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1998-10-12 第143回国会 衆議院 金融安定化に関する特別委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十年十月十二日(月曜日)     午後三時開議 出席委員   委員長 相沢 英之君    理事 石原 伸晃君 理事 大野 功統君    理事 藤井 孝男君 理事 村田 吉隆君    理事 山本 有二君 理事 池田 元久君    理事 中野 寛成君 理事 坂口  力君    理事 谷口 隆義君       愛知 和男君    伊藤 達也君       伊吹 文明君    今村 雅弘君       江渡 聡徳君    大石 秀政君       大野 松茂君    金田 英行君       河村 建夫君    熊谷 市雄君       倉成 正和君    栗本慎一郎君       佐田玄一郎君    佐藤  勉君       杉浦 正健君    砂田 圭佑君       滝   実君    津島 雄二君       中谷  元君    蓮実  進君       宮本 一三君    保岡 興治君       山本 公一君    山本 幸三君       渡辺 博道君    渡辺 喜美君       枝野 幸男君    岡田 克也君       海江田万里君    川内 博史君       島   聡君    中桐 伸五君       古川 元久君    石井 啓一君       上田  勇君    大口 善徳君       西川 知雄君    鈴木 淑夫君       西川太一郎君    西田  猛君       木島日出夫君    佐々木憲昭君       春名 直章君    濱田 健一君       笹木 竜三君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 宮澤 喜一君  出席政府委員         金融監督庁長官 日野 正晴君         金融監督庁検査         部長      五味 廣文君         金融監督庁監督         部長      乾  文男君         大蔵省主計局次         長       藤井 秀人君         大蔵省金融企画         局長      伏屋 和彦君  委員外出席者         議     員 大野 功統君         議     員 村田 吉隆君         議     員 保岡 興治君         議     員 山本 幸三君         衆議院調査局金         融安定化に関す         る特別調査室長 藤井 保憲君     ――――――――――――― 委員の異動 十月十二日  辞任         補欠選任   江渡 聡徳君     佐藤  勉君   大野 松茂君     今村 雅弘君   金田 英行君     熊谷 市雄君  吉田左エ門君     大石 秀政君   渡辺 喜美君     渡辺 博道君   上田 清司君     川内 博史君   仙谷 由人君     中桐 伸五君   西川太一郎君     藤井 裕久君 同日  辞任         補欠選任   今村 雅弘君     大野 松茂君   大石 秀政君    吉田左エ門君   熊谷 市雄君     栗本慎一郎君   佐藤  勉君     江渡 聡徳君   渡辺 博道君     渡辺 喜美君   川内 博史君     島   聡君   中桐 伸五君     仙谷 由人君 同日  辞任         補欠選任   栗本慎一郎君     金田 英行君   島   聡君     上田 清司君     ――――――――――――― 十月十二日  救済金融機関以外の承継金融機関に対する公的  資金注入に関する陳情書  (第三〇八号)  長銀への税金投入反対に関する陳情書  (第三〇九号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  金融機能早期健全化のための緊急措置に関す  る法律案保岡興治君外三名提出衆法第一五  号)      ――――◇―――――
  2. 相沢英之

    相沢委員長 これより会議を開きます。  保岡興治君外三名提出金融機能早期健全化のための緊急措置に関する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。岡田克也君。
  3. 岡田克也

    岡田委員 民主党岡田克也です。  それでは、順次質問していきたいと思いますが、まず大蔵大臣に少し質問をしたいと思っております。  先週の金曜日に、民主党は、政府に対しまして、早期健全化勘定への三十兆円、そして再生勘定への二十兆円、合計五十兆円の政府保証枠確保のための予算措置をとるべきだということで申し入れをしたところでございます。もちろん、これは単に金額確保するというだけではなくて、その前提条件がいろいろついておりますが、そのことはまた後で申し上げたいと思いますが、予算措置によってこういった五十兆円の資金枠確保するということについて、大蔵大臣はどのように評価しておられるのか、考えておられるのか、まずお聞かせいただきたいと思います。
  4. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 先般、再生法の御審議がございましたときに、いわゆる十三兆円というものが根拠を失ったわけでございますが、それにかわりまして再生化あるいは健全化のためにどのような金融措置が要るか、財政措置が要るかということは残された問題であったわけでございます。  したがいまして、非常に大きな問題であります再生化あるいはまた健全化等のために十分この施策が行われますように、不安のない財源措置あるいは保証措置等々は当然必要であるというふうに考えておりましたので、先般、そういう御提案があったということを承知いたしまして、具体的にどのような金額が最適であるかはともかくといたしまして、相当大きな国としての準備をしなければならないという御主張は、私は当然のこととして承っております。
  5. 岡田克也

    岡田委員 今御答弁の中で、具体的にどの程度財源措置あるいは保証が必要かということは別としてという趣旨の御答弁がございました。  これは新聞報道でありますが、政府経済戦略会議においても、今年中に数十兆円の公的資本投入を行うべきだという議論がされている、こういうお話も伺うわけでありますが、数十兆円というからには、何らかの根拠があってそういうお話が出てきているはずであります。  私ども野党でありますし、検査権限もございませんから、一定の仮定に基づいて二十兆、三十 兆、合計五十兆という数字をとりあえず出させていただいたわけでありますが、少なくともその程度オーダーの、つまり数十兆というからには十兆よりは多い、上十兆、三十兆、四十兆というオーダーの話だと思いますが、それだけのものが必要だ、そういうふうに認識をしておられる根拠、それはどこにあるんでしょうか。
  6. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 これからの出来事でございますから、具体的な根拠ということをおっしゃいますと、一つ一つは申し上げられませんが、ただ、再生法の定めておられます法の目的からいいましても、あるいは健全化法が志向しておりますところから考えましても、今後我が国金融機関が、去るものは去り、そして残るものは残り、また強化されていかなければならないというその一つの淘汰と強化の過程におきまして、金融システムが十分に海外からも信用され、国内からはもとより心配ないというところに至りますのには、かなりの時間とかなりの金融的な援助を、援助でいいのだと思いますが、必要とすると考えておりますし、また、これは余談でございますけれども、先般、G7がありましたときに、このような問題についてルービン長官議論をいたしましたときも、日本が十分な準備をしてくれることが大変に国際金融の安定のために望ましいことだ、そういう発言もございまして、内外とも相当オーダーのものが入り用だという認識は、私は多くの人が持っておられるのではないかと思っております。
  7. 岡田克也

    岡田委員 先般、日銀総裁が米国において、日本銀行自己資本水準が危機的なレベルにある、一部誤解をされた報道もあったようでありますが、しかし、認識としては危機的なレベルにあるということを発言された、そういう報道もございました。  数十兆のオーダーお金準備しなければいけないということは、基本的認識において、日本の現在の銀行、とりわけ大手銀行自己資本水準が実質的には相当悪い状況にある、そういうふうに政府としても認識しておられる、こう考えてよろしいでしょうか。
  8. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 この点も確とは申し上げかねますけれども、今、金融監督庁マネーセンターバンクス検査をなされつつございます。それによりまして初めていわゆる債権分類あるいは引き当て等につきまして一つスタンダードが生まれることが期待されておりますし、また、検査のマニュアルもやがて公表されることがあるかと思いますが、そういう状況はこれからのことでありまして、従来は、各行かなり主観的な分類をしておられるように思います。  そのことは必ずしも分類が誠実でないという意味ではございませんけれども、本来、強制されたスタンダードというものがなければその答えというのは勢い緩いものになりやすいと考えるのには理由があると存じますので、したがいまして、非常に厳しいスタンダードで、今後、殊に連結決算ども含めまして精査いたしますと、今考えられておったことはどちらかといえば甘い方、辛い方ではなかろうというふうな想像はできると思います。
  9. 岡田克也

    岡田委員 お立場もあってなかなか明確なものは言いにくいということはある意味では理解をいたしますが、しかし、逆に言いますと、そういうことについてきちんとした説明がありませんと、これだけ膨大なお金を、もちろんそれは枠の確保とはいえ、最終的に税金によって担保される話でありますから、そういったものについて国民納得を得ることは非常に難しい、こういうふうに思うわけでございます。  もちろん、今政府が言われている十兆程度お金済むということであればそれはそれでいいわけですが、それではとても足らぬということで先ほどの御発言があったと思いますので、そうであれば、そういう実態にあるということについて、やはり実際に最終的な負担をする納税者である国民に対しても、それなりに納得のいく説明というものが前提として必要ではないか、私はそういうふうに思っているところでございます。  そこで、中身に入りたいと思いますが、先般の本会議におきまして、私の質問に対して、大蔵大臣はこういうふうにお答えになりました。厳しく査定して不足額を正確に算定し、それに相当する額を資本注入するということで金融機関健全化を一気に図るということはわかるけれども、しかしそれは理想論であって、直ちにそれをすれば信用の収縮を招いてしまう、したがって、それは中長期的な課題として考えていかなければいけない問題だ、そういう趣旨の御答弁をいただいたと思うのです。  それでは大蔵大臣は、ここで言う中長期というのはどのぐらいの時間的な長さ、タイミングをお考えになっているのか。目指す方向というのは、例えば強制引き当てであるとか、あるいは株式に対する時価法なり低価法採用ということが最終的なゴールとしてあると思うのですけれども、そこに至る道筋としてどのぐらいの期間考えておられるのかということについてお聞かせいただきたいと思います。
  10. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 先般、本会議における岡田委員の御質問は、私が理解いたしておりますところでは、銀行に対してどのような強化策を講ずべきかということについて、政府が今考えていることは、そもそも銀行自身が、本当に厳格に検査をしたときにどのぐちい自己資本を持っておるのか、政府が思っておるほどそんなに大きくないのではないか、とすれば、本来あり得べき姿は、しっかりそれを検査した上で、一体どのぐらい本当のところの姿は不十分なのか、それに対して、したがってどのぐらいのことを政府として公的資金ですべきか、そういうことを言わずに八%云々という議論本当実態に問題があるのではないか、こう言われたと私は理解いたしました。  そのことは、私は、恐らくもう間違いなく、間違いなくは余計ですが、本当であろうと。そうではございますが、しかし、今急にそこを厳しく申しますと、勢い銀行は貸し出しの回収を図ります。これは、図るなと言っても図るわけでございますから、そういう貸し渋りの傾向を助長すると思いますし、また、資産の、殊に有価証券評価にいたしましても、低価法時価法、いろいろ厳しくするのが含みを与える意味でいいのだとは思いますけれども、これも直ちに資本の率に反映いたしますから、ここからも貸し渋りの状況に入りやすいということを政策担当者として考えますと、おっしゃっていらっしゃることは、恐らく理念的には一番透徹したお考えであろうと思いますが、にわかにそのとおりいたしにくい事情もございますという意味のことを申し上げたと思います。  それならば、いつになったらそういうことをきちっとやれるときがあるのかといっただいまのお尋ねですが、これは私個人の考えで、だれとも議論いたしておりませんけれども、少なくとも二〇〇一年になりますとペイオフが来なければなりません。そのときには金融機関は、政府あるいは預金保険機構といったようなものに寄っかからずに、お客さんにお約束したことはきちんとやらなければならないはずである、またお客さんもそういうふうに銀行を見るはずでございますから、そのときにはそういう姿になっていてくれないと困ると個人的には思っておるわけでございます。
  11. 岡田克也

    岡田委員 今の御説明の中で、追加的に少し質問したいと思います。  まず、最後のところで、二〇〇一年にはもうペイオフしなければいけない、したがってそのときにはもう既に、今言ったような形での不良債権というか、特に第二分類についての強制引き当ての問題でありますとか株式等についての低価法なり時価法での評価ということが成り立っていなければいけない、こういうお話だったというふうに思いますが、逆に言いますと、じゃ本当にそれは二〇〇一年なのかという議論だと思います。  二〇〇一年からペイオフだということでありますが、預金者選別はもう既に始まっている、こう考えていいと思います。特に定期預金期間、半年、一年あるいは二年ということを考えます と、もう既に銀行選別は始まりつつある。これは二〇〇一年になって急に起こるのではなくて、どんどん加速していくという状況の中で、金融機関がきちんと情報開示しないということは、それは、実はもう既に当該情報開示をしない金融機関はもたない状況になるのじゃないかというふうに一方では思うわけでございます。預金者の方がそういうふうに選別してしまう。  それからもう一つは、預金者の方にとって、ペイオフするということの大前提として情報開示があると思うのですね。現在においては、一千万以上も含めて保護するということの大きな理由一つに、情報開示が十分行われておらないから預金者というのは判断のしょうがないんだ、こういう御説明政府の方からも従来あったかと思うのですけれども、二〇〇一年になって急に情報開示されたのでは、それは預金者としてはもうそのときには遅いわけでありまして、やはり準備期間を見れば、もう今から既にきちんとした情報開示をしなければ、とても二〇〇一年にペイオフするということにならないんじゃないか、もっと先延ばしになってしまうんじゃないか、こういうふうに思うわけですが、以上の二点についていかがでしょうか。
  12. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 ただいまの御指摘は、私も概してそのように考えております。こうやって国会関連法案の御議論があり、また、金融監督庁の初めての、実際初めてのある意味での厳しい検査が進行しておるという状況の中で、既に銀行間のそういう競争体制についての整備は急速に私は進んでおると思います。それは、ただ合併とか提携とかいうことではなくて、各銀行の内部の問題として、これからは競争に勝たなければ生き残れないという考え方がもう既に確かに私は始まっておると思います。  情報開示することがやがて自分たち自身の利益であるというふうに考え始めることは、もうすぐそこのことであろう。情報開示ができないというところは、何か病気が悪いんだろうと思われやすい。アメリカで今行われている同じことが日本の中でももう間もなく行われ、あるいは行われておる、始まっていると申し上げた方が正確かもしれません。そういう中から、いい商品ができる、いい商品ができないという競争も始まっておると思います。  殊に、外国銀行が参りましたので、それとの関係においてそういう状況が促進されておると思いますので、したがいまして、情報の十分な開示ということは、二〇〇一年になって初めてやれば十分だということではさらさらございませんで、むしろそれが到達点というぐらいなことで今から事柄は始まりつつある、また、そうしてもらうことが望ましいというふうに考えております。
  13. 岡田克也

    岡田委員 十分な情報開示を行わなくて、当該金融機関預金者から見放されていくというのは、それは金融機関一つ判断経営判断ですからまだしもですが、しかし、預金者から見たときに、十分な情報開示がされていないために損害をこうむった、二〇〇一年からはペイオフするということになるわけですが、その二〇〇一年の以前の段階、一年前、二年前、一九九九年はもう間もなくでありますから間もなく二年前ということになるわけですけれども、そういう段階政府責任できちんと情報開示がされていない、そういうことが果たして許されるんだろうか。  逆に言いますと、今の程度情報開示状況がしばらく続いていく中で、本当に二〇〇一年のペイオフというのはできるんだろうか。できないんじゃないか。逆に言いますと、二〇〇一年ペイオフが動かせないとすれば、やはり相当前倒し情報開示というものを政府が義務化して迫っていく、そういう責任があると私は思うわけですが、いかがでしょうか。もう一度お答えいただきたいと思います。
  14. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 今回国会で御論議になっております二つのセットのこの金融関連法案で、情報開示ということが非常に厳しく、殊に野党から御指摘がありましたことは、私はもっともなことだと思っております。  殊に、今おっしゃいましたような時間の関係の中で、そうでありませんと顧客は思わざる損失を受けることがございますので、そういう意味での厳しい法律上の規定あるいは行政が大事であるという御指摘は、私はそういう意味でも当たっておると思います。
  15. 岡田克也

    岡田委員 今、情報開示の話でありますが、今の結論からいえば、やはり今の段階で第二分類については強制引き当てするということにならざるを得ないんじゃないかと私は思うんですが、いかがでしょうか。
  16. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 これにつきましては、まだ各党間で法案についての御討議が行われておるように伺いますので、私が余り出過ぎたことを申し上げてはならないかと思いますが、第二分類というのは非常に範囲の広いエリアでございますので、いわば結構優等生に近いところから、どうも劣等生に近いところまであるようでございますから、第二というような、漠然と一つの袋にそれを入れていいのか、あるいは、もう一つそれを細かくしていって、そして最後のところは引き当て率を異たらしめるということにするのがいいのか、その辺は恐らく各党間でいろいろに御議論のあるところと思いますが、確かに、今までの第二分類というだけでは何とも問題が詰まっていかない。金融監督庁の今度の検査の結果などでそれが少しわかってくると思いますが、もうちょっと分類を精緻にし、引き当て率どもそれに従うことが入り用なのではないかな。今、おまえどう思うとおっしゃいましたら、私としてはそういう感想を持っております。
  17. 岡田克也

    岡田委員 民主党の方も、第二分類一つのカテゴリーとして扱うのではなくて、二つに分けて、それぞれ引き当て率を一〇%、二〇%ということで考えてはどうかという提案をさせていただいているところであります。いずれにしても、そういう形できちんと引き当てをする、そしてそのことが預金者にとってわかる形にするということが二〇〇一年、ペイオフ前提であり、そしてタイミング的には、もうそのタイミングは今だというふうに申し上げておきたいと思います。  それから、先ほど大蔵大臣おっしゃった中で、貸し渋りの話がございます。強制引き当てなどで厳しい引き当てをすると貸し渋りを助長する、こういうお話でございました。それから、低価法にしても貸し渋りを助長すると。  一つ誤解があるかもしれませんので申し上げておきたいと思いますが、民主党は、株式等評価についての低価法採用というのは、すべての金融機関にそれを課すということを言っているわけではございません。資本注入に当たって必要な資本額を算定するときには、低価法に基づいて、あるいは時価でも私はいいと思いますが、算定すべきだということを申し上げているわけでございます。  そのことが私は貸し渋りを助長するというふうには思いませんし、それから、貸し渋りを助長するという一般的な話について申し上げますと、確かに、厳しい引き当てをすれば、それを何とか乗り越えようとして貸し渋りをする、そういう金融機関が出てくるのも事実だと思います。しかし、我々が認識している今の大手行を中心とする金融機関の現状からすれば、きちんと計算をすればかなり実は自己資本比率というのは数字は悪いだろう、すべて八を超えているというのは、四とか五とかいう銀行が続出するような状況ではないか、こういうふうに思うわけであります。  逆に、そういうものをきちんと出すことによって、多少貸し渋りをしてそれで乗り越えようということをあきらめさせて、資本注入を受けざるを得ないというところへ追い込んでいくというのが私ども考え方でありますし、一たん資本注入されれば、そこで一応数字としては必要な引き当てもできて八%も確保できるわけでありますから、貸し渋りをする必然性はなくなるというふうに私どもは思うわけでございますが、その点について、大臣、いかがお考えでしょうか。
  18. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 確かにそういう部面もあるということは私も理解いたします。
  19. 岡田克也

    岡田委員 理解していただくのであれば、野党の言うように強制引き当てをしたりすれば貸し渋りを助長する、そういう言い方はここで訂正をしていただきたいと思うが、いかがでしょうか。
  20. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 両面があろうかと思っております。
  21. 岡田克也

    岡田委員 両面があるというのはちょっと私よく理解できませんので、もう少し敷衍して御説明をいただきたい、わかるように御説明いただきたいと思います。
  22. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 それは、岡田委員の言っていらっしゃる面もございますし、私の申し上げているような一種のリアクションも起こることもあるのじゃないかと思います。
  23. 岡田克也

    岡田委員 ですから、それはその大前提としてきちんと数字を出さないから、例えば七とか七・五というところが一%自己資本比率を積み増そうというときには、貸し渋りによって乗り越えようということになると思いますが、実態上はかなり悪い、そういう想定に立てば、それは数字を出すことによってあきらめて資本注入を受ける道をとらざるを得なくなるだろう、そういうふうに考えるわけです。そして、資本注入をせざるを得ないときにきちんと資本注入をしてやれば、それはもう貸し渋りの必要はなくなる、こういうことになると思うのですが、いかがでしょうか。
  24. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 それはわかっておりますけれども、基本的に、少なくとも現在あるいはしばらくの間、資金需要の方が我が国金融機関が供給し得る資全迫ヘよりはるかに大きいという状況がございますから、それがイコールになっておりませんで、需要がはるかに大きいというところから、需要から見ての貸し渋りと申しますか、言葉が正確でございませんけれども、十分な供給が行われないということはやはりしばらくの間あるのではないか、こういうことを申したいわけでございます。
  25. 岡田克也

    岡田委員 今のお話は一般的なお話でありまして、この強制引き当て、厳しい引き当てをやれば貸し渋りが増すということではないんだろうと私は思うのですね。もっと一般的な話を今大臣はされたんじゃないかというふうに思います。この点はこの辺にさせていただきますが、私は、野党の案をとれば貸し渋りを助長してしまうという考え方は論理的にも成り立たないというふうにここで申し上げておきたいと思います。  それでは、実際にかなりの規模の公的資本注入するということになったときに、具体的に、例えばAという銀行に対して五千億なり一兆なりの資本注入をするというときに、その金額というものはどのようにしてお決めになるのですか。金額を算定するときの例えば第二分類債権の見方とかあるいは株式評価とか、そういうものはどういう形でされるおつもりでしょうか。
  26. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 それは、殊に各党で修正の御協議が行われていることもありまして、実は提案者から私どもが聞かせていただきたいところでございまして、法案法律として成立いたしましたら、その法の修正過程、成立過程も伺いまして、政府としてその運用を決めてまいらなければならないと思っております。
  27. 岡田克也

    岡田委員 それじゃ、提案者の方にお聞きします。
  28. 保岡興治

    保岡議員 今具体的に積算して申し上げるようなことは、なかなかこれは難しいとは思いますが、おっしゃるように、かなり株式の含み損が出ていることとか、それから不良債権引き当て、償却をしなければならない実情がどんどん具体化したり、処分が進んでいたりすることや、実体経済が非常に悪くなっている、したがって、それに対するいろいろ先行きの心配がある、そういったことから自己資本比率を高めなきゃならないというような、そういういろいろなことを金融機関も心配していると思いますけれども、そういったことにきちっと対応して、日本金融システムの安定あるいは貸し渋りというものに的確に対応できる金額というものが、具体的な申請に基づいて積み上げられていくと思います。
  29. 岡田克也

    岡田委員 もう少しわかりやすく聞きますと、例えば、あるAという銀行に五千億円資本注入すると決めたときに、その株式評価のところは時価で計算されるわけですか、それとも今言ったような選択制でどちらでもいい、それは銀行の従来から採用しているやり方で計算されるのですか、いずれでしょうか。
  30. 保岡興治

    保岡議員 その点については選択制になっておりますから、各金融機関ではそれぞれどれを選択するかということで対応していると思いますが、資本注入をする際には、今岡田委員もいろいろ述べておられましたとおり、金融がきちっと貸し渋りその他に対応できるように、あるいは引き当てその他きちっと適正にできるように、そういったことが内外の金融機関に対する信認につながり、今の実体経済を好転させていくために不可欠であるということでありますから、そういうことを参考に投入額が検討されるものと思います。
  31. 岡田克也

    岡田委員 慎重な言い方でしたが、株式については基本的には時価で計算される、そういう御趣旨答弁だったど理解するわけですが、それでは、例えば第二分類債権についてはどのような計算をされる御予定ですか。
  32. 保岡興治

    保岡議員 第二分類の査定は厳格にやっていかなければならないわけですけれども、先ほど大蔵大臣からもお話がありましたとおり、これは各金融機関のすぐれてリスク管理の経営に関するものでありますから、その第二分類というものが、生かして回収する、したがって、金利減免したり猶予したりするということで上手に回収して焦げつきがないようにしている金融機関もあれば、非常にそれを圧縮して、貸し渋って、そうして自己資本を高める努力をしているところもあるかもしれませんし、それはいろいろ金融機関によって対応が違うと思うのですね。  したがって、そういう資産査定の対応が各行違いますので、それに対して幾ら金額があるかということも、検査等でその資産査定がどういうものであるか把握されていると思います。そういうことなども参考に検討されるものだと思います。
  33. 岡田克也

    岡田委員 金融機関によってそれぞれ状況は違うということでありますが、国が資本注入をするその額を算定するに当たっては、やはり統一のルールに基づいて計算せざるを得ないんじゃないんですか。いかがですか。それはばらばらなんですか。
  34. 保岡興治

    保岡議員 一応基準は統一的に決められておるにしても、その具体的な評価あるいは査定というものが各行で違うのは、これは当然なことでございます。したがって、どういう方針で査定しているか、そういう実績等、そういったものもよく見て資本投入額は算定されていくものだと思います。
  35. 岡田克也

    岡田委員 そうすると、基本的には各金融機関の従来のやり方を踏襲して注入する、こういうことですね。  ということになると、必要額がその結果計算されるわけですから、投入した結果八%をクリアしているということになっても、実態上は金融機関によって計算の仕方はばらばらでありますから、統一的な基準で見たときに八%を本当にクリアしているかどうかはわからない、こういうことですね。
  36. 保岡興治

    保岡議員 したがって、資本増強の要件の自己資本比率の区分に沿ういろいろな対応にしても、自己資本比率だけで判断するのではなくて、そういったいろいろな状況を総合勘案する部分も含めてないと、これは適切な資本投入にならないと思います。そういうことの自己資本比率だけでない要素というものも非常に重要だと思います。
  37. 岡田克也

