として、全返済期間を通じて住宅ローンの利子を所得から控除する、いわゆる住宅ローン利子所得控除制度があるわけでございます。日本でも同制度導入を各界から強く要望されているところでありますけれども、住宅建設は経済波及効果も非常に大きいということで、現在の経済状況を勘案いたしますと、現行の住宅取得促進税制との選択制で、このローン利子減税制度、これはぜひ導入する必要がある、こういうふうに思うわけでございますけれども、住宅政策の観点から、この点についてお考えを承りたいと思います。
  145. 関谷勝嗣

    ○関谷国務大臣 先生と私も同じ考え方でございまして、現在ございます住宅促進税制を六年間を十年間に延ばしますし、それと新たにローン利子減税を行うということで、この両者どちらでも、選択制で私は行くべきであろうと思っております。そのように私は指導をしていきたいと思っております。  それで、また住宅ローンの返済の困窮者の方々に対しましては、償還期間を最長十年間延長して、返済の負担の軽減を行っているところでもございますし、このローン返済のための、返済といいましょうか、金融公庫から資金を借ります。その条件は、いろいろやはり制限されておるところがございますから、そういうようなところも緩和をしていくような状態に、またしていかなければならないと思いますが、いずれにいたしましても、今のような経済情勢でございますから、返済期間の延長とかあるいは据置期間の設定、あるいはそれの長期化等々を行っていきたいと思っております。
  146. 井上義久

    井上(義)委員 住宅ローン利子減税制度、大臣もこれを導入することが必要である、こういうお考えだというふうに理解いたしましたので、ぜひ実行をよろしくお願いしたいと思います。  それから、今大臣お触れになりましたけれども、住宅取得促進税制についても、これは特に中堅所得者層以下の人たちに対しては極めて有効な税制なわけでございまして、控除期間の延長、それから対象となる借入金額の引き上げ、住民税への遡及というような制度の拡充が強く求められているわけでございまして、これは、当面の景気対策ということもありますけれども、やはり住宅政策としても非常に重要であると思いますので、もう少しこれを具体的に、建設省のこの辺の具体的な、今当面考えていらっしゃることを確認しておきたいと思います。
  147. 那珂正

    ○那珂説明員 現行の住宅取得促進税制に関してでございますが、ただいま先生も御指摘いただきましたように、次のような大幅な拡充を要望しているところでございます。すなわち、現行六年間の控除期間を十年に延長いたしまして、控除額合計も現在より百万円引き上げるというのが一点目でございます。それから、住宅とともに取得する敷地についてのローンにつきましても対象とする、所得要件を廃止する、さらに住民税についても適用するというような四点を柱として要望しているところでございます。  また、さきにお触れになりました住宅ローン利子所得控除制度の効果ということでございますが、所得水準とか借入金の金額とかあるいはそのときの金利水準とか個々の経済状況によっても、また、控除対象をどこまでにするかとか期間をどの程度にするかとか、制度設計の仕方によって大きく異なりまして、一概に効果はどうかということを申し上げにくいのですが、今米国で行われておりますような制度参考に考えますと、右肩上がりの成長がとまって所得の伸びが鈍化するというような経済状況の中では、やはり、長期にわたって住宅取得者の負担を軽減することで計画的な住宅取得の促進が図られるとか、また、とりわけ良質な住宅ストックの形成や市場の活性化を通じた居住水準の向上につながるものと思料されるところでございます。
  148. 井上義久

    井上(義)委員 ぜひ実現、強力に建設省としても取り組んでいただきたいと思います。  それから次に、買いかえ特例とこの住宅取得促進税制またはローン利子控除の併用ということなんですけれども、今後の住宅政策の課題は、住宅の質をどう高めていくかということが望まれるわけでございまして、そういう意味で、所得とかライフスタイルに合わせて買いかえを支援していくということが肝要であろう、私はこう思うわけでございます。  ただ、現行の住宅用財産の買いかえ特例というのは住宅促進税制との選択になっているわけでございまして、買いかえ特例とこの住宅促進税制あるいは住宅ローン利子控除、これを併用するシステムにして、より質の高い住宅への買いかえを積種的に支援する、こういうことが私はぜひ必要ではないかと思うわけでございますけれども、これについてどうでしょうか。
  149. 那珂正

    ○那珂説明員 住宅取得促進税制、現行の制度でございますが、これは、ローンを組んだ方の初期負担を軽減して中堅所得者層を中心とする国民の住宅取得を促進して居住水準の向上につなげたいという趣旨でございますし、また、ただいま御指摘の買いかえ特例につきましては、持ち家から持ち家に住みかえた場合に、その譲渡所得の全額繰り延べ等を行うことによって買いかえによる居住水準の向上を支援するという制度でございます。  住宅政策の観点からは、住みかえによる居住水準の向上を図るというようなことで、二つ制度の重複適用ということも考えられると思いますけれども、税制上の制度として、財政上の制約とかあるいは一次取得者に対する支援とのバランスとか、そういうことを考慮せざるを得ないものと理解しております。
  150. 井上義久

    井上(義)委員 買いかえを促進する、これは景気対策にもつながるわけでありますし、税制の壁はいろいろあると思いますが、建設省、しっかりこれをやっていただければと思いますので、よろしくお願いします。  それから、先ほど大臣にも少し触れていただきましたけれども、住宅ローンの返済困難者に対する対策でございますけれども、住宅金融公庫の調べですと、平成九年度の延滞件数というのは一万八千五百二十五件、それから公庫住宅融資保証協会の代位弁済件数、これは平成九年度九千七百十五件、その件数、年々増加しているわけでございます。また、統計にはあらわれていない潜在的な返済困難者が多数存在すると考えられるわけでございまして、今後の経済状態というものを考えますと、ローン返済困難者の数はますます増加して、社会問題になりつつあるわけでございまして、大変これは私どもも心配しているわけでございます。  それで、ゆとり返済については、先ほど大臣からもありましたように、返済期間を十年程度に延長するということを決めたようなわけですけれども、これ以外にも、例えば失業したとかあるいは所得が急激に減ったとか、そういう人たちの救済措置というものが大事じゃないかということで、返済の据え置きとかあるいはその期間の利子補給でありますとか、あるいは返済期間の延長、あるいは、ぜひこれもやってもらいたいと思うのですけれども、返済中の自宅を一時的に賃貸に回して、より家賃の低いところに自分は住んでローンを返済するというような、いわゆる一種の、賃貸に出せる条件の弾力的運用というのですか、こういうこともぜひやっていただきたい、こう思いますが、この点どうでしょうか。
  151. 関谷勝嗣

    ○関谷国務大臣 そういうもろもろの問題を御相談を受けるように、ローンの返済の困難者の対策ということで、住宅金融公庫にそういう返済相談を行うのを各支店にも置いておりますので、ぜひ御相談をしていただきたいし、先生が今るるおっしゃられました方策は、私は一〇〇%それを進めていくことができると思いますので、頑張っていきたいと思っております。
  152. 井上義久

    井上(義)委員 それから、これはちょっと税務当局の話になるかと思うのですけれども、マイホームを手放して賃貸住宅に移行せざるを得ない。今、買いかえについては、いわゆる譲渡損失が出た場合の繰越控除制度があって、その年と、あと三年間繰越控除を認めているわけですけれども、要するに、買いかえじゃなくて、売らざるを得ない、それで賃貸に移る。ところが、今損失が出ているケースが多いわけで、売ってもローンが残ってしまっているというケースが多いわけでございまして、これは住宅政策というよりも生活再建という意味合いから、そういう譲渡損が出たときについてもこの繰越控除を認めるようにした方がいいんじゃないか、すべきじゃないか、こう思うのですけれども、税務当局、もし来ていたら。
  153. 福田進

    ○福田政府委員 お答え申し上げます。  御案内のように、所得税と申しますのは、一暦年、つまり一年間の所得に対しまして累進税率を適用する税でございます。一暦年ごとに所得計算を行いまして、ある年の事情を他の年に反映させない、これが原則でございます。したがいまして、損失につきましても、ある年に生じた損失は翌年以降の所得計算に反映させないというのが基本でございます。  今先生の方から、ローン破綻者支援のために、マイホームを手放した、賃貸に移らざるを得ない方の譲渡損について、繰越控除を認めることはできないか、こういうお尋ねでございますが、御案内のように居住用資産につきましては、売却時に譲渡損と逆、譲渡益が生じました場合にも、三千万円の特別控除により居住用財産の譲渡者の大部分の方、ざっと九六%の方は実質上非課税になっております。売ったときに利益が出たときは大部分非課税ということで、仮に課税になる場合でも、買いかえ特例あるいは軽減税率といったことで税負担を軽減しております。  こういった制度とのバランスあるいは諸外国における取り扱いとの比較から見ても、今の我が国の所得税において、譲渡損失に配慮して特別の制度を設けるということは大変難しい、困難な問題ではないかと考えております。
  154. 井上義久

    井上(義)委員 これはバブルのときだったらいいのですけれども、逆のときは、もう譲渡損失がいっぱい出てしまって、家を売ったのにローンを払い続けなければいけないというのが現状なので、余り頭のかたいことを言わないで、大臣、どうですか。同じように思いませんか。余りお答えしたくないようなので、これもちょっとよく考えてもらいたいと思います。  それから、住宅政策の中で、今までは持ち家対象ということなのですけれども、一方では賃貸住宅の問題があるわけです。  御承知のとおり、我が国の賃貸住宅というのは、ファミリー向けの賃貸住宅を中心にして、欧米に比べて居住水準が極めて立ちおくれているわけでございまして、一戸当たりの床面積でいうと、日本の借家は平均四十五平米、イギリスは八十八平米、ドイツは七十五平米、フランスは七十七平米、アメリカは百十一平米と、極めて劣悪と言わざるを得ないわけでございます。  ファミリー向けの賃貸住宅が、面積当たりの収益性が低いということで、市場では十分に供給されていないというのがこの大きな原因なわけです。例えば公的賃貸住宅ですと、平成九年度、平均床面積は七十・二平米、ところが民間の賃貸住宅は四十六・三平米ということで、民間の賃貸住宅、この収益性が極めて低いということでこういう状況になっているわけです。  優良な賃貸住宅の需要が高まっているにもかかわらず、その供給がなされていないということで、特にバブルの崩壊以降、地価は下がり、住宅の建築費は下がっているんだけれども家賃は下がっていないということで、不況の中、住宅費が収入減の世帯の生活を圧迫しているということもあるわけでございまして、持ち家の人に比べて賃貸住宅に入っている人たちのいわゆる優遇措置というのが極めて少ないと言わざるを得ないわけでございます。  この賃貸住宅政策については、いわゆる特定優良賃貸住宅制度、特優賃、これを我々も推進してきたところでございまして、かなり効果も上がっているのですけれども、それほど消費者が期待するほどの実効は上がっていないというのが現状でございます。  これからの賃貸住宅政策というものを建設省としてどのようにお考えになっているのかということと、それからもう一つは、私どもが年来ずっと主張してきております家賃控除制度、これは負担の軽減ということと、やはりより居住水準の高い借家への借りかえというようなことも含めて、この制度を賃貸住宅政策の観点でもう一回再検討する、そういうタイミングではないか、このように思うわけでございまして、この二点についてお伺いします。
  155. 那珂正

    ○那珂説明員 先生御指摘のように、我が国の賃貸住宅の水準は、大変諸外国に比べまして低い水準にありまして、大きな政策課題だと思っております。とりわけ、ファミリー向けの本格的居住にふさわしい賃貸住宅がもっと市場で供給されるようなことが必要であろうと思います。  そこで、私どもといたしましては、御指摘にもありましたが、特定優良賃貸住宅制度を活用して、そういう優良な民間賃貸住宅の供給に力を入れているわけでございまして、平成十年度におきましても、入居者負担基準額の年上昇率の見直しを図るなどの制度充実を図っているところでございます。  また、今後増加することが予想されます高齢者の単身、夫婦世帯に対して、十年度からでございますが、新たに高齢者向け優良賃貸住宅制度を設けまして、その供給の促進を図ることとしております。  さらに、現在国会において継続審議になっておりますが、借地借家法の一部を改正する法律案によりまして定期借家制度が創設されたならば、やはり良質な賃貸住宅の供給の促進にも大いに寄与するものと期待しているわけでございます。  なお、先生最後に御指摘の家賃の控除制度につきましては、それ自身が、負担の軽減という点はあろうかと思いますが、今申し上げました肝心の、良質な借家をふやし、借家世帯の居住水準の向上につながるだろうかというような観点とか、あるいは借家世帯として考えた場合、その支援措置としてより適切、効果的なものかどうかというような観点から、私どもとしては慎重な検討が必要であろうと存じます。
  156. 井上義久

    井上(義)委員 この家賃控除制度、これは建設省としても概算要求した経緯も過去あったわけでございまして、慎重な検討ということで、慎重に検討していただくのはいいのですけれども、できるだけ前向きに再挑戦をしていただきたいと要望しておきます。  それから、災害対策について最後ちょっとお伺いいたします。  八月、九月のあの集中豪雨、実は私も福島県西郷村の太陽の国、二十七日に災害があったわけでございますけれども、その直後に、その日に現地に行きました。要するに、建設省、農水省が指定している危険箇所ではないところが崩れたということに私も大変ショックを受けまして、翌日すぐこちらに戻りまして、野中官房長官に、とりあえずそういう施設、大体山合いに建てられるケースが多いものですから、その施設だけでもとりあえず点検をして万全の対策をとってくれということを要望したわけでございます。  早速建設省の方でも動いていただいたと思うのですけれども、その結果と一それから、ただ結果が出ただけではどうしようもないので、やはりそれに対してどういう対策を今後とっていくのか、この辺のことをお伺いしたいと思います。
  157. 青山俊樹

    ○青山政府委員 今お尋ねの福島県西郷村太陽の国の土砂災害を踏まえまして、災害弱者に関連した施設の立地の実態を把握するために緊急一斉点検を行ったわけでございます。  私ども建設省の調査結果によりますと、全国に災害弱者関連施設といいますものが約十四万施設ございます。このうち土砂災害危険箇所に位置するものは約九千施設一さらに、これまで危険箇所ではなかったわけでございますが、からまつ荘の災害を契機に、斜面の勾配十度以上の箇所、これを土砂災害注意箇所と名づけておりますが、こういったところも新たに調査いたしましたところ、これにつきましては約八千施設あることが判明いたしました。  こういった一斉点検結果を踏まえまして、土砂災害のおそれのある地区にかかわる災害弱者関連施設につきましては、防災工事として必要な箇所につきまして砂防、地すべり、急傾斜の各事業を重点的に実施するほか、特にからまつ荘につきましては一災害関連緊急砂防事業といたしまして五億八千五百万円の予算が採択されたところでございます。  さらに、ソフト対策を進めるということで、関係機関と連携をとりながら、その施設が土砂災害のおそれのある地区に位置していますよという旨を施設管理者に通知するとか、地域防災計画に当該施設が位置づけられるよう都道府県を指導するとか、施設管理者に対して警戒避難や土砂災害に対する講習会等を開いて説明するとか、こういった形でのソフト対策も進めてまいりたい、かように考えております。
  158. 井上義久