    岡田委員 非常にクリアじゃない御説明なんですが、私はこういうことだと思うのですね。  ですから、きちんとした統一基準を持って投入額を計算するという、そういうことにするのか。そのときはもちろん統一基準が必要になるわけです。あるいは、今おっしゃるように、個々の金融 機関の判断に基づいてやる。個々の金融機関判断を尊重しながら資本投入をするということは、実は、形の上では八%をクリアしているかもしれないけれども実態上は、それは本当にクリアしているものもあれば、かなり甘いものもあって、本当意味でクリアしているかどうかはわからない、そういうことにならざるを得ないんじゃないでしょうか。
  38. 保岡興治

    保岡議員 先ほど大蔵大臣からもお話がありましたとおり、十九行を中心に一斉検査をしておりますし、その他の金融機関にも今鋭意検査を進めております。そういった今までにない集中的な検査を実行しておりますし、そういった検査の結果を踏まえて、実態は正確に把握した上、その実態に沿って資本注入が行われる、こういうことでございます。
  39. 岡田克也

    岡田委員 実態を正確に把握するというためにはやはり物差しが要るのですね、共通の物差しが。それはあるのですかと。あるいは、実態を正確に把握されるとおっしゃるなら、そういう物差しは少なくともこの法律施行の前にはあるはずですね。そういうことをお尋ねしているわけです。
  40. 保岡興治

    保岡議員 それは、債権分類基準も決まっておりますし、その分類基準に沿ってできるだけ正確な分類がされているかどうか、そういったことを債権について個々に当たって、一つ一つ判断をしてその正確を期すように当局で努力をしている、その結果に基づいて資本注入における要件の判断もしていくものと思います。
  41. 岡田克也

    岡田委員 こんにゃく問答みたいになってよくわからないんですが、少なくとも私は、国際的に信頼に足るだけのきちんとした要投入額の査定をするということであれば、それは共通の基準が必要であるし、そうであれば、そういう基準についてはきちんとどこかで、それは法律になるのかあるいはもう少し下のレベルになるのか、議論が分かれるかもしれませんが、そういうものを直ちにやはりきちんと決めるべきだ、こういうふうに申し上げておきたいというふうに思います。  それじゃ大蔵大臣にお聞きしますが、今の提案者の御説明を聞いていて、資本注入して例えば八%をクリアした、日本銀行は、投入した銀行については全部クリアしましたということになったときに、果たしてそれで国際的な信認が得られるかどうかということをお尋ねしたいと思います。  今現在の姿というのは、ドルで資金調達ができないという状況は、個々の金融機関についての経営状態に対する疑念というよりは、むしろ、日本政府も含めた金融システム全体についての不信感、とりわけ検査ですね。いろいろな不祥事もありましたし、政府がいろいろ数字をいじくっているんじゃないか、操作しているんじゃないか、そういう不信感が国際的にあって、そのことが、いろいろ金融機関自己資本比率八%をそれぞれクリアしているというような話が出てきてもとても信用できぬということで、日本金融機関全体が国際的に非常に厳しい評価にさらされているというのが現状だと私は理解するわけですが、今提案者のおっしゃったような話で果たしてその信頼は回復できるのか。もっと言えば、国際的にドルで資金が調達できるような状態にまで行くのか。この点についていかがお考えでしょうか。
  42. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 私も岡田委員の言われたような感じをかなり深く持っております。すなわち、それは過去における護送船団方式という行政についての非常な懐疑でございますけれども、その中では、極端に言えば本当の厳しい検査というものも育たない。何となれば、すべての人が生き延びるのであれば厳しい検査をすることの意味は余りないわけでございますから、そういう護送船団方式についての各国が抱いておった疑問というものは相当根深いものがございます。  もちろん、その中で、あの銀行はいい、あの銀行はそうでないというようなことは、ジャパン・プレミアムを払っても外貨が取れない銀行と取れる銀行がございますから、そういうことはございましょうけれども、全体として日本の金融行政、金融システムにかなり根深い疑いを外国が持っておったことは、私は事実であると思います。  そのことを今改めようとしておりますのは、金融監督庁ができて相当検査というものが厳しくなった。あるいは、今度こういう立法が行われることになって、その立法も政府考えていたよりは修正によって相当厳しい検査とか罰則とか開示とかいうことが入ってきている。それはつまり、振り返って言えば、昨年の十一月から起こった金融破綻の中で、日本がやや慌てながら金融行政あるいは金融のあり方について厳しい考え方を始めたと外国には見えておるわけでございますから、今そのちょうど過程にございます。  かつてはハードランディングが必要なんだという説が相当ございましたけれども、ここまで来ますとなかなかそんなことは言っていられないというようなことにまたちょっとなってきたところでもおわかりになりますように、かなり厳しい批判は従来持っておりまして、それがこういう我々の努力の中で見直されつつありますときに、実は、日本のそういう状況は今世界の信用収縮に一番直接に響いておるものでございますから、とにかくも早く新しい立法ができて、そして日本の金融不安というもの、金融システムの不安がなくなればいい、今はどっちかといえばそういう方に彼らの関心は傾いております。  しかし、本当日本金融機関が今までと違って相当厳しい競争の中から立ち上がれるというのは、いつかも申し上げませんでしたか、日本という国が、とにかく徹底的な競争をして倒れるものは倒れて生き残れというような、そういう我々の文化と彼らの文化とがちょっと違ったところがございますものですから、そういうところもあわせまして我々がこういう法案の御成立をお願いして、そして本当に優秀なもの、自己開示ができるものは有利な地位に立ち、そうでないものは不利な地位に立つという、簡単なことのようでございますけれども我が国の金融行政としては初めてのそういう状況に今向かいつつあるというふうに考えております。
  43. 岡田克也

    岡田委員 私の質問には直接はお答えいただけなかったように思いますが、今、例えば金融監督庁ができて厳しい検査をする、確かにそのことは期待をされたわけでありますが、現実には従来とほとんど変わっていないのではないか、こういう評価もあるわけであります。  日野長官もお見えになっておられますけれども、例えば、総理官邸に民間の銀行を呼びつけて、そして合併について話し合いをするときに、厳正な検査を任務とする組織の長がそこに同席をしているということは、非常に金融監督庁の権威というもの、あるいは中立性、信頼感、そういうものを損なった、せっかく別の組織にしたのに結局何も変わっていないという失望感を私は与えたというふうに思うわけでございます。
  44. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 そこは、私は私なりの異存がございます。  金融監督庁は、そういう検査部門とそれから銀行というものを監督指導する部門と両方を持っておられまして、長官は両方の責任を負っておられますけれども検査についてはそういう立場の長官は介入をされることはないと私は存じておりますので、そういう疑いを起こすことは私の知っている限りないと考えております。
  45. 岡田克也

    岡田委員 それが、総理官邸に同席をするという象徴的な姿がそのことに対する疑念を非常に招いているということを私は申し上げているわけであります。  あるいは、厳しい立法がされて開示義務が課されるというふうにおっしゃいましたが、そのことが今まさしく議論していることなのですが、この程度のことで本当に国際的に、きちんと日本はやっているという、今までの評価を覆すだけのものになっているのかどうかというところがポイントだと私は思うわけであります。私が先般申し上げた厳しい引き当ての話でありますとか株式評価方法について、大臣は、それは理想的にはそうだとおっしゃいましたが、私は理想かどうかとい うことで言っているのではなくて、このぐらいのことは最低やらないと、今の日本金融システムあるいは銀行に対する国際的な評価は変わりませんよ、だから事態は変わりませんよということを申し上げているわけでございます。このことについて、もし何かコメントがありましたらお聞かせいただきたいと思います。
  46. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 先般もそこは上手に表現できませんでしたけれども、まさにやがてそうあるべきだ、そのあるべきときはいつと思うかとおっしゃいましたから、それは遅くとも二〇〇一年かなと申し上げましたが、そういうふうに向かっていく中で、今突然いろいろなことが一斉に理想的な程度にまで行われますと、現実に日本の経済はもう貸し渋り状況がひどうございますから、それを少なくとも一時的には非常に悪化させることは疑いない。いや、それはいいんだ、そこを通らなければ本当のものにならないのだという御議論であればまたそうでございますけれども、現実の行政としてはそこはいいのだというわけにはなかなかまいらないということを実は申し上げたかったわけでございまして、それで、ごらんのように銀行株がかなり激しく上がったり下がったりしておりますのは、やはりこのことは銀行にとってなかなか容易なことでないという認識は、私はそこにかなりあらわれているのではないかと。それが、その受け取り方が必ずしも正しいとは申しませんけれども、行政としては、現実に日本経済にあるこういう貸し渋り不況というものは、やはりこれは考えざるを得ないということを申したかったわけです。
  47. 岡田克也

    岡田委員 貸し渋りの話は先ほど議論いたしました。私は、厳しい基準で引き当てなどをしたとしても、きちんとそれに基づいて資本注入をしてしまえばそのことが貸し渋りをさらに助長するということにはならない、こういうふうに先ほど申し上げたところであります。  いずれにしろ、大臣の今のお話を聞いておりますと、何か二〇〇一年まではどうも日本金融機関はドルで調達できないというふうにも聞こえるわけでございます。私は、そういう状態を抜本的に変えるためには、前倒しして、早くきちんとした国際的なスタンダードでやらなければいけない、こういうことを申し上げているわけでございます。議論最後までかみ合わなかったようにも思います。  それでは、時間もありますので次に参ります。  今の法案の中で、これは提案者にお聞きしますけれども、先般の私の質問に対しまして、著しい過少資本行の定義は、自己資本比率が、国際行については〇から四%だというふうに提案者はお答えになっているわけでありますが、例えば〇とか一とか二とか、その程度の過少資本行について資本注入があり得べしということになりますと、きょう成立をいたしました金融再生法との間に大きな矛盾が出てくるのではないか。  本来、事実上破綻をしたあるいは救いようのない金融機関については、それは整理手続に入っていく。もちろん、その結果また生き返れば、そういうことも想定されるわけでありますが、公的管理にするかあるいは金融整理管財人の手続に入っていくというのが再生法の基本的考え方だと思うわけですが、〇%まで資本注入できるということになりますと、この再生法というのは、長銀についてはお話がありましたから適用されるのだと思っておりますが、それ以外の金融機関についてはもう使わない、こういうことになるのだと私は思いますが、いかがでしょうか。
  48. 保岡興治

    保岡議員 確かに、〇とか一とか二とかいうそういう極度の過少資本行の場合は、存続が困難であるというようなことが認められるようなケースもあると思うのですね。しかしながら、一方、地域がこぞって必要不可欠な金融機関としてこれを支えていこうということで話し合いができたような場合、そしてそれが公的な支援によって存続が十分可能である場合は、これはやはりそういう著しい過少資本行といえども今度の再生法の対象にしていくべきだ、こう考えているわけでございます。
  49. 岡田克也

    岡田委員 今のお話は、存続は困難だ、しかし地域が支えていくというふうにおっしゃったのですが、地域が支えていくというのはどういう意味ですか。例えば地域の、その地場の資本が、それに対して民間資本が、自己資本をふやすために増資に民間企業が応じるということをおっしゃったわけですか。それとも、別の意味をおっしゃったのでしょうか。
  50. 保岡興治

    保岡議員 それはいろいろなことが考えられると思います。その地域によっておっしゃるような努力のできる地域もありましょうし、その他いろいろ、金融機関の支援策というものはみんなで話し合われていろいろな角度から対策が講ぜられる、そういうものだと思います。
  51. 岡田克也

    岡田委員 その他いろいろな角度からとおっしゃいますが、具体的にどういうことを言うのでしょうか。今のお話だと、存続が困難だ、しかも地元で増資に応じる、そういうところもないというような状況で、なおかつ、それに対して公的資本注入するということをお認めになるわけですね。もう一度確認しますが、いかがでしょうか。
  52. 保岡興治

    保岡議員 そのとおりでございます。
  53. 岡田克也

    岡田委員 そういうことになりますと、この金融再生法というのは何のためにつくったのかということになるのだろうと思います。  この金融再生法では、例えば「金融整理管財人による管理」のところで、その要件の一つとして、「その業務の全部の廃止又は解散が行われる場合には、当該金融機関が業務を行っている地域又は分野における資金の円滑な需給及び利用者の利便に大きな支障が生ずるおそれがあること。」こういうふうになっていますね。だから、再生法の建前は、すべてが金融整理管財人や公的管理に行くのではなくて、その中でも特に、地域の資金の円滑な需給及び利用者の利便に大きな支障が生ずる場合にこの整理管財人という規定の適用がある、こういうことなんですね。  にもかかわらず、今のお話は、地域に重要な影響がある場合にはこの再生法でいかないのだ、そうではなくて今提案中の早期健全化法でいくということになりますと、まさしく定義上も再生法の余地というのはなくなるのではないですか。自民党の皆さんはこの再生法民主党や新党平和と一緒に共同修正されたわけですが、あれは一体何だったのですか。お答えいただきたいと思います。
  54. 保岡興治

    保岡議員 それは、再生法では、支払い停止のおそれがある場合、まあ破綻ですね。それからおそれが生ずると認められる場合という、もう破綻直前のすれすれの場合というようなケースであると思いますが、本法において、著しい過少資本行の〇から二みたいなケースについては、やはり存続可能である。しかも、地域の経済にとって不可欠であって、地域がいろいろ支援をすることで話し合いができているというようなケースは、やはりこれは破綻で処理するよりも、あるいは準公的管理というような破綻すれすれの対応をするよりも、地域にとっては生きたゴーイングコンサーンの金融機関ということで、それだけ信用も劣化しないで済む。そして、実体経済にとっても影響を最小限に抑えることができるというようなケースがあると思いますね。そういう場合に、これは本法の対象にするものだというふうに認識をいたしております。
  55. 岡田克也

    岡田委員 今極めて重要なことをおっしゃったと思うのですが、もう一度整理をいたしますと、まず、存続が困難であるという場合で、しかも増資に応ずるとかそういうことではなくて、その他いろいろな意味で、いろいろな意味というのはよくわかりませんが、地域の支援がある、こういう場合には公的資本注入を、例えば自己資本比率が〇であってもする、こういうことですね。  これは基本的な金融再生法のコンセプトに反する話じゃないですか。やはり存続が困難なものについては、基本的に金融再生法の中で手続に入って整理していく。もちろん、整理の結果、生き返るものもあるとは思いますけれども、整理してい くというのが基本的なこの金融再生法考え方であって、今おっしゃるように、存続が困難でありながら、しかも増資も民間ではできないという中で資本注入をそこにしていくというのは、明らかに再生法と違った考え方に、あるいは反する考え方に基づいている、そういうふうに言わざるを得ないと私は思いますが、いかがでしょうか。
  56. 保岡興治

    保岡議員 今岡田委員は、存続困難なケースに本法を適用するのかということを言われているように思うのですね。私は、そういうことを申し上げておりません。最初に、存続が極めて困難であるケースは本法の対象にならないことが決まっておりますから、そういう場合でないケースを指して言っております。
  57. 岡田克也

    岡田委員 今確かに存続が困難だとおっしゃいましたよ。後で議事録を見てください。最初に言いましたよ。だから、そこのあいまいさが非常に問題なんじゃないですか。  大蔵大臣、もし御意見があるならおっしゃってください。
  58. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 私も提案者と同じように理解を実はいたしておりました。再生法の方は、破綻処理あるいは破綻に極めて近い場合の処理について考えておられると私は思っておりますが、提案者の言われましたのは、破綻ではない、ただなかなか難しい、しかし、地域でお客さんが、たくさん金を借りられる人がいるとか、地域にほかに銀行がないとか、ですから、そういう場合には地域の人も株でも持とうかということもしばしばあるかと思いますが、仮にそうでなくても、そういう銀行はやはり地域のために必要だ。無論、破綻ではない、破綻に近い状態でもない、そういう場合には救うことができるというのが今御審議の法案意味しているところだろう。そういう意味では、存続可能というケースについて議論されているのだと思います。
  59. 岡田克也

    岡田委員 要するに、破綻ということの意味にも返る問題だと思うのですけれども、例えば、この再生法の中では、金融機関がその財産をもって債務を完済することができない場合、これは債務超過だということだと思いますが、その他金融機関がその業務もしくは財産の状況に照らして預金等の払い戻しを停止するおそれがあると認める場合、あるいは現に停止をした場合、こういうことですね。  そうすると、預金の払い戻しの停止をしたときは、それでもなおかつ、今度の早期健全化法で、例えば日銀特融をやって資金繰りを手当てした上で公的資本注入するということはあるのですか、ないのですか。
  60. 保岡興治

    保岡議員 御案内のとおり、六条の第三号に、その存続が極めて困難であると認められる場合でないというのはありますが、おっしゃるように、債務超過の場合は、これは対象にならないことがはっきりしております。
  61. 岡田克也

    岡田委員 債務超過の場合を聞いたんじゃなくて、例えば取りつけがあって預金の支払いの停止をされた場合、そういう場合はどうなんですか。
  62. 保岡興治

    保岡議員 それはもう破綻に当たる場合でございますから、できないということでございます。
  63. 岡田克也

    岡田委員 その辺の非常にあいまいさというものを私は二つ法律を比較していて感じるわけでございまして、そこはやはりちゃんとした切り分けをしておかないと、金融再生法をせっかくつくったのにこれを殺してしまうことになる、その基本的なコンセプトに反することになる、そういうことを申し上げておきたいと思います。そこのところが一つ大きなポイントであるというふうに思っております。  もうちょっと後で整理して、またこの審議は続くと思いますから、引き続き質問したいと思いますが、いずれにしても、せっかく二カ月間議論をしながらつくった金融再生法が事実上機能しないということであれば、これは全く意味がないわけでありまして、そこのところのきちんとした切り分けができるのかどうか。私は、今の法案ではできていない、そういうふうに申し上げて、次の質問者に譲りたいと思います。  終わります。
  64. 相沢英之

    相沢委員長 これにて岡田君の質疑は終了いたしました。  次に、枝野幸男君。
  65. 枝野幸男

    ○枝野委員 主な争点は岡田議員からも質問をさせていただきましたので、重複をする部分もあろうかと思いますが、一つ一つ詰めさせていただきたいというふうに思っております。  まず、基本的な認識提案者の方にお尋ねをしたいと思いますが、現在、大手十九行と言われている金融機関は、ことしの四月の段階、そして新聞報道等では九月の中間決算の段階でも、長銀は別といたしまして、それぞれ自己資本比率が八%、国際的な基準を大幅に上回っている金融機関がほとんどであります。八%はすべて超えております。こうした自己資本が充実している金融機関が貸し渋りや資金の回収に走っているのはなぜだというふうにお考えになりますか。
  66. 保岡興治

    保岡議員 それは、やはり不良資産の償却、引き当てということが非常に急がれるということで、そういうものに鋭意努力をしていることとか、あるいは国際的なドルの資金需要にこたえるための調達がなかなか難しいこととか、将来の我が国の経済の不透明感というものに備えて自己資本を何とか国際基準にとどめるための備えをしておこうとか、いろいろケースはあろうと思いますけれども、やはり資産圧縮ということで貸し渋りなどに非常に圧力がかかっているものだ、そう認識しております。
  67. 枝野幸男

    ○枝野委員 今のいろいろある中の二つを順次取り上げたいと思いますが、ドルの調達が困難であるということはなぜでしょうか。BISの基準を超えている金融機関がドルの調達が困難というのは一般的には考えにくいと思うのですが、なぜでしょう。
  68. 保岡興治

    保岡議員 その点はなかなか、銀行によってもいろいろ違いがありましょうから、一般的に言うのも難しいのでございますけれども、しかし、やはり我が国の金融に対する信認というものに懸念が出て、国際的にそういう評価になっていることも一つの原因だと思います。
  69. 枝野幸男

    ○枝野委員 日本大手十九行のうち十八行が八%を超えているのですよ。なぜ信認が得られていないのですか。
  70. 保岡興治

    保岡議員 八%というのはBIS基準の一通りの国際業務ができるかどうかの区分でありまして、その八%を超えていれば自己資本が非常に充実している、あるいは、経営内容あるいは財務状況自己資本比率だけで評価されるということでもない。総合的な我が国の金融に対する評価が、ジャパン・プレミアムを高めるような状況になったり、ドルの確保がなかなか困難になるような状況につながっていると思います。
  71. 枝野幸男

    ○枝野委員 信認を受けるかどうかの中心が自己資本の比率、つまり自己資本がどれぐらい充実しているかということにあると考えているから、信認を得るためにこの法律自己資本を増強するのではないのですか。自己資本を増強しても信認を得られないのだったら自己資本を増強する意味がないじゃないですか。
  72. 保岡興治

    保岡議員 形式的な自己資本比率が結果として高くなるということがあると思いますけれども、問題は、我が国の金融の安定や貸し渋り対策というのでしょうか、今も非常に進んでいる急激な信用収縮に対応するには、実質において金融機関の経営状況、財務状況強化するということが肝心だと思います。
  73. 枝野幸男

    ○枝野委員 だから、実質的な自己資本の充実が信認のもとなんじゃないのですか、そう聞いているのですよ。
  74. 保岡興治

    保岡議員 それはそのとおりだと思います。
  75. 枝野幸男

    ○枝野委員 とすると、少なくとも国際業務をするに最低限の基準を超えている日本金融機関が信認を受けていないのはなぜなんですか。
  76. 保岡興治

    保岡議員 それは、先ほど申し上げているように、国際的な業務区分を超えているからといって、自己資本比率のみで経営の状況とか財務状況がストレートに評価できるものでないということ の結果であろうと思います。
  77. 枝野幸男

    ○枝野委員 では、具体的に自己資本比率以外の何なのですか。
  78. 保岡興治

    保岡議員 それは金融機関を支えるいろいろな要素があると思いますけれども、経営がうまくいっているということ、サービスがうまく行き届いて広く顧客につながっていて、利益が上がっていて、そして資産もそれを支えるだけの安定したものがあるということだろうと思います。
  79. 枝野幸男

    ○枝野委員 ストックの部分だけじゃないということであるならば、例えばことしの三月の決算の段階で、基本的に大手金融機関は配当しているんですよ。黒字を出しているんですよ。資本も充実をしている、配当も出している、利益も出している。それなのになぜ信認を得られないんですか。
  80. 保岡興治

    保岡議員 それは個々の金融機関が、そういう努力の中から、みずからの金融機関の信認を、できるだけ評価を高める努力をしているということの結果だと思います。
  81. 枝野幸男

    ○枝野委員 言っていることがよくわからないんですけれども、信認を高めるための努力をしているんだったら、その努力を見守ったらいいんじゃないですか。
  82. 山本幸三

    山本(幸)議員 お答え申し上げます。枝野委員前提は、市場が合理的であるという前提に立って議論しておられるように思いますけれども、市場は常に合理的であるとも限りません。市場の暴力というのは当然あり得るわけでありまして、そのために危機管理ということで公的な介入が必要になる。そのことが今日の私ども考えでいることの一環になっているわけであります。それが一つ。  それから、日本自己資本比率のことでありますけれども、これは御承知のように、自己資本の計算はティア1、ティア2、二つあるわけでありますが、日本の場合、かなりの程度でティア2の方が大きいと判断されている面があります。したがって、本当意味自己資本、このティア1をちゃんと強化しないと、必ずしも数字だけで、上がっているから評価できるというふうに金融界ではなかなか考えない、そういうこともあろうと思います。
  83. 枝野幸男

    ○枝野委員 市場の暴力の話はまた別途いたしますが、そもそも、今のティア1、ティア2の話もそうですし、その前、保岡先生の一番最初の方の答弁の中で、引き当てをどんどんしていかなきゃならないということをおっしゃいました。引き当てというのはどんどんしていかなきゃならないものなんですか。将来を見越して、ある段階で、将来これぐらい貸し倒れそうだから引き当てるんじゃないんですか。状況に応じてふやしていくというものなんですか。
  84. 保岡興治

    保岡議員 それは、貸し倒れの実態に即して適正な引き当てをする、いろいろ今経済状況が悪くなって、その貸し倒れの引き当てをできるだけ高い水準に持っていかなきゃならない努力をする必要に迫られている状況もあろうかと思って申し上げました。
  85. 枝野幸男

    ○枝野委員 これを引き上げていかなきゃならないのに引き上げていないから形式的な自己資本比率が高いのに信認を得られていない、こういうことじゃないんですか。
  86. 山本幸三

    山本(幸)議員 引き当てはある意味で言えば保険でありまして、いざとなったときに、貸し倒れになったときに、その場合に対処するためのものだと思っております。したがいまして、多ければいいというものではないと思います。どこかの保険金詐欺事件ではありませんけれども、多ければいいというものではない。つまり、必要最小限あればいい。それは、それぞれの債権状況あるいはこれまでの貸し倒れの実績、そういうものを勘案して、あればいいわけであります。  なぜかと申しますと、引き当てを多くやれば、これは銀行経営にとっては機会費用を失うわけでありまして、つまり、本来もうけるべきものがそこに回らないでバランスシートの中に滞ってしまうということでありますから、不必要な引き当てはする必要がないものと考えております。
  87. 枝野幸男

    ○枝野委員 じゃ、山本議員は、現在の金融機関が例えばことしの三月の決算に行った引き当て率は妥当だと思っていますか。
  88. 山本幸三

    山本(幸)議員 それは金融監督庁判断することでありますが、その時点において妥当だと思っております。
  89. 枝野幸男

    ○枝野委員 妥当な引き当て不良債権について日本金融機関がしている、妥当な引き当てをした上で自己資本比率が八%を大幅に上回っている金融機関がほとんどであるというような中であるならば、何もすることないじゃないですか。何でそれなのにお金を使わなきゃいけないんですか。もし山本先生がおっしゃっているとおりであるならば、全く金を使う必要がないですよ。
  90. 山本幸三

    山本(幸)議員 その点が、先ほど申し上げましたように市場は常に合理的でないということでありまして、いろいろな要素を含んで市場は突然暴れ回る、そのことによって金融システムが危機に陥るということは当然あり得るわけでありまして、それに対処しなければなりません。
  91. 枝野幸男

    ○枝野委員 市場の暴力とは具体的に何ですか。
  92. 山本幸三

    山本(幸)議員 これは、ちょうど為替市場が乱高下するのがある思惑によって決まるように、市場参加者が考える話でありますから何らかの理由があるというわけでもありませんし、あるいは投機的な資金が動いていく、そしてそういう動きをする方たちもいる、そういうことで、合理的に説明できるものではないと思います。
  93. 枝野幸男

    ○枝野委員 合理的な説明とか理由を聞いているのじゃないのです。市場の暴力というのは、具体的にどういうことが現に起こっているのですか、それによって金融機関はどういう影響を受けているのですか。
  94. 山本幸三

    山本(幸)議員 例えば、いわゆる風説の流布等というのがありますが、そういうことによってある特定の金融機関の株がねらい撃ちされて売り出される、そういうこともありましょうし、あるいは、いわゆる合理的とは考えられないようなジャパン・プレミアムが生じるというようなこともあろうかと思います。
  95. 枝野幸男

    ○枝野委員 現在のジャパン・プレミアムは合理的ではないというふうに考えていらっしゃるのですか。
  96. 山本幸三

    山本(幸)議員 かつて一%近くであったものが、ことしの三月の資本注入で〇・二%に落ちましたし、今はまた〇・五ぐらいに上がっているという意味で、明らかに合理的とは思っておりません。
  97. 枝野幸男

    ○枝野委員 風説の流布の話をされました。具体的にそういったケースはございましたか。
  98. 山本幸三

    山本(幸)議員 特定のケースについて云々することは好ましくないと思いますが、そういうことがあったと思われるし、そのおそれがあるということで、最近法改正したものと考えております。
  99. 枝野幸男

    ○枝野委員 自由民主党というのは、自由主義、資本主義を党是とした政党ではなかったのですか。
  100. 山本幸三

    山本(幸)議員 もちろん、自由主義を信奉はしておりますが、いわゆる経済の世界で、市場が常に合理的であれば政府は介入する必要はありませんが、市場が合理的でないことがあり得るということはこれまでの経済学の歴史からどの経済学者も言っていることでありまして、そのときに政府は介入する価値があるということであります。
  101. 枝野幸男

    ○枝野委員 その場合は、マーケットの暴力そのものについて規制を加えるべきではないですか。例えば今回、与野党一致して空売り規制を行いましたね。こういった手だてによって、ルールによって市場の暴力によって経済的合理性を損なうような行動が行われることをとめるべきであって、そのことによって生じている現象のところに手を打っても、本体のところに手を打たなければ抜本的な解決にはならないのじゃないですか。
  102. 山本幸三

    山本(幸)議員 もちろん、そういうことも考えなければなりませんし、先般の空売り規制はそうだろうと思います。  ただ、常にそれを講じていきますと、では、資本取引を全部とめてしまえばいいじゃないかとい うような話になってきまして、これは経済の円滑なる運営、そのことから考えると好ましくない。そういう意味では、それだけではとてもとめられないし、そのことによって起きた現象に対して果断に、公的政府が関与するというのは当然のことだと思います。
  103. 枝野幸男

    ○枝野委員 市場の暴力という話は、最近出てきた話なんですか。市場、マーケットというのは昔から存在していましたけれども、最近初めて出てきたのですか。それとも昔からあったのですか。
  104. 山本幸三

    山本(幸)議員 当然、昔からあったと思いますが、最近の金融の資金取引の動きというのは急速に拡大しておりまして、いよいよその暴力の度合いが強くなっているということだろうと思います。
  105. 枝野幸男

    ○枝野委員 なぜ日本金融機関が市場の暴力にねらわれているというふうに考えるのですか。
  106. 山本幸三

    山本(幸)議員 これは別に日本だけじゃなくて、東南アジアもねらわれましたし、ロシアもねらわれましたし、中南米もねらわれました。日本もその一つだと思います。
  107. 枝野幸男

    ○枝野委員 では、もう一つ聞きましょう。  市場の暴力が生じたときに出てくる不利益というのは何なのですか。例えば、ジャパン・プレミアムはわかりました、それ以外に何かありますか。
  108. 山本幸三

    山本(幸)議員 金融機関がそういう暴力に遭いますと、これはとんでもないことが起こり得るということで、貸し渋り等が起こってくるということもあろうかと思います。
  109. 枝野幸男

    ○枝野委員 そのとんでもないことをお伺いしているのです。
  110. 山本幸三

    山本(幸)議員 それは、株価が急に下落するなり、あるいは外貨市場で資金が突然調達できなくなるなり、そういうことであります。
  111. 枝野幸男

    ○枝野委員 市場の暴力ということを前提にして株価が下がったような場合、きちんとした情報開示をすればその暴力には対抗できるのじゃないですか。
  112. 山本幸三

    山本(幸)議員 枝野委員はいよいよ市場の合理性を前提にしておられるようでありますが、私ども前提はそうではなくて、市場は合理的でないことがあり得るということであります。
  113. 枝野幸男

    ○枝野委員 民主党の方が自民党よりもマーケットメカニズム、市場というものを尊重しているということを世間の皆さんが御理解して、私どもが何か昔の我が党の母体になった考え方を引きずっているという誤解を払拭できてよかったかなとも思っておりますが、もうちょっと細かいことも聞いていきます。  現在の大手金融機関が第二分類について行っている引き当て率山本議員は合理的なものだというふうに御判断なさっているようでありますが、どういった基準に基づいてどういうふうに引き当て率を決めているか、御存じでいらっしゃいますか。
  114. 大野功統

    大野(功)議員 大手銀行がやっております第二分類債権についての引き当て率でございますけれども、先ほどから大蔵大臣なり提案者がるる申し上げておりますように、大変主観的なものでございます。非常に正常債権に近いものから、それから要注意債権に近いものもある。  そこで、第一に私が申し上げたいのは、こういう状態でありますから、第二分類債権だからといって決して不良債権という認識を持ってはいけない、ここのところをきちっとしていかないと難しいことであるなと。もちろん、一つ一つ銀行についての引き当て率について私は存じておりません。しかしながら、今後、適切に資産査定を金融機関が行うこと、それから貸し倒れ等の実態を十分把握していくこと、こういうことによりまして早期に適正な引き当てという基準ができるのかどうか。第一に、各行間の基準の調整という問題が出てまいります。そういうことを一生懸命研究、検討いたしまして、情報公開という時代にたえられるような方向に向かって頑張っていかなければいけない、こういうことでございます。
  115. 枝野幸男

    ○枝野委員 今の大野先生の御答弁だと、この四月にやった、つまり今の第二分類全部一くくりにしているような引き当ての仕方は必ずしも合理的でないというようなことを前提としているようでありますが、そうすると、先ほどの山本議員のことしの三月の引き当ては合理的だったということと矛盾すると思うのですが、提出者の中で矛盾しては困るので、統一してください。
  116. 大野功統

    大野(功)議員 今の不良債権というか債権分類という問題でございますけれども、まず三分類、四分類はいいとしまして、二分類だけについて申し上げますと、それぞれの銀行が、繰り返しになりますけれども、例えば会社が赤字になったというだけで、大変慎重なあるいは保守的な会社は恐らく二分類ということにするかもしれません。そういうことで、それぞれの考え方を、これを正しいといえば正しいわけでありますが、これをすべての銀行がそれぞれ公表してしまいますと、そこに物すごい矛盾が生ずるわけであります。  したがいまして、それは見方によりまして、それぞれの言っていることが正しいといえば正しいのであろうし、それから、私が申し上げておりますように、第二分類すべてが必ずしも不良債権ではない。ほとんどは正常債権でございます。あとは要注意債権。つまり、第二分類というのは、監視をしなきゃいけない、ちょっと言及しておかなきゃいけない。アメリカでも御存じのとおり、スペシャルメンション、ちょっと言及しておく、こういうような考え方でやっておる部分もございますけれども、それはそのとり方によって、それぞれ言っていることを正しいといえばそれは正しいのであろうし、私が言っているように、それを共通に公表してしまうとまことにおかしな結果になる、こういうことだろうと思います。
  117. 枝野幸男

    ○枝野委員 では、こういうお尋ねの仕方をします。今、債権分類債権以外の第一分類を含めると四つに分類しています。なぜ債権分類しているのですか。
  118. 大野功統

    大野(功)議員 これは言うまでもございません。それぞれについてガイドラインがございます。それに基づいてやっているわけでございますけれども、三分類、四分類はそれでいいとして、二分類は明らかにもう主観的に違っております。ですから、ここを要するにもう少しきちっとした世界で処理しようと思うならば、恐らく第二分類二つあるいは三つに細分化する、その話はこれからの問題かと思います。
  119. 枝野幸男

    ○枝野委員 そうではなくて、なぜ分類をしているのかとお尋ねしているのです。
  120. 大野功統

    大野(功)議員 なぜ分類しているかということにつきましては、やはり将来の経営の健全性、これを求めるために分類をして、この貸付金は危ないよ、これは要注意だよ、これによって預金者あるいは取引の相手方に対しまして、この銀行はどういう銀行である、こういうこともわかってくるだろうし、それからそれぞれが自己責任でやっていく場合にそういう情報というのは必要である。ただ、二分類についてはそこはちょっと今のところは明快でない、こういうことを申し上げたいと思います。
  121. 枝野幸男

    ○枝野委員 今の第二分類そのものの分け方がいいかどうか、それから現在の個別の債権分類の仕方がいいかどうかは別問題として、そもそも債権分類するのは、今お話しになりましたとおり、その債権が回収できる見込みがどれぐらいあるかということについて、それは一件一件全部可能性は違うでしょう。債権が百あったら百通り違うでしょうけれども、幾つかのカテゴリーに分けておいて、それでどの程度この銀行の資産内容が健全なのか、どれぐらい将来取りはぐれる可能性があるのかを分けるわけですね。  ということは、逆に考えてみれば、分ける以上はこれぐらいの回収可能性なんだということの基準がむしろ先にないと、本来は分けられないんじゃないですか。つまり、第四分類というのは、これは取れない債権だろうと思うから第四分類に入れるのであって、入れて、分けてみてからこれは取れそうもないかなということを判断するん じゃなくて、第四分類に分けるということは、取れそうもないから第四分類に入れるんじゃないですか。  ということは、第二分類についても、これは第二をまとめて一くくりにして一五とか二〇とやるのがいいのか、それとももうちょっと細分化をして、これは五%ぐらい貸し倒れる可能性のあるグループだとか、これは一〇%くらい貸し倒れる可能性のあるグループだとかという分け方をするのか、これはいろいろな議論があります。我が党としては、とりあえず二つに分けましょうということを今主張していますが。  これはいろいろな議論がありますが、まずは、このカテゴリーに入るのは、幅はあるでしょう。五といっても、一個一個本当に厳密に見たら、貸し倒れる可能性が三%のものもあるし七%のものもあるかもしれない。ただ、トータルとして、ここに入ったグループは、全体で見れば五%貸し倒れそうな債権をここに分けました。あるところは二〇%貸し倒れそうなところのグループに分けました。そのある程度の貸し倒れ率、つまり、逆に言えば引き当てなきゃならない率というものがあるから債権を分けられるんじゃないですか。分けてからその数字を入れるんですか。
  122. 大野功統

    大野(功)議員 どちらが先にあるか。基本的な問題としては、御指摘のとおり、破綻先、破綻したらこれは四分類でございます。それから、実質的に破綻しているな、あるいは破綻の懸念があるな、これは三分類でございます。そういう考え方分類をいたしておるわけでございますけれども、たびたび申し上げて恐縮でありますが、今、考え方としましては、例えば利息、元本を延滞しているかどうか、それから会社が債務超過になっているか、赤字になっているか、仮にその場合でも何カ月なのか、何期なのか、含み損にしましても、有価証券どうするか、不動産どうするか、こういう問題もあるわけでございます。また、債務超過でも黒字であったらどうなるのか、いろいろな問題があります。さらに、銀行から見ますと、その会社の再建計画はどうなっているんだ、こういう話もありまして、一件一件違ってくるというところにこの問題の難しさがあるのではないか。今、分類を仮にいたしましても、それに担保がついているのかどうか、物的担保なのか、それとも人的担保なのか、一つ一つ具体的に見ていかなきゃいけない、そこに分類の難しさがあるのではないかと思います。
  123. 枝野幸男

    ○枝野委員 ですから、分類は難しいです。一個一個の債権について絶対的な貸し倒れの見込みの率ということは出すことはできませんから、ある程度のカテゴリーごとに分けて、どこに該当させるのかということを分けていくのじゃないのかなと。そして、ある程度の危険のあるものについてはきちんと引き当てをしておきませんと、山本先生おっしゃられたとおり、必要以上の引き当てをする必要はありませんが、会計の原則としては引き当てるべきものは逆に引き当てなければいけないということになっているわけですね。  そうすると、この債権について貸し倒れる見込みが一〇%あるというような状況であるならば、それは一〇%引き当てなきゃいけないわけです。そこのカテゴリーが、今の分け方がいいとは言いませんし、今の分類の分け方が本当にいいのかどうかは別問題として、ある程度の基準のもとに、特に現状では、不良債権は第四とか第三以外のところで、絶対にこれは倒れてしまうというところまでいかないけれども、かなりの可能性で貸し倒れそうだというものが現実にたくさん出ているから、どんどん引き当てを積んでいかなきゃいけないねということに金融機関はなっているわけです。そこはきちんとした引き当てをさせないと、本当金融機関の体力は出ないんじゃないですか。
  124. 山本幸三

    山本(幸)議員 かなり引き当てのやり方等は厳密に分類されておりまして、これは債務者でまず区分いたします。正常先、要注意先、破綻懸念先、実質破綻先、破綻先と。そして、それぞれについて自己査定で取れるか取れないかということを判断していって、それが一分類、二分類、三分類、四分類ということになるわけであります。その中で、破綻懸念先、実質破綻先、破綻先というのは、これはほぼ確実に数字が出る。  つまり、そういうものの中の非分類、第一分類というのは、優良担保がちゃんとある、優良保証があるということで、きちっと出てくるわけです。そして、そういうものの二分類というのは、優良ではないけれども一般担保があるという形で出てきます。そういうものの三分類というのは、担保の評価額と実際の回収可能見込み額の差額ということで出てきます。これは、その回収の見込み額をしっかり見ればほとんど出ないことが多いですけれども。そして、実質破綻先と破綻先で、それ以外の取れないものは四分類でいくということになります。  そういう考えでいきますと、問題は要注意先の第二分類でありまして、これは、担保があるとかいうこととは関係なしに、問題債権以外のものということで定義されます。そうすると、先ほどのものは、優良担保かあるいは一般担保かそういうものは抜きにして、それなりに担保があってそれはきちっと見れるわけですから、一件一件対応は可能でありますが、この要注意先の第二分類についてはそういうものになっておりませんので、そうなると、ここはある意味でいえば大数の法則的な考えでいくしかないということでありまして、それは過去の実績の実績率を使うということが最も合理的で、そういうふうにやられているものと理解しております。
  125. 枝野幸男

    ○枝野委員 そうですね。過去の実績で大体この引き当てを決めていますね。  一般に何年分ぐらいさかのぼって引き当てているか御存じでしょうか。
  126. 山本幸三

    山本(幸)議員 決まっていないと思います。たしか三年とか五年とかそういうことで、各行がそれぞれやるし、各行の融資姿勢等が絡んでくるわけですから、各行でそれぞれ率が違ってくると思います。
  127. 枝野幸男

    ○枝野委員 まあそれぞれの金融機関ごとに違いますし、私も正確なものを知り得る立場にありません。ただ、これは何年とるかで全然数字が違ってくるのは理解できますね。特に、バブル崩壊前の段階から、例えば十年とかということをとった場合と最近一年間ということでとった場合とで全く数字が違ってくるということは理解できますね。こうしたところは基準をつくらなくてよろし  いと思いますか。
  128. 山本幸三

    山本(幸)議員 そこのところはおっしゃるとおりだと思います。  したがいまして、これからは再生委員会におきましてそれなりのガイドラインをつくり、二分類はひっくるめてやっておりましたけれども、それも、一分類に近い方、三分類に近い方ということで二つぐらいに分けて、しかも、最近の状況を反映するような形でやることがいいだろうと思います。  いずれにいたしましても、どういうふうにして実績を出したかということは、これは各銀行、公表しているものと思っています。
  129. 枝野幸男

    ○枝野委員 さらに、その実績と同時に、これからの経済の見通しと、それから不良債権を早期に処理していかなきゃならないという必要性というものを考え引き当てていかなければならないのじゃないかと我々は思っているわけです。  そういうことを考えていったときには、まさに不良債権を早く処理することが日本の金融を立ち直らせる上で必要なことであるというのは、これは一致している話だろうと思いますし、そうすると、処理をしていくためには、引き当てておけば、引き当てたところに該当する部分はどんどん償却していってもバランスシート上崩さないわけですから、できるだけたくさん引き当てておいた方が、もちろん引き当て過ぎてはいけませんが、不良債権の償却に必要な部分は可能な限り引き当てておいた方が安全なのは間違いないですね。  しかも、これからの景気の状況、これは政府や与党の立場からすれば、何とか底打ちをさせて、 これからどんどんよくなりますとおっしゃりたいし、おっしゃらなければならない立場だろうと思いますが、そう簡単に今の日本の景気の状況がどんどん右肩上がりで上がっていくというような状況ではないというのは、これは率直に認めざるを得ないだろう。これ以上泥沼に陥っていかないために、何とか底を打たせてちょっとでも上向きにするために、今与野党を超えて悪戦苦闘してやっているわけですから。  そういった景気の状況ども見通した上でやっていくとすれば、相当安全性を見た引き当て率というものをある程度示した上で進めていきませんと、金融機関本当実態となるバランスシートを見ることはできないのじゃないでしょうか。
  130. 大野功統

    大野(功)議員 御指摘趣旨は大変よくわかるわけでございますけれども引き当てを高くいたしますと、当然自己資本比率に響いてまいります。  もう一つの問題は、国税庁が発表しておりますデータの中で、全国で三百万ぐらい企業があるわけでございますけれども、平成八年度におきましては六四・七%が赤字になっている。  したがいまして、こういう事情を勘案しますと、先ほど山本議員から申し上げましたとおり、必要最小限の引き当てという合理的なものを追求していった方がいいのではないか。安全性ということから考えますと枝野先生おっしゃるとおりでございますけれども、今申し上げました二点の観点から、私は十分検討していかなきゃいけない問題であると思っております。
  131. 枝野幸男

    ○枝野委員 そこで、先ほど岡田先生との間でも議論になりましたが、今一気にやったらまさに貸し渋りになるということをおっしゃりたいのだろうと思いますね。  例えば、ことし金融監督庁ができて十八行に監督検査に入っているわけですね。この時点を基準にして強制引き当てをすれば、貸し渋り、意味がないのじゃないですか。
  132. 保岡興治

    保岡議員 これは、第三分類とか第四分類は個別の債権について具体的な引き当てをするケースがほとんどでありますけれども、第二分類についてはどの程度引き当てを行うかということは、先ほど資産査定、第二分類評価というものが非常に難しいということから、適正な引き当てをどの程度行うかということについては、よく検討をして、過去の実績などをよく分析して決めていかないと、委員がおっしゃるように、非常に過度の引き当てを求めたり、あるいは過少の引き当てになったりする可能性がありますので、十九行の検査は終わりましても、それをもとにいろいろと検討を要する時間というものが必要だと思います。
  133. 枝野幸男

    ○枝野委員 いや、ですから、今私が申し上げているのは、貸し渋りあるいは資金回収との問題で、一気に引き当て率を高くしたりすると自己資本比率がどんと下がるから、回収をして、そして自己資本比率が下がらないようにしてしまうのじゃないか、資金回収が物すごく厳しくなるのではないか、だから一気にはできませんという議論を先ほど岡田先生との間でされていましたね。  だから、そのことは、これから例えば来年の四月一日なら四月一日を基準にして、その段階検査をしてそこで引き当てを決めましょう、そこで新しい査定方法を入れましょう、こういうことで今決めたら、来年の四月一日までの間にどんどん資金を回収して、そして強制引き当てをされようが低価法をとろうが八%を超えるようにしておいて、変な資本注入を受けて責任をとらされるようなことにならないようにしようということで確かに走るでしょう。  しかし、例えばことしの四月一日の段階でのバランスシートをしっかりと査定をして、そして引き当て率をつけます、そして株は低価法評価しますということをやるということであるならば、今から回収をしょうが何しようが意味がないですから、そういうやり方をすれば貸し渋りが進むということはないのじゃないですか。
  134. 山本幸三

    山本(幸)議員 企業は、決まった企業会計原則というルールに従って経営を行い、財務諸表を作成しているわけでありまして、途中で突然変えるというようなことはそうしたルールに反すると思います。
  135. 枝野幸男

    ○枝野委員 原則と、それから今回国民税金を使わせていただく、少なくとも一時的には使わせていただくということをやる上で、そのお金がむだに使われないように、死に金にならないようにする目的でやることというのは分けて考えていいのじゃないですか。  確かに、毎年毎年発表する決算書は、従来のやり方どおり、これは継続性の原則、会計の一つの原則ですから、やっていただいて結構です。しかし、今回、公的資金を使わなければならない。公的資金を使うべき銀行なのか、使うべきではない銀行なのか、使うとしたら幾ら使うべきなのかということを判断する上では、例外的な措置をとることは継続性の原則とは全く矛盾しないと思いますが、いかがですか。
  136. 保岡興治

    保岡議員 我々も、一般的な引き当て基準みたいなものを強制したり、ガイドラインとして設けるにしても、余り拙速に、間違った、いいかげんな、腰だめの引き当て率をガイドラインにするわけにいかないということを言っておるのでありまして、資本増強のための承認要件としていろいろな資料提出を求めて、その適切な資本注入の額というものを考えていくときには、今委員の言われたような適正な引き当てというものを、検査に基づいて、各行別にできるだけ精査して資本増強の参考にするものだと思います。
  137. 枝野幸男

    ○枝野委員 その中身は公表されるのですか。公表させるのですか。
  138. 保岡興治

    保岡議員 健全化計画というものは、資本注入を行う際にはこれを承認して公表するということになっておりますので、その中で、そういった具体的な引き当てがどれだけなされたかということが、一般的に言って信用秩序とかその他、公表の例外事由に当たるかどうか、金融再生委員会、権威のある、責任の重い委員会判断をして、公表の中に入れるかどうかを決めるものだと思います。
  139. 枝野幸男

    ○枝野委員 今のようなことであるならば、今の段階ではきちんといろいろ議論しなきゃならないし、個別銀行ごとに違うから、だから今は数字を示せないけれども、少なくとも我々の案に対して、貸し渋りが進むから我々の案はだめなんだというのは撤回されますね。
  140. 保岡興治

    保岡議員 先ほども申し上げたように、一般的に引き当ての基準を強制したり、いいかげんなガイドラインを決めるような結果になってはいけないわけでありまして、個別行の資本注入の際に、適正な引き当て率をできるだけ判定して、それを参考にするということは一向に構わない、先ほどからそうすべきだということを申し上げておりますので、そういう御提案趣旨であれば、それは貸し渋りにつながるというようなことはないと思います。
  141. 枝野幸男

    ○枝野委員 もう一度だけ市場の暴力の話に戻りたいと思うのですが、市場の暴力によって金融機関はいろいろ苦しい立場に追い込まれることがある、そのこと自体について、そもそもきちんとした情報開示と査定、検査等が行われていれば、そういったところのターゲットには非常にしにくいだろうというふうに思いますが、仮に市場の暴力によって特定の金融機関が厳しい状況に追い込まれているとします。そうすると、その金融機関を市場の暴力から守るために資本の増強を図るというのはどういう意味があるんですか。
  142. 山本幸三

    山本(幸)議員 市場の暴力がどういう形態で出てくるかによってケースが違うと思います。その場合に、市場の暴力が単に一行だけをねらってそれで問題が済むという判断であれば、それはもうやむを得ないというところもあるでしょうが、そういうことが金融システム全体を揺るがすということになるときに初めて我々は対処しなきゃいけない、それが危機管理だというふうに思います。  したがいまして、個別の銀行の救済云々で考えるのではない、それは金融システムのためだ。そして、その一助として自己資本比率を上げること が一つのその銀行の対応能力を強めるということになると思います。もちろん、それだけで事足ることにならないとは思いますけれども、ある意味で言うと、それは危機管理でありますから、考えられることはすべてやるというぐらいの気持ちでやるべきだと思います。
  143. 枝野幸男

    ○枝野委員 後段の部分を聞いたんですが、ちょっとよくわからないんです。市場の暴力にさらされたところを救済するためには、自己資本比率を高めたら救済になるんですか。
  144. 山本幸三