    井上(義)委員 それから、今回の集中豪雨、河川増水による被害が非常に大きかったわけでございます。東北でも阿武隈川水域で一部地域がはんらんをしたりして、家屋だとかあるいは農作物、公共土木施設に甚大な被害をもたらしたわけでございます。  地元福島あるいは宮城の自治体から、今回のような記録的な集中豪雨と被害状況を考慮した対策を国の策定するいわゆる河川整備計画マスタープラン、その中に十分反映してもらいたいと。去年、河川法が改正になりまし‘その意味で、当初余り予想していなかったような大きな被害が起きたわけでございまして、それを十分反映してもらいたいというふうな要請が来ておるわけでございます。  また、河川改修の場合に上下流一体の整備が必要なわけでございまして、その意味では、河川災害復旧関連緊急事業制度、これを創設したことは大変前進であると思います。ともかく十分な予算措置を講じて、一体整備の実効をぜひ上げてもらいたい。  それから、河川、特に阿武隈川等複数県にまたがる場合も多いので、地元との連携も不可欠でございまして、同じくこの辺もしっかり取り組んでいただければと思います。  その意味で、この阿武隈川の河川整備計画を含めまして、今後の河川における災害対策について建設省の方針を聞いておきたいと思います。
  159. 青山俊樹

    ○青山政府委員 今回のような集中豪雨に対して非常に大きな被害が出たわけでございますが、治水事業整備水準そのものを考えてみますと、時間雨量五十ミリの降雨による洪水はんらん等の防御というものを対象にしているわけでございますが、河川全体で五二%と依然として低い水準でございまして、今回のような集中豪雨に対しましては、十分な安全性確保することは極めて難しいというのが実態でございます。  河道改修とか調節地とか水路、ダム等を初めとした河川施設の整備に加えまして、流域における浸透対策もしくは貯留対策を含めた総合的な見地からの施策を強力に推進して、災害発生の防止、抑制を図ることが重要と考えております。  また、この栃木のような大雨を考えますと、例えば橋梁や河川を横断する構造物であります固定堰等、そういった構造物の前後については堤防を強化するとか、はんらんしても床上浸水等の被害を生じないような土地利用との調整を図るとか、そういったことも念頭に置きつつ、想定を超える大雨のときでも被害が最小限度になるような河川整備計画を策定することが重要だと考えておりますし、またソフト対策、情報の提供等のソフト面での防災対策も重要だと考えておりまして、これも積極的に進めてまいる所存でございます。  さらに、上下流バランスの話でございますが、まさに、河川改修に当たりましては、水系一貫という考え方のもとに、上下流バランス、また本支川バランスに留意しながら、下流に負荷を与えないように計画的に事業を進めるということが大切でございまして、特に、複数の県にわたります阿武隈川のような川では、同一の河川管理者が上下流バランスを考慮して計画策定、事業実施、またダム管理等を進めることが望ましいというふうに思っております。  また、国の直轄管理の本川と都道府県管理の支川とのバランスにつきましては、河川整備計画の策定などを通じまして、国と地元の都道府県で連携を図りながらこれを進めてまいりたいと思っております。  また、河川整備に当たりましては、下流から改修を進めることが基本でございますが、下流部の改修が困難である場合や狭窄部等がある場合には遊水地の整備等も極めて有効であると認識しておりますし、先ほど先生御指摘ございました災害復旧関連緊急事業制度というものの創設を現在要求しているところでございますが、そういった形で上下流バランスを図りながら、短期間で抜本的な改修をするという制度についても積極的に取り組んでまいりたい、かように考えております。
  160. 井上義久

    井上(義)委員 以上で終わります。
  161. 谷畑孝

    ○谷畑委員長代理 それでは、遠藤和良君。
  162. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 高知県で、九月の二十四日、二十五日に記録的な集中豪雨がございました。一年間に降る雨が高知県では大体二千ミリと言われているのですが、この二日間でその約半分近い降雨があったということでございます。  二十七日、日曜日でございましたけれども、急遽建設大臣が緊急に視察に来られるということをお伺いいたしまして、私も朝六時に徳島の自宅を出まして、高知県で視察に同行させていただきました。  今回の高知の水害の特色は、一つは、床上浸水が一万二千棟ということでございます。床下浸水が一万棟でございますから、二万二千棟が床上、床下浸水をした。もう一つは、六人死者が出たわけでございますが、そのうち四人までが高齢の方々でございました。一人の方は八十七歳のおばあちゃんですが、足が不自由であった。九十一歳のおじいちゃんが二階に避難しようと思って抱き上げたのですけれども、水の方が速くて避難することができなかった。最後に、おじいちゃんの腕の中で、これでお別れぞねと言って亡くなっていった、こういうことでございます。この方を初め、八十七歳あるいは八十三歳、それから六十九歳という高齢の方々が水によって亡くなりました。  この視察を終えまして県庁で記者会見があったわけでございますが、私もその席に同席をさせていただきました。関谷建設大臣もこの二点に触れまして、今回の高知の水害の特色はこの二点にある、何とかこの点で政治的にできる限りの努力をしたい、こういうふうな話をされました。  第一点の床上、床下浸水者に対する救済措置というのは、大変難しい、法律のない世界の話でございまして、この点について触れられた建設大臣の政治的な、本当にこの問題に対する鋭い感覚というのに私は感動したわけでございますが、もう一点、高齢者のいわゆる災害弱者というものを出さない建設行政の中での仕組みというものもなかなか難しい問題でございます。  私、この二つの記者会見を聞いておりまして、政治家といたしましてまことに感動いたしたわけでございますが、この二点について、その後、建設大臣はどのようにお取り組みになっておりますか。その辺について聞かせていただきたいと思います。
  163. 関谷勝嗣

    ○関谷国務大臣 遠藤先生に大変温かいお言葉をいただきまして感謝いたしております。  私も、建設省へ来ましてから高知の水害までにはまだ二か月ばかりであったのでございますが、その間、お見舞い及び視察を兼ねての水害地の視察というのが二カ月間で五回ございまして、前任者の瓦大臣はゼロ回、その前の亀井静香大臣は二回などというようなことでございまして、何か水害づいているような感じがございました。  その五回の、ですから、前回の四回までの水害と今回の高知の水害との大きな違いは、先生御指摘いただきましたように、床上浸水が七千棟にも達した。それで、下を入れると約二万に近くなるわけでございます。そういうようなことでございまして、これは水が引きましても、床上浸水がそういう七千棟もありますと、それは直ちに日々の生活に困窮するわけでございますから、これに対して何か対策がないかということを建設省にも言ったわけでございますが、その床上浸水に対する直ちの補助であるとかそういうものがないわけでございまして、橋本知事さんに、これは県としてひとつ救いの手を伸べてください、今後、こういう床上浸水の場合に対処できるような法案を私も考えたいというふうに述べたわけでございます。  今はいろいろな災害に対します法律が七件ばかりございます。先般の神戸・淡路の場合には被災者生活再建支援法というのができましたが、これは、家屋が全壊した世帯に対して都道府県が基金を通じて支援金を、上限百万円でございますが、それを支給する、国は二分の一を補助するというのがございますが、この床上には今何もないわけでございまして、これはぜひ今後鋭意進めていきたいと思っておるわけでございます。  それともう一つの点は、高齢者が今回の亡くなられた方の大部分であったということ、このことも、正直、私も寂しい思いがしたわけでございまして、先生御指摘のように、本当に、九十一歳のおじいさんが八十七歳のおばあさんを助け出すだけの力がなかったといいましょうか、年配でございますから、それで、おばあさんがもうこれでお別れだと言ったという話を聞きまして涙ぐんだわけでございます。そのことに対しましては橋本知事さんも非常に残念がっておりまして、ソフト面でもっと整備ができてなかったかなと、彼も非常に残念がっておりましたし、今後の対策を強力に進めていきたいということを言っておりましたが、そういうようなことで、この両方の問題を解決していかなければならないと思っております。  したがいまして、先ほどの答弁にもございましたように、弱者の施設に対する指定を、その指定度を高く上げていくということでもやっておりまして、弱者対策というものにも力を入れていきたいと思っております。
  164. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 床上浸水の数はその後だんだんふえてまいりまして、私の手元に来ておる十月六日の調査では、一万二千三百七十棟ということになっております。  きょうは国土庁長官お越しいただいておりますが、その後、私どもも党の中に対策本部をつくりまして、もう一回現地へ行ってまいりました。市長さんあるいは町長さんからも、いろいろな具体的な要請を聞いたり、被災者の皆さんからも生の声を聞いてきたわけでございます。官房長官にも申し入れをさせていただきましたが、最大の申し入れの項目は、やはり、高知の今度の水害は激甚指定をぜひ早急にお願いしたい、こういうところに尽きると思います。  この激甚指定、いつごろ指定されますか。直接お伺いしたいと思います。
  165. 林桂一

    ○林(桂)政府委員 激甚災害の指定につきましては、御案内のように、地方公共団体の被害報告を受け、それに基づきまして、関係省庁においてその被害額、すなわち復旧事業費の確定作業を行うことが必要でございます。  高知の豪雨につきましては、現在その作業を地元の公共団体関係省庁に鋭意急いでいただいているところでございまして、その結果を踏まえて、基準に該当するものについては速やかに対処するという方針で進めたいと考えております。  発災時から二、三カ月ぐらいかかるというのが通常でございます。
  166. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 事務手続の話は、これは一般論としてそのとおりでしょうけれども、床上浸水が一万二千棟というのはやはり異常な激甚だと思うのですね。  したがって、これは事務局の話じゃなくて、大臣として、ぜひそういう方向で検討していくとか、その話を、政治的な決断を早くした方がいい、こう思いますが、どうでしょうか。
  167. 柳沢伯夫

    ○柳沢国務大臣 遠藤委員の災害の現場を踏まえての御質疑でございます。  激甚災と申しますと、これは釈迦に説法になって大変お耳ざわりかと思うのですけれども、何か災害自体の評価を言っているような、そういう感じの制度のように受けとめる方が多いのですけれども、これは災害自体の評価の問題ではなくて、実は財政制度の問題なのでございます。  対象になっておりますのは公共土木施設と農業施設等でございまして、この災害復旧費というものが、それぞれの災害復旧に当たる市町村、そういうものの財政力を大幅に超えている、こういう場合に、国が一定の上乗せ助成をするという制度であるわけでございます。  今度の高知の場合、先生今御指摘のように意外と、私も高知は行ってよく知っているのですけれども、高知は山の国だな、こういうふうに思って、特に北の方から入りますとそういう印象が強いのですけれども、高知市自体は非常にレベルの、レベルというか地面のレベルの低いところだということが今回の発災の大きな要因のようでございます。  その被災の状況というのが、例えば公共土木施設に一体どうであったか、あるいは農地、農業用施設にどうであったか、これが実は問題なのでございまして、私、派遣をいたしました現地調査団の概況の報告を聞いておりますと、そういったことについてよりもむしろ、今まさに先生がおっしゃったように、住宅に対する被害が多かった、こういうことになりますと、激甚災害の制度とはどうも直接結びついてくる局面というものが総体的に少ないというような印象をただいま現在のところは持っている、こういう状況でございます。
  168. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 確かに、個人的な災害というものをどのようにカウントするかというのは非常に難しい問題だと思いますが、公共的な道路だとか鉄道、あるいは田畑あるいは食品工業団地の機器等の被害も大変なものでございます。ぜひ激甚指定を考えていただきたいと、強く要請をしたいと思います。  それから、時間がなくなってしまって申しわけないのですが、ちょっと飛ばしまして、河川の改修、水の管理ということに絞って話を聞きたいと思います。  今回の浸水をした地域というものを眺めてみますと、高知市の東部に集中しております。これは二つ川がありまして、国分川と舟入川という川があるのですが、この川は、いわゆる水越え堤、水が越えるようになっているのですね。水が多くなったときに、一メートルほど堤防が低くなったところがありまして、わざと水を逃がす、こういう仕組み、あるいは霞堤というような仕組みになっています。  これは、昔周囲が田畑であったときに、それを遊水地にいたしまして、そして、堤防自体の決壊を免れる仕組みにしている、こういう治水上の非常にすぐれたアイデアなんですね。今回もそれは機能しまして、全面的な決壊はなかったわけでございまして、被害を最小に食いとめたとも言えるのですけれども、その遊水地帯であるべきところが今は宅地になっております。全部宅地です。ですから、ここは必ずもう浸水するという地域になってしまっているわけです。  ですから、私は、今回、これを教訓にしまして、舟入川とそれから国分川を激特指定にいたしまして、この水の管理を、やはり連続堤にすべきだ。そうした形で、遊水地帯ということは事実上もうっくれないわけでございますが、宅地になっておるわけでございますから、そういうふうな抜本的な改修をしてもらいたい。  これは、五十年、五十一年に例があるのです。西の方の鏡川というところがやはり災害を受けまして、激特指定を受けて、そして連続堤になった。したがって、今回、こちらの方は川からあふれ出る水は全くなかったわけでございますから、この鏡川でやった工事を今度はこの舟入川と国分川の方にきちっとやってもらって、これは五年かかるそうですが、五年たったらもう浸水の心配はありませんよ、こういう宣言をぜひしてもらいたい。  これは建設大臣、そういう方向でぜひ。
  169. 青山俊樹

    ○青山政府委員 実務的にお答え申し上げます。  今回の水害は、既往最大降雨を大幅に超える記録的な雨だったわけでございまして、激甚な浸水被害を受けましたのが、先生御指摘のとおり高知市東部地域で、この抜本的な治水対策として、国分川、舟入川における河川激甚災害対策特別緊急事業、いわゆる激特事業でございます、こういったもので対応したいという意図を持って、現在県におきまして、これは事業主体は県でございます、県においてその具体的な計画、また調査実施中でございます。  なお、今お話ございました水越し堤や霞堤という改修方式は、おっしゃいますとおりで、土地利用が高度化していない段階では極めて有効な対策であると認識しているわけでございますが、土地利用が高度化しました今の時点におきましては、連続堤による整備を基本としつつも、なおかつ、やはり宅地は高くまとめて盤上げをする、そして低いところは田畑のままにするというふうな、土地利用と十分調整した、それに配慮した治水方式を検討するように県を指導していきたいというふうに考えております。
  170. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 県の皆さんとも私、意見を交換してきまして、県としてもぜひ、宅地が遊水地になるのはおかしい。既にあるわけですから、ある宅地を高くするのも難しいわけですね、既に家が建っているわけですから。ですから、河川の治水の考え方をぜひ考え直していただいて、そうした方向で取り組んでほしい、激特指定をぜひお順いして、五十一年にやった鏡川の改修を、今回はこの国分川と舟入川で行ってもらいたい、こういう強い強い要請でございますから、建設大臣、責任を持ってお答えください。
  171. 関谷勝嗣

    ○関谷国務大臣 専門的なこと、遊水地、私、今そのお話ございまして、遊水地のところに住宅が建っておるというのも、それもまた不思議なことだと正直思いました。それは住宅許可がおりるのであろうかと思いましたが、今初めてお伺いしたものですから、住宅局長河川局長と、この委員会が終わりましたら直ちにレクチャーを受けまして、先生の御指摘が正しいものであるならば、それは当然、直ちに私はその方向で動きたいと思います。
  172. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 遊水地、法律的な遊水地という意味もありますし、今回、高知市内全部遊水地になってしまったのですよね。全部、川がはんらんしまして、そして事実上の堤防は鉄道の線路が堤防だったのですよ。その線路の堤防まで決壊してしまったものですから、全部川に流れていってしまった。本当に、要するに川の堤防が水があふれることを前提にした堤防でございますから、事実上は高知市内が全部遊水地になっている。航空写真を見てもそのとおりでございます。  こういう形ではいけないのではないかということでございまして、ぜひ、地元の人がこういう程度の雨が降っても今度は大丈夫だという自信を持つことが最大の復旧作業でございますから、夢を与えるような答弁をぜひお順いします。
  173. 関谷勝嗣

    ○関谷国務大臣 検討いたします。
  174. 谷畑孝

    ○谷畑委員長代理 時間が参りましたので。     〔谷畑委員長代理退席、井上(義)委員長     代理着席〕
  175. 井上義久

    井上(義)委員長代理 西野陽君。
  176. 西野陽

    ○西野委員 自由党の西野陽でございます。  質問をいたします前に、関谷大臣に一言申し上げておきたいと思います。  私ごとでありますけれども、先月九月、ちょうど一カ月でございますが、国会の休みであります土日祭日を含みまして、たまたま大臣の選挙区でございます松山市、道後の方に、私どもの後援会の者多数でお邪魔をいたしておりました。関谷大臣の地元でございまして、その人となりを、多くの方々にお会いをさせていただいて、これぞまさしく政治道はかくあるべきか、何かそういう意味でお教えをいただいて、大臣のお人柄というものをしのばせていただいたようなことでございます。大いに参考にさせていただきたいと思います。  さて、建設省の所管でもございます道路公団、さらにはその道路公団の傘下にあります特殊法人、あるいはその関連会社等々で、大変残念ながら不祥事が発覚をいたしました。ところが、主に日本ハイカを取り巻く事件というものも、どちらかといいますと、防衛庁の例の背任事件がマスコミ等で取り上げられるスペースが非常に多うございまして、ややそれに隠れておるのかなという感じもあります。  しかし、調べれば調べるほどこの内容は、まことに失礼でございますが、お粗末でございまして、この機会にその腐敗構造、実態を改めて浮き彫りにさせていただいて、思いはこういったことが二度と惹起しないことを順いながら、再発防止という意味からその一助になればと思いまして、いろいろとこれから御質問をさせていただきたいと思います。  ところが、この日本ハイカを中心に質問をしたいと思っておりましたら、どうも最近は日本という名前が問題を起こします。日本ハイカ、日本リース、日本電気。何か日本ばかりついておりまして、日本人として何か考えさせられるものがあります。日本リースは、御案内のとおり長銀、長期信用銀行の一〇〇%出資の子会社でありますし、既に、不良債権を相当抱えまして会社更生法を適用した事態に至っておるわけであります。  日本ハイカについてこれからちょっとお尋ねをいたしたいというふうに思っておりますが、日本ハイカ平成元年の当時、資本金は一億五千万ほどであったと思いますが、これは建設省所管の財団法人、道路施設協会からは全体の何%の出資でありましたか、改めてお答えください。
  177. 緒方信一郎

    緒方参考人 日本ハイカ株式会社に対します財団法人道路施設協会からの出資額は、当初五千万円でございまして、出資割合は三三・三%であったと聞いております。  ただ、その後、道路施設協会におきましては、これまで保有しておりました日本ハイカ株式会社の株式については処分をいたしまして、現在はその処分が完了したというふうにも聞いております。
  178. 西野陽

    ○西野委員 現在はそうなっておりますけれども、当時はそうではなかったわけでありまして、いわゆる特殊法人道路公団民間企業出資をすることはまかりならぬ、こういうことで、かわりましていわばその傘下の道路施設協会が、かわって民間企業、ハイカ等に、今お示しのありました、約三分の一の出資をしておったということであります。  その道路施設協会出資を受けていました日本ハイカは、道路公団が発行いたしますハイウェイカード販売金額、これを平成元年平成五年、平成七年、平成九年ぐらいの間隔で、今言いました年度でハイカはどの程度の金額の販売をしておったのか、お答えください。
  179. 緒方信一郎

    緒方参考人 ハイウェイカード販売総額並びにそのうち日本ハイカ販売した額でございますが、平成元年度は、販売総額が六百三十二億円、そのうち日本ハイカが三百七十二億円で、五九%のシェアでありました。平成五年度は、総額二千五百十三億円のうち二千四百七十二億円で、九八・四%。平成七年度は、総額が三千九百二十九億円で、日本ハイカ販売額は三千八百八十三億円、九八・八%。平成九年度では、総額が四千八百十七億円、そのうち日本ハイカ販売しておりますのが四千七百六十五億円でございまして、九八・九%という比率に相なっております。
  180. 西野陽

    ○西野委員 ということは、公団が発行しますものの九八%強でございますから、一部は公団が直販するのがあるのでしょうね、しかし実態は、実質ハイカがその販売を一手に引き受けておった、こう理解できると思います。  それでは、日本ハイカは、公団から受けましたほとんどのそれらのものを、受託したものをみずからハイカ自身が販売をしておったのか、それとも他社に、他の企業にまたその販売を、再販を依頼しておったのか、そこのところを改めてお願いします。
  181. 緒方信一郎

    緒方参考人 ハイウェイカードは、もともとキャッシュレス化によりますお客様サービス向上ということを目的といたしまして、昭和六十二年の十二月に導入をされたものでございまして、その後全国高速道路等への導入拡大に伴いまして利用量も飛躍的にふえてきた、こういう背景がございます。  これらのハイウェイカード日本道路公団が発行いたしまして、先ほど先生おっしゃいましたように、現在、実質的に日本ハイカ株式会社一社に販売委託しておる、こういう状況でございます。  日本ハイカ株式会社平成九年度の実態で申し上げますと、ハイカが直販をしておりますのが三十一億五千万円余でありまして、再販売をいたしておりますのが大部分の四千七百三十三億でございます。  日本ハイカは、二千七百ぐらいの再販売店に対しまして販売委託いたして売っておるわけでございまして、スーパー、コンビニ、ガソリンスタンド等々、いろいろなところにいわば卸しておるわけでございます。それで、全国の末端といいますか、の店舗といたしまして二万七千カ所の店舗カード販売されておるということで、言うなれば、日本ハイカは卸売業者の役割を演じておるというふうに理解しております。
  182. 西野陽

    ○西野委員 言い方はそういう言い方もあるのかもしれませんが、しかし、現実に、道路公団が発行すべきハイウェイカードのほとんど、これはもう一括受けと申し上げてもいいと思うんですが、一括受け、それを今度は、ハイカ自身が販売をするのではなくて、二千七百のそれぞれの全国にある店舗に、店舗といいますか別の会社に再委託をした。これはきれいな言葉ですけれども、言えば、一括独占請負をして、そして丸投げを、先ほどもどなたかの質問に出ておりましたが、丸投げをしている、こういうことに当たると思うんですね。どうでしょう。
  183. 緒方信一郎

    緒方参考人 二千七百の販売店に対しまして販売をお順いしまして、二万七千の店舗販売しておるということでございますので、実際上、例えば日本道路公団が直接その二万七千の店舗あるいは二千七百の販売者に対して直接販売するというのは、なかなかこれはもう大変な、全国に展開しておりますものですから到底難しいということで、間に、先ほど申し上げました卸売業者的なものを介在させておる、こういうふうに私どもは理解しております。
  184. 西野陽

    ○西野委員 それじゃ、全国の二千七百の販売店というのは平成七年度の実績で、販売取扱高第一位、第二位、第三位ぐらいまで、平成七年度の、二千七百店の中の第一位、第二位、第三位ぐらい、どの会社かお示しください。
  185. 黒川弘

    黒川参考人 平成七年度の、日本ハイカ販売委託している企業の一、二、三位でございますけれども、第一位が株式会社釜本スポーツ企画販売額が百七十八億円でございます。それから第二位が財団法人道路施設協会、これは施設協会全国に、必ずしも全部経営がまとまらないこともございますので、自己の責任で店舗を構えておりますけれども、そういったところでやっている直営休憩施設で販売しておりますけれども、それが第二位の百五十九億円でございます。それから第三位が株式会社ファミリーマート、七十五億円でございました。
  186. 西野陽

    ○西野委員 平成七年の例でございますが、今お話がありましたとおり、財団法人の道路施設協会は大きな協会でもございますし、直販をしておるということでございますが、これが当時では第二位の取扱高である。第三位がファミリーマートとおっしゃいましたが、このファミリーマートというのはこれまた全国的なチェーン店でございますね。  そうしますと、この釜本スポーツ企画というのが第一位で、しかも金額が百七十八億ということでありますが、ちょっとそこらをお尋ねしたいと思うのですが、釜本スポーツ企画の当時の資本金は幾らでございますか。
  187. 黒川弘

    黒川参考人 契約いたしました当時の資本金は七百万円でございました。
  188. 西野陽

    ○西野委員 従業員は何名ですか。
  189. 黒川弘

    黒川参考人 これも契約当時でございますけれども、従業員十三名ということでございました。
  190. 西野陽

    ○西野委員 この釜本スポーツ企画は、平成六年九月に日本ハイカからハイウェイカード取り扱いを開始した、いわゆる取引を始めたわけですね。平成六年九月。そして、翌年の平成七年の売り上げ取り扱いが、先ほどお答えになった百七十八億ということであります。資本金が七百万で従業員がわずかの十三名。百七十八億というのは、これは相当の金額でございますね。  これが、一年間でこれだけ扱いができるというのは、大体ファミリーマート、コンビニ業界では全国第三位ですよ。それで資本金は百六十五億でございます。その次が、きょうは聞いておりませんが、私の調べましたのでは、サークルケイ・ジャパン、これが第四位でありますけれども、コンビニの世界では全国第六位なんです。資本金は八十三億。大体道路施設協会とかファミリーマートとかサークルケイ・ジャパン、その他全国のまたそういうコンビニ、全国チェーンがあります。ここらの規模でございますと何百億、何十億の資本金で、しかも従業員が何千人で展開をするんですから、百億上げようが百五十億取り扱おうがこれまた当然のように思うのでございますけれども、先ほどの釜本スポーツが一年間で、取引を始めてわずか一年間で、従業員が十何名で資本金がわずかのこれだけで百七十八億というのは、どう見ても、こんな一社でこれだけのことができるなら結構なことだと思うのでございますが、今、さかのぼってのことで恐縮ですが、ここに何かお感じになりませんか、今考えて。今この時点で考えれば。
  191. 黒川弘

    黒川参考人 ちょうど釜本スポーツ企画と契約した平成六年ごろ、これは、先ほど、経過としてハイカの売上額が非常に伸びていた時期でございまして、全体としましても、お客様サービス向上ということでその売り上げを伸ばそうという意識があっていろいろな方々に委託をしていたことは事実でございます。そういった中で、釜本スポーツ企画からやりたいというお話がありまして、ハイカがいろいろ調べまして契約したわけでございますけれども、現在に至って考えますと、相当な金額だったというふうに理解しております。
  192. 西野陽

    ○西野委員 いや、それはだれが見たって、わずか十何人で百七十億の売り上げをするなんていうことは、そんな企業があったらお目にかかりたいですね。これは不自然ですよ。しかも、釜本スポーツはその後、後払い方式ということになったのですね。そういう資格を取ったのでございますね。  それじゃ、当時、後払い方式一つの基準をハイカは示しております。私の手元に資料がありますけれども、改めてお尋ねをいたします。  当時ハイカは、そういう再販をさすための、後払いのための基準を設定しました。何項目かあります。その中に、資本金五億未満の会社と契約をする場合、ありますが、その以下の状況はどういうことですか。ハイカが五億未満の会社取り扱いをする場合は基準があったと思いますが、改めてその基準をお示しください。
  193. 黒川弘

    黒川参考人 そういった審査する対象の基準が五つあるわけでございますけれども、その四番目に、今先生御指摘の「資本金五億円未満の株式会社の場合は、常時雇用する従業員の数が百人以上、営業実績が五年以上、資本金の一・五倍以上の資産を有している株式会社」という項目がございました。
  194. 西野陽

    ○西野委員 今、五億未満の場合は従業員が百人以上、営業実績が五年以上ですね。釜本スポーツ企画は従業員が十何名じゃないですか。営業実績は一年前後じゃないですか。この基準には合わないですね。
  195. 黒川弘

    黒川参考人 ただいま、四番目の基準でございます「資本金五億円未満の株式会社」の項について御説明いたしましたけれども、第五項に「その他、特に信用があると認められる者」という項目がございまして、当時のハイカの判断でございますと、契約の申し入れがあった時期に、サッカーで世界的に有名な方の親族企業であったということ、それから六カ月以内に銀行保証を提出するという念書が提出されたこと、このようなことから、特に信用がある者ということで判断いたしまして、後払いによる契約を締結したというふうに聞いております。
  196. 西野陽