    山本(幸)議員 それは一〇〇%そうなるということはわかりませんが、少なくとも、何もしないよりは大いに助けになるというふうに思います。
  145. 枝野幸男

    ○枝野委員 税金を使わしていただくわけですから、効果が生じないところに金を使われちゃ、納税者の立場としてはたまらないわけですよ。  少なくとも役に立つということはお認めになったわけですね。ということは、自己資本が、つまり資本金が充実をしている状況というのは市場の暴力にさらされにくい、市場の暴力に対抗しやすい状況なんだということはお認めになるわけですね。
  146. 山本幸三

    山本(幸)議員 それはそのどおりだと思います。
  147. 枝野幸男

    ○枝野委員 だから私たちは、市場の暴力が仮にあるとしても、市場の暴力に対抗するためには、きちんとした査定をしてきちんとした情報公開をして、形式的に水増しの自己資本比率ではなくて、実質的にこの金融機関にはこれだけの自己資本がありますということをしっかりと示して、それが足りなげればその分は公的資金を使ってでも補って、例えば一〇%にするなら一〇%にしましょう。一〇%という自己資本比率が表へ出ているときに、それはだれから見ても一〇%を実質も下回っていることはないですねというふうな透明性としっかりとした中身の充実をつけていくことが、そもそも市場の暴力によって攻撃をされない、防御のためにも必要なんではないか。  そこのところを、査定もいいかげんにして、そして検査もいいかげんにして、公開もいいかげんにして、とりあえず表向きは八%あります、しかし実質は本当に八なのかどうか、しっかりやってみたら四かもしれませんねというような金融機関だからこそ市場の暴力に攻撃されやすい状態なんじゃないですか。そこのところを根本的に変えないと、常に、幾らお金をつぎ込んでいっても、今八と言っているけれども本当に八なのかな、一〇になったけれども本当に一〇なのかなというような状況では、どんどんお金をつぎ込んでいっても市場の暴力の攻撃の対象にされやすいという状況は変わらないんではないか。  だから我々は、厳格な査定をして、そしてしっかりとした公開をして、そして足りない分についてはどんと入れるということで、この銀行本当自己資本充実しているんだ、ここを市場の暴力で攻撃しても余り効果はないな、意味はないなというようなことを、本当に市場の暴力というものがあるのだとしたら、そこに伝えるべきではないかというふうに言っているんですが、どうですか。
  148. 保岡興治

    保岡議員 枝野先生が言っておられることが、先ほど、資本を増強する際に、適正な引き当て率とかあるいは含み損を参考にして資本注入する限度で我々は提案しているんだと言われてみたり、今みたいに、理想的な状況をつくらないと市場の信認も得られない、したがって、理想をこの際実現してはどうかということ、両方言っておられるような感じがするわけですね。  私たちは、先ほどから申し上げているように、枝野議員が言われるように、やはり、できるだけ自己資本比率も正確な自己資本を反映するようなものであるように努めなきゃならないし、そういう努力をしております。また、そのためには検査というものの正確性というのが非常に大事ですから、今十九行で一斉検査をやっていることなど、金融検査をまず的確に行うということが一番肝心であり、また同時に、各金融機関が自分で資産を査定するきちっとした体制に入るということが大事であって、そういう体制をまずつくるということを今一生懸命努力をしながら、金融機関の自発的な自己開示も促すような努力も一方でしている。  それを、今形式的に、理想的なことを直ちに行おうとしても、現在、非常に信用収縮など急激に圧倒的に進んでいる現状、もう一種の経済危機、金融危機にあると言っていい状況の中で、それは角を矯めて牛を殺すたぐいになりかねない。そういう場合でないんだ、今は、そういう理想的なことをいろいろ、将来目指す議論はいいけれども、今直ちにこれを実行するということにしては大変なことになるということを我々は基本的に認識しているから、先ほど来我々が申し上げているようなことを言っているわけでございます。
  149. 枝野幸男

    ○枝野委員 逆なんですよ。本来の市場の原理からすれば、査定なんてそれぞれの銀行が勝手にやってもらって、それぞれの銀行開示するかしないか決めてもらって、それで公的資金を入れてもらわないと大変なことになりますというところだけしっかりと厳格な引き当て率をして、厳格な情報公開をさせて、それを条件に公的資金を入れます、これが本来の自由主義経済のもとでの政府の介入の仕方なんだろうと我々は思っているわけです。  しかし、まさにそれをやった場合には、政府の皆さんが、あるいは与党の皆さんが心配をしている貸し渋りや資金回収が厳しくなるだろう。我々のような選択でやらせたらどういうことが起こるかといえば、それはできるだけ政府に介入されたくはない。それから、公的資金を入れるときには、それは自民党の案のような緩やかなものだったとしても、その経営者その他には一定のペナルティーは科せられるでしょう。ということであるならば、それはやりたくない。だから、とにかくごまかしてごまかして、公的資金は要りません、公的資金なくともやっていけるんですということを維持しよう維持しようと徹底して頑張るでしょう。それは、当然のことながら貸し渋りにつながるし、資金の回収につながっていきます。それではこの国の今の経済の置かれている状況では大変なことになる。  我々は、貸し渋りや資金の回収をとめるためには、むしろ一気に公開をさせて、一気に査定をさせて、そして今さら回収をして、今さら貸し渋りをしてごまかして、自己資本比率が維持されているからうちは介入してもらわなくてもいいですよなんというごまかしができないようにする以外には、本当に必要なところにお金をちゃんと入れるということはできないんじゃないかということを申し上げているんです。
  150. 保岡興治

    保岡議員 決して、ごまかしたり不正確ないいかげんなことをやろうと言っているのではありません。  例えば含み損にしても、これは有価証券報告書で、あるいは会計書類でもう明らかにされて公開、開示されておりますし、それから適切な検査によって資産の評価もそれなりにされて、貸し倒れの実績なども過去にさかのぼってずっと資料を得て適正な引き当てというものを金融監督当局としては把握できるわけでございますから、そういう実態の正確な把握のもとに資本強化も行っていけばいいわけで、それを決めるのは、健全化計画の提出を求めて、その内容が実行できるものか、適正なものかということを判断するのは、お互いがつくった、権威のある、責任の重い金融再生委員会が行うところでございますから、私はむしろ、余り厳格なものを求め過ぎると、入り口でおっしゃるように金融機関が申請をためらうというようなことになってしまっては、せっかくつくった法案が生かされない。そして、現下における厳しい金融危機やあるいは経済の状況を抜け出すための決め手、岩盤になるような思い切った対応につながらない。  それは、きちっとした厳しい基準を設けた方が正確な資本増強ができるという枝野議員の御主張はよくわかりますけれども、しかしながら、肝心の金融機関が手を挙げて、監督当局とよくコミュ ニケーションして、そして金融再生委員会の適切なる運営できちっとした資本増強をすることが肝要だと思います。
  151. 枝野幸男

    ○枝野委員 本当にそういったやり方で手を挙げるというふうに思っていらっしゃるのかどうか。できるだけ政府の関与あるいは公的資金を受けないでやりたいというのは、金融機関の経営者として思うのは当然のことです。そして、それでも手を挙げるということであるならば、よほど金融機関関係者に対しての条件を緩やかにしなければならないと思いますが、その緩やかさというのは私は問題だと思うのですが、そちらの方の争点をちょっと何点かお尋ねをしたいと思うのです。  例えば、法律の六条では「経営責任の明確化のための方策」ということが書かれています。「株主責任の明確化のための方策」ということが書かれています。具体的にはどういう内容をこれは含むのですか。経営者に退陣しろということを含むのですか。それから、株主責任の明確化というのは、当然のことながら減資を含むのですか、含まないのですか。
  152. 保岡興治

    保岡議員 それは、減資を株主の責任として求めるべき状況にあると判断すれば、減資を求める条件を健全化計画の中身として要求していくということになりましょうし、役員の退陣やその他いろいろな経営の合理化、あるいは利益の流出防止についてのそれなりの措置なども、必要に応じて健全化計画の中にその内容として求めて、それが適切なものであって妥当なものであれば資本注入を行っていくということになるものだと思います。
  153. 枝野幸男

    ○枝野委員 そうすると、条件ではないのですね、減資は。減資をしなくても資本注入される金融機関はあるという理解でよろしいですね。
  154. 保岡興治

    保岡議員 それは、既存の株主が資本増強によって不当な利益を得ると認められるようなケースは減資を行うということでございます。
  155. 枝野幸男

    ○枝野委員 その既存の株主が利益を受ける場合とは、どういったケースを想定していらっしゃいますか。
  156. 山本幸三

    山本(幸)議員 これはちょっと二つの場合を考えないといけないと思いますが、減資なしで増資した場合に株価が上がるかどうかというような議論につきましては、理論的に幾つかあるわけですが、もう決定的だと言われておりますのがいわゆるMM理論というものでありまして、モジリアーニとミラーという人が提唱したわけで、これが今経済理論の決定打となっておると思います。  これは、先ほど枝野議員が言われましたように、市場がすべて合理的で、そして企業経営者は株主の利益を最大にするように行動する、そういう通常の経済学の前提をすべて仮定した上で、そのような場合には、増資があったとしても株価は上がらないし、既存株主が不当な利益を得るということはないということが理論的に明らかになっております。  ただ、先ほど申し上げましたように、市場が合理的ではないということは先ほどのケースでもあったとおりでありまして、必ずしもそうではない場合もあり得る。あるいは、いろいろな状況からそういうことが、この資本注入によって将来の収益率が上がるということが見込まれたときには、収益率自体が変わって株価が上がるということは起こってくるわけですから、そのときには当然既存株主が利益を受けますので、その場合には減資をするという必要も出てくる、そういうことだろうと思います。
  157. 枝野幸男

    ○枝野委員 前提がもしかすると違っているのかもしれないのですが、受け皿銀行資本注入、これはわかります。それは減資等しなくてもいいだろうなというふうに思います。  それ以外のところについて、資本注入をしなきゃならない状況というのはどういう状況なのかといえば、不良債権の処理など、つまり償却、引き当て等に要する部分が資本に食い込んでしまうような状況であるからこそ資本を増強しなければならないのじゃないのですか。資本に食い込むような状況であるということは、本来は、一たんは資本でその部分を償却して、減資をして、それで足りなくなったから資本をふやしますというのが実は物事の順番なのではないですか。資本に食い込んでいるその償却部分というものを償却をしない状態で株を新たにふやすと、そうすると、本来、既存の株主が負わなければならない資本の減少部分について、新たに入ってきた資本の部分でもならされて負担をするということになりますから、当然のことながら、既存の株主は利益を得るということになりませんか。
  158. 山本幸三

    山本(幸)議員 その考え方は、従来、伝統的理論と呼ばれている考え方でありまして、経済学的なMM理論では、ある一定の仮定のもとではそうではない、こういうことになっております。
  159. 枝野幸男

    ○枝野委員 ここで学問的な議論をしても仕方がないので、こういったことは有権者の皆さんがどうやって判断するかということであって、常識的な感覚として、つまり負担をする納税者の立場からすれば、それは株主の皆さん、まずは自分で、その資本のところに食い込んでしまっている要償却部分については既存の株主の皆さんで負担をしていただいて、その上で足りない部分については資本を新たに加えていって、そこは国民みんなで負担をしますというのが筋だというふうに思います。  もう一点、経営責任の明確化について余りはっきりしなかったのですが、受け皿金融機関はいいですよ。受け皿金融機関はいいですが、しかし、みずからの金融機関が、それは市場の暴力だろうとどんな理由であろうと、国民の皆さんの税金を一時的とはいえ使わせていただくというような事態に陥った責任というものは当然のことながらとっていただいた上でなければ、税金を一時的とはいえ使わせていただくということにはならないのじゃないかと思うのですが、そこは当然、少なくとも代表権のあるような皆さんには退いていただくということが条件だという理解でよろしいでしょうか。
  160. 保岡興治

    保岡議員 これはやはり、八%以上のようなケースとか、あるいは八%から四%のようなケース、あるいは四%を切るケースですね、こういった区分に応じておのずから違いがあると思います。  もちろん、枝野議員が言われるように経営責任についてはきちっと明確にしなければなりませんが、逆に言うと、またそこも金融再生委員会が最終的には承認するときに判断し、場合によってはその基準を前もって示すことにもなろうかと思いますけれども、要するに、投下したこれだけの資本を、将来、その金融機関が元気になってもらって、そして株の価値が上がって日本経済も二十一世紀に向かって立派に立ち上がる、そしてより高い価格で政府はそれを返してもらえるというようなことをまず基本にすべきなのですね。そういうことが一番肝心なのであって、そういうことの実効性の確保との兼ね合いで、旧役員やその他にどう対処すべきかは、金融再生委員会が最終的には具体的に考えることだと思います。
  161. 枝野幸男

    ○枝野委員 そろそろ時間なんですが、まさにことしの三月の資本注入、あの安定化法のときもほとんど似たような議論をしているのですよ。どうやってきちんと検査をして、どうやってきちんと査定をして、どうやってその金融機関のそれぞれの不良債権処理を促進させていくのかということについて、あのときもいろいろと抽象的には、きちんとやらせますということを、当時は政府ですが、答弁されているのですよ。当然のことながらリストラをさせます、経営者の責任もきちんとお金を入れたら問わなければならないことも出てくるでしょうということをおっしゃって、しかし、あの三月の結果なわけです。同じ愚を繰り返してはならないから、私たちは、きちんと法律の中に明確に最低線これだけはということを書き込もうということを申し上げているのです。  最終的には金融再生委員会の、行政の裁量です。従来に比べれば、国会承認大事にさせていただきましたので、我々としては、その部分のところでおかしなことにならない担保はある程度は とっているつもりでありますが、しかしながら、やはり国民の皆さんの税金を使わせていただくことについての基準ですので、これは本来すべてできるならば、法律で書けるものなら書くべきものだというふうに私は考えます。  もちろん、余り細かいことまで書き切れないということもありますが、しかし、そのことについては全く抽象的なことしか書いていない。原則的には、厳しくとかいろいろな形容詞はふえていますが、三月の場合と変わっていない。それではことしの三月と同じ失敗を繰り返す。少なくとも、私たちはそういった国民税金をむだ遣いするということに対する共犯者にはなりたくないということを明確に申し上げて、質問を終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。
  162. 相沢英之

    相沢委員長 これにて枝野君の質疑は終了いたしました。  次に、上田勇君。
  163. 上田勇

    上田(勇)委員 平和・改革の上田でございます。  きょう申し上げておりました質問の順番と若干入れかえさせていただきまして、最初に金融システム全般についての質問の方から始めさせていただきたいというふうに思います。  まず最初に、現在我が国金融システムは、大手行、マネーセンターバンクが十九行の体制になっておりまして、それに対する評価と将来のビジョンにつきましてお伺いをしていきたいというふうに思います。  日本銀行もその十九行の体制が過大になっているということ、そういう意見もよく伺うわけであります。これは何も今始まったことではないことなんですが、もう八〇年代からいわゆる優良企業の資金調達が銀行離れを始めておりまして、そうした中で銀行が中小企業や個人向けの融資をふやす、あるいは不動産関連などリスクの高い融資に傾倒していったということが、結果的にはバブルの崩壊によりまして今日の不良債権を築いた遠因にもなっているわけであります。  また、先般の委員会の中で大蔵大臣も、いわゆる長期信用銀行の役割についても、もう大きく見直す必要があるのではないかというような御意見も伺いました。  そういったことを考えますと、本当に身近な例を引いてみますと、特に東京の中心部におりますと、どこかの交差点で周りが全部どこかの大手銀行の支店になっている、中には同じ銀行の支店が見えるところに複数あるような状況も、東京の中心部であればいろいろなところであるわけでありまして、これはやはり明らかに銀行の数あるいは支店の数が多過ぎるのではないか。諸外国においては、本当の金融の中心を除いては、そういったことというのはまず見受けられないことであるというふうに思うのです。そうしたことを踏まえますと、やはり金融の再編というのは、これは進めざるを得ない、また進めていかなければいけないことだというふうに思います。  そこで、今の大手十九行のシステムについて、再編が必要なのか、その辺の現状についての評価、あるいは、さらに将来今のシステムがどのようになっていくのか、まず大蔵大臣にひとつその辺の御見解を伺いたいというふうに思います。
  164. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 ただいま仰せられましたような感じは私も以前から持っておりまして、殊に護送船団方式の中で同じことをみんなやっているというようなことでしたら、あんなにたくさんなくてもいい、簡単にそういう感じが実際いたしますし、おっしゃいますように、あっち見てもこっち見ても目抜きはみんな銀行だ、それがみんな同じことをやっているのでは、全く何のことかわからぬという感じは国民が広く持っておられたと思います。  ですから、そういう護送船団方式というのを脱却いたしますと、今度はおのおのの銀行競争的立場に立って、競争的立場に立つということは、まずできるだけリストラをするということでございますから、あっちこっちの目抜きにみんな自分の店があるなどということは一種のおごりみたいなもので、そんなことはとてもできるはずはない。  それからもう一つは、そうなりますとおのおのの銀行が自分の特色のある品物を売らなければならないということになりますから、幾つあっても同じだということは、それで変わっていかなければならない。そこへ外国の銀行が来ますから、余計日本銀行が同じことばかりやってたくさんいるなという印象を与えることになったと思っていまして、それらはこれを機会にリストラをやり、競争をやると一変するだろう。また、実際しないと多くの銀行はやっていけないはずでございますから、そういうふうになっていくだろう。  そして、幾つかのものは海外に進出して大いに仕事をすることができるだろうと期待いたしますが、そうでないものは、何もステータスシンボルで海外にまで出ることはないのではないかという反省を持つところもあると思います。そして、少なくとも、この銀行にはああいう商品がある、この銀行はああいう仕事ができるという、いわゆる特化をする。片一方でユニバーサルバンキングがあるかもしれませんが、しかし、生き残るために特化をするというのも一つの避けられない傾向ではないかと考えております。  それからもう一つは、全然違う意味で、どうも銀行が多過ぎると言われていることの中に、間接金融のウエートが日本では多過ぎるのではないか。エクイティーファイナンスにしても何にしても、本当に六〇%以上が間接金融だということはやはり改められなければならない。その点がもう一つ銀行が多過ぎるという感じの中にある事実ではないかと思います。     〔委員長退席、山本(有)委員長代理着席〕
  165. 上田勇

    上田(勇)委員 今大臣から、やはり銀行の数が現状では多少多過ぎるのではないか、ということは、再編が進むし、また進めていかなければいけないというような御趣旨だったというふうには理解しますけれども。  銀行の数が多過ぎるために、当然日本銀行は、残念ながら海外の銀行と比べますと収益性がかなり低いというふうに言われております。今回、この法案資本注入をして金融機関の再生を図っていくということではありますが、ちょっと提出者に伺いたいのですが、とはいっても、収益性が上がらないことには、欧米の銀行競争をして、結局また、収益住が低ければさらに経営が悪化して、金融システムの再生というのはかなわないのではないかというふうに思うわけであります。  外資系の証券会社の分析によりますと、これはいろいろな前提が含まれていることなので数字を申し上げるのは差し控えますけれども、結論から言うと、総資産に対する利益、あるいは資産に対する利益、ROAとかROEというような数値を比較しますと、日本銀行の平均というのは欧米の銀行の平均の二分の一である、したがって収益性も二分の一程度というふうに予想されるわけであります。  もちろん、これから金融の自由化、ビッグバンを控えまして、欧米の銀行とこれでは到底太刀打ちできないわけでありますけれども、欧米の銀行の収益性に匹敵するような収益性を確保していくためには思い切った効率の向上が必要になってくるわけでありますが、今回とりあえずは公的資金によって資本を増強したとしても、また将来、その辺の競争力がついてこなければ結局同じことの繰り返しになってしまうというふうに思うのですが、その辺、銀行の経営、収益性の改善についてお考えがあれば、ひとつ提出者からお伺いしたいと思います。
  166. 保岡興治

    保岡議員 今度提出させていただいた法律は、もちろん、当面の金融危機回避とか、あるいは急速に、大幅に進んでいる信用収縮、今の日本の経済の厳しい状況を抜け出すために必要な措置ではありますけれども、同時に日本の金融再編、再生というものに向かって備えていくということもその大きな柱になっております。  おっしゃるように、これから国際業務に携わる 金融機関も、先ほど宮澤大蔵大臣お話しされたように、自分の特色を見出して、場合によっては国内業務の中に生きる道を見出すとか、あるいはまた、地方のいろいろあります金融機関も、開示が進んでまいりますと、これは大変厳しい状況に立たされて、預金者や取引相手に選別されるということがあります。  そういった中で、やはり顧客に対して、預金者に対して特色あるいい金融サービスを実現する、そういった努力というのは急速に求められていく。そういった意味で、体力のある、筋肉の締まった、いいサービスのできる金融機関というものを今日本は非常に強く求められている。委員指摘のとおりで、今度の資本増強も、そういうものの一環としてそういうものを念頭に行うということで、個別行の対応でなくて、そういう全体的な再編や金融システムの効率化ということを目指しているのでございます。
  167. 上田勇

    上田(勇)委員 今までの御答弁で、それぞれの銀行が、いわゆる横並び意識だけではなくて、特色を生かして、場合によっては海外から撤退して国内業務に専念するというような御趣旨も含まれていたというふうに思うのです。  ということは、今回のこの法案によりまして、自己資本比率八%を下回る過少資本行ですか、これについても一律に資本注入するというのではなくて、その経営あるいはその銀行の経営改善計画も見ながら、ある銀行についてはもう海外での業務はやめた方がいいんだ、だから資本注入をする必要はない。海外の業務をやめれば、八%じゃなくて四%ルールが適用されるわけでありますから。そういうふうに、今八%ルールが適用されている銀行すべてに資本注入するのではなくて、国内に専念してもらう銀行も当然幾つかあるいはたくさん出てくるというふうに理解してよろしいのでしょうか。提出者にひとつ御意見を伺いたいと思います。
  168. 大野功統

    大野(功)議員 上田先生のおっしゃるとおりでございます。一律に資本注入をすることはありま  せん。これが第一。  第二に、仮に資本注入をする場合でも、経営の合理化などの実効が見込まれる、こういうことが株式引き受けの要件となっておりますので、いずれにいたしましても、一律にやるということではなくて、海外に特化する、海外での経営がうまくいく、こういう銀行にやってもらいたい。場合によっては海外から撤退してもらう、こういうことになる場合もあろうかと思います。
  169. 上田勇

    上田(勇)委員 海外業務の件についてさらにお伺いしたいのですが、先ほど大臣も、海外で実質的な業務を行わずに、むしろステータスシンボルとして海外での業務を行っている銀行もあるのではないかというような御指摘もありました。私もいろいろ伺うところによりますと、実際の仕事は、日本企業の海外支店でのいわゆる資金調達あるいは決済機能ぐらいの仕事で、実際の業務といったものを必ずしも十分こなしていない海外支店、そういったものもたくさんあるというふうに伺っております。  それに、欧米の銀行でも、実際グローバルに仕事をしている銀行というのはそれほど多くはないのではないかというふうに思います。日本のように二十行近い銀行が、地方銀行を入れるともっとになりますけれども、海外支店を持っているというようなことはないというふうに考えております。  じゃ、どれだけになるかというようなことは現時点ではなかなか言いがたいことかもしれませんが、おおよその考え方として、今大手の十九行の中でも、海外で業務を行っているうち、どの程度が海外で引き続き業務を行うのが適当なのか、どの程度を国内業務に専念させるのが適当なのか、その辺のビジョンがありましたらお伺いしたいというふうに思います。提出者、ひとつお願いします。
  170. 大野功統

    大野(功)議員 私は、数の問題じゃなくて中身の問題じゃないかと思うのです。  先ほど上田議員御指摘なさいましたけれども、大変日本銀行は収益率が低い、こういうお話でございました。なぜ収益率が低いか。これは大蔵大臣からお話がありましたけれども、同じことをみんなでやっている、そうであれば少なくなった方がいいわけであります。  同じように、海外業務をやっておりましても、やはり商品に特性があれば、特徴のある業務をやっていれば、それはそれで国際競争力を持って十分にやっていけるわけでございますから、画一的に、海外業務をやる銀行が多いあるいは少ない、こういうことは言えないのじゃないか。むしろ中身で考えていくべき問題ではないかと思っております。
  171. 上田勇

    上田(勇)委員 今何点か質問させていただきましたけれども、私は、今回公的資金によって資本注入して、本来、金融の再編、リストラが進むべきところを、とりあえず資本注入されたことによってその動きがかえって鈍ってしまうというようなことがないように、その資金注入に当たって、またその経営改善計画に当たっては、その辺は厳しく審査をしていただかなければいけませんし、きちっとしたビジョンを持って行政に当たっていただきたい、このことをお願いしたいというふうに思うわけであります。  そうした中で、今公的資金の投入についてはいろいろと議論が行われておりまして、私も地元でも話をいろいろな方々から伺う中で、やはり必ずしもまだ国民的な理解というのは十分得られていないというのが実情ではないかというふうに思うわけであります。  これは一つには、やはり銀行の方として本当に抜本的な、先ほど言ったように、収益性が半分なんだから、それを確保するためには利益を倍にするかコストを半減するしかないわけであります。それほど抜本的なリストラ計画が出ているかといえば、私は必ずしもそういうのが表に出ていないというふうに思いますし、じゃ、そういう事態に至った経営者の責任というのはどうなのか、その辺も必ずしも明確にはなっていない面があるというふうに思います。さらに、やはり自助努力によって資本の増強というのを、数行そういうような動きも報道で接しましたけれども、それもごくわずかしか今のところそういうお話が伺えません。  これは国民の理解を得て公的資金を投入するわけでありますので、本当銀行側にこの資本注入が今回されれば、これをもって本当に再生していくんだ、金融システム全体を再生させていくんだ、そういう積極的な姿勢が十分見られない、このことが私は残念に思う次第であります。  その意味で、この法案の経営改善計画につきましては、銀行としてのリストラ計画あるいは自助努力等についても本当に明確にさせて、かつ、それをやはり国民の皆さんに御理解いただくために公表すべきであるというふうに考えている次第でございます。  この辺について、提出者、もしお考えがあればお伺いしたいというふうに思います。
  172. 保岡興治