    ○西野委員 この信用は、経済的な信用とか、物理的にその企業の実績があるとかそれだけの力があるとかいうことではなくて、国会議員である釜本さんがその社長の御主人であるとか、サッカーで有名だとか、いわばそういう観点からの信用だと私は思うのですね、今そういうことをちらっと触れられましたけれども。だから、ここにも釜本スポーツさんにはこれは問題があったのですよ。百七十八億を扱えるようにしたという、そういうハイカを指導しておったというところに、まず施設協会、これは公団さんに責任があるのですよね。  さらにちょっとお尋ねしますけれども、平成八年、翌年でございますが、当時第九位です、私のいただきました資料では第九位。株式会社ナカノの取扱高と従業員数と資本金あるいは店舗数、わかる範囲でお答えください。
  197. 黒川弘

    黒川参考人 株式会社ナカノでございますが、当時は資本金が五百万円、従業員が二百名ということでございました。
  198. 西野陽

    ○西野委員 これは釜本さんと違って、第九位なんですね。しかし、これは扱い高も四十億を超えまして、これはまた従業員が二十五名。そんなに売れるのかなとまず疑問に思います。  もう一つお尋ねをします。翌年、昨年ですけれども、平成九年、今度は第七位の取り扱いをやっておりました有限会社かどや不動産、これの取扱高と従業員数と資本金をお示しください。
  199. 黒川弘

    黒川参考人 有限会社かどや不動産でございますけれども、平成九年の取扱高は五十四億九千九百万円でございました。この会社につきましては、平成九年の二月二十八日までの契約になっておりました。それから、資本金は三百万円、従業員数は三名でございます。
  200. 西野陽

    ○西野委員 これはちょっと私が資料の中から感づいたところを抜き出したのですが、そのほかのコンビニとかこういうのは別ですよ、これは力を持っていますよ。  申し上げたのは、これは失礼ですが、釜本さん、釜本スポーツ、それから八年で取り扱った株式会社ナカノ、それから昨年取り扱い第七位の有限会社かどや不動産、これは従業員三名ね。  ちょっと物理的に判断をするために、簡単ですが、五十四億のハイウェイカードを、一番高いやつで一枚五万ですか、これを何枚売らなければいかぬのですかね、五十四億円売ろうと思ったら。十一万ぐらいじゃないですかね。一日にしましたら、五万円のを三百枚ですか。どうですか、これは有限、三人で五十四億の売り上げ、立派だと思いますけれども、常識的にどうですか、今お考えになって、ちょっと不自然だとお思いになりませんか。もう一度お答えください。
  201. 黒川弘

    黒川参考人 一度、日本ハイカ株式会社が有限会社かどや不動産にお聞きしたことがあるそうでございます。店舗における販売、それから取引先や顧客の皆様への訪問販売とか電話による販売、こういったことで営業努力をしていたということをお聞きしていた時期があるようでございますけれども、現時点で見まして、そういった形のもので五十億円になるかどうかということについては、いろいろ再チェックのシステム等の拡充の中で考えていかなければいけないことだというふうに考えております。
  202. 西野陽

    ○西野委員 このかどやさんですが、ちょっと行って調べてきたのですが、また皆さんわからなかったら、写真を撮ってきましたので見られたらわかりますよ。確かに駅前のガードのところの、恵比寿駅の前でございますよ。町にあります不動産屋さんのような感じであります。前には、首都圏であろうとほとんどのそういうカード類とかを取り扱っているのですね。ここにお一人だけおられて、従業員は三名ということでありますけれども。ここに建設省所管道路公団の傘下の施設協会出資したハイカ、そのハイカが丸投げをしておった中の五十億前後の売り上げをこれでやっておった。こういう例がありますと、ハイカという会社は一体どんな会社であるか。これは私、これを見ただけでも皆さんもそう思われると思うのですよ、どうもおかしいと。  そこで、もう一つ、これはおかしいと思うことをちょっとお尋ねしたいと思うのですが、日本ハイカの元取締役支店長松村武さん、特別背任容疑で地検の特捜部に逮捕されました。支店長を解職されたのが平成七年の十二月、取締役を解任されたのが平成八年の二月です。解任された、それで逮捕されたのですかね。その後、逮捕されるまでの間、日本ハイカとはどんな関係にあったのですか。
  203. 黒川弘

    黒川参考人 日本ハイカ株式会社の元船場支店長の松村でございますけれども、平成八年二月に取締役を退任いたしました。その後、いろいろ資金の回収業務等の関係で、三月から平成十年五月三十一日までの間嘱託として日本ハイカにおいて委嘱をしていたというふうにお聞きしております。  なお、先ほど答弁したところで一カ所、有限会社かどや不動産の平成九年五十四億九千九百万でございますけれども、解約の話を申し上げましたけれども、これはナカノの方の解約のことでございましたので、まことに申しわけございません、修正させていただきます。
  204. 西野陽

    ○西野委員 今、嘱託とおっしゃいましたが、嘱託という意味と嘱託という地位でございますね、どなたかおわかりの人、お答えいただきたいのですが、大体どういう人を属託というのですか。
  205. 黒川弘

    黒川参考人 嘱託という場合の一般的なあれでございますけれども、具体的な事務などを執行する際の、いろいろな作業内容を持っておる方々にいろいろな作業をお願いする、そういった仕事が中心になっているのが嘱託という立場ではないかというふうに理解しております。
  206. 西野陽

    ○西野委員 ということは、少なからず、役員とかそのブランチ、支店なら支店の支店長をしておったときよりは立場も責任も少ないと解するべきですね、事務的とおっしゃいましたので。  ところが、私も給料の話をするのは嫌なのですが、この方の平成八年の年俸、ちょっと申し上げますと、八百九十万、月にしたら七十四万円。国家公務員で月に七十四万円もらおうと思ったら、どのぐらいのポジションになりますか。これは嘱託で八百九十万、これが事務ですか、結構なところですね。平成九年は年俸六百二十二万、これは確かに下がっております、月にしまして五十一万九千円ぐらいです。これは支店長さんのときと全く同じ金額じゃないのですか。どうでしょうか。嘱託になっても同じじゃなかったですか。わかりませんか。どうでしょう。
  207. 黒川弘

    黒川参考人 嘱託という場合は、通常、毎月出しますものだけでございまして、例えばボーナス等は、当然でございますが、ございません。そういったことから申しますと、先生、今御指摘の、平成八年八百九十万円、それから平成九年六百二十二万円というのは、前に松村がおりました時期よりは相当下回っているというふうには考えます。
  208. 西野陽

    ○西野委員 この人を別に個人的に恨むわけじゃないのですけれども、平成七年の十月に、要するに、釜本スポーツ企画はハイカに支払いができなくなったのです。未収金が発生したのですね。遅延したのです。それが平成七年の十月からです。そして、平成七年の十一月には、ついに二十九億五千万の未収金が発覚したのですね。わかってしまった。そこで、この日本ハイカという会社民事調停をしたのです。民事調停したけれどもどうにもならぬ。そこで民事訴訟をした。訴訟を起こしてもどうにもならぬ。そこで、ついに先般はこの人が特別背任容疑で逮捕される。その間に年俸を、嘱託だといって先ほど申し上げた金額を支給しているというのですから、この日本ハイカという会社の体質は疑いたくなるのでございますが、そういう状況にあります。  さらにちょっとお尋ねをします。  昨年、平成九年の日本ハイカカード販売総額は幾らでございますか。
  209. 黒川弘

    黒川参考人 平成九年度におきます日本ハイカ販売額は、四千七百六十五億一千六百万でございます。
  210. 西野陽

    ○西野委員 昨年で四千七百六十五億、四千億取り扱う企業ですから、これはもう一流企業でございますよね。その企業の実態の一部は、先ほど申し上げたような、お尋ねしたような状況です。それをずっと丸投げといいますか、何百社もあるわけですけれども、再委託をしているわけです。  では、その中の、日本ハイカは他の企業に、要するに再販売委託したのですけれども、日本ハイカ公団から昨年その販売手数料は実質何ぼもらったのですか。
  211. 黒川弘

    黒川参考人 日本ハイカ日本道路公団が出します手数料は、ハイカ自身が直接自分の受け取りになる部分と再販店に対する手数料としてさらに渡す部分と両方ございますけれども、日本ハイカ自身に入った金額で申しますと、四十四億円でございます。
  212. 西野陽

    ○西野委員 いや結構なことでございますな。何もしなくとも四十四億、これが入ってくるんですな。言ってみたら、これは手数料という名目のピンはねですわ。  それでは、その同社、日本ハイカは、平成十年、ことしの七月現在で結構でございますが、常勤役員は何名でございますか。
  213. 黒川弘

    黒川参考人 常勤の役員が十二名でございますけれども、このうち六名は例えば支社とか支所の支店長を兼ねているということでございまして、それを含めましてでございますけれども、常勤役員は十二名でございます。
  214. 西野陽

    ○西野委員 十二名のうち道路公団からの卒業生、道路公団のOBは何名ですか。十二名のうち何名ですか。
  215. 黒川弘

    黒川参考人 十二名のうち道路公団出身者が十一名でございます。
  216. 西野陽

    ○西野委員 もうほとんどですな、一人だけ除いて。十二名の常勤役員で十一名が公団から天下っておられる。公団天下り企業株式会社日本ハイカ公団一家と言われてもしようがないと思いますね。  それでは、その一人だけは公団と違うのですね。この一人の方は監査役をされておるようでございますが、どちらから来られた方ですか。国のどちらの機関からお見えになった方ですか。
  217. 黒川弘

    黒川参考人 監査役といたしまして、会計検査院から来ておられる方がおられます。
  218. 西野陽

    ○西野委員 十二名の役員のうち十一名は道路公団、わずか一人は道路公団以外、その人は会計検査院。現役のときは会計検査院としての大変な手腕と力量が発揮されたのでしょう。その能力を買って監査役になられたのでしょう、お一人。その監査役がおる日本ハイカでこのような事態が発覚をして、このような状況になった。この監査役は何をされておったのですか、そう言われてもしようがないのじゃないですか。これは一体どうなっているのでしょうね。  ここでまたもう一つ聞かなければならぬことは、冒頭に言いましたとおり、このハイカに対しての出資が三分の一あった、財団法人道路施設協会、ここにも問題があるのです。  道路施設協会、これは先ほど質問に出ていましたけれども、施設協会出資をしている会社は六十六社とたしかお答えになったと思います。出資総額はそれすべてで三十五億、現在はほとんどもうやめられたようです。ほかの方に、関係のところにかわってもらったようですけれども。  ところで、この施設協会が受けます、公団からどれぐらいの金額を受注しているのでしょうか。あわせて、では、受けたその施設協会は、その他サービスエリアとかパーキングエリアの活用とかいろいろやっているようでございますけれども、利益は年間どれぐらい上げておられますか。その二点、お答えください。
  219. 黒川弘

    黒川参考人 道路施設協会出資している会社に対して公団からいろいろ、料金収受業務とか交通管理業務、保全点検業務等を委託しておりますけれども、その仕事は、平成九年度で全体で千五百五十七億でございます。  なお、日本ハイカ株式会社全体で職員が二百名ほどおりますけれども、今申しました金券であるカードを、いろいろなところから御注文いただいたものを現地に持っていくとか、職員そのものは非常によく働いているというふうには認識しておりまして、具体的な仕事そのものに対する委託だというふうに我々は考えているわけでございます。
  220. 井上啓一

    井上(啓)政府委員 道路施設協会の利益いかんというお尋ねでございます。その点についてお答えいたします。  協会平成九年度決算によりますと、サービスエリアのテナント等からの営業料収入、協会直営店の事業収入等営業収入は合計七百二十一億円であります。これに対して、協会直営店の運営費、一般管理費等の営業費用は合計で六百八十九億円となっています。今の六百八十九億円の営業費用の中には、道路公団支払いする占用料が四十五億円、それから公益事業として実施しておりますサービスエリアの清掃に要する費用が百億円、道路情報提供に要する費用が三十一億円、交通安全の啓蒙に要する費用二十二億円ということで、合計して百九十八億円が含まれております。  営業収入七百二十一億円から営業費用六百八十九億円を引いた営業利益が三十二億円でございまして、ほかに営業外利益三百万を加えて、法人税等二十三億円引きまして、税引き後の当期利益は九・六億円となっております。その利益の中から新たな利便施設建設費に充てるというような仕組みになっています。
  221. 西野陽

    ○西野委員 私は、道路施設協会の問題はありますけれども、その職員がどうのこうのということを申し上げておるわけではありませんので。今お話があったとおり、税引き後で九億六千万でございますか。要は、民間企業でございましたらこれぐらいの利益は上げてもらわないと困ると思うのですけれども、問題は、これが財団法人であるということなのですね。  その費用は何か今別の事業をやる、こうおっしゃっているのですが、それではお尋ねをいたします。平成八年九月二十日閣議決定をされました公益法人の指導監督基準、その「事業」の中で、三項目めにあると思いますけれども、公益法人の利益の問題について触れておられますけれども、平成八年九月二十日閣議決定された公益法人の指導監督基準の第三項目め、お示しください。
  222. 井上啓一

    井上(啓)政府委員 今ちょっと手元にございませんので、失礼いたします。
  223. 西野陽

    ○西野委員 私の方には手元にあるのですけれども、いろいろ書いてあるのですけれども、公益法人は営利事業を主とするものでないこと。ですから、道路施設協会が営利事業を主としているとは思いません、いろいろなことをやっておられますからね。しかし、利益は現実に九・何がしも上げられたこと、これも立派なことです。だけれども、公益法人というものがさてそれでいいのかどうかということ、ましてやその子会社は先ほど来言ったような不祥事と、そして利益を上げている。でも、親方であります道路公団の方は、決して赤字とは申し上げませんけれども、借入金返済は相当の額になっていると思うのです。国に返さにゃいかぬわけです。  国から、道路公団出資金とか利子補給で、どれぐらい受けているのですか。
  224. 井上啓一

    井上(啓)政府委員 平成十年度の予算で二千六百億ほどの出資金、利子補給金等を受けております。
  225. 西野陽

    ○西野委員 いずれにしても、私の聞きましたのでは、出資金が一千三百二十五億、利子補給で一千百三十一億、これは国民の皆さんの税金といっても間違いないと思います。それが道路公団に当然ながら出ている。道路公団は、もちろんそれ以上の事業をそれを元にして展開されている。しかし、借入高が多いですから、先ほどもお話があったとおり、これはもっと何兆というお金を返さなきゃならぬ。子会社とは言いませんが、その傘下である道路施設協会においては先ほど来の利益が上がっておる。その関連の子会社たるや不祥事を起こしてこれまた利益を上げておる。  これは、一体国民は納得するのですか。国民は、ああ結構ですと言うのでしょうか。私は、大変これは疑問だと思うのですね。  そこで、もうちょっとお尋ねしたいのですが、この施設協会、固有名詞で大変失礼でございますが、この春退職をされました協会の宮繁理事長さん、これは以前にお話が出たのかもしれませんが、国土庁の事務次官をかつてはなさっておりました。退職金、これも出ましたから言います、五千五百万と聞いております。その後、道路公団総裁に御就任をされました。その後、財団法人の道路施設協会理事長として天下りました。国の事務官から道路公団総裁になって、施設協会理事長になって、合計何ぼの退職金ですか。
  226. 井上啓一