    保岡議員 今上田議員は、日本の将来の金融像というものを明確に描いて、それに沿って今度の金融安定化法による資本増強の制度も運用さるべきである、そういうことを非常に強調されました。  私は、そういう観点からいえば、やはり今度の法案が通った暁における金融再生委員会健全化計画提出等に基づく資本注入も、ある程度金融機関の、申請する側の対応にもよりますけれども、かなり一括した対応で思い切って絵を描いて、将来像というものにもつながることに国民の理解が得られるような対応であってほしい、そう願っております。  そういった意味では、健全化計画というものが一つ一つ、あるいは一括して行われるようなとき、あるいは連続して行われるようなときは、それを見れば、委員指摘のように国民の理解が得られるような、その中にしっかりした開示が行われるようにしていかなければならないと思います。
  173. 上田勇

    上田(勇)委員 今のは、経営改善計画というのは公表していただくというふうに理解してよろしいでしょうか。(保岡議員「はい」と呼ぶ)  次に、いわゆる資産の評価法が今回いろいろな議論のテーマにもなっておりますので、そちらについて何点か御質問をしたいと思います。これにつきましては、先ほど民主党委員の方からもいろいろと御質問がありましたので、極力重複は避けるようにさせていただきたいと思います。  それで、初めにお伺いしたいのですが、今、株式評価方法について、原価法、低価法、そして時価法、どの方法がいいんだというのでいろいろ議論、質疑応答があったわけでありますけれども、私が理解しているところでは、従来は低価法に限っていたものを、本年の三月の決算期から原価法も選択で認めるというふうに変更したわけであります。  やはり企業会計というのは、私も専門ではありませんが、原則というのは、最も保守的なものを原則と、大原則なんだと。利益は、確実になるまでは計上しなく、損失は極力早目に計上する、そのことが、投資家あるいは関係者に対する最も適切な情報の提供の仕方である。また,今全体的な流れを見ますと、国際会計基準も時価評価というような方向に進んでいるわけであります。  そうしたことを考えれば、この低価法を使うのがこうした原則には合致していると思うのですが、あえてことしの三月に低価法に限っていたものを原価法も認めるということにした理由、これは金融監督庁なんでしょうか、その辺ひとつ御説明をいただきたいと思います。
  174. 日野正晴

    ○日野政府委員 お答えいたします。  確かに、今御指摘になりましたように、会計上の大原則というのは保守主義ということが前提にあろうかと思いますが、金融機関の保有する有価証券評価方法につきましては、株価の変動が金融機関の経営を不安定にしているという面があることから、今お話がありましたように、本年の三月期の決算からその評価方法を、従来の低価法から、これは商法の一般原則に戻りまして、原価法と低価法の選択を認めることとされたところでございます。  あわせて、ディスクロージャーの強化の観点から、有価証券の含み損益の開示など時価情報の充実を図ったところでございまして、こうした施策は、金融システムの改革を見据えながら、現下の経済情勢にかんがみまして、金融機関の融資対応力を強化して、金融システムの安定に資する観点から措置されたものというふうに理解しております。
  175. 上田勇

    上田(勇)委員 従来一つの方法で決められていたのが、今、金融システムの安定と貸し渋り対策ということだったのだと思いますが、その理由でことし変えたのだと。しかし、これは行政の判断だけで変更した、ここに何か非常に不透明感が残った。これが金融行政についての非常に不透明な印象を与えて、不信感を増長させた面があったのではないかというふうに感じられます。  これで一つ提案者にお伺いしたいのですが、今評価の方法としては、低価法または時価法、それと原価法というのがあるのですが、これはどちらの方が金融機関の財務内容を的確にあらわしているのだろうか。また、投資家、あるいは金融機関であれば、預金者にとっても将来それは重要な情報になると思うのですが、そうした企業外の人間の立場に立ったときにどちらが金融機関の財務内容を的確にあらわしているというふうにお考えか、提案者の御意見を伺いたいというふうに思います。
  176. 保岡興治

    保岡議員 金融資産の評価については、おっしゃるように、低価法であったり、あるいは原価法であったり時価法であったり、いろいろな方式があるわけですが、それはそれなりに方式にはメリット・デメリットがあると思います。  しかし、委員が御指摘のように、現在の資産の状況を示すためには、やはり時価法というのが一番正確なんだろうと思います。そういった趣旨で、その理想を目指して、すべての金融商品について二〇〇一年の三月からは時価主義で対応する、時価主義の導入の方向も決まっておりますが、しかし現在は、ことしの春とった選択法によって貸し渋りの対策ということも、この春先の底抜け、底割れしそうな状況に対応するためには一つの政策的な選択だった、そういうふうに思います。
  177. 上田勇

    上田(勇)委員 私は、今の御意見には必ずしも同意しませんで、行政の都合で一方的に変えたということは、やはり不信感の一つの根っこになっているのではないかというふうに思います。  自民党さんの中にも、最近はいろいろな御提案が出ておりますし、いろいろなマスコミでの御発言等があるのです。例えば、これは自民党さんの中のグループの方々の出しているペーパーだと思いますが、低価法を厳守し、株式含み損を算入するというふうに御提案をいただいております。そういう意味では、自民党さんの中にもまだいろいろな御意見があるのではないか。  そういう意味では、我々もなるべく的確に表現できる低価法あるいは時価法の方が適切だというふうに思っているのですが、自民党さんの中にもいろいろと御意見があるように思いますけれども、これにつきまして、提案者の方として、そういった御意見も踏まえて、適切に時価法あるいは低価法評価をしていこうというようなお考えはございませんでしょうか。
  178. 保岡興治

    保岡議員 我が党の政策機関では、もういろいろな意見がございます。多様な意見の中から議論を尽くして、そうして、現下の金融あるいは経済状況の危機的な状態に対応するのに今度提案しているようなことでお願いを申し上げているところでございまして、確かに、厳しい低価法採用あるいは現在における資産評価を正確に反映する時価主義の御意見、いろいろな意見があるのは事実で、そういった意見などもよく踏まえて、将来、適切な時期に金融が安定してそういう制度の導入が一日も早くできるように、また、施策の充実を図っていかなければならないということで対応しておるところでございます。
  179. 上田勇

    上田(勇)委員 今の保岡先生の御答弁は、自民党さんの方で出されております「金融システム早期健全化対策の概要」の中でもそのように書かれておりまして、「原価法、低価法の選択制は維持するが金融システム不安の解消時にそのあり方を検討する。」というふうに文章では書いてあるのです。  そこで、この言い方が、その時期についてはいつごろを想定されておっしゃっているのか。金融不安の解消時というふうにはなっておりますけれども、大まかなお考えはあるのだと思います。どの辺の時期を想定されているのか。  また、「そのあり方を検討する。」というのですが、今の御発言で、大体何とか、これは時価に近い評価をするような方向で改めていこうというふうに承知したのですけれども、この「あり方を検討する。」というのは、そういう方向で検討するというふうに理解してよろしいのでしょうか。
  180. 保岡興治

    保岡議員 そのとおりでございます。できるだけ早くそういう採用ができるような経済状況をつくることがまず肝心で、今は本当に危機的な状況にありますので、まずそれを克服することを最優先に対応していこうと思っていることで、その理想的な案の採用はできるだけ早い方がいいと思っております。
  181. 上田勇

    上田(勇)委員 できるだけ早い方がいいということでありますが、先ほど保岡先生も、二〇〇〇年三月期までには企業会計審議会で時価会計の採用、これをもう既に打ち出しているわけであります。実際にどういうふうにするかというのは、いろいろな導入の方法はあるのかもしれませんが。そういうことであれば、少なくとも二〇〇〇年三月には時価会計によって株式評価するということになるわけでありますから、それを前倒しするというのは、私は十分可能なのではないかというふうに思うわけであります。  そこで、まず最初にお伺いしたいのですが、企業会計審議会において、これは国際会計基準委員 会の動向も踏まえてのことでありますが、二〇〇〇年三月期までに時価会計の採用を打ち出している、これはどういう趣旨によられるのでしょうか、ひとつお伺いしたいと思います。
  182. 伏屋和彦

    ○伏屋政府委員 お答えいたします。  企業会計審議会が、去る六月に「金融商品に係る会計基準の設定に関する意見書」という公開草案を公表いたしまして、金融機関に限らず、企業会計全般についての基本的な考え方といたしまして、市場価格による自由な換金、決済等が可能な金融資産につきましては、時価評価することが必要であるとしているわけでございます。  具体的には、市場性のない有価証券、満期保有目的の債券等は原価評価をする。それから、売却目的の有価証券とかデリバティブ等は時価評価をする。それから、その他の有価証券時価評価をするが、評価損益は損益計算書には計上しないということで、これは、今先生の言われました意味では、平成十二年の四月以降開始事業年度から実施するということに審議会の方ではなっております。
  183. 上田勇

    上田(勇)委員 これは国際会計基準においても、時価評価の方がその企業の財務内容、経営実態をやはり的確に評価しやすい、的確に評価できるがゆえにそういうふうに国際的に改めていこうということであると思います。  先ほどいつごろを想定しているのかという質問に対して、なかなかその時期を特定するのは難しいというようなお話でありましたけれども、実は来年はもう九九年の期末でありますし、二〇〇〇年の期末というのはその次であります。そういう意味では、もう具体的にこのころをめどにという考え方がないと、今の方針はちょっと守れなくなるのではないかというふうに思います。  これは金融機関も含む全企業を対象にしている会計基準の改正であるというふうに思いますけれども、これの関係について、今この金融機関の会計基準のあり方、できるだけ早くというようなことでなくて、残されている期間はもう一年ちょっとしかないわけでありますから、その辺、実施のスケジュールについてもう少し具体的なアイデアがあってしかるべきであるというふうに思いますけれども、具体的なスケジュールについては言及していただけないのでしょうか。
  184. 保岡興治

    保岡議員 時期をいつということをここで申し上げるのはやはり難しいと思います。  ただ、既に先ほどから議論に出てきておりますとおり、二〇〇一年三月期からの実施予定や、それから金融が安定すれば、できるだけ早く国際会計基準なども勘案してしかるべき対応をするということを我々方針として明らかにしておりますので、それなりの準備を監督当局やまた対応する金融機関において備えているというふうに考えられるのではないかと思います。
  185. 上田勇

    上田(勇)委員 もう一つ、先ほどこの問題について述べましたが、やはり行政の判断で会計基準が突然変わったということについて、私は非常に不透明感があったのじゃないかというふうに思うわけであります。  今保岡先生の方から、すぐに評価方法を変更するというのはなかなか難しいし、スケジュールを特定するのも難しいというようなお話であったのですが、であれば、行政のみの裁量でそうした変更が行われるといったことは極力回避するというためにも、また金融機関の財務内容をより正確に把握できる、そういったことをするためにも、やはりこれはどういう評価法、今のでは選択制でありますので、大半の銀行は原価法を採用しているというふうに承知しておりますけれども、これがいわゆる投資家あるいは第三者に対して正しく判断できるためにも、こういう株式等有価証券や土地等の資産の評価基準、これらについては法律において規定すべきではないかというふうに考えますが、提出者、それについてお考えがあればひとつ伺いたいと思います。     〔山本(有)委員長代理退席、委員長着席〕
  186. 山本幸三

    山本(幸)議員 その点におきましては、今、修正協議の中で、できるだけそういう方向も考えながら交渉が行われているというように理解しておりまして、そうした趣旨を生かしていくことができたらと思っております。
  187. 上田勇

    上田(勇)委員 やはり今批判があるのは、行政の裁量の幅が余りにも大きい、あるいはその辺の決定が不透明だというようなことでありますので、その辺、より明確になるように、ひとつぜひ前向きな検討をお願いしたいというふうに思います。  先ほど来この評価基準の問題について、実は株式市場の動向にやはり金融機関の財務内容が左右されてしまう、株式市場が乱高下したときにはその都度その都度経営の状況が変わってしまうし、近年のように長期に低下している、低落している状況の中においては、銀行の財務内容を悪化させ、自己資本比率を低くしてしまうということで、そのために会計基準を変えたり、小手先と言っては何ですが、実はいろいろなそういう対応をしてきたわけであります。  アメリカにおいては、こうした株式市場の動向によるリスクで預金を預かっている銀行自体に影響が出ないように、銀行による株式の取得、保有をかなり厳しく制限しておるのですけれども、これは今すぐに実行できるというようなことではないと思います。そういった銀行の将来的な経営の安定といったことを考えるときに、私はそういったことも制限していかなければいけないというふうに考えるのですけれども、その辺、提出者の御意見を伺いたいというふうに思います。
  188. 保岡興治

    保岡議員 今直ちにそれを行うことは、委員も御指摘のとおり、なかなか厳しい環境にありますので難しいと思いますが、将来は、銀行、金融の資産を安定させるためには、おっしゃるような株式の保有の何らかの制限の方向を検討していくことも一つの方向だと思います。
  189. 上田勇

    上田(勇)委員 ぜひ今後の課題として一緒に御検討をお願いしたいというふうに思います。  次に、法案の中身についてさらにお伺いしたいのですが、この法案の中で、過少資本行、著しい過少資本行、そういった定義につきましては金融再生委員会規則に定めるということになっております。  先日の本会議で、御答弁提出者の方で立たれまして、これについてのお考えも述べられております。この考え方というのは、私もほぼ同じでありますし、一般に今いろいろなところで有識者が御提案されているものとも共通しているものではないかというふうに思うのです。であれば、この辺の定義をもっと明確に法案で明示していただく方がより明確でわかりやすいというふうに考えるわけでありますけれども法案に明示せず金融再生委員会の規則で定めるというふうにされている理由につきましてお考えをお聞かせください。
  190. 村田吉隆

    村田(吉)議員 提出させていただきました法案上は、著しい過少資本行については、自己資本比率が〇%以上四%未満、そういうことにさせていただいておるわけであります。  基準を法定化しろという御指摘でございますけれども、現在、BIS基準に基づきます自己資本比率規制での同様の区分は、銀行法の施行規則、省令でございますが、それで定められているという法令上の並びもございます。また、金融とかあるいは経済上の緊急性に迅速に対応するという観点からいっても、法案化はなかなか難しいというふうに考えておりますが、ただいま法案修正作業中でございますから、委員のおっしゃるような基準の明確化、法定についてはなるべく努力をさせていただきたいというふうに思っております。
  191. 上田勇

    上田(勇)委員 私は、なるべく今回の法案、いろいろと公的資金金融機関に投入するという法案で、これは本当に多くの国民のちゃんとした理解を得られなければできないことであると思いますので、そのためにはやはり一つ一つの事柄をより明確にしていく、このことは非常に重要なことであるというふうに思います。  従来、日本の法制は結構多くのことをやはり政省令で定めていくというような、そういう体系をとっているのですけれども、特に、とりわけ今回 はそういう直接的な国民の負担にかかわることでありますので、できるだけわかりやすく、透明なところで法律に盛り込んでいただく、そのことをひとつ大原則として修正に当たっていただきたいというふうに思うわけであります。  もう一つ、この辺の議論につきましてはこれまでも、先ほど来の議論の中で出てきておりますが、自民党から出されております「金融システム早期健全化対策の概要」というペーパーの中で、「自己資本比率八%以上の優先株式等の引受けは、原則として破綻金融機関の受皿となる金融機関及びそれに準ずるもの、」等々と書いております。かなり限定的に書いておるわけであります。  ということは、つまり八%以上の銀行、過少資本にはなっていない銀行については、やはり限定的な場合にしか資本注入を行わないというふうに理解できるのですが、そういう方向で今回の法案について修正をお考えになっているというふうに考えてよろしいのでしょうか。まず、ちょっとそこを最初にお伺いしたいというふうに思います。
  192. 山本幸三

    山本(幸)議員 そのことも修正協議の対象になっていると理解しております。
  193. 上田勇

    上田(勇)委員 ということは、自己資本が八%未満の過少資本行くの資本注入を行った場合でも、そういう例外的な場合を除いて、いわゆる限定的な場合を除いては、原則自己資本比率が八%、これを上限とするというお考えだというふうに理解してよろしいのでしょうか。
  194. 山本幸三

    山本(幸)議員 資本増強の額、金額を幾らにするかということは、具体的にはこの法律で決めていないわけでありますけれども、実際の運用といたしましては、金融機関から申請があって、それを再生委員会法律に規定された基準あるいは要件に照らして決めるわけでございます。その場合には、資本増強後に八%を結果的に超えるということもあり得るとは思いますが、その辺は再生委員会が慎重に検討すると思います。  また、銀行の方も、銀行経営上資本がたくさんあればいいというものでもないと思いますので、つまり資本コストかかかるわけでありますので、その辺は銀行側もそういうことを十分に勘案して申請してくるものと思います。
  195. 上田勇

    上田(勇)委員 今、私がお伺いしたのは、八%を超える銀行というのはこういう条件でなければ資本注入できない。ということは、それより下回っている銀行でも、やはり八%を超えたら、その条件を満たしていない限りにおいては、さらに資本注入ができないというふうに理解するのが普通なんではないかと思うのですけれども、その辺、そういうふうにも聞こえたのですけれども、もう一回明確にお願いできますか。
  196. 山本幸三

    山本(幸)議員 はっきりとそこで切るというようなことはないと思いますが、当然八%以上がそういう基準になるということを念頭に置いて考えるものと思います。
  197. 上田勇

    上田(勇)委員 法案の中身につきましてまだ何点かお伺いしたい点もあるのですけれども、ちょっと時間の限りもありまして……。  実は、きょうひとつ大蔵大臣にお伺いしたいのですが、これは文芸春秋の十一月号の記事でございますが、覆面官僚Xなる方がこの金融法案のことにつきまして文章を書いております。「長銀処理 患者たちの選択」「与野党合意が国を滅ぼす」というような内容でございます。  匿名でありますので、その真偽のほどというのも明確にはなりませんが、またそうした匿名の記事を載せる雑誌の方にも私は問題があるというふうに思います。しかし、こういう形でこういうのが載りますと、ましてこれは結構それなりに権威のある文芸春秋という雑誌でございますので、少なくともこれを読まれた読者の方は、行政府の中にもこうした意見があるというふうに考えるのは当然ではないかと思います。  そこで、この辺をちょっと——この内容は、これまでの政府の金融問題への対応、それから今議論しております早期健全化スキームについていろいろと意見を披露しております。とりわけこれまでの政府の金融問題への対応につきましては、そのまずさを手厳しく批判をしておるのですけれども、そうした意見については私も傾聴すべき点もあるというふうには思います。  しかし、この内容は確かに、表題が言っているほど内容は過激なものではないのですけれども、やはりここで述べられている意見というのは政府・与党の見解とは異なっているものだというふうに私は思いますけれども、行政の中でこうした意見というのが支配的なんでしょうか。また、こういう形で匿名で、真偽のほどは、何せ覆面官僚としか書いておりませんのでわかりませんけれども、こうした形で意見を表明するといったことを、行政の中におけるあり方といたしましてどのようにお考えなのか、ひとつ大臣に御意見を伺いたいと思います。
  198. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 問題の記事を私は実は読んでおりませんので。覆面の座談会となれば、はっきりした主張よりはいろいろな主張がまざり合っているのかもしれませんので、もともと読んでおりませんのでその内容を批判できませんですが、きっと、こういう難しい状況でございますから、そう簡単に対策が出るはずはない。  国会の御審議において、まず最初の安定化の法案が成立をいたしました。また、願わくは健全化法案も成立をさせていただきたいと思いますが、考えまして、今この二つ法律が両輪になって、破綻あるいは破綻に瀕した、事実上破綻の金融機関の処理と、それからそうでない存続可能な金融機関の増強ということが、両方とも、今の我が国の金融界にとって国内的にも対外的にも大変大事な問題だと考える点で、私は皆様と同じ意見でございますので、多少右へ行ったり左へ行ったり、いろいろな議論がありましても、そういうところでこの国会が結論を出していただければ、それはだれも基本的な批判はできないのではないか。  そういう両輪がそろいましたら国際的な信認も受けることができますし、また後、金融行政が本当に自由競争に立って、護送船団を離れて新しく出発する基盤がこれでできると私は信じておりますので、どういう覆面の方々の意見であるかは存じませんけれども、私はそういうふうに思っております。  それから、役人諸君が、大分いろいろうっくつしておりますから、そういうところで大いに物を言うのも、それは言いたいだろうと思うし、特に私は中身を知りませんのですが、そういうこと自身をとめたいとは思っておりません。
  199. 上田勇

    上田(勇)委員 私は、きょう、大蔵省の方にはこのコピーもお渡しをいたしまして質疑通告をしておりました。もちろん、それだから読んでいなければいけないということではございませんけれども。  これは、申し上げますと、今までの大蔵省の金融行政につきまして、例えば、金融再生関連法案の混迷を見ていると、これまでとられた金融安定化策が散発的で一貫性に欠けていたため論議の混乱が起こっていると感じられるというようなことを、これは特に座談会で別に放言しているわけではなくて、みずからこの方が執筆をされて書いているものでございます。ということは、行政の中で、この方は大蔵省なのかどうかはわかりませんし、実在の人物かどうかもわかりませんが、そういった意見が結構省内では多いのかな、支配的なのかなというような気がいたしましたので質問をしたわけでございますが、結構でございます。  それで、最後にまた大蔵大臣にひとつお伺いしたいのですけれども、先ほど提出者の保岡先生の方から、一つ有価証券時価会計主義の導入、これもできるだけ速やかに導入していきたい、二〇〇〇年三月ということも念頭に置いてできるだけ速やかに導入をしていきたいというお話、それからまた、中長期的な話といたしまして、銀行によります株式の取得、保有についても、すぐに制限するということは無理なのは私も承知しておりますが、それについても、その方向も含めて検討すべき課題ではないかというようなお話がございました。  この二つの点につきまして、大臣としての御所見を伺いたいと思います。
  200. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 先ほどから御質問の御趣旨は明らかでありますし、また、保岡議員がお答えになった内容も私は明らかであると思っています。  ただ、私がここでお答えいたしますと、何かその部分だけが突然歩き出すことがしばしばございますので、今としては、先ほどのお二人の質疑応答を伺っておりまして、私もいずれの日かはそういうことが望ましいのだろうというふうに感想を持っておりますことだけを申し上げます。
  201. 上田勇

    上田(勇)委員 もう時間も参りましたのでこれで終わりますけれども、先ほど提案者の方からも、今修正の協議が同時に進められているというふうに伺っております。我々野党の方もいろいろと意見を申し上げさせていただいている次第でございます。  本当にこの早期健全化スキームというのは、いっときではありますが非常に莫大な公的資金を投入することでございますし、やはりまだ国民の中には、何で金融機関のために税金を投入しなければいけないのだ、こういった根強い不信感というのはもう本当に、多分提案者の先生方も地元に行くとそういう御意見というのはかなり強くまだ聞くのではないかというふうに思います。  その意味で、本当に理解が得られるように極力透明性の高いものにしていかなければいけませんし、そのためには、ぜひともまた我々野党が御提案申し上げています御意見についても十分御配慮をいただきまして、より多くの国民納得できるような内容にしていただきたいことを期待して、質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
  202. 相沢英之