    井上(啓)政府委員 日本道路公団退職時の退職金は三千九百万円、それから道路施設協会理事長退職時の退職金は三千八百万というふうな状況でございます。
  227. 西野陽

    ○西野委員 この退職金自身は、多い少ないの議論は別としまして、公益法人は役職員に法人の上げた利益を分配したり財産を還元してはならないと明言されているのですね。退職金ですから利益の分配にならないという論理を展開されたら、私は何も言えません、が、しかし、現実に施設協会で三千八百万、公団で三千九百万もらわれておるわけであります。  これらの公益法人役職員には法人の利益を分配してはならない、こうなっておるのですが、利益の分配とこれは考えるべきでないのでしょうか。順当なんでしょうか。どう思われますか。
  228. 井上啓一

    井上(啓)政府委員 今、利益の分配ではないかというお尋ねでございますが、利益の分配ではございませんで、先ほど申しました九・六億円の利益につきましては、新たな利便施設の建設費に充てているという状況でございます。
  229. 西野陽

    ○西野委員 いずれにしても、建設省の所管のところに天下りをなさって、この批判に耐えられなくなって退任をされたのではないかと私は思います。  きて、この宮繁さんが退任をされました。かわって今度杉岡さんが就任をなさったわけであります。ところが、これは協会が言ったことでありますけれども、杉岡さんもこれは天下りではないか、こう聞きましたら、施設協会は、いや天下りではありません、杉岡さんは内部昇格ですと答える。確かに、杉岡さんは副理事長でございましたから、副理事長から理事長になられることは内部の昇格であります。しかし、副理事長になる前は公団の本四連絡架橋の副総裁、そしてその前は公団理事、その前は国土庁防災局長であられたわけでありますね。これは天下りというんですよと私は思いますけれども、そう思われませんか。
  230. 井上啓一

    井上(啓)政府委員 公団に関連する公益法人の役員、その業務公団業務と密接に関連することから、高速道路等に関する豊富な経験と知識を有する人材が登用されているというふうに聞いております。
  231. 西野陽

    ○西野委員 その経験を生かしてということでしょうけれども、これはこれからのやはり一つの問題になるんじゃないでしょうかね。  ところで、いろいろな批判が出ました公団さんが、委託業務を今度は公募型指名競争入札というもので新規参入を考えられたんでございますね。じゃ、公募入札をなさって新たに新規参入した業者の数、割合ですね。何社とかいうのは要りません、全体の何%ぐらい新規の方がお入りになったのか、その新規の方が受注した金額は全体の何%ぐらいなのか、どなたかお示しいただきたい。
  232. 緒方信一郎

    緒方参考人 道路公団のまず業務を、ちょっと前置きを説明させていただきたいと思いますけれども、道路公団は、道路建設をして、それを維持管理をしまして初めて完全な高速道路というものの機能が全うできるものでございます。現在高速道路約六千四百キロを管理しておりまして、一般有料道路も含めて七千二百キロを管理しているわけですけれども、要するにそれの料金収受とか保全点検でありますとか、いろいろそういう管理業務がたくさんあるわけです。  これは本来、公団が自分で行うべき公共性の高い業務であるわけですけれども、これを全部公団が自分でやっておりますと大変な組織の肥大化を招く、事実上不可能であるということで、できるだけ民間会社委託をするということで、外注、アウトソーシングをするという方針で当初から来ておるわけです。  そういうわけで、公団委託をしております業務は、そういう高速道路の機能を全うするためにどうしても不可欠な仕事であるという位置づけにあるということをまず申し上げておきたいと思います。  それを担当しております会社が、いわゆる道路施設協会、先ほど来先生が御指摘になりました道路施設協会出資をしておりました会社が多かったわけでございまして、これは大変御批判を招いて、今、道路施設協会はその出資金を全部引き揚げつつありますので、道路施設協会の子会社という形はなくなってきておるわけでございますけれども、依然としてやはり閉鎖的ではないかという、そういう御批判があります。そういう御批判を受けて、競争性透明性確保していこうということで順次競争入札導入してきておる、こういうようなちょっと前置きをさせていただきます。  それで、現在、料金収受業務それから維持補修業務については平成九年度から、それから保全点検については平成十年度から順次競争を導入してきております。  そこで、先生の御質問の点でございますが、平成九年度において料金収受業務維持修繕業務について公募型の指名競争入札実施いたしました結果、新規に参入した業者が落札をいたしました件数は七十二件中の十九件、その割合は二六・四%でございます。
  233. 西野陽

    ○西野委員 これはもう新規参入の機会をどんどんふやさないと、今、最初ですから二六%とおっしゃったわけですけれども、要するに透明化すればいいんですよ。競争化すればいいと、私はそのように思います。  いずれにしても、財団法人道路施設協会、数多くの企業出資をしている。現在はそれを引き揚げたということですが、出資をしているときの民間企業にそのような不祥事が発覚をしておるということも厳然たる事実であります。  出資をして、会社が不祥事を起こして、その起こしている会社にいわば天下りをしている、仕事は独占的に渡している、受けた方は一括して外部に出しておる。まさしくこれは、この構図は大きな課題ですね。これは問題ですね。ここらをひとつすかっとしていただくために、いろいろと取り組みをされて、再発防止のために、不祥事を起こさないように今これらの取り組みシステムを改善されておると聞いておりますけれども、簡単に、どういう取り組みをされようとしておるかお答えをいただきたいと思います。
  234. 緒方信一郎

    緒方参考人 日本ハイカ事件につきましては、直接当公団に被害が及んでいるわけではありませんけれども、そういうような問題が起こったということは大変遺憾なことであるというふうに私ども考えておりまして、二度と起こしてはならないことであるというふうに理解しております。  この釜本スポーツ企画、実は当時、先ほど先生が御指摘ありましたように後払いで契約をしておったわけです。先ほど先生が例に挙げられましたかどや不動産あるいはナカノというものについては、確かにいろいろな問題が、どうも余り大きな会社ではなさそうでありますけれども、これは全部前払いで今契約をしております。それで、日本ハイカの釜本スポーツの焦げつき問題がわかりました時点で、直ちにその取引方式を原則前払いという方式に改めまして、後払いの場合には必ず銀行保証等をつけるという厳格な方式に改めましたので、釜本スポーツ以降そういう焦げつき問題が起こっておりませんので、ナカノとかかどや不動産についても、現在前払いでやっております以上、そういう問題は起こらないというふうに理解しておりますけれども、ただ、それだけにかえって事前のチェックが十分できないんじゃないかという御指摘があることは事実でございまして、チェック体制は厳しくしていきたいと思っております。  それで、そのハイカの問題でございますけれども、そういうことで前払い方式ということに改めましたけれども、やはり先ほど来先生が御指摘がありますように、四千八百億のカードを一社だけで独占的に売っているという、こういうやり方自身が非常に問題があったのではないかという反省をいたしまして、これを改めていきたいと思っております。  簡単に言いますと、信用力のあります大きな企業についてはもう直接道路公団からハイウェイカードをお願いする、それ以外のものについては、どうしてもやはり、二千七百も相手がありますので全部直接公団がというわけにいきませんので、間に代理店にどうしても入ってもらわなきゃいけないでしょうけれども、それも一つではなくて複数の代理店にお願いするということで、直接卸すグループと、それから間に代理店を介在させるグループとに分けまして、介在させる方も複数でやらせる、こういう形で来年度から実施をしていきたいと思っております。  ハイカそのものには、実はカード製作そのものも一括して委託をしておったわけですけれども、これはもう今年中に体制を改めまして公団自身印刷をする、こういうことにしていきたいというふうに思っております。  あわせて、そのチェック体制を厳しくする、あるいは手数料を引き下げるというような総合的な施策を講じまして、二度とこういう問題が起こらないように引き締めてやっていきたいというふうに存じております。
  235. 西野陽

    ○西野委員 今お示しされたのはこれは当然のことなんですけれども、前払い云々なんておっしゃいますと、それじゃ尋ねたくなるんですよ。わずか三人そこらの会社で前払いが三十億も四十億もできるんですか。それを現実にやっているんですよ。その裏には何があるかということ。ただ前払いをしていますから、銀行保証をとっておりますから大丈夫であります、そういう金銭の取引上に問題が起こらないということだけで問題はないという考え方はだめなんですよ。  その受ける企業が分相応なのかどうかということ。これだけの大きな公共性のあるカードを取り扱っているということであれば、それなりの分相応の企業に出すべきだと私は思うんです。だれが考えたって、三十億現金を持っておる者ありませんよ、一企業で、小さな会社で三人しかおらない従業員のところで。問題ありますよ。  だから、もっと根本的に考え方を、ハイカ自身がやったやり方も考えなきゃなりませんけれども、改革をしなきやなりませんけれども、この道路公団を初めとする構造的な問題を考えないことには、この不祥事というものは、私はまたまたそんなことが起こらないことを願っておりますけれども、懸念をするわけでありますから、ぜひひとつ根本的な問題を取り組んでいただきたいというふうに思います。  そこで、大臣の感想を聞きたいと思っておったんですけれども、これが回ってきました。時間があとわずかしかありませんので、聞いていただいておったと思いますので、ぜひひとつ取り組みをいただいて、別のことでちょっとお尋ねをしたいと思うのでございます。  ちょっと唐突で申しわけないのですが、先ほど申し上げました日本電気、NEC、建設省といろいろと契約をしておると思いますが、平成八年、平成九年は、件数で結構でございますが、何件ぐらいの電気工事といいますか納品といいますか、わかりませんが、要するに建設省と何件ぐらいの工事契約があったか、八年、九年で請負金額は総額幾らぐらいであったか、それだけをちょっと教えてください。
  236. 小野邦久

    ○小野(邦)政府委員 お答えを申し上げます。  NECが請け負った平成八年度、九年度の私ども直轄工事の契約件数と請負金額でございますが、平成八年度は四十七件、七億四千万円余、平成九年度三十五件、八億四千万円余でございます。
  237. 西野陽

    ○西野委員 平成八年、四十七件、九年が三十五件、金額はそれぞれ七億四千万、八億四千万、こういうことでございます。  さて、河川審議会の委員というのは大体どういう基準で選んでおられるのでしょうか。
  238. 青山俊樹

    ○青山政府委員 河川審議会は、建設大臣の諮問に応じ、河川に関する重要事項を審議していただくものでございまして、河川に関し学識経験を有する方及び地方公共団体の長に委員をお願いしているところでございます。  その人選に当たりましては、河川に関連する広い立場からの御審議をいただくよう、各界から、幅広い知識と高い見識を有しておられる方を建設大臣から任命しているというところでございます。
  239. 西野陽

    ○西野委員 そういう方が審議委員であっていただきたいと思います。  ところが、司直に特別背任容疑で逮捕されて現在容疑者になっておられます企業のトップが、河川審議会のトップについておられますNECの会長、イコール河川審議会の会長、関本さんであるわけですね。これは、企業と審議会とは別という考えになればそうでしょうけれども、今こういう社会問題になっておることについてはどう考えておられますか。
  240. 青山俊樹

    ○青山政府委員 私ども河川行政に携わる者といたしまして、幅広い御審議をいただきたいと思い、経済界におかれて幅広い知識と高い見識を有しておられる関本氏に建設省よりお願いいたしまして、平成八年十二月に審議会の委員となっていただきました。委員の互選によりまして、翌年一月から会長に御就任いただいているところでございます。  これまで会長として精力的に御活躍いただくとともに、実りある御意見をいただいておりまして、関本氏個人としては極めて幅広い知識と高い見識を有しておられる、かように認識いたしております。
  241. 西野陽

    ○西野委員 恐らく、実りある審議をゆだねておられることでしょう。ところが、残念ながら、この人の所属している、代表取締役をされております会社がこういう特別背任で今、司直にとがめられておるということは、これまたいかがなことかなというふうに思うわけであります。  そこで、きのうの朝日さんの朝刊で、全国の都道府県三十七がNECを指名停止処分にしているのですが、国、建設省はどういう処分をしていますか。
  242. 小野邦久

    ○小野(邦)政府委員 お答えをいたします。  建設省といたしましては、今回の防衛装備品の納入をめぐる過大請求、不正減額事件、これに関しまして日本電気の元役員らが逮捕された、こういう契機にかんがみ、指名停止措置要領に基づきまして、事件が起きた関東地方の各発注部局において二カ月間、他の地方の発注部局におきまして一カ月間の指名停止措置をとっております。
  243. 西野陽

    ○西野委員 けだし当然でございましょう。  大臣に最後、お尋ねをいたします。  防衛庁調達実施本部背任事件で、九月十日、地検の特捜部はNEC元常務永利氏を逮捕しました。これによって、どうも組織ぐるみではないか、こう見られてもしようがないと思っております。  ところが、常務が逮捕された翌日九月十一日、関谷大臣は、その逮捕された会社の、NECの会長である関本さんが審議会会長であります河川審議会に、河川管理のあり方について翌日に諮問をなさっている。新聞であれだけ報道されて翌日に、その人の会社のトップが審議会の会長をやっている、諮問をした、ちょっとこれは無神経ではないですか。どう思っておられますか。
  244. 関谷勝嗣

    ○関谷国務大臣 見方がいろいろあるだろうと思いますが、私は建設大臣として河川審議会の会長に諮問をした、そういう日程であったわけでございまして、私はそのとおり行いました。  それと先生のもう一つの質問、今回の、会長であるのがどうかということでもあろうと思うわけでございますが、今事件が推移をしているわけでございますから、私は重くその推移を見守っていきたい、そのように思っております。
  245. 西野陽

    ○西野委員 以上で終わります。
  246. 井上義久

    井上(義)委員長代理 中島武敏君。
  247. 中島武敏

    ○中島(武)委員 きょう、私は二つの問題、一つは豪雨災害、もう一つは建設業の倒産等に対する下請保護の問題、下請救済の問題、この問題二つを質問したいと思っています。  最初に豪雨災害、特に那珂川水害の問題を中心に伺いたいと思っているのですけれども、この点で、さきの豪雨災害の被災者の方々に心からのお見舞いを改めて申し上げますとともに、再びこのような災害を起こさせないという決意を込めて、きょうは質問をいたしたいと思います。  八月末の豪雨災害が、北関東や東北地方を初め二十二都道府県に及ぶ深刻な被害をもたらしたのに続いて、台風五号による被害も十八都府県に及びました。被災地、被災者に対するきめ細かい支援策が求められているところであります。同時に、これら一連の災害を通して、防災対策のあり方が厳しく問われていると私は思うわけです。今申し上げたように、私は、茨城県水戸市を中心とする那珂川水害、この問題を具体例に質問をいたしたいと思います。  まず最初に申し上げたいと思うのは、栃木県上流部に集中的に降った大雨、これによって、那珂川各所ではんらん、浸水しました。常陸工事事務所の話によれば、浸水面積約一千三百三十一ヘクタール、浸水家屋は、床上四百十五一尺床下四百七十七戸、合計八百九十二戸に達しております。  私は、被災後の九月七日、現地でお見舞いと同時に調査を行いました。特に集中的に被害のあった水府地区で住民の方の要望も受けました。浸水をもたらした直接的な原因は堤防建設のおくれ、つまり無堤防による浸水、これによって被害が起きたと考えますけれども、建設省はどう見ておられますか。     〔井上(義)委員長代理退席、佐田委員長     代理着席〕
  248. 青山俊樹

    ○青山政府委員 この間の八月末の豪雨におきまして、那珂川の水戸市水府地区での浸水の原因についてのお尋ねでございますが、今御指摘のとおり、あの時点で、あの地域で堤防ができていなかったというところが浸水の大きな原因だと思っております。もちろん、上流に大雨が降って川の水位が高く上がったということが大前提でございますが、堤防がなかったことが浸水の原因と思っております。
  249. 中島武敏

    ○中島(武)委員 私、今も申し上げたように、現地で住民の皆さんの意見、要望を聞いてまいりました。その代表的なものを紹介いたしたいと思いますので、大臣もよく聞いていただきたいと思うのです。  これは、ある方の言葉なのです。ホテルと建設省は秘密協定を結び、堤防建設をおくらせた。十五年間の期限はことしの十月だ。秘密協定がなければ、物事は進んで堤防は完成していたはずである。十五年前の最初の秘密協定は、ホテルと建設省のほかに水戸市と茨城県が立会人になっている。しかし、今回のさらに二年間延長の契約は、ホテルと建設省の二者だけで、議会が知らないうちに決められた。仮堤防をつくるか、あるいは水門をつくってポンプアップするだけで防げるはずではないのかと。これはある方の意見です。  それからもう一人の方の意見は、なぜ二度も三度も同じ者が水害に遭わなければならないのか。これは、意味は、八六年の水害の被災者なのですね。ところが、さらに代替地に移転をして、そしてそこでことしの八月二十八日と八月三十日に被災をしているわけですね。そのことをこれは言っているわけですけれども、なぜ二度も三度も同じ者が水害に遭わなければならないのか。住民としては納得できない。踏んだりけったりだ。今回も天災だと言うのか。十二年間放置されてきた。十二年間かかって一センチも堤防はできていない。台風シーズンになると不安な生活を送ることを十数年も繰り返してきたのだ。どんな組織でも工程表におくれが出ればチェックする。お日付役が必要ではないか。役人の言いわけは十二年間聞き飽きた。私たちは一生懸命頑張ってきた。住民の安全を最優先してほしい、こういう声を上げております。  それから、またある方は、水害は泥との闘いである。衣類は捨てるしかない。着物はだめになる。洗濯代だけで六十万円かかったことがある。毎日泥落としの毎日だ。二階に寝起きし、床下を乾燥させている。これは、扇風機を持っていって床下に一生懸命風を送るわけですね。こういう努力をしていることを言っているわけですけれども。それで、ヘドロを取るために床下に潜って仕事をすることは大変なことだ。遭ってみないとこの苦しさはわからない。  こうたくさんの訴えを聞きましたけれども、時間の関係で省略せざるを得ませんけれども、八十八歳の介護を必要とするお年寄りを抱えて、そして右往左往、それこそ四苦八苦しているような、血の出るような声も聞かせてもらいました。  それで、建設省も真剣にこれら被災した住民の声に耳を傾けるべきことは言うまでもありませんが、具体的にお聞きしたいのです。建設省、この浸水があった地区の河川沿岸を堤防建設予定地域にしたのはいつのことですか。
  250. 青山俊樹

    ○青山政府委員 那珂川水系の治水事業は工事実施基本計画で定められているわけでございますが、これは昭和四十一年七月に新河川法施行に伴う工事実施基本計画が策定されております。また、六十三年三月に部分改定を実施いたしました。さらに、平成五年四月に基本高水流量の変更を含む改定を実施いたしております。
  251. 中島武敏

    ○中島(武)委員 住民が秘密協定だと言っておりますのは、那珂川(水府町)の工作物に関する協定書というものなのです。それはこれなのですけれども、これが秘密協定と言われているもので、ここには詳細全部、この協定内容が書いてあります。それで、これが作成されたのはいつかというと、一九八三年一月三十一日です。そして、この協定書は何を書いているかというと、中心的な点は、十五年間はホテルの営業を認める、そういう中身なのですね。  ところが、一九八六年に、ことしの被害に匹敵するあるいはそれ以上の大きな水害が同じ地区に襲いかかったのです。どうしてこの災害がかかってきたその後に、プラザホテル側に、改修事業に支障を来すので撤去してほしい、そういう申し入れ、主張をしなかったのでしょうか。
  252. 青山俊樹

    ○青山政府委員 那珂川につきましては、今お話がございました昭和六十一年の浸水被害、これが非常に大きかったわけでございますが、それ以降、まず河川激甚災害対策特別緊急事業、床上浸水対策特別緊急事業等によりまして、鋭意整備を進めておりまして、右岸の方はこれは築堤ができて今回浸水被害がなかったわけでございますが、左岸につきましてはこれはまだ堤防が完成しなかったわけでございます。  それから、プラザホテルに対しましても、何度にもわたり具体的な移転交渉を平成六年十二月からやっておりますし、また左岸側の地権者の方、移転戸数が、必要となる方だけで四百五十戸に近い数で、非常に大きな戸数の移転交渉というものがございました。そういった意味で、用地買収がなかなか進まなかったということでございます。
  253. 中島武敏

    ○中島(武)委員 問題を端的にお答えいただきたいと思うのですけれども、この協定書は建設省はよく御存じだと思うのですけれども、何と書いてあるか。「那珂川の治水事業の重要性を認識し、この協定の実施にあたっては、将来にわたり密接な連携を保ち、改修事業促進に支障を及ぼさないよう努力するものとする。」こう書いてあります。これは前文です。  それから、さらに第六項がありまして、ここで「乙は、」乙というのは水戸プラザホテルのことですけれども、「乙は、ホテル等の移転を、営業開始後十五年までに完了するものとする。」と。十五年ですよ。しかし、その次なのです。「この間において、災害の状況等により、移転を早める必要がある場合には、四者協議を経たのち、乙は、」つまりプラザ側は「甲の決定に従う。」甲は建設省であります。こういう文言まであるのですよ。  こういう文言があるのに、何でそういう災害が起きても、このときは水がついちゃったのですよ、このプラザホテル自身も。にもかかわらず、なかなか今のお話だと、どいてもらいたい人がたくさんいるからとかいうようなお話のようなのですけれども、これは私は、先ほどお話し申し上げましたけれども、住民の皆さんの怒りというのは本当に建設省わかっているのか、率直に言いますけれども、そういう気がするのですよ。もっとやはりここは考えなければいけないのじゃないか。  それに大体、住民の皆さんはせいぜい二階建ての家に住んでいるのです。木造ですよ。いつだつて撤去しろということになったら撤去できる。ところが、このプラザホテルというのは一体どんな代物なのかということなのですけれども、これは堅固な建物です、そんな木造住宅とは違って。地上十一階、地下一階、高さ五十三・三五メートル、延べ床面積一万四千三百六十九・二八二平米、もう水戸市における最大のホテルなのですね。それがこの堤防の予定の内側、川の側に盤踞しているわけですよ。これに対しては、こういう契約書まであるにもかかわらず、おまえはもう出ていってもらいたい、堤防をつくるのに障害になると、何で言わないのですか。言ったのですか。言わないのでしょう。
  254. 青山俊樹

    ○青山政府委員 水戸プラザホテルに対しましては、河川改修事業説明するとともに、事業の進捗に対しての協力を強く要請してきておりまして、平成六年十二月から平成十年八月まで計六十四回にわたる具体的な移転交渉を進めているところでございまして、本年二月に建設省と土地売買に関する契約が成立したところでございます。
  255. 中島武敏

    ○中島(武)委員 そんなものは全然もう答えになっておらぬね。大臣、よく聞いておいてください。こんなことを局長が言うのですよ。話にならぬじゃないですか。どんどんそんな先の方の話しないで、まだまだ聞きたいことあるから、落ちついてひとつ答えてください。私は、本当にこれは情けないと思っているのだ、こういう姿勢は。  それで、那珂川下流部を都市計画法によって決めているのです。都市施設にした。これは「河川を都市施設として位置付け、将来、河川区域となる範囲を明示して、対象区域内における開発行為の抑制を図ることとする、」そういう都市計画決定ですね。これを行ったのが一九八八年の一月なのです。平成の四年とか本年二月とかという話じゃないのですよ。もっとずうっと前の話です。これをやったのです。いいですか。この決定を行ったのが一九八八年の一月ですね。それで、このときに、建設省はプラザホテルに対して撤去の申し入れをやりましたか。きちっとお答えいただきたいのです。やりましたか。  しかも、八六年の災害の後、八八年からほぼ五カ年計画でやる激特事業が指定をされて、そして事実、万代橋から水府橋の間、右岸です、これは千五百四十メートル、この工事が完成された。だから、ことしの水害でも被害はなかったのですよ。いいですか。それはなかったのです。  ところが、問題は何かというと、今度は左岸の工事をやらなかった。プラザホテルの側ですよ。それで、おかしな話なんだ。はっきり言いますけれども、こんなことを局長に言うのは私はなんなのですけれども、大体、堤防は、片一方つくって片一方つくらなければ、そっちへ水が流れちゃうことは当たり前でしょう。だから、ちゃんと左右均等につくっていくというのは本来のあり方なのです。ところが、そうじゃないのだ。プラザホテルの側は堤防をつくらない、それで反対側は堤防をつくった。それで、堤防をつくった方は助かったのです。住民の皆さんは助かった、水つかなかったのだ。これは住民の皆さんから、プラザホテルとの間で秘密協定があるからだ、こういうふうに言われたって抗弁のしょうがありますか。
  256. 青山俊樹

    ○青山政府委員 ただいま先生御指摘のとおり、昭和六十三年、平成二年には、都市施設としての河川の都市計画決定に当たりまして、公聴会の開催や各地域での説明会等により地元関係者への事業についての周知を行いまして、河川改修への御理解、用地取得の協力を得ながら対策を進めてきたところでございます。  右岸側につきましては、先ほど申し上げましたが、完成をいたしまして、左岸側が残っておるわけでございますが、左岸側の地権者の数、三百五十戸近く、先ほど四百五十と間違って申し上げ、大変申しわけございませんが、三百五十戸近く、非常に多うございまして、プラザホテルは契約済みでございますが、まだ現在残っているところが十四戸ございまして、そういった格好で、非常にたくさんの方を相手として、たくさんの方に御理解と御協力をいただきながらやらなければいかぬ事業でございますので、非常に時間がかかっているという次第でございます。
  257. 中島武敏

    ○中島(武)委員 答弁になっていないね。本当によくこんな答弁できるなと思って私は聞いているのですよ。  じゃ、まだ言います。いいですか。プラザホテルの建築確認がおりたのは、一九八二年八月五日です。その前月の七月に、建設省の常陸工事事務所長名で三回にわたって建築確認を当分の間延期してほしいという申し入れを行っているのです。それで、このことは何かというと、やはり最大の地権者としてのプラザホテルが、実は河川改修の支障になるという認識が当時あったからこそ、ちょっと待ってくれということを言ったのではありませんか。しかも、その直後の九月に、八二年です、九月の台風十八号、これで集中豪雨でこの水府橋の水位は七・〇五メートルまで上がって、浸水被害は二百一戸に及んでいるのです。それにもかかわらず協定を交わして、それで十五年間営業を認める、一体これ、なぜこんなことをやったのですか。結局、何らかの政治的な影響力があったのではないかとみんな言っているのですよ。どうなんですか。
  258. 青山俊樹

    ○青山政府委員 水戸プラザホテルの件でございますが、確かに、当時の用地につきましては、将来の河川用地と当時考えておりましたために、建築許可を行わないように要請したことは先生御指摘のとおりでございまして、ただ、当時、河川改修の事業がまだ具体化しておらず、また、当該用地が市街化調整区域内の既存宅地という位置づけでありましたために、建築が許可されたものと認識しているところでございます。ホテルは建築されましたが、河川改修を円滑に行うためにホテル側へ事業への協力要請を行いまして、昭和五十八年に改修事業促進に関して合意に至ったという経過でございます。  なお、平成十年二月に建設省と土地売買に関する契約が成立したところでございまして、床上浸水対策特別緊急事業完成目途でございます平成十二年度までに移転を完了する予定だというふうに認識しております。
  259. 中島武敏

    ○中島(武)委員 大臣もよくお聞きだと思うのですけれども、実はその九一年に、対岸の、プラザホテルではない反対側、ここはいろいろな利用がされておったのです。とこには、茨城中央自動車教習所、これが移転を渋っておりましたら、移転の強制執行を官報で告示されて、そして看板まで立てて、結局その会社は廃業に追い込まれるという、そういう事態になっているのです。何で片一方の方だけ物すごく理解のある、プラザホテルにそういう措置をこんなにもとり続けているのかということは、どなたが考えたって不思議でしょうがないではないですか。ことしの二月の契約、わざわざ二年間また延ばしてやったのですよ。中身は何のことはない、さっきから答弁しているように、二年間延ばすという中身ですよ、そのことはずばり言いますと。そういうことではありませんか。  私は大臣に聞きたいのです。こんな地元資本に遠慮するような態度では、みんな代替地に移転をしてきているのです、大多数の人たちは。にもかかわらず、プラザホテルだけが残っている。そして、自分は二度も三度も水害に遭っている。これはおかしいのではないかということを怒りを持って言うのは当然ではないかと思うのですね。  私は、もう局長に聞くのはやめます。大体聞きました。何回聞いても何やらはっきりせぬ答弁ばかり言っていますから。大臣にはっきりこの辺で立ってもらいたいのです。やはり地元資本に遠慮するのではなくて、それこそ住民の立場、被害者の立場で緊急に堤防をつくる、こういうところへ踏み切るべきではないでしょうか。
  260. 関谷勝嗣