    相沢委員長 これにて上田君の質疑は終了いたしました。  次に、鈴木淑夫君。
  203. 鈴木淑夫

    ○鈴木(淑)委員 自由党の鈴木淑夫でございます。  ただいま当委員会で質疑を行っておりますいわゆる金融健全化法を中心に、宮澤大蔵大臣並びに提出者に質問したいと思います。  申すまでもないことですが、今、日本は戦後例を見ない大変な金融危機に直面しているわけで、金融危機にはさまざまな側面があるわけであります。これに対処するためにさまざまな法案が用意され、あるいは今最後にここで審議をしておるわけでございますが、一番最初に、貸し渋り対策を主なねらいとしたのでしょうか、例の十三兆円枠を用意した金融安定化法案が通る。それから二番目に、きょう参議院で可決、成立いたしました金融再生法が出てきた。そして三番手に、今ここに金融健全化法が出ているわけでございます。  まず、宮澤大蔵大臣の御見解を伺いたいのですが、金融危機のさまざまな側面に対して、この三つの法律というのはそのどこに対応しようとしているのか。したがって、この三つの法律というのはどこが違っておるのか、どういうふうに関連しているのか。どう考えておられるかお答えいただきたいと思います。
  204. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 これらの金融関連法案について、両院におきまして非常に長い間御審議を今日までいただいておりますけれども、その御審議の中で、おかげさまでいろいろ問題が整理されてきたというふうに、私は基本的にそういう印象を持っております。  私どもは、例えばブリッジバンク等でごらんいただきますように、預金者ばかりでなくお客さんも、いい顧客というのは何とか困られないようにしたいというような気持ちを持って、ああいう金融管理人のような制度をつくってお願いをしたいというふうなことをお願いしていたわけですが、それがさらに展開をいたしまして、いわゆる破綻の場合、あるいは破綻に極めて近いような場合に公的な管理をするというような御発想があって、そちらの方へ一つ問題が整理されました。  と同時に、今度は、破綻に至らない持続可能な金融機関について、今のような我が国の現状の中で、それを強化し、また金融システムの信用を回復するというような意味を持ちまして、ただいま御審議の法案が続いて出てきたわけでございます。  御審議を通じまして、私どもがなるほど十分でなかったと教えられましたことの一つは、そういう金融機関の今の状況について、十分経営者に対して責任が問われていないということが一点であります。したがって、今後ともそういう責任は十分に問わなければならないということを非常に強く、両院において、殊に本院において御主張がありました。  このことは、私、思ってみまして、アメリカの金融機関において経営者が我が国に比べればはるかに早く交代をしていく。これは金融機関に限りませんですけれども、経営者というものがかなり早く交代をしていく。我が国はそういう意味では非常にゆっくりでございますが、それは、やはり責任追及ということが内部でも外部からも相当厳しい。したがって、その責任にたえていくのにはのんびりした経営は恐らくできないということを指摘されているのだと思います。これは、日本の経営者、今金融機関の話ですが、体質がやはり変わっていく一つの御指摘だなというふうに思っています。  それからもう一つは、ディスクロージャーについてでございます。これは、我が国の場合、簡単に例え事で申しますと、ちょっと病気のときはなるべく世間に言わない方がいいんだという哲学がございますが、御承知のようにアメリカでは、病気だと言われたときは白状してしまった方が大したことないんだなということで、黙っていると死ぬんじゃないかというふうに受け取られる。ディスクロージャーの問題はそういう部分がございますから、我が国では、やはりディスクローズした方が自分の得なんだというふうにこれで哲学が変わってくるだろう、それは当然厳しい検査があることが前提でございますけれども。ディスクロージャーのための基準もはっきりし、画一化され、またディスクロージャーをする方が得なんだというような損得の考えが生まれて、自然にそこからディスクロージャーというものが確立してくる。したがって、それはお客さんにとっては、消費者にとっては非常に利益なことでございますけれども。  三つの法案の御審議を通じてそういうことがかなりはっきりして、しかもそれが、願わくは、恐らく法律としてこれから行われることになる、これで私は日本金融機関のあり方が恐らく一変するであろう、御審議を承っておりましてそういう印象を持っております。
  205. 鈴木淑夫

    ○鈴木(淑)委員 三つの法案の審議を通じて蔵相が特にお感じになったことは、経営者責任の追及が不十分であるとか、ディスクロージャーについて、どうも日本人の考え方は世界に通用しない、変えなきゃいけないんじゃないか、その二点をおっしゃったわけで、私もその限りではそのとおりだと思います。  その前に、金融再生法と金融健全化法の違いについて、簡単に言ってしまえば、再生法というのは破綻金融機関の処理、どうやって処理するかということ。預金者へ迷惑をかけず、借り手にも迷惑をかけず、そして何よりも金融市場、決済システムを動揺させないでどうやって処理するか、これが主なねらいである。  それに対して、今ここへ出ております健全化法案の方は、生きている金融機関、しかし不良債権を抱えていてふらふらしておる、償却させれば資本が減っちゃう、この連中をどうやって再び力強く金融機能を発揮できるような金融機関に立ち直らせるか、それはひいては日本金融システムを立ち直らせるか、そういう違いがあるということだと思うのですね。  そうしますと、蔵相、金融健全化というのは、破綻するような個々の金融機関の処理ではなくて、生きている金融機関全体、ひいてはシステム全体の活性化の話であります。そうすると、順序としては、まず生きている金融機関、しかし不良債権相当抱えておる。日本不良債権問題とい うのは、実は破綻する金融機関不良債権の処理、これも大事ですが、それよりも景気の足を引っ張っている不良債権問題といえば、生きている金融機関が抱えている不良債権がいつまでもいつまでも先送りされていることこそが景気の足を引っ張らている。これをどう処理するかということですから、この金融健全化法案には真っ先に、不良債権をもうこれ以上処理をおくらせないで思い切って引き当て、償却をさせるのだという話がイの一番に出てこなければいけないと私は思うのですね。  しかし、そうすれば資本が毀損しますから、毀損するが、しかし債務超過じゃない、頑張っておる、この連中に元気を出してもらわなきゃ日本金融システムはもうおしまいだ、だから資本注入する、こういう順序になってくるのだろうと思うのですが、私は、この提出された法案を見て一番最初にびっくりしたのは、「第一章 総則」ですか、それの第一条「目的」のところに不良債権処理という言葉が入っていないのですね。  最初に自民党さんが健全化スキームの概要というのをお配りになったときは、その前文にはっきりと、不良債権を速やかに処理するとともに、資本を増強し、経営体質を強化し、もって金融システム健全化すると。ところが、この肝心かなめの不良債権処理、思い切って処理するというのが目的から抜けちゃっているわけですが、蔵相はこれについてどうお思いですか。
  206. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 それは、私は仰せられるとおりであると思います。  ですから、この法律案の目的は、恐らく第一条でございますから、「内外の信頼を回復する」、これはよろしゅうございますが、その次には、やはり金融機関等の不良債権の処理を速やかに進めるということが論理としては次に来ませんと、後の話は出てこない、私は、御指摘のとおりに思います。
  207. 鈴木淑夫

    ○鈴木(淑)委員 御同意をいただけまして、大変私もうれしく思います。私は、ずっとこれを主張しておりまして、テレビの座談会でも何回も何回もそれを言っておったので、今大蔵大臣、そのとおりと言ってくださったので、ぜひ修正するときはこれを入れるべきだと思います。  もう一つ、私、この法案を見ていてえっと思いましたのは、第二章でもういきなり資本増強といいますか、株式引き受けの話が始まっちゃうわけですよ。これも、総則の後いきなりもうお金を入れる話が出てくるじゃないか、何だこれはと。お金を入れる以上はその前提がたくさんあるじゃないか、そういうことがこの法律では明示をされていないじゃないかということですね。  だから、まずその前提、何よりも大事なことは資産の査定をきちっとするということであり、そして今御同意いただけましたように、その資産査定に基づいて引き当て、償却をきちっとやる。そのときの引き当ての率はこうだとかいう話、また有価証券などの資産であれば評価方法をこうするといった話、そういった一連のことがばあっと第二章で出てきて、その上で、これをクリアした連中に資本を入れるのだということでないと、この健全化法案はとても私どもは賛成しかねると思っております。  なぜ、資本投入の前にそういう大事な、必要な前提条件がすっぽり法案から抜け落ちてしまったのだろうかと思うのですが、大蔵大臣、その点はいかがでしょう。
  208. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 私は実は、大蔵大臣になりましたときに、従来の法律、預金機構なんかの法律でございますけれども、それを読んでみまして、大変にわかりにくくて困ったのでございます。理由を聞きましたら、預金機構というものを中心に法律ができておりまして、そこをあちこち直すものですから、行為法らしい法律が出てきまして、組織法みたいな部分が出てきまして、何をするかということがなかなかわからないように書いてございました。  今度もややそういうところがあって、預金保険機構というものからあちこちを直していこうという、何か法技術的にそういうことがどうも出ておりますようで、したがって大変に順序も、第二章に「金融機関等の資本の増強に関する緊急措置」というのがありますが、その前に何かなきゃおかしいわけです。どうも保険機構等々が何をするんだという、そっちの方を主に法律を書いているらしくて、これは法技術的なことらしゅうございますけれども、大変におっしゃるような感じを私もまた持っております。
  209. 鈴木淑夫

    ○鈴木(淑)委員 そこで、提案者にもお伺いするのですが、今宮澤大臣、私と全く同じ意見だと言うのですね。これはやはりおかしいのですよ。健全化法だったら目的に不良債権処理というのが入ってなきゃいけないし、次にいきなり金を入れるという話じゃだめなので、不良債権処理をして、それで、お金を入れるに当たっては、資本を入れるに当たってはこうこうこういう条件をクリアしなきゃいけないといって、我々野党がもうずっと前から言って、今蔵相もこれは大事なことだとおっしゃった開示の問題ですね、資産内容の開示の問題。  それから、どうやって資産を分類して、どういう割合で引き当て、償却をするかという話等々があって、これを満たせばこうこうこういう条件のもとで引き受けしてあげるよという話が出てこなきゃいけないのに、今蔵相は法技術的にとおっしゃいましたが、それにしても僕は大事なところがすっぽ抜けた法律だと思っていますが、やはり提案者も蔵相と同じように、しまったと思っておられますか、それとも、これでいいんだと思っておられるのなら、これでいいんだと言ってください。
  210. 保岡興治

    保岡議員 先生に、極めて本当に適切な御意見と承りました。  我々も昨年の暮れから金融の安定化のためにいろいろな努力をしてきたのですが、それは、不良債権金融機関から実質処分する、オフバランスする、このことがきちっとできないと金融の安定は得られないし、金融の再編、構造改革も進まない、今のような厳しい状況も抜け出せない、そういう点に焦点を合わせて努力してきたことを考えると、まさに宮澤大蔵大臣も先生も言われたとおり、これを目的の中に入れるのは貴重な御意見だというふうに思います。  それからまた、この資本の増強を実施するに当たっても、資産の査定が適切に行われていることや引き当てがきちっと行われていること、また金融商品などが適切に評価されているということが大前提になると思いますし、また、そういったものが国民の理解を得てこの資本増強が行われるということを考えますと、健全化計画などの開示もできるだけこれを行っていくということが肝心だと思います。
  211. 鈴木淑夫

    ○鈴木(淑)委員 おっしゃるとおりで、経営健全化計画を出すのが資本投入の条件になっているけれども、これを見ますと、こういったことについては「十分な開示に努める」と書いてあるんですね。「に努める」なんというのんきな話じゃ困るので、これは開示を行うとびしっとしていただかなければいけないと思いますし、それから経営健全化計画の履行状況についても、これを公表する義務を課すべきだというふうに思います。そういう形で、ぜひとも情報開示についてもう少しきちっとした修正をしていただきたいと思います。いかがですか。
  212. 保岡興治

    保岡議員 健全化計画の公表や履行状況の公表、そういったものを、単に努めるという努力規定じゃなくて義務的規定にしたらどうか、こういう御意見でございますが、大変貴重な御意見だと承知いたしました。
  213. 鈴木淑夫

    ○鈴木(淑)委員 ぜひそういうふうに修正する方向で御努力いただきたい。  さらに言えば、我々しばしば言っているのですが、やはり罰則規定が要るんだろうと思うのですね、罰則規定が要る。これは、健全化計画についても当然虚偽報告をしたら罰則規定が要る。こういうことを言いますと、すぐに、いや一般的な罰則規定みたいなものが銀行法にあるからいいんだ よなんて言うわけですが、これはやはりこの法律の性格から考えて、びしっと罰則規定もここに明示をすべきだと思いますが、提出者はいかがでございましょうか。
  214. 保岡興治

    保岡議員 健全化計画の中に虚偽の事実があったら、それはきちっと訂正されるべきだと思いますし、そういったことを金融再生委員会において求める権限というものも当然配慮しなきゃならないと思いますし、また、その中に虚偽の事実が記載されていた場合などについては、しかるべくペナルティーが課せられるのが適当だと、私もそう存じます。
  215. 鈴木淑夫

    ○鈴木(淑)委員 大変物わかりのいいお返事ばかりいただいて、それでは必ずそのように修正していただきたいと思います。  その場合でも、こういう議論をよくなさってきたのです、これまで。余り厳しく、うそついたら罰則だぞとか業務改善計画はディスクローズしなければだめだぞとか、どんどんハードルを高くして厳しくする。それはもう国民の皆さんから見たら、そうしてもらわなければとても貴重な金なんて入れられない。しかし、そういうふうにすればするほどだれも手を挙げなくなってしまうんじゃないかという御意見が時々出るのですね。御答弁の中でもそういうニュアンスは出ます。その点についてはまだそういうふうに考えておられますか。余り厳しくするとだれも申請してこないんじゃないかと思っておられますか。そうしますと、これは健全化計画がワークしないのですよね。その点、一種のトレードオフの関係にあるのですが、どうお考えでしょうか。(発言する者あり)
  216. 保岡興治

    保岡議員 今委員の皆様から両方だという声が上がっておりますけれども、私もそのように思います。  おっしゃるように、内容が虚偽であったり事実と違うような、実行不可能なそういった内容であると困るのは当然でございますけれども、例えば、経営責任あるいはリストラその他、公的資金を入れる以上は、これは当然厳しい条件というものが考えられなければなりませんが、それも具体的ケースというものをよく考える必要があると思いますし、また、先生も言われるように、一方ではできるだけこれがワークするように、まず金融機関を取り込んで、そして金融再生委員会ないし監督当局とのコミュニケーションの中で、本当に正しい資本注入は何かということがきちっと相談され、そして最終的には権威のある、責任の重い委員会で決定されるべきだと思います。
  217. 鈴木淑夫

    ○鈴木(淑)委員 先ほど大蔵大臣に御同意いただきましたように、何よりもこの資本注入大前提は、今度こそきちっと引き当て、償却をすることだ。その上で資本が足りなくなったときに、その経営を助けるためじゃない、システム全体を健全化するために一斉に入れるというわけであります。  そういう政策理念からいいますと、私は、手を挙げないやつがいたら困るななんというんじゃなくて、この法律で決めたとおりの引き当て、償却をした結果四%あるいは八%の所要自己資本比率を満たせなかったら、これは業務改善命令を使ってでも、金を入れてやるから満たせ、それはおまえのためじゃない、システム全体のためだというぐらいの姿勢が欲しいと僕は思うのですね。  なぜこんな強いことを言うかといえば、もうよく御承知のように、銀行業は免許制です。なぜ私企業なのに免許制かといえば、これまたよく御存じのとおり、決済システムという公共財の担い手だからですよね。国民にとってもう欠くことのできない公共財、決済システムの担い手だから免許制なんですよ。そのことから、今度は逆に業務改善命令が出せるわけですね。  私企業に余り強いことを言うのもねとかおっしゃいますが、それは四%、八%の所要自己資本比率を達成している銀行についてはそうかもしれない。だけれども、達成していなかったら、つべこべ言わさないで、一斉に業務改善命令を出してでも資本注入していかなきゃ、日本のシステム全体の抜本的な健全化なんかできないと思うのですね。  その点は大蔵大臣にお伺いしますが、業務改善命令を出してでもやらせるべきで、手を挙げないやつがいたら困ったななんていって条件を緩和するようなことがあってはならないという点はいかがでございましょうか。
  218. 保岡興治

    保岡議員 確かにこの法案の基本は申請主義になっております。しかしながら、先生が言われるように、やはり政治家としてこの法の適切な運用というか、制度の趣旨に沿ってどのような効果を期待するかということを念頭に置いたら、今の非常に危機に瀕している金融の状況とか経済の状況を反転させるためには、国民や世界に対して、我が国の金融の信認になるようなかなりきちっとした思い切った措置をとらなきゃならない、そういうふうに思います。  サプライズという言葉もありますが、何かびっくりして企業心理や消費者心理が反転していくような、なぜそういうことをやったのだということがきちっと説明されて、それが金融危機回避や経済の回復につながるようにしなければならぬというのがこの法律の大きな目標だということを考えれば、申請主義には立っておりますが、やはり自己資本比率の区分に応じては、先生が言われるように、早期改善措置というのも効果的に運用しながら、なおかつそれ以外でも、銀行法二十六条一項のような業務改善命令を思い切って発して、金融再生、再編あるいは危機回避の全体像がきちっとできるように、私は、かなり一括した対応がこの制度の運用として期待されているのではないかというふうに感じております。
  219. 鈴木淑夫

    ○鈴木(淑)委員 御同意いただけて大変うれしく思いますが、これに関連して、ここにお出しいただいている法案ですと、過少資本行、著しい過少資本行と二つぐらいに分かれていますが、対応のことを考えると、実はもう少し詳しい区分けが必要なんだと思うのですね。  著しく資本不足というのは、四%ないし二%以下を頭に置いているのだと思いますが、そのもっと下の方、二%ないし一%以下のところ、これはひょっとしたら債務超過になっちゃうかもしれない、あるいは債務超過なのかもしれないような物すごい厳しいところ、ここは本当に存続可能なのかどうかわからないグループ、これに対する対処の仕方というのは、やはり二から四ないし一から二のところと区別すべきだというふうに思います。  それから、さらに、これは前々からここの委員会議論になっているのですが、四%ないし八%を達成している連中の取り扱いですよね。どういう場合にその連中にも資本注入してやるかという条件が法案の中にはっきり出ていないわけですね。そういうわけで、私は、四つぐらい銀行を区分けした上で、きめ細かな対応というものを法案の中にもっと入れてこなきゃいけないのじゃないかと思っておりますが、そういう修正をするお気持ちはありませんか。
  220. 保岡興治

    保岡議員 先生が言われているように、資本増強の一つの区分として重要なメルクマールになる自己資本比率、これについては、八%以上のもの、あるいはそれを切るもの、さらに四%を切るもの、さらにそれを半分にして二%を切るものと、四つぐらいの区分を、やはり基本的なことだから法律上きちっと明示すべきじゃないかという御意見でございますが、これは私も本当にそういうことを考える必要があるのかなと、今先生の御意見を聞いてそう思いました。  そしてまた、その区分に沿ってリストラとか経営責任あるいは株主の責任、こういったことも、区分に応じた対応というものもおのずからあると思いますが、それについても原則的なことはきちっと書いておいた方が、運用上、基本的なことなのでいいのかなという気もいたしたところでございます。
  221. 鈴木淑夫

    ○鈴木(淑)委員 ぜひそうしていただきたい。そういう方向で、もっときめ細かく書き込んで、四つに分けて、それぞれに対応した違う条件をきめ 細かく書き込む方向の修正をすべきだと我々は思っています。  その場合、一番下の二ないし一を切っているようなところについても、この原案、今出されている法案では資本注入あるべしということですが、私どもはこの辺はちょっと危ないと思っているのです。うっかりしたら債務超過の経営を救済することになりかねないぎりぎりのところだと思いますので、ここももう少し注意深く厳しい条件を課して、本当に必要でなければ、自分で立ち直ってごらんなさい、それで立ち直れなかったら、これはやはり市場かち退出してもらわざるを得ない。  さっきも言いましたように、これは公共財の担い手ですから、やはり場合によっては業務停止命令で、きょうでき上がったこの再生法で整々と整理するという方向でこれは考えるべきじゃないかと思うのです。もう少し厳し目にお考えいただきたいというのが我々の意見ですが、いかがでしょう。
  222. 保岡興治

    保岡議員 その点についても、極めて著しい過少資本行という最低ラインについては先生のおっしゃるようなことを考慮して、基本的な原則は少し明細に定めることも大切かと思います。
  223. 鈴木淑夫

    ○鈴木(淑)委員 極めて著しい場合について今申し上げたのですが、それよりちょっと上の著しい過少資本行の場合に普通株の引き受けが入っておりますね、優先株じゃなくて。  提出者にお伺いしますが、どうしてこれは非常に悪いときは普通株ということになっているのでしょうか、優先株じゃなくて。これはどういう根拠ですか。
  224. 村田吉隆

    村田(吉)議員 お答えいたします。  昨日のテレビを私も拝見をいたしておりまして、これに関連しまして先生の御意見も拝聴いたしたところであります。  私ども法案では、著しい過少資本行に対して、資本注入をするだけではなくて、適切な経営に対して関与いたしまして、それで銀行のあるいは経済全体の再生を図る、こういう考え方にのっとって普通株という種類を、著しい過少資本行に対してはそういう選択をしたわけであります。
  225. 鈴木淑夫

    ○鈴木(淑)委員 それならば、別に普通株なんか取得しなくたって、銀行法に基づいた業務改善命令を出せばいいじゃないですか。議決権のある普通株でないと介入できないとでも考えておられるのですか。これは、当局は銀行法で介入できますよ。
  226. 村田吉隆

    村田(吉)議員 そのとおりでございますけれども、普通株を取得いたしまして、それで直接的な経営に関与する方が経営への参加としては直接的であるということで、銀行法上の二十六条の改善命令等とは異なって、やや直接的な効果が期待できるというふうに考えた次第であります。
  227. 鈴木淑夫

    ○鈴木(淑)委員 そうでしょうかね。株主の一人として入っていった方がいいのでしょうかね。それだったら、物すごくたくさん買わないといけないとか、厄介な話が起きると思いますよ。物すごくたくさん買うと、今度は株式市場における株価を左右いたしますから、そういうので入っていっていろいろやって、大分よくなってきたから売ろうといったら、これは、インサイダー取引だとは言わぬが、こんなことをしていいのかねという話にもなるし、マーケットの価格形成に対して、攪乱的というか恣意的というか、そういう問題が起きると思うのですよ。だから、株主として発言権を強めるというのは、やればやはり今言ったような市場に対する攪乱的影響が出るし、そこまでいかない、ちょっと買うだけだというのだったら、それならもう業務改善命令でいくべきだと思うのですね。  だから、著しく過少資本の場合、銀行を指導するのに議決権が要るのだという思想は、僕はちょっと理解できない。当局として銀行法に基づく業務改善命令で十分対応できるというふうに思っております。いかがでしょう。
  228. 山本幸三

    山本(幸)議員 先生の御趣旨はよくわかりますけれども、そうでありますが、銀行の今の経営はいわゆるBIS基準なりで行われておりまして、あるいは大蔵省の早期是正措置もそういう一応のパーセントの基準がありますので、そういうことをクリアするためにも、本当資本が少ない場合にはやはりそれなりの資本注入した上で、当然業務改善命令もやらなければいけないと思います。その上で、しかもその経営がとても、ほっておいて十分にそれが達成できないという場合も、これは例外的だと思いますけれども、あり得るというように考えております。  それから、大変恐縮でありますが、せっかく立ったものですからちょっと。  先ほどの業務改善命令のお話で、私は先生と全く同じ考えであります。やはり、今回のような資本注入をするというのは、銀行の個別の利益からすれば適当じゃないかもしれないけれども、しかし国益から考えればぜひともやらなきゃいかぬのだという場合にやる話だと思います。  その場合に、ちょっと先生の御意見で気になりましたのが、不良債権の処理というのは、不良債権に対して引き当てをすればそれで事足れりという感じが少し強いような気がするものですから、私どもは、それだけでは本当不良債権の処理にはならない、完全な意味でオフバランス化する必要があるし、それで初めて最終処理になるのだと。  したがって、そういうことをやるためには当然業務改善命令とかは要りますけれども、そういう銀行がそういう処理を本当にやろうと思ったら、担保で持っているものについては、強制的にやるかあるいは任意売却してもらうかしかないわけですから、その意味で、まだこの委員会にかかっておりますけれども、権利調整の法案とかそういうものも前向きにぜひ考えていただいて、相まってそういう処理が完全な意味でオフバランス化する、そしてそのことによって企業は自己資本比率も気にしなくなるように、バランスシート上から不良債権は落ちてしまうわけですから、あるいはまたそれに要していた保有コストというものがなくなりますので、業務純益は大変改善します。そういうことまで本当は含めていくべきだろうというふうに思っております。そのためには、当然、個別の銀行の利益とは反するようなことになるかもしれないけれども、国益として重要であれば、積極的に改善命令なりを出していくべきだと思っております。
  229. 鈴木淑夫

    ○鈴木(淑)委員 山本議員熱心に推進されております権利調整委員会のようなああいう考え方が必要だという御主張で、私は、不動産の流動化、それによる根本的な、ライトオフですよね、バランスシートからのライトオフをしなきゃいかぬ、その御主張は賛成でございます。  さはさりながら、僕は、優先株や劣後ローンではだめで、普通株じゃなきゃだめだという論拠がいまだによくわからない。これは、一般論を言って恐縮ですけれども、一種の市場の失敗なんですね。市場原則だけでやれば、だめなやつはリタイアしろとか言っていていいのですが、市場原則だけでやらせておいたら、貸し渋りは起こるわ、もう市場そのものの機能がぶっ壊れそうだから、これは市場の失敗ですよね。だから、市場原則だけじゃだめで、公的介入をしようというのがこの法案趣旨ですよね。  しかし、公的な介入を市場にする場合も、一つの原則として、なるべく市場メカニズムを生かす、あるいは市場に対して中立的でなければいかぬということがあります。  例えば、わかりやすい例で言えば、租税政策というのは、これは市場に任せておくと分配がおかしくなっちゃうから、租税政策を使って分配を直そうという一種の市場への介入ですが、それでも、租税政策、租税の大原則の一つに中立性という言葉がありますでしょう。それと同じで、やはり中立性ということも大事な要素なんですね、市場の失敗に対して公的介入をするときも。そういう意味で私は普通株はどうかねと思いますが、これはもうこれ以上やったら水かけ論になりますからやめておきます。  それからもう一つ、私この法案でううんと思っ ているのは、さっき蔵相もおっしゃいましたが、預金保険機構にやらせようということでいっているのですね。そして、協定銀行を預金保険機構が使ってやるわけですね。これは、住専機構と整理回収銀行が一緒になる。預金保険機構も協定銀行もいずれも不良債権処理の機関なんですよね。  だけれども、これからやろうとしているのは、不良債権処理でなくて、生きている銀行を再活性化させるための資本注入ですね。ですから、銀行でいえば、回収と与信は違うんですよ。それをこういうふうに預金保険機構と日本版RTCにやらせようというふうにしていることについても、ちょっと私は根本的な疑念を抱いています。  特に、最初伺ったときは勘定まで一緒だったのですね。再生勘定でやるというから、何を言っているんだと。今までやっていた後ろ向きの破綻処理の話と、これからやろうとしている前向きのシステム再活性化とは全然違うのに、何で破綻処理の機構を使い、破綻処理の勘定を使うんだと言って猛然と反対意見を申しておりましたら、勘定の方は分けた。だけれども、機構は破綻処理の機構を使うわけですよ。  そういうところから、蔵相が最初おっしゃったように、何か技術的に、法律の格好が破綻処理みたいな法律で出てきているんですね。何じゃこれはという話になったと思うのですが、蔵相、いかがですか、これは本当は何とか公社とかいう、資本注入公社みたいな、あるいはスキーム健全化公社みたいな、そういう前向きの仕事をする機構というのを本来つくるべきだとはお思いになりませんか。これは目的が違うのに、おまえちょっとやってよみたいな法律なんですね。いかがでございましょう。
  230. 山本幸三