    ○関谷国務大臣 この時期は、私は今の立場ではなかったものでございますから、私がいる間には同類のようなことは起こしません。
  261. 中島武敏

    ○中島(武)委員 それでは、はっきり言ってもらいたいのだけれども、今までのことを整理すると、どういうことをやられてきたかというと、プラザホテルの建築確認がおりた直後に浸水被害があった。ところが、これに対して建築をやめてくれとかそういうことを何も申し入れもしていない。八六年の八月に大被害が起きた。それでも撤去してくれということを言わない。都市計画決定が八八年の一月にやられたけれども、そしてそのことによって建築規制がかかってきているのだけれども、これでもまだ黙っている。それから、八八年には激特の指定があったけれども、さっき言ったとおりなのです。プラザホテル側は激特指定をやらない。つまり、堤防をつくらない。その後再び二年間営業を認める契約をやっている。こうなんですね。  住民はどうかといったら、まだ残っている方、ごく少数いますよ。だけれども、大多数の人たちは移転しているのですよ。プラザホテルだけは頑として動かないのではないですか。こんなものだれが認めると思いますか、皆さん。それはもうはっきりしておるでしょう。  この問題はNHKのテレビを通じて全国に放映されましたよ。みんな不思議に思っているのですよ、この事件については。新聞も報道しましたよ。今、ある意味では全国が注目していると申し上げても、私は言い過ぎではないと思っています。だから、ここで建設省としては、大臣、やはり決断を下して、そしてしっかりやる。直ちに堤防をつくります、こういうふうに言わなければだめだ。二年後にはできていると思いますみたいなのでは話にならない。ここは、ああやはり建設省もそういう姿勢に立ったかと、こういうふうに全国民にわかるようなふうにすることが一番正しいのではないでしょうかね。どうですか、もう一回。
  262. 関谷勝嗣

    ○関谷国務大臣 先生の御意見、重く受けとめまして検討いたします。
  263. 中島武敏

    ○中島(武)委員 傾聴してくださるだけではだめなのです。  これは、二回聞いても似たようなことを、はっきりしたことをおっしゃらないけれども、これは非常に重大な問題ですから、ぜひひとつ、今申し上げたように、建設省としては、大臣としてはやはり決断をしっかり下していただきたいということを、私重ねて申し上げまして、これと関連してもう一つ大臣に伺いたい。  それは何かといったら、堤防建設を急ぐと同時に、上流の開発規制も今非常に大事なのではないかというふうに思っております。  栃木県の那須地方は、リゾート開発でゴルフ場がたくさんありますし、それからまた、産業廃棄物の投棄場としても有名だという話も私なんかの耳には入ってくるわけです。それで、中下流域では市街地が拡大している、土地利用の変化も顕著だ。こういうことを考えますと、単に築堤を行うとか、あるいは堤防のかさ上げをやるとか、河川の掘削をやるとか、河川に対する物理的な対策というだけではなくて、やはり上流の開発規制とか都市や住宅対策、あるいは農地を含めた土地利用などを抜本的に見直すということが必要なのではないかというふうに思うのです。  これは私から申し上げるのもなんなのですけれども、新河川法では、河川について、治水、利水だけではなくて新たに河川環境の整備と保全、これを河川の総合的な管理の一環として位置づけていることは、もうみんな承知しているところであります。それで、河川整備計画をつくるときには、学識経験を有する者の意見も聞く、公聴会もやる、関係住民の意見も反映させる、こういうふうになってきておりますでしょう。  だから、こういう整備計画の中に、今私が指摘したような上流の問題、こういう問題もあわせてちゃんと全面的に入れるべきなのではないか。何も下流の方だけではない、河川の上の方もやりませんと、環境問題ということからいっても大きな問題を引き起こしてしまうことになるのではないか、との点を伺いたいと思います。大臣、ずばっと言ってください。     〔佐田委員長代理退席、谷畑委員長代理     着席〕
  264. 青山俊樹

    ○青山政府委員 実務的にお答えしたいと思います。  河川整備計画等の策定に当たりましては、絶えず土地利用の変化等をにらみつつ、河道改修だけではなくて、流域における貯留対策等も含めて、総合的な見地からの治水対策が重要だと認識いたしております。  また、水害の実態を見ましたところ、従前の土地利用が変化いたしまして都市化した場所で家屋の浸水が多く見受けられるというふうなことも下流部では出てきておりますし、関係部局とも連携を図りながら、水害に対して安全な土地利用が図られるような治水対策を進めていくということも大事だと思います。  また、上流部が開発されますと、調節地等の対策をとらない場合には非常に流出増が起こるわけでございますし、また上流が都市化された河川では、急激に洪水時流出が起こり、またひでりが続くとすぐ川がかれるといった状態も起こるわけでございますので、そういったことに対しては、総合的な治水対策をとりながら流出をできるだけ抑え、雨水を貯留するという努力が必要だという認識をいたしております。
  265. 中島武敏

    ○中島(武)委員 ぜひひとつこういう点を総合的に考えるということを進めませんと、河川だけで全責任をしようというのではなくて、そのもっと上流の問題、その周辺の問題、そういうところを広く、よく検討の対象に入れるということが必要です。だから、必要な規制なんかはやはりやるべきなのですよ。そういうことを申し上げておきたいと思います。  それから、ちょっと時間も迫ってきましたので、次の問題に入らせてもらいたいと思いますが、下請救済の問題です。  民間調査機関の調査によると、九八年、建設業の倒産件数は、八月末で三千七百七十六件と例年より一千件近くも多いわけですね。住宅建設の落ち込み、それから民間設備投資も悪い。その上、信用収縮による銀行など金融機関の貸し渋りが、減少するどころかさらにふえて、資金回収がどんどんやられているわけですよ。そういう中で倒産がさらに激増していくことは想像にかたくありません。  今日特徴的なことは何かというと、やはり元請自体が倒産をする、そのために下請業者、労働者が下請代金の未払いやあるいは賃金が回収できない、そういう事態が起こってきているわけですね。今こういう事態に対して手を打ちませんと、下請の皆さんはいわば座して死を待つようなものと言わなければなりません。     〔谷畑委員長代理退席、委員長着席〕  実は、ごくごく最近のことですけれども、長野県内では、県内としては、負債総額五十数億円という最大規模の倒産が起こったのですね。それで、私のスタッフがこの問題の調査に行ってきました。この建設業者、ピークのときには完工高で八十七億円、ことしも六十五億円の仕事をやっている、そういう業者なのです。それで、六割は公共依存、こういう業者なんですけれども、一般債権者が二百人ほどいるのです。  それで、破産管財人にも会って話を聞きました。そのときに、こちらから一般債権者に一銭も行かないというのはどうにかならないものだろうか、こういう話を問いかけたのです。これに対して破産管財人が言うには、制度的には和議法による和議に持ち込む、こういうこともあるけれども、裁判所は認めないでしょうねと。それから、何か保証制度が必要なのかもしれませんが、それはむしろ国政上の問題だ、こう言うわけですね。  そして、一部上場あたりの会社になれば社会的影響があるということで、会社更生法が適用されるということで、生き残らせることになる場合が間々。そうですね。それから、金融機関の債権放棄というようなことも行われるわけですよ。その点じゃ、一部上場あたりは生き延びていくことができるのですね。だけれども、そうじゃない小さなところはどうなるか、結局方法がないということで、非常に矛盾を感じる、こう破産管財人の人たちも言っているわけですね。率直に言って、大変申しわけないけれども、泣いてもらうしかない、こういう返事が返ってきたのですね。私は、泣いてもらうより仕方がないというのは、もう死んでもらう以外に仕方がない、こう言っているのと全く同じだと思います。  その点で、具体的に聞きたいのですけれども、建設業法には元請倒産に伴う下請未払いの保証はありません。これでは、法的には今言ったように破産法とか会社更生法とか和議法とか、それしかないということになるわけですけれども、しかし、それは小さなところにはなかなか適用されません。そういうことからいうと、建設省として、元請倒産が多発している、こういう状況に対して、下請保護、救済のための対策を検討しておられるでしょうか。
  266. 木下博夫

    ○木下政府委員 お答えいたします。  先生御紹介にございましたように、建設業だけではございませんが、大変今の日本の経済の中でそれぞれの企業が苦しんでおり、厳しい環境であるということは私も認識しております。  ただ、業者のいわば経営悪化に対する対応としては、基本的にはやはりそれぞれの企業の自助努力あるいは自己責任であろうと思います。しかし、そうはいいましても、建設業者が倒産した場合は、当該会社の問題だけにとどまらずに、お話ございましたような関連する下請業者の連鎖倒産とか、あるいは建設労働者の雇用問題、さらには地域経済の悪化、こういう広範な問題がございますので、我々もこの問題は大変重要な問題だと認識しております。  かねてより中長期的には、例えば入札制度の問題だとか不良不適格業者の排除、さらには企業連携の促進などとっておりますが、もう少し目の前の当面の対策として何かないかという御質問もあろうかと思います。  それにつきましては、できるだけ中小、中堅業者に対する受注機会の確保とか、あるいは円滑な資金の供給をやっておりますが、とりわけ連鎖倒産防止対策、これは建設業だけではございませんけれども、中小企業金融公庫とか信用保証協会とか、こういうところにも働きかけておりますし、それから地元の労働者、雇用者の問題については、公共の職業安定所のお手をおかりしながらと思っております。  さらには、今お話のございましたような下請対策ということについては、引き続き我々も早急に対策を考えるべく、今研究会を進めておりますので、何らかの手を考えていきたいと思っております。
  267. 中島武敏

    ○中島(武)委員 最後のところですが、考えていきたい、こういうお話ですよね。  いろいろ私も少し勉強させてもらったのだけれども、外国では、元請倒産の場合に、ばらつきはあるのですけれども、しかし、何らかの下請救済策というのがあるのですね。そういう点からいうと、我が国においてもそういう制度を新設するということは必要なんじゃないでしょうか。その辺はどう考えておられますか。
  268. 木下博夫

    ○木下政府委員 下請問題につきましては、先ほど申し上げましたように、問題も大変多種多様でございますから、なかなか手は難しいわけでございますが、例えば今先生のお話にございましたアメリカとか、最近韓国もそういう制度を入れたように伺っておりますし、ヨーロッパでも、ドイツとかフランスでも、いささか制度的にはそれぞれ国によって違っておりますが、ございますので、当然我々もこういう各国の事情を今調査いたしております。  日本に取り入れられるかどうかでございますが、端的に申し上げまして、保険制度の場合に、その保険制度を任意にするのか、あるいは強制にするのか、さらにはだれがそれを実施するのかという、大変いろいろ問題として、基本的なポジションがまだ決まっておりませんので、先ほどのお話のありましたような地方の小さな業者の方々による影響ということも考えますと、これらの問題についてもそこら辺を念頭に置きまして、今後起こり得るでありましょういろいろな重大な問題に対しての制度を早急にと考えております。  ただ、正直申し上げて、例えば優良な企業については、例えば保険制度にいたしましても、逆にそこに加入するという積極的な理由などが見当たりませんので、そのあたり、決して言いわけではございませんけれども、もう少し時間をいただいて検討させていただきたいと思っております。
  269. 中島武敏

    ○中島(武)委員 関連してですけれども、一九九四年、建設業法改正によりまして、特定建設業は工事現場ごとに施工体制台帳を作成しなければならないということになりました。ことし、中建審から答申が出されて、ここでは、公共工事の発注者が施工体制台帳の提出を求めるということや、あるいは、今までは一次までですから、今度は二次下請以下の下請代金についても施工体制台帳において明らかにすること、このことを検討する必要があるという答申が出されております。  これは、建設省としてこれを検討したのかどうか。どうも私が読んでいる限りで言いますと、業界紙の方は、建設業界の反対で見送られた、こういうことが書いてあるのですね。私は非常に残念に思うのです、もしこれが事実だとするならば。それで、この点についてはどうしようとしているのか、この点を伺いたいと思います。
  270. 木下博夫

    ○木下政府委員 建設業の特色といたしましては、もう既に申し上げるまでもないことでございますが、いわば現地での総合組み立て産業といいましょうか、そういう体制でございますから、我々は、そこに存在する下請問題というのは大変重要でありましょうし、注目しなければいけないと思います。  御紹介のございました本年二月四日の中央建設業審議会の建議には、正確に申し上げますと、「二次下請以下の下請代金についても、施工体制台帳において明らかにすることを検討する必要がある。」こう明記されております。  おっしゃるように、こういう二次下請であろうと、もともとの下請でありましても、下請代金の記載というのは、一括下請の抑制が図られるとか、あるいは、それぞれの建設業者の経営環境は、お話しのように大変厳しくなっておりますから、片務的な下請代金の設定が多くなる中で、代金の設定がより適正なものになるというプラスの面はあることももちろんでございますが、現行法の中では、まず書面による請負契約の締結をすべしだということを建設業法で打っておりますので、私たちとしては、まずそこはしっかりやるべきだと思っておりますし、そういう契約の問題だけではなく、先ほど来申し上げておりますように、個々の元請、下請が適切にお互いの役割を確認するという意味では、施工体制台帳そのものはぜひ促進していきたいと思っております。  一方では、個々の企業のプライバシー的な契約を施工体制台帳の中でいわば明記することについてのマイナス面なきにしもあらずでございますので、そのあたりはもう少しお時間をいただきたいと思っております。  私も、着任前でございますが、今お話しございました、特に業界の積極的な反対というよりは、そういうような種々の問題があったからこそもう少し時間をかけてというふうに聞いております。
  271. 中島武敏

    ○中島(武)委員 元請は嫌がるのですよね、はっきり申しまして。元請はいろいろな抵抗があると思うのですけれども、やはり小さいところをも救済していくということになれば、現在非常に深刻な事態がどんどん推移しておりますし、さらにこれがひどくなっていくことは間違いないと思いますので、大臣、この問題については本当に真剣な検討を必要としているのじゃないかというふうに思うのですけれども、大臣の答弁を聞いて、私の質問を終わります。
  272. 関谷勝嗣

    ○関谷国務大臣 確かに下請の方は、経済情勢がふだんの場合でもしわ寄せを大変受けているわけでございまして、今日のような非常に厳しい経済情勢のもとでは、本当に、元請の人が行ってはいけないようなことすらあるかもしれません。したがいまして、建設省としても、そういう点、注意深く監視の目を光らせていくということは努力をしていきたいと思っております。
  273. 中島武敏