    山本(幸)議員 この点は、そういう考え方も当然あろうと思います。  ただ、私どもは、受け皿金融機関自己資本の充実策については、いわゆる金融機関の破綻処理の円滑化にも当然資する、そういうこともあり得るということをこの法案の対象にも考えているということでありますし、あるいは、一般の金融機関の市場における信認を高めて、ひいては破綻の未然防止につながって、間接的に預金者の保護、金融システムの安定化に資するということに着目しまして、なかなかすっきりしないということはあるかもしれませんけれどもタイミングの問題あるいは制度の効率化、また行政改革の観点からいいますと、新たな法人をつくってということはいかがかということで、それなりに預金者保護、そういうものとの関係もあり得るということで、この預金保険機構の中で、しかし別勘定でやった方がいいんじゃないかというふうに判断した次第でございます。     〔委員長退席、山本(有)委員長代理着席〕
  231. 鈴木淑夫

    ○鈴木(淑)委員 よろしかったら、今の点について、ぜひ宮澤蔵相の御意見も伺いたいと思います。
  232. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 沿革以外に余りすっきりした御説明はないので、今山本議員の言われたことが大変に現実的な理由ですけれども考えますと、政府金融機関のあり方に干渉するのは、第一に預金者を保護するためであるというコンセプトがありまして、そこからスタートしたものですから、預金者を保護するためである、それはわかった、しかし、もし銀行に何かあったときにはどうするんだ、そこを助けることが預金者保護につながるだろう、こういうふうな流れで私は沿革的に来たのだと思うのであります。  ですから、今、そうじゃない、それはそうだが、そればかりじゃないだろう、日本の金融秩序をこうこうするんだろうとかいうときに、それはそれで新しく起こせば、それは一つのはっきり、すっきりしたやり方なんでしょうが、ずっと思想的にそこへつながったものですからこういう展開になったのであろう。これは、やや解説的なことを申し上げるしかないのですが、そんな感じを持っております。
  233. 鈴木淑夫

    ○鈴木(淑)委員 沿革的にはそういうことだと。しかし、山本議員がお答えになった中に、非常に正直なお答えがあったと思うのです。やはりこれ、かなり急いでおったし、ちょっと違うかもしれないと思っても、別の何とか公社とかをつくるんだったら、それなりの行政コストもかかるし、それで、ちょっと変なんだけれどもいいや、もう一つ、全然違う仕事だけれどもくっつけてしまえといってやったというのが多分正直なお答えじゃないかと思うのですね。行政コストの点は、私も理解できます。  ただ、最初に御質問申し上げ、私も確認のために意見を申し上げたことですが、金融再生法、これまでやってきたのは、いわば後ろ向きの破綻銀行処理、破綻金融機関処理。だから、どちらかといえば後ろ向きですよね。その機構が預金保険機構や日本版RTCなわけですね。  それに対して、これからやろうとしているのは、国民の皆さん、全然違うのですよ、もっと前向きの話なんです、破綻処理でなくて、生きている日本金融機関、だけれども不良債権を抱えてふらふらして、企業に十分な融資もできない、だから日本の景気の足を引っ張っちゃっている、これを健全化する話なんです、全然違うんですよと、言わなければいけないと思うのですよ。  それを国民に理解してもらうというのはすごく大事で、ですから、再生法は後ろ向きの破綻処理だ、だけれども、この健全化法は前向きの、生きているやつをもっと元気にするやり方なんだと。したがって、破綻処理というのは個々の経営の話なんだけれども、これは実は、資本注入だから個々の経営にもちろん関係しますよ、だけれども、ねらいは全体の銀行だし、全体のシステムにあるんだと。  それから、後ろ向きの処理は破綻処理だから、公的資金入れたらもうそれでパアだよ、戻ってこないんだよ、預金支払いの資金の足りないところへ入れてやるとか、不良債権で減価しちゃったその部分、まあ同じことですが、そこへ金を入れる、安く不良債権引き取ってやるとか、そういうことだから、これはやはり納税者の皆様の御負担なんですと。  しかし、今度やろうと思っているのは、何十兆と大変スケールの大きなことを言って皆さん方をおどかしてしまいますが、これは今までの公的資金何十兆という話とはまるで違うのですよと。これは融資でございますよ、資本注入という融資でございます、今まではもう後始末、赤字の穴埋め、今度は前向きに、銀行に元気になってもらうための融資でございます、だから、この目的を達成すれば返ってきますと。また、それを保証するために、法律によって、ちゃんと返済の資金を積み立てなさいとか、配当をじゃんじゃんしたらだめですよという配当制限とか、そういうところまで用意しているのですと。だから、何十兆と言ってもそんなに驚かないでください、これは生きる金なんですと、こういった一連のことを一生懸命国民に言わなきゃ、とても国民に認めていただけない、こんな大きなお金を動かす話。ですから、そこからいっても、やはり機構の話というのは、行政コスト云々でちょろちょろとやるような小さな問題ではないなというふうに私は思っております。  それにしましても、今までやっていた話とこれからの話は全然違うんだということを、私ども野党、特に自由党としても一生懸命国民に呼びかけますが、提案者である自民党の先生方も、この区別を国民にわかってもらわなきゃ大失敗する、もういろいろな点で苦労をしてしまう。また、世界に向かって発信する情報としても、この区別をうまく世界に向かって発信して理解させないと、おお、日本経済、日本の金融、いよいよ最悪期を脱するかなというふうに受け取ってもらえないというふうに思うのですね。  この点はマスコミの皆さんにもお願いしたいのですが、今までは破綻後処理だ、これからは破綻前処理だなんて書いているのですね。そういう話じゃないので、今までは個々の金融機関の破綻処理だ、これからはシステム全体の活性化の話なんだ、今までは税金以外に使う金がなかった、これ からは融資なんだから戻ってくるよとか、実にさまざまの相違があるということを、提案者の皆様方、また政府も十分PRしなきゃいけないし、我々もそれを言います。その点で意見が一致しなかったら、我々はとてもこれはサポートできません、こんな大きな金を動かすわけですから。そこの御認識を確認させていただきたいと思います。蔵相、いかがでございましょう。
  234. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 先ほどからいろいろ提案者からも御説明がありまして、行政コストの点もあったと思いますし、非常に短い間に起案をしなかったということもございましょうし、また、鈴木委員のような、将来に向かっての明快な認識をお持ちの方ばかりとは限らない政治の雰囲気もございますし、いろいろございますが、むしろ、今我々の蒙を開いていただいたという感じがいたしておりまして、将来に向かって、この法案法律になりましたら、本当に新しい金融のシステムをつくり、信用を確保いたすために行政をいたしたいと思います。  ありがとうございました。
  235. 鈴木淑夫

    ○鈴木(淑)委員 大体時間になりました。最後に大変力強い御答弁もいただきましたので、これをもって質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  236. 山本有二

    山本(有)委員長代理 これにて鈴木君の質疑は終了いたしました。  次に、佐々木憲昭君。
  237. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。  この提案されております早期健全化法案というのは、会期末になりまして慌ただしく当委員会提出をされております。これは十三兆円の従来のスキームと本質的にどう違うのかという点に根本的な疑問を感じているわけでありますが、きょうはこの点について吟味をしてみたいと思います。  まず、法案提出者の保岡議員にお聞きをいたしますが、金融再生法で十三兆円のスキームは廃止されたわけで、受け皿銀行は別としまして、一般銀行への資本注入の枠組みはこれでなくなるわけでありまして、十三兆円のスキームは廃止されたままでよいのではないかと思うわけでありますが、なぜ新しい資本増強法案を出してきたのか、その理由説明していただきたいと思います。
  238. 保岡興治

    保岡議員 今、佐々木先生も鈴木淑夫先生の最後お話を聞いておられたと思いますが、まさに今までは破綻処理というか、破綻になりそうな非常に極端な場合の処理を対象とする金融再生法案、もちろんその一部の中には金融の健全化スキームに資する一般金融機関からの不良債権の購入、日本版RTCによる購入というのがありますが、そういった法案による預金者や企業の破綻からのセーフティーネットの制度を用意するという仕組みに加えて、やはり信用秩序が崩れていくときとか、あるいは貸し渋りが非常に横行して日本の経済を圧迫するようなときとか、現状はまさにそういう状況だと思いますけれども、そういうことに対応する金融の健全化スキームというのがぜひ必要だ。  十三兆スキームもまたそういう使命を担っておったのでありますけれども、いろいろ法律上の性格というものが少し不明確で誤解を受けたり、あるいはまた、その実施が思い切った対応でなくて中途半端になって理解が得られなかったり、いろいろ運用に当たっての問題点もこの国会議論をされてきたところで、そういうものを改めて、新しい資本増強の制度をこの金融健全化法によって備えていこうということでございます。
  239. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 今の御説明ですと、十三兆円のスキームは中途半端であって、信用秩序の維持ですとか貸し渋り対策ですとか、こういう面でさらにこれをより強力なものに置きかえよう、こういう意図だというふうに説明がありました。そういうことであるならば、まさに十三兆円のスキームの形を変えた復活だ、こういうことになるのじゃありませんか。十三兆円は廃止はしたけれども、しかし、衣がえをして復活をした、こういう理解でよろしいのですね。     〔山本(有)委員長代理退席、石原委員長     代理着席〕
  240. 保岡興治

    保岡議員 十三兆スキームにはない、普通株の取得による直接経営管理に対応する道を新しくつくりましたり、あるいはまた、資本増強を実施する条件として、より厳しい経営責任やあるいは株主の責任、リストラ等を要求する内容になっておりますし、また、金融再編、再生という、そういった大きな柱を明確にしております。  また今度、金融再生法によって新しくできました金融再生委員会という権威のある、責任の重いこの機関で資本増強を決めるということなど、従来の十三兆スキームとははっきり根本的に違う内容になっております。
  241. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 はっきり根本的に違うとおっしゃいましたが、本質的には違わないと私は思うんですね。  今おっしゃったことは、条件が幾つか変わったということの説明でございまして、本質的には資本注入、つまり資本の増強のための法案である。これは、目的はそういう形で、その本質は極めて明確なんでありまして、違うものではなくて性格的には同じもの、その同じものを一定の条件を変えて復活させた、こういうことになるんじゃありませんか。  資本の増強という言葉を使っても、あるいは自己資本の充実という言葉を使ってもこれは同じことでございまして、十三兆円のスキームも資本の増強であります。それが一度廃止をされて、今、現時点ではないわけですけれども、この資本増強、つまり早期健全化法案によって、その資本注入が再び可能になる、そういう意味では、これは復活になるんじゃありませんか。
  242. 保岡興治

    保岡議員 金融危機を回避する、あるいは貸し渋りがないように今の金融危機の状況を克服すること、そういった目的においては確かに共通するものもありますし、その手段として資本増強ということを考えていることについても共通点はあります。  しかしながら、従来、この国会等でも御批判があった点をきれいに克服して、新しい制度として抜本的につくり直したということでございますので、御理解を賜りたいと思います。
  243. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 今お認めになりましたように、目的あるいは手段としての資本増強、こういう点では共通点がある。つまり、一度廃止されたものが再びその同じ目的のために衣がえをしまして復活をした、このことを事実上お認めになったわけでございます。  それで、具体的にお聞きをしたいのですけれども、この資本注入というものが、資本増強のための手段が復活をしたというだけではなくて、従来のスキームではできなかった新たな領域にも公的資金の投入に道を開いているのではないか。先ほども条件を厳しくしたというお話がありましたけれども、私は、この点では逆ではないか。  まず、確認をしておきたいのですが、十三兆円のスキームの場合には、破綻の蓋然性の高い銀行には資本注入はしない、こういうことだったと思いますけれども、これは確認できますね。
  244. 保岡興治

    保岡議員 そのとおりでございます。
  245. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 要するに、破綻する蓋然性が高い金融機関には資本注入はできない、これが十三兆円のスキームの特徴でございました。  ところが、今度の早期健全化法案では、自己資本が著しい過少資本状況、あるいは修正をなされようとしている内容を見ますと、特に著しい過少資本状況にある銀行、こういうところにも資本注入が一定の条件のもとではできるというふうになっているわけであります。  この著しい過少資本行というのは、自己資本比率で言いますとどの程度を念頭に置いているか、もう一回確認をしたいと思います。
  246. 保岡興治

    保岡議員 これは、四%を切る○までの金融機関でございます。
  247. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 自己資本比率が四%以下〇%のところと。  そうなりますと、これは従来の考え方からいい ますと、破綻の蓋然性が極めて高い銀行、こういう部類に入ると思うわけです。  例えば、金融危機管理審査委員会の審査基準を見ますと、自己資本比率が〇から四%の銀行というのは、経営の状況が著しく悪化している銀行、このようにみなされておりまして、それが一年間その基準に改善の見通しが立たないような銀行資本注入の対象にはならない、してはならない、こうされていたと思いますけれども、それは間違いありませんね。
  248. 保岡興治

    保岡議員 確かに、区分が一つ上になることが条件になっていたと思います。
  249. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 つまり、今まで資本注入が不可能であった。自己資本比率が四から〇の破綻の蓋然性の極めて高い、そういう金融機関に対しては資本注入はしてはならない、これが十三兆円のスキームの特徴でございました。つまり、早期是正措置の発動区分としての第三区分でないこと。あるいは、第二区分であって優先株式等の引き受け等を前提としない自己資本比率が一年経過後においても同区分にとどまる見通しであること、こういう基準がありまして、その場合には資本注入の対象にはならない、こういうふうな規定であります。  さて、それでは、自己資本比率〇%未満、こういう銀行は早期是正措置では業務の全部または一部の停止の対象ではないかと思いますけれども、これは監督庁にお伺いしたいと思います。
  250. 日野正晴

    ○日野政府委員 お答えいたします。  自己資本比率状況に応じまして早期是正措置では三つの措置区分が定められておりまして、御質問自己資本比率が〇%未満の金融機関は、このうち第三区分に該当することとされておりますので、当該金融機関に対しましては、業務の全部または一部の停止命令が発動されることとなっております。
  251. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 そうしますと、著しく自己資本比率の低い銀行というのは、〇%未満、あるいは〇%から四%、こういう銀行というものは、今までは対象にならなかった。十三兆の場合には資本注入の対象にはならなかった。しかし、そういう破綻寸前の銀行が今度の法案では注入の対象になるというわけですから、これは対象が拡大された、こういうことになるわけですね。
  252. 保岡興治

    保岡議員 十三兆スキームの資本注入承認基準というものにおいても、やはり〇から四の自己資本比率金融機関に対応することも認められていたと思います。それは内外のシステミックリスクを防ぐということであったと記憶いたしておりまして、そういった意味では、十三兆スキームは著しい過少資本行に対する資本注入も認めていたと思います。  一方、健全化スキームにおける資本注入は、六条の三号にあるように、存続が極めて困難である場合、あるいは取得した株式等を処分することが著しく困難である場合、これは資本の増強ができないということになっておりますので、委員が先ほどから御指摘の点は、いささかちょっと認識が違っているのではないかと思って伺っております。
  253. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 十三兆円のスキームの場合は、第二区分、つまり四%から〇%、これが一年間経過しても改善されないような銀行には注入ができない、こうなっていたわけですね。ところが、そうなっていたにもかかわらず、それをやろうとしている。例えば、破綻寸前の銀行にも入れなければならないというようなことがいろいろありまして、非常に矛盾が起こった。そこで今回は、それをクリアするためにそういうところにも入れられるようにする、こういう内容になっているのではないかと思うわけです。  今最後におっしゃったのは、破綻するような銀行には確かに入れないというふうになっております。つまり、債務超過の銀行、それから預金保険法でしたかによる破綻というものに該当するもの、そういうところには資本注入はできない、確かにそうなっております。しかし、それ以前の、ほぼ破綻に近い、そういうところまで資本注入が、これは一定の条件があればですよ、資本注入が可能になる、そういうところに枠を広げているということは明確だと思うのです。  そういう意味で、今回出されているこの早期健全化法案というのは、結局は、今までできなかった、極めて破綻の蓋然性の高い銀行にも資本注入が可能になるという意味で、対象が非常に広がっている、こういうことをまず一点指摘をしなければならないと思います。  それから、もう一つ指摘をさせていただきますと、例えばアメリカの早期是正措置の基準で見ますと、自己資本比率が二%以下の銀行に対しては九十日以内に破産管財人を選任するということになっておりまして、まさに二%以下の銀行の場合は破産扱いなんですね。日本では、そんな破綻寸前の銀行にも公的資金を投入する、こういう法案に今なっているわけで、これはアメリカの基準から比べましても極めて甘い基準になっているというふうに思うわけです。  もちろん、アメリカは公的資金投入のスキームなどはございません。そういう点で言いまして、余りにも日本の今提案をされている早期健全化法というものは、対象がほぼ破綻寸前のところから八%以上まで、いわばすべての銀行を対象にしているという意味で、これは全く基準がないといいますか、すべての銀行注入の対象になり得る、そういう面で本当に私はこれは歯どめがないと言わざるを得ないと思いますけれども、この点いかがですか。
  254. 保岡興治

    保岡議員 すべての金融機関が対象になるのではなくて、先ほども申し上げておりますとおり、この資本増強の承認条件としては、厳しい経営責任、株主責任、リストラ等の条件が自己資本比率の区分に応じて定められる、これが経営健全化計画の中に定められるということになっておりまして、それが実行可能であるかどうか、適正であるかどうかなどの判断があって、金融再生委員会が認めたら資本増強を行うということでございますので、何かすべての銀行に無制限に資本増強ができるような、今委員の御指摘のような点は全くありません。  それに、アメリカの例を挙げられましたが、これは我が国の制度として、破綻という一つの区切りがあります、メルクマールが。それに至らない、しかも存続可能な金融機関に対しては、破綻して対応するのでは国費の投入も使い切りになってしまいますし、いろいろな資産が劣化して、国の資金援助というものも大きなものになってしまいます。これは、営業権その他ゴーイングコンサーンでは、当然価値のあるものが価値がなくなってしまうために国費が大きくなってしまう。  ところが、破綻前でそれに対応したときには、生きている銀行に対する資本注入というのは、おのずから破綻処理よりも公的資金の対応は少なくて済む上に、将来元気になって金融機関が健全な銀行によみがえったときには、国はそこに投下した資本を投下したとき以上に回収できる可能性もある、また、そうしなきゃならないのがこの制度の目的でございます。     〔石原委員長代理退席、委員長着席〕
  255. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 今、返ってくるかどうかというお話がありましたが、それはまた後で議論をするといたしまして、対象となる金融機関は、最初から〇%以上というところに対象というのは設定をされておりまして、その上で一定の条件を満たした場合ということでありまして、最初から対象が排除されているわけではございません。そういう意味で私は言ったわけでございます。したがって、十三兆円のスキームでは初めから対象となっていなかったところが、今回は初めから対象としている、こういう意味で私は申し上げたわけでございます。  次にお聞きしたいのは、資本注入が復活したわけですが、資本注入を復活させることによって貸し渋りの解消に役に立つのかどうかという点についてお伺いしたいのですが、その保証は一体どこにあるのか、この点についてお聞かせいただきたいと思います。
  256. 山本幸三

    山本(幸)議員 現在、貸し渋りが大変な問題になっていることは委員御承知のとおりでございますけれども政府は、政策金融の活用や信用保証枠の拡大というものを思い切ってやっております。しかし、政策金融や保証協会の融資だけでは到底民間の融資を賄い切れるわけではありませんで、私の記憶が正しければ、たしか中小企業金融の七、八%ずつぐらいだったと思います。政策金融やあるいは保証協会の融資は、中小企業金融向けについてもそれぐらいしかしておりませんので、やはり民間金融がこの貸し渋りをなくすためには大いに頑張ってもらわなきゃいかぬ、そういうことでございます。  そのために、金融システムが揺らいできているということもございますので、私どもは、今回、国益としてぜひとも必要だということで、この健全化法提出し、そして、金融システムの再構築を図るとともに、現在生じている貸し渋りをぜひとも押しとどめたいというふうに考えているわけであります。  これがどこで数字的に保証されるかといいますと、そこははっきりとした数字があるわけではありませんけれども、現下の状況から見れば、思い切った資本投入を行うことによって相当の対策になる、そういうふうに考えております。  しかも、それを確保するためには、法律の条文の中に、そういう資本増強を行う場合には、金融機関は、資金の貸し出しその他の信用供与の円滑化のための方策を定めた計画を提出しなければならない、そのことが承認の条件ということになっているわけでありまして、そこのところでしっかりと確保するように努めてまいりたいと思っております。
  257. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 それなら十三兆円のときと全然違わないじゃないですか。  十三兆円のときにも、危機管理審査委員会に健全性確保計画を出しまして、その中に「金融の円滑化」という項目がつくられていたわけです。その実施状況のモニタリングもある。  つまり、今回出されているものと、十三兆円出されていたときのあの時点の中身というのは全然変わらないわけですよ。今回お金を積んだからといって、貸し渋りが解消されるという保証は何もないじゃないですか。具体的な仕掛けなんて全然ないじゃないですか。どこにあるのですか。何が違うのですか。
  258. 山本幸三

    山本(幸)議員 そういう仕組みというのは、ただいま申し上げました貸し出し計画、そしてその履行状況のフォローアップということで、その意味では安定化法と同じようなものでありますけれども、現在の状況を見て、貸し渋りが大きな問題であるという認識のもとに、その点に重点を置いたそういう承認の審査を行っていくものと思っております。
  259. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 今認めたように、変わらないというのですよ。そうでしょう、仕掛けは。あの三月の資本注入時点で審査委員会提出をしたのが健全性確保計画でありまして、その中には、どの銀行も中小企業に対しての貸し出しはこうします、ふやしますと書いているのですよ。  例えば、ここにその健全性確保計画を持ってきておりますけれども、第一勧業銀行もこういうふうに書いているのです。「今回の公的資金注入趣旨をも踏まえ、貸出金については緩やかな増加計画となっております。」それから三和銀行の計画書では、「今般、公的資金による自己資本の充実を申請するにあたっては、本措置の趣旨をあらためて重く受け止め、金融の円滑化に向け、より一層努めてまいりたい」。  ところが、こう書いていながら、実際にやっていることは全く逆でありまして、八月二十八日の当委員会で私も取り上げましたけれども、例えば第一勧業銀行は、「十年度上期の基本方針について」という全店あての指示文書の中で、不良債権予備軍の中小企業からの資金回収を指示しまして、それをやった支店を評価する、こうなっているじゃありませんか。  また、八月の参議院予算委員会で我が党の筆坂議員が、三和銀行資金回収マニュアルの存在を明らかにしまして、いかに三和銀行が中小企業から過酷な資金回収を図っているかということを明らかにしたのです。  ですから、これまでのこういう実態を見ますと、幾らお金を積んでもそれが具体的に回っていく保証はないのですよ。だから、宮澤大蔵大臣も八月二十七日の答弁で、「実際には、貸し渋りの改善に今日までのところ役立っておりません。」このようにおっしゃっているわけです。だから、本来貸し渋りに目を光らせるべき金融監督庁は、こういう三和銀行などの内部の資金回収マニュアルのようなもの、これが指摘をされて初めてその実態を知るというのが現状であります。  したがって、貸し渋りの解消のためには、公的資金を積むということがその対策ではなくて、いかに銀行の貸し渋りの実態を把握し、それをどう是正するのかということ、これが重要でありますが、そのようには思いませんか。
  260. 山本幸三