    ○中島(武)委員 終わります。
  274. 遠藤乙彦

    遠藤委員長 中西績介君。
  275. 中西績介

    ○中西(績)委員 私は、概算要求、そしてその中で特に公共事業について、時間が大変制限されていますので、二、三の問題についてお聞きしたいと思っています。  特に、公共事業予算を見ますと、景気対策増額がなされまして、四六・七%増という従来にない増額をしておるという状況等があります。  ただ、私は、この際にもう一度確認をしておきたいと思うのですけれども、この九兆五百二十三億、災害四百五十一億を除いてこれだけの概算要求をしておるわけでありますけれども、絶えず問題になりますのは公共事業に対する批判であります。この点もう一度、投資するその経済効果なりこうした問題等について、建設省はどのように多くの国民の皆さんに理解を求めようとしておるのか、この点についてお答えいただきたいと思います。
  276. 小川忠男

    小川政府委員 お答えいたします。  公共投資のいろいろな経済効果についてのお尋ねかと思います。  経済効果を語る場合に、一つはいわゆるストック効果と呼ばれるものがございます。これは、社会資本の整備に伴いまして生産性が向上するとか、あるいは生活の安全性、快適性が向上する、言うなれば公共事業に伴います本来的な効果かと思います。これにつきましては、当然でございますが、やはり本当に必要な分野にきちっと投資をするというふうなことから、今申し上げましたような公共投資の本来的な効果が十分に発揮される、これが必要なことかと思います。  それから、もう一つ指摘されます効果がいわゆるフロー効果と呼ばれるものがございます。これは、投資が行われることによりまして、いろいろな意味でGDPを押し上げるとか、あるいは雇用を創出するというふうな効果でございます。特に昨今のような経済状況のもとにおきましては、こちらの方の側面がいろいろな局面で議論されております。これにつきまして、例えばGDPに及ぼします乗数効果でございますが、これが最近、効果が落ちているあるいは落ちていないというふうなことがよく語られるわけでございます。  若干蛇足でございますけれども、公共投資あるいは減税の乗数効果を比べた場合に、これは経企庁の世界経済モデルでございますけれども、一年目につきましては公共投資が一・三二に対しまして減税が〇・四六、それから二年目は公共投資が一・七五に対して減税が〇・九一、それから三年目が公共投資二・一三に対しまして減税が一・二六というふうなことで、公共投資には十分な乗数効果があるというふうに私ども考えております。  以上でございます。
  277. 中西績介

    ○中西(績)委員 今説明のございました効果等についてはそのようにあるかもしれませんけれども、従来型の大型投資、そのことによってのみ推進をしてきたという嫌いがあるわけでありますから、これから後のあり方としては、やはり国民生活を中心にした分野におけるこうした投資のあり方等についても、今度のあれを見ますと相当当てはめられておるようでありますけれども、これらの問題についてはやはりもう少し考える必要があるのではないかということだけを申し上げておきます。  そこで、そういう効果があるというのだけれども、では、平成十年度予算は当初予算が六兆一千三十四億円で、補正が一兆七千六百十七億、合計しますと七兆八千六百五十一億ということになっています。ところが、では、この契約状況はどうなっておるかということを見た場合に、上半期契約目標が八二・九%であるにもかかわらず、七月末までしかまだ出ていないようでありますけれども、契約率は六四・二%としかなっていません。したがって、この消化率が非常に困難な状況に置かれておる。  これにはいろいろな条件があると思うのですけれども、私、例えば一番心配をしておるのは、各県当たりにおきましてこれだけの補正なりなんなりを組んでいきますと、県なら県のいる要員の数が限定されておるわけでありますから、そのために課長あたりが毎日徹夜を続けるというような状況等が出まして、昨年でしたか、三名か四名、自殺行為が出たということを私はお聞きしているのです。こういうような状況等があり、大変労力面における体制が整っていないということも一つあるのじゃないかという気がするのです。  ですから、このことは各県段階の問題ですし、自治体の問題ですから、今ここでは論議はいたしませんけれども、そうした問題もあるということを我々は考えた上で、どのように措置していくかということがまた大きな課題でもあろうと思います。  そこで、こういう状況ですから、経済効果を上げるためにも、特別措置をしてあるかどうか、これらについてお答えいただきたいと思うのです。
  278. 小野邦久

    ○小野(邦)政府委員 お答えを申し上げます。  公共事業は、現在大変厳しい経済環境の中で下支え効果ということで、大変多くの国民の方々が期待されているわけでございます。公共事業予算につきましては、既に第一次補正予算というものを認めていただきまして、先生御指摘のとおりの事業費をもって今いろいろ事業を進めているわけでございます。  上半期の契約目標が八二・九%ということで、七月末では契約率が六四・二%でございますが、これは過去五年間の促進年度でも相当の契約の執行状況でございます。まだ八月末、十分な集計が出ておりませんけれども、少なくとも七月段階まででは、かなり促進年度としてはいい契約状況だというふうに私ども考えておるわけでございます。  こういうようなことから、ある程度補正予算等で増額を認めていただきました公共事業予算を順調に消化をしていくといいますか、きちっと的確に執行していくためにはどういうようなことを考えているのかということがその次のお尋ねになるわけでございますが、適切な発注体制確保ということが大変重要でございます。  御案内のとおり、今現場は大変忙しい状況でございまして、これは国だけじゃなくて公共団体におきましても大変厳しい執務状況ということにもなっているわけでございます。特に、私ども考えておりますのは、公共事業の執行にはいろいろな設計業務等がまず最初に来るわけでございますけれども、なお、設計業務等における標準設計でございますとか、あるいは設計、測量、現場技術業務等いろいろな分野で外に出せるものは思い切って外に出す、外部委託ということでございます。あるいは工事の種類とか現場条件等によって一概に言えないわけでございますが、いろいろな条件を考慮いたしまして、概算数量発注といったようなこと、的確にあらゆるものをすべて積算いたしまして発注するということになりますと時間もかかるものでございますから、あらかじめ概算発注をすることによって発注の促進ができないかといったようなことも考えているわけでございまして、今既にそういう方向で国直轄につきましてはやっておりますし、公共団体につきましても、いろいろな発注促進のための手だてと申しますか、そういうものを検討していただくようにお願いをしているところでございます。
  279. 中西績介

    ○中西(績)委員 そこで、それ以外に特例措置として、例えば概算払い制度等含めて、これを促進するためのあり方等についてはどうやられているのか。
  280. 小野邦久

    ○小野(邦)政府委員 促進するためのあり方、制度として事業自身をなるべく早く出す、そういう観点では、前払い制度を拡充いたしまして、補助事業でも、既に予算で認めていただいたものは、公共団体にきちっとお金をなるべく早くお渡しいたしまして、公共団体で本来の予算を用意していただいた上で早期に発注ができるような、そういう前払い制度促進ということも具体的にやっております。  例えば、十月二日でございますけれども、公共事業等の施行対策に関する関係閣僚会議で認めていただいた特例措置でございますけれども、従来でございますと、補助金の支払いを概算払いという形で、補助金額の四割をお渡しいたしまして、事業促進をしていただくようなことをやってきたわけでございますけれども、これを補助事業費全体の四割ということで、国の方から地方へはっきり早目にお渡しをする、ある意味では概算払いでございますが。これによって、公共団体の金繰りも楽になりますし、補助事業等の円滑な執行が図れるということも考えておりまして、既に通達の実施済みでございます。  こういうような観点から、公共団体において事業促進を図っていただくような、そういう手だての一つにもしたい、こう思っているところでございます。
  281. 中西績介

    ○中西(績)委員 これらについて具体的に措置をした、その結果がどうなったかということについての結論的なもの、総括はまだできないと思いますけれども、これらについてはやはり相当深刻な状況にあるということを考えていただいて、十分これらが効果的に、事業を行うことによって効果があったという、その事態をやはり我々に知らせていただければとまた思います。そのときにまたいろいろ御意見も申し上げたいと思います。  次に、公共事業の効率的、効果的実施に向けた取り組みがなされておるということの説明を聞いておりますけれども、特にこの中におきまして、私は、効率化がどのようにされておるかという点等についてお聞きしたいと思っています。  一つは、連携施策の推進がどうなっておるかということであります。特に、類似事業間調整、これを一層推進することによって効果を上げよう、こういうことが言われておるわけでありますけれども、先般、十月六日に、総務庁の下水道等に関する行政監察結果の勧告の中に、「下水道等汚水処理施設整備事業間における調整の推進」ということが挙げられておりまして、これを見ると、三省連名の通知が不十分であるとか、あるいは経済比較を行うのに必要なマニュアル等がそれぞれ個々別々になって統一されていないとか、マニュアル作成等についての指摘等、ほかにもありますけれども、こういう問題等が指摘をされておるようであります。ということになってまいりますと、連絡会議未設置の問題等もありますし、こうした問題をこれからどのように総括し、推進をしようとしておるのか、その点についてお答えいただきたい。
  282. 山本正堯

    山本(正)政府委員 お答えをさせていただきます。  先生今御指摘の、下水道等の汚水処理施設の整備につきましては、従来から関係省庁との連携について指摘をされていることを踏まえまして、建設省、厚生省、農林省、関係三省庁の間で汚水処理施設の整備等に係る関係省庁連絡会議というものを設置いたしまして、調整を図ってまいっております。地方公共団体においても関係部局間で十分な連絡調整を図るよう指導してきたところでございます。  これに基づきまして、本年六月までにすべての都道府県におきまして、広域的な観点から所要の整備を行った都道府県構想が策定されたところでございまして、また、平成九年度からは三省庁で連携して重点的に共同で事業実施していこうという汚水処理施設連携整備事業を進めるなど、効率的な整備に努めてきたところでございます。  このようにいろいろな面で改善に努めてきたところでございますけれども、十月六日の行政監察では、御指摘のような勧告を受けたところでございます。  今後、関係省庁と十分な調整の上、私ども、御指摘の集合処理方式か、あるいは個別方式かのどちらかを経済比較できるような統一的なマニュアルを作成するというようなこととともに、また、各地方公共団体においても関係部局間で十分な連絡調整が行われるよう引き続き指導してまいり、下水道の効率的な整備が図られるように今後とも一層努めてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。  以上でございます。
  283. 中西績介

    ○中西(績)委員 今、下水道問題で説明がありましたけれども、これらについてもやはり今まで往々にして縦割り行政の悪弊というのが依然としてあるわけでありますから、これらについては、むしろ積極的に推進することによって、その縄張りというものをやはり解いていただいて、効果あるものにしていただくことが行政改革の中における今一番大きな課題でもあるわけでありますから、これについて、ぜひ手がけていただきたいと思っています。  では、次にもう一つ、コストの問題についてお聞きしたいと思うのです。  コスト縮減対策として、平成九年四月四日に公表されました公共工事コスト縮減対策に関する行動計画というのをつくって実施しておるわけであります。各種施策が進んでおるようでありますが、平成十一年度末までにこれを実施するということですから、まだ結論は出ていないと思いますけれども、昨年からこれを手がけ、見通しはどうなっておるのか、一〇%縮減に向けて、果たして可能かどうか、そうしたことが少しでもわかっておるかどうかお答えください。
  284. 小野邦久

    ○小野(邦)政府委員 お答えをいたします。  公共工事のコスト縮減でございますけれども、平成九年四月から三カ年間ということで、平成九年度、十年度、十一年度でございますけれども、三カ年間で一〇%以上のコスト削減を目指そう、こういうことが行動計画の内容でございます。  いろいろなことをその中に組み込まれるわけでございますが、十九分野百十四項目というふうに言っておりますけれども、これは平成十一年度までにすべての項目をやるということで、九年度あるいは十年度、それぞれやれるものはどんどん前倒しでやるわけでございます。私どもがフォローアップした結果では、平成九年度にそれなりの効果がやはり出ておりまして、政府全体では三・〇%、私ども建設省関係では三・三%ということで、それなりのコストの削減が図られたというふうに考えておるところでございます。  公共工事のコスト縮減という問題は、これは公共工事というのは、あるいは建設投資一般でございますけれども、あらゆる分野に関係をする、直接的な減額だけではなくて、例えば間接的な、いろいろな分野とのかかわり合いの深い事業でございますので、そういったような分野でのコストの縮減ということも大変大事な課題でございまして、総合的な取り組みが必要だというふうに思っております。
  285. 中西績介

    ○中西(績)委員 これはまた、財政不如意のときでありますから、ぜひこれらの問題については、そしてやはり国民の前にそうした問題、結果を全部公表していただいて、これだけ努力をしておるということを明らかにすることによって、皆さんと一緒に行政というのは取り組んでいるのだということをぜひ広めていただくようにしてください。  時間がもうありませんから、予定されたものができなくなってきたのですけれども、もう一つだけお聞きしたいと思います。  それは、透明化の問題であります。  新規事業の評価システムを導入したということになっておりますけれども、建設省の道路、流域下水道事業などを含めまして、平成九年度から、新規採択箇所を決めまして費用効果分析手法を試行してきたようであります。特に、平成九年度は、新規事業採択に反映をさせまして取り入れていったということが言われています。特に、道路、街路、治水事業等がその中に入っておるようでありますが、さらに流域下水道等については今試行の段階であるというようなことが説明されておりますけれども、これらについては、今どういう状況にあるかということをお答えいただきたいと思います。
  286. 小野邦久

    ○小野(邦)政府委員 お答えを申し上げます。  先生御指摘のとおり、平成九年度におきましては、道路事業等一部の事業につきまして、平成十年度に新規採択する事業について、いわゆるB/Cと申しますか、費用対効果分析を含めた総合的な評価を、試行として実施いたしました。  現在、建設省で持っております、ことしの四月一日から実施いたしております建設省所管公共事業の新規採択時評価実施要領、これにつきましては、従来の試行で行いました平成九年度のものと違いまして、建設省所管公共事業すべてを対象にする、それと同時に、評価の手続とか公表の扱いを統一的に定めるということで、より普遍的なあるいはシステマチックなやり方によって実施をするということにいたしております。
  287. 中西績介

    ○中西(績)委員 時間が参りましたので、以上で終えますけれども、私は最後に要望だけいたしておきますけれども、先ほども申し上げましたように、この分析結果の公表、さらにまた、これらの問題についての改善をこのようにやっておるということをオープンにして、これからどしどしやっていただくことを要望いたしまして、終わります。
  288. 遠藤乙彦

    遠藤委員長 委員の皆様に申し上げます。  午前中の石井紘基君の質疑の際、不適当な言辞があったように思われますので、速記録を調査の上、対応につき理事会で協議いたします。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時五十二分散会