    山本(幸)議員 貸し渋りがどうして起こっているのかということにつきましては、私はこういうふうに考えております。  どんどん不良債権がふえてきている、その中で最大の問題は、そうした不良債権がバランスシートの中に残っている、そのために銀行としては、自己資本比率のことを考えますと、どこかからその調整をやる行動を起こさなければなりません。それが私は貸し渋りになっていると思っております。  したがいまして、やるべきことは幾つかありますが、一つは、自己資本が足らないということであれば、貸し渋りということが大きな社会的な悪影響を与えているという意味において、今回の法律に基づいて自己資本をできるだけ投入するということが一つあります。  それから、本来の貸し渋りの原因になっている不良債権がバランスシートに滞っているというところを本当にオフバランス化して落としてしまわなければ、これはいつまでたってもとまらないことになりますので、そういう施策を銀行に要求しなければいかぬ。この点は先ほども鈴木議員との間で議論したところでありますけれども銀行に本気にバランスシートから不良債権を落としてもらわなければいけない。  その落とすときには、やり方として二つしかありません。一つは、回収可能な担保というのがありますから、それを強制的に回収する形で引き当てしている分と一緒に落とす。あるいは、任意にそういう担保になっている物件を、担保不動産を提供してもらう。そして、その分は回収するけれども、残りの分については債権放棄して、そしてバランスシートから完全に落としてしまう。そういうことを一緒にやっていくということが一番いいわけであります。  したがいまして、この公的資金を投入する際には、本気に銀行にバランスシートから不良債権を落とすということを強く要求するような形で承認の審査を進めてもらいたいと思いますし、そのことによって劇的に貸し渋りはなくなっていくものと思っております。
  261. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 今のような姿勢では、具体的な貸し渋りの是正にはつながらないと私は思いますね。銀行自身が、自分たちが計画を出していながらそれを実行しない。そういうことに対して、具体的にそれを是正させる指導を政府責任でやらなければ改善にならないじゃないですか。幾ら公的資金を入れたり、周りで支援を幾らやったって、銀行のそういう行動を正すようなことをやらなければだめですよ。それをやらないから今まで貸し渋りは直ってないんじゃないですか。  最後にお聞きしたいのですが、投入する資金ですけれども、この早期健全化スキームで幾ら資金が必要というふうに考えているのか。先週、民主党が、再生勘定に二十兆、健全化勘定で三十兆、合わせて五十兆、このほかに特例業務勘定が十七兆ですから、合わせて六十七兆円という構想を出されましたけれども、自民党提出者の方もこのような考え方でおられるのかどうか、お聞きしたい と思います。
  262. 保岡興治

    保岡議員 それは、正確な積算ということはなかなか難しいことだと思いますが、今、金融機関の置かれている財務状況等を勘案して、また貸し渋りの状況等もよく見きわめまして、どれぐらいの資本注入が必要か。適正な引き当てとかあるいは償却とか、そういった不良債権の態様等、あるいはまた株の含み損など実質的な財務内容の態様とか、いろいろなことを考えて、金融が安定するように、そして今の危機的な状況の原因になっている貸し渋り等が回避できるように、そういったことを基本にしながら、内外の我が国の金融の安定のための信頼につながるだけ、ある程度は思い切った額を積んで対応するということが必要だと思います。
  263. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 具体的な数字をお答えにならないわけですけれども、この資本注入をした資金は返ってくるという保証はありますか。
  264. 保岡興治

    保岡議員 保証という意味にもいろいろあると思いますが、我々、国の将来を考え国民の今非常に苦しんでいる経済状況考えたら、今を最低にして、必ず二十一世紀には、ここで反転して、いい経済をあるいはいい金融の状況をつくる、そういう対応が必要だと思います。その結果が、投入した今度の金融機関に対する投資あるいは貸し付けというものをより的確に回収させていくことにつながるものだと考えます。
  265. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 保証というのは今具体的にお答えにならなかったわけだけれども、仮に立ち直って、いずれはもうかる、こういう銀行であるなら、何も公的資金を使って買ってやる必要ないわけです。銀行自身が市場で資本を調達できるわけでありますから、みずから調達すればいいわけですね。  しかも、破綻の蓋然性の高い銀行に入れた場合には、これはもう損失の出る可能性が大きいわけでしょう。ですから、何か国民税金にはね返るような形で資本注入をどんどんどんどんやればそれでうまくいくなどというのは、全くこれは虚構の論理でありまして、現実には財政負担が極めて大きい。そういう形ではね返ってくる可能性があるという点を私は厳しく指摘をしておきたい。  例えば、日本と違ってアメリカの銀行の場合には、財政資金には商業銀行は一切頼っておりません。自力更生ということでやっているわけですね。例えばシティバンクの場合、不良債権が大変大きかった。一九九〇年に、株価は一時は八・五ドル、そういう存亡の危機に瀕したことがございます。このとき経営者はどうしたかといいますと、経営再建計画を持ちまして、会長自身が世界じゅうを行脚して資本の増強を頼んで回った、こういうことがございます。こうして、例えばサウジアラビアの王子にも増資をしてもらったとか、そういうことがあったそうでありますが、こういうことで自助努力をして立派に信頼を回復したという経過があるわけです。  早期健全化ということであるならば、やるべきことは何か。やはり自己資本が八%を切るようになったら、もう海外業務からの撤退ですとか、あるいはいろいろな措置というのをみずから実施をするというのは、これは当たり前のことであります。頭取に九億円も退職金を払うなどという野方図なやり方を改める。  大体、今の銀行の頭取の皆さんは、バブルの時代に先頭に立ちまして乱脈融資の指揮をとってきた、そういう方々が多いわけであります。そういうことについて、バブル時代にやってきたことを反省して謝罪をしたという頭取は聞いたことがない。そんな反省もなく、自己規律も期待できないような人たちに、公的資金をどんどんどんどん面倒見てやる、そういう必要は私はないと思うのです。  銀行業界が本当に地に落ちた信頼を回復しようとするならば、バブルの時代の乱脈を反省してみずから必死の努力を行うということが、これは当然必要だと思うのですけれども宮澤大蔵大臣に、銀行業界、銀行自身の自己規律といいますか自己責任といいますか、この点についての見解をお聞きしたいと思います。
  266. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 昨年十一月の金融異変以来、こうして国会でも、法案の御審議で厳しくそういう問題が議論されまして、今銀行の経営者の方々はかなり厳しい反省をしておられます。全くこれは、かつてとは世の中が変わったような雰囲気になっておりますので、これは必ずや、こういう国会の御論議がこれからの銀行、金融界にも反映をしてまいる、その兆しは随所にございまして、私はそう思っております。
  267. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 反省しておられるということでありますが、反省しているなら、あれだけの退職金をもらって平然としているというのはあり得ないわけでありまして、まともな反省をしておりません。大体、そういう形で公的資金をお願いしたい、お願いしたいと言うのは、やはり私はよくそういうことが言えるものだと思うわけです。  こういう銀行にげたを履かせて資本注入をやって、その力もないのに無理やり基準を超えさせて世界に出ていかせる、こういう必要がどこにあるのかということですね。げたを履いて世界に出ていっても、まさにその足元を見られるわけでありますから、これでは世界の信認も得られない。  私は、このような資本注入の新たな復活、そういう法案は撤回を求め、銀行業界に自己責任、自己負担の原則を要求して、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  268. 相沢英之

    相沢委員長 これにて佐々木君の質疑は終了いたしました。  次に、濱田健一君。
  269. 濱田健一

    ○濱田(健)委員 長時間かけて審議をしてまいりました金融再生法案がきょう参議院で成立をし、法律化されました。金曜日、そしてきょうと審議を始めました早期健全化法案、幾つか私も質問をさせていただきたいというふうに思うのですが、まずは大蔵大臣提出者にお尋ねをしたいというふうに思います。  金融機関健全化に資するというこの法律案趣旨は理解できるわけでございますが、全体としてこれからの日本金融機関の姿をどのように持っていくのか、どのようにしていくのかということが描かれていないというか、ちょっととらえにくい中身だと私は思っております。破綻前という言葉は使いたくございません。まだ生きている金融機関をどのようにしていくのか。オーバーバンキングと言われている中で四月から金融ビッグバンが始まりました。二〇〇一年の四月からは、当然、各預金者、借り手がみずからの責任金融機関をどういうふうに使っていくのかという方向性にもなってまいります。  この法案を見せていただいた中に、金融システムの信頼回復のためにはまずは手当てをするというふうな見方が考えられるわけですが、これを進めていく中では、当然、市場原理に基づいて金融機関の淘汰、再編も積極的に進められていこうとしているのか、その両方なのか、その辺を提出者にお聞きしたいと思いますし、これを見られた宮澤大蔵大臣はどのようにこの法案に感想を持っておられるか、お聞きをしたいと思います。
  270. 保岡興治

    保岡議員 先生がおっしゃるように、今、日本の経済や金融の状況本当に危機的な状況にあって、国民はあえいでいる状況であります。こういったものに対して、大幅に拡大していると言われる貸し渋りなど、そういうものを回避するために当面効果を期待しなきゃならぬというこの制度の目的もございますが、また一方、三条三号で、金融再編、金融システムの効率化ということも大きな柱にしてありまして、この制度の重要なテーマになっておるところでございます。  やはり、二十一世紀へ向かって元気のいい、効率のいい金融サービスを手にするためには、国際業務に携わっている大手金融機関の中にも、場合によっては専門化し、国内業務に業務を移すところもあるでしょうし、また、地方における金融機関においても、ディスクローズが進む中で預金者や借り手の厳しい選別というものも進んでいくことでありましょう。そういう中で、より強い、しっかりしたサービスのできる金融機関にいずれ にしても変わっていかなきゃならない。そういうこの数年の金融再生のプロセスをこの制度が支援していくということも一つの大きな柱になっているところでございます。
  271. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 金融機関の経営者の気持ちというのは一変しつつございまして、かつて自分の銀行が、あるいは自分の金融機関が倒産する、あるいはなくなるというようなことは恐らく考えたことがなかった人々が、今、かなりたくさんそういうことを心配しつつございます。そのぐらいリストラは深刻になってきましたし、競争は激しくなります。  その中から、場合によって幾つかが国際舞台で活躍することができるかもしれない。また、多くの銀行は、自分の持っている特技、分野、サービス、商品等で自分の銀行でなければできないサービスをしてお客さんに奉仕をしようとするであろうと思います。地方の銀行の多くは、恐らく余り大きな変化なく、その地方の金融の中心になってお客さんの面倒を見ていってくれると思いますが、しかし、今までの海外活動というのは相当のところがやめて、国内に専念することになると思います。その間、脱落する金融機関もまたあるに違いない。これは、救いようのないものは救いようのないという、そういう時代になってまいろうかと思います。
  272. 濱田健一

    ○濱田(健)委員 オーバーバンキングと言われている今の日本金融機関の中でこの法律が仮に成立した場合に、当然、きょう成立いたしました金融再生法との整合性がなければならないというふうに思うわけでございます。金融再生法による破綻前の特別公的管理という部分がございましたけれども、これと早期健全化法案のそれとはどのように違いがあって、また整合性があるのか。本会議での保岡委員説明の中に、著しい過少資本、〇%の部分にもこの早期健全化スキームは適用されるという回答があったかと思うのですが、これでいくと、破綻前のすべての銀行を救うということに誤解されかねないのではないかと思うのですが、その辺はいかがでしょうか。
  273. 保岡興治

    保岡議員 再生法における対応は、破綻した金融機関あるいは破綻を生ずるおそれのある場合の対応をすることになっておりますけれども、今度の健全化スキームは存続可能な金融機関ということが対象でありまして、そういった意味では、〇から四という区分、著しい過少資本行の場合もその対象になっておりますけれども、要件は、今申し上げたように、存続が極めて困難な場合などは排除するように、そういうふうな仕組みになっております。
  274. 濱田健一

    ○濱田(健)委員 次の点ですが、四月から始まった金融ビッグバン、この中で、自己資本比率を国際的に認められているBIS基準に持っていくために、各金融機関は非常に努力を重ねてまいりました。しかし、うまくいっていないということ。そのために、自己資本比率を高めるために貸し渋りというものも引き続いて行われているという状況がございます。  私は、この法案で仮に八%以上の金融機関にも公的資金を投入するのであれば、健全と言われているところに投入するわけでございますけれども、やはり一番苦労している中小零細、これらの皆さん方にきちんと貸し渋りの対策をしていくのだというようなことを記載した、資金の貸出枠、こういうものを拡大する旨の意思をしっかりと出さなければ国民の理解が得られないというふうに考える者の一人でございます。  これらを健全化計画の中に盛り込ませる、そしてそれを確実に履行させるということを社会民主党はこれまでも主張させていただいたわけですが、この辺のお考えはいかがでございましょうか。
  275. 山本幸三

    山本(幸)議員 委員のお考えはそのとおりだと思いますし、御趣旨はよくわかります。したがいまして、今回の法律の条文でも、資本増強の審査に当たっては、金融機関資金の貸し付けその他信用供与の円滑化のための方策を定めた計画を提出してもらうことになっております。そして、その中でも特に中小企業への融資姿勢を十分配慮すべきだというように考えておりますし、そういう項目の要求も、これまでのものもやっておりますし、行われることになろうと思います。  厳密に幾らまでというようなことはなかなか難しいかと思いますが、そうしたことが非常に大きな審査の基準の一つになるというふうに理解しております。
  276. 濱田健一

    ○濱田(健)委員 健全化計画に書き込ませるということであれば、山本委員にお聞きしたいのですが、そのことをどう担保するかということがやはり気になるのですね。指導によるのか通達によるのか、または政省令として書けるのかどうか、まあ難しいとは思うのですが、その辺はいかがでしょうか。
  277. 山本幸三

    山本(幸)議員 これは履行状況をフォローアップすることにしておりますし、それを公表することにしております。そして、そうした計画の中に織り込まれた事項が十分に履行されていないというようなことがあれば、当然業務改善命令の対象になると思っております。
  278. 濱田健一

    ○濱田(健)委員 別な点でお聞きしたいのですが、有価証券等の評価方法、今いろいろなところで論議がされているところでございます。私は、適切に今どのぐらいの価値があるのかということでの時価法採用するのが最もベターだというふうに思っている者の一人でございます。  しかしながら、私たちは、現下の経済状況を勘案したときに、低価法、そして原価法、時価法、これらを、公表する部分についてはどの選択も許してあげるべきではないのかということを考えながら、金融監督庁に届けるときには、すべて一緒に、私たちはこの三つの方法で届けさせてもらいます、そしていろいろな審査をする場合に、金融監督庁は使われ方としてはどれを使ってもらっても結構ですとか、そういうふうな方向性というものも模索するべきではないのかというふうに思っているところでございますが、その辺の御見解はどうでしょうか。
  279. 保岡興治

    保岡議員 金融資産の評価については、先生が言われるようにいろいろな方法があるわけでございますけれども、そのすべてを求めるということになりますと、やはりこれはコストもかかりますし、制度上、運用上、いろいろ問題もあろうかと思います。  ただ、今先生が言われた三つの評価というものは、これは実質的に検査を行う監督当局にはよく把握できるところでございますので、今度の健全化スキームの運用に当たっては、きちっと当局が把握した実態に即した資本増強が行われるものと承知しております。
  280. 濱田健一

    ○濱田(健)委員 企業会計審議会が二〇〇一年から時価法を取り入れなさいという方向性等を出されていますので、これは将来に向けて必ず検討をしなければならない課題だということをまずは申し上げておきたいというふうに思います。  それで、次に公的資金投入のための区分です。  普通株、優先株など、どういうところでその区分を決めるかというのが、これも話題になっているところでございます。自己資本比率によってどういう形をとるのかということは、マスコミによって私たちの知らないうちに先々にいろいろな場面が想定をされているところでございますけれども、これらはどのように対応していかれるおつもりなのか。金融再生委員会の裁量で行うのか。私たちは、やはりきちっと法律によって区分を決めるべきだと考えておりますが、いかがでございましょうか。
  281. 保岡興治

    保岡議員 今先生が言われました、今度の資本増強を行うに当たっての自己資本比率による区分というものを、ある程度法律上きちっと明定すべきではないかということについては、本当に極めて傾聴に値する御意見だと思います。  また、具体的なパーセンテージなどは、BIS基準の見直しなども今国際的に検討が進んでいるようなことも伺っておりますので、そういう具体的な数字については省令事項などに落としてもいいかと思っておりますが、いずれにしても、金融 再生委員会において具体的な内容については決めていかれることになると思います。
  282. 濱田健一

    ○濱田(健)委員 やはりこの基準というのが、そしてその基準に基づく公的資金を例えば投入するということが決められたときに、責任の問題、リストラをどうするかとか、役員の皆さん方の責任をどうするかというようなことなんかも、国民の皆さん方はお金を入れるという部分について大きな関心を持っていらっしゃるわけでございますが、その辺の部分はどのようにお考えでしょうか。
  283. 保岡興治

    保岡議員 今も申し上げたとおり、自己資本比率の区分を四つぐらいに分けて明快にするように法律上決めるべきだという御意見については、非常に検討に値する御意見だと思います。また、区分に応じてリストラとかあるいは経営責任、株主責任を明確化する、そういったことについても、細分化して、少し基本的なところは明確にして法律に規定する必要があるという御意見についても、非常に貴重な御意見だと思います。
  284. 濱田健一

    ○濱田(健)委員 最後に、三月の資本注入の時点でも、その後の貸し渋り対策がうまくいっていない、自己資本比率が一〇%ぐらいになったと言われているけれども本当にそうなっているのかということを含めて、金融機関が自分たちの体質を正真正銘明らかにしていないのではないかという声が国民の中からはいっぱいございます。いろいろな報告についても虚偽の報告がなされているのではないか。それらについて、やはり今回のこの法律の中では、その虚偽報告等について業務停止命令等の行政処分が法定化されなければならないというふうに私は思っておりますし、当然、罰則もつけなければならないというふうに考えるわけでございますけれども、当然今の銀行法か金融監督庁設置法等々の中でそれらに対応できるのかどうか、提出者、いかがでしょう。
  285. 保岡興治

    保岡議員 健全化計画の中に虚偽の記載があったりすれば、これはしかるべきペナルティーが科されるべきだと思いますし、そういうことについては法的な手当てをすることも極めて重要だと思います。  健全化計画の承認を受ける際にはいろいろな関係書類も提出されると思いますが、そういった内容の正確性についても、法的に担保されているとおり実行されるものと思いますが、厳正な、きちっとした正確な内容についての確保がされるべきだと思います。
  286. 濱田健一

    ○濱田(健)委員 健全化のための対応をしていくということで、健全化の勘定というものなんかも検討されているようでございますが、私は、金融安定化法の二の舞を踏まない対応の仕方、中身の充実というものがこの委員会の中でしっかり論議されなければならないということを最後に申し上げて、終わりたいと思います。ありがとうございました。
  287. 相沢英之

    相沢委員長 これにて濱田君の質疑は終了いたしました。  次に、笹木竜三君。
  288. 笹木竜三

    ○笹木委員 無所属の会の笹木竜三です。質問を始めます。  先ほど、他の委員との質疑のやりとりの中で、責任追及とかのことを考えると、当の金融機関の側が公的資金申請を実際にしなくなってしまう可能性もあるんじゃないかということで、行政命令による強制的な資本注入もあり得るんじゃないかということで、答弁者も、そういうこともあり得るというような形で答弁をされておられました。  まず大蔵大臣にお聞きしたいわけですけれども、行政命令による強制的な注入もあり得るんだということなのでしょうか。
  289. 保岡興治

    保岡議員 今度の資本増強の仕組みは、基本的には申請主義になって、当事者である金融機関が申請することになっておりますが、早期健全化措置というものと効果的に連携することにもなっておりますし、また、必要に応じて銀行法二十六条一項による業務改善命令などによって資本増強が図られる場合も考えられないわけではないと思います。
  290. 笹木竜三

    ○笹木委員 きょう、ずっとこの審議の中でも、資金注入の場合には責任の明確化という議論も何度もあるわけですけれども、その強制的な資本注入をやる場合に経営者責任の方はどうなるのでしょうか。
  291. 保岡興治

    保岡議員 今、議員がお尋ねのように、早期是正措置であれ、二十六条一項の改善命令であれ、資本が著しく悪い状況、そういう銀行に対する場合であろうと思います。したがって、そういう場合には当然経営者の責任や株主の責任というものも厳しく対応するということで、そういうことが健全化計画の内容になるものと思います。
  292. 笹木竜三

    ○笹木委員 質問に答えていただきたいのですけれども、強制的な注入をする場合に、経営者の責任という問題については、申請した場合とではどういうような違いがあるのか、お答えいただきたいと思います。申請して資本注入をさせていただく場合と強制注入の場合とでは、経営者の責任ということについてはどう違うのか。
  293. 保岡興治

    保岡議員 強制的にする場合も場合によってはあるものとは思いますが、それは著しい過少資本行のケースだろうと思います。  そういう場合には、より自己資本比率が健全な場合あるいは普通の過少資本行の場合に比べれば、経営責任とか株主の責任、こういったものはより厳格に措置されるものと思います。
  294. 笹木竜三

    ○笹木委員 強制的に資本注入して、しかも責任をとらせる、どうもやはりすっきりしないような気がするわけですけれども責任追及を恐れて申請をしないおそれがあるということなら、例えばアメリカのシティバンクの場合には、二年間の期限を区切って業績回復の責任を課す、これは株主がやった場合ですけれども。二年を見て責任を果たせなかった場合には経営者の責任を問うということで、まあシティバンクの場合にはうまくいったわけですけれども、二年とか三年時期を区切って、その結果を見て経営者責任を課す、そういうことで統一をされたらどうでしょうか。その方がすっきりするような気がするのですけれども、御意見をお聞きしたいと思います。
  295. 保岡興治

    保岡議員 それはケースにもよると思います。  したがって、一律に何か基準を持って対応するということは難しいと思いますし、それから先ほど私、簡略に、強制注入があり得るというような誤解を与えかねない表現をしましたが、これはあくまでも当事者の申請がこの制度になっておりますので、その申請を促す、申請をするように命ずるというような場合が早期是正措置の発動であったり二十六条一項の発動であったりして、あり得るということを申し上げたわけでございます。
  296. 笹木竜三

    ○笹木委員 大臣にもお答えをいただきたいわけですけれども、今話に出ているような、強制的な資本注入もあり得る、そしてその場合の責任追及もあり得る、そういうことを僕は問題だと思うわけですけれども大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
  297. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 今、提案保岡議員が言われたとおりと思います。
  298. 笹木竜三

    ○笹木委員 あともう一点確認をしたいわけですけれども、きょうも何度も情報開示という話がありました。情報の公開という話もありました。しかし、それと同時に、この委員会でも何度も話題になっていますけれども検査体制の不備ということがこの何度もの繰り返しというか失敗の大きな原因だと思います。  この委員会でも何度か話題にもなったし、私も何度かお話ししていますけれども、アメリカでの検査体制と日本検査体制の違い。特に一〇%を超える健全な金融機関については立入検査の頻度を十二カ月に一度から十八カ月に一度に軽くしている、一九九一年に制定された連邦預金保険公社改善法で。逆に、経営状態が悪い八%未満については一年に何度も立入検査を行えるようにした、ケースによっては常駐することもした、シティバンクの場合には二十五人が常駐もした。八〇年代。  こういう差をつけて常駐も含めて検査を濃密に やる、経営状態によって差をつけた検査体制にする、これをぜひ検討すべきだと思うわけです。情報開示のことは何度か話がありますけれども検査体制の充実については抽象的な話しかなされていないように思います。  まず提案者、このことについて御意見をお聞きしたいと思います。
  299. 大野功統

    大野(功)議員 事前調整の世界から事後監視の世界、つまり、公明正大な中ですべて情報を得て、そしてその情報をもとに行動していく、この世界は大変コストのかかる世界でございます。  アメリカで申しますと、金融検査官八千人ぐらいおるわけでございますが、日本でいいますと、もうその十分の一以下、大体五、六百人、地方も合わせて六百人ぐらいかと思います。そういうことで、情報公開のもとで行われる行政というのは大変コストがかかる。まず情報公開してやるわけですから、その証拠固めをしていかなければいけない、こういう問題がどうしても出てくるわけでございます。  したがいまして、これから日本として進むべき道、もうこれは護送船団方式は終わり、こういうことでありますけれども、そういう世界に向かってぜひともこの検査体制というのを強めていかなければいけない、私はこのように思っております。
  300. 笹木竜三

    ○笹木委員 コストがかかるというお話なのですけれども、この数年間、何度かたくさんの予算を使って、そして必ずしも有効だったとは思えない、その一番の根本がこの検査体制の不備だと思うわけです。ぜひこういった、経営状態に対して差をつけて、悪いところについてはより濃密な検査をする体制が必要だと思うわけですけれども大臣の御意見をお聞きしたいと思います。
  301. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 私もそのように考えております。
  302. 笹木竜三

    ○笹木委員 それともう一つ。何度もお話ししていますが、例えば労働金庫だったら金融監督庁と労働省、あるいは農協と漁協が農水省、ばらばらな検査体制、これを一元化していくべきだ、これは何度も議論があるわけですけれども、こういった体制に新しく今していくことはできないんでしょうか。提案者にお聞きしたいと思います。
  303. 保岡興治

    保岡議員 この点は、今度の金融再生法の成立過程で提案を一緒にいたしました党とのお約束で、来年の通常国会において必要な法的整備を行うということになっておりますが、その時点でそういう整理がきちっとされるものと思います。
  304. 笹木竜三

    ○笹木委員 時間が来ましたけれども、今言った経営状態に応じての差をつけた濃密な検査体制、それと、今お話しする時間がありませんでしたけれども銀行員のOBとか、そういった民間人出身の方による検査体制、これをぜひ実現をしていくべきだと思います。  質問を終わります。
  305. 相沢英之

    相沢委員長 これにて笹木君の質疑は終了いたしました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後八時七分散会